元お嬢様「安価とコンマで旅歩き生活」吸血鬼「やっとその6ね」 (1000)

モンスターあり剣あり魔法あり、機械も超能力もありなごった煮の世界。

革命が起きた近世のファンタジー国家で、指名手配された元貴族の少女が生き延びようとあがき、最近は安定してきたけど油断できない毎日。

彼女が野垂れ死ぬか、亡命に成功するか、反旗を翻しテロリストとなるか、はたまた魔王となって世界を滅ぼすか。

全ては安価とコンマ次第な5スレ目。

1スレ目『魔境』 お嬢様「安価とコンマで逃亡生活」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408711559/)
2スレ目『アンブロシア』 元お嬢様「安価とコンマで魔術師生活」邪教徒「その2だ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409055017/)
3スレ目『イロモノ旅団』 元お嬢様「安価とコンマでお仕事生活」海風の妖精「3ブロシア」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409745651/)
4スレ目『魔法競技会』 元お嬢様「安価とコンマで忙しく生活」魔人「その4じゃ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411492100/)
5スレ目『人外と仲良し』 元お嬢様「安価とコンマで大勝負」アフロ「クインテット!」(5スレ目です) - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413208217/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430900309

~あらすじ~

○○○○年……フルフィリア王国で革命が起きた。

反乱軍あらため共和国軍は、革命の象徴として王族・貴族の処刑を決めた。

貴族の町ウベローゼン市に住むお嬢様であるソピアは、使用人の少年によって逃がされ、命がけの逃亡生活が始まった。

かけがえのない仲間もでき、名声も上がってきたが、共和国軍の影を常に隣に感じる日々。

神にも悪魔にも愛された結果むしろ窮地に立たされたソピアは果たして生き延びることができるのか……!


~主人公~

ソピア・ウィンベル、16歳。

世間知らずで体力にも乏しく気弱だが、頭は良く物怖じはしない方。

下級貴族の生まれで、お嬢様らしからぬ素朴な性格・口調、でも実はTPOに応じて高貴な振る舞いもできる。一般人に溶け込めるため逃亡に役立った。

魔法局ではソフィア、宿屋周辺ではルーフェリアの2つの偽名を使い分けているが最近両方の名前を知ってる知人が多い。

現在は元メイドのアンと海風の妖精マリンと宿屋暮らし。

吸血鬼の義妹、魔人先生、アースドラゴンのペンダント、運命の天使、予知の悪魔など、常に人外に守られている。

★最終的な目標★

1.この国でほとぼりがさめるまで逃げ切り、安定した生活を送る

2.他国へ亡命し、そこで安定した生活を送る

3.テロリストなり魔王なりになって、共和国軍を倒す

このいずれかが現時点での最終目標となります。



※当面の目標※

1.名声と実力を上げ、上位職になる

2.かけがえのない仲間(交友度10.00)を増やす

3.数日ごとに起こるイベントを乗り越える

武器戦闘系職業一覧

『剣士』…剣や短剣、斧など斬るタイプの武器を扱う勇者の職業。最も歴史と権威がある戦士ギルド。
『ソードマスター』『武士』…上位職。詳細は前スレ参照。以下同文。

『槍士』…突くタイプの武器は盾持ちに強い。盾と相性が良く近衛兵たちが育ててきたギルド。
『重装騎士』

『メイサー』…打撃タイプの武器は甲冑・甲殻に強い。どちらかというと魔法使いや鉱夫が偽名で登録することも多い。
『ヘビーメイサー』

『ファイター』…己の身一つで戦う武人の職業。最近の若い女性の間ではダイエットに人気。
『格闘家』…ファイターの上位職。ひたすら相手を倒すためだけに鍛え上げられた肉体こそが凶器。

『アーチャー』…歴史ある遠距離武器使い。魔法の効果が乗ることもあり今なお愛好家は多い。

『ガンマン』…工業化が生み出した遠距離武器使い。弓を小馬鹿にしてる若者が多かったりする。
『コンバット』『スナイパー』

『ホワイトシーフ』…盗賊の技術を世の為人の為に使うため近年設立したギルド。落し物探しや浮気調査など何でも屋感が否めない。
『アサシン』『忍者』

『サイズユーザー』…鎌を愛する物好きたちが剣士から独立した。やや使いづらいが一撃で仕留めることに長ける。あとカッコいい。

『ウィップユーザー』…鞭を愛する物好きたちがメイサーから独立した。サディストが多いと思われているが偏見である。
『調教師』

『罠師』……罠だけでなく爆弾やナイフ投げなどトリッキーな戦術を持つ。立ち上げたのは世紀の大奇術師だったりする。
『ボマー』



魔法系職業一覧

『火魔術師』…エネルギーを司る魔法。戦闘寄りの魔法で、軍人のほか料理人が覚えていたりする。

『水魔術師』…生命力を司る魔法。旧時代のお医者さんたちの半数は水魔術師。

『岩魔術師』…創造を司る魔法。魔法陣とか錬金術とか。

『風魔術師』…流れを司る魔法。効果範囲が広く指揮官向きの魔法。

『瘴気薬師』…火&水の上位職。攻撃的な薬品の専門家。
『氷魔術師』…水&岩の上位職。氷ではなく冷気そのものを扱う魔術師。
『召喚術師』…岩&風の上位職。魔法陣からモンスターやら守護神やら自然現象やらを呼び出せる。
『雷魔術師』…風&火の上位職。ただの電気ではなく天候レベルの雷や磁力を操る。
『竜脈術師』…火&岩の上位職。大地の力を借り、小規模な地震や噴火をも操る。
『精霊術師』…水&風の上位職。すべての魔法の根源、精霊の専門家。

『日魔術師』…昼を司る魔法。太陽光を操るだけでなく、心を癒すことにも使う。
『癒心魔術師』

『月魔術師』…夜を司る魔法。魅了・幻惑の魔法はここに含まれる。
『蝕心魔術師』

『天術師』…日&月の上位職。

『白魔術師』…神の力を借りる魔法。宗教色が強い。
『聖教徒』『クルセイダー』

『黒魔術師』…悪魔の力を借りる魔法。霊と話したりする魔法もここ。
『邪教徒』

武器戦闘系職業一覧・魔法系職業一覧 >>4


生活系職業一覧

『山人』…山の方の村人。高地や洞窟などに強くなり、鉱物や動物に詳しくなれる。
『登山家』

『海人』…うみんちゅ。釣りや潜水が得意になり、船にも乗れる。
『潜水士』

『森人』…普通の農村の村人。森で迷わなくなり、採集や工作が得意になれる。
『栽培士』『木霊主』

『旅人』…流浪の民。長旅に必要な様々な技術が身に付く。



専門職系職業一覧

『料理人』…胃袋を支える人々。手練れはカクテルや薬膳に挑戦するらしい。
『調合士』

『裁縫師』…仕立て屋で働く人々。経験を積むとモデルになれたり、魂のこもった人形を作れたりするらしい。
『人形師』

『木工師』…木を材料に物を作る人。ベテランになると造船や大工の仕事も来るらしい。

『石材師』…鍛冶屋などで働く人々。熟練の石材師でないと本格的な鍛冶や宝石細工は任せてもらえないらしい。

『占い師』…ジャンルを問わない魔法的知識で人を占う。占いを勉強するうちに超能力に目覚める者もいるらしい。
『エスパー』

『メカニック』…近年需要がどんどん上がっている機械を作る人々。ひよっこには蒸気機関や電気は使えないらしい。
『エンジニア』

『牧人』…動物の専門家。著名な牧人は戦闘職でもないのにモンスターを狩ったり、または飼いならしたりするらしい。
『ブリーダー』『狩人』

『レンジャー』…人命救助や工事現場で働く身軽な人々。仕事で得た技術で遺跡に潜り一攫千金を夢見る者も多いらしい。
『レスキュー』

『パン職人』…発酵は普通の料理人には扱えない。酒造に手を出す人も多い。中には菌と心を通わせ自在に操る者もいるという噂。
『操菌師』

『パフォーマー』…歌って踊って人々を楽しませる人々。いつか劇場やテレビでパフォーマンスする日を夢見ている。

『商売人』…小売店の人々。経済を牛耳るボスもいるらしい。自動車の普及で競争は激化の一途をたどっている。

※専門職は日々増え続けている


その他

『探偵』…情報収集に特化した専門職。一部の人間にしかその存在を知られていない。

『娼婦』…異性の夜のお相手をして日銭を稼ぐ人々。ギルドではない。

『清掃員』…町の表通りを清掃して日銭を稼ぐ人々。ギルドではない。

『魔族』…白&黒の上位職に当たる人間よりもモンスターに近い存在。ギルドではない。

コンマでモンスター作成テンプレ

種族
十の位       一の位
1無機物系&軟体系…123液体・45鉱物・67タコイカクラゲ・890貝
2魔法系…12妖精・34妖怪・56悪魔・78ゾンビ・90幽霊
3植物系…1234草花・567キノコ・890樹木
4甲羅系…123カメ・456カニやエビ・7890カブトムシ系
5虫系…123蟻蜂・456蝶蛾・7890クモムカデサソリ
6水棲系…1234魚・567カエルやサンショウウオ・890アザラシやイルカ
7爬虫類系…123トカゲ・456ヘビ・7890ドラゴン
8鳥系…123456タカやフクロウ・7890ダチョウやニワトリ
9獣系…1234犬や猫・5678ヒヅメ系・90コウモリなどその他
0人型…12サル・3456ロボット・7890人形

特性
十の位
1鋭…爪やツノ  2硬…甲殻やウロコ  3火…炎や毒  4水…泳ぎや粘液
5岩…穴掘りや石化  6風…飛行や身軽さ  7日…光や派手さ
8月…暗視や擬態  9白…群れや美しさ  0黒…魔法や科学的

性格
一の位
12好戦的 34やや怒りやすい 56普段は穏やか 78臆病 90警戒心が無い

【33日目夜時点のステータス】
ソピア=ウィンベル(魔:ソフィア 旅:ルーフェリア)
見た目:スカイブルーの瞳・黒髪ふんわりロングパーマ・白ワンピース・リボンカチューシャ・ムーンストーンの杖(知20)・ストーンキューブ
所持金:7760G
アイテム:
フルフィリア共和国ウベローゼン市地図・旅人ギルドカード・ナイフ・金槌・ハサミ・ドライバー・ライター・花柄の傘
ポーション×2・毒消し草・回復の杖・自動迷彩マント
薄汚れた赤ずきん・エセ探偵セット・シックなコート・女中の服・緋袴・ヘアゴムセット・アザラシ革の手袋・オニキス

ジョブ:月魔術師・旅人
スキル:料理・ダンス・長旅歩き・小休止・脱兎・騎馬・野営
 月光光線魔法・流れ星・精神攻撃魔法・光線魔法:精神・光線魔法:波・拡散精神魔法
 強魅了魔法・全体魅了魔法・恐怖魔法・混乱魔法・幻覚魔法・多分身魔法・迷彩魔法・盲目魔法・魔力制御・瞑想技術
 ライトボール・活力の光・癒しの光・加熱魔法
 受け身・考察・妖精対話・究極魅了魔法・生命の加護・ムーンブラスト

体力32/32 精神52/52 進行度69/120
筋力30 敏捷44 知力70(90) 器用20 交渉力70 魔名声48 旅名声42 注目度10
経験値:体7・精47・筋0・敏67・知0・器83・交31

知り合い
心優しい義妹13歳吸血鬼:ヒレア「今度は私が助ける番!」(義姉妹:10.15)
お喋りな16歳ホワイトシーフ:フィナ「はー、もしかしたらソフィーもただ者じゃないかもね…?」(親友:9.15)
あざとい17歳メイド:アン「アンにできることを……!」(親友:9.04)
高圧的な16歳サイズユーザー:エルミス「今まで正体を隠していてごめんなさい」(仲良し:7.91)
ボクっ娘ブラコン16歳女水魔術師:ミルズ「危ないことはやめなよ」(仲良し:7.67)
頭脳派長身18歳岩魔術師:クルト「悩んでいても始まらないか」(友人:6.53)
文系15歳美少年風魔術師:トール「僕たちの優勝です!」(恋心:5.61)
おしとやかな12歳商売人:フローラ「商人ですから。秘密は守ります」(友人:5.18)
魔法街の仕立て屋人形:クリスティ「道中お気をつけて!」(友人:4.48)
明るく優しい22歳ホモ日魔術師:キュベレ「優勝おめでと♪」(友人:4.00)
武人な19歳火魔術剣士:テンパラス「よい戦いぶりであった」(知人:2.02)
皮肉屋な22歳男コンバット:ロット「……」(知人:1.93)
色男な24歳レンジャー:オルド「ただ者じゃねえな」(知人:1.59)


ゾロ目で2倍上昇、100以上上回ったらもう一回(本で100上回っても無し)

月魔術はコンマにプラス20

『ステータス』
ランニング(体力)・瞑想(精神)・筋トレ(筋力)・ダッシュ(敏捷)・お勉強(知力)・家事(器用)・自分磨き(交渉力)

『旅人スキル』
騎馬Ⅱ 0/150 馬を駆けるように走らせ、馬上で道具を扱える
ラクダ騎乗 0/110 足は遅いが乾燥に強いラクダを操る
ウシ騎乗 0/110 足は遅いが荷物運びと山道に強い牛を操る
初級通訳 0/80 フルフィリア周辺で最もメジャーな外国語をマスターする
商談 0/80 価格交渉が上手くなる
重荷運び 0/100 重い荷物が持ち運べるようになる
夜目 86/100 暗いところでもものが見える
荷造り 0/100 荷物をまとめるのが上手くなる
植物知識 0/100 草花に詳しくなる

『月魔術師スキル』
光線魔法:空 0/150 月光を凝縮して頭上からビームを落とす
月照明魔法 0/100 周囲の暗闇を月の光で照らす
精神毒魔法 28/120 精神を汚染する、治療しない限り心を蝕み続ける
精神ドレイン魔法 0/150 相手の精神力を吸い取る光の球を撃つ
操り魔法 0/250 光を当てた相手を一定時間意のままに操れる、細かく指示を出せる
注目魔法 0/150 妖しい光を当てた対象に周囲の目が集まるようにする
狂気魔法 0/120 月の光で狂気に陥った者は暴走する
変装魔法 0/250 自分を全く違う姿に見せる
透明魔法 152/200 自分の姿をほぼ完全に消す、物に触れた部分のみ影ができる
鏡魔法 0/100 光を反射して対象自身の分身を見せる
聴覚妨害 0/120 光を当てた相手の耳が変になる
痛覚妨害 0/120 光を当てた相手は痛みを感じ辛くなる、自分にも使える
頭痛魔法 0/120 光の球を当てた相手に激しい頭痛を感じさせる
賢者の瞑想 0/150 瞑想がより上手くなる、訓練で精神が100まで上がりやすくなる
全体恐怖魔法 0/120 周囲の対象を深い闇で覆い恐怖に陥れる
夜闇魔法 0/120 闇を纏って身を隠す、昼間だと自分の周りだけ暗くなる、眩しくて眠れない時には便利
刃星 0/100 淵が刃になった薄い星形弾を回転させながら撃ち出す、斬れるフリスビー的な
流星群 0/120 星形弾を両手から連射する、腕がマシンガン
星屑 0/100 小さな大量の星形弾をばらまく、ショットガンまきびし
影打ち魔法 0/100 この魔法をかけた影を触ると本体にも感触が伝わる、遠くからこちょこちょしよう

『日魔術師スキル』
太陽光線魔法 0/100 日の光を集めてビームを撃つ
フラッシュボール 0/120 着弾すると閃光を放ち目をくらませる魔法弾
ヒートボール 0/120 着火にも使える高温の魔法弾、火の玉に比べて真っ直ぐ飛ぶ
目覚めの光 0/100 眠っている人を気持ちよく目覚めさせる朝の光
陽だまり魔法 0/120 自分の周辺に癒しの光を降り注がせる
照明魔法  0/100 太陽の光で周囲を照らす、月よりも明るい
乾燥魔法 0/100 物を乾かす黄色い光
虹魔法 0/100 色とりどりの光を放つ

その他関わりのある人


・会ったことのある名ありキャラ
18歳女アーチャー:ハルカ 快活そうな見た目に控えめな性格
15歳女パン職人:イリス 明るく男勝り
43歳男レスキュー:キアロ ソピアと同じ宿が拠点の頼れるおじさん
40代清掃員:メヒィアス夫妻 うるさい妻と無口な夫の夫婦
30歳男剣士:ウィア&40歳男パフォーマー:マッド ソピアと同じ宿が拠点の若作り剣士と剛腕ピエロのコンビ
20歳女ファイター:ノア 赤髪で大雑把な手練れファイター、宿屋近くの酒場にいる
19歳聖教徒:テレサ 市内の聖教会で受付を務める正統派シスター
15歳女ファイター:フェイラン 気の強いカンフー娘

18歳女娼婦:エリー 元旅人で姉御肌な魔境カフェのオーナー
30歳男探偵:シュン 探偵ギルド筆頭の名探偵、自由人
33歳男岩魔術師:ガルァシア 魔境チームの熟練魔術師、威圧感があるが世話焼き
29歳男ボマー:バルザック 魔境チームの仕事人、いつも適当な酔いどれおっさんだが素面だと怖い
15歳性別不明エスパー:ネル 魔境チームの情報収集担当、神出鬼没

・魔法競技会参加者たち
名医の息子水魔術師:リウム ほか取り巻き4人
孤児院の黒魔術師:レン ほか友人3人(1人死亡)
正義の日魔法少女:ナナカ ほか仲間4人
(士官学校の岩魔術師:ヴィーク 学校に戻った)
(留学生の魔法使い:ヘンリー ほか友人4人 帰国)
(操霊の魔女:フュネッサ 死亡)
(堅物新米聖騎士:アリアン 意識不明)

・仲のいい名無しキャラ
邪教徒さん 邪教の館(黒魔術師ギルド)の受付で面倒見のいいおっさん
魔法局受付さん 底意地の悪い女性。そのくせ癒しの魔法を得意とする
魔人さん 数百年前のお姫さま。魔法を極めるうちに人間ではなくなってしまった。市内に越してきてソピアの魔法の先生になった。

・その他名ありor重要人物
ブラッドレイ元帥 共和国軍六勇の一人『重壁』、エルミスの父で仕事より家族を優先したがる子煩悩
オーグロス陸軍大将 共和国軍六勇の一人『鬼顔』、キュベレの父で女性を見下す堅物の大男
アルフレッド憲兵隊長 共和国軍六勇の一人『勇者』、やたら声が大きい正義漢
魔導長 共和国軍の魔術師のトップ、雷の魔法を得意とする穏やかな老人
師匠 共和国軍に協力する殺し屋『凶爪』、フィナの特訓を手伝う乱暴な口調の女性
ミハイ5世 王族で唯一軍の手を逃れて逃亡中の王子、ソピアの泊まる部屋に一度来たらしい
イデア 逃亡中の貴族の一人、若き騎士の女性
レオナール 逃亡中の貴族の一人、富豪の中年男性
ウィルアック 逃亡中の貴族の一人、放蕩公爵と呼ばれる
ニコラ 逃亡中?の貴族の一人、4年前から行方不明

・ギルド関係者
魔法局の月魔導師
魔法局の精霊術師
魔法局の局長
旅人ギルドの吟遊詩人
魔法局本部の受付さん

・ソピアのことが気になっている人物
初日の夜お世話になった浮浪者たち
骨のような女性
パティシエの少女
ウベローゼン南方警備隊の男性
元狩人の老人
連合帝国のアフロ外交官
古代遺跡の祭神アースドラゴン

行ったことのある場所


●ウベローゼン市
職業相談所
ウィンベル邸(ソピアの元自宅)
聖十字総合病院
ブラッドレイ邸(元帥・エルミスの自宅)
・各ギルド街(>>5)
今までに行ったのは
『勇者の館(剣)』『ファンキータウン(銃)』『何でも屋(盗)』『魔法局(魔)』『聖教会(白)』『邪教の館(黒)』『登山協会(山)』『農協(森)』
『宿屋(旅)』『美食通り(料理)(パン)』『ファッションストリート(裁縫)』『ノーレイ財団(機)』『牧場(牧)』『不夜街(芸能)』『オフィス街(商売)』
宿屋周辺……酒場・カフェ・道具屋
魔法局周辺……屋外競技場・日魔術ホール・魔法のパン屋・魔法の仕立て屋・薬屋・マジックアイテム屋・図書館・岩魔術師のカフェ
聖教会周辺……道具屋・ハーブ畑・聖騎士の館
・食事
宿屋近くのカフェ&酒場・魔法局近くのカフェ・カフェ『アンブロシア』・レストラン『ランプロア』・パティスリー『ブリガド』
●ハーバリア市
ハーバリアタワー・王立造船所・海人ギルド総本山・水族館・港・市場
●ファナゼ市
中央市場・東西南北の商店街・遊園地・パフォーマーギルド本部・博物館・地下街・グリエール商会本社
●王都ティルベルク
王宮・魔人の城跡地・勇者の城・大聖堂・魔法局本部・各国大使館・ゲームセンターほか
●モスボラ市
鉄鋼業区・人形職人の工房・喫茶『ネクタール』・外国人街・屋台通り・鉄道駅・モスボラ山
●ダンジョン
魔人の城・ストーンキューブ




フルフィリア共和国地図

学     麓  山
|\  /|  |
騎―王―貴―商―砂

|/  \|   \
工     港―浜  湿

貴…貴族の町ウベローゼン市
王…王都ティルベルク
港…軍港の町ハーバリア市
商…交易の町ファナゼ市
工…鉄鋼の町モスボラ市


世界地図

       ノ
  ラ    |
      |

   ┌―フ―――┐

    |  |     └――┐
コ―┘   └┐         |
         サ        └┐
                  └―――――ジ


フ…ファンタジーと機械、革命の国 フルフィリア共和国
ノ…魔術師と山脈、針葉樹林の国 魔導帝国ノーディス
ジ…香辛料と自然信仰、軍拡の国 ジャルバ王国
サ…海洋貿易と亜人、湿原の国 サロデニア共和国
コ…火山と洞窟、ドワーフの国 コホーテン首長国
ラ…海賊と鎖国、海神信仰の国 ラヌーン国

属性相性表(B←A AはBに強い)

火←水←岩←風←火

日⇔月

その他←黒←白←その他



仲間作りのヒント

ヒレア…今後は特に会わなくても裏切ることは決してありません
エルミス…今のところ下僕も大事だけど父上の方がもっと大事
フィナ…あまり自主性が無い
フローラ…いざという時は多数派に付く
トール…恋心を利用しよう
クルト…ソピアの行動力に憧れてる
ミルズ…ソピアに負い目を感じている
キュベレ…いつも頼れるオネエさんではいられない
クリスティ…お店のことしか考えていない
テンパラス…彼は現状をどう思うのだろうか
オルド…誘えばホイホイついてくる
ロット…強い仲間を探してる
アン…昔からの親友だが交友度がマックスではない
その他の人々…まだギリギリ間に合う

ようやく6スレ目です

学園祭編の長さ次第ではあるけども7スレ目の半分くらいで本編は終わるはず……

工業都市2人旅の途中から再開です

ヒレア「ただいま。お姉ちゃん、ごはん美味しかった?」

ソピア「最後、苦かった……ああいうお店は通いなれないと本当の美味しさに出会えないね……」

マリン「またモスボラまで来るのー?」

ソピア「また仕事で来る機会があったら。あれ? ヒレアちゃん、お洋服着替えた?」

ヒレア「色が変わっただけよ」

ソピア「そっかー、煤で汚れた? ……にしては逆に綺麗になってるような」

ヒレア「山で襲われてる人を助けたの。後で宿で話すわ」

ソピア「そういえば山は行ってなかった。夜だから危なそうだけど」

ヒレア「私がいるから大丈夫よ」

ソピア「うーん、どうしよう」


33日目夜 現在地:工業都市モスボラ

1.もう宿屋に帰って寝よう
2.クリスティと人形職人の様子を見に行く
3.モスボラ山~水力発電所
4.モスボラ山~ゴミ山
5.モスボラ山~山頂
6.鉄鋼業区~火力発電所
7.紡績区
8.フルフィリア鉄道駅

なんか前スレ埋めちゃってる人いるけどいいのかな

>>21-24
短編は5スレ目の途中で少しやったのと、日数があまり進んでないので、今回はいいかなーって思ってました
んで、もし埋まらずにしばらくスレが残ってるようなら番外編みたいなものを投下しようかなって感じでした
過去編という手もありましたけどね……楽しみにしてた方には申し訳ないです

ソピア「宿に行く前にちょっとクリスティさんの様子を見に行ってもいいかな?」

ヒレア「うん。私も気になってたの。職人さんの人形も動き出してるかも知れないもんね」


職人「こんばんは。まだ帰っていなかったのか」

ソピア「クリスティさんの修理はどうですか?」

職人「今日はまだ状態を見て準備しただけだ。あの子なら中にいるぞ。時間があるなら上がっていきなさい」

ヒレア「お邪魔するわ」

クリス「こんばんはっ。会いに来てくれたんですね!」

ソピア「クリスティさん、さっき帰り際に、ここに気配が増えたってマリンが教えてくれたんですけど、何かありましたか?」

クリス「実は人形の内の一つが動き出したんですよ!」

ヒレア「職人さん、夢が叶ってよかったわね」

職人「それが様子がおかしくてな……動きはするものの魂が無いと言うべきか」

クリス「たぶんわたしが動けって思ったからなんです。なんかこう、わたしの家来みたいに動いてくれて」

職人「モンスターとして現れるオートマタはよく群れているが、もしかするとオートマタとして活動しているのは一体だけなのかもしれない」

クリス「オートマタ学会があったらきっと大発見ですよ!」

ソピア「ベテランの戦士さんなら知ってそうですけどね……ボスを倒せば止まるって」


ヒレア「ねえ、もしクリスティがあちこちから人形を集めてきたら全部操れるの?」

クリス「いいえ。なんというか、動いてくれるのは波長が合う子だけです」

職人「素材やデザインの違いや作ってからの年数は関係ないらしい」

クリス「わたしの感覚ですからねえ。まあわたし、自分でも人形作れますけど」

ソピア「えっ……では自分で作れば波長が合うのでは」

クリス「はい、合います。でも人手はわたしだけで十分だし、お客さんが来れば寂しくないし、いらないです」

職人「人形を作れるオートマタの存在は初めて知った。それが本当なら人の手を介さずに増殖できることになるが……」

クリス「えっと、うちは仕立て屋だから実際に作ったことがあるのはマネキンだけですよ」

ソピア「マネキンに魔法のかかった服の効果を実演してもらえば……」

クリス「はっ、それです! 帰ったら早速マネキンを作って、お店の前でポーズを取ったり歩いたりさせましょう!」

ヒレア「……お客さん、恐がらない?」

女将「いらっしゃませ!」

ソピア「二人一部屋で宿泊します。私はギルドメンバーです」

女将「特別料金で30G、お連れさんは通常料金で50G、合わせて80Gね。食事込みだから22時までに一階の食堂で食べていってね」

7760G→7680G


個室。

ソピア「ふぅ。長旅で流石に脚が痛む。慣れてきたつもりだったけど……」

マリン「ソフィーも飛べばいいのにー」

ソピア「普通は飛べないから……ヒレアちゃんが例外だからね」

ヒレア「お姉ちゃん、これ見てほしいの。羽根」

ソピア「あれ? 真っ白。どうしたの?」

ヒレア「さっき山でね―――」

ソピア「……つまり、白魔術も使えるようになったってこと?」

ヒレア「うん。魔人に少し特訓させてもらっていたけど、さっきやっと使えたの」

ソピア「そっか、もう心配いらなそうだね」

ヒレア「お姉ちゃんはまだ大丈夫なの? 調子は悪くない?」

ソピア「どうだろう、自覚症状は無いけど……いつも何かに見られてる気がするかも」

ヒレア「……天使と悪魔か、それともドラゴンなのか分からないわね」

マリン「不純物がたまってるわー。そろそろ発散しないと痛い痛いよー!」

ソピア「うーん、帰ってから魔人先生に聞いてみよう」

34日目、朝。


ソピア「ヒレアちゃーん、準備できたー?」

ヒレア「流石に旅慣れてるのね、お姉ちゃん。準備が早いわ」

ソピア「今日は急ぐからね。仕事の前に学園都市の地理も把握しておきたいし」


学   麓 山
|\ /| |
騎―王―貴―商―砂
|/ \|  \
工   港―浜 湿


ソピア「今は『工』にいて『学』に向かうわけなんだけど」

ヒレア「2つのルートがあるのね。どっちで行くの?」

ソピア「昨日のうちに決めておいたよ。学園都市には……」


1.王都経由ルートで行くよ
鉄道沿いの街道を戻り、王都北西の街道を通って学園都市へ行くルート、道は平坦だけど遠回り

2.騎士団領経由ルートで行くよ
モスボラから北進し、騎士団領を通って行くルート、騎士団領の町を見ている暇はない

↓1か2選択

ソピア「まっすぐ北進するルートで行くよ」

ソピア「多少道が険しかったりモンスターが強かったりしても構わないし、騎士団領もちょっと見ておきたいしね」

ヒレア「騎士団領の町を見る暇あるの?」

ソピア「ちょっと町並みが見れればいいんだよ。騎士団は軍や聖教会とは関係ないんでしょ?」

ヒレア「別の団体ってことは知ってるけど、協力はしてるんじゃない?」

ソピア「……協力してないことを祈ろう」


ソピア「これは……街道というより」

マリン「獣道ねー」

ヒレア「そこまでひどくはないわ。舗装されてはいないけど……」

ソピア「最初の冒険を思い出す……。ハーバリアへの道はこんな感じだったなぁ……」

マリン「歩くたびにモンスターがいたわー」

ヒレア「戦いは避けられない?」

ソピア「そうだね。まあ油断さえしなければ、不意打ちも受けないし余裕だけど……」

ヒレア「だったらお姉ちゃんに少し相談があるの。私、いま爪で戦ってるじゃない」

ソピア「うん。あまり人間らしくはないね……」

ヒレア「だから別のものを使おうと思う。お姉ちゃん、『魔剣』って魔法知ってる?」

ソピア「武器じゃなくて魔法?」

ヒレア「聖なる光で武器を作り出す『聖光剣』の黒魔術版よ」

ソピア「あぁ、アリアンさんが使ってた……」

ヒレア「実は名前こそ『魔剣』ではあっても、剣の形じゃなくても斬れるものなら何の形でもいいんだけど……」

ヒレア「どんな形がいいかしら?」

ソピア(オーソドックスな西洋剣、東洋の刀、フランベルジュ、鎌、ハサミ……)

ソピア(変わったところだと、扇、銃剣、十字架、骨、実体のない剣……)

ソピア(ヒレアちゃんに似合うのは何だろう?)


↓ 魔剣の形状を選択

ソピア(鎌や長い剣だと使いづらいかもね……爪とあまり変わらない武器がいいかも)

ソピア(えーと、えーと……両手に持てそうな……あっ!)

ソピア「小太刀! ……って言うんだっけ?」

ヒレア「知らないわ」

ソピア「タロウさんのお店でちょっと見た、キョウトの人が使ってる短い刀で……」

ヒレア「どんな見た目?」

ソピア「ちょっと地面に描いてみる! たしか……こんな感じ……だったような」


↓コンマが高いほどソピアの画力は高い

コンマ28:残念な腕前(何を描いているのかは分かるレベル)


ヒレア「短い剣ね」

ソピア「フィナの短剣みたいになった……あっちは両刃だけど」

ヒレア「これを両手に持つのね」

ソピア「キョウトの人が見たら笑いそう……」

ヒレア「いずれ実物を見たときに直せばいいわ」



~ヒレアの追加スキルセット~

現在ヒレアちゃんは『ダークボール(誘導・炸裂)』『ダークミスト』『インフェルノ』『吸血』『侵蝕』
『明けぬ夜の呪い』…空を闇で覆い尽くす、発動中眠った者は決して目覚めない
『生命の加護:極』…傷を負ってもすぐに回復する
『霧化』…自分の身体を霧に変える、風で吹き飛ばされることはない
『生命ドレイン』…眠らせた相手から生命力を吸い上げる
『飛翔』…霧を翼に変え高速で飛び回る
『ギロチン』…急接近し勢いよく相手の首などを斬り飛ばす
『復活呪い』…この呪いがかかったまま死ぬとゾンビとして蘇る
『血の呪い』…様々な呪いを一度に書き込む
『血の雨』…傷口から染みこむ血の呪い
『魔剣』…黒魔術で生み出した小太刀を振ったり投げたりする
を持っています

『ヒール』…お母さんから教わった回復の白魔術を思い出す
『ミストギロチン』…霧を刃に変えて遠隔攻撃する
『ブリザード』…命を枯らす死の寒風を呼び出す
『死体使役』…復活呪いで蘇った死体に指示を出す
『幽霊対話』…幽霊と交渉することができるようになる

↓1、2 追加スキル選択

舗装されていない、土がむき出しになった道は、次第に小石が増え足場の悪い上り坂に変わった。

所々で岩山がせり出すように道を狭めている。

デコボコかつジグザグ。馬車では進めないような悪路であった。


ヒレア「……歩きづらい」

ソピア「……回り道した方がよかったかな?」

ヒレア「そうかもね」

マリン「右前方ー! 岩の後ろにモンスターよー!」

ソピア「何もこんな所で……」

ヒレア「こんな所だからでしょ……」


↓1、2 >>6の表でモンスター作成

ネオンオオトカゲ。

華やかな姿をした、爬虫類で一番のダンスの達人。ダンスの際は全身が眩く光り周囲は熱気に包まれる。

このレーザー光は狩りにも使われるため、ダンスを見物する際は失明の危険性があることを考慮しておこう。


ジャン!

岩の上に跳び乗ったトカゲは、素敵なポージングを決めている。

ヒレア「えっ」

一行の注目を集めたのを認めると、トカゲはやにわにキレのあるダンスを始めた。

そのテクニックと斬新さは、トカゲ界のみならず人間界でも十分に通用するだろう。

マリン「踊りを見せてくれるのねー♪」

ソピア「す、すごい……! こんなに人の心を震わせるダンスができるモンスターがいるだなんて……!」

ヒレア「えっと、いいの……?」

続いて、トカゲは身体に空いたいくつかの窪みから色とりどりの光線を放ちながら、優雅な舞踏へと動きを変えた。

トカゲの隣にパートナーを幻視させる軽やかな足さばきは、社交ダンスを専門とするソピアをも唸らせる出来栄えであった。

ソピア「彼?彼女?が人間で無いことが悔やまれるよ……!」

マリン「音楽もほしいわー。らーらーらー♪」

ジュッ

トカゲがターンすると共にレーザーが薙ぎ払われ、一筋の赤い光線がヒレアの目前の岩に焦げ跡を刻んだ。

ヒレア「感動してる場合じゃない!」

ソピア「はっ」


1.ヒレアが速攻
2.負けじと光線魔法
3.負けじとダンシング

↓ はずれは一つ

なんのひねりもなくはずれは3



ソピア「そろそろ潮時っ!」

対抗するように放った光線魔法は一撃でトカゲを失神させた。

ソピア「あれ? 強く撃ちすぎた……」

ヒレア「もしかして悪魔の影響……!?」

ソピア「いや、精神力を上げた成果かな……」

マリン「はりきりすぎよー」

ヒレア「でも、よかった。もしまだお姉ちゃんが動かないようだったら私が止めようと思ってたわ」

ソピア「もうちょっと見ていたかったけどね」

ヒレア「モンスターの踊りには注意して。魅了してくるのもいるから」

ソピア「ダンスでも魔法でも負けたら笑い話にもならないね……」


なおも岩場を慎重に進むと渓谷に突き当たった。

視界が急に開けると共に、柵の無い断崖絶壁が一行を出迎えたのだ。

ヒレア「……お姉ちゃん、道はあってるの?」

ソピア「一応、崖を降りれそうな道はあったけど」

マリン「あっちに吊り橋があるわー」

ヒレア「危ないわ……。私が霧にお姉ちゃんを乗せて向こうまで飛んでいったほうがいいと思う」

ソピア「どうしようかな」


1.飛んで向こう側へ行く
2.吊り橋を渡る
3.慎重に崖を降り、向こう側の崖を上る

↓ 襲われるモンスターが変わる

渓谷の底、ある戦士の一団が大きな鳥のモンスターと交戦していた。

剣士「メイサー、交代!」

メイサー「また俺かっ。せいやっ!」

岩魔術師「全く……厄介な性質のモンスターね!」

僧侶「大型モンスターですからね。深追いは禁物です」

剣士「体当たり来るぞっ!!」

岩魔術師「属性は!?」

メイサー「知らん、とにかく跳べ!」

僧侶「きゃああああ!」


メイサー「くっ、見失ったか……」

剣士「僧侶! 怪我は無いか!?」

僧侶「私は大丈夫です。それよりも警戒を怠らないでください」

岩魔術師「また来たわ! ……ってあれ? 違う?」

彼らが見たのは、黒いもやの塊。

よく見ると、白い4枚の羽根を羽ばたかせる少女の下に、うつぶせで黒い半透明の塊に包まれた少女がもう一人おり、また、小さな人影が随伴して飛んでいるのが分かる。

岩魔術師「……何、あれ?」

メイサー「旅人っつーより、新手のモンスターに見えるぞ……」

僧侶「黒い霧……先日の吸血鬼騒ぎと関係が?」

剣士「アレだけで手一杯なのに吸血鬼とまで戦いたくないな……」

岩魔術師「……ああっ、あぶない!!」

先ほどまで戦っていた大型モンスターが、背後から空飛ぶ人影へと急接近し、屈強な脚で思い切り突き飛ばしたのを見て彼らは面食らった。

メイサー「俺たちがちんたらやってるせいで被害者が……!」

岩魔術師「川の反対側っ! 急ぐわよ!」

エンチャントイーグルキング。

荒野に棲むフルフィリア空の覇者。自分以外の空を飛ぶものを何でも襲う習性を持つ。

高さ3mを超える巨体で全身が武器と言えるほどの筋肉を誇りながら、様々な魔法をも使いこなす知性を兼ね備える。

フルフィリア王家の象徴とされるモンスターの一つである。


マリン「ソフィー、おきてー!」

ソピア「な、なにが……?」

イーグル「ヒョォォォォオオオ!!」

ソピア「きゃっ! ヒ、ヒレアちゃんは」

ヒレア「おね、えちゃん、無事でよかった……」

ソピア「ヒレアちゃん……まさか私をかばって……!」

ヒレア「わ、たしは、すぐに、なおるから……それまで、死なないで!」


ソピア 体32 精52 光線(普・精・拡・必)・流星・精神・拡散精神・魅了(単・全)・恐怖・混乱・幻覚・多分身・迷彩・盲目・光弾・活力・癒し
マリン 体10 精50 風殴・追い風

1.回復の杖でヒレアの治療
2.迷彩マントをかぶって逃走
3.攻撃する
4.開幕必殺技
5.魅了を試みる(精神52のため、コンマ48以上で成功)
6.恐怖させてみる(コンマ48以上で成功)
7.攪乱してみる(コンマ48以上で成功)
8.自由安価

1週間放置してすいません、明日ソピアが死にかけるところから再開します

ソピア(時間稼ぎなら……!)

イーグル「ピュールルルロォッ!」

マリン「気を付けて、空気が変わったわー!」

ソピア(今のうちに、分身!)

飛び立たず、両脚を使って突進してきたイーグルは、ソピアの狙い通り分身に体当たりし、岩壁に激しく身体をぶつけた。

ソピア「やった!」

しかし、振り返ったイーグルの頭から出血は見られない。

石屑にまみれたイーグルと目が合った瞬間に、目つぶしの光を浴びせる。

イーグル「ピギャァーッ!」

ソピア「よし、決まった!」

マリン「待って、あれ見てー!」

全身の羽が逆立ち、硬化してトゲのようにイーグルの身体を覆っている。

ソピア「防御態勢……?」

ソピアの予想は外れていた。

イーグルは羽のトゲに覆われたまま、翼を振り回しながらデタラメに走り始めたのだ。

ゴゴン グシャァン

魔法によって鉄のような硬度を得た羽は点在する岩々を容易く破壊する。

横になって回復を待っていたヒレアも脚に跳ね飛ばされる。

ソピア「……あ」

激しく暴れるイーグルを前に身動きの取れないソピアの目前にも翼が迫って……


123 マリンの自己犠牲
456 ソピア、死す
7890 いつのまにか覚えていた防御魔法

↓コンマ一桁

今日は進めてないようなもので申し訳ない
明日更新で学園都市に到着させる、それと番外編も投下する

ソピア 体22 精42


目の前が真っ黒になった。

ソピア(あぁ、死んだ……あれ、まだ痛みがある?)

腕をうごかして辺りを探ると、どうやらうつ伏せに倒れていたようだ。

ソピアの下には黒い鳥の羽が散らばっている。

ソピア(黒い羽? ヒレアちゃんの翼はコウモリ型だし、このモンスターは茶色いし、マリンの羽根は実態が無いし……どこから?)

イーグル「ピギィーーッ!」

ソピア「ま、まだいた」

再び、目が合った。

盲目の魔法はソピアが突き飛ばされた時点で解けていたのだ。

離れた位置から翼が振られ、何枚かの羽が矢のように放たれる。

ソピア「ひぃっ……えっ」

一歩も動けないソピアの目の前に、黒い羽が集まって浮かび上がり、茶色の矢羽を受け止めていた。

矢羽が、爆発する。

ソピア「きゃっ! で、でもなんで……まさか、あれは私の魔法?」

試しに念じると、ある程度意のままに動かせた。

ソピア「……」

イーグル「……」ザッ ザッ

ソピア「……今はよく分からなくても頼らなきゃ」


例1.お返しの矢羽攻撃
例2.対抗して大声で叫ぶ
※自由安価

↓安価でソピアの行動指針、なおコンマ一桁が高いほど優勢だが行動次第で変化する

コンマ:1 工夫の無い攻撃:-2 結果:嘘みたいな負け方



ソピア(この羽で、お返しの矢羽攻撃! きっと特殊な効果もあるに違いない!)

手を前に振るい、宙に浮いた羽に指示を出すと、羽は先端をイーグルに向けて飛び始めた。

へろへろ、ふらふらと。

ソピア「……あれ?」

マリン「ソフィー、バック!」

まるでこうやるのだと言わんばかりに、ソピアの立っていた所に茶色の矢羽が カッ カカッ と音を立てて刺さる。

そして爆発。

ソピア「ごほごほっ、まだまだ!」

爆炎の隙間から、爆発に吹き飛ばされてイーグルの足元に転がった黒い羽が見えた。

ソピア「……刺さった! どう! これで私の勝ち……」

イーグルは指に何か刺さったことにも気づいていない様子で次の羽を放っていた。

ソピア「え、本当に何の効果も無いの……!? と、とりあえず盾を」

羽で作った盾を用意し爆発を待ち構えるも、動きが無い。

ソピア「……まさか、これはダミー」

マリン「上よー!」

ダァン!

羽へと落ちた雷がソピアを巻き込んで、荒野に稲光と雷鳴を轟かせた。

ソピア「…………あ……マ、リ……に……げ」

マリン「ヒレアー! ソフィーがー!」パタタ

イーグル「ヒョオォォ」

まだ人間に息があると判断したイーグルは、再び羽根を逆立ててトゲの鎧を纏い、さらに全身を炎に包むと飛び立った。

そして、急降下から錐もみ回転を加え、人間を削り取るように体当たりした。

3mの体躯を持つイーグルにとって、人間は食べにくい上に食べる部分も少ない動物である。

しかし雛鳥がいれば生焼けのミンチ肉を集めて持ち帰り与えるのだろう。


12345 このイーグルは独身鳥、今のは雛ができたときの練習
6 10㎏持ち帰った
7 20㎏持ち帰った
8 30㎏持ち帰った
9 40㎏持ち帰った
0 全部かき集めて持ち帰った

ミンチ肉は雛鳥の食糧だ。大人には小さすぎるし、別の食べやすい獲物を探した方が手っ取り早い。

また、イーグルは先ほど戦った手練れの戦士たちの事を覚えていたため、一刻も早くこの場を立ち去りたかった。

人間と違いもはや食べることもできない妖精が何か騒いでいるが、無視して巣への帰路につく。

イーグル(ピィ、早く雛が欲しいわ。でも仲間が少ないから出会いの場が無くて困っちゃうわね)

イーグル(顔が気に入らなかったらオスは私に攻撃してくるし、出会えても手放しで喜べないのよね……)

鳥だって悩みを抱えながら毎日を生きている。


ヒレア「再生に時間がかかった……何あの鳥、一流の魔術師?」

ヒレア「お姉ちゃん、どこ……?」

マリン「うわーん! ヒレアー!」

ヒレア「マリン! お姉ちゃんは?」

マリン「それとそれよー!」

ヒレア「どういうこと……」

マリン「ソフィーがハンバーグになっちゃったわー!」

ヒレア「うそ……やめてよ、マリン!」

マリン「嘘じゃないわー!」

荒野に棲むネズミ型モンスターが目ざとく大型モンスターの食べ残しを見つけた。

上空からは小型の鳥たち、地面に目を凝らすと虫たちがどこからともなく集まってくる。

ヒレア「食べないで! お姉ちゃんかもしれないんだから食べないで!」

ヒレアの姿が弾け、谷に黒い霧を充満させていく。

虫、植物、マリン以外の妖精に至るまで、あらゆる存在が眠りについた。

ヒレア「お姉ちゃん……お願い……出て来てよ」

マリン「あー、これソフィーの服よー」

ボロきれのようになってしまっていたが、それは確かにソピアの着ていた白いワンピースだった。

ヒレア「そんな……ことって」

ヒレアは吐き気をこらえ、肉片を拾い一か所に集めた。

どこかへ運んできちんと埋葬するために、ワンピースだった布でそれをくるんだ。

ヒレア「お姉ちゃん、私がきちんと弔ってあげるからね。私の注意不足で……ごめんなさい」

むくむくむくっ

ソピア「あれ? ヒレアちゃん?」

ヒレア「ん……? 幻覚……?」

ソピア「私、死んだんじゃなかったっけ?」

マリン「キャー、まるでワタシたちみたいな復活ねー」

ヒレア「……今の気配は……天使……?」

ソピア「あぁっ、思い出した! 私、王都で生命の天使に一回限りの加護をもらってたんだ」

ヒレア「えっ、ということは……お姉ちゃんは……生きてるの?」

ソピア「生きてるよ。イーグルはどこ?」

ヒレア「うわぁぁぁん!」

剣士「君たち! 奴に襲われたのか!」

岩魔術師「妙ね。怪我は無いのにボロボロだなんて」

メイサー「空も飛んでたし、ただ者じゃないってことか。いや、追及はしないから安心してくれ」

僧侶「あ、あの、これをどうぞ」

ソピア「ローブですか? 私、聖職者じゃないですけど」

ヒレア「お姉ちゃん、全裸じゃない。この僧侶さんは自分の着替えを恵んでくれたのよ」

ソピアはひどく赤面した。


※生命の加護は消滅した
※白ワンピースはぼろきれになった
※聖なるローブを着た

ソピア一行はイーグルを追う戦士たちと別れて、徒歩で旅を続けていた。

ヒレア「うかつに飛ぶのも危ないのね……」

ソピア「心配かけてごめんね。でも、一人で飛んでたらどうにかなったでしょ?」

ヒレア「わからない。私より飛ぶのが速そうだし、魔法が使える相手だから、決着がつかないと思う」

ソピア「ヒレアちゃんがいれば敵なしだと思って油断してたかも……」


渓谷を越えると、さらに変わった岩場が待ち構えていた。

大きな岩が組み合わさった複雑な地形で、半分洞窟になった場所が点在している。

ソピア「相変わらず歩きづらいけど、日陰で涼しいし良かった」

ヒレア「光は少し入ってくるから楽ね」

マリン「看板よー」

ソピア「何々、モンスターの巣に注意……!?」

ヒレア「……霧の用意をしておくわ」


ソピアたちを襲うのは

1.エンチャントイーグルベビーの卵
2.電気イワトカゲの奇襲
3.オオバネコウモリの大群

今日はここまで。全然進まなくてごめんなさい。まさか死ぬとは思わなかった。

番外編は前スレに投下しました。苦手な人もいそうなテーマなので注意。

実は俺様・黒ヘタレ・おねショタが書きたかっただけ。犯罪臭。

>>60は例から選ぶと不利になる仕様でした、ただしコンマが9あればたとえイーグルの頭に上ってダンスの練習をしても死にはしなかった

明日長めにするつもりだけど、せっかくだし少し進めます

ヒレア「洞窟が3つに分かれてるわね。マリン?」

マリン「全部から気配がするわー」

ソピア「どのくらいいるか分かる?」

マリン「……左は小さいのが少し、真ん中は200よりいっぱい、右は大きいのが一匹よー」

ソピア「左だね」


マリン「ソフィー」

ソピア「うん?」

マリン「モンスター、足元よー」

ソピア「わあっ!」

チクチクした雛鳥「ピィ!」

ヒレア「巣から落ちたのかしら。……この子の威嚇、いがぐりみたい」

ソピア「まんまるでかわいい。拾ってみよう」 バチッ 「いたっ」

ヒレア「大丈夫? 刺された?」

ソピア「今のはたぶん静電気。…………電気、トゲ、まさか」

顔を上げて正面に視線を戻すと、巨大な鳥の巣を、天井に空いた大穴から差し込む光が照らしていた。

2人の見ている前で光が遮られ、そして同時に大きな羽音が聞こえた気がした……。

ソピア「……引き返すよ!!」


ソピア「大きくても、先手が取れれば……」

ヒレア「でも、どこにいるの? 大きいなら見えるはずでしょ」

マリン「100mくらい奥よー」

ソピア「……姿が消せる相手かも」

ヒレア「ここから霧を吸わせる?」

ソピア「大型はすぐに気絶しないよね。回り込まれたら……」

ヒレア「戻りましょ。お姉ちゃんを守りきれない相手とは戦いたくない」

2人は慎重になっていた。

実際には動きの遅い大トカゲが岩に紛れていただけなのだが、2人はそれを知る由もない。

ヒレア「どうするの? 200匹以上のモンスターの群れの中を走り抜ける?」

ソピア「でも、小さいのって動き速そうだよね……」

ヒレア「こここそ霧の出番ね」

ソピア「大きい洞窟だし大変じゃない?」

ヒレア「……ウベローゼンよりは狭いでしょ」

ソピア「まあ、そうだね……。どうせ安全なら、ちょっと試してみよう。えーと、ここに……よし、破けてない。迷彩マント!」

ソピア「私とクリスティさんの共同制作だよ。さあさ、入って入って」



オオバネコウモリ。

夜間の長距離飛行を得意とするモンスター。夜になると集団で森へと飛来する。

周辺には多数の巣があり、コウモリの総数は万を超える。天敵は多いが多少減っても問題ない。

メタ的に言うとソピアを始めて殺した(しかもヒレアの目の前で)因縁の相手。


ソピア・ヒレア((このコウモリ、見覚えある……))

2人とマリンで迷彩マントにくるまって歩き、進行方向を確認するため顔だけ出してみたところ、地面に降りていた一匹のコウモリを見つけた。

ソピア(はじめて死ぬ想像をしてしまった時の相手だ……)

ヒレア(はじめてのお仕事で戦った相手ね)

マリン(このコウモリこっち見てるわー)


1.迷彩マントを羽織ったまま慎重に通り抜ける
2.霧で一網打尽にする
3.魔法の練習台にする

3の後に2という意味だと受け取りました



ソピア「ヒレアちゃん、せっかくだからこのコウモリたちを使って訓練しよう」

ヒレア「危なくないの?」

ソピア「きつくなったら霧で残りをまとめて倒しちゃおう」

ヒレア「そうね。なら、私は魔剣の練習を」

ソピア「私はさっきの羽の魔法かな」

ヒレア「何それ?」

近くのコウモリ「キー!」

ソピア「あとで話すよ!」

ヒレア「危なくなったら叫んで!」


ソピア(さっきはすごく遅かったけど、集中すればもっと速く飛ばせるはず……いや、飛ばす!)

ソピア「まずは羽を召喚して……行って!」

狙い撃つことには慣れていた。正面から飛んできた3匹のコウモリは黒い羽に刺し貫かれ一瞬で絶命した。

ソピア「次は、後ろ……あれ?」

振り返ると、そこにも3匹のコウモリの死体が転がっていた。

ソピア「まさかこれって……」

ソピアの周囲に生まれた羽が視界の外で縦横無尽に舞い、コウモリの死体の山を築き上げる。

ソピア「狙い撃つ必要もなかった……!」


ヒレア「……かかってきなさい」

自らコウモリの群れに飛び込み、両手に持った小太刀の色々な振り方を試す。

噛まれたところで所詮はコウモリ。自慢の毒も飛行能力も何もかもが吸血鬼には通じない。妖精が神々に挑むようなものだ。

ヒレア「いたたた、うっとうしいわね。これなら剣を離して殴った方が楽そう」

噛みついて離さないコウモリを一旦振り払うために飛び立つ。黒魔術を使っている最中であるからか、その背中の羽根はコウモリとお揃いだ。

ヒレア「ん。飛んだ方が使いやすいわ。力を抜いても斬れるから適当に回ってるだけで、あっ」

力を抜きすぎて小太刀がすっぽ抜けてしまった。一匹のコウモリを地面ごと貫いたが、取りに降りるのは面倒くさい。

ヒレア「ええっと。あっ、作ればいいのね。本物じゃないし」

霧が凝り固まり、手元で小太刀の形を取る。一方、地面に刺さった小太刀は空気に溶けて消えた。

ヒレア「ついでにミストギロチンも。……うーん、狙いが付けづらいし、お姉ちゃんが危ないからやめておきましょ」

ソピア「全滅させてしまった……」

ヒレア「まさか霧を出したら巣を捨てて逃げちゃうなんて」

マリン「きっと夜だと思ったのねー」

ソピア「そして外であの鳥に思いっきり攻撃されてたね……」

ヒレア「やりすぎちゃったかしら。この地域の主みたいなものを怒らせなければいいけど……」

ソピア「まあ、いいんじゃないかな……? 巣はここだけじゃないと思うし、次にここを通る人は楽になると思おう」

ヒレア「人助けね。ところで、少し見てたけど、あの魔法は何?」

ソピア「あの鳥に襲われた時に気づいたら使えるようになってたんだ。これ。えいっ」ポン

ヒレア「……これ、たぶん黒魔術よ」

ソピア「えっ、うそ」

ヒレア「黒いのは大体黒魔術。それか、羽だから白魔術。知らない魔法だけれど」

ソピア「……これからは使わないようにしよう」

ヒレア「私のダークミストも邪教徒さんは知らないって言ってた。この羽は名付けてダークフェザーね」

ヒレア「その内お姉ちゃんも飛べるようになるんじゃない?」

マリン「一緒にお空の散歩を楽しみましょー♪」

ソピア「あまり楽しみじゃない……」

ソピア(今だってできることなら人間やめたくないもん……)


ソピア「やっと着いたー!」

ソピアたちの立っている山の下にようやく騎士団領の町が見えた。

ヒレア「山を下りて林を抜けるのが残ってるけど」

ソピア「まだ半分なんだよね……ヒレアちゃんお願い、私を乗せて町まで飛んで……」

ヒレア「くすっ。だったらダークフェザーで飛ぶ練習してみない?」

ソピア「うぅ、歩くよ。ヒレアちゃんのイジワル……」


↓ 騎士団の名前(○○騎士団)(町の名前はそのまま騎士団の名前で呼ばれている)

サウソーシャ騎士団領。

サウソーシャ騎士団はこの地に古くから存在し、フルフィリア王家とも密接なつながりを持つ騎士団である。

その歴史に果たした役割を評価し、昔の王家が固有の領地を与え、騎士団の主権を認めたのがこの領地だ。

開発の進めづらい辺鄙な土地だが、暮らしに不便はなく、騎士は過酷な自然を修行の地として愛した。

騎士団に統治されてはいるが、国境の通過は自由。経済的にもフルフィリアの一部と言って差し支えない。

槍士の上位職、重装騎士のギルド本部があり世界中から腕利きの槍使いが集う。



サウソーシャの落ち着きのある町並みが疲れたソピアたちを出迎えた。

ソピア「今度こそ、着いた……」

サウソーシャの町には槍士ギルド以外のギルドが存在しない。

故に、決して華やかではないが、フルフィリアのどこの町よりも統一感がある。

ヒレア「通り過ぎるには惜しい町ね」

男性「君たち。今、もしかして南から来たのかい?」

ソピア「はい。モスボラから来ました」

男性「本当に……あの荒地を通って?」

ヒレア「ええ。道なき道だったけど」

男性「すごいな、君たちは若いのに……」

ソピア「何か特別な場所なんですか?」

男性「知らなかったのか? サウソーシャの南は、一流の騎士が自分の武勇を証明するために行く修行地だよ」

ソピア「そんな所通ってきたんだ……」

男性「ははは、普通の旅人はまず通らないよ。よく無事だったな」

ソピア「……あの、北の学園都市に行く道は、整備されてますか?」

男性「学園都市に行く道なんてあったかなぁ。北の森も一般人が入る場所じゃないと思うけど。行くのなら護衛の騎士を雇うのをお勧めするよ」

ソピア「……お昼を食べて休憩したら早足で北へ行くよ。適当な食堂でいいよね?」

ヒレア「変なお店じゃなければどこでもね」


1.西部:サウソーシャ宿屋通り 周辺
2.南部:名誉の広場 周辺
3.中央部:騎士団本部 周辺

ソピア「もうこの辺りでいいよね。ちょうど広場でたくさんお店あるから」

7680G→7580G

特筆すべきことはない食事時間を終え、2人はお腹が痛くならないよう、急ぎすぎない程度に町の北へ歩みを進めていた。

ヒレア「さっきお店から見えてたけど、あの大きな銅像は誰なのかしら」

ソピア「進行方向だしちょっと見てみよう」

広場の中央に、長いランスを高く掲げた騎士の像が堂々と立っていた。

ソピア「名誉の像。へぇ、歴史上初めての重装騎士で、サウソーシャ騎士団の初代団長の人なんだ」

ソピア「胸に付けた三枚の羽は成体のマウンテンモア、クロノクロウ、エンチャントイーグルの翼から毟り取ったもの。勝利の証であり騎士の名誉である」

ヒレア「槍の影は日時計になっているが、これは後世の町人たちが便利だからと広場に書き足したものである……何それ、面白い」

ソピア「本当に尊敬されてるのかなって話だよね……」


女性「フルフィリアからの独立を!」

男性「騎士の誇りを忘れたかー!」

老人「名誉騎士を殺めた共和国を許すな!」

広場の一角で町人の集団が看板を掲げて大声を上げている。

ソピア「なにごと……?」

女性「貴女たちも少し話を聞いて行ってください!」

ソピア(つかまった……)

女性「革命軍はここ、サウソーシャで無関係な人間を殺したのです!」

老人「三枚羽の勲章を持つ名誉騎士たち、彼らは善意で王国軍に協力していた……それを仇で返しおった!」

男性「我々は悪しきフルフィリアからの経済的独立、そして国交の断絶を目指しています! どうか署名にご協力ください!」

ヒレア「……私たち急いでるの」

ソピア「旅人の署名はきっと無視されると思います。もう行きますね……」

広場の片隅に落ちていた新聞を拾って読んだ。

ソピア(サウソーシャの町の人たちは、騎士団の名誉騎士たちを尊敬し誇りに思っていたらしい)

ソピア(騎士団の一部は王家との同盟関係を維持するため王国軍に在籍していた。そして、王家は国を守ってくれる騎士の家系に貴族の称号を与えていた……)

ソピア(結果、共和国軍は一応他国であるはずのサウソーシャの騎士たちも捕らえ処刑した。それをかばおうとした住民も容赦なく皆殺しにしたらしい)

ソピア(サウソーシャ騎士団も表面上は共和国軍に協力している。でもほとんどの住民は良く思っていない。……それが記事の端々から読み取れた)



サウソーシャの町にはちょうどソピアの知人が来ています

トール・キュベレ・フィナ・エルミスから選んでください

↓1、2 1人ずつ選択

「あのー、もしかして、ソフィアさんとヒレアさん?」

ソピア「あっ、あれ? トールくん? 奇遇だね」

トール「人違いじゃなくてよかった……ヒレアさん、祝勝会ぶりですね」

ヒレア「その話はやめて……」

ソピア「私たちは仕事で通りかかったんだけど、トールくんはどうしてここに?」

トール「僕も仕事ですよ。護衛です」

ソピア「護衛!?」

ヒレア「トールが……護衛?」

トール「なんですかその反応! 僕にだって護衛は務まるんですよ!」

ソピア「冗談だよ。モンスターの気配が探れるのは有利だよね」

マリン「ワタシと同じねー♪」

ソピア「あ、トールくんには紹介したっけ。私の使い魔のマリン」

トール「僕は妖精と同じ扱いですか……」

ガシッ

ソピア「ぐえっ!」

ソピアは突然、首を掴まれた!

「おーっほっほ! 変な声、無様ね! 思わぬところで捕まえたわ!」

ソピア「この声は……!? まさか、エルミス!? で、でも、こんなところにいるわけが!」

エルミス「そう、いかにもこのわたし様よ! 泣いて喜びなさい!」

ソピア「うわぁ~ん! 急いでるのにぃ~!」

ヒレア「お姉ちゃん、敵?」

トール「いえ、たぶんふざけてるだけかと……」

エルミス「なによ、この娘たち? ははーん、わたしへの捧げものね! いい心がけだわ!」

ヒレア「やっぱり敵じゃない!」

トール「いえ、たぶんただの頭の変な人です……。だから剣はしまいましょう!」

ソピア「もう仕方ないし紹介するから一旦落ち着いて……その前にエルミスは首から手を離して……」


通り沿いのベンチ。

ソピア「こちらが風魔術師のトールくん、こっちは黒魔術師のヒレアちゃん。あ、2人とも魔法競技会のチームメンバーね」

エルミス「ふーん。なるほどねー……」ジロジロ

ソピア(エルミスは2人を品定めするように見ている!)


↓1コンマ エルミスがトールを評価します、01が最小00が最大
↓2コンマ エルミスがヒレアを評価します

トール:90点
ヒレア:75点


エルミス「トールはショートカットもズボンも似合ってない、髪を伸ばしなさい! ヒレアは格好が浮世離れしすぎ、流行りの服を着なさい!」

エルミス「そしてソフィーは修道女のコスプレ意外と悪くないわね!」

ソピア「突っ込みどころ多すぎるよ! ……とりあえず、ありがとう」

ヒレア「ファッションチェックだったの……!?」

トール「あの、僕は」

エルミス「コホン! 今のはお洒落で愛らしいわたしからのサービスよ。で、本題だけど……」

エルミス「トール、あなたをわたしの下僕に加えてあげるわ!」

トール「嫌です……。それと僕は」

エルミス「これは提案ではなくて決定よ。勘違いしないでちょうだい。そして、ヒレア」

ヒレア「……何」

エルミス「あなたはソフィーの妹よね。ソフィーは一流の下僕なの。だから特別にあなたも下僕の一員になることを許してあげる」

ヒレア「……」

エルミス「ふふっ、喜びのあまり声も出ないようね。ああ、わたしって何て慈悲深いのかしら」

ヒレア「……ねえ、お姉ちゃん。これ、斬っていい?」

ソピア「我慢して。……エルミス、私、前に言ったよね。そんな上から目線じゃ誰もついてきてくれないって」

エルミス「でもトールはほぼ満点よ。年齢・性別的にわたしたちに交じってバランスがいいもの。減点したのも風魔術師はメジャーだからってだけよ」

トール「待って」

エルミス「競技会の優勝チームだから優秀なのは分かってるし、下僕にしない手は無いじゃない」

トール「僕は男ですよ!!」

エルミス「冗談は空気を読んで言いなさい! どこまで話したかしら……」

ソピア「エルミス。トールくんは本当に男の子だよ」

エルミス「えっ、そうなの……? …………」

ソピア(エルミスは思案している!)


1234 男の子なの?それなら邪魔ね
5678 一度契約した以上、それを勝手に破棄できないわ……
90 大事なのは見た目!いっそ女になりなさい、命令よ!

↓コンマ一桁

エルミス「……大事なのは見た目! いっそ女になりなさい、命令よ!」

トール「嫌ですよ! なんで僕があなたの言う事を聞かなきゃいけないんですか……」

エルミス「なんかそういう魔法あるんじゃない? それまでは服だけでも、うん、私の服がちょうど入りそうね」

ヒレア「……胸的にはそうよね」

エルミス「何か言った? 下僕、えっと、5号。とりあえずトールは後でわたしの服に着替えてね」

トール「……温厚な僕も我慢できないことはあるんですよ。そんな気持ち悪い事できませんから…………ソフィアさんの前でなんて(小声)」

エルミス「似合えば気持ち悪くないでしょ。キュベレじゃあるまいし」

トール「キュベレさんは自分から進んで着てるじゃないですか…………あれ?」

エルミス・トール「「知り合い?」」

ソピア「……落ち着いたところで、エルミスはまだ自己紹介すらしてないでしょ。ほら」

エルミス「……流石に無礼だったわね、ごめんなさい。わたしはエルミス。いずれこの国を支配する王者の卵よ」

ソピア「性格には間違いなく難があるけど決して悪い子じゃないから。その内分かると思う」

ヒレア「……お姉ちゃんがそう言うなら」

トール「その内って……頻繁に会いたくはないんですけど」


エルミス「ねえ、トール」

トール「なんですか。女物の服なら着ませんよ」

エルミス「その話はまた今度。最近ね、キュベレが気持ち悪いんだけど、何か心当たりはない?」

トール「キュベレさんが気持ち悪いのはいつものことでは……?」

エルミス「そうじゃなくて。普段は気持ち悪いけどいい奴じゃない。最近はそうじゃないから気持ち悪いのよ」

ヒレア「……お姉ちゃん、そんなに気持ち悪いの? キュベレって人」

ソピア「エルミスと同じくらい濃い人かな。私たちには無害だよ」

トール「どういうことですか……?」

エルミス「見てもらった方が早いわね。あいつもサウソーシャに来てるはずなんだけど……」

ソピア「そろそろ聞いていいかな。エルミスはなんでサウソーシャにいるの? 元帥ゴホン、お父さんに町から出るのを禁止されてたんじゃなかった?」

エルミス「ふふん、父上がね、今日サウソーシャで仕事があるからって特別に連れて来てくれたの」

エルミス「わたしのお願いを聞けなかったから、せめて、ってね」

ソピア「そっか。それならみんなでお願いしたのは無意味じゃなかったんだね……」

エルミス「ありがとう。きっと下僕たちのおかげよ。結果的にこうして他の町を見に来れた。また一歩、わたしたちの覇道を前進したわね!」

トール(ソフィアさんには意外と素直……いや、なんにでも素直すぎるだけですね)

ヒレア(下僕って言ってるけど口だけね。普通に友達って言えばいいのに。こういう所だけ素直じゃないのね)

ソピア「でも、よくお父さん、一人で歩くのを許してくれたね……正直、今この町はエルミスには危ないんじゃ……」

エルミス「わたしの顔まで知ってるのは軍の人だけよ」

ソピア「あ、言っちゃっていいんだ?」

エルミス「もうこれからはできるだけ隠し事は無しにしようと思ったの。信頼できなければ主従関係は成り立たないわ」

トール「なんとなく察しはついてるんですけど……何者なんですか?」

ソピア「トールくん、ヒレアちゃん、耳貸して」

ソピア「…………リアクションは抑えてね……ブラッドレイ元帥の愛娘。私も最近知ったの(小声)」

トール「ああ、偉そうと思ったら、本当に偉かったんですね……」

ヒレア「……お姉ちゃん、その、大丈夫なの?」

ソピア「エルミスは大事だよ(軍に対抗するための鍵的な意味で)。ヒレアちゃんと同じくらい」

ヒレア「……そういうこと」

エルミス「ふうん、主と妹が同じくらいなのね。まあわたしもソフィーと父上をどちらか選べと言われたら迷うから文句は言わないわ」


ソピア「私たちはそろそろ行くね。またウベローゼンで」

エルミス「待ちなさい。何の仕事?」

ソピア「学園都市の学園祭で警備の仕事。急がないと間に合わないかも」

エルミス「学園祭……うらやましいけど、しょうがないわね」

トール「あの、ソフィアさん。僕も一緒に行ってはダメですか? 仕事は終わったので、ついでに学園都市の図書館を見に行こうかと」

ソピア「どうしよう……道なき道だからトールくんにはきついかも」

エルミス「トールは残りなさい。わたしとキュベレを探して。本当に気持ち悪いんだから!」

トール「はあ……まあ、ソフィアさんに断られたら、いいですよ。僕も気になりますからね」

ソピア「うーん……」


1.トールも学園都市に連れて行く
2.トールだけじゃなくいっそエルミスも連れて行く
3.トールには残ってもらう
4.少し留まってソピアもキュベレを探してみる

ソピア「うん、トールくんも来てもいいよ。ただし自分の身は自分で守ってね」

トール「峠道とはいっても街道が整備されてますから……むしろ僕がソフィアさんを守ります」

ヒレア「街道はないって聞いたけど?」

トール「……まさか、王都を通らずに北の森を抜けるんですか……!?」

ソピア「急ぎだからね」

エルミス「下僕はなんにも知らないのね。サウソーシャの北は魔物の森、南は過酷な荒野、西は高山地帯。どれも熟練の戦士でないとあっという間に死ぬのよ」

ソピア「知ってるよ。私たち南の荒野を抜けてきたもん」

エルミス「ふーん、このわたしの下僕ですもの、当然よね」

トール「まあ、ヒレアさんが一緒なら何とかなってもおかしくない……です。僕も森に行きますよ」

ソピア「じゃ、エルミスはまたウベローゼンで。お父さんによろしくね」


学園都市は……

1.海にほど近い古都、古びた建物が学問の歴史を感じさせる
2.高原の涼しい風が頭を冴えさせる町、真新しい学舎と緑のコントラストが美しい

↓先に2票入った方、学園祭で起こる可能性のあるイベントがいくつか変わったりする

ソピアたちと別れたエルミスは、しばらくの間サウソーシャの町でキュベレの姿を探した。

父親にオーグロス陸軍大将は予定が変わって別の町へ行ったと聞いた後、ようやくエルミスはトールがいないとキュベレに会う意味が無いことに気が付いた。

その後、エルミスは買ってもらったもののほとんど着ていない洋服を思い出し、どれをトールに着せるかばかり考えていた。

他の下僕たちにも似合うものを与えましょう。主たるわたしに近づけるのだから間違いなく大喜びするでしょうね。

気付けば下僕の中でもトールのことばかり考えていたが、まだ精神的に幼いエルミスは、それが恋心である可能性は全く考えもしなかった。


一方ソピアたちは、森を切り開かれて作った林道を進んでいた。

足元には比較的平らな石が並べられているものの、整備された街道と比べると歩きやすさは雲泥の差がある。

木こり小屋や騎士の休憩所が見えなくなると、トールが早々に音を上げた。

トール「も、もう脚が痛いです……」

ソピア「そういえば……王都でも王宮に上る坂でひぃひぃ言ってたね」

マリン「やーい♪ トールの役立たずー!」

ヒレア「……来ない方がよかったんじゃない?」

トール「で、でも……流石に妖精に負けたままリタイアするわけにはいきませんよ……!」

トール「競技会の次の日からまた、毎日訓練に励んだんですから……!」



~トールのスキルセット~

現在トールくんは
『風魔法:殴』『エアバッグ』『追い風魔法』『気配察知』『属性察知』『空気制御』『速読』
を持っています

『風魔法:斬』…風の刃で切り裂く魔法
『つむじ風』…直接攻撃はできないが物を持ち上げ投げることができる
『エアボム』…好きな位置に圧縮された空気を生み出し爆発させる
『魔力収集』…周辺に漂う魔力を一点に集める、通常の魔法を強化できる
『魔力察知』…近くの魔法使いおよび魔法がかかった物を察する
『気温制御』…エアコン魔法
『停止魔法』…空気で対象を強く押さえつけて動きを止める

↓1、2 持たせるスキル選択

学園都市はエディンバラのイメージ



トール「競技会で即興で使った魔法を鍛えて、人の動きを止めたり、物を浮かせて飛ばしたりできるようになったんですよ」

ヒレア「へえ。……抵抗できない少女のスカートめくり放題ね」

ソピア「……トールくん……いやらしい」

トール「なんでこんな時だけ男扱いを……そんな不埒な使い方しませんから!」

ソピア「魅了魔法の私が言えたことじゃなかったね」


木々が乱雑になり、敷石も無くなり、今ソピアたちの歩いているのはただの森だ。

できるだけ草が少なく足場の良い地面を選びながら北を目指す。

ソピア「いたたたっ! ……うぅ、ワンピースで草地はまずかったかな。引っかかるし足切っちゃうし」

ヒレア「その点荒野の方が歩きやすかったかもね」←足が切れたそばから自動回復する

ソピア「我慢するよ。本物の修道女さんたちはこんな場所でも白魔術師として戦士について行くんだから……」

トール「……今、北に進んでるんですよね?」

ソピア「そうだよ。……あっ……太陽、見えない」

トール「方位磁針は……?」

ソピア「持ってない……」


1.北を向いていると信じて突き進む(コンマ一桁が低いほどずれる)
2.ヒレアに乗せてもらって飛んでいく
3.木を切って切り株の年輪を見る
4.そこらの妖精を探して案内させる

ソピア「そういえば私は修道女じゃなくて巫女だった!」

トール「へ?」

ソピア「マリン、近くの妖精の場所、分かる?」

マリン「わかるわー。モンスターより簡単ねー。うーん……あっちの方!」

ソピア「追いかけよう。トールくんは休憩してて。ヒレアちゃん、護衛お願いね」

そして20分後……。



プチイグニス。火の小妖精。

火の妖精は攻撃的で自信家だが口げんかに弱い。藪の燃え跡で見つかったこの個体は山火事の妖精。


プチスプライト。水の小妖精。

水の妖精は女性的でお喋り好き。イグニスの上に座って微笑んでいたこの個体は恐らく雨水の妖精。


プチノーム。岩の小妖精。

岩の妖精は口数少なめで工作が得意。チョークでお絵かきしていたこの個体は石灰岩の妖精。


プチニンフ。昼の小妖精。

日属性の妖精は子供っぽい構ってちゃん。木の枝に腰かけていたこの個体は木漏れ日の妖精。


プチピクシー。夜の小妖精。

月属性の妖精は精一杯オトナぶる。昼なのに消えていないこの個体は木陰の妖精。


エンジェル。天使たちのペット的な妖精。

他人のお手伝いをしようとするが大抵ありがた迷惑に終わる。この個体はジョウロで花に水をあげすぎて根を腐らせている。


山火事の妖精:フォレストイグニス「人間サン、オレっちと一緒に火遊びするー? ちょ、いたい! やーめーろーよー!」

雨水の妖精:レインスプライト「アナタはワタクシのイスでしょー、動かないで。人間サン、ワタクシたちになんのごよーじ?」ニコッ

石灰岩の妖精:ライムノーム「……ボク、おえかきに戻っていーい?」

木漏れ日の妖精:ツリーニンフ「お出かけー? ピクニックー? アタシもつれてってー」

木陰の妖精:ツリーピクシー「こまらせちゃだめよ、ニンフ。うふふ、アダルトで落ち着きのあるアタイが話を聞いてあげる」

庭師気取りの小天使:ガーデンエンジェル「人助けがワレワレのおしごとですー! とりあえず足元に水かけときますねー!」

トール「わわっ! ちょっと、ソフィアさん、制御しきれてませんよ!?」

ソピア「……かわいい。お持ち帰りしたい」

ヒレア「キンキン声でうるさい。マリンも最初はこうだったの?」

マリン「覚えてないわー?」

ソピア「ええと、とりあえずシルフは気配察知が特技で、小悪魔は悪戯が得意なだけだから、他の種類を全部集めてみました」

ヒレア「方位が分かる妖精がいるのかしら」

ソピア「聞いてみないことにはね。みなさん、できることを正直に教えてください」

イグニス「オレっちはどこでも着火できるよー! あと、消すのも得意だー!」

スプライト「恥ずかしいのだけどー、ワタクシに口をつけて吸えば水分補給できるわ。他のスプライトにはできないけど、雨も呼べるわよー」

ニンフ「アタシはポカポカしてるよー。あったかいんだからぁー」

ピクシー「子守歌は得意よ。人間サンをおかーさんのように包み込んであげられるわ」

エンジェル「ワレワレは人助けのできる妖精ですー! ジブンにできるのは園芸ですー、髪の毛、間伐しませんかー?」

ノーム「方位……わかるよー」

ヒレア「チョークの子だけ連れて行きましょ」

ソピア「えー……かわいいのに」

ヒレア「黙らせられるならいいけど」

トール「たぶん魔力的な問題ですね……数を絞れば制御できるでしょう」

ヒレア「そうね……あの子だけならいいわ」

ソピア「どの子?」


1.たいまつの子
2.傘持った子
3.大きめの葉っぱを持った子
4.その葉っぱの影に隠れた子
5.ジョウロの子
6.妖精を連れて行かない
7.自由安価

ヒレアは妖精ではなく木の根元を指さしていた。

ヒレア「きのこ」

ソピア「えー……」

ヒレア「お姉ちゃんなんだから我慢してよ。マリンみたいに時と場をわきまえられそうな子がいないじゃない」

ソピア「だったらマリンに聞いてみようか。どの子なら迷惑かけなそう?」

マリン「ソフィーのできないことをできる子がいいわー」

ソピア「そうなると……火は付けられるし、睡眠には困ってないし……太陽の妖精は防寒に使えるかな? 傘の子は他の妖精より強そう」

エンジェル「ジブンはどうですかー!? 足に土をかけておきましたー。これがジブンのアピールですー!」

ソピア「いや……」←目逸らし

マリン「困った子なら食べればいいわ♪ お腹もすいてるし、食べていい?」

ソピア「えっ? いいよ……ってどういうこと」

マリン「いただきまーす」

エンジェル「きゃー!」

血肉が飛び散ることはなく、まるで砂糖菓子がかじられるように、エンジェルの身体が食べられていく!

