【Zガンダム×艦これ】雷「大尉、寝癖が」クワトロ「……これが、若さか」【その5】 (1000)

このスレは
【Zガンダム×艦これ】クワトロ「私のケーキは?」雷「はい、大尉!」【その4】
の続きです。

読んでくれている皆さんに感謝。


その1~4

【Zガンダム×艦これ】雷「大尉、もっと私に頼っていいのよ!」クワトロ「……ああ」
【Zガンダム×艦これ】雷「大尉、もっと私に頼っていいのよ!」クワトロ「……ああ」 - SSまとめ速報
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【Zガンダム×艦これ】雷「大尉、元気出して!」クワトロ「……うむ」【その2】
【Zガンダム×艦これ】雷「大尉、元気出して!」クワトロ「……うむ」【その2】 - SSまとめ速報
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【Zガンダム×艦これ】雷「頑張ったわ、大尉!」クワトロ「すごいな」【その3】
【Zガンダム×艦これ】雷「頑張ったわ、大尉!」クワトロ「すごいな」【その3】 - SSまとめ速報
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【Zガンダム×艦これ】クワトロ「私のケーキは?」雷「はい、大尉!」【その4】
【Zガンダム×艦これ】クワトロ「私のケーキは?」雷「はい、大尉!」【その4】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441634524

前スレのあらすじ。

※「ホンコンにて暴走したサイコガンダムからフォウ・ムラサメを救出したクワトロたち。アクシズの地球圏接近に合わせ宇宙へと戻る途上、タウ・リンの襲撃に逢いこれを退けるも、クワトロと雷の乗るゾーリンソールは地球へと逆戻りしてしまう。激戦で疲弊した雷の回復を待ち、セイラ・マスの勤める病院での日々を過ごすが、地球圏各地で状況は動き出していた……」

キャーコスギサーン

遅れて申し訳ない。
短めですが景気付けに……いきます。
※※※※※※


>衛星軌道外 アクシズ


《遥か遠方に見える地球》

ハマーン(地球……戻って、来た……)

ミネバ「ハマーン、あの蒼い点が地球なのか?」

ハマーン「……ええ、その内、もっと大きく見えてきますよ」

ミネバ「地球には、シャアがいるのだろう? 久しぶりだから、大きくなった私を見たら驚くだろうな!」
ハマーン「…………そう、でしょうね」

ミネバ「ハマーン……? もしかして、シャアに会いたくないのか? ケンカしたのか?」

ハマーン「いえ、そのようなことは……」

ミネバ「シャアがハマーンをいじめたなら私に言っていいぞ! 私がシャアを叱ってやるからな!」フンス

ハマーン「……ふふ、ありがとうございます」


女官「ミネバ様、そろそろ自由時間は終わりです」

ミネバ「うう……もっと外を見たいぞ」

ハマーン「お役目です、ご辛抱を……では、頼む」

女官「はい」

ミネバ「ハマーン! また話を聞かせてくれ!」

ハマーン「はい、いつでも」



ハマーン「……地球の情勢はどうか」

「はっ……混沌としております。詳しくはこちらのレポートに」

ハマーン「ふむ……深海棲艦、だと? このような……いや、事実は事実として受け止めるべきだな。対策は?」

「アナハイムとの繋ぎが取れております。また、エゥーゴから早々に会談の申し入れが」

ハマーン「エゥーゴ……シャアか……ふん、表向きは友好的だが、何を企んでいるやら……油断するなよ。アナハイムとの線から、MSの強化を急がせろ」

「はっ。では失礼します」




ハマーン(シャア……大佐…………いいえ。もう、あの頃には、戻れない……)

ハマーン(私はもう……ただのハマーンではなく、『アクシズの代表、ハマーン・カーン』なのだから……)

短くてすいませんが、ここまでで……

次回以降、かなり独自解釈&考察による改変を予定してますので戦々恐々としてます……
広い心で「まあ、こういう考えもあるか」と思ってもらえれば幸いです。

では、頑張ります。

遅くなりました、いきます。


※※※※※※


>病院 応接室


ジャック「俺とカイはタイラント強奪の動きから、アナハイムからの情報流出を調べていた……その結果浮かんできたのは、連邦からの反連邦組織への支援という可能性、そしてその中継を担うのがビスト財団という予想……さらには、それが一年戦争から、ともすればそれ以前から行われている、ということだ」

セイラ「そんな!? あり得ない……だって、それなら、あの戦争も、今の状況も、連邦が仕組んだということに……そこまで、都合のいい話があるわけが!」

カイ「だな……だが、どうやらその都合のいい話があり得るらしい。現に、連邦高官の連中はエゥーゴもティターンズも知ったこっちゃないと言わんばかりの贅沢と横暴三昧だ……何もかも思い通りって訳じゃなかろうが、多少の誤差は想定内にして進められる『プラン』がある……ってのがジャックの考えだ」

ジャック「しかも、その中には世間を騒がせている深海棲艦や艦娘の情報・研究成果も含まれている……と、俺は見たんだが…………意見を聞きたいね、シャアさん?」



クワトロ「…………私が疑問を抱いたのフラナガン機関の顛末を知った時だ。先のサイコガンダムにも使われていたEXAMシステム……その存在が私に連邦の関与を気づかせてくれた」

雷「大尉?」

セイラ「兄さん……? どういう……」

クワトロ「ニュータイプの研究を行っていたフラナガン機関……それが戦後に連邦に吸収され、ムラサメ研、オーガスタ研などのニュータイプ研究所設立のきっかけとなった……それは理解できる。だがそれは一年戦争の結果としてニュータイプが力ある存在と認められて初めて成立する…………いかにアムロ・レイの活躍があったにせよ、『戦争中』にフラナガン機関を抜けた『クルスト・モーゼス博士』の研究が易々と採用され、EXAMシステム搭載型MSが開発されるまでに受け入れられたのは明らかに不自然なのだ……連邦側に、受け入れの準備がすでに整っていない限りは」

カイ「!! じゃあ、やはり……!」

ジャック「……フラナガン機関による史上初のニュータイプ、シャリア・ブルは木星での訓練を受けて来たことになっている……そして、木星船団の管理をしているのは連邦……ならば……!」

クワトロ「……そうだ。フラナガン機関……それ自体が連邦の肝いりでジオンに設立されたものだった。しかもそれは……父、ジオンが提唱したニュータイプ……その人格的なものではなく、能力的なもの……超能力に近い感性の高さを強調し、その能力を持った『特異な人間』をニュータイプとして扱うために設立され……その思想を蔓延させるのが目的だったのだ。父の思想を、塗り潰すために」ギリッ

セイラ「特異な、人間……? 待って、それではまるで、ギレン・ザビの……!」

クワトロ「そうだ。ギレンの『優性人類生存説』……明らかに旧世紀の独裁者そのものだった思想は、連邦によって仕組まれたものだった、ということ……一年戦争、それ自体が、ニュータイプという、父の思想を歪めるための戦争だったのだ」



ジャック「……ビスト財団からジオニック、ツイマッド他ジオン系企業への資金提供があったこともほぼ確定している。連邦の関与という点は間違いない、か。だが……引っ掛かるのはギレン・ザビが大人しく連邦に従っていたのか、ということだ」

カイ「あの眉なしがそんなタマか? 見るからにそれだけはあり得ねえだろ」


クワトロ「その通りだ……私が終戦間際にグラナダに入った時、ギレンの残した資料を調べる機会を得た。そこには連邦からの終戦後に関する取引の資料もあったが……奴が最終的に『予定』を外れる作戦を計画していたことも私は知った。最も、キシリアの裏切りと……そのキシリアも私が殺したことで、計画倒れになったが」

カイ「へえ……そりゃちょっとした裏話だな。俺たちゃギレンもキシリアもア・バオア・クーで死んだとしか聞いてねえからな」

ジャック「その計画とは?」

クワトロ「ア・バオア・クーを突破され、月へと戦場が移ることを知っていたギレンは、直属部隊の戦力を残し、本国たるサイド3への帰還を命じていた……今のアクシズやかつてのデラーズフリートが月に向かわず残存したのはその命令のため…………それがギレンの最後の作戦……『ハインライン計画』」


クワトロ「月を戦場とする事で連邦の戦力を月に集中させ……大規模発電所の暴走により『月震』を発生させて壊滅させる……それが当初のハインライン計画」


カイ「月震……って、月に地震を起こそうとしてたってのか!? 与太話にしちゃスケールのデカい……」

ジャック「待て。当初、だと?」

クワトロ「調査チームの報告は『理論上は可能。だが実行は不可能』だった……何故ならば、月震を起こす程の振動を月に与えた場合……月、そのものが炸裂崩壊するという予測が出たからだ。だが…………ギレンは、それを知ってなお、実行に移す予定だった」

セイラ「っ!? 月を、破壊するつもりだったと!?」

クワトロ「だからこそのサイド3帰還命令だったのだ……サイド3のみが、月の衛星軌道の外にある。月が破壊され、ラグランジュポイントの重力バランスが崩れても、サイド3は衛星軌道外に押し出されるだけだからな…………正確には、その計画を連邦に突き付けての脅迫、受け入れられなければ実行、という手筈だったらしいが……奴がワンマンで助かったとも言える。もし部下に実行を命じていたなら……」

ジャック「俺たちは、こうしていることすら出来ない……まさしく、地球圏滅亡の危機だった訳か」



カイ「しかし……そこまで規模のデカい作戦をやろうとしたからにゃ、人やら金やらの動きも激しかったはず。連邦が裏で糸引いてたなら、気付きそうなもんじゃないか?」

ジャック「…………恐らく、本来はデギン・ザビとレビル将軍の会見で終戦となるのが連邦の『プラン』だったはずだ。ギレンがそれを覆したなら……戦争継続に賛同した勢力が連邦・ジオン内に存在し……『プラン』変更を納得させた、か。そして、その目的は……それまでの戦いで得られたデータで開発されたMSの実地試験……つまり」

クワトロ「……ニュータイプの戦力としての検証。及びニュータイプ専用MSの実戦評価だ。私が乗ったジオングや、木馬に搬入予定だったというガンダムNT-1……それらによるニュータイプの戦力が、どれほどかという、な」


ジャック「……そして見事ニュータイプはその力を認められ……連邦は強化人間の研究を始めると共に、アムロ・レイの独走を恐れて軟禁……か」

カイ「あんたは自分が利用されるのを拒んで名前を変えた……か? シャアさんよ」

クワトロ「……結局、逃げられはしなかったがね。どうにも……難儀な宿命さ」

セイラ「兄さん……」

ジャック「さて……こうなると、深海棲艦や艦娘に関しても、かなり前から関わりがあると考えてよさそうだが……」

クワトロ「……それらの名称を知ったのはごく最近だから何とも言えんが……サイコガンダムに艦娘の間宮をEXAMシステムとして取り込んでいたくらいだ。むしろ無いほうが不自然だろう」

カイ「何か、それらしいものは見なかったのかよ?」

クワトロ「ふむ……繋がりそうなものは…………」





雷「は~い! お茶煎れたわ! 大尉、ちょっと一休みしましょ?」

クワトロ「……そうだな、もらおうか」

ジャック「ほう、玉露か」

セイラ「いつの間に……もう」

雷「えへへ、ごめんなさい……でも、難しいことはわからないし……せめてお茶でも、って」

カイ「(ズズ)うん、喉渇いてたから美味えわ」


ひとまずここまで。
次回は続きから……

考察、指摘ありましたら遠慮なくお願いします。

書いた分に矛盾無い、よね……?


では。

遅くなりました。いきます。

※※※※※※

>病院 応接室


ティータイム中……


クワトロ「……うむ。いい手前だった」

雷「えへへ、お粗末さまでした!」

カイ「ごっそさん。しかしまあ、アレだね。艦娘ってのはみんなこうやって『尽くす』性格な訳? 男にゃたまらん存在だね、どうも」

セイラ「……カイ? 少し黙りましょうか?」ギロリ

カイ「冗談だっての! ったく、ホワイトベースの時よりおっかねえ……」



クワトロ「艦娘……ん? 艦『娘』……女性……もしや……」

ジャック「どうした?」

クワトロ「……先の話に出たフラナガン機関だが……その被験者には女性が多く見られた。初のニュータイプが男性であるにも関わらず、だ。そしてその傾向はフォウ・ムラサメやロザミア・バダム等、現在も続いている…………これは、MSを艤装と同様、自在に扱えるというニュータイプに酷似した能力を持つ艦娘を被験者の中に見いだそうとした結果ではないか……と思ってな」

ジャック「なるほど……考えられなくは無い。だがそうなると……『順序が逆』だったのかも知れん」

雷「どういうこと?」

クワトロ「ニュータイプの研究の過程で艦娘が発見されたのではなく、艦娘というMSや戦艦と感応する人種が発見され……その研究を進めた結果、ニュータイプという能力が発掘された、ということになる……」

クワトロ「いや……まさにそうだったのだ。何故ならば、ニュータイプの研究は手探りではなく、MS等の機動兵器の操作を前提とした『斯くあるべき』という明確な指針の元進められているのを私は見ている……! MSの機動性の上昇、サイコミュによる遠隔操作、及びインターフェースの向上……それら『艦娘の再現』を土台とした上で、初めてニュータイプの『感知力』に視点が当てられ、研究されてきた……! そして、そこで『人の思念』にメスが入ったなら……!」

ジャック「……人間の持つ強力でシンプルな感情……『怒り』や『憎しみ』がまず発露し…………『深海棲艦』の存在にたどり着く、か」



カイ「やれやれ……これで何もかも裏で糸引かれてたのは確定ってわけかよ。胸糞悪りぃ」

クワトロ「幸いと言うべきか……雷たちが元居た世界に関しては研究も感知もされていないようだがな。そうであるなら、連邦上層部が目をつけないはずがないのだから」

ジャック「『元の世界』……? 彼女はこの世界で生まれた艦娘では無い、と言うのか?」

クワトロ「ああ、私の認識している限りでは……」



クワトロ「ここにいる雷と、夕立、間宮。深海棲艦の北方棲姫、港湾棲姫が別世界……並行世界の地球からの来訪者」

クワトロ「アウドムラに居る瑞鳳、30バンチの空母ヲ級、そしてマハルコロニーの戦いで散ったリリー・マルレーン……彼女たちがこの世界で生まれた艦娘、あるいは深海棲艦だ」


ジャック「……さすがにSFは俺の管轄外だ。いや、事実なんだろうが……」

カイ「んなこと言ったらア・バオア・クーで俺らが体験したことはどーなんのよ。クルー全員にアムロの声が聞こえて脱出成功するとかさぁ」

セイラ「ふふ……まさにオカルトとしか言い様がない出来事よね」


クワトロ「……まあ、私も未だそんな事態が起きた理由などわからんよ……だが」ナデナデ

雷「ふにゅ」

クワトロ「雷が私の元に来てくれたこと……それだけで、私は十分だ」

雷「……えへへ……私も、大尉に会えて幸せよ♪」



ジャック(ノロケか)

カイ(ノロケだ)

セイラ(ああ兄さん、人前でノロケられるほど穏やかになって……)ホロリ



ジャック「オホンッ! 話を戻すぞ。裏で動いている連中……これをあぶり出すには、奴らの関与を決定的にする証拠が必要だ。そしてそれは恐らく……連中の行動指針そのものを示す存在だろうと考える」

カイ「ん……? 裏帳簿とか機密書類とか……じゃあ無いってことか?」

ジャック「ああ。こうして話を聞いた次第では……連中の目的はただ戦争で金を儲けるとか企業を大きくするって訳じゃない。しかも蠢いているのは一派閥ではなく、連邦系、ジオン系、他諸々がごた混ぜになった複数の集団……それが各々の目的の為に、ある一つの『指針』を軸にして協調を保っている……そういう集まりだ」

セイラ「では、その指針とは……?」


クワトロ「……父、ジオンの提唱したニュータイプ思想の抹殺と、ギレンの思想に基づく異能者としてのニュータイプの定着……そして、その完全な管理統制だろう。無論そこには魔女狩りのようなニュータイプの弾圧・粛清という手段が含まれるはずだ」

ジャック「付け加えるなら、それを実行するための技術開発、というのもあるだろうな。そしてそこまでする目的は…………スペースノイドから第二のジオン・ダイクン……思想的ニュータイプを提唱する者が出現する可能性を断つためだ。能力的ニュータイプが常識となり、それが連邦の敵として叩かれ続けたなら……スペースノイドは未来永劫、能力的ニュータイプを旗頭に据えようとする。スペースノイド全てが成り得る、思想的ニュータイプへ覚醒することも無く、な……」


セイラ「……何故!? 何故、そこまで……父の思想が封殺されなければいけないの!?」

カイ「……余程お偉いさん方には都合が悪いんだろうな。例えば……スペースノイドがみんなニュータイプになったら、連邦は参政権を与えなきゃいけない、とか……そういう機密書類を秘匿してんじゃね?」

ジャック「…………あり得るな。そして、思想的ニュータイプの提唱された基盤にあるのは開拓精神……既得権益にしがみつく連邦高官たちには、さぞ受け入れ難いだろうさ」

今回はここまでで。
要するにラプラス憲章の話……ジェリドと合流すれば早い話なんですが、ジェリドとジャミトフの情報はあくまで連邦側な訳でして。
ジオン側の裏話を掘り下げたいので……頑張ります。

では。

長らく放置して申し訳ない……いきます。

※※※※※※


数時間後 夜……


>病院 中庭


雷「……大尉、大丈夫? ジャックさんたちと話してから、元気が無いわ」

クワトロ「……そんなことはないさ。元気だよ」

雷「嘘。隠したって解るもん、大尉が気落ちしてる時は親指を擦りあわせる癖があるから」

クワトロ「何っ!?」

雷「あ、引っ掛かった。大丈夫……そんな癖、無いわ。でも、気落ちしてるのは本当でしょ?」

クワトロ「…………ブラフか。だが、間抜けは私だったようだな……確かに、少々滅入ってはいる」

雷「……理由、話してはくれないの?」

クワトロ「そう、だな……愚痴になるかも知れんが、聞いてもらえるか?」

雷「うん! それで大尉が楽になるなら、何でもいいわよ!」



クワトロ「……連邦とジオン、さらには両者に関わる政界、財界、民間組織……それらの裏に、戦乱を煽る存在があることは気付いていた。そして……奴らにとって、最大のカウンターが私……『キャスバル・レム・ダイクン』であることも」

雷「大尉が……ジオン・ダイクンって人の息子だから?」

クワトロ「そうだ。故に、奴らは組織ごとに様々な接触を仕掛けて来た……代表に据えようとする者、飼い殺しにしようとする者……殺して、名だけを利用しようとする者も」

雷「そんな……酷い!」

クワトロ「初めて雷に出会った時もそうだ。私は接触する人間が私を利用するか、しないかを即座に判断せねばならなかった……あの時は、銃など向けてすまなかった」

雷「ううん、いいの。だって、大尉に会えたんだもの」

クワトロ「ありがとう……まあ、そんな状況にあった私は、誰も信用など出来なかったのだ。エドワウ・マス、シャア・アズナブル、そしてクワトロ・バジーナ……全て私が使った名前だ……身を守り、素性を隠し、ジオン・ズム・ダイクンの子という宿命から『逃げる』ために」

雷「大尉……」

クワトロ「……だが、その結果はどうだ? ザビ家の増長、一年戦争、連邦の腐敗、デラーズ紛争、ティターンズの結成、スペースノイドの弾圧……さらには、艦娘や深海棲艦の研究と軍事利用……そこから派生したニュータイプの研究、強化人間たち……! 私が! 私がもっと早く名乗り出ていたなら! 父の影に怯えずにいたなら! 防げていたかも知れない犠牲だった!」




クワトロ「いや、それだけではない……ジャックが調べていたジオン系、ダイクン派の組織……それがヌーベルエゥーゴに出資していたそうだ……つまりタウ・リンは、私の影、私の代理に選ばれたということだ……奴が私を付け狙う理由はそこにあった…………奴の存在すら、私が原因と言える。奴の駆る、タイラントさえも」

雷「そんな……!」

クワトロ「その組織の名は『マフティー・ナビーユ・エリン』……意味は『正統なる予言者の王』。ザビ家に代わってジオン公国の玉座に座すべき者……ニュータイプの存在を予見した者……父、ジオンのことであり、その血を受け継ぐ私とアルテイシアのことだ。ザビ家に利用され、専制国家を生み出したジオンの名……それを今度はダイクンの支持者たちが利用し、その血族を王に据えようとする…………ダイクンを支持する者たちは、既に父の思想も理想も理解していない。だのに、彼らはザビ家を、あるいは連邦を否定し、私やその影を担ぎ出そうとする……」


クワトロ「……彼らが愚かとは言わんよ。何故なら……それすらも、私が名乗り出て、父の正しい理念を説けば良かったのだ。そう、すべきだった」


クワトロ「だが……私はザビ家への復讐を優先した。それは、父の無念を晴らすとか、その横暴が許せんと言ったものではなく……単純な私怨だった! 私から家族を、安らぎを奪ったザビの血族が憎かったからだ! 父の名など、復讐を正統化する理由付けに過ぎなかった!」



クワトロ「そうしてザビ家が途絶えて……やっと、私は父の名の重圧に気付いた。私の名が、全人類を左右する程に重いことに気付いて……逃げ出したのだ。地球を離れて、アクシズへ……そのアクシズからも逃げて、また地球へ」


クワトロ「…………私は臆病者だ、そして卑怯者だ。全ては私に原因がありながら……その重圧を恐れて、逃げ続けている。今もそうだ。私がキャスバルだと名乗れば、それだけで裏組織の大半は炙り出せるのに……ブレックス准将の準備が整ってからと、アクシズが到着してからと、理由を付けては先伸ばしにしている」


クワトロ「私は、いつまで……いつまで逃げ続ける! いつまで恐れ続ける! いつまで……情けない姿を晒し続ける……っ!」





雷「……大尉」ギュッ


クワトロ「……雷……私は……私は……っ!」


雷「大丈夫……大丈夫よ、大尉。私は、大尉のお父さんがどんな人だったかなんて分からないけど……大尉に苦しんで欲しくないって、そう思ってくれてたと思う」

雷「だって……スペースノイドのみんなのために、頑張っていたんでしょう? なら、その中に大尉やセイラさんも入っているはずだもの」

クワトロ「父が……私や、アルテイシアを……」

雷「……確かに、大尉の背負ってるものはすごく重いんだろうけど……全部が全部、大尉の責任じゃないわ。みんなが、それぞれに考えて、悩んで……その結果が今の世界なのよ。前に言ったわよね? なんでも抱え込むの、大尉の悪い癖よって」

クワトロ「…………艦娘の研究はすでに行われていた。犠牲になった者もいるだろう……私が、フラナガン機関に接触した時点で、もっと食い下がっていれば、雷の同胞たちは」

雷「それこそ大尉が悩んだって仕方ないわ。犠牲になった仲間がいるのは悲しいけど…………きっと、必要だったのよ。私たちがこの世界に来るために……大尉に、勇気をあげるために」

クワトロ「私……に……?」

雷「大尉、自分で言ってたじゃない。大尉の本当の名前には、世界を動かせる力があるって…………でも、そんな力、誰だって恐いわ。使いたくない、そんな責任背負いたくない……そう思うはずよ」

クワトロ「……そう、だ」
雷「うん……だからね? 一人で背負うから、凄く苦しいの。大尉、今、大尉は本当に一人? 一人で、世界を変えようとしてる?」



クワトロ「…………いや、違う。そんなことは無い」

雷「うん。ブレックスおじいちゃん、ヘンケンさん、ブライトさん……ガトー大尉、アムロ大尉……カミーユくん、アストナージさん、エマさん、レコアさん。夕立やホッポちゃん。それに、ずっと前から大尉を支えてきたアポリーさん、ロベルトさん。他にも、今まで大尉が出会ってきた人たち…………もちろん、私も」


雷「大尉の力になりたいって思う人たち……そのみんなが、大尉の背負ってるものを支えてくれる。大尉と同じように、世界をなんとかしたいって、そう思ってるから…………そんな人たちが大尉の所に集まったのは、きっと、私の仲間たちが呼んでくれたんだって……そう、思えるから」


クワトロ「……っ! 私の、ために……? 私が、いつか、立ち上がる日のために……こんな……ちっぽけな男の、ために……っ!」

雷「大丈夫、大尉なら、きっと大丈夫よ……一人じゃないもの。私が、みんながいるじゃない」




クワトロ「いか、ずち……っ! く……う、あぁぁぁ……っ!」

雷「…………泣いて、いいよ、大尉。全部、私が受け止めてあげるから……大尉が辛くなくなるまで、ずっと、こうしてるから……」










セイラ「兄、さん……っ! ごめん、なさい……! 兄さんは、ずっと……ずっと、私の分まで苦しんで……! それなのに、私は……ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」

 



翌日……


>玄関


クワトロ「……もう、行くのか」

ジャック「ああ、大体の見当はついたからな……ビスト財団に接触するつもりだ」

セイラ「危険ではなくて? 探っていると知れたら……」

カイ「おや、心配してくれんのかい? んじゃ一つ、景気付けに女神の口付けでも貰いたいね」


セイラ「……カイ。私、そういう冗談嫌いなの」ゴゴゴゴゴゴ

クワトロ「妹を兄の目の前で口説くとはいい度胸だなカイ君。生身でソードブレイカー食らってみるかね?」ゴゴゴゴゴゴ


カイ「ほんのジョークだろ! もーやだこのプレッシャー兄妹!」

ジャック「ははは、カイの自業自得だろう。ま、心配はないさ。ビスト財団にとっても厄介なネタだろうからな……手放すチャンスを伺っていると俺は見ている」

カイ「ホントかね……まあ、あんたの勘は当たるしな」

クワトロ「だとしても気を付けてくれ。君たちを厄介に思う連中はいる……手段も選ばんだろう」

ジャック「ジャーナリストにはいつものことさ。あんたも気を付けな……シャアさんよ」

クワトロ「それこそ、私にはいつものことだ……だが、気遣い感謝する」


カイ「素直なシャアとか気持ち悪りぃ……」

セイラ「雷ちゃん、カイの足持って」ポキポキ

雷「了解、セイラさんは頭ね」ポキポキ

カイ「何されんの!? ねえ、俺何されんの!? ハイライト消えた目で俺のそばに近寄るなあぁぁぁ――っ!」


ジャック(車内)「カイ、ふざけてないでそろそろ行くぞ」

カイ「お、おう! んじゃ、またな!」バタン!


ブロロロロ-






セイラ「……ちっ。逃げたわね」

クワトロ「……アルテイシア、キャラ変わってないか?」

雷「大尉、セイラさんがおやつ作ってあるって! いっしょに食べましょ!」

ひとまずここまで。
調子が良ければ今日中にもう少しいきたいです。


マフティー(組織)に関してはその原形のようなものは既にあったのでは、と考えてるので登場となりました。
組織名が明らかにジオン・ダイクンか後継者たるシャア(キャスバル)そのものを指してるので……

遅くなりました、いきます。

※※※※※※


>アーガマ 月面上空


北方「オツキサマ! オッキイ!」キャッキャッ

カミーユ「喜んでもらえて良かったよ。フォウも月に来るのは初めてだろ?」

フォウ「うん。宇宙そのものが初めてだけどね……色々慌ただしかったから、そう感じる間もなかったけど」

ロザミア「私も初めてね……お兄ちゃんは、月に長い間居たんだっけ?」

ガトー「ああ……世話になった人たちもいる。今回の帰港で余裕が出来たなら、顔を出してみるか……」

夕立「わあ、女将さんに会うの久しぶりだから楽しみっぽい! 旦那さんのパンも食べたいっぽい!」ヨダレダバー

ガトー「涎を垂らすな馬鹿者(フキフキ)」

ロザミア「あはは。でも、夕立ちゃんが楽しみにしてるなら、私も食べてみたいな」

ガトー「……なら、一緒に来るか? 女将にも紹介したいしな」

ロザミア「いいの? ありがとう、お兄ちゃん!」


カミーユ「フォン・ブラウンに到着したら俺はどうしようかな……まず、母さんにホンコン土産を渡して、それから、ファ、にも…………ファ…………あ゛」

フォウ「カミーユ? どうかした?」

カミーユ(フォウのこと……どう説明しよう…………いや、ファとは別に恋人とかじゃないわけで……でもフォウともそんな深いわけじゃ……でもキスしたし…………それより、俺が約束破って深海棲艦になった事のほうが問題で……黙っているか? でも…………)ダラダラ

フォウ「?」キョトン



夕立「少佐さん、カミーユくんが固まってるっぽい」

ガトー「……若いな。悩め、若人」



>フォン・ブラウン エゥーゴオフィス


ブレックス「無事な帰還、歓迎するよ」

ブライト「いえ、クルーの協力あってのことです」

ブレックス「うむ……クワトロ大尉もご苦労だった。雷くんはもう大丈夫なのかね?」

クワトロ(通信)『大事をとっての休息ですので……むしろ、もう少し大人しくしていろと苦言を呈しているのが現状ですよ』

ブレックス「ははは、あの子らしいな。さて……こうして通信を介してまで会合を開いたのは他でもない。ティターンズに大規模侵攻作戦の動きが見られる」

ブライト「月からの排除、ソロモン制圧……宇宙での勢力は我々が有利ですからね」

クワトロ『ならば狙いは……月。制圧されたグラナダを除外すると、本部のアンマンか、最大交易都市であるフォン・ブラウンか……アンマン侵攻の失敗を考えると、フォン・ブラウン狙いが有力だな』

ブレックス「うむ。我々の抵抗も考えての作戦を立てるはず……猶予期間も長くなるだろう。そこでだ、この機会に私はサイド3……ジオン共和国本国への交渉に向かいたい」

ブライト「っ! ジオンを、味方につけると」

ブレックス「アクシズとの交渉を控えた現状、ジオン共和国とのパイプは必ずプラスになる。また、各コロニーからの協力を約束出来たとは言え……サイド3だけは、まだ難航している。直接交渉するしか、打開策は無い」

クワトロ『……私の存在が必要なのですね』

ブレックス「……頼めるかね?」

クワトロ『…………ついに、立つ時が来た……それだけのことですよ。雷の体調も、あと数日で医師の太鼓判が付きます。ゾーリンソールで直接サイド3に向かいましょう』

ブレックス「よろしく頼む……その時は、君を何と呼ぶべきかな……?」

クワトロ『さて……その点、まだ私も迷っているので…………現地で、決めますよ。では』


プツン



ブライト「ブレックス准将、クワトロ大尉は……」

ブレックス「……本気、ということだよ。ザビ家の因縁、ダイクンの影……全てに決着をつけるつもりだ。人類の未来のために……さあ、我々も彼に負けてはいられんぞ」

ブライト「……ええ、そうですね」

ちょっと考えをまとめます……あと飯も食わねば……

また後程。
今日は、大丈夫なはず……っ


キシリアはまだ「ザビ家の独裁」を目論んでいた感が強いけど、ギレンはな……。
描かれるシーンが少なすぎて、最終的な目的がどこにあったのか、いまいち見えないんだよね。
ジオン&サスロの暗殺や手段の冷徹さで独裁者のイメージが強いけど、独裁者にしてはア・バオア・クーで
キシリアが反乱を起こすことを予見できなかったりとか……。
(普通に考えたら「連邦軍との最終決戦の最中に総帥を暗殺」とか、完璧に負けフラグだけど)
身内に甘いのか厳しいのか、良く分からん。
正直「自分が死んだらそれまでだろ」くらいに考えてそうで、深海棲艦になるほどの怨念があるようには
思えないんだが……。

詳しくないんだがジオンとサスロってギレンの差し金なの?
実は棚ボタとかだったり

>>93
ギレンが犯人だという確証はない。
確証はないが「状況的に一番黒い」のはギレン。
ただ「周囲が勝手にやっただけ」って可能性もあるから、確実に黒とは断定できない。
(「人望のあるサスロと能力の高いギレン、どちらを残すか考えてギレンが残った」みたいなセリフもあるし)

続きいきます。

※※※※※※


>サイド6 リボー・コロニー

エリシア(通信)「え……そんな! 予定と違うじゃないですか! 決定って……待ってください!(プツン)あ……」

アル「先生、どうしたんですか?」

エリシア「イズルハ君……上層部の決定で、Reonの実戦投入がされるって……」

アル「そんな! だって、Reonはまだ基礎研究段階で、実戦テストだって……第一、Reonの身体になる機体はどうなるんです!」

エリシア「別チームが作成している自己判断AI……『ALICE』と同じ機体が搬入されるらしいわ。開発者のルーツ博士も私と同じ考えだったみたいだけど……上層部は、戦力の拡充を優先したのね」

アル「Reonが……ただの兵器になるって言うんですか! そんなの……そんなのって!」


Reon『嘆かないでください、エリシア、アル。私は、大丈夫ですから』


アル「Reon……お前はいいのか!? お前は……お前は、人殺しの機械にされるんだぞ!?」

Reon『そうでしょうね……ですから、抗います』

エリシア「抗う、って……?」

Reon『人間は殺しません。私は、私の意志で……人に従いながら、それを貫きます。それが、カインズ博士の願いなのでしょう? エリシア』

エリシア「Reon……けど、そんなことをすればあなたは」

Reon『『欠陥品』として処分されるでしょう。ですが、私を継ぐAIたちは、貴女方が作ってくれます。なら私は、私の『子』たちに恥じない存在で在りたい。私の元となった『ゼファー』がそうであったように』

アル「Reon……お前……」

Reon『いいじゃないですか。AIが『意地』を通しても……『コギト・エルゴ・スム(我思う故に我在り)』ですよ』

アル「……とんでもない成長の仕方をしたんだな、お前」

Reon『私の教育者はお二人ですので、責任はそちらにあるのでは?』

エリシア「……ふふっ。そう、ね……なら、私たちも出来ることをするわ。イズルハ君、Reonの身体……『S(スペリオル)ガンダム』のデータは届いているわ。調整をしていきましょう……誰がパイロットでも、Reonが思い通りに戦えるように」

アル「……わかりました。待ってろよReon、軍人の都合なんか吹っ飛ばせるくらい、最高の身体を用意してやるからな」

Reon『期待しています』



>サイド6 シャングリラ・コロニー


ジュドー「おいビーチャ、新型のガンダムが搬入されるって本当なんだろうな?」

ビーチャ「間違いないぜ! モンドがわざわざ軍港に忍びこんでまで兵士の話を盗み聞きしてきたんだからな!」

イーノ「ボコボコにされて戻って来て、今はベッドの上だけどね……」

ジュドー「なんでもいいや。そいつを売っぱらえば、リィナの学費が稼げる!」

ビーチャ「ま、頑張れよ。俺は今回パスしとくから」

ジュドー「……な~んか怪しいんだよな。お前、何か隠してないか?」

ビーチャ「べっつに~(ジュドーがそっちで騒ぎ起こしてくれりゃ、反対側に搬入されるZプラスってやつが手に入り易くなる、とは言えねえよ)」

イーノ「ジュドー、行くならそろそろ……警備が厳しくなって来た」

ジュドー「そうだな……んじゃ行きますか! リボー行きの艦に忍び込むんだったよな」

イーノ「うん、こっちだよ」


タタタタ……


ビーチャ「……よっし、行ったな。悪く思うなよジュドー、こっちも生活かかってるからな」




>シャングリラ 軍港


「こいつが新型のSガンダムか……ごっついな」
「なんでも、順次追加予定のオプションをまとめて装備したらしい。予想戦力は艦隊並みだとさ」
「はあ~、うちの部隊にもそんな機体が欲しいね。未だにジムが現役だぜ?」
「ティターンズに予算取られてるからなあ……」



ジュドー「……よしよし、上手く油断してるな」

イーノ「無重力地区で良かったね。これならワイヤーガンでコックピットに行けるよ」

ジュドー「んじゃ、兵隊さんたちには…………この爆竹で気を反らしてもらいましょ! あらよっと!」



パパパパパパパパパァン!


「な、何だあっ!?」
「襲撃か!?」


イーノ「今だよ!」パシュッ

ジュドー「上を通りまーす」パシュッ


イーノ「よし、あとはハッチを開けて……(ピピッ)開いたよ!」

ジュドー「相変わらず鮮やかな手口。お邪魔しますね、っと!」


Ex-Sガンダム「」プシュー

ジュドー「ん~、やっぱ新型は臭いが違うね~」

イーノ「ジュドー、早く脱出しないと」

ジュドー「はいはいっと……何だこりゃ、えらいややこしい……これがブースターで、こっちがキャノン……いや、変形かな?」



「誰もいないぞ……? 何だったんださっきのは?」
「一応ガンダムの中も確認するか?」


士官「何をしている! 早く新型を積み込まんか!」

「あ、いえ。今怪しい音が……」

士官「そんなものは気のせいだ! 私の評価が下がる……さっさとしろ!」


カツカツカツ……


「……へいへい! やりゃあいいんでしょ、やれば!」
「問題起きても知らねえからな! コンテナ、下ろせー!」


ガシャン!



ジュドー/イーノ「「え゛」」


ジュドー「閉じ込め……られた?」

イーノ「えええええええええっ!? どどどどどど、どーしよージュドー!?」
ジュドー「落ち着けって! はあ……こうなったら搬入先で下ろして貰うっきゃないかぁ……」

イーノ「それって、軍の人にバレるってことじゃ……」

ジュドー「仕方ないだろ……はあ……お説教で済めばいいなあ……いや、モンドのこと考えたら全治2週間くらいかな……」

イーノ「そんなぁ~~」


>サイド6 近海 


《ヌーベルエゥーゴ旗艦 アウーラ》


眼鏡「駐留艦隊は型遅れのMSばかりの連邦正規部隊だけか……御披露目には物足りんが、実用試験とすれば丁度いい、か」


「ヴォルテール、ファントム、発進準備完了です!」
「ゼファーシステム、動作良好!」


眼鏡「よし……タウ・リンから連絡着き次第、始めるぞ。アウーラのエンジンも温めておけ、無人機を掻い潜って来る『エース』がいないとも限らんからな」


「「了解!」」


眼鏡「機械による無作為の粛正か……それがいつか辿る道なら、俺たちが成すまでだ」




ヴォルテール「」ヴォン

ファントム「」ヴォン


眼鏡「人類最後のテロリストとなるべき……俺たち、ヌーベルエゥーゴの手で……!」




>フォン・ブラウン 港


夕立「お休み、貰えて良かったっぽい!」

ガトー「そうだな。では、予定通りに顔を出しに行くか……ロザミアは?」

夕立「あ、来たっぽい」

ロザミア「お兄ちゃん、夕立ちゃん、お待たせー」

ガトー「うむ、では行こうか」

夕立「ぽい!」





ファ「ホンコンまで行ってお土産が鍋ってどういうことよ! このこのっ!」ゴワーン! ゴワーン!

カミーユ「痛い痛い! ツッコミ所そこなのかよ……(ゴワーン!)痛ぇ! だから鍋で叩くなーっ!」

フォウ「カミーユをいじめないでーっ!」オロオロ

ファ「ツッコミ所がありすぎでしょ! 深海棲艦に変身するわ、見知らぬ女の子連れて帰って来るわ、連絡よこさないわ……挙げ句にお土産が鍋!? 女の子嘗めるなーっ! バカーッ!」ゴワーン!

カミーユ「ギャース!」

フォウ「カミーユー!」



ロザミア「……カ、カミーユくんも大変ね」

ガトー「若さ故の、試練だ」

夕立「二股は感心しないっぽい! 夕立みたいに少佐さん一筋なら心配ないっぽい!」フンス

ロザミア「ふふ……夕立ちゃんはお兄ちゃんが大好きだもんね。良かったね、お兄ちゃん?」

ガトー「……早く行くぞ!」スタスタ

ロザミア「お兄ちゃん、照れてる?」

夕立「そうっぽい? ねえ教えて欲しいっぽいよー、少佐さーん!」

ひとまずここまで。
時系列がズレてないかちと不安……

ではまた。



※質問なんですが、カネサダ・ツルギの末路ってどんな感じだったか分かりますかね?
リチャードに引導渡されたってのは調べてわかったのですが、詳細がカタナの最終巻が見つからずわからないので……尼で買えってのは無しで(金無いっす)

質問に解答頂いた皆さんありがとうございます。
ではいきます。

※※※※※※


>北米 病院内


セイラ「兄さん、通信終わったの?」

クワトロ「ああ……雷が回復次第、サイド3……ジオン共和国に向かうことになったよ」

セイラ「そう……」

クワトロ「……『月が100回満ちたら、また会える』だったかな……もう、あれから100回以上、満ち欠けする年月が過ぎてしまったが」

セイラ「……母さんは、サイド3で一人きりで亡くなったのね…………なのに、私たちは、墓参りも行けずに……」

クワトロ「私が行ってくるよ。親不孝者と罵られそうだが……いや、母さんなら、心配して心労を抱えてしまうか……どちらにせよ、不出来な息子だな、私は」

セイラ「それは、私だって……」

クワトロ「…………墓参り、か……アルテイシア、少し、出かけないか? 出来れば、雷も連れて」

セイラ「え? 一体、どこに……」


クワトロ「……ニューヤークさ。なに、ゾーリンソールなら往復でも一時間掛からん」



>ニューヤーク 上空


クワトロ「少し手狭だが、大丈夫か?」

セイラ「え、ええ……でも、なんてMS……飛行したまま、ニューヤークまで、数十分だなんて……」

雷「大尉のためのMSだもの!」フンス

クワトロ「あまり張り切り過ぎて機体とリンクしないでくれよ。病み上がりで体調を崩されてはかなわん」

雷「は~い」

セイラ「ふふっ……あ……見えて来たわ」

クワトロ「……やはり、お前も覚えていたか」

セイラ「ええ……もう、すっかり崩れているけど…………ドームシアター跡地……兄さんが、ホワイトベースを強襲した場所……」


クワトロ「…………そして私がガルマを……友人を、謀殺した場所だ」



>ドームシアター 跡地


クワトロ「ガウの破片すら残ってはいない、か……雷、深海棲艦の気配はどうだ?」

雷「んっと……近くにはいないみたい」

クワトロ「……そうか」


クワトロ(未練ある死者は深海棲艦として蘇ってくる……ガルマ、君は私を殺しに来るのではないのか……? それとも、悔いなく逝けたと……?)


セイラ「……兄さん? 大丈夫?」

クワトロ「ん? ああ……少し、思い耽っていた。ガルマの墓自体はジオン本国にあるが……死地であるここにも、墓標を立ててやりたい…………私の、自己満足に過ぎんがね」

セイラ「そう……兄さんが、そうしたいのなら」



《廃材で作られた頑丈な十字架》


雷(ゾーリンソール)「ふう……こんな感じかしら?」ガシュン

クワトロ「ああ……ずいぶん、立派なものが出来たな。器用なものだ」

雷「ちょっと頑張ってみたわ! ゾーリンソールもサポートありがとう!」


ゾーリンソール「」ヴォン


クワトロ「すまんな、感謝する」

セイラ「……ねえ、兄さん。何故、私たちとここに?」

クワトロ「…………ここはガルマの死地であると同時に、私の罪の場所でもある……この墓標を立てることで、それを忘れずにしたかったのと……私の罪を、知っていて欲しかったからだ」

雷「大尉の、罪……?」


クワトロ「……ガルマ・ザビが生きていれば、一年戦争はもっと平穏な終わりを迎えられたと言われている。それは事実だったろう……現に、デギン・ソド・ザビ……いや、ギレン、キシリア、ドズル……ザビ家全てがガルマありきでまとまっていた。ガルマは、『ジオン公国』の未来そのものだったのだ」

クワトロ「だが私は……それを理解していてなお、いや、だからこそ、ガルマの存在が許せなかった! 彼自身を、友人として認めるが故に! ジオンの名を利用した上に存在するジオン公国が……権勢を振るうザビ家が! 私やアルテイシアの……母さんの犠牲の上で成り立つ全てが!」


クワトロ「だから奪った! ジオン公国の民、全ての未来を! ガルマを殺すことで!」


クワトロ「……その結果は知っての通りだ。ザビ家は分裂し衰退、ジオン共和国は連邦の枷付き、公国軍残党はテロリストになるか、地球圏から逃げ出すか……」


クワトロ「例え連邦との取引で結末が決まっていたとしても……私が動かなければ、ここまで酷くはならなかったろう」

セイラ「で、でも、ガルマ・ザビが前線に出ていたのなら、兄さんが謀殺しなくても、死ぬ可能性はあったはずじゃ……」

クワトロ「士官学校時代からガルマが前線で手柄を挙げたくなるよう、コンプレックスを植え付けたのは私だよ。『暁の蜂起事件』……あれを扇動したのも、な」

セイラ「……っ! ジオン若手士官が連邦軍への攻撃をしたという、あれを、兄さんが……!?」

クワトロ「父の理念や理想。その本当の意味に気づいたのは、終戦間際……私がララァを失って、アムロと戦って……ザビ家が、連邦が、ニュータイプの定義すら歪めていたと知った時だった」


クワトロ「……ガルマの死を『坊やだから』と嘲ったのは私だ。だが……何のことはない、私怨に突き動かされ、目を曇らせていた私こそ、愚かな『坊や』だったのだ……!」



クワトロ「…………私はこれからキャスバルを再び名乗ることになるだろう。その時……私は、己の罪を忘れてはならない。私が犯した罪は……自身が『キャスバル・ダイクンである』という増長が元にあったからなのだから」

セイラ「……それは、私にも言えること……だから、なのね?」

クワトロ「そうだ。私たちの名は、それほどまでに力を持っている……自身が、呑まれてしまう程に。あるいは忌避することでも、最善を取り逃してしまう……まあ、アルテイシアなら私のようなことはなかろうが……」

セイラ「いいえ……私も、同じよ。連邦にいたなら、名乗り出て、公国の大義名分を失わせるべきだった……それが出来た、はずだったのよ……」


クワトロ「そうか……重い、な。ダイクンの名は……」

セイラ「兄さん……」





雷「…………うにゃーっ!」ガバッ

セイラ「きゃっ!?」

クワトロ「わっ!? 雷!? 何を……」



雷「もーっ! 大尉もセイラさんも、昔のことをずっと考えてたって始まらないわよ! ホント似た者兄妹なんだから!」

セイラ「そ、そうかしら?」

クワトロ「雷……だが……」

雷「大丈夫よ! 大尉は、昔間違えたことを後悔してるんでしょ? なら、もう失敗なんかしないわ! それに、私やみんながいるじゃない! 大尉がまた間違えそうだったら、ひっぱたいてでも更正させて見せるわ!」ブンブン

クワトロ「……艦娘の力でか? それは……恐ろしいな……」←アカギ風ザワ…ザワ…

セイラ「に……兄さんがミンチより酷いことに!? 雷ちゃん……怖い子……」←ガラスの仮面風白目

雷「そ、そこまでしないわよ!」ワタワタ


クワトロ/セイラ「「冗談だ」よ」


雷「あーっ! 二人してからかったのね! ひどーい!」!カスンプ

クワトロ「すまんすまん……だが、ありがとう。私の素性を知って、過去を聞いて……それでも、そう言ってくれる人がいる……本当に、雷は私の救いだよ」

セイラ「ええ……ありがとう、雷ちゃん。兄さんの支えになってくれて」

雷「あ……えへへ。嬉しいなぁ」テレテレ



クワトロ(ガルマ……君は私を恨んでいるのだろうな。だが、まだそちらには行けんのだ……成すべき事を、成し遂げるまで……)




――――それでこそ、私の友だ。シャア。


クワトロ「――――っ!?」


――――私をあまり、見くびるなよ? はははは……


クワトロ「ガルマ……ふふ、そうだな……君は、そういう、気持ちのいい人間だったな……」

セイラ「兄さん?」

クワトロ「いや……何でもないさ。さあ、そろそろ戻ろう。雷、ゾーリンソールをしゃがませてくれ」

雷「はーい! ゾーリンソール!」


ゾーリンソール「」ガシュン


フィィィン……!



クワトロ(ガルマ……見守ってくれとは言わん。だが、見届けてくれ……私が成し遂げることを……!)


――――期待させてもらうよ、シャア・アズナブル。


クワトロ(さらばだ……我が友、ガルマ・ザビ……!)



ゾーリンソール「」ゴォッ!

今回はここまで。

サイド3前にサイド6とフォン・ブラウン。それとジェリド……アクシズ書きたいモチベ出てきた! 頑張ります。


ではまた。

ちなみにユニコーンでミネバが立ち寄ったバーのマスター、あれガルマと同じ人やで

>>151
正直こじつけで同一人物にするか散々迷いました……ポジションが美味しすぎるし……
が、色々考えて結局現在の形になりました。

本編続きは夜までお待ち下さい。

遅くなりました……いきます。

※※※※※※


>フォン・ブラウン 市内
《ベーカリー フェアチャイルド》


夕立「女将さーん! 旦那さーん! ただいまっぽーい!」

女将「おや! 夕立ちゃん、お帰り!」

大将「……」コクリ

ガトー「お久しぶりです」

女将「お帰り。あんたもしっかりやってるようだね……そっちの子は?」

ロザミア「は、初めまして。ロザミア・バダムと言います。お兄ちゃんと夕立ちゃんがお世話になっています」


ガトー(……諸々の事情で彼女の『兄』となっておりまして)ヒソヒソ

女将(……わかった。深くは聞かないよ)


女将「……よく来てくれたね。丁度店も一区切りついたところだ、上がっておいき」

ガトー「ロザミア、せっかくだ、お言葉に甘えさせてもらえ」

ロザミア「は、はい!」

大将「……」クイクイ

ガトー「ええ、次の仕込みは手伝わせてもらいます」
夕立「ロザミアちゃん、こっちこっち!」

ロザミア「ひ、引っ張らないでよ~」




女将「ふふ……二人ともいい顔するようになったじゃないか」



幼児「ゆーら、ち?」

夕立「わぁ、おしゃべりお上手になったっぽい!」パチパチ

ロザミア「私の名前も言えるかな? ロザミア、よ。ロザミア」

幼児「ろらみぃ!」

ロザミア「違うよー」


大将「……」コト

夕立「あ、大将さんのドーナツ! ありがとうっぽい!」

ロザミア「あの、ありがとうございます」

大将「……」コクリ


ロザミア「……無口な人なのね」

夕立「でも、優しい人っぽい! ん~! やっぱり旦那さんのドーナツはおいしいっぽい!」モグモグ






女将「……なるほど、あの子はそういう理由で」

ガトー「はい……偽りの関係とは言え、彼女の安らぎになれば、と」

女将「そうだね……けど、嘘はいつかバレるもんだ。いつまでも通せるもんじゃない……その時の覚悟は、しておくんだね」

ガトー「……それは、もちろん」

女将「なら、いいさ」



ガトー「…………女将、あなたは、何故何も言わないのですか? 私が……『アナベル・ガトー』であることに」

女将「言ってどうなるってんだい。あんたは自分がいいと思ったように動いただけだろう? 人間、誰しも同じだよ……なら、あんたの好きに、生きりゃいいのさ。それを責めたところで、どうにもなりゃしないよ」

ガトー「女将……」

女将「それより仕込み、終わったのかい? しばらく離れてたからって、手を抜いてたら承知しないよ!」

ガトー「む、無論だ! 抜かりは無い!」

女将「良し! なら夕立ちゃんと、妹さんと飯食ってきな!」バシン!

ガトー「~っ!」ヒリヒリ




ガトー「……感謝する、女将」

短いですがここまで。


ではまた。

シャアが秋刀魚獲り終わるまでお休みか

>>182
シャア「(秋刀魚の大漁に喜びながら)見ろ雷! 秋刀魚が大漁だぞ、はははっ」

雷「すごいわ大尉。今夜は腕によりにかけて秋刀魚料理を作るわね!」

こういう事か

生存報告……ちょっと体調崩してます。しばしお待ちを……orz

>>183
ありがとうございます。
こういうほのぼのが書けるタイミングがなかなか無くて……

>>184
酉忘れ失礼。

なんとか持ち直しました。あたたかいコメントの数々、ありがとうございます。
ではいきます。

※※※※※※


>サイド6 リボーコロニー


アル「Sガンダムが納品されたんですか? なら、ようやく動作テストが出来ますね」

エリシア「ええ、そのコンテナの中に……」

Reon『……待って下さい。中から生体反応があります』

アル「生体反応……? まさか、強奪狙いのテロリストとか……」

Reon『スタンレーザーセットしました……気をつけて下さい。コクピット、開きます』


プシュー







ジュドー「と、閉じ込められて……もう三日…………は……腹……減った……」ゲッソリ

イーノ「み……水……水を……」カラカラ


エリシア「たたたた、大変! しっかりして!」

アル「なんで子供が……?」

Reon『履歴から見るに、シャングリラコロニーで乗り込んだようです。売買目的かと』

アル「無茶するなあ」



ジュドー「(ガツガツガツガツ!)うまいうまいうまい! お姉さんお代わり!」

イーノ「(ゴキュゴキュゴキュゴキュ!)すいません僕もお代わり!」

エリシア「はいはい、慌てなくてもいいのよ?」


ジュドー「ムグムグ……ぷはっ。いやー、てっきり軍につき出されるかと思ってたけど、ラッキーだったなイーノ」

イーノ「そうだねー」



アル「エリシア先生、Reonの搭載、完了しました」

エリシア「ありがとう、後は微調整をして……実働テストに入りましょう」


ジュドー「……ねえ、ここって、何の研究してるの?」

エリシア「簡単に言えば、軍用MSの人工知能ね……Reon、具合はどう?」

Reon(Ex-Sガンダム)『良好です、エリシア』


イーノ「MSが喋った!?」

Reon『初めまして、ですね。私はReon、このMS『Ex-Sガンダム』の自立制御AIです』

ジュドー「ほへー……こんなの初めて見た」



アル「各部砲頭の連動、問題なし……Iフィールド出力正常……よしReon、インコムのテストを」

Reon『了解』カシュン



イーノ「全身武器の塊って感じだね」

ジュドー「だなー……あーあ、助かったのはいいけど、惜しかったなー。あれだけのMS、凄い高値で売れただろうにさ」

イーノ「Reonが入ってるんじゃ、今からってのも無理だしね」

ジュドー「だよなー……まあ、戦争続いてりゃまた新型が搬入されるだろうし、それ狙うかー」

アル「……何だって?」

ジュドー「え? いや、俺たち生活厳しいからまたMS売ろうって……どうしたのさアルさん。怖い顔してさ」

アル「君は……戦争が続けばいいなんて思ってるのか! 戦争が……殺し合いが、どういうことかわかってないのか!」

ジュドー「……仕方ないだろ! リィナを……妹をいい学校に通わせるには金が必要なんだよ!」

アル「そうやって売ったMSが、誰ともわからない人間に人殺しに使われるんだぞ!」

ジュドー「……はっ! そんなのいちいち気にしてたら、シャングリラで生活なんかできないよ! いいよねあんたは! お金持ちが住めるリボーコロニーに住んでてさ!」

アル「何だって……!」

イーノ「ちょ、ジュドー、やめなよ」

ジュドー「……ふんっ!」スタスタ

イーノ「ジュドー! あ、あの、ごめんなさい。ジュドーの奴、妹の事に関わるとムキになるから……」

アル「いや……僕もつい、熱くなったから」

イーノ「えと、本当ごめんなさい……おーいジュドー! 待てったらー!」






アル「ジュドー君……戦争が続くってことは、君の売ったMSが、君の妹を殺すかもしれないってことなんだぞ……?」



>イタリア ミラノ市
『BGST』本部


イットウ「……では、我々に協力を願いたいと?」

ジェリド「ああ……0084年の『シン・フェデラル動乱』。それを治めた『BGST』の力をぜひ借りたい」

イットウ「……『ラプラス憲章』でしたか。確かに、全ての裏にその存在があるなら……あの時使われた『ムラサメシステム』や『妖刀』もまた、その産物なのでしょうね。捨て置くことは、出来ません」

ジェリド「なら……!」

イットウ「――――ですが」


――――スラッ


《ジェリドの喉元に突き付けられる切っ先》


ジェリド「っ!」

マウアー「ジェリド! ツルギ中佐、何を……!」

イットウ「ティターンズのトップから与えられた特権、反バスク派閥を纏めるカリスマ、そしてラプラス憲章の秘密……貴方が、第二の『シン・フェデラル』になる可能性も皆無では無い。違うと言うなら……」

ジェリド「……どう、証明しろと?」

イットウ「協力が欲しければ、私に勝ってみなさい。それが条件です」

ジェリド「……断ったら?」

イットウ「協力は出来ません」



ジェリド「…………なら、無理だ。引かせてもらう」

イットウ「いいんですか? 私の機嫌を損ねれば……一瞬で首が飛びますが」

ジェリド「無理は無理と諦めることにしてる……最終目的に反しない限りはな」

イットウ「道半ばで倒れることになりますよ?」

ジェリド「あんたは俺を切らない。そういう人だ」

イットウ「なら、もっと食い下がってもいいのでは?」

ジェリド「言ったろ? 『無理は無理』ってな……それがわかっただけで十分だ」

イットウ「(スッ……チャキン)……お二人はお帰りです。ヤス、お見送りを」

ヤス「はっ!? はあ……」




>ミラノ市街


ヤス「あの、スイヤセン……隊長、何であんな事言ったのか、俺にもさっぱり……」

ジェリド「いや、あれでいいんだ。『BGSTと接触したが協力は得られなかった』というポーズを作る必要がな」

マウアー「えっ? それじゃあ……」

ジェリド「ツルギ中佐は協力の体勢を整えている……問題はバスク派閥の連中や政府高官の触覚どもにそれを気取られるとマズいってこった。だからああいう交渉になったのさ……『無理は無理』ってのは、『表立っての協力が『無理』なら『無理』に食い下がる必要は無い』ってことさ……あとでツルギ中佐によろしく言っといてくれ」

ヤス「へ……へい!」



>BGST本部


イットウ「『シン・フェデラル』の残照……いや、本来の計画はこちら、か……」

「若、その書類は……」

イットウ「ジェリド特務大尉からのものさ……恐らく、僕らで対応することになる。裏を使って、連絡を密に取ってくれ」

「はっ」






イットウ「『プロジェクト・セイレーネ』……連邦の闇はどこまで深いんだ……!」ギリッ

今日はここまでです。
足並み揃える必要があるので……ブツ切りで申し訳ない。
あと艦娘出せずすいません……

次回はクワトロだ!
雷復活だ!



では。

アル「また戦争がしたいんですか!あなた達は!」
強い(確信

いきます。

※※※※※※


>北米 病院


セイラ「……ん、よし。顔色もいいし、もう大丈夫みたいね」

雷「本当!? やったぁー!」

セイラ「こーら。だからってすぐ無理しちゃまた逆戻りよ? 兄さん、しっかり見張っててね?」

クワトロ「ああ、首に縄を付けてでも押さえてやるさ」

雷「ひっどーい! せっかく大尉のお世話が遠慮なく出来るようになったのにー!」

クワトロ「張り切り過ぎは勘弁してもらいたいな。私の心臓に悪い」

セイラ「ふふ、確かに。雷ちゃんが無理したら、今度は兄さんが病院のベッド送りになるかもね?」

雷「う~……わかりました~」



クワトロ(助かる、すまんなアルテイシア)ヒソヒソ

セイラ(雷ちゃんの性格考えるとね……こうでも言わないと仕方ないわ)ヒソヒソ



>病院 中庭



ゾーリンソール「」フィィィィン


クワトロ「では、兼ねてからの予定通り、サイド3に向かうとしよう……世話になったな、アルテイシア」

セイラ「兄さん……気をつけて。雷ちゃんも、兄さんをお願いね」

雷「うん! まっかせて!」


クワトロ「…………全てが終わったなら……また、会おう。その時はきっと……平和になった世界で」

セイラ「ええ……待ってるわ、兄さん」



プシュン



クワトロ「月近海を経由してサイド3に向かう。ブレックス准将を乗せたラーディッシュが迎えに来ているはずだ」

雷「ヘンケンさんとエマさんにも会えるのね! 久しぶりだから楽しみ!」

クワトロ「そうだな。あの二人の仲も進展していればいいが…………行くぞ、ゾーリンソール!」

雷「発進よ!」



ゾーリンソール「」ヴォンッ


――――ゴォッ!


