エミヤ「今度こそ、誰も泣かずに済むように――」続 (48)

エミヤ「今度こそ、誰も泣かずに済むように――」
エミヤ「今度こそ、誰も泣かずに済むように――」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454598039/)
がいつの間にか過去ログに行ってたため、スレ立て

過去ログ行くのって二カ月じゃなかったのか

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467726955

アーチャー『まさか君まで来るとはな』

イリヤ「皆倒す気満々みたいだし桜に奪われたら困るもの。それよりアーチャー、着いたの?」

アーチャー『ああ、ここからなら間桐邸の何処でも狙えるし、間桐邸からの攻撃を受ける事はないだろう』

イリヤ「わかったわ…アーチャーが狙撃場所に着いたわ」

士郎「――投影、開始」

ランサー「その剣、アーチャーの剣じゃねえか」

士郎「ああ、何か頭にこびりついちまってさ」

セイバー「――そうなのですか」

ランサー「人払いのルーンは組んだぜ?」

イリヤ「こっちも結界の展開は済んだわ。これで仮に宝具を使っても外の一般人には気づかれない」

セイバー「では突撃しますか?結界を張った以上、向こうにこちらの存在は気付かれているはず」

士郎「セイバー、サーヴァントの反応はあるか?」

セイバー「現時点で確認できるのはニ体ですかね…しかしアサシンが気配遮断で隠れているやもしれません。警戒は怠らぬように」

士郎「わかってる。それじゃあ――」

ランサー「ああ、突撃と行こうじゃ――いや待て!!」

士郎「え――?」

狂「■■■■――ッ!!」

間桐家が爆発し、中から白銀の鎧の剣士と、濃紺の鎧の剣士が飛び出してくる

セイバー「あの鎧!? ランスロット――まさか貴方も再びこの地に―――」

イリヤ「ランスロット!?円卓最強と言われる剣士じゃない!!」

セイバー「それにもう一方はモードレッド卿ではないか……」

士郎「モードレッド…アーサー王の息子の反逆の騎士!?」

セイバー「いえ、あれは私の息子じゃありません」

士郎「何であいつら味方同士で戦ってるんだ?」

狂「morrrrrrdreeeeed!!」

剣「ランスロットォオオオオ!!」

二体のサーヴァントの攻撃が幾度となく激しくぶつかり合う

剣「よくも抜け抜けとこのオレの前に顔を出せたな!!父上に反逆しやがったくせによォ!!」

狂「morrrr-――!!」

イリヤ「丁度いいわ。あの二人が仲間割れしてる間に間桐の工房に入りましょう」

士郎「でも屋敷はさっきので吹っ飛んだぞ?」

慎二「間桐の工房は地下にある。案内するからついて来いよ」

セイバー「では頼みます慎二」

慎二「ああ、任せてよ」

剣「この気配――父上!?」

狂「Arrrrthurrrrr!!」

二体の騎士が飛ぶようにセイバーに迫る

セイバー「シロウ下がって!!」

ランサー「いや下がるのはお前さんもだ」

セイバー「ランサー!?」

剣「邪魔だテメ――!?」

白銀の剣士は咄嗟に身体を捻り、飛んできた何かを剣で払おうとし――その何かの爆発によって吹き飛ばされる

狂「Arrrrthurrrrr!!」

爆風を躱した濃紺の剣士の攻撃をランサーが難なくいなす

ランサー「行けセイバー、ここはオレ達が引き受ける」

セイバー「しかし、その二人の目的は……。それにいくら貴方でもこの二人相手では分が悪い!!」

剣「くっそ…今のは矢か?ランスロットの次はトリスタンとか言わねえよな?折角の父上との再会を邪魔しやがって」

狂「Arrrrthurrrrr!!」

ランサー「テメエの相手はこのオレだって言ってるだろーが。早く行けセイバー、オレなら心配いらねえ、何たってようやく強い敵と正面からやれるんだからよォ!!」

イリヤ「セイバー、ここはランサーに任せて臓硯を見つけ出しましょ。一対二ならともかく、ランサーにはアーチャーがついてるんだから」

ランサー「その言い方腑に落ちねえな…早く行け」

セイバー「かたじけない。シロウ、イリヤスフィール行きましょう」

士郎「ああ」

剣「テメエ何父上に良いカッコしてやがんだ!!」

