【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】 (493)

※注意

このスレは
【ダンガンロンパ】【安価】モノクマ「コロシアイ研修旅行だよ!」【オリキャラ】
【ダンガンロンパ】【安価】モノクマ「コロシアイ研修旅行だよ!」【オリキャラ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433163240/)
の主人公を変更した安価なしリメイクです。

・ダンガンロンパシリーズ、過去作のネタバレがあります

・舞台はジャバウォック島ですが、建物の配置やある施設などが変わります

・オリキャラ中心になりますのでご注意ください
・過去作
【ダンガンロンパ】こまる「それは違うよ!」【安価】
【ダンガンロンパ】こまる「それは違うよ!」【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384078808/)

【スーダン2】???「コロシアイ修学旅行……!?」【安価】【オリキャラ】
【スーダン2】???「コロシアイ修学旅行……!?」【安価】【オリキャラ】 - SSまとめ速報
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【ダンガンロンパ】【安価】絶対絶望のコロシアイ生活【オリキャラ】
【ダンガンロンパ】【安価】絶対絶望のコロシアイ生活【オリキャラ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423310760/)

注意は以上です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469192282







――俺はずっとヒーローになりたかった。






 

きっかけはそう、子供の頃見た特撮ヒーロー。

弱きを助け、悪を挫く……勧善懲悪の物語に俺は夢中になった。

そんな俺がヒーローそのものになりたいなんて願望を抱くのは当たり前で。

シーツをマントみたいにして、お手製の仮面まで着けてヒーローごっこに夢中になっていた。

いじめっ子や悪い大人を成敗して、皆が笑顔になってくれたのがたまらなく嬉しくて。

俺はますますヒーローという存在にのめり込んだ。

中学の時にいじめを完全になくした事は今でも少し自慢だ。

そんな俺に、3つの人生の転機が訪れる。

1つは高校に入ってすぐに届いた一通の手紙。


【赤穂 政城様
貴方を超高校級の〈ヒーロー〉として希望ヶ峰学園第76期生にスカウトします】


・赤穂 政城(アコウ マサキ)
【超高校級のヒーロー】


正直言うと、ドッキリだと思ってたんだ。

こんなただヒーローが大好きなだけの俺が、あの希望ヶ峰学園にスカウトされるなんて。

しかも1つ上の75期に数多くの犯罪組織を潰した人が既にいる【超高校級のヒーロー】だなんて。

だけどあれよあれよという間に準備は進められて……俺は希望ヶ峰学園に入学した。

意外に適応力があったのか俺は学園でクラスメート達と面白おかしい学園生活を送った。

そして俺は人生2つ目の転機を迎える事になる。

【人類史上最大最悪の絶望的事件】。

1度この世界はそんな冗談みたいなネーミングの事件によってズタボロにされた。

【超高校級の絶望】という存在は瞬く間に世界中に絶望をばらまいて……俺も何人かのクラスメートを殺された。

辛かった、悲しかった。

でも何より悔しかった。

ヒーローに憧れても、【超高校級のヒーロー】なんて言われても、俺は何も出来ずに友達を失って。

そんな俺は、ある組織にスカウトされる。

【未来機関】。

希望ヶ峰学園の教員や【超高校級】達が組織した対絶望のレジスタンス。

もちろん俺はすぐにその誘いに乗った。

絶望から世界を救うために、きっと出来る事があるって信じて。

そして俺の3つ目の転機は……ある任務がきっかけだった。

【超高校級の絶望】が計画した【コロシアイ学園生活】。

【超高校級】の才能を持つ生徒達を殺し合わせて、それをジャックした電波に乗せて世界に見せつけるなんて悪趣味にも程がある計画。

最も、結果的にはそのコロシアイ学園生活は1人の【超高校級の希望】を生み出して【超高校級の絶望】を打ち倒したわけだけど……

人質にするためか【超高校級の絶望】達はコロシアイ学園生活の参加者である生徒達の親族友人を誘拐していたらしい。

【要救助民】と呼ばれるその人達を保護する……その任務のメンバーに俺は選ばれた。

だけどただ捕まったままの人達を保護するだけのはずだったその任務は……【超高校級の絶望】に魅入られた子供によって最悪の惨劇に変貌する。

まだ幼い子供、それこそ俺がヒーローに憧れてその真似事をしていたのと同じような年齢の子供に操られたロボットによって次々に殺される大人達。

ある【要救助民】を救助しに行ったチームの中でも1人で切り抜けられるという理由でファミレスに待機していた俺にも、その爪は伸びてきた。

俺は戦った。

だけどただでさえ敵の数が多いのに、一般人を逃がしながらなんて当然限界は来て、俺は……いつの間にか気絶していた。

赤穂「ん……んんっ……」

「あっ!だ、大丈夫ですかっ!?」

目を覚ますと目の前には俺とそんなに歳は離れてなさそうなセーラー服の女の子が立っていた。

赤穂「だ、誰だキミは……?何をしている、さっさと逃げろ……!」

こんな所にいたらこの子まで殺されてしまう。

俺が守れたらいいんだけど、脚を傷つけられたのか上手く動けない……くそっ、本当に情けない……!

「あ、あの……あなたって未来機関の……人ですよね?」

赤穂「な、なんで……それを?」

「わ、わたし十神白夜って人に言われて……ここであなたと合流しろって……」

赤穂「もしかしてキミは……【要救助民】か?」

そうか、リーダーはこの子をここまで逃がしたんだな……

だったら俺がやるべき事は……!

赤穂「だ、だったら公園に行け。この裏口から出て真っ直ぐ道なりに進むんだ」

赤穂「そ、そこに……未来機関のヘリが停まっているはずだ。早く行くんだ……」

この女の子を逃がす。

それが今の俺に課せられた使命。

ついてはいけないけど、きっとヘリにさえ乗れれば……

「でも……あなたは?」

女の子は俺を置いていく事に躊躇いを感じているのか、動こうとしない。

そんな彼女に俺が何かを言う前に、ガラスが割れてファミレスに【ヤツ】が入ってくる。

「きゃああっ!?」

もう四の五の言ってる暇はない!

痛む左腕を押し当てて裏口への扉を開けると女の子に急いで逃げるよう促す。

「……ご、ごめんなさい!」

女の子は謝罪をすると扉を抜けて逃げていった。

……良かった、逃げてくれて。

「うぷぷぷぷ……」

忌々しい、白と黒の身体。

赤い左目を光らせて、爪を剥き出しにして歩いてくる【超高校級の絶望】の象徴……【モノクマ】を俺は睨み付ける。

赤穂「来い……俺が相手になってやる……!」

俺の最期の仕事。

それはあの子が逃げきるまでモノクマをこの扉の先に通さない事。

たとえそれで俺が死んでもだ。

だって俺の大好きなヒーローは……

赤穂「弱きを守り、悪を挫くんだからな……!」

赤穂「ゲホッ、ゲホッ……!」

終わった。

なんとかその場にいたモノクマ達を全てバラバラにしてやった。

その代わり、手持ちのハッキング銃はもう弾切れ。

さらにモノクマの爪でズタズタにされて身体中から血が流れてる俺も……ヤバイんだけど。

赤穂「あの、子は……無事に逃げたかな」

なんだか咄嗟にかっこつけた口調になったり、かっこつけた台詞言ったりしたけど……ヒーローっぽいから俺的にはありだな。

赤穂「はあ、はあ……」

馬鹿みたいな事を考えながらこの街と本土を繋ぐ橋までなんとかたどり着く。

だけど俺はそこで限界を迎えて……海に、落ちた。

※※※※※※

赤穂「……まさか生き残るなんてなぁ」

リンゴをかじりながら自分の生命力がここまで高かった事に呆れるやらなんやら。

あの後海に落ちた俺は未来機関が念のためと巡回させていた船に拾われて。

そこで未来機関直属の病院に緊急搬送されて、大手術の果てに一命を取り止めたらしい。

赤穂「まあ……代償はあったんだけどな」

右目に縦に走った傷。

身体中に刻まれた傷。

そして俺の左脚をボロボロにした傷。

赤穂「死んでもおかしくなかったから、生きてるだけでも儲け物か」

赤穂「これからどうするかな……もう体力仕事とかは厳しいし」

そういえば【要救助民】の救出に一役買ったって事で本部から辞令が届いてるんだっけか。

赤穂「何々……」

【第十四支部所属赤穂政城。
要救助民救出作戦における勇気ある行動を讃えてこの度新造される未来機関第二十支部への異動をここに命ずる】

赤穂「未来機関第二十支部……」

その辞令が、俺の人生4度目の転機。

そしてあの惨劇への引き金でもあった……







プロローグ【ようこそ未来機関第二十支部】






 

【未来機関連絡船】

辞令を受けてから約半年後。

俺は未来機関の船で新しい支部に向かっていた。

赤穂「んー……!」

空は快晴、いい天気だ。

波も穏やかで新しい門出には相応しいってやつだな。

赤穂「えっと、手袋にスーツ……」

身体中の傷はあまり人に見せられるような物じゃない。

だから最近の俺はどんなに暑くてもしっかりスーツを着るようになっていた。

赤穂「それと……こいつだな」

ベッドの脇に置いた銀色の杖を取ると二の腕と手首に固定用のバンドを取り付けて立ち上がる。

左脚がまともに機能しなくなってから、こいつが俺の左脚だ。

赤穂「よし、これで準備完了だ」

杖をついて廊下に出ると、船内のホールに向かう。

そこにいるんだ、未来機関第二十支部の初期メンバーとして選ばれた……

俺の新しい仲間達が。

【船内ホール】

「おっ、来た来た」

「これで予定の人数が揃ったようだな」

赤穂「あー……もしかして俺が最後だった?」

「気にしないでください。別に時間を決めていたわけでもないのですから」

赤穂「……!」

えっ、まさかあそこにいるのは……!

「とりあえず、自己紹介と参りましょうか?わたくし達はこれから同じ支部で働く同僚なんですから」

「賛成デース!」

どうやら自己紹介をする事になったみたいだけど……俺も賛成だ。

「……」

あそこにいる人が本当に【彼】なのか、確かめたい!

「では僕から自己紹介させていただきます」

短い金髪を揺らして彼は前に出る。

茶色いジャケットにボロボロの赤いマフラーはテレビでも見てきた彼のトレードマーク。

そうだ、やっぱり彼は……

如月「僕は如月怜輝。希望ヶ峰学園75期生【超高校級のヒーロー】と呼ばれていました」


・如月 怜輝(キサラギ レイキ)
【超高校級のヒーロー】


如月怜輝……世界中の犯罪組織を壊滅させて平和を取り戻した【超高校級のヒーロー】。

未来機関でもその力を発揮して、いくつもの事件を解決してきた英雄。

俺が憧れる……本物のヒーローだ。

如月「確かここにはもう1人【超高校級のヒーロー】がいましたね」

赤穂「あっ、お、俺です!76期生【超高校級のヒーロー】、赤穂政城です!」

如月「そうですか、あなたが……同じヒーロー同士よろしくお願いしますね」

赤穂「は、はい!」

同じヒーロー……いや、まさか如月さんにそう言われるなんて光栄だ!

「もしもーし、聞こえてますかー?」

生のヒーローと話せた喜びに浸っていると、ポンポンと肩を叩かれる。

振り向くと肩までの白めの髪を内巻きにしている女の子が立っていた。

白いブラウスに紺系統の犬耳パーカー、ピンクのスカート。

ピンクのウサギ型のリュックを背負っている彼女は、片手で器用に携帯ゲーム機を弄りながら俺の頬を指で突っつく。

「自己紹介やるのにボーッとするのはあんまりじゃないかな?」

赤穂「おっと、悪い。俺は……」

「赤穂くんでしょ?さっき如月くんと一緒に自己紹介してたからみんな知ってると思うよ?」

六山「あっ、わたしは六山百夏。デバッガーやってまーす」


・六山 百夏(ムヤマ モモカ)
【超高校級のデバッガー】


六山百夏……あらゆるプログラムのバグを見つけて対処する【超高校級のデバッガー】。

彼女がデバッグしたプログラムは絶対にバグ1つない芸術品らしい……俺はあまり詳しくないけど。

六山「赤穂くんはゲームとかやる?」

赤穂「人並みにはやってると思うけど」

六山「そっか。ゲームでバグがあったら言ってね、すぐデバッグするから」

赤穂「あはは、その時が来たらお願いするかな」

「はじめまして」

次に俺に声をかけてきたのは黒茶色の髪を被ったパーカーのフードから覗かせた男。

そのパーカーはあの【コロシアイ学園生活】で生まれた【超高校級の希望】が着ていた物と同じ種類みたいだ。

苗木「ボクの名前は苗木誠。ちなみに字はあのナエギマコトと同じだよ」


・苗木 誠(ナワキ セイ)
【超高校級の幸運】


赤穂「へぇ、あのナエギマコトと同じ字なんて凄い偶然だな」

苗木「あはは、それだけじゃないよ。ボクの才能は彼と同じ【超高校級の幸運】なんだ」

赤穂「才能まで一緒なのかよ」

苗木「まあ、ボクの運が良かった事と言えばなくした千円が偶然部屋から出てきた事くらいなんだけどね」

赤穂「それでもこの第二十支部の初期メンバーに選ばれたんだから苗木は優秀って事だろ?」

苗木「そう言ってもらえるとちょっとプレッシャーだなぁ……やれるだけ頑張ってはみるけどね」

「……なに」

みんな個別に自己紹介してるみたいだし俺もそうしようと、一番近くにいた2人の女の子の所に行く。

だけどその内の1人……腰まで伸びた銀色の髪を肩で2つにまとめた白いタキシードの女の子がもう1人を庇うようにして俺を睨み付けてくる。

赤穂「いや、自己紹介をしようとしただけだぞ」

「そんな事言ってさっきの変態みたいに奏に何かする気なんでしょ!その、ハハハハハグとか!」

……なんなんだこいつ。

「凪、そこまでにしなさい」

「で、でもぉ!」

俺が困惑してると庇われていた腰までの金髪に青い肩出しドレスを着た女の子が白いタキシードの女の子を嗜める。

「すみませんでしたわ。凪は少し思い込みが激しい娘で……自己紹介ですわね?」

四方院「わたくしは四方院奏!【超高校級のパーフェクト】ですわ!」


・四方院 奏(シホウイン カナデ)
【超高校級のフルート奏者】


四方院奏……フルートを奏でさせれば感動を作り出すって言われてる天才フルート奏者。

その容姿からファンクラブもあるとか……確かにそれも頷けるな。

四方院「ふふん、わたくしのパーフェクトな美貌に声も出ませんか」

……んっ?

「当たり前だよ!パーフェクトでキュートな奏の前にいて声を失わないわけないよ!」

四方院「ありがとう凪。そういう貴女もキュートですわ」

「奏に褒められたー♪」

訂正だ。

なんなんだこいつら。

四方院「凪も自己紹介しませんと。ほら、ご挨拶なさい」

静音「……静音凪。奏と付き合いたかったらぼくの許可を取る事だね!」

静音「許可しないけど!」


・静音 凪(シズネ ナギ)
【超高校級の指揮者】


どんな不協和音も統一させてしまうと言われる天才指揮者……そのわりには本人が不協和音ばらまいてないか?

四方院「もう凪ったら……」

赤穂「随分打ち解けてるんだな……もしかして知り合い?」

四方院「ええ、凪とわたくしは同じ楽団に所属していますの。いわゆる幼なじみという間柄ですわね」

静音「見てよ!このバッジとかこの髪飾りとか奏とお揃いなんだから!」

確かに2人の髪には音符の髪飾り、胸元には半円形のバッジがついてる。

本当に仲がいいんだな。

……羨ましくはないけど。

「自己紹介ね……」

薄井「薄井千里。【超高校級のインチキ野郎】だ」


・薄井 千里(ウスイ チサト)
【超高校級のサイキッカー】


黒いシャツにジーパン、黒い髪を後ろで結っていたそいつはそんな風に自己紹介してきた。

赤穂「なんだよ、インチキ野郎って?」

薄井「表向きは【超高校級のサイキッカー】なんて大層な名前つけられてるけどな……はっ、馬鹿馬鹿しいだろ?」

赤穂「サイキッカー……実際は違うって事か」

薄井「当たり前だろ、超能力なんてこの世にあるわけねえんだから」

薄井「まっ、そういう事だからせいぜいオレみたいなインチキ野郎には関わらないようにしな」

インチキ野郎ね……そんな奴が未来機関の新しい支部のメンバーに選ばれるのか?

「自己紹介ですか……はい、わかりました」

黒い髪を結い上げた、紺色のブレザーに赤黒のチェックのネクタイを着けた女の子が俺の前に立つ。

兵頭「兵頭千と言います。選挙に出られる際は是非ともご連絡を」


・兵頭 千(ヒョウトウ セン)
【超高校級の選挙管理委員】


兵頭千……グループのリーダー決めから国政選挙まで裏で管理している【超高校級の選挙管理委員】。

管理するようになった選挙は常に最上の結果を生むとかなんとか。

兵頭「ヒーローが2人……未来機関も大盤振る舞いをしたものですね」

赤穂「ヒーローって言っても、俺は如月さんみたいに犯罪組織を相手にしたわけじゃないぞ」

兵頭「それはあまり関係ないのでは?ヒーローとは犯罪組織を倒すだけではないのでしょう?」

赤穂「それは、まあ」

兵頭「ふふっ、とにかくよろしくお願いしますねヒーローさん」

「ふん……」

上下白の学生服を着た男が不機嫌そうに眼鏡を指で押し上げる。

胸元には八角形の真ん中に裁と書かれたバッジが着けていた。

佐場木「佐場木半次だ」


・佐場木 半次(サバキ ハンジ)
【超高校級の裁判官】


佐場木半次……高校生で裁判官の地位を獲得、幾多の犯罪者を裁いてきた【超高校級の裁判官】。

確かモットーは……【罪を憎んで犯罪者を地獄に】。

佐場木「【超高校級のヒーロー】か……ふん、奴と違って犯罪には手を染めていないようだな」

赤穂「奴って、まさか如月さんの事を言ってるのか?」

佐場木「他に誰がいる。私刑に走り、俺達の邪魔ばかりする」

佐場木「いずれ裁かれる存在……俺からすれば同じ犯罪者だ」

赤穂「そんな言い方ないだろ!?如月さんがいなかったらどれだけ苦しむ人がいたか……」

佐場木「……何も知らないとは哀れだな」

赤穂「は?」

佐場木はそれきり何も言わなかった。

何も知らないって、どういう意味だよ。

「はじめましてであります!」

亜麻色の髪を黄緑のリボンでツインテールにしている女の子がビシッと敬礼をしてくる。

迷彩服を着ているって事は軍人か何かなのか?

遠見「自分は遠見メメであります。所属部隊にて観測手をしているであります!」


・遠見メメ(トオミ ――)
【超高校級の観測手】


赤穂「観測手?」

遠見「はいであります!隊長指揮の下、狙撃手や部隊が危険な目に遭わないよう尽力しているのでありますよ!」

遠見「ちなみに隊長殿も希望ヶ峰学園の生徒だったであります!」

赤穂「そういえばクラスは違うけど、俺の同期に死亡人数0の傭兵部隊を率いてる【超高校級の傭兵】がいたな」

遠見「その人!その人こそ自分達を率いて導いた切原生人隊長であります!」

赤穂「そうだったのか」

でも今あのクラス在籍の15人って独断行動して謹慎処分食らってたような……

遠見「隊長殿、元気にしてくれてるといいのでありますが……」

……相当憧れてるみたいだし、余計な事は言わない方がいいか。

「くっ、くくく……」

黒いスーツに白と黒で分かれたマントを着けた仮面の男が笑っている。

白と黒で分けるってアイツを思い出すから嫌な気分になるな……

「我が魔名を今ここに宣言しよう……」

赤穂「……えっ?」

「だが我が魔名にはあらゆる生命を蝕む呪いがかかっている!傷纏う英雄よ、心して聞くがいい!」

グレゴリー「我が魔名はグレゴリー・アストラル三世!天界より遣わされし従者の囀りに応え、魔宮殿を石板に記す記録者にして世界へと謳う伝道者よ!」

グレゴリー「ふははははははははははっ!!」


・グレゴリー・アストラル三世
【超高校級の設計士】


グレゴリー・アストラル三世……前衛的な設計を次々とこなす【超高校級の設計士】。

入り口の扉から入ると絶対に迷う迷宮みたいな家とか、階段と見せかけてエレベーターになる部屋とか、押し入れが扉で扉が押し入れの部屋とか……

とにかく何かしらからくりを入れないと気が済まないらしい。

今は建て直しされている世界各地の遊園地の新しいアトラクションの設計をしてるとか。

グレゴリー「しかし新世界への方舟に集まりし勇者達はこれほどまでに異界の印を抱くか」

グレゴリー「だが絶望郷へと至りしこの現世……再臨を果たすにはそれもまた世界の答えか」

グレゴリー「ふはははははははっ!!」

赤穂「……」

何を言ってるか全くわからん。

「ワウン!ワウワウ、ワン!」

赤穂「は?」

白い半袖のジャケットに赤いスカート、暗い茶髪の左側に白いリボンを着けた女の子が無表情で俺に向かってなぜか吠えてきた。

いや、本当になんで吠えてきたんだ。

津浦「今のは犬の言葉で【津浦琴羽です。よろしくお願いします】という意味です」


・津浦 琴羽(ツウラ コトハ)
【超高校級の通訳】


津浦琴羽……あらゆる国の言語をマスターした人呼んで【歩く翻訳事典】。

津浦「申し訳ありませんMr.赤穂。ちょうど今【ワンワン語学辞典】を聴いていたので」

津浦が耳に着けていたイヤホンからは確かに犬の鳴き声が聞こえてくる。

赤穂「犬の鳴き声まで通訳する気なのか?」

津浦「世の中何が起きるかわかりませんから」

いや、いくらなんでもそれを使う機会はないだろ……

「俺の番か!」

黒線の入った白い半袖のジャージに黒い半ズボン、緑のメットを被った男が笑顔で俺に寄ってくる。

人懐っこそうなその笑顔は人に好かれそうだ。

道掛「俺は道掛走也だぜ!よろしくな!」


・道掛 走也(ミチカケ ソウヤ)
【超高校級のサイクリスト】


道掛走也……あらゆる自転車競技で優勝した伝説の自転車乗り。

一番有名なのは競技中に相手の妨害で前輪がパンクした時、ウィリーでそのまま優勝した話だな。

道掛「なあなあ、赤穂。ちょっと聞いていいか?」

赤穂「んっ、なんだ?」

道掛「お前、女子で気に入った子いる?」

赤穂「気に入った子?」

道掛「いや、周りの女子ってレベル高いからさ……それでどうよ」

赤穂「……いや、まだ自己紹介も終わってないからな」

道掛「だったら気に入った子いたら教えてくれよ!俺はその子以外にアタックするからさ!」

道掛はサムズアップして女子の所に走っていった。

気に入った子、ねぇ……こんな俺じゃ片思いに終わるのが関の山だから気にしなくていいのに。

「自己紹介ね!」

道掛と入れ替わるように来たのは、クリーム色の作業着に藍色の腰までの髪を首の辺りでゴムでまとめた女の子だ。

土橋「アタシは土橋美姫!建築作業ならお任せってね!」


・土橋 美姫(ツチハシ ミキ)
【超高校級の土木作業員】


土橋美姫……女子高生でありながら数多くの建築に関わってきた土木作業員とよくニュースで話題になってたな。

その細腕からは想像出来ないくらい力強い作業で、周りを引っ張ってるとか。

土橋「杖使ってるみたいだけど足怪我してるならいつでも頼っていいからね!力は有り余ってるからさ!」

赤穂「んっ、困ったら遠慮なく頼らせてもらうよ」

土橋「へへっ、まかせときなよ!」

どうやら彼女は面倒見がいいみたいだ……

「自己紹介ですねー?」

次に自己紹介する人を捜していたら上から声がした。

見てみたらオレンジとピンクのメッシュが入ったセミロングの金髪に、赤い水玉模様の上着と黄色いダボダボのズボンを着た女の子が天井の飾りにぶら下がっていた。

赤穂「うわっ!」

天井から降りてきたその子は器用に受け身を取ると会釈をする。

知らない間に俺は拍手を彼女にしていた。

ジェニー「ボクのネームは、ジェニー・クラヴィッツですね。よろしくお願いしまーす」


・ジェニー・クラヴィッツ
【超高校級の道化師】


ジェニー・クラヴィッツ……世界中のサーカス団を渡り歩く【超高校級の道化師】。

その公演は笑顔を振りまき、楽しませる物だって話だ。

ジェニー「よろしくお願いしますねマサキ!ボク達はこれからフレンドでーす!」

赤穂「あ、ああ、そうだな。これからよろしくジェニー」

ジェニー「はーい!」

「……」

壁際にいたその男はただ無表情でそこにいた。

黒いスーツに白いネクタイ、ボサボサの髪から見える金と銀の瞳は何も映してないようにさえ見える。

赤穂「自己紹介いいか?」

鞍馬「……鞍馬類です」

鞍馬 類(クラマ ルイ)
【超高校級の???】


鞍馬類?

少なくとも他の面々みたいに名前だけは聞いた事があるメンバーと違って、その名前は聞いた事すらない。

鞍馬「……」

いったい何者なんだ?

赤穂「後1人か」

確か初期メンバーは俺を入れて17人。

15人と紹介はしたから、どこかに……

赤穂「あっ」

「あっ」

その子は部屋の目立たない場所にいた。

長袖の白いセーラー服に赤いリボン、青いスカートから伸びる細い脚の上には黒いストッキング。

白いロングヘアーの右側に3つの赤いヘアピンを着けたその女の子を見て俺は……

赤穂「お前、今までどこにいたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

出来る限りの全速力で近付いていった。

「げっ!やっぱりマサキ!?」

赤穂「牡丹、いつからお前は兄を呼び捨てにするようになったんだ!」

御影「もう親戚の御影の家に貰われたから兄も妹もないでしょ!」


・御影 牡丹(ミカゲ ボタン)
【超高校級の???】


御影牡丹……俺の3つ下の妹だ。

小学生の頃親戚の御影家に引き取られて、その後家出して行方不明になっていた。

赤穂「どれだけ心配したと思ってんだ!?家出して、世界があんな事になって……」

御影「わ、私だって色々あったんだよ……だいたいそっちこそその怪我なに!?どーせまたヒーロー気取りで馬鹿したんでしょ!?」

赤穂「ぐっ、お、俺も色々あったんだよ……だいたい話をだな……」

ああ、違う。

最初に言いたいのはこんなんじゃなくて……

赤穂「…………無事で良かった」

御影「……!」

赤穂「死んでるのも、覚悟してたんだ。だからこうしてまた会えて……俺は嬉しい」

御影「……」

赤穂「牡丹?」

御影「……だったら、良かったのにね」

赤穂「えっ」

御影「……」

牡丹……?

今更ながら一時休憩。
ずっとやってなかったから色々忘れてますが今度こそ最後までいきます。

色々と予定外の事は起きたけど自己紹介は終わった。

赤穂「牡丹、お前この髪どうしたんだよ。昔は黒かったのに」

御影「うるさいなぁ……色々あったんだってば」

道掛「感動的再会ってやつだな!」

如月「世界には絶望が蔓延して今も絶えませんが……このような希望があるからまだ救われますね」

佐場木「ふん……油断はしない事だな。最近は色々とキナ臭い事件も起きている」

苗木「そういえば【超高校級の狂人】が絶望病とかいう新型ウイルスを街にばらまいたって言ってたね……」

遠見「それだけではないであります。【絶望教】なる宗教団体も最近現れたとか」

ジェニー「いつになったら世界はまたスマイルが溢れるですか……」

四方院「それを実現するためにわたくし達はいるのですわ!」

静音「奏がいれば世界はあっという間に希望に満ち溢れるよ!」

土橋「すっごい自信だねぇ……こんな世界だとそれぐらいは思わないと駄目かもしんないけど」

グレゴリー「案ずる事はない!絶望郷に射す光は既にこの現世に産み落とされた!絶望の女神は既に地に墜ち、残されし災厄の担い手達ももはや風前の灯!」

薄井「何言ってんのかわかんねえよ……」

津浦「通訳しましょう。【心配はいりません!世界には超高校級の希望がいます!江ノ島盾子は倒れ、絶望の残党達も追い詰められています!】と、Mr.グレゴリーは仰っています」

グレゴリー「ほう、言の葉の魔術師よ。我が天界の言霊を理解するか」

津浦「ワタシは通訳ですから」

兵頭「なるほど、これからはグレゴリーさんの言葉は津浦さんに通訳してもらえば助かりますね」

六山「ゲームしてるとその手の言葉はよく聞くけど理解するとなると難しいもんね」

赤穂「……」

なんだか個性的なメンバーだよな……ついていけるか心配だ。

でもこれから一緒に働くんだ、仲良くやって……







「うぷぷぷぷ……呑気だねオマエラ」






空気が固まる。

それは絶対にあってはならないそんな声だったからだ。

赤穂「……!」

そしてその声の方、ホール奥のステージを見ればそこには【ヤツ】がいた。

モノクマ「皆々様お久しぶりでございます!」

モノクマ「ボクはモノクマ、これから始ま――」

グシャ!!

モノクマは最後まで言葉を話す事はなかった。

如月「……無粋な物が紛れていたようですね」

如月さんがその前にモノクマの頭を拳で貫いたからだ。

グレゴリー「絶望の化身だと!?なぜこの方舟に生誕している!」

津浦「それはわかりませんが……どうやら緊急事態のようです」

佐場木「ちっ、船長室に行って連絡をしてくる。絶望の残党が潜入している可能性があると本部に伝えねばならない」

遠見「1人では危険でありますよ佐場木殿!自分もついていくであります!」

佐場木と遠見がホールから出ていく。

赤穂「まさかまたモノクマが目の前に出てくるなんてな……つうっ」

土橋「ちょ、ちょっと大丈夫!?」

赤穂「古傷が痛んだだけだから大丈夫……それより絶望の残党がいるなら俺達も捜索を――」







鞍馬「この船、止まっていますよ」






赤穂「なんだと!?」

苗木「本当だ……全く動いてないよ!?」

六山「ちょっと、か、勘弁してほしいかな……」カチカチ

静音「か、奏ぇ、ぼく達どうなっちゃうの?」

四方院「これは……」

佐場木「おい!船長室どころか操舵室にも誰もいないぞ!」

道掛「はあ!?」

薄井「オイオイマジかよ……」

兵頭「それで本部と連絡は?」

遠見「ダメであります!全く繋がらなかったでありますよ……!」

ジェニー「あうう、どうなってるですか……」

御影「ねえ、この臭い……!」

赤穂「臭い?」

牡丹に言われた瞬間、鼻が微かな臭いを捉える。

そしてその瞬間……俺の意識は急速に沈んでいった。







プロローグ【ようこそ未来機関第二十支部】END

生き残りメンバー17人

To Be Continued...






・研修旅行名簿

男子

・赤穂政城(アコウ マサキ)
才能…【超高校級のヒーロー】
身長…177cm
料理の腕…60→25
掃除の腕…55→20

・如月怜輝(キサラギ レイキ)
才能…【超高校級のヒーロー】
身長…182cm
料理の腕…9
掃除の腕…15
赤穂への第一印象【同じヒーローとして仲良くしましょう】

・苗木 誠(ナワキ セイ)
才能…【超高校級の幸運】
身長…170cm
料理の腕…60
掃除の腕…60
赤穂への第一印象【ヒーローか、凄いんだね!】

・薄井千里(ウスイ チサト)
才能【超高校級のサイキッカー】
身長…163cm
料理の腕…75
掃除の腕…95
赤穂への第一印象【……兄妹は大切にしろよ】

・佐場木 半次(サバキ ハンジ)
才能【超高校級の裁判官】
身長…186cm
料理の腕…35
掃除の腕…56
赤穂への第一印象【ふん……あいつのようにはならない事だな】

・グレゴリー・アストラル三世
才能【超高校級の設計士】
身長…190cm
料理の腕…45
掃除の腕…61
赤穂への第一印象【その傷を誇るがいい!それは傷纏う英雄の英雄たる証!】

・道掛 走也(ミチカケ ソウヤ)
才能…【超高校級のサイクリスト】
身長…192cm
料理の腕…52
掃除の腕…32
赤穂への第一印象【ヒーローってモテるのか!?】

・鞍馬 類(クラマ ルイ)
才能…【超高校級の???】
身長…178cm
料理の腕…90
掃除の腕…90
赤穂への第一印象【特にありませんね】

・女子

・六山 百夏(ムヤマ モモカ)
才能…【超高校級のデバッガー】
身長…160cm
スリーサイズ…B88 W60 H90
料理の腕…2
掃除の腕…60
赤穂への第一印象【傷だらけのヒーローなんてゲームみたいだね】

・四方院 奏(シホウイン カナデ)
才能…【超高校級のフルート奏者】
身長…165cm
スリーサイズ…B84 W54 H79
料理の腕…95
掃除の腕…93
赤穂への第一印象【ふふふ、凪を許してあげてくださいね】

・静音 凪(シズネ ナギ)
才能【超高校級の指揮者】
身長…150cm
スリーサイズ…B73 W53 H76
料理の腕…20
掃除の腕…10
赤穂への第一印象【奏に近付くな!】

・兵頭 千(ヒョウトウ セン)
才能…【超高校級の選挙管理委員】
身長…169cm
スリーサイズ…B85 W58 H87
料理の腕…97
掃除の腕…59
赤穂への第一印象【如月さんに憧れているみたいですね】

・遠見 メメ(トオミ ――)
才能…【超高校級の観測手】
身長…167cm
スリーサイズ…B78 W58 H80
料理の腕…47
掃除の腕…13
赤穂への第一印象【隊長の同期生……どのような方でありましょう!】

・津浦 琴羽(ツウラ コトハ)
才能…【超高校級の通訳】
身長…171cm
スリーサイズ…B83 W56 H80
料理の腕…57
掃除の腕…38
赤穂への第一印象【習いますか?犬語】

・土橋 美姫(ツチハシ ミキ)
才能…【超高校級の土木作業員】
身長…174cm
スリーサイズ…B95 W57 H88
料理の腕…85
掃除の腕…80
赤穂への第一印象【何かあったら頼ってね!】

・ジェニー・クラヴィッツ
才能…【超高校級の道化師】
身長…146cm
スリーサイズ…B75 W52 H74
料理の腕…40
掃除の腕…30
赤穂への第一印象【ヒーロー!スマイルを守る人ですねー!】

・御影 牡丹(ミカゲ ボタン)
才能…【超高校級の???】
身長…158cm
スリーサイズ…B81 W56 H82
料理の腕…0
掃除の腕…0
赤穂への印象【……こんな形で、会いたくなかった】







ザー……ザー……

赤穂「……っ、く」

いったい何があったんだ……

赤穂「……」

青い空。

白い雲。

赤穂「まさかここは……」


目が覚めるとそこは南の島。

――ジャバウォック島だった。












CHAPT.1【正義という名の××】(非)日常編






【砂浜】

赤穂「……」

ジャバウォック島。

未来機関の資料にあった南の島。

どうやらあの後俺はここに流れ着いたみたいだ。

赤穂「みんなは……どうしたんだ?」

流れ着いたって事は船が沈没した可能性が高い。

だったらみんなは、牡丹はどうなったんだ!?

赤穂「杖はある……みんなを捜さないと……!」

「あっ!」

赤穂「えっ」

砂に足をとられながら立ち上がったのと同時、誰かがこっちにやって来るのが見えた。

あれは……

静音「奏ー!じゃない!?」

赤穂「静音、キミもここに流れ着いたの……かっ!?」

静音「奏はどこ!?」

赤穂「い、いや、俺も今目を覚ましたから……」

静音「もうなんなの!さっきから見つかるのは奏以外ばっかり……」

赤穂「他のみんなもいるのか!?」

静音「お前で15人目だよ!」

赤穂「俺で15人目?」

つまり四方院さん以外の全員はもう見つかってるのか……

静音「奏、どこに行ったの……ひっく、うぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!」

赤穂「し、静音……」

よっぽど四方院さんが心配なんだな……

赤穂「……大丈夫だ、静音」

静音「……?」

赤穂「みんながいるなら四方院さんだってきっとここにいるって」

静音「ぐすっ……ほんとに?ほんとに奏いる?」

赤穂「もちろん、だから泣き止むんだ。四方院さんに心配かけちゃうぞ」

静音「ひっく、ひっく……」

赤穂「な?」

静音「…………うん、わかった」

赤穂「よし、それじゃあみんなの所に案内してくれないか?もしかしたら四方院さんも来てるかもしれないしな」

静音「確かにそうだ!それじゃあ急いで戻らなきゃ!」

赤穂「ちょ、ちょっと待ってくれ静音。走られると追いつけない……」

静音「むー、むー!早く早く!」

というか、待ってくれるんだな。

【中央の島・未来機関第二十支部】

四方院「凪!」

静音「奏ー!」

静音に急かされながらみんなが集まってる場所に行くと、四方院さんは本当にみんなと合流していた。

抱きついてワンワン泣いてる静音を見届けると、少し離れた場所にいた牡丹の頭に手を置く。

御影「……無事だったんだ」

赤穂「お互いにな」

如月「どうやら皆さん無事だったみたいですね」

兵頭「しかしこんな偶然があるんでしょうか?私達は何者かに襲われたはずで、それなのにこの島にたどり着くなんて」

佐場木「確かに普通ならばありえん。あの状況からこの未来機関第二十支部のある島に無傷のまま全員揃うなどという事はな」

苗木「だけど事実ボク達はこのジャバウォック島にいる……うーん、どういう事なんだろ」

佐場木「可能性は2つある。まず1つは俺達はあの後未来機関の部隊に救われ、この島まで運ばれた」

土橋「だとしたらちょーっと優しくないよね。アタシ道端に転がされてたんだけど」

道掛「俺なんてプールサイドにいたもんだから起きた時に落ちちまったぜ!」

薄井「だから濡れてんのかオマエ……」

佐場木「そう、俺達はこの島のあらゆる場所に配置されていた。これは未来機関に助けられたなら考えにくい」

グレゴリー「つまり定められし運命の針はもう1枚の葉に刻まれているのだな」

津浦「【つまりもう1つの可能性が有力なんですね】と仰っています」

佐場木「……ふん。あまりに考えたくもない可能性だがな」

六山「そうなの?」

佐場木「簡単に言うなら……」







モノクマ「このボクによって未来機関第二十支部は既に掌握されてるのです!」






赤穂「モノクマ……!」

ジェニー「また出たでーす……!」

モノクマ「いやはや、さっきは挨拶も途中で壊されちゃうとは思わなかったよ!」

如月「ならばまた破壊するまでです」

モノクマ「おやおや、いいのかな?さっきはともかく今はボクが掌握したこの島がフィールドなんだよ?」

如月「何が言いたいんですか」

モノクマ「オマエラも【コロシアイ学園生活】の放送は見たよね?ボクに手を出したらどうなるかも」

遠見「グングニルの槍でありますか……あの戦刃むくろすら殺害してみせた」

如月「なるほど……しかしアレは不意打ちだからこそ通用したもの。最初から警戒すれば回避は可能だったはずですよ」

モノクマ「そりゃあの【超高校級の軍人】やキミなら出来るかもね!だけど……他の人はどうかな?」

赤穂「まさかお前、如月さんが手を出したら他の誰かを……!」

モノクマ「そうです!如月クンのルール違反による責任は他の人に取っていただきます!」

如月「卑怯な真似を……!」

兵頭「ルール……あなたは私達に何をやらせるつもりですか」

モノクマ「もう、わかってるくせに!もちろん……お待ちかねのあのイベント!」







モノクマ「コロシアイ研修旅行をオマエラには行っていただきまーす!」






とりあえずここまでで。

また明日というか今日も更新します。

赤穂「コロシアイ研修旅行……」

モノクマ「うぷぷ、コロシアイの意味はあの放送を見てたオマエラには今さらだよね?まさか忘れちゃった?」

佐場木「あんなもの、忘れようにも忘れられるはずがない」

六山「わたし達はこれから無期限に共同生活を送らされる……」カチカチ

兵頭「そしてコロシアイが起きた場合は学級裁判、犯人……クロを突き止めるための議論を行い……」

苗木「成功すればクロが、失敗したらクロ以外の全員が処刑される……」

モノクマ「その通り!基本ルールはしっかり押さえてるね!」

モノクマ「オマエラはこの未来機関第二十支部を舞台に凄惨で残酷で絶望的なコロシアイを送るんだよ!」

グレゴリー「戯言を!この未来機関の聖地においてそのような絶望演舞が可能になると思わない事だ絶望の化身!」

津浦「Mr.グレゴリーの仰る通りです。未来機関の新支部があるこの島でコロシアイなど、本部が見逃すはずがありません」

モノクマ「……うぷぷ」

薄井「オイ、何がおかしいんだ」

モノクマ「オマエラはやっぱり呑気だな~と思ってさ」

モノクマ「まあいいや。お楽しみは後にでも取っておくとして……オマエラにはこの島を調べるにあたって便利なこれを渡しておきましょう!」

モノクマ「未来機関第二十支部支給品!未来電子手帳!」

六山「ネーミングセンス皆無だね」

モノクマ「そんな事ボクに言わないでよ!これは未来機関が用意した物なんだからさ!」

電子手帳……モノクマが配ったそれを俺達は黙って受け取る。

今の状況だと、未来機関が用意した物というそれ自体が1つの拠り所みたいな物だったからだ。

赤穂「……」

電子手帳を起動すると俺の名前が表示されて画面に地図やプロフィールといった項目が現れる。

赤穂「……んっ?」

その中に2つの???という項目がある……いったいなんなんだ?

モノクマ「それでは今日は解散しましょう!オマエラも船旅で疲れてるだろうし!」

モノクマ「ぐっすり眠って初日から殺されるなんてならないようにね!」

モノクマ「アーハッハッハッハッハッハ!!」

薄井「……厄介な事になったな」

モノクマが消えてからも俺達はその場から動けなかった。

新しい支部に配属される話が一転してコロシアイなんて事態になったんだ……無理もないよな。

四方院「……」

静音「奏?難しい顔してどうしたの?」

四方院「いえ、もしかしたらですが……1つの真実が見えた気がしましたの」

遠見「真実で、ありますか?」

四方院「元々疑問でしたの。わたくし達は船で眠らされてここに連れてこられたようですが……佐場木さん」

佐場木「なんだ」

四方院「船には船長以下船員の皆さんはいなかったそうですわね?」

佐場木「そうだ。まるで最初から誰も存在していないかのように……!」

佐場木「まさか……」

四方院「そう、そしてこの島にも施設建設や一般のスタッフ……既に配置されていたはずの人々がいません」

兵頭「それはモノクマがやはり……皆殺しにしたのでは?」

四方院「そのわりにはこの施設は無傷のように見えます」

確かに俺達の目の前にある第二十支部の建物はどこも破壊されてない。

だけどそれがいったい……

苗木「えっと、四方院さんは何が言いたいの?」

四方院「モノクマがスタッフや船員達を排除したにしては痕跡がなさすぎると思いませんか?」

遠見「……確かに言われると、あの塔和シティのようになっていてもおかしくないのでありますが」

土橋「アタシも断言するけどこの施設の外観には全く人為的な傷はないよ」

御影「……だけどさ、いないのは事実じゃん」

四方院「そう、ですからわたくしはこう推理しましたの」

四方院「この島には元々人がいなかったのだと」

道掛「は?」

四方院「そして船員の皆様は自ら姿を消したのではないでしょうか」

如月「……自ら?」

赤穂「それじゃあまるでこのコロシアイを仕組んだのが……」

四方院「ええ、わたくしはこの状況を作り上げたのは未来機関ではないかと考えていますわ」

未来機関がコロシアイを……!?

津浦「Ms.四方院……それはいささか飛躍した考えでは?」

佐場木「いや……否定は出来ん」

グレゴリー「憤怒の執行者……それはいかなる理を持っての言霊か?」

佐場木「……ここ最近未来機関は急進派と穏健派の間で色々と不穏な状況だ」

佐場木「何が起きるか誰にもわからん……四方院、お前は未来機関がこのコロシアイを演出したとしてその目的はなんだと考えている?」

四方院「モノクマがはっきり言っていたではないですか。これはコロシアイ研修旅行だと」

六山「研修って、事?」

四方院「そしてその研修だとするならば……ちょうどいい物が未来機関にはあります」

如月「……新世界プログラムですか」

ジェニー「プログラム?ここはリアルじゃないですか?」

四方院「わざわざ実際にコロシアイをさせるリスクを考えれば、その可能性は高いと思いますの」

赤穂「ここが、プログラム……?」

鞍馬「……」

静音「凄い!凄いよ奏!さすがパーフェクト!」

四方院「いいえ、この程度ではパーフェクトなど名乗れませんわ凪」

静音「えっ、なんで!?」

四方院「わたくしはこのコロシアイ研修旅行の本質を推理したに過ぎませんの」

兵頭「状況が変わったわけではないという事ですね」

道掛「だけどよー、プログラムだなんて俺達にはどうにも出来なくね?」

六山「わたしには期待しないでね。わたしプログラマーでもハッカーでもないから」

薄井「無理やり脱出出来ねえなら、このコロシアイ研修旅行自体が無駄だと思わせるとかならどうだ?」

津浦「そのためにはまずこのコロシアイ研修旅行の目的がわからなければなりませんね」

四方院「目的はおそらく、危険思想の人物などをあぶり出したいといったところでしょう」

佐場木「……ふん、妥当な所ではあるな」

赤穂「じゃあ危険思想なんて持ってないって示せばいいのか?」

だけどそんなのどうやって……

土橋「しばらくこのままみんなで過ごせばいいんじゃない?コロシアイなら何も起きなかったら諦めるでしょ」

遠見「期限がわからないのが難点でありますが……それが最善策でありましょう」

苗木「つまり最初の目的と変わらずに……僕達はここで生活してればいいのかな?」

御影「うわ、気の長い話……」

確かに牡丹の言う通りだし、正直未だにプログラムかどうかも疑わしい。

赤穂「だけど他に方法が浮かばないなら……そうするしかないよな」

ジェニー「それじゃあみんなフレンドで決まりでーす!」

グレゴリー「良かろう!この電子の箱庭を我が魔力の根源を高める修練場にしてくれようではないか!」

佐場木「ふん……出鼻をくじくようだが今日はもう夕方だ。休んで明日に備える事だな」

六山「それじゃあ、このマップにあるホテルに行こっか。コテージもあるみたいだしね」

確かに船で揺られていたからか、少し疲労感がある。

プログラムなら融通を利かせてもいいと思うけどな……

みんなも疲れていたのか、佐場木達の提案に反対する人間はおらず……俺達はホテルのある隣の島に向かった。

【赤穂のコテージ】

赤穂「ふう」

杖を外して備え付けられたベッドに腰かける。

歩きながらの話し合いで今日はもう休んで明日は各自島を回る事になった。

赤穂「……とんでもない事になったな」

コロシアイ研修旅行……四方院さんの推測が正しければ未来機関による危険人物の炙り出し。

赤穂「未来機関も色んな思想の奴が集まってるのは知ってるけどな……ここまでやるのか?」

いくらなんでも強引過ぎる。

とはいえ、元々未来機関の中には絶望に堕ちた人間の家族……その家族本人は絶望堕ちしていないのにも関わらず殺してしまえなんて過激派もいるから否定は出来ない。

赤穂「……この事は考えてもしかたないか」

個性的な未来機関の同僚、憧れのヒーロー、ずっと行方不明だった妹……

コロシアイを抜きにしても今日は色々とありすぎた。

赤穂「……」

ベッドに倒れ込んで大の字になる。

そして気付いた時には俺は眠りに落ちていた。

【2日目】

キーン、コーン、カーンコーン

赤穂「んうっ……?」

なんだ、チャイム……?

