少女「あたしは可憐で不幸な乙女」 魔獣「……ガルル」 (6)

 <お山の麓> 

少女「ああ今日も、また面倒な山菜採りだわ」

少女「本当はサボりたいけれど、それはあの厳しいババッ……様が許さないの」

少女「ああ…! あたしは居候の身だから、しかたないと割りきって、せっせせっせと山菜採り……」

少女「……ちょっと独り言が過ぎたかしら」


少女「さあさあ、お仕事っと!」

少女「……」セッセッ

少女「……あれ、何か臭いが」クンクン

少女「? ……獣臭い!」

少女「こっちかしら、と」トテトテ

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ヒュオオオ…!

少女「……これは、洞穴ね」

少女「臭いがするのはこの奥のようだけど」

少女「どれどれー……」ソーッ


魔獣「……?」クルッ

少女「あら、真っ黒いのはあなたの背中だったのね」

魔獣「…!」サッ

少女「ああ、身構えなくとも、大丈夫……あたしは、ほら!」クルン

魔獣「?」

少女「猟銃なんて、持ってない」

少女「だからこっちへ、おいでなさい!」テマネキ

魔獣「……」ジーッ


少女「強情ねあなた……」

少女「いや、臆病ねっ!」

魔獣「…っ」ピクッ

少女「勇ましい前肢、構える尻尾、待ち受ける牙……それらはみんな、弱虫についているのね」

魔獣「ぐ……ぐる」

少女「かわいそう、いや、可愛そう?」

魔獣「ぐおっ…!」


魔獣「グルルゥー!!」ガーッ

少女「うわっ、割りと大きい声なのね」

少女「あなたにもプライドはあるのかしら」

魔獣「……」コクッ

少女「ふーん……というか、あなた」

少女「人語を解するの?」

魔獣「!!」シマッタ


少女「ふふっ、面白い!」

少女「じゃあ、あなたは今日から、あたしの話し相手ね!」

魔獣「ガッ……ガオーン!!」ブルブル

少女「それじゃあ、さっそく」

魔獣「……」

少女「あなた名前は?」

魔獣「…!」ブンブン

少女「一体、いつからここに?」

魔獣「…!」ブンブン

少女「年齢は?」

魔獣「……」ブン

少女「……性別は?」

魔獣「! ……ガウッ!!」コクコク

少女「……」


少女「もうっ! 会話にならないじゃない!」

少女「あたしは一体誰に話し掛けてるのか、分からないわ!」

魔獣「クゥーン」

少女「……まあ、そろそろ時間だし帰るわ」

魔獣「!」

少女「また明日ね、『よわけ』」

魔獣「……?」

少女「ああ、これは名前よ。弱い獣で、『よわけ』」

魔獣「ガッ!!」

少女「ふふっ」クスクス


少女「また!」フリフリ

 <藍色の屋敷> 

少女「戻りました」

夫人「……あら、貴女はぁ?」

少女「……えっ」

夫人「こんな小汚ない娘、見に覚えがァ……」

少女「……」

夫人「あっ、思い出しましたわ! あなたは嵐の日、うちの主人に倒れてるところを救われてやってきた、居候さんですねえ!?」

少女「……はい」

夫人「うふっ、ご苦労様……あとはいいから、お風呂にでも入りなさい? 獣臭いですよ…!」

少女「あ、ありがとございます」


少女 (ムカつくわ! この年増貧乳低血圧!!)

少女 (あたしにさえ劣る胸の分際で…! 挑発を…!)プルプル

少女「……」ウーン


少女「まあ、汚いのは事実ね。シャワーでも浴びようかな」

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