地球防衛軍 戦士達の記録(EDF4) (63)

とある街にて。


私は一つの日記帳を拾い上げた。


それには、とある青年の命を賭けた戦いの日々が記されていた。


この青年は、まだ生きているのだろうか?

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1440518364

No.001 佐藤 一郎


20歳
EDF入隊2年目

レンジャー部隊 6-1所属


初期装備

AF14
MG11J 時限式

『2025年 4月1日』


俺がEDFに入って、今日で丁度一年が経った。
日頃の訓練にも慣れ、余裕が出てきたので、今日から日記を書こうと思う。3日坊主にならなければいいが。

まぁ、書く事と言っても金無し・彼女無しの俺には日頃の訓練の事を書くしかなさそうだが……念願だったEDFに入れたんだから文句はないけどな。

思えば、8年前のあの日。小学生だった頃。

フォーリナーのマザーシップが撃墜された日、俺はあの街にいた。

破壊され尽くした街。
上空を飛び交う無数のガンシップ。地上を歩くヘクトルと呼ばれる巨大ロボット。
そして、一つの惑星を思わせる、天に浮かぶ球体マザーシップ。

避難する親や友人たちとはぐれ、いつ死んでもおかしくなかった俺を助けてくれたあの人。

数々のEDFの部隊が、マザーシップの砲撃によって倒れていく中、たった一人で砲撃の雨を潜り抜け、マザーシップを撃墜したあの人。

他の隊員からストーム1と呼ばれていたあの人に憧れ、俺はEDFに入隊したんだ。

ただ、入隊してすぐに、あの人。
ストーム1を探してみたが、全くと言っていいほどあの人の情報は無かった。
それどころか、マザーシップを倒したのは作戦本部による適切な指示と、全EDF隊員の結束の力によるものと教練で教わる始末。EDFは、あの人の存在を隠しているのか?あの英雄を?

こんな事を日記に書いているのが教官にバレたら、何処に飛ばされるやら…まぁ、アリゾナで最後の巨大生物を倒して以来、7年もフォーリナーや巨大生物達を確認していないんだ。何処に飛ばされようが、平和なもんさ。

日記は続いている。






しばらくは、訓練や些細な日常について書かれているようだ。

『6月27日』

今日も街は至って平和。異常無し。
一週間前に、レンジャー6-1に異動になった時は緊張したが、隊長も先輩達も皆いい人達でよかった。

EDFの部隊は、数字が0に近いほどエリートだと言われている。
とはいえ、レンジャー6も、2年目の新兵である自分には荷が重すぎる部隊だ。期待に応えられるよう、努力しないといけないな。

そういえば、ウィングダイバー6との合同歓迎会の時に知り合った女の子と、今度の休みに新作の映画を見に行く事になった。彼女も昔、ストーム1と呼ばれる男に助けられた今年の夏は、熱くなりそうだ。

『7月2日 駅前集合』

『6月28日』



生きて帰れるかわからないから、今の内に書いておく。
この日記をもし拾った人がいたら、自分の両親に届けてほしい。住所は日記帳の裏側に書いてある。
もっとも、読んでいるあなたにそんな余裕があればだが。

哨戒中の部隊から、街中に巨大生物が現れたとの報告があり、急いで準備を整え、現在は『武装装甲車両グレイブ』に乗って移動中。あと10分程で現地に着くだろう。

平和な日常なんて、突然消えてしまうモノ。
8年前、イヤというほど味わったというのに、人間とは忘れてしまうものだ。

支給されている『AF14』と手榴弾『MG11J』の点検も済んだ。別部隊による、タンクの援軍も要請されたらしい。

やってやる。

あの人が、ストーム1がやり遂げたように、俺がフォーリナーを今度こそ全滅させてやるんだ。

6月28日 12時15分




ミッション1.『再召集』




開始

投下終了です。

基本は日記形式。シンプルな感じで。
戦闘は地の文など。熱い感じで。

こんな感じで進めて行きたいと思います。

日記の書き手は、ストーム1のようなヒーローでも何でもない、ただの一兵士です。

最初の日記の書き手、佐藤は途中で死んだり、別部隊の人間の記録に変わったりもします。
もしエンディングまでに佐藤が死ねば、この日記を読んでいる誰かが後を継ぐ事になります。

