【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」03【安価】 (861)

・ほどほどに安価・コンマ制

・海賊稼業を行いながらほのぼのと艦娘と交流するギャルゲー

・艦娘人間就役説。それぞれ過去アリ

・人を選ぶ轟沈要素はなるべく最小限に

・解体される前の艦娘を拐っていくスタイル

・エログロ鬱はなるべく控えめで

・他作品のオマージュが含まれます

・基本的に安価は単発IDダメゼッタイ。セプク。雑談でも回避でもいい。備えよう

・アサシオ=サンとサミダレ=サンはこれ以上登場できない。フナムシ。

・ゾロ目はクリティカルな


過去スレ
【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」【安価】
【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」【安価】 - SSまとめ速報
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【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」02【安価】
【艦これSS】提督「今日も今日とて海賊稼業」02【安価】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431402066


◆ルールだ◆


◆遠征に当たる資材調達とお仕事がある◆

◆お仕事で得られる【資金】は、等量の好きな物資と交換できる◆高速修復剤は『10』だ◆

◆資材調達はローリスク・ローリターンからハイリスク・ハイリターンがある◆艦娘との戦闘も◆

◆お仕事も同じだ◆どちらが得という話だがどちらにも得がある◆

◆他には人身売買を突き止めるというのもある。これは艦娘が増える◆

◆サルベージ系に必要なのは、知能指数とセンスだ◆ムラクモ=サンは泣いているぞ◆


◆基本的に出撃したときに10面ダイスコンマを取る。それに艦娘の係数をかけたものを消費する◆

◆戦闘にならなければ弾薬は消費しないし、ダメージを負わなければ鋼材は消費しない◆

◆空母はコンマ分ボーキサイトを消費する。とても分かりやすい◆

◆駆逐艦はコンマそのままの値◆

◆軽巡洋艦はコンマ×1.2。端数は切り捨てな◆

◆重雷装巡洋艦はコンマ×1.4。端数は切り捨てな◆

◆重巡洋艦はコンマ×1.5。端数は切り捨てな◆

◆軽空母はコンマ×1.8。端数は切り捨てな◆

◆戦艦・空母はコンマ×2.0。やっぱり端数は切り捨てな◆

◆潜水艦はコンマ×0.5。オリョールクルーズしよう◆

◆動かす油がなくなったらまた別の事があるぞ。ほのぼのしよう◆


◆それでは戦闘のルールを説明しよう◆重要な◆

◆カラテ+(好感度+コンマの十の位+コンマ一の位)×艦娘係数+提督の指揮◆

◆これを比べるだけ。実際判りやすい◆


◆10差で小破◆15差で中破◆20差で大破◆それ以上で轟沈◆

◆優勢側がゾロ目なら、一段階上昇◆カラダニキヲツケテネ!◆


◆雷巡の雷撃の場合は、(練度(好感度)+カラテ+センス+指揮)-(練度+カラテ+センス)でコンマ範囲を割り出します◆雷撃できるならやり返せる◆

◆潜水艦の雷撃は、先制と終わりに。その時は「練度(好感度)+カラテ+センス+コンマ合計値」な◆やり返せない◆あと潜水艦は隠密する◆

◆隠密はコンマ合計値。つまり実際潜水艦はコワイ!◆


【ステータス説明】

カラテ……戦闘力や鍛練・経験など。環境が悪いほどカラテは高い。(10-環境)+コンマ
知能指数……教養など。環境がいいほど知能指数は高い。環境+コンマ
センス……様々な物事に対する勘。環境+志(10を超えると一周)+コンマ
精神的……精神力や平常心など。志+コンマ/(10-志)+コンマ
ブッダ……運。クリティカル範囲に影響があると言われる。コンマ
体温……高いほど性的に弱い。コンマ


※展開や境遇に影響が出る事もある、程度
※コンマがゾロ目の場合、+10ボーナスが加わる
※コンマが0は10として換算する
※環境・志がゾロ目なら、コンマ以前の値を2倍にする


【理論値】

カラテ:最低2・最高20
知能指数:最低1・最高19
センス:最低2・最高19
精神的:最低1・最高19/最低2・最高20
ブッダ:最低1・最高10
体温:最低1・最高10

※コンマ・環境・志含めてゾロ目抜き


【ここまでのあらすじ】


(▼世界全土をシンカイセイカンが覆いつくし、サイバネティック技術が普遍化した未来。世界平和など稚気じみた夢。

  人々は茶色のバラックシティに棲み、夜な夜なダイバースペースへ逃避する。

  人類よりも力を持つシンカイセイカン群が、海洋を背後から掌握する。ここはネオヨコスカ。鎖国体制を敷かれた日本の鎮守府だ。

  そして、マッポー的なこの時代に伝説化され空想の産物であると考えられていたカンムスが突如現れ始め、暗躍している……


  ケイスケはかつて徴兵された過去を持つサラリマン。船乗りを志す彼はしかし海洋学者の父から反対され、その当て付けとして陸軍に入隊。

  未知の生命体シンカイセイカンとの戦闘で死の恐怖に晒されるもカンムスのおかげで無事に本土へと生存した。

  泊地への資材搬入を行うケイスケは、その泊地で解体される部隊とカンムスがいること、そして泊地司令と共謀し解体されたカンムスを人身売買する暗黒メガ・コーポの存在を知る。

  かつての恩を返すべく彼は、解体寸前のカンムス――ムラクモを連れて脱出を試みるも、海賊の襲撃と重なり、甲板に集合しようとする船員たちに捕らえられてしまう。

  あわやとなったケイスケであったが、海賊は暗黒メガ・コーポの自作自演ではなく本物の海賊であった。

  一縷の望みにかけたケイスケは、行き場をなくしたムラクモを連れて海賊船に乗り込み、そして彼の機転により猟犬めいた追撃を見せる護衛カンムス・シラヌイを振り切る。

  そして、彼は海賊のボスからカイゾクX――テイトクを命じられるのであった。

  ……なお彼の本名はケイスケではない。オメーン・バイカー好きな泊地の警備員から付けられたあだ名である。


  ムラクモは中流サラリマンの家庭からカンムスに志願し、グンカン・ソウルを身に宿した少女。

  彼女は誰かの役に立ちたかった。だがそんな願いも、卑劣な暗黒メガ・コーポと泊地司令によって踏みにじられた。

  それ故に泊地への復讐を誓うムラクモであったが、彼女の行動は泊地の護衛カンムス・シラヌイの手によって偽装され、残虐非道なテロリストに仕立て上げられてしまう。

  失意の内に沈むムラクモであったが、彼女を思いやり海賊として戦う覚悟を決めたケイスケの瞳に、彼女もまた彼と共に事を誓うのであった。


  泊地との戦闘に備えて資材の備蓄を考えるケイスケは、資金稼ぎの一貫として輸送船のサルベージの依頼を受ける。

  しかしサルベージに向かったその先で、ムラクモたちはシンカイセイカンに襲撃される複数のカンムスに出会った。

  泊地のカンムスとはいえカンムスはカンムス。彼女たちを救うことを決意したケイスケと、シンカイセイカンを蹴散らすムラクモたち。

  おお、ゴウランガ!ムラクモのタツジン級のカラテは伊達ではない。雷巡シンカイセイカンは頭部からあわれ爆発四散!ネギトロめいた海の藻くずと化した。

  助け出されたリュウホウは泊地司令の悪行を知る解体直前のカンムス。軽空母だというのに実際豊満な夢見る少女のエントリーだ。

  そして一方泊地では、ケイスケの過去を知る男が静かに策略を巡らせるのだった。  ▼)


◆あっ……>夕張◆

◆あっ◆

◆気を取り直して1000ボーナスは考慮しよう◆今更ながらに一部の人にとってアレルギーが確にんされるかもしれない◆備えよう◆


龍田「どうかしたかな~?」


 背筋の神経を剥き出しのまま撫で上げられるような。

 蠱惑的な響きの、龍田の甘い声。

 顔を上げてみれば、揉みほぐすように眉間を触るジェスチャーをする龍田。

 顔が険しい、という事だろう。提督は組んだ腕を解いた。


龍田「悩み事?」

提督「……いや」


 あまり吹聴して回るわけにもいかない、と提督が首を振れば。


龍田「ん~?」 ニコニコ

提督「……」

龍田「……」 ニコニコ

提督「……」

龍田「……」 ニコニコ

提督「……俺の負けだ」

龍田「ふふ、やった~」

1:正直に叢雲との事を言って聞く
2:話を逸らす。龍田の事について聞いてみよう
3:それとなく遠回りに話す。龍田なら何をされたら傷付くか、とか
4:自由安価

↓3 ※地雷あり

選択肢:2 (地雷だ)



提督「いや……」


 しかし、言ってよいものか――。

 やはり悩む彼は、ある結論に至った。

 それは一つでは真実である事だ。


提督「ところで龍田」

龍田「?」

提督「君はいつも笑顔だけど……何か秘訣とかあるのか?」


 所謂ポーカーフェイスだろうか、龍田のそれは。

 提督は殆ど、龍田のその顔以外は見たことがない。他に加えるとしたら、驚いた表情か。

 龍田はいつも笑っている。質に違いはあれど――だ。


龍田「あれ、私……今笑ってるかなぁ?」

提督「……は?」

龍田「ごめんね? 私、自分じゃ判らないんだぁ~」

提督「……」

龍田「……“そういうの”って、天龍ちゃんの仕事だから」


 ――天龍。

 あれから、あの酒の席の一見から、提督も調べていた。

 “史実での”天龍は、天龍型の一番艦。

 つまりは龍田の姉妹艦で、姉の方。

 やけに親しげに話すという事は――そして言葉の節々から滲み出す感触では、艦娘以前からの知りあいだと言うこと。


提督「……その、天龍っていうのは」

龍田「ん、お部屋で飼ってるサボテンの名前だよぉ~?」

提督「え」

龍田「離れ離れになっちゃったから、天龍ちゃんが寂しくないように……ね?」

提督(……それは、天龍じゃなくて君がじゃないのか!?)


 腕の辺りを撫でるように。自分の体を抱えるように。

 右手で左肘を押さえながら。

 ――やはり龍田は笑っている。


龍田「……天龍ちゃんの事、気になるの?」

1:「ああ、気になっている……。君が良く話すからか、な」
2:「……無理にとは言わないが」
3:「それよりも、君の事が知りたい」
4:自由安価


↓3


◆地雷二発目ェッ!◆ナムアミダブツ!◆

◆ちなみに13は1が龍田の事が判る選択肢、2がやや地雷、3が完全地雷(会話打ち切り)な◆


提督「……無理に、とは言わないが」


 提督としては――薄々勘づいていた。

 龍田と天龍の間には、並々ならぬ過去があるということ。

 彼自身が抱えるそれのように、余人には踏み込まれたくないものがあるということ。

 そして自分の痛みを照らし合わせた彼は、龍田に強要をしなかったのだが――。


龍田「……」


 龍田の笑みが変わった。

 先程までの、どこか親しげなものではない。

 笑顔だというのに、まるで能面のごときものに。

 そう、彼は思い違いをしていた。

 この場合龍田にとって尤も致命的であったのは。彼女の心に一番衝撃を与えたのは――、


龍田「……判っちゃう、んだぁ」


 踏み込まぬという事は、強要しないという事はつまり。

 龍田には踏み込まれたくない過去があり。

 “提督がそれに気付いてしまった”――という事である。

 
 或いはただの雑談のように言葉をかけられたのならば、龍田にはいくつか選択肢があった。

 隠すにしても、遠回しに伝えるにしても、うやむやにするにしても――――いっそ、ある程度信の置ける彼に言うにしても。

 だが、これでは……。


提督「いや――」


 或いは彼はここで弁解できたのかもしれない。

 自分達は海賊である。そんな繋がりである。

 だからこそ、必要以上にプライベートには踏み込まぬし、それ以上に無理強いはしないだけ――そんな意味しかないのだ、と。

 しかし結局、彼は言葉を繋げる事が出来なかった。

 うっすらと判る龍田の変化に、気圧された。


龍田「……うん、ごめんね~? ちょっと席を外すね?」


 ただ、神ならぬ彼には知るよしもないだろうが……結果としてそれは正解である。

 何故ならば一つは、龍田はその経験から研かれたセンスで、生半可な嘘ならば見破ってしまう――、

 経った今提督にそうしたように、“相手の意図”を見抜いてしまうから。

 そしてもう一つは、実に単純。

 それは――、


提督(……何をやってるんだ、俺は)


 龍田に。

 “君とはその程度の”、“相手の持つ事情になど踏み込もうともしないし受け入れようともしない”、“表面的な関係だ”と。

 そう告げるに等しい事であったから。


















龍田(でも……)

龍田(……)

龍田(……言えって言われても、困るかなぁ)

龍田(……)

龍田(……うん)

龍田(きっと――――天龍ちゃんしかいない)

龍田(私と天龍ちゃんにしか……判らない)

龍田(だから、これでいいよね~? ね、天龍ちゃん?)


↓2 龍田の好感度/2

※ゾロ目は2倍 ※0なら十の位


┏───────────┓
  燃料:32   鋼材:86   
  弾薬:87   ボーキ:126
┗───────────┛

◆キマイラ隊◆

【提督】
環境・志:?・?

カラテ:16     知能指数:11 センス:9
精神的:17/26  ブッダ:12    指揮:15

【叢雲】 「約束ほっぽって、何してるのよ。…………ばか」
好感度:66(+?)
環境・志:4・7      ★
カラテ:26  知能指数:9 センス:7
精神的:9/12 ブッダ:5  体温:1

【浦風】 「……なんか空気の悪いような気ぃするがのぅ」 
好感度:23(+?)
環境・志:0・2
カラテ:14  知能指数:8 センス:10
精神的:8/12 ブッダ:6 体温:10

【龍田】 「……そう。私には、天龍ちゃんしかいない。天龍ちゃんしか、きっと……」
好感度:53
環境・志:5・5
カラテ:12    知能指数:20 センス:23
精神的:19/17 ブッダ:6    体温:7

【雲龍】 「……またき○この山林。艦爆、出すわ」
好感度:45
環境・志:5・5
カラテ:18    知能指数:13 センス:30
精神的:14/19 ブッダ:6    体温:3
 ◆スキル【探索上手?】:もう一度サルベージゾロ目で……

【龍鳳】「『て・い・と・く! お夕食いかがですか?』……うーん、これなら……。……でも、いらないって言われたら」
好感度:41
環境・志:1・8
カラテ:10    知能指数:10 センス:11
精神的:18/7  ブッダ:8    体温:2
 ◆スキル【収益上手?】:もう一度収益結果ゾロ目で……

【最上】「あいたたた……また頭ぶつけちゃった。……考え事、しすぎたかなぁ」
好感度:21
環境・志:2・5
カラテ:12    知能指数:10 センス:22
精神的:14/15 ブッダ:5  体温:1

【浜風】「……貴方、背中が煤けてますね」
好感度:28
環境・志:3・1
カラテ:16    知能指数:10 センス:11
精神的:16/16 ブッダ:18  体温:7



◆叢雲は、あと4で開示◆

◆浦風は、あと12で開示◆

◆龍田は、あと7で開示◆

◆雲龍は、あと5で開示◆

◆龍鳳は、あと9で開示◆

◆最上は、あと39で開示◆

◆浜風は、あと2で開示◆


提督(……最近、どうにも駄目だな)

提督(叢雲さんに、龍田…………二人に、は悪い事をした)


 無神経なのか気を使いすぎなのか。

 どちらにしてもデリカシーがない事なのか。それともだらしない事なのか。

 人の、特に女性の機微というのは判りにくいものだと提督は思った。

 そして、得意ではない。それで痛い目を見たりもした。

 だが、だからこそここで――


「よぉ、お前が提督か?」

提督「――ッ」


 思索に更ける最中、突如としてかけられた声に提督は飛び退いた/右手を柄に。

 夜の海岸。

 桟橋を一人散策するそこ――周囲が地形的に隔離された海賊泊地だから安心と考えていた彼には、寝耳に水。

 腰を落として、いつでも抜刀できるように身構える。


「おいおい、そんなに構えるなよ……俺はお前のファンさ」


 歳は――若い。

 半ばハスキーで、中性的だが――女性のそれ。


提督「ファンなら、驚かせるような真似はやめてくれないか?」


 相手がその気ならば――提督は不意を討たれていた。

 今さら滲む冷や汗。

 右の摺り足。半身を半歩前に出して、左指で鍔を押しにかかる。


「悪い悪い! でもな、あんまり人前に出せるような顔をしてないんだ」


 カラカラと笑う声。殺気や害意は、ない。

 気さくというか、鷹揚というか――しかしながら次の瞬間には斬りかかっても可笑しくないほどの、風情/告げる彼の勘。


「ファンらしく……ま、これはプレゼントだ。受け取っておけよ?」


 そう呟いて、何者かは――桟橋から海に“跳んだ”。

 潜ったのか、それとも……闇に紛れて消える人影。

 はためいていたのは、漆黒の外套。

 月明かりのない新月よりも、なお暗いマントに包まれていた。


提督「……何者なんだ」


提督(高速修復材が、五つ……)

提督(……)

提督(……成分としては本物で、特に異常はなかった。異物もない)


 だかそれにしても――昨夜のあれは、誰だったのだろうか。





1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:自由安価
6:誰かを街に案内しようか(浜風・龍鳳)