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「……」

ああ、そういえば電子手帳に10時と7時にアナウンスするとか書いてあったな……

赤穂「くそっ、それにしても嫌な目覚ましだな」

二度寝したいところだけど朝にここの敷地にあるレストラン集まるとか言ってたから、そうするわけにもいかない。

赤穂「シャワーは……一応浴びていくか」

妹もいるのにだらしない格好するわけにもな……

【ホテルミライ】

コテージを出て、敷地の中心にあるプールの横を通ってホテルの中に入る。

六山「……」カチャカチャ

すると六山がロビーにあるゲームをプレイしていた。

六山「んー……?あっ、おはよう赤穂くん」

赤穂「おはよう六山。みんなはまだ来てないのか?」

六山「たしか半分は来てたかな。わたしはみんな集まるまでゲームしてよっかなーって」

赤穂「へー……面白いのか?」

六山「なかなかのなかなかだね。この筐体はこれ1つでRPG、アクション、パズル、落ち物、シミュレーション……とにかく色々なゲームが楽しめるんだ」

赤穂「それは……すごいんだな」

ゲーム機1台だけでそこまで出来るなんて、聞いた事がない。

六山「ただ、その分無理してるのかバグがたくさんあるんだよね」

赤穂「バグ?」

六山「モンスターと戦闘してたらいきなりブロック落ちてきたりとか、パズルしてたら一緒に帰るかの選択肢出てきたりとかもうぐちゃぐちゃ」

なんだよ、その新感覚ゲームは……

六山「こういうの、デバッガーとしては見逃せないんだよね」

六山「というわけで、わたしは今からデバッガーとしてお仕事に入るからご飯出来たら呼んでね」

そう言って六山はゲーム機を動かし始める。

いくら声をかけても全く反応はなく……しかたないので俺は一足先に2階のレストランに上がる事にした。

【ホテルミライ・レストラン】

赤穂「おはよう」

レストランに上がると六山が言っていた通り、何人かが席についていた。

道掛「よっ、赤穂!」

遠見「おはようであります!」

佐場木「……よく眠れたようだな」

鞍馬「……」

如月「おはようございます、赤穂さん」

赤穂「お、おはようございます!」

如月「……なんで2回言ったんですか?」

赤穂「す、すみません、つい」

憧れの人を目の前にするとどうも緊張するな……

赤穂「……あれ?」

道掛「どした?」

赤穂「いや、六山は半分は来てるって言ってたのに少ない気がして」

遠見「今四方院殿、兵頭殿、土橋殿は厨房にいるのであります!」

道掛「飯は自分達で作れって言われたしなー」

なるほどな、それなら確かに半分は来てる。

席について待つと後から残りのメンバーがレストランにやって来る。

薄井「早えな……もうこんな来てんのか」

苗木「おはよう、みんな」

ジェニー「おはようございますでーす!」

グレゴリー「ふはははははっ!魑魅魍魎達は闇へと隠れ、神々の地を焼く光が降り注ぐ!さあ、運命の交差せし世界にて新たなる盟約を果たそうではないか!」

津浦「おはようございます、皆様。Mr.グレゴリーは【おはようございます、いい天気ですね。今日もいい1日にしましょう!】と仰っています」

そしてそれとほとんど同時に厨房の方から料理を持った3人が出てきた。

四方院「おはようございますわ皆様。よく眠れまして?」

土橋「ご飯出来たから暇な人は運ぶの手伝ってー!」

兵頭「これほどの人数分は初めてですね……いい経験になりました」

3人の手伝いに何人か立ち上がるのに合わせて俺は六山を呼びに行く。

そして六山を連れてレストランに戻ると……まだ全員揃っていなかった。

佐場木「静音と御影はどうした」

土橋「確かにちょっと遅いね……奏と政城は何か知らないの?」

四方院「凪ならもうすぐ来ると思いますわ。あの子は早くは起きられるのですがしばらくボーッとしないとベッドからも出られませんの」

赤穂「牡丹は……朝に弱くはなかったはずだけどな」

何かあったのか……?

赤穂「ちょっと様子を見てくる。先に食べててくれていいからな」

レストランから牡丹のコテージに向かう。

その途中、なぜかウサギのぬいぐるみらしき物を抱えた静音があくびをしながらホテルに歩いてくるのが見えた。

赤穂「これで、後は牡丹だけか……」

【御影のコテージ前】

ピンポーン…

赤穂「牡丹、もう朝だ。みんな待ってるぞ」

……

赤穂「出てこないな……牡丹?」

ガチャッ

赤穂「開いてる……牡丹、入るぞ?」

扉を開けてコテージの中に足を踏み入れる。

牡丹はベッドに横になっていた。

御影「ゲホッ、ゴホッ!あ、ぐうっ……!」

酷く、苦しみながら。

赤穂「牡丹!?おい、どうした!?」

御影「あ……にい……」

赤穂「苦しいんだな?待ってろ、今誰か呼んで……!」

御影「つ、机のっ、上……」

赤穂「机の上!?」

御影「く、くすり……ゲホッ、うぷっ……!」

机の上を見ると毒々しい色をしたカプセルの入ったケースが目に入る。

急いでそれを取って渡すと、牡丹はカプセルを1つ取り出して噛み砕くように飲み込んだ。

御影「はぁー、はぁー……」

赤穂「大丈夫、か?」

御影「ん……もう、大丈夫」

本当に大丈夫みたいで牡丹はさっきまでの苦しみようが嘘のように落ち着いていた。

御影「……レストランに集まるんだっけ?準備するから、外で待ってて」

赤穂「おい!そんな事よりこの薬はなんなんだよ!?オマエ、まさか何か病気……」

御影「大丈夫だから!」

赤穂「っ……」

御影「本当に、大丈夫だから……何も聞かないで」

赤穂「……」

御影「……」

赤穂「いつか、話してもらうからな」

それだけ告げて牡丹のコテージから出る。

牡丹は……何を隠してるんだ。

御影「おはよ」

ジェニー「ボタン、来ました!」

赤穂「……」

苗木「どうかしたの?顔色悪いけど」

赤穂「いや……なんでもない」

さっきの事もあって朝食も進まず、牡丹を見てしまう。

御影「あっ、美味しいじゃんこれ」

四方院「当たり前ですわ!わたくしが作ったのですから!」

静音「そうだそうだ!奏のご飯は世界一なんだ!」

御影「でもこれには負けるね」

兵頭「ふふっ、ありがとうございます」

四方院「うぐっ、否定は出来ませんわ……!」

六山「まあまあ」

……こうして見るとさっきのがまるで幻覚みたいに感じる。

赤穂「……」

土橋「あーっと、政城美味しくなかった?」

赤穂「えっ」

土橋「手つけてないからさ……ごめんね、もし口に合わないなら残していいから」

赤穂「い、いやいや!ちょっと考え事してただけだ!土橋のご飯は美味しいから!」

土橋「なら、いいんだけど」

赤穂「……」

本当に、いったい何があったんだよ?

【赤穂のコテージ】

赤穂「さてと……」

今みんなは思い思いに島を見て回っている。

俺も何があるかを把握しておかないとな……

【ホテルミライ】

俺達が今いるコテージのあるホテルミライ。

プールもある元観光地らしいホテルだ。

赤穂「隣にあるこの建物はなんなんだ?」

ホテルの建物の隣にある木造の建物……扉を見てみると旧館と書いてある。

赤穂「旧館か……一応中を覗いておくか」

【旧館倉庫】

赤穂「うわ、ギシギシ言ってるぞ……」

一歩間違うと床が抜けそうで気が抜けない。

慎重に進んで両開きの扉を開けると、段ボールがいくつも積み重なっている。

遠見「これは場合によっては……」

佐場木「そうだな、記録しておこう。次はこちらの段ボールだ」

苗木「わかったよ。うわ、重いねこれ……!」

佐場木「落とすなよ。床が抜けたら面倒だ」

そしてその中では佐場木、遠見、苗木の3人が段ボールの中を1つ1つ開けて確かめていた。

赤穂「何してるんだ?」

苗木「あっ、赤穂クン。佐場木クンと遠見さんが危険物がないか調べてるからその手伝いをね」

遠見「その気になればパーティーグッズのスプレー缶で爆弾だって作れるでありますから」

佐場木「最もこの島ではインターネットは使えんだろう。元々の知識がなければ難しいな」

赤穂「なるほどな……それでこれどうするんだ?」

佐場木「この島にはマーケットがある。そこの鍵つきケースに保管する事になるだろう」

遠見「そのためにも、まずは全部把握するであります!」

苗木「あ、あはは……1日かかりそうだなぁ」

大変だな……

【第1の島・農園】

赤穂「……本当に手伝わなくてよかったのか?」

先に全ての施設を見回ってこいと旧館を追い出された俺は近くにある農園に来ていた。

赤穂「……んっ?」

静音「らんらんら~ん♪」

薄井「ふあーあ……ねみい」

静音「こらー!何サボってるんだ!」

薄井「そもそもオレは手伝うなんて言ってねえぞ……」

……何してるんだ?

静音「あっ」

赤穂「えっ」

静音「見たな!?」

赤穂「いや、見たなって何の話……」

静音「このぼくのサプライズお料理大作戦の準備を見たなって言ってるんだ!」

サプライズお料理大作戦……?

薄井「自分で言ってんじゃねえか……」

静音「しまった……!寝坊して奏に迷惑かけたから腕によりをかけて夕飯作って奏を喜ばせる完璧な計画だったのに!」

薄井「いや、だから全部自分で言ってんじゃねえか」

静音「うう~……こうなったらお前も手伝え!」

赤穂「手伝えって野菜を収穫すればいいのか?」

静音「それはもうやらせてある!」

如月「静音さん、これでいいですか?」

赤穂「!?」

静音「おお、ご苦労だったな!」

き、如月さんに野菜の収穫させてたのか……

薄井「全く、ヒーローの使い方じゃねえよな」

如月「いいんですよ、静音さん1人でこの作業は無理でしょうから。次は何をしましょうか?」

な、なんだかめまいがしてきた……

【第1の島・ロケットパンチマーケット】

赤穂「へぇ、色んな物が揃ってるんだな」

サーフボードに浮き輪や海水浴用の道具。
暗視スコープや鍵つきケースやダイヤル式金庫。
食料品も大量にある。

そしてサバイバルナイフやボウガン……凶器も完備してあるってわけか。

鞍馬「……」

六山「ゲームないなー……」

兵頭「野菜以外はやはりここで手に入れるしかなさそうですね」

四方院「そうですわね……補給がなされるか後でモノクマに確認しておきましょう」

ここにも調査……と言えるかはわからないけど何人かいるな。

赤穂「食材の買い出しか?」

四方院「あら、赤穂さん。昼食と夕食の時間になってから来たのでは手間ですから」

兵頭「メニューも考えなければいけませんからね」

赤穂「……」

静音が張り切ってる事は伝えない方がいいよな……サプライズらしいし。

赤穂「六山はゲーム探しか?」

六山「うん。ロビーの筐体だけじゃなくて携帯ゲームのソフトも欲しいんだ」カチカチ

赤穂「そういえば六山はほとんどの時間ゲームしてるよな……疲れないのか?」

六山「ゲーム疲れなら心地いい疲れだよ」

そういう問題、か?

鞍馬「……」

赤穂「鞍馬は何してるんだ?」

鞍馬「……少し探し物を」

探し物?

鞍馬「なければ作ればいいですが……一応もう1回りしましょうか」スタスタ

……何を探してるんだ?

【第1の島・砂浜】

赤穂「俺はここに倒れてたんだよな……」

そのわりには濡れてたりはしてなかったけど、プログラムならそれも不自然じゃなかったんだな……

グレゴリー「ふははははっ!!」

道掛「あっはっはっはっは!!」

赤穂「……」

なんなんだあれ。

津浦「Mr.赤穂。あなたも混ざりに来たんですか?」

赤穂「いや、そもそもあの2人は何をして……」

津浦「最初はMr.グレゴリーが【この広大な海を見ていると笑いたくなります】と高笑いを始められまして」

赤穂「そこからして俺には理解不能だぞ」

津浦「その後走り込みをしていたMr.道掛が楽しそうだから混ぜろと一緒に笑いだしたんです」

赤穂「……楽しいのか?」

津浦「それを確かめるために今からワタシも混ざろうかと。Mr.赤穂もどうですか?」

赤穂「い、いや、俺はいいから気にせず楽しんでこいよ」

津浦「そうですか……それでは失礼します」

津浦がグレゴリーと道掛の隣に並ぶのも見届けず俺は逃げた。

巻き込まれたらたまったもんじゃない……!

【第1の島・港】

電子手帳に第1の島と表記されたこの島のマップ。

そのマップにあった最後のポイントは倉庫やコンテナが並ぶ港だった。

土橋「どうー?」

赤穂「んっ?」

土橋が倉庫の上の方を見て叫んでる……何かと俺も同じ所に目をやると。

ジェニー「シップは何も見えないでーす!」

ジェニーが倉庫の屋根の上から手を振っていた。

ジェニー「あっ!マサキー!マサキも来たですかー?」

土橋「えっ?あっ、本当だ」

赤穂「ジェニーに高いところから見てもらってたのか?」

土橋「まあね。最初はアタシがやるつもりだったんだけどジェニーがボクの方が適任だからって」

赤穂「なるほどな……ジェニー!他に何か見える物はないかー!」

ジェニー「島が見えまーす!建物もあるみたいですけど人がいるかまではわかりませーん!」

土橋「確かジャバウォック諸島は5つの島に囲まれた島って感じだったから……他の島かな」

赤穂「建物があるならもしプログラムじゃないならそこに人がいるかもしれないな……」

なんとかして他の島に行けたらいいんだけどな……

【中央の島】

赤穂「……」

他の島に行く手段がないか中央の島を見て回る。

だけど中央の島は第1の島としか橋が繋がってないみたいで、遠くに微かに見えるだけでとても行けそうにはなかった。

赤穂「……」

ここがプログラムならコロシアイが進む度にいつの間にか橋がかかってるって展開なのか?

それこそ、あのコロシアイ学園生活のように。

赤穂「それとも……力を合わせて他の島に行けたら研修が終わるのかもしれない」

考える事は山積みで、かといって俺は元々頭がいいわけでもない。

赤穂「……戻るか」

杖をついて来た道を引き返す。

歩きながら俺は電子手帳に記載されたこのコロシアイ研修旅行のルールを確認した。

1…未来機関第二十支部のメンバーは支部のあるこの島で無期限の共同生活を送ってもらいます。

2…共同生活を快適に過ごすため道端や海などにポイ捨てをする事を禁じます。

3…夜10時と朝7時にアナウンスを鳴らし、この間の時間を夜時間とします。

4…第二十支部支部長モノクマへの暴力行為を禁じます。

5…支部メンバーの間で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

6…学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

7…学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、残りの支部メンバー全員が処刑されます。

8…生き残ったクロは、島からの帰還が許されます。

9…3人以上の人間が死体を最初に発見した際、それを知らせる〔死体発見アナウンス〕が流れます。

10…監視カメラやモニターをはじめ、島に設置された物を許可なく破壊する事を禁じます。

11…上記ルールに違反しない場合のこの島の調査に制限はありません。

12…如月怜輝クンがルールに違反した場合連帯責任として他のメンバーに処罰を与えます。

13…ルールは追加される可能性があります。

赤穂「……本当に、ふざけたルールだな」

研修なら悪趣味にも限度ってものがあるだろ……

【ホテルミライ・レストラン】

四方院「皆様、少しお話があります」

静音「奏が喋るんだからしっかり聞けー!」

昼食時、レストランで食事をしていた俺達を見渡して四方院さんがそう言った。

なんで静音まで偉そうなのかは……俺にはわからん。

四方院「皆様もおそらくはこの島に何があるかはだいたい把握してくださったと思います」

土橋「他にやる事もなかったしね」

四方院「改めてわたくし達は未来機関第二十支部としてこの研修旅行にのぞむわけですが……そこで1つ仮の支部長を決めたいと思いますの」

薄井「支部長?」

四方院「ルールにはモノクマが支部長などとふざけた事が書いてありますが、そんなものは皆様お認めになってはいないのでしょう?」

道掛「あったりまえだぜ!クマに従うなんてありえねえっての!」

四方院「そこで男女1人ずつ、この研修旅行でリーダーとして働く人を選出しようと思いまして」

兵頭「男女1人ずつ、ですか?」

四方院「同姓の方が話しやすい場合もあるでしょうから。それで、どうでしょうか?」

誰1人四方院さんに異を唱える奴はいない。

全員モノクマが支部長だなんて冗談じゃないと思ってるんだろう。

四方院「異論はなさそうですわね……それでは今度は誰がその役割になるかを……」

六山「女子は四方院さんでいいと思いまーす」カチカチ

四方院「もちろんそのつもりです!他に立候補する方がいるなら受けて立ちますわ!」

遠見「ここまで話を進めておいて今さら立候補する人がいるとは思えないであります……」

苗木「つまりこの話し合いの要は男子側のリーダーって事かな?」

四方院「それでは立候補者は手を」

苗木「あはは……ボクには荷が重いかな?」

グレゴリー「我は風。統率という名の鎖などで封印する事など出来ぬ!」

津浦「【リーダーなんて向いてません】と仰っています」

鞍馬「……お断りします」

薄井「やなこった」

如月「リーダーですか……不協和音を生みそうなので辞退しますね」

道掛「おっ、なら俺が……」

四方院「却下します」

道掛「なんで俺だけ却下!?」

佐場木「誰も手をあげないのか」

赤穂「そういう佐場木はどうなんだよ」

佐場木「やるのは構わんが、俺はなるべく中立の立場をとりたいところだな」

意外だな……リーダーに立候補すると思ってたんだけど。

四方院「まさか誰もいませんの!?」

道掛「いや、だから俺が……」

薄井「オマエ、オレ達まとめられんのか?」

道掛「無理だな!」

土橋「なんで立候補したの……?」

四方院「まいりましたわね……こうなったらくじ引きで」

御影「……推薦。兄貴でいいじゃん」

赤穂「は?」

御影「だって兄貴、希望ヶ峰の76期生でこの中だと数少ない卒業生でしょ」

四方院「そういえばわたくし達のほとんどは未来機関校第1期生……卒業生は如月さんと赤穂さんだけですわ」

赤穂「ま、待ってくれ!そうは言うけど俺にはリーダーなんて……」

兵頭「しかし他に適任はいないようですよ?」

赤穂「……」

確かに歳って意味なら俺は二番目の年長者だ。

とはいっても未来機関の所属年数なら違いはないはずなんだけど……

赤穂「……わかったよ」

正直、自信があるわけじゃない。

だけど他でもない牡丹が推薦だなんて言うなら……兄としては、なぁ。

四方院「これで決まりですわ!女子はわたくし四方院奏、男子は赤穂さん……改めてこの体制でこの研修旅行をクリアいたしましょう!」

……まあ、やれるだけやってみるか。

赤穂「暇だ」

リーダーになったといってもやる事は実のところあまりなかったりする。

なぜなら四方院さんや佐場木がだいたいの事はやっちゃうからだ。

だから俺はお飾り……肉体労働も今となっては出来ないからそれ以下かもしれない。

赤穂「はあ……」

とはいえ何もしないわけにはいかないからな……みんなの様子でも見に行くか。

【ロケットパンチマーケット】

グレゴリー「見るがいい朗笑の道化師よ!この聖殿は魔術具の宝庫ではないか!」

ジェニー「あ、あう……ロウショウ?セイデン?難しくてわからないです……」

赤穂「……」

ロケットパンチマーケットに寄ってみたらグレゴリーとジェニーが品物を見ながら話していた。

だけどジェニーには難しくてよくわからないみたいだな……

赤穂「グレゴリー」

グレゴリー「ほう、聖痕抱きし英雄か」

なんだか俺の名前らしきものが大げさになってないか!?

赤穂「あのさ、ジェニーはあんまり日本語得意じゃないみたいだから何を言われてるかわからないんじゃないか?」

グレゴリー「むっ?それは真実の果実か、朗笑の道化師」

ジェニー「えと、ロウショウ?の道化師ってボクの事です?道化師はピエロってわかるですけど……」

グレゴリー「ふうむ……すまん。言の葉の魔術師の存在を錯覚していたようだ」

えっと……これは津浦がいる時の感覚で話してたって事か?

ジェニー「でもでも!グレッグはたくさんの言葉知っててすごいです!ボクもっともっと勉強して話せるようにしますです!」

赤穂「……」

グレゴリー「……」

ジェニー「あ、あれ?2人共どうしたです、か?」

グレゴリー「ふっ、朗笑の道化師は天界からの使いかもしれんな」

これは俺にも意味がわかる。

ジェニーはいい子だってな。

遠見「ふーむ、なかなかどうして……」

赤穂「……何してるんだ?道端にしゃがみこんで」

遠見「赤穂殿。いやはや、自分なりにこの島を調べていたのでありますが……もしもここが本当にプログラムなら相当手が込んでいるのであります」

そう言って遠見が見せてきたのは……虫?

遠見「南の島にしか生息していない昆虫であります。このような細かな生物まで再現しているレベルは聞いた事がないのでありますよ」

赤穂「確かに……動物ならまあともかく、虫まで再現ってのは聞かないな」

遠見「正直ここがプログラムだというのは自分には納得出来ない話でありまして」

遠見「そしてプログラムでないならば……このコロシアイは本物の可能性が高くなるのであります」

赤穂「そうだな……」

本当にコロシアイが起きるリスクを考えると、現実でこんな馬鹿げた研修はしないはずだ。

遠見「四方院殿は不安を取り除く意図もあってこの説を持論としているのでありましょうが……」
遠見「自分は戦場で生きてきた身として……万が一を捨てられないのでありますよ」

赤穂「……その万が一がないように佐場木や遠見は疑うんだろ?」

遠見「……そうであります」

赤穂「だったらそんな申し訳なさそうな顔するなよ。俺は最悪の事態を防ぐために疑うのは悪い事じゃないと思うからさ」

遠見「赤穂殿……」

赤穂「なに、もしもプログラムだったらそれでよかったって笑えばいいんだ。最悪の可能性が正解なら……その時はきっとその疑って調べた事が役に立つ」

遠見「……」

赤穂「な?」

遠見「そうでありますね……ありがとうであります赤穂殿!」

赤穂「一応、リーダーだからな」

遠見「御影殿の推薦は正解だったかもしれないでありますね!」

そうなら、いいけどな……

薄井「だからそう言ってんだろ」

如月「そうですか……」

薄井と如月さんが話してるけど……あんまり和やかな雰囲気じゃないな。

薄井「んっ?ああ、ちょうどいい。赤穂、こいつ何とかしてくれよ」

赤穂「何とかってまず何があったんだよ」

薄井「こいつ、オレにしつこく付きまといやがるんだよ……」

如月「僕はただ薄井さんと仲良くしたいだけなんですが……」

薄井「インチキ野郎と関わろうなんてどんな物好きだオマエはよ」

赤穂「と、とりあえず落ち着けって」

俺からしたら正直羨ましいぐらいだってのに……

如月「ですが薄井さんも無視はしないでくれますから、きっと仲良くなれると信じてますよ」

薄井「オマエ……本当におめでたいやつだな」

如月「前向きなんですよ。こんな世界ではそれが重要な事ですから」

前向きか……そうでもないとヒーローなんて出来ないんだろうな。

……いや、俺も一応ヒーローなんだけど。

兵頭「はあ……」

赤穂「……んっ?」

四方院「あら?どうしましたの兵頭さん」

兵頭「いえ、ちょっと個人的に残念でして」

赤穂「残念?」

兵頭「リーダーを決めるのは投票だと思っていましたから……」

四方院「兵頭さんは投票がしたかったんですの?」

兵頭「当たり前じゃないですか。私は超高校級の選挙管理委員なんですよ」

兵頭「ただでさえこんな場所だと投票なんて限られた機会なのに……」

赤穂「なんというか、情熱を注いでるんだな」

兵頭「それはもう、人の人生がかかった投票なんて……たまりませんから」ジュル…

赤穂「……えっ」

四方院「……はい?」

兵頭「……ああ、すみません。今のは忘れてください」

今、恐ろしく緩んだ顔してなかったか……?

【ホテルミライ・レストラン】

そろそろ夕食の時間だとレストランに行ってみると……窓から火柱が吹き出していた。

赤穂「……はあ!?」

四方院「ちょっとなんですのあれは!」

慌ててレストランに飛び込むと、必死にバケツで水をかけている如月さんと薄井。

静音「うわあああああああんっ!」

そして大号泣してる静音の姿があった。

赤穂「……」

まさか夕食の準備しようとして、こんな事になったのか?

四方院「な、凪!大丈夫ですの!?」

静音「ひっ、ひぐっ……奏……ぼくっ、ぼくこんな事になるなんて……」ギュウッ

四方院「ああ、わかっていますわ。貴女がわざとこんな事をするわけないのは」ナデナデ

赤穂「……」

とりあえず2人を見ててもしょうがない、俺は消火を手伝おう!

――――

道掛「こりゃひでえ……」

結局あの後厨房は半焼……夕食前に急遽土橋中心で修理をする事になった。

土橋「誰か追加で木材持ってきてー!」

グレゴリー「ふはははははっ!!この天よりの導きこそ好機!恵みの世界を我が神殿へと再構築してくれよう!まずは厨房の扉を坂に改変……」

土橋「変な物を増やすな!」

佐場木「よくも全焼しなかったものだ」

薄井「わりとマジで焦ったっつうの……」

静音「……」

その原因を作った静音は四方院さんにしがみついて顔を見せようとしない。

四方院「そうですか……凪はわたくしのために」

赤穂「朝の事が申し訳なかったんだって言ってたよ。だから穏便に済ませてやってくれないか?」

四方院「そうですわね……凪もわざとではないのですから、わたくしは何も言うつもりはありません」

静音「奏……」

四方院「ですけれど!皆様にはきちんと謝るように」

静音「はーい……」

赤穂「まあ、怪我人も出てないし何事もなくて良かったよ」

モノクマも出てこないって事は、ルール違反にはならないみたいだしな……

【赤穂のコテージ】

赤穂「はああ……今日は疲れたな」

厨房の修理は9時頃までかかって……夕食が終わったのはついさっき、10時のアナウンスが鳴った頃だった。

赤穂「でもみんなこの一件でいっそう団結した気もするし……結果オーライか」

このまま何事もなく済ませて、さっさと日常生活に戻りたいもんだ。

赤穂「外は今頃どうなってるんだろうな……」

少しでも平和になってれば……

そんな事を考えながら、俺は眠りについた。

【3日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「朝か……」

昨日の事もあるし、牡丹を迎えに行った方がいいよな……よし。

【御影のコテージ】

ピンポーン

赤穂「牡丹、迎えに来たぞー」

ガチャッ

御影「……おはよ」

赤穂「おはよう、よく眠れたか?」

御影「まあ一応。それで、迎えってなんで?私もう子供じゃないんだけど」

赤穂「昨日みたいな事があったら嫌だからな。こうしてコテージまで来れば少なくとも苦しんでるかはわかるだろ?」

御影「……」

赤穂「それに俺からしたらまだまだお前は子供なんだよ」ポンポン

御影「ちょっ、やめてよ……」

赤穂「ほら行こう。みんな待ってるだろうしな」

御影「はあ……相変わらず強引だね兄貴は」

赤穂「……なあ、なんで兄貴呼び?昔は確か」

御影「気分だよ気分。ほら行くんでしょ」

赤穂「気分ねぇ……」

【ホテルミライ・レストラン】

四方院「皆様、少しお話があるのですがよろしいでしょうか?」

苗木「また何か決める事が出来たの?」

四方院「いえ、今回は少し提案を」

六山「提案?」

四方院「この研修旅行も今日で3日。こちらも本格的に動くのも悪くないかと思いまして」

津浦「本格的に動くとは?」

四方院「もちろんこの研修旅行を終わらせる……つまりこのコロシアイを無駄だと未来機関に思わせる事」

グレゴリー「ほう、優雅なる笛吹きには何か策が?」

四方院「ふふふ」

赤穂「……」

このコロシアイ研修旅行を早く終わらせる方法か……

四方院「未来機関に見せつけるのです。コロシアイなど起きようもないわたくし達の姿を」

四方院「それを実現する方法……」







四方院「未来機関第二十支部懇親会の開催を宣言いたしますわ!」






道掛「懇親会?」

四方院「簡単に言えばパーティーですわね。お互いを知り、交流を深めるためのものです」

ジェニー「パーティー!みんなでパーティーするですか!」

四方院「もちろん全員参加です!交流しようというのに不参加など認めないのでそのおつもりで」

御影「私パス」

赤穂「却下だ。牡丹は少しみんなと仲良くしろ」

御影「横暴だ……妹には優しくしてもバチは当たらないよ」

赤穂「妹のために心を鬼にするのも優しさだ」

四方院「あちらは放置でいいでしょうから……他に何かあるなら聞きますわ」

遠見「開催場所はどこにするのでありますか?」

四方院「それはまだ決めてませんの。今日1日使って候補を絞ろうかと」

六山「今日やるんじゃないんだ?」

四方院「ふふふ、色々準備もあるでしょうから明後日を予定していますわ」

静音「楽しみにしてるんだな!奏が開くなら最高のパーティーになるんだから!」

だからなんで静音が偉そうなんだよ……

四方院さんのパーティー開催宣言の後、みんなはその日に向けてバラバラに散っていった。

赤穂「だけど意外だったな。佐場木や薄井は反対しそうだったのに」

佐場木「ふん、四方院なりのやり方だ。犯罪でもなければ俺は何も言うつもりはない」

薄井「反対出来る空気じゃねえだろアレは」

赤穂「まあ、確かにな。この場合牡丹がむしろマイペースなのか……」

佐場木「だが懇親会をやると言うなら危険物の管理を徹底しなければな……遠見とチェックリストの見直しが必要か」

薄井「真面目だな……少しは肩の力抜いてもいいんじゃねえか?」

佐場木「これは俺の軸だ。今さら変えられはしない」

赤穂「……佐場木は裁判官になる前からそうだったのか?」

この3日間で佐場木の真面目というか、一種頑固と言ってもいい性格は見てきた。

いったいどんな生き方をすればこんな……

佐場木「ふん、お前達も見た事があるだろう?この世界に絶望によって広がる悲しみを」

薄井「そりゃ、まあな」

佐場木「俺は幼い頃からそれを見てきた。それだけの話だ」

幼い頃から、今世界に広がってるような光景を……?

土橋「こんなんでいい?」

ジェニー「はい!ありがとうです!」

赤穂「何してるんだ?」

土橋「ジェニーがパーティーで芸をやるんだって」

ジェニー「ミキにそのためのアイテムを作ってもらいました!」

赤穂「へー、何をやるんだ?」

今ジェニーが持ってるのは木で出来た少し大きめの箱みたいだけど。

ジェニー「ダメでーす!パーティーまでの秘密です!」

土橋「アタシも自分で作っといてなんだけど、何に使うかわかんないんだよね」

赤穂「大丈夫なのかそれ」

土橋「安全性は保証するよ!地震が来ても壊れないレベル!」

赤穂「そんなのをこの短時間で作ったのか!?」

土橋「えっ?別に普通じゃない?アタシちっちゃい頃からよく木で小物は作ってたし」

赤穂「普通ではないと思うぞ……」

ジェニー「ミキはスゴいです!ボクなんて危ないからってハンマーとか持たせてくれませんです……」

土橋「アハハ、そんな褒めないでよ。照れちゃうって」

少し赤くなってる土橋を横目にジェニーの持つ箱を見る。

うーん、怪我がなくてもやっぱり俺には作れそうにない……

でも才能がある人間にとっては普通なのかもな。

津浦「Mr.赤穂。ちょうどいいところに」

赤穂「んっ?どうした?」

津浦「Mr.苗木を捜しているのですが、心当たりはありませんか?」

赤穂「苗木を?レストランを出てからは見てないな……」

津浦「そうですか……」

赤穂「苗木に用事なら俺から伝えようか?」

津浦「お願い出来ますか?」

赤穂「わかった。それで苗木に何の用事なんだ?」

津浦「なんでもMr.グレゴリーの言葉に理解できない物があるので教えてほしいと」

ああ……確かにグレゴリーの言葉はよくわからないもんな。

津浦「しかしそんなに難解でしょうか?ワタシにはよくわかりません」

赤穂「むしろ俺にはなんで津浦がわかるのかがわからないぞ」

津浦「同じ日本語なのですから、まだわかりやすいと思うのですが……」

津浦は本気で疑問らしい……さすが【超高校級の通訳】。

赤穂「苗木はどこに行ったんだ?」

頼まれた以上早い方がいいと俺は苗木を捜す事にした。

赤穂「……おっ、いた」

苗木「あっ、あっ、ちょっと待って!」

六山「一度始まったゲームにポーズはなしだよ」

苗木「ああ、また負けた……」

どうやらロビーの筐体で六山と対戦していたらしい。

赤穂「苗木」

苗木「あれ?赤穂クン、どうしたの?」

六山「増援かな?」

赤穂「違う違う。苗木、津浦が捜してたぞ」

苗木「あっ!そういえば津浦さんに頼み事してたんだった……」

六山「そうだったの?ごめんね、付き合わせちゃって」

苗木「あはは、ボクもゲームしたかったから六山さんは気にしないで」

赤穂「……対戦成績0勝8敗か。やっぱり六山強いんだな」

六山「場数が違うのだよ場数が」

苗木「赤穂クンもやってみたら?もしかしたら運良く勝てるかもしれないよ」

赤穂「運で苗木がこれならダメじゃないか」

苗木「あはは……ほら、ボクは幸運って言っても本当に平々凡々だから」

その後苗木と入れ替わりに六山と対戦した。

結果は……まあ、言わずもがなだ。

道掛「いやっほおおおおおおおうっ!!」

赤穂「あれは……」

道掛「おっ、赤穂じゃん!一緒にサイクリングしねえか!」

赤穂「いや、俺はこの足だから」

道掛「あっ、そういやそうだな……なんつうか自転車乗れねえって俺には耐えらんねえや」

赤穂「道掛は根っからの自転車バカって感じだしな」

道掛「自転車はバカじゃねえよ!」

赤穂「いや、そういう意味じゃない」

道掛「そうなのか?自転車バカにしたんじゃねえの?」

赤穂「言い方変えるなら、道掛は自転車が好きなんだなって事だよ」

道掛「おぉ、そういう意味か!俺は確かに自転車に青春かけてるからな!」

赤穂「それは見てればよくわかる」

道掛「やっぱ青春って大事だよな!友情!女の子!自転車!」

どういうラインナップだそれ……

でも道掛は本当に楽しそうに自転車に乗ってて、青春してるんだなっていうのは伝わってくる。

道掛「あっ、ところで赤穂」

赤穂「んっ?」

道掛「牡丹ちゃん紹介し――」

赤穂「却下だ」

道掛「とりつく島もねえ!」

静音「奏の凄さが皆に伝わってない!」

赤穂「……はあ」

牡丹を紹介しろとすがり付く道掛を振り切って島を歩いていたらいきなり静音に捕まって港に連れてこられた。

そして小さなコンテナによじ登ると開口一番そんな事を言ってくる。

静音「奏は優しくて綺麗で可愛くて頭も良くて料理も美味しくて優しくて綺麗で可愛いのに!」

いくつか2回言ってるぞ……

静音「はあ、ぼくが男の子だったら絶対奏のお婿さんになるのにな」

赤穂「……静音は四方院さんをそういう意味で好きなのか?」

静音「違う!男の子だったらって言ってるだろ!ぼくにとって奏はそれだけ大切なの!」

赤穂「うーん……なんでそこまで四方院さんを?」

静音の四方院さんに対するそれは崇拝にも近い……正直何が彼女をここまでしたのか興味が湧いてくる。

静音「奏がいなかったら……ぼくは指揮者になってなかったからな」

赤穂「そうなのか?」

静音「ぼくは今でこそ天才指揮者なんて言われてるけど、元々音楽なんて興味の欠片もなかったんだ」

静音「むしろ悪戯ばっかりしてて親にはよく叱られてたな」

静音「そんな日々の中で親に少しはおとなしくなるようにって演奏会に連れてかれたんだ」

静音「もちろん興味なんてないぼくは逃げ出してな……知らない間に演奏者の集まる楽屋に来ちゃったんだ」

静音「迷って泣きそうになって……そんな時にフルートの音色が聞こえてきた」

静音「その音色はスッとぼくの中に入ってきて、ぼくは導かれるようにその音の鳴る場所に行って……」

静音「奏と、出会ったんだ」

静音「その時奏と話して、もっと話してみたいと思うようになった」

静音「話すからには喜んでもらいたいから音楽を勉強してはみたんだけど、楽器は全く出来る気がしなくて」

静音「そんな時にオーケストラを見てたら、なんか棒振り回してるすごく楽そうなのがあったからそれをやる事にしたんだよ!」

そんな理由で【超高校級の指揮者】は生まれたのか……

静音「やってみたら難しくて、それ以上に楽しくなったんだけどな!」

静音「つまり奏は今のぼくを作った存在……」

静音「お母さんなんだ!」

……いや、それでいいのか?

赤穂「やっと解放された……」

静音に四方院さんの魅力を散々語られてたらもうこんな時間か……

御影「……あれ?どしたの、疲れてるけど」

赤穂「色々あってな……牡丹はこんな所でどうしたんだ?」

御影「ちょっとパーティーを中止させるために色々と……あ」

赤穂「ほー、俺の前でそれを言うか」ワシャワシャ

御影「ちょっ、だから頭なで回すのやめ!」

赤穂「全く。我が妹ながら何を考えてるんだ」

御影「だってさぁ……いきなり交流しようとか言われても困るって」

赤穂「まるで友達がいなかったみたいに言うんだな……」

御影「そりゃ、あんな生活してたら友達なんて……」

赤穂「は?あんな生活?」

御影「……あっ、私用事思い出した。じゃあね兄貴!」

赤穂「おいこら、ちょっと待て!牡丹!あんな生活ってなんだ!?」

くそっ、逃げられた……!

赤穂「牡丹の奴、ただの家出だと思ってたけどなんか雰囲気が違うぞ……」

白くなった髪……あの苦しみよう……薬……あんな生活……友達なんて……

赤穂「……」

いや、まさか……牡丹がそんな事するわけ……

鞍馬「……」

赤穂「うわっ!?い、いたのか鞍馬」

鞍馬「えぇ、先ほどから」

赤穂「もしかして俺達の話も聞いてた?」

鞍馬「僕がいたところにあなた達が来ましたからね」

赤穂「そ、そうか」

鞍馬「……」

なんというか、鞍馬って掴み所がないな……

鞍馬「彼女は別に依存性の薬物には手を出していませんよ」

赤穂「は?」

鞍馬「それを危惧していたのでは?」

赤穂「いや、それは……というかなんでわかるんだ?」

鞍馬「見ていれば区別はつきますよ」

赤穂「そんな、ものなのか」

よくはわからないけど……それなら、牡丹はいったい……

鞍馬「……」

キーンコーン、カーンコーン……

モノクマ「えー、オマエラ!今すぐ第二十支部に集まってください!」

モノクマ「全員だからね!来なかったらオシオキだよ!」

赤穂「……なんだ?」

モノクマが呼び出し……嫌な予感がするな。

赤穂「とにかく全員集合なら行かないとな……」


【未来機関第二十支部】

苗木「いったい、なんの呼び出しなんだろう?」

兵頭「諦めた、ならいいんですけどね」

四方院「どうなのでしょう……いくらなんでも早すぎる気もしますが」

佐場木「それは本人に聞けばいいだけだ……来るぞ」

モノクマ「来たみたいだねオマエラ!」

道掛「なんなんだよ!これから飯って時に呼び出しやがって!」

モノクマ「大丈夫大丈夫。すぐに終わるからさ」

赤穂「すぐに終わる……」

モノクマはいったい何を……

モノクマ「えー、ではこれより」







モノクマ「厨房の破壊を行ったルール違反者静音凪さんの処刑を執行します!!」






静音「…………えっ?」

四方院「な……何を仰っていますの!?」

モノクマ「あれ?ルールになかったっけ?島に設置された物をむやみやたらに壊すなって」

遠見「た、確かにルールには許可なく設置された物を壊すなとあるにはあるでありますが……」

土橋「ちょっと待ってよ!厨房はきちんと直したよ!?」

グレゴリー「それになぜこの機なのだ!?厨房が業火に包まれし時には沈黙を貫いたではないか!」

モノクマ「別にすぐにやっても良かったけど?お別れの時間くらいはあげようかなって思ったんだよ」

モノクマ「あと直したからって壊した事実がなくなる訳じゃないんだよ!あの火事がコロシアイのためならともかく今回の事はれっきとしたルール違反!」

赤穂「モノクマ、お前……!」

薄井「クソッタレ、よりによってオレ達全員集めてやりやがるか!」

モノクマ「これは見せしめも兼ねてるからね!それじゃあ早速……」

静音「ひっ……」

四方院「待ってください!凪はわたくしのためにあのような事をしたのです!処刑ならわたくしを……」

静音「だ、だめだよ奏!そんな……」

モノクマ「そうだよ?今回ルール違反したのは静音さん。だから死ぬのも静音さん」

モノクマ「オマエが入る余地なんてどこにもないんだよ!」

四方院「っ……!」

くそっ!まさか1日経ってからルール違反に言及するなんて!

とにかく、静音を守らないと……!







ガンッ!






赤穂「えっ」

気が付いた時、モノクマの頭には鉄パイプみたいな物が突き刺さっていた。

そしてそれを持っていたのは……

六山「はぁ、はぁ……」

ジェニー「モ、モモカ!?」

六山「……ボス撃破、だね」カチカチ

津浦「そんな時までゲームをするその胆力……凄まじいですね」

御影「……でもさ、これ当然スペアいるんじゃ」

モノクマ「もちろんいますとも!あーあー、もう嫌になるよ!」

六山「あ……」

モノクマ「どうしようかな……ボクとしては見せしめは1人に抑えたいし……」

鞍馬「……」

モノクマ「よし!事故と故意って事で……六山さんだけの処刑で許してあげましょう!というわけで出でよモノクマ戦車ー!」

キャタピラの音を響かせてモノクマの顔をマークにした戦車がやってくる。

そしてモノクマはそれに乗り込んで六山に、砲口を向けた。

六山「……!」

モノクマ「それではこれより六山百夏さんの処刑を開始します!」

四方院「っ……どうか考え直してください!」

モノクマ「イヤだよーだ!まあ、もしもボクをいっさい傷つけずに戦車を破壊したらその努力に免じて助けてあげてもいいよ?」

佐場木「貴様……!」

モノクマはそんな事が出来ないとわかってて言ってる……どこまでこっちを馬鹿にすれば……!

モノクマ「それではまいりましょう!」

六山「あ、あああ……!」

モノクマ「オシオキターイム!」







如月「なるほど、ならばその条件を達成させていただきましょうか」






赤穂「如月さん!?」

六山と戦車の間に割って入るように現れた影。

それが如月さんだと理解したのは、戦車から砲弾が発射されたのとほとんど同時だった。

如月「……はあっ!」

その砲弾を……如月さんは、明後日の方向に蹴り飛ばした。

グレゴリー「なんと!?」

薄井「……マジかよ」

モノクマ「いくらなんでも無茶苦茶すぎない!?」

如月「これぐらいでなければ、あなた達には対抗出来ませんから」

ジャンプした如月さんは戦車の上に着地、モノクマを中から引きずり出す。

モノクマ「うわわわわっ!?」

そしてモノクマを空に向かって投げ飛ばした如月さんは……

如月「一・撃・必・滅!でいいいいいいいやぁ!!」

戦車に拳を突き入れた。

四方院「はっ……皆様、伏せて!」

四方院さんの言葉に咄嗟に伏せた瞬間、戦車が爆発を起こして風が吹く。

その爆炎の中から……

如月「これでいいでしょうか?モノクマ」

モノクマ「……」

無傷のモノクマを抱えて、如月さんは現れた。

モノクマ「……いやいやいやいや」

モノクマ「普通本気でやる?あり得ないって……」

如月「可能性がある以上僕はやるだけですよ。これで問題ありませんよね?」

モノクマ「ぐっ、ぐぐぐ……今回だけは、見逃してあげるよ!」

モノクマが消えた後も、俺達は沈黙を崩せなかった。

如月「……六山さん、大丈夫ですか?」

六山「う、うん……」カチカチ

気を落ち着けるためか撃たれた後もずっとゲームをしていた六山もこれには動揺しているみたいだ。

赤穂「……」

これが……【超高校級のヒーロー】。

俺とは、全く違う。

次元の違う、存在だった。

本日はここまでです。

【赤穂のコテージ】

赤穂「……」

夜のアナウンスが流れてもう1時間くらい経つ。

だけど俺は未だに眠る事が出来ずにいた。

赤穂「……」

あの時、危うく誰かが殺されかけて。

それを如月さんは誰1人欠けさせる事なく終わらせてみせた。

【超高校級のヒーロー】……如月さんはこれからもその名に恥じない生き方をしていくんだろう。

赤穂「……」

なら俺は?

俺は【超高校級のヒーロー】として何が出来るんだ?

赤穂「……はあ」

少し外に行くか……風でも当たって気分を切り替えよう。

【ホテルミライ・プールサイド】

赤穂「星が凄いな……」

日本にいた頃は青空や星なんてまるで見る機会がなかった。

それはそれだけ余裕がなかったのもあり、絶望達の爪痕が空からそういったものを消してしまったからでもある。

赤穂「だけど……少し離れればまだこんな空は広がってる」

俺には【超高校級のヒーロー】なんて大それた肩書きだけど……少しであの赤茶けた空をこの空みたいに戻るように出来れば。

赤穂「……少し難しく考えすぎてたな」

戻ろう、そう思って俺は夜空を見上げていた顔を戻し――







赤穂「…………っ!?」






再び空を見上げる。

月や星は相変わらず輝いていて、何も変わってない。

赤穂「なんだ今の……」

だけど今強烈な違和感……そう、違和感を確かに覚えた。

まるで間違ったピースを無理やりはめて作ったパズルを見せられてるような……

赤穂「……」

だけどその違和感がまた芽を出す事はなく……

赤穂「気のせい、だったのか?」

俺は首をかしげながら、コテージに戻るしかなかった。

【4日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「……」

結局あの違和感が気になってほとんど眠れなかったな……

だけどいくら考えても何がおかしいのかはわからなかった。

赤穂「ああ、ダメだダメだ!明日はパーティーなんだし頭を切り替えないと……」

きっと気のせいだったんだろうなと首を振る。

赤穂「よし、とにかく今は牡丹を迎えに行こう」


――――


御影「……おはよ」

赤穂「なんだ、外で待ってたのか」

御影「いちいちコテージに乗り込まれるのもアレだし」

赤穂「まっ、待っててくれたって事は嫌がられてる訳じゃないみたいで良かったよ」

御影「……別に。先に行って兄貴が待ちぼうけしてるのもかわいそうなだけだし」

赤穂「そうかそうか」

全く素直じゃないな……

赤穂「懇親会の準備は順調なのか?」

四方院「えぇ。会場もだいたい目星をつけました」

静音「どうだ!奏はパーフェクトだから2日あれば凄いパーティーが出来るんだぞ!」

四方院「ふふ、ありがとう凪」

静音「それにこのぼくと奏の特別演奏会があるんだから、他の何がなくても成功するに決まってるよ!」

赤穂「特別演奏会?」

四方院「懇親会の時わたくしと凪で演奏をしようと思いまして」

静音「奏ならぼくの指揮がなくてもパーフェクトな独奏出来るんだぞ!」

四方院「そんな事ありません。凪の指揮はわたくしにとって欠かせないものですわ」

静音「そうなの?」

四方院「えぇ、だから懇親会の時も素晴らしい指揮をお願いしますわ」

静音「えへへ、奏がそう言ってくれるならぼく頑張る!」

本当に仲がいいなこの2人は……

今日もみんなは明日のパーティーに向けての準備をしているらしい。

俺は見回りも兼ねて様子を見る事にした。

赤穂「あれは……遠見とグレゴリーか?」

グレゴリーが遠見に何か渡してるみたいだけど……

グレゴリー「祭宴に向けて我が天具を授けよう……さあ千里眼の担い手よ!封印から解き放つがいい!この雲裂き海を割る恵みの刃を!」

遠見「……ただの包丁に見えるのでありますが」

グレゴリー「甘い!甘いぞ千里眼の担い手よ!この恵みの刃は我が秘術によって時空間をも両断する魔剣なのだ!」

遠見「えー……つまりはよく切れる包丁でありますか?」

グレゴリー「然り!故に神からの恵みを儀式の器に捧げ振るった時……器さえも暗黒の彼方へと消し飛ばす!!」

遠見「それまな板も切れるって事でありますか!?」

グレゴリー「ふっ……千里眼の担い手も我が天界の言霊が視えるようになってきたようだな」

遠見「そんなの使えるわけないでありましょうが!」

グレゴリー「なん、だと……」

赤穂「……遠見、大丈夫か?」

遠見「赤穂殿!グレゴリー殿を何とかしてほしいのであります!」

グレゴリー「ええい、ならば時空転移を引き起こす冷気の宝物庫か灼熱の力を持ちし鍋はどうだ!」

赤穂「どれもこれも危険な匂いしかしない……!?」

遠見「却下に決まっているであります!」

グレゴリー「なんと……!」

グレゴリーが目に見えて落ち込んでるけど……まあ、しかたないよな。

あれからグレゴリーの天具……もとい危険物は佐場木と遠見によって回収された。

赤穂「なんなんだよ、冷蔵と冷凍が入れ替わる冷蔵庫とかバーナー内蔵型の鍋って……」

冷蔵庫の方なんてどこかの街に大型の物があるらしいし。

六山「むにゃむにゃ……」

まだ危険物がないか見ると佐場木と遠見に引きずられていったグレゴリーの事を思い返してると、砂浜のヤシの木にかかったハンモックで六山が寝ているのを見つけた。

六山「んー……むにゃ」

赤穂「……」

また随分と気持ちよさそうに寝てるな……

六山「んっ……大丈夫……もっとゲーム……ぐぅ」

夢の中でもゲームか……六山らしい、のか?

六山「……んう?」

赤穂「あっ、悪い。起こしたか?」

六山「あれ……あー…………そっか、夢か」

六山はキョロキョロと辺りを見回して今の状況を思い出したのか、露骨にガッカリしている。

赤穂「ゲームの夢でも見てたのか?」

六山「そうだよー。せっかく長年続編を待ち望んでたゲームの続編発売日だったのに……」

赤穂「あー、それは確かにガッカリするか」

六山「世の中ままならないよね。続編が欲しいゲームに限って出ないし、ハッピーエンドのゲームをわざわざバッドエンドの続き設定で続編出したり」

赤穂「……六山?」

なんか様子が……

六山「他にも露骨に裏側の意図が見えてるやつとか攻略できないキャラクターに限って魅力的なやつとか……」

もしかして、まだ寝ぼけてるのか!?

