凛「かよちんがゾンビになっちゃった」 (61)


若干の鬱があります。
平気な方のみ楽しんでいって下さい。

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ー西木野総合病院ー


凛「......」

凛「......」

ガチャッ

凛「!!」

真姫「ふぅ...」

凛「真姫ちゃん!かよちんは...かよちんは...!!」

真姫「...凛、落ち着いてよく聞いて」

凛「...」

真姫「多分、聞いたらあなたはショックを受けると思う。私も今冷静でいられるのが不思議なくらいよ」

真姫「それでも聞きたい?」

凛「...うん。聞きたい」

真姫「そう...」


真姫「まず、花陽の意識の蘇生には成功したわ」

凛「...!それって...!」

真姫「ええ。花陽はもう目を覚ましてる。」

凛「さ...」

凛「さっすが真姫ちゃんにゃ!
すごいよ!じゃあかよちんはもう元通りなんだね!」

真姫「いいえ」

凛「え...?」

真姫「私は...西木野総合病院は、小泉花陽の意識の蘇生には成功した」

真姫「ただし...命は救えなかった」

凛「どういうこと...?
凛バカだからよく分からないよ...」

真姫「ここからが話の本番よ」


真姫「花陽は...死んだわ」

凛「...っ!」

真姫「でも活動はしてる。
体は死んでるのに心は生きてる。」

凛「つまり...どういうこと?」

真姫「平たく言うと花陽は...
ゾンビになったのよ」

凛「ゾ、ゾンビ...!?かよちんが...!?」

真姫「アンデットってやつね。
正直言って奇跡よ。死んだはずの人間がまだ生きているのと変わらないんだもの」

凛「それで...」

凛「それでかよちんは幸せなの...?」

真姫「...!」


真姫「それは」

真姫「...」

凛「...」

真姫「...多分苦しんでると思うわ...」

真姫「奇跡だなんて....!
綺麗事よ!私達は...取り返しのつかないことをしてしまった...!!」

真姫「奇跡なんかじゃない!これは失敗よ!人類史上に残る失敗!
命を扱う者として最大の失敗だわ!」

凛「真姫ちゃん...」

真姫「命を救えなかったくせに、楽にもさせてやれないなんて...。自分が今まで何をしてきたのか、自分がなんのためにあるのか本当にわからなくなる...っ」

凛「真姫ちゃん」

真姫「凛...私を罵ってちょうだい。
殴ってちょうだい...。私は、あなたの親友を人間でなくしてしまった」

凛「いいんだよ」


真姫「え...?」

凛「その代わり、凛をかよちんに会わせて」

真姫「...言うと思ったわ」

真姫「止めないわ、私にそんなこと言う資格は無いもの。ただし、一つ心配なの」

真姫「凛、あなた、ゾンビになった花陽を見て正気でいられる自信はある?」

凛「...分かんない」

凛「でももし、もしだよ?
凛がおかしくなっちゃったら、真姫ちゃんに凛を殺して欲しい」

真姫「...」

凛「出来るだけ痛くないやり方で、ね。...あはは」

真姫「...任せなさい。
ただ、あんたも頑張るのよ」

凛「うん」


初めは凛はすでにおかしくなってしまったのではないか、と考えた

しかしそんな考えを真姫はすぐに改める。

凛の目は、真っ直ぐに自分を見据えていた。しっかりと意思を持って私を見ている。

スクールアイドルの頃となんら変わらない。凛は未だ、いや、どんなことがあろうとも花陽を花陽として見れるのだろう。

真姫「来なさい。...この部屋よ」

凛「随分厳重に閉じられてるね」

真姫「最高機密と言っても過言ではないからね、それに...」

真姫「今の花陽は、人を襲うわ」

凛「...!」


真姫「かわいそうだけど、拘束してる。人を見ると噛み付いて来るのよ」

凛「噛まれたら...どうなっちゃうの?」

真姫「すごく痛いわ」

凛「...それで?」

真姫「それだけよ」

凛「...それだけ?」

真姫「ゲームの世界じゃないんだから、噛まれたらゾンビになったりなんかしないわよ」

