【マギアレコード】みたま「魔法少女の戦闘訓練 in 神浜♪」 (43)

レナ「……ええっ、またぁ!?」

鶴乃「そう!最強の魔法少女になるためには、訓練を積むことが必要なの!」

ももこ「私達、さっき使い魔倒したばっかりなんだけど……」

鶴乃「じゃあ、また明日!明日ならいい?」

ももこ(どうする、レナ?)

レナ(レナ、そろそろ本当に持たないんだけど……)

ももこ(だよなぁ……。かえで、何かいい考えある?)

かえで(うーん……。うまくいくかわからないけど、それでよければ……)

ももこ(ちょっとでも可能性があるなら、それでいいよ!頼むよ、かえで)

鶴乃「もー、どうしたの?3人とも黙っちゃって」

かえで「ねえ、鶴乃ちゃん?」

鶴乃「なになに?」

かえで「私たちが鶴乃ちゃんのお手伝いをするのは難しそうだけど、あそこに行けば、もしかしたら……」

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みたま「あら、いらっしゃ~い!今日は、いつもの3人プラス鶴乃ちゃんなのね?」

ももこ「調整屋、今日は相談があって来たんだけど……」

みたま「ももこが相談?なぁに、私にできることなら出来る限りの協力はするわよ?」

ももこ「助かるよ。鶴乃のことなんだけどさ……」

鶴乃「私、強くなりたいんです!!」

みたま「強く?……あぁ、それならソウルジェムを」

鶴乃「そうじゃなくって!もっと訓練して強くなりたいっていうか……」

レナ「鶴乃、その訓練の相手をずっと探してるみたいで……。ここ半月くらいはレナ達が相手を引き受けてたけど、そろそろ辛くって」

みたま(そういえば、やちよさんがそんなことを話していたわね)

かえで「だから、鶴乃ちゃんの訓練の相手になりそうな人、とか……」

みたま「なるほどねぇ……」

みたま「当ては無くはないけれど、いつここに来てくれるかは分からないから……」

ももこ「やっぱりそうかぁ……」

みたま「あっ、でもね。みんなに見せたいものがあるの」ゴソッ

レナ「何これ……?なんか、大掛かりな機械みたいだけど」

みたま「これは『戦闘シミュレーター』♪魔法少女がシミュレーション世界の中で戦うことができる道具なのよ」

かえで「シミュレーション?」

みたま「そう!鶴乃ちゃんの訓練にはうってつけだと思うわよぉ?これを使ってシミュレーション世界で戦えば、怪我することもないし、魔力を使うこともない。安全に経験を積むことができるの♪」