↓3


龍鳳「あ、あのっ! い、いいでしょうか!」

提督「ん?」


 顔を上げた先にいたのは龍鳳。

 汗でも掻きそうな具合に慌てながら、桜色の着物の袖をわたわたと振りながら提督に語りかけてくる。


龍鳳「えっと、あの、私、デ……じゃなくて、恋愛小せっ……じゃなくて」

龍鳳「その、えっと……そ、そう! 本! 本が! 本を!」

提督「……本?」

龍鳳「前に浜風さんと浦風さんが、ここじゃテレビも観れない……って言ってましたよ、ね?」

提督「……ああ」


 「確かに」、と提督は頷いた。

 正確にはテレビ自体は見れるが――日本の番組は見れないのだ。 

 そして、インターネットを頼ろうにも、ここにあるのは指揮回線。

 電波で通信こそ行えるが、オープンメディアにはセキュリティの観点から接続は出来ない。


龍鳳「あの、その……本をですね? 泊地に、置いてきちゃって……」




 なるほど、と提督は頷いた。

 必ずしも出撃する訳でもない。むしろ殆ど、思い思いに鍛練をしたり時間を潰したりしている。

 ただ、龍鳳は時間を潰そうにも……現在泊地から外に出る事をしていない。出来ないと言ってもいい。

 外部が――それも悪徳の街と呼ばれるなら――彼女には危険だ、と提督が判断したのだ。

 つまりは龍鳳は、


龍鳳「て、手持ちぶたさんなんです!」

提督「……」

龍鳳「え、あ、あれ?」

提督「……手持ち無沙汰、だな」

龍鳳「あぅ……」


 指先だけをちょこりと出した着物で、提督から顔を隠す龍鳳。

 そんな彼女を見ていれば、なんとも力が抜けてくる。


提督「判ったよ、龍鳳」

龍鳳「へ……、え……?」

提督「街を案内しよう。……周りの事について知っておく必要があるだろう」


 そこでなら、ひょっとしたら――。

 日本人観光客(居るのかどうか判らない)や日本人ビジネスマン(居るのかどうか判らない)に、本を置いてあるかもしれない。

 一挙両得、という奴だ。


提督「着替えてくれるか? 着物では流石に、目立つ」

龍鳳「……ぁ」

提督「その、悪いが……浦風か龍田に借りてくれ。服も買いに行こう」

龍鳳「は、はい!」

提督「……む」

龍鳳「……? どう、したんですか?」

提督「白衣は――」

龍鳳「――もう着ません! 提督のいじわるっ!」



叢雲「……」


◆前に出来なかった龍鳳サンのラブコメを少し消化するか◆



イベント安価
十の位 1ほどダーク 9ほどホノボノ
一の位 1ほど程度小 9ほど程度大

↓ 2  ※ゾロ目、0は特殊判定


◆……何も起きねえとかなんだこれ◆龍鳳サンのラブコメは死んだ◆

◆という訳で今日はここまでだ◆

◆叢雲サンに油を注いでいくスタイル◆彼女は何故怒ったのだろうか◆


◆紺矢に備えよう◆

◆ちなみに戦闘データだ◆参考までに◆


叢雲:107+コンマ   (min:110 MAX:137)

浦風:52+コンマ   (min:55 MAX:82)

龍田:90+コンマ*1.2  (min:94 MAX:126)

雲龍:123+コンマ*2.0 (min:129 MAX:183)

龍鳳:98+コンマ*1.8 (min:104 MAX:152)

最上:58+コンマ*1.5  (min:63 MAX:103)

浜風:59+コンマ (min:62 MAX:89)


◆基本的に相手がゾロ目を出さない限りどの船も沈められる雲龍=サン!ワザマエ!◆

◆しかし平常にしてたら重巡までを殺せる叢雲=サンコワイ!◆


◆21時辺りから開始されます◆

◆レ級改◆


提督(……何をされたら怒るか、か)

提督(例えばいまここで……突然俺が帰ったとしたら、待っている筈なのにいないとしたら)

提督(龍鳳は怒る……だろうな)


 龍鳳が怒りを露にする――という場面は余り想像が出来ないが。

 やられたらきっと、怒る筈だ。


龍鳳「お、お待たせしましたっ」


 息を乱して表れた龍鳳。

 鎖骨が覗くメッシュ地の白のサマーニット/白黒ボーダーのタンクトップ/マスタードカラーのプリーツスカート。

 海に出ているというのに日焼けのない白い膝上から続いた先にはエンジニアブーツ――というより完全に安全靴。


龍鳳「あ、あの……」


 龍鳳としては――かなり思いきった格好であった。

 彼女自身の私服でないのが一因であるし、本来彼女自身、ファッションにはそこまでの頓着はない。

 無論女性である以上は綺麗に見られたいのが本音であるが……。

 彼女は今まで、自分がそういうものに向いていないと/相応しくないと/特に良く見られたい相手がいないと――敬遠していた。


龍鳳(あ、足結構でちゃってる……うぅ)


 それにしては、かなり冒険した。

 過去の彼女を知るものなら、何があったと驚愕に目を見開くだろうが……。
 

提督(……長袖で、暑くないのか?)


 ――が、不発っ……!



提督(安全靴、ってことは……龍田から借りたのか?)

提督(ここは危ないから、まぁ、そうだろうな)


 寧ろハイヒールでなくて良かった――と、提督は内心溜飲を下げた。

 中に爆薬でも仕込んであるなら兎も角、明らかに弱点に成りかねない。

 以前は、あわや銃撃戦だ。気を払って損はない。


龍鳳「て、提督……? あの……」


 半分期待、半分不安――後ろ手に、おずおずと彼を見上げる龍鳳。

 彼女の脳内では――それも愛読書の類いならば――ここで何か男側からリアクションがある。

 あるのである。あるったらある。

 だが、


提督「ああ、行こうか」


 ――スルーッ! キラーパスッ!

 いや、キラーパスというよりは……龍鳳というボールを無視しラインを引き上げる、凄まじいオフサイドトラップだ!


龍鳳「……」


 だが、気を取り直して、


龍鳳「……あ、あの、お待たせしましたか?」

提督「二十五分と少し……待った、って程じゃないな」

龍鳳「……」

提督「え?」


 龍鳳の想像するデート――その一『待った?』。

 答え①:『俺も今来たところだよ』。

 答え②:『……ったく本当だよ! どれだけ俺を待たせるんだよ! ……、……まぁ、待つのも悪くねえけど』

 答え③『やれやれ、待たせるなんていけない娘だな』。

 現実=「二十五分と少し……待った、って程じゃないな」。

 推測=平然としすぎていて緊張がなさそう?

 仮説=意識されていない。

 疑問=これはデートではない?


提督「あ、龍鳳」

龍鳳「……!」

龍鳳「な、なんです!? なんでしょうかっ!?」

提督「一つ聞きたいんだが……」

龍鳳「は、はいっ! ――え、聞きた……え?」

提督「君が怒るとしたら……どんな時だ?」

龍鳳「……」

提督「……龍鳳?」

龍鳳「……」

提督「教えてくれないか? その、参考までに」

龍鳳「……今です」

提督「え」

1:本屋の他に危険そうな場所を説明して終わる
2:とりあえず服でも買いに行くか
3:何かプレゼントが買える場所に行こう
4:自由安価


↓3 コンマゾロ目、コンマ値20以下で場所により特殊イベント

選択肢:3  (イベントなし)



提督「あ、そうだ龍鳳」

龍鳳「つーん……なんですか、提督?」

提督「その服、似合ってるぞ」


 実に平然と言われた――全く以て正直に、彼の感想なんだろう。

 敢えて一回落としてからの上げる行為。正しくサブマリン。潜水艦めいたレンアイ・ジツ。

 思わず龍鳳は小躍りを仕掛けて、でもやっぱり消沈。急潜航。

 そういう言葉を平然と出せるということは、照れがない――やっぱり意識していないからだ。


龍鳳(むー)

龍鳳(……)

龍鳳(……あれ?)

提督「うん、まぁ、似合ってる。……本当にな」


 若干視線を反らして頬を掻きながら繰り返された提督の言葉に、龍鳳は再び舞い上がった。

 潜水艦どころか航空潜水艦である。しかも自分が飛ぶ方。

 ちなみに彼女は元潜水母艦であり、潜るのは沈むときだけである。


提督「何かプレゼントでも買いに行くか?」

龍鳳「はい!」

龍鳳「でも、プレゼントって……どうして?」


 首を傾げる龍鳳に、提督もまた眉を寄せた。

 そう。

 何となく女性と二人というので――とりあえずショッピングでも行くか、と考えてしまったのである。


提督(それじゃあ、デートじゃないか。……目的を忘れるなよ、俺)


 龍鳳の趣味――そして情報源たる雑誌や新聞、本の捜索。

 あとは、幾らかの私物の購入。

 また、悪徳の街と呼ばれる街の危険性について。

 それらを教える事が本義だった筈だ。


提督「……龍鳳」

龍鳳「はい、なんでしょうか?」

提督「くれぐれも、はぐれるな。……それと、スリや置き引きにも」

龍鳳「じゃ、あ、あの……じゃあ、手を繋ぎ……ませんか?」

提督「……手?」

龍鳳「はい」

提督「……どうしても?」

龍鳳「は、はい」

提督「……」

龍鳳「……」

提督「……恥ずかしいんだが」

龍鳳「は、はぐれない為です! 為なんです! そ、それだけです! それだけなんです! それだけの意味です! なんです!」

提督「……ああ、まぁ、それなら仕方がない……か」


龍鳳(よ、余計なこと言っちゃった――――!?)



??? イベント判定

1~20:監視
21~40:邂逅
41~70:過去
71~99:現在

↓ 3 ※ゾロ目特殊


龍鳳「……こっちもかわいい。あ、こっちもいいなぁ」

提督「……」

龍鳳「……その、提督は鯨と猫どっちが好き、ですか?」

提督「……」

龍鳳「提督? 私は、鯨なんか可愛いかな……って」

提督「静かに」

龍鳳「え……」

提督「……戻してくれ。このまま、歩き出すんだ」

龍鳳「え、あの……そっち、人気がない……あのっ」

提督「……」

龍鳳「ま、まだ明るいですっ。明るいのに、あの……っ」

提督「……誰かが見ている」


 提督がそう呟いた瞬間――。

 龍鳳の目が細まった。引き締まる横顔。自然と力が籠る背筋。

 彼女とて、歴戦の艦娘である。いざとなれば、切り換える事は児戯にも等しい。

 だが――


龍鳳「わひっ!?」

提督「すまない、龍鳳さん」

龍鳳「へ、ひゃ、え、あの、腰、手、えっ」

提督「下手に気配を出さない方がいい」

提督「……気付かない振りをするんだ。相手に勘づかれると、不味い」

龍鳳(わ、私には今の状況も不味いですっ、あぅ……うぅぅ)



 結局そのまま、人気のない方に向かうと見せかけて――。

 龍鳳に拒絶され、嗜められるという形で提督と龍鳳は手近な店に入った。

 室内を全て見渡せる、トイレやキッチンなどの出口や非常口に程近い場所に陣取る。

 既にデート――もとい、泊地の外の案内とは行かなくなった。

 努めて仲睦まじげな男女を演じて談笑しつつ二人は、内心では笑わない。


提督(……この街を仕切っている奴らや、前に叢雲さんと揉めた奴らならいいが)

提督(そうでなければ……厄介だな)


 結局、私物を購入も何もない。

 時間を潰して、いくつもの店屋を転々として、追っ手を撒くように――。

 端から見ればそれはまさに、デート以外の何者でもなかったが。

 しかし内実は、まるで異なっていた。


提督(……)


↓2 龍鳳好感度

※ゾロ目2倍な ※0は10の位で判断な


◆龍鳳の好感度が1上昇しました◆

◆現在42◆あと8で開示されるとの話です◆

◆物語のような恋愛を夢見る女の子を助けておまけに仲間も全員生存したらそりゃチョロイ◆



提督(……あの、自称ファン)

提督(それに昨日の……監視)

提督(良くない方向に向かっている──火もしれないな)


 手のひらに汗が滲む。

 外の情報も不明であるし、更なる懸念材料。

 本来ならば誰よりも海賊泊地に詳しい筈の“大将”の不在――。

 提督の顔も、渋い。


提督(……あの泊地は、思えば――海賊を利用して――人身売買をしているから)

提督(この街に来ることも……なくはない、のか?)



1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:街に出てみる(状況把握・情報屋など)
6:自由安価

↓3


提督(……叢雲さんは、捕まらないか)

提督(……)

提督(別に時間を指定していた訳でもなかった。よていを決めていた訳でもなかった)

提督(ただ――――ああ、あれも約束だったんだ)


 昨日、龍鳳を待っている時にした想像。

 そこに起因して――提督は漸く、叢雲の怒りの理由を見付けた。

 先に約束をしていたのは叢雲だった。

 ただ、具体的な日時を指定はしていない。何らかの仕事が舞い込んで来たり、作戦もあるから。

 だけど――。

 最上を外に食事に連れていくような余裕があるなら。空いた日なら。

 だったら何故自分との約束を果たそうとしない――というのがきっと叢雲の怒りの理由。


浜風「……あ、提督」

提督「浜風?」



 本音としては、直ぐ様叢雲に詫びたいが――。

 しかし、彼には肩書きがある。役目がある。使命がある。

 ならば、


提督「浜風、君は最近どこへ……?」

浜風「ああ、その……」


 言い難そうに視線を逸らす浜風に。

 内心の焦燥もあってか、提督の言葉は自然と強くなる。


提督「……疑いたくはないが、立場を理解してくれないか?」

浜風「……はい」

提督「説明出来ないような事を……しているのか?」

浜風「いえ……」


 観念したように、口を開く浜風。


浜風「……街へ行っていたんです。賭けを、行いに」


◆今回は少し特殊だ◆

◆先に好感度判定カッコカリを行う◆開示が近いからだ◆具体的に言うと9以下な◆

◆これで開示に至るならそのままカッコカリをガチに◆ついでに選択によっては更に公開が増える◆

◆今後も開示が近くなるとこの方式となるようです◆

◆リュウホウ=サンは犠牲になったのだ……今だ成熟せぬアンカシステムの犠牲にな……◆



↓2 浜風好感度カッコカリ


※ゾロ目は2倍な ※0は十の位な


◆ということで浜風サンは開示に行く◆ハイクを読め◆



 ――神の不在証明。



 ――神はいない、とある少女は言った。


 ――神はいる、とある男性は言った。



 一人は泣き腫らして、叫びを上げて、呆然と力を失いながら。


 一人は嗤い上げて、呻き声を漏らして、奮然と力を籠めながら。


 少女は泣き叫ぶ。

 神様に恨み言を言って。神様を怒り上げて。神様を否定して。


 男は嗤い嘲る。

 神様に感謝をして。神様を笑って。神様を肯定して。




 彼女はそれを、ただ眺めていた。

 どちらの言うことも納得出来ないが、少なくとも把握は出来た。


 そして彼女は気付いていた。

 本当はどちらも、真逆なのだと。


 泣き喚く少女は神に助けを求めていて、神を信じていた。

 嗤い溢す男は神の介入を嫌がっていて、神を信じてはいなかった。


 どちらもその本心は、真逆だった。


 やがて事切れる少女と、立ち上がる男。

 神を憎み、存在を否定し――――しかし誰よりも神を求めた少女は死に。

 神を悦び、存在を肯定し――――しかし誰よりも神を嘲る男は生きた。



 それを観ていた彼女には、どちらが正しいのかなど判らなかった。



提督「……賭け?」


 浜風が賭けを行うというのは、提督にとっても周智である。

 だからこそ彼女は、提督の指揮下に収まったのだから。

 そして、それは艦娘になる以前からも――そうであると浦風から聞いていた。


提督「……ああ、私物なんかも買えないから」

浜風「いえ、別に?」

浜風「確かにこれ一着、下着もないですけど」

提督「……っ!?」

浜風「下着も替えがないですけど、装甲の力で電気分解するので平気です」

提督「じゃあ、……情報を仕入れる為か?」

浜風「……ああ、では次からはそうします」


 その発想はなかった――と、顎を動かす浜風に。

 逆に提督は、呆気に取られる想いだった。


提督「……なら、なんで」


◆これはケジメですね◆夜にケジメ安価出ます◆


浜風「何故――」


 言われて、浜風が空を仰いだ。

 顎に手を当てて、心底不思議そうに。


浜風「……」

提督「……浜風?」

浜風「提督は、無宗教なんですか?」

提督「ん? あまり強くは意識はしないが……」

浜風「では、墓や神社で裸で踊ったり……」

提督「するわけがない。……というか、何処だろうと外で裸にならない」

浜風「……なるほど」

浜風「『縁がある』とか、『巡り合わせだ』とか『運命だ』とか……使いますか?」

提督「あるが……それが?」

浜風「では、『罰が当たる』とか『報いを受ける』とか『許される筈がない』とか……考える事は?」


 或いは、と付け加えて――「ツイてないとか」。


提督「あるけど、それがどうかしたのか?」



 意図の読めない質問に眉を寄せる提督。

 しかし構わず、浜風は話を続行する。


浜風「では、『時間というものが存在しない』――信じられますか?」

提督「今度は科学か……言われてもそうだとは思えない」

浜風「――それです」

提督「は……?」

浜風「私にとっての賭けというのは、似たようなものなんです」


 今あげたものは――と、浜風が指を立てる。


浜風「無宗教とか、信心はないなど……そんな人は居ますけど」

浜風「皆、何かを信じている。或いは……心の中で敬意を払ったり、感謝したり、規範にしています」

提督「……」

浜風「私にはそんなものがないとしても……強いて言うなら、賭けがそうなんです」

提督「そんなのは……」

浜風「本当は、少し違いますけどね」

提督「でも、金を賭けたりするんだろう?」


 「或いは身体を賭けたり」と、浜風は断って、


浜風「提督は今泊地と敵対しています。その過程で、燃料や弾薬…………違いますね、取引先からの信頼を得られるかもしれません」

提督「……マフィアたちか」

浜風「そうです。それに対して提督が思うことと、きっと――同じです」


 極めて平淡に、組んだ腕の片方を崩して告げる浜風。

 しかしながら提督には、それが全て真実だとは思えなかった。


提督「……龍鳳からは、君が護衛熱心だったと聞いたが」

浜風「あの人も、大概甘い人ですから……」


 それに、と並べて、


浜風「見ず知らずの誰かや、或いは知っている誰かを守るというのも……賭けです」

提督「……」

浜風「『どこまでその相手の為に何かできるか』……自分を試されているんです、賭けと同じで」

提督「君は……」

浜風「ごめんなさい、提督。私にとっては――この海賊泊地にも、泊地にも思い入れはありません」

浜風「ただ……ただ、分が悪い賭け」

浜風「自分と仲間の命を懸けて、最高の賭けをする――」


浜風「――それだけなんです、貴方に従うのも。誰かを守るのも」


提督「……」


 どうしたものか、と頭を掻く提督。

 その眼前で、二つの巨頭が揺れた。実際豊満だ。

 自分という花の蜜を理解して、虫を誘う食中花の如く。

 腕を組んで胸部を強調した浜風が、妖艶に嗤う――。


浜風「失望しましたか? 見損ないましたか?」

浜風「ただ、私はこんな風に――――自分本意な女です」

浜風「罰を与えようとか、懲らしめようとか、泊地から追い出そうとか……思いましたか?」

提督「……」


 「て・い・と・く」――と。

 普段のどこか硬質な響きを失って、変わりに女性を湛えた湿った声で。

 婀娜っぽく身体をくねらせながら、浜風が、下から“覗き込む”。


浜風「どんな――どんな罰でもいいですが」


 「ね?」と、娼婦が如く艶のある流し目を向ける――浜風。


◆この安価を出したら席を外す◆

◆どれにしろ地雷はない◆安心です◆


1:「……俺には、そうには思えないけどな」
2:「……この、“俺に打ち明ける”というのも分が悪い賭けか?」
3:「なら――この場所を。君にとっての“賭けを”――俺に変えさせる」
4:「ん、今何でもするって言ったな?」
5:自由安価