真姫「それに筋力や咀嚼する力も前の花陽と全く同じよ」

凛「強くなったりしないんだ...」


凛「じゃあ、入るね」

真姫「危ないと思ったり、限界を感じたらすぐに出るのよ」

凛「うん...」

ガチャッ



花陽「......」

凛「...」

凛「かーよちん!」

凛「久しぶり!元気かにゃ?」

花陽「......」チラ

凛「あ、目があったにゃー!」

凛「かよちんは相変わらず可愛いね!」

花陽「......」


真姫「(さすが凛...ってところかしらね)」

真姫「(花陽も今日は落ち着いてるみたいだけど...)」

真姫「(どうなるかしら...)」


凛「ねえ、かよちん。
凛、久しぶりにお話がしたいにゃ」

凛「だってかよちん、事故があってから3週間も眠ったままだったんだよ?」

凛「凛すごく寂しかったんだから」

花陽「......」

凛「かよちん?」

花陽「オナカスイチャッタノォ...」

凛「え?」

花陽「お腹空いちゃったのォ!!」バッ

凛「!」

真姫「!!」

真姫「凛!離れなさい!」


凛「っつ....」

花陽「...」

真姫「(腕を...噛まれてる!)」

真姫「凛!振りほどいて!
早くこっちに来なさい!」

凛「真姫ちゃん!ご飯!」

真姫「は!?」

凛「白いご飯持ってくるにゃ!
急いで!!」

真姫「えっ、あ、あんた大丈夫なの!?」

凛「なんか意外と痛くないから平気!」

真姫「わ、分かったわ!待ってなさい!!」

真姫「もう、イミワカンナイ!」タタタ


凛「かよちん、凛の腕美味しい?」

花陽「ウウ...ゴハン...」

凛「あはは、ご飯じゃないよー?」

花陽「ウウ...」

凛「お喋り...できそうにないね」

真姫「凛!持って来たわ!お米よ!」

凛「あ、ありがとー。
かよちんの前に置いてあげて」

真姫「分かったわ...」

花陽「...ゴハン!!」パクパク



凛「うん、やっぱり。」

真姫「凛...」

凛「真姫ちゃん。この子は...。
この子はかよちんだよ。」


真姫「...凛、さっきも言ったけど、私は花陽より凛の心配をしてたの。
凛がショックを受けて壊れてしまうんじゃないか...って。」

真姫「でも、そんなのいらない心配だったみたいね。
むしろ凛。あなたは花陽じゃなくて、私を助けに来てくれたんでしょ?」

凛「...なんのことかにゃ?」

凛「真姫ちゃんのお陰で、凛はかよちんとこうやって一緒にいれてるんだよ。真姫ちゃんは立派なお医者さんにゃ」

凛「この子はかよちん。
ゾンビなんかじゃないんだよ。」

真姫「...そう、よね...。
ごめんなさい。ごめん、凛、花陽」ポロポロ

凛「うん。いいよ」

真姫「う...ううっ....。
ごめんなさぁい....二人とも.....」ポロポロ

凛「いいんだよ。いいんだよ」ギュッ


凛「真姫ちゃん。凛、かよちんと一緒にいたいな」

真姫「...それは言うと思わなかった」

凛「だってかよちんは生きてるし...
こうやって死んでるけど生きてるし、だったら凛はかよちんをほっとけないよ」

真姫「でも凛、花陽は花陽だけど、前の花陽と違うのは事実よ」

真姫「戻そうっていうの...?」

凛「戻そうっていうか...。
戻ってくれたらいいなぁ、くらいかな」

真姫「...西木野総合病院の地下室で24時間体制の監視の元でなら、一緒にいさせてあげてもいいけどね」

凛「ええーーっ!?
それは流石にきついにゃー...」

真姫「冗談よ。
いや冗談じゃないんだけど...二人ともうちに来なさい」


凛「いいの?
真姫ちゃん怒られちゃうんじゃないの?」

真姫「だってあんた、キツイとかいいながら本当に地下室で暮らしそうなんだもの...。いいわよ。」

凛「それって罪になるよね」

真姫「もちろんよ。
医学界の奇跡であり大失敗...。
そんな存在をどこにも発表せずにかくまうんだもの」

凛「ダメだよ真姫ちゃん...。
真姫ちゃんせっかく頑張ってこんなに立派なお医者さんになったのに」