狂「■■■■――ッ!!」

ランサー「円卓の剣士…相手にとっちゃ不足はねえ」

二体のサーヴァントの激しい猛攻に対しランサーは互角に打ち合う

剣「くそっ…コイツ中々やりやがる……それに色んな方向から飛んでくる矢も邪魔だ。曲げてやがんのか?射手の位置が掴めねえ」

狂「■■■■――!!」

剣「くそっ…ただの矢なら無視して突っ込めるのに、ちょくちょく宝具レベルの奴が飛んで来やがる」

狂「morrrd……」

剣「ああ、一旦休戦だ。そっちは任せる、オレが槍野郎とやる」

ランサー「あん?サシでやろうってのかい…まあオレとしちゃその方が楽しめるからいいんだがな」

剣「舐めやがって…楽しむ余裕なんて無くしてやるよ」

ランサー「舐めてるのはお前さんの相方だろう。何処に潜んでるかわからねえアーチャー相手にするってのに武器をやめるなんてよ」

剣「テメエみたいに矢避けのスキルがあるってわけじゃないが、弓野郎相手ならアレが最善ってこった」

ランサー「なに?」

剣「見りゃわかる、ほら丁度飛んでくるぜ?」

狂「……」バッ

バーサーカーは数本の槍に混じっている中から、宝具級の物を見つけ、それを掴み取り、他の矢を弾き飛ばす

ランサー「おいおい…本当にバーサーカーかよ」

剣「弓野郎はあっちの方角か…なら…我が麗しき父への叛逆!!」

ランサー「な…!?」

今日はここまで
とりあえず週一~ニで完結はさせる予定

剣「手応え…あったぜ」

ランサー「あんな目立つ真似するなんて、正気の沙汰じゃねえな。テメエホントはバーサーカーじゃねえのか?」

剣「この辺りにゃ人間はいねえってのはわかってたからな。お前達の人払いの効果、それにオレのマスターが前もって人を払ってたらしいしな」

ランサー「……チ、ここに来るまで人の気配一つなかったのはそれでか。魔力の反応がなかったから気付かなかったぜ」

剣「それに弓野郎は狙撃するために、ここよりも高い位置…山の中に陣取ってやがったからな」

ランサー「なるほどな…何も考えずに撃ったわけじゃなかったみてえだな」

剣「じゃあ続きをやろうぜ。ランスロット、テメエは弓野郎がくたばってるか見てきな」

ランスロット「Arrr――ッ!!」

剣「あ、テメ」

ランサー「おっと、そっちにゃ行かせねえぞ。しかしテメエ本当にバーサーカ―か?太刀筋がソレとは思えねえんだけどよォ!!」

ランスロット「Arrrthurrrrr!!!」

ランサー「チッ…狂うってそっちの狂い方かよ……援護射撃がねえ、あの野郎くたばりやがったか」

剣「父上にしか興味はねえってか。ま、それはオレも同じだから人の事は言えねえがよ」

ランサー「嬢ちゃんもくんのか?できればサシでやり合いたいんだけどよ」

剣「テメエ…殺す」

ランサー「あ?何で急にそうなんだよ――まあいいか。来な、二人まとめて相手してやる」

山中

アーチャー「あのサーヴァント、セイバーの知り合いか――誰だ!?」

「おや、私の気配遮断に気付くとは…中々やりますな」

木々の狭間の闇から白い面が現れる

アーチャー「臓硯の召喚したアサシンか」

殺「暗殺に失敗したのは痛手でしたが、三騎士と言えど所詮弓兵。接近戦なら私に分がある」

アーチャー「ふ…投影、開始」

殺「ほう…変わった術を使う……しかし貴様の矢と我が短剣、どちらが先に届くか」

闇の中に面が消える――

アーチャー「ふ――」

背後から飛んできた短剣をかわしながら、数本の矢を放つ

殺「ふふふ…遅い。そのようなノロマな攻撃が私に当たるとでも」

続けて数本の矢をあらゆる方向に飛ばす

殺「闇雲か、愚かな――」

アーチャー「I am the bone of my sword……絶世の名剣!!」

殺「ふ…何処に向けて撃って――(いや、違う。先ほどの矢も曲がって同じ方向に…これは――私にではなく狙撃。矢が向かってる先は――)」

アーチャー「気を取られたな」

殺「な、いつの間に――がはっ…不覚……」

アーチャー「気配遮断…私も生前暗殺を何度か行った事があってね」

アーチャー「さて――!?矢が掴みとられた…いや、所有権が完全に奪われただと…!?」

アーチャー「敵の武器を奪う、それが奴の能力か」

殺「が…ぐぅ……」

