ガキ「母ちゃんゲーム買って!」母「アカン、まだ誕生日でもないやん」 (19)

ガキ「ケンくん家でやってるの見たら欲しくなった!」
母「ほんなら誕生日にね」
ガキ「誕生日じゃ遅いの!!今買って!」
母「ウチはケンくん家と違うて貧乏やから無理や」
ガキ「買って!買って!買って!買って!買って!買って!お願い!お願い!お願い!お願い!お願い!」
母「あーもううるさい!!」

母「お小遣い貯めて買ったらええやないの」
ガキ「全然足りない!」
母「ほんなら我慢しい」
ガキ「誕生日前借りす・る・か・ら!!今買って!」
母「誕生日になっても何も欲しいって言わんのやね?」
ガキ「言わない!!」

母「私だけじゃ決められへんから、お父ちゃんが帰ってきたら相談してみ」
ガキ「わかった!前借りだからね!すぐだからね!」
母「はいはい」


父「ただいまー」
ガキ「父ちゃん父ちゃん父ちゃん!ゲーム買って!前借りなら買っていいって母ちゃん言ってた!」
父「何の話?」
母「欲しいゲームがあるんやって」
父「前借りって?」
母「誕生日プレゼント前借りして買うてもらうんやと」
父「そんなに欲しいのか?」
ガキ「うん!!今欲しい!超欲しい!!」
父「うーん・・・・、毎日宿題するなら買ってもいいかな」
ガキ「する!絶対する!」

母「買うたるん?」
父「そりゃまぁこれだけ頼まれたらね」
ガキ「ほんと!?買ってくれる!?」
父「いいよ、でも一個だけな。あと宿題するんならな」
ガキ「うぉおおぉおおおおおおお!!!!」
父「今から買いに行こうか」
ガキ「いくいくいくいくいくいく!!すぐ行く!」
母「ご飯は?」
父「たまには出前でも取ろうか」
母「私は楽やからええけど」
父「それじゃあ行くか」

レプ○ンにて

父「で、どれよ?」
ガキ「これこれこれこれ!!ケンくんが持ってた奴!」
父「これが面白いんか?」
ガキ「うん!」
父「ほーう、今の子の好みは分からんなぁ」
母「決めた?」
ガキ「決まった!これ!」
母「ほんならレジ持ってき」
ガキ「お金は?」
母「払うに決まってるやろ、ええから持ってき」

ガキ「これください」
店員「こちら一点で4200円になります」
母「ゲーム一本で焼肉行けるやないの」
父「まぁ宿題するらしいし、な?」
ガキ「するする」
母「ホンマかなぁ?」
ガキ「するからするから!」
父「はい、4200円ピッタリ」
店員「ポイントカードはお作りしますか?」
父「いえ」
店員「それではこちら商品になります」
母「受け取りぃ」
ガキ「やった!」
母「ありがとうは?」
ガキ「ありがとう!」
店員「こちらこそ^ ^」

ガキ「開けていい!?」
母「アカンに決まってるやろ」
父「先に車行っていいよ」
ガキ「わかった!」ダッシュ
母「走るな!」

帰宅中
ガキ「うおおおお!!」バリバリ
母「アンタ家まで待たれへんの?」
ガキ「無理!」バリバリガサゴソ
父「ゴミその辺に捨てるなよー」
ガキ「あ、説明書!」
母「説明書なんか読んで楽しいんか?」
ガキ「うん」
母「何が書いてあるん?」
ガキ「・・・・・・・・・」
父「聞いてないね」

ガキ「ただいま!」
母「手洗いーや」
ガキ「分かってる!」
母「分かってへんやないの!ゲームは後!先に手ぇ洗い!」
ガキ「んううううう!!はい洗った!」
父「出前とるけど何が食べたい?」
ガキ「なんでもいい!」
母「丼物にしよか、カツ丼でええね?」
ガキ「なんでもいい!!」
母「はいはい」

この日から20年後
あの日のガキは父親になった

父「なぁユウヤ、欲しいゲームとかないんか?」
ユウヤ「別に」
父「一緒に買いに行かんか?」
ユウヤ「いーよアプリあるし」
父「友達とゲームしたりして遊ばないんか?」
ユウヤ「してるよ、マルチで」
父「皆で集まったりしないんか?」
ユウヤ「LINEしてるし」
父「そうか・・・・」