↓5



◆おお、ゴウランガ!◆ゾロ目だ◆パイ風がラブコメにエントリー!◆

◆今の参加者は、ムラクモ=サン、リュウホウ=サン、タツタ=サンだ◆



◆1ならギャンブラー浜風続行◆

◆2ならギャンブラー浜風純愛◆

◆3は……うん、まあね……そうだね……◆

◆ちなみに4なら、賭け事への罰として芋の皮剥きさせてました◆一番ホノボノ◆


提督「……」


 罰か否か――というのはさておき。

 実際に浜風の行為は問題だ。

 賭け事を行えば少なくない遺恨が残り、それがこの泊地にも――何よりも彼女自身にも――振りかかりかねない。

 そこだけは間違いなく、害なのだ。


提督「……なら」


 右手で後頭部の辺りを掻き上げる。

 妙案が思い付くほどセンスがある訳でもなければ、彼女を言いくるめられるだけの知性もない。

 そんな彼が選択したのは――直球だった。


提督「――この場所を」

提督「君にとっての“賭け”を――俺に変えさせる」


 つまりは、信頼できる仲間であるとか、運命共同体とか。

 そんな風に、“捧げられる”ものを――“賭け”に変えさせるしかない。

 そんな決意を、宣言を告げた。

 告げられた浜風は、というと――


浜風「――」



 目を僅かに見開いて、硬直。

 その後に……


浜風「あの……私は、その、そういうのがよく判らないというか……得意ではないというか、他にもっと好きそうな子がいると思いますが」

提督「……、ん?」

浜風「それは、“俺だけを見ていろ”とか“俺に夢中にしてやる”とか“俺のものにしてやる”とか……そういう、ことでしょうか?」

提督「おいおい、なんでそんな――」

提督「……」

提督「…………え、なるのか? そういう意味に? 受け取るのか?」

浜風「……てっきり、告白されたのかと」


 流石に意外だったと、浜風は漏らした。

 提督は――冷静に考えたら、確かにそう受け取られかねないと思い至る。

 つまりは、彼女は賭け以外が信じられないので、他に何か信じられるものを――そう考えたのだが。


浜風「……ふふ」

提督「浜風?」

浜風「提督がいると、賭けに負けてばかりです」


 面白くはないが――と付け加えて。


浜風「もう少し、試してみたくなりました……提督の事も、この泊地の事も、自分の事も」


浜風「……賭けをやめられる、なんて思いませんが」

提督「……」

浜風「少なくとも――――今は、余程予想が着かない、そんな賭けが出来ました」


 舐めずるように。

 這い上がるように。

 撫で上げるように。

 熱を持った浜風の視線が、提督を照準する。


浜風「それの方が……余程試されます。どんなものにも変わらないぐらいに」

提督「……」

浜風「そしてそんな“判らないもの”が――“賭けるまでもない事”になるとしたら」

浜風「……ああ」

浜風「“そんな事が本当にあるのか”、試すということは……」

浜風「本当に」

浜風「本当に――」


浜風「――――相手にとって、不足なし……です」


 分の悪い賭けが嫌いではないという彼女にとって。

 そんな事が起こるというのは、余程有り得なく、分が悪い事なのだろう。


◆ぱい風依存ルート、はいります◆

◆それでは暫し間が空く◆夜に備えよう◆


◆ちなみに◆

◆叢雲:高飛車ツンデレ◆

◆浦風:素直風ツンデレ◆

◆龍田:ヤンツンドラ◆

◆雲龍:素直ヤン◆

◆龍鳳:デレツン◆

◆浜風:依存型デレツン◆

◆最上:素直ボクっ子◆




 それから、提督と浜風は二人街にいる。

 理由はいくつか――。

 その内の一つに、浜風の戦闘技能が提督と同等、というものがある。


浜風「それで、そうですね……どこかしらにも賭場がありますが」

浜風「珍しいのは“太母”と“ホテル”でしょうか?」

提督「太母? ホテル?」

浜風「“太母”は娼婦の寄り合い……のようなものですかね」

浜風「所属数は多く、種類も豊富……福利厚生もいい。トップが娼婦出身だからか、そのあたりに気が回るようです」


 ちなみに「太母には娼婦として誘われたんです」と、浜風。

 先ほどの様子からするなら、きっと浜風は自分自身を賭けて、そことも勝負を行ったのだろう。

 一大事にならなくて良かったと、提督は嘆息した。


提督「ホテルは? 名前からしたら――」

浜風「――ロシアンマフィア、です」

提督「……仕事は?」

浜風「なんでも、ですが……ここにおいては武力統治組織的な側面が強いですね」

浜風「表向きは貿易会社。その関係で、飲食店などへの品卸しやミカジメなど」

浜風「深海棲艦とやり合って生き残ったとか、深海棲艦を捕獲したとか……そんな兵隊崩れだそうです」

提督「……」


 自分の素性がバレないようにしよう。――提督は固く誓った。


提督「浜風……その、知っている限りでここの事を教えて欲しいんだが――」


 提督は驚愕した。

 先に来ていた自分よりも、余程詳しい。

 初めからそちらの出身なんじゃないか――と思える程度に。


浜風「シチリア系の“我々の王国”」

浜風「コロンビア系の“騎士団”。……麻薬取引の大手です」

浜風「香港系の“三角結社”。……勢力なら最大です」

浜風「他には、軍人崩れやストリート上がりで構成された傭兵集団の“ギルド”、武器の密輸販売を取り扱う“教会”に――」

提督「……頭が痛くなってきた」


 王国に、騎士団に、ギルドに、教会――どんな魔界的なRPGだろうか。


◆パソコンに移ります◆備えよう◆


◆トリップが表示されてなかった問題◆

今からなんだ……すまない……な……


提督「つまり、整理すると――」


 賭け事、密輸、ミカジメはどこでも一緒。

 特筆――。

 ①産業廃棄物の廃棄処理を引き受けているのがシリチア系マフィア:“我々の王国”。

 ②表向きが貿易会社であるため食品関係に強い、元軍人武闘派集団のロシア系:“ホテル”。

 ③麻薬関係の密輸が特段に多い、コロンビア系:“騎士団”。

 ④高級娼婦など福利厚生や管理に優れた、娼館関係の“太母”。

 ⑤一大大手で芸能関係などにも強い、表向きがケーブル会社の香港系:“三角結社”。

 ⑥バチカンからも正式に教会登録がされている、武器の密輸卸売業者の“教会”。

 ⑦軍人崩れやストリート上がりで構成された傭兵集団の“ギルド”。


浜風「ああ」

浜風「運び屋や情報屋、解体業者なども……それぞれどこかの勢力に属しているようです」

提督「……」

浜風「ギルドの中でも変わり種なのが、拷問誘拐戦闘諜報を行う謎のグループ“カトル・カール”」

浜風「やはり解体処理なども行うと言われている、殺し屋集団の“バンダースナッチ”に――」

提督「……いい。もう、これ以上はいい」


提督「とりあえず、君がよく調べている……ってのは分かった」

浜風「正直、調べる気はなかったんですけど」


 賭場に顔を出しているうちに覚えた――と言う事だ。

 とは言っても、提督は心配であった。

 浜風が、艤装を装着せずとも自分と同じほどの戦闘能力を有している事は知っているが……。

 それにしたって、うら若き少女だ。

 何が起きるかを考えると、どうにも心配が過ぎてしまう。


浜風「貞操は……無事、です」

提督「あー……うん」

浜風「それに、こういう場所には慣れています。私も……浦風も」

提督「……それもどうかとは思うが、なぁ」

浜風「伊達に子供の頃から、暮らしてません」


 横顔。努めて冷静な口調で告げる浜風の目元は、見えない。

 彼女は今どんな表情をしているのか。



直後、浜風の好感度  ゾロ目にてボーナス

↓1 +ボーナス(3)


◆浜風の好感度が4(開示分)+4(コンマ)+3(ボーナス)=11上昇!◆

◆浜風の好感度は39◆



提督(……結局、そのまま街をなんとなく見回っただけか)

提督(……)

提督(……この間のような、妙な視線は感じなかったが――あれは)


 泊地から刺客でも現れた、と考えるべきか。

 しかしそれにしても、場所を突き止められるのが早い気がする。

 ――いや。

 ここが悪徳の街で、そして悪党どもが深海棲艦蔓延る海でも密輸を行えている。

 そう考えると、立役者の存在を疑っても可笑しくはないし。

 何より、偽装海賊による襲撃と人身売買。

 そのルートとして、この街のどこかしらの権力と結びついていても――不思議ではない。


提督(……相手が強大で、恐ろしいってのは分かる)

提督(それ以上の事は判らないし……雲に包まれたように、どれほどの大きさなのか想像もつかない)

提督(俺たちは、俺たちの手で……この迷路を抜けていくしかないのか)

1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:街に出てみる(状況把握・情報屋など)
6:自由安価

↓3

◆ムラクモ=サンは開示圏内なのでコンマ◆

◆4以上で開示&その後にまた後で好感度が増える◆なければ好感度カッコカリのままだ◆


↓2 叢雲開示好感度

※ゾロ目は2倍 ※0は十の位


◆という訳で次で叢雲が大幅にデレる◆しゅきしゅきだいしゅきになる◆

◆ここまでにして欲しい◆手術に関しては三角骨障害なので心配しないで欲しい◆


A:艦娘とのラブコメが見たい    (特定艦娘な。次回好感度にボーナスな)
B:おう、資材寄越せよおう      (燃料・弾薬・鋼材・ボーキがコンマの合計値ずつ増えます)
C:おう、資金寄越せよおう      (資金がコンマ合計値増えます)
D:おう、高速修復剤寄越せよおう  (コンマ1桁分/2の分、高速修復剤が得られます)
E:自由安価               (可能な範囲で実現するが、上記全部とかないよ)


◆諸君らは次に1=サンが書き込むまでに【お好きな数字と共に】【選択肢を書いて】【単発以外で】待つのだ◆

◆遅くなってしまって本当に申し訳ないな◆


◆わ、解りにくかったかな……?◆

◆次の更新までに好きな選択肢といつもの範囲安価の要領で数字を書いてくれ◆

◆それによってケジメとする◆オヤスミ!◆



A:艦娘とのラブコメが見たい    (特定艦娘な。次回好感度にボーナスな)
B:おう、資材寄越せよおう      (燃料・弾薬・鋼材・ボーキがコンマの合計値ずつ増えます)
C:おう、資金寄越せよおう      (資金がコンマ合計値増えます)
D:おう、高速修復剤寄越せよおう  (コンマ1桁分/2の分、高速修復剤が得られます)
E:自由安価               (可能な範囲で実現するが、上記全部とかないよ)


◆燃料調達ミッションと資材だな◆了解した◆備えよう◆

◆ヘヴィ・ファイト面白そうですね◆足を治したらやりたい◆


提督(……さて、と)

提督(叢雲さんがどこにいるのか――ってところだけどな)


 あれから、叢雲に謝ろうと探し回るも顔を合わせられない。

 一番判りやすい自室にも居なければ、前に彼女がいたはずのリトル・グレイの船室にもおらず。

 かといって、他には思いつかない。

 街に出ている事も無きにしもあらず――であるが。


提督(難しいな)

提督(まさかこの年で、鬼ごっこをする羽目になるとは……)


 後頭部に手を当てて、頭を掻く提督。

 こうなったら最早虱潰しの他はないだろう。

 今日ばかりは全力で、全ての時間を使って叢雲を探す――他ない。


提督(俺も艦載機が飛ばせたらいいんだが、ね)


提督:カラテ(16)+知能指数(11)+センス(9)+ブッダ(12)+↓1 コンマ合計値

叢雲:カラテ(26)+知能指数(9)+センス(7)+ブッダ(5)+↓2 コンマ合計値


※勝利するとボーナスが入る ※なお、ゾロ目



提督:カラテ(16)+知能指数(11)+センス(9)+ブッダ(12)+7+9=63

叢雲:カラテ(26)+知能指数(9)+センス(7)+ブッダ(5)+2+1=50


◆ゴウランガ!◆圧倒的だ!◆ちょっとイベントが入る◆


◆「白鳥湖」 https://www.youtube.com/watch?v=OdWGP1uJLbs



 夜。

 海辺特有の、陸地から海に向かって流れる風が提督のシャツをはためかせた。

 七分丈になる程度に畳まれた長袖のワイシャツ。胴の余分は縛って括られる。

 飾り気のない簡素なデニム。それに纏わり着く、膝丈ほどもない雑草。

 茂みの向こうには、月明かりに白く浮き彫りになる砂浜。

 背後の陸地――その向こうの歓楽街の灯りは騒々しいが、彼の眼前の海はただ黒く横たわっている。

 時折、月光に誘われて波が白衣を纏う。蠢く海原。

 その中で――


提督(……曲?)

提督(どこかで、聞いた事があるが……)


 罅割れた、機械音声を風が運ぶ。

 今までどこかで耳にした事がある――しかし、具体的には曲名が思い出せない/有名すぎて一般的な曲。

 訝しむ提督は、そのまま歩き出した。

 ネイビーの皮靴が、雑草の生える砂地に跡を刻む。


提督(誰が、いったい――)


 そこでは。

 その、銀髪をはためかせながら。

 ――――叢雲が舞っていた。

 波間に漂う椿のように揺れたかと思えば、波に浮かぶ薄氷の如く跳ねて。

 止まったかと思えば次の瞬間には回り、また、跳ねる。

 流れるような、とはこの事か。

 緩急や、静動というほど明らかではなく。それでいて揺らぐように、だが指先にまで力を湛えて。

 しなやかな革で作られた/だけれども重さを感じさせぬ花弁が如く/自由に空を掴む翼の如く。

 咲いて、閉じる。

 それを繰り返す。


提督「――」


 月光を雫が如く衣襟に纏う彼女は、ひとつの現象だった。


 月に叢雲、花に風という言葉がある。

 本来ならそれは余分――風流を損なうものを言い表した文句であるが。

 ことここに於いては、別物だった。

 そんな幻想が、思わず奪われてしまった呼吸と思考の時間が止む。


叢雲「――って、またなの?」


 不機嫌そうに、普段と異なり剥き出しにされた足を止めた叢雲。

 頬を伝う汗。

 見えない潮流に巻き込まれるかのごとき/或いは早回しにした植物の成長にも似た動きは終わる。

 頭上に掲げられていた輪を形作る腕が、力を失って垂れ下がる。


叢雲「ラジカセとか……これだから年代物は」


 渋々と言った様子で、口を尖らせる叢雲が。


叢雲「あ」


 砂浜に座したカセットデッキの、その先の提督を照準した。

1:「……叢雲さん、話があるんだ」
2:「……綺麗だ」
3:「こんな夜更けに、躍りか?」
4:「……すまなかった、叢雲さん」
5:自由安価

↓ 3

選択肢:1(バッドコミュニケーション)



提督「……叢雲さん、話があるんだ」

叢雲「……」


 しかしそんな提督の言葉を無視して。

 叢雲は屈み込み、ラジオデッキに手を這わせる。

 敢えて視界に入れないようにしている――そんな態度。

 このまま踏み出すべきか。

 いや、それは難しい――両足に根が生えた錯覚に陥った彼は、そのまま再度口を開く。


提督「叢雲さん、話が――」

叢雲「――私にはないわ」


 ぴしゃりと、撃ちきるように。


叢雲「あんたみたいな無礼な覗き魔とする話なんて、ない」


提督「う……」


 明確な拒絶を持って、しゃがみ込んだ叢雲が睨み付ける。

 一歩踏み出そうと試みれば、


叢雲「……何?」


 近寄るな、と。更に強まる威圧感。

 全身が剣山で出来た壁に相対したかの如く、排斥の感情を突き付けられる。

 話がある――確かに彼からすればそうだろうが。

 正しく言葉の如く、叢雲には話などなかった。

 それどころか、


叢雲(謝るとかそういうのなら、ま・だ! 判らなくもないけど)

叢雲(話があるぅ? 偉そうに、何よ今更)


 逆に、彼女の怒りを煽っていた。

 話があるとか、話し合いたいというのは得てして男側の言い分であり――女性からしたら、その態度だけで怒りを煽られるものである。

 何故なら、結論が決まっているから。


 だったら彼は――


提督「勝手に話す。ここからで、悪いが」


 そう前置きをして、言うしかない。

 叢雲は一瞥すらしない。ただ、黙々とカセットデッキに向き合うだけ。


提督「すまなかった。……君と約束をしていたんだが、それを考えていなかった」

叢雲「……」

提督「というか、俺は……そこまでキッチリと決めた約束じゃないと思ってたんだ」

叢雲「……」

提督「だから、最上を連れて外に食事に行った。案内もしなければ行けなかったからな」

叢雲「……」

提督「……済まなかった。無神経だった、いくらなんでも」

叢雲「……」


 教師に反省文を提出するとしたら――こんな気分か。

 果たして、なにを言ったらいいのか。どうすれば正解なのか。

 提督には、それが分からない。

 女性と縁がなかった訳ではないが、それにしたって良い恋人であると言えた試しがないのだ。


叢雲「……で、話はそれだけ?」

1:「……ああ」
2:「あと、さっきの……綺麗だった」
3:「今度、埋め合わせでも……」
4:自由安価

↓3


◆君たち面白いレベルに地雷踏むよね◆



提督「今度、埋め合わせでも……」

叢雲「――結構よ」


 即座に切り捨てられた。

 提督としては侘びのつもりであり、誠意のつもりであった。

 だが、叢雲にとっては――やはり、「何を今更」なのだ。

 それに、今度の話をするというのは、埋め合わせの事を口に出すというのは。

 これまでの怒りを軽視して、代わりに「埋め合わせをしてやるから許せ」――と言われているようなものである。

 猶更不機嫌に、眉を寄せた。


叢雲(……本当にこの男、デリカシーの欠片も無い奴ね)


 付け加えるならば。

 叢雲がこれまで行っていた事に何一つ触れず……。

 ただ自分が謝りたいから――自分が許されたいから、その事を押し通そうとする。

 そんな態度も、酷く癪に障るものだ。

 寧ろ逆に、わざと怒らせに来ているのかとさえ思う。


叢雲「じゃ、それだけね。もう行きなさい」


 しっしと、手で払う動作を。

 これ以上彼と顔を合わせて居ても――互いに碌な事にはならない。

 叢雲自身、判っていた。

 謝りたいというのは、彼が自分勝手だからではなく――寧ろ真剣に考えているからで。

 というか素直に、間違いに気づいた時点で彼女にそれを伝えに来た為だろう。

 分かってはいるが、それで終わりかと言われたらそうはいかないのが人情。

 ただ、これ以上彼にあたり散らすのも……それはそれで望ましくない。

 だからこそ、顔を合わせないのが最良。

 こういう気分の時は放っておいて欲しい――――それがお互いにとって、最も良い形なのだ。


叢雲(……というか、この間も言ったのに判らないの?)