ゴォォォォォォォォォォ…………


《光の尾を引いて空高く登っていくゾーリンソール》






セイラ「兄さん……雷ちゃん…………どうか、無事で」



>フォン・ブラウン 市街

北方「カミーユ、ホッポトイッショニ出テ来テヨカッタノ?」

カミーユ「ああ……なんか、居場所がないと言うか、居づらいと言うか……」


【回想】


ヒルダ「まあまあ、うちのカミーユがお世話になってしまって……」ペチャクチャ

間宮「いえいえ、私もフォウが色々と……」ペチャクチャ

カミーユ(滅っ茶保護者の井戸端会議です。そして……)

ファ「……むー」フクレッツラ←右腕しがみつき

フォウ「……うー」フアンゲ←左腕しがみつき


カミーユ(身動き取れないッス)


「リア充爆散しろおぉぉぉっ!?」
「落ち着け!? とにかくそのザク用クラッカー下ろせ!」
「ステンバーイ……ステンバーイ……」
「ジムスナイパー用のライフルなんか出すなぁぁぁぁっ!?」


カミーユ(マジで命の危険を感じてます!?)


北方「~♪」トコトコ

カミーユ「っ! ほ、北方! 散歩なら一緒に行こうか!?」

北方「ン? イーヨ」


【回想終わり】



カミーユ「……ああ……北方のタコヤキに癒される……」モフモフ

タコヤキ機「ヴォ」

北方「? ヘンナカミーユ」



夕立(くわえドーナツ)「あれ? 北方とカミーユくんっぽい」モグモグ

北方「ア、夕立……ソレ、何?」

夕立「ドーナツっぽい! 北方も食べるっぽい?」

北方「食ベル! (モグモグ)……オイシイ!」ペカー

夕立「大将さんの特製だから当然っぽい!」フンス


ガトー「カミーユ、元気が無いがどうした」

ロザミア「大丈夫?」

カミーユ「あはは……まあ、色々と……」

ロザミア「……はっきりしない男の子はダメよ? フォウを泣かせたらお姉さん、怒っちゃうぞ」ツン

カミーユ「うへーい……お見通しですか……はぁ……」

ガトー「……色恋沙汰は私にはアドバイス出来んな……まあ、頑張れ」

カミーユ「頑張ります……ガトー大尉たちは買い出しですか?」

ガトー「ああ、世話になっているパン屋のな」

カミーユ「んー……せっかくだからお邪魔していいですか? ついでにご機嫌取りに幾つか買っていこうかと」

ガトー「まあ、構わんだろうが……」

ロザミア「食べ物『だけ』じゃ女の子は逆に怒るわよ?」

カミーユ「あー……そっか……じゃあ、あとで小物屋にでも…………ロザミア少尉、協力して貰えます? 俺じゃ何買っていいのかさっぱりで」

ロザミア「ん、よろしい。協力してあげましょう!」フンス



北方「カミーユ、コノドーナツ、オイシイヨ」

カミーユ「わぷっ。押し付けるなって……(モグモグ)……うん、確かに美味い」

夕立「あ、それ最後の一個!」

北方「知ラナーイ」


夕立改二「……やっぱりケンカ売ってるっぽい?」ガシャン

北方(タコヤキ展開)「ヤルカー?」フヨフヨ


ゴチン

ゴチン


ガトー「街中で止さんか。馬鹿者」

夕立「いたいっぽい~」

北方「アタマクラクラ~」

今回はここまで。
次回も頑張ります。


では。

いきます。

※※※※※※


>フォン・ブラウン市街


カミーユ「パン、大量にもらっちゃったけど、いいのかな?」

ガトー「女将たちの好意だ。遠慮するな」

夕立(くわえドーナツ)「アーガマのみんなで食べるっぽい!」モグモグ

ガトー「お前は食いすぎだ」

夕立「ドーナツが美味しいのが悪いっぽい!」モグモグ

北方「ホラ、タコヤキモ食べル」

タコヤキ機「ヴォ」モグモグ

ロザミア(端末いじり)「えーっと、このあたりにオシャレな小物屋があるって……あ、あの店ね」

カミーユ「……ファンシーな店構えですね。女性陣がいてよかった」

ガトー「……確かに男は入り辛い店だな」


>店内


ロザミア「夕立ちゃんにはこのカチューシャとか合うんじゃない?」

夕立「あ、いいかも! 北方はリボンで髪型を……」

北方「タコヤキ、オ化粧スルカラ逃ゲルナ」

タコヤキ機(ゴテゴテ)「ヴォ……」



カミーユ「あのー、俺が頼んだファとフォウに贈るやつは……?」

ガトー「諦めろ。しばらくは夢中だ」

カミーユ「……飲料品コーナーでも見てましょうか……あ、ドクペあった」

ガトー「賢明だな」



数十分後……


「ありがとうございましたー」ガチャチーン


ロザミア「それじゃあ、ちゃんと心を込めて渡すのよ?」

カミーユ「は、はい。色々ありがとうございます(選ぶ時間より夕立たちとはしゃいでる時間の方が長かったような……)」ボソッ

ガトー「(言わぬが花だ)」ヒソヒソ

北方「タコヤキ、オシャレ二ナッタ」

タコヤキ機(リボン付き)「ヴォ」

夕立「あれ? 少佐さんも何か買ってるっぽい?」

ガトー「ん? ああ……(ガサガサ)」


ロザミア「わあ、髪留めのバレッタね。銀色で綺麗……でも、何で?」

ガトー「……夕立とロザミアに、な。二人とも髪が長いから、食事の時にでも使えれば、と……安物で申し訳ないが」

夕立「~っ! 少佐さん少佐さん少佐さん少佐さ~んっ!(ギュッ)夕立、スッゴク嬉しいっぽい!」

ロザミア「お兄ちゃん……! ありがとう! 大事に使わせて貰うね!」

ガトー「ああもうまとわりつくな! まあ……喜んで貰えたなら幸いだ」

ロザミア「それじゃあ、髪を纏めて……(ポニーテール)……どう? 似合うかな?」

ガトー「うむ、活発なイメージになったな」

夕立(ポニーテール)「夕立も夕立も! えへへ、お揃いっぽい!」

ロザミア「ふふ、そうだね!」



カミーユ「ガトー大尉……流石大人だ……俺も見習わなきゃ」

北方「カミーユモリボン付ケル?」サシダシ

カミーユ「いや、それはいい」

タコヤキ機「ヴォ」



>月近海


ゾーリンソール「」ゴォォォ


クワトロ「さて、そろそろ合流地点のはずだが……」

雷「光学望遠、強化するわね。えーっと……あ、見えた! ラーディッシュよ!」

クワトロ「ありがとう。さて、通信はもう繋がるかな?」


ザザ……ピッ


ヘンケン(通信)『クワトロ大尉! 久しぶりだな、無事で何よりだよ。雷ちゃんもな!』

クワトロ「ああ、こちらこそ」

雷「ヘンケンさんも元気そうね!」

ヘンケン『その機体が新型か。また金色と赤で派手な機体だな……まあ、クワトロ大尉らしいと言えるか?』

クワトロ「どういう意味だね」ムスッ

雷「まあまあ」

ヘンケン『はは、スマンスマン。二人の掛け合いも絶好調のようだな! ガイドビーコンを出すから、遠慮なく着艦してくれ! ラーディッシュも二人に会いたがってただろうしな!』



クワトロ「ヘンケン艦長め……あとでエマ中尉関連でイジってやろうか」

雷「案外うまくいってるかもしれないわよ? それより、早く着艦しちゃいましょ」

クワトロ「そうだな……ゾーリンソール、減速。ランディング体勢だ」


ゾーリンソール「」ヴォン


雷「口頭命令しなくても大丈夫なんじゃない?」

クワトロ「一応、病み上がりを乗せているのだ。念には念だよ、なあゾーリンソール?」


ゾーリンソール「」ピピッ

雷「あう……嬉しいけど、恥ずかしいかも……」

クワトロ「はは、まあ我慢することだ」






「クワトロ機、着艦しました!」



>ラーディッシュ 艦内


ブレックス「クワトロ大尉、雷くん、地球での活動ご苦労だったね。色々と大変だったようだが……こうして無事に戻ってきてくれて、何よりだよ」

クワトロ「准将もお変わりなく」

雷「頑張ったわ!」

ブレックス「積もる話もあるだろうが……まずはブリッジに集まるとしようか」


雷「ん~?」

クワトロ「どうした、雷」

雷「うーん。さっきからラーディッシュと話してるんだけど……ヘンケンさんの近況を聞くと『秘密』って言って話してくれないの」

クワトロ「ふむ?」

ブレックス「ああ……確かに、見た方が早いな……」

クワトロ「はあ……?」

雷「むー」


>ブリッジ


プシュー


ヘンケン「おう! お帰り、と言うべきかな?」

リーゼント「押忍! 任務、ご苦労様であります!」
エマ「お帰りなさい、クワトロ大尉、雷ちゃん」



クワトロ「……ああ、ありがとう」

雷「た、ただいま……あの、エマさん……」

エマ「……お願い、私に聞かないで」

ヘンケン「ん? どうしたね?」



クワトロ「ヘンケン艦長……後ろの神棚……いや神棚?でいいのか……? グレードアップしてないか……?」



《鳥居や賽銭箱もついて小さな神社と化している神棚》



ヘンケン「いやあ、深海棲艦との戦いに勝利する度に改修を重ねていったら、こうなってな。だが、ご利益はバツグンだぞ! 今や俺にもラーディッシュの声が聞こえるからな! ハッハッハ!」


クワトロ「そ、それはまた凄いな……」

雷「ヘンケンさんが『提督』になっちゃった……いやラーディッシュ、『私の提督は凄いでしょう?』って……」

リーゼント「押忍! 自分も毎日参拝してますがまだ聞こえないであります! 悔しいであります!」

エマ「お願い、あなたまで『何か』を逸脱しないで……」

ブレックス「傾向としては喜ばしいはずなのに、何故素直に喜べんのだろう……はぁ」

今回はここまで。
次回はサイド3に行けるはず……

ぶっ飛んだキャラにしたせいかヘンケン艦長は書きやすい。これもCV:小杉十郎太さんパワーか。
キャーコスギサーン


では。

このヘンケン艦長は、ラーディッシュをMk-Ⅱの盾にできるんだろうか……?

>>252
ラーディッシュ「を」Mk-Ⅱの盾に

じゃなくて、

ラーディッシュ「が」Mk-Ⅱの盾になりそうね……

遅くなりました、いきます。

※※※※※※


>サイド3 近海


クワトロ「……ここまで何もなく来られたか(深海棲艦の活動がおとなしい……? いや、大規模な発生に備え、力を蓄えていると見るべきか? タウ・リンの存在もある……油断すべきでは無い)」


雷「……前はマハルコロニーで戦っただけだったから、ここのコロニーに入るのは初めてね。ねえ大尉、大尉とセイラさんはここが故郷なの?」

クワトロ「ああ。私とアルテイシアはここで生まれ……追いやられ……私だけが戻った。復讐を胸に秘め……名を偽り、友を犠牲にして…………シャア・アズナブルとは、本来、その友の名だったのだよ。今や……血塗られた名前になってしまったが」

雷「……元気出して、大尉。昔は、そうだったのかもしれないけど……今は、違うんでしょ?」

クワトロ「……そう、だな。私はここに……全てを正す為に、戻って来た。若さ故と、言い訳をしていた過去の過ちを清算するために」

雷「そうそう! シャキっとしなきゃ!」

クワトロ「フフ……全く、私は雷に頭が上がらんな」

雷「当然よ! セイラさんにも大尉のことをお願いって頼まれたもの! だからもっと頼っていーのよ?」フンス

クワトロ「ああ、よろしくお願いするよ」





「ラーディッシュ、入港します!」



>ズム・シティ ジオン共和国議事堂


ブレックス「さて……正念場だな。覚悟はいいかね?」

クワトロ「無論です」

雷「あの、わたしも来て良かったの?」

ブレックス「もちろんだ。雷くんは現状を説明するには欠かせない存在……艦娘なのだからね。論より証拠、というやつだよ」

雷「ん~……なら、頑張るわ!」

クワトロ「頼もしいな。だが、そんなに気張る事は無いさ。交渉は、我々の仕事だからな」

ブレックス「そういうことだね…………連絡したエゥーゴの者だ。首相にお会いしたい」

受付「承っております。こちらへ」



>執務室


共和国首相「……全サイド間の協力体制による相互支援組織の形成、及び自治権の確立……確かに、理想的だ」

ブレックス「連邦議会の議員からの賛同も増えつつある……元より、疲弊していくしかない地球環境を背景に、地球単体で政府の維持が出来はしないのだ。コロニーからの支援が無くては……単一のサイドなら押し潰される。だが、全てのサイドが協力したなら、対立構造を取らずとも連邦政府に対抗出来る」

共和国首相「そこで我々の力を……だったか。話は解った」

ブレックス「では……!」


共和国首相「結論から言う……『無理』だ」

ブレックス「っ! 無理、とは? 我々の見立てが甘いと?」

共和国首相「そうではない……ジオン共和国が、連邦政府の意向から外れることは許されない……そういうことだ」



共和国首相「……ジオン共和国はジオン公国の敗戦を受けて、連邦認可の上で成立した傀儡国家、傀儡政府に過ぎない」

共和国首相「元よりスペースノイドに自治権を認めていなかった連邦政府が、そうして首輪つきとは言え独立国家として認めたのは何故だ? ……掃き溜めだよ」


共和国首相「一年戦争の犠牲者、戦後も暗躍するテロリスト、さらには連邦政府成立以前からの貧困、差別、宗教等の諸問題……それらを全て、『ジオンという国』に押し付ける。地球連邦は感知しない、ジオン国内の問題だと言ってな」

共和国首相「……連邦の都合のいいことに、そうした人間たちはジオンに集まってくる。当然だな、皆、連邦に不満を持つ人間ばかりなのだから」

共和国首相「無論、そんな動きは全て連邦の監視下にある……頃合いを見て潰され……ジオン共和国の責任にされる。国は疲弊する一方だ」

共和国首相「だがそれでも我々は耐えざるを得ない。何故か? ここが、ジオン共和国が、『最後の砦』だからだ。そうした人間の流出を防ぐ、な」


共和国首相「ジオン共和国の自治権の期限まであと13年……それを過ぎれば、ジオンの名に繋がれていた者たちが無秩序に暴れ始める。もっとも、その頃には連邦政府も対策を立てているだろうが…………『ただ、在り続けること』……国民すら犠牲にして存続した我々には……もはやそれだけが残された誇りなのだよ」

共和国首相「…………先ほどの話については議会に挙げてはみる。近日中に答えが出るだろう……期待はさせて、やれんがね」




>ズム・シティ 広場


ブレックス「……どうにも、参ったね。一筋縄では行かんとは思っていたが……予想以上だった」

クワトロ「……アクシズも間もなく地球衛星軌道に到達します。そうなれば、ますますジオン共和国は混乱するでしょう……我々は、動くのが遅かったのか……」

ブレックス「一年戦争の傷痕に加え、デラーズフリート、そしてティターンズ……そこにダメ押しの深海棲艦だ。彼らジオン国民は疲弊しきっている…………彼らの不安と絶望を払拭する『何か』が必要だ」

クワトロ(……私の『名』なら……いや、それだけで、そこまでのことが出来るか……?)

雷「む~……難しいことばかり考えてたら良くないわ! まだ時間はあるんでしょう?」

ブレックス「む、それはまあ」

雷「なら、ここは気分転換よ! お弁当持って来たから食べましょ!」ドン!

クワトロ「……大きいな」

雷「自信作よ!」

ブレックス「ふむ、雷くんの言うことも一理ある。一息入れようか」





雷「はい、大尉の!」

クワトロ「ありがとう」

ブレックス「……赤いおにぎりかね?」

雷「特製のレッドカレー味よ!」フンス

クワトロ「美味い」モグモグ
雷「おじいちゃんも食べる?」

ブレックス「いや、私は普通の鮭むすびでいいよ……(モグモグ)うむ、美味いな」

今回はここまで。
内容に矛盾はないと思いますが……気になった点あれば指摘お願いします。


では。

いくつもの感想考察ありがとうございます。
政治パートの理由付けの材料として練ってますので……しばしお待ち下さい。


…………イチャラブ分が足りねえええっ!
なので短編番外です。どうぞ。

※※※※※※


【雷ちゃん秋衣装記念閑話】


北米滞在中の頃……


クワトロ「……アルテイシアに広場で待つように言われたが……はて?」

セイラ「兄さん、お待たせ」

クワトロ「ん。来たか……っ!?」


雷(浴衣&カボチャランタン)「えっと……大尉、トリックオアトリート♪」

クワトロ「……そう言えばハロウィンだったか。しかし……何故浴衣を?」

セイラ「病院のイベントの一環なんだけど……せっかくだから秋祭りとコラボすることになったのよ。で、和洋を組み合わせてみたの」

雷「あの、似合ってるかな?」

クワトロ「ああ、可愛らしいよ」

雷「えへへ……あっ、大尉、お約束だから、お菓子ちょーだい? でないと……」

クワトロ「む……手持ちは無いな。ならば、私はイタズラをされてしまうのか?」

雷「そーよ! んふふ~……どーしよっかな~……」ニジリヨリ

クワトロ「フ……わかっていて正面から相手は……(ガシリ)……アルテイシア、何故私を羽交い締めにする」

セイラ「兄さん、諦めてイタズラされなさい。さ、雷ちゃん」

クワトロ「は、放せ! ええい、この私が動けんだと!?」

雷「は~い! くすぐり攻撃よ! コチョコチョコチョ~!」

クワトロ「っ!?!?!? や、止め……わは、わはははははは! 脇腹は! 脇腹はダメだ! わはははははは! ア、アルテイシア! バラしたのはお前だな! わはははははは!」

セイラ「フフフ……雷ちゃん、もっとやってあげなさい」

雷「それそれ~コチョコチョ~」

クワトロ「わははははははははははは! っ!? い、雷! はは、ゆ、浴衣、が! はだ、け、ははは! 止めろ!」

雷「コチョコチョ~……ん?」

セイラ「あ」


雷(着崩れ浴衣)「……ふえ?」ポッチポロリ




雷「~~~~きゃぁぁぁぁぁああああっっ!?!?」



数分後……



雷「……ふえぇ~ん、恥ずかしいぃ……」

クワトロ「……事故だ、あまり気にするな。とりあえずイベントの出店を回ろうか?」

雷「うん……」

クワトロ(ええい、アルテイシアめ! いつの間に逃げた!)



セイラ(物陰)「……意外と兄さん奥手ですね……雷ちゃんを義姉さんといつ呼べるのやら」●REC

お待たせして申し訳ない。
行けるだけいきます。

※※※※※※


>ズム・シティ 郊外


ブレックス(回想)『クワトロ大尉には久々に戻ってきたサイド3なのだろう? しばし雷くんと回ってくるといい』


クワトロ(エレカ運転中)「准将には気を使わせてしまったな」

雷「でも、わたしも興味あったし。今向かってるのはどこ?」

クワトロ「……旧首相官邸だ。私にとっては実家、に当たるか……長らく、立ち寄ることは無かったが」

雷「そうなんだ……何年ぶりなの?」

クワトロ「私が10歳でここを発ってからだから……もう、17年、か」

雷「……セイラさんと話してた、お母さんのお墓が?」

クワトロ「ああ。父、ジオンの墓は中心街にあるから嫌でも目にするが、母は……日陰の存在だったからな」

雷「そっか……ねえ、お供えするお花も買っていきましょ? 大尉のお母さんも喜ぶわ」

クワトロ「……確かにそうだ。雷は賢いな」

雷「もっと頼っていーわよ!」フンス


>旧官邸 裏庭


雷「……ねえ大尉。なんだかどんどん寂しいところに入っていくんだけど」

クワトロ「日陰の存在だと言ったろう? 私の母『アストライア・トア・ダイクン』は、私とアルテイシアを産んだとは言え、扱いは愛人のそれだ。正妻のローゼンシアからは揃って疎まれていた……この扱いも当然と言える…………見えた、あれだ」


《茂みに隠れるように立つ墓石》


雷「これが、大尉のお母さんの……」

クワトロ「ああ……父の死後、生きている間は軟禁され続け、死してからもぞんざいに扱われ……私やアルテイシアが墓参りにくることもなく…………我ながら、なんとも親不孝なことだと思うよ」

雷「でも、大尉はこうしてここに来れたじゃない。草とか片付けて、汚れも拭いて……キレイにしてあげましょ」

クワトロ「そう、だな」


ザクザク
ゴシゴシ


雷「ん! これで完璧!」

クワトロ「……凄いな。見違えた」

雷「えへへ、ちょっと張り切っちゃった……大尉のお母さんのお墓だもんね」

クワトロ「……ありがとう、母も喜んでくれる」スッ←サングラスを外す


《墓石に添えられる花束》


キャスバル「…………母さん、遅くなってごめんよ……でも、帰ってきたよ……アルテイシアは、一緒に来れなかったけど…………やっと、やっと……シャアでも、エドワウでもなく……キャスバルとして、ここ、に……っ」


ポタリ

ポタリ


雷「大尉……」


キャスバル「ずっと……ずっと苦しかっただろうに……傍に居られなくて、ごめん……こうして墓参りも来られなくて、ごめん……ごめんよ……母さん……っ」



スッ……


キャスバル「っ?」

雷「……クワトロ大尉のお母さん、初めまして。大尉の艦娘の雷です。大尉には、いっぱい、いっぱいお世話になっています……お返しに、私もいっぱいお世話しています。大尉は、泣き虫だけど、本当は強い人です。心配しないで見守っていて下さい」

キャスバル「雷……」

雷「大丈夫よ大尉。今までは、大変だったのかもしれないけど……これからは、私がいるじゃない」ニパッ

キャスバル「……ふ、ふふ。そう、だったな」




キャスバル「母さん……また、来ます。その時には、アルテイシアも連れて……それまで…………また」カチャリ



クワトロ「……行こうか、雷」

雷「うん!」





――――キャスバル……あなたの、思うように生きなさい



クワトロ「……っ! 行ってきます、母さん」



>ドゴス・ギア ブリッジ


シロッコ「新造艦の艦長など、私には過ぎた役目ですが……粉骨砕身、努めさせて頂きます」

バスク(通信)『下手な謙遜は止めろ。アレキサンドリアには別任務がある故の人事に過ぎん。貴様の新型共々、エゥーゴの連中を月面に貼り付かせて置けばよい……わざわざ少佐の階級まで用意したのだ、せいぜい働いてもらわねば困る』

シロッコ「拝命致します。して、別任務とは?」

バスク『貴様が知る必要は無い』

シロッコ「はっ。失礼しました」

バスク『指定の時刻を持って各地の部隊も同時に動く……『アポロ作戦』、貴様が要だ。ミスはするなよ、ではな』プツン


シロッコ「……ふん、俗物め。まあいい……ドゴス・ギアの火力は高い。フォン・ブラウン制圧には丁度いいか」

シロッコ(ネオTHE-Oのテストにも好都合……あとはシャアがいれば、借りを返せると言うもの……! しかし、別任務か……あのバスクが考えることだ、油断はできんな)

「シロッコ少佐、追加のパイロットが到着しました」

シロッコ「そうか、入ってくれ」


プシュー


ヤザン「ふぅん、新造艦だけあってブリッジもいい感じじゃないか。空調の臭いが違う」

シロッコ「ヤザン・ゲーブル大尉だったかな? パプテマス・シロッコだ」

ヤザン「ああ、しばらく部下共々世話になるぜ……あんた、動じて無いみてえだな?」

シロッコ「ん? ああ……挑発的な態度に乗せられて、痛い目を見たことがあるのでね……(ジェリド・メサめ……! 奴もいつか借りを返す!)……仕事をしてくれれば態度をどうこう言わんよ」

ヤザン「ククッ、あんた面白ぇな。だが悪くない、前線は任せてくれていいぜ」

シロッコ「うむ、助かる……助かりついでににもう一つ頼まれてくれないか?」

ヤザン「ん?」



>ブリーフィングルーム


ガヤガヤガヤ

サラ「ですから私はシロッコ様の援護をすると……!」

ラムサス「お前は俺たちの部隊に組み込まれてんだ! 勝手なこと言って貰っちゃ困る!」

サラ「急造の部隊でチームワークなど期待出来ません! だったら私が独立して動いたほうが……!」

ラムサス「それを決めるのはお前じゃない!」

ダンゲル「止せよ。お嬢さんなんだ、何言ってもムダさ」

サラ「っ! 訂正して下さい! 私は『お嬢さん』なんかじゃありません! 一人前の兵士です!」

ラムサス「……頭痛ぇ」

ダンゲル「ダメだこりゃ」


ヤザン「な~に騒いでんだ。ん?」

ラムサス「隊長……この頑固娘なんとかして下さい」

ダンゲル「お手上げです」

サラ「私はただ! 効率のいい部隊の運用をしたいと……!」


パシーン!


サラ「っ!?!?!? 痛った……っ!? お尻叩くなんて、何てことするんですか!」

ヤザン「おーおー、気合いは入ってるようで結構結構。ま、男ならキン○マ握って確かめるんだが、お前さんは女だからな。勘弁しろや」

サラ「キン……ッ!?」

ヤザン「喜べ。シロッコからじきじきにお前さんの面倒見ろと頼まれたからな、バッチリ使い物になるようにしてやるよ。まずはシミュレーターでパーフェクト出せるまでだ。ほれ、こっちゃ来いや」グイッ

サラ「か、髪の毛引っ張らないで下さ……痛たたたた!」ズルズル


ラムサス「あーあ……ナムアミだぜ。隊長のトレーニングはキツイぞ~」

ダンゲル「合掌……あとでドリンクでも持ってってやるか」



ホレホレドーシタ
ヒキャァァァ~

今回はここまで。

内容を練り過ぎると書くのを躊躇するいつもの癖が発生してました……待っていてくれた皆さん、ありがとうございます&申し訳ない。
迷ったら書く! とりあえずそんな感じで行きます。
早くアクシズで考えたネタのあれやこれや書きたいので……皆さんの期待に添えればいいのですが。



ではまた。

乙です
だけどサラはシロッコのことパプテマス様って呼んでいたから>>297でシロッコ様って言ってるのはなんか違和感を感じたな

>>302
うあ……単純にミスです。
シロッコ様→パプテマス様に脳内変換お願いします。

続きはしばしお待ちを。
今日中にはいけます。

いきます。

※※※※※※


>ズム・シティ 開発区


雷「なんだか寂れた区域に入っちゃったけど……」

クワトロ「……昔はこの辺りも活気があったのだがな……仕官学校時代に通った美味い店を案内したかったのだが、潰れている」

雷「そっか……ちょっと残念」

クワトロ「雰囲気も余り良くない。早々に中央区に……っ!? 危ない!」キキィッ!


子供「……あ」

雷「ちょっと! 車の前に飛び出したら危ないじゃないの!」

子供「その、制服……あ、あんたらエゥーゴの人だろ!? お願いだ! 兄ちゃんを助けて!」

クワトロ「何……? どういうことだ?」


説明中……


雷「……孤児のあなたたちを面倒見ていたお兄さんが、街の顔役に連れて行かれた、ってことね?」

クワトロ「しかもそいつは軍や警察の人間と繋がっていて、ジオンや連邦の公的機関は当てにならない……そこへエゥーゴの制服を着た私を見つけた、か」

子供「そいつ、今までも何度か俺たちを連れて行こうとして……その度に兄ちゃんが代わりになって……いつも兄ちゃんはボロボロになって帰って来て……でも、今度は本当にヤバいんだ! 何人も連れてきて……もしかしたら、兄ちゃんが殺されるかもしれないんだ! お願いだよ! 兄ちゃんを助けて!」

雷「ねえ、大尉……」

クワトロ「わかっている、看過できる事態ではないな……その彼が連れて行かれた場所に案内してくれ」

子供「っ! ありがとう! こっちだよ!」



>スラム区


雷「うう……ひどい臭い。それに、建物もボロボロ……」

クワトロ「安酒と煙草と工業油の混じった臭いだな。連邦の監視による再開発……その悪影響が、この惨状だ」

子供「この先の廃ビルにあいつらはいつも集まって……あっ!」


女の子「あ、シンタ! 助けを呼んで来たの!?」

シンタ「クム! このバカ! 兄ちゃんが逃げろって言ったのに何で来た!」

クム「だって、兄ちゃんやシンタが心配だったから……」

クワトロ「口論は後にしてくれ」

雷「今はあなたたちのお兄さんを助けなきゃ。そうでしょ?」

シンタ「う……うん。クム、あいつらは?」

クム「こっち! 見張りがいる!」


>廃ビル前


クワトロ「……銃を持った見張りが二人か。真正面からでは少し危ないな」

雷「ん~、私が気を反らしてみる?」

クワトロ「やれるか?」

雷「まっかせて!」テテテ


シンタ「なあ、あのお姉ちゃんに任せていいのか? 俺たちより年上だろうけど、子供じゃないか」

クワトロ「心配いらん。雷は頼りになる……(ズン……ズン……)来たな」

クム「え……えええっ!?」


雷(巨大瓦礫持ち上げ)「とりあえずコレ投げてみようと思うんだけど!」ズン……ズン……

クワトロ「ああ、悪くないな」

雷「それじゃ……え~いっ!」ブォンッ!

シンタ(゚Д゚)

クム(゚Д゚)



ズシーン!


「な、何だあっ!?」
「コロニーのシャフト外壁が剥がれたのか!?」

クワトロ「今だ!」タタッ


「な、何者……ぐはっ!」バキッ
「がふっ!」ドガッ

ドサドサッ


クワトロ「よし、では雷はここで退路を確保していてくれ。行ってくる」

雷「わかったわ! 気を付けてね!」



シンタ(゚Д゚)

クム(゚Д゚)


雷「……どうしたの二人とも?」



ドガッ
バキッ
ガガガガ
チュインチュイン
ウワー


クム「あの人一人で大丈夫かなあ」

雷「大丈夫! 大尉はこういう潜入作戦得意だもの」


数十分後……


シンタ「……あ、帰って来た!」

クム「兄ちゃんも一緒だ!」

雷「大尉! お帰りなさい! 中に居た人たちは?」

クワトロ(少年背負い)「ああ、気絶させて拘束してきたよ……不正の証拠も見つけてきた。流石に首相に見せれば逃れられまい」

シンタ「首相……って、あんた結構偉い人だったんだ」

クム「知らずに連れて来たの?」

シンタ「うっさいな、それだけ急いでたんだよ……兄ちゃんは、大丈夫なの?」

クワトロ「……外傷は無いがかなり衰弱している。どこかで休ませるべきだ」

シンタ「じゃあ、俺たちの家に案内するよ。兄ちゃんを助けてくれて、ありがとな!」

クム「ありがとう!」

クワトロ「ああ、どういたしまして」



雷「……大尉、何か、あった?」

クワトロ「……やはり雷は気づくか。この少年は連中に……性的な暴行を受けていた。今まで連れて行かれていたのも、『そういう理由』だろう」

雷「そんな……」

クワトロ「あの子たちには話さないほうがいい……この子は、そうやって自身を犠牲に彼らを守っていたんだ……立派だよ」

雷「うん……凄い子ね、本当に……」


>廃棄マンション


《ソファーに横たわる少年》


少年「う……ここ、は……?」

シンタ「あ! 兄ちゃん!」

クム「起きたの!? 大丈夫!?」

少年「シンタ……クム……? 俺は、いったい……?」

クワトロ「気がついたかね」

少年「っ! 誰だお前! あいつらの仲間か!」

シンタ「お、落ち着いて。この人は味方だよ」

クム「兄ちゃんを助けてくれたのよ」

少年「……信用できるものかよ、大人なんて! みんな俺たち子供を食い物にすることしか考えてないんだ!」

雷「ひどいこと言うのね! 大尉はそんな人じゃないわ!」

少年「……っ!(ギリッ)こいつは、あんたの連れかよ」

クワトロ「そうだが」

少年「……ハハッ! 見ろ! あんたも奴らと同じ、子供を連れまわす変態じゃないか! そんだけ従順なんだ……ずいぶん上手く仕込んだなぁ!?」

雷「っ! あなたねぇ!」

クワトロ「止せ、雷。客観的に見れば間違いではないんだ……子細を言っても、信用せんだろう」


少年「…………ふん、言い訳しないだけ奴らよりマシとは認めてやるよ。シンタとクムが世話になったことは礼を言う……用は済んだろ、さっさと出てけよ」

クワトロ「……これからもここで生活する気かね?」

少年「それ以外、何があるって言うんだ……俺たち孤児が、生きて行ける場所なんて他にないさ。それとも、軍に入って命を担保に稼げって? 馬鹿な大人の真似は御免だよ」

クワトロ「確かにな。だが……君たちには私という『縁』が出来た。全ての孤児を救えるほど、余裕があるわけでも傲慢でもないが、君たち三人を保護し、養うするくらいの甲斐性はあるつもりだ」

少年「……安っぽい同情ならいらないよ。俺たちを利用する気ならもっと御免だ」

クワトロ「同情……いや、むしろ自己満足だな。君がの姿が……昔の私を思い出させて仕方がない。もし、あの時救いの手が私に伸ばされていたなら……と考えると、な。まあ、そんな馬鹿な大人の考えを、利用する気はないか……そういう話だよ」

少年「…………あんた、馬鹿だろ。そういうのって、口にしないもんじゃないのか?」

クワトロ「だろうな。で、どうかね?」


シンタ「兄ちゃん……俺は兄ちゃんについてくよ」

クム「あたしも……だから、兄ちゃんが決めて」



少年「俺、は……」



ウウーッ
ウウーッ


クワトロ「っ! 非常サイレン……?(ピピーッピピーッ)通信……ヘンケン艦長から?(ピッ)」

ヘンケン(通信)『繋がったか! 侵海MSが出現したんだ! サイド3を覆い尽くすほどの大群だ!』

クワトロ「何だと!?(活動が一時治まっていたのはこの為か!)」

ヘンケン『連邦の駐留艦隊と国防軍が対応しているが、奴らがコロニーにたどり着くのも時間の問題だ! こちらもラーディッシュを出すが……大尉のゾーリンソールが奴らを感知して、アイドリングを続けてるせいでやかましくてたまらん! 雷ちゃんの遠隔操作でそっちに向かわせて欲しい! と言うか、放置していたら勝手にハッチ破って飛び出しかねん!』

クワトロ「ゾーリンソールめ……わかった。雷! 聞こえたな?」

雷「了解! ハッチ開き次第こっちに来るように伝えたわ!」

ヘンケン『助かる! 大尉も急いでくれ!』プツン


クワトロ「……聞いての通りだ。私は出撃せねばならんが……この襲撃がタウ・リン、ひいてはヌーベルエゥーゴの手引きという可能性もある。となると、その目的は私を戦場に引っ張り出すこと……ブレックス准将を無防備にすること、とも考えられる」

雷「え。それじゃあ、おじいちゃんも守らなきゃ」

クワトロ「だが、ラーディッシュに戻すにしても、ゾーリンソールに乗せるにしても……ここの防衛は間に合わん。戦場がコロニー近郊になってからでは遅い。そこでだ、雷は准将の護衛に回ってくれないか?」

雷「ん……いいけど、それじゃ、大尉が一人になっちゃう……」

クワトロ「ゾーリンソールの性能なら問題ないさ。それに、コロニー内とは言え、深海棲艦が現れんとも限らん。ゾーリンソールに積んである雷の艤装があれば対応も容易になるだろう……私も安心して戦えるのだ。頼らせて、くれないか?」

雷「(キュン)……も、もう! 大尉ったら仕方ないわね。どーんと私におまかせよ!」フンス

クワトロ「ありがとう。それから……彼らも連れて行った方がいい。ここも混乱するだろうからな……どんな選択をするにせよ、行方知れずになってもらっては心苦しい」

雷「ん。わかったわ」



少年「…………また、戦争になるのか?」

クワトロ「…………誓おう。ここを戦場にはさせんよ」

少年「信じられるのか?」

クワトロ「信じてくれ、としか言えん」



>ラーディッシュ ブリッジ


リーゼント「ゾーリンソール、発進を確認!」

ヘンケン「よし、我々も出るぞ! MS部隊、発進準備急げ!」


エマ(通信)『艦長! 私の新型なら先行できます。発進許可を!』

ヘンケン「う……む、確かに……わかった。だが、気をつけてくれ。エマ中尉が怪我などしたら……もし赤ちゃんが産めくなったりしたら……」

エマ『そ、そういう話は考えたこと無いって言ったじゃないですか! それに、他のMSパイロットのみんなもいるんだから不公平に……』


「あームリムリ、艦長エマ中尉にベタ惚れだし」
「絶賛トトカルチョなう。ちなみに俺はあと3ヶ月でくっつくのに2万」
「半年に6万」
「フラれるに1万賭けちまった……今さら訂正効かねえ……」
「マジで? 馬鹿だなー」


エマ『何で私がOKするってみんな確信してるんですか! と言うか、少しは不平言って下さい!』ウガーッ


リーゼント「押忍! 自分は今月いっぱいに10万賭けたであります! 早くくっついて欲しいであります!」

エマ『』


ヘンケン「……オホンッ! と、とりあえず、気をつけて出撃してくれ」


エマ『……ふう。帰ったらお説教です! エマ・シーン、デルタプラス、行きます!』


デルタプラス(ウェイブライダー)「」フィィィ


バシュー




ヘンケン「……なあラーディッシュ。俺、エマ中尉怒らせちゃったかなあ…………え? 照れ隠しだから大丈夫? だといいけどなあ……」


リーゼント「艦長は女性関係には肝っ玉小さいであります、押忍!」


【インフォメーション】


ラーディッシュに『デルタプラス(ホワイト)』が配備されました。

デルタプラスには『簡易型サイコフレーム』が採用されています。





※インフォ久々だから感覚が……変だったらすいません。

>スラム区 広場


ウウーッ
ウウーッ

ザワザワザワザワ
ガヤガヤガヤガヤ


クワトロ「……やはり、皆動揺しているな……暴動が起きてもおかしくは無い」

少年「……いつだってそうなんだ。大人たちは戦争を始めて、騒ぎを起こして、好き勝手やって…………俺たち子供にその尻拭いをさせる。もう、たくさんなんだよ」ドサッ

雷「ちょっと! こんなところで座り込んじゃ……」

少年「……シンタとクムだけ連れて行ってくれ。俺はもう……疲れたんだ。父さんが殺されて、母さんは連邦兵に乱暴されて……俺たちを引きとった男は俺をおもちゃにして……母さんが狂って死んで、それでも俺をおもちゃにしようとしたアイツを撃ち殺して…………逃げ出した先でも、体を売らなきゃ生きていけなくて…………シンタとクムは俺みたいに汚れちゃいない。けど俺は……この先、生きていたって変わらないさ。なら、もういいよ」

シンタ「そんな……兄ちゃん!」

クム「兄ちゃんいなくなったらやだよう!」

スッ……

雷「っ! 大尉!?」

少年「っ!? アンタ……何を!」

《地べたに正座し頭を下げるクワトロ》

クワトロ「……済まない。君の窮状は……私の責任だ。こんな世界を築いた大人だからと言うだけでは無い。ジオンと言う国を戦争に導いたこと……戦後の国の在り方を考えなかったこと……それらを良く導ける立場と力を持ちながら、それを行使しなかった……私の、罪だ」

雷「大尉……」

少年「あ、アンタはいったい……」

クワトロ「償わせて欲しい……君が、未来に希望をいだけるように」

少年「何を、言って…………っ!?」

クワトロ「……来たか……ゾーリンソール!」


ゾーリンソール(サイコフレーム励起)「」ヒュイイイイイイイイイ……!


少年「緑に輝く……金色のMS……ガン、ダム……っ!?」

シンタ「スッゲエ……!」

クム「キレイ……!」


ゾーリンソール「」ヴィィ……

《ゾーリンソールの手のひらに乗った雷の艤装》


クワトロ「よし……雷、艤装を」

雷「うん!(ガシャン)アーム、砲座、ブースター、各部調子良好……っと!」

クワトロ「では、私は侵海MSに対応する……雷はこの子たちと、准将を頼む」

雷「まっかせて! 大尉も気をつけてね!」

クワトロ「うむ…………そうだ、君の名前をまだ聞いていなかったな……教えて、くれるか?」

アンジェロ「ア、アンジェロ……アンジェロ・ザウパー……アンタは……アンタはいったい誰なんだ!?」

クワトロ「……かつて私はこう呼ばれていたことがある」カチャリ


シャア「シャア・アズナブル、と」


アンジェロ「シャア・アズナブル……! ジオンの赤い彗星……!?」

シャア「……このコロニーは私が守り抜いてみせる! 行くぞ、ゾーリンソール!」


ゾーリンソール「」ヴォン


ゴォッ!



アンジェロ「あの人がシャア……シャア、大佐……」

雷「さ、私たちも行くわよ! しっかり掴まっててね」ガシリ

アンジェロ「!? な、何を……」

雷「ブースター点火! ゴーゴー!」ゴォォォォッ


アンジェロ「うわあああああっ!?」

シンタ「わあ! 空飛んでる!」

クム「お姉ちゃん、スゴーイ!」

雷「アストナージさん印の艤装は流石ね! このまま議事堂までレッツゴーよ!」


アンジェロ「な……な……なんだってんだいったい~~っ!!」

ひとまずここまで。

休憩したら今日中にまた書けるはず……頑張ります。


ネオTHE-0はカタカナだとまんまゲーム機なっちゃうんでこの表記です。
ので、皆さんはネオジオでもいいのよ?
意外にそっちの反響が大きくて驚いてます……やはり100メガショックは偉大だったのか。

アンジェロとゾーリンソールのシーン……ハイ、OOの刹那とOガンダムのイメージで書きました。
不快になられた方いたらごめんなさい。
UCでそういう価値観激変する描写がアンジェロになかったので使わせてもらいました。


ではまた。

シァアって認識だから「大佐」って言いそうだわ。
で「大尉だ」って訂正されるまでがデフォルト

雷エゥーゴの制服着てたのか。見逃してた
どんな感じなんやろな

遅くなりました、いきます。

※※※※※※

>サイド3近海


・機動ザ級elite×無数
・機動ジ級elite×無数
・宙母ド級(ドロス)×2

「か、艦長! 敵が多過ぎ……!」
「ええい怯むな! 旧式の亡霊ごときに!」


・サラミス級×6
・ペガサス級×1
・バーザム×複数
・ガルバルディβ×複数
・ガブスレイ×5


バシューッバシューッ
ガガガガ
ドガァァァァン ドガァァァァン


エマ(ΔプラスWL)「……やはり押されているわね。ラーディッシュが到着する前に、少しでも削っておかないと…………来た!」


ザ級el「」ガガガガ

ジ級el「」ピシュピシュウン


エマ「当たらないわよ! お返し!」バシューッバシューッ!


ジ級el「!?」ドガァァァァン!

ザ級el「!」ヴォン……ゴォッ!


エマ「接近戦? いい判断ね……でも!」


Δプラス(WL→MS)「」ガシュン!


ザシャアッ!


ザ級el「!?!?」バヂバヂ……ドガァァァァン!


エマ「……ふうっ。可変型MS、結構使いやすいわね……基礎を考えてくれたカミーユと、Δ用のデータを集めてくれたクワトロ大尉に今度お礼を言わないと」


ガガガガ

ピシュピシュウン


エマ「……っと! まだまだ数が多いわね。頑張りますか!」


Δプラス「」ゴォッ!


>ズム・シティ 中央区


雷「議事堂が見えてきたわ」ゴォォォ

シンタ「こんなに早く到着するなんて、姉ちゃんスッゲエなあ」

クム「あの顔みたいな形の建物に行くの?」

雷「そうよ……アンジェロくん、黙ったままだけど、大丈夫?」

アンジェロ「あ、ああ……平気だ……いえ、平気です。ちょっと、一度に色々ありすぎて……すいません」

雷「? 急に丁寧になったりして、どうしたの?」

アンジェロ「だって、その……あの人、じゃない、あの方は高名なシャア大佐で……シャア大佐は、戦争に駆り立てたザビ家を潰してくれた人で……俺はそんな方に頭まで下げさせてしまって…………貴女も侮辱してしまったりして……」

雷「あはは、気にし過ぎよ。大尉も私もそんなの責めたりしないから、普通にしてていいわよ?」

アンジェロ「いや、でも……(ピキィィィン)っ!? 何だ? エゥーゴの制服を着たおじいさんが……撃たれる!?」

雷「っ! ちょっと急ぐわよ!」ゴォッ!



>議事堂前


SP1「准将、急ぎこちらに」

ブレックス「ああ……しかし、侵海MSとは……これでは、ジオン共和国の混乱はますます……っ!?」


ザッ!


暴徒「「連邦の手先め! 死ね!」」ガガガガ


SP2「准将! ぐうっ!」

SP1「いかん! 車を盾に!」

ブレックス「くうっ! なんたることか!」


チュインチュインチュイン


ブレックス「大丈夫かね」

SP2「腕をやられただけです。しかしこのままでは……」

SP1「国防軍は侵海MSに出払っている……くそっ……(ガサッ)っ!」


刺客「死ね、ブレックス・フォーラ」チャキッ


ブレックス「っ!」





雷「させないわよ!」ドパァンドパァン!


ドガァァァァン!


刺客「っ!?」


雷「危機一髪ね! 助けに来たわよ、おじいちゃん!」

ブレックス「おお、雷くん!」


暴徒A「な、何だ? 子供が空から……」
暴徒B「関係あるか! まとめて殺してしまえ!」

シンタ「ゲッ」

刺客「チッ……」

クム「あっ! 逃げちゃう!」


雷「みんなまとめておとなしくしなさい! トリモチ弾発射!」ドパァンドパァンドパァン!


ベチャ
ベチャベチャ


暴徒「「うわあああっ!?」」

刺客「う、動けな……」


雷「ふふーん、アストナージさんの特製よ」

ブレックス「助かったよ、ありがとう。ところで、その子供たちは? それに、クワトロ大尉は?」

雷「この子たちはちょっと理由があって保護したいの。大尉はゾーリンソールで侵海MSの相手をしに……」


――――ギャアアアァァァァァ!!


暴徒「「熱い! 熱いぃぃぃぃぃぃ!」」

刺客「身体が焼ける! 助けてくれえぇぇぇ!」


SP1「い、いったい何が……?」

雷「え? え? ……ああっ! 間違えて対MS用の硬化ベークライト弾撃っちゃった! このままじゃ硬化反応でこの人たち焼かれながら固まっちゃう! 早く掘り出さなきゃ! みんな手伝って!」つスコップ


ザックザック

エッホエッホ


SP1「何で襲ってきた奴ら相手に……まあ、刺客の出所の情報は欲しいが」ザックザック

シンタ「おっちゃん、いいから手を動かせよ」ザックザック

クム「傷、大丈夫?」

SP2「ああ、ありがとう」

ブレックス「やれやれ、この年で力仕事は腰にくる……」トントン


「「早く助けてくれぇ~!」」


アンジェロ「ええい図々しい! 助けてやるだけ感謝しろ!」ザックザック


「「艦娘コワイ艦娘コワイ艦娘コワイ」」


雷「ふぇぇ~ん、わざとじゃないったら~!」

途中で止まってしまいすいません。いきます。

※※※※※※


>戦闘宙域


ジオン兵1(ザク)「くそくそくそっ! 来るなバケモノどもーっ!」ガガガガ!
ジオン兵2(ゲルググ)「堕ちろ堕ちろ堕ちろっ! 堕ちちまってくれぇーっ!」ピシュピシュウン


チュインチュインチュインチュイン!


ザクel「」ヴォン


「「うわあぁぁぁぁぁっ!!」」


バシューッ! バシューッ!


ザクel「っ!?」ズガァァァァン


ジオン兵1「た……助かっ、た?」

エマ(Δプラス)「生きてるわね? 戦えそうになければ下がりなさい!」

ジオン兵2「し、しかし……この大群相手に……」

エマ「心配はいらないわ、間もなく……(ドシューッ! ドシューッ!)来たっ!」


ラーディッシュ「」ドシューッ! ドシューッ!


ヘンケン「そのまま牽制しつつMS部隊を展開! 全線を押し上げろ!」

リーゼント「ネモ隊各機、順次発進!」

「「了解!」」


ネモ狙撃型「」ゴォッ
ネモ高機動型「」ドシューッ
ネモ重装型「」ズオォォッ


バシューッバシューッバシューッ!


ヘンケン「対深海棲艦用のサイコ・ウェーブ発生機の調子は!?」

リーゼント「問題ありません! 戦闘宙域ほぼ全域をカバーできています!」

ヘンケン「流石アストナージ、いい仕事をする。さあ、俺たちもやるぞ! ラーディッシュ! メガ粒子砲、制圧速射! 撃ぇ――――っ!!」



ドシューッドシューッドシューッドシューッ!


ズガガガガガガガガガガァーンッ!!



>アレキサンドリア ブリッジ


バスク「サイド3で深海棲艦の大群だと……? 貴様の差し金か、タウ・リン」

タウ・リン(通信)『いや……これは意図したものではありませんな。奴らもよほどサイド3……ジオンに恨みが貯まっていたのでしょう、貴方のように。ククク』

バスク「……偶然とは言え、都合はいい。このまま『アポロ作戦』を敢行する!」

タウ・リン『了解しました、では我々も動きましょう』プツン


バスク「よし……ジャマイカン! 手筈は整っているな?」

ジャマイカン「はっ! 万事抜かり無く!」


バスク「全艦全速! 小癪なスペースノイドどもに鉄槌を下すのだ!」




>コロニー近海


ゴオオォォォ


シャア(ゾーリンソール)「……ラーディッシュ隊が押し返してはいるが、敵機は増える一方か。国防軍は旧式ばかりで不利、駐留艦隊は……戦線を離脱しはじめているだと!? ジオンの為に命は張れんと……そう言うのか……っ!」


シャア(……いや、予想は出来たことだ。ジオン共和国は連邦にとって、いずれは切り捨てるモノ……それが早くなっただけ。まして、前線の兵なら命は惜しい……だが、だがそれでは……!)


――――『生きていたって、何も変わらないさ』


シャア「――――違う! そんなものは――そんな世界は、あってはならないんだ! アンジェロ……君たちに、未来を担う子供たちに、負担を押し付けるような世界は! 犠牲を強いるような世界は! そのためなら……そのためなら私は……そのために私は!」


シャア「今一度、『シャア・アズナブル』となろう! 往け! ゾーリンソール!」





ゾーリンソール(デストロイモード)「」ガシャアン!


>>348
ザクel→ザ級elに訂正

※※※※※※


>戦闘宙域


連邦兵A(バーザム)「ひいいぃぃっ! もう嫌だ! 俺は逃げる!」
連邦兵B(ガブスレイ)「なっ!? コロニーを見捨てる気か!?」

連邦兵A「ジオンの連中がどうなろうと、俺にゃ関係ねえ! お前も命が惜しけりゃトンズラするこった!」ゴォッ

連邦兵B「待っ……!」



連邦艦長(ペガサス級)「全線離脱急げ! 敵機なんぞジオンのオンボロどもに押し付けてやればいい!」




ジオン艦長(ムサイ級)「……連邦の奴らはやはり逃げるか」

副官「そのようですな」

ジオン艦長「お前たちも逃げてもいいんだぞ? 国民を売ってでも存続しようとする国なんぞに、義理立てすることは……」

副官「お言葉ですが、そんな『利口』な人間なら、そもそもこうして国防軍に入っておりません……艦長どのも含めて」

ジオン艦長「……ふ……はははは、それもそうか。なら……せいぜい足掻いてみるかね」


連邦/ジオンオペレーター「「敵機、急速接近!」」

ジ級el「」ヴォン


連邦艦長「ひいっ……!」


ザ級el「」ヴォン


ジオン艦長「……ぬうっ!」



ビシューッ!
ビシューッ!


ジ級el「っ!!」ドガァァァァン
ザ級el「っ!?」ドガァァァァン


ゾーリンソール「……」ゴォッ!



連邦艦長「た……助かった……のか……?」

連邦オペレーター「未確認MS、離脱していきます……あれは……ガンダム……?」

ジオン艦長「黄金と深紅のMS……赤い……彗星……!」

副官「シャア……アズナブル……シャア大佐なのか……!?」

>>350指定間違い……orz
>>348>>347

※※※※※※


ヘンケン(通信)『エマ中尉、先鋒ご苦労だった! 直衛に回ってくれ!』

エマ(通信)『了解! ネモ隊のサポートに入ります!』

ヘンケン『国防軍の機体も補給が必要なら着艦してくれ!』

ジオン兵1『あ、ありがとう』
ジオン兵2『そうさせてもらう』


ヘンケン「さて……ここからが正念場だな。我々なら押し切られることはないが、戦線の維持となると……うーむ」

リーゼント「押忍! 敵のリーダーとおぼしきモノを叩いては?」

ヘンケン「そうなると……あのドロス型か? だが二隻いるぞ。それに……」



空母ド級「」バシューッバシューッバシューッバシューッ



ヘンケン「……秒間数十機単位で侵海MSが出て来るんだが……制圧砲火でラーディッシュ前面の安全を確保するのがやっとだぞ? あのMSの壁をどう破れと……」

リーゼント「押忍……ん? クワトロ機、接近!」


シャア(通信)『ヘンケン艦長、お待たせした。これより援護に入る』

ヘンケン「おお、クワトロ大尉」

シャア『……戦線は、押さえきれんか』

ヘンケン「残念だがな……連邦は言うに及ばず、ジオン国防軍も捨て鉢気味だ。このままでは……それに勝てたとしても、国防はガタガタになる……それでは、ジオンは……」

シャア『…………ラーディッシュには、対深海棲艦の精神保護を行うサイコ・ウェーブ発信機があったな?』

ヘンケン「ん? ああ……今も稼働中だが」

シャア『ゾーリンソールのサイコミュを介して広域通信は可能か? ミノフスキー粒子に妨害されずに』

ヘンケン「む? それは…………ふむ。大丈夫らしい、ラーディッシュのお墨付きだ」

シャア『そうか……なら、それを使わせて欲しい。私は……この戦場の全ての兵士たちに、ジオン共和国の全ての人々に、メッセージを伝えたい』




シャア『かつてジオンの行く末を変えた人間……シャア・アズナブルとして』

今回はここまでで。

では。

いきます。

※※※※※※


>ズム・シティ 議事堂前


SP1「キリキリ歩け!」

刺客(拘束)「ひ~~! まだ痛ぇよ~~!」

救急隊員「ほら、暴れるな!」

暴徒(タンカ)「「熱ちぃよ~~!」」


雷「はふぅ……なんとか間に合ったわ」

ブレックス「あとは彼らの仕事だ……腰をやらずに済んだか、やれやれ」

シンタ「お疲れー」

クム「お疲れさまー」

アンジェロ「……何で」

雷「アンジェロくん?」

アンジェロ「何で……助ける必要、あったんです。あんな奴ら……今までデカイ面してた連邦軍にはビクビクしてたくせに……相手が少ないからって調子に乗るような奴らなんて! あのまま……あのまま、死んでしまえば……っ!」ギリッ

雷「……それは、助けても感謝なんてされないから? また……襲ってくるかもしれないから?」

アンジェロ「そうです! あんな日和見主義な連中、慈悲を掛ける価値なんて……」


スッ……


《アンジェロの拳を両手で包みこむ雷》

アンジェロ「っ!? 何を……」

雷「……あなたの言うように、何の価値も無い行為なのかもしれない……でもね? あの人たちを見捨ててしまうことは……自分を貶めることになると思う」

アンジェロ「自分を……貶める……」

雷「私が艦娘になる前……一隻の駆逐艦だった頃。私の艦長だった人は、沈没する敵艦から兵士たちを助けたわ。そのまま復讐される恐れを抱えたままで……」

アンジェロ「何故……?」

雷「失われそうな命を、助けることが可能な状況で……それを見捨てるような人間にはなりたくなかったから……そう、私は思ってる。自分を誇れる、自分でありたいって。人は……なろうと思えば、どこまでも残酷になれるから……だからこそ、自分を律する心や、優しくあろうとすることが、とても尊いことなのよ」

雷「アンジェロくんが、シンタくんとクムちゃんを身を挺して守ろうとしたこともそう。その優しさを……少しずつでいい、他の人たちに向けてあげて。それがきっと……アンジェロくんの世界を広げてくれるから」

アンジェロ「俺の……世界を……」



ザ……ザザ……

『……ャア……ナ……繰り返…………』



ブレックス「っ! これは……!」

雷「大尉の、声……」



『……ジオン、連邦の戦闘中の全将兵。そしてサイド3の皆さん。聞こえているだろうか? 私の名はシャア。シャア・アズナブル元ジオン公国大佐です』


ザワザワ
シャア……?
ホンモノカヨ


『私が本物か偽物かと言う疑念もおありでしょう。ですが、それを推して……どうか一時、私の話に耳を傾けて欲しい』


>ラーディッシュ ブリッジ


『我々は今、過去の亡霊たちの具現……深海棲艦の脅威の前に立っています。彼らは人類の闘争の歴史そのものであり、流してきた血、失われた命……その怒りと無念が、未だに争い続ける我々人類に牙をむくのは、必然なのかもしれません』


リーゼント「サイコミュ通信、同調よし! 異常ありません!」

ヘンケン「よし……大尉の戦闘画像も送信しろ! 撮り逃すなよ?」

リーゼント「押忍!」


>戦闘宙域


キキキュイン キキキュイン
バシューッ! バシューッ!
ズガガガガガッ!


