双葉杏「プロデューサー、今日は休んでだらだらしない?」(610)

双葉杏(17)


P「ダメだ」

杏「えー……」

P「杏は印税生活するんだろ?」

杏「うん、そうだよ?」

P「なら今休むのはダメだ。名前を売る時期なんだからな」

杏「……めんどくさい」

P「そういわないでさ、あとひと踏ん張りだぞ?」

杏「……んー、だってだるいし……」

P「飴、飴をやろう」

杏「……んー」

P「2つでどうだ」

杏「……しかたないなぁ」

P「それで今日の仕事なんだが……」

杏「んー?」

P「本屋で握手会なんだ」

杏「……えっ」

P「どうした?」

杏「握手会って……あのニコニコしながらよろしくーとかいう?」

P「うん、そうだぞ?」

杏「……めんどくさい……」

P「まぁまぁ、そういわずに……」

杏「だってあれ、すっごく疲れるって聞いたことあるし……」

P「うーん、だけど名前も売れるし、いいイメージをつけておきたいしだな……」

杏「えー……」

P「飴、追加するから。な?」

杏「うーん……」

P「頼むよ、杏……それに、悲しいけどまだそんなにファンも多くない。疲れるほどじゃないさ」

杏「……わかった。仕方ないなぁ」

P「ありがとう。がんばろうな!」

杏「適当でいいよ、適当で……」

P「そういわずに……な?」

杏「はいはい……ん」

P「ん?」

杏「飴、追加してくれるんでしょ?」

P「あぁ、うん……はい」

杏「うん、じゃあまぁ……いってきます」

杏「んーと……ここ?」

P「うん、そうだな……限定100人ってことにしてあるんだけど……」

杏「100人!? ……うえぇ、多すぎない?」

P「いや、そんなことはないと思うんだけどなぁ……」

杏「そんなの手がパンパンになっちゃうよ……あぁ憂鬱だなぁ」

P「……」

杏「どうしたの?」

P「いや、ちょっと不安になってきた」

杏「不安ってなにが? 杏の身体の心配なら今すぐ帰らせてくれれば解決するよ?」

P「そうじゃなくてだな……まぁ、杞憂……だと思うけど」

杏「ふーん……」

杏「……」

杏「んー……」

杏「もう始まってる……んだよね?」

P「ん、あぁ……そうだな……」

杏「さっき2人ぐらいやったけど、それだけだよね」

P「……そうだな」

杏「なぁんだ、握手会って楽な仕事なんだね?」

P「……」

杏「……プロデューサー?」

P「……すまん」

杏「え、なにが?」

P「やっぱりまだ時期尚早だったみたいで……」

杏「え?」

P「……本当にすまん……」

杏「いや、よくわからないけど……楽だしこれでいいじゃん。ダメなの?」

P「ダメだろ。だって……こんな晒しものみたいな……」

杏「いや、別に気にしてないよ?」

P「本当か?」

杏「うん、だって楽だし。ゲーム持ってきたらよかったなぁ……」

P「いや、それはダメだけど」

杏「えー」

P「……結局、来たのは20人か……」

杏「……結構疲れたんだけど」

P「……すまん」

杏「座ってるだけっていうのも疲れるねー。アイドルも楽じゃないよ」

P「次こそ、絶対に……」

杏「うん?」

P「もっと、忙しくしてみせるからな」

杏「えっ、それはいやなんだけど……」

杏「まぁ、今日のお仕事はこれで終わりだよね?」

P「……そうだな。まだこれだけ、だ」

杏「なんだかこれから仕事が増えてくみたいで嫌だなぁ……」

P「仕事が増えなきゃ印税生活になんてならないぞ?」

杏「だって今日の20人だけでも疲れたし……」

P「……20人か。もっと多い人を相手できるようにならないとな」

杏「いや、だから20人だけでも疲れたんだよ? もっとなんて……」

P「大丈夫だ、杏ならきっともっともっと上を目指せる!」

杏「……ねぇ、杏の話聞いてる?」