 以前のときも、雲龍を嗾けて叢雲の不興を買った事を、忘れているのだろうか。

 一度ならばいいが。

 そんな風に繰り返されると、覚えぬほど、学ばぬほど、それほどまでに“どうでもいい”と思われているようで。

 それもまた、腹立たしい――


叢雲(――って、やめやめ。この話は終わりにしないと)


 丁度良く、提督が足を返したのに、叢雲はほっと胸を撫で下ろしかけ――



提督「――すまないが、叢雲さん。俺には女心が分からない!」



 振り返りざま、むしろ清々するほどそう言われて、叢雲は面食らった。



 唖然とする叢雲を余所に、そのまま提督の話が続いた。


提督「付き合いがなかったという訳じゃないが、俺はどうにもそういうのが苦手で……」

提督「君の機嫌を損ねているのは、本当にすまない」

提督「昔も良く言われたし、治そうとも思ってるんだが――どうにも上手く行かないんだ」

提督「だから、本当に悪かった。怒らせてしまって、すまなかった」


 そう言って、頭を下げる提督。

 なんというか。

 その言葉もまた、どこか見当違いな言い分めいていて――。


叢雲(……こいつ)


 むしろ――却ってこれまで、怒っていた事すらもバカバカしくなった。

 それどころか、呆れを通り越して哀れみすらも抱いてきた。

 本当にこの男は不器用な奴なのだと――肩の力が抜ける。


提督「……それだけだ。悪かった」

叢雲「……」

提督「じゃあ……」

叢雲「待ちなさい」



 呼び寄せられた提督は、叢雲からカセットデッキの修理を命じられて。

 屈みこむ提督と、彼の手元を覗き込む叢雲。

 なんとなくの奇妙な沈黙。

 それを破るように――叢雲が、言った。


叢雲「よりにもよって、『俺には女心が分からない』?」

提督「……他に言い方がなかったんだ」

叢雲「まぁ――――、というか、そんなの今更言われなくても」


 「判り切ってる事だし」と、叢雲。


提督「……昔から、本当に」

叢雲「はい、それも駄目。普通、別に女性がいて別の女の話をする?」

提督「……。……判った」

叢雲「本当にデリカシーないわね」

提督「……」

叢雲「ま、まぁ……その辺りの事はこれから私がちゃんと教育してあげるわ?」

叢雲「その――」


 宙を彷徨う、視線。


叢雲「長い付き合いになりそうだし、こう……仮にも私の司令官だから、成長して貰わないと」

叢雲「い、いい駆逐艦ってのは司令官のそういうのにも気が回るのよ」

提督「……」

叢雲「な、なによその目はっ。なんか、文句でもあるの!?」


提督「……いや、ありがとう」

叢雲「へっ」

提督「君は頼りになるんだな。……本当に」

叢雲「え、へ、あ、ま、まぁ?」

提督「だから――これからも戦闘だけじゃなくて、俺の傍で助けてほしい」

叢雲「――」


 特に艦隊戦の知識が不得手であり、艦娘に通じていないというのもある。

 だから機微が分からずに、知らず知らずに女性の多い職場での軋轢を生んでしまうかも知れない。

 彼は、そんなつもりで言ったのだが――。


叢雲(ふぇ!? ここここ、これからもずっとそばにいてほしい!?)


 そこは叢雲。

 彼女もまた、男女経験に明るい訳ではなかった。

 寧ろ交際相手がいたかいないかで言うなら、提督よりもマイナスである。


提督「なんというか……俺一人だと出来ない事も多いんだ」

叢雲「――」

提督「そもそも提督業だけじゃなくて……まだまだ、未熟な事が多い」

叢雲「――」

提督「……親父が生きてたら、笑われるな。指揮官としても、男としても未熟なんだ」

叢雲「――」

提督「だから、俺の事を助けてくれないか――?」

叢雲「ききききききき、き、きがはやいわよ!? はやすぎるわ!」

提督「え」


◆とりあえずここまで◆雑談とかで触れられて正解らしきものがあったら安価外でも拾っていくスタイル◆

◆綺麗だとか言ってたら呆れさせたり、褒めて相手の門戸を開くスタイルだった◆

◆もしくは気障な事をいうというのも悪くない◆319、322両者ともに正解だ◆

◆それではあまり進められなくてすまない◆

◆ちなみに◆

乙女:叢雲・龍田・龍鳳・最上

父性愛:浦風・雲龍・浜風

◆となっている◆



◆今日は何の日ですか?◆

◆Romaがでない。やはりカルタゴは滅ぼすべき◆

◆とても緩やかです◆


提督「……」

提督「……」

提督「……?」


提督「……あ」

提督「いや、叢雲さん……その、そういう意味じゃ……その、ない……からな……?」

叢雲「ど、どういう意味!?」

提督「え、ああ、俺が言ったのは――」

叢雲「違うそうじゃない!」

提督「え!?」

叢雲「ちょっと黙ってなさい!」

提督「アッハイ」


 困惑する提督を左手で制して、叢雲が額を押さえてかぶりを振るう。

 不覚、だと言わんばかり。

 奇妙な沈黙が訪れる。



叢雲「それ、そういう言動。それよ、それ」

提督「その、悪かった」

叢雲「まったく……」

叢雲「いくら、いくらまっっっったくその気がない相手からって言われても、驚くから……直しなさい。いい!」

提督「……」

提督「……ああ、気を付ける」

叢雲「何よ? なんか文句あるの?」


提督「――いや、叢雲さんが全面的に正しい」

提督「そんな気も全くないのに、誤解されるような……紛らわしい言動は控えるべきだな」

提督「……悪かった」

叢雲「……」

提督「……どうしたんだ?」

叢雲「……別に」


 お互いが妙に歯切れが悪く。

 それで、話は一先ずの決着を見せた。


提督「……」

叢雲「……」


 黙々と、カセットを弄る。

 とはいっても――提督も叢雲も、素人同然だ。

 片や元陸軍、片や艦娘。お互いともに、簡単に装備や武器の手入れはする身であったが――。

 だがしかし、年代物のカセットデッキを直せるかと言われると、怪しい所がある。

 提督はポケットに忍ばせた工具(いざというとき武器にするため)で以て、デッキを開閉するが――。

 精々、配線を辿るしかない。

 叢雲は、じっと彼の手元を眺める。


提督「こんなの、一体どこで?」

叢雲「倉庫の隅に眠ってたのよ。テープは別だけど」

提督「別?」

叢雲「街に行ったときに、ちょっと」

提督「……街に行ったのか!?」

叢雲「え、ああ、その――ちょっと見張りというかなんというか調査というか監視というか」

提督「……?」

叢雲「何でもないからそっちに集中なさいな」

1:「……叢雲さんは、どうして艦娘になったんだ?」
2:「叢雲さんに、夢とか……あるか?」
3:「艦娘になって……後悔とかはないのか?」
4:「あんた、どうして軍隊に入ったの?」
5:「……あんた、やりたいこととかないの?」
6:「あんたは……後悔とか、してない?」
7:自由安価

↓5 ※単発可 ※地雷はない ※ただ、見てみたい展開でいい



叢雲「あんたは……」

提督「え?」

叢雲「あんたは、後悔とか……してない?」


 僅かに顎を動かしてみれば。

 彼の肩越しに見えるのは、膝を丸めるように座って肩を抱えながら、顎を腕に乗せてそっぽを向いた叢雲。

 その顔色こそ窺えぬが……。

 風に棚引く月光に透ける銀糸に――、その流れにさえも。

 彼女からのもの寂しさが、滲むような。


叢雲「あんたは……その、普通のサラリーマンだったって」

叢雲「前にはその、陸軍に居たかも知れないけど…………それでも折角生き残って生きて帰って職もある、って言うのに」

叢雲「巻き込まれて……」

叢雲「ひょっとしたら指名手配犯かも知れない、また命を危険に晒すかも知れない……」

叢雲「そんなのに付き合うことになって……後悔とか、本当にないの?」
 


提督「――ないな。後悔なんて、ある訳ない」


 若干、空を見上げて間を置いた提督は。

 それでもはっきりと、潮騒や陸風の音を割くように断言した。


叢雲「……言い切れる? ちゃんと、考えた?」

提督「……そこは、あまり馬鹿にしないで欲しいんだけどな」


 少なくとも。

 勢いだけで叢雲の救出を決行した訳ではなかった。

 いくらか、考え直す機会だって、留まる機会だってあったのだ。情報を集めたり、問い詰めて船に潜入するまでに。


提督「考えた。……色々考えた上で、俺は決めた」

提督「提督と、海賊になるのは…………まぁ、予想外だったけど」

提督「最初から――法を犯すことになるのは覚悟してた。だからまぁ、誤差の内だ」

叢雲「……」

提督「確かに、やりたいこととか……色々とあったし、大事だったものもある」

叢雲「……」

提督「ただ、今じゃなくていい」

叢雲「……」

提督「俺は――――まだ、君の“司令官”でいい。それで十分だよ、叢雲さん」


提督「……泊地の司令から、君が奪われたものを取り返さなきゃいけない」

叢雲「……」

提督「君が“海賊の”叢雲じゃなくなるか……それとも普通の女の子に戻るのかはともかくとしても、だ」

叢雲「……」

提督「奴を倒さないと、君は元に戻れない」

提督「だったらそれまで――――俺も“海賊の司令官”でいい」


 或いは、“提督”。或いは、“ケイスケ”で――。

 共に本名を捨てて、ただ艦隊の指揮官として。海賊どもの首魁として。

 そんな呼び名でいい。


叢雲「……あ、そ」


 顔を背けたまま、膝先に顎を埋める叢雲。

 酷く平坦な声色であったが、何処と無く言葉の端が震えていた。


提督「そういう叢雲さんこそ、後悔はないのか?」

叢雲「あるけど?」

提督「え……!?」

叢雲「――こうなるんなら、『手が届く間に一発でもあの泊地司令を殴っておけばよかった』」

叢雲「それだけよ?」

提督「……叢雲さんらしいな」


叢雲「それで……これ、直る?」

提督「……俺には難しいな」

叢雲「不器用な子ね」

提督「子、って……少なくとも俺は叢雲さんより年上だし、そういう叢雲さんはどうなんだ?」

叢雲「……ぅ、わ、私はいいのよ」

提督「……何が」

叢雲「私は料理が作れるし――」

提督「俺もなんだが?」

叢雲「……」

叢雲「私は――パンが作れる! ……どう、できる?」

提督「それは……」

叢雲「ぃよしッ! 私の勝ちね!」


 高々と拳を掲げる叢雲に、提督は嘆息。

 とりあえず――いつも通りになった。それだけでいいだろう。

 とりあえず、カセットデッキはこれ以上はどうにもならない。後はこんな月明かりの元ではなく、キチンとした場所で分解すべきだろう。


提督「ところで、さっきの曲はなんて言うんだ?」

叢雲「……白鳥の湖も知らない、なんて言わないわね?」

提督「あ、ああ……知ってるさ。勿論、知ってる」

叢雲「どうぞ」

提督「こう、確か…………白鳥の中に一匹だけ、白鳥らしくない白鳥の雛が――」

叢雲「それ、醜いアヒルの子」

提督「……」

叢雲「し・か・も……微妙に違う」

提督「……」


 お手上げだ、と手のひらを仰向ける。

 生憎とそれほど、彼は音楽や芸術に造詣が深い訳ではなかった。

 ……一般常識レベルかも知れないが。


提督「なら、どんなストーリーか説明してくれないか?」

叢雲「いいわよ、よーく聞きなさい?」

提督「ああ」

叢雲「あるところに、結婚相手を探している皇子がいた。というより、乗り気じゃなくお見合い舞踏会をさせられそうになってた」

提督「……男側が、お見合い」

叢雲「そーゆーもの。……で、あるとき皇子が月明かりの晩に――」

提督「晩に? 晩に、どうしたんだ?」

叢雲「――」

提督「叢雲さん?」

叢雲「………………………………わ、忘れた。忘れました。忘れたの。いい?」

提督「ああ。……今度調べるか」

叢雲「調べなくていいわ。思い出したら教えるから」

叢雲「思い出したら、教えるから、調べなくていい……判った?」

提督「……? ああ、じゃあ楽しみにしておく」

叢雲「……どうしよ」


叢雲「と、とりあえず……戻るけど! いいわね!」

提督「ああ、戻ろうか。――俺たちの泊地に」

叢雲「……正確には、ここもそうだけど?」

提督「……言いっこなしで」


 やがて身を起こした二人は、海賊泊地の――司令部目掛けて歩き出す。
 
 伸びる影法師。

 叢雲のそれは、司令官のものより頭半分ほど低く。

 緩やかに左右に振れる影と、やや早く小刻みに動く影。


 歩幅は違えど隣同士、連れ立って歩く司令官と叢雲。

 隣行く叢雲の銀髪を眺めつつ、司令官は内心息を吐いた。

 叢雲には伝えられなかったが、彼が提督をする理由が一つ――――。


提督(それに――――俺には責任がある)

提督(海洋学者だった親父が……)

提督(それだからこそ、開発に携わってしまった――深海棲艦と、人類がそれに対抗する為の兵器……)

提督(艦娘について……その設計について知ってしまったときから――)

提督(俺は、見届けなければと思ったんだ)

提督(殺された親父の代わりに……親父の息子として、俺が……)

提督(親父がやったことを。親父が産み出してしまったものを。親父が殺された理由を――――)



◆叢雲の過去を明かそうかと思ったが無理だった◆代わりに司令官の過去を開示するスタイル◆

◆まあ、今後は多分雑談の度にちょいちょい過去について開示されていく◆聞いたら答える程度に信頼した◆


↓1 (叢雲の好感度+発見ボーナス(2))/2 +開示分(7) 


◆叢雲さんの好感度が11上昇!◆

◆叢雲さんの好感度が77に◆あと22でデレデレ雲◆

◆スロウリィ&遅くまですまない◆



1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:街に出てみる(状況把握・情報屋など)
6:自由安価
7:龍田の燃料調達 featuring.叢叢雲

↓2 ※単発可


◆今夜もある◆備えよう◆

◆やはりカルタゴは滅ぼすべき◆

お待たせだ!


◆お待たせだのなんだの言ってケジメ。これは深刻◆

◆ところで秋津洲って、大艇ちゃん大艇ちゃん言ってるし、なんだか家族が増えそうな感じがしますね。そう思いませんか?◆


◆今度こそ待たせたな◆

◆という訳で秋津洲=サンには、タエチャン・メソッドが用いられる◆




 自分が、好きな人と好きな人が居たとして――。


 そのどちらもが争っているときは、一体どうしたらいいのだろう。


 片方の人が言う――「あの人が私にしたことは忘れない」。


 好きな人だけど、それを言っている恨めしそうな顔は嫌いだ。


 また片方の人が言う――「あの子には、恨まれているだろうから」。


 その人はとても寂しそうに、しみじみと。


 その二人に何があったかなど、聞ける筈がない。


 ただ、聞いてはならないのだろうと。それ以上踏み込んではならないのだろうと。


 そんな風に、判った顔をして蓋をするしか他なかった。


 好きな人がそれ以上に醜い顔を見せるものに踏み込みたくなくて。


 好きな人が悲しげな顔をするのを見たくなくて。


 ただ、私は蓋をした。



叢雲「……」


 目が覚めて、何となく腕を持ち上げれば。

 熱気と湿気に、ここが自宅ではないと気付き――。

 それから、自分が艦娘になった事を思い出し――。

 ついには、その身分すらも奪われて海賊に身を窶した事を思い出した。


叢雲「……はぁ」


 汗で湿ったタンクトップが、なんだか恨めしい。


叢雲(……夢、か)

叢雲(久しぶりに、バレエなんてやるから……)

叢雲(……)

叢雲(あいつ、しっかり見てた癖に何も感想とか言わなかったわね)


 む、と叢雲の唇が歪む。

 昨夜の一件。

 まあ――司令官との妙な気まずさというのも、消えただろう。一応は。


叢雲(……自分自身そう言ってたけど、本当に女心が判らない子ね)


 頭の中の司令官が、若干への字口で「子……って、年下の君に言われるのも」と言い出すのを即座に否定。落書きするみたいに。

 それで十分なのだ。そう、十分である。十分ったら十分。

 女心が判らない奴なんて、そんな扱いでいいのである。


叢雲(……まったく)

叢雲(でも、たまにはこう――なんていうか、こう、ちょっと、こう……)

叢雲(その……まぁ、なんていうか、その……うん、まぁ、そうね。そうそう、うん)



 ――“だから、君の無念も……死者の無情も、敵の非情も……”。

 ――“後は俺が引き受ける”。

 ――“この戦いの敵は……俺が倒す。俺の意思で、俺が奴らを許さない”。


 ――“例えあの泊地の艦娘だとしても――目の前でそうして、危険にさらされているというなら”。

 ――“俺には、見捨てられない”。


叢雲(……う、うん。ま、まぁね? まあ、うん)

叢雲(……)

叢雲(な、なによ! なんか文句でもあるの!?)


