杏「12月の」 (40)

季節違いですが

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杏「……」

杏「……んー」

杏「暇だなぁ」

杏「……」

杏(実は仕事あるけど)

杏「……でも」

杏「こんな寒い日には仕事なんてやってられないよねー」

杏「……」

杏「お前は年中暇してるだろーがー」

杏「……」

杏(ヤバイ、なんか更に寒くなった気がする)


杏(もう、こうなったのもあのツッコミ役がいないせいだよ、バカ)

杏(こんなに雪が降ってるんだ、寒いんだから杏が仕事サボるのなんて決まってるじゃんか)

杏「……」

杏(ま、きっと他のアイドル達の面倒が忙しくて杏になんか構ってられないんだろうなー)

杏(しょうがない、しょうがないよね、うんうん、忙しいんなら……しょうがない)

杏「……」

杏「昔は家まで迎えに来てくれたのに……」

杏「……バカ」

ガンッ

杏「あ」


杏(や、やば……つい窓蹴っちゃた……)

杏(えと、大丈夫かな)

杏「……あー」

杏「軽いひびが入っちゃってる……」

杏「……」

杏「……ま、いいか」


ピー

杏「お、お湯湧いたかな」

杏「よいしょ……寒い日にはカップラーメンに限るよね」

杏「……あつっ……っと」

杏「よし、後はタイマー入れて三分……」

杏「……」チラッ

杏(今、十一時か……後三十分くらいしたらプロデューサーも心配して連絡くらい……)


杏「……」

杏(……杏は何期待してんだろ)

杏「そ、そんなことよりラーメンまだかな……」

杏「……」

杏(……まだ三十秒しか経ってなかった)

杏(待つの面倒くさいし……布団でゴロゴロしとこ)



…………



杏「……」

杏「……んあっ」

杏(あれ……いつの間に寝て……)

杏(い、今は……えっ、三十分くらい寝てたのか)

杏「……って、そういえば」

杏「ら、ラーメンは!?」

杏「……」

杏「汁、全くないや……」


杏「……」

杏(プロデューサーも、来なかったな)

杏(もう、プロデューサーが来て杏を起こしてくれればこんな大惨事にはならなかったのに……!)

杏「……」

杏(……来なかった、かぁ)

杏(プロデューサー、このまま家でダラダラしてても来ないかも)

杏(もしかしたら、三十秒や三十分どころじゃない、三十日経っても……なーんて……)

杏「……そりゃ、流石にないか」

杏「……」

杏(けど)

杏(プロデューサーが本当に来なかったら……杏はどうするんだろ)

杏(もうこれからずっとプロデューサーが来なかったとして……ええと、三十秒、三十分……三十日…………三十年?)

杏(……三十年は多すぎかな)


杏(でも、そうか、プロデューサーがいないまま三十年、かぁ)

杏(……きっと杏はその気になれば三十年くらいアイドルなんかせずに暮らしていけるかも)

杏(というかアイドルなんて大変な仕事しなくても、もっと楽に、楽しく三十年暮らせるよ)

杏(……)

杏「それなら……杏はプロデューサーなんかいなくても、三十年ぐらいどうってことないはずだよね、うん」

杏「……うん」


杏「……」

杏(昔から、そうだった)

杏(面倒くさいことは嫌いで、学校の勉強も最低限だったし……人付き合いだって適当だった)

杏(今の杏もそれはそんなに変わってない、変わってなんかないのに)

杏(今は昔と違ってて……将来なんか考えたことなかったし、なにより……今、杏の周りには結構人がいる)

杏(……まぁ、プロデューサーもいる)

杏(だけど、プロデューサーの周りにはもっともっとたくさん人がいて)

杏(皆プロデューサーにとって大切な人で……それは、きっと杏よりも……)

杏(……)

杏(プロデューサーがいないまま、三十年?)