P「あぁ、聞いてるとも。大丈夫だ、まだまだここからだからな」

杏「……はぁ……帰りたい……」

P「ん……そうだな。送っていくよ」

杏「うんうん、ありがと。お願いねー」

P「……」

杏「プロデューサー?」

P「お、うん?」

杏「結構疲れたんだけど、いたわる気持ちとかが形で欲しいなー」

P「……あぁ、飴か」

杏「うん!」

P「ごめん、今切らしてて……今度じゃダメか?」

杏「えー。もう、使えないなぁ」

P「……すまん」

杏「別にいいけど、次のお仕事の時はおおめにくれなきゃダメだからね?」

P「ついたぞ、杏……って……」

杏「……んー……」

P「寝てる……?」

杏「……うへへぇ……あめぇ……」

P「……もう少し寝かせてやるか」

杏「……zzZ」

P「……才能はあるはず、なんだ……もっと人目に触れるような仕事を……」

P「いや、焦っちゃダメだよな。まずはグラビア……いや、杏の体型じゃそれも……」

P「雑誌か……? コラム……」ブツブツ…

杏「……ん、んんー?」

P「……」ブツブツブツ…

杏「プロデューサー……?」

P「あ、すまん。起こしたか?」

杏「起こしたか、って……あれ? ここ、杏の家の前?」

P「あぁ、ちょっと寝てたみたいだから……」

杏「今何時!?」

P「え? 7時10分……」

杏「あぁもう始まってるじゃん……はぁ、プロデューサーは気がきかないなぁ」

P「え?」

杏「みたいアニメがやってたの。起こしてよ、プロデューサー」

P「……すまん、知らなかった」

杏「別に、いいけど……じゃ、お疲れ様」

P「うん、また明日な」

杏「ただいまー」ガチャッ

杏「あぁ、やっぱり1人暮らしっていいなぁ……誰にも咎められないし」

杏「んー、今日は……」クンクン

杏「……まぁ、大丈夫かな。それよりテレビテレビー」ピッ

杏「あとポテチとー、ジュースと……」

杏「ふぅ、やれやれ……ひとごこちーってね」

杏「……んん?」

杏「下、まだいる……やれやれ、通報されちゃうんじゃないのかな、あれ?」

杏「まぁいいや、そしたら明日の仕事無くなりそうだしねー」

杏「んー、ギャグ回かぁ……」

杏「……あふぁ……ん。んー。つまんないなぁ」

杏「お風呂入るのもめんどくさいし……」

杏「ゲームやろっかな」

杏「えーっと、これとこれと……」

杏「……準備するのもめんどくさいなぁ」

杏「あー……まぁいいや。寝よっと……」

杏「……布団はいいなぁ、生まれ変わったら布団になりたいよ……」

杏「おやすみぃ……」バフッ

杏「……zzZ」

ピピピピッ ピピピピッ

杏「……ん……・」

ピピピピッ ピピピピッ

杏「あー、うるさいなぁもう……」バシッ

ピピッ

杏「……んー。今何時……?」

杏「……7時じゃん。なんでこんな時間にアラームが……」

杏「あ、アニメかぁ……今は朝だよー、って……もう……」

杏「……んー、あれつまんなくなってきたなぁ……」

杏「……んん……んー……」

杏「……二度寝しよっかなぁ……ふぅ……」

杏「……」モゾモゾ

ピンポーン

杏「……んー? チャイム……?」

杏「……気のせいかなぁ。うん、気のせい気のせい……」

ピンポーン

杏「……気のせい気のせい……」

ピンポーン ピンポーン

杏「……」

ピンポーン ピンポーン ピンポピンポーン

杏「……」イライラ

ピンポピンポピンポーン ピンピンポーン

杏「あぁもううるさいなぁ! 誰!?」ガチャッ

P「よ、おはよう杏」

杏「げっ……」

P「ちょっといいか?」

杏「……今、寝るのに忙しいんだけど……」

P「頼むよ、まじめな話なんだ」

杏「えー……」

P「……飴、昨日のお詫びも合わせてもってきたから、な?」

杏「……んー、じゃあまぁ……いいよ、あがって」

P「うん、お邪魔します」