アーチャー「くっ、奴に気を取られてとどめを刺し損ね――何!?」

振り返ったアーチャーの視線の先には影によって既に半分以上飲み込まれたアサシンの姿があった

影「――」

殺「あ…ぁぁ」

影はアサシンを呑みながら徐々にアーチャーに向け、その触手を伸ばす

アーチャー「何故これがここに――まさかアサシンが消えるのを感じ取って回収に来たのか」

アサシンが影の中に完全に消え、触手のようなものをアーチャーに向ける

アーチャー「私もここで回収する気か。しかし何故このタイミングで影が…まさか凛に何か……すまないランサー」バッ


アーチャー「くっ、やはり追ってくるか。アサシンを飲んで動きが早く――」

アーチャーを逃すまいと影が一気に広がり――

アーチャー「しま――」

雷光を纏った巨大な閃光によって吹き飛ばされる

アーチャー「宝具か…!!誰だか知らんが…今は早く凛の元に向かわねば」

影「あ……先、輩……」

夢を見た

怖い夢を見た

きーきーうるさい声がする

お腹が減ったから食事にしよう

足りない、全然足りない

酸素が足りない

クルシイ。クルシイ。クルシイ。

何人もの死体を握りしめる。

クルシイ。クルシイ。タリナイ。タリナイ。

ムコウにいけばこの苦しみを和らげられる

でも姉さんが近づいちゃダメって

少ないけどアッチにも良いモノがある

この辺りは食べ尽くした

お腹が減った

早く食べないと

タリナイ。マダタリナイ――ナンデニゲルノ?

何かに攻撃された

イタイ。イタイ――クルシイ。イタイ

先輩?ドコに行くの?アナタもワタシから姉さんヲ奪ウノ?

凛「桜!!しっかりして桜!!」

弱まった霊脈を調べようと、桜を一人にしてしまった

何故私はこういつも大事なところで失敗してしまうのか

凛「貴方、桜に一体何をしたのよ!!」

「おや、貴女が持っているのはアゾット剣に似ていますね」

凛「何をしたかって聞いてるのよ!!」

目の前の男は人間じゃない

だとすればサーヴァントだ

どうやって侵入したのかはわからないが、彼は敵だ

それさえわかっていれば問題はない

今持てる全力の一撃を叩き込む

「それに宝石魔術、そして私と同じ五大元素使いですか」

凛「相殺された!?キャスターのサーヴァント!?」

術「確かに私はキャスターのサーヴァントです。しかし貴女の敵ではない」

凛「そんなの信じられるわけないでしょ」

術「私はその子の治療を行いたいのです」

凛「は?」


士郎「お前は――間桐臓硯か」

臓硯「セイバーのサーヴァントと衛宮の小僧、アインツベルンの娘か」

イリヤ「瓦礫の下敷きなんて…随分とあっけないわね」

臓硯「儂はまだ終わらんよ」

今日はここまで
ラストの展開を数種類思いついてしまったから、兄貴を生存させるか相打ちさせるか負けさせるか悩む

じゃあ数回コンマ判定で戦闘結果決めます

士郎「消えた…?」

イリヤ「本体じゃなかったようね。凛は桜の事がわかりそうなものを取ってきてって言ってたけど」

セイバー「これほど損壊した建物の中での捜索は危険でしょう」

士郎「しかし何でこんな屋敷の中が破壊し尽されてるんだ?」

セイバー「ランスロット卿とモードレッド卿が戦っていたからでしょう」

士郎「そういや何であいつら味方同士で戦ってたんだ?」

セイバー「それは……」

イリヤ「話すのは後にしましょ。ランサーに合流して、桜より早く倒れたサーヴァントを回収する。セイバー先に行って」

セイバー「しかし呼ばれたサーヴァントの中にアサシンがいないとも限りません」

イリヤ「アサシンはいた…でもそれはもう桜に回収されたわ」

士郎「何だって?じゃあ桜はまたあの影を出して――遠坂達に何かあったってことじゃないか」

セイバー「……急ぎましょう。ここから直接地上に出ます」

士郎「え――」

セイバー「風王鉄槌――!!」ドゴォ

セイバー「道は開けました。行きましょう」

士郎「あ、ああ」


ランサーvsモードレッド・ランスロットの勝負の行方
コンマ一桁判定下2

9:圧勝
8:相打ち
7:ランスロットのみ倒す
6:モードレッドのみ倒す
5:ランスロットと相打ち
4:モードレッドと相打ち
3:勝敗決さず
2:影乱入
1:敗北

