風の谷の穂乃果「きちゃダメー!つけてー!」弓使いの海未「押し通る!」スタジオズブリ! (459)


※ネタスレです。閲覧注意
※生えてしまったり色々ひどかったり安価だったり短編集以下の断片集だったり途中止まったりすると思います
※ので、閲覧注意です


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406646032


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風の谷の穂乃果「きちゃダメー!つけてー!」弓使いの海未「押し通る!」スタジオズブリ!
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穂乃果「だめぇっ♥ 中はだめぇっ♥」トロトロトトロ


海未「何を言ってるんですか! あなたの生は最高です!」パンパン♥


海未「私の子種だって生きているのです! 命の種なんですよ!?」パンパン♥


海未「命の種を大切にしない人なんて大っ嫌いです!」パンパン♥


海未「あっ♥ 最高っ♥ 生穂乃果大好きですっ♥」ドピュドピュ♥


穂乃果「ひゃん♥」ビクビク♥


海未「ん……っ♥ ふっ……♥」ドクドク♥ グリグリ♥


穂乃果「そ、そんな奥まで流し込まないでぇっ……!///」ビクビク♥


海未「うるさい口はこうです……んちゅ」チュッ♥ チュッ♥


穂乃果「あっ♥ んちゅ♥ ……もっとぉ♥///」トローン


海未(穂乃果はキスが大好きですね……中がきゅうきゅう締まります)チュッ♥ チュッ♥


穂乃果「んちゅ♥ あっ♥」キュウキュウ♥


穂乃果「――ひどいよ海未ちゃん」ドロッ…♥


海未「ふぅ……」ツヤツヤ


海未「穂乃果、喉乾いたでしょう? 浄化されたお水です」チャポッ


穂乃果「あ、ありがとう……///」テレテレ


穂乃果「あれ、暗くてよく見えない……」ゴソゴソ


海未「電気点けますね」パチッ


ぱっ!


穂乃果「まっくろくろすけだ!」

海未「なっ、失礼ですっ!///」



穂乃果「ぞうさん、こんばんは♥」ペチペチ

海未「や、やめてください……///」テレテレ


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ことり「ふぅんホノカチャンとするときは生でするのにことりにはゴムつけるんだ?」
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――次の日


ことり「ふぅんホノカチャンとするときは生でするのにことりにはゴムつけるんだ?」



海未「……ことりは大事ですからね」キリッ!

ことり「むぅ……///」プクー


海未「ちょっと待っててください」クルクル…

ことり「4秒で支度してね」



海未「痛っ、巻き込んだ……」ゴソゴソ

ことり「へたくそ……ことり、激おこだよ」プンプン!


ことり「それ、ことりが剃っちゃうから!」プンプン!

海未「えっ? いや、それは……」アセアセ

ことり「私は南ことりだ。理事長実子の権限により臨時に私が指揮をとる」プンプン!


――バスルーム



ことり「あわあわ~♥」アワアワ

海未「……////」


ことり「海未ちゃん、うごいちゃだめだよぉ♥」ショリショリ

海未「ああ……私のアンダーキューティーが……///」


ことり「……♥」ショリショリ

海未「大事なところにカミソリあてられるのは緊張しますね……///」ドキドキ

ことり「かぁぁわぃぃいぃぃ♥」ショリショリ


海未「んっ……///」ショリショリ ビクビク



ことり「できたよぉ、つるつるだねっ♥」

海未「恥ずかしいです……///」テレテレ

ことり「流行りのヘアスタイルは嫌い?」サワサワ♥

海未「これ、流行っているのですか……?」ツルツル



ことり「ねっ、ここでもっかいしよっ?♥」ギュー

海未「ですがもう、さっきので……」


ことり「生でいいよぉ♥」スリスリ♥

海未「……///」ムクムク


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風の谷の穂乃果と弓使いの海未
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――次の日


穂乃果「不毛の地となってしまったのね……」ツルツル



海未「それはシシガミ様の怒りに触れてしまって……」ツルツル

穂乃果「…………」ナデナデ


海未「もう終わりだ…美しくなかったら生きていても仕方がない…」メソメソ

穂乃果「穂乃果はかわいいと思うよ?」サワサワ♥


海未「あっ……!///」ビクビク♥


海未「もう我慢できません!」


ガバッ!


海未「いざ、お供つかまつらん! ラピスラズリの鉱脈を探す旅に!」クチュクチュ♥


穂乃果「えっ!? だめっ! つけてっ!///」アセアセ


海未「恐れることはない、新月の日は空間がひずむ」ムクムク…


穂乃果「確かに今日は安全日だけど……///」


ムクムクッ!


穂乃果「なんか今日、いつもより大きくない?///」カァアッ


海未「遠いものは大きく、近いものは小さく見えるだけのこと」ビンビン♥


穂乃果「そっか、いままでアンダーキューティーのオーバープロテクトで根本が隠れていたんだね……///」


海未「飛ぼう! 上昇気流をつかむのだ!」ズブリ!


穂乃果「ひゃん!♥」



ドピュドピュドピュ!






海未「出てやがる……」ドクドク…


穂乃果「早すぎたんだ……」





海未「……もう終わりだ…生きていても仕方がない…」メソメソ



穂乃果「……」ぎゅっ


穂乃果「いいんだよ、海未ちゃん」ナデナデ♥


穂乃果「気持ちよかったんだもんね、気にしなくていいよ?♥」ナデナデ♥

とりあえずここまでで
たまにはくだらない感じでのんびりやりたくなる
じゃあまた

はい、別の存在だと思います 宣言通り断片集です ほのうみことうみほのまきetc.etc行ったり来たりすると思います 何も考えてません

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穂乃果「おまたからなんか生えた……」グスグス
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――穂乃果に生えてしまったどこかの平行世界――



――――――――――――

――穂乃果の部屋



穂乃果「どうしよう……」グスグス



穂乃果「うわあああああああん!」ビエエエエン!

穂乃果「いやだよおおおおおおおお!!」ポロポロ!



穂乃果「知り合いには相談できないし……」グスグス

穂乃果「メールアドレス付きのファンレターくれた子に相談しよう……」グスグス



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to:※※※


からだがおかしくなってしまいました……

どうすればいいですか? 教えてください

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――穂乃果の部屋


バタンッ!


真姫「――穂乃果っ! 大丈夫!?」ハァハァ!


穂乃果「真姫ちゃんっ!? なんで……」グスグス


真姫「体に異変があったって……!」



穂乃果「…………?」


穂乃果「でも真姫ちゃんならいっか……」グスグス


穂乃果「……診てください」モゾモゾ


ボロン!


真姫「ヴェエエッ!?///」


穂乃果「あれ……? 大きくなってる……」グスグス


ビンビン!


真姫「」


真姫「――――」


真姫「」ハッ



真姫「……最初はもっと小さかったのね?」チラチラ カミノケクルクル


穂乃果「うん、さっきからどんどん大きくなってる……」グスグス


ムクムク


真姫「……まずは原因の究明よ……大きくなってきたのはいつから?」クルクル チラチラ




穂乃果「穂乃果が……」グスグス


穂乃果「……真姫ちゃんの顔を見てから」グスグス


真姫「っ!?///」


穂乃果「どんどんおっきくなってくる……なんでぇ……痛いよぉ……」グスグス


ビンビン


真姫「し、仕方ないわねっ///」プルプル


穂乃果「え?」グスグス


真姫「わ、私が痛みを鎮めてアゲルわよぉっ!!///」カァァッ!


穂乃果「……真姫ちゃん、どうすればいいのかわかるの?」グスグス


真姫「医者の子よ……バカニシナイデ……///」プルプル



穂乃果「ありがとう、真姫ちゃん……」ポロポロ

穂乃果「穂乃果、とっても嬉しい……」ポロポロ

穂乃果「穂乃果のからだ、どうかよろしくおねがいします」ペコリ



真姫「っ……///」プルプル


穂乃果「……なんで目隠しするのかな?」

真姫「はっ、はずかしいデショ……///」ぐるぐる



穂乃果「なにも見えないよぉ……こわいよぉ」グスグス


真姫「怖がらなくていいわ……そのまま、ベッドの上にすわったまま、壁に背中をつけて」


穂乃果「……こうかな?」


ギシッ


穂乃果「真姫ちゃんの顔が見えないよぉ……///」グスグス



真姫「私もベッドにあがるわ……///」ドキドキ


ビンビン!


真姫「……っ///」ドキドキドキドキ


ギシッ…


真姫「~~っ///」ギシッ…


穂乃果「……真姫ちゃん?」ペタペタ


真姫「ひぅ♥」ビクッ

穂乃果「えっ?」


真姫「さっ、サワラナイデ!///」ドキドキ

穂乃果「ごめんなさい……見えないから……」シュン



真姫(なんか……穂乃果のにおいが……)スンスン

真姫(いつもより――濃くて――///)スンスン――



穂乃果「……真姫ちゃん?」グスグス

真姫「~~っ!///」


真姫「いっ、いいかしらっ!? コレは医療行為なんだからね!?///」チラチラ

真姫「カンチガイしないでねっ!?///」プルプル


そーっ……


穂乃果「?」


……きゅっ


穂乃果「あっ♥」


真姫「」




真姫「へ、変な声ダサナイデ!?///」ドキドキドキドキ


穂乃果「だ、だって、なんか気持ちよくてぇ……」グスグス


真姫「う、動かす、わ、よ……///」プルプル


こしゅ……こしゅ♥


穂乃果「…ひぅ♥ …ひゃん♥」ビクン!ビクン!


真姫「~~~~っ!///」ドキドキドキドキ


穂乃果「ま、真姫ちゃんの指ぃ、気持ちぃよぉ……♥」グスグス


真姫「そ、そう……///」ドキドキドキドキ


こしゅ、こしゅ


穂乃果「ひん♥ あんっ♥」ビクン!ビクン!


真姫「ヘ、変な声ダサナイデったら!////」ドキドキドキドキ


コシュ♥ コシュ♥


穂乃果「んっ、ごめっ……♥ だってぇ……んっ♥」ビクビク



穂乃果「ね、ねぇ、真姫ちゃん……」モジモジ

真姫「……ナニヨ」ぴた



穂乃果「ま、真姫ちゃんの……お顔、見ながら、してもらいたぃ……」モジモジ

真姫「っ!///」カアアッ!



真姫「だっ、だめよっ! それはダメっ!///」アセアセ

穂乃果「そっか……わがままいってゴメンね」シュン


真姫「ほ、ほかの頼みなら聞いてアゲルわ!?///」

穂乃果「じゃ、じゃあ……」



穂乃果「真姫ちゃんと、もっとくっつきたぃ……///」グスグス

真姫「ゥ……///」ドキドキドキドキ


真姫「スキニスレバ……!?///」プルプル


穂乃果「真姫ちゃん……♥」ぎゅっ


真姫「っ///」ドキン!


穂乃果「まきちゃん……♥ まきちゃぁん……♥」スリスリ♥


真姫「っ、ふ、んっ///」ドキドキ


穂乃果「ぁぅ♥ まき、ちゃ……っ♥ はぁっ♥」スリスリ ギュー


真姫「~~ツ、続けるわよぉ!?///」


きゅっ


穂乃果「あぅ♥」


こしゅ♥ こしゅ♥ こしゅ♥


穂乃果「きもちぃよぉ……♥ まきちゃん♥ まきちゃん♥」ギューッ!♥ スリスリ♥ 


真姫「~~~っ!///」コシュコシュ♥


穂乃果「ね、ねぇ、まきちゃん……」オドオド


真姫「……ナニヨォ///」プルプル


穂乃果「……ちゅー、して?」


真姫「ヴェエ!?///」


穂乃果「おねがい……まきちゃんに、ちゅーしながらしてほしいのぉ……♥」グスグス


真姫「そ、そんなこと……っ!///」カアアッ!


穂乃果「いっかいだけだから、ねぇおねがい、ちゅーして♥」グスグス


真姫「わ、わかったからっ! してあげるから泣かないのっ!!///」


穂乃果「♥」










真姫「あっ」ハッ


――その頃 別の世界線(>>8から)


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風の谷の穂乃果と弓使いの海未
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海未「うう……武士の恥です……」メソメソ

穂乃果「よしよし」ナデナデ♥


穂乃果「穂乃果で気持ちよくなってくれて、嬉しいよ?」ナデナデ♥

海未「ひっく……ほのかぁ……」グスグス



穂乃果「ね? 穂乃果は気にしないから元気だして?」ナデナデ♥

海未「ですが、もう……」シオシオ…



穂乃果「えーと、その……///」モジモジ

海未「?」

穂乃果「穂乃果、海未ちゃんの好きな格好とか、してあげるから///」テレテレ

海未「本当ですかっ!」ガバッ



海未「いっぱい持ってきました!」ドン!


バサバサバサ!



穂乃果「わぁ……」


海未「あ、穂乃果、これ飲んで下さい」スッ

穂乃果「ジュース……?」

海未「ほら、ぐいっと」

穂乃果「うん……ありがとう」ゴクゴクゴクゴク


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穂乃果(幼稚園児服)「海未ちゃん……なにかな、これ……///」プルプル

海未「最高です! あなたは最高ですっ!」パシャパシャ!


穂乃果(幼稚園児服)「うぅ、撮らないでぇ……///」プルプル



海未「ピヨピヨサンダルも持ってきました! 履かせますね!」ピヨピヨ!


穂乃果「ちょっ、恥ずかし……っ!///」ピヨピヨ


ギシギシ


海未「ベッドの上で暴れないでください!」バタバタ!

穂乃果「うう……///」ピヨピヨ…


海未「ベッドの上でぐったりしてる幼稚園児姿のピヨピヨサンダル穂乃果……最高です!」パシャパシャ!

穂乃果「……元気でた?///」ウルウル


ムクムク♥


海未「もう一声ですね」ゴソゴソ


穂乃果「まだあるの……?」


海未「そろそろコレを穿いて下さい」スッ



穂乃果「穂乃果オムツはくのぉっ!?///」ビクッ



海未「ほらはやく……あ、私がおむつ穿かせます。力抜いてください」ゴソゴソ

穂乃果「っ……///」カアアッ!


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海未「最高です! あなたは最高です!」パシャパシャ!

海未「ムービーもまわしておきましょう」●REC


ジーッ……


穂乃果(おむつ)「すごく恥ずかしいんだけど……///」プルプル



穂乃果(ん……?///)モジモジ


穂乃果(うそ……!?///)モジモジ



穂乃果(おむつ)「ね、ねぇ海未ちゃん、穂乃果、おトイレ行きたい……///」モジモジ

海未「やっと効いてきましたか」

穂乃果(おむつ)「え? もしかしてさっきのジュース……///」

海未「なんでもありません。さ……」











海未「そのままベッドの上でおしっこしてください」●REC

穂乃果(おむつ)「」

ひどい……ひどすぎる……

(ここまでひどくするつもりはなかった……とりあえずここまでで……ではまた)


穂乃果「もう駄目だよ……我慢できないよ……///」モジモジ


穂乃果「だめ……っ///」じわっ……





海未「……///」ドキドキ ●REC




穂乃果「あっ……///」じわわっ……






穂乃果「でちゃう――――――」


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――その頃 穂乃果(生えてる)
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穂乃果「――――んちゅ♥ まきちゃっ♥ んむ♥」チュッ、チュッ


真姫(し、舌が入って……!!///)ビクビク


穂乃果(好き……♥ 真姫ちゃん、好き……っ!)チュッ♥ チュッ♥




穂乃果「……もう駄目だよ……我慢できないよ」




しゅるっ――


真姫「あっ、目隠し外しちゃ……」


――ぽたり、ぽたり


真姫「ほ、穂乃果っ!?」ビクッ


穂乃果「ちゃんと顔……みて、言いたかったの」ポロポロ





穂乃果「――穂乃果ね、真姫ちゃんとキスして分かったの……」ポロポロ


穂乃果「真姫ちゃんのこと、こんなにも好きだってこと……」ポロポロ


真姫「っ!?///」


穂乃果「ごめんなさい……胸の気持ちが、抑えられなくて……」ポロポロ


穂乃果「真姫ちゃんはただ優しくしてくれただけなのに、勝手に恋しちゃって……」グスグス


穂乃果「こんなこと言われても困らせちゃうだけだってことは、分かってる……」ポロポロ


真姫「…………」



穂乃果「でも伝えたかったの……世界中でたったひとりの愛しいあなたに、穂乃果の本当の気持ちを……」ポロポロ


穂乃果「ごめんなさい……ちゅーしてくれたのに、涙、止まんないよぉ……」ポロポロ





真姫「……いいのよ、止めなくて」ぎゅっ!


穂乃果「ふぇ?///」グスグス


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――その頃 穂乃果(生えてない)
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海未「……!!」鼻血ダラダラ 



穂乃果「ぅぅ……おしっこ止まんないよぉ……///」しょおおお……



海未「いいんですよ、止めなくて」●REC



穂乃果「ふぇ?///」ぴたっ……



海未「穂乃果、愛してます……なにも不安になることはありません」



穂乃果「……!///」じわっ


穂乃果「うん……海未ちゃん、好き、好きぃ……」しょおおおお……♥




海未(穂乃果が嬉ションしてます……! かわいいです……!)ドキドキ♥

(ここは、錯乱状態でスレ立てしてしまったガラスハートが粉々に砕け散るだけの場所です。過度な期待はしないでください。)
(破壊と再生、スクラップアンドビルド、そういう必要プロセスです。中間生成物です。)
(豆腐を作る過程にできるおからが産業廃棄物か否かという解釈の争いだけで最高裁まで行った事件があるらしいです。実話です。)


――――――――――


海未「は~い、いっぱいしーしーでましたね。いい子です、えらいですよ」ナデナデ


穂乃果「うみひゃん♥ うみひゃぁん♥///」グスグス


海未「いまおしめ替えますね~」ペリペリ……



……むあっ♥



海未「ちょっときいろくて、湯気がでてますね~」ホカオホカ


穂乃果「恥ずかしいよぉ……♥///」ウルウル


海未「恥ずかしがる必要ないんですよ、穂乃果。全部愛してますから」ナデナデ





海未「あなたは私のおなかの中から生まれた赤ちゃんだと思って、いっぱい甘えてくださいね」ナデナデ


穂乃果「じゃ、じゃあ、うみちゃんのおっぱいすいたい……///」


海未「もちろんですよ、いま用意しますね」ゴソゴソ


――――――――――



ホノキチランカー(A級以上)総合スレ@ホノキチ(生えてる)板


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-注釈-


※ホノキチ(生えてる)板……ことり他数名は生えていない。

※ホノキチランクシステム……権力構造。出自(穂乃果の幼馴染みである等)、穂乃果の護衛に必要な武力、組織への貢献度などでランクが決定する。

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501 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-A:★★☆):ID:Ringabe

今週の穂乃果ナイトローテーションはどうなってるんだにゃ?


502 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-S:★★★★★★):ID:umimin

ええと、
私→絢瀬先輩→私→星空→未定
ですね

503 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-A:★★):ID:nicosuke

S級の横暴を許すな!
未定って何よ!? 順番からいって私でしょ!?

504 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-S:★★★★★★):ID:umimin

いえ、今ひとりA級昇格試験を行っているので……

505 名前:名無しにかわりましてA-RISEがお送りします(class-A:★★★):ID:erichika-Xth

え? 私の準S級昇格は? 何度も言うけど私も一応、穂乃果と幼馴染みという解釈があるのよ?

506 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-A:★★☆):ID:Ringabe

>>505
かしこい先輩は凛にタイマンで勝ってからそういうこと言えにゃ

507 名前:名無しにかわりましてA-RISEがお送りします(class-A:★★★):ID:erichika-Xth

>>506
あなた最近強すぎよ……でも忍術と称して家にまきびしバラ撒くのやめてくれない?
それと希に弟子入りするのやめたほうがいいわ

508 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-A:★★☆):ID:Ringabe

>>507
凛のぞーみんをバカにすんな! 画鋲撒くぞ!

509 名前:名無しにかわりましてμ'sがお送りします(class-S:★★★★★★):ID:umimin

彼女、出自は悪いですがなかなかいい腕をした武闘派ですよ。
画鋲踏んでノックアウトする先輩よりは強いかと……

(安価だしませんけど拾える範囲で拾いたいと思ってるので要望あったらどうぞ……)
(ただ今回は拾える範囲狭めかもしれませんので、そのへんご容赦下さい……)

ツバサが報われる話を…!
少しでいいんで

>>63:おk

ほのうみ幼児プレイとかわかってるな・・・

画鋲で死ぬ先輩と穂乃果の吸血プレイ

>>65:穂乃果に出血させたらペナルティでランクダウン裁判沙汰なので唾液かなんかで……血(意味深)は、もう無理……

(のんびりやります)

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次の日の夜 エリチカ(A級) 穂乃果(生えてない)
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――ホテル(セミスイートルーム) ベッドの上



きら、きら


穂乃果「綺麗な夜景……」


――きら、きら、きら



エリチカ「あなたのためにこの部屋をとったのよ。今夜は私に任せてね」キリッ

エリチカ「私にとっては大事な夜だから――素敵な一夜にしましょう――?」



穂乃果「そんな、だって穂乃果のためにわざわざこんな部屋……///」オドオド

エリチカ「もう……なんで私といる時だけ、いつもそうなのかしら」クスッ


穂乃果「だってえりちゃん、かっこいいし///」オドオド

エリチカ「ねぇ、穂乃果……」ギシッ……


ぎゅっ……


エリチカ「愛しているわ。私にあなたを守らせて」ぎゅぅぅっ……

穂乃果「え、えりちゃん……///」スリスリ



穂乃果「えりちゃん、肌すべすべだね。まるで生まれたてみたい」スリスリ

エリチカ「家を出る時、凛の仕掛けた画鋲を踏んだからね……」ボソッ

穂乃果「え?」

エリチカ「あの子、あれでも優しいのよ。私にもっと強くなってほしいみたい」くすっ



――きら、きら



エリチカ「ねぇ穂乃果、私はたとえ何度死んだとしても――」

穂乃果「?」

エリチカ「――あなたのために、何度でも生まれ変わるわ。何十回でも、何百回でも、未来永劫……」

エリチカ「……約束しましょう」

穂乃果「えりちゃん……///」



――きら、きら、きら



エリチカ「私は強くないけれど……そうして重ねた想いは、誰にも負けないつもりだわ」ぎゅっ……

穂乃果「あっ……あぅ……♥///」ドキドキ


――――――――――

穂乃果「あっ♥ んちゅ♥ えりちゃんっ♥」チュッ、チュッ


エリチカ「穂乃果……っ」ちゅうちゅう♥



穂乃果(あっ、穂乃果のよだれ、吸われてる……っ///)チュッ♥ チュッ♥


エリチカ(穂乃果の唾液、あまくておいしいっ……脳がとけちゃう……っ)ちゅうちゅう♥


穂乃果「そんな……♥ ちゅ♥ 吸わないでぇ……っ♥」チュッ♥チュッ♥


エリチカ「だめよ……っ♥ んちゅう♥ もっとちょうだい……っ♥」ちゅうちゅう♥




穂乃果「んちゅ……はぁ、はぁ、えりちゃぁん///」トローン♥


エリチカ「はぁ、はぁ……キスだけでそんな風になっちゃうのね、かわいいわ穂乃果っ♥」がばっ!


穂乃果「きゃあっ♥」ぼふっ!


――――――――――


パンパンパンパン♥


エリチカ「あっ♥ 中、熱くてっ♥ んっ、気持ちいいわっ」


穂乃果「えりちゃん♥ えりちゃん♥」きゅうきゅう♥


エリチカ「あっ♥ そんなきゅうきゅう、締めないでっ! もうっ、でちゃっ……!」



パンパンパンパン♥



エリチカ(~~~~~~っ!!)ビクン♥


穂乃果「だしてぇ♥ えりちゃんの中に出してぇ♥」きゅうきゅう♥



ビュッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルッ♥



穂乃果「あっ――♥」びくん♥


エリチカ(――――あっ♥ 穂乃果の中にっ♥ 止まらな……っ♥)


ビュルルルッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルルッッ♥



穂乃果「~~~~~っ♥」きゅうきゅう♥ きゅううううぅっ♥


エリチカ(搾り取られてる……っ♥ 穂乃果の一番おくにっ……っ)


ドクドク♥ ドクッ…ドクッ…♥













穂乃果「……えりちゃぁん、ちゅうしてぇ……♥」ひくひく♥


エリチカ「穂乃果……っ♥ んちゅ♥ 穂乃果……っ♥」ちゅっ♥ ちゅうちゅう♥


穂乃果「……♥」チュッ♥ チュッ♥

(安価スレ・伝統芸能スレ・おから料理スレ用のトリップつけました)

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その頃 平行世界 真姫 穂乃果(生えてる)
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――ファミレス


穂乃果「はい、きのきー、あ~ん♥」(※きのきー……真姫の愛称)



真姫「あ~ん♥」ぱくっ


もぐもぐ


穂乃果「おいしい?」にこっ


真姫「とってもあまいわ」もぐもぐ



穂乃果「えへへ~♥」てれてれ


真姫「えへへ♥」てれてれ



真姫「ねぇ、ほのぽっぽ、相談があるの」(※ほのぽっぽ……穂乃果の愛称)



穂乃果「なぁに、きのきー。穂乃果先輩がなんでも聞いてあげよう」えっへん


真姫「ふふ。頼りにしてる。実はね?」


穂乃果「うんうん」にこにこ



真姫「ほのぽっぽのことが好きすぎて、むねがいたいの。どうしよう?」むむむ



穂乃果「そっかあ。ふふ。実はほのかもね……」むむむ


穂乃果「きのきーのことが好きすぎて、むねがいたいの。おそろいだね」にこっ!



