めがねの日というのがあったらしいので佐藤心さんにかけてもらいました
P「おはようございまーす」
ちひろ「おはようございます」
P「今日もバリバリ仕事するぞー。……ん、なんですかこの箱。僕の机の上に置いてあるんですが」
ちひろ「ああ、撮影スタジオがお仕事で使った小道具を処分することになったそうで……もしかすると何かに使えるかも、と思ってもらってみたんです」
P「へー、なるほど。じゃあ、後で中身を確かめてみます。外周りしてきますね」
ちひろ「はい、いってらっしゃい」
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心「おっはよー☆ しゅがーはぁとの出社だぞ☆ 喜べ☆……あれ、プロデューサーは?」
ちひろ「おはようございます。あの人なら今、営業で外出していますよ。心さんのスケジュールは預かっておきました」
心「なーんだ、つまんないの☆ ……ん? 何か箱が置いてあるんだけど☆ ひょっとしてえ、はぁとへのプレゼントだったり?」
ちひろ「それは撮影スタジオから貰ってきた、いらない小道具ですね」
心「ふーん? 何が入っているのか見てもいい? てか見たい☆」
ちひろ「どうぞ」
「じゃ、遠慮なく♪ ……へー、結構色々入ってる……高そうなモノもあるけど……?」
ちひろ「さすがにこのアクセサリー類はみんな、見た目を似せた作り物ですねぇ」ジーッ
心「だよねー☆ よくできてるけど……お? これ、なんかはぁとに似合わない?」ヒョイ
ちひろ「あら、確かによくお似合いです」
心「でしょ☆ ……あ! いいこと思いついた♪」
ちひろ「いいこと?」
心「いつもいつも、プロデューサーからばっかりドッキリされてちゃ不公平でしょ……!」
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P「今日もたくさんドッキリの仕事を取ってきたぞ。心さんはリアクションで軽く素が出るところが人気なんだよな」
眼鏡の女性「…………」
ドンッ♪
P「あっ、すいません!」
眼鏡の女性「い、いえ……ごめんなさい……。私も急いでいたもので……」ニコッ☆
P「……!?」
眼鏡の女性「あの、ではこれで失礼します」ペコリ☆
P「あの!」
眼鏡の女性「……はい?」クルッ☆
P「アイドルに興味はありませんか?」
眼鏡の女性「あい……どる……?」
めがねはぁと(以下めがは)(おっしゃきたー! こいつ美人を見かけるとすぐにスカウトするからな! どうやらはぁとのスウィーティー抑え目な変装に全く気づいていないみたい☆)
P「怪しいものではありません。私はこういうものでして。どうぞ、名刺です」
めがは「はぁ……。あら、こちらの事務所、すぐそこの住所ですね」
P「そうなんです! もしもよろしければ、事務所でお茶でも……あ、いえ、お急ぎのところでしたね。申し訳ありません」
めがは「い、いえ……」
めがは(……なんかずいぶん、はぁとの時と態度違わない? あの時は……)
~回想~
心「やばっ、バイトに遅れる☆ もー、こんな歳になってフリーターしながらデザイナーの勉強なんて夢見すぎかな……☆」
ドンッ
心「あ、ごめんなさい!」
P「うおっと、いえいえ……ん?」
心「ごめんなさい、急いでいて……失礼します☆」
P「あの!」
心「はいっ!?」
P「アイドルに興味ありませんか!」
心「ないです☆ じゃ、これで♪」
P「待った!」ガシッ
心「ちょっ、離せ変態! バイトに遅れる!」
P「逃がさん……! 自分は変態ではなく、たまたま東京から出張していたアイドルプロデューサーです!」
心「だーからアイドルなんか興味ないってば!」
P「あなたは10年、いや100年の逸材かもしれないんですよ!」
心「適当言うな、アイドルの業界なんか存在してからまだ100年も経ってないでしょ……!」
P「これから続いていく歴史に名を刻むんです! バイト!? そんなものこれから綿々と受け継がれていく伝説の前には些細な問題!」
心「未来の伝説の前に現実の生活がかかってるっての☆」
P「……お金が必要なら、これでどうでしょうか」3フクザワ
心「……うっ!?」
P「話を聞いてくれるだけでいいんです」
心「……あ、怪しすぎる……☆」
P「じゃあこれはいま渡します。話を聞いてくれたらあと2枚!」
心「………………ほ、本当に話だけだかんな……?」
P「もちろん!」
心(この後、喫茶店に入った後、結局なんだかんだの口八丁でだまくらかされ……。アワレはぁとは契約書にサインをさらさら……)
心(後金の2万円をもらいそこねてたことに気づいた時には、なぜか自費でホテルを予約して東京行きの電車に乗っていた……)
心(もらった3万円は交通費扱いにされたし、アイドルはキャラが大切って言うから作りこんだら軽く引きやがるし、歴史とか伝説とか言ってたのに仕事はドッキリばっかだし、思い出すと腹立ってきたな)
心(こいつチョロそう☆ と思われて(実際チョロはぁとだった……)、適当につかまえられたんじゃないかな……?)
