雪穂「Scool idol diary?」 (121)


◆ラブライブ、高坂雪穂のSID風SSです。

◆内容は全て私の創作です。

◆ちょいちょい落書きをしながら書いていきます。初の試みですがよろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407298004


μ's活動日誌

本日のお当番 ~穂乃果~


どうも、こんにちは。
高坂穂乃果の妹、高坂雪穂です。

えーと、何故μ'sの活動日誌を私が書いているかを説明すると長くなるのですが、実はお姉ちゃんはもう寝てしまい、この日誌を書く人がいなくなってしまったからです...。

我が姉ながら本当に情けないのですが、日誌のことなどすっかり忘れて眠りこけているので、代わりに私が今日の分を書かせていただきます。

先輩方に拙い日記をお見せするのは恥ずかしい限りですが、どうか姉に免じて許してください...。


ラブライブ!
Scool Idol Diary~高坂雪穂~



01.本気のダイエット


私の名前は高坂雪穂。

和菓子屋穂むらの次女で、いまは受験真っ盛りの中学三年生。

姉は近くの音ノ木坂高校に通いながらμ'sというスクールアイドルグループのリーダーをやっていて、私としてはちょっとした自慢だったりする。
本人には言わないけど...。


そんな私に、ある日大変な事件が起きたんです。受験のこととか忘れてしまいそうな程の大事件...


「ぎょええええええ!!!!」


お風呂上がりにふと乗ってみた体重計。
目盛りを見た途端、自分でも驚くほどの声が出た。

...何故なら、自分でも驚くほどの重さを指し示していたから。

http://imgur.com/Y93CxD2.jpg


すごい恥ずかしい間違いが...
スレタイにまで入ってますが、もうこの際気にしません

Scool→Schoolです

ご指摘ありがとうございました


「嘘でしょ...!最近測ってなかったけど...こんな...!」

目でも確認しようと思って鏡の前に立ってみる。

...確かに、お腹周りにお肉がついたような...。

...もちろん心当たりは無いわけじゃない。

受験勉強でずっと家に引きこもっていたし、この前なんか机に山盛りになった売れ残りのお饅頭を、勉強しながら半分くらいつまんでいたことがありました...。

「しかしこれは...深刻すぎる...っ」

この日から決めたんです。
本気のダイエットをしてやるんだ...って!


しかし和菓子屋の娘にダイエットをしろというのは結構難しいもので...

どんなに勉強に集中しようとしても必ずお菓子が目に入る。
勉強してると甘い物が欲しくなって、つい...ということがしょっちゅうです。

結局お菓子から逃げて自分の部屋で勉強するんだけど、そこにもまたダイエットの天敵がいる


「うわーん!雪穂ー!またお饅頭ー!穂乃果は洋菓子が食べたいよーぅ!!」

「...というわけでこれ、あげる!
ね?ほらほら遠慮せずに!」


...これだ。
和菓子に飽きたからって私に押し付けてくるダイエットの天敵!


馬鹿言うな!
自分のお菓子削るだけでも大変なのにこれ以上食べれますか!

「いや、悪いけどお姉ちゃん。
私今和菓子は食べないことにしてるの!」

「えっ?どうしたの雪穂ー?
いつもはお饅頭バクバク食べてるじゃん!」

うぐっ...。
いや、負けない。それは忌むべき過去の私。これからの高坂雪穂は違うのよ!

「とにかく!勉強の邪魔だから出てって!」
と、強引にお姉ちゃんを外に押し出しました。


「なんでー?今日の雪穂なんか変だよー!」
「はいはい、じゃあねー!」
バタン!

ふう、とりあえず追い出した。
勉強の邪魔だから出てってっていうのは受験生には便利な言葉だ。

いやまぁ実際に邪魔なんだけど...
勉強するにしてもダイエットするにしてもね...。

でもとりあえず天敵は凌いだ。
後は毎日訪れる三時のおやつを我慢んするだけです...!


「みてー!今日のお菓子はロールケーキよー!」

「やったー!!」

...。

喜んで踊り始めるお姉ちゃんのそばで、うなだれる私...。

なんで!
なんでこういう時に限って洋菓子なの!?

高坂家にとって洋菓子というのは本当に貴重品で嗜好品で高級品で...

月に一度食べれるか食べれないかくらいの救世主みたいな存在なのに...!

なんで私がダイエットしてる日に限って...!


「いただきまーす!!んー!
おいしーー!」

早速お姉ちゃんが一切れずつ口に運んでいる。

眺めていると、餡子の甘さしか味わっていなかった舌が生クリームの甘さを欲し始めて...


ダ、ダメだ!ここにいちゃ!
10数秒後には誘惑に負けてロールケーキを頬張っている自分が目に浮かぶ!

...大丈夫。一生食べれないわけじゃないんだ。また会える日まで...

「あれ?雪穂食べないのー?」


...!!

断腸の思いで二階に登ろうとする私をお姉ちゃんが呼び止める。
やめて...これ以上私の胃袋を刺激しないで...!

