【ガールズ&パンツァー】冷泉麻子と早起き道 (58)

ガルパンのSSです

ある日のこと
学校の校門


そど子「冷泉さん!!今日も遅刻よ遅刻!もう、毎日毎日、いい加減にしてよね!」


麻子「毎朝毎朝、校門でガミガミと…ほんと、いつもご苦労だな、そど子」


そど子「んな…!だ、誰のせいだと思ってるのよっ!!まったく!」


麻子「遅刻を取り締まるという、風紀委員としての仕事はわかるが…残念だが、人には適材適所があるんだ…
早起きは、私には向かない仕事なんだ、だから、もういい加減あきらめてくれ」


そど子「何言ってんのよ!早起きっていうのは、別に仕事でもなんでもないわよ!そんなこと言っていたら、
将来、社会にでたときに…」


麻子「はいはい、そど子」


そど子「あ、ちょ、ちょっと待ちなさいよお!」


……………

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その日の昼休み

学食


沙織「…麻子、今日も遅刻したの?ひょっとして、私達が朝起こしに行かない日は、全部遅刻してるんじゃないの?」


麻子「ああ、そうかもな」


沙織「そうかもなっ、って…、そんなんじゃあ、ホントに留年しちゃうわよ留年!!いいの!?おばあ、悲しむよ!?」


麻子「大丈夫だ。以前、戦車道で優勝したとき、そど子に一度、遅刻データを削除してもらっているからな
今のペースで遅刻していても、計算上、ぎりぎり卒業できるんだ」


みほ「あはは…一応、きっちり計算してるんだ…」

華「ですけど、いずれにせよ、遅刻癖をそのままにしておくのは、将来的に困るのでは…」


優花里「五十鈴殿のいう通りですよ、冷泉殿!将来、社会に出たときに、遅刻が続いたら、首になる可能性だって…」


麻子「その時はその時だ。そうなった時に、また考えるさ。だいたい、今時の会社は、フレックス勤務制だってあるし、別に問題はない」


沙織「んもう!減らずクチばっかりたたいて!みんな麻子のためを思って言ってるんだよ!」


みほ「何か、麻子さんの遅刻癖を治す方法は…」


優花里「そうだ!!私にいい考えがありますよ!みなさん!」


一同「…え?」

放課後 戦車倉庫


優花里「いいですか、冷泉殿。この5円玉をよーく、みてくださいね」


麻子「ああ」


華「あのー、一体何がはじまるんですか?」


優花里「催眠術ですよ催眠術!このひもにぶら下げた5円玉を使って、冷泉殿を遅刻をしない早起き人間になるよう、暗示をかけるんです!」


沙織「催眠術、って…優花里ちゃん、そんなことできるの!?」


優花里「ええ!この間、テレビで催眠術の番組を観ましたから!やり方はばっちりです!!」


みほ「それは…できる、とは言わないんじゃあ…」

麻子「どうでもいいが、やるなら早くしてくれないか」


優花里「ああ、すみません冷泉殿。ええっと、まずは手始めに…


あなたは、だんだん眠くなー…」


麻子「ぐー…」


優花里「うわあ!!す、すごい!見ましたかみなさん!!催眠術の効果です!ものすごい勢いで寝てしまいましたっ!!」


華「あらあら…けど、なんだか、これって別に催眠術の効果じゃないような…」


沙織「優花里ちゃんが言い終わる前に寝てたし…」


みほ「麻子さん、普段から、気づいたら、どこでも寝てるしね…」

優花里「そうですか…?ううむ、…いや、ですけどみなさん!催眠術の本領はこれからですよ!
今から、眠っている冷泉殿に、早起きになる暗示をかけていきますから!!」


優花里「冷泉殿、冷泉殿…いいですか、あなたは、次、目覚めたら、早起きせずにはいられない、早起き人間になります

…そう、当然、学校を遅刻なんて、することはなくなります。

…だって、何せ、あなたは、明日から、朝5時に目が覚めずにはいられない体質になるのですから…」


麻子「ぐー、むにゃむにゃ…5時なんて、無理に決まってるだろ…?常識的に考えて…むにゃむにゃ…」


優花里「おや…、そうですか…じゃ、じゃあ、5時15分、5時15分でどうでしょうか?」


麻子「むにゃむにゃ…いや、15分差なんて、全然変わってないだろ…低血圧をなめているのか…」


優花里「じゃ、じゃあ5時30分でどうですか!30分伸ばしましたよ!?」


麻子「むにゃむにゃ…全然ダメだだめ…、話にならないな…今回の話はなかったことに…」


優花里「あ、あーー!ちょっと、待ってください、冷泉殿!!」


沙織「いや、もうこれ起きてるでしょ、麻子ぉ!?ふつーに会話してんじゃないわよ!!」

数分後…


優花里「な、なんとか、一時間妥協して、朝6時に起きる催眠で交渉成立しました!」


沙織「何よ交渉って!?催眠術じゃなかったの!?」


みほ「けど、6時でも十分早起きだし…もしこれがホントに効いてたら、今後、遅刻なんてすることないのかも」


華「そうだといいのですけど…」


優花里「よし、後は冷泉殿を起こせば…!


冷泉殿、いいですか、私が、3つ数えたら、あなたは眠りから目を覚まします。

目を覚ましたら、あなたは、
毎朝、6時に目覚める早起き人間になっているんですよ、いいですね?


それじゃあ…3、2、1、はい!」



麻子「ぐー」



優花里「え?あ、あの、れ、冷泉殿!お、おーーい、目、目を覚ましてください!ちょ、ちょっと!?あ、あれ!
もう、3つ数えましたよ!?れ、冷泉殿ぉ!ガチ寝しないで、頼むから起きてくださいっ!!」