トール「えええええ」

ヒレア「マリンも捕食するのね……!?」

ソピア「私も知らなかった……」

他の妖精たちは一か所に集まり身を寄せ合ってブルブルと震えている!

エンジェル「もっと人助けしたかったー……」

マリン「ごちそうさまー♪」パクッ

ソピア「完食してしまった……」

マリン「ソフィー。もっと食べてもいいかしらー?」


1.木漏れ日の妖精も連れていく
2.雨水の妖精も連れていく
3.木漏れ日の妖精・雨水の妖精も連れていく
4.方角が分かる岩の妖精だけ連れていく

↓1


A.残りは食べていいよ
B.残りは逃がすよ

↓2

ソピア「さすがに……食べたら悪いよ」

トール「一応人間と似た形のものが、生きたまま食べられてるのはあまり見たくありませんよね……」

ヒレア「……アンブロシアの方がマシね」

ソピアたちは知らなかったが、魔力の補給のため、あるいは嗜好品として、妖精を好んで食べる魔術師もいる。

食べられた妖精はまた自然の中で復活するため彼らに罪悪感は無い。識者曰くジャムが合うらしい。

ソピア「……ごめんね、みんな。行こうか……」

震えている妖精たちに謝り、必要な岩の妖精だけひっつかんで立ち去った。


※マリンがちょっとだけ成長しました


ノーム「北は……こっちだよー」

ソピア「ありがとう。嘘はついてないよね?」

ノーム「……食べられたく、ないから」ブルブル

岩の妖精のおかげでようやく森を進めるようになった。ただし足場が悪いのに変わりはない。

トール「あっ、開けた場所に出ましたよ」

ソピア「わあ、綺麗な泉」

ヒレア「……霞も出てきた。涼しくて気持ちいいわ」


襲ってくるモンスター選択

1.スライム系
2.魚系
3.両生類系

↓なお、コンマが高いほど危険な相手

コンマ:35 この森に入るような人には取るに足らない魚



ナマズイズミ。

電気や毒のトゲで身を守る大ナマズ。水を飲もうと近づいた動物に勢いよく噛みつく。

『イズミナマズ』ではないのには理由がある。

なんと彼らは水を飲み干して泉ごと移動するのだ。泉に棲むナマズではなく、ナマズから出た泉なのだ。


トール「……疲れたので、ちょっと水を飲んでもいいですか?」

ソピア「ちょっと待ってください。分身、行って」

ザバァッ!

トール「うわぁ! 危なかった……!」

ソピア「ちゃんと気配を確かめてね……」

歯を強かに打ち付けたナマズが、すごすごと泉に引っ込んでいく。

ヒレア「行こ」

ソピアたちの背後で、泉の水位が下がって行く。

水をたっぷりと飲みこんだナマズは、水たまりを残して移動を始めた。

ガサッ ガサッ

トール「ソフィアさん……後ろ!」

ソピア「えっ、びったんびったんしながら追いかけてきた……」

ヒレア「……私たちが歩くより遅くない?」


1.追いつかれる心配はないので無視して進む
2.危険は排除。遠距離から攻撃する
3.危険は排除。ヒレアに任せる

ソピア「前に、恐ろしい威力の水鉄砲を撃つモンスターから逃げたことがあるんだ」

トール「……泉が消えてますね。油断は禁物……ですか」

ヒレア「任せて」

ソピア「ううん。私は前に、冷凍液を吐くモンスターに襲われたこともある。拘束系の魔法は避けられないでしょ」

トール「どうするんですか……?」

ソピア「遅くて的の大きい相手は、動きを阻害して距離を取りながら一方的に攻撃するべし。クルトさんに教わった作戦。行くよ」

トール「早速、停止魔法をお見せしましょう。範囲も広がったんですからね……!」

ビタンビタン

トール「お、重い……!」

ソピア「ヒレアちゃん、撃つよ!」

ヒレア「お姉ちゃん、私だけで十分よ」

そして、かわいそうに思えるほど爆撃されたナマズは、口から大量の水を吹き散らしながら動かなくなった。

トール「ただの水……ですけど」

ヒレア「絶対に浴びたくないわ。……近づかなくてよかった」


トール「……今さら気づいたんですけど」

ヒレア「なに?」

トール「この森、すごく精霊の量が多いです」

ソピア「だからたくさん魔法を使ったのに疲れてないんだね」

トール「こんな環境なら、妖精もぽこぽこ生まれます」

マリン「だったら少し食べてもいいじゃないのー」

ソピア「それとこれとは違って……私たちがあまり見たくない、かな」

マリン「みんな食べてるのー。イヤなら後ろを向いててよー。むー」

ヒレア「マリンがこんなわがまま言うなんて珍しくない?」

ソピア「生きるのに不可欠なわけじゃないみたいだから、私のアンブラー欲と同じかな……?」


精霊の量が増すとともに、森は魔法的な面を見せるようになった。

巨大キノコが林のように並び、木の幹がたまに話しかけてくる。

お菓子の家も見つけたが、明らかに地雷なのでスルーした。

木の幹「やあやあ旅人さん。そんなに急いでどこ行くの」

木の幹「木の実はいらないかい? 私の木の実はこの森で一番おいしいよ」

ヒレア「相手してたらきりないわ……。絵本の世界ってあまりいいものじゃないね」

木の幹「ここは分かれ道だよ。左から、静かの森、キノコの森、花の森」

ソピア「知らなければ選ぶのに迷うこともなかったのに……」


1.静かの森を通る
2.キノコの森を通る
3.花の森を通る

↓ 森の大ボス選択です

静かの森。

ヒレア「やっと静かになった……」

ソピア「大木が多くて小さい木がないから、地面も平坦で歩きやすいね」

マリン「モンスターの気配もないわー♪」

トール「……あれだけあった精霊が全く感じられないのが少し気がかりです」

ソピア「トールくん、精霊も察知できるようになったんだ。前は属性だけだったよね?」

トール「いえ、これは属性だけ察知してるんです。モンスターの気配がなく、魔法のかかったものもなく、属性だけあったらそれはたぶん精霊かと……」

ソピアたちは安全な森にすっかり油断し、その静けさにリラックスさえしていた。

見えない敵が襲ってくるにしても、地響きや音で分かるに違いない、そう思っていた。

マリン「うしろ」

後ろからモンスターよー! 速いわー!?

それを言う間すら与えず、森の主は縄張りを侵した人間へと爪を立てる。



クロノクロウキング。

大人の人間サイズのフクロウ。フクロウの例にもれず音を消しての飛行が可能。

首にネックレスを下げており、先端には時計がついている。

比較的小さめのキングサイズモンスターだが、名誉騎士を目指す若者たちには、最も倒すのが困難な鳥と恐れられている。


123…まずソピアが狙われた
456…まずヒレアが狙われた
789…まずトールが狙われた
0…フクロウ、痛恨の空振り

↓コンマ一桁

風一つない森に吹いた突風と、大きな爪に捕まれて連れ去られるヒレアを見て、ソピアは一拍遅れてモンスターの襲撃に気が付いた。

トール「うわあっ!」ヘナッ

ソピア「ヒレアちゃん!」

ヒレア「……大丈夫、任せて!」

ヒレアの行動は素早かった。爪に捕まれたまま、小太刀をフクロウの脚の筋肉に突き立てる。

ヒレア「呪いは効かないの……ね!」ダァン

放り投げられ、木の幹に背中から叩きつけられるも、すぐに体制を立て直し少量の霧を纏ってフクロウに飛び掛かる。

前方への回転斬り。

ヒレア「あれっ」スカッ

霧で気配を感じ、後方にミストギロチン。

ヒレア「うそっ」

回避能力の高さを知り、確実に当たる誘導弾に切り替える。

フクロウは地面すれすれに陣取り、弾が当たる寸前にヒレアから見て反対側の地面に一瞬で移った。静かの森に土煙が上がる。

ヒレア「……だったら!」

巨木の枝を蹴り、最高速の急降下。

勢いのまま振るわれた小太刀がフクロウの首すじを捉えた……と思ったと同時にヒレアの背中に激痛が走る。

ヒレア「あ、うッ!」

ヒレア(なんで……私の後ろから……!? あの一瞬で回り込んで勢いをつけて蹴れるなんて!?)


トール「えっ……今、どうなったんですか……?」

ソピア「ヒレアちゃんが急降下して斬り付けたと思ったら、フクロウが急降下して蹴りを入れてた……はず」

トール「ヒレアさんが何をしているのか全く見えません……。ソフィアさん、あれと戦ったんですよね……すごい……」

ソピア「それよりあのフクロウどうなってるんだろう。トンボみたいな動きしてる。……トールくん、いつまで尻もちついてるの」

2人の目の前にフクロウが現れた。

ソピア「っ!」

トール「ひっ……」


1.光線で攻撃
2.幻覚魔法で攪乱
3.エアバッグで弾き飛ばす
4.停止魔法で地面に落とす

フクロウが墜落した。

トール「に、逃げましょう……!」

ソピア「尻もちをついたまま魔法を使ったの……!?」

ソピアが腰の抜けたトールを引きずってフクロウから距離を取ると、爆炎がフクロウの姿を隠した。

ヒレア「ありったけの炸裂弾……どうかしら? うッ!?」

横から蹴られ、さらに何度もドリブルされ、最後にやはり木の幹へ叩きつけられた。

ソピア「煙は乱れてないのに、どうして!?」

トール「またこっちに来ますよ……! ……ん? 目を閉じて動きませんね」

ヒレアが寄りかかった大木の枝に立ち、フクロウは眠ったように動かなくなった。

ヒレア「う、うう……いたい、いたいぃぃ……!」

ソピア「うそ、急いで回復の杖を……」

ヒレア「怪我が、治らないの……!」

トール「……ソフィアさん、見てください!」

ソピア「……何あれ?」

フクロウの首飾りがゆらゆらと揺れ、その内側が光り、向かい側の大木の幹に画像が映写される。

その画像は人間の顔を持つ太陽と三日月。どちらも濃い顔立ちだ。

2つの画像は、フリスビーのように回転しながらソピアとトールに向かってきた。

トール「じ、実体化した……!」

ソピア「伏せて!」


1.太陽と月の回避と破壊に専念する
2.動かないフクロウを狙撃する
3.ヒレアの治療を急ぐ

↓ なお、コンマ10以上で(知力90のため)ソピアがフクロウの特性に気付く

2人の頭上を刃が通り過ぎる。

トール「あわわわわ……」

ソピアはすぐに立ち上がってヒレアの元へと走った。

太陽と月はブーメランのように引き返し、再度2人の身体を両断しようと迫る。

ソピア「今度は縦……!」

ソピアは急停止、トールはその場で転がることで二波目の攻撃をしのいだ。

ソピア「ヒレアちゃん、今治してあげるからね。……あれ、この杖、壊れてる?」

ヒレア「……ううん、傷が、治らないの」

ソピア「もしかして、傷口呪い? 急いで天使を呼ばないと……」

ヒレア「ちがう……私に呪いは効かないから」

トール「うわぁぁぁ!!」

飛べないトールには避けられないように、上下に並んで襲い掛かった太陽と月がエアバッグで弾き飛ばされた。

反動でトール自身も地面に体を打ち付ける。

ソピア「あれ……傷治ってるよ」

ヒレア「ほんと、なんで?」

ソピア(トールくんが太陽と月を壊したから? いや……)

すでに目を開いていたフクロウがまばたきをする。そして、瞬間移動でトールの前に現れた。

トール「こ、こっちくるなぁ!」

ソピア「これは……本物の時間停止魔法! それも、目を閉じている間だけの!」

トール「も、モンスターが時間を……!?」

ヒレアの傷はあと少しでふさがるように見えた。

ソピア「トールくん! 耐えて!」

トール「な、なんて無茶な……!」


↓コンマ 偶数…トール耐える 奇数…耐えられない 末尾1…運命は非情

鳥は確実に人の命を奪っていく



トールは、道中の疲れ、そして魔法の連続使用、さらにいつ命を落とすか分からない強敵との戦闘で疲れ切っていた。

追い風の力を受けて背を向け逃げ出すも、その足取りは逃走と呼ぶには非常に遅いものでしかなかった。


フクロウが目を閉じた。

人間が逃げた方向を思い出す。目を閉じたまま飛び立ち、フクロウは自分の勘を頼りに高所へ移動する。

目を開く。

遥か下方で人間が、フクロウのいる方へ向かって走っている。その位置をしっかりと認識し覚えておく。

目を閉じる。

視界に頼らず、獲物のいるはずの位置へ急降下する。止まった時間の中で人間は動かせない。その爪が人間に触れる寸前を予感し……

目を開く。


トール「こ、こっちくるな……ぎゃっ!」

ソピア「トールくん!」

トールがフクロウの鋭い爪に捕まれ、上空に連れ去られるまでに要した時間は、わずかまばたき二回分に過ぎなかった。

いかにヒレアの再生能力が優れていようとも、これでは助けが間に合うはずもない。

ヒレア「今たすけるから!」バサッ

時間停止魔法が無ければ、飛行速度において軍配はヒレアに上がる。

しかし、手遅れだった。

フクロウはいつものように獲物を幹に投げつけると、目を閉じて高い枝へと移動した。

念のため、獲物の傷の時間を止める。これで傷が塞がることはない。

フクロウ「ホー ホー ホー ホー」

同時にもう一度使い魔を呼び出しておく。フクロウ自身その姿を目にしたことはないが、刃にも盾にもなる優れものだ。

ソピア「トールくん! 無茶を言ってごめんなさい……!」

トール「いいえ……僕がふがいないのが悪いんです。……あと少し逃げれば、ヒレアさんが間に合ったのに……」

ソピア「天使を呼び出して回復してもらうので、それまで死なないで……!」

トール「ごほっ、本当……ついてくるべきじゃなかったですね……。僕は……もう、無理です」

ソピア「そんなこと言わないで……!」

トール「……あはっ、好きな人に看取られて死ぬのなら、悪くありませんね…………」

トールは不思議と満たされていた。

彼女への愛が、自分でもここまで強い気持ちだとは思っていなかっただろう。

自分は彼女の代わりに死ぬのだ。彼女にだけは生きていてほしい。そう願いながら……

安らかな笑顔を浮かべて……トールは死んだ。



なお、この後ソピアも仲良く後を追いました。



GAMEOVER:6 幸せな最期



※フクロウをあしらうトールくんから再開します

トール「ええい、このっ!」

渾身の停止魔法でフクロウを押さえつける。

トール「死んでたまりますか! どうせ……時間停止以外に取りえはないんでしょう!?」

フクロウがまばたきをする。

次にトールが見たのは、苦しそうに低空飛行するフクロウの姿だった。

トール「わっ、びっくりさせないでくださいよ……!」

術者であるトールの集中が切れれば、空気に押さえつけられた状態も解除される。

フクロウはそれを狙って苦し紛れの低速体当たりをしかけたが、死の恐怖を力に変えたトールは、反射神経も普段とは比べものにならなかった。

トール「ヒレアさんはまだですか……!?」


ヒレア「上出来よ、トール!」

勢いよく飛びついたヒレアが、フクロウの羽根を抑えてしがみつく。

忘れてはいけない。見た目は可憐な少女だが、ヒレアの力は並のモンスターを遥かにしのぐ。

ヒレア「こちらから抑えてしまえば、もう終わりよ」

ソピア「でも、どうするの? 炸裂弾にも耐えてたし……」

トール「逃げたところですぐに追いつかれるでしょう……」

ヒレア「……こうするのよ」

時計のネックレスを強引に引きちぎり、さらに首筋の羽毛を毟り取る。

露わになった動物共通の弱点にヒレアは噛みついた。

トール「ああ……本当に吸血鬼なんですね」

ヒレア「霧じゃなく、んくっ、直接吸うのが、ごくっ、手っ取り早いの」

ソピア「あんなに丸かったのに、木の枝みたいに細くなっちゃった……」

トール「それ、たぶん血液量とは関係ないかと……」

ヒレア「ぷはぁ、もういいわ。どこへでも行きなさい」

生命力を半分以上吸い取られたフクロウはふらつきながら身を起こすと、一瞬羽ばたき、姿を消した。

※他の大ボス
※キノコの森…ドリームマッシュキング 胞子で夢の世界にご案内
※花の森…ゴールデンバタフライキング 石化ならぬ金化の鱗粉を撒く



トール「……疲れました。もう動けません」

ソピア「また別のフクロウが来るかもよ?」

トール「ああ、そうです。僕は疲れを取るポーションを持ってました」

ヒレア「……ねえ、これ、名誉の像がつけていた羽に似てないかしら?」

ソピア「本当だ。時計も珍しいし、持って行く?」

トール「それなら、あの強さにも納得ですね……」

※キングウォッチを手に入れた

※クロノクロウの羽を手に入れた

 キングウォッチ……クロノクロウが首から下げた大きな時計。時間停止中も針が動くので時刻は確実にずれている。雛鳥のものは腕時計サイズ。

 クロノクロウの羽……時間停止・減速を無効化するお守りが作成できる。翼の羽ではないので名誉の勲章にはならない。



静かの森を抜けた後も、奇妙な森が続いた。

他の森にはいそうにない、いたら違和感しかないモンスターがしばしば行く手を阻んだ。

ドリームマッシュ。催眠の胞子で身を守る。某カフェの料理に使われる食材の一つ。

ブラシエンジェル。自称、漆塗りの妖精ブラッシー。漆汁をブラッシャーされると、皮膚がかぶれる。

バッドトレント。臭くて不細工、嫌味でやかましく他木を不快にさせるため、他のトレントたちから距離を置かれている。

セイントチンパンジー。法衣を着たチンパンジー。チンパンジーでありながら慈悲の心を持ち毎日のお祈りを欠かさない。

どれも、ソピアやマリンが食べようとする、ヒレアが脅すなどして難なく突破した。


トール「やっと、普通の森になりましたね……」

ソピア「また歩きづらくなったけど……」

ヒレア「歩きづらいのが、あるべき森の姿。……たぶん」

歩きづらいとはいっても、サウソーシャから森に足を踏み入れた時と比べると、ここは幾分か平坦で、植物も密集しすぎていない森であった。

ノーム「ちょっと東にずれたよー」

マリン「左後ろにモンスター。ヒレア、お願いー」

ヒレア「…………ただの野生の馬だったわ」

ソピア「襲われたら怖いけどね。出て来ていいよ」

妖精はか弱い。危険を感じたら妖精をしまう習慣ができていた。

ヒレア「それと、向こうに川が見えた。橋もね」

トール「人工物……もうすぐですね」


河原に出たソピア達がみつけたのは

1.橋の上の女性
2.木陰に隠れた少年
3.無造作に置かれた宝箱

↓戦闘にはなりません

森を抜けると開けた草地に出た。坂を下りたその先は離れていても川底が見えるほどの清流だ。

河原の上を通って木造の細い橋が架かっており、対岸には整備された林道が見える。

だが、その途中に……

トール「人が……倒れてます」

ヒレア「……あなた、大丈夫?」

女性「んーっ」

細い橋のど真ん中で進路を塞ぐように寝ていた女性が伸びをした。

女性「んー……子供たち?」

ソピア「あの、向こうまで渡りたいんですけど……」

女性「あー、失礼。ここ普段誰も来ないもんで」


対岸。

トール「やっと道に、人の歩く道に出られました……」

女性「あなたたち、やけにボロボロだけど……この森を越えてきた?」

ソピア「はい。サウソーシャから」

女性「見るからに疲労困憊って感じだし、足に怪我してるじゃん。ちょっと治療するから適当な石に座って」

ソピア「いえ、お構いなく」

女性「だめだめ。女の子なんだから脚は大事にしないと。あなた、白魔術師見習い?」

ソピア「いえ……これはいただいた服です」

女性「治療担当もいないのにこの森に入るなんて、無茶するねー。そこの少年、あんたはこのドリンクを飲みなさい」

トール「し、失礼します……(少年扱いしてもらえたことが嬉しい)」

女性「気力と魔力はおんなじだから、疲れは魔術師の大敵。魔術師こそ体力が大事なんだから」

トール「がんばります……」

女性「あなたたち、今後こんな無茶な真似はしないように! 普通、命は一度きりなんだからね! ほら、そこの看板見てみ」

『~帰らずの森~ 学生の立ち入りを固く禁じます。これより先、何が起こっても学園都市は一切の責任を負いません』


女性「こういう場所なんだよ。わかった?」

ヒレア「……その看板の先でのんきに寝てたのはどこの誰だったかしら?」

女性「……お願い、センセーには黙ってて」

ソピア「学生さんなんですか? 先生かと思いました」

女性「まあ、教えたり、教えられたり、ね。大学ってそういう場所」

女性「あなたたち、学園都市に行くんでしょ。そこまで送ったげる」

女性「私はセラピストのサナ。医科大学で癒しの研究してます。よろしく」


ソピアたちも自己紹介し、日の傾いた林道を歩く。

ソピア「あっ、ツノガメ」

サナ「これはマガリツノガメだね。こいつの角は一生伸びるんだけど、角が伸びすぎたせいでひっくり返って死んじゃう」

トール「平和な場所ってわかりますね……そういうモンスターがいると」

ヒレア「学園都市ってどんなところ?」

サナ「まあ文字通りね。住んでるのは学生か先生か卒業生がほとんど。数年間も住むと、だいたい顔見知りになるよね」

トール「もう見えてきましたね」

林道の途中に門があり、そこから先は小さな街道になっている。道の左右には灯りと街路樹が並ぶ。

ソピア「手続きはいらないんですか?」

サナ「南の森を越そうなんて馬鹿はそうそういないからねー。憲兵も放置してるよ」

ソピア「うーん……」

ヒレア「なに?」

ソピア「方位を教えてくれたノーム。このまま連れて行くか、森に帰すか、または……」

マリン「おねがーい♪」ペロリ

ノーム「……ボク、食べられるの?」ガタガタ


1.ノームを連れていく(方位が分かります)
2.ノームを森に帰す(方位が分からなくなります)
3.ノームをマリンに食べさせる(マリンに方位を聞けるようになります)

ソピア「可哀想だし、このまま連れて行こう。森に入ることはまたあるかもしれないし」

マリン「けちんぼー」

ノーム「……だったら、ボクがシルフを食べていいのかなー」

ソピア「ダメに決まってるよ。どうして妖精はお互いを捕食したがるの……?」

ノーム「けちだねー」

マリン「ねー」

ソピア「なんで仲間意識を発揮してるの……? 分からないよ」

マリン「ノームはなんて呼ぶのー?」

ソピア「そのままでいいんじゃない?」

マリン「ダメよ! 代わりにワタシがつけてあげるー♪」

ノーム「えー……」


1.石灰岩の妖精だし『ライム』
2.チョークを持ってるから『チョーク』
3.方位を知るための妖精だから『コンパス』
4.自由安価

マリン「これからアナタはチョークよー」

チョーク(ノーム)「……うん」

ソピア「いいんだ……!? 嫌がってたのに……」

チョーク「……よろしく、えーと」

ソピア「ソフィーでいいよ。改めてよろしくね、チョーク」

サナ「妖精を連れてるんだ、珍しい。もしやあなた結構すごい魔法使い?」

ヒレア「私たち、魔法競技会の優勝チームよ」

サナ「そうなの? 私の後輩ってわけだ」

トール「昔、優勝したんですね」

サナ「昔って、そんなに昔じゃないよ、あはは」

トール「あ、ご、ごめんなさい」

ソピア「トールくん……」


石造りの建物とそれに合わせた暗い色の建物、看板、道路が、学園祭のポスターで彩られている。

ようやく、長旅の最後の目的地に着いたのだ。

ソピア「案内ありがとうございました」

サナ「まあ一本道だけど。散歩に付きあってくれてありがと」

サナ「そんじゃ私は大学に戻るから。学園祭、楽しんでいってね!」

ソピア「はい! ……仕事なんですけどね」


『士官学校』『文官学校』『魔法・科学の大学』『医科大学』は必ず存在します

1.商業大学
2.工業大学
3.音楽大学
4.美術大学
5.天文台
6.スポーツ大学
7.自由安価

↓2、3、4 学園都市に存在する学校を選択

↓5 学園都市の名前(例:○○市、国立○○医科大学)

今日はここまで、安価は下から

学園祭編は魔法競技会編から勝負要素を引いた感じになると思われますが、ルート次第です(モスボラとサウソーシャでは安価によって面倒なイベントをスルーしてた)

名前ありサブキャラはそれなりに出ます、競技会編よりは少なくできるかどうか……

スクーニミー

ベリアト

前に貼られていた敵対・死亡フラグのヒントって今でも使えるのだろうか?

>>157採用、>>158もどこかで使いたい

>>159
それらのフラグはほとんど結果が確定したので、>>10の方が有効です
何分ソピアの敵は国家なので、誰もが消極的な敵対関係(ソピアのために命を賭けたくない)にはなりえます
終盤は展開と安価次第で、ソピア以外なら死亡したまま話が進むこともある予定

スクーニミー市。

流れの早いフルフィリア北の海に面した、国立大学が集結した学問の町。

かつては王都に近いだけの辺境の地であったが、長い歴史を重ねた末に都市の一つとして名を連ねるようになった。

石造りの建物を中心とした古都の装いをそのままに、知識と技術の最先端として日々進歩を続けている。

毎年、新年度が始まる秋ごろに、学園祭(学園都市大学合同広報祭典)が開かれ、学生たちが外部に学びの成果を披露する。



ソピア「宿屋の前に士官学校に行っていいかな? 日が沈む前に手続きを終えないと」

トール「構いませんよ。僕たちは明日でも観光できますから……」

ヒレア「お姉ちゃんは一日中働くの?」

ソピア「そこも聞いてみないとね。地図は、現在地がここで……」

昨日から設営を行っていた学園祭実行委員によって、町の各地には外客向けの地図が置かれていた。

ソピア(士官学校の建物はこの周辺で……他には、文官学校、自然科学大学、医科大学、工業大学、音楽院、郊外の天文台)

ソピア(学校ごとに学生寮があって、大図書館や大ホール、クラブ活動用の施設も充実してる)


士官学校事務局。

ヒレア「外は古いのに、中は綺麗ね」

トール「戦士や魔法局のギルドカウンターは事務局の中にあったんですね……」

ソピア「それでここもサウソーシャみたいに町に統一感があったんだ」

受付「こんばんは。どうかいたしましたか?」

ソピア「明日の学園祭の警備の仕事で来ました。こちら、依頼書です」

受付「ウベローゼン市魔法局のソフィアさまですね。はい、登録できました」

受付「7時になりましたら1階の第一会議室に集合してください。明日はよろしくお願いしたします」

ソピア「ありがとうございます。……今、6時だから、宿の予約を取って戻って来たらちょうどかな」

受付「お客様、士官学校の方から、警備の仕事を受けていただけた方には、学生寮の空き部屋を貸す用意ができているとのことですが……」

ソピア「無料ですか?」

受付「はい。設備にも不自由はなく、清掃もきちんと行われています」

ソピア(いい提案だけど、ヒレアちゃんとトールくんが一緒に泊まれないのが難点かな……)


1.宿屋に泊まる(コンマ一桁×10G×2人分かかる、ヒレア・トールと合流できる)
2.学生寮に泊まる(0G、仕事仲間・学生と交流できる)

宿屋は一晩あたり180G(ヒレアの分込みで)



ソピア「いえ、宿屋に泊ります。お気遣いありがとうございます」

ソピア(仕事中は別行動になると思うし、夜くらいは会えた方がいいよね)


宿屋。

ソピア「1人90Gですか? 私、旅人ギルドのメンバーですけど……」

主人「申し訳ございません、学園祭中は宿泊客が多いため値上げしていまして、ギルド割引も適用されないんですよ」

ソピア「足元見てる……」

主人「需要をかんがみてギルド本部が決めていることなので、どうにか納得していただくほかありません。では、3名でよろしいですか?」

トール「あ……僕は別の部屋です」

主人「お1人様の場合、相部屋になるか、料金が倍になりますが……」

トール「ば、倍でお願いします……」

主人「予約承りました。それでは、よい観光を」

トール「お金が……」


宿屋にトールを残し、ソピアとヒレアは2人で士官学校事務局へ戻った。

ソピア(第一会議室はどこかな……?)キョロキョロ

女子学生「白魔術師さん? 同業の人ならあっちにいたわよ」

ソピア「ごめんなさい、そうではなくて……」

白魔術師「おや、あなたは」


1.聖教徒の女性
2.聖教徒の男性
3.白魔術師の少女

1の女性はテレサさん(来賓)



白魔術師「げげっ、あなたたちは……!」

ソピア「どこかで会いましたっけ?」

白魔術師「その顔は、にっくきアンブラーズに間違いありません!」

ヒレア「お姉ちゃん、魔法競技会で戦った相手よ」

ソピア「あー、『魔法使いの家』の」

サドンデスファイトでは相方の変態日魔術師をヒレアに殺され、模擬戦闘決勝戦ではソピアが作ったヒレアの分身を粉砕した、あまり会いたくない類の顔見知りである。

ソピア「どうしてこんなところに?」

白魔術師「それはこちらの台詞なのです。私は遠くを見れる特技を生かして警備のお仕事です」

ソピア「あっ仕事仲間。よろしくお願いします。一緒に頑張りましょう」

白魔術師「よろしくなんてしないのですよ。どうせまた町に混乱を招くつもりでしょう。そんなの絶対に許しません!」

ヒレア「……レンは来てないの?」

白魔術師「今回は私一人です。なんですか、会いたくなったのですか?」

ヒレア「……うん」

白魔術師「ふんだ。……もう勝手にいちゃいちゃすればいいのです」

白魔術師の少女は名前も名乗らずに第一会議室へ足早に去って行った。

ヒレア「……今のどういう意味かしら?」

ソピア「さあ……?」

第一会議室。

ヒレアは仕事を受けていないため入室を断られ、部屋の外で待機している。

リーダー「皆さま、この度はご協力いただき誠にありがとうございます!」

リーダー「私はフルフィリア国立士官学校、陸軍幹部候補生、警備班リーダーのショーンです。よろしくお願いいたします!」

パチパチパチパチ

リーダー「皆さま知ってのとおり、フルフィリア共和国が成立してまだ一月あまり、共和政府の長も定まらず、依然政情は不安定なままであります」

リーダー「共和国軍に反意を抱く勢力も一つや二つではありません。すでにいくつもの組織が事件を起こす前に摘発、投獄されています」

リーダー「しかし残念ながら、先週には王都で式典を狙ったテロ事件、ウベローゼンの競技会で吸血鬼騒動が同日に起こってしまいました」

リーダー「そのような事件が今回の学園祭でも起きる可能性は非常に高いと考えています」

リーダー「例年、警備は旧王立士官学校の生徒で行っていたのですが、生徒数の減少と、治安の悪化に伴い、こうして人員を募集する運びとなりました」

リーダー「皆さまが我々士官候補生と共に警備の任務に就いていただけることを、ここに感謝いたします」

サブリーダー「それでは明日の流れを説明する前に、班分けを行います。私たちの指示に従って移動をお願いします」


ハルカ「やあ、ソフィアさん。その格好どうしたの?」

ソピア「色々あって服が破れたので、通りすがりの修道女さんが恵んでくださったんです」

白魔術師「そういう事情でしたか。聖教会を冒涜するためかと思ってたのですよ」

バンダナの少年「なあ、ここは若い連中だけの班なのか?」

ネクタイの少年「…………」

ヴィーク「おっし、集まってんな。この班の責任者で岩魔術師のヴィークだ。よろしくな」

ソピア「よろしくお願いします」

バンダナ「すいません、この班、年齢層低くないっすか?」

ヴィーク「ああ、ここは『戦える10代男女』を集めた班だからな」

士官候補生はみな10~20代だが、依頼を受けた人々には年上も多く含まれていた。

ヴィーク「とりあえず、一日か二日一緒に働くメンバーだ。親睦を深めるために自己紹介するぞ」

白魔術師「まずはお手本を見せて欲しいのです」

ヴィーク「さっき名乗ったろ……ま、いいか。オレはヴィーク。陸軍の幹部候補生で18歳だ」

ヴィーク「得意な魔法は召喚タイプの錬金術。こないだの魔法競技会ではチームリーダーを務めた」

ヴィーク「みんなもこんな感じで頼むぜ。そんじゃ、右回りな」

ハルカ「え、あ、あたしからですか……」


ハルカはどんなタイプのアーチャー?

1.狩人タイプ、毒矢・火矢・連射技など
2.魔法弓士タイプ、雷矢・貫通矢・精神攻撃矢など
3.技巧タイプ、精密射撃・拡散射撃・長距離射撃など

↓(別のタイプの技もある程度は使える、コンマが高いほど大きく成長している)

コンマ:59 名声59くらい、まあまあ強い



ハルカ「あたしはウベローゼンから来た、アーチャーのハルカ。ヴィークさんと同い年の18だよ」

ハルカ「でもまだ大した腕じゃないし遠慮とかいらないから、よろしくね」

ヴィーク「アーチャーにしても軽装だよな。火薬とか属性石は使わないのか?」

ハルカ「揃えるお金が無かったから……ずっと普通の矢を使ってました」

ヴィーク「小細工に頼らない純粋な弓使いってことだな。すげーじゃんか」

ハルカ「恐縮です……」


白魔術師「ティルベルク出身、白魔術師のラファなのです。12歳です」

白魔術師「普段はティルベルクの聖歌隊に参加しています。先輩のみなさん、よろしくです」

ヴィーク「12で白魔術師たぁ珍しいな」

白魔術師「聖教会ではあまり年齢は関係ないのですよ。大事なのは信仰なのです」


バンダナ「俺はジョー。17の武術家だ。力を合わせてがんばろうな」

ヴィーク「おう、がんばろうぜ。武術家って上位職だっけか?」

バンダナ「俺、昔から喧嘩に巻き込まれやすくて。自衛のために鍛えたんすよ」


ネクタイ「俺は、カズだ。まあ剣には自信があるよ。……年は14だ」

ヴィーク「なんか暗いなオメー。怪しい奴に声かけすることもあるが大丈夫か?」

ネクタイ「……仕事はちゃんとするさ」


ソピア「16歳、月魔術師のソフィアです。ウベローゼンから来ました」

バンダナ「何ぃ!? お前があのソフィアだって!?」

ネクタイ「おい……あんた、吸血鬼を倒したってマジなのか?」

ソピア「え、た、倒してませんよ。ただの噂ですよね?」

ヴィーク「あはは、珍しい月魔術師で優勝チームのリーダーってだけで注目浴びてるんだ。いろんな噂が立つだろうさ」

ラファ(白魔術師)「……それ、たぶん事実なのです」←当事者

ソピア「だから、絶対に違いますから!(だって逃げ回って説得しただけで倒してないもんね)」

ヴィーク「業務内容を説明するぞ。お前らの仕事は主に見回りだ」

ヴィーク「うちの学生に紛れて人が多い所を歩き回ってもらう」

ヴィーク「言い争いを見つけたら仲裁に入ってくれ。怪しい動きをしている奴を見つけたら、声をかけて注意を促す」

ヴィーク「明日トランシーバーを配布するから、不審者を発見した時には逐一報告するように」

ヴィーク「もしも戦闘が起こった場合、現場に向かって応援に入ってもらう。だが危険だと判断したら無理に制圧しようとせずに隠れて指示を待て」

ヴィーク「制服とトランシーバーは明日の朝配布する。使い方もその時に説明しよう」

ヴィーク「集合時刻は早朝5時半。早いが頑張って起きてくれ。集合場所は士官学校学生寮前なんだが、泊まる奴は何人いるんだ?」

バンダナ「俺、泊まります」

ハルカ「あたしもそのつもりです」

ヴィーク「なら2人はOKだな。他の3人は迷わないように、あらかじめ地図で見ておくように。いいな?」

ソピア「はい」

ラファ「はいなのです」

ヴィーク「んじゃ、今日は解散! お疲れさま。もし質問があるなら後で個人的にオレのところへ来てくれ」


1.ヴィークに質問する(質問内容も)
2.ハルカと話す
3.ラファ(白魔術師)と話す
4.ジョー(バンダナ)と話す
5.カズ(ネクタイ)と話す

ソピア「ハルカさん、今の話どうでした?」

ハルカ「ちょっと予想してた警備の仕事と違ったかな」

ソピア「そうですね。私は仕事が観光にもなりそうで嬉しいです」

ハルカ「あたしは番をする仕事だと思ってたからさ……巡回だと弓矢は役に立てないのよ」

ソピア「たしかに人が多い所では使いにくいでしょうね」

ハルカ「人が多くても狙い撃てる自信はあるよ? でも失敗した時のことを考えると……」

ハルカ「声かけも苦手だし、なんだか不安ね……」

ソピア「それなら、最初は私と一緒に見回りませんか?」

ハルカ「いいのかな? 固まってて」

ソピア「最初だけですよ。それに、少し距離を空けて歩けば見回りの効率も落ちないと思います」

ハルカ「ありがとう、ソフィアさん」


一方、他のメンバー。

ラファ「だから、アンブラーズはとっても恐ろしい存在なのです! 悪魔にも引けを取りません!」

バンダナ「そ、そうなのか……?」

なお、ネクタイの少年カズは解散と同時に帰っていた。


ヴィーク「あっ、ソフィア、ちょっと待った」

ソピア「どうしたんですか?」

ヴィーク「頼みごとっつーか、無視してくれても構わないんだけどな」

ヴィーク「オレのダチで天文台に住みこんでる奴がいるんだけどさ。魔法競技会の話をしたら、その月魔術師の子に会ってみたいって言ってたんだよ」

ソピア「やっぱり珍しいからですか?」

ヴィーク「いや、それもあるけど、天文台には月魔術師が何人かいるんだが、だいたい天文台に来てから追加で習得してるんだと」

ヴィーク「純粋な月魔術師の後輩、それもスクーニミーの学生じゃない奴なんて初めてらしいんだ」

ヴィーク「まあこれは仕事とは無関係だから聞き流してくれても全く問題ないぜ。そんじゃな」

ソピア「あれ? ヒレアちゃんがいない」

女子学生「白い髪の女の子なら待ちくたびれたみたいで先に帰っちゃったわよ」

ソピア「そうですか」


夜9時。

ソピア(今日も早く起きたし、明日も早いし、道なき道で何度も危険な目に遭って疲れたし、早めに寝て体を休めよう……)

ドンッ

ソピア「いたた……」

ヘルメットの少女「ひゃ……ご、ごめんなさい……」カポッ

曲がり角でソピアと衝突した少女は、落としたヘルメットを急いで被りなおした。

ヘルメット「!! あの、シスター様ですよね……! 助けて、ください……!」

ソピア「ど、どうしたんですか!?(シスターじゃないけど……)」

ヘルメット「私、お、追われてるんです……!」

ヘルメット「お、お願い、します……そ、その……」

ヘルメット「そ、その、服を、いただけませんか……?」

ソピア(何者かに追いかけられていて逃げるために変装がしたいんだね。家から逃げ出した頃の私と似た状況なのかな……?)

ソピア(この服は私も今日もらったばかりだし別にいらないけど……。一応、着替えの私服は持ってきてるけど、どうしよう?)


1.助ける
2.助けない

↓2票

ちょっとだけ進めます



ソピア(私も最初は苦労したっけ……誰も助けてくれなくて、それどころか我先に軍に突き出そうとしてきて……)

ソピア(きっとこの人にもやむを得ない事情があるんだ。顔を見ても危険な雰囲気は感じないし、助けよう!)

ソピア「急いで、そこの茂みに隠れましょう」

ヘルメット「ふぇ、い、いいんですか……?」

ソピア「助けてあげます。思うところもあるので」

ヘルメット「あ、ありがとう、ございます……!」

ソピア「今は話してる場合じゃないです。追われてるんでしょう、早く」


並んだ街路樹の後ろ、暗がりでソピアはシックなコートに着替えた。

ソピア「どうぞ。着替えてください。後ろ向いておきますので」

ヘルメット「は、はい」

着替えるためにヘルメットを外した少女の髪は、暗がりでも目立つほどの明るい色をしていた。

元ヘルメット「こ、これで、髪、隠せてますか?」

ソピア「ちょっと待って……はい、これで隠せました」

元ヘルメット「ま、誠に、ありがとうございました……っ!」

ソピア「変装しても油断しないで、頑張って!」

元ヘルメット「シスター様……私、ポロといいます。このお礼はいつの日か必ず、それではっ!」タタタタ

ソピア(ローブで目立つ髪を隠したかったのかな? 大人しそうな子だったけど、なんであんな風にしたんだろう……)

ソピア(服とヘルメット、置きっぱなしだ……見付かったら変装してることが分かるし、一応預かっておこう)

※ポロの服を入手しました

ポロの服…可愛らしいブラウス・ジャンパースカートとヘルメットのセット。体格が似ていたため、ポロに返せなかった場合はソピアにも着ることができる。

男達「オイッチニーサンシッ!」

先頭の男「気合い入れろ! 明日のフットボール、絶対に勝つぞー!」

男達「オォーッ!!」

ソピア(スポーツ系のクラブの人たちかな)

黒スーツA「そこのお前、止まれ! ……違ったか」

黒スーツB「この近くで女を見なかったか? お前くらいの年でヘルメットの女だ!」

ソピア「見てませんけど……あー、あっちの方に走っていく人影(反対方向へ行く男達)なら見ましたよ」

黒スーツA「協力感謝する!」ダダッ


宿屋ロビー。

ガヤガヤ

ソピア「本当に混んでるなぁ……」

ヒレア「お姉ちゃん、おかえり。トールはもう自分の部屋よ」

ソピア「今日は疲れたからね……。ごはん食べて水浴びたら早く寝よう」

ヒレア「……あの服はどうしたの?」

ソピア「欲しがってる人がいたからあげた」

ヒレア「ふーん……」

7580G→7400G(宿屋代)


↓コンマ一桁分、ソピアの進行度が上がる(2日おきの判定)

進行度 69→77 /120


34日目終了

【ステータス】
ソピア=ウィンベル(魔:ソフィア 旅:ルーフェリア)
見た目:スカイブルーの瞳・黒髪ふんわりロングパーマ・シックなコート・リボンカチューシャ・ムーンストーンの杖(知20)・ストーンキューブ
所持金:7400G
アイテム:
フルフィリア共和国ウベローゼン市地図・旅人ギルドカード・ナイフ・金槌・ハサミ・ドライバー・ライター・花柄の傘
ポーション×2・毒消し草・回復の杖・自動迷彩マント
薄汚れた赤ずきん・エセ探偵セット・女中の服・緋袴・ヘアゴムセット・アザラシ革の手袋・ポロの服
オニキス・キングウォッチ・クロノクロウの羽

ジョブ:月魔術師・旅人
スキル:料理・ダンス・長旅歩き・小休止・脱兎・騎馬・野営
 月光光線魔法・流れ星・精神攻撃魔法・光線魔法:精神・光線魔法:波・拡散精神魔法
 強魅了魔法・全体魅了魔法・恐怖魔法・混乱魔法・幻覚魔法・多分身魔法・迷彩魔法・盲目魔法・魔力制御・瞑想技術
 ライトボール・活力の光・癒しの光・加熱魔法
 受け身・考察・妖精対話・究極魅了魔法・ムーンブラスト・ダークフェザー

体力32/32 精神52/52 進行度77/120
筋力30 敏捷44 知力70(90) 器用20 交渉力70 魔名声48 旅名声42 注目度10
経験値:体7・精47・筋0・敏67・知0・器83・交31

知り合い
心優しい義妹13歳吸血鬼:ヒレア「無理しすぎよ……」(義姉妹:10.15)
お喋りな16歳ホワイトシーフ:フィナ「はー、もしかしたらソフィーもただ者じゃないかもね…?」(親友:9.15)
あざとい17歳メイド:アン「アンにできることを……!」(親友:9.04)
高圧的な16歳サイズユーザー:エルミス「ともだ、下僕が増えたわ!」(仲良し:7.91)
ボクっ娘ブラコン16歳女水魔術師:ミルズ「危ないことはやめなよ」(仲良し:7.67)
頭脳派長身18歳岩魔術師:クルト「悩んでいても始まらないか」(友人:6.53)
文系15歳美少年風魔術師:トール「筋肉痛が……!」(恋心:5.61)
おしとやかな12歳商売人:フローラ「商人ですから。秘密は守ります」(友人:5.18)
魔法街の仕立て屋人形:クリスティ「道中お気をつけて!」(友人:4.48)
明るく優しい22歳ホモ日魔術師:キュベレ「……」(友人:4.00)
武人な19歳火魔術剣士:テンパラス「よい戦いぶりであった」(知人:2.02)
皮肉屋な22歳男コンバット:ロット「……」(知人:1.93)
色男な24歳レンジャー:オルド「ただ者じゃねえな」(知人:1.59)

35日目、早朝。

ヒレア「ん……」

ソピア「あっ、ごめん。起こしちゃったね」

ヒレア「……いってらっしゃい」

ソピア(一応書置きは残しておいた)


士官学校、学生寮前。

ソピア「おはようございます!」

ヴィーク「おう、朝から元気だな」

バンダナ「おっす」

ネクタイ「……おはよう」

ハルカ「おはよ」

ヴィーク「後はちびっ子だけか」

ラファ「ごめんなさい、遅れましたー!」

ヴィーク「セーフ! まだ5分前だぞ」

ラファ「本来ならば10分前行動が聖職者の基本なのです……ふがいないのです」

ヴィーク「全員集まったところで、ちょっと早いが説明を始めよう」

ヴィーク「まず、昨日説明した通り、お前らには制服に着替えてもらう」

バンダナ「士官学校の制服っすか?」

ヴィーク「ああ。士官学校の制服には、座学用、式典用、訓練用、それぞれに夏服と冬服が合って全部で6種類あるんだ」

ヴィーク「お前らに着てもらうのは座学用だ。まあ普通の学校と似たような制服だな」

ヴィーク「更衣室に制服と『警備』の腕章が用意されている。着替えたらここに集合な。あまり時間をかけすぎんなよ」

女子更衣室。

ソピア(これが、学校の制服……!)

ハルカ「ソフィアさん……なんで見るの? あたしそんなにスタイルに自信ないからやめてよ」

ソピア「その、着方が分からなくて……」

ラファ「むー。私にはどれも大きすぎるのですよ」


ハルカ「制服なんて前に着たの3年前だから恥ずかしいね」

ソピア「……これ、はしたなくないですか? 膝が見えるスカート初めて……」

ラファ「腕章が止められないのです……」

ソピア「手伝いますよ」

ラファ「針! 針が! 刺さってるのです!」

ソピア「あれ?」←器用 20



ヴィーク「―――っとこれで一通り説明は終わりだ」

ヴィーク「トランシーバーの使い方を教えるのにはもっと手こずると思ったが、出来のいいメンバーばかりで助かったぜ」

バンダナ「もう見回りを始めていいんだよな?」

ネクタイ「……どうだろうな」スタスタ

バンダナ「おいおい、先に行くなよ!」

ヴィーク「忘れてた! 9時から開会式があるから、その30分前にはスクーニミー公共ホール前に集合な!」

ソピア「ハルカさん、行きましょう」

ハルカ「ねえ、ラファちゃんは一人で危なくないのかな?」

ラファ「自分の身くらい守れるのです。放っておいてください」


ハルカ「まだお客は少ないよね」

ソピア「人が少ない今のうちに散歩して軽く町の地理を覚えませんか?」


35日目早朝 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校
2.文官学校
3.自然科学大学
4.医科大学
5.工業大学
6.音楽院
7.スクーニミー大図書館
8.スクーニミー公共ホール
9.画廊
10.運動場
11.ホテル街
12.住宅街
13.郊外:北 フルフィリア北海岸
14.郊外:西 天文台のある丘
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋
16.郊外:東 無人の屋敷

祭り直前の様子を見ていきます

↓1、2、3 安価2つずつ選択

ソピア「色合いは合わせてあるけど、ここの建物だけ新しいですね」

ハルカ「自然科学大学。スクーニミーでも新しい方の大学だからね、きっと」


『人も町も国も自然の中にある

自然の法則を解き明かす科学の舎

国立スクーニミー自然科学大学』


ソピア「科学って、学者さんたちの特技のようなものでしたよね?」

ハルカ「特技というか理念、則るものね」

ハルカ「魔法学者とかもいるけど、今や学者のほとんどが科学者らしいよ……フルフィリア以外の大国ではね」

ソピア「どうしてでしょうね?」

科学者「それはフルフィリアが未だに魔術なんぞに頼っているからだ」

ハルカ「あっ……ここの先生ですか」

ソピア「だめなんですか?」

科学者「科学とはこれ即ち再現性の学問なり。論理的かつ批判的な思考をもって物事の法則を解き明かし、」

科学者「いつでもどこでも誰でも同じ条件に同じ結果が伴うことを証明することが肝要である」

ソピア「は、はあ……」

科学者「科学の定義に照らし合わせると魔術とは実に非科学的である。つまりその存在を証明することができないという事だ」

ソピア「よく分かりませんけど……存在はしてますよ、絶対に」

科学者「絶対ではない! 精霊は、それを観測できる者とできない者がいる。自称魔術師は別の方法で空を飛び火を吹いていないと断言はできないのだ」

科学者「天使の声を聞いた者は多いが、天国に行き帰ってきたものはいない」

科学者「死んだ人間が幽霊となった事例はあるが、誰もがそうなったわけではない」

科学者「存在しているように見えても、それを科学的に証明することは極めて難しいのだよ。分かったかね、諸君」

ソピア「そんなにいろんなものが証明できないなんて……科学って割と不便かも」

ハルカ「ちょ、ちょっとソフィアさん……!」

科学者「素人め言わせておけば! 共和国の重鎮には科学者が入り、魔導長はその座を明け渡したではないか」

科学者「あと数年もすればフルフィリアに魔術師の居場所はなくなるだろう! ついでに弓士もな。銃で十分だ!」

学生「先生ー! 先輩が公開講義について確認してほしいことがあると先生を探してましたよ」

科学者「そうか、間違った記述があってはいかんからな……」スタスタ

学生「……ごめんね君達。先生が迷惑かけたね」

ハルカ「いいえ、大丈夫です」

ソピア「びっくりしました」

学生「うちにはちゃんと魔法科学の学部もあるんだよ。なんとか魔術の存在を証明してみようと日々頑張っているんだ」

ソピア「証明するってそんなに重要なんですか?」

学生「証明すれば外国も信じざるを得ないだろう? そしたらもうフルフィリアが怪しい国と言われることもなくなるよ」

ソピア「そんな風に言われていたんですね……」

学生「それと、君たち警備だろう? うちでも公開講義を開くから、警備がてらぜひ見に来てよ」

学生「あんな小難しい話じゃなくて、一般の人にも親しみやすくてためになる話が多いからね」


ソピア「先ほどはすいません……」

ハルカ「学者は頭の固い人が多いから、注意した方がいいよ……」

ソピア「次はどこに行きます?」

ハルカ「キミは音楽好き?」

ソピア「曲に合わせて踊るのは好きですけど……あっ、歌も上手いって言われました」

ハルカ「いいなあ、うらやましいよ。あたしね、小さいころは歌手が夢だったんだ」

ハルカ「でも、学校の発表会でもいつもステージの隅っこに追いやられてて……向いてないと思ってやめたんだ」

ソピア「歌が上手いだけじゃ花形にはなれないんですね」

ハルカ「……ここの音楽院に憧れてたんだよ」

ソピア「それなら見に行きましょうよ」

『美、清純、友愛

 フルフィリア 国立 音楽院』


ソピア「『国立』の文字だけ石板の中で新しくて浮いてる……」

ハルカ「校舎も制服も素敵、いいなあ」

ソピア「他の学校より全体的に上品ですね」

校舎に入ると、どこからともなく歌声や楽器の音色が小さく聞こえてくる。

スクーニミーでも屈指の歴史の長さを誇る音楽院が、最新の防音性の極めて高い建築であるわけもなく、各部屋を遠ざけることで雑音に対応していた。

ソピア「わっ、あの人たち楽器を持ってどこに行くんだろう」

ハルカ「昼から公共ホールで演奏するんじゃないかな」

ソピア「それにしてもすごい筋力……」

ハルカ「あ、そこに注目するんだ。まあ、あの一人でピアノ担いでる人見たらそう思うのも納得ね」


ソピアたちに話し掛けてきたのは、

1.合唱隊
2.指揮者
3.バレリーナ
4.劇団員

指揮者「むうう……そこの君たち!」

ソピア「あの……あなたは行かなくていいんですか?」

指揮者「ああ、たしかに僕はあのオーケストラの指揮者だ……しかし」

ソピア「何か悩んでいるようでしたけど……」

指揮者「よくぞ聞いてくれた! 実は今朝、野犬に襲われてな」

指揮者「その時の戦闘で、なんともタイミングの悪いことに、僕のタクトが折れてしまったんだ!」

ハルカ「指揮棒で殴ったの、キミは……」

指揮者「否、突いたのだ!」

ハルカ「余計に折れやすいよ……」

指揮者「君達は係員だろう。タクトの代わりになるものを持ってはいないだろうか?」

ソピア「私たち、音楽家じゃないので……」


1.素手で指揮すればいいのでは?
2.折れた半分を使って指揮すればいいのでは?
3.手持ちのアイテムで何とか直してみる
4.矢でよければ
5.鳥の羽でよければ

ソピア「その、折れた棒の長い方を使って指揮すればいいのでは?」

指揮者「し、しかしそれでは……」

ソピア「どうせバレませんよ。観客には背を向けてるんですから。短いと不都合があるんですか?」

指揮者「いつもと同じ指揮ができない可能性がある……」

ハルカ「予備は持ってなかった?」

指揮者「今朝折れたのが予備だ……。前のタクトは先月、ふざけて魔術師の杖のように扱ったら突然ポキッといってしまった」

ソピア(この人……アホだ!)

ハルカ「先生に頼んで貸していただくとか……。よく折れることは伏せて」

指揮者「それしかないか……」



スクーニミー公共ホール。

ソピア「なんとなく楽団の人たちについてきてしまった……」

ハルカ「これだけ広ければお客も全員入れるね」

ソピア「本当。ウベローゼンのホールの何倍も大きい」

ハルカ「ここ、フルフィリア最古の音楽ホールなんだよ。ちなみに最大のは王都のホール」

ソピア「ここの警備は私たちの担当じゃないのかな……」

ハルカ「人数がいるだろうから、開会式みたいに召集がかかるかもしれないよ」

ソピア「一応何があるのか掲示板見ておこう……」


1.異郷の音楽がフルフィリアに来訪!
2.テレビで人気のあのアイドルが初の生ライブ!
3.夜は男女で手を取り合って、ダンスパーティのお知らせ

ハルカ「へえ、豪華なゲスト。サロデニアパッションメンズにROKKAまで呼ぶなんて気合い入ってるね」

ソピア「ダンスパーティーっ!!」

ハルカ「わっ、びっくりした……」

ソピア「なになに、今夜8時から、パーティ用ホールでダンスパーティを行います」

ソピア「途中参加、途中離脱OK。旧貴族式の優雅な社交ダンスからみんな知ってる流行りのポップスまで……」

ソピア「ダンスで意中のあの人と距離を詰めてみませんか。パーティの主役はあなただ! ……」ウズウズ

ハルカ「だ、大丈夫?」

ソピア「夜はパーティ、こほん、公共ホールの警備をしましょう。決めました」

ハルカ「もしかして……好きな男の子がいるの?」

ソピア「え? 違いますよ。昔から趣味なんです」

ハルカ「うふふ、応援してるよ」

ソピア「恋なんてしてないですって。ダンスが私の恋人です」



ソピア「ここは、画廊かな?」

ハルカ「がろう?」

ソピア「ギャラリーです。美術館より小さい美術品の展示場ですよ」

ハルカ「あたし見るの初めてだよ」

ソピア「中に人がいますね。ここも学園祭の会場なのかな? すいませーん」

ベレー帽の青年「はーい。あっ、警備の人だねぇ。いらっしゃい」

ソピア「ここも学園祭の展示なんですか?」

ツインテールの女子「そ、そうよ。ふん、別に分からなくても構わないんだからっ」

青年「ぼくらはスクーニミーアートクラブ。学園祭の時はお金を出し合って画廊を借りてるんだぁ」

ソピア「そういえば、美術の学校はないんですね」

青年「うん。だからクラブのメンバーはプロ志望の人が多いかな。子供からお年寄りまでいるんだよぉ」

女子「ふん、別に美大なんてなくたってアタシは画家になれるしっ」

ソピア「画家さんなんですね。どんな絵を描くんですか?」

女子「まだ見せられないわよ。残念だと思ってなんかいないんだからねっ」

青年「ぼくは彫刻家。くまさんやねこちゃんを彫るのが好きなんだぁ、えへっ」

女子「べ、別にアンタが何を作るかなんて誰も興味ないわよ、ふんっ」

青年「そうそう。工業大学の建築学部の人たちもここにいくつか展示するんだよ。みんなに会うのが楽しみだねぇ」

女子「アタシは会いたくないわよ。あんなむさい連中の顔なんて、見たくもないんだからっ」

青年「この場所、目立たないから警備もあまりしてもらえないんだ……。よかったら巡回してくれると嬉しいなぁ」

女子「か、勘違いしないでよっ! 別にアンタたちなんかに来てもらったってアタシは全ッ然嬉しくなんかないんだからねっ!」

ハルカ「美術家には変わった人が多いって聞くけど……」

ソピア「本当でしたね」


スクーニミー大図書館。

ソピア「一見すると教会ですね。ティルベルクのより立派かも……」

ハルカ「国内で一番大きいらしいよ。ティルベルクは図書館が分かれてるけど、スクーニミーではここだけだからね」

ソピア「すいません、私たち警備の者なんですけど、ここでイベントは開かれますか?」

司書「……いいえ、特には。通常営業です」

ソピア「警備の必要はなさそうですね」

司書「……学園祭でなくても、客は多いですから」

ハルカ「あたしたちみたいに外から来た人は、物珍しさから見に来るんじゃない?」

ソピア「一応ここも巡回対象かな……」

ハルカ「あ、ちょっと待ってて。今夜読む本を借りてくるよ」

ソピア(どんな本があるのかな。入口のおすすめコーナーは……)

ソピア「図書委員が選んだ、冒険者におすすめの本?」

ソピア「……軽く流し読みするくらいいいよね」


1.ギルド上位職なりかた図鑑
2.フルフィリア野生モンスター大百科
3.妖精とあそぼう

『おすすめ☆ “ギルド上位職なりかた図鑑”』

『ギルド内で特に優秀な者だけがなることのできる憧れの上位職!』

『全ての上位職の詳細を、上位職へのインタビュー記事、ギルド本部のある小国の紹介を添えて掘り下げた一冊』

『これを読んで、あなたも凄腕の上位職を目指そう!』


ソピア(巻頭ページは上位職一覧表……)

ソピア(あっ、『武士』や『忍者』は知ってる!)

ソピア(ええと、知らないのは……)

ソピア(『馬上騎士』『棒術師』『戦弓士』『狩弓士』『デスサイズ』『伐採師』『ロープマスター』『奇術師』)

ソピア(『エナジー魔術師』『治癒薬師』『錬金術師』『時間魔術師』『ネクロマンサー』)

ソピア(『鉱夫』『船員』『バーテンダー』『ドレッサー』『大工』『芸術家』『鍛冶屋』『宝石細工師』)

ソピア(『詐欺師』『ドライバー』『トレジャーハンター』『酒造家』『タレント』『経営者』『輸送業者』……)

ソピア(それと、まだ知らなかった旅人の上位職……『吟遊詩人』『考古学者』だね)

ソピア(ハルカさんはまだ本を探してる。もう少し読む時間がありそう)


1.吟遊詩人(旅人上位)の詳細を見る
2.考古学者(旅人上位)の詳細を見る
3.天術師(月魔上位)の詳細を見る
4.蝕心魔術師(月魔上位)の詳細を見る
5.その他、自由安価

蝕心魔術師 レア度:S 難度:A

魔法局に所属する月魔術師の上位職。

他の系統の術を学ぶ必要のない非複合魔術であり、月魔術師にとって唯一の純粋な上位職である。


~特徴と現状~

月魔術の中でも、魅了や恐怖、幻覚などの術を極めた者の職業ギルド。暦や天体に関係する術の上位職である、天術師と対を成す。

魔術師の上位職の中でも極めて珍しい職業であり、出会うのは非常にまれ。

というのも、月魔術師自体がフルフィリアでは人気のない職業であるからだ。それは初期の戦闘能力に乏しく仲間との連携も取りにくいためである。

また、条件を満たしても、試験の難易度が高く断念する月魔術師も多い。試験が難しい分、強力な魔術が揃っていて危険性も高い。

そのため蝕心魔術師ギルド長は、メンバー全員の精神を掌握しており、独裁などの大規模な悪事を働く者には罰を与えているらしい。


~インタビュー~

★ティルベルク魔法局本部受付 アミスさん(仮名)(年齢非公開)

こんにちは。私は魔法局の本部で受付を務めています。

蝕心魔術師はこわいと思われる方も多いでしょう。はい。たしかにこわい魔術です。

しかし、使い方さえ間違えなければ、これほど心強い魔法もありません。

魔法局本部には、年に数回、話の通じないお客様や暴徒がいらっしゃいます。

しかし、私が受付になってからは、一度もけが人を出したことはありません。

相手を傷つけずに倒すことにかけては、私たちを越える職業は存在しません。

蝕心魔術師は、平和のために必要な職業なのです。しかし、人数がとても不足しています。

そのため、仕事が無くて困ることはありません。オンリーワンになりたいあなたは、ぜひ目指してください。応援しています。


~スキル紹介~

『最上級魅了魔法』…相手を魅了する。同じく最上級の日魔術(癒心魔術)以外で解くことはできない。
『記憶改竄』…光を浴びせた相手の記憶を、消去、上書き、思いのままに捏造する。他人に指摘されない限り改竄された事実に気づくことはできない。
『人格交換』…相手と人格を交換する光線を放つ。他人同士でも可能。
『獣化魔法』…対象の人間としての精神を奪い、肉体にも影響を与えて獣人に変える。
『永久幻』…悪夢の世界に閉じ込める。夢の内容は自由に変更でき、無限地獄を味わわせ、完膚なきまでに精神を殺す。


~ギルド本部紹介~

悪夢の国(別名、恐怖の国)

魔導帝国ノーディス内のどこかにあるということだけは分かっている小国。

住民のほとんどが異形の者であり、常人はこの国の風景を一目見ただけで発狂すると言われる。

ギルド長である恐怖の魔女が作り出した、異形の住民ですら耐えられない『精神崩壊迷宮』からの脱出に成功した者が試験合格となる。

ソピア「精神崩壊迷宮って何……!? 私には絶対無理だよ……」

客「君、どうしたの? お化けでも見たような顔してるよ」

ソピア「ちょっと衝撃を受けたので……」

ソピア(他の項目が気になったら、巡回のついでに見に来よう)


学生「本の返却に来ました」

受付「……はい、ありがとうございます」

学生「期限に間に合ってよかったです」

ソピア(幽霊や黒魔術系の本ばかりだ……黒魔術師さんかな?)

学生「違いますよ」

ソピア「あれっ、私」声に出してた?)

学生「大丈夫、出していませんよ、ふふっ」

ソピア「じゃあ」どうして……)

学生「わたくし、耳が不自由で、心の声しか聞こえないのです」

ソピア「そ」れって逆にすごいですよ。……まさか、秘密も全部聞かれるの……!?)

学生「いいえ、何でも分かるわけではありませんから安心してください」

ソピア「わ」たしまだ『そ』しか言ってないんですけど)

学生「どうして黒魔術師の本を借りていたか知りたいですか?」

ソピア(はい、まあ)

学生「文官学校の心理学部では、郊外の空き家を恐怖の館に改造して肝試しを催すのです。さっきの本はそのための資料ですよ」

ソピア(危なくないのかな)

学生「ふふっ、全部偽物だから危険はありませんよ。その代わり心理学を駆使してこの上なく怖くしたので、心臓の弱い人はお断りですね」

ソピア(精神を鍛えたいから、ちょっと興味あるかも)

学生「そんなに遠くはないから、見に来ますか?」

ソピア(危険性が無いか確認するのも警備の仕事だよね?)

ハルカ「お待たせ。次行こう?」

ソピア「あ、ハルカさん。次はこの人と一緒に郊外に行くことにするよ」

ハルカ「さっきから一方的に話しかけられてたけど……」

ハルカ(ところでこの人、男? 女?)

