トール「最近小林さんの帰りが遅いです」 カンナ「NTR、いんらん眼鏡」 (54)

~自宅~

トゥルルル~


トール「はーい、もしもし小林トールです」


「あ、トール?ごめん今日ちょっと帰りが遅くなるから」


トール「えー、またですか?最近ずっとじゃないですか」


「ごめんね、仕事が忙しくてさ、じゃ、また帰る時に連絡するから」


トール「はーい……」

カンナ「トール様、コバヤシから?」

トール「はい、今日もまた遅くなるらしいです……」

カンナ「コバヤシ、仕事忙しい?」

トール「みたいなんですけど、なーんかおかしいんですよね」

トール「仕事の時は、もっと真面目な感じの声なんですけど」

トール「最近のは、何か、妙に嬉しそうな……」

カンナ「……うわき?」

トール「……!」

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トール「いえ、いえいえいえ!小林さんに限ってそんな事は!」

カンナ「……うん、わたしもそう思う」

トール「じゃあ言わないで下さいよ……」

カンナ「ごめん」

トール「はぁ、まあ、取りあえず小林さんが電話してくるまで待ちますか……」

カンナ「おおー」






その日、小林から電話がかかってきたのは0時を回った頃だった。

~駅前~


バッサバッサ


トール「小林さん、お待たせです」

小林「あー、ごめんね、遅くなっちゃって」

トール「いえいえ、小林さんの為なら何時であろうと平気です!」

小林「ありがと、カンナちゃんは?」

トール「カンナは流石に寝ちゃいましたね」

小林「そっか」

トール「さ、小林さん、背中に乗ってください」

小林「うん、よいしょっと」

トール「……あれ?」

小林「ん、どうかした?」

トール「……いえ」

小林「?」

トール(……何か、小林さんから変なにおいが)

トール(雌の匂いが)

トール(いえ、小林さんも女性ですけど)

トール(この匂いは……違います、他の雌の匂い……)

トール(長時間近くに居なければ、ここまでの残り香はしません)

トール(ま、まさか……まさかまさか……)