物語の展開は、コンマでランダムに変わっていきますので>>1にもわかりません。もしかしたら初戦で書き手交代になるかもです。

ではまた。

おつ
こういうの待ってた

おつ
楽しみに舞ってる


非常に楽しみ

関東

都市部 高層ビル街


12:50


レンジャー6総隊長『これより、我等レンジャー6、総勢60名。作戦エリアに到着する!!
当作戦は、都市部に現れたと報告のあった、巨大生物の駆逐・及び市民の救助を目的とする!!各員、6名の隊に分かれ、戦闘に備えよ!!』


装甲車での移動中、レンジャー6の総隊長から各隊に無線が届いてきた。
自分の隊はレンジャー6-1である。


隊長「レンジャー6-1、作戦エリアに到着!!GO!GO!!」


作戦エリアに指定された、高層ビル街。多くの会社人が行き交う、日本経済の基盤となるエリアだ。
装甲車が到着し、隊長が指示を飛ばす。

隊長「怖いか佐藤?」

佐藤「い、いえ!!問題ありません!!」

隊長「声が震えているぞ?強がるな、俺だって怖い。だがな、俺達はそれでも戦わなければいけない。
……何故なら、俺達はEDFだからな」

佐藤「は、はい!!」


隊長の言葉で気を引き締める。

そうだ。俺達はEDFなんだ。
相手が巨大生物だろうがフォーリナーだろうが、決して負けちゃいけないんだと、改めて思った。

「リラックスしろよ新人。頼むから俺等を間違えて撃ったりしないでくれよな」

「例え生き残りがいたとしても少数さ。落ち着いて対処すれば大丈夫だ」


隊の先輩達も、自分をリラックスさせようと言葉をかけてくれる。いい人達だ。この人達となら、どんな戦いも切り抜けられそうだ。
素直に、佐藤はそう感じた。

大丈夫。人類は巨大生物やフォーリナーなんかに負けやしない。

『こちらレンジャー6-8!!市民を攻撃中の巨大生物を確認!!巨大生物を確認!!数が多い!援軍を要請します!!』ドドドドッ!!ドドドドドドドドッ!!!


決意と同時に、味方の援軍要請の無線が飛んでくる。
銃声も聞こえる。既に戦闘は開始されているようだ。



隊長「レンジャー6-1了解、直ちに向かう。死ぬなよ!!」

…………


13:00



「マジでいやがった……巨大生物だ!巨大生物がいたぞ!!」

「7年も潜んでいやがったとはな……」


佐藤「巨大生物……とうとうこの日が来たんだな……」


援軍要請をしたレンジャー6-8の元へ向かうと


そこには逃げ惑う市民。

市民の間を縫うように、銃撃を行うレンジャー6-8。


そして、数十メートル先の視界を覆い尽くすばかりの、黒蟻型巨大生物が蠢いていた。

「レンジャー6-1ッ!?来てくれたか!!」


隊長「待たせたな。レンジャー6-1!!射撃用意ッ!!」


ジャキッ!!!


隊長の指示と共に、一斉にAF14の銃口を黒蟻達へと向ける。

黒蟻達が、こちらに気付いたのか一斉に向かってきた。
そして


隊長「……撃てぇぇぇえええっ!!!!」


総勢12人のAF14から、一斉に銃弾が放たれた。




佐藤「うぉぉぉぉぉおおおおおおっ!!!!」ドドドドドドドドッ!!!!


狙った黒蟻型巨大生物に、銃弾が叩き込まれる。
黒蟻は、十数発ほど叩き込まれ、ようやくその動きを止める。

更に別の黒蟻へ。
動きを止めれば別の黒蟻へ。

佐藤はただひたすら、目の前の標的に銃撃を加える。

カチッ!カチッ!!


佐藤「ッ!?リロードします!!」


隊長「了解!グレネード!!」ブンッ!!