父「説明書読んだりしないんか?」
ユウヤ「説明書ってなんの?」
父「ゲームの説明書」
ユウヤ「あー、メニュー画面から見れるやつね」
父「紙の、こう・・本みたいな奴は?」
ユウヤ「知らない。邪魔じゃん」
父「そうか・・・」

父「誕生日に欲しいものとか無いか?」
ユウヤ「スマホ」
父「今持ってるのは?」
ユウヤ「もう古いしなんか重いし、新しいの欲しい」
父「スマホもいいけどさ、ゲームとかサッカーボールとかなんかオモチャとかはいらんのか?」
ユウヤ「だからスマホでゲームやってるって言ってるじゃん」
父「そ、そうか・・・」

爺「ユウちゃんはその携帯よくいじってるねぇ」
ユウヤ「ん」
爺「それはどんな事をやってるの?」
ユウヤ「・・・・いろいろ」
爺「おじいちゃんにも教えてくれんかな?」
ユウヤ「あー、無理かな。多分わかんないし」
爺「そっかぁ・・・・」
爺「なぁユウちゃん将棋教えてあげようか?」
ユウヤ「いやいいよ」
爺「でも将棋覚えたら色んな人と出来るよ?」
ユウヤ「十分色んな人と遊んでるし」
爺「その携帯で?」
ユウヤ「そ」
爺「その携帯でも将棋出来るの?」
ユウヤ「あー、うん・・・出来るね」
爺「じゃあやっぱり爺ちゃんが教えてあげるよ、そしたらその携帯で色んな人と将棋出来るようになるよ」
ユウヤ「いやいい。・・・・・てか上の部屋行くわ」
爺「あ、あぁ・・、わかったよ」

爺「ユウちゃんは何を買ってあげたら喜ぶの?」
父「俺にも分からん」
爺「昔のお前みたいにゲーム買ってとも言わないし、どこへ行きたいとも言わないし」
父「いっつもスマホ触っててそれが楽しいらしいから、他に何が欲しいとか無いみたいなんや」
爺「そうかぁ・・・、婆ちゃんもせっかく孫が来ても携帯触っててばっかりであんまり話せんって言ってるわ」
父「ウチでもそんな感じよ・・・、友達と携帯で話してるって言ってるけど誰と何話してるのかも分からんし」
爺「どうしたら話してくれるんかなぁ・・・、若い子の好みがもう分からんよ・・。悪い友達とかはいないよな?」
父「俺も分からん。昔は友達って言えば親とも顔合わせたり、電話するにしても一回親が出たりしてどんな子か分かったんやろうけど、今はなぁ」
爺「お前にも分からんならワシらにはてんで分からないねぇ・・・・はぁ」
父「また近いうち連れて行くから、その時にでも考えようや」
爺「うん、待ってるよ」
父「それじゃ、また」

ユウヤ「ねえ、お小遣いちょうだい」
父「何か買いたいものがあるんか?」
ユウヤ「んあー・・、まぁそんかんじ」
父「うーん・・・いいけど何に使うんや?」
ユウヤ「ゲーム」
父「欲しいゲームがあるんか?車出したろか?」
ユウヤ「いや、課金」
父「例のアプリの事か?」
ユウヤ「そう」
父「課金なぁ・・・、そういうのはなぁ・・・」
ユウヤ「ダメなの?」
父「いやダメという訳じゃ・・・・・」
ユウヤ「じゃあいいじゃん」
父「でもその課金って言うのはソフト買うとかとは違うんやろ?」
ユウヤ「ゲーム買うのが良くて課金がダメな理由って何?同じゲームじゃん」
父「いや、まぁ、確かにそれはそうかもしれんけど・・・」
ユウヤ「ダメなの?」
父「あ・・・・・、うぅん・・・・・、わかった、3000円だけな?」
ユウヤ「さんきゅ」

父「ユウヤの言うことも間違ってはないか・・・、俺も昔はわがまま言ってゲーム買ってもらったもんなぁ」
父「あの時だって親父の世代からすればグローブとかサッカーボールとかをねだって欲しかったんかもなぁ」
父「ユウヤの世代ではもうゲームソフト買うのも、アプリに課金するのも同じゲームにお金を使うって事なんかもしれんなぁ・・」
父「でもやっぱりなんか悲しいなぁ・・・」



~完~

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