赤穂「お、おい六山……」

六山「だいたい―ー」

…………

六山「んっ……?そっか、わたし寝てたんだっけ……あれ?」

赤穂「……」

六山「赤穂くんどうしたの?顔色悪いよ」

赤穂「い、いや……ちょっと愚痴を聞いててな」

六山「そうなんだ?」

赤穂「あ、ああ」

……覚えてないのか。

あれだけの言葉の洪水を浴びせかけて……

なんか、脱力感が……

【港】

鞍馬「……」

赤穂「んっ?」

鞍馬の奴、あんなところで何してるんだ?

赤穂「鞍馬」

鞍馬「なんでしょうか?」チクチク

赤穂「いや、何をしてるんだ?」

鞍馬「ぬいぐるみの作成です」

赤穂「ぬいぐるみ……そのウサギみたいなやつか」

鞍馬「ウサミです。未来機関のマスコットになる予定だとか」

赤穂「マスコット……」

正直このウサミとやらを見てると、モノクマの影がちらつくんだが……

赤穂「もしかして、前にマーケットで探してたのってこいつを作るための材料とかか?」

鞍馬「そうです」チクチク

赤穂「……」

鞍馬「……」チクチク

会話が続かない……鞍馬は長い髪で表情がわかりにくいし、なんかなに考えてるかよくわからないからな……

鞍馬「……出来ました」

でも牡丹の事といい、悪い奴ではなさそうだ。

鞍馬「ノルマは後10体ですか」

……変わった奴ではあるけど。

【ロケットパンチマーケット】

鞍馬の作業を邪魔するわけにもいかずマーケットに行くと佐場木が不機嫌そうにケースを台車に乗せていた。

佐場木「グレゴリーめ……よくもあれだけの危険物を」

赤穂「回収は終わったのか?」

佐場木「赤穂か……奴のコテージにあった物は押収した。これからこのケースに入れて保管する」

赤穂「4つのケースってそんなにあったのか……」

佐場木「あの男は一度思い付くとそれがどんなものであれ、作らずにはいられないようだ」

赤穂「全部自作なのか!?」

佐場木「そのためだけにあらゆる分野のプロに弟子入りしていたようだな。全く呆れるほどの情熱というべきか」

赤穂「……」

情熱というなら佐場木も相当だけどな……

如月「おや、赤穂さんもいましたか」

赤穂「き、如月さん!?」

佐場木「……その言いぐさからして俺に用か」

如月「遠見さんから聞きました。佐場木さんが危険物を保管するケースを取りに行ったと」

佐場木「……余計な事を」

如月「お手伝いしますよ。僕達は仲間なんですからね」

如月さん、佐場木に敵意向けられてるのに……さすがヒーローだ。

佐場木「仲間?はっ、笑わせるなよ」

赤穂「お、おい佐場木」

佐場木「俺は貴様を仲間などと認めるつもりはない」

佐場木「いい機会だ、はっきり言ってやる如月怜輝……俺は必ず貴様を地獄に叩き落とす」

佐場木「法の裁きでな!」

佐場木は如月さんを睨み付けると、台車を押してマーケットから出ていってしまった。

如月「……まいりましたね。どうやら僕は嫌われてしまっているみたいだ」

赤穂「……如月さん」

如月「すみません、赤穂さんにも嫌なものを見せてしまいました」

赤穂「き、気にしないでください!俺にとっては如月さんは憧れのヒーローですから!」

如月「……ありがとうございます赤穂さん。そう言ってくれるだけで僕は救われますよ」

赤穂「そ、そんな救いだなんて……」

如月さんにそう言われるなんて……感激だ!

【赤穂のコテージ】

如月さんとしばらく話してから俺はコテージに戻っていた。

赤穂「はあ……」

どうして佐場木はあんなに如月さんを敵視するんだ?

俺には全くわからない。

「……!」

赤穂「んっ?」

誰か外で騒いでるのか?

【ホテルミライ】

道掛「だからさ、俺としては清く正しい恋愛ってマジ大事だと思うわけよ!」

苗木「青春だから?」

道掛「そういうこった!」

道掛と苗木か……2人はプールに足だけつけて雑談してるみたいだな。

道掛「だけどここの女の子って可愛い子ばっかだから、俺としても誰にアタックしようか迷うんだよなぁ」

苗木「あはは……それは大変だ」

道掛「苗木もそう思うか!?だよな、可愛い子に囲まれるのも困っちゃうよな!」

苗木「あはは……」

道掛「俺としてはなぁ……やっぱり牡丹ちゃんが気になるんだよなぁ」

は?

苗木「ああ、それはなんとなくわかるかも」

は?

道掛「あの儚げな雰囲気!それでも赤穂の前では気の強い妹でいようとするいじらしさ!何より可愛い!」

は?

道掛「よっしゃ、俺は決めた!牡丹ちゃんにアタックす……」

赤穂「牡丹になんだって?」

道掛「うおわっ!?」ザバァン!

苗木「み、道掛クン!」

全く、油断も隙もあったもんじゃない……!

【ホテルミライ・レストラン】

御影「あのさ……近いよ兄貴」

赤穂「気にするな。お前のためだ」

御影「いや、意味わかんないって」

赤穂「いいからいいから」

御影「よくないよくない」

いつ牡丹に毒牙がかかるかわかったもんじゃない……兄としては心配だ。

兵頭「……どうしたんですか?ずいぶん距離が近いですけど」

赤穂「ちょっとな」

御影「わけわかんないって……」

兵頭「ああ、なるほど。私にはわかるかもしれません」

御影「えっ、この兄貴の奇行が?」

兵頭「お2人は何年かぶりに再会したんでしょう?だから赤穂さんは御影さんに構いたくてしかたないんじゃないですか?」

赤穂「なっ……」

御影「えっ、マジで?」

赤穂「い、いや違うぞ兵頭!俺はただ悪い虫がつかないようにだな」

兵頭「なるほど、そういう理由でしたか」

はめられた!?

御影「悪い虫?」

赤穂「何でもない!牡丹は気にしなくていいからな!」

御影「いや、気にするって……」

兵頭「ふふっ、お兄さんは大変という事ですよ御影さん」

【ホテルミライ・ロビー】

土橋「えーと……」

津浦「そこはですね……」

土橋と津浦が耳にイヤホンを片方ずつつけながら何か話している。

時々2人が英語を口にしているのが聞こえるから、多分勉強か?

土橋「いやあ、難しいなぁ!もっと勉強しとけばよかったかも」

津浦「会話となると授業で習うものとは違うポイントが必要になる場合もありますから」

土橋「そうかぁ」

赤穂「勉強してるのか?」

津浦「Mr.赤穂。はい、ここが拠点となるなら海外の方々と話す機会も増えるだろうからと」

土橋「その時にいちいち琴羽に頼るわけにもいかないしね」

赤穂「ああ、それもそうだな……」

津浦「Mr.赤穂もよろしければ日常会話ならお教えしますよ?」

うーん……この先の事を考えたら確かに必要になるか。

赤穂「それじゃ、俺も教えてもらおうかな」

土橋「アタシも頑張らないとね!」

津浦「それではまずは……」

その後津浦に英会話を習った。

慣れない事したから頭が痛いな……

【赤穂のコテージ】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

赤穂「いよいよ明日が懇親会か……」

色々あったけど、この4日間俺達は特に問題なく過ごせてると思う。

赤穂「懇親会がうまくいくように頑張らないとな……」

【5日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「よし、行くか!」

【ホテルミライ・レストラン】

四方院「皆様おはようございますわ。いよいよ本日未来機関第二十支部懇親会を開催いたします!」

兵頭「会場はどうなさるんですか?」

四方院「港に1つちょうどいい倉庫がありましたの。あそこを使わせてもらいますわ」

薄井「倉庫って、オイオイ……」

静音「むっ!薄井、そんな風にしてて後からギャフンってなっても知らないからな!」

薄井「へいへい」

四方院「開始時間は7時頃を予定しています。それまでの間、料理や飾り付けをしたいと思いますので手伝ってくださる方は港に来てください」

道掛「よっしゃ!俺も最終調整といきますか!」

ジェニー「ボクもがんばりますです!」

みんな張り切ってるな……俺も出来る事はしないと――







キーン、コーン、カーンコーン…






苗木「えっ、こんな時間にチャイム?」

モノクマ「うぷぷぷ、オマエラ今すぐ中央の島にある第二十支部に集合してください!」

土橋「ちょっとちょっと……今度は何する気よ」

佐場木「コロシアイ学園生活を思い出せば想像はつくがな」

津浦「このタイミングで動機を……!?」

グレゴリー「ふむ、絶望の化身が行使する鍵としては妥当ではある」

六山「えっと、とにかく行こう。この前みたいな事言われたらたまらないよ」

静音「うっ、震えが……奏ぇ」

四方院「大丈夫です凪。もうあんな事にはさせませんわ」

遠見「それでは行くとするでありますか」

赤穂「そうだな」

動機……いったい何をしてくるつもりなんだ?

【未来機関第二十支部】

モノクマ「お待たせー!きちんと集まってるみたいだねオマエラ!」

道掛「こちとら忙しいってのに!何の用だクマ!」

モノクマ「クマじゃなくてモノクマ!間違えないでよね!」

如月「いいから早く話してください。どうせろくな事ではないんでしょうが」

モノクマ「せっかちだなぁ……わかったよ、さっさと本題に入るよ……」


モノクマ「オマエラの中に裏切者がいまーす!」


赤穂「……は?」

モノクマ「オマエラってほとんどが第八十期……未来機関第一期生なわけだけどさ」

モノクマ「実はなに食わぬ顔して紛れ込んでる大嘘つきがいるんだよ!」

兵頭「大嘘つき……」

モノクマ「うぷぷ、でも誰かはオマエラにはわかんないよね?オマエラはコロシアイ学園生活の教訓から各支部で指導されてきた……同期生と言っても今まで顔すら知らなかったんだから!」

御影「それは……」

モノクマ「あっ、それともう1つ」







モノクマ「このコロシアイ研修旅行は未来機関によるテストでも新世界プログラムでもありません!」






四方院「っ……!」

静音「な、何を言ってるんだ!奏が間違えたって言うのか!?」

モノクマ「うぷぷ、四方院さん自身本当にここが新世界プログラムだなんて思ってたのかな?」

静音「えっ……」

四方院「……」

佐場木「ちっ、今まで訂正しなかったのは懇親会というこの日を狙っていたな……」

道掛「ちょっと待ってくれよ!えっ、マジで……俺達コロシアイやらされてん、のか?」

鞍馬「そういう事ですね」

土橋「でもここは未来機関の支部だよ!?どうやって……」

モノクマ「未来機関は今それどころじゃないからねー!だって……おっとこれはオフレコだった!」

津浦「まさか、ワタシ達だけでは……ないんですか!?」

モノクマ「どうだろうね!コロシアイしたら教えてあげよっかなー!」

グレゴリー「絶望の化身、貴様……!」

モノクマ「それではオマエラ!改めてリアルとわかったコロシアイ研修旅行を楽しんでください!」

モノクマ「アーハッハッハッハッハ!!」

六山「このコロシアイがリアル……」

薄井「未来機関がそれどころじゃねえってどういう事だよ……!」

赤穂「くそっ……!」

モノクマの奴、よりによってこのタイミングで……!

佐場木「……四方院」

四方院「……わかってますわ。これでは、懇親会どころではありません」

苗木「中止って事……?」

遠見「仕方ないでありましょう……」

土橋「そうだね……色々落ち着いて考えたいし」

鞍馬「……」

俺達は改めて突きつけられた今の状況に混乱していた。

確かに、こんなんじゃ懇親会どころじゃ……







静音「……ぼくはやる」






四方院「凪……?」

静音「奏どうしちゃったの!?このコロシアイが本当なら、ぼく達はもっともっと仲良くならないといけないからパーティーやるっていつもの奏なら言ってるはずなのに!」

四方院「それは……しかしこの状況では」

静音「大丈夫だよ奏!奏の考えたパーティーやったらきっと誰もコロシアイなんて出来なくなるって!」

四方院「……」

静音「ぼく、準備あるから行くよ!奏、待ってるからね!」タタタッ

赤穂「静音……」

ジェニー「ナギ、すごいです」

兵頭「現状を重く受け止めてないとも言えますが……」

道掛「……だけど俺には響いたぜ!確かにこんな時に暗くなってなんていられねえよな!」

苗木「それじゃあ道掛クンも?」

道掛「おう!凪ちゃんと2人だけでもパーティーやるぜ!」

苗木「あはは、それは無理だよ。ボクを入れて最低でも3人だからね」

静音の言葉に同調する奴が出始める。

それは俺も例外じゃない。

こんな時だからこそ、懇親会をやるべきなのかもしれないって思ったからだ。

赤穂「……いいや、4」

御影「5人、だね」

赤穂「えっ?」

御影「私強制参加なんでしょ?それじゃ、行くしかないじゃん」

赤穂「牡丹……お前って奴は!」クシャッ

御影「髪がグシャグシャになるからやめてってば……」

如月「四方院さん」

四方院「……」

如月「僕は静音さんの気持ちを汲みたいと思います……あなたはどうしますか?」

四方院「……凪にあそこまで言われて、それを裏切るなんてわたくしには出来ません」

四方院「皆様申し訳ありません。わたくしはやはり懇親会を決行したいと思います」

四方院「皆様に無理強いはいたしません。ですがもしよろしければ……来ていただけると嬉しいですわ」

四方院さんは一礼すると静音を追いかけていく。

佐場木「……ふん、勝手な事を言う奴らだ」

赤穂「おい佐場木……」

佐場木「そのために危険物を管理するのは俺達だというのに……遠見、予定通りにやるぞ」

遠見「わ、わかったであります……」

兵頭「どうやら、佐場木さんも懇親会をお手伝いしてくださるみたいですね」

グレゴリー「絶望の化身よりまかれし絶望の種、しかしそれをまた打ち払う事も我らなら容易い……ならば真実への扉は1つのみ!」

ジェニー「パーティーやるです!ボクいっぱいいっぱい頑張ってスマイルを届けます!」

土橋「……この際何も考えられなくなるぐらい騒ぐのもありかな!」

六山「それじゃ予定通り、パーティーだね」

薄井「やるしか、ねえか」

津浦「皆さんは強いですね……ワタシは未だに混乱してます」

土橋「全員同じだって。だけどさ、悪い事ばかり考えてもしかたないでしょ?」

津浦「しかし……」

土橋「モノクマの思い通りになるのも癪だし、ね?」

津浦「……そうですね、そうかもしれません」

みんな懇親会をやる方向で固まったみたいだな……


鞍馬「…………」スタスタ……

【港・第三倉庫】

赤穂「ここが会場か……」

広さは確かにあるな……テーブルとか持ち込めば問題はなさそうだ。

だけど窓がないから暗いな……

静音「なんだ、来たのか」

奥にいたらしい静音が俺を見て寄ってくる。

四方院さんが先に来たはずだけど……いないのか?

赤穂「全員参加だよ。みんな静音に感化されたみたいだ」

静音「ふーん……ああ、それよりちょっとそこにあるスイッチ押して」

赤穂「これか」

入り口の横にあるスイッチを押すと倉庫が明るくなる。

とはいっても、やっぱり少し暗いな。

静音「うーん、奏の言った通り照明持ってきた方がいいかな」

赤穂「照明?」

静音「マーケットに電気スタンドあるだろ」

赤穂「……あったかそんなの?」

四方院「ありましたわ」

静音「奏!」

四方院「ありがとう凪。貴女のおかげでこの四方院奏はまた立ち上がりました」

静音「えへへ」

赤穂「それが照明か?」

四方院さんが持ってきた台車には大小3つぐらいの電気スタンドが並んでいた。

……だけどこのスタンドガラス製っぽいのになんか大きいな。

四方院「ブレーカーの関係でこれしか使えないみたいですの。電源はコンセントが奥にあるようですわね」

赤穂「どれどれ……」

一番小さな照明……それでも高さ2メートルはあるやつだ。

それについたコードを持って奥に行くとコンセントの穴が確かにあったから差し込む。

するとパッと倉庫が明るくなった。

静音「わあ、明るい!これが3つあるなら十分だね奏!」

四方院「ふふ、そうですわね」

苗木「……あれ?」

スタンドの電球が1つ切れかかっていたからマーケットに向かうと、苗木が首を傾げていた。

赤穂「どうした?」

苗木「あっ、赤穂クン。いや、なんかガラスの壺とか置物がなくなってるんだよね」

赤穂「そうなのか……誰かが倉庫に持っていったのか?」

苗木「ああ、倉庫だけあって殺風景だもんね……じゃあ問題ないか」

赤穂「なんだ、見張りでもしてたのか?」

苗木「あはは、ちょっとした自主休憩だよ」

赤穂「おいおい、サボりか?」

苗木「ごめん!見逃して!」

赤穂「はあ……ほどほどにしとけよ?」

苗木「もちろん!あと少しにしとくよ!」

いや、出来れば見つかった時点でやめてほしいんだけどな。

土橋「えーっと、後は……」

グレゴリー「土塊の錬成師よ!今すぐ思考の波をせき止めるのだ!そしてこの天界の囀りを……」

土橋「却下、というか邪魔」

グレゴリー「ぐ、ぐううう……冷気の障壁を張られたか!」

赤穂「何してるんだいったい……」

土橋「凪と奏が演奏やるからちょっと木材で簡単なステージをね」

グレゴリー「演舞の祭壇ならばやはり地より這い出す異世界のゲートを錬成するべきではないか!」

土橋「そんなもの作ってたら間に合わないって言ってんの!」

多分グレゴリーは舞台の奈落を作りたいんだな……まあ、あの対応だと無理っぽいけど。

結局土橋にグレゴリーの案は全部却下され、木で出来た長方形のステージが完成した。

コンセントの関係上奥に置かれたそのステージの両サイドに大きめの電気スタンドを置く。

小さな電気スタンドは中心に置いて、それを囲む形でテーブルを置いていく。

そうして準備に追われて……気がついたらもうすぐ開始時刻の夜7時だった。

赤穂「……で、これはなんなんだ?」

四方院「カスタネットですわね」

赤穂「まさか俺に鳴らせっていうのか?」

四方院「えぇ、凪の指揮を生かすにはやはりわたくし1人というのも味気ありませんし」

赤穂「いや、だからといって俺1人増えても……」

四方院「ご安心くださいな。苗木さんにトライアングルをまかせてますので」

いいのか、それで……

赤穂「……んっ?」

なんか揉めてるのか……?

佐場木「……テーブルにあるこのガラスの置物や壺は誰が持ち込んだ?」

道掛「俺だけどなんかまずかったか?」

佐場木「割れれば……いや、これそのものも凶器になるだろう」

兵頭「そこまでするんですか?」

佐場木「仮にも動機のような物を出された後。警戒はするべきだ」

薄井「あんなに身体検査までしといてそこまでする必要あんのか?」

遠見「佐場木殿、割れないように見張れば大丈夫でありますよ。自分がしっかりと見張るでありますから!」

佐場木「……ならいいがな」スタスタ

道掛「なーんかピリピリしてるよな佐場木」

如月「佐場木さんは責任感が強いんでしょうね。このコロシアイ研修旅行……誰も死なないように気が張ってるんでしょう」

道掛「なるほどねぇ」

赤穂「……」

うーん、あんなに警戒して佐場木は楽しめるのか……?

御影「もうすぐ7時だね」

赤穂「そうだな。だけど意外だったよ」

御影「何が?」

赤穂「お前が参加するって自分から言い出したのがだよ」

最初はあんなに嫌がってたのにな。

御影「別に……強制だからだし」

赤穂「はいはい、わかってるよ」

御影「ちぇ……あっ」

赤穂「どうした?」

鞍馬「……」

御影「あいつも来たんだ」

赤穂「ああ、鞍馬か。なんだかんだで全員での集まりには参加するんだよな」

御影「ふーん……」

赤穂「なんだ、鞍馬が気になるのか?」

御影「……ちょっとだけ、ね」

赤穂「えっ、嘘だろ!?」

御影「いや、兄貴は気になんないの?あいつの才能」

赤穂「……ああ、そういう話か」

鞍馬の才能か……確かにあいつは才能を話そうとはしないけど……

赤穂「別に気にはならないな」

御影「裏切者かもしんないのに?」

赤穂「だったら適当な才能騙るだろ」

才能を話そうとしないなんて怪しんでくださいって言ってるようなもの。

だから鞍馬は違うと思うんだよな……

赤穂「だいたいそれ言い出したらお前はどうなんだよ」

御影「それは……」

赤穂「というかそうだよ。お前いったい何の才能なんだ?」

少なくとも俺が知る牡丹は運動苦手だし勉強も普通だったよな……?

御影「……ペット」

赤穂「は?」

御影「【超高校級のペット】とか」

赤穂「……」

御影「いや、冗談だからひかないでよ」

赤穂「変な冗談言うなよ……」

冗談。

冗談か、そりゃそうだよな。

……本当に冗談なんだよな?

御影「……」

なあ、牡丹。

次回事件発生します。
絶望編でとうとう生徒会が出ましたがこっちの設定の生徒会はパラレルって事でよろしくお願いします。

そして7時……

四方院「皆様、お待たせいたしました」

四方院「これより未来機関第二十支部懇親会を始めたいと思いますわ!」

四方院「モノクマによるこの状況は決してよきものとは言えませんが……」

四方院「この懇親会で団結を深め、明日からより一層この状況の打開に努めましょう!」

四方院さんのそんな挨拶で懇親会は始まった。

赤穂「みんな楽しんでるみたいだな……」


道掛「うおおお!やっぱり飯がいつもよりグレード高いぜ!」

苗木「み、道掛クン落ち着いて食べないと危ないよ」

六山「うんうん、喉に詰まらせたら大変大変」カチカチ

苗木「六山さんもゲームしながらなんてやめなって!?」

グレゴリー「むうっ!?」

四方院「どうしましたの?」

グレゴリー「堕落をもたらす果実酒がなぜここに!?」

津浦「【これはもしかしてリンゴジュースですか!?】とのことです」

四方院「ああ、確かにそれはリンゴジュースですわね……お嫌いでしたの?」

グレゴリー「ぐうううっ……」

静音「なんだ、だったらこのオレンジジュースならどうだ?」

グレゴリー「その果実ならば問題はない……感謝するぞ鎮魂の指揮者」

静音「ぼくも玉ねぎ嫌いだから気持ちはわかるぞ!」

四方院「凪、それは自慢気に言う事ではありませんわ」


赤穂「……」

一部大変みたいだけどな。

佐場木「…………」

土橋「ねえ、懇親会なのに眉間に皺寄せて壁の花はどうなの?」

佐場木「浮かれているわけにもいかん。ここは敵地と変わらないんだ」

ジェニー「ハンジはスマイル見せてくれないですか?」

御影「やめときなって。ああいうタイプは笑ったら人殺せるほど酷いから」

赤穂「牡丹、さすがに言い過ぎだぞ。佐場木の笑顔が想像出来ないのは確かだけどさ」

佐場木「貴様ら、俺をなんだと思っている」

土橋「日頃から仏頂面だからそう思われるんだよ。ちょっとは笑ってみたら?」

ジェニー「ハンジのスマイル!ボク見てみたいです!」

佐場木「……改まって見せるようなものじゃない」

御影「あっ、やっぱり酷いんだ」

おいおい、牡丹のやつ煽りすぎだぞ……

佐場木「赤穂、貴様は妹にどんな教育をしている……!」

赤穂「い、いや、俺が教育したわけじゃ……ちょっと牡丹こっち来い!」

御影「うわっ、ちょっと兄貴」

佐場木「……」

ジェニー「ハンジ怒っちゃったです……」

土橋「さすがにやり過ぎたね……」

佐場木「笑顔など簡単に…………」

佐場木「ちいっ、笑い方を忘れたか……」

御影「後少しで笑わせられたのに」

赤穂「俺には爆発する予感しかしなかったぞ……んっ?」

薄井「……」

薄井のやつ、上の空みたいだな……あっ、如月さんが……

如月「薄井さん」

薄井「なんだよヒーロー」

如月「せっかくのパーティーなのに楽しまなくていいんですか?」

薄井「外がどうなってるかわかんねえのに楽しめるかよ……付き合いで来てんだからそれでいいだろ」

如月「じゃあ薄井さんはどうするんですか?今は団結してモノクマに立ち向かわなければいけないと僕は思いますが」

薄井「……」

如月「コロシアイに乗りますか?」

薄井「……はっ、アホか。オマエにそんな疑われてる時点で学級裁判なんか乗りきれるかよ」

如月「それは乗らないと捉えても?」

薄井「好きにしろよ……」

如月「それでは話し相手になってください。1人でいるよりは有意義ですよ」

薄井「強引だなオマエ……」

……薄井は如月さんに任せれば大丈夫そうだな。

御影「兄貴どうしたのさ」

赤穂「いや、なんでもない」

遠見「異常なしでありますね」

兵頭「遠見さん、飲み物どうぞ」

遠見「感謝であります兵頭殿」

赤穂「見張りなんて大変な役割をよく引き受けたな……交代するか?」

遠見「いえ、自分は慣れてるでありますから適任でありましょう」

御影「あー、慣れちゃうと楽な事ってよくあるしね」

遠見「肯定であります。それにこの会場の入り口で身体検査した時などもっと大変でありました……」

兵頭「ああ、あれですか」

遠見「鞍馬殿や薄井殿は何も語らず雰囲気がキツかったでありますし……」

遠見「道掛殿は自転車で入り、グレゴリー殿は仮面を外す気はないと大騒ぎ……」

遠見「かと思えばジェニー殿がいつの間にやら箱を持ち込んでいる始末」

遠見「本当に大変だったでありますよ」

赤穂「そんな事があったのか……」

遠見「しかしこれもまた何事もなく過ごすためと考えれば……隊長も同じ状況ならこの役割を選んだでありましょうから気合いも入るというもの」

さあ、もう一度見回りであります!と遠見は走っていった。

なんだか頭が下がるな……

鞍馬「…………」

赤穂「そんな隅っこで何してるんだ鞍馬」

鞍馬「特に何も」

御影「本当に無愛想なやつだね……私も人の事言えないけど」

鞍馬「…………」

御影「怒りもしないし」

赤穂「……鞍馬、1人でいようとしてると何かあった時孤立するぞ?」

鞍馬「ご心配なく。僕は孤立しようとやっていけますので」スタスタ

御影「……なにあれ」

赤穂「……」

一匹狼なのか、それとも何か理由があるのか……

いるだけでもまだマシなのか……?

ジェニー「レディースアンドジェントルメーン!」

赤穂「んっ?」

懇親会が始まってから30分……ステージに上がって会釈をしているジェニーにみんなの視線が集中する。

ジェニー「今からボクの芸を披露したいと思いますです!」

ジェニーの隣には土橋が作った木箱がある。

少し大きめの、それでもせいぜいジェニーでも腰まで入るのが関の山だろう大きさの箱。

ジェニー「今からこのボックスに入ってみせますです!」

ジェニーは笑顔でそう言うと、箱の蓋を開けてその中に入った。

さっき言ったように腰までしか入らない箱……だけど。

御影「どんどん箱に入ってるね……」

まるで飲み込まれていくみたいに、ジェニーの身体が箱の中に消えていく。

如月「どうやら身体を上手く曲げて箱の中に入っているようですね」

そしてとうとうジェニーの頭まで箱の中に収まった。

津浦「……大丈夫なんでしょうか?」

グレゴリー「ふむう」

箱からジェニーの腕が出てきてまるでお辞儀をするかのような動きの後、蓋を掴んで箱は完全に閉じられた。

次の瞬間。

道掛「うおっ、回った!」

薄井「ステージを転がってやがる……目回さねえのか?」

土橋「ジャンプまで……あの箱でよく出来るなぁ」

ステージを縦横無尽に動き回る箱に俺達は目が離せない。

しばらくして箱は段々と動きを遅くして、ステージの中央で止まった。

六山「あっ、止まったね」

御影「……」

動きを止めた箱の蓋が開いてジェニーが脚から飛び出してくる。

そして身体を捻りながら蓋を閉めたジェニーは……箱の上に座るように着地した。

ジェニー「イエイ!」

苗木「凄い!凄いよジェニーさん!」

兵頭「【超高校級の道化師】の名は伊達ではないという事ですね」

ジェニー「ありがとうです!」

佐場木や鞍馬も表情こそ変わらないけど、ジェニーに拍手を贈っていた。

だけど……俺この後にカスタネット叩くのか……

四方院「ジェニーさん、素晴らしかったですわ」

ジェニー「少しでもみんなをスマイルに出来たら嬉しいです!」

静音「奏、ぼく達も負けてられないよ!」

四方院「そうですわね。赤穂さん、苗木さん!こちらに来てくださいな」

赤穂「とうとうやらされるのか……」

御影「なに、兄貴もなんかするの?」

赤穂「ちょっとな……笑うなよ?」

静音と四方院さんの所に苗木と向かう。

赤穂「カスタネットか……叩くのいつ以来だっけかな」

苗木「トライアングルなんて小学校の時ぐらいしか鳴らした事ないなぁ……」

静音「大丈夫だ、ぼくの指揮通りにやればな!」

四方院「任せましたわ凪。それでは皆様行きましょう」

ステージに上がると早速牡丹が笑いをこらえているのが見える。

わかってるよ、カスタネット似合わないのは!

静音「えーっと……ああ、ここか」

静音がステージの中央に立つと俺達の方に向き直って指揮棒を構える。

その時の静音はいつも騒いでる姿とはまるで別人に見えた。

いざ演奏が始まるとさっきまで話し声も聞こえていた会場は静まり返っていた。

フルートに合わせてカスタネットとトライアングルの音が鳴る。

四方院さんのフルートは聞いているだけで心が落ち着いて、俺も苗木も聞き惚れて演奏を忘れそうで。

それをさせずに演奏を続けていられるのはひとえに静音の指揮があるからだ。

本当に別人みたいだよな……

静音「……」チラッ

赤穂「……?」

静音、何を見てるんだ?

その方向を俺も見ようとしたその時。

バチィッ!!

ブツンッ!

辺りが暗闇に包まれた。

赤穂「は!?」

「停電!?」

「漆黒の闇が世界を覆い尽くすか……ふははははっ!これもまた一興か!」

「なんで扉閉まってんだよ!?真っ暗じゃねえか!」

「遠見!どこにいる!」

「中央!今から倉庫の扉を開けに行くであります!」

「えっ、なんで?こんなの聞いてな……」

「と、とにかくみんなトライアングルでも聞いて落ち着いて!」

「うるさいからトライアングル連打はしないでよ!」

「六山さん、ゲーム機の明かりを使えませんか?」

「ごめん、ビックリして落としちゃった……」

「暗闇に目が慣れるには時間がかかります……ここはしばらく様子を――」







ガシャアアアアンッ!!






「な、何の音ですか今の……?」

「ガラスの割れる音……?」

「ね、ねえ、なんか飛んできたんだけど……これ、血の臭いがするよ!?」

「血……!?」

「これは、まさか……」

「遠見!まだか!」

「今開けるであります!」

ガラガラガラ……

遠見が扉を開けたらしい……外の光が差し込んで倉庫の中が見えるようになる。

赤穂「……!」

見えるようになったせいかはっきりと感じた。

血の臭い……

この数年でわかるようになってしまった死の気配を。







【その胴体はガラスの電気スタンドに押し潰されていた】

【胸元、腹部に突き刺さるガラスの破片】

【超高校級の指揮者静音凪……】

【その身体から流れる血はステージを真っ赤に染め上げていた】






ピンポンパンポーン…!







モノクマ「死体発見!死体発見!」

モノクマ「捜査タイムの後学級裁判を始めまーす!」












CHAPT.1【正義という名の××】(非)日常編 END

生き残りメンバー17→16人

NEXT→非日常編












CHAPT.1【正義という名の××】非日常編






なんだよこれは……

俺達はさっきまで懇親会をしていて、和やかな雰囲気だったはずなのに……

四方院「……な、ぎ?」

苗木「う、うわあああああっ!?」

なんで、静音は血まみれで倒れてるんだよ……!?

佐場木「下がれ!」

佐場木がステージに上がって静音の腕をとる。

そして舌打ちをした佐場木は……首をただ横に振った。

佐場木「死んでいる。最も、この傷で生きていたら奇跡だがな」

津浦「み、Mr.佐場木……何かの、冗談ですよね……?」

佐場木「確かめてみるか?俺は推奨しないがな」

静音が死んだ……その事実がようやく頭で理解出来たんだろう、みんなは半ばパニックになっていた。

土橋「な、なんで!?なんでこんな事になったのよ!?」

六山「落ち着け落ち着け落ち着け……」カチカチ

道掛「ありえねえって……さっきまであんなに楽しくやってたんだぜ!?」

モノクマ「それは本当に全員そうだったのかなー?」

薄井「出やがったな……!」

兵頭「今の言葉はどういう意味でしょうか?」

モノクマ「そのままの意味だよ。だって静音凪さんはオマエラの中の誰かに殺されたんだからね!」

赤穂「俺達の誰か……この状況を見て本気で言ってるのか!?」

静音の死は、どう見ても……

モノクマ「うぷぷ、事故だって言いたいのかな?」

苗木「そ、そうだよ!これは静音さんに電気スタンドが倒れた事故にしか見えないって!」

モノクマ「だとしたらその事故を引き起こした人間がクロって事になるね!」

モノクマ「とにもかくにも人が死んだ以上、オマエラにはやってもらうよ」

モノクマ「スリルと絶望溢れる学級裁判をね!」

鞍馬「学級裁判……」

モノクマ「たとえこれが事故だとしてもオマエラがやる事は変わりません!」

モノクマ「捜査タイムで静音さんを死に追いやったクロを見つけ出して処刑台に送る!」

モノクマ「オマエラはこの先未来機関で絶望を殺す事になるんだからデモンストレーションにはうってつけだよね!」

御影「何言って……」

モノクマ「それでは早速お約束のー……」

モノクマ「ザ・モノクマファイルー!」

モノクマ「それじゃ、ボクは準備があるんでバイバーイ!」

遠見「……どうするでありますか」

薄井「どうするも何も選択肢あるのかよ……」

グレゴリー「絶望演舞を乗りきらねば待つのは冥界への旅立ち……か」

如月「僕達は従うしかないんですか……!」

赤穂「……」

モノクマに逆らえば死ぬ、如月さんの場合は他の誰かが。

今の状況で俺達は……捜査をする以外になかった。

     【捜査開始】

佐場木「とにかくまずは見張りを2人つけるぞ」

道掛「じゃあ俺がやるぜ。頭使うの得意じゃねえしさ……」

遠見「ならばもう1人は自分が。道掛殿が相手でも何とか出来るでありますから」

ジェニー「どうしてこうなったですか……ぐすっ」

土橋「ジェニー……」

兵頭「それを突き止めるためにも、捜査をするしかありませんね」

四方院「……わたくしは凪を殺した人を許しません」

四方院「必ず、見つけて……」

その時の四方院さんに口を挟める人間は誰もいなかった。

……もし、もしもだ。

牡丹が殺されたら俺も、同じようになっただろう。

そう思えるほど四方院さんの瞳には……家族を殺されたような怒りが滲んでいた。

赤穂「……モノクマファイルか」

気分が悪いけど見るしかないんだよな。

【被害者は静音凪。
死体発見現場は港・第三倉庫。
死亡推定時刻は午後7時52分。
被害者はガラスで胸から腹部にかけてを損傷している。
その他の外傷はなし】

赤穂「やっぱりガラスで静音は……」

はっきり書いてある死亡推定時刻は電気スタンドが割れた時間って事か。

赤穂「……」

だけどなんだ?

何か違和感がある……

コトダマ【モノクマファイル1】を手に入れました。
〔被害者は静音凪。
死体発見現場は港・第三倉庫。
死亡推定時刻は午後7時52分。
被害者はガラスで胸から腹部にかけてを損傷している。
その他の外傷はなし〕

静音の身体には大量のガラス片が突き刺さっている。

上を向いたまま閉じられた眼はもう開かないんだ……

道掛「転んだところに電気スタンド倒れてきたって感じだよな」

だとしたらクロは電気スタンドを倒した人間って事になるな……

赤穂「……?」

ちょっと待てよ……

さっきは事故にしか見えなかったけど……

これ、おかしくないか?

コトダマ【静音の死体】を手に入れました。
〔静音は仰向けに倒れており、胸元から腹部にかけてガラス片が突き刺さっていた〕

赤穂「……んっ?」

何かステージに……静音の指揮棒か。

赤穂「ステージに真っ直ぐ刺さってるな……んっ?」

赤穂「……指揮棒が、真っ直ぐ?」

コトダマ【静音の指揮棒】を手に入れました。
〔静音が使っていた指揮棒。
静音の死体近くにあり、ステージに真っ直ぐ立った状態で刺さっていた〕

苗木「ねえ、赤穂クン。ちょっといいかな?」

赤穂「どうした?」

苗木「静音さん、停電の前になんか変じゃなかった?」

そういえば……

赤穂「どこか見ているみたいだったな」

確かあっちの方を……

鞍馬「……」

赤穂「鞍馬。そこに何かないか?」

鞍馬「ありますよ……こんな物がね」

鞍馬が黒い布を取り払うとそこには……

苗木「これ……スポットライト?しかもステージに向けられてるけど」

赤穂「なんでこんな物がここにあるんだ」

しかも静音はこれのある方を見ていた……何か関係があるのか?

コトダマ【スポットライト】を手に入れました。
〔ステージ横にあったスポットライト。
黒い布を被せられていた。
ステージに光が当たるように向けられている〕

ジェニー「これってどうしたです?」

土橋「うーん、もしかしたら……」

赤穂「何かあったのか?」

土橋「いや、ちょっとコンセントが変なんだよ」

赤穂「コンセントが?」

土橋とジェニーが見ていたコンセントは……なぜか周りが焦げたような跡があった。

赤穂「なんだこれ……」

土橋「……停電の原因これじゃない?」

赤穂「えっ?」

土橋「多分埃とか詰まってる所にコンセント差したんだよこれ。だからショートして停電した……下手したら火事になってたよ」

赤穂「ショート……」

ジェニー「でもでもスタンドはみんな点いてたですよ?」

土橋「つまり電気スタンド以外の何かって事だけど……ちょっとたどってみるね」

土橋がコードをたどって歩いていく。

あれ?あの方向にあるのは……

土橋「うわっ、何このライト!」

赤穂「……!」

あのスポットライトのコードがこのコンセントに……!?

コトダマ【焦げたコンセント】を手に入れました。
〔倉庫内のコンセントの1つが焦げていた。
土橋によるとこのコンセントのショートが停電の原因らしい〕

コトダマ【スポットライトのコード】を手に入れました。
〔スポットライトのコードは停電を起こしたコンセントに差してあった〕

赤穂「このスポットライト……いったいなんでこんな所にあるんだ?」

遠見と佐場木なら何か知ってるか……?


――――


佐場木「あれは静音が持ち込んだ物だ」

赤穂「静音が?なんのために」

佐場木「サプライズと言っていた。内容は言えないが危ない事にはならないと頼み込んできたから許可を出して運び込んだ」

佐場木「だが、こんな事なら許可するべきではなかったのかもしれん」

サプライズか……

コトダマ【静音のサプライズ】を手に入れました。
〔静音がパーティー中に行おうとしていたサプライズ。
スポットライトを使うものだったらしいが……〕

キラッ

赤穂「っ……?」

なんだ、今少し眩しく……

四方院「……」

赤穂「四方院さん?」

眩しさの原因は四方院さんの着ている服についた装飾が光ったからみたいだ。

そういえば気にしてなかったけど四方院さんの服……いつもと違うな。

赤穂「四方院さん、ちょっといいか?」

四方院「……なんでしょう」

赤穂「その服……いつもと違うけどどうしたんだ?」

四方院「これですか……凪が着てほしいと渡されましたの」

赤穂「静音が……」

四方院「わたくしは装飾が多すぎると思ったのですけれど、凪はどうしてもこれがいいと言って……」

四方院「……」

四方院「……すみませんけど、1人にしてくださいませんか」

赤穂「あっ、ごめんな……」

四方院「…………凪」

今静音の事を聞くのは無神経過ぎたか……

だけどなんとなく、静音のサプライズの内容が見えてきた気がするぞ……

コトダマ【四方院のドレス】を手に入れました。
〔静音にどうしても着てほしいとプレゼントされたらしい。
装飾がたくさんついており、光を反射するようだが……〕

明日から再開します。

グレゴリー「鎮魂の指揮者は不運なる檻に囚われたか……もしくは黄泉よりの使者によって煌めきの電光をその身に受けたか……」

津浦「事故か他殺かは確かに重要ですね……っ」ブルッ

グレゴリー「……言の葉の魔術師。恐怖に苛まれているならば苦行に身を任せずともよいのではないか」

津浦「い、いえ、大丈夫です」

赤穂「……本当に無理はしない方がいいぞ」

津浦の反応は普通の人間なら当たり前だ。

俺は外の世界……特にあの街で死を身近に感じすぎたから捜査なんてやれる。

だけどこれから未来機関で本格的に働こうとしていたみんなにはキツいはずだ。

津浦「Mr.赤穂……しかし、捜査はしなければ」

赤穂「別にここだけしか捜査する場所がないわけではないんじゃないか?」

津浦「そう、ですか?」

赤穂「静音のコテージとか、あのスタンドがあったマーケットとか……そういった所を捜査してみたらどうだ?」

津浦「……」

グレゴリー「言の葉の魔術師よ。我も聖痕抱きし英雄の言霊に同調する」

津浦「Mr.グレゴリー……」

グレゴリー「孤独に身を震わせるならば我も共に行こう。この惨劇の舞台では言の葉の魔術師の真価は発揮されん」

津浦「……わかりました。Mr.赤穂、Mr.グレゴリー……ありがとうございます」

赤穂「いや、気にしないでくれよ」

グレゴリー「ならば旅立つぞ言の葉の魔術師!鎮魂の指揮者の魂に報いるためにもな!」

津浦「は、はい」

行ったな……後で何か見つけたか聞いておくか。

遠見「……」

赤穂「遠見」

遠見「なんでこんな事になったのでありますか」

赤穂「……」

遠見「自分は何も防げなかった……隊長に顔向けが出来ないでありますよ……」

道掛「あー……」

佐場木「遠見、泣き言は全て終わってからにしろ。お前が泣こうが静音は生き返らないんだ」

遠見「っ」

道掛「ちょっ、キツくね?」

佐場木「事実を言ったまでだ。そもそも今回の事件、責があるなら俺だ」

赤穂「どういう意味だ?」

佐場木「ガラススタンドの許可、遠見を単独行動させてしまった事と間違った部分への見張りの指示」

佐場木「わざわざ映像の記録をしてまで身体検査をしたのにこれだ」

赤穂「記録?」

遠見「身体検査の時、念のためにカメラでその様子を撮影していたのであります」

佐場木「グレゴリーがビデオカメラを所持していたのでな。それを使った」

道掛「あれビデオカメラで記録されてたのかよ!」

佐場木「ふん、念のため確認しておくか……これがその記録だ」

佐場木はビデオカメラを取り出すと俺達に見せるようにして再生ボタンを押す。

そして身体検査の時の光景が流れ始めた。

静音『身体検査ってめんどくさいな……』

遠見『まあまあ、パーティーを円滑に進めるためでありますから』

佐場木『それよりこのスポットライトはなんだ?』

静音『ちょっと意見もあったからサプライズに使う!』

遠見『サプライズでありますか?内容は……』

静音『内緒内緒!ステージの横に置くだけだからいいだろ!』

佐場木『……ふん、まあいいだろう』

――――

道掛『いやっほう!』

遠見『なっ!?ストップストップであります道掛殿!』

道掛『おっ、どうした?』

佐場木『貴様……いきなり自転車で飛び込んできてなんの真似だ』

道掛『何ってパーティーで俺の華麗なテクニックを見せるんだよ!盛り上がる事間違いなしだぜ!』

佐場木『今すぐ降りろ……!』

道掛『えっ!?』

――――

兵頭『厳重警戒ですね』

遠見『時期が時期でありますから……我慢してほしいであります』

兵頭『ふふっ、別に異論はありませんよ。私も何事もなくすんでほしいので』

佐場木『……』

――

グレゴリー『その願いは聞き届けられん!』

佐場木『なんだと?』

遠見『グレゴリー殿、そう言わずに……ちょっとその仮面を外してほしいだけでありますから』

グレゴリー『この仮面は我が皮膚と同じ!外すなど残虐なる一手よ!』

佐場木『くだらん事を言ってないで外せ……!遠見、押さえつけろ!』

グレゴリー『うおっ!?やめろ、我が封印を解くな!ぬおおおおおっ!?』

――――

津浦『はい、どうぞ』

遠見『はぁ、はぁ……確かに』

佐場木『くそっ、手こずらせてくれる……!』

津浦『あの、何かあったんですか?』

遠見『あはは、ちょっとした大捕物を……』

――――

遠見『ステージ用の木材、確かに確認したであります。次は身体検査を』

土橋『えっと、身体検査はいいけど半次も一緒なの?』

佐場木『なにか問題があるのか』

土橋『いや、こういうのって服脱ぐんでしょ?さすがに男の子の前でそれは……』

佐場木『……そこまでしなくていい』

遠見『自分がしっかり服の上から改めるでありますから!』

土橋『あっ、それなら良かった』

薄井『……』

遠見『なんだか不機嫌でありますね……』

薄井『……』パチパチッ

佐場木『んっ?静電気か?』

遠見『というよりは、空気がピリピリしてるであります……』

――

苗木『ボク身体検査なんて初めてだよ』

遠見『そうなのでありますか?』

苗木『うん、ボクはごく普通の生活してきたからね』

佐場木『海外に出た事もないのか』

苗木『うーん飛行機ってちょっと怖くて』

遠見『気持ちはわかるであります……空爆は怖いでありますよ』

佐場木『おそらく意味が違うぞ』

――

六山『ゲームセットでーす』

遠見『リュックにゲーム以外がないであります』

佐場木『依存症だな』

六山『むっ、そんな事ないよ。ゲームは1日20時間って決めてるもん』

遠見『立派な依存症であります……!』

――

四方院『ご苦労様ですわお2人共』

遠見『いつものドレスとは違うのでありますね』

四方院『凪からの贈り物ですの。わたくしは派手な気がしたんですけれど』

佐場木『……あいつは張り切っているようだからな』

四方院『ふふふ、そうですわね。だからわたくしは応えてあげたいと思いますわ』

――――

如月『どうぞ』

佐場木『ふん、貴様は存在そのものが危険物だがな』

遠見『佐場木殿、そう身構えないで……』

佐場木『……ちっ、さっさと終わらせるぞ』

如月『はい』

――――

ジェニー『今日は頑張るです!』

遠見『ジェニー殿!?』

佐場木『いつの間に入った……!』

ジェニー『ハンジとレイキが忙しそうでしたから……ダメだったですか?』

遠見『と、とにかくジェニー殿ちょっとこちらへ!その木箱も一緒に!』

佐場木『……ちっ、そこまで冷静さを欠いていたか俺は』

――――

鞍馬『……』

遠見『……』

佐場木『何をしている』

遠見『隙が見当たらないであります……!』

鞍馬『……』

佐場木『普通に調べればいいだけだろう……おい鞍馬』

鞍馬『どうぞお好きに』

――――

赤穂『身体検査か……なあ、この杖も凶器になるのか?』

遠見『さすがにそこまでは……』

佐場木『したいところだがな』

御影『それしたら兄貴どうやって歩くのさ』

赤穂『……牡丹に支えてもらうか』

御影『無茶言わないでよ』

――――

赤穂「これが身体検査の記録か……」

道掛「この時はこんな事になるなんて思わなかったよな」

遠見「そうでありますね……」

佐場木「……」

コトダマ【身体検査の記録】を手に入れました。
〔パーティー前にビデオカメラで記録されていた身体検査の様子。
内容は>>161-163〕

本日はここまでで。

調子が取り戻せない……

如月「ふむ……」

赤穂「如月さん、何かわかりましたか?」

如月「僕も悪を探すために日常的に捜査はしていますが……停電の瞬間の静音さんを見ていないのは痛いですね」

赤穂「見てなかったんですか?」

如月「薄井さんと話している最中急に彼がトマトジュースを吐きまして……グラスを変えにテーブルにいく薄井さんを見ていたので」

赤穂「トマトジュースを吐いたってどうして?」

如月「多分僕が好きだと言ったからですね。友人としてという意味でしたが勘違いさせてしまったようで」

何をやってるんですか如月さん。

如月「ただ、その時のテーブル付近にいた人ならわかりますよ」

赤穂「立ち位置は重要かもしれないですね……誰ですか?」

如月「まず今言ったように薄井さん。それと見張りをしていた遠見さんに1人でいた佐場木さん」

如月「別のテーブルでは土橋さん、津浦さんに道掛さんが話しかけていました。後グレゴリーさんと六山さんが何やら話していました……ああ、御影さんも1人でしたね」

如月「僕が見落としたのでなければテーブル付近にいなかったのはジェニーさん、鞍馬さん、兵頭さんですね」

ステージには俺と苗木、静音と四方院さんがいた……

手がかりになればいいけどな……

コトダマ【如月の証言】を手に入れました。
〔如月はトマトジュースを吐いた薄井を目で追い、停電直前テーブルの方を見ていた。
ジェニー、鞍馬、兵頭以外はテーブル付近にいたようだ〕

赤穂「……んっ?」

薄井「ゲホッ!クソッ、あいつのせいでまだ喉がいてえ……」

赤穂「大丈夫……じゃなさそうだな」

薄井「当たり前だろ!」

咳き込む薄井のシャツは胸元から濡れている……確かトマトジュースだよな?