~翌日~


トール「では、作戦を発表します!」

カンナ「おー」

トール「小林さんの会社の終業時間は19時」

トール「小林さんがもし他の雌と会ってるのだとしたら、その後という事になります」

トール「ですから、私達は会社の前に陣取って監視する必要があるのですが」

トール「ここで問題があります」

カンナ「なに?」

トール「私は以前、認識阻害を使って会社に忍び込んで小林さんを観察していた事があったのですが」

トール「小林さんは、何とそれを見破ったのです」

カンナ「おおー」

トール「これは、愛の力です、素晴らしい事です」

トール「けど、今回はそれが裏目に出ます」

トール「私が認識阻害を使って監視してると、小林さんにバレてしまうって事ですから」

トール「そこで、カンナの出番という訳です」

カンナ「私が、みはる?」

トール「はい、カンナであれば、小さいですし、きっと見つからずに済みます」

トール「認識阻害のやり方は前に教えましたし、覚えてますよね?」

カンナ「だいじょうぶ」

トール「では、何かあれば携帯に宜しくお願いします」

トール「私も、近くのビルの屋上で待機してますから」

カンナ「えいえい、おおー」

19時が過ぎ、20時が過ぎ、21時になっても小林は出てこなかった。

しかし21時30分になった時、小林は会社の前に姿を現した。


携帯「来たのー」

トール「こ、こ、小林さんですか!?1人ですか!?」

携帯「ふたりー」

トール「……あの優男ですか?」

携帯「違う、別の」

トール「……雌ですか?」

携帯「うん」

トール「……」

携帯「トール様?」

トール「び、尾行してください、絶対に見失わないように」

携帯「わかったのー」

2人は並んで歩いていた。

何か会話している。

楽しげに。

けれど、内容は判らない。

そのうち、2人はあるアパートに入って行った。

知らないアパートだった。


携帯「1階の部屋に入ったの」

トール「……」

携帯「どうしよう」

トール「……カンナ、窓から中の音を聞いてください」

携帯「わかった」

~アパート~

~窓の外~


カンナ「よいしょっと……」

カンナ「ここなら、聞けそうなの」

カンナ「んぅー……」ピタッ



「さあ、小林さん、今晩も楽しもう」

「あー、その事なんだけどさ、もう止めない?」

「止める?今更か?私をこんなふうにしたのは、小林さんだろ?」

「い、いや、そりゃ誘ったのは私だけど……」

「私の身体をこんなにしておいて、今更見捨てるのか?」

「ほら、私の手を取ってくれ、小林さんが傍に居るだけで、こんなに熱くなってるんだぞ」

「ちょ、やめてよ」

「止めない、止めないぞ、ほら、小林さん、服を脱いでくれ」

「……」

「嫌だっていうなら、小林さんの恥ずかしい写真を、会社にばらまくぞ」

「なっ!?」

「あんな写真をばらまかれたら……恥ずかしくて会社に行けなくなるな」

「エ、エルマ、それは……」

「それが嫌なら……小林さん、判るだろう、私はもう我慢できないんだ」

「だ、だめだって、服脱がさないでっ」

「ふふふ、そんな事言いながら、小林さんだって癖になってるんだろう」

「そ、それは……」

「さあ、素直になろう、小林さん」

「あっ……」



カンナ「……」

トール「カンナ、カンナ、応答せよ、内部の状況はどうか、どうなっているか」

携帯「……いんらん」

トール「え?」

携帯「いんらん眼鏡が」

トール「え?」

携帯「……」

トール「カンナ?」

携帯「……かえる」

トール「カンナ?え、任務放棄ですか?カンナ?」

携帯「かえるー!」

~自宅~


小林「ただいま」

トール「……おかえりなさい」

小林「今日も仕事でちょっと遅くなっちゃった」

トール「……そうですか」

小林「どうしたの?何か機嫌が悪い?」

トール「……いえ、別に」

小林「ふーん……カンナちゃんは?」

トール「カンナは……部屋に閉じこもってます」

小林「え?何かあったの?」

トール「さあ、私は知りません、カンナに聞いてみたらどうですか」

小林「?」

~竜の部屋~


コンコンッ


小林「カンナちゃん?」


シーン


小林「カンナちゃん、入るよ?」


シーン


小林(どうしたんだろ)

