剣士「冒険学校…!」(992)

 
ザッ…

ザッザッザッ…


ヒュウウゥ…


…ザッ…!


剣士「…来たな、ついに」

武道家「あぁ!」


剣士「冒険学校に!」

武道家「冒険学校に!」

………
……………
That's where
the story begins!
―――――――――
【剣士「冒険学校…!】
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Don't miss it!
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………

 
……………………

………………
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……
………
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――――【 北方大陸・北西 冒険学校 】


剣士「ようやく、俺らも冒険者になる日が来るんだな!」

武道家「入学出来る歳まで、かなり長かった…が」

剣士「冒険者を育成する冒険学校…か。ワクワクしてきたぜ」

武道家「俺だって同じくらい楽しみだ。だけどさ~…」

剣士「ん?」

武道家「今日から、学校の寮暮らしになるわけじゃん?家族と離れるのは少し寂しいんだよな」


剣士「ま…まぁ…」

剣士「…だけど!それ以上に、冒険者として世界を駆け回りたいと思う…そうだろ!?」


武道家「…当然!」

 
剣士「どんな奴らがいるんだろうな!やっぱり強い奴うじゃうじゃいたら嬉しいだが」ハハハ

武道家「冒険者を目指す奴らって、やっぱりクセのある奴が多そうだよなぁ」

剣士「な~に、俺らだって、日々鍛錬してきたじゃねーか。負けねぇよ!」グッ

武道家「そりゃ、俺だって腕には自信があるけどよ」

剣士「うむ。二人で地元の山に籠って、ずっと鍛錬してきたじゃん。魔獣だって沢山倒したし」

武道家「おうよ。それに俺とお前で何度も戦ったよな~…。ずっと引き分けてたが、1勝の差で俺の勝ちだったはずだ」

剣士「…待て。勝ったのは俺だろ」

武道家「あぁ?9年前にやった時、お前が崖から落ちて、負けと泣いて…」

剣士「そりゃお前だろ!」


武道家「…あぁん!?」

剣士「…あぁっ!?」

 
武道家「…」

剣士「…」

武道家「いや、入学当日からケンカはやめよう…」

剣士「そ、そうだな。大事な日だもんな」


武道家「…」

剣士「…」


武道家「時に…剣士くん」

剣士「なんだね、武道家くん」

 
武道家「あの時の勝利は、俺のものってことでいいね?」

剣士「…いえいえ、あれは俺のものですよ?」

武道家「…」

剣士「…」


武道家「やっぱり…」

剣士「決着つけるか!!」


武道家「…おらぁぁ!」ダッ

剣士「…あぁぁ!!」ダッ


ダダダダッ…ガキィンッ!!

 
トコトコ…
 
???「ん…、何の音だ?」

???「…」キョロキョロ

???「…」ハッ

???「な…何やってるんだ、あそこの二人は!」

…タタタタタッ!!

???「…ちょっと、そこの二人!その勝負、待ってくれるかな!」バッ


剣士「…んっ」ググッ

武道か「…あん?」ググッ


???「仲のいいことだが…、見たところ君らは新入生だね?」

???「新入生が目立つと、少々厄介なことになるぞ?」

 
剣士「あぁん!?誰だよ!」

武道家「これは俺らの話、誰か知らんが…引っ込んでてもらおうか!」バッ

 
???「…男同士の争いには、あまり口出ししないほうがいいのだろうが…」

???「いかんせん、この学校の"先生"としては見過ごせないものでな。すまんね」


剣士「…せん」

武道家「せい…?」


冒険先生「冒険先生という名前だ。君らの顔、しっかり覚えたからね」

冒険先生「…早く1年生の教室に入りなさいよ」クルッ

ザッザッザッザッ……

 
剣士「…」

武道家「…」


剣士「お…お前のせいで、初日から目ぇつけられたじゃねえかよ!!」

武道家「お前だって暴れてただろうが!んぎぎ…!!」


剣士「…」

武道家「…」


剣士「…ふん!」

武道家「…ふん!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教 室 】

ザワザワ…


剣士「…」

武道家「…」


ガヤガヤ…


剣士「俺らの教室ここでいいんだよな。つーか、人、結構いるな…」

武道家「冒険学校は人気だし、仕方ない」

剣士「つーか先生とか来ないのかね」

武道家「さっきチャイムなったし、そろそろー…」

 
…ガラッ!!

冒険先生「やあ、おはよう!全員、適当でいいから席につけー」

剣士「!」

武道家「!」


冒険先生「…おっ。さっきの二人組、ケンカはもういいのか?」

剣士「だ、大丈夫です」

武道家「も、問題ないです」

剣士(あの人、担任だったのかよ…ついてねぇ…)


冒険先生「問題ないなら、何より。えーと、んじゃ…」ゴホン

冒険先生「みんな、入学おめでとう。これから、このクラスの担任を受け持つ冒険先生だ。よろしくな!」

 
生徒たち「よろしくお願いします!」

剣士「よろしくー…」

武道家「ういっす…」


冒険先生「うむ、元気でよろしい」

冒険先生「さて、早速なのだが…この学校についてもう1度だけ教えておく」

冒険先生「ここは秘境を探索したり、魔獣に対抗する戦士を育成する…、つまり、世界を駆け巡る冒険者の養成学校だ」

冒険先生「世界には、冒険学校はいくつか存在していて、君たちの同期は大陸中にいる」

冒険先生「そして、君たちの先輩は命を懸けて今日もどこかで戦っているんだ」


剣士(…かっけぇな)ボソボソ

武道家(うむ…)ボソボソ

 
冒険先生「この学校に入学した時点で、君たちはヒヨっ子ではあるが"冒険者"には変わりなくなる」

冒険先生「つまり、命を賭した戦いの世界に身を置くことになる…。そういうことを認識してほしい」


生徒たち「…」


冒険先生「はは…、そんな静かになることもない」

冒険先生「確かに、"死"に一番近い職業ではあるが、そのリスクの代わり…」

冒険先生「誰よりも強くなり、どこよりも美しくある秘境を冒険できる。それに、一攫千金だって夢じゃない!」バッ


生徒たち「…」

剣士「…」

武道家「…」

 
冒険先生「勿論、この学校の滞在中に冒険者の道を諦めても文句は言わない」

冒険先生「まぁ…君たちは、覚悟があって来てるんだろうから、きっと大丈夫だと思うけどね」ニコッ


生徒たち「…はいっ!」


冒険先生「予定では、2年間の講習と演習、実習を繰り返して、卒業を迎える」

冒険先生「君らの先輩もいるわけだから、出来だけ先輩後輩の関係はしっかりね」


生徒たち「はいっ」


冒険先生「うん!よろしい。それじゃ君たちには最初、この用紙を配るから…ペンを用意してくれるかな」

…ペラッ

剣士「何じゃこりゃ…」

武道家「冒険術、選択用紙…?」

 
冒険先生「冒険者といえども、それは一つの枠じゃない」

冒険先生「冒険者にも、戦士、魔術士、ナイト、盾士、格闘家…様々な振り分けがある」

冒険先生「まぁ皆も知ってただろうけど、学びたい冒険術を書いて俺のところまで持ってきてほしい」

冒険先生「午後から体力測定もあるから、それと照らし合わせて、希望の職業が向いてるか判断するんだ」


剣士(ってことは、向いてなかったら剣術を学べないってことか…?)


…スッ

???「質問…よろしいですか」

冒険先生「はいどうぞ。えーと…名前は?」

僧侶「僧侶です。あの…、今、先生が言った、"向いているかの判断"について聞きたいのですが」

 
冒険先生「ふむ、いいぞ」


僧侶「もし、その測定で希望するモノに足りない結果だった場合、まさかとは思いますが…」

僧侶「別の冒険術を学ぶようにされたりするんでしょうか…。まさか、退学の処分なんてことも…」


冒険先生「うん、そうだ」


僧侶「…」

僧侶「ぼ、僕は、ここに来るまでに、それなりに自分でスキルを磨いてきたつもりです」

僧侶「もしこの学校で、それを認められず、その道で進めなければ意味がないのですが…」


冒険先生「それは残念、ってことで諦めてくれ」ニコッ

僧侶「…本気ですか?」

冒険先生「本気さ」

 
僧侶「…何故ですか」

冒険先生「向いていないものをやらせていたら、その子が死ぬからだ」

僧侶「…っ」


冒険先生「お前らは、命を懸けた場所へこれから旅立つんだぞ」

冒険先生「俺らは、お前ら一人一人を、そんな場所で戦えるように、技術も一つ一つ教えなければならない」

冒険先生「死んでほしくないのは当然だし、これが冒険学校のやり方だ」

冒険先生「自分に合わないと思ったら、この時点で帰ってもらって結構だ」


僧侶「…わかりました」


冒険先生「わかってもらって嬉しいぞ」

冒険先生「じゃ、全員改めて言うが…希望する冒険術を紙に記載して持ってくるように!」

………
……


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガヤガヤ…ザワザワ…


剣士「お前は、やっぱり格闘術?考える時間は貰ったけど、もう決まってるよなぁ」

武道家「当たり前だろ。お前だって剣術だろ?」

剣士「…そりゃ、それ以外の能ねーし」

武道家「だよな」


トコトコ…

僧侶「…あの」

剣士「おう?」

 
僧侶「初めまして。ぼ、僕は僧侶っていうだけど…」

剣士「知ってる知ってる。さっき、冒険先生に質問してたやつだろ」

僧侶「うん」

剣士「その僧侶クンが何か用かい?」


僧侶「さっき先生と知り合いみたいだったから、仲いいのかなって…」

剣士「あ、あぁ…」

武道家「お…おう…」

僧侶「?」


剣士「仲がいいっていうか、目ぇつけられたっつーか…。なぁ?」ハハ…

武道家「そうだな…」

 
僧侶「う、うん…?」

剣士「はっはっは、まぁ気にするな。っていうか、君は何を学ぶつもりなんだ?」

僧侶「支援魔法かな。回復とか、仲間の強化とか…仲間を裏から支える感じの魔法だよ」

剣士「ほぉ、いいね。俺ら魔法は疎いんだよな~」

武道家「俺は魔法っつーより、"気力"とか"闘気"だけどな」

剣士「あぁそうだっけ…」

僧侶「気力?闘気?」


武道家「魔力と似てるようなもんだけど、魔法とは違って無属性のオーラっつーか」

僧侶「ごめん、わかんないや…」

武道家「えーと、軽く見せたほうが早いな。少し下がって」スッ

僧侶「う、うん」

 
武道家「…おりゃっ!」ポッ

僧侶「!」

武道家「この右手に光ってるのが…気力を具現化した、闘気ってやつだ」

僧侶「これで攻撃するの?」


武道家「うむ。これを使って打撃の攻撃範囲伸ばしたり…」

武道家「こうして腕を振って、飛ばすイメージをすると、遠距離攻撃も~…」ブンッ


ポウッ…、ドゴォンッ!!


生徒たち「うわああっ!?」

生徒たち「きゃあっ!!」

ザワザワッ!!

 
武道家「あ゛っ」

剣士「」

僧侶「」


武道家「や、やべぇ!!申し訳ない!!」

剣士「バカ野郎かお前は!!」ゴンッ

武道家「あいだっ!!はは…、ご、ご愛嬌ってことで」

剣士「全く…」

僧侶「あ、あはは…」


剣士「仕方のねぇやつだ…。まぁとりあえず、さっさと用紙に希望を記入してー…」


カツカツカツ…ダァンッ!!

???「…ちょっと!!」

 
剣士「ん?」

???「あなたじゃなくて、今、スキルをぶっぱなしたほう!!」

武道家「お、俺か!な…なんだ?」

???「何すんのよ!!折角、今日の為に新調した服が、ボロくなっちゃったじゃないの!!」ボロッ

武道家「わ、悪かったって…」

???「教室の中で、技ぶっぱなすなんてバカじゃないの!」

武道家「ごめんってば!」

???「全く…」


剣士「ま、まぁまぁ。許してやってくれよ」

???「私は、この人と話してるの!」

剣士「そ…そうか。悪いな」

武道家「おい、助けてくれないのかよ」

剣士「だってコイツ、すげぇ勢いで…怖いんだもん!」

 
魔道士「…コイツって、私、魔道士っていう名前があるんだけど?」

剣士「そ、そうだったか。魔道士サン、悪いな。悪気があったんじゃないんだ、許してやってくれよ」

魔道士「…」

僧侶「そ、そうなんだ。僕に"気力"っていうのを見せてくれようとして…」

武道家「…悪かったな」


魔道士「はぁ…仕方ないわね。今度から気を付けてよ」プイッ

武道家「お、おう…」


カツカツカツ…ピタッ

魔道士「…」

魔道士「…ねぇ」クルッ

 
剣士「まだ何かあるんスか」

魔道士「三人の名前は?私の事を知ってて、貴方たちの名前を知らないのはおかしいでしょ?」


剣士「…剣士だ」

武道家「武道家」

僧侶「僕は僧侶」


魔道士「うん、ありがと。もうこんな事はしないでね」

カツカツカツ……


武道家「…おっかない娘だったな」

剣士「少し可愛かったな」

武道家「えっ…。お前、ああいう子が趣味なのか!?」

剣士「気が強い子は嫌いじゃないぜ?」

武道家「確かに気は強いし、少し可愛いかもしれないけど、ガサツっていうか…!!」

 
ポウッ…、ボォンッ!!!

武道家「…がふっ!」

…ドサッ!


魔道士「…聞こえてんのよ!」


剣士「か、火炎魔法…」

僧侶「自分で教室で使うなって言ってたのに…ひぃぃ…」

剣士「…はは」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…トントンッ、ペラッ

冒険先生「…うしっ。これで40枚」

冒険先生「これで全員、提出が終わったなー?」

冒険先生「んじゃ、今から校庭に出て、体力測定を開始するぞ~」


剣士「来た来た。頑張ろうぜ」

武道家「おうよ」

 
冒険先生「んじゃ、移動~。校庭には他の先生も待機してるし、紹介するからな」

生徒たち「はいっ!」

剣士「ういーっす」

武道家「ういっす」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 校 庭 】

ガヤガヤ…

冒険先生「んじゃ、静かにしろー」パンパン

冒険先生「こちらにいらっしゃるのが、我が校の先生たちだ」

冒険先生「きちんと挨拶するように」


…スタッ

格闘先生「格闘先生だ。体術、近接の格闘術を担当している」

魔法先生「魔法先生です。魔術の担当をしております」

武装先生「武装先生と呼んでくれ。剣や槍を始めとする全ての武器術関連の担当をしている」

聖魔先生「聖魔先生です。主に支援魔法を担当しています」

 
剣士「格闘、魔法、武装先生ねぇ…」

剣士「…」

剣士「…んんっ…?おかしくねえか?」


武道家「何が?」

剣士「格闘術とか、魔法とかは専門的な担当だけど、武装先生っておかしくね?」

武道家「あぁ、確かにな。考えてみたら…総合担当って、剣術専門とかそういうわけじゃないのか」

剣士「そういうこと。命預ける学校なのに、総合担当でいいのかよ…」

武道家「お前のスキル、ハズレじゃね?ぷくく…」

剣士「ぶんなぐるぞ」


…ザッ

冒険先生「…これで一先ず、今紹介できる先生はこの方々だけだ」

冒険先生「では、改め…俺が冒険先生だ。あらゆる冒険術の基礎を教える担当だ。よろしくな」

冒険先生「それと、ここでは武装先生が最も年長で、偉い先生になる。覚えておくように」

 
…ザッ

武装先生「うむ。今、紹介に与った武装先生だ。改めて自己紹介をさせてもらう」

武装先生「武具の関係する総合的な担当をしている他に、一応、この学校の責任者ではある」

武装先生「技術講師として以外に、学校の責任者としても、よろしく頼むぞ」


冒険先生「この方は、世界政府の中心である、中央国の中央軍本部に所属していた方でな」

冒険先生「冒険者としても熟練者で、君らの大先輩だ。敬うようにな」


生徒たち「!」


武装先生「ははっ、そんな褒めなくても。これからは若い人らの時代だ」

冒険先生「いえいえ、そんな」

 
剣士「ぷっ…年とってるからって、強いわけじゃねーのに敬えって」ボソッ
 
武道家「お、おい…」


武装先生「…」ピクッ 
 
 
剣士「だってそうじゃね?そもそも、沢山の武器があるのに、総合的に使ってたら、そこまで強くなれねーだろ」ボソボソ

武道家「まぁ確かにそうかもしれんが、お前より強いかもしれねえだろ」ボソボソ

剣士「はぁ…ちょっと落胆したわ。もっと名のある人とかに教えて貰えると思ったのに」

武道家「お前さすがに、それは言い過ぎ…」


武装先生「…そこの君。立て」


剣士「へっ?」

 
武装先生「立て」

剣士「は、はぁ」スクッ


武道家(あらら…知らねぇっと)

僧侶(あ…、剣士クン…)

魔道士(さっきの…)


武装先生「今の言葉、もう1度言ってみろ」

剣士「い、いやぁ何も言ってませんよ?」

武装先生「言ってみろ」

剣士「…」

 
武装先生「聞こえないのか?もう1度言うー…」

剣士「…偉そうだな~って言ったんだよ」

武装先生「ほう?」

武道家「お、おい!」


剣士「あのさ、さっき冒険先生が言ってたけど、"冒険で死なせないため"のも学校の第一なんでしょ?」

剣士「他の格闘やら、魔法は専門の先生がいるのにさ…」
 
剣士「何で、武器の関係している人だけ、総合担当の人に教わらないといけないわけ?」

剣士「少し経験があって、年取ってるからって…その辺にいる冒険者以下の実力だと俺らが困るわけで」


冒険先生「こ、こら!!」

武装先生「まぁまぁ」

 
剣士「総合担当だっけ?武装先生は剣術とか、槍術とか、短剣術とかさぁ…全部完璧にできるの?」

剣士「命を賭けたのが冒険で、それを教えるのが冒険学校でしょ?なのにさ…」

剣士「それが総合担当の人とか、不安でしかないんだけど…。みんなも、そうじゃないのか?」クルッ


生徒たち「…」


武装先生「…だったら、学校をやめるか?」

剣士「へ?」


武装先生「ここがそれのやり方だ。それについて来れないなら、やめればいい」

武装先生「過去にもそういう奴はいた。みんな辞めていったがな」


剣士「あんたが辞めさせたのか」

武装先生「いや、違う」

 
剣士「…ふ~ん」

武装先生「…わかっているんだろう?」クイッ

剣士「そうッスね。さすが、冒険学校。話が早くて助かる」

ザッザッザッ…


武道家「お、おい!剣士!」

剣士「…」


冒険先生「武装先生!頼みますから…毎年、こういう事はやめてくださいよ…」

冒険先生「いつもこれで辞めていくんですから…」


武装先生「一人でも規律を乱す者がいれば、即刻排除すべきだろう」

冒険先生「ここは軍隊じゃないんですけどね…」

 
武装先生「冒険先生。いつもの準備を」

冒険先生「はぁ…わかりました…」

タッタッタッタッ…


剣士「…」

武装先生「まぁ落ち着け。お前が得意なのは剣術だな?」

剣士「あぁ」

武装先生「今、冒険先生が武器の準備をしている。少し待て」

剣士「…」

武装先生「お前の得意の武器に合わせてやる」

剣士「なんじゃそりゃ、余裕か?」

武装先生「お前と俺じゃ実力の差もあるだろうに。余裕ってことだ」

 
剣士「…」

武装先生「…」


タッタッタッタッ…

冒険先生「剣士!武装先生!」


武装先生「来たぞ」

剣士「ん…」


冒険先生「それっ!」ポイッ!

…クルクルクルッ…

 
剣士「…おっ」パシッ

武装先生「ご苦労」パシッ

剣士「何だこりゃ、模擬刀?」チャキッ

武装先生「さすがに真剣で戦うわけにはいかないだろう」

剣士「別に真剣でもいいんだけどね。俺にはコレは軽すぎる」ヒョイッ


武装先生「はっはっはっ、お前も余裕を見せているつもりか」

剣士「御託はいいから、ちゃっちゃと始めましょうや」チャキッ

武装先生「…落ち着いているな。同級生のギャラリーがいるというのに」


生徒たち「…」

魔道士(剣士…)

僧侶(剣士君…)

武道家(バカ野郎…)

 
剣士「…燃えるじゃないの」

武装先生「面白い」

剣士「ルールは?」

武装先生「参ったで負けか、気絶したら負けでいいな」

剣士「いいや、気絶したら負けでいいよ。単純でいい」

武装先生「はははっ!面白い!」


トコトコトコ…

冒険先生「はぁぁ…またか…。武道家だったかな、君は。隣、座らせて貰うよ」ストンッ

武道家「あ、どうぞ。冒険先生、毎年こんな感じなんですか?」


冒険先生「…」

冒険先生「武装先生は軍部のあがりで、実力行使で相手をひれ伏すのが好きなんだ」

冒険先生「実力もあるんだけど、あの態度だからいつも敵を作ってしまうんだよ…」ポリポリ

 
武道家「やっぱり実力は高いのか…」

魔道士「うん。確かに、武装先生は強そうよね」ヌッ

武道家「ぬおっ!」ビクッ

僧侶「た、大変なことになってるけど大丈夫なの…?」ヌッ

武道家「お、お前ら!」


冒険先生「そりゃ強いさ。だから、ああいう生徒はすぐにやられて…学校を去ってしまう」

武道家「…っ」

冒険先生「君の仲の良い友達だったね。残念だけど、また同じように…」

武道家「いや…やられないッスよ。あいつは強い」

冒険先生「…」

 
ゴォォ…

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…どうした?いつでもかかってこい」


剣士「ぬ…おらぁぁっ!!」ダッ!!

武装先生「おっ」

剣士「うらぁっ!!」ブンッ

武装先生「ふん」

…カキィンッ!!


剣士「…まだまだっ!!」ブンッ

…カキィン!!

武装先生「どうした?ただ打ち込むだけか…それでは当たらないぞ?」

 
武道家「…」

冒険先生「…」

魔道士「…」

僧侶「…」


剣士「…いや?ただ、俺の振り下ろしを弾けるか見ただけさ」

武装先生「そんな偉そうな口を叩いたんだ、スキルの1つくらい覚えているんだろう?」

剣士「…」

武装先生「…来ないのか?なら、こっちから行くぞ!」ダッ!

ダダダッ!!!

剣士(早い!)


武装先生「…小斬っ!!」ブワッ!

 
ビュンッ……ガガキィン!!

剣士「ぬぐっ!」

武装先生「!」

剣士「へへっ…」ググッ

武装先生「…いつもの生意気な奴らは、下級技で沈むんだがな」

剣士「そりゃとんだ二流の相手ばかりしてきたんだな…」ググッ…

武装先生「…」

…ビュッ!!ゲシッ!!


剣士「ぬあっ!」

ドサッ!!


武道家「あそこから足蹴り!?地面に倒された!」

魔道士「あ、危ない!」

 
武装先生「ふんっ!!」ブンッ!!

剣士「やべっ!!」


…ガキィィンッ!!!


武装先生「…!」

剣士「あ、危ねぇ~…!!」ビリビリ

武装先生「倒れてから、俺の降り下ろしを防ぐとは…やるじゃないか」

剣士「これでも鍛錬してきたんでね…!」

武装先生「…っ」チラッ


生徒たち「…!」

ガヤガヤ…ザワザワ…

 
武装先生「さっさと決めねば、他の生徒たちにも見栄えが悪いか…」

武装先生「そろそろ沈んでもらおうか!」

武装先生「…小斬っ!」ブンッ!!


剣士「ここでかよ!」ビュッ

ガキィンッ!!…ビリビリ…!

剣士「い、いでで…!」

武装先生「…ッ!」


生徒たち「おぉ…まだ防ぐのか!」

生徒たち「な、なんかアイツ応援したくなってくるな」

生徒たち「武装先生って本当に、口とか見掛けばかりで強くないんじゃ…?」

 
武道家「冒険先生、なっ?剣士は強いんだって!」
 
冒険先生「…た、確かに、めちゃくちゃだが面白い動きを…」


武装先生「…」イラッ

武装先生「こ、この!」ビュッ

…バキャッ!!

剣士「ふぎっ!」

ゴロゴロゴロッ…ズザザァ…


武道家「っ!?」

生徒たち「あっ!!」

冒険先生「ぶ、武装先生!?」

魔道士「きゃあっ!!」

 
武装先生「はぁ…はぁ…」

剣士「…」

ドシャッ…ダランッ…

ドクドク…


武道家「け、剣術の勝負なのに…顔をボールみたく蹴飛ばしやがった!!」

冒険先生「武装先生!いくらなんでもそれは…!」

武装先生「…っ」

冒険先生「せ、聖魔先生…回復魔法を!」

聖魔先生「あっ…は、はい…!」ダッ

 
ブンッ!!…カランカランッ!!

聖魔先生「うわっ、危なっ!」

剣士「いぢぢ…。く、来るんじゃねぇ」ポタポタ

聖魔先生「立った…!?鼻血を止めないといけませんよ!」

剣士「お前らも…武道家も、騒ぐんじゃないよ…。勝負っつったらこうじゃないと…」ユラッ


武装先生「…黙って休めばいいものを」

剣士「負けるのは大嫌いなんでね…」

武装先生「…なら楽にしてやろう。投げた剣をさっさと拾え」チャキンッ

剣士「ん~…」

武装先生「早く拾わないか!」


剣士「冒険先生、武器って軽いのしかないのかな。もっと重いやつない?」

冒険先生「…重いといえば、大鎌ならあるが…あれは古い模擬武器で、重すぎて使えたものじゃ…」

 
剣士「…それ頼むよ。俺さ、軽い武器は合わないんだわ」

冒険先生「し、しかしな」

剣士「頼むよ」

冒険先生「…わかった」ダッ

タッタッタッ…


武装先生「勝負を諦めたか?」

剣士「軽いのは好みじゃないんでね」

武装先生「相手が軽武器のうえに、一対一の状態で、重い武器とは…。両手持ち用だぞ?素人もいいところだな」

剣士「誰が両手っつったのよ」

武装先生「大鎌は重武器だ。古い模擬武器は、重さもそのまま作ってあるんだぞ」

剣士「だから…、重いからって両手持ちだと誰が決めたのよ」

武装先生「…?」

 
タッタッタッタッ…

冒険先生「おぉい…これでいいのか…!」ゼェゼェ

ズリズリ…


…ザワッ!!

生徒たち「うおおぉ!?でかっ!!」

生徒たち「ちょっ、あれは…。先生すっごい重そう!」


魔道士「ちょっ…あれはいくらなんでも…」

僧侶「無理だよさすがに!」

武道家「あぁ…。あれなら丁度なんじゃないの」

魔道士「え?」

武道家「あいつさ、元々、片手とかの軽剣じゃなくて…」

 
冒険先生「ほ、ほら…これでいいか…」ハァハァ

…スッ

剣士「はいっ、どーも」ヂャキンッ

…ブンブンッ!!

剣士「…これでも少し軽いかな?」ヒョイッ


武道家「鋼で出来た、大剣持ちでずっとやってきたからさ」


武装先生「…なっ!」

剣士「さっ…やろうか。武装先生」

武装先生「…多少、力はあるようだな…」

剣士「そうかな」

 
武装先生「だが、使いなれていないカマで俺を倒せるのかな?」

剣士「いいからかかってきなよ」クイッ

武装先生「…ッ!!」

ダッ…ダダダダッ!!


剣士「いっせーの…」ググッ

武装先生「大…」チャキッ


剣士「せっ!!!!」

武装先生「斬っ!!!」


…バキャアンッ!!!!

 
ドシャッ!ズザザザァ…!!

ブワッ…モクモク…!


冒険先生「うわっぷ!」

魔道士「ごほ、ごほごほっ!」

武道家「土煙が…」ゴホッ

僧侶「前が見えない…!」


魔道士「えぇい、もう!小風刃魔法っ!」パァッ

ビュウウウッ!!

 
サァァッ…

武道家「お…」

魔道士「これなら見えるでしょ!」

冒険先生「土煙が晴れて…」


生徒たち「どっちが勝ったんだ…?」

生徒たち「すげぇ爆音してたな。死んだんじゃねえの…」

生徒たち「ん…見えてきたぞ…」


武道家「…」

武道家「…おっ…!」

 
サァァッ…、ヒュウウッ…

剣士「…ふん」スタッ


武道家「…剣士!!」

剣士「はっはっは!」

魔道士「えっ…、剣士が立ってるってことは…」チラッ


武装先生「…」ダランッ


冒険先生「…!!」

武道家「あーあ、ハデにやっちゃったな」

剣士「俺は悪くないよな。勝負に持ち込んだのあっちだし」

武道家「確かにな。これで退学になったら、俺も一緒にやめてやろうか」

剣士「まじか!」

武道家「うそだけど」

 
剣士「ウソかよ!こら!一瞬、ときめいた俺の気持ちを返せ!」

武道家「お前のせいで辞めるなんざゴメンだね!」

剣士「無理やりにでも辞めさせるからな!」

武道家「あぁっ!?」

剣士「あぁん!?」


…ゴツゴツンッ!!

剣士「」

武道家「」


冒険先生「落ち着け…お前たち。剣士は一回、聖魔先生と休憩室へ行け」

 
剣士「だ、だけどこれから体力測定が…」

冒険先生「剣術希望だったな。…合格だろう、何をしなくとも」

剣士「まじか!?」

冒険先生「全員納得の結果だ。いいから休憩室で休んで来い」

聖魔先生「行きますよ、剣士くん」

剣士「へいへい…」


武道家「くっそ~…。おい、剣士!俺も合格してすぐに追いつくからな!」

剣士「…おう!」

ザッザッザッザッ……

 
冒険先生「よし…行ったか。やれやれ…凄い子が入って来たもんだ」

武道家「俺だってアイツと引き分けしてるくらい強いんだぜ。見ててくれよ!」

冒険先生「うむ。では、頑張ってもらおうか!」

武道家「さっさと始めようぜ!」


魔道士「…勝っちゃった」

僧侶「す、凄く強かったんだね剣士君」

魔道士「…うん、凄かった」

僧侶「僕も合格して、剣士君に報告しないと!」

魔道士「私も、頑張るっ」


…………
………

本日はここまでです、有難うございました。

前スレで継続をしたかったのですが、始まり部分の失敗や予想外な書き込み等、
やはり新たに最初から書き直しをさせて頂こうと思い、こうして新スレで改めて始めさせて頂きました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

>>16
冒険先生「君らの先輩もいるわけだから、出来だけ先輩後輩の関係はしっかりね」

「る」抜けてね?



> 全ての作品の「エピソード0」
ってことの意味がまだよくわからないが
シリーズ全体の前日譚なら、初代の話
>>1の書くSSの原点という意味なら、単に冒険学校が舞台の話
はたまた、両方の意味か?

皆さま、有難うございます。
>>65 ご指摘感謝します。後日修正分を出します。
>>68
どちらの意味にも近いのですが、この作品単体で楽しめるよう、
「新作」として読める物となっております。

それでは投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 休憩室 】

パァッ…

聖魔先生「はい。これで治療は終わり」

剣士「うっしゃ!じゃあ改めて…」ダッ

聖魔先生「待ちなさい」

…グイッ!

剣士「おごぉっ!!」

ズルッ…ビタァンッ!!

 
剣士「へんへぃ…、まは、はなひが…」ダラダラ
(先生…、また、鼻血が…)


聖魔先生「貴方はもう合格したでしょう。それに、すぐ動くのは良くないです」

剣士「だけどさ!」

聖魔先生「教室にでも戻ってるか、ここで横になってなさい」

剣士「んむむ…」

聖魔先生「やれやれ…。やる気に満ち溢れているのは、いい事ですけどね」

剣士「そりゃあ…」


カツカツカツ…
 
武装先生「…聖魔先生、申し訳ない。自分の治療も頼みます」

剣士「!」

聖魔先生「あっ、武装先生。いいですよ、そこへ座ってください」

 
剣士「…」


カツカツカツ…ストンッ

武装先生「失礼。感謝します」

聖魔先生「いえいえ」パァッ

…シュウウウッ


剣士「…」

武装先生「…どうした、顔に何かついているか」

剣士「いや、何でもない」

武装先生「そうか」

剣士「…」

 
パァァッ…

聖魔先生「よしっ、これで大丈夫です。でも、少し休んでてくださいね」

武装先生「了解した。では、体力測定のほうに戻ってくれても構いません」

聖魔先生「毎年ケガ人出ますもんね。急いでいってきます」

タッタッタッタッ…


武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…」

武装先生「…」

剣士「…なぁ、オッサン」

 
武装先生「…オッサンとは、俺のことか」

剣士「…以外、いないっしょ」

武装先生「…何かな」

剣士「オッサン、俺より強いよな」

武装先生「俺に勝った奴の言うセリフか?」

剣士「あの蹴り飛ばしの後、真剣勝負だったら刺されて終わってた。俺の負けだろ」

武装先生「…ほう。潔いな」


剣士「冒険者になるために、鍛錬を積んできた。負けは負けと認めないと、俺自身が許さない」

剣士「すっげー悔しいけど…な」

 
武装先生「だが、結果的にはお前の勝ちだぞ」

剣士「試合としては、だろ。勝負には負けてる」

武装先生「勝負の話でいえば、最初からお前が得意の大剣を使っていれば…分からなかっただろう」

剣士「いや…わかってる。オッサンは片手剣がメイン武器じゃないだろ」

武装先生「なぜそう思う」


剣士「近接での足蹴りの速さや、倒れこんだ相手に即座に立ち回る変則的な動き…」

剣士「恐らく使い慣れてる武器は短剣…。違うか?」


武装先生「正解だ」

剣士「本気武器同士なら、どうなってたかなんて…。分かってたことだっつーの、くそっ!」

武装先生「本気武器の話なら、お前の一撃で俺は吹き飛ぶんじゃないか?」

 
剣士「ウソつくなよ。アンタ、相当な実力を隠してるだろ」

武装先生「…」


剣士「慣れてない片手剣で、上級技の大斬をぶっぱなしたり出来る訳ねぇ」

剣士「恐らくそうだな…、最後に俺の攻撃と正面きって打ち合ったのは、俺の顔を蹴飛ばした事への反省じゃないのか」

剣士「押し負けるとわかっててやったんだろ」


武装先生「…さぁな」

剣士「くそっ…情けない。同級生らは俺が完全勝利したんだと思ってるんだろうな」ハァァ


武装先生「…」

武装先生「…ついてこい」

 
剣士「お、おい…どこへ?」

武装先生「いいから来い」

剣士「あ…あぁ」


タッタッタッタッ…

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 重役室 】

ガチャッ、ギィィ…


剣士「…何だここ」

武装先生「俺の部屋だ。重役室っていうところか」

剣士「ここがどうしたんだ?」

武装先生「…上を見ろ」


剣士「ん?」

剣士「……おっ」

 
キラキラキラ…

武装先生「凄い数だろ。俺が中央国の中央軍へ所属していた時の、表彰状やらだ」

剣士「…自慢かよ」

武装先生「ここに、俺が育てた子供らが表彰され、俺が育成者としての功労賞を受け取ったのもある」

剣士「だから自慢じゃないかー…」


武装先生「…俺の教え子らが、軍人として、見事に散ったという事でな」

剣士「!」


武装先生「冒険者の道の一つに、"軍人"という道があるのは知っているか?」

剣士「い、いや…」

武装先生「冒険時代といえる今、軍への加入は手厚い保護を受け、冒険を出来る仕事場になっている」

剣士「…そうなのか」

 
武装先生「表向きはな」

剣士「表向き?」


武装先生「本当は、一般冒険者が立ち入れないような危険な場所へ、冒険者を送り出す手段なんだよ」

武装先生「確かに軍人としての過保護とまでいえる恩恵はあるが、それは表向きの甘い募集だ」

武装先生「実際は過酷な場所へ送り出す人材を、冒険学校の卒業者から入隊させる、ひどい場所なんだ」


剣士「…」

武装先生「そのやり方に反発した俺は、こんな中央国から遠い学校へ飛ばされちまったわけだ」ハハハ

剣士「…なるほどね。そういう事か」

武装先生「ん?」

剣士「オッサン、わざと軍隊式みたく…戦いに積極的、乱暴に見せてるだろ」

武装先生「…」

 
剣士「"軍とは辛いものだから、絶対に入るな"とは口で言えないから、態度で示して、俺たちを軍から遠ざけようとしてる」

剣士「…そんな感じだなと、少し思ったんだが。どうかな」


武装先生「勘のいいことだ」

剣士「大体わかるよ。っつーか、察してくれって感じじゃん」

武装先生「…」ニヤッ

剣士「どうして俺にこんなのを見せた?」

武装先生「お前が気に入ったからだ」

剣士「はぁ?」


武装先生「俺にたてついたうえで、実力で示したのはお前が初めてだからな」

武装先生「しかも、負けも認める潔さもあったもんだ。ついつい、こんな話をしちまった」ポリポリ

 
剣士「あぁ…そう…」

武装先生「…頑張れよ。お前はもっと強くなる」


剣士「…」

剣士「…なぁオッサン」


武装先生「何だ?」

剣士「…さっき、校庭で、総合担当なんてクソだとか…言って、悪かった。オッサンは強いよ…くそっ」

武装先生「はははっ、まぁ…武器全般の総合担当なんて、信じられないのも無理はない」


剣士「俺のせいで、オッサンの信頼も下がっちまったろ」

武装先生「…たてつく奴は、力づくで、分からせてやるさ」グッ

剣士「くく…」


…ザワッ

ガヤガヤ…ワイワイ…


剣士「ん?」

武装先生「なんか急に外が騒がしく…」

 
ガチャガチャ…バタァンッ!!


武道家「ここか!?」

魔道士「ここだと思う…って、いたっ!」

僧侶「あっ、剣士くん!」


剣士「お、お前ら!?」

武道家「おうおう、聞いてくれよ!俺、合格したぞ!お前に追いついたぜ!」

 
剣士「当たり前だろ。お前が合格できなくてどうする」

武道家「はっはっはっ!」


魔道士「私だって合格したんだから」

僧侶「僕も!」

剣士「やるじゃねえか!」

魔道士「ふふんっ」


武装先生「…ふっ。ほら、さっさと次の授業が始まる前に、教室へ戻れ」

剣士「…おうよ、ありがとさん。また手合せしてくれよ。次は本気でさ」

武装先生「機会があればな」ニヤッ

 
ガチャッ…バタンッ…


トコトコ…

武道家「お前、あの先生と妙に仲良くなってなかったか?」

剣士「まぁ色々あったんだよ」

武道家「教えろよ!」

剣士「秘密にしておくかな、はっはっは」

武道家「この…」


魔道士「まぁまぁ…。今は合格しただけ、良しとしようよ」

武道家「むっ…」

僧侶「うん、それがいいと思う!」

 
剣士「ほらな、じゃあ…俺は先に教室戻ってるぜ!先に着いたほう勝ちな!」ダッ

武道家「あっ、待てコラァ!」ダッ

僧侶「ちょっ…待ってよ!」ダッ

魔道士「こら~!置いていくなぁ~!」ダッ

タッタッタッタッ…

………

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後・帰路 】


カァ、カァ…


剣士「ふぅ~…」

武道家「初日、終わったな…。あっという間だった」

剣士「思ったよりも楽だったよな。体力測定なんざ、余裕過ぎて欠伸が出たぜ」フワァ

武道家「鼻血出して、ヒールにかかってた奴が何を」


剣士「…あぁん!?」

武道家「…あぁ!?」

 
…ズイッ

剣士「ふむぐっ」

武道家「ぬおっ」


魔道士「はいはい、ケンカしないの」

剣士「…けっ」

武道家「分かりましたよ…」


剣士「つーか、何でお前も一緒にいるのよ」

魔道士「何となく」

剣士「まぁいいけど」

 
魔道士「本音を言えば…凄いって思ったからかな。本当に武装先生を倒しちゃうなんて」

剣士「…」

魔道士「最初に立ち上がって挑んでった時は、初日に学校辞める事になるのかなって思ったけど」

剣士「やめねぇよ!」

魔道士「あははっ!」


剣士「まぁ、俺の実力を見て仲良くなりたいと思ったというなら、仲良くしてやろう」キラキラ


武道家「…」

武道家「…バ~カ」


剣士「…」

剣士「…んだとコラァ!!」


武道家「あぁん!?」

剣士「おぉっ!?」

 
…ズイッ!!

剣士「むぐっ!」

武道家「んぐっ!」


魔道士「だから、ケンカしないの!」

剣士「…へいへい」

武道家「…分かったよ」


魔道士「仲がいいんだか悪いんだか分からないんだから」

剣士「俺がこいつと?」

武道家「仲がいいって?」


剣士&武道家「…まぁ、そうかもな」

 
魔道士「あなたたち、幼馴染とかなんかなんでしょ?」

剣士「…そうなのか?」

武道家「同じ村でずっと一緒だったし、そうだろ。二人でバカな事もたくさんしてきたよなー」

剣士「あ~…色々やってきたな」ハハハ

魔道士「どんな事?」


剣士「キャンプファイア飛び火して、村長の家を燃やしたり、冒険ごっことか言って、川に流されて死にかけた」

武道家「村の守り神の石碑の下にお宝が眠ってるとかってう噂聞いて、掘り起こしたりもしたな」

剣士「あと何だっけほら、確か隣村まで話が伝わった事やったよな…ほら…あれ…」

武道家「勝手に溜め池の水路掘って、隣村の畑の水を全部抜いちゃって、村同士の抗争になったんじゃなかったか?」


魔道士「…」


剣士「まぁ、可愛い子供のやることで」ニコッ

 
魔道士「どこがよ!!」

剣士「はっはっは!」

魔道士「悪童って言葉、そのまんまじゃないの…」

剣士「でも、毎日が楽しかったぜ?自然に囲まれてたし、新しい発見が毎日あった気がする」

魔道士「…へぇ、少し楽しそうね」


剣士「武道家、確かその頃だよな?冒険者の事を知って…二人で世界を見たいって思ったのは」

武道家「そうそう。お前の叔父さんが結構有名な冒険家で、よくお土産貰ってたよなー」

剣士「俺らが冒険者目指したのは、叔父さんの影響がでけぇかも」

武道家「うむ、確かに」


魔道士「叔父さんがきっかけで冒険者を目指したってこと?」

剣士「そうかもしれん」

 
魔道士「そっかー…」

剣士「お前は?」

魔道士「うん?」

剣士「お前は何で冒険者を目指してんの?女性もたまにいるけど、やっぱ珍しいなとは思っちまうな」

魔道士「…確かにね」

剣士「なんか目指すきっかけとか、教えてくれよ」


魔道士「ん~…」

剣士「…」

魔道士「…引かない?」

剣士「何が。聞かないとわからん」

 
魔道士「…そこはさ、引かないって言ってくれる場面じゃないの」

剣士「うんとは言えねぇよ。殺人とか罪犯して、逃げてココへ来たとか言われたら嫌だし」

魔道士「…そんなわけないでしょ!!」

剣士「うひっ!じゃ、じゃあなんだよ!」


魔道士「…」

魔道士「お、男っぽい…から!」


剣士「あん?」

魔道士「私がすぐに手を出したり、調子乗ったりして、男っぽいって言われ続けて…」

剣士「ふむ」

魔道士「気が強すぎるとかさ…なんか色々言われてたの。頭にきて、だったら冒険者になってやるみたいな…」

剣士「…それだけ?」

魔道士「え?う…うんっ…」

 
剣士「なんだ凄い理由あるわけじゃねえのか。その程度なら、俺らと一緒だな?」

武道家「似たりよったりじゃないか」

魔道士「…それだけの理由で飛び出して、バカみたいとかは言わないの?」


剣士「まぁ、何がきっかけだろうといいんじゃないの?」

剣士「理由はどうあれ、俺らは目指す同期だし、さっきみたいな人道を外すような理由じゃない限りは、どうも思わん」


魔道士「そ、そっか」

魔道士「そっかぁ……」


剣士「?」


武道家「それに、剣士は魔道士みたいな気が強い子好きなんだよな?」ニヤッ

剣士「なっ…」

魔道士「!」

 
武道家「さっき、言ってたじゃん。可愛いくせに、気が強くて俺好みだとかー…」

剣士「おいコラ!」

魔道士「…」


武道家「剣士君、素直になろうよ」ニタニタ

剣士「こ…コラァ!!」グイッ

武道家「あぁ…?やんのかオラァ!!」グイッ


魔道士「さ…先戻ってる!」ダッ

タッタッタッ…

 
剣士「あ…」

武道家「あらら。追いかけなくていいの?」

剣士「おめぇのせいだろうが!!」

武道家「怒るってことは図星だろ?うーん…やっぱり分からん。確かに可愛いとは思うが、俺のタイプではないな」

剣士「お前には分からんでよい」シッシッ


武道家「確かにスレンダーともいえるし、いいとは思うが…」

武道家「見た感じ、お姉さま!と呼ばれるのとは、かけ離れた存在で…魔道士はもうちょっとこう、身体に肉付きがー…」


ヒュッ…ボォンッ!!!

武道家「おごぉっ!?」


魔道士「…だから、聞こえてるってのっ!!」

 
剣士「あ、あんな遠くから…。地獄耳だ…」


武道家「あの距離から正確に打ち抜くとは…」ブスブス

武道家「む…無念…」

…バタッ


剣士「く…くはははっ!」

剣士「…楽しくなってきたじゃねえか!」

剣士「おら、武道家!寝てないで早く立て、今日から寮なんだ…相部屋だし気合入れていくぞ!」


武道家「へいへい…」ムクッ


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

  
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 冒険学校寮 】

ユサユサ…

剣士「…むにゃ」

武道家「おい、起きろ。朝だ」

剣士「まじかよぉ…もう…?」モゾモゾ

武道家「もう。遅刻すんぞ」


剣士「…」

剣士「…」グー


武道家「…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トコトコ…

剣士「なんか、朝から頭がいてぇな」ズキズキ

武道家「さっきベッドから落ちてたからじゃね?」

剣士「そうか…」


武道家「さっさと食堂で朝飯食って、学校行こうぜ」

剣士「んだな…。しかし、食堂があるのは楽だよなぁ…」フワァ


ガチャッ、ギィィ…

剣士「ここでいいんだっけ」

武道家「そう。もう朝飯は置いてあるから、勝手にとって食べていいらしいぞ」

剣士「うむ…」

 
魔道士「…あっ」

モグモグ…


剣士「お…魔道士」

魔道士「おはよっ」

剣士「おう、おはよう。折角だから相席でもいいか」

魔道士「うん」

剣士「んじゃ朝飯とってくるよ」

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カチャカチャ…モグモグ…

剣士「ふむ、美味い」

武道家「意外と美味いな」

魔道士「うん、美味しい」


剣士「っつーかさ、魔道士」

魔道士「ん?」

剣士「今思ったんだけど、お前…女子なのに、一緒の寮なの?」

魔道士「うん」

剣士「それっていいのか…?」

 
魔道士「元々入学する前から、それは前提で言われてたし…」

剣士「そうなのか」

魔道士「冒険するうえで、やっぱり男女関係なく立ち回らないといけないからじゃないのかなー」

剣士「男女関係なく、ねぇ」

魔道士「うん」

剣士「そうか、そうかそうか」ニヤニヤ


武道家「…」

魔道士「…」

剣士「…」


武道家「剣士、朝から健康なことだな」フッ

剣士「な、何がだよ!」ガタッ

 
魔道士「はぁ…」

武道家「こういう奴だから、気にしないでくれよ」

魔道士「うん、わかってる」

剣士「…」


…ガチャッ!

僧侶「急いで食べて学校行かないと…遅刻しちゃう!」


剣士「あ、僧侶」

僧侶「あぁっ、みんな!みんなも、今から食べ始めるのっ?」

剣士「いや、食べ終わって学校行くところ」

僧侶「そ、そんなぁ!」

 
剣士「ゆっくり、遅刻でもしてきてくださいなー」ハハハ

僧侶「う~っ!」


剣士「んじゃ、行こうか」ガタッ

魔道士「早起きは冒険者の基本なんだから、しっかりしないと」

剣士「そうだぜ。ずっと寝ているようじゃ、冒険者失格だ」フッ

武道家「…」


…ゴツンッ!!