真姫「えへへ~♥」てれてれ

穂乃果「えへへ♥」てれてれ





真姫「ほのぽっぽ、あ~ん♥」


穂乃果「あ~ん♥」ぱくっ!

(7/27日曜の23:22に依頼を出したガラスハートなミッドナイトレディっていつまで生きてると思います……?)

ほのうみの海未ちゃんの欲望溢れる変態プレイがもっとみたいです

(親切にどうもです…ほのまきスレが完了したので、また作品安価だすならあっちがよかったかなーと思っただけです…)
(でも作品安価はあとひとつ、ほのツバ残ってますし、もしやるとしてもその後ですね……)
(……これより先、基本的にageません……)

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次の日の夜 海未(S級) 穂乃果(生えてない) (※安価>>79
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もぞもぞ もふもふ


――ベッド 掛け布団の中


もぞもぞ もふもふ



海未「ほのか、私のおっぱいおいしいですか?」ナデナデ♥


穂乃果「おいひぃよぉ……♥」


ちゅぱちゅぱ♥


海未「ほのかちゃん、いつしゃべれるようになったのかな?」ナデナデ


穂乃果「むぐ……ちゅぱ♥」チュパチュパ


海未「ふふ、かわいいです」ナデナデ♥



もぞもぞ もふもふ



海未「ほのか、このままおふとんのなかでおしっこしちゃいましょうね」モゾモゾ


穂乃果「ちゅぱ♥ ん……っ///」ふるふる


海未「おむつしてるから大丈夫ですよ」ギュー♥


海未「私のおっぱいすいながら出しちゃっていいですからね」ナデナデ♥


穂乃果「あ……♥ あ……♥」ぷるぷる


海未「私がぎゅーって抱きしめていてあげますから、遠慮しないでいっぱい出しちゃってくださいね」ギュー♥


穂乃果「あ……♥ あぅ……♥」じわっ



もぞもぞ もふもふ



穂乃果「も……♥ ちゃう……っ///」プルプル


海未「おふとんのなかで抱きしめられながらおしっこしたら……」ナデナデ


海未「……とっても気持よくなれますよ?」ギュー♥



ちゅぱ♥ ちゅぱ♥



穂乃果(あ……っ♥)プルプル











しょおおおお……っ♥




海未「んっ……よしよし」ギュー♥ ナデナデ♥



もぞもぞ もふもふ



穂乃果(あったかい……♥ 気持ちぃ……♥)しょおおおお……♥

穂乃果(うみちゃん、好きぃ……♥)しょおおお……っ♥



ちゅぱ♥ ちゅぱ♥



海未「がまんしないで、いっぱいだしてくださいね」ぎゅー♥

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その頃 平行世界 真姫 穂乃果(生えてる)
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――穂乃果の部屋



穂乃果「きのきー……///」ギュー


真姫「ほのぽっぽ……///」ギュー…



穂乃果「ねぇ、ちゅーしようよー///」スリスリ


真姫「恥ずかしいから、やぁよ///」テレテレ



穂乃果「ねー、おねがぁい///」ギュー


真姫「やぁったらぁ///」テレテレ



穂乃果「どうしたら穂乃果のお願いきいてくれる?」サワサワ


真姫「わたしのお願い、ひとつきいてくれたら、いいよ?」スリスリ



穂乃果「いいよ、なんでもきいてあげる」ギューッ


真姫「ほんと? じゃあ、キスして?」スリスリ



穂乃果「……ん、――ちゅっ」チュ-♥


真姫「ん……っ///」プルプル











真姫「しあわせ……///」トロトロ♥

(やすむ)

穂乃果ちゃんに、ゆび編みでハートに直接スキスキ伝えて、ぷわぷわーおさせたい

>>70のほのえりは、>>60(502)の絢瀬先輩の日(海未ちゃんが不毛の地にされた日)であってる?

>>90 なんかごめんなさい……普通の時間の流れです。
[先週末]くろすけ(土)→げきおこ(日)
[今週]私(月)→絢瀬先輩(火)→私(いまここ)→星空→未定(by umimin)、ですね

>>49
穂乃果号泣→真姫号泣→一旦浄化、です。後でフォローいれると思います……

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海未(S級) 穂乃果(生えてない) 
-------------------------------------------------------


穂乃果「んっ♥ ん~っ♥」ブルッ ブルルッ!



しょおおお……っ♥



海未(穂乃果が私の腕の中で、身体を震わせて……おもらししています……っ!///)ビンビン♥




穂乃果「あっ……♥ あっ……♥」ビク♥ ビクン♥


穂乃果(気持ちいいよぉ……♥ きもちぃいよぉ……っ♥)しょおおお……っ♥


穂乃果(おしっこ気持ちいい……っ♥ 海未ちゃんの腕の中きもちいい……っ///)ブルルッ!



海未(震えて……耳まで真っ赤にして……っ!///)ビンビン♥



穂乃果(海未ちゃんのおっぱいおいしいよぉ……♥)ちゅうちゅう♥





海未「――もう我慢できませんっ!」がばっ!


穂乃果「ふぇ?」


海未「――ミルクならいま、あなたのお口にあげます!」ガシッ!



じゅぼっ♥



穂乃果「んおおぉっ♥」ずぼずぼ♥


海未(あっ♥ 穂乃果のおくちの中、あったか――♥)じゅぼっ! じゅぼっ!



じゅぼ♥ じゅぼっ♥ じゅぼ♥



海未(気持ちよすぎて、すぐ……っ♥)じゅぼ♥ ビクビク――





――ビュルルルッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルルッッ♥




海未(……あっ、出ちゃいました……♥)ビュッ♥ ビュー…ッ♥




穂乃果「んんんっ♥///」もごもご


穂乃果(海未ちゃんのミルク……っ♥ おいし……っ♥)こくこく♥



ごくっ♥ こくこく♥



海未「……残さず飲むんですよ?」ドクッ…ドクッ…♥


穂乃果(海未ひゃんのミルクあまいよぉ……コンデンスミルク味だよぉ……)こくこく♥


海未「よしよし、おいしいでしゅか~?」モミモミ♥


穂乃果「ん……♥」ちゅうちゅう


海未(吸われてます……///)モミモミ♥






☆うみみのひみつ!~その1~

うみみのみるくは相手の好きな味にかわるんだっ! きみものんでみてっ!


――その頃 賢者の部屋


絵里「ふぅ……」


……ペラッ


絵里(――知性。それは、人間という種族が、他の生物との生存競争を戦い抜くために選んだ武器)ペラッ

絵里(他の多くの生物の知性が「食糧調達」「子孫繁栄」といった分野のみに観察されるのとは対照的である)ペラッ

絵里(……つまりA級ランカーの頂点に立つために、かしこい私が選択するに相応しい武器でもある)ペラッ……

絵里「――Arthur Schopenhauer(1788-1860)『知性について』。今日の一冊はこれよ」ペラッ

絵里「これは比較的読みやすく普通に面白いと思うから推薦しておくわ」スッ


http://www.amazon.co.jp/dp/400336323X






――Secret of Erichika――

最近は希に弟子入りした凛に連敗中。


――その頃 隣の部屋


PV海未『アイセーィッ♪ ヘイッ♪ヘイッ♪ヘイッ、スターダシュッ♪』キラキラ




亜里沙(ふああああ海未さあああああんっ///)キラキラ

亜里沙(海未さんっ! 海未さんんんんんっ!///)キャアアアアア!

亜里沙(くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」///)バタババタバタ!!

亜里沙(カッコイイよぉぉ/// かっこいいよぉおおおおおおお///)バタバタ



亜里沙「キャー!/// キャー!///」ゴロゴロ!


ゴロゴロ バフバフ モフモフ バタバタ



海未枕『……』モフモフ

亜里沙「うみさぁん……」ギューッ!

海未枕『……』ギュウギュウ

亜里沙『亜里沙、どうしましたか?(裏声)』キリッ

海未枕『……』バフバフ

亜里沙「好きですっ、ダイスキですぅっ!///」ギューッ!

海未枕『……』モフモフ

亜里沙『亜里沙、私も好きですよ(裏声)』キリッ

海未枕『……』ギュウギュウ

亜里沙「キャー♥ キャー♥///」バタバタ!


バタババタバタ……♥




☆ありさのひみつ!~その1~


亜里沙ちゃんはうみみの大ファンだよっ!
毎晩こんなことやってるから、たまにお姉ちゃんにしかられちゃうよっ!


――次の日 海未(生えてる)


海未「ふむ……」ぴっ♪

-------------------------------------------------------
from:亜里沙

海未さん、あの、間違ってほむまんをいっぱい買ってきてしまって……
-------------------------------------------------------


ピンポーン♪


亜里沙「――はっ、はぃいいいっ!///」ガチャリンコ!


海未「ほむまんを引き取りにきました」


亜里沙「どどどどうぞあがってくだひゃいっ!?///」プルプル


海未「……ほむまんは?」


亜里沙「あ……これですけど」スッ


海未「確かに受け取りました。ではまた――」くるっ


亜里沙「っ…………」プルプル








亜里沙「――――」スッ――



――くいっ


海未「……亜里沙、私の服が伸びてしまいます」



亜里沙(服をつまむ手っ、手が、ふふふ震える……っ!///)プルプル


ふるふる――



亜里沙「あの……っ、いま偶然おうちに誰もいなくてっ、ちょ、ちょうどお茶が……っ!///」プルプル


亜里沙「だから、一緒にっ……お茶、だけで……ぃぃので……っ////」プルプル


………………

――――――――――


亜里沙「おおおお茶でひゅっ!///」プルプル…


カタカタカタ……コトッ



海未「では遠慮無く……」ずずっ


海未(ん……?)ぴく



亜里沙(あのお茶、すごく高かった……///)ソワソワ

亜里沙(亜里沙のおこづかいなくなっちゃたけど、それで海未さんが喜んでくれるなら……っ!///)ソワソワ チラチラ


海未「…………」すっ



海未「……もしかしてこれ、玉露ですか?」

亜里沙「は、はぃぃ……///」ソワソワ




海未「……湯の温度は?」

亜里沙「え? いつも紅茶を入れる時みたく――――」










海未「――――なにを考えているのですかあなたはっ!」

亜里沙(っ!?!?)ビクッ!


亜里沙「え……? え……?」オロオロ



海未「玉露は60度から40度の低温で淹れなければ駄目なのですっ!」

亜里沙(……?)プルプル



海未「まったく、絢瀬先輩とあなたは……」ハァ

亜里沙「…………」プルプル










――ぽたり



亜里沙「ごめ……なさ……っ」ぽろぽろ






亜里沙「わたし…グスッ…知らなくてぇ…ヒック…」ぽたぽた


亜里沙「ヒック……ごめん……なさい…グス…」ぽろぽろ


亜里沙「きらいに…ヒック…ならないでぇ……!」グスグス




海未「……亜里沙?」びくっ

(またねっ!)

-------------------------------------------------------
その頃 平行世界 穂乃果(生えてる)
-------------------------------------------------------

――和菓子穂むら レジ(手動式)



穂乃果「…………」ピッ、ピッ

お客「…………」

穂乃果「…………」ピッ…

お客「…………」



[お会計:195円]カシャカシャ……





真姫『――ほのぽっぽ、よかったら明日わたしの家に――』


穂乃果「……」ピッ、ピッ…


真姫『――えっ? おうちのお手伝い? そう……――』


穂乃果「……」ピッ……


真姫『――ううん? えらいと思うわ。そんな気にしないで――』


穂乃果「……」


真姫『――がんばってね。ほのぽっぽのこと、大好きよ――』


穂乃果「……」


真姫『――うん、だから謝らないでってば、もう――』


穂乃果「……」


真姫『――ちょっと、気にしてないって言ってるじゃない――』


穂乃果「……」


真姫『――……え? いや、あの、そういうこと言われるのは、う、嬉しいけれど――』


穂乃果「……」


真姫『――もう、ほのぽっぽったら。一日会えないくらいで死ぬわけ――』







お客「……」


穂乃果「……」




[お会計:195378195353円]





お客「……」



穂乃果「……」



ほのママ「……」




――――――ごつん!


――真姫の部屋 ベッドの上(穂乃果)


穂乃果「……」ゴロゴロ




真姫「……それで追い出されてきたの」

穂乃果「……うん」モフモフ


真姫「……もう、だめじゃない」

穂乃果「だって……(ずっと、きのきーに会いたくて……)///」モジモジ


真姫「……なんでさっきから、私と目を合わせてくれないの?」

穂乃果「だって……(だけど、会ったら照れちゃって……)///」ギューッ



モフモフ ギュー…



真姫(それ、私の枕……)



穂乃果(ん……///)スンスン

モフモフ

穂乃果(きのきーのにおいがする……///)スンスン

穂乃果(あ……/// あ……♥)クンカクンカ

穂乃果(~~~~っ♥)ギューッ







真姫(恥ずかしいからやめて……)プルプル


むくっ……

穂乃果(あっ……///)スンスン


むくむくっ♥


穂乃果(あぅ……///)ジワッ…


ビンビン♥



穂乃果「――うぅ……///」うるうる




真姫(んー?)ピク

真姫(どうしたんだろう……)チラチラ

真姫(気になる……)ソワソワ






穂乃果(どうしよう……)うるうる

穂乃果(またあのときみたく心配させちゃうよぉ……///)ぐすぐす


穂乃果(それに穂乃果、いま……)ドキドキ

穂乃果(――――なんでだろう、すごくいやらしい気持ちになっちゃってるの///)ドキドキ


ビンビン♥


穂乃果(嫌われたらどうしよう……きのきーにバレたくない……///)うるうる


穂乃果(お願い、気付かないで――――)ドキドキドキドキ


真姫「ねぇ、ほのぽっぽ――」スッ……


……ギシッ


穂乃果「――ひっ!///」ビクッ



真姫「えっ……?」ズキッ

真姫(私もベッドに乗ったら、怯えられた……)


真姫「……」しゅん

真姫(なんで……?)ずきずき



真姫(……?)ジリジリ…


穂乃果(……っ!///)すすすっ…




真姫(――――逃げちゃ、イヤ……)うるうる



ギシッ……ギシッ……



穂乃果(ち、近づいてくるっ!///)ドキッ


穂乃果(……っ)ふいっ


くるっ


真姫(……だめよ……背中じゃなくて、かお、見せて――――?)




穂乃果(――うあぁあぁあああああああああん!///)ドキドキ♥

穂乃果(どうしよぉおおおぉおお!?///)ドキドキドキドキ♥





真姫(……もう、わたしは自分の心を閉ざしたりしない……だから、たとえ不安な気持ちがあっても――――)スッ…





穂乃果(きちゃダメー! ほっといてー!)プルプル

真姫(押し通る!)ガシッ!

(昨日8/1は大変ショッキングなことがありました……生身の胃が痛くなるくらい……)

(……日曜午後まで少し遠くへ行ってきます。別のものを書いてるとかはまったくなくて、本当に……)

(のんびりで……ごめんなさい……)


――――――――――


真姫「――ほのぽっぽ、これ……」








穂乃果「…ヒック…ごめんなさい…グス…」ポロポロ


ビンビン♥





真姫「……もう、どうして言ってくれなかったのよ」


ギュッ…


穂乃果「だってぇ……きのきーに嫌われちゃうと思って……」グスグス


真姫「これくらいででほのぽっぽのこと、嫌いになったりなんかしないわ」ぎゅー




穂乃果「……また、医療行為、するの……?」グスグス


真姫「ごめんなさい。医療行為はもう、できないの」すりすり


穂乃果「え……? もしかして、穂乃果のこと――」


真姫「――だってわたしは、ほのぽっぽに恋しちゃったから。だからこれは医療行為じゃなくて……」スッ…


サワサワ♥


真姫「愛情表現よ」


穂乃果「ひゃっ♥」ビクッ


こしゅ、こしゅ


穂乃果「ひぅ♥ あんっ♥」ビクン!ビクン!


真姫「ほのぽっぽ、きもちいい?////」コシュコシュ♥


穂乃果「きもち、いいよぉ……♥」トロトロ


真姫「そう、よかった。ちゅーしながらしてあげるね?」コシュコシュ♥



ちゅっ♥ ちゅっ♥



穂乃果「んちゅ……♥ あんっ! きもちぃよぉ♥ ちゅっ♥」チュ、チュッ



真姫「んむ……あっ♥ んっ……///」コシュコシュ♥


穂乃果「だめぇ……なんかムズムズするよぉ///」ビクビク♥





真姫「ん、出ちゃいそう?」ぴた


穂乃果「え? なんか出ちゃうの?」


真姫「え? 出たことないの?」


穂乃果「……なにが出るの?」




真姫「……ほのぽっぽはまだ精通してないのね///」コシュコシュ♥


穂乃果「せーつー? あんっ♥」びくん


真姫「遠慮しないでいっぱい出していいわよ」コシュコシュ♥


こしゅ、こしゅ♥ ちゅっ、ちゅぅ♥



穂乃果「んっ♥ ほんとに、おしっこみたいなのでちゃいそぉだよぉ……」むずむず


真姫「ベッド汚れるのとか何も気にしなくていいからね。なにもきたなくないから」コシュコシュ♥


穂乃果「えっ? 嫌だ、きのきーのベッド汚したくない……」ふるふる


真姫「ほのぽっぽのは、きたなくないったら」


穂乃果「穂乃果がいやなのぉ……」ウルウル




真姫「もう……しょうがないわね」すっ


ぬぎぬぎ……


穂乃果「?」


するするっ



真姫「わたしのパンツで、ほのぽっぽのを包んであげる」ふわっ


穂乃果(あっ、脱ぎたて、あったかい……///)びく!


真姫「これならベッドも汚れないから、この中にいっぱい出していいからね?」コシュコシュ♥


穂乃果(ぱんつあったかい……きもちいい……////)びくびく


真姫「布が当たってるところ、こうしてこすっても痛くない?」コシュコシュ♥




穂乃果「うん……だいじょうぶ……///」


真姫「そう、よかった」コシュコシュ♥


穂乃果「その、いま包まれてる、ぱんつの、きのきーのがあたってたとこがね……///」モジモジ


真姫「ん?」コシュコシュ♥


穂乃果「穂乃果の先っぽあたりのとこが、きのきーのでぬるぬるしてて、きもちいい///」テレテレ


真姫「……イワナイデ///」ちゅっ♥



こしゅこしゅ♥ ぬるぬる♥

ほのぽっぽ、これは流行る

>>125
(ほのぽっぽは4本目、きのきーは6本目なのに全然はやってないですよ……)

http://i.imgur.com/WAsLrU9.jpg

(だらだら始めます)

(あっぷろーどテスト……これでどうだろう? このろだどうですか? 自分だと見れないけどなぜなのか……)

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――その頃 海未(生えてる)



亜里沙「ひぐぅ……うぐっ……」ぽろぽろ



海未(ガチ泣きですか――!?)びくっ


亜里沙「ごうぇん、なしゃ……」グシャグシャ


海未(涙でぐしゃぐしゃの亜里沙を見てると……)ドキドキ


ムクムク♥


海未(……なんでしょうか、この気持ちは……)


海未「ごめんなさい亜里沙。きつく言い過ぎたようです」すっ


なでなで


亜里沙(ひっ……!///)びくん♥


海未「どうか許してください」なでなで


亜里沙(~~~っ!///)びくびく♥



海未「……玉露は二煎出しをする流派が一般的です」


亜里沙「……?///」


海未「いま私がおいしい二煎出しをご覧に入れましょう」すっ――

-------------------------------------------------------

画像見えてるよ、よく作ったね
でも寓話ってどういう意味でしょ


――その頃 穂乃果(生えてる)


穂乃果(ちゅー、気持ちいぃ……っ♥)ちゅうちゅう♥


びくびく♥


真姫「好きよ、ほのぽっぽ、大好き」コシュコシュ♥ ぬるぬる♥


穂乃果「ひうっ♥」ゾクゾク


穂乃果「なんか、きちゃ……♥」ぞくぞくぞくっ♥


真姫「遠慮しないで、いっぱい出してね」ちゅっ♥


コシュコシュ♥


穂乃果「~~~~っ!♥」びくん!




ビューッ♥ ビュルルルルッ♥ ビュッ♥ 


穂乃果(あたま――まっしろに――な――)


真姫「すご……いっぱい……んちゅ///」ちゅう♥


穂乃果(あっ――キス、だめぇ――♥)




ビュルルルッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルルッッ♥


穂乃果(――――♥)がくがく♥


ドクドク♥ ドクッ…ドクッ…♥


真姫(わたしのパンツがぐちゃぐちゃ……///)ドキドキ


真姫(わたし、ほのぽっぽのことちゃんと気持ちよくできたのよね……?///)ドキドキ


穂乃果「あっ♥ ――――あっ♥」がくがく♥


真姫(ほのぽっぽの身体ががくがくしてる……はじめての体験だもんね)


穂乃果「きもち――いいよぉ――♥」がくがく♥




真姫(よかった……ほのぽっぽの気持ちよさそうな顔見てると胸があったかくなる♥)ぽかぽか


ちゅっ


真姫(わたしも、キスだけでなんでこんなに気持ちいいのかしら……///)ちゅっ、ちゅう♥

>>130
(寓話の話はガラスハート第一夜で……あれ、しましたっけ……?)
(比喩が多いというか、そんな感じです……詳しくはいつかどこかでまたできたらいいなと思います……)

(画像……でも花陽は、じゃなくて私は見れません……)


(no.5あたりから専用機材(※jane style)導入したのですが、いまいち使いこなせてません……)

(おすすめの専用機材とか、アップローダーみたいなのあったら是非教えて下さい……ごめんなさい……)

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――その頃 海未(生えてる)



亜里沙「ん~っ!♥ ん~っ!♥」もごもご♥


海未「――これが私の二煎出しですっ!」ドピュドピュドピュ♥


ドクドク♥


海未「全部こぼさず飲んでくださいね」ドクドク…♥


亜里沙「んっ! んっ♥ んんっ!♥」ごくごく♥




――ごくごくごきゅごきゅ♥



亜里沙(あまずっぱいラズベリーホワイトチョコ味……♥)ごきゅごきゅごきゅ♥


海未(亜里沙が小さいおくちで一生懸命飲んでくれてます……胸があたたまります)ホッコリ

※亜里沙のサイズ
http://i.imgur.com/jnuX1VR.jpg


――
――――

――亜里沙の部屋 ベッドの中


もぞもぞ



亜里沙(おっ、おとまりいいいいいっ!? 亜里沙のベッドでええええ!?!?///)ドキドキ♥

亜里沙(ななな、なんで、海未さん……っ!?///)ドキドキドキドキ♥



海未「――亜里沙、眠れませんか?」ぴとっ

亜里沙「ひぅ♥」びくん!

海未(……?)なでなで



亜里沙「ね、ねむれないですっ……///」ドキドキドキドキ♥


海未「そうですか。それは困りましたね」

海未(こんなに小さな身体なんですから……子供は早く寝ませんと)なでなで


海未「では私が寝かしつけましょう」もぞもぞ

亜里沙「……?」ドキドキドキドキ





海未(そういえば最近、ラブアローシュートの新技を作ってないですね……)


――ほのぽっぽ解説・海未の秘密その2――

うみみの得意技はごぞんじラブアローシュートだよっ!
心の想いを見えない矢のかたちに編み上げて、相手のハートを直接撃ちぬく超必殺技なんだっ!
でもまごころじゃなきゃ届かないみたい!


海未「亜里沙、この指の形、何に見えますか?」すっ

亜里沙「アルファベットの、L……?」ドキドキ


海未「ピストルです。これを、亜里沙の胸に当てます」スッ


ぷにっ♥


亜里沙「あんっ♥」ビクッ!

