エイラ「今度の訓練でドッグファイトやるのカー」芳佳「ドッグファイト?」 (146)

501基地 廊下

エイラ「お、宮藤。今、訓練終わりか?」

芳佳「はい。それより、ドッグファイトってなんですか?」

エイラ「なんだよ、航空団にいるのにドッグファイトがなんなのか知らないのか?」

芳佳「は、はい。すみません……。できれば、教えてくれませんか?」

エイラ「……ま、読んで字の如くダナ。この掲示板の貼り紙を見れば分かるだろ」

芳佳「読んで字の如く……。そのままの意味ですか?」

エイラ「ソウダ」

芳佳「へぇー。でも、訓練ってことは……」

エイラ「この訓練は自由参加って書いてるけど、宮藤の参加は決定済みだかんな。ドッグなんだし」

芳佳「えー!? それって坂本さんやハルトマンさんやバルクホルンさんと戦うってことですか!?」

エイラ「ソウダゾー」

芳佳「そんなぁ……怪我しちゃいますよぉ……」

エイラ(こいつ、相変わらずカワイイナー。素直で)

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芳佳「エイラさん、この訓練辞退できないんですか?」

エイラ「無理じゃないか? ドッグファイトだし」

芳佳「うぅ……」

エイラ「まぁ、死ぬようなことはないって」

芳佳「あのぉ」

エイラ「どうした?」

芳佳「どういうことするんですか? あ、戦うことは分かるんですけど……」

エイラ「そうだなぁ。犬が相手の尻尾を追いかけ回すところからきてるから……」

芳佳「追いかけっこするんですか? それならまだ……」

エイラ「なにいってんだ。そんなに甘いもんじゃないぞ。何せ訓練だからな」

芳佳「え!? な、なら一体……!!」

エイラ「そうだなぁ……うーん……。そうだ。より、犬らしくなったほうの勝ちなんてドウダ? 面白そうじゃないか?」

芳佳「い、犬になりきるんですか!?」

エイラ「ああ。想像しただけでなんか楽しくなってこないか?」

芳佳「うーん……そうですか……?」

エイラ「それか縄張りの奪い合いなんてのをするんだ。マーキングとかしてな」

芳佳「マ、マーキング!?」

エイラ「うん。結構、良い感じダナ」

芳佳「全然、そうは思えませんよぉ」

エイラ「そうか? 私は良いと思うけどな」

芳佳「どっちにしても私が坂本さんたちに勝てる見込みがないじゃないですか」

エイラ「そんなことないって。この条件なら宮藤だって十分戦えるダロ?」

芳佳「難しいような……」

エイラ「あははは。ま、がんばれよ」

芳佳「はい……。私は参加しなきゃいけないんですもんね……」

エイラ「大変だなー」

芳佳「ホントに……」

エイラ「……」

芳佳「……それでは失礼します」

エイラ(……アレ? 宮藤のやつ、冗談だって気づいてないのか? いや、今の会話で気づいてないなんてそんなわけナイヨナ。ウン)

食堂

エーリカ「トゥルーデー。掲示板みたー?」

バルクホルン「ああ。ドッグファイトだろう? 今回も私は参加する」

エーリカ「だよねー。まぁ、参加する面子はいつも同じだけど」

バルクホルン「それは分からないぞ。なぁ、シャーリー?」

シャーリー「いやだよ。またハルトマンにイジメられるだけになるんだから」

エーリカ「そんなことしないってー」

シャーリー「ハルトマンにとってはペイント弾のぶつけ合いなんだろうけどさぁ」

バルクホルン「ふん。逃げるのか。情けないリベリアンめ」

シャーリー「そんな安い挑発にはのらない」

エーリカ「ってことは、今回は私とトゥルーデと……」

バルクホルン「少佐とペリーヌぐらいだろうな」

エーリカ「結局、一緒かぁ。宮藤とかリーネは参加しないかな?」

シャーリー「するわけないだろ」

バルクホルン「宮藤はないな」

芳佳「はぁ……どうしよう……」

エーリカ「おー。噂をすればみやふじぃ」

芳佳「あ、みなさん。お疲れ様です」

シャーリー「疲れるほど働いてないけどね」

バルクホルン「そうなのか? それは聞き捨てならないな」

シャーリー「おっと。余計なこといったな」

芳佳「あの、噂って?」

エーリカ「ああ、ドッグファイトに宮藤が参加するかなって」

芳佳「……しますよ」

エーリカ「……え?」

バルクホルン「なに!?」

シャーリー「おいおい。マジか?」

芳佳「少し怖いですけど……。でも、やります」

エーリカ「えー……」

バルクホルン「宮藤……。それでこそ扶桑の魔女だ。お前の志の高さには流石の私も敬服させざるを得ない」

芳佳「ただ、どうバルクホルンさんたちと戦えばいいかなって……」

バルクホルン「悩むことはない。お前の全てをぶつけてこい」

芳佳「す、全てをですか?」

バルクホルン「そうだ。訓練とは言え容赦はしない。いいな?」

芳佳「でも、少しぐらい手加減を……」

バルクホルン「甘えるな」

芳佳「え……」

バルクホルン「参加を決めたのなら甘えは許されない。私もハルトマンも少佐も相手がベテランだろうが新米だろうが全てをぶつける」

芳佳「そ、そんな!?」

バルクホルン「油断すれば、死にも繋がる。それがドッグファイトだ」

芳佳「えぇ……」

シャーリー「言いすぎだろ?」

エーリカ「まぁ、死ぬようなことはないと思うけど」

芳佳「……死ぬ気でやります」

バルクホルン「今から楽しみだ。期待している」

大浴場

芳佳「……」ブクブク

芳佳(どうしよう。いくら考えても私が坂本さんたちとまともに戦っているところがイメージできない……)

芳佳「誰かにアドバイスもらわないと……」

芳佳「誰がいいかな……。やっぱり坂本さん……。ううん。戦う相手に坂本さんが教えてくれるとも思えないし……。だったらエイラさん……?」

ルッキーニ「うにゃー!!!」テテテッ

芳佳「あ、ルッキーニちゃ――」

ルッキーニ「おっふろぉー!!!」ドボーン!!!

芳佳「わぷっ!?」

ルッキーニ「はぁー、サイコー!!」

芳佳「うぅ……」

ルッキーニ「あ、よしかぁ。入ってたんだぁ」ギュッ

芳佳「……ねえ、ルッキーニちゃんは……あ、ルッキーニちゃんだとキャットファイトになるのかな?」

ルッキーニ「んにゃ?」

芳佳「ルッキーニちゃんはキャットファイトしたことある?」

ルッキーニ「キャットファイト? なにそれ?」

芳佳「えっと、多分猫同士で戦うんだけど」

ルッキーニ「あぁ! ペリーヌとなら何回かあるよー」

芳佳「やっぱり!! そ、それで!?」

ルッキーニ「ひっどいんだよ。あたしがちょっと掃除サボったぐらいでさ、ペリーヌは中佐に報告するんだもんっ」

芳佳「そ、それから?」

ルッキーニ「でねでね。私もカチンときちゃって、そのままファイトしちゃった。体当たりしたり、ひっかいたり」

芳佳「ペリーヌさんはどうなったの!?」

ルッキーニ「そしたらペリーヌ泣いちゃって。少佐に止められたの。そこまでだぁーって」

芳佳「やっぱり引っかきあいになるんだね……」

ルッキーニ「シャーリーにも怒られて大変だったー」

芳佳「ねぇ、私が坂本さんやバルクホルンさんと戦う場合はどうしたらいいかな!?」

ルッキーニ「え? 戦うの?」

芳佳「うん。今度、そうなるの」

ルッキーニ「芳佳は戦う必要ないと思うけど?」

芳佳「どういうこと!?」

ルッキーニ「だってぇ、大尉も少佐も芳佳のこと大好きでしょ?」

芳佳「いや、でも、バルクホルンさんは容赦しないって言ってて……」

ルッキーニ「そんなの正面から戦おうとするから大変になるんだって」

芳佳「どういうこと?」

ルッキーニ「にひぃ。あたしもペリーヌと仲直りするときに使ったんだけどぉ……こうやって……」ギュッ

芳佳「な、なに?」

ルッキーニ「にゃはー」スリスリ

芳佳「ル、ルッキーニちゃん……ちょっと……」

ルッキーニ「芳佳のことだーいすきっ」

芳佳「えぇ!? 私も好きだけど!! そんな急に……!!」

ルッキーニ「どう? あたしとはもうケンカできないでしょー?」

芳佳「え……?」

ルッキーニ「こうやってくっついてね、大好きって言ってあげればファイトするようなこともないんだよ」

芳佳「……つまり戦う前に勝てってこと?」

ルッキーニ「そうそう」

芳佳「確かにそのほうが犬っぽいかも。それに噛み付き合いにならないし……」

ルッキーニ「噛み付くなんて怪我するじゃん」

芳佳「そうだよね。バルクホルンさんに噛み付かれたら怪我じゃすまないかも」

ルッキーニ「芳佳も早めにスリスリしておいたほうがいいよ。あたしのときもすぐスリスリしたからペリーヌも許してくれたし」

芳佳「そうなんだ……」

ルッキーニ「にゃはー。芳佳、スベスベー」スリスリ

芳佳(私に攻撃が来なくなるだけでも勝つチャンスが増えるかも……!!)

ルッキーニ「でも、こっちはざんねーん」モミモミ

芳佳(よぉし……!!!)

芳佳「ルッキーニちゃん!!」

ルッキーニ「あにゃ!?」

芳佳「ありがとう!! これでがんばってみる!!」

ルッキーニ「がんばれー!」

芳佳「うん!! ルッキーニちゃんのおかげで戦えるかも!!」

廊下

芳佳(でも、私なんかが抱きついてどれだけ効果があるんだろう。ルッキーニちゃんだからこそ有効だった手段ってことも……)

リーネ「ふんふーん」

芳佳「あ、リーネちゃん」

リーネ「芳佳ちゃん。よかったぁ。今から部屋に行こうと思ってたの。一緒に紅茶でもどうかなって思って」

芳佳(リーネちゃんに試してみようかな……。でも、リーネちゃんで試すなんて……)

リーネ「芳佳ちゃん、どうしたの?」

芳佳(でも、試してみないと不安だし……。うーん……。ごめん、リーネちゃん!! あとできちんと謝るから!!)

リーネ「芳佳ちゃん、もしかして迷惑だった――」

芳佳「リーネちゃんっ」ギュッ

リーネ「よ、芳佳ちゃん?」

芳佳「リーネちゃんのこと、大好き」スリスリ

リーネ「え……ど、どうしたの?」

芳佳「リーネちゃーん」スリスリ

リーネ「え、えっと……私も芳佳ちゃんのこと大好きだよ」ギュゥゥ

芳佳「リーネちゃん……」

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳(成功でいいのかな……?)

リーネ「あの、急にどうしたの?」

芳佳「ごめん、リーネちゃん。やっぱり気持ち悪いよね。こういうの」

リーネ「え? ううん。そんなことないよ」

芳佳「ホント?」

リーネ「だって、芳佳ちゃんだもん」

芳佳「そうなの?」

リーネ「芳佳ちゃんに抱きつかれて不快に思う人なんていないと思うよ」

芳佳「そうなんだぁ……。なら、上手くいくかな……」

リーネ「どういうこと?」

芳佳「坂本さんやバルクホルンにも同じことをして、何とか私に攻撃がこないようにしようと思って」

リーネ「どういうこと?」

芳佳「今度、戦うことになったから」

>>12訂正

芳佳「坂本さんやバルクホルンにも同じことをして、何とか私に攻撃がこないようにしようと思って」

リーネ「どういうこと?」

芳佳「今度、戦うことになったから」



芳佳「坂本さんやバルクホルンにも同じことをして、何とか私に攻撃がこないようにしようと思って」

リーネ「それって……」

芳佳「今度、戦うことになったんだ。坂本さんたちと」

リーネ「どうしてそんなことになったの!?」

芳佳「分からないけど、そうなってて……」

リーネ「危ないよ! 今から坂本少佐に言いにいこうよ!!」

芳佳「もう決まったことなんだ。だから、こうしてどうしたら戦えるんだろうって色々考えたの」

芳佳「ルッキーニちゃんに言われたことなんだけど、正面から戦っても私の実力だと大怪我をするだけ」

芳佳「でも、こうして抱きついてスリスリして大好きって言えば攻撃できなくなるらしいの」

リーネ「確かにできなくなるだろうけど……」

芳佳「ペリーヌさんはそれでルッキーニちゃんに攻撃できなくなったって言ったし」

リーネ「そうなんだ」

芳佳「ごめんね、リーネちゃん。リーネちゃんで実験しちゃって」

リーネ「ううん。気にしないで。そっか、芳佳ちゃんなりの作戦なんだ……」

芳佳「ただリーネちゃんは優しいからいいけど、バルクホルンさんやハルトマンさんに通用するかはわからないよね」

リーネ「大丈夫だよ。芳佳ちゃんならきっと」

芳佳「うん。ありがとう。リーネちゃんにそう言われたらいけそうな気がしてきた! がんばってみる!!」

リーネ「その意気だよ、芳佳ちゃん!」

エイラ「うーん……」

サーニャ「エイラ、どうしたの?」

エイラ「あ、サーニャ。今日、宮藤と話したか?」

サーニャ「ううん。今日は時間が合わなくて顔も見てないの。何かあった?」

エイラ「いや、私の冗談を真に受けてないかなーって」

サーニャ「……」

エイラ「いや!! 大したことじゃないんだ!! でも、あの宮藤だからちょっと心配になっててさぁ!!」

サーニャ「何を言ったの?」

エイラ「これ」

サーニャ「これはドッグファイト……?」

エイラ「ドッグファイトだから宮藤は強制参加だって言ったんだ」

サーニャ「……あ、犬だから」

エイラ「そうなんだ」

サーニャ「そうなんだ。そういう意味だったのね」

エイラ「……え?」

サーニャ「え?」

エイラ「サーニャ……えっと……」

サーニャ「どうかした?」

エイラ「犬だからドッグファイトって意味じゃないぞ?」

サーニャ「違うの? でも、今までもハルトマンさんとバルクホルンさんと坂本少佐ばかりが参加してるし……」

エイラ「……あー、そういえばソウダナ。いやいや、ペリーヌも参加してなかったか?」

サーニャ「シャーリーさんも前回は参加していたような気がするわ」

エイラ「ダロ? ふぅー。びっくりした」

サーニャ「だけど、最終的に残っているのは毎回同じ人よね?」

エイラ「中尉と大尉と少佐ダナ」

サーニャ「ほらっ」

エイラ「えぇー? そうなのか? これって、そういう意味だったのか?」

サーニャ「違うの?」

エイラ「空中戦闘の呼称だと思ってたんだけどなぁ」

サーニャ「私もよ」

食堂

芳佳(誰かいるかなぁ……)