鶴乃「ええー!すごい!」

ももこ「本当かよ……。誰が作ったんだ、こんなの?」

みたま「キュゥべえちゃんにもらったの。あっ、最近いろはちゃんと一緒にいる小さいキュゥべえちゃんじゃなくて、普通のキュゥべえちゃんね」

レナ「なんで、そんなもの急に?」

みたま「魔法少女の戦闘データを取りたいんだって。できるだけ沢山の魔法少女のデータが欲しいから、魔法少女が集まるここに置いてくれないかって」

かえで「へぇ……」

鶴乃「でもでも!私たちにとっても役に立つんだから一石二鳥だよ!さぁレナ、これを使って勝負だよ!」

レナ「えー、結局訓練はやるの……?」

???「おいっすー!ちょーせーやー!」

かえで「……誰か来た?」

みたま「この声……フェリシアちゃんかしら?ちょうどよかった♪」

フェリシア「おい調整屋!前回の調整が切れたみたいだから……って、鶴乃!」

鶴乃「やっ、フェリシア!」

ももこ「フェリシア……って、この間の劇で牛の役をやってた?」

鶴乃「そうそう!今はいろはちゃんと一緒にやちよさんのところに住んでるんだよ」

ももこ「へぇ……。特定のチームは組んだりせずに、傭兵として戦う魔法少女って聞いてたけど」

フェリシア「傭兵はもう辞めたんだ。でもオレがいれば、どんな魔女でもズガンのドンだぞ!」

みたま「ねぇフェリシアちゃん、いま、鶴乃ちゃんが訓練の相手を探してるんだって。フェリシアちゃん、協力してみない?」

フェリシア「えー、オレ魔女となら戦うけど、魔法少女相手はなぁ……」

鶴乃「そう言わずに!ね、このとおり!」

みたま「なんなら、お夕飯ごちそうしてあげましょうか?」

フェリシア「!……いいよ、いらねえ!なおさらイヤだぞ!」

みたま「ひどぉい……」

鶴乃「あ、だったら!うちで食べてく?夕ご飯!」

フェリシア「万々歳の!?……わかった、だったら協力する!」

レナ「えぇっ!あそこのご飯で釣られるの!?」

フェリシア「何だよ、文句あっか」

レナ「別に文句は無いけどさ……」

みたま「それじゃ、早速始めましょうか」

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フェリシア「なー調整屋。オレ、その“シミュレーション”ってやつ、よくわかんないんだけど……」

みたま「んー、ケガしたりさせたりしても、無かったことになるって考えてくれればいいかしら。だから、魔法少女どうしの戦いだけど、思いっきりやっちゃって大丈夫よぉ。逆に、鶴乃ちゃんも本気で仕掛けてくるからそのつもりでね」

フェリシア「んー……。とにかく、本気でやればいいんだな!」

鶴乃「そういうこと!フェリシア、私も容赦しないからね!ふんふん!」

ももこ「調整屋、これって本当に安全なんだよな?」

みたま「大丈夫、大丈夫。キュゥべえちゃんの言うことだもの。……それじゃ、2人とも。ソウルジェムをここに置いて」

鶴乃「はーい」

フェリシア「ん」

みたま「戦闘訓練、スタートよぉ♪」

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由比鶴乃 vs 深月フェリシア

ステージ:砂場の魔女の結界
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鶴乃「―――えっと、ここは……魔女の結界?」

フェリシア「魔女?魔女がいるのか!?」

みたま『ふたりとも、聞こえる?』

フェリシア「聞こえるぞ!なあ調整屋!ここ、魔女がいるのか!?」

みたま『いないわよ?あくまで、そこは2人が戦うためのシミュレーション世界だから』

フェリシア「???」

みたま『とにかく、フェリシアちゃんは鶴乃ちゃんに勝つことだけに集中すればいいってこと』

鶴乃「そういうこと!さあ、勝負だよ!フェリシア!!」

フェリシア「わかった!行くぞ、鶴乃!!」

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みたま「―――それで、確かここをこうやって……。できた!これで、こっちからもふたりの様子が見られるわ」

かえで「わっ、すごい」

レナ「ももこ、あのフェリシアって奴、どういう人なの?」

ももこ「アタシが聞いてたのは“金さえ払えばどんな魔女でも倒してくれる傭兵”……だったかな。ただ……」

かえで「ただ?」

ももこ「戦闘狂なところがあるらしくって……敵も味方も関係なしに攻撃するから、魔女への攻撃に巻き込まれて怪我したなんて話も聞くね」

レナ「何よそれ!危険すぎるでしょ!」

ももこ「その分、強さは本物らしいけどね。でも、もう傭兵は辞めたって言ってたよな……。調整屋は詳しいこと知ってる?」

みたま「ええ。同居ついでに、今はやちよさん達のチームで戦ってるらしいわ。彼女なりに反省もして、前ほど無茶な戦い方はしなくなってるって」

レナ「ふぅん……」

みたま「いろはちゃんがお説教したんだって。ふふっ、ちょっと想像できないわよね」

かえで「いろはちゃんが……。確かに、あんまり想像できないかなぁ」
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フェリシア「行くぞ、ドッカーン!」ザッ

先手を取ったのはフェリシア。

巨大なハンマーを携えているにも関わらず、猛スピードで鶴乃の方へ突っ込んでいく。

鶴乃「真正面からなんて、考えなし過ぎるんじゃない?」

対して鶴乃は両手の扇から炎を繰り出し、フェリシアの進路を塞ぐ。

フェリシア「わわっ……!」

鶴乃「どんどん行くよっ!」

次いで、鶴乃が扇を大きく振ると、槍状の炎が真っ直ぐフェリシアに向かって放たれた。

フェリシア「ふんっ!!」

フェリシアはこれを跳躍で回避。

フェリシア「どりゃああっ!!」ドスンッ!