学生「さあ、どちらでしょうね。ふふっ」

スクーニミー市、東。

王都に続く街道の入口。

崖の下に海が見え、遠くにはウベローゼン北部の山岳地帯も見える。

爽やかな風景から180°振り向くと、そこに問題の屋敷があった。

その外壁は植物で覆われ、昼だというのに屋敷の周辺だけ不気味な暗闇で覆われているように感じられた。


学生「いかがですか? 怖いでしょう」

ハルカ「はい。これが本当に出し物なんですか……」

ソピア「……よく見ると、人工的というか、あまり長い間放置されていたように思えません」

学生「おやおや、アナタ鋭いですね。実はここは、一ヶ月前まで貴族の別荘だったのです」

ハルカ「心理学に基づいた演出がすごいのね……」

学生「ふふふっ、中はもっと頑張ったんですよ」

ソピア(まだ準備中みたいだし、安全性の確認は後からになりそう)

学生「わたくしは少し忙しいので、それでは」フッ

ハルカ「き、消えた……!?」

女子「あら、お客さん。まだまだ準備中よ。開くのは昼からね」

男子「って警備の人じゃんか。ま、どっちみち今は見せられる状態じゃないな」

女子「あっ、そろそろ開会式だわ! 私は出てくるからあんたたち準備よろしくね!」

男子「おう」

ソピア「準備は調子いいですか?」

男子「いやー、実は最後の仕掛けをどれにするか悩んでてな……」

男子「なあ、参考までに、あんたが一番怖いもんってなんだ?」


1.吸血鬼
2.呪い人形
3.幽霊
4.大型モンスター
5.人間
6.その他、自由安価

ソピア「人間だと思います」

男子「ああ、殺人鬼とかな」

ソピア「いえ、普通の人間です」

男子「なんでだ?」

ソピア「徒党を組んで少数を追いつめます。仲間だと思っていてもすぐに裏切ります。理屈で説明できない行動をします」

男子「うむ、まあ、そうだとは思うが……見た瞬間の恐怖はないだろ? お化けが現れたら怖いけど、人が出て来ても怖くないしさ?」

ソピア「それも状況次第ですよ。目が覚めたら見慣れない屋敷にいるシチュエーションを想像してみてください」

ソピア「廃墟の中に飛び交う幽霊と、あなたを殺そうと迫りくる多数の人影、どちらが身の危険を感じますか?」

男子「それはどう考えても人の方が怖いな……逃げ切れないし」

ソピア「そうでしょう。お化け屋敷よりも人間屋敷の方が恐ろしいんです。だから出し物は人間屋敷にしましょう」

男子「いやいや、それは……」

マリン「わっ!」

男子「うわっ!」

チョーク「わー!」

男子「ひっ! ……な、なんだよ」

ソピア「えいっ、恐怖魔法&精神攻撃魔法」

男子「うぁぁぁぁぁぁっ!! 殺せ! いっそ殺してくれぇぇぇぇぇ!!」

一分後。

ソピア「ね? お化け(妖精)より人間の方が何十倍も怖かったでしょう」

男子「最後の仕掛けは無しにして、知り合いの月魔術師を呼ぶよ…………」

ハルカ「それでいいんだ……?」


ヴィーク『こちらヴィークだ。警備チームのみんな、開会式が始まるぞ! ホール前に集合だ!』

ソピア「ソフィアです、すぐ行きます!」

ハルカ「こちらハルカです。了解しました」

大ホール、エントランス。

ヴィーク「全員そろったな? それでは任務を与えるぞ」

ヴィーク「要人の警護、会場外側の警備は別の班が行う。お前らには集まった客を観察し、怪しい行動をする者を見つけたら報告してもらう」

ヴィーク「観客席全体が見渡せるステージ前の左右にはハルカとラファ」

ヴィーク「残り3人は分かれて、扉の前でスタンバイしてくれ。いいな?」

ほぼ全員「はい!」


ソピア(各大学の学園長先生の長いお話が続いてうんざりしてきた……いや、最初は真面目に聞いてたんだよ?)

バンダナ「おい、たるんでるぞ」

ソピア「あっ、ごめんなさい」

バンダナ「気持ちはわかるけどな。幸い、学園長を狙おうってやつはいなかったみたいだ」

ソピア「次は、来賓のあいさつですよね?」

バンダナ「ここからが大事だ。六勇はともかく、テロリストが狙うとしたら外国のゲストだしな」

ソピア「テロリスト、いるのかな……」

バンダナ「俺、なんとなく雰囲気で人の強さが分かるんだ。いるぜ、何人か強いのが」

ソピア「テロリストとは限らないのでは……」

バンダナ「……俺の勘はよく当たるんだよ。人間じゃないのも交じってる。危なくなったらヴィークさんの言った通り、無理しないで逃げろよ」

ソピア「はい……」


共和国軍代表として来場したゲストは……

1.海軍大将:女帝(鞭と月魔術を使う恐ろしい女軍人)
2.空軍大将:白服(国内ナンバーワンの天才科学者)
3.衛生兵長:貴腐(ワインと人体実験を好む変人)

↓1


外国からのゲストは……

A.魔導帝国ノーディス(魔術師の総本山、身分格差が激しい)から
B.サロデニア共和国(亜人の集う国、共和制の先駆け)から
C.ジャルバ王国(東方の軍事大国、国民皆兵)から

↓2

今日はこの安価まで



サロデニア共和国からのゲストは……

1.エルフ
2.竜人
3.獣人
4.小人
5.巨人
6.アンデッド
7.その他、自由安価

↓(コンマ1でゲストは襲撃されます)

やや忙しくて間が空きましたが、明日の朝~昼から再開します

司会「来賓挨拶。フルフィリア共和国海軍大将○○氏」

軍服の中年女性が檀上に立つ。

女帝「ご紹介に与りました、共和国軍幹部の○○です」

女帝「元帥および陸軍大将、憲兵隊長は多忙でスケジュールが調整できなかったため、今日は代理としてこの私が挨拶に参りました」


ソピア(噂に違わぬ厚化粧だ……! 顔、真っ白!)

ソピア(腰に鞭を束ねて下げてる。あれで、お姉さまたちを拷問したんだ……)


女帝「フルフィリア共和国の未来を担う若き才能に期待しています」

女帝「私も軍の代表として公開講義や展示を視察させていただきますので、楽しみにしていてください」

本人にそのつもりがあるかは分からないが、厚化粧の効果で道化師のような恐ろしい笑顔を浮かべ、海軍大将は挨拶を締めくくった。




大使「こんにちは。サロデニア共和国から参りまちた、大使の○○でございまちゅ」

大使「国際承認式に引き続き、同じ共和制国家の代表とちて、ご挨拶に伺いまちた」


ソピア(あの舌足らずな子供がサロデニアの大使?)

ネクタイ「……不思議そうだな」

ソピア(またいつの間にか近づかれてたっ!)

ネクタイ「小人族、あれでも成人だ」

ソピア「そっか、サロデニアは多種族国家でしたね」

ネクタイ「体力も、魔力も無く、頭の出来もそれほど良くはない種族だよ」

ソピア「……そんなこと言うの、あんまりじゃないですか」

ネクタイ「だけど……器用だから機械には強いかもな」

ソピア(それだけ言い残すと彼は持ち場に戻った。何だったの……?)


大使「今年の学園祭には、わたちたちの国から民族音楽を得意としゅる演奏家チーム、サロデニアパッションメンズが招かれまちた」

大使「ロビーにはサロデニアの文化を楽しめる道具や資料などを展示しておりまちゅ。ぜひともご覧になってくだしゃい」

ソピア(子供っぽくて性別が分かりにくい……でも妖精とは全く別物なんだよね)

ラファ「何事もなくてよかったのですよ……」

ヴィーク「開会式は無事に終わったが、まだまだ学園祭はこれからだ。気を抜かずに警備に当たってくれよ」

ネクタイ「行くぞ」

バンダナ「……えっ、俺か!?」

ヴィーク「おっと。トランシーバーには注意しておいてくれ。今回みたいに呼び出すことも多々あるだろうからな」

ラファ「さっそく待ちに待った音楽院に行ってきます……あくまで警備なのです」

ヴィーク「ちびっ子ー、遊びじゃないんだぞー」

ソピア「私たちも行きましょうか」

ハルカ「んー、いいのかな?」

ソピア「約束ですし、午前中までは一緒に行きますよ」



~警備~

向かった場所でモブや同行者と会話したり、スキルを覚えたりします

なお、コンマ末尾1で観光客同士の喧嘩や怪しい人物に遭遇します

同じ場所を数度訪れてもOK


~警備開始前に~

学園祭編はソピアにとって救済パートです、名ありモブにしつこく構うと協力者(利害が一致)になったりソピアや仲間が強化されたりします

吸血鬼のような章末ボスは3パターン用意、話したモブや警備の結果で選ばれます

狙って回避するのは困難ですが、何のフラグも立たずモスボラ・サウソーシャと同様に何事もなく終わる可能性も



35日目朝 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校
2.文官学校
3.自然科学大学(公開講義をするらしい)
4.医科大学(昨日お世話になったセラピストのサナさんがいるかも)
5.工業大学
6.音楽院(歌・踊り・劇団の人はまだいるかな?)
7.スクーニミー大図書館(読んでおきたい本がいくつか……)
8.スクーニミー公共ホール(この時間は準備中かな)
9.画廊(アートクラブが展示中だっけ)
10.運動場
11.ホテル街
12.住宅街
13.郊外:北 フルフィリア北海岸
14.郊外:西 天文台のある丘
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋(誰もいないよね?)
16.郊外:東 無人の屋敷(お化け屋敷改め人間屋敷になったはず)

()内はソピアのコメント

↓ (コンマ末尾1で事件発生)

大図書館。

ハルカ「……キミの調べものの為に来たわけじゃないよね?」

ソピア「ソンナワケナイジャナイデスカ」

ハルカ「まあ、お客さん、結構いるものね」


ソピア「すいません、何か問題は起こってませんか?」

司書「……いいえ、何も」

ソピア「本当に何も困ったことはないんですか?」

司書「……客とは関係ないですけれど、行方不明になった本があります」

ソピア「ふむふむ」

司書「……でもそれは私の仕事なので、貴女がたは警備の仕事に戻ってください」


1.『ギルド上位職なりかた図鑑』を読む
2.『フルフィリア野生モンスター大百科』を読む
3.『妖精とあそぼう』を読む
4.その他の本を探して読む
5.席に座ってハルカと話す
6.トールを探す
7.行方不明の本探しを手伝う

↓1、2

ソピア「私が探すのを手伝います」

司書「……困ります」

ソピア「この広い図書館内の警備も兼ねて、です」

司書「……そうですか。このタイトルと著者名のリストを持っていってください」

司書「……行方不明になった本は、盗まれたか、貸しだされたまま帰ってきていないか、別の本棚に紛れ込んでしまったのが主な原因で」

司書「……別の本棚に紛れた場合がとても多いんですよ」

ハルカ「少し業務内容が違う気がするけど、あたしもがんばろう」


ソピアたちは根気よく図書館内の本棚とにらめっこした。

ソピア(目と腰が痛くなった……)

2人はスキル『探し物』を習得した。

『探し物…散らかった中から目当ての物を素早く見つけ出す』


司書「……5冊も、ありがとうございます」

ハルカ「はぁ、疲れた……」

ソピア「特に変わったこともありませんでしたね」

『おすすめ☆ “妖精とあそぼう”』

『遊ぼう、お話ししよう、人助けしたいなどと言ってしつこく付きまとい、少しでも気に食わないことがあると暴れ出す厄介なモンスター、妖精種』

『そんな妖精の生態を丸裸にした、初心者にも読みやすい指南書がコレ!』

『妖精から逃げ切るテクニックや討伐のコツが満載。タイトル通りに仲良くなる方法も載ってるよ』


ソピア(『そもそも妖精とは何なのか』『野妖精との賢い付き合い方』『妖精の飼い方』……最初と最後の方を読めばいいかな)


●そもそも妖精とは何なのか

妖精とは何なのか。その疑問に答えるためには、まずは精霊について説明しておかなければいけません。

世界各地には精霊王と呼ばれるものがいます。

彼らは妖精種の最上級モンスターに分類されていて、無尽蔵に精霊を生み出します。

そうして世界に現れた精霊がたくさん集まり実体を持ったのが、妖精の正体なのです。


●妖精の個性と命名法

精霊には八つの属性があります。どの属性をどれだけ含むかによって妖精の性質・性格は変化します。

一番多く含む属性と、その精霊の量によって名前が決まります。

    小型     中型       大型
火 イグニス  サラマンドラ   戦神など
水 スプライト  ウンディーネ  海神など
岩  ノーム    トロール   地母神など
風  シルフ    テンペスト 風神・雷神など
日  ニンフ    コロニス   太陽神など
月  ピクシー   ルーガルー  月神など
黒  インプ    デーモン   有名悪魔

白 エンジェル  セラフィム   有名天使

小型種 ~ 一般的に妖精というと小型種を指します。

中型種 ~ 自然災害を起こします。普通の大型モンスターと同等の危険性があります。一部地域では神として信仰されています。

大型種 ~ 数が少なく総称がありません。大型種の一部は精霊王として振る舞います。ほぼ全てが国家を象徴する神としての立場にあります。


●誕生と死亡

突然ですが、妖精は動物ではありませんし、生き物でもありません。

精霊が豊富な場所で自然に生まれ、人間などに狩られる、または融合(→P243)によって実体を保てなくなり死亡します。

妖精が死亡すると、数時間~数年後、最初に生まれた場所で同じ妖精が生まれます。その際、記憶は失われます。


ソピア(融合ってあの捕食のことかな? 時間もないし、あとは気になる見出しだけ……)

●妖精のお世話

・食事
妖精は常に精霊の代謝を行っています。あまりにも精霊の少ない場所(箱の中や魔術師のいない国など)に閉じ込めるのは避けましょう。
人間と同じ食事は必要としません。しかし味覚はあるので、食事を与えると喜びます。

・睡眠
妖精は睡眠を必要としません。暴れたり喋ったりして飼い主の睡眠を妨害することがあります。
特別なスキルを持たない人は、静かに遊べる道具を用意し与えておきましょう。

・洗浄
妖精は汚れないので洗浄は不要です。火の妖精を含めて水浴びを好むのでたまに洗ってあげてもいいでしょう。


●妖精との遊び

・ノーム種
積み木やお絵かきなどクリエイティブな遊びを好む傾向にあります。静かにさせておくのも比較的かんたんです。

・シルフ種
風は気まぐれ、興味が次々と移り変わります。新しいものを見るのが好きで、毎日散歩に連れていけば他には何も要りません。


●野妖精の融合と飼妖精の融合

野生の妖精は、自分と属性がよく似た個体に出会うと融合しようとします。融合によって力を強めていきます。

一つの地域に同じ妖精が複数いないのはこのためです。

ただし、エンジェルおよびインプは数の利を理解しているため、群れを成すこともあります。

人間の保護下にある妖精は、どんな妖精でも融合しようとします。

これは自然界ではまず起こりません。人間の介入がなければ、抵抗されて共倒れになる危険があるためです。

融合した際に、自分の属性と合わない余分な精霊は排出されるので、例えばイグニスがノームに変化するといったことはあり得ません。


ソピア(つまり、成長させるためにも、食べさせてあげた方がいいのかな?)

チョーク(……ソフィーの目の前なら誰も抵抗しないよー)

ソピア(それにしても、全くマリンを構ってあげてないのに不平を言わないと思ったら、旅や冒険がそのまま遊びになってたんだね……)

マリン(モンスターになったヒレアから逃げ回ったのは一番楽しかったわー♪)

バンダナ『こちらジョー。自然科学大学の前で学生にいちゃもん付けてるおっさん共を止めたんだが、思わずぶん殴っちまった。悪い……』

ヴィーク『いやいや、別にいいぜ。警備ってそういうもんだろ』

ラファ『ラファなのです。音楽院の外れで私が誘拐されそうになりました。犯人は縛っておいたのですけど、どうします?』

ヴィーク『ちびっ子、マジ気を付けろよ……。別の班に連絡しておくからそれまで犯人を見張っておいてな』

ソピア「みんなちゃんと働いてる……」

ハルカ「まあ、何も起こらない方がいいよ」



35日目午前 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校
2.文官学校
3.自然科学大学(公開講義をするらしい)
4.医科大学(昨日お世話になったセラピストのサナさんがいるかも)
5.工業大学
6.音楽院(歌・踊り・劇団の人はまだいるかな?)
7.スクーニミー大図書館(読んでおきたい本はまだある)
8.スクーニミー公共ホール(公演する人の護衛は別の班がしているらしい)
9.画廊(アートクラブが展示中だっけ)
10.運動場
11.ホテル街
12.住宅街
13.郊外:北 フルフィリア北海岸
14.郊外:西 天文台のある丘
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋(誰もいないよね?)
16.郊外:東 無人の屋敷(お化け屋敷改め人間屋敷になったと思う)

()内はソピアのコメント

↓ (コンマ末尾1で事件発生)

スクーニミー西部、ベリアト丘陵。

2人は町から離れ、上り坂の林道を歩いていた。

小鳥のさえずりと涼しい風がとても心地よい。


看板『ベリアト天文台 1㎞→』

ソピア「あの頂上に見えてるのが天文台……」

ハルカ「キミに会いたいって人たちがいるんだよね。ヴィークさんに呼び止められてたの見てたよ」

ソピア「ごめんなさい。私の用事に付き合わせてしまって……」

ハルカ「いいよ。天文台でも出し物をするっていうし」

ハルカ「それに機会があれば、鍛えた弓の腕前、キミに見せたいからね!」


道中ハルカと話す話題選択

1.アーチャーになった理由について
2.これまでに受けた仕事について
3.髪型のこだわりについて

↓1


話の途中でモンスターが出てきます

↓2、3コンマ >>6の表でモンスター作成

一際強い風が吹き、2人の髪を舞い上げた。

ソピア「ハルカさん、髪綺麗ですよね。いつもそのセットですけどこだわりがあるんですか?」

ハルカ「ん? 無いよ」

ハルカ「アーチャーは目が命だから、視界に入らないようにポニーテールにしてるだけ」

ハルカ「ねえ、キミの黒髪は地毛?」

ソピア「違いますよ。ポーションで変えたんです」

ハルカ「あたしは地毛が黒なんだ」

ソピア「珍しいですね」

ハルカ「実はあたし外国人の血が入っててさ、だから学校では浮いてたんだよ」

ソピア「暴行されたり?」

ハルカ「しないしない。そこまでじゃなかったよ。でも、出しゃばらないように空気になろうとしてたおかげかな……」

ソピア「そういえばちょっとフルフィリアっぽくない名前ですよね。もしかしてキョウト系の人ですか?」

ハルカ「キョウトじゃないけど、近くの国らしいよ。軍事大国ジャルバと戦争してたって親から聞いてる」

マリン(ソフィー、モンスターよー)

チョーク(南のほう)

ソピア「……近くにモンスターいません?」

ハルカ「……いた。あれね」



氷牛

蹄と角が硬い氷でできている不思議な牛。

肉や毛皮などが利用できるため、家畜として飼育されていることがある。

牧場では冷たいミルクを絞らせてくれるほど穏やかだが、野生化した家畜を舐めてはいけない。



ソピア「通り抜けますか?」

ハルカ「向こうもたぶん気づいてる。狙い撃つよ」


※このレスのコンマ+30が牛の体力

↓コンマ分牛にダメージ(ゾロ目で2倍クリティカルヒット、ただし末尾0で矢を外す)

氷牛 体力57



ソピア「ちょっと遠すぎませんか……?」

ハルカ「任せといて」

ハルカが選んだスキルは、一撃の威力が大きい『強射』。

突進が恐いモンスターなので、手早く仕留めたかったのだ。

ビョウ

氷牛「ブルル」ガッ!

ソピア「外した!」

ハルカ「ツノで弾いたのね……!」

氷牛「フンッ! ブルルルル……!」ザッ ザッ

ハルカ「く、来る!」


1.ソピアの羽攻撃(必中40ダメージ)
2.ソピアの光線(コンマの倍のダメージ、ただし奇数なら外す)
3.ハルカの精密射撃(必中コンマ-20分ダメージ)
4.強者が通りすがって助けてくれる

ソピア「えいっ、刺され!」

黒い羽が牛に群がり、柔らかい部位を選んで刺さり牛を弱らせる。

氷牛「ブモォ……!」

氷牛 体力17


ハルカ「まだ、倒れない……?」

ソピア「立ち上がった!」

既に満身創痍の牛が力を振り絞って2人を睨みつけた。

そして、氷のツノを発射した。

ソピア「えっ、それ撃てるの!?」


1234 ソピアに向けて撃たれた
5678 ハルカに向けて撃たれた
90 ひるんでいる隙に氷牛は逃げ出した

↓コンマ一桁

ハルカ「ふっ!」ヒョイ

ハルカ「はいっ!」バシュ

ドサリ

氷牛「……」

ソピア「……えっ」

ハルカ「ちょっと待ってて。使えそうな部分を解体して持っていくから」

ソピア「今、よく避けられましたね?」

ハルカ「うん。『遠距離回避』はアーチャーには必須だよ。撃ちあいになることもあるし」

ハルカ「『速射』スキルもないと一方的に撃たれるからね……」

ハルカ「キミも氷のツノ一本いる?」

ソピア「遠慮します。かさばるし溶けそうなので……」


ソピア「あんなところにモンスターがいたら危ないですよね……」

ハルカ「さっきのも警備の一環って所かな。報告する?」

ソピア「はい。…………こちらソフィアです。天文台付近で迷い牛を倒しました。暴れ牛でした」

ヴィーク『了解。野牛の討伐依頼が出ていなかったかこちらで確認しておく』



林を抜けると、芝生が広がっており、その先に天文台の建物が並んでいた。

望遠鏡が収納されているだろうドームが印象的だ。

職員「いらっしゃい」

ソピア「こんにちは。警備の者です」

職員「警備の人? 夜に天体観測と光のショーをするけど、まだお客さんはいないよ」

ソピア「そうですか……。もう一つ、個人的な用事があるんですけど」

ソピア「私、月魔術師のソフィアといいます。士官学校のヴィークさんのご友人が、私と会って話がしたいと申していたそうなので参りました」

職員「あなたも月魔術師? どうぞ、歓迎するよ」


↓1、2 ソピアが出会う月魔術師の名前と、性格または特徴(例:『ハルカ 控えめ』『エルミス 軍幹部の娘』『ラファ 12歳』)

ちょっと進めておきます



ベリアト天文台、望遠鏡室。

職員「おーい、例のソフィアさんがいらっしゃってるよ」

「なんですって!」

バタバタと走ってくる足音がする。

「おーほっほっほ!」

ソピア「エルミス!?」

「お待ちしておりましたわ、ソフィアさん!」

ソピア「違った!」

ディアナ「あたくしの名はディアナ。人呼んで『美しすぎる天文学者』ですわ!」

ソピア「は、はあ。たしかに、お綺麗ですね……」

ディアナ「貴女、見る目がありますわね。おほほ、あたくしのライバルにふさわしいですわ!」

ディアナ「さあ、貴女とあたくし、どちらが魅力的か勝負ですの!」

ソピア「しょ、勝負ですか……?」

ディアナ「そう、これは避けられぬ戦い……」

ディアナ「生粋の月魔術師で美しい実績を持つ貴女に勝利することによって、あたくしの美しさはまた一段とランクアップできますの!」

ハルカ「美しい実績って何……?」

ソピア「たぶん模擬戦闘の優勝と、レーザーパズルの種目優勝です……」

ハルカ「美しい競技なの?」

ソピア「やる方は根性と思考力が試されてそれどころではなかったけど、観る分には美しいのかも……」

ディアナ「勝負は簡単ですわ。お互い同時に魅了魔法を使い、魅了された方の負け!」

ディアナ「さあ、準備はよろしくて?」

ソピア「えっ、よろしくないです」


※ソピア精神力52 ディアナ精神力70(ナルシストなので高め)

↓コンマ+52が、このレスのコンマ+70を越えればソピアの勝ち、偶数ゾロ目でも勝ち

ディアナ:139 ソピア:105 負け


ソピア「や、やー」ピカー

ディアナ「さあ! あたくしに見惚れなさいな!」キラキラキラ

職員「ちょっ、まっ」

ハルカ「おっとっと」サッ


ソピア「……」ポケー

ソピア(ディアナさんって本当に美しいね……目が逸らせないよ)

ソピア(お父様やお母様なんかよりもっと大事。そう……ディアナさんは私にとっての神様)

ソピア(神様の命令には絶対服従しなきゃいけない。もしも嫌われたらもう自殺するしかないかも……)

ソピア(ディアナさんの美しさに対して私ってなんて醜いんだろう……)

ソピア(こんな私だけど、ディアナさんに愛されたいな……)

ソピア(妖艶に微笑みかけてほしい、優しく抱きしめてほしい、一生を隣で添い遂げたい)

ソピア(……こんなおかしなこと考えちゃうなんて私どうしちゃったんだろう)

ソピア「…………はうっ!」

ディアナ「あたくしの勝ちですわー! おーほっほっほっほ!」

ソピア(私が魅了魔法を使った人たちはこんなことになってんたんだ……!)

ソピア「恥ずかしい!」

ディアナ「魔法競技会の優勝者といっても、てんで大したことないんですのね!」

職員「魅了魔法がすべてじゃないからね」

ハルカ「そもそもキミ、初級者なのかな?」

ディアナ「月魔術師歴は二年半になりますわね」

ソピア「私、一ヶ月の初心者ですから……」

ディアナ「これからに期待しておきますわ。貴女が美しくなればなるほど、よりあたくしの美しさが引き立ちますもの」

ソピア「万年引き立て役ですか……」

ソピア「ディアナさん以外に月魔術師はいらっしゃらないんですか?」

職員「自分もそうだよ。あとはそこの」

根暗「……」スッ

職員「ディアナと自分たちは日魔術師でもあるんだ」

ディアナ「貴方がたは研究のためにかじっただけで、魔法なんて何も使っていないでしょう」

職員「他の研究メンバーは科学メインの人たちだから、それだけかな」

ディアナ「マトイさんを忘れてますわよ?」

職員「彼女はゲストだから……」

ソピア「どんな人なんですか?」

根暗「……天才幼女」ボソッ

職員「本当なら上位職になっていてもおかしくないよね」

ディアナ「忙しくなさっているでしょうけど、あたくしが会わせてあげますわ」

ハルカ「いいのかな……」


天文台、研究室。

ディアナ「ごめんくださいまし」

「はーい」

ディアナ「お客様がいらしてますわよ」

「うん! 入れていいよ」

ソピア「失礼します。学園祭警備のソフィアです」

マトイ「マトイだよ。フィアちゃんって呼んでいーい?」

ソピア「う、うん、別にいいよ」

ディアナ「ソフィアと恐怖(フィアー)魔法をかけているのですわね、さすが天才」

ソピア(関係ないんじゃないかな)

マトイ「マトイはここで算数のお手伝いをしてるの」

ソピア「どれどれ……」

ソピア(数字が一つも見当たらなかった。=以外見たことも無いような記号の羅列……)

ソピア「……マトイちゃん、何歳?」

マトイ「マトイ、7歳だよ!」

ソピア「どういうこと……」

マトイ「ねー。フィアちゃんってすごく強い月魔術師なんでしょ?」

ソピア「いや、初心者の中でもそれなりだよ……」

マトイ「ねーねー、マトイと、もぎせんとーごっこしよう!」

ソピア「えっ?」


1.やろうやろう
2.やらない(交渉力70、コンマ30未満で失敗)

ソピア「ごめんね。私、戦うのは好きじゃないんだ」

マトイ「なのに優勝したんだね」

ソピア「戦いは……遊びでするものじゃないんだよ」

ハルカ「ソフィアさん真顔……!」

マトイ「んー、それなら、マトイが天文台の面白い所を案内してあげる」

ソピア「お願いするね」

マトイ「ついてきてー」


マトイ「はい! これが天文台の目玉、望遠鏡!」

ハルカ「教科書で見たけど、実物はこんなに大きいんだ」

ソピア「何に使うんですか?」

マトイ「中にたくさんのレンズがあって、星をおっきくして見れるの」

ディアナ「天術師のみなさんは魔法でレンズを作り、肉眼で観察できると聞きますわ」

ソピア「ここ、天術師の方はいらっしゃらないんですね?」

マトイ「博士がいたんだけど、世界の反対側に星を見に行ったきり帰って来ないの」

ソピア「帰って来ないって……」

マトイ「きっと生きてるよ」

ディアナ「話は変わりますが、今晩ここで天体観測体験を開きますわ」

ディアナ「ただ、あたくしがいるので警備の必要はありませんの。みんなが星ではなくあたくしに見惚れるでしょうから!」


マトイ「ここはベリアト公園。たまに迷子の牛さんがやってくるよ」

ハルカ「襲われなかったの?」

マトイ「魔法があるからこわくないもん」

ディアナ「天体観測の後は、この広場であたくしが光のショーをお見せしますのよ」

マトイ「アナちゃんだけじゃないよぉ」

ディアナ「あたくしの美しさの前では マトイ「次いこー」


マトイ「次はマトイのおすすめだよ。とっても珍しいの!」

ソピア「何だろう?」


1.大地球儀
2.プラネタリウム
3.世界標準時時計

ソピア「さっきの時計はただの時計?」

ディアナ「ベリアト標準時も知らないんですの?」

ハルカ「えっとね……外国に行くと、時計の針と太陽の位置が合わなくなるんだ」

ディアナ「そのずれを修正するためにも、基準となる標準時が必要でしたの」

マトイ「フルフィリア以外の国でも使われてるんだよ。しらなかったの?」

ソピア「へえ……。それ、通り過ぎるべきでは無かったのでは……」

マトイ「えー、あれ見てもおもしろくないもん」

ソピア「さいですか……」


天文台、資料室。

マトイ「じゃーん、これ!」

ソピア「地球儀?」

マトイがソピアたちに見せたかったのは直径4mほどの地球儀らしい。

マトイ「これ、すきなように回せるんだよ」コロコロコロコロ

ソピア「あっ、この線が標準時なんだ」

ハルカ「これがあたしたちのいる北大陸ね」

北大陸には、フルフィリア共和国、魔導帝国ノーディス、ジャルバ王国、サロデニア共和国、コホーテン首長国の5つの大国と多くの小国が描かれている。

ソピア「大陸の北は全部海なんですね?」

マトイ「ううん。まだ誰も行ったことないだけ」

ディアナ「海流が早くて船が出せませんの」

ハルカ「ジャルバから陸橋で繋がってるのが中央大陸で、海の向こうには連合帝国のある南大陸。西の果てに新大陸があるのね」

ソピア「恐怖の国あるかな……」


マトイ「そーれ、ぐーるぐるー」

ソピア「ストップ!」ビシィッ

ハルカ「レンデカンケン島?」

ディアナ「図鑑によると……大型モンスターの営巣地ですわね!」

ソピア「いやぁぁぁ」

ソピアたちが時間を忘れて地球儀で遊んでいると。

職員「おーい、新しいお客さん来てるよ」

ディアナ「第一印象が大切ですわ! 美しいあたくしが応対します!」


来客は……

12 トール
3456 今朝話した心理学部の学生
7890 共和国軍海軍大将“女帝”

↓コンマ一桁

ロリの口調表現難しいなと思いつつ、今晩はここまで

ソピアにとって共和国軍幹部で一番危険な人の登場です

久しぶりに一週間放置してました…
明日朝~昼に再開します

ディアナ「おーほっほっほ! お初にお目にかかりますわ、あたくしはこの天文台で最もうつく……」

女帝「あら、ごきげんよう」

ディアナ「な……」

女帝「で? 貴女、この天文台で最も何ですって?」

ディアナ「……一番の新入りですの。おほほ。あっ、責任者を呼んできますわね」


ディアナ「と、とんでもないお方が来られましたわ……!」

職員「どうした?」

ディアナ「あの恐ろしい噂の絶えない海軍大将、通称“女帝”ですわ」

ソピア「……!」

ソピア(まさか、もう会うことになるだなんて!)

マトイ「アポなしは困るよ……」

カチャ

女帝「こんにちは、天文台のみなさん。ごめんなさいね、私待つのは嫌いなの」

職員「す、すいません! 失礼な真似をいたしました」

女帝「うふふ、そう怖がらなくていいのよ。同じ月魔術師同士じゃないの……」

ソピア(恐い。一挙手一投足が恐い。恐怖魔法を常に使っているとしか思えないオーラを放ってる)


ソピアの行動選択

1.そそくさと立ち去る
2.自分に話が振られないよう背景になりきる
3.あえて率先して話し掛け会話のペースを握る

↓(コンマ一桁が大きいほど行動が上手くいく、最大は0)

7:それなりに上手く立ち去れた



女帝「ウフフ。ねえ、ここで一番の月魔術師はどなた?」

マトイ「マトイだよ、たぶん」

女帝「そう、貴女ね。私から直々に頼みがあるのだけど……」


ソピア「ディアナさん。私たちは警備に戻るので、失礼します」

ディアナ「申し訳ありませんわ。どうかまたいらして下さいな」

ハルカ「はやく行こう、ソフィアさん」


女帝「おや、さっきの子たちは?」

ディアナ「警備の人たちなら仕事に戻りましたわ」

女帝「そう。まあ、いいわ。さっきの依頼の話だけど……」

女帝(ソフィア、って聞こえたわね……フフッ)



ソピア「危なかった……」

ハルカ「女帝の恐さは誰もが知るところよね……」

ソピア「あの人、趣味が拷問って言われてますからね」

ハルカ「うん、海軍にだけはいきたくないって士官学校の人から聞いたよ」

ソピア「実際、六勇の評判ってどうなんでしょう? あまりいい話を聞きませんけど」

ハルカ「元帥と勇者くらいかな、イメージがいいのは」

ソピア「昨日会いましたけど、勇者さん、あまり思慮深くなさそうな方でしたよ」

ハルカ「バカってことね……。勇者は国を救った実績があるから、イメージだけはいいんだと思うよ」

ソピア「昔いた魔王って、そんなに悪い人だったのかな……」

ハルカ「ん? 無線だよ」

ヴィーク『ヴィークだ。警備は順調か?』

ヴィーク『これは女性3人への頼みなんだが、2人ほど、別の班に応援が必要らしい』

ヴィーク『手が空いてたら、公共ホールの近くにあるポップダンスクラブまで来てほしい』

ラファ『それ、誰の警備なのですか?』

ヴィーク『あー、お前ら。アイドルのROKKAは知ってるな?』

ソピア『アイドルってなんでしょう?』

ヴィーク『んーとな、主にテレビの映像を通してパフォーマンスする、肌の露出が少ない踊り子だ。デジタルの国で盛んな芸能らしい』

ソピア『詳しいんですね?』

ヴィーク『……気にすんな』

ハルカ『最近人気の子ね。共和国のテーマソングみたいなものも歌ってる……』

ヴィーク『明日のライブのために練習中らしいんだが、どうも警備の連中が気に食わないのか、機嫌が悪くて練習してくれないんだとさ』

ハルカ『だから同年代のあたしたちをあてがおうと……』

ヴィーク『そういうことだな。話し相手も兼ねてお前らを近くに置いて、本来の担当は外で警備しようってこった』

ソピア『練習しなかったのを私たちのせいにされませんよね?』

ヴィーク『そりゃあ、ねぇだろ……?』

ラファ『私は引き受けてもいいのですよ』

ソピア「ハルカさん、どうします?」

ハルカ「あたしはパスしたいかな……。ただでさえ初対面の人と話すのは緊張するから」

ソピア(名前だけは知ってるけど歌は聴いたことないからね……どうしよう?)


1.ソピアとハルカで行く
2.ソピアとラファで行く
3.ハルカとラファに任せる

↓2票

ソピア「苦手なら無理しなくていいですよ」

ソピア『私も行きます』

ラファ『……むぅ』

ヴィーク『アイドルの前で仲悪くすんなよ、仕事だからな』

ハルカ「ソフィアさん……ありがとう」

ソピア「気にしないでください」

ヴィーク『じゃ、ソフィアとちびっ子はよろしく頼んだ。ハルカは引き続き警備にあたってくれ』


ソピア「……」スタスタ

チョーク(そこの壁、お絵かきしたいなー)

ソピア(だーめ)

マリン(正面の男の人、モンスターの気配がするわー)

ソピア(えっ!?)

幽霊(あ、わたし彼の守護霊ですのでお気になさらず)

ソピア(は、はい。いろんな人が来てるんだね……)

ラファ「……」スッ スタスタ

ソピア(音楽院の前で待ってたんだ……。そして何も言わず合流した……!)

ラファ「……」

ソピア(間が持たない! 態度を少しでも軟化させるために何か話そう)


1.さっきからずっと音楽院にいたの?
2.どうして私のことが嫌いなんですか?
3.変な喋り方ですよね

ソピア「どうして私のことが嫌いなんですか?」

ラファ「聖教会の信徒が悪魔の手先を嫌うのは当然なのです」

ソピア「はあ。悪魔ってヒレアちゃんのことですか?」

ラファ「……まあ、そうとも言えますね」

ソピア「太った日魔術師の男性を殺したから?」

ラファ「いいえ、あれは因果応報なのです」

ソピア「厳しいんですね……」

ラファ「正直、私が同じことをされたら神の名のもとに裁いてました」

ソピア(裁くってつまり死なせるんだよね……)

ラファ「あれは自称正義の性犯罪者でした。彼のキチガイエピソードを上げればきりがないのですよ」

ラファ「たとえば、女盗賊を性的暴行の末に死なせたり、学校の不良グループを密室に閉じ込めて性行為を命令しそれをビデオ撮影したり……」

ソピア「うわ……」

ラファ「あっ、でもさっきのを含めた半分以上は冤罪でした」

ソピア「もはや正義ですらなかった……!?」

ラファ「ただのクズなのです」


ラファ「悪魔とは聖教会に仇なす者の総称なのです。つまり、黒魔術師はすべて悪魔です」

ソピア「ヒレアちゃんはもう邪教の館を出ましたけどそれでも?」

ラファ「やらかした事件が大きすぎますですよ。というか私的に気に食わないのです」

ソピア「……レンくんは?」

ラファ「うぐっ! ……悪くない黒魔術師もいるのですよ」

ソピア「もしかしてレンくんのことが好きだから……」

ラファ「ななななんてこと言うのですかこの淫乱悪魔!」

ソピア「えええええ」

ラファ「討伐しますですよ! 主に顔面を集中的に破壊したあと全身の皮をむいて塩水を塗りはりつけにして広場に放置してやりますですよ!」

ソピア「とても白魔術師の言葉とは思えない!」

恋愛の天使「喧嘩しちゃダメーっ!」

ラファ「いちいち出てこないでくださいよ」

ソピア「あれ? あなたにも見えるんですね」

天使「ごめんなさい。この子、私のお友達なんです」

ラファ「ど、どうしてソフィアも話せているのですか……? 」

天使「うん、あたしね、ソフィアの守護天使でもあるんだよっ」

ラファ「絶対に信じないのです……」

ソピア「はじめ天使さまがやたらフランクな口調だったのはあなたの影響だったんですか……」

天使「どちらかというと普段から砕けてて、敬語の方がラファの話し方を元にしてますよ」

ソピア「ところで、守護天使が恋愛の天使ってことは……」

ラファ「……だまりなさい」

ソピア(……いろいろと気まずくなった)

公共ホール近くのダンススタジオ。

普段はポップダンスクラブの面々が外国由来の軽快なダンスを楽しむ施設は、黒いスーツの男たちに囲まれ物々しい雰囲気が漂っていた。

冒険家風の男性「お、あんたらが代わりの子か」

中年女性「頼んだよ。あたしにゃ今どきの流行りは分からなくてね」

黒スーツA「待っていた。事情は聞いているな?」

ソピア「はい。ROKKAさんの護衛と聞いてます」

ラファ「ふてくされたアイドルのご機嫌取りなのです」

黒スーツA「早速中に入ってくれ。外は我々が守る。彼女の一番近くで護衛するのが君たちの仕事だ」


男「拙者の名はデュフと申すッ! 警備員さんッ! この手紙をROKKAたんに渡して下され!」

ソピア「ええ……?」

黒スーツB「駄目だ。帰りなさい」

デュフ「あ、あなたには関係ないじゃないですかぁー!」

ソピア「やっぱり巷では人気なんだね……」

黒スーツC「この部屋にいる。くれぐれも目を離すことのないように」

ガチャ

ソピア「失礼します」

ソピア(メイクルームの中には、雑誌で見た通りの、髪と服がピンク色の派手な女の人がいた)

ソピア(椅子に座ってうなだれる姿はその容姿の派手さとは対照的だ……)

「…………」

ソピア「あの……」

ラファ「聞きましたですよ。あなた、練習をボイコットしているらしいじゃないですか」

「……はい」

ラファ「あなたはプロとしての自覚がないのですか? 今一番人気のパフォーマーでしょう」

「……そんなの」

ラファ「言い訳は聞きたくないのです。練習はともかく明日の本番はサボらないでください。私の歳でも職業人としての責任くらい理解してるのですよ」

「……やりたくて、やってるわけじゃ……」

ソピア「どういうこと?」

ソピア(そういえばこの声、どこかで聞き覚えがあるような……)

ラファ「顔を上げて話すのです」

「…………。……あ!」

ソピア「はい?」

「も、もしかしてシスター様ですか……?」

ラファ「よく分かりましたね。たしかに私は白魔術師なのです。制服を着ていても聖職者オーラは隠せないのですね……!」

「ごめんなさい、あなたじゃない、です」

ラファ「なのですか!?」

ソピア「え、じゃあ私? 私は白魔術師じゃないけど……あっ!」

「さ、昨晩は見ず知らずの私を助けていただきありがとうございました」

ソピア「ポロさん!」

ポロ「あの後、結局捕まっちゃいました……ごめんなさい」

ポロ「改めて、アイドルシンガーROKKAこと、ポロ・カッチーニといいます……」モジモジ

ソピア「訳あってシスターの格好をしてましたけど、月魔術師のソフィアです」

ラファ「私はラファ。私が白魔術師なのです」

ポロ「えっと、あの、すいません……。私、人の目を見るのが苦手で……」

ラファ「よくそれでアイドルが務まりますね。ライブはどうするのですか」

ソピア「私も聞きたいことはいろいろありますけど……とりあえず、昨日預かった服をお返ししますね」

ポロ「あ、持っていていただけたんですか! ヘルメットまで……」

ソピア(さて、何から聞くべきかな……)



ソピア「つまり、まとめると……」

ラファ「合唱クラブのメンバーで、学校を卒業したらファナゼ市の合唱団に入ろうと思っていたあなたは」

ソピア「テレビ業界の重鎮、ミッキー・グリエールに目を付けられて、押しに弱いポロさんと強引に契約して……」

ラファ「歌うのは好きでも恥ずかしがりやなあなたは、やりたくない仕事を無理矢理させられていたのですね」

ポロ「その、いつもは収録だから、なんとかがんばれたんですけど……ライブなんて聞いてなくて、その……」

ソピア「昨晩、隙を見て逃げ出したんですね……」

ポロ「……逃げた先が行き止まり、ううん、帰らずの森で……こわくて」

ソピア「そこは逃げ込まなくて正解です」

ラファ「でも、もう観念してライブするしかないのですよ」

ポロ「で、でも私、踊りも苦手で……」

ラファ「……今まではどうしてたのですか?」

ポロ「直立不動で歌ってました……カメラワークでごまかしたり、代役に踊ってもらったり……」

ポロ「ほら、こんな格好だから似てる人なら気づかれなくて。雑誌の記事も代役の人が書いてました……」

ラファ「……散々なクオリティのライブを披露してさっさと引退すればいいのですよ」

ポロ「そっ、そんなことしたら……いったいどんなお仕置きをされるか……!」

ソピア「……」


1.無理に仕事させるなんてひどいです、逃げましょう
2.無理に仕事させるなんてひどいです、文句を言ってきます
3.踊りを集中的に練習しましょう
4.人前でも緊張しないように精神力を鍛えましょう
5.いっそ歌一本で勝負しましょう
6.自由安価

ソピア「いっそ、歌一本で勝負しましょうよ」

ポロ「ふぇ?」

ラファ「賛成なのです。愛想や踊りに期待できなくても、合唱団出身なら歌は得意なのでしょう?」

ソピア「生歌が聴けるだけでも満足してくれますよ、きっと」

ポロ「うぅ、でも、たくさんの視線を感じたらまともに歌えないです……」

ラファ「目を閉じればいいのですよ」

ポロ「な、なるほど……! でも、ぷ、プロデューサーが許してくれるか……」

ソピア「一旦歌える場所に移動しませんか? 私、ポロさんの歌聴いたことなくて……」


小ホール。

ソピア「私たちが見てても歌えますか?」

ポロ「え、えと、2人くらいなら……」

ラファ「私は聖歌隊の一員ですから耳は肥えてますですよ」

ソピア「もう、プレッシャーかけちゃダメですよ……」

ポロ「……では、『海星のラブレター』」

ソピア(ヒトデ……)

ポロ「流れ星ひろいあげて 想いを込めて海にかえすの」

ポロ「いつかまた会えるかな 水平線の向こうのあなた」

ラファ「ほへー」

ソピア「流石ですね。これなら大丈夫そうです」

ポロ「ありがとうございます……ちょっと自信がでました。次、『学園エマージェンシー』」

ポロ「キミの中指がボクのほほに触ーれーたー ハイ!」

ポロ「それいけ男子 かがやけ女子 さよなら風紀 でていけ教師」

ポロ「ああー来ないでよ夏休み 学園エマージェンシー」

ソピア「あー……これは踊った方がいいような」

ラファ「目を閉じて静かに歌っていたらシュールなのです……」

ポロ「ですよね……うう」

ガチャ、バタン

プロデューサー「おーROKKAちゃん、機嫌直ったんだねー、よかったよーうんうん」

ソピア(妙なテンションの人が入って来た!)

ポロ「プロデューサー……」

プロデューサー「警備の子たちありがとー、いやーホントはボクの仕事なんだけどねーうん」

ポロ「あの……彼女たちと話して、私、ライブ、ダンスは捨てて歌だけで勝負しようと思ったんですけど……」

プロデューサー「え? うん、だめだようん。ライブって盛り上がるのが大事だからさーぶっちゃけ多少オンチでもいいんだよねうん」

ソピア「やっぱりそうなりますよね」

プロデューサー「うん? ところでキミたちも中々カワイイね、他意は無いんだけどうん」


↓1コンマ、ソピアのスター性(愛想とかオーラとか)
↓2コンマ、ラファのスター性(ポロのスター性は90)
↓3コンマ、ポロのダンススキル(高いと言うほどひどくない、低いと見るに堪えない)

ソピアのスター性:28 不細工じゃないし歌も踊りもプロ級だけどなんかこう地味
ラファのスター性:83 ソピアたち以外には愛想がよくて可愛がられてる
ポロの踊り:93 自分を卑下しすぎ



プロデューサー「ねーキミ、もう少し大きくなったらウチで働かないかい。うん、スターのオーラを感じるよ!」

ラファ「お気持ちは嬉しいのですけど……私はあくまで聖職者なのです。ごめんなさい」

プロデューサー「そうかい。まあうん、今はいいか」

ソピア「わ、私は?」

プロデューサー「キミは……うん。パッとしないよね」

ソピア(別に認められたいわけじゃないけど……傷つくよ)


プロデューサー「ROKKAちゃん、苦手でもいいからちょっと踊ってみてよ」

プロデューサー「いつも代わりに踊ってもらってたけど今日はそうはいかないよ。歌はもうどうでもいいからさ、ほら」

ポロ「……わかりました」

ソピア(元々歌の道を志していたんだよね……どうでもいいなんて言われて嫌じゃないはずがない)

音源『~♪ ~♫』

ポロ「はあ、はあ……これくらいです。歌いながらは、もう無理です……」

ソピア「あれ? ……意外と悪くないのでは」

プロデューサー「うんうん、もう少しキレが欲しいけど、合格点だね」

ラファ「それがステージでできるなら十分なのですよ」

プロデューサー「うん? ま、できるでしょROKKAちゃんなら」

ポロ「……」


1.練習に付き合ってあげる
2.魔法を駆使して心を鍛えるのを試みる
3.ポロがこの仕事を嫌がっていることをプロデューサーに告げる
4.自由安価

ソピア「あの、プロデューサーさん」

プロデューサー「何かな、地味子ちゃん」

ソピア「(イラッ)……ポロさん、本当はライブだけじゃなく、この仕事したくないみたいなんです」

プロデューサー「うん? あーROKKAちゃんのことね」

ラファ「ソフィア。あまり首を突っ込むのは良くないのですよ」

ソピア「ポロさん、たぶんプロデューサーさんに言ってないと思って……」

プロデューサー「やー、昨晩逃げ出したからそうだと思ってたようん。今まで生活をほとんど管理してて逃げ場無かったからねー」

ソピア「人気と才能があって手放したくないとしても、こんなことが許されるんですか?」

プロデューサー「ボクに言われても困るよねー。ボクはあくまでミッキーさんに雇われてるだけだから」

プロデューサー「あ、でもこれだけは言っておくよ。ミッキーさん……グリエール家の人間には大抵のことが許される」

プロデューサー「そして、一昔前のパフォーマーには、奴隷・見せ物のように扱われている子も大勢いた」

プロデューサー「食事や水、服や寝床は最高のものを提供してるんだから感謝してほしいよねうん。大事な商品だからと言ったらそれまでだけどさ」

ポロ「商品……私……」

ラファ「……聞いていて気持ちのいい話じゃないのです」

プロデューサー「傷物にしちゃいけないからね、叩いていう事聞かせる訳にもいかないし」

プロデューサー「このライブをボイコットされたらしょうがないけど、そうなるとROKKAちゃんのご両親にかかった経費分補償してもらわなきゃね」

ソピア「卑劣な……こんなの脅迫じゃないですか」

プロデューサー「ボクも今まで頑張ってきたんだよ? ROKKAちゃんが少しでも今の生活に楽しみを見出せるようにさ」

ポロ「……」

プロデューサー「で、どうする? 頑張ろうよROKKAちゃん。キミたちも協力してくれたらお小遣いくらいは出せるよ。700Gでどうかな?」


1.協力します
2.協力しますけどお金はいりません
3.協力できません、ただ、警備はします
4.思わずビンタ
5.自由安価

ソピア「……協力します。でもお金はいりません」

プロデューサー「うん? 本当にいいのかい?」

ソピア「ポロさん。相手が悪すぎます。ここは従うしかありません」

ポロ「……はい」

ソピア「逃亡生活を送る手もありますけどおすすめしません。少なくとも今はいう事を聞いてさえいれば安全なんですから」

ソピア「ずっと我慢しろと言ってるわけじゃないです。きっとこれから、話さえすれば、私たちのように分かってくれる人がたくさん出来るはずです」

ソピア「それと、やりたいこととは違うかもしれないけど、ファンの方はあなたの歌が大好きだと思いますよ。私だって好きです」

ソピア「それとも、こんな歌は歌うのも嫌ですか?」

ポロ「……嫌じゃ、ないです」

ソピア「だったら今は練習しましょう。私たちも協力します。ライブを成功させて……後の事はそれから考えましょう!」

ポロ「は、はい!」

ラファ「やれやれなのです」


※ポロのやる気に火がつきました

※ポロの歌唱力はこれ以上上がりません

↓1コンマ、ダンスの特訓の成果(1234…まあ歌いながら踊れる 5678…バッチリ 90…ダンサーとしても一流レベル)
↓2コンマ、精神を鍛えた成果(1234…まあ頑張れる 5678…平常心 90…むしろ見られたい)

時間が無く次の日曜までたぶん更新ないです、ごめんなさい

特訓大成功



ポロ「まずは歌いながら踊れるように……」

ソピア「そんなに難しいのかな……ちょっとやってみますね」

ラファ「素人が真似しても……ええっ?」

ポロ「う、上手い……」

ラファ「ROKKAより上手なのです」

プロデューサー「何と言うかうん、基本ができてるよね。歌は改良の余地ありだけど」

プロデューサー「地味子なんて言って悪かったよ!」

ポロ「いっそ私と代わって……!」

プロデューサー「うん、見た目さえごまかせればありだね」

ラファ「……月魔術」

ソピア「変装魔法使えないんですよー、ごめんなさーい」


ソピア「たぶんポロさんは歌に力を入れすぎてるんだと思います」

ポロ「そ、それが一番だから……」

ソピア「無意識でもある程度歌えませんか?」

ポロ「はい……でも……」

ソピア「歌手としてのプライドは捨ててください。今のあなたは踊る奴隷、我慢して生き抜くんです!」

ポロ「ど、奴隷……そうですね!」

プロデューサー「ひどいなぁ」


ソピア「焦ってカクカクした動きにならないように! 目の前に人がいると思って、目を見て!」

ソピア「そうだ。ちょっと手を貸してください」

ポロ「コーチ?」

ソピア「こう、かな?」スッ スッ

プロデューサー「パーティダンスじゃあるまいし、こういう時は背後から手を取って教えるものだろう?」

ソピア「私レベルになると素人でも自在に踊らせることができるんです」

ソピア「それと理由がもう一つ。ポロさん、私の顔を見てください。正面を見る練習です」

ポロ「む、無理でふ……」カァー

ソピア「魅了魔法でこちらを向かせて慣れさせよう……」

ポロ「ひええ……」

ポロ「たぶん、もう、大丈夫だと思います」

ラファ「なら観客を用意して試してみるのです」

ポロ「観客……どこですか?」

ラファ「『神の目力』」クワッ

<●><●>

ポロ「10人の神父様に囲まれているような威圧感……!」

ソピア「ここで多分身魔法ですね」

ラファ「はいなのです」

ソピア「ラファちゃんを5人に!」ブワッ

<●><●> <●><●> <●><●> <●><●> <●><●>

ポロ「あばばばばばばば……」

ラファ「「「「「審判を下す」」」」」

ポロ「ぶくぶくぶく……」

ソピア「こら、遊んじゃ駄目ですって」

ラファ「「「「「私は真剣なのです」」」」」

ソピア「あ、本当に真剣にやってるように聞こえる……」

ラファ「「「「「悔い改めよ」」」」」


30分後。

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ラファ「「「「「神にそなたの芸を見せなさい」」」」」

ソピア「いつもより多めに増やせた。その数驚異の48人」

プロデューサー「うん、もうこの子だけでいいんじゃないかな」

ポロ「最後の曲になりました! これは私が作詞・作曲した一番好きな歌です、聴いてください『クローバー』!」

~♪ ~♪

ラファ「「「「「あっぱれ」」」」」

スゥゥ…

ポロ「神様が、天に帰って行く……」

ソピア「はぁ、はぁ……」←精神力切れ

ポロ「コーチ、シスター様、ありがとうございました」

ソピア「いいえ。ごめんなさい、助けてあげられなくて」

ポロ「……これは、私が何とかしなきゃいけない問題、です」

ポロ「本当はあんまり見られたくないけど……1人や2人増えたって同じだから……」

ポロ「ライブは明日の正午から、2人にも見ていただきたいです」

ソピア「もちろん」

ラファ「特訓の成果を見せてくださいですよ」


ヴィーク『お疲れさん。他の3人は先に昼休憩に入ってるから、2人も少し休んでくれ』

ヴィーク『ROKKAちゃんの警護はどうだった? 機嫌損ねなかったか?』

ソピア『フルフィリアの芸能界に多大な貢献をしました』

ラファ『したのです』

ヴィーク『おめーら何やったんだ……』


35日目昼過ぎ 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校(男の人がいそう)
2.文官学校(男の人がいそう)
3.自然科学大学(精霊の気配を感じる)
4.医科大学(精霊の気配を感じる)
5.工業大学(何も感じない…)
6.音楽院(女の人がいそう)
7.スクーニミー大図書館(何も感じない…)
8.スクーニミー公共ホール(女の人がいそう)
9.画廊(何も感じない…)
10.運動場(女の人がいそう)
11.ホテル街(男の人がいそう)
12.住宅街(女の人がいそう)
13.郊外:北 フルフィリア北海岸(男の人がいそう)
14.郊外:西 天文台のある丘(女の人がいそう)
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋(男の人がいそう)
16.郊外:東 無人の屋敷(誰かいそう)

()内はソピアの自動予知(運命の天使の力)

↓2 休憩なので事件発生はないです

ソピア(精神力が尽きたから休憩もかねて医科大学へ足を運んだ)

ソピア(サナさんに回復してもらう前提である。我ながら図々しい……)


医科大学は、医学の研究所、医者の養成機関であるとともに、スクーニミー市の医療機関でもある重要な施設だ。

そこは商人ギルドや工業都市のような近代的な建物でありながら、精霊が多く存在する魔術的な空気で満たされており、

魔術師であるソピアには魔法局と同じ雰囲気が肌で感じ取れた。

これは医科大学が、魔術や科学、心理学、何にも属さない薬草の知識など、手段を問わず病を治し健康を保つ方法を追及しているためである。


ソピア(ここがサナさんの研究室……)

ソピア「すいませーん、サナさんはいらっしゃいますか」

サナ「およ? たしかソフィアさんだっけ。士官学校の生徒さんだったの?」

ソピア「いえ、この制服は借りものです」

サナ「あー、警備か。へえ、仕事だったんだ」

ソピア「今は休憩時間で……」

サナ「なんかげっそりしてんね。回復要る?」

ソピア「あ、お願いします」

ダンスで疲れた身体と分身魔法の使用ですり減った精神が全回復した。

サナ「数字的には回復してても気分的な疲れは残るからね。少しゆっくりしていってよ」

ソピア「ありがとうございます。……あれ?」

サナ「どしたの?」

ソピア「サナさん、水魔術と日魔術が使えるんですね」

サナ「あはは……バカでしょ私? 上位職諦めるなんてさ」

ソピア「日魔術師は……月魔術と複合で天術師になるか、そのまま癒心魔術師になるかの二択しかなかったですよね」

サナ「まあ上位職にはなれなかったけど、回復のエキスパートっぽいっしょ?」

ソピア「そうですね」

サナ「それを勝手にセラピストって呼んでるわけ。まあ実際、ヒーラーとしてはそこらの医者や聖職者よりよっぽど優秀だと自負してるけど!」

ソピア「そんな回復のエキスパートを目指すキッカケって何かあったんですか?」

サナ「もしかして激戦とか命の危機とか想像してる? 実際しょぼいよ」

サナ「……私の親が医者でさ。自然と私も水魔術を学んでたわけ。家業を継ぐわけじゃなかったけども」

ソピア「どうして?」

サナ「あー、父さんが男が継ぐもんだって言って聞かなくて。んで、弟にお鉢が回ってきたんだけど……」

サナ「こう、勉強のしすぎで身も心もボロボロになっちゃったんだよね」

ソピア「弟さんを助けるために……?」

サナ「私は医者目指さなくていいわけじゃん? だからそれなりにできることを探そうと思って」

サナ「元気してるかなー……また精神病んでたりしないか心配だな。もう2年会ってないや」

医科大学、裏手。

ソピア「ここは?」

サナ「医科大学の植物園。もとい半分私の専用スペース」

ソピア「なんだか……森の中みたいな空気」

マリン「精霊がいっぱいだわー」

チョーク「……お絵かきしていい?」

サナ「精霊量は帰らずの森と変わらないくらい多いよ。あと木の幹は削っちゃダメ」

ソピア「チョーク、だめだって」

チョーク「ちぇー」

ソピア「森、好きなんですか?」

サナ「なんか日魔術覚えた頃から。体質が樹木に近づいてるのかもね?」

ソピア「まさか」

サナ「私さ、ちょっと変な魔法使えるんだよ。光合成とか」

ソピア「ええっ」

サナ「あと、ほら」パッ

ソピア「手のひらから花が咲いてる……!?」

サナ「アロマセラピー。なんつって」

ソピア「あ、本当にいい匂いする。造花じゃないんだ」

サナ「私の見立てじゃ、職業として存在してないってだけで、実は水と日の複合魔術もあるんじゃないかって思うのさ」

サナ「といっても、近くにそんな奇特な人いないから確かめようがないのだけどね」

ソピア(私、水も日も使えるけど……)


1.言っちゃう
2.言わないよ

ソピア「あの……私、水魔術も、日魔術も使えますけど」

サナ「……はい? えーっと、魔法局は?」

ソピア「ちょっと別の知り合いから教わって……あ、でも基礎中の基礎だけですよ?」

サナ「へー。妖精といい流石優勝者はただ者じゃないなぁ」

ソピア「サナさんも優勝者ですよね?」

サナ「じゃあこれは優勝者だけに許された特別な魔法ってわけだ」

ソピア「誰も許してませんけどね」

サナ「あはは、いいじゃん。公式の場では使わなきゃいいだけだしさ」

サナ「ちょっと待ってて。魔導書(笑)を書くから」

ソピア(木の幹を下敷きにしてメモを書いてる……)

チョーク(なんでボクだけだめなのー)

サナ「はい。名付けて樹魔術の書。これであなたも今日からセラピスト!」

サナ「一番便利なのは『ソーラーセラピー』かな。特に何もしなくても太陽か月の光さえあれば、体力も精神力も少しずつ回復するから超便利」

サナ「雨が降ったらそれはそれで回復できる。あれ? 『ソーラーセラピー』って名前じゃダメだったか、ごめんごめん」

ソピア「魔導書ありがとうございます。それと、魔法の件、黙っていてくださいね」

サナ「別に魔法局にチクったところで私に得は無いしなー。また休憩にでも来てね、今度はお茶出すよ」

ソピア(簡単そうなものだけなら宿屋で覚えられそう……)


『樹魔術の書』を入手しました

※樹魔術の書…サナが書いたメモ書き。水魔術と日魔術の複合魔術と思われる魔法が箇条書きされている。

ヴィーク『こちらヴィーク。ソフィアとちびっ子、休憩はそろそろ終わりだ』

ヴィーク『昼から人が増えてきたからな。警戒を怠らないように』

ソピア「人が多い所だと不審者がいても気付かないかも……」


35日目夕方 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校
2.文官学校
3.自然科学大学(公開講義をしてるらしい)
4.医科大学(特に学園祭とは関係ないみたい)
5.工業大学
6.音楽院(ラファちゃんまたあっちの方に行った…)
7.スクーニミー大図書館(読んでおきたい本はまだあるかな?)
8.スクーニミー公共ホール(今はサロデニアパッションメンズが演奏中)
9.画廊(アートクラブが展示中だっけ)
10.運動場
11.ホテル街
12.住宅街
13.郊外:北 フルフィリア北海岸
14.郊外:西 天文台のある丘(今夜遅くから天体観測会とディアナさんのショー)
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋(ポロさん危機一髪)
16.郊外:東 無人の屋敷(まだ準備中だと思う)

()内はソピアのコメント

↓ (コンマ末尾1で事件発生、末尾2でトールたちに会う、末尾3で女帝とバッタリ)

次回、開放直前の、恐怖の人間屋敷から

近ごろネットに接続できるまとまった時間が取れないので、空いた時間に書き溜められるネタを用意しようと思います

前スレのラストはいつもの短編と違ったのも理由の一つ

35日目終了時に投下予定



1.ソピアとアンの過去編(数年前のウィンベル邸)
2.一方そのころ、クルト(イメチェン大作戦)
3.一方そのころ、フィナとフローラ(フィナが主人公してる話)
4.一方そのころ、ミルズとリウムたち(貴族の町ウベローゼン市にて)
5.一方そのころ、クリスティ(工業都市モスボラ市にて)
6.一方そのころ、エルミスとキュベレ(サウソーシャ騎士団領にて)

↓1、2、3 1つずつ選んでください、選ばれなかった話も物によっては後々書くかも

ソピア「そろそろ恐怖の屋敷の準備できたかな?」

ソピア「精神力もマックスだからもう何も怖くない」


スクーニミー市郊外の道。

ソピア(あっ、あそこにいるの今朝会った不思議な人だ)

ソピア(棒立ちしてこっち見てる……何してるんだろう)

学生「こんばんは」

ソピア「こんばんは、えっと……」

学生「わたくしの名前はルルエン」

ソピア「ルルエンさんはここで何を……」

ルルエン「アナタが来るのは分かっていました」

ソピア「は、はい……」

ソピア(何言われるんだろう。樹魔術のことかな、まさかROKKAのファンってことはないよね……?)

ルルエン「ふふっ、そう身構えないでください」

ソピア(そうだったこの人心読めるんだ……!)

ルルエン「アナタ、上位職に興味はありますか?」

ソピア「え、その話題……!?」

ルルエン「ふふふふっ」

ソピア(いま急いでるんだけどな……)

ルルエン「では、ご一緒しましょう」

ソピア(……何話そう)

ルルエン「……」ニコニコ

ソピア(こちらから話題を出すのを待ってる……)


1.上位職になりたい
2.ルルエンさんは上位職なんですか?
3.あなたの性別はどっち?
4.私がいろんな魔法を使えること、黙っていてくれませんか

ソピア「ルルエンさんは上位職なんですか?」

ルルエン「ふふっ、どう見えますか?」

ソピア(わかんないよ……)

ルルエン「占い師をしております」

ソピア「だから、怪しい雰囲気をまとっていたんですね」

ルルエン「……一つ、何か占って差し上げましょうか?」

ソピア(占いじゃないけど、毎晩、予知夢みたいな実際に体験しているような夢を見る。何を意味しているのか分からないから逆に怖いな……)

ルルエン「ふん、ふん…………見えました」

ソピア(どきどき)

ルルエン「このままだと、貴女はごく近いうちに、異国の地を踏むことになるでしょう」

ソピア(どういうことだろう……)

ルルエン「しかし、これは悪い未来ではありません。貴女にはもっと過酷な未来が訪れる可能性がある」

ルルエン「もしも過酷な未来を確実に避けたいならば……あえて恐ろしい者と話しなさい」

ソピア(うん、悪い結果なのは分かってたよ。私だもん……)

ルルエン「ふふっ、気に病むことはありませんよ」

ルルエン「ご存知ですか? 占い師の上位職は……詐欺師です」

ソピア(ひどい……)

恐怖の館。

ソピア(あれ? ルルエンさんまたいつの間にか消えてる……)

女子「こんばんは! 文官学校心理学部の恐怖の館へようこそ!」

男子「朝来た警備の女の子か、いらっしゃい! 準備は終わったがまだ開いてないんだ」

女子「お昼には開けたかったんだけど急に改装が必要になったの……」

ソピア「もう中に入って安全確認できますか?」

男子「構わないぞ。君がお客さん第一号だ!」

女子「危ない目にあっても、できるだけ壊さないでよね」


ガチャ

ギィィィィ

ソピア(なんだか埃っぽい……。それにしても全く作り物の感じがしないね。今にもモンスターが飛び出してきそう)

マリン(右の方に数人隠れてるわー)

ソピア(マリン、ネタばらししないで……!)


コンマが高いほどロビーの仕掛けでソピアが驚く(精神力52)、ほどよく怖い思いをすると精神力が鍛えられます

01~52 こわくないよ
53以上 キャー
90以上 精神力にダメージ

↓コンマ

これでこそソピアちゃん



ソピア(マリンにネタばらしされちゃったから怖くもなんともないね)

ソピア(魔人の城や邪教の館の方がよっぽど不気味だよ)

ロビーの正面に元から飾られていたであろう絵画の下に、新品の看板が貼り付けられていた。

ソピア「……順路はありません。開くドアが3つあるので、奥のカードを一枚ずつ持ってきてください」

ソピア「それまで入口は開きません……えっ」

ソピア(怖いけど……たしかにスタッフという人間が怖いけど……これはやっちゃダメなような……)

ソピア(ま、いいや。まずは右の廊下へ。どうせ出てくるんでしょ……)


ガシャーン!


ソピア「キャッ! う、後ろ!?」

ソピアが見たのは、ロビー左側の窓を突き破りソピアに向かって走りくる、剣を携えた屈強な男たちだった!


『『『『『ウオオオオオオ!!』』』』』


ソピア「い、嫌ァァァァァ!!」

マリン(引っかかったー♪)

襲われると決まったわけではないにしろ、静けさを破り現れた複数の人間が迫り来る様には、人は恐怖を感じずにはいられないだろう。

ソピアに限っては、お屋敷で男たちに追われるというシチュエーションが、あの日ウィンベル邸を襲撃した共和国軍の兵士たちと重なって見えたのだった。

ソピア 精神42/52


クチャッ クチャッ

扉の向こうから何かを貪るような音が聞こえてくる。

ソピアが相対しているのは食堂の扉だ。


ソピア(うわぁ、絶対に気持ち悪い光景が広がってるよ……)


恐怖には、予想外のことが起きた際に生じる突発的な恐怖の他に、あえて予想させることで生じる未知の恐怖がある。

ここでは視覚による情報を遮断し、音だけでこれから起きることを想像させているのだ。

さて、果たしてこれは音で恐怖させるだけの仕掛けなのか。

はたまた、想像による恐怖と実際に見て起きる恐怖による2段階の仕掛けなのか。

扉の奥でソピアが見たものは……!


コンマが高いほど食堂の仕掛けでソピアが驚く(精神力42)、ほどよく怖い思いをすると精神力が鍛えられます

01~42 こわくないよ
43以上 キャー
90以上 精神力にダメージ

↓コンマ

はい

大男「ペッチャ クッチャ」

ソピア「……」

青色の肌をした大男が、得体のしれないものを食べていた。

ソピア(ええっと……怖くない)

ソピア(虫食べてたりしたら生理的にきつかったけど……)

大男「オデノ…メシ…ジャマスルノカ?」ギロッ

ソピア「……どうぞ、召し上がっていてください」

大男「……バリッ ボリッ」

ソピア(倒せそうだし、倒せなくても逃げられそうだし……普通の人には怖いのかもね)


死神の描かれたカードを一枚拾い、次の部屋を探す。

ソピア(この探してる時間が中々怖いね……。扉に集中するから、横から何か来てないか不安になるよ)

カチャッ

ソピア(開いた……。ここは、なんだろう。ピアノが置かれてる……)


コンマが高いほどピアノ室の仕掛けでソピアが驚く(精神力42)、ほどよく怖い思いをすると精神力が鍛えられます

01~42 こわくないよ
43以上 キャー
90以上 精神力にダメージ

↓コンマ

コンマ神……ダメージ入ると鍛えられないんだよ



『ペポパペンポペペペ、ピン↑ ドゥン↓』

ソピア「な、何?」

部屋に入り、扉が閉まるや否や、ピアノがひとりでにでたらめな旋律を奏で始める。

ソピア「……機械、だね」

ソピア(パーティでピアノはそれなりに見慣れてる。普通のピアノと違うところがあれば分かる)

ソピア(もし普通のピアノだったら機械じゃなく魔法だね。そんな魔法あったらいいな)

耳障りな音を出し続けるピアノに近寄り、鍵盤の側に回り込む。

ソピア(うん、普通のピアノじゃないね。残念)


部屋の隅にあるカードを取る。

『タラララララン タラララララン タラララララ↑ララララララン↓』

ソピア(ちゃんとした演奏になった……!)