ペリーヌ「はぁ……またあの訓練がありますわね……」

芳佳(ペリーヌさんだ)

ペリーヌ「今回こそは絶対に最後まで生き残ってみせますわ!! そして少佐に撃たれて散る!! これですわ!!」

芳佳「ペリーヌさん」

ペリーヌ「あ、あら。こほん。なんですの、宮藤さん。食事の時間は終わっていますでしょう?」

芳佳「もしかしてドッグファイトに参加するんですか?」

ペリーヌ「……バルクホルン大尉から聞きましたわよ、宮藤さん。あなたも参加されるとか」

芳佳「はい」

ペリーヌ「ふふふふ。身の程知らずもここまでくると清々しいですわね。貴女が参加しても満足に戦うこともできないでしょうに」

芳佳「えー? それはペリーヌさんも同じじゃないですか? むしろ、まだ私のほうが……」

ペリーヌ「な、なんですって!!! た、確かに毎度毎度ハルトマン中尉に開始30秒ほどでやられてしまいますけど、宮藤さんに劣っているなんてありえません!!!」

芳佳「だって、ペリーヌさんは猫だし……」

ペリーヌ「猫!? 猫だからなんだっていうの!?」

芳佳「だからハルトマンさんにも真っ先に狙われるんじゃ……」

ペリーヌ「う……。まぁ、最後に残るのは少佐と中尉ですが……」

芳佳「今回も参加するんですか?」

ペリーヌ「しますわよ?」

芳佳(だったら……)

ペリーヌ「まぁ、今回30秒で撃墜されてしまうのは宮藤さんでしょうけど。おーほほほ」

芳佳「ペリーヌさん」ギュッ

ペリーヌ「な、なんですの!? ちょっと!!」

芳佳「……私、ペリーヌさんのこと大好きです」スリスリ

ペリーヌ「はぁ!? な、なにをいって……!!」

芳佳「ペリーヌさーん」スリスリ

ペリーヌ「ちょ、ちょっと!! 離れなさい!! 怒りますわよ!?」

芳佳「えぇ……ど、どうしてですか……?」

ペリーヌ「え……だ、だって……それは……」

芳佳「ペリーヌさん、大好きですっ」ギュゥゥ

ペリーヌ「や、やめて!!」バッ

芳佳「あ……」

ペリーヌ「急になによ!? どういうつもりなんですの!?」

芳佳「あ、えっと……」

ペリーヌ「くっ……」

芳佳「ごめんなさい……。実は……」

ペリーヌ「い、言わなくて結構です!!」

芳佳「でも、説明したほうが……。こういうことってやっぱりダメですよね……」

ペリーヌ「だ、ダメってことはないけど……」

芳佳「そうなんですか!?」

ペリーヌ「い、いや、ダメかもしれないですけど、わたくしからはなんとも……その……」

芳佳「ペリーヌさん……?」

ペリーヌ「だから……あの……」

芳佳「はい」

ペリーヌ「うっ……。もう、バカー!!」タタタッ

美緒「ん?」

ペリーヌ「なによなによ!! 急に言われたって困るだけよ!!!」タタタッ

美緒「ペリーヌ、スクランブルでもないのに廊下を走るな」

ペリーヌ「さ、さかもと、しょうさぁ!?」

美緒「なにかあったか?」

ペリーヌ「うぅ……!! すみません!! しょうさぁー!!!」タタタッ

美緒「おい!! ペリーヌ!!」

ペリーヌ「わたくしはー!! わたくしはー!!! 少佐、一筋ですからぁー!!!」

美緒「……なんだ、あいつ?」

芳佳「ペリーヌさーん!!」

美緒「まてまて」ガシッ

芳佳「あ、坂本さん」

美緒「何があったんだ?」

芳佳「えっと……」

芳佳(ど、どうしよう……。坂本さんに言ったら、もう私が大怪我することは決定的になっちゃうよぉ……)

美緒「ペリーヌと喧嘩でもしたのか?」

芳佳「いえ、そうじゃなくて……」

美緒「ならばなんだ?」

芳佳「……」ギュッ

美緒「なんだ?」

芳佳「坂本さん……」

美緒「宮藤?」

芳佳「大好きです……」スリスリ

美緒「……」

芳佳「……」スリスリ

美緒「お前、何か誤魔化してないか?」

芳佳「いえ、そんなことはないです」

美緒「まぁ、いい。ペリーヌのことは早めに解決するようにな。それよりも、宮藤?」

芳佳「はい、なんですか?」

美緒「ドッグファイトのメンバーには登録しておいたからな。やる気満々らしいが本当か?」

芳佳「はい。勿論です」

美緒「そうか。お前の性格を考えればこういうことには関心がないと思っていたがな」

芳佳「いえ。参加すると決まった以上、全力で戦います」

美緒「成長したな、宮藤」

芳佳「だけど、こんな私が坂本さんやハルトマンさんとまともに戦えるわけがないのも承知しています」

美緒「……」

芳佳「だから、私は私の戦い方でがんばろうと思います!!」

美緒「いい心がけだぞ、宮藤。そうだ。時として正面からでは絶対に超えられない壁というのもあるだろう」

美緒「そのときは馬鹿正直に前から突破を試みる必要などどこにもない。どのような策でも労して勝利を掴み取れ。戦場ではどのような姿でも最後まで立っていた者が勝者だ」

芳佳「はい! がんばります!!」

美緒「はっはっはっは。宮藤ににそこまでの根性があったとは。私は嬉しいぞ」

芳佳「坂本さーん」ギュッ

美緒「どうした?」

芳佳「大好きです」スリスリ

美緒「そうか。そろそろ消灯時間だ。部屋に戻れよ」

翌日 通路

ミーナ「そう。宮藤さんは本気なのね」

美緒「奴の決意は固かった。我々に勝つ算段も既にしているようだ」

ミーナ「あの宮藤さんが……。少し驚きね」

美緒「あいつはいつも私を驚かせてくれる。だからこそ、ここにいるのだがな」

ミーナ「ふふっ。そうね」

美緒「しかし、本番ではこちらも手加減ができない場合もある。万が一の備えは必要だろうな」

ミーナ「わかっているわ。そちらは考えておくから」

美緒「すまんな」

ミーナ「気にしないで」

美緒「それにしても宮藤の作戦とはなんだろうな。楽しみだ」

ミーナ「美緒、楽しそうね」

美緒「楽しくもなるさ。あの宮藤が全力でぶつかってきてくれるのだからな」

ミーナ「宮藤さんのことだから武器を持たずに戦おうとするのかもね」

美緒「はっはっはっは! それができるのなら是非ともこの目で見てみたな」

食堂

エーリカ「おはよー」

シャーリー「おー」

ルッキーニ「ごっはーん!」

リーネ「ルッキーニちゃん、どうぞ」

ルッキーニ「にゃはー! ありがと!

バルクホルン「ん? リーネ、宮藤はどうした?」

リーネ「え? あれ、さっきまで居たんですけど……」

バルクホルン「そうか。寝坊でなければいいが」

エーリカ「あそこの物陰からチラチラ様子伺ってるの宮藤じゃない?」

バルクホルン「なに?」

芳佳「……」ソーッ

シャーリー「なにやってんだ、あいつ?」

ルッキーニ「いっただっきまーすっ!」

リーネ「芳佳ちゃん……」

バルクホルン「おい、宮藤。何をしているんだ。こっちにこい」

芳佳「あのー、バルクホルンさん」

バルクホルン「早く席に着け」

芳佳「ちょ、ちょっとこちらに来てもらえませんか?」

バルクホルン「何か相談事か?」

シャーリー「おっ。何でも言ってくれて構わないけど?」

エーリカ「よかったじゃん、トゥルーデ」

バルクホルン「何が良かったんだ?」

芳佳「あ、あの、バルクホルンさんだけに……その……」モジモジ

バルクホルン「私にだけ?」

芳佳「はい……」

バルクホルン「……」

エーリカ「いってあげなよ、折角のご指名なんだし」

バルクホルン「仕方ない。食事前だから手短にな」

芳佳「ありがとうございます! で、では、こっちに……」

通路

ペリーヌ「はぁ……はぁ……」タタタッ

ペリーヌ「わたくしとしたことが寝坊してしまうなんて!! それもこれもあの豆狸がおかしなことを言ってきたからですわ!!」

ペリーヌ(でも、わたくし……宮藤さんに特別優しくした覚えはないですし……むしろ嫌われるような言動しか……)

ペリーヌ(それは宮藤さんが少佐といつもいつもベタベタしているからで……)

ペリーヌ「あぁ! もう! どうしてわたくしがあんな豆狸のことを考えなければ……!!」

ペリーヌ「――あら?」


バルクホルン「それで、話とはなんだ?」

芳佳「……」モジモジ


ペリーヌ(珍しい組み合わせですわね……)


バルクホルン「私にだけに話したいこととはなんだ?」

芳佳「……あの、バルクホルンさん……私……」

バルクホルン「……」

芳佳「私、バルクホルンさんのこと大好きです」ギュッ

ペリーヌ「……!」

バルクホルン「な、なに……?」

芳佳「バルクホルンさん……」スリスリ

バルクホルン「ちょ、ちょっと待て!!」

芳佳「あ、やっぱりダメですか? ごめんなさい……」

バルクホルン「い、いや……それは、どういう意味だ……?」

芳佳「え? えっと……そのままの意味です!」

バルクホルン「そのまま……か。そ、そうか……」

芳佳「あのぉ……」スリスリ

バルクホルン「わ、私に好意をよせてくれているのは、ありがたい話だが……何故、急に……」

芳佳「今の私はこうするしか思いつかなくて……」

バルクホルン「そんなに悩んでいたのか?」

芳佳「悩みますよ……だって、私とバルクホルンさんは……」

バルクホルン「そ、そうだな……上官と下士官では……」

芳佳「はい。もう敵わないじゃないですか……」

バルクホルン「叶わないということはないだろう。ま、まぁ、難しい問題かもしれないが」

芳佳「ダメならダメって言ってください。とっても失礼なことをしているのは分かっていますから」

バルクホルン「……と、とりあえず保留にさせてくれないか?」

芳佳「保留ですか?」

バルクホルン「すぐには返答できない」

芳佳「そう、ですか……」

バルクホルン「すまない」

芳佳「いえ! 私のほうこそご迷惑をかけてしまって!!」

バルクホルン「と、とにかく今は食堂に戻るぞ」

芳佳「はい!」

バルクホルン(まさか、宮藤が……)

芳佳(あー、よかった。怒られるかと思った)