剣士「!?」

 
武道家「…あっ、つい手が」

剣士「な、何しやがるこの野郎!!」ズキズキ


武道家「何となくだよ!遅刻する前にさっさと行くぞ!」ダッ

剣士「待てこの野郎!おい!」ダッ

魔道士「また走るの!?ちょっ、私も行くから待ってって!」ダッ


タッタッタッタッ…

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒険学校 】


キーンコーンカーンコーン…


冒険先生「はーい、注目ー」

冒険先生「入学2日目で、一人も脱落者がいなかったのは嬉しいぞ」


生徒たち「…」


冒険先生「さて、今日の授業なのだが…軽くパーティを組んでもらいたい」

冒険先生「その後で、今後の予定を話させてもらおうと思う」

 
剣士「…へぇ」

武道家「パーティねぇ」


冒険先生「今後、今年1年間で絆を深める意味で、挨拶という意味合いもあるが…」

冒険先生「身内同士でも構わないが、冒険者たるもの知らない人たちに人見知りをしていては話にならん」


生徒たち「…」


冒険先生「本来ならクジ引きなどで決めるのも悪くないんだが、あえて自ら動いて組みたい人を見つけてほしい」

冒険先生「…言い方は悪いが、余った者は余った者同士でくっつけることになるのは理解してほしい」


生徒たち「…はいっ」

 
冒険先生「よし!それでは、溢れる人数ではないし…見たところ学ぶ職業術もバラバラといい感じだ」

冒険先生「前衛2人、後衛2人のパーティを組んでもらう」

冒険先生「組み合わせが出来たら、俺に報告してくれ。それでいいか俺が決める」

冒険先生「もし、君たちが良ければ今後の演習にもそのパーティで参加してもらうつもりだ」


ザワザワ…!

生徒たち「おっ、それじゃあ俺はアイツとかな」ガタッ

生徒たち「うーん、なりたい奴はいるけど…」チラッ

生徒たち「俺も少し気になってる奴はいるんだよな~」ジッ


冒険先生「それじゃ、開始っ!」パンッ

 
生徒たち「…」ガタッ
 
ガタガタガタッ!!…トコトコトコ…ピタッ


剣士「…」

剣士「…な、何だお前ら」ビクッ


冒険先生(ふむ…)


生徒たち「剣士クン、俺とパーティを組んでくれないかな!」

生徒たち「お、俺は上級魔法の一部使えるよ!」

生徒たち「僕だって!」

ワーワー!!ギャーギャー!!

 
剣士「な、何だぁお前ら!?」

武道家「大人気じゃねえか」

剣士「何なんですかねぇ…」

武道家「そりゃ初日にあんなド派手なことすりゃなぁ」ククク

剣士「うっせー!」


ガヤガヤ…!!

冒険先生「おいおい…お前ら、落ち着け!」

冒険先生「確かに剣士は魅力的だが、本人が困ってるし、本人に希望があるかもしれないだろ!」

冒険先生「まずは本人の意思を確認してあげる事が先決だ!」


生徒たち「そ、そうか…」

生徒たち「剣士君は、組みたい人とかいるのかい?」

 
剣士「ん…俺か?そりゃ…先ずは一人はいる」

生徒たち「誰?」

剣士「武道家だ」

武道家「おう」ガタッ


剣士「もう1人も決まってる。僧侶」


僧侶「えっ、ぼ、僕っ!?」

剣士「初日に話かけてくれたのはお前だしな」

僧侶「僕でいいの…?」

剣士「だから来いよ!俺が決めたんだ!」

僧侶「…うんっ!」


生徒たち「あと一人は…?」ゴクッ

 
剣士「ん~…なんつうのかな」

剣士「まぁ、魔道士は、きっかけがどうあれ俺らと初日に話をしてくれたし…」


生徒たち「…」


剣士「それに可愛いと思うし…」ウン


魔道士「!?」

武道家「!?」

僧侶「!?」

生徒たち「…!?」

生徒たち「!?」

…ザワッ!!

 
剣士「強気な性格も嫌いじゃねーし」

剣士「何より、そんくらいのほうが俺は話やすいし楽しいしな…」

剣士「うん…そんな感じ…。わかった?」


武道家「…お、おい」

剣士「…ん?」


魔道士「…」プルプル


剣士「どうした?」

魔道士「ぜ、全員の前で、恥ずかしい事言うなぁぁ!!」

剣士「!?」

魔道士「小火炎魔法~~っ!!」パァッ!

 
…ボォンッ!!!

剣士「ぬおおっ!?」

武道家「ぬぁぁっ!!」

生徒たち「うあああ!!」


魔道士「こらぁ、当たれぇぇ!」

剣士「やだよ!」

魔道士「こ、この~っ!」

剣士「これからよろしく~!はははっ!」

ヒョイヒョイッ…タッタッタ

魔道士「もうっ…こっちこそよろしくっ!!だけど、一回当てないと気が済まないのっ!」パァッ

…ボォンッ!!ボォンッ!!

 
ギャーギャー!!ドタドタ…

ボォンッ!!パラパラ…ボォンッ!!


冒険先生「うーむ…。今年のは本当に当たり年かもしれないな…」シミジミ

冒険先生「ほら、みんなもサッサと決めちゃってねー」パンパン


武道家「はは…むちゃくちゃだな」

僧侶「…だね」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

冒険先生「うしっ…席替え完了。これでパーティは分けられたわけだ」

冒険先生「互いに改めて挨拶してくれ。そしたら今後の予定を発表する」


生徒たち「俺の出身はあの山の近くでさ…うん。よろしくー」

生徒たち「へぇ、うちの近くだったんだな。僕はその隣村なんだ、よろしくなー」

ザワザワ…

 
武道家「…ごほんっ!」

武道家「俺は武道家っす。出身は北方側の小さな村。よろしく!」


僧侶「僕は中央国から少し離れた場所にある、道中町ってところ!」

僧侶「よろしくお願いしますっ!」ペコッ


魔道士「私は、北西冒険学校から近い村の出身なの」

魔道士「よろしくね」


剣士「俺は武道家と同じ、北側にある村の出身だ。よろしく!」コゲッ


武道家「…剣士」

剣士「あん?」

武道家「…お前、イメチェンしたの?髪の毛アフロになってるよ」

剣士「おう。これが巷で話題の流行の髪型らしい」

魔道士「懲りないやつめ…」

 
冒険先生「全員…簡単な挨拶は終わったな?んじゃ、今後の予定を発表するぞ」

冒険先生「それぞれの志願した個人授業は勿論予定しているが、このパーティは今後の授業に重要な意味を持つ」

冒険先生「実際に演習を行ったりする場合、今のパーティでともに行動してもらう事になるかもしれん」

冒険先生「しっかりと連携を鍛え、どんな困難でも乗り越えられるように頑張るんだぞ」


生徒たち「はいっ!」


冒険先生「うむ、返事はよろしい」

冒険先生「簡単なクエストやらもやってもらう事にはなっていくだろうから、前準備はしっかりとしないとな」


剣士「…なぁ、クエストってなんだ?」ボソボソ

武道家「知らん」

剣士「なんかの食材か?」

武道家「確かに食えって言ってるな」

剣士「ごはんか!?」

 
冒険先生「…クエストとは、依頼のこと。冒険稼業の1つで、生活する為に必要な事だ。ご飯ではない…」

剣士「あ、そうなんすか」


冒険先生「例えば、剣士君が"強い剣を作りたい"って思った時、まず何をする?」

剣士「買う」

冒険先生「…消費者目線は大事だな。だけど、違うぞ…。"作りたい"と思った時だ…」

剣士「作りたい…?だって俺、鍛冶屋じゃねえから作れないぜ」

武道家「はっはっは、俺はいざとなれば武器なんかいらないからな。俺の勝ちだな」


剣士「なんだと…」ガタッ

武道家「おっ?やるか…?」


剣士「…あぁ!?」

武道家「おぉ!?」

 
…ゴツゴツンッ!!

剣士「」

武道家「」


冒険先生「誰か、クエストについて説明してくれる人~」


魔道士「…はい」

魔道士「剣士、武道家、よーく聞きなさい。例えば、村に住んでる人が畑を作ってたとするでしょ?」

魔道士「その畑を荒らす動物がいて、村人は困ってます。だけど、自分だけでは対処できない…どうしよう」

魔道士「そんな時、対処できる人に依頼をして、対価であるお金とかを払う代わりに、処理してもらうの」

魔道士「その過程であった、依頼のことをクエストっていうの。分かった?」


冒険先生「うむ。そんな感じだ、分かったか?」

 
剣士「…何となく分かった」

武道家「そういや、俺らが村長の家に火つけた時、盗人の仕業だから捕まえてくれって冒険者来なかったっけ?」

剣士「あ~来た来た!あれがクエストってことか!」

武道家「結局、俺らってバレて超怒られたな」ハッハッハッ

剣士「はっはっは、そうだったな!」


冒険先生「…」

冒険先生「ごほんっ。まぁ理解すればよろしい」

冒険先生「話を戻すぞ。そのクエストの準備やらの為に、己の力もしっかり磨くように!」


剣士「ういっす」

武道家「うい」

僧侶「はいっ!」

魔道士「はい!」

生徒たち「はいっ!」

 
剣士「…でもよ、クエストってそんな必要なのか?」

冒険先生「む?」

剣士「依頼とかは人とのつながりだから大事だと思うけどさ。冒険者のやる事?」

冒険先生「…あのな。クエストをこなすのは、冒険者の基本であり、冒険者の全てだぞ?」

剣士「…え?」

冒険先生「探検、冒険するというのは、"依頼を受けてから"ということが基本だぞ…?」

剣士「えっ」


冒険先生「確かに自由区域は、自分勝手に遺跡調査やら、宝物探索も出来るが…」

冒険先生「本当に危険な場所は、クエスト受諾後しか許可が下りないんだ」

冒険先生「だから、依頼をこなす事で実力や名前をあげて、ようやく難易度の高いクエストの受諾の許可がおりる」

冒険先生「それを繰り返す事で、やがて人類未踏の地への扉となる…のだが…」

 
剣士「…まじで?」

冒険先生「周知だぞ」

剣士「…まじで?」クルッ


全員「…」コクン


冒険先生「…」

剣士「…」

武道家「…」


魔道士「…はぁ」

僧侶「あはは…」

 
剣士「…まじかぁぁ…。卒業すりゃもう、金入ったり自由に冒険できるもんだとばっかり思ってたぁぁ!」

冒険先生「はは…。まぁ、それも有りだ。とにかくクエストが基本になるのは間違いはないけどな」


剣士「くっそ…武道家、そうらしいぜ!」

武道家「…お、おれ知ってたし?」

剣士「う…ウソつくなコラァ!俺だけバカみてえじゃねえか!」

武道家「クエストとか基本だしー。冒険者なら知ってて当然だしー」


剣士「ウソつくなよこらぁ!」

武道家「お?やんのかオラァ!」

剣士「あぁん!?」

武道家「あぁ!?」

 
冒険先生「この…」

魔道士「…小火炎魔法っ!!」

パァッ…ボボォンッ!!

剣士「」

武道家「」

ドサドサッ…


冒険先生「…あら」


魔道士「お、同じパーティとして彼らにしっかり教えておきますので…」

冒険先生「…よろしくたのむぞ」

魔道士「は…はい…」アハハ…


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 廊下の一角 】


剣士「遠慮ナシにぶっぱなしやがって…。俺の髪型が流行通り越して未来先取りしてんじゃねーか」ブスブス

武道家「俺はやっと流行に追いついたな」ボワボワ

僧侶「これが流行なのかぁ…」

剣士「おう、お前もこの髪型に…」


魔道士「バカなこと教えないで」

魔道士「っていうか、二人とも本当にクエストとか何も知らなかったの?」


剣士「うーむ…てっきり冒険学校卒業ですぐに未来が確約されるものだと」

武道家「思っていた」

 
魔道士「はぁ…」

僧侶「二人とも、クエストは簡単なものから難しいのもあるし、知名度をあげれば依頼の難易度も上がるんだよ」

魔道士「そうそう。だから、小さなモノを積み重ねて、やがて巨大なクエストに挑むって感じ」


剣士「じゃあ最初から遺跡探検とかはできないってことなのか」

魔道士「場所によってはあるだろうけど、古代遺跡とかは危険なのも多いしねぇ…」

剣士「魔獣とかいるんだっけ」

魔道士「うん。魔力を身に纏って、強力な攻撃とかしてくるし…」

剣士「その辺の簡単な奴なら余裕で倒せるんだけどなー」

魔道士「昔から崇められてきた神様の正体は、1000年物の魔獣でした…とか珍しくないからね」

剣士「面白そうじゃねえか」

 
僧侶「…今後、演習とかもするって冒険先生がいってたけど、やっぱり魔獣関係とか出てくるのかな」

魔道士「そうじゃない?」

剣士「ほぉ!早く戦ってみてぇな!」

魔道士「脳筋ね…」


武道家「戦いとか、体力には自信あったけど、そういうのには全然疎いな俺ら」

剣士「まともな勉強してこなかったしなー。魔法書なんかまともに読んだ事ねぇよ」

魔道士「えっ…じゃあ、魔法詠唱とかできないの?」

剣士「うむ。まず魔法の仕組みとか、使用する感覚すらわかってないし」

魔道士「…」ヒクッ

剣士「まぁ、俺ら前衛だし魔法なんか使えなくても…な!」

武道家「いや俺、気力あるし」

剣士「ずるい」

 
…キーンコーンカーンコーン…

剣士「あっ」

武道家「やべっ、予鈴か…?次の授業なんだっけ!」

魔道士「次は確か、共通の授業で基本冒険学じゃなかったかな」

僧侶「また、冒険先生の担当だったはずだよ」


剣士「うへっ、怒られる前に教室に行こうぜ!」

武道家「だな」

魔道士「遅刻したらまた怒られちゃうからね~」

僧侶「今度は連帯責任とかで、パーティ全員が怒られそうだし…」


剣士「おう、急ごう!」


タッタッタッタッ…

………
……

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教 室 】


剣士「はぁ~、間に合った…」

魔道士「危なかったぁ…」


冒険先生「俺と一緒に教室に入るとは…」

冒険先生「授業が始まる5分前には入っておく余裕も必要だぞ」


剣士「次から気を付けるよ」

魔道士「ごめんなさい…」

剣士「はっはっは、気にするなよ」

魔道士「あのね」

 
…パンパン

冒険先生「ほら、静かに」

冒険先生「今日の授業は世界の仕組みについて簡単にやった後に、冒険術の基礎から教えていくぞ」


剣士「世界の仕組み?」

魔道士「社会とか地理とか、そういうのでしょ」

剣士「なるほど」


冒険先生「その通り。この世界は、5つの巨大な大陸から形成されているのは知っているな?」


剣士「そうなのか」

武道家「そうらしい」

魔道士「あんたたち…」

 
冒険先生「東方大陸、西方大陸、南方大陸、北方大陸。そしてその全ての中心である中央大陸がある」

剣士「うむ…」

冒険先生「世界は平和条約で結ばれており、中央大陸にある中央国に所属する中央軍がその政権の中心となっている」

剣士「中央中心うるせえな」

魔道士「静かに」


冒険先生「中央軍には、魔法研究連盟、世界軍事連合などが存在し、あらゆる連合連盟の中心となってもいる」

冒険先生「冒険学校の設立も中央国の立ち上げからの始まりであり、君たちは、いち中央国の希望の星というワケだ」

冒険先生「中央軍が社会的組織の中心ではあるが、これとは別に、独立国家もいくつか存在している」

冒険先生「その辺は追々話すが、まぁ基本として5大陸と中央軍、中央国家の事だけ覚えていればいいだろう」


剣士「なるほどね…。勉強になるな」

魔道士「大体の人が知ってることなんだけどね…」

 
剣士「でも、それだけ広い世界だからこそ、冒険者も必要ってことなんだろ」

魔道士「うん」


冒険先生「剣士くん、いい言葉だ。そういうことだな」

剣士「その分、危険もあるだろうけどワクワクしてくるぜ」

冒険先生「君みたいな子が、いずれ名の馳せた冒険者になるのかもしれないぞ」

剣士「おうよ、当たり前だぜ」


冒険先生「ははは、自信たっぷりで結構」

冒険先生「じゃあ、次は冒険の基礎学から始めていくぞ。教科書出してー…」


剣士「ういっす」

武道家「ういーっす」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後・帰路 】

ザッザッザッ…

剣士「…頭いてぇ。今日は体を動かす授業全然なかったな…」

武道家「お前、本当に参考書読むのとかダメな」

剣士「まじで無理だって…」

武道家「まぁ俺も体で覚えるタイプだし、気持ちは分からんでもないが」

剣士「…オメーも本を読むのは得意じゃねーだろうが」


魔道士「でも、少しはそういう事も慣れないと…今後苦労するんじゃない?」

剣士「わかってんだけどよ…」

魔道士「そういや昼間言ってたけど、魔法も全然ダメなんでしょ?」

剣士「そうなんだよなー」

 
魔道士「今、使えるやつとか全然ないの?」

剣士「…」

魔道士「…?」

剣士「…小火炎魔法っ!!」パァッ!

…ブシャアアッ!!ビチャビチャッ!

魔道士「きゃあっ!」


剣士「…って感じ」

魔道士「これ水魔法でしょ!」

剣士「魔法が使えないわけじゃないんだが、変なの出るし、まぁどうしようもねぇ」

魔道士「魔法を使う感覚っていうか、放出するのが苦手なの?」

剣士「何もかも苦手」

魔道士「あぁ…」

 
武道家「僧侶なんかは、基本の魔法は使えるんだろ?」チラッ

僧侶「あ、僕?うん、使えるよ。火、水、風…あとは回復術の基本くらいだけど…」

武道家「充分過ぎだ」


魔道士「私は中級魔法も使えるのあるし、それなりに役に立てるかな」

武道家「俺は近接特化だが、前に見せた気力での遠距離攻撃は出来る」

魔道士「私を吹き飛ばしたやつね」

武道家「申し訳ございませんでした」


剣士「…俺だけかよ、使えないの!」

武道家「やーいやーい」

剣士「あぁ!?」

武道家「あぁ!?」

 
…ズイッ

魔道士「二人とも、いつも争ってないと気が済まないの?」

武道家「申し訳ない」

剣士「ごめんなさい」


魔道士「でも、使えないと不便っちゃ不便だと思うだけどなぁ…」

剣士「共通の魔法授業とかはあったけど、何言ってるかサッパリだ」

魔道士「…勉強したら?」


剣士「…」

剣士「嫌だ」


魔道士「…」

剣士「無理だって…似合わないし…。ね?」

 
魔道士「似合わないとかじゃなくて、基礎魔術とか覚えてないと、苦労するでしょ」

剣士「えー…。わざわざ先生のところ行きたくないし、聞くのも面倒じゃね…」

魔道士「あのねぇ…」ハァ

剣士「まぁ、そのうちやるよ。前衛として、覚えなくちゃいけないのは分かってるし」

魔道士「うん、そういうのも大事だと思う」


武道家「んじゃ俺も少しは勉強すっかなぁ」

剣士「似合わねぇ」プッ


武道家「…お?」ズイッ

剣士「…あ?」ズイッ


魔道士「…私、このパーティは大変な気がしてきた」

僧侶「うん…僕も少し…」

……………
…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・食堂 】 
 

ザワザワ…


剣士「今日は早起き出来て余裕だな」

武道家「いつもそれだといいんだがな…」

僧侶「今日は僕も一緒っ」フンッ


魔道士「あっ、来た来た。お~い!」


剣士「ういーっす」

武道家「おっ」

僧侶「あ、魔道士さ~ん!」

 
トコトコ…ストンッ

剣士「おはようさん」

魔道士「うん、おはよっ」

剣士「今日の飯は何だ?」

魔道士「いつものと一緒だけど、今日は豆腐がついてるよ」

剣士「豆腐好きじゃねえんだよなぁ…」ポリポリ

魔道士「きちんと食べないとダメでしょ。冒険者なら、好き嫌いしないで食べないと!」

剣士「しかし…」


魔道士「好き嫌いしてる冒険者は二流って言われるよ~?」

剣士「むっ…」

魔道士「ほら、早く朝食貰って来て、学校いこっ」

 
剣士「はぁ…もらってくるか…」

魔道士「よろしいっ」


武道家「なら、俺が食ってやろうか?」

剣士「俺が食べます」

武道家「ちぇっ」

僧侶「武道家くんは、豆腐好きなの?」

武道家「まぁまぁな…」


トコトコトコ……

………

 
魔道士「~♪」モグモグ

魔道士「…」モグモグ


…ガタガタッ

???「…おい」

魔道士「えっ…?は、はい…?」

???「今、なんつったよ」

魔道士「な…何がですか?」


…グイッ!!

魔道士「…っ!?」

 
???「お前…今、俺のこと二流冒険者っつったよな」

魔道士「な、なんなの…!そ、そんな事言ってない…」ググッ

???「いーや聞こえた。豆腐が食えないからって二流なのか?あ?」

魔道士「ち、違っ…貴方に言ったんじゃ…」

???「違わねぇよ。先輩に向かって確かに、"二流の冒険者"だと言っただろ」


魔道士「せ、先輩…?」

二流騎士「二流って言葉が大っ嫌いなんだよ俺は!二流二流と…そんなに二流が好きなのか!?」

魔道士「そ、そんな事知らない…」グググッ

二流騎士「クソ女が…今ここで全員の前で、服でも剥いでやろうか!?」

魔道士「…や、やめっ…!」

 
二流騎士「勘弁ならねぇな。おーら!」グイッ

魔道士「…っ!」ググッ

二流騎士「息出来なくて苦しいか?はははっ!」

魔道士「…ご、ごほっ…」

二流騎士「はははっ!!」

魔道士「う…ぐっ…」

二流騎士「豆腐が食えなくて悪かったなぁ…こらぁぁ!!」ギリギリ!


ヒュッ…ベチャッ!!

二流騎士「うぷっ!?」

 
パッ…ドサッ!!

魔道士「いたっ!ごほっごほごほ!」


二流騎士「な…何だこりゃ…、豆腐…!?」ベチャッ


剣士「あ~やっぱ俺、豆腐苦手だわ。ついつい投げちゃったわ」

二流騎士「…テメェか…」ギロッ

剣士「いやー豆腐嫌いすぎて投げちゃったんですよ」

二流騎士「ぶっころされてぇのか…」

剣士「そんな事ばっかしてっから、二流なんじゃねえの?つーか二流だから、二流って言葉に反応するんでしょ」プププッ

二流騎士「てめぇぇ!!」ダッ


ヒュッ…ビチャアッ!!

二流騎士「あっ…あ゛ぢぢぢぢっ!?」

 
武道家「あ~…実は俺もこのスープ苦手なんだわー。ついつい投げちゃったわ」

二流騎士「て…てめぇらぁぁ…」ブルブル


剣士「先輩だか何だか知らないが、友達…しかも女子に手出されて、黙って見てるワケにはいかんでしょ」

剣士「ねっ…二流先輩?」ニカッ


二流騎士「…ぶっころす」ブチッ


剣士「いいね、そうこなくっちゃ!」

武道家「はっはっはっ!加勢するぜっ!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 教員室 】


冒険先生「この…バカもんっ!!」ビリビリ


剣士「…」

武道家「…」


冒険先生「うちの生徒が問題を起こしたと行ってみれば…」

冒険先生「やっぱり君たちだったか…。入って1週間もしないうちに、ここまで目立って生徒はいないぞ…」ハァ


剣士「…」

武道家「…」

 
冒険先生「乱闘騒ぎの果てに、先輩を治療院に送るとは…」

冒険先生「規律を乱したことで、本当なら一発で停学か退学処分ものなんだからな!?」


剣士「へぇい」

武道家「うい」


冒険先生「全く…、武装先生が許してやれというから…。どうして寛容に受け止めるんですか」

…ズイッ

武装先生「はっはっは、聞けば相手側が、この子らのパーティにケンカを売ったらしいじゃないか」

武装先生「しかも売られたのは女の子だったというし、何も問題はないと思うがな」


冒険先生「早朝から食堂で乱闘騒ぎにするどこがですか…。仲間を守るのはいいですが、やりすぎなんですよ…」

武装先生「若いな、君は」

冒険先生「えぇ…そうかもしれませんね」ハァ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 廊 下 】 
 

武装先生「次からはもう少し大人しくやったほうがいいぞ。冒険先生に怒られるからな」ハハハ

剣士「オッサン、ありがと。助かったぜ」


武装先生「とはいえ、今日は1日授業に出るのは禁止されたんだろう?」

武装先生「本当ならそこも庇護してやりたいが、そこはルールとして受け止めて、部屋に籠っていることだな」


剣士「そうするよ」

武道家「あざっす。剣士が仲良くしてたおかげで助かったぜ」

剣士「くはは」

 
武装先生「まだ俺の授業は予定に入ってないが、その血気盛んな若さを発散できるような授業は準備しておいてやろう」

武装先生「キツイかもしれんが、楽しみにしておけ。ではな」クルッ

カツ、カツカツカツ…

剣士「おおうよ!望むところだ!」

カツカツカツ…

……


剣士「…」フンッ

武道家「なんか本当に仲良くなってるな。初日のやり取りが嘘みてーだ」

剣士「まぁな!」


タッタッタッタッ…

魔道士「ふ、二人とも~!」

僧侶「おーい!」

剣士「ん?」

 
武道家「あれ、魔道士と僧侶。どうした?」

剣士「お前ら、もうすぐ授業始まるじゃん。ここで何してんの?」

魔道士「はぁはぁ…。ど、どうだったの?何か罰受けた…?」

剣士「いや別に」

魔道士「えっ、ないの!?」


剣士「…ないよな?」チラッ

武道家「お…おう。そうだな」

魔道士「良かった…」ホッ


剣士「でも、今日一日は学校サボる予定」

魔道士「え?」

 
剣士「ちょっと怒られたのがムカついたから授業は出ない!なぁ!」チラッ

武道家「お…おうよ!」

剣士「ってなわけで、お前らは授業戻れ」シッシッ


魔道士「ち…ちゃんと出なさいよ!」

僧侶「出たほうがいいよ…」


剣士「し…仕方ないだろが!」

魔道士「何が!」

剣士「今日1日、授業受けちゃいけないって言われたんだから!」

魔道士「えっ…」


剣士「…あっ」

武道家「…バカ」

 
剣士「…はぁ」

剣士「そういうこと。だから気にしないで、お前らは授業出てこい」


魔道士「私のせいだよね…ごめん…」

剣士「気にしてねーし、手ぇ出したのは俺だし、仕方ないっしょ。休日だと思ってのんびりしてるわ」

魔道士「寮で1日待機ってことだよね」

剣士「そうだけど…。でもよ~武道家」

武道家「うん?」


剣士「待機じゃ面白くねーし、町出てみねぇ?」

武道家「あぁいいな。親からの仕送りで金も少し持ってるし、町に馴染むにはいい機会じゃね?」

剣士「よっしゃ決まりだな。ってなわけで、俺らは町に遊びにー…」

 
魔道士「私も服着替えてくる。待ってて!」

剣士「」ズルッ


魔道士「私のせいだから、私も行く!」

剣士「お前は授業出ておけよ!」

魔道士「いいの!」

剣士「…いいの?」

魔道士「いいの!」

剣士「よし、遊ぼう」


武道家「剣士、お前折れるの早くね?」

剣士「ははは!まぁパーティ同士、絆を深めようぜ!」

武道家「まぁいいけども…」

 
魔道士「じゃあ、準備してくる」

僧侶「ぼ…僕も行く!僕も準備してくるね!」

ダッ…タッタッタッタッ…


剣士「…あらら」

武道家「しかし地元の町か。学校ばっか気にしてて、周辺のこと全然知らないもんな」

剣士「だから、丁度いい機会だろ?」

武道家「まぁそうかもしれねえけど、バレたら厄介なことにならないかね」

剣士「…しらん!」

武道家「…そうだな、知らんな!」


剣士「俺らはこれで丁度いいんだよ!おっしゃあ!途中でアイツらを回収していくぞ!」ダッ

武道家「おうよ!」ダッ

タッタッタッタッタッタッ…

 
タッタッタッタッタッタッ…

……

…コソッ
 
武装先生「…書類を忘れて取りにきてみれば…あいつらは…」

武装先生「…」

武装先生「サボるのはよくある事だが…あの二人は少し心配だ…」

…………
………

本日はここまでです、有難うございました。

                          刀、           , ヘ
                  /´ ̄`ヽ /: : : \_____/: : : : ヽ、
              ,. -‐┴─‐- <^ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
               /: : : : : : : : : : : : : :`.ヽl____: : : : : : : : : : : : : : : : : : /
     ,. -──「`: : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : :\ `ヽ ̄ ̄ ̄ フ: : : : :/

    /: :.,.-ァ: : : |: : : : : : : : :    :\: : : : :: : : :ヽ  \   /: : : :/
    ̄ ̄/: : : : ヽ: : : . . . . . . . . . . .、 \=--: : : :.i  / /: : : : :/
     /: :     ∧: \: : : : : : : : : : ヽ: :\: : : 〃}/  /: : : : :/         、
.    /: : /  . : : :! ヽ: : l\_\/: : : : :\: ヽ彡: : |  /: : : : :/            |\
   /: : ィ: : : : :.i: : |   \!___/ ヽ:: : : : : : :\|:.:.:.:/:!  ,': : : : /              |: : \
   / / !: : : : :.ト‐|-    ヽ    \: : : : : l::::__:' :/  i: : : : :{              |: : : :.ヽ
   l/   |: : :!: : .l: :|            \: : : l´r. Y   {: : : : :丶_______.ノ: : : : : :}
      l: : :l: : :ト、|         、___,ィ ヽ: :| ゝ ノ    '.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
      |: : :ト、: |: :ヽ ___,彡     ´ ̄´   ヽl-‐'     \: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ
        !: :从ヽ!ヽ.ハ=≠' , ///// ///u /           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

      V  ヽ|    }///  r‐'⌒ヽ  イ〉、
              ヽ、______ー‐‐' ィ´ /:/:7rt‐---、       こ、これは>>1乙じゃなくて
                  ィ幵ノ ./:/:./:.! !: : : : :!`ヽ     ポニーテールなんだから

              r‐'T¨「 |: | !:.∨:/:./: :| |: : : : .l: : : :\   変な勘違いしないでよね!
               /: : .|: :| !:.!ィ¨¨ヾ、:.:/ !: : : : l: : : : : :.\

皆さまありがとうございます。投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北 西 町 】

ガヤガヤ…


剣士「へぇー…、結構人がいるんだな」

魔道士「まぁね。冒険学校が出来て、冒険者も増えて、それなりに賑わってるみたい」

剣士「魔道士って確か、この付近の村の出身なんだよな?」

魔道士「うん。地元はここから近いから、よく遊びに来てたよ」

剣士「面白いところあったら紹介してくれよ。なんか色々と見たい」

魔道士「面白いところかぁ…う~ん…」


武道家「おすすめスポットとかはないのか」

魔道士「何かあったかなぁ…」

 
剣士「…」

剣士「…」グゥゥ

剣士「…腹減ったな。まずは飯が食いたいかもしれん」


魔道士「そういや朝ごはん、まともに食べてないもんね」

剣士「朝からやってる食い物屋とかないのか?」

魔道士「うん、それならすぐ案内出来るよ。こっち」

剣士「ほいほい」

  
トコトコトコ…

剣士「しかし、いい町だな」キョロキョロ

魔道士「そうかな?」

剣士「なんか、歩いている人みんな、楽しそうじゃね?」

魔道士「えへへ、嬉しい事言うね。地元ってわけじゃないけど、思い出深い町だから褒められると嬉しいな」

剣士「おう。良い思い出が出来そうな町だ」

魔道士「ありがとっ♪」


武道家「み…見ましたか?人前でイチャついてるなんて嫌だわね」ボソボソ

僧侶「なんか、妙に仲良くなってるよねっ」ボソボソ


魔道士「そこ、全部聞こえてるから」

 
剣士「はは…、ところで魔道士の村はここから歩くとどのくらいかかるんだ?」

魔道士「歩いては…無理だけど、馬車で1日かからないよ」

剣士「俺と武道家は地元まで3日くらいかかるな」

僧侶「僕もそれくらいかな?」


魔道士「へぇ~…。あ、すぐ料理屋さん着くよ。もう見えた」

剣士「ちけぇな」

魔道士「あそこあそこ。すっごい美味しいけど、それなりの値段しちゃうけど大丈夫?」

剣士「おいくらくらい?」

魔道士「おなかいっぱい食べたら、1人あたり3,000ゴールドくらいかな」

剣士「たけぇ!!」

魔道士「朝からやってるのあそこくらいだしなぁ~…」

 
剣士「武道家、僧侶、魔道士の所持金は?」

武道家「5,000ゴールド。俺も少し厳しいな」

僧侶「僕も同じくらいかな」

魔道士「一緒くらいだけど、私は朝ご飯食べたし…そんなに食べれないから…」


剣士「いや俺と武道家が食うしなぁ…。金がありゃいいんだが…」

剣士「…おっ?」


ドンドン、パフパフ…

ガヤガヤ…


剣士「なんか、あそこで道の真ん中に人集まってるぞ。何だあれ」

魔道士「見せ物か何かかな」

剣士「行ってみようぜ」

 
タッタッタッタッ…

剣士「何してるのかな~っと…」ヒョイッ

剣士「…おっ!」


武道家「…ほお」

僧侶「これは…」

魔道士「なるほどね」


男「さぁさぁ、こちらの少年に一撃を与えられれば1万ゴールドだ!」

男「挑戦者はいないかい!挑戦金は、一人1回5,000ゴールド!さぁさぁ…いないかい!」


剣士「こちらの少年って…」


少年「…」チョコン


剣士「本気で子供じゃん!」

 
魔道士「確かに小さいね。だけど、見かけで判断すると痛い目みるわよ~」

剣士「そりゃまあ、出来るほうなんだろうけどさ…」


…ザッ

屈強な男「ぐはは!そんなガキでいいなら、俺がやってやるよ!5,000ゴールドだ!」チャリンッ

男「毎度~♪」

屈強な男「泣いても知らないぞガキ!」

少年「…どうぞ」


屈強な男「一撃を与えりゃいいんだな?治療院送りになったら…すまんな!!」グググッ

屈強な男「そおりゃあっ!!」ブンッ!!

 
剣士「!」

武道家「あの図体で…早いっ!」


少年「…」ヒョイッ

屈強な男「!」

ズドォン!!…パラパラ…

少年「…余裕」


屈強な男「ぐはは、一撃で仕留めてやろうと思ったが、避けるとは…なかなかやるじゃないか」

少年「…ありがと」

屈強な男「今度は本気で行くぞぉ?おらぁっ!!」ブンッ!

少年「…」ピクッ

…ヒョイッ

 
屈強な男「!」

ズルッ…ドシャアッ!!

屈強な男「い…いでで…!」


周りの人々「ははは!転ぶとは情けない!」

周りの人々「どうしたぁ!子供に遊ばれてるぞ!」

ハハ、ワハハハ…!


武道家「…み、見たか?」

剣士「あぁ…」

武道家「…何て動きしてやがるんだ…。流れるように避けやがった…。相当な鍛錬積んでるぜあの子供」

剣士「恐らくは体術の類か?あそこまでキレイに動けるとは…」

武道家「こりゃあ…あの男、負けるんじゃないか」

剣士「…かもしれん」

 
屈強な男「くっ…!」スクッ

少年「…」

屈強な男「…もう許さん!敏捷魔法!!」パァッ!


剣士「!」

武道家「!」

剣士「強化魔法だっけか…?あのオッチャンも、結構なやり手みたいだな」

武道家「だけど子供に強化魔法使うようじゃ、情けないの一言だぜ」


屈強な男「おらぁぁ!吹き飛べコラァ!!」ブンッ!!

少年「…やぁっ!」

…ガシッ!

屈強な男「!」

 
剣士「おっ、腕をつかんだ!」

武道家「何かするつもりだぞ!」


屈強な男「離せ…オラァァ!!」

少年「…ッシ!!」グイッ!

ギュルンッ!!

屈強な男「ぬおぁっっ!?」

…ドシャアッ!!モクモク…


剣士「お、男が回転した…。あの巨大な男を簡単に投げやがった…」

武道家「あの小さな体で、…どんな腕力してやがるんだよ…」

 
トコトコトコ…ポンッ

男「どうですか~?まだやりますか~?」

屈強な男「い…いや…」

男「毎度ぉ♪」ニコッ


ザワッ…

周囲の人たち「う…うおぉぉぉ!!」

周囲の人たち「すげぇぞガキ!今の何だ、投げ技か!?」

周囲の人たち「やるじゃねえか!!」

ワァァァ…!!

少年「…」テレッ


武道家「…」

剣士「…」

 
魔道士「す、すっごーい…」

僧侶「あんなに子供なのに、僕より強そう…」


剣士「おい…行くか?」

武道家「丁度5,000ゴールド。こりゃ、運命だろ」

剣士「そうだな。見たところ素手での戦いだし、お前の出番だな」ニヤッ

武道家「うめーもん、お前らに奢ってやるぜ」スクッ


魔道士「えっ、戦うの!?」

僧侶「武道家くんが!?」


武道家「後衛のお前らに、俺の実力も知ってて貰わないとな」フンッ

ザッザッザッ…

 
男「さぁ~…、挑戦する人はいませんか!」

男「誰でも構いません!ただし、この周囲をぶっ飛ばすような重火器はやめてくださいね」アハハ


ザッザッザッ…ザッ!

武道家「ほい、5,000ゴールド。俺がやる」ペラッ

男「…若いね。君じゃ勝てないよ」

武道家「忠告どーも。でも、誰でもいいんだろ?」

男「…いいよ」

武道家「ありがと」


男「さぁ!新たな挑戦者が現れました!!果たして勝てるのか!?」


周囲の人たち「無理すんなよ~!」

周囲の人たち「あの男の子より少し上くらい?ケガだけはしないようにね~!」

 
魔道士「…大丈夫なの?」

剣士「大丈夫だろ。武道家は割と本気で強い」

魔道士「ずっと、引き分けなんだっけ」

剣士「1回は俺の勝ちだ」フンッ

魔道士「それはわかんないけど、剣士くらい強いなら…大丈夫かな」


…ポキポキッ

武道家「さぁて…いいか?」

少年「…」コクン

武道家「先ずは軽く…、おりゃッ!!」ブンッ!!

 
少年「…」

スゥッ…ヒュンッ


武道家「おっ!?」

少年「…」

武道家「へぇ…思ったより消えていくように動くんだな。さっきのオッチャンがこけた理由がわかったぜ」

少年「…」


武道家「なら…これはどうだ!」ブンッ!!

少年「…」ヒョイッ

武道家「…二連撃!!」ビュビュッ!

少年「!」

…ガシィンッ!!


武道家「…っと、防がれたか」

少年「…っ!」ビリビリ

 
武道家「はは、びっくりしたか?確かに早いが、避ける方向は充分見えてるぜ」

少年「…見えたの?」

武道家「あぁ、丸見えだ」

少年「…」


ザワザワ…

周囲の人たち「おぉ、なんかいけそうじゃねえか?」

周囲の人たち「結構いい動きしてたぞ…」


武道家「んじゃもう1回…行くぞ!」ブンッ!!

少年「…」ヒョイッ

武道家「見えてるぞ、二連撃!!」ビュッ!

少年「…」ヒュッ!ヒョイッ!

 
武道家「うおっと…!」ヨロッ

少年「…今度は、避けたから…僕の勝ちだね」

武道家「うまく避けられちまったなぁ」

少年「攻撃…丸見え…」

武道家「…言うじゃないか」

少年「…えへっ」


魔道士「…凄い」

剣士「単純な戦いだが、やっぱりかなり出来るぞ、あの子供…」

僧侶「うん、見ててわかる…」

 
武道家「じゃあ…これならどうだ!?」

ブンッ!!…ヒュッ!

ブンッ、ヒョイッ!

武道家「一…二連…からの…!三連撃だっ!」

少年「…見える」ヒョイッ!

武道家「さらに…四連撃ぃ!!下からだ!」ブンッ!!

少年「っ!」

…ガシィン!!

少年「うくっ…」ビリビリ


武道家「あ…あら…」

少年「あ、危なかった…」

 
武道家「…入ったと思ったんだがな」

少年「まだ、負けない」

武道家「…面白いじゃないか」

少年「うん」コクン

武道家「お前の名前は?」

童子戦士「…童子戦士」


武道家「…いい名前だな。今度会ったら、またやろうぜ」

童子戦士「え?僕はまだ負けてない…」

武道家「友達が待ってるから、一瞬で終わらせるさ」

童子戦士「…え?」


武道家「よっと!」グンッ!

 
童子戦士「わっ!近っ…!」

…トンッ…!ビシュッ!

童子戦士「あっ…!?」ズキンッ


武道家「…ほい、でこぴん一発。これで俺の勝ちだろ?」

童子戦士「あっ…、えっ…?」


…ザワザワッ!

周囲の人たち「な…当たった!?」

周囲の人たち「今の見えたか?デコピンって言ってたが…攻撃が早すぎて、俺見えなかったぞ」

周囲の人たち「今ので決まったのか…?何で当たったんだ!?」

 
武道家「お兄さん、今ので決着でしょ?1万ちょーだい」

男「え…、あ、あぁ…。わかった…」ペラッ

武道家「毎度♪」パシッ


童子戦士「ぼ、僕、負けたの…?」

武道家「俺の勝ちだ」ニカッ

童子戦士「いま…何をしたの…!?」

武道家「思い切り踏み込んで、一発当てただけ。技でもなんでもないんだなコレが」

童子戦士「…!?」

 
魔道士「い、今の見えなかった…。何をしたの!?」

剣士「ははは、簡単な仕組みだぜ」

魔道士「なんで攻撃が当たったの?っていうか攻撃が早すぎて見えなかった」

剣士「お前、最初に武道家が仕掛ける時に、武道家のどこを見ていた?」

魔道士「そりゃ…、最初に動かす腕とか…」


剣士「そう。あの子供も一緒だ」

剣士「まさか、今のやり取りの流れから、"距離自体"を詰めるとは予想しなかったんだ」

剣士「だから最初に、武道家自身が急に目の前に突っ込んできた事にあの子は驚いた」

剣士「そしてあの子も、周りのお前らも、突然突っ込んだ武道家の身体へ目がいっちまったんだ」

剣士「その瞬間に攻撃をした。だけど、武道家の身体に目がいってたせいで、腕に目が追い付かなかった」

剣士「そのせいで攻撃があまりにも早く見えて…反応が遅れちまったんだろ。ちょっとしたテクニックだな」

 
魔道士「な、なるほどぉ…」

剣士「しかも武道家の野郎、距離を詰める時に、わざとゆっくりやりやがった」

魔道士「へぇ…」

剣士「ま、あの子も凄かったが、武道家は単純な経験の差を見抜いたんだな」


魔道士(…あの短い戦いの中で、経験の差を見抜いて、単純な動きで攻め入るのって凄いんじゃないのかな…)

魔道士(結構、勇気がいりそうな事だと思うんだけど…普通なのかなぁ)


ザッザッザッ…

武道家「さて、飯食いにいこか。奢るぜ3人とも」ピラッ


剣士「いやっほう!待ってました!」

魔道士「いいの?」

僧侶「あ、ありがとうっ」

 
タタタタッ…ギュッ

武道家「んお?」クルッ

童子戦士「も…もっかい…」

武道家「もっかい?」

童子戦士「次は負けないから…」グスッ

武道家「お、おー…どうするか…」


男「こ、こらこら。ゴメンよ、兄ちゃん達」

武道家「いえいえ」

剣士「おい、童子戦士っていったか」ポンッ

童子戦士「うん」

 
剣士「俺ら腹ぁ減ってんだ。飯食ったら、今度は俺が相手してやるから、少し待っててくれねぇかな」

童子戦士「…」

剣士「…何だよその目は」

童子戦士「…こっちの人がいい」ギュウッ

剣士「…」


武道家「あぁ、名前を名乗るのが遅れてすまん。俺は武道家」

剣士「俺は剣士…」

魔道士「私は魔道士」

僧侶「僕が僧侶だよ」


武道家「ごめんな、俺はこの人たちと約束があるからさ、終わったらまた相手してあげるからよ」

武道家「少しばかり待っててくれないかね?」

 
童子戦士「…わかった」コクン

武道家「はは、分かってくれて有難うよ」ポンッ


男「おいおい、また負けちゃかなわないよ」

武道家「次は金銭ナシで、この童子戦士が納得するカタチでやらせてもらうよ」

男「…それなら」フゥ


武道家「んじゃ、飯ィ食いにいくかぁ。良い感じに更に腹減ったし」クルッ

童子戦士「また後でね!」

武道家「おうっ」

 
ザッザッザッザッ…


武道家「さて、どんなメニューあるんだ?」

魔道士「えっとね、美味しいのはシチューとか…」

剣士「午前中から重いな…食うけど…」

僧侶「食べるんだ…」


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】


ガチャガチャッ、ギィィ…

剣士「ぷはぁぁ!食った食ったぁぁ!」

魔道士「美味しかったでしょ~?」

僧侶「すっごく美味しかった…」

武道家「お前ら本気で1万ゴールド分全部食うとは思わなかったわ」


剣士「まぁまぁ」

武道家「他人事だと思いやがって」


剣士「んじゃ…行きますかぁ!?」パンッ

武道家「どこにだ?」

剣士「さっきの子供、今度は俺が挑むんだよ!」

武道家「あぁ、なるほど」


魔道士「戦いたいのは武道家って言ってたでしょ」

剣士「だったら、5,000ゴールド払って試合する!」

魔道士「まぁそれなら…」

剣士「食後の運動だぜ!」

魔道士「朝から本当に元気なんだから」

 
ザッザッザッ…

剣士「確かこの辺にさっきまでいたよな。…あれ?」


ヒュウウッ、シーン…


剣士「…あの男は?あの子供は?」

武道家「いないな」

剣士「な…なんだと…」

武道家「移動したのか?」

剣士「さっき戦いたいって言ってたし、動くはずないと思うんだが…すいませーん!」


町人「なんだい?」

剣士「さっきまでココで、子供が戦って金せしめてたでしょ?どこいったか分からないスか?」

魔道士「何ていう言い方」


町人「あ~…さっきね、そういう事はココじゃしてはいけないって衛兵に睨まれてさ」

町人「この町から逃げるようにして出てったみたいだよ」

 
剣士「マジで!?そ…そんなぁ…」ガクッ

武道家「どんまい」

魔道士「どんまい」

僧侶「ど、どんまい!」

剣士「うっせー!」


武道家「しかし何者だったんだろうな、あの子」

剣士「あの子もだが、正直一緒にいた男のほうも戦ってみたいと思った」

武道家「あっ、俺も思った」


魔道士「男って…あの童子戦士の保護者みたいな人?」

剣士「そうだ」

武道家「そう」

 
魔道士「何で?」

剣士「恐らく、あっちのほうが強いと思うぜ」

武道家「師匠的な存在なのかもしれんな。どう考えても、オーラが違った」

魔道士「…そんなの分かるの?」


剣士「…何となくだけど」

武道家「わかる気がする」


魔道士「へぇ…、戦う者同士の何かがあるのかもしれないわね」

僧侶「すごいなぁ…」

 
剣士「それより…」ウズッ

武道家「ん?」

剣士「俺だけ戦ってねぇのは反則だ!今ここで、勝負しろコラァ!」クワッ

武道家「おぉ!?やるのかコラァ!」クワッ


魔道士「あのさ…」ハァ

僧侶「二人とも、町の中なんだから!」


武道家「くっくっく…お前、剣もナシで戦えるのかよ。町に出る前に、自分の武器は置いて来ただろ?」

剣士「お前こそ、得意のナックルもなしで、そのヘナチョコ拳で威力が出せるのか?おぉ?」

武道家「…」

剣士「…」

 
武道家「…やってやるよオラァ!」ダッ

剣士「いくぞコラァ!」ダッ
 
魔道士「このバカ…っ」パァッ! 


…ピピー!!

剣士「!?」ピタッ

武道家「!?」ピタッ


魔道士「な、何…今の笛の音…」

 
ピピー!!

衛兵A「こらー!!町の中で暴れるんじゃない!!」

衛兵B「さっきも秩序を乱すやつを追い払ったばかりというのに…、捕まえるぞ!」

タッタッタッタッタッ!!