小林「カンナちゃん、起きてる?」

布団「……」

小林「寝ちゃったのかな」

布団「……おきてる」

小林「そっか」

布団「……」

小林「……」

布団「コバヤシ」

小林「ん?」

布団「別れて」

小林「え?」

布団「知ってる、コバヤシ、たぶらかされてる」

布団「身体で」

小林「カ、カンナちゃん?」

布団「ねとられ」

小林「ごめん、何言ってるか……」

布団「いんらん眼鏡」

小林「ちょっと、落ち着こう?」

布団「う、ううっ……」

小林「カンナちゃん?」


ガバッ


カンナ「わかれてー、わかれてぇー!」ポカポカ


小林「ああ、もう、どうしたのさ」

ピンポーン


小林「ん、お客さんかな」


「はーい……ゲ」

「ゲとは何だ、ゲとは」

「エルマ、何の用ですかこんな夜中に、常識ないんですか」

「いや、小林さんの忘れ物を届けに来たんだ」

「……小林さんの?」


小林「……!」

カンナ「……!」

ドタバタドタバタ


トール「わ、小林さん……カンナまで」

小林「エ、エルマどうしたの、忘れ物って何?」

カンナ「……」

エルマ「ほら、小林さん急いで帰ってっいっただろ?」

エルマ「これ忘れてたぞ」

エルマ「私は責任感が強いからな、ちゃんと持って来てやったんだ」

小林「紙袋……あ、ありがと」

エルマ「ふふふ、私と小林さんの仲じゃないか、気にするな」

小林「あ、あははは……」

カンナ「……かえって」

エルマ「え?」

カンナ「かえってー!」ポカポカ

エルマ「うわっ、な、なんだ」

小林「カンナちゃん、駄目だって」

カンナ「ううー……」

トール「……ちょっと待って下さい」

トール「何か様子が変ですね、そもそもどうしてエルマが小林さんの忘れ物を持ってきたんですか」

エルマ「そりゃあ、私と小林さんの仲が良いからだろう」

トール「……貴方と、小林さんが?そんな訳」

エルマ「本当だぞ、私は嘘なんて付かないからな、現に今日だって……」

小林「エルマ!」

エルマ「あ……」

小林「……」

エルマ「す、すまない、小林さん、私は別にそんなつもりじゃ……」

エルマ「違うんだ、小林さんとの約束を破るつもりはないんだ、本当だ」

エルマ「信じて欲しい、嘘じゃない、誓ってもいい、だから怒らないでくれ」


エルマは両手で小林の手を握り、そう懇願した。

2人の距離は何だか近かった。

トール「何ですかそれは」

トール「その距離感はなんですか」

トール「どうして小林さんの手を握ってるんですか」

トール「どうしてエルマは目が緩んでるんですか」

トール「約束って何ですか」

トール「いえ、そもそも……」

トール「……その紙袋は、何ですか」


ガシッ


小林「な、何でもないよ、ただの私物だから」

小林「離してトール」

トール「いいえ、いいえ離しません、ちょっと中身を見せてください」

小林「だ、駄目だって引っ張っちゃ、破れちゃうから」

トール「ほんの少しでいいんです、もし普通の物なら謝りますから」

小林「あ、あ、ああ……」


ビリビリビリー


紙袋は破れて、中の物が床にふわりと落ちた。

小林の下着だった。

前にトールが洗った事がある、下着だった。

トール「……」

カンナ「……」

小林「……」

エルマ「……」

トール「……これが、忘れ物ですか」

トール「この下着を、何処に忘れてきたのですか」

小林「え、えっと……」

エルマ「……小林さん、これはもう隠しておくのは無理だ」

小林「……うん、そうだね」

小林「ここらが潮時なのかもしれない、私も隠してるの辛くなってきたし」

トール「……小林さん?」

小林「トール、カンナちゃん」

トール「は、はい」

カンナ「……」

小林「実は、最近、帰るのが遅くなってたのは、仕事が原因じゃなかったんだ」

小林「本当は……」

トール「あーあーあー、聞きたくありません、あーあーあーあー!」

小林「と、トール」

トール「何シリアスな感じになってるんですか、私はそんなの望んでません、あーあーあー!」

トール「確かにちょっと怪しいとは思いましたが、ガチでそういうのは止めてください嫌です、あーあーあー!」

小林「聞いてトール、ちょっと前にエルマと2人で飲みに行ったんだよ」

小林「エルマは最近頑張ってたし、人並みに仕事出来るようになったからそのお祝いって事で」

トール「聞いてませんってば、止めてください、あーあーあー!!!」

小林「けど、ほら、私って酔うとちょっとタチが悪くなるみたいじゃない?」

小林「その日も寝ちゃってエルマの家で介抱してもらってたんだけど」

トール「いやあああああああああ!!!聞きたくなああああああああい!」

小林「そうしたらさ、エルマが「あーあーあーあーあーあーあー!!!」してくれてて」

小林「私、酔った勢いで「あーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあー!!」しちゃって」

小林「その時の写真をエルマに「ああああああああああああああああああ!!!!」されて」

小林「「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」

 



小林「うるせええ!!」



 