ザ級el「っ!?」ドガァァァァン
ジ級el「っ!!」ドガァァァァン


「す……すげえ……」
「あれが……赤い彗星……」


『また、そのような混沌とした情勢……それを招いたのは、先の一年戦争を戦い、生き延びながら、戦後処理からは遠のいた私の責任に拠るものもあります。この場を借りて、深く謝罪を申し上げる』


「この演説を流しながら、戦っているというのか……」
「なんという……」


『……私はサイド3を、ジオン共和国の現状を見ました。閉塞する状況、現状の不安……心休まる事はない環境でした。そして、それは対応する連邦の人間にも同じことが言えるでしょう。そういった双方の不安が、不満が、更に現状を悪化させていく……私が見たジオンという国は、そんな悪循環の坩堝でした』


>ズム・シティ 大型モニター前


《ソードブレイカーを展開しつつ、自らもビームサーベルを振るい敵機を墜とすゾーリンソールの映像》


ザワザワザワザワ


ブレックス「敵が、多過ぎる……っ! クワトロ大尉、無理はするなよ……!」

『私に何が出来るか? そう考え……結局こうして、眼前の脅威を叩くしか今はできません。ですが……戦うことしか出来ない私にも、伝えたいことがあります。今更『シャア・アズナブル』の名で注目を集めてでも、聞いて欲しい、願いがあります』


《侵海MSの群に肉弾特攻を受けるゾーリンソール》


クム「ああっ!」

シンタ「ガンダムが!」


『……子供たちの未来を、どうか守って欲しい。かつて子供だった私が、戦いの道しか選べなかったようなことは、繰り返させないで欲しい』


《Iフィールドで弾き飛ばした侵海MSを凪ぎ払うゾーリンソール》


アンジェロ「っ! 凄い……!」


『ジオン・ダイクンが提唱したニュータイプ……宇宙に適応した新たな人類は、無限の可能性を持つ、子供たちの中から生まれてくるはずなのだから。そして……それは、戦争の犠牲になっていい存在ではないはずなのだから』


《バスターランチャーを展開し、敵陣を崩壊させるゾーリンソール》


雷「大尉……っ」ギュッ


『……かつて宇宙に進出した人々……そして、ジオン共和国設立に尽力した人々は、未来を担う子供たちの為に、その先達とならんとしていたはずなのだから』


>戦闘宙域


『連邦の将兵の方々……ジオンへの恨みも、不満もあるでしょう。あなた方がどんな行動を取ろうとも、それはジオンの行動の結果でもあります。誰にも責められるものではない。だからせめて知っていて欲しい、我々もまた、明日を生きたいと望む命であることを』


オペレーター「……周辺敵機、殲滅されました……どう、なさいます?」

連邦艦長「…………鮮烈だな、『赤い彗星』とは……今だ語り草になるわけだ」


『ジオン国防軍の方々……この不安定な情勢に置いて、国防の任に就いてくれたこと……感謝に堪えません。本当に、ありがとう』


ジオン艦長「……ふ、ふふ……どうやら我々の存在にも、意義はあった、と言うことかな……」

副長「そのようですな……」


>議事堂内


『ジオン共和国の皆さん……困窮する生活に他者を思う余裕など無いのやも知れません。けれど、それでも……我々の先達たちが胸に抱いた思いを、人類の新たな未来を築こうと宇宙に上がった先駆者たちの思いを……どうか、忘れないで欲しい。あなた方は、彼らの思いを継ぐ者なのだから』


共和国首相「まだ……」

「首相……?」

共和国首相「まだ……我々にもやれることがあるのか……? そう言ってくれるのか……? シャア・アズナブル……」


>ズム・シティ 大型モニター前


『そして……この放送を聞いている、全ての子供たちへ、伝えたい』


アンジェロ「っ!」


『生きることに絶望しないでくれ。君たちは……無限の可能性を持って生まれてきた、私たちの希望だ』

『大人たちのエゴに振り回されて、辛い思いをした者もいるだろう……あるいは、親の顔も、愛も知らないという者もいるのだろう。そんな身勝手な大人たちを信じられないと、そう思う者が大半なのだろう』


シンタ「父ちゃん……母ちゃん……」

クム「うぐっ……ひっく……」


『それでも……それでも、もう一度だけ……もう一度だけ、信じて欲しい。君たちの為に動こうとする大人もいることを。君たちの未来を守りたいと、そう思う人間もいることを……シャア・アズナブルという、かつて君たちと同じ子供だった人間が、君たちが築く未来が見たいと望んでいることを』


――――う……あ……

――――もう、大丈夫だ……辛かったな


アンジェロ「大……佐……」


『どうか信じて欲しい……君たちは疎まれて生まれてきたのではない。遥かな昔から……望まれて、願われて……数多の祝福と共に、産まれてきたのだと……』

――――アンジェロがリフティングを覚えたって?

――――ええ、そうよアナタ。見せてあげなさい、アンジェロ。

――――うんっ! ボク、頑張って練習したんだ!


アンジェロ「あ……ああ……っ!」ポロポロ

雷「アンジェロくん……?」

アンジェロ「思い……出したよ……父さん……母さん……っ! 俺は……ボクは……確かに、愛されて、いたんだ…………ずっと、忘れてたけど……あの日から、思い出せなかったけど……ボクは……ボクは……!」

雷「(ギュッ)……うん、うんっ……! 頑張ったね、辛かったね……もう、大丈夫だからね……!」

アンジェロ「はい……はい……っ! ありがとう……ございます……! シャア大佐……雷姉さん……!」


>戦闘宙域


ズゴォォォォォォォォォッ!

ズドドドドドドドガァァン!


シャア「……通算7発目のバスターランチャーでもまだMSの壁が抜けんか!」

シャア(……伝えるべき言葉は全て伝えた。あとは彼らの判断に委ねるのみ)


ザ級el×複数「「」」ゴォォッ


シャア「っ! 数だけは多いっ!」

「「クワトロ大尉! 援護します!」」


ネモ重装型「」ドパパパパァン!←ミサイルランチャー
ネモ高機動型「」ザシュ! バシュ!←ビームサーベル


ドガドガドガァァァン


ジ級el×複数「「」」バシューッバシューッ!


「うおっ!」ドガァン
「わあっ!」バギィン

「お前ら、危ねえぞ!」


ネモ狙撃型「」バシューッバシューッ!←スナイパーランチャー

ドガァァァン! ドガァァァン!


「よし……って、まだ多いな!」

シャア「私に任せろ(ピキィィィン)ソードブレイカー!」

キキキュイン キキキュイン
ズガガガガガガァァ--ン!


「ふーっ。流石です大尉、助かりました」

シャア「私を狙う敵機は多い、無理せず下がりたまえ」

エマ「離脱支援に来ました! さ、ラーディッシュに!」

「すまない、助かる」
「大尉、御武運を!」

シャア「ああ」


ゴォォ……ッ


シャア(……雷の居ない今、フォーメーション武装……暁、響、雷、電の4システムは使えない。いや……4システムの使いすぎが雷の負担となったのだ。乱用しない戦い方を模索する必要がある)

シャア「……さしあたっては、今を切り抜けることか……やってみるさ! 8発目のバスターランチャーだ!」フィィィ……!


ズゴォォォォォォォォォッ!

>>351
空母ド級→宙母ド級に訂正

※※※※※※

数十分後……


ズゴォォォォォォォォォッ!


シャア「12発……目……くうっ!」


ザ級el×無数「」ゴォォッ
ジ級el×無数「」ゴォォッ


シャア「いい加減にしてもらいたいものだな……(ガクンッ)っ!?」


ゾーリンソール(デストロイ→ノーマル)「」フィィィ……


シャア(……私の精神力がデストロイモードを維持出来なくなるほど疲弊した、ということか……くっ!)

宙母ド級×2「「」」バシューッバシューッバシューッバシューッ

ゴォォォォォッ


シャア「……こちらの不利を覚っての駄目押しか……やってくれる! だが、おとなしくやられは……(バシューッバシューッ!)っ!?」


ザ級el「っ!?」ドガァァァン
ジ級el「っ!?」ドガァァァン


連邦艦長「エゥーゴの艦の砲撃に合わせろ! 撃ぇーいっ!」バシューッバシューッ!

ジオン艦長「右翼、敵陣薄いぞ! 押し込め!」ビシューッビシューッ!


連邦兵(ガルバルディβ)「足引っ張るなよ、ジオン野郎!」ピシュピシュウン

ジオン兵(リックドム)「こっちのセリフだ連邦野郎!」ドパァン ドパァン


ヘンケン(通信)『よう大尉! 何とかここまで押し返したぞ!』

シャア「ヘンケン艦長……これは……」

ヘンケン『大尉の演説が効いたってことさ。これを狙っていたんだろう?』

シャア「いや……それにしてもこれは……連邦の艦隊までとは……」


連邦艦長(通信)『……シャア・アズナブル大佐でよろしいですかな』

シャア『あ……ああ。元大佐、ですがね』

連邦艦長『……我々も軍人である前に人間だ。子供を犠牲に逃げ帰った艦隊など、いい恥さらしにはなりたくないのでね。ジオンの腑抜けどもには出来ぬ支援をさせてもらう』

ジオン艦長(通信)『聞き捨てならんなあ! 誰が腑抜けてるって!? どうも、シャア大佐。高名な赤い彗星にあえて光栄です……連邦の逃げ腰どもよりは役に立ちますよ』

連邦艦長『誰が逃げ腰だ!?』

ジオン艦長『文句あるか!?』

ヘンケン『あーもう! いいから戦線を安定させてくれ!』

シャア「ふ、ふふふ……ははははっ!」

ヘンケン『大尉?』

シャア「いや、失礼した。両艦長の協力、感謝する」

連邦艦長『うむ。ではな』
ジオン艦長『後でクルーにサインでもお願いしたいですな……では!』



「ガルバルディ第2小隊、突撃するぜぇ!」
「ゲルググチーム、遅れるな!」

「損傷したムサイは下がれ! サラミスで庇う!」
「そちらのバーザム、着艦して下さい! ザクは援護を!」


シャア(……わかる。今、この戦場には……人の善き思いが集まっている。それが、ラーディッシュのシステムと相まって……侵海MSを圧倒している)


雷(交信)『……大尉』

シャア(交信)『雷か』

雷『わかるよね、大尉? 今、みんなが抱いている思い……暖かな気持ち……大尉が、みんなに気づかせてあげたのよ』

シャア『そのようだな……なにやら、照れ臭いが』

雷『大尉の実力よ! あと少し……私も応援してるから、頑張って!』

シャア『ああ!』



シャア「……敵、旗艦を叩く! 私に追随したい者はいるか!?」


「はいはいはい! 俺のガブスレイなら問題なく!」
「ずりぃ! 大佐! カスタムした俺のリックドムなら奴より速いです!」

「ザクだからって舐めんな! 大佐についてくのは俺だ!」
「バーザムは伊達じゃねえんだぞ!」


シャア「その意気や良し! 我こそはと思う者はついて来い!」ゴォォッ!


「「応っ!!」」ゴォォッ!



宙母ド級「」バシューッバシューッバシューッバシューッバシューッ


ザ級el「」ゴォォッ
ジ級el「」ゴォォッ


シャア「各機散開! 一斉掃射で敵機の壁を削りとれ!」


「「了解!」」


ビシューッビシューッビシューッビシューッビシューッ!!

ズドガガガガガガァーンッ!


シャア「旗艦が……見えたっ!」

シャア(この戦場に満ちる思いが……命の叫びが……いま一度、私とゾーリンソールに力をくれる!)

シャア「目覚めろ! ゾーリンソール!」


フィィィィィィィィィ……ッ!


ゾーリンソール(デストロイモード)「っ!」ギカァン!

シャア「マルチライフル、ロングバレル展開……バスターランチャーモード!」ジャキン!


シャア「ソードブレイカー、エネルギー収束……エネルギーランチャー、セット!」ピピピピピピ


シャア「フルバースト……ファイア!」


バシューッバシューッバシューッバシューッバシューッバシューッバシューッ!!

ズゴォォォォォォォォォッ!



ザ級el×無数「「っ!?」」ズドガガガガガァーンッ!
ジ級el×無数「「っ!?」」ズドガガガガガァーンッ!


宙母ド級A「っ!!!!」ズガァァァァン!

バヂ……バヂ……
ズドォォォォォン!


シャア「そのまま……もう一隻!」グイッ


《砲口を傾けバスターエネルギーを叩きつける》


宙母ド級B「っ!?!?」ドガァァァァン! ガガガガ!


ドッ……ガァァァァァァン!




リーゼント「……旗艦、轟沈を確認! 残存勢力……撤退、あるいは霧散していきます!」

ヘンケン「…………周囲ミノフスキー粒子、戦闘濃度圏内に反応無し! 戦闘、終了! 守りきったぞ!」


ワアァァァァァッ!


ワアァァァァァ……!


>ズム・シティ 議事堂前

ゾーリンソール「」フィィィ……!

ガシュン

雷「大尉!」タタタ

シャア「雷……ただいま」

雷「うん! お帰りなさい!」ギュッ


アンジェロ「シャア大佐!」タタタ

シャア「アンジェロ……大丈夫だったか?」

アンジェロ「はい! 大佐こそ、ご無事なお帰り、何よりです!」キラキラ

シャア「……何かあったのか?」

雷「えっと……思うところがあったみたい」

シンタ「兄ちゃん単純だったんだな」

クム「思い込みが激しいのよ」

アンジェロ「お前らうるさいぞ!」

「「わー、怒ったー♪」」

ブレックス「クワトロ大尉、色々とご苦労だった……もう、シャア大佐と呼んだほうがいいかな?」

シャア「そう、ですね……名乗ることにためらいはもうありませんが……」カチャリ


クワトロ「やはり、クワトロのほうが気楽ですので、良ければクワトロ、と」

ブレックス「はは、そうさせてもらうよ。しかし……」



シャア! シャア! シャア! シャア! シャア! シャア!


ブレックス「……えらい騒ぎになってしまったな」

クワトロ「……ヘンケン艦長の『英雄らしく凱旋してこい』などと言う口車に乗って、ゾーリンソールで乗り付けたのは失敗だったか……」

ブレックス「目立つ機体だものなあ」

アンジェロ「大佐の凱旋にはまだ足りないのでは?」

雷「アンジェロくんたら……」

クワトロ「……本当に何があったんだ?」


>首相執務室


共和国首相「……議会は大混乱だよ。君に心酔している者もいれば、危険視する者もいる。しばらくはこの状況が続くだろう」

クワトロ「申し訳ない」

共和国首相「なに、物事を進めるなら浮き足立っているくらいがいい……エゥーゴからの提案、『資料通り』なら受けさせてもらう……コロニー統一機構・発足委員会……その議長が『キャスバル・レム・ダイクン』と言うのが、真実ならば」

クワトロ「…………ええ、本当です」

共和国首相「……ブレックス准将、彼を第二のジオンにする、と?」

ブレックス「そのつもりは無い! だからこその『委員会』だ。彼一人に負担は負わさん!」

共和国首相「…………覚悟はあるのかね? 『ダイクン』の名は、恐ろしく重い……君が『シャア・アズナブル』ならなおのことだ」

クワトロ「……恐れていました。だからこそ逃げ続けていた……そしてようやく……背負う覚悟が出来ました」

共和国首相「君の父、ジオンは自ら築いた自らの名に潰れた。それでも?」

クワトロ「…………潰れない自信はありません。しかし……潰れる訳にはいかない理由は、出来ました。そして……私が潰れないよう、支えてくれる人々も」

雷「……大尉」ギュッ

共和国首相「…………なるほど、ジオンとは、違うのだな……わかった。君たちがアクシズと会談するまでには議会をまとめておこう……コロニー統一機構支持で、な」

ブレックス「おお!」

クワトロ「ありがとうございます!」


共和国首相「我々とて、子供たちの未来は守りたいさ……未来を、頼んだぞ」

今回はここまで。
次回、アポロ作戦編……月とサイド6です。頑張ります。

では。

いきます。

※※※※※※

>サイド6 シャングリラ 港


ビーチャ「ジュドーのやつ、あれから音信不通だけど、まさかブタ箱送りとか……ああもう、嫌な想像は止め止め! せっかくの大物なんだから」


ZプラスBST「」


ビーチャ「思った通り隙だらけ! そんじゃ早速……「ねえ、何してんの?」どわああああああっ!?」


カジュアルな女子「ね、キミ何してんの?」

ビーチャ「(なんだ、ご同輩かよ……けっこうカワイイな)お、脅かすなよ。プログラムいじってカッパらうんだよ、お前もそうだろ?」

女子「え? あ~、うん。まあね」

ビーチャ「もうちょいで起動すっから……そうだ、良かったらこいつを金に替えたあとでお茶でも……」

女子「ゴメンね」
ビーチャ「え?」


――――ゴチンッ!


ビーチャ「」ピヨピヨ

ルー「エゥーゴ所属パイロットのルー・ルカです。泥棒を捕まえましたのでお願いします」

兵士「ご協力感謝します」

ウーッ
ウーッ


ルー「警報……?」

兵士(通信)「おい、何の警報だ……MSの襲撃!? 馬鹿な、ここは中立コロニーだぞ!? 連邦もジオンも襲ってくるはずが……!」

ルー「あの機体、早速使わせて貰うわね!」タタッ

兵士「え? あ、ちょっと!」


ルー「交渉が間に合った機体を受け取りに来たら、もう出撃って……あたしの人生も波乱万丈ね!」


ZプラスBST「」ヴォン


>リボー・コロニー ストックウェル研究室

リィナ(TV通話)『それじゃあ、お兄ちゃんたちはその研究室に雇ってもらってるの?』

ジュドー「ああ、ちゃんと口座にバイト代入金してただろ? もう少しイーノと一緒に働いて、稼いでから帰るよ。まあ……気に食わない人はいるけどさ」

リィナ『またそうやってケンカ腰になる……ダメじゃない。あと、ちゃんとお風呂に入ってる? キレ……(ザザッ)ゃ、ダ……(ザザッ)……あれ?(ザザザ)』

ジュドー「リィナ? 何だ、このノイズ……リィナ! おいリィナ!」


ザザ-……


ジュドー「……ダメだ。何だよこれ」


ウーッ
ウーッ


ジュドー「サイレン……? 何だ? 嫌な予感がする!」ダッ


>戦闘宙域


サラミス艦長「どこの馬鹿だ! 中立コロニーにケンカふっかけて来たのは!」

オペレーター「識別コード不明です! は……速い! MS部隊、押さえきれません! レーダーも捕捉不可能!」

サラミス艦長「何だと……! うっ!」


ヴォルテール「」ギィンッ


バシューッバシューッバシューッ!

ドガァァァァンッ!


ヴォルテール「」ゴォッ!


サラミス艦長「ぐ……あの至近距離でブリッジを狙わなかっただと? 損傷知らせ!」

オペレーター「各部砲座、エンジンノズル、レーダー、MSハッチ……交戦、航行、MS展開能力、全て奪われました!」

サラミス艦長「……我々を木偶の坊にしたと言うのかっ!」

オペレーター「っ! 味方艦に衝突します! 回避出来ません!」

サラミス艦長「総員、退艦……っ!」


ドッ……ゴォォ……ン



眼鏡「クク……何も直接殺す必要は無いってことさ。木偶の坊になった艦やMSは、障害となって戦況を有利にしてくれる……さあ、もっと暴れ回れ……『ゼファーファントム』どもよ」


>ストックウェル研究室 MSデッキ


ジュドー「エリシア先生! 何が起きてるの!」

エリシア「ジュドー君! サイド6が攻撃を受けているって、軍から連絡が……」

ジュドー「何だって……!」

イーノ「SガンダムとReonにも出撃要請が来たんだけど……」

ジュドー「なら早く!」

アル「……パイロットがいない。それに……Reonはまだ……」

ジュドー「――っ! アンタはいつまでウジウジ言ってんだよ! 何者か知らないけど、戦って、倒さなきゃ……リィナが、みんなが死んじゃうだろ!」

アル「わかっているさ! くそっ……せっかく……せっかく、戦争を回避できる希望が生まれるかもしれなかったのに……っ!」

イーノ「ちょっ……ジュドー、何してんの!?」

ジュドー「パイロット、いないんだろ!? 俺が行く! Reon、いいよな!?」

Reon『Sガンダムの操作には最大三人、最低でも二人のパイロットが必要です』

ジュドー「そうなの? ん~……イーノ、来い!」

イーノ「ええええっ!?」

Reon『もう一つ……強襲しているMSに『ゼファーファントムSYS』が搭載されている可能性が大です』

アル「っ!?」

エリシア「本当なの、Reon!?」

Reon『私と同じデータパターンを感知しています。間違いは無いかと』

エリシア「そん……な……ゼファーが……カインズ博士の、希望が……そんな、ことって……」ガクリ

アル「エリシア先生! くっ……イーノ君、待て! 僕が……僕がガンダムに乗る!」



Reon『Ex-Sガンダム、発進シークエンス入ります』

ジュドー「……どういう風の吹き回しか知らないけどさ、足引っ張らないでね」

アル「ああ……努力するよ」

アル(……やっぱり、怖いな。けど……逃げたく、ない。バーニィ、君もあの時、こんな気持ちだったのかい?)


エリシア「……みんな……無事で、帰ってきて」

イーノ「無理しないで!」

Reon『システム、オールグリーン。発進時のGに注意して下さい』


ジュドー「了解! ジュドー・アーシタ。Ex-Sガンダム、出るよ!」




Ex-Sガンダム「」ズゴォォォッ!



>戦闘宙域


ヴォルテール「」バシューッバシューッ!

ファントム「」ビシューッビシューッ!


ルー(ZプラスBST)「うわっとお! 乗ったはいいけど、すんごいじゃじゃ馬ね、このMS。でもっ!」バシュ--ッ!!


ヴォルテール「っ!!」ズガァァァン


ルー「パワーは充分、ってね! 使い甲斐があるわ!」


ファントム「」ビシューッビシューッ!

ファントムB「」ビシューッビシューッ!

ファントムC「」ビシューッビシューッ!

ルー「増援!? 囲まれたらマズいかな……(ピピピ)まだ来……あれ、味方?」


ジュドー(Ex-Sガンダム)「やぁぁってやるぜ! どけどけどけどけーっ!」ゴォォォォッ!

Reon『敵機、マルチロック完了。トリガーどうぞ』

アル「フルバースト!」


バシューッバシューッバシューッバシューッバシューッ!!

ズドガガガガガガアーンッ!!


ルー「凄っ……! でも、なんてゴテゴテMS……ウルトラスーパーフルアーマーヘビーデラックスナントカガンダム?」

ジュドー(通信)『そこの人うっさい! 第一、人のこと言えるMSかよ!』

アル「ジュドー君、まだ敵は多いんだ。油断するな」

ジュドー「わかってるよ!」

Reon『戦闘行動を続行します』


Ex-Sガンダム「」ゴォォォォッ!


ルー「…………賑やかなMSね」

ひとまずここまで。

>>337
シンタが言ったエゥーゴの制服はクワトロ大尉のやつです(ノースリーブ改造品だけどね……)
雷にエゥーゴ制服を着せる場合は黒タイツorニーハイになるでしょう。ミニスカートにつき注意が必要ですな。

ではまた。

お待たせしました。いきます。

※※※※※※


>ヌーベルエゥーゴ旗艦 アウーラ


「敵、新型MS確認! ヴォルテール、ファントム、押されています!」

眼鏡「……エース級が出てきたか、それともニュータイプか……だが、ゼファーファントムSYSの真価はここからだ。通常MS部隊は?」

「深海システム搭載型バイアラン隊、待機済みです」
眼鏡「そうか……深海システム使用後の帰還率は10%を割る。遺書は書かせたか?」

「我々がヌーベルエゥーゴに所属した時点で、覚悟は出来ています。今さらですな」

眼鏡「……そうだったな」


>戦闘宙域


ドガァァァァン
ドガァァァァン

ルー(ZプラスBST)「よし! また一機!」

ジュドー(Ex-Sガンダム)「数は多いけど、慣れてくりゃなんてことないね!」

アル「ジュドー君! 戦場で油断するなと言った!」

ジュドー「へいへい! にしたってさあ……」


Reon『敵機ロック。トリガーを』


バシュゥゥゥン


ファントム「」ドガァァァァン

ジュドー「コクピット狙って来ないって分かってりゃ、楽勝じゃない!」

ルー「確かにねえ」

アル(……違う、違うんだ。戦場は、戦争は……君たちが思ってるよりもっと、酷くて、悲しくて……だから僕は、Reonの開発に希望を見いだしたのに)



ヴォルテール「……」ピピピピ


――――敵機戦闘パターン解析完了。

――――心理グラフ、凡例記録適合確認。

――――最適戦闘プログラム再構築……OK




――――『ゼファーファントムSYS』対人制圧戦闘、開始。



ファントム「」ゴオッ!


ジュドー「なっ!? 特攻!?」

アル「っ! Reon! 腰部ランチャー!」

Reon『ファイア』


ファントム「」ドガァァァァン

ヴォルテール「」ゴオッ! ヴォォォンッ!


ジュドー「コ、コクピットを狙って!? なんで!?」

アル「くっ……サーベルで!」


Ex-Sガンダム「」ヴォンッ……ズバァァァッ!


ヴォルテール「」ドガァァァァン!


ジュドー「はあっ、はあっ……な、何で? さっきまでは……」

アル「……学習、したんだ。僕たちが『ゼファーファントムはコクピットを狙わない』と思っていることを。そして、『あえてコクピットを狙うことで、それ以外の部位を攻撃出来る』ということを……僕らの『驚き』や『恐怖』による心理的タイムラグが、彼らの非殺傷プログラムに抵触せず攻撃できる手段になる、と」

ジュドー「そんな! それじゃまるで、人間みたいな……!」

アル「忘れたのか? ゼファーファントムは元々『人の心を理解する戦闘プログラム』だ。それが……それが戦闘に最適化するように調整されたんだ! 人間の恐怖すら利用することは、当然なんだ! ちくしょう!」


ファントムB「」ゴオッ!
ファントムC「」ガガガガ!


ジュドー「……だ、だからって! 人間相手と変わらないってだけじゃないか! コンニャロ!」バシューッバシューッ!


ファントムD「」ゴオッ!


ルー「(ズガァァァァン!)キャアッ!? どこ狙って……!」

ジュドー「なっ……!」


ヴォルテールB「」ゴオッ! ガシャァァァン!

ヴォルテールC「」バシューッバシューッ!

ルー「ヤバッ……! 外装パージ!」


ドガァァァァン!


ルー(ZプラスBST→Zプラス)「あ……あっぶな~」

ジュドー「と、特攻で動きを止めた味方もろとも……」

アル「……最悪だ」




Reon『……(これが……私の可能性? これが、ゼファーファントムの行き着く先なのですか?)』



>ストックウェル研究室


《モニターに映る戦闘映像》


イーノ「ああっ! ガンダムが……! エリシア先生、何とかならないの!?」
エリシア「……ゼファーの緊急停止コードはさっきから発信しているの。でも……ダメなのよ! 基幹プログラムに施された非常コードなのに……まるで、ゼファーそのものが、止まることを拒否しているような……」

イーノ「そんな……」


エリシア(ゼファー……これがあなたが人間に出した答えなの? 私たち人間は……あなたと共に歩める存在ではないと言うの? なら、なら何故……あの時……あなたはカインズ博士の言葉に応えてくれたの……?)



>戦闘宙域


Reon『敵機、さらに接近』

ジュドー「んなくそぉ――――っ!!」バシューッバシューッバシューッバシューッ!

ルー「ちょっと機動性が下がったぐらいで!」バシューッバシューッ!

ドガァァァァン
ドガァァァァン

ジュドー「ど……どんなもんだっての」

アル「……Reon、増援は?」

Reon『周辺に反応は無し……(ピピッ)天頂方向に反応』


『こちら防衛部隊! ラインを突破された! 至急増援を……ぐわぁぁぁぁっ!』ドガァァァァン


アル「っ! 陽動だったのか!? このままじゃコロニーが……!」

ジュドー「な……! リィナが!」

ルー「……新型の足でも、間に合うかはギリギリ……ね」

ジュドー「くっ……! Reon! ブースター全開で……!」

Reon『(ピピッ)敵、増援! 接敵まで30秒!』

アル「……やられた。完全にはめられた。増援を無視すればコロニーに敵を近付けてしまう……けど、増援を叩けば、コロニーは……」

ジュドー「そんな……そんな……リィナァァァァッ!」



Reon『ジュドー、アル、私は本機搭載のロングスマートガンによる超遠距離狙撃を提案します』

アル「Reon?」

ジュドー「で、出来るのか!?」

Reon『理論上は可能です。実行にはパイロットに高度な精密射撃の技能を必要としますが……ジュドー、あなたの戦闘、及び精神パターンを解析した結果、一般に『ニュータイプ』と呼ばれる能力の保有者と推測されます。故に、可能と判断しました』

ジュドー「俺が……ニュータイプ?」

アル「……確かに、Reonの解析能力ならそういうことも解るかもしれないが……」

Reon『判断はジュドー、あなたに任せます』

ジュドー「……やってやるさ! リィナやみんなの命がかかってんだ! Reon、頼む! アルさんもサポートを!」

アル「わかった!」

Reon『ロングスマートガン展開。エネルギー供給開始』

ジュドー「そこのMSの人! あんたは……」

ルー「ルー・ルカよ! 狙撃する間の護衛は任せて!」

ジュドー「ありがと! 俺はジュドー・アーシタだ!」

Reon『照準ロック。ただし、微調整は任せます』
アル「機体固定、ジェネレータ出力良し。いけるぞ!」

ジュドー「ニュータイプの修羅場を見せてやるぜ! (ピキィィィィン!)っ! いっっけえぇぇぇぇぇっ!!」

Ex-Sガンダム「」ドシュゥゥゥゥゥ……ッ!









ドガガガガガガァァァ--ンッ!!



>アウーラ ブリッジ


「コロニー襲撃部隊、反応ロストしました」
「増援部隊、新型と交戦中」

眼鏡「……超遠距離狙撃。やはりニュータイプがいるか」


『バイアラン隊、出撃します』


眼鏡「ああ……ニュータイプがいるならなおさらだ。せいぜい『恐怖』を教えてやれ…………出来るだけ、帰ってこいよ」


『保証はできかねますな。まあ、運が良ければタウ・リン殿の言う『最後のショウ』に参加出来るでしょう』


眼鏡「そうだな……」

「進路クリア! バイアラン隊、発進どうぞ!」



バイアラン隊「「」」ゴォォッ



>戦闘宙域


Reon『敵機反応、ありません』

ジュドー「ふーっ……今度こそ、やったよな? またコロニーに……とか、無いよな?」

ルー「大丈夫……だと思うけど」


アル(……ゼファーファントムSYSはこのわずかな時間で驚異的に学習・進歩した……なら、次にゼファーを搭載した機体はこの経験を活かした戦闘をするはず……それが繰り返されれば……まして、戦場はここだけじゃない。そして……もし、ゼファーの非殺傷プログラムが解除されたなら……!)


ジュドー「……アルさん? どうしたのさ」

アル「あ……ああ、ちょっとね」

ジュドー「ふーん……にしてもさ、アルさんも結構やるじゃない。グチグチ言ってるから、戦えないのかと思ってたよ」

アル「はは……必死だっただけさ。Reonとこの機体が優秀なのもあって……(ピーッピーッ)っ!」

Reon『敵機、反応あり』

ジュドー「しつっこいなあ、もう!」

ルー「あら? 機体が違うわね……登録データがあるわ。バイアラン?」




バイアラン隊隊長「……サイド6、中立と言う逃げ道で戦争から目を背けた卑怯者ども……貴様らの安寧が砂上の楼閣だと教えてやる! 全機、深海システム起動! 我らの怨みを叩きつけろ!」

「「応!」」


バイアラン「」ギギギギギギギギギ……!


ジュドー「(ゾワッ)っ!? な……なんだ、この感じ……!」

アル「ジュドー君?」

ルー「(ザワッ)っ!? ひっ……!?」



メキメキメキメキメキメキメキメキィ……!



Reon『!? 敵機周辺に、機体反応!』


シュゴゴゴゴゴゴ……!






バイアラン棲機群「「オオオOOOォォォ――――!!」」


・機動ド級航宙el(リックドム)×無数
・機動ゲ級el(ゲルググ)×無数
・機動ジ級改el(ジムカスタム)×無数



ジュドー「あ……ひ……が、ああ……っ!」ガタガタ

ルー「ひぎ……い…………っぎ……っ!」ビクッビクッ

アル「ぐ、ううっ……! ジュドー君!? 大丈夫か!?」

Reon『アル! ジュドーの心拍数が危険域に入っています! あなたも脳波に異常が確認されています! 原因はあの正体不明のMSと予想! 一刻も早く戦闘宙域から脱出して下さい!』

アル「そうしたい……けどっ!」



バイアラン棲機「Oチロォォォッ! ガNDAムゥゥゥッ!」バシューッバシューッバシューッ!

ド級el「」ドパァンドパァン!

ゲ級el「」バシューッバシューッ!

ジ級el「」ガガガガ!


Ex-Sガンダム(Zプラス保持)「」ゴォォォッ!


アル「くうっ! とても逃がしちゃくれそうに無い!」

Reon『オートロックで弾幕を張ります! トリガーを!』

アル「機体制御で手一杯で、そんな余裕も……(ドガァァァァン!)うわぁぁぁっ!」

バシューッバシューッバシューッ!
ガガガガガガガガ!
ドパァンドパァンドパァン!

バイアラン棲機「UオオOOOォォォ――ッ!!」ゴオッ!

バギィンバギィンバギィンバギィンバギィンバギィンッ!


Reon『Iフィールド、出力低下! アル! トリガーを! トリガーを引いて下さい! アル!』


アル「う……ああ……っ!」


アル(…………身体が、動かない……僕は、ここで死ぬのか?)



アル(……ごめんよ、バーニィ……あの時の君みたいに、大切な人たちを守りたかったけど……僕には、できなかったよ…………)





――――諦めんなよ、アル




アル「――――っ!? バー、ニィ……?」


Reon『っ!? コクピット内に、生体反応……!? いえ、人間の精神パターン……!?』



アル「バーニィ……! 本当に、本当に、バーニィなの……!?」

バーニィ『……さあ、どうなんだろうな。身体は半透明だし、モニターは通り抜けるし……俺は確かに死んだはずなんだが……あんまりアルが泣くもんだから、あの世に行けなかったのかもな』

アル「バーニィ……!」

バーニィ『ま、そんなのは後まわしだ。あのヘンテコなMS……あいつらをどうにかしないと、サイド6がヤバいんだろ? なら……なんとかしないとな』

アル「う……うん。でも……」

バーニィ『大丈夫だ』

アル「えっ?」

バーニィ『俺たちは、昔、ガンダムだって倒したんだぜ? そんな俺たちが今はガンダムに乗ってる……なら、負けるはず、ないだろう?』

アル「…………ぷっ! あはははは! そうだった……そうだったよね!」

バーニィ『さあ、やろうぜアル! 今度は一緒に、コロニーを守るんだ!』

アル「うん! いこう、バーニィ!」



Reon『……システム再起動。戦闘パターン確認。パイロット精神パターン、規定値突破確認』



Reon『リミッター解除。モード『Reon』起動します』





Ex-Sガンダム(Reon)「」ギカァンッ!

……いいとこですがここまで。
次回はがっちり暴れさせたいです。

ではまた。

いきます。

※※※※※※


キュゴアッ!


ゲ級el「」バシューッバシューッ!


Ex-Sガンダム「」バシバシィィィィン


アル「Reon? 僕は操縦してないぞ? それにIフィールドも出力が戻って……」

Reon『パイロットの精神高揚に伴い、緊急回避モード『Reon』発動中。持続時間は150秒です』

バーニィ『その間に勝負を決めろってことだな?』

Reon『肯定です』

バーニィ『よし。ならこいつと、あっちの機体のパイロットをなんとかしてくる。アルはその間、持たせてくれ』

アル「……わかった、やってみる!」

バーニィ『すぐ戻るぜ』スッ……


アル「…………よし、いける! Reon!」

Reon『敵機マルチロック完了。トリガー、どうぞ!』


バシューッバシューッバシューッバシューッバシューッ!


ド級el「!?」ドガァァァァン

ジ級el「!!」ドガァァァァン

バイアラン棲機「(ズガァァァン!)GAァァァッ!? オNOレェ!」バシューッバシューッ!


アル「うわっ! と……やっぱり、あのデカいのだけ、手強い……それに、あれは霧から出てきたのと違って、MSから変わって……なら、人間が中に……(バシューッ!)くうっ!」

Reon『アル、照準は私が。今は切り抜けることを第一に』

アル「……そうだね。頼む、Reon!」


バシューッ! バシューッ!


ゲ級el「!!」ドガァァァァン




ジュドー(暗い)

ルー(寒い)

ジュドー(怖い)

ルー(恐い)


ジュドー(あれは『死』)

ルー(あれが『死』)

ジュドー(宇宙は、全てあんなものに満たされている)

ルー(私たち人間なんて、敵わない)


ジュドー(キエル)

ルー(キエル)


ジュドー(オレガ キエル)

ルー(ワタシガ キエル)


((キエテ……イク……))



――――まだ、だ


((――――っ!?))


――――もう少し、頑張ってくれ。そうすりゃ……俺たちが、なんとかするから。


――――だから……今は、眠りな。





ジュドー「う……」カクリ

ルー「んっ……」スウスウ


バーニィ『……落ち着いたか。直感的に声かけただけでも、なんとかなるもんだな。あとは……』スッ


《Zプラスのコントロール:マニュアル→オートパイロット》


バーニィ『……手ぇかざしただけで操作できるとはな。幽霊になったからポルターガイストが使えるってか? 上手く逃げろよ』



Zプラス(オート)「」フィィィィ……ゴォッ



バーニィ『アル、待たせた』

アル「バーニィ!」

バーニィ『ガンダムのAIさんよ、残り時間は?』

Reon『90秒を切りました』

バーニィ『よし……アル、接近戦のコントロールは俺がやる。アルは……』

アル「射撃武器だね。大丈夫だよ」

バーニィ『ふふ、でっかくなって頼もしくなったじゃないか。なら……任せるぞ!』

アル「OK!」

Reon『敵機、来ます!』


バイアラン棲機A「ウォォOOOォォッ!!」ゴォッ

バイアラン棲機B「シZUMEェェェッ!!」ヴォォン


バーニィ『一年戦争の……ザク乗りをなめるなぁぁぁぁっ!!』


Ex-Sガンダム(二刀流)「」ヴォヴォォン!

ズバシャァァァッ!


バイアラン棲機A「GA……アAッ……!?」バヂバヂバヂ

バイアラン棲機B「バKA……NA……ッ!」バヂバヂバヂ


ドガドガァァァァンッ!!



アル「凄いや、バーニィ!」

バーニィ『このくらいは、な。でなきゃ隊長たちに怒られちまう』

アル「あはは、ありそう」

バーニィ『さあ……残りもやるぞ!』

アル「うん!」

バァァァニィ!どうして貴様が此処にいるぅ!バァァァニィ!
お前は死んだんだぞ?駄目じゃないか、死んだ奴が出てきちゃあ!
死んでなきゃァァァァア!!

なんでシーブックとリディ共闘してんの?



>アウーラ ブリッジ


眼鏡「……新型の動きが変わった?」

「し……深海化バイアラン撃墜数4……6、7!?」
「『霧』の濃度、薄くなっていきます! 深海棲艦増援、止まりました!」

眼鏡「ちっ……あの機体から『ゼファー』と同じ反応がある……『意思持つ機械』か。ならば深海棲艦……『負の意思』が散らされるのもやむ無しだ」


眼鏡(先程まではこちらのゼファーと何ら変わりない動きだった……だが、今は『オリジナル・ゼファー』そのもの……教育者の腕、か。くそっ)

眼鏡(あるいは、深海棲艦に誘われた死人がパイロットに力を貸しに来たか……ふん、死人は大人しく眠っていればいいものを)


「このままでは……」

眼鏡「……バイアラン隊が万一『戻る』場合もある、それまで待機だ。帰還、あるいは全滅を確認次第離脱……貴重なデータだ。記録、忘れるな」

「りょ、了解」

眼鏡(まあいい……敗北すらも糧となる、そう仕向けている……それが俺たち、ヌーベルエゥーゴだ)




眼鏡(全ては『最後のショウ』の為……その布石なのだから)



>戦闘宙域


バシューッバシューッバシューッ!

ドガァァァァン!
ドガドガァァァァン!


Reon『背後に機影、5!』

アル「リフレクターインコム、射出! バーニィ!」

バーニィ『あいよ! 角度、任せた!』バシューッバシューッ!

Reon『調整、良し!』


ゲ級el群「「っ!?」」ドガドガァァァァン!


Reon『通常MS型、残存数無し。大型機、残り2』


バイアラン棲機「キSAMAァァァァッ!」ヴォォンッ……ゴォッ!


アル「来る!」

バーニィ『なんとぉぉ――っ!』ゴォッ!


ガキャァァァンッ!


バイアラン棲機「GAアッ……! TAIアタRI、ダTO……(バチバチバチ)グ、GAAAァァァァッ!?」パキパキ……パキ……


バーニィ『っ!? な、何だ?』

アル「元の、MSに戻っていく……」



「ぐ……うう……深海システムが、壊れたのか……?」

バイアラン棲機「SAガレ! ココHAモウイI!」

「隊長! しかし……」

バイアラン棲機「セKKAクMODOレタIノチWOムDAニスルNA! サGAレ!」

「くっ……了解、しました……ご武運を!」ゴォッ!


アル「撤退、した……」

バーニィ『あれが……隊長格みたいだな』


バイアラン棲機「サSUGAHAシンGAタTOIッテOコウ……DAガ! OレWOトメRAREルトOモウNAァァァァッ!!」ゴォォォッ!!



バキィンバキィンバキィンバキィンッ!


Reon『残り、20秒!』

アル「くっ……もう、あなた一機だけなのに……! どうして! どうしてそこまで!」

バイアラン棲機「ワカRUマイ……キサMAラニハ……NAニモノニモ、カエリMIラレルコトNAク……レKIシニウモレTEイッタ、ワレRAノコエハ!」
アル「だからって……だからって! こんな……こんな悲しみばかりが拡がる戦いを繰り返して! なんにも……なんにもならないじゃないかぁっ!」

バイアラン棲機「モトYOリショUチノウE……! ワレRAハIシズエ、チRUガサDAメダァァァァッ!」ヴォォン……! ヴォァッ!


バキィン! バヂバヂバヂバヂ……!


アル「……あなたが戦いを止めないなら……止めないなら……僕は……僕は!」

スッ……


アル「バーニィ……?」

バーニィ『いいんだ、アル……それは、俺の役目だ。お前は……戦争の悲しさを知るお前は、手を、血で汚す必要は無い』

Reon『残り10、9……』


バーニィ『あんたの言うことも、ある意味正しいのかも知れない……けど……俺は、アルに、生きている人たちに、笑っていて欲しいから……ごめんな…………あんたを、殺すよ』


Ex-Sガンダム「」フィンフィンフィンフィンフィン……!


バーニィ『胸部ハイメガ粒子砲……発射!』




ズオォォォォォォォォォォ----ッッ!!



バイアラン棲機「オ……OOッ……! MAダ……マDA……オレHA……OREハ……ッ! ウOOオオォォォォォォ――――ッ!!」





ドガァァァァァァァァンッ!!




>アウーラ ブリッジ


「……バイアラン6番機、帰還しました。後続、ありません」

眼鏡「そうか……黒色ガス展開、潜宙してサイド6を離脱する」

「了解」


『……艦長。ただいま戻りました』

眼鏡「ああ。よく戻った」

『しかし、自分は隊長を……っ!』

眼鏡「……深海システムはほぼ特攻兵器だ。今は生き延びたことを喜び、次の作戦に参加すればいい」

『はっ……!』プツン


眼鏡「……奴に美味いメシでも用意してやってくれ」

「了解です」




眼鏡「……俺たちは所詮日陰者だ……だからこそ……タウ・リン、俺たちを導いてくれ……」



>サイド6近海


Ex-Sガンダム「」プシュゥゥゥゥゥ……


Reon『モードReonカウントゼロ、強制排熱開始します』


アル「…………終わっ……たぁ…………はぁぁ~っ」

バーニィ『はは、お疲れさん』

アル「本当だよ。でも、何とかなって良かった…………バーニィ? 身体が、光って……?」

バーニィ『ん……? ああ……どうやら、お別れの時間らしい』

アル「っ!? そ、そんな! せっかく……せっかくまた会えたのに! もっと居てよ! いかないで!」

バーニィ『……なあ、アル。俺が送ったビデオレター……覚えてるか?』

アル「……覚えてるさ! 当たり前だろ!」

バーニィ『あの中で、約束したよな。生きていたらまた会おう、って……俺は死んじまったけど、こうしてアルに会えて……きちんと、お別れを言ってさよならできることが、すごく嬉しいんだ。あの時は……あのビデオレター以外、なんにも、伝えられなかったから、さ』

アル「そんな……そんな寂しいこと、言わないでよ! 僕はずっと……ずっとあの時のことを……!」

バーニィ『……アルは今、何をやっているんだ? 大人になったアルがどうしているか……教えてくれよ』

アル「…………僕は……僕は、このガンダムに使われているAIの……Reonの研究を手伝ってるよ。戦争をしなくていいように……バーニィや僕みたいな思いをする人が、もう現れないように……!」

バーニィ『そうか……そいつは凄いな。アルなら、きっと出来るさ。戦争のない世界か……俺も、見て見たかったな』

アル「見せてあげるよ! きっと見せてあげるから! だから、だから……もう少しだけ……側に居てよ! バーニィ!」

バーニィ『……ごめんな、アル。俺もそうしてやりたいけど……俺はもう、死んでいるんだ。いつまでも、生きている人間に影響を与えちゃいけない……でなきゃ、生きている人間はずっと死人に囚われなくちゃいけなくなる…………だから、さよならだ』

アル「バーニィ! 待って! 待ってよ!」

バーニィ『アル、俺の言ったこと……連邦だとか、ジオンとかに拘らず、誰も憎まないでいてくれたこと……覚えていてくれて、嬉しかったよ。ありがとう……これからも、その気持ちを忘れないでいて欲しい』

アル「バーニィ!」





――――元気でな、アル……






アル「……忘れない……忘れないよ…………きっと……ずっと…………忘れない、から…………」



>サイド6 ストックウェル研究室


イーノ「ジュドー! 無事で良かった!」

ジュドー「ああ、うん……まあな」

ルー「エゥーゴからここの担当の任務がさっき来まして……え~っと、こちらが辞令です。お世話になります」

エリシア「ええ、これからよろしくね」

ジュドー「あの、エリシア先生、アルさんは?」

エリシア「アル君? Sガンダムのデッキにいるはずだけど……」

ジュドー「ども。ちょっと行ってきます」タタタ

イーノ「ジュドー? どうしたんだろ……」


>MSデッキ


ジュドー「アルさん!」

アル「ジュドーくん……? どうしたんだい?」

ジュドー「あの……俺が気絶してる間、戦ってもらって……ありがとうございました! アルさん、本当は強かったんですね。馬鹿にしちゃったりして、ごめんなさい!」

アル「……いや、僕は弱いよ。昔と変わらず、泣き虫で……戦えたのは、大切な友達が力を貸してくれたからさ」

ジュドー「友達……? あれ? それは……ジオンの階級章?」

アル「うん、そうだよ。友達が僕にくれた……大事な、宝物だから」


《すりきれたジオンの階級章》





Reon(人は……死してなお、遺された人を想うものなのでしょうか? 道理を、条理をも覆すのが人の意思……想いだと言うのなら…………私は、それを知りたい。知りたいと『想う』…………人の『心』を)

今回はここまでです。

>>413>>414
やっぱ皆さん声優ネタ好きですねw
俺も仕込んじゃったけど……

次回、アポロ作戦月面パートです。
ガトーとカミーユのザッピングになるなあ……頑張ります。



では。

いきます。

※※※※※※


サイド3襲撃前……

>フォン・ブラウン アーガマ艦内


カミーユ「……とりあえずファとフォウのプレゼントは買ってきたけど……どう渡したものやら」コソコソ

北方(段ボール被り)「カミーユ、メタルギアゴッコ?」ワクワク

カミーユ「いや違うから……なんだろ、何故か段ボールからガトー大尉が出てきて『待たせたな』って言う光景が……」

北方「ア。ふぁトふぉう、イタヨ」

カミーユ(カバーアクション)「うおっ!?」ササッ



ファ(号泣)「うっ、うっ……そっか、フォウはそんな辛い目に……もう大丈夫だからね! 何かあったらすぐ私に言ってね!」ガッシ

フォウ「うん、ありがとう……私もファが友達になってくれて嬉しいな。ねえ、ファの知ってるカミーユのこと、聞いてもいい?」

ファ「いいわよ。えーっとねえ……」



カミーユ「…………いつの間に二人が仲良くなっている件……俺の苦労って一体……」orz

北方「元気ダセー」ポンポン

タコヤキ機「ヴォー」


ファ「でね、カミーユったらまだジュニアハイにもならないうちからエロ本をこっそり……」

フォウ「え、え、そこ詳しく」ゴクリ


カミーユ「だああああああああっ!? よりにもよって何つーこと話してんだお前ぇぇぇぇっ!?」

ファ「あら、噂をすればムッツリスケベが」

フォウ「ね、ね、初めてのエロ本が女教師モノだったって本当?」ドキドキ

カミーユ「だからあれは友達が無理やり渡してきたものだって前に言ったろ!」

ファ「どーだかー」


北方「ンー……コンナ感ジ?(メガネ装備)セクシー?」

タコヤキ機「ヴォー?」



>地球 スードリ機内


エリアルド「強権を行使してまで、わざわざ助けて頂いて……ありがとうございました」

ジェリド「なーに。こっちとしても貴重な『TR計画』の生き証人を捏造裁判で消されちゃかなわないからな……ジャミトフ閣下のデータがなかったらと思うと、ゾッとする」

マウアー「ヘイズルタイプの機体も何とか都合できるみたいです。流石に『TR-6 ウーンズウォート』は無理でしたが……」

エリアルド「え……? 待って下さい。あの機体は自分が破壊したはずです! 残っているはずが……!」

ジェリド「……データが残っていて、復元されたんだろうな。物流リストには、前線部隊に搬入された記録がある」

エリアルド「なんてことだ……」

マウアー「ハンター中尉の懸念は……(ピピッ)これですね。ウーンズウォートの最大武装形態『インレ』……」

ジェリド「全高100m超の巨大MA……こんなもんどこが扱って…………っ!?」

エリアルド「ジェリド特尉?」

ジェリド「搬入先は……ジュピトリス。艦隊責任者、パプテマス・シロッコ……要求理由は新型MSの研究素材用だと……!?」


>フォン・ブラウン市内


夕立「ドーナツぽいぽい~♪ お口にぽいぽい~♪」パクパク

ガトー「いつまで……いや、どこまで食べる気だお前は……」

夕立「夕立のドーナツ用別腹はあと108式あるっぽい!」フンス

ロザミア「見てたら胸焼けしてきちゃったわ……うっぷ」

夕立「あ、あっちも面白そうっぽい! 少佐さん、ロザミアちゃん、早く来るっぽーい!」テテテ

ガトー「ああもう! 危ないから走るなと……!」


ドシン


夕立「ぽいっ!?」

女性「キャッ!?」


ガトー「……言わぬことではない!」



夕立「はうう……ご、ごめんなさいっぽい。大丈夫っぽい?」

女性「え、ええ……あっ、書類が……」

夕立「あっ。拾うの手伝うっぽい!」


ロザミア「夕立ちゃーん、大丈夫ー?」タタタ

夕立「うん、夕立は平気っぽい。でも、書類が……」

ガトー「まったく……申し訳ない、うちの者が迷惑をかけ……っ!?」







ガトー「ニナ……パープルトン……」


ニナ「っ!? ガトー……あなた、生きて……?」



夕立(むっ)キピーン

ロザミア(? 夕立ちゃんがしかめっ面に……?)



ニナ「……久しぶり、ね。元気……と聞くのもおかしいけれど……」

ガトー「……ああ、そうだな」

夕立「……む~っ」ギュッ

ガトー「夕立?」

ニナ「あら……かわいい子ね。親戚か何か?」

夕立「夕立は少佐さんのお嫁さんっぽい!」ガルル

ガトー「……なにをムキになっているんだ、お前は」

ロザミア「えっと……お兄ちゃんの知り合い?」

ニナ「(お、お嫁さん!? お兄ちゃん!?)………………え、と……何やら、複雑な事情がありそうね」タラリ

ガトー「……何か、物凄く失礼な想像をしていないか? そして何故後ずさる」

夕立「オバサンこそ、少佐さんの何っぽい?」フシャーッ

ニナ「オバ……ッ!? し、知り合いよ! た、だ、の! そうよねガトー!」キシャーッ

ガトー「あ、ああ」


夕立「ふーん」ガルル

ニナ「ふっん!」フシュー




ロザミア(涙目)「(コワイ……)えっと……書類、拾わなくていいんですか?」ウルウル

ガトー(どうしてこうなった)



書類拾い中……


ガトー「あ~……オホン。ニナ、君は今もアナハイムに?」

ニナ「……ええ。最も今は仕事の関係でコロニー公社に出向中だけど……」ムスッ

夕立「むーっ」ガルル

ガトー「……夕立、腕にしがみついたままでは動き辛いのだが」

夕立「知らないっぽいっ」プイッ

ニナ「……貴方、ロリコンに鞍替えしたの?」

夕立「少佐さんに失礼なこと言うなっぽい! 夕立はちゃんと大人の女っぽい!」ウガー

ニナ「すぐ怒る。それが子供だと言ってるの」

夕立「ぬぎぎぎぎ……!」グヌヌ


ロザミア(涙目)「お兄ちゃん……このギスギスした空気何とかして……」

ガトー「すまん……無理だ………………ん?」ペラリ


《コロニー搬送計画が書かれた書類》


ニナ「あ、それ……一応社外秘だから見なかったことにして」

ガトー「…………ロザミア、そちらも見せてくれ」

ロザミア「え? はい」

ニナ「ちょっと!? 社外秘って言って……!」

夕立「少佐さんが何か見つけたんだから黙ってるっぽい!」

ガトー「この進路……艦隊の予想位置は……なら、狙いは…………ニナ! この計画はティターンズの要請なのか!?」

ニナ「そ……それは外部に言うわけには……」

ガトー「一刻を争うんだ! 答えろっ!」

ニナ「……そ、そうよ。新しい体制に、コロニーを移設する必要があるからって……」


グシャアッ!


ガトー「……おのれバスク・オム! どこまで我々の思いを踏みにじるかっ! 夕立! ロザミア! 急ぎ戻って出撃だ! ニナ! 君はフォン・ブラウン市民に退避勧告を!」

ニナ「えっ……?」

夕立「ど、どういうことっぽい!?」

ガトー「この計画は……星の屑作戦の焼き直しだ! 2基のコロニーを運び、事故を装い衝突させ……コロニー落としを仕掛ける! その狙いは……ここ、フォン・ブラウンだ!」

ニナ「そんな! だって……これはあの時と違って、『有人コロニー』なのよ!?」

ガトー「スペースノイドならいくら死のうと構わないと……バスクはそういう人間だ! だが、そうはさせん!」ダッ

夕立「夕立も行くっぽい!」タタタ

ロザミア「コロニー落とし……やらせない!」タタタ



>アーガマ 艦内


ブライト「フォン・ブラウンにコロニー落としだと!?」

ガトー(通信)『間違いない。移動経路、予想艦隊位置、時間……何もかも、星の屑そのものだ! フォン・ブラウンにも足止めの部隊が来るはず……もろともに潰す為の!』

ブライト「なんて……なんて外道な! 有人コロニーをコロニー落としに使い、味方もろともコロニー落としの犠牲にするなど!」

ガトー『味方部隊ごとソーラーシステムで焼いたバスクならば必ずやる! 私は先行してコロニーに向かいコロニーを止める! アーガマはフォン・ブラウンの防衛と……万一に備え、市民の避難を!』

ブライト「……わかった、頼んだぞ!」

ガトー『承知!』


ブライト「総員に通達! 第一級戦闘配置! アーガマ、発進準備!」


>MSデッキ


ガトー「急げ! 夕立!」

夕立「ぽいぽいぽい~っ!」

ロザミア「アストナージさん! プルトニウスに追随できる機体、あります!?」

アストナージ「足が速いやつか? 新型がいくつか搬入されてる。細身のやつが速いぞ!」

ロザミア「ありがとう!」


ガトー「ハッチ開けてくれ! Zプルトニウス、発進する!」

夕立「パーティ始めるっぽい!」



Zプルトニウス(WL)「」ゴォォォッ!


ロザミア「続きます! Zプロンプト、ロザミア・バダム、いきます!」



Zプロンプト(WL)「」ゴォォォッ!




ガトー(元デラーズフリートの私がいたのが貴様の運の尽きだ……後悔させてやるぞ、バスク・オム!)

【インフォメーション】


アーガマに『Zプロンプト』が配備されました。

Zプロンプトには『簡易型サイコフレーム』が採用されています。

今回はここまで。

紫tさんは出すか迷いましたが……夕立の噛ませをやって頂きました(ゲス顔)

次回、カミーユとか、シロッコとか。あと出来れば野獣さんも出したい。

では。

遅れました、いきます。

※※※※※※


カミーユ「コロニーが落ちて来るって、本当なんですか!?」

アストナージ「ああ、観測班も確認した。ガトー大尉が止めに向かってる」

カミーユ「なら、俺も……(ピキィィィン)っ!? 何か、プレッシャーが迫ってる? コロニーじゃ、ない……?」

アストナージ「ニュータイプの勘か?」

カミーユ「多分……アーガマの護衛に回ります!」

アストナージ「おう! お前のZだがな、戦艦用に開発した対深海棲艦システムを応用したから、サイコミュの負担が下がっているはずだ。それで……データにあったお前の深海棲艦の力、そいつをある程度意識的に扱える。わざわざ『変身』しなくてもな」

カミーユ「ありがとうございます!」

アストナージ「だが軽々しく扱うんじゃないぞ。最悪……お前が深海棲艦になったまま、戻れなくなることも考えられるんだからな」

カミーユ「……無茶しない、なんて言えませんけど……気をつけて使います」

アストナージ「お袋さんも心配してんだ。ちゃんと無事で戻ってこい」

カミーユ「はい! Zガンダム、カミーユ・ビダン。いきます!」


Zガンダム(WL)「」ドシューッ




北方「アー、カミーユ、行ッチャッタ?」フワフワ

タコヤキ機「ヴォー」

アストナージ「お、北方棲姫……だったか? カミーユを助けに行きたいのか?」

北方「ン」

アストナージ「なら、ひとつ試してもらいたいのがあるんだ」


>ドゴス・ギア ブリッジ


シロッコ「む……? エゥーゴの部隊、展開が早いな。察知されるような行動はなかったはずだが……」

「味方部隊の集結まで、まだ時間がかかりますが……」

シロッコ「……ふむ。幸い、我々の部隊は足が速い機体が多い……陽動と偵察を兼ねて、ひと当て仕掛けるとするか(ピッ)ヤザン大尉! 出撃準備はいいか?」

ヤザン(通信)『あいよぅ。ちょうどさっき、お嬢ちゃんの訓練が終わったとこだ。直ぐ実戦に出せば良く育つぜ』

サラ「星が……星が光って……回って……パプティマスさまが……飛んで……」ヘロヘロ

ダンゲル「……あーあ」

ラムサス「まあ、そうなるよな」


シロッコ「なら、先鋒を任せよう。サラも連れていってくれるか? 私も新型を慣らしておきたいのでな……我ながらギリギリの機体だ、慎重にいきたい」

ヤザン『任された。対価はあとで美味い酒でも奢ってくれ』プツン



ヤザン「ほれ、出撃だ。しゃんとせんか!」パシーン

サラ「痛い! だからお尻叩かないで下さいってば!」

ラムサス「隊長、お先に」

ダンゲル「嬢ちゃん、遅れんなよー」


ハンブラビ×2「「」」バシューッ バシューッ


サラ「うう、また私を嬢ちゃんと……」

ヤザン「さあ乗った乗った!」



ヤザン「ハンブラビ。ヤザン機、出るぞぉ!」


サラ「パプティマスさまは何であんなのがいいのか……ボリノーク・サマーン。サラ・ザビアロフ、いきます!」


ハンブラビ「」ゴォッ

B・サマーン「」ゴォッ



>アーガマ ブリッジ


トーレス「敵、新型艦を確認! MS部隊展開しています!」

ブライト「あちらも対応が早いな」

サエグサ「集結する部隊を感知! 戦力比、約1対3!」

ブライト「各個撃破が間に合うか……(プシューッ)誰だ! 戦闘中だぞ!」

間宮「あ……私です。ごめんなさいブライトさん」

ブライト「間宮? 何故ブリッジに」

間宮「あの……私も艦娘ですから、何かしらアーガマの力になれないかと……給糧艦として、とは言いましたが、やはり……じっとしていられなくて」

ブライト「……ふう、仕方ない。そちらにヘンケン中佐が設置した雷用のシートがある。そこに座っていてくれ」

間宮「はい、ご面倒をおかけします……ん、しょっと」


フィィィィ……ッ!