剣士「やべぇ…逃げろ!」

武道家「うげっ、走るぞ!」

魔道士「えっ、ちょっとぉ!」

僧侶「えぇっ!」

タッタッタッタッタッ…

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕方 教員室 】


冒険先生「…」ピクピク


剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

 
冒険先生「何か、弁解する言葉は」


剣士「んーむ…」

武道家「ないです」

魔道士「ど、どういえばいいか…」

僧侶「そ、その…」


冒険先生「寮から出るなと言ったのに、勝手に町に出歩いた挙句…」

冒険先生「魔道士と僧侶の2人も混じって衛兵に追いかけられ!!」

冒険先生「町の中を走り回って商業馬車を壊し…、商通りの棚も壊して被害をだし…」

冒険先生「…どういうつもりなのかな」ピクピク

 
剣士「…ま、まぁ少しすまなかったと思ってる」

武道家「そうだな。悪かったです」

魔道士「…ごめんなさい」

僧侶「申し訳ないです…」


冒険先生「はぁぁ…。入学して何日もたってないんだぞ!!」

冒険先生「どれだけ問題を起こせば気が済むんだ!」


剣士「そ、そんな怒らなくとも…」


冒険先生「この学校だけでなく社会にも規律というものがある!」

冒険先生「それを無視した立ち振る舞い、あまりにひどすぎるぞ!」


剣士「も、申し訳ないっす…」

 
冒険先生「初日から何かやらかすとは思っていたが、これでは学校においておけんぞ…」ハァ

剣士「えっ」

武道家「ちょっ」

魔道士「えぇっ!」

僧侶「そんな!」


冒険先生「魔道士と僧侶はまだしも、剣士と武道家の二人はこれ以上問題を起こすようなら、退学もあるんだぞ?」

冒険先生「やっと学校に入学出来たというのに、それでもいいのか?」


剣士「そ、それは困る…」

武道家「うむ…」

 
冒険先生「はぁ…」

ガラッ!カツカツカツ…

武装先生「はっはっはっ、冒険先生の怒鳴り声が廊下まで響いてたぞ」

冒険先生「武装先生…」

武装先生「まぁそこまで怒ってやりなさんな。確かに秩序もあるが、若い時はこんなもんだろう」

冒険先生「しかしですな、余りにもひどすぎますよ。学校内ならまだしも、町に迷惑をかけるなんて…」

武装先生「う~む…。確かに外に被害を出したのはよろしくないな」


剣士「うっ…」

武道家「…」


冒険先生「でしょう?ここは1か月程度の寮で停学処分を考えています」

冒険先生「その間に問題を起こさなければ、また、授業を受けられるようにしようかなと思ってました」

 
剣士「なっ!」

武道家「ま、待ってくださいよ!」


武装先生「ふぅむ…」

冒険先生「武装先生が甘く見てやりたい気持ちも分かりますが、さすがに今回のは…」

武装先生「…」


剣士「お、オッサン!助けてくれないっスか!」

武道家「今度から気を付けるから!」


武装先生「…お前ら、敬語はもう少しまともに覚えたほうがいいんじゃないか」

武道先生「…」

武装先生「…では冒険先生、いい案があるんだが」


冒険先生「何でしょうか?」

 
武装先生「1年生たちの1か月後にある、学校の初演習。これをトップで抜けたらお咎めなしということで」

冒険先生「…ふむ」

武装先生「もしトップで抜けられなかった場合は、2か月処分。いかがでしょうか」

冒険先生「…来月から2か月という事は、期末試験もう受けられませんし、下手したら一発で退学ですよ?」


剣士「!」

武道家「!」


武装先生「そうか、そうだったな…それは確かに厳しいな。…だが、本人たちに希望を聞こうじゃないか」

武装先生「君たちは…どっちがいいかな?」


剣士「片方は、今日から1か月の停学だろ?」

武道家「で…、もう1つは、演習をトップ成績で抜けられなかった場合…、来月から2か月の停学処分か…」

武装先生「もし来月から2か月の停学になると、期末試験が受けられないからな…退学が確定するぞ」

 
剣士「…」チラッ

武道家「…」チラッ

…コクン


武装先生「二人とも、決まっているようだな」フッ


剣士「当たり前だ」

武道家「おうよ」


武装先生「では、聞かせてもらおうか」

武装先生「どちらを選ぶ?」

 
剣士「…」スゥッ

武道家「…」スゥッ


剣士&武道家「今日から1か月の停学処分で」


冒険先生「」

武装先生「」

魔道士「」

僧侶「」


剣士「…ん?」

武道家「どうした?」

 
魔道士「ば…バッカじゃないの!?」

魔道士「いやどっち道、どっち答えても言うつもりだったけど、えっ…あの、ちょっ…」


武装先生「くっ…はぁっはっはっ!」

冒険先生「"トップ成績でやってやる"って言うだろうと、意外に豊富なセリフを考えていたんだがな…」ハァァ
 
僧侶「まさかの回答だよ、二人とも…」


剣士「だって…なぁ?」

武道家「うむ」


冒険先生「だって、なんだ?」

 
剣士「実践とかでトップ取るの当たり前だし、そんなの賭けにされても面白くもなんともないし」

武道家「その通り。だったら1か月休んで、備えたほうがいいって思うよな」


冒険先生「…!」

武装先生「!」

魔道士「剣士、武道家…」

僧侶「当たり前って…」


冒険先生「はぁ~…」

武装先生「はっはっは、冒険先生の負けだな」

…ポンッ

冒険先生「何が負けてるんですか、何が」

冒険先生「しかし、今ので拍子抜けしましたよ。今回はお咎めナシでいいってことにしよう…」ハァ

 
武道家「!」

剣士「まじっすか!」


冒険先生「ただし、自分の言葉に責任を持て。本当にトップで抜けられるんだな?」

剣士「…当然」

武道家「負ける気がしませんね」

冒険先生「…分かった。その言葉、信じよう」

剣士「ういっす!」

武道家「あざっす!」


剣士「ところで、実践演習って冒険実習するってことでしょ?具体的に何するか教えてくれない?」

冒険先生「あぁ、それはな…」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 放課後 帰り道 】

カァ…カァ…


剣士「…ははっ、楽しみになってきたな!」

武道家「魔獣の住む魔石の洞窟を、2日かけて探索かぁ!」

僧侶「最深部がゴールみたいだし、そこまで一番で辿り着けるかが鍵だね」

魔道士「魔獣もいるのかぁ…。でも、少しだけ面白そうかも」


剣士「よっしゃ、ワクワクしてきた!」

剣士「今日から特訓しようぜ、秘密の特訓!」


魔道士「剣士たちといると、何もしなくても毎日が秘密の特訓だと思うんだけど」

 
剣士「褒めんなってぇ!」

魔道士「ほめてないから」


武道家「しかし、実践のスピード早くないか?1か月って、結構凄い速度で授業進んでるよな」

僧侶「元々この学校に入る人らは、経験がないわけじゃないんじゃないかな…?」

武道家「未経験の奴もいなくはないと思うんだがなー」

僧侶「う~ん…。僕ですら、簡単だけど実践やってないわけじゃないし…」

武道家「僧侶も実践経験あるのか?俺らは毎日実践だったようなもんだが」

僧侶「うん。簡単なクエストには参加したことあるよ」

武道家「マジでか!?」

 
僧侶「親が元々冒険者で、親も支援魔法で仲間を支える事をメインにしててね」

僧侶「僕が産まれて引退した後も、たま~に昔の仲間と簡単なクエストとか行っててさ」

僧侶「だから、僕も簡単なのには着いていってたんだ」

僧侶「直接倒したわけじゃないけど、僕の支援魔法で間接的に魔獣を倒したことならあるよ!」


剣士「…ほぉ」

魔道士「へぇ…」


武道家「支援系魔法だけじゃなくて、攻撃魔法もそれなりに使えるんだったよな?」

僧侶「うん」

武道家「やべえな、心強い味方じゃん」

僧侶「あはは、ありがとう」

武道家「前衛は俺と剣士でやるし、のびのびやれるように努力するさ」

僧侶「うん」

 
魔道士「…」

魔道士「…じゃあ、実践らしい実践してないのは私だけってことだよね…」


剣士「武道家が、そういう人もいるって言ってたじゃん。気にすんなって」

魔道士「でもなぁ…、足引っ張っちゃいそうで怖いかも…」

剣士「大丈夫だっつーの!」

魔道士「そうかなぁ…」

剣士「いつもの俺らに火球ぶっ放すみたく、適当にやりゃ魔獣も倒せるし」

魔道士「…」

剣士「それに、前衛は俺と武道家だぜ?何かあったら、僧侶ともども守ってやるっつーの」クハハ

魔道士「…うん」


武道家「ちょっと~、聞きましたか?」ボソボソ

僧侶「うん」ボソボソ

武道家「かっこいいこと言ってるつもりですよ、彼」ボソボソ

僧侶「魔道士さんも、まんざらじゃない気が…」ボソボソ

 
剣士「…」

魔道士「…」


武道家「…」

僧侶「…」


剣士「…やっぱり僧侶は守らねー」

魔道士「武道家は、危険だと思っても支援しない」


僧侶「そ、そんなぁ!!」

武道家「なんでや!!」

 
剣士「知らん知らん!とにかく、明日から実践に向けて頑張るしかねぇってことだよ!」

武道家「一番は余裕でとれるとして、何か目立つことしたいよな」

魔道士「これ以上目立たなくていいんですけど」

僧侶「また冒険先生に怒られちゃうよ~…」


剣士「大丈夫だって!怒られる事以上に、すげぇ事やればいいんだから!」

武道家「お前頭いいな」

剣士「ふっ…今更かよ」


魔道士「…」

僧侶「…」

 
剣士「おっしゃ、常に特訓てことで…誰が一番最初に寮に着くか勝負だ!」ダッ

武道家「あっ!ずりぃぞコラ!」ダッ

魔道士「どんだけ走るの好きなの!」ダッ

僧侶「た、体力には自信がないのにぃ…」ダッ


剣士「だぁっ~はっはっはっ…!」


タッタッタッタッタッ…!

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日の更新はここまでです、有難うございました。

皆様ありがとうございます。
投下いたします。

 

……
…………
…………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 3週間が過ぎた頃 】

キーンコーンカーンコーン…

魔法先生「…おっと。では、これで本日の共通魔法の授業を終わります」

魔法先生「各自、予習や復習はきちんとしておくように」

魔法先生「それでは、失礼しました」


ガチャッ…バタンッ…

 
剣士「」プシュー

武道家「」プシュー


…ポンッ

魔道士「ほーら、二人とも授業終わったから顔あげて」

剣士「…はっ!」ガバッ

武道家「おっ!?」ガバッ


魔道士「剣士は今日の授業、いつもより長く聞いてられたじゃん」

魔道士「成長してるんじゃないの?」

 
剣士「いや~…ダメだ。本気でパンクする」

武道家「何だよ共通魔法って…。未だに納得いかないぜ…魔術を選択した人以外も受けるなんてなぁ…」

魔道士「そんな事言ったら、共通の体術とか色々私だってやってるんだから」


剣士「組み手、魔道士も何気に出来るようになってきたよな」

魔道士「基本だけね」


剣士「共通の格闘術、共通の魔術、共通の支援魔術…」

剣士「なぜ、共通の剣術がない!?」


魔道士「…そ、そりゃあね」

武道家「仕方ねーだろうが」

剣士「はぁ…」

 
トコトコ…

僧侶「僕は支援魔法系だし、魔術の授業は苦手じゃないけど、やっぱり格闘術は苦手だよ」

剣士「俺はある程度、格闘術なら着いていけるな」

魔道士「向き不向きがあるんだし、仕方ないよ」

剣士「うーむ…」


武道家「つーか剣士、魔法とか本とかあれほど嫌ってたのに、最近頑張ってるな?」

剣士「おうよ」

武道家「…魔道士のためか」ニヤニヤ

剣士「おいコラ」


魔道士「そ、そんなんじゃないでしょ!!」

武道家「何で魔道士が答えるのかな」ニヤニヤ

 
魔道士「そのニヤついた顔に、火炎魔法ぶっぱなされたいの?」

武道家「申し訳ございませんでした」

 
剣士「…とりあえず、真剣に覚えようと思っただけだ」

武道家「実践演習まで、もう10日もないしなー」

剣士「相変わらず苦手なまんまだが、何かしらはしっかり覚えたい」

武道家「確かに、剣術一択の剣士は、遠距離攻撃の1つは欲しい気持ちは分かる」


剣士「ん~…そういや、話は変わるけども、午後の授業ってなんだっけ?」

剣士「また共通のなんかとか?魔法とか支援魔法の共通だったらパンクしちまうよ」


魔道士「今日の午後は確か…」

魔道士「…」

魔道士「…あっ」

 
剣士「…ん?」

魔道士「…期待してるよ、剣士」ポンッ

剣士「何が?」

魔道士「んふふ~…、午後の授業はね…」

剣士「?」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 午後 武術実践 】


武装先生「お前たちが入学して、早くも1か月が過ぎようとしている!」

武装先生「そこで、今日は午後の授業時間を目いっぱい使い、模擬実践をして貰おうと思う」

武装先生「クジを引いてもらい、それぞれの番号が一致したものと戦ってもらう!」

武装先生「ルールは相手が参ったと言ったら、そこまで!それ以上の打撃や魔法は禁止だ!」

武装先生「武器は模擬武器、魔法は中級魔法以下のみ!」


ザワザワ…

剣士「…うひょおおお!」

武道家「お前の出番じゃん!」

魔道士「私だってやってやるんだからね!」

僧侶「ぼ、僕だって!」

 
武装先生「それでは一番端のお前からクジを引け!番号は大声で言うこと!」

生徒「はいっ!」

ゴソゴソ…

生徒「7番です!」バッ

武装先生「よし!次!」


生徒「15番!」

生徒「6番!」

生徒「19番!」

生徒「14番!」

 
ザワザワ…ガヤガヤ…


剣士「お前と当たっても良いんだぜ?」

武道家「いや別にいいんだけど、ちょっと気になったことがあるんだが…」

剣士「何よ」

武道家「お前さ、模擬武器って片手剣か…大鎌しかないじゃん」

剣士「あ…」


武道家「俺は模擬武器でナックルあるけど…」

武道家「最新の模擬武器の大剣は軽いだろうし、お前にとっちゃ片手剣になるんじゃね?」


剣士「やっべ…。軽すぎるのは本当に慣れないんだよな…」

 
ザッザッザッ…

武装先生「さて、お前の番だぞ剣士」

剣士「…お、おう」

ゴソゴソ…

剣士「…12番!」


武装先生「…よし。では次に武道家が引け…の、その前に、剣士に話がある」

剣士「ん?」


武装先生「お前の為に、大鎌クラスの重さで、大剣の模擬武器を特注しておいた」

武装先生「それを使って戦うがいい。幾分かは、お前にとっての実践に近い形でやれるはずだ」

武装先生「もちろん、他の模擬武器と一緒の威力しか出ない加工はしてあるから、有利不利はつかん」

 
剣士「…まじか!?」

武装先生「特別だからな」

剣士「ありがとう、オッサン!!抱きしめてやろうか!」

武装先生「い、いや…結構だ。…それじゃあ次!武道家!」


武道家「うしっ、俺だ!」

ゴソゴソ…

武道家「4番!」

武道家「…っちぇ、お前と戦えなかったか」


剣士「まぁ誰とやっても、お互いに絶対勝つだけだろ」ニヤッ

武道家「…まぁな」ニヤッ


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生徒A「おりゃああっ!」ブンッ!

生徒B「あっ!」

バキィッ!!…ドサッ!

 
生徒A「…もう1回やるかい」チャキッ

生徒B「ま…参った」

カランカランッ…


武装先生「そこまでっ!」

 
魔道士「お~…」

剣士「いい動きしてるなー」

武道家「だけど、今の勝った奴…いまいち足腰が弱い感じじゃなかったか?」

剣士「確かにもっと足腰鍛えて、踏み込み早ければ余裕で勝てたんじゃねーかな」

僧侶「あ、あれ以上の動きを求めるなんて…」


武装先生「次、剣士と弱気騎士!」


剣士「おっ!」

武道家「お前の出番じゃん」

魔道士「頑張って!」

僧侶「フレー!」

 
生徒たち「おぉ、剣士の出番か!」

生徒たち「アイツ強いもんなぁ…相手が気の毒だ」
 
 
ザッザッザッ…

剣士「くくく…俺の時代!」

弱気騎士「よ…よろしくお願いしますぅ…」ガタガタ


武装先生「よし、試合開始する…って、おい、剣士!」

魔道士「…あぁっ!け、剣士…武器、ココに忘れてるって!」

武装先生「折角作ってもらった武器を、忘れてどうする!」

僧侶「剣士くん、武器ナシでやるの!?」
 

剣士「待てぃ!!…あわてるな!これは作戦なのだ!」バッ

魔道士「は、はい?」


剣士「武道家あぁっ!」パチンッ!

武道家「よし来たっ!」グイッ

 
魔道士「武道家が大剣を持って…どうするの?」

武道家「こうするのさ、はいやッ!!」ブンッ!!

ビュッ…ビュウウウウンッ!!

魔道士「な…」

僧侶「投げたー!?」


クルクルクルッ…!!

剣士「そおりゃっ!」ガシッ!


生徒たち「おぉ、武器を上手くつかんだぞ!」

生徒たち「って…」

 
剣士「ぬぅおおおっ!!」

ギュンギュンギュンッ!!

クルクルクル!モワモワッ…!


生徒たち「おぉ!?なんか、すげぇ体の周り回してるぞ!?」

生徒たち「土埃がやべぇ、どんだけあの大剣重いんだよ!」

生徒たち「あの剣捌き…、サーカスも真っ青だぜ…」

 
魔道士「…ただのかっこつけ?」

武道家「儀式だ」

魔道士「何のよ…」

僧侶「かっこいい!!」パチパチパチ


剣士「おりゃあああっ!!」

ギュンギュンギュンッ…ドスンッ!!!!


剣士「ほぁぁ~…」フゥゥ


武装先生「…」

武装先生「…終わったか?」


剣士「あぁ、いつでもいいぜ!」チャキッ

 
武装先生「…ごほん」

武装先生「それじゃ、試合開始だ!!」


剣士「行くぞオラァァッ!!」ダッ!


弱気騎士「あ、参りました」

剣士「」

ズザザザァァ!!ドォン!!ドシャアアッ…


武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

生徒たち「…」

武装先生「…」

 
ムクッ…

剣士「な…何だと、おい!!」

弱気騎士「だ、だって僕みたいのが君に勝てるわけないし…」

剣士「お前…!」


武装先生「参ったら終わりというのはルールだ…」

武装先生「残念だが、元の位置に戻っていてくれ…」

ガシッ…ズリズリ…

剣士「う、うおおぉ離せぇぇ!戦えぇぇ!」

バタバタ…


武道家「不幸な奴…」

魔道士「…かっこ悪い」

僧侶「剣士くん…」

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆さまありがとうございます。投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

武装先生「…では次ッ!魔道士対、闘術騎士!」


魔道士「!」

武道家「おっ、魔道士の出番だな。頑張ってくれよ!」

僧侶「頑張って!」

魔道士「うん、任せて!」

剣士「がんばれ~」フリフリ

魔道士「…」


武道家「お前いつまでスネてんだよ」

剣士「はぁ…」

 
魔道士「よぉっし、頑張るぞ!」

トコトコトコ…スタッ


闘術騎士「…」

魔道士「…」

 
武装先生「では、準備はいいかな?」


闘術騎士「いつでも」

魔道士「いつでも」


武装先生「始めっ!」バッ

 
闘術騎士「…」チャキッ

魔道士(武器は槍…。槍術か…、攻撃範囲大きいし少し厄介な相手ね…)


闘術騎士「…戦う前に、少しいいかな」

魔道士「何?」

闘術騎士「君、あの剣士くんのパーティなんだろ?」

魔道士「…そうだけど」

闘術騎士「じゃあ、君も相当やれるほうなんだ」

魔道士「…どうかしらね」

闘術騎士「楽しみだよ」

魔道士「そんなに期待されても、困るんだけど」

闘術騎士「先ずはやってみようか」ググッ


魔道士(…来る!)

 
闘術騎士「小突っ!!」ビュッ

魔道士「きゃっ!」ヒョイッ

闘術騎士「おっと、避けられたか。…意外に早いね?」

魔道士「…ありがと」


闘術騎士「君には、魔法なんか使わせる暇は与えないよ!」ビュッ!

魔道士「どうかしらね、小火炎魔法っ!」パァッ

闘術騎士「おっ、詠唱が早い!」

…ボォンッ!!


闘術騎士「おっとっと…」

魔道士「避けられた…、まだまだ!小風刃魔法っ!」パァッ!

ビュウウッ…スパスパッ!

闘術騎士「っと!」

 
魔道士「小水流魔法っ!」パァッ!

…ジャバァッ!!

闘術騎士「うわっ!」

魔道士「くっ…当たらない…!」

闘術騎士「魔法をどこに撃つか、見えてるからね」

魔道士「…なら、数で勝負!小火炎…」

闘術騎士「やらせないよ。小突連弾!」ビュビュビュッ!!

魔道士「!」


武道家「あぶねぇ!」

剣士「…避けろ!」

 
魔道士「うっ…くっ!!」

ヒュンッ、ヒュンヒュンッ!ズザザ…


闘術騎士「ひゅうっ♪…全部避けられちゃったよ」

魔道士「はぁ、はぁ…。あ、危なかった…」

闘術騎士「やるね、君」

魔道士「…くっ!」バッ


武装先生「うむ、いい試合だ」

剣士「危なっかしいな…。さっさと、大魔法とかでこの校庭ごと、吹き飛ばしちまえばいいのに」

武道家「いやそれ反則負けになるし、俺らも吹き飛ぶし」

 
サァァ…

魔道士「…」

闘術騎士「…」

魔道士「…」

闘術騎士「うん。思った通りだ」

魔道士「何が」

闘術騎士「君、いいね。うちのパーティに入らない?」


魔道士「…」
 
魔道士「…はい?」


闘術騎士「いや、うちにも魔法メインの子はいるんだけど、いまいちでさぁ」

闘術騎士「剣士くんの目に適った魔道士さんなら、是非活躍してくれそうで」

 
武道家「…おい、魔道士がスカウトされてるぞ」

剣士「だ、大丈夫だろ。多分…」


魔道士「…残念ながら、お断り。私、今のパーティのほうがいいかな」

闘術騎士「僕たちも悪いようにはしないよ?」 

魔道士「既にパーティ仲間の人を捨てようとしてるのに、悪いようにしないってどういうことなのかしら?」

闘術騎士「あはは、痛いところを突かれたね」

魔道士「残念ながら、お断りさせていただきます!小火炎魔法っ」パァッ 

…ボォンッ!!キィンッ!!


闘術騎士「!」


武道家「あっ」

剣士「おっ」

 
クルクルクル…ザシュッ!

闘術騎士「っと…僕の武器が…」ビリビリ

魔道士「これで勝負あり、かな」


剣士「…いい隙をついたな。それにしても、武器だけを狙って弾いたのか…」

武道家「やっぱり正確に打ち抜く技術はすげーと思うぜ」

僧侶「あれで二人とも、何度も頭燃やされたよね…」


魔道士「へへっ♪」


闘術騎士「…やっぱり素晴らしい技術を持ってるね。ますます欲しくなった」

魔道士「それでも仲間にはならないわよ」

闘術騎士「…君を参ったと言わせたら、入ってくれるかな?」

魔道士「武器もないのに?」

 
闘術騎士「…さぁね」

魔道士「普通なら、その条件を飲むんだろうけど…。私は何を言おうと、貴方のパーティに入らないからね」

闘術騎士「…そうか。じゃあ、武器ナシでも君にイエスと言わせてみせる」

魔道士「言わせられるの?」

闘術騎士「…」クスッ

…トーン、トーン


魔道士「小刻みのジャンプ…?」


武道家「むっ…」

剣士「あれは…!」


闘術騎士「確かに僕のメイン武器は槍だけど、元々は格闘術のほうが得意なんだ」スッ

 
武道家「…ハイブリッドか!」

剣士「…魔道士、気をつけろ!距離を詰められたら終わりだぞ!」

僧侶「頑張れーー!!」


魔道士「なるほど、そういうこと…」

闘術騎士「近づけさせなければどうにかなると思ってる?」

魔道士「どういう意味?」

闘術騎士「…はぁっ!」パァッ


武道家「あれは…闘気か!やべぇ!」


闘術騎士「はあっ!」ブンッ!!

ボッ…ビュウゥゥゥンッ!!

 
魔道士「!」

ドォン!!ズザザザァ…


闘術騎士「…」ニコッ

魔道士「いつっ…!」

闘術騎士「びっくりした?」

魔道士「…少しね」

闘術騎士「次は狙うよ。参ったとは言わないかい?」

魔道士「…言わない!」

闘術騎士「では、言わせるまで!!」


…パァァッ

闘術騎士「闘気連弾っ!!」

ビュンッ!!ビュビュビュンッ!!

 
ボォン!!ボボボボォォンッ!!

魔道士「きゃああっ!」


剣士「魔道士!」


闘術騎士「さぁて…とっ!」タァンッ!

ダダダダダッ…!

魔道士「くっ…ダメージが…!」フラッ

闘術騎士「悪いけど、女性だからって手抜きはしないよ」ブンッ!!

…バキィッ!!


魔道士「あう゛っ!」

 
剣士「…っ!」

武道家「あいつ…!」


魔道士「…っ」クラッ

闘術騎士「君の得意な魔法は、この距離だと当たらない。体術は僕に分がある。さぁ、どうする?」

魔道士「ふ、ふんっ…。体術なら少し習ってるから…!」ブンッ!

闘術騎士「…」ヒョイッ

…ガシッ!


魔道士「あっ…」

闘術騎士「自ら捕まりに来るとはね」

魔道士「は、離して!」

 
闘術騎士「…」ジー

闘術騎士「うーん、剣士君じゃないけど…君は可愛いと思うし、僕の仲間に欲しいんだよなぁ。なーんて」


魔道士「なっ…」
 

剣士「魔道士、何とかして逃げろ!」

武道家「その近くじゃ一発受けたらダウンしちまう、距離を置くんだ!」


魔道士「…分かってるけど!」ググッ

闘術騎士「逃げられないよねぇ」ニタァッ

…グイッ!!ギュウッ

魔道士「やっ、やだっ…!」

闘術騎士「へへ…」


剣士「こ、この…」

 
武道家「武装先生、あれだめでしょ!止めろよ!」

武装先生「…ルールはルールだ…が…」


武道家「くそっ、魔道士!参ったと言え!」

剣士「それで終わるんだ!さっさと言っちまえ!!」


魔道士「…っ」

闘術騎士「仲間になりなよ…ね…?」ボソボソ

魔道士「耳もとで…話かけるなぁ…!」

闘術騎士「弱いの?」

魔道士「うっさい!!」


剣士「早く言えっつーの!!」

武道家「…これ、止めにいってもいいんじゃねえの」

 
剣士「そ、そうか…なら…!」チャキッ

武装先生「…仲間が必至に耐えてる時に、水を差すのか?」

剣士「あれは戦いじゃねえだろ!」

武装先生「だがな、魔道士はまだ諦めてないようだぞ?」

剣士「あぁ!?」


闘術騎士「…さぁ、どうする…」

魔道士「い…」プルプル

闘術騎士「い…?」

魔道士「いい加減にしろぉっ!ら…雷撃魔法ぅ~~っ!!」パァッ!!


剣士「!?」

武道家「!?」

僧侶「!?」


闘術騎士「なっ!!」

 
バチッ…バチバチバチィッ!!!

闘術騎士「ぐがぁぁっ!!」

魔道士「食らえぇぇっ!!」パァァッ!!

バチバチバチッ!!…バチッ…

闘術騎士「がっ…」

魔道士「…っ」


…ドシャッッ

闘術騎士「…」ダランッ


魔道士「はぁ…はぁ…」

 
剣士「お…おぉ…」

武道家「か、雷魔法…」

僧侶「難易度の高い魔法だよ…あれ…」


魔道士「…どうだっ!」ビシッ


武装先生「…見事だ」

剣士「すげぇぞ魔道士!」

魔道士「当たり前でしょ!」

武道家「よく勝ったな…」

魔道士「えへへ…」

 
 
ザワザワ…

生徒たち「おぉ…やるな…」

生徒たち「少しやべぇ展開かと思ったけど、闘術騎士のやつ、雷に打たれるとは…」

生徒たち「天罰ってやつだな…」


武装先生「うむ、これは納得だな。魔道士のしょう…!」バッ


「…待てよ、おい!!」


武装先生「…ん?」


剣士「…」

剣士「…!」

 
闘術騎士「…く、くそが…」ムクッ

魔道士「うそっ!」

闘術騎士「俺はまだ参ったとは言ってねえし、気絶もしてねぇ!」

魔道士「くっ…!」バッ

闘術騎士「遊びたかったが、もういい」スッ


魔道士「雷撃まほ…!」

闘術騎士「掌底波ぁっ!!」ブンッ!!

…ボゴォッ!!

魔道士「あぐっ!」ヨロッ

闘術騎士「連撃ィっ!」ビュビュッ!

ガツッ…バキィッ!!!ドコォッ!

  
魔道士「…~っ!」

フラッ…

闘術騎士「闘気ー…」パァァッ!


武装先生「おい、闘術騎士…待て!」


武道家「…剣士ッ!」

剣士「…分かってる!」

…バッ!


闘術騎士「連弾っっ!!」

ビュッ…ビュビュンッ!!

ドドド…ドゴォォッ…!!…モクモク…

 
闘術騎士「…ふん」ペッ


武装先生「…っ!」

武装先生「…闘術騎士!いくら何でもやりすぎだ!」グイッ


闘術騎士「参ったを言ってない彼女が悪い」

武装先生「そういう問題ではない!」

闘術騎士「ルールはルールだ。それに死んではいないだろうし、問題はないだろ?」

武装先生「だから、そういう事では…!」


剣士「…オッサン、まぁそういうなよ。ルールは…ルール、仕方ないだろう」

武道家「…大丈夫か、魔道士」


…モクモク…サァァ…

 
武装先生「お、お前ら…!」

 
…チャキンッ…

剣士「危ねぇ危ねぇ、最後の闘気連弾は全部弾かせてもらったから大丈夫だ」

武道家「武装先生、魔道士は気絶してる。休憩室に運んでもいいか」

武装先生「あ、あぁ…。そうか…、いいぞ…」


闘術騎士「なっ…」

闘術騎士「ありゃ…反則だろうがよ!勝負中に割り込むなんて、パーティ単位での減点だろ!!」


武装先生「…」


闘術騎士「何で黙ってるんだよ」

闘術騎士「…ひいきするつもりか。ルールはルールに乗っ取ってやってたんだぞ俺は…」


武装先生「…」

 
剣士「…オッサン」

武装先生「何だ」

剣士「悪いんだけど、俺さ…このままコイツと試合していいかな」

武装先生「…それは」


闘術騎士「いいぜ」

剣士「…だとよ」

 
武装先生「…おい、待て」


剣士「…待たない」チャキンッ

闘術騎士「そもそも、初日から目立ってたお前は、気に食わなかったからな」

剣士「それが本音か」

闘術騎士「パーティでも崩してやれば、少しは気が晴れると思ったんだが、失敗だったな」ハハハ

 
剣士「…」

剣士「武道家、魔道士の介抱…頼んだぞ。早く連れて行ってくれ」


武道家「…わかった。任せてくれ」

タッタッタッタッタッ…


闘術騎士「こんな時まで仲間の心配とは、よっぽど温かい心を持ってるんだな?ははは!」

剣士「…途中に起きられたら困るしな」

闘術騎士「どういう意味だ」

剣士「…」チャキッ


闘術騎士「…」スッ

剣士「…また、冒険先生に怒られるかな」

闘術騎士「あ…?イライラするな…、人の話聞けよ屑が」

 
剣士「…」ダッ!


…ダダダダダッ!!

剣士「…」ブンッ!!!


ゴッ…ゴオオォオオオッ!!!!


闘術騎士「なっ…!!」


バキィッ!!ベキャッ…!!

 
………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 休憩室 】

…ガバッ!

魔道士「…」パチッ

魔道士「あっ…あれ…?」ハッ

魔道士「ここは…」


武道家「よー、起きたか」

魔道士「あ…武道家…?」

武道家「傷、大丈夫か。血は止まってるな」

魔道士「うん…痛みはないよ…」

 
武道家「それならよかった」

魔道士「わ、私…どれくらい寝てたの…?」

武道家「ほんの数十分くらいだ。安心しろ」


魔道士「そ、そっか…」

魔道士「…」

魔道士「私、負けちゃったんだ…」


武道家「いや、頑張ったろ。それで充分だって」

魔道士「…」


武道家「お前が無事で何よりだったが…。それより少し、ヤバイんだよなぁ」ポリポリ

魔道士「やばいって…何が?」

 
武道家「剣士のこと」

魔道士「剣士がどうしたの…?」

武道家「あいつ、静かになった時が一番やべぇんだよなぁ…」

魔道士「…どういうこと?」

武道家「魔道士の事だし、本気になったのかもな…。いや、俺もアイツがいなかったら…ああなってたか…」

魔道士「…だから、どういうこと…!」
 

武道家「覚えてるか?お前が闘術騎士に倒された時のこと」

魔道士「…掌底波から、覚えてない」

武道家「その後、連撃からボコボコにされてな。更に闘気連弾を食らったんだ」

魔道士「う、うん…」

 
武道家「本来なら治療院送りだろうな。俺らが間に入って止めれて良かったぜ」

魔道士「…ありがとう」

武道家「うん、まぁそれはいい。だけど、それを見た剣士が本気で怒っちゃったんだよ…」

魔道士「…怒ってくれるのはうれしいよ。でも、それが不味い事なの?」

武道家「不味い」

魔道士「…だから、どういう風に?」

武道家「えっと…」


ダダダダダッ…!!ガヤガヤ…!

聖魔先生「ごめん、通して!魔道士さん、起きたんですか!

聖魔先生「ベッド二つ合わせたいから、元気ならどけてくれますか!」


魔道士「えっ、は…はい…」

 
ムクッ…ヒョコッ…ヨロヨロッ

魔道士「あっ…」

…ガシッ

武道家「肩かすよ」グイッ

魔道士「うん、ありがとう。それより…、この騒ぎ、なんだろ…」


タッタッタッタッ…ガヤガヤ…

聖魔先生「早く連れてきて下さい!ついでに、町の薬屋からも縫合薬と大量の痛み止めもお願いします!」

生徒A「わ、わかりました!別の生徒にお願いしますね!」

生徒B「じゃあ先にえーと…」

聖魔先生「もたもたしない!早く寝かせて!」


魔道士「なんかみんな、凄い慌ててるね…、本当にどうしたんだろ?」

武道家「…」

 
タタタタッ…!

生徒「じゃあそこに寝かせますよ!」

聖魔先生「早く寝かせて!あと、最寄の治療院にいって、緊急治療セットも!すぐに処置しなければ!」

生徒「は、はいっ!」

タッタッタッタッ…ゴロンッ


魔道士「一体何が…」ヒョコッ

魔道士「…」

魔道士「……ひっ!?」


闘術騎士「が…がぁぁ!こ…殺す…アイツ…絶対にぶっ殺す…!!あ゛ぁ゛ぁ゛ッ…!」

ドクッ…ドクッ…!ブシュッ…!!

 
武道家「…見ないでおけ」ギュッ

魔道士「何あれ…何なの!?なんで闘術騎士が…!」ギュウッ


聖魔先生「血を流しすぎてる!チェック急いで!」

聖魔先生「まだなの、薬は!?早くして!!」

タッタッタッタッ…!!


武道家「…」

魔道士「どうしたの…何なのよぉ…、これ…!」グスッ

武道家「…」

魔道士「何なの…、これ…剣士がやったの…?」

武道家「…」

魔道士「…ッ」

 
トコトコ…

冒険先生「…おい」


武道家「あっ…冒険先生」

魔道士「冒険先生…?」


冒険先生「ちょっといいか。こっちに来てくれ」クイッ


武道家「…はい」

魔道士「…」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 重 役 室 】

…コンコン


「入れ」


ガチャッ…

冒険先生「…失礼します」ペコッ

武道家「失礼します」

魔道士「失礼いたします…」


剣士「…」

僧侶「…」

 
武道家「…剣士!僧侶!」

魔道士「剣士!!」

剣士「…おう」

僧侶「…うん」


剣士「…よかった、魔道士…元気そうだな」

ヨロッ…

剣士「おっと…」

…ダキッ

魔道士「け、剣士…。あなたが闘術騎士をあんな風にしたの…!?」


剣士「…」

武装先生「…」

 
魔道士「そ、それに剣士の顔の傷…!ど、どうしたの!?闘術騎士にやられたの!?」

剣士「…」
 
魔道士「な、何とか言ってよ…」

剣士「それは…」


武装先生「剣士、何も言うな。俺から説明する。そうだな…闘術騎士は、俺がやったんだ」


魔道士「!!」

武道家「!?」


武装先生「…」

冒険先生「バカな人です…あなたは…」ブルッ


魔道士「ど、どういうことですか?剣士がやったんじゃないのか…!?」


武装先生「…」

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 少し前 】


…ベキャアッ!!


剣士「…あっ!?」

闘術騎士「…おや」


武装先生「ぐっ…!ま、待て。剣士…!」ググッ

剣士「…オッサン!邪魔するんじゃねえよ!」

武装先生「試合開始の合図もなければ、ルールも何もないだろう」

剣士「…止めるんじゃねえ!」

武装先生「今のお前に試合をさせる事は出来ん。相手を殺し兼ねない目だ」

剣士「…ルールには乗っ取ればいいんだろ?」

 
武装先生「…殺すつもりか?」


剣士「殺すつもりはねえよ!だが…相手にしゃべらせなければ、何してもいいっつー事だろ?」

剣士「魔道士の序盤の時も、そうしたじゃねえか」


武装先生「…お前まで、闘術騎士と一緒になる気か?」

剣士「…何?」


闘術騎士「…」ニタニタ


武装先生「確かにルール上は問題ない。だが、同じ事をしてはお前も闘術騎士と一緒ということだ」

剣士「…俺がそんなクソ野郎と一緒なわけねぇだろ」

武装先生「なら、やめておけ。今のお前に、試合開始の合図を出すわけにはいかん」

剣士「…ッ」

武装先生「気持ちは分かる。痛いほどわかる。だからこそ…落ち着くんだ」

剣士「な…」

 
武装先生「…」

剣士「なら、この気持ちはどうすればいい!どうしろっつうんだよ!」

武装先生「…俺を殴れ。許可する」クイッ

剣士「!?」


武装先生「男として、本当は戦わせてやりたい。だが、それではダメなんだ」

武装先生「お前の気持ちはよくわかる。…俺の言葉で落ち着くものではないことくらい」

武装先生「そして、お前の煮えたぎる想いをどうすればいいか…」

武装先生「だったら…俺を、思い切り殴り飛ばせばいい」


剣士「なっ…にっ…!!」

武装先生「それでも納得しないのは分かっている。だが、少しでも気分が晴れるなら…今はこうする他ないんだ」

剣士「ぐっ…ぐうぅ…!」

 
武装先生「…」ズキンッ

武装先生(最初の一撃で、既に肩が壊れかかっている…、何て力だ…)

武装先生(この距離で、お前の本気の一撃を受けたら俺とてタダじゃ済まない。だが…)


剣士「う、うおぉぉぉっ!!」ググッ

武装先生(少しでも、落ち着けるなら、受けてやる!)ギリッ


ブンッ…!!

バキャアッ!!プシュッ…!


武装先生「…」

武装先生「…なっ!?」


剣士「ぐ…、ぐぐっ…!」ドクドク…

武装先生「お前、自分で自分の顔を…!」

剣士「ぬがっ…」ゴホッ

ポタッ、ポタッ…

 
剣士「お、俺があんなクズと一緒のレベルに落ちるわけには…いかねぇよなぁ…」

闘術騎士「…」


剣士「それに、オッサンを殴っても一緒のレベルになるだろ…!」

剣士「だったら…我慢する…ッ!俺があいつを殴ったら、折角の仲間が…哀しむと思うから…!!」ギリギリ


武装先生「剣士…!」

僧侶「剣士くん…!」


剣士「ぐ、ぐぅぅぅ…」ブルブル


武装先生「…有難う、剣士。俺のわがままに付き合ってくれて…」

剣士「お…オッサンこそ…。有難うよ…俺の間違いを止めてくれて…!!」

 
闘術騎士「…」

闘術騎士「ぷっ…バカじゃないの。やりたかったらやればいいのに」


武装先生「…おいっ!!」


闘術騎士「ルールとかさ、マナーとかさ。そんなの戦いの前じゃ無意味なのは知ってるはずだろ?」

闘術騎士「一度、剣士くんは僕に刃を向けたのは事実だし、これは開戦の合図ととっていいんだよね?」スッ


武装先生「待てっ!」

闘術騎士「待たない。それに、消沈しかけてる剣士くんなら、倒せるかもしれないしね」ニコッ

ダッ…タァンッ!!

闘術騎士「あぁぁっ!闘気…ッッ!!!」パァッ!

 
武装先生「このっ……!!」

武装先生「し…掌底波ぁぁぁっ!!」

…ビュッッ!!ゴバァッッ!!


闘術騎士「…へっ?」


…………
………

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


武装先生「…」

冒険先生「…」

剣士「…」

僧侶「…」


武道家「…ッ」

魔道士「そんな…」

 
武装先生「…理由がどうあれ、生徒に手を挙げたのは事実だ」

武装先生「さっき、この件に関して中央にある冒険学校の管理部に連絡をした」

武装先生「俺はクビだな。よくて地方へ飛ばされるか…どうか」


剣士「…オッサン、お、俺…。ご…ごめん…」

武装先生「何を謝る。お前はちっとも悪くないんだぞ」

剣士「だけど…。だけどさ…」

武装先生「…気にするな」


武道家「…本当に、そんな事で武装先生がやめないといけないのかよ」

武装先生「…そうなるだろう」

魔道士「わ、私が悪いんだよぉ…」グスッ

武装先生「お、おいおい。泣くことじゃないだろう」

 
魔道士「で、でもぉ…」ポロポロ

武装先生「…ふっ」

…パサッ、ゴシッ…

武装先生「オッサンのハンカチは、少し嫌だろうが…。女性の涙は苦手でなぁ」

魔道士「…そんなこと」ギュッ

武装先生「…ふっ。君は感情が豊かで、いい子なんだな。長く色々と教えてやりたかったよ」


剣士「本当に…やめるのか…」

武装先生「何がどう転ぼうと、俺は俺の責任をとらねばならん」

剣士「…っ」

武装先生「…闘術騎士には悪いことをしたな」

剣士「オッサンは何も悪くねぇよ!あいつが悪いんだろ!!」

 
武装先生「…手を出したのは監督者である俺の間違いだ」

武装先生「いかなる理由があろうとも、それはやってはいけなかった」


剣士「…」

魔道士「…」

武道家「…」

僧侶「…」


冒険先生「これから、どうするんですか」

武装先生「連絡が来るまではココにいるが、その後は新しい責任者が来るだろうな」

冒険先生「…あなたのようにな担当を出来る人は、いないんですよ」

武装先生「総合的にできる人は寄越すだろう。心配するな」

 
剣士「…お、俺はオッサンに教えてほしいんだよ!まだ全然だろうが!」

武装先生「…」

剣士「勝負のケリだってつけてねえし!」

武装先生「…」

剣士「何だよ、これからだろ!!こんな俺を庇ったばっかりに…!」

武装先生「…おいおい」

剣士「何だよ!」


武装先生「お前が"こんな俺"って言ったら、俺が救われないだろうが」

…コツンッ

剣士「いてっ…」

 
武装先生「何度もいうが、気にするな」

武装先生「…今回の事、全ての責任は俺にある。そうだな、冒険先生」


冒険先生「はい、そうでしょうね…」

武装先生「事を荒げたくはないが、仕方ない面もある。君に迷惑をかけるな…」

冒険先生「いえ…」


武装先生「…さて」クルッ

武装先生「君たちは教室に戻っていい。色々聞かれると思うが、その辺は臨機応変にな」


剣士「…わかった」

魔道士「わかりました」

武道家「あぁ…」

僧侶「はいっ…」

 
ギィィ…ガチャッ、バタンッ…


武装先生「…」

冒険先生「…」


…ストンッ

武装先生「…今まで、ご苦労だった。俺の下に着くのは、大変だったろう」

冒険先生「辛くもあり、楽しくもありでしたよ」

武装先生「これから…頼んだぞ。もっと長く教えてやりたかったよ。楽しみな原石だったんだが…」

冒険先生「…はい。任せてください」

武装先生「…」

冒険先生「…」


…………
………

 
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・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。

>>311
魔道士「どういうこと、剣士がやったんじゃないのか…!?」

武道家の間違いです。修正致します。

皆さま、ありがとうございます。投下いたします。

 
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――――【 8 日 後 】


武装先生「…先ほど、中央軍から通達が来た。…この学校を去る時が来たようだ」

冒険先生「ご苦労様でした、武装先生」

武装先生「いや…」

冒険先生「一旦、中央国へと戻られるんでしょうか?」

武装先生「そうだな、そこで処分が決まるそうだ」

冒険先生「…」


武装先生「新しい先生とは、仲良くやるんだぞ」

冒険先生「…っ」

武装先生「…どうしたんだ、その顔は。笑って送られたほうが俺はうれしいぞ!」

 
冒険先生「どうして…笑えましょうか…」

武装先生「…何、またいつかどこかで会える」

冒険先生「ようやく、貴方と同じ職場で働けたというのに…。武装先生…」

武装先生「お前はもう、俺の生徒じゃないんだ。生徒を教える先生なんだ…、しっかりと前を向いて歩け!」

冒険先生「…はいっ」


タッタッタッタッ…

剣士「おーい、オッサン!」


武装先生「ん…剣士…」

冒険先生「こら、今は授業中のはずだろう!」

 
剣士「…武装先生がいなくなるっつーのに、授業なんか出てられるかよ」

冒険先生「また怒られたいのか…?」


剣士「うっ…」

剣士「べ、別にいいじゃないか!!武装先生の見送りなんだから…」


武装先生「…お前な、あまり冒険先生に迷惑かけるんじゃないぞ」

…コツンッ

剣士「いてっ…、出来るだけ、ね」

武装先生「全く…」

 
剣士「…武装先生」

武装先生「何だ?」

剣士「その…、ごめ……」

武装先生「謝るな!」

剣士「…っ!」


武装先生「謝る必要はない。何度言えばわかる?お前は悪くない」

武装先生「むしろ、男の勝負をさせられなかった俺が悪いくらいだ」


剣士「そ、それは…!」

武装先生「そうだな…、どうしても謝りたいというのなら…」

剣士「…」

 
武装先生「もっと強くなって、俺と対等…いや、それ以上の男になった時に謝りに来い」ニカッ

剣士「それ以上の男…」

武装先生「お前の将来が楽しみだ」クルッ

剣士「あっ、おい!オッサン…!」


武装先生「…また、会える日を楽しみにしてるぞ」

武装先生「冒険戦士、剣士…」


冒険先生「…」ペコッ

剣士「オッサンッ!」


武装先生「…さて、そろそろ時間だ。またな」バッ

ザッザッザッ…

 
剣士「お、おい!ちょっ…!」ダッ

…ガシッ!

冒険先生「授業に戻るぞ。また、怒られたいのか?」

剣士「す、すぐそこにいるんだから、いいじゃないか!」

冒険先生「…武装先生が、この校庭から出ていく時の気持ちが分からないのか?」

剣士「…!」

冒険先生「…」

剣士「…っ」


冒険先生「短い間だっただろうが、お前は武装先生から大きいものを得たはずだ」

冒険先生「今はまだ、追いかける時じゃない。剣士…、分かってるだろう」

 
剣士「ぐっ…」

冒険先生「…」


剣士「…わかった。わかったよ…くそっ!!」


冒険先生「…よろしい。それじゃ、授業に戻ろうか」

剣士「…っ」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 放課後・帰路 】


…トコトコ

魔道士「剣士、お別れの挨拶は済んだって言ってたけど…」

剣士「んあ?何が?」

魔道士「武装先生のこと。武道家とかも一緒に挨拶にいったの?」

剣士「…その時は個別の授業だったし、三人とも、抜けるもんも抜けられなかっただろ」

魔道士「…剣士は剣術の授業抜けられたんでしょ?」

剣士「いや俺は自習」

魔道士「え?」


剣士「オッサンが教えられない立場になってたから、剣術とか武器全般の使い手は自習になってたの」

魔道士「あ~なるほど…」

 
剣士「魔道士は、闘術の野郎にやられた傷はもう大丈夫なのか?」

魔道士「うん」

剣士「それならよかった」


魔道士「…そういえば、いつもの二人は?」

剣士「どっちも居残り。なんか放課後練習するんだとさ」

魔道士「居残りって…」

剣士「実力もっと磨くから、お前ら二人で帰ってていいぜ!っつってた」

魔道士「頑張るなぁ…。っていうか、私ももっと頑張らないと!」フンッ

剣士「…もっと、魔法とかしっかり覚えないとなぁ俺も」

魔道士「だから、魔法担当の先生に聞けばいいじゃないの」

剣士「ん…んーむ…」

 
魔道士「何がそんなに嫌なの?」

剣士「俺のキャラじゃなくね?」

魔道士「…そういう問題?」

剣士「大事だ」

魔道士「…大事なの?」

剣士「大事だ」

魔道士「…はぁ」


剣士「…と、言いたいんだが」

魔道士「?」

剣士「いい加減、覚えないといけないし…自習でもすっかなーと」

魔道士「うん、いいと思うよ」

 
剣士「魔道士が、自分の部屋で教えてくれてもいいんだぞ」ハハハ

魔道士「なっ…」


剣士「…」チラッ

 
魔道士「…」

魔道士「はぁ…仕方ないわね。放課後、部屋に来なさい。2階の階段上がって右の一番奥の部屋だから」プイッ


剣士「おっ?」

魔道士「少しだけだからね!あと、自分で出来るようになったら自分で勉強してね?」

剣士「お…おう。いいのか?」

魔道士「同じパーティを組む仲間として、教えてあげないといけないでしょ!」


剣士「ういっす!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 寮 】


カツカツカツ…

剣士「…」

魔道士「…」

剣士「…」

魔道士「…」

剣士「…」

…ピタッ


魔道士「…」

ガチャガチャッ…ギィィ…

 
魔道士「ど、どうぞ」

剣士「ういーっす。お邪魔します」

トコトコ…


剣士「…」キョロキョロ

魔道士「な、何。あんまりキョロキョロしないでよね」

剣士「いや、俺と武道家が相部屋でさ。部屋の大きさって変わらないんだな」

魔道士「そうなの?」

剣士「うむ。ただ、端っこの部屋のせいか、クローゼットの位置がここじゃなくて…」

…ガチャッ

 
魔道士「ちょっ!あ、開けないでよっ!」

…パサパサッ

剣士「…ほう」

魔道士「…燃やされたいってことね」パァッ

剣士「わかったわかった、閉めますよ!」

…バタンッ!