ソピア(カードに描かれてるのはピアノ演奏者。突然現れる仕掛けだね)


振り向いた目の前、視界一面に、上下さかさまになった……

顔。

  ケーケケケ
(≼◎≽▲≼◎≽)


ソピア「嫌ァ! ち、近ッ! ヒッ、ヒィャァァ!!」

ソピア 精神32/52


ソピア(次の扉は……)

ソピア(廊下の向こうから何か来てないかな……)チラッ

『ウオオオオオオ!!』

ソピア「まっ、また来たあああああ!!」


ソピア(書斎……)

カチッ カチッ カチッ

よく整頓された書斎に、振り子時計の音が響いていた。

ソピア(突然大きな音が鳴っても驚かないぞ……でも突然目の前に出てくるのはやめて……)

ソピア(机の上に本が置かれてる。日記帳かな)

ソピア(見ないわけにはいかないよね……)


コンマが高いほど書斎の仕掛けでソピアが驚く(精神力32)、ほどよく怖い思いをすると精神力が鍛えられます

01~32 こわくないよ
33以上 キャー
90以上 精神力にダメージ

↓コンマ

『6月30日』

『正午過ぎ、買い出しに向かう侍女が屋敷の正面玄関が開かなくなっていることを発見した』

『外に何か大きなものが引っかかっているのだろうか。日記を書き終えたらすぐに家族会議だ』


『7月1日』

『家族会議の後、屋敷からの脱出を試みたが、屋外に続く扉、窓はすべて開かなくなっていた』

『我が家は悪魔に呪われているのか。今ある食材だけでは一週間持ちそうもない』


『7月4日』

『家内の姿が見当たらない。もしや私を置いて脱出したというのか!』

『助けは未だに来ない。こんなことならば領民に優しくしておくべきだった』


『7月5日』

『息子が、侍女を食べていた。空腹に耐えかねたとはいえ人間としてあるまじき行為。奴はもはや私の息子ではない』

『私もいつ狙われるか分からない。万が一のため包丁と箒を組み合わせて簡易的な槍を作っておく』


『7月6日』

『書斎に引きこもり1日経つ。何でもいい。口にいれたい、噛みしめたい、飲み込みたい!』

『私は悪魔を呼び出すことにした。次のページに魔法陣を書いた』

『成功だ! 私は悪魔に願った。何でもいいから肉をくれ!』

『魔法陣が輝き、部屋の照明が落ちた。時計の鐘が鳴り……そして私は、肉塊になった』


ペラッ

次のページには、魔法陣があった。

突如、部屋が真っ暗になる。

ゴーン ゴーン

ソピア(ページをさらにめくって、と)

魔法陣の光が遮られ、しおり代わりに悪魔の描かれたカードが挟まっていた。

ソピア(後は帰るだけだね。それにしても、これ、どこが怖いんだろう)

ソピア(最初から何が起こるのか教えちゃってるし……。それにこの人、肉塊になったのに日記書けるわけないよ。嘘ってすぐわかっちゃう)

書斎は、恐怖の追体験がテーマの部屋だった。

何が起こるか分かるからこそ、そのすべてが自分の身にも起こると思い込み恐怖してしまうという狙いなのだが……

聡明なソピアには矛盾点に気付かれ、まったく通用しなかった。

ソピア(終わったね。カードを集めないと出られないってこと以外には危険は無かったと思う。出し物だから当然かな?)

ソピア(あれ? ロビーってこんなに暗かったっけ?)

全て終わったと思い込んだソピアはすっかり忘れていた。

自分の提案によって、最後の仕掛けは人間、それも月魔術師による直接の精神攻撃に決まったということを。


コンマが高いほど最後のゲストにソピアが脅かされる(精神力32)

01~32 こわくないよ
33以上 精神力にダメージ
90以上 危険

↓コンマ

ブラクラとトラウマ以外には並外れた恐怖耐性を持つソピア



ギュウウン

ソピア(こ、怖い! 何が何だか分からないけど吐きそうなほど怖い!)

ソピア(この感じ……まさか月魔術? そういえば私が提案したんだった!)

ソピアは恐怖魔法をはねのけた!

ソピア「逃げる!」

逃げ足には自信があるソピアだったが、その足が妙に重い。

ソピア「な、なにこれ?」

マトイ「フィアちゃんすごーい! マトイの恐怖魔法を打ち消すなんて!」

ソピア「マトイちゃん?」

マトイ「でもこれは流石に打ち消せないよね? マトイしか使わない魔法だもん」

ソピア「か、身体が、重い……!」

マトイ「マトイの得意技、重力魔法! どう、怖いでしょ!」

ソピア「こわくないよ」

マトイ「えー?」

ソピア「強いけど、殺されないって分かってるし……」

マトイ「……マトイの負け?」

ソピア「恐怖対決なら?」

マトイ「すごいや、フィアちゃんってやっぱり優勝者なんだね!」

ソピア「その年で固有の魔法が使えるマトイちゃんの方が何者なのか気になるけど……」

マトイ「ノーディス人だよ。あ、これナイショね!」

ソピア「え? 魔導帝国の……?」

マトイ「フルフィリアとは仲良しさんじゃないから、隠してた方が都合がいいんだよ」

ソピア「そうなんだ……」

マトイ「マトイより精神力が強いなんて、アナちゃんに負けてから何があったの?」

ソピア「……セラピー効果かな?」

男子「お、帰ってきた。どうだった?」

ソピア「私はいきなり出てくる系に弱いみたいです。他はそんなに……」

マトイ「マトイにも勝ったんだよ」

女子「すごいじゃない」

ソピア「問題点は……入口の、カードを集めないと出られないを、カードを集めてきたら景品プレゼントに変えたらどうでしょう?」

男子「よし、適当に飴でも買ってきてくれ」

女子「今度はあんたが行きなさいよ!」

ソピア「それと……たぶん普通の人にはマトイちゃんは強すぎます」

男子「だよなぁ」

女子「やっぱり最後は全員で追いかける仕掛けにしましょ。月魔術師なんてそうそう手に入らないわよ」

マトイ「マトイも天体観測の準備があるから困ってたんだ。もう帰っていーい?」

女子「マトイちゃん、ありがとね」

男子「天体観測見に行くからなー」

女子「警備のあなたもご苦労さま。おかげで安全かつクオリティの高い恐怖をお届けできそうよ」



35日目夜 現在地:学園都市スクーニミー

1.士官学校
2.文官学校
3.自然科学大学(公開講義をしてるらしい)
4.医科大学(特に学園祭とは関係ないみたい)
5.工業大学
6.音楽院(ラファちゃんまたあっちの方に行った…)
7.スクーニミー大図書館(読んでおきたい本はまだあるかな?)
8.スクーニミー公共ホール(ダンスパーティに参加したい人の列ができてる)
9.画廊(アートクラブが展示中だっけ)
10.運動場
11.ホテル街(人の密度が一気に上がった…)
12.住宅街
13.郊外:北 フルフィリア北海岸
14.郊外:西 天文台のある丘(イベントはもう少し後)
15.郊外:南 帰らずの森に続く橋(夜の森に近づく人はさすがにいないよね)
16.郊外:東 無人の屋敷(出し物は問題なし! ルルエンさんって何者なんだろう)

()内はソピアのコメント

↓ (コンマ末尾1で事件発生、末尾2でトールたちに会う、末尾3で女帝とバッタリ)

自然科学大学。

ソピア「こんばんはー。まだ公開講義やってますか?」

学生「ちょうど今から始まるところですよ。いくつかはもう終了していますが……」

ソピア「何があるかな……」


1.海洋科学(工学がもたらす船舶の進化)
2.生物学(モンスターの進化学)
3.気象学(科学による天気予報)
4.農学(魔法栽培と自然栽培)

博士「こんばんは。夜遅くお越しいただきありがとうございます」

博士「では、早速。私の研究テーマは……」カキカキ

博士「……生物学。その中でも進化の研究をしています」

博士「しかしご存じのように自然豊かな地のモンスターは手強く、私のようなひ弱な研究者では太刀打ちできず……」

博士「研究の進展は非常に遅いものとなっています。そこで私が目を付けたのは……」

ソピア(……)

博士「時たま鉱山で発見されることのある、化石。これはただの骨ではありません」

博士「長い年月をかけて、石化魔法によらず自然に石になった、太古のモンスターの骨なのです」

博士「こちらはアーケホーンの角の化石、私の身長と同じくらいあります」

博士「実はこの生物、かつて海に棲んでいた、ご存じツノガメの祖先なんですね」

博士「ツノガメは最弱モンスターとして名高い身近な生き物ですが、こんなツノで突かれたらひとたまりもありませんね」

ソピア(zzz)


ソピア(はっ……眠ってしまった)

博士「おはようございます。もう皆さん帰られましたよ」ニッコリ

ソピア「あっ……ご、ごめんなさい」

博士「警備の仕事でお疲れだったでしょう」

ソピア「……はい」

博士「そちらの机に置かれているものはご自由にお持ち帰りください。では」

ソピア(あ~、よく寝た)

ソピア(それにしても……もう警備でも何でもなかったね!)


1.貝の化石
2.琥珀の欠片
3.小冊子

↓ 持ち帰るもの選択

琥珀の欠片を入手しました。

※琥珀の欠片……太古の樹液の化石にして宝石。欠片なので価値はあまりない。

ソピア(たまに中に虫が入ってるっていうけど……入ってないね)


夜10時。

ヴィーク『こちらヴィーク。夜が更けて客はいくつかの場所に集中してるな』

ヴィーク『そういう場所の中や周辺を警備してくれ。事件が起きるとしたらそこしかない』

バンダナ『人気のない所こそ悪人が潜んでると思ったが……埒が明かないな』

バンダナ『例えばどこっすか?』

マトイ『今ホールにいるのですよ。盛り上がってますです』

ハルカ『天文台にもお客さん来てます。あたし今送迎役です』

ヴィーク『あと宿の近くにも人が増えてるな。酔っ払いもいやがる、学園祭だってのに……』


35日目夜間 現在地:学園都市スクーニミー

1.ホテル街(周辺のお店が賑わっている)
2.スクーニミー公共ホール(ダンスパーティ)
3.郊外:西 天文台のある丘(天体観測&光のショー)

↓ (コンマ末尾1で事件発生)

一週間ぶりです、とりあえず安価まで投下

>>332
× マトイ『今ホールにいるのですよ。盛り上がってますです』
    ↓
○ ラファ『今ホールにいるのですよ。盛り上がってますです』

名前間違いは久しぶりな気がします

今回はヒレア視点からスタート

35日目朝、宿屋ロビー。

トール「うぅん、まだ昨日の筋肉痛が残ってますけど……」

トール「せっかくのスクーニミー、アカデミックな施設を思う存分見ていきましょう」

ヒレア「おはよう。待ってたわ、トール」

トール「どうしたんですか?」

ヒレア「お姉ちゃんが書置きで、トールの面倒を見るように言ってたの」

トール「逆では……」

ヒレア「ほら、行くわよ。開会式始まっちゃう」


開会式。

ラファ(現れましたね……私がいる限りおかしな真似はさせないのです)

バンダナ(あいつ、人間じゃねぇな。要注意か)

ヒレア「例の白魔術師が見てる……それと、あっちの男の人も。気づかれてるのかしら」

トール「……仮に気付かれていても堂々としていればいいんですよ」

ヒレア「そうね。ありがとう」

トール「そもそもヒレアさんなら全員返り討ちでしょう」

ヒレア「……どうかしら。来賓に高位の聖職者が来てたら危なかったわ」

画廊。

トール「あれ……ここも展示会を開いているみたいですね」

ヒレア「……見ていく?」

青年「わぁ。最初のお客さんだ!」

女子「な、なんで来るのよ。もうっ。まだ心の準備が……」


ヒレア「トール、絵は得意?」

トール「いえ、あんまり。でも観る分には好きですね」

ヒレア「私も得意じゃないわ」

トール「……ソフィアさんはどうなんでしょうか? 上手そうなイメージがありますけど」

ヒレア「お姉ちゃん? 一緒に料理したことあるけど、すっごく不器用よ」

トール「そ、そうなんですか……!?」


ヒレア「全身ペイント?」

男子「1つの色をテーマに服を着色するんだよ。この子がね」

女子「……ふんっ、服が汚れるからイヤでしょ、どーせ」

男子「あ、水洗いすれば落ちるよ。雨が降ったら消えちゃうね」

ヒレア「おもしろそう。やってみて」

女子「えっ、いいの……? あとで文句言わないでよね!」


女子「フィリング!」ベシャア


ヒレア「まさかの全身桃色……!?」

トール「なんで僕まで……」

ヒレア「緑色だからまだよかったじゃない。……これは、あれをやるしかなさそう」

トール「あれ……とは?」

ヒレア「愛と血肉の堕天使! ヒレアピンク!」

トール「…………魔法少年、トールグリーン!」

ヒレア「自分からやっててなんだけど……やるんじゃなかった」

トール「ですよね!?」

男子「かっこよかったよぉ!」

女子「トールグリーン! ぷっ、ぷぷぷ……」

トール「どうして僕だけ……!」

ヒレア「さ、もう行きましょ」

トール「ちょ、ちょっと! 全身緑色で回るんですか!?」

ヒレア「トールも桃色がよかった? 私よりマシでしょ」

お昼ごろ、ヒレアはスクーニミー北の海岸に来ていた。

トールと別れてから、苦手な日差しと人ごみが嫌になり中心街から逃げてきたのだ。

ヒレア(やっぱり森の方に行くべきだったかしら。日陰が少ない……)

ヒレア(風が強いのが救いね)

スクーニミーの北海岸は断崖絶壁だった。

強風の吹く海岸線には高い木が育たず、町まで草原が広がっている。

潮の流れが早いためここでは船が出せない。そのため、スクーニミーはかつては何もない土地だった。

これは余談になるが、かつての開拓民が木材に使えない木を元に製紙業を発達させ、製本・印刷の町として育て上げた結果、現在の学園都市ができあがったのだ。

ヒレア「下まで降りてみたけど、上の方が涼しかったかしら」


パァン!


ヒレア「ッ!?」ドサッ

青年「……ここなら誰も来ないと思ったんだけどな。悪く思わないでくれ、見知らぬ女の子」

ヒレア「…………なんのつもり」ムクッ

青年「驚いた。君、なんで死んでないんだ」

ヒレア「……銃で死なない人間もたまにいるの」

青年「ピンク色だからか?」

ヒレア「私が優しくてよかったわね。そうじゃなかったら、もうあなたを殺してたと思う」

青年「優しい君に頼んでおこう。俺がここにいることと殺人未遂をしたことは黙っていてくれないか?」

ヒレア「……その代わりに、スクーニミーで面倒を起こさないでちょうだい」

青年「OK。約束しよう。でも、君は甘いな。人が必ず約束を守ると思ってるとはなんて優しい娘なんだ」

ヒレア「暴露されたいの?」

青年「冗談」

ヒレア「あなた、名前は?」

青年「……ニヒルなガンマン、と名乗っておこう」

ヒレア「略してニヒルマンね。私はヒレア」

ニヒルマン「ヒレアちゃんか。今後君を見かけても撃つのはやめておくよ」

ヒレア「軽々しく撃つのをやめなさいよ……」

ネクタイの少年「おい、あんたら。こんなところで何をしているんだ」


パァン!


ヒレア「もー、また撃ったー」

ニヒルマン「……今日は調子が悪いな」

ネクタイ「いきなり危ないな。俺は学園祭の警備だ。このことは報告させてもらうぞ」

ヒレア「ほらー」

ニヒルマン「参ったな……倒すか、逃げるか」

ネクタイ「しょうがない。特別に黙っててやる。次は無いぞ」

ニヒルマン「話の分かる奴だな。いきなり発砲して済まなかった」

ヒレア「……あなた、何か企んでない?」

ネクタイ「警備員だぞ……企んでるわけないだろ」

バンダナの少年「おいッ!」スタッ

ヒレア「んっ」サッ

ニヒルマン「フッ」チャキッ

バンダナ「お前ら! ここで何やってる!」

ネクタイ「迷子の男と女の子を保護したんだよ」

バンダナ「あれ? マジか……大事件の気配を感じたから急いで来たんだけど……」

ネクタイ「無駄足だったな」

バンダナ「なあ、そこの子。お前普通の人間じゃないだろ?」

ヒレア「この崖を飛び降りて来たあなたこそね」

バンダナ「あと、お前も。迷子って歳じゃねぇだろ」

ニヒルマン「子供心はいつまでも忘れたくないものだな」

ネクタイ「まあまあまあまあ。あんたの力がすごいのは分かったから。もっと人の多い所の警備に戻ろう、な?」

バンダナ「納得いかねぇ!? 俺が間違ってるのか!?」

夕方、トールは文官学校を訪れていた。

もちろん全身緑色のままである。

トール「公開講義ですか……。社会学……ゲスト、不動産王に知将!? これは見ないわけにはいきません!」

文官学校では法学、経済学、語学などを教えており、卒業生のほとんどが国家運営の中枢に携わる。

ゲストとして呼ばれた要人たちもまた、文官学校の卒業生であった。


【社会学公開特別講義 ~ 共和国の特徴と今後の展望】

教授「本日は、特別ゲストがいらっしゃっています。グリエール先生、どうぞ」

不動産王「トミー・グリエールだ。俺の名を知らずとも、お前たちは必ずどこかで俺の世話になっているだろう」

不動産王「なぜならば俺は不動産王……このフルフィリアで最も多くの土地を所有する男だからな!」

トール(一周回って逆に大したこと無さそうな人が出てきました……!)

教授「そしてこちらが、共和国軍からいらっしゃった知将こと○○先生です」

知将「共和国軍の参謀長でございます。今日は講義内容に問題が無いか視察にまいりました」

教授「それでは講義を始めたいと思います」

トール(講義内容は共和制の仕組みについての解説から始まりました)

トール(てっきり共和国軍がすべての実権を握っているとばかり思っていましたが、仕組みの上ではあくまで行政の一部門に過ぎないようです)

トール(もっとも、大統領の候補者が全員軍人であることや、裁判を通さずに処刑を行っているところを見ると、実情は予想通りでしょうけど……)

トール(でも、庶民の僕にとっては基本的に共和制は王制よりも良いものだと思えます)

教授「より良い社会を作るのは私たち国民。そう、共和国では国民が主役なのです。これで私の話を終わります」

知将「では、我々からもよろしいでしょうか?」

教授「どうぞ」

知将「コホン。私からはフルフィリアの現状についてお話しましょう」

知将「革命を終えた後も、軍は地道に争いの種を潰してきました。近ごろはテロ等の事件も起きましたが最小限の被害に食い止められました」

知将「大統領選が終われば我らの国は革命前の安定を取り戻すことでしょう。しかし、問題は国外にあるのです……」

知将「東方のジャルバ王国、北方のノーディス帝国が、フルフィリアに圧力をかけてきており、最悪、戦争に発展することも考えられます」

知将「軍事力を増強するか、他国との協調を維持するか……それはあなたがた国民に委ねられている。王はもういない。我らの国は我らで守らねばならない」

不動産王「俺からも言っておこう。戦争は経済を成長させるチャンスだ。経済が潤えば国民の生活も豊かになる」

不動産王「命の危険があるのは国境近くの軍人だけだ。俺のような商人、そして国民にとってはメリットしかないんだ」

知将「数で負ける心配もありません。フルフィリアは同じ共和国であるサロデニアとの同盟を結ぶ準備ができています」

トール(物騒な話になってきました……彼らは戦争がしたいのでしょうか)

教授「時間が余りましたね……。では……質問がある方は手を上げてください」

トール(僕も一応……当てられるわけないですけど……)

不動産王「そこの緑色!」

トール「…………えっ、ぼ、僕ですか!?」

不動産王「お前意外に緑色はいないだろう」

客『クスクス』

トール(ペイントされたせいで目立ってしまった……!)

知将「……特に不敬罪などに問うつもりはない。自由に質問したまえ」

トール「……最初の説明で、司法・立法・行政は分離しているとおっしゃられていましたが、大統領選の候補者は全員が軍人です」

トール「実質、軍による支配になるという可能性はないのでしょうか?」

知将「いい質問だ。実は私も気になっていたのだよ。しかし、軍人以外の候補者が現れなかったゆえ仕様が無いのだ」

知将「軍人が大統領になれば軍が主体の政治になるのは否めないだろう。それを避けるには、優秀な人物が大統領を目指し、国民が彼に投票すればいい」

教授「君、他に質問は?」

トール「戦争で経済が成長するとおっしゃられましたが、戦争で利益を得るのは一部の人間だけで、大多数の国民の生活は苦しくなるのでは?」

知将「戦争に協力していただく分負担が増えるのは確かでしょう。利益を得るのはあなたがただけですか、グリエールさん?」

不動産王「商売はいつだって誰だってチャンスを見極めた者勝ちだ」

不動産王「自分で見極められないまたは資本が無い、そんな凡人は成功者、つまり俺の会社の社員になれれば解決だ」

知将「最後に教えておこう。不平等を感じるのならば自分が政治や経済において力を持つ存在になれば良い」

知将「そのための一番の近道は、この文官学校を卒業することだ」




ニヒルマン「ヒレアちゃん、町の中心の方に行くのか?」

ヒレア「待たせている人がいるのよ」

ニヒルマン「それじゃ俺はここでお別れだ。君の知り合いによろしくな」


トール「……」ブツブツ

ヒレア「……トール?」

トール「あ、ごめんなさい! 本に集中してました」

ヒレア「勉強の本? ……どこかの大学にでも入るの?」

トール「そうと決まったわけじゃないんですけどね……」

ヒレア「よくわからないけど、がんばって。それより、今からホールに行かない?」

トール「スクーニミー公共ホール、ですか?」

ヒレア「ダンスパーティを開いてるらしいわ。もしかするとお姉ちゃんもいるかも」

トール「真面目なソフィアさんが警備の仕事をサボりますかね……?」

ヒレア「お姉ちゃんって真面目だったかしら……?」

トール「何事にも熱心な女の子じゃないですか」

夜10時過ぎ。

ソピア「にぎわってるなぁ。でも音楽が流れてない……」

ソピア「音楽が流れてないダンスパーティなんてただのパントマイムだよ……(※違います)」

トール「ソフィアさん!」

ソピア「トールくん、来てたんだ。お祭りは楽しんでる?」

トール「はい。ソフィアさんも警備のお仕事おつかれさまです」

ソピア「これ、ダンスパーティだよね? 音楽が無いけど……」

トール「ああ、今はオープニングが終わって軽食の時間ですよ」

ヒレア「あ、お姉ちゃん。来たんだ」

ソピア「パーティの警備にね」

ヒレア「遊びに来たんじゃなくって?」

ソピア「ヴィークさんに無線で言われて来たんだよ!」

ヒレア「だったら踊らないの?」

ソピア「踊るけど!」

ヒレア「ほらね」


音楽が流れるまでに話す相手選択

1.トール
2.ヒレア
3.白魔術師:ラファ
4.奴隷系アイドル:ポロ

↓1、2

ヒレア「……今日、物騒な人に会ったの」

ソピア「何もされなかった? 詳しく教えて。ヴィークさんに報告するよ」

ヒレア「いらない、と思う。私が止めておいたから」

ソピア「そう……?」

ヒレア「ちなみに、ニヒルなガンマン。撃たれたわ」

ソピア「まあ、ヒレアちゃんなら撃たれても痛くはないと思うけど……」

ヒレア「痛いものは痛いよ」

ソピア「ごめん。……その人どんな格好だった?」

ヒレア「二丁拳銃で、マントを羽織ってて……仕草はかっこいいけどよく見ると冴えない顔の男の人。お姉ちゃんよりも年上よ」

ソピア(十中八九ロットさんだ……)

ソピア「ありがとう」

ヒレア「……お姉ちゃんの知り合い?」

ソピア「……かもしれない」

ソピア(ロットさんが無事なのは分かったけど、こんなところで何してるの……?)

ヒレア「……」

ソピア「どうしたの?」

ヒレア「……なんでもない」

ソピア(ふと辺りを見渡すとラファちゃんがヒレアちゃんをにらんでいた)

ソピア「ちょっと行ってくるね」


ラファ「なんのようですか」

ソピア「ヒレアちゃんの方見てたから……」

ラファ「にらんでたのです」

ソピア「やっぱり……どうして?」

ラファ「お昼に言ったじゃないですか」

ソピア(恋敵だから……じゃなくて)

ソピア「個人的に気にいらないと言ってましたね」

ラファ「……」

ソピア「事件と関係ないのなら、なぜ気にいらないんですか?」

ラファ「そもそもですね。あんな事件を起こしたから特別に思われるだけで、ヒレアはただの頭のおかしい子供なのです」

ラファ「……神様に裏切られたから? 自分が不幸だから、他人も不幸にする?」

ラファ「馬ッ鹿じゃないですか!? その性根がおかしいのですよ!」

ソピア(ラファちゃんはいきなり声を荒げて言った。近くのお客さんが注目してる……)

ラファ「ヒレアは自分が世界一不幸な人間だと思っているのですよ。間違いないのです」

ラファ「一言で言ってしまえば、幼稚! これに尽きるのです」

ソピア「……たしかに、ヒレアちゃんは幼いところもあると思うけど」

ソピア「前のヒレアちゃんは二重人格だったんだよ。今は、すごく優しくて……」

ラファ「優しいから何なのですか? お姉ちゃん、なんて呼んで、まったく一人立ちできてないじゃないですか」

ソピア「普通なら一人立ちするような年じゃないから…………もしかして、ラファちゃんは」

ラファ「もっと早くに、もっと突然に、もっと凄惨に、私は一人になりました」

ソピア「……」

ラファ「ヒレアは母親に、神様に依存しすぎたのです。だから周りが見えていない」

ラファ「今は、違いますか?」

ソピア「……」

ソピア(あと一回話せば何かが変わる気がする……気がするだけだけど……)

ヒレア「ん、音楽が流れ始めた」

トール「ワルツですかね?」

ソピア「メヌエットだね。ワルツに比べて動きがゆっくりとしてるから踊りやすいと思うよ」

トール「それでも難しそうですよ。僕は見てるだけで……」

ソピア「トールくん、一緒に踊ろう!」スッ

トール「え、あ、はい!?」

ソピア「手を取って。あ、無理に動かなくていいよ。私に合わせて」

トール「は、はいぃ……」

ソピア「傍から見たらトールくんがリードしてるように見えるからね」

トール「は、はあ」

ソピア「下見てないでこっち見ようよ。ポロさんじゃあるまいし」


ヒレア「あ、このパスタおいしい」モグモグ

ソピア「久しぶりに楽しかった!」

ヒレア「ホール中が注目してたわ」

ソピア「それはトールくんが緑色のせい」

トール「違いますよ、ヒレアさんは特に見られてませんでしたから……」

ソピア「んー、そろそろ帰ろっか」

ヒレア「……お姉ちゃん、仕事仕事」

ソピア「すっかり忘れてた。時間的にもう終わってもいい頃だけど……」

トール「あ、あの! ソフィアさん!」

ソピア「ん?」

トール「仕事は人の多い所に行けばいいんですよね。その……ぼ、僕と遊びに行きませんか!」

ヒレア「もしかして私お邪魔虫?」

ソピア「警備しながらになるけど……いいかな?」

トール「構いません!」

ソピア「うーん」


1.天文台へ行く
2.森へ行く
3.断る

お待たせしてごめんなさい
明日ひとまず35日目の終わりまでやります

ソピア「天文台に行こう? 急げばまだイベントやってるかも」

トール「ありがとうございます!」

ヒレア「私お腹いっぱいで眠いから先に帰る。行ってらっしゃい」


本日2度目の夜の林道には灯りが無く、道に段差は無いものの濃い暗闇が人の歩みを遅くする。

が、ソピアは構わずにずいずい進んでいた。

トール「そ、ソフィアさん? 怖くないんですか?」

ソピア「慣れちゃった。トールくんは怖いの?」

トール「怖くはないですけど、ソフィアさんの歩く早さに驚いてしまって……」

ソピア「モンスターか人が近づいてきたら、ほら、マリンが教えてくれるから」

ソピア「……あれ? マリンがいない」

トール「えぇっ!?」


ヒレア(邪魔しちゃ悪いけどもし危ない目にあったらいけないし……)

黒い闇にまぎれ黒い霧が2人の跡をつけていた。

マリン「ヒレアだわー♪」

ヒレア「そっか、マリンがいるからバレバレよね……」

マリン「ソフィーには言わない方がいいのよねー?」

ヒレア「空気読んでくれるの?」

マリン「風の妖精だものー」

マリン「……あー、2人の前からモンスターがー」

ヒレア(マリンがここにいるってことは、お姉ちゃんたちモンスターの接近に気づいてないんじゃないの……!?)


不意打ちしてきたのは

1.虫モンスター
2.鶏モンスター
3.羊モンスター

オンドリス

尾が蛇の身体になったニワトリのオス。気性が荒い。

けたたましい鳴き声と共に吐く息には毒性があり、吸うと体が硬直してしまう。

その様子を、昔の人は石化と呼んだ。



鶏「コッ、コッコ!」

ソピア「ニワトリ?」

トール「一旦距離を取りましょう!」

ソピア「マリンは!?」

マリン「ごめーん、あとそれモンスターだからねー」

トール「このモンスターは、まさか……!」


1234 トール「毒の息に気を付けて!」
5678 トール「……なんでしたっけ?」
90 トール「えっ、もう倒したんですか……」

コンマ一桁の書き忘れ



トール「……なんでしたっけ?」

ソピア「トールくん……」

トール「で、でも、確か近づくと危ない事だけは覚えてます!」

ソピア「遠距離から攻撃すればいいよね……?」

トール「だ、だめです。魔法反射能力を持つニワトリもいたはずなので……」

ソピア「横を突っ切る?」

トール「突然爆発するニワトリもいるんです」

ソピア「もう……」


12 ソピアが倒す
34 トールが倒す
56 攪乱からの逃走成功
78 追い風からの逃走成功
9 トール無念の石化
0 ソピア不幸の石化

↓コンマ一桁

ソピア「こんな小さい相手にいつまでも時間使ってられないよ」

トール「ソフィアさん、ちょっと……」

ソピア「横を駆け抜けるよ。ついてき………………」

一瞬で硬直させられたソピアは、走った姿勢のまま地面に転がった。

この毒で直接死ぬことはなくニワトリに食べられる心配もないが、ただ放置している限り硬直は約10時間続く。

その間に他のモンスターに襲われて命を落とす人が後を絶たないのだ。

鶏「コココッ!」

トール「この……っ!」

続けてトールに吹きかけられる息を、トールはニワトリごと空気の塊で弾き飛ばした。

トール「ソフィアさん!」

ソピア「………………」

目も口も手足も微動だにしない。

恥を忍んで胸部に手を当てると、心臓は動いているようだ。

ソピア「………………」

トール「僕がなんとかしないと……」


1.背負って天文台まで連れていく
2.ソピアのバッグを見てみる
3.人が通りかかるのを待つ

メンドリス

尾が蛇の身体になったニワトリのメス。

肉には毒があってとても食べられたものじゃないが、卵は珍味として人気がある。

息の毒性が低く比較的おとなしいメンドリスは牧場初心者でも飼いやすい。


雌鶏「グエーッ」

ヒレア「静かにしなさい」

背後から2人を襲おうとしていたニワトリの番はヒレアに首を絞められ持ち上げられていた。

邪教の館で学んだ、ニワトリを贄に奉げる際のテクニックである。


トール「こんなことなら薬を常備しておくんでした……」

トール「すいません、ソフィアさん。少しバッグの中見せてください」

トール「地図、謎の魔導書、ボロボロの布……? あった!」

草には『毒消し』と書かれた小さな紙切れが貼りつけられていた。

トール「これを食べてください」

ソピア「………………」

トール「な、治らない……!?」

ハルカ「あれ……ソフィアさん? 何があったの!?」

トール「あの、ニワトリに襲われて、たぶん毒だと思うんですけど、毒消し草を飲ませたのに」

ハルカ「あのね、毒消し草が効くのは出血性の毒。この硬直の仕方は麻痺毒じゃなく石化毒ね」

トール「どうすれば……」

ハルカ「まずは天文台まで連れていくよ。ほら、背負って」

トール「は、はい!」


天文台、宿舎。

職員「これで大丈夫。目が覚めてもしばらくは安静にしておくようにね」

トール「分かりました。みなさん、ありがとうございます」

ハルカ「ふう、冷や冷やしたよ……」

マトイ「フィーちゃんでも失敗することがあるんだね」

ディアナ「マトイさん、行きましょう。お客様方がお待ちですわ」

ハルカ「天文台のハルカです。ヴィークさん、丘陵でソフィアさんが……」

トール(はあ……ダメダメだ)

トール(僕はなんて情けないんだろう……)


12 ソピアはすぐに起き上がる
3456 ソピアは30分後に起き上がる(ディアナのショー終了)
7890 ソピアは1時間後に起き上がる(天体観測会の終了)

↓コンマ一桁

10分後。

ソピア「……う、ん」

トール「そ、ソフィアさん! 大丈夫ですか!」

ソピア「ごめんね……トールくんの言うことをちゃんと聞いておけば」

トール「覚えていなかった僕が悪いんです。応急処置にも失敗しましたし……」

ソピア「しばらくは横になっておかないといけないんだったね……」

トール「聞こえてたんですか?」

ソピア「意識はしっかりしてたよ。トールくん、私はあと数十分したら行くから、先に外で楽しんでおいでよ」

トール「……はい。では、お大事に」

ソピア「……できたら、胸触ったことの方を気にしてほしかったな……」


お見舞いに来たのは

1.弓使いハルカ
2.魅惑の魔術師ディアナ
3.謎の天才幼女マトイ
4.神出鬼没の占い師ルルエン

↓1、2

ルルエン「失礼いたします」

ソピア「あれ、ルルエンさん」

ルルエン「いいえ。天体観測に来たわけではありません。アナタがわたくしの助言に従ったためです」

ソピア(あれ、私何かしたっけ)

ルルエン「アナタがわたくしをここへ招いたのです。ふふふっ」

ソピア(よく分からない……)

ルルエン「わたくしの助言を覚えていますか?」

ソピア(たしか……恐ろしい人と話すといいことがあるとか)

ルルエン「その通り。アナタは正しい選択をしました」

ソピア(呼んでないけど……。あれ、でも正しい選択ってことは、ルルエンさんは恐ろしい人?)

ルルエン「ふふっ、どうでしょう。もしもわたくしと話していなければ、明日アナタに牙をむいていたのはわたくしだったのかもしれません」

ソピア(そんなまさか……)

ソピア「でも、あなたはどうして私にこんな助言を?」

ルルエン「アナタの味方をすると――いことが起こる。そんな未来が見えるのです」

ソピア「えっと、今なんと」

ルルエン「ふふっ」

ソピア(ごまかされた……『楽しい』だったらいいな)

ルルエン「もう一つ、次の助言をしておきましょう」

ルルエン「強き者と話しなさい。今のアナタはツキが良い。必ずやアナタの味方となってくれることでしょう」

ルルエン「それではごきげんよう」

ソピア「……強いって上位職の人? 近くにいたかな……」

ハルカ「やあ。大丈夫?」

ソピア「ハルカさん。助けていただきありがとうございます」

ハルカ「気にしないで。通りかかれてよかったよ」

ハルカ「さっき、キミの連れのトールくんと話したよ」

ソピア「何か言ってました?」

ハルカ「自分は力不足だって。これからの時代、生きていけないんじゃないかって卑屈になってたよ」

ソピア「後で励ましておきます……」

ハルカ「それと……なんか、フルフィリアが戦争を始めるかもって言ってた。ジャルバ王国と」

ソピア「そういえばハルカさんの祖国もジャルバ王国と……あ、でも実際に住んでたわけじゃないんでしたっけ?」

ハルカ「住んでたことはないけど、心の中では祖国に違いないかな」

ハルカ「その国は、弓に長けた民が暮らす草原の国なんだよ」

ソピア「それでアーチャーに」

ハルカ「……戦争、やだな。そうなったら、あたしはどうするのかな……」

ソピア(戦争の混乱で逃亡貴族の件がうやむやになってくれたら嬉しい)

ハルカ「あたしは子供のころまで東の端の、砂漠の入口の町に住んでたんだ」

ハルカ「でも、ある時、ジャルバが攻めてくるって噂になって、あたしたち家族は急いでウベローゼンに逃げてきたんだ」

ハルカ「……もし戦争になったらどこに逃げればいいのかな。まず……逃げてもいいのかな」

ソピア「いいと思いますよ。命をかけて国を守りたいから戦うんでしょう」

ハルカ「でも、あたしもウベローゼンの町には結構愛着があるんだよ」

ハルカ「とっても暖かい町だからね」

ソピア「貴族の町なのに?」

ハルカ「少なくともウベローゼンの貴族はいい人が多いと思うよ」

ハルカ「おっと、天体観測が始まる時間ね。ソフィアさんも行かない?」

ソピア(あと一回話すと何か重要なことが聞ける気がする……)

ディアナ「あらソフィアさん。もうお身体は良くなりましたの?」

ソピア「はい、おかげさまで」

マトイ「フィーちゃーん、準備できてるよー」

屋外にいくつかの天体望遠鏡が並べられていた。

その内の一つの前にトールがいる。

ハルカ「ん、あたしはあっちで見ようかな」

ソピア「え、どうして?」

ハルカ「トールくん。キミのボーイフレンドじゃないの?」

ソピア「違いますよ?」

ハルカ「そうなんだ……」


トール「ソフィアさん……」

ソピア「心配かけてごめんね、トールくん」

トール「いえ、僕が……」

ソピア「ううん、私は普段一人で歩いてるからね。トールくんがいなかったら、あのまま駆け付けたハルカさんまで毒の餌食になってたかもしれない」

トール「でも……」

ソピア「もう終わったことだし、気分を切り替えて楽しもうよ。星座盤は持ってる?」

トール「……はい、マトイさんから預かってます」


トール「ピントを合わせて……よしっ」

ソピア「何が見えますか?」

トール「ええと、今見えてるのは……○○座ですね」


トールが最初に見つけた星座は?

↓安価下座(実在しない星座OK)

あと1個安価ありますが次は番外編書き終えてから
出来るだけ急ぎます

昼過ぎから再開します
クルト編がこんなに難産だと思わなかったんだ…

トール「さそり座ですね」

ソピア「星座には物語があるんだよね。さそり座ってどんなだっけ……?」

マトイ「教えましょう!」

ソピア「あ、マトイちゃん」

マトイ「あるところに、おっきなモンスターばっかり棲んでる『狩人の国』がありました」

トール「実在してほしくないですね……」

ソピア「そういうものに限って存在するんだよ」

マトイ「その国に住む腕利きの狩人たちが、酔っぱらって言いました」

マトイ「『この国だけじゃねぇ、世界中のありとあらゆるモンスターを俺達が狩り尽くしてやる!』」

マトイ「それを聞いた大地の神様はぷんぷん! サソリに頼んで狩人たちを殺してしまいました」

トール「酔った勢いなら許してあげましょうよ……」

マトイ「モンスターと戦える人がいなくなった『狩人の国』は滅び、おっきなモンスターは世界中に散らばって行きましたとさ」

マトイ「一方サソリは神様に褒美として星座にしてもらえました。めでたしめでたし」

ソピア「大迷惑!!」

トール「この話が言いたいのは『徒に命を奪ってはいけない』ということですね」

マトイ「違うよ、『おっきなモンスターより毒の方が危ない』ってことだよ!」

ソピア「本当にその通りだよね……」

ソピア「あの星、明るい。なんて星だろう……」

トール「ああ、あれは冥王星です。最近発見されたばかりの新しい惑星ですよ」

ソピア「惑星にしては小さいけど……」

トール「ここから一番遠い惑星だからそう見えるんです」

トール「今までに無かった惑星が追加されて、占星術の業界は大混乱したとか」

ソピア「物知りだね」

トール「いえ、ごく最近読んだから……いつも本を読み流してるだけだから忘れっぽいんですよね」

ソピア「読んだ本の内容は大体覚えてるけど、あんまり読まないなぁ」

トール「すごいじゃないですか。もっと読んだ方がいいですよ……」

ソピア「ううん、読んだ数が少ないから覚えてるだけだと思うの」


ソピア「あっ、流れ星!」

トール「ソフィアさんの願い事は何ですか? 流れ星が消えるまでに3回唱えれば叶いますよ」

ソピア「この短時間で願い事を3回言い終える実力があるなら、流れ星に頼らなくても、すごい魔法を詠唱して何でもできるんじゃないかな」

トール「やけにリアルなことを考えますね……」

ソピア「そういえば私、流れ星撃てるんだった。トールくんは何か願い事ない? 私が斜め上に撃てば3回言い終えるだけの時間は作れるよ」

トール「うーん…………」


トールは

1.改めてソピアに告白する
2.先ほど守れなかった一件があるのでやめておく

↓2票

大変長らくお待たせしました。
明日の昼、番外編を投下します。長いです。安価も少しだけあります。
よろしくお願いします。

ソピア「もう撃つよ。……それっ!」

トール「え、ええっと、強くなって偉くなりたい、強くなって偉くなりたい、強くなって偉くなりたい!」

言い終えた数秒後、流れ星が着弾した。

トール(うう……恋人になりたいって言えませんでした……)

ソピア「強くなりたいのは知ってたけど、偉くなりたいってどういうこと?」

トール「その……今日、公開講義で聞いた話で、これからは自分の努力で社会的地位を上げることが大事だと気づいたんです」

ソピア「そっか。貴族も王様もいないもんね」

トール「実力を付けて地位を手に入れて、そうなったら……」

ソピア「うん?」

トール「そうなったら、きっと自信を持った立派な男になれると思うんです」

ソピア「頑張ってね。きっとなれるよ」

トール「……はい」

トール(結局、結婚したいとも言えなかった……)

トール(でもどうせ、危険から守ってあげられなかった僕が告白しても、今度こそきっぱり断られるだけですよね……)


士官学校、学生寮前。

ヴィーク「みんな、今日は一日ご苦労さまだった」

ヴィーク「給料の1400Gだ」

7400G→8800G

ヴィーク「これは今日の分なんだが、明日も働くという人は手を挙げてくれ」

ソピア、ハルカ、バンダナの青年が手を挙げた。

ラファ「私はここまでにするのです。一日ありがとうございました」

ソピア(結構な時間、音楽院で休んでたみたいだしね……)

ネクタイ「俺も遠慮しよう」

ヴィーク「2人ともありがとう。残りのみんな、引き続きよろしくな」

宿屋。

ヒレア「おかえり。大丈夫だった?」

ソピア「何が?」

ヒレア「毒にやられた……らしいけど」

ソピア「……見てたの?」

ヒレア「見てないよ」

マリン「ヒレアはいなかったわー」

ソピア「そうだよね。いたら助けてくれたと思うし……」

ヒレア(トールに任せるのはもうやめましょう)


ソピア「……あった」ガサゴソ

ヒレア「その紙なあに?」

ソピア「樹魔術の書。魔法局がたぶん把握してない魔法が書かれてるの」

ヒレア「すごいもの貰ったのね」

ソピア「使えるのは私と魔人先生くらいだと思うけどね」

ソピア「寝る前に簡単なのを一つくらい覚えてみよう」


『樹魔術師スキル』
ソーラーセラピー 0/1 太陽光や雨を浴びると少しずつ体力・精神力が回復する
アロマセラピー 0/1 身体から任意の花を咲かせる
トータルセラピー 0/1 体力・精神力・状態異常を回復する
エナジーセラピー 0/1 根を張った対象から体力を吸収する
ヒプノセラピー 0/1 眠らせて相手の記憶を消去する
箱庭セラピー 0/1 自分の周囲に任意の樹木を生やし操る

ソピア「セラピー(攻撃)がいくつか……」


↓1 練習する魔法選択

トータルセラピー 31/1

スキル『トータルセラピー』を習得しました


ソピア(何度も連続で使えそうにはないけど、どんな毒や精神状態でも治せるのは便利だね)

ソピア「あともう一つくらい……」

ヒレア「明日も早いんでしょ? 早くおやすみしようよ」

ソピア「そうだね。やめとこう」

8800G→8620G

35日目終了

【ステータス】
ソピア=ウィンベル(魔:ソフィア 旅:ルーフェリア)
見た目:スカイブルーの瞳・黒髪ふんわりロングパーマ・シックなコート・リボンカチューシャ・ムーンストーンの杖(知20)・ストーンキューブ
所持金:8620G
アイテム:
フルフィリア共和国ウベローゼン市地図・旅人ギルドカード・ナイフ・金槌・ハサミ・ドライバー・ライター・花柄の傘
ポーション×2・回復の杖・自動迷彩マント
薄汚れた赤ずきん・エセ探偵セット・女中の服・緋袴・ヘアゴムセット・アザラシ革の手袋
オニキス・琥珀の欠片・キングウォッチ・クロノクロウの羽・樹魔術の書

ジョブ:月魔術師・旅人
スキル:料理・ダンス・長旅歩き・小休止・脱兎・騎馬・野営
 月光光線魔法・流れ星・精神攻撃魔法・光線魔法:精神・光線魔法:波・拡散精神魔法
 強魅了魔法・全体魅了魔法・恐怖魔法・混乱魔法・幻覚魔法・多分身魔法・迷彩魔法・盲目魔法・魔力制御・瞑想技術
 ライトボール・活力の光・癒しの光・加熱魔法・トータルセラピー
 受け身・考察・探し物・妖精対話・究極魅了魔法・ムーンブラスト・ダークフェザー

体力32/32 精神52/52 進行度77/120
筋力30 敏捷44 知力70(90) 器用20 交渉力70 魔名声48 旅名声42 注目度10
経験値:体7・精47・筋0・敏67・知0・器83・交31

知り合い
心優しい義妹13歳吸血鬼:ヒレア「無理しすぎよ……」(義姉妹:10.15)
お喋りな16歳ホワイトシーフ:フィナ「はー、もしかしたらソフィーもただ者じゃないかもね…?」(親友:9.15)
あざとい17歳メイド:アン「アンにできることを……!」(親友:9.04)
高圧的な16歳サイズユーザー:エルミス「ともだ、下僕が増えたわ!」(仲良し:7.91)
ボクっ娘ブラコン16歳女水魔術師:ミルズ「危ないことはやめなよ」(仲良し:7.67)
頭脳派長身18歳岩魔術師:クルト「悩んでいても始まらないか」(友人:6.53)
文系15歳美少年風魔術師:トール「筋肉痛が……!」(恋心:5.61)
おしとやかな12歳商売人:フローラ「商人ですから。秘密は守ります」(友人:5.18)
魔法街の仕立て屋人形:クリスティ「道中お気をつけて!」(友人:4.48)
明るく優しい22歳ホモ日魔術師:キュベレ「……」(友人:4.00)
武人な19歳火魔術剣士:テンパラス「よい戦いぶりであった」(知人:2.02)
皮肉屋な22歳男コンバット:ロット「……」(知人:1.93)
色男な24歳レンジャー:オルド「ただ者じゃねえな」(知人:1.59)

【ウベローゼン危機】


ソピアが憲兵隊長アルフレッドと遭遇した33日目の朝。

ミルズは回復魔法の勉強のため魔法街の講堂に通っていた。

女子「あっ! ミルズ! 聞いて!」

ミルズ「な、何さ」

思わず身構えてしまうミルズ。数日前まで彼らが話しかけてくるときは必ず暴行を受けていたのだから仕方が無いことだが。

女子「リウムが、リウムが……」

ミルズ「うん、何」

女子「リウムが女の子になっちゃったの!」

ミルズ「……はあ?」


リウム「よお、ミルズ」

ミルズ「不敵な顔してる所悪いけど、そのブラウスとワンピースはどうしたの」

リウム「ああ、これか? ハハハ! よくぞ聞いてくれた!」

リウム「俺がこれから目指すべきは……キュベレさんのような人だと気づいたんだ!」

ミルズ「…………キミは間違ってる。キュベレさんに憧れるって、そういうことじゃないでしょ」

リウム「何も間違ってないだろ」

ミルズ「……で、それどこで手に入れたの。返答によっては憲兵に突き出すことになるけど」

リウム「別に盗んでねぇよ。姉ちゃんの服だよ」

ミルズ「シスコン」

リウム「お前にだけは言われたくねーよ!」

ミルズ「お姉さんの許可はもらったの……?」

リウム「もうずっと帰って来てないし、姉ちゃん優しいから許してくれるだろ」

リウム「シスコンじゃねぇけど、姉ちゃんも俺の憧れだ。医者として、俺の何十倍も立派な人で……」

ミルズ「別に聞いてないんだけど。ところでいつも一緒にいる陰険メガネはどうしたの」

女子「そこにいるよ」

ミルズ「……どこ? まさか隠れて攻撃を……!」サッ

メガネ「隠れてない! 身構えるな!」

ミルズ「あ、目の前のキミか……。メガネが無いから分からなかったよ」

メガネ「今朝通りすがりのお前の兄にメガネを叩き割られたんだよ!!」

ミルズ「ぷっ。……ボクの兄様がそんなことするはずないじゃないか」

メガネ「笑うな!」

ミルズ「もし本当にそんなことをしたのなら……兄様の精神状態が心配だ」

メガネ「僕の心配をしてくれないか!?」

ミルズ「死んで」

講義後。

ミルズ「ねえ、キミたち2人足りなくなかった?」

女子「昨日から来てないよ」

ミルズ「あと2人はどんな惨状になってるんだろうね」

女子「リウムはともかくメガネくんを含めるのはやめてあげて!」

リウム「聞こえてるからな!?」

メガネ「この間、新しいストレス発散法を見つけたと言っていたな」クイッ

ミルズ「エアメガネ……クイって……くくっ」

メガネ「……」イラッ

女子「そういえば……私見たかも。草みたいなもの持ってたの」

ミルズ「ハーブかな。…………まさか、アンブロシア……!?」

ミルズ「いや、違うね。アンブロシアにお持ち帰りメニューは無かったはず……」

リウム「……違法ハーブじゃねーの」

ミルズ「……ああ、それかな」


違法ハーブとは、聖教会が危険な効能があるとして、所持・栽培・使用を原則禁じているハーブの類である。

摂取するとこの世にないような不思議な感覚や効能を得られるが、特殊な調合を行わなければ強い毒性を持ち、服用し続けると身体のあらゆる機能に不調をきたす。

しかし調合前のハーブは依存性もまた強いため、継続して売りつけることで非合法組織には良い資金源になるのだ。

先日、共和国軍は非合法組織の解体を行ったのだが、それが裏目に出た。

これまで限られた売人のみが相手を選んで高額で売っていたものが、安値で無秩序に販売されるようになってしまったのである。


女子「心配ね……」

リウム「……よし、あいつら探しに行くぞ。ミルズも来いよ」

ミルズ「なんでボクまで?」

リウム「お前は心配じゃねぇのかよ!」

ミルズ「全く。……でも、気にはなるね。できることなら彼らを、正しい道(アンブロシア)に導いてあげたい」

メガネ「リウム、動機が不純なようだが……」

リウム「構いやしない。行くぞ」

ミルズ「その前にキミ見苦しい格好してるの忘れてない?」

リウム「尊敬する2人に近づくためだ。何も恥じることは無い」

ミルズ「キミがいいならボクは何も言わない。ただ少し離れててよ、知り合いだと思われたくない」

ウベローゼン市のとある裏路地。

女子「見て、あれ!」

メガネ「見えない……」

ミルズ「もう夕方になるよ。勘弁してほしいね」

リウム「お前ら探したぞ。何やって……うっ……」

以前彼らとつるんでいた水魔術師の2人は、脱力した様子で路上に座り込み、何かを燃やした煙を吸っていた。

リウム「こいつら……やっぱり!」

ギャル「キャハハあんた何その格好、ウケる~!」

ヤンキー「ミルズと仲良ししてんじゃねえぞ、ぶっ殺すぞこらぁ~!」

2人「ヒヒヒ、幻覚最高~!」

女子「現実なのよね」

メガネ「……幻覚って自分で言ってるからクロだろう?」

リウム「お前らこれ違法ハーブだろ! こんなもの使って、身体壊すぞ!」バッ

ギャル「なっ、ななななな何すんのよっ! 返せ! 返せえええええ!!」

ヤンキー「うああああああああああああああ!!!!」

リウム「……もう、ここまで依存が……!」

ミルズ「精神が弱かったんだね、きっと」

メガネ「冷静に言ってる場合じゃないぞ、周りだ!」

見回すと、ふらふらとした足取りで周囲の市民がミルズたちの元へと歩いていた。

スーツの商人「許さんぞ許さんぞ……同胞をぉおおおお」

中年女性「あなたたちもこちらへ来なさいよぉ、楽しいわよぉ~」

女子「これ、まずくない……?」

ミルズ「……ボクは逃げるよ」

鎧の戦士「逃がすかぁ」スッ

聖職者「神の名のもとに……」コォォ

リウム「数が多すぎる…………グロウ!」

石畳が剥げ露出した地面からツルが伸び、中型植物モンスターが現れる。

モンスターに足止めを任せ、飛んでくる魔法攻撃を背に一同は逃げ出した。

しかし……。

ミルズ「……最深部のようなところに来てしまったね」

メガネ「と、とにかく引き返さないか?」

リウム「俺だって医者の卵の端くれだ。市民の健康を害する元凶を見逃せるか」

女子「……ドア、開けるよ」


「……は順調です。……在約580人の………………」

「……ウベローゼンを…………愚民…………のため…………には感謝する」

「……院と……会で…………の生産…………」


ミルズ「……重要そうなこと話してるけど」

リウム「聞き取れないな」

女子「もう少し開くよ」


「すでに市民の会では、会長はじめ3割の会員が使用しています」

「一方、魔法局への浸透は進んでいません。吸血鬼に破壊された建物の修復工事中ゆえ監視の目が多く……」

「賢者共を無力化しなければ意味が無いだろう」

「ええ。急ぎ日魔術研究所跡地を購入し、地下の人工日光研究施設で栽培を……」


男「貴様ら、何をしているッ!!」


リウム「やばっ!」

男「部外者だ! 全員逃がすな!」

ミルズ「邪魔……!」

男「うあっ!」

何人かの脚を凍る水弾で的確に撃ちぬくも、追っ手の数が多すぎた。

ミルズ「こんなことならもう少し攻撃用の魔法を覚えておくんだった……!」

強面「所詮はガキ共だ、とっ捕まえてハッパ嗅がせとけ!」

メガネ「みんな、こっちだ!」

リウム「お前、まさか……!」

メガネ「君たち、この場所を知らせるんだ! 僕は彼女を連れて後で行く!」

メガネ「フリージングウォールッ!!」

降り注ぐ流水が追っ手を巻き込んで凍りつき、通路を塞ぐ壁となる。

やや遅れて踵を返したメガネの側頭部を強面の男が殴り飛ばした。

強面「おら、捕まえたぞ!」

女子「は、離してぇ!」

リウム「お前らぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ミルズ「2人の犠牲を無駄にしちゃいけない! 二手に別れよう!」

ミルズ「ボクは聖教会へ行く。キミは軍に!」

リウム「……待ってろよみんな」

30分後、リウムは父が働いている聖十字総合病院の近くでコーヒーを飲んでいた共和国軍の兵士に声をかけた。

何分、あまり大勢に聞かれたくない話である。リウムは勝手の利く病院の一室で話をしようと考えていた。

兵士「な、なんだお前は……!」

リウム「外科医○○の息子と言えば分かるだろ?」

兵士「なにぃ!?」

リウム「重要な話がある。ついてきてくれ」

兵士を連れ、あまり訪れる機会のない病院の一棟へ赴く。

兵士「どこへ行くつもりだ?」

リウム(誰にも聞かれたくない重要な話だ。ロビーから一番遠い談話室なら誰も来ないだろ)

リウム「ここだ」

扉を開けて中を示すも、兵士が怪訝な顔で留まっている。

リウム「なんだ……?」

何か異変でもあったのかと、部屋の中を覗くと……


一方、ミルズは違法ハーブを禁止し軍に取り締まらせている組織、聖教会へやって来ていた。

ミルズ(あまり人通りの多い所や、聖堂の中で話すべきじゃないね。だったら……)

教会の裏側へ回り、何やら裏庭で1人作業中のシスターを見つけ外から声をかける。

ミルズ「そこのキミ! 聞いてほしいことがあるんだ」

シスター「どうかしましたかっ?」

ミルズ「至急! 偉い人を呼んできて!」

シスター「わっ、わかりました! ただいま!」

ミルズ(追っ手は来てないね……?)

ちらりと後ろを確認すると、背後から聖職者たちが現れ、ミルズの周辺に集まってくるところだった。

シスター「呼んできました! そちらにいらっしゃいます!」

ミルズ「ああ、ありがとう。……?」

言いながらシスターの後ろにあるハーブ畑に目が行く。そこには……



ミルズ・リウム(これは教科書で見た…………夢中草!!)


リウム「何でここに……?」

病院の談話室の机や椅子が使われた形跡は無かった。しかし、窓際の日の当たる場所にずらりと植木鉢が並んでいる。

兵士「どうした?」

リウム「嘘、だろ……」

リウム「……これは、夢中草という、違法ハーブの一種だ」

リウム「この病院で生産されているのは今知ったが、さっき裏路地で販売組織の事務所を見つけた」

リウム「今すぐ憲兵に連絡を……ッ!?」

兵士「そうか」

リウムの眉間には拳銃が突きつけられていた。

リウム「お、俺を誰だと思ってるんだ……!」

兵士「抵抗するなよ。お前の父親に会いに行くぞ」

兵士に腕を掴まれ、病院の一室に連れられて行く。

リウム(何だってんだ、ここは俺んちだぞ!?)

名医「リウム……知ってしまったか」

リウム「親父……!」

名医「……このことは黙っておくように」

名医「申し訳ありません、息子がご迷惑をおかけしました……」

リウム(ウチがハーブの販売に加担してたってのかよ……畜生!)


ミルズ(……いや、何も不思議なことは無いね。聖教会の許可を得れば栽培できるだろうし、当の聖教会で栽培されていてもおかしくない)

聖職者「要件を言いたまえ」

ミルズ「実はボク、先ほど裏路地で違法ハーブの業者を見つけました」

ミルズ「急ぎこうして聖教会に報告にやって来た次第です」

聖職者「やれやれ……またですか。どうしてこうも取り逃がすのか」

ミルズ「……は?」

よく見ると、聖職者たちはミルズを囲い込むように立っていた。

聖職者「悪く思わないでくれ。これもこの国の未来のためなのだ」

聖職者たちがロザリオを掲げる。

ミルズ「くっ……!」

後ろを振り向くと、ハーブ園のシスターたちもまた跪き魔術の準備をしている。

ミルズの足元に大きな魔法陣のようなものが現れ、輝き始めた。

ミルズ(そうか……ボクはここで死ぬんだ)

ミルズ(ソフィア、ボクはキミのようには上手くいかないみたい)

ミルズ(せっかく助けてもらったのに……ごめんなさい)

【クルトさんのイメチェン大作戦】


ソピアがクリスティの新商品製作を手伝った32日目の夕方。

クルトはソピアの提案であるイメチェンについて思案していた。

クルト(イメチェン……イメージをチェンジすることで成長できる、か……)

クルト(たしかにソフィアも、第一印象とはだいぶイメージの違う人間だった)

クルト(一見すると地味で大人しそうだが、無謀とも言えるほどの行動力を持ち、しかし仕草にはどことなく気品があり、かと思えばあのカフェでは狂人と化す……)

クルト(……そうだな、まずは俺がどのような目で見られているのかを調査するとしよう)


・防御魔法が得意な岩魔術師で若手魔術師のホープ
・知性を感じるメガネと背が高いのが特徴のイケメンだけど女っ気がない、女子と話が合う趣味がないのと体力が無さそうなのが原因じゃないか
・そっけなく接しているように見えて結構シスコン、ミルズちゃんの方は表面上は懐いてるけどそこまでブラコンでもない
・いい奴
・くせっ毛、声が低い
・説明書は全部しっかり読んでそう
・慎重な保守派、訓練や仕事はするけど冒険はしない人


クルト(魔法街で会った知人たちに聞いた結果をまとめた)

クルト(ところどころ、そうではないと反論したくなるものもあるが、これが俺の現在のイメージであるらしい)

クルト(まずは分かりやすいところで、体を鍛えることから始めてみようか……)

クルト(そういえばソフィアは旅人ギルドにも登録しているためか足腰が強かったな……)

☆イメチェンその1:体を鍛える

ファイターギルドは2階建てのスポーツジムだった。

ジムの外にもランニングやストリートファイトを楽しむ人々が目立つ。

そんな中に現れた、ここだと特に青白く不健康そうに見えるローブの青年を、人々が物珍しそうな目で見ていた。

クルト(……何、気にするな。ソフィアは日ごろからこのアウェイ感に耐えているのだ)

クルト(しかしこんなことならもう少し魔術師らしくない格好に着替えて来るべきだったな)

受付「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか?」

クルト「……体を鍛えに来た」

受付「ええと……スポーツの種類は? それとも格闘技でしょうか?」

クルト(我ながら酷い返答だったな……。体を鍛える以外でジムに用がある人物などそういないだろう……)

クルト「ここはファイターのギルドだと聞いた。登録するつもりなのだが……」

受付「それでは先に体験からお始めになるのはいかがでしょう?」

クルト「……体験が可能なのか?」

受付「昨今、登録してもすぐ来なくなる方が増えてまして……。各クラブに見学者・体験者を受け入れるよう指示しております」

受付「そちらの案内板で興味を持ったものに行かれると良いでしょう」

クルト(これは困った……特訓中の体育会系の集団に声をかけるのは中々気が引ける好意だ)

クルト(俺は学生時代も体育は得意ではなかったからな……。しかしソフィアも越えた道。俺に越えられぬ道理は無い。行くぞ)


男たち「フッ!……ハッ!……ハアッ!」

クルト(なんという筋肉量だ……! 人間よりもモンスターに近いのではないか!?)

筋肉「ん?」

クルト(見付かった……!)

筋肉「おや、そこに見えるは俺よりも長身だが細身の青年……ありですね……」

男たち「リーダー! 彼が仲間になりたそうにこちらを見ています!」

クルト「いや、待ってくれ……」

筋肉「歓迎して差し上げよう! もちろん、俺たち流にですよ!」

男たち「うぉおおおおお!!」

瞬く間にクルトを取り囲んだ筋肉男たちが、思い思いのポージングを見せつける!

クルト「うわああああっ!!」

言うまでもないがクルトに男色の趣味は無い。

しかし、それでなくとも黒光りする筋肉を露わにしたブーメランパンツの男たちに囲まれて平常心でいられるのは一握りの人間だけだろう。

筋肉「皆さん、道を開けてください」

男たちの囲いの一部が崩れ、リーダーと思しき、一目見て最大の筋肉量を持つと分かる男が歩み寄ってきた。

それはさながら海を割った聖人のような神々しさであった。

筋肉「貴方に俺の最も美しい瞬間を見せてあげましょう!…………ヌゥンッ!!」

クルト「あ、がっ……!」

彼の筋肉を最も魅力的に見せる必殺のポーズ、モストマスキュラーがクルトの意識を刈り取った。

フェイラン「もしもーし。お兄さん起きるよろし」ペチペチ

フェイラン「あいやー、仕方ないあるネ。気付経穴連打!」ダダダダダンッ!

クルト「……はっ!!」

フェイラン「痛くないあるカ?」

クルト「大丈夫だ。……お前は?」

フェイラン「私カンフーファイターのフェイラン言うある」

筋肉「俺はボディビルダーの○○といいます!」

クルト「うわああああっ!」

筋肉「恐がらせてしまって誠に申し訳ありません。一人の紳士としてふがいないばかりです……」

フェイラン「受付の人に聞いたあるヨ。あなた鍛えたいらしいネ。確かに貧相な身体してるある。私の友達といい勝負ヨ」

筋肉「押せば折れてしまいそうですね!」

クルト「そこまで言うか……?」

筋肉「さあ、トレーニングです! 貴方も俺のような肉体になれる! まずはこれを飲んでください!」

クルト「これは何だ? 飲み物なのか?」

筋肉「プロテイン……筋肉の種ともいうべき筋トレの必需品です。飲んでください、一気に、さあ!」

クルト「待ってくれ、自分で飲……ごぼがぼ」

体を押さえつけられ、無理矢理にプロテインを飲まされてしまった。

クルト「げほっ、げほっ……何をするんだ」

筋肉「飲んだらすぐに筋トレです! この動きについてこれるかな!?」

クルト「……主に全身が痛い」

筋肉「よく頑張りました。これで今日から貴方もマッスル!」

クルト「……俺もこうなるのか……?」

筋肉「いえ。筋肉は一日にしてならず……俺は一人前になるまで3年かかりました」

クルト「どこからが一人前か分からん……」

フェイラン「お疲れさまある。一休みしたら私の番ネ」

クルト「お前も筋トレしているのか……?」

フェイラン「あなたの目節穴カ? 私のどこが筋肉ダルマに見えるネ」

クルト「すまない……。たしかに背も低く腕や脚も細い。鍛えている様には見えないな」

フェイラン「じろじろ見るなよろし! ……あなたにカンフーの技教えてやると言ってるある」

クルト「失礼だが……お前は強いのか?」

フェイラン「そこの筋肉よりは強いあるヨ。武道では筋肉量よりも効率よい運動が大事になってくるよろし」

筋肉「ここまで鍛えてしまえば効率を考えなくても大抵の相手に勝てますよ」

フェイラン「クルトたしか防御魔法使えたネ。盾出してみるよろし」

クルト「……俺は名乗った覚えが無いが」

フェイラン「魔法競技会見てたから知ってたある。早く出すよろし」

屋外に移動し、クルトが岩石の壁を出現させる。

筋肉「では先に割らせていただきます。おりゃぁああああ!!」

ボディビルダーが全身を使って壁を粉砕する。

フェイラン「私の動きを見ておくよろし。……破ッ!」

フェイランは振りかぶらず、腕の先だけで壁を2つに割った。

クルト「……どちらも出鱈目だ……!」

フェイラン「今のは寸勁いうある。正しい発勁を学べば無駄な体力を使わずに戦えるネ」

クルト「俺は武術まで学ぶつもりはないのだが……」

フェイラン「あなた体を岩にできるネ。あれを攻撃に使わないのはもったいないあるヨ」

クルト「……なるほどな」


クルト(効率の良い突き技を覚えた。新しい力を手に入れた気分だ……)

クルト「世話になった。礼を言うぞ」

筋肉「お疲れさまでしたっ!」

フェイラン「あいや、帰る方向一緒あるな。クルトも一緒に食事しないカ?」

クルト「ふむ……夜も更けているが……」

フェイラン「売れ残りだからタダ飯あるヨ」

クルト「行こう」

町のパン屋。

イリス「いらっしゃい! あれフェイラン、そのイケメンさん誰? 彼氏?」

フェイラン「アンブラーズの人ある」

クルト「クルトだ。よろしく頼む」

イリス「ああ、あの人。氷水に突っ込んでた……」

クルト「面目ない……」

フェイラン「せっかく体を岩にできるのにもったいなかったからカンフー教えてたある。ついでにタダ飯食わせにきたある」

イリス「あんたねぇ……。まあいいわ、待っといて。ウチがサンドイッチ作ってくるから」

フェイラン「手伝いはいらないあるカ?」

イリス「フェイラン料理下手じゃん。座って待ってて」

クルト(料理、か……)

クルト(ミルズは料理がすごく……微妙だ。だが、俺はどうだ?)

クルト(普段俺は料理をしない。それならば、料理をする気のあるミルズの方が優れているのではないか?)

クルト(俺に料理をするイメージはないだろう。ならば、やるしかあるまい)



☆イメチェンその2:料理をする

クルト「俺に手伝わせてくれないか?」

イリス「え? あなたお客さんでしょ。どうして?」

クルト「何事も経験という事だ」

イリス「……何なのこの人?」

フェイラン「イメチェンマニアらしいある」


↓コンマ(01~00) 高いほどクルトは料理の才能がある

クルトの料理の腕:19 人の事言えない


クルト「ふっ……できたぞ」

イリス「フェイランほんとごめん」

フェイラン「な、何が起こったあるか……これすっごく汚いネ!」

イリス「サンドイッチというよりパンのソースかけよね。ほら、フォーク持ってきたよ」

クルト「……大事なのは味だろう」

フェイラン「もぐもぐ…………うげふっ!?」

イリス「フェイラン、水!!」

フェイラン「く、クルト……何入れたよろし!?」

イリス「あんた少し調味料入れすぎだったよ……」

クルト「ふむ……砂糖を入れすぎたのを中和しようと苦い葉を刻んで入れてみたが……」

イリス「それ甘くて苦いものができるだけだって!」

クルト「どうやら俺は侮っていたようだ。料理の道も奥深いのだな……」フフッ

フェイラン「何満足げに微笑んでるあるカ!?」


↓コンマ(01~00) ついでにトールの料理の腕判定

ソピア…アンブラーの発作
ヒレア…手加減できない
ミルズ…料理ではないものができる
クルト…口ほどにもない

トールの料理の腕:81 アンブラーズ全滅回避!



フェイラン「少しはトールの女子力を見習うよろし……」

クルト「ん、お前たち、トールの知人なのか?」

イリス「知人というか幼馴染ね」

フェイラン「ちなみにイリスはトールの、むぐぅっ!」

イリス「いきなり何を言おうとしてるのかなぁ!?」

クルト「ともかく、トールは料理が上手いのか」

イリス「掃除も洗濯も得意だね。あれはきっといいお嫁さんになるよ」

フェイラン「絶対に旦那は他の男たちから羨ましがられるあるネ」

クルト(……あいつが普段どのように扱われているのかよく分かった)


夜、自宅。

ミルズ「兄様おかえり。遅かったね、心配したよ」

クルト「すまない」

ミルズ「……何してたの? まさか、恋人ができたわけじゃないよね?」

クルト「いや、少し体を鍛えにな」

ミルズ「まあそうだよね。兄様が恋愛に現を抜かすイメージないしさ」

クルト「何……!? そうか……俺には恋人がいるイメージが無いのか……」

クルト「それならば、俺は恋人を作ってみなければならない……!」

ミルズ「なんで!?」

クルト「イメチェンのためだ」

ミルズ「意味が分からないよ……!」

クルト「恋愛も経験しておくに越したことはない」

ミルズ「恋なんて無理してするものじゃないと思うんだ……」

クルト「明日も忙しくなりそうだ。シャワーを浴びて早目に寝ることにしよう」

ミルズ「ついに恐れていたことが現実になってしまった……」

クルト「……そうだ、ミルズ。お前のシャンプーを借りるぞ」

ミルズ「なんで!? 別にいいけどさ!?」

☆イメチェンその3:シャンプーを変える

クルト(俺とミルズは違うシャンプーを使っている。どこの家庭でも普通はそうではないか?)

クルト(ちなみに俺が使っているのは普通の道具屋で買った石鹸だ。麓町産で、値段が安く持ち運びしやすいことから人気の品だ)

クルト(一方ミルズのシャンプーは魔法街で売られているものだ。種類も豊富で、ポーションの一種であるらしい)

クルト(もし俺がミルズのシャンプーを使うとどうなるのだろうか)

クルト(髪の匂いが変わる可能性は高い。ポーションであるがゆえ髪が伸びる可能性も無きにしもあらずだ)

クルト(いずれにしろイメチェンの一環として間違ってはいないだろう。さっそく実践だ)


クルト「なんということだ……!」

くすんだ砂のような茶色だった短髪が、高級毛皮のようなグレーブラウンの艶のある髪に変貌していた。

また、くせっ毛だった髪が直毛になったことで、昨日よりも髪が長く見える。

クルト「髪だけ見れば別人じゃないか……!」

クルト(しかしミルズの、俺とは似つかない流れるような紺色の長髪を見れば予測できることではあったな)



☆イメチェンその4:メガネを外す

翌朝のこと。

クルト(今日は俺の代名詞であるらしいメガネを外すことにする)

クルト(昨日、帰り際に買っておいた視力強化のポーションを差し、準備完了だ)

クルト(これが本来の意味でのイメチェンなのだろうな)

クルト(よし、出かけよう。行く場所は昨晩に決めておいた)


メガネ「いい天気だ! 今日も遅刻の心配は無さそうだな!」

メガネのメガネが朝日を反射してキラリと光る。

クルト(あいつは確かミルズを攻撃していた連中の一人だったか……)

クルト(しかしミルズはもう報復を済ませた後だ。俺が何かするのは間違っているだろう)

クルト(……メガネキャラが被っているな)

クルト(……そういえば俺のイメージには善人というものがあったな)

クルト(……………………)

クルト(決めたぞ。彼にもイメチェンに付きあってもらう事にしよう)

☆イメチェンその5:悪事を働く

メガネ「おや? たしかあなたはミルズのお兄さんでは」メガネクイッ

クルト「そうだが」

メガネ「いつもと何か違うので気付くのが遅れましたよ」

クルト「少しイメチェンしたんだ」

メガネ「そうでしたか……どうして今防御魔法を?」

クルト「これは防御魔法ではない。強化の魔法だ」

メガネ「どういう……」

クルト「こういうことだッ!!」ブンッ

岩石と化したクルトの拳が、メガネの顔面を正確に捉えた。

メガネ「ぎやぁあああっ!!」パリーン

メガネ「この……何を……!」

メガネがカバンから予備のメガネを探すのをクルトは見逃さなかった。

腕を掴みあげ、その手の中から予備のメガネを奪い取る!