sageたままだった下2

ランサー「くっ…」

剣「チィ…粘りやがる」

ランサー「ったく…触れたモンを宝具に出来るなんざ、反則もいいとこだぜ」

剣「ああもうめんどくせえ…我が麗しき父への叛逆!!」

ランサー「チィ――突き穿つ死翔の槍!!」

剣「な――」

ランサーの投擲した槍はモードレッドの宝具を裂きながら一直線に翔び、宝具を撃ち無防備となったモードレッドの目前に迫る

剣「ぐ――!!」

ランサーの全魔力で撃ち出されたソレは防ぐ事も躱す事も出来ない必殺の槍――その筈だった

狂「■■■■――ッ!!」

ランスロットの手がソレを掴む

本来であれば不可能な技…しかし宝具との衝突による威力の減少
狂化によるステータスの強化、そしてランスロットの類稀なる技量が合わさり――

ランサー「止めやがった…だと」

狂「■■■■■■■■ッ!!」

ランスロットの攻撃を槍を掴んで避け――

ランサー「はっ、相当無理したみてえだな。その腕もう使いもんにならねえ――ガハッ」

ランサーの腹を漆黒の剣が貫く

ランサー「ガフ――ったく、んなモンも持ってたのかよ」

剣「無毀なる湖光…勿体ぶらずさっさと使えば良かったのによ」

地面が吹き飛び、そこからセイバーが飛び出てくる

剣「いや、タイミング的にはピッタシだったか、父上ェ!!」

セイバー「モードレッド…ランサー!!」

狂「Arrrrrthurrrrr!!」

ランスロットはそのままランサーを斬り捨てセイバーに向かおうとし――

ランサー「刺し穿つ死棘の槍…」

――背後からその心臓を貫かれた

ランサー「油断したな……セイバー、あとは頼んだ……ぜ」

狂「arr…サー……貴女の手で私は――」

セイバー「ランサー…」

ランサーとランスロットが消滅する

剣「父上、今度こそ――と言いたかったが邪魔が入ったな」

セイバー「邪魔?」

影「……」

セイバー「桜…!?」

イリヤ「間に…合わなかった」

イリヤ「まだ6体…だけどあと一体で満たされちゃう。セイバー、ここは退いて」

セイバー「しかしそう簡単に退ける相手では」

剣「テメエ、オレと父上の勝負を邪魔するとは良い度胸してるじゃねえか。覚悟は出来てんだろうな」

影「……」

剣「だんまりとは良い度胸じゃねえか」チャキ

セイバー「いえ、簡単に退けそうですね」

イリヤ「逆に退いちゃダメじゃない。あれが桜に回収されたら桜はもう引き返せなくなる」

士郎「じゃあどうすれば…セイバー、影から引き離しながらあのサーヴァントを誘導できるか?」

セイバ「モードレッド卿も馬鹿ではありません、あれの危険性にはすぐ気が付くでしょう。それより早く凛達の元へ」

士郎「でも、いやそうだな。桜がああなってるってことは遠坂に何かあったはずだ」

イリヤ「……そうね、アーチャーがどうなってるのかも気になるし…行きましょう」

影「……」バッ

剣「こいつオレを呑もうと――父上、こいつは一体なんだ――っていねえ!?」

影「……」ピタ

剣「止まった?…消えやがった……何だったんだ今の――ん?」

慎二「くそっ、何なんですかこの状況は!!急に屋敷は崩れるわ、衛宮は約束の時間になっても来ないわ。あいつら僕の存在忘れてるんじゃないのか!?」

剣「お前…さっきの奴らと知り合いか?」

慎二「ひぃ!?何で西洋の鎧武者が僕の家の庭にいるわけ!?」

剣「なあ…ちょっと面貸せよ」

慎二「は?え…ちょっ!?うわぁああああああああ」

士郎「……何だ?遠坂の家が――」

イリヤ「結界が複数…陣地作成――いえこれは神殿?」

セイバー「キャスターの仕業…?この短時間で…」

イリヤ「とにかく侵入できるルートを探しましょう。裏口から入れるとは思えないけど、一応行ってみましょう」

セイバー「そうですね――危ないイリヤスフィール!!」

イリヤ「え――?」

セイバーがイリヤを抱き上げ横に跳ぶ

それと同時に頭上からゴーレムが落ちてくる

士郎「宝石で出来たゴーレム?まさか遠坂が――うわあ!?」

足元の地面から出てきたゴーレムに足を掴まれ空中に持ち上げられる

セイバー「シロウ!!く――」