黒だからまだ目立たないけど白かったら大惨事だなこれ……

薄井「兵頭のヤツには実は血じゃありませんよね?とかふざけた事言われるしよ……あのヒーローのせいで踏んだり蹴ったりだ!」

赤穂「それはまた……ところで薄井は何か見てたりしてないのか?」

薄井「何かって言ってもこの有り様でそれどころじゃ……いや、待てよ」

薄井「そういや停電のちょっと前、ジェニーのヤツがステージ横で何かしてたみたいだぜ?」

赤穂「ジェニーが?」

薄井「アイツの性格ならすぐテーブルに来るだろうから気にはなってたんだよ。で、ちょっと見回したらいやがったんだ」

赤穂「……ステージ横に、か」

コトダマ【薄井の証言】を手に入れました。
〔ジェニーが停電直前にステージ横で何かをしていたらしい〕

兵頭「しかしわざわざ置物まで見張らせたというのにスタンドが凶器になってしまうとは思いもしませんでしたね」

赤穂「さすがに予想外だったな」

兵頭「テーブルに置かれた置物は6つありますが全て無事……遠見さんが見張らなければ誰かが凶器にしたんでしょうか」

赤穂「どうだろうな……持ち運ぶにしても使いにくいだろ」

兵頭「音もするでしょうしね……」

コトダマ【ガラスの置物】を手に入れました。
〔倉庫に持ち込まれたガラスの置物や壺。
6つあるが全て割れたりはしていない〕

赤穂「牡丹、大丈夫か?辛いなら外に……」

御影「いや、大丈夫……」

そういう牡丹の顔は蒼白で今にも倒れてしまいそうだ……

やせ我慢してるなこれは……

御影「ねえ兄貴」

赤穂「んっ?」

御影「私、これでも楽しんでたんだよ」

赤穂「……」

御影「なのにこんな事になって……なんか、なんて言えばいいのか……」

赤穂「……」ポンッ

御影「っ」

赤穂「辛いんだろ?静音がこんな事になって」ナデナデ

御影「……うん。もっと話しとけばよかった」

赤穂「そうか」ナデナデ

御影「……一応何かしようと思って、用意したんだけどな」

赤穂「なんだそれ?ストップウォッチ?」

御影「1分ピタリで止めるやつ。私結構得意なんだよ」

赤穂「いつの間にそんな特技を身に付けたんだ……」

御影「兄貴達の演奏中に練習がてらやってたんだけどあのガラス割れる音した時につい止めちゃったんだよね」

赤穂「ふーん……」

御影「そういえばそのままだったから初期化しとこ」

赤穂「……んっ?」

牡丹の持っているストップウォッチ。

そこに映った時間……なんとなく気になる。

赤穂「牡丹、ちょっと待て」

御影「えっ?」

赤穂「もしかしたら重要になるかもしれないからその表示そのままにしてくれないか?」

御影「まあ、いいけど」

コトダマ【ストップウォッチ】を手に入れました。
〔御影が使おうとしていたストップウォッチ。
タイマーは3分で止まった事を示している〕

六山「はあ……」カチカチ

赤穂「六山……こんな時までゲームはどうなんだ」

六山「わたしだってしなくてすむならしてないよ……だけど怖い」

赤穂「……」

六山「怖くてたまらないんだよ。今すぐ逃げ出したいし、捜査なんてできる気がしない」

赤穂「……だよな」

六山「でもこのままじゃダメな事はわかってる……だからせめて落ち着きたいんだよ」

六山がゲームを精神安定のために使ってるのは今まで見てきてる。

それを責めるのはさすがに冷たい、か。

六山「……そういえば赤穂くん」

赤穂「どうした?」

六山「停電した時ステージがボンヤリ光ってたけどあれなんだったの?」

赤穂「……ステージが、光ってた?」

六山「うん、本当にボンヤリだけど」

あの時そんな事になってたのか?

ステージ……もう一度調べる必要があるな。

コトダマ【六山の証言】を手に入れました。
〔停電の時ステージがボンヤリ光っていたらしい〕

赤穂「……」

六山の話だとステージが光ってたらしいけどどこにそんな……んっ?

赤穂「静音の靴になんか薄く緑色のものが……」

近くで見ようと近づいてみると影で暗くなった静音の靴底がボンヤリ光る。

これは……夜光塗料?

なんで静音の靴底に夜光塗料なんて……

赤穂「そういえば静音はステージに立つとき何かを目印にしてたよな……」

静音の脚の先……演奏の時静音が立っていた場所を見ると×の形にテープが貼ってあった。

そこに手をかざして暗くしてみると……ボンヤリと光りだす。

赤穂「このテープに薄く夜光塗料が塗ってあったのか……」

静音はこれを踏んでたから靴底に夜光塗料がついてたんだな……

赤穂「…………は?」

ちょっと待て。

静音は仰向けに倒れてる。

そして脚は入り口側に、頭はステージ奥……演奏中四方院さんがいた方向に向けられている。

赤穂「……おかしい」

この倒れかた……どう考えてもおかしい……!

コトダマ【夜光塗料】を手に入れました。
〔ステージについていた夜光塗料。
×の形に貼ったテープに塗られており、それを踏んだらしい静音の靴底にもついていた〕

コトダマ【静音の倒れかた】を手に入れました。
〔静音は脚を入り口に、頭を四方院のいる方に向けて倒れていた〕

赤穂「えっと……」

夜光塗料がいつ塗られてたか、これを調べればわかるはず……

赤穂「あった」

ジェニーがパフォーマンスに使った木箱……それに夜光塗料がついていた。

つまりあのテープは少なくともジェニーがパフォーマンスを始める前からついていたわけか。

赤穂「土橋に話を聞いてみるか」

――――

土橋「テープ?なにそれ」

赤穂「ステージに貼ってあった×の形のテープだよ。立ち位置をわかりやすくするために土橋が貼ったんじゃないのか?」

土橋「いや、アタシは知らないよ……そもそもアタシ演奏に関して素人なのに勝手にそんなの出来ないって」

土橋「ステージを完成させた時何人か強度の確認に上がってたし、その時に凪が貼ったんじゃないの?」

赤穂「うーん……ちなみに上がった中にジェニーはいたか?」

土橋「ジェニーは箱の方を確認してたからいなかったよ。というかなんでジェニー限定?」

赤穂「いや、ちょっとな」

コトダマ【夜光塗料】をアップデートしました。
〔ステージについていた夜光塗料。
×の形に貼ったテープに塗られており、静音の靴底やジェニーが使った木箱にもついていた〕

コトダマ【土橋の証言】を手に入れました。
〔ステージを完成させた後何人かが強度の確認に上がっていた。
その中にジェニーはいなかったようだ〕

キーンコーン、カーンコーン…

モノクマ「あー、そろそろやっちゃう?やっちゃいます?」

モノクマ「みんなお待ちかねの学級裁判をさ!」

モノクマ「オマエラ中央の島に集合してくださーい!」

ブツン!

赤穂「……」

学級裁判、か。

あの生放送みたいに疑いあって、糾弾しあう胸糞悪いものが始まるんだな……

赤穂「中央の島、行かないとな」

――――

グレゴリー「いよいよ絶望演舞が開幕するのだな」

赤穂「グレゴリー、津浦。何か手がかりは見つかったか?」

津浦「あまり芳しくは……マーケットは7つあったらしいガラスの置物などが全てなくなっていた事ぐらいしか……」

グレゴリー「大罪の煌めきは世界に散らばったようだな!」

津浦「ですがMs.静音のコテージにこんなメモが」

赤穂「……」

そうか、やっぱり静音が……

コトダマ【ガラスの置物】をアップデートしました。
〔倉庫に置かれていたガラスの置物や壺。
6つあるが全て割れたりはしていない。
マーケットには7つあったらしいが全てなくなっている〕

コトダマ【静音のメモ】を手に入れました。
〔静音のコテージにあったメモ。
内容は【ライト→ドレスがキラキラ→みんな奏に注目!→完璧!
これでもっともっとみんなが奏を好きになるよね!】〕

【中央の島・未来機関第20支部】

モノクマ「オマエラ集まったみたいだね!」

兵頭「この建物で学級裁判を?」

佐場木「未来機関の支部をいつの間にそんなものに改造していたとはな」

モノクマ「うぷぷ、そんな褒めないでよ!今からそんなだと中を見たら感激に打ち震える事になっちゃうよ?」

遠見「褒めてないであります……」

モノクマ「それではオマエラ中にお入りください!学級裁判のステージにご案内しましょう!」

四方院「……」

苗木「あっ、四方院さん!」

土橋「……行っちゃったね」

如月「無理もないでしょう。静音さんはそれだけ四方院さんにとって大事だったと考えれば、ね」

赤穂「……俺達も行こう。待たせたらモノクマが何をするかわからない」

四方院さんを追うように俺達は建物に入っていく。

その先には地下に伸びていくエスカレーターが待ち構えていた。

津浦「この先に……」

薄井「ちっ、まるで地獄行きの通路だな」

鞍馬「……クロにとっては実際にそうなるでしょうね」

ジェニー「あう……もしかしたらボク達帰れないですよね……」

六山「大丈夫……と思うしかないよ」カチカチ

口々に不安を漏らしながらエスカレーターに乗って俺達は降りていく。

……俺達の運命を決めるその場所に向けて。

そして長い、いや、もしかしたら短いかもしれない……そんな時間を経て。

俺達はそこにたどり着いた。

【学級裁判場】

モノクマ「来たねオマエラ!」

モノクマ「ようこそ学級裁判場へ!」

モノクマ「数多くの絶望を産み出してきたこのスペシャルな舞台!」

モノクマ「うぷぷ、それじゃあ始めますか!」

モノクマ「名前の書かれた席についてくださーい!」

赤穂「……」

学級裁判。

塔和シティとどちらがマシか考えて……すぐにその考えを打ち消す。

どちらもろくなものじゃないからだ。

【超高校級の指揮者】静音凪……

四方院さんを慕い動機が発表されても懇親会を真っ先に諦めなかった……

そんなあいつを殺した犯人は……

六山「緊張、してきたなぁ……」カチカチ

ジェニー「……ううっ」

道掛「やるしか、ねえんだよな……」

四方院「必ず、凪を死に追いやった犯人を……」

遠見「自分には責任があるであります……犯人を見つける責任が」

この中に、いるんだ。

佐場木「こんなもの、裁判でもなんでもない」

グレゴリー「絶望演舞、その果てに待つものは……」

津浦「ワタシはやれる事を……」

土橋「やらないといけないんだよね……たとえ事故でも……」

薄井「ちっ……」

御影「……」ギュッ

もしかしたら事故かもしれない……だけど俺達はやるしかない。

兵頭「これが学級裁判ですか」

苗木「彼みたいには出来ないかもしれないけど、頑張ってみるよ」

鞍馬「……」

如月「犯人は暴きます。そして……」

議論し、暴き、そして俺達かクロが死ぬ。

赤穂「……くそっ」

仮にもヒーローなのに。

この、学級裁判に対して。

俺は、あまりに無力だ。

次回より学級裁判に入ります。

・コトダマ一覧表

【モノクマファイル1】>>151

【静音の死体】>>152

【静音の指揮棒】>>153

【スポットライト】>>154

【焦げたコンセント】
【スポットライトのコード】>>155

【静音のサプライズ】>>156

【四方院のドレス】>>157

【身体検査の記録】>>163

【如月の証言】>>165

【薄井の証言】>>166

【ストップウォッチ】>>168

【六山の証言】>>169

【静音の倒れかた】>>170

【夜光塗料】アップデート版
【土橋の証言】>>171

【ガラスの置物】アップデート版
【静音のメモ】>>172

静音凪が死亡した。
一見すると事故にしか見えない状況。
しかし所々に散りばめられた違和感が赤穂に告げる。
静音は殺された。
そしてその犯人は……仲間の中にいるのだと。


     【学級裁判開廷!】

モノクマ「はいはい、それでは学級裁判の説明をしまーす!」

モノクマ「学級裁判ではオマエラに誰が犯人かを議論してもらいます!」

モノクマ「その結果は投票によって決定され、正しいクロを指摘できればクロがおしおき」

モノクマ「ただし間違えたら……クロ以外の全員がおしおきされ、クロは自由の身となるのです!」

四方院「凪の仇、必ず暴いてさしあげますわ……!」

苗木「えっとさ……四方院さんが張り切ってるところ悪いんだけど、これってそもそも殺人じゃないよね?」

兵頭「事故か他殺か……まずはそれをはっきりさせなければいけませんね」

赤穂「……」

事故か他殺か。

それによって流れは大きく変わるはずだ。

ひっかかる所はしっかり指摘しないとな……

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【モノクマファイル1】
【静音の死体】
【夜光塗料】

苗木「静音さんは……」

苗木「【本当に殺された】のかな?」

グレゴリー「闇の中に潜む死神……」

グレゴリー「鎮魂の指揮者はその心を魅了してしまったわけか」

津浦「Ms.静音は停電になって焦ってしまったんでしょうか転んでしまった」

道掛「なるほどな!そこで【背中めがけて電気スタンドが倒れた】わけか!」

道掛「……って、その場合犯人は誰だよ!?」

今の言葉……現場の状況とは違うぞ。

【背中めがけて電気スタンドが倒れた】←【静音の死体】

赤穂「それは違ってるぞ!」


赤穂「道掛、静音の死体は仰向けだぞ」

道掛「……あっ、そういえばそうだな」

遠見「見張りをしていたのになぜ間違えるのでありますか!?」

道掛「いや、ほら……転んだって考えると前に倒れたイメージの方が強いだろ!」

土橋「確かに転んだって聞いちゃうとうつぶせになってる光景の方が浮かぶよね」

佐場木「だからといって見張りがそんな勘違いをするか」

道掛「うっ」

グレゴリー「音速の疾走者よ……絶望演舞で最も真実から遠いようだな」

道掛「そこまで言わなくてもいいじゃねえかよ!」

御影「話がずれてない……?」

如月「みなさん、少し落ち着きましょう」

薄井「そうだぜ。今話さなきゃいけねえのは道掛がアホかどうかじゃねえだろ」

ジェニー「あのあの、結局ナギはどうして?」

赤穂「その事なんだけどな……俺は今回の事事故の可能性は低いと思うぞ」

四方院「……凪は殺されたとおっしゃるんですか?」

赤穂「ああ」

六山「なんで?別に事故でも不思議はないはずだよね?」

完全な根拠とは言い難い……だけどこれで流れは変えられるはずだ。

【静音の指揮棒】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「現場には静音の指揮棒があった……だけど真っ直ぐステージに刺さってたんだよ」

御影「それが何か問題なわけ?」

赤穂「ちょっと想像してみてくれ。もし静音が転んで指揮棒を落としたなら……指揮棒は真っ直ぐ刺さると思うか?」

津浦「確かに……その場合指揮棒は刺さらずに落ちている方が自然ですね」

兵頭「真っ直ぐ刺さるという事は、静音さんが持っていた指揮棒を鉛直下向きに落としたと見た方がいいでしょうね」

佐場木「つまり静音が立っていた時に指揮棒を落とすような何かが起きた可能性が高いか」

道掛「やっべえよ苗木」

苗木「えっ?」

道掛「なに言ってんのか全くわかんねえ!」ドヤッ

苗木「なんでドヤ顔でそれ言ったの!?」

鞍馬「……はあ」

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【スポットライトのコード】
【焦げたコンセント】
【スポットライト】


遠見「あの停電時静音殿に何かがあったのは明白でありますな……ううむ」

>漆黒の闇に紛れし死神……

停電した倉庫内で犯人は……<

御影「そもそもあの停電ってなんで起きたのさ?」

>鎮魂の指揮者を今宵の生け贄に定めた

Ms.静音を狙った<

六山「〔ブレーカーが落ちた〕とか?」

苗木「〔スタンドの電球が切れた〕のかも」

>つまり血塗られし死神の鎌を持ちし者は

つまりMs.静音を殺害した犯人は<

土橋「あれは〔コンセントがショート〕したんだよ」

兵頭「〔偶然止まったのでは〕?」

>闇を見通す力を持つ者よ!

夜目がきく人です!<

>少し黙っていろ……!

〔コンセントがショートした〕←【焦げたコンセント】

赤穂「それが正しいはずだ!」


赤穂「土橋の言ったように、あの停電はコンセントがショートしたから起きた事だ」

土橋「コンセントの1つが焦げてたんだよね。多分埃とか詰まってたんだと思うよ」

佐場木「コンセントか……埃が詰まっていたのは人為的かもしくは偶然か」

赤穂「停電を確実に起こしたかったならそこらへんの埃を押し込んだんだろうな……」


四方院「その音色は聞くにたえません!」反論!


赤穂「四方院さん……!?」

四方院「コンセントに埃が詰まっていてショートした?」

四方院「そのような事があるはずないですわ……!」

【反論ショーダウン開始!】

・コトノハ>>176
【スポットライト】
【静音の倒れかた】
【ガラスの置物】

四方院「コンセントがショートした……」

四方院「それならばあの懇親会が始まってすぐに停電は起きていたはずですわ!」

四方院「しかしそれは起きなかった……」

四方院「つまりあなたの推理は的外れです赤穂さん」

赤穂「確かに使われていたのがあの3つの電気スタンドだけならそれも通る」

赤穂「だけどあの3つ以外にもコンセントが使われたなら話は別だ!」

四方院「いったい何を使ったと言うのですか!?」

四方院「【あの倉庫にあった電気を使うものはわたくしが持ち込んだ3つの電気スタンドのみ】」

四方院「そんな状態でどうやってコンセントをショートさせると言うんですの!?」

【あの倉庫にあった電気を使うものはわたくしが持ち込んだ3つの電気スタンドのみ】←【スポットライト】

赤穂「その反論に正義はない!」


赤穂「あったんだよ四方院さん。電気スタンド以外にもな」

四方院「は?」

赤穂「ステージの横にスポットライトがあったんだ」

兵頭「スポットライトですか?」

佐場木「そうだ。持ち込まれたのは俺と遠見も把握していた」

遠見「こんな事になるとは、さすがに予測していなかったでありますが……」

グレゴリー「ほう、ならばその漆黒の闇を作りし灯火を持ち込んだ者こそ死神の鎌を持ちし者というわけか」

佐場木「……いや、それはない」

苗木「えっ、どういう事?あのスポットライトが原因ならそれを持ち込んだ人が……」

赤穂「スポットライトを持ち込んだのは……静音なんだ」

津浦「えっ……」

御影「スポットライトを持ち込んだのが……被害者って事?」

道掛「だ、だったらスポットライトは関係ねえんじゃねえの?」

赤穂「いいや、スポットライトは停電を起こした原因だ」

それはこれで簡単に証明できる。

【スポットライトのコード】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「スポットライトのコードはさっき言った焦げたコンセントに刺さってたんだ。それは土橋とジェニーが証人だ」

土橋「間違いないよ。たどったら確かにスポットライトのコードだった」

ジェニー「そうですです……」

四方院「……わたくしは、何も聞いてませんわ」

六山「四方院さん……」

四方院「なぜ、なぜ凪はスポットライトを持ち込んだりしたのですか?凪は今回の件に関与していたと言うんですの?」

四方院「わかりませんわ……凪の事なのに、わたくしは……」

薄井「オレもわかんねえな……なんで静音はスポットライトなんて持ってきたんだよ?」

静音がスポットライトを持ち込んだ動機か……

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【静音のサプライズ】
【四方院のドレス】
【薄井の証言】

四方院「凪はなぜ……」

津浦「スポットライトなど使う用途は限られていますよね?」

如月「しかし【電気スタンドは十分あの倉庫を照らしていた】はずです」

御影「だったらなんで?」

六山「【予備に持ってきた】とかかなぁ……」

グレゴリー「もしやあの【漆黒の闇を作り出すのが目的】ではなかろうな……」

四方院「凪はそんな事をする子では……!」

【漆黒の闇を作り出すのが目的】←【静音のサプライズ】


赤穂「それは違ってるぞ!」


赤穂「静音は停電を起こしたかったわけじゃない!」

グレゴリー「ならばその真意はどこにあるというのだ!」

赤穂「静音がスポットライトを持ち込んだ理由……それはサプライズのためだったんだ」

津浦「サプライズ?」

赤穂「佐場木、遠見。身体検査の時に静音はスポットライトをサプライズに使うって言ってたんだよな?」

佐場木「そうだ。記録も録ってある」

如月「スポットライトでサプライズ……静音さんはいったい何をするつもりだったんですか?」

赤穂「……」

正直な話、気は進まない。

静音はこのサプライズを利用されて……殺されたんだろうから。

だけど明かさないと先に進めない、よな……

【ショットガンコネクト開始!】

静音のサプライズ……それは考えればわかるはずだ。

・コトダマ>>176
【静音のメモ】
【スポットライト】
【身体検査の記録】

・課題
【静音のサプライズの手がかりは?】
【静音を殺した犯人の手がかりは?】
【静音が狙われた理由の手がかりは?】

赤穂「……」

あのメモは静音のサプライズの計画書だったはずだ。

もう1つ繋げればその概要は見えてくる……!

【静音のメモ】―【静音のサプライズの手がかりは?】

・コトダマ>>176
【四方院のドレス】
【静音の指揮棒】
【夜光塗料】

赤穂「……」

静音のメモ……

静音から渡された四方院のドレス……

【静音のメモ】―【静音のサプライズの手がかりは?】―【四方院のドレス】

静音が考えていたサプライズは……!

・課題
【静音のサプライズは四方院にスポットライトを当てる事だった】
【静音のサプライズは自分にスポットライトを当てる事だった】
【静音のサプライズは倉庫をスポットライトで明るくする事だった】

赤穂「真相への道筋を繋いでみせる!」


赤穂「ここに静音のメモがある……見てくれ」

遠見「【ライト→ドレスがキラキラ→みんな奏に注目!→完璧!……」

兵頭「……これでもっともっとみんなが奏を好きになるよね!】ですか」

赤穂「四方院さん、そのドレス……静音からプレゼントされたんだよな?」

四方院「まさか、凪は……」

赤穂「静音は停電前にスポットライトの方を見てた」

苗木「そうか……あれは確認だったんだね」

赤穂「静音の計画は多分……あの後スポットライトがドレスの装飾に反射して、四方院さんが輝いてるように見せるつもりだったんだろう」

静音はみんなが四方院さんの凄さをわかってないって不満があった。

それもこの計画を後押ししたんだろうな。

土橋「奏が好きだった凪らしい、サプライズだね」

四方院「凪はわたくしのために……」

兵頭「しかしそれを何者かに利用された……そういう事ですね?」

佐場木「間違いないだろう。そうなると……怪しい存在が浮かび上がってくる」

道掛「えっ、誰だよ!?」

六山「誰というか……スポットライトを点けた事でショートしたなら点けた人がいるよね?」

御影「サプライズの協力者……そいつがサプライズを利用して静音を殺したって事なの?」

四方院「いったい誰が……!」

赤穂「……」

サプライズの協力者……今度の議論はそこが焦点になるな。

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【如月の証言】
【六山の証言】
【土橋の証言】

グレゴリー「鎮魂の指揮者の計画にもたらされた妖精……」

津浦「それこそがMs.静音を殺害したクロなんでしょうか……」

苗木「演奏中なら当然【ボクと赤穂クン、四方院さんは除外】だよね」

遠見「〔遠隔操作をした〕なら話は別でありますが」

道掛「だったら今もスイッチ持ってんじゃねえか!?」

兵頭「それは考えにくいと思いますが……」

薄井「いつまでも持ってたら決定的証拠になるしな」

御影「〔誰か見てた人〕がいればいいんだけどね……」

〔誰か見てた人〕←【如月の証言】


赤穂「それが正しいはずだ!」


赤穂「牡丹、大丈夫だ」

御影「へっ?急に何さ兄貴」

赤穂「如月さんが停電前にテーブルの近くにいた人間を把握してるからな!そうですよね?」

如月「はい。トマトジュースを吐き出してグラスを変えにいった薄井さんを目で追っていましたから」

薄井「オイ……やっぱりアレそういう意味じゃねえだろうな!?」

遠見「アレでありますか?」

如月「僕が薄井さんを好きという話ですよ」

道掛「マジか!?」

如月「……友人としてですよ?」

佐場木「おい……そんな事よりさっさと知っている事を話せ」

如月「ああ、すみません……僕が停電前にテーブルの近くにいるのを見たのは鞍馬さん、兵頭さん、ジェニーさん以外の皆さんです」

鞍馬「……」

ジェニー「ボ、ボクです?」

兵頭「あら……」

六山「おお、一気に容疑者を絞り込めたね」

苗木「3人の中の誰かが……」

赤穂「……」

いや、もう1人に絞り込める。

静音のサプライズの協力者は……!







     【学級裁判中断!】






本日はここまで。

明日には学級裁判を終わらせたいと思います。







     【学級裁判再開!】






道掛「凪ちゃんのサプライズの協力者……」

苗木「如月クンの証言から考えて鞍馬クン、ジェニーさん、兵頭さんに絞られたね」

鞍馬「……」

ジェニー「あう……」

兵頭「これは困りましたね」

四方院「あなた方3人の中に凪を殺した犯人が……!」

佐場木「……ちっ、おい赤穂」

赤穂「なんだ?」

佐場木「お前、この先の流れをなんとかする自信はあるのか」

御影「えっ?」

赤穂「……ああ、そのつもりだ」

真相をつかめているわけじゃない。

ただ1つはっきりしている事を証明するために俺は……

佐場木「……ふん、いいだろう。犯人を引きずり出すのは後だ」

薄井「は?なんでだよ?」

佐場木「今誰かを名指ししたところでしらばっくれるのがオチだ……ならばまず外堀を埋める」

六山「外堀って?」

鞍馬「……あの暗闇の中どうやって静音凪に電気スタンドを当てる事が出来たか」

津浦「そういえば……停電中に電気スタンドは倒れたんでしたね」

土橋「じゃあそこのところを話し合ってみようか!」

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【六山の証言】
【土橋の証言】
【静音の倒れかた】

佐場木「どうやって静音に電気スタンドを命中させたのか……」

佐場木「これを明らかにするぞ」

グレゴリー「犯人は〔漆黒の闇を見通す瞳〕を持っていたのだ!」

兵頭「〔暗視スコープ〕を使ったというのが現実的なのでしょうが……」

遠見「そんなものが持ち込まれればわかるでありますよ!」

道掛「〔運任せにやった〕んじゃねえか?」

六山「つまり犯人は幸運の持ち主って事だね……ジー」

苗木「そんな目で見るのはやめてよ!?」

ジェニー「……きっと〔目印があった〕です」

〔目印があった〕←【六山の証言】

赤穂「それが正しいはずだ!」


赤穂「目印か……」

ジェニー「……」ビクッ

赤穂「六山、確か停電中にステージがボンヤリ光ってたって言ったよな?」

六山「うん、言ったよ……あっ、もしかしてあれが?」

苗木「ステージが光ってたって……ボク気付かなかったよ?」

四方院「わたくしも、ですわ」

赤穂「俺も気付かなかった……正直六山がなんで気付いたのかわからない」

六山「それは簡単だよ。布団にくるまりながら暗闇の中で毎日ゲームをしているわたしは暗闇の光に敏感なんだ」

兵頭「一見誇らしげに語っていますがそれはダメ人間では?」

土橋「というか目悪くするんじゃないのそれ!?」

六山「デバッグ中は眼鏡つけてるよ?」

道掛「まさかの眼鏡っ子!」

佐場木「くだらない話をいつまでしているつもりだ……!」

津浦「それで、Ms.六山の見た光とはいったい?」

六山の見た光……それは間違いなくあれの光だ。

【夜光塗料】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「ステージを調べたら静音の靴とステージの中央に貼ってあったテープに塗料がついてたんだ」

遠見「塗料?」

赤穂「手をかざしてみたらボンヤリ光ってた……あれは多分夜光塗料だ」

グレゴリー「闇夜に輝く道しるべ……その軌跡に向け電灯を処刑具として崩壊させたのか」

佐場木「夜光塗料やテープを持ち込むのは決して難しい事ではなかっただろう……くそっ」

遠見「あらかた調べたとはいえ、口の中や下着の中まで調べたわけではないでありますからね……不覚で、あります」

苗木「犯人は静音さんの靴にあった夜光塗料を目印にして電気スタンドを倒したんだね……」

赤穂「静音は指揮をする時に夜光塗料のあったテープの上に立っていた……」

御影「もしかしたらそれも犯人に言われたのかもね……ステージに目印があるからって」

四方院「……もういいでしょう」

兵頭「四方院さん?」

四方院「凪を殺した方法はわかりました」

四方院「だったら後は犯人を明かすだけではないのですか!」

四方院「凪のサプライズを利用し、その命を奪った犯人は……いったい誰なんですの!?」

赤穂「……」

静音のサプライズを手伝った人間……それは1人しかいない。

それを指摘したら……俺はもうがむしゃらにやるしかないんだ。

さあ、ここからが正念場だ……!

【ジェニー・クラヴィッツ】


赤穂「それはキミだ」


赤穂「ジェニー……静音のサプライズの協力者はキミだな?」

ジェニー「……!」ビクッ

苗木「えっ……ジェニーさん?」

土橋「ちょっと待ってよ!ジェニーが凪を殺したっていうの!?」

ジェニー「ボ、ボクは……」

グレゴリー「朗笑の道化師……まさかその笑顔に狂気を潜ませていたというのか!?」

ジェニー「うっ、あっ……」

遠見「何かの間違いではないのでありますか……!?」

赤穂「……ジェニーが静音に協力していたのは明らかだ」

【薄井の証言】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「薄井が停電前、ステージ横にいたジェニーを目撃してる……そうだよな?」

薄井「お、おう……」

如月「ステージ横……なるほど、スポットライトの点灯ですか」

ジェニー「うっ、ううう……」

兵頭「あどけない顔をして……物語ではよく聞きますがまさか現実で使う事になるとは思いませんでした」

道掛「信じらんねえ……」

佐場木「……」

四方院「ふっ……ふふっ。あなたが、あなたが凪を殺したんですかジェニーさん」

ジェニー「カ、カナデ……ち、違っ」







赤穂「それは違う」






六山「違うって……何が?」

赤穂「ジェニーは間違いなく静音のサプライズの協力者だ」

赤穂「だけど俺は一言もジェニーがクロだなんて言った覚えはないぞ」

四方院「何を……言ってますの?」

ジェニー「マ、マサキ?」

赤穂「ごめんなジェニー。キミの無実を証明するには下地を作る必要があったんだ」

御影「兄貴、だよね……?」

俺は【超高校級のヒーロー】と呼ばれてきた。

その最大の要因は通っていた学校のいじめを完全に撲滅した事。

その中で培った1つが……下地を作るというものだ。

ある日学校でいじめの主犯格の財布がなくなるという事件が起きた。

俺はすぐに気付いた、それはいじめられている子の信頼を失墜させるための狂言だと。

だけど発言力のある主犯格、さらにそれに飲まれてるクラスメイトを相手にただ否定しても勝ち目はない。

だから俺は下地を作った。

盗んだ方法、機会、あらゆるものを証明して……最後の最後、それをいじめられている子には出来ない証拠を叩きつけた。

効果は抜群だった……下地を作られていた以上他の面からの否定は出来ず、主犯格は自爆して狂言だと暴かれたんだ。

俺は探偵じゃない、真実を論理的に明らかには出来ない。

俺はカリスマじゃない、ただ否定するだけの言葉に説得力を持たせられない。

だから俺はこのやり方を選んだ。

赤穂「ジェニーに犯行は無理だ」

赤穂「今それを証明する!」

このガタガタの穴だらけのやり方で……誰かを助けられると信じて。

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【静音の倒れかた】
【モノクマファイル1】
【土橋の証言】


四方院「ジェニーさんが……犯人ではない?」

道掛「だけど凪ちゃんのサプライズの協力者が犯人じゃないのかよ!?」

六山「【スポットライトの点灯】はジェニーさんがやったんだよね?」

薄井「協力者なら【夜光塗料のテープを貼った】のもジェニーじゃねえのかよ?」

御影「ジェニーには【犯行は出来ない】……兄貴は何が見えてるのさ」

ジェニー「ボクは……」

【夜光塗料のテープを貼った】←【土橋の証言】

赤穂「その正義……否定させてもらうぞ!」


赤穂「ジェニーには犯人が目印に使った夜光塗料をステージに貼る事は出来ないんだ!」

薄井「隙を見りゃ、出来んだろ」

赤穂「いいや、無理だ。なぜならジェニーは夜光塗料が貼られた時ステージに上がってないんだからな!」

赤穂「土橋!キミは言ったよな?ジェニーはパフォーマンスに使う木箱を見ていてステージには上がってないって!」

土橋「えっ、あっ、う、うん!間違いないよ、ジェニーはステージには上がってない!」

佐場木「だがジェニーはステージでパフォーマンスを行っていた。その時に貼った可能性はないのか?」

赤穂「ジェニーは目立つようなパフォーマンスを繰り返してステージに注目を集めていた……そんな中でテープを貼れば間違いなく目立ったはずだ。それに」

如月「それに?」

赤穂「ジェニーがパフォーマンスに使った木箱にも夜光塗料がついていた……つまりジェニーのパフォーマンス中、既にステージにはテープが貼られていたんだ!」

遠見「ならばテープを貼る機会は……ジェニー殿にはないであります!」

赤穂「夜光塗料がついていたテープは犯人が使うためのものだったのは明白だ!」

赤穂「だけどそれを貼る事がジェニーには不可能だった以上……ジェニーは犯人じゃない!」

赤穂「……」

佐場木「ジェニーに夜光塗料を塗るタイミングはなかった……どうやら証明されたようだな」

兵頭「そもそも六山さんがボンヤリとわかる程度にまで夜光塗料が木箱についてしまっていたなら……犯行が出来なくなる可能性もありますか」

六山「そうなると不自然だよね。わざわざ目印をわかりにくくしてるんだから」

四方院「そんな……」

ジェニー「……カナデ、ごめんなさい、です」

四方院「……」

ジェニー「ボク、ナギに頼まれました。合図したらカナデに向けてスポットライトを当ててほしいって」

ジェニー「だけど、だけどナギがああなって……ボク、怖かったです……!」

ジェニー「ボクのせいでっ、ナギがああなったって思ったらっ、怖くてっ、何も言えなくてっ」

ジェニー「カナデ……ごめんなさいです!ボクはっ、ボクはぁ……」

四方院「ジェニー、さん」

ジェニー「うっ、ぐすっ、うああっ……」

四方院「……謝るのはこちらですわ。焦って、あなたを人殺し呼ばわりして……ごめんなさいジェニーさん」

……ジェニーの無実は、証明できたみたいだな。

苗木「あ、あのさ……ジェニーさんが犯人じゃないのはわかったけど」

苗木「サプライズの協力者が違うなら……結局静音さんを殺したのは誰なの?」

御影「兄貴は、そこまでわかってるの?」

赤穂「……いや、俺はジェニーの無実を証明する方を優先しちゃったからな」

ここからは完全に手探りだ……静音を殺したのは誰なのか……

鞍馬「……時間」

グレゴリー「むっ?」

鞍馬「演奏会が始まったのは何時でしたか」

四方院「キリがいいので7時50分からだったと思いますが……」

…………7時50分?

如月「……おかしいですね」

佐場木「……ちいっ!そういう事か!」

赤穂「……」

なんてこった……俺達はとんでもない勘違いをしてたのか……!

【ショットガンコネクト開始!】

演奏会の開始時刻……それから考えればわかるはずだ。

俺達を迷わせていた迷路の正体が……!

・コトダマ>>176
【モノクマファイル1】
【静音の倒れかた】
【身体検査の記録】

・課題
【静音の死因を示すのは?】
【静音の死亡推定時刻を示すのは?】
【静音の死亡場所を示すのは?】

赤穂「……」

演奏会の開始時刻は7時50分……

静音の死亡推定時刻は7時52分……

【モノクマファイル1】―【静音の死亡推定時刻を示すのは?】


・コトダマ>>176
【ストップウォッチ】
【ガラスの置物】
【身体検査の記録】

赤穂「……」

演奏会の開始時刻は7時50分……

静音の死亡推定時刻は7時52分……

そして牡丹のストップウォッチ……

これが示すのは……!

【モノクマファイル1】―【静音の死亡推定時刻を示すのは?】―【ストップウォッチ】


・課題
【静音を殺害した凶器は電気スタンドではない】
【静音の死亡推定時刻は7時52分ではない】
【静音は死んでいない】

【静音を殺害した凶器は電気スタンドではない】

赤穂「真実をこれで繋ぐ!」


赤穂「演奏会が始まったのは7時50分……四方院さん間違いないか?」

四方院「え、えぇ、間違いないですわ」

赤穂「モノクマファイルによると静音の死亡推定時刻は7時52分……モノクマが嘘をついてるとは考えにくい」

モノクマ「モノクマファイルはしっかり正確だよ!」

六山「何か問題があるの?」

赤穂「牡丹、演奏会からガラスが割れる音がするまでストップウォッチは使ってたんだよな?」

御影「何回か止めたけど、まあそうだね」

赤穂「その時間は何分だ?」

御影「さっき見たじゃん……ほら3分…………あれ?」

遠見「ちょっと待つであります!演奏会が始まって静音殿が亡くなるまでの時間は2分でありますよ!?」

土橋「だけどストップウォッチを見ると、演奏会から電気スタンド割れるまでの時間は3分以上……」

ジェニー「ど、どういう事です?」

佐場木「俺達はまんまと踊らされていた……静音はあの電気スタンドが倒れてきて死んだのだとな!」

如月「実際は電気スタンドが倒れる前に静音さんは殺害されていた」

兵頭「なるほど……あの現場を見れば静音さんは電気スタンドで死亡したとしか思えませんね」

薄井「……じゃあ凶器はなんだよ」

凶器……それはきっとあれだ!

【ガラスの置物】


赤穂「こいつだ!」


赤穂「ガラスの置物……あれが凶器なんじゃないか?」

兵頭「しかしあれは1つも欠けていませんよ?」

赤穂「倉庫にあったのはな……津浦、グレゴリー」

津浦「マーケットに元々あったはずの数は7つですが……調べたところ1つもありませんでした」

グレゴリー「惨劇の舞台にありし聖遺物は6……ならば残る欠片はいずこへと消えたか」

赤穂「多分あらかじめ割ってあったんだ……犯人はその欠片を凶器にして静音を殺害した」

四方院「電気スタンドを凪の胸に倒したのは……本来の凶器を隠すカモフラージュ」

道掛「だけどどうやって持ち込んだんだよ?佐場木やメメちゃんもさすがにガラス片は見逃さなくね?」

そうだ。

ガラス片が凶器なら、どうやってそれを倉庫に……

終わらせたかったのですが本日はここまで。

残り少しなので明日おしおき含めたラストまでいきたいところです。

【身体検査の記録】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「佐場木、身体検査の時に撮ったやつを見せてくれないか?」

如月「そういえば佐場木さん、記録を録っていたと言ってましたね」

佐場木「そうだ。念のためにこのビデオカメラで撮っていた」

グレゴリー「それは我が天具が1つ!」

土橋「撮られてたんだ……」

四方院「それを見れば、誰がガラス片を持ち込んだかわかるかもしれませんわね」

六山「だけど見にくいなぁ……あっ、そうだモノクマ」

モノクマ「なにかな?」

六山「その無駄に大きいモニター使わせてよ。どうせそれでゲーム出来ないんだし」

モノクマ「このモニターをなんだと思ってるのさ!?まあ、証拠は平等に見ないとね……佐場木クン、そのビデオカメラをお貸しくださーい!」

モノクマが佐場木からビデオカメラを受け取って消えていく。

そして数分後……モニターにビデオカメラの映像が映し出された。

静音『身体検査ってめんどくさいな……』

遠見『まあまあ、パーティーを円滑に進めるためでありますから』

佐場木『それよりこのスポットライトはなんだ?』

静音『ちょっと意見もあったからサプライズに使う!』

遠見『サプライズでありますか?内容は……』

静音『内緒内緒!ステージの横に置くだけだからいいだろ!』

佐場木『……ふん、まあいいだろう』

――――

道掛『いやっほう!』

遠見『なっ!?ストップストップであります道掛殿!』

道掛『おっ、どうした?』

佐場木『貴様……いきなり自転車で飛び込んできてなんの真似だ』

道掛『何ってパーティーで俺の華麗なテクニックを見せるんだよ!盛り上がる事間違いなしだぜ!』

佐場木『今すぐ降りろ……!』

道掛『えっ!?』

――――

兵頭『厳重警戒ですね』

遠見『時期が時期でありますから……我慢してほしいであります』

兵頭『ふふっ、別に異論はありませんよ。私も何事もなくすんでほしいので』

佐場木『……』

――

グレゴリー『その願いは聞き届けられん!』

佐場木『なんだと?』

遠見『グレゴリー殿、そう言わずに……ちょっとその仮面を外してほしいだけでありますから』

グレゴリー『この仮面は我が皮膚と同じ!外すなど残虐なる一手よ!』

佐場木『くだらん事を言ってないで外せ……!遠見、押さえつけろ!』

グレゴリー『うおっ!?やめろ、我が封印を解くな!ぬおおおおおっ!?』

――――

津浦『はい、どうぞ』

遠見『はぁ、はぁ……確かに』

佐場木『くそっ、手こずらせてくれる……!』

津浦『あの、何かあったんですか?』

遠見『あはは、ちょっとした大捕物を……』

――――

遠見『ステージ用の木材、確かに確認したであります。次は身体検査を』

土橋『えっと、身体検査はいいけど半次も一緒なの?』

佐場木『なにか問題があるのか』

土橋『いや、こういうのって服脱ぐんでしょ?さすがに男の子の前でそれは……』

佐場木『……そこまでしなくていい』

遠見『自分がしっかり服の上から改めるでありますから!』

土橋『あっ、それなら良かった』

薄井『……』

遠見『なんだか不機嫌でありますね……』

薄井『……』パチパチッ

佐場木『んっ?静電気か?』

遠見『というよりは、空気がピリピリしてるであります……』

――

苗木『ボク身体検査なんて初めてだよ』

遠見『そうなのでありますか?』

苗木『うん、ボクはごく普通の生活してきたからね』

佐場木『海外に出た事もないのか』

苗木『うーん飛行機ってちょっと怖くて』

遠見『気持ちはわかるであります……空爆は怖いでありますよ』

佐場木『おそらく意味が違うぞ』

――

六山『ゲームセットでーす』

遠見『リュックにゲーム以外がないであります』

佐場木『依存症だな』

六山『むっ、そんな事ないよ。ゲームは1日20時間って決めてるもん』

遠見『立派な依存症であります……!』

――

四方院『ご苦労様ですわお2人共』

遠見『いつものドレスとは違うのでありますね』

四方院『凪からの贈り物ですの。わたくしは派手な気がしたんですけれど』

佐場木『……あいつは張り切っているようだからな』

四方院『ふふふ、そうですわね。だからわたくしは応えてあげたいと思いますわ』

如月『どうぞ』

佐場木『ふん、貴様は存在そのものが危険物だがな』

遠見『佐場木殿、そう身構えないで……』

佐場木『……ちっ、さっさと終わらせるぞ』

如月『はい』

――――

ジェニー『今日は頑張るです!』

遠見『ジェニー殿!?』

佐場木『いつの間に入った……!』

ジェニー『ハンジとレイキが忙しそうでしたから……ダメだったですか?』

遠見『と、とにかくジェニー殿ちょっとこちらへ!その木箱も一緒に!』

佐場木『……ちっ、そこまで冷静さを欠いていたか俺は』

――――

鞍馬『……』

遠見『……』

佐場木『何をしている』

遠見『隙が見当たらないであります……!』

鞍馬『……』

佐場木『普通に調べればいいだけだろう……おい鞍馬』

鞍馬『どうぞお好きに』

――――

赤穂『身体検査か……なあ、この杖も凶器になるのか?』

遠見『さすがにそこまでは……』

佐場木『したいところだがな』

御影『それしたら兄貴どうやって歩くのさ』

赤穂『……牡丹に支えてもらうか』

御影『無茶言わないでよ』

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>176
【モノクマファイル1】

道掛「わっかんねえ!どうやってガラス片なんか持ち込んだんだ!?」

如月「皆さん服の上からは調べられていますね……」

兵頭「そうなると【服の下に隠した】んでしょうか?」

遠見「しかしガラス片など入っていれば服の上から叩いた時に気付くでありますよ……」

苗木「隠した方も怪我しそうだしね」

佐場木「……こうなった以上考えられる可能性は1つ」

佐場木「犯人は【俺達が調べなかった部分にガラス片を隠した】としか思えん」

六山「さっき調べなかったって言ってたのは下着や口の中だっけ?」

ジェニー「犯人はどちらかに隠したですか?」

薄井「オイオイ、そりゃねえよ」

薄井「【記録見ても口の中に隠してそうなヤツなんていねえ】」

薄井「ただ佐場木や遠見が見逃したんじゃねえのか?」

【記録見ても口の中に隠してそうなヤツなんていねえ】←【俺達が調べなかった部分にガラス片を隠した】

赤穂「その矛盾……捕まえたぞ!」


赤穂「……薄井、本当にそうか?」

薄井「なんだよ?」

赤穂「本当に口の中に隠してそうなヤツなんていないのか?」

薄井「んなもん、見りゃわかんじゃねえか」

佐場木「……おい!もう一度映像を見せろ!」

――――

遠見「これ、は」

如月「……」

赤穂「今の映像、みんなは喋りながら身体検査を受けている」

赤穂「だけど1人……身体検査の間全く喋ってない人間がいた」

赤穂「そいつになら出来たはずだ」

赤穂「口の中にガラス片を入れて身体検査を通る事が!」

そうだろう?

【薄井千里】

赤穂「犯人はお前だな……!」


赤穂「薄井」

薄井「……あ?」

赤穂「あの時お前は口の中に入れてたんじゃないか?」

赤穂「静音を殺した凶器のガラス片を!」

薄井「……」

津浦「Mr.薄井が、Ms.静音を……?」

如月「何かの、間違いではありませんか?」

赤穂「如月さん……そもそも薄井はさっき変な発言をしてるんですよ」

兵頭「変な発言?」

赤穂「口の中に隠してそうなヤツはいない」

赤穂「なあ、薄井」

赤穂「なんで佐場木と遠見は口の中と下着を調べてないって言ってたのに……お前は口の中だけに言及したんだ?」

薄井「……!」

鞍馬「……口の中に隠していた可能性を提示されて焦りましたね」

薄井「グッ……!」

四方院「薄井さん……あなたが凪を殺したんですの!?」

薄井「グッ、クッ……」

赤穂「どうなんだ、薄井!」







薄井「フザケンナァァァァァァァァッ!!」

パァン!

ガシャンッ!






土橋「きゃっ!?」

御影「なに……いきなりモニターや照明が割れた……」

モノクマ「ボクの血と汗と涙とオイルの結晶たる学級裁判場がーー!?」

赤穂「……」

これが、【超高校級のサイキッカー】の力なのか?

薄井「本当にヒーローにはろくなのがいやしねえなクソが!」

薄井「片方はオレにつきまといやがる!片方はオレに冤罪被せやがる!」

薄井「いくらオレがインチキ野郎でも我慢ならねえ!」

赤穂「……」

薄井「オレよりもっと怪しいヤツがいるだろうが……」

薄井「今それを教えてやるよ……クソヒーロー!」


薄井「テメエはオレ以上のインチキ野郎だ!」反論!