心(あっ、なんか悲しくなってきた……あんま考えずにいこう☆)
~回想終わり~
P「……どうかしましたか?」
めがは「……いえ、なんでもありませんわ」ニコッ☆
P「そうですか。では、もしも少しでも興味があればいつでもご連絡をいただければ……、なんでしたら、直接事務所に来ていただいても!」
めがは「……そうですね。そこまで大切な用事というわけでもありませんし。よろしければ、今すぐにお邪魔させていただいても……」
P「本当ですか! ぜひ!」
めがは「……は、はい」
めがは(よし、ここまでは大体計画通り……♪)
めがは(しっかし、ほんとに食いつきがいいし、全然気づいてないし……複雑……)
P「ただいま戻りました」
ちひろ「お、おかえりなさーい、あらーそのかたはー?」
めがは(ちひろちゃん!? 棒読みすぎッ☆)
P「ええ、すぐそこでお会いしたのですが……少しお話をさせていただこうかと」
ちひろ「ああーなるほどーじゃあいつものように応接室を使ってくださいねー」
P「はい、そうします」
ちひろ「ではーすぐに紅茶をご用意しますー」
P「あ、そうだ。もしもコーヒーや緑茶がお好みでしたら……」
めがは「私は紅茶でだいじょ……」
ちひろ「ハッ!(心さんが紅茶がお好きだって知ってたから、ついっ!!)」
ちひろ「で、で、で、ですよね! 紅茶コーヒー緑茶ミルクカルピスコーラソーダビールワイン、全部お持ちします!!」
めがは「……アッハイ、ありがとうございます」ニ、ニコ…
P「気合入ってますね、ちひろさん! では、お待たせしました、応接室はこちらです!」
めがは(……気づかないにもほどが有るでしょっ!)
ちひろ「ではーお飲み物、用意してきまあーす」
ちひろ(ふう……。少し危ないところもあったけど、私、完璧な演技でしたよね!)
めがは(ちひろちゃん……そのドヤ顔こっちに向けるのやめて、バレるから……)
P「……そういうわけで、アイドルの仕事というのはこんな感じのものでして」
めがは「なるほど……やっぱり、とても大変なんですね、アイドルって」
P「そうですね。決して楽な仕事ではありませんし、収入や生活のためならば、もっといい仕事があると思います」
めがは「……では、どうしてアナタはアイドルをスカウトされているんですか?」
P「……それでもアイドルというものが、人に夢を与え、そしてアイドル自身の夢を形にすることができる仕事だからです」
P「そしてプロデューサーというものは、アイドルに自分の夢を預ける……そういう仕事なんです」
めがは「……まあ」
めがは(いい話っぽいけど、はぁとの与える夢ってドッキリなの? はぁとの夢でもないんだけど☆)
P「……あの、やっぱり胡乱な話に聞こえますよね。夢がどうとかって」
めがは「い、いえいえ、とてもステキなお話ですわ、ええそれはもう……」
P「おお、ありがとうございます! それで……いかがでしょうか。もちろん、今すぐに決めなければいけない、という話でもないのですが……」
めがは「えっ。そ、そうですね……」
めがは(あの時は「今決めないと後がないですよ! さあYesかはいかッ! 二択です!」バンッ 「どっちも同じじゃんッ!?」って迫ってきたのに……!)
