凛「…はあ、プロデューサーって…」 (22)

凛「プロデューサー、今帰るところ?」

P「ああ。仕事が思いの外スムーズに片付いたから、早く帰ってコナン見るんだ」

凛「何というか…プロデューサーって残念だね。飲みに行ったりとかしないの?」

P「誘われたら行くけど、自発的に行くことはあまり無いな…と言っても、楓さん達くらいしか誘ってくれないけどな」

凛「プロデューサーって孤独死しそうだね。もっと人と関わりなよ、コミュニケーション力が問われる立場でしょ」

P「酷い言われ様だな…そこまで言うなら、凛が付き合ってくれよ」

凛「!…別に、いいけど」

P「いいの?じゃあこの後、夕飯でも食べに行くか」

凛「う、うん。行く…行くよ」

P「それじゃあ、19時に実家の花屋さんまで迎えに行くよ。それでいいか?」

凛「…分かった。待ってるから」

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【凛宅にて】

凛「どうかな。この服装、変じゃないかな」

凛「白のワンピースなんて私らしくない気が…でも、男の人はこういうの好きって聞くし…」

凛「ジャケットはデニムかな…それともフォーマルな方が…」

凛「ねえ、これとこれ、どっちがいいかな」

ハナコ「…」

凛「…はあ、何をウジウジ迷ってるんだろう、私。プロデューサーと食事に行くだけなのに…」

凛「…何?お母さん、今何て…え!?プロデューサーもう来てるの!?」

凛「うーん…そ、それじゃあ行ってくるから!応援しててね、ハナコ!」

ハナコ「…」

P「お疲れ様、凛」

凛「…早いよプロデューサー。19時に迎えに来るって言ったじゃん…まだ18時半」

P「ご、ごめん…遅いといけないと思って…」

凛「早過ぎるのもダメなの!…プロデューサー、あんまり女の子の扱いに慣れて無いでしょ」

P「ごめんごめん、凛ならエスコートされ慣れてるよな。今日は比べられないように頑張るよ」

凛「…アンタが初めてだよ」

P「…え?」

凛「な、何でもない!ほら、早く行くよ、プロデューサー」

P「お、おう」

凛「…って、タクシーで迎えに来たの?」

P「車持ってないし、プライベートな外出に社用車使うわけにもいかないだろ。ほら、先に乗って」

凛「別に歩けるのに…タクシー代勿体無くない?」

P「ご、ごめん」

凛「別に謝らなくていいよ。次から気をつけてよね」

P「次?もう次のこと考えてんのか」

凛「こ、これからこういう機会が増えるかもしれないでしょ。…っていうか、増やしてよ」

P「何か言ったか?」

凛「何でもないよ…ああもう、運転手さんにも笑われてるし…はあ」

P「あ、この辺で大丈夫です。領収書?大丈夫です。あ、細かいの用意するんでちょっと待ってて下さいね」

凛「…はあ」

P「はい、どうもありがとうございました。ほら、凛もお礼言って」

凛「あ、ありがとうございました…ってプロデューサー、子供じゃないんだから言われなくてもお礼くらい出来るよ!」

P「ごめんごめん。そろじゃあ、この後ちょっと歩くぞ」

凛「…もう」

P「っていうか、売れっ子になっても相変わらずマスク付けないんだな、お前」

凛「私らしくないから。…ねえ、プロデューサー。今の私達、周りからはどう見えるかな」

P「む。確かに騒がれたらマズイな。ほっかむりでもしとくか」

凛「余計に騒がれるよ!そうじゃなくて…いや、もういい」

P「変な凛だな…よし、このビルだ。エレベーターで結構上まで上がるからな」

凛「大きなビルだね」

P「…来たな、ほら乗って乗って。では、上へ参りまーす」

凛「…プロデューサー、ムードって言葉知ってる?」

P「ムドー?ドラクエ?」

凛「…もういい」

P「着いた!どうだ凛、今日はここでディナーだ!」

凛「うわあ…良い雰囲気だね。プロデューサーがこういうお店を知ってるなんて意外だな」

P「この前、あいさんに連れて来て貰ったんだ。あ、予約してた東郷の知り合いです」

凛「…」

P「流石あいさん、知り合いなだけで待遇が違う!ほら、行くぞ凛」

凛「…うん」

P「ほら、座って座って!どうだ、この夜景」

凛「…はあ、凄いね」

