クッソ有能なグランPと一緒に全空一のアイドルを目指すカリオストロちゃんのお話 (60)

カリオストロ「おかしい」

グラン「どうしたの?」

カリオストロ「この前、リルルってやつが新しく入ってきただろ」

グラン「入ってきたね」

カリオストロ「あいつはオレ様より可愛くないのに、何でオレ様よりファンが多いんだ?」

グラン「カリオストロ、不用意な発言は戦争を起こすよ」

カリオストロ「上等だ、返り討ちにしてあいつのファンを減らしてやる」

グラン「相変わらずアグレッシブだね」


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カリオストロ「とにかく、お前はオレ様のファンとして、オレ様のファンをさらに増やす使命がある」

グラン「いつの間にか僕がカリオストロのファンになってる……!」

カリオストロ「ほら、早くオレ様のファンが増える良い案を出せ」

グラン「……うーん、でもカリオストロには結構ファンがいると思うよ」

カリオストロ「そんなにいたか?」

グラン「よくわからない錬金術師の組織から熱烈なアタックを受けてるじゃないか」

カリオストロ「それは本当の意味でのアタックじゃねえかよ、そしてあれをファンにカウントするな……いや確かにあれも考えようによってはファンだが、オレ様はああいうファンがほしいんじゃない」

グラン「どういうファンがいいの?」

カリオストロ「もっとオレ様を崇めるようなやつがいい……少なくともオレ様を封印しようとしないやつらな」

グラン「ただのファンじゃなくて、カリオストロを封印しようとしないファンか……」

カリオストロ「神妙な顔でつぶやいているけど、全然ハードル上がってないからな」

グラン「……とりあえず、ファンを増やしたいなら、カリオストロはもっとファンサービスをすべきなんじゃないかな」

カリオストロ「ファンサービスだと? オレ様の姿を拝謁させてやるだけでも十分なファンサービスだろうが」

グラン「もう一声ほしいよね」

カリオストロ「じゃあオレ様と目が合ったらニッコリ微笑んでやるよ……いや待て、これはちょっとサービスしすぎか?」

グラン「は?」

カリオストロ「なんだ、「は」って?」

グラン「カリオストロはファンサービスを舐めてるの? そんなのじゃあリルルの足元にも及ばないよ?」

カリオストロ「そ、そうなのか?」

グラン「……仕方ない、何も知らないカリオストロのため僕が一肌脱ぐよ」

カリオストロ「お、おう」

グラン「カリオストロをリルルにも負けないくらい立派なアイドルにしてあげよう」

カリオストロ「え、アイドル? あれ? これそんな話だったか?」



グラン「まずは営業から始めようか」

カリオストロ「営業って何だよ」

グラン「いろんな所に顔を出して、カリオストロの顔を覚えてもらうんだ」

カリオストロ「いろんなところって何だ? 顔を覚えてもらうってどういう意味だ?」

グラン「はあ、そこからか……」

カリオストロ「てめえ、オレ様に向かってため息つきやがったな」

グラン「今、カリオストロに一番足りないのは何だと思う?」

カリオストロ「オレ様に足りないものなんかない」

グラン「そうだね、知名度だね」

カリオストロ「聞けよ」

グラン「カリオストロはまず、いろんな人に顔と名前を覚えてもらう事から始めるんだ」

カリオストロ「あのなあ……お前こそオレ様が誰なのか忘れたのか? 美少女錬金術師という肩書に隠れているが、『開闢の錬金術師』でもあるこのオレ様が知られてないわけないだろうが」