鶴乃「っ!!」サッ

そのまま鶴乃に向かってハンマーを振り下ろすが、鶴乃も素早く回避した。

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レナ「実力は……互角くらいかしら。あの子凄いスピードだけど、鶴乃は全然動揺してないみたい」

ももこ「鶴乃は前に比べると、きちんと考えて戦うようになったからねぇ……。それに比べて、あのフェリシアちゃんって子は純粋に身体能力だけで応戦してる感じだね」

かえで「うん……。フェリシアちゃん、鶴乃ちゃんの動きを見てから攻撃したり避けたりしてるみたい」

ももこ「フェリシアちゃんの方はちょっと難しいかもしれないけど、鶴乃の戦いは結構参考になるからね。ふたりとも、よく見ておいて」
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鶴乃「やるね、フェリシア!」

フェリシア「まだまだ!オレの力はこんなもんじゃないぞ!」

鶴乃「私だって!……炎の魔法の力、見せてあげるよ!!」パァア

そう言って、鶴乃は両手の扇に魔力を注ぎ込んでゆく。

フェリシア(なんだ、鶴乃の扇がでっかく……!?)

鶴乃「必殺技、その1!」

巨大な扇を振るいながら、言った。

鶴乃「炎扇旋風!!」ブンッ!!

フェリシア「わわっ、竜巻ぃ!?」

鶴乃が生み出したのは巨大な炎の竜巻。

フェリシア(なんだ、これ……!?吸い込まれる……!!)

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レナ「出たわね……」

かえで「ふゆぅ……。鶴乃ちゃんはあれが強いよね」

レナ「ただ大きいだけじゃなくって、竜巻に引っ張られて立ってられなくなるのよね……。これは、勝負ありかもね」

ももこ(ただの竜巻を生み出す魔法ってだけじゃない。たぶん風の魔法も一緒に使って、“吸い込む”力を加えてるんだろうけど……)

ももこ(たぶん、ひとりで完成させた魔法じゃないよなぁ……。あれにアドバイスをしたのは、恐らく……)

かえで「……ももこちゃん?どうかした?」

ももこ「何でもない。ちょっと考え事をね」
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フェリシア「ぐっ、くそぉっ!!引っ張られる……!!」

フェリシア(立ってるだけで精一杯だ……でも、このままじゃ……)

鶴乃「ふっふーん。動けないのかな?それなら……」

フェリシア「くっ……!」ドスンッ!

フェリシアはハンマーを思い切り地面に叩きつけ、左手でその柄に掴まった。

鶴乃(ハンマーを地面にめり込ませて……。確かに、それなら竜巻に吸い込まれることは無くなるけど……)

鶴乃「スキだらけだよ、フェリシアっ!」ダッ

地を蹴り、鶴乃が一気にフェリシアに接近する。

フェリシア「まだまだ……!」

小さく呟くと、フェリシアは空いた右手に新たなハンマーを生成した。

鶴乃「なっ!?」

フェリシア「これで、どうだぁっ!!」ブンッ!

さらに、生成したばかりのハンマーを鶴乃に向かって思い切り投げつける。

鶴乃「あっぶな!?」サッ

フェリシア(避けられた……!!)

鶴乃「今のは危なかったけど、これで……!!」

鶴乃が両手の扇を振りかぶる。

フェリシア「いけえっ!!」

鶴乃「へっ?……きゃああっ!?」ドガッ!

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かえで「ハンマーの……ブーメラン!?」

ももこ「なんて器用な……!!」

レナ「鶴乃に当たったおかげで、あの竜巻の魔法も消えた……!これで、一気にひっくり返った!」
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鶴乃「いつつ……油断したぁ!まさか、投げたハンマーが戻ってくるなんて……。そんな魔法を使えるなんて知らなかったよ」

フェリシア「へへっ、まぁな!あの竜巻も無くなったし、今度はこっちの番だ!!」パァア

そう言うと、地面にめり込んだハンマーを引き抜き、それに魔力を込め始めた。

鶴乃(来るっ……!!)

フェリシア「行っくぞぉ……!!」ダッ

ハンマーがみるみるうちに巨大化していく。

フェリシアはそれを思い切り振りかぶると、跳んだ。

フェリシア「だあああっ!!!」ブンッ!

