娼婦「お兄さん、私を買わないかい?」(8)


男「…俺は女を買いに来たんじゃない」

娼婦「なんだ、冷やかしか」

男「…」

娼婦「…さっさと退いてくれない?客が呼べないんだけど」

男「君は、どうして体を売るんだ?どうしてそんな檻の中から男を誘うんだ?出たくないのか?」


娼婦「好きで檻の中にいるわけじゃないよ」

男「知ってる」

娼婦「…あんた、私を怒らせたいの?」

男「いや、そういうわけじゃないよ?」

娼婦「じゃあさっさと退いて、客を呼べないから」


男「…いくらだい?」

娼婦「はぁ?」

男「だから、君はいくらなんだい?」

娼婦「!…これだけ」スッ

男「五万か。君、安いね」

娼婦「…金は中にいる受け付けに払って。そうしたらこの檻の鍵をもらえるから」

男「へぇ、そういうシステムなんだ」


ガチャン

娼婦「…『俺は女を買いに来たんじゃない』?よく言うよ。まあ、私は客がとれて万々歳だけどね」

男「うーん。ほんとに女を買いに来たわけじゃないんだけどね。けど、君を見て気が変わった」

男「君があんまりにも美人だからさ、近くでもっと見たいと思ったんだ」

娼婦「ありがとう。で、どこで"なさいますか"?お客様。『現・吉原』からは出られませんが」

男「…さっき、綺麗な河原を見つけたんだ。そこへ行こう」

娼婦「はい。(河原なんてあったかな…?)」

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