沙織「ホントに大丈夫かな…」


みほ「た、ためしに明日の朝、麻子さん家に様子を見に行ってみようか…」



…………

次の日の朝

麻子の家 朝7:30


麻子「すやすや…」


優花里「れ、冷泉殿ぉぉぉ!!お、起きてくださいよぉ!!そ、そんな馬鹿なぁ、あ、あの催眠は、あの交渉はなんだったんですかあ!??」


みほ「やっぱり…」


沙織「まあ、なんとなくはわかってたけど…、てか、ほら!麻子、とっとと起きなさいよ!!なんかもう、優花里ちゃん、半べそかいてるわよっ!」


麻子「うう…むにゃむにゃ…なんだ…そうぞうしいな…」


……

その日の昼休み


優花里「催眠術で朝6時に目覚める暗示をかけることができたと思ったのに…すみません力不足で…」


沙織「いや、別に優花里ちゃんのせいじゃあ…」


麻子「いや、暗示は確かに効いてたぞ」


みほ「え?」


麻子「まさか、昨日の催眠でそんな暗示をかけていたとは知らなかったが…確かに私は朝6時に起きた」


優花里「ええっ!?そ、そうなんですか!??」


華「……けど、私達が7時すぎに行ったときに、ぐっすり寝ていたのは…」


麻子「二度寝しただけのことだ」


沙織「起きなさいよぉぉぉ!!!!!」

麻子「何いっているんだ沙織、人間が朝の6時に起きれるわけないだろ、一瞬でも目が覚めただけでも奇跡だ奇跡」


沙織「そんなやっすい奇跡なんてないわよばかっ!ばかぁっ!」


優花里「ああ…せっかく催眠が効いていたのに……、成果につながらなくて残念です」


華「何か他にいい案は…」


みほ「うーん、やっぱりさ、暗示とかじゃあなくて、正当法がいいんじゃないかな」


優花里「正当法…?早起きの正当法、といいますと、西住殿?」


みほ「うん、やっぱり…」

目覚まし時計~ボコられクマのボコver~

ボコ『おらぁ、いつまで寝てやがるんだ!とっとと起きやがれテメエ!!寝坊して、遅刻しやがったら、ただじゃおかねえぞ!!』


…………

みほ「ボコの目覚まし時計!私も持ってるやつだけど、ボコが起こしてくれるから、とっても朝、目が覚めやすいんだよ!」


沙織「うーん、目覚まし時計っているのは、確かに正当法かもしれないけど…目覚ましなんかで麻子がちゃんと起きるかなあ…?」


麻子「一応、ケータイの目覚ましを毎日セットしているが、起きれたためしはないな」


みほ「大丈夫、このボコの目覚まし時計には、そこらの目覚ましとは違って、なかなか起きれない人のために特殊な機能があって…」


華「特殊な機能…?」

2分後…

ボコ『おいテメエ!いつまで寝ている気だ…いい加減に…、ちょ、な、なんだてめえら、ぐ、ぐあああ…や、やめろおお!!』


5分後…

ボコ『て、テメエら!5人がかりだなんて、卑怯だぞ!お、オイラの怖さを知らねえな!って、う、うああ、や、やめ…ああああ』


10分後…