トール「うるさくないです!普通です!普通はこんな会話したくありませんし聞きたくありません!」

トール「それ以上、話を続けるなら私にも考えがあります!」

トール「ええ、小林さんは忘れてるんです私がドラゴンだって事を!」

ドトール「私が本気を出せば!本気を出せば!」

小林「と、トール?」

トール「とう!!!!!」


パリンッ


バッサバッサバッサバッ


小林「……」

カンナ「……」

エルマ「……」

小林「逃げやがった……」

カンナ「コバヤシ……」クイクイ

小林「カンナちゃん?」

カンナ「私は、ききたい」

カンナ「ほんとの事、ききたい」

カンナ「もし、嫌なことでも、がまんするから」

カンナ「ほんとのこと、おしえて」

小林「……うん」

小林「判ったよ、カンナちゃん」

小林「実はね……」

~公園~

トール「……」

トール「はぁ、逃げてきちゃいました……」

トール「そんな事をしても、何の解決にもならないって判ってるんですけどね……」

トール「……」

トール「……小林さんは、本当にエルマと、その」

トール「あんまり口にしたい言葉ではありませんが……」

トール「セックスしたのでしょうか……」

トール「レズセックスしたのでしょうか……」

トール「ドラゴンレズセックスしたのでしょうか……」

トール「ダブル眼鏡ドラゴンレズセックスしたのでしょうか……」

トール「そんな事、信じたくはありません……」

トール「けど、けど、あの下着は……」

トール「あの下着は、確かに私が舐めまくった記憶がある下着です……」

トール「もしあれが新品だったなら……」

トール「ド変態のエルマがトチ狂って小林さんにプレゼントしようとしたって事で丸く納まりますが……」

トール「けど実際は……くっ」

トール「私はどうすれば……」

トール「……そうです、少し冷静になって理論的に考えてみましょう」

トール「宇宙は広いですし、その中には常識ではありえない現象だって存在します」

トール「つまり、全部私の勘違いで、家に帰ればすべてが丸く収まってる可能性だってあるのです」

トール「それどころか、小林さんが全裸で待機してくれていて私を抱きしめて結婚しようって言ってくれる可能性も」

トール「そうです、ゼロではないのです」

トール「しかし、ここで私が立ち止まってたら、その可能性は本当にゼロになってしまいます」

トール「私は、信じて進むべきなのです、小林さんと、世界の可能性を信じて」

トール「ふっ、何だか自分が1つ成長した気分になります」

トール「試練を乗り越えた気分になります」

トール「……ええ、帰りましょう」

トール「私達の家に」

~小林宅の前~


トール「しかし、いざ中に入ると何か照れますね」

トール「あれだけの勢いで飛びだしてしまったわけですし」

トール「……」

トール「エルマの匂いは残ってます、まだ何か話でもしてるのでしょうか」

トール「……しかたありません、こっそり忍び込んで、こっそり会話に混ざって」

トール「さっきのは無かったみたいな雰囲気で押し切りましょう」

トール「そーっと……」カチャッ


「はぁ、はぁ、はぁ」


トール「……ん?これはカンナの声?」

トール「声というか、息遣い?」


「だ、だめ、カンナちゃん……」

「コバヤシィ……」

「ふふふ、2人とももう夢中だな……」


トール「……」

トール「……小林さんの部屋から、三人の声が」

「コバヤシ、コバヤシ、わたし、わたしこんな気分になったのははじめてなの」

「ふふふ、ほら、小林さん、もっと見せてあげよう」

「だ、駄目だってそんな恰好……」

「今さら何を言ってるんだ小林さん、私といる時はもっと嬉しそうなのに」

「この子に見られる事が、恥ずかしいのかな」

「だったら、ふふふ、こうしてあげる」

「ひゃっ」

「コバヤシのそんな声、はじめてきいた……」

「もっと、もっと聞きたい」

「カンナちゃん……」