魔道士「今、魔法書とか準備するから、おとなしく待ってて!」ゴソゴソ

剣士「…」

魔道士「えーと…」ゴソゴソ

剣士「…」

…ピラッ

 
魔道士「…どこだったかな~、私の古い魔法書…」

剣士「…」ジー

魔道士「ちょっと待ってね、今出すから。っていうか、やけに涼しい…」クルッ


剣士「…」

剣士「…あっ」


魔道士「…」

魔道士「…何してるの?」


剣士「つい、スカートでこちらにお尻を向けていたのでめくってしまいました」

魔道士「…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔道士「はいっ、ここで詠唱!」

剣士「火炎まほー…」ブスブス

魔道士「声が足りない!」

剣士「…俺の髪型が、未来の流行の先取りを越して、異次元世界になっちまってるのに…集中できるわけねぇ!」


魔道士「人のスカートめくるからでしょ!子供じゃないんだから!」

剣士「気になるじゃん?」

魔道士「もう1回燃やされたいの?」

剣士「めくっていいなら」ハハハ

魔道士「…バカッ!!」

 
剣士「冗談だよ」

魔道士「当たり前でしょ!っていうか、勉強するならきちんとしてよ…」

剣士「はい」


魔道士「何でそんなに魔法が苦手なの?」

剣士「元々、文字とか読むのもそんな好きじゃないし…前も言ったけど、身体動かすほうが好きだし…」

魔道士「うん」

剣士「覚えなくちゃいけないのは分かってるんだけどなぁ…」ポリポリ

魔道士「わかってるのに、やれないの?」


剣士「何度かやったことはあるんだけど、どうにも俺向きじゃないし、近くに教えてくれる人もいなかったし」

剣士「結局、大剣ばっか振ってたから魔法の事なんざ忘れてた」

剣士「覚える気はあるんだが、今更、どうこう出来るもんじゃないっしょ?」

 
魔道士「もう…」ハァ

剣士「ん?」


魔道士「基本くらいは覚えられるまで、教えてあげるから…。」

魔道士「感覚をつかむのは難しいかもしれないけど、覚えたいっていう今の話、本当だよね?」


剣士「…覚えたいと思ってたのは本当だ」

魔道士「わかった。じゃあ、私も本気で教えるから…剣士も真剣に教わってくれる?」

剣士「…わかったよ。真剣に聞く」

魔道士「うんっ」

 
剣士「…つーか、俺に対してそこまで真剣になってくれるとは思わなかった」


魔道士「…」

魔道士「…嬉しかったから、かな」


剣士「何?」


魔道士「私がここへ来た時の理由を話をした時、どうでもよく流してくれたし」

魔道士「私がどんな事しても、バカにしたり、表に出して嫌ったりしないし…」

魔道士「あの模擬戦の時に私が運ばれたあと、本気で怒ってくれたって聞いて、凄く嬉しかったから…」


剣士「…普段の火炎魔法は、俺が色々やっちゃってるし、反撃くらって当然だろ?」ハハハ

剣士「そ、それにお前…、お前はその…今はパーティとして大事だと思ってるし…うん」


魔道士「…普段の私を見てきた人たちは、そんな風に笑顔なんかじゃ流してくれなかったから…」

 
剣士「確かに、すぐに手出るところは悪いかもしれんが…」

剣士「そういう、お前の性格を拒否する奴らとは付き合わなくていいんじゃねーの」

剣士「色々言ってくる奴らのいた場所から離れて、今、俺らみたいに魔道士を拒否しない奴らがいるわけだし」

剣士「初日に、武道家がガサツとか言ってたけど、悪気はないから気にしないでやってくれ」

剣士「まぁ…俺はお前を変だと思わないし、むしろ絡みやすくていいと思ってるぞ?」

剣士「だから、お礼とかそういうのはいらん」

剣士「お前も俺とかといる時は、気にしないでもっと全面的に自分を出していいって。拒否したりはしねぇよ」


魔道士「うん…ありがとう」ニコッ


剣士「…」

剣士「そ、そんな風に謝る必要ねーって言ったばっかりだろ!」

 
魔道士「あっ、ご、ごめんね!」

剣士「あ、いや…いいよ…」

魔道士「…」

剣士「…」


魔道士「…べ、別の参考書も探すね!」スクッ

タッタッタッタッ…ゴソゴソ


剣士(…ッ!)

剣士(やべぇ~~!!)

剣士(こういう雰囲気、超苦手だ!いやいいとは思うけど、うぁぁぁっ!)

 
…パサッ

剣士(…お?)

剣士(これは、さっきのクローゼットから落ちたのか…。ほう…)


魔道士「参考書、どこにしまったんだろ…。今出すから待っててー…」クルッ

剣士「…」パサッ

魔道士「…」


剣士「…はっ!」ハッ


魔道士「何、してるのかなー…?」ゴゴゴ

剣士「い、いや待て!!ちょっと待て!!これは違う、マジで違う!!」

魔道士「何がー…?」ゴゴゴゴッ

 
剣士「これはさっきのクローゼット開けた時に落ちてきたもので!」

剣士「決して俺が今、クローゼットを開けて取ったモノではない!ここに誓う!いや本当に!!」


魔道士「…はぁ」

トコトコ…スッ…、ガチャッ…パサッ…バタンッ


剣士「お咎めは…ナシ…?」

魔道士「まぁそうかなって思ったし、怒ってないから大丈夫」

剣士「そ、そうか…」

 
魔道士「…」 
 
魔道士「ねっ、剣士」


剣士「な、なんだ?」

 
魔道士「…そういうのが性格なら、拒否しちゃいけないのは、充分にわかってる」

魔道士「強気なら強気でぶつかりたいけど、やっぱり恥ずかしいのは恥ずかしいし…」

魔道士「こういうのは止めてほしいかなって…ゴメンね」


剣士「…!」

剣士「な、何でお前が謝るんだよっ!変にイタズラしたりしてんのは俺だろうが!」プイッ


魔道士「…でも、私を拒否しないって言ったばっかなのに、私が剣士の事を拒否してるのと一緒じゃないかなって」

剣士「そ、そこは男と女の話でいいんだよ!お前も本気で嫌だっていうなら止めるっつーの!」

魔道士「そ…そっか」

 
剣士「お、おう…」

魔道士「そ、そうだよね…。う、うーん…」

剣士「…な、何だ」

魔道士「…なんかなって思っただけ」

剣士「お、おう」

魔道士「剣士、話やすくて色々言っちゃってるかも。ごめんね」

剣士「まぁいいよ。俺も人と付き合うのは嫌いじゃねーし、お前が嫌じゃなけりゃ、どんどん構ってくれよ」

魔道士「…うんっ」


コチコチ…カチッ!ボーン…ボーン…

 
剣士「うおっ…。もうこんな時間か…、もう部屋に戻らないとな」

魔道士「結局、あんまり勉強できなかったね」

剣士「色々話できたし、いいとしようぜ。次から教えてくれよ、真剣に聞くから」

魔道士「…任せてっ!」ニコッ


剣士「うむ…じゃあ、また明日な」

魔道士「うん、また明日」

トコトコ…、ガチャッ…バタンッ…

 
剣士(…く、くそ~)

剣士(女子って難しいぞ…)

剣士(ぬぐぅ…) 
 
 
…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
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―――【 そして3日後 冒険演習(実践) 当日 】


ガヤガヤ…!


冒険先生「…よし、諸君!とうとうこの日がやってきた!」

冒険先生「この1か月、よく頑張った。1年生として、初演習…ここに開始を宣言する!」バッ!


生徒たち「きたきたぁぁ!」

生徒たち「前に話聞いた時から、ずっとやりたかったんだよね!」

生徒たち「うぉぉ!!」

 
剣士「来たな…」

武道家「くく…俺らが余裕でトップだけどな」

魔道士「武道家、それ悪人っぽい」

僧侶「負ける言葉っぽいね…」


ザッザッザッ…

闘術騎士「…やぁ、どうも」ニコッ


剣士「…闘術騎士!」

魔道士「!」

サササッ…ギュウッ

 
剣士「お、おい」

魔道士「…」

ギュウッ…ブルッ

剣士「…」


闘術騎士「おや、嫌われてしまったようだね…」

剣士「何か用か」

闘術騎士「いーえ?お互いに健闘しあって、頑張りましょうと伝えに来ただけだよ」ニコッ

剣士「…そうだな」

闘術騎士「それではこれで」ペコッ

タッタッタッタッタッ…

 
剣士「…魔道士、もう大丈夫だろ」

魔道士「う、うん…。ごめん…」

剣士「仕方ねーよ。謝らなくていいって」

魔道士「…うん」


武道家「しかし、あんなクズ性格してるけど実力はそれなりだし、注意しねえとな」

剣士「わかってるよ」

僧侶「どんなに手強くても、負けるわけにはいかないよね!」

剣士「当たり前だっつーの」


…パンパン!

冒険先生「よし。それでは、全員並べー。内容について詳細を改めて伝えるぞ」

 
ゾロゾロ…

冒険先生「うん。集まったな」

冒険先生「では、説明する。今回の演習場所は"魔石の洞窟"で行う」

冒険先生「魔石の鉱脈が根付く、深い洞窟だ。だが、特別難しいわけじゃないから安心してくれ」

冒険先生「洞窟内部は魔石による魔力が多く存在してるし、魔術師有利といえば有利かもしれん」

冒険先生「とにかく、"最深部"に着いた者から今回の演習課題は完遂となる。いいか!」


生徒たち「はい!」


冒険先生「期限は2日間!それまでに達成できなかった場合は、今回の成績は覚悟しておけよ!」


生徒たち「はい!」


冒険先生「ん、よろしい。念のため、各先生も待機はしているが…無理だけはしないようにな」

冒険先生「全部で10パーティ、洞窟の入口はバラバラだ。どこが有利とかはないから安心してくれ」


生徒たち「…はい!」

 
冒険先生「では、"扉"よりそれぞれのパーティで飛んでもらう!一番前のパーティから、出発!」

ザッザッザッ…


剣士「…扉ってなんだ?」

魔道士「巨大魔石を使う移動装置のことかな」

剣士「なんだそりゃ」

魔道士「…私たちにとって、かなり重要なものなんだけど。授業で何度もしたし」

剣士「話聞いてなかった…」

魔道士「…」


武道家「説明してやってくれよ。こいつ何のことか分かってねーんだよ」

魔道士「じゃあ、武道家が説明してやってもいいんだけど?」

武道家「俺は説明が下手だし、遠慮しておく」

 
魔道士「…二人とも分からないわけね」

剣士「はい」

武道家「はい」


魔道士「いい?扉っていうのは、巨大な魔石を利用して、一定の距離まで一瞬で移動できる技術なの」

魔道士「俗には冒険の扉とかも言われてるけど、基本的に国に直接絡んでる機関とかじゃないとコレは使えないし」


剣士「そんな便利な技術なのに、一般公開しないのか」

魔道士「相当な魔力が必要になるし、維持も高額だし、現実的じゃないみたいなのよね」

剣士「金持ちなら使えそうじゃねえか?」

魔道士「社会的にも、運搬とかで生活してる人もいるし、影響が大きいってのもあるんじゃない?」

剣士「あ~…」

魔道士「それに、ある範囲以上は移動できないとか、同類の魔石同士内しか移動できないとか不便も多いし」

 
剣士「使えるようで意外と欠点多いな」


魔道士「それと、国とか絡んでもこんな巨大な魔力をずっと維持できるのも難しい話らしくて…」

魔道士「もしかしたら、そのうち使われなくなるかもしれないんだって。魔石燃料の枯渇を防ぐために」


剣士「勿体ない話だな。ま、商人たちにとっちゃありがたい話だろうけど」

魔道士「うん、そうかも」


冒険先生「…よし、次!剣士たちのパーティ!準備しろ!」


剣士「おっ!」

魔道士「!」

武道家「来た来た!!」

僧侶「呼ばれたね!」

 
ザッザッザッ…、ギュウウウンッ…

剣士「…これが扉か。スゲー…空中に真っ黒な渦潮が浮いてやがる!」

バチバチッ…!


冒険先生「…頑張れよ。それと、これを忘れるな」スッ

剣士「何これ」チャリッ

冒険先生「最深部には、俺が待機している。その時、このプレートを渡せば課題クリアだ」

剣士「…"剣士パーティ"か」

冒険先生「それが一番最初に置けば、お前たちがトップという証だ」


剣士「…おうっ」

 
武道家「…おい」

剣士「あ?」

武道家「いつの間に、お前がリーダーになったんだ」

剣士「…最初からじゃね?」

武道家「あぁ!?俺もリーダーがいいんだけどなぁ~!?」

剣士「おぉっ!?俺がリーダーじゃ不満ですかぁ~!?」


魔道士「…後ろがつっかえてるんだから…、さっさと行く!」

ゲシゲシッ!


武道家「おっ?」

剣士「あっ?」


ギュウウウウゥゥン!!バチバチバチッ…シュウゥゥ…

 
剣士「て、てめ…覚えとけよぉぉぉ…!!」

武道家「ぬあぁぁあぁぁ…!!」

シュウゥゥ…プチュンッ…

 
魔道士「剣士たちも行ったみたいだし、私らも追いかけます」ペコッ

僧侶「いってきます!」

タァンッ…ギュウウウンッ…


冒険先生「…心配だ」

 
ザッザッザッ…

闘術騎士「さて、次は俺らの番ですね、冒険先生」

黒髪格闘家「…」

筋肉魔法師「…」

魔術賢者「…」


冒険先生「…そうだな。気を付けてな。これがプレートだ」チャリッ

 
闘術騎士「はい、有難うございます。では」パシッ

タァンッ…ギュウウウンッ…!!!

バチバチッ…バチッ…

………


冒険先生「何事もないと良いんだが…」


…………
………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 魔石の洞窟 】


バチッ…バチバチバチッ!!ギュウウンッ!!

剣士「…へっ?地面がないー…」

ヒュッ…ヒュウウウウウウウッ!!!


剣士「あ、ああぁぁぁあっ!!?た、たけぇぇっ!」


ヒュウウウウウッ…!


剣士「ふ…ふんぬうぅっ!おぉっと剣士選手、空中で大回転っ!!」グルッ!!


クルクルクルクルッ…スタッ!


剣士「剣士選手、やりました!!120点だぁぁ!」

 
……ヒュウウゥゥッ!!

剣士「ん…?」

ドシャドシャドシャッ!!ズドォォン!!

剣士「ぬごぉあっ!!」


武道家「いてて…高いところに出すぎだろ…」

魔道士「いったぁ~い…」グスッ

僧侶「びっくりした…。早速死んだのかと…」


剣士「…」ピクピク

剣士「君たち、早くどいてくれるかな」


武道家「あ、悪ぃ悪ぃ」ハッハッハ

本日はここまでです、ありがとうございました。

皆様ありがとうございます。投下いたします。

 
魔道士「よいしょっと…。あーあ、もう泥だらけ」ポンポン

僧侶「よいしょ…。ここが魔石の洞窟ってところかぁ」

魔道士「うん…凄く魔力に満ちてる。あったかいね」

僧侶「こんなに沢山の魔石があるのに、魔力酔いを起こさないのは何か…神秘のパワーでもあるのかな」


剣士「いてて…、魔力酔いってなんだ?」ムクッ

僧侶「魔力が体に一気に身体に入ると、魔力に酔って倒れちゃうんだよ」

剣士「へぇ。でもさ、魔力がなくなっても倒れるんじゃなかったか?」

僧侶「うん、そっちは魔力枯渇っていう現象だね。魔力を使いすぎても、危険なんだよ」

剣士「魔力枯渇の状態が続くと、魔力酔いより遥かに死の危険があるんだったっけか」

僧侶「うん、そうだよ。勉強覚えてきたね」

剣士「あたぼうよ」

 
武道家「さぁて…」コキコキ

武道家「お勉強の復習も終わったところで、さっさと進もうぜ。時間との勝負みたいだしよ」


剣士「おっ、そうだな。トップでゴールするのは当然、歴代最速タイムでも叩きだすかぁ?」

武道家「いいんじゃねえか、それ」

剣士「んじゃ、準備体操して…走るか!」グッグッ

魔道士「却下」

剣士「」


魔道士「よく考えてよ。これは2日も時間を与えられてるってことは、相当深いってことなの」

魔道士「貴方たちが走り続ける体力があったとしても、私たちは持たないでしょ…」


剣士「そ、そうだな…」

武道家「そうでした…」

 
魔道士「それに、食糧とか武器とかの手入れ道具とか…」

魔道士「…って、二人とも…?」ハッ


剣士「ん?」

武道家「どうした?」


魔道士「貴方たち、リュックは…?」

剣士「…武器しかないな」チャキッ

武道家「俺もだ」


魔道士「…食糧は?事前にもってこいって冒険先生言ってたじゃない」

剣士「現地調達じゃないの?」

  
魔道士「…ほ、本気で言ってるの?何も持ってきてないの!?」

剣士「失敬な!見ろ、この鋼の大剣を…!」

ズゥンッ!!パラパラ…

剣士「お前らに見せるのは初めてじゃないか?これはなー…」


魔道士「ウソ…でしょ…」フラッ

僧侶「…」


剣士「どうした?」

魔道士「し、食糧もナシでどうするつもりなの!?」

剣士「だから現地調達と」

 
魔道士「ま、魔獣がいるっては言ってたけど、食べれる獣に確実に出会えるわけじゃないでしょ!!」

剣士「深部にはいるんじゃないか?」

魔道士「な、何て楽観的な…」

剣士「何とかなるって!」

魔道士「あ…頭が…」


剣士「何とかなるっつーの!ほら、出発しようぜ!」

武道家「心配しすぎなんだよな。何とかなるって」

ザッザッザッザッ…

魔道士「…行こっか」

僧侶「そうだね…」

ザッザッザッ…


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数時間後 】


剣士「うおおりゃあっ!!」ブンッ!!

武道家「そいやぁぁっ!!」ビュッ!!

…ズバァンッ!!ドゴォンッ!!


スクイッグ(下級魔獣)『ギュッ!?』 


ズバァン!…ドシャアッ…!

 
魔道士「はぁ…はぁ……!な…なんて数…」

魔道士「これが最初の演習なの…?休める暇もないくらいに魔獣が出てくる…」ゼェゼェ 
 
魔道士「ここまで歩いてきただけでも大変なのに…っ」


僧侶「僕も…足が…」ズキズキ


魔道士「冒険先生は危険はないって言ってたけど…、ウソじゃない!」

魔道士「ここまで大変だと脱落するパーティも少なくないはず…」


僧侶「で、でも見て…あの二人…」

 
ギャーギャー!

剣士「今の俺だろ!」

武道家「あぁん?何言ってやがるんだ、今のは俺のパンチがこう、どしゃーって!」

剣士「どう考えても縦に真っ二つだっただろうが!お前の拳は刃かよ!」

武道家「鍛錬された拳は刃に勝るんだよ!!」

剣士「だったら俺の大剣切り裂いてみろやぁ!!」

武道家「やってやるよオラァ!!」


僧侶「凄い元気だよ…はは…」

魔道士「この状況だと、普段はアレだけど、頼もしい二人に見えるわ…」ゼェゼェ

 
ザッザッザッ…

剣士「魔道士、僧侶、終わったぞ」

剣士「ったく…、相手にならない魔獣ばっかだな、しかし」


武道家「全くだ。お化けキノコのスクイッグとか、ガキの相手にする魔獣だっつーのな」


魔道士「ご苦労様。二人とも凄すぎ…」

僧侶「僕らの出番はないね…。着いていくだけで精いっぱいだよ…」


剣士「魔道士…顔色悪いな。大丈夫か?」

魔道士「ここまでかなり歩いたのに、全然平気な顔のあんたたちのほうがおかしいんだって…」

剣士「…しゃあねえ、荷物貸せ。運んでやるよ」グイッ

魔道士「あっ」

剣士「うおっ…結構重いじゃん。お前…こんなの持ってたの?」ズシッ

魔道士「う、うん…」

剣士「何入ってんだ?」

 
魔道士「…必要なものが入ってるの」

剣士「必要なもの?」

魔道士「…別に気にしないで。私が持つから」

剣士「疲れてるんだろ、無理するなよ」

魔道士「大丈夫だから!」

ヨロッ…ズシャッ!


魔道士「あうっ!」

剣士「魔道士!」

魔道士「いったぁ~…!」

剣士「だから言わんこっちゃない…少しココで休もう」

魔道士「まだ、歩けるから!」

剣士「休むことも大事だろ」

 
魔道士「でも、みんなが歩けるなら迷惑かけられないし…」ググッ


剣士「…」

剣士「魔道士……俺、腹減った!!」


魔道士「えっ、なに急に…」

剣士「何か食い物くれ。なんか腹減って動きたくなくなった」ストンッ

魔道士「だ、だからあれほど必要だって言ったのに!」

剣士「うん、ごめん。腹減ったから、ここで何か食べさせて」

魔道士「…仕方ないな。私のリュック返して…食糧出すから…」

剣士「おう、サンキュー」

 
ゴソゴソ…

魔道士「…はい、保存食だけど…お肉…」スッ

剣士「おぉっ、ありがとう。お前ら二人も座って、何か食おうぜ。腹減っただろ」

パクッ、モグモグ…


武道家「え?いや、俺は別に…」

僧侶「武道家くん、魔道士さんの為にわざと言ってるんだよ」ボソッ

武道家「…あぁ。なるほど」


僧侶「じゃ、僕は武道家くんに食べ物分けるね」

武道家「おう。ありがと」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…プハァッ!

剣士「…ふぅ!ごちそうさん!」

魔道士「ずいぶんと、長い時間かけてチマチマ食べてたね」

剣士「そうだったか?」

魔道士「今度からは、食糧とかは自分でも準備してよ?」

剣士「わかったわかった」


武道家「でも…何だかんだで結構進んだんじゃないか?」

僧侶「うん、相当進んでると思うよ」

 
剣士「今は何時くらいなんだ?洞窟に入ったのが確か朝9時で…」

僧侶「えっとね、時計がもうすぐ…3時だね」

剣士「え、もう15時なのか」

僧侶「うん」


魔道士「結構時間たってたんだね」

剣士「そうさな…」


…ジャリッ


剣士「…」ピクッ

武道家「…」ピクッ

 
魔道士「時間も時間だし、もうちょっと進も…むぐっ」ギュッ

剣士「魔道士、ちょっと静かに」

魔道士「な、何するの…、どうしたの?」ボソボソ

剣士「武道家…聞こえたよな」

武道家「聞こえた。今までの下級魔獣とは少し違う足音だった」


僧侶「どうしたの?」

剣士「何かいる」

僧侶「何かって…」


…ジャリッ


剣士「…武道家」

武道家「わかってる。はぁっ!」パァッ!

 
魔道士「あっ、闘気…」

剣士「…」


武道家「隠れてても音が丸わかりだぜ…そりゃっ!」ビュッ!

…ボォンッ!!


???『ヌガッ!』


剣士「声…!やはり何かいるな!二人とも、準備だ!」チャキッ

魔道士「う、うん!」スッ

僧侶「わかった!」スッ

 
???『ちっ!』クルッ

ダッ…、ザッザッザッザッザッ…!!


武道家「やべっ、逃がした!」

剣士「何やってんだよ!一撃で仕留めとけよ…待てコラァ!!」ダッ!

武道家「そこの角、曲がったところだ!」ダッ!

タタタタッ…クルッ!


…シーン…


剣士「いねえ…。逃がしたか」

武道家「今の声、気のせいじゃなけりゃ人の声だったな。つーか舌打ちしてたし」

剣士「他のパーティとぶつかったってことか?」

 
タッタッタッ…

魔道士「ま、待ってよ二人とも…」ハァハァ

僧侶「早い…」ゼェゼェ


剣士「わ、悪い」

魔道士「敵は逃がしたの…?」

剣士「…敵っつーか、人っぽかった」

魔道士「人?」

剣士「うむ。舌打ちしてたっつーし、他のパーティの奴だったのかもしれねぇ」

魔道士「舌打ちって…、向こうが覗いてたんだから、攻撃食らっても文句言われる筋合いないでしょ」

剣士「…というか、俺らを監視しようとする意味がわからん」

 
武道家「…」

武道家「なぁ、一つ思ったんだけど…さ…」


剣士「何だ?」

武道家「これって、最終的に最深部は一緒の場所にぶつかるワケだよな?ゴール場所は一緒だし」

剣士「そうだが」

武道家「つまり、この洞窟はスタート場所は違えども、最終的なところで、洞窟同士はぶつかってるわけだ?」

剣士「そうだな」

武道家「…そして俺らは誰もが、トップゴールを目指してるわけだ?」

剣士「…そうだな」

 
武道家「…」

剣士「…」

魔道士「…」

僧侶「…」


武道家「そういうこと、なんじゃないの?」


剣士「…まじで?」

武道家「少なくとも、ルールとしては"禁止"されてないわけで」

剣士「だけどよ、先生達がどっかに待機しているんだろ?さすがに止められるだろ」

武道家「危険な場合のみ、止めるとしたら?」

剣士「…!」

 
魔道士「…ウソ、でしょ?聞いてないってば、そんなこと…」

僧侶「魔獣もいるのに、"ぶつかったパーティ同士でバトルロイヤル"ってこと…!?」

武道家「その可能性は高いと思う」

魔道士「模擬武器じゃないのに!?…大けがだってするかもしれない!」

武道家「だから、感知できるように点々と先生が配置されてんじゃねえのか…」

剣士「…」


…ビュンッ!!ヒュオオオォッ!!

武道家「むっ」

武道家「…僧侶、危ない!!」


僧侶「え?」

武道家「はぁっ!!」ブンッ!!

ガツッ…ボォンッ!!パラパラ…

僧侶「な、何っ!?」

 
武道家「いてて…。さっきの闘気のお返しか?ほらな、お出ましのようだぞ」


僧侶「な、何が…」クルッ

僧侶「あっ…!」


魔道士「武道家の言った通り…来ちゃうわけね」

剣士「…へぇ」

 
ザッ…ザッ…ザッ…

下級闘士「ちっ…、さっきの礼に、俺の闘気も当ててやろうと思ったのによぉ」ククク

三流剣士「お前じゃ勝てねーべ」ケラケラ

見習魔女「やぁねぇ、あれくらい当ててちょーだい」フリフリ

適当僧侶「あっ、ありゃ剣士のパーティっすね!結構強そうっすね!」


剣士(うわぁ…)

武道家(これは…)

魔道士(関わっちゃ…)

僧侶(いけない…)

 
三流剣士「…お前らはこれ以上目立たせるわけにゃいかないんでね…潰そうかと思ってねぇ…」ケラケラ


魔道士「目立ってるのはこっち二人!私と僧侶は平和主義!」ビシッ

僧侶「戦争反対!」

剣士「おい」

武道家「仲間なのにひどくないすか」


三流剣士「…いひっ、仲間割れ?まぁいいや…とりあえず倒させてもらうべ…。覚悟しろ、剣士!」チャキンッ

下級闘士「あの武道家は俺がやっちゃうぜぇ?」スッ

見習魔女「同じ女として、あぁいうブリっこ魔道士は許せないのぉ…」パァッ!

適当僧侶「僧侶クン!俺、支援魔法以外にも火魔法使えるんすよ!覚悟してくださいっす!」パァッ!

 
剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」


三流剣士たち「…覚悟ぉっ!!!」ダッ!!

ダダダダダッ!!!

 
魔道士「…いいの?」

剣士「おう、当たり前だろ」

僧侶「も~…僕はこういうの苦手なのに」

武道家「やらないとやられちまうぜ?」


…ザッ


剣士「いっせーのー…」チャキッ 
 
武道家「掌…底…」ググッ

魔道士「雷…撃…」パァァッ!!

僧侶「小…水流…」パァッ!!

 
三流剣士「死ねばいいべ!」ビュンッ!

下級闘士「寝てろやぁっ!」ブンッ!

見習魔女「小風刃まほ~っ♪」ビュッ!

適当僧侶「小火炎魔法っ!!」ボワッ!


剣士「せっ!!!」ブンッ!!!

武道家「波ぁぁっ!!」ギュオッ!!

魔道士「魔法っ!!!」バチバチッ!!

僧侶「魔法っ!!!」バシャアッ!!


ゴッ…ゴォォォォォオオオオッ!!!!!


三流剣士たち「…へっ?」

 
ドゴオォォォォンッ!!!グラグラグラッッ!!!!

ズ…ズズゥン…!!

パラパラ…

……

本日はここまでです、ありがとうございました。

そろそろ更新してほしい…

皆さま有難うございます。投下いたします。

>>414
1日間隔での更新はしたいのですが、多忙で2、3日空ける事もあります。
ですが、期待のお言葉は非常に嬉しく思います、有難うございます。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

剣士「ういしょっと…!」

ドシャッ…ゴロンッ!

三流剣士「」


剣士「余計な手間かけさせやがって…」

剣士「これで全員、横にしといたぞ。魔道士の持ってきた魔獣避けの煙も焚いたし、大丈夫だろ」

剣士「そのまま放置でもよかったんじゃねえの?」


魔道士「放っておくのもいいけど、魔獣に何かされたら私らのせいになるから…。後味悪いのは嫌」

武道家「しかし、これは本当にバトルロイヤルっぽいな」

僧侶「深部に近づくほど、残ってるパーティも強くなるから…」

剣士「くく…面白いじゃねぇか」

 
魔道士「ここに倒れている人たちは、明日は我が身かもしれないのよ?」

剣士「お前、俺らが負けると思ってるの?」

魔道士「…そ、それは思ってない…けど…」

剣士「なら、明日は我が身とか言うんじゃないの」

魔道士「…わかった、ごめんね」


僧侶「…剣士くんと武道家くんが仲間で、本当に良かった…」

魔道士「うん…」


剣士「…二人とも、もう少し歩けそうか?」

僧侶「僕はもう少しだけなら」

魔道士「わ、私は…頑張る…」

 
剣士「…」

剣士「武道家、この荷物持ってくれるか」ポイッ


武道家「わかった」ボスッ!


魔道士「あ…私の荷物…」

剣士「…ほれ」チョイチョイ

魔道士「え?」

剣士「背中に乗るのは嫌か?やっぱり」

魔道士「せ、背中って…」

剣士「嫌なら武道家に頼むが」

 
魔道士「…い、嫌とかじゃなくて…」

剣士「じゃあ何も言わず早く」

魔道士「足手まといに…なってるよね…」

剣士「あぁ?」

魔道士「ご…ごめん…」ブルッ

剣士「お、おいおい!」

魔道士「ごめん…なさい…」


剣士「…何で謝ってんの?」

魔道士「な、何でって…迷惑かけてて…」

剣士「…」

魔道士「だから…」

 
剣士「…まぁ、確かに迷惑っつーか足引っ張ってるには違いねぇわな」フンッ

魔道士「…っ」

剣士「だけど、それを謝るのは間違ってんじゃねーの。俺らパーティなんだし、苦手な部分は補い合うもんだろ?」

魔道士「…」


剣士「俺と武道家は食いモノ忘れて迷惑かけてるし、足引っ張ってるのには違いねーし。なぁ?」

武道家「はっはっは、その通りだ」


剣士「魔道士にとって、食糧忘れた仲間に食べモンくれるのは、"特別なこと"なのか?」

魔道士「…普通…だと思う…。支え合うのがパーティだから…」

 
剣士「じゃあ、俺もこうして支え合うのは普通なんだっつーの」

魔道士「あっ…」


剣士「次からは、俺らも食糧を持ってくる。お前は次から、もっと歩けるようになればいい」

剣士「次がダメでも、次の次。その次がダメでも、次の次…次…」

剣士「それでいい。俺らも次、食糧持ってくるなんて確証ねーしな」」


魔道士「…」

剣士「だから、早くしろ!お前にもらった食糧エネルギーが尽きる前に、ダッシュで行くぞ!」

魔道士「…ありがとう」

剣士「おう。だから、早く乗れ」

 
魔道士「じゃ…じゃあ…。お邪魔します…」

…ギュッ

剣士「おう…。」フンッ

武道家「剣士、鼻の穴開いてる」


剣士「う、うるっせぇぇー!!武道家も、僧侶背負ったらどうだ!」

武道家「お前から預かった荷物持ってんだよ!」

剣士「へぇー…、荷物持ったまま僧侶背負って走れないわけか…情けないねぇ…」プクク

武道家「…あぁ?」

剣士「ほら、鋼の大剣を背負えねぇし、両腕塞がってる俺が持ってやるからさぁ…寄越せよ」ニヤニヤ

 
武道家「…」

武道家「…僧侶ぉぉっ!!」


僧侶「は、はい!」

武道家「俺の背中に飛び乗れ!!振り落とされんじゃねぇぞ!!」

僧侶「で、でも…!」

武道家「早くしろぉぉ!!」

僧侶「はいぃっ!」

ダッ…ギュウッ!


武道家「おい剣士ぃ…、この状態で…俺より先にへばったら…、二流先輩の称号を授けたるぜ…」ユラァ

剣士「おいおい武道家ぁ…、それは俺のセリフだなぁ…」ユラァ

 
魔道士「ちょっ…、ふ、二人とも…?」

僧侶「嫌な予感がプンプン…」


武道家「ごぉ…」

剣士「よん…」

武道家「さぁん…」

剣士「にぃ…」

武道家「いぃぃちぃぃ…」


魔道士「ちょっ…」

僧侶「まっ…」

 
剣士&武道家「ゼロォォォッ!!!!」ダッ!!!

ダダダダダダダッ!!!!

ゴォォォォオオオッ!!!!


魔道士「きゃああ~~っ!!」

僧侶「ああぁ~~っ!!」


ダダダダダッ…!!

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ズザザザァ…

剣士「はぁ…はぁ…」

武道家「ふぅ…ふぅ…」


魔道士「」

僧侶「」


剣士「…引き分けだな」

武道家「くそっ、またか!」

 
魔道士「ふ、二人とも…何でこの速度で…走って…」ヨロッ

僧侶「か、風になった…」フラッ


剣士「何で背負われてるお前らがフラフラなんだよ」

武道家「フラフラだから背負ってきたんだろ?」

剣士「あぁ、そうか」


魔道士「いや違うから。違わないけど」

 
剣士「僧侶、今は何時だ?」

僧侶「えっと…うわっ、もう19時だよ!」

剣士「時間たつの本当にはえーなー」

僧侶「ってことは、今まで走りっぱなしだったの…。二人とも凄いってレベルじゃないよ」


魔道士「えっと、剣士…。もう私は降ろしても大丈夫…。本当にありがとう」

剣士「ん、おう」

モゾモゾ…ストンッ


僧侶「じゃ、僕も。武道家くん、ありがとう」

武道家「おう」

モゾモゾ…ストンッ

 
剣士「…さて、どうする?」

魔道士「二人とも休憩とかはいらないの?」

剣士「まぁ休憩もだけど、もう19時だろ?さっさと今日は休んだほうがいいんじゃねえかな」

魔道士「え、もう休むの?もっと走りたいとかいうと思ったけど…」

剣士「そりゃな。夜にあまり動くと次の日の行動遅くなるし、疲れも残っちまうし」

魔道士「…意外」

剣士「何だ意外って」

 
武道家「休むのはいいけど、お前ら…こんなゴツゴツした洞窟の中で寝れんのか?」


魔道士「…寝袋あるけど」

僧侶「僕もあるよ」

 
剣士「…武道家、お前は?」

武道家「ない」

剣士「俺もない」

武道家「…」

剣士「…」


剣士&武道家「まぁ、いいか」ハッハッハ


魔道士&僧侶「よくないでしょ!」

 
剣士「普通に寝れるし、大丈夫だって」

武道家「このくらい慣れてるよな」

魔道士「…どんなハードな子供時代をおくってきたの一体」

僧侶「下手したら、岩でケガしちゃうかもしれないよ…」


剣士「大丈夫だって!」

武道家「本当に俺ら慣れてるから余裕だって」


魔道士「うーん…」

剣士「うーんって言っても、一緒に小さい寝袋にいれてくれんの?」ハハ

魔道士「…助け合いなら、そうするしかない…の…?」

 
剣士「…」

剣士「…い、いやいやいや!それは別問題だっつーの!」


魔道士「そ、そうなの…?そうだよね!」

剣士「お、おう!」


武道家「お前、一瞬期待したよな」

剣士「してねーよバーカ!」

武道家「本当は?」

剣士「少し」

武道家「…バーカ」

剣士「あぁ!?」

 
魔道士「…」ジトッ

僧侶「…」ジトッ


剣士「…け、ケンカはやめようか」

武道家「…そ、そうだな」


魔道士「本当に大丈夫ならいいんだけど…」

剣士「大丈夫だっつーの!っつーか、ご飯分けてくれるのか?」

魔道士「分けないとダメでしょ?」

剣士「…ありがとさん!」

魔道士「うんっ」

 
僧侶「じゃあ、僕も…」ゴソゴソ

魔道士「あ、待って僧侶」

僧侶「どうしたの?」

魔道士「私のリュックに、沢山入ってるから…それ分けるから大丈夫」

僧侶「えっ?」

魔道士「どうせ忘れるんじゃないかと思って、沢山持ってきてたの」

僧侶「あぁ…、だから重かったんだね」

魔道士「うん…」


剣士「…」

武道家「…」


剣士&武道家「面目ない」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

パチパチ…ジュワジュワッ…


魔道士「もうすぐ出来るから待ってね」


剣士「いい匂いだなぁぁ!」スンスン

武道家「塩漬けの保存肉とはいえ…、きちんと料理すればこんないい匂いが…」ジュルリ

僧侶「僕の分まで、わざわざ有難う…」ジュルッ

 
魔道士「これでも料理は出来るほうなんだから」ジュウジュウ

剣士「フライパンやら、調味料やら…準備がいいことで」

魔道士「当たり前でしょっ」

剣士「早く食いたいねぇ…」

魔道士「今出来るから…えっと、紙のお皿並べといてくれる?」

剣士「これか…はいよ…」

スッ…スッ…


剣士「おっしゃ、オーケーだ」


魔道士「んじゃ、今お肉置くから…熱いし気を付けてよ~」

ジュウジュウ…

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…カランッ!


剣士「…ぷぅっ!」

武道家「はぁっ!」


魔道士「美味しかった?」

剣士「最高だな!」

武道家「本当に料理出来るんだな。酷使した身体には良い塩分だった」

魔道士「あったりまえ!」

 
僧侶「ふわぁ…。お腹いっぱいになったら眠くなってきたよ…」

魔道士「うん…私も…」フワァ

僧侶「寝袋はあるけど…」

魔道士「…」チラッ


剣士「…気にするなっつーの!」

武道家「俺らはどこでもジックリ休めるっつったろ!」


僧侶「…本当にいいの?」

剣士「…気絶させて寝させてやろうか?ん?」

僧侶「大人しく寝袋に入るね!」モゾモゾッ

剣士「よろしい」

魔道士「じゃあ…私も…。さすがに限界だから余裕も言えないよ…」モゾモゾッ

 
…ゴロンッ

僧侶「横になるのがこんなに幸せだなんて…」

魔道士「あぁ…すぐにでも寝れそう…」

剣士「だから休んでいいって」

武道家「俺らも、火を消してすぐに寝るからよ」


魔道士「うん…ありがと…」

僧侶「二人とも、おやすみなさい…」

…スヤッ…クゥ、クゥ…


剣士「寝るの早っ」

武道家「疲れたんだろ。さすがに俺らも久々に少し疲れてるし」

剣士「そうだな…」

 
武道家「まぁ疲れたところで、寝ようとしてたのに…寝れないんだけどな」クハハ

剣士「面倒くせぇけど、仕方ねーよな」コキコキ

武道家「…いつものお前なら、そんな料理作るな!って怒鳴るのに…丸くなったんじゃねえか?」

剣士「人の好意は無下に出来ねえっつーの」

武道家「違うだろ」

剣士「あん?」

武道家「魔道士の好意だからだろ」クックック

剣士「うっせ」


武道家「そのうち分かってくると思うが、こんなんじゃ魔獣の多い場所には滞在できないな」

剣士「その時は注意するさ」

武道家「…魔獣のウヨウヨいる場所で肉焼きとか、寄ってらっしゃいって言ってるもんだ」

剣士「さっきから周囲にずっと気配がしっぱなしなのは、気疲れしてるぜ」ハァ

 
武道家「今回はそれも許せるほど相手が弱いし、美味い手料理が食えてよかったじゃないか」

剣士「相応の代償としちゃ…充分だな」ニヤッ


…チャキンッ

剣士「さてと…始めるか。お前、僧侶側な。俺は魔道士側を処理すっから」

武道家「お前はあと、どのくらい動ける?」

剣士「僧侶しか時計持ってないから分からんが、夜明けまではいけるんじゃね?」

武道家「二人で山奥でキャンプした時も、こんなんだったなー」

剣士「その時と比べたら、全然楽だけどな」

武道家「ははっ、全くだ」

 
剣士「さぁて…」ヂャキッ

武道家「始めるか…」スッ


ザッ…ザッ…!

『グルルッ…』


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございます。

皆さま有難うございます。投下いたします。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日(冒険演習2日目) 】


モゾッ…モゾモゾ…

魔道士「…」

魔道士「…」

魔道士「んっ…」

魔道士「…なんか足が…重い…?」

…チラッ


剣士「…」グオォォォ


魔道士「!?」ビクッ!

 
剣士「…」グゥグゥ


魔道士「けっ…剣士…?何で私の寝袋の上に…」

僧侶「魔道士、魔道士!シーっ…」ボソッ

魔道士「あ、僧侶…おはよう。シーって…?」

僧侶「僕の足元見て」


魔道士「…」チラッ

魔道士「…あっ」


武道家「…」グオォォ


魔道士「二人とも、寝てる…?」

 
剣士「…」スゥスゥ

武道家「…」グゥグゥ


魔道士「…二人とも結局、寝袋があるところに寝ちゃったわけ?」

僧侶「そうかも…?」

魔道士「偉そうな事言って、仕方ないんだから…もう」

僧侶「…でも、ちょっとおかしいんだよね」

魔道士「どうしたの?」

僧侶「二人とも、なんか憔悴しきってるっていうか…ボロボロじゃない?」

魔道士「…確かに、ドロっぽいっていうか…」


僧侶「何かあったのかな。二人がここまでグダっとするの珍しいよ」

魔道士「うーん…?」

 
僧侶「…起きたら何があったか聞いたほうが良さそうだね」

魔道士「そうだね…。もう少しだけこうして寝かせてあげよっか」

僧侶「それがいいと思うよ」


魔道士「…」

魔道士「…」ブルッ

魔道士「あっ」


僧侶「…?」

魔道士「…ごめん、私ちょっと」

モゾモゾ…スクッ

 
僧侶「…どうしたの?」

魔道士「ちょ、ちょっとだけ。ちょっと」

ザッザッザッ…


僧侶「あっ、あまり離れると魔獣出るかもしれないから危ないよ!」

魔道士「すぐそこ角曲がったところだから大丈夫!」

僧侶「…う、うん」


ザッザッザッ…

魔道士(お水あんまり飲みすぎない方がよかったかな…)ハァ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
僧侶「どうしたんだろ、魔道士さん」


モゾモゾ…ムクッ

剣士「…」

剣士「むにゃ…」


僧侶「あっ、剣士くん」

剣士「んお…僧侶。おはよ…」フワァ

僧侶「結局、僕らの寝袋の上で寝ちゃったんだね」

剣士「さすがに疲れたからなぁ…。すまんすまん」

 
僧侶「…疲れたって、やっぱり僕らを乗せて走ったから…?」


剣士「あぁ、違う違う…実は…。」

剣士「…あっ、いや。まぁいいや。そういうことだ」


僧侶「…?」


…ムクッ

武道家「…おはよ」ボリボリ


僧侶「あっ、おはよ!」

武道家「…おうふ。僧侶、重かっただろ…すまん」

僧侶「ううん、大丈夫だよ」

武道家「うむ…そう言ってもらえると助かる…」スクッ

 
剣士「あれ…、魔道士は?」キョロキョロ

僧侶「なんかそこの脇に消えていったよ」

剣士「…なぬ?」

僧侶「少しちょっと、ちょっとって言いながら」


剣士「集まった魔獣は昨晩退治したから大丈夫だと思うが…、離れると危ないだろが…」

剣士「ちょっと様子見てくるわ…眠ぃ」フワァ


僧侶「…!」


武道家「いってらっしゃーい」フリフリ

ザッザッザッ…

 
僧侶「…」

僧侶「…ねぇ、武道家くん」


武道家「ん?」

僧侶「今さ、剣士くんが"集まった魔獣"っていったけど…もしかして…」

武道家「あ…、あのバカ…。まぁ、気にするなって」

僧侶「き、気にするなって!」

武道家「何でもないさ」

僧侶「…」


武道家「…剣士の奴じゃないが、助け合いだろ。動ける奴が動く、それでいいんだって」

僧侶「じゃあ聞くけど…、二人は、僕らがパーティでよかったの?」

武道家「うん?」


僧侶「魔道士さんには言い方悪いけど、僕も魔道士さんも足を引っ張ってるのは分かってるし…」

僧侶「もっと、動ける人たちがいたんだから、パーティは僕らじゃなくても…!」

 
武道家「…おい」グイッ

僧侶「!」

武道家「つまりそれは、俺らが人を見る目がないとか、そういうこと言ってんのか?」

僧侶「そ、そういうことじゃなくて…!」


武道家「…剣士が楽しい事は、俺も楽しい。あいつは魔道士も僧侶も足を引っ張ってるなんか思っちゃいない」
 
武道家「それも俺も一緒だ。それとな、お前らがパーティでよかったと思うことも結構あるんだぜ」


僧侶「そ、それって…?」


武道家「俺らみたいなバカやってても、こうして着いてきてくれる」

武道家「俺らに足りない部分を、お前らが補ってくれる。それだけで充分なんだよ」


僧侶「武道家くん…」

 
武道家「…おっとすまん。苦しかったな」パッ

僧侶「う…ううん」

武道家「…とりあえず、そういうことだ。別に足手まといなんか思っちゃいねぇってことは分かってくれ」

僧侶「…わかった」

武道家「おう」


僧侶「じゃあ、僕も一つだけお願いがあるんだ」

武道家「なんだ?」


僧侶「仲間なら、仲間らしく…君たちだけがボロボロになるのは止めてほしい…と思う」

武道家「…」

 
僧侶「内緒で戦ってくれるのは嬉しいけど、気持ちを共感できないなんて…悔しい」

僧侶「それに、それを知らないで君たちに無理をさせちゃうこともあるかもしれないから」

僧侶「…支援役として、仲間としてのお願いだよ。それと、友達としても…さ」

僧侶「お互いを分かり合えないパーティなんて、信頼も何もないと思うんだ…。」

僧侶「ご、ごめん、生意気いってるよね…」


武道家「そうか…、そうだよな。わかった!内緒にしようとして悪かった…、ごめんな。これからはきちんと伝えるよ」

僧侶「ううん…こっちこそ、気付かなくてごめんね」

武道家「…俺こそすまん」

僧侶「…」ニコッ


武道家「…にしても、剣士たち遅くねぇ?」

僧侶「あ、そうだね。何してるんだろ」

武道家「イチャついてるんじゃないだろーな…。俺もちょっと覗き…じゃない、見に行ってくる。心配だからな」

僧侶「武道家くん、一瞬本音が」

 
武道家「気のせいだ」

僧侶「あはは…」


…ズ、ズドォォォンッ!!!グラグラッ!!