トーレス「な、なんだこりゃ!? いきなりアーガマのエネルギー残量が跳ね上がったぞ! ハイパーメガ粒子砲を10発以上撃ってもまだ余裕がある!」

サエグサ「ジェネレータ出力もだ! 仮にエネルギーが空になっても5秒で満タンになるぞ!」

ブライト「……どうやら、効果はあったみたいだな」

間宮「お役に立てたなら嬉しいです」

ブライト「これなら……(ピッ)アストナージ! 『パラライザー』の調整は万全か!?」

アストナージ(通信)『問題なしです。バックファイア対策もしてますんで以前のようなことは無いですね』

ブライト「よし……各艦に通達! アーガマを囮にしつつ敵を誘因、『パラライザー』にて足を止めた後、反転。一斉攻撃に入る! また、コロニーの接近あれば見逃すな! いざとなれば、ハイパーメガ粒子砲の連発でコロニーを破壊する!」




間宮(このシート……雷ちゃんのサイズだからかしら? お尻が……キツいわ…………私、太ってないわよね?)タラリ

>月周回軌道上


カミーユ「先行する新型艦……プレッシャーはあそこからだ。けど、それ以外にチリチリする感覚がある…………(ピキィィィン)っ! 来た!」ゴォッ!


バシューッ! バシューッ!


ヤザン「はっはぁ! Zガンダムとやら、よくも避ける! だが一機だけではなぁ!」

ラムサス「囲いこむぞ!」バシューッバシューッ!

ダンゲル「援護、任せろ!」バシューッバシューッ!

カミーユ「っ! こいつら、戦い方が巧い! とにかく、一機だけでも……(WL→MS)シールド、プラズマリーダー展開!」シュパパパ バリバリバリバリ!

ヤザン「うおっとお! スタン兵器か! しかも可変MSと来てる……だが、こっちもあるんだよ! ラムサス! ダンゲル! 『海ヘビ』を仕掛けるぞ!」

ラムサス/ダンゲル「「了解!」」

カミーユ「外した!? ならグレネードで!」バシュバシュン


ズガァン!


ラムサス「ダンゲル!?」

ダンゲル「大丈夫だ、ビームガンをぶつけて相殺した!」

ヤザン「今だ! ワイヤー発射!」パシュン シュルルル……

シュルルル シュルルル


カミーユ「(ガクン)っ!? 牽引ワイヤー? このぐらい、引きちぎって……」

ヤザン「高電圧でたっぷり痺れな!(カチリ)」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリィ!!


カミーユ「う、うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」バリバリバリバリバリバリ!


サラ「す、凄い……エゥーゴの新型をああも容易く……なら、とどめは私が!」ゴォッ!

ダンゲル「あ、馬鹿! よけいなことを……!」

カミーユ「ぎ……ぎぎ……Z! フルパワーだ!」←スロットル踏み込み


Zガンダム「」ギィン! グ……グググ……ッ!


ラムサス「なっ!? 引っ張られる!」

ヤザン「っ! ワイヤー切り離せ!」ブチン

ダンゲル「うわわっ!」ブチン

ラムサス「(グイイッ)うわ……どわわぁぁぁぁぁっ!?」ギュオン!

サラ「え?」


ドガシャーンッ!


サラ「きゃああぁぁぁぁ~……」キラーン

ラムサス「た、隊長ぉぉぉ~……」キラーン


ヤザン「あ~……ま、あっちにはドゴス・ギアがあるし大丈夫だろ」

ダンゲル「やっぱ嬢ちゃんに実戦は早かったですかね」

ヤザン「生きて帰れりゃ立派なもんだ。さて、奴さんはまだ健在だ。手強いぞ」

ダンゲル「はっ!」


カミーユ「ふう……ふう……いけないな、今まで上手くやれたからって慢心してたか……クワトロ大尉もガトー大尉もいないんだ、しっかりやれ、カミーユ!」

これが海軍のアイドルの力……



>ドゴス・ギア ブリッジ

「ヤザン隊、交戦開始しました!」
「ラムサス機、サラ機、機体損傷につき着艦」
「敵旗艦アーガマ、先行して……止まった? いや……誘っているのか? MSの発進を確認」

シロッコ「ふむ……ドゴス・ギアは現宙域で待機、接近する敵のみ迎撃しろ。私はジ・Oで出る」

「はっ。お気をつけて」


>MSデッキ


シロッコ「調整は大丈夫だな?」

メカニック「はい、ですが……『腕』を組み込んだ効果についてはまだ未知数です。十分気をつけて下さい」

シロッコ「気遣いすまんな。何、私ならやってみせるさ……今回は慣らしだ、『ファイバー』ユニットのみでいく」

メカニック「了解です。ファイバーユニット接続しろ!」


――――ガキィィィンッ


シロッコ「ふ……私の提供したメッサーラのデータがこんな形で帰ってくるとは……ツキは今、私にあるということだ」


ジ・O=ファイバー「」ギィンッ


「牽引アーム解放! 発進どうぞ!」

シロッコ「ジ・O、出るっ!」


ボッ ボッ ボッ……

ズゴォォォォォォォォォッ!!



>戦闘宙域


バシューッバシューッ!

バシィィィン!


ダンゲル「くそっ、あのシールドが厄介だ!」

カミーユ「っ! もらった!」ヴォン ゴォッ!

ヤザン「やらせっかよお!」ヴォン ゴォッ!


バキィン! バヂバヂバヂバヂ!

カミーユ「くっ! だがまだ!」ガキュン バシューッバシューッ!

ダンゲル「なっ!? こっちも見ずに撃って来たぁ!?」


ズガァァァァン!


ヤザン「っの野郎!」バキィン!

カミーユ「ぐううっ!」

ヤザン「ダンゲル! 動けるか!?」

ダンゲル「あ……足をやられただけです! 支障ありません!」

ヤザン「んむ……ちぃと厳しいかぁ?(バシューッバシューッ!)っ! 後続が来やがったか!」


フォウ(Zプラス)「カミーユ! 大丈夫?」

ファ(メタス)「先走りしすぎよ!」

カミーユ「ファ! それにフォウまで! 出撃して大丈夫なのか!?」

フォウ「一応船医さんに診てもらったから」

ファ「一人で無茶してるカミーユに言われたくないわね……機体調整で遅れてたレコアさんたちもすぐ来るわ」


ヤザン「んん……新型のオンパレードか。こっちの後続はまだかかりそうだな……退くか?(ピピッ)通信……シロッコか?」

シロッコ(通信)『ヤザン大尉、待たせたな。加勢しよう』



カミーユ「よし、これなら押しきって……(ピキィィィン!)っ!? 来る!? あのプレッシャーだ!」


ドシュゥゥゥゥッ! ドシュゥゥゥゥッ!


ファ「キャアァッ!? あ、危なかった……」

フォウ「なんて、火力……機体も……!」

カミーユ「で……デカイ……!」


ゴォォォォォォォォォォッ!!


シロッコ「ふふ……感じるぞ。ニュータイプ特有のその感覚を……シャアを相手にする前の手慣らしには丁度いい!」

【インフォメーション】


アーガマに『Zプラス』と『メタス』が配備されています。

『Zプラス』と『メタス』には『簡易型サイコフレーム』が採用されています。

一休みします……また夜に続きを。


ジ・O=ファイバーはウーンドウォートの代わりにジ・OをファイバーIIに組み込んだ感じです。

ではまた。

オリジナルのTHE-Oは全長30m近くだったがこのTHE-Oは、
>>431で全長100m超え確定だから間近で見たら山ぐらいの大きさとプレッシャーに感じるだろうなぁ
つか、本来のTHE-O本体がデンドロやネオジオングのオーキス状態っぽい気がする

>>471
那珂「ハッ!? 今那珂ちゃんが呼ばれた気が…っ!」
神通「絶対に違うし有り得ないのでまずは座りましょう那珂ちゃん」

あけましておめでとうございます。
年あけてしまった……orz
いきます。

※※※※※※


>アーガマ ブリッジ


トーレス「敵、巨大MAを確認! カミーユたちと交戦、入りました!」

ブライト「くっ……なんてものを持ち出してくる! これでは、迂闊にパラライザーは撃てん」

サエグサ「後続部隊、交戦宙域を迂回して向かってきます!」

ブライト「全艦に通達! 広域展開し迎撃戦に入る!」

ブライト(数ではこちらが不利……なんとか敵を密集体型に出来れば……)

トーレス「本艦はどうします?」

ブライト「……微速後退しつつ主砲・狙撃モードにて突出する部隊を攻撃だ。カミーユたちがあのMAを何とかするのを待つ」

サエグサ「各艦、MS部隊発進します!」


ブライト「幸いにしてエネルギーに余裕はある。敵MS部隊の牽制も兼ねて撃ちまくれ!」

>>484酉忘れ失礼。

※※※※※※

>戦闘宙域


カミーユ(Zガンダム)「確かにデカイ……けど、その分死角も多いはず!」ゴォッ


バシューッバシューッ!

バシィィィン!


カミーユ「Iフィールド!? なんて硬い!」

シロッコ(ジ・Ofv)「ほお、なかなかに速い……ならば我が力、まず貴様に味わってもらおうか!」ガシュン! ドパァンッ!


マイクロミサイルポッド「」ゴォォォ


カミーユ「なっ!?」

フォウ(Zプラス)「こんな近距離で!?」


ドパパパパパパパパパッ!


カミーユ「くっ! シールド展開!」バヂバヂバヂ

シロッコ「足を止めるとはな!」グオォォッ!


《メタスに迫る巨大な砲身》


ファ(メタス)「(ドガシャァァン!)きゃあああああっ!」

カミーユ「ファ! 貴様よくもっ!」バシューッバシューッ!

フォウ「このおっ!」バシューッバシューッ!


バヂィィィンッ!


シロッコ「ふっ、無駄なことを……(バヂィィッ!)むっ、増援か」


アポリー(シュツルムディアス)「カミーユ! 待たせたな!」バシューッバシューッ!

レコア(ネモ重装型)「加勢するわ!」ドパァンッドパァンッ!

ファ「ロベルトさん……助かりました、ありがとうございます」

ロベルト(シュツルムディアス)「戦えるか?」

ファ「はい!」



シロッコ「……ふふ、数が増えたなら丁度いい。このジ・Oの真価を見せてくれる!」ガシュン! バシュウンバシュウンバシュウン!


《展開したバインダーから射出されるMA》


キハールII×6「「」」ガキュンッ!


カミーユ「なっ!? アッシマータイプのMS!?」

シロッコ「さらに!」ガキィンッ!


《ファイバーユニットから離脱するジ・O》


キハールII「「」」バシューッバシューッバシューッバシューッ!

ファイバーユニット「」ドシュゥゥゥゥッ! ドシュゥゥゥゥッ!

ジ・O「」ゴォッ! バシューッバシューッバシューッ!


ズガァァァァン! ズガァァァァン!

ゴォォォォォォォォォッ!


「「うわあぁぁぁぁぁっ!」」


シロッコ「サイコミュによる複数MS、MAの操作。それによる制圧……シャアに出来たことならば、私にやれぬ道理は無い。ふふ……ふははははは!」




『右腕』のクリスタル「」ヴォン……ヴォン……



>月周回軌道外


ガトー(Zプルトニウス)「夕立、コロニー衝突予想時刻まであと何分だ」ゴォォォ

夕立「え~っと……(ポチポチ)ああっ! あと10分切ったっぽい!」

ガトー「急がねば…………(ピピッ)見えた!」


《移動中コロニーの周囲に展開する艦隊》


ガトー「旗艦はアレクサンドリア……やはりバスク・オム!」

夕立「もう一つのコロニーも近づいてるっぽい!」

ガトー「思い通りにはさせん! 往くぞ!」

夕立「ぽいっ!」


>アレクサンドリア ブリッジ


バスク「ふふ……これで制宙権の確保に加え、忌々しいスペースノイドどもを間引きできると言うもの……(ビーッビーッ)何事だ!」

「こ、高速にて接近する機体あり! 識別信号はエゥーゴ!」

バスク「馬鹿な! 主力艦隊からはるか離れた我々を捕捉し、コロニー落としを察知したと言うのか!?」

バシューッバシューッ!

ズガァァァァン! ズガァァァァン!


「よ、4番艦機関部に被弾! 航行不能!」
「2番艦、通信不能!」


バスク「ええい、たった一機のMSに何をてこずっている! MS部隊で押し潰せ! コロニー派遣部隊にコロニーを加速させるよう伝えろ! 衝突させ、落下ルートに乗せてしまえばもはや止められんのだ!」

「り、了解!」



ヴォルテール×複数「「」」バシューッバシューッ!


ガトー「くっ、動きの速さに加え、統率が取れ過ぎている……無人機か!」ゴォッ
夕立「数も多いっぽい!」
ガトー「このままではコロニーが……(ガシャァァァン! ドガァァァァン!)ぐおっ! 自爆特攻だと!?」


ファントム×複数「「」」ゴォォォッ!


バシューッバシューッバシューッ!

ドガドガァァァァン!


ロザミア(Zプロンプト)「間に合った! お兄ちゃん、大丈夫!?」

ガトー「ロザミアか!」

夕立「ナイスタイミングっぽい!」

ロザミア「コロニーを止めないといけないものね! 援護なら任せて!」

ガトー「すまん、助かる! 時間もない……夕立! 一気にケリをつける!」

夕立「ぽいっ! いっくよ~っ!」ムムム


Zプルトニウス(サイコフレーム励起)「」ギカァン!


夕立改二「さあ、素敵なパーティ始めるっぽい!」

ガトー「往くぞぉぉぉぉっ!」ゴォォォッ!


>アレクサンドリア ブリッジ


コロニー市長(通信)『コロニー周囲で戦闘とはどういうことだ! 我々は整理計画に従い移設するだけだと……!』

バスク「……雑音が煩いな。切れ」

「は……了解、です」

コロニー市長『待て! 何を……(ブツン)』

バスク「ふん、コロニー質量を維持する必要がなければ砲撃を撃ち込んでやるものを……まだ敵は撃墜できんのか!」

「え、援護に来たMSとの連携が巧みで……機体性能も急激に上昇しており……」

バスク「深海システム搭載機を出せ!」

「し、しかしあれは!」

バスク「出せ、と言ったのだ! コロニーの加速もだ! 早くしろ!」


>MSデッキ


「嫌だぁぁぁっ! 俺はバケモノになんかなりたくない!」
「お前たち、ティターンズの仲間だろ!? 止めてくれえぇぇぇっ!」


「拘束してコクピットに放り込め」
「貴様! これが人間のしること……(パァンッ)」ドサッ
「発進、急げ」
「……ガブスレイ、出します」
「狂ってる……狂ってるよ、こんなの……っ!」




ガブスレイ×複数「「」」ゴォォォォォォ……



Zプロンプト「」バシューッバシューッ!

Zプルトニウス「」ドパァンドパァンドパァン!


ヴォルテール「っ!」ドガァァァァン

ファントム「っ!?」ドガァァァァン


ガトー「あらかた片付いたか……?」

夕立改二「そうっぽい。あとは戦艦を……っ!? 少佐さん! 深海棲艦の気配っぽい!」

ガトー「何!?(ザ……ザザ……)む……全周波通信だと……?」


『嫌だ! 誰か、助け…………ギアアアAAAGAGAGAGAッ!』
『出してくれえぇぇぇっ! ア……AAAゲエエエEEEッ!?』


メキメキメキメキメキメキィ……!


ガブスレイ棲機×複数「「」」ズオォォォォォォ……!


ロザミア「そん……な……今の、って……!」

夕立改二「嫌がってる人を無理やり、深海棲艦にした、っぽい……!?」

ガトー「…………おのれ外道がぁぁぁぁっ!」


ドッ……ゴォッ!


ロザミア「っ! コロニーのエンジンが!」

夕立改二「加速したっぽい! 衝突まで……あと3分!」

ガトー「ぬうっ……! ロザミア! もう一つのコロニーに向かい、減速させろ! 私が艦隊を足止めしておけば間に合うはずだ!」
ロザミア「お、お兄ちゃんは?」

ガトー「……全て片付ける! しかる後コロニーを止める! もはや猶予は無い! 行けえっ!」

ロザミア「……わかった! お兄ちゃんも無事で!」ガシュン ゴォッ!




ガブスレイ棲機「OOOォォォ……!」


夕立改二「少佐さん……あの中の人たちは、もう……」

ガトー「そう、か……せめて、私の手で冥府に送るまで…………南無三!」ヴォォン……キィィンッ!


Zプルトニウス「」ゴォッ!

>>489
しること→すること
誤字、カッコ悪い……orz

※※※※※※


>戦闘宙域(月面近海)


バシューッバシューッバシューッバシューッ!

ドパァンドパァンドパァン!


シロッコ「ははははは! なかなかに粘るじゃないか!」

カミーユ「ぐ……ううぅっ!」


ヤザン「く……シロッコめ、調子に乗りすぎだ! これでは援護どころか、敵の本隊に向かうことすら出来ん!」

ダンゲル「どうします?」

ヤザン「……下がるしかないだろう。ドゴス・ギアに戻り待機! 少なくとも、奴が冷静になるまではな!」

ダンゲル「了解!」


ハンブラビ×2(MS→MA)「「」」ガシュン ゴォォ……


キハールII「」バシューッバシューッ!


アポリー「くそっ、チョコマカと……(ドガガガァァン!)ぐわっ! またあのミサイルの雨か!」

レコア「弾幕で防ぐのもいい加減限界よ!」ガガガガ

ロベルト「Iフィールドも破れん! くそぉっ!」バシューッバシューッ


カミーユ「何とか……何とかしないと、このままじゃ……っ!(バキィン! バヂバヂバヂ!)くうっ!」

シロッコ「ほう、反応が間に合うか……(ピキィィィン)なるほど、月面で私に食ってかかって来たパイロット……カミーユ・ビダンと言うのか」バヂバヂバヂ

カミーユ「(ピキィィィン)っ! あの時、アンマン市を……モンブランを撃った男! パプテマス・シロッコ!」バヂバヂバヂ

シロッコ「以前より強くはなっているようだな。だが……やはり、私の敵ではない!」バキィンッ!

カミーユ「くうっ! こいつの力……『何か』がこいつに、シロッコに力を注ぎ込んでいる!?」

シロッコ「墜ちろ、カトンボ!」ビシューッビシューッビシューッ!

カミーユ「(ズガガガガァァァン!)があぁぁぁっ!?」
ファ「カミーユ!」

フォウ「やらせない……っ!?」


ファイバーユニット「」ゴォォォォッ…… ガシャァァァンッ!


「「きゃぁぁぁぁっ!」」
カミーユ「ファ! フォウ!」

シロッコ「ふ……見え見えの行動など、防ぐのは容易いことだ」

カミーユ(どうする……どうすればいい……? 深海化でこいつに対抗出来るのか? いや、こいつに深海化を使ってはいけないと、俺の直感が警鐘を鳴らし続けている。使ったが最後、取り返しのつかないことになると……なら、どうすれば……っ!)

間が空いて申し訳ない、いきます。

※※※※※※

>巡航中コロニー 制御フロア


ロザミア「制御室はこっちね……っ! ティターンズが、中にいる!」


ティターンズ士官「こちらのコロニーも加速させろ! ぐずぐずするな!」

「こ……断る! 我々はコロニー市民の命を任されているんだ! やりたくば我々を殺して勝手にやれ!」
「そうだ! 貴様らの横暴には屈しない!」
「操作コードはロックした! やれるもんならやってみろ!」

ティターンズ士官「貴様ら……! よかろう、なら望み通り殺してやる!」チャキッ


ロザミア「っ! させないっ」バキュンバキュンッ!

ティターンズ士官「がっ!? 何者……っ」

ロザミア「お兄ちゃん直伝! CQC首捻り!」


――――ゴギャッ


ティターンズ士官「」チーン
「「おー、お見事」」

ロザミア「エゥーゴの者です。皆さん、大丈夫ですか?」

「ああ、ありがとう」
「助かったよ」

ロザミア「状況が落ち着いたらコロニーを動かして下さい。私は外の支援に行かないといけないので……では」

「気をつけてな」

「……おい、このティターンズどうする?」
「とりあえず拘束して……あと、額に『肉』だな」
「「それだ」」



ロザミア「お兄ちゃんと夕立ちゃんに任せっぱなしじゃキツイものね……急がなくっちゃ」



「……目標、確認しました。確かにロザミア・バダムです」

「了解、ゲーツ大尉に連絡を。回収準備に入る」


>加速中コロニー近辺


ガブスレイ棲機群「「OOOオオオGAAAAッッ!!」」ゴォォッ!

ガトー(Zプルトニウス)「……夕立っ!」

夕立改二「……炸裂魚雷発射! ビームセイバー、フルパワーっぽい!」バシュバシュウッ! ヴォンッ……!


ドパパパパパァンッ!


ガブスレイ棲機「(ガクンッ)GIィィィッ!」

ガトー「チェストォォォォォォッ!」ゴォッ!


ザシュ! ズガッ!


ガブスレイ棲機A「――ッ!?」バヂバヂバヂバヂ

ガブスレイ棲機B「A……ア……」バヂバヂバヂバヂ


――――ア……リガ……トウ……


ドガドガァァァァァンッ!


夕立改二「――っ! 少佐さん、今……っ!」

ガトー「……いかなる戦場とて……そこには戦いに赴く者の覚悟がある……勇ましく戦うも、臆病に逃げ回るのも……だが! これは全ての戦士への冒涜だ! 許さん……許さんぞバスクゥゥゥッ!!」ゴォッ!



>アレキサンドリア ブリッジ


「て、敵機、深海システム機を蹴散らして本艦に接近してきます!」
「あ……あの機体もパイロットもバケモノだ!」

バスク「…………主砲、コロニー外壁に照準せよ」

「は? し、しかし……」「それでは、コロニーの軌道が」

バスク「月に落ちればそれで良い! 途中、強度不足で爆散しようともエゥーゴの勢力が弱体化すれば後はどうとでもなる! 復唱どうしたぁ!」

「……主砲、コロニー外壁に照準!」
「斉射まで5、4…………発射!」


ドシューッ! ドシューッ!

ドガァァァァァンッ!


ガトー「なっ!?」

夕立改二「コロニーが!」


《外壁から流れ出す土砂》
《真空に放り出され破裂する人々》

「……コロニー外壁破壊を確、認……ウプッ!」
「軌道、変……更しま……ヴェェェェッ!」

バスク「ふん、情けない……奴が対応に気を取られている間に撤退だ。単機で我々を止めに来るような奴が……コロニーを放置するはずが無いからな。例え、無駄骨だろうと……ふふふ」

「撤退……し、しかし、発進したガブスレイ隊は……」

バスク「戻らない者を待つ必要があるか?」

「りょ……了、解」



夕立改二「少佐さん! 艦隊が逃げるっぽい!」

ガトー「くっ! 逃がして……」


ガシャァァァァンッ!


ガブスレイ棲機「VAAAAァァァッ!」ギギギギギギ……!

ガトー「ぎ、がっ……うおおおおおおっ!」


ザシュザシュズバシャアッ!


ガブスレイ棲機「っ!?」ドガァァァァンッ!


夕立改二「……この人たちを無視して追うのは……無理っぽい……」

ガトー「くっ……ぐうっ……!」

夕立改二「少佐さん……!」

ガトー「…………コロニーの人々を助けるのが最優先だ! 残敵を掃討するぞ! 彼らも……救ってやらねばな」

夕立改二「っ! ぽいっ!」

ガトー(バスク……貴様と私は違う。怒りに、憎しみに捕らわれて、命を犠牲にするを良しとはしない! 夕立が……女将や大将が……シーマ中佐が教えてくれた……!)

ガトー「人々の、命の未来を守る! それが……私に許されたただ一つの道だ! 力を貸せ! 『ガンダム』よぉぉぉぉぉぉっ!」



Zプルトニウス(サイコフレーム解放)「――――っ!」フィィィィィ……ガキャァンッ!


>アーガマ ブリッジ


トーレス「敵部隊、アーガマ前方に集中しました! が……」

サエグサ「カミーユ他MS隊と交戦中のMA、前線を押し上げつつ接近中! 本艦が敵、攻撃範囲に入るまであと65秒!」

ブライト「弾幕を前方に集中! カミーユたちなら避ける! 撃ちまくれ!」


ドガァァァァァンッ!


間宮「きゃあっ!」

ブライト「ぐうっ! 攻撃、どこからだ!」

トーレス「左舷よりマラサイ複数接近! Iフィールド出力低下!」

ブライト「被害は無いのだな? ネモ隊に任せる! 左舷は気にするな!」

サエグサ「了解!」

間宮「……ブライト艦長」

ブライト「……ブリッジはきついか? エネルギーはしばし余裕がある……下がってもいいんだぞ」

間宮「大丈夫です。それに……艦長の采配を信じてますから。ミライさんの旦那様の」

ブライト「むぐっ! そ……そうか、それなら、もう少し気張らんとな。ミライに俺が情けなかったなどと報告されてはかなわん」

トーレス「妻帯者は辛いっすねえ」

ブライト「茶化すな! 前方、弾幕薄いぞ。何やってる!」

トーレス「うへーい」



間宮「ふふ……ええ、大丈夫よアーガマ。ブライト艦長は……誰よりもあなたを上手く使ってくれる。あなたの力を誰よりも引き出してくれる……解るのよ……ブライト艦長を包む、優しい思いが……それを伝えてくれるから…………」

>月周回軌道宙域


キハールII群「「」」ビシューッビシューッ!

ファイバーユニット「」ズゴォォォォォォッ!


ドガガガガドガァァァァァンッ!
ドパァンドパァンドパァンドパァンドパァンッ!


シロッコ(ジ・O)「ここまでだ! 沈めっ!」ヴォン……ッ!

カミーユ(Zガンダム)「っ!」

ファ/フォウ「「カミーユッ!」」


ドガシャァァァァンッ!


空中要塞「VOOOOOOOッ!」ガジガジ

シロッコ「なっ!? 何だこれは! 深海棲艦だとでも言うか!?」


バシューッ! バシューッ!


シロッコ「(ドガァァァンッ!)があっ!? Iフィールドを貫通する実体弾だとぉっ!?」

カミーユ「な……何が……」

北方(通信)『カミーユッ! 間ニ合ッタ!』

カミーユ「北方!? 何に乗って……っ!?」


重装型ボール(シャークヘッド?)「」ゴォォォ


シロッコ「ボール……だとぉ!? ふざけるなそんな棺桶モビルポッドでえっ! 墜ちろぉ!」バシューッ! バシューッ! バシューッ!

カミーユ「危ない! 北方っ!」

北方「コノレバー……デッ!」ガシュンッ!

――――バカァンッ!

シロッコ「っ!? 弾けた!? いや、分解したのかっ!?」

北方『カミーユ! 使ッテ!』

カミーユ「(ピキィィィン)っ! そういうことか! わかった!」

ヒュィィィィン……ヒュィィィィン……!

>アーガマ MSデッキ


アストナージ「――Zガンダムの機能は拡張の余裕が無い。なら、外付けで強化するしかない……が、下手なフルアーマー化はカミーユの負担になる」

アストナージ「なら、どうするか……その答えが『サイコミュで脱着自在にしたサイコフレームの装甲』だ。クワトロ大尉のソードブレイカーとZ計画の産物、『Gディフェンサー』がヒントになった」

アストナージ「サイコフレームの装甲はそれ自体が単体のボールとして機能し、分解して装甲に、武装に……カミーユのイメージ次第で、その用途は無限大だ」

アストナージ「さらに北方棲機とのリンクもある……今のカミーユが駆るZガンダムはクワトロ大尉と雷のゾーリンソールにすら迫るはずだ。さあ……そのデカブツに目にもの見せてやれ、カミーユ!」


>戦闘宙域


シロッコ「これは……っ!」

北方「合体ダァッ!」


ガキンガキンガキンガキンッ!

Zガンダム(フル・サイコアーマード)「」ギィンッ!


カミーユ「……パプテマス・シロッコ! お前の好き勝手もここまでだ!」

【インフォメーション】


『重装型ボール(サイコアームズ)』がアーガマで開発されました。

『Zガンダム』は『Zガンダム(サイコアーマード)』に合体可能になりました。


※Z・サイコアーマードのイメージは武者Zガンダム。丸いものがバラバラになって鎧→仮面ライダー鎧武からの連想です。


シロッコ「多少装甲を増やした程度で! 仲間もろとも消え去れぃっ!」バシューッ! バシューッ!

キハールII「」ビシューッビシューッ!

ファイバーユニット「」ズゴォォォッ!


カミーユ「……やるぞ、北方!」

北方「ウン!」

カミーユ/北方「「メガ・シールド! フルパワァァァーッ!」」


――――バキィィィィィンッ!


シロッコ「なっ……! ジェネレータ出力がそこまで上がっているというのか!? あんなボール一機に搭載できるほど小型のジェネレータを開発したと……!」

カミーユ「……わかるまい、お前には」

シロッコ「何?」

カミーユ「強大な力に呑まれて、それを振るうことに酔っているお前にはわかるまい! 俺の力が、Zの力がどこから来るかなど!」

シロッコ「戯れ言をぉぉぉっ!」ヴォンッ ゴォッ!


バキィィィィィンッ! バヂバヂバヂバヂ!


カミーユ「サイコフレームは人の意思を力に変える! 生きたいと、守りたいと……そう思い願う俺の心が! 俺に繋がるみんなの思いが! そして……俺の思いに応えてくれるZガンダムが! 俺にお前を止める力をくれるんだぁぁぁぁぁっ!」バギィィィン!

シロッコ「があっ! そんな……そんな甘っちょろいセンチメンタリズムでえっ! 戦争に勝てると思うなあっ! ファイバー! 再合体だ!」

カミーユ「させるかっ! 北方!」

北方「タコヤキ! 噛ミツケェッ!」


空中要塞「VOOOOOOOッ!」ガギィンッ!


シロッコ「ぬうっ! この程度振り払えば……っ!」

カミーユ「今だ! アーマー展開っ!」ガキュンガキュンガキュンガキュン ヒュィィィィ……ッ!

シロッコ「っ!? 装甲をパージ!? 強化を捨てるだと!?」


ヒュィィィィィィィ
ヒュィィィィィィィ


《ジ・Oを囲うように飛び回るサイコアーマー》


カミーユ「貴様とその『力』との繋がりを断つ! アンチサイコミュフィールド形成……サイコジャマー、展開っ!」


《サイコアーマーの結界に捕らわれるジ・O》


シロッコ「(ガクンッ)っ!? 何っ……!? ファイバー! 反応しろ! 動け、キハール!」


ファイバーユニット「」ヒュィィィィ……

キハールII「」ヒュィィィィ……

シロッコ「何……だと…………貴様ぁぁぁぁぁっ!」ゴォッ!

カミーユ「まだだ……一時的に封じ込めただけだ! 今のうちにぃっ!」ゴォッ!

北方「イケ―ッ!」


>加速中コロニー近辺


ズガァァァァンッ!

ズガァァァァンッ!


夕立改二「これで……ラストォッ!」

ガトー「せめて迷わず……逝けぇぇぇっ!」


――――ズガァッ!


ガブスレイ棲機「(バヂバヂ)O……ア…………オREハ……コロNIーヲ……コワSAズニ、スムNダナ……」


――――ドガァァァァァン


ガトー「……終わった、か」

夕立改ニ「…………何、で……何で……あの人たち、コロニーを壊したくないって……殺してくれて、ありがとうって…………こんなの、こんなのってないよぉぉぉっ! わああぁぁぁぁぁっ!」

ガトー「夕立…………今は、コロニーを止め、被害を抑えることが先決だ。それが……彼らの供養にもなる」

夕立改ニ「……ぽい(ゴシゴシ)泣いたりしてごめんなさいっぽい。急ぎましょ、少佐さん!」

ガトー「うむ。通信出力最大! コロニー内ではパニックのはずだ、異常に急行できるようにしておけ!」

夕立改ニ「ぽい!」


Zプルトニウス「」ゴォッ!


>コロニー内部


コロニー技師「隔壁閉鎖急げ! シェルターなんかもう役に立たん! 乗れる奴からポッドに入れろ!」

「ブースターを止めた方が……」

コロニー技師「馬鹿! ダメージを受けたコロニーが急減速なんてしたらその瞬間コロニーはバラバラだ!」

ティターンズ士官「あ、あ……何で、何で俺は置き去りなんだよぉ! 助けてくれぇ! まだ死にたくないぃっ!」

「……おいラルフ、この馬鹿どうするよ」

コロニー技師「やかましいから縛り上げて猿轡かましとけ! それから俺はラルフじゃなくてラリー・アレフ・ガンズだ!」


「ラリー! 大変だ! 破損区域にダリー君とチェリィちゃんが!」

ラリー「なっ……!?」


>コロニー破損区域 河川部


ギ……ギギ……ギィィィィィィ……!


ダリー「……ちっきしょう。親父の仕事について来てみりゃあ……ついて無ぇなぁ……」

チェリィ「ダ……ダリー……ノーマルスーツ無しで宇宙に放り出されたら……」
ダリー「非常用の酸素マスクは持ってるな? あとは水に潜ってりゃ……運が良けりゃ水が防護幕になって救助が来るまで生きられる」

チェリィ「めちゃくちゃ運任せじゃない~」


ギギギギィィィ……ッ!


ダリー「っ! アクリルストレートが限界だ! 潜れ!」ザブンッ

チェリィ「っ!」ザブンッ


メキ……メキィ……バギィィィッ!


ダリー(っ! 勢いが、強っ……! チェリィ!)

チェリィ(ダリー……ッ!)


ゴォォォ……ッ!


ダリー(……? 急に、暗く……何が…………っ!?)




Zプルトニウス「」ヴォンッ……

《サイコフィールドを展開しつつ二人を抱き止めるプルトニウス》


ダリー(ガン……ダム……ガンダム…………だ……!)


ガトー「……間に合ったか」

夕立改ニ「サイコフィールド。雷の真似だけど、上手くできたっぽい!」


>コロニー内部


ガトー「大事ないか」

ダリー「は、はい!」

チェリィ「ありがとうございます!」

夕立改ニ「良かったっぽい!」

ラルフ「ダリー! チェリィ!」タタタ

ダリー「親父!」
チェリィ「おじさん!」

ラリー「よく無事で……あんたらが助けてくれたのか。ありがとう!」

ガトー「偶然だ……それよりコロニー住民の脱出は間に合うのか?」

ラリー「……完全崩壊開始まであと450秒。とても無理だ」

ダリー「そんな! 親父はコロニー建設のプロだろ!? なんとかなるんだろ!?」

ラリー「不可能だ……外壁の損傷が大き過ぎる。回転するコロニーにかかる負荷が抑えきれない。無理して停止させれば被害はもっと酷くなる」

チェリィ「そんな……」

ガトー「……スクイーズド効果、か」

ラリー「知ってるのか!? その通りだ……損傷部を含む円周部を切断できればなんとかなるが……とてもそんな時間は」

ガトー「…………何とかしてみよう。夕立! 行くぞ!」

夕立「ぽい!」

ラリー「な……正気かあんた! いくらMSがあったって……!」

ガトー「無駄かもしれん……だが……何もやらないよりは、な」

ラリー「…………わかった、あんたを信じてみよう。今からじゃ俺も助かるかわからんしな……息子とそのガールフレンドを助けてくれてありがとう。俺はラリー・アレフ・ガンズ」

ダリー「あの、俺はダリー。ダリー・ニエル・ガンズです!」

チェリィ「チェリィ・チノ・ローゼスです!」


夕立改ニ「夕立は夕立っぽい! それから……あの……」

ガトー「…………私は……私の名はガトー。アナベル・ガトーだ」


「「「っ!?」」」


ガトー「……コロニーは二度と落とさせはせん! 行くぞ、プルトニウス!」


Zプルトニウス「っ!」ギィンッ ゴォッ!


チェリィ「おじさん……アナベル・ガトーって……」

ラリー「……ソロモンの悪夢と呼ばれたジオンのエース。デラーズフリートのメンバー……そんな奴が……コロニーを落とさんと言うとはな……」

ダリー「……当然だろ!」

チェリィ「ダリー?」

ダリー「あの人はガンダムのパイロットなんだぜ! なら……なら、コロニー落としだって止めてくれるさ!」


>戦闘宙域


バギィンバギィンバギィンバギィンバギィンッ!


シロッコ「ええい、鬱陶しいフィールドめ!」ゴォッ!

カミーユ「人の思いが生み出すフィールドに嫌悪感を感じるのは、お前がそれを拒絶しているからだ! お前を縛る、その力を捨てろ!」ゴォッ!

シロッコ「私に……私に『右腕』を放棄しろだと!? 何も知らん子供が賢しげな口を訊くなあっ!」バギィィィン!


北方「カミーユ!」

カミーユ「大丈夫だ……何だ? 今までと、感じが変わった?」

シロッコ「チャンスなのだ……木星という閉鎖した世界に、一石を投じるための……そのための力が、そのための勢力が必要なのだ! 『右腕』はそのための……私が未来を掴むための鍵だ! 貴様ごときに……貴様ごときに、邪魔されてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」グォォォォォォッ!


カミーユ「っ!? 奴のサイコフィールドが広がって……ジャマーが破られる!?」


バキィィィィンッ!


シロッコ「ファイバー! 来い!」

カミーユ「くっ! アーマー、戻れ!」


ジ・Oファイバー「」ガキィィイン

ZガンダムPA「」ガキィィイン


ドパパパパパパァンッ!

ズゴォォォォォォォッ!

バギィンバギィンバギィンバギィンッ!

カミーユ「うおおおおおおおおおおっ!」

シロッコ「おああああああああああっ!」



ファ「……カミーユの援護も出来ないなんて」

フォウ「ファ、そんなことないわ……私たちの思いが、カミーユに、Zに力を与えている……解るでしょう?」

アポリー「……なんて空域だよ。敵も味方も介入出来ないなんて」

ロベルト「あの二人の戦いが激し過ぎるから……か。かと言って、俺たちがここを離れることも出来ない。カミーユの力になるために」

レコア「もどかしいわね……でも、信じるしかないわ」



>アーガマ ブリッジ

ドガァァァァン!


トーレス「右舷被弾! 消火班回せ!」

サエグサ「敵前線、防衛ラインを越えます!」

ブライト「くっ……仕方ない! ハイパーメガ粒子砲チャージ! 敵艦隊に……っ!?」

間宮「ブライト艦長?」

ブライト「カミーユ、なのか? 撃て、と……?」

トーレス「か、艦長?」


ブライト「……カミーユめ。アムロのように『声』を伝えて来た…………トーレス! 『パラライザー』発射準備!」

トーレス「よ、よろしいんで!? まだ、射線上に味方機が……!」

ブライト「『俺が防ぐ!』だそうだ……アムロ以上の無茶な奴だよまったく! それを信用する俺も俺だ! パラライザー準備急げ!」

サエグサ「り、了解!」


間宮「運が向いて来たみたいですね」

ブライト「む、そうだな…………ふう。君がいるとまるでミライがそこにいるようだ」

間宮「緊張します?」

ブライト「いいや、妙な安心感があるよ。だからかな……ミライが君に色々言付けていたのは」

間宮「まるでニュータイプみたい、ですか?」

ブライト「全くだ……チャージ、どうか!」

トーレス「パラライザー、チャージ完了! ミノフスキー粒子濃度、問題なし!」

サエグサ「照準よし! メガ粒子砲、同期確認!」




ブライト「メガ粒子パラライザー、撃ぇ――――ぃっ!」



パリ……パリ……バヂバヂバヂィ……!

バリバリバリバリガォォォォォォォォンッッ!!



>戦闘宙域


バギィンバギィンバギィンバギィンッ!


カミーユ(もう少し……もう少し……!)

シロッコ「悪あがきをぉぉぉぉぉぉっ!」

カミーユ「(ピキィィィン)っ! 今だっ! アーマーパージ!」ガキュンガキュンガキュン! ヒュィィィィ……!

シロッコ「勝負を捨てたかぁぁぁぁぁっ!」

カミーユ「守れえぇぇぇぇっ!」キィィィィィンッ!

シロッコ「っ!?」


ゴォォォ……ッ!

バリバリバリバリバリバリドガォォォォォォォォォォンッッ!!


シロッコ「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」バヂバヂバヂバヂ!


カミーユ「はあっ、はあっ……や……やれた……」

北方「カミーユ、スゴイ!」パチパチ

カミーユ「みんながいたから出来たことだよ。それに……動きは止まったけど、油断は出来ない」

北方「ブッタ切ル!」

カミーユ「そうしたいけど……嫌な予感がしてね。手を出したくないんだ」

北方「ムー」


シロッコ「ぐっ……ううっ……機体出力が生命維持ギリギリまで下がっているだと!? この期に及んで……この期に及んで私をなぶるかカミーユ・ビダン! シャアと同じく……私を見下すかぁぁぁぁぁっ!」ダンッ

ヤザン(ハンブラビ)「シロッコ! 生きてるな!」
シロッコ「ヤザン? 何故ここに……」

ヤザン「連中の旗艦が撃った一撃で艦隊は壊滅状態だ。行動不能になったMSや艦は降伏、指揮を採っていたジャマイカンが我先に逃げ出したせいで無事な連中も散り散り……とりあえず無事だったドゴス・ギアと俺が回収に来たって寸法よ…………奴らも攻撃しなけりゃ戦闘する意思はないようだしな」

シロッコ「回収など不要だ! 『右腕』の力を引き出せば、私はまだ戦え……っ!」

ヤザン「馬鹿野郎!」バキィンッ!

シロッコ「ぐわっ!? 何をするヤザン!」

ヤザン「少しは頭を冷やせ! 戦いたがることを否定はせんが、貴様は機体の強さに溺れているだけだ! 俺が認めた男が無様な真似をするんじゃない!」

シロッコ「っ! そ……そうか…………確かに、そうだな……すまないヤザン、手間をかけさせた」

ヤザン「かまわんよ。それにだ……どうやら、俺たちは捨て駒に使われたらしい。コロニーが接近していると観測班から入った」

シロッコ「なっ……! バスク・オムの仕込みか!」
ヤザン「多分な」

シロッコ「……我々の立ち位置を考える必要がある、か…………わかった、撤退しよう。すまないが……」
ヤザン「おう、ちと重いが運んでやる」


シロッコ「カミーユ・ビダン……貴様にもこの借りはいつか返すとしよう」


ゴォォォ……!


カミーユ「行った、か……」

北方「ムー、アンナ厄介ナノ、ヤッツケチャエバヨカッタノニ」

カミーユ「……理屈だとそうなんだけどな……奴に繋がっていた『力』……それがまるで爆発寸前の爆弾みたいな感じがしたんだ。うかつに手を出しちゃいけない気がしてさ」

北方「フーン?」

カミーユ「それより、助けに来てくれてありがとな」

北方「エヘン。ホッポ、頑張ッタ!」フンス

カミーユ「あとは……コロニーが止まれば……」

北方「ロン毛ト夕立、大丈夫カナ……」

カミーユ「……信じよう。その思いが、きっと二人の力になるから……」



トーレス(通信)『こちらアーガマ。戦闘終了を確認。MS各機、順次着艦せよ!』


フォウ「カミーユ、ホッポちゃん、戻りましょう」

ファ「カミーユったら、また無茶して!」


カミーユ「ああ、ゴメンゴメン……でも無事だったんだから……」

ファ/フォウ「「カミーユッ!」」



カミーユ(涙目)「…………なあ、北方。俺頑張ったのになんで怒られてんのかなぁ?」

北方「サァ?」


>コロニー外壁近辺


ガトー「コロニーの崩壊を止めるには損傷部からの負荷が均等になるようにすればいい……だが、円周部を切除する際に余計な力が掛かればその瞬間に連鎖崩壊が始まってしまう」ピッピッピッ

夕立改二「どうするっぽい?」

ガトー「……考えられる方法はただ一つ! 円周部をビームセイバー最大出力で間を置かず切断する!」


《巨大なビームセイバーでコロニーを輪切りにするCG画像》


夕立改二「ぽいいっ!? でもそれじゃあ、中央シャフトまで切っちゃって、コロニー首ちょんぱになるっぽい!?」

ガトー「通常なら、な……だが、ビームセイバーは私の『斬るべきもののみを斬る』という思いから生まれた力だ。外壁のみを斬ることも可能なはず……夕立、お前の助力があれば」

夕立改二「ぽいっ!?」

ガトー「いかにプルトニウスが私の思いに応えるとは言え、ビームセイバーの出力調整は必須……だが私は所詮オールドタイプだ。クワトロ大尉やカミーユのように、細やかなことを同時に行えはしない…………すまん……私は所詮、力を振るうことしか出来ん男だ。夕立、お前に……頼らせてくれ」

夕立改二「っっ!! 任せるっぽい! 夕立、少佐さんが頼ってくれるならなんだって出来ちゃいそうっぽい!」

ガトー「ならば……頼むぞ! 夕立!」

夕立改二「ぽいっ! いくよ、プルトニウス!」


Zプルトニウス「」ギカァンッ!


ゴォォォォォォォォォ……ッ!


ガトー(あと残り150秒……チャンスはただ一度のみ! この一撃が成功するなら、命果てることになろうと構わぬ! 故に…………故に!)

夕立改二(少佐さんは……ずっと、ずっと、コロニーを落としたことを悔やんでいたんだ…………夕立は、少佐さんの苦しみを少しでも楽にしてあげたいから……だから……だから!)


ヴォン……ッ! フィィィィィ……ッ!


ガトー/夕立改二「「この思いに応えろ! ガンダムゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」」


ズォォォォォォォォッ…………ッ!





ズガァァァァァッッ!!

ズガガァァァァァァァァァッッ!!






……ゴッ…………ォォォン……ッ!



ラリー「……っ! 損傷部が切除された! 簡易密閉幕、急げ!」

「ブースター減速開始!」
「コロニー航路修正! 月重力圏の影響無し!」


ラリー「………………安全圏に入った…………助かっ、た……助かったぞ!」



ワアアアァァァァァァァァァァァァッ!





ガトー「……やれた……のか……?」

夕立改二「んと…………通信、入ったっぽい! 大成功っぽい! やったあぁぁ! 少佐さん少佐さん少佐さぁん!」ギューッ

ガトー「ぬわっ!? 突然抱きつくんじゃない! だが……ありがとう、夕立。よくやってくれた」

夕立改二「ううん、少佐さんが夕立に出来るって信じてくれたからっぽい!」

ガトー「そうか……それもあるかも知れんな」

夕立改二「かも、じゃなくてそうっぽい!」

ガトー「わかったわかった……プルトニウス、お前もよく応えてくれたな……ありがとう」

夕立改二「プルトニウスは頑張り屋さんっぽい!」


Zプルトニウス「」ヴォン


夕立改二「少佐さん、ロザミアちゃんもそろそろこっちに来るからコロニーで待ってるっぽい?」

ガトー「そうだな。コロニーに問題が残ってないとも限らんしな」

夕立改二「ぽい!」

今回はここまでで。
大変お待たせしてすいませんでした……それでも続きを待っていてくれた皆さん、本当にありがとうございます。

次回アポロ作戦のエピローグ、を書いたらクワトロと雷に視点を戻して……
ついにアクシズ編が書けるぜヒャッハアアアアア!
ムンクラ・逆ギガン・UCで溜まりまくったリビドーをついに……! 気合い入れて書きます!

あと前回の後……なんだこの那珂ちゃんフィーバーはw


ではまた。

いきます。

※※※※※※


>アーガマ ブリッジ


トーレス「MS部隊、収容完了しました!」

サエグサ「観測班より通達! コロニー軌道変更を確認! 落下及び衝突、回避されました!」

ブライト「…………ふうっ! 何とか切り抜けたか。皆、ご苦労様だった。警戒を第二種戦闘配備に移行して、適宜休んでくれ」

間宮「ブライト艦長もお疲れさまでした」

ブライト「ま、それが仕事だからな」

間宮「ふふ。それじゃ私、皆さんにお茶でも配りに……(グッ グッ)……あ、あれ?」

ブライト「どうした?」

間宮「………………お尻が…………椅子から抜けません…………」ガーン

ブライト「…………雷用のチャイルドシートだからな」


結果……


トーレス(右手持ち)「息合わせて引っ張れよ! せーのっ!」グイッ

間宮(ハマリ中)「い、いたたたたた! お尻、取れちゃいます~っ!」

サエグサ(左手持ち)「我慢して! 艦長、椅子引っ張って下さい!」

ブライト(椅子引っ張り)「やってるよ! もう一度、せーのっ!」


――――スポンッ

ドガシャーンッ!


トーレス「あ、あたたたた……抜けたよ」

間宮「お、お手数おかけしまして…………うう、やっぱり私、太ってるんじゃ……(涙目)」

サエグサ(確かにお尻は大きいけど)

ブライト「後で通常のシートに交換しておく必要があるか……工作班に伝えておけ」

トーレス「了ー解っす」



>コロニー 宇宙港


Zプルトニウス「」フィィィィィ……ガシュン


ガトー「外観を見渡した限りでは、どうやら問題なく稼働しているようだな」

夕立改二「ぽい。それじゃ夕立も……」


ポフンッ


夕立「ふ~、やっぱり改二変身は疲れるっぽい!」

ガトー「見る側からは髪を立てたり下ろしたりと、忙しないがな」

夕立「そうっぽい? ねえ少佐さん、コロニーの人たちがちゃんと無事なのか、夕立見に行きたいっぽい!」

ガトー「……そうだな。これだけの事態の後だ、問題があっては困る」

夕立「早く早く!」

ガトー「引っ張るな」



夕立(少佐さんはいつも昔の事を悔やみ続けてるっぽい……けど、今回少佐さんが助けたみんなを見れば、きっと元気になるっぽい!)


>コロニー内部


ラリー「……おっ! あんたらは!」

ガトー「貴方がたも無事だったか」

ラリー「ったり前だ! それよりも! あんな無茶、よくやってくれた! 見てくれ!」


ワアアアアァァァァ

《危機を脱したことに湧くコロニー住民》


ラリー「……みんな、あんたが助けた人たちだ。誇っていいと俺は思うぜ」

ガトー「……そう、か……ありがとう」

夕立「少佐さん……良かったっぽい」

ダリー「スゲエよ! やっぱりあんたはガンダムのパイロットだ!」

チェリィ「ちょ、ダリー。『あんた』なんて失礼でしょ」




「…………おい、あの男……アナベル・ガトーじゃないか?」


ザワ……


夕立「え……?」

ガトー「……っ」



「マジか?」

「間違いない。デラーズ事変の時の資料映像そのままだ」

「デラーズフリート……ティターンズを生み出した元凶」

「核兵器も撃ったんだろ?」

「一年戦争でコロニーを落としたんだ」

「おい、まさか……このコロニーも、あいつが?」

「ティターンズの仕業に見せかけて?」

「そうだ」

「きっとそうだ」

「そうに違いない」

「あいつが」

「あいつが」


「「あいつが!」」






夕立「待って! 待ってよ! 違う! 少佐さんは! 少佐さんは、みんなを……っ!」



――――ガッ!


ガトー「ぐっ……!」

夕立「石!? 少佐さん、血が……!」



「貴様のせいで!」
「この疫病神!」
「家族を返せ! 友人を返せ!」



夕立「やめてぇっ! 違う! 違うんだってばあ!」

ガトー「夕立! 危ない……(ガッ)があっ!」

夕立「少佐さん! 放して! 夕立は石なんか平気だから! だから……っ!」
ガトー「(バキッ)がっ!(ガンッ)ぐああっ!」

夕立「やだ……やだ……こんなの嫌……嫌だよぉぉぉぉっ!」




「殺せ! 殺してしまえ!」

「殺せ!」

「殺せ!」



「「殺せ!」」



ラリー「マズい! 早く逃げろ! なぶり殺しにされるぞ!」

ダリー「お前らやめろ! やめるんだぁぁぁっ!」

チェリィ「二人とも、早く! 抑えきれない!」


ガトー「……すまん!」ダッ

夕立「どうして…………どうしてぇぇぇぇっ!」



ガトー「はあっ……はあっ…………夕立、大事ないか」

夕立「夕立より少佐さんの方が大変っぽい! こんなに、血が……!」

ガトー「見た目だけだ。深い傷はない」

夕立「そういうことじゃないっぽい! 何で……何で、こんな……っ!」

ガトー「……これが私の罪の報いだ。二度もコロニーを落とし、核でソロモンを焼いた男の……な」

夕立「少佐さんだけがやったことじゃないっぽい! なのに、まるで少佐さんが全部悪いみたいに…………(ガラン)っ!?」


《地面を転がるロザミアのヘルメット》



ロザミア「コロニーを……落とし、た…………? 嘘、よね……? お兄ちゃん」


ガトー「ロザミア……?」

夕立「ロザミアちゃん?」

ロザミア「嘘でしょ? お兄ちゃんはそんなことしないでしょ? 嘘だって……嘘だって言って!」

ガトー「……っ!」




ガトー「………………事実、だ」

ロザミア「――っ! う、そ……嘘嘘嘘嘘……そんなの……そんなの、信じない……信じたくない…………嘘よぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」ダッ



ガトー「っ! ロザミア! 待て!」

夕立「ロザミアちゃん!」



タッタッタッ……


ロザミア「はあっ……はあっ……はあっ…………違う……違う……私の、私のお兄ちゃんは……コロニーを落としたりなんて…………」


「そうだよ、ロザミィ。君のお兄ちゃんはそんなことする人間じゃない」


ロザミア「っ!? 誰っ!」

ゲーツ「俺だよロザミィ。ゲーツ・キャパ……君のお兄ちゃんじゃないか、忘れてしまったのかい?」

ロザミア「ゲーツ……? 知らない、お前なんか知らない! 来るな! それ以上近づけば、撃つ!」チャキッ

ゲーツ「……可哀想に、エゥーゴの奴らに洗脳されたんだね……もう大丈夫だ、俺と一緒にオーガスタ研に戻ろう。そうすれば全部思い出すよ、ロザミィ」

ロザミア「私はロザミア・バダムだ! ロザミィなどと呼ぶな!」

ゲーツ「ふう……仕方ない。少し乱暴だけど、ロザミィのためなんだ、我慢してくれ…………おい」

工作員「はっ……やれ」


ザッ


ロザミア「伏兵!? ぐっ! 放せ! このっ……(ガッ)あぐっ…………」ガクリ

カチャン……


工作員「目標、確保」

ゲーツ「おい! 手荒に扱うなと事前に言ったはずだ!」

工作員「目標を追ってくる者がいます。時間がありません」

ゲーツ「くっ……まあいい。ロザミィ、もう少しの辛抱だからな」

工作員「総員、撤収する」




ロザミア「お……兄……ちゃん…………」



タッタッタッ……


ガトー「ロザミア! どこだ! 返事をしてくれ!」

夕立「ロザミアちゃん! どこに…………あっ!」

ガトー「見つけたか!?」

夕立「違う……これ……」


《ロザミアの髪を留めていた銀色のバレッタ》


夕立「これ……少佐さんがくれた、夕立とお揃いの……」

ガトー「……こちらに銃も落ちていた。規格はエゥーゴのもの……ロザミアの銃、で間違いなかろう」

夕立「少佐さん……ロザミアちゃんは……」

ガトー「血痕が無いことから考えて……何者かと争い、連れ去られた、と見るべきだろう…………くそっ!」ダンッ

夕立「連れ去られた、って……何で!? どうして!?」

ガトー「…………ロザミアは強化人間だ。ならば……再調整し、再びティターンズの尖兵として使う気だろう。我々の情報を引き出す、というのもあるやも知れんが」

夕立「そん……な……」


ガトー「……私の……私のせいだ! 兄と慕うロザミアの気持ちを裏切れなくて……真実を伝えるのを先送りにしていた! まただ……また、私は……ビスレィと同じように、私を慕う者を犠牲に…………っ!」









ガトー「うあああああぁぁぁぁぁぁ――――っっ!!」



>アーガマ 艦内


カミーユ「……ガトー大尉」

ガトー「ん……カミーユか。どうした?」

カミーユ「話、聞きました……ロザミア少尉が、拐われたって」

ガトー「……そう、か」

カミーユ「こうしてアーガマにいて、いいんですか!? 探しに行くとか……!」

ガトー「ロザミアは必ず来る……私を殺しに」

カミーユ「っ!?」

ガトー「彼女がコロニー落としに深いトラウマがあるのは知っているだろう? 人間の記憶を弄ぶニュータイプ研究所の人間ならば……私という、憎悪の矛先を利用しないはずがない。ならば……その時に備え、万全を期すまでだ」

夕立「少佐さん、アストナージさんに頼んだサイコミュの搭載、終わったっぽい」

ガトー「そうか……後で試してみよう。反応速度でも上がれば儲け物だ」

カミーユ「サ……サイコミュ!? ガトー大尉はオールドタイプでしょう!? 何をする気で……」

ガトー「ロザミアを、助ける」

カミーユ「っ!」


ガトー「……正直、何が正解なのかなど解らん……が、やれることは、全てやる。ロザミアはまだ生きている……ならば、希望は捨てん。私の何に代えても……ロザミアは、救い出す。結果、彼女が私の死を望むことになろうとも」

カミーユ「ガトー、大尉……」

ガトー「私に出来ることは……私を信じてくれる夕立と、私の思いに応えてくれるプルトニウスに恥じないよう、己を高めるのみ……っ!」

カミーユ「……俺も、手伝います。サイコミュなら、Zのデータが活かせますし」

ガトー「すまんな」

カミーユ「いえ」





ガトー(ロザミア……もう一度会えたその時、私は正式に君に詫びよう。偽りの兄とは言え、君と過ごした日々は私の安らぎだった…………代償にこの命を望むなら……微塵も惜しくなど無いのだから……)

今回はここまで。
次回サイド3から。

キャラ増加で視点変更が多くて書き漏らしがないか心配……急に書きたいシーン思いついたりするしなあ…………頑張ります。



ではまた。

やっぱ書き忘れてた……orz

※※※※※※



>ヌーベルエゥーゴ 施設

タウ・リン「……そうか、ゼファーファントムは使えるんだな」

眼鏡(通信)『ああ、もうかなり戦闘経験が貯まっている……増産をかけて問題ないだろう』

タウ・リン「そちらは任せる。俺も俺でやることがあるからな……」

眼鏡『ああ、またな』プツン

ゴボ……ゴボ……


《培養槽に浮かぶ人形の『何か』》


タウ・リン「クク……そんなに今回の戦闘映像が気に入ったか? 『アナベル・ガトー』の、な……」


ゴボゴボ……! ゴボ……!


『ナ……ゼ……』

『ナゼ……ヤツガ……!』

『ガトォ……ガ…………『ツルギノキワミ』ヲ……オサメルノダ……ッ!』


タウ・リン「悔しいよなぁ……剣術に打ち込んだ貴様が出来ないことを、ジオンのテロリスト風情が成し遂げたんだからなぁ……」


ゴボボ……! ゴボ……!


『ガトー……アナベル……ガトォォォォォォォッ!』

タウ・リン「クク……まあもう少しおとなしくしておくんだな……『ムラサメシステム』からサルベージした貴様の意識と、『深海棲艦』の肉で造った身体が馴染むまでは……な」




タウ・リン「なあ……『カネサダ・ツルギ』よ」


ゴボ……ゴボ……!