士郎「くそ――投影、開始」

アーチャー「それは私の剣のつもりか?」

アーチャーの矢がゴーレムを破壊し、空中に放り出された士郎をアーチャーが受け止める

アーチャー「自分の身ぐらい自分でどうにかして欲しいものだな」

士郎「う、うるさい。お前の助けなんかなくとも」

セイバー「アーチャー、この結界は――」

アーチャー「ああ、間桐臓硯の呼んだキャスターの物だ。短時間で張ったとは考えられない程のな。イリヤ、君なら破れるか?」

イリヤ「結界の仕組みがわからないし…時間がかかるわ」

アーチャー「私がここに着いてからでも相当時間が経っている…これ以上時間をかけるわけにはいかないか」

イリヤ「何か方法があるの?」

アーチャー「なるべく取りたくはなかったのだがな」

士郎「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。何で早くやらないんだバカ」

アーチャー「――ふん。I am the bone of my sword.」

イリヤ「そっか、固有結界で既にある結界を浸食するのね」

士郎「固有結界?」

イリヤ「術者の内包する世界で現実の世界を侵食する大禁呪」

アーチャー「So as I pray, ――unlimited blade works.」

――炎が走る

世界が変わったのはほんの一瞬だった

それなのに、その光景は何故か――

セイバー「シロウ?」

士郎「え?」

セイバー「アーチャーとイリヤはもう行きました。私達も早く凛達の元に」

士郎「――そうだな、考えるのは後だ」

今日はここまで

術「ふう、これで後一匹ですね」

凛「アンタ…いったいどういうつもりなわけ?貴方は臓硯の召喚したサーヴァントでしょう?」

術「私は医療に従事する者ですから。苦しんでいる人を前に放っておくなどできません……結果としてかなりの苦痛を与えてしまいましたが」

凛「どういうこと?」

術「神経と同化している蟲もたくさんいましたからね…それを摘出したという事は神経を引き抜いたのと同義です」

凛「な――」

術「本来なら痛みでショック死してもおかしくはなかったし、それ以前に人間として死んでいてもおかしくはなかった」

凛「なかった…ってことは助かったのよね?」

術「ええ、彼女の影はより強力な痛みを受けていたのでその間を利用させてもらいました。そして神経の修復は宝石魔術の奇跡をもってすれば可能です」

凛「そう…よかっ――」

術「しかし最後の一匹の摘出が難しい、これは心臓に寄生しています。つまりこれを摘出するためには心臓を破壊しなければならない」

凛「っ、そんなことしたら――」

術「ええ、普通ならこの娘の命は失われてしまいます。しかし宝石魔術の奇跡であれば壊れた心臓をも再生できる」

凛「……そうね。でもあれにはかなりの魔力が必要よ」

術「おや、経験があるのですか?心配は無用ですよ、人の一生では到底使いきれない程の魔力がそこにあるのですから」

凛「まさかアンタ――」

術「聖杯、あれほどの魔力が溜まったものを――どうやら無粋な輩が結界を突破したようですね」

アーチャー「そこまでだキャスター」

凛「アーチャー」

アーチャー「無事か凛?」

凛「来るのが遅いのよアンタは」

術「もうここまで辿り着きましたか。弓兵と侮っていましたが魔術の心得があったのですね」

アーチャー「生前は魔術師だったものでね」

凛「魔術師…?アンタ記憶が――」

術「セイバーもこちらに向かっていますね。……三騎士二人と相手をするのは聊か分が悪い…目的は達成しましたしここは退かせてもらいましょう」

アーチャー「――チィ、逃げられたか」

凛「ここを一時的とはいえ神殿に変えるんだもの、仕方がないわ」

アーチャー「……状況を説明してくれ凛」

凛「セイバーとイリヤスフィール、あと衛宮君ももうじきここに来るでしょ?それを待ってから先に拠点を移しましょう」

アーチャー「敵の陣地に変えられた拠点にいつまでもいるわけには行かない。しかし工房を乗っ取られるとはね」

凛「うっさいわね!!」