武道家「!?」

僧侶「!?」


武道家「な、何の音だ!?」

僧侶「剣士くんたちが行ったほうだよ!」

武道家「敵か…!?ちっ!」ダッ!

僧侶「あ、僕も行くよ!」ダッ!

 
…ズドォン!!!

剣士「ぬぅあああっ!!」

ドシャッ!!ゴロゴロゴロ…ズザザザァ…!!

剣士「く、クソったれ!!」バッ!


僧侶「け、剣士くんが吹き飛んできた!?」

剣士「ん…おう、僧侶!おはよう!」

僧侶「ど、どうしたの!?」

剣士「別のグループだ!!魔道士をさらおうとしやがった!」

僧侶「!」

 
武道家「剣士、大丈夫か!」

剣士「余裕っ!それより魔道士がやべぇ!」ダッ!

武道家「俺も行くぞ!」ダッ!

僧侶「…っ!」ダッ!


ダダダダダッ!!!クルッ!


剣士「この野郎共が!!」バッ!

剣士「…」

剣士「…く、くそっ!!」


シーン…

 
武道家「…逃げられたか」

剣士「俺が着いてながら…何て失態だよ…」ガクッ

武道家「相手は誰だったんだ」

剣士「筋肉魔法師っつったか…、そいつと黒髪格闘家だった」

僧侶「!」


剣士「一体どこのパーティだっつーの…、人質にして俺らを負かすつもりか…!」


僧侶「け、剣士くん…それ、凄く不味いかも…」

剣士「あん?」

僧侶「その二人…あの人のパーティだよ確か…」

剣士「あの人?」

僧侶「…闘術騎士くん」

 
剣士「!」

武道家「!」

僧侶「…僕らに恨みのある相手だし…」


剣士「武道家、僧侶と魔道士の荷物まとめて俺に追いつけるか」

武道家「わかった」

剣士「ちょっと先に行って、分からせてくる」チャキッ

武道家「…やりすぎるなよ」

剣士「武装先生との約束は守るさ」

武道家「…あぁ」

 
剣士「僧侶、先に行ってるぞ」ググッ

僧侶「う、うん。気を付けて!」

剣士「…っしゃあ!!」

ダッ…ダダダダダッ!!!!ゴォォオッ…


僧侶「は、早っ!!」

武道家「さてと、さっさと俺らも荷物まとめて、アイツに追いつくぞ!」

僧侶「う、うん!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魔道士「む、むぐ~っ!!」

タタタタタッ…


筋肉魔法師「…口を縛っても声を荒げるとは。気の強い女だ」

黒髪格闘家「まぁ…、いいじゃないか」


魔道士「…ッ」

魔道士(い…一体何なの…。どうしてこんな目に…)グスッ

 
タタタタタタッ…!!

黒髪格闘家「…もう少し先か」

筋肉魔法師「しかし、楽に出来たな。魔道士を人質にしただけで、剣士があそこまで動けなくなるとは」

黒髪格闘家「彼にとって、よほど大事な人なんじゃないか」

魔道士(剣士…)

タタタタッ…


魔道士(こいつら、私を一体どうするつもりなの…)


筋肉魔法師「おっと、見えたぞ」

魔道士(見えたって何が…。あっ!)


魔術賢者「…」

闘術騎士「…」

 
ズザザ…

筋肉魔法師「戻ったぞ」

黒髪格闘家「言われた通り、うまくやった」

ポイッ…ドシャッ!!

魔道士「うぐっ!」


闘術騎士「ご苦労さま」ニコッ

魔術賢者「お疲れ」


魔道士(こ…こいつら…)ギロッ


闘術騎士「…」

筋肉魔法師「…」

黒髪格闘家「…」

魔術賢者「…」

 
闘術騎士「さて…と、魔道士サン」スッ

魔道士「…」

闘術騎士「口を縛ってちゃ、しゃべれないか。今外してあげるよ」

グイッ…パサッ


闘術騎士「これでしゃべれるかな?」

魔道士「…どういうつもり」

闘術騎士「人質だけど?」ニコッ

魔道士「…」

闘術騎士「剣士のクソ野郎に、この機会を使って痛い目を見て貰おうと思ってね」

魔道士「…卑怯なアンタなんかに、剣士が負けるわけない」

 
闘術騎士「…」

ブンッ…ゴツッ!!

魔道士「いッ…」


闘術騎士「…」

…グイッ!!

魔道士「っ…!」


闘術騎士「…傲慢なその態度、へし折ってやったらさぞかし気持ちがいいだろうな…」

魔道士「…こ、こんな事してタダで済むと思ってるの…!」

 
闘術騎士「…バトルロイヤルだろう?これも戦略、誰も攻める事などするわけないだろ」

魔道士「その前にこれは…学校の演習よ…!先生だって待機してる…!」

闘術騎士「だから?」

魔道士「だ…だからって…!先生に怒られるわよ!」


闘術騎士「ははは!!先生に怒られる!!」

闘術騎士「だから、これも戦略だぜ?変に手を出さなけりゃ、文句も言ってこねぇだろ」

闘術騎士「現に今…、お前はこうして、俺の目の前にひれ伏してるだろ?ははは!」


魔道士「…ッ」

 
闘術騎士「…な?」

魔道士「…」

闘術騎士「明確なルールは言われていない。つまり、自由っつーことさ」

魔道士「そういう問題じゃない!もっと正々堂々と…!」

闘術騎士「武装のクソ野郎にはやられたが、その恨みはお前らで晴らさせて貰う…」ギリッ

魔道士「…!」


闘術騎士「魔道士、手足が震えてるぞ?怖いのか?ははっ!」

魔道士「…っ」ブルッ

 
闘術騎士「…安心しとけ、俺らだってバカじゃねー。変なこたぁしねえよ」

魔道士「当たり前…でしょ…!」

闘術騎士「…っていうと思った?」

…グイッ!


魔道士「ひっ!」ビクッ

闘術騎士「お前が何も言わなければ、罪にも何にもならないんだぜ。耳弱かったんだっけか…?」ボソッ

魔道士「っ!」


黒髪格闘家「…」プイッ


闘術騎士「でもまぁ、そんなことしてる場合じゃないな」ポイッ

…ドシャッ!

魔道士「あう゛っ!」

 
闘術騎士「…いらっしゃい」


魔道士「…?」チラッ

魔道士「!」


ザッ…

剣士「…いい加減にしろよ、闘術騎士」チャキッ

 
ザザザッ!!

黒髪格闘家「…」

筋肉魔法師「…」

魔術賢者「…」

闘術騎士「やはり早いな。さすがの体力だ」


魔道士「け、剣士っ!」


剣士「…お前らのやってる事、分かってるのか」

闘術騎士「わかってるけど?」

剣士「…確かに明確なルールはねぇ。だったらルールに則って本気でやってやるよ…」ギロッ

 
闘術騎士「おぉ、かっこいい事言うね!"本気でやってやるよ"だってよ!」

剣士「…」

闘術騎士「…」

剣士「…」


闘術騎士「…その手に持っている大剣。それで俺を切り裂くつもりか?」


剣士「…」

闘術騎士「…」


剣士「こう…、するんだよ!!」ブンッ!!

ガキィン!!ゴバァッ!!!

 
闘術騎士「!」

黒髪格闘家「なっ、地面の岩を!」

…ゴォォォッ!!

闘術騎士「ふんっ!」ガキン!

魔術賢者「…肉体鋼鉄化」ボソッ

バキィン!!ガキガキィン!!パラパラ…
 
 
闘術騎士「…子供だましを」イラッ

闘術騎士「そんな事で、俺らを倒せるとでもー…!」


ズザザザァ…!

剣士「…まぁ、魔道士を奪い返すには充分な時間だったわな」ギュウッ

魔道士「…剣士!」グスッ

 
闘術騎士「…いつの間に」ギリッ

剣士「俺の動きを目に追えないようじゃ、何百年かかっても勝てないんじゃねえか?」ハハハ!

闘術騎士「おい!!あいつらをぶっ殺せ!!」
 

…ダッ!!

黒髪格闘家「…掌底波ァ!!」グワッ!

筋肉魔法師「中火炎魔法っ!!」ゴッ!

魔術賢者「中風刃魔法っ」ボソッ

ゴオォォォッ!!! 
 

魔道士「きゃああっ!」ギュウッ!

剣士「安心しとけ」

魔道士「えっ…?」

 
…カッ!

「中水流魔法っ!」

「闘気連弾っ!」

ガキィン!!ボボォンッ!!ズズゥン…


剣士「…ナイス防御」

魔道士「…あっ!」


武道家「…はっはーっ!」

僧侶「剣士くんパーティ、ただいま参上!」


魔道士「みんな!」

 
剣士「大丈夫か魔道士。縄をほどいてやる」

ゴソゴソ…パサッ

魔道士「…ありがとう、剣士」

剣士「当たり前だ」

魔道士「…うん」


剣士「それより、こっちだ。一触即発だぜ?」チラッ

魔道士「あっ…」

 
剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」


闘術騎士「…」

黒髪格闘家「…」

筋肉魔法師「…」

魔術賢者「…」

 
剣士「…で、やるのか?こっちは構わないぜ」

闘術騎士「少々予定とは違うがー…、お前ら、行くぞ」チャキンッ

黒髪格闘家「…」スッ

筋肉魔法師「…」パァッ

魔術賢者「…」パァッ


剣士「…」チャキンッ

武道家「…」スッ

魔道士「…」パァァッ

僧侶「…」パァッ

 
ダッ…

ダダダダダダダダッッ!!!


ゴッ!!!

ドッ……ドゴォォォオオンッッ!!!!


グラグラグラ…!!

 
剣士「ぬぅぅっ!!」ググッ

闘術騎士「こ…このバカ力が…!!」ググッ


武道家「ほぉ、初撃で俺とかち合うとは」ググッ

黒髪格闘家「…」ググッ


魔道士「さっきのお礼、味あわせてやるんだから!」

筋肉魔法師「…いい火魔法だ。俺の肉体に火がつきそうだ」


僧侶「君も攻撃魔法が使えるんだ…!僕もやれるよ!」

魔術賢者「どっちかというと…そっち、得意…」

本日はここまでです、有難うございました。

皆さまありがとうございます。投下致します。

  
ググググッ…!!

剣士「だらぁっ!!」ブンッ!

ガキャアンッ!!クルクルクル…ザシュッ!

闘術騎士「ちっ!武器が!」

剣士「峰打ちにしといてやる!」ビュッ!!

闘術騎士「発っ!!」パァッ!!

ゴバァッ!!!


剣士「ぬあっ!闘気か!」ビリビリ

闘術騎士「そう簡単にやらせるかよ!掌底波ァッ!!」ビュンッ!!

剣士「武道家より遥かにおせぇ!」ヒュンッ

闘術騎士「くっ!」

 
…バキィ!バシッ!!バキィッ!!!

武道家「ッシ!!」ビュッ!

黒髪格闘家「うあっ!」バキッ!

武道家「どうした、そんなんで俺に勝つつもりか!」

黒髪格闘家「…まだだっ!」ダッ!


武道家「それでも突っ込んでくるか…、その意気や良し」

武道家「だけどな、隙だらけだぜ!」

クルッ…ガシッ!!

黒髪格闘家「なっ、離せ!」


武道家「一本背負いなげぇっ!!」ブンッ!!

…ドシャアッ!!…キラッ…

武道家「!」

 
黒髪格闘家「ぐっ…!」ズキンッ

武道家「…」

黒髪格闘家「ま、まだだ!」ガバッ

武道家「待て…」

黒髪格闘家「なんだ!」

武道家「…お前、まさか」ダッ
 
 
…グッ!

黒髪格闘家「は、背後を…!はやっ…!」

武道家「後ろに髪留めをしてるだろ、取らせてもらうぞ!」

 
黒髪格闘家「や、やめ!」

グイッ…!ファサッッ…


武道家「…やはり」

乙女格闘家「…くっ!!」


武道家「…投げた時に、異常に軽いと思ったんだ。それに髪留めをしてるのはおかしいだろう」

武道家「その身体つきは、サラシか何かを巻いているのか?美男子か何かと思ったら…まさか女だったとはな」


乙女格闘家「だ、黙れ!!よくもっ!!」ブンッ!

武道家「…おっと」ヒョイッ

乙女格闘家「お、女で格闘術を学んで何が悪い!!」

武道家「おいおい、悪いなんか一言も言ってないだろ」

乙女格闘家「そ…その目をやめろ!」

武道家「普段通りなんだけど、ケチつけないでくれるかな」

 
乙女格闘家「女だからといって、手を抜かれることが一番嫌いなんだ!!」

武道家「…これは真剣勝負だよな?殴っていいのか…?」

乙女格闘家「一々、そういう事を言って…女としてしか見てないじゃないか!!」

武道家「…失礼した。同じ格闘術を学ぶ者として、気にせず当たらせて貰う」


乙女格闘家「その言葉が!」ダッ!

武道家「掌底波ぁぁ!!」

…バキィッ!!!

乙女格闘家「がっ…!」

ズザザザァ…ゴロンッ

乙女格闘家「ご、ごほっ…!」ゴホゴホ

 
武道家「…っ」タァンッ

…ドスンッ!


乙女格闘家「…ま、マウントポジションを…」

武道家「俺は真剣勝負なら、男も女も見ねぇよ。傍から見たら、男として最悪だろうがな」

乙女格闘家「…っ!」

武道家「俺の勝ちだ。悪いが眠ってて貰うぞ…闘気っ!」ボワッ!

乙女格闘家「…ぶ、武道家…」

武道家「発っ!!」

…ドゴォンッ!!

 
ドドドォンッ…!!
 
キィィンッ…ズドォンッ!!パラパラ…

筋肉魔法師「ぬがあっ!」

魔道士「詠唱は私のほうが早いみたいね!」

筋肉魔法師「まだまだぁ!」クワッ!


魔道士「い、一体何発受けたら倒れるのよ!」

筋肉魔術師「日々の鍛練で得た物は魔法だけではなく、この肉体!そう簡単に倒れるものか!」

魔道士「どいつもこいつも脳筋めぇ~…!」

筋肉魔法師「脳筋?それは聞き捨てならないな…中火炎…っ!」ボワッ!!

魔道士「…いい加減、終わらせるわよ…。中雷撃…」パァッ!

 
筋肉魔法師「魔法ッ!!」
 
魔道士「魔法~っ!!」

ボッ…ボォォォ!!バチバチバチィッ!!

筋肉魔法師「ぬうぅぅっ!」

魔道士「あぁぁぁっ!」


ググッ…ゴゴゴッ…ゴッ!!


筋肉魔法師「…うおっ!打ち負けー…」

バチバチバチィィ!!!バリバリバリッ!!!

筋肉魔法師「ぬがあああっ!!!」

…ドシャアッ…ダランッ…


魔道士「…私の、勝ちっ!!」フンッ

  
パァァッ…ドゴォンッ!

僧侶「…魔石の洞窟とはいえ、君の魔法…凄いね!君も支援魔法メインなんでしょ!」

魔術賢者「あ…ありがとう…」

僧侶「だけど、僕も負けるわけにはいかないんだ!!」

魔術賢者「…僕、だって」


…パァァッ!

魔術賢者「次で…終わらせる…。中水流魔法っ…!」ジャバァッ!

僧侶「…小風刃魔法っ!」

ザバァンッ!!スパスパァッ!!


魔術賢者「ぼ、僕の水流の中を風の刃が…!」

僧侶「水に有利なのは雷だけじゃないんだ!水の中を、風の刃は貫き通す!」

 
魔術賢者「あっ…!!」

スパスパスパァッ…!!ゴトンッ…!


僧侶「…杖を折った!負けを認めてくれるよね…!」


魔術賢者「…魔力を高める杖を…」

魔術賢者「多分…僕と君の魔力は同等レベル…、これじゃ…勝てない…」ガクッ 


僧侶「やった!!」

 
トコトコトコ…ポンッ

僧侶「!」

武道家「ナイス、僧侶」

魔道士「…魔法戦で、攻撃魔法も長けた相手を倒すなんて…私もウカウカしてられないなぁ…」ヒャー

僧侶「へへーっ♪」


武道家「さて…あとは…」チラッ

魔道士「余裕でしょ!」

僧侶「うん!」

3人「…剣士!」
 
 
剣士「…はいはーい!!」ググッ!

闘術騎士「ぐ、ぐぅぅ!!」ググッ!

 
剣士「闘術騎士、お前らの負けだな!」

闘術騎士「まだ俺が立っている!」

剣士「確かにそうだな…!なら、完全勝利をさせてもらうぞ!」

闘術騎士「やらせるかよ!発っ!」

ブワッ!…ドゴォッ!!

剣士「ぬがっ!」


ズザザァ…

闘術騎士「このくらいの距離を置けば、俺の方が有利だ!お前は遠距離攻撃は使えないんだろう!」

剣士「あらら、お見通し?」


闘術騎士「…」ニヤリッ
 
闘術騎士「闘気…」ゴォッ

 
剣士「…」

剣士「いっ、せーの…」ヂャキッ


闘術騎士「連弾っ!!」ビュビュンッ!

剣士「せぇぇっ!!」ブンッ!!


ボボボボボォンッ!!ボォンッ!!

パラパラ… 

闘術騎士「なっ!う、うそだろ!?剣の振りだけで俺の闘気を全部壊…!」

剣士「てめぇの闘気なんざ、武道家の半分にも及ばねぇっつーの!!」ハハハ!

闘術騎士「…っ!」

剣士「さぁて、今度は闘気じゃなくて…撃った本人が俺の一撃を食らう番だなぁ」ユラッ

 
闘術騎士「く、来るな!」

剣士「…峰打ちにはしといてやるっつったろ」

闘術騎士「そんな大剣に、峰打ちも何もあるかぁ!!」

剣士「知らんなぁ…」ヂャキッ

闘術騎士「…!」


剣士「いっせーの…」グググッ
 

闘術騎士(な、何か…何かないか、何か何か何か!!)

闘術騎士(…!)ハッ

 
剣士「せえぃっ!!!」

ビュンッ…ゴォォォッ!!!


闘術騎士「これならどうだぁぁ!」

…ガシッ!!バッ!

乙女格闘家「う…。と、闘術騎士…」ダランッ


剣士「なっ!?」

武道家「…やべぇ!気の抜けてる今のあいつじゃ…!」ダッ!


闘術騎士「俺の身代わりになれ、乙女格闘家ぁぁ!ははは!!」

剣士「だ、ダメだ!!止められねぇ!!」

ゴォォォォッ!!

 
闘術騎士「はっはっはっは!!」

ズッ…ズバァァンッ!!!ドシャアッ!!


剣士(や…やっちまった…!!)


闘術騎士「はっは、ざまぁみろ!人殺しでもしちまったかぁ!?」

闘術騎士「…」

闘術騎士「んむっ…!?」ハッ


剣士「お…」


武道家「…危ないねぇ、剣士。ちゃんと相手を見てやらねえと」ググッ

剣士「武道家、お前…!」

武道家「間一髪で防いだぜ。お前は、人殺しはしてねえよ」

 
乙女格闘家「ぶ…武道家…」ゴホッ

武道家「おうよ、大丈夫か?」ニヤッ


闘術騎士「く、くそ…くそおぉっ!」

剣士「…お前にゃ剣を使うのも勿体なくっちまった。寝てろ」ブンッ!

闘術騎士「!」


バキッ!!……ドシャッ…

 
剣士「…うっし!終わり!!助かったぜ武道家…!」

魔道士「ひ、ひやひやしたぁぁ…」

僧侶「っていうか、黒髪格闘家くんって女の子だったんだね…」

武道家「僧侶、彼女にヒールかけてくれるか」

僧侶「うん」

タッタッタッ…


僧侶「…って!」

武道家「うん?」

僧侶「武道家くん、黒髪格闘家さんに何か羽織るものあげようよ!剣士くんの剣気で服が!」

 
武道家「だって、男として見てほしいと」

剣士「うむ、なら、致し方ないな。どれどれ、男友達として俺も介抱してやろう」スクッ

魔道士「…ていっ」

…ズブシュッ

剣士「うおおっ!?め、目がぁぁあ!」


僧侶「武道家くんの上着でいいから、着せてあげて!」カァァ

武道家「わかったよ」ヌギッ

…パサッ

 
乙女格闘家「…」

僧侶「それじゃ…ヒール!」パァッ

ポワポワッ…シュウシュウ…


乙女格闘家「あ…、温かい…」


武道家「おい、黒髪格闘家…きちんと耳は聞こえてるか」

乙女格闘家「…私は、乙女格闘家だ」

武道家「あ、あぁ。聞こえてるようで何より…。じゃあ乙女格闘家、傷は?痛むところはないか?」

乙女格闘家「…ない」

武道家「そうか、それならいい」

 
乙女格闘家「…なぜ、私を助けた?」

武道家「殺し合いじゃねーんだから」ハァ

乙女格闘家「…」

武道家「それに、剣士のバカヤローを人殺しにしたくなかったしな」

乙女格闘家「そうか…」

武道家「それと同じ格闘術を学ぶ者として…守ろうと思っただけさ」ポリポリ

乙女格闘家「…」


武道家「またやろうぜ。次も手加減はしねぇからよ」ニカッ

乙女格闘家「…」コクン

 
剣士「さて…思わぬところで時間食っちまったし…」

剣士「そろそろゴールへ向かって走るか?」


武道家「そうだな、他のパーティがゴールする前にさっさと一番で切り抜けねぇと」


剣士「ってなわけで…魔道士、ほれっ背中」クイッ

魔道士「まさか…」


武道家「…僧侶、ほれっ」クイッ

僧侶「まさかだね…」


…ギュッ

 
剣士「ダーッシュ!!だぁ~っはっはっはっは!!」ダッ!!

魔道士「きゃあああぁぁぁぁ…!」

ダダダダダダッ!!!ゴォォォッ…!


武道家「さて、俺らも行くか」ググッ


乙女格闘家「…武道家!」

武道家「お?」

乙女格闘家「…ありがとう」

武道家「気にするなって。それより、お前の最初の一撃…いい拳だったぜ」

乙女格闘家「…」プイッ

 
武道家「ありゃ…嫌われたかな」

武道家「ま…仕方ないか。じゃあな!!」

ダッ…ゴォォォォオオッ…!!

僧侶「うわあああぁぁっ~…!!」

ゴオォォォォ…



乙女格闘家「…」

魔術賢者「乙女…格闘家…」

乙女格闘家「ん?」

魔術賢者「…惚れたの?」

乙女格闘家「ち、ちが…!うるさい!」


…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数時間後 最深部地点 】


冒険先生「…」

冒険先生「…おっ」


ゴォォォオッ!!!ズザザザァ!!

ドシャッ、ゴロンゴロンゴロンッ!!ズドォンッ!!パラパラ…


冒険先生「…俺が先生に就いてから、最も壮絶なゴールだな」


モクモク…

魔道士「この…バカァ!!!」

剣士「いてて…」

 
魔道士「し、死んだかと思ったじゃない!!」

剣士「へへ…面目ねぇ…。大丈夫か?」

魔道士「はぁ~…。転ぶ時に庇ってくれたからどこも痛くはないけど…」

剣士「それなら良かった」

魔道士「全然よくないから!」


…ザッ

冒険先生「ゴール、おめでとう」


剣士「冒険先生!」

魔道士「私たち、一番ですか!?」

冒険先生「…誰よりも早く、歴代の中で最速だ。本当に成し遂げるとは、参ったな」

 
剣士「…っしゃあ!!」

魔道士「やったぁ~!」

冒険先生「…その前に、武道家たちはどうした?」

剣士「あ、それなら今…」


武道家「ひゃっはぁ~!!」

僧侶「あああぁぁっ!!」


…ゴォォォオッ!!ズザザザァ!!

ドシャアッ!!ゴロンゴロンッ…ズドォンッ!!パラパラ…


剣士「来たよ」

冒険先生「…全員無事でトップ通過、何より」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

剣士「…ほい、プレート」チャリッ

冒険先生「確かに。君らがトップ通過だ…そこの"扉"から戻るといい」

ギュウウンッ…


剣士「…戻ったら、あとはどうすればいんだ?」

冒険先生「明日は休日にする。戻った者たちから寮で休んでもらって結構だ」

剣士「わかった」

冒険先生「よく頑張ったな」

剣士「当たり前だ!」

 
魔道士「じゃあ、もどろっか。私、結構疲れてて…」

剣士「帰りも背負ってやろうか?」ククッ

魔道士「結構です」

剣士「じゃあ、戻るか~!」

タァンッ…ギュウウゥゥンッ!!!

……ウゥゥン…


冒険先生「やれやれ…」

 
ザッ…

ザッザッザッ……

聖魔先生「冒険先生、ご苦労様です」

冒険先生「聖魔先生…、見回りご苦労様です」

聖魔先生「彼らの事、ひやひやしましたよ。女性に対しても容赦なく…よくまぁ…」


冒険先生「戦いは戦いと割り切っているのかもしれませんね」

冒険先生「闘術騎士らの様子はどうでしたか?情報は聞いていますが」


聖魔先生「闘術騎士くんらのパーティは一行でクリアは出来なそうなので、リタイアでしょうね」

冒険先生「ということは、これでクリアが出来そうなのは4パーティか…、まぁ例年通りですか」

聖魔先生「やはり、真剣武器で殴り合うのに抵抗がある人らも多いようでしたし」

冒険先生「…これは毎年やってますが、どうしてもバトルロイヤル形式になってしまいますね」

 
聖魔先生「模擬武器を持たせてもいいですが、そうすると演習で戦う魔獣たちを倒せなくなってしまう」

冒険先生「2,3パーティに1人の先生はついているとはいえ、監視が行き届かない問題も多い」

聖魔先生「闘術騎士くんらとであったパーティはケガ人だらけですよ…、救護班が治療にあたってますが」

冒険先生「明確なルールがないからといって、そういうのはあまり…」

聖魔先生「パーティ同士の抗争はよくある事ですし、経験を高める為にやらせてますけどねぇ」ハァ


冒険先生「もっといい案等を考えるべきですね」

聖魔先生「特に今年のは活きがいいですものね」アハハ


冒険先生「どうしたものか…」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――――4人は寮へ着くと、疲労から深い眠りへと落ちていった。


そして、次の日。

休日ということで、剣士たちは町へと足を運んだ。


だが、まさかの形で思いもよらぬ人物と再会することとなる……。

本日はここまでです、ありがとうございました。

みなさま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 北西町 】


ガヤガヤ…


武道家「昨日まで洞窟にずっと居つづけたせいか、太陽がまぶしいぜ」カッ!

剣士「洞窟もいいが、やっぱり俺は外が好きだな」

武道家「誰だってそうだろ」


魔道士「でも、本当にトップ抜け出来てよかったよね」

剣士「だからトップ抜けは当たり前なんだって。最速タイムも出したって言ってたし、それなりに満足だ」

僧侶「二人の体力がありすぎるだけだと思うよ…」アハハ…

 
武道家「褒めんなって…ごほっ!」

剣士「ん?」

武道家「ごほごほっ!」

剣士「何だ、風邪か?」

武道家「ごほっ…!んむ…」ゲホゲホッ

剣士「身体弱くなってたんじゃねーの?」


武道家「久々の演習だったし、ちっと疲れたのかもしれん」

魔道士「私たちを背負って大爆走してるからでしょ…」

武道家「はっはっは」

 
僧侶「武道家くん、風邪薬でも飲む?」

武道家「寮に持ってきたのあるし、一応飲んどくよ」

僧侶「うん、それがいいと思う」

武道家「さて…今日の休日は何をする?」


剣士「この間は、町で散々な目にあったしな。くそっ…」

武道家「あの時の子供な」ハハハ

剣士「そうそう。童子戦士っつったか…?折角、俺が戦ってやるっつったのにどっか行きやがって…」


童子戦士「…僕のせい?」ボソッ


剣士「そうだよ。お前のせいで、俺の鬱憤が晴らせないでなぁ…」

剣士「…って!」

 
武道家「童子戦士!?」

童子戦士「…うん」

武道家「ど、どうしてここにいるんだ!?」

童子戦士「…え、えっと…」モジッ


魔道士「…あの時のお兄さんは?」

童子戦士「…一緒にいるよ」

魔道士「近くにはいないみたいだけど」キョロキョロ


剣士「そんな事より、俺と一戦交え…むぐっ!」ギュッ

魔道士「ちょっと黙ってて、迷子かもしれないでしょ」ズイッ

 
童子戦士「…ううん、一人でちょっと町で待ってろって…言われたから」

魔道士「一人で町って…、お兄さんはどこいったの?」

童子戦士「この町にある、冒険学校…」


剣士「…へ?」

魔道士「ぼ、冒険…」

武道家「学校だと…」

僧侶「…な、何で?」


童子戦士「え、えっとね…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒険学校 教員室 】


男「では、今後、よろしくお願いいたします」

冒険先生「貴方のような方が来てくれるとは思いませんでした。大変だとは思いますが、よろしくお願いします」


…ガラッ!!

剣士「…冒険先生!」

武道家「冒険先生!」

魔道士「失礼します」

僧侶「失礼します」


男「!」

剣士「あっ!いた!!」


冒険先生「な、なんだ?」

…コソッ

童子戦士「…」

男「ん…童子戦士。あれ?なんで君たちと…っていうか、冒険先生って…」


冒険先生「…この子らとお知り合いですか?」

男「え、いや知り合いっていうかですね…」

剣士「あんた、この学校に先生として赴任してきたんだって聞いたんだけど!」

男「い、いやそうだけど…」


冒険先生「こ、こら!何て口のきき方を!」


剣士「えっ?」

男「ん~?」

冒険先生「…む?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


冒険先生「…ごほんっ。改めて紹介するぞ、武装先生の代わりとして働いて頂く、大戦士先生だ」

剣士「…大戦士」


冒険先生「こら、先生をつけろ」

冒険先生「こちらの方は、武装先生と同じく中央軍にも務めた事がある方でな」

冒険先生「国を支えるトップの方に、"大戦士"の称号を授かった凄い方なんだぞ」


剣士「…やっぱり、強かったのか」

大戦士「うん?」

剣士「いや、前に会った時にヒシヒシと感じてたから」

大戦士「へぇ、嬉しい事言ってくれるね」

 
冒険先生「大戦士先生、こっちの子たちとお知り合いなんですか?」

大戦士「知り合いっていうかまぁ~…」

剣士「あぁ、冒険先生、実はこの人が、見せ物でこの子を…」

…グイッ!

剣士「むぐむぐ!」


大戦士「ち、ちょっとした顔なじみでしてね!積もる話もあるので、外に行ってまいります!」

冒険先生「あっ…」

ガラッ…バタンッ!


冒険先生「うーむ…、剣士たちの交友範囲は謎だな…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 北西町 カフェ 】


大戦士「はぁ…」

剣士「何すんだよ!」

大戦士「いきなり賭けバトルをしてたとか言われたら、立場なくなっちゃうからね」

剣士「あんた、本当に大戦士なのか…」


大戦士「あの時は童子戦士と世界中を冒険してた途中だったし、お金がなくなっててねぇ」アハハ


魔道士「…」

武道家「なんか大戦士って感じがしないぞ…」

僧侶「またずいぶんと、濃い先生が入って来たね…」

 
童子戦士「し、師匠をバカにするなぁ!」

剣士「お、おっと悪い悪い」


武道家「大戦士先生、今までずっとこの子と一緒に?」

大戦士「ん、あぁそうだよ。僕が軍にいた頃に引き取った孤児でね。戦い方を教えながら旅をね」

武道家「へぇ…道理で強いはずだ」

大戦士「あの時はまさか、君に童子戦士が負けるとは思わなかったよ」

武道家「俺の強さも中々のもんなんだぜ」グッ

大戦士「ははは、ぜひ手合せ願うよ」


剣士「大戦士サンは、オッサンの知り合いなのか?」

大戦士「オッサン?」

 
剣士「あ、あぁ…えーと…」

魔道士「武装先生でしょ」

剣士「そう!武装のオッサン!」


大戦士「ぶ…武装のオッサンて…、武装大佐のことかい?」

剣士「武装先生が、た…大佐ァ!?」


大戦士「ぷ、ぷはははっ!!武装大佐がオッサンって…!」


剣士「そ…そんなにおかしいか?」

大戦士「あの人をオッサンって呼べるのは君ぐらいだよ!」

剣士「そんな凄い人なのか?」

 
大戦士「あの人は、現役時代で残した功績は数知れず…生きる伝説だよ」ハハハ

大戦士「少将以上の、階級が上の人たちでさえ頭が上がらない存在なのに…、まさかオッサンてよばれるなんて…」

大戦士「面白すぎるっ!は~はっはっはっ!」バンバンッ!


剣士「…童子戦士、普段からこの人はこうなのか」

童子戦士「…うん」


大戦士「あ~笑った…。今度会ったら、剣士君の事伝えておくよ」ハハハ

剣士「…よろしく。大戦士さんは、オッサンと戦ったことはあるのか?」

大戦士「昔はあるよ」

剣士「…勝ったのか?」

大戦士「まさか!ボッコボコにされちゃってねぇ…」

 
剣士「さすがだ…オッサン」グッ

大戦士「…でも」

剣士「…」ピクッ


大戦士「それ以来、僕はあの人を目指すためにオールラウンダーになって、あらゆる武器を使えるようになった」

大戦士「もちろん…体術も、魔法も、全部ね」

大戦士「今やったら、僕のほうが強いよ。絶対ね」ニコッ


剣士「…へぇ」ジロッ

大戦士「…その目、誘ってるね」

剣士「俺も、オッサンにやられた口だからね」

大戦士「…君は剣術か。その時に改めてやろうじゃないか」

剣士「今でもいいぞ」

 
サァッ…ゴォォォッ…!!

剣士「…」

大戦士「…」


武道家「お、おい」

魔道士「また衛兵に見つかったらどうするの!」

僧侶「今度は本当に停学になっちゃうよ!」

童子戦士「…」オロオロ


大戦士「…若い頃の僕なら、やってたよ。でも、久々の働き口だから…今日はだーめ」ポンッ

剣士「っちぇ」


魔道士「…」ホッ

 
大戦士「さて、童子戦士…そろそろ行こうか」スクッ

童子戦士「…」コクン


剣士「どこへ行くんだ?」

大戦士「住む処探し。アパートかどっかあるだろうしね」

剣士「なるほど…。って、仕事が始まったら童子戦士はどうするんだ?ずっと一人で待機か?」

大戦士「あぁ…君たちと一緒の学年に特別編入だよ」

剣士「!」


大戦士「僕の弟子ともども…これからよろしくね」ニコッ


剣士「…上等!」

大戦士「うん、いい友達が出来そうでよかった」

 
童子戦士「武道家のお兄ちゃん…、また、戦ってね」

武道家「おうよ、いつでも来い」

童子戦士「…」ウズッ


大戦士「じゃあね~…、ばいばーい…」


トコトコトコ……

……

 
剣士「…凄いのが来たな」

武道家「いろんな意味でな…」

魔道士「波乱の予感しかしないのは、私だけ?」

僧侶「大丈夫、僕もだよ・・・」


剣士「はっはっは!楽しくなってきやがった!」


ウェイトレス「あの~…すいません…」


剣士「はっはっは…、はい。何か?」

 
ウェイトレス「…お支払のレシートになります」


剣士「うん、どうも…」ペラッ

剣士「…ん、何か高くねえか?」

剣士「…」

剣士「あいつ、先生のくせに支払しないで行きやがった!?」ハッ


武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

 
武道家「…た、楽しくなってきたな?」

剣士「…魔道士、大戦士が住むの決まったら、狙って住宅を燃やしていいよ」

魔道士「私が捕まっちゃうでしょうが!」

僧侶「不安がますます大きくなる・・・」


剣士「く…くそー…!覚えてろよおっ!!」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・冒険学校 教室 】
 
 
剣士「さて、今日からあの大戦士の兄ちゃんが先生になるはずだが…」

武道家「賭け屋の兄さんが先生になるとはね…」

魔道士「顔見知りな分、少しは気持ちは楽だけど」

僧侶「あんなトボけた感じだったけど、やっぱり強いんだろうなぁ」


…ガラッ!

冒険先生「ほら、みんな静かにしろー。ホームルーム始めるぞ」

大戦士「おはよう~」

童子戦士「…」ペコッ

 
剣士「あっ、大戦士さんと…童子戦士!」

大戦士「ういっす~」

童子戦士「…」フリフリ


冒険先生「剣士たちは知ってると思うが、今日から武装先生の代わりとして…」

冒険先生「こちらの大戦士先生を新しい先生として迎えることになった」

冒険先生「中央軍のエリートと呼ばれて、ここで働く直前まで現役の冒険者だった人だ」

冒険先生「実力もさることながら、多くの実績を残してる凄い人なんだ。全員、挨拶!」


全員「よろしくお願いします!」

大戦士「ういっす、よろしくー」


生徒たち「…冒険先生、そちらの子供は?」


童子戦士「…」チョコン

 
冒険先生「あぁ、こっちの子は童子戦士。大戦士先生のお弟子さんだ」

冒険先生「特別に、この学校へ編入することになったから、みんな仲良くしろよー」


童子戦士「よ、よろしくお願いします」ペコッ


生徒たち「おぉ、よろしく!」

生徒たち「よろしくねー!」

生徒たち「でも、俺らより冒険者としての格は上なんだろ…?悲しくなるな…」


冒険先生「今日の1時限目から、大戦士先生の授業が始まる」

冒険先生「最初の授業は実践を予定しているから、詳しくは大戦士先生の授業で聞いてくれ」

 
剣士「おっ!?」

武道家「来たな」ニヤッ

魔道士「実践かぁ…」

僧侶「い、いきなりかぁ…」


冒険先生「んじゃ、ちょっと俺らは他の2年生の教室とか回って大戦士先生の紹介してくるから」

冒険先生「校庭に模擬武器を引っ張り出して準備しといてくれ」


全員「はいっ!」


………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 校 庭 】


ザッザッザッ…

大戦士「ういーっす。準備は終わってるな」

全員「おはようございます!」


剣士「ういーっす」

武道家「ういーっす」

 
大戦士「さて、改めて挨拶から。今日から武器術および実践担当になった大戦士だ、よろしくな」

大戦士「今日の授業は、いきなりだが模擬実践を行おうと思う」

大戦士「簡単な組手だが、なんだっけ…そうそう。基本的に今日の実践はパーティ内でやってもらうぞ」


剣士「!」

武道家「!」

魔道士「!」

僧侶「!」


大戦士「ルールは通常通り、参ったというまで」

大戦士「念のため、武器は模擬武器で。パーティ内で1対1を決めてやってくれ」

大戦士「俺が見回るから、動きが良いと思った生徒には残りの時間を使って俺と戦ってもらう」

大戦士「では、各自開始!」パンッ!

 
剣士「パーティ内とは予想外だぜ…。やっぱ武道家と俺だろうな?」

武道家「構わんぜ」


僧侶「…」

僧侶「ま、待って剣士くん、武道家くん!」


剣士「ん?」

僧侶「僕…、武道家くんと戦ってみたい」

武道家「おっ?」


魔道士「ちょ、ちょっと僧侶…。相性があるでしょ!」


僧侶「わかってるけど、…僕だって体術を学んできた」

僧侶「どこまで武道家くんに通用するかやってみたいんだ!」


武道家「…いいぜ、やろうか」クイッ

 
魔道士「じゃ…じゃあ私は…」

剣士「よろしく」ニヤー

魔道士「勝てる気がしない…!」

剣士「かっかっか、分からんぞ」

魔道士「分かるから!」

剣士「じゃあ、戦う前に参ったするか?」

魔道士「…そ、それは戦うけど…」

剣士「だろ?本気で来いよ」

魔道士「…うん」


武道家「じゃ、先に俺と僧侶からやるか」スッ

僧侶「…よろしく!」スッ

 
剣士「おう、どっちも頑張れ!」

魔道士「頑張って!」


…トーン、トーン

武道家「んじゃ、いいか?」

僧侶「いつでも!」

武道家「…んじゃ、剣士、開始の合図よろしく」


剣士「わかった。…開始っ!」バッ


武道家「っしゃあ!」ビュンッ!

僧侶「わっ!いきなり!?」ヒュンッ!


武道家「一発避けても…二連撃!」ブンッ!

僧侶「み、見えてるよ!」ヒュンッ!

 
武道家「三連!四連!!」ビュビュンッ!

僧侶「わっ、たっ!」ヒュヒュンッ!

武道家(ほぉ、良い足さばきだ)


僧侶「はぁ…はぁ…」

武道家「いい動きだな。入学当初なら、初撃で沈んでたんじゃないか」クイッ

僧侶「へへ…、でも武道家クン、本気じゃないよね」

武道家「バレた?」

僧侶「バレバレ。でも、僕は最初から手を抜かないよ…」パァッ!

武道家「おっ」

 
僧侶「…小雷撃魔法っ!!」パァッ!!

武道家「!!」

バチッ…バリバリバリバリィッ!!!

武道家「あがががががっ!」


魔道士「う、うっそ!?」

剣士「僧侶が雷撃魔法だと!」


僧侶「へへっ!魔道士さんのを見てから、僕もやってみたんだ!小さいけどね」

武道家「あだ…だだだ…」ビリビリ

フラフラ…

武道家「いっつぅ~…」

 
僧侶「…た、倒れないよねやっぱり」

武道家「充分痺れたぞ…」

僧侶「もう1度!」パァッ!

武道家「闘気!」ボッ!


僧侶「やばっ!小雷撃…」

武道家「闘気…発っ!!」ブンッ!

…ボォンッ!!


僧侶「うわっ!」ヨロッ

武道家「ほら、よろけると距離を詰められるぞ」ダッ

…グンッ!!

 
僧侶「早っ…!」


武道家「掌底波ぁぁっ!!」ブンッ!!

僧侶「あっ…!!うわああっ!」

武道家「…」

…ピタッ


僧侶「…っ!」

武道家「俺の、勝ちだな」

僧侶「う…」ガクッ

武道家「本当は打ち込むべきなんだろうが、格闘術に模擬武器も何もねーしな」ハハハ


僧侶「…はぁ、少しはやれると思ったんだけどな」

僧侶「僕の・・・、負けだね」

 
武道家「充分だ。最初の動きもそれなりだったし、魔法も驚いたぞ」

僧侶「もっと精進しないとなぁ…」

武道家「おう、お互い頑張ろうぜ」

僧侶「うん」

武道家「さて…」チラッ


魔道士「うっ」ビクッ

剣士「…俺らの出番だな」ニヤッ

魔道士「…や、やってやるわよ!」

剣士「おう、かかってこい!」

 
魔道士「…」スッ

剣士「…」ヂャキンッ


魔道士(そ、そういえばこうして剣士と立ち会うのって初めてかも)

剣士(こうして魔道士と立ち会うのって初めてだな)


魔道士「…」

剣士「…」


武道家「試合…開始っ!」バッ


魔道士「…小水流魔法っ!」パァッ!

剣士「おっと」ヒョイッ

…ビチャビチャッ!

 
剣士「どこ狙ってんだ!当たってないぞ!」

魔道士「これでいいの。小火炎魔法っ!」パァッ

…ボォンッ!

剣士「そんな火力にならないような魔法ばっかり、何にもならないぜ!?」

魔道士「どうかしらね…」

剣士「チマチマとやってるなら、こっちから行くぞ!」ググッ

魔道士「…!」


剣士「おりゃあっ!」ブンッ!!

ゴッ…ゴォォォオオッ!!!

 
魔道士「!」

 
ズバァンッ!!ズザザザァ…!

魔道士「きゃああっ!」

剣士「あっ、やべ!大丈夫か!」

魔道士「…くっ!来ないで、剣士!」バッ

剣士「!」


魔道士「痛い…けど、これは勝負なんだから!」

剣士「…わかった」


魔道士「…小風刃魔法っ!」パァッ!

スパスパスパッ…!

剣士「余裕で避けれるっつーの!」ヒュッ!

 
魔道士「…」

剣士「いつまでそんなチマチマやってんだ!勝つ気があるのか!?」

魔道士「…成功した」

剣士「あん?」

魔道士「中…雷撃魔法っ!!」パァッ!!

剣士「!」

バチッ…バチバチバチィッ!!!
 

剣士「お前の魔法なら、見切ってるぞ!余裕だぜ!」ヒョイッ

魔道士「足元注意、剣士」ニコッ

剣士「ん?…げっ!」

…ジャバァッ!

 
僧侶「あっ、さっき外した水魔法!」

武道家「誘導してたのか…やるな」


バチッ…ビリビリビリビリィッ!!!

剣士「ぬががががっ!!」

魔道士「威力倍増!雷撃の時間は持続が長くなってるんだから!まだまだぁぁ!中雷撃魔法っ!」パァッ!

剣士「ぐ…がっ!!」バチバチッ!

魔道士「実力が劣ってても、技術と頭を使えば!」

剣士「ぎぎ…っ!」ビリビリッ!


僧侶「…い、威力上がった持続した雷撃に耐えてるよ剣士くん…」

武道家「バカだからな」

 
剣士「ぐ…この…!」バチバチッ

魔道士「な、何で倒れないの!」

剣士「電撃が何のそのだ…こなくそ~…っ!!」チャキンッ

魔道士「ちょっ!」


剣士「いっ、せー…のぉぉ…!」ググッ

魔道士「!」


剣士「せええぇいっ!!!」ブンッ!!

 
ガッ…ガオオォォオッ!!!!

ビリビリビリッ…!!バチバチィッ!!


僧侶「あっ!大剣に纏わりついてた雷撃ごと放った!?」
 
武道家「剣士の振りで、受けてた雷撃魔法ごと吹き飛ばしたのか…なんつうことを…」


魔道士「…き、きゃあああっ!!」


ズ…ズドオオオオォォォオオオオオンッ!!!

…バチバチッ!!ドガァァンッ!!…ズザザァ…!!モクモクッ…


生徒たち「な、なんだぁ!?」

生徒たち「剣士のバカがやりやがった!直線状にいたやつ、全部吹き飛んじまったぞ!!」

キャーキャー!!ウワァァァ!!


僧侶「向こう側にいた生徒まで吹き飛ばしちゃったんだけど…いいのかな…」

武道家「まぁ…仕方ない…。つーか土煙で何も見えん」

 
剣士「ふぅ…」

タッタッタッ…

魔道士「…い、いた…い…!動けないよ…」グスッ

剣士「大丈夫か、ほら…手ぇ貸せ、俺の勝ちだな」スッ

魔道士「うん…ありがとう。今の技、凄かった…」

剣士「直前に少しずらしてよかった。直撃してたら…やばかったかもしれねえな」

魔道士「やっぱり私じゃ、剣士に勝てないね」

剣士「何を。充分に強かったぞ」
 

魔道士「うん…」


剣士「…」

剣士「…!?」ビクッ

 
魔道士「…どうしたの?」

剣士「…」チョイチョイ


魔道士「…?」チラッ

魔道士「…」

魔道士「…ッ!!??」カァァァッ


剣士「け、剣気と電撃で服が吹き飛んだのか…」

魔道士「ちょ、ちょっちょちょっとぉぉぉおお!!」バッ!!

剣士「まだ土煙あるから周りにゃバレてないが…」キョロキョロ

 
魔道士「ど、どうすればいいのぉぉ!!」


剣士「…」

剣士「任せろ!」バッ!


魔道士「えっ!?」

剣士「こうする!」グイッ!