メガネ「か、返せぇ!」

クルト「……フッ」

にやりと似合わない笑みを浮かべ、メガネにも見えやすい位置にメガネを構え、両手を使って中央からへし折る。

メガネ「うわああああ! 僕のメガネがあああ! どうしてええええ!」

クルト「そうだな……ムカついたからとだけ言っておこう」

クルト「貴様がミルズを傷つけた数だけ! 貴様の大事なメガネを叩き割ってやる!」

メガネ「うわああああ! キリが無いいいい!」

クルト「おっと、回収はさせんぞ。メガネの残骸はこちらで処分しておいてやろう。ゴミはゴミ箱へ。市民の務めだな……」

メガネ「せめて修理させてくれよおおおお!」

クルト「それではな。次は安いメガネを用意しておくことをお勧めしよう」

メガネ「僕の顔は血まみれなんだがあああっ!?」

クルト「治療すれば済む話だ。うちの妹を使って何度も回復魔法の練習をしただろう……。今こそその練習が役に立つぞ、よかったな」

メガネ「この外道おおおお!」


クルト(気分は最悪だ……)

クルト(どんな相手であっても、悪事を働くと後ろめたい気持ちになってしまうのだな……)

クルト(だがしかし、奴のメガネを破壊している最中は不思議と気分が高揚していた)

クルト(やはり悪に手を染めるべきではないな。続けてしまえば、いずれ悪の道から抜け出せなくなるのだろう……)

☆イメチェンその6:タイプの違う岩魔術に挑戦

マナミのアトリエ。

マナミ「いらっしゃいませー! あら? 貴方はアンブラーズの……」

クルト「久しぶりだな……キューティー・クインテット」

マナミ「今は私一人しかいないけど……。何のご用かしら?」

クルト「俺は今イメチェンの最中でな。俺は大地の力を借りた防御魔法以外使えない、というイメージを払拭するためここに来た次第だ」

マナミ「そう……」

クルト「ソフィアによるとお前は本来俺たちなど相手にならないほどのベテランだそうじゃないか。どうか、俺にその魔術の一部を教授してほしい」

マナミ「でも……貴方は魔法少女に向いていないと思うけど」

クルト「それは前提条件なのか……!?」

マナミ「冗談よ! ついに私にも弟子ができるのねっ♪ でも、できたら年下の素直な女の子がよかったわ」

クルト「いや、弟子にしてほしいわけではないんだが……」

マナミ「そう、なの……?」

クルト「錬金術の基本が学びたいだけなんだ」

カノコ「マナミはむしろルーンの方が得意なんだぜ!」バーン

マナミ「もうカノコさんったら、窓から入らないでっていつも言ってるでしょ!」

カノコ「いつも爆発で窓ガラスが破れてて入りやすいのが悪いんだ」

クルト「ルーンとは?」

マナミ「魔法陣の小さいバージョンね。効果範囲がすごく狭いけど、いろいろと便利なのよ」

マナミ「普段の生活にも使えるし、戦う時は罠として使えれば魔法陣より嵌めやすいわね」

カノコ「これは私でも書ける、一番簡単な『追従のルーン』だ。ルーンが書かれたものは浮かんで自分についてくる」

マナミ「このマークが私の一番好きな『収納のルーン』。カードの中にたくさんの大砲や爆弾をしまっておけるのよ♪」

カノコ「でもルーンを維持するのに結構精神力使うんだよな。私には無理だ」

クルト「……あまり維持の必要が無く、戦闘に有用なルーンはないのか?」

マナミ「もしかして貴方……メンタル弱いの?」

クルト「性格上精神力が高そうに見えるかも知れんがな。継続して魔法を使い続けるのは苦手なんだ……」

カノコ「私と同じタイプだな。ちなみにマナミは逆に魔法以外で精神力がガタ落ちするぜ」

マナミ「こら、余計なこと言わないの!」

マナミ「話を戻すけど、貴方には『噴射のルーン』とかどうかしら」

クルト「どんな効果があるんだ?」

マナミ「発動させると10秒間だけ推進力を生み出すわ。私なら50個同時に発動しても平気だけれど……貴方でも5個くらいまではいけるでしょうね」

カノコ「私は火魔術師だからいらないけどな」

マナミ「試しにこのカードを靴の裏に貼り付けて飛んでみて?」

クルト「ふむ…………ぬおっ!!」ビュン

カノコ「ぐるぐる回りながら窓の外に飛び出したぞ?」

マナミ「大変! 右足の裏に貼ったはずのルーンが床に残ってるわ!」

カノコ「やれやれだぜ」

マナミ「とりあえず数枚あげるけど……いいの? 書く練習しなくて」

クルト「構わない。自分で真似して書いてみるつもりだ。それよりも俺は錬金術を学びたいのだが……」

マナミ「そうだったわね。錬金術には主にこの釜を使うわ。樽に詰める時などはこちらの作業台ね」

マナミ「こっちにあるのがよく使う材料。次にレシピを教えるけど……」

クルト(俺は説明をきちんと聞いてから行動するイメージがあったな。……よし)

クルト「レシピはいらない。何事も実践だ」

マナミ「うそ……!?」

カノコ「アホかこいつ」



☆イメチェンその7:無計画に行動してみる

クルト「さあ、適当に混ぜてみるぞ」

カノコ「マナミも最初はこうだったのか?」

マナミ「私は失敗が恐かったから慎重だったけど……。クルトさん、危ないものができそうなら止めるわよ」

クルト(完成したものは……俺にイメチェンを勧めてくれたソフィアにプレゼントするとしよう)


~はじめての調合~

12 火薬草
34 夢中草
56 毒草
78 石ころ
90 塩
↓1コンマ一桁

12 天然水
34 オイル
56 磁石
78 羽根
90 虫の死骸
↓2コンマ一桁

12 たる
34 スプレー缶
56 ゴム
78 ガラス
90 ゼラチン
↓3コンマ一桁

火薬草+虫の死骸+スプレー缶



クルト「まずはこの草を錬金釜に入れる」

マナミ(火薬草ね……これは爆発オチかしら。私とキャラが被るじゃないの……)

クルト「次に……これは虫だな。良い栄養が詰まっていそうだ」

カノコ(食い物作る気だったのかよ)

クルト「これを錬金釜に入れ、水を足し、加熱しながら混ぜる……」

マナミ(カノコさんがそっと距離を置いたわね。でもこの組み合わせなら爆発はしないわ)

クルト「くっ……!? これは食べられそうにないな!」

カノコ(おせーよ)

クルト「中身を作業台に移し……ここはスプレー缶に入れようか。持ち運びが容易だ」

マナミ「あら……?」

クルト「どうだ? 初めての調合にしては上出来だろう」

マナミ「貴方やるじゃない! 絶対に失敗作が出来上がると思ってたけど……」

カノコ「絶対に偶然だけどな」

クルト「ほう……? これは何なのだ?」

マナミ「催涙スプレーよ。正しいレシピ通りにできたわね!」

マナミ「ちなみに火薬草を毒草に変えると殺虫剤、虫の死骸をオイルに変えるとライターね」

クルト「ふむ……俺には錬金術の才能があるのやも知れんな」

マナミ「間違いないわ! 手強いライバルの出現ね……」

クルト「……お前さえよければもう少し習いたいのだが、どうだろうか?」

マナミ「女の子だったら大歓迎なんだけど……」

カノコ「いいんじゃねーの? マナミが彼氏作ったって誰も文句言わないぜ」

マナミ「な、なんてこと言うの!? 魔法少女は純潔でなければいけないのよ!?」

マナミ「とにかく! 貴方と私は敵同士、二度と来ないでちょうだい!」

カノコ「あー、これ一時の感情に任せて言ってるだけだからな。また来いよー!」

クルト(催涙スプレーを手に入れた。これはソフィアへのプレゼントだ。魔法が効かない相手への攪乱に有効だろう)

クルト(『マナミとの交友度が上がりました』とどこかで聞こえたような……気のせいか)


クルト(ここまでで俺のイメージを大方崩すことに成功したはずだ……)

クルト(しかし、何かが足りない……まだ、今の俺ではソフィアと肩を並べることはできないだろう)

クルト(…………そうか。俺に足りないのは、実戦経験だ)

クルト(一対多の戦闘を苦にもせず、ドラゴンや吸血鬼のような伝説のモンスターとも戦い、あろうことか手懐ける……)

クルト(そんな彼女の勇気に、俺もあやからねばなるまい!)

人通りの多い町中で、恥ずかしげもなくクルトは叫んだ。

クルト「……行くぞ! 身の丈に合わない依頼を達成し、俺は必ずや最後のイメチェンを果たす!!」

当然ひどく注目されたことは言うまでもない。

☆イメチェンその8:自ら危険に飛び込む

・古の大聖堂探索 依頼者:若き聖教会の有力者
ウベローゼン地下に数百年放置されている聖遺物の数々、その一部を回収する探索隊の仲間を募集します。報酬は成果に応じて1000Gから。

クルト(昨日までの自分なら達成困難として気にも留めない依頼であったろう。仲間に迷惑をかける可能性も考えたはずだ)

クルト(しかし、俺に必要なのは冒険だ。この依頼を受けることにするぞ!)


ウベローゼン下水道。

テレサ「聖教徒のテレサと申します。お二人とも、ご協力いただきありがとうございます」

テンパラス「テンパラス。剣士だ。礼は仕事の後にしてくれ」

クルト「……岩魔術師のクルトと言う。若輩者だがよろしく頼む」

クルト(明らかに強そうだ……。足を引っ張らないようにしなくてはな)

テレサ「これから向かう場所は『古の大聖堂』……危険度の高い遺跡です。本当はレンジャーの方がいらっしゃればよかったのですけれど」

テンパラス「構わん。非戦闘職がいては存分に戦えぬ」

クルト「テンパラスは、剣士として経験は長いのか?」

テンパラス「うむ。ただ……」

クルト「なんだ?」

テンパラス「……俺は火魔術師でもあるのだ。そちらの経験は浅い」

クルト「……あまり言いたくないことを言わせてしまったか」

テンパラス「良い。いずれ戦闘になれば知られたことだ」

テレサ「魔法剣士様でいらっしゃいましたか。心強い限りです」

テンパラス「テレサ殿、貴女は寛容なのだな?」

テレサ「兼業の禁止はもはや形だけの規則ですもの。聖騎士を抱える聖教会が言えたことでもございません」

クルト「……俺とそう変わらない歳ながら立派な人だな」

クルトの視界いっぱいに一対の眼が出現した。

クルト「なああっ!?」

テンパラス「どけっ……ふん!」ザン

テレサ「クルト様。お怪我はございませんか?」

クルト「いや……驚いただけだ。何だったんだ今のは……」

インビジブルモス。

暗闇を好む大きな蛾のモンスター。前触れもなく透明化を解除して羽の目玉模様を見せつけてくるため心臓に悪い。なお悪気はない。


テンパラス「クルト。お前も一介の魔術師だろう。この程度で精神を乱してどうするんだ」

クルト「面目ない……」

下水道はモンスターとのエンカウント率が非常に高い。

クルトたちはこの後も悪戦苦闘しながら進み、下水道に開いた穴を通って、ようやく洞窟へたどり着いた。

クルト「これで半分か……」

テレサ「いいえ、4分の1です」

クルト「なんだと……?」

テンパラス「どうした。もうリタイアか?」

クルト「いや……帰る訳にはいかない。友人との約束があるのでな……」

ダレカ……タスケテ……

テンパラス「テレサ殿、何か申したか?」

テレサ「……洞窟の中です。モンスターの可能性もあります。注意して助けに参りましょう」


テレサ「これは……」

テンパラス「…………」

赤い目の少女「お、お願いします……助けてください……」

鍾乳洞の比較的開けた場所で、少女に3匹の大きなカタツムリがへばりついていた。

クルト「……何があった?」

赤い目の少女「そ、そのぉ……ここで休憩していて、カタツムリさんにかじられた痛みで目が覚めて……」

クルト「すぐに剥がそう」

テンパラス「待て。こいつは」

テレサ「マインマイマイですね。触ってはいけません」

マインマイマイ。

人でも襲う獰猛なカタツムリモンスター。動きは遅いが刺激を受けると爆発する。

寿命で死んでも爆発する。洞窟の壁際で死んだせいで下水道に穴が開いた。迷惑この上ない。


クルト「爆発するだと……!?」

テレサ「一匹ずつ慎重に剥がさなければいけません」

赤い目の少女「お肉をください。カタツムリさんはお肉が大好きなの」

クルト「……干し肉でいいか?」

少女の肉よりも良い匂いがするのか、カタツムリは差しだした干し肉へ身を乗り出してきた。

クルト「……えいや!」

近づいてきていたモンスターめがけて、手榴弾よろしく思い切りカタツムリを干し肉ごと投げつける。

これを3回繰り返し、何とかクルトは少女を助けることに成功した。

赤い目の少女「優しい人に出会えてよかった……ありがとうございます」

クルト(先ほどは気づかなかったがこの娘、中々、いやかなり美しい)

クルト(ここで出会ったのも何かの縁。仲良くなっておきたいところだ)

☆イメチェンその10:恋愛に挑戦する

クルト「……助けられてよかった。怪我は無いか?」

赤い目の少女「はい、なんとか。あたしはラミィです。あなたは?」

クルト「岩魔術師のクルトだ。そこの2人と洞窟の奥を目指している」

ラミィ「洞窟の奥……危ないですよ」

クルト「これも経験だ。しかし、ラミィは大丈夫か?」

ラミィ「あたし……早くお外に出たいです」

クルト「ああ、そうだろうと思っていたが……俺は今仕事でここに来ている。先に帰るわけにもいかないんだ」

ラミィ「ではどうしたら……」

クルト「……俺の魔法は防御に秀でている。近くにいるといい。俺がお前を守ろう」

ラミィ「クルトさん、よろしくお願いします!」

クルトの腕にラミィがしがみつく。

ラミィ「こうしててもいいですか?」

クルト「少しきついが、いいだろう」

テンパラス「クルト……意外と軽い男なのか?」

テレサ「なんだかイメージと違う方なのですね……」

クルト(あまり好ましくない目で見られているがこれでいい。それがイメチェンだ……!)

グルル… キキキキ

テンパラス「止まれ。モンスターの群れだ」

テレサ「地図によると、他の通り道はございませんが……」

ラミィ「こっち!」

クルト「ラミィ、そこは水没している……!」

ラミィ「ここは浅いから大丈夫なの」

クルト「本当だ……でかしたぞ!」

テンパラス「…………テレサ殿、先に行くといい。俺がしんがりを務めよう」

クルト「細い道だな……ラミィ、あまり先行しすぎるな」

ラミィ「はーい。わわっ」

先に進むラミィの近くに人間のようなシルエットを見つけ、クルトが駆け寄る。

クルト「……大丈夫か!? これは石像……いや、石化している……?」

テレサ「救けが必要ですか!?」

テンパラス「……よく見ろ、ゾンビだ。以前誰かが無力化した名残だな」

ラミィ「えいっ」ガララ…

クルト「何も崩さなくてもよかっただろう……」

ラミィ「ほら、行きますよー!」

クルト「待て! 頼むから走らないでくれ!」


クルト一行は何とか危険をかいくぐり、洞窟の最深部へと到達した。

もっともクルトがした事などほとんど無く、主にテンパラスの戦闘とテレサの案内、ラミィの幸運だけで進んできたのだが。

クルト「まったく、冷や冷やしたぞ……」

ラミィ「えへへ、ごめんなさい」

クルト「しかしお前に助けられたことも一度や二度では無かった。礼を言うぞ」

テンパラス「テレサ殿、魔法の残りは?」

テレサ「帰りの分の光は十分確保できそうです。ご安心を」

ラミィ「あの、みなさん、もうこんなに冒険したんですから……お外に出ませんか?」

テレサ「いえ、そうは参りません。ここからが大事なのです」

テレサ「大聖堂へはテンパラス様と向かいますので、ここでクルト様と待っていただいても……」

ラミィ「大聖堂ですか……? あたしも行きます」

テンパラス「そうか」

テンパラスは短く言うと一人で遺跡の中へと入って行ったため、クルトたちは慌てて後を追いかけた。

古の大聖堂、広間。

クルト「ここが旧都ローレムリアと時代を同じくする、かつての大聖堂か。欠損も少なく実に見事だな……」

テレサ「わたくしが来たのは二度目ですが、それでも感動させられます……」

テンパラス「早く必要なものを回収して帰るべきだ」

テレサ「そうですね。急ぎましょうか」

ラミィ「あの……何をするんですか?」

テレサ「わたくしたちは聖遺物の回収に参りました。ここには聖教会にとって価値のあるものがまだまだ残っているのです」

説明しながらテレサは新品の収納のルーンを取り出した。

ラミィ「やめてください、これは……」

その時、最後尾にいたテンパラスが剣を構えるのをクルトは見た。

クルト「おいテンパラス何を!」

テンパラスの剣閃が止める間もなくラミィを襲う。すると……

ガキィン

……およそ少女の肌からするはずのない音がした。

テレサ「テンパラス様!?」

テンパラス「俺がもう少し遅かったらテレサ殿は死んでいた」

クルト「テンパラス、落ち着くんだ! 何のつもりだ……!」

テンパラス「お前こそ落ち着け。危険地帯の洞窟で悠長に眠る娘がどこにいる。マイマイにかじられて傷一つないのも不自然だ」

ラミィ「……」

テンパラス「何者か知らんが分かることが一つ。この者を退けねば俺たちの目的は果たせない」

テンパラス「早く正体を現すといい」

ラミィ「…………」

クルト「おい、ラミィ……?」

ラミィ「………………うるさああああああああああい!!」バキバキベキベキ

ラミィ「あたしの家を荒らして……ただで帰れると思うなあっ!!」ズゥン

ルビーラミア。

書物のみで存在が示唆されている伝説上のモンスター、蛇人間。

上半身が人間、下半身が大蛇の怪物で、赤く透き通った堅牢な鱗が全身を覆っている。


戦闘慣れした2人の行動は迅速だった。

テンパラス「……『力の剣』、おぉぉ!」

テレサ「聖光裁断!」

遅れてクルトも身体を岩に変化させる。

ラミィ「……そんなの効かないの」

ルビーの鱗は熟練した攻撃をも容易く弾いた。

ラミィ「止まって!」

呟くと共に赤い目が輝き、血の色の光線が広間を薙ぎ払う。

光が消えると、広間に残っていたのは3体の石像だった。

余談になるが、石化と呼ばれる状態異常には3つのタイプがある。

麻痺毒による硬直、石で全身を封じる物理的拘束、そしてこの光線のように呪いで文字通り石に変えるものだ。

ラミィ「ふう、後は壊すだけ……」

クルト「……させんぞ」

呪いによる石化は最も強力そうに思えるが、一つだけ欠点があった。

それは、動く岩石に対しては効果が無いことである。

ラミィ「な、なんで……」

クルト「恐らく岩魔術の副作用だろう」

ラミィ「でもあなたなら問題ないの。あなた、あたしに気があったでしょう?」

先ほどと異なる光がクルトを襲う。

クルト(これは……魅了魔法か!)

ラミィ「あたしの言うことを聞きなさい」

クルト「…………断る!」

ラミィ「うそ……なんで効いてないの……?」

クルト「お前のような怪物を愛でる趣味は無い……俺が心を許すのは……」

クルト「守るべき者と、尊敬する者だけだっ!!」

ラミィ「うるさい! 燃え尽きろ!」

いかにも通常の火より温度が高そうな青い炎をラミィが吐いたのを見て、あわてて近くに無造作に置かれていた大理石の台座の影に隠れる。

しかし、身長の高さが災いし、炎が頭部をかすめてしまった。

クルト「熱いっ! ……こ、これは」

クルト「髪に火が燃え移っていない……まさか、あのシャンプーのおかげなのか……!?」

ラミィ「隠れても、ムダっ!」

クルト「ぐあっ!」

振るわれた大蛇の尾が、障害物を破壊し隠れていたクルトを跳ね飛ばす。

クルト「ぐ……回復のポーションを……」

ラミィ「させない。 ッ―――――」

クルトの持っていたポーション瓶が落ちてもいないのに砕け散った。

クルト「高周波か……もしメガネをかけていたら目にガラスの破片が飛んで危なかったぞ……!」

ラミィ「追い詰めたの……諦めて、死になさい」

クルト「……待ってくれ! お前の棲家に侵入したことは詫びよう。どうか俺たちを生かして帰してくれないか」

ラミィ「……あなたを逃がしたら討伐隊が来る。今まであたしの正体を知った人は必ず殺してきたの」

クルト(考えろ……ソフィアならこんな時どうする?)

ソピア(死んだらコンティニューします)

クルト(あいつなら光線で弱点を……そうか!)

目の前でとぐろをまく大蛇の頭を見上げる。

クルト(腰から上は生身の人間……弱点に違いない。普通の飛び道具を使っても避けられるだろう。ならば……!)

クルト「……今こそ、イメチェンの成果を活かす時だ」

ラミィ「何を言って……」

クルト「噴射のルーン!!」ゴウ

クルトの身体が、一気にラミィの目線の高さまで迫る。

クルト(ただでさえ付け焼刃の組み合わせを成功させるのは困難だというのに……)

岩の拳を固く握りしめる。

クルト(仰向けの体勢、しかも推進しながらの攻撃だ……だが)

飛んでくるクルトを避けようと身をくねらせるラミィに、体の重心をずらし軌道を変えて食らいつく。

クルト(決して外さん、外すわけにはいかん、外せば俺は死ぬ)

クルト「うおぉおおおおおおおおっ!!」

一か八かの境地におかれたクルトは、習得途中であった魔法を半ば無意識的に使用していた。

かくして鉄の体を手に入れたクルトの、カンフー仕込みの文字通りの鉄拳が、ラミィの柔らかな頬に炸裂した。

それはさながら大砲が直撃したような衝撃であったに違いない。

クルト「美しい少女の顔面を殴ることに、俺はいささかの抵抗も感じない……」

着地に失敗し床を転がる羽目になったクルトの背後で、大蛇の体が傾く。

クルト「なぜならば……俺は悪事に手を染めることもできるからだ」

恐るべき怪物が、顔面を崩壊させ、イメチェンしたクルトの前に敗北を喫した瞬間であった。

ラミィ「ぐ……がふ……」

クルト「……何か言い残しておくことはあるか」

ラミィ「あ……あたしは……お家を……守りたかっただけなのに」

クルト「……」

ラミィ「…………お外の……仲間に……会いたかったの……」

テンパラス「クルト、よくやった。だがモンスターの遺言は聞くものじゃない」

生身を取り戻したテンパラスがラミィの心臓を一突きにした。

ラミィ「かはっ……」

ラミィの死に際に吐いた血が、クルトの顔を赤く染め上げた。

クルト「そうだな……最悪な気分だ」

テレサ「クルト様、大変ありがとうございます。今すぐ治療を……」


夕刻、ウベローゼン市屋外。

テレサ「この度の探索で大変多くの聖遺物を回収することができました。かの大蛇を討伐できたことで今後の探索も安全になることでしょう」

テレサ「こちら、報酬の3000Gでございます。今後また依頼させていただくことがあれば、またよろしくお願いいたします」

テンパラス「俺よりもクルト殿が多く受け取るべきではないか?」

クルト「……いや、道中では何もできないばかりかラミィの不審な点にも気付かず危機を招いてしまった。お相子だろう」

テレサ「お手数ですが、お二人とも何か厄介な呪いにかかっている恐れがありますので、聖教会に来ていただけませんか?」

テンパラス「呪いについては俺の知人に呪術の専門家がいるのでそちらを訪ねるつもりだ。機会があればまた会おう」

聖教会前。

テレサ「誠にありがとうございます。クルト様がいなかったらわたくしたち……」

クルト「いやしかし良い経験になった。俺は今満ち足りている。……あれは?」

教会の裏手から光が上り、暗くなりかけた空を照らしている。

テレサ「何かあったのでしょうか……? 行ってみましょうか」

裏手に走ったクルトたちが見たのは異様な光景だった。

魔法陣を取り囲む法衣を着た人々。

そしてその中央にいる……

クルト「ミルズッ!! 噴射……!」

無理な体勢での噴射で身体を地面と擦りながらも、ミルズを抱きかかえ魔法陣の外へ脱出する。

ミルズ「うぐっ!」

クルト「ミルズ、無事か!?」

ミルズ「いたた……兄様?」

クルト「そうだ、イメチェンしたがお前の兄だ……!」

テレサ「あなたがたは何をなさっているのですかっ!!」

集まった聖職者よりもテレサの方が高位であるらしく、彼らはテレサの指示に従い教会の中へ退散した。

クルト「何があったか知らないが、お前を助けられてよかった……」

ミルズ「兄様……」

命の危機を愛する兄に救われたというのに、ミルズの顔は安心するどころか青ざめていた。

クルト「……どうした?」

ミルズ「兄様、脚が……!」

クルトの膝から下が消滅していた。もちろん先ほどの魔術を避けきれなかったことによる結果だ。

テレサ「すぐにレスキューをお呼びします!」

数分後……現れたのはレスキューではなく、まともな服に着替えたリウムだった。

ミルズ「なんであんたが」

リウム「ミルズ、病院はダメだ!」

ミルズ「そっちも……!?」

クルト「何故だ……」

ミルズ「……後で説明するよ。病院が無理なら…………あそこかな」

クルト「何処だ……」

ミルズ「魔人の城。ヒレアが住んでるんだって」

☆イメチェンその11:魔術師としての禁を破る

魔人「再生完了じゃ」

ミルズ「よかった……!」

魔人「ついでに蛇の呪いも解いておいた。あのままではお主、いずれラミィに身体を乗っ取られていたぞ」

クルト「……顔に血を被った時か」

魔人「わらわに感謝するが良い。普段ならこんなことはせぬぞ」

クルト「助かった。まさかこの城に住んでいたのがソフィアの先生だったとはな……」

魔人「つまりお主はわらわの孫弟子になるわけか」

クルト「……別にソフィアは俺の師匠というわけでは無い」

魔人「冗談じゃ。お主はあやつと肩を並べておる。お主もまた怪物を倒しこの町を救った英雄じゃからな」

ミルズ「兄様、そんな危険な怪物と戦ってたの? らしくないよ……」

クルト「魔人……ラミィを放置していたら町が危険だったのか?」

魔人「わらわやヒレアと違い、あやつは純粋な魔族ではないがな。仲間の気配を感じ太陽の元に出ようとしていたのじゃ」

魔人「道に迷っていたようだが、あと数日もすれば町に姿を現していたじゃろう。下手をすればヒレアの時より大きな被害が出たかもしれぬ」

クルト「そうか。これで俺はようやく、大したことのない魔術師というイメージを払拭できたのだな……」

ミルズ「元々そんな風に思っている人なんて誰もいないよ」

クルト「しかしミルズこそ、なぜ奴らに同行したんだ。ろくなことが待っていないと気付けないお前じゃあるまい」

ミルズ「ごめんなさい。ボクはただあいつらが許せなかっただけなんだ」

ミルズ「まさか違法ハーブの流通に共和国軍や病院、聖教会まで関わっているなんて知らなくて……」

魔人「相手は強大だの。敵対してしまえば、ラミィなど足元にも及ばないほどに」

魔人「そこで提案なのじゃが。お主らさえよければ、わらわがお主らに力を授けよう」

クルト「……間違いなく裏があるだろう?」

魔人「左様。だが選ぶのはお主らの自由じゃ」

魔人「さあ……どうする?」

☆イメチェンその12:人間をやめる?

【ウィンベル男爵家の日常】


ステパノス・ウィンベル男爵は親切な人柄で知られていた。

飢えた浮浪者にパンとわずかばかりの小銭を与えるのはよくあること。

火事で住む場所を失った市民に、本来有料で貸し出している家屋を無料で譲ることもあった。

そんな騙されやすそうな彼だが、幸運に恵まれているのか、彼を騙そうと言う不届き者は未だ現れていない。

4年前のこと、ウィンベル男爵は一人のメイド服の少女を連れて帰ってきた。

父「ただいま」

母「まあ、あなた。その娘は?」

父「身よりのない娘でね。今日からうちで働くことになった」

アン「アンと申します。これからよろしくお願いしますぅ」

母「よろしくねアンちゃん。ほら、ソピアも挨拶なさい」

ソピア「……はじめまして。ソピアです」

母親の後ろから顔を少しだけ出して小声で挨拶したソピアは、まさに箱入り娘そのものだった。

姉「ごめんなさいね。ソピアは人見知りが激しいのよ」

ソピア「そ、そうなんです」

使用人「大丈夫、僕もアンさんと同じで拾ってもらった身なのですが、最初はこんな風に避けられていましたから」

アン「仲良くしましょうねぇ♪」ハシッ

ソピア「……う、うん」


その日の夜、ウィンベル邸の書斎。

ソピア「……お父様」

父「おやソピア、まだ寝ていなかったのかい」

ソピア「どうしてお父様は孤児を拾ってくるんですか? お手伝いさんは十分足りてます」

父「ノブレスオブリージュだよ、ソピア」

父「貴族とはただ裕福に暮らすだけではなく、高貴であるがゆえの責任を伴わなければならない」

ソピア「……意味が分かりません」

父「まだソピアには難しかったかな。要は金持ちはケチケチするなってことだよ」

ソピア「それは少し違う……ということは分かります」

父「善行はいずれ自分の身に返ってくるものさ。ソピアは使用人がこの家に来なかった方がよかったかな?」

ソピア「そんなことは……」

父「アンはいい子だ。私が言うのだから間違いない」

翌日。

家政婦「奥様、聞いてください。アンは計算がすごく速いんですよ!」

家政婦「教えてないのにコース料理のきまりも詳しく知っていたんです」

母「おら、アンはお勉強が得意なのかしら?」

アン「それほどでもないですよー」

母「残念ね、ソピアの家庭教師になってもらおうと思ったのだけど」

姉「ソピア人見知りでしょ? 学校に行きたがらなくて同世代の子供よりもお勉強が苦手なの」

アン「そうなのですか。アンにできる範囲なら教えますよ?」

母「お願いできるかしら。これを切欠に打ち解けるといいわ」


そして一週間後。

ソピア「アン、四分音符と四分音符、どうして足したら八分音符じゃないの?」

アン「いい質問ですぅ。それは前の数字が4ではなく4分の1だからですよ。数学で教えましたよね?」

ソピア「あ、だから全音符なんだ。六分音符は無いの?」

アン「それはですねぇ……」

2人はすっかり打ち解けていた。

それを物陰から見る者が一人……

姉「何してるの?」

使用人「……入るタイミングが見つけられないんですよ」

姉「……まあね、もうあなたより仲いいじゃない」

使用人「妬ましいです!」

姉「男の嫉妬は見苦しいよ」

使用人「申し訳ございません……」

ソピア「っくしゅん!」

アン「あら、風邪ですかぁ?」

ソピア「そうかも……」

アン「どどどどうしましょお~! こういう時どうすればいいのかアンわかんないですぅ!」

ソピア「えっと、とりあえず熱測って?」

アン「ど、どうやるんですかぁ!?」

ソピア「手を当てるだけでいいよ……」

姉「アンはそそっかしいね……」

アン「ごめんなさぁい……」

使用人(ところでアンさんは浮浪者出身のはずなのに、なぜ音楽に詳しく一般常識に疎いのでしょう?)

使用人(落ち着きが無いかと思えば頭の回転は早いですし、つかみどころのない人です)

母「明らかに風邪ね」

ソピア「どうして! 食事の好き嫌いもしていませんし、いつも清潔にしているのに!」

父「運動不足だろう、ソピアも少し体を動かした方が良い」

ソピア「なぜですか? ウィンベル家を守るのはお姉様の未来の旦那様です。私は他所の家に入るだけ……」

ソピア「勉強も運動も、私には必要ないです」

アン「お勉強のし過ぎで風邪を引いたわけではないと思いますよぉ……?」

使用人「いくら清潔にしていても体力が無ければ病気になるものですよ」

父「少しきつい言い方になるが、優秀な男子は見せびらかすためだけの美しい妻よりも、頭がよく行動力もあるパートナーを選ぶものだよ」

父「すべての物事を一人で決めることの愚かさを知っているからね」

ソピア「そんな優秀な男の人はお姉様と結婚するべきです。……今度のパーティ、私は行きません」

貴族の少女の中でソピアはあまり華やかな方では無かったが、見る物を釘付けにするダンスの技術を持ち、舞踏会の花形として有名であった。

何よりリズム感が他人より長けていたのだ。

そんな彼女に近づく男性の数は多かったが、控えめな彼女は姉に対しそのことを引け目に感じていた。

姉「何を遠慮しているのか知らないけど、ソピアの踊りを楽しみにしている人はたくさんいるんだよ」

母「わがまま言っちゃダメよ、ソピア」

アン「でもでも、あんなゆっくりとした動きじゃ運動にはなりませんよぉ?」

ソピア「運動が嫌だから行きたくないわけじゃないんだよ……!?」

使用人「あっ、いい事を思いつきました。体力がつくようなダンスを踊ればいいんです!」

ソピア「そんなの見たこと無いよ」

使用人「ご安心くださいお嬢様。僕が町に出て庶民の間にそのようなダンスが無いか探してまいります」

母「ソピアに農村のフォークダンスを覚えさせようと言うのですか!?」

使用人「いえ、小耳に挟んだのですが、外国から伝来した最新の踊りはテンポが速いとのことで、運動に最適ではないかと思われます」

使用人「また、ギルドの戦士たちは体操と呼ばれる身体能力を高めるための舞を日課にしているとか……」

母「外国の舞踊に、戦士の舞……それなら貴族の尊厳は守れますか」

父「使用人、お願いするよ。ソピアもいいだろう?」

ソピア「嫌。田舎の踊りってなんだか臭そう」

アン「お嬢様が躍ればどんなものでもいいにおいですよぉ」

姉「そのフォローおかしくない、アン?」

一ヶ月後、ウィンベル邸の庭。

『腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動ー♪』

早朝、レコードから流れる声に従い、ストレッチをするソピアがそこにいた。

隣には両親、姉、使用人たちも揃っている。

ウィンベル家は至って健康であった。

その日の昼。

ズン♪ ダン♪ ズン♪ ダン♪

キャッチーでソウルフルなヒップホップに合わせ、使用人から聞いた情報を元にした即興の創作ダンスで汗をかくソピアがそこにいた。

敷地はそれなりに広いのでご近所迷惑にはならないとはいえ、優美な佇まいの邸宅には全く似つかわしくない。

最初こそ庶民の音楽は古臭いと決めつけ嫌がっていたソピアだったが、聴きなれない楽器の音や新鮮なメロディに魅せられ、気付けば熱中していた。

ソピアには少し流されやすいところがあった。

物事への慣れが早いとも言う。

なお、このとき以来、ソピアは筋肉痛を覚えることはあったものの風邪を引いたことは一度もない。

さらにその日の夜。

ジェントルマン「なんという腕前、我輩はいま感動している!」

マダム「目が追いつかないでザマス……」

お坊ちゃん「時間が加速しているよ……!」

ソピア「~♪」シュタタタタタ

素早い動きの踊りに慣れたソピアは、早送りワルツという特技、もとい持ちネタを完成させていた。

きびきびと動いているのに優雅さを損なっていないことをソピアは自負している。

父「うん、今日もソピアは注目の的だな」

アン「でも、見てるだけで誰も近づこうとしませんよぉ……?」

ソピアの技術は成長し人気も上がった。

しかし一方で、今まで手を取り踊っていた男性たちがソピアの動きについていく自信を失くし敷居が上がってしまったのだ。

現在の世間知らずながら順応が早く、体力が無い割に病気に強い、そんなソピアが形作られた原因はこんな過去の一幕にある。

【番外編ボーナス】

ミルズの交友度が100、クルトの交友度が100、アンの交友度が95上がりました
ミルズ「ボクには真似できないみたいだ」(親友:8.67)
クルト「お前のおかげで俺は進化した……!」(仲良し:7.53)
アン「懐かしいですねぇ♪」(??:9.99)

名医の息子リウムが、ミルズと共闘関係になりました

クルト・ミルズのステータスが向上します


~クルトのスキルセット~

現在クルトのステータスは、体力30、精神力40です

現在クルトは
『岩石飛ばし』『鉄の体』『鈍足魔法陣』『石柱:壁』『クリスタルシールド』『突き』『噴射のルーン』
を持っています

『石柱:槍』…地面から尖った岩を出して攻撃
『メタルシールド』…地面から金属を出し防御、物理攻撃に強い
『クリスタルビット』…宙に浮くクリスタルの塊を操る、中距離ならぶつけて攻撃にも使える
『カラークリスタル』…クリスタル系の魔法で、赤・青・黄・緑・白・黒・橙・紫の各属性に対応した水晶を扱えるようになる
『拘束魔法陣』…踏むと一定時間動けなくなる魔法陣を書く
『保護のルーン』…このルーンが書かれた対象は先にルーンを消さない限り破壊できない
『鋼の体』…身体に鍛え上げられた鉄鋼並の硬さを持たせる
『砂埃』…砂を巻き上げてぶつけて牽制する
『蹴り』…素人のキックとは全く違う、隙は大きいが突きよりも強力

↓1、2 持たせるスキル選択 ↓1のコンマ十の位×5分体力が、一の位×5分精神力が上がります(コンマ0は10)

クルト 体75 精45 岩石飛ばし・鉄の体・鈍足魔法陣・岩槍・岩壁・水晶壁・水晶ビット・突き・噴射印

タフな魔法戦士になりました


~ミルズのスキルセット~

現在ミルズは
『水鉄砲』『水鉄砲:氷』『上回復魔法』『解毒魔法』『痺れ取り魔法』
を持っています

『解凍魔法』…凍った体を安全に解凍する
『石化治し魔法』…硬質化した体を正常に戻す
『放水回復』…回復効果のある水を放ち遠くから傷を治す
『ポーション拡散』…ポーションを周辺に降り注がせる
『氷弾』…氷の弾、魔法弾と違って硬い
『アイストラップ』…道具に擬態した罠をしかける、触れると水に戻り触れた者を氷漬けにする
『水鉄砲:湯』…熱湯を呼び出し撃つ、当たると人なら火傷する

↓1、2 持たせるスキル選択
↓3 火・水・風・岩・月・物理、の中から一つ選んでください

ミルズ 水魔術師 体60 精80 水鉄砲(普通・氷・湯)・上回復・遠回復・解毒・解麻痺

魔人に現在習得しているものより強力な水魔術を教わったようです



残りの話はこんな感じでした

・クリスティ【工業都市の百鬼夜行】
ゴミ山の無機物モンスター達に頼まれて町を侵略する話、コンマに関わらずモスボラ市が壊滅してました
視点がモンスターなのでそれでハッピーエンドみたいな書き方になります
なお選択されていないので実際には起きていません、クリスティ討伐依頼は出されません

・エルミス&キュベレ【共和国軍の若き力】
サウソーシャ騎士団と共和国軍の内戦が勃発し2人が武勲を立てる話、コンマ次第で逃亡貴族の一人が確保または死亡していました
視点が軍関係者なのでそれでハッピーエンドみたいな書き方になります
なお選択されていないので実際には起きていません、騎士の娘イデアさんは無事ソピアと出会えます

・フィナ&フローラ【友達の為に】
フィナが友達のフローラを傷つけたグリエール家の一人を暗殺しようとしてやっぱりやめる話、エルミス組の中でフローラと一番仲が良いのはフィナなんです
選択されなくても起きるイベントです、詳細は後々語られるはず

なおミルズの話も選択されなければ起きないイベントでした、その場合聖教会と病院はシロでした


トールの告白イベントが成功し、ソピアがトールルートに入った場合、クルトさんには番外編でヒロインができてました
もちろんあの子です
ソピアがオンドリスに石化させられてなければ告白は成功していたかもしれない……
そういう意味では弱い石化を使うモンスターが強力な石化を使うモンスターを間接的に倒したことになります、コンマ神……

36日目。

ソピア「……なんだか短い睡眠時間にたくさんの夢を見た気がする」

ソピア「熟睡できなかったのかな」


士官学校、学生寮前。

ヴィーク「おはようみんな。今日も流れは昨日と同じだ」

ヴィーク「あとソフィアに直接依頼が来てるぞ。アイドルROKKAからのご指名だ」

ヴィーク「昼からの生ライブで、控室と舞台裏での警備をご所望だ。一日ですげぇ仲良くなったな?」

ヴィーク「本当はちびっ子も依頼されてたんだが、あいつは普通に客として行くんじゃねーかな」

ヴィーク「あとハルカには――」

ソピア(今朝の夢はなんだったのかな?)

ソピア(昔の夢はともかく、クルトさんとミルズが大冒険してたのは……正夢じゃないよね?)


36日目早朝 現在地:学園都市スクーニミー
1.弓士ハルカ
2.白魔術師ラファ
3.武術家ジョー(バンダナの青年)
4.剣士カズ(ネクタイの少年)

↓遭う相手選択

今日はここまで

次回ハルカイベントラストから

なおこの安価で学園祭編ラスボスが確定しました

>>424訂正
クルト(仰向けの体勢~~) → うつ伏せの体勢
仰向けだと中々シュールな撃破シーンになりそうです

ソピア「おはようございます、ハルカさん」

ハルカ「おはよう。……ソフィアさん、今朝、起きれた?」

ソピア「あまり熟睡できなかったので……」

ハルカ「特に戦ってもいないけど昨日疲れてたみたいで……ふぁあー眠い、んんー」

ぐいっと伸びをしたハルカのポケットから小銭がこぼれ落ちた。

ハルカ「おっと」

その時、物陰から走ってきた汚い身なりの男性が小銭をひっつかむとすぐに逃げてしまった。

ハルカ「あっ……ま、いいか」

ソピア「追いかけないんですか?」

ハルカ「小銭だからね」

ソピア「こんな町にも浮浪者の人、いるんだ……」

ハルカ「あまり強く出れないんだよね……あたしも一歩間違えれば浮浪者だったから」

ソピア「そうだったんですか?」

ハルカ「……ウベローゼンに引っ越してきた話はしたよね。その時あたしたち一家は後先考えずに逃げてきた」

ハルカ「おかげで住む場所が見付からなかったんだ。宿屋は全員で入るには狭かったしね」

ソピア「ウベローゼン、住人多いですからね……」

ハルカ「そんな時、一人の優しい貴族の人が助けてくれたんだ」

ハルカ「その人は不動産を貸してる人で、お金のないあたしたちのために住む場所を手配してくれたの」

ハルカ「でもお金は後で払いに行ったよ。受け取ってもらえなかったけどね……」

ソピア(……もしかして)

ソピア「その人なんて名前ですか?」

ハルカ「たしか……ステパノス」

ハルカ「そう、ステパノス・ウィンベル男爵よ」

ハルカ「いつか恩返ししたかったけど……もう、ね」

その名前を聞くや否や、いてもたってもいられず、ソピアはハルカの手を引いて人目につかない路地へ隠れた。

ハルカ「な、なに? いきなりどうしたの?」

ソピア「私……私の本当の名前は、ソピア・ウィンベルといいます」

ハルカ「ウィンベル……!?」

ソピア「ハルカさん、どうか私とお父様を、家族を助けてください、お願いします!」

ハルカ「…………驚いたよ」

ハルカ「まさに運命の悪戯ってわけね」

ハルカ「あたしは、キミを助けるためにアーチャーになり、あの時キミと出会ったのかもしれないね?」

ソピア「ハルカさん……!」

ハルカ「……いいよ。あたしの命、キミに預ける」

ハルカ「あの時助けてもらわなかったら、今あたしは生きていなかったかもしれない……」

ハルカ「今度はあたしが助けるんだ……。神様、チャンスをくれて本当にありがとうございます……」

ソピア(これは私が結んだ絆じゃない。お父様が私に残してくれた幸運)

ソピア(善行はいずれ自分の身に返ってくる……お父様の仰った通りでした)


ハルカが仲間になりました

控えめな18歳アーチャー:ハルカ「キミに命を預けるよ」(仲間:X.XX)


ソピア(不思議なこともあるものだね……)

ソピア(……運命の天使の力が働いたせいじゃないよね? 大丈夫かな……?)

ソピア(お昼からポロさんの護衛だけど、まだ時間がある)

ソピア(どこで時間を潰そうかな?)


36日目早朝 現在地:学園都市スクーニミー
1.天文台
2.士官学校
3.郊外:南 帰らずの森に続く橋

ソピアはあえて士官学校で休憩することにした。

制服を着ているのでサボっていても逆にバレにくいとの企みである。

ソピア(ここにいる学生たちはみんな、軍人の卵なんだよね)

ソピア(ある意味私にとっては敵地……)

ソピア(でも今は一番の隠れ場所。ここでゆっくりしよう……)

ソピア「ってみんないるー!?」

ハルカ「あ、ソフィアさん。みんな考えることは一緒ってことね」

ソピア(うわぁ、共和国軍幹部の人来てる……なんかこっち見てない?)

ソピア(……あれ? そしてあそこにいるのは……)

ソピア(なんであの人がここに……!?)


1.白魔術師ラファ
2.武術家ジョー(バンダナの青年)
3.士官候補生ヴィーク
4.共和国軍幹部“女帝”
5.なぜかいるあの人(選ばずとも正体は判明します)

↓1、2

ソピア(……あの人、どっからどう見てもエルミスだよね)

ソピア(見付かりたくないなぁ……)

ソピア(あっ……エルミスが女帝に話し掛けられてる! 今のうちに離れよう!)


ソピア、ハルカと同様に警備の仕事をしているはずの、バンダナの青年が汗をかいていた。

ソピア「あなたもここで休憩ですか?」

バンダナ「休憩……まあそうだな。ここなら変なことに巻き込まれないだろうと思ってな」

青年はストレッチをしているようだが、その顔色は青い。

ソピア「休憩してるのにストレッチ、ですか? ……それに真っ青になってますよ。休んだ方がいいんじゃ……」

バンダナ「……ものすごく不穏な空気を感じるんだ。何かあったらすぐに動けるように筋肉をほぐしておかないとと思ったんだ」

バンダナ「気を付けろよ。今日の警備はただじゃ済まなそうだ」

ソピア「そ、そうですか……」

バンダナ「悪い、恐がらせちまったか……昨日の勘は外れたから、まあ占い程度に思ってくれていいぜ」

ソピア(あれ……なんだか幻覚が……)


見えたのは……

1.マトイと話すバンダナ
2.異国の建物の大広間

ふと思ったけど騎兵系の職は無いのかな?
旅人の騎馬スキルは戦闘系とはちょっと違う気がするし

ラファイベントラストに時間がかかりました、明日昼再開です

そういえば一周年でした、あまり喜ばしい事ではないですね、ペース上げねば……

>>457
軽装の槍士の上位職『馬上騎士』が騎兵に当たります
剣士・アーチャーにも騎馬スキルがあり、実はハルカさんも乗馬できますが馬を持っていないのです

そこは異国の城だった。

フルフィリアの王宮とは明らかに異なる内装だとすぐに分かる。

バンダナの青年ジョーが、華やかな鎧を着た老齢の男性の前で跪いている。

バンダナ「武王様。武闘家ジョー、参りました」

武王「……お前に任務を与える」

バンダナ「は。何なりと」

武王「……西洋のフルフィリア王国で起きた革命の件は知っておるな」

バンダナ「はい。反乱を起こしたのは王国軍内部の勢力で、現在は共和国政府が樹立したと聞き及んでおります」

武王「……我が軍が総出で刃向かってきたところで、我を討つことはできぬだろうが……」

武王「……他の勢力の介入があった可能性も否定できぬ。我が国を守るためにも反乱の芽は早めに見つけ摘み取らねば。そうであろう?」

バンダナ「仰る通りでございます」

武王「……お前にはこれよりフルフィリアの内情を探ってもらおう」

武王「……かの国に起きた事件の裏にあった思惑を余すことなく調べて参れ。期限は30日だ」

バンダナ「かしこまりました」

武王「……やり方はお前に任せよう。頼んだぞ」

ここは東の強国、ジャルバ王国の王城、謁見の間である。

ジャルバ王国は自国の体制を確実に守るため、スパイを送り込んでいた。

それがバンダナの青年ジョーである。

彼の調査方法は、主に脅迫で情報を聞き出すジャルバ王国の一般的なやり方と異なり、とにかく潜入した国にとって利益になる行動をとり続ける物だ。

これはノーディスやフルフィリア、そして聖教国のように、天使や悪魔経由で正体が知られることの多い国では有効な方法の一つだ。

仮にスパイと知られても今までに取った行動次第で、知られた相手と調べる内容によっては見逃してくれることもあるのだ。


バンダナ「おーい、大丈夫か?」

ソピア「……はっ」

バンダナ「なんかふらついてたぞ。体調には気を付けろよ?」

ソピア「あ、ありがとうございます」

ソピア(……どちらの仕業ですか?)

仮面の悪魔(この私でございます)

ソピア(やっぱり……)

仮面の悪魔(……必要ならば他の情報もお教え致しますが、いかがでしょう)


1.マトイ
2.ディアナ
3.カズ(ネクタイの少年)
4.いらない!

ソピア(では、マトイちゃんの過去が見たいです。あんな天才が普通にいるとは思えません。フローラさんと違って非現実的です)

悪魔(マトイさまの情報ですか。少々お待ちください。主人の力をお借りすることになります)

ソピア(主人って魔人先生だよね……そうでもしないと見れないの……?)



ベリアト天文台に客室研究員として招かれた少女、マトイの部屋にはいくつもの魔法による防壁が張られていた。

扉には岩魔術を利用した厳重な魔法鍵、壁には風魔術の一つで防音効果がかけられている。

マトイ「もしもーし。マトイだよ」

何もない空間に向けて話すマトイだが、実のところ部屋には見えない魔法回線が漂っていた。

この回線にもまた白魔術で強力な情報保護の術がかけられている。

よほどの魔術師でなければ情報を盗み見ることはできず、そのような魔術師はフルフィリアには1人もいないと思われていた。

『一週間ぶりですね。仕事は順調ですか?』

マトイ「うん! いくつか新しい星が見つかった!」

『そうですか。もう片方は?』

マトイ「みんなマトイの言うこと聞いてくれる! ん、でもアナちゃんは自分が大好きだから無理みたい……」

『フルフィリアに月魔術師は数えるほどしかいませんが、気を付けてください』

マトイ「かくれんぼは得意だよ?」

『女帝、と呼ばれる洗脳の専門家もいます。絶対に捕まらないでください』

マトイ「わかったー。マトイまだ死にたくないもん」

魔導帝国ノーディス、火魔術都市、情報管理局。

オペレーター「天文台の月魔術師はディアナ氏を除いて支配下にあるようです。なおディアナ氏は一般の月魔術師です」

魔導師「彼女なら問題ないに決まっている。先代の知識をそのまま引き継いでいるのだ」

そう、マトイもまたノーディス国のスパイであった。

その任務はノーディスにとって厄介な魔術師の排除。

魔術の分野でノーディスのライバル国となりうるのはフルフィリアだけだ。フルフィリアには魔術師のみで構成された諜報機関は存在しない。

その成立を阻止するため、ノーディスの工作員は主に月魔術師を見つけ次第、暗殺または国に連れ帰ってきた。

火魔術と月魔術を扱うマトイはそのどちらも容易に行える優秀な魔術師だ。幼い外見も相手を油断させるのに貢献する。

上司「おい、新しい情報だ。魔法競技会で月魔術師が優勝したぞ。吸血鬼――魔族も出たらしい」

魔導師「排除させますか?」

上司「泳がせておいて構わないだろう。徒党を組まれない限り脅威にはならないな」

オペレーター「すぐにマトイに報告します」


マトイ「んー、分かったー。マトイが何とかするよ」

『何とかするというと、スクーニミーを離れるんですか?』

マトイ「ううん。向こうから会いに来てくれるんだよ」

『なぜ分かるんですか?』

マトイ「星占い!」


↓ コンマ奇数でノーディスに逆探知される

ですよね



マトイ「見てるよね?」

ソピア(え……?)

『誰かに見られましたか?』

マトイ「ううん、今じゃないよ」

ソピア(ちょっと悪魔さん何やってるんですか!?)

悪魔(いやはや、ノーディス人を舐めていたようだ。まさか主人の上を行くとは。これは失敬)

ソピア(失敬じゃ済みませんよ!?)

悪魔(欲をかいた貴女の失敗でもありますがね、くくっ)

ソピア(笑い事じゃないです!)

マトイ「今からマトイが会いに行くからね。そこで待っててね」



ソピア(やってしまった……余計な国を敵に回してしまった……逃げ切れるかなぁ……)

バンダナ「おい、お前こそ顔色悪いぞ。どうしたんだ?」

ソピア「何でもないです……」

『ヴィークだ。ソピア、連絡が来てるから代わるぞ』

ソピア「はい、ポロさんかな?」

『マトイだよ。いま天文台の前にいるの』

ソピア「……一旦忘れよう」

ソピア(ラファちゃんもいる、今日は仕事じゃないはずなのに……あれ、隣にいるのは)

ソピア「こんにちは、ラファちゃん、レンくん。来ていたんですね」

レン「あ、アンブラーズの! こんにちは、ヒレアはいませんか?」

ソピア「ヒレアちゃんも来てるけどこの場にはいないから安心していいよ」

レン「そうじゃなくて、会って話がしたいんです!」

ソピア「ヒレアちゃんと? 会いたくないものと思ってましたけど」

ラファ「最近いっつもこんななのです」

ソピア「たぶん帰りは明日になると思うので今夜宿屋に来れば会えると思いますよ」

レン「そうですか……」

ヒレア「ここにいるわ」

レン「うわぁっ!」

ソピア「えっ、どこにいたの!?」

ヒレア「お姉ちゃんの影の中よ」

ヒレア(ここに隠れていれば何かあった時すぐに飛び出せると思って)

ソピア「そんなことできたんだ……」

ヒレア「正確には霧になってただけ。……なんであなたは驚いてないの?」

ラファ「私から隠れたいのならその白魔術オーラを消してください」

ヒレア「それで、レンは私に何の話?」

レン「……おれ、あの後色々考えて、ヒレアに謝りたいと思ったんだ。ごめんなさい!」

レン「誰にだって事情はあるのに、おれはヒレアの気持ちを考えてなかった」

ヒレア「レンは自分の気持ちを正直に話しただけでしょう。私の方が大人げなかったわ」

ヒレア「それに……あなたのお友達の命はもう戻ってこない。私こそ、本当にごめんなさい」

レン「……ありがとう。仲直りの握手、いいかな?」

ヒレア「……私がこわくないの?」

レン「うん。前と別人みたいだし」

ヒレア「そう。あなたがそれでいいなら。私の方こそ、改めてよろしくね」

2人は固く握手を交わした。

ソピア(ヒレアちゃんの罪は消えない。だけどそれでも、めでたしかな)

ラファ「……私は認めないのですよ!」ダダッ

レン「ら、ラファ?」

ソピア「ラファちゃん、どこ行くの!?」

あるカフェの一番奥の席。

ソピア「ふう、ラファちゃん、見つけた」

ラファ「……どうしてここが?」

天使「ごめんなさい。私が教えちゃいました」

ソピア(白魔術師が守護天使に向けるとは思えないすごい顔してる……!)

ソピア「どうして逃げ出したりしたんです?」

ラファ「…………結局私こそ幼稚なのです。これは、レンとヒレアの問題なのに」グスッ

ソピア「大好きな友達を取られちゃったみたいに思ってるのかな?」

ソピア「ヒレアちゃんとも仲良くすればいいのでは。まだ気に入らないですか?」

ラファ「……いいえ。ヒレアが自立してないのはしょうがない事だと分かってますよ」

ラファ「ただ……私だって、甘えたかっただけ。見苦しい嫉妬なのです」

ソピア「…………そうですか」

天使「ラファと彼女の家族は貧しい村に暮らす敬虔な聖教徒でした。でも、まだ彼女が幼いころ、村に邪教が広まり一家は村八分になってしまったんです」

天使「追い出されるように村の外れに引っ越した一家はまだ神を信じていましたが、ある日、強盗団に押し入られ、ラファの両親は目の前で殺されました」

天使「彼女と姉だけが辛くも逃げ切り、近隣の村の教会で保護されたんです」

ラファ「ヒレアと違うのは、私たちは神を憎まなかったことなのです」

ラファ「しかし姉は復讐心のせいで悪魔に付け込まれて、私の目の前で化け物になって村を……」

ラファ「……石の村。今もあるですよ」

ソピア(どう考えてもヒレアちゃんより過酷な人生だ……かけるべき言葉が分からない)

ソピア「……私に甘えてもいいですよ?」

ラファ「いやなのです、なんで赤の他人に」

ソピア「ですよね……お姉さんは今も生きてるんでしょうか?」

ラファ「知りません。どこかでくたばってるんじゃないですか。

ソピア「生きてる可能性はあるんですよね?」

ラファ「でも今会ったとしてもきっと私の方がお姉さんなのですよ」

ソピア「それでも、生きているのなら会うべきだと思います」

ソピア「探しましょう。私も、ヒレアちゃんも手伝いますから」

ラファ「…………後で行くのです。先に戻っていてください」

士官学校中央ロビー。

ヒレア「あ、戻ってきた」

レン「ラファは……?」

ソピア「大丈夫だよ」

レン「あの、ヒレア。ソフィアさんがいる時に話したいことがあるんだ」

ヒレア「何?」

レン「ヒレア、おれたちの家に来ないか?」

ヒレア「……孤児院のこと?」

レン「うん。今の保護者はソフィアさんだから、いる時がいいと思ったんだよ」

ヒレア「ごめんなさい。もう住んでいる所があるの」

レン「そうか……」

ラファ「ただいま帰りました。さっきは取り乱してごめんなさいです」

ヒレア「私のせいよね。気に障ることがあったなら言ってちょうだい」

ラファ「それなら、ヒレアに一つ質問があるのです。もしもの話ですよ」

ヒレア「うん」

ラファ「もし、不幸にもソフィアを失ったら今度はどうするのですか?」

ヒレア「……考えたこと無かった」

ヒレア「……失わないようにがんばる。それにいなくなってももう怪物にはならないわ。それはお姉ちゃんへの裏切りだもの」

ラファ「では、ソフィアに裏切られたらどうするのですか?」

ソピア「さすがにそれは無いからね」

ヒレア「……わかんない」

ラファ「はあ……あなたの気持ちを理解できるのはソフィアだけじゃないのですよ」

ヒレア「何言ってるの」

ラファ「何でもいいのです。とりあえず、私もヒレアを許したってことです」

ヒレア「そうなの? ありがとう」

ラファ(ソフィア。守護天使様は私が信用に足る人間だと判断したみたいなのです)

天使(はーい。でも私じゃなくって神様の判断ですよー)

ソピア(信用って……まさか)

ソピアは2日前、自分の正体を憲兵隊長に黙っていてくれるよう天使にお願いしたことを思い出した。

その時は神が黙っておくことが得だと判断したはず……。

ラファ(事情は聴きました。あなたもヒレアに構っていられる境遇ではないじゃないですか)

ラファ(ご両親、助けられるといいですね)

ソピア(……お願いします。このことは内密に)

ラファ(もちろん。神様の信用を裏切るわけにもいかないのです)

ラファ(聖教会は共和国の仲間でしょうが、私個人でサポートくらいはしてもいいのですよ?)

ソピア(そんな。巻き込むわけには)

ラファ(助け合いましょう。私は姉と、ソフィアは両親とまた会うために)

ソピア(……はい。よろしくお願いします)


レンがヒレアと仲直りしました
ラファがソピアの仲間になりました

ジト目12歳白魔術師:ラファ「助け合うのですよ」(仲間:X.XX)



そしてお昼、ホテルの一室。

コンコン

ポロ「あ……こんにちは」

ソピア「私ですよ」

ポロ「ソフィアさん……依頼、聞いてくれてありがとうございます」

ソピア「準備はできてますか? ホールに移動する時間です、行きましょう」


学生「あ、あれはアイドルシンガーROKKA!」

観光客「本物よ! お願い、サインちょうだい!」

ポロ「ひぃぃ」

ソピア「はーい、下がってくださーい! サインはお断りしていまーす!」

デュフ「ぬぅぉおおおおおお!!」

ソピア「あれは昨日の……!」

土煙を上げ、両腕を広げ、脂ぎった汗を流し、ポロに抱き着かんと男が迫りくる!

ソピア「止めなきゃ……」

デュフ「ROKKAたあああああん!!」サッ、サッ

ソピア「……魔法弾を避けた!?」

ソピア「仕方ない、ムーンブラスト!」

デュフ「拙者はここで止まるわけには……!」ドサッ

ソピア「……やりすぎたかな。ポロさん?」

ポロ「――――」

ソピア「笑顔のまま気絶してる……。ショックが強すぎたみたい」


舞台裏。

ソピア「わあ……! お客さんがこんなに……大人気!」

ポロ「お客さんはいません。それは幻です。私は今からコーチの作った幻に向けて歌うんです」

ソピア「本当に大丈夫かな……」

ポロ「うう……そろそろ開演の時間です……」

ソピア「終わったらすぐに精神力回復させますから、ファイトです!」

ポロはマイクのスイッチを入れた。

ポロ「みんなー! 今日はあたしのはじめてのライブに来てくれて、ホントにありがとーっ☆」

ソピア「声は明るいのに目が死んでる……」

ソピアが見守る中、ポロはステージへと駆け出した。

ポロ「一曲目『ひまわりとワンピース』」

『マトイだよ。いま丘のふもとにいるの』

ソピア(どちらに集中すればいいのかわからない……)


ポロ「あなた 心の中がいっぱいいっぱい」

『マトイだよ。いま町中に入ったの』

ソピア(私の心の中がいっぱいいっぱい!)


ポロ「みんな、ありがとう!!」

『マトイだよ。いま遠くでROKKAの歌が聞こえてるの』

ソピア(来たぁ!?)


ライブは、大盛況のうちに幕を閉じた。

舞台袖から歌声だけでアンコールに答えるという斬新なパフォーマンスを終えたポロとソピアは控室へと戻っていた。

ソピア「どうでした?」

ポロ「なんとか、やり、とげました……」

ソピア「覚えたてのトータルセラピーを」パァァ

ポロ「ああ、なんだか胸がスッとしました」

ソピア「緊張も状態異常に含むのかな……?」

プロデューサー「うんうんROKKAちゃん、バッチリだったよ! これからもがんばってくれるよね?」

ポロ「いいえ。いつかやめますから……絶対に……!」

プロデューサー「うん、外ではしないでくれよその睨み方。アイドルがしちゃいけない顔だ」

ソピア(『コーチ、プロデューサー、ありがとうございます! 私、やっぱりアイドルの仕事が好きになりました!』)

ソピア(と言う展開になると思ってたけど、そんなことはなかった)

ポロ「コーチ、本当にありがとうございました。……これからも応援よろしくお願いします」

ソピア「はい。ポロさんが早く自由を取り戻せるよう祈ってますね」

プロデューサー「ボクには感謝の言葉は無いのかい?」

ポロ「ないです」

更衣室の外。

『マトイだよ。裏口から入ろうとしたらスタッフの人に止められちゃった』

ソピア「……まずい」

ハルカ「やっ」

ソピア「あ、ハルカさん。どうしてここに?」

ハルカ「あたしも入口のところで警備してたんだ。ソフィアさんはなんでドアの前に?」

ソピア「今ポロさん……ROKKAさんが着替え中で」

ハルカ「女の子同士なんだから中にいればいいのに」

ソピア「ROKKAさん極度の恥ずかしがり屋で……」

ハルカ「アイドルなのに?」

ソピア「あんまり大きな声で言えないんですけど、奴隷なんです」

ハルカ「ああ……嫌な世の中ね」

ソピア「知らない方がいいこともあるってことです」

ハルカ「あっと、ラファちゃんがROKKAさんに着替え終わったら変装して会いに来てほしいと言ってたんだ」

ソピア「ちゃんと見に来てたんですね。ポロさーん!」

ソピア「…………あれ? 返事がない」

ソピア「ポロさーん。ソフィアです。まだ着替え終わりませんかー?」

ハルカ「…………おかしくない?」

ソピア「ポロさん! 返事してください! 入りますよ!?」

ソピア「…………ポロさん!」ガチャ

更衣室に踏み込んだ2人が見たのは、もぬけの殻になった部屋と、開け放たれたままの窓だった。

ソピア「……あれ? ポロさんはどこに?」

ハルカ「ソフィアさん! 誘拐かもしれない、手分けして探すよ!」

ソピア「というわけでして……」

プロデューサー「逃げ出したんじゃないのかい……!?」

ソピア「ポロさんに2階から飛び降りることは不可能です。恐らく第三者の仕業じゃないかと……」

プロデューサー「は、早く見つけてくれよっ! こんな大損害、ミッキーさんに知られようものならボクはクビだぁ!」


ハルカ「ハルカです。警護対象のROKKAさんが行方不明になってしまいました」

ヴィーク『要人じゃなくそっちを狙ってきたか……ソフィアは何をやっていたんだ!?』

ハルカ「ROKKAさんは更衣室に他人を入れたくなかったらしいんです。まさか2階の窓から攫われるとは考えないでしょうから」

バンダナ『了解、俺も探す! とにかく怪しい奴を探せばいいんだろ!』


スクーニミー時計台。

ソピア「ラファちゃん、見えた?」

ラファ「……町中は人が多くて微妙なのです」

ハルカ「バンダナの人から、町を一通り回ったけど見付からなかった、ROKKAさんは目立つから建物内にはいないだろうって」

ソピア「郊外の方まで見える?」

ラファ「はい、私の『神の目』なら…………見えたのです! 郊外に怪しい集団!」

ソピア「方角は!?」

ラファ「北海岸に10人、南の森に6人……東の街道に15人のグループなのです!」

ソピア「ど、どれだろう……!? 急がないと!」


36日目昼過ぎ 現在地:学園都市スクーニミー
1.郊外:北 フルフィリア北海岸
2.郊外:南 帰らずの森に続く橋
3.郊外:東 王都への街道

東の街道。

ソピア「そこの皆さん、止まってください!」

男「俺たちは浜辺の町のフットボールチームだが何か?」

ソピア「女の子を誘拐した人を探しています」

男「ん? 俺ら全員男だしな。今から地元に帰るところなんだが」

ハルカ「……ハズレだったみたいね」

ラファ「あ、もう行っていいのですよ」

男「何があったんだろうな?」

ソピア「とりあえずヴィークさんに連絡を……」

『マトイだよ。いまフィアちゃんの後ろにいるの!』

マトイ「見ーつけた」

ソピア「に、逃げましょう!」

ハルカ「な、なんで? 逃げるけど!」

ラファ「他人を追いながら逃げてる人初めて見たのです!」

マトイ「プレス!」

ソピア「あうっ!」

ソピアたち3人の体重が重くなり、一歩も動けなくなる。

マトイ「模擬戦闘ごっこは断られたし、お化け屋敷じゃ本気出せなかったから、つまんなかったよ」

マトイ「やっとフィアちゃんと思う存分戦える! お邪魔虫は飛んでっちゃえー」

ソピア「こ、こんなことしてる場合じゃ……」

マトイ「お仕事中なの?」

ラファ「誘拐犯を追っているのです、離してください!」

ハルカ「まさか、キミが犯人じゃ……!?」

マトイ「誘拐なんてしらないよ?」

ソピア「……邪魔するようならバンダナの、ジョーさんに言いますよ?」

マトイ「うっ……それは、めんどくさいなぁ……」

ソピア(やっぱり、お互いを認識してた!)

ソピア「後で相手してあげますから、今は退いてください!」

マトイ「んー、だったらマトイもついてく!」

重力魔法が解除された。

『こちらジョー! 森にいたのは共和国軍だった!』

ソピア「共和国軍がそこにいたのも気になるけど、北へ行きましょう!」

スクーニミー北の断崖で待っていたのは2人組の男だった。

カズ(ネクタイの少年)「……一足遅かったな」

デュフ「デュフフフ、もうROKKAたんは船の中だぞ」

ソピア「あなたたちは……!」

デュフ「さっきはよくもやってくれたなぁ!」

バンダナ「ずっと嫌な予感がしてると思ったら、てめえだったのかよ、カズッ!」

カズ「気付くのが遅すぎるぞ」

ソピア(ヴィーク隊、ハルカさんしかまともなメンバーいなかったんだ……!)

ハルカ「キミたちは何者なの? 目的は何?」

デュフ「言えと言われて言うわけがないだろう! この阿呆女!」

ハルカ「何こいつ腹立つ……!」

ラファ「……見えたのです。あの文字は……」

流れの早い沖合でどういうわけか静止しているその船の帆には、以下のような記号が描かれていた。

lAl
nUn

ラファ「L、A、L……N、U、N?」

マトイ「ラヌーン」

ハルカ「ラヌーンって……海賊国家ラヌーン……!?」

カズ「ああ。俺たちはあんたらの言葉で言うところのラヌーン人だ。国旗をフルフィリア語の文字と見間違えた呼称だがな」

デュフ「我らが神聖なる国の名は、貴様ら低俗な大陸人に発音できるものではないッ!」

ソピア「お二人は海賊でしたか。早くポロさんを返してください」

デュフ「たしかにROKKAたんはフルフィリアの宝、共和国の希望、一人占めして良いものではない……だが断るッ!」

バンダナ「いいのか? こちらは5人いるんだぞ?」

カズ「あんたらは俺たちを追いつめたと思ってるんじゃないか?」

デュフ「おまいらこそ誘い込まれたのだよ!」

カズ「本当なら要人を連れていきたいところだが、力のありそうな奴なら何人でもありがたい」

カズ「……誰一人逃がすつもりは無いぞ」


・味方
ハルカ アーチャー 体40 精60 強射・精密射撃・拡散射撃など
ラファ 白魔術師 体40 精80 回復・神の目・聖光弾など
ジョー(バンダナ) 武術家 体120 精70 体幹打・破魔掌・気功壁など
マトイ 火&月魔術師 体20 精130 恐怖魔法・重力魔法・噴射魔法など

・敵
デュフ 素手
カズ 双剣

↓ソピアがどちらの相手をするかと、一緒に戦う味方2人選択 残った2人がもう一人の相手をします

ちょっと今夜は無理そうです、明日続きます

やっと2スレ目の安価でできたラヌーン国の名が出せて少しうれしいです

ジョー「逃がさないはこっちのセリフだ!」

ソピア「ポロさん、怯えてるでしょうね……」

ハルカ「学園祭はあたしたちが守る」

カズ「あんたらの技は仕事中に見切った。つまりこの勝負、余裕だな」


デュフ「デュフフフフ……拙者、ロリコンの気もあります故、これはぜひお持ち帰りせねばなりませぬなぁ……!」

ラファ「……こういうタイプのアホには慣れてるのです」

マトイ「ジョーくんの言うとおり、ラヌーンの人は珍しいから逃がしちゃうのはもったいないよね?」


デュフ「―――――、―――、―――!」

カズ「――、――――、――――――――!」

ラヌーン語で呪文を詠唱した2人がマリンブルーのオーラで覆われた。


ソピア達の作戦

1.とにかく速攻
2.ソピアは攪乱に専念する
3.ソピアは回復に専念する
4.自由安価

↓ コンマ奇数でジョーは盾役、偶数で攻撃役

ソピア(出し惜しみしてられないね……)

ソピア「サポートお願いします!」

ジョー「おう!」

ソピアの周りの空間に黒い羽根が現れ、カズに向けて飛んでいく。

カズ「遅い……ちっ!」

かわしても自分に向けて飛んでくることを悟ったカズは、両手の剣で羽根を弾き落とす。

カズ「先にあいつからだ……!」

ジョー「させねえぞ!」

気の壁が展開され、カズの行く手を遮り、ソピアを守る。

一方黒い羽は壁の上を飛び越えてカズの急所を狙い続けている。

カズ「くっ、このっ! クソ、埒があかない!」

気の壁は光線を遮らない。ソピアは羽根の合間に剣で弾けない光線を撃ちカズを翻弄した。

カズ「ぐあっ!」

ハルカ「よしっ! ……あれ、刺さってない」

側面に回り込んだハルカの強射がカズの脚に命中した。

しかし、青いオーラで守られた皮膚は痛みを伝えつつも傷がつくことはなかった。

カズ「ふざけるな……!」

ソピア「多勢に無勢ですよ、降参してください!」


カズは

123 まずはジョーを排除しようとする
456 ひとまずハルカを排除しようとする
789 一気にソピアを排除しようとする
0 降参する

↓コンマ一桁

カズ「ちっ、強行突破だ!」

羽根や矢が刺さらないのをいいことに、カズは痛みをこらえて一番の障害であるソピアの排除に動いた。

透明な壁の向こう、歯を食いしばり恐ろしい形相で双剣を振り回している。

ジョー「ま、まずい……ソフィア下がれ!」

ソピア「え、壁壊れるんですか?」

ジョー「そりゃな!」

ハルカ「ソフィアさんこっち!」

ハルカがソピアの手を引いて距離を取る。

次の瞬間、ジョーが耐えきれず気の壁を解除すると同時に、カズがソピアへと走り出す。

ソピアはハルカの手を振りほどき持ち前の逃げ足でさらに距離を取ろうとしたが、カズもまた追跡に長けていた。

ジョー(間に合え!)