ボコ『な…、さ、さらに…5人仲間が来た…だと…!ご、合計10人って…ちょ、て、テメエら!どこまでオイラを袋にする気な…ぎゃ、ぎゃああああ!』


…………………


みほ「………こんな感じで、セットした時刻から、時間がたつにつれて、ボコが徐々にボコボコになっていくスヌーズ機能が延々と…」



沙織「怖いわぁぁぁぁぁ!!!!!!」

華「時間がたつにつれて、ボコのボコられる音やボコの叫び声がだんだんと大きくなってくるわけですね」


優花里「ボコの悲痛な叫び声がリアルで…これは確かに二度寝しずらいし…起きやすいかも…」


沙織「けどなんか滅茶苦茶目覚め悪い気がするんだけどっ!みぽりん、普段こんなので起きてるの!?」


みほ「うん!まあ平日、私は目覚めはいいほうだから、スヌーズ機能は使わないんだけど…
けど、たまに休みの日には、わざと起きないで、延々とスヌーズ機能を聞いたりもするかなっ!30分くらいっ!

…ちなみに30分くらい目覚ましを放置してたら、ボコの前にさらに強面の新手がゾクゾクとやってきて、すでに虫の息のボコを…」



沙織「いやもう、それ聞きたくないからっ!ホントなんなの、この目覚まし!!?私だったら、こんなので毎朝、目覚めたくないんだけどっ!」



華「確かに目覚めは悪そうですけど………、けど、一応、音もものすごく大きいし、起きやすそうではありますね」



みほ「そうでしょ?麻子さん、ためしに明日の6時にセットするから、使ってみて!」


麻子「仕方ないな…使ってみる」


沙織「大丈夫かなあ……」


……………

次の日の朝

麻子の家 朝7:30


……………


ボコ『はあ…はあ…、き、貴様らぁ、オイラをさんざんボコボコにした挙句、車でこんな人気のない港に連れてきて…い、いったいどういう…
な、ど、ドラム缶に、オイラを入れて……な…こ、コンクリートを流しこむ…だと!!?き、貴様らあああ!!ま、まさか、お、オイラを

そのまま、海の底に…ぐ、ぐあああ!!!や、やめろおおおおおおお!!!!』


麻子「すやすや…」



沙織「起きなさいよぉぉぉ!!!!!」

沙織「よく、こんな大音量のボコの絶叫流れてて、よくスヤスヤ寝てられるわね!?ほら、麻子、とっとと起きなさいよ!ほら!」ゆさゆさ…


麻子「ぐーむにゃむにゃ…」


優花里「しかし、6時にセットして1時間半放置していると、ボコは人気に知らない港に連れていかれて、こんな目にあうんですね…」


華「なんだか、ここまでくる一時間半の間に、どんな目にあっていたのか、ものすごく気になるんですけど…」


みほ「……港にボコが連れていかれるなんて……私でも、ここまでは聞いたことなかったのに………麻子さん……!!くっ…!!」わなわな…


沙織「って、ええええーーーー!!なんで悔しがってる感じなの、みぽりん!!なんか怖いんだけどっ!!
みぽりん、ボコが絡むと、ものすごくおかしくなるから気を付けて、いやホントに!!」