魔道士「ちょっ!」

 
モクモク…

サッ…サァァッ…


武道家「お、土煙がはれてく」

僧侶「吹き飛ばされた友達が、転がってるよ…」

武道家「大参事じゃねえか」

僧侶「っていうか、剣士くんは?」

武道家「今出てくるだろ。…っていうかほら、出てきたぞ」


モクモク…ザッ…


僧侶「あ、本当だ…って!?」

武道家「!?」

 
サァァッ…


剣士「…思わず、大振り過ぎて服が全部脱げちまったぜ」スタッ


武道家「お、おい!素っ裸じゃねえか!!」

僧侶「な、何してんの!!」

剣士「いやぁ、俺の振りが早すぎて、服がどっかに飛んでったわ」

武道家「なるほど…それなら仕方ないか…」

僧侶「納得するの!?」


魔道士「…」キョロキョロ

コソコソ…タッタッタッ…

魔道士(け、剣士…ありがと…)

魔道士(剣士の服着てるのばれたら、何かなりそうだから急いで着替えないと)

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大戦士「…何やら、ハプニングがあったようだが…」

大戦士「とりあえず全員が終わったな…。お疲れさん…」


魔道士「…」

武道家「あれ?魔道士の服変わってないか?」

魔道士「あ、あはは…ちょっとね」

僧侶(そういうことね…)
 
 
剣士「ハプニングとは何なんだ…?」ゴクリ

僧侶「ハプニング起こしたのは剣士くんだし、剣士くんまだ裸だし。どこから突っ込んでいいの」

 
魔道士「は、はい、剣士の服!早く着てよ!」バッ

剣士「おう、ありがと」


大戦士「さて…見たところ、一部の大事故以外は全員、それなりの動きが出来ていた」

大戦士「俺としては、誰とでも戦っていいのだが…俺と模擬実践をしたい人はいるか?」


…ザワザワ

生徒たち「ちょっとやってみたいけど、全員の前じゃなあ」

生徒たち「大戦士先生とか、勝てない勝負で恥かくだけじゃね?」

生徒たち「と、するとやっぱり…」チラッ


剣士「…ん?」

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

剣士「うっし!」コキコキッ

大戦士「じゃあ、俺も大剣でいこうか。武装先生が特注したんだっけこれ」チャキンッ

剣士「そういやアンタもオールラウンダーだったな、大戦士さん」

大戦士「武装先生を彷彿とさせる動きでもしてあげようか」ハハハ

剣士「…俺に余裕ぶっこくと、負けるんじゃないの?」

大戦士「いうね、そのくらいのほうが俺は好きだ」

剣士「ホモ?」

大戦士「い、いや…」

 
僧侶「頑張ってー!」

魔道士「剣士、ファイトー!」

 
ザワザワ…ガヤガヤ…

生徒たち「大戦士先生って最近まで現役で、凄い人だったんだろ?さすがになぁ…」

生徒たち「でも、あの剣士だぞ?」

生徒たち「そうだなー、でもさー…」


僧侶「…珍しく、剣士くんが負ける意見が多いみたいだね」 
 
魔道士「武装先生は完全に引退組だったけど、大戦士先生はほとんど現役だからなぁ…」

武道家「でも、アイツなら何かやってくれそうな気がするんだよな」

魔道士「うん、私もそう思う」

僧侶「とにかく応援しようよ!」

 
…チャキンッ

剣士「さぁて、やりますか」

大戦士「いつでもおいで」

サァァァッ…


剣士「…っしゃあ!」ダッ!

大戦士「…」チャキッ


ダダダダッ…ブンッ!!

…ガキィンッ!!


剣士「…っ」ググッ

大戦士「…」グググッ…

 
剣士「ッシ!」ゲシッ!

大戦士「おわっ!」

ドシャッ!


武道家「足蹴り!上をとった!」

僧侶「武装先生の動きだ!」


剣士「武装先生直伝だぜ!」ブンッ!

大戦士「甘いよ」

クルッ!スタッ!…ガキィン!!

剣士「っち、起き上がりも防御の動作も早いな!」

 
大戦士「剣士くん、今度はこっちからいくよ」ブンッ!!

剣士「あぶっ!」

ガキィンッ…!!

剣士「…っ!」ビリビリ

大戦士「ほらほら、どうしたんだい?」

ガキィンッ!!キィンッ!ガガガキィンッ!

剣士「ぬぐっ…!くそっ!」


魔道士「どうしたんだろう、剣士がおされてる…?」

武道家「あいつの得意なのは一撃必殺だからな。距離を詰めすぎて素早い攻撃だと、得意な動きが出来ないんだ」

僧侶「大戦士先生も、剣士くんも、大剣を片手剣みたく扱ってるのが凄いと思うよ…」

 
大戦士「こういうのは苦手かな?一旦、距離を置かせてあげよう」

ガキィンッ!!ズザザザァ…


剣士「く、くそっ…!遊ばれてるな…!」

大戦士「さて…、剣士くん」ビシッ

剣士「ん?」

大戦士「この距離は、君の得意な一撃の放てる距離だね?」

剣士「…そうだが」


大戦士「やってみるかい」クイッ

 
ガヤガヤッ…!!

生徒たち「ち、挑発してるぜ」

生徒たち「ちょっとそっちずれろ!また吹き飛ばされる!」

生徒たち「いくら大戦士先生でも、剣士のあの一撃は…」


武道家「本当に遊ばれてるな、剣士のやつ」

僧侶「凄いなぁ…」

魔道士「ま、まだ分かんないよ!」

 
剣士「…リクエストには、お答えしないとな」

大戦士「そうだね」ニコッ


剣士「後悔するなよ…」ヂャキッ

大戦士「おいで」

剣士「いっ…、せぇぇの…」グググッ


大戦士「…」ニヤッ

大戦士「…」グググッ


武道家「!」

僧侶「剣士くんと一緒の構え!」

魔道士「まさか!」

 
剣士「…せぇぇいっ!!!」ブォンッ!!

大戦士「いよっと!!」ブォンッ!!


ゴッ…ゴオオオォォォオッ!!!バゴォオオンッ!!!

ガキィイィイイイィンッ!!!


剣士「がっ!!」

大戦士「うひょー!!」


ガキャアンッ!!クルクルクルッ…!!


僧侶「あっ、大剣が吹き飛ばされてる!?」

武道家「どっちのだ!?」

魔道士「…!」

 
クルクルクル…ヒュウウウッ!

…ザシュッ!!


剣士「な…」

大戦士「…俺の勝ち、かな?」トントン

剣士「…っ!」


魔道士「け、剣士の大剣が…」

僧侶「剣士くんが得意な一撃の打ち合いで…負けた…?」

武道家「マジかよ…」


剣士「…」

大戦士「大剣が吹き飛ばされただけ、だよ。体術でも何でも挑んできてもいいよ」ニヤッ

剣士「い、いや…。ま…負けだ…」

大戦士「参った、だろ?」

剣士「…!」

 
魔道士「剣士…」

武道家「信じらんねぇ…」

僧侶「剣士くん…」


剣士「ま…」

剣士「参った……」ガクッ


大戦士「はい、俺の勝ちね」ニコッ


ザ…ザワザワッ!!

生徒たち「うぉぉお!大戦士先生つえええっ!!」

生徒たち「あの剣士に一撃勝負で勝つとか!!」

生徒たち「アッサリしすぎだろ!学校壊れるくらい暴れると思ったんだがなぁ…」

 
…キーンコーンカーンコーン

大戦士「おっと、これで授業は終了~」

大戦士「各自、模擬武器はしまっておいて。ケガした人は休憩室に行くように」

大戦士「それじゃ解散~。次の授業に遅れないようにね~」


全員「はいっ!」

ザッザッザッザッ…

………
……

 
剣士「…ッ」

タッタッタッタッ…

武道家「…剣士」

僧侶「剣士くん…」

魔道士「剣士…」


剣士「くっ、くっそぉぉ!!」ドンッ!


…ザッ

大戦士「…剣士くん」


剣士「なんだよ!!」

 
大戦士「君は、全部我流でやってきたね?技という技も持たず、それだけで勝負してきたんだろう」

剣士「…そうだよ。俺は大振りで一撃をするしかできないんだよ!」


大戦士「確かに、大剣に技らしい技はないね。君のあの…掛け声で放つ一撃」

大戦士「あれは片手剣や軽剣の上級技の"大斬"に匹敵するものだ」


剣士「…慰めかよ」

大戦士「とんでもない、褒めてるんだよ」ニコッ

剣士「うるせー!!」

大戦士「…君が負けた理由を教えようか」

剣士「…」

大戦士「技術の差さ」

剣士「あぁ…?」

 
大戦士「ハッキリ言うよ。君の一撃は火力としては申し分ないし、刀身部分なら巨大な岩さえ砕くだろう」

大戦士「だが…軽いんだ」


剣士「…火力も申し分ないのに、軽いってどういうことだよ!」

大戦士「軽剣で君と打ち合っても、俺は負ける気はしない」

剣士「なっ!」

大戦士「力が全てじゃないっていうことさ。戦いには、必ず"技"が、"技術"がある」

剣士「…」

大戦士「…」


剣士「何が…言いたいんだよ…」

大戦士「放課後、俺のところに来るといい。強くなりたいならね」

剣士「…」

 
大戦士「俺が、君に"技術"を教えよう」

大戦士「それで剣士くんは、もっと強くなれるはずだ」


剣士「…」

大戦士「悪い話じゃないと思うんだけどなぁ」ポリポリ

剣士「…あんたに何か得があるのか?」


大戦士「お、おいおい」

大戦士「得も何も、君は俺の生徒。俺は先生。そういうことだろ?」


剣士「…」

大戦士「まぁ…、どうしても得してくれるなら、カフェでコーヒーの一杯も飲みたいんだけどね」アハハ

 
剣士「…本当に強くなれるのか」

大戦士「保障する」

剣士「…わかったよ」ボソッ

大戦士「おっ」

剣士「やってやるよ…、いや」

大戦士「いや?」

剣士「…教えてくれ。頼む」


大戦士「…うん、それでいいね」

 
武道家「おぉ…剣士が人に真剣に教えを請うとは…」

魔道士「明日は大雪ね」

僧侶「二人とも…」

剣士「…」


大戦士「2年生になるまでに、君がもっと強くなれるようにしてあげるよ」

大戦士「君たち3人も、体術を含めて戦いの事を知りたいなら俺のところまでおいで」

大戦士「…みっちり、教えてあげるさ」ニタァ


武道家「お、おう…」

僧侶「ひぃ…」

魔道士「…なんていう笑顔なんですか、先生…」

 
剣士「くそ、くそーーーっ!!」

剣士「大戦士さん、また、俺と勝負してくれよ!!次は絶対に勝つからな!!」


大戦士「もちろん」ニコッ


剣士「さぁ、今からやってやろうじゃないか!」チャキッ

魔道士「いや、次の授業始まるから。それに、すぐに勝てないでしょ」

武道家「じゃあ俺も教えを請うから武器をもってくるか…」

僧侶「次の授業が始まっちゃうってば!」

 
剣士「今は強くなるほうが大事だろー!」

魔道士「いやいや…」

武道家「そうだな!俺も、今からやるか!」

僧侶「二人とも…」


大戦士「ははは…!」

大戦士(…)

大戦士(芯が入っていない振りで、あの一撃。楽しみ過ぎる原石だね)


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 次の日 教室 】

ガヤガヤ…


剣士「…」

魔道士「剣士、元気ないね」

剣士「いや…まぁ」

魔道士「やっぱり、昨日やられたのが響いてるの?」

剣士「ハッキリ言うかい」

魔道士「大丈夫だよ、きっと強くなるって!」

剣士「そりゃなりたいけどよ。あんな差があるなんてなぁ…」ハァ


魔道士(こんな剣士初めて見た…。どうすれば元気になるんだろう…)

 
剣士「…」

魔道士「剣士、そういえば…どうして素直に教えを受けたの?」

剣士「あん?」

魔道士「武装先生のときもだったけど、馬鹿に素直なときがあるっていうか…」

剣士「そりゃ負けたら、潔く勝てる手段を見つけるさ」

魔道士「…!」


剣士「それにあの人は本当に強い。変な意地をはっても、得はないだろうしな」

剣士「元気がないっつーか、どうすればもっと強くなれるか悩んでただけだ」ンム…


魔道士(私が心配することもなかったね。きっと剣士はもっともっと強くなれるよ…)

 
トコトコ…

乙女格闘家「…な、なぁ…ちょっといいか…」

魔道士「あ、乙女格闘家…さん」


剣士「…あぁ?」ギロッ

乙女格闘家「そ、そんな目で見るなよ」

剣士「何か用ですかい」

乙女格闘家「よ、用ってほどじゃないんだが、武道家はいないのか…?」

剣士「僧侶もだけど、一人で朝練。そろそろ登校するんじゃないか」

乙女格闘家「そ、そうか」


…ガラッ!

武道家「ういーす」

僧侶「おっはよ~」

 
剣士「ういーす。武道家、客」

武道家「客?」


乙女格闘家「う…うん。お、おはよ…」


武道家「お、あ…、えーと…。乙女格闘家!」

乙女格闘家「う、うん」

武道家「何か用か?」

乙女格闘家「そ、その…、ちょっといいか」

武道家「だから何だ?」

乙女格闘家「ちょ、ちょっと廊下にでも」

武道家「朝のホームルーム始まっちまうぜ?」

 
乙女格闘家「すぐ終わるから、すぐ」

武道家「…仕方ないな。何だよ」

トコトコ…ガラッ、バタンッ!


剣士「わかった。もう1度タイマンでも挑む気だな?」

魔道士「ち、違うんじゃないかなぁ」

剣士「お前もさ、さらった奴なのに、よく隣で平気な顔して座ってられるな」

魔道士「う…」

剣士「戦略かどうかしらねーが、嫌な事したのは事実なんだぜ」

魔道士「戦いの中なら、ああいうこともあるのかなって…少し時間を置いたら考えが変わったみたい」

剣士「そりゃないだろ。闘術騎士を許すのか?」

 
魔道士「そ、それはないから!アイツは心底…嫌い」

剣士「だよな」

魔道士「パーティリーダーに従うのが普通なら、あの人もそんな状況だったのかなって」

剣士「まぁ、学生同士だしな。仲良くしてたほうがいいのは確かだわ」

魔道士「それに珍しい女同士だし…、少しは仲良くしたいっていうか…」

剣士「…なるほど。確かにそれは分かるな…」

魔道士「うん…」


ガラッ…!

乙女格闘家「…い、いいんだな?本当に?」

武道家「だから"どっちも大丈夫"だって。俺は構わないっての」

 
乙女格闘家「…わ、わかった」

武道家「だから、ホレ」ポンッ

乙女格闘家「ひゃうっ!」

武道家「…」

乙女格闘家「う、う~…」


トコトコトコ…

乙女格闘家「…ま、魔道士…ちゃん」

魔道士「なぁに?」

剣士「魔道士ちゃんて」

 
乙女格闘家「あの時は卑怯なマネして、ごめん」ペコッ

魔道士「え?」


乙女格闘家「今日は闘術騎士がいないから言うけど…」

乙女格闘家「あの雰囲気の中にのまれて、闘術騎士の作戦が素晴らしいように聞こえて、ついつい卑怯な事を…」
 
 
魔道士「…気にしないで。戦いだったから、仕方ないよ」

乙女格闘家「…」

魔道士「私は気にしないから、あなたも気にしないで。ね?」

乙女格闘家「い、いいのか?」

魔道士「それより、同じ女子同士…友達になってくれたら嬉しいな」

乙女格闘家「魔道士ちゃん…」


剣士「魔道士ちゃん…」プルプル

僧侶「剣士くん、笑っちゃだめだよ…」

 
魔道士「火炎魔法」ボワッ

剣士「ほぎゃー!!」

僧侶「僕までーっ!!」

…ドサドサッッ


魔道士「…それで、仲良くしてくれたら私は全然気にしないから」

乙女格闘家「ありがとう…」

魔道士「ううん」


キーンコーンカーンコーン…


乙女格闘家「あっ。じゃ、じゃあ…また…」

魔道士「うん」

タッタッタッタッ…

 
武道家「…許してやるのか、寛大だな」

魔道士「同じこと剣士にも言われたけど…、やっぱりおかしいかな?」

武道家「俺には分からん。つーかあいつさ、お前に謝りたいって相談してきたんだよ」

魔道士「え?」

武道家「正直許さなかったらどうしようかと思ったけど、魔道士なら大丈夫だと思ってさ」

魔道士「…」


武道家「闘術騎士に色々された時、同じ女子として目をそむけたのが情けなくて悩んでたらしい」

武道家「本当は言わないほうがいいんだろうけど、そういう事だから…」


魔道士「…そっか、うん。あとで色々お話してみるよ」

魔道士「で、それとは別に武道家に聞きたいことあるんだけど~…」


武道家「何だ?」

 
魔道士「私の聞き間違いじゃなければ、"どっちも大丈夫"ってさっき言ったでしょ?」

武道家「…」ギクッ

魔道士「1つは私が許すことだとして、もう1つは何かなー?」


武道家「な、何でもねえよ!」

武道家(…)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

乙女格闘家「明日から朝稽古とか一緒にしたいとか…だめかな」

武道家「組手か?いいぜ、相手がいたほうがやりやすいしな」

乙女格闘家「あ、ありがとう」ニコッ

武道家「おうよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

武道家(別にどうも思わないが、何となく恥ずかしいし、まだ言いたくないな…)

 
…ムクッ

剣士「武道家、詳しく聞かせろ」

僧侶「武道家くん、ちょっと聞きたいかも」


武道家「な、何だお前ら!黒焦げになったまま寝てろ!」


剣士「なぁにかなぁ~?」

魔道士「教えてよ、パーティでしょ」

僧侶「そうだよ武道家くん、隠し事は!」


武道家「そ、そういうんじゃないから!違うから!」


剣士「教えろコラァ!」

武道家「う、うっせぇぞコラァ!!」

剣士「あぁ!?」グイッ

武道家「あぁっ!?」グイッ

 
ザワザワッ…!!

生徒たち「ま、また始まったぞ!」

生徒たち「剣士、落ち着け!」

生徒たち「ははは、いいぞやっちまえ!」


魔道士「はぁ…全く…」

僧侶「いつもの光景だね…」


…ガラッ!
 
冒険先生「よーし、ホームルーム始め…る…ぞ」

 
武道家「おりゃああっ!」ブンッ

剣士「ぬうぅぅ!」ガキィンッ!!


生徒たち「いいぞぉー!」

生徒たち「いけー!」


冒険先生「こ、コラァァ!!」


剣士「あ、やべ!」

武道家「何でもないです!」

冒険先生「どう見ても教室で暴れてただろうが、廊下で正座だ!!」

 
剣士「か、勘弁っ!」

武道家「ぐっ…!」

魔道士「だから言わんこっちゃないのに…」ハァ

僧侶「こ、これからどうなるのかなぁ~」


魔道士「無事に2年生になれるのか不安になってきた…」

剣士「だぁっはっは!余裕さ!」


冒険先生「何が余裕だ!とにかく、正座してこおぉ~いっ!!」


剣士「ひぇぇ…!」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
―――それから。

魔道士の心配は問題なく、剣士、武道家、魔道士、僧侶の4人は勿論のこと、

"新たな先生"と"生徒の童子戦士"を迎えた冒険学校の1年生の生徒たちは、

日々鍛錬のもとに、冒険者としての実力を確実に磨いていった。


そして彼らは、2年生となる――・・・!

本日の投下はここまでです。
ご報告を忘れておりましたが、本日で一区切りとなります。
次回更新は3~7日以内を目処に再開予定です。どうぞよろしくお願致します。

それでは、有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 

・・
・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

 
One year later(1年後).......
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒 険 学 校 】


冒険先生「…おめでとう、諸君」


全員「…」


冒険先生「今日で、君たちは2年生となる」

冒険先生「後輩を迎え、新たな気持ちでスタートを切るように!」


全員「はいっ!」


冒険先生「良い返事だ。今日の授業は挨拶だけで終わりだが、明日から新たなステージの授業が始まる」

冒険先生「今年も俺が担当となっている分、ビシビシいくからな!解散!」


全員「はいっ!」

 
冒険先生「では、今後の事で質問がある場合は教員室に来るように」

ガラッ…バタンッ!


剣士「ふい~…!」

魔道士「…今日から2年生かぁ」

剣士「なんだ、実感ないのか?」

魔道士「それもだけど、あっという間だったなって」

剣士「まぁ…そうだな」

魔道士「いろんな出会いがあって、少しでも成長出来てたらいいな」

剣士「1年前と比べたら、ずいぶんと大人になったんじゃねえか?」

魔道士「えっ…、そ、そうかな?」テレッ

 
剣士「うむ…。成長している…」ジー

魔道士「…」

剣士「…」

魔道士「…ていっ」

…ズブシュッ!

剣士「ほげーっ!!め、目がぁぁっ!」

ガタァンッ!!…ゴロンゴロンッ!!
 

トコトコ…

武道家「やれやれ…、成長してねぇなお前は」ハァ

剣士「なんだと…」スクッ

 
武道家「お?やるか?」

剣士「おぉ…?」

…ズイッ


僧侶「二人とも…二年生になったんだから落ち着こうよ」


武道家「むっ…」

剣士「僧侶…、いっぱし言うようになったな…」


僧侶「へっへーん!」

 
トコトコ…ドンッ!

剣士「いてっ!」

闘術騎士「ちっ…」

クルッ…トコトコ…。ガラッ、バタンッ!


剣士「何だよ…。そういやあいつ、パーティでの行動全然しなくなって解散したんだろ?」

魔道士「うん。だから適当な組み合わせで、パーティとして組ませられたんだっけ?自業自得だから」

武道家「全くだ。組まされた奴らはたまったもんじゃないけどな」

僧侶「相変わらず、剣士君に敵意むき出しだったね」

剣士「まぁ相手になんかしねえけどよ」

 
タタタタッ…

乙女格闘家「…武道家ぁ~!」

武道家「ん?おぉ、乙女格闘家」

乙女格闘家「今日も、よろしくね~」

武道家「当然だろ。分かってるよ」

乙女格闘家「やったっ!ありがとっ!」

武道家「おう」


剣士「…敵同士っていっても差支えなかったのに、仲良くなったなお前ら」


乙女格闘家「まぁねー!」

武道家「そりゃな」

乙女格闘家「んじゃ、あとでいつもの場所でヨロシク♪」

武道家「はいよー」

乙女格闘家「じゃ、私はちょっと先生に用事あるから先に行ってるよっ」

 
カツカツカツ…バタンッ…


剣士「…」

剣士「お前ら、付き合ってんの?」


武道家「いや?」

剣士「…お、おう。ずいぶんと早い回答だな」

武道家「ただお互いに、気が合ってる感じなだけだ」

剣士「いい雰囲気じゃねえかよ」

武道家「別に相手もそれ以上望んでいないだろ」


魔道士「でも、武道家…今のあの子は…」

 
武道家「待て、それ以上言うな。俺だって分からないわけじゃない」

魔道士「!」


武道家「万が一、そうなったら…俺はあいつを組手だろうが殴れなくなる。戦えなくなる」
 
武道家「あいつは、戦ってくれる俺のことを…そうなんだ。そういうことだ」 


剣士「…」

武道家「…」

魔道士「…」

僧侶「…」

 
武道家「…んなことより、お前らはどうなんだよ!」

魔道士「えっ」ドキッ

剣士「ん?」


武道家「俺ら知ってるんだぜ?お前、ずっと魔道士の部屋で勉強教えて貰ってるんだろ!」

武道家「それに放課後もたまたま遊びに行ってるんだろ?おぉ!?」


魔道士「な…なんでっ!」
 
武道家「い~い雰囲気なのはお前らだろ!」

魔道士「そ、そんなんじゃないし!!」

武道家「どーだかねー!」

魔道士「うるっさーい!!剣士も何とか言ってやってよ!!」


剣士「…魔道士、可愛くなったな」キリッ

 
魔道士「…~っ!!」カァァ

魔道士「だ…大火炎魔法っ~~!!!」

ピカッ…!!


剣士「へ?」

武道家「はい?」

僧侶「えっ…」

生徒たち「えっ」
 


ドゴゴォォォォオオオンッ!!!

グラグラグラッ…!!

………
……

That's where the story begins!
――――――――――――――――
【剣士「冒険学校…!武道家「2年生」】
――――――――――――――――
Don't miss it!

本日はここまでです、有難うございました。
通常更新は明日以降からになります。

>>651 乙!
ほう……成長しているんだ…… ジー

皆さま有難うございます、投下致します。

 

…………
…………………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・朝 食堂 】


剣士「教室が爆発した」

魔道士「…」

剣士「なんて言っても、世間一般じゃ信用しないだろうな」ハハハ!

魔道士「はぁ…何してるんだろ私…」


カチャカチャ…ガタガタ…ストンッ

武道家「うーっす」


剣士「ういっす」

魔道士「おはよ~」

 
武道家「ちゃんと起きれたんだな、剣士」

剣士「当たり前だ」


魔道士「2年生になって、相部屋じゃなくなったんだっけ?」

剣士「そうそう。今年の1年は少ないらしくて、空き部屋が出来たからな」

魔道士「へぇ…、寂しくなったんじゃない?」

剣士「互いの部屋結構行き来してるし、今までとそんな変わった感じはないな」

魔道士「そっかぁ」

 
武道家「あれ、そういえば僧侶はいないようだが…また寝過ごしか」

剣士「トイレいってるよ」

武道家「あぁ、なるほど」

 
トコトコ…ポンッ

乙女格闘家「武道家♪」

武道家「おっ」

乙女格闘家「昨日もありがとっ。楽しかったよ」

武道家「お、おう…」


剣士「…」ジロジロ

魔道士「…」ジロジロ


乙女格闘家「昨日はちょっと散らかってたから、今度部屋に来る時はちゃんとー…」

武道家「うおおおっ!!急に腹が!」

乙女格闘家「えっ、だ…大丈夫!?」

武道家「これは大変だ、トイレにいってくる!」

 
乙女格闘家「う、うん!ついてく!」

武道家「い…いや大丈夫だから…」

乙女格闘家「だめ!ほら早く、肩貸すから!」

武道家「あ、はい」

トコトコトコ…ヨロヨロ…


剣士「…」

魔道士「…」


剣士「なんか、なぁ…」

魔道士「うん…」

 
タッタッタッ…

僧侶「ただいま!」

剣士「お帰り」

僧侶「…武道家くんが今、肩組んで乙女格闘家さんとどっか行ってたけど…」

剣士「神々の遊びだ」

僧侶「!?」


魔道士「バカな事教えないの」

剣士「はい」

魔道士「武道家とか乙女格闘家が楽しそうなら何より。でも何かさ…、少し寂しいな」

剣士「寂しい?」

 
魔道士「大事な仲間が、離れていっちゃってるみたいで…」

剣士「はっはっはっ、あいつが離れるわけないだろう」

魔道士「そりゃ私もそう思うけど、そういうことじゃなくてさ」

剣士「…どういうことだ?」

魔道士「何ていうんだろ…難しいけど…」

剣士「…」


…ガタァンッ!!!


剣士「ん…何かうるせぇ音が」

魔道士「向こう側が騒がしいみたい」

僧侶「誰か喧嘩してるっぽい?…って、あの人って!」

 
剣士「ん~…」ジー


三流騎士「三流、三流…うっせぇんだよコラァ!!」

???「…」


剣士「二流騎士…じゃないや、卒業できなくて三流騎士だっけか」

魔道士「変わってないなぁ…、また暴れてる。ってか同級生になるんだ…」

剣士「まぁどうでもいいけど、相手にしてんの誰だ?見たことねえぞ」

魔道士「1年生じゃない?」

剣士「ふむ…」

 
三流騎士「何とか言ってみろコラァ!!」

???「…うぜぇ」

…バキィッ!!

三流騎士「うげぇっ!!」

ゴロゴロッ!ドシャアッ…


剣士「あ、吹き飛ばされた」

魔道士「あの人、今年も卒業出来ないんじゃないの…」

僧侶「他人事ながら少し心配にもなってくるね」アハハ…


???「…」クルッ

コツコツコツ…

 
剣士「ん、なんかあいつ…こっちに来てね?」

魔道士「…来てる」

僧侶「っていうか、剣士クン睨んでない?」

魔道士「剣士、何かしたの?」

剣士「い、いや…知らねえぞ…」


コツコツコツ…ピタッ

???「…剣士先輩っすよね」

剣士「お…おう」


豪剣士「…自分は豪剣士っていいます。先輩の噂は聞いてます」

剣士「…そ、そうか」

 
豪剣士「…」ジロジロ

剣士「…」

豪剣士「…」ジロジロ

剣士「…」


ガチャッ…!!タッタッタッタッ…

武道家「ひーっ、参った参った!ただいま!」

魔道士「あ、お帰り」

僧侶「お帰りなさい」


剣士「…」

豪剣士「…」ジロジロ


武道家「…どういう状況、これ」

 
豪剣士「…」

剣士「…」


魔道士「こういう状況」

武道家「…なるほど」

僧侶「わかるんだ」


豪剣士「…先輩」

剣士「何かね」

豪剣士「お願いがあるんですけど」

剣士「…言ってみな」

 
豪剣士「…俺と手合せしてくれませんか」

剣士「…」


豪剣士「貴方の強さは、知っていますんで」

豪剣士「だから、是非一度…お願いしてぇんですけど」ギロッ


剣士「…いいぞ。いつでも来い」

豪剣士「では、また会った時に」クルッ

カツカツカツ…

 
剣士「…おっかねぇやつ」

魔道士「ああいうのに、よく睨まれるわねぇ」

剣士「面倒くせぇなぁ」ハァ


武道家「…さて、そろそろ学校行かないと遅刻すんぞ」

剣士「おろ、もうそんな時間?」

武道家「2年生の最初から遅刻してたら、世話ねーぞ」

剣士「わかってるよ。んじゃ…行くか」ガタッ


カツカツカツ……

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒険学校 2年生教室 】

キーンコーンカーンコーン…

…ガラッ!

 
冒険先生「おはよう、諸君!」


全員「おはようございます!」


冒険先生「うむ、いい返事だ。今日から2年生として本格的にスタートするわけだが…」

冒険先生「実践はもちろん、歴史や勉学ももっと深く教えるつもりだから、よろしくな!」


剣士「頭痛い。早退する」

武道家「奇遇だな、俺もだ」

魔道士「早いから」

 
冒険先生「相変わらずだな…」

冒険先生「仕方ない、歴史の授業は簡単に分かりやすく教えてやろう…」ハァ


剣士「うい」


冒険先生「今日の内容は、魔法の歴史についてだ」

冒険先生「さすがの剣士と武道家でも、"西方大陸と魔法の繋がり"は知っているだろう?」


剣士「…お、おう?」

武道家「…おう」


冒険先生「…」

冒険先生「誰か、答えられる人~…」


魔道士「は、はい…」ビシッ

冒険先生「剣士と武道家の代わりに魔道士が答えるとは…。1年生の頃と何もかわっとらん…」

 
剣士「はっはっは」

武道家「わっはっは」


魔道士「いや面白くないから」

魔道士「いい?西方大陸という大陸があって、その大部分は、世界の中で最も魔力の濃度が凄く高いの」

魔道士「それは中央軍の調査隊で計測した結果なんだけど…」

魔道士「まだ仮定の段階とはいえ、西方大陸が魔力の生まれた場所とされてるわけ」


剣士「へぇー…」

魔道士「でも、詳細がなかなか調べられないの」

剣士「何で?」

魔道士「…エルフ族との関わりのせい」

剣士「…エルフ族?」

 
魔道士「西方大陸のその濃度の高い地区には、エルフ族っていう人間と一緒の種族が住んでいてね」

魔道士「人間よりも魔力濃度が濃い地域でも住んでいられる特性を持っていて…」

魔道士「さらに幸か不幸か、種族としては少ないのに"非常に美しい容姿"を持ってるの」


剣士「いいじゃん、美しい容姿」

魔道士「…美しい容姿だけならね。人間と比べて、種族としては極端に人口が少ないのが問題」

剣士「…何でだ?」

魔道士「少し前まで、人間たちが美しいエルフ族を狩ってたの。奴隷化、ね」

剣士「!」


魔道士「…今は少し落ち着いたんだけど」

魔道士「でも、まだまだその確執が残ってて、人間には非協力的なのよ」

魔道士「禁止された今でも、奴隷狩りが横暴しているし…」

 
剣士「へぇ」

武道家「奴隷化ねぇ……」


冒険先生「見事な説明だ」

冒険先生「西方大陸をもっと調べられれば、魔力の歴史や人類の歴史が分かるとされている」

冒険先生「だが、魔道士の言った通り…エルフ族と人間の関係は最悪だ」

冒険先生「そのせいで、まだまだ西方大陸の調査が進まないんだ」


剣士「なるほどなぁ…。でも、魔力濃度が高い地区なのにエルフ族は平気なのか?」

剣士「あまりにも濃度が濃いと、魔力酔いとか起こすとかいってなかったっけ。エルフ族は大丈夫なんだな」


冒険先生「ほお、勉強しているな」

冒険先生「エルフ族の歴史は解き明かされていないが…」

冒険先生「長いことその地区に住んでいた人間が進化したものだと言われている」

冒険先生「その辺の謎も含め、解き明かす為に人間とエルフ族がより良い関係を築いていかねばならないだろう」

 
武道家「世界は広いな。まだまだ知らない事がいっぱいだ」

魔道士「いや誰でも知ってることで」
 
僧侶「…さすがだよ、二人とも」


冒険先生「まぁ…今後の期末試験にも出るから覚えておけよ」


剣士「お…おう」

武道家「覚えとく…」

 
冒険先生「では、冒険術の新たなステージの授業を始める」

冒険先生「まずは、教科書を開いてー…」


剣士「あ、教科書忘れた。魔道士見せて」

魔道士「…」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。

魔道士「>>655....ていっ」ズブシュッ


横暴というよりは横行の方がいいかと

皆さま有難うございます。投下致します。

>>681
そうですね、ご指摘有難うございます。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日・登校中 】


ザッザッザッ…

剣士「ふわぁ…」

魔道士「…剣士、そういやさ」

剣士「ん?」

魔道士「ずっと大戦士先生に稽古つけてもらってるよね?もう1年になるよね」

剣士「もうそんなになるか」


魔道士「少しは成長したの?剣士、大戦士先生のこと"大戦士兄(にい)"なんて呼んで慕ってるみたいで…」

魔道士「結構、私も稽古を見学させてもらってるけど、ただ大剣もって振ってるだけでイマイチ強くなってる感じが…」

 
剣士「なんか、技を磨くには基本が必要とか言ってさぁ」

剣士「持ち方の基本から、腰の回転、構え動作とか色々教わってる」


魔道士「…意外」

剣士「どういう意味かね」

魔道士「もっと、ハデな技を教えろー!とか騒いでるのかと」


剣士「いやさ、あの大戦士兄がスゲェんだよ。持ち方ひとつ変えただけで、威力が変わるのが分かるんだ」

剣士「ずっと我流でやってたからってのもあるが…」


魔道士「その勢いで、魔法ももうちょっと覚えてくれればなぁ?」チラッ

剣士「お前と一緒にずっと勉強してるだろ!基本の火魔法くらいは覚えたんだぜ?すげえだろ!」

魔道士「1年がかりでやっと小火炎魔法って…」

 
剣士「苦手なのは苦手なの!」

魔道士「まっ、剣士は剣士の得意な成長があるしイイと思うよ」

剣士「…お前との魔法の勉強はやめねえぞ?」

魔道士「もちろん、もっとしっかり覚えるまで教えるつもり」

剣士「おうよ」


魔道士「それにしても最近、僧侶も武道家も毎日朝練で…たまにしか一緒に登校しなくなっちゃったね」

剣士「そうだなぁ、ここんところずっと二人ばっかで登校とか帰宅することのほうが多くなったよな」

魔道士「…嫌?」

剣士「まさか。楽しいぜ?」

魔道士「そっか♪」

 
ザッザッザッ…

???「もしもし、そこのお二方」


剣士「ん?オレらのこと?」


???「はい、そうです」

???「二人の時間を邪魔して申し訳ですが、少しよろしいでしょうか?」


剣士「ふ、二人の時間て。何か用スか?」

 
中央軍人「ごほんっ。自分は、中央軍の部隊に属している者なのですが…」

中央軍人「さっき、聞き間違えでなければ"大戦士殿"の名前が聞こえまして…どうでしょう?」


剣士(中央軍て、世界の秩序を保つとか、武装のオッサンとか大戦士兄のだっけ。まぁ…)

剣士「……確かに、言ったけども」


中央軍人「ということは、君たちは大戦士殿の生徒でしょうか?」

剣士「そうだけど…。あんた、大戦士兄の知り合い?」

中央軍人「これは失礼しました。自分はもと、大戦士殿の指揮した隊の副長をやらせていただきまして…」

剣士「へぇ…」

中央軍人「大戦士殿にお話しがあり、この町へ訪れたのですが…。冒険学校はどこへ行けばいいやら…」

剣士「冒険学校はすぐそこだぜ。つーか、今から行くところだったし一緒に行く?」

中央軍人「かたじけない」

剣士「いいよ別に」


魔道士「…」

魔道士「大戦士先生の部下でわざわざ訪ねてくるって事は、大戦士先生と仲がいいんですか?」


中央軍人「いえいえ、そこまでではないですが。ちょっと問題が発生しまして」

魔道士「問題ですか?」

中央軍人「あまり大きな声ではいえないのですが、大戦士殿が絡んでいたので、詳細を一応お伝えせねばと思いまして」

魔道士「へぇ…」


剣士「どんな問題なんだ?」ズイッ

魔道士「よ、よく聞けるわね」

剣士「気になるじゃん」


中央軍人「はは、確かに気になりますよね」

中央軍人「…道を教えてくれるお礼に、少し話しますと、西方大陸でちょっと…」

 
剣士「西方大陸って…、魔力の謎とか、エルフ族の住んでるっつーとこか」

魔道士「ちゃんと覚えてて偉い偉い」

剣士「バカにすんな!」

魔道士「バカじゃん」

剣士「うっせー!」


中央軍人「ははは。まぁ…その件に関して大戦士殿が絡んでたので、一応ご報告に来たわけです」


剣士「なるほど。っていうか、大戦士兄が目的なら、学校へ行くまでもないかも」

中央軍人「はい?どういうことでしょうか」

剣士「いつもあの人、俺らみたくギリギリに学校に到着するからー…」


タタタタタタッ…!!

大戦士「急げ少戦士!遅刻するぞぉぉ!」

少戦士(童子戦士)「師匠が遅いんですよ!」

 
剣士「…ほら」

中央軍人「…本当ですね。昔と全然変わっていない」

魔道士「昔からあんなんだったんだ…」


タタタタタッ…!!

大戦士「おっ、剣士くん!」

剣士「大戦士兄、あんたに用事あるって人来てるよ」

大戦士「ん?」


中央軍人「…」ペコッ


大戦士「あ…!し、少尉!?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 近くのカフェ 】


魔道士「…で、学校へ行くはずが何故ここに」

剣士「大戦士兄が公認にしてくれるっていうし、いいじゃん」

大戦士「うむ、遅刻扱いにしないように言っておくし、安心してくれ」


少戦士「僕はチョコレートパフェが食べたいなぁ」

大戦士「今、少尉のやつにメニュー注文してもらってるから…少し待っててくれ」


魔道士「っていうか、何で私たちまで…」

大戦士「俺さぁ、あの人苦手なんだよねぇ…」ポリポリ

魔道士「どうしてです?」

大戦士「…堅い」

魔道士「あぁ…」

 
大戦士「昔からなんだけど、俺がこんなんだしさぁ…」

大戦士「何かと突っかかってきて、二人きりになるの苦手なんだよ」ハァ


剣士「確かに、大戦士兄はどっちかっつーと俺寄りだよな」ハハハ

大戦士「そうそう。適当でいいんだよ」

剣士「はっはっは!」


中央少尉(中央軍人)「何が適当でいいんですか、何が!」ドンッ!


大戦士「出たー!」

中央少尉「はい、コーヒー3つに…お弟子さんにチョコレートパフェです」

カチャカチャ…コトンッ

 
大戦士「はいはい、どーもどーも」

大戦士「で…何か用があって来たんだろ?面倒なのは勘弁な」


中央少尉「…あまり、人のいる場所で出来る話じゃないのですが」

大戦士「この子らは信用していいよ」

中央少尉「そういう問題ではありません。軍事機密としてのお話ですので」

大戦士「じゃあ、話きかなーい」

中央少尉「子供ですか、貴方は!!」

大戦士「軍事機密っつって、本当に機密らしい話だったことねーんだもん」

中央少尉「軍部の中で話をすることは、全て機密事項に値しますので」

大戦士「だからそれが堅いっていうんだよ…。こいつらに聞かれても大丈夫だって」チラッ

 
カチャカチャ…

少戦士「…」ハグハグ

剣士「…いいな、俺にもパフェ少しくれよ」ジー

少戦士「自分で頼んで下さいよ」プイッ

剣士「ひでぇ」


魔道士「…少し私も食べたいし、剣士、半分こする?」

剣士「お、いいね」


少年戦士「ま、魔道士さん…アイスクリームあげますよ」

魔道士「え、やった♪」

剣士「おいこら」

 
大戦士「…」

中央少尉「…」

大戦士「…安心しろって、うん」

中央少尉「はぁ…、では、小声で」

大戦士「おう、何?」


中央少尉「…貴方が調査に加わった西方大陸の魔力計測調査、覚えておりますよね」

大戦士「エルフ族に殺されかけたやつな。二度と行きたくねぇ」

中央少尉「実は、大戦士殿が軍から離れてから…再び調査を行いました」

大戦士「で?」

中央少尉「…超濃度、95%です」

大戦士「…はい?」

中央少尉「あの時、大戦士殿が参加された調査では魔力密度60%。高濃度数値でしたよね」

大戦士「あぁ、確かそうだった」

 
中央少尉「2度目の第二調査隊での計測は、超濃度の95%の数値を示しました」

中央少尉「元々魔力に強いエルフ族ですので大事にはなりませんでしたが…人間なら即死量の値です」


大戦士「超濃度の原因は?」

中央少尉「不明です」

大戦士「…」

中央少尉「大戦士殿を含む、当時、調査を行ったメンバー全員に一応この話はしました」

大戦士「誰の命令だ?」

中央少尉「…武装大佐です」

大戦士「!」


中央少尉「武装大佐は1年前に軍へ復帰し、調査隊として西方大陸へ向かいました」

中央少尉「その時の検査結果なので、信じていただけるでしょう」

 
大戦士「武装大佐が復帰してたとは…。で、俺に軍へ戻れっつーのか?」

中央少尉「意図までは分かりませんが…」

大戦士「…確かに、その超濃度の数値はおかしいな」

中央少尉「数日前に、その付近に住むエルフ族へ身体への異変がないか調べるため…第三調査隊も出発しました」

大戦士「その中にも武装大佐が?」

中央少尉「いえ、中央軍本部で指揮をとっています」

大戦士「本当に武装大佐が再び指揮を…」


…ズイッ

剣士「…難しい話してるな」モグモグ

少戦士「ぼ…僕のパフェが一口で…」プルプル


大戦士「…大人の話だよ」

剣士「珍しく、眼光が鋭いぞ大戦士兄」

 
大戦士「おっと、失礼」ニコッ

剣士「聞いてる限りじゃ、そこまでの事じゃないように思えるんだが。ただ95%ってだけだろ?」

大戦士「気にすることはないよ。さて、そろそろ学校へ行っててもいいぞ」

剣士「早くね?」


大戦士「まぁまぁ、料金は俺が払っとくから、先に戻っといてくれ」

大戦士「冒険先生には、俺が君たちを誘ったから遅刻にしないでって伝えといて」


剣士「…わかった」

大戦士「じゃあ、少戦士も一緒に学校へいっててくれ」

少戦士「わかりました、師匠」

大戦士「うん。じゃあ、またあとで」

 
スクッ…タッタッタッタッタッ…


大戦士「…」

中央少尉「…」


大戦士「…で、本題は?」

中央少尉「…」


大戦士「人は払っただろう。武装大佐が自ら指揮を執るのは滅多にないのは分かってる」

大戦士「それに、お前が本当の何かを隠してることもな」


中央少尉「さすがですね。真剣な時は真剣に聞いてくれる」

大戦士「いいから早く本題を教えろって。俺だって学校の仕事があるんだから」


中央少尉「…はい」

中央少尉「実は…、第二調査隊が魔力の計測に行ったのは理由があるんです」

 
大戦士「なんだ?」

中央少尉「西方大陸で、大地震がありました。震度、原因は不明です」

大戦士「被害は」


中央少尉「震源地にいたエルフ族の村が、壊滅」

中央少尉「すぐさま中央軍が調査へ向わせました。ですが…誰の姿もなかったそうです」

大戦士「…どういうことだ?」


中央少尉「確かに地震が起きる寸前まで、そこの村にエルフ族がいました」

中央少尉「ですが、地震が起きた後に行くと…村には誰もいなくなってたそうです」

 
大戦士「地震直後に、村全体が神隠しってことか。避難した可能性は?」

中央少尉「その時点での周辺調査では、馬一匹の足跡すら」

大戦士「…ふむ」


中央少尉「中央軍はこれに対して、小隊を救助に向かわせました」

中央少尉「小隊は再び、震源地付近まで近づいたのですが…」

中央少尉「突如、超濃度の魔力が発生し、魔力酔いの症状を起こしまして…」

 
大戦士「…近づけなかったわけか。で、その近づけない理由のために第二調査隊の結果…」

中央少尉「95%の数値、です」

大戦士「地震との関連性は?」

中央少尉「不明ですね」

大戦士「…」

中央少尉「武装大佐の命令で、念のため…当時のメンバーに心当たりがないかを聞いてほしい、と」

大戦士「…何もないな。あの時は普通に計測して、普通に戻っただけだった」


中央少尉「そうですか、有難うございました」ペコッ

中央少尉「それでは自分はこれで、中央へ戻ろうと思います」


大戦士「お、もう行くのか?」

中央少尉「時間が時間ですので。ご協力、ありがとうございました」

 
トコトコトコ…
 
大戦士「…中央少尉!」

中央少尉「はい?」クルッ

大戦士「お前、まだまだだなぁ…。精進しろよ」ククク

中央少尉「何がでしょうか?」

大戦士「後ろ」


中央少尉「…?」チラッ

中央少尉「!」ビクッ


…コソッ

剣士「…あっ、バレた!」

魔道士「だから言ったじゃん!」

少戦士「は、早く学校に!」

タッタッタッタッ…

 
大戦士「はぁっはっはっは!」
 
大戦士「…ま、俺から言っとくから安心しとけ」


中央少尉「…はぁ」


…………
………


 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 冒険学校の一角 】


剣士「…」

魔道士「…」

少戦士「…」


大戦士「ま、聞いてしまったのは仕方ない」

大戦士「だが、言いふらすんじゃないぞ?」

 
剣士「わかってるよ」

大戦士「いつものどうでもいい話かと思ったら、ちょっと今回は話が違うようでな…」

剣士「やっぱり、異例のことかなんかなのか?」

大戦士「計測だけがおかしいならいいんだが、神隠しとなると…な」

剣士「"地震"と"魔力の急激な濃度上昇"、それに"村全体の神隠し"か…」

大戦士「ま、西方大陸は遠すぎて、首も突っ込めないだろう」


魔道士「…」

魔道士「あっ!」

魔道士「ちょ、ちょっといいですか先生…」


大戦士「ん?」

魔道士「実は、2年生は修学旅行というものがあってですね…」

大戦士「ふむ」

魔道士「それが…西方大陸沿いのリゾート地区の海で…」

 
大戦士「…」

大戦士「…いつ、行くのかな?」


魔道士「もう少し先の7月中旬には…」

大戦士「…」

剣士「…」

少年戦士「…」


大戦士「いいか剣士これは絶対秘密事項だとにかく首を突っ込むな話を忘れろ武道家とかにも話すんじゃないぞ」ダラダラ

剣士「大戦士兄、早くて何言ってるかわかんねーよ!」

大戦士「ああぁぁ、それを知ってたら、お前らが話聞いてた事を無視しなかったのに!」ワシャワシャ

 
剣士「…俺らが、修学旅行中にクビを突っ込むような物言いじゃないか」

大戦士「…突っ込むだろ」

剣士「えへっ♪」


大戦士「本気でやめるんだ。魔力濃度の上昇で発注された軍のクエストは、まともだったことがない」

大戦士「ありゃ災害…天災だ。今回もその繋がりだと思うが…地震が引っ掛かる」


魔道士「過去にも、魔力濃度が原因で起きた事案があるんですか?」

大戦士「かなり凶悪な魔獣が魔力を身に纏って現れ、村人全員が食われたなんて話、珍しくもない」

魔道士「…っ」ゾクッ

大戦士「だから、やめろと言ってるんだ。いいか、この話は誰にもー…」ハッ

 
ボソボソ…

武道家「…まじか」

僧侶「怖いね…」

剣士「だろ?7月に修学旅行だし、俺らで調査でも…」


大戦士「って、おい!!」


剣士「あっ、バレた」

大戦士「…今回の行先は、別の場所にしてもらうよう、冒険先生らに相談しにいってくる」クルッ

剣士「ちょ、ちょいちょい!本気!?」


大戦士「君らがそういうのを恐れないのは知ってる」

大戦士「確かに君たちは強い…が、それは勇気じゃない。自殺と一緒だ!」

 
剣士「そ…そんな怒鳴ることじゃないだろ…」

武道家「だ、大戦士さんがそこまで怒るのは珍しいな」


大戦士「絶対によすんだ。君たちが少しでも行くというのなら、今回の旅行は別の場所か中止を申し込む」


剣士「…わかったよ。大人しくするよ」

大戦士「本当だな?」

剣士「おう」

大戦士「それならいいんだ」

剣士「…」


大戦士「原因が出ているならまだしも、何が出てもおかしくない状況なんだ」

大戦士「みすみす生徒を殺すようなことは絶対にさせるものか。特に、君たちはね」

 
剣士「…大戦士兄は、こういう調査に携わってたんだろ?」


大戦士「俺の担当がそういうのだったからなぁ…。当時は隊として数百人いたけど…」

大戦士「同窓会を開こうとしても、集まるのは手で数える程くらいしかいないといえば恐ろしさが分かるね?」


剣士「…」


大戦士「…運だけで残ったといったら皆に失礼になるから、あえて言うけど」

大戦士「俺は、俺が磨いてきた強さがあったから生き残ったと思ってる」

大戦士「そのうえで、今回の案件は手を出すなということさ」


剣士「大戦士兄は、今回の事案で軍へ協力しないのか?」

大戦士「中央軍に任せておけばどうとでもなるさ」

剣士「ふーん…」

 
大戦士「…だ、が。心配だから、今回の旅行は君らのパーティの監視として俺がつくからな」

剣士「そ、そこまで心配しなくても」

大戦士「君らを教えてきたのは誰だと思ってるんだ…」

剣士「はは…」


キーンコーンカーンコーン…


大戦士「おっ、始業だな」

剣士「あ…次の授業が始まっちまう」

大戦士「じゃあほら、教室戻って。このことは本当に他言無用だからな!」

剣士「分かってるよ!」


魔道士「じゃ、大戦士先生失礼します」

武道家「また」

僧侶「失礼します」ペコッ

タッタッタッタッ…

 
剣士「…」

武道家「どうすんの?」

剣士「すげー気になるけど、大戦士兄があそこまで言うってことは…ダメなやつなんだろ」

武道家「聞き分けいいな」

剣士「まぁ、仕方ないだろ。さすがになぁ…」


魔道士「じゃ、次の授業に集中して頑張らないとね!」

剣士「わかってますーっつーの!」

僧侶「次の授業は共通魔法だよ~」


剣士「げっ…」

武道家「げっ…」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
…それから、時間は何事もなく過ぎていった。

剣士は、大戦士との稽古や魔道士との勉強を楽しみ、
 
武道家は乙女格闘家と実力を高め合い、

僧侶は魔法先生と聖魔先生に気に入られてか…魔法のレベル上げに勤しんだ。


そして、いよいよ7月中旬。

修学旅行の日を迎える―…

本日はここまでです。
一部、修正前のまま上げてしまいましたので、修正分は後日あげます。
(少年戦士⇒少戦士)

有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 7月中旬・西海岸行き船着場 港町 】


ザザァン…ミャアミャア…

冒険先生「全員集合しろー」パンパン

ザザザッ…

全員「…」


冒険先生「前もって情報は伝えただろうが、確認しとくぞ」

冒険先生「予定は5泊6日、船で往復2泊分なので、向こうの滞在は3泊予定だ」

冒険先生「自由行動が大半だが、向こう側の西海岸街から出るのだけはダメだぞ」

冒険先生「西大陸含め、あまり友好的ではないエルフ族の村もあるからな」

 
剣士「ずっと思ってたんだけど、エルフ族がいるのに…西海岸街なんかいくのか?」


冒険先生「西海岸街は、人間側がエルフ族との関係を保つために、優秀な中央軍の面子が常駐している」

冒険先生「難易度の高い依頼を請け負い、エルフ族の助けとなっており…」

冒険先生「その為、目の前で依頼の請負や街で冒険者の姿を沢山見ることが出来るからだ」


剣士「なるほどなー」

冒険先生「それじゃ、早めに船に乗るぞ。部屋の割り振り通りに、各自待機すること!」


全員「はいっ!」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 船の中 客室 】

ボォォオ…

剣士「…で、お前らと一緒の部屋か」

武道家「不満か」

僧侶「このメンバーだと、魔道士さんがいないのがちょっと寂しいね」

武道家「まぁさすがに少しな…」

僧侶「そうだよね…」

 
剣士「女子はもともと少ないから、個室なんだろ?」

武道家「らしいな」


剣士「だよな!」

剣士「…そうか。そうかそうか」ニヤニヤ


武道家「…行くつもりか」

剣士「だ、誰もそんな事いってねーだろ!」

武道家「顔に出てるぜ!」


剣士「何だと…、お前こそ乙女格闘家のところに行きたいんだろ…おぉ?」

武道家「誰もそんな事いってねえだろうが!」

剣士「顔に出てるぜ!」


武道家「…お?」

剣士「あぁん?」

 
僧侶「ち、ちょっと二人とも~!」

…コンコン

僧侶「!」

僧侶「お客さんだよ、先生かも!ケンカしてたら怒られるよ!」


剣士「げっ」

武道家「やべっ!」


…コンコン

僧侶「どなたですか、どうぞー!」

 
ガチャッ!