めがは「あの……私も少し興味はあるのですが、その、この年齢ですし……」
P「いえいえそんな! 失礼ながら、あなたほどお綺麗な方がそのようなことを仰っては、世の女性に怨まれてしまいますよ」
P「あ、これはあなたがデビューをされても同じかもしれませんね……。女性の皆さんは、あなたの美貌に嫉妬を隠せないかもしれません……」
めがは「ま、まあ、そんな……」テレテレ☆
P「それに、20代のアイドルというのも、今では珍しくないんですよ」
めがは「そうですの……? 私、あまりテレビなどを見ることも少なくて」シナッ☆
P「はい。たとえば、そうですね……。私が担当をしているアイドルに、佐藤心という人がいるのですが」
めがは「っ!!」
続きはまたいつかです
P「彼女は現在26歳ですが、立派にアイドルとして活動をしていますよ」
めがは「そ、そうなのですね」
P「ええ、ですから年齢などは些細な問題と言ってよいでしょう。アイドルに大切なものはそこにはありません!」
めがは「……そう」
P「? どうかされましたか」
めがは「いえ……」
P「…………」
めがは「…………」
P「あの、申し訳ありません。自分ばかり一方的に喋ってしまって……。無理にアイドルを薦めるつもりはありませんので……」
めがは「……その、一つお聞きしたいのですが」
P「は、はい」
めがは「さとう、しんさんというのはどんな方なんですか?」
P「えっ?」
心(……ずっと聞きたかったけど……)
心(……なんだか怖くて……でも)
心(こんなのは、ズルい……かな)
心(けど……)
P「……ええと」チラッ
めがは(……時計? 時間を気にしたのって……)
P「……そうですね。佐藤心を一言で顕せば……」
めがは「……はい」
たくさんのありがたいお言葉をありがとうございます
では続きはまたいつかです
風邪を引きました……つらい
みなさんも体調には気をつけてください
P「……そうですね。佐藤心を一言で顕せば」
めがは「……はい」
P「変人でしょうか……」
めがは「………………………………………………………………………………へんじん」
P「はい。実際の彼女を見ていただくとわかりやすいのですが……。えーと、DVD……あった。たとえば、これですね」
ピッ
めがは(……ライブ映像? あっ、これ!)
映像・心『はーい、こんにちはー☆ 今日はしゅがーはぁとの初ライブに来てくれて、ありがとー☆』
映像・心『せーのっ、スウィーティー! ……おい、何静かになってんの☆ もう一回いくぞー……え? ……もう曲はじまってるし!?』
映像・心『じゃーみんな! はぁとのデビュー曲でめろめろになってね☆ なって☆ ……なれよ☆ 『しゅがーふぇざー☆』!』
P「……と、まあこんな感じのキャラクターなわけですが」
めがは「……はぁ」
P「あ、誤解しないでください。自分がこういうキャラで行こうと決めたわけじゃないんですよ」
めがは「……そ、そうですか」
P「彼女をスカウトした時に、キャラが大切だと言ったら、次に会った時はこんな感じで……あの時は驚きました」
めがは「……へー」
P「しかも彼女は、別に仕事中でない普段からこんな感じで……」
めがは「……ふーん」
P「そういうわけで、ちょっと普通ではない……いやまあ、はっきり変人と言って過言ではないですね」
めがは「……ほー」
めがは(ふーん……。ふーーーん! ふーーーーーーーん☆ ふぅーーーーーーーん☆☆☆)
心(そういう風に思ってたんだ。へー。なるほど。よくわかった)
心(……ちょっと引いてたのはわかってたけど、そこまで思われていたとはね)
心(……はあ……)
心(………………)
心(…………このヤロー! いい機会だ、プロデューサーとアイドル、どっちが上の存在か徹底的にわからしてやるわ!!)
心(はぁとの物理的めがはぁとアタック100回喰らわせて矯正してやる! 歯ぁ食いしばれッ☆)
心(今こそ、この眼鏡を外してシン・はぁとの恐ろしさを……)スチャッ
ガラガラガラガラ
めがは(ん? 何の音……)
ガチャッ ガラガラガララ
ちひろ「お待たせしましたー! お飲み物お持ちしましたー!」
P「ああ、ちひろさん。ありがとうございます」
めがは「えええええっ、これ……カートにすごく沢山……」
ちひろ「えっとえっと、何がお好きかわからなかったので、事務所にあった飲み物みんな持ってきちゃいました!」
めがは(ちひろちゃん、まだテンパってるよ! いつまで引きずってるの!?)
P「おお、これは壮観ですね。ティーポットにコーヒーサーバー、急須……」
めがは「麦茶にカルピス、豆乳……? あっ、本当にお酒が」
P「あ、これ、昔もらった高いワインですね……。すっかり忘れていました。……あの、お酒はいけますか?」
めがは「えっ!? ええ、まあ……?」
P「じゃあ開けちゃいましょうか」
ちひろ「い、いいですね!」
めがは(止めないの!?)
P「じゃあ早速。(キュッキュッポン)グラスもありますね。三人で乾杯しましょうか」
ちひろ「わ、わたしもですか!?」
めがは「あの、お仕事中なのでは……」
P「今日はもう自分もちひろさんも、定時の仕事は終わっています」
P「もちろん、今はスカウトという仕事の途中ですが……。たまにバーで出会った方をスカウトすることもあるんですよ」
P「なのでこれも仕事のうちです。職場で仕事をしているのですから問題ありません」
ちひろ「な、なるほどー」
めがは(違うと思うっ☆)
ちひろ「じゃ、じゃあせっかくですから……?」
めがは(どうなってんの……?)