ボコ『ぎゃああああああああ!!!海の底にいいいいいいい!!!!!やめえええええええろろろろれれレrボコボコボコボコボコボコ…!!!!」



沙織「いやもういいから、誰か目覚まし、とっとと止めてぇぇぇぇぇ!!!」


…………

その日の昼休み

学食


みほ「ボコの目覚ましでもダメだなんて…」


優花里「他に何かいい手は…」


沙織「そうだねえ…うーん…」


一同「………」


麻子「みんな、気持ちはありがたいが…やはり早起きは、私には向かないんだ…すまないがほっといてくれ」


沙織「あ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ、麻子!!」


そのまま席を後にする麻子

…………


沙織「…あー、行っちゃった…、けど、どうしよう…確かにもう、麻子に早起きさせる方法…思いつかないかも…」


みほ「うん…、確かに…やっぱりみんなで毎日、起こしに行く以外は方法は…」


華「あのう…、私にひとつ考えがあるんですけど…」


優花里「ええ!!五十鈴殿!!何か他に名案があるんですか!?」


沙織「何々、教えてよ、華!?」


華「ええっと…それは…」


…………

放課後


下駄箱前


麻子「やれやれ…今日は放課後の用事もないし…とっとと帰るか…


…ん?…なんだ?下駄箱の中に何か入っているぞ…?」



麻子「手紙……?なんだこれは?」


………………


……廊下の影からその様子を見守る3人


華「どうやら、冷泉さん、予定どおり、下駄箱の手紙に気づいたみたいですね」


みほ「う、うん、そうみたいだけど…」


沙織「ちょ、ちょっと華!!いい加減、教えてよ!あの手紙がなんだっていうのよ!」


優花里「そうですよ!五十鈴殿が書いたあの手紙……、あれで一体どうやって、冷泉殿を早起きにすることができるんですか!?」


華「ええ、あれは…昔、『不幸の手紙』ならぬ『早起きの手紙』…なのです。あの手紙の中身をみたら、麻子さんは早起きにならざる負えなくなる…!」


沙織「はあ?いや、何よそれ…一体どういうことよ?」


みほ「…華さん、一体、手紙に何を書いたの?」


華「ええ、それは…」

麻子「なんなんだ、この手紙は…?一体何が書いてあるんだ…?」ぱらっ

手紙の封筒をあけて、中身をみる麻子


『この手紙は、早起きの手紙です。この手紙を受け取ったからには、毎日、朝6時に起きないと、あなたは死にます』



………………


華「そうです!人間、死ぬ気でやればなんだってできます!火事場のバカ力!!
麻子さんだって、命がかかっていると分かれば、早起きだってなんだってできるはずなんです!!」


沙織「なによそのすっごい安直な作戦!!?言うちゃ悪いけど、ものすごい浅知恵な感じなんだけど!!?」


優花里「いや…けど、なんか、このエキセントリックな案が、五十鈴殿っぽいといえばそうなのかも…」


華「ですけど、この作戦の一番の問題は、麻子さんがこの手紙の内容をガチで信じてくれるか、というのが一番の問題で…」


沙織「いやいやそれとんでもない問題だからね!?だいたい、そんな手紙、匿名で下駄箱の中に入ってたって、信じる人なんか…」


みほ「あ、あの、みんな…麻子さん…手紙見ながら、震えてるようにみえるんだけど…」


沙織「ええっ!!!」

麻子「」ガタガタ…

…………


優花里「ホントですね…下駄箱の前で、手紙をみながら震えてるようにみえます…」


みほ「ひょっとして、手紙の内容を、ホントに信じたんじゃあ…ほら、麻子さん、おばけとか苦手だし、案外、オカルト的なものを信じちゃうとか…」


沙織「学園トップの成績のくせに…確かにちょっと子供っぽいところあるわよね…」


華「あらあら……けど、自分でいうのもなんですけど…本気で信じられたら、それもそれで、ちょっとかわいそうなそうな…」


みほ「確かに…本気で怖がってるんだとしたら、まずいかも…」


沙織「わ、わたし、ちょっと、麻子のところに行ってくる!」

…………


麻子「そんな…この手紙……そんな…」ガタガタ…


沙織「ま、麻子!?だ、大丈夫!?」


麻子「さ、沙織…!

