股間からヨーグルトがでた話 (53)

股間からヨーグルトがでてくる様になった僕の話です。

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あくしろよ

幼い頃の僕は、カスピ海はヨーグルトで満たされていてそこから汲んできたヨーグルトがカスピ海ヨーグルトだと思っていた。

カスピ海のあるあの地域では、ヨーグルトの雨が降ってそれがヨーグルトの川になってカスピ海に流れ込む。そこで初めてヨーグルトはカスピ海ヨーグルトになる、そういう理屈だった。

そこでできたカスピ海ヨーグルトを現地の人たちが汲んできて袋に詰めて鮮度が命だからと飛行機に載って日本の食卓に運ばれるのだと信じていた。

だけど大きくなって赤ちゃんはコウノトリに運ばれてこないということまで知ってしまった僕はカスピ海がヨーグルトでできているわけではないということも知ってしまったんだ。

小さい頃から信じていたことが嘘だとわかって僕は荒れた。
ブルガリアヨーグルトの砂糖は塩と取り替えたしヨーグルトを食べる量よりも顔に塗る量のほうが増えた。
そのおかげか中学時代はニキビに悩むことはなかったがそれはどうでもいい話だ。

高校に上がる頃にはブルガリアヨーグルトに砂糖がつくこともなくなって、塩と取り替える砂糖がなくなった僕も自然と落ち着いていった。
高校ではサッカー部に所属して球を追いかけまわしたけどそんなに楽しいものでもなかった。

高校時代の一番の思い出といえば家族とブルガリアに行ったことだ。
ここで初めてブルガリア人はヨーグルト以外も食べるのだということを認識した。
インド人はカレーしか食べず中国人はラーメンしか食べないようにブルガリア人もそうだと思っていたのだ。
またも自分の知見の狭さを思い知らされた僕であったがあの頃とは違った。
ブルガリアのありのままを見てショックを受けている僕をみてまた僕が荒れるのではないかと心配していた両親だったがヨーグルトが発酵して成熟するように僕も大人になっていた。

ヨーグルトを食べないわけではないしブルガリアヨーグルト自体はあるのだからなんの問題もない。
そう思いながらピラフを口に運んでいたことを覚えている。

その頃から実際に目で見て確かめることの大切さを意識するようになった。
僕が好きなあの子は下着をつけていないかもしれないと考えて眠れない夜を過ごしたりその子と付き合って実際に付けない派であることがわかって余計に眠れなくなったりもした。
カスピ海をこの目で見てみたいとも思った。

寝不足がちな高校生活だったけれどそれなりに楽しかったし、寝不足だと伸びないといわれる身長もヨーグルトのカルシウムのおかげか父親を追い越すほどに伸びた。

下着をつけない彼女とは受験が終わった春休みに彼女の中を懐中電灯で覗こうとしてケンカになって別れた。
東京の大学に進学することを決めていたから彼女とは離れ離れになってしまうことは決まっていたけど、それでもショックだった。
その心の傷が癒える間も無く僕は東京で一人暮らしを始めた。
人並な表現だけど田舎者の僕には東京はきらきらして見えた。

一人暮らしを始めて僕は自分の好きな時間に好きなことができるようになった。
とはいっても彼女もいない僕がすることといえばアルバイトくらいのものだった。

バイトは楽しかった。
特に通帳に書いてある数字が増えるのを眺めるのはかなりの快感だった。
ヨーグルト以外特に大きな出費がなかった僕の貯金額はいつしかちょっとしたものになった。

このままお金をためて行ったらいつしかカスピ海に行くことができるかもしれない。
そんなことを考えた。

お金を稼ぐ目的ができた僕はそれから一層バイトに励んだ。
大学の授業にも出ずにひたすら働いたんだ。
そのおかげで貯金もだいぶ貯まってもうすぐ目標金額を達成する、そんなところまで来た。

でもあの日を境に目標を達成するどころではなくなってしまったんだ。

その日は珍しくバイトが休みになったんだ。確か店長の親戚が倒れたとかで店を開けていられないとかが理由だったと思う。
僕はその連絡を受けてすぐに寝ることにした。ここのところバイト続きで疲れも溜まっていたしね。

目が覚めると太陽は沈んでいて部屋も外も真っ暗だったから電気をつけて時間を確かめるとバイトが終わるぐらいの時間を時計の針は指していた。

そこでふと気がついた。
ひたすらバイトにのめり込んでいたせいで最近していないな、と。

一度気にするとそのまま気になり続けてつい始めてしまうという経験は珍しいことじゃないと思うし現に僕も、そのままの勢いで始めてしまった。
そのあとのことを、僕は一生忘れないと思う。