魔道士「あっ、いた」

乙女格闘家「良かった~」


剣士「あ、魔道士」

武道家「ん、乙女格闘家」


魔道士「どうせ時間もあるんだし、勉強の続きしないかなーと思って」

乙女格闘家「わ、私も…。部屋で少し鍛錬でもどうかと…」


剣士「…お前の部屋なら、なんてね」
武道家「お前の部屋なら、なんてね」


剣士&武道家「むっ」

 
魔道士「…ね?言ったでしょ」

乙女格闘家「はは、本当だったね。まぁ最初からその予定だったんだけど」

魔道士「ほら、じゃあ行こっ、剣士」

乙女格闘家「武道家、行こう」


剣士「おっ、わかった」

武道家「仕方ねぇなぁ…」


僧侶「あ…。い、行ってらっしゃい」


剣士「僧侶、んじゃあとで戻ってくるからなー」

武道家「部屋の鍵とか自由に持ち出しといていいから」

 
僧侶「あ、うん…」


ワイワイ…

剣士「教科書もってきてんの?」

魔道士「あ、それは…持ってきてないけど…。ま、まぁなくても…」

武道家「…部屋って狭くね?鍛錬とか難しくないか」

乙女格闘家「や、休むのも鍛錬とか…なんて…」

ガチャッ…バタンッ!

 
僧侶「…」

僧侶「…」


シーン…


僧侶「わ…、わかってたけど…」

僧侶「辛いなぁ…。」

僧侶「…。」

僧侶「…。」


僧侶「甲板から、海でも眺めよう」

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 甲 板 】

ザザァンッ…ボォォ…

ジャバッ…ズザァンッ!


僧侶「はぁー…」

僧侶「…」

僧侶「何とも言えないなぁ…」


…ポンッ

僧侶「!?」ビクッ

 
魔術賢者「…どうした、一人か」

僧侶「魔術賢者くん!」

魔術賢者「いつもの…、やかましい面子はどうした…?」

僧侶「やかましいって…。みんなは別の場所だよ」ハァ

魔術賢者「そうか…、一人か…」

僧侶「君だって一人じゃん」


魔術賢者「…あまり、新しいパーティに馴染めない」

僧侶「2年生になってもう3か月近くだよ?」

魔術賢者「話題がない…。みんな、僕を闘術騎士のイメージで見る…」

僧侶「…あのパーティに入ってたしね。でもさ、なんで闘術騎士のパーティにいたの?」

 
魔術賢者「…正直いえば、剣士たちを面白く見てなかった」

僧侶「…」


魔術賢者「入学当時からうるさかったし…。うるさいの苦手。今はもう…そんな事、思ってないけど…」

魔術賢者「それと…、僕はあまり人に話かけられなかった…」

魔術賢者「そんな時に話かけてくれたのが…、闘術騎士だったから…」


僧侶「なるほどね。確かに…、気持ちはわかる気がする」

魔術賢者「うん…」


僧侶「なんか暗い話になりそうだし、この話はおしまい!」

僧侶「話題ガラっと変えてさ。えっと、君は将来何になりたいとかあるの?」


魔術賢者「本当に急に変わったな…。将来…か」

 
僧侶「うーん、最近少し悩んでてさ」

僧侶「立派な冒険者もいいけど…、最近、人の為に尽くせる人になりたいなーとか思っててさ」


魔術賢者「人の為…か」

僧侶「そうそう。魔術賢者くんはそういうのはある?」

魔術賢者「…自分は、まだ夢はないな。ただ、冒険者になりたいというのは…違いない」

僧侶「あはは、そりゃそうだろうね」

魔術賢者「…」コクン

僧侶「冒険学校での時間はまだまだあるんだし…、ゆっくり探せばいいんじゃないかな」

魔術賢者「そう…する」

僧侶「…うんっ」


魔術賢者「…」

魔術賢者「な…なぁ、僧侶…」


僧侶「ん?」

 
魔術賢者「君は…、僕を闘術騎士と一緒の目で…見ないのか…?」

僧侶「何で、君を闘術騎士と一緒の目で見るの?」

魔術賢者「な、何でって…」


僧侶「君は君でしょ。さっき理由を聞いたし…、そもそも闘術騎士は彼が悪役なだけであって、」

僧侶「その周りのパーティだった君は関係ないよ。確かに魔道士さんにやったことは許せないけど…」

僧侶「武道家くんも乙女格闘家さんと仲良くしてるし…、それに君も、もう1年前の君じゃないでしょ」


魔術賢者「…」

僧侶「まだ、魔道士さんや剣士くんに敵意を持ってたり、同じような事をするなら…許せないけどね」

魔術賢者「もう…しない」

僧侶「でしょ。だからもう、気にしないよ。この話はおしまいにしよってば!」

魔術賢者「うん…ありがと」

 
僧侶「お礼なんかいらねーよ!」

魔術賢者「!」

僧侶「なんて…、剣士くんのマネ」アハハ

魔術賢者「…」クスッ


僧侶「…似てた?」

魔術賢者「少し…」

僧侶「へへっ」


ヒュウウッ…


魔術賢者「うっ」ブルッ

僧侶「少し冷えるね。海の上だからかな」

 
魔術賢者「部屋であったかい飲み物つくるよ…くる?」

僧侶「いいけど…他の人もいるんじゃないの?」

魔術賢者「え…?」

僧侶「?」


魔術賢者「…一人だよ?」

僧侶「えっ、そうなの!?」

魔術賢者「うん」コクン

僧侶「一人部屋なんだ…、確かパーティメンバーは基本的に一緒の部屋だったはずなんだけど」

魔術賢者「でも、僕…一人だから、気にしないで」

僧侶「うん、わかった」

………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 魔術賢者の部屋 】

ガチャッ…


魔術賢者「美味しいお茶淹れるから…座ってて…」

僧侶「わかった」

トコトコトコ…ストンッ


魔術賢者「…」

カチャカチャ…コポコポッ…

僧侶「…」

 
魔術賢者「…」

僧侶「…」

魔術賢者「ちょっと、お湯沸かしてる間に…部屋着に着替えてくる…」

僧侶「はーい」

ガチャッ…


僧侶(昔、魔術賢者くんと戦った時のこと思い出すなぁ)

僧侶(僕が勝ったけど、今やったら魔術賢者クンもレベル上がってそうだし…どうなんだろ)

僧侶(…)

僧侶(少し戦いたいと思っちゃった。本当に剣士くんたちの性格がうつっちゃったかな)アハハ

 
ガチャッ…

魔術賢者「…お待たせ」


僧侶「あっ、お帰りなさい」

僧侶「…」

僧侶「って、あれ?」


魔術賢者「どうした…?今、お菓子でも用意する…」


僧侶「…」ゴシゴシ

僧侶「…魔術賢者、くん?」


魔術賢者「お菓子…嫌いか?」

 
僧侶「いや、そうじゃなくて…なんか、あれ?」

魔術賢者「…何だ?」

僧侶「その…、これ…何…?」クイックイッ

魔術賢者「これ?」

僧侶「…ちょっと、いい?」

魔術賢者「うん…」


僧侶「…だから、これ」

ツンッ…

僧侶「ここ。あれ?」

…フワッ

 
魔術賢者「…胸、だけど?」

僧侶「…ずいぶんと、あるね…?」

ポフッ…フワッ…


魔術賢者「小さいほうだと…思うんだが…。大きいのか…?」

僧侶「う、うん。あるほうじゃない…?」

魔術賢者「そうか…、乙女格闘家のほうが大きいんだがな…」

僧侶「そりゃだって、彼女は女子でしょ?」

魔術賢者「…僕も女だが」

僧侶「…」

魔術賢者「…」

 
僧侶「…冗談でしょ?」タラッ

魔術賢者「冗談じゃない…」

僧侶「…そ、そういや…ここ一人部屋って…」

魔術賢者「女子には、一人一部屋与えられてる…。知らないのか…?」

僧侶「…っ!?」


…ピー!

魔術賢者「お…、お湯が沸いた。お茶淹れるよ…」


僧侶「待ったぁぁぁぁっ!!!色々言いたいけど、色々ごめんなさいいい!!」

バババッ!!

魔術賢者「なぜ、謝る…?凄い早い土下座だな…」

 
僧侶「あ、あの、そのっっ!!さ、触ってごめんなさいぃぃ!!」

魔術賢者「何をだ…?」

僧侶「そ…そりゃ…その!」

魔術賢者「あぁ…胸か。気にするな…」

僧侶「気にするよ!っていうか、下着…つ、つけ…」

魔術賢者「…じゃま、蒸れる」


僧侶「た、確かに普段の魔術師の服はぶ厚いけど!!」

僧侶「部屋着とか薄着なら、気にしてよ!!!」


魔術賢者「…僧侶が恥ずかしがるのは…、おかしくないか」

 
僧侶「あぁぁもう!!何で、乙女格闘家さんといい、魔術賢者さんといい…!」

僧侶「冒険者には…こういう女の子が…!!」


魔術賢者「…はは」

僧侶「笑い事じゃないよ…」ハァァ

魔術賢者「それより…、ほら…お茶」

…コトン


僧侶「うん、ありがー…って、ちょっと!!」

魔術賢者「?」

僧侶「魔術賢者くん…じゃなかった、魔術賢者さん!!薄着なんだから前かくしてよぉぉ!」

 
魔術賢者「うむ…?あぁ…、別に気にしないぞ…ほら…」パサパサッ

僧侶「」


魔術賢者「…」

僧侶「絶対、僕のことからかって遊んでるでしょ!もおお!」

魔術賢者「さぁ…どうだろ…」


僧侶「ひえぇぇ…!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数時間後・剣士たちの部屋 】


ガチャッ…!

剣士「ただいまー」

武道家「ただいまー」


剣士「いやー、長いこといちゃったな。ほら、魔道士手作りのクッキー貰ってきた」スッ

武道家「こっちは乙女格闘家手作りのチョコだっけかな」スッ

 
…グデン

僧侶「…」


剣士「あら?」

武道家「どうした、僧侶」


僧侶「お帰り二人とも…」

僧侶「色々と…凄かった…。もう…だめ…」ガクッ


剣士「…?」

武道家「…?」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。


…次の日。

冒険学校2年生徒一行は、無事に西海岸街へと着いた。


そして、西海岸街の宿で一旦休憩後―――…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 西海岸街 宿 】


冒険先生「船旅、ご苦労だった。今日から3日間、色々と楽しみでもあるだろう」

冒険先生「だが、あまり迷惑のかけることはしないように」

冒険先生「特に、分かってると思うがー…」ギロッ


剣士「…」

武道家「…」


冒険先生「後で一歩遅れてくる大戦士先生に、監視役を頼んであるがー…変なことはするなよ!」

剣士「へい!」

武道家「おう!」

 
冒険先生「各自、時間は守り、規律を守り、しっかりとした行動をするように!」

冒険先生「では…解散っ!」パンッ!

ガヤガヤ…ザワザワ…


剣士「さぁて…」

魔道士「港街…!いいな…!いいなあぁ~っ!」キラキラ

剣士「どうした?」

魔道士「観光地って感じだし、潮の香りは嫌いじゃないし、見るとこいっぱいあるしぃ♪」

剣士「まぁそうだな」

魔道士「食べ歩きも悪くないなぁ、でも先に何かお土産とか…早いかなぁ♪」

剣士「…楽しそうだな」

魔道士「う~ん、もうワクワクが止まらないっ!」

 
武道家「まぁ、落ち着いて行動しようぜ」

僧侶「武道家くんは、乙女格闘家さんと行動しないの?」

武道家「一応ここはパーティが基本行動だしな」

僧侶「あ、そっか」


剣士「まぁ久々にパーティで楽しもうぜ」

武道家「そりゃ当然だ。じゃ、どっから行く?」

剣士「観光地っていっても、俺らはどう行動すればいいか分からなー…」


魔道士「えっとね、えっとね!ここから少し歩いた先に、海のモノを使ったアクセショップとか!」

魔道士「海鮮料理屋さんも多くあるし、もちろん砂浜はあるし、日差しが強くて海で遊べるし!」

魔道士「それにそれに、西海岸中心通りには凄いお店もたくさんあって、特にガラス細工とか色々…!」


剣士「」

 
僧侶「魔道士さんが暴走してる!」

魔道士「あぁっ、もう楽しみで仕方ないの!どこから行く?どこから行く!?」

剣士「じゃあ、そうだな…俺が決めていいか?」

魔道士「うんうん!地図から選んでよ!」ペラッ


剣士「まずは…ここだ!」ビシッ


魔道士「!」

武道家「!」

僧侶「!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 西海岸街・フィッシングエリア 】


ザザァンッ…ジリジリ…

…ポチャンッ


魔道士「…何で、釣り」

剣士「たしなみだ。お前には落ち着きが足りん」

魔道士「…だからって…釣りって…」


武道家「文句を言いながらも、素直に釣りをする魔道士は凄いと思う」

僧侶「うん…」

 
剣士「…釣りってのも悪くないんだぜ」

武道家「そうだな。こうして、日差しを浴び、遠くに人の声を感じ、揺れる水面に静かに漂うウキを見つける…」

剣士「これこそが、究極の日常だ」


魔道士「…日常じゃなくて、折角こういう場所に来てるのに…」

剣士「でも、案外楽しいもんだぞ?」

魔道士「あのね…釣りはどこでもー…!」


…ググッ!チリンチリンッ!


剣士「魔道士の竿、引いてるぞ!」

魔道士「えっ!」ハッ

剣士「ほら、リールまわせ!」

魔道士「ど、どうすればいいの!」

 
剣士「ほら、ここをこう持って、こう!」ギュッ

魔道士「あっ…。う、うんっ」

カラカラカラッ…ザッ、ザバァンッ!


剣士「おーっし、いいぞいいぞ!」

魔道士「きゃあっ…!お、重いぃ…!」ググッ

剣士「もっと腰下げて、腕あげろ!こうだ!」グイッ

魔道士「ちょっ…、剣士ぃ…抱きしめられてるみたいで少し恥ずかしい…」

剣士「あっ、じゃあ離れる」パッ

魔道士「…べ、別にいいよぉ!なんとかしてよぉっ!」

剣士「なんだよ!だから、こうするんだよ!」ギュウッ

 
…ギャーギャー!!


武道家「…熱いな。日差しが強い」

僧侶「それだけのせいじゃない気がするけど」


ザッザッザッ…ピタッ

乙女格闘家「なんだ、こんなところにいたのか」

武道家「…あれ?」

乙女格闘家「てっきり砂浜にいるのかと思って探していたら…。釣りをしてたとは」

武道家「お前、自分のパーティは?」

乙女格闘家「抜けてきた。話も合わないし、面白くもない」ハァ

武道家「あのね…。つーか水着で歩いてきたの?」

乙女格闘家「うむ、海で一緒に遊ぼうと思ってたんだけど…」

武道家「…似合ってるな」

乙女格闘家「あ…。そ、そうかな」テレッ

 
僧侶「…」

僧侶「…二人とも、太陽のように熱いよ」シクシク

 
…ヒョコッ

魔術賢者「僕も…いるよ」

僧侶「あっ、魔術賢者さん!」

魔術賢者「乙女格闘家が…、一緒に来ないかって…」

僧侶「乙女格闘家さんが?」


乙女格闘家「僧侶、魔術賢者の部屋で、この子の胸ぇまさぐったらしいじゃないか。中々やるな!」

僧侶「」


剣士「!?」

武道家「!?」

魔道士「!?」

 
剣士「僧侶のやつ…ホモなのか!?」

 
乙女格闘家「あ、いやいや。この子…女子だからね?」

ワシャワシャ…

魔術賢者「あうあう…、髪の毛が…」


剣士「ま…まじで!?」

武道家「冗談だろ!?」


魔道士「…!!」

魔道士「……え?待って。っていうか、女子だとしたら…」

魔道士「今…僧侶が魔術賢者の胸をま、まさぐ……って…って…」プルプル

 
乙女格闘家「部屋に呼んで、部屋着に着替えたら…突然触られたとか…」

魔術賢者「うん…そう…」

僧侶「」


剣士「まじかよ!?女子っていう驚きもあるが…」

武道家「すげぇな…、人は見かけによらないわけか…」

魔道士「…最低っ!」


僧侶「ちょっと待って、色々誤解だから、待って、みんな…その目をやめて!!」

僧侶「うわぁぁぁっ~~!!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僧侶「っていうわけなんだよぉ!だから、わざと…わざとだけど違うんだよ!!」

剣士「…そういうことね。なら分からんでもない」

武道家「確かに、それは…うん…」

魔道士「そ、それなら…なのかな…」


乙女格闘家「魔術賢者ちゃんは、髪の毛も少し短いし、厚着ばっかだし…仕方ないよね」

魔術賢者「…髪の毛、伸ばしたほうがいいか…?」

乙女格闘家「充分、そのままでも可愛いから♪でも、伸ばしたらもっと可愛くなるかも…」

魔術賢者「…むぅ」

 
乙女格闘家「…でも、みんなにきちんと女の子って分かって貰えるように、準備してきましたぁー!」

魔術賢者「ほ…、本当にするのか…?」

乙女格闘家「こうすれば、魔術賢者ちゃんの評価もうなぎのぼり!」

魔術賢者「じゃあ…仕方ないな…」

パサパサッ…


魔術賢者「うぅ…」テレッ


剣士「おぉっ!」

武道家「おお!」

僧侶「わっ…」

 
乙女格闘家「私が選んだ、水着!どう、似合うでしょ!」

魔術賢者「恥ずかしい…ってば…」モジッ

魔道士「えっ…、ま、負けたかも…」ガーン


剣士「…刺激的な色だな」ジー

武道家「普段が普段なだけに、信じられん…」ジー

剣士「しかし、思った以上だ…」ジロジロ

武道家「これが、着やせってやつなのか?僧侶はこれをなぁ…」ジロジロ

僧侶「」

…ジロジロ、ジロジロ

 
魔道士「…」

乙女格闘家「…」

魔道士「…」

乙女格闘家「…」


魔道士&乙女格闘家「ていっ」

…ブスブスッ!!


剣士「Noooooo!!」

武道家「目、目がぁぁぁああっ!?」

ゴロゴロゴロゴロッ…バシャアンッ!!


魔道士「あ、落ちた」

乙女格闘家「天誅だ」

 
魔術賢者「うぅ…、もういいか…。服、着るよ…」

ゴソゴソッ…パサッ


乙女格闘家「どう?僧侶くん、魔術賢者ちゃん、結構凄いでしょ」ニマー

僧侶「えっ!?い、いや…その…」

乙女格闘家「正直に言っていいと思うよー」ニヤニヤ

僧侶「う、うん…、似合ってて、可愛かったと思う…」


魔術賢者「そ、そうか…?」

僧侶「うん、普段とは違った格好だし…、少しドキっとしたかなぁ~」アハハ…

魔術賢者「あ、ありがとう…」

僧侶「い、いえいえ!」

 
乙女格闘家「初々しいなぁ~♪」

魔道士「ねえねえ」ボソボソ

乙女格闘家「何?」


魔道士「魔術賢者さんって、僧侶のこと好きなの?」

乙女格闘家「うーん、どうだろ。魔術賢者ちゃんは、トボけたところあるし…」

魔道士「だよねえ…、今までそんな素振りも見たことないし…。そもそも女性だとは…。それに私より…」ブツブツ

乙女格闘家「でもさ~、1年前に演習で私らと戦った時あったじゃない?」

魔道士「うん」

乙女格闘家「その時に、自分より努力してる子と戦えて、凄い楽しかったとか…言ってたかな?」

魔道士「でも、それだけじゃ…」

 
トコトコトコ…

乙女格闘家「なあ、魔術賢者ちゃんって僧侶のことは好きなのか?」ポンッ

魔道士「本人の前でストレートすぎるー!?」

僧侶「」


魔術賢者「好きって…、恋愛…か?」

乙女格闘家「それ以外ないよー」

魔術賢者「うーん…。唐突に言われても…わからないな…」

乙女格闘家「ま、まぁそうだよね」

魔術賢者「でも…」

乙女格闘家「なぁに?」


魔術賢者「今までより…気兼ねなく…話せる。他の人より話やすい…気がする…」

魔術賢者「あと…、先生たちと放課後残って勉強してる努力を知ってるし…」

魔術賢者「僕より強いから、色々教えてほしい…かも」

 
乙女格闘家「…改めて、お友達からってこと?」

魔術賢者「改めては…違う…。今日の事があって…もう、友達だと思ってたから…」

僧侶「そ、そりゃそうだよ!僕こそ、友達だと思ってて!」


魔術賢者「!」

魔術賢者「ありがと…」


乙女格闘家「なら、それ以上の仲を目指すってことで、お友達からお付き合いだね!」

魔術賢者「…僧侶がいいなら」

僧侶「ふえっ!?」


乙女格闘家「どうなのー?僧侶クン」

僧侶「ぼ、僕~!?」

乙女格闘家「魔術賢者ちゃんは、イイって!」

僧侶「そ、それは…、魔術賢者さんがいいなら…」ボソボソ

 
乙女格闘家「二人とも、何て奥手な…」

乙女格闘家「まぁ…どっちもイイってことだね!」


僧侶「い、いいの…?」

魔術賢者「うん…」コクリ

僧侶「じゃ、じゃあ改めてよろしく…」ペコッ

魔術賢者「よ…よろしく…」ペコッ


乙女格闘家「わーい!決まった!」


魔道士「な、なんて勢いだけで…」アハハ…

魔道士「あっ…、そういえば剣士たちはー…」クルッ

 
…ギャーギャー!!

サメ2匹『』


剣士「俺のほうがでけぇだろ、これ!」

武道家「いーや、1センチ差で俺の勝ちだな」

剣士「あぁん!?」

武道家「おぉっ!?」


魔道士「…サメをいつの間にどうやって釣り上げたんだろう…。またケンカしてるし…」


タッタッタッ…

乙女格闘家「ほらほら二人とも、ケンカしてないで!」

 
剣士「あん?」

武道家「何?」


乙女格闘家「僧侶クン、魔術賢者ちゃんがお付き合いすることになったので…」

乙女格闘家「トリプルデートしよー!」


剣士「なんだと!?」

武道家「まじか…!おめでとう!」


僧侶「」

魔術賢者「ちょっ…」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 西海岸街 中心通り 】
 
ワイワイ…ガヤガヤ…!


乙女格闘家「人いっぱーい♪」

武道家「…お前、水着のままで歩くのかよ」

乙女格闘家「鍛えてるし、結構自信あるんだけどな?」

武道家「いや別にいいけどさ」


剣士「お前は水着になんねえの?」

魔道士「わ、私はいいよ…」

剣士「そうか、残念だ」

魔道士「ざ、残念って…。仕方ないな…、あとでなら…ね!」


僧侶「…」モジモジ

魔術賢者「…」モジモジ

 
剣士「つーかこの面子でどこ行く気だよ」

乙女格闘家「先ずは、ソフトクリームを食べよう!」

剣士「お、いいね」


乙女格闘家「二人で一本で!お互い見つめあいながら!どのペアが一番早く食べれるか!」

乙女格闘家「ドキドキ、ソフトクリームゲーム…」


魔道士「待った、待ったぁぁああっ!!!!」ビシッ!


乙女格闘家「ほえ?」

魔道士「待って、待って待って、だめぇぇっ!!どういうことなの!?」

乙女格闘家「ほら、海のそばだし、すぐ汚れても洗えるよー?」

魔道士「そういう問題じゃないから!」

乙女格闘家「…?」キョトン

魔道士「そんな猫みたいな顔してもダメー!」

乙女格闘家「にゃははー、魔道士ちゃんはウブだなー」

 
剣士「武道家、乙女格闘家ってあんなキャラだったのか。クールな女子だと思ってたのだが」

武道家「…普段というか、一緒にいる時はあんなんだな…」

剣士「魔道士が振り回されてるの見るとさ…、なんか変な感じだ」

武道家「あ~…確かにな」ハハハ


魔道士「だ、だからそれは色々とダメでしょ!」

乙女格闘家「えー」

魔道士「えー、じゃなくて!」

乙女格闘家「仕方ないなぁ…」

魔道士「…仕方なくなぁい!普通なの!」


剣士「武道家は、いっつもそういうことしてると…」

武道家「さ、さぁ」

剣士「何が硬派な付き合いだ、全然ヌルヌルじゃねえか」

 
僧侶「そ、そういうのは僕らはちょっと…ね」

魔術賢者「う、うん…」


魔道士「ほら、僧侶たちだっていってるんだから、もっと健全な遊び!」

乙女格闘家「健全な遊びっていっても~…」

魔道士「ほ、ほら!例えばそこの海のアクセサリーショップを見たり、とかさ!」バッ

乙女格闘家「…うーにゅ」

魔道士「さ、いこ!ほら、剣士!」

グイッ!!

剣士「わったったっ!引っ張んな!」ヨタヨタ


…ガチャッ、ガランガランッ!

 
店員「いらっしゃいませー」


魔道士「あ、どーもー…。って、うわぁ~っ♪」

キラキラキラッ…

乙女格闘家「ほほぅ…、これは中々どうして…」

魔術賢者「きれい…」


剣士「…やべえ、ファンシーだ」

武道家「俺らが場違いな痛みが、ヒシヒシと」

僧侶「こ、こんなところ慣れてないから恥ずかしいよ…」

 
店員「あらあら…3人3人でデートですか?」

魔道士「ひぇっ!あ、あの…」

乙女格闘家「そうです!これキレイなお店ですね!」

魔術賢者「…うん」

ワイワイ、キャッキャッ


剣士「…女子のパワーはすげえな」

武道家「俺らはそこで座ってようぜ」

僧侶「キラキラしすぎてて、なんか…目が…」

トコトコトコ…ストンッ、バフッ

 
剣士「おぉ、沈む。いいソファーだ」フワッ

武道家「フワフワだな…、高いんだろうな」

僧侶「ふわ…、ふわ。ふわふわ…。あ…、あ~~…っ!」ガシガシッ!


剣士「…どうした?」

僧侶「い、いや何でも」ハッ

剣士「何だよ、言えよ!」

僧侶「何でもないってば!胸のことなんてー…」ハッ


剣士「…」

武道家「…」


僧侶「…うわぁぁあ!」ゴロンゴロンッ!

 
剣士「フワフワ…ね」

武道家「大人の階段のぼってるな!」

僧侶「そういうことじゃない、そういうことじゃないんだよぉぉおっ!」ゴロンゴロン


剣士「はっはっは、いいじゃん。部屋で二人っきりで」

武道家「お前だって、よく二人きりじゃん」

剣士「…武道家もだろ?」

武道家「む…」

剣士「鍛錬、鍛錬とかいって…普段何の鍛練してんだか」ハァン

武道家「…勉強、勉強とかいって…普段何の勉強してんだか」フゥン

 
…グイッ!

剣士「…お?」

武道家「…あ?」

僧侶「うわぁぁああ!」

ゴロンゴロンッ!!…ガシャアンッ!


店員「お、お連れ様は楽しい方たちのようですね」アハハ…

魔道士「ぜ、全部聞こえてるんだよなぁ…」

乙女格闘家「そういうお年頃」

魔術賢者「…うん」

魔道士「そういうお年頃って…」

乙女格闘家「剣士と、魔道士ちゃんは付き合ってるんでしょ?」

魔道士「い、いやいやいや!?」

乙女格闘家「あれ?」

魔道士「どど、どうして!?」

 
乙女格闘家「みんな、そう思ってるけど…ね?」

魔術賢者「…うん」コクン

魔道士「ななな、何で!」

乙女格闘家「…普通、そう思うよ」

魔道士「う…。じゃ、じゃあ乙女格闘家はどうなの!」

乙女格闘家「私?」

魔道士「乙女格闘家だって、付き合ってー…あっ」ハッ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
武道家「殴れなくなっちまうだろ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔道士「な、何でもない…」


乙女格闘家「…」

乙女格闘家「聞こえるから大きな声で言えないけど…、殴れなくなるって話?」

 
魔道士「えっ、知ってたの…?」

乙女格闘家「そんなの私にかかればすぐにわかる!」

魔道士「…それを知ってて、ベタベタしてるの?」

乙女格闘家「私は…気にしないんだけどなぁ」

魔道士「!」

乙女格闘家「初めて会って、戦った時に、容赦なく殴って来たんだよね…あいつ」ナハハ

魔道士「…」


乙女格闘家「一目ぼれっていうのかなぁ…、今までそういう人いなかったし、女子としか見られなかったし」

乙女格闘家「それからも仲良くしてくれて。気づいたら、惹かれてて…」


魔道士「そっか。私と逆…、か」

乙女格闘家「ほえ?」

 
魔道士「私は、女子として見られなかったし、けど、弱く見られたくなくて…なんていうんだろ…」

魔道士「ごめん、難しいや。けど、そういうのを何も気にしないで、見てくれるのが剣士っていうか…」


乙女格闘家「…うーん、まぁ、剣士を好きなんでしょ?」

魔道士「えっ…そ、それは!」

乙女格闘家「…好きになってたんでしょ?」

魔道士「…ま、その…気の間違いかもしれないけど…」

乙女格闘家「いいじゃんいいじゃん、それで!間違いでも、好意を持ってるのには変わりないんでしょ!」

魔道士「うっ…」


乙女格闘家「私は、この気持ちが気の間違いでも全然いいよ。本当はさ、武道家が気遣ってくれなくてもいいんだよね」

乙女格闘家「もう、敵同士だったのに全然普通に接してくれて…」

乙女格闘家「そんな毎日を過ごしてるうち、ますます好きになったから…」

 
魔道士「…乙女格闘家」

乙女格闘家「殴れなくなったとか、一緒に組手とか鍛錬が出来なくなっても、今は…好きって言われる方がうれしい」

魔道士「あ…。う、うん…気持ち…、分かる気がする」


乙女格闘家「ま…まぁ、私のキャラじゃないし、そういう事は望まないけど!」

乙女格闘家「ほら、たまに武道家とは色々遊んでるし…、それでも満足できてるって言うか…」


魔術賢者「…言われるほうが嬉しいって、言った」ボソッ

乙女格闘家「そ、そこで言う~!?」

キャーキャー!!


剣士「全部、聞こえてるんだよなぁ…」

武道家「うむ…」

僧侶「二人とも、お幸せに…」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 夜 】


ガヤガヤ…ワイワイ…!


魔道士「うわぁ…、夜の街って昼と全然違うね」

剣士「なんか祭りみてえだな」

武道家「独特の雰囲気があるねぇ」

僧侶「…武道家くん、乙女格闘家さんと行動しなくてよかったの?」


武道家「昼間にショップ出たところで冒険先生に見つかって、パーティで行動推奨とか言われたばっかだし…」

武道家「また怒られるのは勘弁だ」


僧侶「うん…そうだよね」

 
魔道士「それにしても、少しお腹すいたね」グゥ

剣士「何か食おうぜ。刺身とか美味いんじゃね?」

魔道士「高いよ?」

剣士「あー…そうだよな。こんな時、大戦士兄いたら奢ってもらうのに…」

魔道士「未だに監視役で来るっていったのに…、来てないし…」


武道家「その分、自由ってことでいいじゃないか」

剣士「そうだな。とりあえず…こっちいこうぜ」クルッ


魔道士「そっち路地裏だよ?」

剣士「本当に美味い店って、こういう場所にあるもんなの!」

魔道士「うーん、そうなのかな…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 路 地 裏 】 
 
ザッザッザッザッ…

魔道士「路地裏の雰囲気もなんか不思議」

剣士「な?何かありそうだろ」

魔道士「月明かりに照らされて、建物の窓からうっすら見える灯りが幻想的だね」

剣士「そうそう。こういう場所って意外と当たりの店があるんだよ」


武道家「美味くて安い店があればなぁー」

僧侶「でも、お店らしいお店が見えてこないよ」


ガタッ…ガタガタンッ!!!

剣士「…ん?」

 
魔道士「何の音?」

剣士「そこ曲がった所だな。何か倒れたような音が…」

トコトコ…クルッ

剣士「!」


???「い、嫌だ…」

金髪商人「…銀髪、人が来る前にさっさと袋に詰めろ!」

銀髪商人「わかってるよ金髪、ただこいつ暴れすぎなんだよ」


剣士「な…何だありゃ」ボソボソ

武道家「服装は商人っぽいが…。詰めようとしてるの、人じゃね?」

魔道士「もしかして、誘拐…?」

僧侶「えぇっ!まずいよ、どうするの?」

 
金髪商人「…どうせ少しくらい殴っても、商品価値は落ちねえよ。気絶させようぜ、任せろ」グイッ

銀髪商人「おぉそうか、じゃあ俺も」グイッ

???「あうっ…!」


剣士(あっ、やべぇ!)ダッ!

武道家(ちっ…!)ダッ!


金髪商人「…おらぁっ!」

銀髪商人「…っしゃあ!」

ビュンッ!ブンッ!!

???「や、やぁぁっ!」ギュッ

 
バキッ!!バキバキィッ!!…ドサドサッ!


???「…」プルプル

???「…」

???「…あ、あれ?」パチッ


剣士「ふぅ、大丈夫か」

魔道士「なに、なんなのこの二人!女の子を殴ろうとするなんて!」

武道家「子供に対して商品価値とか言ってたし…最悪な野郎だな」

僧侶「もう大丈夫だよ、安心して」ニコッ


???「こ、来ないで…!」ズリッ


剣士「お、おいおい。助けてやったのに…」スッ

 
???「来ないでぇぇっ!!」

ブンッ…バチィッ!!

剣士「いでっ!」

???「あっ…」


剣士「…」

剣士「…」スッ


???(殴られる…!!)ブルッ!


…ポンッ、ナデナデ

???「…」

???「…え?」

 
剣士「だから、何もしねえって。助けてやっただけだよ」ニカッ

???「…!」

剣士「僧侶、ヒールしてやってくれ。ちょっとケガしてる」

僧侶「あ、うん!ヒール!」パァッ!

シュワシュワッ…


???「あ…」


魔道士「あなた…どうしたの?名前は?」

幼エルフ「よ…幼エルフ…」


魔道士「え…」

剣士「エルフっ!?」

 
幼エルフ「!」ビクッ


魔道士「え、エルフって…」

剣士「だから、コイツらが狙ってたのか…」

武道家「…まじか」

僧侶「ど、どうするの?」


幼エルフ「…」ビクビク

剣士「…幼エルフ、俺は剣士。お前はどっから来たんだ?」

幼エルフ「む…村の外で遊んでたら…、急に…あの人らが…」グスッ

剣士「…うん」

幼エルフ「でも…さっき逃げて…、気付いたら…ここ…で…」ウルウル

…ポロポロ

幼エルフ「おうちに…帰りたいよぅ…」グスグスッ

 
剣士「あ、あぁぁ…な、泣くな!」

幼エルフ「ひぐっ…うぇえぇん…」グスッ

剣士「あー、えっと~…」オロオロ


魔道士「…幼エルフちゃん…だよね?私は魔道士」

幼エルフ「…」コクン

魔道士「折角の可愛い顔が、台無しだよ?ほら、顔をこれで拭いて♪」

…ゴシゴシ

幼エルフ「…あうぅ」

魔道士「うん、可愛い!」ナデナデ

幼エルフ「…」

 
剣士「…幼エルフ、家はどこにあるんだ?」

幼エルフ「…わかんない」

剣士「わ、わからないッスか。村の名前とか…」

幼エルフ「…西海岸村ってとこ…」

剣士「お…」


魔道士「西海岸街から近いんじゃない?」

武道家「ちょっと道聞いてくるか。送ってやろうぜ」

僧侶「…エルフ族の村に行くの?大戦士先生、殺されかけたとか言ってなかった…?」


剣士「…う゛っ」

魔道士「あ…」

武道家「…」

 
幼エルフ「?」キョトン


剣士「…ど、どうする?」

魔道士「あまり、村には行きたくないかな…」

武道家「だけど、このまま放っておけるか…?」

僧侶「う、うーん…」


剣士「…」

剣士「じゃあさ、こうしよう」ポンッ


魔道士「…どうするの?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 西海岸街 中央軍支部 】


…ビシッ!!

軍人A「ご苦労様でした!」

軍人B「それと、奴隷商人の確保、ありがとうございました!しかるべき処置をいたします!」


剣士「い、いや」

軍人A「聞けば、冒険学校の生徒さんだと聞きました。さすがですね」

剣士「そ、そうか?」

軍人A「こちらの幼エルフさんは、責任をもって預かり、明朝には送り届けさせていただきます」

剣士「…よろしく」

 
幼エルフ「お兄ちゃんたち…ありがとう…」フリフリ

剣士「おう、元気でな!」

魔道士「もう一人で外で遊んじゃだめだよ!」

武道家「名前言ってなかったけど、俺は武道家だからな!」

僧侶「僕は僧侶だよ!」


幼エルフ「うん…ばいばい…」


軍人A「では、晩御飯の準備をさせましょう。幼エルフさん、こちらへ」

幼エルフ「…」

テチテチテチ…

軍人B「それでは、失礼いたします」ペコッ

ガチャッ…ギィィィ、バタンッ…

 
剣士「…ほっ」

武道家「良かったな。支部に預けるなんて、お前にしちゃ機転が効いたんじゃないか」

剣士「…それが浮かばないお前らは、俺以下ということだな」ハッハッハッ!

武道家「あぁ…?」

剣士「おぉ…?」


…ズイッ

魔道士「何度このやり取りすれば気が済むのかなー…?」


武道家「へへっ」

剣士「面目ねぇ」


魔道士「謝るなら最初からしない!」

 
剣士「へーい」

武道家「はーい」

魔道士「全く…」


タッタッタッタッ…!

大戦士「おーい!!…やっと見つけた!」

少戦士「魔道士さんたち、ようやく見つけましたね」


剣士「あ、大戦士兄!」

 
大戦士「中央軍の支部で何してるんだ、探したんだぞ」

大戦士「街はパニックにはなってないみたいだし、まだ問題は起こしてないようで何より!」


剣士「…俺らをどんな人間だと」

魔道士「相変わらず遅刻してしまう大戦士先生も大概ですけどね…」


大戦士「あっはっは!さて、これからどこに行くんだい?」

剣士「…大戦士兄って、いわゆる俺らの保護者だよな?」

大戦士「言い方を変えれば、それになるかもね」


剣士「奢って」

大戦士「…うん?」

剣士「…奢って」

大戦士「…う?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 近くの海鮮料理屋 】


カチャカチャ…ハグハグッ!!

剣士「見ろよ、この海老…ぷりっぷりだ!」モグモグ!

魔道士「酒バターで蒸したアサリ、すっごい味が濃くておいしー♪」ムニュムニュ

武道家「このホタテのでっかいこと!」

僧侶「僕はこの、塩が効いたスープがいいなぁ。歩いて疲れちゃった身体に染みる~」ゴクゴク


大戦士「お、お前ら…、あまり食べないでくれよ…。予想以上に高いんだこの店…」

少戦士「…はぐっ、もぐもぐ…もぐもぐ!」

大戦士「話、聞いてる?」

 
剣士「うめぇぇ~!!」グビグビ

魔道士「その海老もちょうだい♪あ、餡かけ玉子とかもある…おいしそー♪」

武道家「そっちのスープもくれよ。あ、頼むか…。すいませーん!」

僧侶「じゃあ、えっと…鯛飯とか食べたいかも…。美味しい出汁が効いてるんだって」

剣士「遅刻する大戦士兄は、文句もいえないはずだしな!食べろ食べろ!」

モグモグ…グビグビッ…!!


大戦士「…なんてこったい!!」

大戦士「こうなったら、俺も食うぞ!!メニュー、ここからここまで持って来い!!」

…………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 宿 剣士たちの部屋(3人部屋) 】


剣士「あ゛~。食った…食った…」プハァ

武道家「めちゃくちゃ美味かったなぁ」

僧侶「でも、大戦士先生泣いてたよ…」


剣士「支払い、32万ゴールドだってよ」

武道家「げっ…マジで!?」

僧侶「え、それはさすがに大戦士先生に悪いんじゃ…」

剣士「いや、どっちかっつーとあの人、自業自得だから」

武道家「どういうことだ?」

 
剣士「メニュー全部もってこーいとか言ったじゃん?」

武道家「言ってたな」

剣士「その中に、天然のなんか入ってて、それが超高かったの」

武道家「でもそれ、大戦士先生食ってなくね?」

剣士「…魔道士が食った」

僧侶「ひぃぃい!」


武道家「はっはっはっ!!笑うしかないな!」

剣士「どんまいすぎんだろ」ハハハ

僧侶「はぁ~…、大戦士先生には悪いけど、お世話になっておこう」

剣士「それが良い」

 
武道家「さてと…。寝る前にちょっとパンでも買って、腹の足しにしてくる」ムクッ

僧侶「まだ食べるの!?」

武道家「おう」

トコトコトコ…


剣士「…」

剣士「お前、乙女格闘家のところだろ」ニタッ


武道家「…」ギクッ

剣士「いってらっしゃいませー」フリフリ

武道家「そ、それは心外だなぁ。僕は、パンを食べたいだけなんだ」クルッ

剣士「そうだね、美味しいパンでも食べてきなさい」ハッハッハ

武道家「…」ピクピク

剣士「ほら、いってきなさい」

武道家「…行ってきますよ!」

ガチャッ…バタンッ!

 
剣士「…鍵、しめとこうぜ」

タッタッタッ…ガチャガチャッ、カチャンッ

剣士「さー電気消して寝よ」

僧侶「ちょ、ちょっと剣士くん!」

剣士「ん?」

僧侶「そ、それはいくらなんでも…」

剣士「乙女格闘家は一人部屋だし、泊まってくれば問題ないだろ」

僧侶「そ、そうだけど、そういう問題じゃ!」


…ガチャガチャッ!コンコンッ!

剣士「ん?もう帰って来たのか…。くそっ、しゃあねえ…。今鍵開けるから待ってろ」

 
…カチャカチャ…、ガチャッ!

魔道士「あ、起きてた」ヒョコッ

剣士「んお」

魔道士「夜は長いし、お話でもどうかなー…とか…」モジッ

剣士「…」チラッ


僧侶「…いってらっしゃーい」フリフリ


剣士「…おう。んじゃ、行ってくる」

魔道士「昼間にジュース買っててね…」

剣士「お茶菓子とかもあんのか…?」

ワイワイ…

ギィィ…バタンッ!

 
僧侶「…」

僧侶「…」

僧侶「魔術賢者さんのところに…」

僧侶「…」

僧侶「ない…!ないないない!!」ブンブン!


僧侶「剣士くんも、武道家くんも…、怒られちゃえ!!鍵しめといてやる!」

…ガチッ!

…………
………

 
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久々の大量更新となりました。
本日はここまでです、有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
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――――【 次の日 朝 】

…ガチャガチャガチャ!!!

ガチャッ…ガチガチッ!!ドゴォォンッ!!!!