12345 ソピアが捕まる
6789 ジョーの追撃が間に合う
0 ヒレアが来る

↓コンマ一桁

ジョー「破魔掌っ!」

カズ「がっ……!?」

カズの刃がソピアに届く前に、ジョーの拳はカズを捉えた。

破魔掌は魔法による防御や魔法弾をかき消す武術家のスキルだ。魔術師の少ないジャルバ王国では数少ない魔術師への対抗策である。

どうやら未知の魔法であるラヌーン国のバリアにも通用したらしい。

カズ「ぐ……前が……」

ソピアの盲目魔法がカズに立ち上がることを許さない。

闇雲に振りまわされる両手の武器をジョーが蹴とばす。

ジョー「ほらよ! 今の内だ、縛るぞ!」

ハルカ「はい!」

ソピア「2人は大丈夫かな……?」


↓ コンマ奇数で勝利、偶数でピンチ

デュフ「かァーッ!!」ダァン!

慌てて飛びのいたラファの足元の地面に大きな穴が穿たれた。

ラファ「ひい! 一発でも食らったらお陀仏ですよ!」

マトイ「動かないで!」

デュフ「グフッ!?」

元々重い体重をさらに増やされ、海神の加護を受けた筋力でも身動きが取れなくなるデュフ。

マトイが人差し指を上に向けると、デュフが宙に浮いた。

次に手のひらを前に押し出す動きをすると、デュフの体がくの字に折れて勢いよく吹き飛んだ。

人差し指と親指で銃の形を作ると 自由落下を始めるデュフが放たれた熱線の餌食になる。

最後に指を鳴らすとデュフの頭が黒いもやで包まれた。暗闇魔法である。

攪乱と重力の魔法で上下すら分からなくなったデュフはそのまま崖下へと落下して消えた。

マトイ「あっ……逃がしちゃったかも」

ラファ「え、な、何が起きたのですか? 連続魔法だとしたら集中時間は? こんなの魔導師しか……」

マトイ「これくらい、マトイのお友達もできるよ?」

ザバァン

デュフ「デュフ、デュフフフフ……!」

ラファ「悪霊退散!」

デュフの顔面に光の塊が直撃した。

デュフ「拙者はこの程度で止められませぬぞ、幼女ちゃんたち!」

ラファ「げ、どれだけタフなのですか」

マトイ「アナちゃんなら魅了で一発なんだけどなー」

デュフ「つーかまえたー!」ガバッ

ラファ「は、離すのです! くさい!」

デュフ「おおっと動くなぁ! この拳銃が目に入らぬかぁ!」

マトイ「ねえ、撃ってみてよ!」

デュフ「デュフフフフフ!」パァン

デュフ「コポォ!?」

マトイ「反射バリアー♪」

デュフ「舐めるな! こいつが撃たれてもいいのかぁ!?」

ソピア「ラファちゃん!」

デュフはラファの頭にフルフィリア製の銃を突き付けていた。

至近距離で脳を撃ち抜かれれば、もはや水魔術や白魔術でも回復できはしない。


1.魔法の羽根で銃を弾き飛ばす
2.助けて天使様
3.時間を稼ぐ
4.自由安価

ソピア(いけるかな……?)

ソピアは背中の裏に黒い羽根を生み出し、地面すれすれを通って低速で接近させた。

そして羽根がデュフの目の前まで来ると、垂直に跳ねあげ、持っていた銃を弾き飛ばした。

デュフ「オゥフ!?」

マトイ「いまだ!」

ラファ「わ、私も巻き込まれてるのですよ!」

とっさに腕に抱かれたラファごと重力で動きを封じる。

ジョー「おっしゃ! もう一発、破魔掌!」

デュフ「ブフゥッ!」

強化バリアが剥がれたのを確認すると、ソピアはハルカに渡されたロープでデュフを縛りに向かった。


ジョー「こちらジョー。ヴィークさん、ROKKAを誘拐したラヌーン人2人を捕らえました!」

『でかした! 増援の必要は無かったみたいだな。それにしてもまさか警備員に紛れ込むとは面の皮の厚い奴らだぜ』

マトイ「まだこれから意地悪していろいろ聞きださなきゃね」

ジョー「民間人にも手伝ってもらったんですけど、謝礼とかは……」

『事が重大だしな。ラヌーン人の捕獲は前例がほとんど無い。お上の方からお前らにも褒美が出るだろうな』

ジョー「やったぜ!」

マトイ「棚ぼたー!」

ラヌーンの工作員を捕らえることでフルフィリアの上層部に借りを作ることができた敵国の工作員たちが喜びに沸く中、ソピアは持ち前の不器用さで手こずっていた。

ソピア「うーん、結べない。この人太いからロープ足りないんじゃないかな……」

ソピア「こんなことなら捕縛スキルを磨いておくんだった……」

ガシッ

ソピア「ん?」

デュフ「捕まえたぞぉ!」

ソピア「え? 捕まったのはあな――」

ソピア「――たがたでは? ……って、あれ?」

ハルカ「ここは……?」

突然、周囲の風景が、断崖を前にした草原から木造の床へと変わった。

全員の体勢は変わっていない。ラファがデュフの下敷きになっており、ソピアとハルカがそれぞれデュフとジョーを縛る最中だ。

6人の屈強な男たちがその周りに陣取っている。

そして、

ソピア(地面が揺れてる……地震?)

男「―――!」

男が何か短く叫ぶと、6人がソピアたちに躍り掛かる。

ハルカ「は、離して!」

ソピア「……魅了が効かない! この人たちも青いオーラが……」

ラファ「うう……い、いつの間に移動したのですか!?」

立場逆転。

ソピア達はたちまちの内に縄で縛られ小さな部屋へと放り込まれた。


通信を終えたジョーが振り返ると、そこにいたはずのカズたちは影も形も無かった。

ジョー「なっ!? あいつらどこ消えた!?」

マトイ「フィアちゃんとハルちゃんも……」

ジョー「まさかっ! ワープしたってのか!?」

マトイ「それしか考えられないね……」

ジョー「つまり今あいつらは……!」

沖合に浮かぶ船。

先ほどまで静止していたそれが荒れる海流をものともせず陸地から離れ始めた。


駆け付けたのは

1.トール
2.ヒレア

↓ さらにコンマ12でヴィーク、34でエルミス、56でニヒルなガンマンさんがかけつけます、7890は何も無し

レン「やっぱりすごい歌唱力だったな。ROKKAさん」

ヒレア「そうね。……ラファはどこに行ったの?」

レン「あれ、おかしいな。おれたちを誘ったのはラファなのに……」

ヒレア「……私と一緒にいるのが嫌なのかしら」

レン「まあ、ラファは元々人一倍黒魔術師を嫌ってたから、すぐには馴染めないんだと思うよ」

ヒレア「あ、自然科学大学でモンスターふれあいコーナーですって」

レン「おもしろそうだけど危なくないのか?」

ヒレア「妖精によると私もモンスターらしいわよ」


ミニドラゴン「ガァ!」

陸鳥「ぷぁー! ぷぁー! ぷぁぷぁー!」

スライム「ぴぎぃ」

ふれあいコーナーにヒレアが入った瞬間、モンスターたちが警戒し始めた。

どうやら身の危険を感じたらしい。

ヒレア「……私、外で待っておくわ」

レン「……うん」

ヒレアが外で通行人を眺めながらしばらくゆっくりしていると。

恋愛の天使(ヒレアちゃーん!)

ヒレア(え、なに? あなた私の担当じゃないでしょ)

天使(ラファとソピアがピンチなのっ!)

ヒレア(どこにいるの!)

天使(北の海の上!)

レン「お待たせ、ヒレア」

ヒレア「レン! ちょっと出かけてくるから!」

レン「ど、どうしたんだ?」

ヒレアは通行人の目も気にせず翼を展開し飛び立った。


ヒレア「そこの人! ソフィアとラファは!?」

ジョー「うおっ! お前は昨日の……」

ニヒルマン「たぶん、あの船の上だね」

ジョー「お前もいたのかよ!」

ヒレア「まだここにいたの?」

ニヒルマン「一部始終は見せてもらったよ」

ジョー(こいつ見てたのに助けなかったのかよ)

ニヒルマン「さて、ヒレアちゃん、どうする?」

ヒレア「助けに行くに決まってるじゃない」

ニヒルマン「俺もすっごく助けに行きたいんだけどね。生憎俺は空が飛べない。参ったね」

マトイ「飛ばそっか?」

ニヒルマン「え」

マトイ「飛ばした後は知らないよ」

ニヒルマン「着地は自分でどうにかしろってことかい」

ジョー「俺も少しなら飛べる。逃げ切ったと思ってる奴らをビビらせてやろうぜ!」

ラヌーン海賊船、倉庫。

ソピア「船……!?」

ハルカ「そ、船」

ラファ「乗ったことないのですか?」

ソピア「う、うん」

ソピア(海には波があることは知ってたけど、まさかこんなに大きな船でも揺れるなんて)

ハルカ「ソフィアさん、さっきの羽根の魔法で縄切れない?」

ソピア「切れなくもないと思いますけど……その後どうするんですか?」

ラファ「あのバリアが厄介なのです……」

ハルカ「さっきもジョーさんとマトイちゃんがいなかったら1人相手でも勝てたかどうか……」

ソピア(究極魅了魔法は……一人だけ味方にしても意味ないか)

ソピア(マリン、チョーク、どうにかならない?)

チョーク(縄を解くくらいならー)

ソピア(あれ? マリンいないの? 海の上だから強くなるかもしれないと思ったのに)

ソピア(ラヌーンの人たち、海系の魔法に強いみたいだし封印されたかな……)

ソピア(それなら、天使さん、悪魔さん! なんでもいいので助けて!)

天使(もうヒレアさんに連絡しましたよ)

悪魔(主人から伝言でございます……『ククク、自分の力で何とかしてみい』)

ソピア(魔人先生の薄情者! 本当はめんどくさがってるだけじゃないの!)

ソピア(あっ、首にストーンキューブ下げてたんだった。そういえばワープさせてくれたような……アースドラゴンさん!)

ドラゴン(何用だ)

ソピア(私たちを陸地、もうこの際遺跡の前でもいいので送ってくれませんか?)

ドラゴン(不可だ)

ソピア(どうして!)

ドラゴン(此方の力は大地にのみ作用する。海上は司る範囲に含まれない)

ソピア(そうですか……)

ソピア(こんなに手札はあるのに頼れるのはヒレアちゃんだけ……きっと助けに来てくれるよね)

カズ「……何とか仕事は達成できたか」

デュフ「ぐふぅ……危ないところでしたな」

カズ「完全に負けだ……くそっ、あんな技使うなんて聞いてないぞ。ずっと手加減してたのか?」

海賊「お疲れさん、中で手当てしてきな。海に出てしまえばこっちのもんさ。我々には海神様がついていて下さる」

見張り「おい、ありゃなんだ!」

海賊「あん?」

海賊船の後方、フルフィリア側から3つの影が飛んできていた。

ヒレア「先手必勝!」

急降下から回転を加えた小太刀での八連撃。バリアの効果で傷こそつかなかったものの、背中から激しく柱に激突した海賊の一人は気を失った。

着地と共に黒い霧が海賊船全体を包み込み、後から飛んできたロットとジョーを優しく受け止める。

海賊「な、なんだ!?」

ジョー「どうせバリアにかまけて鍛えてないんだろ? 破魔掌!」

海賊「ごふっ!」

海賊「う、撃てー!」

ジョー「気功壁! ……おい、前に出たら危ねーぞ!」

ロット「問題ないよ」

海賊「う、撃て! 殺せ!」パァン パァンパァン

ロット「それがラヌーンの銃かい? 弾が止まって見えるよ」

ロット「これが大陸の銃さ」パパパッ

海賊「がっ……!」

寸分違わぬ同じ位置への銃撃がラヌーンのバリアを容易く破った。

物陰に隠れた海賊には、船の上だと言う事を忘れそうになる身のこなしで接近し、格闘術で相手をする。

見張り「あの銃の男は化け物か……ぎゃっ!」

一方ヒレアは誘導弾で見張りを叩き落とし、硬化した霧の刃の連撃でバリアを剥がすと黒い霧を吸わせて眠らせていた。

ヒレア「これで全員かしら?」

ジョー「まだ中にいそうだが、操縦士は脅すだけにしないとな。たぶんラヌーンの船は普通の船と違うはずだ」

ヒレア「私はお姉ちゃんたちを探さなきゃ」

ロット「……上。何か来るよ」


1.共和国軍の増援
2.ラヌーン側の切り札(人)
3.ラヌーン側の切り札(モンスター)

降ってきたのは、金属の塊のような何かだった。

多数の節に分かれているそれは、大まかに表現するとダンゴムシの様な形状をしている。

ダンゴムシで言う腹側はデコボコに加工されていて、やすりまたは滑り止めに似る。

背側の金属は平坦で厚みがあり、鎧や装甲を思わせる。

また、先端部分には爪のようにいくつかの刃がついている。

よく見ると後ろからはぬめぬめとした肉の塊が海の中から伸びていた。

ヒレア「……なにこれ」

ジョー「鎧、か……?」

ロット「気を付けな。……これは一部だ」

ジョー「うおっ!?」ガシッ

奇怪な物体が背後からも降りてきて、腹側のデコボコした部分でジョーをがっちりとホールドした。

ジョー「は、離しやがれ! うあああぁぁぁぁ……」

掴まれたままジョーは海の中に引きずり込まれた。

しばらくの間は海面に泡が出ていたが、彼の被っていたバンダナが浮かんでくると、泡も絶えた。

ザッバァン!

大きな音と共に物体が5つ、海中から垂直に飛び出す。

雨のように降り注ぐ海水を浴びながら、ヒレアはその物体に目を凝らした。

それには吸盤がついていた。


ミリタリークラーケン。

ラヌーン国で軍用に飼いならされた巨大タコのモンスター。

触手の先には専用の鎧が装着されており、水中戦でなければ有効打を与えることは難しい。


ロット「……来るぞ!」

2人は触手を避けながら、柔らかい肉の部分を狙って攻撃する。

しかし、圧倒的に劣勢であった。

ロットは触手に掴まれないまでも次第に海賊船の淵へ追い詰められ、自分から海へ飛び込むことを余儀なくされた。

ヒレアは何度も掴まれたがその度に体を霧に変えて脱出、呪いを込めた小太刀で幾度となく切りつけたが目に見えた効果は出ていない。

もちろん霧による生命力の吸収も同時に行っているが相手があまりにも大きすぎた。

ヒレア「んっ、あれ、どうして!?」ガシッ

しれっと真っ昼間に流水の上を飛んでいた、伝承上の吸血鬼の弱点を物ともしないヒレアだが、魔術的拘束には弱い。

体を霧に変えられなくなるためである。

ヒレアごと青いオーラに覆われた触手は、海の底へと沈んでいった……。

海賊船の部屋の中には3人が残っていた。

カズとデュフは休息中だが、船長が起きていた。

ラヌーン製の特別な船舶は、船長一人いれば十分に動かすことができるのだ。

海賊「ついたぞ、降りろ!」

ソピア「えっ、もうですか……?」

腕を縛られたまま海賊船の外へと連れ出されるソピア達3人。

意外とソピアは船酔いしない体質であったようだ。

ポロ「こ、コーチ……! ラファさんも……」

別の部屋に捕らわれていたらしいポロが同様に連れ出されてくる。

ソピア「ごめんなさい、助けようとしたんですけど……」

ラファ「ご覧のとおり、このざまなのです」

ポロ「いえ……来てくれた、だけでも、嬉しいです……」

海賊「無駄口を叩くな!」

ラヌーンに港と呼べる設備は無いらしく、海賊船は浅瀬に乗り上げて停止していた。

乗った時と同じように魔法でのワープによって、ソピアは初めてフルフィリアから遠く離れた異国の地を踏んだ。



――ラヌーン国――

フルフィリア北の海に浮かぶ、海神信仰の島国。

流れの早い海流、悪天候、凶悪なモンスターたちの三拍子で守られた天然の要塞で、他国との国交は皆無。

ただ資源を略奪に来る海賊船からその存在が知られているだけである。

同様に海流によって他国が近づけない周辺にある島々も、ラヌーンが支配下に置いているようだ。



船着き場の町ゼタライプ。

幻想的な景色がソピアたちを出迎えた。

町のすべての場所から海が見えるように、木造住宅が階段状に密集して建てられている。

海岸からは見渡せる家々の一つ一つが青い光で淡く照らされ、町そのものが海の色をしているようだ。

目を上に向けると、すでに暗くなりかけた空に光り輝く帯が浮かんでいた。

ソピアはこのオーロラというものを知らなかった。

ただ何となく、それが美しくも恐ろしいものに映ったのだった。

ソピア(これからどうなるのか分からないけど……)

ソピア(これまでの発言から、すぐに殺されることはないと思う。力のある人を連れてくるのが目的と言ってたはず)

ソピア(そう考えると、共和国軍に捕まるよりずっとマシだね……)

トール「どういう……ことですか」

ヴィーク「すまない。本当に申し訳ない」

トール「どう、責任を取ってくれるんですか……!!」

ヴィーク「……仕方ねぇんだ。ラヌーン相手じゃ、オレには何もできないんだ……!」

夕刻、不穏な噂を耳にしたトールはソフィアに会うため士官学校の責任者の元を訪ねた。

そこで返ってきたのは、ソフィア・ROKKAほか2名がラヌーン国に拉致され、ヒレアほか1名が行方不明になったという最悪な状況説明だった。

班員にラヌーンの工作員を紛れ込ませ、他の班員は全滅、グリエール商会の商売道具であるROKKAの護衛に失敗したヴィークには重罰が科せられると思われた。

しかしそうはならなかった。毎年一度ラヌーンの海賊船が訪れるスクーニミーでは、ラヌーンの略奪を抗えない自然災害と似たようなものとして捉えていたのだ。

トール「なぜ、事前に説明しなかったんですかっ!!」

ヴィーク「この時期に来るとは限らなかったんだ……。それに、あいつらなら勝てると思った……」

トール「…………」

トールは不思議に思っていた。あのソフィアやヒレアが海賊如きに遅れを取るとは思えなかったのだ。

トール(今度こそ、ソフィアさんを助けたい)

トール(でも、これまで誰も越えられなかった魔の海を僕なんかが越えられるのか……)

トール(2人が勝てなかった相手に、僕が太刀打ちできるのか……分かりません)

トール(ソフィアさんなら自力で帰ってくると信じて待つことしか、僕にはできないんでしょうか……?)



分岐

1.ソピア視点
一人スクーニミーに残されたトールは無力さをかみしめるばかりだった。
ソピアがいつも通りどうにかこうにか頑張り、学園祭編でできた仲間ハルカ・ラファ・ポロと共にラヌーン国脱出を目指します。

2.トール視点
あまりにも不利な状況にソピアは活路を見いだせなかった。
トールがみんなに知恵や力を借りて頑張り、荒れ狂う魔の海を越えてラヌーン国に乗り込み邪魔する敵をやっつけてソピアを助け出します。

↓2票

ラヌーン国、牢獄。

ソピア(装備品や荷物は奪われて、みんなとは離れ離れにされてしまった)

ソピア(天使さんと悪魔さん、チョークの力を借りたり、魅了魔法で看守を操ったりすれば一応脱出は不可能じゃないけど……)

ソピア(一つの国にいる全員を相手取ってフルフィリアまで逃げ切れるわけないよ……)

ソピア(ヒレアちゃん、早く来て……!)



トール「いまこの場にソフィアさんのために行動できるのは僕だけしかいない……やるぞ!」

トール「といっても、まず何から始めればいいんでしょう……」


1.士官学校(まだヴィークさんに話すことはあるでしょうか?)
2.自然科学大学(海流について聞いてみますか?)
3.医科大学(酔い止めでも処方してもらいますか)
4.工業大学(きっと船に詳しい人がいるはずです)
5.スクーニミー大図書館(人に頼らず自分で調べるという方法も……)
6.スクーニミー公共ホール(ROKKA誘拐事件の現場検証です)
7.ホテル街(軍の人たちが集まっているようですね)
8.フルフィリア北海岸(一度現場を見てみますか)
9.天文台(関係者への聞き込みも大事ですかね)

()内はトールのセリフです

↓1、2 ↓1のコンマ一桁でトールの交友力判定(1~10)

トールの交渉力90 まさかの特技が発覚


>>492
「ソピアとハルカがそれぞれデュフとジョーを縛る最中だ。」ジョー → カズの間違い

負けイベのつもりだったのにやけに善戦、まさか船まで乗り込めるとは……

学園祭編の分岐はこんな感じでした

●ルルエンと2回だけ話す(ルルエンという名前を聞いたあと一度も話さない)→魔境組との宿命の対決
 このルートではルルエンの正体がネルになります(nell→llen 占い師の上位職がエスパー)

●ポロを助け、かつ、カズと一度も話さない →ラヌーン国へ連れ去られる
 このルートを回避するとカズとデュフはただのモブです

●魔境・ラヌーンを回避し、かつ、女帝と一度も話さない →女帝にソピアの正体が知られてしまう
 仲間以外のスクーニミー全住民が女帝に操られ阿鼻叫喚でした

他に、女帝と共に上位職試験を受けに行ったり、サロデニアに招かれたりする展開も想定してました

まだお昼で極めて短いですが一旦ここまで、たぶん続きは明日

久しぶりに結構レスが来てびっくり、乙ありです



トール「まずは事件が始まったホールを調べてみますか……」

トール(それにしても……不自然なほど混乱していません)

トール(ROKKAファンの人々が泣いたり、士官学校の人に食って掛かったりしてますけど、積極的に調査をしている様子がまるで見られない……)

トール(ラヌーン国とコンタクトを取る方法が無いから誰も彼も諦めているんでしょうか)


トールは片っ端から聞き込みをすることにした。

5人目に聞き込みをした女性から、事件の目撃者がいると教えられ、事件当時ホール裏でサボっていた学生を探し出す。

トール「……あなたが目撃者の方ですか?」

学生「ああ、うん。俺はあっちの方でタバコを吸ってたんだけど、すごい跳躍力であそこの壁に貼りついた大柄な男が見えて、」

学生「これはただごとじゃないと思って、近くまで行ってみたんだ」

トール「ふむ、それで……?」

学生「いや、それで終わり。そいつはいつまで経っても降りて来なかった」

学生「ROKKAがいなくなったって騒ぎになった時まで、俺は窓を見張ってたんだが何もなかった」

トール「ドアから出たということでしょうか……?」

学生「分からん。あっ、あとそいつ、大ジャンプするとき青いオーラに包まれてた気がする。魔術師なのかね?」


トールはホールの係員にお願いしてROKKAのプロデューサーにも話を聞くことができた。

トール「何でもいいです。知っていることを教えてくれませんか?」

プロデューサー「うん別にいいけど。でもキミに話して何になるんだい?」

トール「探偵のようなものです(嘘)。よろしくお願いします」

プロデューサー「うーんとね、ROKKAちゃんは更衣室で着替え中に連れ去られたんだ、うん。警備の子は窓から逃げたみたいなこと言ってたね」

トール「窓からですか?」

プロデューサー「うん、着替えの最中、警備の子はずっとドアの外にいたと言ってたよ」

トール(おかしいな……逃げ道が無いじゃないですか)

プロデューサー「でも困った警備だったよ! 部屋の中にいてくれたらこんなことにはならなかったのにさ!」

トール「どうして中に入らなかったんでしょうか?」

プロデューサー「……知らないよ!」

トール(考えられる可能性その1。ROKKAさんが恥ずかしがり屋だった。これは無いですね、アイドルですし……)

トール(その2。ソフィアさんが同性の子の着替えを見るのを恥らうほどの乙女だった。……ソフィアさんが仕事に私情を挟むでしょうか?)

トール(その3。ROKKAさんが男性だった。……僕は何を考えているのでしょう)

トール(いずれにしても妖精のマリンがいるのに、なぜ侵入者を察知できなかったのか疑問が残りますね)

トール「あの、一ついいですか?」

プロデューサー「うん、なんだい?」

トール「ROKKAさんには、ファンに知られてはならない重大な秘密があるのでは?」

プロデューサー「なななな! 無いよそんなもの、うん! ないない!」

トール(えっ。この反応……まさか本当に男性だったんですか!?)

トール(っと、そんなことはこの際関係ないですね。ここで調べられることはこれくらいでしょうか)

大図書館。

トール(やっぱり図書館は落ち着きます)

トール(闇雲に聞きこむよりもラヌーンについて調べるならここですね……)

トールは20分ほどかけてラヌーンの資料を集めて机の上に並べた。

トール(これは、高名な魔術師がラヌーン人を捕まえて情報を聞き出した、フルフィリアで唯一の記録ですね)

トール(『ラヌーンは大陸では見られない植物の多くを薬草として利用している』……これは関係ない)

トール(『ラヌーンは海神信仰の国。海神はラヌーンの民に力を与える。この力は海力(フルフィリア語訳)と呼ばれ、ラヌーンは海力を用いた独自の魔術体系を発展させている』)

トール(やはり例の青いオーラは魔術でしたか。高跳び、気配を消す、姿を消すなどかなり万能なようです)

トール(形式は白魔術や黒魔術と似ているようですね。海神は聖教会の神や悪魔と同等の力を有しているということでしょうか)

トール(『農業・畜産業・林業が盛ん。主食こそ魚介類であるが料理の種類は豊富』……これも関係ない)

トール(『一方で鉱物や建築用石材が不足しており、ラヌーンの海賊が略奪するものは主にこれである』……人さらいがメインではない?)

トール(『海神の加護を受けられるのは一部の上流階級のみ。海力が無ければ海を渡ることができないため、海賊も高い身分に位置づけられている』)

トール(つまり、海神の力を扱える海賊だけがあの海を越えられると……)


トール(次は海流について調べてみましょう。こちらの資料は中々多いですね)

トール(しかし、どうやら海を渡ることに成功した記録はありません……。まさか、ラヌーンから帰還した人は歴史上一人もいない?)

トール(『ラヌーンを囲う海は魔の海だ。出航した船は一隻として帰ってくることは無い』)

トール(『フルフィリアの高貴さも、コホーテンの造船技術も、ノーディスの魔術も、この海は飲み込み食らい尽くしてきた』)

トール(……フルフィリアは高貴さでどう解決しようとしたんですか! 私たちは海賊より偉いとか言って海神を懐柔しようとしたんですか!?)

トール(しかし、魔術の発祥国ノーディスが手も足も出ないというのは絶望的ですね……)

トール(ふと思ったんですけど、連合帝国の科学技術でも無理なのでしょうか?)

トール(この記録に一度も登場しない、飛行機ならばあるいは……?)



1.士官学校(まだヴィークさんに話すことはあるでしょうか?)
2.自然科学大学(図書館にない資料があれば……)
3.医科大学(酔い止めでも処方してもらいますか)
4.工業大学(きっと船に詳しい人がいるはずです)
5.ホテル街(軍の人たちが集まっているようですね)
6.フルフィリア北海岸(一度現場を見てみますか)
7.天文台(関係者への聞き込みも大事ですかね)

()内はトールのセリフです

↓1、2

トール「僕はなぜ医科大学に来たのでしょう……?」

トール「こんなことしてる場合じゃない……早くラヌーンへ行く方法を探さないと……!」

サナ「おっ、そこにいる少年はトールくんだ」

トール「さ、サナさん、ここにいらっしゃったんですか」

サナ「そんなに焦ってどうしたの? 話くらいなら聞くよ」

トール「じ、実は……」


サナ「んー、ソフィアさんがラヌーンに連れ去られ、ヒレアさんは行方不明ね……」

トール「何とかなりませんか……?」

サナ「ごめん。どうしようもないや」

トール「そ、そうですか。でも気にしないでください。助けようとする人は誰もいないようですから……」

サナ「そうだね。毎年誰かしら攫われてるけど、助けようって動きはゼロ。王国軍から共和国軍になっても変わらなかったね」

トール「毎年攫われてる……?」

サナ「そ。一昨年なんてグリエール家の娘が攫われたのに、あっさり諦めてんだもん」

サナ「その時は私スクーニミーに来たばっかりだったからホントびっくりしたわ」

サナ「去年は攫われた人の中に聖教徒の女の子もいたっけね。スクーニミーでたぶん一番強い子だったんだけど音沙汰なし」

サナ「あの子が抵抗できなかったってよりも、案外ラヌーンがここよりずっと住みよい国だった、って方がしっくり来るかな」

トール「……もしかして若い女性ばかり攫われているんでしょうか?」

サナ「あー……そうかもしれない。特に少し特徴のある子が攫われてる傾向にあるね。今年はROKKAがターゲットだったのかな」

トール「ソフィアさんたちはついでに……!」

サナ「しっかし、女の子ばかりとなると、海賊の慰み者にされてる可能性も……」

トール「慰み者……!? ……!?」

サナ「わお、すごい。顔が真っ赤になったと思ったらすぐ真っ青に」

トール「急がないと……一刻も早く!」

サナ「ちょっと待った。救急セット渡しとく。……止めたって、行くんでしょ?」フッ

トール「た、助かります!」



北海岸。

トール「もう船は見えませんね……」

トール「芝生なので足跡も残っていない……」

トール「おや、人がいます。ホールの近くで調べている人は誰もいなかったのに……」


そこにいたのは

1.ずぶ濡れのガンマン
2.士官学校制服の少年
3.ボレロ制服の小学生
4.魔法競技会で出会った黒魔術師の少年
5.サウソーシャで出会った面倒な女の子

↓1、2 選ばれなかった人はこの場にはいません

トール「すいません。少しお話いいですか?」

ロット「……ふっ……なんだい?」

トール(今一瞬蔑んだ目を向けられた気がします……)

トール「ラヌーンの海賊船による誘拐事件はご存知ですか?」

ロット「知らないね」

トール「そうですか……」

ロット「もう行っていいかな?」

トール「もう一つ、あなたはなぜ全身濡れているんですか?」

ロット「……海水浴をね」

トール「この断崖の下で?」

ロット「俺の特技はロッククライミングなんだ」

トール「この、流れの速い海で泳いだんですか?」

ロット「危ないと思ったからすぐに上がってきたよ」

トール「沖の方に船を見ませんでしたか?」

ロット「見てないな」

トール「……嘘ですね。話がちぐはぐじゃないですか。あなた、まさか……!」

ロット「おっと、話はここまでだ」チャキッ

トール「……!」

ロット「一つだけ言っておく。俺はラヌーン人じゃあない」

トール「……それなら、何者なんですか」

ロット「ニヒルな……負け犬ガンマンさ。忠告しておこう。君ではラヌーンに到底敵わない」

トール「そんなの、やってみなければ分かりませんよ」

ガンマンはトールから距離を取ると走りだし、今度こそスクーニミーを離れるようだった。

ロット(共和国軍に恩を売って見逃してもらおうと思ったんだがな……)

ロット(結局ラヌーンにすら勝てなかった。俺は……一体誰になら勝てるんだ?)

トール(きっとさっきのガンマンは、ソフィアさんたちを助けようとして返り討ちにあったのでしょう)

トール(強そうな人でしたが……それでも敵わなかったということですか……)

トール(……あ、あれは!)

エルミス「あら、トール! 久しぶりね!」

トール「一昨日会ったばかりじゃないですか……」

エルミス「まったく、またそんなダサい服着て。ちゃんと女の子らしくしなきゃダメじゃない」

トール「まだ言いますか……!」

エルミス「っと、今のは冗談じゃないけど、一旦置いといて。ねえ、ここにラヌーンの船が来たって本当?」

トール「はい。実物は見てませんけど」

エルミス「それで……ソフィアとヒレアが連れていかれたってのも本当?」

トール「はい、ヒレアさんは行方不明らしいですけど。ソフィアさんが連れていかれたのを目撃した人がいるらしいです」

エルミス「……まったく、ひどいザマね」

トール「……僕はソフィアさんを助けに行こうと思っています」

エルミス「助けにって……どうするのよ? 船が転覆しておしまいよ!」

トール「その方法をいま探してるんです!」

エルミス「仮にラヌーンまで行けたとして、助け出せる当てはあるわけ? トールまで捕まるのがオチじゃないかしら?」

トール「そうですね……だから、エルミスさんの力を貸していただけませんか」

エルミス「……わたしの父上の事は知ってるわよね。勝手に遠くまで行くだなんて、そんな真似とてもじゃないけどできないわ」

トール「……元帥の力を借りることはできませんか」

エルミス「もしもわたしが攫われてたらそうしたかもしれないけど。父上は忙しいの。そんな暇はきっと無いわ」

トール「……」


1.友達のピンチじゃないですか!
2.大事な下僕が奪われて悔しくないんですか?
3.その前にエルミスさんはなぜここにいるんですか?
4.元帥には後で僕も一緒に謝りますから!
5.自由安価

せっかくの自由安価なので両方採用



トール「……ソフィアさんは僕にとって大切な……友達、です。何をしてでも助け出したいんです」

トール「そして、エルミスさんにとっても一流の下僕だったんですよね? そんな大事な下僕が奪われて悔しくないんですか?」

エルミス「……悔しいわ。悔しいに決まってるじゃないの」

エルミス「ソフィーは初めてできた下僕なの。気持ちを切り替えて簡単に諦めるなんて出来っこない!」

トール「では……」

エルミス「わたしはいずれ最強にして最も美麗で高貴な存在へと上り詰め、この国の長として君臨する予定だけど……」

エルミス「でも今はまだちょっと溢れる才能を感じさせるだけの小娘よ。ラヌーンの海賊を相手にして、安全、確実にソフィーを救い出してくるなんてできそうにないわ」

エルミス「そんな危険な冒険に出るなんて、せっかくウベローゼンの外に連れて来てくれた父上への裏切り。ソフィーも大事だけど、わたしには父上も大事なのよ」

トール(突然何を言い出すのかと思いましたよ……)

トール「では、エルミスさんの知り合いで強い人を教えてください」

トール「僕だって賭けはしたくないんです。できることなら、安全で確実にソフィアさんを連れ帰ることのできる味方を連れて乗り込みたい」

トール「でも僕にはそんな人脈が無い。エルミスさんなら強くて頼れる人を知っているんじゃないですか?」

エルミス「強くて頼れる存在といえばまずはこのわたし」

トール「頼れないじゃないですか。同じ理由で元帥もダメです」

エルミス「……わたしの知り合い、ほとんど軍人しかいないのよ。暇な軍人なんてそうそういないわよ」

トール「そもそもなんで軍は動いてくれないんですか……?」

エルミス「わたしだってそんなの知らないわよ。でも、たぶん、不可能だからじゃないの? 戦艦でもこの海は越えられないって聞いたもの」

トール「……」


1.やはり直接軍に話をつけにいきます
2.飛行機では行けないのか調べてみましょう
3.そういえばキュベレさんは来てないんですか?

トール「そういえばキュベレさんは来てないんですか?」

エルミス「来てるけど……今のキュベレが話を聞いてくれるかというと……微妙よ?」

トール「ああ、何か言ってましたね。気持ち悪くなったとか」

エルミス「……ついてきて」


共和国軍で一つのホテルを貸し切っているのか、軍服を着た人ばかりが密集するエリアがあった。

エルミス「ほら、あれよ」

トール(いつものヒラヒラしたオレンジ色のドレスじゃないですね……? 何やら位の高そうな白い軍服姿……?)

トール「キュベレさん?」

キュベレ?「はい? ああ、トール君、お久しぶりです」

トール「えっ? えっ、と……えっ?」

キュベレ?「申し訳ありません。トール君には話していませんでしたね」

トール(な、なんですかこの違和感。声や顔から判断すると彼はキュベレさんです……。普段は化粧してたからちょっと自信無いですけど)

キュベレ?「私は陸軍大将の長子、ジーク・オーグロスと申します」

トール(すごく色々と聞きたいことがありすぎて混乱してますけど……! ここで言わないといけないのはまずこれでしょうね……)

トール「あ、貴方をかのオーグロス陸軍大将の子息とは存じ上げず、今までのご無礼、大変失礼いたしました!」

キュベレ?「顔を上げてください。素性を隠していた私に全ての責任があります」

トール「あ、ありがとうございます」

エルミスに袖を引っ張られ、トールはキュベレと思わしき美青年から距離を取る。

エルミス「ほらね? 気持ち悪いでしょ」

トール「不気味、というか、見ていて不安になりますよ……。あれ、本当にキュベレさんなんですか?」

エルミス「一昨日の朝、つまり今回の遠征に出てきたときからああなのよ……調子狂っちゃうわ……」

トール「普段の遠征ではいつものキュベレさんだったんですか?」

エルミス「いいえ、わたしと、あとキュベレもたぶん遠征は初参加よ。どちらも父親についてきた形になるわね」

トール「まず、何のための遠征なんですか?」

エルミス「逃亡貴族の捜索だそうよ。いい加減終わらせたいのでしょうね。優秀な占い師を外国から招いたらしいわ」

トール「中々しぶといですね、貴族の皆さんも」

エルミス「サウソーシャに潜んでいると占い師が言ってたのだけど、昨日、北の方角にいるって言うからあの森を通ってきたのよ」

トール「エルミスさんもあそこを越えて来たんですか!?」

エルミス「わたしは守られてただけだからちょっとしたピクニック気分だったわね」

エルミス「で、トール、どうするの? 父上に直談判でもする?」

トール「え……それは、いいんですか? 不敬罪で処刑されたりは……」

エルミス「わたしがいるから大丈夫よ。わたしだってソフィアを助けたいのは同じだもの。できるだけサポートはするから安心しなさい!」

側近「元帥殿! 魔術師の子供が面会を申し出ていますが、どうされますか?」

元帥「我々は忙しい。どうにか言って帰してくれ」

側近「それが……エイラ様の紹介ですが」

元帥「何……? 少し時間に余裕はあるか。通してくれ」

側近「はっ。かしこまりました」


トール「かっ、風魔術師のトールです……」

エルミス「父上。わたしの新しい下僕よ」

トール(ここは否定しない方が身のためですね……後でお断りしましょう)

元帥「……男だと? エイラ、まさか、ボーイフレンドではあるまいな?」

エルミス「違うわ。女の子よ」

元帥「そうか。男装していたから間違えてしまったぞ、ははは」

エルミス「おほほ。父上ったら」

トール(否定しない方がスムーズですから我慢ですけど…………辛い)

エルミス「それで、下僕から父上にお願いがあるのよね。ほら、トール」

元帥「何だね? 申してみよ」

トール「……共和国軍にお願いがあります。どうか、ラヌーン国の海賊に拉致された僕の友人を助けていただけませんか」

エルミス「父上。トールの友達はわたしの最初の下僕、ソフィアよ。わたしからもお願いするわ。ソフィアを助けてあげて」

元帥「ラヌーンの海賊船か……。話は聞いている」

トール「これは由々しき事態ではありませんか。ラヌーンは、不当にフルフィリアの領土に踏み入り、フルフィリアの国民を拉致したんですよ」

元帥「災難であったな。君の心中、お察しする」

元帥「しかし、非常に情けないことだが、我らにはどうすることもできないのだ」

トール「海を越える手段が無いのですか?」

元帥「いかにも。ラヌーンはかねてより卑劣な手段でフルフィリアの尊厳を踏みにじってきた。ゆえに歴史上何度も報復を試みたが、すべて失敗に終わった」

トール「飛行機は! 空から行けないんですか!」

側近「貴様! 元帥殿にその口のきき方は何事だ!」

元帥「もちろん試したとも。あの海の上には嵐が吹き荒れており、空軍大将の発明した最新鋭の無人航空機すら海の藻屑となった」

トール「……もしも、ですよ。もしもラヌーンへ上陸する手段が見付かったのなら、すぐに助けていただけますか」

元帥「……すぐに侵略に踏み切ることはできないだろう。だが交渉の席につかせることは可能だ」

トール「絶対に、絶対にラヌーンへ行く手段を探してきます! だから、ここで待っていてください!」

感情的に叫んだトールは挨拶も言わずに走り去った。

側近「なんと失礼な子供だ!」

トール「とはいえ、どうしましょう……元帥でも無理だなんて……」

エルミス「トール! 急に走らないでよ! 父上はいいけど周りの人たち怒ってたわよ!」

トール「あ、しまった……」

エルミス「安心しなさい。わたしがいれば大抵の事はチャラよ」

キュベレ?「ソフィアさんが攫われたのですか。大変なことになってしまいましたね、トール君」

エルミス「あら、気持ち悪いキュベレ」

トール「キュベレもどきさん……」

キュベレ?「……ジーク、とお呼びください」

トール「どうしてそうなったのか気になりますけど、今それどころじゃないです……」

エルミス「困ったわね……わたしもまだ諦めてないけど、わたし、父上より頼れる人を知らないわ」

トール「ん? キュベレさんの人脈なら……! キュベレさん、ラヌーンへ渡る方法を知っている知り合いはいませんか!?」

キュベレ?「ジークです。……残念ながら、私の知り合いにもそのような方はおりません」

キュベレ?「ですが。ここは学園都市スクーニミー。そして今は学園祭の最中。まだ可能性はありますよ」

エルミス「どういうことよ」

キュベレ?「まだ、フルフィリアの元帥が無理だと言ったにすぎません。では、最先端の研究者なら? 外国の有力者なら?」

トール「そ、そうか! キュベレさん、グッジョブです!」

エルミス「キュベレもたまには役に立つわね!」

キュベレ?「ジークです」


1.士官学校(軍人と情報量は変わらない気がしますけど……)
2.文官学校(考古学分野で新たな発見はありませんかね……)
3.自然科学大学(海や魔法の事ならここですね)
4.工業大学(船や飛行機ならここですね)
5.天文台(天文学が何か関係するでしょうか?)
6.ホテル街(外国の来賓が来ていたような?)

↓1、2

考古学者「何だね? 公開講義は今終わった所なんだが」

トール「すいません、考古学の分野で、ラヌーン国や北の海に関連するものはありませんか?」

考古学者「古北フルフィリア文明の研究およびラヌーン文明の考察かね?」

考古学者「それならばまずは北海岸にある崖の洞穴住居の文化的特徴についてだが……」

トール「あの、急ぎなので要点だけ聞きたいんです。僕たちはラヌーンに行く方法を探していまして」

考古学者「焦るでないわ!」

トール「ご、ごめんなさい……!」

考古学者「……洞穴住居の壁画を読み解いた結果、驚くべき事実が判明した」

トール「驚くべき事実、ですか……」

考古学者「なんと、彼らは貝や魚を取って食べていたのだ」

トール「はあ……」

考古学者「分からんか? これは驚愕の事実であるぞ。現代人ですら魚釣りや地引網、ましてや素潜りなぞしていないと言うのに、古代人はそれを成していたのだ」

トール「それってつまり……」

考古学者「古代人は何らかの手段で安全に海の恵みを得ていたということだ」

キュベレ?「当時は波が穏やかだったんですかね?」

考古学者「私は現代では失われた魔法や技術があると信じている。今はそれを研究中だ」


エルミス「結局、ラヌーンに行く方法は分からなかったわね」

トール「無駄足でしたか……」

ルルエン「おや、アナタがたは何かお悩みのようですね……」

トール「は、はい?」

ルルエン「なるほど。ソフィアさんが攫われてしまいましたか……」

ルルエン「彼女はわたくしのお気に入りなのです」

エルミス「何よあなた」

ルルエン「彼女は、わたくしに面白い未来を見せてくれます」

ルルエン「小さき者が、大きな者達によって定められかけた未来に抗う姿はとても素晴らしい……」

ルルエン「こうなる可能性は見えていましたが、まさか彼女が抗う事を諦めてしまうとは。これは、わたくしも動くべきでしょうか」

トール「……もしかして助けて下さるんですか?」

ルルエン「ふふっ、戦闘職ではありませんけれどね。ただ、わたくしを連れていくと後々良いことがあるかもしれませんよ?」

ルルエン「わたくしは心理学部のルルエン。いえ、ここでは隠す必要もありませんか」

キュベレ?「はい。私も君の事は見たことがありますしね」

ルルエン「わたくし、『言葉のいらない国』より参りました、占い師のルルエン」

ルルエン「基本的には共和国軍の味方で、今はアナタがた、そしてソフィアさんの味方です。ふふふっ」

エルミス「父上が招いた占い師はあなただったのね」

ディアナ「あーら、トールさんご機嫌麗しゅう!」

ディアナ「あたくし『美しすぎる天文学者』ことディアナに会いにいらしたのねっ!」

トール「いえ、そういうわけでは……」

ディアナ「遠慮なさらなくていいんですのよ! あたくしの美貌、そして知性に惚れてしまうのは仕方のない事ですの!」

ディアナ「おーっほっほっほ!」

エルミス「ふん、自意識過剰も甚だしいわ! 全然大したことないじゃない!」

エルミス「美しさも頭脳も、一年後のわたしにあっさり負ける噛ませ犬程度にしかならないわ!」

ディアナ「何をおっしゃるのやら、こんなペチャパイのちんちくりん、あたくしの足の小指の爪の先にも及びませんわ!」

エルミス「その自信が崩れ去る瞬間が今から楽しみよ! おーっほっほっほ!」

トール「あ、先に中入っときますね……」

マトイ「あー、トールくんだー。マトイに何かご用事?」

トール「ラヌーンの誘拐事件について調べてるんです」

マトイ「関係者だもんね。何でも聞いて!」

トール「マトイちゃんはソフィアさんたちが連れ去られた時、現場にいたんですよね?」

マトイ「いたよ。ごめんね、マトイ、何にもできなかったよ」

トール「いえ、しょうがないです。まだ小さいんですから。マトイちゃんだけでも無事でよかっ……た……」

トール(……あれ? どうして一人だけ無事なんでしょう?)

トール「あの、マトイちゃんはどうして連れ去られなかったんでしょうか?」

マトイ「んー……ブサイクだからかな?」

トール「マトイちゃんは可愛い方だと思いますよ」

マトイ「やったー!」

キュベレ?「おや、お嬢さんは……今日の昼、ソフィアさんを追いかけていた子だね?」

マトイ「……うん! 鬼ごっこしてたの! どちらかというとメリーさんごっこかも?」

ルルエン「そろそろ話を進めましょうか。マトイさん、あなたの魔術をお借りしたいのです」

マトイ「……だーれ? どうしてマトイの考えてることがわかるのかな?」

ルルエン「ふふっ、逆ですよ。考えてることが分からないからこそ、アナタが優秀な魔術師だと分かったのです」

マトイ「なるほどー、すごーい」

エルミス「どういうことよ?」

トール「どうやらルルエンさんは占いの応用で心が読めるようですね。会話のテンポがおかしいので、代わりに耳が悪いみたいですけど」

トール「そして、マトイさんは天文学者としてだけでなく魔術師としても天才だから、ラヌーンの海賊に連れ去られずに済んだと……」

マトイ「ううん。もう少し前に立ってたら危なかったよ」

マトイ「……今回のこと、マトイも少し責任を感じてるんだ。マトイが手を貸さなかったら、ジョーくんも、ヒレアちゃんもいなくならずに済んだのに……」

トール「ヒレアさんが……!? 詳しく教えてくださいよ!」

マトイ「ヒレアちゃんと、ジョーくんと、知らない男の人が海賊船に乗り込む手助けをしたの。噴射魔法でビューン!ってしてね」

マトイ「遠くて見えなかったけど、みんなフィアちゃんたちを助けるのに失敗しちゃったんだと思う……」

トール「そんなことがあったんですね……マトイちゃんは悪くないですよ」

マトイ「……お願い、マトイも連れてって」

トール「危ないですよ……。 ……?」

トール(何でしょう。こんなに小さな女の子なのに、まるで100歳を超えた魔女の瞳を見ているようです)

トール(有り体に言うと……ただ者じゃありません。天才とか、そういう範疇にすら収まらない……)

トール「分かりました。あなたなら足手まといにはならない気がします」

マトイ「マトイだけに?」

エルミス「ぷっ。トール……」

トール「そういうつもりじゃないですよ!」

士官学校前。

トール「……いまだにラヌーンへ行く方法が見付からない……」

エルミス「ルルエンさんは占いで何か分からないんですか……?」

トール「……エルミスさんまで気持ち悪くなってますよ!?」

エルミス「ふん。わたしは目上の相手には態度を変えるのよ」

キュベレ?「決して堂々と言ってのけることでは無いですね」

ルルエン「残念ながら。例えばわたくしたちが海を渡る姿は見えても、その方法までは見えないのです」

マトイ「ねーねー、海底を歩くとかどうかな?」

トール「たしかに、海の上が大嵐でも海中の深い所はほとんど変わらないと聞きますけど、呼吸とか浮力とかモンスターとかどうするんですか……」

マトイ「浮力ならマトイが重力でドボーンってするよ?」

トール「溺れておしまいですよ……」

サナ「おーい! トールくん!」

トール「あ、サナさん、どうしたんですか?」

サナ「やー、一つ役立てそうなことを思い出してね。ホントはあんまり巻き込まれたくないけど……うーん、私ってお人よし!」

トール「役立てそうとは?」

サナ「私さ、体質が植物に近いんだよね。だから魔法で酸素を作り出すことができる。スキル名で言うなら森林セラピーかな」

トール「そんな魔法聞いたことないですけど……」

サナ「まあ特例だろうね。で、この魔法があれば、たとえ船が転覆しても溺れずに済むって話」

サナ「まあ私がいくら暇って言ってもラヌーン行きの船に乗るのは御免被りたいところなんだけどさ……」

マトイ「トールくん。問題、解決したね?」

トール「あっ。…………サナさん」

サナ「やば」

トール「お願いします! 僕たちがラヌーンへ行くにはあなたの力が不可欠なんです!」

サナ「……私、こんな美少年に涙目で頼まれて断れるお姉さんじゃないのよ。もー……」

サナ「後で何かと借りは返してもらうからね!」

今夜はここまで

樹魔術と重力魔術で海底を歩くというのは実は即興、その証拠?にサナが最初に仲間にならずに後から合流してます

水圧と明かりはマトイに何とかさせる予定

また、エルミスとキュベレが付いてくるかどうかはコンマ次第となります

トール「ラヌーン行きの方法は見つかりました! 早速元帥に報告を……」

キュベレ?「お待ちください。その重力と酸素の魔法は、何人に、何時間まで使えるのですか?」

マトイ「マトイは何人でもOKだよ」

サナ「作れる酸素量を考えるとこの人数でギリギリかな……。範囲もあるしさ」

キュベレ?「つまりサナさん、マトイさんに加えて比較的腕の立つ軍人4人だけで向かうことになります」

トール「元帥や、六勇の方々ですよね?」

エルミス「父上は忙しいって言ったでしょ。いくら強くても上官は戦ってばかりいられないのよ」

サナ「よかったぁ、危うく陸軍とか海軍の大将たちと行く羽目になるのかと……」

トール「動いてくださればそれでいいんです」

ルルエン「ふふっ、しかしそれでは何も解決しませんよ」

トール「な、なぜですか?」

キュベレ?「やはりそうですか。トール君、今回のような国際問題ではまずは交渉での解決を試みるのがセオリーです」

トール「そんなこと言ってたような……」

サナ「……ラヌーンって交渉聞き入れてくれるのかねえ」

キュベレ?「こちらにカードが無ければ交渉は成立しません。言う事を聞く必要が無いと判断されたらそれまででしょう」

マトイ「マトイたちの口封じをしておしまいだよね」

エルミス「使者が帰って来なかったら侵略に踏み切ってもおかしくないのだけど……」

トール「ああっ! そうです、今度は、侵略の手段がありません!」

キュベレ?「はい。酸素生成に重力操作、どちらも極めて珍しい魔法、使い手を探し出すだけでも一苦労です」

エルミス「たとえ見つかったとしても結局乗り込めるのは数人だけ、最悪対策されて上陸できなくなっている可能性もあるわ」

サナ「へえ、私って結構レアリティ高いのね」

マトイ「そーだよ。マトイのお友達にもいないもん」

トール「すると、元帥に報告するのは得策じゃない……?」

エルミス「ええ。短期解決を狙うなら、隠密作戦または電撃戦で一気に決めるしかないわね」

エルミス「ソフィーたちの居場所が分からないから、慎重に忍び込んで解放したら急いで逃げることになるかしら」

トール「意外と頭いいんですね……」

エルミス「別に意外じゃないでしょう、訂正しなさい! わたしの作戦通りに動けばソフィーを助けることなんてたやすいことよ!」

ルルエン「しかしアナタは迷っています。違いますか?」

エルミス「……そう、父上に黙って行くわけにはいかないし……でも、言ってしまえばソフィーを助けられない」

キュベレ?「例え万事上手くいったとしても、ただでは済まされないでしょう」

トール「……」


↓ トールの交渉力90、コンマ10以上でキュベレの説得に成功

トール「キュベレさん、今まで放置してましたけど……何があったんですか?」

エルミス「いま聞くの!?」

キュベレ?「何があった、とは、何について聞いているのですか?」

トール「しらばっくれないでください。服や、喋り方、名前のことです」

サナ「私服じゃなく軍の制服ってだけじゃないの?」

エルミス「普段は女装してるのよ。喋り方ももっと普通に気持ち悪い感じで」

サナ「このままでいいんじゃない?」

エルミス「よくないわよ! 一周回ってより一層気持ち悪いのよ!」

キュベレ?「…………」

トール「当ててあげましょうか。家庭の問題ですよね」

キュベレ?「……はい。でもそれはトール君には関係の無い事では」

トール「大ありですよ! いっつも家に帰りたくないとか言って付き纏って来てたじゃないですか!」

トール「散々心配させるよう仕向けておいて関係ないなんてありえませんよ!」

トール「だから、キュベレさんは一旦軍から離れるべきです! 今後どうするのかは、いつものキュベレさんに戻ってから考えればいいんです!」

キュベレ?「……いつもの私とは」

トール「頼れるおせっかいなオネエさんです。インドア派の僕の耳にすら噂が届いてくるんですよ」

トール「見た目が不快な人のおかげで告白が成功した、すごく気持ち悪い人が嫁姑の仲を修復してくれた、生理的に受け付けない人が泥棒を捕まえてくれた、って」

トール「どうかソフィアさんを助けるのに協力してください。僕は、いつもの優しいキュベレさんが好きなんです!」

キュベレ?「……分かりました」

キュベレ?「後の事をぐだぐだ考えるのも、私らしくありませんからね」


↓ トールの交渉力90、コンマ10以上でさらにエルミスの説得に成功

9割成功する場面の成功でこんなに伸びるコンマスレもそうそうないでしょうね…
続きは明日お昼からです

エルミスは立場的に必要コンマ20か30にしようとも思ってましたがしなくて正解でした



トール「……エルミスさんはどうしますか? このままソフィアさんを手放してもいいんですか?」

エルミス「良くないわよ! また新しく下僕を探しなおすところからなんて絶対に無理!」

エルミス「ソフィーと出会えるまで……わたしが何度失敗したのか、もう思い出せないわ」

サナ「トールくん、さすがにやめた方がいいんじゃない? 元帥の娘さんに何かあったら、トールくんはいなくても代わりに親族が罰を受けるよ?」

トール「それはそう、ですけど……」

マトイ「エルちゃん、無理しなくていいんだよ?」

エルミス「無理じゃないわ! わたしには確実にソフィーを助け出せる自信があるの!」

エルミス「でも……父上に相談しないと、わたしはどこにも行かせてもらえない」

エルミス「ラヌーンでなくたって、どこにもよ……」

トール「……それって、過保護すぎるのでは?」

キュベレ?「しかし元帥の娘となれば、手の届くところに置かないと危険なのも事実です」

エルミス「関係ないわ。父上が出世する前からずっとだもの」

トール「エルミスさん……あなたはモンスターと戦ったことはありますか?」

エルミス「あるわよそれくらい! 町の近くの小型ばっかりだけど」

エルミス「父上はわたしの実力を甘く見ているのよ」

トール「でしたら、この機会にお父さんにその実力を証明してみせましょうよ!」

トール「これまで誰一人帰って来れなかった魔境……そんな場所からソフィアさんを助け出せれば、エルミスさんはもうお父さんを越えたも同然です」

エルミス「どうかしら。父上なら無理をすればラヌーンくらい行けそうだけれど」

トール「えっ、それ、本当ですか?」

エルミス「父上はすごいのよ。人間とは思えないほどね。マグマの中を泳いだってへいちゃらよ」

トール「それなら尚更エルミスさんには一緒に来てもらわないといけませんね……」

エルミス「どうして?」

トール「だって、最悪作戦が失敗しても元帥が助けに来てくれるってことじゃないですか」

エルミス「……そうね、父上なら何が何でも助けに来るに違いないわ」

エルミス「……わたしが後で父上に怒られる覚悟さえすれば、ソフィーは100%助かるってことね」

エルミス「分かったわ。わたしも一緒に行く!」

エルミス「でも、失敗なんてありえない! 必ず作戦を成功させて、父上にわたしを認めさせるの!」

エルミス「そしてトントン拍子に出世して、下僕たちと共に史上最年少の支配者となるのよ! おーっほっほっほ!」

~トールのスキルセット~

トール 体45 精20

現在トールくんは
『風魔法:殴』『エアバッグ』『つむじ風』『追い風魔法』『停止魔法』『気配察知』『属性察知』『空気制御』『速読』
を持っています

『風魔法:斬』…風の刃で切り裂く魔法
『竜巻』…強力な上昇気流を発生させる大規模魔法
『エアボム』…好きな位置に圧縮された空気を生み出し爆発させる
『魔力収集』…周辺に漂う魔力を一点に集める、通常の魔法を強化できる
『魔力察知』…近くの魔法使いおよび魔法がかかった物を察する
『気温制御』…エアコン魔法
『クロックアップ:擬似』…対象の時間認識を操り行動を素早くさせる

↓1、2 持たせるスキル選択

魔翌力察知って海力でも有効?
有効OR今明かせないなら魔翌力察知、無効なら風魔法・斬で

>>554 大陸の魔法局が把握していない術を使いますが、結局は大陸と同じ精霊ありきの魔法です、つまり有効です


~キュベレさんのスキルセット~

キュベレ 体80 精140

現在キュベレさんは
『剣術Ⅰ』『槍術Ⅰ』『斧術Ⅰ』…基本的な武芸を習得させられた
『癒しの光』…混乱・魅了などのあらゆる精神の異常を治す暖かな光
『活力の光』…この光に照らされると精神力が回復する
『沈静化魔法』…この光に照らされると敵意や興奮が収まる
『回復魔法』…味方一人の体力を回復する水魔術
『フレア』…熱を火に変えて扇状に放つ魔法
『ライトアップ』…暗闇を照らす。近くで見てもまぶしくない不思議で便利な魔法
『スパークリング』…太陽光線から作った魔法弾を元に、無駄にキラキラと輝くキュベレオリジナルアレンジが加えられた魔法
『スパークリングシャワー』…太陽光線が魔法弾となって降り注ぐ、すごく綺麗な魅せ技
を持っています

『ヒートブレード』高温に熱された刃での斬撃
『レーザーピアッシング』槍の先端から出る光線での長距離刺突
『奥義:鬼衝地異』オーグロス家奥義、全ての筋力を斧に乗せて叩きつけ周囲の地面が変形する
『フラッシュボール』…着弾すると眩く光り目をくらませる魔法弾
『プロミネンス』…前方広範囲に眩い火柱を立てる魔法
『スパークリングサンライズ』…自ら太陽の様に輝き煌めく魔法弾の弾幕を放つ、実戦でも強力な魅せ技

↓1、2 前回から今までに覚えさせられたスキル(持たせるスキル)選択

キュベレさんは戦いを強要されても自分らしさを忘れないステキなオネエさん

スキル安価はこれで最後



~エルミスのスキルセット~

エルミス 体力50 精神35 筋力90 敏捷20 知力70 器用100 交渉力10

現在エルミスは
『鎌術Ⅱ』…鎌をすごく器用に扱う
『首狩り』…首を狙って鎌を振るう(首を持つ相手のみ)、稀に一撃必殺
『カウンター』…最小限の後退で攻撃をかわしつつの必殺カウンター
『草刈り』…植物系特効
『蟷螂』…虫系特効
『魂狩り』…幽霊系特効
を持っています

・筋力成長 細腕からは信じられないほど重い物を軽々と振り回します、ハンマーを使った方が良いのでは
例:一段階『鎌二刀流など』二段階『人を投げ空中で切り刻む』

・器用成長 その技どうやってんの?と言いたくなる技を使いこなします、奇術師の方が向いているのでは
例:一段階『鎌ブーメランなど』二段階『増殖した鎌が宙を舞う』

・防御成長 少女の柔肌がどういうわけか鎧のように攻撃を弾きます、細胞を構成する物質が人と違うのでしょう
例:一段階『クルト並』二段階『ラヌーンのバリア並』

↓1、2 成長の方向を選択、両方同じものが選ばれた場合二段階成長になります

エルミスの器用さが二段階成長

エルミスのスキル完全版
『首狩り』『カウンター』『草刈り』『蟷螂』『魂狩り』
『鎌術Ⅲ』…鎌はもはや自分の手足
『ブーメラン』…投げた鎌が戻ってくる、ちょうど相手に刃を当て自分の手に柄が来るように投げるのはまさに達人技
『人喰い』…人間特効
『肉断ち』…獣系特効
『三枚おろし』…水棲生物系特効
『ジェノサイズ』…どういうわけかエルミスの上で大量に増えた鎌が一斉に襲い掛かる
『エイラ・ミラージュ』…どういうわけかエルミスが増える

防御成長ならブラッドレイ家奥義を習得、筋力成長なら特注の鎌とソピアの贈った鎌の二刀流でした



~他メンバーのスキル・ステータス~

マトイ 体20 精130
『魅了魔法』『恐怖魔法』『混乱魔法』『暗闇魔法』『浮遊魔法』『噴射魔法』
『ビーム』…指先から熱線を放つ、そのまま薙ぎ払うこともできる
『重圧魔法』…重力で相手の動きを封じる
『重力弾』…黒魔術ではないが真っ黒な魔法弾
『反射魔法』…あらゆる攻撃を反射するバリアを貼る、短時間しか維持できない
ほか

サナ 体100 精100
『回復魔法』『範囲回復』『活力の光』『癒しの光』『トータルセラピー』『グロウ』
『治癒魔法』…毒・麻痺・石化など身体に起きた様々な異常を治す
『陽だまり魔法』…周囲の人々の精神力を回復する
『ソーラーセラピー』…自動で体力と精神力が回復する、暗闇や海底だと効果薄め
『森林セラピー』…酸素を作り出す、ついでに抗菌物質も作り出している
『アロマセラピー』…体から花を咲かせる、一部の植物モンスターも咲かせられる
ほか

ルルエン 体30 精70
『開運』…仲間の行動の正否を決めるコンマが10上昇する
ほか

ラヌーン国、夜。

看守「―――、――――――!」

ソピアが牢の中で魚肉団子スープを食べ、思ったよりも美味しかったことに驚いていると、看守が何事か叫び牢の鍵を開けた。

ソピア「えっと……出ていいんですか?」

看守「――! ――――」

ソピア(ついてこいって言ってるみたい。……行くしかないかな)


ラヌーンには階段がとても多い。

家々の隙間を縫うように作られた階段がラヌーンにおける道である。

大通りもまた、幅の広い階段であり、それは島の頂上まで続いている。

ソピア「……石だ」

看守「――!」

ソピア「ご、ごめんなさい」

頂上に作られているのはおそらく神殿と呼べる施設だった。

神殿はその他の木造建築と違い、ほとんどが石材で作られていた。

海賊が大陸から持ってきた、ラヌーンでは希少な石材だ。

神殿の階段をさらに上って行くと神殿の中でも一番標高の高い場所に出た。

そこは屋外で、石畳の広場を囲うように四本の石柱が立てられ、中央にはテーブルのような形のオブジェが置かれている。

邪魔する雲の一つもない満点の星空と、東西南北にどこまでも続く水平線が見渡せた。

ハルカ「ソフィアさん……」

ポロ「……みんな、連れてこられたんです、ね」

どうやら連れ去られた全員が神殿の最頂部に集められたようだ。

地味な制服のソピアとハルカ、修道服のラファに対して、ステージ衣装そのままで連れてこられたポロがやけに目立つ。

看守「――、――――! ―――」

少女「……――。―――」

ソピアたちが上ってきた階段と反対側から、儀式用と思われる青い薄手の服を纏った少女と、彼女の後ろに並んだ男たちが現れた。

少女「…………」ジロジロ

少女はソピア達を品定めするように、一人一人を順々に注視する。

ハルカ「なんなのこの子……」

ラファ「……あ、あなたは!」

少女「はい?」

ラファ「見間違いじゃないのです! あなたは、聖教徒の○○さんですね!」

少女「……○○と言う人を私は知りません」

ラファ「フルフィリア語喋っているじゃないですか! なんですかその格好は、聖教会を捨てたのですか!?」

少女「……私は海神に仕える海子(ミコ)。名前はありません」

男「――っ!」

ラファ「な、何をするのですか、離してもごもご……んんん……!」

うるさいラファを黙らせると、海子の少女は再びソピア達を見つめる作業に戻る。

そして数分後。

海子「この方です」

ソピア「え?」

海子の少女はソピアを指していた。

男「―――?」

海子「―。――、―――――。―――――――?」

男「――」

ソピア「な、なんですか?」

海子「……決まりました。海神の生贄にふさわしいのは貴女です」

ポロ「いけ、にえ……?」

ソピア「わ、私殺されるの……!?」

海子「……いいえ、死ぬのではありません。貴女には新たな海子となり、海神に仕えていただきます」

ソピア(……共和国軍の手の届かないこの国で生きていられるのなら、いっそそれもありかも……)

ハルカ「見たところ海子はあなた一人みたいだけど、あなたはどうなるのかな?」

海子「……私は明日、海神にこの身体を捧げます」

ポロ「えっ……あなたが、死んじゃうんですか?」

海子「……私の心は消滅します。しかし、私は海神として生き続けるのです」

海子「……海神となった私はこの神壇に分神を残し、海へと帰ります」

ハルカ「神壇……そこのテーブルのことね」

海子「……貴女は私――海神に海子として忠誠を誓い、神壇を守り、分神を解して海神から海力をいただき、そしてこの海神国に分配する責任を負うのです」

海子「……そして一年後、海賊の連れてきた新たな少女を海子とし、貴女もまた海神に身体を捧げて海へ帰るのです!」

ソピア「やっぱり嫌だ! それって、私自身としては死んだのと同じだもん!」

ラファ「それどころか、きっと海子になった時点でアウトなのですよ。海神に操られて記憶や自我を失うのかもしれません」

ソピア「今の話だと、海子はラヌーンで一番の権力者だからね……。逆らわれたら国が成立しないもんね……」

ソピア「私が私じゃなくなるなんて絶対に嫌……!」

ソピア(貴族じゃなくなって、だんだん人間じゃなくなってきているみたいだけど、それでも自分は自分なの……!)

海子「……海神に仕えるのはとても素晴らしいことです。何よりいつも近くに大いなる海神の存在を感じられるのはとても心地良く思います」

海子「……私もそんな存在になれるのは言葉で表現できないほど嬉しいです。まったく怖い事ではないんですよ」

ハルカ「専門用語が多くてよく分かんなくなってきたけど、とりあえず、今のあなたは怖いよ……」

海子「……儀式は明日の正午です。楽しみに待っていてください」

ソピア「楽しくない!」

海子「……残りのお三方は海子の資質が劣っていたようで、誠に残念ですが……」

ポロ「か、帰れるんですか……?」

海子「……明日の儀式で、海流しにさせていただきます」

スクーニミー北海岸。

トール「……準備は、いいですか?」

エルミス「鎌が錆びたらどうしましょ」

キュベレ?「念のため魔法以外の武器も持って行きます」

サナ「一応、精神力回復のポーションはバッグいっぱいに用意しておいたからね」

マトイ「ばっちりだよ!」

ルルエン「ふふっ、みなさんよろしくお願いしますね」

トール「では、行きましょう。いざラヌーン!」

マトイ「それ、噴射!」

直後、一行の背中でマトイの噴射魔法が発動する。

マトイ「続いて、重力!」

崖の近くの比較的浅い海の上を越えて飛んでいき、着水ぎりぎりの高度で重力魔法に切り替える。

一時的に数倍の体重を得た一行は、荒れる海流に流されることなく、アンカーのようにまっすぐに海底へと落ちていく。

強い重力を受けながら水中で息を止め続けるのは中々しんどいが、トールたちは耐えきった。

流れの早い領域より下の水深に達すると、マトイが重力を弱めた。

それと同時にサナが自分の魔法をフル稼働させて酸素を生成する。その早さは植物のそれとは比べものにならない。

あっという間に全員が立って入れるだけの大きな泡が海底に完成した。

酸素の泡が水面めがけて浮かんでいくことは無い。マトイが絶妙な水圧操作で押しとどめているのだ。

最後にキュベレが魔法で明かりを作ると周辺の海底が明るく照らし出された。

サナ「ふー、最初の一歩は成功かな。あー疲れた……」

キュベレ「気を抜いちゃダメよ! ポーションは早め早めに飲んでちょうだいねん」

エルミス「あ、キュベレが元に戻ったわ」

トール「キュベレさん、何があったのかそろそろ話してくれませんか?」

キュベレ「今はゆっくりしてられないわよ。落ち着いてから話しましょっ?」

トール「で、でも……」

キュベレ「お父さんのせいよ。無理矢理軍務に就かされたの。詳しい話はまた今度ね。ほら」

マトイ「むむむ……」

トール「マトイちゃん!? 大丈夫ですか?」

マトイ「……がんばる」

サナ「水圧の操作はかなり集中力を使うんじゃないかな。私ともども戦闘には参加できないからそのつもりでね」

トール「できるだけ、急いで移動しましょう」

エルミス「ちょっと待って。前が見えないわよ」

泡の曲面越しに見る景色はずいぶんと歪んでいた。

これでは明るさは足りていてもモンスターの襲撃に気付かないだろう。

ただでさえ聴力に頼れない状況である。不意打ちを受けてサナかマトイの集中が切れれば全員揃って死は免れない。

サナ「こんなこともあろうかとゴーグルを用意しておいたからみんな付けて。酸素は口の周りだけに作るからさ」

キュベレ「マトイちゃんは大丈夫かしら? 6人それぞれが受ける水圧を調整しなくちゃいけないのよ」

マトイ「……泡よりは簡単だよ」

サナ「みんな、このロープを持とうか。これではぐれないから。話したいときはロープを三回引いて合図して、そしたらまたこの泡を出すよ」

ルルエン「いいえ……会話が必要な時はわたくしが仲介しますので、そう念じてください」

キュベレ「さすがは『言葉のいらない国』出身者ね。助かっちゃうわぁ」


追い風魔法は、文字通り追い風で直接移動を早くしているわけではないらしい。

つまり海中でも使用できたのだ。トールの追い風魔法の効果によって、一行は徒歩ではあり得ないスピードで進むことができる。

しかしまだ使うことはできなかった。

スクーニミー近海には、今までに海に挑み、そして果てた船の残骸が所狭しと散らばっていたのだ。

こんなところで加速しては船の残骸への衝突は避けられない。

トール(まさに船の墓場ですね……)

トール(見たこと無いような海棲モンスターもいっぱいいますが、特に襲い掛かってくる様子はないです。光が眩しいのかフラフラしてますね)

トール(問題は死角が多い事でしょうか。残骸の陰から襲い掛かられないよう、気配には注意しておきましょう)


1234 特に発見も無くモンスター遭遇
567 良い発見をする
890 今見つけてもしょうがない発見をする

↓コンマ一桁

トールくんコンマ神に愛されすぎぃ!