P「それだけ?相変わらず無愛想だなあ。あいさんと一緒に来たときの薫なんて、それはもう微笑ましいくらいにはしゃいでたぞ!」

凛「プロデューサーさ、こういう場面では、別の女の人の名前を軽々しく口にしない方がいいよ」

P「こういう場面?」

凛「良い雰囲気のお店に、女の子と一対一で来たら」

P「ご、ごめん。次があったら気をつける」

凛「とりあえず、今のところ、私の中では次は無いから」

P「…なんか難しい年頃なんだな、凛も。さて、何食べる?ここはオムライスが絶品だぞ!」

凛「…何ライスでもいいよ」

P「じゃあオムライスのデミグラスソースな!すみませーん、えーと…あ、ごめん凛、俺お酒飲んでいい?」

凛「私が飲みたい気分だよ」

P「ダメに決まってるだろ!まさか飲んだことなんてないだろうな!…あ、はい、それで大丈夫です」

凛「…」

P「さて…と。そう言えば凛、その服可愛いな」

凛「!そ、そうかな…」

P「うん。いつもクールな感じだけど、今日はクールとキュートのハーフ&ハーフって感じ」

凛「ふふ…何それ」

P「やっと笑ってくれたな。まあ、俺の前では自然体でいてくれて構わないんだけど」

凛「でも、最近は前よりずっと自然に笑えてる気がするよ。やっぱりアイドルは楽しいからね」

P「いいなあ、お前達の様子を見てると、俺もちょっとだけアイドルやってみたいと思う時があるよ」

凛「…ふ、ふふふっ」

P「な、何だ?どうした」

凛「あ、アイドルやってるプロデューサーを想像したら可笑しくって…」

P「ひ、酷い…」

凛「ごめんごめん…でも、プロデューサーがアイドルになったら、私は応援するよ。大ファンになってあげる」

P「ふん、ありがとよ」

凛「ほら、料理が来たよ。美味しもの食べて機嫌直しなよ」

P「…いつの間にか立場が逆転してるな」

凛「良い匂い…食べていい?プロデューサー」

P「勿論、召し上がれ」

凛「頂きます」

P「俺も頂きますっと…うん、美味い!」

凛「うん、本当に美味しい!そんなに味が分かる方じゃないけど、ソースが美味しいね…って、プロデューサーのはケチャップじゃん」

P「ケチャップの方が食べたかったんだよ」

凛「ふふ、子供みたい。こっちのソースのも食べてみなよ。ほら、あーん」

P「いいよ、恥ずかしいから!」

凛「ほら、早く。腕が疲れちゃうから」

P「わ、分かったよ…うん、美味しい」

凛「プロデューサーのも一口ちょうだい」

P「いいけど、自分で取れよ。食べさせるなんて嫌だからな」

凛「私だって嫌だよ、恥ずかしいし…うん、ケチャップも美味しい」

P「ええ…」

凛「…ご馳走様。本当に美味しかったよ。今度、私からもあいさんにお礼言わなくちゃ」

P「喜んで貰えて何よりだよ。さて、そろそろ帰ろうか」

凛「…ちょっとだけ待って。もう少しだけ夜景、見ていたい」

P「どうぞ。お会計だけ済ませてくる」

凛「あ、私も出すよ。お母さんからカンパ出たし」

P「俺が連れて来たんだ、アイドルの財布を開けさせてたまるか。こんな時くらい、いい顔させてくれ」

凛「…ごめん、ありがとう」

凛「…ふう。もう魔法の時間は終わりか…早かったな」

凛「なんだかんだで今日は成功かな…何が成功かは分からないけど…」

凛「…また連れて来て貰えるかな」

P「お待たせ、凛。もうちょっと景色見ていくか」

凛「ううん…もう十分堪能したよ。帰ろう、プロデューサー」

P「うん、じゃあ行こうか。もうエレベーター来てるから」

凛「…プロデューサー、今日はありがとう。なんか我儘でごめんね」

P「我儘なんてとんでもない、今日の凛は凄く良い子だったよ。どういたしまして」

凛「良い子…か」

P「なあ凛。また良い店が見つかったら、一緒に行ってくれるか?」

凛「!…勿論だよ、そのときは『良い女』って言わせてみせるから」

P「お、おう…っと、帰って録画したコナン見なきゃ」

凛「…はあ、プロデューサーって…」

おしまい

ssでよく凛に振り回されるので、今回は逆に振り回してやりたかった

お付き合い頂いた方、ありがとうございました。
依頼だしてきます

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