世界最強の強化系念能力者「己の念に限界を感じてきた。これからどうしよう」 (14)

世界最強の強化系念能力者「強化系の俺が、自らの体を鍛えに鍛え続けはや40年」

世界最強の強化系念能力者「強化系を極めんとしているある盗賊は、パンチに核ミサイル並みの威力を込めようとしていると噂を聞いたことがあるが、俺はその域に達してしまったようだ」

世界最強の強化系念能力者「一度、核実験が極秘に行われている土地にて、全力の拳を試してみたところ、かの《薔薇》に匹敵する攻撃範囲、威力があるとの計測がでた」

世界最強の強化系念能力者「ただひたすら己の肉体を強化するだけに重心をおいて精進すると、ここまで人間は到達できるのか。自分のことながら恐ろしい」

世界最強の強化系念能力者「しかし、これからどうしようか。噂の男が目指したとされる破壊力を手に入れた今、強化系である俺は限界にきたんではなかろうか」

世界最強の強化系念能力者「何を目標に生きようか」

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世界最強の強化系念能力者「念の使い手で最も強いネテロ会長に相談するのが賢い選択だろう」

世界最強の強化系念能力者「と、いう訳で参らせていただいた次第でございます」

ネテロ「そうか」

ネテロ(あれ、こいつワシより強くね)

世界最強の強化系念能力者「会長! 俺はどうすればいいのでしょうか」

ネテロ「うーむ。ワシが己に限界を感じた時は、自分を育ててくれた『武』に感謝し続けたもんだわい」

世界最強の強化系念能力者「感謝……」

ネテロ「しかし、それだけが道ではない。お主が真にしたいこと、すべきことを見つめなおしてみてはどうじゃ。お主ほどの使い手ならば念を正しく使えるだろう」

世界最強の強化系念能力者「俺がしたいこと……、俺がすべきこと……」

ネテロ「ワシが助言できるのはここまでじゃ。答えは自身で見つけな」

【バー】

世界最強の強化系念能力者「俺がしたいこと……、俺がすべきこと……」

世界最強の強化系念能力者「思いつかない。何の為に私はこれまで修行を重ねてきたんだろうか。全く意味のない人生をおくってきたんではないだろうか」ボソッ

マスター「お客さん」キュキュ

世界最強の強化系念能力者「ん、なんだ」

マスター「私はね、好きだった酒だけ考えて生きたんですがね」

世界最強の強化系念能力者「はぁ」

マスター「カクテルの世界にもね世界大会がありましてね、そこで優勝するのだけを生きがいにしてたんですよ」

世界最強の強化系念能力者「そうなんですか」

マスター「自慢ではないんですがね、数年前にその大会で優勝しまして」

世界最強の強化系念能力者「スゴいですね!!」

マスター「はは、ありがとうございます。それで優勝した時は、それは自分が昇華する思いでした」

世界最強の強化系念能力者「それはそうでしょう」

マスター「しかしね、翌朝起きて、朝食のコーヒーを味わってると、ふと思ってしまったんですよ『これから何を目標に生きていこう』って」

世界最強の強化系念能力者「!!」

マスター「世の矛盾に苦しみましたよ。生きがいにしてた目標に到達した瞬間、もろくも崩れてしまったんですから」

世界最強の強化系念能力者「それでどうしたんですか」

マスター「経営してた店をたたんで一からやり直しました。そして考えました。なぜこの世界に入ったのか」

世界最強の強化系念能力者「!!」

マスター「私の場合は旨い酒を造りたい、お客さんに喜んでもらいたい……ってもう行ってしまいましたか」

マスター「ハンターって生き物は行動力があって羨ましいもんだ」キュキュ

――――――――――――――――

赤ちゃん「おぎゃーおぎゃー」

母親「お腹減ったよね。ごめんね、ごめんね……」

町長「異常な寒さのせいで今年は野菜の芽が出ず……そして春になっても水が溶けんから食糧難・水不足に苦しめられてしまった」

町長「何とか今日までギリギリ生きてきたが、今日までか……」

町長「皆の者、すまん私が不甲斐ないばかりに」ザッ

男「町長! 頭を上げて下さい。誰も悪くなんかありません。運が悪かったんです。恨めしいほどに高々とそびえる山々に囲まれているせいで支援を要請しても、気球船も来れないらしく、外界との唯一の連絡路のトンネルも落石で通れないみたいです」

女「最低でも、あと5日は撤去作業に時間がかかると……」

母親「そんな……」

町長「……」

男「……」

町長「水はもうない。水なしでは5日ももたん……皆、覚悟を決めよう」

男「……」

母親「……」

赤ちゃん「おぎゃーおぎゃー」

町長「……せめて赤ちゃんにお乳を飲ませてあげたい」

町長「母親さん。これを食べなさい。お乳を作って赤ちゃんに飲ませてあげなさい」

母親「そんな! できません! 最後の食糧なんですよ」

町長「どのみち私たちはダメだ。最後のくらい赤ちゃんには、お腹いっぱいになってもらおう」

町長「皆も異論はないな」

男「……ええ、もちろんです」

女「私も赤ちゃんにはお腹いっぱいになってもらいたいです」

母親「みなさん……。ありがとうございますありがとうございます」

母親「お母さん。今から精一杯お乳作るからね。もうちょっと待っててね。お母さん頑張ってつくるからね」

町長「神なんてもんがいるかはわからんが、祈ろう」

男(お願いします神様、村のみんなを助けて下さい)

女(生きたい! まだ生きたい!!)

母親(神様。どうかこの子が大きくなるまでは)

町長(神よ。我々に奇跡を)

ドゴォオオォォオオオオオォン

町長「何事だ!」

男「見てきます!」

――――――――――

男「町長!! 山が、山が吹き飛んでおります!」

町長「なに!?」

男「それに……」

町長「なんだ」

男「男性が一人」

?「よお」

町長「あなたは……」

?「食糧を持って来たぜ」

女「わぁ、こんなにたくさん。久しぶりに見たわ」

町長「ありがとうございます。み、水は、ありますか。もうこの町には水が一滴もないんです」

?「そこまで水不足になっているとは。すまねぇあいにく持ってきていない」

町長「そんな……」

赤ちゃん「おぎゃーおぎゃー」

母親「よしよしいい子」

?「赤ちゃんの涙……町長さん何とかなりそうだぜ」

町長「え?」

突如現れた男は、乳飲み子の瞳からこぼれ落ちた一滴の涙から運河を作り出し、村の危機を救ったという。

めでたしめでたし

涙が飲料水としてなりたつのかはわかりません。

また食糧に含まれる水分のおかげで、水がなくても5日くらいは生き延びれるようです。

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