…ど、どうしよう…、こ、これ、げ、下駄箱に入ってた…、見てくれ、この手紙の内容…!これがホントなら私…!」


沙織「あ、あのね、麻子、これは…」


麻子「明日、死ぬことになる…!」


沙織「起きなさいよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

………

麻子「…なんだ、お前たちの嘘の手紙か。あー、心配して損した」


沙織「ぐぬぬ…!」


華「早起きの手紙作戦、も失敗ですか…」


優花里「っていうか、命をかけても早起きするのを全力で拒否するんですね、冷泉殿は…」


みほ「これはもう、お手上げかも…」


麻子「それじゃあ、またな、私は帰る」


沙織「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、麻子!」

麻子「なんだ、私は帰るといっただろ、話すことはもう…」


沙織「遅刻しまくってんの、おばあに言う」


麻子「よしわかった、話し合おう」


みほ・優花里「えええええっ!!!」


華「あらあら…ものすごいスピードで懐柔されましたね」


………

……………

次の日

校門前

そど子「………、た、たまにはやるじゃない冷泉さん。あなたでも、こんなまともな時間に学校に来ることがあるのね」


麻子「………………………、ああ、人には適材適所があるといえど… 向かない仕事といえど………、多少の努力は必要だからな……」


そど子「この間と言っていることが違うけど…」


………


華「まさか…麻子さんが、自力で早起きして登校してくるだなんて


みほ「こ、こんな簡単なことでよかったんだ…さんざん苦労したのに」


優花里「さ、さすが武部殿、冷泉殿と付き合いが長いだけのことはありますね」


沙織「ん、まあ……これも、しばらくしか続かないんだけどね」


華「そうですか………ということは、冷泉さんの早起き道は、まだまだ始まったばかり、ということですね」


沙織「何よ、早起き道って…戦車道っぽく言ってるけど…」


華「もちろん、冷泉さんが、早起きするための遠く険しい道のりを示した…」


沙織「いや、いいから、言わなくて…意味はそれとなく分かるから…」


…………


麻子「なあ、今日は頑張って6時に起きてきたんだ…おそらく普段の起床の10倍の労力を費やした
…この労をねぎらって、10回分の遅刻データの削除をお願いできないか」


そど子「できるわけないでしょうがああ!!そーいう理屈なのよそれはあ!!」



おしまい

短い話ですが、感想お待ちしてます
需要があれば、同じスレでほかにも短編を書いてみようと思います。

もうひとつ短編SSを投下
最初のSSとは全然違う話なので、別物としてみてください



みほとしほの親子道




ある日の早朝…

みほの部屋


ぴんぽーん


みほ「う、うーん、だ、誰だろう、こんな朝早くに…まだ、いつもの登校の時間にもなってないのに…」


ぴんぽーん ぴんぽーん ぴんぽーん


みほ「あ、ちょ、ちょっと待ってください、今出ますからっ」


みほ「はい」がちゃ


しほ「……」


みほ「…………………………、ふぇ?」

しほ「…………」


みほ「…………、え、あ、あの」


しほ「…………」


みほ「…………、お、おお、……お、お母さん…?」


しほ「………、久しぶりね、み」


ばたーーーん!!


しほ「ちょ、ちょっと、何勢いよく扉を閉めてんのよっ!!開けなさいみほ!ちょ、ちょっとこら!!みほぉ!!」どんどんどんどん!!!


ぴんぽーんぴんぽーんぴぴぴぴぴぴぴぴんぽーーーん!!!ぴんぽーーん!!


みほ「は、はわわわわ…!!」


みほ「(な、なんで!?なんで!?なんで!???なんで、お母さんが、こんなところに!!?なんで、学園艦の中に!!??)」


………

とりあえず観念して、部屋に招いたみほ


しほ「狭い部屋ね…こんなところで暮らしていたの?」


みほ「う、うん…ま、まあ一人暮らしだから…」


しほ「…………それで?

さっきは、なんであんなに勢いよく扉を閉めたのかしら?…いくらなんでも、突然の訪問客に、あれは礼儀に反するんじゃないかしら?」


みほ「え、あ、ああ、ご、ごめんね、お母さん!ち、違うの!!わ、私そんなつもりじゃあ…!

た、ただちょっと、命の危険を感じただけで、別に深い意味は全然…!!」


しほ「全然違わないじゃないのよ!!深い意味は全然、って、命の危険を感じてる時点で十分深いわよ!!詳しく聞きたいわ!!
一体、何想像してたのよアンタはああ!!」


みほ「は、はわわ…ご、ごめん、お母さん!!と、とにかく違うからっ!!

わ、わたし、ちょっと、お茶いれてくるね!!ちょっと待っててお母さん!!」


あわててキッチンへ向かうみほ………

みほ「(お、お母さん…!なんで突然、私のところを訪ねてきたんだろう…家を出てから、一度も会ったことなかったのに…)」


みほ「(はっ!!ま、まさか……、とうとう、私に勘当、を言い渡しに来たんじゃあ…!!!

大洗に来ても戦車道は続けてきたけど、私の戦車道は、お姉ちゃんのような西住流の戦車道とは違う…!!