【反論ショーダウン開始!】

・コトノハ>>176
【静音のサプライズ】
【静音の倒れかた】
【静音の死体】


薄井「オレより怪しいヤツがいるだろうが!」

薄井「それを無視してオレを犯人扱いだと?」

薄井「ふざけんなよクソヒーロー!」

赤穂「だったら教えてくれ」

赤穂「キミの言う怪しい奴は誰なのか」

薄井「四方院だよ四方院!」

薄井「あの装飾にならガラス片だって隠せるだろうが!」

薄井「テープ見逃した連中なら見逃しても不思議じゃねえしな!」

薄井「【四方院が静音の胸を刺した】んだよ!」

薄井「オレは犯人じゃねえ……ゲホッ!」

【四方院が静音の胸を刺した】←【静音の倒れかた】

赤穂「その正義は黒く染まってるぞ!」

赤穂「薄井……四方院さんは犯人じゃない」

薄井「なんでわかんだよ……まさかテメエ、四方院と静音が親しいからとか言わねえだろうな?」

赤穂「そうだ」

薄井「テメエ、本当にふざけんなよ!?ゲホッ、チッ……」

赤穂「四方院さんと静音が親しいからこそ……あの静音の倒れかたはおかしいんだよ」

薄井「……は?」

四方院「どういう、意味ですの」

赤穂「静音は四方院さんを慕っていた。男だったらお婿さんになりたいなんて言うぐらいには」

赤穂「そんな静音が頭を四方院さんに向けて倒れていたんだ」

遠見「頭を向けて倒れていたという事は立っていた時は背中を向けていた……」

赤穂「あの静音凪が!あの停電の中で!四方院さんのところに行かないはずがない!」

佐場木「さらに静音が殺されてから電気スタンドを倒されるまで数分もない……」

グレゴリー「優雅なる笛吹きは鎮魂の指揮者の魂を刈り取り、あの漆黒の闇の中疾風のように骸の位置を変えた事になる」

津浦「難しい、でしょうね」

赤穂「薄井……まだ反論はあるか?」

薄井「……ゲホッ!ふざけんな、ふざけんなよ!」

薄井「オレは犯人じゃねえ……オレは!」

【パニックトークアクション開始!】

薄井「オレは犯人じゃねえ!」

薄井「静音を殺してなんかいねえ!」

薄井「ゲホッ!ゴホッ!」

薄井「テメエの推理には何も根拠がねえ……!」

薄井【オレはガラスなんか口に入れてねえんだよ!】



     の

口        中の

     傷

【口の中の傷】

赤穂「これで終わらせてやる!」


赤穂「薄井」

薄井「ゲホッ!」

赤穂「さっきから随分……咳してるな」

薄井「……!」

赤穂「もしかして開いたんじゃないか?」

赤穂「ガラスを口の中に入れた時に切った傷が!」

薄井「ちげえ……コレは……!」

赤穂「だったら見せてくれないか……口の中を」

薄井「ッ……!」

佐場木「傷があるならどこで切ったか聞かせてもらおうか」

遠見「薄井殿……よろしいでありますね?」

薄井「ゲホッ!」

ビチャッ…

土橋「あっ」

ジェニー「チサト……血が……」

兵頭「今度は……トマトジュースではなさそうですね」

薄井「……クソッ、タレ」

如月「…………」

【クライマックス推理開始!】

ACT.1
今回の事件は懇親会で静音がサプライズを企画してる事から始まった。
犯人は静音とジェニーが打ち合わせをしているのを聞いたんだろうな……これを利用して殺人を計画したんだ。

ACT.2
犯人はまずマーケットにあるガラスの置物を割り、凶器に使うガラス片を手に入れた。
そしてそれを口の中に入れて身体検査を通過したんだ……その時に口の中を切ったんだろう。

ACT.3
次に犯人は停電を起こすためにスポットライトのコンセントに埃を詰めた。
さらにステージ強度を確かめるみんなに紛れて夜光塗料を塗ったテープを貼る。
工作を終えたその後、犯人はガラス片を隠し持ちながらその時を待ったんだ。

ACT.4
演奏会が始まってから犯人はその場から離れてステージに近付いた。
そしてジェニーがスポットライトを点灯した事で倉庫は停電。
犯人は夜光塗料を目印に静音に近付いて……ガラス片で静音を刺殺した。

ACT.5
静音を殺した犯人は死体をステージに横たえると、また夜光塗料を目印に今度はガラスの電気スタンドを静音めがけて倒した。
結果静音の身体にはスタンドのガラス片が突き刺さって、本当の凶器は隠れてしまったんだ。

だけどビデオカメラで記録されていた事。
牡丹のストップウォッチで矛盾が生まれた事。

何よりお前の焦りがこの犯行計画を砕いたんだ!

赤穂「薄井千里!静音を殺したのはお前なんだ!」

薄井「……チクショウ」

モノクマ「議論の結論が出たみたいだね!」

モノクマ「それでは投票タイムとまいりましょうか!」

モノクマ「オマエラ、お手元のスイッチで投票をお願いします!」

モノクマ「オマエラの答えが正解?それとも不正解?」

モノクマ「運命はどっちだー!!」

         VOTE

      薄井 薄井 薄井

       チャッチャッチャー!


     【学級裁判閉廷!】

モノクマ「はいはい大正解でございます!」

モノクマ「今回静音凪さんを殺害したクロは……」

モノクマ「薄井千里クンでしたー!」

薄井「クッ……!」

土橋「なんで?なんで凪を殺したの!?」

薄井「……なんで?むしろオレが聞きてえよ」

薄井「なんでテメエラは普通でいられんだよ」

薄井「未来機関がどうにかなってるかもしれねえこの状況で、なんでのんきにパーティーなんか出来やがるんだ!」

佐場木「ふん……あの動機に影響されたわけか」

御影「だからって、静音を殺したのは……」

薄井「御影、いいよなテメエは。兄貴と一緒にいられてよ」

御影「えっ、私は……」

兵頭「あの、1ついいですか」

薄井「あ?」

兵頭「なんでこんな手間のかかる事をしたんですか?さっきの現象を見る限りあなたは本当にサイキッカー……ガラス片を持ち込まなくてもその力で電気スタンドを倒すなどで殺人は出来たのでは?」

薄井「……ハッ、やれるかよ」

薄井「オレはこのふざけた力は使わねえって決めたんだよ……アネキを解放するためにな」

赤穂「アネキ……」

モノクマ「あっ、気になる?気になっちゃう?」

モノクマ「いいでしょう!オマエラに教えてあげるよ!」

モノクマ「薄井クンが自分をインチキ野郎って言う理由をね!」

モノクマ「薄井クンのお姉さんの名前は薄井千影さん!」

モノクマ「希望ヶ峰学園第77期生【超高校級のオカルト研究家】で名前聞いた人もいるんじゃないかな?」

モノクマ「そのお姉さんがオカルト研究家になったのはそもそも薄井クンのためなんだよね!」

モノクマ「薄井クンには物心つく前からさっきみたいな超能力があった」

モノクマ「だけど周りはインチキだの詐欺師だのまだ幼い薄井クンをボッコボコ!一時期対人恐怖症になるぐらい薄井クンは追い詰められたんだよ!」

モノクマ「そんな彼を認めさせるためにお姉さんは幽霊とか怖いのにオカルト研究家の道を歩んだってわけ!」

モノクマ「ここまでならちょっと強い姉弟愛ですんだかもしれない……だけどそうはならなかった!」

モノクマ「事もあろうにそんなお姉さんの努力を無視して薄井クンは自分をインチキ野郎だと言い出したのです!」

モノクマ「理由はお姉さんを解放するため……自分の力を証明するために人生を捧げてるお姉さんが見てられなくなったから!」

薄井「アネキは……もっと自分の幸せのために生きるべきなんだよ」

薄井「オレのせいで周りから色々言われたのだって知ってんだ!」

薄井「だけどアネキは、オカルト研究をやめなかった」

薄井「オレを本物だって証明するために……色んなもんを捨てちまった」

薄井「イヤなんだよ!アネキがオレなんかのために幸せになれないのは!」

薄井「だからオレはアネキを解放するためにインチキ野郎じゃなきゃいけねえんだよ!」

モノクマ「ああ、なんて絶望的なんだろうね!」

モノクマ「姉は弟を救うために。弟は姉に幸せになってもらうために」

モノクマ「正反対の事をして足を引っ張りあってるんだから!」

モノクマ「最も薄井クンはわざとかもね……なんせお姉さんを解放するためにと言いつつ、うぷぷ」

モノクマ「誰よりも執着してるんだから!」

薄井「アネキは今未来機関にいる」

薄井「そのアネキに何かあったかもしれねえ……」

薄井「オレはどうしても外に行かなきゃならねえんだ!」

グレゴリー「だから鎮魂の指揮者……いや、我ら全てを抹殺せんとしたか」

苗木「だけどなんで静音さんを……」

薄井「……どうせ全員殺すんだ。やりやすいのを狙っただけだよ」

四方院「っ……そんな理由で凪を!わたくしの大切なあの子を奪ったと言うんですの!?」

道掛「お、落ち着けよ奏ちゃん!」

四方院「離してください!あなたは、あなたはわたくしが殺します!わたくしがっ……わたくしがぁ……!」

如月「薄井さん」

薄井「……んだよ。説教でもすんのかヒーロー」

如月「……」

赤穂「如月さん……」

辛いよな……薄井は如月さんにとって――







グシャ






赤穂「えっ」

薄井「うぐああああっ!?」

なんだ、今の。

如月「……」

如月さんが、薄井の手を握り潰した……?

薄井「グッ、オマエ、なんの……!?」

如月「悪を裁いてるだけですが?」

佐場木「っ、遠見!奴を止めろ!」

遠見「り、了解であります!」

如月「邪魔はしないでいただきたい。僕は悪以外を殺すつもりはないので」

佐場木「如月怜輝……貴様やはり【ジャスティスジャッジ】か!」

ジェニー「【ジャスティスジャッジ】……?」

津浦「世界各国の犯罪者を凄惨なやり方で殺害する……【キラーキラー】【ジェノサイダー翔】と並んで有名な殺人鬼です」

如月「僕は正義の裁きを与えているだけですよ。最も最後まで執行する前に大概は死んでしまいますが」

佐場木「何が正義の裁きだ……貴様はただの殺人鬼だ!」

如月「正義はそれぞれですよ。佐場木さん」

赤穂「……」

殺人鬼……?

如月さんは、ヒーローじゃないのか?

如月「さて薄井さん。まだ執行は済んでいませんよ」

薄井「ヒーロー……テメエ……」

如月「左手ですから……次は右手てすね。そのあとは脚、背、首……最後まで耐えたら裁きは完了……っ!」

鞍馬「……」

如月「鞍馬さんなんでしょうか?まさか邪魔に入るつもりではありませんよね?」

鞍馬「……あまり好き勝手されてルール違反になられても困るので」

如月「まいりましたね……」

御影「ちょっと兄貴っ……兄貴が憧れてたのはあんな危ない奴だったわけ!?」

赤穂「俺だって、あんな如月さん知らない……」

目の前では鞍馬が薄井に向かおうとする如月さんを食い止めている。

だけど俺にはわからない。

あの如月怜輝が、誰かを殺すためにそれを邪魔する人間を排除しようとしているなんて。

グレゴリー「くっ、なんという混沌の坩堝よ!」

苗木「み、みんな落ち着いてよ!」

六山「どうしよう……」カチカチ

薄井の呻き声と如月さんと鞍馬の戦う音だけが学級裁判場を支配する。

モノクマ「ええい、オマエラうるさーい!!」

それを止めたのはモノクマの一喝。

だけどそれは平穏を意味しなかった。

モノクマ「全くボクの仕事を奪うなんて許さないよ如月クン!」

土橋「モノクマの仕事……」

モノクマ「もちろんおしおきだよ!急がないと如月クンに薄井クンが殺されちゃうからね!」

兵頭「おしおき……」

薄井「グッ……オレはまだ死ぬわけにはいかねえ……!」

佐場木「この事件俺のミスが引き金だ……だがな薄井」

佐場木「静音だって同じように思っていただろうに勝手な事をほざくな!」

遠見「……佐場木殿」

モノクマ「うぷぷ、全くだね!まあ、どちらにしても薄井クンには何も出来ないよ」







モノクマ「絶賛コロシアイ共同生活中のお姉さんもこんな弟を持ってかわいそうだよね!」






薄井「なっ……」

佐場木「貴様今のはどういう意味だ!」

モノクマ「オマエラと同時期に未来機関第13支部の皆さんはただいま塔和シティにてコロシアイを始めているのです!」

モノクマ「そしてその中には……薄井千影さんもいまーす!」

薄井「アネキが、コロシアイ……」

モノクマ「うぷぷ、おとなしくなったみたいだね。それではメインイベントとまいりましょう!」

薄井「……ハッ、ハハハハッ」

モノクマ「今回は【超高校級のサイキッカー】である薄井千里クンにふさわしいスペシャルなおしおきを用意いたしました!」

薄井「……サイキッカー?」

モノクマ「それでははりきってまいりましょう!」

薄井「アネキの一大事に瞬間移動も出来ずに、人殺しを選んだオレなんざ……」

モノクマ「おしおきターイム!!」

薄井「ただの、インチキ野郎じゃねえか」







       GAME OVER

  ウスイクンがクロにきまりました。

    おしおきをかいしします。






乾いたように笑う薄井の首に首輪が巻き付けられて扉の向こうに消えていく。

そしてモニターに十字架に磔にされた薄井が映し出された。

【曲げよエスパーモノクマ!】

【超高校級のサイキッカー薄井千里処刑執行】

磔にされた薄井クンの前にモノクマが現れます。

モノクマはスプーンを1本取り出すと、スプーンに向かってパワーを送ります。

集中しているモノクマの後ろにいる薄井クンが呆れ果てたような目をしていると……十字架の左腕の部分がガタガタと揺れます。

そして……その左腕の部分は薄井クンの腕ごと変な音をたてて後ろに曲がりました。

薄井クンが叫びますがそれは大音量のBGMにかき消されて。

さらにモノクマがパワーをスプーンに送ると今度は十字架の右腕部分が後ろに曲がります。

しかしスプーンは全然曲がらず……モノクマは最大パワーをスプーンに送ります。

すると十字架の腰の部分がガタガタと揺れ出します。

そして……

モノクマはスプーンを力任せに曲げると床に叩きつけてその場を後にします。

そしてその場には後頭部と踵がつくほど曲がり……口から血を吐き出した薄井クンだけが残されました。

モノクマ「エクストリィィィィィィィィム!!」

モノクマ「いやはやシスコンを拗らせるとろくな事になりませんなぁ」

苗木「うわああああああっ!?」

津浦「こ、こんな……ひどいっ……」

グレゴリー「なんという絶望の体現か……」

六山「ちょっとこれは……落ち着くの無理かな……」カチカチ

道掛「ちくしょう……こんなのありかよ!?」

四方院「死んだ……凪に償わせられずに……わたくしは……」フラッ

土橋「奏!」

ジェニー「カナデ!しっかりしてくださいです!」

赤穂「……」

御影「兄貴……」

俺にしがみついて震える牡丹の手を俺は握り返してやれなかった。

それは俺も薄井に対する壮絶な処刑にのまれていたのか……それとも。

如月「やはりあなたは巨悪ですね……モノクマ」

あんなに親しくしようとしていた薄井が死んだのに平然としている如月さんを理解できないからなのか……

如月「別のコロシアイにも関わっているようですから……早急に裁かなければいけませんね」

モノクマ「うぷぷ!君に出来るかな殺人鬼ヒーローさん?」

如月「成し遂げますよ。僕はヒーローなんですから」

ヒーロー、ヒーローってなんなんだ?

如月さんのようにやるのがヒーローなのか?

俺には……わからない。







兵頭「あはあっ……!」






赤穂「えっ?」

なんだ、今の声……

兵頭「なんですか、なんなんですかこれ?」

遠見「兵頭殿、どうしたのでありますか?」

兵頭「投票は命さえ懸かる物なのは知ってるのに……」

佐場木「何を言っている……」

兵頭「生き死にを直結する投票が……こんなにも、快感だなんて……!」

兵頭「ひっ、へへっ……最っ高っですぅ……!」

土橋「人が死んだのに、なんでそんな笑ってられんの……!?」

鞍馬「……」

その場にへたりこんで息も荒く頬を染める兵頭……

その姿は今まさに人が死んだ瞬間を見た人間とは、思えなかった。

俺達は何も出来なかった。

殺人鬼としての顔を見せた如月さん。

異常な性癖を出した兵頭。

モニターに未だ映る薄井の死体。

その空気に完全にのまれていた。

だから俺を含めた誰も気付いてなかった。

この場において呟かれた……







「いい気味」

悪意に満ちたその言葉に。












CHAPT.1【正義という名の××】 END

生き残りメンバー16→15人

To be continued...












【パートナーからのタクト】を手に入れました!

【姉に渡せなかった髪留め】を手に入れました!






CHAPT.2は明日から開始します。

「大正解!」

モノクマ「今回の事件のクロは……赤穂政城クンでしたー!」

赤穂「ち、違う!俺はやってない!」

モノクマ「今回は【超高校級のヒーロー】にふさわしいスペシャルなおしおきを用意しました!」

赤穂「やめろ……俺は無実だ……」

モノクマ「おしおきターイム!!」

如月「赤穂さん」

赤穂「如月さ――」

如月「悪は死すべし……正義の裁きを受けなさい」

赤穂「あっ……」

グシャ







【赤穂のコテージ】

赤穂「っ……!!」

……ゆ、夢?

赤穂「……」グッ

夢なら……このコロシアイの何もかもがそうならよかったのにな。












CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】(非)日常編






【6日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」


赤穂「……」

朝……俺達は15人でこの新しい日を迎えた。

静音と薄井、2つの命を置き去りにして。

人の死に慣れてはいてもさすがにレストランに行く気にはなれなかった。

赤穂「……」

いや、もしかしたら俺が一番気にしてるのは2人の事より……

ピンポーン

赤穂「……?」

誰だ?

御影「兄貴、私。起きてる?」

赤穂「牡丹?」

御影「あっ、起きてる。待ってても来ないから、今日はこっちから来たよ」

赤穂「……」

迎えに来てくれたのか……妹に迎えに来させて閉じこもるわけには、いかないか。

御影「おはよ」

赤穂「ああ……おはよう牡丹。眠れたか?」

御影「無理やり寝たよ。目覚めたら夢だったってオチなら最高だったけど」

赤穂「そうだな……」

御影「私でもこれなら……四方院はもっとキツいかもね」

赤穂「……」

御影「ちなみにさ……兄貴は大丈夫なの?」

赤穂「俺?」

御影「あの人、憧れだったんでしょ?」

如月さんの事か……

赤穂「……」

如月怜輝は俺にとって目標みたいな存在だった。

あの人の行動はたくさんの苦しんだ人を救ってきたし、この混乱した世の中において赤いマフラーのヒーロー存在にどれだけみんなが勇気付けられたか……まさにヒーローの中のヒーローってやつで。

確かに薄井がした事は人殺し……家族の事を考えていたとはいえ、静音が殺されるいわれなんてない。

だけど、だからってあんな拷問みたいなやり方は……

御影「兄貴?」

赤穂「あっ、いや……大丈夫だよ」

とにかく、如月さんの事も含めて色々考えないとな……

【ホテルミライ・レストラン】

レストランにはほとんどのメンバーが既に来ていた。

最も雰囲気は暗い……あんな事があったんだから当たり前だけどな。

遠見「おはようであります!赤穂殿、御影殿!」

赤穂「おはよう遠見……んっ?」

遠見、目元が真っ赤だ……もしかして、泣いてたのか?

佐場木「起きたか。これでいないのは4人だけのようだな」

御影「……ねえ、その手どうしたの?」

佐場木「ただの自己満足だ。気にしなくていい」

佐場木の手には白い包帯が巻かれて血が滲んでいる。

きっと壁を殴るかなんかしたんだろう……

赤穂「4人って誰がいないんだ?」

佐場木「如月、兵頭、鞍馬、津浦だ」

御影「四方院、来てるの?」

遠見「自分も驚いたのでありますが……静音殿のためにも早くコロシアイを終わらさなければと考えているようでして」

赤穂「そうか……」

強いんだな、四方院さんは。

四方院「皆様、昨日は倒れてしまい申し訳ありませんでした」

土橋「ちょっと奏、頭上げなよ!奏が謝る事なんて何もないんだから!」

道掛「そうだぜ奏ちゃん!」

四方院「ありがとうございます……皆様、わたくしはもう二度とこんな事が起きてほしくありません」

四方院「お願いします……わたくしに協力をしてください」

苗木「それはきっとみんな同じ気持ちだよ四方院さん」

ジェニー「はい!あんなのもうダメです!」

グレゴリー「それは然り。だが翼をもがれた我らが何をなせるか……考えなければならん」

六山「その事だけど1つ提案があるんだけどいいかな?」

赤穂「提案?」

六山「コロシアイ学園生活だとさ、学級裁判が起きる度に行けるところが増えてたよね?」

遠見「確かにそうだったであります……もしやこのコロシアイでも」

六山「確認する価値はあると思うんだけど、どうかな」

新しい場所の開放か……

佐場木「そうだとするなら中央の島辺りから行けるようになっている可能性が高いな」

御影「じゃあ行ってみようよ。手がかりがあるかもしれないしさ」

四方院「そうですわね……えぇ、そうしましょう」

【中央の島】

赤穂「これは……!」

中央の島、そこは今までと様変わりしていた。

赤い橋が1つの島に向かって伸びていたんだ。

グレゴリー「これは……」

土橋「冗談でしょ、こんな橋どうやって……!?」

四方院「……どうやら海に沈んでいたようですわ。見てください」

四方院さんが指で擦っているのは……塩?

遠見「どうやら海水が蒸発して塩が残されたようであります」

佐場木「……足跡らしき物があるな」

苗木「もしかして誰かいるのかな?」

六山「というよりいなかった人がもう行ってるんじゃないかな」

いなかった人……如月さん達が先に調べに来ているって事か。

【第2の島・サマーアイランド】

赤穂「暑っ……!?」

なんだこれすごく暑い……

モノクマ「ようこそ、サマーアイランドへ!ただいまの気温は39℃でございます!」

佐場木「モノクマ……これは貴様の仕業か」

モノクマ「いやいや、そんな事はないよ!これはあくまでこの島の特色!」

御影「ちょっ、これキツいって……」

四方院「どういう事ですの?いくらなんでも中央の島とここまで気温差があるなんて……」

モノクマ「うぷぷ、そんな事はどうでもいいんじゃない?それよりオマエラは考えないといけない事がたくさんあるんだしさ」

モノクマ「それでは常夏の島を存分に楽しんでくださーい!」

遠見「これも絶望が起こした災害の影響なのでありましょうか……」

苗木「どうなんだろう……まあ、とにかくここを調べて早く戻った方がいいんじゃないかな」

六山「そうだね……あっ」

ジェニー「モモカどうしたです?」

六山「如月くん」

赤穂「……!」

六山が指さす方向から歩いてくる3つの影。

それは紛れもない如月さん、兵頭、鞍馬の3人だった。

如月「おや、皆さん」

佐場木「如月、貴様何をしている」

如月「そう身構えないでください。ただ調査に来ただけですから」

土橋「千や類も一緒だったんだ」

兵頭「ふふふ、1人では心細かったので」

鞍馬「……偶然ですよ」

如月「津浦さんは来ていないんですか?」

グレゴリー「言の葉の魔術師は今眠りについている。その硝子細工のような心を守らんとするためにな」

兵頭「ああ、それは大変ですね。私のようになれれば津浦さんも苦しまなくてすむでしょうに」

遠見「何か収穫はあったのでありますか?」

如月「残念ながら何も……最も僕達はまだ全て調べられたわけではないのですが」

六山「そうなの?」

兵頭「この暑さなので一度戻らないと熱中症になってしまいますから」

如月「それでは僕達はこれで失礼します。皆さん、また後で」

赤穂「……」

佐場木「……ちっ、俺達もさっさと調べた方がよさそうだな」

【ショッピングモール】

赤穂「大丈夫か牡丹」

御影「わりとキツいかも……暑いし日は射すし汗かくし、夏嫌い」

スポーツドリンクと熱冷ましを額に当てて牡丹はベンチに座り込んでいる。

これはなるべく早めにホテルに戻らせた方がいいな……

御影「兄貴は暑くないわけ……そんなキッチリスーツ着込んで手袋まで着けてさ」

赤穂「いや、俺はまあ大丈夫だ」

本当は暑いけど、俺はスーツも手袋もあまり脱ぎたくない。

この下は見ていて気持ちのいいとは言えない傷だらけだからな……

グレゴリー「ふははははっ!ここには素晴らしい天具達が揃っているぞ!」

土橋「はしゃぎすぎだって……あっ、政城に牡丹」

赤穂「どうだった?」

土橋「4階建てみたいだけど色々あったよ。食品、衣服、スポーツ用品に工具」

赤穂「だからグレゴリーはこんなに嬉しそうなのか」

土橋「後はショベルカーとか消防車もあったかな」

御影「なんなのさ、その組み合わせ……」

【図書館】

赤穂「すごい量の本だな……」

御影「日本語と英語はともかくいくつか表紙すら読めないんだけど」

佐場木「そこにあるのはフランス語の書籍だ」

赤穂「佐場木」

佐場木「中国スペインイタリアポルトガル……どうやらだいたいの国の書籍はここにあるようだ」

御影「そんな本なんて読めるの津浦ぐらいじゃないの?」

佐場木「どうだかな……それと奥にある黒いカーテンに囲まれた一角には近付くなよ」

赤穂「何かあったのか?」

佐場木「殺人に関する書籍だ。爆弾の作り方なども記載されていたのは確認してある」

そんなものが……!?

佐場木「ちっ……またマーケットに行かなければな」ジャラッ

図書館から出ていく佐場木の手には鍵束が握られている……あれはもしかしてケースの鍵か?

御影「なんか、鬼気迫るって感じ」

赤穂「それだけ責任を感じてるんだろうな……」

【水族館】

道掛「うおおっ、見ろよ苗木!マグロだぜマグロ!」

苗木「道掛クン、ちょっと落ち着いて……」

道掛「こうして魚見てると刺身食いてえよな!」

苗木「ボクはその言葉になんて返したらいいのかな……?」

赤穂「……」

御影「ちょっと。立ち止まって何してんの兄貴?」

道掛「おっ、赤穂に牡丹ちゃんじゃん!」

苗木「2人もここに来たんだ?」

赤穂「まあな。何かあったか?」

苗木「うーん、普通の水族館って感じかな?鮫とかもいるけど水槽から飛び出してくるって事はなさそうだし」

赤穂「そうか……んっ?」

道掛「なあなあ、牡丹ちゃんはどいつ食いたいよ」

御影「えっ、ここで聞くそれ」

赤穂「……」

苗木「赤穂クン?」

赤穂「……牡丹、そろそろ行くぞー」

御影「あっ、ちょっと待ってよ兄貴」

本当に油断も隙もないな……!

【射撃練習場】

赤穂「ここは……」

御影「射撃練習場ってそんなものまであるわけ……?」

赤穂「まあ、元々未来機関の施設だからな……練習する必要性もあったんだろう」

中に入ると先客の遠見が的に向かって射撃していた。

的にひたすら弾を当てているその姿は……どこかやりきれない思いをぶつけているかのようだ。

遠見「……ふぅ」

赤穂「遠見」

遠見「赤穂殿に御影殿でありますか」

赤穂「ここには銃があるんだな」

遠見「そうであります。拳銃からマシンガンまでよりどりみどりでありますよ」

御影「うわっ……そんなのあったらいつ襲われるかわかったもんじゃないじゃん」

遠見「それに関しては大丈夫でありますよ。ここの銃器は持ち出し禁止でありますから」

赤穂「持ち出し禁止?」

遠見「モノクマによるとこの射撃練習場の敷地から出した瞬間に警報が鳴り響くとか」

赤穂「なるほどな……それなら確かに持ち出される心配はないか」

遠見「そういう事であります……っと。そろそろ自分は射撃を再開するであります」

赤穂「まだやるのか?」

遠見「少々火薬の臭いの中で考えたいでありますから」

遠見はそのまま射撃をまた始めた。

……そっとしておいた方がいいか。

【ビーチハウス】

赤穂「ここは……ビーチハウス?」

御影「へー、こんなところもあるんだ」

ジェニー「すごいです!」

赤穂「んっ?この声はジェニー?」

御影「この部屋から聞こえてくる……」

牡丹の開けた扉の先にはシャワールームがあった。

そして明かり取り用の窓のそばにジェニーがぶら下がっている……何してるんだいったい。

ジェニー「マサキ、ボタン!2人もこっち来ますですか?」

赤穂「いや、俺は……そもそも何してるんだ?」

ジェニー「窓が開いてたから昇ってみたです!景色がビューティフルですです!」

御影「景色きれいはいいけど……降りられんの?」

ジェニー「大丈夫です!もっと高いところから降りた事もありますです!」

初対面の時も照明にぶら下がってたもんなジェニー……

【チャンドラービーチ】

赤穂「第1の島の砂浜に比べて広いな」

御影「ビーチハウスといい、遊ぶための砂浜って感じじゃない?私は日焼けするからごめんだけど」

赤穂「俺も付き合えそうにないな……んっ?」

四方院「……」

あそこにいるのは四方院さんか。

フルートを構えて立つその姿は憂いが強く感じられる。

四方院「……」

御影「……ねぇ、なんか様子おかしくない?」

赤穂「えっ?」

牡丹に言われてもう一度四方院さんを見る。

よく見ると……フルートを構えているのに指が全く動いてない。

それに音も全く聞こえてこなかった。

四方院「……」トサッ

赤穂「!?」

フルートを落とし……







四方院「ああああああああああああああああーーーーーーっ!!!」






赤穂「四方院さん!?」

四方院「なんで、なんでなんで……」

御影「ちょ、ちょっとどうしたのさ?」

四方院「吹け、ません」

赤穂「……吹けない?フルートがか?」

四方院「凪にレクイエムを贈りたいのに、フルートを口元に運ぶだけで、頭が真っ白になって……」

四方院「わた、くし、は……あの子に安らかな眠りを、願う事すら……」

四方院「……」

四方院「………」

四方院「…………」

赤穂「四方院さん?」

四方院「…………あら、赤穂さんに御影さん。どうしましたの?」

御影「……大丈夫なの?」

四方院「なにがです?」

赤穂「いや、さっきまで静音の事でさ……」

四方院「あら?」


四方院「赤穂さんは凪を知っていますの?」


赤穂「……は?」

四方院「しかし凪も運のいい子ですわね」

四方院「体調を崩したおかげでコロシアイなどに巻き込まれずにすんだのですから」

御影「……何、言って」

四方院「ですからこそ!わたくしは生きて帰らなければなりませんわね!」

四方院「あの子はきっと心配していますもの……あら?」

四方院「なぜわたくしのフルートが……凪からの贈り物を傷つけるわけにはいきませんのに」

赤穂「……四方院さん」

四方院「はい?」

赤穂「昨日何があったか覚えてるか?」

四方院「……学級裁判ですわ」

赤穂「誰が死んだかは」

四方院「静音さんと薄井さん……悲しい事件でした」

自分が何を言ってるのか、わかってないのか?

御影「いや、静音が死んだのになんで生きてるみたいに……」

四方院「???何をおっしゃっているのかわかりませんわ」

四方院「確かに名前は同じ静音凪ですが殺された静音さんは男性ではありませんか」

赤穂「……」

四方院「はっ!こんな事をしている場合ではありませんわ!早く脱出に向けて調査を進めなくては!」

四方院「それではまた後でお会いしましょう!」

俺達は何も言えなかった。

今の四方院さんに現実をまた理解させる事はきっと……

絶望しか、生まない。

【ホテルミライ・レストラン】

四方院「なるほど……どうやら連絡手段などは確保出来そうにないようですわ」

苗木「まあ、普通に考えたらそうに決まってるよね……」

道掛「そんな暗い顔すんなって!いざという時はイカダでも作ればいいんだしな!」

土橋「そうだね……イカダに使えそうな木材探しとくよ」

グレゴリー「未来への方舟を生誕させるのならば我に任せるがいい!光すら超える力を持ちし装備を授けようではないか!」

道掛「そりゃ凄そうだな!よっしゃ、まかせたぜ!」

遠見「光速を超えたら人間は死ぬでありますよ……」

道掛「マジか!?」

佐場木「道掛、貴様はしばらく口を開くな……!」

六山「異議なーし」カチカチ

ジェニー「ソウヤ……メッ!です!」

御影「……はあ」

赤穂「……」

話し合いは如月さん達がいない事を除いたら普通に進んでるように見える。

だけど俺と牡丹は知ってる……四方院さんが普通の精神状態じゃない事を。

赤穂「……」

四方院さんがいなくなったら……伝えておかないとな。

【港】

赤穂「……」

あの後四方院さんの事をみんなに伝えた。

みんなは驚き、落ち込んだけど今はそっとしておいた方がいいって事で一致した。

津浦に関してはグレゴリーが様子を見ていくらしい。

そして……

如月「……おや」

赤穂「如月さん」

兵頭と如月さん……2人には気をつけろと佐場木は言った。

だけど俺は……せめて話をしたかった。

この憧れのヒーローと。

赤穂「如月さんは……ジャスティスジャッジだったんですか」

ジャスティスジャッジ。

その殺人鬼の名前はこの世界が絶望に包まれる前から存在していた。

正義の名の下に殺してきた犯罪者の数は100人を超えるその殺人鬼の特徴は3つ。

1つは絶対に犯罪者以外は殺害しない事。

1つは現場に必ずその犯罪者の犯罪歴が克明に記された紙が貼られている事。

如月「えぇ、そうですよ」

1つはジャスティスジャッジの殺害した死体は必ず四肢と首の骨が砕かれ、心臓を貫かれている事。

だから警察は犯人が何らかの拷問器具を使って犯行を行っていると判断していた。

赤穂「なんでそんな事を……」

当たり前だろう……誰がその全てが素手で行われたなんて信じるんだ。

如月「僕はただ正義を執行しているだけですよ」

赤穂「あの拷問紛いの事が正義なんですか!?」

如月「……拷問ですか。それは違いますよ」

如月「あれは代償ですよ」

赤穂「代償……?」

如月「左手が潰された程度でなんですか。殺された人はもう誰の手も握り返せない」

如月「右手が潰された程度でなんですか。殺された人はもう誰にも触れられない」

如月「左足が潰された程度でなんですか。殺された人はもう立つ事さえ出来ない」

如月「右足が潰された程度でなんですか。殺された人はもう未来に歩む事が出来ない」

如月「首が折れてようやく人の人生を奪った痛みを理解し」

如月「最期の命という代償を払い、その悪は初めて許しを乞えるんですよ」

赤穂「……あなたが、すぐに殺せるのにそうしないのは」

如月「わからせるためですよ。自分の行いの取り返しのつかなさをね」

如月「最も……最後どころか途中までの代償すら支払えない悪がほとんどですが」

赤穂「……」

如月「ああ、もちろんこれは救いようのない悪に対する裁きですよ?」

如月「佐場木さんのような法の裁きも確かに必要ですし……心から悔いている人間にそこまでするのは僕としても本意ではないので」

赤穂「……あなたは、何を求めてそこまで」

如月「悪のない世界。悪を根絶やしにして平和に生きられる世界」

如月「それが僕の理想。僕の求める世界ですよ」

赤穂「……仮に悪を根絶やしにして、あなたはその世界でどうするんですか」

如月「その時は最後の悪を裁きますよ」

如月「殺人鬼ジャスティスジャッジを、ね」

赤穂「……!」

如月「わかりますよ。コロシアイという環境で僕の存在を受け入れ難い事は」

如月「だけど安心してください。僕はコロシアイに乗る気はありません」

如月「モノクマは必ず滅ぼしますが」

赤穂「……如月さん、1ついいですか」

如月「なんですか?」

赤穂「あなたにとって薄井千里は、救いようのない悪だったんですか」

如月「……」

赤穂「……」

如月「たとえどれだけ親しくても愛していても……僕は裁きますよ」

如月「それが僕の正義なんですから」

赤穂「……」

答えになっているのかいないのか曖昧な言葉を残して……如月さんは去っていった。

赤穂「……俺には、そんな正義は選べない」

それが正しいのか間違っているのかは別にして……それだけは俺の中ではっきりしていた。

【第2の島・サマーアイランド】

赤穂「……」

四方院さんの事、如月さんとの話……俺はどうにも気分が落ち込んでサマーアイランドに来た。

だけど……

赤穂「……暑い」

汗がダラダラと流れて地面に落ちる。

スーツをしっかり着込んで手袋までしてたらそりゃ暑いに決まってるよな……

だけどどうしてもこの傷だらけの地肌は見せたくない。

赤穂「右目のこれだけで、変な噂されたしな……」

とはいえ、少し視界もぶれてきた。

やっぱりコテージに戻るか、ショッピングモールに入ろう。

赤穂「……あ、れ」

歩き出そうとした瞬間、視界がさらに揺らいだ。

赤穂「マズ、熱中症か……」

杖を支えにしようとしても、力が入らなくて俺はその場に倒れてしまう。

赤穂「くそっ……誰か通りがかれば、いいけど……」

そしてそのまま俺の意識は遠のいていった。

――――

赤穂「んっ……」

「あっ、気がついた?」

赤穂「……?」

目覚めると後頭部に柔らかい感触……そして視界を遮る何か。

赤穂「……」

「大丈夫?倒れてたから慌ててショッピングモールまで引っ張ってきたんだけど」

この声は……

赤穂「……土橋?」

土橋「そうだよ。今気付いたの?」

もしかして俺……今膝枕されてるのか?

じゃあ目の前のこれは……

赤穂「っ、悪い!」

慌てて起き上がるとクラッと視界が揺れる。

土橋「ちょっとちょっと!いきなり起きたらダメだって、ほらスポーツドリンク!」

赤穂「……あ、ああ、ありがとな」

スポーツドリンクを飲み干すと、身体が軽くなった気がする。

まさに生き返った気分ってやつだな……

土橋「もう、こんな暑い中でそんな格好して水分も取らなかったら熱中症になるのわかりきってたでしょ!」

赤穂「そうなんだけどな……」

土橋「せめて上ぐらい脱ぎなよ。あれだけ汗かいてたんだから暑さに強いわけでもないんでしょ?」

赤穂「……」

土橋が俺を心配して言ってるのはわかってる。

それでも俺は……

赤穂「やめといた方がいいぞ」

土橋「何が?」

赤穂「俺の肌は色々あって傷だらけなんだ。見たらドン引きするような傷もある」

土橋「……」

赤穂「このスーツを脱いだだけでも結構わかるし……土橋だって気持ち悪いもの見たくないだろ?」

俺がこの傷を身体中に刻まれた直後、見舞いに来た何人かは露骨に俺の傷を気持ち悪がった。

中には俺は絶望で自分から傷をつけたんじゃないかとか言う奴さえいて。

あの日から俺は……傷を徹底的に隠してきた。

色々言い訳してても、結局はまたあんな事を言われるのが……怖いんだろうな。

土橋「……そっか、わかった」

赤穂「わかってくれたなら……って何してるんだ!?」

土橋は何を思ったか作業着の上を脱ぎ出していた。

土橋「アタシってさ、土木作業なんて生活してるから色々と男の人に囲まれて生きてきたんだよね」

赤穂「……」

土橋「で、胸とか結構ジロジロ視られたりもしてきたんだ」

赤穂「……それで?」

土橋「だから何て言うか……アタシ慣れてるし視線集めるしさ!アタシが近くにいれば政城がジロジロ見られるとか少なくなるでしょ!」

赤穂「……」

土橋「だから、さあ……暑いの我慢して着込まなくても大丈夫だって!」

赤穂「……」

上半身タンクトップのそれが恥ずかしいのか顔を赤くしている土橋の言葉の意味がようやく理解できた。

赤穂「……ははっ」

そして同時になんだか笑えてくる。

土橋「ちょっとなんで笑うの!?」

……うん、ここまでされると怖がってるのが馬鹿らしくなってきた。

赤穂「よっと」

土橋「あっ」

赤穂「それじゃあ、ちょっと中央の島まで一緒に頼めるか?暑いし」

土橋「……了解!アタシも早く着たいから早く行こう!」

赤穂「あっ、気持ち悪かったら視線そらしていいからな?」

土橋「政城が言うほどじゃないって!それにアタシ嫌いじゃないよ!」

赤穂「んっ?なんでだ?」

土橋「だってそれヒーローとして頑張って出来た傷でしょ?だったらむしろ勲章だって!」

赤穂「……」

土橋「あれ、どうしたの?」

赤穂「いや……」

面と向かってそんな事言われたのは……初めてだ。

勲章、か……

赤穂「……ありがとな」

この傷をそう言ってくれて。

本日はここまで。

【ホテルミライ・コテージ前】

土橋と第1の島まで一緒に戻った後、俺はマーケットに行くという彼女と別れてホテルに戻ってきていた。

赤穂「……あっ」

あそこにいるのは……

グレゴリー「言の葉の魔術師よ。ここに供物を捧げておくぞ」

赤穂「グレゴリー、津浦の様子はどうだ?」

グレゴリー「聖痕抱きし英雄か。夢魔の誘惑から解き放たれはしたが、心に巣くう闇の住人がまとまりついているようだ」

よくはわからないけど、今の津浦がコテージから出る気はないのはわかるな……

グレゴリー「元々容易なる事象ではない。時の檻は強固だが……いずれはまた覚醒の時が訪れるだろう」

赤穂「……グレゴリーは随分津浦を気にかけてるよな」

捜査の時も今も、どうしてグレゴリーはここまで津浦を……

グレゴリー「言の葉の魔術師は我が言霊を理解した原初の姫だからな」

赤穂「……」

自分の言葉を理解したのは津浦が初めてだから……って事か?

グレゴリー「言の葉の魔術師との語らいは我としても必要不可欠。覚醒の時の刻限が近くなると言うのならば、供物を捧げる事など苦ではない」

赤穂「……そうか」

グレゴリーは津浦に元気になってほしいんだな……

赤穂「早く元気になるといいよな」

グレゴリー「然り!そのためにも秘められし我が天具をこの世に生誕させねば!」

赤穂「あっ、待てよグレゴリー!」






ガチャッ

津浦「…………」

バタンッ

【ホテルミライ・レストラン】

グレゴリーと別れた後、俺は佐場木達とサマーアイランドにあった射撃練習場について話していた。

佐場木「……首尾は」

遠見「やはり補充されていたであります。射撃練習場の弾薬を尽きさせるのは難しいかと」

佐場木「そうか……ちっ、銃そのものの破壊も不可能となればあの近辺に人を近付けるのは危険か」

赤穂「持ち出せないのにか?」

佐場木「中から撃てば持ち出し違反にならず人を射殺可能だ」

赤穂「……ああ、そういう事か」

遠見「どの銃も反動が強いタイプなのは唯一の救いであります。あれを問題なく扱えるのはおそらく自分ぐらいでありますから」

赤穂「反動が強いって事は下手をしたら肩外れそうだな」

佐場木「とはいえ楽観視は出来ん。あの近辺には近付かないよう周知徹底……」

苗木「あの……ちょっといいかな?」

赤穂「んっ?どうしたんだ苗木」

苗木「ちょっと気になる事があってさ、伝えておいた方がいいかなって」

佐場木「気になる事?なんだ」

苗木「……あの映像ってまだ残ってる?」

遠見「あの映像……身体検査の時のあれでありますか?」

苗木「うん。あの映像」

身体検査の記録……あれがどうしたんだ?

その後佐場木が持ってきたビデオカメラの映像を再び再生する事になった。

生きてる静音と薄井……その姿を見ると胸が痛くなるけど、いったい苗木は何が気になったんだ?

苗木「あっ、ここだよ!」


佐場木『それよりこのスポットライトはなんだ?』

静音『ちょっと意見もあったからサプライズに使う!』

遠見『サプライズでありますか?内容は……』


遠見「これがどうしたのでありますか?」

苗木「いや、静音さんはあのサプライズを意見があったからやる気になったみたいだけど」

苗木「意見したの、誰なのかなって」

佐場木「……!」

赤穂「薄井じゃない、よな」

薄井は静音とジェニーの話を聞いて犯行を思いついたはずだ。

薄井もそれを否定しなかった……じゃあ誰が静音にそんな意見をしたんだ?

遠見「しかし、それはあくまでサプライズの意見をしただけでは……」

苗木「そうなんだけど……ジェニーさんのあの告白聞いても名乗りでなかったって、なんか悪意がある気がして……」

赤穂「……」

悪意?

それじゃあまさか誰かが事件を起こすのを期待して、静音に意見をした人間がいる?

だとしたら……そいつは生きてまだ俺達の中にいるのか?

【赤穂のコテージ】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

赤穂「……」

苗木の言葉の事を考えてたらもうそんな時間か。

赤穂「悪意か」

苗木の言う通り静音にサプライズの意見をしたのが悪意を持っての事だとしたら……

赤穂「……四方院さんには聞かせられないな」

今四方院さんは静音の死を否定して心を守ってる。

だけどもし四方院さんが間接的に静音を死に追いやるような真似をした人間の存在を知ったら……

赤穂「くそっ……」

いったい誰なんだ。

もし悪意がなかったにしろ……突き止めないと。

【7日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「朝か……」

とりあえず牡丹を迎えに行こう。

【ホテルミライ・レストラン】

今日は……津浦以外みんないるな。

まあ、如月さんや兵頭は離れて座ってるけど。

道掛「今日でこの島に来て1週間だよなー」

六山「そうだね。なんかあっという間な気がするよ」

土橋「そろそろ助けが来てもいいと思うんだけど……」

佐場木「現在コロシアイが起きたらしい第13支部はともかく他の支部は何をしている……」

兵頭「ふふふ、元々どの支部も忙しいですからね。絶望の残党がいなくても問題は山積みですし」

赤穂「……」

確かに第1支部から第14支部は絶望の残党の対処以外に復興関係の仕事も受け持ってるからな……

苗木「そういえば気になってたんだけど、第15支部から第19支部って何をしてるの?」

鞍馬「……未来機関全体の任務として絶望の捕獲や一般人の保護」

赤穂「第15支部は確か他国との交渉……支部長は元73期生【超高校級の旅人】だな」

佐場木「第16支部は資源の発掘、調査だ。支部長は元75期生【超高校級のトレジャーハンター】」

遠見「第17支部は絶望の被害者のカウンセリングや聞き取り調査であります。支部長は現在諸事情にて空席、代理として元76期生【超高校級の王子】が在任中でありますよ」

土橋「第18支部はスポーツの復興支援だよ。支部長は元75期生【超高校級のサッカー選手】」

六山「この前新造された第19支部はえっと……確か本とか美術品とか歴史的資料の回収、保存だったかな。支部長はまだ決まってないけど【超高校級の図書委員】辺りが有力候補らしいよ?」

道掛「よく覚えてんなー。俺なんて会長のじいちゃんの名前も知らねえや!」

御影「……自慢にならないね」

今日はここまで。

目標としてこの話はV3発売までに終わらせたい……

【ホテルミライ・プール】

朝食は結局未来機関講座になったな……

ジェニー「……」チャプチャプ

赤穂「……ジェニー?」

何してるんだ、あんなところで。

ジェニー「あっ、マサキ……」

赤穂「浮かない顔してどうした。悩みがあるなら聞くぞ?」

ジェニー「……ボク、ダメダメです」

赤穂「えっ?」

ジェニー「ボクはみんなをスマイルにするピエロです……なのに今ボクは何も出来なくて」

赤穂「それは……ジェニーのせいじゃないだろう」

ジェニー「でも……」

すっかり落ち込んでるな……そうだ。

赤穂「ジェニー、何も出来ないって事はないぞ。少なくとも1つジェニーじゃないと出来ない事がある」

ジェニー「ボクじゃないと?」

赤穂「静音とサプライズの打ち合わせをした時の事を聞かせてほしいんだ」

ジェニー「ナギとの?」

赤穂「ああ、頼むよ」

ジェニー「えと……ナギはカナデをもっと目立たせたい言てましたです……このままだとカナデのスゴさが伝わらない言われたて……」

赤穂「……!そこのところもう少し詳しく。静音は何を言われたって?」

ジェニー「えとえと……カナデはパーフェクトでもっと目立つべきだから……キラキラのドレス着るとかライトアップとかしたらキレイなんじゃないか言われたて……」

……これは、判断に困るな。

罪悪感から言えないのか、それとも悪意を持って黙ってるのか……これじゃあわからない。

ジェニー「あのマサキ?」

赤穂「あっ、ああ、ありがとうジェニー。助かった」

ジェニー「ボク役に立てたです?」

赤穂「ああ、もちろん」

ジェニー「なら……よかたです」

でもまあ、ジェニーが少しは元気になれたなら……結果オーライか。

赤穂「うーむ……」

兵頭「お悩みですか?」

赤穂「うわっ!?」

兵頭「ふふふ、ごめんなさい。まさかそこまで驚かれるなんて」

赤穂「兵頭……」

兵頭は学級裁判の投票に快感を抱いていた……俺には全く理解出来ない話だ。

だからこそ……兵頭は何をするかわからない。

赤穂「キミはこれから先どうする気なんだ」

兵頭「どうするとは?」

赤穂「学級裁判の投票がキミにとって快感なのははっきりしてる」

兵頭「……ああ、だから私が事件を起こすんじゃないかと思ってるんですか?」

赤穂「キミは頭がいい。疑われるのはわかってただろう」

兵頭「ふふふ……そうですね。少なくとも要注意人物ではあるでしょうね」

赤穂「……」

兵頭「ふふふ」

赤穂「何がおかしいんだ?」

兵頭「如月さんも似たような事を言ってましたから……やっぱりヒーローは似るんでしょうか?」

赤穂「……!」

兵頭「安心してください。私はコロシアイなんてしませんよ」

兵頭「最も信じるかは……ふふふ、赤穂さん次第ですよ」

赤穂「……」

俺と如月さんが同じ……

今となっては、複雑な気分だな……

【中央の島】

赤穂「……んっ?」

道掛「いいか鞍馬!ルールはこの島を1周!それだけだ!」

鞍馬「……はあ」

御影「あっ、兄貴」

赤穂「いったいなんなんだこの騒ぎは」

御影「道掛と鞍馬がマラソンで勝負するんだってさ」

赤穂「……いや、なんでそんな事になった」

御影「さあ?」

道掛「鞍馬ってよ、なーんか暗いんだよな!いつもいつも1人だしよ!」

鞍馬「……別に困っていませんから」

道掛「だから俺はお前とダチになる事にした!」

鞍馬「……」

御影「なんでそれでマラソン?」

道掛「熱い勝負をしたら男はその瞬間からダチになるんだぜ!」

鞍馬「……自転車ではないんですね」

道掛「勝負は公平にやってこそだからな!」

鞍馬「……はあ」

鞍馬か……そういえば如月さんといい勝負してたよな。

道掛「よっしゃあ!行くぞ鞍馬!牡丹ちゃん合図よろしく!」

御影「そのために私は呼び止められたわけか……はいはい、位置について」

道掛「……」

鞍馬「……」

御影「よーい、ドン」

赤穂「……行ったな」

御影「だね」

赤穂「道掛も考えてるのか考えてないのか……」

御影「でも道掛、兄貴じゃない方のヒーローにも声かけてたよ」

赤穂「如月さんにか?」

御影「うん。まあ、頭は悪いけどいいやつなんじゃない?」

赤穂「……そうだな」

道掛「うおおおっ!」

鞍馬「……」

御影「あっ、戻ってきた」

赤穂「鞍馬の方が勝ってるみたいだな」

鞍馬「……」

道掛「どわあああっ!」ズサァ

赤穂「お、おい大丈夫か?」

道掛「はぁ、はぁ……ちくしょう!負けたー!」

鞍馬「……」

道掛「鞍馬!お前すげえな!俺これでも足の速さにも自信あったのによ!」

鞍馬「……」

道掛「だけどこれで俺達はダチだ!さっ、握手しようぜ!」

鞍馬「……失礼します」スタスタ

道掛「ありゃ?」

御影「あらら……」

赤穂「あー……」

道掛「照れてんのか?」

ポジティブだな……

六山「……」ピコピコ

赤穂「……」

相変わらず六山はゲームばっかりしてるな……

四方院「あら、六山さん。またゲームですの?」

六山「まあねー」

赤穂「毎日それだけやってたらすぐクリアしちゃうんじゃないか?」

六山「ちっちっちっ、甘いね赤穂くんは。ゲームというのはやりこみ含めてクリアなんだよ」

六山「だから全部クリアするなら時間が足りないぐらい」

四方院「最近のゲームとはすごいんですのね……わたくしはやった事がありませんからよくわかりません」

六山「ゲームは世の中の最新技術をふんだんに盛り込んでるからね。やって損なしだよ」

赤穂「なるほどなぁ……」

六山「良かったら対戦用のスペア貸そうか?」

赤穂「そんなの持ってるのか」

六山「ゲームは人の輪を繋ぐからね。まあ、これは受け売りなんだけどわたしもそう思うからさ」

四方院「暇潰しにはいいかもしれませんね……それでは何か初心者にも優しいものをお願いしますわ」

六山「だったらねー」

リュックから大量のゲームソフトを出す六山。

うーん……俺はこれだけのゲーム一生かかっても終わる気がしないな……

ビービービー!