グラン「そこからか……」

カリオストロ「また「そこから」かよ」

グラン「仕方ない、カリオストロに現実を見せてあげるよ」

カリオストロ「現実?」

ショチトル島


カリオストロ「どこだここ?」

グラン「ショチトル島だよ」

カリオストロ「いや、どこだよ」

グラン「ここでは五人の巫女がライブをやっているんだ」

カリオストロ「ふーん」

グラン「僕はその巫女の子たちと知り合いなんだけど、その子たちに頼んで今日のライブの前座をカリオストロに任せてもらったんだ」

カリオストロ「前座だと? ふざけるな、何でオレ様が前座なんかやらなくちゃいけないんだ、やるにしても主役だろうが」

グラン「もし前座で凄く盛り上がったら、そのまま主役を務めていいって約束もしてもらったよ」

カリオストロ「はーん、何だそりゃ? ……つまりそいつらは今日はライブの主役になれないってことだな?」

グラン「自信満々だね」

カリオストロ「まあみてな……巫女だが何だか知らないが、オレ様がそいつらの人気を食ってやるよ」

舞台袖


祭祀「団長さん」

グラン「祭祀さん、今日は無理を言ってすみません」

祭祀「いいのよ、あなたたちにはお世話になったし……でも大丈夫かしら、彼女自信だけはあるみたいだけど、明らかに素人よ」

グラン「はい、今日は失敗するでしょう」

祭祀「……! 団長さん、あなたそれを予想した上であえて……」

グラン「まずカリオストロには現実を見てもらいます、いかに自分が知られていないのか、を……彼女のアイドル活動はそこから始まります」

祭祀「でもそれは、下手をすれば彼女が潰れてしまうわ!」

グラン「ここで潰れればそれまでの話です」

祭祀「厳しいのね……」

グラン「遊びでやっているわけではありませんから」

祭祀「……」

グラン「……」

祭祀(……この子、こんなキャラだったっけ……?)

ステージ


カリオストロ「みんなー! 天才美少女錬金術師のカリオストロだよー!」

観客「……」シーン

カリオストロ「あれー? 全然声が聞こえないぞー? どうしたのー?」

観客「誰だーお前ー!」

カリオストロ「あん?」

観客「リナリア様はー?」

観客「お前を見に来たわけじゃないんだよ!」

観客「早くライブを始めてくれー!」

カリオストロ「な、なんだと! てめえら言わせておけば……」

リナリア「はーい! みんなお待たせー!」

カリオストロ「何だお前は!? すっこんで……」

観客「リナリア様! 待ってたよー!」

カリオストロ「え!?」

カンナ「それじゃあとっとと始めちゃおうか」

観客「カンナ様!」

ハリエ「ティクニウトリ……」

ジオラ「ショロトル!」

観客「ワー!!!」

カリオストロ「な、なんだと……オレ様が出ても文句しか言わなかったのに、こいつら急に……」

観客「うぉー! はいっ! はいっ!」

カリオストロ「……こんなに盛り上がって……」

舞台袖


祭祀「危うくイクニアさん達とトラブルになりかけたから急いで巫女たちをステージにあげたけど」

グラン「はい、大丈夫です」

祭祀「あの子、震えているわ……相当ショックだったのね」

グラン「そうですね……ですけど、あの眼を見てください」

祭祀「眼……?」

グラン「あの眼には闘志が宿っています、あの震えもきっと悔しさの震えなんです……カリオストロは今、アイドルとして一歩を踏み出しました」

祭祀「……」

グラン「……」

祭祀(……やっぱりこの子キャラおかしくなってるわよね……)