真姫「あんたにばっかりいい格好はさせないわ。私だって花陽の...友達なんだから」

真姫「それにあんただけじゃ花陽の世話は出来ないわ。体は腐食を始めてる。薬の投与と検査が必要よ」

凛「真姫ちゃん...真姫ちゃーーん!」ダキッ

真姫「もう、凛ったら。
この真姫ちゃんに任せなさい。」


それから凛と真姫ちゃんとかよちんゾンビとの生活が始まったにゃ。


真姫「凛、これ。
防腐や蘇生の効果がある薬を混ぜたご飯よ。花陽に持っていってあげて」

凛「真姫ちゃんはかよちんと会わないの?」

真姫「...」

真姫「私は...まだ見るのが辛いから」

真姫「凛ほど、花陽を花陽として見れてないの...。ごめんなさい」

真姫「それに...花陽も私を私として認識してない。」

凛「そっか...。
そうだよね。ご飯持っていくにゃ」

真姫「頼んだわよ」

真姫「さて、この真姫ちゃんがなんとしても二人を守るんだから」キッ


凛「かよちーん!
お邪魔するよ!」

凛「はい、かよちんの大好きなごはん!」

花陽「....ウウ...ゴハン...」

凛「うん、ご飯だよ」

花陽「ゴハン!!」ガブゥ

凛「いっ!!」

凛「ったいにゃぁ~~~」

凛「かよちんそれ違う!
それ凛の腕!ご飯はこっちだよこっち!」

花陽「ゴハン...」モシャモシャ

凛「離してくれた...。
痛いにゃあ~...身体中傷だらけだよ...」

凛「...かよちん。ご飯食べ終わったらお話しようね」


凛「かよちん寝ちゃったよ」

真姫「あら、寝るようになったのね。
前までは不眠不休で動いてたのに」

真姫「すごいわね...。
凛が毎日ずーっと話しかけてるおかげで花陽がどんどん人間に近づいていってる気がするわ」

凛「うん...。やっぱりあのかよちんが死んでるなんて...思えないよ」

真姫「でも肉は朽ちてるし脳も内臓も機能してない。間違いなくゾンビよ」

凛「うん...」

凛「真姫ちゃんは...。
ここ最近ずっと寝ないでゾンビについて研究してるよね」

真姫「...おそらくだけど。花陽の心に直接訴えかけられるのは凛、あなただけよ。」

真姫「人智を越えた現象は、人智を越えた方法でしか解決出来ない...」

真姫「私は私にできることをやってるだけよ。心配しないで」

凛「そっか...」

真姫「...」

真姫「...それよりも凛。
やめろとは言わないわ。でも見てられない。身体中...傷だらけじゃない....」

凛「...」

真姫「...袖から見えてるわ。
話しかけてる間も花陽に噛まれてるんでしょ」

凛「凛は平気...。」

真姫「嘘つくんじゃないの!!!
親友に噛みつかれて!!親友に話しかけても通じなくて....!!!」

真姫「平気な人間がどこにいるのよ...!!!」ギュ

凛「......」

凛「......」ポロポロ

凛「優しいかよちんは...いつ帰ってくるんだろうね...」

凛「凛、かよちんに嫌われちゃったのかなぁ...」ポロポロ

真姫「そんなわけないじゃない...」

真姫「凛。辛かったら私に言って。
そにために私はいるんだから...」

凛「うっ....うううっ....」


ーーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー


花陽「...」

花陽「...ここ、どこ?」

花陽「...周りが真っ暗だ」

花陽「私は...だれだっけ」

花陽「名前が思い出せない」

花陽「でも私...たしか...交通事故にあって...」

花陽「そっか...私は死んじゃったんだ...」

花陽「じゃあここは...天国なのかな...」


花陽「最期にみんなに会いたかったなあ...」

花陽「いや、みんなって誰だろう。」

花陽「...穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん...」

花陽「...凛ちゃん...。真姫ちゃん...。」

花陽「誰かも分からないのに、会いたいよぉ...」ポロポロ


かよちん!
かーよちん!