 何となく気恥ずかしくなって、虚空を睨み付けた。窓の方向。

 そんな彼女の殺気に押されたのか、飛びが鳥たった……ではなく、鳥が飛び立った。南無三。

 そう、まぁ……まあであるが。

 まぁまぁなのだ。

 悪くはないのだ。

 ……あくまでも指揮官として。指揮官的な意味として。それ以上でも以下でもなく指揮官としてである。


叢雲(……まぁ)

叢雲(色々と女心が判ってないからモテるタイプじゃなさそう――)


 ――“約束通り、君を攫いに来た。お姫様”。

 ――“付き合いがなかったという訳じゃないが、俺はどうにもそういうのが苦手で……”。


叢雲(……)


 なんだか。

 うん、まぁ、あれだ。その……あれだ。あれ。


叢雲(……なんか腹立たしいわね)

叢雲(……)

叢雲(久しぶりに……パンとか作ってみても、悪くないか)

叢雲(いや別に、食べさせたいとかじゃなくて食べたくなっただけだけど)

叢雲(それだけ)

叢雲(……それだけよ。深い意味はないわ)



提督「……ん?」


 食堂に顔を出してみれば。

 キッチン。いつも通りのセーラー服の上にエプロンをつけた叢雲が、銀のボウルの前で腕を組んでいる。

 なんだろうか、と提督は首を捻った。

 味噌汁の味が気に食わなかったのか。

 それとも、飯の量が少なかったのか。

 或いは、皿の上に料理の妖精さんでも見付けたのか。


提督「叢雲さん?」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……」

提督「あー、……叢雲?」

叢雲「……どうかしたかしら、司令官?」


提督「何をやってるんだ?」

叢雲「何に見える?」

提督「……栗饅頭が倍々に増えないか考えている、とか」

叢雲「射撃は得意だけど、綾取りは得意じゃないわ。……懐かしいわね」


 腕を組んだ叢雲が、徐に――勿体つけて、大仰に

 どこか得意気な、不敵な笑み。

 堂々と胸を反らしながら、ボウルを指差し――


叢雲「パンよ!」


 これ以上ないってほどの笑顔で、彼女は彼にそう言った。

1:「……へぇ、凄いな。今度、俺にも作り方を教えてくれないか?」
2:「叢雲さんは、料理が好きなのか?」
3:「ああ、昨日言ってたのが……」
4:「これ食べてもいいのか!?」
5:自由安価

↓ 3


提督「ああ、昨日言ってたのが……」


 叢雲は嘘を言うようなタイプではないし、彼も疑ってはいなかったが――。

 まさか、昨日の今日で本当に拝むことになるとは、彼としても驚きである。

 そのまま、ボウルを覗き込み――


提督「これは、焼かないタイプのパン…………じゃないよな」

叢雲「これから発酵よ」

叢雲「これぐらいの温度なら、まぁ一時間と掛からずにできる」

叢雲「そこからガス抜きして、二次発酵――それから焼いたら完成になるわ」


 切り分けたり、捏ねたりする動作を行う叢雲。

 その手付きも様になっていた。


提督「へぇ……二回も発酵させるのか。知らなかった」

叢雲「あら」

叢雲「ま、出来合いのを買って食べてるだけじゃ無理もないわね」

叢雲「なら、味わいなさい。ビニールに詰められて薬漬けにされたパンじゃない、本物のパンを!」



叢雲「……で、やることないわね」


 時々確認する以外は、割りと手持ちぶさたになる。

 そんな訳で叢雲も提督も、揃ってキッチンでパンを眺めるばかりだ。

 てっきり提督は、一般的にイメージするようにパンを捏ねるものだと思っていたのだが――それは既に行われて、発酵というのはそれから後らしい。

 というより、捏ねるのが一番初めというか。


提督「それにしても叢雲さん、手際がしっかりしてたな」

叢雲「まぁね?」

提督「いい駆逐艦は、パンの作り方も習うのか?」

叢雲「まさか。これは私だからに決まってるじゃない」

叢雲「……いい駆逐艦、ってのは否定しないけど」


叢雲「お祖母ちゃ……祖母の家が、パン屋でね」

叢雲「昔は――――、それこそ本当に昔は手伝いに行って覚えたものよ」

提督「へぇ」

叢雲「……ま、昔の話だけど」



↓1 叢雲の好感度上昇

※ゾロ目2倍 ※0なら十の位



提督「これは――」


 焼き上がったパンは円形ながらも表面がザラつくように歪であり。

 そんな円の中心に、瞳のように開いた紡錘形。

 そこに乗っているのは、焼かれて飴色になった玉葱。

 香るのは、胡椒とバジル。

 広がるような、食欲を増させる香辛料の刺激。


叢雲「ベーコンとオニオンのパン、よ」

叢雲「食べなさい。……十分に味わって、ね」

提督「ああ、美味そうだな」


 両手の親指を端に掛ければ、その瞳の部分が開かれる。

 もっちりと弾力を保ち、僅かに甘味が如く黄色を帯びた白地が左右に、編み目状に繊維を割り開かれていく。

 その内に転がり埋まるブロック状のベーコンと香り立つ湯気に、提督は思わず齧り付いたのだった。


叢雲(うん、気に入ってくれたみたいでよか――)

叢雲(――じゃない!)

叢雲(当然よ、当然! 当然、この叢雲様が愛情を込めて作っ――)

叢雲(――ちちちちちちちち違う! 違うわ! 違うったら違う! 違う!)

叢雲(違う!!!!!)



◆叢雲の好感度が4上昇◆好感度は81◆



提督「む」

提督(ベーコンの持つ肉汁の甘味に、熱した玉葱の甘味……)

提督(それを締めようとするのが、ベーコンの塩辛さと胡椒の風味。バジルの刺激もだな)

提督(こうして考えると……焼きたちのパンは違うんだな)


提督「うん」

提督(でも……それとこの、生地からの仄かな甘味は)

提督(少しもっちりとしていて、その分水気があるんだが……濃厚)

提督(それに、匂い……心なしかあるよな。なんだ)


提督「ん……そうだ」

提督(これは……生地に馬鈴薯が練り込んであるのか。流石だな)

提督(なるほど)

提督(俺の芋の皮向きが、捗る訳だよ)


 などと、黙々と口にしていれば、


龍田「なんだかお腹が空いちゃったなぁ~」

龍田「……」 チラッ

龍田「パンかぁ~」

龍田「……」 チラッ

龍田「急にパンが食べたくなってきちゃったな~」

龍田「……」 チラッ


1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:街に出てみる(状況把握・情報屋など)
6:自由安価
7:龍田の燃料調達 featuring.叢叢雲

↓2 ※単発可


◆龍田も7で射てい圏内なので◆



↓2 好感度カッコカリ

※ゾロ目2倍 ※0なら十の位


┏───────────┓
  燃料:32   鋼材:86   
  弾薬:87   ボーキ:126
┗───────────┛

◆キマイラ隊◆

【提督】
環境・志:?・?

カラテ:16     知能指数:11 センス:9
精神的:17/26  ブッダ:12    指揮:15

【叢雲】 「な、何見てるのよっ!? 何か文句でもあるの!?」
好感度:81(+?)
環境・志:4・7      ★
カラテ:26  知能指数:9 センス:7
精神的:9/12 ブッダ:5  体温:1

【浦風】 「……なんかうちのお株が奪われて……料理……」 
好感度:23(+?)
環境・志:0・2
カラテ:14  知能指数:8 センス:10
精神的:8/12 ブッダ:6 体温:10

【龍田】 「あ~ん♪ ……だ、め?」
好感度:53
環境・志:5・5
カラテ:12    知能指数:20 センス:23
精神的:19/17 ブッダ:6    体温:7

【雲龍】 「……こんなところに、テーブルの上に、パンが落ちてる」
好感度:45
環境・志:5・5
カラテ:18    知能指数:13 センス:30
精神的:14/19 ブッダ:6    体温:3
 ◆スキル【探索上手?】:もう一度サルベージゾロ目で……

【龍鳳】「……王子様、かぁ。……ち、違いますっ! べ、別に素敵な人を夢見てなんか!」
好感度:48
環境・志:1・8
カラテ:10    知能指数:10 センス:11
精神的:18/7  ブッダ:8    体温:2
 ◆スキル【収益上手?】:もう一度収益結果ゾロ目で……

【最上】「あ、食器の上にパンが落ちてる。……もったいないなぁ」
好感度:21
環境・志:2・5
カラテ:12    知能指数:10 センス:22
精神的:14/15 ブッダ:5  体温:1

【浜風】「……あ~ん、ですか。……別に? 別に何も? ……何も?」
好感度:39
環境・志:3・1
カラテ:16    知能指数:10 センス:11
精神的:16/16 ブッダ:18  体温:7



◆というわけでここまで◆ケジメ安価は明日出します◆

◆これからラブコメにシフトしますが、明日辺りまた艦娘の募集がかかるとの噂です◆意味が判りますね?◆



◆備えよう◆

◆燃料のコンマも含めてケジメ安価を出したいからな◆


◆お待たせだ◆

◆早速だが燃料の安価を出したいと思う◆

◆それからケジメの安価だ◆


↓1 燃料
↓2 弾薬
↓3 鋼材
↓4 ボーキ

※コンマの合計値な ※ゾロ目なら+10


◆というわけで◆



┏───────────┓
  燃料:44    鋼材:100   
  弾薬:106   ボーキ:139
┗───────────┛

※高速修復材:5つ


◆である◆

◆ケジメ安価は、22:47からだとして◆


1~20:駆逐艦
21~40:軽巡洋艦・重巡洋艦
41~60:空母・軽空母
61~80:戦艦
81~00:その他の艦種類

直後。反転


◆というわけでその他の艦種である◆

◆ケジメ安価の次に出る◆

◆具体的には、雷巡・水母・潜水艦(潜水空母)・揚陸艦などなどだ◆

◆さてケジメである。一つ分のケジメ◆記号と数字を書こう◆


A:艦娘とのラブコメが見たい    (特定艦娘な。次回好感度にボーナスな)
B:おう、資材寄越せよおう      (燃料・弾薬・鋼材・ボーキがコンマの合計値ずつ増えます)
C:おう、資金寄越せよおう      (資金がコンマ合計値増えます)
D:おう、高速修復剤寄越せよおう  (コンマ1桁分/2の分、高速修復剤が得られます)
E:自由安価               (可能な範囲で実現するが、上記全部とかないよ)

↓ 1~7

◆叢雲でAですね。やりました◆


◆艦娘安価はいつも通りの範囲安価です◆

◆その他の艦種は、【重雷装巡洋艦】【潜水艦(潜水空母)】【工作艦】【揚陸艦】【練習巡洋艦】【水上機母艦】となります◆

◆いつもの範囲安価です◆23:08に出ます◆艦名と数字を書け◆


◆それでは数字と艦名を書くのだ◆


↓1~5


◆香取ですね。了解しました◆

◆あの人既婚者のようなオーラがある。そう思いませんか。香取のような女性が未婚、おかしいと思いませんか?あなた◆


◆ちげえよ範囲外だよ香取◆

◆明石、しかも志が特殊判定◆夕張と明石。何が起きるかは判りかねます◆


龍田「美味しそうだね~」

提督「……ん、ああ」


 逡巡。

 龍田が唇に手を当てて、物欲しそうに提督が頬張るそれを眺める。

 叢雲はと言えば、残りのパンを取りにキッチンへと向かっていた。


提督「悪いけど、今は食べかけのしか……」

龍田「え、だからいいんだけどなぁ」

提督「それは……」

龍田「食べても安心ってことだよね~」

提督「……」


 無邪気そうに。

 己の常識を疑わず。

 普段通りの微笑を浮かべる龍田を前に、提督はややあって、パンを千切り渡した。


龍田「……」


 にこにこと、龍田は笑う。

 提督と、以前の会話で生まれてしまったわだかまりを感じさせることなく。

 どこか気安い風に、親しげな笑みを浮かべていた。


提督「龍田は、パンが好きなのか?」

龍田「ご飯は、ちょっと“似てる”から……あんまりね~」

提督(……“似てる”?)

龍田「あと、ビスケットもちょっと……ねぇ?」

提督「そうなのか? まぁ、覚えておく」

龍田「お願いね~?」


 どちらにも共通する点は、思い当たらない彼であったが――龍田のただならぬ過去に関わる事かと、思考を打ち切る。

 つまりなんにしても、龍田はそれらを好んでないのだろう。


提督「他には何か、あるったりは?」

龍田「うーん…………あ、腸詰めも嫌かな~?」

提督「なるほどな」

◆すま……ない……◆


1:「そういえば……君はどうして、この泊地に?」
2:「他にも嫌いなものがあったら言ってくれないか?」
3:「……食べ滓、ついてるぞ」
4:「今のこの泊地の状況について、どう思っているんだ?」
5:自由安価

↓3


◆今夜はあります◆

◆備えよう◆

お待たせ

2400過ぎてから開始されます。お仕事


◆待たせたな◆始めよう◆


提督「……食べ滓、ついてるぞ」

龍田「へっ」


 指さす――のは無礼だから控えて。

 言葉でどうにか伝えようとする提督であったが、中々上手くはいかない。

 きょとんとした顔で何度も自分の頬を撫でる龍田。

 少し珍しいな、と苦笑しつつも、


提督「ここ、だ――」

龍田「――っ」

提督「……ぞ、――――!?」


 伸ばした右手が振り払われる/巻き込み引き倒す龍田の左手=鉤状/泳いだ躰――そこへ。

 繰り出された二本の指。華奢な龍田の右手。しかし容赦のない目つぶし――左目を抉り取らんと疾走する爪。

 咄嗟に顔を傾けた提督の頬肉を抉り取った。眼下の頬が裂けて、血が滲む。


龍田「あらぁ、ごめんね~。……でも、おさわりは禁止されてます~」

提督「……」

龍田「……ちょっと、用事が出来ちゃった~」


 そして龍田は、場を辞した。小さな背中を見せて。

 


提督(……龍田)


 引き裂かれた左目の下に手を当てる。

 そこに心臓が出来たように、じくじくと滲む傷口。脈動して、熱を持つ。

 提督が――彼が衝撃を受けたのは、龍田に目を抉られかけた事……、


提督(――怯えて、いた?)


 ――では、ない。


提督(俺が手を伸ばしたその時に、目を見開いて……)

提督(……)

提督(あれは……怖がっていた、のか?)


 ――何に?

 ――手を伸ばされる事に?

 ――触れられる事に?

 ――それとも、近しい位置に来てしまった事に?


提督(君に……君の過去に、何があったんだ……)



 足早に廊下を進む。

 コツコツと響く靴音。リノリウムののっぺりとした光沢の床。学校や病院を思わせる。

 それが、止まった。


龍田(やっちゃ、った……)


 壁に凭れた、龍田の背中。

 不安を預けるように/敵から身を守るように/傷口を隠すように――。


龍田「もう、殺したのに……」

龍田「沢山たくさん……ぜ~んぶ、殺したのになぁ……」

龍田「殺した分は……その分は、生きてていいはずなんだけど……」


 両腕を抱いて身を縮込める龍田の額には、冷や汗。

 しかしそれでも――彼女の表情には、薄ら笑い。

 どこまでも解かれない仮面。どこまでも溶けない氷。


龍田「幸せに生きちゃ、駄目なのかな~」

龍田「……」

龍田「……うん」

龍田「きっとそういうのは――天龍ちゃんの受け持ち、なんだよね~?」


◆すまない◆バイストンウェルに行っていた◆ケジメというレベルではない◆




↓1 龍田の好感度  ※0は十の位 ※ゾロ目は二倍


◆マックスですね◆改二なし勢で60突破なので龍田の過去が明かされます◆

◆つまりここから龍田に追撃、夜せんをかん行します◆面倒臭いヤンツンドラ乙女龍田がラブコメにエントリーだ◆

◆ケジメとして、やったね秋津洲ちゃん、家族が増えるよ◆


◆本日はあります◆備えよう◆


◆お待たせ◆


提督(……龍田)


 人を喰ったような笑顔と――。

 相反するように、時折見せる表情。

 彼女の過去に如何なるものがあったのかは想像の域を出ないが、何れにしても祝福されたものとは言えないだろう。

 彼に判るのはそれだけで。

 そこから先は、本人が言わぬなら知れぬ事。

 踏み込むべきではない事。


提督(……)


 そう。

 抱えている痛みを、背負っている苦しみを、審らかにしようとするのは、無遠慮な事でしかない。

 或いはそれは、彼とて同じだからで――


提督(……いや)