赤穂「……んっ?」

なんだ、この音。

モノクマ「警告警告!」

モノクマ「射撃練習場より銃が持ち出されました!」

モノクマ「戻さない場合には盗難者に罰を与えます!」

赤穂「なっ!?」

射撃練習場から銃が……いったい誰がそんな事を!?

赤穂「とにかく行かないと……!」

【射撃練習場】

遠見「落ち着いて!今すぐその銃を戻すであります!」

赤穂「遠見、佐場木!いったい誰が銃を……」

津浦「はぁー、はぁー……!」

津浦!?

津浦「来ないでください……来たら撃ちます……!」

苗木「ど、どうしたの津浦さん?いきなりこんな……」

津浦「どうしたのじゃありませんよ……この島にはシリアルキラーがいるんですよ!?」

六山「如月くんの事?でもコロシアイには乗らないって言ってたよ?」

津浦「人殺しのそんな言葉を信用しろと!?ただでさえ、コロシアイなんてさせられて……だからワタシは!ワタシはぁ!」

土橋「琴羽!」

佐場木「だったらどうする?この場の全員を殺すか?」

津浦「……!」

佐場木「人の命を奪うというのはあまりに重い十字架になる、たとえ間接的にもだ」

佐場木「津浦、貴様に14人殺す十字架を背負えるとは思えん、やめておけ」

津浦「ワタ、ワタシは、殺、いや、違っ」

如月「皆さん、大丈夫ですか!」

津浦「ぁ……」

モノクマ「後30秒以内に戻さないと違反者をおしおきしまーす!」

モノクマ「30!29!」

津浦「いやあああああああっ!!」

遠見「っ、全員下がるであります!」

津浦「死にたくないっ、ワタシは死にたくないっ……!」

赤穂「津浦!早く銃を戻せ!」

津浦「あああああああああっ!!」

「……!」







パァン!






御影「あっ……」

グレゴリー「ぐうっ……!」ピシッ

ジェニー「グレッグ!?」

赤穂「グレゴリー、何を……!」

津浦に真っ正面から向かっていくなんて……!

津浦「……!」

グレゴリー「っ!」ガシッ!

津浦「ひっ……!」

グレゴリー「ふんっ!」

ガシャンッ

モノクマ「銃が敷地内に戻されました!」

モノクマ「これに懲りて二度としないようにね!」

道掛「お、おいグレゴリー!大丈夫かよ!」

グレゴリー「案ずるな……我が仮面の守護は魔力を注ぎ込んだもの」ピシピシッ

パリンッ

グレゴリー「最も……言の葉の魔術師の魔弾もなかなかの魔力だったようだが」

仮面が銃弾を止めたのか……

津浦「ぁ……あっ」

グレゴリー「言の葉の魔術師」

津浦「ひっ!ごめんなさいごめんなさい!殺さないでくださいっ……」

グレゴリー「……」


ギュッ

津浦「……えっ」

グレゴリー「恐怖に蝕まれながらもよく耐えた。この場の誰も殺められずにいるのだ……死に怯える事はない」

津浦「……」

グレゴリー「言の葉の魔術師よ。恐怖に戦くならばこの我がその魂を守護しよう」

津浦「えっ……」

グレゴリー「言の葉の魔術師は我が言霊を余すところなく理解する存在。いなくなられては困るのだ」

津浦「Mr.グレゴリー……」

グレゴリー「憤怒の執行者、紅纏いし狂戦士。言の葉の魔術師に罰は不要」

如月「はい?」

佐場木「……」

グレゴリー「魔弾を受けた我が言うのだ。よもやそれを黙殺し己が義を貫くとは言うまいな?」

如月「……グレゴリーさんが許すと言うなら僕の出る幕はありませんね」

佐場木「ふん……被害者がそう言うなら今回は不起訴が妥当か」

グレゴリー「感謝する。言の葉の魔術師よ、もはやその身が恐怖に蝕まれる事はない」

グレゴリー「我がその恐怖を振り払ってみせよう」

津浦「……Mr.グレゴリー」ギュッ

四方院「一件落着のようですわね」

兵頭「全く人騒がせですね……ふふふ、私の言えた話ではないですが」

鞍馬「……」

赤穂「……ふうっ」

何事もなくてよかったな……

明日早いので本日はここまでで。

【ホテルミライ・レストラン】

津浦「皆さん、ご迷惑をおかけしました」

苗木「ま、まあ怪我がなくて何よりじゃないかな?」

遠見「反動で1日は手が痺れるように感じると思うでありますが、長引きはしないので安心してほしいであります」

津浦「はい」

グレゴリー「ならばこの天具その四十三、第三の腕を使うがいい!」

道掛「キモッ!?リアルすぎんだろそれ!」

四方院「本物の腕のようですのね……」

グレゴリー「使用法は心臓の上から装着し……」

御影「うわぁ……想像しただけでヤバいって」

赤穂「そ、それよりグレゴリーはまた仮面着けたんだな」

グレゴリー「ふっ、あれは我が皮膚と同じ。皮膚を剥がしたままの者などいようはずがない!」

六山「チラッとだけど結構整ってたよね。隠さなくてもいいのに」

グレゴリー「ふははっ!外しはせんが賛辞は快く受けようではないか電脳の駆逐者よ!」

津浦「っ……」

ジェニー「コトハどうしたです?」

津浦「い、いえ」

土橋「……あー」

【赤穂のコテージ】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

赤穂「今日は疲れたな……」

何事もなかったとはいっても、精神的にはキツかったしな……

赤穂「もう寝よう」

この生活ももうすぐ10日……

津浦みたいに不安になる奴もいるだろうし、気を引き締めないとな。

【8日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「よし、牡丹を迎えに行くか」

【ホテルミライ・レストラン】

赤穂「……あれ?」

御影「なんか今日の料理いつもと違わない?」

土橋「今日の朝ごはんは琴羽が作ったからね」

赤穂「津浦が?またどうして」

土橋「あれだよあれ」

あれ?

津浦「どうでしょうか?」

グレゴリー「ふむ、我も火水操りし恵みの儀は行うが……言の葉の魔術師の腕にはかなわぬようだ」

津浦「そ、そうですか」

赤穂「……あー、なるほどな」

土橋「そりゃ命懸けで自分を止めてさらに守るなんて言われたらねえ。元々琴羽はグレゴリーとよく話してたし」

御影「ふーん……私にはよくわかんないね」

【サマーアイランド・水族館】

ジェニー「ほわあ……」

佐場木「おい。危険だからあまり近寄るな」

ジェニー「はいです!」

赤穂「また珍しい組み合わせだな」

佐場木「赤穂か……別に一緒に来たわけじゃない。水族館の調査をしていたらクラヴィッツが来ただけだ」

ジェニー「お魚いっぱいです……イルカいないですか?」

佐場木「それなら向こうの水槽だ」

ジェニー「ありがとうですハンジ!」

赤穂「……意外に面倒見いいんだな」

佐場木「お前は俺を冷血人間と勘違いしているようだが、俺が冷徹に接するのは犯罪者相手だけだ」

赤穂「……犯罪者だけ、か」

佐場木「ふん、未だに如月にあんな態度の俺が気に食わないか?」

赤穂「いや……佐場木からしたら如月さんを受け入れられないのは、理解したつもりだ」

佐場木「それならいい」

ジェニー「ハンジー!マサキー!見てくださいすごいですー!」

赤穂「ああ、今行くよ!」

佐場木「……赤穂、お前が如月をどう思うかは勝手だがよく覚えておけ」

佐場木「津浦をあそこまでにしたのはコロシアイだけじゃない。紛れもない如月怜輝の存在も要因だ」

佐場木「奴が何をほざこうと……奴のしている事に恐怖を感じる人間がいてそこから狂気は加速する」

佐場木「それは今あそこで笑う人間さえ死体に変えかねないのだとな」

赤穂「……ああ」

恐怖から産まれる狂気……津浦を見たら、否定なんか出来ないよな。

【図書館】

遠見「……」

赤穂「うわっ!?」

図書館の中央で遠見が寝転がって……倒れてるのかと思ったぞ。

遠見「んっ……赤穂殿でありますか」

赤穂「何をしてるんだよ。ビックリしたぞ」

遠見「危険書物の選定をでありますよ。少し休憩をしていたのでありますが……」

赤穂「床で休憩してたら誤解されるぞ……」

遠見「野宿などが当たり前だったのでついそうしてしまうのであります……コテージでもベッドは慣れないでありますし」

赤穂「ああ……軍人だもんな遠見は。でもその年で軍人っていうのも珍しいよな」

遠見「うーむ、自分の知る限り少年兵は珍しい存在でもないでありますよ?隊長殿も自分の相棒もそうでありましたし」

赤穂「相棒?」

遠見「観測手である自分は狙撃手と組んで行動していたのでありますよ。元々隊長殿に助けられた者同士で、相性は良かったでありますから」

赤穂「助けられた……?」

遠見「色々ありましたので……」

色々か……ろくな事ではなさそうだな。

道掛「いいやっほうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

赤穂「……」

また道掛が自転車を乗り回してるのか。

道掛「次はあっち行くぞ如月ー!」

赤穂「は!?」

よく見たら……道掛、如月さんと2人乗りしてるぞ!?

道掛「おっ、赤穂じゃん!」

赤穂「道掛、お前なんで如月さんと2人乗りなんて」

道掛「如月とはダチだからな!俺頭よくねえから考えてもわかんねえしよ!」

如月「僕も驚きましたが……そういうことらしいです」

赤穂「……」

鞍馬といい、如月さんといい……道掛は恐れる事なく踏み込んでいくな。

道掛「よっしゃ、今度はあっちだ!行こうぜ如月!」

如月「……安全運転でお願いします」

道掛「わかってるって!」

赤穂「……」

少し羨ましいな……

【サマーアイランド・ショッピングモール】

津浦「……」

赤穂「……津浦?」

津浦「Mr.赤穂、こんにちは」

赤穂「ああ。外に出るようにしたんだな」

津浦「Mr.グレゴリーの言葉にワタシも応えたいので。今はこの島を調べていました」

赤穂「そうか……図書館には行ったか?」

津浦「おそらく一番長い調査になるので最後にしようかと……相当数の言語の本があるのは聞いているので」

赤穂「津浦は文字の読み書きも出来るのか」

津浦「言葉ほどは得手ではありませんがだいたいは出来ますよ、両親の影響ですかね」

赤穂「両親?」

津浦「ワタシの両親は海外に行く事が多かったので、まともにコミュニケーションをとるには言語を勉強しなければいけなかったんです」

津浦「言葉が通じないのは少し怖かったので……何が相手を怒らせるか、何を言われているかというのを考えてしまうと余計に」

赤穂「それが【超高校級の通訳】の始まりか……」

津浦「両親も事故で亡くなって……1人で頑張らないといけませんでしたから」

津浦の怯えはそこも関係してたのかもな……

ここまで。

近々動機発表、事件発生です。

土橋「そういえば誠は【超高校級の幸運】だけど、今までで一番幸運だなって感じた事ってなんなの?」

苗木「そうだなぁ……」

赤穂「部屋でなくした1000円が見つかった事じゃなかったか?」

苗木「あはは……やっぱりそれになっちゃうかな。ボクって本当に平々凡々だから」

土橋「アタシ幸運って聞くとすごいラッキーってイメージだけどそんな事もないんだ」

苗木「先輩達はすごいからね……苗木先輩なんて【超高校級の希望】になっちゃうし」

赤穂「俺の同期もかなりすごい幸運だったな」

噂だと幼なじみと一緒に通うために幸運の座を引き寄せたなんて言われてるし……

土橋「もしかしたら誠もこれから幸運を発揮するのかもしれないし、平々凡々だなんて卑下しなくてもいいんじゃないの?」

苗木「あはは、そうだといいんだけどね……」

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「オマエラ!至急中央の島に集合!」

モノクマ「ボクからとっても素敵なお話がありまーす!」

赤穂「……!」

モノクマがわざわざ俺達を集めるって事は……

赤穂「新しい動機か……!」

くそっ、今度はいったい何をする気だ……

【中央の島・未来機関第二十支部】

苗木「いったい何の用なんだろう……」

六山「普通に考えたら動機かな……でも前に違う用件でも呼び出されたし」

兵頭「ルール違反者の処罰ですね。静音さんが厨房を……」

四方院「ルール違反?そんな事、ありましたか……?」

土橋「あっ、奏は覚えてないかもね!うん!」

道掛「俺もよく覚えてねえや!だから気にすんなよ奏ちゃん!」

四方院「……えぇ」

四方院さん……あの静音が殺されかけた時の事も、覚えてないのか。

モノクマ「お待たせー!オマエラみんな集まってるね!」

津浦「っ……!」

グレゴリー「案ずるな言の葉の魔術師」

津浦「は、はい」

佐場木「モノクマ、今度は何を仕掛けてくるつもりだ」

モノクマ「仕掛けるなんて心外だなぁ。ボクは今回オマエラに素敵なお話を持ってきたんだよ?」

如月「あなたにとっての素敵なお話とやらは僕達にとってはろくなものではありませんよね?」

モノクマ「うぷぷ、それはそっちが聞いて決めればいいよ」

遠見「くっ、話とはいったいなんなのでありますか!」

モノクマ「うぷぷ……よーく聞きなよ。ビックリドッキリなニュースだからね」

鞍馬「……」







モノクマ「オマエラの中に人殺しがいまーす!」






赤穂「……は?」

俺達の中に、人殺しがいる……

ジェニー「えと……みんな知ってるですよ?」

モノクマ「はぇ?」

如月「人殺しがいる、ですか。僕がいる時点でそれは明白では?」

遠見「自分も戦場では何人も敵を殺したであります……そんなもの動機にならないでありますよ」

俺達は戸惑いを隠せなかった。

人殺しがいる……それはジャスティスジャッジの如月さんや軍人の遠見がいる時点でわかりきっていた事だからだ。

モノクマ「あー、そうだね。確かに如月クンや遠見さんも人を殺してるよね、しかもその手で!」

赤穂「……!?」

今モノクマは何て言った!?

六山「あの……【も】って、何かな?」

モノクマ「おおっと!口が滑っちゃった!」

モノクマ「そうだなぁ、このまま事件が起きないようならさらに口が滑っちゃって名前も出しちゃうかも!」

まさかいるのか?

この中に如月さんや遠見以外にも人を殺してる人間が……!

御影「これが次の動機ってわけ……」

モノクマ「それじゃ、しっかり伝えたからね!」

モノクマ「さあさあ、どうなるかなー?ワックワクのドッキドキだよねー!」

本日はここまで。

次回事件発生です。

モノクマが消えてから俺達は互いに顔を見合わせてはそらすという行為を繰り返していた。

如月さんや遠見以外に人を殺した人間がこの中にいる。

津浦の恐怖から起きた事件があったばかりの俺達にとって、それは十分動機になりえるものだった。

如月「……なるほど。悪がこの中にいると」

苗木「ちょっ、ちょっと如月クン?まさか……」

如月「僕は悪を見逃すつもりはありません。誰かはっきりした時点で裁きを執行します」

赤穂「……!」

今回コロシアイに乗ると言ったも同然の如月さんの台詞に嫌な汗が流れる。

如月「……と言いたいところですが」

だけど如月さんは首を横に振ると困ったように肩を竦めた。

六山「言いたいところですが?」

如月「今の環境で裁きを執行してしまうと、僕はクロとなり自分と皆さんの命を天秤にかけなければならなくなります」

如月「僕はまだ死ぬわけにはいきませんし、皆さんの命を引き換えにする事は僕の正義に反します」

如月「残念ですが、悪に対する裁きの時間には猶予が与えられるようですね」

道掛「び、びっくりさせんなよ!殺す宣言に聞こえただろ!」

如月「ああ、すみません。少しまわりくどかったですね」

如月さんは、今まで通りコロシアイはしないって事か。

ヒヤヒヤしたな……

津浦「あの……モノクマの言う人殺しって誰の事なんですか?」

グレゴリー「言の葉の魔術師。それを追い求める事はパンドラの箱を開けると同義だ」

津浦「で、でもMr.グレゴリー……ワタシ、やっぱり怖いんです……」

土橋「気にしない方がいいよ琴羽。モノクマの事だからアタシ達って凪や千里も含めますとかやりそうだし」

御影「うわ、すっごくありそう……」

兵頭「ふふふ、それなら薄井さんがモノクマの言う人殺しという事になりますね」

鞍馬「……」

既に死んだ薄井も含めるか……確かにモノクマならやりかねない。

だとしたらこの動機は疑心暗鬼からコロシアイを起こさせるための……

津浦「……で、ですが、そうだとしたらおかしいところが」

御影「何が?」

津浦「モノクマがMr.如月やMs.遠見が人殺しと言った時に……しかもその手でと、言っていました」

グレゴリー「選ばれし者に霊魂たる者達が含まれるならば……ふむ、いささか惑いの言が過ぎるな」

四方院「確かに変な言い回しですわ。しかしそうなると……」

佐場木「つまり津浦。お前は間接的手段での死も含まれていると思っているわけか」

津浦「は、はい」

佐場木「ならば話は簡単だ。人殺しとやらは俺だ」

遠見「さ、佐場木殿!?」

佐場木「俺は何人もの犯罪者に死刑判決を下してきた」

佐場木「間接的という意味なら俺は人殺しという区分に分類されるだろう」

佐場木「つまり津浦、その不安はただの杞憂だ」

津浦「……」

グレゴリー「言の葉の魔術師、闇に飲まれるな。我がいるのだからな」

津浦「はい……」

これで、今回の動機は……なんとかなったのか?

【ショッピングモール】

六山「今回は乗りきれそうだね」カチカチ

赤穂「そうだな……モノクマの狙いがなんにしろ、コロシアイなんて起きないに越したことはないしな」

六山「あっ、ちょっと待っ」

赤穂「おっ、初めて六山に勝った」

六山「はあ……負けちゃった。【超高校級のゲーマー】じゃないからやっぱり負け知らずとはいかないなぁ」

赤穂「【超高校級のゲーマー】……そういえば77期生にいたな」

六山「七海千秋さんでしょ?ゲームソフトのバグ関連の依頼受けた時に名前聞いた事あるよ」

赤穂「やっぱり有名なのか」

六山「うん。ああいう楽しんでゲームしてくれる人がいたからわたしもデバッガーとして頑張れたんだ」

赤穂「……その言い方からして失踪したのも知ってるんだな」

六山「……うん。どこかでゲーム楽しんでくれてたらいいんだけどね」

【超高校級のゲーマー】の失踪……人類史上最大最悪の絶望的事件に巻き込まれたって噂だけど……

だとしたらここにもその爪痕が残ってるって事だよな……

【ホテルミライ・ロビー】

御影「……ねえ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」

四方院「なんでしょう?」

御影「静音って、どんな子なの?」

赤穂「おい牡丹……!」

ホテルに入った瞬間聞こえてきた会話に思わず声を出してしまう。

牡丹のやつ、四方院さんに静音の事聞くなんて何考えて……!

四方院「凪の事をお知りになりたいんですの?ふふっ、構いませんわ。赤穂さんもよろしかったら」

赤穂「えっ、あ、ああ」

四方院「さて、そうですわね……凪を一言で表すなら、わたくしの人生の恩人です」

御影「人生の恩人……」

四方院「わたくしは今でこそ【超高校級のフルート奏者】と呼ばれていますが……実はフルートをやめようと思っていた時期があったんです」

四方院「あの頃のわたくしにとってフルートはただやっているだけのものでした」

四方院「大人達が難しい評価をして、年の離れた奏者が妬みを隠さないままお世辞を言う……同年代の子が友達と遊ぶなかでわたくしはひたすら大人に叱責されながら演奏の日々」

四方院「正直疲れはてていましたの。だからそれなりに大きな演奏会で初めて独奏を任された時、わたくしは決めたんです」

四方院「もうフルートを吹くのは最後にしよう……と」

四方院「そんな気持ちのまま控え室で演奏を練習していて……それが一段落した頃」

四方院「凪と、出会いましたの」

四方院「凪はわたくしの演奏を聞いていたようで、はっきりとこう言いましたわ。【すごい!】と」

四方院「それだけと思いますか?ですがわたくしにとってあの凪のたった一言は……大人達の理屈をこねた言葉や他の奏者達の負の感情をこめられた言葉よりも……」

四方院「はるかに尊く、嬉しい言葉だったんです」

四方院「出番が来るまで凪と話して……もっと話をしたい、わたくしのフルートを聞いてもらいたいと思うようになって」

四方院「その頃にはフルートをやめるなんて思っていた事は頭から消えていましたの」

四方院「凪と過ごす時間はわたくしの心を救ってくれました」

四方院「そしてあの子がわたくしの演奏会に指揮者として来て、これからはステージでも一緒だよと言ってくれて」

四方院「あの子がいなければわたくしはきっとフルートをやめていて……本当にあの子はわたくしの……あら?」

御影「涙……出てるよ」

四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」

四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」

赤穂「……」

静音は四方院さんをあんなに慕っていたけど……四方院さんの方も静音をこんなに想ってたんだな……

兵頭「鞍馬さんはどんな才能でここにいるんですか?」

鞍馬「……いきなりなんですか」

兵頭「ふふ、だって気になるじゃないですか。あなたと御影さんは才能不明なんですよ?」

鞍馬「……」

兵頭「最初は才能がないのかもしれないと予測しましたけど……そうだとしたらあなたが如月さんと渡り合える説明がつきません」

鞍馬「……」

兵頭「かといって才能があるのならよほどのものでもない限り名前ぐらいは聞くのにそれもありません」

鞍馬「……」

兵頭「全てが謎……あなたは何者なんですか?鞍馬類さん」

鞍馬「……答える義務はありませんね」

兵頭「そうですか。ふふ、答えてくれるとは思ってませんでしたが」

鞍馬「人を探る前に自分の身の振り方を考える方がいいのでは?」

兵頭「はい?」

鞍馬「このままでいるようならあなたは死にますよ」

兵頭「……ご忠告どうもありがとうございます」

赤穂「……何してるんだ」

言い争いと言うほどでもないけど、静かに火花が散ってるぞ……

兵頭「ふふ、なんでもありませんよ」

鞍馬「……」スタスタ

本当に……何を話してたんだ?

【図書館】

グレゴリー「……」

赤穂「グレゴリー?」

グレゴリー「聖痕抱きし英雄か」

赤穂「もう夜になるぞ。コテージに戻った方がいいんじゃないか?」

グレゴリー「もうそこまでの時が経っていたか……」

赤穂「なんだ、本に夢中になってたのか?」

グレゴリー「然り。己が力を高めるためにあらゆる知識を我が物とする事は時の代償が不可欠だ」

赤穂「あんまり根を詰めすぎるなよ?」

グレゴリー「案ずるな、今我が地に伏せば言の葉の魔術師の精神に傷を負わせかねん」

赤穂「……そうだな」

グレゴリー「さて、闇も迫り来ている……我は戻るとしよう」

赤穂「グレゴリー」

グレゴリー「むっ?」

赤穂「今は津浦の事はお前に頼るしかない……だから何かあったら頼るようにしてくれよ」

グレゴリー「ふっ、我も孤独ではないという事か……その言霊、我が血潮としよう」

グレゴリーは津浦の事といい結構無茶するからな……

【赤穂のコテージ】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

赤穂「……」

前みたいに、動機が出されてすぐに何かする人間は出なかったな。

赤穂「このままモノクマの動機をはね除けていけば……」

俺もそのために出来る限りの事をしないとな……







【???】

「……」

「…………」スッ

カタン

「……」ニヤッ

スタスタ……






【9日目】

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

赤穂「んっ……」

朝か……牡丹を迎えにいかないとな。

【ホテルミライ・ロビー】

御影「ふああ……」

赤穂「眠そうだな、遅かったのか?」

御影「んー、なんか誰かが夜中出歩いてたみたいでさ……」

赤穂「夜中に出歩いてた?誰がだよ」

御影「知るわけないじゃん。ただコテージ周りの木の床が鳴る音しただけだし」

赤穂「誰かが夜中に……」

……いや、まさか。

そんなはず、ないよな?

【ホテルミライ・レストラン】

苗木「おはよう2人共」

ジェニー「おはようです!」

道掛「おーっす」

赤穂「おはよう……ってあれ?みんなはどうしたんだ?」

苗木「それが……今日これだけしかまだ来てないんだよね」

御影「……えっ」

道掛「奏ちゃんも美姫ちゃんも来ないから俺達で飯作ってたんだけど、なんかおかしくね?」

ジェニー「いつもならハンジやメメも来てるです……」

赤穂「……」

なんだこれ……何かおかしいぞ。

赤穂「ちょっとみんなを起こしてくる!牡丹はここにいてくれ!」

御影「あっ、兄貴!」

【ホテルミライ・コテージ周辺】

佐場木「くそっ、何が起きている……!」

遠見「とにかく今は各人の安否確認であります!」

兵頭「私は本当に……」

如月「これはいったい……」

鞍馬「……」

赤穂「!?」

なんで外から5人が……いや、今はそれどころじゃない!

佐場木「赤穂か!おい、レストランには今何人いる!」

赤穂「俺を入れて5人……牡丹、苗木、ジェニー、道掛だ」

遠見「それだけで、ありますか……!?」

如月「こちらにいるのも5人……いないのは六山さん、グレゴリーさん、津浦さん、土橋さん、四方院さんですか……」

ガチャッ

六山「ふああああ……おはよー。みんな集まって何してるの?」

兵頭「これで4人、ですね」

赤穂「いったい何があったんだよ。なんで佐場木達は外から……」

ピンポンパンポーン…!







モノクマ「死体発見!死体発見!」

モノクマ「捜査タイムの後学級裁判を始めまーす!」






赤穂「!?」

佐場木「死体だと……ちいっ!急いで残りの4人を探すぞ!」

ホテルから出ていく佐場木達を俺も追いかける。

死体発見アナウンスは3人以上の人間が死体を見つけた時に鳴る。

つまり4人の中の誰かが殺されて……それを残りの3人が見つけたって事だ。

いったい誰が。

後ろから来た何人かに追い抜かされて、心臓をバクバクと鳴らしながら……

俺もそこにたどり着いた。







【建物の中は相変わらず暗く、幻想的な空間だった】

【そこにいたのは4人の人間】

【1人は泣き崩れていた】

【1人は呆然と見上げていた】

【1人は床に座り込んでいた】

【そして見上げていた1人の視線の先には……最後の1人がいた】












【超高校級のフルート奏者四方院奏は……】

【なぜか右腕がないまま】

【水族館の中で首を吊られていた】












CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】(非)日常編 END

生き残りメンバー15→14人

NEXT→非日常編






本日はここまでで。

四方院さん退場です。

次回捜査開始します。

それではおやすみなさい……

捜査は3日以内には始めたいと思います。

なお今回の席順は時計回りで

赤穂→ジェニー→四方院→道掛→グレゴリー→御影→遠見→苗木→兵頭→如月→鞍馬→土橋→佐場木→津浦→薄井→六山→静音→赤穂

です。







CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】非日常編






赤穂「……」

首を吊られている四方院さん……

結局彼女は、静音の死を受け入れられないまま……殺されてしまった。

佐場木「……くそっ!」

遠見「……」

御影「静音の所に帰るんじゃなかったの……なんで、こんな……」

赤穂「牡丹……」

モノクマ「ある意味ではよかったじゃない!望み通り静音さんに会いに逝けてさ!」

苗木「モノクマ……!」

道掛「出やがったな!」

モノクマ「さてさて、オマエラが呑気にしてる間にまたコロシアイが起きてしまったわけですが」

モノクマ「ここからはのんびりしてらんないよ!捜査タイムは有限なんだからね!」

モノクマ「というわけで!ザ・モノクマファイル2ー!」

モノクマ「うぷぷ!次はどんな本性が明るみになるのかな?」

モノクマ「アーハッハッハッハッハ!」

六山「本性……」

如月「下らない戯れ言ですね……」

赤穂「……」

本性……それを隠して四方院さんを殺した人間。

俺達は……暴き出さないといけないんだ。


     【捜査開始】

赤穂「モノクマファイル……今回は何が書いてあるんだ?」

【被害者は四方院奏。
死因は首を絞められた事による窒息死。
被害者は右腕を二の腕から鋭利な刃物で切断されている】

赤穂「……」

なんだこのモノクマファイル……

死亡推定時刻はともかく……死体発見現場まで書かれてない?

赤穂「水族館なのはわかりきってるのに……なんでだ?」

コトダマ【モノクマファイル2】を手に入れました。
〔被害者は四方院奏。
死因は首を絞められた事による窒息死。
被害者は右腕を二の腕から鋭利な刃物で切断されている〕

佐場木「遠見、今回も見張りは任せる」

遠見「了解であります」

道掛「じゃあ俺もまた見張りするぜ!」

佐場木「……今回は勘違いなどしないようにしっかり見張れよ」

道掛「おう、任せとけ!」

佐場木「……とにかくまずは死体を降ろす。苗木、手伝え」

苗木「えっ、あっ、うん!」

水槽の横にある梯子を登って佐場木が四方院さんを吊るすロープの側まで行く。

俺も手伝いたかったけど、この足だと上には行けそうにない……

佐場木「……この水槽は中に梯子があるタイプか。その梯子にロープは結ばれているようだな」

佐場木がロープをほどくと、四方院さんの身体がゆっくりと下に降りてくる。

苗木「っ……だ、大丈夫だよ佐場木クン」

佐場木「今戻る。誰も触らせるなよ」

佐場木は戻ってくると四方院さんの死体を調べ出した……俺も気になる所は調べないとな。

赤穂「やっぱり気になるのは……右腕だよな」

四方院さんのいつも着ているドレスの右腕部分には本来あるべき右腕がなく、血が袖に滲んでいた。

佐場木「鋭利な刃物……骨の切断面から見て鋸辺りを使ったようだな」

赤穂「だけどなんで右腕を切ったりしたんだ。それにその右腕はいったいどこに……」

佐場木「目的は不明だが、どこにあったかは兵頭が知っている」

赤穂「兵頭が?」

佐場木「ふん、それは兵頭に聞け……索条痕はロープと一致している以上凶器はこのロープと考えていいだろう」

遠見「佐場木殿、吉川線がないようでありますが?」

赤穂「吉川線……抵抗の跡だったよな」

佐場木「そうだ。必ずつくという物でもないが……気にはしておくべきだな」

抵抗の跡がない……か。

コトダマ【四方院の右腕】を手に入れました。
〔四方院の死体は右腕が切断されていた。
右腕は水族館内にはないようだが兵頭が何かを知っているらしい〕

コトダマ【四方院の死体】を手に入れました。
〔四方院の首にある索条痕は吊るすのに使用されたロープと一致していた。
抵抗の跡はないようだが……〕

佐場木「四方院の死体に関しては最低限の事はわかった。そろそろ話を聞かせてもらおうか」

佐場木の視線の先にはグレゴリー、津浦、土橋。

今回死体を発見した3人……そもそもこの3人はなんでこんなところにいるんだ?

グレゴリー「我は昨夜の丑三つ時、何者かに襲撃を受けた。目を覚ました時……優雅なる笛吹きが命絶たれていたのを見つけたのだ」

津浦「ワタシもMr.グレゴリーと同じ頃に……コテージを訪ねてきた誰かに襲われて……気がついた時にMs.四方院の……死体を発見して……」

土橋「アタシは、朝ご飯を作りに6時頃コテージを出たら襲われて……気付いたらここにいたんだ。奏の死体を見つけた時は泣き叫んじゃって……」

俺が死体を見つけた時、立ち尽くしていた津浦、泣いていた土橋、座り込んでいたグレゴリー……

襲われたっていうけど……本当ならなんで犯人はそんなことを?

コトダマ【死体を発見した3人】を手に入れました。
〔水族館で死体を発見したグレゴリー、津浦、土橋。
グレゴリーと津浦は午前2時頃、土橋は午前6時頃襲われたらしい〕

コトダマ【死体発見時の3人】を手に入れました。
〔赤穂が死体を見つけた時グレゴリーは座り込んでいた。
津浦は立ち尽くしていた。
土橋は泣いていた〕

本日はここまで。

佐場木「赤穂、話がある」

赤穂「んっ?」

佐場木「グレゴリー、津浦、土橋の3人はこのままここに留まらせる」

赤穂「いいのか?捜査に割く人数が足りないぞ」

佐場木「しかしあの3人をこのまま外に出すわけにはいかん」

赤穂「……容疑者だからか?」

佐場木「そうだ。そのためにお前にいくつかの場所の捜査を任せる」

赤穂「なんで俺なんだ?俺も容疑者には変わりないぞ」

佐場木「ふん、お前は水槽の上に行けない。四方院を吊るせない以上最もクロから遠い男だ」

赤穂「よくわかったな……お前には話してないのに」

佐場木「四方院を降ろす時にお前が前に出ようとして躊躇ったのを見たからな」

赤穂「……」

よく見てるんだな……

赤穂「だけどこの足だぞ?捜査しきれるかどうか……」

佐場木「それに関しては問題ない。足をつける」

足?

道掛「いよっしゃあ!乗れよ赤穂!全部調べ尽くしてやろうじゃねえか!」

赤穂「あ、ああ」

俺が肩に掴まったのを確認すると道掛は自転車のペダルを強くこぎ出した。

道掛「佐場木もよくわかってるよな!俺の足が捜査に必要だなんてよ!」

赤穂「……」

佐場木は道掛が見張りの役に立たないから一番役立つ役割を振ったって言ってたけどな……

道掛「それでどこ行くんだ!」

赤穂「ショッピングモールだ!四方院さんの腕を切り落とした道具があるはずだからな!」

道掛「ショッピングモールか!よし、1分で連れていくぜ!」

【ショッピングモール】

赤穂「……」

道掛「うおっ!?こりゃ……」

ショッピングモールの工具売り場に無造作にそれは置かれていた。

赤穂「血塗れの鋸にブルーシート……四方院さんを運んだらしい台車やハンマーもあるな」

道掛「わけわかんねえ、こんなもん使ってまでなんで奏ちゃんの腕切ったんだよ……!」

確かに四方院さんの腕を切った理由はわからないんだよな……

コトダマ【ショッピングモールの工具】を手に入れました。
〔ショッピングモールに置かれた鋸、ハンマー、ブルーシート、台車。
いずれも血が付着しており四方院の腕を切るのに使用したと思われる〕

コトダマ【腕を切った理由】を手に入れました。
〔犯人はわざわざ台車で四方院をショッピングモールから水族館まで運んだようだ。
そこまでして四方院の腕を切った理由は不明〕

赤穂「……」

ないな……

道掛「何探してんだ?」

赤穂「ロープだよ。四方院さんを吊るしてたロープもここにあるかと思ったんだけどな……そもそもここにはロープ自体がないみたいだ」

道掛「じゃああのロープはどこにあったんだよ」

赤穂「それはまだわからない。だけど外から持ち込めない以上、どこかにあるはずだ」

ロープの出所……いったいどこなんだ?

コトダマ【ロープ】を手に入れました。
〔四方院を吊るすのに使用されたロープ。
ショッピングモールにはない物〕

道掛「次はどこ行くんだ?」

赤穂「兵頭を探そう。佐場木が言うには図書館を調べてるみたいだな」

道掛「よっし!それじゃあ次は図書館だな!」

【図書館】

兵頭「……」

如月「ふむ、痕跡はありませんね」

赤穂「如月さんもいたのか……」

道掛「よーっす!」

如月「おや、お2人も来ましたか」

赤穂「兵頭、佐場木から聞いたんだけど四方院さんの切られた右腕について何か知ってるか?」

兵頭「……ありましたよ」

道掛「あったって奏ちゃんの腕がか!?どこだよ千ちゃん!」

如月「兵頭さんによると……この図書館のようです」

赤穂「は?」

図書館に……四方院さんの腕が?

兵頭「私は6時半ごろこの図書館に来ました。その時確かに見たんです」

兵頭「図書館のテーブル……ちょうど道掛さんが手をついてるそれの上に置かれた人の腕を」

道掛「ぬおわぁっ!?」

兵頭「さすがにそのままには出来ませんから……急いで如月さんのコテージに行ってその事を伝えました」

如月「話を聞いて僕が図書館に行こうとしたその時ですね。佐場木さんと遠見さん、鞍馬さんがコテージから出てきたのは」

だから朝にいなかったのか……

赤穂「それでその腕は今どこに?」

兵頭「……わかりません」

如月「なかったんですよ」

赤穂「なかった?」

兵頭「確かにあったはずなのに、図書館にあった腕は……」

兵頭「跡形もなく消えていたんです」

腕が消えた……!?

如月「調査はしましたが何もなく……7時頃にまずは安否確認をしようという話になってコテージに戻ってきたんですよ」

兵頭が図書館で見た腕……だけど人を連れて戻ったら消えていた……

これはいったい……

コトダマ【兵頭の目撃】を手に入れました。
〔兵頭は6時半ごろ図書館で人の腕を見た。
しかし人を連れて戻った時にはその腕は消えていた〕

コトダマ【図書館の捜索】を手に入れました。
〔兵頭の目撃後図書館は佐場木、如月、遠見、鞍馬、兵頭の5人で7時まで調査を行ったようだ〕

今日はここまで。

赤穂「腕の話は聞いたし、次はどこに……って」

道掛「あいててて……」

赤穂「何してるんだよ道掛……」

道掛「さっき千ちゃんに驚かされて本棚に突っ込んじまったんだよ」

兵頭「私のせいだなんて心外です」

如月「大丈夫ですか道掛さん」

道掛「サンキュー。あー、本が散らばっちまったな」

赤穂「モノクマに何言われるかわからないし戻しといた方がいいな」

――――

赤穂「……1冊足りないな」

道掛「マジかよ!どこ行っちまったんだ!」

如月「元々なかったのでは?散らばったとはいえ、そこまで遠くに行くとも思えません」

兵頭「ここは……色々な事件やスキャンダルを扱うゴシップ誌のあった棚ですね。いったい誰が持っていったのやら」

ゴシップ誌か……事件には関係なさそうだな。

コトダマ【消えたゴシップ誌】を手に入れました。
〔図書館にあったゴシップ誌が1冊消えていた〕

【ホテルミライ・コテージ近辺】

赤穂「グレゴリー達のコテージに何か手がかりがあればいいんだけどな……」

道掛「つっても俺達が起きた時には何もなかったぜ」

御影「あっ、兄貴」

鞍馬「……」

道掛「おっ、前に勝負した時の4人が揃ったな!」

赤穂「そういえばそうだな……牡丹は何か見つけたか?」

御影「それが被害者はともかく他のコテージは開けられないって言われちゃってさ」

道掛「んん?なんでだ?もしかしたら犯人が一発でわかる証拠あるかもしんねえのに」

鞍馬「……だからですよ」

御影「さっさと犯人がわかったらつまらないから、被害者以外のコテージ調べるのは出来ないんだってモノクマが」

赤穂「悪趣味だな……それじゃあ四方院さんのコテージは調べたんだな?」

御影「まあね。それでこんなのがあったよ」

赤穂「これは……手紙?」

【同封した本を持って水族館に来てほしい。
待ってるよ奏。
静音凪】

道掛「は!?」

赤穂「静音凪……なるほどな」

四方院さんを呼び出すのにこれほど効果的な名前はない……

鞍馬「何者かが静音凪の名前を使い四方院奏を呼び出した。そう見ていいでしょう」

つまりこの手紙の差出人が……犯人なのか?

コトダマ【呼び出しの手紙】を手に入れました。
〔四方院を水族館に呼び出したと見られる手紙。
定規を使用したのか筆跡は特定不可能。
内容は【同封した本を持って水族館に来てほしい。
待ってるよ奏。
静音凪】〕

【ホテルミライ・ロビー】

六山「んー……?」

道掛「あれ?百夏ちゃんもこっち来てんのか?」

赤穂「何か探してるみたいだな……六山」

六山「あー、ちょうどいいところに来た」

赤穂「ちょうどいいって何がだ?」

六山「2人にも確認してほしいんだけど。ロビーのここら辺にさ、グレゴリーくんの発明あったよね?」

道掛「あれ?そういやあの気持ち悪い腕がなくなってんな」

赤穂「……ああ、あの津浦に使わせようとしてた腕か」

六山「あの後グレゴリーくんが誰でも使えるようにってここに置いてたんだけど……」

赤穂「それがなくなってる、か」

グレゴリーのあの腕の発明が消えた……気になるな。

コトダマ【第3の腕】を手に入れました。
〔グレゴリーが設計したリアルな腕の形をしたもの。
ロビーに置いてあったがなくなっていた〕

明日から再開します

寝落ちしてしまいました……
今日は出来ないので明後日からの再開になります。
本当に申し訳ありません。

【水族館】

佐場木「戻ったか。捜査の結果を聞かせてもらおうか」

【佐場木に捜査結果を伝えました】

佐場木「なるほどな……こちらもあれからわかった事がある」

佐場木「凶器のロープだが……これはこの水族館に元々あるものだとわかった」

赤穂「元々?」

佐場木「水槽の近くにある緊急時の物品が入った箱が空だった。箱の内側にはロープの使用に関する注意が記されていた事、他の箱を調べた結果ロープが入っていた事から間違いないだろう」

赤穂「それじゃあ犯人はわざわざ呼び出しておきながらその場にある、しかも吊るすのに使えるような長いロープを凶器にしたのか?」

佐場木「凶器から特定されないためにその場の物を使うのは珍しい話ではない。しかし疑問もある」

赤穂「疑問?」

佐場木「その箱には同じく緊急時に使用すると思われるナイフが入っていた」

赤穂「ナイフ……」

佐場木「他の箱ではロープの下にあった物だ。もしかすると犯人は……ナイフに気付かずロープを使った可能性があるな」

犯人がナイフに気付かなかった……わざわざ手紙を使って水族館に呼び出したのにか?

コトダマ【ロープ】をアップデートしました。
〔四方院を吊るすのに使用されたロープ。
水族館に緊急時のために置かれていた物〕

コトダマ【凶器の選択】を手に入れました。
〔犯人はロープと同じ箱に入ったナイフを使わず、ロープを凶器に使用した。
犯人はナイフの存在に気付かなかった可能性がある?〕

ジェニー「ミキ……大丈夫です?」

土橋「うん……ありがとねジェニー」

赤穂「土橋、ちょっといいか」

土橋「あ、政城……」

赤穂「土橋は他の2人と違って6時頃襲われたんだよな?」

土橋「そうだよ。後ろからいきなり殴られて……気がついたら水族館にいたんだよ」

赤穂「目を覚ました時何かあったか?」

土橋「そうだね……あたしは悲鳴に起こされて……琴羽が立ち尽くしてて視線を追ったら……」

土橋「奏が吊るされてるのを、見つけて……アナウンスが鳴って……」

ジェニー「ミキ……」

赤穂「わかった。ごめんな、辛い事聞いて」

土橋「ううん、アタシは大丈夫だから……」

コトダマ【土橋の証言】を手に入れました。
〔6時頃襲われた土橋は津浦の悲鳴で目を覚ました。
目を覚ますと津浦が立ち尽くしており、そこで四方院の死体を発見、死体発見アナウンスが鳴ったようだ〕

グレゴリー「なぜ此度の死神は我らをこの舞台に召喚したのだ……」

津浦「……」

グレゴリーと津浦……土橋を含めたこの3人がなんで目撃者に選ばれたのかは確かに謎だよな……

赤穂「2人は2時頃襲われたんだよな」

グレゴリー「然り。首元に一撃を加えられ、意識を刈り取られた……その痕跡もある」

確かに首元に痕があるな……

津浦「ワタシも頭を……」

赤穂「……なんで2人はそんな時間にチャイムを鳴らした相手に反応したりしたんだ?」

グレゴリー「その刻に訪れると記された文が我が神殿に捧げられていたからな」

津浦「ワタシもです……Mr.グレゴリーからの手紙だったので、油断していました……」

グレゴリー「なに?言の葉の魔術師、我は文など送っていないぞ……!」

津浦「はい、今なら犯人からの偽物だとわかります……」

また手紙か……

赤穂「現物とか持ってないか?」

グレゴリー「我のは神殿に安置されているはずだ……」

津浦「ワタシもですね……」

赤穂「やっぱりそうか……」

コテージが調べられない以上、手紙を調べるのは不可能か……

コトダマ【グレゴリーと津浦の証言】を手に入れました。
〔グレゴリーと津浦は深夜にコテージを訪ねるという手紙をコテージに送られていた。
津浦の手紙はグレゴリーからのものに偽造してあったらしい。
グレゴリーは首元を殴られ、現在もその痕跡が残っている〕

赤穂「……んっ?」

道掛「おっ、どうかしたのか?」

赤穂「今水槽の中に何かあったような……」

道掛「水槽の中?よっしゃ、ここはこの俺が潜って見てきてやるぜ!」

佐場木「やめておけ。そこは鮫の水槽だ」

道掛「マジか!?」

佐場木「ふん、しかし何かあったというのは気になるな……」

ジェニー「ボクが行ってくるです!」

道掛「お、おいおい大丈夫かよ!」

ジェニー「大丈夫です!もうここのみんなとは仲良くなったです!」

赤穂「仲良くなったって……」

ジェニー「それじゃあ、ちょっと待っててくださいです!」

…………

ジェニー「行ってくるです!」

ジェニーが潜って水槽の底に向かっていく。

それを俺達は水槽の外から、何かあった時のために遠見と佐場木は上にある水槽の入口から見ていた。

赤穂「ジェニー……」

俺の心配をよそにジェニーは順調に進む。

時々近寄る鮫がいてもジェニーを襲ったりはせず、むしろなついているようにさえ見えた。

ジェニー「……」

赤穂「そろそろだな……」

ジェニー「……!」

道掛「なんだ?なんかジェニーちゃん慌ててね?」

佐場木「……」

遠見「戻ってきたであります!」

ジェニー「ぷはあっ!うっ、あっ……」

赤穂「どうしたジェニー!何があったんだ!」

ジェニー「ゆ、ゆ、指……」

ジェニー「指が、沈んでたです……」

道掛「指ぃ!?」

佐場木「遠見!」

遠見「わかってるであります!」

ジェニーと入れ替わりに飛び込んだ遠見がものすごいスピードで底に向かう。

そして戻ってきた遠見の手には小さく細いモノが握られていた。

遠見「人……それも女性の指で間違いないであります」

佐場木「四方院のものか」

遠見「おそらく。それとこの指……鮫が食い散らかした残りかと」

道掛「うげっ……!?」

ジェニー「ひうっ……」

赤穂「犯人は切った腕を鮫に処理させたのか……」

遠見「処理させた後痕跡をわかりにくくするためか、あらかじめ骨まで砕いてあったであります。事実底には白い骨らしき破片が散らばっていたでありますよ」

佐場木「この指が残っていたのは……奇跡と言う他ないな」

腕を切って、図書館に置いて、鮫の水槽に沈めた……

犯人は本当に何のためにこんな事をしたんだ……

コトダマ【水槽の指】を手に入れました。
〔鮫の水槽に沈められていた女性の指。
四方院のものと思われる。
指は鮫に食い散らかされた残りのようで、骨は砕かれていた〕

キーンコーン、カーンコーン…

モノクマ「さーてそろそろ始めようか?」

モノクマ「命懸けの学級裁判を!」

モノクマ「オマエラ中央の島に集合してくださーい!」

ブツン!

赤穂「……」

捜査は終わりか……だけどまだ犯人を絞り込む何かが足りない気がする……

赤穂「……」

何でもいい、何かないのか……!