芳佳「バルクホルンさーん」スリスリ

バルクホルン「こ、こら……」

ペリーヌ「……」

食堂

芳佳「今日の訓練ってなにするんだっけ?」

リーネ「えーと……」

バルクホルン「……」

エーリカ「あれ? トゥルーデ、食べないならもらうけど?」

バルクホルン「あ、ああ……。よかったら、食べてくれ」

エーリカ「えぇ? 朝ごはんだけはきっちり食べるトゥルーデが……」

バルクホルン「今日は水だけで十分だ」

シャーリー「なんかあったのか?」

バルクホルン「何もない」

シャーリー「そうは見えないけど?」

バルクホルン「ないもない!」

ペリーヌ「……」

ルッキーニ「ペリーヌ、どったの? 眉間にすっごい皺よせてるけど」

ペリーヌ「なんでもありませんわ。ちょっとした寝不足ですから、お気になさらず」

格納庫

エーリカ「さーてと、哨戒任務はじめますかぁー」

芳佳「ハルトマンさーん!!」

エーリカ「んー? どうしたのー?」

芳佳「少しだけ、いいですか?」

エーリカ「オッケーだよ。なになに、面白い話?」

芳佳「いえ……。あの、ハルトマンさん!」

エーリカ「なぁーに?」

芳佳「私、ハルトマンさんのこと大好きです」ギュッ

エーリカ「えー? ホントかぁ?」

芳佳「はい!」スリスリ

エーリカ「私も宮藤のこと大好きだー」スリスリ

芳佳「あうぅ……」

エーリカ「で、なんのつもり?」

芳佳「え……」

エーリカ「宮藤はこんな露骨に媚びるような奴じゃないだろ?」

芳佳「ダ、ダメですか?」

エーリカ「ダメじゃないけど」

芳佳「でも、これが私の戦い方なんです! ごめんなさい!!」スリスリ

エーリカ「謝りながら擦り寄られてもなぁ」

芳佳「こうしないと私はきっと大怪我しちゃいますから」

エーリカ「どういうこと? もしかして今度のドッグファイトのための仕込み?」

芳佳「はい。そうですけど?」

エーリカ「ふぅーん。好感度上げて攻撃をしにくくさせる作戦か」

芳佳「ルッキーニちゃんがそうしたほうがいいって」

エーリカ「そこまでして勝ちたいってことか?」

芳佳「勝ちたいというよりは自分の身を守りたいというか……」

エーリカ「そんなに怖いなら辞退したらいいじゃん。参加自由なんだし」

芳佳「でも、私は強制参加なんですよね? ドッグファイトですから」

エーリカ「……」

芳佳「それでみなさんから身を守ろうと思ったら、こうするしかないかなって……」

エーリカ「強制参加のこと誰から聞いたの?」

芳佳「エイラさんですけど……」

エーリカ「そっか。で、宮藤はトゥルーデにも私と同じようなことしたわけ?」

芳佳「はい。今朝しました」

エーリカ「道理で様子がおかしかったわけだ」

芳佳「え?」

エーリカ「こっちの話。ねえねえ、宮藤はドッグファイトはどんなことをするのか知らないのか?」

芳佳「えっと……。戦うんですね? 犬同士で」

エーリカ「よしよし。そういうと思った」

芳佳「え? ち、違うんですか? エイラさんは読んで字のごとくだって……」

エーリカ「いや。合ってるよ。間違ってはない。で、どんな風に戦うと思ってる?」

芳佳「犬ですから、噛みついたりとかはあるかなって。でも、戦うのはあくまでも私たち人間ですから、きっとこう、殴るようなこともあるんですよね?」

エーリカ「うんうん。あることもね」

芳佳「そ、それが怖いから、私、こうやって……その……」

>>23
美緒「はっはっはっは。宮藤ににそこまでの根性があったとは。私は嬉しいぞ」

美緒「はっはっはっは。宮藤にそこまでの根性があったとは。私は嬉しいぞ」

>>33
エーリカ「うんうん。あることもね」

エーリカ「うんうん。あることかもね」

エーリカ「よし。わかった。とりあえず、宮藤」

芳佳「は、はい、なんですか?」

エーリカ「これ以上、余計なことはしないほうがいいね」

芳佳「や、やっぱり、いけないことですよね!? 私、謝ってきます!!」

エーリカ「ダーメっ」ギュゥゥ

芳佳「ど、どうしてですか!?」

エーリカ「絶対にもっとややこしいことになる。もう暫く、というかドッグファイトが終わるまでは黙っておこう」

芳佳「いいんですか?」

エーリカ「いーよ、別に。トゥルーデもまんざらじゃなさそうだったし、少し可哀相だ」

芳佳「だけど……」

エーリカ「いいのか? 嘘でしたーなんていったら本番で袋叩きにあうぞ?」

芳佳「そ、それは怖いですけどぉ……私が悪いんですし……」

エーリカ「宮藤は悪くないって」

芳佳「そんなこと……」

エーリカ「まぁまぁ。この件は私に預けてよ。悪いようにはしないから」

滑走路

リーネ「ハルトマンさんが……? どうするつもりなのかな?」タタタッ

芳佳「分からないよ。でも、どうしてハルトマンさんは敵になる私のこと助けてくれるんだろう」タタタッ

リーネ「ハルトマンさんは勝ちとかに拘りがないんじゃないかな?」

芳佳「そうなの? バルクホルンさんとは撃墜数で競い合っているイメージがあるけど……」

リーネ「あ、確かに……」

美緒「お前たち!! 喋る余裕があるようだな!! 実に頼もしい!! では走る距離を倍にしてやろう!!!」

芳佳「えぇぇぇ!?」

美緒「えーじゃない!! 走れ!!」

リーネ「ごめんなさーい!!!」

美緒「全く。あの調子では本当に怪我をしてしまうぞ」

エーリカ「ただいまー」ブゥゥン

美緒「哨戒任務、ご苦労だったな。このあとは訓練だろう? しっかりな」

エーリカ「はぁーい。ところで、少佐。エイラは今どこにいるの?」

美緒「エイラは食事の時間のはずだが?」

食堂

サーニャ「はむっ……はむっ……」

エイラ「宮藤の料理食べたいナ」

サーニャ「そうね」

シャーリー「いつもいつも宮藤に頼るのはダメだろ」

ルッキーニ「でもでもぉ、芳佳の料理おいしいもん」

エイラ「ダヨナー」

サーニャ「私も芳佳ちゃんの料理、好き」

シャーリー「ま、暫くは無理を言うのは控えたほうがいいと思うぞ。あいつ、今度のドッグファイトで頭いっぱいだろうし」

ルッキーニ「芳佳すごいよねー。あんなの面倒なだけだしぃ、中尉と大佐と少佐を相手にするなんて怖いもんっ」

シャーリー「普通、話を聞いたら参加しようとは思わないよなぁ?」

エイラ「なぁなぁ。シャーリー」

シャーリー「なんだ?」

エイラ「501のドッグファイトってさぁ、読んで字の如くだと思わないか?」

シャーリー「は? ……あぁ、そういうことか。あははっ。確かにそうだな。前回も私はペリーヌの次に撃墜されたから、結局いつもの3人だけで戦ってたしね」

>>40
ルッキーニ「芳佳すごいよねー。あんなの面倒なだけだしぃ、中尉と大佐と少佐を相手にするなんて怖いもんっ」

ルッキーニ「芳佳すごいよねー。あんなの面倒なだけだしぃ、中尉と大尉と少佐を相手にするなんて怖いもんっ」

エイラ「多分さ、501のドッグファイトには暗黙の了解があるんじゃないか?」

ルッキーニ「にゃにそれ?」

エイラ「って言う話をサーニャとしてたんだ。な、サーニャ?」

サーニャ「そうなんです。毎回、最後まで残っているのはハルトマンさん、バルクホルンさん、坂本少佐の3人ですから」

シャーリー「……なにが言いたいんだ?」

エイラ「つまりさ。一応自由参加って形にはしているけど、その実、少佐たちだけの空中戦闘なんじゃないかって」

ルッキーニ「えー!? パンサーは参加しちゃだめってことぉ!?」

シャーリー「ウサギもダメなのか!?」

エイラ「いやいや。参加してもいいんだ。でも、参加すれば3匹の犬に集中攻撃を受けてしまうってだけで」

ルッキーニ「あにゃぁ……。ありえるぅ」

エイラ「ダロ? 自由参加なんて建前で、あれは犬たちの頂上決戦なんだ」

シャーリー「……」

ルッキーニ「じゃあ、あたしやサーニャが参加しても絶対にかてないんだー」

サーニャ「きっとそうだと思う」

エイラ「だから、501のドッグファイトは私たちの知っているそれとは意味が違うんだ」

シャーリー「ってことは、宮藤が参加した理由は……」

エイラ「運命、みたいなものダナ。私が説明したのが直接的な原因だけど」

ルッキーニ「芳佳、かわいそう……」

サーニャ「棄権とかできないのかな」

エイラ「できればいいんだけどなー」

シャーリー「……」

ルッキーニ「シャーリー、どうしたの?」

シャーリー「ルッキーニ、ちょっと付き合ってくれ」

ルッキーニ「いいよー」

シャーリー「悪いな」

エイラ「どこいくんだ?」

シャーリー「ちょっとした用事さ。またあとでな」

ルッキーニ「バイバーイ、サーニャっ」

サーニャ「うん」

エイラ「もう少しゆっくりしていってもいいのに」

サーニャ「エイラ、ごめんね。私、食べるのゆっくりだから」

エイラ「気にしなくていいぞ。ゆっくり食べてくれ」

サーニャ「ありがとう。……はむっ」

エイラ(あー、サーニャは可愛いナー)

エーリカ「――おい」

エイラ「え?」

エーリカ「こっちきて」グイッ

エイラ「な、なんだ!?」

エーリカ「話があるに決まってるじゃん」

エイラ「話ってナンダー!! 私はサーニャががんばって食べている姿をみたいんだー!!」

エーリカ「サーにゃん、エイラ借りてもいいよね?」

サーニャ「はい。どうぞ」

エイラ「サーニャぁぁ!!」

サーニャ「ハルトマンさんのお誘いだし、断るのは悪いわ」

エイラ「えぇぇ……。しょーがねーなぁー、サーニャがそういうなら中尉に付き合うカー」

通路

エイラ「で、話って――」

エーリカ「エイラ」

エイラ「な、なんだ? ちょっと、怖いぞ……」

エーリカ「ドッグファイトは犬同士の戦いじゃないけど?」

エイラ「……違うのか?」

エーリカ「宮藤、信じちゃってるじゃん。どーするのさ」

エイラ「で、でも、中尉。501のドッグファイトは私たちの知っている意味と少し違うんじゃないのか?」

エーリカ「なにが?」

エイラ「いつも残ってるの、中尉と大尉と少佐ダロ? だからさ……」

エーリカ「確かにそうだけど。それは偶々だって」

エイラ「偶然が何度も続くのか?」

エーリカ「ペリーヌが真っ先に撃墜するのは、ペリーヌ自身が少佐を守ろうとするからだ」

エーリカ「ちなみにシャーリーが前回先に墜ちたのは、無駄にトゥルーデと張り合っていて隙だらけだったから私が撃っただけ。別に犬同士で連携とってたわけじゃないんだけど?」

エイラ「……だよな。犬同士で戦うからドッグファイトって、ありえないモンナー」

エーリカ「ふふーん。エーイーラー?」

エイラ「わ、わかってる。宮藤に謝ってくる」

エーリカ「いや、それをすると宮藤はドッグファイトを棄権するだろ? 謝罪は全部終わったあとでいいんじゃない?」

エイラ「なにするつもりだ?」

エーリカ「少なくともトゥルーデと少佐は宮藤が参加することを嬉しがっているわけだし、ここで宮藤を降ろすとガッカリしちゃうことになる」

エイラ「だからって、無理に参加させなくてもよくないか?」

エーリカ「ドッグファイトに宮藤を参加させるのは、確かに危ないからねぇ」

エイラ「ほら。私が勘違いさせたってことを説明してくる。私の冗談の所為で宮藤が怪我したら嫌だからな」

エーリカ「その冗談さ、本当のことにしてみない?」

エイラ「……え?」

エーリカ「エイラは勿論、協力してくれるよねぇ?」

エイラ「ど、どういうことだ? 冗談を本当のことにするって……」

エーリカ「そのままの意味だって。にひぃ」

エイラ「なに考えてるんだ……」

エーリカ「私としても好都合なんだよね。色々と」

ミーティングルーム

ミーナ「え? 参加、するの?」

シャーリー「はい。まだ間に合いますよね?」

美緒「勿論だ。当日の飛び入りも許可しているぐらいだからな」

シャーリー「それじゃ、よろしくお願いします」

ミーナ「シャーリーさんは前回参加しているからわかるのだけど……」

ルッキーニ「おぉぉ……」ガクガク

美緒「ルッキーニ、お前も参加ということでいいんだな?」

ルッキーニ「あ、あい……」

シャーリー「では、シャーロット・E・イェーガーならびにフランチェスカ・ルッキーニの両名はドッグファイトに参加するんで」

美緒「……」

ルッキーニ「おぉぉぉ……」

美緒「今回は参加者が多くて嬉しいかぎりだ。はっはっはっはっは」

ルッキーニ「にゃはははは……」

ミーナ「ルッキーニさん、本当にいいのね?」

ルッキーニ「あい……」

美緒「よし。二人を登録しておこう」

ミーナ「……それではがんばってね」

シャーリー「はいっ!!」

ルッキーニ「……」

美緒「ルッキーニ少尉」

ルッキーニ「がんばりにゃす!!」

美緒「うむ。当日を楽しみにしているぞ」

ミーナ「無理はしないでね」

シャーリー「了解。では、任務に戻ります」

美緒「頼んだぞ」

シャーリー「――ふぅ。これでよし」

ルッキーニ「シャーリー……」

シャーリー「嫌なら断ってもいいって言っただろ?」ナデナデ

ルッキーニ「ううん。シャーリーと一緒だし、それはいいんだけど。ただやっぱりちょっと怖いよねー。少佐たちを相手にするなんて」

シャーリー「エイラの話が本当ならこうでもしないと勝てないからな」

ルッキーニ「負けたの悔しかったんだ」

シャーリー「そ、それだけじゃない。私らが参加したら宮藤のこと守ってやれるだろ? バルクホルンを倒すのはあくまでもついでだ」

ルッキーニ「ま、いいけどぉ。あたしとシャーリーが組めば無敵だもんね」

シャーリー「その通りだ。がんばって全員やっつけるぞ」

ルッキーニ「うん! あ、でもあたしとシャーリーが残ったら……」

シャーリー「そのときはお互い正々堂々と戦おう」

ルッキーニ「よぉーし! 負けにゃーい」

シャーリー「私だって負けないからなー」

ルッキーニ「にゃははは」

シャーリー「このこと宮藤にも話はしておいたほうがいいな」

ルッキーニ「おぉ。芳佳も仲間に引き込むんだ」

シャーリー「2人より3人いたほうがいいだろ? 相手も3人いるんだしな」

ルッキーニ「なら、はやくいこっ! 芳佳と作戦会議しなきゃ!!」

シャーリー「ああ、そうだな。こういうことは早いほうがいいしな」

滑走路

バルクホルン「ふっ……ふっ……」タタタッ

バルクホルン(考えてみれば、初めてだな。明確に個人的な気持ちを、想いをぶつけられたのは)

バルクホルン(上官として毅然とした態度を取ることが最も正しいし、そうするべきだろう)

バルクホルン(だが、私の気持ちはどうなる? 私は宮藤をどうしたいんだ……?)

