勇者「魔王を倒して三年の月日が経ちました」(51)

~喫茶店~

勇者「私は現在、コンビニの店長をしておりますが、
皆さんはどのような職業をされているのですか?」

魔法使い「私は魔法学校の先生をしているよ」

勇者「魔法学校ですか…この世界にあるのですか?」

魔法使い「うぅん。別世界にある魔物の教育をしてるの」

勇者は多少驚いた表情をしたあと、冷静に尋ねた。

勇者「それは…“違法”ですよね?」

魔法使い「……そんなこと…わかってるよ?」

ずっと黙っていた戦士が喋り出す。

戦士「実は俺も…別世界で魔物に体技を教えてるんだ…」

勇者「な、何故!?」

戦士「だって…おかしいだろ?俺たちは死ぬような思いで
……というか、現に何回か死んで、必死に諦めずに、
何度も泣いたし苦しんだけど…魔王を倒したんだぞ…」

戦士の純粋な眼差しは三年前と全く変わらなかった。
…だがしかし、その眼には深い悔しさが感じられた。

戦士「それなのに、何故か魔物が全滅してないって
理由だけで、国は俺たちに何の恩恵も与えてくれないんだぜ?」

勇者「……」

魔法使い「ねぇ…勇者?」

魔法使いが少し弱々しく語りかける。

魔法使い「勇者もさ…一回、“別世界”に来ない?」

勇者「別世界?…魔物のいる世界ですか?」

魔法使い「……えぇ」

勇者「皆さん…少し失礼かもしれませんが…」スッ

勇者「“アホ”ですか?」

魔法使い「……」

戦士「……」

勇者達の周囲一体に静寂が訪れる。

勇者「我々は何の為に戦って来たのですか?
何の為に苦しい思いをして来たのですか?
この国が平和になり、人間達に希望が訪れた。
それでは満足出来ないのですか?何か足りないですか?」

勇者は自分の思いを伝えた。自分達が戦って来たのは
この国の平和を取り戻す為。自分達の地位向上や
私利私欲の為ではない。ましてや魔物側に加担したり
この国に恨みのような感情を持つなどあってはならない。

“正義”という肩書のような、そして自分の本当の気持ちは
隠すような感じで、共に旅をした仲間に言った。

だがしかし、返ってくる言葉は予想と違っていた。

戦士「お前、勇者失格だろ」

魔法使い「私もそう思った」

戦士「お前さ、自分の気持ちを隠蔽してるんだろ?」

勇者「……!?」ドキッ

自分で気付いていないようで気付いていた所を突かれた。

魔法使い「勇者ってのは本来、悪い事やおかしいと
思った事は素直に言わなきゃいけないんだよ?」

勇者「……」

何故か黙り込んでしまう。

戦士「……まぁいい。それよりも俺らを読んだって事は
お前もお前なりに何か理由があったんだろ?聞かせろよ」

勇者「理由…」

戦士「おう」

勇者「いや、特に何もないですよ。皆さんが
あの戦い以降、何をしてるのか気になっただけで…

<ボカッ>

鈍い痛みが走る。殴られたのすら久しぶりだった。

戦士「お前…勇者なのか?…俺が付いていった勇者なのか?」

魔法使い「……フフッ」

多少、不気味に…そして哀しげに魔法使いが笑った。

魔法使い「戦士…あの時の勇者は死んだんだよ…。
僧侶が蘇生させた勇者は別者だったってことだよ…」

戦士「そうか…」

勇者「……」(何を…言って…)

魔法使い「行こう戦士…こんな人間界は立ち去ろ?」

本日はここまでです。
ちなみにssは初投稿なので、至らぬ点が多いと
思われますが、御理解の程を願います。それでは。

魔法使い「勇者…もしかしたら、今度会う時は
“敵同士”かもしれない。それだけ覚えておいてね?」

初めて魔法使いと会った時と同じ、冷酷な目で
こちらを見ていた。その目には失望を感じた。

戦士「とはいえ…気が変わったらいつでも来いよ。
ここに記してある呪文を唱えれば別世界へ行けるから」 バンッ

戦士は呪文を記した紙をテーブルに置いた。

勇者「……」

何とも言えない気持ちだった。予想を遥かに越えた展開。
そもそも自分が彼らを読んだ理由は何だったのだろうか?

