男「俺の生きがい」(21)

女「あ~あ、怪我とか嫌になっちゃうなぁ」ハァ

女「せっかく陸上の大会で良い記録とれると思ったのに」グス

女「何で今かなぁ…。」ポロ

女「なんで…私…なの…」ポロポロ

コンコン

女「…な、なに?」

女(今とても人に会える顔じゃないのに…)

女(やだなぁ……)

女「どちら様ですか…?」

男「はじめまして。私、名乗るほどの者ではありませんが男、と皆 呼ばれております」

男「すみません、寒いので入れさせてもらえないでしょうか」

男「と言うかドアを開けてもらえませんか?」

女(男って…あの噂の?)

女「本当に噂の男さんなんですか?」

男「えぇ、きっとその噂の男になるでしょうね」

女「何しに来たんですか。あなたなんかを呼んだ覚えはありませんが」

男「いえ、ね?涙が落ちる音が聞こえたもんで…」

女「そうですか…。」

男「はい、なのでここを開けてt

女「でも結構です。先程も言った通りあなたを呼んだ覚えはございませんし、それに…」

男「なんです?」

女「一人になりたいときだってあるんです…」

女「今は泣きたいんですよ…」

女「なので私に構わないでどうぞ帰ってください。」

男「…」

ーー数時間後ーー

女(少し気が晴れたな…なく涙ももうないや)

女「ま、悔しいのはまだまだ消えないんだけどね…」

コンコン

女「」**

女(まさか!?)

女「…男さん…ですか?」オソルオソル

男「はい!ここを開けt
女「まだいたんですか!!?帰ってくださいって言ったじゃないですか!!!」

男「……」

女「黙ってどうしたんですか?」

男「そんな事を言われたのは生まれて初めてなもので…」

女「そうなんですか」

男「結構、心にきますね」ハハハ…

男「少し、泣いてもいいでしょうか?」グス

女「な、何を言ってるんですか*あなたが泣いてちゃ仕様がないでしょう!」

男「しかし…」

女「泣きたいのは私なんです。泣くのは私だけで十分なんですよ…」

男「良いことを仰いますね…」ハハ…

二人分の泣き声 遠く…

女(ドアを挟んで背中あわせの状態だらか…)

男(静かな彼女と僕の泣き声が聞こえる…)

女(お互い膝を抱え込みながら…)

男(泣くのも疲れたな、なんて考えてる)

女「ねぇ、男さん…」

男「…なんでしょうか?」

女「今でも私を笑わせる気でいるの?」

男「それだけが僕の“生きがい”なんだ」

男「笑顔にさせなきゃ帰れない」ハハハ

女「そう…」

女「今ならあなたを部屋に入れても良いと思ったんだけどね…」

男「?」

女「困ったことにドアが開かないのよ…」

女「さっきドアを殴ったからかしらね」

男「そうですか…」

女「だからそっちから開けてくれない?」

男「………」

女「ねぇ!なんとか言ってよ!」

………

女「どうしたの?ねえってば!」

女「まさか…」

女「なんで、なんでよ…」

女「今さら私を一人だけおいてどっか行かないでよ」ポロ

女「信じた瞬間裏切られるなんて思ってもみなかったのに…」ポロポロ

バッリ-ン

女「*」

男「ニッ」

男「あんたに笑顔を持って来た」

男「ほら、見てください」

女「?」

女(小さな鏡?)

男「あなたの泣き顔、とても笑えますよ」ハハハ

女(…呆れた…けど)

女「確かにね」フフッ

終わり

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