P「それで、話なんだがな……」

杏「ん」スッ

P「うん?」

杏「察しが悪いなぁ、飴。持ってきてるんでしょ?」

P「あ、あぁ……すまん。ほら」

杏「うんうん、これがなくちゃね……」

P「……話をしてもいいか?」

杏「んー? ん」コロコロ

P「そうか、それじゃあ今後の方針についてなんだが……」

杏「んー」コロコロ

P「歌、歌えるか?」

杏「……歌?」

P「あぁ。ドサ周り的な仕事はこれからもやらなくちゃならないが……それだけだと多分体力的に辛いだろ?」

杏「歌うのもなんだか疲れそうでいやなんだけどなー」

P「あとはコラムを書いたりとか、エッセイを書いたりとか。そういう視点からの話もありなんだが……」

杏「歌うよりは疲れなさそうじゃん、そっちでいいかなぁ……」

P「……話題性や、ファンの獲得のためなら定期的に。できる限り多方面に手を伸ばす必要があるんだ」

杏「えー?」

P「そうなると、杏の性格的にはめんどくさくなる、かなと」

杏「まぁ、そうだね……1回書いただけで終わりじゃないんだ?」

P「そうだな。校正も入るし意外と手間がかかる仕事になると思う」

杏「えー、そんなにめんどくさいならやりたくない……」

P「そうだよな。だからさ……歌、どうだろう?」

杏「歌かぁ……でも歌って結構疲れるよね。レッスンとかもしなくちゃいけないんでしょ?」

P「まぁ、当然ながら……」

杏「それはそれでめんどくさくていやだなー。どうにかならない?」

P「だけどな、杏。歌なら1度売れればある程度の話題性と売上は見込めるはずなんだよ」

杏「え、本当?」

P「あぁ。曲が売れさえすれば露出も増やせる。ドサ周り的な仕事は減る……どうだ?」

杏「仕事が増えるのは嫌だけど、昨日みたいなずーっと待ってなきゃいけないのが無くなるなら考えてもいい、かな」

P「本当か!?」

杏「あ、考えてもいいってだけで……」

P「よし、じゃあレッスンの日程とかを決めよう!」

杏「……本当に人の話を聞かないなぁ、もう」

P「それでこの日はレッスン、それから……」

杏「うわぁ……どんどん杏の自由な時間が奪われてく……」

P「確かにちょっと予定が入ってるが、無理のない範囲のはずだぞ?」

杏「……まぁ、確かに……でも朝からの日が多すぎない?」

P「あ、いや……だって7時には帰宅したいんだろ?」

杏「は?」

P「え?」

杏「……あー。昨日の夜のこと?」

P「うん、見たいアニメがあるんだろ?」

杏「いっておくけど、毎日やってるわけじゃないよ?」

P「……そうなのか?」

杏「……え、知らなかったの?」

P「いや、あまり詳しくなくて……」

杏「それでよくアイドルのプロデューサーなんてやってられるね……」

P「アニメより実在するアイドルに夢中になって、それに憧れてやってきたからなぁ……」

杏「はぁ……まったく、ダメだなぁ。プロデューサーは」

P「……すまん」

杏「まぁいいや。この日とこの日なら夕方に見たいアニメもないしもっと開始時間遅らせてよ」

P「ん、わかった……じゃあこの日だけは7時に帰れるように、だな」

杏「あー、でも朝早くからって疲れるしめんどくさいなぁ……もっと全部の開始時間を遅くできない?」

P「もっと、か……うーん、だがそうするとレッスンの時間が……」

杏「レッスンなんて短くして、ちょいちょーいってさ……ダメ?」

P「それはダメ、だな。譲れない」

杏「むー、ケチだなぁ……」

P「ケチとかイジワルじゃなく、杏を埋もれさせるのがもったいないんだよ」

杏「ふーん?」

P「杏には才能がある。間違いなく、人を引き付けるなにかを持ってる」

P「だから、それを伸ばしたい。もっとたくさんの人に見てもらいたいんだ!」

杏「……熱いね。疲れない?」

P「疲れないぞ? 杏がファン達を熱狂させる姿を想像するだけでもう元気が沸いてくる」