アーチャー「それであてはあるのかね?」

凛「当然、貴方もよく知ってる場所よ」

アーチャー「む?」

衛宮邸

セイバー「それではキャスターは桜の治療だけをしたと?」

凛「そう。神経と同一化した刻印蟲も引き剥がしたって言ってたわ」

イリヤ「それを黙って見てたの?敵相手に信じらんない」

凛「うっさいわね。結界を張られてて邪魔出来なかったのよ」

セラ「……やはり遠坂は無能ですね。お嬢様、城に戻りましょう」

凛「何ですってぇ!?」

士郎「それよりライダーはどうしてたんだよ」

ライダー「あの男の行為により桜が回復している事がわかりましたから」

士郎「そっか、ライダーが言うなら大丈夫なんじゃないか?」

アーチャー「その女を信用するのもどうかと思うがね」

士郎「桜を守りたいって気持ちは同じなんだ、信頼するに決まってるだろ」

アーチャー「あの娘は既に6体ものサーヴァントをその身に宿している。いつでも聖杯の降臨が出来るという事だ、その前に――」

士郎「……桜を殺すってか?そんなことさせるもんか」

イリヤ「アーチャーはそんなことしないわ。既に手遅れだってわかってるもの」

士郎「手遅れ…?」

凛「ソレどういうこと?」

アーチャー「既に聖杯の起動準備は整っている。間桐桜を殺したところでイリヤを鍵に復讐者が産まれるだけだ」

凛「アヴェンジャー?」

イリヤ「アインツベルンンがルールを破ってまで召喚した第八のクラス。アンリマユの話はさっきしたでしょ」

士郎「手遅れってもうアンリマユの誕生は止められないってのか?」

アーチャー「止める方法は二つある。一つは間藤桜とイリヤスフィールを殺し、再び魔力の充填が行われる前に大聖杯を解体する」

士郎「そんなことっ」

セラ「お嬢様は殺させません」

リズ「イリヤ…守る」

アーチャー「ああ、できれば私もそうはしたくない」

セイバー「ではもう一つの方法とは何なのですか?」

アーチャー「間桐桜という小聖杯に大聖杯を降臨させ、アンリマユが出てくる前に大聖杯を破壊する」

士郎「降臨って…桜を犠牲にするつもりか!?」

アーチャー「初めから私はそのつもりだ」

凛「アンタ――」

凛が令呪を使おうと構えようとし――

アーチャー「投影、開始」

士郎「な――」

そして構えきる前に投影した短剣が少女に突き刺さる

凛「アー、チャー…アンタ……」

アーチャー「最初に言ったはずだ凛、君を殺してでも間桐桜を殺すと」

士郎「テ――メエッ」

セイバー「貴様自分のマスターを!!」

アーチャー「オレの目的のためにはソイツが邪魔だったのでな」

桜「先輩?どうしたんで――」

士郎「桜!?」

アーチャー「ああ、丁度お前が起きてくる頃合いだと思っていた」

桜「姉さん…血がたくさん……何で姉さんが――」

アーチャー「それはお前が招いた事だ。お前がもっと早く死んでいれば凛が死ぬ必要はなかった」

桜「あ…ああ……」

士郎「桜!!しっかりしろ桜!!くそ――セイバー、桜と遠坂を頼む!!」

セイバー「シロウ、まさか――ダメですシロウ!!人間ではサーヴァントに勝てない」

士郎「表に出ろアーチャー」

アーチャー「オレにお前の相手をする理由はない」

アーチャーは気絶した間桐桜を脇に抱え庭に出る

士郎「待て!!」

アーチャー「何故オレが態々この屋敷に移動したかわかるか?」

士郎「なに?」

大河「電気ついてたけど士郎帰ってきてたの――って何この人ず、遠坂さんそれどうしたの!?士郎救急箱持って来て!!セイバーちゃんは救急車呼んで!!」

士郎「くそ…やられた」

大河「遠坂さん、本当に救急車呼ばなくて大丈夫?」

凛「ええ、そんなに傷は深くないですから」

大河「もー、包丁落とすなんて遠坂さんはドジねえ」

凛「すみませんお騒がせしちゃって」

大河「それにしてもイリヤちゃんが切嗣さんの娘さんって聞いた時も驚いたけど、まさか遠坂さんとイリヤちゃんの家に繋がりがあるなんてねえ」

世の中狭いわーと呟く大河をセラが外に連れて行く

士郎「……本当に大丈夫なのか遠坂」