バルクホルン(宮藤は501の仲間で、後輩のウィッチで、私にとって、いやミーナや少佐も含めて妹のような存在だ……。それ以上のものはない)

バルクホルン(それに宮藤もきっと一時の感情に流されているだけなのだろう。女しか居ない場所だ。そういうことも……)

バルクホルン「いや! 宮藤には悪いが、気持ちを受け取るわけにはいかない。断ろう。断るんだ!」

ペリーヌ「バルクホルン大尉」

バルクホルン「ペリーヌか。どうした?」

ペリーヌ「お話があります」

バルクホルン「珍しいな。お前が私に相談とは。言ってみろ」

ペリーヌ「宮藤さんに告白されていたようですが、どうされるおつもりですか?」

バルクホルン「み、見ていたのか!?」

ペリーヌ「偶然見てしまいました。それで、大尉のお気持ちを聞いてみたくて……」

バルクホルン「……決まっている。断るつもりだ」

ペリーヌ「そうですか。それなら問題ないですわね」

バルクホルン「何が問題ないと言うんだ?」

ペリーヌ「実はわたくしも告白されました。ペリーヌさんのことが大好きです、と」

バルクホルン「……」

ペリーヌ「宮藤さんが何のつもりでそのようなことを言ったのかは分かりませんが、少なくともわたくしと大尉に取り入ろうとしたのは間違いありません」

バルクホルン「宮藤が何故、そんなことをする?」

ペリーヌ「さぁ、分かりかねます。他人の心を掻き乱して面白がっているのではありませんか」

バルクホルン「しかし……」

ペリーヌ「まぁ、断るのつもりなら何も問題ありませんわね」

バルクホルン「私が宮藤の想いに応えると言っていればどうするつもりだったんだ?」

ペリーヌ「無論、説得していました。宮藤さんは悪女ですからと」

バルクホルン「悪女だと?」

ペリーヌ「それでは失礼します」

バルクホルン「宮藤が……悪女……」

通路

芳佳「ハルトマンさん、いないなぁ。話したい事あるのに」

リーネ「食堂で待ってみるっていうのは?」

芳佳「でも、食事の時間は終わってるから……」

リーネ「あ、そっか。なら……」

シャーリー「いたいたー。おーい、みやふじー」

ルッキーニ「わーい!! よっしかぁー!!」テテテッ

芳佳「シャーリーさん、ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「にゃはー、さがしたよー」ギュッ

芳佳「どうかしたの?」

シャーリー「私とルッキーニもドッグファイトに参加すること決めたから」

芳佳「え? そうなんですか!?」

リーネ「今回、参加する人多いんですね」

芳佳「……」

リーネ「芳佳ちゃん、やっぱり危ないよ。今からでも棄権したほうが……」

芳佳「シャーリーさぁーん……大好きです……」スリスリ

シャーリー「おいおい。私に媚びを売らなくても大丈夫だ」

芳佳「え?」

ルッキーニ「だって、あたしとシャーリーは芳佳の味方だもん!」

リーネ「それって……」

シャーリー「いいか、宮藤? 今回のドッグファイトでは私とルッキーニと宮藤で戦うんだ」

芳佳「た、戦う……!?」

ルッキーニ「あたしたちなら3匹の犬にも勝てるってー!」

芳佳「えぇぇ!? そんなぁ!? ルッキーニちゃんはともかくシャーリーさんは……ウサギ……」

シャーリー「お? バカにしたのか?」グニーッ

芳佳「ふぉふぇんふぁふぁい!!」

リーネ「あぁ、芳佳ちゃん!!」

シャーリー「心配するなって。私たちが組めばたとえ少佐でもエース2人にも勝てるし、宮藤のことは守ってあげるよ」

ルッキーニ「それでね、本番に向けた作戦会議も今からしようって決めたんだ。いいよね?」

芳佳「シャーリーさん……ルッキーニちゃん……。はいっ!! よろしくお願いします!!」

>>58
シャーリー「心配するなって。私たちが組めばたとえ少佐でもエース2人にも勝てるし、宮藤のことは守ってあげるよ」

シャーリー「心配するなって。私たちが組めばたとえ少佐にもエース2人にも勝てるし、宮藤のことは守ってあげるよ」

シャーリー「おーしっ。そうと決まれば早速始めるか。私の部屋でやるぞ」

芳佳「はいっ!」

ルッキーニ「にゃはー、がんばろー」

芳佳「おーっ」

リーネ「……」

芳佳「あ、リーネちゃんは……」

シャーリー「あぁ、悪い。宮藤借りていくけど、いいか?」

リーネ「あ、あの。私も参加して、いいですか?」

シャーリー「え? でもリーネはドッグファイトしないんだろ?」

芳佳「リーネちゃんはキャットファイトになっちゃうし、無理しないほうが」

シャーリー「お、上手いこというなぁー、宮藤ぃ」

芳佳「え?」

ルッキーニ「ペリーヌも参加するんだし、キャットファイトで間違ってないかも」

リーネ「3人よりも4人いたほうが、いいかなって思うんですけど……。その私でよければ、ですけど……ごめんなさい……」

シャーリー「そっか。オッケー。それじゃ、この4人でドッグファイト勝ちに行くぞ!」

芳佳「本当にいいの?」

リーネ「どうしてシャーリーさんみたいに考えられなかったんだろう」

芳佳「リーネちゃん?」

リーネ「どこまでできるのかわからないけど、私、芳佳ちゃんのためにがんばるね」

芳佳「ありがとう! リーネちゃんがいてくれるだけで心強いよぉ」ギュッ

リーネ「芳佳ちゃん……」

芳佳「大好きだよ、リーネちゃん」

リーネ「私もっ」

シャーリー「ほら、いくぞー」

芳佳・リーネ「「りょうかーい」」

ルッキーニ「そういえば芳佳、あたしの言った作戦どうなったの?」

芳佳「それが、全然成功しなくて……」

シャーリー「作戦?」

ルッキーニ「さっき、芳佳がシャーリーにスリスリしにいったでしょ? あれはぁ、あたしが伝えたんだ。無理に戦うこともないから」

シャーリー「あれルッキーニの入れ知恵か。それで戦闘を回避できたら苦労はしないなぁ」

サーニャの部屋

サーニャ「え? 私が?」

エイラ「で、でも! その、無理に参加しなくていいんだ!! ただ中尉にサーニャも誘っておいてほしいって言われたから、一応な……」

サーニャ「……」

エイラ「無理はしなくていいぞ?」

サーニャ「……ううん。やるわ」

エイラ「ホントか? 危ないぞ? 怪我するかもしれないし」

サーニャ「エイラも参加するんでしょう?」

エイラ「そうだけどさぁ」

サーニャ「なら、大丈夫よ。エイラ、一緒に参加しましょう。ドッグファイト」

エイラ「ありがとな、サーニャ」

サーニャ「だけど、急にどうして?」

エイラ「なんでも全員に参加してほしいらしいんだ。そうでないと上手くいかないって」

サーニャ「上手くいかないって……」

エイラ「よくわからないけど、ドッグファイトのルールを変えるつもりみたいなんだ。詳しい話はまだきいてないけど」

ミーティングルーム

美緒「では、ドッグファイトの戦闘空域は通常通りでいいな」

ミーナ「そうね。いつもより人が多いとはいえ、問題ないと思うわ」

美緒「宮藤の参加もそうだが、あのルッキーニも参加するとは驚きだな」

ミーナ「ふふ。なんだか、無理に参加しているようにも見えたけど?」

美緒「大方、シャーリーに唆されたのだろう。だが、どんな形であれ参加者が増えるのはいいことだ」

ミーナ「美緒はいつも言っているものね。皆の成長を肌で感じてみたいって。だからドッグファイトも自由参加なんでしょう?」

美緒「それはそうだが。参加するものが私やバルクホルンでは他の者が二の足を踏むのも仕方ないことだ」

ミーナ「うふふ。強制参加にしちゃえばいいのに」

美緒「それだと本領を発揮しないものもいるだろう。特にルッキーニやエイラはな」

ミーナ「その二人はこういうことには消極的だものね」

美緒「できれば参加してほしいが、通常の訓練とは趣が異なるからな。飽くまでも自主的に――」

エーリカ「ミーナ、いるー?」

ミーナ「どうかしたの?」

エーリカ「ドッグファイトの参加者増えたんだけど、いいよね?」

美緒「なんだと?」

ミーナ「誰が希望しているの?」

エーリカ「エイラ。それからきっとサーニャも参加すると思うから、よろしくー」

美緒「エイラが? はっはっはっはっは。そうかそうか」

ミーナ「良かったわね、坂本少佐?」

美緒「ああ。エイラまでとは……。これは私も本気でやらねばいけないな」

エーリカ「はいはい。でも、色々問題もあるんじゃない? 参加人数多いとそれだけ戦闘も長引いちゃうことになるしさ」

ミーナ「そうね。ここまで参加者が多いと訓練戦闘空域を広げる必要があるわ。でも広げると万が一ネウロイの襲撃があれば支障が出るわね」

美緒「む……。下手に遠方まで移動してしまうと、初動に遅れが生じる可能性があるな」

ミーナ「それに訓練とはいえ本格的なドッグファイトをするわけだから、魔法力もそれ相応に消耗する……」

エーリカ「本番で動けなくなっちゃうかも」

ミーナ「どうします、坂本少佐?」

美緒「だが、これだけの大人数でのドッグファイトだ。是非とも私はしてみたい」

ミーナ「気持ちはわかるけど、少しぐらい妥協しても……」

エーリカ「私に良い考えがあるんだけど、聞いてみない?」

美緒「言ってみてくれ」

エーリカ「予選をするんだよ。それで勝ち残ったやつだけがドッグファイトに参加できる」

ミーナ「予選って?」

エーリカ「ねえ、ミーナ。どうして空中戦闘のことをドッグファイトっていうか知ってるよね?」

ミーナ「勿論よ。犬が相手の尻尾を追いかけ回すところから呼称されるようになった。それがどうか……」

美緒「まさか、ハルトマン……」

エーリカ「にひぃ。そう、そのまさか。幸い、私たちには尻尾あるしさ」

ミーナ「ちょ、ちょっと待って。貴方の言いたいことは分かるけど……」

エーリカ「いーじゃん、白兵戦の延長だと思えばさぁ」

ミーナ「それとはかけ離れた映像しか浮かんでこないわよ?」

美緒「尻尾を掴まれた者から退場していくわけか」

エーリカ「そうそう。で、残った4人でドッグファイトをするんだ。ね、いい考えだろ?」

ミーナ「どう思います、坂本少佐?」

美緒「うーむ……」

ミーナ「だめよね?」

食堂

ペリーヌ「水でも飲みましょうか……」

ペリーヌ(少しでも心が揺らぎそうになった自分が恥ずかしい。あんな豆狸に大好きといわれたぐらいで……)

ペリーヌ(それにしてもどうして今更? このタイミングで告げる理由は……?)

