「立てこもり犯人」 (23)

普段は他の場所にSSを投下していますが、今回のネタはこちらにも投下してみようと思います



・「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたSSですが、登場するのは名無しのモブキャラですのでご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466005197

警官A 「警察だ!抵抗はやめろ、お前は完全に包囲されているぞ」


警官A 「どうしたー?もう一回言うぞ、お前は完全に包囲されている!」


警官B 「あ、立てこもり犯出てきましたよ」


犯人 「・・・・・・」


警官A 「ちょっと聞こえないぞー!もう一回言ってくれ」


犯人 「『瞳』持つ者よ我に応えよ!」

警官A 「・・・悪い、もう一回だ」


犯人 「『瞳』持つ者よ我に応えよ!」


警官A 「ちょっと待て、やっぱり分からんぞ」


警官B 「おーい、聞こえてないみたいだぞー!」


警官A 「違ぇよ!そういう意味で分からないんじゃないから!」


警官B 「でも分からないって言ってましたし・・・」


警官A 「分からないのはあいつの言ってる意味だよ!じゃあ何か、お前は分かんのか」

警官B 「だってあれ、『蘭子語』ですよ?」


警官A 「蘭子語?」


警官B 「アイドルの神崎蘭子ちゃんの使う、独特な表現のことです。彼女が熊本出身なので『熊本弁』とも言いますね」


警官A 「またずいぶんややこしいなおい。つーかなんであの立てこもり犯はわざわざそんな喋り方してんだよ」


警官B 「さぁ・・・多分ファンなんじゃないですかね」

警官A 「まぁいいや、その蘭子語であいつはなんて言ってんだ」


警官B 「『話の通じる奴呼んで来い』ですね」


警官A 「なんでこっちが悪いみたいな言い方してんだよ・・・通じないの分かってるなら普通に喋れよ」


警官A 「まぁいいや、とりあえずあいつがなんて言ってるのか聞いてくれ」


犯人 「人々を惑わす魔導書の束を捧げよ!」

警官B 「魔導書の束ねぇ・・・」


警官B 「多分ですが、あれは『金持って来い』って言ってますね」


警官A 「分かるのか、改めて凄いなおい」


警官B 「まぁこのくらいなら」


警官A 「つーか要求は普通なんだな、てっきり『乙女の血をよこせ』とか言い出すんじゃないかと思ってたけど」


警官B 「あ、そういうのじゃないんですよ蘭子語って・・・」


警官A 「えっ」


警官B 「蘭子ちゃんむしろそういうの聞いたら涙目になると思います」


警官A 「・・・何かずいぶんややこしいな、その蘭子って娘も」

警官A 「とりあえず金くれってのは分かったが、額はまだ聞いてなかったな」


警官A 「おーい、それでいくら欲しいんだ?」


犯人 「・・・・・・」


警官A 「え、何て?」


犯人 「・・・・・・」


警官A 「黙ってちゃ分からんぞ・・・いや、喋られても俺には分からんが」


犯人 「・・・・・・8000万」


警官A 「今のは分かった!つーか普通に喋れんのかお前」

警官A 「なんだよ、いきなり普通の言葉に戻るから驚いたぞ」


警官B 「多分いい表現が思いつかなかったんでしょうね」


警官A 「あんなあっさり素になるあたり、『蘭子語』をそんなに使いこなせてるわけじゃないらしいな」


警官B 「まぁ、蘭子ちゃん自身も割と素を出してますけどね」


警官A 「そうなのか?」


警官B 「はい。トークで噛んだときとか、雑ないじられ方されたときとか」


警官A 「結構ハードル低いな!もっとゴリゴリにキャラ押し通してんのかと思ってたぞ」

警官A 「他に要求はあるかー?」


犯人 「我が魔力はもはや満てり!」


警官B 「『それだけで十分だ』って言ってます」


警官A 「おかしいな、こういう場合逃走手段とかも要求するもんだろ」

警官A 「おーい、お前金が手に入ったとしてどうやってここから逃げるんだ?」


犯人 「近しき領域の眷属が、重厚なる乗騎にまたがって来るであろう」