「まさか食べないなんてことないよねー?ロールケーキだよ~、洋菓子だよ~、すっごく甘くて美味しいよ~?」

「ちょっ、やめてよー!
食べたくなっちゃうじゃん!」

思わず私が言うと

「えっ!?本当に食べないの!?
本当に最近雪穂どうしちゃったのー!?」

お姉ちゃんが本当に驚いた顔で言ってきた。
そりゃそうだ、高坂家に洋菓子を喜ばない娘なんているはずないもん...


でも、今日の私は違うんだ!
おかしいのは分かってる!
でもそれもこれも本気のダイエットのため!

「お、お姉ちゃんにあげるよ!
全部食べていいから!」

「ぅえぇっ!?何言ってんの雪穂!?」

...ああ、言ってしまった。
これを言ったが最後、私の口にロールケーキが入ることはありません。

お姉ちゃんはダイエットの天敵から最も心強いダイエットの神様に変わるのです...。

「じゃあ!そういうことで!」

「えっ、ちょっと、雪穂!?」

お姉ちゃんの声も聞かずに二階に駆け上がる。最終手段を使ってしまった私の目には、少しだけ涙が滲んでいました...。


その夜。
私は今日もいつも通り机に向かって勉強をしていました。いつも通りじゃないのはロールケーキのことが頭から離れないこと...

美味しそうにロールケーキを頬張っていたお姉ちゃんを思い出す。

「お姉ちゃんはそういうことは気にしないんだろうなぁ...」

まあ、お世辞にもプロポーションに気を遣ってるなんて言えないけど、やはり毎日ダンスしてるだけあって私より全然細めだし、お腹も引き締まってるし...。

ロールケーキを食べる資格があるくらいにはカロリー使ってるんだろう。

今頃あの食欲で、私が食べるはずだったロールケーキも...

うぅーーっ!やっぱり食べておけばよかったかなぁ...?


コンコン

突然のノック。
普段なら全員寝てしまっている時間帯だから少し驚いたけど、声を聞いて安心する。

「雪穂?起きてる...?」

「な、なんだお姉ちゃんか。
びっくりした、どうしたの?」

そういうと、お姉ちゃんがドアからひょっこり顔を覗かせる。
ついでにお盆も持っていて、その上に乗っているのは...ロールケーキ!?


「えっ、えっ、なにそれ、なんであるの!?」

「いひひ、夜食だよ、夜食ー!」

お姉ちゃんがロールケーキを私の目の前に置く。
思わず問いかけてしまいそうでした。あなた、なんで生きてるの...?って。

だってお姉ちゃんに食べていいって言った以上、洋菓子は全て食べられてしまうはずだから...


「も、もしかしてお姉ちゃん、食べるの我慢してとっておいてくれてたの!?」

「そうだよ!
すっごく頑張ったんだからね!」

あ、ありえない。
だって洋菓子は、高坂家にとって貴重品で嗜好品で高級品で...月に一度食べれるかどうかの救世主みたいな存在なのに...

それをお姉ちゃんが我慢して私に残しておいてくれたなんて、考えられない!


「お、お姉ちゃんどうしちゃったの!?」

「それはこっちのセリフだよ!今日の雪穂どう考えてもおかしかったもん、洋菓子食べないなんてどうかしてるよ!」

「だから穂乃果色々考えたんだけど原因分からないから...雪穂のためにとっておいたんだよ!」

「お、お姉ちゃん...」

あの食い意地の張ってるお姉ちゃんが、私を心配して洋菓子をとっておいてくれるなんて!

これはもう、ダイエットとか言ってられない!

夜中にお菓子なんて女の子のタブーだとか知ったこっちゃ無い!


ラップを剥がして、フォークで一切れだけ口に運ぶ。

しっとりしたカステラとみずみずしい果物...いちごと、キウイと、マンゴーかな?
そして、口に広がる生クリームの甘さ...!
も、もうだめ、耐えきれない...

「お、美味しい~~...」

「ゆ、雪穂!?
今度は泣くの!?そんなに美味しかった!?」

思わず涙が出てしまった...
お姉ちゃんの思いと、ロールケーキの美味しさに、涙腺が耐えきれなかったんだと思います...。


そして、結局私の本気のダイエットは失敗してしまいました...

ロールケーキを嬉し泣きしながら食べていたことがお父さんに見つかって、見兼ねたお母さんが三日連続で洋菓子を買ってきてくれたからです...。

「美味しいね、雪穂!」

「うん...あはは...」

痩せるどころか2キロ増えちゃったけど...まあいいや!洋菓子いっぱい食べれたし!

お姉ちゃんはダイエットの天敵...そして絶対に勝てない存在なんだと思い知らされた事件でした...。

http://imgur.com/RCYRzDv.jpg



本気のダイエット ーおしまいー


02.姉妹で大喧嘩


私には二つ年上の姉がいる。

近くの音ノ木坂高校のスクールアイドル、μ'sのリーダーをやっていて、ラブライブ出場が決まってからはすっかり有名人だ。

でも妹の私は知っている。
トップアイドルの裏に隠された自堕落な本性を...。


怠惰、暴食、ガサツで自由!