杏「現実は昨日見た通りだけどね」

P「うっ……」

杏「……まぁいいや。時間はこのままでいいよ」

P「ほ、本当か!?」

杏「売れたら楽できるんだよね?」

P「あぁ、きっと!」

杏「話は終わりかな、それじゃあプロデューサー、お疲れ様」

P「えっ?」

杏「えっ」

P「今日からレッスンだぞ?」

杏「……えっ?」

P「ほら、ここ」

杏「……うわぁ」

P「いやぁ、杏がやる気になってくれて嬉しいよ! がんばろうな!」

杏「きゅ、急に頭痛が……」

P「なんだって? ちょっと待てよ、頭痛薬なら確か車の中に……」

杏「……いや、冗談だよ?」

P「なんと」

杏「はいはい、いけばいいんでしょいけば……」

P「え、頭痛は本当に……」

杏「サボろうと思ったのになんだか毒気が抜けちゃった。……ま、飴もたくさんもらったしちょっとぐらいならね」

P「そうか、よかった……うん、じゃあいこうか!」

杏「あ、その前に着替えだけしときたいかな」

P「おっと、すまん……あれ?」

杏「どうしたの?」

P「そういえば服、昨日別れた時のままだな。着替えてなかったのか?」

杏「あ……まぁ、めんどくさくて……」

P「ダメじゃないか。ちゃんとお風呂……せめてシャワーを浴びておかないと。アイドルなんだからな」

杏「はいはい……はぁ、めんどくさい……」

P「じゃあ、下で待ってるからな」

杏「ん、わかった」

P「シャワーぐらい浴びといたほうがいいんじゃないか? 大丈夫か?」

杏「プロデューサーってデリカシーが無いよね。まったくもう……だいたい」

P「ん?」

杏「これからレッスンってことは、いっぱい汗かくんでしょ? 二度手間じゃん」

P「それもそうだが、こう……さっぱりした状態のほうが気持ちいいんじゃないか?」

杏「新しい服準備して、服脱いで、シャワー浴びて、服を着る……」

杏「重労働だよ、これ?」

P「……そうなのか?」

杏「そうそう。特に女の子は髪の毛とかお化粧とかいろいろあるんだから」

P「そうだったのか……すまん……」

杏(……まぁ、お化粧もしてないし髪もほとんど気にしてないけど……)

P「じゃあ、下いってるよ。着替えは用意した方がいいぞ」

杏「あいあいさー。わかったよ」

…バタン

杏「んー、着替えかぁ……」

杏「今着替えて、レッスンして、着替える……」

杏「めんどくさいなぁ……うーん……」

杏「でもまぁ、汗でぐしょぐしょだったりしたら気持ち悪いし着替えは持っておかなきゃかなー」

杏「今着替えて……あれ?」

杏「レッスンってことは動くよね……うーん、動きやすい服、動きやすい服……」

杏「……」ズルッ

[働いたら負け]

杏「……このTシャツでいっかー」


杏「お待たせー」

P「お、杏……」

杏「……どうしたの?」

P「いや、そのTシャツは……どうなんだ……?」

杏「一応考えたんだよ? 動きやすい服の方がいいかなーって」

P「ほうほう」

杏「それで、楽な服を探そうと思ったんだけど」

P「うん?」

杏「いろいろひっくり返すのもめんどくさいしこれでいいやって思ったんだぁ」

P「……ま、まぁ。杏がそれでいいならいいんだが……」


ブロロロ…

P「そうだ、杏。今日のトレーナーさんなんだけどな?」

杏「……ん、なに?」

P「あ、すまん。寝てたか?」

杏「んー、ちょっとうとうとしてた……」

P「これから動くんだし、今寝るのはどうかと思うぞ?」

杏「……めんどくさい……」

P「やってくれるって言ったじゃないか……頼むよ、な?」

杏「はぁ……仕方ないなぁ……」

P「ありがとう! よし、それで今日のトレーナーさんなんだけど」

杏「うん?」

どう考えても今日中にそのくだりにいけないや。先に書いておこう

杏、ハッピーバァスデー!