「コバヤシの色々な事、わたしはしりたい」

「コバヤシ、コバヤシ、コバヤシ……」

トール「……三人の、嬌声が」

トール「聞こえます……」

トール「カンナと」

トール「エルマと」

トール「小林さんの」

トール「声が」

トール「コエガ」

トール「コエガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


その瞬間、トールの身体は黒く染まる。

バキリ、ゴキリと骨格が組み換わり変化を起こす。

より戦闘に特化した形態へと。


巨体化ではなく、俊敏性を追求した小柄な形態。

ドラゴン・ビーストモードと呼ばれるそれは、閉所での戦闘で絶大な殺戮能力を発揮する。

そのビーストが、今、小林の部屋に解き放たれようとしていた。


「バルバルバルバルバルバルバル!!!」

~数日前~

~酒屋~


小林「だからさー、前も言ったでしょー、覚えてるエルマァ?」バンバン

エルマ「ああ、覚えてるぞ、前に小林さんから教えてもらったからな」

エルマ「私は、一度教えてもらった事は絶対に忘れない」

小林「おおー、いいじゃん、エルマのそういう姿勢、私好きだよ、ヒック」

エルマ「小林さん、少し飲みすぎじゃないか」

小林「なーに言ってんのコレくらい、それよりさっきの話の続きだけどさぁ」

小林「やっぱり、トールはまったく判ってないんだよね、私の気持ちとか」

小林「いや、感謝はしてるよ?けどさぁ、何かもう少しさぁ」

エルマ「うん、小林さんはトールに不満があるんだな」

小林「……ううー」

エルマ「小林さん?」

小林「不満……なのかなあ、やっぱり、私とトールはあわないのかなぁ……」ウルッ

エルマ「わ、わわ、小林さん泣くな、な?」

小林「う、うう、エルマは優しいなあ……ヒック」グスン

小林「ごめんなぁ、今日はエルマのお祝いだったのに、ヒック」

エルマ「私はいいんだ、その気持ちだけで嬉しい」

エルマ「小林さんは、優しい人だ、私は小林さんに出会えて、凄く良かったと思う」

小林「……」

エルマ「小林さん?」

小林「zzzzz」

エルマ「もう、寝てしまったか……仕方ない先輩だな」クスッ

小林「……あれ」ムクリ

小林「ここ、何処だろう……眼鏡眼鏡……」

エルマ「ほら、小林さん、眼鏡だ」

小林「ああ、ありがとう、エルマ……」

エルマ「……」

小林「……」

エルマ「あ、あの、あんまり見つめられると、その、恥ずかしい」

小林「……え、あ、ごめん、綺麗だったから」

エルマ「そ、そうか?それはちょっと……いや、かなり嬉しい感想だな」

小林「……いや、というか」

小林「な、何でそんな恰好してるの」

エルマ「え、小林さんが言ったんだぞ、こういう恰好が好きだと」

小林「私が?」

エルマ「そうだ、少し前に私と小林と滝谷で飲みに行った時に」

小林「……あー、そうか、確かにそんな事が」

エルマ「正直、びっくりした、2人とも豹変して私に理解できない事を語り合ってたから」

小林「ご、ごめん」

エルマ「いや、いいんだ、私の知識不足が原因だからな」

エルマ「けど、もう大丈夫だ」

小林「え?」

エルマ「私はあれから色々勉強した」

エルマ「2人ほどじゃないにしても、それなりに知識は深めたつもりだ」

エルマ「それにほら、お給料をつぎ込んで、こんな物を作ってみたんだ」

小林「そ、それ手作りなの!?」

エルマ「ああ」

小林「いやいや、布も良いのを使ってるし、色合いの選択もいい……」

小林「これ、本当にすごいよエルマ」

エルマ「ふふふ、そうか?」

小林「うん、びっくりした……」

エルマ「実はな、私の分だけじゃなくて、ちゃんと小林さんの分もあるんだ」

小林「……は?」

エルマ「だって、小林さんこういうのが好きなんだろう?」

小林「い、いや、確かに好きだけど……私には似合わないよ」

エルマ「そんな事ないだろう」

小林「いや、似合わないって」