ライブ後


グラン「カリオストロ」

カリオストロ「……」

グラン「僕が言いたかったこと、わかったよね?」

カリオストロ「……」

グラン「あれが今のカリオストロなんだよ」

カリオストロ「オレ様は……!」

グラン「なに?」

カリオストロ「オレ様はこの世界で一番可愛いんだ……! あんな小娘どもに負けてない……!」

グラン「カリオストロ……」

カリオストロ「……」

グラン「……その通りだよ」

カリオストロ「……え?」

グラン「僕はカリオストロが世界で一番可愛い事を知っている」

カリオストロ「団長さん……?」

グラン「だけど、それを知っているのは今のところこの世界で僕だけだ……だからこの世界のみんなに、カリオストロの可愛さをもっと知らせなければならない」

カリオストロ「団長さん……!」

グラン「カリオストロ、今日から僕の事はプロデューサーと呼んでほしい」

カリオストロ「プロデューサー……」

グラン「カリオストロの可愛さをみんなに知らしめるために……僕たちはこれからこの空のトップアイドルを目指すんだ!」

カリオストロ「プロデューサー……!」

漁船


グラン「今日の営業場所はここだ」

カリオストロ「営業場所って、ここ船の上じゃ……」


オイゲン「セイヤ!」

ソリッズ「セイヤ!」


カリオストロ「なんだか暑苦しい男どもが網引いてるんだけど……つうかなんでこいつらフンドシ一丁なんだよ、服を着ろ、服を」

グラン「さあカリオストロ、彼らを応援するのが今日のお仕事だ」

カリオストロ「応援? そんなの楽勝だな」

カリオストロ「ふれー☆ ふれー☆」

カリオストロ「ほらどうだ? オレ様可愛いだろ?」

グラン「カリオストロ、みんなカリオストロの事を見てないよ」

カリオストロ「何!?」


オイゲン「こいつは大物だぞ!」

ソリッズ「お前ら気張れよ!」

カリオストロ「く、くそ! またか……! おい、オレ様を無視するな!」

オイゲン「うん?」

ソリッズ「ちょうどいい、お前も手伝え!」

カリオストロ「あん?」

オイゲン「今は女子供でも人手が欲しい、網を持ってくれ!」

カリオストロ「え? あ? あ、ああ……」

ソリッズ「息を合わせろ!」

オイゲン「セイヤ!」

ソリッズ「セイヤ!」

カリオストロ「せ、せいや……いやいや、オレ様は網を引くためじゃなくて、応援するために……」

ソリッズ「もっと腰を入れて引け! 持ってかれちまうぞ!」

オイゲン「セイヤ!」

ソリッズ「セイヤ!」

カリオストロ「せいや! ……どうしてこうなった……!」



シグ「助かるよ、この時期は人手不足でね」

グラン「いえ、こちらとしても助かりました……今、カリオストロに必要なのは汗を流すことなんです、それも誰かと一緒に流す汗です」

グラン「人は高根の花に対して親近感を覚えません……『憧れの存在』という『価値』は、実はアイドルとしては致命的な欠点なんです」

グラン「カリオストロ自身がそのことに気付かなければならない……そう思ってこの営業を入れました」

シグ「そう……」

グラン「……」

シグ(……何の話してるんだこいつ……)