もしかして、そんな試合っぷりを見て、本格的に乗り出してきたってこと!?)」



みほ「(西住家の人間なのに、あんな闘い方をするなんて…!

二度と西住家の敷居をまたぐな、とか、二度と西住の姓を名乗ることは許さない、とか、お盆も正月も戻ってこなくていいとか、

そんな感じのこと言いにきたんじゃあ…!)」

みほ「(そんな…!ど、どどどうしよう!!!勘当を言い渡されたら、もう二度と家に帰れなくなる!お姉ちゃんにも、二度と会えなくなる!!)」


みほ「(と、とにかく、できる限り、話の話題をそらさないと…!特に戦車道の話題はさけて、できる限り、別の話題にして…
勘当を言い渡されないようにしないと…!!!)


しほ「みほ…?いつまで、キッチンのほうにいるの?お茶なんていいから、とっとと、こっちに来なさい」


みほ「はは、はいいっ!!ご、ごめん、今、お茶もって、そっちいくから!!」

みほ「お、遅くなってごめん、アハハ…」ガタガタ…

おぼつかない足取りでお茶を運ぶみほ…


しほ「…いいから、こっちに来て座りなさい」


みほ「う、うん…あ、あの、そ、粗茶ですけど…ど、どうぞ…って、ああ!!」ぐらっ!!


しほ「熱っううう!!!」ばちゃあ!


みほ「」

みほ「あ、ああ!!お茶がお母さんに!!…ご、ご、ご、ごめんなさい!!はわわ…!た、タオルタオル!!
ご、ごめんお母さん!!これ使って!!」バサバサばさあああ!!


しほ「いや、バスタオルこんなに要らないわよ!!何枚持ってきてんのよ!!普通の手ぬぐい1枚いいわよ!」



みほ「ご、ごめんなさい!そ、そうだっ!粗茶!!こぼした粗茶をもう一回入れないとっ!!粗茶をっ!!」



しほ「いやほんともういいからっ!粗茶粗茶うるさいわねっ!!はやくこっち来て座りなさい!!」



みほ「そ、それじゃ、お茶菓子!!お茶菓子を!!い、いや、それより早く手ぬぐいを先に…!」



しほ「もういいから早く座りなさい!!」



みほ「は、はいいっ!」

しほ「まったく、相変わらず、落ち着きのない子ね…」


みほ「ご、ごめんなさい…」


しほ「………」


みほ「………」


みほ「(……ど、どうしよう、のっけから失敗しちゃった…、もう失敗しないようにしないと…そうだ…何か話題を…
戦車道には、関係のない話題を…)」


みほ「そ、それにしても、大変だよね、ベッ○ー…、世間であんなに騒がれちゃって…」


しほ「いや知らないわよ!!そもそも、なんでその話題チョイスしたのか、全然意味が分からないわ!!」


みほ「は、はわわ…ごめんなさい!!」

しほ「………まったく」


みほ「…………」



しほ「………、この間の大学選抜チームとの試合だけど」


みほ「」


どんがらがしゃんぱりーーーーん!!


………………


しほ「何をそんなに盛大にずっこけているのかしら?いや、そもそも座ったわよね?
なんであの態勢から、そんなにずっこけられるのかしら?」



みほ「い、いや、あ、あの…ご、ごめんなさい…そ、それで、何の話だっけ、お母さん…はは」



しほ「まあ、いいわ。この間の試合でなくてもいい。

それより前の試合…そう、全国大会における試合もそうだけど…」


どんがらがしゃんぱりりりりーーーーん!!



しほ「みほ…あなたは」


がらがらがらどしゃあああああああん!!


しほ「騒々しいわあああぁぁ!!!!」

しほ「人が話をしようとしているのに、何なのかしら、そのずっこけ方は!!マジパないわね!!みなさい、部屋の中が滅茶苦茶じゃない!!

以前から落ち着きのない子だと思ってたけど、ここまでくるともう大したものだわ!!」


みほ「あ、あの、ご、ごめんなさい!お母さん!
って、ああ!もう、こんな時間!!わ、私、もう学校行かないとっ!!」


しほ「学校…?ああ、そういえば今日は平日だったわね…」


みほ「そ、そうなのお母さん!ごめんね!!そういうわけだから、話はまた今度に…!」


みほ「(よし!このまま学校を口実にして、逃げ切れれば…!!」


しほ「学校、ついていくわ」


どんがらがっしゃああああああああーーーーんぱりりりーーーーーーん!!!!