海未「あ、ごめんなさい……つい」


クリクリ♥


亜里沙「ひゃっ♥ やっ♥」ビクビク!


海未「……なんで先っぽ固くなってきてるんですか?」コリコリ

亜里沙「しらなっ♥ ですっ♥」ビクンビクン




――ほのぽっぽ解説・亜里沙の秘密その2――

亜里沙ちゃんはふたつのかわいいさくらんぼが弱点だよっ!
うみみは知らずのうちに相手の弱点を攻める特性があるんだっ!


海未「……かわいいパジャマですね……うさぎさん、好きなんですか?」ツンツン

亜里沙「え……/// はい……///」テレテレ





海未「さて――――では」スゥゥッ…

亜里沙(……?///)ドキドキ♥




海未(今日の亜里沙の……ちょっぴりいやらしい顔――――かわいかったです)ほわほわほわん…

海未(――小さい喉を鳴らして、私の出したものを一生懸命飲み干す亜里沙――――)



海未(――――私を喜ばせるために必死な亜里沙――――)

海未(――――――とても愛おしく感じます――――)



海未(その想いをすべて――――指先にこめて)キィィィィィ――ン




亜里沙(あっ……なんか先っぽ♥ がピリピリする……っ!)ピリピリ♥


海未(心で、引き金をひく――――っ!)







海未(――――ラブアローピストル!)バッキューン♥


亜里沙「~~~~っ!?」ビックン♥


亜里沙「――――」ビクン♥ ビクン♥



海未「……あれ? 亜里沙、もしかして絶頂してますか? あのー……」ペチペチ


亜里沙「」ビクン♥ ヒクヒクッ♥



海未「……意識がないのに、身体の痙攣が止まりません……どうしましょう……」


亜里沙「」ヒクヒク♥ ビクッ♥ ヒクヒク♥



海未(私のS級いやらしい気持ちを亜里沙のロリピュアハートに直接ぶちこんでしまったのでしょうか……)


亜里沙「」――プシャァアア♥



ジワジワ…♥



海未(あっ、亜里沙のかわいいパジャマのズボンに染みが……)



――アローマスターウミはレベルアップした! ラブアローピストルを覚えた!


――亜里沙は弱点が超弱点になった!

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――その頃 希


希(海未ちゃん、うちが教えた技、正しく使ってるかな……)





――ほのぽっぽ解説・希の秘密――

ぞーみんはうみみに技を教えた師匠なんだ! 原型はぞーみんのオリジナル技だよっ!
だけど、ほのかも似たような能力を無意識のうちに天然で使ってるって本当!?
気持ちが高ぶってくるとフルオートでフィールド展開までするかも!

その先はぜひきみの目でたしかめてっ!

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(あっ……no.8穂乃果ハートなエリチカボディはno.1の前の話だから矢印の順番おかしいかもしれないですね……)

(ちょっと並べてみただけで、暫定的な試作です……ガラスハート第一夜は花陽的にR-18を並べられなかったので……)

(いろいろどうもです……)
(ろだには問題ないみたいですしもうこれでいきます……使うのいつになるかわかりませんが……)
(もう少ししたら第一部・完まで書き終わるので、できたら投下します……)


――希の家


希(生えてない)「うーん……」

絵里(生えてる)「どうしたの? 悩み事?」


希「悩み事というか、ちょっと海未ちゃんのことでな」

絵里「もしかして、希が海未にかけられてたファッションホノキチ嫌疑のこと?」


希「ファッションホノキチ裁判はもう終わったよ。うちは無罪放免で、降格もペナルティも無し」

絵里「ほんと? おめでとう、よかったわ」

希「うん、まあ、ありがとう」


絵里「でも海未にしては寛大な感じがするわね。判決も早かったし」

希「『うちのホノキチ道は母性愛や』っていう主張が認められたんやろね。なんか逆に感心されてしまったわ」


絵里「え? 海未が感心してたの?」

希「なんか『ヒントを得られました!』とか言っとったよ……なんのことかわからんけど……」


絵里「それで放免が早かったのね」

希「あとは、ねこちが弁護についてくれたからな。ことりちゃんはただにこにこしとったから、実質2対1やったし」


絵里「……それで、生穂乃果を避けていた真姫は?」

希「私物愛好家……通称『見えないホノキチ』ということで一応のケリはついたみたい」


絵里「そう……透明になってしまったのね」

希「ことりちゃんにそそのかされたんかもなあ……真姫ちゃんの意味分かんなさは組織の不安要素やったから」


絵里「真姫の様子は?」

希「争いも喧嘩もせずみんなと仲良くホノキチやってるみたいやね」


絵里「それでもやっぱり、生穂乃果とは……」

希「直接の接触はしたくないってさ」


絵里「そう……」

希「まぶしすぎる光というのは、目を背けたくなるもんやからなあ」


絵里「真姫は降格、かしら」

希「いまんとこはA級ホノキチのままだけど、生穂乃果ちんに直接関わる任務は全部辞退するって言っとる」

絵里「義務を果たさなかったら、遅かれ早かれB級への降格は免れないわね」


希「そのためのツバサちゃん昇格なんやろ、きっと」

絵里「……」

希「真姫ちゃんはもともと武闘派じゃないし、ツバサちゃんのA級加入で護衛力としては向上したってわけ」



絵里「……明日ってさ」

希「ん? 今日が7月6日の木曜日やから……」

絵里「そうじゃなくて、穂乃果の夜のお供」

希「ああ、護衛か……結局ツバサちゃんの初任務になるみたいよ」

絵里「ふうん……」



希「まあ、うちも海未ちゃんのやり方には思うところがないわけでもないんよ」

絵里「決闘になっても大丈夫だったんじゃない? 海未は希の弟子なんでしょう?」

希「うちは海未ちゃんに進化のきっかけを与えただけで、もう純粋な戦闘力じゃ太刀打ちできんよ」



絵里「凛も、最近やばいわね……」

希「ねこちはショートレンジスタイルだから、距離とれば苦戦しないけどな」


絵里(私は5連敗中だけど……)


希「ねこちがやばいのは、性欲のほうやろ……」

絵里「今日も夜の任務に送り出す前に……二人がかりで何時間したのかしら」


希「発情期は大変やね。うち、腰がいたい……」

絵里「激しすぎよね、あれ。ちょっとひくわ。私もあごが痛い……」


希「ん、えりち大丈夫?」

絵里「私より希は?」


希「うちなら平気だけど、あれを穂乃果ちんにぶつけさせるわけにはいかないからなあ。ちゃんと発散できたんやろか」


絵里「希が平気っていうのもすごいわね。ああいう激しいのが好きなの?」

希「……」


希(いや、実はそういうわけじゃないんだけど……)

希(そもそもえりちの目の前であんな動物みたいなことさせられるのは、ちょっと……///)



希「……ねこち送り出すの、遅くなっちゃったね」

絵里「亜里沙はもう寝てるかもね。晩御飯、どうする?」


希「……ごめん、うち、ちょっと立てない……」プルプル

絵里「頑張ってたもんね。いいのよ、希は寝てて」すっ


なでなで


希(え……っ?///)びく

絵里「私が何か作ってあげるから」なでなで


すくっ


絵里「キッチン借りるわね」~♪


すたすた


希(なんか優しいな……嬉しいような、やめてほしいような)ドキドキ


絵里「~♪ ~♪」かちゃかちゃ


希(疲れて油断してるとこに不意打ちをくらってしまった……///)ドキドキ


――その頃 HOTEL輝夜の城


穂乃果(生えてない)「んっ♥ んっ♥」


凛(生えてる)「ふぅ……ふぅ……」パチュン、パチュン


穂乃果(やっぱり後ろからだけど、なんか今日はやさしい……///)

凛(さすがに25回目は勢いなくなってきたにゃー)はぁはぁ


パチュン、パチュン

ぴゅっ♥ ぴゅっ……♥


凛(もうでない……おかしいな、凛はいま発情期のはずなのに……)

凛(ぞーみんの中と、かしこい先輩のおくちに出しすぎた……)

凛(かしこい先輩がなかなか凛のを飲もうとしないからムキになっちゃったにゃ)ふらっ


ぼふっ!


穂乃果「凛ちゃん、おつかれ」なでなで♥

凛「ごめんだにゃ……」ハー、ハー

穂乃果「穂乃果は気持よかったよ」なでなで♥

凛「ん……///」すりすり

-------------------------------------------------------

――別の並行世界 真姫の部屋



穂乃果(生えてる)「んっ♥ んっ♥」


真姫(生えてない)「フゥ……♥ フゥ……♥」コシュ、コシュ


ぴゅっ♥ ぴゅっ♥ びゅううううっ♥


真姫(ほのぽっぽ、まだ出るのね……精通したてって、発情期みたい……///)にぎにぎ♥


穂乃果「あっ♥ きのきー♥ あっ……♥」がくがく


真姫「一日5回じゃ足りないくらいね///」ちゅっ♥


穂乃果「んっ♥」ちゅっ


真姫「ほのぽっぽ……自分で処理できるようにならないと、わたしがいないとき大変よ?」


穂乃果「きのきー、ずっとそばにいてよぉ」はぁはぁ♥


真姫「ほのぽっぽがそれを望むなら、もちろん」ちゅっ♥

-------------------------------------------------------


――その頃 希の部屋


希(生えてない)「……」もくもく

絵里(生えてる)「おいしい?」にこにこ


希(おいしい……///)もくもく

希(胸の中にあたたかい気持ちがじわじわ溢れてくる……///)じわじわ


絵里「ん?」にこにこ


希「……悪くない、かも///」もくもく


絵里「そう、よかった」にこにこ


希(悪くない……よね? たまには、少しくらい、こういうのも)もくもく

希(ちょっとくらい……えりちの手料理を食べるくらい、バチ当たったりしないはず)はぐはぐ


希(ねこちのおかげで腰痛いけど……)もくもく

希(頑張ってよかったなあ、って気持ちになる……)じわじわ







希(……でも、なんやろ、その影で……)

希(どこか、うちの心が曇っていくような……)


――――

――次の日の夜

――――

――ホテル エレベーター内


ツバサ(穂乃果を思い、ひたすら想い続けてきたこの日々……)

ツバサ(B級ホノキチと罵られ、バカにされ、近づくことさえ許されず……)

ツバサ(それでも穂乃果のことだけを想って、穂乃果に恥じない人物であろうと努力を重ねてきた)

ツバサ(何度悔し涙に枕を濡らしたことだろうか……)

ツバサ(……それでも涙の数だけ強くなり、その度に立ち上がってきた)


ツバサ(穂乃果の模範となるべく、アライズとして輝くこと……そして穂乃果のことを第一に考えること……)

ツバサ(それが私の、正しくあろうとする心の姿)

ツバサ(……そうした努力の末、ついに夜の護衛の任をまかされるまでになった)


ツバサ(奇しくも今夜は七夕……穂乃果を直接守りたいという私の願いが、星空にまで届いたのだろうか)

ツバサ(わが上なる輝ける星空と、わが内なる道徳律、か……)


――ぽーん♪


――ホテル(ロイヤルスイート) 


コンコン


穂乃果(生えてない)「ん?」


――ガチャ


ツバサ「今夜の護衛の任に参りました。綺羅ツバサです」

ツバサ「不肖、この私が命に代えてでも今夜はあなたをお守りします」



穂乃果「え? え?」オドオド

穂乃果「とりあえず、顔上げて、ね?」


ツバサ「はい」



穂乃果「あと、普通にしゃべって……?」オドオド


ツバサ「すみません、緊張してしまって」


穂乃果「ほら、口調」


ツバサ「……う、うん」


――ベッドの上(穂乃果) 扉の前(ツバサ)


穂乃果「……あれ? ツバサちゃん寝ないの?」

ツバサ「護衛の任務ですので、警戒中です……だよ」


穂乃果「え?」

ツバサ「え?」


穂乃果「……ツバサちゃん、なにしにきたの?」

ツバサ「……ですから、護衛です……だよ」


穂乃果「このなんか凄い部屋は?」

ツバサ「だって穂乃果が一晩過ごす場所だから……」


穂乃果「どれくらいするの、ここ」

ツバサ「ぐ、偶然たまたま節約しててお金があったから……」




ツバサ(ここ最近一番安いファミレスに通ってたら小泉花陽さんとすっかり仲良くなってしまったわ……)


穂乃果「ふうん……///」ソワソワ


穂乃果「そっか……///」モジモジ


ツバサ「どうしたの?」


穂乃果(……///)ソワソワ

穂乃果(なんか期待しちゃってた自分が恥ずかしい……///)ぼふっ

穂乃果(うー……///)もぞもぞ


ツバサ「?」




穂乃果「……ツバサちゃんはさ///」

ツバサ「ん?」

穂乃果「穂乃果を守りたいから、扉の前にいるんだよね?」

ツバサ「そうね」



穂乃果「そんな遠くに居られたら……」

穂乃果「……穂乃果、不安だなあ///」モゾモゾ


ツバサ「え……」

穂乃果(生えてない)「もっと近くで守って。一番、近い場所で……///」モゾモゾ

-------------------------------------------------------

――その頃 真姫の部屋 ベッドの中



穂乃果(生えてる)「きのきー、おやすみ♥」ちゅっ

真姫「ほのぽっぽ、おやすみ♥」ちゅっ



もぞもぞ 



穂乃果「だいすきだよ、きのきー」ぎゅうっ


真姫「わたしもよ、ほのぽっぽ」ぎゅうっ


穂乃果「ん……♥」すりすり


真姫「もう、その……アレ、大丈夫?」すりすり


穂乃果「うん、なんとか……///」テレテレ


真姫「大変ね……」


穂乃果「きのきーがいるから、平気だけど……」


真姫「――今夜は七夕だけど、ほのぽっぽはお星様に何をお願いするの?」


穂乃果「それは……ふぁぁ」うつらうつら


穂乃果「生えちゃったものが、なくなりますように、って……」うつらうつら


真姫「そう」ふぁぁ…


穂乃果「きのきー……おやすみぃ……」くー、くー


真姫「ん……おやすみぃ……」すー、すー



~~~~~

~~~~~~~~~~~
-------------------------------------------------------


――ロイヤルスイート ベッドの上


穂乃果(生えてない)「んー♥」すりすり♥


ツバサ(~~~~~~っ!?///)びくびく!




穂乃果「ね、ツバサちゃん、お願いがあるの……おみみかして?」


ツバサ「え……?」もぞもぞ


穂乃果「(あのね……)」ぼそっ…





穂乃果「(…………て)」ぼそぼそっ♥


ツバサ「っ!?///」


がばっ!


ツバサ「む、無理よっ! そんなこと出来ないわっ!」

穂乃果「なんで?」

ツバサ「そういうことはもっとよくお互いを知り合ってから――」



穂乃果「知らない仲じゃないのに?」

ツバサ「まだ数回しか直接会ったことないじゃない……と、とにかくまだ駄目よ……」

穂乃果「ふうん……///」モゾモゾ



ツバサ「……ねぇ穂乃果」

穂乃果「ん?」

ツバサ「もっと自分を大事にしてくれたら……私うれしいわ」

穂乃果「変なこと言うね。誰もそんなこと、気にしてないのに」くすっ

ツバサ「そうみたいね。わたしだけひとり、周りからズレてるみたい」

穂乃果「そうだよ。そんなこと言うの、ツバサちゃんだけ」





ツバサ「――――それでもひとり、自分の想いにまっすぐ生きようとすることは滑稽かしら」

穂乃果「どうかな? よくわかんないや」くすくす


ツバサ「それとね……」

穂乃果「ん?」











ツバサ「私、生えてないわよ?」



穂乃果「えっ!?」



――――――

――――――――――


穂乃果「……なんかね、こういう静かな夜、ひさしぶり……」すりすり


ツバサ「そ、そう……///」ドキドキ


穂乃果「穂乃果ね、べつにこういう穏やかな夜も嫌いじゃないよ?」すりすり


ツバサ(私の心臓は全然穏やかじゃないけれど……///)ドキドキドキドキ♥


穂乃果「ただね、たまにちょっと我慢できなくなっちゃうだけ」


ツバサ「う、うん……///」ドキドキ


穂乃果「……嫌いになった?」


ツバサ「まさか。こうやって、お互いの理解を深めていくのよ」


穂乃果「ん……///」もぞもぞ






ツバサ「安心して穂乃果。例えどんなあなたでも――――」

ツバサ「――――私はいつでもあなたの味方よ。約束するわ」






穂乃果「そっか、安心した……」



穂乃果「眠くなってきちゃった……」ふぁ…

ツバサ「おやすみなさい、穂乃果」


穂乃果「今夜、七夕だね……」うつらうつら

ツバサ「そうね」


穂乃果「ツバサちゃんは、どんなお願いごとをしたの……?」

ツバサ「いろいろ、たくさんよ……でももう、叶っちゃったかもね」



穂乃果「穂乃果はね……」うつらうつら

ツバサ「うん……」

穂乃果「ちゃんと我慢できる子に……なりたい……かな」すぅ


くー、くー



~~~~~

~~~~~~~~~~~

-------------------------------------------------------


――――

――――――――


――7/8(土)朝 真姫の部屋



真姫「ほのぽっぽ、おはよぉ」もぞもぞ


穂乃果「くー、くー……」


真姫「ほのぽっぽは我慢しちゃうから、寝てる間に朝のをやってあげましょう」モゾモゾ


ごそごそ……


真姫「……あれ? テントさんが立ってない――?」


ゆさゆさ!


真姫「ほのぽっぽ起きて!」


穂乃果「むにゃ……? んむ……」むくっ


真姫「ほのぽっぽに生えてたものが、なくなったの!」


真姫「おめでとうほのぽっぽ! ハッピーエンドね――――!」ぎゅっ!

















穂乃果「――――ま、真姫ちゃん!? 直接会うの、久しぶりだね……?」オドオド


真姫(…っ!?)

-------------------------------------------------------


――別の並行世界



――7/8(土)朝 ロイヤルスイート



穂乃果「ん…zzz…んー…zzz…」スリスリ


ツバサ(な、なんか硬いものが当たってる……!?///)


ばさっ!








ビンビン!


穂乃果「……きのきー……」ムニャムニャ


ビンビン♥



ツバサ「――っ!?」


穂乃果「おはよぉ……」むくっ


ツバサ「……っ」びくっ



穂乃果「あれ……? ここどこ……?」キョロキョロ



ツバサ(…………)

ツバサ「……ここはホテルの最上階よ」



穂乃果「ツ、ツバサちゃんっ!? どうして…………あれ――――」キョロキョロ





穂乃果「――――きのきーは……?」ジワッ





ツバサ(「きのきー」……? 人名……あだ名……?)

ツバサ(――――考えなさい、綺羅ツバサ……)

ツバサ(だって、穂乃果が――――困ってる)



穂乃果「どこ……?」うるうる



ツバサ(朝、起きて……いるはずの人物……一緒に寝て……)

ツバサ(穂乃果に近しい人物……姉妹……家族……チームメイト……)

ツバサ(「きの」、ま「き」……そうか――――西木野真姫――――っ!)


ツバサ「――残念ながらここに西木野真姫はいないわ」


穂乃果「え……?」ぐすぐす


ツバサ「ひとついいかしら。あなたに生えているそれは、何?」


穂乃果「これ……?」ぐすぐす

穂乃果「これは、前から生えてたよ……」ぐすぐす



ツバサ(前から……? 私の記憶と違う……不連続性…………そうか、おそらく――――)



穂乃果「そんなこと、どうでもいいの……」ぽろぽろ

穂乃果「どうして、きのきー…グスッ…なんで……」ぽろぽろ


穂乃果「うわああああああああああああああん!」ぽろぽろ

ツバサ「……っ!」




ツバサ「――――しっかりしなさい穂乃果っ!」スッ――




――ぱしんっ!


穂乃果「え……?」ヒリヒリ





ツバサ「泣くのはまだ早いわ……」


ツバサ「……私と一緒に、西木野真姫を探しに行きましょう。大事な人なんでしょう?」



すっ……



穂乃果「……? ……?」


穂乃果「ツバサちゃんは、いったい……」





ツバサ「安心して穂乃果。例えどんなあなたでも――――」

ツバサ「――――私はいつでもあなたの味方よ。約束するわ」にこっ





――風の谷の穂乃果・完――


(続く……? 未定です……)


第二部 "ホノキチ狩り《プライベートウォーズ》" 編


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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


絵里『わたしの手料理、おいしい?』

希『うん』はぐはぐ

絵里『そう、よかった』

希『しあわせだよ』はぐはぐ



絵里『おなかいっぱいになった?』なでなで

希『うん///』

絵里『食欲がいっぱいになったらね……』ぬぎぬぎ

希『うん?』

絵里『次はちかちゃんのストロガノフで希のおなかをいっぱいにしてあげる』ぬぎぬぎ

希『っ!?///』


希『まままま待ってえりち!?///』あせあせ

希『うちらそういうんじゃないやろ!?///』

希『ホノキチ同士いままで仲良くやってきたやん?///』


絵里『ホノキチ同士、ね……』ぬぎぬぎ


希『だから服を……///』かぁああっ









絵里『よく海未を騙せたものね』

希『えっ……』びくっ


絵里『本当は私のことが好きで好きで仕方ないくせに』くすくす

希『なっ……』

絵里『ばればれよ。気づかれてないと思った?』くすくす

希『うそ……』がたがた



絵里『いいじゃない。私としましょうよ』

希『いやよ……』

絵里『凛とはしてるのに?』

希『あれは、ねこちが苦しんでるから、発散のお手伝いをしてるだけで……』

絵里『じゃあ私も、希の発散のお手伝い』

希『ちがう……それは、いやなの……』じわっ



絵里『凛よりも、本当に苦しんでるのは、あなた』

希『ちがう……うちの想いは、発散なんてさせたくない……』ぽろぽろ



希『ねこちにとって大事なのは……穂乃果ちゃんへの想い』

希『でも穂乃果ちゃんに会える回数は制限されてるから、発情期の間だけ……』

希『うちが発散のお手伝いを……してるだけ』


絵里『凛のお手伝いならわたしもよ。先輩として。おくちだけだけど、執拗に飲まされる感じ』



希『でも、うちにとって大事な想いは……』ぽろぽろ

希『……』ぐすぐす



希『……うちはね、発散みたいなのこと、本当は好きじゃないの』

希『えりちだって、ねこちにしてあげる以上のこと、穂乃果ちゃん以外に決してしないやん』

希『き、キスだって……穂乃果ちゃん以外と、絶対しないやん』ぽろぽろ

絵里『……』



絵里『やぁね、それはただの、照れ隠しよ』

希『え?』

絵里『あなたの想いを、ちゃんと受け止めてあげる』ぎゅっ……


ちゅっ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


――7/8(土)朝 希の部屋(ホノキチランカー世界線)


希「ん……」パチ

希「……///」カァアアッ


希(うち、なんて夢を……///)

希「……///」モゾモゾ


…ヌルッ


希(うわ……下着がぐしょぐしょ……)


希「……はぁ」ムクッ


――――――――――


希(最初に心に曇りを感じた、あの時から……)スッ

希(もやもやは大きくなる一方……)スッスッ


希(こんな時でも、カードはうちを正しく導いてくれるんやろか?)スッ――

希(展開はスリースプレッド……占うのはうちの恋心……)ペラッ

希(過去、現在、未来……)ペラッ、ペラッ


希「最初が死神(逆位置)……」

希「次が塔(逆位置)……」

希「最後が悪魔……か」


希「ん――」ドキドキ



――ガチャ!