佐藤のリロードと同時に、殆どの隊員がリロードを始める。
同時に、その銃撃の穴を埋める為、隊長がMG11Jを投げる。


時限式の、対巨大生物手榴弾だ。

爆発と共に、目の前の黒蟻達が宙へと四散する。



隊長「佐藤!闇雲に撃つなよ!!一匹一匹落ち着いて処理しろ!!」

佐藤「了解です!!」ドドドドッ!!!ドドドドッ!!!

爆発から逃れた黒蟻達を、落ち着いて銃撃していく。
気がつけば、あれだけいた巨大な黒蟻達は、全て死骸へとなっていた。

隊長「撃ち方止めッ!!……何とか片付いたか……」フゥッ……

隊長が、張り詰めた気を解くように息を吐く。

佐藤「勝った……勝ったんだ!俺達、巨大生物に勝ったんですね!?」

佐藤が勝利に歓喜する。他の隊員達も同じように。
佐藤や殆どの隊員にとって、今回が初陣だ。その勝利の喜びは凄まじいモノだろう。


しかし



『こちらスカウト6!!運動公園にて、巨大生物の大群を確認!!凄まじい数です……近隣の部隊は、至急迎撃に向かってください!!』


無線からは、更なる戦いを告げる言葉が流れてきた。

…………


15:00



運動公園



佐藤「な……なんて数なんだ……」



高層ビル街から少し離れた場所にある大きな運動公園。


そこから、300を超えるであろう黒蟻型巨大生物の群れがこちらに向かってくるのが見える。

ハッキリ言おう。

無理だ。


こちらの戦力は60人。

1人5体倒せばいいと思う人もいるだろう。

しかしその前に、あの群れに確実に呑まれてしまう。


総隊長「総員戦闘準備!!目標が射程距離に入り次第、直ちに攻撃を開始する!!」


レンジャー6の総隊長が、指揮を執る。

が、大半の隊員は既に戦意を喪失している。

あの黒蟻の群れを見れば無理もない。

隊長「臆するな。味方は我々だけではない。EDFは、味方を見捨てないんだ」


隊長は、我々の不安を読み取ったように声をかける。


その時


「タンクだ!タンクが来てるぞ!!」

「『ギガンテス』隊が、援軍に来てくれたぞ!!」


自分達の後方から、EDF戦車『E551ギガンテス』が5両、こちらへ向かってくるのが見えた。

105ミリ榴弾砲を放つ戦車が5台。

勝機だ。勝機が見えた。


総隊長「榴弾砲、撃てぇぇぇぇえええっ!!!!」


総隊長の指揮と共に、ギガンテスから榴弾砲が一斉に発射される。


着弾の瞬間、黒蟻の群れに爆炎が走った。


黒蟻の群れの先頭辺りが、バラバラに吹き飛んでいくのが見える。

総隊長「来るぞ!!総員撃てぇぇぇぇえええっ!!!!」


砲撃に怒るように、黒蟻の群れがこちらへと一気に向かってくる。
それを迎え撃つ様に、レンジャー6総員60名の銃口から、群れへと弾丸の雨が放たれた。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!



「タンクの援護があるんだ!負けてたまるかぁぁぁああっ!!」

「8年前のような事なんざ、させてたまるかぁぁあああっ!!」

佐藤「勝つんだ絶対に!!なるんだあの人のように!!ストーム1のようにっ!!!」




…………


隊長「佐藤……おい!佐藤!!」

佐藤「はっ!?……た、隊長……自分は一体……ッ!?」ガバッ!!

隊長「緊張の糸が切れたんだろう。意識が飛んでたぞ」

佐藤は全てを思い出し、慌てて戦場であった運動公園へと視線を向けた。

そこには、黒蟻達の死骸の山が、いたる所に散乱していた。


隊長「俺達の勝ちだ。このエリアに現れた巨大生物は、ギガンテスと俺達が、残らず掃討したよ。作戦完了だ」


隊長の作戦完了の言葉に思わず腰が抜ける。

終わったのだ。7年ぶりに現れた地球の脅威を、自分達がやっつけたのだ。








総隊長「まだ戦いは終わっていない」ザッ!!