魔法使い「じゃあね。コンビニの店長」

戦士「いい仕事じゃねえか。俺なんかほぼ奴隷みたいな
仕事だったぜ。人間界で働いてた時はよ?」

勇者「え…そんな…」

戦士「人間ていうのは…力の弱い“悪魔”なんだよ…
その力の弱さがさらに憎たらしいがな……」ググッ

戦士からは“怒り”そのものが感じられた。

勇者「……」

その後、戦士と魔法使いは何処かへ去っていき
自分は彼らの分の代金も払い、喫茶店をあとにした。

~自宅~

勇者「ただいま~」ガラッ

僧侶「お帰りなさい勇者様」

勇者「!?」ビクッ

何で俺の家に…

僧侶「ちょっと大事なお知らせがありまして…」

勇者「あぁ…そうですか…しかし、人の家に
勝手に入るのは住居不法侵入でありましてね…」

僧侶「実は、賢者さんについて話しがあるのです」

勇者「賢者…」

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~三年前~ 『魔王戦』

魔王「よく来たな…劣等種族の人間共めが…」

勇者「必ず貴様を討ち取り…世界に平和を取り戻す…」ギリッ

魔王「…貴様の言う平和とは何か知らんが…まあいい…」

魔王「…しかしな?お前達にはまずこの者と戦ってもらおう」

魔王が呪文を唱えると、地面から見覚えのある者が現れた。

賢者「勇者…」

戦士「お、おい…マジかよ?」

魔法使い「け、賢者さん!?……って、その紋章は?」ガクガク

魔王「クククッ…彼女は実に正しい選択をされた…」ハハッ

勇者「魔王側についたのか?」

賢者「このあとの未来を予言した結果、正しいのは
彼らであると判断した。人間こそ愚かな生き物だ」

勇者「何!?」

魔王「……」ニヤッ

魔王が微かに微笑した。

魔王「それでは見せてもらおうか…人間達の戦いを…」

戦士「っざけんな!魔王…」ダダッ

戦士は魔王に斬撃を喰らわそうとした、が…

賢者「……」スッ

賢者は瞬間移動で戦士の目の前に現れた。

戦士「え?」

賢者「……」ブゥゥンッ

<ボオオオォォウッッ!!>

賢者の最上級火炎魔法で戦士は大ダメージを受けた。

戦士「ぐはっ!」ドサッ…

勇者「……倒すしかないな」

僧侶「仕方ないようですね」

魔法使い「え!?ちょっと…」

勇者「……しょうがないだろ…」バッ

僧侶「勇者様…全力でサポートします…」ダッ

魔法使い「……」((どうして…!?))

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僧侶「あのあと我々は賢者さんを倒し、魔王も倒しました」

勇者「あぁ…そうですね…あんまり思いだしたくも…」

僧侶「では、ここで質問です」

勇者「……」((この女…昔から変わらん奴だ))

僧侶「賢者さんは死んだのでしょうか?」

勇者「はい?」

さすがにボケるには早すぎる年齢だと思うが…

僧侶「正解は“no”です。賢者さんは生きています」

勇者「…いやいや…」

僧侶「賢者さんは自らに死んだ時に自動で生き返る呪文を
自身に我々との戦闘前からかけてたんですよ」

勇者「そんな呪文なんて、習得できないでしょう?」

僧侶「いや、できますよ。魔界入りすれば」

勇者「え?」

僧侶「なるほど。この三年間、あなただけは
何も考えずに生きてきたということですか。失望ですね」

僧侶「私や魔法使いさん、戦士さんは魔王の死後も
様々な不可解な事について考えていました。
例えば、何故あの時に賢者さんは魔王側についたのか。
そして、賢者さんが見た未来とは何なのかについても…」

勇者「確かに不思議でしたよね…」

僧侶「あなたは何か考えていましたか?」

勇者((コンビニの売上がどうやったら上がるか!))

勇者「…なんて言えない…」ボソッ

僧侶「?」

僧侶「ところで、魔界には行きましたか?」

勇者「魔界?」

かつて魔王と戦った時に行ったところか…

僧侶「魔法使いさんらが、別世界と呼んでいる場所です」

勇者「あぁ、それですか」

なるほどと思ったが、急に嫌な汗が走る。

勇者「まさか…あの二人は…」

僧侶「どうやら、世界を魔王に代わって破滅へと導くようですね」

数秒の間、空間が静止した。

勇者「いや、おかしいでしょう?さすがの彼らも
自分の欲求不満なんかでこの世界を滅ぼすなんて…」

全く理解出来ない。バカなのか…?

僧侶「もちろん私もそれなら、彼らを止めました。
しかし、何か別の重大な何かがあるようなのです」

勇者「重大な事?」((また、ややこしい事か…))

僧侶「とにかく、一度、魔界に行きませんか?」

勇者「魔界へ?何故?」

まさかこいつも…疑惑が漂う…

僧侶「人間と魔物に、一体何があるのかを解き明かす事…
そして、魔法使いさんらが知ったと思われる
重大な秘密を知るためというのもありますね」

いつも語尾が弱くなる僧侶が今回は強く言った。

勇者「そ、そうですか…しかし、コンビニの経営が…」オロオロ

僧侶「勇者様!世界とコンビニ、どっちが大事ですか?」バンッ

勇者「もちろん世界ですよ!」

何だその天秤のかけかた…まあいいか…。

僧侶「だったら例の呪文を早く唱えて下さい」

何故か急かしてくる僧侶。そんなに急がないとダメなのか?

