真姫「大切な事は」 (21)



秋といえば、なになにってあるじゃない?

たとえば…

食欲の秋とか

秋は美味しい食べ物がたくさんあるものね

あと…芸術の秋

紅葉なんかを見ると創作も捗るわ


私が一番好きなのは

読書の秋

ベランダなんかで涼しい風邪に吹かれながら読書にふけるのって良いものよね


反対に大っ嫌いなものもあるの


それは


スポーツの秋


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何よスポーツの秋って…

必死になって汗水垂らすのを楽しむなんて

馬鹿みたい

そんな無駄なエネルギー使って時間を浪費するより、読書や音楽をしてる方がよっぽど有意義だと思うわ

だいたい秋とスポーツってどう関係があるのよ

そんなの一年中出来るわよ!…って読書や音楽もそうか…


と、とにかく!

私はスポーツなんて人生に必要だとは思った事はないし

これからもないでしょう

だから出来るだけ、そんな無駄なものとは関わらない

これが私の信条

なんだけど…


日本の学校には必ずといっていいほどあるアレが…今年もやって来た

そう

それは…



凛「真姫ちゃん!真姫ちゃーん!」

凛「どの種目でるの!?」

凛「凛はね凛はね!全部でるにゃー!」

真姫「全部って…」

花陽「高校でもやっぱり…全部でるんだ…あはは」

凛「当たり前にゃー!」

凛「せっかくの体育祭だよ!」

凛「たくさん出て、活躍するにゃー!」


花陽「花陽はちょっと体育祭って好きじゃないなあ…」

花陽「足遅いし…」



わかる

その気持ち凄いわかるわ、花陽

トロトロ走ってるのを見られるのは本当に恥ずかしい

足の遅い子を晒しあげる羞恥プレイみたいなものよ

本当、最初に体育祭を始めた人に文句を言ってやりたい

私も足が速い方ではないから、この秋のイベントを毎年憂鬱に思ってた


凛「そんなこと言ってー」

凛「楽しまないと損にゃー」

凛「かよちんも真姫ちゃんもたくさんエントリーしよ?」

真姫「お断りします!」

凛「ええー!?」

真姫「私は適当に障害物走とか楽なのにエントリーするから」

花陽「じゃあ花陽も…」

凛「ダメー!」グイグイ

花陽「うぇぇぇ!」

花陽…可哀想に…

ああ…あんなにエントリーさせられて…

凛と一緒なんだもの、これまでもたくさんエントリーさせられたのでしょうね

その花陽の顔は、諦めたような顔

また何だか、嬉しそうにも見える

変なの


ん?凛がこっちを見てニヤニヤしてる…

んん!?


真姫「こらぁぁ!凛!」

凛「うわっ!」

真姫「うわっ!じゃないわよ!消しなさい!」

凛「嫌にゃー!真姫ちゃんも たくさん走ろうねー!」

凛「せんせー!決まったよー!」



あああぁぁぁぁぁ…勝手な事を!


凛「大丈夫!大切な事は参加することだよ!」

凛「順位とか気にしちゃだめ!」


真姫「そんな…ダメよ!」

凛「頑張ろうよ!」


まったく…

運動神経がある人はいいわよね


真姫「はぁ…もう!」

真姫「嫌だって!」

凛「じゃあせめて騎馬戦は出るでしょ?出るよね!」

真姫「はぁ?」

凛「出ようよー!お願い!」

真姫「…」

真姫「それだけよ…まったく…」



何とか交渉の末、少し多めのエントリーまでにとどめられた…

まったく…

凛め…

過去最大で体育祭が憂鬱よ…


穂乃果「もうすぐ体育祭だねっ!」



放課後、部室へ向かい、そこで会った穂乃果にいきなり言われた一言


こいつもか…


馬鹿は本当、祭って言葉がつけば何でもいいのかしら



穂乃果「穂乃果たくさん出るんだよ!」

穂乃果「徒競走に…綱引きに…騎馬戦に…玉入れでしょー?


