千早「この高槻さんは出来損ないよ。食べられないわ」 (14)


伊織「なんですって!?」

P「おいっ!何てこというんだ。こんなに美味しいやよいステーキをごちそうしてもらったっていうのに」

春香「そうだよ。千早ちゃん。伊織に失礼だよ」

千早「だって本当のことだもの・・・」

伊織「ふんっ!これだから味の分からない貧乏人と一緒に食事するのは嫌なのよ」

P「まぁまぁ伊織。そう怒るなって。俺はこんなにうまいやよいを食べたのは初めてだよ」

伊織「当たり前でしょ!最高級のやよいを最高のシェフが料理したんだから」

春香「千早ちゃん、一体この料理の何が悪かったっていうの?」

千早「何って、食べたのなら分かるじゃない」


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P「おいおい、いい加減なことを言うんじゃない。こんなに美味しいやよいは他にはないぞ」モグモグ

春香「そうだよ。口に入れた瞬間に溶けてしまうやよいのお肉なんて奇跡以外の何ものでもないよ」

千早「そうかしら…私はそうは思わないけど」

伊織「さっきからほんとにイライラするわね。はっきり言いなさいよ、この料理の何が悪いっていうの!」

千早「なら言わせてもらうけど、春香、そのお肉に何か嫌な感じはない?」

春香「嫌な感じ?うーんと・・・」モグモグ

伊織「あるわけないでしょ!最高級の食材だけで全くストレスを与えないで育てたやよいなのよ!」

P「そうだぞ。俺ならいくらでも食えるぞっ」ガツガツ

千早「プロデューサーは少し黙っていてください。春香、どう?」

春香「うーん・・・、ただ美味しいだけの気がするけど………あっ!」

伊織「はぁ?どうしたっていうのよ!」


春香「ほんの少しだけど、ちょっと脂っこいというか、あと、なんだかちょっとクセがあるというか」

伊織「そんなの気のせいよ!ウチで育てたやよいに欠点なんてあるわけないもの」

春香「気のせいじゃないよ、伊織!このお肉は少し下品な味がすると私は思う」

伊織「春香・・・。アンタまでそんなこと・・・」

千早「春香の言ってることは正しいわ、水瀬さん。あなたの高槻さんの育て方は間違っていると思うの」

伊織「どういうことよ」

千早「あなたが育てた高槻さんは、高槻さんが本来持っているうまみを潰しているわ」


P「やよいが本来持ってるうまみ?どういうことだ」

千早「高槻さんは本来、それほど恵まれない環境に生きているわ」

伊織「それがどうしたっていうのよ!」

千早「家族がたくさんいるし、父親は頼りないから、兄弟を養っていかなければいけない」

P「確かに・・・」

千早「でも、そういう環境だからこそ高槻さんはあそこまで活き活きとしていられる。そうは思わない?」

春香「そっか・・・。やよいが本来生きている環境に近づけてやることでやよいのうまみは最大限引き出せるってことだよね」

千早「そのとおり。美味しいものだけ食べさせて、ストレスを与えなければ良いというわけではないの」

春香「適切な食事と適度にストレスを与えることが大事なんだね」

千早「春香の言う通りよ。そうじゃないと最高の高槻さんとは言えないわ」


伊織「うぐぐっ・・・アンタたち黙って聞いてれば好き勝手なことばかり言って」

P「そうだぞ。自分たちはごちそうされる立場で、失礼じゃないか」

伊織「ふんっ!いいわ。何を言ったってどうせアンタたちにはこれより美味しい料理を作ることなんて出来っこないんだから」

春香「うーん。それを言われると何も言えないけど…」

千早「作れるわ!これより美味しい高槻さんを知ってるもの」

伊織「ふーん。じゃあ今すぐここに持って来なさいよ」

春香「千早ちゃん無理だよ。第一食材を手に入れる手段がないんだから」

P「そうだ。強がりを言って、作れなかったら恥をかくだけだぞ」

千早「いえ、私には作れるわ」

伊織「言ったわね」ニヤリ


千早「いますぐは無理だけど10日だけ時間をもらえれば本物の高槻さんをごちそうしてあげられるわ」

P「千早。腹が立ったからってできないことを約束するんじゃない」

春香「そうだよ千早ちゃん。いくらなんでも10日で最高のやよいなんて手に入れられっこないよ」

千早「そんなことはないわ。私には考えがあるもの」

伊織「じゃあ約束ね。ただし出てきた料理が私を満足させられなかったら、そのときは・・・」

春香「そのときは?」

伊織「やよいを食べることは当然として、やよいと関わる一切の行為をやめてもらうわ」

千早「上等よ。その話のったわ」

春香「千早ちゃん、絶対無理だよ。できっこ無いよ」

千早「春香、私を信じて!10日あれば絶対に最高の高槻さんで最高の料理がつくれるわ」

春香「うぅ・・・」


伊織「それじゃあ10日後、ウチの屋敷で待ってるから」

千早「分かったわ」

伊織「料理ができないからってしっぽ巻いて逃げ出すんじゃないわよ」

千早「心配ないわ。そっとこそ、すっぽかすのだけはやめてね」

伊織「ふんっ。10日ぽっちじゃ何もできっこないわ」

千早「それはどうかしら」

伊織「せいぜい10日の間あがくのね」ニヤリ






春香「アワワワワワ・・・千早ちゃん、あんな約束しちゃって大丈夫なの?」

千早「大丈夫よ。心当たりがあるもの」

P「ハァーッ、俺はうまいやよいが食えれば良かったのにトンデモないことに巻き込まれちゃったなぁ」トホホ


今回はここまで


次の日

ブゥーン

P「まだ付かないのか、千早」

千早「あともう少しです」

春香「こんな山奥にやよい牧場なんて本当にあるの?」

千早「私を信じて、ほら見えてきた」

春香「え?どこどこ?」

千早「あそこよ。あの開けたところ」

春香「本当だ。森の中にいきなり草原が・・・ってあれは・・・」

P「ん?どうした誰かいたのか?」



響「3人ともこっちだぞー!」

春香「響ちゃん!?」

P「響・・・どうして、ここに」

キキーッ

ガチャッ

響「みんな、よく来たな!」

P「響、最近見ないと思ったらこんなところで何をしてるんだ」

響「自分、やよい牧場を始めたんだ」

P「やよい牧場?なんでまた・・・」

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