凛「ぞーみんおはにゃんにゃん! あれ? また占い?」

希「おはよ」

凛「うわ、悪そうなカード」

希「いや、いいカードよ?」

希「これとこれは、可能性が見えて、解放される……みたいな」

凛「最後の悪魔は?」

希「うちがダークサイドに堕ちたりして。なんちゃって」クスクス


――ホテル最上階(ロイヤルスイートルーム)


ツバサ「――準備をして出かけましょう。西木野真姫を探しに」


穂乃果「本、忘れてってるよ」

ツバサ「それは……」

ツバサ(昨夜のエレベーターの中で最後の一節を読み終えた本……)


ツバサ「……私にはもう、必要ないみたい」

穂乃果「じゃあ穂乃果が借りていい?」

ツバサ「え? ちょっと規則書を確認するから待ってね……」スッ


パラパラ……


ツバサ(『ホノキチの心得』物品贈与の項、A級の場合……)

ツバサ「OKみたい……いいわよ」



穂乃果「ありがとう!」

穂乃果「んー」

穂乃果「難しくて何書いてあるかわかんないや。日本語?」


ツバサ「そうだけど……」


ツバサ「これ、あなたの着替えよ」

穂乃果「用意されてるんだ……」

ツバサ「本当は着替えを手伝うの」

穂乃果「ひとりでできるよ?」

ツバサ「そうよね」クスクス



穂乃果「あれ……でも、何故かボタンがとめにくいや……逆?」ゴソゴソ

ツバサ「普通の女物よ?」

穂乃果「よし、と。あとほのまげ結って完成だね!」シュルッ


ツバサ「……」

穂乃果「なあに?」ゴソゴソ

ツバサ「……髪まとめるの、そっちなのね」

穂乃果「穂乃果はいつもこうだよ? 変かな?」

ツバサ「いいえ。きっとあなたにはそれが一番似合ってるはずだわ」

穂乃果「そうだよね!」シュルッ

ツバサ「これ、あなたのケータイよ」

穂乃果「ん」ゴソゴソ


ツバサ(やっぱりどんな穂乃果も……)


穂乃果「~♪ ~♪」ピョンピョン


ツバサ(……かわいいなあ///)ドキドキ


――道路



穂乃果「……」キョロキョロ

ツバサ「穂乃果。お願いだから道路でうろうろしないで」

穂乃果「んー」スタスタ

ツバサ「私のこっち側を歩いて」

穂乃果「え? うん」


穂乃果(歩道側にまわしてくれたのかな?)

ツバサ「その、心配だから、て、てを……」

穂乃果「あ、手をつなごっか」


キュッ


ツバサ「っ……///」ピク


穂乃果「ん?」ギュ

ツバサ「あのね、これにはね、ちゃんと理由があって……///」ドキドキ

穂乃果「ツバサちゃん、顔赤いよ?」

ツバサ「決してやましい気持ちではなくてね……///」ドキドキ

穂乃果「ツバサちゃん、かわいい」


ツバサ「なっ!?///」


穂乃果「ツバサちゃんはね、カッコイイってイメージだったの」

ツバサ「そう……///」ドキドキ

穂乃果「穂乃果がスクールアイドルを始めたのはね、A-RISEを知ったからなんだ」


ツバサ「それは……」

ツバサ(知ってる……)


穂乃果「初めて観たモニター上のツバサちゃん」

穂乃果「衣装もダンスもキラキラしてて……」

穂乃果「それ以来ずっと、ツバサちゃんは穂乃果の憧れなの」


ツバサ「……」

ツバサ「私は今でも、あなたの憧れに足りる存在かしら……?」


穂乃果「もちろんだよっ!」

穂乃果「本物のツバサちゃんはね、モニターで観るよりずっと、キラキラしてるんだ!」

穂乃果「衣装を着てなくても、ダンスをしてなくても、宝石みたいにずっときらきら」


穂乃果「きっとツバサちゃんの心はね――――ダイヤモンドなんだよ!」


穂乃果「穂乃果の中で、輝きを失ったりしないんだ!」


ツバサ「そう――――」


ツバサ(――――よかった)ジワッ


――西木野邸


ツバサ「押すわよ」


ピンポーン……



真姫『……はい』

穂乃果「きのきー!」


真姫『っ……』

真姫『……穂乃果?』


穂乃果「穂乃果だよ! きのきー!」


真姫『なんでそれを……』

穂乃果「えっ……?」


ツバサ「……」


真姫『とにかく、その名で呼ばないで』

穂乃果「門を開けて! 会って話がしたいの!」


真姫『それはできないわ』

穂乃果「な、なんでっ!?」


真姫『――ごめんなさい、生穂乃果はちょっと……』


ブツッ……


穂乃果「切れちゃった……」



ツバサ(……噂通り、本当に姿を見せないのね)

ツバサ("見えないホノキチ《invisible enthusiast》"、か)


ツバサ(西木野真姫の声の背後に南嬢の気配がしたのは気のせいかしら……?)

ツバサ(S級第二位、南ことり……その声色には魂を引き込む力が宿ると言われている)

ツバサ(人の無意識に……夢に忍び込むような声色だとも聞く)

ツバサ(西木野真姫の現状となにか関係があるのか……?)



穂乃果「きのきー……」ジワッ

穂乃果「なんで……」ウルウル


ツバサ(あっ……)


穂乃果「うわあああああああん!」ポロポロ



ツバサ「穂乃果……」



ツバサ(……もう、ほっぺを叩くことは私にはできなかった)

ツバサ(せめて、抱きしめてあげることしか……)


ぎゅっ


穂乃果「わぁあああああああん!」ボロボロ


ツバサ(なんて私は無力なんだろうか)

ツバサ(強くなれただなんて、思いあがりだった)

ツバサ(愛しい人の涙も止められない無力な両手なら、いっそ切り落としてしまいたい)


穂乃果「うああああああああん!」ギュ


ツバサ(でも、この弱い両手がなければ……)

ツバサ(穂乃果の涙を受け止めてあげられない)

ツバサ(今の私にはそれしかできないけど)ジワッ

ツバサ(許して、穂乃果)つーっ……


――ぽた、ぽた


――ブーッ、ブーッ


穂乃果「穂乃果のケータイが鳴ってる……」グスグス


穂乃果「あれ? 読めない……」


ツバサ「……貸してみて」


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from:園田海未

12:00に園田道場まで送ってもらってください。
なんと言われようともですよ。いいですね?

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ツバサ(その指令は知ってる……私が受けたものと同じだ)

ツバサ(何故それを穂乃果に直接、いまさら念を押す必要がある……?)

ツバサ(私はまだ信用されていないのか……?)



ツバサ(命令は絶対、規則は絶対、規則、規則、規則……か)



ツバサ「園田道場に向かいましょう、穂乃果」

穂乃果「うん……」グスグス



ツバサ(西木野邸から離れる時、穂乃果はずっと名残惜しそうに何度も振り向いた)

ツバサ(私も一度だけ振り向いたら、二階の窓のカーテンがわずかに動いた気がした)


――園田道場前


穂乃果「きのきー……」グスグス


ツバサ(引き渡しの場所、か)


ツバサ「穂乃果、私とはここでお別れよ」

穂乃果「なんで……? いやだよ」グスグス


ツバサ「ごめんなさい、そういう規則……」

ツバサ「……」

ツバサ「……いいえ。お友達が心配するでしょう?」



穂乃果「ひとりにしないで……」グスグス

ツバサ「大丈夫よ。ここには園田さんがいるもの」


穂乃果「違うんだよ……」グスグス

ツバサ「え?」


穂乃果「朝起きたら違う場所にいて……」

穂乃果「きのきーが別人で……」

穂乃果「ことりちゃんもおかしくて……」


ツバサ「南ことり?」ピク


穂乃果「さっき家の中にいたのに、出てきてくれなかった」

穂乃果「隠れてたけど、窓から覗かれてるのわかったもん……」グスグス


ツバサ「……」


穂乃果「みんなおかしいよ……」ポロポロ

穂乃果「みんなも、道路も、世界もぜんぶ……」ポロポロ


ツバサ「……」


ツバサ「ねぇ穂乃果、私はここでお別れだけど、最後に訊いていいかしら」

穂乃果「なぁに……?」ポロポロ


ツバサ「このおかしな世界にきて、西木野真姫へのあなたの想いは変わった?」

穂乃果「……」


穂乃果「……変わらないよ。きのきーが好き」


ツバサ「そうみたいね。もう一度だけ訊かせて。もし仮に、人間がひとり、周りからズレてるとして」



ツバサ「――――それでもひとり、自分の想いにまっすぐ生きようとすることは滑稽かしら」








穂乃果「……そんなこと、ないよ」ゴシゴシ

ツバサ「ありがとう。いい顔だわ。私も、勇気が出た」


穂乃果「別れる前に連絡先交換しよ?」

ツバサ「えっと……ちょっと待ってね……」スッ


パラパラ…


ツバサ(『ホノキチの心得』、連絡交換の項……)パラパラ

穂乃果「どうしたの? はやく交換しようよ」

ツバサ「っ!」



ツバサ「……」パタン



――びりびりびりっ!



ツバサ「そうね。交換しましょう」スッ

穂乃果「あっ、でも操作できない……」

ツバサ「貸して。私がやるわ」


ツバサ「私、今夜は近くの橋の下にいると思うから。なにかあったら橋まで来て」

穂乃果「橋……? わかった」

ツバサ「あとこれ、よかったら園田さんに返しておいてもらえないかしら」スッ…


穂乃果「びりびりだけど……これを返せばいいの?」

ツバサ「私にはもう、必要ないから」クルッ


スタスタ


穂乃果「ツバサちゃん! 本当にありがとう!」フリフリ

ツバサ「またね!」フリフリ


――園田道場


海未「お疲れ様でした、穂乃果」

海未「かわりありませんか?」


穂乃果「……?」オドオド


海未「おや、ほのまげを変えたんですね」

海未「私は前のほうが好きですが……」

海未「そうだ、今夜はどんな場所にしましょうか?」


穂乃果「今夜……?」


海未「おとといの続きをしましょう」フフ


穂乃果「おととい? なんのこと?」オドオド


海未「――覚えていないのですか!?」


穂乃果「う、うん……」ビクッ


海未(そんなっ……記憶喪失!?)

海未(誰がいったい、何のために――)


海未「――綺羅ツバサになにかされませんでしたかっ!?」


穂乃果「なにか、って?」


海未「痛いことなど、なんでも――」


穂乃果「ほっぺた叩かれたけど、それは穂乃果が……」














海未「――たたかれた?」ピクッ


穂乃果「ひっ」ガタガタ


海未(まさか――――綺羅ツバサは……!!)


穂乃果「そういえば、これ、ツバサちゃんがもう必要ないって……」スッ



ボロボロ




海未(これは、私の……ルールブック――――!!)




――バキッ!



穂乃果「ひっ」ガタガタ



海未「これで確信しました……」

海未「諸悪の根源は綺羅ツバサ――――害を為した者!」


海未「生かしてはおけません!!」


――希の部屋


ブーッ、ブーッ

凛「ん?」


ブーッ、ブーッ

希「なんやろ……」pi


-------------------------------------------------------

from:園田海未@S級最上位

subject:ランカー(A級以上)緊急指令【重要度・最高】


綺羅ツバサを破門とする

この逆賊をただちに捕らえて始末せよ

-------------------------------------------------------


凛「うわぁ、激おこだにゃー」

希「ふうん……」ポチポチ


希「ちょっと出かけてくるわ」スクッ

凛「え? もう行くの?」

希「いや、戦闘用のお札でも調達にと……あれ時間がかかるからなあ」


凛「んー?」

凛「……激おこ園田が一蹴しておしまいじゃないの? なんでぞーみんがうごくの?」


希「理由はふたつ、かな」

希「うちはいま、立場的に恩を売っといたほうがいい気がするし……」


凛「でも時間がかかるんだったら準備なんてしてる間に終わっちゃうにゃー」


希「……ツバサちゃんは、強いよ」


凛「うちの武力ツートップは園田・南なんだから」

凛「あのふたりがやられるようなことがあったらぞーみんも勝てっこないにゃ」


希「……」


凛「……なんてね」

凛「"純粋な戦闘力では"あのふたりがツートップだけど」


凛「凛知ってるよ。ぞーみんは誰にも負けたことないって」

凛「総合的な戦闘技術でぞーみんが負けることなんて絶対ないにゃ」


希「……それは買いかぶりすぎよ」


凛「だいたい凛だって師匠くらいちゃんと選んでるにゃ」

凛「本当にS級が二強ならそのどっちかに弟子入りしてるよ」

凛「どうせなら一番強い人に教わりたいからね」


希「そうやったんや……」


凛「それで、ぞーみん師匠の予想だとあのふたりは負ける?」

希「……まあ、ふたつめの理由はそこやね」

凛「綺羅ツバサ、そんなに強い?」


希「あのふたりのほうが強いことは強いだろうけど」

希「……なんといってもツバサちゃんは正義の味方だからなあ」

希「勝ってしまってもおかしくないなあ」


凛「……ぞーみんは?」

希「負けるつもりなら戦わない」

凛「じゃあ勝つんだ」

希「もち」


――西木野邸


ブーッ、ブーッ


ことり「あ、全員連絡みたい」ポチポチ

真姫(私には来てないけど……)

ことり「ふぅん……」


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from:園田海未@S級最上位

subject:ランカー(A級以上)緊急指令【重要度・最高】


綺羅ツバサを破門とする

この逆賊をただちに捕らえて始末せよ

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ことり「おやつの時間だ」


to be continued……?

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Aパート おわり

とりあえずここまでだにゃー

設定削るのに時間かかってるにゃ
バトル始まっちゃったら、これ「血塗られた無人島での大戦編」(未編集)の後の話なんだにゃ

パラレルだけど、終わってないシリーズの最終回よりも設定は後ろというか
あっちで初出やりたいところとか……もうどうしたらいいかわからないにゃ


――――――――――

――――――――――


――アウトドア用品店


ツバサ(サバイバルシート、ライター、プラティパス……)


ピッ、ピッ


ツバサ(ヘッデン、寝袋、耳栓、アイマスク……)ゴソゴソ


ピッ、ピッ


ツバサ(こんなものかしらね)スッ


オツリデゴザイマース


ツバサ「ありがとう」ゴソゴソ



ツバサ(もし園田嬢が厳戒態勢を発令したとすれば……)

ツバサ(ホテルなんかに泊まったらhonokichiネットワークに一発で割れてしまう)

ツバサ(当然、もう寮にも家にも帰る訳にはいかない)

ツバサ(自分以外の人間は全員敵という心構えを持たなければ生き残れない……)


チラッ


ツバサ(キャンプ用ハンゴウ、か……)

ツバサ(必要ないわよね?)コトッ


花陽「あ、それなかなか良い飯盒ですよ」

花陽「お米がおいしく炊けます」



ツバサ(小泉花陽――っ!?)ビクッ

ツバサ(まずい、彼女とは何度もプライベートで会っているから)

ツバサ(いまの変装は既に――――)



花陽「――――あれ? もしかして、つば……」



ツバサ(逃げるしか無いわっ!)ダッ!


ダダダッ!



花陽「あっ! 待っ――――」


――橋の下


ツバサ「はーっ、はーっ」ゼェゼェ


ツバサ「なんで外を出歩くとよくあの子に会うのかしら……」


ゴソゴソ


ツバサ「テント張るわけにはいかないし、こんなもんよね」


ツバサ(さて、と)パンパン


ツバサ(開戦する前に……最期にもう一度、西木野真姫の意思を確認しましょう)


ツバサ(もちろん私は、戦いたくなんて無い……)


ツバサ(でも園田嬢の性格からいって、"護衛に失敗した"私を許しはしないだろう)


ツバサ(罰ならいくらでも受ける覚悟はある……でも今はそんなことよりあの穂乃果を助けなければ)


ツバサ(向こうがその気なら、戦わなければ生き残れない……私が生存競争に勝ち残らなければ……)


ツバサ(穂乃果…………)


ツバサ(果たして対話が可能なのかはわからないけど)


ツバサ(私ひとりなら、あるいは……)


――――


――――――――――


――西木野邸 正門


ツバサ「……」ゴソゴソ


ツバサ「……」ズボッ、ズボッ



ツバサ「よっ……」ヨジヨジ

ツバサ「……っと」スタッ




ことり「――――不法侵入罪」




ツバサ「っ!」ビクッ


ことり「飛んで火に入る夏の虫」


ツバサ(S級第二位、南ことり――――っ!)ゾクッ


ことり「そして虫さんはことりの――――」



ことり「……一応聞くね」

ことり「穂乃果ちゃんを傷つけたのは、あなた?」


ツバサ「……」ジリッ


ことり「質問に答えて」


ツバサ「……」スッ


ことり「聞いてるの?」

ことり「答えないなら――――」




ことり(――――"破滅の声色"『脳髄溶解』っ!)



ことり『――――トケチャエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!』



ツバサ「……」スタスタ



ことり(き、効かないっ!?)


ことり(なら……っ! "奥の手"……っ!)


ことり(――――"絶対遵守の声色"『命令と懇願のあいだ』)


すぅぅぅっ!


ことり『"止まって"!』


ことり『――――これはことりの "おねがぁい" っ!』



ツバサ「……」スタスタ


ことり「な、なんでっ!?」


ツバサ「……はっ!」ビシッ



ことり「 」バタッ







ツバサ「ふぅ……」ズボッ、ズボッ


ツバサ(耳栓、買っておいてよかったわ)


ことり「 」


ツバサ「ただの手刀よ。気絶したみたいね」

ツバサ(これがS級第二位……? いやにあっけないわね)

ツバサ(まあいいわ、早く用事を済ませましょう)スタスタ



スタスタ










ことり「 」


ことり「 」


――ずぶずぶ


ことり「 」


――ずぶずぶずぶ


「 」


――ばさっ!


『 』


――ばさばさっ


ゴンゴンゴンッ!


真姫「ことり?」ガチャッ


ツバサ「こんにちは」


真姫「綺羅ツバサ――っ!」スチャッ


ツバサ「はっ!」ガシッ


バタン!


真姫「くっ……!」グググッ


ツバサ「動かないで」グイッ!


真姫「……」


ツバサ「弱いのね……A級第四位、西木野真姫」


真姫「今は六位よ、興味ないけど。何の用?」


ツバサ「西木野真姫の意思を確認しにきたの」


真姫「あなたを見かけたら、捕まえるように命令されてるわ」


ツバサ「私が訊きたいのは命令じゃなくて――あなたの意思」



真姫「私の意思……」

真姫「……」



真姫「ごめんなさい、私の意思はもう"ここ"にはないの」

真姫「今の私はただの――抜け殻よ」



ツバサ「抜け殻……?」



真姫「ことりは?」

ツバサ「そこに倒れて……」チラッ



ツバサ「……あれ? いない――――?」


――――――――――

――街


ツバサ(抜け殻……どういう意味かしら……)スタスタ


ツバサ(変装しているとはいえ、街を歩くのは緊張するわね)スタスタ



花陽「あ」バッタリ

ツバサ「あ」バッタリ



ツバサ「っ!」ダッ!


花陽「待って!」ダダダッ!


ツバサ「あなたには悪いけど、いま捕まるわけには――――」ダダダッ!




花陽「――――つばきゅん!!」


ツバサ「っ……」ピタッ


花陽「花陽はつばきゅんの味方だよ……」

花陽「また、ファミレス行こうよ……一番安い、あの店に」


ツバサ(……)


ツバサ「A級第六位、小泉花陽」

花陽「今は五位だけど、そんな呼び方しないでください……」


ツバサ「わかったよ」



ツバサ「なよなよ」


――ファミレス


ツバサ「――と、いうわけなんだけど」

花陽「なるほど……」


ツバサ「なよなよ、信じてくれるの?」

花陽「まあ、無理でしょうね……信じるとしたら」


花陽「……花陽と希ちゃんくらいなものです」


ツバサ「A級第二位、東條希」

花陽「希ちゃんはスピリチュアル担当ですから……」

花陽「話せばわかってくれると思いますよ」



ツバサ「そうか、彼女に相談すれば――――!」

花陽「つばきゅんと利害が一致するかはわかりませんけどね……」


ツバサ「どういう人なの? 東條希は」

花陽「希ちゃんは……」



花陽「園田嬢の能力を開花させた張本人です」


ツバサ「え? そうなの?」

ツバサ「だって園田嬢がこの構造の支配者で、S級最強なんじゃ」


花陽「支配者……そうですね、表の支配者……」

花陽「それまで"目に見える力"しか持っていなかった園田嬢に……」

花陽「スピリチュアルパワーで"目に見えない力"を与えてしまったのが希ちゃんなんです」


ツバサ「"目に見えない力"?」


花陽「師匠というわけです……」

花陽「表向きは園田嬢が最強ということになっています」

花陽「実際、S級2人の能力の相性は抜群で……タッグを組めば敵なしでしょう」

花陽「簡単に言えば南嬢が誘いこんで、園田嬢が撃ち抜く……といった感じでしょうか」


ツバサ「……」


花陽「さすがに希ちゃんがそのタッグを相手に回したら勝てないでしょうけれども……」

花陽「……一対一なら、希ちゃんが負けたところは見たことがありません」

花陽「本人はS級の顔を立てているつもりなのか、うまくかわしているようですけどね……」

花陽「……引き分けとか、無効試合とか」


ツバサ「なんでそんな人が、A級第二位なんかに」


花陽「戦闘力だけで序列が決まるわけじゃないですから……」

花陽「事実、エリチカちゃんは『私も幼馴染である』という主張で第一位にいるようなものです」

花陽「多世界解釈だと一理あるので誰も文句は言いませんが……あ、凛ちゃんは別ですけどね」


ツバサ「え? やっぱり絢瀬絵里ってそんなに強いわけじゃないの?」


花陽「武闘派はS級の2人と、希ちゃん、エリチカちゃん……それと最近は凛ちゃんですか」

花陽「凛ちゃんはフィジカルの才能がありますからね……」

花陽「花陽はフィジカル最弱です……」


ツバサ「ふうん」


花陽「でも絵里ちゃんもそれだけで一位が許されているわけじゃないですよ」

花陽「何度倒しても起き上がります……不死身のごとく……誰も完全には倒せません」

花陽「だからもし戦いになったら倒そうとするんじゃなくて、捕縛したほうがいいですよ」


ツバサ「……ねぇ、なよなよ」

花陽「なんですか? つばきゅん」


ツバサ「私のために色々教えてくれるのは嬉しいんだけど、そんなこと言ったら組織でのあなたの立場は……」

花陽「……いいんですよ、もう」


花陽「ついに花陽にも……おむかえが来るようになりましたから」

ツバサ「おむかえ?」

花陽「ええ……」フルフル


ツバサ「なよなよ、震えてるの?」

花陽「……気にしないでください」フルフル

花陽「もともと、全部花陽のせいなんです」


ツバサ「え?」


――――――――――

花陽「……武闘派以外の序列に重要なのは、組織への貢献度です」

花陽「貢献度というか……有益性ですね」


花陽「真姫ちゃんは医療担当……にこちゃんは炊き出し担当……」

花陽「強化合宿だって、その2人がいなければうまく回りません……特に無人島のような場所だと」

花陽「それに穂乃果ちゃんがにこちゃんの料理が気に入ってますからね……」

花陽「にこちゃんが組織から放逐されることは、そうそうないでしょう」


花陽「本人の想いではなく……組織の上のほうに気に入られるかどうかです」


花陽「上級ランカーはそういう……醜い政治の世界です」


ツバサ「……なよなよは?」


花陽「フィジカル最弱の花陽に認められている有益性は……」

花陽「メタフィジカル、"目には見えない力"です」


ツバサ「それって、なんなの?」


花陽「目には見えない……言葉の力、観念の力、心の力、夢の力……」


花陽「園田嬢の"目に見えない力"を開花させたのは希ちゃんですが……」

花陽「……南嬢に……いえ、ことりちゃんの"目に見えない力"を開花せさてしまったのは……」


花陽「……他でもない、花陽なんです」


花陽「花陽、ことりちゃんとは仲がよかったんです」

花陽「似たもの同士というか……」


ツバサ「……」


花陽「あるとき、ことりちゃんがとても傷ついて、現実に絶望しているときに……」

花陽「……花陽は可哀想に思って、少しだけ夢の世界を見せてあげたんです」


ツバサ「夢の世界?」


花陽「"ここ"ではない、他の世界のことです」

花陽「そうしたら……」



花陽「……ことりちゃんが持つ素質と反応してしまったんでしょうね」

花陽「花陽は……化け物を生み出してしまいました」


花陽「ことりちゃんの元々の性質は、単なる"声色使い"でしたが……」

花陽「あそこまでとなると、もはや耳栓とかでどうこうなるものではありません」


ツバサ「なよなよは南ことりの師匠だったの?」

花陽「師匠というほどのものではありません……きっかけを与えただけです」


ツバサ「……その、ごめんなさい」

ツバサ「南ことり、倒してしまったわ」


花陽「――――倒した?」ガタッ!