サーニャ「あ、ペリーヌさん」

ペリーヌ「あら、サーニャさん。寝てなくていいんですの?」

サーニャ「はい」

エイラ「おい、ペリーヌ。少佐か中佐知らないか? どこにも居なくてさぁ」

ペリーヌ「お得意のダウジングで探せばよろしいでしょう」

エイラ「あ、そっか。そうしよう」

ペリーヌ「ふんっ」

サーニャ「……あの」

ペリーヌ「なにか?」

サーニャ「何か、あったんですか?」

ペリーヌ「は? 別に何もありませんわ。放っておいてください」

エイラ「えーと……少佐か中佐はどこだ?」

サーニャ「でも、そんな風には……」

ペリーヌ「なんでも無いって言っているでしょう!?」

サーニャ「す、すみません」

エイラ「おい、こらぁ。サーニャをいじめんなぁ」

ペリーヌ「別に虐めていません!!」

サーニャ「言えないこと、ですか?」

ペリーヌ「本当になんでもありませんの」

サーニャ「……」

ペリーヌ「……な、なんですか、その目は?」

サーニャ「やっぱり私はペリーヌさんに嫌われているんですね……」

ペリーヌ「あ……え……」

サーニャ「私はペリーヌさんの力になりたいだけなのに……」

エイラ「サーニャ。気にするなって。こいつはこういう奴だろ?」

ペリーヌ「ちょっと!! もう!! どうしてわたくしが悪者なんですのっ!!! 話します!! 話しますわよ!!!」

ペリーヌ「――ということがありまして、少々虫の居所が悪かっただけです。サーニャさんが嫌いとかそういうことはありませんから」

サーニャ「よかった。でも、あの、本当に芳佳ちゃんがそんなことを?」

ペリーヌ「この目で見ました。本当に最低の人ですわ。人の気持ちを弄んで」

サーニャ「あのぉ、それは意味が違うってことはないですか?」

ペリーヌ「……は?」

サーニャ「ペリーヌさんが考える好きと、芳佳ちゃんが考えている好きは違うということはないですか?」

ペリーヌ「そ、それはどういう……?」

サーニャ「他人が傷つくようなことを芳佳ちゃんがするなんて私には思えません。ペリーヌさんも芳佳ちゃんがどういう性格なのか知っているはずです」

ペリーヌ「そ、それは……でも……」

サーニャ「芳佳ちゃんはペリーヌさんのことを一人のウィッチとして大好きだと言ったんじゃないですか? だから、バルクホルンさんにも大好きと……」

ペリーヌ「いや……うぅ……」

サーニャ「芳佳ちゃんに聞きに行きませんか? 大好きの意味を」

ペリーヌ「も、もしサーニャさんの言うとおりだったら……わたくし……酷いことを……」

エイラ「おっ。反応があるぞ。向こうに中佐か少佐がいるな。サーニャ、私はサーニャがドッグファイトに参加すること伝えにいくけど、どうする?」

サーニャ「ごめん、エイラ。私はペリーヌさんと芳佳ちゃんのところに行くわ。芳佳ちゃんのこと気になるの」

エイラ「そうか? おい、ペリーヌ」

ペリーヌ「……」

エイラ「サーニャのこと虐めんなよ。虐めたら、承知しないかんな。いいな?」

ペリーヌ「わかっていますわよ」

エイラ「ならいいんだ。サーニャ、またあとでな」

サーニャ「ええ」

エイラ「よーし、いくか」テテテッ

サーニャ「さ、ペリーヌさん。行きましょう?」

ペリーヌ「そうですわ……そうですわよね……。少し考えればおかしいってことに気が付けたはずなのに……」

サーニャ「ペリーヌさん……」

ペリーヌ「宮藤さんを探しに行きましょう!」

サーニャ「はい」ピコンッ

ペリーヌ「でも、今はどこにいるのかしら……とりあえず、格納庫のほうへ――」

サーニャ「今現在、シャーリーさんの部屋にいるみたいです」

ペリーヌ「相変わらず便利な魔法ですわね」

通路

美緒「これでよし」

ミーナ「本当にやるの?」

美緒「悪いことではあるまい。ハルトマンの指摘は正しいからな」

ミーナ「確かに全員でドッグファイトをするわけにはいかないけど、だからってこういう決め方は……」

美緒「気にするな。いい訓練になる。ウィッチとて地上戦を強いられるときもあるからな」

ミーナ「私たちは航空団なのだけど」

バルクホルン「……」

ミーナ「あら、バルクホルン大尉、どうかしたの? 顔色が優れないようだけれど?」

バルクホルン「……ミーナ。相談したいことがある。少し、いいだろうか?」

ミーナ「……いいわ。向こうに行きましょう」

バルクホルン「すまない……」

ミーナ「気にしないで。坂本少佐、あとは任せてもいいかしら?」

美緒「ああ。問題ない。バルクホルンのこと頼むぞ」

ミーナ「分かっているわ。ありがとう」

美緒「バルクホルンのやつ、何か悩み事か……?」

エイラ「いたー」

美緒「エイラか。丁度いい。今からこれを貼るのだが、手伝ってくれるか?」

エイラ「なんだ、これ?」

美緒「ドッグファイトに関することで変更があってな」

エイラ「なになに……。予選? 予選するのか?」

美緒「そうだ。今回は何故か参加者が多いからな。人数を絞るためには必要なことだ」

エイラ「中尉が言ってたのってこれか」

美緒「エイラも参加するのだろう? 是非とも予選を勝ち残って欲しいものだな。はっはっはっは」

エイラ「ああ、そうそう。サーニャも参加したいって言ってるんだ。いいよな?」

美緒「おぉ。サーニャもか。それは嬉しい限りだ! 予選を突破しなければいけないがな!」

エイラ「で、なにするんだ?」

美緒「地上でのドッグファイトだ」

エイラ「地上でやるのか? どうやって?」

美緒「お前にも尻尾はあるだろう? それを利用する」

ミーナの部屋

ミーナ「トゥルーデ、何があったの?」

バルクホルン「実は宮藤に大好きだと言われた」

ミーナ「それは……」

バルクホルン「無論、上官として毅然とした態度を取るつもりだった。宮藤の好意は素直に嬉しいが、やはり、そういう関係にはなれないからな」

ミーナ「それで?」

バルクホルン「しかし、ペリーヌに言われたんだ。宮藤は悪女だと」

ミーナ「どういうこと? 宮藤さんにとって最も遠い言葉だけど」

バルクホルン「ペリーヌも宮藤に告白されたらしい」

ミーナ「なっ……」

バルクホルン「私が告白される場面を見たらしくてな。それでペリーヌは私に……」

ミーナ「待って。それ本当にペリーヌさんは宮藤さんに告白されたの?」

バルクホルン「分からない。だが、嘘をつく理由はないだろう?」

ミーナ「ペリーヌさんはトゥルーデが宮藤さんに告白されるところを見たのよね? だったら、ペリーヌさんはトゥルーデのことを想っていた可能性も……」

バルクホルン「な、なんだと!? ペ、ペリーヌが!?」

ミーナ「飽くまでも可能性の話よ」

バルクホルン「ペリーヌは、少佐のことが……」

ミーナ「憧れとそれは別物でしょ?」

バルクホルン「……」

ミーナ「トゥルーデは宮藤さんのことどうするつもりでいたの?」

バルクホルン「ああ、いや、ペリーヌの話が本当なら、どう注意したらいいかわからなくなってな。ミーナに相談しようと思ったんだが……」

ミーナ「なるほど。だけど、もしペリーヌさんが嘘をついていたとしたら、宮藤さんが傷つくだけね」

バルクホルン「ど、どうしたら……」

ミーナ「ペリーヌさんを問い詰めたほうがいいわね。宮藤さんへの事実確認は最後でもいいでしょうし」

バルクホルン「しかし、ペリーヌが……考えられないが……」

ミーナ「トゥルーデ。貴方は自分で考えている以上に好かれているのよ?」

バルクホルン「……私は特別ペリーヌに何かした覚えはないが」

ミーナ「そんなの宮藤さんも同じでしょう?」

バルクホルン「そうかもしれないがな……」

ミーナ「ともかくペリーヌさんと話してみて。宮藤さんが誰彼構わず告白をするなんて考えにくいもの」

シャーリーの部屋

ルッキーニ「芳佳がこう行くと、絶対に少佐は頭を押さえにくるからー」

芳佳「頭を!?」

シャーリー「もし連携を取ってくるとしたら後ろからハルトマン、左翼からバルクホルンが、右翼からペリーヌが攻めてくるのは間違いない。宮藤は囲まれるわけだな」

芳佳「えぇぇ!? 私、どうなっちゃうんですかぁ!? 食べられちゃうんですか!?」

リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫だよ。そうならないように私が遠距離から狙撃するから」

芳佳「リーネちゃんが助けてくれるの?」

リーネ「当たらなくても動きを一瞬止めることはできるから。その間に芳佳ちゃんは一時離脱するの」

シャーリー「すかさず私とルッキーニが少佐とハルトマンの後ろを取る。そうなればもうこっちのもんさ」

芳佳「大丈夫かなぁ」

ルッキーニ「ヘーキ、ヘーキぃ。それに芳佳はだいしゅき作戦で大尉とペリーヌは攻撃を躊躇うだろうしぃ」

芳佳「そうだといいんだけどぉ」

シャーリー「ペリーヌはともかくバルクホルンが手加減をするとは――」

サーニャ『……あの。シャーリーさん、いらっしゃいますか?』

シャーリー「サーニャか? あいてるよー。入っておいでー」

サーニャ「失礼します」ガチャ

シャーリー「何か用事か?」

サーニャ「私ではなくて……」

ペリーヌ「……」モジモジ

芳佳「あ、ペリーヌさん」

ルッキーニ「どうかしたの?」

ペリーヌ「あの、か、確認したいことがありますの」

リーネ「もしかして……」

シャーリー「おぉ? なるほど。やるなぁ」

ルッキーニ「スパイなの、ペリーヌ?」

ペリーヌ「は、はい? なんのことですの?」

シャーリー「あれ? 私たちがドッグファイトに参加するから偵察に来たんじゃないのか?」

ペリーヌ「はぁ? 私たちって、シャーリーさんだけでなく、ルッキーニさんとリーネさんも参加するんですの?」

ルッキーニ「そういうことになっちゃったぁ」

リーネ「よ、よろしくおねがいします」

サーニャ「エイラの言ってた通りなんだ」

ペリーヌ「今回は参加者多数ですわね。というか、全員が参加するのでは?」

シャーリー「全員? おいおい。それネウロイの襲撃があったら大変だな」

ルッキーニ「じゃ、やめとく?」

シャーリー「いや。勝手に降りるのは不味いだろ。きっと少佐か中佐が考えてくれてるさ」

ルッキーニ「うじゅ……」

リーネ「(ルッキーニちゃん、もしかして……)」

ルッキーニ「(にゃははは。実はあまり参加したくにゃいんだ)」

リーネ「(なら、どうして?)」

ルッキーニ「(シャーリーからお願いされることってあまりないからっ。いつも甘えてばっかりも悪いじゃん)」

リーネ「……そっか」

シャーリー「何の話だ?」

ルッキーニ「ないしょー」

芳佳「ペリーヌさん、確認したいことってなんですか?」

ペリーヌ「と、とりあえず、こちらへ来ていただきますか? その、あまり人に聞かれたくもないので」

通路

サーニャ「ペリーヌさん、がんばってください」

ペリーヌ「え、ええ……」

芳佳「あのぉ」

ペリーヌ「た、単刀直入にお訊ねします!!」

芳佳「は、はい!」

ペリーヌ「わたくしのこと、どう想っていますの!?

芳佳「え?」

ペリーヌ「とぼけないで!! どうなの!? 好きなの!? 嫌いなの!? はっきりしなさいな!!」

芳佳「ちょ、ちょっとペリーヌさん……」

ペリーヌ「ガルルルル」

サーニャ「落ち着いてください。芳佳ちゃん、怖がってますから」

ペリーヌ「うっ……だって、この人がはっきり言わないから……」

芳佳「えっと……。私はペリーヌさんのこと、大好きですよ?」

ペリーヌ「そ、それはどういう意味で?」

芳佳「どういう意味って……。勿論、同じウィッチとしてですけど?」

ペリーヌ「……」

サーニャ「ペリーヌさん。ほら、やっぱり」

ペリーヌ「ええ……。そうですわね。お馬鹿さんは、わたくしのほうでしたわね」

芳佳「な、なにがですか?」

ペリーヌ「宮藤さん」

芳佳「はい?」

ペリーヌ「わ、わたくしも、その、あの……き……です……」

芳佳「え? ごめんなさい、今なんて?」

ペリーヌ「とにかく、申し訳ありませんでした!! バルクホルン大尉にもきちんと弁明しておきますので!! ご安心を!!」

芳佳「な、なにが!?」

ペリーヌ「うるさい!! 貴方には関係のないことなのっ!!!」

芳佳「えぇぇ!? 私のことじゃないの!?」

ペリーヌ「それではまたあとでっ!! さようなら!!」タタタッ

芳佳「ペリーヌさーん!!」

サーニャ「待って、ペリーヌさん」

芳佳「サーニャちゃん、一体どういうことなの?」

サーニャ「またあとで話すから」

芳佳「う、うん。わかったよ」

サーニャ「ごめんなさい」

芳佳「あ……行っちゃった」

芳佳(ペリーヌさんの様子がおかしかったけど、どうしたんだろう)

ルッキーニ「話、おわったのー?」

芳佳「うん。何がなんだか分からなかったけど」

ルッキーニ「なら、早く作戦会議の続きーつっづきぃー」

芳佳「そうだね」

エーリカ「ねーねー。今、ペリーヌが半泣きでサーにゃんに追われてたけど、なんかあったのか?」

芳佳「あ、いえ、それは追われていたんじゃなくてペリーヌさんを追いかけていただけですよ」

エーリカ「似たようなもんじゃん。それより、はいこれ。よく読んでおくようにね。ドッグファイトのルール、変わったから」

ルッキーニ「え? そなの?」

シャーリーの部屋

リーネ「予選があるんですか!?」

エーリカ「参加者多数だからね。仕方ないって」

ルッキーニ「うぇぇー。どーしよー?」

シャーリー「これは予想外だなぁ……。いや、でも、この条件なら……」

芳佳「これがドッグファイト……!!」

エーリカ「そうだぞ、宮藤。これが本当のドッグファイトだ」

芳佳「尻尾を掴まれたら、失格なんですね。確かに犬っぽいです」

エーリカ「バトルロワイヤルってやつだな」

シャーリー「この予選で少佐たちを失格にさせれば完璧だな」

ルッキーニ「おぉー!! そっかー!!」

リーネ「それなら私たち4人で本戦にいけますね」

シャーリー「とはいえ、相手が相手だ。地上での白兵戦だとうと一筋縄じゃいかないぞ」

ルッキーニ「なら、エイラに練習相手になってもらってどう?」

シャーリー「エイラか……。うん。アリだな。あいつを捕まえられるなら、バルクホルンなんて止まったようにしか見えないだろ」

>>82
ルッキーニ「なら、エイラに練習相手になってもらってどう?」

ルッキーニ「なら、エイラに練習相手になってもらうってどう?」

通路

バルクホルン(ペリーヌは私のことを……。だから、私と宮藤の仲を引き裂くようなことを……)

バルクホルン(私は……私はどうしたら……)

ペリーヌ「あっ」

バルクホルン「ペ、ペリーヌ……」

ペリーヌ「大尉……あ、あの……」

バルクホルン「な、なんだ?」

ペリーヌ「わたくし……その……大尉に言わなければならないことが……ありまして……」モジモジ

バルクホルン「な、なに!? やはりそうなのか!?」

サーニャ「はぁ……はぁ……やっと、追いついた……ペリーヌさん……」

ペリーヌ「あら、サーニャさん。追いかけてきましたの?」

サーニャ「はい。ご迷惑でしたか?」

ペリーヌ「そんなことは……」

バルクホルン「ペリーヌ!! その話は、またあとで聞く!! 今は忙しいんだ!! すまない!!」

ペリーヌ「え? あ、バルクホルン大尉!? どちらへ!?」

滑走路

エイラ「なんだよぉ。こんなところに呼び出してぇ。今から寝ようと思ってたのに」

シャーリー「まぁまぁ。そういうなって。協力してくれよ、エイラ。これ、知ってるだろ?」

エイラ「ああ、ドッグファイトの予選か。尻尾を掴まれたらアウトなんだろ?」

ルッキーニ「それでねそれでね! 少佐や大尉を本戦に進ませないようにしようって話になったんだぁー」

エイラ「おぉ。結構すごいこと考えてるんだな」

ルッキーニ「シャーリーが前に負けたの悔しがっててぇー」

シャーリー「違うって言ってるだろ!」

リーネ「それでエイラさんを相手に特訓すればこの予選も勝てるんじゃないかってことになったんです」

エイラ「ふぅーん。でも、面倒だなぁ」

芳佳「お願いします!! エイラさん!!」ギュッ

エイラ「うぇ!? な、なんだよ!?」

芳佳「わ、私……坂本さんに頭を食べられたくないんです……」

エイラ「な、なにいってんだ?」

芳佳「エイラさん、大好きです……」スリスリ

エイラ「おい、宮藤、やめろってー」

芳佳「エイラさぁん……」スリスリ

エイラ「わかった!! わかったってー!! 特訓に付き合ってやるから!」

芳佳「ぅわーい! エイラさん、ありがとうございます!! やったよー! リーネちゃーん!! ルッキーニちゃーん!!」

リーネ「うん! ありがとうございます、エイラさん」

ルッキーニ「にゃはー!! これでかてるぅー!!」

エイラ「……」

シャーリー「エイラも宮藤のスリスリ攻撃には弱いか」

エイラ「いや、弱いというより……負い目が……」

シャーリー「は?」

エイラ「あ、いや。それで、私はどうしたらいいんだ?」

シャーリー「とりあえず、実戦形式でやってやりたいな。エイラ相手だし、いきなり全員で行くか」

ルッキーニ「よっしゃー!!」

芳佳「がんばりますっ!!」

エイラ「マジかよぉ」

シャーリー「それじゃあ、エイラはまず逃げてくれ。30秒後に私たちが動くから」

エイラ「私が攻撃してもいいんだよな?」

シャーリー「勿論っ。隙があれば尻尾を掴んでくれて構わないよ。掴まれたやつはその場で失格だからなー」

ルッキーニ「はぁーい!」

リーネ「ちょっと自信ないなぁ」

芳佳「作戦通りやるしかないね。私たちが正面から戦っても勝てないのは分かりきってるんだし」

リーネ「うん、そうだね」

シャーリー「早速、始めるか。――エイラ、ゴー!!」

エイラ「よぉーし!! 私も本気でやるからなぁ!!」タタタッ

シャーリー「宮藤、分かってるな?」

芳佳「はい。まずは私が囮になります」

ルッキーニ「で、芳佳に釣られて出てきたところを……パクッ!!」ギュッ

リーネ「きゃぁ!?」

シャーリー「かんっぺきだな」

芳佳「宮藤芳佳、行きます!」テテテッ

格納庫

芳佳(確か、エイラさんはこっちに……)

シャーリー『宮藤、そのまま直進してくれ』

芳佳「はい」

リーネ『ポイントAからは目標を確認できません』

ルッキーニ『こっちからでも見えないよ』

シャーリー『どこかにはいるはずだ。気を緩めるな』

芳佳「どこにいるんだろう……」

エイラ「……」ササッ

芳佳「あ! シャーリーさん!! エイラさんがいました!!」

シャーリー『なに!? リーネ!!』

リーネ『確認できません!! ごめんなさい!!』

芳佳「追います!! みんなは私を追ってきてください!!」

シャーリー『あ、こら! 待て!』

リーネ『芳佳ちゃんを追います!』

バルクホルン「はぁ……」

バルクホルン(上官失格だな……。ペリーヌから逃げ出してしまうとは……)

芳佳「でやぁー」テテテッ

バルクホルン「……!」

バルクホルン(宮藤。何をしているんだ?)