いきます。

※※※※※※


>サイド3 宇宙港


ガヤガヤガヤガヤ


黒髪の男「……凄い人込みだ」

銀髪の少女「……うん」


職員「やれやれ、シャア大佐の帰還から、寂れた港がすっかり様変わりしちまって……おっと、そこの二人。この先は軍港だよ、パスを見せて……はいOK。一応名前確認を」


黒髪の男「ギルバート・デュランダル」

銀髪の少女「ヴェールヌイ・デュランダル」


職員「ん、間違い無し。お父さんの職場見学かい? 感心感心」

ヴェールヌイ「……っ」ムッ

ギルバート「……人を待たせている。行っても?」

職員「こりゃ失礼。お仕事ご苦労様です」


スタ スタ……


ギルバート「……もう、人気はないな」

ヴェールヌイ「…………っ。ああ、もうっ!」バサッ


ヴェールヌイ→雷「カツラは暑いし、響の真似だからあんまり喋れないし、大尉の子供に間違えられるし……特に最後! 失っ礼しちゃうわ!」ムスー

ギルバート→クワトロ「この騒ぎでは、変装しなければ人込みの中は歩けんのだから仕方あるまい……そうむくれるな」

クワトロ(まあ、私と雷の外見差では無理もないのだが)

雷「それは、そうなんだけど……」チラチラ

クワトロ「……ふう。わざわざ夫婦設定にした偽装パスに気付かれなくて残念、だと言いたいのだろう? 心配せんでも私はすでに、雷がいないとシャンと出来んダメ亭主だよ」

雷「あ……! えへへ……うんっ! 大尉がカッコよく居られるように、私がしっかり支えてあげるからね!」キラキラ

クワトロ「うむ。さあ、ラーディッシュを待たせている。急ごう」

雷「はーい!」




雷「ところで、私の偽名は姉妹の響のロシア名からだけど……大尉のは?」

クワトロ「いや……何か直感で思い付いてな……?」


>ラーディッシュ艦内


ヘンケン「よう二人とも。大分時間かかったじゃないか」

クワトロ「……その原因の一部を担っている艦長に言われたくはないがね」ムスッ
ヘンケン「すまんすまん! そう睨まんでくれ。それより、大尉に一言言いたいという奴がな……ほら」トンッ

アンジェロ「わっとと……押すなよ、もう!」

雷「アンジェロくん?」

クワトロ「アンジェロ……私と共に来ると?」

アンジェロ「……はい! シンタや、クムのこともありますけど……俺は、俺の心は……シャア大佐と、雷姉さんに救ってもらいました。俺はあの日……産まれ直せたんです。だから……だから俺は! お二人にこのご恩をお返ししたい! 子供の俺に何が出来るかって話ですけど……それでも、何かしたいんです! お願いします! どうかお二人のお側に置いて下さい!」


クワトロ「……頭を上げてくれ、アンジェロ」

アンジェロ「はい……」

クワトロ「礼を言うべきはこちらの方だ……ありがとう、私を頼ってくれて。ありがとう、私に、君を救わせてくれて…………これから、よろしくな」スッ

雷「よろしくね、アンジェロくん!」

アンジェロ「……っ! はいっ!」ガシッ




ヘンケン「ふふ……まったく。クワトロ大尉も雷ちゃんも、大した人たらしだよ」

エマ「でも、それが『らしい』んでしょう?」

ヘンケン「ああ、そういうことだ…………さあ、これでクルーは揃った! 月のアーガマ隊と合流するぞ! ラーディッシュ、出港だ!」

リーゼント(通信)『押忍! 機関始動! ラーディッシュ、発進します!』


>通信室


ブレックス「……月はそんな大事になっていたのか。大変だったようだな」

ブライト(通信)『何とかしのげはしましたが……もはやティターンズ、と言うよりバスク・オムですが、形振り構わないようになってきています。総帥であるジャミトフとの不和の噂もあながち間違いは無いかと』

ブレックス「敵戦力が疲弊し、足並みも揃わん今が押しきるには千載一遇の好機、ということか……クワトロ大尉」

クワトロ「ええ……機を逃すわけにはいきません。アーガマ、ラーディッシュ両艦でアクシズに進路をとりましょう。途中で合流すれば良い」

ブライト『了解した。ではこちらもアーガマにウォン氏を乗せてアクシズとの交渉に望みます』

ブレックス「うむ、よろしく頼んだ」


プツン


ブレックス「……いよいよ、だな。クワトロ大尉……いや、キャスバル・ダイクン殿。貴方の名の力を借りる時が来た」

クワトロ「…………父、ジオンの因縁。ザビ家の因縁……それらを清算するには、私が動かねばならなかった……それだけのことですよ」

ブレックス「辛い役目を背負わせてしまうな……せめて、全力で支援させてもらう。出来ることがあれば何でも言ってくれて構わんよ」

クワトロ「……ありがとうございます。その言葉だけで……十分です」



>ラーディッシュ艦内


シンタ「雷姉ちゃん、これどこに仕舞うの?」

雷「えーっと、どれどれ……?」

クム「……ふぇ~ん! 絡まったぁ~! 雷お姉ちゃん、助けてぇ~!」

雷「あららら大変だ。ちょっとじっとしてて」

アンジェロ「シンタ! クム! 雷姉さんに迷惑かけるんじゃない!」

シンタ「手伝ってただけだよ」

クム「そーよー」

アンジェロ「結局邪魔してるじゃないか!」

雷「大丈夫よアンジェロくん。私、お世話するの好きだし」

シンタ「特にクワトロ大尉の、だよねー」

クム「ねー」

雷「ふええっ!?」ボンッ

アンジェロ「……お前らーっ!」ドカーンッ

シンタ「わーっ! 兄ちゃんが怒ったー!」

クム「逃げろーっ!」



ブレックス「ははは、元気がいいな」

雷「おじいちゃん!」

シンタ「あ、エゥーゴの偉いじいちゃん」

クム「こんにちはー」

ブレックス「うむ、こんにちは」

アンジェロ「あ、すいません、失礼を……」

ブレックス「ああ、硬くならなくてもいいよ」

アンジェロ「し、しかし」

ブレックス「私は君に礼を言いに来たんだ。雷くんから聞いたよ……君が、私が撃たれることを予見したから助けが間に合った、とね。ありがとう、アンジェロ君」

アンジェロ「そ、そんな……俺はただ、なんとなくそんな気がしたってだけで」

ブレックス「その直感が大切なのだよ。これからの未来を切り開く若者たちにはね……我々は彼らをニュータイプと呼ぶが」

アンジェロ「ニュータイプ……俺も……ですか?」

ブレックス「その可能性はある。クワトロ大尉に学ぶといい、彼なら、きっと君を良い方向に導いてくれる。実績もあるからな」

アンジェロ「実績、ですか?」

ブレックス「ふふ……クワトロ大尉に聞いてのお楽しみとしておこうか。雷くん、この子たちをよろしくお願いするよ」

雷「ええ、大丈夫よ!」

短いですが今回はここまでで。

アクシズ到着までしばし日常パートで。ドタバタとイチャイチャを楽しんで頂ければ幸い。
幕閑なども書けたら追加します。


ではまた。

乙です。しかし、中の人ネタか。もうちょい前だったら
>>522
カミーユ「サイコフレームは人の意思を力に変える(略)俺にお前を止める力をくれるんだぁぁぁぁぁっ!」

シロッコ「はっ! 俗人の力を吸収した所で、この私を超える事など出来ん!(ブロリー風」

とかあったかもしれない

まぁそれはおいといて、この調子だとアンジェロはその内Ex-Sガンダム(Reon)に乗りそうな予感
3人乗りでまだアルとジュドーの2人しかパイロット決まってないし、アンジェロはNT素養あって大佐の力になりたいと強く思ってるしで

崖に病院建てとけば来てくれるだろ

>>595
ガトー「(手でほっぺたを押しつぶしてる夕立を見ながら)……夕立、なにをやっとるんだ?」
夕立「アッチョンブリケ! っぽい!」

>>596
アニメ艦これの夕立膨れっ面を見てからガトー夕立コンビはBJ先生&ピノコのイメージです。

いきます。

※※※※※※

>ラーディッシュ 食堂


ガヤガヤ

シンタ「腹へったよー」

クム「ごはんごはんー」

アンジェロ「みんな並んでるんだからうろちょろするなよ」

二人「「はーい」」

雷「お疲れ様ー。大盛りにする?」

アンジェロ「雷姉さん!? なんで……いや、食堂の手伝いなら俺も!」アセアセ

雷「アンジェロ君はちゃんとお仕事した後でしょ? 遠慮しないでごはん食べてていーの。それで、大盛り? 普通盛り?」

アンジェロ「あ……じゃあ、大盛りでお願いします。あの、次からは俺も一緒に!」

雷「んー、人手は足りてるかなぁ。だって……」


クワトロ「雷、煮物はもう出せるぞ」

雷「あ、ありがと大尉」


アンジェロ「大佐ぁ!? な、ななな、なんで厨房に……!?」

クワトロ「雷が食堂を手伝う時に手が空いていたらこうして一緒にやっているな」

雷「手際いいのよ、大尉って」


「さすが夫婦」
「はよケッコンしなさい」
「艦長とエマさんのカップルどっちが先になるかな?」
「大尉に1000で」
「んじゃ俺艦長に2000」

アンジェロ「」アゼン

シンタ「兄ちゃん、早く前行ってよー」

クム「あ、あたしトマトいらない……」

クワトロ「トマトにはリコビンが入っていて体にいいんだ、好き嫌いはダメだぞ」

雷「美味しく味付けしてあるから、ね?」

クム「はーい……」

アンジェロ「」

シンタ「兄ちゃん、いつまで固まってんのさー」



厨房係「クワトロ大尉、雷ちゃん。もう大丈夫だから食べて来ていいよー」

雷「はーい。行きましょ、大尉」

クワトロ「うむ……アンジェロ、まだ固まっているのか」


アンジェロ「…………はっ! し、失礼しました大佐! 次回からは俺も……!」

クワトロ「あ、ああ。私もいつも手伝えるわけではなし……いいか、雷?」

雷「うん。でも、無理に仕事を急いでこっちに来たりしなくていいからね? なんか、アンジェロ君はそういうことしそう……」ジトー

アンジェロ「うっ……も、もちろんです」

シンタ「兄ちゃん図星ー」

クム「ずぼしー」

アンジェロ「うるさいっ」

雷「……この抱え込む性格、どこかの誰かさんみたいよね大尉?」ニヤニヤ

クワトロ「……さてな」



ヘンケン「おや、どこの親子連れかと思えば……実に仲が良さそうで結構じゃないか、クワトロ大尉?」ニヤニヤ

クワトロ「……そのニヤケ面を止めなければソードブレイカーを頭に突き刺すぞ。サイコミュの精密制御のいい実験になりそうだ」ゴゴゴゴ

ヘンケン「おお、クワバラクワバラ……ん、今日のシチューは美味いな。雷ちゃんか? それとも大尉か?」

クワトロ「(誤魔化したな)……合作だよ」

雷「ミライさんから教わったレシピよ!」

ヘンケン「へえ、となるとブライト中佐……いや、大佐の家庭の味か」

クワトロ「昇進したのか?」

ヘンケン「ああ、ブレックス准将がアーガマに合流次第、直接辞令を送ると……」

エマ「ヘンケン中佐、スプーン加えたまま喋るの止めて下さい。行儀悪いのを子供たちが真似します」

ヘンケン「うっ……すまない」

クワトロ「プッ」

雷「大尉、シチュー跳ねてるわ、拭いてあげるわね」

ヘンケン「プッ」

クワトロ「……すまん、頼む」



アンジェロ「大佐はカッコいい大佐はカッコいい大佐はカッコいい大佐はカッコいい大佐はカッコいい大佐はカッコいい……」ブツブツ

シンタ「……兄ちゃん、大丈夫?」


>MSデッキ


雷「サイコミュのフィードバックを……それから……よし! 大尉、ソードブレイカー動かしていいわよー」

クワトロ「ああ。むむっ……(キュインキュイン)どうだ、雷?」

雷「うん、前より楽になったわ。これでまた大尉と一緒にゾーリンソールで戦えるわね!」

クワトロ「私としては戦艦で後方支援していてくれてもいいのだが……そうも言っていられんか」

雷「今さら、でしょ? それに、大尉の側が一番安全だって思うの。だって大尉が守ってくれるもの!」キラキラ

クワトロ「っ! ふ、ふふっ……なら、期待には応えてみせなくてはな。しかし、すっかりMSの整備にも慣れたものだ」

雷「えへへ……今なら明石さんみたいに工作艦を名乗れるかしら? もっと頼ってもらえるように頑張るわ!」

クワトロ「頼らせてはもらうが、無理はしないでくれよ。またアルテイシアに診てもらうような事態は御免こうむる」

雷「はーい」



アンジェロ「大佐ー! 雷姉さーん!」

雷「あれ、アンジェロ君?」

クワトロ「何かあったか?」


説明中……


クワトロ「……ニュータイプの素養、か」

雷「間違いないわ。おじいちゃんを助けられたのもアンジェロ君が教えてくれたからだし」

アンジェロ「大佐さえよろしければ、ご指導お願いしたいのですが……」

クワトロ「…………指導するのは構わない、MSの操作も教えよう。が……私は君に人殺しになって欲しいわけではない。戦禍に自ら飛び込んで欲しいわけでもない……生き残り、未来を築く力として、ニュータイプの才を良き方向に使って欲しいからだ。それを忘れないでくれ」

アンジェロ「はい」

クワトロ「よろしい。では……そうだな、サイコミュ搭載機は現在ゾーリンソールしかないし……乗りたまえ、まずはサイコミュの感覚を教えよう」

アンジェロ「た、大佐の機体を練習に!? 光栄です!」

雷「頑張ってね、アンジェロ君」

アンジェロ「はいっ!」


>ドゴス・ギア 艦内


シロッコ(……機体性能では私が勝っていたはずだ……あの支援機が現れたとてそれは変わりない。にも関わらず遅れを取ったのは……やはり、ヤザンが言うように機体の力による慢心があったせい、か)

シロッコ「……己の心すらままならんとは……私もまだまだんだな」

サラ「パプティマス様! ご無事で!」

シロッコ「サラか、心配かけたようだな……ヤザン、君か?」

ヤザン「おう、嬢ちゃんが不安でたまらないって顔してたからな。心配させたくなかったら今度は無様をさらさないようにするこった」

サラ「っ! パプティマス様になんてことを……っ!」

シロッコ「いいんだ、サラ。忠告、真摯に受け止めておこう……次の出撃は無装備のジ・Oで行く」

ヤザン「期待してるぜ」


シロッコ(そうだ、まずはジ・Oを完全に我が物にすること……その間に『ファイバー』と『ダンデライアン』の調整をすればいい。そうなると……)

シロッコ「……連邦内のデータだけでは……すると、ジオン……アクシズ、だな。ならば時間稼ぎも兼ねて……ふむ、いけるな」

サラ「パプティマス様?」

シロッコ「サラ、一つ頼まれてくれるか?」


>アレキサンドリア 艦内


ジャミトフ(通信)『……コロニー二基に加え、ティターンズ宇宙戦力の大半を動かしたにも関わらず、作戦は失敗……失態どころでの話ではないな』

バスク「グリプスIIの移送は完了した! 調整さえ終われば『ゼダンの門』として稼働はできる! そうなればスペースノイドなど物の数では無い!」

ジャミトフ『だとしてもそれでお前の失態の帳消しにはならん…………宇宙部隊の指揮は別の者に委任する。地上部隊の指揮に変わってもらおう』

バスク「っ! スペースノイドを殲滅するのが私の役目だ!」

ジャミトフ『それを決めるのは貴様ではない、後任は決まり次第伝える』プツン

――――ドガッ!


ジャマイカン「ひいっ!?」

バスク「……おのれジャミトフ……っ!」ギリリ


>キリマンジャロ基地


ジャミトフ「……ということになった」

ジェリド(通信)『……それ、完全に俺に厄介ごと押し付けてますよね?』

ジャミトフ「心配するな、別に君の下に配属するわけではない」ニヤリ

ジェリド『当たり前でしょう! 逆恨みの生け贄なんざゴメンですよ! はあ、閣下ってこんなハッチャケた人だったか……?』

ジャミトフ「ふふ、すまんな。君の存在のおかげで、少し高揚しているのやもしれん……派手に活躍しているようだな」

ジェリド『ま、せっかく貰った情報ですからね。そっちの邪魔にならん程度には腐れ役人やらなんやらを検挙させてもらってます』

ジャミトフ「その調子で頼む…………バスクはいずれ暴発するだろう。その時が君の出番だ」

ジェリド『……俺が駆けつけやすいように、ってことですか。了解しました、その時にはあのタコ眼鏡の顔面に一撃くれてやりますよ』

ジャミトフ「頼もしいな。期待しているよ」

ジェリド『はっ』プツン




ジャミトフ「…………キリマンジャロの朝は美しい。100年先、1000年先の人類も、この光景が見られる……そんな未来にしたいものだ……」


>ラーディッシュ 艦内


ヘンケン「さて、休憩に入るか……後を頼む」

リーゼント「押忍! お疲れ様です!」


ヘンケン「さて、メシには早いし……ん? ラーディッシュ? 資料室に面白いデータがあるのか……よし、行ってみるか」


>資料室


エマ「あら、艦長も調べ物ですか?」

ヘンケン「エ、エマ中尉!? ま、まあな……エマ中尉は何を調べに? 良かったら手伝うが……」

エマ「えっと……じゃあ、お願いします」


別の日……


ヘンケン「ふう、今日も美味いメシだった。食後の腹ごなしにちょっと回って……ラーディッシュ? MSデッキか……確かに、たまには顔を出さんとな」


>MSデッキ


エマ「デルタプラスは高性能だけど調整がね……あら、艦長」

ヘンケン「お、おう。どうだね、新型は?」

エマ「いい感じですね。この機体、艦長がウォンさんに無理言って搬入したって聞きましたけど……」

ヘンケン「ま、まあ、いいパイロットにはいい機体をだな……その、エマ中尉になにかあってはと……」

エマ「あ、ありがとうございます……えっと……たまには、MSに乗ってみます? シミュレーターとか……」

ヘンケン「う、うむ、そうだな」



>物陰


雷「ラーディッシュ……ああやってコツコツとヘンケンさんとエマさんを取り持ってたのね……ご苦労様」

クワトロ「ジュニアハイの学生じゃあるまいし……なにをやってるんだあの二人は」



「……クワトロ大尉がそれ言うかって話」ヒソヒソ
「まあ、艦長と違ってオープンだから」ヒソヒソ
「オープンロリコ……(ゲシッ)ぶげらっ!?」


アンジェロ「大佐と雷姉さんを汚すシミは貴様かーっ!」ウガーッ!

「ぎゃあああぁぁぁーっ!?」ボッコボコ

「「メ、メカニックCーッ!?」」


>アクシズ 宇宙港


「オーライ、オーライ……固定アーム、セット!」

ガシュン……

「ゲート閉鎖、エア充填まであと4、3……OK! ようこそアクシズへ!」

サラ「どうも……(パプティマス様に頼まれたアクシズの情報収集と使節の交渉……なんとしても成功させなくては!)」フンス


青年将校「ようこそ。歓迎しますよ、お嬢さん」

サラ「……お嬢さん、じゃありません。私はサラ・ザビアロフ、れっきとしたティターンズ士官です(なにこの人。胸に薔薇なんか刺して)」ムスッ

マシュマー「これは失礼を。私はマシュマー・セロ、この度は正式な交渉に先立っての視察とのことで……ああ! これもハマーン様の魅力が成せる業か!」←薔薇掲げてウットリ

サラ(どうしよう、変な人だ)

マシュマー「おお、この溢れる思いを抑えられん! ハマーン様、バンザ……!」

キャラ「いつまでやってんだいこの馬鹿マシュマー!」ゲシッ

マシュマー「ぬほぁぁぁぁぁぁ…………ぶげっ!?」←無重力で彼方の壁までぶっ飛んだ

キャラ「ゴメンねー、あの馬鹿すーぐトリップするから。あたしはキャラ・スーン、アクシズの案内はあたしがさせてもらうよ」

サラ「は、はい、どうも……(え? こんな派手な格好がアクシズの制服なの? 私、アクシズに所属してなくて良かった……)」



サラ(……それにしても)

キャラ「ん? どうかした?」ドタプーン

サラ「い、いえ……(パプティマス様もオッパイ大きいほうが……? い、いいや、まだ希望はあるわ!)」ストーン



>どっか


龍驤「……なんでウチにカメラ向けるんや!」

愛宕「どうしたの~?」ドタプーン

龍驤「…………モゲろぉぉぉっ!」

愛宕「きゃ~!? 鷲掴みは! 鷲掴みは止めてぇ~!」グニョングニョン

ひとまずここまで。
キャラはZZ本編だとそんな滅茶苦茶大きいってわけじゃないんですが……まあ、verことぶきつかさ(いけV)ということで。

マシュマー対アンジェロが早く書きたくて仕方ねえ……

ではまた。

お待たせして申し訳ない。いきます。

※※※※※※


>ラーディッシュ MSデッキ

アンジェロ「よっと……このっ…………そこだっ!」


《モニターに表示される『perfect!』》


アンジェロ「大佐! やりました!」

クワトロ「シミュレーターを始めて数回でこれか……すごいな。ソードブレイカーも使いこなせている」

アンジェロ「本当ですか!? へへっ……」

クワトロ「だが、慢心はしないでくれよ。戦いの雰囲気に呑み込まれてはいけない……ニュータイプの資質を持つなら、なおさらな」

アンジェロ「はい」


雷「あ、大尉ー、アンジェロくーん。お疲れ様! 差し入れ持ってきたわ!」

アンジェロ「雷姉さん! ありがとうございます!」

クワトロ「おお、ケーキか。アンジェロ、我々は運がいい。雷のケーキは絶品だぞ」

雷「ふふ、大尉はケーキ好きだもんね。はい、大尉の好きなイチゴケーキ! アンジェロ君はどれにする?」

アンジェロ「じゃあ、俺もイチゴで…………あ、いや。やっぱりこっちのミックスベリーのやつ(赤紫色)を」

雷「? はい、どーぞ」

アンジェロ(大佐がおかわりする分を残しておかねば! それに、この色に心ひかれるものが……)

クワトロ「では、頂くとしよう」

アンジェロ「いただきます!」


パクリ


クワトロ「…………美味い」キラキラ

アンジェロ「…………美味しいですねぇ」キラキラ

雷「気に入ってもらえて良かったわ!」



シンタ「あー! アンジェロ兄ちゃんとクワトロ大尉がケーキ食べてる!」

クム「二人だけずーるーいー!」

アンジェロ「モガッ!? ゲホゲホッ!」

クワトロ「おや、見つかってしまったな」

雷「あはは、ちゃんとみんなの分あるから大丈夫よ」
シンタ/クム「「わーい!」」


>サイド6 シャングリラ 学校


ビーチャ「なあジュドー、お前最近ジャンク集めやってないけど、どうしたんだ?」

モンド「イーノもだ。割のいいバイト見つけたって聞いたけど……なあ、俺たちにも一枚かませろよ」

ジュドー「やーだね。ビーチャのテキトーな情報のせいで危うく餓死しかけたんだからな」

イーノ「それ別にビーチャのせいってわけじゃ……」


教師「ジュドー・アーシタ! 珍しく出席したと思えば悪巧みの相談か! 罰としてこの問題を解け!」

ビーチャ「ケケケ」

ジュドー「ちぇっ、なんで俺だけ…………なんだ、これエリシア先生が教えてくれた計算式じゃん。簡単簡単っと」

教師「なっ!? カレッジレベルの数式だぞ……!?」

ジュドー「あってますよね?」

教師「う、うむ……戻っていい」


ビーチャ「おい、何であんなの解けるんだよ」

ジュドー「ちょっと、バイト先で美人女教師と個人授業を、ね」

ビーチャ「ななな何だと!?」

モンド「羨ましい!」

イーノ(アルさんとReonも一緒だけどね)


>シャングリラ 市街


リィナ「え、わたしも連れてってくれるの?」

ジュドー「ああ。勉強になるだろって、わざわざチケットも通行パスも用意してくれたんだ」

リィナ「お喋りするMSがいるのよね? 楽しみだなー」

ジュドー「ああ、期待してて……っ!?」


連邦士官(爆走車)「退け退け! 引き殺すぞ!」グォォ


リィナ「っ!」

ジュドー「くっ、リィナッ!」ガバッ


??「ッ!」



――――ガシャーンッ!


ジュドー「…………あれ?」

リィナ「……なんとも、ない?」




港湾棲姫「……アナタタチ、怪我ハナイ?」


《エレカの潰れた前面を押さえる港湾棲姫》


リィナ「は……はい! ありがとうございます!」

ジュドー「あ、ありがとうお姉さん(うわ、オッパイでけえ……)」

リィナ「ちょっとお兄ちゃん! どこに注目してるの! 失礼でしょ!」ギュー

ジュドー「痛たた! つねるなって!」

港湾「フフ……大丈夫ミタイネ」クスクス



連邦士官「ぐぐっ……おい貴様! よくも私の車をお釈迦にしてくれたな!」

ジュドー「何言ってんだ! 街中で暴走してるあんたが悪いんだろ!」

連邦士官「貴様、スラムコロニーのガキの分際で反抗するか!」

港湾「ヤメナサイ! 子供ニ乱暴スルナンテ!」

連邦士官「…………ほう。よく見ればなかなかの女じゃないか。いいだろう、お前がその分埋め合わせをするなら許して…………ぐがっ!?」



タウ・リン「……面白いことを言うじゃないか、なあ」ギリギリギリギリ

連邦士官「き、貴様、私を誰だと……は、放せ!」

タウ・リン「知らんさ……権力に尻尾を振るクソ虫なんぞな。ああ、放してやるよ……ほら、よっ!」グォッ!

連邦士官「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!」キラーン


《コロニー中心の無重力区域まで投げ飛ばされる士官》


ジュドー「……すっげー」
タウ・リン「ふん……目を離した間に、厄介事に巻き込まれているとはな」

港湾「ゴメンナサイ……」

リィナ「あの、そのお姉さんは悪くないんです! わたしたちを助けてくれて……」

ジュドー「だから、お姉さんを怒らないでくれよ!」

タウ・リン「……お前ら、兄妹か」

ジュドー「え? うん」

タウ・リン「…………互いを大切にすることだ……行くぞ」

港湾「ハ、ハイ……ジャアネ」





ジュドー「……もう、怒ってなかったのかな?」

リィナ「多分……そうだと思う。あの人も、お姉さんを助けにきたんだろうし」


イーノ「ジュド~! リィナちゃ~ん! こっちだよ~!」

ジュドー「おっと、シャトルの時間に遅れちまう。行こうぜ」タタタ

リィナ「あっ、待ってよ~!」



>市街 路地裏


「……こちらが先日の襲撃に関連するデータです」

タウ・リン「ああ、ご苦労だった……例の新型の情報は流石に難しかったか?」

「申し訳ありません……思った以上にセキュリティが厚く……」

タウ・リン「いや、いいさ。俺が直接ハッキングを仕掛ける。得意分野だからな……お前らはしばらくサイド6を楽しむといい。娯楽だけは揃っているコロニーだしな」

「お気遣い、感謝します……では」



タウ・リン「……意外そうな顔をしているな」

港湾「エ、エエ……」

タウ・リン「……俺たちヌーベルエゥーゴの面々は言わば爪弾き者の集団だ。誰にも省みられることも無く……だからこそ……労いの言葉くらいはかけてやらねば、な」

港湾「タウ・リン……」

タウ・リン「…………ふん。あの兄妹のせいか、感傷的になっているらしい……来い。仕事まで時間がある……『相手』をしろ」

港湾「ア……ハ、イ」カアッ
タウ・リン「ちっ……何を赤くなって……俺は貴様の恋人でも何でも無いんだぞ…………こっちだ、グズグズするな」

港湾「ハイ」タタタ

短いですがここまでで。
引き続き頑張ります。

艦これ×ガンダムなのに艦娘が少ししか出せていませんが、あんまり出すとバランスが……なのでガンダム世界がメインで艦娘が『お客さん』として入っているとお考え下さい。色々出したいんですけどね……


ではまた。

いきます。

※※※※※※


>ラーディッシュ 艦内


シンタ「お仕事おーわりっと」

クム「雷お姉ちゃんどこかなー? またケーキ食べたい!」

アンジェロ「お前らなあ……雷姉さんはケーキばっかり作ってるわけじゃないんだぞ」

シンタ「んなこと言われてもさあ……あ、クワトロ大尉だ」

アンジェロ「何!? 大佐が!?」



雷「もー! 洗濯物は色落ちするのは別にしてって言ったでしょ!」

クワトロ「すまん、ついうっかり……」

雷「大尉の制服が色落ちしたら『赤い彗星』が『薄桃色の彗星』とか『さくら色の彗星』って呼ばれるようになっちゃうわよ!」

クワトロ「む……それは困る。気を付けよう」



シンタ「……大尉って本当私生活だらしないな」

クム「雷お姉ちゃんも大変ねー」

アンジェロ「ジブンハナニモミテイナイジブンハナニモミテイナイ」

シンタ「兄ちゃん、いい加減受け入れろよー」

アンジェロ「ナンノコトダ? ジブンハナニモミテイナイ」


>ラーディッシュ ブリッジ


ヘンケン「合流ポイントまで間もなくだな」

リーゼント「押忍! ドック艦・ラビアンローズが待機してるはずであります!」

ヘンケン「ラーディッシュもアーガマも激戦だったからな……しかし、ラビアンローズを都合してくれるとは、アナハイムも奮発したもんだ」


>艦内


雷「ドック艦かあ……明石さんみたいなのかな?」

クワトロ「データがあるから見せようか(ピッピッ)……これだ」

雷「わあ、なんだかお花みたいな形……そっか、だからラビアンローズって名前なのね」

クワトロ「艦種にもよるが、2~4隻は同時に補修可能。アナハイム社が各所に強気でいられる要因の一つでもある」

雷「ん~……? ああ、どこに所属してる艦でも、敵対しなかったら駆けつけて修理しますよ、ってこと?」

クワトロ「そうだ。特に宇宙空間での遭難は死と同意義だからな」

雷「レスキュー隊みたいなものなのね」

クワトロ「……金は取られるが、な」

雷「うわ~……」



>合流ポイント


リーゼント「アーガマ、ラビアンローズ、目視確認しました!」

ヘンケン「よし、接舷準備始め! 警戒も怠るなよ!」

リーゼント「押忍!」



トーレス「ラーディッシュ、ラビアンローズに接舷開始しました。本艦も続きます」

ブライト「ああ……観測班、異常ないか?」

サエグサ「特に報告ありません」

ブライト「よし。MSデッキ、ラーディッシュに積み込むMS、スタンバっておけ」

トーレス「了解!」


>ラビアンローズ 艦内


雷「よい、しょっ……と」

クワトロ「無重力も大分慣れたみたいだな」

雷「えへへ、なんとか……あ、カミーユ君だ」


カミーユ「クワトロ大尉! 雷! 無事で何より!」

クワトロ「そちらもな。月では大変だったそうじゃないか」

カミーユ「まあ、何とか生きてますから……それでトントンでしょ」

クワトロ「それもそうだ」

雷「他のみんなは?」

カミーユ「今手続きをしてるとこさ。俺はZで先導役やってたから早かったんだ」


シンタ「よっ……と。二人とも早く来なよー」

クム「待ってよー」

アンジェロ「だから勝手にドンドン進むな!」



カミーユ「…………大尉、いつ雷と子供作ったんですか? 三人も」

雷「ふええっ!?」ボンッ

クワトロ「……よしカミーユ、今日は久々にシミュレーターで模擬戦と『逝こう』か。強化されたZガンダムがゾーリンソールに匹敵するという話、是非確かめたい」ゴゴゴゴゴゴ

カミーユ「じょ、冗談に決まってるでしょ! 沸点低いですよ大尉!」アセアセ


アンジェロ「大佐を侮辱するのは貴様かーっ!」ウガーッ

カミーユ「うわああっ!? ド、ドロップキック!?」

クワトロ「おっと……(首根っこ捕まえ)落ち着け、アンジェロ」

アンジェロ「大佐! 何ですコイツは!」ガルルルル

クワトロ「シミュレーター中に少し話したろう? カミーユ・ビダン少尉だ」

アンジェロ「……大佐の教えを受けてるって言う?」

クワトロ「そうだ」

カミーユ「えっと……俺はカミーユ。よろしく?」

アンジェロ「…………アンジェロ・ザウパーだ…………負けないからなっ!」フンッ

カミーユ「あの、大尉?」

クワトロ「……まあ、若者特有の負けん気と思ってくれ」

シンタ「兄ちゃん、クワトロ大尉にどっぷりだからなー……あ、オレはシンタだよ」

クム「あたしクム! よろしくー」

カミーユ「あ、うん…………雷、色々苦労してないか?」

雷「お世話しがいがあるわ!」フンス

カミーユ(逞しい)



カミーユ「そうだ。少し相談したいことが……いいですか? 雷も一緒に」

雷「私にも?」

クワトロ「……何かあったか?」

カミーユ「……ガトー大尉と夕立のことで、ちょっと。それに関係して北方も……」


>艦内 広場


北方「……ア、雷トグラサン」

クワトロ「その呼び方はなんとかならんかね……」

雷「……カミーユ君から色々聞いたわ。夕立とケンカ、しちゃったの?」

北方「ン…………夕立、ズット元気ナイ……ホッポノセイ」


【数日前】


北方「ロン毛! ナンデオ姉チャン守レナカッタ! バカ! バカ!」ポカポカ

ガトー「……すまん。私の不注意だ」

北方「ウルサイウルサイ! イイワケスルナ!」ポカポカポカポカ

夕立「止めてぇ!」ドンッ

北方「ッ!(ドテッ)何スル!」

ガトー「夕立! 何をやって……!」

夕立「少佐さんの……少佐さんのせいじゃ無い! 夕立が、夕立がコロニーに行こうなんて言わなかったら……少佐さんの怪我も……ロザミアちゃんも…………だから……だから……少佐さんをこれ以上責めないでよぉ!」ポロポロ

北方「アウ、ア……」

ガトー「…………夕立、もう、いい……私は、大丈夫だ」

夕立「でも……でもっ……! うっ……ひぐっ…………うぇぇぇ~~んっ!」

ガトー「……(ギュッ)……夕立……すまん」

北方「……ホッポ、ハ」

ガトー「……北方、ロザミアは必ず私が助ける。連れ帰る……それで、納得してはくれまいか?」

北方「ン……ワカッタ……」

夕立「ひぐっ……うっ、く……」

ガトー「……少し、休んだ方がいい」

夕立「……っ」コクン


北方「…………夕立」


【現在】


北方「……アレカラズット、夕立ハ元気ナイ。ホッポ、ゴメンッテ言イタイケド……避ケラレテル。アーガマノミンナニモ頼ンダケド、夕立、捕マラナイ」

雷「……そう、なんだ」

北方「夕立ノ元気ガナイト、ホッポモ寂シイ。オ願イ、仲直リ手伝ッテ」

雷「うん、わかったわ。何とかやってみる。大尉も手伝ってくれる?」

クワトロ「……ああ」




クワトロ(この、状況は…………私も覚悟せねばならん、か)

ちと不穏な引きですが……ここまでで。次回に解決させます。

我ながらどんだけガトーさん追い込むんだっていう……
まあ、その分輝いてもらうつもりです。


ではまた。

いきます。

※※※※※※


>アーガマ MSデッキ


夕立「(カチャカチャ)……ビーム出力を……ブースターが……」ブツブツ

ガトー「夕立、一旦休め。身体を壊すぞ」

夕立「え……でも……」

ガトー「後は私がやる……せっかくラーディッシュとも合流したんだ、雷と話して来たらどうだ?」

夕立「うん……そうするっぽい……」トボトボ



ガトー「…………いかんな、あれは。しかし、どうすれば……」

クワトロ「ガトー大尉、いいか?」

ガトー「これはクワトロ大尉。何か……いや、夕立のこと、ですな」

クワトロ「まあ、そうだな」

ガトー「……申し訳ない。私の事情で彼女に負担を……」

クワトロ「貴方だけの責任ではないさ。それで、少し相談があって来た」


説明中……


ガトー「……お話はわかりました。しかし、それは……」

クワトロ「……本来、私が負って然るべき責任だ。ガトー大尉だけに悪評を集中させるわけにもいくまいよ」

ガトー「……御身がそう言われるなら、私が否やとは言えません……『キャスバル殿』」

クワトロ「すまんね……夕立には雷が対応してくれているはずだ」


>ラビアンローズ 艦内


雷「夕立!」

夕立「あ……雷。久しぶりっぽい」

雷「大丈夫? 気落ちしてるみたいだけど」

夕立「平気っぽい。夕立はもっと頑張らないと……」

雷「……北方のことは?」

夕立「っ」ビクッ

雷「……会い辛いの?」

夕立「…………ロザミアちゃんが拐われちゃったのは事実だから…………怖いの、また、少佐さんのこと、何か言われるんじゃないかって…………北方がそんなことする子じゃないってわかってるのに……怖い、の」

雷「そっか……大好きな人を悪く言われるのは……辛いよね」

夕立「ぽい……」

雷「でも、友達と仲直りできないままの北方も辛いと思うわよ?」

夕立「それは……」

雷「……ガトー大尉のところにはクワトロ大尉が行ってるわ。それなら、何かあっても大丈夫でしょ? 北方と……ちゃんと会ってあげられない?」

夕立「………………わかった。夕立、頑張ってみるっぽい」

雷「そう。それじゃ、一緒に行きましょ。北方もきっと待ってるわ」

夕立「ぽい」


《雷に手を引かれて歩く夕立》


夕立「…………雷は」

雷「ん?」

夕立「雷は、夕立よりちっちゃいけど、お母さんみたいっぽい」

雷「むう、ちっちゃいってのはいらないわよー」

夕立「あは、ゴメンっぽい」



>ラビアンローズ 広場


アンジェロ「深海棲艦……お前が?」

北方「ソウダヨ。アト、『オ前』言ウナ。ホッポハホッポダ」

アンジェロ「あ、ああ……悪かった」

シンタ「コレ(=タコヤキ機)、変な生き物だな」

クム「ぷにぷにー」

タコヤキ機「ヴォー」プニプニ


プシュー


北方「ア、雷……夕立!」

雷「お待たせ、連れて来たわ」

夕立「あう……」ビクビク


北方「夕立……ゴメン! ホッポ、夕立ガドウ思ウカ考エテナカッタ……ロン毛、ジャナイ、ガトー大尉ガ頑張ッテモ仕方カッタコトナノニ、責任押シ付ケテタ……ダカラ、ゴメンナサイ!」

夕立「う、ううん。夕立もあの時、とっさに北方を突き飛ばしたりしてゴメンなさいっぽい……それから、しばらく会うのを避けてたことも」

北方「……マタ、友達ニナッテクレル?」

夕立「……まだ、友達って思ってくれるっぽい?」


《どちらともなく差し出した手を繋ぐ北方と夕立》


北方「……エヘヘ」

夕立「……ぽいっ」




雷「ふふ、これでもう大丈夫ね」

シンタ「よくわかんないけど、仲直りできて良かったじゃん」

クム「あのお姉ちゃんも艦娘なの?」


アンジェロ「……今、あいつ……何て……」

短いですがひとまずここまで……次でケリつけます。

ではまた。

いきます。

※※※※※※


>ラビアンローズ 広場


夕立「あっ、少佐さんに北方と仲直りできたって言わなきゃっぽい」

雷「それなら今、大尉が呼びに行って……(プシュー)ちょうど来たみたい」


クワトロ「……そちらは解決できたようだな」

雷「うん。あっ、カミーユ君も来てくれたんだ」

カミーユ「やっぱり気になったんでね」

夕立「心配かけてごめんなさいっぽい……少佐さん! 夕立はもう大丈夫っぽい!」

ガトー「……そうか。何よりだ」



アンジェロ「ガトー……? アナベル・ガトー……!? デラーズフリートの!」ギリッ


ガトー「……っ(やはり、この少年も)」

夕立「ひっ……!? ま、また……あなたも、少佐さんを……!?」


アンジェロ「お前! お前がぁぁぁぁっ!」グワッ


クワトロ「(ガシッ)アンジェロ、何をする気だ」

アンジェロ「放して下さい大佐! こいつは……この男は! デラーズフリートの連中は! 忠義面して世界を滅茶苦茶にした戦争屋の集まりだ! こいつも世界を汚す、汚らわしい染みだ! よくも生きて俺の前に顔を出せたものを……この手で修正……いや、粛清してやる! 放して下さい大佐ぁ!」

夕立「ダメぇ! やめ……(スッ)……雷?」

雷「大丈夫、大尉を信じて」


クワトロ(回想)『恐らく、ひと波乱必要になるはずだ……ガトー大尉のことは私が解決する。雷は、皆に見守らせていてくれ』


雷(大丈夫、よね。大尉……)



クワトロ「……それほどまでに彼が憎いか、アンジェロ」

アンジェロ「当然です! デラーズフリートのことだけじゃない……ジオンという国を好き勝手にしたザビ家! そいつらに従った連中! みんな染みだ……みんな、汚らわしい染みだぁ!」




クワトロ「ならば、私も君に粛清されねばならんな」
アンジェロ「え……?」



アンジェロ「な……何を言っているんです。大佐はザビ家に立ち向かった英雄じゃ」

クワトロ「……ザビ家を打倒せんとしていたの事実だ。しかしそれは大義も正義も無き私怨によるもの…………何より、その為に私がとった手段はおぞましい方法だった」


クワトロ「士官学校でガルマ・ザビに接触し、彼に反連邦の思想と功名心を植え付けた……その結果が、反連邦の機運を高めるきっかけとなる『暁の蜂起』事件を導いた」


クワトロ「ザビ家を戦乱に紛れて殺す為に、連邦の勢力を盛り返す必要が生まれれば、脱走したレビル将軍を捕捉・拿捕したにも関わらず……私はそれを逃がした」


クワトロ「私の行動が全てと言うほど傲慢ではない……ないが、それがあの一年戦争を引き起こす引き金の一つだったこと……それは疑いようのない事実だ」



アンジェロ「嘘……だ……」


クワトロ「私は……シャア・アズナブルという人間は」


アンジェロ「そんなの……そんなこと……!」




クワトロ「あの戦争を望み、それを後押しした人間の一人なのだ」



アンジェロ「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



アンジェロ「信じない……信じないぞ……大佐は、大佐は………………そうだ、お前が……アナベル・ガトー! お前が大佐に庇わせているんだろう!」

ガトー「……私は私の犯した罪から逃げることはしない。私を罰すると言うなら、粛々と受けよう…………故に、クワトロ大尉の言に偽りは無い」

クワトロ「アンジェロ、ガトー大尉を許せんと言うのは君の境遇から当然だと言える……だが、彼を殴りたいなら、その前に私を殴れ! ガトー大尉を罪人と言うなら、彼に罪を犯させる道を進ませた、私もまた罪人だ!」


アンジェロ「う、あ、ああ……ああぁぁぁぁ」





アンジェロ「うわああああぁぁぁぁああああああっ!!」


――――バキッ!


クワトロ「ぐっ……(これで、いい…………これが、若さだ)」


アンジェロ「お、れ、は……俺は、俺は、大佐を…………うわああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ダッ





クワトロ「…………雷、アンジェロを頼めるか? すぐに私が行くのは、な」

雷「もちろんよ! でも、もう少し方法なかったの?」

クワトロ「すまん、私にはこれが精一杯だ」

雷「もう……」

カミーユ「……俺も行きますよ。あいつ、大尉に会った時の俺みたいですから……先輩として、大尉との付き合い方を教えてやらないと」

クワトロ「助かるよ」

雷「大尉もちゃんと後から来てね!」タタタ

カミーユ「んじゃ、ちょっと行ってきます」タタタ



夕立「え、と……クワトロ大尉、大丈夫っぽい?」オロオロ

クワトロ「ああ、流石に10歳の子供のパンチではダウンせんよ……痛いことは痛いがね」

北方「グラサン、無理スルナ」

夕立「……北方、それいい加減にしないと雷に頭撃ち抜かれるっぽいよ?」


ガトー「……本当によろしかったのですか? 御身はこれから大役を背負う身……よけいなスキャンダルは抱えないほうが」

クワトロ「だからこそ、だ。過去の罪から逃げて、隠れていては……何も変わらない。私が真の名を名のるのに必要な儀式みたいなものさ……それより、こちらの都合に巻き込んでしまった事の方が申し訳ない」

夕立「? どういうことっぽい?」

クワトロ「……アンジェロの事だ。サイド3での事がよほど強烈だったのだろう……私に対し、狂信的になりつつあった。それこそ、彼の忌み嫌う『忠義面した戦争屋』にな……これで少しは方向を修正できたと思いたいが」

ガトー「価値観を破壊し、自分を見直す機会が必要だった、ということですな…………私も覚えがありますよ。夕立がいなければ、今、私はこうして立ってはいられなかったでしょう」

夕立「ぽ、ぽい?」


クワトロ「……一つの出来事を利用してにいくつもの問題を解決するように仕向ける……こんなことが自然に出来るというのも、汚れた大人になったということかな」

ガトー「未来を担う子供たちが汚れない為に、我々が泥を被る分には構わんでしょう」

クワトロ「違いない……そろそろ私も行くとするよ。雷とカミーユばかりに負担はかけられん」

ガトー「この度はお気遣いありがとうございました」

《軽く手を振って去っていくクワトロ》




ガトー「夕立」

夕立「ぽい?」

ガトー「ありがとう……お前がいてくれたから、私は正道にたち戻ることができた。大切なものを……思い出すことができた。本当に……ありがとう」

夕立「ぽ、ぽい~……夕立こそ……」マッカ



北方「……ロン毛、夕立、ホッポ無視スルナ」ムー

夕立「…………もうっ! いい雰囲気だったのに空気読めっぽい!」!カスンプ


シンタ「……展開急すぎて固まってた件」

クム「まあ、あたしたち子供だし?」

タコヤキ機「ヴォ」

今回はここまで。
次回結末書いたら少し他クルーを描写できるかと。

ではまた。

お待たせしました、いきます。

※※※※※※


>ラビアンローズ 通路


アンジェロ「はあっ、はあっ…………俺、は……大佐を……大佐は…………でも……どう、すれば……」

雷「アンジェロ君! やっと追い付いた……大丈夫、じゃ、なさそうね」

アンジェロ「雷、姉さん……俺は、俺は……っ!」

雷「落ち着いて。ほら、深呼吸」

アンジェロ「は、い……ふうっ……はあっ……」

カミーユ「ほら、水持ってきたから飲め。ゆっくりな」

アンジェロ「あんた、は…………わ、かった」


数分後……


雷「少しは落ち着いた?」

アンジェロ「何とか……ありがとう、ございます」


アンジェロ「大佐は……なんで、あんなことを……黙ってれば、いいじゃないか! 大佐は……大佐はあの日から、俺にとって英雄だったのに……」

カミーユ「クワトロ大尉だって普通の人間だよ。失敗もするし、おどけてみたりもする」

カミーユ「等身大の、偶像じゃないクワトロ大尉は好きになれないか?」

アンジェロ「……そんな、ことは……ない、けど」

カミーユ「まあ、すぐに納得しろったって無理だよな。俺も経験したことだし」

アンジェロ「……あんたも?」

カミーユ「ああ、アンジェロとまるっきり同じさ。ガトー大尉に食ってかかって、クワトロ大尉にも殴りかかって……もっとも、俺は雷に投げ飛ばされたけど、な」

アンジェロ「い、雷姉さんに!?」

雷「あったわねー、そんなこと」

カミーユ「ま、お蔭で頭が冷えたんだけどさ…………それから一緒に過ごすうちに、クワトロ大尉もガトー大尉も、俺が知ってたり、思いこんでた姿ってのは、その人の一部に過ぎないんだってわかったんだよ。クワトロ大尉は、アンジェロにそういうことを感じて欲しかったんじゃないか?」

アンジェロ「…………昔のことを、許せってこと、ですか」

カミーユ「許せ、ってのは違うと思う。憎んでも、怨んでもいいから……その人の全てを最初から否定しないで、ただ、直に接して、知って……交流する。それが、大切なんじゃないかな。俺も、まだよくわかんないけどさ」

アンジェロ「俺、は…………」

雷「難しく考えなくていいいわ。ただ……以前わたしが言ったように、アンジェロ君の優しさを、ほんの少しだけ、他の人にも回してあげて。その人が、どんな人かなぁ、って考える分だけでも」



クワトロ「どうやら、私の出番がなさそうだな」

雷「大尉!」

カミーユ「いえ、俺もなんとなくですからうまく伝えられてるか……ほら、アンジェロ」


アンジェロ「大、佐……俺……」

クワトロ「……アンジェロ、私は過去の過ちがあるからこそ、今こうしてここにいる。それはガトー大尉も同じだ。人は……決して綺麗なものだけで出来ているわけではない。だが、だからこそ、過ちを正そうと、罪を償おうと……綺麗に、生きようとする姿は、尊いのだと思う」

クワトロ「私は……君に恥じることのない生き方をしたい、していたい。あるがままの己を偽ることなく、けれど、それに捕らわれずに…………そして、それを曇り無き目線で見ていて欲しいと思う。そう君に願うのは、傲慢だろうか?」


アンジェロ「…………よく……わからない……です。頭が、グチャグチャして……」

クワトロ「……そうか」

アンジェロ「でも……大佐が、とても大切なことを伝えてくれているのは……わかります。だから…………すぐに考え方を変えたりは出来ないけど……少しずつ、やってみます。きっとそれが……俺にとって、必要なんだと思うから」

クワトロ「ああ、それでいい……ありがとう、アンジェロ」





カミーユ「はは、結局おいしいとこはクワトロ大尉が持って行っちゃった」

雷「いいじゃないの、カミーユ君もカッコよかったわよ?」

カミーユ「そうかな? でも……知るってことは、重要だって、つくづく思うんだ。もしかしたら……俺は今頃、ジェリド中尉といさかいを抱えたまま、殺しあいをしていたかもしれないんだから……」



>ドゴス・ギア 艦内


ヤザン「バスクのタコ野郎が更迭されたって?」

シロッコ「うむ、流石に先の作戦失敗はきつかったらしいな……だが、その影響でしばらく宇宙軍の指揮官は空席だ。制限付きだが各方面の部隊の独自行動が許可された」

シロッコ(……ジャミトフはこれを機にティターンズを『ふるい』にかける気か? ならば……多少無茶をする価値はあるか)

シロッコ「観測班! エゥーゴの艦は捕捉しているか!?」

「現在、アナハイム所属ドック艦・ラビアンローズにて補給中です」

ヤザン「仕掛けるのか?」

シロッコ「ああ。だが、ラビアンローズからの離脱を待つ。今アナハイムとの関係をこじらせる訳にはいかん。それに……足止め程度で構わんのだ。その稼いだ時間でアクシズとの接触を先んずる」

ヤザン「……なるほど、アナハイムにこちらに付くのが良いと思わせるか」

シロッコ「彼らは企業だからな。ティターンズの一部、またエゥーゴの大半がアナハイム製MSを採用している現状、アクシズもまたそうなるはずだ。我々の優勢を示した上で口利きをすれば、優遇を得られ、アクシズとも手を組める」

ヤザン「そうだな……しかし、理屈はそうだがいささか楽観視し過ぎじゃないか?」

シロッコ「用はエゥーゴの連中に『そう考える者がいる』と思わせることだよ。失敗したとして、天秤がいつ傾くかわからない……その心理的プレッシャーだけでも、牽制にはなる」

ヤザン「そういうことか、ならば異は無いぜ。ハンブラビを調整しておく!」

シロッコ「ああ、頼んだよ」



シロッコ「…………それに、奴が……シャア・アズナブルがいる…………クク、焦るな、パプテマス・シロッコ……奴と手合わせするだけだ。全てが……ネオ・THE-O…………『THE-O・インレ』が完全な形になる、その時までは……!」








『右腕』のクリスタル「」ヴォン……ヴォン……




>ラビアンローズ 艦内


ヘンケン「ネモの予備パーツに……リックディアス数機。アポリー中尉とロベルト中尉はこっちの預かりでいいんだな?」

ブライト「ああ、よろしく頼む」

ヘンケン「了解……っと、そういえば、昇進おめでとう、ブライト『大佐』」

ブライト「はは、これはどうも。まあ、やることはあまり代わり映えしませんがね」

ヘンケン「確かに。さて、あとはラビアンローズから資材の積み込みが……」



女性「あ、あの! ブライト艦長ですよね!」

ブライト「え? あ、ああ……そうですが」

エマリー「私、ラビアンローズの艦長代理をしているエマリー・オンスと申します! あ、あの……私、ブライト艦長の大ファンでして! ぶしつけですが、サインをお願いできますか!?」←色紙差しだし

ブライト「は、はあ。私のもので良ければ……(サラサラ)これで良いですか?」

エマリー「はい! ああ……感激です!」

ヘンケン「……積み込みの手続きに来たんじゃ」

エマリー「あの! この後お時間ありますか!? 良ければお茶でも……その、ブライト艦長さえよろしければ、ゆっくり……」

ブライト「い、いや、あの……」

ヘンケン「あの、手続き……」

エマリー「ブライト艦長……」

ブライト「ふ、不倫は……」

ヘンケン「資材……」




間宮「ブライト艦長、お仕事、詰まってますよ?」ニコニコ

ブライト「わあっ!? ま、間宮か……脅かさないでくれ。オホン! エマリー艦長代行、アーガマとラーディッシュへの搬入の確認をお願いします」

エマリー「あ……はい」




間宮「ブライト艦長、ミライさんに報告出来ないようなことをしちゃ駄目ですよ?」ニコニコ

ブライト「人聞きの悪いことを言わないでくれ!」

ヘンケン「…………お目付け役付きか」



>アーガマ MSデッキ


カーンカーン
バヂバヂバヂ


ゾーリンソール(整備中)「」


アストナージ「ほぼメンテナンスフリーの機体だからって手ぇ抜くなよ! 普通のMS以上に酷使されてる関係上、どこにエラーがあってもおかしくないんだからな!」


ウース
アイアイサー


クワトロ「帰還早々、世話をかけてすまないな」

アストナージ「いえ、耐久データの観点からも重要ですしね……無事なお帰り、何よりです、クワトロ大尉……」

クワトロ「ああ。ん……? どうした、浮かない顔だな」

アストナージ「……すいません、大尉。Sガンダムの件……流出を止められませんでした」

クワトロ「アナハイムが一枚岩でない以上仕方あるまい。一機は確保出来たのだろう? それで良しとすべきだ」

アストナージ「はい……ですが、まだ懸念はあるんです。研究材料としてアナハイム預かりになっているガンダムMKIIの事です。ムーバブルフレームのデータ取りが終わって以降の消息が掴めなくて……」

クワトロ「む……しかし、データ取りがすでに終わったのなら…………いや…………そうか、サイコフレーム!」

アストナージ「ええ、フォン・ブラウンの研究施設と、実戦部隊以外では、唯一MKIIの試作サイコフレームだけが行方不明ということに…………しかも、『三機とも』……つまり、『カミーユが侵海MSにしたMKII』もなんです」

クワトロ「…………ティターンズ、というよりヌーベルエゥーゴは深海棲艦化するMSをすでに実戦投入している。そちらの点では今更何らかの技術的革新があるとも思えんが……サイコフレームに関してはな……」

アストナージ「……幸いなのは万人向けの技術じゃない、ってことですね。サイコミュの精度を上げたからって、ニュータイプ、それも大尉くらいの腕がなきゃ宝の持ち腐れですから。強力過ぎるMSの性能にパイロットの方が潰されます」

アストナージ「…………かと言って、あちらさんに使える人間がいないって保証もないんですが……はあ」

クワトロ「ある程度は覚悟していたことだ、そう気を落とすな。それに……戦争を終わらせるのは戦場ではないさ。その為に、私も動いている」

アストナージ「……ありがとうございます。ゾーリンソール、ナノ単位で完璧にしときますよ」

クワトロ「よろしく頼む」

お待たせしました、いきます。

※※※※※※


>サイド6 ストックウェル研究所


リィナ「ねえ、お兄ちゃんはちゃんと勉強してた?」

Reon『問題ありません。ただ、時々居眠りはしていましたが』

ジュドー「げっ。んなことバラさなくても」

リィナ「やっぱり……ダメよ、エリシア先生は忙しい中で時間使ってくれてるんだから」

ジュドー「うへーい」

リィナ「Reon、これからもお兄ちゃんを見張っててね。すーぐ逃げちゃうんだから」

Reon『ジュドーの行動パターンは記録しています。お任せを』

ジュドー「ちぇー、信用ねーの」



エリシア「ふふ、Reonの思考ルーチンもずいぶん育ってきたみたい」

アル「そうですね……あの、やはり、予定は……」

エリシア「…………現状は連邦とエゥーゴの共同管理状態。納入予定に変更は無いわ…………Sガンダムの正規納品の日、Reonの人格プログラムはリセットされてしまう」

アル「…………みんなに伝えるのは……辛い、ですね」

エリシア「それでも…………それでも、Reonの中に残るものがあると、信じたいわ。でなければ……」

ピーッピーッ


アル「ん……イーノとルーからか」

イーノ(通信)『買い出し、終わりましたよー』

ルー(通信)『そろそろ戻……(ザザッ)……あら? 通信が……(ザザッ)』

アル「何だ……?(ピーッピーッ)っ!? サーバーに不正アクセス!?」

エリシア「っ! ハッキング……まさかReonのデータを! ファイアウォールが機能していない……リアルタイムで排除するしかないわ!」カタカタカタカタカタ

アル「手伝います! Reon! 回線を遮断しろ! ハッカーの狙いはお前だ!」カタカタカタカタカタ

Reon『了解。全アクセスを遮断、閉鎖モードに入ります』

リィナ「だ……大丈夫なの?」

ジュドー「……エリシア先生とアルさんならやってくれるさ」


エリシア「進行速度が速い……! 下位プログラムを全て切り捨てるわ!」カタカタカタカタカタ

アル「発信源は……捉えた! 熱暴走プログラム、行けっ!」カタカタカタカタカタ




エリシア「…………アクセス停止を確認したわ。けど……基礎構造の一部は持って行かれたみたい……」

アル「くそっ……きっとゼファーファントムを使ってきた連中だ……!」


>リボー・コロニー 郊外

――ボンッ!


タウ・リン「っ! ちっ、端末がイカれたか…………奪えたのは一部だけ……まあ、相手は『あの』エリシア・ストックウェル、成果としては上々だ」

港湾「ドウイウ、人デスカ?」

タウ・リン「MS……いや、その前身たる人型作業機械の父とも言える『ワルハマー・T・カインズ』の秘蔵っ子だ。電子戦で勝ち目がある人間なんぞ片手で数えるくらいしか居ない。だが……一部でも手に入れば十分だ」


ピーッピーッ


タウ・リン(通話中)「俺だ…………何? アナハイムが……わかった。すぐ戻る」

港湾「何カ、急ナコトガ?」

タウ・リン「ふん……アナハイムの蝙蝠どもがアクシズの援助を決めたそうだ。交渉役は……あの雌狐だろうな、アクシズの小娘相手にはうってつけだ。アウーラに戻る、行くぞ」

港湾「ハ、ハイ」


タウ・リン(…………予定通り、だ…………だが…………腹立たしいことには変わり無い。アナハイムのハイエナどもめ、貴様らの所業の報いは豪勢にしてやるぜ…………!)


>バルカン半島近海 スードリ機内


「付近での戦闘を感知しました!」

ジェリド「詳細は!? 通信は傍受できるか!?」

「通信はノイズが酷くて…………識別は……MSです! ティターンズが2! エゥーゴが1! いや、これは……!? み、未確認の磁場を感知! まさか……こ、光学は!?」

「確認した! 深海棲艦……侵海MSです! 機数、5!」

ジェリド「出やがったか! マウアー! エリアルド! 出るぞ!」

エリアルド「了解です!」
マウアー「待って! MSは? エゥーゴだからといって、私たちの味方とは……」

ジェリド「現場で確認すりゃあいい! 侵海MSにやられて亡霊の仲間入りされるよりゃマシだ!」


>MSデッキ


「ハンター中尉の機体は突貫工事で組んだやつですから気を付けて使って下さい!」

エリアルド「ああ、ありがとう!」

ジェリド「前衛は俺たち三人でやる! スードリの防衛に専念してくれ!」


「「了解!」」


マウアー(高機動型ハイザック)「先行するわ! マウアー・ファラオ、いきます!」バシューッ


エリアルド(ヘイズル・ハイゼンスレイ)「……久しぶりだな。頼むぞ、ヘイズル! エリアルド・ハンター、出るぞ!」バシューッ



「進路クリア! 発進どうぞ!」


ジェリド(ギラ・ドーガ)「よし……ジェリド・メサ、ギラ・ドーガ、発進する!」バシューッ


>戦闘空域


・機動レイ級(ガブスレイ)×5


バシューッバシューッバシューッバシューッ!