花陽「あのことりちゃんをっ!?」


花陽「"夢の扉《メタフィジカル・ワンダーゾーン》"をかいくぐって?」


ツバサ「いやふつうに、耳栓で……」


花陽「……太陽が出ている間ですか?」


ツバサ「というか、さっきなんだけど」


花陽「……そうですか」ストッ

花陽「ことりちゃんが本当に怖いのは……夜になってからです」


ツバサ「夜?」


花陽「姿が見えない、闇の中……あるいは、黄昏時」

花陽「ことりちゃんの声が耳栓で防げないのは……」


花陽「……その声が空気の振動ではなく、心の、意識の振動だからです」


花陽「人の意識を揺さぶり……無意識まで忍び込み、夢を魅せて……」

花陽「そのまま甘い声誘い込んで、あちら側に引きずり込む」

花陽「そういう能力です」


ツバサ「……」


花陽「エリチカちゃんとは逆で、身体を捕縛しても意味がありません」

花陽「意識が身体を抜けだして……いや、無意識が抜け出すのかもしれませんが」

花陽「ことりちゃんの意識がはっきりしている時はその能力は発動しません」

花陽「きっと本人も夢の中なんでしょう……」


ツバサ「よくわからないわ」


花陽「それは園田嬢だってわかってませんよ。いえ、ことりちゃんだってもしかしたら無意識なのかもしれません……」

花陽「無意識でやっているとしたら……例えるなら、源氏物語に出てくる六条御息所みたいな能力ですね」


ツバサ「生霊ってこと? それでいて、意識が戻ったら覚えていない」


花陽「花陽だって、ことりちゃんの全てを知っているわけではありません……」


――――――――――


花陽「……この前、ホノキチ裁判がありました」

ツバサ「ファッションホノキチを、園田嬢が裁くやつよね」


花陽「対象は、希ちゃん、真姫ちゃん……そして花陽でした」

ツバサ「園田嬢の厳しさは有名だけど」


花陽「たしかに園田嬢は厳しいです……」

花陽「あの裁判、表面上は園田嬢が裁いているように見えます」

花陽「実際、判決を出し……重いペナルティが科せられることも少なくありません」

花陽「しかし……園田嬢はそれだけです。放逐されることはありません」

花陽「少なくとも、園田嬢が出す判決においては……」


ツバサ「……」


花陽「あの裁判の実態は……本当に死活を分けるのは……」

花陽「この組織の裏の支配者は……」

花陽「ことりちゃんなんです」


花陽「裁判の席で、にこにこ笑って黙っている、ことりちゃんなんです……」

花陽「園田嬢はそのことを知らないでしょうけどね」


花陽「真姫ちゃんは、園田嬢の判決こそお咎め無しでしたが……」

花陽「……ことりちゃんに目をつけられたんです」

花陽「他のランカー達と仲が良くなかった真姫ちゃんが、気に入らなかったのでしょう……」

花陽「"みんななかよし"が、ことりちゃんの理想ですから……」


ツバサ「まさか――」



花陽「多分、真姫ちゃんはそのあと変な夢を見て……」

花陽「……そのまま、引きずり込まれました」

花陽「それ以来、みんなとは仲良しですよ」

花陽「何かを忘れてしまったように……」

(好き放題やることにしたにゃー)
じゃ、また。


花陽「真姫ちゃんが"導かれ"たあと……」

花陽「それから、毎晩……」


花陽「――今度は、花陽が、変な夢を見るように……」フルフル


花陽「だから花陽は……もう、アウトなんですよ」フルフル


ツバサ「……どんな夢?」



花陽「ばさばさと、どこからともなく鳥が飛んできて……」フルフル


花陽「――ほー、ほー、と鳴くんです……」フルフル




ツバサ「……ふくろうの姿をしているの?」


花陽「花陽も最初はそう思ってました……」

花陽「でも違うんです……もっと恐ろしい、何かです……」

花陽「優しい声で語りかける、何かです……」


ツバサ「……」


花陽「実は、花陽のガラスハートは"爆発反応装甲《リアクティブ・アーマー》"で……」

花陽「攻撃を受けると盛大に砕け散って衝撃を分散させます。でも、芯まで揺さぶられることはない……」

花陽「……園田嬢の"見えない弓矢"で心を射られて、立っていられるのは花陽だけです」



ツバサ「"見えない弓矢"を受けても倒れない!?」

花陽「……悲鳴を上げるというか絶叫するんですけどね。それも派手に……」



ツバサ「すごいわね」

花陽「……あの弓矢の威力は園田嬢の感情量に左右されますから」

花陽「武闘演習では矢に込められる感情量もそれほど大きくないはずですが」

花陽「それでも花陽以外全滅……希ちゃんでさえ、バリアを編む前に直撃すれば片膝くらいはつきます」



ツバサ「最強たる由縁、か」

花陽「花陽が評価されているのはそういう素質です……」



花陽「花陽は、自分の世界に、結構自信を持っていました……」

花陽「……外敵を弾く、高度に構築されたセキュリティがあると」

花陽「難解なパズルの如く、その壁を突破できる者はいないと……」



花陽「侵入を許さない花陽だけの世界――――《孤独なHeaven》」

花陽「誰か他人に本当に傷つけられないための……花陽の臆病な心が生み出した能力です」


花陽「花陽の世界には人間は誰もいません。人間は誰も……。花陽と花鳥風月だけの世界……」

花陽「その世界で草花を育てたり、動物を飼育したり……」



ツバサ「なら、そのふくろうだって」



花陽「実際、それが悪意の侵入者であれば花陽は自分の世界で戦えたはずなんです」

花陽「花陽が《夢の木》を育てて、草木の枝を絡ませ、外敵を捕まえることができる程度には……」

花陽「あるいは、鳥さんを手懐けて悪意を抜いてあげることならできたんです……」



花陽「でも"アレ"は違います。あれは善意の鳥なんです……もちろん独善ですけど」

花陽「"あなたを幸せにしてあげたい"という想いそのものが空を飛んで夢に忍び込んでくる……」

花陽「懐柔して牙を抜いてあげようにも、そもそも牙も武器も持っていない……」



ツバサ「武器を持たない、和平の使者――――」



花陽「……花陽の孤独な世界に入り込んで、やさしく"こっちへおいで"と声をかけられて……」

花陽「もう、毎晩毎晩……さすがの花陽もそろそろ精神力が限界です」フルフル


花陽「花陽が得意とする動物が相手だと思って話しかけたのが迂闊でした……!」プルプル

花陽「夜が、怖いっ……」

花陽「眠らなくても……窓を閉めて鍵をかけてカーテンを閉めていても……」



花陽「――――気付いたら、部屋の中にあの鳥いる……っ!」プルプル



花陽「毎晩ですよっ!」バンッ!



ツバサ「なよなよ……しっかりして」




花陽「……ねぇ、つばきゅん。もし夢と現実の狭間で、ふくろうに声をかけられるようなことがあっても――」

花陽「絶対に、話しかけてはいけません。耳を塞いでも聴こえてきます、意識が引っ張られもします」

花陽「でも、絶対に口をきいてはいけません」

花陽「――――自分の心を、強く持ってください」


ツバサ「わかったわ」


――――――――

――――――――――

――夜 橋の下


ツバサ「都会にも、探せば静かな場所があるものね」

ツバサ「虫の声が聴こえるわ……」



ツバサ「そろそろ寝ましょう」

ツバサ(ダンボールと寝袋だけど……)


ゴソゴソ



ツバサ(野宿、一泊目、か……)モゾモゾ


ツバサ(一応サバイバルナイフだけ、寝袋の中で握りしめておきましょう)ギュッ!


モゾモゾ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


モゾモゾ


ツバサ(寝袋のなか、あたたかいわね……)モゾモゾ


ツバサ(穂乃果……いまごろ、何をしてるかしら)

ツバサ(私がとるべき行動は……何?)


ツバサ(とにかく、生き残ることが第一……)

ツバサ(第一……――――?)



――ばさばさっ



ツバサ(違う――――)

ツバサ(第一、は――――)



――ほー、ほー



ツバサ「そう、穂乃果よね」



――ほ、ほ、ほー



ツバサ「ええ。そうよね」


――ほー。ほー


ツバサ「穂乃果が一番大事」

ツバサ「あなたもそう思うでしょ――――」


――ほー……


ツバサ「っ!」ガバッ!


ツバサ「どこっ!?」キョロキョロ


――ほ、ほー?


ツバサ「そう、姿は見せないつもりなの」


――ほ、ほっ、ほー


ツバサ「ゆっくりやりましょう?」

ツバサ「これから毎晩、あなたには私の相手をしてもらうわ」


――ほー、ほー?


ツバサ「いいのよ、それで」シャッ――


ギラッ!


ツバサ(――あの子が安心して寝てくれるなら)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


《――手強いんだね》


ツバサ「身持ちは堅いのよ」


《――くすくす。変なのぉ》


ツバサ「よく言われるわ」


《――でもそういうの、好きだよ?》


ツバサ「それはどうも」

ツバサ「私のファンクラブに入る?」パチッ



《――いいね、いいよ》



《――あなたの"夢の扉"……開いてあげる》



――ぎぎぎっ



《こっちへおいで》


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


穂乃果「――ツバサちゃんっ! 助けに来たよ!」


ツバサ「え? 穂乃果っ!?」


穂乃果「危なかったね!」


ツバサ「どうしてここに!?」



穂乃果「ツバサちゃんが教えてくれたんだよ?」

穂乃果「『今夜は近くの橋の下にいると思う』って――」

穂乃果「あんまり近くなかったけどね。探しまわって疲れちゃったよ」


ツバサ「そう……ごめんなさいね」


ツバサ「穂乃果は無事だった?」


穂乃果「うん! ツバサちゃんのおかげだよ!」



穂乃果「ありがとう! ツバサちゃん大好きっ!」がばっ


ぎゅー!


穂乃果「んー♥」すりすり♥


ツバサ(~~~~~~っ!?///)びくびく!




穂乃果「ね、ツバサちゃん、お願いがあるの……おみみかして?」


ツバサ「え……?」もぞもぞ


穂乃果「(あのね……)」ぼそっ…





穂乃果「(…………て)」ぼそぼそっ♥


ツバサ「っ!?///」


ツバサ「そういうことはもっとよくお互いを知り合ってからって――」


穂乃果「いいでしょう?」ぬぎぬぎ♥


ツバサ「なっ……ぬ、脱がないで!///」



穂乃果「いいよ、してくれないなら――――」ぬぎぬぎ



穂乃果「無理矢理にでも、しちゃうから」しゅるっ



ツバサ「ひっ!///」びくっ!


ツバサ「だ、だめよ穂乃果……ちゃんと我慢しなきゃ……///」どきどき


穂乃果「例えどんな私でも――いつでも穂乃果の味方って……」


穂乃果「あれは嘘だったの?」じりじり



ツバサ「いいえ、嘘じゃないわ」



ツバサ「わたしは穂乃果が――――」



ツバサ「すぅぅ……」

穂乃果「?」



ツバサ(落ち着いて……きっとできる)



『――――自分の心を、強く持ってください』



ツバサ(私の心はひとつ――――)



シャッ――

ギラッ!


穂乃果「きゃっ!」


穂乃果「やめて……そんなもの穂乃果に向けないで」ガタガタ


穂乃果「こわいよっ……やめてえええええええっ!」





ツバサ「――――大好きぃいいいいいいいいっ!」



――グサッ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ツバサ「――――いっ」


ツバサ「たぁああああああああっ!」ボタボタ



――ばさばさばさっ!



ツバサ「消えたわね……」ボタボタ


ツバサ「くっ……」ギュッ


ブシュッ!


ツバサ「左腕が……」ボタボタ


ツバサ(……これはもう、使えないかも……止血だけでもしないと)ビリビリッ!


グルグル……


ツバサ「これが、毎晩……」ズキズキ


――寝袋の中



ツバサ(ね、眠れない……)ズキズキ


ツバサ(左腕も痛いけど――――)




『いいよ、してくれないなら――――』ぬぎぬぎ


『無理矢理にでも、しちゃうから』しゅるっ




ツバサ(っ……///)ドキドキ




ツバサ「べ、べつにいいもん……」ジワッ


ツバサ「ちょっと惜しかったな、なんて思ってないもん……」グスグス

(不定期更新だにゃー。ではまた)


――朝 橋の下


ツバサ「……一睡もできなかったわ」ガンガン

ツバサ(頭が痛い……左腕も……)ズキズキ


――ザッ


ツバサ(殺気――――っ!?)ガバッ


凛「――こんなところにいたなんて」ザッ!


凛「凛はついてるにゃ……血の匂いをたどってきて正解だった」ザッ


ツバサ(A級第三位、星空凛!? 見つかった!)


凛「ぞーみんはあんな事言ってたけど、全然強そうに見えないなあ」ザッ

凛「ぶっ倒して、ぞーみんに認めてもらうにゃ!」

凛「もう誰にも凛のことを"弱い"だなんて言わせない――――ッ!」ヒュン――!


――バキッ!


ツバサ(――っ!?)フラッ


ツバサ(掌打!?)


ツバサ(ショートレンジ型!)

ツバサ(それなら私の間合い――だけど――)


ヒュッ――!


ツバサ(――疾い!!)

ツバサ「くっ!」


サッ!


凛(もう避けられた……? すごい対応力)


ツバサ(左腕がガードに使えない以上――)トントン

ツバサ(フットワークを軽くしていくしかないわね)タッタッ


凛「なんだそのステップ……UTX選抜組のやることはワケ分からないにゃ」


凛「でも嬉しいよ……本気でやれそうだ」ゴゴゴゴゴゴゴ!



凛『"獣化《ビーストモード》"』ザワッ



ツバサ(?)ピクッ



シュッ――!



ツバサ(なっ――――消え――――っ!!!)


ツバサ(――来るっ!!)サッ!


チリッ!


ツバサ(ギリギリ――――)


――バギャッ!!


ツバサ「っ!?」クラッ!

ツバサ(二連撃!? ――――違うっ!)





凛『――"加速《アクセル》"』





――ガガガッ!



ツバサ(乱打――――速すぎて攻撃が見切れない――――っ!)クラッ



――ガガガガガッ!


ツバサ(心の何処かで――――侮っていた――――)クラクラ


――ガガガガガガガッ!


ツバサ(強い――――)






ツバサ(星空凛――――強すぎる……ッ!!)


凛「とったにゃ」ハァハァ


ガシッ!


ツバサ(まずい……後ろを……)クラクラ


凛「――」ギュッ!


ツバサ(関節技《サブミッション》……いやスープレックス!?)

ツバサ(星空凛の身体が――熱い――発熱している?)




凛「あ、やばっ……」ハァハァ

凛「……」ハァハァ


――わしわし




ツバサ「はぁっ!?///」ビクッ!

ツバサ「な、なにやって――――」バタバタ


凛「お、おとなしく――――――」


希「――――ねこちのあほぉおおおおおおおおおおおおっ!」カッ!



バシュゥウウウウッ!



凛「にゃあああああああああっ!」ビリビリ!



プスプス……



凛「」



ツバサ「は……!?」


希「うちの教えなんも守ってないやん! 怒るよ!?」


凛「……ごめ、なさ……」プスプス


希「発情期にその技使うなって言ったやん!」

凛「……だって、戦闘スタイル似てるのかなって、つい興奮して……」

希「ねこちはいっつも熱くなりすぎなの! 動きも直線的だし!」

凛「……まっすぐ動いたほうが速いじゃん……」

希「そんなんだから弱いまんまなんやん!」


凛「――で、でもかしこい先輩には連勝中だにゃ!!」

希「それは決闘ルールがえりちに不利なだけなの! えりちはダウンしてからが強いの!!」

凛「凛のほうが強いもん!!!!!」


希「えりちをバカにするなああああああ!!」ビシッ!

希「――"封印"!!」ビリビリ!


凛「……きゅう」バタッ



ツバサ(あ、あれ!? 仲間割れ!?)フラフラ

ツバサ(S級の2人が夫婦ごっこをしてるようにA級上位3人は家族ごっこをしていると聞いたことがあったけど……)


希「帰るよ!」ズルズル

凛「」ズルズル


ツバサ「――――あ、あのっ!」


希「ん?」クルッ


ツバサ「東條希、さん!」


希「……ごめんな、うちの馬鹿弟子が迷惑かけて」


ツバサ「い、いえ……そんなことよりっ!」

ツバサ「穂乃果を……穂乃果を、助けてあげて下さいっ!」

ツバサ「お願いします!」


希「……」


――――

――――――――――


――橋の下


ツバサ「……と、いうわけなんですけど」


希「ふうん」

希(大体カードが告げてたとおりか……)


ツバサ「なんとかなりませんか!?」


希「んー……」

希(うちのスピリチュアルパワーで全力を出せば解決自体はそんなに難しくない……けど)

希(なんやろな……この違和感というか……)


希「ちょっと、うちの目をじっと見てくれる?」

ツバサ「はい」ジッ


希「……」キィィ


ツバサ(心の奥まで見透かすような目……品定めされているような……)ゾクッ


希「ん……」

希(……うちの"純愛レンズ"、やっぱりどこか曇ってるなあ。でもこれで"記憶"した……)

希(だめやな。やっぱこっちか)スッ


ツバサ(カード?)


シャシャシャ

希「……」ペラッ

希(――「果報は寝て待て」……現状維持が吉……なんでやろ?)



ツバサ「あの――!」

希(真っ直ぐに光り輝く目……心苦しいなあ……)


希「……ボロボロやね、綺羅ツバサ」

希「全部ねこちにやられたわけじゃないんやろ?」


ツバサ「この左腕は、自分で……」


希「ねこちにしたって、そんな相手倒したってなんの自信にも繋がらないし」

ツバサ「……?」

希「ちょっと左腕、みして」

ツバサ「こうかしら」スッ


希「ふむ……」

なでなで


ツバサ(ん……?)ピクッ


希「うちは真姫ちゃんと違って治療できるわけじゃないけどな」

希「……もしかして、頭も痛い?」


ツバサ「え、ええ」

希「痛覚遮断と、よくなりますようにって、お祈りだけ」


なでなで


希「……どう?」


ツバサ「――――あれ? 治ってる……」パチクリ

希「それは痛みを"ほどいた"だけ……ま、病院にいくわけにもいかんだろうしな」



希「ほら、包帯と化膿止め」ポイッ

ツバサ(なんで持ってるんだろう……)パシッ

希「悪いけど、今日のところはこれでチャラにしてくれんかなー」


希「いくよ、ねこち」ズルズル

凛「」ズルズル


ツバサ「――待って!」


ツバサ「私のことはいいから……穂乃果を!」

希「……」


希「穂乃果ちゃん、ね」

希「ねこちを倒せたら、考えてあげるよ」


ツバサ「え……」


希「うちとここで会ったこと、海未ちゃんにバラしちゃだめよー」

ツバサ「……」


希「またね」ズルズル

凛「」ズルズル


――――

――――――――――


――希の家


凛「押してたのに……綺羅ツバサに、勝てなかったにゃ……」グスグス

凛「やっぱり凛は、弱いまま……?」ポロポロ

凛「うぇええええええええん!」ポロポロ


――ガチャ


絵里「あら、凛だけ? 希は?」

凛「別のお札探しに行ったにゃ……」グスグス

絵里「そう。なんで泣いてるのかしら」



凛「……」グスグス

凛「かしこい先輩。ちょっと凛と勝負しろにゃ」


絵里「え? 今から?」


――――

――――――――――


絵里「」チーン





凛「やっぱり凛のほうが強いにゃ!」ムッフー!



絵里「」


絵里「」ムクッ


絵里「……ちょっとダウンしただけでしょ」ハァハァ



凛「これで6連勝!」



凛「……あっ、ちょっと動いたらまた……」ムクムク

絵里「げっ……」アセアセ







凛(生えてる)「……先輩、おくちあけろにゃ」ぬぎぬぎ

絵里(生えてる)「ま、待って! いま希を呼ぶから……」


凛(生えてる)「"絶対命令権"。これで6つも溜まったし、ここで1つ使う」ボロン

絵里(生えてる)「きゃあああああああっ!」


――――――――――

ジュポッ! ジュポッ!


絵里(うぅ……悔しいわ……///)ジュポジュポ♥

凛「ん、ふっ」モミモミ

絵里(くわえてるときに胸揉まないでよぉ……///)ジュポジュポ♥


凛「あ、先輩の先っぽ硬くなってる」クリクリ


もみもみもみもみ


絵里(揉み方……乱暴っ……!///)かあぁっ!


絵里(な、なんで私がこんなことを……っ!///)ジュポジュポ♥




凛「あっ♥」ガシッ!

絵里「んんっ!?///」ゴボッ


絵里(頭つかまれて……喉の奥まで……苦しい……っ!)モガモガ



ビューッ♥ ビュルルルルッ♥ ビュッ♥ 



絵里「――んんんっ!///」バタバタ

凛(奥に出すの気持ちいいにゃ……)ドクドク♥


絵里「んーっ! んーっ!///」モガモガ

凛「ちゃんと全部飲んでね」



絵里(悔しい……///)クチュクチュ

コクコク

絵里(でも……凛のを飲むと、なんか私まで身体が火照ってくる……///)ごくごく♥


絵里(あっ、やば……)ムクムク♥



凛「――おいしかった?」ぺちぺち

絵里「んっ……ソレでほっぺた叩かないで///」ハァハァ


絵里(悔しすぎる……でもいいもん///)

絵里(ローテーションなら今夜私が穂乃果の護衛の番だし)

絵里(穂乃果にいっぱい慰めてもらいましょう……///)ムクムク

今日はここまでだにゃー
まずいにゃ、このスレの切り上げどころがわからないにゃー

――――――――――

――橋の下


ツバサ(――――見逃された……?)


ツバサ「……私なんて、いつでも仕留められるというわけか」





ツバサ「……強い」


ガタガタ


ツバサ「星空凛の圧倒的な動き……東條希の圧倒的な余裕……」ガタガタ

ツバサ「そして夜が来れば、またあの鳥が……」ガタガタ

ツバサ(私は……なんてちっぽけなんだ)ガタガタ




ツバサ「もうだめだ……戦いたくない……ッ!」ガタガタ


ツバサ「あんな化け物たちに勝てるはずが――――っ!」




――――――――ドスッ!!!




ツバサ(――――!?)


バタッ!


ツバサ(射られた――――これは"見えない矢"――――!?)


ツバサ(近くに気配はない……)

ツバサ(そうか……私の負の感情の爆発が、遠く離れている園田嬢に居所を教えてしまって……)

ツバサ(ロックオンした弱い心を目掛けて超遠距離射撃を……)

ツバサ(なんとか意識を保っていられるのは超長距離の"追尾の矢《ホーミング・アロー》"だからか……)



シーン……


ツバサ(――――二の矢はない……)

ツバサ(まるで弱気になった私を嘲笑っているかのようだ……)ジワッ


ツバサ「くっ……ひぐぅ」ポロポロ

ツバサ(泣くのはいい……泣いてもいい、だから――――)






ツバサ「――――立ち上がらなきゃ」ポロポロ


――――――――――


ツバサ(……白い何かが飛んでくる。何かしら)


――ぱたぱた



ツバサ(モンシロチョウ……?)


ツバサ(いや……これは――)



――ぱたぱた







ツバサ「――――折り鶴が、飛んでる……?」








――ふわっ……


シュルシュル……



ツバサ「ただの折り紙に戻っていく……」スッ


ツバサ「何も書かれていないけど、これは――――」






ツバサ「――――ファミレスの、紙ナプキン――――」


――――――――――

――ファミレス


花陽「――遅かったですね、つばきゅん」オリオリ


ツバサ「警戒してたからね……ここは大丈夫なの?」


花陽「大丈夫です……ここは花陽にとって大事な場所ですから。花陽の力で、邪魔はある程度排除できると思います」

ツバサ「ならいいんだけど。そういえばあなた、折り紙が得意だったわね」

花陽「はい」オリオリ



ツバサ「伝書鶴か何かわからないけど、メッセージくらい書いたっていいじゃない。あんなの私しか分からないわよ」

花陽「暗号だからいんじゃないですか。密通なんですから」オリオリ


ツバサ「……ねぇ、折り鶴はどうやって飛んでいたの?」

花陽「深く考えても無駄ですよ」オリオリ



ツバサ「まったく理解できないんだけど。身の回りで起きていることすべてが、理解不能よ……」

花陽「人にとって不可解なことは、たくさんあります。自分の心だってそうじゃないですか?」

ツバサ「……」


花陽「人の心も。世の中も。宇宙の成り立ちだって、"理解"なんて追いつきません。ブラックボックスなんです」

ツバサ「……」

花陽「大切なのは、ブラックボックスをどうこじ開けようか考えることではなく、どう受け入れ、どう感じるかです……」

ツバサ「……」



花陽「もっというと、分からないだらけのこの世の中で……それでも歩みを止めず、進み続けることだと思います」

ツバサ「あなた……元気でたみたいね」


花陽「おかげさまで。もう一度戦う覚悟ができました……花陽が眠れたの、つばきゅんのおかげなんでしょ?」クスクス

ツバサ「もぅ……」カアアッ


花陽「ねぇ、つばきゅん」

ツバサ「なぁに? なよなよ」


花陽「つらくても……歩みを止めちゃだめです」

花陽「一歩あるく度に、鋭い霜が足の裏に突き刺さる……たとえそんな世界であったとしても」



花陽「歩みを止めて、その場所に留まってしまったら……そこに"見えない矢"が飛んできます」

花陽「世界に絶望しても、心が竦んで、止まってしまっても……足を止めては行けないんです」


花陽「つらい世界の中で、心まで凍ることもあるでしょう」

花陽「見えない未来が、恐ろしく思うこともあるでしょう」

花陽「でもだからって、同じ場所にずっと、うずくまっているだけじゃ……永遠に成長しません」



花陽「その場に囚われた人は、飛んでくる矢の餌食です」

花陽「同じ矢に刺され続けないには……歩み続けることしかないんです」


花陽「なんだって……誰だって……そうなのだと、花陽は思います」

ツバサ「そうかもしれないわね」


花陽「あと1匹くらいかな……」オリオリ


ツバサ「ねぇ、どれだけ鶴を折るの? そんなにたくさん……」


花陽「未来というのは、"見えない"ものです」オリオリ

ツバサ「……?」


花陽「『ここで一歩踏み外せば、ひどい目に会うかもしれない』」

花陽「『傷つくかもしれない』」


花陽「……そんな思いが、"見えない未来"に怯える心を生み出します」オリオリ

花陽「未来は見えない……"だから怖い"……誰だってそう、花陽だってそうです」スッ

花陽「だから花陽たちは"イメージ"します……成功を、心躍る場所を、想い描いて」とんっ


花陽『――いい子だよ。ほら、飛んでごらん。こわくないよ』とんとんっ


――ぴくぴく


ツバサ「なよなよの折った、折り鶴が……」


――ふわっ……


花陽「"見えない未来"に怯えた心は、ずっとその場にとどまったままです」

花陽「そして同じ矢に刺され続ける……」

花陽「花陽は、大好きなつばきゅんに、そんなところで終わってほしくないんです」


花陽『――ほら、きみもだよ』とんとんとんっ


――ぱたぱた


花陽「もしつばきゅんに勇気が出ないなら……今度は、花陽がつばきゅんを助ける番です」

花陽「いっしょに目指しましょう、"誰の矢も届かない場所"まで――――」


――ぱたぱたぱたぱたぱた



ツバサ(白い折り鶴にかこまれて、視界が白く覆われて――――)ドクドクドク!