海未「全部…ですよ」

穂乃果「あれ?あれ全部だっけ」

ことり「あはは…」

穂乃果「そうだったかな…?」

海未「そうです…ついでに私も全部出ます…」

海未「穂乃果が無理矢理誘うから…」


うわっ…

可哀想に…


穂乃果「海未ちゃん、足速いから!」

穂乃果「出ないと勿体ないよ!」

海未「はぁ…」

ことり「こ、ことりも結構出るんだけどなー」

穂乃果「ファイトだよ!」

ことり「ファイトだよ!…じゃないよー!」

穂乃果「あはは、頑張ろうね!」

凛「穂乃果ちゃんも全部でるんだー!」

凛「凛もだよ!」

穂乃果「おっ!やっぱり?」

凛「いーっぱい活躍するよ!」

穂乃果「よし!凛ちゃんがいれば絵里ちゃん達にも絶対勝てるよ!」




あっ、そう言えば

うちの体育祭の組分けはやっぱり生徒数が少ない事もあって紅白戦なの

三年生チームと一年二年生の連合チーム

エリー達は敵ってことね


凛「うー!何か燃えてきたにゃー!」

凛「穂乃果ちゃん!今から走り込みにいくにゃー!」

穂乃果「がってん!」


ホントに馬鹿だわ

私が感じてる憂鬱なんか全く知らないんだから

ずっと自由というか

いろんな事考えなくてもいい…

衝動に任せて生きていけるって

正直、羨ましい

ほら今だって練習だっていうのに、走り込みとか言ってるもの


「はいはい、走り込みは後でいくらでもやっていいから、今はダメよ」グイッ


部室を飛び出した二人を捕まえて部室入ってくるのは


穂乃果「絵里ちゃん!」

絵里「皆いる?」

絵里「うーん…と、いるわね」

凛「なになに?何かやるの?」

絵里「ええ、少し話があって」

海未「話ですか?次のライブ?」

希「違うよ」

ことり「何かなぁ」

希「体育祭の事や」


また体育祭か

何よ

体育祭でライブでもするの?

絵里「いい?私達アイドル研究部は…」

絵里「『クラブ対抗リレー』に出場しますっ!」


はぁ…

クラブ対抗リレーねぇ…

パンフレットで見たことあるわ

文字通り、クラブ対抗のリレーのこと

音ノ木坂では体育祭の締めにこれがあって、凄く盛り上がると書いてあった

それを私達が?

運動部でもないのに


にこ「本当…勝手に決めないで欲しいわね」

にこ「部長はにこなんだから」

希「ふふっ、ごめんな」

絵里「体育祭はライブする機会とか無いから、こういう所でアピールしないとね」

海未「いや、でもそれでリレーって…」

花陽「でも、目立ちそうではあるよね!」


リレーね…

正直めんどくさい

でもこんな事を聞いて、黙っているわけないのよね

この人達は


穂乃果「賛成!!!さーんせーい!」

穂乃果「穂乃果走る~!」

凛「あっ!ズルいにゃ!凛が走る!」

真姫「あなたリレーってわかってるの?」

真姫「複数人、出れるのよ?取り合う必要なんて…」

凛「そうだった」



大丈夫…?この子…



絵里「じゃあ決定でいいわよね?」

絵里「参加は5人よ」

穂乃果「うん!」


まあ…でも…

リレーは5人か…

なら出なくてもよさそう

絵里「オーダーはどうしましょうか」

穂乃果「はい!はい!穂乃果!穂乃果!」

凛「凛も!凛も!」

絵里「はい、じゃあ穂乃果と凛ね」

絵里「あと三人…と」

穂乃果「あと、海未ちゃん!」

海未「ええっ!?」

絵里「海未…ね」

海未「ちょ、勝手に!」

穂乃果「お願いっ!穂乃果このリレー、絶対に勝ちたいの!」

穂乃果「その為には海未ちゃんの力が…!」グイッ

海未「ううっ…」

穂乃果「だめ…?」

海未「わ、わかりましたよ…」

穂乃果「本当!?やったー!」


あーあ

海未っていつも穂乃果に厳しいけど、基本的には甘いのよね

それにしても…絶対に勝ちたいって…

真姫「勝てるわけないじゃないの…」


そう

絶対に勝てるわけない

だって


真姫「だって、クラブ対抗リレーでしょ?」

真姫「そんなの陸上部や他の運動部が勝つに決まってるわ」

凛「そんなのわからないよ!」

真姫「でも厳しいでしょ?」

凛「ううー!」

真姫「っていうか別に勝ちに拘らなくても…」


大切な事は

参加することじゃなかったの?



凛「ダメだよ!」

凛「勝たないと…」

凛「だって…勝ちたいんだもん」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月20日 (土) 13:32:07   ID: 07ouZFUw

なんかこういうのいいな

2 :  SS好きの774さん   2014年09月20日 (土) 17:20:40   ID: qVtAue-8

続きに期待!

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