龍田「……」


 苦しむ身体を抱き締めて入れば、いずれ苦しみは消える。

 己の肘を握り締める右手の感触が、痺れが、痛みが――――それだけが龍田の現実となり。

 胸の内の、張り裂けんばかり渦が。引き裂かれて叫びを上げそうに震える胸が収まるのだ。

 辛さは、飛ばせる。

 それがこれまでの十余年で龍田の手に入れた、資質であった。

 震える振り子がいずれ止まるように。

 再度の平静を――張り付いた笑顔という平常を取り戻した龍田は、


提督「見付けたぞ、龍田」

龍田「――」


 再び驚愕に、目を見開いた。


龍田「あらぁ、ストーカーさん……かな?」

龍田「そういう風に女の子を追い回しちゃ、駄目だよぉ~?」


 それでも、何とか彼女は目を細めた。

 先程までの醜態を忘れたような――――いや、ようなではなく半ば記憶から取り除かれていた。


提督「龍田さん」

龍田「……どうしたの~?」

提督「隣、失礼する」


 そのまま龍田の返答も待たず、龍田の隣。壁に背を預ける提督。

 横目で見上げる龍田と、無言で佇む提督。

 腰の後ろに手をやって居心地が悪そうな龍田と、同じく腰の後ろに手を垂らした提督――二人して休めの姿勢。

 そのままふと、提督は漏らした。


提督「これから独り言を言う」

龍田「……?」

提督「俺はどうにも、人の心の機微に鈍いみたいだ。言われなければ判らない事が多すぎる」

龍田「……」

提督「その所為で他人を傷付けたり、怒らせたりしてしまう。……今回もそうだった」

龍田「……」

提督「ただそれでも、放したくはないし離れたくはない。その人の事を……その誰かの事をもっと知りたいと思ってる」

龍田「……」

提督「とは言っても掴み所がなくて、俺一人じゃどうしたらいいのか判らない」

龍田「……」

提督「俺は、どうしたらいいんだろうな」


 それきり黙り混む提督を前に。

 観念するように/期待するように/怯えるよつに/試すように/祈るように/突き放すように/すがり付くように――――しかし。

 笑みを消して、龍田が一言呟いた。


龍田「私も、独り言なんだけど……」

提督「……」

龍田「あるところに女の子が二人いました。……本当は二人じゃなくて、もっとだけど」

龍田「この二人が本当に姉妹なのか……そうじゃないのは誰にも判らない」

龍田「もう、誰にも……ね?」


 深呼吸。

 小刻みに震える、吐息。


龍田「女の子たちの世界は倉庫だけで、彼女たちはず~~~っとスター」

龍田「愉しい愉しい、監督が撮る映画が全てなだけの……スター」

龍田「その女の子はね、怖くて震えてた……と思うよぉ?」

龍田「役に立たなくなったら……好きになれなかったら、好きじゃなくなってしまったら……要らなくなっちゃうから」


龍田「殺した分だけ、私たちは生きられる」

龍田「殺した分だけ、私たちは幸せになれる」

龍田「死ぬことは……楽になることじゃないんだよね~」

龍田「だってあんなにあんなに叫んで、あんなにあんなに苦しんで……それが限界になったときに、初めて跳ねるように死ぬんだから」


 訥々と、龍田が告げる。

 閉じられた瞳の中では、その日々が追憶されているのか。


龍田「いっぱいいっぱい、色んな事をやったなぁ~」

龍田「男も女も。おじいさんもおばあさんも……ワンちゃんとかも、ね?」

龍田「駄目になっちゃった娘の腸を食べた事もあるし……出来ちゃった子に赤ちゃんを食べさせたり」

龍田「ワンちゃんのご飯を食べさせられたり……あはは、切り落とした誰かのものとかも食べたっけ?」


 顔の前で、指を組んで。

 龍田は笑うように続ける。震える声。


龍田「私は大丈夫だったんだ……よ~?」

龍田「私は好きじゃなくても、好きそうになれたし……好きに見えるようにできた」

龍田「でも、天龍ちゃんは……ね」


龍田「天龍ちゃんは飲み込みが悪かった」

龍田「私が天龍ちゃんを可愛がったし、天龍ちゃんの分も殺したから……天龍ちゃんは大丈夫だったけど」

龍田「でも、天龍ちゃんは飲み込みが悪かった」

龍田「いつも、いつも……天龍ちゃんは彼処じゃないどこかを見てた……」

龍田「艦娘になろう、って言ったのも天龍ちゃんだっけ?」

龍田「一つしかない目で……いつも……」

龍田「目を開けて……ずぅ~っと」


 記憶が、混濁しているのか。

 龍田のそれは事実を順序よく並べ立てたのではなく、彼女の所見が混ざり。

 そして連想するように、言葉が/記憶が――跳ねる。


龍田「でも」

龍田「最初に私を助けてくれたのは天龍ちゃんだった」

龍田「天龍ちゃんの目を抉ったから、私は処分されなかった」

龍田「天龍ちゃんが、『いいよ』って言ってくれたから……だから、おかげで……」

龍田「……きっと」

龍田「そんな天龍ちゃんのを食べたから、罪は私の方にあるんだぁ~」


 いとおしむように。

 右手で、腹部を撫でて――子を慈しむ妊婦が如く。


龍田「――普通に喜ぶのも」

龍田「――普通に怒るのも」

龍田「――普通に悲しむのも」

龍田「――普通に楽しむのも」


龍田「普通の幸せを手に入れられるのも――――天龍ちゃんだけ」

龍田「そういう仕組み、なんだよねぇ……きっと」


龍田「だから、その女の子は幸せになっちゃいけない」

龍田「普通のものなんて……もう手に入らない」

龍田「それで――――色んな人の首を斬って、こうして海賊になるしかない」


 ふう、と。

 一つ長息を終えて、再び顔を上げたとき。

 龍田は、またいつも通りの微笑みを浮かべていた。

 これは仮面だ。まさしく、仮面であり鎧だった。

 そうでなくては――/それがなくては――生き残れない過酷な状況が。

 いつしか彼女の外装に、肉を与えた。体と心と、癒着させた。


龍田「だから…………その男の人はきっと、気にしなくていいんじゃないかなぁ~?」

龍田「だって」

龍田「その子は、普通じゃないんだから……判らなくても、ね~?」


 上目遣いで。

 気にしないでくれと――突き放してくれと。

 龍田はそう、微笑を零した。


龍田「これで独り言は、おしまい」

龍田「初めから、穢れた場所に生まれ落ちて……」

龍田「そこでも助けてくれた娘を裏切って……人を助ける艦娘なのに、人の首を斬って殺して」

龍田「自分の首も切られて……」

龍田「こうして海賊になっている事がお似合いの娘の話は……これまでで、ね」


 しかし。


提督「……」


 彼女は――気付いているだろうか。

 いつしか、いや、ほとんど初めから、その女の子という呼び名を失い。

 龍田の事だと――自分自身の事であると、言ってしまっている事に。


龍田「殺した分だけ死なないから」

龍田「だからこうして生きてるだけで、別に意味なんてないんだ~」

龍田「ふふっ、あはははは……!」


◆明日、この内容で安価を出す◆


1:「……意味がないなら、どうして艦娘を続けるんだ?」
2:「意味がないなら……見付けたらいい。俺も、一緒に探す」
3:「……幸せが似合わない人間なんて、いない」
4:「……辛かったな。よく話してくれた。今まで、耐えてたんだな」
5:「……」
6:自由安価


◆考えておいて欲しい◆今日はここまで◆

◆このスレはハッピーエンドを迎える少年漫画王道◆


◆備えよう◆


◆さて、選択肢を出そうと思う◆ハッピーエンドだ◆

1:「……意味がないなら、どうして艦娘を続けるんだ?」
2:「意味がないなら……見付けたらいい。俺も、一緒に探す」
3:「……幸せが似合わない人間なんて、いない」
4:「……辛かったな。よく話してくれた。今まで、耐えてたんだな」
5:「……」
6:自由安価

↓3


 愉快そうに笑う龍田を前に、しかし提督はニコリともせず。

 嘲る事もなく。

 笑い飛ばす事もなく。

 彼女に憐憫も、悲哀も、同情もせずに――。


提督「……言っただろ」

龍田「え?」

提督「それでも放したくないし、離れたくもない」


 ただ、自分がこうしたいからと――龍田へと手を伸ばした。

 男性への恐怖からか。

 それとも己が、他人と触れ合う事もできない呪われた性の持ち主だと思ってか。

 後ずさる龍田に差し出される手。

 それ以上距離を詰めない。彼女に無理やり踏み込もうともしない。

 ただ――静かに見据えた。静かに見やった。

 目を逸らすわけでも、伏せる訳でも、悼む訳でも、怒る訳でもなく。

 真っ直ぐに彼女を見て。


 提督は――彼は強要をしない。

 無理やり奪い取るように龍田を助け出すのでもなければ、引き寄せて抱きしめるのでもない。

 落ち着いた眼差しのまま、訥々と言葉を紡ぐ。


提督「意味がないなら……見付けたらいい」


 なるほど彼は確かにその言葉の通りに、不器用なのかも知れない。

 だけれども同じだけ――誠実だった。


提督「――――俺も、一緒に探す」


 だから。

 だから一緒に行こうと。

 彼女を信じて。彼女の選択を望んで。

 そして彼女が何を選んだとしても――――譲らないと/揺らがないと。

 彼女が不幸に落ちるというなら、どこまでも共に行こうという優しき腕ではない。

 ただ鋼の様に。

 不幸という沼に龍田が囚われてしまったとしても――。

 彼からその手を離す事も無ければ、また、その不幸に巻き込まれて落ちる事なく踏みとどまるのだと。

 手を取ったのならば、決して放す事など――離す事などないのだと。

 静かに、その双眸で告げた。


龍田「……」

提督「……」


 選ぶのは龍田だ。

 これまで彼女は背負わされすぎた。押し付けられ過ぎた。奪われ過ぎた。

 だから、選ぶのは龍田の自由だ。

 或いは彼女は、誰かに何かを求められる事を心のどこかで望んでいるのかも知れない。

 兵隊は考えない。

 そして、龍田はもう既に――己の頭で考えるだけの余裕すら、喪っている。

 こんなときには、抱きしめて宥めるのが正しいのかもしれない。

 染み入るような優しさを告げるのが正解なのかもしれない。


 だが――。

 そんな龍田の心を慮る言葉でないからこそ、提督の想いは揺るがない真実だという証明にもなる。

 絶対に、取ったならその手を離す事はないのだと。

 何よりも龍田に、それを信じさせる。


龍田「私、人殺しなんだよ~?」

龍田「いっぱいいっぱい殺して……いっぱいいっぱい食べて」

龍田「もう、体のどこにも綺麗なところなんてない……」

龍田「いっぱい、いっぱい汚された……汚れた人形で……」

提督「……それでも」


 それが龍田を見捨てる理由にはならないと。

 右手を揺らす事なく、視線を動かす事なく。

 「言ったはずだ」――と。

 鋼鉄のような心で、静謐を湛えた眼差しで、ただ待った。


提督「それでも――――放したくないし、離れたくもない」


 俺にあるのはそんな思いだと、断言する。

 凄惨な現実を見た事がない理想家の言葉ではない。

 彼もまた戦場で地獄を見て、嘆きを抱いた。醜悪に飛び散る肉片を目の当たりにした。

 しかしそうだとしてもやはり、龍田へと手を伸ばすのだ。


龍田「……はぁ」


 観念したように、溜息を漏らす龍田。

 窺うような提督の視線に対して応じるのは、肩の荷が下りたような力の抜けた笑み。

 しょうがないなと、言いたげに。

 それと同じくして、目線から滲む疑問に応えるように呟いた。


龍田「今は保留……かなぁ」


 急に意味を見付けようなんて言われても判らない――龍田はそう、首を振って返した。


龍田「ただ……」

提督「ん?」

龍田「貴方のことを……もう少し知りたいかなぁ~?」

提督「……」

龍田「……それじゃ、だめ?」


 上目遣いに。

 慣れぬような事に委縮するかの如く、恐る恐ると。

 どこか子供めいた、初めての恋に戸惑う少女が如く。

 龍田は提督の――――手を取った。


◆ゴウランガ……おお、ゴウランガ……!◆

◆龍田への好感度大幅ボーナスだ!ワザマエ!◆



↓2 龍田の好感度 +7 ※ゾロ目は二倍な ※0は十の位な


◆9と来て過去がオープンされてからのもう一度9◆これは龍田さん完全にオチましたね◆

◆ボーナスも合わさり25の上昇だ◆汚され系非処女乙女ヒロインのエントリー!◆


┏───────────┓
  燃料:44    鋼材:100   
  弾薬:106   ボーキ:139
┗───────────┛

◆キマイラ隊◆

【提督】
環境・志:?・?

カラテ:16     知能指数:11 センス:9
精神的:17/26  ブッダ:12    指揮:15
 ◆スキル【鋼の優しさ】:決定的な選択に置いて尻込む事がない。痛みを知らぬ訳ではないし、非情な訳でもない。しかし彼は鋼の様な心で前へ向かう


【叢雲】 「……ッ!? 今、何かが脅かされる気が……」
好感度:81(+?)
環境・志:4・7      ★
カラテ:26  知能指数:9 センス:7
精神的:9/12 ブッダ:5  体温:1

【浦風】 「……なんか影が薄まっとるのぅ」 
好感度:23(+?)
環境・志:0・2
カラテ:14  知能指数:8 センス:10
精神的:8/12 ブッダ:6 体温:10

【龍田】 「……ふふっ。えへへ」
好感度:78
環境・志:5・5
カラテ:12    知能指数:20 センス:23
精神的:19/17 ブッダ:6    体温:7

【雲龍】 「……」
好感度:45
環境・志:5・5
カラテ:18    知能指数:13 センス:30
精神的:14/19 ブッダ:6    体温:3
 ◆スキル【探索上手?】:もう一度サルベージゾロ目で……

【龍鳳】「……何かお姫様の立ち位置を取られたような」
好感度:48
環境・志:1・8
カラテ:10    知能指数:10 センス:11
精神的:18/7  ブッダ:8    体温:2
 ◆スキル【収益上手?】:もう一度収益結果ゾロ目で……

【最上】「暇だなぁ」
好感度:21
環境・志:2・5
カラテ:12    知能指数:10 センス:22
精神的:14/15 ブッダ:5  体温:1

【浜風】「……何か今。……。……なんでもないです」
好感度:39
環境・志:3・1
カラテ:16    知能指数:10 センス:11
精神的:16/16 ブッダ:18  体温:7



 「どうですか、提督……気に入っていただけました?」


                                      「ひひっ、ああ、悪かねぇ……悪かねぇ」

 「私としても嬉しいです。こんな……」


                                      「――『実験データが手に入れられて』?」

 「……はは。言いっこなしですよ。いくらなんでも」


                                      「そう、さ。……ひ、ひひっ。まぁそれでいいんだ。悪かねェ……悪かねぇ」

 「彼女も協力してくれているおかげで、捗ります」

                                      「あァ……利害の一致ってのはいいねぇ。いいねぇ」


 「ところで……そこまで自分を削る事に、なんの意味が?」


                                      「あァん?」

 「いや、こっちとしては……大助かりですけど」

                                      「意味、ねぇ……。意味、意味、意味……」



 「……意味もないのに、こんな?」


                                  「いやぁ、意味ならある――あるんだけど、なァ。へ、へへへ……へへ」

 「……」


                                  「生きるために生きる……あァ、そいつが一番素晴らしいのさ。へ、へへへ……へへ」


 「……寿命、縮みますけど」


                                  「どう生きるかであって――まァ、そこに、意味なんてもんはねぇんですよ」


 「はあ……?」

                                             リボン
                                  「いやぁ……例の首輪付きの相手は楽しみだなァ。へへへ、へへ……へ、へ、へ」


 「……」

                                  「どんな奴なんでしょうねぇ……慌てたらどんな面ァするのか」


                                  「仲間ぶっ殺されて内臓ブチ撒けられたら、どんな反応をするのか」


                                  「ピンチにはどう笑うのか、チャンスにはどう喜ぶのか――」


 「……」

                                 「知りたいねぇ……ああ、知りたいねェ……へへ、へへへ」


叢雲「……」

龍田「……」

龍鳳「……え、えっと」

浜風「……」


 叢雲は腕を組んで。

 龍田は例の如くにこにこと笑って。

 龍鳳はそれを、おろおろと眺めて。

 浜風は顎に手を当てて、そんな全員の様子を興味深そうに。


最上「あ、おかわり欲しいな」

雲龍「私も……」

浦風「はいはい、ちょっと待ちんさい」


 一方温度が対照的に――最上たちは和気あいあいと、お茶を啜ってクッキーを頬張る。

 部屋の左右で、余りにも違う温度差。

 片や極寒。片や温暖。

 上は洪水、下は大火事なーんだ――なんてレベルではない。





龍田「……この泊地で長いのは、私の方だよぉ~?」

叢雲「……こいつと付き合いが長いのは、私だけど?」

龍田「……」

叢雲「……」


叢雲「実力でいうなら、私じゃないの?」

龍田「それって、ものを見付ける実力かなぁ?」

叢雲「……」

龍田「……」


龍田「叢雲ちゃんは、戦いで前方に出るから……ねぇ?」

叢雲「あら、だからこそ司令官とは意思疎通を明確にするべきじゃないのかしら?」

龍田「……」

叢雲「……」


龍鳳「あ、あの……」

叢雲「……何?」

龍田「……なに、かなぁ?」

龍鳳「……な、なんでもないです。はい」


浜風「提督、秘書艦は……」

提督「……悩みどころ、だな。それも含めて」

浜風「……」

提督「特に燃料……今のままでは、出撃もままならない」

浜風「確かに、そう……ですね」

提督「圧倒的に不利なんだ。消耗戦に持ち込まれたら」


 その分練度は高いが――と、提督は艦娘を見回す。

 なお、当の彼女たちは。


叢雲「『これからも戦闘だけじゃなくて、俺の傍で助けてほしい』」

龍田「……」

叢雲「ふふん」


龍田「『……言っただろ。それでも放したくないし離れたくもない』」

叢雲「……」

龍田「ふふふ~?」


龍鳳「わ、私なんてお姫様扱いされました!」

叢雲「はァ?」

龍田「ん~?」

龍鳳「う……さ、されました! されたんです!」

叢雲「……」

龍田「……」


提督「……揉めてるのか? 揉めてるよな?」

浜風「さぁ?」


 つい、と視線をやって。


浜風「私の提督には、余り関係ない事か……と」

提督「……“私の”?」

浜風「私にとっての賭けの代わりになってくれるというのは、そういう事です」

提督「……ん、そうなのか?」

浜風「そういう事です。そうです。そうなんです」

提督「いや……?」

浜風「それとも……あれほど言ったのに、もう私を賭けに負けさせると?」

浜風「また負けるなんて――体が、火照ります」

提督「……」

浜風「あ、ちなみに大和にホテルと言い続けると部屋の隅で三角座りをし始めます」

提督「……気を付けておくよ」

提督「まぁ――大和に会えるかは、判らないが」

浜風「大和を解体するような提督は、居ないと思いますが」




叢雲「……」 イライラ

龍田「……」 ニコニコ

龍鳳「……」 オロオロ

1:誰かと会話する (キャラクターも)
2:燃料調達を行う
   A:寂れた資源地から
   B:深海棲艦漂う航路から
   C:裏の輸送任務の報酬として
   D:あの泊地へ向かう船から
3:仕事の依頼が来た
4:泊地の人身売買情報を手に入れた(艦娘追加)
5:街に出てみる(状況把握・情報屋など)
6:自由安価
7:龍田の燃料調達 featuring.叢叢雲