ジェニー「あ、あのマサキ……」

赤穂「どうしたんだジェニー?」

ジェニー「指でパニックだったから言えなかったですけど……こんなのが指の近くにあったです」

ジェニーが見せてきたのはグシャグシャになった紙。

濡れて文字が滲んでしま、何が書いてあったかわからなくなっているその紙にはかろうじて読める文字はたった3つ。

赤穂「……【クープ】?」

この紙、もしかして……

赤穂「ジェニー。この紙の事、ちょっとみんなには黙っててくれないか?」

ジェニー「えっ?」

赤穂「もしかしたら犯人を見つけられるかもしれないんだ、頼む」

ジェニー「……わかったです!前にボクを助けてくれたマサキを信じるです!」

赤穂「ありがとうな」

……後は、学級裁判の議論で見つけるしかない。

真実を。

コトダマ【紙切れ】を手に入れました。
〔四方院の指の近くに沈んでいたのをジェニーが見つけた物。
滲んで文字はほとんど読めないが【クープ】という文字だけは読み取る事が可能。
この紙の存在は赤穂とジェニーしか知らない〕

【中央の島・未来機関第20支部】

モノクマ「おっそーい!」

赤穂「この足だから仕方ないだろ……みんなは?」

モノクマ「もう行ったよ!2人が来ないと始められないんだからさっさと行った行った!」

ジェニー「は、はいです!」タタタッ

モノクマ「ほら、赤穂クンも早く!」

赤穂「……わかってる」

モノクマも消えて1人残された俺は裁判場に続くエスカレーターに乗る。

赤穂「……」

【超高校級のフルート奏者】四方院奏。

俺達を引っ張っていた彼女は大切なパートナーである静音を殺された挙げ句、今度は自分自身が殺されてしまった。

どうして殺されたのが彼女だったのか?

どうして犯人は彼女の腕を切り落としたのか?

それはまだわからない。

ただ1つ言えるのは……

ガチャン

【学級裁判場】

モノクマ「やっと全員揃ったね!」

モノクマ「全く団体行動ぐらいきちんとしてくれないと困るよ!」

モノクマ「ボクの知り合いにもそんな……ってそんなのはどうでもいいんだよ!」

モノクマ「ほら遅刻者はさっさと席に行けー!」

モノクマに促されて自分の席に立つ。

周りを見渡せばみんなも思い思いの表情を浮かべていた。

六山「はぁ……また来ちゃったね」カチカチ

ジェニー「……カナデ」

道掛「絶対犯人は見つけてやるぜ……!」

遠見「……」

この中にいる。

佐場木「あの薄井を見て犯行に及ぶ……この事件は……」

グレゴリー「くっ……傷が痛むか」

津浦「怖い、ですね……」ガタガタ

土橋「なんでアタシだったの……」

御影「せめて向こうで再会しなよ……」

四方院さんを殺してその腕を切り落とした犯人が。

兵頭「ふふっ、またあの投票が……」

苗木「どうしてあんな事になったのかな……?」

鞍馬「……」

如月「……全ては正義の名の下に」

わからない事だらけの学級裁判。

だけど見つけなきゃ……

赤穂「……」グッ

俺達は死ぬしかないんだ。

明日学級裁判に入ります。
先月はまともな更新が不可能でしたがこれからは少しは安定して再開出来ると思います。

それでは。

・コトダマ一覧表

【モノクマファイル2】>>332

【四方院の右腕】
【四方院の死体】>>334

【死体を発見した3人】
【死体発見時の3人】>>335

【ショッピングモールの工具】
【腕を切った理由】>>339

【兵頭の目撃】
【図書館の捜索】>>341

【消えたゴシップ誌】>>343

【呼び出しの手紙】>>344

【第3の腕】>>345

【ロープ】アップデート版
【凶器の選択】>>348

【土橋の証言】>>349

【グレゴリーと津浦の証言】>>350

【水槽の指】>>352

【紙切れ】>>353

再びの惨劇は四方院奏の命を奪い去った。
切られた腕、目撃者の存在……数多くの不可解な行動は学級裁判を混迷の渦へと導いていく。
全ての糸をほどいた先にある真実とは……


     【学級裁判開廷!】

モノクマ「はいはい、それでは学級裁判の説明をしまーす!」

モノクマ「学級裁判ではオマエラに誰が犯人かを議論してもらいます!」

モノクマ「その結果は投票によって決定され、正しいクロを指摘できればクロがおしおき」

モノクマ「ただし間違えたら……クロ以外の全員がおしおきされ、クロは自由の身となるのです!」

佐場木「今回の事件は不可解な点が多い。1つずつ潰していくぞ」

津浦「お言葉ですがMr.佐場木……その必要はありません」

佐場木「どういう意味だ」

津浦「犯人は1人しかあり得ません!」

遠見「1人、でありますか?」

津浦「Mr.如月!あなたです!」

如月「……僕ですか?」

津浦「あんな惨い殺し方……あなた以外に出来るはずがありません!」

赤穂「……」

如月さんが四方院さんを殺した?

いや……それはないはずだ。

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【図書館の捜索】
【兵頭の目撃】
【四方院の右腕】


津浦「犯人はあなたですMr.如月!」

>如月クンが四方院さんを……?

如月「僕は犯人ではありませんよ」

佐場木「そこまで言うからには根拠があるんだろうな?」

津浦「今回の動機は人を殺した人間がいる……」

津浦「そしてその人間を殺すとMr.如月は明言していました」

確かに……<

津浦「何よりあんな残酷な殺害方法を取るのは殺人鬼であるMr.如月以外にあり得ません」

津浦「【今回の事件は全てMr.如月が引き起こしたんです!】」

如月さんが四方院さんを殺した……

だけど少なくとも如月さんには出来ない事があるはず。

それを津浦に示すんだ!

【図書館の捜索】

赤穂「それは違ってるぞ!」


赤穂「いや、如月さんに今回の犯行は不可能だ!」

津浦「なんでですか!」
赤穂「今回の事件、如月さんには出来ない事があるんだよ」

道掛「出来ない事?わかったぜ、実は如月は虫も殺せねえんだな!?」

苗木「そ、それはないんじゃないかな……?」

赤穂「如月さんは四方院さんの死体が見つかる少し前まで兵頭に呼ばれて佐場木達と図書館を調べてたんだ」

六山「図書館?四方院さんが見つかる前に何かあったの?」

兵頭「腕です」

御影「は?腕?」

兵頭「図書館に腕があったんです」

土橋「な、なにそれ……」

グレゴリー「……それはやはり優雅なる笛吹きのものか?」

兵頭「わかりません。私はそれを見つけてすぐ図書館から出ていって……戻った時には腕は消えていたので」

如月「兵頭さんは僕に知らせにコテージまで来てくれました」

遠見「自分や佐場木殿もそれに合流して図書館を調べたでありますよ」

赤穂「腕が消えていたなら犯人は兵頭が図書館から消えた後に腕を片付けたって事になる」

赤穂「だけど如月さんは兵頭が戻った時には既にコテージにいた」

赤穂「如月さんが犯行を行うのは時間的に無理があるんだ!」

津浦「……」

如月「津浦さん。確かに僕は犯罪者とはいえ人を殺しています、そこを否定はしません」

如月「しかし四方院さんは犯罪者ではない。そして僕は犯罪者以外を裁くような真似はしません」

如月「理解していただけると、ありがたいのですが」

津浦「ひっ……ご、ごめんなさいっ……」

如月「……まいりましたね」

佐場木「これが貴様の行動の結果だ。とにかくこの殺人鬼が犯人ではないと仮定して議論を進めるぞ」

六山「あっ、それじゃあ気になる事があるんだけどいいかな?」

苗木「気になる事?」

佐場木「いいだろう、話してみろ六山」

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【呼び出しの手紙】
【グレゴリーと津浦の証言】
【土橋の証言】

六山「あのね、四方院さんはリーダーもやってたしこの中だと頭がいい方だと思うんだ」

六山「静音さんが殺された後も脱出のための調べものとかはしてたし」

御影「まあ……静音が死んだのは認められなかったみたいだけどね」

六山「そんな四方院さんを犯人はどうやって水族館に呼び出したのかな?」

六山「普通なら警戒すると思うんだけど……」

土橋「アタシ達みたいに〔襲われた〕んじゃないの?」

兵頭「〔コテージで殺害された〕可能性もあるのでは?」

グレゴリー「己が意思に基づいて水の都に向かったのではないか?」

御影「……〔呼び出しにどうしても応じるしかなかった〕んだよ」

〔呼び出しにどうしても応じるしかなかった〕←【呼び出しの手紙】

赤穂「それが正しいはずだ!」


赤穂「牡丹の言う通り、四方院さんはその呼び出しに応じる以外の選択肢はなかったはずだ」

六山「どういう事かな?」

赤穂「四方院さんのコテージには呼び出しの手紙があったんだよ」

苗木「だけど呼び出しだけならやっぱり警戒するんじゃ……」

赤穂「その差出人が、静音凪じゃなかったら四方院さんも警戒しただろうな」

土橋「ちょ、ちょっとそれ……どういう事なの?」

御影「そのまんまの意味、四方院を呼び出した手紙は静音からのものだったんだよ」

グレゴリー「馬鹿な!鎮魂の指揮者は魂の状態から優雅なる笛吹きと接触したと言うのか!」

赤穂「当然犯人が静音の名前を騙ったんだろう……だけど四方院さんからしたらいてもたってもいられなかったはずだ」

遠見「四方院殿の静音殿への感情を考えたら、当然でありましょうな……」

犯人もそれをわかっていながら静音の名前を使った。

いったいどんな考え方をすればそんな事が出来るんだ……?

佐場木「犯人は静音の名を使い四方院を水族館に呼び出した」

兵頭「そこで四方院さんを殺害した犯人は右腕を切り落として図書館に……」

土橋「確か水族館にはナイフがあったし、それで切ったのかな?」

赤穂「いや、それは違うぞ」

四方院さんの腕を切ったのは水族館のナイフじゃなくて……

【ショッピングモールの工具】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「四方院さんの腕を切ったのに使ったのは水族館のナイフじゃなくてショッピングモールの工具だ」

道掛「ショッピングモールには血のついたハンマーとか鋸とかあったのを見たぞ……」

ジェニー「何でそこまでしてカナデの腕を……?」

遠見「それはわからないでありますが……何らかの意図があったのは間違いないであります」

津浦「図書館に置いておいたのですから……誰かに見せつけるのが目的だったのでは?」

兵頭「それを私が発見したと……」

グレゴリー「しかしそのためにわざわざ水の都で殺めた優雅なる笛吹きを転移させたというのか?」

赤穂「……」

四方院さんの腕を切った理由、今の俺にはなんとなくわかってる。

だけど……

鞍馬「……やめておく事ですね」

赤穂「えっ?」

鞍馬「……」

鞍馬……?

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【腕を切った理由】
【ロープ】
【四方院の死体】

御影「犯人は四方院の腕をショッピングモールで切り落とした……」

兵頭「なんのためにそんな事をしたのかは不明ですか」

如月「しかし犯人にとっては必要な事だったのは確かですね……」

六山「うーん……今回の犯人はよくわからないよね」

苗木「わかってるのは【ショッピングモールで凶器や切り落とす道具を用意した】事と……」

津浦「【手紙でMs.四方院を呼び出して】いるのですから計画性があったというところでしょうか?」

【ショッピングモールで凶器や切り落とす道具を用意した】←【ロープ】

赤穂「それは違ってるぞ!」


赤穂「いや、凶器のロープはショッピングモールにあったものじゃない」

苗木「えっ、そうなの?」

佐場木「あのロープは元々水族館にあった。緊急時に使う物としてな」

土橋「そうそう、ナイフがあった箱にセットで入ってたはずだよ」

グレゴリー「ほう、そうであったなら優雅なる笛吹きを殺めた死神はその手段に刃ではなく縄を選んだというのか」

津浦「そういう事になりますね……」

それに関しては佐場木が推理してたよな……

【凶器の選択】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「犯人はもしかするとナイフの存在に気付かなかったのかもしれない」

道掛「気付かなかったってそんなのありえんのか?」

佐場木「ロープの下にナイフは入っていた。あり得ない話ではない」

佐場木「最も、何らかの意図があった可能性も否めないがな」

遠見「うーむ……意図があるように見えて行き当たりばったりにも見える……」

遠見「六山殿の言う通り、今回の犯人は雲を掴むようにわからない存在でありますな」

御影「でもさ、今まで出た事とあった事を照らし合わせたら案外犯人は絞れそうじゃない?」

赤穂「そうだな……一度まとめてみるか」

苗木「えっと、まず犯人は四方院さんを手紙で水族館に呼び出したんだよね?」

如月「えぇ、そして四方院さんを水族館にあったロープを使い絞殺した」

遠見「その後犯人はショッピングモールの道具を用いて、四方院殿の腕を切り落としたのでありますね」

グレゴリー「その前後、我と言の葉の魔術師は惨劇の園へ導かれたわけか」

土橋「それで朝にアタシも襲われて連れてかれたんだよね……」

兵頭「さらに犯人は図書館に切り落とした腕を置いて私に目撃させたわけですが」

津浦「そして犯人はMs.兵頭が図書館からいなくなった後に腕を持って……その腕をどうしたんでしょうか?」

ジェニー「あっ……」

道掛「それはだな……」

御影「なに、あんたら知ってんの?」

四方院さんの腕がどうなったか、か……

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【水槽の指】
【四方院の右腕】
【四方院の死体】

兵頭「消えた四方院さんの腕……」

兵頭「道掛さんとジェニーさんはそのありかを知っているようですね?」

道掛「いや、知ってるっちゃ、知ってるような……」

津浦「歯切れが悪いですね……」

ジェニー「えとえと……」

土橋「もしかして〔誰かのコテージにあった〕とか!?」

遠見「そうではないのでありますが……」

苗木「兵頭さんが見つけたみたいに〔どこかに置かれてた〕んじゃないのかな」

佐場木「……とにかく一旦落ち着け。話したくても話せん」

御影「まっ、〔魚の餌にされてた〕ってわけでもないなら話せるでしょ」

〔魚の餌にされてた〕←【水槽の指】

赤穂「それに賛成するぞ!」


赤穂「正解だ牡丹」

御影「は?何が?」

赤穂「俺もその場にいたから知ってるんだけどな……四方院さんの指が水族館の水槽から出てきたんだよ」

苗木「す、水槽から?」

道掛「そうなんだよ……メメちゃんが言うには鮫に食い散らかされた残りだろうってよ」

土橋「それって、もしかしてなんか水槽に飛び込んでたあれ!?」

ジェニー「そうですです……」

兵頭「つまり、犯人は図書館から腕を水族館にまで持ち帰った後鮫の水槽に放り込んだわけですか……」

津浦「なぜそんな事を……海など、いくらでも途中に捨てる場所はあったのでは?」

赤穂「いや、それは無理だよ津浦」

海に捨てるって方法は確かに普通なら有効かもしれない。

だけどこのコロシアイではそれは不可能なんだ!

【閃きアナグラム開始!】

ポ○捨○○止○ルー○

明日早いのでここで切ります。
全然進まなくて申し訳ありません……

水曜日にまた更新します。

数日中には更新できたらと思います。
本当に進めなくて申し訳ありません……

【ポイ捨て禁止のルール】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「この島にはポイ捨て禁止のルールがある。だからクロは腕を水族館に持ち帰らざるを得なかったんだ」

道掛「うーむ、だけど変じゃね?」

グレゴリー「何に楔を覚える、音速の疾走者よ」

道掛「なんで犯人は腕をわざわざ図書館まで持っていったんだ?そんなめんどい事をする意味がねえじゃん」

苗木「そうだね……津浦さんは見せつけるためって推理してたけど、そもそもなんで見せつける必要があったのかな」

赤穂「……」

そうだ、腕を切る理由は多分だけどわかる。

でもクロがそれを図書館まで持っていった理由。

それが全然わからない。

なんでクロはそんな……

御影「……ねぇ、もしかしてなんだけど。そもそも、図書館にあった腕って本当に四方院の腕だったの?」

ジェニー「ど、どういう事です?」

土橋「まさか、他に腕切られた人がいるの!?」

御影「いやいや、そうじゃなくて。そういえば、その気になれば偽装できる物がホテルにあったなって」

遠見「ホテルにで、ありますか?」

腕を偽装できる物……もしかして牡丹はアレの事を言ってるのか?

【第3の腕】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「牡丹はグレゴリーの作ったあの腕の事を言ってるのか?」

グレゴリー「なんだと!?我が発明が利用されたと言うのか!?」

御影「そうそう、アレならパッと見は本物と区別つかないし」

如月「ですがあの腕はホテルにあるんでしたよね?犯人に図書館からホテルに戻す余裕はないのでは」

六山「あー、それなんだけど……今はホテルにないんだよね」

道掛「そういやなくなってたよな。じゃあ千ちゃんが見た腕ってグレゴリーのキモい腕だったのかよ!?」

兵頭「まさか、あれが作り物……?」

佐場木「だが、作り物であるにせよなぜ図書館まで運んだかの疑問は解消されていない」

そうだ、兵頭の見た腕が作り物だとしても……それがいったいどういう意味を持つんだ?

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【兵頭の目撃】
【グレゴリーと津浦の証言】
【腕を切った理由】


津浦「【Ms.兵頭の目撃した腕はMr.グレゴリーの発明だった】……」

遠見「だからといって、なぜ犯人がそんな行動を取ったのかは不明なままであります……」

苗木「やっぱり〔猟奇的な意味合いがあった〕とかかな……」

如月「〔人を集めて目をそらさせる〕ためも考えられますね」

道掛「そうか!犯人は〔図書館から人を追い払いたかった〕んじゃねえか!」

鞍馬「……〔発見の事実が必要だった〕」

御影「結局何が【犯人の目的】なわけ?」

【犯人の目的】→〔発見の事実が必要だった〕

赤穂「それが正しいはずだ!」


赤穂「そうか……犯人は兵頭が腕を発見した事実が必要だったんだ」

土橋「発見した事実が必要って……」

佐場木「……なるほどな。だからずれていたのか」

ジェニー「ボクにはよくわからないです……」

道掛「俺なんか全然わかんねえよ!何が言いたいんだ赤穂!」

発見した事実……これこそクロにとって重要なピースだとしたら。

あの疑問の意味も解ける!

【ショットガンコネクト開始!】

四方院さんの腕を見た事実……

それが示すのは……!

・コトダマ>>357
【グレゴリーと津浦の証言】
【モノクマファイル2】
【四方院の死体】

・課題
【犯人が行った不自然な行動は?】
【犯人が腕を図書館に置いた理由は?】
【犯人が四方院を殺した動機は?】

【グレゴリーと津浦の証言】―【犯人が行った不自然な行動は?】

赤穂「……」

クロはなぜかグレゴリーと津浦を四方院さんのいた水族館に拉致した……

そこにもう一つ繋げれば……

・コトダマ>>357
【四方院の右腕】
【第3の腕】
【土橋の証言】

赤穂「……」

そこからさらにクロは土橋を拉致した……

その目的は……!

【グレゴリーと津浦の証言】―【犯人が行った不自然な行動は?】―【土橋の証言】

・結論
【クロは死体発見アナウンスを鳴らしたかった】
【クロは死体を見せつけたかった】
【クロは時間を稼ぎたかった】

【クロは死体発見アナウンスを鳴らしたかった】

赤穂「真相への道筋を繋いでみせる!」


赤穂「クロは死体発見アナウンスを鳴らしたかったんだ」

遠見「死体発見アナウンスをでありますか?」

赤穂「そうだ。そのためにクロは津浦とグレゴリーを拉致した」

津浦「もしかして死体発見アナウンスに必要な人数を満たすため……」

グレゴリー「我らは選ばれし発見者にされたと言うのか!」

土橋「だ、だけどそれならなんでアタシまで……千、琴羽、グレゴリーの3人でアナウンスの条件は満たしてるじゃない」

佐場木「それをはっきりさせるためにも聞いておかなければならない事がある……モノクマ」

モノクマ「はい?」

佐場木「死体発見アナウンスの3人に犯人は含まれるのか」

苗木「えっ、それって……」

モノクマ「うーん、正直死体発見アナウンスは推理に使ってほしくないんだけどなぁ……フレキシブルに対応してるって事で!」

佐場木「わざわざ濁す以上、今回は含まれてないと考えるべきだな」

モノクマ「ちょっとやめてよそういうの!」

六山「きっと今みたいに犯人も言われたんだね?だから後から土橋さんを拉致した……犯人が含まれてない場合おかしな事になるから」

道掛「よ、よくわかんねえけど……つまり犯人は死体見つけた中にいんのか?」

御影「そういう事……まあ、明白な気もするけど」

如月「……」

犯人は死体発見アナウンスを鳴らしたかった。

そうすれば容疑から逃れられると思ったのかもしれない。

だとしたらクロは……

【兵頭千】

赤穂「君がクロなのか……?」


赤穂「兵頭……君なのか?」

兵頭「……私ですか?」

苗木「確かに兵頭さんしか、図書館の腕って見つけてないんだよね」

遠見「グレゴリー殿の腕を利用して死体を見つけた一人になったわけでありますか……」

六山「そもそも腕なんて本当に見つけたの?後からなくなったって言ったからそんな時間がない兵頭さんは犯人から外れてたけど」

兵頭「ちょっと待ってください……皆さん、私が犯人だと思っているんですか」

御影「本当は見つけてないなら、兵頭は土橋を襲った後タイミングを見計らって如月のコテージに行けばいいわけか」

ジェニー「センがカナデを……?」

赤穂「……」

兵頭が四方院さんを殺した……

確かに腕を見つけたって言ってるのは兵頭だけ。

そもそもそれが嘘なら兵頭には如月さん達が図書館に行くまでに腕が消えた事実もなくなって、兵頭も容疑者の一人になる。

そしてクロが死体発見アナウンスを使って工作したと考えれば……







如月「それは違いますよ……」






今回はここまで。

次回学級裁判を完結させます。

それではまた今夜に。

赤穂「如月さん……?」

グレゴリー「何が否だと言うのだ?」

如月「兵頭さんが僕を訪ねてきたのは腕の存在を示して消えた腕の処分が不可能な事、さらに死体発見の一人になる事によって容疑から外れるため……皆さんはそう言いたいようですが」

如月「僕にはコテージに来た時の兵頭さんがそんな計算をしていたとは思えないんですよ」

苗木「でも……それって如月クンの主観だよね?」

如月「確かにそうです。しかし僕は、投票が終わるまで兵頭さんを信じたいと思います」

兵頭「如月さん……」

佐場木「俺も賛成だ。兵頭は確かに疑惑の渦中にいる。だが犯人だとするなら議論を重ねるべきだろう」

赤穂「……そうだな。言い出しっぺは俺だけど決めつけるのはまだ早いと思う」

赤穂「議論をしよう!真実を見つけるためにも……!」

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【消えたゴシップ誌】
【水槽の指】
【第3の腕】

六山「議論はいいけど、何を議論するの?」

佐場木「兵頭が犯人だとした場合【不自然な行動】がないかだ」

佐場木「それによって兵頭が犯人かもはっきりするだろう」

道掛「不自然つってもよぉ……俺はそもそも【腕を切った】事が府に落ちねえんだよな」

ジェニー「【目撃者にグレッグ達を選んだ】理由も謎です……」

土橋「【グレゴリー達からアタシを襲うまでのタイムラグ】も気になるんだけど……」

津浦「ですがそれは誰が犯人でも言えるのでは?」

遠見「ふむ……グレゴリー殿の【第3の腕を利用しいすごかへと持ち去った】」

遠見「ロビーにあった以上これも誰でも可能だったでありますか」

【第3の腕を利用しいすごかへと持ち去った】←【不自然な行動】

赤穂「それは違ってるぞ!」


赤穂「そうだ……不自然じゃないか」

御影「何がさ兄貴」

赤穂「そもそも兵頭が疑われる理由の一番大きな理由は、図書館で腕を見つけたって事が嘘だって可能性があるからだ」

六山「そうだよ。それなら兵頭さんは腕を犯人が持ち去った時間のアリバイって前提が消えて容疑者になるからね」

赤穂「だったらなんでホテルから腕を持ち去ったんだ?」

苗木「どういう事?」

赤穂「腕がないから兵頭はそれを利用した、もしくはそもそも腕を見てなんかいないって疑惑を持たれた」

赤穂「もし腕を見つけたって話が嘘ならホテルから腕を持ち出す理由がないんだよ」

赤穂「そのまま置いておけば事件には無関係で押し通す事だって出来たんだからな」

ジェニー「じゃあ……」

赤穂「兵頭は腕を見たんだ。それが本物にしろ偽物にしろな……」

赤穂「そして仮に兵頭が犯人で偽物の腕を回収したとしても、やっぱりホテルに戻せばいい」

赤穂「兵頭が犯人だとしたら第3の腕……あれがホテルから消えたままなのはおかしいんだ」

兵頭「なるほど……私が犯人なら自分に疑いが向くような行動をするはずがありませんね」

如月「やはり兵頭さんは図書館で腕を見つけ、僕に助けを求めたようですね」

道掛「じゃあ犯人って誰なんだよ!他に誰かいんのか!?」

赤穂「死体発見アナウンスを利用したトリックは、多分間違ってないはずだ」

佐場木「そうなると、犯人はやはり死体の発見を行った中にいる事になる」

遠見「つまり兵頭殿を除外した……グレゴリー殿、津浦殿、土橋殿の中に犯人がいると」

グレゴリー「なっ!?」

津浦「そ、そんな……」

土橋「アタシは殺してなんか……!」

鞍馬「……ならばもう犯人ははっきりしていますね」

御影「はっ?あんたわかってんの?」

鞍馬「死体発見アナウンスに犯人が含まれていないとするなら……簡単な話ですよ」

赤穂「……っ!?」

待てよ。

死体発見アナウンスに犯人が含まれていない。

死体発見アナウンスを使ったトリック。

兵頭が見た腕。

そして証言を合わせたら……

まさか四方院さんを殺したクロは……!

【グレゴリー・アストラル三世】

赤穂「犯人は……!」


赤穂「グレゴリー……お前なんじゃないか?」

グレゴリー「……!」

津浦「……はっ?」

赤穂「兵頭が見た腕……死体発見アナウンスのトリックを使うなら、多分本物だったはずだ」

赤穂「そうなると、最初の死体発見者は兵頭……その後が問題になる」

赤穂「土橋はこう証言していた……」

――――

赤穂「目を覚ました時何かあったか?」

土橋「そうだね……あたしは悲鳴に起こされて……琴羽が立ち尽くしてて視線を追ったら……」

土橋「奏が吊るされてるのを、見つけて……アナウンスが鳴って……」

ジェニー「ミキ……」

――――

赤穂「この証言から津浦が発見した時に死体発見アナウンスが鳴らなかった事がわかる」

佐場木「津浦は2人目の発見者というわけか」

赤穂「そしてその後土橋が発見してアナウンスが鳴った……つまり土橋が3人目の発見者」

赤穂「アナウンスの人数に犯人が含まれていないなら、水族館にいた中で残る容疑者はお前だけなんだグレゴリー!」

グレゴリー「くっ……!」

道掛「おいおい、マジでグレゴリーがやったのかよ……!」

土橋「ど、どうなのよグレゴリー!」

グレゴリー「…………」ギリィ

津浦「シャラップ!」反論!


赤穂「っ!?」

津浦「笑わせないでくださいよMr.赤穂……Mr.グレゴリーが犯人ですって?」

津浦「よくもそんなデタラメを!!そんな推理、ワタシは認めません!」

やっぱり津浦は反論してきたか……!

【反論ショーダウン開始!】

・コトノハ>>357
【死体発見時の3人】
【腕を切った理由】
【死体を発見した3人】

津浦「Mr.グレゴリーは犯人じゃありません!」

津浦「あなたの推理は間違っていますMr.赤穂!」

赤穂「兵頭、津浦、土橋が死体の発見者だった!」

赤穂「それなら残るのはグレゴリーただ1人だ!」

津浦「そもそもそれが嘘なんですよ!」

津浦「【Ms.土橋より前にワタシの悲鳴で目を覚ましたMr.グレゴリーが死体を発見した】」

津浦「それなら犯人はMr.グレゴリーではありません!」

【Ms.土橋より前にワタシの悲鳴で目を覚ましたMr.グレゴリーが死体を発見した】←【死体発見時の3人】

赤穂「その反論に正義はない!」


赤穂「土橋より先にグレゴリーが死体を発見した……」

津浦「そうです!」

赤穂「だったらなんでグレゴリーは俺達が駆けつけてくるまでの間……ずっと座ったままだったんだ?」

津浦「何を……!」

赤穂「グレゴリーは津浦を気に掛けていた。そんなグレゴリーが悲鳴をあげた津浦をほったらかしにしていたのは、不自然じゃないか?」

グレゴリー「…………」

佐場木「初めて死体を発見したならその可能性もあるが……」

遠見「グレゴリー殿は前回の事件時も津浦殿を気に掛けていたでありますな」

津浦「Mr.グレゴリーだって人間です!そんな事で犯人扱いだなんて……!」

赤穂「……」

津浦は納得しない……当たり前か。

これはほとんど言いがかりみたいなものだからな……

だったら次だ……

これでグレゴリーに……!

【ノンストップ議論開始!】

・コトダマ>>357
【紙切れ】

御影「犯人はグレゴリーなわけ?」

津浦「そんなの何かの間違いです!」

道掛「だけど【アナウンスの3人は千ちゃん、琴羽ちゃん、美姫ちゃん】なんだろ?」

津浦「【Ms.土橋が嘘をついている】のかもしれません!」

苗木「そもそもグレゴリークンの体格なら、襲われたっていうのも難しいよね……」

津浦「【Mr.グレゴリーの首筋には襲われた痕跡があります】!」

津浦「そもそもMr.グレゴリーには【動機がない】じゃないですか!」

津浦「Mr.グレゴリーは無実、冤罪なんですよ!」

鞍馬「……動機がない、ですか」

【動機がない】←【紙切れ】

赤穂「その矛盾……捕まえたぞ!」


赤穂「動機は、多分これだ」

グレゴリー「っ!!」

津浦「なんですか、その紙切れは……」

赤穂「四方院さんの指と一緒に沈んでいた紙切れだよ」

佐場木「なんだと?そんな報告は受けていないぞ」

ジェニー「あっ、それはボクが……」

赤穂「ジェニーには俺が口止めしたんだ。犯人をはっきりさせるために」

兵頭「その紙切れはいったいなんなんですか?」

この紙切れ……これはきっと。

【消えたゴシップ誌】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「図書館から消えていたゴシップ誌……あれのページのはずだ」

道掛「おぉ、そういや1冊なくなってたな!」

如月「あれですか……赤穂さん、その紙切れがグレゴリーさんの犯行を証明するんですか?」

赤穂「はい、内容を聞いてもらえればわかります」

ジェニー「えっ……」

土橋「どうしたのジェニー?」

ジェニー「な、なんでもないです」

佐場木「……」

赤穂「じゃあ、読むぞ」

苗木「いったい何が……」

これが最後のチャンスだ。

物的証拠はほとんどない。

もう1つの可能性はあるけど……これはグレゴリーが喋ってくれないと証明出来ない。

だからこれでグレゴリーが動かないと……どうしようもない。

赤穂「スクープ……」







グレゴリー「やめろっ!!」






津浦「ど、どうしたんですかMr.グレゴリー?」

グレゴリー「それ以上の言霊は無用だ、聖痕抱きし英雄よ」

赤穂「……」

グレゴリー「……その封印の書に記されているのは確かに我だ」

六山「……認めるの?」

グレゴリー「……ああ」

土橋「じゃあ、奏を殺したのは……」

グレゴリー「…………」

如月「あなたなんですね?グレゴリーさん」

グレゴリー「……そ」







津浦「嘘ですっ!!」






グレゴリー「言の葉の、魔術師……!」

津浦「嘘ですっ、そんなの嘘ですよっ……」

津浦「だってMr.グレゴリーは!ワタシを守るって言ってくれた!だけどこれじゃあ!」

津浦「嫌だ、認めないっ、こんなっ、こんな……!」

赤穂「津浦……」

津浦「あっ……は、ははっ!そうだ、そうですよ!」

津浦「やっぱりMr.グレゴリーは犯人じゃありません!」

御影「……なんで?」

津浦「だってMr.グレゴリーは襲われているんですよ!実際首にはその痕跡が残っているんです!」

津浦「これこそ、彼が無実って証拠じゃないですか!」

津浦「そうです、あなた方の推理は決定的に間違っていたんですよ!あはっ、あはははははっ!」

ジェニー「コトハ……」

赤穂「……」

グレゴリーの襲われた痕跡。

それはきっと、これを使ったんだ。

【第3の腕】

赤穂「こいつだ!」


赤穂「……グレゴリー、1つ聞かせてほしい」

グレゴリー「……なんだ」

赤穂「第3の腕、あれは心臓の上から着けて使うんだよな?」

グレゴリー「然り」

赤穂「それは……背中からも出来るんじゃないか?」

グレゴリー「……見事だ聖痕抱きし英雄。そこまで真理を掴んでいたか」

津浦「な、何を言ってるんですか……!」

赤穂「グレゴリーは背中につけた第3の腕を使って自分に襲われた痕跡を残したんだ」

佐場木「諦めろ津浦……それ以上はお前自身を傷つけるだけだ」

津浦「……っ、でも!そんなの、Mr.赤穂の推測……」

土橋「琴羽、もうやめよう……」

津浦「認めないっ、やだ、いやぁ……!」

赤穂「……」

津浦はもう認めるわけにはいかないんだな……

だったらせめて、俺がその目を覚まさせるしかない……!

【パニックトークアクション開始!】

津浦「…………」

津浦「こんなの……」

津浦「嘘です……」

津浦「ワタシは、認めないっ……」

津浦【物的証拠なんて、どこにもないんです……】




     マント

背中        隠された

     に

【マントに隠された背中】

赤穂「これで終わらせる……」


赤穂「今回の犯人は慎重だった」

津浦「嫌だ……」

赤穂「死体発見アナウンスの人数に足りるかわからないから目撃者を増やした」

津浦「やめてください……」

赤穂「俺がどこまで知ってるかわからないからこの紙切れを読むのを止めた」

津浦「お願い、ですから……」

赤穂「だからきっと、どこを調べられるかわからないから……まだ第3の腕を持ってるはずなんだ」

津浦「ぁ……」

赤穂「それが出来る人間は、背中を隠せるマントを着けたグレゴリーだけなんだよ、津浦」

グレゴリー「……」

グレゴリーがマントを外す。

その下には、背中に貼り付くように……グレゴリーの発明、第3の腕があった。

津浦「あっ、あっ、ああああああああああああああっ……!」

グレゴリー「……すまん、言の葉の魔術師よ」

【クライマックス推理開始!】

ACT.1
今回のクロがなんで四方院さんを狙ったのかはわからない。
だけどクロは四方院さんに静音の名前を使って手紙を出したのは間違いないはずだ。

ACT.2
四方院さんを呼び出したクロは水族館にあったロープで彼女の首を絞めて殺害した。
そしてロープを結んでその身体を吊るしたんだ。

ACT.3
だけど誤算があった。
四方院さんがクロにとって都合の悪いゴシップ誌を握ったままだったんだ。
それを外せなかったんだろう、クロは大胆な手に出た。

ACT.4
四方院さんの腕をショッピングモールの工具で切り落としたんだよ。
そしてクロはその腕を使って自分の容疑を外す工作を開始したんだ。

ACT.5
クロは津浦と土橋を襲って目撃者役として水族館に連れていった。
そして自分も襲われたように装うために自分の作った第3の腕で首に痕跡を残したんだよ。

ACT.6
クロは四方院さんの腕を持っていくと、兵頭を見かけたのか図書館にそれを置いた。
そして兵頭が人を呼ぶ間にその腕を水族館に戻すと、鮫の水槽に投げ込んで証拠の隠滅を図ったんだ。

だけど指や記事が残った事や慎重過ぎた事が不自然な点を生み出して、こうして犯行を暴かれたんだ。

赤穂「四方院さんを殺したのはお前なんだな、グレゴリー・アストラル三世!」

グレゴリー「……ああ、その通りだ」

津浦「ああああああああっ……!」

COMPLETE!

モノクマ「議論の結論が出たみたいだね!」

モノクマ「それでは投票タイムとまいりましょうか!」

モノクマ「オマエラ、お手元のスイッチで投票をお願いします!」

モノクマ「オマエラの答えが正解?それとも不正解?」

モノクマ「運命はどっちだー!!」


         VOTE

 グレゴリー グレゴリー グレゴリー

       チャッチャッチャー!


     【学級裁判閉廷!】

本日はここまで。

今回のクロはグレゴリー・アストラル三世でした。

次回おしおきと2章ラストまでいきます。

それでは……

モノクマ「大正解!」

モノクマ「今回四方院奏さんを殺害したクロはー……」

モノクマ「グレゴリー・アストラル三世クンでしたー!」

グレゴリー「…………」

津浦「なんで……なんで、ですか……なんで……」

赤穂「……」

グレゴリーが四方院さんを殺した。

その事実は……津浦にとってあまりに残酷だった。

それは自分を守ると言った男が人を殺したからだけじゃない。

モノクマ「うぷぷ、それにしても傑作だよね!守るとか言っといて学級裁判でしっかり逃げようとするなんてさ!」

モノクマ「グレゴリークンは津浦さんが死のうがどうでもよかったって事だもんね!」

そうだ、このコロシアイは1人だけ殺して終わるようなものじゃない。

学級裁判で他の生き残り全員を殺す……グレゴリーは内心はどうあれ、津浦に行動で突きつけてしまったんだ。

【お前を殺しても生き残る】という事を。

苗木「本当に、どうしてこんな事したの……今回の動機はグレゴリークンには何も関係な……」

モノクマ「いやいや、何言ってるの!しっかり関係してますとも!」

モノクマ「だってグレゴリークンは……この中にいる人殺しの1人だからね!」

如月「グレゴリーさんがですか……しかし彼ほどの目立つ人間が犯罪を犯したなら、僕か佐場木さんが気付いているはずですよ?」

佐場木「ふん……つまり目立つ前だったんだろう」

兵頭「それが記述されていたのが、赤穂さんの持つゴシップ誌だったというわけですか」

モノクマ「その通り!それでは発表します!」

モノクマ「なんとグレゴリークンは5年前に世間を騒がせた、あの【ガス爆発連続死亡事故】のガスストーブを設計した張本人なのです!」





津浦「…………えっ?」

遠見「【ガス爆発連続死亡事故】……でありますか?」

六山「そういえば、そんなニュースが昔毎日やってたよね」

土橋「アタシ、その事故なら被害者の家を建て直しした事あるからよく知ってるよ」

土橋「ある企業が新しく売り出した多機能型のガスストーブが次々に爆発したんだよね……死傷者は確か100を超えたはずだよ」

土橋「確かそのストーブを設計したのが未成年だって話を聞いた事はあったけど……」

道掛「それがグレゴリーだったのかよ!?」

モノクマ「そうそう、マスコミも当時かなり騒いでたよね。設計にミスがあったんじゃないかとか……」

グレゴリー「否!我が記述に一切の深淵は存在していない!あれは目先の欲に囚われた愚か者共が我が声を無視したがために……!」

モノクマ「うんうん、実際はそうなんだよね」

ジェニー「グレッグは、悪くないですか?」

モノクマ「グレゴリークンの設計通りだとコストがかかるからって、勝手に設計とは違う材料を使ったから起きた事故なんだよねあれ」

赤穂「だったらなんで……」

モノクマ「だけど世間はそう見てくれなかったの。そして散々責められたグレゴリークンは苦肉の策として自分自身を消す事にしたんだよ!」

モノクマ「謎多き設計士【グレゴリー・アストラル三世】としてね!」

佐場木「なるほどな、お前は過去を捨て仮面をつけて再出発をしたというわけか」

グレゴリー「……そうだ。我の真名はもはや、憎悪と失望に堕した忌み名と化していた」

グレゴリー「故に我はこの名と姿を得たのだ」

鞍馬「その格好や口調の方に気をとられ、5年前の設計士と繋げる人間はいなかった……それだけの話です」

如月「……グレゴリーさんがこうなった理由はわかりました。ですがそれは……四方院さんを殺してまで守らなければならない秘密だったんですか?」

道掛「そうだぜ!話聞く限りだとグレゴリーは悪くねえじゃねえか!」

グレゴリー「…………」

モノクマ「オマエラのほとんどはそうかもしれないね!」

モノクマ「だけど……」







モノクマ「その事故で両親を殺された津浦さんはどうだったのかなー?」

津浦「…………」






赤穂「っ!?」

御影「なっ……なにそれ……」

津浦の両親が死亡した事故の原因が、グレゴリーの設計したストーブだった!?

モノクマ「キミは知ってたんだよね?津浦さんがあの事故の遺族だって」

モノクマ「あんなに津浦さんに優しくしてたのは罪滅ぼしでもしているつもりだったのかな?」

モノクマ「それともバレた時に津浦さんが情から殺せないようにするための布石だったとか?いやあ、グレゴリークンもなかなかやり手だねぇ!」

グレゴリー「黙れ!我は、我はただ……」

津浦「…………Mr.グレゴリー」

グレゴリー「っ……」

津浦「ワタシはあなたにとって、罪悪感を吐き出すための道具だったんですか……?」

グレゴリー「違うっ!!確かに、そのような邪念が存在しなかったと言えばそれは虚構だ……!」

グレゴリー「だが我は、ただ……ただ、純粋にその身を案じて……」

グレゴリー「…………ぐっ、くっ!」

グレゴリー「なぜだ、なぜこうなった?」

グレゴリー「あのような手紙さえなければ!水の都に優雅なる吹き手がいなければ!」

グレゴリー「我は……!」

佐場木「……なに?」

モノクマ「うぷぷ、それじゃあそろそろいきましょうか!」

赤穂「……!」

苗木「いくって、おしおきだよね……」

モノクマ「急がないとまた如月クンに痛めつけられちゃうからね!」

如月「……」

モノクマ「それでは今回は、【超高校級の設計士】であるグレゴリー・アストラル三世クンにふさわしいスペシャルなおしおきを用意いたしました!」

グレゴリー「言の葉の魔術師、我は…………」

津浦「……」

モノクマ「それでは張り切って参りましょう!」

グレゴリー「…………ああ、そうか」

津浦「……?」

グレゴリー「もうこんな風に自分を偽る必要も……ないんだ」

津浦「っ!?」

グレゴリー「ごめん、だけど……」

「君を助けたかったのも守りたかったのも、嘘じゃないから」

津浦「……ぁ」

「最期に、これだけは知ってほしい……」

「僕の名前はね――」

モノクマ「おしおきターイム!!」







       GAME OVER

 グレゴリークンがクロにきまりました。

    おしおきをかいしします。






グレゴリーが何かを言うより先に、首輪が伸びてその身体を引きずり込む。

そしてグレゴリーが連れてこられたのは【処刑器具】とだけ書かれている大きな紙が置かれた作業台のある部屋だった。

【最期の世紀の大発明!】

【超高校級の設計士グレゴリー・アストラル三世処刑執行】

グレゴリークンは覚悟を決めたかのようにペンを取り出すと、紙に図を書き込み始めました。

グレゴリークンが線を引くと、後ろにいたモノクマがその通りに機材を組み立て。

グレゴリークンが円を描くと、後ろにいたモノクマがその通りに機材を積み上げます。

どんどん出来上がるグレゴリークンのための処刑器具。

そしてグレゴリークンが最後の線を引き終えると同時に……

後ろの処刑器具が倒れて、グレゴリークンの身体を潰します。

衝撃で吹き飛ぶ仮面……それはモノクマが出したストーブの上に落ちて、熱でどろどろに溶けてしまいました……

モノクマ「あー!せっかくとびっきりのおしおき装置を作ったのに!」

モノクマ「……まあ、おしおきは出来たからいっか!」

兵頭「ぁっ……っ、はぁ……」ガクッ

道掛「うおっ、千ちゃん!?」

鞍馬「……快感のあまり腰砕けになりましたか」

六山「理解出来ないや……」カチカチ

津浦「……」

土橋「琴羽!」

津浦「なんで……なんで最期に、あんな」

呆然とする津浦、また快感を受け止めている兵頭……

佐場木「……遠見、話がある、来い」

遠見「佐場木殿!?ま、待ってほしいであります!」

その中で、佐場木はいつもより顔を険しくして上に戻っていった。

如月「……あのような手紙さえなければ、ですか」

そしてそれは、如月さんも同じで。

佐場木と遠見を追いかけるようにエスカレーターに乗り込んだ如月さんの背中を見つめながら……

赤穂「……」

俺は、なぜか、今さら、一つの事実が気になっていた。

赤穂「静音を騙ったあの手紙には本が一緒だった……」

それは当然あのゴシップ誌のはずだ。

そんな手紙を、なんでグレゴリーが送るんだ。

じゃああの手紙は……

だけど……それ以上に……

赤穂「四方院さんは、抵抗しなかった……」

なんでだ、なんで今こんな事が気になる?

混乱する俺の頭の中で、ある会話がリピートされる。

――――

御影「涙……出てるよ」

四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」

四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」

―――――

なあ、四方院さん……

――――

四方院「ふふっ、わたくしもあの子がいないと落ち着かないという事でしょうか……」

四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」

――――

本当は、わかってたんじゃないのか?

――――

四方院「ああ、早くあの子の所に行きたいですわ……」

――――

静音がもう死んでるって。

――――

四方院「ああ、早くあの子の所にいきたいですわ……」

――――

だっておかしいじゃないか。
なんで行きたいなんだ、なんで帰りたいじゃなかったんだ?

――――







四方院「早くあの子の所に逝きたい」

四方院さん、君は本当にただの被害者だったのか?


――俺のそんな疑問に、もう永遠に答えは出ない。






【赤穂のコテージ】

赤穂「……」

ダメだ、なんだか変な事ばかり考える……

赤穂「少し外に出るか……」

杖をついて外に出るといつものように満天の星が空に散りばめられていた。

赤穂「……」

【サマーアイランド・射撃練習場】

赤穂「……あれ、なんでここに」

ああ、そうか……ここは津浦とグレゴリーの。

土橋「あれ、政城……」

赤穂「土橋?なんでここに」

土橋「なんとなく……ね。ここはほら、琴羽とグレゴリーの……」

俺と同じって事か……

赤穂「津浦は?」

土橋「まだ混乱してるみたいだよ……無理もないけどさ」

赤穂「そうか……」

津浦は大丈夫なのか?

グレゴリーを支えにしてた分、それをこんな形で……

カチャリ

赤穂「……んっ?」

変な音がした気がして、射撃練習場の方を見る。

赤穂「……っ!?」

入り口から見えていたのは銃を握った腕。

その銃は、土橋を狙っている。

赤穂「っ、危ないっ!」

土橋「えっ、きゃあっ!?」

不恰好な状態で土橋を突き飛ばす。

次の瞬間。

パァン!

破裂音が聞こえて、やけつくような痛みが身体を貫いた。

土橋「政城っ!?ねぇ、どうしたの政城っ、政城ってば!」

赤穂「……」

俺を呼ぶ土橋の後ろを誰かが、駆けていく。

誰、だ……

目を凝らして、その姿を捉えようとしても逆に目は霞んで……







俺の意識は、真っ暗闇の中に消えた。












CHAPT.2【糸絡まりて命絶つ】END

生き残りメンバー14→???人

To be continued...












【絶望フルート】を手に入れました!

【偽りのマスク】を手に入れました!






本日はここまで。

CHAPT.2が酷く長い期間になってしまい申し訳ありませんでした。

次回からCHAPT.3に入ります。

それでは……

「……」

「ねえ」

「……」

「ねえってば!」

「っ、あ、あれ?」

「どうしたの?ボーッとしちゃって」

「いや……なんかもう、本当にどうしようもないんだなって」

「……仕方ないじゃん。私達は子供なんだから、借金で2人は育てられないんだって言われたら……」

「お前にそう言わせる自分が情けないんだよ……俺が御影の家に行ったり、せめてもう少し歳が離れてれば家出て2人でやってく事だって……」

「……」

「だいたい、いくら向こうが娘が欲しいって言ったからって牡丹はまだ……!」

御影「……それだけで十分だよ兄さん」

赤穂「……」

御影「私を想ってくれてる人がいる。それだけで私は頑張れるから」

赤穂「……牡丹」

御影「だから笑ってよ。兄さんは私のヒーローなんだから、そんな顔なんて似合わないよ」

赤穂「……ああ、そうだな」

御影「じゃあ、さよならの前に1つ約束」

赤穂「約束?」

御影「うん、私が御影の家に行っても、もう二度と会えなくても……」

御影「赤穂牡丹は兄さんの妹だって、ずっと覚えてて」

赤穂「……」

御影「……」

赤穂「……そんなの当たり前だろ」ポンッ

御影「あっ」

赤穂「お前は何があっても俺の大切な妹だよ……牡丹」ナデナデ

御影「……うん」

【御影のコテージ】

御影「っ……!」

なんで、あの時の夢なんて……

兄貴、兄さんと別れたあの日の夢……

御影「……約束、か」

昔はなんであんな約束したんだろう、なんて思ったけど今ならよくわかるよ。

私はきっとわかってたんだ。

長い間、私は兄さんと会えなくなるんだって……


「誰か!起きてるなら手伝って!!」

御影「……?」

何かあったの……?