言い換えれば元気で素直で表裏が無いとか言えるんだろうけど、毎回迷惑を被っている私は納得いかない。

それで時々喧嘩になったりもするんだけど、お姉ちゃんは私が怒るとシュンとして、すぐ泣きながら謝ってくるから結局許すのはいつも私の方。

まあ終わってから思い返すと些細なきっかけばかりなんだけど、この前起きた出来事だけは、どうしても許せなかったんです。

http://imgur.com/KMZchPG.jpg


ある休日の朝、いつもより少し早く起きた私は洋服に着替えて、バッグを持って、よし!

出掛ける準備は万端だ!

今日は友達の亜里沙とお出かけする日。最近ずっと受験勉強だったから、少し息抜きにと亜里沙が提案してくれた。

遊ぶのは久々なので前からかなり楽しみにしていて、昨日は少し眠れなかったくらいだ。

今日はうんと楽しもう!
そう思って一階に降りた。


あ、そういえば

お姉ちゃんまだ寝てるだろうな。

今日はお母さんが町内会でいないから、お姉ちゃんが店番任されてた日だ。起こしてあげないと。

そう思って、お姉ちゃんの部屋のドアノブに手をかけた瞬間、ドアが勝手に開いた。

「うわあああああ!?」

「うわあああ!びっくりしたー!
なんでドアの前に突っ立ってるの雪穂ー!」

開けてすぐの所に立っていたのはお姉ちゃん。
ドアを開けるタイミングが重なっちゃったみたい。さすが姉妹だなと我ながら思った。

...ん?

それにしてもお姉ちゃん...店番のはずなのに今日は随分オシャレしてる

ていうか休日なのに、お姉ちゃんがこんなに早く起きて、私服に着替えてるなんて...まさか

「お姉ちゃん、今日自分が店番だって忘れてない?」

「...へ?」

「...ああーーーーーっ!!!」

やっぱり...
店番だって忘れて予定入れてたんだ。なんといううっかり者。

なんて考えていたら涙目のお姉ちゃんが私の腕にしがみついてきた。


「お願いします雪穂様...
今日のお店番代わって~~!」

「は、はぁ?
さすがに無理だよ、ごめんね」

「お願いだよ~
私また海未ちゃんに怒られちゃう~」

いや忘れてたんだから怒られて当たり前でしょうが!
という気持ちはぐっとこらえて...

「私も今日予定あるから!
ね?今日は我慢してよ」

よし、優しく言えた
これでおしまい...と思ってたらお姉ちゃんがボソッと一言

「なにさ...雪穂のケチ」


堪忍袋の切れた時、体の中で「プツーン」って音がするってよく言うけど、私にはそんな音は聞こえなくて、ただ口から一言

「はぁぁ?」

と、自分でも驚くくらいドスの効いた声が出た。

普段本気で怒らない私のその声を
聞いただけでお姉ちゃんの顔が真っ青になって
「あ、やっちゃった」って表情になったのがわかった。

いつもならそれだけでじゅうぶんなんだけど、この時はもう自分でもその感情にストップをかけることができなかったのです。


そこから先はあんまり覚えてない。
なんかお姉ちゃんに今まで抱えてた不満を全部吐き出して、時計見たら待ち合わせの時間にちょっと遅れそうで

「私行くから!今日くらいちゃんとしてよね!」

ってお姉ちゃんに言い放って家を出て...。

なんか私、お姉ちゃんにすごく酷いこと言っちゃった気がする...。

そりゃ、ずっと受験勉強してた中で、たった一日息抜きに遊びにいくことをケチ呼ばわりされたのには腹が立ったけど...

今までの事まで全部言わなくても良かった気がする...。

きっと今頃泣いてるんだろうなぁ


「見て雪穂!
すごいよ!μ'sのコーナーがこんなに大きく!」

「ほえー。これは確かに...」

数ヶ月前はほんの少しのスペースしかなかったのに、今じゃお店の4分の1くらいをμ'sが占めている。
いつの間にか随分大きくなったもんだ

「見て雪穂!このグッズ!
穂乃果さんのだよ!」

「えっ...」

亜里沙が見せてきたのはお姉ちゃんの顔がプリントされたTシャツ。
いつも通りに、眩しいくらいの笑顔をしているお姉ちゃんの顔...。

「ほ、本当だー...こんなの買う人いるのかなー?」

「いるに決まってるよ!
お姉さんに失礼だよ雪穂!」

「ご、ごめん」


「雪穂なんか考え事してるでしょー?そんなんじゃ息抜きにならないよ?」

「ご、ごめん!
大丈夫!もう大丈夫だから!」

「...本当にー?」

亜里沙が私の顔を覗き込む。
蒼くて綺麗な瞳は心の内を見透かすように私の目を見つめてくる。

「ほ、本当本当!
あっ、なんか私お腹すいてきちゃったなー!オススメのカフェあるんだけどいかない?」

「えっ?本当に?
私もちょうどお腹減ってたの!」

「よ、よし!ちょっと早めだけどランチにしよう!案内するね!」

大丈夫大丈夫...
今日一日お姉ちゃんのことは考えないことに決めた!
精一杯息抜きしてやるんだから!


~♪

「わぁ!すごいよ雪穂!
さすが雪穂のオススメだね!μ'sの曲が流れてる!」

「...そうだね」

いやいや想定外だよ...!
前来た時は流れてなかったのに...ってそうか、有名になったって事だね...。

これ...亜里沙が喜んでくれてるからいいけど、お姉ちゃんを忘れようとしてる私には毒でしかないよ...この空間

「と、とりあえず座ろうか?」

「うん!あっ、穂乃果さんのソロだよ!」

...や、やめてよもう~!


