森久保乃々「似た者同士」P「ふたりぼっち」 (22)



・もりくぼSSです。特に山もオチもありません。




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・某日、事務所



乃々「……」

P「……えーと、インタビューがこっちで、9時からで……」カタカタ

乃々「……」

P「11時から……写真集の撮影が……」カタカタ

乃々「……」

P「移動時間ギリギリだなぁ……ごめん乃々さん、この日は午前は休みなしかもです」

乃々「はぁ……それは大丈夫ですけど……」

P「ん、ありがとう乃々さん……」

乃々「……」

乃々「あの、プロデューサーさん……」

P「はい?」

乃々「その……前々から思っていたんですけども……」



乃々「……机の下で仕事をするの、やめてほしいんですけど……」

P「えぇ……?なんでですか?」



乃々「えっと、なんでもなにも、机の下に2人も入ると狭いですし……」

P「はぁ……それはたしかに……」

乃々「それに、体育座りだとどう考えても仕事しづらいと思います……」

P「そうでもないんですけど……」

乃々「そしてなにより、もりくぼは1人になりたいから机の下にいるんですけど……」

乃々「プロデューサーさんが入ってきたら台無しなんですけど……」

P「でも、いつもこうして仕事してますし……」

乃々「はい、知ってます……」

P「乃々さんをスカウトする前から……」

乃々「え……それは知らなかったんですけど……」



P「え?知らなかったんですか」

乃々「初耳なんですけど……それなりに長い付き合いなのに……」

P「入社1ヶ月後くらいからこうなんですけど……」

乃々「めっちゃ最初からじゃないですか……」

乃々「理由はなんですか?いぢめ?いぢめですか?」

P「まあ、はい……」

P「毎日のように飲みやキャバクラに誘ってくる先輩が当時いまして……」

乃々「その人から逃げるように机の下へ……」

P「そういうことです……」



乃々「プロデューサーさん、お酒苦手なんですか……?」

P「お酒とか……むーりぃー……」

乃々「真似しないでほしいんですけど……」

P「すみません、つい……」

乃々「まあ、初犯なので許します……」

P「それに、ああいうお店のテンションがあまり好きじゃなくて……」

乃々「ああ、その気持ちわかります……痛いほど……」

乃々「もりくぼも文化祭の打ち上げとかだと、隅っこで小さくなってますし……」

P「でも参加するんだから、乃々さんは偉いですね……」ナデナデ


乃々「え?プロデューサーさんは参加してなかったんですか……?」

P「……り、リア充の方々といっしょにボーリングとか……カラオケとか……食事とか……」

P「む、むーりぃー……」ガクガク

乃々「えぇ……震えるほど怖いんですか……」

P「震えるほど怖いんですよ……」

乃々「それと、また真似されました……」

乃々「2回目ですし……イエローカードなんですけど……」

P「イエローカードは1回目なんですけど……」

乃々「……」

乃々「し、知ってましたし……」

P「……」



P「まあ、乃々さんスポーツ興味なさそうですしね……しょうがないです」

乃々「そういうプロデューサーさんこそ、インドア臭がプンプンしてるんですけど……」

P「まあ……事実インドア派ですし……」

乃々「休日とか1日パジャマで過ごすタイプですか……?」

P「どうせ誰にも会いませんし……」

乃々「サボテン育ててたり……?」

P「写真見ます……?」

乃々「夜中にラジオを聞きながらポエム書いてそうですよね……」

P「それは乃々さんでしょ……」

乃々「まあ、これはもりくぼですけど……」

乃々「でも、プロデューサーさんも書いてますよね……?」

P「まあ、書いてますけど……」



乃々「あ……」

P「どうかしました……?」

乃々「えっと、その……なんだか無性にポエムが書きたくなってきました……」

P「今ですか……?」

乃々「今ですけど……」

乃々「その……プロデューサーさんの隣で書くなんて、もりくぼは恥ずかしくてしんでしまいます……むーりぃー……」

P「そんな簡単にしぬなんて言っちゃダメです……」

乃々「なので……机の下から出ていってほしいんですけど……」

P「えぇ……まだ仕事中なのに……」

乃々「普通仕事は椅子に座ってするものなんですけど……」

P「でもこの椅子、まだ数えるほどしか座ったことありませんし……」

P「そんな椅子で仕事がちゃんとできるかどうかわからないですし……」

乃々「そこは職人さんを信じてあげてほしいんですけど……」

P「大量生産のやつだと思われるんですが……」



乃々「じゃあ、せめて目をつぶっていてほしいです……」

P「まあ、それなら……」

P「でも、あまり長く仕事を中断しておけませんし……急いで書いてくださいね……」ギュッ

乃々「りょうかいです……」カキカキ

P「……」

乃々「……」カキカキ

P「……」

乃々「……」ウーン

P「……」

乃々「……」カキカキ

P「……」



P「……乃々さん乃々さん」

乃々「……どうかしましたか?」

P「緊急事態です」

乃々「……はぁ」

P「ポエムが書きたくなってきました」

乃々「……さようですか……」

P「さようです……」

P「ずっと目を閉じていると……世界が闇につつまれて……」

乃々「……」

P「変わらぬペースで時を刻む時計の音……外から聞こえる車の音、道行く人々の喋り声……」

P「そして、乃々さんが走らせる鉛筆の音……」

乃々「……」カキカキ

P「そういったものから、インスピレーションを得て……ポエムが頭の中を渦巻いているような……いないような……」

乃々「……」カキカキ



乃々「……プロデューサーさん、目、開けていいですよ」

P「え?」

乃々「いや、だから……ポエム、書き終わりましたから……」

P「ああ、そういえばそういう状況でしたね……」

乃々「えっと、では、お仕事の続きをどうぞ……」

乃々「もりくぼは漫画を読んでますから……」

P「りょうかいです……」




P「……」カタカタ

乃々「……」ペラッ

P「……」カタカタ

乃々「……」ペラッ




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P「……ふー」

乃々「……お仕事、おしまいですか?」

P「……いや、あんまり終わってないですね……」

乃々「え、もう終業時間なんですけど……」

P「まあ、その、なんだ……あれです」

P「……むーりぃー……」

乃々「……」

P「……」

P「……有り体に言うと、残業ですね……」

乃々「……えっと、その、頑張ってくださいね、プロデューサーさん……」

P「はい……」



P「……このところ残業続きです……」

P「そのくせ乃々さんの仕事はあんまり増えてないですし……」

乃々「まあ……そうですね……」

P「……やっぱり、プロデューサー向いてないのかもしれません……」

乃々「……」

乃々「たしかに……そうかもしれないです……」

乃々「もりくぼなんかスカウトしちゃうくらいですし……」

乃々「お世辞にも有能プロデューサーとは言えないですよね……」


P「……」

P「いや、乃々さんはアイドルの資質あると思いますけど……」

P「トップアイドルを狙える逸材だと確信してるんですけど……」

乃々「……」

乃々「……なら、その資質を見いだしたプロデューサーさんも資質があることになりますし」

P「……」

P「……そうですね」

乃々「そうですよ……」

P「……よし、もうひと頑張りしますか」

乃々「もりくぼも最後まで付き合います……」

P「……ありがとう、乃々さん」

乃々「パートナーですし……当然なんですけど……」



おわり

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