花陽「...?」

花陽「誰の声...?」


今日もお話しようかかよちん

いてて、ダメだよかよちん


花陽「かよちん...?
かよちんって...私?」

花陽「分からないけど...」


かよちーん!!
はい!今日のご飯!!


花陽「なんでだろう...」

花陽「すっごく落ち着くなあ...」


かよちんいつになったら喋ってくれるのー?
ねえかよちーん


花陽「あなたは...誰なの?」

花陽「私に沢山話しかけてくれてるあなたは...」

花陽「あ...やだ、意識が遠のいて...」

花陽「お腹が空いてきちゃった...」

花陽「...」


ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー


ガブッ

凛「いっっっ!!!」

凛「ったぁあああ~~い!!!」

凛「もうかよちんったら!!
話しかけてる途中でいきなり噛み付い...」


凛「...かよちん?」


凛「なんで泣いてるの?」


花陽「...」ポロポロ


真姫「花陽が、泣いていた?」

凛「そう...。噛み付く力もいつもより弱かったし...」

真姫「涙腺が...。
凛、実際あとちょっとかもしれないわよ」

凛「え?」

真姫「花陽は確実に人間に戻っていってる。凛の問いかけは、確実に治療になってるわ」

真姫「よし、一応検査するわ。
花陽を連れてきましょう。」

凛「...」

真姫「...大丈夫よ。涙なんて、花陽はしょっちゅう流していたじゃない」

凛「うん...そうだね...」




ーーーーーーー
ーーーー
ーー

真姫「検査の結果。
花陽の体に変化は見られなかったわ」

凛「よ、よかったにゃ~...」

真姫「そうね。あと、ひとつ発見よ」

凛「え?」

真姫「花陽は、凛のことを嫌って噛み付いているわけじゃない」

真姫「花陽はあなたのことをお米だと認識してる。常時ではないけど、発作が起きると耐えられなくなって食べようとするみたいね」

凛「...なにそれ、あはは、かよちんらしいにゃー!」

凛「...でも、つまりかよちんはお米がご飯を持ってきたって思ってたってことー?ちょっとヘコむにゃあ....」ズーン

真姫「まあ嫌われていないんだからいいじゃない。私はこれにちなんで花陽のに起きた現象を米ゾンビ化と呼ぶわ」

凛「ダサいにゃ...」


ーーーーー
ーーー
ーー

花陽「あの人はいつも私に話しかけてくれる...」

花陽「でも、お腹が空くと意識がくらんで、あの人に酷いことしちゃうんだ...」

花陽「でも、次会う時にもあの人はにこやかで優しくて、私に話しかけてくれる...」

花陽「一体誰なの...?」


かよちん!
今日のご飯だよ!


花陽「...!!」

花陽「今日も来てくれた...全然怒ってない...」


あっ、かよちん!
ストップだよ!