その勝利の余韻に浸る間もなく、レンジャー6総隊長が現れる。

総隊長「現在、世界各地で巨大生物出現の報告が入っている。始まったのだよ。人類対フォーリナーの、新たな戦いが……」


プーッ、プーッ、プーッ、プーッ



総隊長の言葉と共に、無線から本部のメッセージが届いた。

ザザッ……



『市民からの出動要請です。市街地に巨大生物が出現。既にストームチーム、レンジャー3が戦闘中です。ただちにレンジャー6は、現地に向かってください』



ザッ……



と。

6月28日 16時20分







M2.広がる災厄






開始

投下終了です。

一人目の日記の書き手、佐藤の初陣でした。


ちなみに、裏でコンマやらサイコロやらで、敵の出現数、味方の数・強度・援軍など色々いじった結果、こんな感じの戦闘となりました。

今回は敵も味方も多く、援軍は通常通りギガンテスが来る判定でした。


今回の入手武器などは、次回投下の日記にて発表します。こちらは、次のレスの方のコンマが00に近いほど質が良いモノとなります。
ちなみにレンジャー武器だけでは無く、他の兵科の武器やエアレイダーの要請なども入手武器に入ります。


ではまた。



>>9
>>10
>>11
ありがとうございます。末長くよろしくお願いします。

おつ

ストーリーなぞってていいね
おつ

乙、佐藤できるだけ生き延びてくれ……










6月28日の日記に続きが書かれている。









生きている。

俺は生きている。

EDFに入って初の巨大生物との戦い。まぁ、大半の隊員にとっては同じ事だろう。
その初戦を終え、俺は生き延びる事が出来た。

まさか、巨大生物との戦いが、あれだけ苛烈なモノとは思わなかった。
こちらの戦力は榴弾砲を搭載したギガンテスが5台と、AF14を持ったレンジャー6の隊員60人。

対して、黒蟻型巨大生物の数は、報告によると400程だったそうだ。桁が違う。
奇跡的に、こちらの死者は0。ただし、黒蟻型の強力な顎による噛みつきで、アーマーを破損した隊員は15人程だ。

奴らは7年前よりも強靭に進化しているとの事。しかし、それを抜きにしても……情報のほぼ無い8年前のフォーリナー襲来時に戦ったEDF隊員達の凄さが改めてわかる。


今俺は、戦闘ヘリ『バゼラート』に搭乗し、新たな戦場へと向かっている。
どうやら他のレンジャー部隊と、前回の戦いで大活躍したエリート集団ストームチームが、巨大生物の大群と戦闘しているようだ。

俺達も、ヘリからの援護。そして降下してからの地上戦を行う事になる。

緊急の為、大した装備を整える事は出来ないが、ロケットランチャー『スティングレイST』を支給された。次の戦いは幾らか楽になるだろう。

最も、先程を遥かに上回る大群が現れれば、この日記が遺書になるだろう。……それは避けたい。

本日投下終了です。明日か明後日に戦闘開始したいと思います。


>>26
ありがとうございます。
>>27
援軍や支援要請、部隊編成・装備や敵の量に差異はありますが、大まかには沿っていきたいですね。

>>28
しばらくは、難易度ノーマルなので判定も甘めです。ただし、死ぬ時は容赦無く死にます。


ストーム1は隊員何人分?

>>32
何人分とかそういうレベルじゃない
なんせEDF3ではほぼ1人で敵の母船落としてるから

>>33
ストーム1と合流すれば生き残る確率はあがるのだろうか・・・

囮にされたり峰打ちされたりするから合流したからといって安全でない

敵味方関係なく爆弾投げるからな...敵より危険かも

合流したら逆に敵の餌食になりやすそうだな

部隊も生き残りプレイをやるストーム1なら生還の可能性も…

4.1仕様でストーム1がレンジャーなら生存率はグッと高まる



重戦車のチカラ見せてやるぜぇ!