勇者「戦士にもらった紙に書いてある呪文ですね…」

僧侶「そうですよ。さあ早くして下さい」

と、ふいに疑問が湧いてくる。

勇者「そういえば、僧侶は魔界へ行った事がないんですか?」

僧侶「私はありますよ?というか、これまでの
話し方から、直接は言ってなくても御察しつかないですか?」

16歳の娘が生意気そうに言った。真面目な少女
なのだが、少し高めの声と大きな瞳が言動とのギャップを作る。

勇者「いや…それなら何故、私の呪文で行こうとするのか、
行き方を知ってるのなら連れていってもらえませんか?」

僧侶は少し寂しげな顔をした。そして重たそうな口を
開き、今まで黙っていたことを告げた。

僧侶「…実は魔界と人間界の出入りは自分の力では
三回が限度なのです。もし、その三回に達すると
魔界に永遠に封じ込められてしまうと言うのです」

勇者「というと…僧侶はもう二回程、行ったのですか?」

僧侶「…はい」

勇者「その二回では十分な情報を得られなかったのですか?」

僧侶「私一人では行ける場所にも限界があります。
それに…僧侶として恥じる事ですが様々な場所を
訪れるのにも恐怖心が強く・・・」

恥ずかしがる姿は僧侶とはいえ年頃の女の子だった。

勇者「分かりました。私が呪文を唱えて行けば
その回数には入らないという事でいいですね?」

僧侶「はいっ」

勇者はため息をついた。
目を瞑り眉間を指で摘まんだ後、肩を軽くし、電話へと向かった。

勇者「もしもし?」

バイト学生「んぁ…てんちょーさんすか?」

人を舐め腐っているのか貴様は

勇者「実はさ、明日から田中に店長を任せるんだよ」

バイト学生「んで、てんちょーさんはどうするんすか?」

勇者「俺は、旅に出る…じゃあな」ガチャッ

僧侶「“雑”ですね」

勇者「まぁ…そうですね…ハハハッ…さてさて…」

勇者は押入れの奥から重そうな武防具を取り出した。

僧侶「懐かしい…」

勇者「久しぶりですね…これを着るのは・・」ガチャガチャ

伝説の装備を自身に身に纏う。体中が燃えるように熱くなった。

勇者「ふぅ・・・」

僧侶「それではお願いします…」

戦士から渡された紙を手に取る。たった一日で
渡されてから行く事になるとは。だが、何かしらの
“ヤバイ事”が起こりそうな予感はしていた。

勇者「……行きますよ…」ブツブツ

勇者が呪文を唱え始める。周囲一体が青い光で包まれ
目の前にブラックホールのような黒い渦が現れた。

僧侶「…さすがは勇者様…まさか一発で成功するなんて…」

本来は何度か失敗する呪文なのだろうか?
そのまま、勇者と僧侶は黒い渦に飲み込まれていった。

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____
______

勇者「……そういえば、勘違いしてましたが
自分達が魔王を倒しに行った場所は魔界ではなかったですよね?」

僧侶「え?…あ、そういえばそうです……」

一部の記憶が消えていたのだろうか。伝説の装備を
してから、色んな記憶が蘇ってくる。

勇者「我々が魔王を倒しに行った場所は闇に包まれた
“デスワールド”という世界でした。様々な次元に住む
死者達の一部が迷い込む世界…。では、我々が今向かってるのは…」

僧侶「やはり…記憶が消えていた…いや、書き換えられて
いたんですよ!私は二度、魔界へ行きましたが
魔王に関する事も一切見つけられずにいました。
本来、戦士さんらもですが向かうべきは魔界では
なかったんですよ」

勇者「…とはいえ、もう着いてしまいましたが…」

僧侶「大丈夫です。帰還の魔法は知ってますし
使っても何のデメリットもありません!」

勇者「いや、戦士や魔法使いがいるのでしょう。
彼らをつれ戻すのも役目ですし、この世界も見ましょうよ」

僧侶「そ、そうですね…」

だいぶ頭が痛くなってくる。複雑だ。複雑すぎる。

勇者「さて、ここまでの出来事を考察しますか…」

さすがに複雑で良く分からなくなってくる。

僧侶「まずは魔王を倒しました」

勇者「ちょっと紙に書きますね…」

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~三年前~
風の街ではぐれた賢者が敵として現れる。
味方の時より数倍強くパーティ全員で何とか倒す。
その後、魔王を倒す。