二人でオムライスを注文して、食べ終わってから亜里沙とお喋りしていると、時計が目についた。
時刻は13時を指している。

もうこんな時間かぁ。
やっぱり亜里沙といると時間が過ぎるのが早いな。

「雪穂、なんか人が増えて来たよ」

「お昼時だからね」

そういえばウチも前の人通りが増えるから今くらいが一番忙しいんだよなぁ...

あれ?よく考えたらお姉ちゃん今日一人でお店回してるんだよね?
だとするといくら予定があるからって一人だけ置いて遊んでる私もどうなの?


いやいや、でもこの予定はだいぶ前から決めてたし、先週は私だって店番してたし...

そういえばその先週もお姉ちゃんおっちょこちょいだったな...
また草餅と葛餅間違えたりしてないかな...あれお客さんに謝りにいくの私までついていかされて...

「雪穂?雪穂大丈夫?」

「...えっ?あっ...ごめん亜里沙」

あー...またやってしまった...!
亜里沙の眉毛がぐいぐい釣り上がっていく。


そ、そんな!

「そんなわけないじゃん!
楽しかった!すっごく楽しかったよ!」

「じゃあさっきから何考えてるの?
私も色々考えてみたけど、雪穂がなんで悩んでるのかさっぱり分かんないよ...」

雪穂、そんなに私のこと考えてくれてたんだ...。

朝からお姉ちゃんと喧嘩して、言い過ぎちゃって、そのせいで勝手にテンション下げて、亜里沙に心配かけて...なんて自分勝手なんだろう


「ごめん亜里沙、全部話すから聞いてくれる?」

「うん!もちろん」


「...なるほど。喧嘩か」

亜里沙は初めから最後までずっと真面目な顔で話を聞いてくれた。
私はというと以外と落ち着いて話せた自分に驚いた。朝はあんなにお姉ちゃんに腹を立ててたのに...

「雪穂!帰ろう!」

突然立ち上がった亜里沙が言う。
結構大きな声だったのでお客さんが何人かこっちを向いた。

「えっ、でも今日は」

「雪穂がこんな調子じゃ息抜きなんてできないよ!それに、今すぐお姉さんに謝らなきゃ」

...ん?今なんて言った?
私がお姉ちゃんに謝る?

「...亜里沙、話聞いてた?
なんで私が謝らなきゃいけないの!?」

悪いのは100%お姉ちゃんでしょうが!


すると亜里沙はふるふると首を振って、人差し指を立てた。

「私知ってるよ、日本の言葉。"喧嘩両生類"。喧嘩したからにはどっちも謝らないと!」

「それを言うなら"喧嘩両成敗"でしょ...。」

「あれ?ハラショー...」

呆れたけど、確かに亜里沙の言う通りだ。というか、謝りでもしないと今朝のことが頭について離れずに私が病気になっちゃいそう。

「分かった。今すぐ帰ってお姉ちゃんに謝る!ごめんね亜里沙...こんなことになって...」

「いいんだよ。
また今度、ちゃんとした日に息抜きしようね雪穂!」

せめてものお詫びに二人分のお昼代を払って、亜里沙とはカフェでお別れをした。

http://imgur.com/kP0SoCa.jpg


時刻を確認すると14時
ちょうどお店が落ち着いてくる時間だ。

さて、穂むらに着いたはいいが、なにせ今朝喧嘩したばかり。
さすがに顔を合わせづらくてかれこれ5分ほど入り口に突っ立っている。

考えてみれば私から謝るのなんてすごく久しぶりだし緊張するのも仕方がない。
物心ついてからはいつもお姉ちゃんの方から謝って来てたし...

つまりいつも喧嘩の原因はお姉ちゃんなんだ。

いつも喧嘩の原因はお姉ちゃん...

あれ?そうだったっけ?

悪いのはいつもお姉ちゃんだったっけ?

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーー

『お...お姉ちゃん....これ』

『どうしたの雪穂...あー!』

『お、お姉ちゃんの宿題のプリントに...牛乳こぼしちゃったのー!?』

『...牛乳飲もうとして、コップに入れてたら、腕が当たって...こぼしちゃって...そこにプリントがあって』

『ああ、いいよいいよ!
大丈夫大丈夫!お姉ちゃんこれくらい徹夜すればやりなおせるから!』

『た...多分、終わるから...雪穂は悪くないよ!』

『ごめんねそんな所にプリント置いといて!穂乃果が悪かった!ね?』



『ごめんね雪穂』

ーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

...そうだ。
いつも謝ってくるのはお姉ちゃんの方。私は許すばっかりで、殆ど謝ったりしなかった...。


なんだ、私が悪くてもお姉ちゃんが悪くても、先にお姉ちゃんが謝ってくれてただけなんだ。

私はいつも意地張って、謝ろうともしてなくて、上から目線で許して...

亜里沙の言う通りだ。
喧嘩はどっちも悪いんだから、私だってちゃんと謝らないと!