P「やりやすいように、女の人にしてみた!」

杏「やりやすいように、って……どういう意味?」

P「え、ほら。男の人だと緊張したりとかしないか?」

杏「いや、別に?」

P「そうか……まぁ、腕もいいって聞いてるし、どうだろう?」

杏「……厳しい人とかじゃないなぁまぁいいかな」

P「厳しさは……」

杏「うん?」

P「……あはは」

杏「笑ってごまかしたよね? 厳しいってこと? ねぇ?」

P「杏がやる気になってくれて本当にうれしいよー」

杏「ちょっと、こっちみてよ! ねぇ!」


P「よし、ここがレッスン場だ」

杏「……うわぁ……」

P「どうした?」

杏「なんかこう、働く人々ー、みたいなオーラが見える……帰りたい……」

P「大丈夫だ、目の錯覚だから」

杏「プロデューサーみたいなまじめな人にはわからないよ、きっと」

P「そうかなぁ……でもほら、ここから杏のシンデレラストーリーが始まると思えば、な?」

杏「うーん、なんだかやる気も削げてきたよ……」

P「そういわずに……」

杏「……うーん」

P「……飴、飴を……」

杏「……仕方ないなぁ、うん。じゃあいこっか」


P「あの、すみません」

トレーナー「はい、なんでしょう?」

P「レッスンを予約したものですが……」

トレーナー「あぁ、えーっと、双葉杏さんですね?」

P「はい」

トレーナー「……あの、あなたではありませんよね?」

P「え、はい」

トレーナー「では、その……どちらに?」

P「え?」

P「……」キョロキョロ

P「……杏ー?」

杏「……バレたか……代わりにプロデューサーがレッスンするっていうのはダメかな?」

P「それじゃ意味無いじゃないか……ほら、頼むよ」


杏「……あー、えーっと……」

トレーナー「はじめまして、私があなたをレッスンさせてもらう担当トレーナーです。よろしくね?」

杏「……うん、よろしく……」

トレーナー「そんなに体も心もカタくならないで、まずは軽くダンスから初めてみましょうか♪」

杏「ダ、ダンス!?」

トレーナー「え?」

杏「そんなの聞いてないよ、プロデュー……いない!?」

トレーナー「おかしいですね、みっちり基礎から、必要なことをすべてって聞いたんですけれど……」

杏「う、うわぁ……か、帰る! 帰らせて!」

トレーナー「それだけはダメだ、って言伝もあずかってます……そんなに激しくはしないから大丈夫ですよ、リラックスリラックス」

杏「リラックスするのには家に帰るのが一番だよ……あぁ帰りたい……」


P「……はい、その件なのですが、はい、是非……はい、ありがとうございます!」

P「はい! お願いします! はい! はい、失礼します!」

ピッ

P「……ふぅ、よかった……この調子なら……ん?」

P「……そろそろ終わったころか……」

P「迎えにいかなきゃな。杏のレッスン……」

P「いきなりハードすぎたかな。でも……基礎体力も必要だろうし、少しぐらい……」

P「……ヘソを曲げてた時のために飴を買い足しておこうかな」

P「えーっと、味は……」


P「あの、すみませ……」

トレーナー「双葉杏ちゃんのプロデューサーさんですね!?」

P「あ、は、はい。そうですけど……なにか……?」

トレーナー「……」

P「……ま、まさかなにか問題でも……?」

トレーナー「すごいですよ、あの子……本当に初レッスンなんですか?」

P「え、はい……そうですけど」

トレーナー「あの身体にはありえないほどのロングトーン。肺活量からじゃなく、体の使い方がうまいんでしょうね」

P「本当ですか?」

トレーナー「えぇ、素晴らしい才能を感じます……ただ……」

杏「……あ、プロデューサー。やっと迎えに来たの? 疲れた、帰りたい、あと飴」

トレーナー「……その、終始あんな感じでしたけれど」

P「はは……ご迷惑をおかけします」


P「飴は買ってきたぞ。ちょっと食べながら待っててくれるか?」

杏「えー。早く帰りたい……」

P「見たいアニメとかがやっぱりあるのか?」

杏「……まぁ、うーん……無いけど……」

P「じゃあ、頼むよ……な?」

杏「……仕方ないなぁ。ちょっとだけだよ?」

P「あぁ、ありがとう……それで、トレーナーさん」

トレーナー「はい、なんでしょう?」

P「レッスンの最中の雰囲気とか、詳しく聞かせてもらってもいいですか?」