僧侶「ふあっ!?」ガバッ


剣士「あ…、壊れた」

武道家「まぁいいんじゃないか」

剣士「そうだな、置いとこう」ゴトンッ


僧侶「…ちょ、ちょっと二人とも!?」

僧侶「ドアに鍵かかってるからって…壊したの!?っていうか、今帰って来たの…」

 
剣士「いや、1時前くらいに戻ってきて、武道家と鉢合わせしたんだが…」

剣士「このドアに鍵かかってて結局、お互い泊まってきた」

剣士「ま、ドア吹き飛ばしたのも鍵かかってたし仕方ないだろう」

剣士「それはそれでまぁ…」ブツブツ


僧侶「し、仕方なくないでしょ!また怒られるよ…も~!」

剣士「何で鍵を閉めたし」

僧侶「…あ、いや」

剣士「まぁいいけどさ」


僧侶「ご、ごめん」

僧侶「……じゃなくて、武道家くんが出て行ったあと、剣士くんがカギ閉めてやるっていうから僕もつられて!」


剣士「げっ、シー!」

武道家「ほほう…?」ギロッ

 
剣士「つ、つーかもう朝だなぁ~!?早いよな~!?」フワァ

僧侶「もうすぐ、朝の集会だよ。ロビーに一回集まらないと」

剣士「お、そうなの?」

僧侶「…しおりくらいは読もうよ」

剣士「はい」


………
……

 
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――――【 ロビー 】


ガヤガヤ…

魔道士「あ、おはよっ♪」

剣士「はよーっす…、っていうかさっきも挨拶したけどな」

乙女格闘家「おはようっ」

武道家「俺もさっき挨拶したけどな。おはよ」

魔術賢者「…おはよ」

僧侶「おはよ!」


冒険先生「さーて、静かにしろー」パンパン


全員「…」

 
冒険先生「では、まずは朝の挨拶から。おはよう」

全員「おはようございます」

冒険先生「うむ。昨晩、大戦士先生も合流し、無事に2日目を迎えた」

大戦士「…」ペコッ


冒険先生「さてと、まず最初に報告することがある。悪い話じゃないぞ」

冒険先生「昨日、この生徒の中に、奴隷商人に誘拐されたエルフ族を助けたパーティがいる」

冒険先生「そして、中央軍の支部へ保護をお願いした…立派なパーティだ」


全員「おぉ…」

ザワザワ…


冒険先生「それがまさかの…剣士たちなんだ」

 
生徒たち「!?」

生徒たち「まじかよ!」

生徒たち「先生、ウソはよくないと思います!」


剣士「お、お前らなぁ…」ガタッ

魔道士「剣士、抑えて抑えて!」


冒険先生「ごほんっ、信じられないのも無理はないと思うが本当なのだ」

冒険先生「ちなみに今朝、中央軍が護衛する馬車でエルフの子は村へと向かったから安心するといい」


剣士「お、よかった」

魔道士「よかったぁ」ホッ

武道家「預けた時点で大丈夫とは思ってたけどな」

僧侶「そうだね」

 
冒険先生「えーと…共有する事項はそれくらいか」

冒険先生「今日も1日、自由行動とはいえ調子に乗りすぎないようにな」

冒険先生「では、解散!」パンッ!


…タタタタッ

宿店員「あの、先生。ちょっといいですか?」

冒険先生「はい?」

宿店員「…奥の、お宅らの冒険学校の生徒が宿泊してる部屋のドアがですね…」


剣士「」

武道家「」

僧侶「ほら…言わんこっちゃない…」

魔道士「?」

 
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――――【 西海岸街 中央通り 】

ザワザワ…


魔道士「朝から、冒険先生の怒鳴り声を聞くことになるとは思わなかった…」キーン


剣士「だって仕方ないよな?」

武道家「そうだな」

僧侶「ぼ、僕も悪いからどっちともいえなーい…」


魔道士「まぁ2日目だし、1日は始まったばかりだし、気分変えていこっ!」

魔道士「今日はどこに行くー?」

 
剣士「昨日、なんだかんだで回りたいところ回ったしなぁ」

魔道士「うーん、確かにそうなんだよね」

剣士「じゃあ地図貸してくれるか」

魔道士「うん」ペラッ


剣士「…」

剣士「お~っ、じゃあさ、ちょっと行きたいところあるんだけど」


魔道士「釣り以外ね」

剣士「ちげえよ!まぁ、ついてこい」

…………
……

 
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――――【 大型武具店 】


剣士「おぉっ…!」キラキラ

魔道士「なるほどね」

武道家「ナイスだ剣士…」ビシッ

僧侶「あー、ちょっと見たいかも」


剣士「だろ?じゃ、こっちのコーナー大きく一周する形で見て回ろうぜ」

魔道士「んっと…、まずは杖コーナーか。私と僧侶の武器からだね」

 
トコトコ…

剣士「杖とか、魔法書とかか…」

魔道士「どっちも魔力を上げるために魔石が組み込まれてたり、銀が埋め込まれてたりとかするんだよ」

剣士「銀?」

魔道士「銀は、闇属性に対して強大な力を発揮できるの」

剣士「あぁ、そういやそんな事を勉強したな」


僧侶「良い武器がいっぱい置いてあるなぁ。僕も新調しようかなぁ…」ゴソゴソ

武道家「…値段、高くね?」

僧侶「うひゃっ、2万ゴールドとか…。学生にとったら痛い値段だね…」

武道家「一番安い1000ゴールドのとかは使い勝手悪いのか?」

僧侶「魔石も粗悪品だし、練習用だよ」

武道家「なるほど」

 
魔道士「うーん…。見た感じ、欲しいのはないかな?」

僧侶「僕は新しいのが欲しいけど、お金足りないや」

剣士「んじゃ、次のコーナー行くか」

武道家「次はー…」

トコトコトコ…

"格闘術 武具"

武道家「ナックルゥ!!」バッ

 
剣士「…昔からだが、格闘術なんざナックルなんてなくても余裕なイメージあるけどな」

武道家「闘気高めるやつとか、純粋な物理火力あげるとか色々あんだよ!」

剣士「そりゃ分かるんだけど」

  
武道家「今のは鉄のナックルだけどよ~…、もっといいの欲しいんだよな」

剣士「…お、これとかどうだ?」スッ

武道家「なんじゃこりゃ」

剣士「殴ると爆発するんだってよ。火炎拳爆だってさ」

武道家「ほほう、どれどれ」スッ

剣士「ん?」

…ブォンッ!!ボゴォンッ!!

剣士「ごふぁっ!!」

ズザザザァ…!


武道家「ほう、スゲーな。でもいらん」ポイッ

剣士「ぶっ殺すぞコラァ!」ブスブス

 
魔道士「何してるんだか…」ハァ

僧侶「はは…」


剣士「ったく…、あっちぃなこの野郎…!」

剣士「こんなところにいられるか!次のコーナーいくぞ!えーと次は…」

トコトコトコ…


"片手剣・大剣コーナー"


剣士「うひょーー!!」

タタタタタッ!!ズザザ…

 
剣士「…!」

キラキラキラ…シャキンッ…

剣士「さすが剣武器。種類がハンパじゃねえ!」


武道家「剣だけスゲー広くね?天井まで吊るしてあんぞ…、あれ落ちてこねぇだろうな…」

ユラ…ユラユラ…

剣士「こえ~…。さっさと見て、もっと面白いのないか探しに行くか…?」

武道家「うむ…」

剣士「えーとじゃあ、どんなのがあるかなーっと…」キョロキョロ

 
魔道士「剣士の今の武器は、鋼の大剣だっけ?」

剣士「おう」

魔道士「それが丁度いい重さなの?」

剣士「そうだなー…。今あるし、持ってみるか?」チャキンッ

魔道士「うん」

スッ…

魔道士「きゃ…!」

ズルッ…ガランガラァンッ!!!


剣士「あ、大丈夫か!」

魔道士「お…落としちゃった…。ごめん…」

 
剣士「いやいいよ。ケガないか」

魔道士「うん…」

剣士「これでも最近は、ちょっと軽いんだよな」

魔道士「これで軽いって…、私じゃ両手でも持ち上げられないのに…」


僧侶「普段からこんなの背負って走ったり歩いたりしてたら…日常が鍛錬だよ…」

剣士「だから無駄に体力ついてんのかも」ハハハ


武道家「体力物理バカ」ボソッ


剣士「あぁ!?」

武道家「…おぉ!?」

 
魔道士「はぁ…。二人とも!こんなところで、他のお客さんに迷惑でしょー…」


???「さっきから、ちとやかましいぞ、この小僧ども!!」


剣士「…あ?」

武道家「…お?」

魔道士「ほら、怒られた。ごめんなさい…」


???「全く、最近の子供は…。人間はこれだからのう…」ハァ


剣士「…人間?」

武道家「どういう意味だよ、アンタだって人間の爺じゃねーか!」

 
鍛冶長「わしゃ、エルフ族の鍛冶長じゃ!人間と一緒にするでない!」

剣士「いい年こいて、ウソつくなよ」


鍛冶長「な、何を言うか!」

剣士「どう見ても、そこらへんにいるお爺ちゃんじゃねえか!エルフ族のように美しくもないだろ!」

鍛冶長「な、何をぅ!?エルフ族だって、歳をとるんじゃ!!」

剣士「それに、何で人間の街の武器屋に、堂々とエルフ族がいるんだよ!いるわけねぇだろ!」

鍛冶長「何でいるのか、じゃと!?」

剣士「…おうよ!何でだよ!」


鍛冶長「…」

鍛冶長「はて…何でいるだっけ?」

 
剣士「」

武道家「」

魔道士「」

僧侶「」


鍛冶長「…」

鍛冶長「そうじゃ、思い出した!うちの村の、女の子が人間にさらわれたんじゃ!」

鍛冶長「だから、長老であるワシが率先してココへ探しに来たんじゃ!」


剣士「女の子!?武器屋にいるわけねえだろ!」

鍛冶長「それはあれじゃ、ワシは武具造りの職人じゃからな。人間の技術の進歩を見ようとな!」

剣士「…ダメだろ!早く探せよ!」

鍛冶長「わかーっとるわい!!」

 
武道家「…何か楽しい爺さんだな」

僧侶「女の子探すって、早く探したほうがいいんじゃないのかなぁ…」

魔道士「……ねえ、もしかして」

武道家「ん?」

魔道士「女の子って、昨日のじゃないの…?」

武道家「あ…」


鍛冶長「ったく、これだから人間は!お前らに言われんでも、探しに行くわい!」クルッ

魔道士「あ、待ってください!」

鍛冶長「今度はなんじゃ!」

魔道士「もしてかしてですけど、探してる女の子って…」

鍛冶長「…んん?」

本日は短めながら、ここまでです。

スレが1000に達する前に、2、3回の更新後に修正分の確認とアップをして次スレ移動となります。
少し重大なミスを更新中に発見致しましたので、
そちらの修正も兼ねてスレ埋めをする予定となっております。

それでは有難うございました。

追記です。
修正予定でしたが、やはり一部をそのままで継続いたします。
色々と失礼致しました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
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――――【 西海岸街・中央軍支部 】

軍人「…えぇ、大丈夫ですよ。先ほど送り届けたメンバーも無事に戻ってきましたので」

軍人「確かに"幼エルフ"さんは、西海岸村へ戻られました」


鍛冶長「お…おぉ…。良かったわい…!」

剣士「だから言っただろ、大丈夫だって」

鍛冶長「おぬしらが助けたんじゃろ?ありがとうのぉ」

剣士「い、いいっての別に」

鍛冶長「それじゃ、ワシもこの街にゃ用事なんざない。さっさと帰ろうかのう」

 
剣士「歩いて帰るのか?」

鍛冶長「そりゃそうじゃ。それ以外何がある?」

剣士「ジイチャン、大丈夫なのかよ」

鍛冶長「来る時だって、死にかけたが無事についた。魔獣の通り道を歩かぬ限りは大丈夫じゃて」

剣士「…軍人さん、送ってやってくれないかなぁ」チラッ


軍人「い、いやしかし…。今、護衛部隊は戻ってきたばかりで休んでいて…」

剣士「ジイチャンなんざ、誘拐するような輩はいないっしょ?護衛っつー護衛はいらなくね?」

軍人「軍がエルフ族とかかわる際は、彼らの保護や護衛は軍としての原則で…」


鍛冶長「保護だと…、ワシらは動物か!?」

軍人「あっ!し、失礼しました!」バッ

 
鍛冶長「…」ギロッ

軍人「…」


剣士「まぁまぁジイチャン、じゃあ俺らがー…」

大戦士「…ダメだぞ」ボソッ

剣士「!?」クルッ

大戦士「やっと見つけた。寝坊した俺も悪いんだが…」ゼェゼェ


魔道士「大戦士先生!」

武道家「寝坊て」

僧侶「昨日は、沢山食べてごめんなさい!」ビクビク

 
大戦士「はは…。痛手な出費だったけどいい思い出だよ…」

大戦士「それよりも、エルフ族の村に行くことは許さない。だったら俺が金を出すから、貸切で馬車を呼ぶよ」


剣士「…」


大戦士「えーと…あなたのお名前は?自分は大戦士と申します」

鍛冶長「ワシか?ワシは、鍛冶長じゃが」

大戦士「鍛冶長さんですね。自分がお金を出すので、傭兵の護衛をつけた貸切の馬車で村へお戻り下さい」

鍛冶長「…そんな施しはいらぬ」

大戦士「そういわれましても、お見受けしたところ…貴方は長老に値するお方。万が一もありますので」

鍛冶長「…」

 
剣士「ジイチャン、乗ってってくれよ。心配じゃん」

鍛冶長「…ふぅむ」

剣士「早く戻ってやってさ、その幼エルフに会ってやったほうがいいんじゃない?」

鍛冶長「…」


剣士「ジイチャンに何かあったら、みんな哀しむじゃん」

剣士「俺らに礼いうなら、恩があるってことで、その恩を返す意味でも乗って帰ってくれよ」


魔道士「…最近、剣士がまともな事言ってる!」

僧侶「ひぃいい!」

武道家「明日は大雪だな」

剣士「ぶっ殺すぞお前ら」

 
鍛冶長「…仕方ないのう。じゃが、一ついいかの?」

大戦士「何でしょうか?」

鍛冶長「この子らも、一緒にどうじゃ…?お礼がしたく思うのじゃ」

大戦士「お断りします」

鍛冶長「…」

大戦士「エルフ族の村へは、教え子は連れて行けません」

鍛冶長「…なぜ、ダメなのじゃ」


大戦士「…エルフ族は、自分は信用できません」

鍛治長「信用、できないとな」

大戦士「…」

  
剣士「大戦士兄…」


大戦士「あなたたちからすれば、人間は信用できないのでしょう」

大戦士「ですが、あの体験をした自分からすれば…。エルフ族は人間と何も変わらないですから…」

大戦士「残虐性という面は、人と何ら変わりないと思っております」


鍛治長「どういうことじゃろうか…」


大戦士「…」

大戦士「……」

大戦士「丁度いいか…。剣士たちもよく聞いてくれ。これは他人に話すんじゃないぞ」

大戦士「軍人サン、悪いけど少し席を外してもらえるか?」


軍人「は、はいっ!」ビシッ

軍人(まさか、こんなところで中央軍の元エース、大戦士さんに出会えるなんて…)

ガチャッ…バタンッ

 
剣士「あ…あぁ。他言無用か。わかった」

武道家「わかった」

魔道士「わかりました」

僧侶「…はいっ」


大戦士「…」

大戦士「……昔の話ですが、自分はエルフ族の村の護衛にあたったことがあります」


鍛治長「ふむ…」

  
大戦士「ちょうど、エルフ族と人間の関係を積極的に修復しようとした時期でしたか」

大戦士「その頃、エルフ族のとある村の付近で、強力な大型魔獣の確認がされました」

大戦士「当時現役だった自分は、その討伐隊に参加し、その村の付近でベースを張りつつ護衛にあたったのです」


剣士「…」

鍛治長「…」


大戦士「周辺にいた小型の魔獣などを討伐しながら、大型魔獣の出現を待ち、数日が経過しました」

大戦士「そんな時…あの事件が起こったんです」ギリッ


剣士「あの事件…?」


大戦士「…夜中。休息中の我々に、その村のエルフ族が、ベースキャンプに対して火を放ち攻撃してきた…」

大戦士「守るべき相手に、後ろから矢を打たれたんですよ…」

 
剣士「なっ…」 
 
鍛治長「…!」

武道家「ひ、ひでぇ!」


大戦士「まぁ考えなかったことではないのですが。人間にエルフ族が恨みを持っていたのは事実でしたし」

大戦士「ですが、その攻撃してきた時間帯が問題だった」


魔道士「時間帯ですか?」


大戦士「討伐対象の大型魔獣が、活発に動きまわる時間だったんだ」

大戦士「だからその火炎や攻撃に触発された大型魔獣が、そのキャンプへと姿を現した…!」


僧侶「そ、それで…」

 
大戦士「大混乱になった隊は、大型魔獣や、それについてきた魔獣に壊滅状態になったものの…」

大戦士「生き残ったメンバーたちで体制を整え、大型魔獣は何とか討伐しました」

大戦士「だが。…それは地獄の始まりだった」


剣士「…地獄?倒したのにか?」


大戦士「簡単な話だ。全てが終わり、我々がボロボロだった時、助けを求めるのはどこだと思う?」


魔道士「…エルフ族の村!」


大戦士「そう。守り切った村へ、助けを求めた」

大戦士「目の前で彼らの為に命を張ったのだから、少しくらい優しくしてもらえると思ったんだ

大戦士「だけどね、彼らは弱り切った隊員たちを…殺そうとしてきたんだよ」


剣士「…っ!」

鍛治長「…」

 
大戦士「命からがら逃げたよ。物資はなくなり、帰りの道中は困難を極めた」

大戦士「キズを負った者は倒れ、仲間が死んでいく。どれだけつらかったか…」


剣士「…エルフ族を襲って、物資を奪うことは考えなかったのか?」


大戦士「軍の規律は絶対。そう教え込まれていた」

大戦士「エルフ族との関係の修復は、世界平和への一歩とし、彼らを傷つけることは許されなかった」


剣士「…それが、軍なのか」


大戦士「当時はそれが当たり前と思っていたからね」

大戦士「だけど、今も同じような事があってもエルフ族には攻撃しないと思うよ」

大戦士「お互いの関係がよりよくするためには、どちらかが犠牲を伴わなければならないのは…仕方ないことだから」


剣士「…」

 
大戦士「今よりも道具は発展しないなかったし、そのせいで犠牲者が多かったってのあるけど…」

大戦士「そういう理由があって、とてもじゃないがエルフ族は信用できないんだ」

大戦士「あとから聞いた話だけど、そのエルフ族の民は大型魔獣が暴れる時間帯を知っていて…」

大戦士「我々のいた隊に攻撃するよう、わざと仕向けたとも聞きましたから…」


鍛治長「…」


大戦士「そんな目にあっても、彼らを許すことは出来た。軍人としてもですが、エルフ族も同じ目にあってきたのだと思うとね」

大戦士「……ま、まぁ許すことは出来たけど、信用は出来ないのは変わることはないと思います」

大戦士「鍛治長殿、今のお話で彼らを村につれていけない理由としてよろしいでしょうか」


鍛治長「…」


剣士「…だ、大戦士兄」

大戦士「ん?」

 
剣士「何で、その話を俺らにも…」

大戦士「…君たちには、色々な世界を知ってほしいからさ」

剣士「世界を?」

大戦士「冒険者として旅立つなら、世界は光り輝いていることばかりではないという事を胸においておいてほしい」

剣士「…」


大戦士「冒険学校だけじゃなく、普通の学校でも"光"しか見せないところは多い」

大戦士「光には必ず影が出来る。闇がある」

大戦士「そして、生きることは光と闇を歩くことを繰り返す」

大戦士「…その闇の面の一部を、知っておいて欲しいと思ったんだよ」


剣士「…」

魔道士「大戦士先生…」

 
鍛冶長「…」

鍛冶長「……大戦士先生」


大戦士「はい」

…ペコッ

大戦士「!」

鍛冶長「…すまなかったな。同じ同族がやったこととして、謝らせていただく」

大戦士「やめて貰えませんか。頭を上げてください」

鍛冶長「…」

大戦士「何をされても、信用はしません。それだけですから」

鍛治長「…ただ、謝らずにはいられなかっただけじゃ…」

大戦士「…」

 
剣士「…」

剣士「…」

剣士「…」

剣士「…」

剣士「あーあっ!!アホくっさ!!」


魔道士「ちょ、ちょっと!?」

武道家「おい、剣士!」

僧侶「剣士くん!?」


剣士「大戦士兄も、意外と頭が固いんだねぇ。俺寄りだと思ってたけど、全然軍人寄りじゃん」

大戦士「どういうことかな?」ピクッ

 
剣士「平和、平和といってても、結局さ、エルフ族と人間の間じゃ戦争が続いてたってことだろ?」

剣士「つーか、今まで酷い事してたのに"これから仲良くしようね"なんて突然言われても、エルフたちは信用するはずないじゃん」

剣士「勝手に人間が決めて、エルフたちが"うん、もうケンカはしない"なんていうワケないし」


大戦士「それは分かっていたが…」


剣士「平和にしようとしたのは、人間だけ。エルフ族にとっては、当時、まだまだ戦争は続いてたんでしょ」

剣士「そこへ、のこのこと中央軍が派遣されて、それをチャンスとしたエルフ族が人間に戦いを仕掛けた」

剣士「大戦士兄は、戦争で人が死んだら"なんで殺した!"っていうの?」


大戦士「それは…」


剣士「今はどうかは知らないけど、こうしてジイチャンが人間のいる場所にいるってことは、当時よりは本当に平和ってことだし」

剣士「そのお礼をしたいってのは、本当の平和の一歩なんじゃないの?」

剣士「"時代が変わるって、誰かが犠牲になることの積み重ね"じゃん」

剣士「大戦士兄も自分を犠牲にしてエルフ族を守ったなら、ジイチャンは人間への気持ちを犠牲にしてココへ来た」

剣士「…二つの犠牲は、誰かが死んだを関係なしに、凄いことだと思う。それに応えようとは思わないの?」

 
鍛冶長「こ、小僧…」

大戦士「…ん、んーむ……」


剣士「…行ってもいいと思うな、ジイチャンの村へ」

大戦士「…」

剣士「いや、行くべきだと思うんだ」

大戦士「…」


剣士「やっぱり、だめか…?」

大戦士「お前ってやつは、たまたま心に響くようなことを言ってくるんだよな」

剣士「…」

 
大戦士「…」

大戦士「…」

大戦士「…」

大戦士「…はぁ」

大戦士「危険だと思ったら、すぐに戻るぞ。いや、村の様子を見て…入る前に戻る。いいか」


剣士「…!」


大戦士「では…、そういうことです。鍛冶長殿、今すぐ馬車を呼んでくるのでお待ちください」

鍛冶長「…いいのか?」

 
大戦士「…ちょっとだけ考えが変わっただけです」

大戦士「気が変わらないうちに、馬車を呼んできますよ」

大戦士「……はは、あいつらに会ったら、全力で土下座せにゃならないな」ボソッ


鍛治長「んむ…」


タッタッタッタッ…

………

 
魔道士「…」

魔道士「ねぇ…剣士」


剣士「ん?」

魔道士「剣士の言ってる意味もすごい分かるけど、大戦士先生に対して、あんな強気じゃダメだと思う」

剣士「…何で?」


魔道士「もし私たち…、同級生や先生たちが当時の軍の、同じようなクエストを受注したとして…」

魔道士「そのクエストの最中に、守るべき相手から火を放たれて…」

魔道士「剣士以外の全員が死んじゃったとしたら…、どんな気持ちなる」

魔道士「私や武道家、僧侶。乙女格闘家、魔術賢者…冒険先生、少戦士、大戦士兄…、みんなが死んだら」


剣士「う…」


魔道士「きっと軍人さんだった大戦士先生は、戦いを経て、私らが想像もつかないくらいの強い絆で結ばれてた仲間だったと思う」

魔道士「それが、守ろうとしてた味方に背中から矢を打たれたの。そして、全てを失った。…どんな気持ちか、考えてみて」

 
剣士「……そ、そうか」

剣士「大戦士兄に言葉を言うばかりで、そんなこと考えもしなかった…」

剣士「…じゃあ、大戦士兄は…そのうえで…、あんな軽く俺の意見を受け入れたのか…」


魔道士「そうだと思う。やっぱり普段はとぼけてても…、大戦士先生は大人なんだよ。凄い立派な、戦士なんだよ」

剣士「…」


魔道士「…」

剣士「…」

武道家「…」

僧侶「…」


剣士「俺、子供じゃん…。バカじゃん…。何言ってんだろ…」

魔道士「あっ…。で、でも!剣士の言うことも分からないわけじゃないんだからね?」

剣士「…っ」

 
鍛冶長「…ワシの一言が、すまなんだな。それとワシの同胞が…本当に迷惑をかけた」

魔道士「あっ。そ…そんなつもりじゃ…」

鍛冶長「いいんじゃ」

魔道士「…」


剣士「…じ、ジイチャン!だったらさ、俺は心開いて仲良くすっから…、な!ここからでも!」

鍛冶長「小僧…」


剣士「悔しいけど、本当に経験も浅いし…どういえばいいか分かんないけどさ…」

剣士「俺は、そういう話を聞いても…仲良くしたいと思う!」

剣士「仲間を殺されてないバカな俺の意見だけど…、大戦士兄とか当時の人らに怒られるかもしんないけど……」

剣士「分かんないなら、分かんないでいいから、分かんないからこそ…仲良く出来ると思う……」


鍛治長「…」

鍛冶長「は…はっはっは!なんじゃ、その理論は」


剣士「…」

 
鍛冶長「…大戦士先生とやらに、村へ入るかどうかの許可はきちんと聞け」

鍛冶長「とにかくワシは、お前らを歓迎する。大事な村の子を助けられた、その気持ちは忘れぬよ」


剣士「…ジイチャン」


パカッパカッパカッパカッ…!!


武道家「っと…馬車が来たみたいだぜ」

剣士「行こうか…」

魔道士「…どうなるのかな」

僧侶「…少し、不安だけど」


剣士(大戦士兄に…、謝らないと…)


………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数時間後 西海岸村(エルフ族の村) 】


パカッパカッパカッ…ズザザァ…

馬車商人「つ、ついたよ。さっさと用事を済ませてくれ…」


大戦士「すまんな。余計に払う」チャリンッ

馬車商人「か、金なんかさっきたっぷり受け取ってるだろ!早く帰りたいんだ!」

大戦士「…すまんな」

モゾモゾ…ストンッ


剣士「ここが、エルフ族の村か」

 
サァァァッ…ソヨソヨ…

剣士「ん…土がいい匂いだ。風が気持ちいいな」

武道家「なんか村って感じがするな。見ろよ、水車が回ってるぜ」

僧侶「のどかな感じで、こういうところに住みたいなぁって少し思っちゃった」

魔道士「本当にきれいな村…」


鍛冶長「…まだ村には入らないでくれるかの。ちょっと待っとれ」

タッタッタッ……


剣士「…さて、大戦士兄はどう思う?」

大戦士「俺としては、あまり歓迎されないと思うね…」

剣士「…そ、そうだよな」

大戦士「……ん?そのセリフお前らしくないな。"そんな事ねえだろ!"とか、言うと思ったが」

 
剣士「い、いいよ…」

大戦士「…?」


魔道士「そ、そういえば!今日は少戦士くんはどうしたんですか?」

大戦士「今日は別のパーティと行動してるよ」

魔道士「あ、そうなんですか」


ザッザッザッ…

鍛冶長「…おおい、こっちだ!ワシの家に来い!」


剣士「…だってよ」

大戦士「行ってみるか」

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 鍛冶長の鍛冶工房 】

カーン…カーン…!

鍛冶長「いらっしゃい、ここが家じゃ」

剣士「…あっ!そうか、ジイチャンは鍛冶屋か!」


鍛冶長「武具よりも、クワやスコップなどの日用道具を作ってるほうが多いけどの」ハハハ

鍛冶長「熱気が凄いじゃろ。部屋は…こっちじゃ」


トコトコトコ…

 
大戦士「…」キョロキョロ

剣士「大戦士兄?」

大戦士「エルフ族も立派だなと思ってね。置いてある道具の手入れはしてあるし、作ってあるモノも一級品しかないよ」

鍛冶長「はっはっは、ありがとうの」


…ザッ

職人エルフ「…おい、待て」

鍛冶長「…む」

職人エルフ「親父、こんな奴連れてきて何してんだよ。余所者…人間だろコイツら」ギロッ


大戦士「…こちらの方は」

鍛冶長「ワシの息子じゃ。ワシが半ば引退しとるしの…、この工房は息子に任せているんじゃ」

 
職人エルフ「ご紹介にあずかり、どーも。だが、人間の来るとこじゃねえよココは」

鍛冶長「…ワシらの村の、幼エルフを救ってくれた一行じゃ。礼はするべきじゃろ」

職人エルフ「何?幼エルフの?」

鍛冶長「今朝方、この村へ戻ってきたんじゃろ?」

職人エルフ「…確かに、戻ってきたが」

鍛冶長「お礼はするべきじゃろ」

職人エルフ「…人間がさらい、人間の助けで戻った。それだけで半々だろ。礼はしなくていい」

鍛冶長「…ワシも届けてもらったんじゃが?」


職人エルフ「…っ」

職人エルフ「勝手にしろ!」

タッタッタッタッ…

 
鍛冶長「…すまんな、みんな」


大戦士「いえ…」

剣士「気にするなよ。っていうか、俺らがいていいのか…?」

魔道士「あまり鍛冶長さんの立場的にも、よくないんじゃ…」


鍛冶長「息子は、子供の時から人間を敵視することを教えられてきた」

鍛冶長「もういい歳だというのに、今更…考え方が変わらないのじゃろう」

鍛冶長「それより、客室へあがってくれ。少々、ここは今のワシにとっても、君らにとっても暑すぎる…」

………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…コトン

メイドエルフ「特製のアイスドリンクです。砂糖はお好みで…」ペコッ

カツカツカツ…ガチャッ、バタンッ


剣士「じ、ジイチャン…メイドさん雇ってんのかよ。金持ちだな」

魔道士「すっ~~~っごく、キレイだった…。何あの足の長さとか、美白さ!反則~!!」

武道家「やべぇな…エルフ族」

僧侶「でも、メイドさんは僕らを敵視はしてなかったね?」

 
鍛冶長「今の若い子らは、あまり人間を敵だ!とは思ってないようでのぉ」

鍛冶長「昔ほど、人間に対しての敵心を植え付ける教育もせんし…」

鍛冶長「"昔悪い事をされた"くらいしか思ってないんじゃないだろうかの?」


大戦士「…そ、それは初耳です。我々は、エルフ族全体がいまだに恨みをもってるのかと」


鍛冶長「ワシの息子の世代が一番、人間を敵視をしているんじゃ。そう教えたからの…」

鍛治長「じゃが、更にうえのワシらの世代は、過去の事として扱い、もう気にしてはいない」


大戦士「…!」


鍛冶長「大戦士先生が現役のころは、ワシやワシの息子らが人間に対しもっとも恨みを持っていた時期にあたろう」

鍛冶長「あなたたちの悲劇は、それが重なっていた…。すまなんだ…」


大戦士「…」

 
…グビッ

剣士「…う、うまぁっ!!」

武道家「うお、うめぇ!?」プハッ

魔道士「すごく濃厚なのに、喉に残らない飲みやすさで、甘くて…!」

僧侶「なんか身体も涼しくなってきた気がする!」


鍛冶長「はは、旨いと言ってくれると嬉しいのう」


コトッ…ゴクンッ

大戦士「…うまい」

 
鍛冶長「まぁそれは軽いお持て成しじゃ。本当のお礼は別にあるから安心してくれ」

剣士「本当のお礼?」


鍛冶長「…ワシはこれでも老いぼれたとはいえ、鍛冶屋の長」

鍛冶長「礼に、特製の武器を造ろうと思うが、どうかの?」


剣士「!」

鍛冶長「もちろん小僧だけでなく、その仲間もな」ニカッ

剣士「そ、そりゃちょっと嬉しい話でー…!」


大戦士「ま…、待ってください!」バッ

鍛治長「む?」

剣士「ど、どうしたんだ大戦士兄」

 
大戦士「え、エルフ族の鍛冶技術で人間の武器を…!?」

剣士「そんな驚くことなのか?」


大戦士「当たり前だ!エルフ族特有の魔の濃い血を持つその腕は、その武具も見事なものなんだ」 
 
大戦士「人間には決して出来ない、魔力輝く武器を打つことが出来る。だ、だが…それは…」


鍛冶長「…人間に求められ、エルフ族がいくら非道をされても…決して人間にはその腕を振るうことはなかった…かの?」

大戦士「そうです!こ、この子らは確かに村の子を救いました!し、しかし!」

鍛冶長「お互いがいがみ合うのは好きじゃなくてのぉ。ワシはワシが生きているうちに、少しでもしがらみを…」


…ガチャッ!!

職人エルフ「…おい!!親父!!」

鍛冶長「…」

職人エルフ「やはり心配して聞いていれば…!聞こえたぞ!今、なんつった!?」

鍛冶長「やれやれ、聞き耳をたててたのかの?ま、その言葉通りじゃが?」

 
職人エルフ「…っざけるなよ、俺らの魂の結晶を、たった一人の村の同胞を救ったくらいで渡すことはねぇだろ!」

鍛冶長「たかだか、武器くらいで何を言うか。その結晶は、非道の時代にとっくに人間に奪われておるわ」


職人エルフ「それとこれは違う!誇りあるエルフ族が、人間に善意で造るのが問題だと言ってるんだ!」


鍛冶長「それではいつまでたっても、人間との平穏は生まれぬぞ?」

職人エルフ「それでいいだろ!人間とエルフは分かり合えないんだよ!」

鍛冶長「分かり合えないと思っているからじゃろ。お前、初めて鍛冶をした時に言った言葉を覚えているか?」

職人エルフ「…小さい頃のことなんか、覚えてねえよ」

鍛冶長「"鍛冶なんか出来ない。エルフ族の血なんか、分かるわけない"…じゃ」

職人エルフ「!」

 
鍛冶長「ところがどうだ、お前は今や、ワシを継ぐほどの立派な鍛冶師となった」

鍛冶長「それはどういう事じゃろうか」

鍛冶長「人間と分かり合えない…。その言葉と、今のお前。比べてみるがいい」


職人エルフ「ぜ…、全然関係なんかねぇよ!!くそっ!!」

ガチャッ…バタンッ!!


鍛冶長「やれやれ」

剣士「…ジイチャン、本当にいいのか?」

鍛冶長「気にするな。お前さんが、お礼を受けたいと一番に言っていたんじゃないかね?」

剣士「そ、そりゃそうだけど…」

鍛冶長「だったら責任を持て」

剣士「うっ…」

 
鍛冶長「ここがどういう場所かは、大戦士先生の話を聞いて分かっていたはず」

鍛冶長「そしてワシが、お前らに武器を作るという意味も…まだ若き心で重く考えろとは言わぬ」

鍛冶長「じゃが…、息子が言っていた"魂"は本物。それだけは胸に留めておいてくれ」


剣士「…」


大戦士「そこまで言われたら、自分は何も言えません…」

大戦士「この話、有難く頂戴致します。願わくば、この子らの未来にエルフ族との友好の兆しとならんことを」


鍛冶長「こちらこそ、じゃ」

鍛冶長「どれ…、少し部屋で待っておいてくれ。準備が終わったら、ワシらの魂を打つ様を…見せたいからの」ニコッ

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コチ…コチ…


大戦士「…参った。こんな事になるとは」

剣士「やっぱり、そんな凄い事なんだな…」

大戦士「のんびりはしていたが、これはとんでもない事だぞ。あの爺さん、よっぽどクセ者だ…」ハァ


魔道士「エルフ族の武具って、そこまで凄いものなんですか?」


大戦士「エルフ族の鍛冶師は、その魔力を武具へと自然と打ち込む技術を持っている」

大戦士「人間にもできなくはないが、元々体内に宿す魔力純度や性質が異なっていて、彼らほどのものはできないんだ」


魔道士「へぇ…」

 
大戦士「彼らの武具や道具を巡って、奴隷狩りの他にも山賊紛いの面子が当時は多くてね」

大戦士「貴重だった武器や防具は、その時に多く紛失されているし…」

大戦士「エルフ族への危害が大きく規制された今、山賊も減り、裏のオークションには高値で出品されてるんだよ」


武道家「…そんな物を、俺らに?」

僧侶「せ、責任重大っていうか…」


大戦士「それに、彼らが言った"魂"を渡すという事はそのまんまの通りさ」

大戦士「エルフ族にとって、数少ない…人間とは異なる証拠だからね」


剣士「異なる証拠?」


大戦士「宿す魔力の感覚や、その美しさだけでエルフ族と分かるけど」

大戦士「生活や、その基本の容姿は人間とはほとんど変わらない。なのに、人間に一方的に暴力をされてきた」

大戦士「だから、エルフ族は"人間"と"エルフ"の差として、唯一象徴としていたのが魔の道具だった」

大戦士「つまり…エルフ族の"魂"」

大戦士「それを人間の為に造る、渡す。それがどれほどの事か…わかるだろう?」

 
剣士「…」

魔道士「は、はい…」

武道家「…」

僧侶「魂、ですか…」


大戦士「本当に平和への第一歩となればいいが、不安でしかたないのが本音だ」

剣士「…っ」

大戦士「…その武具が似合う、素晴らしい人間になってくれることを願うよ」


剣士「…」コクン

魔道士「はいっ」

武道家「…わかった」

僧侶「ど、努力します…!」

 
剣士「…」

剣士「…そうだ、大戦士兄」


大戦士「なんだい?」

剣士「さ、さっきはゴメン…なさい。あんな分かったふうな口を利いて…」

大戦士「さっき?」

剣士「その…、大戦士兄の仲間を、過去のことだと引きずるなとかみたいに…」

大戦士「あぁ…」

剣士「…ごめん…なさい」


大戦士「…」フゥ

大戦士「なんだ、お前らしくもないな!」ハッハッハ

 
剣士「え…」

大戦士「確かに、時代は変わるものかもしれないと思えただけだ」

剣士「だけど…」

大戦士「思った以上に、お前の言葉も響いてね。それだけだ、気にするんじゃないぞ」

剣士「…だ、だけどさ!」

…グニッ

剣士「あいでででっ!?」


大戦士「謝るな。お前の言葉は俺に響いたといっただろう?お前が俺の心を揺さぶったんだ」

大戦士「それに、お前は謝るようなキャラか?」ハハッ


剣士「だ、だけどよぉ…」ズキズキ

 
大戦士「お前は謝るくらいなら、俺を見返すくらいの人間になれるよう、いつもみたく前向きにいけ」

剣士「み、見返す?」

大戦士「お前がエルフ族と人間の平和の礎となって、俺に"どうだ、俺が正しかっただろ!"と笑って見せろ」

剣士「…っ」


大戦士「その努力をしてもダメだったら、謝るくらいでいいんじゃないか?」

剣士「ぐぬ…」

大戦士「だから、気にするな。わかったか?」


剣士(…武装のオッサンといい、大戦士兄といい…。何でこう…!)

 
ドタドタドタ…!!

…ガチャッ!!

鍛冶長「…お、お前さんがた!」


大戦士「あ、鍛冶長殿…ご苦労さまです」ペコッ

鍛冶長「挨拶はいい!それより、ちょっと大変な事が起きての!」

大戦士「…はい?」

鍛冶長「とりあえず来てくれるかの!」

大戦士「は、はい」ダッ

タッタッタッタッ…

 
剣士「何だ?」

魔道士「…さ、さぁ」

武道家「とりあえず俺らも行ってみよう」

僧侶「だね」


…………
……

本日はここまでです。
次回、修学旅行編の終了に伴い、スレの移動を予定しております。

それでは、有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 村の入口付近 】


ザワザワ…


魔道士「わっ…、武装した若いエルフたちいっぱいがいる…」

大戦士「みんな、一応俺の後ろに」バッ


鍛冶長「みなのもの、静まれ!」


エルフ兵士たち「…鍛冶長」

エルフ兵士たち「さっきの話、本当ですか?」

エルフ兵士たち「というか、その後ろの奴ら…、人間では!?」

 
鍛冶長「…さっき話をした、幼エルフを救ってくれた恩人たちじゃ」


エルフ兵士たち「あ、そうでしたか。これは失礼しました」ペコッ

エルフ兵士たち「実はあの子は、ずっと遊んでいた子で…有難うございました」

エルフ兵士たち「人間もやはり、捨てたものではないということですな」

ガヤガヤ…


大戦士「…これは」


鍛冶長「兵士たちは、さっきのメイドと一緒くらいの歳の、村の護衛を担っている兵士たちじゃ」

鍛治長「さっき、人間への気持ちは落ち着いていると言ったじゃろ?」


大戦士「し、信じられませんよ…」

 
鍛冶長「それよか、大事な話じゃ。さっき、ワシらが乗って来た馬車があったろう」

大戦士「は、はい。確か…向こう側で待機させてましたね」

鍛冶長「…実は、ここに待機するのが嫌で逃げたようなんじゃが…」

大戦士「げっ…!」

鍛冶長「その際に、どうやら魔獣とぶつかってしまったらしくてのう…」

大戦士「魔獣ですか?」


鍛冶長「ワシらが近づかない魔獣の巣のルートを通ったらしく…」

鍛治長「臭いを辿って、魔獣の集団がこちらに向ってるようなのじゃ」


大戦士「なっ…!」

鍛冶長「今、先遣で状態を見に行かせたが…」


パカッパカッパカッパカッ!!

エルフ兵士「鍛冶長殿~!」


鍛冶長「…丁度帰ってきたの」

 
エルフ兵士「報告します!ここから数キロ先、大百足の魔獣の集団がこちらへ押し寄せております!」

鍛冶長「やはりか…」

大戦士「…っ」

鍛冶長「お礼をするつもりが、こんな事に巻き込んですまなんだ…。是非、手を貸して頂けないだろうか」ペコッ


大戦士「あの馬車を呼んだのは自分です。自分にも責任があるでしょう…」

大戦士「少しでもお力になれるなら、この腕を貸しましょう。いえ、やらせてください」


鍛冶長「心から礼を言わせていただく…!」


剣士「じゃあ、俺の出番ってことでもあるわけじゃなーい?」チャキッ

魔道士「私は後ろから支援しよう…」

武道家「任せろ!」スパァンッ!

僧侶「ひ、ヒールなら!」

 
大戦士「お、おいおい。お前らは部屋の中で…」

剣士「…百足如きで、俺らがやられると思ってるのか?」

大戦士「ただのムカデじゃないんだがな…」

剣士「大丈夫だっつーの!」

大戦士「…危険だと思ったら、下がるんだぞ」

剣士「承知!」


鍛冶長「はっはっは、頼もしい小僧らじゃの」


ゴッ…ゴォォォオ…!!!

 
剣士「…何の音だ?」

大戦士「魔獣の足音だな。地を這うようにして、風を切り、耳へと届いているんだ」

剣士「…」

大戦士「ほら、来たぞ。目を凝らしてよく見ろ」

剣士「む…」


ゴォォォォ…!!ガサッ…ガサガサガサッ!!


剣士「あ、みえた!!…け、けど…」ヒクッ


魔道士「え゛っ…」

武道家「げっ…」

僧侶「き…ぎもぢわるぃ…」

 
大百足たち『…ッ!!』

ガサガサガサガサ…!!


剣士「む、ムカデをそのまんまデッカくしただけじゃねえか!なんだあれ!!」

大戦士「だから大百足だと言っただろう」チャキンッ

剣士「で、でかすぎんだろ!つーか、集団でマジで来てやがるし!」


大百足『…』

大百足『…』

大百足『…』

ガサガサガサガサ…ッ!!!

 
エルフ兵長「全員、武器を構え!魔法を使えるものは、準備!」バッ

エルフ魔術師たち「はっ!」パァッ

エルフ兵士たち「準備完了!」チャキッ


剣士「うお…」

大戦士「4人とも、良い経験になるぞ。しっかりこの空気だけでも、覚えておくんだ」

剣士「…わ、わかった」

武道家「ういっす」

魔道士「わかりました…」

僧侶「はいっ」

 
エルフ兵長「魔法…うてぇー!!!」 

エルフ魔術師たち「大火炎魔法っ!!」パァッ!

ボッ…ボォォォオッ!!!ドゴォンッ!!ズドォォンッ!!


大百足『…!』

ガサガサガサガサ…!!


剣士「ぜ、全然ひるまねぇぞ!」

大戦士「剣士、武道家。あいつらと対峙しても、口の前には身体を出すな。足を狙うんだ」

剣士「わかった」

武道家「うむ」


大戦士「下手をすれば一瞬で噛み千切られる。相応の覚悟で行くんだな」

剣士「…ッ」

武道家「そ、そんなになのね…」

 
大戦士「ふむ。では…」スゥゥ

大戦士「…」

大戦士「……エルフ族の者たちよ!!!」ビリビリ


剣士「…うおっ!」ビリビリッ

魔道士「す、凄い声と迫力…!」キーン

武道家「大戦士サンの本気を見られるのか…?」

僧侶「…ッ」ドキドキ


大戦士「ここは先に私が行かせてもらおうと思う!!」ビリビリ

大戦士「元々、これは私らが引き起こしたのと同じこと!その責任は自ら負わせてもらう!!」


エルフ兵士長「…!」

エルフ兵士たち「おぉ…」

剣士「か、かっけぇ…!」

 
大戦士「剣士、武道家」

大戦士「もし先陣の俺から抜け出た大百足がいたら、お前らはここでエルフ兵士の邪魔にならないように、上手く戦えよ」

大戦士「…今のお前らならできるはずだ」ポン


剣士「わかった」コクン

武道家「任せてくれ」コクン


大戦士「…肉体鋼鉄化魔法!!敏捷化魔法!!大攻撃増大魔法っ!!」

パッ…パァァァッ!!!

ビキビキビキッ…!!


大戦士「…うっしゃあ!!」

ダッ…ダダダダダダダッ!!!ビュウゥゥオオオッ!!


剣士「!」

武道家「早っ…!」

 
ズザザザァ…ググッ

大戦士「ふんっ!!」

…タァァンッ!!!ビュオオッッ!!


鍛冶長「な、何て高さの飛翔じゃ…!」

エルフ兵士たち「す、すげぇ!どんな脚力してるんだ!」


大戦士「…大…水流魔法っ!!」パァッ!

ザッ…ザボォォォンッ!!!


大百足たち『…ギッ!!』ギロッ

 
大戦士「…大、雷撃魔法ぉぉっ!!!」パァァッ!!

バチッ…バチバチバチバチィィッ!!ズ、ズドォォンッ!!!

大百足たち『…ッッ!!!』

ドシャッ…ドシャドシャアッ…!!


剣士「うおお!すげぇ…!!」

武道家「はは…、あんなに強かったのかよあの人…」

魔道士「魔術師でも何でもないのに…。あそこまで魔法を極められるものなの…?」

僧侶「まるで水の大砲に、雷の雨…。しっかり弱点属性も抑えてるし…」


大戦士「…仕上げますかね」ニヤッ

ググググッ…!!

 
剣士「!」

武道家「お、おい!あれって!」

魔道士「剣士の構えのやつ!」

僧侶「…空中から!?」


大戦士「おりゃあああっ!!!」


ズ…トゴオォォォォオオンッ!!!!


大百足たち『ギィィィ!』

ドシャ…ドシャドシャッ…

 
大戦士「…っし!」チャキンッ


鍛冶長「お…」

エルフ兵士たち「あれ、全部…倒した…?」

エルフ魔術師たち「あっ…!」


ウオ……ウオォォォオッッ!!

エルフ兵士長「す、凄すぎる!?」

エルフ兵士たち「何だ、あの人間!一人で村を守ってくれたぞ!」

エルフ魔術師たち「私らの出番、ほとんどなかったですね!」

ワイワイ…!!

剣士「す、すげぇ…結局、全部一人で倒しちまったじゃねえか…」

武道家「あれが…大戦士さん…」

魔道士「物理も魔法も、一級品。大戦士の称号を持つ人…」

僧侶「世界トップに匹敵する勲章を持った、僕らの先生…!」

 
大戦士「あら、全部倒しちゃったか?」キョロキョロ

大戦士「全員喜んでるようだけど、こういうときって大抵ー…」


大百足『…』ピクッ

ガサッ…ガサガサガサガサッ!!!


大戦士「…だよな。一匹だけ向かったぞ!!」


剣士「おっ!?」

武道家「来たか!」

魔道士「わ、私だって!」パァッ

僧侶「僕も!」パァッ!

 
大百足『…ッ』


ガサガサガサガサガサ…!!


大百足『…?』ピクッ

ズザザ…、グリンッ!


剣士「あれ…方向転換?」


大百足『…!』

ガサ、ガサガサガサガサッ!!


剣士「何だ?村の横にそれていくぞ?」

武道家「怖気づいたのか?」

僧侶「そうなのかな。……って、あっ!?あれ見て!!」

魔道士「…あぁっ!!」