芳佳「こっち!?」テテテッ

バルクホルン(都合がいい。まずは宮藤と話してみるか)

芳佳「いやぁぁぁー!!!」

バルクホルン(宮藤!? 一体なにが……!!)ダダダッ

バルクホルン「宮ふ――」

エイラ「掴まえたぞー宮藤ー。可愛い尻尾ダナ」ギュゥゥ

芳佳「あぁっ……エイ、ラさぁん、だめぇ……強く握らないでくださぁい……」

エイラ「隙を見せた宮藤が悪いんだろ?」ギュッ

芳佳「あ……んっ……」ビクッ

バルクホルン「……」

ルッキーニ「すきありぃー!!」バッ!!!

エイラ「ムリダナ!」ササッ

リーネ「えーい!!」

エイラ「見えてるぞー」

シャーリー「ふふーん……」

エイラ「シャーリー……!!」

シャーリー「先読みできても避けられなかったら、意味ないだろー!!」

エイラ「はやっ――」

シャーリー「おりゃぁあ!!!」ギュゥゥ

エイラ「うわぁー」

ルッキーニ「つっかまーえたぁ!」ギュゥゥ

リーネ「やったっ」ギュゥゥ

エイラ「おぉっ。お、おまえらぁ、むちゃくちゃすん、ふぁっ……!」ビクッ

シャーリー「エイラの尻尾、ゲットだ」

エイラ「うぅ。こんな風に追い詰められたら誰もでもまけるって……あっ……」ビクッ

芳佳「あのぉ。これだと私だけが負けちゃうようなぁ」

シャーリー「心配するなって。本番ではエイラとサーニャも仲間になってくれるだろ?」

エイラ「そーだなぁ。本戦なんてどうでもいいからなぁ」

ルッキーニ「おぉ! これなら絶対にあたしたちの勝ちじゃん!!」

リーネ「うん。勝てるかも」

シャーリー「これは私たち4人のドッグファイトも夢じゃないな」

芳佳「どちらかといえばキャットファイトになりそうな気がしますね」

エイラ「……宮藤?」

芳佳「なんですか?」

エイラ「ごめんな」

芳佳「何がですか?」

シャーリー「そういえば、さっき誰かいなかったか?」

ルッキーニ「え? そだっけ?」

リーネ「私は見てませんけど」

シャーリー「なら、気のせいか。それより、もう一回やるぞ。今の感じを体に叩きつけるんだ」

食堂

バルクホルン「……」

エーリカ「あれ、トゥルーデじゃん。……天井になんかあるの?」

バルクホルン「……」

エーリカ「おーい。どうかしたー?」

バルクホルン「エーリカ……か」

エーリカ「お。やっと気が付いた。どうしたのさ。口あけてずっと上見てたけど」

バルクホルン「私は弱いウィッチだったようだ」

エーリカ「どういうこと?」

バルクホルン「宮藤とエイラが楽しそうに体を重ねていたのを見て、思わずその場から離れてしまい、ここに来てしまった」

エーリカ「なんでエイラと宮藤がそんなことに?」

バルクホルン「分からない。最初は宮藤が悲鳴をあげたから何事かと思ったんだが、あの二人の雰囲気は、無理やりと言う感じでもなかった」

バルクホルン「少なくとも、遊んでいる、じゃれあっているように思えた」

エーリカ「どうしてその場で何も言わなかったんだ? いつものトゥルーデなら、何をやっているんだ! お前たち!!って怒鳴るのに」

バルクホルン「できなかったんだ。あんなにどこか嬉しそうな宮藤を見て、私は動揺してしまったんだと思う」

エーリカ「動揺って……」

バルクホルン「情けない……。宮藤の想いからは逃げ、ペリーヌの心から距離を取り、そして淫らな宮藤に恐れ戦いた」

エーリカ「なんだそれ」

バルクホルン「宮藤は結局、誰でも良かったのかもしれないな……」

エーリカ「宮藤とエイラは具体的になにしてたのさ?」

バルクホルン「エイラが……宮藤の尻尾を掴んで……」

エーリカ「そういうことか」

バルクホルン「なにか知っているのか?」

エーリカ「これ。トゥルーデはまだ知らなかった?」ペラッ

バルクホルン「……なんだこれは?」

エーリカ「ドッグファイトのルールが変更になったんだ。参加者が多くて予選して振るい落とさないと色々と都合が悪いだろ?」

バルクホルン「尻尾を掴む……?」

エーリカ「予選で魔法力使いきるようなことしたら本末転倒になるじゃん。でも訓練だしテキトーなことはできない」

バルクホルン「それで白兵戦のようなことを……。まさか!」

エーリカ「そうだよ。宮藤とエイラは予選に向けた特訓をしてただけだって。トゥルーデが考えているようなことはないんじゃない?」

バルクホルン「そういうことだったのか。私はなんて勘違いをしてしまったんだ。カールスラント軍人として恥ずかしい」

エーリカ「そこまで思いつめなくていいんじゃない?」

バルクホルン「そういうわけにはいかない」

エーリカ「どうして?」

バルクホルン「こんなに乱れた心のままでは満足に飛ぶこともできないだろう。それどころかこの予選を突破することもままならない」

エーリカ「そうかな」

バルクホルン「今すぐ自分を鍛え直さねばならない」

エーリカ「えー? 今からやるのか?」

バルクホルン「当たり前だ!! このままではシャーリーに笑われてしまうだろう!!」

エーリカ「真面目だなぁ。今更だけど」

バルクホルン「お前も他人事ではないんだぞ?」

エーリカ「なにが?」

バルクホルン「貴様が予選を突破しないでどうするんだ。501のトップエースであるお前が本戦に参加できないなんてことはあってはならないだろう」

エーリカ「ずっと言ってるけどさぁ。別に私は興味ないだけど」

バルクホルン「それでもカールスラント軍人か!! 下の者に示しがつかないだろう!! さぁ、こい!! 共に特訓だ、ハルトマン!!」グイッ

通路

美緒「うーむ。少し右に傾いているな」

ミーナ「美緒。まだ貼り終っていなかったの?」

美緒「これで最後だ。それよりバルクホルンはどうなんだ?」

ミーナ「それが少し信じられないことを聞いたのよ」

美緒「信じられないこと?」

ミーナ「宮藤さんがね、バルクホルン大尉に対して大好きだって告げたらしいの。でも、宮藤さんはペリーヌさんにも同じことを言っていたらしくて」

美緒「ほう?」

ミーナ「ただ宮藤さんはそんなことをするような子じゃないから、ペリーヌさんがバルクホルン大尉の気を引くために嘘をついたんじゃないかって。美緒はどう思う?」

美緒「宮藤は私にも同じことを言ってきたぞ」

ミーナ「え!? それじゃあ……」

美緒「ペリーヌの言っていたことは本当のことだろうな。しかし宮藤のやつ、何が目的でそんなことを。まさかドッグファイトで勝つために味方を作ろうとしているのか……?」

ミーナ「た、大変! 私、トゥルーデを探してくるわ!!」

美緒「何を焦っている?」

ミーナ「だ、だって! 私、余計なことを言ってしまったもの!!」

格納庫

ペリーヌ「わたくし、大尉に嫌われてしまったのかもしれませんわね」

サーニャ「そんなこと……」

ペリーヌ「不用意に仲間のことを貶めるようなウィッチに対しては最も嫌悪感を抱く人ですもの」

サーニャ「大丈夫ですよ」

ペリーヌ「わたくしの話は聞いてもらえないかもしれないですわ」

サーニャ「ペリーヌさん……」

エイラ「お! おーい!! サーニャ!!」

サーニャ「エイラ。なにしてるの?」

エイラ「ドッグファイトの特訓だ。もうルッキーニとシャーリーがしつこくってさぁ」

サーニャ「特訓?」

ルッキーニ「うにゃぁー!!!」ズサァァ

エイラ「おっと、あぶない」サッ

ルッキーニ「あにゃぁ!?」

ペリーヌ「きゃぁ!!」

ペリーヌ「あいたたた……」

ルッキーニ「うぇぇぇん……いたいよぉ……」

ペリーヌ「泣きたいのはこちらのほうですわよ!!」

エイラ「隙だらけだな、ルッキーニ」グイッ

ルッキーニ「はにゃ……!?」ビクッ

エイラ「ふっふっふっふ。猫は掴みやすくて助かるな」ギュゥゥ

ルッキーニ「あ……ぅ……つよくにぎっちゃやだぁ……」

シャーリー「くっそぉ。このパターンじゃエイラを追い込みきれないか」

エイラ「ま、二人じゃムリダナ」

シャーリー「おーい。宮藤ー、リーネー。そろそろ回復したかー?」

芳佳「まだ……もうすこし……」

リーネ「あと……30分……」

シャーリー「あはは。ハルトマンみたいなこと言ってるな」

ペリーヌ「ちょっと、どこがドッグファイトの訓練なんですの?」

ルッキーニ「あれ、知らないの? はいこれ。ルール変わったんだよー」ペラッ

ペリーヌ「予選では白兵戦を……。それで尻尾を追いかけていたわけですか」

シャーリー「結構白熱するぞ、これ。二人もどうだ?」

ペリーヌ「誰がやるものですか。無駄に疲れるだけでしょう? ねえ、サーニャさん?」

サーニャ「やります」

ペリーヌ「……」

エイラ「そっかー。さすが、サーニャなんだな」

ルッキーニ「じゃ、サーニャもエイラを追うほうね」

エイラ「待てよー。サーニャは私と同じチームでよくないか?」

シャーリー「それだとエイラが有利すぎるだろ」

ルッキーニ「そーだ! そーだ! サーニャの魔法とエイラの魔法が組んだら勝ってこないもん!」

エイラ「また私一人かぁ? やめてくれよー。宮藤かリーネ、早く復活して私の味方になれってー」

芳佳「は、はぁーい。今、いきまぁす」

リーネ「はぁ……ひぃ……」

ルッキーニ「よぉーし!! もう一度やろー!!」

ペリーヌ「……わ、わたくしもやります!! やりますわよ!! 参加させてくださいな!!」

バルクホルン「尻尾を掴めばいいわけだから、求められるのは何より瞬発力だな。生半可な動きではハルトマンや少佐の背中に回ることはできない」

エーリカ「そうだねー」

バルクホルン「とっさの判断力も重要だな。なるほど。確かにいい訓練になるな。流石は少佐だ。考えることがいつも理にかなっている」

エーリカ「えー?」

バルクホルン「本気でやるんだぞ、ハルトマン! 手を抜いたら許さないぞ!」

エーリカ「もー、一人でやってよー」

バルクホルン「一人でできることではないだろう。何を言っているんだ」

エーリカ「できるってー。こうやって、自分で自分の尻尾を追い掛け回せば!!」グルグル

バルクホルン「馬鹿にしか見えないぞ、ハルトマン。いいから、行け! 15秒後に私が追いかける!!」

エーリカ「はぁーい……」テテテッ

バルクホルン「気合をいれてはしれぇぇ!!!」

エーリカ「やだよぉー」

バルクホルン「特訓にならないだろうがぁ!!!!」

エーリカ「トゥルーデがおこったぁー」

バルクホルン「いいから真面目にやれぇ!!!」

バルクホルン「――そろそろ行くか」

バルクホルン(宮藤とペリーヌが参加している以上、私は決して負けられないんだ)

バルクホルン(二人の想いは受け取れない。だからせめて私は二人の憧れでなければならない)

バルクホルン(二人を失望させるようなことがあってはならないんだ)

バルクホルン「よし。さて、ハルトマンはどこに隠れたか」

バルクホルン「ふん。とはいえ、奴が隠れそうな場所は大体見当がつくがな」

バルクホルン「恐らくはこちらに――」

芳佳「ペリーヌさん、ちょっと狭いですよぉ」

ペリーヌ「貴方がもう少しつめるだけでスペースに余裕ができますわよ!」

芳佳「ペリーヌさん、しーっ。エイラさんとリーネちゃんにバレちゃいますから」

ペリーヌ「あ、失礼。しかし、これが本当に訓練になりますの? ただ隠れているだけではありませんか」

芳佳「面白いじゃないですか。私、ドッグファイトが好きになってきましたよ。あ、ペリーヌさんはキャットファイトですね」フリフリ

ペリーヌ「はい? それはそうと、わたくしの長い尾は不利ですわよね。少し気を緩ませれば尻尾だけが見えてしまいますし」フリフリ

バルクホルン(そうか。二人もドッグファイトに向けて訓練を……。それにしてもあんなに尾を動かしていては簡単に敵に見つかってしまうな……)