今夜はここまでで、次回、ヒレアちゃん回収です(ネタバレ)

ごめんなさい最近妙に忙しく
今夜に少し進めます

トール(!? ルルエンさん、通信お願いします!)

トール『強大な魔力を感知! 前方にモンスターです!』

エルミス『早速おでましってわけね……トール、大きさは?』

トール『小さいです……と、いうか弱ってる……?』

マトイ『んー、一応聞くけど属性はなあに?』

トール『白……と黒? まさか……。急ぎましょう!』

心なし早足で気配を感じた地点まで急ぐと、海底に真っ黒い歪な球体が鎮座していた。

周囲には力尽き横たわる小型モンスターが散見され、そのすべてから黒い絵の具を溶かしたような筋が球体に向けて伸びている。

キュベレ『ちょっと、アタシからも黒いの出てるわよ!?』

サナ『あ、これ養分吸われてるみたいだわ、辛い……』

トール『うぐっ、この眠気……間違いない……! サナさん、急いで泡を!』

球体を中心にして出発地点と同じように泡の空間を作り、球体にポーションをかけて体力と精神力を回復させると、球体が霧散し中から丸くなったヒレアが現れた。

ヒレア「うん……トール?」

トール「ヒレアさん、何があったんですか!?」

ヒレアはトールに事情を話した。

ラヌーンの海賊を蹴散らした後、触手の怪物に海中に引きずり込まれたヒレアは、固めた霧で全身を包み殻にすることで水圧から身を守った。

しかし一向に水中から出られず、人外級の生命力を持つヒレアといえども呼吸できずに気を失ってしまった。

普通ならそのまま死ぬところだが、無意識的に周囲に近づいてきたモンスターを片っ端から眠らせてエネルギーを吸収することで何とか生き延びていたようだ。

ヒレア「それで、お姉ちゃんを助けに行くのね。私もこのまま行くわ」

トール「大丈夫ですか? 無理は……」

ヒレア「無理はみんなしてるでしょ」

エルミス「……下僕の一人が無事だったのはいいわ。でもその霧の性質にすごく覚えがあるのだけれど?」

キュベレ「アタシもね。もしかしてヒレアちゃん、アナタ……」

トール(あっ、ど、どうしましょう)

ヒレア「私は霧で人を眠らせて生命力を吸い取る能力を持っていて、翼を生やして空が飛べて、噛みついて人の生き血を美味しくいただけて」

ヒレア「気配的には大型モンスターで、ちょっと太陽の光が苦手だけれど、ラヌーンのモンスターにあっさり負けちゃうか弱い女の子でソフィアお姉ちゃんの妹よ」

キュベレ「ま、そんなことだろうと思ってたわ。アタシ魔法競技会見てたもの♪」

エルミス「……ソフィー、このわたしに隠し事とはいい度胸じゃない。助け出したら折檻ね!」

サナ「おおう、さすがは軍人、肝が据わってんねぇ」

マトイ「本物の吸血鬼見るのマトイ初めて! 意外と普通だねー」

ルルエン「ふふっ、今は心強い味方ですよ」

トール「受け入れられてよかったです……」

ヒレア「ねえ、ジョーとニヒルマンはどうなったのかしら」

サナ「誰それ?」

マトイ「ヒレアちゃんと一緒にラヌーンの船に乗り込んだ2人だね」

トール「ニヒルマン、っぽい人なら岸で会いましたね」

ヒレア「ニヒルマンで伝わるとは思わなかった……」

マトイ「ルルさん、ジョーくんがどこにいるか占えない?」

ルルエン「……少々お待ちください」

トール「……みなさん、モンスターの気配が近づいてきます」

キュベレ「そのジョーくんかしら?」

ヒレア「彼はモンスターじゃなかったわ」

サナ「マトイちゃん、泡に囲まれたままじゃ前が見えないから解除するよ」

マトイ「おーけー!」

トール『エルミスさん、構えてください。ヒレアさんは今起きたばかりです』

エルミス『主にわたしたち2人で相手しないといけないってことね?』

臨戦態勢の2人が見つめる先、キュベレの魔法がモンスターの姿を照らし出した。


モンスターは

1.歩いてきた
2.這ってきた
3.泳いできた

そのモンスターは一見するとヒレアの背丈ほどの高さがある段差に見えた。

表面は無数の突起に覆われており、横幅も中々大きい。

モンスター「……」モタモタ

エルミス『……遅っ』

トール『先制攻撃のチャンスですね』

エルミス『分かったわ』

エルミスが近づこうとしたその時。

キュベレ『キャッ! 前が!』

モンスターの体が左回りにスライド、その場で回転したのだろう、巻きあがった砂が一行の視界を完全に塞いだ。


1.砂が落ちるのを待つ
2.重量操作で上方向に脱出
3.急いで後ろへ下がる
4.遠距離攻撃で蜂の巣にする

トール『前が見えない……!』

エルミス『ここは水中、上に脱出よ!』

トール『……マトイちゃん、お願いします!』

一行にかけられた重力が緩み、浮力によって上方向へ移動し、砂の目くらましから抜け出した。

キュベレ『……追ってこないわよ』

しばらく水中に浮いたまま眼下を見下ろしていると、次第に砂が晴れ、モンスターの全身を見ることができた。

マトイ『わー、星だー。気持ち悪ーい』


スピンヒトデ。

船の墓場の分解者。高速回転し、硬い凹凸がある皮膚で船の壁を削り取るように破壊、中に残った死体を食べる。

また回転によって砂を巻き上げることで捕食者への目くらましを行うが、そもそも不味いのであまり狙われることは無い。


ヒレア『ちょっと攻撃してみる』

トール『あ、ちょっと……』

ヒレアが放った魔法弾の弾幕はヒトデの皮膚に傷一つ付けることはできなかった。

ヒレア『生命力もとても吸い付くせる量じゃない……呪いは効くかしら』

モンスター「……」キュイイイン

ヒレア『きゃっ!?』

至近距離まで近づくと、ヒトデは高速回転しながら海底を縦横無尽に走り回り始めた。

もし海底に立っていれば全員無事では済まなかっただろう。

たとえ数人避けられたとしてもマトイかサナがダウンすればそれだけで全滅だ。

サナ『これ、無視して行った方が良くない?』

マトイ『泳ぐ?』

トール『噴射魔法がきついなら僕がやってみますよ』

どうやらエアバッグの魔法も空気が無くても使うことができるらしい。

背後で膨張した水の塊から起きた流れに乗って、一行は巨大ヒトデが見えなくなるまで移動した。

歩き…亡霊モンスター 泳ぎ…魚モンスターの群れ でした



一時間後。

一行は船の墓場を抜けた先にあった崖を下り、どこまでも続く柔らかな砂の平原を進んでいた。

深海では生き物の姿がほとんど見られず、たまに見かける新種と思しきモンスターも襲ってくることはなく、大抵は光に驚いて逃げるかマイペースに漂うだけであった。

代わり映えの無い景色が続き、たまに誰かが精神回復のポーションを飲むだけの無言の時間が流れていた。

エルミス『……ねえ、みんなポーション飲みすぎじゃない?』

唐突に呟いたエルミスの言葉に返事がかえってきたのはたっぷり1分後の事だった。

ルルエン『することがないのはエルミスさんだけですからね』

エルミス『……どういうことよ』

ルルエン『わたくしは念話担当なので比較的暇ですが、みなさんはそれぞれ魔法で進行をサポートしているんです』

サナは引き続き酸素の供給を行っていたが、深海ではわずかな光も差し込まないため、回復の手段が断たれているのだ。

深海では浮力こそ弱くなるものの、水圧が大きく増加しているため、一行に働くそれらの力を制御するマトイの負担は増していた。

さらにマトイは月魔術の応用で常に方角を確かめている。ノーディスの大魔導師の脳の一部を引き継いでいるとはいえ、その幼い身体には大きな負担がかかっていた。

キュベレは日魔術で周辺を照らし出していた。完全な暗闇では必要な明かりの量も増えている。

エルミスと同様に対モンスター役を任されているトールだが、実は重要な役目を果たすようになっていた。

太陽の光が届かない深海は、極めて寒い。

加熱魔法を覚えていなかったキュベレの代わりに、トールがかねてより練習していた気温制御の魔法を使うことになった。

しかしトールは気配探知と追い風の魔法を同時に使用している。

精神力の低いトールは、一行の中で最も頻繁にポーションを飲まなければならなかった。

そしてヒレアは少しずつ体力を奪われる一行に生命力を分け与えていた。

エルミス『この中で魔法が使えないのはわたしだけだものね、何かできることはないかしら……』

ルルエン『ふふっ、リーダーはいざという時に働くものではないですか』

エルミス『そうね。さあ、早くでてきなさい、未知のモンスター!』

トール『不吉なこと言わないでくださいよ……』


現在地:深海底

1234 特に発見も無くモンスター遭遇
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エルミス『ねえ、あれ何かしら?』

トール『山、ですか?』

一行の右方にうっすらと何かの影が見えた。

キュベレ『照らすわよ』

サナ『地形にしてはカクカクしてない?』

トール『ここまでたどり着いた船があったんでしょうか……?』

マトイ『ちょっとだけ見に行ってみようよ』

近づいて行くと、段々とその影の正体が掴めてきた。

それは石のブロックを重ねて作った建物であった。

サナ『建物……奥まで続いてるみたい』

少しだけ上昇し、キュベレの魔法で斜め上から照らし出すと、建物が見える範囲でどこまでも続いているのが分かった。

ルルエン『……神秘的ですねぇ』

トール『都市遺跡ですね。なんでこんなところに……』

遺跡の保存状態は極めて良好で、ここが深海の底だということを忘れそうになる。

キュベレ『気を付けて。ラヌーン人の町かもしれないわ』

サナ『流石にそんなことは……あるかも? 島を見た人はいないわけだしね……』

一行は慎重に遺跡の中へ入った。

当たり前ではあるがここに人は住んでいないらしい。

トール『なんか錆びた機械のようなものを見つけたんですけど、これ電話機に似てませんか……?』

マトイ『見たこと無い魔法陣を見つけたよ。でもマトイの知らない文字だ。ノーディス系でも聖教国系でもないし、ラヌーン系でも無さそう……』

エルミス『……わたしたち、すごい発見をしたんじゃない?』

サナ『これ持ち帰ったらいろんな先生喜びそう……!』

キュベレ『不思議な素材の布ね……。濡れてるからってわけじゃないわよ、この手触り』

ルルエン『……座標を記録しておきましょう』

エルミス『それじゃ、いったん引き返して準備を整えたら』

トール『ってちょっと待ってくださいよ! 僕たちの目的地はラヌーンですよ!? ここラヌーンとは関係無さそうなんでしょう!?』

エルミス『はっ! 危うく大事なことを忘れるところだったわ!』

サナ『古代文明の魔力、恐るべしだね!』

マトイ『えー、でも場所覚えられないから、もったいないよぉ』

キュベレ『我がまま言っちゃダメよ』

マトイ『やだやだやだー! マトイ遺跡に残るー!』

サナ『マトイちゃん、ここを調べた後、陸地に帰るまでの時間とポーションが足りるかを計算してみて』

マトイ『……無理みたい』

トール『行きましょう! 僕だってこの遺跡が気になってますけど!』

エルミス『もしかしたらわたしたちの興味を引くための、ラヌーン側の罠だったかもしれないわね』


しばらく進んだ先にあったのは

1.小さな孤島
2.死んだ大型モンスターの骨
3.海底火山

エルミス『崖ね……』

サナ『ラヌーンについたの?』

トール『いえ、まだですね』

エルミス『なんでよ?』

トール『精霊の量が少ないんですよ。ROKKAさんが誘拐されたホール裏には、周りよりも水と月の精霊が多く感じられたんです』

サナ『それがラヌーンの魔術の残滓ってこと?』

トール『おそらく。海岸では色々混在していたんですけど、多い順に月・水・火・白・黒でした』

トール『ここには月の精霊が極端に少ないんです』

マトイ『でもちょっと休憩したいな……』

キュベレ『トールくん、一旦島に上がらない?』

トール『はい、行きましょう……。僕も疲れました……』


崖の上まで浮かび上がると、なだらかな上り坂になった砂地が見えた。

周囲も明るく、深海に目が慣れてしまった彼らには少し眩しいほどであった。

トール『みなさん、何か来ます!』

ヒレア『逃げるの?』

トール『速いです、逃げられません!』

トールの感知した気配があっという間に彼らを取り囲んだ。

それらは美しい女性の姿をしていた。

トール『こ、これは……!?』

キュベレ『キャー! ステキー!』

マトイ『人魚さんだっ!』


人魚。

漁村の民話や絵本でのみ知られている伝説上の美しいモンスターあるいは亜人。

上半身は美女、下半身は尾びれという姿で伝えられ穏やかな性格をしていると言われる。男性の姿が描かれることはごくまれ。

なお、上半身が魚で下半身が人間の半魚人はサロデニア共和国沿岸部などに行けば簡単に出会える。


人魚「―――、――――、――!」

人魚「――、――――、――――♪」

人魚「―? ―――、――――――っ!!」

エルミス『なんですって? 人魚の言葉なんて知らないわよ』

サナ『それ以前に声届いてないんじゃない? これ念話だし』

ルルエン『届いてはいますが通訳が必要ですね。わたくしが直接意思を伝えましょう。語弊が無いように努力いたします』

エルミス『それで、なんて言ってるわけ?』

ルルエン『要するに、ここは私たちの国だから人間は出ていけ、だそうです』

キュベレ『あら、お呼びじゃないってのね』

ルルエン『さて、どうお返事しますか? トールさん』

トール『ぼ、僕ですか?』


1.分かりました、すぐに出て行きます
2.ラヌーン国は知りませんか、知ってたら方向教えて
3.僕たちは疲れています、少しでいいから休ませて
4.自由安価

トール『では……ラヌーン国は知りませんか? もし知っていたらどの方向に行けばいいか教えてください』

ルルエン「…………」

人魚「…………」

人魚「――、――――。――、――――――――――」

ルルエン『人間の島なら知っている、でもよそ者に教える義理は無い、とのことですね』

トール『そうですか……』

エルミス『ずいぶんと警戒されてるわね』

人魚「―――、―――、―――――――?」

ルルエン『……人間の島に何をしにいく、と』

トール『連れ去られた友達を助けに行くと伝えてください』

サナ『待った。この人魚たちとラヌーンが繋がってる可能性は無い?』

マトイ『うん、使ってる言葉が似てるかも』

キュベレ『もうさっさと立ち去った方が正解よ!』


1.正直に話す
2.ただの旅人だと嘘をつく
3.何も言わずに逃げる

↓ 3つのうち2つは襲われる

トール『……正直に言うべきです。僕たちが人魚のみなさんに何もしないということを伝えるためにも』

ルルエン「…………」

人魚「…………。――、―――、――――」

人魚「―――――!? ―――、―――――――?」

人魚「――――、――――、―――――……! ―――?」

人魚「――! ――!」

ササッ

5人の人魚が三叉槍を構え、こちらを睨みつけている。

エルミス『や、やばいんじゃないの!?』

トール『ルルエンさん!』

ルルエン『説明は後です』

キュベレ『今は目の前の敵に集中よ!』

トール・ヒレア・エルミス・キュベレがそれぞれ一人ずつ人魚と向かい合う。


もう一人の人魚は誰に任せる?

1.トール
2.ヒレア
3.エルミス
4.キュベレ

↓ 4つ中2つは対応しきれずサナかマトイがダメージを受けます

サナ『私たちに来ないようにしてね、お願いだから!』

マトイ『陸の上だったら楽勝なんだけどなぁ』

トール『こ、恐くないぞ……!』

人魚「―――!」

トールはまっすぐ向かってくる人魚をエアバッグもとい水の塊で弾くと、つむじ風もとい渦潮に飲みこませる。

あまり効果的な攻撃にはなっていないが、トールは安心した。

野生動物ならばともかく、対話が可能な生き物をわけもわからず傷つけてしまうのはできれば避けたいところだった。

エルミス『変な槍ね。そんなのでこのわたしに勝てると思っているの?』

人魚「――。―――――――? ――!」

エルミス『こんの……やりづらいわねっ……!』

マトイの重力操作で水中を歩くことができているとはいえ、すべての行動が陸上と同じ感覚で行える訳ではない。

水の抵抗がかかった鎌は想像以上に重く、タイミングを違えてしまったのだ。

エルミス『えいっ……いったぁあああいいっ!!』ゴボガボゴボ

エルミスは咄嗟に足元の砂を蹴り人魚の視界を塞ごうとした。

機転を利かせて直撃は避けたものの、槍は脇腹を浅く刺し貫いてしまい、海中に血がにじみ出す。

痛みに慣れていないエルミスは思わず大声を上げてしまい、海水を飲みこんでしまった。

人魚「―――!」

ドスッ

ヒレア『……お返しっ!』

人魚「――、―――!? ―――……! ―――……」

一方、他の人魚の槍はヒレアの胸を貫いたが、ヒレアは表情一つ動かさず、小太刀で目の前の人魚の肌にバッテンを刻みつけた。

呼吸阻害の呪いをかけられた人魚は得意の海中で窒息し気絶するという醜態を見せた。なお死んではいない。

キュベレ『あら、エルミスちゃんがピンチね。ここはオネエさんが2人とも相手にしてあげるわん♪』

人魚「―――!」

キュベレ『焼き魚になりなさい! ……あら?』

高熱の魔法で前方扇形に薙ぎ払ったが海中では炎が出ることは無かった。

お湯になった海水はすぐに周囲の海水と混ざり、人魚たちはぬるま湯を浴びるにとどまった。

キュベレ『仕方ないわね……スパークリングサンライズ! アタシは太陽よー!』

キラキラと輝く魔法弾の奔流が人魚の片方を飲み込み押し流す。

しかし、もう一方は素早い泳ぎでそれをかわし、中央にいたマトイたちへと迫っていた。


攻撃を受けたのは

123 マトイ
456 サナ
789 ルルエン
0 人魚は攻撃に失敗

↓コンマ一桁

マトイ『……えっ?』

キュベレ『マトイちゃん!』

グサッ!

マトイ『あ、あれ、これ、血?』

途端、マトイの魔法による調節が切れ、浮力・水圧が自然の状態に戻る。

同時に口と鼻を覆っていた酸素が浮力によって海面へと浮き上がっていった。

サナ『や、やばっ! 早くマトイちゃんの治療を……』

エルミス『わ、わたしを助けなさいよ……!』

服を着たままで満足に泳げない一行に人魚たちがここぞとばかりに襲い掛かる。

キュベレ『し、しまった! アタシとしたことがっ! ……イヤァッ!』ザクッ

ルルエン『命運尽きましたか……』ドスッ

エルミス(父上……ごめんなさい……わがままなわたしを許して……)

マトイ(……自爆魔法、起動。これで仕事はおしまい。みんな、さようなら……)

トール(ソフィアさん……こんなところで……!)

トール(マントの人の言った通りでしたね……僕は、無力です……)

明かりが消え、念話も途絶え、上下も分からぬ海の底、トールは自分の腹部を異物が貫通する感覚を最後に意識を手放した。


ヒレア(一人でも助けなきゃ!)

ヒレアが生命力のオーラを頼りにサナの腕を掴み海上へ出ようと羽ばたいた。

逃げようとする2人に槍の連続攻撃が襲いかかる。再生能力の高い2人には傷が次々と刻まれては塞がっていく。

満身創痍になりながらもとうとうヒレアは海から飛び出すことに成功した。

外は暴風が吹き荒れており、ヒレアはよろめいてしまう。

ヒレア「あそこに見える島は人魚の島……! だけど一旦不時着しないと持たない……!」

突如、ヒレアの視界が水で覆われた。

ヒレア「え……!?」

それは水の壁だった。振り向くと前後左右が水の壁で囲まれている。

そして、2人は再び海へと囚われてしまった。

余談だが、人魚たちにはヒレアを完全に殺すことはできなかったため、放置せざるを得なかった。

後に謎の黒い塊が鎮座するこの海域は、近づいたもののエネルギーが吸われる恐ろしい場所として人魚たちの禁足地に指定される。

ラヌーン国、牢獄。

悪魔(ソピアさま。お話がございます)

ソピア(……何?)

悪魔(トールさまご一行が貴女方を助けるためにラヌーン国に向かっております)

ソピア(と、トールくんが!?)

悪魔(そして、たった今お亡くなりになりました)

ソピア(…………え)

悪魔(くくくっ、海にはラヌーン以外にも恐ろしい魔物が潜んでいるようだ)

ソピア(……そんな)

悪魔(さて、もう救いの手は当てにはなりません、貴女はこれからどうなさいますか?)

ソピア(……どうにもならない。もう、私には何もできないよ……)


翌日。

ハルカ「いや……! なんであたしが死ななくちゃいけないの……!?」

ポロ「どうして……私をさらったんですか……殺すためなんですか……?」

ラファ「……いずれこの国には天罰が下るのです。主はあなたたちの罪を決して許しはしないでしょう……」

不要な3人は予定通り『海流し』に処せられた。

その時すでにソピアの心は死んでいた。

ラヌーン国の新たな海子は、3人が海に沈みゆく様を冷たい目で見ていた。


そして一年後。

ソピアの肉体もまた海へと帰っていった。



GAMEOVER:7 海の藻屑



どの選択から再開しますか?

1.>>588の安価 ボス選択
2.>>590の安価 人魚への返事
3.>>594の安価 2人の人魚を相手にする仲間選択

>>590の安価から再開


ルルエン『人魚のみなさんは、出ていけとおっしゃっています』

トール『どう返事しましょう……』


1.分かりました、すぐに出て行きます
2.僕たちは疲れています、少しでいいから休ませて
3.自由安価

自由安価の内容が無かったので下にずれます



トール『そうですね……分かりました。すぐに出て行きましょう』

キュベレ『休憩できないの? 残念だわぁ』

トール『本当は休憩したいところでしたが、もし戦う事になったら、水中では僕らに勝ち目はなさそうです』

ルルエン「…………」

人魚「…………」

人魚「―――、――。――――、――――!」

ルルエン『まだ動かず、少し待っていなさい、と』

ヒレア『……厄介なところに来てしまったのね』

しばらく待っていると人魚の一人が、より大きな人魚を連れて戻ってきた。

身体も武器も一回り大きく、貝殻で隠していない胸部にはたくましい筋肉が見て取れた。

他の人魚同様に美しい顔立ちをしているが、おそらく男の人魚なのだろう。

人魚「―――」

男人魚「――、―――――」

ルルエン『彼は人魚の大王様だそうです』

サナ『群れにはリーダー意外に大人の男はいないとか、そういう文化なのかなあ』

男人魚「―――――――――――――――。――――――――――?」

ルルエン『われらの存在を誰にも言わないと約束しなさい。あなたたちの国は野蛮な国ではないか? と聞いています』

エルミス『どういうことよ?』

サナ『野蛮な国に人魚の存在が知られたら、あらゆる手を使って攻めてくると思ってるんだろうね』

サナ『つまり、秘密を守る約束をしても、国は野蛮だと言ったら、念のため口封じに殺されるってこと』

マトイ『ノーディスは頭がいい国だよ! 脳筋国家とは違うよ!』

エルミス『将来このわたしが治めることになるフルフィリアが野蛮なわけないじゃない。刈るわよ?』

ルルエン『……約束する、とだけ伝えておきます』

トール『お願いします……』

ルルエン「…………」

男人魚「―――。―――――、―――。―――――――――」

ルルエン『……話はつきましたよ。行きましょう』

トールたちは人魚の島を足早に立ち去った。

骨…死肉喰いのワーム 火山…古代の大アゴ魚 でした
人魚が襲い掛かってきたのは、ラヌーンが人さらいをする国と知る→ラヌーンに人魚の島が襲われるかも→口封じだ! という理由でした


トール『ああ、恐かった……』

エルミス『あなたさっき何か貰ってなかった?』

ルルエン『……ええ、餞別にと、これをいただきました』

サナ『木の実? 食べ物かね?』

マトイ『食べたら人魚になる実だったりして!』

キュベレ『怖いこと言わないでちょうだいよ』

サナ『ちょっと貸して。味見してみる。…………うわっ!』

サナの下半身が見る見るうちに魚の尾びれに変形してしまった。

マトイ『ほんとに人魚になっちゃった!』

キュベレ『食べなくてよかったわ……』

サナ『えぇ……これどうしよ……。もう私陸地に上がれないの? すでに歩けないし』

ヒレア『泳いでみたら? ちょっとだけ重力解除して』

サナ『あっ、これ泳げる! 水圧とかも平気だ! 人魚も悪くないね』

トール『なんてポジティブなんですか……』

そして10分後。

サナ『あれ? ヒレが脚に戻った。って、うわっ、溺れるぅ!』

エルミス『時間制限つきで人魚に変身できる実ってことね』

ルルエン『人数分、あと6個ありますから欲しい方はどうぞ』

結局誰も人魚の実を食べることなく、再び無言の行軍が続いた。

エルミス『キュベレ、明かりが弱まってるわよ!』

キュベレ『そんなこと言っても、これで全力なのよ』

ヒレア『光が通りにくい海なのかしら』

トール『そんな海なんて……あっ、ああっ!』

エルミス『うるさいわよトール!』

トール『すいません、気づくのが遅れました、ここ、月の精霊の量が多いんですよ!』

キュベレ『なるほどね、日魔術の効きが悪くなるはずだわ』

ヒレア『……もうすぐラヌーンなの?』

トール『はい! そろそろ到着です!』

エルミス『みんな気を引き締めなさい! ここからが勝負よ!』

トール『……! いえ、もう、勝負は始まったみたいです。……前方に巨大な気配が……!』

マトイ『……ラヌーンの、番人だね』


ラヌーンの番人の得意技は

1.放電
2.激流
3.暗闇

明日の夕方~夜に再開

「ォォォォォォォォン……!!」

エルミス『すごい声……』

ルルエン『こちらに気付いたようですね』

トール『モンスターの言葉まで分かるんですか?』

ルルエン『ある程度知能が高いものなら。どうやら、あまりこちらを気にしていないようです』

トール『刺激しないように通り過ぎたいですね……』

キュベレ『あら、光ってるわ! キレイね~♪』

マトイ『ひゃー、おっきい! クジラさん!』

サナ『ひええ、これは敵対しなくてよかったね』

エルミス『……止まりなさい!』

トール『どうかしま』

ヒレア『! 危ない!』

バヂィィィッ! と実際には聞こえないが、そのような衝撃が全員の身体を駆け巡った。

ヒレアが咄嗟に貼った黒い霧のフィルター越しにクジラが眩い光を放っている……。

サナ『あいたた……息できてるってことはマトイちゃんも大丈夫だったかな』

マトイ『ヒレアちゃん、ありがとね』

ヒレア『間に合ってよかった。……でも今のは本気じゃない』

ルルエン『ええ。背中がかゆかったようです』

トール『攻撃されたんじゃなかったんですか!?』

エルミス『……下僕の一人、フィナに聞いたことがあるの』

エルミス『あの姿……海の王者に違いないわ!』


カイオウクジラ。

電気腺を身体の左右に輝かせる、美しく巨大な海の王者。

電気に強い生物が集まり複数のモンスターからなる群れを形成している。温厚な性格で食べるのはプランクトンと精霊のみ。

だが、危険を感じた時と身体がかゆい時には放電を行い、群れ以外のあらゆる生物を死滅させてしまう恐ろしさも併せ持つ。


トール『そんな、人間がかかわっていい存在ではないのでは……』

エルミス『水族館にいたらしいわよ』

トール『強いのか弱いのか一気に分からなくなりましたよ!?』

サナ『ああ、それは水槽の中に誘導してから入口を塞ぐって聞いたことあるよ。もちろん電気対策は必須だけど』

トール『人間が勝てる相手ではないってことは変わらないと……』


1.霧で防御しながら刺激しないようゆっくり歩く
2.人魚の実を食べて泳いで行こう
3.噴射魔法で一気に通り過ぎる

↓ 3つのうち1つは戦闘回避

トール『ここで早速人魚の実の出番です』

エルミス『まあ泳いで通るのが無難よね。下手に魔法を使うと怖がらせちゃうわ』

サナ『さっきの試食で1個足りないけど私どうしようかな』

マトイ『マトイの分食べて。マトイが一番軽いから運びやすいもん』

サナ『よし、人魚のお姉さんが抱っこしてあげよう』

トールたちは人魚の実を1個ずつ食べた。

ちなみに口の周りだけは空気があるので食べるのに不自由はほぼない。ちょっと実がしょっぱいくらいだ。

トール『意識しなくても泳げますけど、なんだか変な感じですね……』

ヒレア『…………私っていま何者なの?』

キュベレ『世界でオンリーワンの何かであることは間違いないわよね』

マトイ『キマイラ!』

サナ『その手があったか!』

マトイ『訳のわからない生き物は大体キマイラと呼んでおけばごまかせるよっ』

エルミス『みんな、なんか大きめのが追いかけてきてるわ!』

マトイ『イルカさんだー、一緒に泳ぎたいのかな?』

ルルエン『……どうやら、イルカと人魚は大層仲が悪いようですよ』


エレクトルフィン。

群れを成すイルカ風のモンスター。

電気に耐性があるばかりか電気を受けるとそれをエネルギーに変換して再利用する能力を持つ。

頭が良く人懐こい性格だが野生では必ずしもそうではない。嵐の海でも活動できる程の肺活量と筋力で外敵を迎え撃つ。


イルカ「クエーッ!」

イルカ「クエクエッ」

エルミス『痛っ! やめなさいよ!』

10匹のイルカの群れはトールたちに並んで泳ぎ、体当たりや噛みつき、ヒレでのビンタを繰り返している。

それもじゃれているレベルではなく、首や顔を狙っての攻撃にイルカの本気が垣間見える。

キュベレ『きゃあっ! 危ないわね!』

イルカのうちの一匹が放った泡のリングがキュベレのそばで爆発を起こす。

ヒレア『どうするの? 今は自由に動けるから万が一にも負けることはないけど……』

トール(このまま攻撃を受け続けて体力を消耗するのも考え物ですが……)


>>613は3で回避でした、要はイルカに興味を持たれるかどうかがポイント

1.蹴散らしてから進む
2.イルカが諦めるまで耐える
3.私たちは人魚ではない、とルルエンに伝えてもらう

トール『……反撃はしないでください! できるだけ避けて!』

エルミス『余裕で狩れそうよ!?』

トール『イルカだけならそうでしょう。でも、上には……』

見上げると、カイオウクジラの腹が屋根のように視界を覆っていた。

キュベレ『海の王様……ね。仲間がやられたらただじゃ済まないのかもね』

サナ『いや理不尽だけどね!』

ルルエン『人魚の島は排他的でした。イルカと人魚の間には不可侵の決まりがあるのかもしれません』

ヒレア『近づいただけで怒るのも無理ないわ』


※コンマ分ダメージ、開運の効果でダメージが-10されます
※体力が100以上あるヒレア・サナとサナの保護下にあるマトイは無事です

※トールにこのレスのコンマ-10のダメージ(55以上で倒れる)

↓1 コンマ-10、エルミスにダメージ(60以上で倒れる)
↓2 コンマ-10、キュベレにダメージ(90以上で倒れる)
↓3 コンマ-10、ルルエンにダメージ(40以上で倒れる)

開運込みで逃げ切ったルルエンさんすごい

トール -35/45 エルミス -14/50 キュベレ 16/80 ルルエン9/30


トール(右後方に2匹……!)

トールは気配を探って攻撃を避けつつ、水流操作と渦潮でイルカを傷つけない範囲で行動を妨害した。

トール(くっ、ほとんど止められてません……! でも、攻撃を行うわけには……!)

突如、イルカの気配が消えた。

トール『あれ、イルカはどこに? うわっ!』

イルカ「クエー!」

いなくなったと思っていたイルカの体当たりを受け、トールは自分の思い違いに気付く。

トール(しまった! 魔法の使い過ぎで……!)

エルミス『……もうっ、一匹くらいいいでしょ!』

トール『駄目ですエルミスさん! うッ……!』ボコボコボコボコ

背負っていた鎌を手に取ったエルミスに気を取られてしまったトールが、爆発する泡のリングの集中砲火を受けた。

エルミス『トールっ! きゃっ、噛まないで! 痛いい! 血がぁ!』

トールを助けようと止まったエルミスをイルカたちが取り囲む。

イルカたちは遅れてしまった2人にターゲットを絞ったようだ。

キュベレ『まったくもうっ!』パァァ

イルカ「……キュゥ?」

怒りや殺意を削ぐ沈静化の光を放ちつつ、イルカの大群に割って入ったのはキュベレだ。

そのまま左右の腕で騒ぐエルミスと力なく漂うトールの2人をそれぞれ抱え、包囲網を抜け出した。

キュベレ『打たれ弱いわねぇ、お父上に似なかったの?』

エルミス『あなたこそ父譲りの馬鹿力をまったく使わないくせに!』

キュベレ『たった今全力で使ってるじゃないのっ!』

背後に向けて目くらましと沈静化の光を交互に放ちつつ、キュベレは全速力でイルカの群れを振り切った。

「フォォォォォォォォォォン……!!」

後方からカイオウクジラの声が聞こえてくる。

ヒレア『あ、キマイラから吸血鬼に戻った』

サナ『もう追ってこないみたいね……はー、疲れた』

マトイ『イルカさんってあんなに凶暴なところもあるんだね』

サナ『人間だって、怒ったり裏の顔があったりするでしょ』

マトイ『そっかー、そうだね』

ルルエン『……走るのは……久しぶりでした……』

ヒレア『たしかに、泳ぐよりも走る感覚に近かったかも』

サナ『いま治療するよ。ルルエンさん、あまり体力無さそうだけどよく逃げ切れたね?』

ルルエン『ふふっ、わたくしは運が良かっただけのことですよ』

キュベレ『代わりにアタシたちは不幸だったのよ……』

マトイ『おかえり! わっ、ボロボロ』

キュベレ『アタシはいいから2人を治してちょうだいな。トールくん溺れてない? 大丈夫?』

サナ『状態はひどいけど水は飲んでないね。エルミスちゃんの方はあまり大きな怪我じゃないけど……』

キュベレ『ほらね、痛がりすぎなのよ』

エルミス『痛いものは痛いのよ!』

キュベレ『まあ痛みを知らずに育ったからねぇ』

サナ『それだけじゃない。心理的ダメージが大きいのは怪我に対する恐れが強いから。あまり意識してないかもだけど』

エルミス『知った風な口聞かないでくれるかしら!』

サナ『私は専門家だよ。大方、小さな擦り傷を作っただけでも叱られてたとかじゃないかな?』

キュベレ『いいえ、この子のお父様は心配するあまり擦り傷の原因を徹底的に排除しようとするわ』

エルミス『……古傷が残るのが嫌なの。父上の身体はよく見ると傷跡だらけだもの……』

サナ『理由は違ったかぁ。たぶん昔のポーションだね。私ならむしろ怪我する前よりも綺麗に治せるから、傷つくことを恐れずにぶつかってみなよ』

サナ『っと、喋ってる間にトールくんの処置終わったよ』

トール『うっ…………サナさん。ありがとうございます』

ヒレア『トール、おはよう。今後に影響なければいいけれど……』

サナ『トールくん、いますごく身体が怠いでしょ?』

トール『は、はい……そうです』

サナ『君はすでに体力も精神力も限界を越えてるね。ポーションで無理矢理に持たせてるだけ』

トール『……ご明察です。でも、たとえ限界を迎えても動き続けなければいけないことは分かってましたから』

エルミス『水魔術も完璧じゃないってこと?』

サナ『理屈の上ではポーションで回復すればいつまでも動けるけど、傷ついた記憶と疲れた記憶が残っているからそこに違和感を覚えるのかな? 結果やる気が無くなる』

マトイ『子供のうちからポーション漬けにすればいつまでも戦えるんじゃないかなっ?』

サナ『そうかもね……でもそんな実験はゴメンだけどね』

マトイ(どうしてやらないんだろう? いいアイデア貰ったし帰ったら先生に報告しなきゃ!)


サナ『さて、これで全員の治療は終わったけど、トールくんとエルミスちゃんは無理しないようにね?』

トール『最初から無理は承知です……!』

エルミス『さっきは思い切りぶつかれって言ったじゃない?』

サナ『でも2人とも私いなかったら死んでるからね?』

トール『そんな……!?』

エルミス『うそっ! 怪我は大したことなかったんでしょ!?』

サナ『思い込みでも体力は減る。体力が底をつけば自力ではどうすることもできない。放置すれば、死ぬだけだよ』

サナ『本当なら安静にしていないといけない状態ってのは理解してね』

エルミス『分かったわ……』


※ちなみに迎え撃てばイルカには勝てました、ただし群れの一員が傷つく姿を見た心優しいカイオウクジラが…

激流…ここで海神とバトル 暗闇…因縁のミリタリーオクトパス でした
正面から戦ったとしてもクジラが一番楽でした


クジラの声が聞こえなくなって数十分後。

エルミス『ねえ、まだなの? そろそろ足が痛いのだけど』

キュベレ『まだ始まってないでしょ。ほら、ポーション飲んでシャキッとしなさいな』

サナ『若干。本当に若干だけど、上り坂になってない?』

マトイ『うん。少しずつ浅くなってきたよ』

トール『……ちょっと探知の範囲を広げてみますね。……あっ!』

トール『上です! 僕たちの上に人の気配があります!』

ヒレア『どういうこと? ラヌーンって浮いてるの? それとも私たち、地下水の中?』

エルミス『ほほほ! ヒレアは、ばかね! 地下水は土の隙間を流れているのよ!』

エルミス『真上に人がいるということは、つまり船があるということ!』

トール『こんなところにある船なんて、ラヌーンのもの以外にありえません』

トール『この先に島があるとしたら、ラヌーンである可能性は高いです』

トール『少なくとも人間の住む島であることは確実かと……』

ルルエン『この先に進むと吉とでました。ふふっ、トールくんの読みに賛成しますよ』

エルミス『人がいるなら話を聞けるわね……上陸よ!』

しばらく歩くと、次第にはっきりとした上り坂になった。

トール(間違いない……この雰囲気、ラヌーンに違いありません!)

サナ『なんだか表層に行くにつれて流れが早くなってない?』

キュベレ『海の底で浴びる水流ってなんだか強風みたいね~』

ルルエン『マトイさん、水流をどうにかできませんか?』

マトイ『流体は専門じゃないんだよ』

エルミス『トール、どうやって上陸するのよ。浅い所はすごく流れが速いんでしょ』

トール『……考えていませんでした』

ヒレア『トール……あなたって……』

サナ『普通に噴射で一気に上って行くんじゃダメ?』

トール『着地は僕のエアバッグで衝撃を和らげればいいですね』

エルミス『それってラヌーンの人たちに目立ちまくってるじゃない!』

キュベレ『でもそれ以外に方法が無いのも事実よ』

マトイ『じゃあみんな、集まってまるくなって』

トール『僕は目を開けてないといけませんね……』

マトイ『息はとめておいてね。3つ数えたら飛ぶよ。3、2、1……』

追い風魔法を受けた高速移動とほとんど速さは変わらないが、重力魔法ほか諸々が働かなくなったため、一行は激しい水の抵抗を受けた。

トール(駄目だ、とても目なんて開けません!)

閉じた瞼の外が次第に明るくなり、そして、トールは久しぶりの海の外へと飛び出した。

風を全身で感じ、息をいっぱいに吸い込む。

トール「うっ、塩水が目に…………見えた、今だ!」

空気の見えざるマットが全員の身体を受け止め、そして弾く。

空中でバラバラになった一行は、それぞれに乾いた陸上を転がった。


上陸したのは

123 ラヌーン本島
4567 別の有人島
890 モンスターの島

↓コンマ一桁

※ラヌーン本島周辺には、ラヌーン国に支配された島々があります

※それぞれの島には異なる特徴を持った小国が存在します(フルフィリア共和国とサウソーシャ騎士団領のような関係)


上陸したのは安価の国です

例:恐怖の国、聖教国、言葉のいらない国など

↓1、2 上陸したのは何の国(島)? 使いやすい方を採用、両方良さそうなら混ざる

北の島の浜辺。

トール「いたた……みなさん、無事ですか?」

マトイ「んー、スリル満点! もっかいやろ?」

エルミス「お洋服が汚れちゃったわ……」

キュベレ「海水に浸かってた時点でその服はもうダメよ」

ルルエン「どうやら荷物もすべて無事だったようです」

サナ「ポーションよりも実はポーションの容器を作ってる人の方がすごいと思うんだよね」

ヒレア「浜辺ってもっと暖かいものじゃないの……?」

トール「よし、みなさん揃ってますね。とりあえず服を乾かしましょう」

トールの風とキュベレの熱を組み合わせて服や荷物を乾かした(マトイの熱風は加減が利かなかったのでやめた)。

なおヒレアは一旦全身を霧にしてすぐに実体化すると、それだけで乾いた。

エルミス「で、ここがラヌーンなわけ?」

トール「とりあえず人を探しましょう。できるだけ見つからないように」

浜辺沿いの防風林を進むと、すぐに家屋が見えた。

そこでトールたちが見たのは、村を歩く馬たちの姿だった。

ヒレア「この村、馬に占領されてるのかしら?」

トール「人の気配はしませんね……」

キュベレ「アタシ、馬って結構好きなのよね。筋肉質で格好いいじゃない。やっぱりお相手するなら馬のような男性がいいわね」

サナ「いらなくなった村を放牧地にしてるんだろうね。牧人に見つからないよう気を付けながら進もう」

トールたちは馬の群れを気にせず村へと入って行った。

すると、馬たちは皆揃ってトールたちに注目した。

不思議なことに、すべての馬が脚を止め、まるで見下すような奇異の視線を向けてきているのだ。

マトイ「なんだかお馬さん、お馬さんっぽくないね」

キュベレ「なあに、この馬たちぃ。何か文句あるの?」

馬「ヤフー」

トール「……へ?」

馬たち「「「「ヤフー」」」」

トール(馬が……いななくのではなく、喋った?)

トール(……挨拶でしょうか。そのまま返してみましょう)

トール「ヤフー!」

元気よく、友好的な笑顔を心掛けた挨拶に、馬たちは首を横に振ってこたえた。

一頭の馬が、蹄で自身の顔を指さし別の言葉を話す。

馬「フウイヌム」

トール「フウイヌム?」

馬「フウイヌム」

思わずオウム返しをしたトールに、その馬はどこか満足げな表情を見せた。

サナ「何やってるのトールくん」

トール「いや、意思疎通を試みようと」

サナ「ルルエンさんいるのに?」

トール「あっ……」

ルルエン「ふふっ、お任せを」

ルルエン「話は終わりました」

トール「どうでしたか? ここはラヌーンなんでしょうか?」

エルミス「馬にそんなこと分かるわけないでしょ?」

ルルエン「いえ、彼らは高い知性を有しているようです」

ルルエン「端的に申し上げると、この島はラヌーンではありません。ここは馬の国」

トール「馬の国?」

ルルエン「馬の国ではフウイヌムという名の馬が文明を築いています。そして人間は、ヤフーと呼ばれる野蛮なモンスターとして存在しているようです」

トール「人間が……モンスターなんですか!?」

サナ「ということは、さっきの私たちは……」

ルルエン「町中に現れたモンスターの群れですね」

キュベレ「危うく討伐されるところだったのねぇ!?」

ルルエン「その心配はありません。彼らは争いを好まない生き物であるらしいので」

キュベレ「じゃあ、その、ヤフーが現れた時はどうしてるのよ?」

ルルエン「捕まえて野に放します」

トール「でも、話は聞いてくれたんですね……」

ルルエン「比較的理性的なヤフーである、とおっしゃっていました」

サナ「妖精とかオークぐらいの扱いかな。あいつらもたまに賢いのがいるんだよ」


トール「ラヌーンについては何か聞けましたか?」

ルルエン「はい。ここの近隣の島だそうです。『ヤフーの分際で我らを支配しているつもりになっている。無害ではあるが具合が悪い』とのことでした」

マトイ「ラヌーンの人も、ただの馬だと思ってそうだもんね」

ルルエン「当時のフウイヌムが『支配した気分にさせておけば良い。理性あるフウイヌムは我慢のできる種族だ』と表面上は無条件降伏に応じたのです」

トール「ラヌーンへ行く方法は分かりませんか?」

ルルエン「抜かりありません。この島の西にラヌーンの作った建物があります。先ほどお話したフウイヌムの方が案内して下さるそうです」

ルルエン「『あそこはヤフーのたまり場だが、同じヤフーならば問題ないだろう』と」

エルミス「一々癇に障るわね……」

馬の国、西の林。

一頭のフウイヌムの先導で、トールたちは村の外を歩いていた。

見慣れない野生動物を見かけるが、どれも大人しく、襲ってくるものはいなかった。

トール「こんなに楽な気持ちで林を歩くのは初めてかもしれません……」

キュベレ「フルフィリアは町の中の畑でさえモンスターが襲ってくるものねぇ」

マトイ「お散歩お散歩♪」

馬「……ヤフー」

トール「あ……『うるさいぞ人間』とかでしょうか」

ルルエン「違います」

フウイヌムは前足の先で一本の木を示していた。

サナ「あっ、あれ見て!」

人「シー、シー」

木の幹の後ろから、全裸の人間が現れた。


ヤフー。

馬の国に生息する唯一の好戦的なモンスター。常に全身が糞尿にまみれていて汚らしい醜悪な害獣。

理性や思いやりを持たず、争いや悪行を好むが、性格に反して非常に弱いため簡単に生け捕りにできる。


サナ「なんか……もっと筋肉質で、ごつい棍棒とか持ってるのを想像してたけど……」

キュベレ「身体もひょろいし、持ってる木の枝もしょぼいわね……」

トール「……いつの間にか2人増えてますよ」

ヒレア「どうするの?」


1.ラヌーンに乗り込む前にウォーミングアップでもしましょうか
2.適当に石でも投げつければ逃げるのでは
3.フウイヌムに頼んで追い払ってもらいましょう
4.自由安価

トール「ラヌーンに乗り込む前にウォーミングアップでもしましょうか」

エルミス「わたしにやらせなさい」

トール「えっ、大丈夫、なんですか?」

エルミス「侮らないで! 見てなさい、わたしが天才であることを証明してあげるわ!」

トール「いえ、その、魔法で倒さないと鎌が汚れちゃうんじゃないかと……聞いてないですね」

エルミス「かかってきなさい人間モドキ!」

人「ギギー!」

人「ワァーッ!!」

エルミス「鎌が汚れちゃうのはイヤね。それっ!」

トール「あ、聞いてたんですね、ってなんで投げてるんですか!?」

エルミスは大鎌を頭上へ放り投げた。

大鎌が回転しながら上っていく軌跡……残像がそのまま消えずに残っている。

エルミス「逃げ場は与えないわ! ジェノサイズ!」

掛け声と同時に残像が一斉に散らばり回転しながら前方へ飛んでいく。

残像は枝を刈り、地に刺さり、そしてヤフーたちを切り刻む。

エルミスが落下してきた大鎌をタイミングよく片手でキャッチすると、残像は消えうせた。

トール「…………なんですか今の!?」

破壊の爪痕だけが残るエリアの中央でヤフーたちは息絶えている。

トール「……いまの、魔術ですよね!?」

エルミス「いいえ、技術よ!」

トール(海の中での醜態でもっと弱いと思い込んでました……)

エルミス「何か言ったかしら?」

トール「ちょっとその鎌貸してください……! きっとトリックが……重っ」

トール(エルミスさん、これ片手で放り投げてましたよね……? どこにそんなパワーが……!?)

エルミス「ほら、普通の大きい鎌だったでしょう。わたしのすごさ、思い知ったかしら?」

トール「思い知りました……魔法よりも不思議ですよ」

馬「―――――、―――」

ルルエン「……そうですか」

ヒレア「なんて?」

ルルエン「殺める必要は無かったはずだ。なんと野蛮な、お前たちも所詮はヤフーなのだな。と」

ヒレア「……彼らから見れば、人間もヤフーと一緒なのかもね」

馬の島の港。

トール「木造の建物がありますね。遠くからですけど、たぶん扉も人間サイズです」

マトイ「でも、ヤフーいっぱいだね?」

サナ「林の中よりも住みやすいからね。おー、喧嘩してる。家の取り合いくさいよ」

ヒレア「ちょっと待ってて」

黒い霧になったヒレアがヤフーの集団を抱きかかえるように包み込んだ。

霧が凝縮し少女の姿に戻ると、ヤフーたちは動かなくなっていた。

ヒレア「行きましょ」

馬「―――、―――――」

ルルエン「何をしたのか」

ヒレア「眠らせただけと伝えてちょうだい。……それと、どうせラヌーンが定期的に殺してるってこともね」


キュベレ「この港、船着き場が無いわよ?」

サナ「マトイちゃん、ラヌーンの船どんなだった?」

マトイ「フルフィリアとおんなじだったよ」

ルルエン「船は、浜に乗り上げているらしいですね」

キュベレ「なんて乱暴な……。じゃあ、船は無いのね?」

サナ「イカダで渡れるような海流じゃなさそう。ラヌーン周辺まで行けば穏やかかと思ったけどそんなことなかった」

マトイ「船が来たら荷物でかくれんぼする? よくある密航の仕方だよ!」

ルルエン「……亜馬の城」

トール「アバ?」

ルルエン「島の東に、禁忌に手を出しフウイヌムでなくなってしまった変わり者たちが住んでいるそうです」

ルルエン「海を渡る手段を持っているかもしれない、と」

トール「亜馬ってフウイヌム版の亜人ですか……」

ヒレア「魔人さんみたいな馬かしら? ……頼みごとを聞いてくれるか不安ね」

エルミス「面倒だしもう一度海に潜りましょ! 今度こそラヌーンよ、きっと!」


1.亜馬に頼みに行く
2.ラヌーンの船を待ち密航する
3.もう一度海底を歩く

島の東端には大穴が開いていた。

その中にフルフィリアの様式に似た城が建っている。

ルルエン「ここから先はわたくしたちだけで行くように言われました」

トール「フウイヌムさん、ここまでありがとうございました」

エルミス「さっ、早く亜馬とやらに会いに行きましょ!」

ヒレア「……なんだろう、すごい魔力」

トール「同感です……。魔法局のように、いろんな精霊で満ちていますね……」


坂道を下り、城の中へ入る。

馬が住む城であるため、普通の城よりも一回り大きく、その威圧感は魔術師でないエルミスにもひしひしと感じられた。

廊下と思われる広い通路を進むと、前に2本と左右に1本ずつ通路が延びる大きな部屋に出た。

サナ「亜馬いないねえ」

ヒレア「こういうのは一番奥にいるものよ。……どの道かな」

トール「……来ます! これは……前と後ろと……全方向から!?」

5頭の亜馬の駆ける音が他の面々にも聞こえてくる。

そして現れた亜馬たちの姿を見たトールは腰を抜かし、思わず叫んでしまった。

トール「モ ン ス タ ー ハ ウ ス だ !」


ケンタウロス。

人間の上半身と馬の下半身を持つとされる伝説の幻獣。

人間の英雄に並ぶ武力を持つと言われ、発見者がいないのは出会った人間が例外なく決闘に負けて死亡しているからだという噂がある。


ユニコーン。

伝説上のモンスターの一種で、頭に堅牢にして鋭い立派なツノを持った剛毛の馬。

獰猛かつ勇敢な性格で目についた生き物を片端からツノで刺し殺す。


ペガサス。

神話に登場する生き物。純白の羽根を生やした美しい馬の姿をしている。

神話では、天使に等しい力を持ち、一度は神に背き悪魔と化すも後に本当に天使になったと伝えられている。


ケルピー。

見た目は普通の馬だが水や大地を操る能力を持ち、人間を好んで食べる。フルフィリアでは狼人間・吸血鬼と並び三大怪物と恐れられている。

「夜更かしすると吸血鬼に襲われるよ!」「森に入ると狼人間に~」「川に近づきすぎるとケルピーに~」などと言って子供をしつけるために使われる。


スレイプニル。

8本の脚を持つ幻の名馬。世界一の俊足で知られ、水上や空中であっても走ることができる。馬に乗る人々にとっては憧れの存在。

スレイプニルの母親は悪魔であるため聖教会が悪い噂を流しているが、あまり嫌われていない珍しい例。

キュベレ「キャーッ!?」

エルミス「こここここわわわくななななんかぐッ……か、噛んだぁ……」

マトイ「わぁ、夢みたい!」

サナ「もう下手な伝説上のモンスターじゃ驚かない自信があったけど、これは……」

ルルエン「おや、わたくしが読まれるとは」

ヒレア「ドラゴンと比べたら、別に……」

トール「2人はずいぶん落ち着いてますね……?」

ヒレア「襲って来ないもん」

ルルエン「半人半馬の彼、わたくしと同じく『言葉がいらない』者のようで」

ルルエン「そして大陸を訪れたこともあるようなんです」

ケンタウロス「君たちの言葉は知っている。話をしようではないか」

エルミス「話せるの!?」

ケンタウロス「立ち話になるが申し訳ない。我らにも島のヤフーにも椅子に座る習慣が無いのだ」

ケンタウロス「君たちの代表は誰だ?」

トール「は、はい! 僕です!」

ケンタウロス「なるほど……急ぎの用なのだな」

トール「……僕たちは大陸にあるフルフィリア共和国から、海賊にさらわれた皆さんを助けるために、海底を歩いてラヌーンを目指しました」

トール「でも、ここまで来てラヌーンではなく、この馬の島に上陸してしまったんです」

トール「僕たちにはラヌーンに確実に上陸する手段がありません。そんな時、親切なフウイヌムにこの城を教えていただきました」

トール「貴方がたならば力になってくれるだろうと……」

ケンタウロス「君が助けたいのはさらわれた人たちではなく一人の少女だろう」

トール「……そうです。ごめんなさい、僕がここまでして助けに来たのはあくまで個人的な理由です」

トール「それでも、さらわれた人を助けたい、ラヌーンの海賊が許せない、この気持ちも嘘じゃありません」

ケンタウロス「……正直者には幸運を」

ケンタウロス「よろしい。私の知恵を君に貸そう」


※交渉力90のトールくんとルルエンさんの開運(コンマ+10)の効果で、ちゃんと話を聞いてくれる相手への交渉は確実に成功します

トール「ありがとうございます……!」

ケンタウロス「だが、私の決定だけではいけないんだ」

ケンタウロス「スレイプニルは私に従うそうだが、他の3頭にも納得してもらわなければならん」

ケンタウロス「念話で仲介しよう。彼らは今の話だけでは納得していないと言っている」

ルルエン『トールさん、聞こえていますね。ケンタウロスさんは上半身がヤフーと化した結果、人間にも平等に接することができるようになりましたが……』

ルルエン『彼らも元はフウイヌム。ヤフーを見下す気持ちは変わっていません』

ルルエン『彼らがトールさんの話を聞いた感想を伝えます』

スレイプニル(ケンタウロス殿ほど崇高な精神を持ってはいないようだが、彼の決定ならば仕方がない)

ケルピー(素人魔術師め。我々が手を貸しても、お前ごときには何も果たせない!)

ペガサス(彼の動機は正義ではなく性欲です。そんな男に優しくする必要はありません)

ユニコーン(汚らわしいヤフーは視界に入れたくもない。ケンタウロス、なぜ突き殺しては駄目なんだ?)


誰が交渉しますか?
1.引き続きトール
2.エルミス
3.キュベレ
4.ヒレア

トール(僕の言葉は届かなかった……誰か別の人に頼むべきかも)

エルミス(←交渉力10)「角と羽根と緑の馬を説得すればいいのね? わたしに任せておきなさい!」

トール「あっ、ちょっと」

エルミス(←交渉力10)「聞きなさい! わたしはいずれこの世を総べる人間の王者の卵、エイラ・ブラッドレイ様よっ!」

エルミス(←交渉力10)「そんなわたしの夢を果たすために必要な手駒、下僕の一人がラヌーンにさらわれたの!」

エルミス(←交渉力10)「これは由々しき事態よ! ラヌーンは制裁しなければならないわ!」

エルミス(←交渉力10)「でもわたしはまだ卵……海の上なんて走れないわ……」

エルミス(←交渉力10)「だから、あなたたちをわたしの馬にしてあげる! さあ、馬は馬らしくきびきび働きなさいっ!」

トール(口に出さなくても伝わるんですけど……口に出してるおかげで良く分かります)

トール(交渉失敗だ……!)


フォローする人を選んでください

1.トール
2.キュベレ
3.サナ
4.マトイ

トール(な、なんとかフォローしないと……! ええと…………)

ケンタウロス「娘。口を慎みなさい。私がなだめていなければユニコーンは君を殺めていたところだ」

マトイ「ちょっといーい?」

ケンタウロス「なんだね?」

マトイ「エルちゃんは自分をお姫さまだと思ってる変わった子だから気を悪くしないでね?」

エルミス「なんですって! わたしの夢は姫じゃなく女王よ!」

トール(よかった、マトイちゃんがフォローを……。でも念話だからわざわざ言わなくてもいいのに……)

マトイ「それに、世界征服するなんて言ってるけど所詮フルフィリア人だもん。できっこないよ」

トール(どうしてそこで余計な一言を!)

マトイ「そうだ! ユニコーンって清らかな乙女に弱いんだよね。マトイやエルちゃんは乙女だよ!」

トール(自分で言っちゃったら、なんかこう、駄目でしょう!?)

マトイ「あっ、ルルさんから聞いたけど、素人魔術師って思ったのは謝って。トールくんは弱いけどマトイは強いんだよ?」

マトイ「信じられないなら試してみる?」

トール(最終的に挑発した!?)


慌てて止めに入ったのは

1.ヒレア
2.キュベレ
3.サナ

ヒレア「いい加減にして!」

ヒレア「私たちは何をしに来たの? それが人に物を頼む態度なの?」

マトイ「人じゃなくてお馬さん」

ヒレア「黙ってて。私がきちんと謝罪するから」

エルミス「馬に謝る必要なんて」

ヒレア「黙りなさい」スッ

ヒレアの手のひらが自分の口元に向けられたのを見て、さすがのエルミスも口をつぐんだ。

ヒレアは一歩進み出ると立ち止まり、中央にいた鼻息荒いユニコーンと目を合わせる。

ヒレア「……………………」

馬たち「……………………」

ヒレア「……………………」

馬たち「……………………」

1分後。

ケンタウロス「皆納得したようだ。我らは君たちに協力すると約束しよう」

トール「……ありがとうございます!」

ケンタウロス「うむ。そちらの娘に感謝しなさい」

トール「ヒレアさん、ありがとうございました。もうダメかと……。何を話したんですか?」

ヒレア「……別に。私にとってお姉ちゃんがどれだけ大事かを話しただけよ」

ヒレア「あと、エルミスとマトイを恨まないであげて。きっとそういう育ちなの。恨むなら連れてきた自分を恨むといいと思うわ」

トール「そうですね……。でも、2人とも必要ですよ」

トール(それにしてもあんなにあっさりと……。ヒレアさんは交渉の天才なんでしょうか……)

ルルエン『気を落とさないで下さい。今回はヒレアさんが適任だったんです』

ルルエン『彼女は念話の特性とフウイヌムの知能の高さを理解し、自分が何者でさらわれたソフィアさんとどのような関係であるかを高速で回想しました』

トール『言葉では数分かかる内容を短時間で伝えたんですね……』

ルルエン『吸血鬼についての話を聞き、亜馬たちも自らの出自を語りました。亜馬とは、魔術に手を出したフウイヌムの成れの果てなのです』

ルルエン『魔術を使うモンスターの中には、扱う属性の違いによって姿が大きく異なる種類がありますが、フウイヌムもそうだったのでしょう』

ルルエン『人間でも例えば風魔術師なら物音に敏感になり、火魔術師は攻撃的に、日魔術師は優しく、月魔術師は魅力的になる傾向があります』

トール『それは初耳ですよ!? 言われてみればすごく納得できますけど……』

ルルエン『亜馬たちは似た境遇のヒレアさんに共感したようです。特に同じように暴走した過去があるペガサスさんはその話で心を許しました』

ルルエン『そして、ユニコーンが清らかな乙女に弱いという話は事実であったようです』

トール『そんなまさか……』

ルルエン『憎しみの感情を失ったヒレアさんは彼好みだったようで。また、ヒレアさんを助けたソフィアさんの方にも興味を示しています』

トール『……ひどい色欲馬じゃないですか!』

ルルエン『いいえ。彼はヤフーの姿は総じて汚いと思っているので、内面に惚れこんだのです』

スレイプニル(水と月の精霊量が増大している……。毎年この時期にはありふれた現象であるが、先の話と照らし合わせると誘拐と関連していると見るべきか)

ケンタウロス「……話は終わりだ。おそらく、時間は無い」

トール「どういう……」

ケンタウロス「ラヌーンの民が何らかの魔術を行使している。君たちの友人と無関係ではないだろう」

ヒレア「急ぎましょう! 亜馬のみんな、お願い!」

ケルピー『2人までは乗せられる! 我は海を泳ぐ!』

ペガサス『私は空から』

スレイプニル『我は水面を駆けよう』

ヒレア『ユニコーンは?』

ユニコーン『俺は陸上しか駆けられない。ヒレア、だったか。頼めるか?』

ヒレア『わかった』

ヒレアはユニコーンにまたがると、胴体にしがみつき、背中から羽根を大きく広げた。

ヒレア「みんな! 2人ずつ分かれて乗って! サナはケルピーでお願い!」

サナ「海の中だね? よしキュベレさん私の回復頼んだ!」

マトイ「マトイ、ペガサスがいい!」

エルミス「英雄のわたしにふさわしいのはスレイプニルよね!」

トール「もうそれでいいですから急いでください!」

ヒレア『ケンタウロスはどうするの?』

ケンタウロス『私はケルピーの描く魔法陣を使って後から合流する。さあ……』

ケンタウロスの撃った矢の軌跡に沿って、風が止み、海が凪ぐ。

ケンタウロス『……いま、ラヌーンへの道は開かれた! 勇敢なるヤフーたちよ、出発だ!』

4頭の異形の馬が城を飛び出し、林を駆け、あっという間に海岸のヤフーの群れの頭上を飛び越えた。

ケルピーはサナとキュベレを乗せ、ペガサスはマトイとトールを乗せ、スレイプニルはエルミスとルルエンを乗せて駆け、そしてヒレアはユニコーンを抱えて飛んだ。

そして、一行はついにラヌーンへ辿りつく。

夜が明けた。

瞼を開くと、牢獄の天井だった。

ソピア(夢じゃ……ない……)

ソピア(私は今日のお昼に……ううっ……)

チョーク(……どうしたのー? 大丈夫?)

ソピア(チョーク……。もう、大丈夫じゃないかも……)

ソピア(ヒレアちゃんもいない。マリンもいない。トールくんもいない)

ソピア(逃げる方法なんて、ない)

チョーク(元気出してー)

ソピア(チョーク、あなたに何ができるの?)

チョーク(お絵かきー?)

ソピア(…………)


37日目朝 現在地:ラヌーン国首都マリネイジ・カナン
1.誰かに会わせてもらう(ハルカ、ラファ、ポロ、海子、カズ 選択)
2.気晴らしに訓練
3.流石に助けてよ魔人先生!
4.自由安価

ソピア「…………訓練でもしようかな」

ソピア「ってどうして私はそんなこと……。今さら何か覚えたってどうせ海神の力で忘れ去るだけなのに」

チョーク(まだ余裕があるんじゃないかなー?)

ソピア「余裕なんてないよ。逆に、もう心が壊れちゃったのかも……」

ソピア「私はいつもの日々に帰りたいんだ」

ソピア「……どうしてお屋敷暮らしじゃなくて宿屋暮らしの方を懐かしんでるんだろう、私」


訓練する種類を選択してください

1.旅人スキル
2.月魔術
3.日魔術
4.樹魔術
5.その他魔術

↓ (月の石や魔人先生の補正は受けられません)

ソピア「いつも通りに月魔術」

ソピア「時間は思ったよりはたっぷりあるね」


『月魔術師スキル』
光線魔法:空 0/150 月光を凝縮して頭上からビームを落とす
月照明魔法 0/100 周囲の暗闇を月の光で照らす
精神毒魔法 28/120 精神を汚染する、治療しない限り心を蝕み続ける
精神ドレイン魔法 0/150 相手の精神力を吸い取る光の球を撃つ
操り魔法 0/250 光を当てた相手を一定時間意のままに操れる、細かく指示を出せる
注目魔法 0/150 妖しい光を当てた対象に周囲の目が集まるようにする
狂気魔法 0/120 月の光で狂気に陥った者は暴走する
変装魔法 0/250 自分を全く違う姿に見せる
透明魔法 152/200 自分の姿をほぼ完全に消す、物に触れた部分のみ影ができる
鏡魔法 0/100 光を反射して対象自身の分身を見せる
聴覚妨害 0/120 光を当てた相手の耳が変になる
痛覚妨害 0/120 光を当てた相手は痛みを感じ辛くなる、自分にも使える
頭痛魔法 0/120 光の球を当てた相手に激しい頭痛を感じさせる
賢者の瞑想 0/150 瞑想がより上手くなる、訓練で精神が100まで上がりやすくなる
全体恐怖魔法 0/120 周囲の対象を深い闇で覆い恐怖に陥れる
夜闇魔法 0/120 闇を纏って身を隠す、昼間だと自分の周りだけ暗くなる、眩しくて眠れない時には便利
刃星 0/100 淵が刃になった薄い星形弾を回転させながら撃ち出す、斬れるフリスビー的な
流星群 0/120 星形弾を両手から連射する、腕がマシンガン
星屑 0/100 小さな大量の星形弾をばらまく、ショットガンまきびし
影打ち魔法 0/100 この魔法をかけた影を触ると本体にも感触が伝わる、遠くからこちょこちょしよう

↓1、2、3 訓練するスキル選択(月の石は他のアイテム同様手元に無いのでコンマ+20はありません)

あ、間違えたごめんなさい

コンマ100も出てるのでせっかくだから2つやりましょう

午前中まるまる時間がありますし、ソピアちゃんには余計な事を考えず無心になって取り組んでもらいます

↓安価下まで月魔術です

ゾロ目はコンマ2倍です



操り魔法 200/250

ソピア「人を操るコツが分かった! 練習相手がいればすぐにでもマスターできる!」

ソピア「なのに! 私がもうすぐ操られる運命! なんたる皮肉っ! いやああああああ」


精神毒魔法 110/120

ソピア「心を蝕む? 私が今蝕まれてる最中だよ!」


注目魔法 60/150

ラファ「うるさいのですよー!」

ハルカ「ソフィアさん、気を確かに!」

看守「―――! ――――――!?」

ソピア「チョークに術をかけたのに注目されてるのは私……」


ソピア「時計はないけど……窓から見える太陽はまだ低い」

ソピア「何しよう……」

『旅人スキル』
騎馬Ⅱ 0/150 馬を駆けるように走らせ、馬上で道具を扱える
ラクダ騎乗 0/110 足は遅いが乾燥に強いラクダを操る
ウシ騎乗 0/110 足は遅いが荷物運びと山道に強い牛を操る
初級通訳 0/80 フルフィリア周辺で最もメジャーな外国語をマスターする
商談 0/80 価格交渉が上手くなる
重荷運び 0/100 重い荷物が持ち運べるようになる
夜目 86/100 暗いところでもものが見える
荷造り 0/100 荷物をまとめるのが上手くなる
植物知識 0/100 草花に詳しくなる

↓1、2、3 訓練するスキル選択

カズ「ソフィア、起きているな」

ソピア「……ネクタイの人」

カズ「おめでとう。新しい海子に選ばれたらしいな。これから俺はあんたに仕えるわけだ」

ソピア「嫌です」

カズ「そう悲観するなって。海子はラヌーン人なら誰でもなりたがる仕事なんだよ」

ソピア「……だったら、ラヌーンの人にやってもらえばいいじゃないですか」

カズ「残念ながら、ラヌーン人は先祖代々どうにも魔術師の適性が無いらしくてな。ノーディス人との混血でもまったく魔術が使えなくなる」

カズ「かといって海神様に守っていただかなければ、俺たちの国は資源や食料が足りずにすぐに滅亡だ」

カズ「だから俺たち海賊は、毎年外国から魔術師の才能を持つ女子を連れてくる。海賊行為は悪事じゃない。政治なんだ」

ソピア「そんな国、滅んでしまえば!…………もういいです。ところであなたは外国語が達者ですね。フルフィリア語以外も話せるんですか?」

カズ「ノーディス人を連れてくることもあるからノーディス語は得意だな」

ソピア「ちょっと簡単なノーディス語で話してみてください」

カズ「別にいいけど、なんでだよ?」

ソピア「今の海子はフルフィリアの人ですよね? 私は彼女からフルフィリア語で海子についての説明を受けました」

ソピア「もし来年連れてきた人がノーディス人だったら私は説明してあげられないじゃないですか」

カズ「……驚いた。こんなに意識の高い海子は中々いないだろ」

カズ「いいぜ。まずは簡単な『~は~です』の文からやろうか」


初級通訳 10/80

ソピア「ノーディス語って難しい……」

カズ「いや、これは俺が教えるのが下手なだけだな。今度外国語の先生を連れてくるよ」

ソピア「意外と親切?」

カズ「まあ、こんな不便なとこに住んでるし。この国では頼みごとは断らず責任を持ってやり遂げるのが美徳なんだよ」

ソピア「では、ついでに馬術の本があったら持ってきてくれません?」

カズ「いいけど、ここ馬乗らないし……馬の島についての本でいいか」


騎馬Ⅱ 50/150

ソピア「ラヌーン語は分からないけど、図説によると、馬は優れた知性と高い道徳心を持っていて人間を見下している、と読み取れた」

ソピア「馬を尊重し、乗せてもらうことに感謝することが、馬術の上達への近道なんだね」


夜目 154/100

スキル『夜目』を習得しました

訓練『遠目 0/100 遠く離れたものをはっきりと見る』が追加されました
訓練『夜歩き 0/100 暗闇でも迷わず素早く歩け、見えざる気配や視線を察知する』が追加されました

ソピア「薄暗い牢屋で本を読んだり、時間の確認のために明るい外を見たりを繰り返していたら、暗闇でも目が効くようになったよ」

カズ「気のせいじゃないか?」

ソピア「そんなことないよ」

看守「―――!」

カズ「おい、呼ばれてるぞ」

ソピア「もう、そんな時間なんだ……」

カズ「馬の島の本はまた読めばいいじゃないか。海子になった後ならラヌーン語が読めるんだから」

ソピア「……はい」

ソピア(さようなら……私)


首都マリネイジ・カナン、長階段。

ソピア「……帰らないんですか?」

カズ「俺は逃亡を阻止するためにいるんだ。逃げようなんて考えないでくれよ。時間のムダだからさ」

ソピア「……考えてませんよ。この狭い島でどこに逃げようっていうんですか」

カズ「分かってるじゃないか。ノーディス語の件といい、あんたはさぞ優秀な海子になるだろうな」

カズ「儀式は、海神召島、海子契り、海流しの3段階ある。まあ全部で30分もかからないからそう緊張するまでもないよ」


最上層、海神殿。

11時50分。

ソピア、ハルカ、ラファ、ポロ、カズ、海子だけが島の頂上に集まっていた。

頂上からずっと下った神殿の外では住民たちが四方から儀式の様子を見守っている。一部の人間以外、神殿に入ることは許されていないようだ。

海子「……では、これより海子引き継ぎの儀式を始めます」

テーブル状の石、神壇の前に描かれた魔法陣の前に立った海子が、海神を呼ぼうとする。

海子「……国を守りし海の神よ」

ソピア「ちょっと待ってください」

海子「……私は海子として海にこの身体を奉げ」

ソピア「えっ、これ、フルフィリア語でいいんですか? ラヌーン語じゃなくて?」

ハルカ「うん。あたしも思ってた……」

カズ「私語は慎め」

海子「……大いなる海神の一部となることを望みます」

ソピア「いや、でも絶対おかしいですって」

ラファ「聖教会では外国語の使用を許してますけど、ここはラヌーンなのですよ……?」

カズ「邪魔をしようとしてもムダだぞ」

海子「……新たな海子は用意ができています」

ソピア「邪魔しようとかじゃなくて、純粋な疑問なんですけど……」

ポロ「え……コーチの秘策、とかじゃなかったんですか……」

カズ「そう言われても……なんでだろうな? ごめん、俺もわかんない」

海子「……どうか例年通り、神壇に顕現されてください」

ソピア「分からないって……そんなわけないですよね?」

ハルカ「これ、セリフも詠唱っぽくないね……」

カズ「まあ、伝わればいいってことじゃないか? 海の神だから海のある国の言葉は全部知ってるんだよ」

海子「……海神よ。なぜ現れないのですか……!?」

ラファ「フルフィリア語だからなのです……」

カズ「違うぞ、あれは……!」

カズの視線の先、海神を呼び出すための魔法陣にチョークが落書きをしていた!