決意を新たに、穂むらの扉に手をかけた。

ーー瞬間、勝手に扉が開いた


「うわあああああ!?」

「うわあ!びっくりした!
あれ?ゆ、雪穂!?なんでこんな所に突っ立ってるの?」

開いてすぐの所に立っていたのはお姉ちゃん。どうやらまたタイミングが合っちゃったみたいだ。


「あ、いや、用事終わったから...
店番...大変かなと思って」

「あ...そうなんだ。
わざわざどうも...」

き...気まずい!
早く謝らないと...このままじゃまたお姉ちゃんに謝られちゃう!

いけ私、今までの分もしっかり謝らなくちゃ!

「あ、あの!お姉ちゃん!」

「なに?」

「ごめんなさい!」

「...えっ?」

すごく間の抜けた声が聞こえた。
頭を下げているから見えないけど、きっと鳩が豆鉄砲でもくらったような顔をしてるんだろう。

「...いや、なんで雪穂が謝るの?」

「えっ...いやその、朝は、私も言い過ぎたかなって...思ったから」

「...ごめん。お姉ちゃん」


久しぶりに人に謝った。
すごく顔が熱くなって、申し訳ない気持ちになって

...でも、なんだか心のつかえがスッと抜けたような気分だった。

そんなことを考えながら顔を上げたら、涙を垂れ流したひどくだらしないお姉ちゃんの顔が飛び込んできた。

「ゆ、雪穂ぉ~~!!」

「ごめん!ごめんねごめんね~!穂乃果、雪穂にすごい自分勝手なこと言っちゃって、今回ばっかりは雪穂も許してくれないかなって心配で~~!」

「でもよかったよぉ~!
雪穂が優しくて良かったぁ~!」

私に抱きついて泣きじゃくるお姉ちゃん。
いつも通りのお姉ちゃんだ。

こちらこそだよ。
ちゃんと謝ってくれるお姉ちゃんで良かった。これからは私も謝れるようになるからね。


「穂乃果!あなたは材料取りに行くだけでどれだけ時間をかけるんですか!待ちくたびれてしまいますよ!」

「...って、雪穂じゃないですか。今日は用事があったのでは?」

「え?雪穂ちゃん?久しぶり~!」

そう言って店の奥から顔を出したのは海未さんだ。後ろにことりさんもいる。

「あっ、お久しぶりです...」

「いえいえ、というか穂乃果、雪穂にしがみついて何を...って泣いてる!?」

「大丈夫穂乃果ちゃん!?どこか痛いの!?」

「違うよう...雪穂が...穂乃果のこと許してくれて...嬉しくてぇ~...」

収まっていたお姉ちゃんの涙がまた溢れ出す。あぁ...お気に入りの服なのにびしょ濡れだよ...



「...ああ、ちゃんと仲直りできたのですね。それは良かったです。」

「さすが雪穂ちゃんだね!優しい~!」

「そ、そんな!
些細なことですから!」

「いえ、店番を忘れて私達と予定を入れるような穂乃果に腹を立てるのは当然のことですよ」

「う、海未ちゃん...
でも店番手伝うのも楽しかったし、いいんじゃない?」

「それは、そうですが...」

「えっ、二人とも手伝ってくれたんですか!?悪いです!私が代わりますから!」

「雪穂ちゃん帰ってきたばっかりでしょ?ゆっくりしてていいんだよ?」

「そんなわけにもいきませんって!ほらお姉ちゃん!立って!」

「...もうちょっとだけ...」

「もう、怒るよ!!」

こうして、私達の喧嘩は幕を閉じました。


思い返すとやっぱりきっかけは些細なものだったけれど、後にも先にもあんなに怒ったのは初めてでした。

お姉ちゃんは相変わらず自由でだらしないから、これからも喧嘩はあると思うけど、もしそういうことがあれば今度も私から謝れたらいいなと思います。

ただまぁ、泣きついて謝ってくるお姉ちゃんがもう見れなくなるのは少しだけ残念だけど...