バルクホルン「……」

芳佳「リーネちゃんは今、どこ辺りかなぁ」

ペリーヌ「宮藤さん、不用意に顔を出さないように」

芳佳「でも――」

バルクホルン「……」ギュッ

芳佳「はわっ!?」ビクッ

ペリーヌ「え!? バルクホルン大――」

バルクホルン「……」グイッ

ペリーヌ「はぅ!? あっ……はぁ……んっ……ダメぇ……そんなにつよくにぎられたらぁ……んっぁ……」ビクッ

バルクホルン「お前たち。背後を気にしていなければ戦場では死ぬぞ」

芳佳「す、すみません……んくっ……ぃ……」

ペリーヌ「あ、あの大尉……そんなに乱暴にしないでください……その……尻尾は敏感で……」

バルクホルン「宮藤……ペリーヌ……。二人に話しておきたいことがある」ギュゥゥ

芳佳「んぎぃ……!!」

ペリーヌ「はぁぁん……いやぁ……」

バルクホルン「お前たちに対する答えをここで示す」

芳佳「な、なんのことですか……?」

バルクホルン「私の事を好きだと言ってくれたな?」

芳佳「え? あ、はい」

バルクホルン「ペリーヌも私に対しては好意を寄せてくれているな?」

ペリーヌ「は、はぁ……。勿論ですわ」

バルクホルン「私も、二人のことは好きだ」ギュゥゥ

芳佳「おっ……ぉぉ……!」ビクッ

ペリーヌ「たいいぃ……やめてぇ……」

バルクホルン「しかし、それは同じウィッチとして、501の一員としてだ。それ以上の感情は持ち合わせていない」

芳佳「バルクホルンさん……あの……離してください……負けでいいですからぁ……」

ペリーヌ「ほぉぉぁ……」

バルクホルン「宮藤」グイッ

芳佳「ぅんっ!」

バルクホルン「許してくれ」

芳佳「あの、謝りますから……尻尾から手を……手をぉ……」ビクッ

バルクホルン「宮藤……」

芳佳「ぁ……くっ……ん……」

ルッキーニ「大尉のまけー」ギュゥゥ

バルクホルン「ふわぁああ!!! ル、ルッキーニ!! 何をする!!!」

シャーリー「おっ。ルッキーニ、お手柄だな」

バルクホルン「にひぃ! ぶいっ」

エイラ「なんだ、大尉も参加してたのか」

サーニャ「あ、バルクホルンさん」

バルクホルン「お、お前たち……」

シャーリー「参加するなら一声かけてくれよな」

バルクホルン「私はあくまで自主的にだな……」

エーリカ「あー。トゥルーデつかまってるじゃん。宮藤とペリーヌにいいところ見せるんじゃなかったのか?」

バルクホルン「ハルトマン。これはどういうことだ?」

エーリカ「大勢でやったほうが楽しいだろ? なんかみんなもやってたから仲間にいれてもらったんだー」

バルクホルン「お前な……。勝手に敵を増やすな……」

芳佳「あーびっくりしたぁ」

ペリーヌ「尻尾がジンジンしますわ」

バルクホルン「すまない。だが、これで私の気持ちも分かってくれただろう?」

芳佳「は、はい。私、これからも変わらずバルクホルンさんのこと好きですから」

バルクホルン「……ありがとう」

ペリーヌ「あ、あの、大尉?」

バルクホルン「なんだ?」

ペリーヌ「(宮藤さんのことを悪女と言ったこと、撤回させてください)」

バルクホルン「(分かっている。ペリーヌ。もう全て分かっている。心配するな。そのような些細なことで私はお前を嫌ったりはしない)」

ペリーヌ「そ、それならいいのですが」

エイラ「で、また最初からするか?」

シャーリー「そうだな。本番前に実力を測っておくのも悪くない」

ルッキーニ「にゃはー。大尉ー、いっしょにやろー」スリスリ

バルクホルン「いいだろう。吹っ切れた私に怖いものはないぞ」

サーニャ「では……はじめっ」

美緒「おーい。バルクホルーン」パカッ

美緒「ゴミ箱にはいないか」

ミーナ「真面目にやって」

美緒「はっはっはっは」

ミーナ「もう……。トゥルーデはどこに……」

エーリカ「集中砲火をかけろー!!」

「「わぁぁぁー!!」」

美緒「格納庫のほうが騒がしいな」

ミーナ「何かしているのかしら?」

バルクホルン「お前らぁ!! 何故、私ばかりを付け狙うんだぁ!!」

芳佳「まってくださーい!! バルクホルンさーん!!」

ペリーヌ「お待ちになってくださーい」

バルクホルン「悪い気分ではないが」

美緒「これは、ドッグファイト予選の練習か」

ミーナ「やっぱり、見栄えがあまりよろしくないわね」

サーニャ「エイラ、右後方。ルッキーニちゃん」

エイラ「こっちか!」ギュッ

ルッキーニ「あにゃぁー!!!」

シャーリー「もらった!! エイラぁ!!」

サーニャ「ごめんなさい」ギュッ

シャーリー「ひゃぁ!? サ、サーニャ……!?」

エイラ「どーだ。私はルッキーニを釣られた囮だ」

シャーリー「こっちの策にはまったと見せかけて、私たちをはめたのか……」

サーニャ(シャーリーさんの尻尾、やわらかい)フニフニッ

シャーリー「あっ……こ、こら、サーニャ、変な触り方はやめてくれ……か、感じるから……」

リーネ「……」ギュッ

エイラ「うわっ!! リーネ!?」

リーネ「ご、ごめんなさい」

シャーリー「どうだ、エイラ。伏兵ってのはこうやって使うんだ」

エイラ「くっ……。油断した」ガクッ

エーリカ「おーいいじゃんいいじゃん。みんな楽しそうで。考案した私も嬉しいよ」

美緒「楽しそうなのは結構だが、こう堂々とされてはな」

エーリカ「少佐もきたの? 一緒にどう?」

美緒「ふむ……」

ミーナ「ハルトマン中尉。やはりこの光景は見せられたものではないと思うのだけ――」

美緒「宮藤!! 私の尾を捕らえてみろ!!」

芳佳「坂本さんまで!? わ、わかりました!!」

ペリーヌ「あぁ!! しょうさー!! よろこんでー!!」

バルクホルン「お前たちの相手は私だろう」ギュッ

芳佳「ぎゃぁ!!」

ペリーヌ「はぅ!?」

ミーナ「ちょ、ちょっと……」

エーリカ「いい訓練になるでしょ?」

ミーナ「なってるの?」

エーリカ「ミーナも一緒にやればいいじゃん。ほらほら、いこうよ」

ミーナ「……」

ルッキーニ「うにゃー!!」

ミーナ「はいっ。失格」ギュッ

ルッキーニ「あにゃぁぁ……」

サーニャ「ルッキーニちゃんの仇は私が!」

ミーナ「はい。ダメ」ギュッ

サーニャ「きゃぁ」

シャーリー「中佐を相手にするなら複数人でかかるんだ!! いくぞ!! シャーリー隊!!」

ミーナ「ふっ……」

リーネ「いきまーすっ!」

エイラ「うりゃぁー」

ミーナ「甘いわ。二人とも」ギュッ

リーネ「ひゃん!?」

エイラ「なんでだぁ……」

シャーリー「おいおい。シャーリー隊、全滅かよ……」

芳佳「あー、つかれたぁー」

美緒「だらしないぞ。この程度で」

芳佳「で、でも、私はもう1時間ほどこれを……」

美緒「そんなことでは予選を突破できんぞ。いいのか、宮藤。ドッグファイトで己の力を試したいのだろう?」

芳佳「この予選でも十分ドッグファイトを楽しんでますから」

美緒「まぁ、これもドッグファイトといえなくもないがな」

ミーナ「逃がさないわよ、シャーリーさん!」

シャーリー「やめてくれー!!! 私が悪かったー!!」

芳佳「あれなんて、狼がウサギを狩っているようにしか見えないですよね」

美緒「……なるほど。そういうことか」

芳佳「あ、でも。ミーナ中佐の場合はウルフファイトになるんですか?」

美緒「宮藤。お前、ドッグファイトを何か勘違いしていないか?」

芳佳「え? 勘違い? でも、こうやって追いかけ回す以外に何か犬っぽいことありますか? も、もしかして!! やっぱり本番では噛みあいの応酬に……!?」

美緒「説明してやろう」

芳佳「ひぃ。食べないでください……私、おいしくないですから……」

エイラ「サーニャ、大丈夫か?」

サーニャ「ええ。平気よ。楽しかったわ」

ペリーヌ「サーニャさんがこんなことに興味があったとは思いませんでしたわ」

サーニャ「いつものドッグファイトは少し怖かったですけど、このドッグファイトなら私でもできそうだったので」

エイラ「そうか。よかったぁ」

サーニャ「ハルトマンさんが考えてくれたんですよね? ありがとうございます」

エーリカ「まぁ、ね。喜んでくれてなによりだよ」

シャーリー「はぁー。最後はヤバかった。まさか中佐が本気で追っかけてくるとは思わなかった」

ルッキーニ「にゃはー。たのしかったねー」

バルクホルン「ミーナも大人気ないな」

ミーナ「貴方に言われたくないです。あ、そうだわ。ちょっと」

バルクホルン「ん?」

ミーナ「貴方に訂正とお詫びをしないといけないの」

バルクホルン「なんだ、改まって」

ミーナ「実は……」

リーネ「芳佳ちゃーん。そろそろ食事の準備――」

芳佳「……本当なんですか?」

美緒「そうだ」

リーネ「芳佳ちゃん、どうしたの?」

芳佳「リーネちゃん!! 知ってた!?」

リーネ「な、なんのこと?」

芳佳「ドッグファイトの意味!!」

リーネ「え? 空中戦闘機動のことじゃないの?」

芳佳「そうなの!! リーネちゃん、知ってたんだ!!」

リーネ「う、うん」

芳佳「私だけなんだ! 知らなかったの!!」

リーネ「芳佳ちゃん、知らなかったの?」

芳佳「うん!!」

リーネ「ご、ごめんね。芳佳ちゃんが知らないってことに気づかなくて……」

美緒「エイラー、こっちにこい」

エイラ「なんだー?」

美緒「……何かいうことは?」

エイラ「え……?」

芳佳「むぅー……」

エイラ「謝っただろぉ」

芳佳「エイラさんの意地悪っ」プイッ

エイラ「いや、私は真っ先に打ち明けようと思ったんだ。だけどさぁ、中尉がさぁ」

美緒「ハルトマンが?」

エーリカ「そうそう。私が勘違いさせていたほうがいいって言ったの」

美緒「何故、そんなことを」

エーリカ「(だって、本当の意味を宮藤が知ったら、絶対に辞退するでしょ? 楽しみにしていた少佐やトゥルーデが落胆しちゃうだろ?)」

美緒「(うぅむ……)」

エーリカ「(だから、予選を設けることにしたんだよ。そうしたら、宮藤がドッグファイトに出られなくても少佐たちは納得できるし、宮藤は危ない目に合わない)」

美緒「(そういう意図があったのか……)」

エーリカ(ま、それだけじゃないけど)