とりあえずここまで。また暇なときに書いていきます


……
その日の登校中


華「みほさん、どうしたんでしょう、今日はここでみんなで待ち合わせして、登校しよう、ってお話してましたのに」


優花里「西住殿が待ち合わせの時間に遅れるなんて、珍しいですね」


麻子「今日はせっかく早起きしたというのに…、このままでは遅刻してしまうぞ」


沙織「あ、ちょってまって、来たみたいだよ……、おはよう、みぽりんって……って、え?」


みほ「………お、おはよう、みんな…」


しほ「……」

沙織「(ちょ、ちょっと、み、みぽりん!?なんかみぽりんの後ろに女のひとがいるんだけど、だ、誰!?知り合い!?)」ひそひそ


華「(みほさんのことを、びたっ、と音が聞こえるくらいの勢いでマークして着いてきた感丸出しな感じの人ですけど…)」ひそひそ


麻子「(それも、かなり至近距離で西住さんをにらみながら、着いてきてる感じだが…警察に連絡したほうがいいんじゃないか)」ひそひそ


みほ「(………え、あ、ち、違うのみんな…その、あの…実は、お母さん、なの…私の…)」ひそひそ


優花里「ええええ!!!に、西住殿のお母さんっ!!?
と、ということはに、西住流の家元!?すごい!まさかこんなところで出会えるだなんて!!」


沙織「(ちょ、ちょっと!!ゆかりん、声大きいよ!!しっ!聞こえちゃうってば!!、っていうか、ええええ!?お、お母さん!?)」




しほ「(全部聞こえてんだけど…)」

優花里「あ、あ、あの!!初めまして家元!!
わ、わたくし、秋山優花里と申しまして、あ、あの、に、西住殿、もとい、み、みほ殿とは…恐れ多くもご学友の立場として…
いつも、戦車道を通して、お世話になりっぱなしでありまして…!!」


みほ「わーーー!優花里さん!?ちょ、は、恥ずかしいからやめてええ!!…
…あ、あのね!お、お母さん!…ここにいるみんな、同じ戦車道を履修してる友達で…、い、今からみんなで登校するところで、ええと…」