私がちょっぴり、成長できたような気がした出来事でした。


http://imgur.com/A6ByGyL.jpg

姉妹で大喧嘩 ーおしまい


03 可能性の道しるべ


「ええっーーーーーー!?
雪穂UTX行くのォーーーー!?」

ちょうど1年くらい前

私を壁際まで追い詰めてお姉ちゃんはそう叫んだ。ひどくうっとおしかったのを覚えている。

最初に思ったことは「今更か」。
ずっとこのパンフレット広げて勉強してたっていうのに、気付いて無かったんだね...。

まあ確かにうちはおばあちゃんの代からずっと音ノ木坂だったし、先生に言った時も驚かれたから、みんな私がUTXを受験するなんて思わなかったんだろうな。

話はその頃に巻き戻る。

http://imgur.com/kxeVPch.jpg


UTXに行くことについてはお母さんにも先生にも話はつけていたし、そもそもレベルが殆ど同じなんだから整備が整ってるUTXを選んだのは当然だった

それに私が音ノ木坂に行かない理由には決定的なものがあって

「音ノ木坂...私が入る頃には廃校になっちゃうんでしょ?」

「うぐっ...」

お姉ちゃんの顔がまるで悲しいドラマでも見た後のように歪む

でもこれが一番の原因
廃校がほぼ決定している学校に苦労して入る生徒はあんまりいない
少なくともこの時点で私はそうじゃなかった


その後お姉ちゃんは部屋に戻ってコソコソやってたけど、若干私がモヤモヤしてしまった。

親友の亜里沙と電話で話す。この頃はずっと受験の話題だった。


「亜里沙はやっぱり音ノ木坂?」

『うん、まだ受験者は募集してるし、お姉ちゃんもいるし!』

亜里沙のお姉さんは音ノ木坂の3年生で生徒会長だ。説明会で見たことがあるけど物凄いスタイルが良くてモデルさんみたいだった。

「いいなぁ、そりゃあんな賢くて可愛いお姉さんがいればついていくよね~」

『でしょ?
でも雪穂のお姉さんもすごく可愛い人だと思うけど』

どこが...
うちのお姉ちゃんじゃモデルどころかアイドルもこなせないよ


『雪穂はもうUTXに決めたんだっけ?』

「まぁ確定じゃないけど、大体ねー」

『そっかー...
実は私も少しだけ悩んでるんだよね。最近音ノ木坂から他の高校に移る人多いでしょ?』

「まあ廃校がほぼ確定とか言われてるしねー、仕方ないんじゃない?」


そもそも音ノ木坂は歴史があるだけで特色も無くて、来るのは殆ど「親の出身だから」とか、「家が近いから」って人ばかりだ

やりたいことがある人は、廃校騒ぎに合間って他の学校に流れていった


「それに比べてUTXは整備も整ってるし綺麗だし、スクールアイドルなんかもいるしすごいよねー。
私としてはやっぱそういうのに憧れるっていうかさ!」

『へぇ!雪穂、アイドルとか興味あったんだ!』

ん?いや、憧れてるってそこまでではないんだけど...

「いや、私がアイドルやるとかそういうんではないけどね?やっぱああいうのってすごいじゃない?」

『うーん、私はあんまりああいうアイドルとかには興味ないかなぁ。よくわかんないし』

「まあ亜里沙は前からそんな感じだよね...。あっもうこんな時間」

『本当だ。お姉ちゃんに怒られちゃう。じゃあ切るね』

「うん、おやすみ亜里沙」


ベッドに寝転がって天井を見上げる。

亜里沙はまだ悩んでるのか...

正直私も音ノ木坂の方が知り合いも多いし家から近いし、廃校の件さえなければ普通に音ノ木坂で決めていたと思う。

ただ、せっかくの高校生活。
無難な高校に行って無難に過ごすよりも、UTXみたいな可能性をみつけられる場所の方がいい。


そう、この頃の私はまだ、やりたいこともなく、ただただ可能性という未知のものにすがるしかなかったのです


そうして私が可能性にすがっている頃、お姉ちゃんはすでに別の可能性を感じていたらしい。

お姉ちゃんが叫んだ日から急に海未さんとことりさんが家に来るのが増えて、正直私は勉強の邪魔だと思っていた。

何やら廃校を防ぐために色々やってたみたいだけど、遊んでいるようにしか見えない...

ただ、着々と計画は進んでいたらしい。
お姉ちゃんの部屋から音楽が聞こえてきたり、海未さんが一人で踊っていたり、ことりさんが大きな紙袋を持ってきたり...気になって仕方がなかった。


亜里沙から突然電話が来たのはその日の夜のこと。

『雪穂!見た?
μ'sの初ライブ映像!』

「落ち着いて亜里沙、何言ってるのか全然わかんない!」

説明を聞くとμ'sっていうのは音ノ木坂のスクールアイドルグループで、今日が行動での初ライブだったらしい。

へぇ、音ノ木坂にもスクールアイドルなんかいたんだ。
それにも驚いたけどもっと驚いたのは...

「亜里沙、そういうのって一切興味なかったよね?」

『うん!でも一気にハマっちゃったよ!だって...』


『これ雪穂のお姉ちゃんのグループなんだよ?』


『すごいよねー!
今まで普通の生徒だったのにいきなりこんな素敵なダンスができるんだもん!』

『私すっかり憧れちゃって...
特に園田海未さんは歌も上手いしかっこいいし...』

『雪穂!明日音ノ木坂の校門で出待ちしようと思うんだけどどう!?』

「いや、私はやめとく...
ちょっと確かめたいことあるから今日は切るね」

『ハラショー。
うん、じゃあ明日ね雪穂』

挨拶を手早く済ませてノートパソコンを開く。

音ノ木坂...μ's...

動画が見つかるのにそう時間はかからなかった


「な、なにこれ...
お姉ちゃんこんな服持ってなかったじゃん...もしかして作ったの!?」

「以外と振り付けもちゃんとしてる...踊りながら息切れもせずに歌ってるし、お姉ちゃんこんな体力あったの...?」

「海未さんのこういう所初めて見たなぁ...小さい頃から思ってたけど、ことりさんも海未さんもすごく美人...」

感想がどんどん溢れ出してくる。
一番驚いたのは歌だ。誰が作ったんだろうか、歌詞とメロディが自分の胸に直接響くような感覚...。


動画を見終わってから、しばらく呆然としてしまった。

私の中の音ノ木坂にあった無難なイメージが、なんとお姉ちゃんによって壊されてしまったんだから...