乙です
続き楽しみ


バッカスとかも使用出来るのかな?使わないけど。

こんにちわ、1です。だいぶ遅れましたが、続きを投下します。

>>32-39
ストーム1は存在が触れられても滅多に直接合流はしませんね。
ただ、万が一合流した時には勝率100%を約束します。

>>40
「主砲が効かぬぁい」
>>41
ありがとうございます!!
>>42
ダイスの出目によっては、整備不良ということでで出るかもですね

6月28日 16時22分



坂のあるビル街 上空
戦闘ヘリ『バゼラート』内






オハラ『あーあー、私はフォーリナーの研究者オハラだ。兵士諸君にアドバイスしたい。
死んだ巨大生物を調査した結果、驚くべきことがわかった。 やつらは7年間で進化し、強くなった。より硬い甲殻に包まれ、簡単には倒すことはできない。
だが問題は無い。EDFの装備もまた、7年で強力になっている。 進化した巨大生物といえど、必ず倒せる!健闘を祈る!!』




佐藤「軽く言ってくれるな……そんな簡単な話じゃないってのに……」

無線から流れてきたオハラという学者の激励に、正直そう思った。
実際に対峙した者でなければ、あの恐怖はわかるまい。巨大生物の恐怖は。



『作戦エリア上空に到着。繰り返す、作戦エリア上空に到着。搭乗員は、地上の部隊を援護せよ』ババババババッ!!!!


佐藤「ウソだろ……まだこんなに残っていたのかよ……」


上空を旋回する戦闘ヘリ、バゼラートから地上を見下ろすと、そこには地上を蠢く黒蟻型巨大生物がの群れが、いたる所に確認出来た。


400?500?いや、もっといる。


とても地上の部隊のみで対処出来る数ではない。



隊長「呆けている暇はないぞ佐藤!!スティングレイで地上を援護する!!」

佐藤「は、はい!!」チャキッ!!


レンジャー6の隊員達は、ロケットランチャー『スティングレイST』を構え、地上の敵へと照準を合わせる。

…………





鈴木「ハハ……ハハハ……」ガタガタ……


「こちらレンジャー8-6!!
データと違います!!巨大生物は7年前よりも強靭で凶暴です!!我々だけでは手に負えません!」

本部『レンジャー8-6、巨大生物と戦う訓練を積んできたはずだ!踏み止まれッ!!』


レンジャー8隊員、鈴木仁は震えていた。




こんなハズじゃなかった。


鈴木も元は、フォーリナーと戦ったEDFに憧れ、入隊した。


しかし巨大生物は絶滅した。
EDFは、もう巨大生物やフォーリナーと戦う事はない。
鈴木は目的を失ったのだ。

目的を失ったままの訓練生時代は正直キツかったが、色んな理由をつけて時々サボれた。
隊員となった今は給料はいいし、かつて地球を救った組織ということで、周りのウケもいい。

もういい。
平和な日常でもいいじゃないか。

このまま何事も無く、平和で待遇のいい人生を送れると鈴木は思っていた。



甘かった。


「巨大生物から何か放たれたぞ!?これは……あ、アーマーが溶ける!!ウワァァァァアアア!!!!」

「さ、酸だァァァアアアッ!!!!」

「四方八方から酸が降ってくる!こんなの防ぎきれるかよ!!……ギャァァァァアアアアッ!!!!」


レンジャー8の隊員が、次々に巨大生物の攻撃によって倒れていく。


鈴木は建物と建物の隙間でジッと見を潜めていた。

鈴木「う、ウァァァアアアア"ア"ア"ッ!!!!」ドドドドドッ!!!

鈴木は咄嗟に、AF14を構えて撃つ。
黒蟻型が動かなくなっても、弾が無くなるまで撃ち続ける。

カチッ、カチッ!!


鈴木「ハァッ、ハァッ、たかが虫ケラが、人間様に楯突いてんじゃねーよ!!」ゲシッ!!


鈴木は、目の前の死骸に蹴りを入れる。
たった一匹倒しただけで、鈴木は自分が英雄になったように感じていた。


周りには、自身の攻撃音によって集まった、何十もの巨大生物がいるというのに。
鈴木は周りを見ようともしなかった。

鈴木「この!このッ!!!」ゲシッ!ゲシッ!!