帰港後


グラン「お疲れ様、カリオストロ」

カリオストロ「クソ! 無駄に疲れただけじゃねえか!」

グラン「そうでもないよ、ほら……」

カリオストロ「あん?」

ソリッズ「よう、今日は助かったぜ」

オイゲン「お前も疲れただろう、一緒にまかないを食おうぜ」

カリオストロ「いや、オレ様は別に……」

ソリッズ「そういうなって、俺達も可愛い子ちゃんと一緒に飯が食いたいんだよ」

カリオストロ「可愛い子ちゃんだと? オレ様が……?」

オイゲン「おう、どうだ?」

カリオストロ「……はん! 天才美少女錬金術師であるオレ様が可愛いのは当然だぜ! ……ついでに特別に一緒に食べてあげる☆ これもファンサービスだもんね☆」

ソリッズ「そうこなくなっちゃな」

オイゲン「たくさん食えよ」

グラン「……」ウンウン



グラン「それからというもの、カリオストロは世界各地を営業して回った」


フェードラッヘ


ランスロット「彼女が今日から我が白竜騎士団のマスコットガールに就任したカリオストロちゃんだ」

カリオストロ「はーい☆ カリオストロでーす☆ よろしくお願いしまーす☆」

ヴェイン「い、いや待て、ランちゃんこれはどういうことだ?」

ランスロット「グラン団長……おっと間違えた、グランプロデューサーにはいつもお世話になってるからな、彼の頼みなら断れないさ」

ヴェイン「でも勝手にこんなこと決めたらカール王だってきっと怒るぜ」

ランスロット「大丈夫だ、カール王からの許可も得ている」

ヴェイン「マジかよ! 大丈夫かうちの国!?」

サブル島


カリオストロ「オラァッ! アルスマグナ!!」

星晶獣「グギャァァ!」

サブル島住民「せ、星晶獣を一撃で……」

カリオストロ「おい、この島を救ってやったのは誰だ?」

サブル島住民「あ、あなたです……」

カリオストロ「だったらオレ様に対して相応の礼がいるような?」

サブル島住民「し、しかし、差し上げられるようなものは何も……」

カリオストロ「物はいらねえ、その代りオレ様を崇めろ」

サブル島住民「え……」

カリオストロ「簡単に言うとオレ様のファンになれ、老若男女関係なしに島民一人残らずな」

サブル島住民「ファン……ですか?」

カリオストロ「オレ様がライブする時は島民を総動員しろ、コールは当然全員出来るようにしておけ、動ける奴はロマンスとマワリもな」

サブル島住民「な、何をおっしゃっているのか……」

カリオストロ「星晶獣を滅ぼすついでにこの島も滅ぼしとくか?」

サブル島住民「や、やります、やらせていただきます!」

サラ「カリオストロさん!」

カリオストロ「うん?」

サラ「……ありがとうございます!」

ボレミア「私からも礼を言わせてほしい、感謝する、カリオストロ殿」

カリオストロ「……さん? 殿?」

サラ「え?」

カリオストロ「カリオストロを呼ぶときは「カリオストロちゃん」だぞ☆」

サラ「……カリオストロちゃん、ありがとう! ほら、ボレミアも……」

ボレミア「カ、カリオストロちゃん……ありがとう……」

カリオストロ「二人とももうカリオストロのファンだよね?」

サラ「うん! 私、カリオストロちゃんのファンだよ! ボレミアもでしょ?」

ボレミア「いや、私は別に……」

サラ「……」

ボレミア「……私もファンになった」

サラ「うん♪」

羅生門研究艇


シロウ「クソ! 多勢に無勢か!」

羅生門「シロウ君! 諦めてはダメだ!」

シロウ「しかし羅生門博士、この数の壊獣達が相手では……!」

マリエ「そんな……シロウ君、負けな……」

カリオストロ「負けないでー!」

マリエ「え?」

シロウ「この声は……あ! あんなところに少女が!」

カリオストロ「カリオストロちゃんが応援してるから負けちゃダメだよー!!」

シロウ「カリオストロちゃん……? いや、そこにいては危ないぞ! すぐに逃げるんだ!」

羅生門「待つんだ、シロウ君!」

シロウ「博士!?」

カリオストロ「ふれー☆ ふれー☆」

羅生門「……間違いない、彼女は天才美少女錬金術師カリオストロちゃんだ!!」

マリエ「カリオストロちゃん?」

シロウ「知ってるんですか、博士!?」

羅生門「今、この空で絶賛人気爆発中のアイドルだ!」

シロウ「アイドル……!?」