『雪穂新しいPV見た?
すごいよね!これはラブライブ出場も夢じゃないよ!』

「まぁ、お姉ちゃんにしては結構頑張ってたかも?でもラブライブは流石に難しいんじゃない...?」

『そんなことないよ!
お姉ちゃんもμ'sに入ってからすごく楽しそうだし、μ'sには人を楽しませる力があるよ!』

『全部穂乃果さんのおかげだよ!
ありがとう雪穂!』

「え?うん...お姉ちゃんそんなすごいんだ...」


亜里沙の言うとおり、μ'sは着実にファンもメンバーも増やしてもう9人だ。お姉ちゃん曰くもう増やさないらしいけど。

それにしても亜里沙のお姉さんは相当アイドルが好きなんだなぁ。
動画も撮ってくれてたし結局メンバーにまでなっちゃうなんて。

亜里沙もすっかりハマっちゃったし、本当にμ'sには色々変える力があるのかな


『ところで雪穂。私決めたことがひとつあるんだ』

「え?なになに?」

『悩んでたけど、私やっと決心したよ』

『私は音ノ木坂に行く!』


「あー、だよね...」

薄々分かってた。亜里沙は音ノ木坂に行くんだなって。
ここまでμ'sのファンだし、それに一番大きいのはきっと...


「廃校...無くなりそうなんだってね」

『そうだよ!全部μ'sのおかげだよ!』

『私本当に憧れてるの!
あんな人達がいる音ノ木坂に通えるのは本当に幸せだと思う!』

この時、まっすぐに音ノ木坂を目指せる亜里沙が少し羨ましかった。
私はまだ、決心がついていなかったから...

『...雪穂は、やっぱりUTX?』

「...うん、もう少し悩むかもしれないけど」

そうだ、UTXは前から志望してきたところだし、今更音ノ木坂にかえるなんて....。

その日はそこで亜里沙との電話を切り上げた。


私が悩んでいることなど関係無く月日は流れ、ある日突然すごい話が舞い込んできた

『雪穂!音ノ木坂の廃校無くなったって!』
と、亜里沙

「雪穂!音ノ木坂の廃校無くなったってよ!」
とお母さん

「雪穂聞いて!なんと音ノ木坂の廃校が...無くなりましたー!」

「お姉ちゃんうるさい!
今勉強中!」

「なんで私にだけ厳しいの!?」


μ'sのラブライブ参戦によって、入学希望者が増え、音ノ木坂は廃校を免れることとなったのです


私はというと、そろそろ本格的にやばいというのにまだ決めかねていた。

やっぱり一度行く気になったところだしUYXには憧れるものがある。
もちろん音ノ木坂より倍率が高いけど、行けないところでは無い。

...だけど、私はやっぱり音ノ木坂を捨て切れていない。

行く気は無かった。でもそれは3年生になってからのこと。

1年の頃、まだ受験など考えていなかった時はぼんやりと「私も音ノ木坂に行くんだ」と考えていた

気持ちの上ではUTXより早く私の中にあった高校だ


「でもなぁ~...」

UTXと音ノ木坂のパンフレットを並べて試行錯誤する。

整備がいい?友達がいる?家が近い?スクールアイドル?倍率が低い?親が出てるから?

そんな理由で決めていいの?

大人に聞いてもみんな答えは同じだ
「雪穂の好きな所に行きなさい」
分かってるそんなこと。
でも今は自分が分からない。

きっと私は今背中を押してもらいたいんだ。そんな私の意思を尊重するような言葉じゃなくて、もっと、強く腕を引っ張ってくれるような...