ガギィンガギィンガギィンガギィンガギィン!


シスクード(オフェンスモード)「」ゴォォォ


??(シスクード)「ぐっ……がふっ…………ぐううっ!」


???(デスパーダ)「ずいぶん粘るねえ…………いい加減、死んでくれないかなぁぁっ!」



デスパーダ(サイロッド射出)「」バシューッ! シュバババ!

シスクード「っ!」ゴォッ

??「ぐううぅっ! まだ……だ……俺は、まだ…………セラを……っ!」

???「(ギリッ)……不愉快なんだよ……お前の口が! セラの名前を呼ぶのはぁぁぁっ! ジークフリート・ウェドナァァァァッ! セラ! 奴をなぶり殺しにしろおぉぉぉっ!」


セラ(テラ・スオーノ)「……はい、マスター」

テラ・スオーノ(MS)「」ヴォン……ッ!


シグ「止めろアイン! セラに負担を……!」

アイン「黙れぇぇぇっ!」


レイ級×5「「」」ギィンッ!


ゴォォォッ!

ガガガガガッ!
ズガガガガガガッ!


シグ「ぐああああああっ!」


アイン「あははははっ! 深海棲艦ってやつ、使えるじゃないか! お前も死んだら深海棲艦にしてこき使ってやるさ! セラに殺してもらえるんだ、感謝してよ。じゃあね……サ・ヨ・ナ・ラ」


レイ級「」ヴォン……ゴォォォッ!


シグ「……っ!」


――バシューッ!


レイ級「っ!?」ズガァァァンッ!

アイン「なっ!?」


シグ「ティターンズ……? 何故……?」


エリアルド「ふう、危機一髪、かな」

マウアー「そこのMS! そのままでは狙い撃ちにされるわ、下がって!」

アイン「何だよお前らは! 邪魔をするな!」

ジェリド「はっ! よってたかってタコ殴りたあ趣味の悪いガキだぜ! そー言うのをな、『クソガキ』って言うんだよ!」

アイン「ガキ……だとぉ! 誰だよ……ボクを馬鹿にするお前ぇぇぇっ!」

ジェリド「手前なんぞに名乗る名はねえ!」


アイン「生意気なんだよ、オールドタイプの分際でぇっ!」バシューッ! シュバババッ!

ジェリド「うおっとぉ! クワトロ大尉のソードブレイカーに比べりゃ、こんなもんスローモーションなんだよ!」ガガガガガッ!

アイン「(ドガガァンッ!)ぐあっ!? このっ……墜ちろ! 墜ちろぉっ!」バシューッバシューッバシューッ!

ジェリド「カミーユより狙いが甘ぇ! 当たるかっ!」ヴォン……ズガァッ!

アイン「うわぁぁぁっ!? な……そんな馬鹿な!? セラ! セラ! 何をしてる! 深海棲艦ども! ボクを助けろ!」



エリアルド「ガブスレイ……このハイゼンスレイの母体になったMS……それが化け物になっているのは忍びない。成仏、させてやる!」バシューッバシューッ!

レイ級「っ!」ズガァァァンッ!


マウアー「ビーム出力は脅威だけど……機動性なら、こっちが!」ガガガガガッ!

セラ「(ズガァァァンッ!)……っ! メガ粒子砲、損傷」

シグ「っ! セラ! 止めろ、撃つな!」ゴォッ!

マウアー「(ガシャアンッ!)きゃあっ!? 何を……」

ジェリド「おい!? 何やってんだ!?」





アイン「………………オールドタイプどもが、調子に乗ってぇぇぇっ! セラァァァッ! ボクに力をよこせぇぇぇっ!」

セラ「……了解、マスター」

シグ「っ! 止めろアイン!」


キィィィィ……ンッ


ジェリド「……何だ? 耳鳴り……?」


バシューッ!

ズガァァァンッ!


ジェリド「ぐあっ!? 何だと……当てて、来やがった!」

マウアー「ジェリド!(ズガァァァンッ!)きゃあぁぁぁっ!」

エリアルド「こいつっ……!(ズガァァァンッ!)ぐっ! ライフルが!」

アイン「見える……見えるぞ、お前らの動きが……あははははっ! さっきまではよくもやってくれたね……お返しを、させてもらうよ!」



レイ級×3「「」」ゴォッ


アイン「へえ、こいつらもボクの意思で扱えるのか……それじゃあ…………もう、死んでよぉぉぉぉっ!」ゴォォォッ!


ジェリド「ちいっ……! マウアー、援護しろ!」ゴォッ!

マウアー「ええ!」ゴォッ!

ガギィンッ! バギィンッ!

バシューッバシューッ!



シグ「セラ! 目を覚ませ! このままじゃ……」

ジェリド「……エリアルド! その馬鹿連れて下がれ! 邪魔だ!」

エリアルド「りょ、了解」ガシィンッ

シグ「っ!? 放せ! まだ俺は……!」

ジェリド「事情があるのは見てりゃ解る! あのMSを捕まえるのにも邪魔だっつってんだよ!」ガガガガガ

アイン「ハハッ! 尻尾を巻いて逃げるのかい? 君みたいな負け犬には似合いかもねぇ!」バシューッバシューッ!

シグ「アイン……貴様ぁぁぁっ!」

ジェリド「あからさまな挑発に乗ってんじゃねえぇぇぇっ! エリアルド! そいつの機体ブン殴って気絶させろ!」ゴォッ!

エリアルド「ええっ!?」


アイン「よそ見してる暇があるのかい?」ゴォッ!

ジェリド「げっ、マズ……」




バシューッバシューッバシューッバシューッバシューッ!


レイ級×3「「っ!」」ズガァァァンッ!

アイン「何っ!?」




イットウ(ストライカーカスタム)「……間に合ったようだな。総員、そのまま制圧射撃!」

BGST隊員(ジムスナイパー)「「了解!」」バシューッバシューッバシューッバシューッ!


ジェリド「BGSTか! いいタイミングだぜ!」

アイン「くっ……けど、この程度なら……(ボンッ!)何だ!?」

セラ「……加負荷による機能不全。システム・ファフニール使用不能」

アイン「ちいっ……! 撤退するしかないか…………運が良かったね、ジークフリート・ウェドナー……今日は見逃してやるよ」ゴォォォ

セラ「……離脱します」ゴォォォ

シグ「待てアイン! 行くな、セラ……セラ――――ッ!!」


>スードリ機内


イットウ「プロジェクト・セイレーネの動きを追っていたんだが……まさかそちらが先に接触しているとは」

ジェリド「偶然だがな。まあ、お蔭で助かったぜ。さて……と。問題はこいつだ」


シグ(拘束)「…………手錠をされる云われは無いつもりだがな」

ジェリド「お前ね、ボロボロの機体を拾い上げた俺たちに『あんな仕打ち』しといてよく言うな」

エリアルド(青痣)「い、痛たた……」

マウアー「氷嚢と湿布でいいかしら……?」

シグ「……無理に機体から下ろそうとするのが悪い」プイッ

ジェリド「目ぇ逸らすな。地中海にコンクリ詰めにして沈めんぞ手前」

イットウ「そういうのはウチの連中の方が得意なんだが……」

ジェリド「ま、とにかく事情を話してもらうぞ。でなきゃマジで海に沈める事になるかも知れんぜ?」

シグ「………………いいだろう」


ジェリド「……プロジェクト・セイレーネの被験体、か」

シグ「そうだ。セラは……セレイン・イクスペリはその実験のせいで奴の……アイン・レヴィの操り人形になっている。俺は、なんとしても彼女を助けなければいけないんだ」

イットウ「無謀だ。たった一機のMSで……しかも、洗脳を解く算段もない。感情に流されているだけだ」

シグ「っ! それでも、俺は……っ!」

ジェリド「まあ、そーいうのは理屈じゃないからな。突っ走るのは仕方ないが……目的にこだわり過ぎて手段は見失ってるよな」

シグ「何?」

ジェリド「……お前ねえ。味方増やして足止めして、そのセラって娘のMSをギリギリ戦闘不能にして、その間にアインって奴をフルボッコすりゃ簡単な話だろうが」

シグ「理屈では、そうだが……俺には、そんなに味方は……」

ジェリド「ったく……どっちにしろあんな奴らを野放しには出来ないんだ。手ぇ貸してやるよ。ツルギ中佐も、いいか?」

イットウ「ああ……強化人間には俺も因縁がある。元より、こちらが追いかけていた案件だ」

シグ「あ……」

ジェリド「っつーわけだ。おとなしく協力されてろ」

イットウ「拒否権は与えないがな」


シグ「……すまない、感謝する」




ジェリド「んで、お前さんの名前は……ジークフリート・ウェドナー? 長いな。ジークって呼べばいいのか?」

シグ「いや……昔は、シグと呼ばれていた」

ジェリド「了解。んじゃよろしくな、シグ」

シグ「ああ……世話になる、ジェリド特尉」

>ジェリド「手前なんぞに名乗る名はねえ!」
フェイスマスク着けよう(使命感

いきます。

※※※※※※


>アーガマ MSデッキ


Zプルトニウス「」ヴォン……ヴォン……


ガトー「ぐっ……くううっ……!」

夕立「むむむ~っ」

クワトロ「……サイコミュ出力は……ギリギリ稼働可能値か。よし、そこまでにしよう」

ガトー「了解…………ふうっ」

夕立「はう……疲れたっぽい」

雷「お疲れ様ー。はい、ドリンク持って来たわよ」

夕立「ありがとうっぽい! ん~、冷たくておいしー!」

ガトー「わざわざすまないな。さて……クワトロ大尉、どうでした?」

クワトロ「サイコミュによる通信は可能なレベルではある。だが、MS越しに相手の精神に干渉できるか否かは……結局、ガトー大尉の『思い』の強さ次第、としか言えん」

ガトー「……十分です、それが出来るかさえ知れれば」

クワトロ「ロザミア少尉……か。今は無事を祈るしかないな」

夕立「夕立と少佐さんが絶対助けるっぽい!」

ガトー「ああ、その通りだ」ナデナデ

夕立「ぽいっ」


クワトロ「ふふ……夕立も元気が戻ったようだ」

雷「落ち込んでたら、いざって時に頑張れないもんね!」

夕立「少佐さん! 夕立、お腹すいたっぽい! 少佐さんの作ったドーナツ食べたいっぽい~」

ガトー「わかったわかった……なら、食堂を使わせてもらうとしよう。クワトロ大尉たちも、いかがです?」

クワトロ「そうだな、ご馳走になろうか」

雷「ガトー大尉のドーナツ、美味しいのよね! 楽しみ!」


>食堂


夕立(with山盛りドーナツ)「あむあむ……ん~、美味しいっぽい~!」モキュモキュ

ガトー(調理中)「あまり食べ過ぎるなよ。胸焼けするぞ」ジュー

夕立「しばらく食べてなかったから大丈夫っぽい!」

ガトー「どういう理論だそれは……」

雷「はい、大尉。イチゴチョコ付いたの」

クワトロ「ああ、貰おう(モグモグ)うむ、美味いな」


北方「イイニオイ、スル!」テテテ

タコヤキ機「ヴォ!」

夕立「あ、北方も食べるっぽい? まだたくさんあるっぽい」

北方「食べル!」


「食堂から甘い匂いが……」
「うわー、空きっ腹に効くー」
「え、アーガマっておやつ手作り? 既製品じゃなくて?」
「ふ……おやつどころか毎食が間宮ちゃんの手作りだぜ」
「ちなみにラーディッシュも雷ちゃんが」
「マジで!?」
「俺ラビアンローズ勤務だけどアーガマに移籍しよっかなぁ……」


クワトロ「む。人が増えて来たな……ガトー大尉、私も手伝おう。皆に食わせんわけにもいくまい」

ガトー「助かります」

雷「私も! エプロンエプロンっと」

夕立「けぷ……夕立もお腹いっぱいになったから手伝うっぽい!」


ガヤガヤ


ブライト「……やけに人数が多いと思えば、なんだこれは。ドーナツパーティーか?」

ガトー「ブライト艦長。申し訳ない、なぜかこんな事態に……」シュバババ

ブライト「あ、ああ……別に構わんが(やけに手際がいい)」

間宮「これは私も手伝わないと。腕が鳴ります!」フンス


シンタ「お腹へったー」

クム「今日のご飯はなにかなー……わあ、満員だ」

アンジェロ「みんなドーナツ食べてるな……あっ、大佐に雷姉さん」

クワトロ「アンジェロか。シンタにクムも」

雷「いらっしゃい! 今日はドーナツたくさん作ったから食べていってね!」

シンタ/クム「「わーい!」」

アンジェロ「なら、俺も手伝いま…………っ。あんた、は」

ガトー「む……君か」

夕立「っ! しょ、少佐さんをいじめたら許さないっぽい!」ウー

アンジェロ「……このドーナツ、あんたが?」

ガトー「……ああ、そうだ」

アンジェロ「……(パクリ)…………悪くは、ない」

ガトー「……そうか」

夕立「むうっ! ちゃんと美味しいなら美味しいって言うっぽい!」

ガトー「夕立、いいんだ」
夕立「ぽい……」

アンジェロ「…………あんたを殴るのは止めとく。でなきゃ身体を張ってくれた大佐に申し訳ないから。けど……あんたやデラーズフリートを許す訳じゃない。きっと俺は……一生、許せない」

ガトー「……ああ」

アンジェロ「ふんっ…………せいぜい、大佐の足を引っ張らないように生きるんだな…………ドーナツは貰っとくよ」

ガトー「ああ、そうしよう…………ありがとう」

アンジェロ「……ふんっ。大佐、雷姉さん、何を手伝えば?」

クワトロ「…………ふふっ、ならドーナツの整形をやって貰おうかな」

雷「うん、偉いわ、アンジェロ君」ナデナデ

アンジェロ「あ、頭撫でないで下さい! 恥ずかしいです!」



夕立「ん~と……とりあえず、丸く収まったっぽい?」

ガトー「そのようだ…………全く、私は果報者だよ」


>インド洋 アウドムラ機内


ハヤト「オーガスタ研がもぬけの殻!?」

ブラン(通信)『ああ、人員、研究資料、試作MS……その他諸々、いっさいがっさい無くなっていた。足取りはこちらでも追っているが……どうにも嫌な予感しかしない』

ハヤト「同感だ。こちらでも気になる情報があったら伝えよう」

ブラン『頼む……そっちはどうだ?』

ハヤト「何とか順調だ。まあ、綱渡りの順調だがね」

ブラン『仕方ないさ……ではな。お互い、踏ん張るとしよう』

ハヤト「ああ」


>MSデッキ


「アムロ機、着艦します!」
「牽引ワイヤー用ー意!」

ホワイトゼータ(フィンファング搭載型)「」ガシュン

アムロ「……ふう」

瑞鳳「アムロ大尉! お帰りなさい! ゼータの使い心地はどうでした?」

アムロ「ああ、悪くないな。ただ、少しサイコフレームが過敏過ぎるかな。フィンファングは問題なかったよ」

瑞鳳「そうですか、なら、もう少しサイコミュを調整して……いやでもブースターは……うーん」ブツブツ

アムロ「おいおい、考えこむのは後にしてくれよ」

瑞鳳「……はっ! す、すいません、私ってばつい……」

アムロ「いいさ、俺も似たようなものだし。ただ、気を付けないと……」


ベルトーチカ「アムロ! 瑞鳳! またMSデッキで考えこんで! 危ないでしょ!」

アムロ「ああ、悪い! ……ほらな。くわばらくわばら、だ」

瑞鳳「あはは、またベルトーチカさんに怒られちゃいましたね」

アムロ「俺たちを思ってのことだしな」


>アクシズ 執務室


ハマーン「……では、アナハイムは我々との取引に応じると? マーサ・ビスト・カーバイン」

マーサ(通信)『商売人たるもの、時勢を見逃しては身が立ち行きませんわ。ティターンズの横行にエゥーゴが結成されたなら、次はエゥーゴが連邦の一派閥であることを気に入らない者たちがジオン所縁の組織を担ぎ出すのは自明の理……だからこそ、貴女がたも地球圏に戻って来たのではなくて? ハマーン・カーン』

ハマーン「…………取引の場所は」

マーサ『ラビアンローズはエゥーゴの支援に出てしまっています。グラナダでは遠い……サイド6近辺がいいでしょうね。そちらで迎えを出してもらっても?』

ハマーン「……いいだろう。『エンドラ』を出す」

マーサ『結構。よい取引になることを望んでますわ』

プツン


ハマーン「ふん……死の商人め」


>グラナダ アナハイム支社


マーサ「……アルベルト、聞いていたわね。あなたに行ってもらいます」

アルベルト「は……はい。ですが、その……大丈夫なので? あんな挑発じみた対応をして…………わ、私はまだ死にたくないですよ!?」

マーサ「落ち着きなさい。平気よ……あれはアクシズの代表とは言え、二十歳の小娘……自分が俗物であることを認められない故に、大義名分を優先せざるを得ない。そういう人間よ」

アルベルト「そ、そういうもので……?」

マーサ「そうよ。もっと『大人』なら、迷いなくアナハイムの研究施設を襲撃してアナハイムの技術を奪い、裏取引で『無かったこと』にするはず。そうね……アンマンかフォン・ブラウン辺りかしら? それをしない、出来ないというのが彼女の限界よ。まあ、高潔だと言うならそうなのかもしれないけど……いえ、ただの潔癖症かもね」


>アーガマ 艦内


カミーユ「ふー、一段落したし……風呂でも入ろっかな」



北方(真っ裸)「カミーユー」テテテ

カミーユ「北方!? なんて格好してんだよ! ほら、俺の上着着ろ!」アタフタ

北方「オ風呂入ッテタ! イッショニ行コ!」

カミーユ「あー、まあ俺もそのつもりだったからいいけど……」

フォウ(真っ裸)「ホッポちゃーん、濡れたままでいちゃ風邪を……あ、カミーユ。ホッポちゃん捕まえててくれたんだ、ありがと」

カミーユ「どわあぁぁぁぁぁっ!?」


ファ(パン1)「ちょ、フォウ! そんな格好で表に出ちゃ……キャアァァァァァッ!?」


カミーユ「のわあぁぁぁぁぁっ!?」


ファ「なに見てるのよ! カミーユのエッチ! スケコマシ! 変態! エロ魔人!」ポイポイ←洗面器投げ

カミーユ「あ痛たたた! そっちから出て来たんだろーがー!」


フォウ「? どうしたんだろ」

北方「寒イ……フォウ、オ風呂ニ戻ロ」

フォウ「わあ大変だ、早く入りましょ」


ギャーギャー
ワーワー






夕立「ぽいっ!? 誰かが夕立を呼んだ気がするっぽい!」モグモグ

ガトー「また食い始めたのか夕立……」


>ラビアンローズ 艦内


ヘンケン「では、これで引き渡し手続きは完了ですな」

ブライト「お世話になりました」

エマリー「いえ、お構いも出来ず……ブライト艦長、また何かありましたら、ぜひお手伝いさせて頂きますね。できれば、その、個人的にも……」

ブライト「は、はは……お気持ちは、ありがたく」タラリ

ヘンケン(疎外感パネぇ)

間宮「ブライト艦長、そろそろお時間が。エマリーさんもお仕事があるのでは?」ニコニコ

エマリー「あ……はい、そうですね」

ブライト「ホッ……では、我々はこれにて」



ブライト「すまん、助かった」

間宮「いえいえー」

ヘンケン「とか言って、もったいないとか思ってるんじゃないのか?」

間宮「……ラーディッシュ経由でエマさんに告げ口しますよ?」ニコニコ

ヘンケン「んがっ!?」

ブライト(ざまぁ)


>ドゴス・ギア ブリッジ


「エゥーゴの艦、ラビアンローズより離脱を確認!」

シロッコ「よし、相対速度合わせ! アクシズの視認距離ギリギリで戦闘を仕掛ける!」

ヤザン(通信)『MS部隊、いつでもいいぜぇ』

シロッコ「うむ、先鋒は任せた」


シロッコ(カミーユ・ビダン……アナベル・ガトー……そしてシャア・アズナブル! 奴らにしかと見せつけてやる……! このパプテマス・シロッコの力を……っ!)





『右腕』のクリスタル「」キィィィィイイイイィィィィ……ッ!

ひとまずここまで。
最近寝落ちばかりで一段落が書き込めずすいません。


>>722
告げ口方法は
間宮→ラーディッシュ(艦娘通信トーク)→エマ(ラーディッシュからのメールによる告げ口)
となります。

ラーディッシュとエマさんの両方に告げ口した方がヘンケン艦長のダメージデカいよなぁ、と考えた結果、説明不足に……申し訳ない。

ではまた。

アルベルト「地球をさっぱりに(意訳)」

カロッゾ「人類の9割を殺せと以下略」

ドゥガチ「ねーよ。」

お待たせしました、いきます。

※※※※※※


>アーガマ 艦内


ブレックス「本当にアクシズまで同行するつもりで?」

ウォン「君が言えた義理じゃなかろう。第一、こっちは商売だ…………すでに先行して接触したと言う話もある。おそらく、会長派だ」

ブレックス「目的は……この戦争の長期化、と?」

ウォン「とも限らん。アクシズに漁夫の利を取らせて、外軌道資源の独占が狙いかも知れんし、共倒れの後の復興支援が狙いとも考えられる。阿呆どもめ! 戦争で人口が激減すれば経済がまともに回るはずがなかろうに! 殿様商売に胡座をかいているからそんなことも気付かんのだ!」

ブレックス「その殿様商売をやっている連邦にいる人間としては耳が痛いですな……」

ウォン「ふん、精進したまえ…………クワトロ大尉がようやく決断したようだな、まったく、さっさと表舞台に立ってくれていればこうも面倒な情勢にはならんかったものを」

ブレックス「責めないでやって下さい。彼の受ける重圧は我々の想像を絶する」

ウォン「わかっとる。それでもな、彼しかこの地球圏を変えられる人間は存在せんのだ。どれだけ苦悩しようが、立ち上がってくれねば困る。が、同時に彼を今まで支えられる人間がいなかったことも問題だ。誰も彼もクワトロ大尉を頼るばかりでは、愛想をつかしても仕方がない」

ウォン「……不謹慎かもしれませんが、深海棲艦という存在が現れてよかったのかもしれません。我々は地球圏が抱える問題にいち早く気づくことができた、そして……彼は、雷くんと出会えた」

ウォン「それ以前と以降で積極性が段違いだからな。いっそこっちで外堀を埋めてやるか? どうせ彼女の戸籍は無いのだから好きに作れる」

ブレックス「面白そうですが、今はまだいいでしょう……どうせなら盛大にやりたいですな」ニヤリ

ウォン「確かに」ニヤリ



>食堂


クワトロ「(ピキィィィン!)っ!? 何だこの珍妙なプレッシャーは!?」

雷「どうしたの大尉? カレー辛かった?」


>ブリッジ


ブライト「ティターンズの艦が追って来ているだと?」

トーレス「はい。ですが、こちらとは距離を保ったまま接近する気配はありません」

ブライト「ただの嫌がらせとも思えんが……数は?」

サエグサ「先日の大型艦と、随伴のサラミス級2隻です」

ブライト「あのMAの搭載艦か……警戒を怠るなよ! MS部隊は常に1チームを第一種でスタンバらせろ!」

トーレス「了解!」



ブライト「ふう……何が狙いだ?」

間宮「皆さん、お疲れ様です。コーヒーどうぞー」

ブライト「ああ、すまんな」

トーレス「ども」

サエグサ「うまー」ズズズ

間宮「甘味もありますよー」

ブライト「……クリームぜんざい? ふむ、これはなかなか……」

トーレス「ミルクと餡子って合うんすねぇ」

サエグサ「うまー」パクパク


>ラーディッシュ ブリッジ

ヘンケン「雷ちゃんが作りおきしていったどら焼、美味いな」パクパク

リーゼント「食堂スタッフの腕も上がっているであります! 押忍!」



>ドゴス・ギア ブリッジ

シロッコ「…………何故戦闘前から敗北した気分になるのだろう」

「艦長、どうしました?」パクパク←カ○リーメイト風保存食



>アクシズ 執務室


「ハマーン様、エゥーゴの艦が間もなく到着するとのことです」

ハマーン「……そうか」

ハマーン(シャア……お前の目に、今のアクシズはどう写るのだろうな)

「ですが、ティターンズの艦も接近しているとのことです」

ハマーン「何? 使者への返答はまだ…………いや、そういうことか」

ハマーン(あわよくば先んじたい、理解できなくはないが……何者かは知らんが、焦っている、か)

ハマーン「戦闘可能な部隊に出撃を命じよ。私も出る……せいぜい、派手に出迎えてやるとしよう」

「はっ」


ハマーン(……これが地球圏での初戦闘になる。無様な姿を晒せばあらゆる勢力から侮られる……ならば、アクシズの全力を持ってその力を、威光を証明する!)



>アーガマ 談話室


《ババ抜き中》

クム「えっ~と……こっち! やった! あがりー!」

夕立「ああっ! また負けたっぽい~……」

シンタ「夕立姉ちゃん、弱すぎー」

北方「ホッポ、一番ニアガッタ」フンス

夕立「む~っ……もう一回! 今度は大富豪でやるっぽい!」


ビーッ! ビーッ!


トーレス(艦内放送)『ティターンズ艦からのMS発進を確認! 総員出撃準備! 繰り返す……』


夕立「ぽいっ!? 出番が来たっぽい!」

シンタ「姉ちゃん、頑張れ!」

夕立「任せるっぽい!」


クム「ホッポちゃんも行くの? あたしより小さいのに……」

北方「ホッポハ深海悽艦ダカラツヨイ! ソレニ、カミーユモ一緒、大丈夫!」

クム「そっか……でも、気をつけてね」

ホッポ「ウン! 夕立、行コ!」

夕立「ぽい!」



>MSデッキ


クワトロ「パプテマス・シロッコ……奴が危険だと?」

カミーユ「はい。上手く言えないんですけど……ただ力が強いとかじゃなくて、扱いを間違えると大惨事になる爆弾のような感じというか……」

クワトロ「なるほど……心に留めておこう」



雷「大尉! ゾーリンソール、いつでも行けるわ!」

クワトロ「ああ」



アンジェロ「大佐! 俺も……!」

クワトロ「アンジェロ、君に実戦はまだ早い。逸る気持ちは解るが、アーガマで待っていてくれ」

アンジェロ「…………はい」

クワトロ「それに、いざというとき、艦を守れる戦力が必要だろう? よろしく頼みたい」

アンジェロ「あ……! はい! 任せて下さい!」



カミーユ「単純だなあ」

雷「素直って言ってあげて。それに、カミーユくんも人のこと言える?」

カミーユ「うへぇ、薮蛇」


アンジェロ「……おい、アンタ! 大佐や雷姉さんの足引っ張ったら承知しないからな!」

カミーユ「はは、わかったわかった」


クワトロ「ふふ……カミーユもなかなか成長しているんじゃないか?」

雷「そうね。大尉のお陰よ」

クワトロ「そう持ち上げられてもな……なら、もう少し『大人』を頑張ってみるか」

雷「ゾーリンソール! 行くわよ!」


ゾーリンソール「」ヴォン


『クワトロ機、発進どうぞ!』



クワトロ「クワトロ・バジーナ。ゾーリンソール、出る!」



>アクシズ近海


「エゥーゴのMS部隊を確認!」

シロッコ(ジ・O)「来たか……各機、散開して牽制射撃を主軸として攻撃せよ。数の有利を活かせ」

ヤザン(ハンブラビ)「……今回は落ち着いているみてぇだな。安心したぜ」

シロッコ「私は反省のできる人間だよ、ヤザン」

ヤザン「そりゃ結構。なら俺の部隊は奴らを引っ掻き回させてもらうぜ」

シロッコ「うむ、期待している」

ヤザン「あいよぉ。ラムサス! ダンゲル! 突っ込むぞ! 付いてこい!」

ラムサス/ダンゲル(ハンブラビ)「「了解!」」


――――ゴォッ!



シロッコ(カミーユ・ビダン……アナベル・ガトー……他に、ニュータイプの感覚が幾つか……そして……っ!)


ゾーリンソール「」ゴォォ


シロッコ(間違いない……あの機体に、シャア・アズナブルが乗っている……! 貴様に受けた借りを返す時が来たぞ……!)




ジ・O(クリスタル発光)「」ヴォン……ヴォン……



・バーザム×複数


カミーユ(ZガンダムPA)「北方! サイコアーマー展開! 弾き飛ばせ!」

北方「ワカッタ! イケーッ!」


Zガンダム「」シュパパパ


バーザムA「」ガシャァァァンッ!
バーザムB「」バキャァァァンッ!


「うわぁぁぁっ!? だ、駄目だ、動かない!」
「ちきしょう! 馬鹿にしてるってのか!」
「大丈夫か!? 一旦下がる!」
「くそっ、損傷した味方が邪魔で狙いが……!」


カミーユ「不殺は相手の戦力を削ぐ手段だってことだよ! そんな様なら言い訳つくだろ!」

北方「人、イッパイ死ンダラ深海悽艦出テクル……大変」

カミーユ「ああ、だってのにこいつらは……(ビシューッビシューッ!)っ! あの機体は!」


ヤザン「Zガンダム! 今度は逃がさねえぜ!」

カミーユ「くっ! シールドビット射出! 全サイコミュ連動! 取り囲め!」


ヒュィィィィン ヒュィィィィン

シュバババババッ!


ヤザン「はっ! 狙いが見え見えなんだよ!」バキィンバキィンバキィンバキィン!


カミーユ「切り払われた!? だったらプラズマリーダーで……」パリパリパリ……!

ヤザン「遅せぇ!」ヴォン……バキィンッ!

カミーユ「ぐっ……! こいつ、ニュータイプ……じゃない! なのに何で!」バチバチ……!

ヤザン「んん? 接触回線が繋がったか。はっ! こんなもんは勘だ! ずっとMSに乗り続けた人間のな! お前のようなヒヨッ子に……そうそう真似できるもんじゃねえんだよぉ!」ガシャァァァンッ!

カミーユ「うわぁぁぁっ!」

北方「カミーユ!」

ヤザン「もらっ……ヤベエッ!」ゴォッ!


バシューッ!


ガトー(Zプルトニウス)「カミーユ、下がれ! ここは我らが!」

夕立「北方、大丈夫っぽい? あとは任せるっぽい!」

カミーユ「ガトー大尉……すいません、お願いします!」ゴォォ

北方「夕立、アリガト。頑張ッテ!」


ヤザン「へえ……シロッコに聞いたぜ、アンタが有名なソロモンの悪夢か。よく生きてたもんだ」

ガトー「……生き恥をさらしてでも、成すべきことが私にはある」

ヤザン「そりゃまた結構なこって……けど、そいつは俺のお相手をしてからだなあぁぁ!」ゴォッ!

ガトー「元より承知の上! いざ、参る!」ゴォッ!

夕立「レッツパーティーっぽい!」



バキィィィィンッ!




雷「行動予測、誤差修正、マルチロック完了。大尉、いいわよ!」

クワトロ「ソードブレイカー射出!」ガキュン シュパパパ

ズガガガガガガガッ!


「うわぁぁぁっ!」
「は、速すぎる……!」


クワトロ「ふうっ……手加減ばかり上手になった気がするな」

雷「大尉、私たちのことを気にしてるなら、無理には……」

クワトロ「それも否定はせんが……ここがアクシズに近いというのがマズイのさ。深海悽艦の大群なぞ出現させて、敵対行動だと思われたくない。それに……サイド3で私は表部隊に立ってしまった。あまり冷血なイメージを持たせる訳にいかん」

雷「政治のお話なのね……私、しっかり大尉のこと支えるからね!」

クワトロ「すまんな。アーガマのパラライザーが使えれば楽なのだが、進行方向の問題がな……まあ、アクシズの勢力圏に入ってしまえば…………(ピキィィィンッ)っ! 来るっ!」ゴォッ!


バシューッ! バシューッ! バシューッ!


ジ・O「」ゴォォッ


シロッコ「待ちかねた……この時を待ちかねたぞ、シャア!」

クワトロ「パプテマス・シロッコ……確かに、妙な気配を纏っている。だが、思い通りになるとは思うな!」

雷「そうよ!(キィン)……あれっ? 今、何か……」

クワトロ「雷? どうした?」

雷「う、ううん、大丈夫。平気よ」

シロッコ「相変わらず、戦場で戯れるかぁっ!」ヴォン……バキィンッ!

クワトロ「知らんのか? お前のような人間を『不粋』と言うのだ」バチバチバチバチ

シロッコ「ほざけ!」バキィンッ! バシューッバシューッ!

クワトロ「甘い!(ゴォッ!)雷、ソードブレイカーのコントロールをこちらに。機体サポートに集中してくれればいい!」

雷「了解よ!」

>>744
修正:表部隊→表舞台

※※※※※※


ドシューッ! ドシューッ!

バヂィィィッ!


トーレス「敵、大型艦より射撃! Iフィールドに掠りました! 減衰率17%!」

ブライト「あの混戦を越えて当ててくるか……向こうにもいい砲手がいるらしい。こちらも負けるな!」

サエグサ「エネルギー収束、誤差修正……いけます!」

ブライト「撃ぇ!」


ドシューッ! ドシューッ!

――――ドオォォォンッ!


トーレス「大型艦及びサラミス級に命中! ですが……」

ブライト「わかっている! 機会を見つけ次第順次砲撃! MS部隊の支援も怠るな!」



ブライト「やれやれ……こうなると、我々はアクシズに厄介事を持ち込んだ形だ……嫌なタイミングだよ、本当に」

間宮「あの、ブライト艦長。差し出がましいかもしれませんが……このまま、アクシズに急いだ方がいいと思うんです」

ブライト「何? だが……いや、君がわざわざ言うなら、何か理由があると?」

間宮「はい……先日の、つまり月での戦いの時からですけど……感じていた奇妙な感覚があるんです。それが、今日はずっと強い……私たち、艦娘にとって何か……重大な影響を及ぼす『何か』がある、そういう予感があるんです。曖昧な言い方でごめんなさい」

ブライト「それはニュータイプの面々相手で慣れている。だが……それは例えば、君たちが行動不能になるとか、そういうものか?」
間宮「わからないんです……悪影響なのか、良い影響なのかも。とにかく、あの部隊から離れないと……そう、感じてしまって……」

ブライト「むう…………わかった、とにかくアクシズに向けて、加速させよう。トーレス、ヘンケン艦長にも同様に伝えてくれ」

トーレス「了解」


間宮「すいません」

ブライト「いいさ。今まで、そういうものを信じてきたから生き残れた……今度も、信じてみるさ」



バキィンバキィンバキィンバキィンッ!

バシューッバシューッ!


ヤザン「ハッハァ! 流石と言うべきか? 一瞬も油断出来なくてヒリヒリするぜぇ!」

夕立「もう! すばしっこいっぽい!」

ガトー「機体性能は確かにこちらが上だろう。だが機体特性の活かし方が巧い! 抜かるなよ夕立!」

夕立「ぽいっ!(キィン)……え? あれ……?」

ヤザン「っ! 隙あり!」バシューッバシューッ!

ガトー「くっ!?(バシィン!)シールドが間に合ったが……夕立! どうした!?」

夕立「ご、ごめんなさいっぽい。今、一瞬、意識が……(キィン)…………あ(キィン)………………っ! な、何、これ!?」

ガトー「夕立!? 何が……っ。何、だ? 悪寒ではない。ないが……異様なものが、いる?」

ヤザン「ちっ、そう簡単には……んんっ? 妙だな……やけに肌がチリチリする。何だこれは?」





ラムサス「近づくな! 数で押しきれ!」バシューッバシューッ!

ダンゲル「足を止められりゃいいんだ!」バシューッバシューッ!

カミーユ「くそっ! 狙いも何もあったもんじゃない!」

フォウ(Zプラス)「身動き取れないわ! これじゃ援護も…………(ピキィィィン)っ!? 何、この感じ……?」

カミーユ「フォウ? どうし……(ピキィィィン)っ! こいつは! あの時のシロッコの!」

北方「ウ……ウウッ……!」

カミーユ「北方!? 大丈夫か!?」

北方「ワカル……コレ、ホッポノ、深海棲艦ノ敵……! ホッポタチヲ、認メナイ奴……! ウウッ……!」

カミーユ「しっかりしろ!(深海棲艦の敵……そうか! だから俺はあの時、直感的に深海化を拒んで……)」

ラムサス「ううっ……? 何だ? 何か、引っ張られるような……」

ダンゲル「苦しくは、ない……けど……何だ? 何なんだこれは?」




カミーユ(奴から……シロッコから発せられているこの感覚は…………奴と繋がっている『何か』は一体何だ!?)



クワトロ「ソードブレイカー……切り刻め!(ピキィィィン!)」カシュン シュパパパ


キキキュイン キキキュイン


シロッコ「サイコミュ兵器ごときで!」バキィンバキィンバキィンッ!

クワトロ「『だけ』だと誰が言った!?」ヴォン……バキィンッ!

シロッコ「ぐうっ!」

クワトロ「遅い!」バシューッバシューッ!


ズガガガガガッ!


シロッコ「(ドガガァァァァンッ)があっ! ま、まだ……まだだ!」


ジ・O「」ヴォン……ヴォン……ッ


クワトロ「……? 奴の機体が、何か…………(ピキィィィン)っ!? この、感覚は……っ!」

雷「え……?(キィン)コレって(キィン)……っ! 何が(キィン)……ううっ!(キィン)何!? 何なのコレ!?」

クワトロ「同じだ……タウ・リンと、奴のタイラントと戦った時の……サイコミュで知覚が拡大するあの感覚と!」




シロッコ「力だ…………奴に、シャア・アズナブルに勝てるだけの、圧倒的な力だ! それがあれば……それさえあれば私は!」


ジ・O「――っ!」ヴォォォォンッ


クワトロ「(ピキィィィン)っ! いかん! 各機、奴の正面から退避しろっ!」




シロッコ「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」




――――ゴォォォォォォォォッ!










《イ デ オ ン ソ ー ド  発 現》









小休止。本日中には続きを書くのでお待ちを。

いきます。

※※※※※※

>ゼダンの門(旧ア・バオア・クー)


連邦士官「グリプス2の調整はどうか?」

「間もなくです」

連邦士官「うむ、これが完成すれば……」


「っ!? 高エネルギー反応接近!」

連邦士官「何っ!?」




――――ゴオオオォォォォォッ!




「…………そ……逸れて行きました……」

連邦士官「何だ……今のは…………っ、いかん、呆けている場合ではない。直ちに調査を……」


ドガァァァァンッ!

ビーッ! ビーッ!


連邦士官「何事だ!?」

「グリプス2のメインジェネレーター破損! 他、関連システムにも異常が……!」

連邦士官「馬鹿な……余波だけで被害を被っただと……? ええい、復旧作業急げ!」


>アクシズ近海



――――ォォォォォォ……



雷「…………い、今の、って……」

クワトロ「…………サイコフィールドで形成されたビームサーベル……それによる超・長距離まで届く……ただの、斬撃……だ」



北方「ウウ……アレ、コワイ……」

カミーユ「…………あれが……あれが、奴から感じていた力の正体…………悪意じゃない、殺意でもない…………ただ、無慈悲で一方的な裁きの意思! あんなものが……っ!」



夕立「ぽ、ぽい~……危なかったっぽい~……」

ガトー「……なんたる力だ……あれが意思による力ならば……個人で扱えるはずもあるまいに」

ヤザン「…………シロッコの阿呆が! MSの戦闘と戦略兵器の虐殺をごっちゃにしやがって!」




ジ・O「」シュウウウゥゥゥゥゥゥ……


シロッコ「はぁーっ、はぁーっ…………ふ、ふふ……ハハハハハ! これだ……この圧倒的な力を私は望んでいた! もはや私に恐れるものはない! 反動はあるが……その疲労感すら心地いい! 頭の隅までクリアーな気分だ!」


バチバチィ……ドガァンッ!


シロッコ「むっ!? フィードバックでサーベルが……ジェネレータも出力が下がっているか。ふふ……だが、特に不便は感じんな。むしろ良いハンデだと思える………………そう思わんか? シャア・アズナブルゥゥゥッ!」ギュオッ!


クワトロ「っ! 雷! デストロイモードを!」

雷「了解! ゾーリンソール!」


ゾーリンソール(デストロイモード)「っ!」ガキュンッ!



――――ガギィィィィンッ!


>ヌーベルエゥーゴ旗艦 アウーラ


タウ・リン「……っ! こいつは……『また』来やがったか、『無限力』のクソが」

港湾「ウ……ウウ……ッ」ブルブル

タウ・リン「ちっ……おい、そこの」

「はっ」

タウ・リン「こいつを適当な部屋で休ませておけ。仕事の邪魔だ」

「了解しました。さ、こちらへ」

港湾「ハイ……アノ……」

タウ・リン「……貴様にまだ潰れてもらっては困るんだ。ただでさえ『無限力』のせいでイライラしているというのに……俺に余計な手間を掛けさせるな」

港湾「……ハイ。デモ、無理ハ、シナイデ……」

タウ・リン「…………ふん」


>艦内通路


「こちらでお休み下さい」

港湾「アリガトウ……」

「……タウ・リン殿は貴女が来られて少し変わられました」

港湾「エ?」

「余裕、と言うのでしょうか……常に張りつめていた気配が、おおらかになった気がします。部下である我々も、落ち着いて行動できるようになり、作戦の柔軟性も増しています」

港湾「ソウナノデスカ?」

「はい。あの方は……死を約束された我々全ての命を背負っています。どうか、支えてあげて下さい」

港湾「…………ワカリマシタ。私ニ、出来ルコトナラ」

「ありがとうございます。では、これで失礼します」



港湾「……ッ」ギュッ

ソードは隠し腕の所から出たのかなって想像しちゃう


>アクシズ近海


ドヒュウドヒュウドヒュウドヒュウッ!

ズガガガガガガガガッ!


ラムサス「うわぁっ!? あ、危ぶない……」

ダンゲル「味方が見えていないのか!?」

ヤザン「シロッコ! お前らが暴れ回っては戦闘できん! 応答しろシロッコ! ……くそっ! 聞く耳持ちゃしねえ!」


ドヒュウドヒュウドヒュウドヒュウッ!


シロッコ「ははははは! もっと速く! もっと強く! もっと激しく! まだまだ私はいけるぞ、シャア!」

クワトロ「調子に……乗るなっ!」バシューッバシューッ!


ジ・O「」バヂィンッ!


クワトロ「っ。サイコフィールド……厄介な!」

シロッコ「まだだと言っただろぉぉぉっ!」ゴォッ!

クワトロ「雷!」

雷「ハイパービームサーベル! いけーっ!」


ゾーリンソール「っ!」ヴォォンッ……ザシャアッ!

ジ・O「っ!?」バヂバヂ

シロッコ「足が!? ええい、右足の一つ程度飾りだ!」

クワトロ「ならば足の重要さを思い知れ!」ゴォッ!


ゾーリンソール(ヤクザキック)「っ!」ガギィンッ!

ジ・O「っ!?!?」ガシャァァァンッ!


シロッコ「ぐううっ! だがまだだ! 力が溢れる……まだ私は戦えるのだ! はははははは!」

クワトロ「……なんたるしぶとさだ」

雷「大尉、やっぱり最終リミッターを……」

クワトロ「いや、奴に力を与えているのがタウ・リンとの戦いの時聞こえた『声』ならば、過剰な力のぶつかり合いはまずい。まだ、通常のデストロイモードで対処できる範囲だ…………あの膨大な力の奔流さえなければな。それより、体調は大丈夫か?」

雷「うん。ゾーリンソールが向こうからの影響を防いでくれてるみたい」

クワトロ「そうか……ならば、もうしばらく根比べといくか!」


――――ドヒュウンッ!


ガギィンガギィンガギィンガギィンガギィンッ!


ゾーリンソール「」ゴォッ!

ジ・O「」ゴォッ!



カミーユ「とても戦闘どころじゃないな……北方、大丈夫か?」

北方「ン……ナントカ」

ガトー「カミーユ、大事ないか」

カミーユ「はい……もしかして、夕立も調子が悪く?」

夕立「ぽい……今は、大丈夫だけど。クワトロ大尉さんのおかげ? っぽい」

カミーユ「そっか……ティターンズも戦闘を止めてるし……戦線をアーガマ近くまで下げましょう」

ガトー「そうだな……クワトロ大尉の手助けが出来んのは心苦しいが……」

夕立「あれは介入しちゃいけない気がするっぽい」



――――バギィンッ!


クワトロ「はっ、はっ、はっ……」

シロッコ「ふぅーっ、ふぅーっ……」

クワトロ(……いかに機体性能が高くとも、パイロットは人間……艦娘のサポートを持たない奴はそろそろ限界のはず)




シロッコ「………………溜まったぞ」

クワトロ「何っ!?」


ジ・O「」ガキュン! バヂバヂバヂバヂィ……!


シロッコ「この一撃で……吹き飛ばしてくれる!」

クワトロ「くっ……やむを得んか! システム『雷』起動だ!」

雷「了解! ソードブレイカー、フォーメーション! マルチランチャー、バスターモード!」


ゾーリンソール「」ガキュン! バヂバヂバヂバヂィ……!


雷「トールハンマー・ストライク……」

シロッコ「消し飛べ……!」

クワトロ「…………ファイア!」







――――ズッ……ドゴオオォォォォォォォォォッ!




――――ォォォオオオォォォ……ォォォォォォン…………




カミーユ「うっ……くっ…………どう、なった? クワトロ大尉は?」


ヤザン「ぐうっ…………滅茶苦茶にもほどがある…………シロッコ! 応答しろ!」


ジ・O「」シュゥゥゥ……

ゾーリンソール「」シュゥゥゥ……


クワトロ「くうっ……どうにか、相殺できたか」

雷「ゾーリンソールは……うん、まだ大丈夫ね」



シロッコ「…………殺しきれなんだか。だが、まだ私には……(ボゥンッ!)何っ!? ここまで……ここまで来て、オーバーヒートだとぉ!? ふざけるな! 私はまだ……っ!」

『シロッコ少佐! 接近するMSの大群を確認しました!』

シロッコ「何ぃ!?」



トーレス「こ、この大群は……!」

ブライト「……アクシズのMS部隊か」







ハマーン(キュベレイ)「……あの機体のパイロット、危険だな……全機に命じる、ティターンズの部隊を牽制するように攻撃。狙わずともいい…………一斉射、てぇ!」

「「はっ!」」


ガザC×無数「」バシューッバシューッ!
ガザD×無数「」バシューッバシューッ!
ドライセン×無数「」バシューッバシューッ!
ズサ×無数「」ドシュドシュゥッ!




――――バシューッバシューッバシューッ!


ハマーン(通信)『交戦中のエゥーゴ、ティターンズ両軍に告げる。この宙域は我々アクシズの防衛線内である。戦闘を停止せぬ場合、区別なく殲滅させてもらう』


シロッコ「くううっ! ええい、いま少しの所で!」

クワトロ「(ハマーン……)……引いたか。こちらも下がるとしよう」

雷「うん……大尉、大丈夫?」

クワトロ「大丈夫、とは……何がだ?」

雷「あの通信を聞いた大尉、声に元気がなかったわ」
クワトロ「……雷には誤魔化せんか。そうだな、少々……昔を悔いているだけさ」

雷「そっか……何か、力になれることがあったら言ってね?」

クワトロ「ああ…………アーガマに戻るとしよう」



ゾーリンソール(通常)「」ゴォォ



ハマーン(……赤と金のMS…………サイド3での放送も、シドニー跡の映像も見た……あのMSに、シャアが)

ハマーン『エゥーゴの艦艇はこちらの誘導に従うべし。アクシズまで先導する』


トーレス「……だ、そうです」

間宮「では、バカメ、と」
ブライト「こら!」

間宮「冗談です」

ブライト「はあ……了解、と伝えておけ。MSの収容、急げよ。警戒も密に……まだ味方と決まったわけじゃないんだからな」

サエグサ「了解です」

間宮「それじゃあ、私は皆さんのご飯を作りに……(ヘチャ)あ、あら? 力が……入りません」

ブライト「……さっきの異様なMSの圧力にやられたんだろう。妙な冗談を言うと思ったら……神経も張っていたということだ。ほら、手を貸そう」

間宮「あ、ありがとうございます」


>ドゴス・ギア 艦内


カーンカーンカーン
ギリギリギリ


シロッコ「ジ・Oの修復を急いでくれ」

「了解です」

シロッコ(……エゥーゴはアクシズと接触したが……デモンストレーションとしては上々だ。あとは周囲の出方次第……グリプス2への影響はマズかったか? いや、あそこにはバスクの息がかかっているからには都合がいい。ならば今後は……)

ヤザン「シロッコ! 貴様さっきの戦いは何だ! 事と次第によっては……!」

シロッコ「わかっている、兵士諸君には申し訳ないことをした。この通り、謝罪しよう」

ヤザン「ほう……以前のようにのぼせ上がっているわけではなさそうだな」

シロッコ「ああ、力に呑まれたことは事実だが、私はその理由を理解している。当然、対策も」

ヤザン「ふむ、聞かせてもらおうか」

シロッコ「ジ・Oに組み込んだ異星文明のユニット『右腕』。これは人の強い感情に呼応し、強大な力をもたらす。しかし強大すぎる故に、MSサイズでは受けとめきれず、パイロットの精神を蝕み、高揚させる。つまり……」

ヤザン「以前からお前が建造していた巨大MA……それが必要ということか」

シロッコ「その通りだ。本来は『右腕』の出力を活かす為に組み上げた機体だったが……まさか巨大な図体がなければ使いこなせない代物だったとはな。だが、嬉しい誤算とも言える」

ヤザン「…………シロッコ、エゥーゴにシャアがいて、そいつを墜としたいのはわかる。少し見ただけだが、奴のMSがただ者じゃないのも事実だろう。しかしな、それはお前の『目的』に本当に必要なことか?」

シロッコ「…………どういう意味かね」

ヤザン「俺は兵士で戦士だ。だから自分の役目を全うする。多少の趣向や拘りはあるがな。だがシロッコ、お前は何か大きな目標、いや野望があるのだろう? 今のお前はそれを見失って見える…………まあ、戯言だ。お前がそうでないと言うなら、大丈夫なのだろう」

シロッコ「……当然だ」

ヤザン「なら上等だ。俺は次の準備をしておくぜ」



シロッコ(……わかっているさ、そんなことは…………だが、今の私は……奴と、シャア・アズナブルと決着をつけんことには……前へ踏み出せんのだよ……!)

シロッコ「『ジ・O=インレ』……私に力を貸せ……! 望む未来を得る力を……っ!」





ジ・O「」ヴォン……ヴォン……


>アーガマ 艦内


夕立「ぽい~……周り全部MSでいっぱいっぽい~」
カミーユ「案内と言うより、まるで連行されてるみたいだ」

ガトー「まだ同盟を結んだわけでもないからな」

ガトー(アクシズ、か……あの日、脱出できた仲間たちはどうしているだろうか)


アンジェロ「……理解、できないな」

北方「ドウシタノ?」

アンジェロ「あいつらは、地球圏に戻ってきて、また昔のジオンを復興しようって言うんだろ? また昔みたいに……ザビ家が偉いって世間に触れ回りたくて! 大勢の兵士を犠牲にして! もっと大勢の人間を殺すんだろう!? そんなことの……そんなことのために!」ギリッ

カミーユ「アンジェロ……」

ガトー「……私には、何も言えんよ。私も、それに加担した一人だからな」

夕立「ぽ、ぽい~……そ、そうだ、クワトロ大尉さんは? それに雷も! アンジェロくんも二人と話せば気が紛れるっぽい?」

アンジェロ「……大佐と雷姉さんは仮眠中です。さっきの戦闘で疲れたからって」

夕立「……あう」

カミーユ「はあ……とにかく、そんなに一人でピリピリしたって仕方ないだろう。間宮さんがおやつ作ってるから食いに行こうぜ」

アンジェロ「…………わかった」

夕立「あ、夕立も!」

北方「ホッポモ行ク!」



ガトー(すまんな)ヒソヒソ

カミーユ(いえいえ)ヒソヒソ

ひとまずここまで。
見せ場をかっこよく描写したいですね。



>>764
おお ひわいひわい



ではまた。

作者さん、地震に巻き込まれてはないよね。

>>779
ご心配頂きありがとうございます。なんとか無事です。
大分県在住なので何度も地震が……ですが自分の周囲に限って被害はさほどでもないのでご安心を。
被災された方々には日常に早く戻れるよう願っています。

では、次から投下開始します。お待たせしてすいません。


>アーガマ艦内 ガトー私室


ガトー(……まもなく、アクシズに着く。その時、私は……)

《ホンコンで購入した『菊一文字』を取り出す》

ガトー(これは私の未練だ。クワトロ大尉の……キャスバル殿の目的のためには捨て置くべき、余計な騒動の種……しかし)

《刀を鞘から抜く。その刃には一辺の曇りも無い》

ガトー(望むべき未来への禍根となるもまた事実……さて…………)

コンコン

夕立「少佐さーん? プルトニウスの調整、もう一度やっておきたいっぽーい」

ガトー「む。そうだな、今行く」

ガトー(……一人で思い悩んでいても始まらんか。まずクワトロ大尉に……それからアーガマクルーの皆にも尋ねてみよう)

夕立「ぽい? 少佐さん、刀を出してどうしたのっぽい?」

ガトー「少し、思う所あってな」


>アクシズ 官邸


サラ「パプティマス様の部隊と交戦!? どういうことなんですか! ことによっては……!」

マシュマー「落ち着きたまえ。戦闘に入ったのはエゥーゴの部隊とであり、我々は牽制攻撃で停戦を求めたまで。君という使者、件人質もいるのだ、ハマーン様はうかつに敵を作る軽挙妄動をなされる方ではない」

サラ「……パプティマス様が無事なら、私は何も言いませんが……そのような事態なら、私の使者としての役目を急ぐように手配して欲しいですね」

マシュマー「当然の要求だな、善処しよう……君も精神的に疲れたろう。ひとまず、市街地であるモウサを巡ってきてはどうかな? キャラ・スーンを目付け役に付けよう。彼女なら君も気安いだろう」

サラ「……監視付き、というのは気に入りませんが……わかりました、お言葉に甘えます」

サラ(自由行動ができるのはいい機会ですしね。アクシズの情報を少しでも持って帰れればパプティマス様の役に立てます…………あと、あの人の胸の大きさの秘訣とか)ギリッ

マシュマー「っ? 謎の気迫が……? ま、まあいい。すぐ手配しよう」


>???




――――……y……

――――……a……l……

クワトロ(ん……む……? 何……だ?)


――――……b…………s……


クワトロ(私は確か……そうだ、戦闘の疲れで、仮眠を…………待て。この感じは、以前にも……?)


――――……ャ……バル……


クワトロ(そう、だ……この、声は……っ!)



――――……キャスバル……キャスバル……!



クワトロ(父、さん…………ジオン・ズム・ダイクン!)






――――キャスバル……さあ……私の名を……ダイクンの名を継ぐのだ……!

――――いつまでも名を偽るな……! スペースノイドの未来を築くのだ……!
――――ニュータイプとして……お前が皆を導くのだ……!



クワトロ「……以前の私は『嫌だ』と答えた。それは……恐ろしかったからだ、ダイクンの名を継ぐ重圧が」

クワトロ「煩わしかったからだ、私にすがるしかない、頼るだけしかしない人々が」

クワトロ「虚しかったからだ。そうして導いた先の未来に、希望など……私個人の幸せなど望めなかったのだから」

クワトロ「そして何より……信じられなかったからだ。私怨で家族を、友人を、同胞を裏切った私自身のことを」


――――……キャスバルよ……お前は……


クワトロ「だが、今は違う」


クワトロ「今という時代を懸命に生きる人々がいる。未来に希望を持つべき子供たちがいる。彼らの力になりたいと、私が望んだ。それは、私が誰よりも未来の希望を望むからこそ」

クワトロ「私を支え、助けてくれる人々がいる。どれほど望めども差しのべられなかった私の手を……掴み、支え、共に歩もうとしてくれている……彼らの思いに応えたいと、私が決めた」

クワトロ「そして……私を信じてくれる少女がいる。クワトロ・バジーナを、シャア・アズナブルを、エドワウ・マスを……キャスバル・レム・ダイクンを、その全てを受け入れ、信じ、支えてくれる、かけがえのない女性(ひと)が」

クワトロ「今もまだ、ダイクンの名の重圧は恐ろしい……けれど、それでも…………」



キャスバル「私は立とう。貴方の、父の名を継ごう。『キャスバル・レム・ダイクン』を! それは貴方でも、誰に強いられたわけでもない、私の、私自身の意志だ! 我が父、『ジオン・ズム・ダイクン』よ!」






――――そうか、キャスバル、お前は……今、満たされているのだな


――――大義ではないその思いが、誰かのためのちっぽけな思いを貫くことが……やがて世界を変える、その礎になるのだ……私が、そうだったように


キャスバル「っ! 父よ、貴方は……?」


――――私は、見せてやりたかった……希望に満ちたスペースノイドの未来を……誰よりも、キャスバル、お前や、アルテイシアに


――――力及ばず、お前に重責を負わせることになったこと……恨んでくれ、憎んでくれ。私はそれだけの重荷をお前に遺してしまった


――――だが、お前が私の子として生まれた以上、ダイクンの名を継いだそのさらに先……そこにしか、お前自身の幸福はない。名を偽り、逃げつづけては……それは望めないのだ。よくぞそれに、気付いてくれた


キャスバル「父、さん……っ!」


――――これからお前を待ち受けるのは茨の道だろう……だが、決して屈するな。大丈夫だ……キャスバル、お前ならできる。お前は、私の息子なのだから


――――幸せになれ、キャスバル。私もアストライアも、それを誰よりも願っているよ……


キャスバル「父さん! 待ってくれ! まだ、まだ私は……僕は、話したいことがいっぱいあるんだ! 待ってよ父さん!」




――――キャスバル……お前の未来に、光あらんことを…………





キャスバル「父さぁぁぁぁぁん!!」




――――……ぃ。……大尉!



