明石「わ、私が耳かきをするんですか?!」 (18)

※短いです


ーー工廠ーー


ギュイーンガリガリ


明石「ふぅ………これで、今日の分は終わりかな…」


明石「うわっ……もうこんな時間かぁ」


明石「提督ったら……人使いが荒いんだから。今度会ったら文句、言っとかなきゃ」


明石「…………」


明石(文句…か。そういえばずっと業務以外、まともに話してないなぁ)


明石(まあ……提督、忙しいからしょうがないよね)


明石(それに、綺麗な子も増えてきたしなぁ……はぁ)


明石(いけない、いけない…私は私の仕事をするだけっと)


明石「………」


シーン


明石(誰もいない、一人だけの工廠は静かだね)


明石(……なんだろ、この感覚)


明石(こうしていると、私が工廠の一部になった気がする)


明石「まあ、あながち間違っていないのかな……あはは」


明石「………」


明石「………はぁ。そろそろ上がろう」







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ーー酒保ーー


明石「んー、どこいったかな」ガサゴソ

カラーン


明石「あ、いらっしゃいま…」


提督「おう」


明石「て、提督? 珍しいですね…」


提督「ああ、ここに来るのは久しぶりだな」


明石「ええ、本当に……それで今日はどうしたんですか?」


提督「あー、えーと…」


明石「?」


提督「その、耳かきをだな…」


明石「耳かきですか? ありますよ。どんな物が良いですか? 今あるのは使い捨ての綿棒と竹製のヘラタイプですね」


提督「そ、そうか」


明石「むむ……不満そうですね。提督は耳かきに拘るタイプみたいですか…やりますね」


提督「ああ、いや…そうじゃなくて」


明石「大丈夫です! 気持ちは分かります! 私もそういうのにはこだわるタイプですから」


提督「お、おう」


明石「この明石にお任せ下さい! 提督が満足できるものを仕入れますから」


提督「えーと、ありがとう…」


明石「因みに提督の耳垢は乾燥してますか、湿ってますか?」


提督「んーと…乾燥しているな」


明石「成る程……じゃあアレと…コレと…」


テイトクー!


提督「ん? あ、すまない。また、来る」


明石「はい! お待ちしています!」

カラーン


明石「………」


明石(提督がここに来たのは久しぶりだなぁ)


大淀「あら、今の提督? 珍しいですね」


明石(久しぶりにお話できて…楽しかったな)


大淀「…明石?」


明石(また来る……か。ふふふ…)


大淀「明石ってば!」


明石「うひゃあ! な、何ですか?」


大淀「何か凄いだらしない顔してましたよ……どうしたんですか?」


明石「え? あ……/// 何でもない。何でもないですよっ!」


大淀「は、はぁ。なら良いですけど……」


明石(よ、よし。張り切って仕入れなきゃ…)