花陽「未来は見えない、わからない、誰もしらない……」


花陽「……でも恐れないで。恐れてもいいから、足を踏み出して」



花陽『未知に触れる歓喜に心臓を震わせながら、"見えない未来"へ、身を投げ出して――――』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ツバサ『――――――ここは……?』



花陽『花陽の世界……"孤独なHeaven"です』



ツバサ『天国……?』

花陽『こっちへ身を投げ出すとき、今までのつばきゅんは死んだんですよ』

ツバサ『死んだ……?』



花陽『っ!』ぴくっ

花陽『まずいですね……追いつかれてしまったようです』

ツバサ『え?』



花陽『一歩前に、踏み出してください! 早く!』

ツバサ『?』すっ


ツバサの影「……」


ツバサ『私が2人に……』


――――ドスッ!!


ツバサの影「――」しゅうううっ……


ツバサ『まさか"見えない矢"っ!? なんでこんなところまでっ!?』


花陽『普通なら花陽の世界まで届かないはずなんですけど……これ、最強タッグの仕業ですね』

ツバサ『最強タッグって……』

花陽『侵入者に穴を開けられたんですよ。ほら、あれが穴を開けた侵入者』




――ばさばさっ!




ツバサ『ふくろうっ!?』


花陽『真っ昼間からお昼寝ですか……』



――ほー、ほー



花陽『でも今回は何の準備もしてなかったわけじゃありません』


バラバラッ……


ツバサ『さっきの折り鶴……』

花陽『"与えられた幸せ"を拒絶する心を折り込んだ、20羽の鶴さんです』



フワッ……

パタパタ


――ほー、ほー?



花陽『……花陽の幸せは、花陽が決めます。誰に与えられるものでもないです』

花陽『花陽がいままで持っていなかったもの……人の善意を拒絶する心……それは――――』

花陽『――――悪意です』



パタパタパタパタパタパタ!


――ぴぃぃいいっ!?


ツバサ『白かった折り鶴が、黒く……?』

花陽『つばきゅん! 足を止めないで! 矢が来ます!』

ツバサ『え、ええ!』スッ


―――――ドスッ!!


ツバサの影『――』しゅうううっ……



花陽『本当は、花陽はずっと……分かってたんです。善意の鳥を追い返す方法……』

花陽『……心に"悪意"を持てば、いいことくらい……』


花陽『でも怖かった……自分が悪意に染まって黒くなってしまうことが……』

花陽『花陽もずっと、恐れていたんです……』

花陽『……大好きなつばきゅんに、嫌われてしまうんじゃないかって』


ツバサ『なよなよ……』



――ばさばさばさっ!



ツバサ『……逃げたわね』

花陽『……まさか反撃されるだろうとは思ってなかったんでしょう』


花陽『空けられた穴も塞いでおきます。もう、見えない矢も飛んできません』


花陽『……これでよし、と』


ツバサ『……なよなよ』


花陽『ねぇ、つばきゅん。白くない花陽はイヤですか……?』プルプル

花陽『……天使じゃない花陽は、キライになりましたか――――?』フルフル



ツバサ『――いいえ、そんなことないわ』


ぎゅっ



ツバサ『白も黒も、清濁あわせて人の心よ。だって私たちはまだ、生きているんだもの』

花陽『生きている……』

ツバサ『そうでしょ?』



花陽『はい……そうです』ポロポロ



ツバサ『死んだらみんな、全部焼かれて白いだけの骨になるのよ。そしたらあなたは本当の天国に行けるわ』


花陽『……花陽は……生きてます』ポロポロ


ツバサ『だから今はまだいいのよ。私は白いだけのあなたよりも、生きているあなたが好きだから』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


――――

――――――――――


――3日後 希 帰りの電車 夕暮れ


ガタンゴトン


希「……」グテー


ガタンゴトン





希(街を離れたら、うち、何故か急に元気になって……)


希(ずっと曇ってた心が、クリアになって。はしゃいで神社めぐりして)


希(でもお札が集まる度に、すこしずつ元気がなくなっていって……)


希(帰りの電車に乗り込んだ頃には、もう元気なんてすっかりなくなってて……)


希(なんでなんやろなあ……?)


ガタンゴトン


希「……」グテー






ガタンゴトン


希「――えりちにもう3日も会ってないなあ」ぼそっ


ガタンゴトン


希「……」


ガタンゴトン









希「」ハッ


ガタンゴトン


希(そういえば、うち……)

希(……えりちのこと、好きって気持ち……)


希(あまりにも当たり前すぎて、その想いを抱えてる毎日が自然すぎて……)


希(……意識してなかった)


ガタンゴトン


希(うちは、えりちのことが当たり前のように好きで……)

希(……えりちは、穂乃果ちゃんが好きなことが当たり前で)


希(えりちは週2くらいで穂乃果ちゃんと夜を過ごして愛し合ってるみたいだから……)

希(……当然のように、それを応援するのがうちの日常で)


ガタンゴトン


希(うちは想いを隠してるから、えりちもねこちも自然に接してくれていて……)

希(よくうちの部屋で、3人で食事したり、寝泊まりしたり……家族ごっこが成り立ってる)


ガタンゴトン


希(――料理をするえりち、風呂あがりのえりち、髪をおろしたえりち、あくびをするえりち……)

希(……大好きなえりちの寝顔。色んなえりちを近くで眺めることができる特権がうちにはあって)

希(うちはなんて幸せなんやろなって、ずっと思ってた……ずっとそう思ってた)


ガタンゴトン


希(そっか……)

希(うちはずっと、えりちだけを見てたけど……)


ガタンゴトン


希(うちの心が曇ってたのは……)



希(……穂乃果ちゃんしか見えてないえりちのそばにいるのが、つらかったからか……)


ガタンゴトン


希(……はぁ)


ガタンゴトン


希(それでうち、えりちから離れて、急に元気になって……)




希(――――でも3日会えなかっただけで、やっぱりこんなにも元気をなくして……)





ガタンゴトン


希(そんなこと、気づきたくなかったなぁ……)


ガタンゴトン



希(会いたいなあ……)ジワッ




希(――――眠そうなときのえりち、笑うときのえりち、ねこちにイタズラされたときのえりち)

希(ねこちに負けて泣くえりち、元気を取り戻したえりち、髪を結ぶえりち、勉強するえりち――――)



希(……えりちへの想いが、指先から溢れ出しそうで、ぴりぴりしてる)ピリピリ

希(いま手を握られたら、全部バレちゃうんじゃないかってくらい……)ジワジワ




希(海未ちゃんだったら、この想いを矢の形に編み上げて、愛しい人のいるところまで飛ばすんやろか)

希(そしてハートを撃ちぬいて……自分のものにしてしまうんやろか)



ガタンゴトン



希(うちにはそんなことできないなあ……)

希(……うちはえりちを穂乃果ちゃんから奪い取りたいわけじゃない)



希(ただ、好きなだけだから)



希(うちはどんなえりちでも好き。例え、穂乃果ちゃんが好きなえりちであっても)


希(……そう、思ってたけど)


希(つらかったのかな。自分でも気づかない、心の何処かで、つらかったのかな)


希(うちの知らない、うちの心)


希(人間なんて、自分の心さえ理解できないんやね……泣きそう)ジワジワ

――――――――――

――希の部屋



希「――ただいまー」ガチャ






凛(生えてる)「――あっ♥ もう出るっ♥」ジュポジュポ!


ビューッ ビュルルルルッ 


絵里(生えてる)「(んんんっ!///)」ゴクゴク



希「え……なにこれは」



凛(生えてる)「あ、ぞーみんおかえり」ドクドク

絵里(生えてる)「んっ、んっ///」ゴクゴク




絵里(生えてる)「――――ぷはぁ♥」むくむく♥




希「~~~~っ!?///」



凛「んー、やっぱり最近マンネリ気味だにゃ」


ぺちぺち


絵里「だからそれやめてってば……///」ムクムク♥


凛「穂乃果ちゃん、相手してくれないし……」


希(……そういえば、そうやろなあ。ツバサちゃんの話によると、なんか恋人いるみたいだし)



凛「そうだ!」ピコーン!

絵里「?」





凛「かしこい先輩。ぞーみんとやってるところ凛に見せて」

凛「凛はそれを見ながらひとりでするから」





絵里「!?」

希(はぁっ!?///)びくっ


絵里「えっ、でも……その……っ!///」


凛「決闘の勝者による敗者への絶対命令権、だよ」

絵里「っ!」




希(でも穂乃果ちゃん一筋のえりちがそんなことするはずは――――)




絵里「……っ///」むくむく♥

絵里「ね、ねぇ……希?///」チラッ



希「な、なぁに? えりち」ドキドキ


絵里「その……私とするの、イヤかしら?///」


希「……大事なのはうちの気持ちじゃなくて、えりちの気持ちやろ?」ドキドキ


絵里「大事なのは……希よ」


ぎゅっ!


希「~~~~っ!?///」びくっ!


絵里「あのね……」スリスリ


希「ひっ!///」びくっ!


絵里「穂乃果がね、全然私の事相手にしてくれないの……別人みたいに」グスグス


希「う、うん……泣かないで、お願い」


絵里「もう、悲しくて……心も、身体も、切なくて――――」グスグス


――――ぎゅううっ!


希「っ!///」



絵里「それなのにね、凛の相手させられて、毎日毎日飲まされてるうちに――」

絵里「――もう、身体が、熱くておかしくなりそうで……」ムクムク♥





希(これは……まずい……っ///)ドキドキ


絵里「……私も、凛みたいに……駄目かな?」グスグス


希「ねこちと同じようには、む、無理かなあ……///」プルプル


絵里「……お願い。一度でいいの」ぎゅっ


希「っ……///」プルプル


絵里「とてもつらいの……頭がおかしくなりそう」ポロポロ




希(――――泣き落としとか、ずるいやん……っ!)





希「くっ…………」プルプル


希「あくまでえりちのつらいモノを発散させるだけだから、変なこととか、なしで……」


希「ねこちとするときとおんなじように、え、えりちのために、一度だけ、ね……?///」プルプル




絵里「変なことって?」スリスリ



希「そういうの。べたべたしないで」パッ!

希「……優しくとかしないで、事務的に処理しておしまい。服も着たまま。わかった?」ドキドキ



希(大丈夫……大丈夫……慣れてる。ねこちとは何度もしてる。だから、大丈夫……)

希(意識さえしっかり保てば……うちの想いが漏れることはない。大丈夫……っ!)


――――――――――

――ベッドの上



絵里「……希、すっごい濡れてる」ピチャピチャ


希「んっ、も、もういいから……っ」ビクビク

希(ねこちにはこんな、優しく前戯されたことないのに……っ!///)じゅんっ


絵里「だって、濡らさなきゃ痛いでしょ……でももう十分ね」ボロン




凛(なにこれ……あんなぞーみんはじめて見るにゃ……)

凛(…………)ドキドキ



凛(……すっごく興奮するにゃ!)シコシコ!




絵里「いれるわよ……」ピトッ♥


希「なっ!?」ビクッ!


希「きちゃダメっ! つけてっ!」


絵里「持ってないわよそんなの……」ピトピト♥


希「ダメダメダメっ!」


絵里「……凛とするときは生でするのに私にはゴムつけさせるの?」ピトピトッ♥


希「ちがっ……! これはえりちのために言って――――!」




希(――――うちのえりちへの想い、肌の薄皮一枚でギリギリ留めてるのに――――――っ!)




凛「そういうのいいから早くやれにゃ」シコシコ




絵里「……ですって。ごめんね希。優しくするから」




――――ずぶっ♥



希(~~~~~~っ!!♥)ビクン♥


希(――――あっ♥ あっ♥ 想いが、制御できない……っ♥)じわっ……


びくっ! びくっ!


希(――――――――っ♥)


ぽろぽろ






凛「ぞ、ぞーみんっ!? なんで泣いてるの!? 痛いのっ!?」






凛(――――え? ぞーみんとはたくさんしたけど、こんな顔、初めて見る……///)ドキドキ



絵里「…………」ドキドキ

絵里「いや……ちがうわ、これ……」



絵里「中、熱くて――――希の体温だけじゃなくて、何かが伝わってきて……」ドキドキ




――きゅうきゅう♥


希(――――――――っ♥)ぽろぽろ






絵里「――――希がすごくよろんでるの、わたし、分かる…………」






凛「……え?」


絵里「な、なにこれ……すごく、熱くて、きゅうきゅう締め付けてきて……っ///」ドキドキ



希「あっ♥ だめっ……♥」きゅうきゅう


希「はーっ♥ はーっ♥ お願いだから、ぬ、抜いて……っ♥」ぽろぽろ



きゅうきゅう♥



絵里「希……いれただけなのに、イッてるの……?///」ドキドキ



きゅうきゅう♥




絵里「希の『気持ちいい』って想いが―――――――私の身体の中に流れ込んでくるわ」ドキドキ♥





凛(想いが流れこんでくる……?)





絵里「こんな『気持ちいい』の、私、初めて…………すごい…………」ドキドキ♥


絵里「本当にすごいわ……」


絵里「わたしたち、心でつながっているのね…………?」ドキドキ♥



ぷちぷち



希(なっ……脱がされて……っ!///)びくびくっ♥


しゅるしゅる


希(だめっ……抵抗、できない……っ!///)きゅうきゅう♥


凛(――す、すごい……っ!)ドキドキ♥



凛(……凛の目の前で濃厚なNTRが展開されているううううっ!)シコシコ!

凛(別にぞーみんと付き合ってないけど! でもそれは凛専用のやわらか肉壷なのにぃいいいっ!)シコシコシコシコ!



凛(あっ♥)



ビュルルルッ ビューッ ビュルルルルルッッ



凛「あぁ……」ドクドク




凛「……ふぅ」



凛(夕ごはん食べに行こ)スクッ



バタン


絵里「――――私も脱ぐわね」ぬぎぬぎ


希「だ、だめぇ……なんで脱ぐのぉ……♥」ぽろぽろ



絵里「もっと肌と肌で、触れ合いたいのよ」


希「え、えりちの、嘘つき…グスッ…♥」ぽろぽろ

希「ねこちのときと、おなじって…ヒック…言ったのに……っ♥」ぽろぽろ



絵里「私、あんな動物みたいなやり方は好みじゃないのよ」


なでなで


希「あぅ♥ やさしく、なでちゃ、だめぇ……っ♥」ぽろぽろ



絵里「ごめんね……希はそういうのが希望だったのかもしれないけど、それじゃあ私は満足できないし……」なでなで



絵里「私……らぶらぶえっちが好きなの」すりすり



ぎゅううっ♥



希(~~~~っ!?♥)


絵里「中にいれたままこうして裸で抱き合うの……気持ちいいでしょ?」すりすり♥



希「ぜんぜん、気持ち…よく、ないっ…♥」

希「グスッ…えりち、きらいぃぃ…ヒック…♥」ぽろぽろ


希「キライ……きらい…グスッ…だいっきらい…♥」

希「ヒック…きらい、キライ、きらいぃぃぃっ♥」ぽろぽろ



絵里「――――希は嘘つきね。ふれたところから全部伝わるわ」なでなで♥



きゅうきゅう♥



絵里「……きゅうきゅう締めつけてるところからが、一番熱いけど」すりすり♥



希「っ!///」きゅうきゅう♥



絵里「希のスキスキが、私の身体に流れこんで、心の奥まで染み込んできて……」

絵里「もうだめ、なにこれ……動いてないのに気持ちよすぎて、希のなかに溺れていきそう」とろとろ♥

絵里「……入ってるところなんて、もうとけあってるみたい♥」すりすり



希「だ、だめっ! えりち、自分を見失っちゃ――――っ!」ばたばた!



絵里「――――暴れちゃだめ。おとなしくして?」


絵里「ねぇ、キス、しましょう?」




絵里「あなたの想いを、ちゃんと受け止めてあげる」ぎゅっ……


ちゅっ




希(――――――あっ♥ あっ♥ ああっ♥) ちゅうちゅう♥




希(もうダメ、意識が、飛んじゃう――――ーっ!)


ぷつん!


希『~~~~~~っ!!♥』ビクン♥


どくん!


絵里(っ!?///)



どくどく!



絵里『――――――――っ!?♥』ビクン♥





ビュッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルッ♥


絵里(なに――――――これ――――――)


ビュルルルッ♥ ビューッ♥ ビュルルルルルッッ♥



絵里(――――希の膣が『もっと中に出して』って言ってる――――)



ビューッ♥ ビュルルルルッ♥ ビュッ♥ ビュッ♥



絵里(――――や、やばいヤバイやばいっ! 希っ!? どんだけ私が好きなわけっ!?)



ビュルルルルル――――ッッ♥



絵里(――――ぜ、全部、搾り取られ――――っ♥)



絵里(あ……♥ あ――――♥)ビクッ♥



――――――――


――――

(やすむ)

――――――――――

――同日 夜 花陽の部屋


ツバサ「……あれ?」パチリ


花陽「あ、つばきゅん」

花陽「おかえりなさい」


ツバサ「ここは?」キョロキョロ


花陽「花陽の部屋です」


ツバサ「いつのまに……」

花陽「つばきゅん、3日も寝てたんですよ」

ツバサ「3日!?」


花陽「はじめての"ゆめぬけ"から、3日で帰ってこれるだけでも……すごいですよ」

花陽「一ヶ月くらい、かかると思ってましたから……」


ツバサ「さらっと恐ろしいこと言うわね」


ツバサ「そもそも"ゆめぬけ"、って何なのよ」

花陽「夢を、自分の身体からすり抜けさせる……それが、"ゆめぬけ"」



花陽「……花陽が、落ち込んでいたことりちゃんを励ますときに教えた技術です」



花陽「身体から抜けだした夢は、様々な形をとって、いろいろな場所へ飛び回ることがきます」

花陽「……たとえば、鳥のかたちとか」



花陽「つばきゅんが、花陽の世界まで来れたのは、つばきゅんが"ゆめぬけ"したからです……」


花陽「ちなみに、花陽が折った折り鶴を飛ばすことができるのも、"ゆめぬけ"の応用技です」

ツバサ「ファミレスの紙ナプキンでやってたあれね……」


花陽「あれは花陽の世界、《孤独なHeaven》の中にストックしてある『動物の夢』を……」

花陽「……紙に折り込んで作ります。花陽に懐いた動物の夢がないと、出来ませんけど……」



花陽「これは……優しい、ロマンチックな技術、だったはずなのですが……」


ツバサ「南ことりはその力を得て覚醒してしまったのね」

ツバサ「その"ゆめぬけ"を、凶悪な力に昇華させて」


花陽「……もともと、そんな物騒なものじゃなかったんです」

花陽「少なくとも、攻撃的に使えるだなんて、花陽は思ってもみませんでした」


花陽「……花陽は、ひとの迷惑にならないようにって、いつもそればかり考えてるから……」

花陽「合意もなしに誰かを引きずり込むだなんて、やろうとしたことも、ありませんでしたし」

花陽「ことりちゃんの、声色遣いとしての才能があってのことでしょうけど……」


ツバサ「私が橋の下で夜に遭ったふくろうも、そのあと飛んできた白い折り鶴も」

ツバサ「そして私がなよなよの世界に飛び込んだのも、全部根本は同じものだったのね」



花陽「希ちゃんの気持ち、花陽にも少し分かりました……」



ツバサ「東條希が園田海未を化け物にしてしまったって話?」

ツバサ「師匠というからには何かを教えたのよね」



花陽「……希ちゃんが園田嬢に教えたのは、"ゆびあみ"といって……」

花陽「希ちゃんも、落ち込んでいる様子だった園田嬢を、元気づけるために教えただけだそうです」


花陽「"ゆびあみ"は……見えない指で、心の糸を編み上げる技術……」

花陽「想いを伝えたり……電子錠に糸を編みこんで、解錠したり……」


花陽「これも……優しい、ロマンチックな技術なんだと希ちゃんは言っていました」

花陽「希ちゃんが自分の想いで人を痛みつけたりするのに使っているところは、見たことありません」


花陽「"ゆびあみ"は"ゆめぬけ"に比べるとテクニカルな色彩が強くて……」

花陽「使いこなせるのは、希ちゃんだけ……どれほどの応用技があるのかは花陽も知りません」

花陽「それにこちらも、戦闘用の技ではなかったはずです」


ツバサ「……」


花陽「……少なくとも、花陽は攻撃に使えるものだとは思ってませんでした」

花陽「希ちゃんは、器用なので……その技を、相手の悪意へのカウンターなどに使えるそうですが」


ツバサ「まさか――"見えない弓矢"は――」


花陽「心を矢の形に編み上げて、そのまま感情を相手にぶつける。"ただそれだけ"です」

花陽「……本人は《ラブアローシュート》とか呼んでいますけど……」

花陽「こちらも、園田嬢の持つ本来の資質と感応してしまったのでしょう……」


花陽「ただそれだけ……技のそんな使い方でどんどん強くなっていく園田嬢を見て」

花陽「希ちゃんはきっと、複雑な気持ちだったことでしょう……」


ツバサ「……」


花陽「欠点を言えば……エネルギー源が感情なので」

花陽「本気で怒ったりでもしてない限り、そこまで物騒なものは編み上がらないはずです」


ツバサ「東條希が園田海未に"ゆびあみ"を教えて」

ツバサ「なよなよが南ことりに"ゆめぬけ"を教えた」

ツバサ「そして、それが今のS級の2人で、組織のツートップ。そういうこと?」



花陽「そのとおりです……ごめんなさい」

ツバサ「なよなよが謝ることじゃないわよ」


花陽「だから、花陽はせめてつばきゅんの力になりたくて……」

ツバサ「もし責任を感じて申し出てるだけなら、やめてよね」


花陽「……」

花陽「友達として、力になりたい、です」

花陽「それにもちろん……今のままじゃ、穂乃果ちゃんがかわいそうです」


ツバサ「ええ、そうよね」

ツバサ「力をあわせて、穂乃果を元に戻してあげましょう」

花陽「……はい」


ツバサ「といっても、どうすればいいのかしら?」


花陽「スピリチュアル担当の希ちゃんなら多分なんとかできますが……」

花陽「……園田嬢の指示がなければ、やらないと、思います」

花陽「でも、作戦はあります」

ツバサ「どんな?」


花陽「希ちゃんに指示を出させるには、まず園田嬢を説得しなければなりません」

ツバサ「園田嬢を説得させるなんて、できるの?」


花陽「そこでカギを握っているのが、エリチカちゃんです」

ツバサ「A級、第一位……」


花陽「そうです。発言力ならS級にも劣らない、唯一の存在……組織のナンバースリーです」

花陽「エリチカちゃんは穂乃果ちゃんとラブラブですから、きっと力になってくれるはずです」


花陽「さっそくメールで協力をとりつけますね……」ピコピコ

----------------------------------------
from:小泉花陽
to:絢瀬絵里

エリチカちゃんが大好きな穂乃果ちゃんを取り戻すために、
一緒に園田嬢を説得してくれませんか?
きっと戻す方法があるんです
そのためにエリチカちゃんの力が、いま必要なんです
----------------------------------------

花陽「こんなかんじで……」ピロリン

ツバサ「絢瀬絵里は協力してくれるかしら?」

花陽「そこは心配いらないですよ……」


花陽「エリチカちゃんの武器は、知性……」

花陽「……かしこいですから、話がよくわかります」

花陽「いままで何度助けられたことか……」


花陽「なにより、穂乃果ちゃんのことしか考えてませんし」


ピコピコ


ツバサ「返ってきたわね」

花陽「ほら……」スッ

----------------------------------------
from:絢瀬絵里
to:小泉花陽

のぞみしゅきぃ・・♥
----------------------------------------




ツバサ「は?」

花陽「え?」

(快楽堕ちしたチカ……)


――――――――――

――希の部屋


希「ん……」パチ

希「あれ、うち意識失ってたんか……」

希「まずいな、記憶が……」


絵里「希、おはよう」トテトテ

希(エプロン姿……?)