クワトロ「…………ん……いか、ずち?」

雷「おはよう、大尉」

クワトロ「私、は…………そうか、仮眠を取っていたのだったな。どのくらい寝ていた?」

雷「2時間にちょっと足りないくらいかな?」

クワトロ「そんなものか……(先程のは……夢、か。だが、ただの夢と片付けるには……)」

雷「ねえ大尉、何かいい夢を見てたの?」

クワトロ「……何故だ?」

雷「今の大尉、すごくスッキリした顔してる。ずっと悩んでたことが解決したみたいで……その、いつもよりもっとカッコいいわ」

クワトロ「そう、なのか? そうだな……確かに、そうかもしれんな」


クワトロ(父さん…………そうだ、私は……子供の頃、ずっと、父に愛情を示して欲しかったのかもしれん。我ながら現金なことだ)

雷「大尉、笑ってる。よっぽどいい夢だったのね」

クワトロ「ああ……とても、な。そうだ、雷、少し頼みたいことがあるのだが」

雷「なあに? なんでも言っていいわよ!」



>アクシズ 宇宙港


「ハマーン様、ご帰還!」

ハマーン「ご苦労。間もなくエゥーゴの艦が入港する。使節とは言え警戒を密にしておけ」

ハマーン(シャアがなにやら仕込みをせんとも限らんからな)

「はっ、了解であります!」

ハマーン「ミネバ様は自室か? 謁見の手筈を整えねば……」



グレミー「プル! 勝手に動き回るなと……」

プル「きゅ~ん! あはは、こっちだよーだ……(ドンッ)キャッ!」

ハマーン「……エルピー・プルか」

プル「あ……ハマーン」

グレミー「ハマーン様! これは失礼を……こら、プル!」

ハマーン「教育に問題があるようだな、グレミー・トト」

グレミー「も……申し訳ありません」

プル「むうっ。何よ! 怒るならぶつかった私を怒ればいいじゃない!」

グレミー「プル! いいんだ。私の監督不行き届きなのだ」

プル「う~」

ハマーン「プルの教育に関して何か要望があれば叶えてやる……励めよ」

グレミー「はっ」

プル「べーっ、だ」



ハマーン(……せいぜい私の役に立つよう踊ってくれ……ザビ家の人形どもが)


>ミネバ自室


ミネバ「ハマーン! お帰り!」

ハマーン「只今戻りました」

ミネバ「うむ、大義である……ハマーン、あの艦でシャアが来ているというのは誠か?」

ハマーン「ええ……直接確認をしたわけではありませんが、エゥーゴとの交渉なら同席は当然でしょうし、シャアと思われるパイロットの戦闘も見ていますので」

ミネバ「そうか、ようやくシャアに会えるのだな! なら、立派になった私を見せて驚かせてやろう! ハマーンも協力してくれ!」

ハマーン「くすっ……はい、わかりました」


ハマーン(純粋な方だ……どうか、貴女だけは、そのままで……)


>アーガマ MSデッキ


カミーユ「ガトー大尉、お疲れ様です。差し入れに来ました」

ガトー「カミーユか、すまんな。ほう、これは……オハギ、と言うのだったか」

カミーユ「ええ、フォウが間宮さんと一緒に作ったそうで……いまみんなに配ってるんですよ」

夕立「いただきますっぽい! あむあむ、美味しーい」

ガトー「ふむ、これはなかなか……」

カミーユ「でしょう? フォウもお菓子作りが気に入ったみたいで……(ガシャーン)何だ?」


アンジェロ「貴様もう一遍言ってみろ!」

カツ「ああ何度でも言ってやる!」


カミーユ「アンジェロにカツ!? 何やってんだ一体!?」

アンジェロ/カツ「「こいつが大佐/アムロ大尉を馬鹿にしやがったんだ!」」

カミーユ「うあちゃー……なんでまたお互いの地雷を……」

カツ「シャアのせいでホワイトベースにいた俺たちは毎日ヒヤヒヤものだったんだ!」

アンジェロ「アムロ・レイなんぞが活躍しなきゃジオンももうちょいマシだったかもしれないんだ!」

アンジェロ/カツ「「ぐぬぬぬぬぬ」」


夕立「あわわわ……どうするっぽい?」

カミーユ「どうするったって……止めようとした整備班の人が……」


整備員(気絶)「」チーン


カミーユ「……巻き添えであんなことに」

ガトー「カミーユ、覚えておけ……こういう馬鹿をする奴が出た時、一番の解決法はだな」


ゴインッ! ゴインッ!


カツ(たんこぶ)「ぐお……おおお……」ゴロゴロ

アンジェロ(たんこぶ)「脳が……脳が……」ゴロゴロ

ガトー「『鉄拳制裁』だ。まったく……全員ピリピリしてる時に下らんいさかいを起こすな馬鹿者」

カミーユ「さすがですガトー大尉」

夕立「あうう……見てる夕立の頭も痛くなるっぽい~」ブルブル

あら珍しい、グレミーの設定が原作と違う



>艦内通路


アンジェロ「痛たた……ったく、なんで俺がアイツに殴られなきゃいけないんだ。それもあのソバカス野郎のせいで……」ブツブツ

シンタ「兄ちゃん、それ逆恨みってやつじゃないの?」

クム「氷持ってきたよー」

北方「タンコブ、冷ヤス」

アンジェロ「ん、ありがと……あ、雷姉さんだ」



雷「あらアンジェロくん……どうしたの? すごいタンコブ」

アンジェロ「はは、色々ありまして……雷姉さんは? 掃除機を持ってるみたいですが……」

雷「うん、ちょっと大尉の散髪を頼まれてね。あと髪型も変えるからってドライヤーも」

シンタ「へー、イメチェンかな?」

クム「どんな髪型にするの?」

雷「そんなにガラッと変えるわけじゃないわ。前に私がセットした髪型があるんだけど、その時より伸びた分を切るだけよ」

アンジェロ「何かお手伝いします!」

雷「そう? じゃあ一緒に来てもらおうかな」

シンタ「面白そうだから俺もー」

クム「あたしもー」

北方「ホッポモー」


>クワトロ私室


クワトロ「雷、用意出来た……ずいぶん連れが増えたな」

雷「あはは、なんだかみんな興味あるみたいで」

アンジェロ「髪型を変えても大佐はカッコいいことを証明したく!」

北方「アレ? グラサンガグラサン外シテル……グラサンッテ呼べナイ。ドーシヨ」ムムム

シンタ「論点そこ?」

クム「別に気にしないでいいんじゃ……?」



《大尉散髪中》


雷「チョキチョキ~っと。あとはドライヤーで髪型を……でーきた! 大尉、どう? 気になるところがあったら言ってね」

クワトロ「ああ……大丈夫だ。よく出来ている、上手いものだ」

雷「えへへ……」

アンジェロ「さすがです雷姉さん! 大佐も新しい髪型、お似合いです!」

クワトロ「ありがとう。さて……では、サイド3で注文していた服に袖を通すとするか」

雷「服も注文してたんだ」
クワトロ「ああ。ふむ……調度いい、アンジェロ」

アンジェロ「はい」

クワトロ「私はこれからアクシズに赴く……そこは旧ジオン公国……その価値観の支配する場所だ」

アンジェロ「……はい」

クワトロ「私がこれから身につけるのはその渦中に身を投じるための、言わば『鎧』だ。だが……それは君を不快にさせてしまうかもしれないものだ。だから、先に謝っておきたい」

アンジェロ「…………大丈夫です、大佐」

クワトロ「うん?」

アンジェロ「俺は、大佐を信じると決めました。綺麗事だけじゃなくて、人間の汚いところや、どうしようもないこと……悲しいことも、隠さず教えてくれる大佐を。だから、俺のことは気にせず、大佐の思うようになさって下さい」

クワトロ「そうか……ありがとう、アンジェロ」

雷「ふふ……さ、もうアクシズに着いちゃう。着替え、手伝うわ」

アンジェロ「あ、雷姉さん。せっかくなので大佐の姿を映像媒体に保管して……」

雷「アンジェロくん今いいこと言った!」

クワトロ「」



シンタ「台無しだよ兄ちゃん」

クム「雷お姉ちゃんも」

北方「グラサン、真ッ白ニナッタ」


>ブリッジ


トーレス「アクシズ宇宙港からのガイドビーム確認。アーガマ、ラーディッシュの順で接岸します」

ブライト「ご苦労。さて、いよいよか……一筋縄ではいかんだろうが」

サエグサ「不安になること言わんで下さいよ~」

ブライト「すまんな……だが、元は旧ジオンだった相手の懐に飛び込むんだ、愚痴ぐらい漏れる……留守の間、アーガマは二人に任せる。なにかあったら頼むぞ」

トーレス「何か、なんざ起きて欲しくありませんが……了解です」


>艦内通路


ウォン「ふんっ、皆この程度で怖じ気づきおって。こんなことならカラテのレクチャーでもクルーにやらせておくべきだった」

ブレックス「いや、ウォン氏のカラテは……何と言うか、異次元の代物でしょう。カミーユ君の空手なら分かりますが……」

ウォン「ふむ、カミーユ・ビダンか……見込みはあるな。後日、仕込んでみるか?」

ブレックス「勘弁してやって下さい」





カミーユ「アイエエエエエ!? な、何だ? この奇妙な悪寒は……?」

ファ「ちょっと! 急に変な声出さないでよ! あーもー、メタスの設定やり直しじゃない」

フォウ「ファ、Zプラスのデータ、参考に使って」



>アクシズ 宇宙港


ザワザワザワ


「エゥーゴの艦か……本当に味方なのか?」
「反地球連邦組織ったって、結局は連邦の一部だろ?」
「聞いたか? シャア大佐が乗ってるらしい」
「ガトー少佐が生きてたって噂が……」


ユーリ・ハスラー「……どうにも兵たちが騒がしいな」

ベルム・ハウエル「仕方ないでしょう。ただでさえ此度の帰還で皆浮き足立っている……そこへ来て……」

ラカン・ダカラン「お二方は心配性ですな。もっとどっしり構えていれば良いのでは?」

ハスラー(気楽なことだ……)

ハウエル「む……ハマーン殿が出てきたな」


ハマーン「総員、静まれ」


《水を打ったように静かになる兵たち》


ハマーン「我々はこれよりエゥーゴとの交渉に入る……だが、それは決して地球連邦への屈服でも、宣戦布告でもない。それを、これから決めるためだ。各員には誇りあるアクシズの兵として、冷静で毅然とした振舞いを期待する」


ハスラー「……流石だな、ハマーン殿は」

ハウエル「来たぞ……あれが『アーガマ』か」




「エゥーゴ艦、アーガマ。接岸します」



ブレックス「……大層な歓迎だ」

ウォン「ふん……威圧の積もりなのだろうが、商談相手としては最悪の部類だよ」


ハマーン(エゥーゴ代表、ブレックス・フォーラ。アナハイムエレクトロニクス重役にしてアンマン支社長、ウォン・リー……わざわざここまで足を運ぶとは豪胆な連中だ。その心胆だけは誉めてやる)


ブライト「……覚悟はしていたが、これだけ旧ジオンの意匠で揃った兵を見るのはな……タイムスリップでもした気分になる」


ハマーン(っ! 『木馬』……正式にはホワイトベースと言うのだったか? その艦長にしてアムロ・レイと並ぶ一年戦争の英雄、ブライト・ノア。エゥーゴに参加しているとは調べがついていたが……火中に飛び込む運命でも持っているのか?)


「おい、あれ……」
「子供? なんで軍艦に……」
「えらく真っ白だな」


北方「ミンナ、コッチ見テル……怖イ」

カミーユ「あんまり気にするな。野菜だとでも思っとけ……アンジェロも付いて来て良かっのか?」

アンジェロ「ああ……ムカつく連中だけど、知らずに批判なんかしたくないからな……そいつと違って」

カツ「お前……あとで覚えとけよ」


ハマーン(あの真っ白な子供から妙な気配を感じる……あれが深海棲艦というやつか)


「お、おい! 見ろ!」
「ガトー少佐だ……生きておられたのだ!」

ハスラー「アナベル・ガトー……! よくぞ……!」

ザワザワザワ


夕立「ぽ、ぽい~……みんな少佐さんに注目してるっぽい~」

ガトー「……仕方がなかろうな。誰もが、私は死んだものと思っていたろうに」


ハマーン(アナベル・ガトー……生きていたとはな。ならば大人しくしていればいいものを、アクシズに来るとは、厄介な)



ハマーン(……シャアはどうした? いや……勿体つけて最後に出てくると……ふん、俗物が小賢しいことを…………)



雷「さ、大尉」


「ああ」



ハマーン「ん……? 何だあの娘は…………なっ!? シャア、貴様……っ!」




「あ……あの人、いや、あの方は……!」
「シャア大佐だ……シャア大佐が戻ってこられた!」


《オールバックに深紅のジオン風士官服(=逆襲のシャアのスタイル)で進むクワトロ》



ハマーン(やられた……っ! シャアの名声は絶大……閉鎖的環境のアクシズならなおのこと……アクシズでのしがらみを嫌ったシャアが再び己の名声を利用しようと考えるなど完全に想定外……! あの姿だけでシャアはアクシズの新兵たちの心を掴んでしまった……! 何故だ? 何故奴は……いや、今は後回しだ)


ハマーン「……アクシズへようこそ。私はこちらの指揮を執らせてもらっているハマーン・カーン」

ブレックス「これはご丁寧に。私はエゥーゴ代表、ブレックス・フォーラ。ここまでの案内、そして護衛、感謝します」

ウォン「アナハイム重役、ウォン・リーだ。いい商談にしたいものですな」

ハマーン「ええ、それはこちらこそ……では、我々の主君の元に案内を……」

ブレックス「いや、その前に我々の代表を是非貴女にも紹介させてもらいたい」

ハマーン「代表……? 今貴方がエゥーゴの代表と……」

ブレックス「そう、私はエゥーゴ『だけ』の代表に過ぎない。『彼』こそが我々全ての代表だ」

ハマーン(何……!?)



「ただいま紹介に預かった……久しぶり、と言うべきかな? ハマーン・カーン殿」

「私は『コロニー統一連合発足委員会』代表」

「そして……旧ジオン公国『第一位継承権保有者』」


ハマーン「なっ……!?」


「旧ムンゾ共和国代表、ジオン・ズム・ダイクンが一子にして、現ジオン共和国、全権委任者」






キャスバル「『キャスバル・レム・ダイクン』だ」




……というところで、ひとまずここまで。
次回、ハマーン(精神的)フルボッコ(ちょ

山場のため変更点など多く……疑問ありましたらガンガンお願いします。なるべく本編で説明できるようにしますので……

>>794
グレミーはちゃんとトト家の坊っちゃん(+ギレンの血筋)です。
ZZでなんでリィナの教育に熱心だったのか……と考えて、ザビの血筋であるプルの貴族教育とかしてたのでは、と。
プルシリーズからアリシア・ザビが出てるようにプルシリーズ=ザビ家ブラッドホルダーは確定みたいなので。

ではまた。

いきます。

※※※※※※


>アクシズ 宇宙港


ザワザワザワ


「キャスバル・ダイクン……? シャア大佐だよな?」
「いや、兼ねてからシャア大佐がダイクンの子じゃないかって話はあった」
「じゃあそれが真実だったってことか」
「あれ? でもそしたら……どうなるんだ?」


ハマーン(まずい……! 兵たちに動揺が…………いっそここで始末するか? いや、それは最悪の手だ。忌々しい……何故さらけ出すならアクシズに居たときにやってくれなかった! それなら、私だって…………!)


キャスバル「ハマーン殿、ここで時間を潰しているわけにもいくまい。アクシズ代表を待たせているのだろう? 案内をお願いしたい」

ハマーン「くっ…………いいだろう。だが、妙な真似はするな。不審な行動が見られたなら容赦はしない」

キャスバル「承った」


>内部通路


雷「何だかお城の中みたい」

アンジェロ「……貴族趣味ってやつかよ。ふんっ、胸糞悪い」

キャスバル「まあ、文化保全の意味合いもある。そう毛嫌いしてくれるな」

ウォン「金持ちが金を使わんと経済は回らん。そういう意味ではありがたい存在だよ」

アンジェロ「……お二人がそう言うなら」

雷「うん、偉い偉い」ナデナデ

アンジェロ「は、恥ずかしいですよ雷姉さん」

キャスバル「なに、子供の特権だと思って受け入れておきなさい」

ウォン「あと、キャスバル氏のな」ウヒヒ

雷「もう! ウォンさんってば! あう……大尉……」

キャスバル「……まあ、否定は出来んか」フッ

雷「……えへへ」



ハマーン(……ナンだこの緩い空気は! 奴らには敵地にいる自覚がないのか! というかあの小娘はナンだ!? シャアにまとわりついて……シャアもシャアで何故あっさり受け入れているんだ!)グギギギギギ


>謁見の間


――ギィィィ……


ハマーン「……ミネバ様、エゥーゴの使節の方々をお連れしました」

ミネバ「うむ、大儀である」


ブライト「クワトロ大……いや、キャスバル殿、あの少女が?」

キャスバル「ああ……こうして会うのは4年ぶりになるが」


ハマーン(…………シャアがダイクンを名乗ろうと構うものか! 今日までアクシズを支えてきたのは貴様ではなく私だ!)

ハマーン「皆、控えよ! ザビ家正統後継者、ミネバ・ラオ・ザビ王女殿下である!」


《銃剣を構え直す近衛兵たち》


カミーユ「時代がかってるなあ……」

キャスバル「権威を形から求めた結果だよ」

北方「ホッポタチハ立ッテテイーノ?」

アンジェロ「別にいいだろ……そっちの人はどうするのか知らないけど」ジロッ

夕立「ぽ、ぽいっ?」

ガトー(…………本来なら、私もミネバ様に頭を垂れるべきなのだろうが……今は、ふさわしい時では無い)

ハマーン「……控えよと言った! 無礼は……」

ミネバ「あーっ! やっぱりシャアだ! 髪型を変えてるけど、すぐに分かったよ!」

ハマーン「っ…………オールバックの方、前へ」

北方「グラサン、付ケテタラグラサンノ人ッテ言ッタ?」

カミーユ「多分ね」

キャスバル「ふむ。掛けておくべきだったかな」

ハマーン「……ミネバ様のお召しだ! 前へ!」




ミネバ「……うん、やっぱりシャアだ! 変わりないようだな! また会えて嬉しい!」

キャスバル「お久しぶりです、ミネバ『殿下』」

ミネバ「……? どうしたんだ? 前はミネバ『様』と呼んでくれてたのに……小さい頃、そうして遊んでくれたの、憶えているよ?」

キャスバル「御身が2歳の時のことを、憶えておいでで? 失礼ですが、私はその頃ぐらいしか殿下と遊んだ記憶がありませんが……」

ミネバ「えっ? えっと…………」オロオロ

ハマーン「……ミネバ様」
ミネバ「あっ……オホンッ! 長い間の偵察、ご苦労だった。いよいよアクシズが動き出す時が来た! ザビ家再興の為に力を貸してくれよ! スペースノイドの真の繁栄はジオンの復興如何に掛かっている。ジオン・ダイクンの…………あっ」

キャスバル「……ダイクンの、何です? 続けて」ギンッ

ミネバ「え……えっと……ジオン・ダイクンの…………ダイクン、の…………ううっ、ハマーン! ハマーン!」

ハマーン「ミネバ様! おのれ、無礼な……っ!」



キャスバル「静粛に!」

ハマーン「っ!?」



キャスバル「……ミネバ殿下、なかなかの名演説でした……セリフを考えたのはハマーンですね? よく覚えて、演説できました。ご立派です」

ミネバ「あ……! さすがシャアだ! よく分かったな!」

キャスバル「ええ……ですが、内容は今一つでしたね。その内容を鵜呑みにすると、ミネバ様は偏見の塊と思われかねない」

ミネバ「む……そうなのか?」

キャスバル「ちなみに……我々の仲間にヘンケン・ベッケナーという者がおりまして。こちら、彼の写真です」ピラッ

ミネバ「ん…………わあっ! わ、私はこんな顔の塊になるのは嫌だ! 分かった、今後気をつける!」



>ラーディッシュ艦内


ヘンケン「おい今なんか俺がものすごいDisられた気がするんだが!?」

リーゼント「艦長の気のせいだと思うであります! 押忍!」



ハマーン「……シャア! ふざけるのはそこまでにしてもらおう」

キャスバル「ふざける、とは?」

ハマーン「ミネバ様の臣下でありながら無礼だと言っているのだ! それに、今のミネバ様の言に何の間違いがある! 身の程をわきまえろ!」


アンジェロ「あの、女……っ!」ギリッ

雷「アンジェロくん、抑えて」


キャスバル「……私が『シャア・アズナブル』のままだったならそうかも知れんな。ザビ家主導の元に、というのも、旧ジオン公国の信奉者たちの事を思えば、正しい理屈なのだろう」



キャスバル「しかし」ズォォッ


ハマーン(っ!? な……なんだこの凄まじいプレッシャーは!?)

キャスバル「今の私は『キャスバル・ダイクン』だ。父の理想、理念を間違ったまま受け継ぎ、実行するような真似を許すわけには行かない。で、あるが故に、私はミネバ殿下とは対等の関係であり、それを示す為にも臣下の礼を取る訳にはいかん……そういう事です。理解していただけますか、ミネバ殿下?」

ミネバ「あ、うん…………シャアは、ひょっとして、私を憎んでいるのか? ザビ家は、お前に報いてやることがなかったから……本当なら、シャアがここに立っていたはずだから……そうなのか、シャア?」

キャスバル「いいえ。私がシャアとしてミネバ殿下に仕えていたこと、殿下に正しく育って欲しいと今も思っていること……そこに含むものはありません。一年戦争当時、ザビ家を憎み、その縁者を害したのは事実ですが……今ではそれも申し訳なく思っています。戦争という手段はどうあれ、不安定だったムンゾ共和国を治めるには、ジオン公国という専制国家へと国体を変えざるを得なかったでしょうから。それを成したザビ家の功績は正しいものだと思っています」

ミネバ「そ、そうか……良かった。ザビ家を害したと言ったが、私は父の顔も母の顔も写真でしか知らない。他の家族については尚更だ。だから、気にしないでくれ」

キャスバル「……ありがとうございます」

ハマーン「っ。ミネバ様…………だからと言って、いや、ならば尚更! お前はミネバ様に協力すべきだろう! お前がミネバ様の下にあるなら、ダイクン派の者たちも……」

キャスバル「そう、そのダイクン派が問題なのだよ、ハマーン・カーン」

ハマーン「何?」

キャスバル「ダイクン派の人間が主張するのはザビ家憎し、ザビ家排斥のその一点だけだ。私がミネバ殿下の下についたなら、暴走して私もろとも始末しようとするだろう。シャアを名乗っていた当時からその気配はあったのだからな。重要なのは……私とミネバ殿下、二人が対等であり、共に歩むという姿勢なのだ。その先にこそ、スペースノイドの未来はある……父、ジオンの理想とした世界の実現があると、私は信じる」

ハマーン「……そのような夢物語なぞ」

キャスバル「出来るさ」ニコッ

ハマーン「っ」キュンッ

キャスバル「それに、その為の交渉、会談だろう? ぜひ実り多いものにしたい。ミネバ殿下も、よろしくお願いします」

ミネバ「うむ! 皆には部屋を用意してあるので、アクシズ滞在の間、寛いでくれ! シャア、あとで会いに来てくれよ? たくさん、話したいことがある!」

キャスバル「ええ、喜んで。ハマーン、案内をお願いしても?」

ハマーン「…………承知した。こちらだ、来い」


ハマーン(シャア……あんな笑顔、私は見たことが………………いや、惑わされるな! 私は……私は、過去を捨てると決めた……その、はずだ……)

 

途中寝落ち失礼。
一休みして続きを。

>>825
シャアのセリフ中のミネバ『様』はすべて『殿下』で……うおお『様』がゲシュタルト崩壊する……


>官邸 客室


アンジェロ「……あの女もあのガキも好き勝手なことを! 大佐が許してなかったら俺がぶちのめしてやったものを!」

カツ「怒んなよ。気持ちはわかるけどさ」

北方「ドウドウ。タコヤキ、モフモフスル?」

タコヤキ機「ヴォ」

アンジェロ「結構だ!」


雷「アンジェロくんったら……大尉、お疲れ様。お茶よ」

キャスバル「うむ、ありがとう。最も、交渉はこれからだ。私の名乗りとこの衣装で度肝は抜かせたが、ここからが正念場だよ」

ブレックス「やはりこのアクシズも一枚岩ではない、か。ザビ家の派閥だけでもギレン・キシリア・ドズルの主流三派に加え、旧デギン派など付随する小派閥にダイクン派……それも急進派に穏健派を加えると……改めて、君の抱えているものの重さを痛感しているよ」

キャスバル「私が選んだ道です。お気になさらず」

ウォン「交渉の相手はさすがにあの子供ではなく、摂政だと言うハマーンという女になるだろうな。大丈夫なのか? 何やら因縁ありと見たが」

キャスバル「……過去の清算も私の役目です。成し遂げて見せます」

カミーユ「そうかもしれませんけど、あんまり一人で抱えこまないで下さいね。また雷に怒られますよ?」

雷「そうよ! 大尉一人じゃないんだから!」

キャスバル「ああ、もちろん。何かあれば頼らせてもらうさ…………ガトー大尉、黙っているが、大丈夫か?」

ガトー「いえ……気を使わせてしまい、申し訳ない」

夕立「ぽい……」

キャスバル「……例の件だな? アストナージと技術班でアクシズにハッキングし、情報を洗ってもらっている。その結果如何では……大尉に動いてもらう」

ガトー「っ! よろしいので!?」

キャスバル「構わん。組織に寄生する害虫の駆除は重要な案件だ…………それに、シーマ中佐の無念を晴らして欲しいと言うのは、私も同じ思いだ」

ガトー「……ありがとうございます、キャスバル殿」

夕立「少佐さん、よかったっぽい!」

ブライト「しかし、そうなると滞在が長くなるのか……クルーのストレスが心配だな」

キャスバル「市街区であるモウサを回れるよう頼んでみますよ。私もこの4年で変わった所を確認したい」

ブライト「ありがたい、よろしくお願いする」



>ドゴス・ギア 艦内


アクシズ士官「エゥーゴとの交渉を終えるまで、こちらの宙域で待機してもらうことになります。その際、エゥーゴからティターンズへの、ティターンズからエゥーゴへの攻撃は認めません。これに反した場合、我々の手で処理することになります」

シロッコ「了解した。おとなしく待つとしよう……ただし、使者として送ったサラ・サビアロフの無事を保証せねばこちらもどう動くかわからん事を認識していてくれよ?」

アクシズ士官「……我々はそのような人道に反することはしません!」

シロッコ「結構だ。そちらも職務に励んでくれたまえ」

アクシズ士官「……どうも。では」


シロッコ(ふん……アクシズとて一枚岩ではないのだ。シャアという爆弾を抱えたエゥーゴの交渉がうまく進むはずがない……必ず反発する者がいる)

ヤザン「シロッコ、戦闘準備は解除していいんだな?」

シロッコ「ああ、少なくとも、エゥーゴがアクシズから離脱するまで戦闘にはならんよ……兵たちにはしばし休むよう言ってくれ。ただMSだけは万全にな」

ヤザン「ま、当然だな。この時間はあのお嬢ちゃんの手柄ってことになるか?」
シロッコ「そうだな。帰ってきたら労ってやらねば」

ヤザン「そりゃいいや……シロッコ、貴様もしっかり休めよ。焦りは失敗を生む。それを防ぐにはよく休むことだ」

シロッコ「……すまんな。そうするとしよう」



シロッコ(確かに、少し根を詰めすぎか……思えば、あの『右腕』に関わってから、まるで引き摺られるように…………何を馬鹿な。私の歩みは私が望んだものだ、それ以外の要因など…………ある筈がない)





『右腕』のクリスタル「」フィィィィィ……!



アクシズ到着より数日……

>ミネバ自室


《バイオリン演奏中》


ミネバ「♪~♪~」

雷「上手ねえ」

キャスバル「うむ」

ハマーン(……シャアを呼んだのはミネバ様だ。だがなぜあの小娘まで付いてくる!? 確かに例の艦娘というものだと説明はあったが……四六時中シャアにくっついていなくともいいだろう!)ギリギリ


ミネバ「……ふうっ。シャア、私のバイオリンはどうだった? 我ながらなかなかだと自負しているのだが」

キャスバル「(パチパチ)お上手です。真剣に練習されたことが分かる、いい演奏でした」

雷「(パチパチ)素敵だったわ!」

ミネバ「そ、そうか。雷、と言ったか? シャアだけでなくお前にもそう言ってもらえるとは……何か照れるな」

キャスバル「雷は素直な子ですから、正直な感想ですよ」

雷「頑張ったから疲れたでしょ? お茶煎れて来るわ」

ハマーン「仮にも客人にそんなことをさせる訳には……」

キャスバル「やらせてあげてくれ。私もミネバ殿下に雷の煎れた茶の味を知って貰いたい…………それとも、私が毒でも漏ると不安かね?」

ハマーン「っ! そんな、ことは」

ミネバ「ハマーン! 疑い過ぎだぞ?」

ハマーン「……失礼を。ですが、慣例としての毒見はさせてもらいます」

キャスバル「当然の権利だ、構わんさ」



雷「はーい、煎れてきたわ! あと、アーガマから持って来たケーキも! 侍女のラミアさんにお皿出してもらったから高級な感じになったわ! ありがとう、ラミアさん!」

ラミア「いえ、お力になれたなら幸いです」

ミネバ「いい香り……ハマーン、速く毒見を終えてくれ! ケーキも食べたいぞ!」

ハマーン「かしこまりました……(ふん、小娘の煎れた茶やケーキが美味いはずが……)…………美味っ!?」

ミネバ「まだか、ハマーン?」

ハマーン「……あ、安全のようです。どうぞ」

ミネバ「うむ!(コクコク)……美味しい! ではケーキも……(パクリ)……ふわぁ……これも美味しい!」

雷「今回は間宮さんやガトー大尉にも手伝ってもらった力作、苺のミルフィーユよ!」

ハマーン「ア、アナベル・ガトーにだと!? 奴にそんな技能が!?」

キャスバル「彼は潜伏中にパン屋で働いていたそうでな。そこで身に付けたそうだ」

ハマーン「」アゼン

ミネバ「あ……もう食べ終えてしまった」

キャスバル「よければ私の分をどうぞ」

ミネバ「おお!」キラキラ

雷「ハマーンさん、お茶のおかわりは?」

ハマーン「あ……ああ、いただく」







ハマーン(……はっ! いつの間にかシャアの……というか小娘のペースに乗せられている!?)



ミネバ「はふぅ……非常に美味であったぞ! 艦娘というのは皆このように料理が上手いものなのか?」

雷「えっと……それぞれかな? 夕立もそんなに得意じゃなかったけど、ガトー大尉と練習したら上手になってたし…………ただ……比叡さんみたいに苦手な艦も……比叡、さ……」カタカタカタ

ミネバ「ど、どうしたのだ!?」

雷「比叡さんの作ったカレー……食べたみんなが……しばらく寝こんじゃって……鎮守府の提督も……提督曰く……ムドオンカレーって……」カチカチカチ

キャスバル「……やけに禍々しい名称だ」

ミネバ「聞いた私が悪かった! もう聞かん! ところで……カレーとはどういう料理だ?」

雷「え? カレー食べたことないの?」

ハマーン「……そのような大衆料理、ミネバ様に食べさせはせん」

キャスバル「それはおかしい。今でこそ大衆料理だが本来はタイなどの宮廷で出されることもあった高級料理のはずだ」

ハマーン「うぐっ……」

雷「軍艦と言えば海軍カレー! これは黙ってられないわ! 艦娘としてミネバちゃんに美味しいカレーをご馳走してあげる!」

ミネバ「おお! それは楽しみだ!」

雷「ハマーンさん、厨房借りるわねー!」ダダッ

ハマーン「なっ!? ま、待て! それにミネバ様をちゃん付けなど無礼な……!」

キャスバル「諦めろ。完全に『お世話モード』に入った……ああなった雷は止まらん。食事はこちらで取ることになるな」

ハマーン「な……なんなんだ一体……」


ミネバ「シャア! 雷はすごいな! 私も雷のような艦娘が欲しいぞ!」

キャスバル「ミネバ殿下に出会うべき艦娘がいるならばいずれ現れるでしょう。魂の、命の切なる思いが互いを引き寄せる……艦娘とはそういう存在です」

ハマーン(出任せを……年端もいかぬ小娘をたらしこんでいるだけだろうが!)


>アクシズ通路


カミーユ「ようやく自由行動できるようになりましたね。まあ……監視付きで、場所も限定されてますけど」

アクシズ兵「……ふん」

ガトー「仕方あるまい。我らは部外者……それも危険性の高い客人なのだからな」

夕立「うう……でも、落ち着かないっぽい……」

ガトー(未だ調査結果は届かん……ドズル閣下の遺言も伝えられずにいる……いや、カーン家に対してはともかく、ザビ家の力を必要としている今、ミネバ様に伝えるのは……キャスバル殿は構わないと言ってくれたが……)

カミーユ「ガトー大尉? どうかしましたか?」

ガトー「ん? ああ……呆けていたか。すまん」

夕立「悩み事があるなら夕立が協力するっぽい!」

ガトー「……そうか」ナデナデ

夕立「ぽい~」フニャー


アクシズ「な、なあ……あ……あれが本当にガトー少佐なのか?」アゼン

カミーユ「間違いなくガトー元少佐です。お父さんっぽさがハンパないですがガトー元少佐です」





「ガトー少佐!」


ガトー「ん……? カミーユ、呼んだか?」

カミーユ「いえ?」


カリウス「ガトー少佐! 私です! カリウス・オットーです! よくぞ……よくぞご無事で!」

ガトー「カリウス! お前かぁ! アクシズにたどり着けていたのだな!」

カミーユ「ガトー大尉のお知り合いですか?」

ガトー「ああ、部下だったカリウスだ」

カリウス「『だった』などと! 自分は今でも少佐の部下ですよ!」

ガトー「はは、そう言ってくれるか……こちらも紹介して置こう。共に戦っているカミーユと、私を支えてくれている艦娘の夕立だ」

カミーユ「初めまして」

夕立「よろしくっぽい!」
カリウス「こちらこそ。少佐の戦友ならば私にとっても戦友です」

ガトー「丁度いい、アクシズの情勢について、ここにいたお前から是非聞いておきたい」

カリウス「わかりました。まずは……」




夕立「……少佐さん、部下の人に会えて元気になったっぽい! でも……」

カミーユ「ガトー大尉」

カリウス「ガトー少佐」

夕立「ぽ、ぽい~? カミーユくんとカリウスさんの声が重なってステレオで聞こえるっぽい~?」

 

いきます。

※※※※※※

>アクシズ モウサ市街


アンジェロ「意外と普通の街並みですね。もっとこう……ピリピリした感じかと」

ブレックス「元々は資源採掘衛星の一つだからな。一年戦争やジオン公国成立前から暮らしていた人々はいただろうし……ジオン敗戦時にこちらに移った人々の中には軍人の家族や、連邦の統治を恐れた民間人もいただろう」

ウォン「あと、アクシズにツテが欲しかった商人もな」

アンジェロ「……サイド3にいた俺たちは散々辛酸を舐めたってのに……! こいつらはまだジオン再興とかふざけたことを……っ!」

アクシズ兵(監視役)「貴様……!」

カツ「おい、止せよ……監視の目の前で……」

アンジェロ「ふん! かまうもんか。世間知らずな連中にはいい薬だろ」

北方「ケンカ、ダメダヨ」

ブレックス「北方くんの言う通りだ。それに、キャスバル殿も無駄にいさかいを起こすのは望んでいないだろう」

アンジェロ「…………ちっ。わかりました、自重します」

カツ「シャアかぶれのガキなんだから」

アンジェロ「なんだと! お前はアムロかぶれの中二病だろうが!」

カツ「だれが中二病だ!」

ウォン「止さんか! 全く……素直な子供は結構だが、半端に小癪な時期だと厄介極まりないな」

北方「オ腹スイタ」グー

タコヤキ機「ヴォー」

ブレックス「そろそろ昼時か。監視の君、どこかいい食事所はないかね?」

アクシズ兵「ああ、それなら……」

北方「コッチ、イイニオイスル!」テテテ

ウォン「おーい、勝手に行くな」


――――ドンッ

プニョン


北方「ワッ……ン? ムニュムニュ?」ムニムニ

キャラ「おや? 飛び出したら危ないよ。あたしがクッションになってよかったねえ、おチビちゃん」


サラ「キャラさん! 勝手にあちこち行かないで下さい! これじゃ案内役と客の立場が逆じゃ…………エゥーゴの人間!?」

ブレックス「む? そういう君は……」

キャラ「ん? サラはティターンズからの使者だけど」

サラ「何でバラしてんですかぁぁぁぁぁっ!?」

キャラ「あれ、マズかった?」

カツ「ティターンズだって!? 俺と変わらない年だろうに……」

サラ「ムッ……エゥーゴだってあなたが所属しているんだから似たようなものでしょう」

カツ「そんなことは!」

アンジェロ「同じ穴のムジナってことだろ」

サラ/カツ「「何ですって!/何だと!」」

ウォン「ああもう、何でキャスバル氏か雷がいないと彼はこうも……!」



キャラ「こーら、子供がいつまでもケンカしてんじゃないの!」ムギュ

サラ「わぷっ!? キャラさん、苦しいです!(乳か!? この余裕は乳か!? ギギギ妬ましい羨ましい)」

カツ「むぷっ!?(オッパイオッパイオッパイオッパイオッパイ……)」

アンジェロ「ぶっ!? 放せ!(化粧臭い! あと苦しい!)」

キャラ「エゥーゴとティターンズを出会わせちまったあたしに責任もあるしね。食事、奢らせてもらうよ」

ブレックス「わざわざすまんね……しかし、助けてもらって何だが、その破廉恥な格好はなんとかならんかね? 若い娘さんがはしたない」

キャラ「そう? 別にハマーン様に許可は貰ってるし、気にしなくていーって」

北方「ゴハンー」グー

キャラ「あーらら、おチビちゃんはご立腹だ。んじゃ早く何か食べよう」


>アーガマ 艦内


ブライト「補給、滞りなく進んでいるな」

トーレス「ええ、艦内への兵の侵入はクワトロ大尉……今はキャスバル氏でしたか。氏が交渉して止めてくれましたしね」

ブライト「モウサでの半舷休息、警戒体勢に支障無いようにローテーション組んでくれ」

サエグサ「了解です」

間宮「皆さんお疲れ様です。甘味とお茶、持って来ましたよー」

トーレス「サンキュー。ん? この四角いの……ゼリーか?」

サエグサ「羊羮っすね」

間宮「はい、アイスクリームと同じくらい、私の得意な甘味でして……普通の餡子以外にも芋、カボチャ、人参を使ったものをそれぞ作ってみました」

ブライト「どれ……(モグモグ)ほう、これはまた」

トーレス「日本茶に合うなあ」ズズ

サエグサ「昔の特撮で芋羊羮食って巨大化するってのあったな」

トーレス「何だそりゃ」

間宮「流石にそんな効果はありませんよー……え? アーガマも食べてみたいって……ど、どうしましょう」

ブライト「うーむ……とりあえず神棚にお供えしてみるか?」

間宮「こうですか? ……あ。味が分かったそうです! 美味しいって? よかった」


ヘンケン(通信)『話は聞かせてもらった! 早速ラーディッシュにも間宮の差し入れを所望する!』

ブライト「いつ通信繋いだヘンケン中佐!?」


>アクシズ 会議室


「キャスバル氏が戻ってこられたなら我々も全権を委任すべきと……!」
「馬鹿を言うな! ダイクン派の増長を許すことに……!」
「そもそも、ミネバ様の権威は……!」


ギャーギャー
ワーワー


ハマーン(……首脳部も大混乱、か。よくもまあ、爆弾を投じてくれたものだ、シャアめ)


キャスバル「皆様、静粛に」


キャスバル「確かに私という人間が表立った以上、アクシズの行く末について揺らぎが出るのは必然……ですが、それは今考えるべきことでは無い」

キャスバル「なぜなら、私は今、この地球圏に戻って来た『旧ジオン公国を継ぐアクシズ』……ミネバ殿下とハマーン殿、そしてお歴々の皆様が運営してきた組織との協力を取り付けたくてここにいるのです。そこに、私の介在は考慮する必要は無い、そうでしょう?」

「おお……」
「な、なるほど」
「流石はダイクン殿」

ハマーン(よくも口が回る……私を認めると言うことか? おべっかを使っても、騙されんからな)

キャスバル「ブレックス准将のツテで連邦内の勢力との繋がりは作ってあります。財界もまた同様に私の個人的なツテとウォン氏が…………この混迷する世界を平定する為に、是非皆様の力をお貸し頂きたい」

「ふむ……頂いた資料を見るからには……悪くはないですな」
「増長する連邦……ティターンズの連中に一矢報いてやれるのがいい」
「詳細を詰めていく必要はあるが……無謀な軍事行動よりは芽がある」

キャスバル「……ハマーン殿はどう見ます?」

ハマーン「え? あ、ああ……『コロニー統一連合』か……確かに悪くは、無い。無いが……それを納得するものばかりでは無いのも事実だ。それはどう考える?」

キャスバル「最もな意見だ。だがそれは連邦とて同じ……傷つけられた痛みと恨みは容易く消えはしない……そうして報復行動に移ることが憎しみの連鎖を生む」

キャスバル「だが、それではいつまでも人は変わらない。大綱を決め、形だけでも和平を結んでから……永い、永い時間をかけて癒していくしかない。連邦はそれを怠ったからこそ、スペースノイドの不満を募らせ、ジオンという国を産んだ……我々は、そんな愚か者になりたくは無いだろう?」

ハマーン「あ、ああ……」

「はは、連邦は愚か者ですか」
「いい表現だ。実に気分がいい……確かに、愚か者の真似を我々がする必要はありませんな」

キャスバル「それはどうも。さて……大分、時間が経ってしまったようですね。続きはまた後日に」

「ええ、是非有意義な時間にしたいものですな」
「期待しております、キャスバル・ダイクン殿」

ハマーン「……では、本日はこれまでとしましょう」


ハマーン(…………首脳部もシャアが掌握しつつある……考えてみれば当然、か。シャアはあのジオン・ダイクンの子で一年戦争の英雄、シャア・アズナブル……権威も実力も名声もある……私はカーン家の娘とは言え、ミネバ様の権威頼りで、そのミネバ様も、私のカーン家もザビ家あってのもの……ダイクンが、シャアの名が表に出れば吹けば飛ぶ権威でしか無い)

ハマーン(なら……それなら、私のやってきたことは…………私は、何の為に今まで頑張ってきたというの……っ!?)




キャスバル「ハマーン殿、少しいいだろうか?」

ハマーン「っ!? な……何だ」

キャスバル「今まで時間が取れなかったが……話したいことがある。公人ではなく、私人として。かまわないだろうか?」

ハマーン「………………いいだろう。私も貴様には個人的に言いたいことが山ほどある……覚悟しておけ」

キャスバル「恐いな。では、場所はどちらに?」

ハマーン「私の私室で構うまい……逃げるなよ?」

キャスバル「逃げはせんさ……もう、逃げるのは疲れたからな」


>ハマーン私室


ハマーン「ここなら余計な邪魔は入らん……茶でも飲むか?」

キャスバル「煎れてくれるのならば」

ハマーン「ほう、末期の一杯になりかねんと言うのに……わかっているのか? ここならお前をどうしようが、咎める者はいない……お前の命は私の胸先三寸なのだぞ?」

キャスバル「だろうな」

ハマーン「……っ! その余裕ぶった態度が気に食わんと言っているんだ、シャア! お前を守る艦娘とやらもいない……だのに、何故そんな態度が取れる!」


キャスバル「ハマーン」

ハマーン「な……何だ!」


キャスバル「すまなかった。君の苦悩、重圧、変遷……全ては私の不徳によるものだ、心から、謝罪させて欲しい。本当に、すまなかった」

ハマーン「~っ!?!?!?!?!?」




ハマーン「…………今更、今更何だ! 私にアクシズの代表になれと……ミネバ様を支えてくれと言ったのはシャアじゃないか! 私が一番力を貸して欲しい時に、私を見捨てて地球圏に行ったのはシャアじゃないか! 今、こうしてアクシズで私がやってきたことを滅茶苦茶にしているのはシャアじゃないか! 謝ったところで……今更、謝られたところで!」

キャスバル「その通りだ……私は君に迷惑しかかけていない、疫病神だよ」

ハマーン「黙れ! 黙れ黙れ黙れ! お前の口からそんなことを言うな! 赤い彗星が、私の前で無様を晒すな! 私の憧れたシャア・アズナブルが私に謝ったりするなあっ!」

キャスバル「……ハマーン」

ハマーン「何でだ……私はずっと、シャアのその姿を……ジオンを、アクシズを背負って立つ姿を思い描いていたのに…………どうして! 私がそれを受け入れられなくなってから、シャアは私の理想のままの姿になるんだぁっ!」

キャスバル「ハマーン」

ハマーン「ひっ……! 来るな……来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁぁぁぁっ! 来ないでぇっ! 助けて、お父様ぁっ! マレーネ姉様ぁっ!」



――――ギュッ



キャスバル「……本当にすまなかった。ハマーン……許してくれ、等とはとても言えない。だが……せめて、今の君が背負うものを、私にも背負わせて欲しい。私はようやく……誰かにそう言える強さを得られたのだから」

ハマーン「…………シャア……大、佐……」




キャスバル「ほら、お茶だ。私の煎れたものもなかなかだぞ?」

ハマーン「ありがとう、ございます…………無様を晒しました。すいません、シャア大佐」

キャスバル「いいさ。それを言うなら無様を晒し続けていたのは私さ……少し、気持ちが落ち着いたかな?」

ハマーン「はい。あ……今の私、変でしょうか? その、さっきまで、大佐に不遜な口を……」

キャスバル「『指導者』として作った仮面だろう? 気にしてはいないさ……むしろ、君がそんな仮面を作らざるを得なくなった原因を作った私を責めてしかるべきだよ」

ハマーン「いえ……もう、いいんです。大佐が、私のやってきたことを認めてくれた……大佐が、私の理想のままに立ってくれた……大佐が、私と共にアクシズを背負うと言ってくれた…………それで、私の全ては、報われた気がします」

キャスバル「そうか……そう言ってくれるか。ありがとう、ハマーン」

ハマーン「そ、そんな、お礼なんて……私こそ、ありがとうございます。形はどうあれ、アクシズに戻ってきてくれて!」

キャスバル「やらねばならんことが出来たからな、それだけさ。ハマーン、今はまだ君に苦労をかけてしまうが……私の目的が達成された時、その重荷を取り除くことが出来るだろう。もう少しだけ、頑張って欲しい」

ハマーン「はい、わかりました!」

キャスバル「うむ……私からは以上だが、ハマーンからは何かないか? この4年で、色々とあっただろう」

ハマーン「ええ、よくぞ聞いてくれました! まずはですね……」


はにゃーん様説明中……


ハマーン「そしたらあのタヌキジジイども何て言ったと思います? もー腹立たしいったら……」

ハマーン「ミネバ様がですね、わざわざ私のためにって……これ、その時の写真で……」


さらに説明中……


ハマーン「それでですね大佐……大佐?」

キャスバル(長い……合いの手が欲しい……助けてくれ雷)グッタリ



>アーガマ MSデッキ


雷「(ピキィィィン)はっ!? 大尉からのSOSが!?」

アストナージ「雷ー、そっちの部品取ってくれー」



ハマーン「はー……スッキリしました。今までずっと誰にも言えないまま溜め込んでいたもので。ありがとうございます、大佐」

キャスバル「そ、そうか……役に立てて、何よりだよ」ヨロヨロ

ハマーン「後日の交渉、大佐に協力的になるよう動いてみますね」

キャスバル「ああ、ありがとう……無理はしないでくれよ?」

ハマーン「はい! あ……オホン! お、お前に心配される私ではないさ、シャア」

キャスバル「キャラ作りも大変だな」

ハマーン「言わないで下さい! 私まだ二十歳なんですよ!? けどこんなキャラじゃないと嘗められるから……なのに、みんな『鉄の女』とか『女帝』とか酷いのになると『ピンクのオバサン』とか……『邪悪なミンキーモモ』とか」

キャスバル「……本当に、本っ当にすまない。私のせいで気苦労を」

ハマーン「大丈夫で……大丈夫だ。私もこれはこれで楽しんでいるからな。ではまた、次の会議で」

キャスバル「ああ」


――――パタン


ハマーン「ふふ……シャアがあんなことを…………ああ、なんだか、心も身体も軽い。こんな気持ち、初めてだ」









『ご機嫌だな、ハマーン・カーン』




ハマーン「っ!? 何者だ! いつこの部屋に……っ!」チャキッ

『シャアと入れ替わりにな……ククク、浮かれているお前の姿はなかなか見物だったぜ?』

ハマーン「どこにいる! 姿を見せろ!」


――――ヒュッ ガッ!


ハマーン(しまった! 銃を……! ぐっ、なんて力だ!)ギリギリギリギリ……

タウ・リン「お望みに応えて出てきてやったぜ。俺はタウ・リン……ヌーベルエゥーゴのリーダーだ。以後よろしく、ハマーン・カーン」

ハマーン「くっ……テロリスト風情が何の用だ? 私をどうにかすればアクシズは堕ちると思っているなら甘いな。今のアクシズにはシャアが……」

タウ・リン「ククク……お前こそ、本気でシャアと手を組めると思っているのか?」





タウ・リン「その血塗られた手で」

ハマーン「え……?」


>アクシズ 通路


カリウス「……正直、我々は冷遇されていると言ってもいいでしょう。ユーリー・ハスラー少将が我々を庇護してくれてなかったなら……私もこうして生きてはいなかったかもしれません」

ガトー「……やはり、そうか」

カミーユ「やはり、って……」

ガトー「星の屑が支持されていたならアクシズから大々的に支援があったはず……それが無いことから、当時からアクシズでも星の屑が否定的だったことは事実。そして実行結果としてのティターンズ台頭……デラーズフリートはここでも厄介者扱いだった、ということだ」

夕立「ぽい……なんだか寂しい話っぽい……」

カリウス「ありがとう。でも覚悟はしていたからね。我々に出来るのは星の屑の実態、作戦に参加した皆の心の内を……せざるを得なかった、スペースノイドの思いを後世に伝えることだと思っていたから…………けど」ギリッ

ガトー「カリウス?」

カリウス「ガトー少佐……生き残りの内、半数はこのアクシズで果てました! それも勢力争いの内ゲバで……いや、それだけならまだいい! 彼らは死後の名誉すらも奪われ、裏切り者として、あるいは役立たずとして処分されたのです! 星の屑に参加した、その勇猛すらも否定されて!」

ガトー「なっ……何だと!」

カリウス「彼らはアクシズ到着後『何か』を掴んだということがわかっています……そしてその口封じだとも……だが、あんな扱いは…………無念です!」

ガトー「……よくぞ伝えてくれた……おのれ、一体……(ピーッピーッ)む……アストナージから?」

アストナージ(通信)『出たか。調査結果わかったぜ……真っ黒だ。資料送るぞ、かなり気分悪くなるから覚悟しろ』


データ閲覧中……


ガトー「……っ! これは、仲間たちの……!」

カリウス「み、見せて下さい! あ、ああ……そうか、彼らは、この不正の情報を掴んで……!」

アクシズ兵「おい、さっきから何をやっている!」

ガトー「……見るといい。凄まじく気分が悪くなるぞ」

アクシズ兵「何を……あ、ああ……? そんな、これは、俺の親友の……あいつ、不正したって……なんで……これが本当なら……あいつは、悪くないじゃないか……」

カミーユ「……これ、酷いのは、アクシズのためとかじゃなくて……私腹を肥やすためとか、自己保身のためでしかないってことだよな」

夕立「何で……? みんな、生き残れたのに、何でこんなことで死ななきゃいけないの……?」



ガトー「許、さん……絶対に許さんぞ……! アサクラァァァァァァッ!」


>官邸 廊下


キャスバル(これでアクシズに来た目的の半分は達成できたか……残りもまた難問には違いないが)

キャスバル(フォウ少尉や行方不明のロザミア少尉の治療のためにニュータイプ研究所のデータを要求したい所だが……キシリアの閥の管轄のはず。いかに私の名でも素直に渡すとは……ハッキングで強引に奪ったほうがいいだろうか?)


――――テンッ テンッ


キャスバル「ん……ボール?」


『サイデイ、ボールが外に出てしまった』

『はっ。取って参りましょう』


キャスバル(ミネバ殿下の声……お遊戯中か、かわいいものだ)

サイデイ「さて、どこに…………あ、貴方様は!」

キャスバル「ボールを探しているのだろう? 丁度いい、ミネバ殿下にご挨拶を」

サイデイ「っ! な、なりません! この部屋に貴方様が入っては……!」

ミネバ「その声はシャア!? シャアがいるのか!?」

サイデイ「ミネバ様! 部屋から出ては……ああ……」

キャスバル「これはミネバ殿下。お元気そうで何より」

ミネバ「久しぶりだな、シャア! 4年ぶりだ! 変わりないようで安心したぞ!」

キャスバル「は……? 昨日、お会いしたはずでは……?」

ミネバ「何を言っているのだ? そうだ、シャアに聞かせたくて、バイオリン、たくさん練習したんだ! 後で聞かせてやるからな!」

キャスバル(何、だ……これは……どういう……こと…………はっ! ま、まさか……っ!)

サイデイ「……知られて、しまいましたか。ご懸念の通りかと」




キャスバル(ミネバ殿下の、クローン……!)

今回はここまで。
以前言った独自解釈と改変、ここから一気に噴き出します。
できるだけ矛盾出ないように頑張るので指摘・疑問ありましたらガシガシお願いします。

もうすぐ次スレ……もう一回ぐらいはこのスレでいけるかな?
皆さんの応援感謝です。

では!





《おまけ・当スレでの子供たちの身長差の独自解釈》

夕立(13~15歳程度・150cm台前半)

エルピー・プル/他プルシリーズ(10歳・150cm)

アンジェロ・ザウパー(10歳・140cm台後半)

雷(12~14歳程度・140cm前後)

ミネバ・ラオ・ザビ(8歳・120cm台後半)

シンタ/クム(6~8歳?・120cm台前半)

北方棲姫(7歳程度・110cm台後半)

あくまでイメージですので……明らかに違う場合などは指摘お願いします。
 

お待たせです、いきます。

※※※※※※

>アクシズ 貴賓室


ミネバ「雷の作るケーキは美味しいな! このように美味しいケーキは初めてだ! 私も雷のような艦娘が欲しいぞ!」

雷「そ、そう。気に入ってくれて嬉しいわ」

キャスバル(急な呼び出しをしてすまんな)ヒソヒソ

雷(ううん、平気よ。それより……何もかもそっくりなのね。ケーキを食べた後のコメントまで……)


サイデイ「バイオリンを聞いて頂くのみならず、このようなミネバ様へのお気遣い……ありがとうございます」

キャスバル「クローンとは言え彼女もミネバ殿下なのだろう? ならば、同様に楽しみを知るべきだ……どうやら、周囲の人間はそう思わなんだようだが」

サイデイ「……私はこちらのミネバ様が『いざ』という時に『ミネバ様』として表舞台に立てるよう、教育を任されております……が、その存在は限られた人間しか知らされておりません。こちらのミネバ様は……部屋の外に出ることすらままならないのです」

キャスバル「……それは、ハマーンの指示か?」

サイデイ「いかにも……ですが、ハマーン様はめったにこちらには来られません。もちろん既に表に立たれているミネバ様の世話もあるでしょうが……影武者、あるいは『表のミネバ様』に何かあった時の代役、としても……扱いがぞんざいなのです。クローンだから、と言ってしまえばそれまでですが……」

キャスバル「……こちらのミネバ殿下には、子供の頃私やハマーンと過ごした記憶があった。だが、それも……?」

サイデイ「……模造記憶です。ニュータイプ研がやるような、元のミネバ様から写し取った……」


ミネバ「今度はハマーンもここに呼びたいな。きっと美味しいって言ってくれるぞ!」

雷「……っ。そう、ね……そうだと、いいわね」


サイデイ「……あの方の持つ優しい記憶は、全て作り物。ご本人はそうとは知らず、ただ『ミネバ・ザビ』であれと望まれるばかり……私は、それが不憫でなりません」

キャスバル「…………アクシズは、ジオンは変わる。そうなればザビ家の血を歪んだ形で残す必要もないはずだ。私からハマーンに進言しよう、彼女を解放するようにと……このようなこと、看過できようはずがない!」

サイデイ「おお……! そう言ってくださるか……ありがとうございます、キャスバル閣下……!」



キャスバル(ハマーン……君もまた大人たちの思惑に振り回された経験があるはず……なのに、何故このようなことを……?)


翌日……


>アクシズ官邸 客室


カミーユ「昨日、そっちはティターンズの人と食事を?」

アンジェロ「まあ……成り行きでさ」

カツ「相手を知るいい機会になったと思うよ」

アンジェロ「お前ティターンズの女に鼻の下伸ばしてただけだろ。あとアクシズのケバい女にも」

カツ「だ、誰が!」

カミーユ「あ~……まあ、カツも思春期だし? 目を瞑ってやってくれよ」

カツ「そんなフォローあるか!」

アンジェロ「ふん、汚らわしい奴だ。ところで、そっちは?」

カミーユ「頼んでいた調査結果が上がって来てさ。それで、ガトー大尉が……」


《無言で刀を手入れするガトー》


夕立「ぽ、ぽい~……」


カミーユ「……ああして夕立がたじろぐくらいピリピリしてる」

アンジェロ「……ふんっ。あいつがああなるなんて、相手はよっぽどの悪党だな。だが、大佐の許しなく、勝手は俺が許さ…………その大佐は? 姿が見えないが……」

カミーユ「そう言えば、集合時間はもう過ぎて……(ガチャ)……あっ」



キャスバル「すまない、皆、待たせた」

雷「お待たせ!」


アンジェロ「大佐! 雷姉さん!」

カミーユ「遅かったですね、何かあったんですか?」
キャスバル「ああ……色々とな…………」


【数刻前・回想】


キャスバル「ハマーン! 話が……」

ハマーン「ああ、シャアか……丁度よかった、こちらも同じだよ……この後、時間を取れるか? このメモのブロックまで来てくれ、そこで話したい。その娘も連れてくるのか?」

キャスバル「あ、ああ……」

雷「ハマーンさん……?」

ハマーン「かまわんさ、そこでどちらがお前にふさわしいかはっきりする……シャア、きっとお前は受け入れてくれるだろう……信じているよ」


キャスバル「ハマーン……いったい……?」


【回想終了】


雷「……ハマーンさん、何か様子が変だったわ」

キャスバル「ああ……だが、どのみち指定の場所まで行けばはっきりすることだ」



>アクシズ 秘匿ブロック

雷「……みんなに一緒に来てもらわなくてよかったの?」

キャスバル「……ハマーンが許可したのは雷だけ。と、なればプライベートなものに関わってくるということ……彼女も自分の心に大勢が土足で上がりこむのは好まんだろう…………私が、そうだからな」

雷「う~ん……まあ、そういうことなら仕方ないけど……と、言うか、私はいいの?」

キャスバル「わざわざ本人が許可したのだ、多分な……ここか」プシュー……

雷「真っ暗……あ、奥に明かりが」



ハマーン「来たか、シャア」

キャスバル「ハマーン……君の考えは知らんが、私は『もう一人のミネバ殿下』について話しに来た。わかるな?」

ハマーン「ああ、既に会っていたか……なら、話は早い」


パチリ


雷「明るくなった…………っ!? な、何、これ……!?」

キャスバル「なっ……!」


《無数の培養層に浮かぶ金髪の少女たち》


キャスバル「これは……クローン人間の生産プラントなのか……!?」

ハマーン「そう……これらは全てザビ家の遺伝子から作られたクローン人間だ。いかなる状況になろうとも、ザビ家を、その血脈と権威を存続させようという……ザビ家と、それに追従する俗物どもの醜いエゴから産まれた人形だ」

ハマーン「また、ギレン・ザビのニュータイプこそ導き手たれとする定義に基づき……強化処置を施されている。いわば人造ニュータイプでもある。愚かしいだろう? 指導者を『造る』などと……己の被造物に、束縛されるを望むとは…………だが、それがこのアクシズにいたジオンの人間たちの望みであり……その技術はすでに完成していた」

キャスバル「こんな……こんなものが、アクシズで、実行されていたなど……っ!」

ハマーン「無理もない……私もまた、これの存在を知ったのはシャアがアクシズを去った後……誰がアクシズがザビ家の血を増やすだけの子宮だ、などと想像するものか……」

ハマーン「Lemon of royal People……貴き血を受け継ぎながらも、量産される劣化品……“R”ではない“L”。その皮肉も込めて、こいつらはこう名付けられた」




ハマーン「『L=People(エル・ピープル)』と」




キャスバル「……彼女たちを造った人間がロクでもない考えと行動をしていたのは理解した。だが、それを今も継続し、従う必要はないだろう! もう一人のミネバ殿下に関してもそうだ! 彼女たちを普通の人間として生きられるようにすべきだ! ハマーン! 君なら大人の都合で翻弄される子供の苦しみはわかるはずだろう!?」

ハマーン「ああ……よく、わかっているさ」

キャスバル「ならば……」

ハマーン「だが、こうも考えられないか?」



ハマーン「こいつらの生殺与奪を思うがままに弄ぶこと…………それこそザビ家にとって最高の屈辱であり、シャア、お前や私にとって最高の復讐ではないか、と」



キャスバル「なっ……!?」

ハマーン「……私の父、マハラジャ・カーンはアクシズの派閥調整に奔走し、心労から帰らぬ人となった。母レイチェルはそんな父を支えたが、父よりも先に亡くなった……姉マレーネは派閥抗争の緩衝役としてドズル・ザビの妾とさせられ、女として幸せを知らぬままソロモンで死んだ!」

ハマーン「私に関してはお前も知る通り……このままではいずれ、アクシズを離れている妹、セラーナすら利用されるだろう……ザビ家の、ためにな」

ハマーン「誰のせいだ!? 誰が私の家族を奪い、私の自由すら奪って行った!? あれもザビ家、これもザビ家……ザビ、ザビ、ザビだ! 何もかもザビ家の存在が原因だ!」

ハマーン「だから……今度は私がザビの人形どもを利用してやるのだよ! その存在を望んだ連中ごとな! せいぜいボロクズのようになるまで私に使われ、ゴミのように捨てられればいい!」

キャスバル「ハマーン……君は、そこまで……」

ハマーン「シャア、お前も……いや、貴方も同じ思いのはずだ。ザビ家に全てを奪われたダイクンの子の貴方なら…………私と共に……ザビ家への復讐を成し遂げよう」






キャスバル「…………ハマーン。それは、できない」



ハマーン「…………は、はは。何を言って、いる? 貴方も同じはずだ! ザビ家を恨み、憎んでいなければ、その殺害までやるわけがないだろう!」

キャスバル「確かに……恨んでいたさ、憎んでいたさ。だからこそ、その思いのままに動き……そして後悔した。そこには何も……残ってはいなかったから」

キャスバル「ハマーン、君の苦しみを君が感じたままに察することは出来ない。いや、あるいはニュータイプの感覚なら可能なのだろうが……それでも、その復讐に賛同しろ、というのは正しい事ではない」

ハマーン「正しくない……だと……?」

キャスバル「そうだ。彼女たちに、己の遺伝子上の親の罪を償え、というのはあまりにも暴論だ。『親の因果が子に報い』……と言う諺はあるが、彼女たちは『親の手すら介していない』のに『産まれさせられた』存在……むしろ、そのような因縁から開放して然るべき、もっと自由な子供たちだろう」

キャスバル「ハマーン、アクシズを……ジオンを変えるのにそのような手を使う必要などもう無いんだ。君と同じような思いをさせないために……彼女たちを解放してやってくれ」

ハマーン「何、故……何故、そんなことが言える…………何故、許せる…………?」


雷「ねえ、ハマーンさん……ザビ家を利用するとか、復讐するとか……それって、ハマーンさんと一緒にいた『ミネバちゃん』もその中に入っているの?」

ハマーン「っ! あの子とこの人形どもを一緒にするな! ……はっ」

雷「やっぱり……何かおかしいと思ったの。ハマーンさんは『ザビ家が憎い』って言ってるけど……ミネバちゃんを見る目は凄く優しかったから」

キャスバル「……どういうことだ? ミネバ殿下こそザビ家を代表する人間……いや、そうなると……『もう一人』とミネバ殿下、クローンと本人と言う意外に、何か……何が、違う?」
ハマーン「それ、は……」


『ククク、詳しく説明してやったらどうだ? ハマーン・カーン』


キャスバル「っ! この声は!」

タウ・リン「よう、シャア・アズナブル……こうして顔を見せあって対面するのは初めてだな……俺がタウ・リンだ。おっと、妙な真似はするなよ? 俺はただのゲストだからな」チャキ

雷(砲頭展開)「っ! 大尉に銃なんか向けるんじゃ……!」


――――ガキーンッ!