股間からヨーグルトがでた。

我慢が解き放たれた瞬間すごい勢いでヨーグルトがティッシュを突き破って噴き出した。
噴き出したそれがヨーグルトだとわかったのはその勢いがあまりに強すぎて口に入ってしまったからだ。
ヨーグルト独特の酸味が舌を刺激して芳香が鼻を抜ける。これはどう考えてもヨーグルトだった。

頭がくらくらして椅子から転げ落ちそうにもなった。
あまりの出来事に気が動転したのか冷静になったのかは分からないけど、僕の座っている椅子を中心にして飛び散ったヨーグルトをすぐに掃除した。
そういえば掃除するのも久しぶりだなあと思ってお風呂やトイレの掃除なんかもした。

部屋中綺麗になった頃にはすっかり落ち着いてことの重大さに打ちひしがれていた。
知らない間に玉のなかで革命が起こったのか?もう子孫を残すことはできないのか?なんてことが僕の中でぐるぐるしていた。

文才を感じる

インターネットで調べることに思い至ったのは日が昇る頃だった。
ネットで調べると僕のような人が結構いるらしい、それも最近からでてきたようだ。
とりあえず仲間がいるってことに安心した僕はそのまま眠りについた。

夢を見た。
ひどい夢だった。
名前は忘れたけどブルガリア人の相撲取りが無理やり僕に自家製のヨーグルトを食べさせようとしてくる、そんな夢。

口に入る直前に目が覚めた僕は蛇口からそのまま水を飲んでから再びパソコンの前に座った。
またインターネットで調べてみてヨーグルトが股間から出てきたことが夢じゃなかったと改めて認識するのと同時に同じ症状の人がいるからどうした、とまた悩むことになった。

そのまま悩んで何も解決しないまま現在に至るというわけだ。

この症状について最初にインターネット上に記されたのが今からちょうど一週間前で
あまりに情報が少なすぎる。
ネットの書き込みを見たところ同じ症状の人は結構な数いるようだけど皆、自分の置かれた状況に戸惑うばかりでそこに有益な情報があるとも思えなかった。
僕はとりあえず出てきたそれ、今はゴミ箱に入っているそれが本当にヨーグルトなのかを考えることにした。

まずは材料だ。ヨーグルトは牛乳を発酵させて作る。
僕は牛じゃない。

僕は考えるのをやめた。

再びネットの海に飛び込むことにした。三人集まればもんじゅの知恵ともいうしね。
もんじゅさんがすごい人なのかどうかは知らないけどどこかの偉い博士がつい最近発表したある説を見つけた。
それを要約すれば、母乳でフルーチェが作れるのだからヨーグルトが作れてもおかしくない。母乳は元を辿れば血液なのだし男性からも母乳は出ることはある。きっとなんらかの要因でその母乳が発酵したのだろう。
といったことが書かれていた。

僕はこの説を素直に受け止めることができた。
僕が昨日出したヨーグルトが元をたどれば僕の血液だとすれば、ヨーグルトを出した時にくらくらしたのは貧血だということだし、何より生命の神秘というものを僕は信じていた。

なんとなく過程がつかめると原因がわからなくても安心してしまうのが人の常で僕も例外ではない。
それからは再び穏やかな日々を過ごすことができた。

それから一ヶ月がたって相変わらずヨーグルトを噴き出し続けたがその間にもいろいろなことがあった。

僕が初めてヨーグルトを噴き出した日、その日バイトが休みになったところの原因である店長の親戚が倒れた理由というのが股間からヨーグルトを噴き出したことによる貧血であるということを店長が笑いながら話してきた。

笑い事ではないと怒りを覚えながらも日頃摂取しているヨーグルトのカルシウムのおかげでクールに応対し不審に思われながらもなんとか店長の親戚の連絡先を聞き出すことに成功した。

バイトが終わってすぐに店長の親戚に連絡し会う約束を取り付けたんだ。
その時のどきどきは下着をつけないあの子を初めてデートに誘った時のようだった

約束の日まではあっという間だった。
待ち合わせ場所の喫茶店で店長の親戚を待っていると、待ち合わせ時間きっかりに彼は来た。
彼との会話は僕にとってかなり有意義な時間となった。

そこでわかったことを挙げるときりがないから2つだけおしえると、
股間からヨーグルトを吹き出す症状はY.F.S.(Yogurt fountain Syndrome)という名前が付けられているらしく今後はそれに統一されていくであろうということ
Y.F.Sは男性にしか見られない症状であること
だった。

この話を聞いた時僕は、男はヨーグルトを作って女はフルーチェを作るんだなあ、なんてことを考えていた。すると彼は身を乗り出してきてこんなことを言ったんだ。


彼は今とある有名な博士と組んである実験を行おうとしている。それに協力しないか、といったことだった。
その名前を聞くと、血液がヨーグルトになるという説を発表したあの博士だったから僕は二つ返事で引き受けた。
あの時暗闇の中にいた僕を安心させてくれた彼に恩返しがしたかったからだ。