掛け声とともに、フェリシアが巨大ハンマーを振り下ろす。

鶴乃「……!」サッ

それに圧し潰される寸前、鶴乃が小さく扇を振った。

鶴乃の身体が炎に包まれる。

フェリシア「よっしゃぁ!倒し―――」

鶴乃「……まだだよ、フェリシア!」

フェリシア「なぁっ!?」

突如として、フェリシアの背後から鶴乃が現れる。

鶴乃「必殺技、その2!」ブンッ

扇を一振りすると、無数の炎弾がフェリシアめがけて放たれた。

フェリシア「っ!?」ボボッ

鶴乃「炎扇斬舞!!」

フェリシア「うあぁっ!!!」

鶴乃の必殺の一閃がフェリシアを貫いた。

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フェリシア「―――はっ!」

鶴乃「あれ?戻ってきた……?」

みたま「はい、ふたりともお疲れさま。この勝負、鶴乃ちゃんの勝ちね」

鶴乃「やったあぁ!!」

フェリシア「くっそぉ、負けた……。オレの『ウルトラグレートビッグハンマー』も通じないなんて……」

鶴乃「目指すは最強だからね!ふんふん!!」

かえで「鶴乃ちゃん、すごかったよ!」

レナ「強いのは知ってたけど、あそこまでだったのね、鶴乃……」

みたま「それにしても、凄いわねぇこのシミュレーター。本当に訓練にはうってつけって感じ」

ももこ「だな。これなら、あたしもたまにはやってみてもいいかも」

鶴乃「やった!じゃあももこ、早速やろ!」

ももこ「いやいや、いくら体力や魔力が元通りになってるからって、あんまり連戦は―――」

フェリシア「うがーっ!!」

レナ「わ、びっくりした!いきなり何よ!?」

フェリシア「悔しい!鶴乃に!鶴乃に負けるなんて!!」

鶴乃「ふふん、じゃあもう1回やる?」

フェリシア「当たり前だー!次は絶対負けないからな!!……調整屋!これ、もう1回借りるぞ!!」

みたま「へ?……べ、別にいいけど」

鶴乃「えへへ、何回やったって鶴乃お姉さんには勝てないってところを見せてあげよう!」

フェリシア「むきーーー!絶対絶対オレの方が強いんだからな!!」

みたま「ち、ちょっとふたりとも?ここは私のお店なんだけど……」



ももこ「レナ、かえで。……私たちは、そろそろ行こうか」

レナ・かえで「そう(だ)ね……」

―――それから、数日後。

みたま「あら、いらっしゃ~い!今日はやちよさんといろはちゃんなのね」

やちよ「さっき、2人で魔女を倒してきたところでね。調整をお願いできるかしら」

みたま「もちろん♪それから、今日は面白いものがあるわよぉ」

いろは「それって、戦闘シミュレーションが何とかっていう……」

みたま「あら、もう知ってるのね」

やちよ「鶴乃とフェリシアから、なんとなくは聞いてるわ」

みたま「あのときは大変だったわぁ。結局夜までずっと戦ってるんだもの……。おかげで寝不足よぉ」

いろは「あはは……。えっと、結果は鶴乃ちゃんの全勝だったって言ってましたっけ」

やちよ「フェリシア、だいぶ膨れてたわね。万々歳で夕飯を食べて機嫌直したらしいけれど……」

いろは「あの話を聞いて、ちょっとびっくりしちゃいました」

やちよ「あの話って……鶴乃が全勝したってこと?」

いろは「はい。鶴乃ちゃんが強いのは知ってますけど、フェリシアちゃんだって強いと思ってたから……」

やちよ「そうね……。少し難しいかもしれないけれど、対魔女における強さと対魔法少女における強さって、必ずしもイコールではないの」

いろは「?」

やちよ「フェリシアの攻撃は確かに強力よ。あの大きなハンマーを使った攻撃は、そこらの使い魔なら一撃で倒すことのできるほどの威力があるし」

やちよ「でも、一撃一撃の隙が大きく、攻撃が単調になりがちという欠点もある。知能の低い魔女やウワサを相手にしているときには、あまり気にならないかもしれないけれどね」