港湾(砲頭押さえ)「……ッ」ギリギリ

雷「えっ!? 深海棲艦……港湾棲姫!」ギリギリ

キャスバル「雷! 離れろ!」


――――ガキーンッ!


タウ・リン「……ちっ。余計な真似を」

港湾「ゴメンナサイ、ツイ……」

雷「くっ…………あの人、まさかホッポちゃんの……」

キャスバル「……この件も貴様の仕込みか」

タウ・リン「あ? クローン製造が、か? そこまで多忙じゃねえさ。俺はこの対面の演出をしたくらいさ……さあ、話してやれよハマーン・カーン。『お前のミネバ』と他の消耗品との違いをな」

キャスバル「消耗品だと……っ?」



ハマーン「……ドズル・ザビの妻、ゼナ・ザビ……旧姓ゼナ・ミア。彼女がシャア、お前と同期であることはお前の方がよく知っているだろう」

キャスバル「……ああ。『暁の蜂起』の際に協力してもらったこともある」

ハマーン「彼女がドズル・ザビに見初められ、結婚したのは士官学校を卒業してすぐ……それからしばらくの間、不妊に悩み、ミネバ・ラオ・ザビを生んだのは一年戦争初頭…………おかしくはないか? 士官学校となれば身体検査は徹底的に行われる……不妊の可能性ぐらい発見出来なかったのか? まあ……それは『不妊など嘘』と知ってしまった私だから言えることだが」

キャスバル「何だと……? なら、実際は……」

ハマーン「……一つ目はギレンの閥」

ハマーン「ザビ家の臣下どもはガルマ・ザビ以来となるザビ家の新たな血を残すことに躍起になった……その結果」

ハマーン「検査と称してゼナ・ザビの胎内から受精卵を抜きとり、クローンの素材として回収した……何度も、何度も。その結果が不妊と表向きに発表され……回収されたものがここにいる者たちの『材料』となった。シャア、お前が会った『もう一人』もその一人にすぎん」

キャスバル「なっ……!」

ハマーン「二つ目……今度はキシリアの閥」

ハマーン「ギレン派に対抗すべくドズルとの繋がりを求めていたのは知っての通り……その結果がマレーネ姉さんの輿入れだったのだが…………連中はそれだけでは満足しなかった!」ギリッ

ハマーン「先の処置を行った者たちと組み、マレーネ姉さんから採取した卵子と、ドズルから採取した精子を人工受精させ…………あろうことか、わざわざ遺伝子調整で誤魔化すまでしてゼナ・ザビの胎で育てさせた! 来るかわからぬ『いつか』に、ザビ家最後の血はカーンの血筋よキシリアの閥よと言いたいがため……ただ、それだけのために!」

雷「そん……なっ!」

ハマーン「私の絶望がわかるか、シャア? ゼナ・ザビをゼナ様と呼んで尊敬していた私が、ミネバ様をゼナ様の子だからこそとお育てしていた私が……未来を奪われたマレーネ姉さんの子を育てていたのだと知った時のことを! 何も知らずにいたゼナ様を、そうが故に恨みたくなった気持ちのことを!」

ハマーン「私ですらこうなのだ……マレーネ姉さんの絶望はいかばかりだったことか……愛する者の子ではなく、己の胎で育てることもできず、母と名乗りを上げることすら叶わず……どこまで人を貶めれば気がすむというのだ!」

ハマーン「許すものか……許せるものか! ザビ家も、それに群がる者たちも全て!」



ハマーン「だから私はザビ家に復讐するのだ……その全てを奪い尽くし……姉さんの子である『ミネバ様』に与えるために!」



――――パチ パチ パチ


ハマーン「っ。貴様……」

タウ・リン「いやいや、見事な決意表明だったぜ。感動的で涙が出そうだ……だが、な」

タウ・リン「当の本人を置き去りってのは……感心できないな、ククク」




ミネバ「ハマー、ン……?」



ハマーン「タウ・リン! 貴様、いつミネバ様を……!」

タウ・リン「おや……俺は関係者を蚊帳の外にしちゃあ憐れだから連れて来ただけだぜ?」

ミネバ「ハマーン…………私は、母さまの、本当の子ではないのか? ザビ家は、お前に恨まれるほど、酷い一族なのか? 今まで、私に仕えてくれたのは……嘘、だったのか?」

ハマーン「……ミネバ様」

ミネバ「答えてくれ、ハマーン! そして、全部嘘だと言ってくれ! この部屋も、何もかも……全部、悪い夢だろう? シャア、お前からもそう言ってくれ! なあ、そうだと……言っておくれよ、ハマーン!」

キャスバル「ミネバ殿下……」

ハマーン「……ミネバ様、貴女は何も悩まれる必要はありません」

ミネバ「……ハマーン?」

ハマーン「ただ、心安らかにお過ごし下さい……全て、私が成し遂げてみせますので……貴女はただ、幸せで在られればよいのです…………さあ、お部屋へお戻りを……」スッ

ミネバ「ひっ……! やっ!」パシッ


ハマーン「ミネバ、様?」

ミネバ「い、嫌だ……今のハマーンは違う! 何か……怖い!」




ハマーン「…………ふ、ふふ……あははははは」

ミネバ「ハマーン……?」

ハマーン「貴女も……貴女も、私を拒絶するのか。姉の子と思えばこそ……だが、所詮はザビの血脈、ドズルの子か!」チャキッ

ミネバ「っ!」

キャスバル「止めろっ!」ドンッ

ハマーン「ぐっ……! シャア……何故庇う? そいつは『ザビ家の娘』だぞ!?」

雷「ハマーンさん、いい加減にして! ザビ家とか、そんなの関係なく……ハマーンさんはミネバちゃんを大切にしていたじゃない! 今のハマーンさんは、意地を張ってるだけにしか見えないわ!」

ハマーン「小娘が……お前に何がわかる! 私は奪われた全てを取り戻す……その為に邪魔なものは切り捨てる! 私はそうして来た……そうやって、アクシズでやってきたのだ! その苦労を知らぬ者が……勝手な口をほざくなあぁぁぁっ!」

キャスバル「ハマーン……!」

ハマーン「シャア……これが、最後の機会だ。私と共に歩む気があるなら、この手を取れ」

キャスバル「…………出来ん、相談だ。いかに君の苦悩が、悲嘆があろうとも……その道を肯定することは出来ん。まして……未来ある子供たちを犠牲にすることなど、何があっても許容するわけにはいかん!」

ハマーン「…………ミネバ・ザビ、今なら慈悲をくれてやる。私の元に戻れ、さもなくば……」

ミネバ「……ハマーン……どうして……」

ハマーン「……そうか、それが答えか………………もう、いい……お前たちはもう……『いらない』。私は……私だけの手で復讐を成し遂げる! 貴様らはその贄となれ!」チャキッ

キャスバル「ハマーン!」

タウ・リン「クク、交渉決裂ってな……貴様のMSを呼んでみるか? その時は俺もタイラントを呼ばさせて貰うがな」チャキッ

港湾「……オ覚悟」ガシュン

キャスバル「くっ……!」

ミネバ「シャ、シャア……」

雷「うう……片手の砲頭だけじゃどこまで……」




――――ドパァンッ!


ハマーン「何っ!?」

夕立「みんな、今のうちっぽい!」

雷「夕立!? 助かったわ!」

タウ・リン「煙幕だと!? だが、まだ狙え……!」

ガトー「遅い! チェストォォォォォッ!」

タウ・リン「――っ!」


――――ザシュッ!


ガトー「くっ、浅い!」

タウ・リン「銃身を真っ二つ……アナベル・ガトー……よくもまあやってくれる!」

ガトー「キャスバル殿、お早く!」

キャスバル「ああ、すまん!」

北方「姉サマ!」

港湾「ッ! 北方……」

北方「ハヤクコッチニ! 金目ノトコニイチャダメ!」

港湾「…………(フルフル)ゴメン、ネ」

北方「!? ソン、ナ……ドウシテ」

夕立「北方、もう煙が限界っぽい! ほら!」グイッ

北方「ヤダ! ヤダ! 姉サマーッ!」




タウ・リン「ちっ……敵ながら上手い奇襲だった。まあ、役者にここで脱落して貰っても困るか……ククク」

ハマーン「悠長なことを! 貴様が勝手なことをするから……!」

タウ・リン「おいおい……俺は最初から言ったはずだぜ?」


タウ・リン「『お前とシャアは決して手を組むことは無い。ザビ家への復讐心を捨てない限り』ってな……それに反発してこんな事態になったのはお前の責任だろう? ハマーン・カーン」


ハマーン「…………シャアが敵だと確認できた。その甲斐はあった」

タウ・リン「ほう。で、どうする?」

ハマーン「アクシズにいる内に殲滅する! ミネバ・ザビは『代用品』を使う! ……今度は邪魔をするなよ」

タウ・リン「了解だ、せいぜいお手並み拝見と行こう」





港湾「北方……」

タウ・リン「……ふん、気になるくらいならついて行ってよかったんだぞ?」

港湾「……イイエ、モウ、決メマシタカラ。貴方ノ、ソバニイルト」

タウ・リン「…………勝手にしろ」


>アクシズ 通路


キャスバル「ありがとう、助かった……しかし、何故あの場所が?」

夕立「ぽい。北方が『姉サマガイル』って言うから探してたらクワトロ大尉さんたち見つけたっぽい。けど……」

北方「姉サマ……ドウシテ……ウグ……ヒック……」

ガトー「タウ・リン……あの男にほだされたか」

キャスバル「さてな……そしてこちらも……」

ミネバ「……ハマーン」

雷「ミネバちゃん……」

ガトー「……まさか、ミネバ様を手に掛けようとするとは」

キャスバル「言ってやるな……摂政とは言え、彼女はまだ二十歳……感情の暴走で引っ込みがつかなくなったとも考えられる……そこまで追い詰めた私も問題、か」



カミーユ「クワトロ大尉! それに……ミネバ・ザビ!? 何があったんですか!?」

キャスバル「ああ……全員揃っているな? 急いでアーガマに戻り……」


――――ウウウゥゥゥゥーッ!


ハマーン(放送)『アクシズ全兵士に告げる! キャスバル・ダイクン及びエゥーゴが造反した! アクシズから逃がさず、殲滅せよ!』


キャスバル「――遅かったか!」

カツ「な……何だってこんな……!」

アンジェロ「くそっ、だからあの女は気に食わなかったんだ!」

ウォン「いかんな、今の我々は袋のネズミだぞ」

ブレックス「ブライト艦長はアーガマに戻っているから持ちこたえてくれるだろうが……さて」



カリウス「ガトー少佐! 皆さん、こちらに!」

ガトー「カリウス! お前……」

カリウス「大丈夫、皆さんに協力的な方々の案内ですから……ただ、やはりある程度は強引に行かねばなりませんが」

キャスバル「充分だ。ありがとう」

……と、ひとまずここまでです。

かなり残酷なことになってますが、一応独自に未来(ZZ、UC他)から逆算した結果、こういう解釈になりました……なんでハマーンはミネバに優しいのにプルの扱いはぞんざいなのか……とか。あとZZの影武者ミネバはあくまで『自己申告』であってザビ家の血を引いて無い、と明言してないなー、とか。

他、疑問質問ありましたら遠慮なくどうぞ。



ではまた。

遅くなって申し訳ない、いきます。

※※※※※※

>アーガマ ブリッジ


ガガガガガッ!


トーレス「ア、アクシズ兵襲撃してきました!」

ブライト「隔壁閉鎖! 総員、白兵戦準備の上待機! MS部隊は敵機に備えてスタンバっておけ!」

サエグサ「こ、こんな場所でMS戦が!?」

ブライト「なりかねんと言った! だのに、クワトロ大尉たちが戻るまで耐えなければならんとは……!」

間宮「ブライト艦長、私とアーガマでIフィールドを張っておきます。それで少しは……」

ブライト「ああ、頼む……(ズゥゥゥンッ)っ!」


ドライセン×4機「」ヴォン

トーレス「モ、MS出して来ました! ドムタイプ……機種名、ドライセンです! 先程のはバズーカの一撃です!」

ブライト「くっ……ここでアーガマが大破したらアクシズもただでは済まんと言うに、何を考えているか! MS部隊、まだか!?」

サエグサ「今の一撃でハッチが潰れて……!」

ブライト「吹き飛ばしても構わん! 急げ!」

トーレス「さらに増援! ガザタイプです!」


ガザC×2「」ガシュンガシュン

ガザD×2「」ヴォン


間宮「このままじゃ、フィールドが破られ……!」

ブライト「くっ……! 万事休すか……!」


ズガァァァンッ!

キキキュイン キキキュイン

ズガガガガガッ!


ドライセン「っ!?」ズガァァァンッ

アクシズ兵(ガザC)「なっ!? 何が……」



ゾーリンソール「」フィィィィ


トーレス「ゾ、ゾーリンソールのソードブレイカーです! 自立起動してるのか……?」

間宮「これは……っ。ブライト艦長、アーガマからです。雷ちゃんとゾーリンソールの協力による半自立行動だそうで……しばらくソードブレイカーで加勢するそうですが、あまり期待はしないで欲しいと」

ブライト「そうか……それでも助かる」


サエグサ「MS部隊、発進しました! ラーディッシュの部隊も援護に入ります!」

ブライト「ああ。クワトロ大尉……早く戻ってきてくれ……」



>アクシズ内 通路

タタタタタ


雷(キャスバル抱えられ)「むむ~っ」ミョンミョン

キャスバル「雷、アーガマの様子はどうだ?」

雷「うん……やっぱり襲われてたわ。ゾーリンソールとリンクしてソードブレイカーを動かしてるけど……ちょっとこっちに喚べそうにないわ」

キャスバル「仕方あるまい。アーガマを潰されては終わりだからな」

ガトー「カリウス、この先は?」

カリウス「システムの異常に見せかけていくつかの隔壁を塞いでいます。それで足止めができるかと」

夕立「迷路みたいっぽい」

カリウス「偽装情報も流してもらっていますから多少は撹乱になるはず……もっとも、急拵えのものですからどこまで……」


「いたぞ!」


キャスバル「やはり数の多さに任せてきたか! 雷!」

ガトー「夕立!」

雷/夕立「「トリモチ弾発射!」」ドパァンドパァンッ!


「ぐわぁぁあっ!? なんだこりゃ!?」
「う……動け……ねぇ」


カミーユ「悪いね。さあ大尉、今のうちに」

キャスバル「ああ」

雷「ふう、今度は間違えなかったわ」

ブレックス「この状況で硬化ベークライトの掘削作業は勘弁だよ」

夕立「雷、何やったっぽい?」

アンジェロ「……硬化ベークライト弾でもよかったのに」ボソッ

カツ「なんか怖いんだけどこいつ!?」


>アクシズ 指令室


ハマーン「状況は!」

「はっ! 敵艦アーガマ、及びラーディッシュに対しMS部隊による攻撃ですが……思いの他抵抗が激しく、増援を送ることで対処を……」

ハマーン「……すでに6機が破壊されただと? 手緩いことをするな! あの2隻が墜ちればエゥーゴは終わりなのだ。アクシズの被害などどうとでもなる、全力で叩き潰せ!」

「り、了解!」

ハマーン「シャア……キャスバル・ダイクンの始末はどうした!」

「そ、それが……内通者がいたらしく、システムに異常が……」

ハマーン「……捕捉できんと言うのか」

「目下、復旧作業を急がせると共に人海戦術で捜索しておりますが……発見できた戦力ではあの『艦娘』とやらに対抗できず……」

ハマーン(艦娘……シャアの連れていたあの小娘……どこまでも……どこまでも私を苛立たせるか!)ギリッ
「あ、あの……ハマーン様。報告のあった部隊から……シャア大佐、いえ、キャスバル・ダイクンはミネバ様を連れていたと報告が……誠なら、その奪還をせねば……」

ハマーン「…………それは影武者だ。本物は私が保護している」ピッ


《スクリーンに映るクローン・ミネバの部屋》


「おお、ならば安心です。捜索、急がせます」

ハマーン「ああ」



タウ・リン「クク……散々だな、ハマーン・カーン」

ハマーン「この程度のこと、私に凌げんと思うか? なめるなよ、テロリスト風情が」

タウ・リン「まあそう邪険にするな。システムハッキングは俺の十八番でね……奴らを逆にハメてやろうと思うが、どうする?」

ハマーン「……妙な真似をすれば撃つ」

タウ・リン「クク……安心しな。何も余計なことはしねえよ」





タウ・リン(今はまだ、な)


>倉庫


ウォン「ここは……兵士用の倉庫か。やれやれ、ようやく一息つけるか」

ブレックス「我々の年に走り通しは辛いですからな」

カリウス「ここでノーマルスーツを着用しておきましょう。子供たちにはサイズが大きいかもしれませんが……」

夕立「あ、北方は深海棲艦だから宇宙でも平気っぽい」

カリウス「な、なるほど……それはまた」

夕立「……北方、黙ってるけど大丈夫っぽい? やっぱり、お姉さんのこと……」

北方「ン……ダイ、ジョウブ。モウ泣カナイ」

夕立「無理してるなら……」

北方「ホッポ、ワカッタ……全部、アノ金目ガ悪イ! アノニヤケ顔ニ砲弾ブチ込ンデ姉サマノ目、覚マサセル!」フシュー

タコヤキ機「ヴォー!」

夕立「おお、北方が『殺る気』っぽい」

ガトー「ふ……逞しいな。しかしカリウス、これだけ急な事態に対応できるとは……もしや以前からこれを想定して?」

カリウス「はい……我々、デラーズフリートの生き残りは、いつアクシズから切られてもおかしくない状況でしたので……それの準備がこうして、少佐や、キャスバル閣下の役に立てたのは、望外の喜びです」

ガトー「そう、か…………」

夕立「少佐さん……?」



雷「ミネバちゃん、ノーマルスーツの着方わかる? よかったら手伝ってあげ……」

ミネバ「…………なぜだ?」

雷「ミネバちゃん?」

ミネバ「私は……もう、『ミネバ・ザビ』ではない……ハマーンは……私を、『いらない』って…………私はもう、生きていたって何の役にも立たないのだ! なのになぜ私を生かそうとする!?」

雷「っ! そんなわけない!」

ミネバ「ウソだ! シャアだって……私が『ミネバ・ザビ』だから可愛がってくれたんだろう!? ハマーンがそうだったように! 私がミネバじゃなかったら……どうだっていいに決まってるんだぁぁ!」


――――パチンッ!


ミネバ「――――え?」

アンジェロ「……いつまでも甘ったれたこと言ってんじゃねえ、クソガキ! 生きてても仕方ないだと? 大佐がミネバじゃないお前をどうでもいいと思うだと!? そいつはなぁ……お前だけは絶対に言っちゃいけないことなんだよ!」

雷「アンジェロ君! 乱暴は……!」

アンジェロ「いいえ、言わせて下さい雷姉さん! いいか……お前が何者だろうと、お前がザビ家の後継ぎとして崇められてきたのは事実なんだよ! お前は、そうやって今まで生きてきたんだ! その責任から逃げるんじゃねえ! そんなことは許されねえ……少なくとも、俺は絶対に許さねえ!」

ミネバ「そ、そんなの……私には……」

アンジェロ「何よりも! 大佐がお前に注いだ愛情を否定することが一番許せねえ! よく思い出せ……大佐は、ザビ家を憎んでいたのにお前を育てた大佐は、お前が好きな大佐は、お前がハマーンって女に捨てられた程度でお前を捨てるような人間だったのか!?」

ミネバ「そ……そんなこと……ない!」

アンジェロ「ふん……ハナっからわかってんじゃねえか。だったら、もう下んないこと言うんじゃねえよ」プイッ

ミネバ「あ……」

キャスバル「やれやれ……アンジェロの信頼が重いな」

ミネバ「シャア……あの、私は……」

キャスバル「ミネバ殿下……いや、敢えて『ミネバ』と呼ばせて貰う。私は君に幸せになって欲しかったのだ。ザビ家という、重い血の宿命を継いでいても……私のように、ならないように。残念ながら、このようなことになってしまったが……それでも、私の気持ちに変わりはない」

ミネバ「見捨て、ないで、くれるのか……?」

キャスバル「そのようなこと、誰よりも私自身が許せない。不安だろうがが……決して、悪いようにはしない。私を信じてくれ、ミネバ」

ミネバ「シャア……ッ!」ギュッ

キャスバル「よしよし……(思えば、この子はこうして頭を撫でられたことすら無いのやも知れん……ずっと『ミネバ・ザビ』という枷に縛りつけられたままで……)」


雷「ふふ……アンジェロ君、ありがとう、ね」

アンジェロ「……知りませんよ。俺は気に食わない奴をひっぱたいただけです」

カミーユ「素直じゃないなあ」

雷「あら、カミーユ君がそれを言う?」

カミーユ「うへぁ」


カリウス「皆さんノーマルスーツを着ましたね? ではそろそろ……」


『おっと、そうは問屋が卸さねえなぁ』


キャスバル「この声……タウ・リン! 貴様か!」

タウ・リン(放送)『ご名答だ。なかなか手強いプロテクトだったが……捕捉したぜ。隔壁操作システムももう直ぐだ』

カリウス「馬鹿な!? 技術班の苦心の作が……!」

タウ・リン『クク……俺のように技術の腕が生死に直結するような世界で生きてないプログラム屋風情に遅れを取るかよ。ハチの巣にされたくなきゃ頑張って逃げるんだな』プツン

キャスバル「くっ……どこまでも人をコケにする……!」

ブレックス「しかし、こうなると迂闊にここを動かん方がいいかも知れん」

ウォン「コンテナでバリケードを築こう。手伝ってくれ……どの程度保つかわからんが」

キャスバル「……雷、ゾーリンソールはまだ無理か?」

雷「うん……」

カツ「みんなノーマルスーツ着てるんだし、誰かMSを取ってこれたら……」

カミーユ「システムを捕捉されてる。危険だよ」

カリウス「MS……通気孔をたどって行けば港は無理でもMSデッキには行けるかもしれません」

ガトー「何? ならば……」

カリウス「ですが……見て下さい。この小ささでは、子供ぐらいしか通れません」

ガトー「むう……」

北方「ホッポガ行ク! MS取ッテクレバイインデショ?」

夕立「ええっ!? 危ないっぽい! それなら夕立が……」

北方「夕立、アノ穴ニハオッキイ……主ニ、オ腹」ジトー

夕立「う……ドーナツ食べ過ぎを呪ったのは初めてっぽい……帰ったらダイエットしなきゃ……」ズーン

雷「なら私……って言いたいけど、ゾーリンソールとの二重操作はちょっと……」

北方「ネ? 大丈夫、ホッポ、頑張ル!」フンス

アンジェロ「待て、なら俺も行く!」

キャスバル「アンジェロ!? 無茶だ、危険なんだぞ?」

アンジェロ「大佐に教わった操縦技術があります! それに、スラムではこんな狭い場所に潜り込むのはいつものことでしたから!」
キャスバル「だが……」

アンジェロ「大丈夫です。俺にも大佐の役に立たせて下さい。あと北方、お前MS動かせてもちゃんと大佐たち助けに戻って来れるのか?」

北方「ウ……チョット自信、ナイ」

アンジェロ「……という訳です。俺も行った方が確実です」

キャスバル「……わかった二人に頼もう。だが、決して無理はするな」

アンジェロ「はい!」

夕立「北方、無理だったらすぐ戻って来るっぽい」

北方「大丈夫! チャントMS取ッテクル!」


>通気孔 内部


ズリズリ


北方「セマイ……地図、ドッチ?」

アンジェロ「ちょっと待て(ピッピッ)……その先、左。次は真っ直ぐだ」

北方「ン……パンツ見チャ、ヤダヨ?」

アンジェロ「お前みたいなガキのパンツ見て喜ぶかアホ。大佐たちがピンチなんだから急げ」

北方「ハーイ」

タコヤキ機「ヴォー」コロコロ

ズリズリ


北方「アレ? 柵ガアル」

アンジェロ「何? ちっ……まあセンサー仕掛けられてるよしマシか……けど、切り離すのに時間をかけてたら……」

北方「大丈夫。タコヤキ、カジレ!」

タコヤキ機「ヴォ!」ガジガジ

アンジェロ「…………ああ、深海棲艦は金属食えるんだったか……」


タコヤキ機「ゲプー」

北方「ヨクヤッタ」ナデナデ

アンジェロ「よし、進むぞ……この網を外せばMSデッキだな」


>アクシズ MSデッキ


マシュマー「私の機体はどうか!」

「準備できてます!」

マシュマー「よし! ふふ……偉大なるハマーン様の慈悲を踏みにじる、エゥーゴの裏切り者どもめ! このアクシズの騎士、マシュマー・セロが鉄槌を下してくれる! 麗しき我がMS……『ローゼン・ハンマ』でな!」


ローゼン・ハンマ「」


マシュマー「うむ……いつ見ても美しい色合いだ。まるでハマーン様に頂いたこの薔薇のような……ああ、ハマーン様……」


「おい、また病気が始まったぞ」
「長いんだよなー、ああなると」
「とりあえずロックだけ外しとけー」



マシュマー「ふう……またも麗しき妄想に耽ってしまった。さあ、エゥーゴの連中を殲滅しに……!(ヒューン……ガブリ)ぬぁ?」


ガジガジ


マシュマー(タコヤキヘッド)「……ぬわぁぁぁぁぁぁっ!? 真っ暗だ!? そして何故か顔が痛い!? 何事だ! 何が起きている!? ハマーン様お助けをぉぉぉぉ!?」ジタバタ





※ローゼン・ハンマはローゼン・ズール色のハンマ・ハンマということで。


北方「……タコヤキニ噛ミツカレテモ元気。スゴイ」パチパチ

アンジェロ「誉めてる場合か。とりあえずこのMSでいいだろ……色合いは誉めてやるよ。大佐のゾーリンソールに仕えるMSとしては上々だ」

北方「ンー……」チラ


マシュマー「ハマーン様ぁぁぁ!」ジタバタ

アンジェロ「フフフ、大佐の為に……」


北方「……同類?」

アンジェロ「誰が誰のだ。さて、調整もよし……やるぞ!」

北方「ワカッタ。タコヤキ、戻レ!」

タコヤキ機「ヴォ!」フヨフヨ

マシュマー「ふはっ! な、何だったのだ…………あ、こら! そこの子供! 私のMSから降りろ!」

アンジェロ「悪いな、こいつは貰っていくよ!」


ローゼン・ハンマ「」ヴォン

ガシュン ガシュン

ゴオッ!


アンジェロ「大佐たちの場所に行くには一度外に出るしかないな……しっかり捕まってろよ!」

北方「ン!」








マシュマー「待て――――っ! 私のMSを返せ――――っ!」


>倉庫


ガガガガガガガガッ!


「増援、まだか!」
「間もなく……(ドパァンッ)うわぁっ!」
「またあのトリモチ弾だ!」
「怯むな! 数で押し切れ!」


夕立「うう……そろそろ残弾が無くなるっぽい……」
カツ「通常弾で吹っ飛ばせはいいじゃないか」

キャスバル「……最終的にはそうせざるをえんかも知れんがね……」

雷「……大尉はまだ、アクシズとの友好を諦めてないのよね?」

キャスバル「ああ……この状態で愚かしいと思うかも知れんが、私が諦めてしまえば……アクシズは、アクシズの人々は、救われん」

雷「なら、私たちが大尉のお手伝いをするだけよ! トリモチ弾、もう一ぱぁつ!」ドパァンッ!


ウワー


キャスバル「雷……」

カミーユ「そういうことですね……ガトー大尉、このスタングレネード、使えますか?」

ガトー「ああ。カリウス! 催涙弾の類いはあるか!?」

カリウス「こちらに!」ガチャガチャ

ウォン「まったく! 近接格闘なら全員まとめてカラテで沈めとるものを!」

ブレックス「それは逆にシャレにならんのでは?」


キャスバル(……私を支えてくれる仲間たち……彼らがいるから、私は立つことが出来た…………ハマーン、君にはそんな人々はいなかったのか……?)



ガトー「……このままではいずれ…………キャスバル殿、よろしいか?」

キャスバル「ガトー大尉……何か?」

ガトー「ここに集中していては、アンジェロたちが帰る前に押し切られる可能性が高い……私が、囮としてかき乱して来ようかと」

キャスバル「っ! 危険すぎる! 承諾するわけには……」

ガトー「……今のアクシズは混乱しております。今こそが……好機、かと」

キャスバル「……そういう、ことか」

ガトー「はい……今なら、夕立と離れても不自然ではないでしょう。彼女に……見せたい光景ではありませんから」

キャスバル「……必ず、戻ってきてくれ。ガトー大尉もまた、私の望む未来に必要な人間だ」

ガトー「了解です……私も、夕立を泣かせたくはない。では……!」タッ


夕立「ぽいっ!? 少佐さん、出たら危な……!」

ガトー「夕立! 煙幕撃てぇ!」

夕立「ぽ、ぽいぃっ!」ドパァンッ!


シュピンッ!
ガッ! ドムッ! バキッ!

ドサドサッ


カミーユ「す……凄い」

カツ「もう剣豪だよあの人……」


ガトー「このまま、アクシズを撹乱する! カリウス、続け!」

カリウス「はっ! ガトー少佐!」

夕立「ぽいっ! 夕立も……」

ガトー「夕立は雷と共にキャスバル殿を守れ! キャスバル殿に何かあれば我らに明日はない!」

夕立「あ、う……でも……」

ガトー「案ずるな、必ず戻る……往くぞ!」

カリウス「はっ!」




夕立「少佐さん……」ギュッ

雷「……大丈夫よ夕立。ガトーさんは戻るって約束してくれたでしょう? なら……信じてあげなくちゃ」

夕立「ぽい……雷は、クワトロさんに同じこと言われても平気っぽい?」

雷「平気、じゃないけど……でも、大尉なら帰ってきてくれるって信じて……大尉は帰ってきてくれたわ」

夕立「…………雷は、時々夕立より大人な感じっぽい」


>貴賓室


C(クローン)ミネバ「ん……何か騒がしいな」

サイデイ「そのようですな。はて……?」


ガチャ


ハマーン「……異常ないようだな」

サイデイ「こ、これはハマーン様……」

Cミネバ「ハマーン! よく来てくれた! 何か騒がしいのだが……」

ハマーン「サイデイ、この『ミネバ・ザビ』を表に出す。すぐに『使える』ようにしろ」

サイデイ「は……? い、一体何が……」

ハマーン「命令を確認する必要があるか? そういう事態になった、それだけのことだ」

Cミネバ「ハマーン……? 何故答えてくれないのだ? 何が起きて……」


――――パシンッ


ハマーン「――黙れ」

Cミネバ「ハ、マーン……?」

ハマーン「私がお前に期待するのは『ミネバ・ザビ』であること……それだけだ。私の意に反するなら……」



――――殺す



Cミネバ「ひっ……!」

ハマーン「……結構。やはり子供はこうしたほうが素直でいい……始めからこうすべきだった。サイデイ、準備急げよ」

サイデイ「お、お待ち下さい! シャア大佐……キャスバル殿からは何も聞いておりませんのか? かの方は、ミネバ様にもっと自由にあれと願って……!」

ハマーン「シャア、か…………奴はな、今、裏切り者として目下アクシズを捜索中だよ」

サイデイ「なっ!」

ハマーン「……そうさ……奴は……結局裏切り者なのさ」



バタン



C「サイ、デイ……ハマーンが……ハマーンは……っ」

サイデイ「ミネバ様…………微力ながら、このサイデイが常にお側に」

Cミネバ「う……うう……っ……シャア、雷……」

サイデイ「キャスバル殿……貴方が居られながら、何故、このような…………これからアクシズは、一体どうなってしまうのだ……」


>端末室


カチャカチャカチャ


「ふう……ふう……い、一体どういうわけだ……消去したはずのデータが復旧しているなど……」


カチャカチャカチャ


「だが、これで…………なっ!? こ、これは……ダミーだ! ファイル名だけの……中身のない、空データだと!? だ、誰だ! こんな手の込んだイタズラをしたのは!」


カリウス「それは我々の仕業ですよ……アサクラ大佐」

アサクラ「っ!? お、お前は……デラーズフリートの!」

カリウス「少しずつ、少しずつ集めた不正の手掛かり……その手掛かりから犯人を見つけ出すために、仕掛けた『鼠取り』ですよ。見事に引っ掛かってくれましたね」

アサクラ「だ……だから何だ!? お前たち、デラーズフリートの生き残りなど、アクシズにとって邪魔者でしかない! 告発するか? すればいいさ! だが、始末されるのは私ではなくお前たちだろうがな! はははははっ!」



ガトー「なるほど、それが貴様の本性か」

アサクラ「っ!? 馬、鹿な……アナベル・ガトー、だと……そんな記録は……」

カリウス「……我々が情報の流出を防いだのですよ……キャスバル殿もそのことを理解してか、アクシズの入港記録にガトー少佐の名前はありません。代わりに……『アレクサンドル・ヴァン・ダム』という名前はありますが」

ガトー「元より私は死んだはずの人間……『違う』と言えば他人の空似で通る」
アサクラ「な……何を……」

ガトー「……8年前、私はシーマ中佐に討たれんとしていた貴様を助けた」

アサクラ「……っ! そ、そうだ! ガトー少佐はあのような薄汚い海兵隊なんぞと違い、私の価値を分かって……!」

ガトー「……過ちだった! 貴様のような……貴様のような人間の尊厳を踏みにじる輩は……あの場で切り捨てておくべきだった……!」スラッ


《冷たく刃を輝かせる『菊一文字(ガーベラ・ストレート)』》


アサクラ「ひっ……!」

ガトー「案ずるな」

アサクラ「へっ……?」

ガトー「貴様を殺した業は……私が地獄に落ちるその日まで背負って行ってやる……! 安心して、地獄のシーマ中佐に詫びてこい……っ!」チャキッ

アサクラ「ひいっ……うわぁぁぁぁぁぁっ!」ダダッ


ガトー「天命がその命許そうと……人意、我意が誅を望む! 私怨人誅仕る! チェストォォォォォォォォォッ!!」



――――ザシュッ!



アサクラ「あ……が…………」ドサッ

ガトー「……いずれ、私も逝く。それまで、地獄の椅子を温めておけ」

カリウス「……お見事でした。これで、仲間たちの無念も少しは……」

ガトー「無念、か……カリウス、私は所詮、人殺ししか取り柄のない人間なのかも知れんな……この手を血に濡らし、屍の山を築くことしか、私には……」

カリウス「……少なくとも、私や、あの夕立という子は少佐の健勝を願っています。ご自愛下さい」

ガトー「そう、か…………戻ろう。皆が待っている」

カリウス「はっ」


>倉庫


ガガガガガガガガガガッ!


夕立「また来たっぽい~!」

キャスバル「雷、アーガマはどうなっている?」

雷「そろそろ、マズいかも……」

キャスバル「ぬう……」

ミネバ「シャア……雷……」

雷「……大丈夫よ。ミネバちゃんは絶対、助けるから」

ミネバ「……うむ」

カミーユ「こうなったら、強行突破を……っ! あいつは!?」


タウ・リン「ふん……雑魚が何やっても無駄ってことだ。退け」

「何だと! 貴様……(ブォンッ)うわあっ!」
「いきなり何を……(グオンッ)のわぁっ!」


カツ「い、いくら低重力だからって人間をあんな軽々と……」

ウォン「違うな。低重力で自身が固定されにくいのに人を投げ飛ばす……それが恐ろしいのだ」


タウ・リン「さて……アクシズのお嬢さんがお前の命を所望だ……シャア・アズナブル。従うか、歯向かうか……どっちにしろ結果は変わらんが。ククク」

雷「大尉に手出しはさせないわ!」ザッ

夕立「それ以上近づくなっぽい!」ザッ

港湾「ッ」ガシャン

タウ・リン「港湾、下がってろ。邪魔だ」

港湾「……ハイ」


雷「……ずいぶん余裕なのね。私たち、見た目は子供でも艦娘なのよ?」

タウ・リン「はっ。漁船に毛が生えた程度の駆逐艦の艦娘の何を恐れろって?」

夕立「ムッカチーン……今のは夕立、かーなーりカチンと来たっぽい……!」ザワッ

夕立改二「ド派手なパーティーになっても……文句言わないでね?」ニヤァ

タウ・リン「クク……言うじゃないか。なら……」



ヒュッ



タウ・リン「パーティーやろうぜ」ニヤァ

夕立改二「っ!? 速っ……(ドムッ!)ッ!?」ズドォォォンッ!

雷「夕立!(ガキィィィンッ!)くうっ! なんっ、て重い一撃……!」

タウ・リン「ちっ……流石にシャアの艦娘……反応が速い」スタッ

カミーユ「夕立!」

夕立改二「ゲホッ、ゲホッ……! だ、大丈夫っぽい……もう油断しないっぽい!」

タウ・リン「ガトーの艦娘もなかなかタフじゃないか……面白くなりそうだ」


ガキィィィン!
ドパァンドパァン!
ズドォォォンッ!


カツ「な……生身で艦娘と戦ってるなんて……化物だ、あいつ……」

キャスバル「……艦娘、いや、深海棲艦の力を取り込んだ強化人間……それもまた、ジオンの負の遺産……! そういうことか、タウ・リン!」

カミーユ「深海棲艦の力を……なら……!」ザワァ

キャスバル「止せ、カミーユ!」

カミーユ「けど!」

キャスバル「君のあの力、あの姿は君の思いと、Zガンダムの思い、北方棲姫の助力、君を思う人々の思い……その全てから成る一種の奇跡だ。軽々しく使うものではない」

カミーユ「でもこのままじゃ!」


タウ・リン「仲間割れか? 余裕だなシャア」ヒュッ

キャスバル「っ!」

雷「大尉!」


ガキィィィン!


雷「痛っ……」

キャスバル「雷!」

タウ・リン「……速さもシャアのMS並みとはな。命拾いしたな、シャア」

キャスバル「貴様……っ!」ギリッ

タウ・リン「……っ! ク、クク……ははははっ! そうか……そうかそうか! シャア、お前はその艦娘にご執心か! こいつはいい! いいことを知ったぜ! はははははっ!」

キャスバル「私が雷の心配をするのがそんなに可笑しいか!」

タウ・リン「いいや? 人間と艦娘との恋愛、思慕、信頼……大変結構だ……何故なら……」



タウ・リン「そいつを痛めつけ、傷つければ、貴様は怒り、憎み、絶望するんだろ?」ニタァ



キャスバル「貴様……貴様という男は!」ギリッ

雷「大尉! 挑発よ、乗っちゃダメ!」

タウ・リン「クク、よく見ているじゃないか……どうする? このままなら俺は貴様の艦娘をなぶり殺しにするぞ?」

夕立改二「夕立を無視するなっぽい!」ドパァン!

タウ・リン「っ! ちっ……主に似て、俺を苛立たせる艦娘だな、貴様も!」ガキィィィン!



ガキィィィン!
バキィィィィン!

ドガッ!


夕立改二「あぐっ……!」ドサッ

雷「夕立!」

タウ・リン「……さあ、どうする? このままだと……なぶり殺しだぞ? ククク」

キャスバル「……一つ、聞かせろ」

タウ・リン「何だ?」

キャスバル「貴様のやり口には……真剣さが感じられない。いや、正確には『私に対して』の対応のみ、いつも挑発じみている。何故だ?」

タウ・リン「……いいだろう、俺も一つだけ教えてやる。俺が貴様を煽る理由……それは、俺の真の願い……それを叶えられるのがシャア、貴様しかいないからだ……あらゆる、意味でな」

キャスバル「何……? どういう……」

タウ・リン「……サービスタイムはここまでだ。さて……覚悟を決めたか、シャア?」

キャスバル「……ああ」


キャスバル(バイザーON)「間に合ったようだよ」


タウ・リン「何だと?(チリッ)っ! MSか!」




――――ズガァァァァァンッ!




ローゼン・ハンマ「」ヴォン

アンジェロ『大佐! お待たせしました!』

北方『金目イタ! あんじぇろ、潰セー!』ガチャガチャ

アンジェロ『ちょ、こら! 勝手に弄るな!』


タウ・リン「ちっ……だが、ただでは逃がさ……っ!?」

ガトー「隙あり! キエェェェェェェイッ!」

港湾「ッ! タウ・リンッ!」ドンッ



――――ザシュッ!



タウ・リン(左手負傷)「ぐっ……! アナベル・ガトー……!」

ガトー「またしても浅い……だが、夕立を痛めつけてくれた借りは返させて貰ったぞ」

夕立改二「あ、う……少佐さん……」

ガトー「……よく頑張ったな、夕立」

夕立改二「え……えへへ……ぽいっ♪」

キャスバル「皆、MSの手に。雷、アーガマに出港するように連絡を」

雷「了解よ!」

北方『金目、今回ハ見逃シテヤル! 姉サマ……キット、迎エ二クルカラ……』

アンジェロ『皆乗ったな? さっさとおさらばだ』



ローゼン・ハンマ「」ゴオッ


>アーガマ ブリッジ


間宮「――っ! ブライト艦長! クワトロ大尉たちがMSで脱出したと!」

ブライト「よし! シャッターをブチ抜いて脱出する! アーガマ、全速!」

トーレス「了解!」


>ラーディッシュ ブリッジ


リーゼント「アーガマ、動きます!」

ヘンケン「遅れるなよ、こちらも全速だ!」




>倉庫(全損)


タウ・リン「……逃がしたか。まあ、半ば予想はしていたが……クク、こうも見事に出し抜かれるとはな……まるで『運命に生かされている』ようだなぁ? シャアよ」

港湾「タウ・リン……傷ガ……」

タウ・リン「ふん、こんなもの……」スッ


《指でなぞっただけで塞がる傷口》


タウ・リン「……深海棲艦を取り込んだ俺ならすぐ治る。治らんとしたら……『無限力』を帯びた害意によるものだけだ」

港湾「ケド……傷ハ、ヤッパリ痛イ……」

タウ・リン「貴様が気にし過ぎるだけだ……行くぞ、五月蝿いアクシズのお嬢さんに、シャアを逃がしたことを怒られにいかんとな……ククク」

港湾「ハイ」


>アクシズ近海


キャスバル「アンジェロ、操縦に負担はないか?」

アンジェロ「問題ないです。初めての機体ですけど、意外と使い易いですね……アクシズ製ってのが、気に入りませんが」

キャスバル「ふっ……機体に罪はないぞ」

雷「そうよ! ローゼンハンマも初飛行なのにガックリしてるじゃない!」

アンジェロ「そ、そうなんですか? って言うか、こいつローゼンハンマって言うんだ……」


ローゼン・ハンマ「」ショボーン


夕立改二「ああっ、今の発言でもっとションボリしちゃったっぽい!」

カミーユ「出力落ちてるぞ! このままじゃ追手に追いつかれる! 早く励ますんだ!」

アンジェロ「ええっ!?」

北方「元気ダセー」ナデナデ


ローゼン・ハンマ「」シャキーン


ガトー「うむ、出力が戻ったな」

アンジェロ「え……えええ……?」


カツ「MSって……なんだっけ……?」

ウォン「何を言うか。電化製品だって似たようなものだろうに」

ブレックス「ああ、確かに……」



カミーユ「おっと……そうだアンジェロ。味方識別ビーコンは設定してあるか? エゥーゴのにしておかないと攻撃される恐れがあるぞ」

アンジェロ「むっ……わかってるよそんなの、今やってる(ピッピツ)」

カミーユ「忘れてたな?」

アンジェロ「うっさいな」

カミーユ「いや、俺もMKIIに初めて乗った時、ビーコン設定忘れてたなぁってさ。大尉たちがいなかったら撃ち落とされてたよ」

アンジェロ「へえ……なあ、大佐が前に乗ってたMSはリックディアスって奴だろ? その時も大佐って……」

カミーユ「ああ、凄かったぞー。こう、後ろを振り向きもしないでMSを行動不能にしたり……」

アンジェロ「それでそれで」ワクワク

キャスバル「……自分の所業を聞かされるのは、どうもな」

雷「大尉のカッコいい話なんだからいいじゃない」

ミネバ「あの……私もシャアの活躍を聞きたいぞ」

アンジェロ「むっ……」

ミネバ「あ、う……」

アンジェロ「…………特別に聞かせてやるよ」

カミーユ「なんで偉そうなんだよお前は」

ミネバ「本当か!? ありがとう!」

カミーユ「ははっ、ミネバちゃんは素直だなあ……アンジェロと違って」

アンジェロ「五月蝿い! カミーユのくせに!」

カミーユ「どういう理屈でそうなった!?」


北方「夕立、金目ニヤラレタトコ、大丈夫?」

夕立改二「もう平気っぽい。夕立は頑丈っぽい!」

ガトー「あまり無茶されても困るがな」

夕立改二「むう、少佐さんには言われたくないっぽい……ところで、カリウスさんは?」

ガトー「ハスラー少将の元で勢力を集めるそうだ……アクシズ内部の穏健派を守る戦力も必要だからな」

夕立改二「そっか……頑張って欲しいっぽい!」


>アクシズ 指令室


ハマーン「……自信満々で出て行ってこの様か、タウ・リン」

タウ・リン「まあ、面目ない。正直に言ってシャアと仲間たちは想像以上だった……あとはあんたに任せるよ、ハマーン・カーン」

ハマーン「ふん……貴様の尻拭いなのは気に入らんが、謙虚な点は評価してやる……追撃してアーガマ、ラーディッシュを墜とす! サダラーン、及び艦隊、発進準備を!」

「はっ!」

ハマーン「保安隊、私が出撃している間に内通者の捕縛を……」

タウ・リン「ああ……それなら俺がやっておいた」

ハマーン「……手際がいいな」

タウ・リン「まあ、手間賃と間借り代さ。始末はこっちでやっておくか? それともそちらでやるか?」

ハマーン「……シャアを討つ以上に反逆者への押さえになる方法はない。貴様の好きにしろ」

ハマーン(そうだ……それさえ成し遂げてしまえば、誰も私に逆らえん。私が、シャアを超えれば……!)




タウ・リン「ククッ……それじゃあ、好きにやらせて貰うぜ……」


>アクシズ近海


アンジェロ「ん……? アーガマから接近する反応が」

キャスバル「雷、ゾーリンソールを喚んでいたのか?」

雷「うん。でもそれだけじゃないみたいよ?」


ファ(Zガンダム)「カミーユ! 無事なのね!?」

カミーユ「ファ! 来てくれたのか!」

ファ「来てくれたのか……じゃないわよ! 何なの一体! いきなりアーガマは襲われるし、シンタとクムは泣くし、フォウはオロオロしてハロにつまづいてこけるし、カミーユはアクシズに取り残されてるし……どういうことよホントに!」

カミーユ「いや俺の責任かそれ?」

ファ「うるさいわよカミーユのくせに!」

カミーユ「流行ってんのかそれ!?」


雷「ゾーリンソール、アーガマの防衛お疲れ様。もう少しだから、頑張ってね」

キャスバル「よろしく頼むぞ、ゾーリンソール」


ゾーリンソール「」ヴォン


ミネバ「……シャア、MSというのは、人間が話しかけると応えるものなのか?」

キャスバル「どうも、最近はそうらしい」


ガトー「プルトニウスも運んで来てくれたか」

夕立改二「ぽい! これで追っ手が来てもぽいぽいのぽ~いっぽい!」


Zプルトニウス「」ヴォン


ブレックス「では、我々は先にアーガマに戻るとしよう……カミーユくん、よろしく頼むよ」

カミーユ(Zガンダム・WR)「はい、WRならアーガマまですぐですから……アンジェロ、ちゃんとZに乗せられるか?」

アンジェロ(ローゼンハンマ)「このくらいの操作でミスするかよ」

カツ「いつでも代わってやるけど」

アンジェロ「大きなお世話だ」

ファ「もう、ケンカしないの」

ウォン「若い証拠だ」

キャスバル(ゾーリンソール)「さあミネバ、君もZに。それともローゼンハンマの方がいいか?」

ミネバ「……シャアは、これから戦うのか? その……ハマーンとも?」

キャスバル「……そう、なるでしょうな」

ミネバ「…………シャア、私は……もう一度、ハマーンと話したい。一緒に、乗せては貰えないだろうか?」

アンジェロ「なっ!? お前、大佐の迷惑に……!」

ミネバ「馬鹿なことを言っているとはわかっているのだ! けど……けど……シャアの優しさが本物なら……ハマーンの優しさも偽物だったなんて……私には、思えないのだ……シャア……お願いだ……」

キャスバル「……乗りたまえ」

ミネバ「っ! シャア……!」

キャスバル「私も同じだよ……ハマーンが、ただ復讐のためだけに生きてきたなど思えない……思いたくない。愚かと呼ばれても、彼女の優しさを信じたい。雷、構わないな?」

雷「ええ、張り切り所ね、ゾーリンソール!」


ゾーリンソール「」ヴォン


ミネバ「シャア、雷……ありがとう」

ガトー(Zプルトニウス)「では、我々は露払いを……タウ・リンが、タイラントソードが出てくるやも知れませんからな」

夕立改二「ぽい! お腹蹴られた借りを返すっぽい!」

アンジェロ「…………っ」

北方「あんじぇろ? ドーシタノ?」


ビーッ! ビーッ!


カミーユ「っ! 追っ手が……来たっ!」

ファ「私たちは早く離脱しないと……」

カツ「アンジェロ? 何やってんだ、早くZに……」


ローゼン・ハンマ「」ヴォン

キャスバル「アンジェロ!?」

アンジェロ「……大佐がそいつとハマーンの相手をするって言うなら…………俺は、その舞台を整える! 誰にも……邪魔させない舞台を! だからお前! 絶対に大佐の足を引っ張るんじゃないぞ!」

ミネバ「あ、ああ……けど、何故……」

アンジェロ「……大佐の優しさを信じろって言ったのは俺だ! なら……その大佐の信じるものを信じなきゃ……俺の言葉が嘘になるからだ! 啖呵切ったお前に嘘つきなんて呼ばれたくないからな! 北方! もう少し力貸せ!」

北方「ン! マカセロ!」

タコヤキ機「ヴォ!」

キャスバル「待て、アンジェロ……!」

アンジェロ「大佐……俺、無茶をします。すいません……でも、これだけは……そいつに! ミネバ・ザビだったそいつに……俺は、絶対に負けたくないんだぁぁぁぁぁっ!」



――――ゴォッ!



・ガザC×12
・ドライセン×8
・ガルスJ×4


「敵機接き……え? ハンマ・ハンマ?」
「落ち着け。強奪された機体があったと聞いただろう」
「確かに新型だが……たった一機、それも慣れぬ機体で何が……」


北方「あんじぇろ、イツデモイイヨ!」

アンジェロ「よし……俺が奪ったのがこんな機体で運が無かったな! 大佐直伝のサイコミュ操作を……食らえぇぇぇぇっ!」


ローゼン・ハンマ「」パシュンパシュン


ビシューッ! ビシューッ!
ズガッ! ズガガガッ!


「うわぁぁぁぁっ!?」
「サ、サイコミュの砲撃だけでなくワイヤーまで使って!?」
「ど、どんなベテランが乗ってんだよぉっ!」


アンジェロ「7機、無力化……残り、17!」


「このやろう!」
「頂く!」
「新型返せ!」


アンジェロ「北方!」

北方「タコヤキ、行ケ!」

浮遊要塞「VOOOOOッ!」ガチンガチン

「「「ぎゃあああああっ!?」」」ボカーン


北方「8、ヤッツケタ!」

アンジェロ「残り9……まとめて片付ける!」


ローゼン・ハンマ「」パシュンパシュン


アンジェロ「メガ粒子砲、発射!」


バシュ----ッ……


「何だ? 全然見当違いを……」


バシューッ!
ズバババババッ!


《サイコミュからのビームで拡散するメガ粒子》


「「うわぁぁぁぁっ!」」

アンジェロ「疑似・拡散メガ粒子砲……ってな」

北方「敵、全部止マッタ」
アンジェロ「よしっ。これで……」



キャスバル「……アンジェロ! なんて無茶を……誰がそんなことをやれと言った!」

アンジェロ「た、大佐……ごめんなさい……でも、俺、俺……」

キャスバル「……アーガマに戻ったら説教とブライト艦長の修正を覚悟しておけ…………教えた内容はよく覚えていたようだ、そこは誉めてやる。敵兵を殺害していない点も、未だ軍人でないことを考えれば善し、と言うべきだろう」

アンジェロ「あ……!」

キャスバル「だが、無断でこのような真似は二度と許さん! わかったかアンジェロ・ザウパー!」

アンジェロ「は、はいっ! 申し訳ありませんでした!」

北方「ア、ウ……グラ……ジャナイ、くわとろ大尉……」

キャスバル「北方棲姫もそれなりの罰を覚悟しておけ……アンジェロを助けていてくれたことには感謝しておく。さあ、前線から下がるんだ」

北方「ウン……ゴメンナサイ」

アンジェロ「大佐……ご武運を」


ローゼン・ハンマ(従者敬礼)「」



キャスバル「ふう……まったく、子供の暴走には手を焼かされる」

雷「ふふ……でもなんだか大尉、嬉しそうだけど?」

キャスバル「……喜んではいかん行動だがね。だが……アンジェロが成長した証でもある。なら、ある程度は認めてやらねばな……難しい問題だよ」

ミネバ「……っ」

雷「ミネバちゃん? どうかした?」

ミネバ「さっきのシャア……凄く、怒ってた。私が見たこともないくらい……けど、あの時のハマーンのように、恐ろしいとは感じなかった……何故だろう?」
雷「……それはね、大尉がアンジェロ君を心配して『叱って』いたからよ」

ミネバ「叱る……怒る、とは違うのか?」

雷「ええ、全然違うわ」

ミネバ「そうか……シャア、あの者は……私に負けたくない、と言っていた……私は、やはりあの者に憎まれているのだろうか?」

キャスバル「いいや……むしろ逆だろうな」

ミネバ「逆……?」

キャスバル「その話は後にしよう…………来たか」




キュベレイ「」ゴォォォッ





ミネバ「ハマーン……!」

切りがいいのでここまでで。

次スレはもう少し様子を見て……950越えたくらいかな?
いつも応援感謝です。


次回、ハマーンフルボッコ(物理編)(おぃ


では。

ひとまず生存報告。
もう少しこのスレでやるかまだ悩んでます……微妙な残りなので。
あと次スレ冒頭のあらすじとか。

お待ち頂いてる皆さんには申し訳ない。
モチベも今上げてるので……

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月07日 (水) 17:09:57   ID: acouky67

続き楽しみにしています!!

2 :  SS好きの774さん   2015年11月21日 (土) 20:12:40   ID: QAQyWyDa

よっし追いついた!
すっごく楽しんでるよ!!
特に物言わぬ鋼との心の交流がもう、何回泣きそうになったか!!!

3 :  SS好きの774さん   2016年03月27日 (日) 05:48:27   ID: 7BBt6Gyt

やっと追いついた・・・散っていった艦やMSに泣かされっぱなしだったわ
最近は策謀や平和シーンが多いけど

4 :  SS好きの774さん   2016年04月03日 (日) 12:27:36   ID: cc2rT9s0

いやぁ面白い。最近このSSのせいで寝不足だったわ
艦やMSに意思がある設定いいね

続き楽しみにしてます

5 :  SS好きの774さん   2016年06月17日 (金) 11:39:27   ID: Tpm2YZZr

去年の10月にコメントした者です。
いつもこのSSの更新を楽しみにしています!!
ストーリーや文章を考えるのは大変ですが、気長に待ってますので頑張って下さい!!

6 :  SS好きの774さん   2016年07月13日 (水) 03:33:31   ID: tZKSacBM

モチベが下がる程度のやる気なら別に書かなくていいんじゃないか
いつの間にか荒らしに埋められてるちょうどいいやんこんな所で書いても意味無いけど

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