絵里「気分はどう?」すっ


なでなで


希「はっ!?///」ビクッ!


絵里「もぉ、そんな嫌がることないじゃない」クスクス

絵里「もうすぐ、ごはんできるから」

希(えりちの手作りのごはん……?///)


絵里「待っててね」くるっ


希「!?」ブフーッ!


希「な、な、なにその格好……っ///」

希「えりち……エプロンの、下、なんも……っ///」プルプル


絵里「ふふ、似合う?」クルッ

絵里「希がよろこんでくれるかなー、って」ヒラヒラ

――――――――――

絵里「どうかしら?」にこにこ

希「……なにこれ」モグモグ


絵里「焼肉チョコフォンデュ風、よ」

希「なんでそんなもん思いついたんかなぁ……」


絵里「希のスキスキと私のスキスキを合わせてみたら最強かなって思って作ったら」

希「ぷわぷわした料理ができちゃったんやね」モグモグ



希「……ねこちの分は?」

絵里「にこのところで食べてるってさ」


希(なんかおかしい……うちの意識がないうちに一体何が……)

希「なぁ、えりち。ちょっと頭みせて?」


絵里「え? なんかついてる?」


すっ


希(――やっぱり、滅茶苦茶に糸が編みこんである……)

希(うちが無意識でやったんか……まずいな)

希(これ、ただの"感情の糸"じゃない――)


希(しかもこんがらがってしまって、簡単にはほどけない)

希(うちと繋がってしまっている……)

希(これは、まずい――)



希「……なぁえりち、記憶はおかしくない?」

絵里「記憶?」


絵里「……?」


希「まずいなぁ」


絵里「ねぇ、そんなことよりも冷めないうちにちゃんと食べて」

絵里「希のために作ったんだから」にこにこ


希「……えりちが、うちのために」


絵里「そうよ」じーっ



希(えりちがうちのために手料理をつくってくれて)

希(えりちがうちだけを、見つめてくれていて……)



希「そんな見られてると、食べにくいんだけど」モグモグ

絵里「希だけを、ずっと見ていたいの」じーっ

絵里「これからもずっと」


希「これからも?」

絵里「いままでと、同じように」にこにこ

希「……そう」


絵里「私、希さえいればあとは何もいらないわ」

絵里「本当に"何もいらない"のよ」

希「そう……」モグモグ



絵里「ねぇ、おいしい?」にこにこ


希(えりちが、うちに微笑みかけてくれていて――)

希「……」


希「まずいなぁ……」じわっ

希「これは、まずい……」ぽろぽろ



絵里「な、泣くほど不味かった? ごめんなさいね」シュン

絵里「もう作らないから、許して?」オドオド



希「ううん……」ぽろぽろ




希「……また、作ってほしい」ぐすぐす


――――――――――

希(――うちの"純愛レンズ"、曇っているどころか、もう何も見えない)


希(レンズに記憶したはずのツバサちゃんの居場所さえ、もう見えない……)

希(こんがらがったうちの糸も、ほどけない……)


希「……あとは、カードしかないなぁ」シャッ、シャッ


――ペラッ


希(ツバサちゃんの現在の居場所は、不明)ペラッ

希(近過去……『街中を飛び回っていた』……?)ペラッ

希(ひょっとして"ゆめぬけ"でもしてたんかな)

希(街中となると……うちが気絶してる間にこの近くまで、来たのかもしれない)


希(あるいはうちのオリジナルカードによる占いも、もう曇ってるのかもな)

希(やっぱり大アルカナカードが一番やね……抽象的にしか分からんけど)


希(そういえばこの前、うちの恋占いをやったっけ)

希(あのときカードがうちに告げた"声"は、確か……)


希(『はじめに、可能性が見えて』)

希(『やがて、無理していた気持ちが爆発して、解放されて』)

希(『その後、欲望が抑えられなくなり、溺れる』)



希(……うち、もう溺れてるんかな)


絵里「――ねぇ、希。そろそろ寝ましょうよ」ひょこっ


希「……なにそのネグリジェ」


絵里「ふふっ、似合う?」


ヒラヒラ


絵里「さぁ、一緒のベッドで寝ましょ?」

希「っ……///」





希「……うん///」

――――――――――

――――

――2日後 園田道場前


花陽「ねぇ、ほんとにやらなきゃだめですか?」ヒソヒソ

ツバサ「仕方ないじゃない!」ヒソヒソ


ツバサ「なよなよの作戦が使えない以上、もうなりふり構ってられないのよ!」ヒソヒソ


花陽(……うまくいくなんて、思えません)

花陽(つばきゅんは、死ぬつもりなんでしょうか……)


花陽(……ひとには「生きろ」とか「自分を大事にしろ」とか言うくせに)

花陽(自分のことは、いつもそう……)

花陽(花陽の気持ちとか、考えてないんでしょうか?)


ツバサ「ほら、はやく」ヒソヒソ

花陽(……)


花陽「……じゃあ、縛りますよ」


しゅるっ


ツバサ「やさしく縛ってね」



花陽「……イヤです」ガシッ



ぎゅうううっ!


ツバサ「!?」ギチギチ

――――――――――

――道場内部


海未「――話は分かりました」




花陽「……はい」

花陽「以上が、この小泉花陽が、逆賊・綺羅ツバサを捕らえ」

花陽「そして尋問により聞き出したことの全てです」



海未「よくやりました、花陽」


花陽「まったく、威勢がいいのはオデコだけでしたよ、こんな元B級」ペチペチ

ツバサ「……こんなナヨナヨした小娘に捕まるなんて、私も落ちたものね」ギチギチ


ツバサ(くっ、こんなキツく縛らなくても……)ギチギチ


海未「……本当に、その者が穂乃果の神通力を奪いとったのではないと?」

花陽「私の能力で綺羅ツバサの夢を映して確認したので、間違いありません」


海未「しかし今の穂乃果は、あれではまるで……」

海未「……普通の女の子です」



ツバサ(普通の女の子?)ピクッ


ツバサ「ちょっと、それのなにが悪いの――」


花陽「――口を慎んでください綺羅ツバサ。前髪切りますよ」ギュッ

ツバサ「ちょっ……!?」バタバタ


海未「……綺羅ツバサ」

ツバサ「なによ」


海未「穂乃果は、特別な女の子であり、特別な存在です」

海未「人を惹きつける魅力……カリスマ性という言葉では片付きません」


ツバサ(前に英玲奈も似たようなこと言ってたわね)


海未「一度見た者の心を惹きつけ」

海未「一度触れた者の身体を虜にする」

海未「それだけではありません……本当に、"本当に"特別なのです」


ツバサ「?」ギチギチ





海未「……世界を統べる器です」


海未「みなが穂乃果を想い、みなが穂乃果を愛する」

海未「その心で、この世の中はひとつになれます」

海未「悲しい争いも、醜い争いも、きっとなくなります」


海未「『みんななかよし』の世界――」


ツバサ(その思想は、たしか……)


海未「――我が妻となる人も、それを望んでいます」


ツバサ(……南、ことり……)


ツバサ「本気なの?」ギチギチ


花陽「(ことりちゃんは、この前アメリカのホワイトハウスまで飛んでいきました)」ぼそっ

花陽「(そして次のターゲットはロシアの首脳。ことりちゃんは本気です)」ぼそぼそ


ツバサ「頭おかしいわ……」


海未「穂乃果は、『みんななかよし』の世界の象徴として」

海未「神格化させるに相応しいだけの器なのです」

海未「絶対不可侵の……神聖な存在なのです」



ツバサ「(んーっ!)」モゴモゴ

花陽「(黙ってて下さい、本当に!)」


海未「花陽、その者を離してあげなさい。縄も解いてもよいです」

花陽「え?」

海未「穂乃果から力や記憶を奪いとったのがその者ではないのであれば」

海未「そのことについて、もはや責を問うことはありません」

花陽「は、はい」


しゅるしゅるっ


ツバサ「……ふぅ」コキコキ




海未「ですが――」ヒュッ――


――カラン



海未「――護衛の任務を果たせなかったおとしまえは、つけさせてもらいます」



海未「血が染み付いたナイフ、お返ししましょう」


海未「決闘です」


ツバサ「決闘……決闘ね」コトッ

ツバサ「もう私、決闘ルールに則る立場じゃないわ」スッ

ツバサ「ルールブック、破って返却したはずだけど?」ギラッ!


海未「ならば『私闘』ということになりますね」

ツバサ「"私闘"、ね」



海未「あなたの実力はよく知っています」

海未「ルールはこうしましょう……私は一射だけ矢を放ちます」

海未「あなたは何をしても構いません。避けようと、防ごうと」


海未「放った後……あなたが倒れずにいられたのなら、あなたの勝ちです」

海未「今後一切の干渉はいたしません」


ツバサ「負けたらどうなるの?」


海未「再び組織のために働いてもらいます……」

ツバサ「え?」


海未「もちろん、絶対服従を誓ってもらいますが」

ツバサ「話がよくわからないわ」


海未「気にすることはありません」

海未「……もし生きていたら、の話ですから」スッ


花陽(――――っ!)ゾクッ


海未「さあ、はじめましょうか」

ツバサ「私はサバイバルナイフを持ってるけど、あなたは?」

海未「愚問ですね。いきますよ」


すぅぅっ……



ツバサ("見えない矢"……今なら仄かに、見える)

ツバサ(一度、私自身が"目には見えない世界"をすり抜けたから?)


ツバサ(あの矢は"感情の糸"でできているというけれど)ビリビリ

ツバサ(糸なら、このナイフで切れないかしら)ヒュンヒュン!




花陽(今まで感じたこともない迫力――っ!)ビリビリ

花陽(殺気を、矢の形に編み上げている――)

花陽(だめ――――つばきゅんダメっ!)



花陽(そんなのが当たったら、死んじゃう――――っ!)


海未「最期に言い残すことは?」

キリキリ




ツバサ「私闘……私闘ね。いいわ」


ツバサ「だってこれはもともと私の――"Private Wars" だもの」


ツバサ「あなたたちの言う、悲しい争いのない世界? 素晴らしいじゃない」

ツバサ「きっと天国みたいな世界ね。夢のようだわ」


海未「……」



ツバサ「でも今もこうして、穂乃果を巡って私たちが戦っているように」

ツバサ「生きている限り、争いは無くならない……どんな生物だってそう」


ツバサ「糧を奪い合い、愛を奪い合い、光を、場所を、命を奪い合う」

ツバサ「何かを奪うこと。それは生存競争の基本でしょ?」

ツバサ「生きることの悲しみや苦しみの根っこは、きっとそこにあるのね」



海未「世迷い言を……」キリキリ



ツバサ「だけどその悲しみに足を止めてしまったら」

ツバサ「それこそ矢に刺されて倒れるしかないわ」

ツバサ「永遠に、その場所にね」



ツバサ「だからこそ――――」


ギラッ!



ツバサ「『ファイトだよ』、綺羅ツバサ」



海未「――"ラブアローシュート"」



――バシュッ!!!


ツバサ「っ!!」



――ドスッ!!



ツバサ「――――」ふらっ



花陽(直撃っ!? あんなの花陽の"ガラスハート"だって受け切れ――)



ツバサ「――――」


《害を為した者よ 消えなさい》


ツバサ(これは――彼女が矢に込めた想い)


《私とことりの悲願 穂乃果を傷つけるものがいない世界のために》


《砕け散り 粉々になり 消えなさい》



ツバサ(これが彼女の心の声)



《穂乃果の笑顔は 私とことりが守る》


《穂乃果 穂乃果 穂乃果っ――――》




ツバサ(私の中の――――命の輝きが消えていく――――)ゆら……


……フッ



海未(倒れる前に息絶えましたか)


ツバサ(――光は消え――何も見えない――)



――うん……海未ちゃん、好き、好きぃ……



ツバサ(穂乃果の声――誰の記憶――?)



――ファイトだよっ!



ツバサ(だけどもう――――心は砕け……光は、消滅)




――きっとツバサちゃんの心はね


――ダイヤモンドなんだよ!



ツバサ「――――」



――穂乃果の中で、輝きを失ったり……














ツバサ「――――しないんだ!!!」ダン!!


海未「なっ!?」


花陽「つばきゅん!!」



ツバサ「わたしの…………」ハァハァ



ツバサ「…………勝ちね」ハァハァ



海未「あなた、矢を受けたとき死んだのでは……」


ツバサ「そうかもね」ハァハァ



海未(これは絵里と同じ力……?)

海未(いや、穂乃果の神通力……!?)



ツバサ「はぁ、はぁ……」ポロッ


――カラン


海未(まさか、あの血の染み付いたナイフで私の矢が切られた……!?)



海未(わからない。どれも、ありえない)

海未(しかし……)



海未「……勝負は、勝負です。私たちは正々堂々と決着をつけました」

海未「もう二度と会うことは――」


ツバサ「――まだよ!」


海未「なんですか?」


ツバサ「……『穂乃果の笑顔を守る』」


海未「っ!」


ツバサ「いいえ、『取り戻す』」


ツバサ「そうでしょ? 園田海未」


海未「あなたは……」


ツバサ「そのために、手を取り合いましょう」


ツバサ「私たちは、前に進むのよ」


――――――――――

(おやすみ)

――――――――――


海未「――それで、元に戻す方法とは?」


花陽「ことのはじまりは、穂乃果ちゃんの神通力のひとつ……」

花陽「……"願いを叶える力"の暴走によるもの、だと思います」


海未「しかし穂乃果を見ると、とても望んでやったようには見えません」


花陽「神通力はどれも……穂乃果ちゃん自身でさえ、制御はできていませんから」

花陽「その力が、希ちゃんの言う"星の力"と、呼応してしまったのでしょう」


ツバサ(星の力……わが上なる輝ける星空……)


花陽「……だから再び、その力を引き出し、制御します」

花陽「かなりテクニカルなことなので、希ちゃんの能力が必要だと思いますが……」


ツバサ(対となるのは、わが内なる……か)


花陽「穂乃果ちゃんと心を糸で繋げて、希ちゃんの"律する力"でコントロールします」

花陽「あの神通力は本来、希ちゃんクラスの技術者の制御下で使われるべきです……」


海未「"星の力"は?」


花陽「……"星のカード《THE STAR》"」

花陽「希ちゃんの持つ大アルカナには、一枚一枚、力が宿ってますから」

花陽「それで代用できるはずです」


海未「わかりました。指令の達成といい、花陽は本当によく働いてくれましたね」


花陽「それなら……」

花陽「……ご褒美を、ください」


海未「そういえば最近まで序列を最下位に置いていましたね」


花陽「それはいいんですよ。花陽は戦闘員じゃありませんし……」

花陽「花陽の力も……相手を倒すために修めたものではありません」


海未「何を望みますか?」



花陽「穂乃果ちゃんと寝させてください」

ツバサ「はっ!?///」



花陽「この敷地にいるんでしょう?」

海未「いいですよ。居住スペースの寝室にいますので」



ツバサ「はぁぁっ!?///」


――――――――――


ツバサ「なよなよ……行っちゃった……」ガクッ


海未「どうしたのですか?」


ツバサ「うそよ……なよなよが、そ、そんなこと……」グスグス


海未「とりあえず希と連絡を……」


ツバサ「うぅ……」グスグス

海未「……」




海未「あの……こんなこと、あまり言いたくはないのですが」

海未「あなた、わりと妄想が激しいのでは?」


ツバサ「……」グスグス


海未「ほ、ほら……元気だしてください」なでなで


――――――――――

――敷地内 寝室


コンコン

花陽「失礼します」ガチャ




穂乃果「すー……、すー……」zzz.

ことり「……」ナデナデ




花陽「……『ことりちゃん』」



ことり「……」


ことり「なよちゃん」


花陽「……花陽も一緒にお昼寝してもいい?」

ことり「え?」


花陽「綺羅ツバサ。花陽が捕まえたから、そのご褒美だよ」


ことり「そうなんだ。そっかぁ、なよちゃんが捕まえたんだ」

花陽「……うん」


ことり「――ことりも、頑張ったんだけどなぁ」


花陽「っ……」



花陽「……やっぱり、綺羅ツバサを引きずり込もうとしたんだね」


ことり「ツバサちゃんは仕方ないよ」

ことり「穂乃果ちゃんを傷つけたんだから」


花陽「真姫ちゃんは?」


ことり「え?」

花陽「神かくし、したでしょ」

ことり「そうだね……たぶん、ことりがやったのかなぁ」


花陽「……」


ことり「『争いはだめだよぉ、みんなで仲良くやろぉよぉ』」

ことり「夢の中でね、そんなふうに声をかけたような気がするなぁ……」


花陽「確かに真姫ちゃんは、一匹狼というか」

花陽「組織に反発的なところ、あったね」


ことり「うん」


花陽「でもその影で……穂乃果ちゃんのために色々、手を焼いていて」

花陽「穂乃果ちゃんはそのこと、気付いてなかったけど、花陽は知ってたよ」

花陽「……真姫ちゃんは人知れず、奮闘してたんだよ?」


ことり「ことりも知ってたよ」

ことり「でもね……抜けがけは、いけないことだよ」

ことり「だからことりは、『お友達になろう』って声をかけたんだと思うな」


ことり「ことりは真姫ちゃんが好きだから、ちゃんとお友達になりたかったの」

ことり「真姫ちゃんも『そう、よかった』って、納得してくれたよ?」


花陽「それは、傷心につけこんだんじゃないかな」


ことり「確かに、夢の中で泣いてたかも」

ことり「だから幸せにしてあげようとしたんだと思うよ」


花陽「じゃあ……」









花陽「……花陽のことは、どうして?」


ことり「え?」


花陽「花陽を引きずり込もうとしたのは――」


ことり「し、知らない……」

ことり「そんなこと、するはず……」


花陽「……ことりちゃんは、自分がどんな夢を見たか、覚えてる?」


ことり「覚えてるときとそうでないときがあるけど」

ことり「みんなそうでしょ?」


花陽(――やっぱり、無意識だったんですか)



花陽「なんで、あんなこと」

ことり「わからないよ……」


花陽「よく考えてみて……ことりちゃんは花陽のこと、どう思ってる?」



ことり「…………」


ことり「……心当たりが、ひとつだけ、ね」

ことり「これは、嫉妬なのかなぁ……」

花陽「嫉妬?」


ことり「――『なよちゃんは自分だけの世界を持ってていいなぁ』って、思ってた」


花陽(花陽の《孤独なHeaven》のことですか……)



ことり「ことりは、ああいう世界が羨ましくて」

ことり「でもなよちゃんみたいに、持ってないから」



ことり「――だから、穂乃果ちゃんを中心にした『新しい世界』を作ろうと思ったの」



ことり「なよちゃんだけの場所みたいに、悪意が存在しないきれいな世界」

ことり「ことりは血で汚れた世界なんて、イヤだから」

ことり「そんなの、穂乃果ちゃんにもふさわしくないよ」



花陽「……そういうことだったんだ」




花陽(――やっぱり、全部花陽のせいだったんですね)


花陽「ことりちゃんの世界がないのなら――」

花陽「抜き出した真姫ちゃんの夢は、どこにあるの?」


ことり「わからない……」



花陽「……いいかげんだよ」

花陽「ことりちゃんも、『海未ちゃん』も、いいかげんだよ」

花陽「自分がどんな力を使ってるのか、全然わかってないよ」



花陽「ことりちゃんに悪気はないのは、わかるけど……」

ことり「悪気なんて、持ってるわけないよ」



花陽「花陽がことりちゃんに見せたのは、ゆめぬけの、初歩の初歩だけ……」

花陽「誰かを強制的に"ゆめぬき"するようになるなんて、思わなかった……」

花陽「色々とむちゃくちゃだけど……夢の中じゃ、ことりちゃんの"声色"、防げないもんね」

花陽「希ちゃんなら、平気だろうけど……穂乃果ちゃんの神通力に、耐性があるみたいに」


花陽「……」


花陽「……初歩の初歩しか教えてないのは、希ちゃんも」


ことり「でも、海未ちゃんはあんなに――」


花陽「希ちゃんは、力の大部分を……みんなに隠してる」

花陽「だって、花陽の得意分野でさえ、希ちゃんには歯がたたない……」


花陽「――ゆびあみも、本当は、あんなものじゃない」


花陽「希ちゃんは決して言わないけど……あれはきっと、その気になれば、もっと……」


ことり「ふぅん……おそろしいね」

花陽「……」


花陽「海未ちゃんがやっているのなんて、希ちゃんからすれば、ただ感情の糸を編んでいるだけ」


花陽「花陽は……いまなら、分かるよ」

花陽「絶望したときのことりちゃんに、きれいな夢の世界を見せてあげたのは、間違いだったって」



花陽「――ごめんね。いいかげんだったのは、花陽もおんなじ」



ことり「え?」

花陽「花陽もね、つばきゅんに教えてもらったの」

ことり「つばきゅん?」


花陽「うん」スッ


きゅっ


花陽「……ことりちゃん、きれいな手だよね」


ぷにぷに


ことり「あ、あの……///」


花陽「ことりちゃんが悪意を持ってない人だって、ちゃんと知ってるよ……」

花陽「花陽はね、ことりちゃんのきれいな手、大好きだったの」プニプニ


ことり「……?///」

(ここまでだにゃ)


穂乃果「おまたから血がでた……」グスグス

関係してる酉無し(※くそすれ)はこれだけだにゃ
気分的には、南嬢たちの『新世界』の話だにゃ。気分的には。

また10本の節目の20本目くらいにまた振り返りスレでもやればいいかにゃーって。わりともうすぐな気もするし……
(どうしたものか色々考えてはいるけど、現状お便りがめちゃくちゃ溜まってるにゃ。スルーじゃなくてストックしてるにゃ)
このスレは「こんなごちゃごちゃしたのはもう二度と出来ないかも」って思っちゃって、過剰に時間と力が使われているにゃ……


――――――――――

海未「……一応教えておくと、花陽には生えていませんよ?」なでなで

ツバサ「えっ!?」


ツバサ「だって『A級以上のランカーはみんな生えてる』って」

海未「確かに一度は全員生えたのですが……」


海未「……いや」

ツバサ「?」


海未「ひとりだけ……希だけ『神通力に抵抗力がある』らしく生えたことがありません」

ツバサ「神通力って……まさか」


海未「穂乃果に気に入られた者はみな、不思議と生えてしまうのですよ」


海未「花陽が言うには、アレは『穂乃果の無意識の願いがカタチになったもの』」

海未「……穂乃果の神通力が、物質化したものだという話です」


海未「もちろん穂乃果はそのことを知らないというか、制御も自覚もしていません」

海未「『自分が気に入った人にはみんな生えてるはず』くらいにしか思ってないようです」


ツバサ「それで、みんなに生えてしまったあとどうしたの?」


海未「大体の者は『それが穂乃果の願いならば』と受け入れました」

海未「ただ、多少性格の変化があったというか、ことりに言わせれば『みんな闘争的になった』とか……」

海未「ランカーはみな、それまでより格段に強くなったので組織としては望むところでしたが」

海未「花陽とことりだけは、どうしても嫌だったらしく……」

海未「……花陽は、自力で解除したようです」


ツバサ「解除?」

海未「『獏さんに食べてもらいました』とだけ報告を受けています。獏なんて、どこで飼っているのか知りませんが」

ツバサ「ふぅん……南ことりはどうなったの?」


海未「本当にショックだったらしくて……深く傷ついていました」

海未「あの頃のことりは『この世の終わり』みたいな絶望に包まれていて、私も見てられませんでした」


海未「詳しくは知りませんが、同じく見かねた花陽がなんとかしてあげたようです」


海未「報告によると『獏がなよちゃんにしか懐いてくれなくて、自力で真似しようとしたら……』」

海未「『……カタチを変えてどっかにバサバサ飛んでいった』、らしいです」


ツバサ(こわい)


海未「しかし不思議ですね……何故あなたは生えないのでしょうか?」

海未「穂乃果とあのような形でひきあわせたら、経験上確実に生えると思ってましたのに」


ツバサ「え……」


海未「部外者の穂乃果への接触を制限している理由のひとつは、そうした『神通力の洗礼』があるからですが」


海未「……ふむ。生えてないのですよね? 納得できません」さわさわ

ツバサ「~~~~っ!?///」ばっ!