コンコン

不意に響くノックの音
私がまだ返事もしてないのに、ドアからひょこっと顔を覗かせる


「雪穂?いる?」

「お姉ちゃん...
私が返事してからじゃないとノックの意味ないでしょって毎回...」

「あはは、ごめん。雪穂にやっぱりちゃんと言っておきたくて!」



「雪穂、音ノ木坂おいでよ!」



http://imgur.com/eaRYdxB.jpg



私がずっと待ってた言葉。
こんなにあっさり言う人がいた。

普通の人はこんな言葉言ってくれない。
大切なことだし、本人が決めなきゃいけないことだから。

自分のエゴで他人の道を決めてしまうようなこと、普通の人は言えない


でもただ一人、ワガママを平気で言う人がこの人だ。


「ねっ!おいでよ!廃校無くなったんだよ?もう行かない理由無いじゃん!」

「朝とか最初のうちは一緒に行ってあげるから!ね?雪穂~!」


「はぁ~~...
じゃあお姉ちゃんさ、音ノ木坂のいいところ教えてよ。先輩としてさ」

「えっ!?雪穂本当に来てくれるの!?」

「け、決定じゃないよ!
まだUTXとで悩んでるんだから!
参考までにってこと!」

「なるほど、音ノ木坂のいいところか...うーん、うーん」

「...」

「ごめん!わかんないや!」

「嘘でしょ...なんで私に勧めてきたの...」

「いやでもいい所なんだよー!
えーと、そうだアルパカいるし!」

「微妙すぎる...」


「もういいよ、勉強の続きやるから出てって」

「えっ、ゆ、雪穂お願い!
なんか馴染んだ所っていい所とか逆に思いつかないじゃん!?そういうことなんだってば!」

「制服が可愛いとかあるでしょ!
もういいから決めたから!」

「あっそれそr...えっ!?決めちゃったの!?雪穂!雪穂ったら!」

「はいバイバーイ」

強引にお姉ちゃんを占め出す。

本当にすごい人。妹の進路に口出しするくせに学校のいい所は一つも言えないなんて。

きっとそこまでお姉ちゃんにとっては馴染んだ場所になってるんだな、音ノ木坂って



「亜里沙...私決めたよ、志望校」

『本当に!?それって、やりたいことが見つかったってこと?』

「うーん、まあそんなとこかな」

『やりたいことって...?』

「亜里沙...スクールアイドルって、興味あるよね?」

『えっ...!?もちろんあるけど...スクールアイドルってことは...UTX...?』

「あはは、違う違う。
まあアライズも凄いけどね。すご過ぎて私とか出る幕ないじゃない」

「私が志望するのはね...


ーーーー
ーーーーーー

ーーーーーーーーーー



「えぇーーーーーっ!?
雪穂音ノ木坂にしたのーー!?」

そして今、またお姉ちゃんの叫び声が響いた。今度は壁際に追い詰められていない。

「いやだいぶ前に言ったでしょ!
あれ、言ったっけ?」

「言ってないよー!
雪穂私のこと部屋から追い出したじゃん!」

「そうだっけ?ごめんごめん」

「軽い!軽すぎるよ!」

「かなり前の事だし」

「雪穂が冷たい...」


「ていうかお姉ちゃん、ラブライブの予選勝ち抜いちゃったんだって?」

「あはは、おかげさまで...」

「おかげさまでじゃないよ...
これじゃもうアライズより手強くなっちゃったじゃん」

「えっなに、ダメだった?」

「ダメじゃないけど!
まあいいや。受かったら本戦は見にいくから、頑張ってよね」

「うん!雪穂も落ちないようにね!」

「し、信じられない...受験生にそんなダイレクトに言う人がいるなんて...」

「あ、落ちるとか言っちゃダメなんだっけ!?」

「遅いよ!遅すぎるって!」


長い間可能性という見えないものにしがみついていた私だけれど、それこそ可能性なんてどこにでもあるんだってことが分かりました。

あんな状況から、たった9人で廃校を無くしちゃったお姉ちゃん。
面と向かっては言えないけど本当に凄いと思います。

もちろんお姉ちゃんに出来たんだから私にできないはずがありません。

お姉ちゃんが通う音ノ木坂高校で、私はもっとすごい可能性を開花させてやるんだって思いながら今は勉強してるんです。

すぐ追い抜くんだから、もう少しの間よろしくね、穂乃果先輩!


http://imgur.com/lXAJVZW.jpg



可能性の道しるべ ーおしまいー


Comments?高坂穂乃果


「うーん...おはよう...」

「よく寝た...ん?」

「...これって...あーーーーっっ!!!」

「しまった!日誌!
活動日誌書いてないまま寝ちゃったよーー!!」

「どうしようー!絵里ちゃんと海未ちゃんに叱られるー!!...ん?」

「...おや?おやおや?
....おおー...」

「...むふふ...これはこれは...」

ガチャ

「お姉ちゃん、そろそろ起きないと遅刻...」

「...ぎょわああああああああ!!」


「あっ、雪穂ー!
日誌代わりに書いてくれたんだー!忙しいのにありがとねーわざわざー」

「よ、読むなーー!返せーーー!」

「返せって、これμ'sの活動日誌だしー?」

「ここで読むなー!っていうかお姉ちゃんは読んじゃダメ!」

「むふふ、もう読んじゃったよ...!」

「えっ...」

「お姉ちゃんのことそんな風に思ってくれてたんだね...もう!素直じゃないんだから!おいで!」

「行くかっ!!馬鹿っ!!」

バタン!!

「...本当に素直じゃないなぁ」


私と比べてずーっとしっかりしてる雪穂だけど、やっぱり色々悩んでることはあったんだね。

ダメなお姉ちゃんだけど、これからは雪穂の手を借りずに...ってのはちょっと無理だと思う!もう少しだけ手助けしてね!

素直な気持ちを表現できない雪穂のことが大好きだよ!これからも高坂家の姉妹として、そして音ノ木坂の生徒としてよろしくね!



「お姉ちゃん!本当に遅刻するよ!」

「はいはい!今いくー!」

「もう...まったくお姉ちゃんは、私がいないとダメなんだから!」



ラブライブ!
School idol diary ~高坂 雪穂~

http://imgur.com/8hHtHE8.jpg



ーおしまいー


本当におしまいです!

今回初めて酉を付けたり絵を何枚も乗っけてみたりと色んなことに挑戦して雪穂の可愛さを広めようとしました。
結果雪穂かわいいというレスが沢山ついて喜びの気持ちでいっぱいです

今後もこの酉でSSを書かせていただきます。見てくださった方、ありがとうございました!


※またスレタイと序盤で酷いスペルミスをしてしまい大変恥ずかしいです。(SchoolがScoolになっていました)

まとめサイトなどの転載の際には出来れば修正をお願いします!

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