羅生門「かくいう私も彼女のファンでね、写真集を購入してしまったんだよ」

シロウ「写真集ですか……!?」

羅生門「十冊購入で十秒間握手できる握手権付きだったからね、ついつい百冊買ってしまったよ、はっはっはっ」

マリエ「……あの謎の出費はそれの事だったのね! そんなの経費で落とせるわけないでしょう!」

シロウ「しかし博士! そんなか弱い少女があんなところに取り残されては危険です! 彼女を助けましょう!」

羅生門「それについては大丈夫だ!」

シロウ「え?」

カリオストロ「ファン以外はオレ様におさわり禁止だぞコラァ!」

壊獣「ギャァァァァァ!!」

羅生門「……彼女はすさまじく強い!」

シロウ「確かに……!」

カリオストロ「人類のみんなー! カリオストロちゃんが応援してるから負けないでー!!」

シロウ「すごい……あの健気な応援、可憐な姿、そして壊獣を一撃で屠る戦闘力……俺もファンになってしまいそうだ!」

羅生門「シロウ君、この戦闘が終わったら私の部屋にきたまえ、カリオストロちゃんの写真集を一冊分けてあげよう」

シロウ「ありがとうございます、博士!」

マリエ「……もう! いいからとっとと壊獣達を倒しちゃってよ!」



グラン「……そして、このようなカリオストロの地道な営業活動の成果が、とうとう実を結んだ」


グラン「やったよ! カリオストロ!」

カリオストロ「なにがやったの? グランプロデューサー?」

グラン「楽曲が提供されたんだ!」

カリオストロ「楽曲? ……それってカリオストロの歌ってこと?」

グラン「そうだよ! これでライブ開催のめどが立つ!」

カリオストロ「やった! グランプロデューサー! これでカリオストロも一人前のアイドルだね☆」

グラン(一流といわず一人前、か……カリオストロ、アイドルとして成長しているな)ウンウン

カリオストロ「でも、楽曲って誰が作ったの?」

グラン「それについては、専門家に任せんだ」

カリオストロ「専門家? えー? 誰ー?」

グラン「入ってきてください」

シェロカルテ「いや~、どうもどうも~」

グラン「楽曲を提供してくれたシェロカルテさんだ」

カリオストロ「うわあ、もう予想通り過ぎて逆にびっくりぃ」

グラン「シェロカルテさん、今回はありがとうございます」

シェロカルテ「いえいえ、あのグランPが新人アイドルを発掘したとなれば、協力しないわけにはいきませんから~」

カリオストロ「つうかお前よろず屋だろうが、曲なんか作れたのか」

シェロカルテ「まあ正確にいうと~、シェロちゃんじゃなくてシェロちゃんの知り合いに頼んだんですけど~」

カリオストロ「じゃあお前関係ないじゃねえか」

グラン「カリオストロ、シェロカルテさんのツテがないと頼めない人なんだ」

カリオストロ「誰だよ」

シェロカルテ「あえて名前は伏せますけど~、ヒントは十天衆です」

カリオストロ「それは答えを言ってるようなもんだろうが」

グラン「カリオストロ、実はもうカリオストロの初ライブの場所は決めているんだ」

カリオストロ「え? どこなの?」

グラン「ショチトル島だ」

カリオストロ「ショチトル島……まさか……」

グラン「あの時のリベンジをするんだ……もうあの頃のカリオストロじゃない「アイドルカリオストロ」をあの島の人たちに見せつけよう」

カリオストロ「グランプロデューサー……わかった! カリオストロ、絶対にこのライブを成功させるね!」

グラン「ああ、カリオストロなら絶対に成功するよ!」

カリオストロ「ねえ、プロデューサー……もしこのライブが成功したら、その時はカリオストロと……」

グラン「カリオストロと?」

カリオストロ「……ううん、今は言わない、続きはライブが成功した後に言うね☆」

グラン「もう、なんだよそれ」

シェロカルテ「うふふふ」

ライブ当日


カリオストロ「今日がライブ本番か……あっという間だったなあ……」

グラン「緊張している?」

カリオストロ「少しね……でも大丈夫☆ カリオストロにはプロデューサーがついてるから☆」

グラン「僕は舞台袖でカリオストロの事を見守っているからね」

カリオストロ「うん! それならきっとカリオストロも安心してライブが出来るよ☆」

男「待ちなさい!」

グラン「誰だ君たちは!?」

男「我々はヘルメス錬金術学会の者です!」

