ドラゴン「ふう、食った食った」ｹﾞﾌﾟｯ


ワイバーン「丸ごと食った！」

リザードマン「すげえ……！」


ドラゴン「ガハハハッ！　ワシに消化できないものはない！」

ワァァァ……　ワァァァ……


ドラゴン「こんなちっぽけな町一つ落とすのに、なに手こずってやがる」


オーク「このあたりの兵士は鉄の鎧をまとっていて、手強いんですよ」

コボルト「どうすればいいのか……」


ドラゴン「ふむ、だったらワシに任せておけ」

ドラゴン「ブッ！」ﾌﾞｼｭｯ

ドラゴン「ブッ！」ﾌﾞｼｭｯ

ﾋﾞﾁｬﾁｬｯ

兵士A「うわぁぁぁっ！　鎧が溶けてく！」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

兵士B「なんて溶解力だ！」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…


ドラゴン「ワシの消化液は鉄をも溶かす！」

兵士C「剣や槍では歯が立たん！　矢だっ！　矢を放てーっ！」


ﾋﾞｭﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞｯ


ドラゴン「あーん」ﾊﾟｸﾊﾟｸｯ


兵士C「やった！　口の中に……」


ドラゴン「口の中に刺さる前に、溶けてしまっておるわ」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…


兵士C「ひいいいいっ！」

ドラゴン「ワシは人間はマズイから食いたくないのだ」

ドラゴン「とっととこの町を魔王軍に明け渡せい！」


「ひいいっ！」　「お許しを―っ！」　「降伏しますぅ！」



ドラゴン「ガーッハッハッハッハッハ！」

ドラゴン「ガハハハハハッ！」

ドラゴン「ワシに消化できねえもんはねえ！　どいつもこいつも溶かしてやる！」



ゴーレム「あのヤロウ……調子に乗りやがって！」

スライム「ちょっといい気になりすぎだよね、あいつ」

ゴースト「やっちまおうぜぇ～……」

ゴーレム「おいドラゴン、最近手柄立ててるからっていい気になってんじゃねえぞ！」

スライム「この世にはお前が溶かせないものなんていくらでもあるんだよ」

ゴースト「そうだそうだぁ～……」

ドラゴン「お？　ザコ魔族どもの嫉妬か？」

ゴーレム「なんだとぉ！？」

ドラゴン「魔族なら口じゃなく、力で示せってことだ」

ゴーレム「いわせておけば……覚悟しやがれっ！」

ゴーレム「ガアアアアッ！」ﾌﾞｵﾝｯ

ドラゴン「ブッ！」ﾌﾞｼｭｯ

ゴーレム「！」ﾋﾞﾁｬｯ

ゴーレム「ふん、魔力を帯びた鋼鉄であるオレが溶けるわけ……」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

ゴーレム「うぎゃああああああっ！」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

ドラゴン「なんでえ、溶けるじゃねえか」

スライム「消化液勝負だったら負けないぞ！」ﾈﾊﾞｧｧｧ

ドラゴン「ブッ！」ﾌﾞｼｭｯ

スライム「うぎょっ！？」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

スライム「あ、熱い！　熱いよぉぉぉ！」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

ドラゴン「ガハハッ！　ドロドロなスライムがさらにドロドロになってやがる！」

ゴースト「いかにキミでも、実体のない私は溶かせないぞぉ～」

ドラゴン「そりゃあどうかな？」

ドラゴン「ブッ！」ﾌﾞｼｭｯ

ゴースト「あぢいいいいいい！」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

ゴースト「なんで！？　どうしてぇぇぇ！？」ｼﾞｭﾜｧｧｧ…

ドラゴン「ワシの消化液は魂ですら消化するのだ！」

ゴーレム「参りましたぁ！」

スライム「お許しをぉ！」

ゴースト「手下になりますぅ～」



ドラゴン「いい気持ちだ！　ガーッハッハッハッハッハ！」

ドラゴン（だが……さすがのワシもちょっと疲れたな）

魔王城――

魔王「貴様のおかげで西地方の制圧がだいぶ進んだ。ご苦労だった」

ドラゴン「ははーっ！」

魔王「では、次の任地を申しつける」

ドラゴン「……え！？」

魔王「なんだ、不服があるのか」

ドラゴン「あ、あの……少しばかり休暇をいただきたいのですが」