杏「……」

杏「……あ、そうだ」

杏「カップラーメン、どうしよっかな」


プルルルルル

杏「!」

杏「け、携帯……」

杏「も、もしもし?」

ちひろ『杏ちゃん?』

杏「……ちひろさん」

ちひろ『そっちプロデューサーさんいない?』

杏「へ?」

ちひろ『ちょっと前に外に出ていったんだけど……さっき急に雪が強くなったから心配で……』

杏「こっちにはいないよ?」

ちひろ『そう……んー、プロデューサーさんちゃんと傘もっていってたかしら』


ちひろ『ごめんなさい、ありがとうね』

ちひろ『あ、でも杏ちゃん、今日はもういいけど……今度はちゃんとレッスンには来るようにね?』

杏「……ごめんなさい」

ちひろ『プロデューサーさん凄い怒ってるから覚悟するよーに』

杏「げっ……ま、まぁでもプロデューサーが怒っても怖くないから大丈夫かなー」

P「ほう、そうか」

杏「うん……というかプロデューサーは他の子達で忙しいだろうから杏なんか……」

杏「……」

ちひろ『……』

P「……」

杏「わああああああああ!!」

ちひろ『え、杏ちゃん、なに……どうし』ブツッ


P「よう杏、レッスンはどうした?」

杏「ど、どうやって……家の中に……」

P「ん」

杏「なんで杏の鍵持ってるのさっ!」

P「作ったに決まってんだろう」

杏「は、犯罪だっ! 慰謝料と有給を要求する!」

P「お前の有給はもうねえよ」

杏「じゃ、じゃああれだ……えーと……あの……」

P「……何か言いたいことあるか?」

杏「……」


杏「……なんで、来たの?」

P「仕事させるために決まってるだろ」

杏「他の子達は?」

P「お前より遥かに真面目だからな、あいつらはちょっとくらい一人にしても大丈夫なんだよ」

P「それに比べてお前は本当に……俺が付いていないとダメすぎるな……」

杏「……そっか」

P「おい、怒ってるんだぞ、笑うな」

杏「別に笑ってないよ」

P「口がニヤニヤしてるぞ」

杏「ニヤニヤしてない」

P「……」

杏「……」

P「もしかして、泣きそうなのか?」

杏「わ、笑ってるんだっ!」

P「やっぱり笑ってるんじゃねえか……」


P「……ったく」

P「おい、あったかいお茶とかないか?」

杏「え?」

P「雪に降られてここまで来たんだ、何かあったかいもの持ってきてくれ」

杏「い、いいけど……事務所行かないの?」

P「連れていこうと思ってたんだが……今はいかんせん、途中で雪が強くなり過ぎた、止むまで待つぞ」

杏「そっか」

P「……また笑ってるな、何がそんなに楽しいんだ?」

杏「なんでもない、はい、あったかいもの」

P「……」

P「おい、なんだこれ」

杏「カップラーメン」

P「カップ焼きそば?」

杏「ラーメンだって」

P「……」



…………



P「……まずい」

杏「あ、やっぱり?」

杏「食べなくて良かった……」

P「……俺は残飯処理かよ」

杏「大切なアイドルのお腹壊してもいいの?」

P「お腹はこわれないだろ、まずいだけだし」

杏「……」

P「……」

杏「ね、プロデューサー」

P「なんだ?」


杏「杏は大切なアイドル、だよね?」

P「……否定はしないけど」

杏「それってさ、三十年後も?」

P「三十年もアイドルやんのかお前は」

杏「言葉の綾ってやつだって……で、どうなの?」

P「……そうだよ」

杏「……」

P「なんなんだ一体」

杏「いや、なんか微妙だった」

P「なんか失礼だな……」


杏「なんだろう……うん、しっくりこない」

杏「……まぁどうでもいいか、いいことあったし」

P「いいこと?」

杏「うん」

杏「たまには拗ねてみたらね、大物が釣れてさ」

P「え、お前拗ねてたの?」

P「俺、お前に悪いことしたっけな……」

杏「それゃもう、杏に仕事させたりレッスンさせたり、不安にさせたり」

P「ほぼお前が問題じゃないかそれ」

P「……」

P「ん、不安?」

杏「くひひ……なんでもないよ、ほら、ラーメン伸びちゃうから早く食べなよ」

P「もう手遅れだっつーの」



…………



P「ふう、食ったぞ」

杏「お疲れー」