花陽「あ、ご飯食べられるの止められちゃった。やっぱり怒ってるのかな?」


いい?凛はお米じゃないよ?
凛は凛。星空凛。


ーーーー
ーーーーー
ーーーーーーーー



凛「かよちんの親友の凛だからね?
わかった?」


花陽「......」

凛「って、覚えてないか。あはは」

凛「うん、ごめんね。食べていいよ」


花陽「...ちゃん」

花陽「凛...ちゃん....?」



凛「...」

凛「...えっ...?」


凛「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん!!!!!」ドタドタ


真姫「なに、どうしたのよ...。
徹夜明けの頭に響く...って」

真姫「あんた顔が涙でべしゃべしゃじゃない!いや...これ鼻水も...ばっちい!!」

凛「ひどい!!
真姫ちゃんも後でこうなるんだから!!」

真姫「どういうことよ!
なんであんたそんなに泣いて....」

凛「いいから!拘束具を解く鍵持って来て、真姫ちゃんもかよちんの部屋に来て!!」

真姫「なんでよ!!
私は...花陽を見るのが辛いって....」

凛「かよちんが!
戻ったの!」


真姫「....え?」





ドタドタ

凛「真姫ちゃんはやく!!」

真姫「分かってるわ...!!」

真姫「...」



ガチャ



凛「...かよちん。真姫ちゃんだよ」


花陽「....?」

花陽「真姫...ちゃん?」

花陽「真姫ちゃんなの?」



真姫「...」

真姫「...ふっ....うっ....!!」フルフル


真姫ちゃんの持っていた鍵が床に落ちる音が響く。
真姫ちゃんは、両手で口を押さえて、ぶるぶると肩を揺らして、大きく目を見開いて、かよちんを見ていた。


そして、堪えきれなくなったように駆け出して、かよちんを力一杯抱きしめた。



花陽「ま、真姫ちゃん、ダメだよ!
花陽、汚いよ...?」

真姫「汚くなんか...ないわよ!!!
花陽....っ、花陽ぉ....!!!!」


かよちんのこと見たくないなんて言っておいて。
会うのが怖いだけで本当は会いたくて仕方なかったんだ。
真姫ちゃんは大人になっても素直じゃない。


花陽「ごめんね...真姫ちゃん。花陽、まだきおくが曖昧で、あんまり真姫ちゃんのこと...」

真姫「十分よ....
名前...名前だけで...っ、十分よ....!!」


真姫ちゃんはしばらくの間、かよちんを抱きしめて大声で泣き続けた


凛「ほーらー。
真姫ちゃん結局こうなったー」

真姫「うるさいわね、当然でしょっ!!」

花陽「二人とも...変わってないんだね」

凛「うん!凛はかよちんも真姫ちゃんも大好きだよ!」

真姫「...よかった、花陽。本当によかった。でも、私はあなたに謝らないといけないの」

花陽「謝るのは私が先だよ。
私、凛ちゃんに酷いこといっぱいした。
全部、全部覚えてるの....」

花陽「自分が怖いの....!!
お腹が空いたら、また二人を傷つけてしまいそうで...!!!」

凛「かよちん...」

花陽「おねがい、拘束具は、外さないで...!!まだ、自分で自分がしんじられてないの」

凛「かよちん、凛は別に」

真姫「凛、これ以上花陽に負い目を感じさせちゃダメよ」

凛「...」

真姫「花陽。次は私が謝る番。
花陽の体がどうなってるか、説明するわ」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