エルマ「……」

小林「前に着て観て判ったもん、私は確かにそれが好きだけど、自分で着るのは無理だから」

エルマ「……そうか、まだ私の努力が足りなかったんだな」

小林「へ?」

エルマ「だから、小林さんは着てくれないんだ……未熟な私が原因だ……ははは……」

小林「いやいやいやいや、エルマの技術はすごいって!それは誇っていいレベルだよ!」

エルマ「ふっ……気を使ってくれるのか、小林さんは優しいな……」

小林「あー、もー……」

エルマ「……」

小林「……私が着れば、自信持ってくれる?」

エルマ「こ、小林さん……!」

小林「一回だけだからね?」

エルマ「おお!凄く似合うぞ小林さん!」

小林「……いや、これは、駄目だろう」

小林「脱ぐ」

エルマ「脱いでは駄目だ!凄く似合ってるから!」

小林「そういうの、いいから」

エルマ「本当だ!可愛いぞ!」

小林「……」ピクリ

エルマ「可愛い!小林さん可愛い!天使みたいだ!」

小林「い、いや、それは言いすぎでしょ、天使とか……」

エルマ「本当だぞ、私はウソはつかない」

エルマ「故意に本当の事を隠す事はあっても、ウソはつかないんだ」

エルマ「それが私のドラゴンとしての矜持であり、誇りだ」

エルマ「小林さんは、私の誇りを疑うのか?」

小林「……ごめん」

エルマ「いいんだ、小林さんに信じてもらえてうれしい」

小林「うーん、自分ではわからないだけなのかなあ」

エルマ「それなら、写真でも撮ってみるか?」

小林「え、それは流石に……」

エルマ「大丈夫だ、可愛くとるから」ピピピ

小林「え、え、もう撮るの?」

エルマ「はい、小林さん笑ってー」

小林「……」ニヘラ

エルマ「少し硬いな、もう少し自然に笑えないかな」

小林「無理だって……」

エルマ「残念だ、このままでは小林さんの可愛さが伝わらない」

小林「……」ピクリ

エルマ「あ……」

小林「な、なに?」

エルマ「なるほど、判った、私は一度教えられた事は絶対に忘れない」

小林「へ?」

エルマ「小林さんは可愛いな」

小林「……」ピクリ

エルマ「凄く可愛いぞ、美少女だ」

小林「い、いや、私はもう25歳なんだし」

エルマ「年齢なんてドラゴンにとっては些細な差だぞ、小林さんは美少女、これは揺るがない」

小林「そ、そうかな///」


カシャッ


エルマ「ふふふ、照れてる小林さんも可愛いな、愛らしい」


カシャッ、カシャッ、カシャッ

ビーストモードと化したトールが部屋に飛び込んだ時。

小林は着ていた。

エルマが作ったメイド服を。


「コバヤシ、コバヤシ、かわいい、かわいい」

「いいぞ、素敵だぞ小林さん、今夜は今までで一番かわいい」

「少し、スカートを摘まんでみようか、少しだけ、少しだけだから」

「い、いやいや、カンナちゃんに信じてもらう為に着ただけだからね?」

「もう脱ぐから!」


その光景を目にした瞬間、トールを覆っていた黒い影は全てピンク色に変わった。

戦闘特化形態から即座に凌辱特化形態へと切り替わる。

そして飛び込んできた勢いのまま、小林を押し倒す。


咄嗟の事に、誰も反応できない。

いや、違う。

一人だけ。

一匹だけ、反応をしていたドラゴンがいた。

彼女はカメラを構え、トールに組み伏される小林を激写する。


≪凌辱!獣にレズレイプされる美少女メイド!≫


その言葉が脳裏に走り、エルマの身体は火照る。


「小林さん、可愛いぞ、もっと悲鳴上げて大丈夫だからな、結界は張ってある」


エルマのメイド愛好度数は、既に小林を超えるほどまで成長していた。

こうして、トールからドラゴンメイドレズレイプされた小林さんは。

メイド服を着て乱暴されるのが癖になってしまい。

毎晩毎晩、ドラゴン達から沢山愛されて。

幸せに暮らしましたとさ。







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