ギラッ!


ツバサ「次触ったらナイフで刺すわよっ!?///」プルプル

海未「ただのボディチェックですが……そうですか」


海未「今はとにかく、希に話をつけましょうか」pi.pi.pi


――――――――――

――希の部屋(ベッド)


希「はぁ……はぁ……///」ぐったり

絵里「のぞみぃ……♥」べったり


ごそごそ


絵里「もう一回しましょ?」くいくい

希「だ、だめっ」


絵里「♥」サワサワ

希「あっ///」ビクッ


希「なん、で」ハァハァ

希「こんな、時間、からっ!///」カァァ


絵里「あら、素敵じゃない」モミモミ

希「ひんっ!///」


絵里「朝もなく、昼もなく、夜もなく」ツンツン

希「そこいじっちゃ……っ!///」


絵里「カーテンの閉じた、太陽の昇らない部屋で」スリスリ

希「や、やめてってば! もう、うち怒るよ!?」ジタバタ


絵里「永遠に、私と希だけの世界が続くの」チュッ

希「んっ……♥」


絵里「ちゅ……はむ」ハムハム

希「~~~っ♥」


絵里「そういうのって素敵だと思わない?」にこっ

希「……///」クテー


~~♪

希「」ハッ

希「……う、海未ちゃんからメールや///」


絵里「ほっときなさいよ、そんなの」

希「……」pi.


希「……」

絵里「ねぇ、希……私は希さえいれば何もいらないの」べったり

希「ああもう、離れて///」

絵里「できないわ」べったり


希「……そうやったな」

希(うちと繋がった糸がますます絡まっちゃったから……)



希「えりち、本当に……」

絵里「ん?」モミモミ

希「ちょっ、いま真面目な話を……///」


希「本当に、なにも……」

絵里「いらないわ」


絵里「希は……そうじゃないの?」うるっ

希「……っ///」


希「うちは……うちも」

希「……なにもいらない」じわっ


希(今がずっと続けばいいって、思ってる)

絵里「♥」すりすり

希「ん」なでなで



希「…………」





希「……」pi.pi.pi


――――――――――

――穂乃果のいる寝室


穂乃果「すー、すー」すやすや



花陽「つばきゅんはね」ぷにぷに

ことり「う、うん///」


花陽「いつも洋楽を聴きながら、輸入ナイフと思想書を携えていて」

花陽「ファミレスではブラックコーヒーばっかり飲んでて」

花陽「白の制服を黒く染めて怒られたことがあって」

花陽「そのあとの新曲でステージ衣装を決めるときに『黒しかありえない』と趣味を持ちだして」


ことり「え」


花陽「間違った世界や自分の運命を相手に"個人的な戦争《プライベート・ウォーズ》"をしていて」

花陽「説教が始まると上から目線のてんこもりでうっとおしいときもあるし」

ことり(変な人)



花陽「……でも、特別な才能を持ってる」

花陽「一度ステージに立てば、たとえモニター越しでも観客の目や心を一瞬で奪うだけの輝きを持ってるの」


花陽「でもどんな輝かしいライブでも、終わりがくるように」

花陽「自分の命にも、いつか終わることを……よく知ってる」

花陽「そんな死に満ちた世界の中だからこそ、自分の命をどう輝かせるかを、いつも考えてる」

花陽「自分が生き残るためには、敵の命を奪うことも恐れてはならないんだって」


ことり「……どうして、ツバサちゃんはそんな風に考えるようになったのかな」


花陽「つばきゅんはね……UTX選抜戦で蹴落としてしまった、仲間のこと――」






花陽「――ほんとはすごく気に病んでるの、花陽はよく知ってるんだ」

ことり「UTX選抜戦……?」


花陽「将来のエリートたちが集まるUTXで繰り広げられる、過酷な戦い」

花陽「たった3つの席を奪い合う……競争なんだって」

花陽「そんな生存競争の世界を、つばきゅんは確かに生き残った」


ことり「音ノ木坂ではそんな競争なんてないもんね」


花陽「いつかファミレスで『私の手は汚れてしまったのよ』なんて気取った言葉を吐いてて……」

花陽「花陽は、そのときは意味わかんなかったんだけど」


花陽「きっとあれは……自分が蹴落としてしまった、仲間のこと――」


花陽「自分が生き残るために奪ってしまった、仲間の未来のことを……」

花陽「……」


ことり「仲間を、そんなふうになんて」


花陽「……悼んでるんだよ。自分の手で奪ってしまったものの重みをしっかりと背負って」

花陽「『その分まで自分が輝くしか無いんだ』って」


ことり「なんだか、都合がいい考え方に聞こえるよ」



花陽「誰かを傷つけるのは、自分が傷つくよりもつらいこと」

花陽「きっとつばきゅんはそう思ってて……甘くなると自分が傷つく方を選んじゃう」

ことり「自分を?」


花陽「でも、そんなことをすると、後で弱気になっちゃって……戦いなんて、やめたくなるんだろうけど」

花陽「今まで散々奪っておいて諦めるだなんて、それこそ都合がいい考え方だよ」

花陽「……矢だって飛んでくるよ」

ことり「?」


花陽「花陽はA-RISEの綺羅ツバサが好きだったから――そんなの許せなかった」

ことり「……なよちゃん?」


花陽「一度ステージを降りようとしたつばきゅんを引き戻したのは、花陽の醜いエゴ……」

花陽「それが自分でわかったから、『もうきれいな花陽ではいられない』って消えたくなったけど」

花陽「……つばきゅんは、生きている花陽が好きだと言ってくれたの」





花陽「花陽は、つばきゅんの手が好き」

花陽「血に汚れたナイフを握りしめながら、戦い続けようとする手が――大好き」

ことり「……」


穂乃果「すー、すー」



花陽「三人でお昼寝しよっか、ことりちゃん」


――――――――――


pi!

海未「――さて、希とも連絡がとれました」

海未「『話をするなら河原がいい』とのことでしたので、行きましょう」



ツバサ(河原? もしかして、私が星空凛に打ちのめされたあの橋の下?)



『穂乃果ちゃん、ね』

『ねこちを倒せたら、考えてあげるよ』

『うちとここで会ったこと、海未ちゃんにバラしちゃだめよー』



ツバサ(東條希は、なんだか私にまた戦わせたがっていたみたいだし)

ツバサ(待ち構えているのかしら、ファミリーで)

ツバサ(……)

ツバサ("ぞっとするような集会《ショッキング・パーティ》"ね)

ツバサ(ノンストップ・マイ・ダンシング……だけどもう、二度と止まる訳にはいかない)



ツバサ(そう、私は死ぬまで踊り続けるの)

――――――――――――――

――――――――――

――河原(橋の下)


海未「希、いませんね」


ツバサ「いや……『来る』」ジッ

海未「え?」

ツバサ「何故かよくわからないけど……『見える』」キィィ





ツバサ「『敵意を持って、やってくる』」

(ここまでだにゃ……もうすぐ終わる、はず……)


――――――――――

希「――おまたせ」


ツバサ(ひとり……?)

ツバサ(いや、影はひとつでも感じる気配はひとりじゃない……)キィィ

ツバサ(園田さんの矢と同じ、光の糸……だけどもっと強い光が見える……)



海未「希、さっそくですが穂乃果をもとに戻すために――」













希「――嫌って言ったら?」スッ

海未「え?」


ツバサ(あれは……タロットカード?)


パラパラ


希「こんがらがってしまったうちとえりちの関係」

希「穂乃果ちゃんの力があれば、すぐに解決させてしまうんだろうけど――」



希「……ずっと心の奥に押し込んでた……」

パラパラ

希「押し込めすぎて、ずいぶん形が歪んじゃったけど――」


希「やっと実った恋心なんよ」ヒュッ


ヒュンヒュン



ツバサ(なよなよの折り鶴みたいにカードが宙に浮いて東條希の周囲を回ってる)

ツバサ(あの折り鶴を飛ばせていたのは、たしか"紙に折り込んだ動物の夢")



ヒュンヒュン



ツバサ(……じゃあアレは何? なんなのよ、みんな)






希「――もう邪魔は、させない」


ヒュンヒュンヒュン…


海未(もしかしてあれは本当に戦闘用のタロットカードなのでは?)


海未「……なんのつもりですか? まさか戦いでも始めると?」


希「なんで海未ちゃんはツバサちゃんと手を組んでるのかなあ」


海未「穂乃果のためです! そのカードをしまいなさい!」


希「海未ちゃんを傷つけるつもりはないよ。仲間だし」

希「うちはむしろ海未ちゃんの命令に従うだけ……」チラッ


希「綺羅ツバサ――『始末せよ』って言われたからね。確かに脅威だわ」


ツバサ「っ!?」


希「ツバサちゃんの未来を占ってあげる」


ヒュンヒュンヒュン!


海未「あれは死神のルーレット……」


希「死神の力が宿ったカードが当たる確率は、22分の1……」

希「一度に三枚まで使えるけど、普通は当たらないから安心して」



ツバサ(死神の力? なんにせよ戦うつもりなら)スッ

ツバサ「ただの紙でしょ。ナイフで切っておしまいだわ」ギラッ!



海未「い、いけません! あれは本当に――」



希「恋は盲目って本当なんだね。うちはもう、何も見えないけど」


ヒュンヒュン――


希「――ツバサちゃん。その目はどう?」スッ…


――パシッ!



ツバサ「え?」



ピラッ




希「一枚目――"太陽"の逆位置は――」ゴゴゴゴゴ…


――ずぶずぶ





希「"神々の黄昏《ラグナロク》"」


――ずぶずぶ



海未(太陽が力を失ったように沈んでいく……やはりあれは……!)

ツバサ「夕日? まだ昼よ!?」



――ずぶずぶ


希「すっかり暗くなっちゃったね。もうここは、影の世界」

ツバサ「意味分かんないわ……」



希「なぁツバサちゃん。μ'sっていうのは、9人の女神なの」

ツバサ「知ってるけど」



希「だからツバサちゃんが最初にやったことは……」



希「罰当たりな――"神殺し"」




ツバサ(神殺し? 最初にやったこと……?)


ヒュンヒュン――



希「だから恨むのは間違ってるよ、"神殺しの綺羅ツバサ"」――パシッ!

希「ニ枚目……」スッ








希「――残念、大当たり」ピラッ

海未(死神のカード――――ッ!!)





ツバサ「――――」ふらっ


バタン!


海未「ツバサっ!」


希「ワンダウン。もし決闘ルールならこれで決着やね」

海未「ワンダウンって……あなたその力は……!」



希「ツバサちゃんは死んでない。いや、一応死んだのかな?」

海未「は?」




ツバサ「……っ」ググッ


ツバサ「なんなのよ一体……っ!」ハァハァ




希「ほらね」

海未「え……あれ……?」


希「うちの目の力を奪い……」

希「えりちの不死の力を奪い……」

希「他にはなにを奪ってきたんだろうね」



ツバサ「なんのことかしら?」ハァハァ

ツバサ「なんにせよ、そんなもので私の命は終わらないわ」



希「うちの死神はいい死神なのに……」

希「ちゃんと輪廻にのせてあげるし。誰かさんと違って」



――ばさばさっ!


海未「誰ですかっ!?」



――ほー、ほー


希「お、ことりちゃん……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――カー、カー


希「それと……花陽ちゃん?」


希「そっか、ふたりはやっと仲直りできたんだね。長かったわ」



――カー、カー


希「花陽ちゃん……そんな真っ黒になっちゃって」

希「カラスか。らしくないんじゃない?」


希「箱庭の楽園にひきこもるのはやめたん?」

希「"孤独なHaven"……天国なんだっけ?」


――カー、カー!


希「天国……あっちに行く度に死んでるようなもんやん」

希「花陽ちゃんがこっちの世界で生きづらいのはよくわかるけど……」


希「あんま使い過ぎはよくないと思うよ? 現実の影が、薄くなっちゃう」

希「その力を使うと現実世界とのシンクロ率が下がっちゃうんだよ」


希「ことりちゃんだって花陽ちゃんの天国をモデルにしたからあんな能力に……」


――ほー、ほー


希「ことりちゃん。"夢の扉"また開けたんやね。うちからそれはしたら冥界の門だけど」


――ほー、ほー?


希「どこにつながってるかもしらない癖に、よくやるね」



――ほー、ほー……



希「真姫ちゃんをあっちに引きずり込んだり、生えてしまったものを切り離してばさばさ飛ばしたり……」

希「……穂乃果ちゃんに生えてしまったらしいけど、それってことりちゃんのせいなんじゃない?」


――カー! カー!


希「花陽ちゃんはことりちゃんと仲違いしてから、真姫ちゃんと会ってなかったね」

希「ずっとひきこもってたし」

希「箱庭の楽園……ガラスハートの傷を癒やす天国……」

希「真姫ちゃんの裁判にまつわる順番も誤解してるみたいだけど、仕方ないよね」


――カー、カー?


希「……真姫ちゃんは裁判で有罪だったから"見えないホノキチ"にされたわけじゃないんよ?」

希「まず"見えないホノキチ"にされたんだけど、海未ちゃんはそれがどういうことなのか分かってなかったから……」

希「海未ちゃんが真意を問いただすために裁判にかけたんよ」


――カー、カー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――ほー、ほー



希「ことりちゃんも自分の力、よくわかってない」


海未(ことりの力……?)


希「こそこそと抜け駆けしてた真姫ちゃんを、門だか扉だかをあけて引きずりこんだとき」

希「すでに穂乃果ちゃんの心の糸は、真姫ちゃんにからみついていた」


希「そして、穂乃果ちゃんの一部も一緒にひきずりこまれた」

希「……遠い星の世界に」



ツバサ「"遠い星"って……」


希「それ以来こっちに残されてた穂乃果ちゃんは、神通力を持った本体」

希「守り人のいない宝の山……」




――カー、カー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未『……本当に、その者が穂乃果の神通力を奪いとったのではないと?』

花陽『私の能力で綺羅ツバサの夢を映して確認したので、間違いありません』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――カー、カー




ツバサ「花陽の言うとおり、わたしは奪ってなんていない。あなたに命を奪われるつもりもない」


希「真姫ちゃんは失われて、穂乃果ちゃんの中の真姫ちゃんへの想いも巻き添えになって」

希「残りの部分の穂乃果ちゃんは、欲求不満になった。その想いが形になり、みんなに生えてしまった」



希「そして七夕の夜、ツバサちゃんは穂乃果ちゃんを殺した」


希「自分の目的のために、生者と死者を入れ替えた」

希「UTXで蹴落としてしまった仲間の分まで自分が輝くために、穂乃果ちゃんから神通力を奪いとった」

希「その力さえあれば、トップスターにでもなんでもなれるだろうから」




希「ツバサちゃんはさ、きっとどんな穂乃果ちゃんが相手でも味方なんだろうね」

希「……たとえ死者の穂乃果ちゃんでも」



希「そう……穂乃果ちゃんの神通力を奪った犯人は、ツバサちゃん」


――カー、カー


ツバサ「……」


――カーッ!


ツバサ「……」ハッ


ツバサ「適当な事を。よく回る口ね」



――ほー、ほー


海未「……」


――ほー


海未「……」ハッ


海未「……ブラフですね。私たちの仲間割れでも目論んでいるつもりですか?」


海未「さすがは希です。大した戦術じゃないですか」


海未「騙されませんよ」


――カー、カー!


ツバサ「花陽がね、私は穂乃果の力なんて奪ってないって証明してくれたわ」



希「花陽ちゃんは――なにを考えてるんだろうね?」


希「箱庭の楽園が大好きなひきこもりで、世間知らずで……」


ツバサ「?」


――カー、カー


希「そもそも外の世界の改変なんて、どう思ってるんやろか」

希「外の世界に興味なんて、ないんじゃないかなぁ」


――ほー、ほー


希「ことりちゃんの能力にも、それが色濃く受け継がれてる」


海未「希の世迷い言に興味はありませんが、ことりを侮辱するつもりなら黙ってませんよ」



希「花陽ちゃんの考えと、うちの考えはまた別だろうし」

希「どっちもまちがってるかもしれない……」

希「海未ちゃんも好きに考えたらいいんじゃない?」



希「ただね、穂乃果ちゃんを元にもどすってことは、死者と生者をまた入れ替えるってこと」

希「ツバサちゃんが殺した穂乃果ちゃんを、ふたたび生き返らせるってこと」



ツバサ「私は殺してない。そんなことするわけない。何度も言わせないで」



希「いまあちらがわにいる真姫ちゃんは本体だけど」

希「今回やって来た穂乃果ちゃんは、真姫ちゃんへの気持ちの部分だけ」


希「だから簡単に行ったり来たりできたわけだけど」

希「今あちらがわにいる本体の穂乃果ちゃんをひっぱったら、たぶん真姫ちゃんもくっついてくるよ」



希「そしたらまた、戦争になる。組織も壊滅する」

希「それでも元に戻したい?」



海未「やはり希は希ですね。口八丁で説得させてでも私たちを諦めさせたいと見えます」



希「ツバサちゃんが奪って入れ替えた、うちのよく見える目には……」

希「どんな未来が映ってるのか、興味あるけどね」


ツバサ「……」





ツバサ「……見えたわ。『100%ブラフ』ってね」チャッ

ツバサ「よくそんな嘘ばかり並べて、感心するわ」――ギラッ!


希「じゃあもう日が暮れるし、最後の……」パラパラ…

希「いくよ」ヒュッ!


ヒュンヒュン




――ばさばさっ!

――バサバサッ!


希「ごめん、邪魔しないでね」シュルシュル


ツバサ(また光の糸――何か編んでる――?)


希「"網《あみ》"」シュルシュル



バサッ!


希「悪いけど……つかまえちゃう」ギュッ



――バタバタ!

――(なんでっ!? すり抜けられない!)


ツバサ「今その網を切ってあげるわ!」ダッ!


――ギラッ!



ツバサ「はっ!」シュッ――



――バキーン!


ツバサ「なっ!? 私のナイフが折れて――」カラン!



希「うちの糸は、そんなんじゃ切れないよ」

希「海未ちゃんに教えたのは所詮、"感情の糸"……ゆびあみの、初歩中の初歩」

希「あんなもんで威力を出せる海未ちゃんもでたらめだけど……本当の奥義はこっち」



希「"記憶の糸"」


ツバサ「わ、私のクリスリーブ製・削り出しナイフ(シリアルナンバー入り)が……」ワナワナ



希「悪いけど、海未ちゃんも邪魔しないでね」シュルッ


バサッ!


海未「(ん――っ!?)」ギチギチ





ツバサ「許さない……」ゴゴゴゴ!


ツバサ「《プライベート・モード》……」ザワッ!




希「邪魔者もおとなしくなったし、最後の三枚目――」ヒュンヒュン


ヒュンヒュンヒュンヒュン――






ツバサ「"加速《アクセル》"」シュッ――!



――パシッ!



希「なっ!?」

ツバサ「奪ったわ……"星のカード"」ピラッ


希「うちの大事なカードを……!」

希「返さないなら――――!!」シュルシュル



ツバサ(またあの糸を編んでいる――網に捕まる!)

ツバサ(だけどもうナイフは――――)






海未『――――綺羅ツバサっ!』

海未『私の"矢"のように――――あなたも"ナイフ"をっ!』

海未『"あなたならできます"!!』



ツバサ「!」


ツバサ『――私の右手には、ナイフがある』すぅぅぅ


ツバサ『未来を切り開く――――すべてを切り裂く』シュルシュル


ツバサ『――ダイヤモンドのように輝くナイフが――』


――キラッッ!








希「"捕縛"!!」バッ!


ツバサ「"加速《アクセル》"!!」シュッ――!


――バサッ!



ツバサ《東條希の、心の糸が身体に絡みつく――》



――ねぇ、ツバサちゃん



ツバサ《触れた糸から彼女の――心の声が流れこんでくる――》



――うちはどうして、こんなところまで来てしまったのかな……



ツバサ《とても熱くて、とても冷たくて――》



――こんがらがってしまって、もう自分ではほどけない糸を、どうか……



ツバサ《とても切なくて――》



――どうか、ぜんぶ切ってくれないかな



ツバサ《悲しい声》







――ザクッ!



――――――

――――――――

――――――――――――



~~~~~~~~~~~~~~


 ――数日後 園田道場―― 


~~~~~~~~~~~~~~



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ツバサ「――穂乃果を連れて移動したのち、夜の海辺にて東條希から奪った"星のカード"を使い」

ツバサ「"元の世界に戻りたい"という穂乃果の明確な思いをもとに"願いの力"を十分に引き出したところ……」

ツバサ「無事、元の穂乃果に戻りました」


海未「報告ご苦労様です」

海未「穂乃果の願いは叶ったのですね。よかったです」


海未「しかし……よく穂乃果の力を制御できましたね?」

ツバサ「ええ、まあ」




ツバサ「……西木野真姫はどうなりましたか?」

海未「花陽の報告によると、ことりと協力して元に戻したそうですよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ツバサ「……」


ツバサ「その……東條希は?」



海未「まだ記憶が混乱しているようなので様子見をしていますが……」

海未「記憶を失う前の"虚偽報告"のペナルティで、C級降格に処してあります」


海未「絵里と凛も、穂乃果を想う気持ちは本物ですが……」

海未「あのまま戦わせることはできませんし、A級からは外してあります」


海未「これから……組織の建て直しは大変です」



ツバサ「私も本日は忙しいのでこれで」ペコリ

ツバサ「A-RISEのところにテレビの取材が来るんです」

ツバサ「放映、穂乃果も楽しみにしてくれているはずですし」クルッ



海未「あなたを新たなA級第一位に据えたいとお伝えしましたが」

海未「お返事を聞かせてもらえないでしょうか?」



ツバサ「……」


ツバサ「……受けましょう」

ツバサ「穂乃果の幸せを探すお手伝い、させてもらいます」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ――いつかの時間 どこかの場所―― 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

凛「――だからね、凛に生えちゃってた間はね」

凛「なかなかこうして、3人でゆっくり食卓を囲めなかったの」


希「ふうん」


凛「凛のせいんだけど……ごめんなさい」シュン


希「いいって。うち気にしてないよ? 覚えてないしなあ」ナデナデ



凛「ぞーみんもかしこい先輩も……なんで忘れちゃってるの?」

希「忘れるような記憶なんて、きっとどうでもいいことだって」



絵里「――ごはんできたわよー! 凛、運んでちょうだい!」


凛「はーい」パタパタ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

絵里「こっちはホットサンドイッチよ!」

絵里「いつか愛しの穂乃果のために作ってあげようと思って、練習してるの」テレテレ


希「へー、いじらしいやん」

凛「凛たちを練習台にしないでほしいにゃ」




凛「……で、なに? こっち料理」

絵里「なにかしら……」




凛「焼肉と、チョコフォンデュみたいなの」



希「なんでそんなもん思いついたんかなぁ……」

絵里「なんでかしら……自分でもわからないわ、気付いたら作ってたのよ」

凛「正直まずそう」




絵里「でも冷めないうちにちゃんと食べましょう?」


凛「そうだね。いただきまーす」

希「いただきまーす」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

希「ん……」もぐもぐ

凛「やっぱりおいしくないにゃ」もぐもぐ


希「……」もぐもぐ



希「……」じわっ

希「……」ぽろぽろ




凛「ぞーみんが泣いてるっ!?」がたっ

凛「ど、どうしたの?」



希「チョコが……甘くて」ぐすっ

希「焦げが……苦くて」ぐすっ

希「なんか、なつかしい……味がして……」ぐすぐす




絵里「な、泣くほど不味かった? ごめんなさいね」シュン

絵里「もう作らないから、許して?」オドオド



希「ううん……」ぐすっ







希「……これ……おいしいなぁ」ぐすぐす





絵里「……また作ろっか?」



希「ううん……うちは……」ぐすぐす


希「今日だけで……満足だよ」




おわり


このスレの途中に立てたもの(酉つきのみ)


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