いや。
鈴木の目には涙が浮かんでいた。

もう。悟ったのだ。助からないと。
だから、このどうしよもない絶望を、ひたすらごまかすように蹴り続けている。


どうしよもない。どうせ自分は物語の主人公になれない。
ここで誰にも知られず、誰も守れず、ひっそりと死ぬのがお似合いなのだ。


そして、巨大生物の牙が、鈴木に襲いかかろうとしたその瞬間



爆発と共に鈴木や巨大生物達は、その場から大きく吹き飛ばされた。

パラパラッ……


鈴木「痛っ……な、何が起きたんだ!?」ググッ……


あまりに突然の事に驚いた鈴木が、立ち上がりながら周囲を見渡していると、爆音と共に、バゼラートの編成が上空を飛行しているのを確認した。


鈴木「……来てくれた……援軍だ!!援軍が来たぞぉぉおおッ!!!!」

鈴木は思わず吠えた。
残り少ない部隊の仲間達へと。


まだだ。まだ自分の物語は終わっていない。

鈴木の目には、明らかに光が灯っていた。

…………



佐藤「対象へと着弾!次弾装填します!!」カチャカチャッ!!

地上の隊員に襲いかかろうといていた黒蟻の群れに、スティングレイのロケット弾を撃ち込んだのは、上空のバゼラート内にいる佐藤であった。

バゼラートは常に移動している。もう、先ほどのポイントには撃ち込めないだろう。

自分が援護出来るのはここまでだ。あとは、あの隊員の力を信じるしかない。



ジジッ……



『本部より入電!対巨大生物用バトルマシン『BM03ベガルタ』が2機、このエリアに輸送されています!!
一機はストームチームへ。もう一機はレンジャー8へと投下します!!各隊員は、投下ポイントまで至急移動してください!!5分後に投下します』


ジジジッ……

佐藤「ッ!?」


無線から、ベガルタ降下の知らせが流れてくる。
ベガルタは8年前の戦いでも活用されたバトルマシンだ。しかも、8年前より大幅に改良されている。
対巨大生物としては、強力過ぎる援軍だろう。


佐藤「……パイロットさん!!至急、ベガルタの降下ポイント周辺まで行ってください!!僕たちで地上部隊へ道を作りましょう!!」

…………



鈴木「……ベガルタ降下か……」

鈴木は、まだ生きていた。
あれから生き残りの隊員達と合流し、新たな部隊と共に移動していたのだ。

しかし、最初30人ほどいたレンジャー8部隊の生き残りは5人。

巨大生物はまだまだ蠢いている。
これらを掃討する為には、火力が必要だ。

「よし、何としてもベガルタを確保する。この中の誰か一人でも投下ポイントへ辿り着けば、俺たちの勝ちだ」

急遽部隊を指揮している隊員が、提案する。
それに反対する者はいなかった。

例え全滅の可能性が高くても、状況を打開するにはベガルタは必須なのだ。反対出来るわけがない。

「全員装弾は済んだか?ここからは投下ポイントまで全力疾走だ。リロードする暇なんか無いぞ?」

鈴木「大丈夫です!!」

「よし……行くぞ!!GO!GO!!GOッ!!!」ダッ!!


鈴木達は、合図と同時に走り出す。

投下ポイントは、ちょうど坂を上りきった辺り。
距離は400mほど。

周囲には、部隊に気づいた黒蟻が数十匹向かっている。


5人はただひたすら、投下ポイントへと走る。

「ギャァァァアアアッ!!!」

鈴木の後ろから悲鳴が聞こえる。

「うわァァァアアアッ!!!」

鈴木の目の前を、黒蟻が横切り、喰らいついていく。

それでも鈴木は止まらない。

「クソぉぉおおッ!!行けッ!!早く行けェェエエッ!!!」ダダダダダッ!!

指揮していた隊員が噛みつかれ、黒蟻の頭へと発砲している。その隊員の元に、更に黒蟻達が集まり、発砲音は止む。

「俺が抑える!!行けェェエエッ!!鈴木ィィイイッ!!!」ダダダダダッ!!!