真姫「私のことをどう思ってくれても構わないわ。私はミスを犯したから...。
あなたをこうして生きさせている」

花陽「真姫ちゃんは悪くないよ。
花陽怒ってないし。」

真姫「でも...私はあなたをあなたじゃなくしてしまったわ」

花陽「花陽ね、死ぬ前にみんなに会いたいなって思ってたんだ。真姫ちゃんはそれを叶えてくれた。」

真姫「やめて...。
なんで二人とも、私のことを憎まないのよ...」

花陽「...友達だもん。」


凛「かよちん寝ちゃったよ。」

真姫「そう。今日はいい日ね。よく眠れそうだわ」

凛「かよちんがお米を美味しそうに食べてる所が見れてよかったにゃ」

真姫「本当にそれよね」




凛「真姫ちゃん。凛はもう悔いはないよ。」

真姫「そう...。私は...最期まであなた達を守れなかったことが...悔しいわ」

凛「いつくるのかなあ」

真姫「そう遠くないわよ...。
そろそろこの場所も...バレてしまう」





真姫ちゃんは凛達がここで暮らしてることを外に漏らさないようにするため相当手を回してくれたみたいだけど、それももう限界だったらしい。

外からパトカーの音が聞こえる。
真姫ちゃんが一階で叫んでいたのに、もう聞こえない。連れて行かれちゃたんだろうか。


花陽「ウゥ゛ーーー....」

凛「かよちん...ごめんね。お腹空いたよね。発作、治まらないんだよね」

花陽「ウゥ゛...ゴハン....」

凛「凛の腕...食べていいんだよ?」

花陽「ウゥ゛....ウゥ゛....」フルフル

凛「かよちんは...優しいなあ」

ドォン!!!!


花陽「!?」

凛「銃...!?そんな、かよちんはもう化け物扱いだっていうの....?」

花陽「.....」


花陽「......」

凛「どうせ死んじゃうなら、かよちんに食べられた方がいいかな...」

凛「かよちん...」

花陽「ウァアア゛!!!」


花陽が凛に飛びかかる。

前に突き出された花陽の手は凛を突き飛ばし、瞬間花陽の眉間を銃弾が撃ち抜いた


凛「かよちん....!?」

凛「かよちん!!どうして!!」

花陽「リンチャン...」

凛「かよちん...食べていいっていったのに...助けてくれるなんて...」

花陽「アハハ...花陽ゾンビだから、こんなんじゃ死なないよ...?」

凛「かよちん....」

花陽「凛ちゃん、花陽、怖くないよ?」

凛「...凛も。死ぬ前にかよちんと話せてよかった」





翌日
ゾンビに抱かれるようにして眠っている少女と、少女のような姿のゾンビの死体が見つかった


オマケ

~かよちんゾンビと凛ちゃん~


◆お昼寝

凛「zzZ」

花陽「凛ちゃん寝てる...」

花陽「私の前で寝るなんて...食べちゃうよ?...ふふ」


花陽「...大変、本当にお腹空いて来た...」

花陽「凛ちゃんの鼻、小さくて美味しそう...」

花陽「一口だけ...」


凛「!」パチ

花陽「!?」

花陽「いやあの凛ちゃんこれは違くて」

凛「かよちん~
もうそんな、ダメだよ~」

チュッ

花陽「!?」


凛「もう食べられない...」ムニャムニャ







花陽「...お腹いっぱいになっちゃった」


◆ゾンビ


凛「かよちん、目が覚めてからは本当にゾンビっぽくないにゃー」

花陽「ん?そんなこと言ってると食べちゃうぞ~」ガオー

凛「怖くないにゃー」

花陽「がおおーー」

凛「全然だにゃー」

花陽「が、がおおおおお!!!」

凛「可愛いにゃー」

花陽「ウオオオオ゛オ゛オ゛」

凛「うわあああああかよちんそれガチの発作待って待って」


◆ダイエット

凛「かよちん随分嬉しそうにゃー」

花陽「うふふ、だってゾンビになったら体重が30キロも落ちたんだよ!」

凛「に、人間離れしてるにゃ....」

花陽「こればっかりはゾンビになって良かったかな」

凛「かよちんゾンビになっても体重気にしてたんだね」


◆ごはん

花陽「今日もごはんが美味しい!!」

凛「かよちんが嬉しそうだと凛もうれしいにゃ」

真姫「いやでも、薬だけ飲んでればそんなごはん何杯も食べなくても」

花陽「ごちそうさま!
トイレ行ってくるね」

凛「いってらっしゃい」

真姫「健闘を祈るわ」



ウオオオオエエエ゛エ゛エ゛


凛「戻してるにゃー」

真姫「消化器官が無いからね...」

凛「そりゃ体重も減るはずだにゃ」



完結です。
よく分からない話でしたがありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月12日 (火) 23:27:23   ID: UGBgxNsn

ばなよかわいいー!
凛ちゃん健気だなぁー、、、
真姫ちゃん、大人になってもツンツンしてる(笑)

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