やちよ「対して鶴乃は……。そうね、以前は考えなしに突っ込むことが多かったけれど、最近は頭を使って戦っているみたい」

いろは「それって、やちよさんの特訓のおかげですか?」

やちよ「一応、そうなるのかしら……?散々せがまれて新技の開発にも付き合わされたしね。……最近はフェリシアと共闘することも増えていたし、彼女の攻撃パターンは大方見切っていたのでしょう」

いろは「へぇ……」

やちよ「そろそろ、フェリシアにもこういう話をしてもいいかもね。今後、みふゆ達との戦いは避けられないだろうし。あの子が鶴乃に対抗心を燃やしてくれているなら、いい機会」クス

みたま「流石ねぇ、やちよさんは」

やちよ「別に……。長く魔法少女をやっているんだもの、自然と身に着くことだわ。あなただってそうでしょう?」

みたま「私は戦いはからっきしだもの」

やちよ「どうだか……」

みたま「それより、いろはちゃん達も使ってみない?この戦闘シミュレーター」

いろは「え……。私たちは、別に」

やちよ「……確かに、悪くないかもね」

いろは「やちよさん!?」

やちよ「環さんと一緒に戦い始めてから結構経つし、私も色々教えてきたつもりではあるけれど。直接戦って実力を見極めるのも悪くないわ。鶴乃たちが何度も使ってるくらいだから、安全面での心配は無いみたいだし」

みたま「それじゃ、ソウルジェムをここに」

いろは「えぇ……?やちよさん、本当にやるんですか……」

やちよ「少しは手加減してあげるから。……さ、始めましょ?」

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環いろは vs 七海やちよ

ステージ:絶交階段のウワサの結界
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いろは「ここは……水名神社の」

やちよ「ふぅん……場所まで再現されるのね」

いろは(うぅ……。シミュレーションの世界だからって、やちよさんと戦うなんて……)

やちよ「ぼーっとしてるなら、先攻は私が貰うけれど」

いろは「け、結構ですっ!」

いろは(勝てる気なんてしないけれど、せめて成長したところは見せないと……!)

いろは「まずは、これで!」パァア

そう言って、いろはは自らの周囲に4つのクロスボウを召喚した。

いろは(これは、牽制用に……。やちよさんが近づいてきたら、私が直接触れなくても、このクロスボウから矢を放つ!!)

やちよ(……そうよ、環さん。あなたのような遠距離タイプの魔法少女が私のような近距離タイプの魔法少女と戦う場合、何より優先すべきは“接近戦に持ち込まれないように立ち回ること”。こういう場合、無暗にクロスボウで攻撃して相手に安易な接近を許すのが最悪の選択なのだけれど……)

やちよ(あなたが召喚したクロスボウのせいで、私は“安易に間合いに踏み込めば反撃される”というプレッシャーの中で戦わなくちゃいけなくなった。初手の選択としては合格点ね。さあ、私はどうやって攻めようかしら……)

いろは「行きます!」バシュン

先手で仕掛けたのはいろは。

自身のクロスボウで真っ直ぐにやちよを狙う。

やちよ(これだけ距離があれば、いくら連撃されても受けられる)

やちよ「ふんっ」カキンッ!

いろは「まだ!」バシュン

やちよ「この程度……っ!?」ドガッ!

次の一撃。いろはの撃った矢は、やちよの手元で爆発した。

やちよ(しまった……!)

いろは「これで!」パァア

やちよが怯んだのを見て、いろはは自身の周囲に召喚したクロスボウからも矢を射出する。

やちよ「手数が多い……。くっ」キィン

たまらず、結界を張って矢の猛攻を防御する。

いろは「一気に決めます!」パァア

やちよが防御に回った隙をついて、いろははクロスボウに魔力を注いでいく。

やちよ(これは……!)

いろは「希望に導いて……!『ストラーダ・フトゥーロ』!!」バシュッ!!

いろはの掛け声とともに、数十本もの矢が束になって放たれる。

やちよ「っ、脚力強化!!」パァア

いろはの必殺技が着弾する寸前、やちよは脚力強化の魔法を使って脱出した。

いろは(避けられたっ!)