そして、とうとう走っているのは鈴木だけになった。


投下ポイントには、既にベガルタが降下されていた。
あれに乗り込めば、黒蟻達を一掃出来る。

しかし、鈴木の背後には何十もの黒蟻が迫っていた。

バババババババババッ!!!!



佐藤「パイロットさん!!皆ッ!!あの隊員に黒蟻を近づけさせないでください!!」チャキッ!!

その時、鈴木の頭上へと、戦闘ヘリバゼラートが現れた。

バゼラートには、2門の機関銃とミサイルが搭載されている。
更に、搭乗者の手にも銃が。



パララララララララララララララッ!!!!!!!!




凄まじい勢いで、バゼラートの機関銃から弾丸が発射され、黒蟻達を殲滅していく。

鈴木の背後を追いかける黒蟻達は、完全にその行く手を防がれた。

鈴木「……皆……今、仇をとってやるからな……」ピピッ



その隙に、鈴木はベガルタへと搭乗し、起動させる。
ベガルタの操作や、他の搭乗兵器の操作は訓練の時にやった。
上官からも、かなり筋がいいと褒められたモノだ。


それは目標を見失い、訓練も適当だった自分が誇れるもだった。
その唯一誇れるモノで、勇敢に戦い死んでいった者達の仇を。

鈴木「ウォォォオオオオッ!!!!!」ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!





佐藤「凄いな……もの凄い勢いで、巨大生物達を殲滅していってる………」



ベガルタの右腕に装着されたリボルバーカノンから、大口径の弾丸が、機関銃の様に発射される。

左腕に装着されたロケット砲は、黒蟻達をまとめて粉砕する。

二つの武器を器用に操る鈴木は、ものの5分程で搭載された弾薬を使い果たし




黒蟻型巨大生物を1人で150ほど撃破した。

…………



M02 広がる災厄

06月28日18時14分
エリア 坂のあるビル街

戦闘終了




レンジャー6-1 損害4名 内4名軽傷

佐藤一郎
撃破数41

優れた状況把握力を評価
レンジャー6-1 小隊長へと任命





レンジャー8 損害29名 内15名死亡、10名重傷

鈴木 仁
撃破数161
優れた兵器運用技術を評価
特殊工作・空爆誘導兵科エアレイダーへと異動


ストームチーム 損害0

???
撃破数411
それ以外の情報は一切書かれていない

6月28日の日記はここまでのようだ。











ようやく今日が終わった。
人生で、一番長く感じた1日だった。
最も、これからそれが何回更新されるか予想も出来ないが。

恐らく巨大生物達はまだまだ残っているのだろう。これで終わりとは思えない。

俺がヘリから援護した男は、鈴木仁というようだ。
彼のベガルタの操作には凄まじいモノを感じた。

両腕の武器を、それぞれ別のターゲットへと照準を合わせ、自分の腕のように操っていた。あぁいうのを天才というのだろうか。

しつこいくらいにお礼を言われたが、礼を言うのはこちらだ。年も近いし、よいライバルも出来た。
部隊が壊滅した事もあり、彼は空爆誘導兵科へと移った。
あの兵器操作技術は天性だ。その方が、彼の実力は発揮されるだろう。



そして何より、このエリアにストームチームがいたという情報を掴んだ。
彼らはレンジャー部隊とは別行動をとっていたが、その撃破数は411。少人数編成でこの数字は異常以外の言葉が無い。

やはり、ストームチームには何か秘密がある。
それが、自分の恩人であるストーム1に繋がるモノならいいのだが。

明日1日だけでも、平和である事を祈りながら寝る事にする。

投下終了です。M2終了です。
地球防衛軍4.1のM2は、初めてやった時はマジであのシンプルゲームがよくここまで進化したなと感動しましたね。

ちなみに新キャラ鈴木は、次回からはレンジャーの武器を使いこなせるエアレイダーという強キャラです。
まぁ、しばらくは支援要請などは最弱レベルしか使えませんが。

次はウィングダイバーですねー。ではまた。



M2はシンプルですぐ終わるステージなので
他兵種の練習や武器、ビークルの試運転したりある意味一番お世話になってるステージかも

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