僧侶「魔王を倒した後に“漆黒の魔剣”を手に入れましたね」

そういえば、そんなのもあったと思い出す。

漆黒の魔剣を魔王が落とし手に入れる。
魔王を倒すが魔物は消えずに残っている。
=たまに、国に攻めいる。(当時は対処法不明)
国に戻るが政府も王も何の礼もない。
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勇者「三年前までは、このような感じでしょうかね」

僧侶「それでは現在についてですが…」

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~現在~
勇者=コンビニ店長!→魔界入りにて一時休業
戦士と魔法使いが“魔界”に行く。人間と対立?
事情は不明だが重大な理由あり?
僧侶と久しぶりに出会す。13歳だったあの頃に比べて
体が女らしくなってる。また

僧侶「何、描いてるんですか?」

勇者「あ、ははっ…」

デスワールドと魔界の繋がりについて調査。
魔界にも、もちろん魔物がいることから繋がりはあると思われる。
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勇者「さて、まずは戦士と魔法使いを探しましょうか?」

僧侶「セクハラはしないで下さいよ?」スタスタ
嫌な目でこちらを見る。

勇者「もちろん。わかってますよ」スタスタ

当てもなく、薄暗い道を歩いていく。どことなく
デスワールドと似ている雰囲気がある。

勇者「ところで、どこへ向かいますか?」

僧侶「そうですね。私は一度行ったのですが
東南の海のような水域の周辺にある塔へ行きましょう」

勇者「どれくらいの距離ですか?」

僧侶「ここからだと2000kmくらいでしょうか?」

一瞬殴ろうかと思ったが、何とか自制するのに成功した。

勇者「冷静に考えてますか?」

僧侶「いや、歩いていくわけないじゃないですか
移動呪文で一瞬で行けますよ」

その程度の事も忘れた俺は勇者失格だろうか。

勇者「そうでしたね…じゃあお願いしますよ」

ちなみにドラクエしかrpgゲームはやったことありません。
また、所々出てくる武器名や地名はオリジナルです。
オリジナルが好きでない方はすいません。

~人間界~

世界各国のお偉い方や、裏の組織の幹部一同が
ある一ヶ所に集まって会議を開いていた。

本会議主幹「それではa国・国王から…」

a国・国王「三年前、我々の国の勇者一行により
魔王の討伐に成功しました。だがしかし彼らは
魔王本体の細胞を入手してくる任務を失脚しました」

b国・国王「せっかくのプランも、これでは台無しですね。
魔王の力さえあれば、死者をも永久に働かせる最強で最高の
奴隷が多数生産出来たというのに…まあしかし
魔王本体が消えただけでも我々の計画の邪魔者は消えた。
今回はそれで、皆さん良しという事には致しませんか?」

a国・裏幹部「ところで皆さん、面白い物を持ってきました」ニヤッ

黒い眼鏡にタバコという、いかにも悪そうな男が言った。

c国・国王「何ですか?」

a国・国王「まさか…“あいつ”…?」

a国・裏幹部「くくっ…もしかしたら、“魔王の代わり”に
なるかもしれませんよ…」パチンッ

黒い眼鏡の男が指を鳴らした途端、地面から召喚される
かのごとく、銀髪の端麗な顔をした少女が現れた。

周囲の目が、その少女一点に向けられる。
大きな青い瞳,小麦色の肌,小振りの乳房,すらっと
伸びた脚…マニア受けが良さそうな綺麗な少女だった。
ただ鎖で繋がれ、身動きをとれない状態となっていた。
おまけに目隠しもされ、見ていて痛々しい。

少女「……」

a国・裏幹部「皆さん、彼女が誰だか分かりますか?」

相変わらず憎たらしい笑みを浮かべながら問う。

a国・裏幹部「ははっ、分からなくても無理ないですね。彼女は」

と、不意に黒い眼鏡の男の口が裂かれていく。

a国・裏幹部「うぐっ…ぎゃあ!」ブチブチ

少女「……」

ザワザワ  ザワザワ

周囲がザワつく。黒い眼鏡の男の口は完全に裂け、
その裂け口は首にまで達して来ていた。

a国・裏幹部「グヘァ…」ドビュッ!!

周囲「!!?」

黒い眼鏡の男の首に赤い切り口が出来たかと思うと
首が思いっきり、吹っ飛んだ。

周囲の者達全員が恐怖の眼を向ける。

その相手はもちろん、“召喚された少女”である。

a国・国王「そ、その娘を捕らえろ!」ガタッ

少女を指差し、国王の周りにいる防衛部隊に命じる。

少女「……」チラッ

少女は防衛部隊に眼をやった。すると、前衛から
後衛まで、全員の足の下に黒い渦があらわれた。

『そして、全員その黒い闇の中に呑み込まれた』

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