凛「ええ、簡単に治せる程度の深さだったし……アイツの目的は私を殺す事じゃなかった」

セイバー「ではアーチャーの目的は桜を連れ去る事だけで、凛を刺したのはただの目くらましだったと?」

凛「それもあるんでしょうけど、してやられたわ」

士郎「どういうことだ?」

凛「アイツとの契約が切れてるのよ。つまり今アイツはマスターのいないハグレサーヴァントってこと。止めるには力づくでしか無理よ」

士郎「契約ってそんな一方的に切れるもんなのか?」

セイバー「それは不可能です。サーヴァントがマスターとの契約を切るにはマスターを殺すか、マスターが契約を令呪の宿った魔術回路を誰かに渡すしかない」

士郎「じゃあ一体どうやって……」

イリヤ「あのナイフが契約を切る効果を持つ宝具だったのよ」

士郎「アーチャーの宝具…」

凛「いいえ、あれはキャスター。もう倒された元々いた方のキャスターの宝具よ」

士郎「何でアーチャーがそんなもん持ってたんだ?」

凛「キャスターがやられる前にアーチャーに見せてたのよ。全ての魔術を打ち壊すって」

士郎「宝具ってのはサーヴァントが倒された後も残るのか?」

セイバー「いえ、宝具は英霊の一部。サーヴァントが消えれば当然宝具も消滅します」

士郎「じゃあ何で――」

イリヤ「シロウと同じよ。アーチャーは魔術で宝具を作り出しているの」

セイバー「……彼の固有結界の中はあらゆる宝具がありました。ありとあらゆる宝具を模造する…それが彼の能力なのでしょう」

凛「それでトレース・オン…ね」

士郎「!!」

セイバー「その詠唱は――まさか…しかし」

凛「衛宮君も薄々気付いてたんでしょ?アーチャーの正体」

士郎「……違う。だったらアイツは桜を殺そうなんてしないはずだ」

凛「――言ってたのよアイツ。生前か死後かはわからないけど桜を殺した記憶があるって」

士郎「な――」

凛「アイツの正体は、生前桜を救えず殺すしかなかった未来の衛宮士郎よ」

イリヤ「シロウと別人と世界に判断される程、魂は摩耗して変化しちゃってるけどね」

セイバー「……シロウ」

士郎「……大丈夫だ。遠坂に言われた通り、認めたくなかっただけで、オレは初めてアイツに会った時から何となくわかっていた」

凛「未来の英雄、いくら調べてもわからなかったはずだわ。だってこの時代じゃまだただの高校生なんだもの」

セイバー「正義の味方…アーチャーはシロウのなりたかった正義の味方になったシロウなのですね」

士郎「違う。身近の大事な人を守れずに何が正義の味方だ」

イリヤ「そう…だからアーチャーもキリツグも正義の味方を諦めた」

士郎「っ!!」

イリヤ「誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事。少数を切って大勢を救う…それがアーチャーとキリツグがとった結論」

士郎「……」

凛「正直私にはアーチャーが間違っていると言えない、だって正しいと思うもの。遠坂の当主としても桜は放っておけない」

士郎「――遠坂も桜を殺すべきだと思ってるってことか?」

凛「ええ。でも――私には出来ない。出来なかった…だってあの子に生きていて欲しいって思っちゃったんだもの」

士郎「だからアイツがお前の知らないとこで桜を殺しても良いっていうのかよ」

凛「……ええ、それは正しい行いだし」

士郎「遠坂らしくない。お前はもっとこう諦めの悪い奴だと思ってた」

凛「――」

士郎「それにあいつは二度も諦めたんだ、そんなの許せるもんか。アイツは俺が倒す、そして桜も救ってみせる。手を貸してくれセイバー」

セイバー「ええ、行きましょう。桜を救いに」

今日はここまで
残りはなるべく一気に書きたい(盆休みのうちに終わらせたい)のでコンマ判定しときます

聖杯戦争後残存サーヴァント数下2コンマ
60~99:3
40~69:2
20~39:1
01~19:0
0:特殊

サーヴァント戦決戦結果:下3コンマ一桁
1,2,3:敗北
4,5,6:相討ち
7,8,9:勝利

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