↓2


◆さて、と◆


◆積み重なったフラグからイベントの時間だ◆備えよう◆







直後


十の位、1ほど泊地の情報・小 9ほど泊地の情報・大
一の位、9ほど危険度大


◆あ……◆

◆次のテーマはこうなる◆https://www.youtube.com/watch?v=QYJRfIwDSd0

◆という訳で三話の肝のような感じになるだろう◆



龍鳳「それで……」

提督「ああ。君が持ってきた情報の……」


 龍鳳がいくつか、引いてきた情報の内の一つ。

 例の泊地の行っていた悪事の証拠となるかもしれないもの。

 本来なら登録されている資源地であるはずなのに。

 書類上を転がされ続ける事で、廃棄されてしまった――そんな場所。

 前回のそこは、手掛かりらしい手掛かりが手に入らないところだったが。


龍鳳「……」

提督「……大丈夫だ、龍鳳。君の事を疑ってはいない」

龍鳳「でも……」

提督「前回のも、全く無意味だった訳じゃない」

龍鳳「え?」

提督「少なくとも『何の痕跡も残されていない』――」

提督「それほど、周到に廃棄されたというのは……分かったからな」


 


龍鳳「それって……結局、どうにもならないんじゃ……」

提督「ん?」


 不安そうな龍鳳の目の前で、手を左右に否定する提督。

 彼の言い分は――あの資源地に実際に足を運んでから彼が気付いた違和感というのは。

 単純だった。


提督「整い過ぎている」

提督「軍の施設なんだから……いざというときの備えをしていてもまぁ、判るんだがな」

提督「それにしたって――整いすぎてた」

龍鳳「それって……?」

提督「まるで初めから……廃棄を前提に作ってあるような」


 普通は――と、提督は思った。

 かつての経験。

 深海棲艦により泊地を襲撃された、その基地守備隊――陸軍からの派遣部隊。

 言うまでもなく、基地というのは金が掛かる。

 早々に使い捨てられるものではない。だからこそ、あの手この手で守ろうとする。


 ましてや戦闘の要とも言うべき兵站。

 かつての大戦の反省を踏まえて、かつての大戦の艦の記憶を宿した人間を戦わせる以上。

 それが分からぬ、軍ではないはずだ。


提督「襲撃をかけられて捨てるんだったら……もっと色々と悲惨だ」

提督「ってなると、資源が尽きたからか……」

提督「それとも、掘ってから運ぶのに効率が悪くて……採算が取れないから捨てるんだが」

提督「それならそれで、設備は運び出して、別の場所に再利用するだろう?」


 尤も、そんな設備をまた運ぶのも危険だが……。

 本土から新たに引っ張ってくるよりも、近場で移送する方が危険が少ない。

 そして、そんな移送すらも厭うほど切迫性があった風には思えない。


提督「だけど、設備は残したままで……」


 完全に資源地を捨てるのならば、ああもドローンなどは残さない。

 まるで。

 まだ使う事があるから――留め置いた、ような。


提督「それなのに、廃棄しているなんて――――やはり、何かあるんだ」


 なのに。

 そこで、何のデータも見つからないというのは――不自然だった。


◆という訳でここまで◆


叢雲「……はぁ」

龍田「ふふふ~」


 そうして今、海上を航行する二隻――二人の船。

 正面からの風力に棚引く銀髪をうっとおしそうに手で払う叢雲と、心なしか感情の籠った笑顔を浮かべる龍田。

 艤装の形状は二人とも似ており、どこか近未来的なシルエット。

 というのも、開発区画のセクションに由来する――がこれは余談である。


叢雲「……私一人で十分なのに」

龍田「……それは私だって同意見だけどな~」


 ここまで、お互いに視線を合わせない。

 ポツリポツリと何かを呟き、そしてそれに応酬するような。

 アウトボクサー同士の試合めいた遣り取りだけだ。

 またそうして、二人はそれぞれ周囲の警戒に顔を動かす。妙に息が合っている。

 遠くに望む平型の雲。或いは発達する塔上の雲を眺めて、その下方が暗く濁っているのを見る。雨雲。

 二人とも偵察機が積載不可能な故に、こうして目視により警戒するほかない。



 見通し距離、五海里――約九キロが今の彼女たちの水平線。

 深海棲艦相手、或いは艦娘相手ならそれが限度。現在の速度なら十五分余りで到達するまでが掌握圏。

 巡視船や、或いは海軍の軍艦相手ならばそれより向こうでも見付けられるが……目を凝らさなければ、波の影や塵と見間違う。

 無法者の海賊である彼女たちに、警戒しなければならない相手は多い。


叢雲「……」

龍田「……」


 互いに無言である。

 龍田は相変わらず、よく判らない笑みを浮かべている。

 叢雲は内心、やはり面白くないと片眉を上げた。

 別に彼女は――決して向こう見ずでもなければ、傲慢でもない。悪戯に誰彼構わず衝突する趣味もない。

 礼節も弁えていれば、分別なく癇癪を起こしたりもしない。

 ただ――龍田という艦に対しては、思うところがあった。


 あの、例の泊地に向かう輸送船を狙った作戦で、叢雲と行動を共にした龍田。

 重傷を負った護衛艦娘瑞鳳に呼び掛ける叢雲を尻目に、資源の捜索を行い……。

 生存者の救出を試みようとしても、「その必要、あるのかな~?」と首を傾げた龍田。

 叢雲は、彼女がどうにも、苦手だった。

 この世全てが他人事のように、主体性を持たずに笑いながら眺めている――――そんな印象を受ける。

 それが自分から、資源地への遠征を言い出すとは……どんな風の吹き回しなのだ?


叢雲(あいつも素直に任せるし……それだけ信用できる、って言うの?)

叢雲(……)

叢雲(間抜けだけど……見る目がない、って訳じゃないし……なんなのよ)


 なんというか、歯に物が詰まったかのごとき、上手く言い表せぬ不快感が訪れるのだ。

 そんな叢雲からの不信感を受けても――態度に出ていると彼女自身理解している――どこ吹く風の龍田。

 何かに必死になれる、とは思えない。世界が終わるときも薄ら笑いを浮かべていそうだ。

 だけど、今回はやけに熱心だった。

 何かしら、あの司令官の役に立とう――――としている風である。彼女にはそう見えた。

 一体、何があったのだ。


叢雲(……ま、気にしてもしょうがないわ。そんなの)

叢雲(大切なのは『任務を全うする事』と『無事に帰る事』)

叢雲(あとはオマケだから、気にならない。いい兵士って、そういうものよね?)

叢雲(……)

叢雲(……気にならない。うん、別に気にならない)

叢雲(……)

叢雲(気にならないのっ)



提督『……到達したか?』

叢雲「ここまでは問題ないわ。深海棲艦もいないかった」

提督『というと……危険だから廃棄、でもないか』


 リトル・グレイに座した提督とのバースト通信。

 流星が大気圏を突入する際に残す傷跡に電波を反射させる事で、通常の送信よりも長距離に行え、そして秘匿性も高い。

 欠点は、余り大量にデータを送れない事であるが、それでも一秒に換算して数百文字程度の通信は可能。

 あとは受信機に同梱された装置が、送られた文字を読み上げるのだ。


提督『くれぐれも気を付けてくれ。君たちの無事が、一番だ』

叢雲「なら空母の一隻は欲しかったけど?」

提督『……』

叢雲「冗談よ。……今回は隠密で、資源の収集も兼ねてだから出費が少ない方がいいってのは判ってるわ」

提督『……ああ、頼む』

叢雲「はいはい」


 一方で龍田は――


龍田(……この匂い、似てるなぁ~)


 一見は寂れた、人の居ない資源地。

 そこに充満する気配を――感じ取っていた。

 ある意味では彼女にも馴染み深い、その気配。


龍田(ちょっと、嫌なのよね~)


 年端もいかぬ内から親元を離され誘拐され。

 男や女、様々な人間たちの欲望の為だけに娼婦ですら舌を噛む、家畜にも劣る飼育物として欲望の捌け口とされ。

 戯れと愉しみの為に――――殺人を、食人を、性交を、交尾を、解体を、自害を、虐殺を、虐待を強要された。

 それまでの人生と思い出を失うほどの地獄の暴力と、醜悪なる宴を記録し笑い者にする汚物どもに食い荒らされた人生。

 そんな彼女だから、理解出来た。

 これは、彼女らが飼育されていた倉庫に似ている。あの海際の、倉庫に似ている。

 そこに詰められていた気配に似ている。

 即ち――


龍田(はぁ……本当に、嫌だなぁ)


 嘆き、苦痛、絶望――――そして諦観。



 そして、肝心の管理管制室に到達するその頃には。

 二人の――そして司令官の疑念は、確たるものへと変化していた。


叢雲「……まさか、ドローンが動いてるなんて」

龍田「鼠さんの真似事をする事になるなんて、ね~」


 未だに稼働していた警備用ガジェットと警戒用ドローン。

 明らかに。

 廃棄された資源地の、それではない。

 龍田の類稀なるセンスと、叢雲の戦闘経験があるからこそ到達出来た。

 並の人間ならば、辿り着くまでに殺された数は身体全ての指を足しても足りないほど。

 幸いにして、人は居ないようだが……


提督『人の口に、戸口は立てられないと言うしな……』

提督『人が暮らすんなら、それなりの設備が必要になるし……何よりも物資も流通も』

提督『施設の維持ならドローンで足りる。インフラは、定期的にメンテナンスする必要があるだろうが』


 使用するその時に、メンテナンスも行われるのだろうか。


叢雲「さて、分厚い扉があるけど……」

提督『通気用ダクトから侵入は出来ないか?』

龍田「私は引っ掛かっちゃうかな~って?」

叢雲「……」

提督『……』

叢雲「……何よ!?」

提督『何も言ってないだろう!?』

叢雲「私も艤装が引っ掛かる!」

提督『だから俺は何も言っていない!』


 龍田を残して侵入しても。

 機械に不馴れな叢雲では、結局は目的を果たす事は出来ない。

 そう言いたかった提督であるが、叢雲の迫力に言葉を飲んだ。何やら怖い。


叢雲「……仕方ないわね」

提督『考えが?』

叢雲「押して駄目なら――」

提督『……引くのか?』

叢雲「――押しまくる、よ! 一発で駄目なら千発で抉じ開ければいい!」

提督『あっはい』


◆日付を跨いだら備えよう◆

◆その前に情報収集度合いだ◆センスと知能指数、ブッダが大事◆



↓1 叢雲 9+7+5=21 5以下でクリティカル

↓2 龍田 20+23+6=49 12以下でクリティカル

※100D1 ※ゾロ目はクリティカル


叢雲「……ぱすわーどォ?」

提督『……当然か』


 定番とするならカードキーと指紋認証など。

 しかし、それとは別に緊急時や、或いは職員が日常的な手間を避けての通過策もある。

 実際のところ提督が属していたときも情報管理とは「内部では判りやすい」が「外部からは判りにくい」ものに設定されていた。

 危機感がないと言われたらそれまでだが、得てして人は日常的な諸業務の手間を忌避するのだ。


提督『龍鳳……は、知らないか』

叢雲「……」

提督『……浜風、運に頼むのは問題だろう。分が悪い』

提督『しかし……』

叢雲「……よし!」

提督『考えが?』

叢雲「壊れた機械なら、叩いたら直る!」

提督『……』

叢雲「……な、なによ。じょ、冗談よ、冗談」

提督『……』

叢雲「なによ!? あんたねえ、私が本当にそんな事やると思ってるの!?」


龍田「はい、そこちょっと失礼~」


 すっ、と叢雲とコンソールの間に割り込んで。

 何事もなく、キーボードと画面を撫で付ける龍田。

 呆然と眺める叢雲は、


叢雲「……開いた?」

提督『まさか、知っていたのか?』

龍田「ううん~」


 ただ、と周辺のコンソールとキーボードを指差し。


龍田「繰り返し使うんでしたら、その分磨り減ったり脂が残ったりしやすいから~」

龍田「あとはいくつもを見比べて、共通してよく使われてるところを見たんだよ~?」

叢雲「……」

提督『……君は凄いな。ありがとう、龍田』

龍田「ううん~、別にこれくらい……ですよ~?」

龍田(でも、褒められるとちょーっと悪くないかなぁ~?)

叢雲「……」


叢雲「……」

叢雲「……」

叢雲「……」


 断片的に手に入るのは、経過観察。



 ――被験体の適合率変動。

 ――元駆逐艦娘、戦艦娘への変化は可能か。

 ――適合率の割り出し=遺伝的な要因?

 ――遺伝子変容を起こす病に人為的に感染。

 ――免疫寛容率の変動により、深海棲艦の装備の直接利用は可能か?


 ――免疫破壊実験。

 ――被験者死亡=空気中の細菌による多臓器不全。


 ――培養艤装、互いの遺伝子割合の調整。

 ――深海棲艦由来、プラズモン利用光処理記憶装置の改竄。

 ――機能不全。人格が艦の記憶に飲まれる。


 ――高速修復材の再生範疇実験。

 ――臓器培養輸出への転用=生きた臓器タンク/再利用可能。

 ――資金源にも。


 ――練度=親和性/適合率による変動可能性。

 ――様々な練度による実験/収集。


 ――深海棲艦由来細胞と艦娘卵の結合。

 ――果たして生まれるのはどちらよりの仔?

 ――失敗。母体と幼体での栄養不適合。


提督『……』

叢雲「……」

龍田「……」


 三人とも、言葉を失った。

 ここで行われていたのは――艦娘への人体実験。

 深海棲艦のメカニズムを解き明かす為に、より艦娘を効率的で普遍的な安定した兵器として運用する為に。

 人類の好奇心が詰まった、悪魔の箱。

 さながら、悪の帝国が行うような――狂気の沙汰の見本市。

 人道、倫理……そんな物は無縁。


叢雲「……何よ、これ」

叢雲「秘密結社でもなければ、独裁政権でもない……」

叢雲「民主主義社会の、一機関なだけの軍隊よ……?」

叢雲「それが、こんな……」


 叢雲の嘆きは尤もだった。

 フィクションの、映画の中の話なら理解できる。

 だが彼女が生きてる現実で――深海棲艦という異物はありながら――そんな児戯めいた陰謀論が行われているなど。

 国民の支持を前提とした社会の、公共の機関がそんな事を行っているなど。

 あまりにも――


提督『……流石に、軍部そのものじゃないだろう』

叢雲「え?」

提督『叢雲さんの言うように……軍隊がこんな事を、行える筈がない。国民に明かされたら、言い訳も利かない』


 いくらこの世の中、末法めいているとしても。

 艦娘の開発・登場から立て直しを行い、ある程度の社会基盤を有するのだ。世論の謗りを免れない事を行う訳がない。

 それに軍人は冷酷非道ではないのだ。むしろ、守る気持ちと自覚は誰よりも強い。


叢雲「じゃあ……」

提督『恐らくは泊地司令の独断……』

龍田「でも、ちょっとぐらい恩恵に預かったりしてるかもね~?」


 疑わしき要件を外し――或いは目を瞑り。

 これほどまでの暴虐を隠されれば、甘い汁を吸いたがる輩だって有り得る。

 それにしたって、厄ネタが過ぎる。

 表沙汰になったなら――――暴動などは最大規模になるし、内閣揃って首が飛んでもおかしくない。

 国家基盤すら揺るがし兼ねないのだ。

 そこまでのリスクを犯すほど、軍部は愚かではない。


叢雲「……なら、これを証拠に憲兵とかを呼んだらどう?」

提督『奴は失脚では済まない事になるが……』

叢雲「が?」

龍田「――今度は軍部自体が洒落にならないから、目撃者さんは……ねぇ?」

提督『……お誂え向きに、我々は海賊――犯罪者だからな』

龍田「どっちも海の藻屑で、何もなかった事……かな~」

叢雲「……何よ、それ」


 まあ、恐らくは。

 それが、海賊――犯罪者からの提供である以上は、軍部も鵜呑みにはすまい。

 調査を行い、無論の事平行して身柄を拘束。

 証拠があるなら泊地司令は解任、或いはそれ以上の措置を以て排除され――。

 叢雲らは、暫く公安や何かの監視下に置かれる。

 ただしこれは、軍部が白で、泊地司令が黒と判明したとき。

 軍部が黒なら、龍田の言うように叢雲らは処分。

 また、泊地司令が調査以前に証拠を完全隠滅したら、同じく叢雲らは処分されるのだ。


叢雲「それじゃあ、こんなの……何の役にも……」

提督『いや、いざとなれば道連れにできる』

叢雲「道連れ!?」

叢雲「そんなの、私はゴメン――――」

提督『……と、相手は思うだろう。そう思わせられる事が大事なんだよ、叢雲さん』

叢雲「?」

提督『少なくとも、あの泊地の連中は……大ごとにして、大々的に俺たちに何かは出来ない』

提督『軍に目を付けられたら――どさくさに紛れて、俺たちと軍が接触しかねないからな』


 努めて落ち着いた声色を続ける提督に、叢雲は声を荒らげた。

 あまり、彼是と考えるのは得意ではない。

 そこに社会だ政治だのの駆け引きが混ざってくるなら、尚の事である。

 叢雲には政治が判らぬ。判るのは邪知暴虐な泊地司令の悪意だけだ。


叢雲「つまり、どういう事なの!? さっさと説明なさいな! 私に判りやすい言葉で!」


 提督が近くに居たなら、彼女は掴み上げているだろう剣幕。

 実際、度重なる隠密潜入の重圧と醜悪で凄惨な実験結果を受けて苛立っていた。

 そこに来て、不得意である事によるフローである。


提督『……判った。シンプルに行こう』

提督『俺たちを潰しにくるのは、俺たちに居られたら都合が悪い悪人だけだ』

提督『だから――――来るそいつらを潰したら終わる。敵が判りやすくなっている』

提督『これでいいか?』

叢雲「……えっと」

提督『……必殺仕事人や桃太郎侍、暴れん坊将軍や水戸黄門みたいなものだ』

叢雲「なるほど!!! 判りやすいわね!!!」

提督『……』


 握り拳を作る叢雲を前に、提督は沈黙。

 代わりに、


提督『……龍田、その、大丈夫か?』


 先程から会話に参加しようとしない龍田へと、目を向けた。

 彼女の経歴を考えるなら。

 こんな風に人間を切り売りし、己の想うがままに食い物にしようとする人間の悪意に触れて、トラウマを呼び起こされないか。

 そんな不安が、提督の内に持ち上がっていた。


龍田「……うん~? 私~?」

龍田「私は、平気だよ~」

提督『……龍田』

龍田「あっ、ちょっとはやっぱり嫌だけど~……でも、ね?」

龍田「あの頃は出来なかった相手に御返しが出来ると思ったら、魚雷がウズウズしちゃうかな~?」

提督『そうか……』


龍田(……あとは、少しの安心)

龍田(この人と戦っていたら……この人と一緒にいたら……)

龍田(こんな私でも、白に居られるんだぁ……って)

龍田(泊地の司令、って黒を相手に……正しい“白”の事を出来る、そんな中にいるんだ……って)

龍田(そんな、安心があるから……かしらね~?)