ーーーー
ーー数日後


明石「お待たせしました、提督! 入荷しましたよ!」


提督「うわ、沢山種類があるんだな……」


明石「はい! ワイヤーにスクリューに螺旋にコイル。耳かきも奥が深いんですよ」


提督「うーむ」


明石「じゃあ、提督。とりあえず一通りどうぞ!」


提督「え、くれるのか?」


明石「とりあえず試して見て良かったのを教えて下さい。仕入れの参考にしますから!」


提督「わ、分かった」


明石「じ、じゃあまた来て下さいねっ」


提督「あ、ああ。また」


明石「うふふ…」

ーーーー
ーー更に数日後


明石「どうでしたか?」


提督「えーと……コレとコレとコレが良かったかな」


明石「ふむふむなるほど……私もコレとコレは良かったですね」


明石「ありがとうございます。入荷の際に参考にしますね!」


提督「おう」


提督「……えーと、明石」


明石「はい? どうしました?」


提督「耳かきをお願いしても良いか?」


明石「あ、追加で買っていきますか?」


提督「あー、違うんだ。明石に耳かきをお願いしたいんだ」


明石「成る程、明石に耳かきを………………へ?」


明石「明石って……わ、わわわ私ですかか?!」


提督「そりゃあ……」


明石「私が?! 提督に?! 耳かきを?!」


提督「うん。暇な時で良いんだが……駄目か?」


明石「や、やります! やらせてくださいっ!! つ、次の休みにどうですか?」


提督「おう。頼むよ。じゃあまた」


カラーン


明石「はいっ! 待ってますっ!」


明石「………」


明石「あわわ……私が提督の耳かきを…た、たた大変だ…」

ーーーー


明石「うーん、どうしよう…」グルグル

大淀「ち、ちょっと。スパナとレンチ持って何うろうろしているんですか…」


明石「お、大淀。実は提督に耳かきをする事になって…」ウロウロ


大淀「は、はぁ…」


明石「それで…どうすれば良いのか…」ウロウロ


大淀「とりあえず落ち着いて下さい。どうするって普通にやってあげれば良いじゃないですか」


明石「そうなんですけど…明石は人に耳かきするのは初めてで…それに……」


大淀「提督にするのは照れるから?」


明石「うん……って違いますよっ///」


大淀「うーん、じゃあ私が変わりましょうか?」


明石「だ、駄目です!」


大淀「冗談ですよ……。仕方ないですね。私が正しい耳かきの仕方を教えて上げます。応援しますよ、明石」


明石「え? あ……大淀気付いて///」


大淀「いや、気づくでしょう……」

ーー耳かき当日ーー


明石「…………」


明石「私……あ、油臭くないよね」クンクン


明石「大丈夫……大丈夫よ」ドキドキ


明石「………」ソワソワ






ウーウー!ウーウー!


明石「?! さ、サイレン!」


プルルッ


大淀《明石! 近海に深海棲艦が現れました!》


明石「え?! わ、分かりました! 直ぐ行きます!」




ーーーー


大淀「ふぅ……何事もなくて良かったですね」


明石「はい……」


大淀「……今日は仕方ないですよ。また、今度チャンスはありますから」


明石「うん……」


大淀「……修理が終わったら、今日は早めに上がって休んでください」

ガチャッバタン

明石「はい……」


ギュイーンガリガリ


明石「ふぅ………終わりっと」


明石「……」


明石「……なかなか上手くいかないな」


明石「まぁ、しょうがないよね……うん。しょうがない……」


明石「……はぁ」


明石「………ん」ウツラウツラ


明石(昨日…緊張して寝られなかったから…眠いや…)


明石(ちょっとだけ……寝よう)


明石「………」zzz



ーーーー


明石「………ん…うう」


明石(…外は真っ暗。いけない…寝過ぎちゃったかな)


「工廠で寝るのは関心しないな」


明石「え?!」


提督「大淀からは早めに上がらせた……と報告を受けたんだが」


明石「て、提督?!」


提督「今日は休日なのに、すまなかったな」


明石「い、いえ。仕事ですから……。あの、提督は事後処理とか…こんなところにいて大丈夫何ですか……?」


提督「ん? いや、何故か今日は異常に捗ってな。もう全部終わらせてしまったよ」


明石「そ、そうなんですか」


明石(あ、なら………でも、私。油臭いな……)


提督「………」


提督「それにしても…この臭いは落ち着くな」


明石「え?」


提督「機械油の臭い。俺は嫌いじゃないんだ。むしろ落ち着く」


明石「あ………」


提督「……お願いしても良いか?」


明石「………はい!」

ーーーー


提督「ほう、座ったままやるのか?」


明石「はい、膝枕だと耳垢が鼓膜に落ちてしまうので良くないそうです」


提督「ああ、成る程な。……ちょっと残念だ」


明石「もう、スケベですね///」


明石「じゃあ、行きますよ。ライト、眩しくないですか?」カチッ


提督「ああ、大丈夫だ」


明石「じゃあ失礼します」スッ


提督「ん」


明石「………」カリカリ


明石「………///」


明石(これ、提督の体に横から寄り添う形になって…結構恥ずかしいな///)


明石(提督の横顔……こんなに近い///)カリカリ


提督「あ、明石」


明石「は、はい?」


提督「ちょっと吐息がくすぐったい…」


明石「あ。す、すいません///」


提督「いや…」


明石(いけないいけない……集中しなきゃ)キッ

明石「………」カリカリ


提督「………」


明石「……痛くないですか」カリカリ


提督「ああ、気持ち良いよ…」


明石「あんまり汚れてないですね」カリカリ

提督「そうか…」


明石「………」カリカリ


提督「……静かだな」


明石「はい……この時間の工廠は静かです」カリカリ


提督「この時間はいつも一人なのか?」


明石「はい…そうですね」カリカリ


提督「……」


明石「…………」

明石「次は逆をやりますね」


提督「おう、結構早いんだな」


明石「あまりやり過ぎるのは良くないですから。気持ち良さを求めてかくのは駄目らしいですよ」


提督「そうなのか…」


明石「………」カリカリ


提督「………色々、調べてくれたんだな」


明石「………はい」カリカリ


提督「すまなかったな。暫く話せなくて」


明石「いえ……仕方ないですよ。提督は忙しいですから」カリカリ


明石「……今日は来てくれて、ありがとうございました」


提督「いやいや、やってもらってるのはこっちなんだ。こちらこそありがとう」


明石「ふふ、提督は優しいですね」


提督「さて、何のことかな」


提督「………また、今度お願いしても良いかな」


明石「ふふ…いいですよ」


明石(ありがとうございます…提督)



ーー完ーー

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