警官B 「どうやら逃走手段を持った仲間がいるみたいですね」


警官A 「あいつの仲間か・・・どんな奴なんだろうな」


警官B 「『近しき領域の眷属』・・・ということは、もしかして二宮飛鳥ちゃんみたいなのだったりとか」


警官A 「誰だよそれ」

警官B 「蘭子ちゃんと仲のいいアイドルですね。ユニット組んでたりもしてます」


警官B 「・・・あと、斜に構えたというか、もって回ったような喋り方ですね」


警官A 「よし、そいつが来る前になんとかしよう」


警官B 「おっ、気合入ってますねぇ」


警官A 「これ以上面倒増やしたくないんだよ!いろんな意味で!」

警官A 「しかしどっから手をつけりゃいいんだこれ・・・」


警官B 「・・・俺、これまでのやりとりで分かったことがあります」


警官A 「なんだ?」


警官B 「蘭子語って、可愛い女の子が言ってこそ映えるものなんだって」


警官A 「何に注目してんだよお前は!」


警官B 「いやいや、客観的に見て気付いたんですよ、男がそれ言ってたらキツいって」


警官A 「わかるだろ普通」


警官B 「意外と気づかないもんですよ?俺なんか彼女相手にもよく使ってましたし」


警官A 「聞きたくねぇよお前の恋愛話なんか!」


警官B 「今思えば12日でフラれたのもそのせいなんだろうなって」


警官A 「だろうな、俺にはその彼女の気持ちよく分かるわ」

警官A 「とりあえずもう少し対話してみるか・・・」


警官A 「一応聞くが、他に要求はないんだな?」


犯人 「ならば・・・『我が敬愛する冷たき美姫の翼』を!」


警官A 「おい、意味分かるか?」


警官B 「蘭子ちゃんの事務所では、アイドルを『キュート』『クール』『パッション』の3グループに分けてるんですよ」


警官A 「それで?」

警官B 「『冷たき美姫』というのはこのうちの『クール』のことでしょう。そして蘭子ちゃんもこの『クール』に分類されています」


警官A 「となると残りは『翼』か」


警官B 「それも簡単です。蘭子ちゃんの使った衣装の中には翼の付いたものがありますから、そのことでしょう」


警官A 「よし分かった!おい犯人、お前が欲しいのは神崎蘭子の衣装だな!」

犯人 「我が呪われし右手には炎を! 我が聖なる左手には氷を!」


警官A 「おいあいつ銃撃ったぞ!?」


警官B 「あくまで威嚇みたいですけどね・・・」


警官A 「つーか炎とか氷とか言ってたけど、炎の要素しかないだろあれ!」


警官B 「おっかしいなぁ・・・訳が間違ってたのかな」

警官A 「どうするんだよ、お前が頑張らなきゃどうにもならんぞ」


警官B 「こうなったら、俺の友達で蘭子語ができる奴に聞いてみるしかないか」


警官A 「そんなんいるのか!だったら最初から頼めよ」


警官B 「なにぶん忙しい奴なんで」


警官B 「おうもしもし、いやさちょっと頼みたいことがあってさ・・・うん、分かった」


警官B 「いやー良かった、ちゃんと訳してくれましたよ・・・蘭子ちゃんファンに悪い奴はいないって本当ですね」


警官A 「だったらあそこで銃構えてるやつはなんなんだよ」

警官B 「おい犯人、お前の欲しいものが分かったぞ」


犯人 「・・・」


警官B 「それは・・・成宮由愛の作った飛行機、『スカイペインター』だろ」


犯人 「♪」


警官B 「ほら見てくださいよ、あの嬉しそうな顔」


警官A 「・・・おい待て、そいつ神崎蘭子ファンじゃなかったのかよ」

警官A 「はぁー・・・ますます犯人の謎は深まるばかりだし、どうすりゃいいんだ」


警官B 「でも、ここまでで一つ分かったことがあります」


警官A 「お、いったいなんだ?」


警官B 「『蘭子ちゃんファンに悪い奴はいない』ってやっぱり本当だったんですね」


警官A 「めんどくせぇ!」

以上です。
ここに投下するのは初めてなんですが、大丈夫だったかな・・・

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