こうしてプロジェクトに関わることになった僕は、博士とも直接会った。
その人は僕が想像していたような偉い人をそのまま再現したような人でヨーグルトのような真っ白なひげを蓄えている老人だった。

僕と博士はお互い、子供の頃カスピ海がヨーグルトでできていることを信じていたということで意気投合した。
彼はカスピ海をヨーグルトで埋め尽くすのが夢だと少年のような目をして語った。
そして今回のプロジェクトはカスピ海をヨーグルトでうめつくすことそのものだと続けた。
そのプロジェクトを達成することでY.F.S.患者たちを治療することができるとも言っていた。

それからはプロジェクトの準備が忙しく気づけばプロジェクト決行の日が目前に迫ってきた。

プロジェクトに参加するために僕はバイトでためた貯金を崩してイラク行きの飛行機に乗ってそこから電車を乗り継いでカスピ海までやってきた。
道中イラク人たちはみんなヨーグルトを食べていて心が踊った。

カスピ海につくとそこはお祭りのような賑やかさでさまざまな屋台がいろいろなヨーグルトを売っていた。
湖岸には男たちが見えなくなるところまで一列で並んでいる。これが全員Y.F.S.患者なのだと思うと感動する。

博士と店長の親戚が後ろから声をかけてきてプロジェクトの成功を誓い合った。
店長の親戚は別の場所で参加するそうだ。

やがて拡声器から博士の威厳ある声が流れてくる。
今回のプロジェクトの目的はY.F.S患者である皆さんを治療することであり――
そもそもY.F.S患者のみなさんが出すヨーグルトはカスピ海ヨーグルトに近く――
カスピ海ヨーグルト菌を故郷であるカスピ海まで連れてくることで――
では成功を祈って――
はじめ!
そう言うと男たちは竿をカキ始める。
実家の近くにある釣り堀で似たような光景を見たことあるなとカスピ海に竿を向ける男たちを見て思った。

三擦り半でヨーグルトを吹き出す人もいれば、なかなかヨーグルトを噴き出すに至らない人もいる。
博士はその様子をマイクのあるやぐらから嬉しそうに見ている。
岸から白い噴水が噴き上げ、カスピ海がヨーグルトに、白に染まっていく。
そんな幻想的な光景を見ながらやはりカスピ海ヨーグルトはカスピ海で取れるのだ、僕は正しかったのだとすこし誇らしげに思った。
そうしているうちに僕もヨーグルトを出した。

その時の感覚はいつもとは何かが違った。
カスピ海ヨーグルト菌が故郷に帰っていく、そんな感覚が伝わってくる。

僕は回想する。
ここにくるまでにいろいろなことがあった。
それが走馬灯のように脳内を駆け巡り、気がつけば僕は涙を流していた。
これで終わるのだ。
やっと子孫を残せる。
周囲からも歓声が聞こえてくる。
なにかを成し遂げた達成感に身を委ねていると突然悲鳴が聞こえてきて現実に戻された。

たしかにヨーグルトは出なくなった。
その代わりに股間からは母乳がでるようになったのだ。

僕はすぐに原因に思い至った。
菌がいなくなって発酵が止まったとしても母乳の生産が止まるわけではないのだ。
博士は僕達を利用したのだ。自分の夢であるカスピ海をヨーグルトにするという計画を達成するために僕達を騙したのだ。ヨーグルトカルシウムのおかげで僕は冷静だったが他の人達はそうではなかった。自身の安全を考えていなかった博士の計画は甘かったのだ。

怒り狂った患者たちが博士をカスピ海ヨーグルトの中に沈めてしまった。
きっと甘い博士がカスピ海ヨーグルトを美味しくしてくれるだろう、そんなことを考えて僕は陸に這い上がろうとする博士をカスピ海ヨーグルトの中に思い切り蹴飛ばした。
サッカーやっててよかったそう思った。

それからのことはよく覚えていない。
裏切られた悲しみに囚われたままに帰国してからの日々を過ごした。
後の研究によってY.F.S.はおちんぽミルク症候群の一種でそれが細菌感染を起こして発酵しおちんぽヨーグルトになっているということが明らかにされた。

博士によって生み出された大勢のおちんぽミルク患者たちが酪農業界に革命をもたらすのはまた別のお話だ。

おわり


名作

ありがとうございました。
反省点がたくさんあったので次に活かしたいと思います。

普通に吹いたwwww

読みづらい

面白かった 乙

この発想はなかった、素晴らしい

ちょっと読みづらいかもしれないけど、それは文章のことではなくて、密度的な問題かな?
文章自体は難しい表現がなくてとても読みやすかったし面白かった

んなことよりなぜこんなものを書くに至ったかを知りたい

限りない才能を感じた

>>44
お、おう
頑張れよ、センスある

なんか、何が凄いのかよく分からないけど、兎に角凄いとしか言えない。

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