ソピア「チョーク!」

チョーク「ボク、役に立ったー?」

ソピア(そんなことしても、何の解決にもならないのに……)

カズ「ソフィアの仕業か……! 逃げないと言ったはずだ!」

ソピア「私は何も……」

ラファ「隙ありっ! なのです!」

カズ「がッ!? この、調子に乗るなよ! ―――、―――!」

聖光塊の直撃を受けてふらつきつつも、カズは青いオーラを身にまとい臨戦態勢を取る。

ラファ「好機です! 儀式は中止なのですよ!」

ハルカ「で、でも下から……!」

反抗するラファたちを取り押さえようと、海賊と思われるラヌーン人の集団が階段を駆け上がってきていた。

ポロ「緊張、なんて、してられない……!」

ポロ「聴いてください、じゃなくて、聴きなさい! 『みんなのホリデイ』!」

不思議なことに、ポロの歌声は神殿の頂上からは小声に聞こえ、その外側にはよく通る声で響き渡った。

ポロ「リーラックス♪ リラーックス♪ ホリデイのベルが鳴るー♪」

歌声を聴いた海賊たちが、階段の途中で脱力し倒れこんでしまう。

ハルカ「ど、どうなってるの……?」

ラファ「ソフィア! ハルカ! 海子をぶっとばすのです! そしたらこんな島、何にも怖くないのですよ!」

ハルカ「え、でも弓矢無いし……ソフィアさん!」

ソピア「……何ですか」

ハルカ「聞いてた? 2人で、海子を倒そう! 助かるかもしれない!」

ソピア「…………」


↓コンマ70以上でソピア復活

ソピア「……無駄な抵抗はやめましょうよ」

ハルカ「ソフィアさん……何言ってるの……?」

ソピア「儀式を中止して、その後どうするんですか? この島の人を全員殺して、無人島になったラヌーンに永住しますか?」

ハルカ「そんなことは……」

ソピア「戦ってどうするんですか。早く、楽になりましょうよ」

ハルカ「……いいよね、ソフィアさんは。死ぬまでに猶予があるんだから。心を失うだけだから」

ハルカ「苦しんで溺れ死ぬあたしたちの気持ちなんて、偉大なる海子様には分からないよねっ!」

ラファ「もうその役立たずは放っとくのです! 『聖光弓』!」

ラファがハルカに光の弓を投げ渡す。

ラファ「使いづらいかもしれないのですけど、無いよりマシでしょう!」

ハルカ「……あたしが……海子を倒す!」

弓を引くと、光の矢が現れた。

敵はすぐ目の前にいる海子。

だが、手加減はしない。

ずっと遠くにいる標的を狙う気持ちで弓を力いっぱい引き絞る。

狙いも正確に心臓へ。軽傷なんて許さない。

ハルカ「……貫く!」

渾身の力を込めて放った光の矢は……

……粒子となって砕け散った。

ハルカ「なん、で……?」

海子「……私は海力を分配する権利を持った海子。その魔術は――」

海子の全身が青い光に包まれる。その光の濃度は、カズやデュフのそれを圧倒的に上回っている。

海子「――ラヌーンで最も強力であることをお忘れなく」

青い爆発。

直後、青い光の残滓の漂う中央、弓士ハルカが倒れ伏していた。

……その全身はミイラのように乾ききっていた。


↓コンマ70以上でソピア復活

ラファ「ハルカ!」

海子「……安心してください。まだ死んではいません」

海子「……死んでしまったら、海流しの儀式が執り行えませんから」

ラファ「ちっ……。二言目には生贄、これだから土着宗教は嫌いなのです……!」

カズ「よそ見してていいのか?」

ラファ「ひゃっ!」

寸でのところで聖光盾を生み出すも、青い光を纏った双剣は容易くそれを破壊する。

ラファは次々と盾を出しては後退しギリギリで斬撃を避け続けている。

ラファ「ソフィア! しっかりしなさい! 両親に会うのではなかったのですか!」

ソピア「! お父様、お母様…………」

ソピア「でも……もうダメ。私の夢は叶わない……」

ラファ「ヒレアは、ヒレアはどうするのですか!」

ソピア「ヒレアちゃんはもう私がいなくてもやっていけるよ……」

ラファ「このいくじなしっ!」

ラファ(……ソフィアは動かない。ポロには期待できない)

ラファ(もう、最後の手段を使うしかないのです)

天使(ラファ……考え直さない?)

ラファ(神は私に死ねとおっしゃるのですか?)

天使(そういうことじゃなくって……。私はただラファが心配で……)

ラファ(心配なら力を下さい。うだうだ話し合ってる時間は無いのです!)

天使(…………神の許可は下りています。すきなだけ、どうぞ)

海子「……これは……白魔術師の……」

凄まじい勢いでラファの中に聖なる力が流れ込む。

ラファ(これじゃ、足りないのです。もっと、もっと!)

一面に広がる白は、わずかな黒の認識を妨げる。

生き残るためとは言え守護天使に食って掛かるほどに切迫した心は、混ざりはじめた不純物に気付かない。

その力はやがてグレーになる。しかし気づいた時にはもう遅い。

人の身に余る膨大な力は、人間としての身体を変容させてしまう。

かつて幸せを呪った吸血鬼のように。神になろうとした天馬のように。

そして、ただ一人の妹を守るため邪教を滅ぼさんとした、赤い蛇のように。

サファイアラクネー

絵画に描かれる想像上のモンスター、蜘蛛人間。

背中から生えた八本の脚は青く透き通った甲殻で覆われており、上半身がエビ反りになり上下反転した頭部には八つの目が輝いている。



カズ「なんだこいつは……?」

八つの目は、神の目。

圧倒的な目力が、カズの動きを縛る。

八本の脚の先には、聖光塊。

一撃でも十分な威力を持つ光が、絶え間ない蹴りと共にカズを襲う。

カズ「ごッ! がァっ! ぐハぁッ!!」

青く輝く刃が蜘蛛の脚の一本を斬りおとすが、すぐに新たな脚が生えてくる。

勢い余り、カズを階段の下へと蹴り落としてしまう。

ラヌーンの民「きゃあああ! ―――、――!」

激しく転がり落ちたカズは全身血にまみれ、起き上がる様子はない。

ラヌーンの民「――――。―――――!」

カズは生きていた。

しかし、四対の神の目の持つ視力はそのわずかな震えすら見逃さない。

横たわるカズと彼を見守っていたラヌーンの民へと、蜘蛛の怪物が迫り来る。

ラヌーンの民「―――!?」

暴走した蜘蛛は、自らの命を脅かす異教徒の生存を許さない。


↓コンマ70以上でソピア復活

ポロ「『こもりうた・オブ・ザ・デッド』」

ポロ「ぼうやよ眠れ 永久に眠れ 私の前からいなくなれ」

ポロ「むすめよ眠れ 棺で眠れ お前の顔など見たくない」

ポロ「ア゛ア゛ーッ!! 私は働くゾンビ ママという名のマリオネット!」

ポロ「悪魔の泣き声アンリミテッド 眠れぬ夜に朝日が昇る」

ポロ「ギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーッ!!!!」

魂のデスメタルが脱力した海賊たちを熟睡させた。

その顔は、悪夢を見ているのだろうか、みな苦しそうだ。

ポロ「ぜえぜえ……コーチ、私、やりました……」

ポロ「……コーチ? どうして立ち尽くしているんですか? ラファさんはどこに……」

どうやら歌うのに熱中し周りが見えていなかったようだ。

ソピアはゆっくりと階段下を見ると無表情でつぶやいた。

ソピア「……ポロさんがやったんですか?」

ポロ「は、はいっ。普段は控えめにしてるんですけど、今回は全力で気持ちを込めました……!」

ソピア「……もうやめましょうよ。……人前で歌うの、嫌いでしたよね?」

ポロ「でも、頑張ればできるんです。大好きな合唱を隅に置いて、仕方ないと割り切って歌えるようになりました。コーチのおかげです」

ソピア「どうせ死ぬのに……」

ポロ「らしくないですよ……」

海子「……貴女にもしばらく眠っていてもらいましょうか」

ポロ「ひい……! こ、コーチ!」

ソピア「助けませんよ」

ポロ「こ、コーチは何度も助けてくれました。だから、もう、助けてなんて言いません!」

海子の腕で青い輝きが渦を巻いている。

この至近距離では得意の歌も間に合わない。

気を失いそうなほどの恐怖の中、ポロは気力を振り絞ってソピアに声をかける。

ポロ「わ、わたっ、私は口下手なので……説得とか、できないし、される側で、えと、と、とりあえず、歌いますっ!」

ポロ(私は一度大ミスをやらかしてしまったことがあります)

ポロ(それはファンレターをもらって、いつになく上機嫌でスタジオで歌った時……失恋がテーマの歌を聴いたスタッフ全員が大泣きし始めて収録がストップしてしまいました)

ポロ(どうやら私の歌には、もしかすると魔法よりも強く精神へ作用する力があるようです)

ポロ(だから、あれこれ言葉を紡ぐよりも、少しでも歌った方がきっと効果的なんです)

ポロ「親愛なるコーチに送ります! 『ラブソング』!」

海子「……歌わせません」

青い渦がポロの全身を激しく飲みこむ。

ポロ「大好き♪ ひゃあ……!!」

一瞬しか時間の無かったポロは、あまりにも短すぎる歌に思いを託した。

しかし、たったそれだけのフレーズが、ソピアの心に劇薬のように働きかける。

泡を吹いて倒れたポロを見つめる、ソピアの瞳に活力が戻っていく。

海子「……貴女は物わかりが良くて助かります」

ソピア「……良く、ない」

ソピア「良くない! 何をやってるの私は……!」

ソピア「私の味方になってくれると言ってくれた人を、見殺しにして……」

ソピア「ポロさんを助けるためにラヌーンの海賊と戦ったのに、助けないなんて言って、逆に助けられて……」

ソピア「こんなの、自分で今までの自分を否定するようなものだよ!」

ソピア「私の行為は、今までの自分をラヌーンに消されるよりももっとひどい……!」

ソピア「……目が覚めた。私は絶対に海子にならない。最後まで抵抗する」

ソピア「使用人が守ってくれた命、こんな何も関係のないところで粗末になんかできない!」

>>1です。明日続き書けるかな……?

70未満があと2回出ていたらゲームオーバールートでした

次で70以上が出た場合、チョークが消滅してソピア復活の流れでした

最初で70以上でもハルカさん脱落でしたが、正直弓矢無しだといてもただ喋ることしか……

トールはコンマ関係なくもうすぐ来ます

海賊たちは階段の途中で深い眠りに落ちている。

さらにその下ではラヌーンの平民たちが蜘蛛の怪物に追われパニックに陥っている。

ハルカとポロは倒れ伏し、神殿の頂上では海子とソピアだけが向かい合っていた。

ソピア(いつの間にかこんなことに……私が諦めている間みんなが頑張っていた証拠だ)

ソピア(おかげで、この海子さえなんとかすれば希望は見える!)

海子「……連れてこられた人々は、必ずと言っていいほど反抗します」

海子「……ですが、海神様の御力には敵わない」

ソピア「私は今まで連れてこられた人たちとはわけが違いますよ」

悪魔(慢心なさらぬよう。一昨年はノーディスの大魔導師が雷魔術師の少女を守りきれず海流しに)

悪魔(昨年はスクーニミー市教会の、聖教徒を含む10名が全滅。くくっ、貴女は確かに今までの人とは違うようだ)

ソピア(なぜ心をくじくようなことを! 悪魔とはいえあなたは私の味方じゃないんですか!?)

海子「……もう遅いです」

ソピア「遅いなんてことはありません。私は何が何でも脱出する……!」

チョーク「ごめんなさい! 追い払われちゃったー……」

ソピア「えっ? どういう……」

海子「……使い魔を持つのは貴女だけではないと言う事です」

慌てて神壇を向くと、そこには一匹の妖精がいた。

背中の羽根の形からプチエンジェルの一種だと思われるその妖精は、首に青く光る鎖が巻かれており、その鎖の先は海子の青いオーラに繋がっている。

海神を喚び出す魔法陣はあとわずかで完成するところだった。


1.直接消しに行く
2.妖精対話のスキルでプチエンジェルを説得しやめさせる
3.海子の方を急いで止める
4.究極魅了魔法の使い時……?

ソピア(あの妖精は海子に支配されてる……きっと話しても解決しない)

ソピア(ここは、無理してでも海子を動けなくする! 集中……)

ソピア「ムーンブラスト!」

レーザーに照らされた点から、さらに細いレーザーが曲線を描いて周囲に広がり、海子の全身を焼くはずだった。

奇襲だというのにその身体に傷は無い。

防御に使われた青いオーラが渦を巻き、ソピアを飲みこむ。

ソピア(残念、そちらは分身!)

海子が強力な魔法を使う際にバリアがはがれている事をソピアは見逃さなかった。

ムーンブラストの眩しい光でソピアの姿が隠れた隙に、分身魔法と同時に迷彩魔法を使い、海子の背中側に回り込んでいる。

ソピア(魅了、恐怖、幻覚、盲目、精神攻撃、全部盛り!!)

火事場の馬鹿力は魔術においても発揮される。極限下の集中力で、ソピアは普段ではできない異なる魔法を連続で使う事に成功していた。

海子の身体がふらつき、神殿の床に倒れる。

ソピア「やった……! でもまだ!」

眩暈を覚えながらも、さらにレーザーで海子の背中を焼き、鋭い星型の魔法弾で傷つける。

しかし、周囲に漂う青いオーラが集まり、海子に吸い込まれていくと次第に傷が癒えていく。

ソピア(攻撃の手は緩めない! 直るより早く傷つければ!)

その見込みは甘かった。

精神異常や身体の傷がすっかり消えた海子は、魔法で強化された腕で、ソピアの首を掴み持ち上げる。

ソピア「かっ………………」

海子はソピアを背中から石畳に叩きつけた。

ソピア「……げほっ、げほっ!!」

苦しむソピアは朦朧とする視界の中に、完成した魔法陣を捉えた。

海子「……海神様、急ぎお出まし下さい!」

魔法陣が強く輝くと、神壇の上に海色をした球体が浮かび上がった。

ただの巨大な水滴にも見えるが、その色はより深く、美しく、そして恐ろしい。

海子「……―――――――、―――――――」

海子が両手を掲げ、球体の中に差し入れる。

ソピアの視界が青一色に染まった。

ラヌーン本島全土が、海神の魔力で満ちていく。

海神。

ラヌーン国を作り、守り、発展させてきた海を象徴する神。

その実体は儀式によって年に一度更新されているが、生まれた海神はこれまでの海子の力と魂のすべてを引き継ぐ。

このような自然信仰の神々は、聖教会の神とは違い、学問においては妖精系の大型モンスターに分類されている。



ソピア「あ…………」

神壇の上に人間に似た姿をした何かが浮いている。

その全身から服や小物に至るまで、すべて先ほどの球体と同じ一色で塗りつぶされており、表面が静かに波打っている。

身長は150cmほどだろうか。

スカート状の衣服の裾は非常に長く、その先端はタコやイカのような触手に変形している。

髪もまた大きく左右に伸びて広がり、魚類のヒレのような形状になっている。

足元には宙に浮く巨大な二枚貝の貝殻。

背後には円盤が浮いており、月の満ち欠けのように刻一刻とその形を変える。

セーラー襟の首元にはペンダントがかかっている。見覚えのあるその飾りは、月の石だった。

ソピア「えっ……あなたは……」

海神「――――」

ラヌーン語で短く名乗ると、海神はソピアを見やる。

海神「ワタシの新たな従者……」

海神から常に発されている青い精霊の光が、繭のように足元からソピアを包んでいく。

ソピア「や、やめて……お願い……」

あっという間に上半身まで達した繭がついに顔を覆い始めた。

ソピア「いやだ……誰か……助けて……」

ソピアの何もかもが……消えていく。



GAMEOVER:8 海の神




ヒヒーン!

ゴッ

海神の身体が傾く。

ソピアを覆っていた繭が粒子となって消えた。

ソピア「……誰?」

海神を見上げる。

その頭を踏みしめているのは、蹄。

さらに目線を上げると、羽根を持つ白馬にまたがる美少年と目が合った。


ペガサス(何とか間に合いましたね)

トール「ソフィアさーん! 助けに来ましたー!!」

マトイ「マトイだよ! いまラヌーンに来たの!」


ソピア「うそ……トールくん?」

トールとマトイは協力してソピアをペガサスの背に引き上げる。

3人は同世代の子供の中でも比較的体重が軽い方なので、ペガサスも何とか飛ぶことができた。

海神「邪魔を……」

ペガサス(一旦離脱です!)

トール「わわっ、揺れる!」

ソピア「……トールくん、やっぱり、トールくんだ……!」

トール「情けない声で判断するのはやめてくださいよ!」

ソピア「ううん、そんなことないよ……ありがとう……!」

ソピア「マトイちゃんは……もしかして、秘密を知られたからここまで追ってきたってことは……」

マトイ「そうだよ。……つかまえた♪」

ソピア「いやああ! 今度はノーディスに拉致されるうう!」

トール「まだ終わってませんよ! なんですか、あのすごく恐ろしいものは!?」

ソピア「海神。あのままだと私は記憶を消されて海神の付き人にされてたの」

トール「ぎ、ギリギリだったんですね……って神……!?」

ソピア「いろいろあって復活されちゃった。……あれ、どうにかしないと帰れないよね」

マトイ「ねー、神様なのにペガサスなのに追いつけないの?」

トール「というより、追って来てませんね。浜辺の方に向かってますけど……」

ソピア「ああっ! ポロさんたち!」

トール「誰、ですか?」

ソピア「仕事仲間のハルカさんと、ポロさんはROKKAさん! 2人は、海流しにされるって……!」

ラヌーン島、薬草の町。

エルミスとルルエンを乗せたスレイプニルは、神殿を目指して駆ける途中で怪物を目撃した。

ラヌーンの民が青いバリアを張りつつ武器を手に巨大蜘蛛に応戦している。

ルルエン「あれは……」

エルミス「ソフィアたちには関係ないでしょう! ほら進む!」

エルミスは足を振り回しスレイプニルを蹴る。

ルルエン「……無関係ではないようですよ。さらわれた内の一人です」

エルミス「あんな化け物をさらったの? そして逃げだして暴れてるってわけ? ラヌーン人って馬鹿ね!」

ルルエン「いえ……言葉でなく、概念で伝えます」

エルミス「………………なるほどね。こんな時に面倒事を増やすなんて困った白魔術師だわ!」

エルミス「倒せば元に戻るわけ?」

ルルエン「おそらく。彼女も暴れ続けることを望んではいません」

エルミス「任せなさい! 陸上でのわたしは無敵よ!」


ラヌーン島、浜辺の儀式場。

キュベレとサナを乗せて来たケルピーは、平らで広い浜辺を見つけると、魔法陣を書き始めた。

キュベレ「んもう! みんながピンチなのに、何やってるのよ?」

サナ「ケンタウロスを召喚するんじゃないかね? たぶん?」

キュベレ「そういうことね。彼が来れば安心だわ」

ケルピー「ブルルルッ」

サナ「どした? ……わっ、なんか青いの来る!」

ハルカとポロを触手で巻きとった海神は、先に海流しの儀式を済ませるべく、この儀式場を訪れた。

ソピアに逃げ場はないので後回しにしても問題なく、2人を助けに戻ってくるようなら再び海子契りの儀式を行えばいいという算段だ。

キュベレ「その子たち、さらわれた子ね。離してあげなさいよ!」

サナ「これ、もしかすると……ウワサに聞く海神ってやつじゃ……」

海神「ワタシは海の神……」

サナ「やっぱり! え、まさか出くわすとは思わなかった……」

キュベレ「海神だか何だか知らないけど、誘拐の黒幕なら懲らしめてあげなくちゃね!」

海神殿。

亜馬と比べると飛行速度の足りないヒレアは、遅れて神殿に辿り付いた。

ユニコーンが魔法陣を蹄でこすって消す。

ヒレア「お姉ちゃんは……よかった、上にいるわ」

カッ、カッ

ヒレア「何?」

ユニコーン「……! ……!」

ヒレア「お姉ちゃんのところに行けばいいのね?」

ユニコーンはうなづくと、海神のいる浜辺へと駆けて行った。


ルルエン『ソフィアさん、聞こえていますね』

ソピア『る、ルルエンさんまでいるんですか!?』

ルルエン『わたくしたちはラファさん、ハルカさん、ポロさんの救出に動いています』

ルルエン『海神が現れてしまいましたね。あれはわたくしたちの手に余る存在』

ルルエン『お聞かせいただきたいのです……貴女はいま何を望んでいますか?』


1.あんなのと戦うなんてまっぴらごめんです。ポロさんたちを助けてすぐに帰りましょう
2.元フルフィリア人の海子も助けたい。どうにか海神を退治しましょう
3.新たな被害者を出さないためにもこんな国滅ぼしてしまいましょう

↓2票

今日は時間無かったのでここまで

ソピア『一年前に海神に操られた海子も、フルフィリアの人なんです』

ソピア『手遅れかもしれないけれど、できることなら助けたい。だから何とかして海神を退治したいと思ってます』

ルルエン『わたくしも賛成でございます。海神の存在はラヌーンに不可欠。海が続く限りどこまでも追ってくるでしょう』

ソピア『それに……いえ、やっぱり確実じゃないので言いません』

ルルエン『わたくしには伝わりましたが、黙っておいた方が良いでしょうか?』

ソピア『お願いします。みんなにとってはあまり関係の無い話なので』


エルミス「きりがない!」

エルミスはアラクネに苦戦していた。

よそ者を見て襲い掛かって来たラヌーン人たちをルルエンがなだめ、エルミスが単身アラクネに挑んだのだ。

『神の目力』は相手を畏れさせ動きを止める白魔術だが、自分が一番偉いと思っているエルミスには効果が無い。

陸上では無敵、というエルミスの言葉に偽りはなく、最小限の動きで攻撃を回避しつつ鎌術『蟷螂』で虫の脚を次々と切断していった。

それを見たラヌーン人たちからもちらほらと応援の声が聞こえ始めた。

しかし、脚は次々と再生し、絶え間ない攻撃がエルミスの体力を奪う。

エルミス『ルルエン! 人間の部分を攻撃しないと終わらないんじゃない!?』

ルルエン『しかし殺してはいけません。疲れたら一旦下がってポーションを飲んでください』

エルミス『分かってないわね! 距離を取ったら魔法弾が飛んでくるのよ! キックの方がずっと避けやすいの!』

そこに、上空から小さな影が舞い降りた。

ヒレア「……下がって。まだあなたの出番じゃない」

エルミス「なっ……!? わたしにやらせなさい! 絶対に負けないわ!」

ヒレア「負けなくても勝てないでしょ。安心して、あなたには神を殺すお仕事があるから。あの光ってる方角に行って」

エルミス「もう! ルルエン、行きましょう!」

ヒレア「…………ラファ。何をやってるの? あれだけ私に当たっておいて、そのざまは何?」

ラファ「い、きょうとは、くたば、るのです……!」

降ってきた粘着質な光の網を、ヒレアは小太刀で切り裂く。

ヒレア「少し、寝てなさい」

高速で飛び回り、急降下しつつ全ての脚を切断し、最後に蜘蛛の青い目を潰す。

そして霧に変えた腕をラファの口内に突っ込み、再生する前に眠らせた。

ヒレア「……しばらくは持つけど、根本的な解決はしてない」

ふと顔を上げると、近づいてくるラヌーンの民に気付く。

全員が武器を構え、ラファに殺気を向けている。

ヒレア「スレイプニル。ラファを乗せてとにかく島中を走って逃げて。もし暴れ出したら降ろして逃げて」

ヒレアの言葉に従い、スレイプニルはラヌーンの民から逃げ出した。

ヒレア「さて、この人たちを眠らせたら私も行かなくちゃ」

青色を伴った暴風がサナとキュベレを吹き飛ばす。

サナ「グロウ!」

サナが咄嗟に茂みを生やし衝撃を弱めた。

キュベレ「強すぎるわよ! アタシとサナちゃんじゃなかったら持ってないわ!」

海神「邪魔をスルナ……」キュイイン

サナ「わ、なんか溜めてる」

キュベレ「せーので、アタシたちも撃つわよ!」

キュベレ「………………せーの」

海神「海にカエレ」ゴウ

キュベレ「発射! スパークリングサンライズ!」

サナ「……グリーンフラッシュ!」

日属性と月属性の光線は互いに打ち消し合う。

残されたのは海神とサナの水属性のみ。圧倒的な力の差で、2人は光線の残滓だけで大きな傷を負う。

キュベレ「かはっ……サナちゃん、回復……」

サナ「待って……先に私から……」

瀕死の2人を尻目に、海神は砂浜にハルカとポロを無造作に置く。

海神「――――」

呪文に応じて不自然な高波が現れた。

キュベレ「まず、いわ……!」

高波は意思を持ったかのように2人を飲みこみ、波が引いた後には何も残っていなかった。

キュベレ「ああ……」

海神「……――」

ザパァン!

ケルピー「ブルルルッ」

海中から飛び出してきたケルピーの背には高波にさらわれた2人が乗っている。

ケルピーは全力で駆け出し、大地を操る魔術で岩塊を出現させ、海神の追撃を防ぐ。

キュベレ「はぁはぁ、サナちゃん、ありがと……」

サナ「辛いけど……海神の足止めしよう!」

「もう君たちは無理をしなくても良い」

サナ「ケンタウロスさん……!」


海神「オイテケ……」

ケルピーは背後から飛んでくる多様な攻撃をしのぎつつ走る。

賢馬であるケンタウロスの決定とはいえ、ヤフーを守るために命を張ることになるとは思っていなかった。

ケルピー(我ら亜馬であっても次元が違う……! この狭い島でいつまで持つか分からぬ……!)

海神が直接背中の2人を掴める位置についた。

ケルピー(もはやこれまでか……)

ユニコーン「ヒヒィーーーンッ!!」ゴッ!

海神「馬ごときにワタシを……、―――……!」

援護するために追いついたユニコーンの鋭い角をもってしても海神を貫くことはできなかった。

ケルピー『ユニコーン、助かったぞ!』

ユニコーン『ケンタウロスが知恵を出してくれるまで俺たちでしのぐ!』

エルミス「こっちね! 海神はどこ? 出てきなさい!」

ルルエン「キュベレさん、サナさん、ご無事でなによりでございます」

別行動を取っていたエルミスたちが合流した。

キュベレ「エイラちゃん怪我はない?」

エルミス「あんたどうしたのよ!? ボロボロじゃないの!」

キュベレ「軍服でよかったわ~♪ 私服がこんなになったらショックで死んじゃうわよぉ」

トール「みなさーん!」

砂浜にトールたちの乗ったペガサスが舞い降りる。

マトイ「フィアちゃん取り返したよ!」

ソピア「えっ……!? どうして!? よく分からないけどいっぱいいる!!」

ソピア「サナさんとルルエンさんがなんで……? エルミスは許可貰ったの? 横の軍人さんと強そうなモンスターは誰!?」

トール「みなさん、ソフィアさんを助けに来てくれたんですよ!」

サナ「私的にはさらわれた全員をね」

エルミス「許可なんて取れるわけないじゃない! でもソフィーを連れ帰れれば父上だってわたしの実力を認めてくれるわ!」

キュベレ「ちなみにアタシはキュベレよん♪」

ケンタウロス「馬の島の亜馬、ケンタウロスだ」

ソピア(私を捕らえたがってるノーディスのスパイだけでも困ってるのに……)

ソピア(なぜか男装して軍服姿のキュベレさんと元帥に黙って勝手に来たエルミス……私、絶対後で六勇に事情説明のため呼び出されるよね……)

ソピア(しかもそんなメンバーの中に、心が読める占い師ルルエンさんが交じっている……)

ソピア(どうしよう……。助けに来てもらったのに後々についての不安の方が大きいよ……! ラヌーンで死んでおけばよかったと後悔する日が近いうちに来そうだよ……!)

ソピア(でも後のことを考えられるようになったのはいいこと、なのかな……?)

トール「ソフィアさん、顔色が悪いですよ?」

エルミス「ずいぶん恐ろしい思いをしたのね。でもわたしが来たからには安心していいわよ!」

サナ「ちょっと診せて。……体調は私らよりも良さそうだね」

ルルエン「ふふっ」ニコニコ

ソピア(ああっルルエンさんが私を見て笑ってる! ルルエンさんの采配一つで私は海神じゃなくエルミスに首をはねられる!)

ヒレア「お姉ちゃん!」

ソピア「……ヒレアちゃん?」

やや遅れてヒレアも砂浜に合流した。

ソピア「ううっ、うううう! こわかったよ、ヒレアちゃん……!」

ヒレア「泣かないの。まだこれからでしょ」

サナ「どっちが姉なんだか」

ヒレアに会えてようやくソピアは安心感を得ることができた。それを察したトールは少しブルーになった。

ケンタウロス「今はユニコーンとケルピーが抑えているが長くは持たないだろう。海神への対策を考えねばなるまい」

エルミス「正面から力押しで倒せばいいじゃない!」

キュベレ「実際に戦ってないからそんなことが言えるのよ……」

サナ「腐っても神だからね……それこそ六勇でも一人じゃ厳しいんじゃない?」

ヒレア「……話し合いで何とかならないかしら」

エルミス「何を甘っちょろいことを言ってるの!」

ヒレア「でもお姉ちゃんの特技は話し合いよ。特に人間以外との交渉は今のところ成功率100%だったはず……」

ソピア「人間との交渉は頻繁に失敗するのにね……」

サナ「羨ましいようなそうでもないような適性ねー」

ソピア「交渉失敗したのは最初に会った悪魔さんだけかな。それも後で成功したし……」

ヒレア「将来はお役所で魔物関連の相談役が向いてそうね」

ソピア「そんなお役所命がいくつあっても足りないよ……」

ソピア(そういえば図書館で見た妖精についての本に、妖精系の大型モンスターは神とされることがあると書かれてたような……)

ソピア(つまり海神にも妖精対話のスキルが通用する……?)


エルミス「話し合いで解決できるならもうソフィーが全部終わらせてるでしょ!」

ソピア「海神になる前は人間だったんだけど、その時には失敗したよ……」

トール「一応、代替案も必要ですね。失敗してから考えていては遅いです」

ケンタウロス「君は妖精を使役できるようだな。石灰石の妖精に戦わせてはどうだろうか」

ソピア「いくらなんでもチョークでは……」

ケンタウロス「そのままでは無理だろうが、精霊を注ぎ込み強化すれば戦力になるかもしれない」

ケンタウロス「……それを制御できるかどうかは君にかかっているが」

ソピア(……いっそ私がラファちゃんみたいに怪物になれば勝てるかな?)

天使(なることはできますけど……その後どうするのですか)

悪魔(まだソピア様は熟成しておられない。現状ではヒレアとラファの中間程度の中途半端なものになるだけでしょう)

ソピア(うん、トールくんたちの敵を増やすだけだね、却下)

ソピア(……そういえばここって陸地だよね)

ソピア(つまりアースドラゴンさんを呼び出せる……? アースドラゴンさんは陸の神みたいなものだから頼りになるかも)

ソピア(……でもそのためにはまずストーンキューブを探さなきゃ)

ソピア(他に頼れそうなのは……。……魔人先生、あなたの存在は私の人脈という力の一部なので、頼っても自力で解決した内に入るのでは?)

魔人(屁理屈を言うでない。わらわは何もせんと言っているじゃろう)

ソピア(せめて何かヒントをください!)

魔人(力の差が大きすぎて倒せんのならその力を削げば良い。木霊主たるお主には吸精・放精の術が使えるはずじゃぞ)

魔人(お主がポンプとなって海神から精霊を抜き取るのじゃ。だが神を弱体化させるとなると、莫大な量の精霊が流れ込むリスクがある)

魔人(ちなみにもっと安全な方法もあるがそちらは教えんぞ)

ソピア(最後の一言さえなければすごく親切だったのに!)


1.吸精・放精スキルを覚えて、海神の力を削ぐ
2.ストーンキューブを探し出しアースドラゴンを呼び、海神を退治してもらう
3.チョークに精霊を注入して中型モンスターに進化させ、海神にけしかける
4.妖精対話のスキルで海神と交渉する
5.自由安価(他に目からウロコな案があれば、ソピアにできることで上手くいきそうなら優先して採用します)

↓3くらいまで

5 出来るならソピア達で引き付けつつチョークと海神を融合させる

>>702-704採用、>>702はソピアがその発想に至るまでに少し間があります


ソピア(魔人先生、いじわるしないで安全な方法を教えてください!)

魔人(お主にそれを教えて何の得がある。何でもわらわに頼っていては成長せんぞ?)

ソピア(私の魂でも何でも売りますから!)

魔人(何を言うかと思えば! お主はすでにわらわに魂を売っておろうに!)

ソピア(いつの間に!?)

魔人(ククク、わらわを師としたときからお主はもはや掌の上の存在よ)

ソピア(このままだと私は海子になって、ヒレアちゃんみたいにはなりませんよ!? いいんですか!)

魔人(お主が海子となった後に召喚し、魔力を注入し、如何な怪物となるか実験するのもまた一興)

ソピア(分かってましたけど外道! みんなも死んじゃうんですよ! 魔術的に珍しいサンプルになりそうな人たちもいますし、もったいないです!)

魔人(樹魔術や重力魔法ならわらわも使えるぞ? 念話もほらこの通り、世界のどこにいてもできる)

ソピア(それもそうですね……。でも、ヒレアちゃんもいなくなったら、また魔人先生は一人ぼっちになっちゃいます……)

魔人(最近、新たな生徒を得たので心配ご無用じゃ。ちなみにお主の知人じゃな)

ソピア(ここにいない知人の魔術師ってクルトさんとミルズしかいないんですけど……うわあ心配事が増えた)

魔人(そんなお主に朗報じゃ。殺し屋の弟子と商人の娘も何やら大きな問題に巻き込まれておるのう!)

ソピア(いやああああ!!)

ソピア(魔人さんに頼るのはやめよう。あの人は私が海神に勝っても負けても楽しいんだ……)

ソピア「あの……実は、海神に匹敵するかもしれない助っ人を呼べます」

サナ「はあ!?」

トール「別にそのこと自体には驚きませんけど、どうしてもっと早く呼ばなかったんですか!」

ソピア「船の中で呼ぼうとおもったんだけど、海の上だったからダメで……その後は呼び出すためのアイテムが荷物ごと奪われちゃって……」

ヒレア「ストーンキューブ?」

ソピア「うん」

キュベレ「いったい何を呼べるの?」

ソピア「フルフィリアの大地を司る巨大なドラゴンさんです」

マトイ「ドラゴン!? フィアちゃんすごーい!」

エルミス「一体ソフィーに何があったのよ!」

ソピア「吸血鬼退治した後すぐにエルミスの誕生会に行って、次の日に遺跡でドラゴンさんに会って気に入られたんだ」

ヒレア「……運が悪かったらそのまま死んでたと思うわ」

エルミス「わ、わたしだって自由になればそのくらいの大冒険なんてへっちゃらよ!」

ケンタウロス「まずはストーンキューブを探しだし、神竜の力を借りるのだな」

ソピア「はい。みなさんもそれでいいですか?」

ヒレア「お姉ちゃんの護衛と、海神の足止めに分かれるべきだと思うの」

ルルエン「戦闘は不得手なので、わたくしはソフィアさんに同行します」

ヒレア「ごめんねお姉ちゃん。私は海神の方に行く。私のわがままで亜馬のみんなを死なせるわけにはいかないもの……」

ソピア「いいよ。みんなを助けてあげて」

ケンタウロス「ペガサスには君たちの足を頼んだ。私はユニコーンの元へ行く」


探索チーム…ソピア・ルルエン・ペガサス
足止めチーム…ヒレア・ケンタウロス

↓ソピアに同行するメンバーを好きなだけ選択(無しもあり) トール・キュベレ・エルミス・マトイ・サナ

ソピア「トールくんとエルミスもこっちに来て!」

トール「わかりました、ソフィアさんは僕が守ります……!」

エルミス「おほほ! 下僕には主人が必要よね!」

ソピア(だって2人が海神に挑んでもどうにもならないと思うから……)

ルルエン「当てはあるのでしょうか?」

ソピア「私が囚われてた牢屋は島の東の方です。チョーク、方角教えて」

チョーク「東はあっちー……」

ソピア「行こう!」

他2人と比較しても足の遅いエルミスとルルエンがペガサスの背に乗り、ソピアとトールは追い風魔法を使ってラヌーンの町を駆けだした。


首都、マリネイジ・カナン。

ソピア「たぶん牢屋はこの辺り……」

トール「牢屋に必ずあるんでしょうか……?」

ソピア「わからない。でも一番大きい街だったから、あるとしたら近くの建物だと思う」

トール「ん? この建物、他と少し違いますね?」


ラヌーンの首都で発見した施設は

1.前の海子が住んでいた家
2.薬品研究所
3.漂着物倉庫

異変に気づき足を止めたトールの元に、少し行き過ぎたソピアは引き返した。

ソピア「そう? 普通のラヌーンの家に見えるけど」

トール「ここ、海神と同じ、水と月の属性が強いんです」

ソピア「海力があるってこと……?」

トール「海力とは?」

ソピア「ラヌーン独自の魔法を使うための力の源……だと思ってたけど、たぶんその正体は水と月の精霊かな」

ソピア「ラヌーンではね、海子が海神からもらった海力を国民に分配してるの。だから海子が一番優れた魔術師で、次に優れてるのがきっと海賊だと思う」

トール「……ここはまさか、その海子の家でしょうか」

ソピア「その可能性が高いと思う。……何か手がかりがあるかも」

トール「僕はここで待ってますから調査してください。エルミスさんたちや敵が来たら知らせます」

ソピア「うん、お願いね」


屋内。

ソピア「……玄関も部屋も広い。柱は石材、たぶんラヌーンでは豪邸なんじゃないかな」

ソピア「広いけど生活感がない……これだけの豪邸に住むならもっと色々飾りたがるものだと思うけど……」

品質の良さそうな鏡台の横、クローゼットを開けた。

ソピア「海子の服! やっぱり、ここは海子の家……!」

机の引き出しを開けるがほとんどは何も入っていない。一番下の大き目の引き出しの中に、乱雑に押し込まれたバッグを見つけた。

ソピア「わっ! 腐ったパン……」

ソピア「他には茶色くなった薬草、ポーション、修道服……。ポケットには白いタオル、財布、銀の短剣、十字架……」

ソピア「こっちのポケットは、本だけ……?」

ソピア「……これ、日記帳だ」

○月○日
今日は聖教徒の集いのためティルベルクへ参りました。私もいつか大聖堂で働きたいものです。

△月△日
今日はお世話になっているゴラルド神父のお孫さんにお会いしました。アリアンさんは私より年下なのにすごくしっかり者のいい子です。
どんな悪人にも優しく微笑みかけられるような白魔術師になり平和な世界を作るのが夢なのだそうです。私が憧れと言われました。なんだかこそばゆいですね。

□月□日
明日はスクーニミー市恒例の学園祭です。士官学校の学生さんの話によると、この時期に女の子が行方不明になる事件が数年おきに起こっているようです。
遊びたがっているアンジュには申し訳ないですが、私は責任を持ってアリアンさんを守らなくちゃいけませんね。

(以下、走り書き)

×月×日(一年前の日付)
今のうちに私について書けるだけの事を書いておく。
私の名はマリア・○○。職業は聖教徒。フルフィリア王国スクーニミー市出身の19歳。父の名は○○。母の名は○○。守護天使は平和の天使。
聖教徒とは白魔術師の上位職であり、偉大なる神(主)に仕え、困った人に手を差し伸べ、恐ろしい悪魔を滅するプロフェッショナルである。

(中略、聖書の内容が記されている)

昨日、学園祭2日目、ラヌーン国の海賊に連れ去られたアリアンを救出するため、私は彼女の祖父であり我が師でもあるゴラルド神父ほか8名の白魔術師と共に北海岸に向かった。
彼女の救出には成功するものの私たちは船に乗せられてしまい、現在はラヌーン国の牢獄に囚われている。
アンジュ(私の使い魔)にこっそりと荷物を取り返してもらった。

どうやら明日、私の心は消えてしまうようです。
しかし、私は自分の心配よりも、巻き込んでしまったみなさんへの申し訳なさだけでいっぱいです。
ゴラルド神父がいなくなって、アリアンさんは大丈夫でしょうか。自分を責めていないでしょうか。
もっと私がしっかりしていればこんなことにはならなかったのに。
アンジュは私がどんなになってもそばにいてくれると言ってくれました。嬉しさで泣きそうです。
明日の私。どうかこの日記を読んでください。主はいつでもあなたを見ています。聖教徒の誇りを忘れないで。

そして、もしも牢獄でこれを読んでいるあなたがいたら。
あなたの荷物はこの牢獄の2階の部屋にあります。鍵は1階です。
海神に抵抗できる力を持った人なら、『―――――』と表紙に書かれた本を読めるなら読んだ方がいいです。海神の歴史や性質についての本です。
どうですか、私の自慢のアンジュは賢いでしょう!



ソピア「…………」

ソピア「ありがとうございます、マリアさん」

ソピア「……持ち主はもういないから、もらってもいいですよね?」

※『平和のロザリオ』『銀の短剣』を入手しました

ソピア「財布の中身は……」


↓コンマ×10G入手、ゾロ目ならその数字×1000G入手(コンマ00なら財布の中身はスッカラカン)

今日はここまで

80G……トールも部屋に入って来ていればゾロ目がでたんでしょうか

ゴラルド神父は安価次第でラファの代わりに出て来ていた没キャラ名

乙ー
しかし、>>1はよくこんだけ凝った話や設定を書けるよな……

お待たせしています、再開は土曜日昼の予定です

>>716
ありがとうございます、でもありふれた単語が多いのであちこちの設定とかぶってると思います
でもうちのヒレアちゃんみたいな設定(後天的に発生・直接口をつけて吸わない)の吸血鬼って他にいるんでしょうかね?

乙ですー

吸血鬼の犠牲者が吸血鬼になるとか、不死の魔術を完成させた魔術師が
リッチ(は吸血鬼ではないですが)になるというのはあっても
ヒレアちゃんみたいなケースは寡聞にして知らないですね
吸血を伴わない生命力吸収はなんだったか忘れたけどTRPGの吸血鬼で
接触によるエナジードレインがあった気がします
回避判定失敗したら魔法抵抗判定して失敗ならレベルダウンとかだったような

ソピア「80G……少ない」

ソピア「主はいつでもあなたを見ています、かあ……」

ソピア「欲をかいたらいけないんだね……」

盗みを終えたソピアのいる部屋に、トールが慌てて飛び込んできた。

トール「ソフィアさん! 敵です!」

ソピア「海神?」

トール「いえ……町の人です!」

ラヌーンの民「―――!!」

ラヌーンの民「――! ――――ッ……!」

海子邸から出たソピアたちを待っていたのは殺気立ったラヌーンの住民たちだ。

トール「どうしましょう……数が多すぎます!」

ソピア「……んっ? この人たち青くないね」


一方、エルミスたちは先んじて牢獄と思われる建物に到着していた。

しかしここでもまた、大勢の市民が武器を持ってエルミスたちを取り囲む。

エルミス「何なのよこいつら……エルミス様のお通りよ! どきなさい!」

ルルエン「……海神に仇なす者たちとしてすでに知られているようです」

エルミス「牢獄はここで会ってるのでしょうけど、このままじゃ入れないわ」

エルミス「ここはわたしが切り開くしかなさそうね!」


ソピア
1.走って逃げる
2.光線魔法:波
3.全体魅了(知力70(杖無し)、コンマ30以上で成功)
↓1 1、2はどちらかが成功

エルミス
A.路地に逃げて一人一人相手をする
B.分身して全員の相手をする
C.回転斬り+飛ぶ斬撃(器用160+開運10、コンマ30以上で成功)
↓2 A、Bはどちらかが成功

三で
3割失敗ならいけるやろ

>>720に非はありません



ソピア「もしかしてラヌーンの人がみんな魔法を使えるわけじゃなくて……」

ソピア「海賊みたいな人が最低一人はいないとバリアすら張れない……?」

トール「そのバリアが合ったらどうなるんですか?」

ソピア「バリアが無ければ……魔法が効く! だから全体魅了魔法で……!」

手のひらを前に出して念じると、妖しい光が海子邸の前に集まったラヌーンの民を照らし出す。

ソピア(後は走って牢獄に……)

ブンッ

ソピア「きゃっ……!」ブチッ

ラヌーン人の男が斧を振りかざして目前に迫っていた。

ソピアは身を引きつつ反射的に頭を守ろうとしてしまい……ソピアの左腕は叩き斬られた。

トール「こ、このっ!!」

トールが体当たりで男を少し突き飛ばすと、エアバッグの魔法を連発してラヌーンの民を紙吹雪のように吹き飛ばす。

トール「逃げましょう!!」

エアバッグを何度も放ちながらトールはソピアの左腕を拾い、もう片手でソピアの右手を引きその場を離れた。

トールの顔は青く、脚はもつれている。

一方でソピアの顔色は蒼白を通り過ぎ、唇は痙攣し目の焦点も合っていない様子だ。


エルミス「エイラ・ミラージュ!」

鎌の柄を地に打ち付けるとエルミスの姿がぶれ、5人に増えた。

エルミス「「「「「まとめてかかってきなさい!!」」」」」

質量を持った分身を生み出すこの技はサイズユーザーのスキルではなく、エルミス自身が編み出した技術である。

人数差による不利を覆すことのできる非常に優秀な技ではあるが……もし修羅場慣れしたソピアならば、この場面で分身を選ぶことは無かっただろう。

ラヌーンの民「――――、――――!」

敵の人数が多すぎるこの状況では、分身1つにつき6~8人の敵を相手にしなければならないのだ。

エルミス2「きゃあ!」

エルミス3「ぎゃふん!」

エルミス4「やだー!」

エルミス5「嘘でしょ!」

あっという間に分身たちは消えてしまい、エルミスは追い詰められた。

エルミス「た、助けて……父上」

ソピア「……トー、タルセ、ラピー」パァァ

トール「繋がりましたね……よかったです……」

覚えたての回復魔法を使って切り離された腕を体に繋げた。もう精神力はほとんど残っていない。

元々魔法をたくさん使えないトールもエアバッグの連発で精神力が底を尽いていた。

ソピア「繋がったけど……動かない……」

左腕の肘までは動かせたが、切断面より先の手首や指は微動だにしなかった。

トール「大丈夫ですよ、後でサナさんに見てもらいましょう……」

ソピア「ごめんね、トールくん……」

トール「いいえ! どうせ後から無理をするなら僕が蹴散らしておけばよかったんです……!」

ソピア「やっぱり……杖がないとだめなんだ」

トール「ああ、そういえば……それも一緒に荷物の中にありますかね?」

ソピア「……行こう」

トール「も、もういいんですか?」

ソピア「このままここにいて、また見つかったらおしまいだよ。……早く杖とストーンキューブを探そう」


ペガサス(本当は二度と使用したくなかった力ですけれど……)

エルミスと反対側を向いて民たちを牽制しつつ後退していたペガサスが動く。

それを察したルルエンが背中から降りると、ペガサスの全身が光の粒子に変貌した。

光り輝く風がエルミスたちを囲うように一周する。

エルミス「き、消えたわ!?」

ルルエン「……ペガサスさんのお力ですね。通った道を完全に浄化してしまう、清らかで暴力的な魔法です」

エルミス「最初から使いなさいよ、もうっ!」

ドーナツ状に明るい色になった地面、そしてそこに転がる新品の刃物や服……。

元の姿に戻ったペガサスは悲痛な目をしてそれを眺めていた……。

ルルエン「エルミスさん、できるだけ使わせないようにしてあげてください」

エルミス「……でも、海神だけは消してしまえばいいんじゃないの?」

ルルエン「簡単に消してしまえるようなものではない、と」

トール「エルミスさん……!」

エルミス「遅かったじゃない下僕たち、どこで油を売ってたのよ」

ソピア「ごめんね。でも、ストーンキューブが牢屋にあることが分かったし、海神の弱点も分かりそう」

エルミス「……袖、どうしたのよ。破れてるし血がついてるけれど」

ソピア「たまに鋭いよねエルミスって」

トール「後にしませんか? 今は早く中へ」

扉をくぐれないペガサスを守備も兼ねて外に残し、一行は牢獄へ入った。

トール「ソフィアさんが囚われていたのはここで間違いないですか?」

ソピア「うん、間違いないよ」

エルミス「薄暗くて気味の悪い場所ね。下僕にはお似合いだけどね!」

ソピア「そ、そっかー」

エルミス「それにしても、牢獄っていうわりには綺麗よね。フルフィリアのはもっと不潔よ」

トール「言われてみると町もすごく綺麗でしたね……。普通海沿いの建物は劣化が激しいはずなのですが」

ソピア「掃除に使える魔法があるんじゃないかな? 水魔術に近いと思うし」

1階の看守控室は無人であった。

海子の日記に書かれていた通り、鍵は壁にかけられて保管されていた。

ソピア「2階奥の部屋の鍵はどれだろう……?」

エルミス「全部持って行けばいいじゃない! ほらルルエン、持ちなさい!」

ルルエン「……2階に誰かいるようです」

トール「えっ? 市民……ではないですね。わずかに魔力を感じます」

ソピア「嫌な予感……」


デュフ「デュフフコポォ、オウフコプフォ、フォカヌポゥ」

ソピア「うっ、出た……!」

デュフ「やはり来ましたな! 拙者に失敗はありえない!」

トール「こ、この人は……?」

ソピア「スクーニミーに潜入してた海賊の一人。地味にタフだから気を付けて」

エルミス「海賊? 変な服のおじさんにしか見えないのだけど」

デュフ「変な服とは失敬な!! これは同人誌即売国の由緒正しき正装ですぞ!!」

エルミス「言葉のいらない国がかすむほど変な名前の国ね……まったく意味がわからないわ」

トール「図書館でその国の本を見たことがあります。成人向けの絵本を大量に生産・消費する都市国家だとか……」

トール「でも、まさかラヌーンとつながりがあるとは思いませんでした……」

デュフ「正式なつながりではない。拙者はその国から略奪した本を、魔術で大量に複製し格安で世界各国に売りつけている、ただそれだけですぞ」

デュフ「その儲けを使って、我が国は略奪では入手できない物品を購入しているのだ」

ソピア「人々を騙して売りつけているんですね……。その、なんだっけ、変な名前の国の人に失礼です」

デュフ「騙してはいない。複製本の購入者は皆『海賊版』と呼び有難がっている。もっとも同人誌即売国は拙者の影響で金欠に陥っているようだがな、ぐふふふふ!」

トール「海賊版……」

デュフ「おぅふ、拙者としたことが話しすぎてしまいましたな!」

構えた柄の長い青竜刀の切っ先がソピアたちに向けられる。

デュフ「ソフィアたんがこの先に切り札を隠しているのは明らか! 絶対に通しませぬぞお!!」

例によってデュフの全身は青いオーラに包まれている。

ソピア(どうしよう……魔法は防がれるし、あんなので斬られたら死んじゃう……)

心配顔のソピアをちらりと見て、エルミスは得意気な表情で笑んだ。

エルミス「ソフィー、わたしに任せなさい!」

ソピア「えっ、エルミスが?」

エルミス「舐めないでちょうだい! ここで下僕たちに主人としての威厳を見せてあげるわ!」

ソピアたちをかばうように前に立ったエルミスは、デュフの突進を正面から受け止めた。


↓ エルミスの体力50+開運10、コンマ40以上で勝利

ガキィン!

エルミス「お、重い……!」

デュフ「小娘ごときに後れを取る拙者ではなあい! ふんぬーッ!」

エルミス「きゃあ!!」

一度は組み合うもエルミスはあっさりと力負けし床に倒れた。

デュフ「これで終わりですかな? デュフフフフ!」

エルミス「まだよ!」

エルミスは立ち上がる。

しかし、デュフは様々な角度で振るわれる鎌をやすやすといなしていく。

少し突っ込んできたところにカウンターをしかけても同様だ。

エルミスはまるで最初の再現のように弾き飛ばされてしまった。鎌が手元を離れ床を滑る。

デュフ「口ほどにもありませぬな」

エルミス「う、うるさい……」

デュフ「まだやる気ですかな? ぐふふ、どうぞ何度でも挑んでくだされ」

トール「あれ……おかしい、なぜとどめを……」

デュフ「それはあくまで足止めですゆえ。実は拙者、こう見えて美少女を殺める趣味は無いのですぞ」

ソピア「嘘だ……」

デュフ「嘘ではない! 拙者は趣味人ではなく仕事人だ!」

エルミス「それが本当なら……色仕掛けも通じないわね……」

トール「色仕掛けするつもりだったんですか!?」

ソピア「…………エルミスに色っぽさなんて無いような」

エルミス「下僕! 聴こえてるわよ! ……だって、負けたらどうするの。下僕にはこいつを倒せるわけないでしょ」

普段であればともかく、現状ではエルミスの言葉は事実だった。ソピアもトールも魔法を使える状態ではない。

エルミス「わたしが負けたら全部意味がなくなるじゃない……ここに来たことも、みんなが海神の足止めをしてくれていることも」

エルミス「プライドなんかいらない! 何をしてでも勝つのよ! わたしの下僕をみすみす死なせない!」

エルミス「だって……」

エルミス「そんなこともできないようじゃ、父上に認めてもらえないわ!!」

ソピア「え、エルミス、何やってるの……!?」


1.エルミスは何も持たずに突進した
2.エルミスはナイフで自分を刺した
3.エルミスは上着を脱いだ
4.エルミスは鎌の刃と柄を分解した

エルミスは取り出したナイフを使って、鎌の刃と柄の接合部を解体していた。

エルミス「いいから見てなさい」

刃が外れるとその刃を器用に操り、解体に使っていたナイフを柄に接続していく。

ものの1分で曲がった刃と槍が完成した。

デュフ「武器を壊してどうするつもりだ?」

エルミス「こうするのよ」

デュフ「ぬぐぅ!?」ドスッ

トール「え? いま槍届いてなかったような……」

エルミスはそのまま槍を突き続け、デュフを一歩も前へ進ませない。

同世代の女子と比べて筋力に長けたエルミスの刺突は、バリアに阻まれて突き刺さりはしないが十分にダメージを与えられた。

直接ぶつけているわけではないので、柄が折れてしまう心配もない。

デュフ「ぬ、ぬおおおお!!」

形勢を逆転するべくデュフは身を低くして飛び掛かる。

それを待っていたとばかりの笑みを浮かべ、エルミスは足元に槍を突き刺した。

デュフ「ぐおっ……!」ドスドスドスドス

突如としてデュフが宙に浮く。

床から槍の穂先が大量に生えてデュフを襲ったのだ。

ソピア「何あれ!?」

ルルエン「ソフィアさんはまだ一度も見ておりませんでしたか。エルミスさんは鎌を降らせたり分身したりと、奇術師のような戦法を好んでいます」

ソピア「エルミスそんなにすごかったの……?」

デュフ「デュ、デュフフフ、このままではおまいらも通れまい!」

エルミス「まだ終わりじゃないわ!」

続けて天井に槍を刺すと、同様にデュフの上からも数多の槍が襲い掛かる。

エルミス「『アイアンメイデン』」

両側から槍に挟まれ全く身動きが取れないデュフに向けて、エルミスは鎌の刃を放り投げた。

その刃はデュフに届く前に幻のように消え失せてしまう。

エルミス「わたしに逆らった罪を償いなさい!『ギロチン』」

消えたはずの刃が大きくなって天井に出現する。

鋭い刃は重力に従い、壁や槍をすり抜けてデュフの首へと落ちた。

デュフ「グッ、ゴフッ……! ガハァ……」

うずくまり血を吐いているデュフの首には痣が残っている。

バリアの効果で切断どころか骨折まで免れたようだ。

エルミス「斬れなかっただなんて……もっと改良の余地があるわね」

トール「エルミスさん、槍も使えたんですか……」

エルミス「わたしの父上は槍使い。小さいころから見てたのだから出来て当たり前でしょ?」

トール「当たり前ではないかと……」

エルミス「本当は槍なんて使いたくなかったのだけど。わたしの理想に反するわ」

ソピア「プライドはいらないってそういうことだったんだ」

エルミス「無駄な時間だったわ。早く行きましょう」

デュフ「……待、て」

トール「もう喋れるんですか……!?」

デュフ「チッ……俺様としたことが負けちまうなんてよぉ」

ソピア「口調が変わった……」

デュフ「こっちが素だ。もう仕事は終わったからな」

デュフ「十数年前……俺様は自由な海賊だった。ラヌーンにまつろわぬ、本当の海賊だ」

ソピア「なぜ今自分語りを……?」

デュフ「野蛮で獰猛、屈強な船長として恐れられた俺様だが、ある国で恋をした。運命の出会いだった……」

デュフ「まさかその半年後にアイツが海子にされちまうとは全く考えもしなかった……」

デュフ「おいオメエら、ここまでやったんなら責任もってこの国をブッ潰せ」

ソピア「……そこまでするつもりはないです」

デュフ「なに甘えたこと言ってやがる、海子がいなくなりゃこの国は滅びんだよ」

デュフ「おい小娘、この長刀のデュフューズに打ち勝ったこと、光栄に思え」

エルミス「別になんとも思わない。わたしが勝利するのは当前のことで、いちいち感動することじゃないわ!」

エルミス「だってわたしはエイラ・ブラッドレイさまよ!」

デュフ「ブラッドレイ……そうか、あの男の……納得だぜ」


※エルミスの器用さがさらに上がりました

>>731のエルミス安価
突進……筋力アップ、素手でデュフを叩きのめし外に放り投げる
自傷……防御アップ、痛くないと思い込めば傷すら付かなかった
上着……素早さアップ、床に落ちた上着がゴトリと音を立てる



ソピア「あった! 私のかばん!」

トール「中身は何も盗られてませんか?」

物探しの技術を持っているソピアは素早く荷物を確認する。

ソピア「……やっぱり、月の石が無くなってる」

エルミス「そんなのどうでもいいでしょ! 目当てのものは残っていたの?」

ソピア「……あっ」


無くなってるもの
123 月の石だけ
456 月の石+自動迷彩マント
789 月の石+ムーンストーンの杖
0 月の石+ストーンキューブ

↓コンマ一桁

ソピア「……大丈夫、月の石以外は揃ってたよ」

トール「おどかさないでくださいよ……」

エルミス「いいから早くドラゴンを呼んでちょうだい」

ソピア「うん、わかった」

ソピアはストーンキューブを握って念じた。

ソピア(アースドラゴンさん、聞こえていますか?)

ドラゴン(ストーンキューブを通じ此方より全てを見ていた)

ソピア(話が早くて助かります。ラヌーンに出てくることは可能ですか?)

ドラゴン(可能だ。そなたのいる島には大陸の石が存在している)

ソピア(お願いします。ドラゴンさんの力で海神を鎮めてください!)

ドラゴン(よかろう。此方を喚び出したこと、感謝する)

ドラゴン(ドラゴンは決して裏切らない種族だ。地上を見せてもらう礼として、その要求に応じよう)

ストーンキューブがソピアの手を離れ、床をすり抜けて消えた。

トール「上手くいった……んですか?」

ソピア「たぶん……」



ヒレアたちが海神に追いついたのは、ちょうどユニコーンとケルピーが気を失う寸前であった。

ケンタウロスが咄嗟に防壁を張り、海神がソピアの元へ行くのを妨げる。

キュベレ「できるだけ持たせるわよ!!」

マトイ「おー!」


※探索チーム戦闘失敗数3回(全失敗)のため、足止めチームが3人脱落しました

アースドラゴン出現時に立っているのは
1.ヒレア
2.キュベレ
3.マトイ
4.サナ

海神「弱小な人間達め……!」

海神の正面で青い光が凝集していく。

キュベレ「チャージだわ、みんな伏せて!」

海神の力で大嵐が巻き起こる。

はじめに、潮のにおいのする暴風が吹き荒れた。

サナ「箱庭セラピー~防風林!」

何列にも生えた木々が風を幾分か和らげた。ただし最前列の木は根を張った土ごと飛ばされてしまった。

次に、青い霧を含んだ風が木々を削りながら迫った。

マトイ「マトイの後ろに隠れて!」

反射バリアでタイミングよくそれを弾き返す。

風が止むと、海神の正面の光が水瓶に変わっており、そこから膨大な量の水が流れ出した。

ケンタウロス「隆起せよ!」

一同が立っている地面が盛り上がって丘になり、洪水の直撃を免れる。

キュベレ「ハァ、絶え間ないわね!」

最後に、丘の下から水が吹き出し、渦潮のような青の奔流が全員を襲った。


キュベレ「げほっげほっ! ……みんなは!?」

ヒレア「私は何とか……でも」

ヒレアの視線の先を追うと、ケルピーとユニコーンの前に立ち石化しているケンタウロスがいた。

キュベレ「亜馬でもダメだったの……!?」

ヒレア「……あっちも」

ヒレアたちから離れた場所で、割れたヤシの実の中に、サナがマトイを抱きかかえてうずくまっていた。

キュベレ「噴射で離脱したのかしら……じゃなくて! みんな生きてるの!?」

ヒレア「大丈夫、生きてるわ。なんで貴方は倒れてないの?」

キュベレ「アタシ、無駄にタフなのよ」

海神は恐らくソピアたちがいるであろう町へ向けて移動していた。どうやら居場所は筒抜けのようだ。

ヒレア「こうしていられない、お姉ちゃんたちが危ない……」

キュベレ「アタシも行くわよ!」

ヒレア「ううん、貴方はここに残ってて」

キュベレ「ここでお言葉に甘えるわけにはいかないわよ」

ヒレア「その……私、直射日光苦手だから」

キュベレ「なるほどね。って空晴れてるじゃない」

ヒレア「あれくらいなら我慢できるけど……魔法的に貴方の方が晴れてるの」

キュベレ「あっ、そうなの……」

キュベレは少ししょんぼりした。

キュベレを置いて飛び立ったヒレアは海神の正面に回り込んだ。

ヒレア「……止まりなさい」

海神「そこをどけ……。ワタシは次なる海子を……」

ヒレア「それがあなたの本音?」

海神「ウルサイ……」

ヒレア「あなたはお姉ちゃんがキライなの?」

海神「質問には答えない……。あのニンゲンを支配する……」

ヒレア「……そう。あなたがお姉ちゃんを支配したいのね。それなら、私の事も憎いんじゃないかしら」

ヒレア「私には何となくわかってる。ねえ、ちょっとだけここで私と遊んでいかない、カミサマ?」

海神「キライ……。ヒレアはキライだ……」

ヒレアの腰から下が霧になると共に闇が空を覆っていく。太陽の光が遮られて青い輝きだけがラヌーン島を照らす。

ヒレア「……本気で暴れるのは一週間ぶりね」

高速飛行で海神に接近し、斬り付けたら旋回して再び斬る。切り口からは青い光が漏れ出て空中に霧散してしまう。

海神の周囲を衛星のように回るヒレア自身も何度も身体が削られている。

海神の魔法の効果か、海神に直接触れた部分が消滅してしまうのだ。だが、もちろんそこはラヌーンの生物から集めた生命力で修復する。

ヒレア「……吸い尽くしてあげる!」

赤い雨を降らせて海神に実体化呪いを書き込む。悪霊などの身体を持たぬ者に一時的に肉体を与えて物理的に退治するための黒魔術だ。

実体化した海神の首筋に食らい付いてエネルギーを吸い取る。霧を介した吸収よりも効率がいい。

実体化呪いが消えた瞬間、海神にしがみついていたヒレアの全身が消滅するが、霧の中から容易に再生して見せた。

海神「アナタも支配……」

海神は首に下げた月の石を握り、背負った円盤から極太の青い光線が放たれた。

光が止むと、そこには翼が白く変わったヒレアが浮かんでいた。

ヒレア「私に魅了や支配は通じないから」

ヒレア「どう? お姉ちゃんのところに行くより、私と遊んでいた方がずっと楽しいと思わない?」

海神「眠れ……」

海神の下半身の触手から青い霧が吹き出し、ラヌーン島の外側へ広がって行く。

ヒレア「私の真似? ……ち、違う、あなたまさか!」

ヒレアは吸収できる生命力の量が一気に減少したのを感じた。つまり、海神は海の生物を皆殺しにしたのだ。

ヒレア「私を倒すためだけに生き物を……! それが海の神様がすることなの!?」

返事は無かった。

代わりに支配のためではない、ヒレアを殺すための光線が円盤から放たれただけだった。

ラヌーン島を覆っていた黒い霧が晴れた。

海神の真下で、わずかに残った残滓が固まりつつある。

しかし海神は面倒な障害になるヒレアにとどめを刺そうなどと考えることは無かった。

見つめるのは一点、頂上の海神殿。

ラヌーン島が、揺れていた。


スレイプニル(ラヌーンのヤフーが追ってこなくなった)

スレイプニル(この健脚に追いつけなかったか、いいや、あれは……)

スレイプニル(ヤフーたちが跪いている……?)

スレイプニル(なるほど、天が闇に染まり、続いてこの地響き。宗教を精神の拠り所にしているヤフーたちでは海神を拝む以外に何もできなくなるのも致し方なしか)


海神殿。

ラヌーン島で最も多くの石材が使われている施設。

その神殿の階段にひびが入る。

耳障りな音を響かせながら、次第に階段から頂上へと亀裂が広がる。

そしてついにその亀裂の外に、生物の手がかけられた。

這い出てきたのは全長10mを越える龍だ。

全身は岩石に覆われており、翼は持たず、たくましい四肢で大地を踏みしめている。

龍は首を持ち上げるとフルフィリア語で叫び、島中にその大声が轟いた。

ドラゴン『二千年ぶりの地上、存分に堪能させてもらおうか!!』


↓ コンマが高いほどアースドラゴンが優勢(00が最大、最低でも20)

コンマ:06(最低20) 所持ターン数:2


ソピア「ドラゴンさんが海神と戦い始めた!」

トール「スケールが違いすぎます……」

エルミス「でももし負けたらどうするのよ」

ソピア「もちろん次の手は打つよ。海神の性質について書かれている本を探そう」

エルミス「その本の当てはあるの?」

ソピア「タイトルの文字は覚えてるからメモを……あ、あれ、どうしよう」

エルミス「ソフィー……もしかして左利き?」

ソピア「そうだけど昔矯正したからいつも右で書いてるけど、紙が無くて……」

ルルエン「この字で間違いありませんか?」

『―――――』

ソピア「はい! 助かりました……」

トール「この本はどこにあるんでしょうか……?」


1.図書館を探す(コンマ奇数で発見)
2.デュフに聞く
3.牢獄の管理人室を探す

↓ ターン消費

続きは明日です
コンマ神のせいで無駄に長引いている気がする…

>>718
情報ありがとうございます
吸血鬼があらゆるジャンルに溢れている中、新しいタイプの吸血鬼を考え出したのかもしれない>>1の鼻が少し高くなりました

風邪をひきました、再開は土曜日までに

>>735まででラヌーン編の結末は9割がた決まっているのですが、変化があるところまで安価無しで一気に投下するのはありでしょうか?

トール「図書館を見つけました!」

エルミス「やるじゃない、下僕!」

ソピア「さすが図書館暮らしのトールくん!」

トール「別に図書館に住んでは!……たまに泊まってますけど」


ソピア達はペガサスを表に残して図書館を探索する。

ラヌーンの図書館は青い光で照らされていた。

ソピア「ここも海力で照らしてるんだ」

トール「目が悪くなりそうですね……」

エルミス「ねえトール、なんでここが図書館だって分かったのよ?」

トール「簡単ですよ……図書館にはたくさんの本を収蔵する大きさと、湿気から本を守る対策が必要なんです」

トール「それに当てはまりそうな建物を選んで探せばすぐ見付かりました」

ルルエン「しかし本題はここから」

ソピア「あ、見っけ」

トール「早すぎませんか!?」

ソピア「スクーニミーで行方不明の本探しを手伝っておいて正解だった……さて、早くヒントを見つけ出さないと、って」

ソピア「本文もラヌーン語だよ! 読めない!」

エルミス「ちょっと! 読める自信があって探していたんじゃないの!?」

ソピア(うう、マリアさんの妖精が読めたからってフルフィリア語とは限らないよね……)

ソピア「……妖精なら読めるのかな? チョーク、これ読める?」

チョーク「読めないよー……」

ソピア「フルフィリア語すら読み書きできるか怪しいもんね、チョークとマリン」

エルミス「そうよルルエン! あなたなら」

ルルエン「申し訳あ