「政城が、政城が死んじゃう!!」

御影「っ!!」







CHAPT.3【悪意のアンノウンは高らかに唄う】(非)日常編






【赤穂のコテージ】

赤穂「…………」

遠見「ふう……これで、もう命に別状はないであります」

土橋「良かった……!」

あれから慌てて飛び出したら、土橋が血だらけの兄さんを抱えてて。

なんでか遠見と佐場木も同じコテージから出てきたから協力して兄さんのコテージに運んで……遠見が治療をしてくれた。

御影「……」

治療されて眠る兄さんの身体には、古い傷痕がたくさんある。

こんなにたくさん傷作って……

佐場木「それで何があった。赤穂の身体にあるのは明らかに弾痕だぞ」

弾痕……

御影「……なにそれ、兄貴は撃たれたって言うの!?」

土橋「アタシにもよくわからないんだ……いきなり政城に突き飛ばされたと思ったら、政城の身体から血が……」

佐場木「このタイミングでコロシアイを起こすか……確かに学級裁判直後なら混乱している人間も多いが……!」

遠見「どうするでありますか、佐場木殿。先ほどの話と合わせると事態は……」

佐場木「……ちっ、如月を呼ぶぞ」

土橋「怜輝を?」

佐場木「腹立たしいがあの殺人鬼は誰よりも容疑者になり得ない男だ。赤穂の警護には適任だろう」

御影「……」

警護って……まさか兄さんが狙われるって事……?

御影「そんなの……!」

遠見「あっ、御影殿!?」

御影「……」

兄さんが狙われる、兄さんが殺される……!

そんなの……そんなの嫌だ。

私は……!

御影「……!」

鞍馬「……」

御影「鞍馬……」

鞍馬「どこに行くんですか?まだ夜中ですよ」

御影「……あんたには関係ないでしょ」

鞍馬「……」

なんなのこいつ、いつもそう。

気がついたらいて……

御影「私急ぐから」

とにかく今は鞍馬に構ってる余裕なんてない。

私は鞍馬の横を通ると……

鞍馬「あなたは何も出来ませんよ」

御影「……!」

鞍馬「その身体で犯人探しでもしますか?無駄ですよ、返り討ちにあうのが関の山だ」

御影「あんた、何を」







鞍馬「そうでしょう。未来機関第一支部秘匿才能【超高校級の被験体】御影牡丹さん」






御影「……!」

なんっ、知って……!

鞍馬「その身体にどれだけの病気を抱えても死なない、死ねない特異体質」

鞍馬「現在は確か不治の病とされているものが3つ、治療困難な病気が4つ……」

鞍馬「その体質に目をつけたとあるマッドサイエンティストに拉致され、ウイルスの人体実験に使われていた」

鞍馬「人類史上最大最悪の絶望的事件の余波で脱出に成功したものの未来機関に遭遇」

鞍馬「【超高校級の薬剤師】の作る痛み止め、未来機関による病気の治療、【超高校級】の認定と引き換えに未来機関第一支部に籍を置く」

鞍馬「……でしたか」

御影「……」

鞍馬「今は痛み止めで日常生活は出来ているようですが、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えたあなたが誰かと事を交えようなど無茶ですよ」

御影「……なによ、いつもと違ってペチャクチャと喋ってさ」

鞍馬「……」

御影「私の身体の事なんてあんたには関係ない、ほっといてよ……」

鞍馬「あなたはいくつもの病の治療法の発見に貢献しているんですよ。あなたのような存在が死ねば世界の損失に……」

御影「うるさい!私は……こんな、こんな身体、欲しくなかったのに!好き勝手言わないでよ!」ダッ

もう鞍馬なんかと話していたくなかった。

だから私はホテルから出て、どこに行くかも決めないまま走り出していた……

鞍馬「…………」







「…………」ニヤァ






本日はここまで。

1週間以内にまた更新したいと思います。

【中央の島】

御影「はぁ、はぁ……」

飛び出しちゃったけど……これからどうしよう。

兄さんを狙う誰かを何とかしたい、だけど鞍馬の言う通り私に荒事なんて出来るわけがない。

御影「……」

だったら、せめて調べるしかない。

私はこの身体以外は普通にも満たないけど……

それでも……!

ガコン!

御影「えっ?」

なに、この音。

音のする方に向かって歩いていくと……今まで何もなかった場所に新しい通路があった。

御影「これ……」

兵頭「ふふっ、きっと今回の学級裁判を生き延びた成果……といったところですね」

御影「っ!?」

兵頭「あら、驚かせてしまいましたか?」

いつの間にか私の後ろにいた兵頭は、相変わらず人を食ったような笑顔。

御影「あんた、こんなとこで何してんの」

もしかして兵頭が兄さんを……

兵頭「私はこの先にある島を開放と同時に調べようと思いまして」

兵頭「ふふっ、学級裁判の捉え方の違いから皆さんは私を好ましく思っていないようですから」

御影「……そりゃそうでしょ」

人が死んでそれに快感覚えるなんてまともな人間じゃない。

……私みたいな身体の人間がまともな人間云々なんて語れる立場じゃないけどさ。

兵頭「御影さんこそこんな時間に何を?」

御影「……ちょっと色々あって」

兵頭「色々ですか?ふふっ、お兄さんと喧嘩でもしましたか?」

御影「はっ?なんでそうなるわけ?」

兵頭は……兄さんが怪我したのを知らない?

だけどこれが演技かも……

兵頭「だって御影さん服のボタンはかけ違えてますし、髪がボサボサですよ?そこまで心乱れてるとするならやはり赤穂さん関連かと」

……そういえば、寝て起きたところに兄さんの事があったから着の身着のままで飛び出したんだ。

御影「……」

兵頭「ふふっ、沈黙は肯定として受け取りますね」

喧嘩云々は外れだけど……兄さんの事で心乱れてるのは正解か。

兵頭「あっ、もう朝になりますね。朝日が出てきましたよ」

言われてみると、確かに周りが明るくなってきてる。

もうそんな時間なんだ……

兵頭「さて、御影さんはどうします?よかったら一緒に調べますか?」

御影「……」

兵頭と一緒にか……

正直変態だし、どこまで信用していいのかわからないけど……

御影「……わかった、一緒に行く」

兵頭が兄さんを襲った犯人なら、もしかしたら私でもなんとかなるかもしれないし……

危ない橋を渡らないと、わからない事だってあるはず。

兵頭「ふふっ、そうですか。それじゃあよろしくお願いしますね」

キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

ゴゴゴゴゴ

橋を塞いでいた扉が下がっていく。

次の島が、開放されたってわけか。

兵頭「さて、行きましょうか御影さん」

御影「……」

そうして私は思いもがけず、新しい島に足を踏み入れる事になった。

短いですがここまで。

これからは基本土曜日更新でいきたいと思います。

なお御影さんの才能は如月ロンパの頃からこれでした。

【第3の島・オータムアイランド】

兵頭「……」

御影「なにこれ……」

新しい島に着いた私達の目の前で紅葉がヒラヒラと揺れている。

ヒュウッ

御影「っ……」

肌寒い……これじゃあまるで秋みたいじゃない。

兵頭「ジャバウォック諸島は常夏だったはずなんですけどね。これはどういう事なんでしょうか」

御影「……わかんない」

本当になんなのこの島……

兵頭「とりあえず調べるとしましょうか……考えるのは後でも出来ますから」

兵頭は切り換えるように呟くと島の道を歩いていく。

あまりに違う島は少し不気味だったけど、今さら引き返すなんて出来なくて私もその背中を追いかけた。

【モノクマフラワー】


兵頭「……これはまた」

御影「なによ、この巨大な花……」

なんかグネグネ動いてるし、気持ち悪い……

モノクマ「危なーい!」

御影「きゃっ!」

兵頭「気色は悪いですけど危ないんですか、この花は」

モノクマ「そうだよ。なんせこのモノクマフラワーはあらゆる物を食べられる花だからね」

御影「……あらゆる物?」

モノクマ「ゴミや機械、人間までね……うぷぷ」

モノクマの言葉に寒気が走る。

人間まで食べる花……その言葉に嫌な予感が頭をよぎったから。

兵頭「つまりこの花に死体を食べさせてしまえば、死体は見つからず学級裁判は行われないと」

モノクマ「ちょっと!そんな事されたらボクの楽しみが減っちゃうじゃない!」

兵頭「私は可能性を提示したまでです」

モノクマ「そんな事したら許さないからね!やるなよ!絶対にやるなよ!」ピョーン!

兵頭「……これはフリというやつなんでしょうか?御影さんはどう思いますか?」

御影「……」ガタガタ

兵頭「どうしました?寒いんですか?」

御影「あ、あんただって気付いてるんでしょ……この島に人がいないって疑問の答えがもしかしたら」

兵頭「……この花に処理させた。それも血痕や争いがなかった様子から生きたまま眠らせて」

御影「……」

兵頭「それはこの花から連想した推測に過ぎませんよ。四方院さんの推測通り自ら姿を消したのかもしれません」

御影「……」

兵頭「……とにかく行きましょう。私も食べられるのは嫌ですから」

兵頭が差し出す手を思わず握る。

疑ってたのに頼らないといけないなんて……

兄さんの妹なのに、情けなすぎだよ私……

【電気街】

兵頭「ここは電気街ですね」

御影「……」

兵頭に手を引かれるままに連れてこられたのはピカピカ光る商店街みたいな場所。

パソコンとか携帯電話……カメラとかもある。

パソコン、携帯電話?

御影「ちょっと……もしかしたらこれで助け呼べるんじゃないの?」

兵頭「調べてみましょうか」カタカタ

御影「……どう?」

兵頭「動くには動きますけど、ネットやメールの類いは使用できないようですね」

御影「やっぱりそう上手くはいかないか……」

兵頭「ああ、でもデータファイルがありますね」カタカタ

御影「何か書いてあるわけ?」

兵頭「……暗号化されてますね。私にはサッパリです」

御影「それじゃあどうすんの」

兵頭「六山さんに見せてみましょうか。お願い出来ますか、御影さん」

御影「えっ?」

兵頭「私より御影さんの方が受け入れやすいですから」

結局パソコンを兵頭に押し付けられた……

まあ、いいけどさ。

【モーテル】

御影「……っ」

さすがに、夏の格好で秋風は冷たい……

兵頭「大丈夫ですか?とりあえずこのモーテルで一休みしましょう」

御影「……ごめん」

兵頭「いいですよ。ちょっと中に暖める何かがないか見てきますね」

モーテルの1つに入っていく兵頭……本当に、あいつがよくわかんない。

御影「ご飯作ったり、こうして気遣ってくる兵頭と学級裁判の投票であんなになる兵頭……」

どっちも同じ兵頭なのに私の中ではまるで繋がらない。

兵頭「カイロがありましたよ。少しは暖かくなると思います」

御影「……ねぇ、兵頭は未来機関に戻ったらどうすんの」

兵頭「また突然ですね……」

御影「いいから答えてよ」

兵頭「戻れませんよ」

御影「えっ?」

兵頭「私はあの味を知ってしまった。この島から出たとして日常に帰れるとは思えませんから」

御影「……」

兵頭「ふふっ、思い出すだけで身体が疼いてしまうんです。もう私は未来なんて作れません」

兵頭「出たら皆さんとはお別れでしょうね」

御影「……そう」

もしこんなコロシアイに巻き込まれなかったら……兵頭は日常に帰れたの?

そんな言葉を、私は口には出せなかった。

【発電所】

御影「デカッ……」

兵頭「火力、水力、風力……あらゆる方法で電気を作り出しているようですね」

兵頭が見ているパネルみたいなのを横から見る。

兵頭「どうやらこの発電所でジャバウォック諸島全ての電力を賄っているようですね」

御影「そりゃ、ここまで大きくなるわけだ」

兵頭「中には入れないようですが……おや?」

御影「どうしたの」

兵頭「金網につけられた扉にパスワード入力装置がありますね……ふむ」

御影「パスワード……わかるわけ?」

兵頭「残念ながら。モノクマだってそうそうバレるようにはしていませんでしょうし」

御影「止められでもしたら大惨事だしね……」

兵頭「一応後で調べてみましょう。もしかしたらヒントがあるかもしれませんから」

【病院】

御影「……!」

病院……だったら傷薬とかあるはず!

薬の臭いは好きじゃないけどそんな事言ってらんない!

兵頭「御影さん、走ると危ないですよ!」

【病院内】

御影「傷薬、傷薬……」

兵頭「傷薬……誰か怪我したんですか?」

御影「……」

兵頭「なるほど、ようやく御影さんがあんなに心乱れてた理由がわかりましたよ」

御影「あった!」

兵頭「ふふっ、そうなると早く帰った方がいいですね。お兄さんのためにも」

御影「っ……ちょっとそういう事……」







ガッ!

兵頭「っ!」ドサッ

御影「……えっ」






兵頭「うっ……」

えっ、なに、なんで兵頭倒れてんの?

なんで兵頭、頭から血流して……

御影「ちょっと兵頭!」

兵頭「御影さん、逃げ……」

御影「逃げるってなに……」

兵頭に気をとられて私は気付かなかった。

廊下にいた兵頭の近くに今まさに何かを振り上げる誰かがいたなんて……

ガッ!

御影「うっ!?」ドサッ

っ、誰かに、殴られ……

いったい、誰が……

「……」

御影「誰、っ……あん、た……」

「……」ブンッ!

ガッ!

御影「兄、さん……」ガクッ

「…………」

今回はここまでで。

【赤穂のコテージ】

赤穂「うっ……」

如月「目が覚めましたか」

赤穂「如月、さん?なんでここに……」

如月「その説明の前に何があったか覚えていますか?」

赤穂「何って……」

俺は確か夜中に外に出て、射撃練習場で土橋に会って……

それで…………

赤穂「そうだ、俺は……っ!?」

如月「無茶はしない方がいいですよ。あなたは撃たれたんです、遠見さんが治療したとはいえ安静にしていないと」

赤穂「つ、土橋は……!あいつは無事なんですか!?」

如月「……えぇ、彼女は無事です。本当はあなたが目覚めるまでいるつもりだったようですが、精神的疲労もあるからとコテージに戻ってもらいました」

赤穂「そうですか……」

土橋は無事なのか……よかった……

如月「……ところで赤穂さん、あなたを撃ったのは誰かわかりますか?」

赤穂「いえ、俺が見たのは腕だけで……それも暗かったから誰のかまでは」

如月「ふむ……わかりました。佐場木さん達が犯人を探すつもりのようですからあなたは安静に……」







モノクマ「そんな呑気な事言ってていいのかなー?」






赤穂「モノクマ……!?」

如月「何か用ですかモノクマ」

モノクマ「ちょっとボクとしても困る事が起きてね。二人に伝えに来たんだよ」

赤穂「困る事だって……」

モノクマが困るのは歓迎したいぐらいだけど、わざわざ俺と如月さんに伝えに来たってどういう事だ?

モノクマ「赤穂クン、妹さんは可愛い?」

赤穂「はっ?」

モノクマ「うぷぷ……もし可愛いなら大変だね」


モノクマ「御影さん、このままだと殺されるよ?」


赤穂「なっ!?」

如月「……!」

赤穂「どういう事だ!詳しく話せ……つうっ!」

如月「御影さんが殺されそうだと……しかしそれをあなたが伝えに来る目的はなんですか?」

モノクマ「困る事って言ったでしょ?このまま御影さん達が死んだらお楽しみがお預けになっちゃうんだよね!」

如月「お楽しみ……いえ、それより御影さん【達】ということは危ないのは彼女だけではないんですね?」

モノクマ「うぷぷ、とにかく伝えたからね。止められるなら止めといてよ、せっかくのコロシアイなんだからさ!」

赤穂「っ……牡丹!」

早く助けに行かないと……!

如月「赤穂さん、気持ちはわかりますが落ち着いてください。あなただって怪我をしているんですよ」

赤穂「でも……!」

如月「ここは僕が行ってきます。必ず御影さんは助けますから」

赤穂「……」

如月「いいですか、絶対にコテージにいてください」

バタンッ

赤穂「……」

コテージにいろ、か。

赤穂「そんなの、はいそうですかなんて聞けるわけないだろ……!」

牡丹は俺の妹なんだ。

妹が危ないのに、コテージに籠ってなんていられるか……!

【中央の島】

赤穂「モノクマのお楽しみは、きっと学級裁判の事だ……」

つまり牡丹は今殺されそうで、なおかつ学級裁判が起きない状態にある……!

赤穂「それはきっと、死体が見つからないって事だ」

死体が3人以上に見つからないと捜査が、ひいては学級裁判が始まらない。

犯人はそれを狙ってるはず……

赤穂「どうすればそんな事が出来るんだ……」

可能性としては、生きたまま海に流されてるか……

いや、だけど海に流されたならいくら如月さんでも助けるのは不可能だ。

赤穂「じゃあ他に方法があるのか……だけど今まで見た中でそんな事が出来る施設なんて……んっ?」

新しい島が……まさかここか!

赤穂「違ってたらもう間に合わない……だけど可能性が一番高いのはここだ……!」

牡丹、ここにいてくれよ……!

【第3の島・オータムアイランド】

「はあああっ!」

赤穂「っ、これは如月さんの声……!」

間違いない、牡丹はここにいる……!

【モノクマフラワー】

赤穂「牡丹!」

如月さんの声を頼りに進むと、あのコロシアイ学園生活でも見たモノクマフラワーがグネグネと動いていた。

その根元には、倒れてる牡丹と兵頭。

そして2人に向かって伸びる触手を蹴散らす如月さんがいた。

如月「さすがに2人守りながらの離脱は難しいですか……!」

赤穂「っ!」

如月さんは触手の相手で精一杯か……だったら俺がやるしかない!

ヒュッ!

赤穂「なっ!?」

モノクマフラワーに向かって歩き出した瞬間、俺の杖が触手に弾き飛ばされて、支えをなくした俺はその場に倒れてしまう。

赤穂「くっ……!」

腹から何かが流れた感覚。

傷口から、また血が……だけど構ってられるか!

赤穂「くそっ……」

腕と片足の力で這うように進む。

だけどそんな俺を嘲笑うかのように、牡丹が触手に捕まって、持ち上げられた。

如月「しまった!くっ……そんなに餌を奪われたくありませんか!」

勢いづいたのか兵頭にも群がる触手を如月さんが相手する間に、牡丹はどんどん口の部分に連れていかれて。

赤穂「くそっ!くそっ!動け、こんな時ぐらい動けよ!」

妹が目の前で喰われそうになってるのに、なんで俺は倒れて這ってるんだ!?

如月さんみたいに戦えとは言わないから、せめて普通に立てよ赤穂政城!

ヒーローなんだろ、だったら火事場の馬鹿力でもなんでも出して立ち上がれよ!

立って牡丹を助けろよ、兄貴だろ俺は……!

赤穂「やめろっ……牡丹を返せよっ……!」

赤穂「やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

俺の叫びもむなしく、牡丹の身体は花の中に運ばれ…………







道掛「牡丹ちゃんを離せよ!このデカブツ!」






その瞬間、何かが俺の上を飛んで触手の上に乗った。

そのまま触手を器用に昇ると、牡丹の身体を奪って降りてくる。

ようやく認識できたそれは自転車。

道掛が自転車で触手を走って、牡丹を助けたんだ。

道掛「如月、牡丹ちゃんは助けたぜ!お前も早く千ちゃんを!」

如月「わかりました!」

道掛が自転車で走っていくのを追いかけるように、如月さんも兵頭を抱えてモノクマフラワーから離れていく。

どうやら2人は俺に気付いてなかったみたいだ。

あれだけ叫んでも、俺はその声すら届かなかった。

赤穂「……」

俺は妹を助けるどころか。

赤穂「はっ、ははっ……」

目の前で死にそうな妹をただ見ていることしか出来なかった。

赤穂「……」

飛んだ杖を拾って、立ち上がる。

腹から滲んだ血が地面を赤く濡らしてるのに、何も感じない。

モノクマフラワーも興味をなくしたみたいに、俺に襲いかかったりはしてこなかった。

赤穂「……」

何がヒーローだよ。

赤穂「俺は……」

妹を守れない、ヒーロー、そして兄失格の大馬鹿野郎だ。

例えようもない虚脱感を胸に、俺はその場を後にした。

本日はここまでで。

今日は無理なので明日にずらします。

【病院】

赤穂「……」

あれから俺はマップを頼りに病院にやってきた。

殺されかけたなら、コテージに連れていくよりここに来るはずだから。

如月「……赤穂さん、コテージにいてくださいとお願いしたはずですが」

病院のロビーにいた如月さんにそんな事を言われたけど、正直今の俺はその言葉に何かを返す余裕もない。

如月「その血……傷口が開いていますね。今包帯を」

赤穂「牡丹は」

如月「……」

赤穂「牡丹は無事なんですか」

如月「頭を殴られたようですが、命に別状はないようです。今は病室で寝ていますよ」

赤穂「……」

如月「……何かありましたか?どうも、コテージで別れた時とは様子が違いますが」

赤穂「……ちょっと」

言えない、妹を助けようとして何も出来なかったなんて。

その事で牡丹に謝りたいだなんて、言えるわけなかった。

道掛「おっ、赤穂も来たのか!ってどうしたんだよその血!?」

赤穂「道掛……」

如月「赤穂さん?」

俺は道掛に近寄るとその肩を掴む。

道掛には絶対に言わなきゃいけない事があるんだ。

道掛「待っ、赤穂なんか怖えって!?誤解だ、俺は牡丹ちゃんに何もしてな……」

赤穂「ありがとう道掛……」

道掛「はっ?」

赤穂「牡丹を助けてくれてありがとう……」

道掛「あー……如月、話したのかよ。別に話さなくていいって言ったのに」

如月「……」

道掛「如月?」

如月「そうですか。あなたは……」

赤穂「ありがとう、ありがとう……!」

道掛「……?」

道掛にお礼を言っている内に、他のみんなも駆けつけてきた。

俺は遠見と土橋に大目玉を喰らって、治療と説教を同時に受ける事になる。

そして……牡丹と兵頭が目を覚ましたのはそんな説教が終わった頃だった。

【御影と兵頭の病室】

佐場木「早速で悪いが話を聞かせてもらうぞ。何があった?」

兵頭「私達はこの島を調査していて、最後にこの病院に来ました」

兵頭「そこで御影さんが傷薬を探し始めまして、私はそれを見ていたんです」

兵頭「そして御影さんが傷薬を見つけた直後に……私は衝撃を受けて倒れたんです」

御影「……私がそれを見て兵頭に駆け寄ったら、物陰から誰かにいきなり殴られたんだよ」

佐場木「そしてモノクマフラワーの側に運ばれたわけか」

遠見「佐場木殿、これはおそらく」

佐場木「間違いないだろうな」

赤穂「……」

なんだ、佐場木と遠見が何か目配せしてるぞ……

六山「2人は何か知ってるの?」

佐場木「それについては後だ。とにかく今回の件についてだ」

遠見「犯人は御影殿と兵頭殿をモノクマフラワーに補食させ死体を消すつもりだったようでありますな」

土橋「それだけじゃないよ!2人を襲ったのって、政城を撃ったのと同じ奴でしょ!?」

赤穂「……多分な」

苗木「じゃあ犯人はこの短い間に3人も殺すつもりだったって事!?」

如月「いえ、それ以上だと思います。モノクマフラワーに補食させた場合、死体が見つからない事から学級裁判は行われないようなので」

道掛「はあっ!?そんなのアリかよ!?」

佐場木「学級裁判を行わずして俺達を消す。どうやらよほど俺達に死んでほしい存在がいるようだ」

ジェニー「えとえと、シリアルキラーて事です?」

道掛「そんなの相手にどうしたらいいんだよ……このまま黙って皆殺しなんて冗談じゃ……!」

モノクマ「そうだね!そんなのつまんないよね!」

道掛「うおわあっ!?」

鞍馬「出ましたね」

モノクマ「いやいや、本当に今回は困ったね」

モノクマ「危うく学級裁判のセットとかおしおきの装置とかが無駄になっちゃう所だったよ!」

如月「……そんな戯れ言を言いに来たんですか」

モノクマ「もちろんそれだけじゃないよ!本題はここから!」

モノクマ「今回の件を受けて、ボクは新しいルールをここに追加します!」

ピピッ!

【同一のクロが殺せるのは2人までとします】


佐場木「皆殺し防止のルールか」

モノクマ「そういう事!2人までは良しとするけどそれ以上殺したらおしおきしちゃうよ!」

モノクマ「うぷぷ、これで健全にコロシアイが出来るね!」

遠見「コロシアイに健全も何もないであります……」

六山「まあ、皆殺しがなくなっただけよしとするしかないよ……あっ、レベル上がった」

皆殺しか……

モノクマがわざわざ新しいルールを追加したなら黒幕以外にそれを企んでる人間がいるって事なんだよな……

佐場木「……おい、ところで津浦は来ていないのか」

土橋「あっ、そういえば……」

見回してみると、確かに津浦の姿が見えない。

グレゴリーの事もある、また引きこもってても不思議じゃないけど……

遠見「コテージにいるのでありましょうか……見てくるであります」

苗木「津浦さん、大丈夫なのかな」

兵頭「支えになっていたグレゴリーさんがクロになったんです。何があってもおかしくありませんね」

ジェニー「何かて……」

六山「後追い、とか?」

道掛「じ、自殺って事かよ!?」

御影「……!」

佐場木「落ち着け、まだそうと決まったわけじゃない」

赤穂「それはそうだけどな……」

佐場木「とにかく遠見を待て。それより赤穂、貴様そんな傷で何をしている」

赤穂「えっ?」

土橋「そうだ、そうだよ!政城も怪我してるんだから安静にしてなきゃ!」

如月「ここは病院ですから、しばらくここでゆっくりしてもらうのはどうでしょう」

土橋「そうだね!それじゃあ空いてる病室に行こう政城!」

赤穂「ま、待て、押さないで……!」

結局俺は土橋に背中を押されて、病室を後にした。

まだ牡丹に謝ってないのに……

【赤穂の病室】

赤穂「お、おい土橋!俺は大丈夫だからそんな大袈裟な……」

病室に連れてこられた俺はベッドに半ば無理やり寝かされていた。

土橋は何を言っても無視して、色々してるけど……

赤穂「なあ、本当に俺は大丈夫だって。だからそこまでしなくても……」

土橋「……」

赤穂「土橋?」

土橋「だって、アタシのせいだから」

赤穂「はっ?」

土橋「政城はアタシを庇って怪我したんだよ。だからアタシは……」

赤穂「……」

土橋「出来る事は何でもしてあげたいの。政城を傷つけたお詫びと……」

振り返った土橋の目には涙が浮かんでいて、その表情は色んな感情が混ざった顔で。

土橋「政城に助けられた感謝の気持ちをこめて、さ」

赤穂「……」

その時俺は改めて実感した。

俺は誰かを助けられたんだと。

牡丹を助けられなかったこんな俺でも、土橋を助ける事は出来たんだと。

赤穂「土橋……」

土橋「あっ、そうだ、ねぇ、政城……」

赤穂「ありがとうな」

土橋「えっ?それ、アタシの台詞……」

牡丹を助けられなかった事は、俺にとってやっぱり強い凝りを残している。

だけど何も出来なかったわけじゃない。

それを気付かせてくれて……本当にありがとう。

短いですが今日はここまで。

明日更新したいと思います。

申し訳ありません、リアルで諸々あって更新が出来る状態にありませんでした。
8月からまた再開します。

そして以前に5作目まで考えていると話しましたが、今回、そして5作目が終わったら番外1つ色々一新しての話4つを行いたいと考えています(才能と名前は既に用意済)

その全てが終わるのはいつになるかはわかりませんが、言った以上はやりとげたいと思います。

そのためにまずこのクエストを頑張って終わらせます。

遅い更新ですがお付き合いいただければ幸いです。

それではまた。

ドタバタ

土橋「あれ、なんか騒がしくない?」

赤穂「まさかまた何かあったのか……!」

「なんだと!それで――」

「それが――」

土橋「ちょっと何があったのか聞いてくる。政城は安静にしてて!」

赤穂「あ、ああ」

土橋が廊下に出て、佐場木や遠見と話してるのが微かに聞こえてくる。

遠見が戻ってきたって事は……津浦に関する事だよな?

くそっ、せめて動けたら……!

ガチャッ

土橋「……」

赤穂「土橋、佐場木と遠見はなんて……」

土橋「こ、琴羽が……」

土橋「いなくなったって……」

赤穂「……!?」

佐場木が津浦について話したいと男子全員を俺の病室に集めた。

女子には遠見から話をするらしい……

道掛「琴羽ちゃんがいなくなったってマジかよ佐場木!」

佐場木「事実だ。遠見からの報告によればな」

苗木「でもコテージにいないだけなら、他の島に行ってるとかじゃないの?」

佐場木「コテージに血痕があったそうだ」

赤穂「なっ、血痕……?」

如月「なるほど……それはただ事ではありませんね」

佐場木「何があったにしろ今現在津浦は負傷している可能性が高い。この後数人津浦の捜索に付き合ってもらうぞ」

道掛「おっしゃ、まかせとけ!」

苗木「うん……心配だな津浦さん……」

鞍馬「……」

佐場木「どこに行く鞍馬」

鞍馬「話す必要性を感じませんね」

バタンッ

赤穂「鞍馬……」

佐場木「ちっ、仕方がない……道掛と苗木は俺と来い」

如月「僕も参加しなくていいんでしょうか?」

佐場木「貴様は当初の予定通り赤穂の警護をしておけ。問題は津浦の行方だけじゃないんだからな」

赤穂「……」

牡丹と兵頭を襲った犯人の事か……

如月「……そうですね、わかりました」

佐場木「行くぞ」

佐場木が道掛、苗木と病室を出ていく。

津浦、お前は今何をしてるんだ……

赤穂「……」

如月「……さて、2人ですから聞いておきましょう」

如月「赤穂さん、あなたは兵頭さんと御影さんがユートピアフラワーに襲われていたあの場にいましたね?」

赤穂「……」

如月「道掛さんが御影さんを助けた事を知る理由は他にありません。そうなんでしょう?」

赤穂「……はい」

如月「やっぱりですか……あなたも無茶をしますね」

赤穂「無茶をして……結局助けられませんでした」

如月「……結果的には助かったんです、思い詰めるのはオススメしません」

赤穂「だけど」

如月「それに、赤穂さんが御影さんが心配で動いてしまった気持ちは僕にもわかります。僕にも妹がいましたからね」

赤穂「……如月さんにも?」

如月「えぇ、もし同じ状況だったら……いえ、もしじゃなく実際同じ事をしました」

赤穂「……」

同じ事を、実際した?

如月「最も、僕は間に合いませんでしたが」

赤穂「それって……」







ブツンッ






赤穂「っ!?」

如月「これは……停電ですか?」

停電……それはあの時の事を思い出させる。

この島に来て最初の殺人、静音が殺されたあの時の事を……

「きゃあああああっ!」

「落ち着いて、これはきっと一時的な物でありますから!」

赤穂「っ……!」

誰かの悲鳴とそれをなだめる遠見の声が聞こえてくる。

やっぱり暗闇には思うところがあるって事か……

如月「しかしなぜ急に……佐場木さん達はどうしているんでしょうか」

赤穂「とにかく、カーテンを開けて日を入れましょう!今はまだ昼だから外は……」

閉じられたカーテンを急いで開ける。

すると日光が暗い部屋を……

日光が……

日光……

…………なんでだ?

なんでカーテンを開けても、暗いままなんだよ!?

佐場木「おい、全員無事か!」

道掛「なんだよこれ、何がどうなってんだ!」

赤穂「佐場木!道掛!外が暗いけどどうなってるんだ!?」

苗木「そ、外も急に暗くなったんだよ!月明かりもないし、本当に真っ暗で何がなんだか……」

佐場木「さらにもう1つ異常事態が発生した」

如月「異常事態?」

道掛「中央の島に繋がる橋が、なくなってんだよ!」

赤穂「な、なんだって……」

佐場木「どうやら俺達は……閉じ込められたらしいぞ」

佐場木「この、明かりのない島にな」

モノクマ「そのとーり!」

赤穂「モノクマ!これはなんなんだ!」

モノクマ「うぷぷ……どうもこのままだと早々にまた事件が起きそうだから後押しをね」

モノクマ「今回の動機はこの暗闇の島!」

モノクマ「暗闇は怖いからね、人によっては発狂しちゃうかもしれないし……」

モノクマ「オマエラみたいな虚弱にはキツいよね……」

モノクマ「それならコロシアイだよ!コロシアイをすればまた光がオマエラを照らしてくれるよ!」

モノクマ「ああ、もしくはボクが飽きるまで耐えたらやめてあげてもいいかもね!」

モノクマ「それじゃあ頑張ってね!暗い暗いこの島で……あーはっはっはっは!」

赤穂「……」

まだ、昨日学級裁判があったばかりで……みんなもかなりキツい。

そんな中で、俺達は耐えないといけないのか……?

この、不安を掻き立てる暗闇を……!

続きはまた今夜に。

パッ

赤穂「っ!」

これは明かり……

遠見「皆さん、大丈夫でありますか?」

佐場木「遠見か。その懐中電灯はどうした」

遠見「調査のために用意していた物であります。しかしまさかこんな事になるとは」

道掛「これからどうすんだ?これじゃあ琴羽ちゃん探すどころか歩くのも一苦労だぞ」

苗木「そもそも津浦さんが他の島にいたらどうしようもないよ……」

赤穂「……いや、津浦はこの島にいるんじゃないか?」

佐場木「なぜそう思う」

赤穂「モノクマのやり方を考えると、今津浦だけが安全圏にいるっていうのはないんじゃないか?」

如月「ふむ……津浦さんが他の島にいて亡くなっていた場合、それは事故、自殺以外の結論が出ません」

如月「あのモノクマがそんな学級裁判を望むとは思えませんね」

遠見「結論として、津浦殿はこの島にいる可能性が高いわけでありますか……」

佐場木「それならば見つける手間もあまりかからないか……遠見、予定を変更して俺とお前で捜索するぞ」

遠見「了解であります!」

佐場木「道掛と苗木はここに待機だ。何が起こるかわからない以上、気を抜くなよ」

ガチャッ

バタンッ

苗木「……本当、大変な事になっちゃったね」

道掛「とりあえず女子が大丈夫か確かめにいこうぜ!怖がってるかもしれないしな!」

赤穂「そうだな……俺は動けないから、牡丹の様子を見てきてくれるか?」

道掛「……お、おう。わかった、行ってくる」

苗木「あっ、ボクも行くよ」

バタンッ

なんだ?なんか変な空気になってなかったか……

如月「不思議なんですよ。赤穂さんから道掛さんに御影さんの事を頼むというのが」

赤穂「……そういう事ですか」

確かに、前までなら絶対邪魔してただろうな……

赤穂「……」

もう、そんな事言ってられなくなったからな……

今回はここまで。

※※※※

御影「……」

いきなり暗くなった島……モノクマはこれが次の動機だって言ってたね。

兵頭「まいりましたね。まさかこんな事になるとは」

ジェニー「ぐすっ、暗いのやです……」

土橋「大丈夫、大丈夫だよジェニー。こんなのいつまでも続くわけないんだから……」

六山「うーん……充電は出来るから本当に明かりだけなくしたんだね」

六山が持ってたゲーム機の明かりが辺りを照らす。

これがなかったら、私達は真っ暗な中にいてもっとパニックになってただろうね……

御影「……」ブルッ

正直私も暗いのは苦手……あの薄暗い研究施設を思い出すから。

布団を被って、何とか誤魔化してるけど、さっきから震えが止まらない。

そもそも病院ってだけだってキツいのに……

御影「……」カタカタ

こんな時兄さんがいてくれたら……

道掛「おーい、大丈夫かー?」

ジェニー「ソウヤ?」

苗木「ボクもいるよジェニーさん」

六山「どうしたの?津浦さんを探しに行くって言ってなかった?」

道掛「佐場木がメメちゃんと行くからって留守番。で、様子を見に来たってわけ」

兵頭「それでは今隣は如月さんと鞍馬さんと赤穂さんというわけですか。話している姿が想像出来ませんね」

苗木「いや、鞍馬クンはどこか行っちゃって……」

土橋「そうなの!?いくらなんでも自由過ぎじゃない……」

御影「……」

兄さんはやっぱり来れないか……仕方ないよね。

道掛「あー、そういや牡丹ちゃん大丈夫か?」

ジェニー「ボタンですか?」

道掛「赤穂が牡丹ちゃんの様子を見てきてくれって言ってたんだよ」

御影「……!」

兵頭「あらあら、やはり兄妹という事でしょうか?御影さん」

御影「……何が言いたいのさ」

兵頭「いえいえ、何でもありませんよ」

苗木「あはは、大丈夫そうだね。赤穂クン、本当に心配してたからよかったよ」

御影「……」

これだけで震えが止まるって……私、どれだけ単純なんだか。

※※※※

赤穂「……」

如月「……」

会話がない……さっきの如月さんの話の途中で停電が起きたからか?

なんか重い話だったみたいだし、今さら俺から聞くわけにもな……

如月「そういえば、話の途中でしたね」

赤穂「……いいんですか。あまり楽しい話じゃなかったみたいですけど」

如月「いえ、これも何かの縁でしょうからあなたには聞いてほしいですね赤穂さん」

赤穂「……わかりました」

如月「僕に妹がいた話はしましたね、僕は間に合わなかったという事も」

如月「僕と妹は両親に捨てられ、教会の孤児院で育ちました」

如月「院長先生は寡黙な方でしたが、僕達をとても可愛がってくれて」

如月「院長先生の養子になっていたのは妹と同い年だった女の子だけでしたが、それを不満に思う事もありませんでした」

如月「あの頃は本当に幸せでしたね」

如月「その歯車が狂いだしたのはいつ頃だったか……ああ、やはり妹の体質がわかったあの日ですね」

赤穂「体質?」

如月「……妹は病気でした。それも生きているのが不思議なほど重い病」

如月「ですが妹は普通に過ごしていたんですよ。まるで病気なんてないかのように」

赤穂「そんな事が……」

如月「それがわかった時、妹は奇跡の少女だと言われていました。ですが……」

如月「その後を考えれば、あんなもの奇跡どころか呪いでしたよ」

如月「あの日、妹を引き取りたいという男が教会を訪ねてきました」

如月「院長先生とその男が話し合って、妹は引き取られる事になりました」

如月「院長先生はその男は医者だから、病気を治してくれるだろうと言っていましたけど……僕はその男が妹を見るその目がどうしても気になってしまいました」

如月「まるで動物を見るようなあの目が」

如月「だから、僕は院長先生の部屋からあの男の名刺を持ち出して、その男が住む家……いえ、研究施設に着いて、見てしまったんです」

如月「……あまり愉快な話ではないので結論だけ言います」

如月「妹は生きたまま解剖されてました」

如月「あの男はただ妹の体質を調べるためだけに」

如月「あの子が泣き叫ぶのも聞き入れず、バラバラにしたんですよ」

如月「僕は飛び込みました。妹を助けるために、もう妹は動いてなかったのに」

如月「……大人と子供の差か、僕はあっさりと負けました。そして妹の代わりになるかもしれないと実験台にされかけました」

如月「僕は、偶然近くにいたよく教会に来ていた男の子の父親に助けられました」

如月「あの男が逃げて、妹の亡骸を前に泣くしか出来ない僕を連れてその人は教会に戻って」

如月「院長先生と話をしてくると言ってその人は教会に入っていきました」

如月「……今でも思い出せますよ。院長先生とあの人、当麻さんが話していたあの光景はね」

【如月回想】

「神乃木、聞きたい事がある」

「いきなり来たかと思えばなんだ、当麻」

「お前はあの男がマッドサイエンティストだと知っていながらあの子を引き渡したのか?」

「……」

「知っていたんだな……子供達を幸せにする、それが自分の償いであり懺悔だと俺に言ったあれは嘘だったのか!」

「嘘ではない。私は子供達の幸せを願っているさ」

「なら……」

「だからこそ、尊い犠牲は必要ではないか?」

「……なに?」

「あの子があの男に研究され、その果てに多数の命が救われる……それがどれだけ素晴らしいか、いずれあの子も理解するだろう」

「……」

「ならばきっとあの子は幸せだ。優しい子だったからな……人助けになるとわかれば死をも幸せに変えられるだろう」

「……それが、お前の本音か」

「本音も何も、私は何一つ嘘を語った覚えはないが?」

「神乃木……お前は俺の友人だ」

「ああ、私もそう思っているとも」

「だからこそ、俺はお前のその間違いを看過するわけにはいかん!」

「……間違い?」

「お前の思う幸せについてはとやかく言わない。しかし子供に押しつけるならそれは間違いだ!俺はあの子の涙を、幸せに必要な犠牲などとは認めない!」

「……」

「俺が今言えるのはそれだけだ……後で俺の家に来い。話し合う事は山ほどあるからな」

「……ああ」

如月「…………」

如月「……その後でした。当麻さんが殺されたのは」

赤穂「……!」

如月「犯人は一人しかいなかった。だけど僕は何もできませんでした」

如月「法で裁こうにも証拠はなく、僕自身にはあまりにも力がなかったんです」

如月「僕は孤児院から逃げました。それからの数年はただ生きるために時間を費やしましたね」

如月「そんな日々が続いて、僕はある日、ある人物と出会いました」

如月「その人は脳神経に関してまさに天才と呼ぶにふさわしい人で……僕はその人にお願いしたんです」

如月「人間には力を使いすぎて壊れないよう、脳にリミッターがかかっています」

如月「そのリミッターを外せないかと」

如月「彼は笑って引き受けてくれました。そして手に入れたのが今の僕のこの力です」

如月「その足で僕は孤児院に向かいました、今ならあの院長にだって勝てるはずだと」

如月「ですが、僕は復讐できませんでした」

如月「院長は……病気で亡くなっていたんです」

如月「僕は目的を失いました。しかし院長はある物を残していたんです」

如月「世間の悪人に関するデータ。妹と同じような犠牲を産み、のうのうと生きている悪……僕はそれを見て、決意したんです」

如月「この力で悪を全て裁こうと。たとえこの身が血にまみれようとも正義を執行しようと」

如月「そうして僕は、ジャスティスジャッジになったんです」

短いですがここまでで。

赤穂「……」
 
如月さんの話に俺は何を言ったらいいかわからなかった。
 
憧れだった如月さんのルーツ、それは妹さんの死で。
 
もし牡丹が同じような目に遭わされていたとしたら……俺はきっとこの人と同じ道を進んでいただろう。
 
如月「無論僕のしている事は人殺しです。認められない人がいる事だってわかっているし、だからこそ僕も【超高校級のヒーロー】という仮面を被っているんですから」
 
赤穂「……如月さん」
 
如月「赤穂さん、そんな僕だからこそあなたにこう言えると思います」
 
如月「あなたは殺す事が芯にまで染み付いた僕とは違う道、【本当のヒーロー】の道を行ける」
 
如月「だから僕に憧れるのも僕と比較して無力だと嘆くのもよしなさい」
 
如月「赤穂政城の目指すヒーローは、僕という存在とはかけ離れているんですから」
 
赤穂「……」
 
如月「……さて、そろそろ一度眠った方がいいですよ。色々あって疲れたでしょうから」
 
赤穂「……わかりました」
 
如月さんの言葉に促されるまま、俺は目を閉じる。
 
如月さんとは違う【本当のヒーロー】、か……

 
 
 
 
 
 
如月「あなたと僕は決定的に違う」

 
如月「だってあなたは失っていない」
 
如月「……」
 
如月「嫉妬なんて感情、僕には無縁と思っていたんですがね」

 
 
 
 
 
 

【11日目】
 
赤穂「……ん」
 
今、何時だ……
 
道掛「おっ、起きたか」
 
赤穂「道掛?如月さんは……」
 
道掛「如月なら今、仮眠とってるぜ。結局1日眠らずに番してたみたいだからな」
 
赤穂「……1日?」

道掛「おう、今日はえーっと、この島来てから11日目だな。さっき百夏ちゃんのゲーム機に映ってた時間は9時だったぜ」
 
赤穂「放送はなかったのか?」
 
道掛「いや、あったぞ。赤穂、よっぽど疲れてたんじゃねえの?」
 
赤穂「そうか……眠ってた間に何かあったか?」
 
道掛「牡丹ちゃんと千ちゃんが一応歩けるようになったのと……琴羽ちゃんが見つかった事だな」
 
赤穂「津浦が!?それで、津浦は今……」
 
道掛「いや、それがな……」
 
バンッ!

 
 
 
 
 
 
「フハハハハッ!目覚めたか聖痕抱きし英雄よ!!」

 
 
 
 
 
 

赤穂「っ!?」
 
俺はその言葉に耳を疑った。
 
「ふむ、さらに聖痕が刻まれたようだな……しかしそれもまた英雄たる証!誇るがいい!」
 
それは四方院さんを殺して処刑されたはずのグレゴリーのような口調。
 
「漆黒の闇とは絶望の化身も考えたものよ……だがしかし!希望の種たる我ら、このような闇払ってみせようではないか!」
 
だけど声は紛れもなく、津浦のもので。
 
……俺はこの時ほど、暗闇に目が慣れた事が嫌になった事はない。
 
津浦「フハハハハッ!!」
 
そうじゃなければ、仮面とマントを着けてその仮面の下から血を流す津浦を、はっきり認識せずに済んだんだから。

遠見「……津浦殿!何をしているのでありますか!」
 
津浦「Ms.遠見?あっ、痛っ……目が、目が痛いです……」
 
遠見「さあ、病室に戻るでありますよ……津浦殿は怪我をしているのでありますから」
 
津浦「何を言う!言の葉の魔術師はもうこの現世のどこにもいないではないか!」
 
津浦「はい、Ms.遠見……ご迷惑をおかけします……」
 
バタンッ
 
赤穂「……何が、どうなってるんだ」
 
道掛「……琴羽ちゃん、ショックでグレゴリーみたいになっちまってるんだよ」
 
道掛「なんか、琴羽ちゃんはルール違反して処刑されたんだってよ……」
 
赤穂「だけど今津浦として遠見に返答してなかったか?」
 
道掛「ああ、なんか時々琴羽ちゃんに戻るんだよ……その時の琴羽ちゃんにグレゴリーの話題は禁句だぞ」
 
赤穂「……なんでだ?」
 
道掛「裏切り者の話なんかしたくもない……ってさ」
 
赤穂「……」
 
道掛「今琴羽ちゃんはグレゴリーに対する……えーっと、なんだったけか」
 
苗木「グレゴリークンへの思慕と憎悪がせめぎあってる状態……だよ、道掛クン」
 
道掛「おお、苗木」
 
苗木「グレゴリークンは自分を助けてくれた。だけどグレゴリークンは学級裁判で自分を切り捨てようとした」
 
苗木「そんなグレゴリークンの相反する行動で、心がどうしたらいいのかわからない……そんな状態なんだって」
 
赤穂「……そう、か」
 
苗木「なんか、もう……本当にどうなるんだろうねボク達」
 
暗闇、津浦、牡丹達を襲った存在……
 
あまりにも俺達には抱える問題が、多すぎた。

今回はここまで。
それではまた……

コンコン

赤穂「んっ、どうぞ」

ガチャッ

御影「兄さん……」

赤穂「牡丹っ!?大丈夫なのか……痛っ!」

御影「ちょ、ちょっと!兄さんの方が傷深いんだから!」

赤穂「そうは言ってもな……いたた」

御影「もう……本当に無茶する所は変わらないんだから」

赤穂「……」

なんだ、なんか牡丹の雰囲気が柔らかくなったな……

赤穂「というか、兄さんって」

御影「んっ……まあ、こんな事になった以上変に意地張るのもね」

赤穂「意地か……なあ、牡丹。意地張るのやめたなら教えてくれよ、お前に何があったんだ?」

御影「……」

赤穂「この数年、何か良くない事があったのはわかるんだよ。だけどあの薬といい、その髪といい……」

御影「……知りたい?」

赤穂「……ああ」

御影「……わかった、話すよ。先に言っとくけど、現実的な話じゃないから」

そして牡丹は語りだした……

だけどその話は……

御影「私の才能は【超高校級の被験体】……モルモット、ペットみたいなものなんだ」

昨日如月さんから聞いた話とほとんど同じだった。

赤穂「……」

牡丹を拉致したマッドサイエンティスト、病気を抱えて死なない身体……あまりにも似てる。

御影「あの薬は痛み止め、髪は色々弄くられた結果……死なないなら痛みも何とかしてほしいぐらいだよね」

牡丹は、如月さんの妹と同じ……体質、なのか。

御影「兄さん?」

赤穂「……あ、ああ。よく話してくれたな」

御影「信じるの?」

赤穂「ああ、信じるよ。こんな嘘ついても意味ないしな……ところで、その男は今?」

御影「わかんない。無我夢中で逃げたからさ……」

赤穂「……そうか」

もし生きてるなら、絶対捕まえて牡丹を傷つけた罪を償わせてやる。

野放しにして、被害者が出てもいけないからな……

赤穂「……なあ、牡丹」

御影「なに?」

赤穂「俺も話したい……謝りたい事があるんだ」

モノクマフラワーに食われようとしていたお前を助けられなかった。

それはやっぱり、どうしても……

御影「いいよ、別に。私助かったんだし」

赤穂「は……」

御影「如月から聞いた。兄さんがあの場にいて自分責めてるって」

御影「でもほら、それってさ……兄さんが誰かを助けた結果でしょ?」

赤穂「……」

御影「それなら自分責めるなんてやめてよ」

御影「わたしにとってもヒーローだった兄さんにそんな、誰かを助けた事を後悔してるような真似してほしくないから」

赤穂「……牡丹」

御影「とにかく改めてさ……また兄妹としてよろしく」

赤穂「……俺はずっと兄妹のつもりだったけどな」

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