P「って、食ってたらもう三十分経ったのか……そろそろ事務所戻るぞ杏」

杏「え、外凄い雪になってるけど」

P「……マジで?」

杏「ほら、窓みてみなよ」

P「……」

杏「今日は泊まる?」

P「アイドルの家に泊まるのはヤバイから意地でも帰る」


P「しかし本当に雪凄いな……お前はやっぱ家残ってていいぞ」

杏「いいの?」

P「ああ、もうやみそうにないからしょうがない、こんな天気でアイドルを外に出せねえよ」

杏「それは有難いけど……プロデューサーはこんな雪なのに本当帰れるの、大丈夫?」

P「大丈夫だ」

P「仕事させに来たのに何もせず帰るのはあれだが……ま、お前と久々に話せたからいいとするか」

杏「え」

P「……」

P「最近、忙しくて構ってやれなくてごめんなー……なんてな」


杏「……」

P「……」

P「お、おい……ここは子供扱いするなって怒るとこだぞ?」

杏「……いや」

杏「そうだ……後、三十秒待ってプロデューサー」

P「三十秒?」

杏「……」ポチッ

P「テレビ……なにするんだ?」

杏「えーと今の時間帯なら確か……あ、あった」


「……に注意しましょう」

「それでは、今日明日にかけての天気です」

「東京では、更に雪、風共に強くなるため、外出は控えるように……」


P「……」

杏「おわ、凄い丁度良かった」

杏「……外出は控えるように、だってさ」

P「……いや、帰るよ」

杏「泊まってけばいいのに」

P「それは無理だっての」

杏「……ふーん」


P「……」

杏「……」


「……は必須です」

「それでは週間天気予報です」


P「……」

杏「……」

杏「ね、プロデューサー」

杏「十二月の次の月曜日はまた雪だって」

P「……そうみたいだな」


杏「杏、この日にまたレッスンサボるかもしれないけど……どうする?」

P「アホ」

杏「いてっ……殴るなよぅ」

P「アホなこと言うからだ……ったく」

P「だったらその日にまた、迎えに来てやるからちゃんと準備してろ」

杏「えー」

杏「多分、その日は今日よりもっと大雪がくるよ?」

杏「だからさ、その時はプロデューサー、杏の家に泊まっていきなよ」

P「なんだそりゃ、今日より雪が強いなら流石にお前の家には行かないし、仕事もしねえよ」

杏「そっか、それもそうだね」

杏「……くふふ」

P「……笑ってんじゃねえよ」








おわり


前のやつで杏ちゃんのお尻を大変なことにしたので今回は真面目なつもり

元ネタあったのにほとんど原型とどめてなくて悔しい


おまけ



杏「……」

P「……」

杏「警報、でてるんだよ?」

P「おう……」

杏「そりゃ、その、杏も軽口で言ったのは悪かったとは思ってるけど」

杏「……普通は来ないでしょ?」

P「まぁ……そうだな、うん」

杏「……」

P「……行けるかな、と思って」

杏「……はぁ」

杏(杏は三十年後もこんなアホな人といるのかな……)


カップラーメンは伸びてるぐらいが好きです
でも、杏はもっと好きです


見てくれてありがとうございました
駄文失礼しましたー

あなたか。

杏のお尻叩きssの人か
可愛い杏だった。乙

杏ちゃんかわいい(かわいい)


構ってな杏ちゃんとか可愛すぎる


前スレのタイトルおなしゃす

>>32

見てくれてありがとう

杏「お尻の舞」

他にも杏は↓みたいなのあるからよろしくです

杏「クチュクチュ?」

杏「結婚しようよ」

杏「アイドル?」


バンアパか

今日は個人的に良作なアイマス、モバマスSSに出会える日だなぁ……嬉しい限りだぜよ
乙乙、元ネタ知りたいな

乙です
元ネタはthe band apartの12月のかな?

杏「ペロペロ?」シリーズの続編はまだですか?

遅くなってごめんです
元ネタは皆さんが言ってる通りバンアパの「12月の」です、名曲です

あのシリーズは......どうしよう、もうどうしたらいいかわかんないです

杏を娶って幸せにして欲しい

いいssだった、かけ値なしに

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