P「さあ、どうぞ。乾杯しましょう、乾杯」トプトプ
めがは「本当に注いじゃった……」
ちひろ「あの、何に乾杯するんでしょうか」
P「そうですね。この出会いに感謝ということで! 乾杯!」
めがは「か、かんぱい……?」
ちひろ「か、かんぱいっ」
クイッ
めがは「……おいしい」
ちひろ「いい香りですね」
P「うん、いけますね」
めがは「……その、ヤボな話なのですけれど、一体おいくらほどのワインなんですか……?」
ちひろ「えーと確か、この銘柄は……今なら一本15万円くらいだったような」
めがは「ええええっ。あの、よろしいのでしょうか……」
P「あはは、構いませんよ、みんな存在を忘れてたワインなんですし」
P「それに、アイドル業界ともなれば、これくらいのものを口にするのは日常茶飯事ですよ。ねえ、ちひろさん」
ちひろ「わ、私ですか!? どうなんでしょう……?」オロオロ
めがは「ま、まあ……そうなんですの」
めがは(嘘つけっ! はぁとは一回もこんなの飲んだことないぞ!)
ちひろ「ええと、アイドルの方にもよるんじゃないでしょうか?」
P「確かに。……たとえば、この佐藤心さんはそういった機会が少ないタイプのアイドルかもしれませんね」
めがは「こ、このやろう……!」
P「どうしました?」
めがは「い、いえ、なんでも……」
めがは(うう、こんなものを飲んじゃったから、いまさらドッキリだって言い出しにくくなっちゃった……☆)
ちひろ「あっ、これって……心さんの初ライブ映像ですか?」
P「ええ」
ちひろ「なんだか懐かしいですね。そんなに時間が経ったわけじゃないはずなのに……」
めがは「……」
アイドル(31)「ワイン…」ガタッ
アイドル(25)「酒ッ……!」ガタタッ
おまたせしました
スレを見直したら、前回切るところが変でしたね ここで切る予定だったんですが…?
心(……懐かしいな☆ 今見ると、わかりやすすぎるくらい、ガチガチで……)
心(でも、すごく楽しそうに笑ってる)
心(……そう! この頃はまだ、普通にアイドルだったはずッ!)
心(一体どこで歯車が……?)
P「ちひろさんもこの頃は、心さんに対して不安そうでしたよね」
ちひろ「エッ」
めがは「ん……?」
~初ライブ前~
心「それじゃ、今日は失礼しまーす☆」
P「お疲れ様です!」
ちひろ「お疲れ様でした」
P「ふー、心さんは今日も絶好調でしたね」
ちひろ「……あの……」
P「ん、どうかしましたか」
ちひろ「その、心さんについてのことなんですけど……大丈夫ですか?」
P「初ライブについてですか? それはもう、本人も大張り切りでレッスンに励んでいますから……」
ちひろ「いえ、それもあるのですけど」
P「?」
ちひろ「その、彼女のキャラクターについて……」
P「ああ。いやまあ、最初はびっくりしましたけど、あれはあれで個性というか」
ちひろ「そ、それで済ませていいんですか? 私もたくさんのアイドルの方々を見てきましたけど、あんなに普段から☆や♪が会話の中に入ってくる人は……」
P「うーん、まあどうにかなるんじゃないですか?」
ちひろ「えっ、その程度!?」
P「アイドルなんて、何が受けるかわからないものですよ! 案外バーンと行ったらドーンと人気出ちゃうかも」
ちひろ「ちょっ、本当に不安になってきたんですけど!」
~という会話があった~
めがは「へー……」
ちひろ「……あの、思い返してみると私が心さんに対してどうこうより、Pさんのほうがひどくないですか。バーンとかドーンとか」
P「結果オーライですよ結果オーライ。あー、ワインおいしい」
めがは「フーン」
ちひろ(私達を見る心さんの目が冷たい……)
P「ま、まあその、我々としてもアイドルの方々のキャラクターが、ファンの皆様にどう受け取られるかというのは読めないものでして……」
めがは「……はあ」
P「それに、この初ライブはうまくいきましたしね!」
ちひろ「そ、そうですよね!」
めがは「確かに……盛り上がっていますね……」
めがは(アイドルに手ごたえを感じたのって、この時だったな……)
P「……さっき、佐藤心さんのことを変人、と評しましたが、それは決して悪い意味ではないんですよ」
めがは「え……?」
P「アイドル、というのは普通の人がステージに上がるだけでは成り立たない存在です。どこか、変わった人でなくてはいけない、と言っても過言ではないでしょう」
P「そういう意味では、彼女には最初からアイドルの資格があった……。演じることとそうでないことの境界が薄かった。それは『特別』の資格です」
めがは「…………」
P「なぜ彼女がそうあることができるのか。それは、彼女がアイドルに最も大切なものを持っているからです」
めがは「それは……?」
P「それこそが情熱、パッションです」
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