バルクホルン「少佐ぁ!!!」

美緒「今度はなんだ?」

バルクホルン「正直に答えてくれ!! 少佐もその……宮藤に……告白されたのか……?」

美緒「告白?」

バルクホルン「だ、だ、いすき……とか」

美緒「ああ。体をすり寄せて言われたぞ。大好きです、とな。まぁ言われたところで嬉しいだけだが」

バルクホルン「……」

ペリーヌ「宮藤さん!!!」

芳佳「な、なんですか!?」

ペリーヌ「ミーナ中佐から話はぜーんぶ聞きましたわよぉ!!! あなたがそんな八方美人な人だったなんて幻滅ですわ!!」

芳佳「えー!? どういうことですかー!?」

ミーナ「宮藤さん。正直に答えて。どういうつもりで坂本少佐やバルクホルン大尉に対して好意を直接的に伝えたのかを」

芳佳「あ……それは……」

ミーナ「ペリーヌさんのように勘違いしてしまうことだってあるし、褒められたことではないわね」

芳佳「ごめんなさい……。悪いことだっていうのは分かってたんですけど……。あれ? でもペリーヌさんもバルクホルンさんもあまり効果がなかったはずじゃ……」

リーネ「芳佳ちゃん。そんなことないって私言ったのに」

芳佳「だ、だけど、リーネちゃんみたいな反応じゃなかったよ? バルクホルンさんはいつも通りだし、ペリーヌさんには怒られちゃったし」

リーネ「そうじゃないよぉ」

ペリーヌ「この人だけはぁ……!!」

芳佳「ごめんなさーい!!」

ペリーヌ「ゆるしませんわよぉ!!!」

ミーナ「こら、やめなさい」

シャーリー「まったまった。ペリーヌ。それに関してはルッキーニにも責任はあるんだ」

ペリーヌ「はい!?」

ルッキーニ「あははは。あたしが芳佳にいったんだー。戦いたくないなら、スリスリして大好きーっていっちゃえばいいよって」

ペリーヌ「なぁぁ……!?」

ルッキーニ「ほら、前にペリーヌとケンカしたときも――」

ペリーヌ「なんですって?」

ルッキーニ「あ……しまった……」

ペリーヌ「なるほど……。確かにあのとき、ルッキーニさんのスキンシップが妙に多かったですわね。なるほど。そういうことですの……」

ルッキーニ「あにゃぁー!! ゆるしてよぉー!!」

ペリーヌ「許すものですかぁー!! 人の純情を弄んでおいてー!!! きぃー!!!」

ルッキーニ「あぁん!! ごめんにゃさーい!!」

ペリーヌ「このっ! このっ!!」

サーニャ「これがキャットファイト……」

ミーナ「もう……」

芳佳「あぁぁ……ルッキーニちゃんがぁ……」

シャーリー「元気でいいなー」

美緒「シャーリー。お前も気づいていたなら何故言わない?」

シャーリー「ああ、そのぉ。ドッグファイトで宮藤に対する攻撃が少なくなるなら、まぁいいかなぁなんて」

バルクホルン「どういう意味だ?」

シャーリー「ど、どういう意味って……」

美緒「なるほどな。宮藤を囮にして私やバルクホルンを撃墜しようと考えていたわけか?」

シャーリー「そ、そんなこと微塵も考えていません!!」

バルクホルン「私に負けたのがそんなに悔しかったのか、リベリアン。宮藤を利用し!! 私の精神状態を不安定にさせてまで勝ちたかったのか!?」

バルクホルン「待てぇ!! その腐れきった性根をカールスラントの誇りにかけて叩きなおしてやる!!!」

シャーリー「なんで私が怒られなきゃならないんだよ!!」

バルクホルン「それだけのことをしているからだ!!! 自覚が無いのか!!」

シャーリー「私は純粋に宮藤の身を案じてたんだ!! お前とかハルトマンに虐められたら掠り傷じゃすまないだろ!!」

バルクホルン「宮藤が参加を決めたときいたときから手加減はするつもりだった!!! お前に心配されるまでもない!!!」

サーニャ「これもキャットファイト……」

美緒「困った連中だな」

エイラ「ホントにな」

美緒「お前もだ」ゴンッ

エイラ「いてっ」

サーニャ「芳佳ちゃん、ごめんね。エイラが変なことを言ったばっかりに」

芳佳「ううん。大丈夫。嘘をつかれていたのはちょっと悲しいけど、それでもドッグファイトは楽しかったから」

リーネ「そうだよね。501の全員で遊んだのって初めてかも」

サーニャ「私も楽しかったわ」

美緒「楽しかったか。それが一番いいことだがな。はっはっはっは」

エーリカ「それよりさぁ。エーリカ式ドッグファイトはちゃんとやるんだろ?」

美緒「どうするかな……」

ミーナ「それぞれの考えがあったとはいえ、訓練とは呼べないわね」

エーリカ「えー? いーじゃん、これを予選にしたらさー」

美緒「宮藤、リーネ」

芳佳「はい」

リーネ「なんですか?」

美緒「これを予選とするなら、参加するか?」

芳佳「えっと、みなさんが参加するなら」

リーネ「私も」

美緒「サーニャは?」

サーニャ「します」

美緒「参加を募る意味でも採用にするか」

ミーナ「美緒、本当にいいの?」

美緒「状況の判断、咄嗟の機転、戦術を選び相手を制圧する。戦場にはどれも必要不可欠だ。その力を試せるのなら、私は構わない」

エーリカ「やったー。さっすが、少佐ぁ。わかってるー」ギュッ

美緒「まぁ、折角お前が考えてくれたことでもあるし、あのサーニャまで参加すると言っているのだからな」

エーリカ「少佐、すきー」スリスリ

ミーナ「離れなさい」

芳佳「でも、勝っちゃうと空で戦うほうのドッグファイトに参加しなきゃいけないんだよね?」

リーネ「そうだけど、空中にしろ地上にしろ私たちがハルトマンさんやバルクホルンさんには勝てないから」

サーニャ「心配ないと思うわ。楽しみましょう」

芳佳「そうだね! うんっ!」

エイラ「そういう考えなら私も参加するかなー」

バルクホルン「お前たち!! これは訓練なのだぞ!!」

シャーリー「別にいいだろー。参加理由なんてさ」

バルクホルン「そういうわけにいくか!! きちんと考えた上でだな!!」

ペリーヌ「このっ! どうしてみなさんはわたくしの心を掻き乱していくの!?」

ルッキーニ「うぇぇん!! ペリーヌのこと好きなのは本当にゃのにぃー!!」

ペリーヌ「……そうなの?」

ルッキーニ「あたりまえじゃん!」ギュッ

ペリーヌ「でも……」

ルッキーニ「ペリーヌのことだいしゅきだからぁ」スリスリ

ペリーヌ「もう……。ちょ、調子いいんですから。今後はこういうことがないようにお願いしますわね」

ルッキーニ「あいっ! ぺりーにゅぅ……大好きだよぉ……。にひぃ」スリスリ

ペリーヌ「あ、ありがとうっ!」

エイラ「ペリーヌのやつ、将来悪い男とかに騙されないか不安ダナ」

サーニャ「大丈夫よ、きっと。ペリーヌさんなら」

バルクホルン「散々な一日だった……」

エーリカ「でも、よかったじゃん。トゥルーデは宮藤とペリーヌに好かれてるのは分かったでしょ?」

バルクホルン「それだけが救いだな」

シャーリー「お前も結構単純だよなー」

バルクホルン「なんだと!?」

芳佳「あぁ、もうやめましょうよぉ」

リーネ「すぐに食事の準備しますから! 機嫌直してください!」

バルクホルン「リーネ。食事でどうにかなると思っているのか?」

リーネ「え?」

シャーリー「随分と子ども扱いしてくれるじゃないか?」

リーネ「あ、あの……」

バルクホルン「それ相応の食事でなければならないぞ」

シャーリー「わかってんのかぁ?」グリグリ

リーネ「は、はぁい! がんばります! すみません!!」

エーリカ「今度のドッグファイト、一緒にやろうねー」

芳佳「でも、ハルトマンさんとドッグファイトしても勝てっこないですよね」

エーリカ「それは分からないんじゃない? やる前から諦めてどーするのさ」

バルクホルン「お前にしてはいいことを言うな」

エーリカ「お前にしてはってなんだよー。失礼しちゃうなー」

美緒「……」

ミーナ「美緒? まだ気になることでもあるの?」

美緒「少しな。あとでバルクホルンとシャーリーを呼んでミーティングをする。ミーナも参加してくれ」

数日後 滑走路

美緒「えー、では予定通り501隊特別訓練を行う」

バルクホルン「ついに来たな」

シャーリー「今回こそは勝ってやるぞぉ」

ルッキーニ「うにゃー! がんばるぞー!!」

芳佳「緊張してきたぁ」

リーネ「わたしもぉ」

ペリーヌ「あらあら。だらしのないことですわね」

エイラ「お前も足震えてるじゃないか」

サーニャ「いちっ、にっ、さんっ、しっ」

エーリカ「サーにゃん、やる気十分だね」

ミーナ「もう知っていると思うけれど、まずは予選をします。予選の地上戦を想定……した、白兵戦を行います」

シャーリー「中佐的には地上戦じゃないんだろうな」

バルクホルン「今言葉に詰まったからな。認めたくはないのだろう」

ミーナ「静かに! では、ルールを説明します」

ミーナ「――予選のルールは以上です。何か質問はある?」

美緒「……無ければ、始めるぞ。総員、魔法力を発動させ、所定の位置につけ」

芳佳「リーネちゃん、がんばろうね!」

リーネ「うん! 芳佳ちゃんもがんばってね!」

ペリーヌ「ちょっと、宮藤さん、リーネさん。置いていかないでくださいな。作戦通りに動きなさい!!」

エイラ「サーニャ、一緒に戦おうな」

サーニャ「ええ。ほどほどにがんばりましょう」

ルッキーニ「シャーリー!!」ギュッ

シャーリー「行くぞ、ルッキーニ」

エーリカ「やるぞー!!」

バルクホルン「予選は突破するぞ。ハルトマン」

エーリカ「もっちろん!!」

ミーナ「さてと」ピコンッ

美緒「ミーナ、頼む」

ミーナ「任せておいて」

美緒「それでは予選を開始する!! 始め!!」

エーリカ「……」

エーリカ(テキトーなところでわざとまけよー。あのドッグファイト、本当はやりたくなかったんだよねー)

エーリカ(参加しないとトゥルーデに怒られるから渋々やってたけど、今回からは堂々とサボれるぞー)

エーリカ「わーいっ」テテテッ

ミーナ「……フラウ」

エーリカ「え? ミーナ? なにしてるの?」

ミーナ「貴方の相手は私よ」

エーリカ「ホントに? それはラッキーだね。さー、こい!!」

ミーナ「……」

エーリカ「……あれ? こないのか?」

ミーナ「……」

エーリカ「それじゃあ、他のところへ――」

ミーナ「行かせないわ」

エーリカ「な、なんで!? もしかして……!!」

芳佳「でやぁー!!」

エイラ「あらよっと」サッ

ペリーヌ「とらえましたわー!!!」

エイラ「ムリムリ」ササッ

ペリーヌ「くぅぅ……!! エイラさん!! 卑怯ですわよ!! その魔法を使うなんてぇ!!」

エイラ「魔法力つかってんだから、仕方ないだろー」

ペリーヌ「だ、だからってぇ」

サーニャ「えい」ギュッ

ペリーヌ「はひぃ!? サ、サーニャさん!?」

サーニャ「これが作戦なんです」

リーネ「ごめんね!」ギュッ

サーニャ「あっ……!」

エイラ「リーネ!! サーニャにさわんなぁー!!!!」

リーネ「いやぁー!! ごめんなさーい!!」

エイラ「謝ってもゆるすかぁー!!」

ルッキーニ「うにゃー!!!」ズサァァァ!!!

美緒「動きが直線的すぎるぞ!! ルッキーニ!!!」

シャーリー「もらった!!! 少佐ぁぁ!!!」

バルクホルン「ふんっ!!」バッ!!

シャーリー「あぶなっ!! なにするんだ!!」

バルクホルン「貴様はここで落としておく」

シャーリー「望むところ――」

リーネ「きゃー!!」タタタッ

エイラ「にがすかぁー!!」ダダダッ

シャーリー「……」ギュッ

リーネ「きゃぁ!?」

バルクホルン「隙だらけだな」ギュッ

エイラ「うわぁ!?」

美緒「まだまだだな、ルッキーニ」ギュゥゥ

ルッキーニ「うにゃぁぁ……つよくにぎっちゃだめぇ……」ビクッ

芳佳「あぁ……みんながぁ……」

美緒「残っているのは、私とシャーリー、バルクホルン、あとはミーナとハルトマンか」

エーリカ「まってよぉー!! 私、戦えてないんだけどー!!」

ミーナ「どこにいくの?」

エーリカ「邪魔すんなぁー!! 誰かぁー!! 私の尻尾にぎってよぉー!!」

ミーナ「あらあら、おかしなことを言うのね。予選を突破したくないということかしら?」

エーリカ「うぅ……」

バルクホルン「お前の考えぐらいお見通しだ、ハルトマン!! こんな茶番でドッグファイトをサボろうとするな!!」

エーリカ「自由参加なのにどーして私だけ強制なんだよー!! 私にも自由をー!!」

バルクホルン「いつも自由にしておいてなにを言っている!!! それにエースのお前が不参加などありえない!!」

芳佳「ど、どういうことなんですか?」

美緒「このドッグファイトはハルトマンが不参加への理由付けだったというわけだ。自分のために全員を巻き込んだため、今回は強制参加になった。それだけだ」

芳佳「は、はぁ」

美緒「まぁ、実力不足のウィッチを見極めるうえではこの予選も無駄ではないがな」ギュッ

芳佳「きゃぁ!! まけちゃった……当たり前だけど……」

>>133
美緒「残っているのは、私とシャーリー、バルクホルン、あとはミーナとハルトマンか」

美緒「残っているのは、私、宮藤、シャーリー、バルクホルン、あとはミーナとハルトマンか」

ミーナ「はい。それでは、本戦を開始します」

バルクホルン「いつでもこい!!」

シャーリー「……あれ? 中佐が入るってレベル上がってないか?」

美緒「はっはっはっは。今回は前回以上の熱戦になるな!!」

エーリカ「あぁー。もう!! こうなったら本気でやってやる!! さっさと終わらせてお菓子食べて寝るんだー!!!」

バルクホルン「いいぞ! その意気だ!! ハルトマン!!!」

エーリカ「シュトゥルム!!」ゴォォォ!!!

シャーリー「ルッキーニ!! 応援よろしく頼む!!」

ルッキーニ「がんばってー!! シャーリー!!」

ペリーヌ「あぁ……。少佐と真剣勝負ができる貴重な場だったのに……。でも、今回は参加できなくてもよかったですわ」

エイラ「中佐と少佐とか、どうやったら勝てるんだろうなー」

サーニャ「うん。ただただ怖いだけ」

芳佳「すごいなー。ああしてみると、私たちって本当に凄い人たちに囲まれてるんだね」

リーネ「そうだね。私もいつかあんな風に飛びたいなぁ」

芳佳「私も。……あ、シャーリーさんがやられちゃった」

翌日 通路

芳佳「これで全部かな?」

リーネ「多分そうだと思うよ」

芳佳「それにしても昨日は本当に凄かったよねぇ。まさかミーナ中佐が優勝しちゃうなんて」

リーネ「ハルトマンさんとシャーリーさんすごく悔しそうだったね」

芳佳「また次回も同じようにするのかな?」

リーネ「それならまた予選だけでも参加しようかなぁ」

芳佳「予選は面白いよねー」

リーネ「うんっ」

エイラ「うぇー……」

芳佳「あれ、エイラさん、どうしたんですか?」

エイラ「あぁ、ワゴン・ホイールしてきたばかりでさぁ。ちょっと疲れてるんだ」

リーネ「もしかしてバルクホルンさんたちとですか?」

エイラ「ああ。中尉はまだしも大尉が厳しくてさぁ。ルッキーニはめちゃくちゃだし、ペリーヌは小うるさいし。大変だったんぞ。お前らはなにしてたんだ?」

リーネ「坂本少佐に言われてドッグファイト訓練を告知した貼り紙をはがしていたところです」

エイラ「暇そうでいいなー」

芳佳「あのぉ、エイラさん」

エイラ「なんだ?」

芳佳「ワゴン・ホイールってなんですか?」

エイラ「なんだ、お前。航空団にいるのにワゴン・ホイールしらないのか?」

芳佳「ご、ごめんなさい。よければ教えてください」

エイラ「……ワゴン・ホイールっていうのはな、一人がワゴンに乗って、もう一人がそれを押しながら全速力で走るんだ」

リーネ「えっ」

芳佳「な、なんの意味があるんですか!?」

エイラ「ウィッチは高速飛行できなきゃいけないだろ? その速度に体を慣らすための訓練を地上で可能にしたのが、ワゴン・ホイールだ」

芳佳「そ、そうなんですか!? そんな訓練したことないですよ!!」

エイラ「そのうちするじゃないかー? 宮藤は新人だからな」

芳佳「ワゴンに乗って……。それは楽しそうですね!!」

エイラ「ダロー? シャーリーに押してもらうとスリル満点なんだかんな」

リーネ「もうエイラさん!! 芳佳ちゃんをからかわないでください!!!」


おしまい。

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