やちよ「少し様子見に時間を使いすぎたかしら……?さぁ、反撃よ」シュルシュルッ

いろは「ロープ……!?」

突如、いろはの足元から伸びてきた何本ものロープがいろはを拘束しようと蠢く。

いろは「っ!」バシュッ!

いろははバックステップでロープを回避しつつ、自身のクロスボウから矢を放った。

やちよ「ふんっ」カキンッ

が、やちよが槍を一振りすると、いろはが放った矢はあっさりと払われてしまった。

いろは「!」

やちよ「隙だらけよ?」

と、いろはが動きを止めた隙に、やちよは槍を携えて高速で接近する。

いろは「さっき召喚したクロスボウで……。っ!??」

やちよ「残念。さっきのロープは、あなたじゃなくてクロスボウを狙ったものだったの」

目をやると、いろはが召喚した4つのクロスボウは、どれもロープに絡めとられて矢を発射できない状態になっていた。

やちよ「チェックメイトね」

言葉とともに、いろはのソウルジェムに矢を突きつける。

いろは「こ、降参です……」

いろはは両手を挙げ、戦意喪失の意を示した。

やちよ「そう、じゃあ私の勝ちね。―――なんて」ガキンッ!

いろは「っ!!」

やちよ「やるじゃない。降参したと見せかけて、予め上空に召喚しておいたクロスボウから矢を発射するだなんて。……さぁ、まだ奥の手はある?」

いろは「やっぱり、見破られちゃいますか……。今度こそ、本当に降参です……」ガクッ

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いろは「―――!」バッ

やちよ「戻ってきた……みたいね」

みたま「ええ♪勝負がついたようだったから、終わりにしたわ。ふたりとも、お疲れさま。いろはちゃん、ナイスファイト!」

いろは「やっぱり、手も足も出ませんでした……」

みたま「そんなことないわよ。最初の連撃は結構良かったんじゃない?それに、最後の不意討ちも。いろはちゃんって、可愛い顔に似合わず案外大胆なのね♪」

いろは「そんな……」

やちよ「いいえ、その通りだと思うわ。正直、想像していた以上だった」

いろは「でも、私の攻撃はほとんど防がれるか避けられるかだったし、最後の不意討ちだって、やちよさんには簡単に見破られて……」

やちよ「それは、対魔法少女戦の経験の差ね。最後の攻撃だって、魔力の波動を感じたから気づけたけれど、あなたがクロスボウを召喚したのには全く気づけなかった」

やちよ「それに、一番最初。クロスボウを召喚して、私が接近戦を仕掛けづらいように牽制していたでしょう?魔法少女同士の交戦経験はほとんど無いのに、ちゃんと間合いを考えて戦えていた」

やちよ「正直ね。あなたが神浜に来たばかりの頃、志の強さだけは認めていたけれど、それだけだと思ってた。……でも、今のあなたはそうじゃない。志の強さにふさわしい実力も伴ってる。今のあなたなら、安心して私の背中を任せられるわ、“いろはさん”」

いろは「あ、名前……」

みたま「今日のやちよさんは饒舌ねぇ。なんだか妬けちゃう♪」

やちよ「思ったことを言ったまでよ」

みたま「素直じゃないんだから」

やちよ「うるさいわね……。ほら、調整の方も頼んだわよ」

みたま「はいはい♪それじゃあいろはちゃん、服を脱いで―――」

いろは「それはもういいですっ!!」

チュートリアル終わり。
ここからは、対戦カードを安価で決めていきます。


次回の対決1(1対1)

>>31(1人指定してください) vs >>32(1人指定してください)


次回の対決2(2対2)

>>33(2人指定してください) vs >>34(2人指定してください)


※ 全員、神浜出身のガチャ実装済魔法少女でお願いします(見滝原組は×)。
※ 既に出てきた魔法少女との重複は禁止します(鶴乃、フェリシア、いろは、やちよも×)。
※ 2人チームは、ストーリー上で絡みのあるキャラのペアが有難いです。


念のため、安価の連投は禁止でお願いします(日付変わったらOKです)。

13歳さん

>>31があれだけどあちしちゃんで…
>>33として扱うなられんちゃん梨花ちゃん

あーしさん&みゃーこ先輩

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