しほ「…………、そう、みほのお友達………別にいいわ。
みほ。私のことは気にしなくていいから、普通にいつも通り、登校しなさい。

…私は勝手についていくから」



みほ「え、ええええ~~~……」

………登校中…


しほ「……」かつかつ…


みほ「…………うう…」


みほの数メートル後ろを着いて歩くしほ


一同「………」


優花里「(マジでついてきてますね、家元………)」


華「(あの~、なんだか、背後から常に戦車で狙われているかのような威圧感を覚えるんですけど…)」


麻子「(戦車道の試合だったら、すでに全員やられている感じだな)」


みほ「(ごめん…、なんか、ほんと、ごめん…みんな)」


沙織「(いやいや、ていうかさ、みぽりん!!そもそも、なんでお母さんがいるの!?一体、なんの用事があってこんなところに!?)」


みほ「(え、あ、あの、そ、それは…!)」

みほ「(…どうしよう…きっと私に勘当を言い渡すために来たのかも…、なんて言ったら、みんなに心配かけてしまうし…


なんとかごまかさないと…ええっと、ええっと…!!)」


みほ「………あ、あの、実は私のお母さん…………、ものすごく好きなの…………その、干しイモが」


沙織「え、なに?ほ、干しイモ??」


みほ「う、うん…、特に茨城産の……、この学園艦に売っている干しイモは最高だって…」


麻子「なんだ会長と一緒だな」


華「………え?もしかして、それでこの学園艦に来たってことですか?干しイモを買うためだけに?」


優花里「家元がここの名産の干しイモが好きだなんて光栄ですけど…、それだけのために熊本からわざわざ来るというのは…」

みほ「ううん、違うの優花里さん…レベルが違うの、みんなと思っているのと……干しイモの好きさ加減が…、

食べたい、と思ったらすぐに飛んできちゃうの…お母さん」


沙織「そ、そうなんだ…すごいねお母さん…!そこまで干しイモが…、よく三度の飯より○○が好き、とかいうけど、お母さん、それ以上なんじゃあ…」


みほ「うん、だってお母さん…三度の飯がすでに干しイモだし…」


麻子「三度の飯が比較対象にならんわけか…」


優花里「会長以上ですね…もしかして、今日来ているのも、朝、急に干しイモが食べたくなって…」


みほ「うん…飛行機で飛んできたみたいなの…干しイモを買うためだけに」


華「…ですけど、なんだか心配ですね…ほどほどに好きくらいなのはわかるんですけど…
そこまで干しイモに執着しているなんて…ひょっとして、何かの病気なんじゃあ…」


みほ「うん…ひょっとしたら、そうなのかも…お母さん………よく、干しイモを食べながら…アヘアへ言ってる…」



しほ「言うかああぁぁぁ!!!!」


みほ「お、お母さん!?も、もしかして聞こえて…!?はわわ…!!」


しほ「はわわ、じゃないわよ!!何、わけのわからないこと言ってるのよ!!干しイモなんて、好きじゃないわ!!!」


優花里「え、家元、好きじゃないんですか…干しイモ」


みほ「(ち、違うの、優花里さんっ!お母さん照れてるだけだからっ!すごい照れ屋なの、お母さん!!)」ひそひそ


しほ「いやだから聞こえてんのよぉっ!!」

みほ「ごごご、ごめんお母さんっ!わ、私そんなつもりじゃあ…って、きゃあ!」


華「みほさんっ!?」


優花里「西住殿っ!」


道の段差につまづき、こけるみほ


沙織「み、みぽりんっ、大丈夫!??」


みほ「あいたたた…」



しほ「……な、何をやっているのあなたは!!ホントそそっかしいわね!」

麻子「大丈夫か、足から血が出ているぞ」


みほ「う、うん、平気…確か、バックに絆創膏が……って、あ、あれ?あれ?ない!」


しほ「んな…!いつも、あれだけ用意周到な準備を心掛けなさいって、言っていたのにっ!そんなものも持っていないなんて!」


みほ「……だ、だって、お母さんが朝から来るから、今日はばたばたしていて準備が…」


しほ「人の所為にするじゃないわよ!!」


みほ「い、いつもは持ってるんだもん…!、えっと、そ、そうだ、そこのサンクスで買えば…」


しほ「あ、あーーもう!!わかったわよ、絆創膏なら、私が持ってるからっ!これを使いなさいっ!!」


みほ「…え、あ、いいの?お、お母さん?あ、ありがとう」


しほ「いやちょっと待ちなさい!!まずは傷口を消毒してからでしょうがっ!!
慌てず、ちゃんと手順をふみなさい!!ほら、この消毒液で…」


………


優花里「家元…、なんか、思ったよりかは親しみやすそうな人ですね」


沙織「うん、まあ…なんだかんだで普通のお母さんぽいかな」


麻子「おばあに似てる」


華「……けど、ホントに、何の用事で、ここまで来たんでしょう…?」

そして…校門前


みほ「あ、あの、お母さん…、さすがに教室にまでついてくるのは、まずいと思うから…えっと、そのぉ…」


しほ「わかっているわ…、あなたの教室までついていって、『教室内』での授業風景を観察しようなんて気持ちはさらさらないわ…」


みほ「そ、そうだよね…!ごめんね……それじゃあ…これで…」


しほ「そのかわり、午後からの戦車道の野外授業を、見させてもらうわ」


みほ「」


優花里「に、西住殿お!?た、大変ですよみなさんっ!!西住殿がものすごい勢いで膝をついて、地面に倒れてこんじゃいましたよぉ!!」


みほ「あわわわわわわわわわあばばなななななな……」がくがく…


沙織「み、みぽりーーーん!!大丈夫!?お、落ち着いて!!!とにかく落ち着いてえ!!」


麻子「西住さん、完全に気が動転しているな」


華「お母さまに戦車道の授業がみられるのが、そんなに嫌なんでしょうか…」


みほ「(どどどどーしよう……!ただでさえ、戦車道の話題は避けてきたのに…
授業での私の戦車道の立ち振る舞いなんか見られたら……、西住流ではない私の戦車道を改めて見られたら…

いよいよ今日、言いわたされてしまう……勘当を!!


けど、一体…一体、どうしたら…!)」



しほ「(……………)」


……………

今日はここまでで。また暇なときに書いていきます。

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