◆ここで安価のエントリーだ!◆


環境・志:?・?      
カラテ:1+?  知能指数:9+? センス:6+?
精神的:7+?/3+? ブッダ:?  体温:?

↓1 カラテ
↓2 知能指数
↓3 センス


環境・志:?・?      
カラテ:3  知能指数:10 センス:10
精神的:7+?/3+? ブッダ:?  体温:?

↓1 精神的①
↓2 精神的②
↓3 ブッダ
↓4 体温


◆弱い……(核心)◆アナル弱い……◆


【codeNAME:full-flat】
環境・志:9・7      
カラテ:3  知能指数:10 センス:10
精神的:9/6 ブッダ:9  体温:9


◆なおステータスによって立ち位置が変化する◆安心安全◆

◆そして◆


環境・志:?・?      
カラテ:2+?  知能指数:8+? センス:2+?
精神的:4+?/6+? ブッダ:?  体温:?


↓1 カラテ
↓2 知能指数
↓3 センス
↓4 精神的①

※ただし10の位な



環境・志:?・?      
カラテ:8  知能指数:15 センス:9
精神的:14/6+? ブッダ:?  体温:?

↓1 精神的②
↓2 ブッダ
↓3 体温


◆何故こんなにも体温が高いのだろうか◆コワイ◆


【codeNAME:full-flat】
環境・志:9・7      
カラテ:3  知能指数:10 センス:10
精神的:9/6 ブッダ:9  体温:9

【codeNAME:Gold-frame】
環境・志:8・4      
カラテ:8  知能指数:15 センス:9
精神的:14/7 ブッダ:6  体温:9

【codeNAME:Hardluck-dance】
環境・志:?・?      
カラテ:2+?  知能指数:8+? センス:2+?
精神的:4+?/6+? ブッダ:?  体温:?


↓1 10の位 カラテ 1の位 精神的②
↓2 10の位 知能指数 1の位 ブッダ
↓3 10の位 センス 1の位 体温
↓4 10精神的①

※ただしゾロ目の処理は平常



◆ワーオ◆

【codeNAME:full-flat】
環境・志:9・7      
カラテ:3  知能指数:10 センス:10
精神的:9/6 ブッダ:9  体温:9

【codeNAME:Gold-frame】
環境・志:8・4      
カラテ:8  知能指数:15 センス:9
精神的:14/7 ブッダ:6  体温:9

【codeNAME:Hardluck-dance】
環境・志:8・4      
カラテ:30  知能指数:16 センス:32
精神的:12/34 ブッダ:5  体温:30


◆理論的にはカンストレベルの体温と、提督を超える沈着冷静さ◆

◆そして最高峰のカラテと最高峰のセンス◆この意味が判りますか?◆


◆そしてもうお分かりだと想うが危険度が高いという事は相手の練度も中々です◆

◆三話は胆ですね◆龍田さんのフラグが大変な事になっていると聞きます◆

◆最後にサルベージして寝ることにしましょう◆


↓1 叢雲:知能指数(9)+センス(7)=16以下で発見。ブッダ(5)以下でクリティカル

↓2 龍田:知能指数(20)+センス(23)=43以下で発見。ブッダ(6)以下でクリティカル


◆……それはそうとドーモ、712=サン。サクシャです。スタッフケジメします◆


◆アイエッ!?◆ムラクモ=サンにゾロ目!?ムラクモ=サンナンデ!?◆

◆ムラクモ=サンにブッダスマイル!しめやかにドヤ顔!◆


それではサルベージ量



↓1 叢雲 下一桁+3(ゾロ目ボーナス)

↓2 龍田 下一桁


※ゾロ目なら二倍 ※0なら10の位


◆しかし龍田=サンに収益で負けるあたり、じつに叢雲=サンらしい……◆

◆しかし彼女はドヤ顔をするだろう◆心なしか褒めて欲しそうに◆しかし隣で最高に漁る龍田=サン◆

◆叢雲=サンには探索上手のスキルの種が付く。駆逐カンムスには有こうなスキル◆

◆正しくはこうです◆


【codeNAME:full-flat】
環境・志:9・7      
カラテ:3  知能指数:10 センス:10
精神的:9/6 ブッダ:9  体温:9

【codeNAME:Gold-frame】
環境・志:8・4      
カラテ:8  知能指数:15 センス:9
精神的:14/7 ブッダ:6  体温:9

【codeNAME:Hardluck-dance】
環境・志:8・4      
カラテ:21  知能指数:17 センス:22
精神的:12/25 ブッダ:5  体温:20


◆体温は間違いなく最大クラス◆猥褻は一切ない◆

◆「舞○ぜの○○で提督の○○○○が舞ってるのぉぉぉお!! 提督の大型○○○○台風がま○風の○○○で瞬間最大風速なのおおおぉぉぉぉ!」◆

◆「波浪警報注意!○○○の波と潮が来ちゃうのぉぉお!波が荒れちゃうのぉぉぉお!ヒダヒダが波打っちゃうのぉぉぉお!!!」レベル◆

◆このスレはけんぜんな少年漫画。猥褻は一切ない、いいね?◆


◆味方は増えぬと言いましたが相手側の協力者が増えぬと言った覚えはない◆

◆それではオタッシャデー!◆ケジメ安価はまた次な!◆


◆今夜もある◆備えよう◆


◆お待たせだ◆ケジメ案件が多すぎる◆


叢雲「さて、それじゃあ――」


 後は、持ち出せる分の資源を頂いていくだけだ。

 やはり殆どがオートメーション化の図られた坑道。

 トンネルに続くレールの上には、クレーンじみたアームの鎮座する台車。先端のアタッチメントは付け替え式。

 その、五両編成の車体にはアーム部位の他には空のトロッコめいた荷車。

 発掘や採掘を行いそれを精製したものを一旦どこかの倉庫に預け、こうして運び込むのだろう。


叢雲「さて……」

提督『証拠だけで十分なんだ。無理に資源を探さなくても……』

叢雲「黙って見てなさい。ちゃーんと見付けてあげるわ?」

叢雲「いい駆逐艦というのは、そういうものよ」


叢雲「――よし!」


 ここを、廃棄された資源地という体にし、更に司令部からの監察などに備えているためか。

 それとも運よく辿り着いた外部の人間に、資材を利用去れないためか。

 資源は定位置になく、巧妙に隠されている――利用者ならば無論の事ながら所在を知っているだろうが――。

 その隠し場所をいち早く突き止めた叢雲は、握り拳を作った。


提督『……凄いな、叢雲さん』

叢雲「あら、驚くには早いわ。ここから、限界までの資源を運んであげるから……ね?」

提督『そうか? まあ、叢雲さんがそういうと本当に聞こえるな』

叢雲「本当になるの。これから、ね」





 ……そして。


叢雲「……」

龍田「随分見付けちゃって、こんなに持ちきれるかな~?」 ニコニコ




叢雲「……」


叢雲「……」


提督『二人とも発見か』

提督『……よし、ご苦労だった。それでは離脱してくれ』

提督『くれぐれも、泊地の艦娘には発見されないように心掛けてくれ』

提督『危ないと思ったら、資源は捨てて目眩ましを。可能な限りは逃走を……君たちの生存を優先してくれ』

提督『現状、戦力が欠ける事の方が問題だ。その点は、絶対に理解して欲しい』

叢雲「……」

提督『叢雲さん?』


 大見得を切って、という言い方は酷であるが――。

 やはり、ああ言ってしまった以上は恥じる事の方が多いのだろうか。叢雲の性格として。

 などと、本心から――証拠だけでも十二分。資源入手はそれ以上――と考える彼は、顎に手を当てた。

 叢雲は自分にも他人にも厳しい。

 下手な慰めは彼女の矜持を傷付ける事になるが、それにしても何か一言――と思案した提督は、


叢雲「……生体反応があるんだけど」

提督『何っ』

叢雲「どうする? ……場所は、実権室――それとも独房?」


◆23:50からケジメ安価を出します◆備えよう◆

◆今回は二発な◆


◆いつもながらこのスレの潜水艦には驚かされる◆数字も書くのだ◆


A:艦娘とのラブコメが見たい    (特定艦娘な。次回好感度にボーナスな)
B:おう、資材寄越せよおう      (燃料・弾薬・鋼材・ボーキがコンマの合計値ずつ増えます)
C:おう、資金寄越せよおう      (資金がコンマ合計値増えます)
D:おう、高速修復剤寄越せよおう  (コンマ1桁分/2の分、高速修復剤が得られます)
E:自由安価               (可能な範囲で実現するが、上記全部とかないよ)

↓ 1~6


◆叢雲=サンのラブコメポイントが二つだ◆

◆そして756さんのトランザムに対応して慈悲深い1=サンからのサービス◆

◆なんと高速修復材のみならず、ダメコンも手にはいるようです◆フナムシは関係ない◆



↓ 1 コンマ/2 高速修復材


1~3:1つ
4~6:2つ
7~9:3つ
0: 要員:2と女神1

↓ 2 ダメコン(要員) ※ただしゾロ目ならその数字分女神が手に入る


◆という訳で修復材が5つ、合計10つ◆

◆要員が3つ◆轟沈を大破に変えてくれます◆安価が出る。備えよう◆


提督『……』


 実験室――つまり被験者ならば。

 正しく泊地の被害者であり、貴重な証言者。

 だが、そうではなく――――もしもここに常駐する、警備員ならば。


提督『……』

叢雲「……とりあえず、バケツ見付けたしこれも貰って置くわ」

龍田「ダメコンも見付けちゃった~♪ ふふっ」


 叢雲の指が、コンソールをなぞる。

 機械仕掛けの台車に修復材が運ばれてくるその間に。

 提督は、叢雲の発見した“施設内の生体反応”との接触を――それとも否かを――。

 決断しなければ、ならない。


提督『……叢雲さん、相手の数は?』

叢雲「一。一応言っておくと、動く様子もないけど?」


1:……危険性の方が高い。ここは脱出を優先
2:暫く生体反応の様子を見る
3:接触を試みる
4:自由安価


↓3 ※地雷アリ


◆なお地雷は2だった◆



提督『……脱出を優先してくれ』

叢雲「へ?」

龍田「え?」


 意外そうに、二人は声を上げた。

 彼女らは――てっきり提督が、接触を試みるように申し付けるのだと思っていたのだ。

 だがしかし、彼はやんわりと否定した。


提督『本当にここの実験の犠牲者なら……助けるべきだし、助けたいと思う』

提督『ただ、そうでない場合は――君たちを危険に晒す事になる』

提督『情報と、荷物まで抱えた状態じゃ……手一杯だ』

叢雲「……あんた、クールなのね」

提督『余裕がないだけだよ、叢雲さん。……選ぶ余裕が』

叢雲「私なら、何とかできるとか思わなかったの?」

龍田「……私たち、だけど。信頼されてないのかな~?」

提督『……信頼と無茶は別だ』


 人の身で出来ることは、無限ではない。

 彼はそれを知っていた。

 己も前線に出向いた兵士として、或いは人の命を預かる指揮官として。

 龍鳳を助けたのは、事実だが。

 あれで、浜風と最上が助かったのは――提督一人の選択ではなく、皆がサルベージを行い、それを結果成功させたという僥倖。

 彼の選択それ自体は、現実に根差した判断だったのだ。

 だからこそ、“救えぬ可能性”も龍鳳と最上に突き付けた。

 決して、出来もしない事に精を出す、無闇矢鱈な理想論者ではない。


提督『……少なくともこの状況で、まだ息がある』

提督『前に人が来て、俺達が来るまでどれぐらい間が空いていたか判らない……けどな』

叢雲「……なるほど?」

提督『……囚われた人なら、何がなんでも見捨てたくはないが』


 ギリ、と喰い縛った歯が鳴らす音。


提督『ミイラ取りがミイラじゃ、どうしようもない』
 



 或いはここで、助けを求める人間で――。

 何とか辛うじて息があって、そして、運よくそんな誰かは朽ち果てる前に救いの糸を目にできたが。

 結局、糸は無情にも通り過ぎていった――。

 そんな可能性は有り得る。

 だが、しても仕様がない“もしも”の話。

 後悔や想像、仮定で鈍らせてはならぬのは彼の脳。

 兵士としての現実主義が、取り留めもない筋書きと自意識過剰な自己犠牲論めいた“もしも”に終止符を打たんと、歯車を起こした。

 即座に意識を切り換えて、次なる方針を決める――。

 ただ、せめて一言、


提督(……恨んでくれてもいい)


 彼はそうとだけ呟いて、閉じた瞼を上げた。


提督『――ランデブーポイントを設定する』

提督『二人は可及的速やかに、かつ何よりも隠密と生存を優先して合流してくれ』

叢雲「了解よ、司令官」

龍田「はぁ~い、待ってて下さいね~」


 ◇ ◆ ◇


(…………あし、おと?)


(もう、いや……嫌よ…………あんなの……)


(あたし……こんなことをされるために、艦娘になったんじゃ…………ないのに……)


(からだ、なくなって…………艦娘に、なって…………ここでもまた、いいようにモルモット…………?)


(あたしの人生、なんなのよ…………)


(……でも、この足音)


(前と……ちがうの…………?)


(助、けて……!)


(たすけて……っ、たすけて……っ)


(たすけて――――)


 ◇ ◆ ◇


◆今日はここまでだ◆

◆ギャルゲーパートとストーリーパートの、ストーリーパートだと思って欲しい◆

◆基本的に少年漫画めいた申し訳てい度のシリアスがすこし続くとの話です◆


◆お待たせ◆備えるのだ◆


提督「……」


 艦娘輸送兼高速魚雷船、リトル・グレイ。

 その操縦室に詰めた提督は、左手の、通信を打ち切った無線を眺める。

 流星バーストを利用する、秘匿型・広範囲通信無線。


龍鳳「あの、お茶にしませんか……?」

龍鳳「魔法瓶に入れて来ちゃいました」

龍鳳「結構美味しくいれられたかな、って……」


 しかし、彼は無言。

 鍔の一部に切り傷の残る海軍帽の下の眉間の皺は深い。


龍鳳「提督?」


 下から見上げる、というより覗き込むように首を傾げて。

 癖っ毛を揺らした龍鳳にしかし、提督の視線は交錯しない。

 そのまま一言、


提督「――しまった!」


龍鳳「ど、どうしたんですか!?」

提督「無線は――――クソ、通じない!」


 非常事態に備えた管理管制室や、或いは建物の外ならば通じるだろうが。

 しかし再び、建物の奥底に──ドローンなどを回避する為だ――潜った二人とは通信が断たれてしまった。

 提督の内に僅かに残った懸念。

 生体反応との接触。

 助けるべきか、助けぬべきか――。

 敵なのか、味方なのか――。

 彼はその事ばかりを考えていたが……。


龍鳳「せ、説明をお願いしますっ」

提督「……敵だとしても、味方や救助者だとしても」

提督「接触しておく、べきだった……!」

龍鳳「え? で、でも……危ないって……!」

提督「確かに、敵なら危険だが――」


 一拍置いて、


提督「それなら、速やかに排除しないと……余計に危険なんだ」


龍鳳「え、どうして……ですか?」

提督「敵が気付いていないなら、それが一番いい」


 最大で得られるものは、何よりも変えがたい無事。つまりリターンとしては一番多い。

 だが。

 気付かれてしまっていて。

 そしてそれで、その状況なのに敵が籠ったきり動かないというのは――


提督「敵も自分一人での戦闘の不利を知っているか、奇襲を仕掛ける為」

龍鳳「えっと……?」

提督「……どちらにしても増援を頼み、それを待っている可能性が高い」

龍鳳「じゃ、じゃあ……!」

提督「そんな状態でその場に放置して離脱を試みたら――挟撃が有り得る」


 資源地に向かう増援と、資源地から追撃する生体反応。

 資源を抱えたまま、叢雲と龍田は挟み撃ちに合うのだ。


提督「……ドローンやガジェットの反応から、気付かれたとしても最後の辺りと思いたいが」


 少なくとも、侵入時点では露見していない筈だ。

 発見されていれば、ドローンらの動きは巡航警戒などではなく明確な包囲や殲滅となるため。

 そう、だからこそ気付かれていない可能性もあり――故に遣り過ごして、最速で脱出を彼は選択。


提督「……」


 ただ、外れていた場合は挟撃というハイリスク。

 予め接触をしたなら二対一で、敵だとしても無力化を図れた。被害者なら救出可能。

 そう考えると、ハイリスクハイリターン――否、無事で帰れるという半券を貰えるだけのローリターンだ。


提督(俺とした事が……)


 迂闊だった。

 手に入れた情報の大きさに目が眩んだか。臆したか。

 一刻も早く、そのような地獄から――地獄のような場所から彼女達を遠ざけようと思ったからこそ、


龍鳳「て……て・い・と・くっ!」


 没頭しそうになる意識から引き上げられたそこには。

 ワイシャツの裾を握る龍鳳。

 着物の袖からちょこんと転び出た指が、シャツの端を確りと摘まんでいた。


提督「龍鳳?」

龍鳳「そんなに心配しなくても……きっと、きっと叢雲さんと龍田さんは大丈夫です!」

提督「ん、ああ……」


 人を信じる――――彼とてそうしたいが。

 しかし指揮官には、それはある意味許されない。

 どこまでも残酷に、どこまでも最悪を考えるからこそ最悪に至らない――――指揮官の矛盾的な思考。


龍鳳「それに……」


 と、龍鳳は続けた。

 未だ煮え切らぬ――というよりも、割り切れぬ風に考えているように見える提督に。


龍鳳「て、提督には私が居ます! 私がついてますから」


浜風「……私も居るのですが」

浦風「うちも」

龍鳳「……ぁぅ」

・毎日更新する時間が取れない
・詰まった
・息抜きしてたら息抜きってレベルじゃなくなった

すまん……すまん……

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