グラン「ヘルメス錬金術学会……なんだ、カリオストロファンクラブの人か」

男「違います! いや、考え方によってはそうかもしれませんが、今は関係ありません!」

男「まったく驚きましたよ、隠れ潜んでいると思っていたら、なぜか物凄く有名になっているんですから……おかげで今日、あなたがここに現れるのが容易にわかりました」

グラン「シェロに頼んで今日のライブは全世界に告知してもらったからね」

男「今日こそ、あなたを封印させていただく!」

グラン「そんな事させるものか! カリオストロはこれから大切なライブがあるんだ!」

カリオストロ「プロデューサー……カリオストロ怖い……」

グラン「大丈夫、カリオストロには指一本触れさせない! 担当アイドルを守るのはプロデューサーの役目だ!」

男「いけ、アドウェルサ!」

グラン「うわあ!?」

カリオストロ「プロデューサー!!」

グラン「うぅ……」

カリオストロ「そんな……プロデューサー、カリオストロをかばって……」

グラン「言っただろう……? 指一本触れさせないって……」

カリオストロ「プロデューサー、喋っちゃダメ! 傷口が……」

グラン「カリオストロ、僕の事はいい……ライブに向かうんだ……」

カリオストロ「ダメ! プロデューサーを置いておけない! カリオストロがここまでこれたのはプロデューサーのおかげなんだから……だから今回のライブは! プロデューサーと一緒じゃないとダメなの!」

グラン「カリオストロ……」

カリオストロ「プロデューサー……」

男「今だ! やれ、アドウェルサ!」

カリオストロ「今いいところだすっこんでろ! アルスマグナ!」

男「うわああああ!!」

グラン「……あ、カリオストロ、そろそろ入り時間だ」

カリオストロ「マジかよもうそんな時間か、リインフォース」

グラン「ふう、痛かった」

カリオストロ「早く行こうぜ」

グラン「うん」

ライブ会場


カリオストロ「みんなー! カリオストロだよー!」

観客「わー!」

カリオストロ「今日はカリオストロのために来てくれてありがとー!」

観客「カリオストロちゃーん!」

カリオストロ「実はね、この島はカリオストロの始まりの場所なんだ」

カリオストロ「あの頃のカリオストロは何も知らなかったの、この煌びやかな世界にいることがどんなに大変なことなのかって……」

カリオストロ「でも今、カリオストロはここにいる! みんなの前に立っている!」

カリオストロ「これも全部、みんなと……そして、プロデューサーのおかげだよ!」

観客「わーー!!」

カリオストロ「聴いて下さい、カリオストロの思いが詰まったこの曲を……」

観客「カリオストロちゃーーん!!」

ライブ後


グラン「カリオストロの初ライブは成功した」

グラン「ショチトル島の巫女の子たちへのリベンジは果たされた、カリオストロのライブの盛り上がりは、彼女たちのライブを見事に食ってしまったのだ」

グラン「でも、このライブはアイドルとしての第一歩に過ぎない」

グラン「これから全空の人たちがその名前を知ることになるであろう伝説のアイドル……」

グラン「それになるための、第一歩に」

カリオストロの「プロデューサー、なに独り言呟いてるの?」

グラン「あ、カリオストロ、お疲れ様……どうだった、ライブの感想は?」

カリオストロ「すごく楽しかった☆ またやりたいな」

グラン「すぐに手配するよ、これからは今まで以上に忙しくなるかね」

カリオストロ「カリオストロちゃんのファンが増えていくんでしょ? 望むところだよ☆」

グラン「そうだ、カリオストロ、ライブが終わった後に僕に言うことがあるって言ってたよね?」

カリオストロ「あ……それは……」

グラン「それは?」

カリオストロ「……やっぱり言わない☆」

グラン「え? 何で?」

カリオストロ「カリオストロが全空一のアイドルになったら……その時に絶対に言うから」

グラン「そうか……わかった、それなら早くカリオストロを全空一のアイドルにしてあげないとね」

カリオストロ「ふふ、よろしくね、グランプロデューサー☆」

END

後日談

グラン「……という夢を見たよ」

カリオストロ「お、おう」

END

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