トレーナー「そうですね、じゃあまずダンスの話から……」


トレーナー「この動きは、こう……ゆったり、『含み』を持たせる感じで……」

杏「ふくみ……うーん……」

トレーナー「できませんか?」

杏「……いや、思ったよりも激しいレッスンじゃなくてちょっとだけ安心してるの」

トレーナー「ふふっ、最初からハードなのなんて要求しませんよ。まずは身体を作るところからです」

杏「そっか……んーと、ゆっくりな動きでいいんだよね?」

トレーナー「えぇ、覚えられるまで少しずつやっていきましょう!」

杏「えっ」

トレーナー「どうしました?」

杏「これ、覚えないとずっと同じことさせられるの?」

トレーナー「あぁ、別に焦らなくても……」

杏「……もう一回見せて。全部」

トレーナー「……は、はい?」


トレーナー「まずはステップ、そこから手を……」

トレーナー「それで、こう……ここは含みを持たせる感じで……」

トレーナー「そして、ここから転調して、決め!」

トレーナー「……通しだとこんな感じですね。割と単純な動きの組み合わせなので慣れれば……」

杏「……」スクッ

トレーナー「……あの、どうしたんですか?」

杏「……まずはステップ」タタンッ

トレーナー「……!」

杏「それで、手をあげて、クロス、ステップ……」トン、トトンッ

杏「含みを持たせる動きから……」フワッ

杏「転調して、決め!」ビシッ

杏「……これで終わりでいい?」

トレーナー「……」パクパク


トレーナー「え、ダンスの経験ありでしたっけ!?」

杏「ううん、そんな疲れそうなこと今初めてやったけど……」

トレーナー「……し、信じられない! まさか見ただけでここまで……」

杏「ねぇねぇ、これで終わりでいいんだよね? 帰っていい?」

トレーナー「次は、これできる!?」

杏「え、うん?」

トレーナー「結構ハードな曲だけど、あなたならきっと……」

杏「疲れそうだし、めんどくさい……」

トレーナー「そういわないで、どうかな? ねっ?」

杏「でも……」

トレーナー「あぁ、プロデューサーさんから預かった飴をあげるから、ねっ!」

杏「……仕方ないなぁ、ちょっとだけだよ?」


杏「あー、疲れた……もう動きたくない……」

トレーナー「……姉さん、姉さんにも教えたいっ! すごい、すごい!」

杏「え、いや……」

トレーナー「あ、ごめんなさい……つい……」

杏「別にいいけど、ダンス……こんなに疲れるならもう二度とやりたくない……」

トレーナー「……正直、どこまでできるか見てみたくて無茶ぶりもしちゃいました。ごめんなさい」

杏「えぇー……なにそれ、詐欺だよ……」

トレーナー「ごめんね……でも、本当に素晴らしいわ! 次はボーカルレッスンがしたいんだけど……」

杏「……ボーカル……?」

トレーナー「うん、歌うために必要なことのレッスン……今度は激しい動きはないから、ね?」

杏「……疲れたなー」

トレーナー「も、もちろん休憩はとるから、ね?」

杏「飴なめたーい」

トレーナー「あんまりたくさんはダメって……いや、でも……うぅ、わかった、わかりました! だから、お願いします!」


杏「ふんふんふーん♪」コロコロ

トレーナー「それで、まずは……肺活量、というか……声の出し方から、かな?」

トレーナー「腹式呼吸は基本。お腹を膨らませて吸う、へこませて吐く」

トレーナー「ロングトーンっていって、長ーく声を出す練習があるんだけど……」

トレーナー「……すぅ……」

トレーナー「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁーーーーーーー……」

トレーナー「……みたいな感じで。どうですか?」

杏「……めんどくさそう?」

トレーナー「感想を聞いてるわけじゃなくて……できそうかな?」

杏「んー……吸って……ながーく声を出す、か……」

杏「………すぅ……」

杏「ぁあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁ……」

杏「けほっ……これ、思ったより疲れる……」

トレーナー「……すばらっ!」


杏「はい?」

トレーナー「うん、すごい! 普段から無意識に腹式呼吸してたのかしら?」

杏「んーと、よくわかんないけど……そうなんじゃないの?」

トレーナー「確かにこれはプロデューサーさんのいってた通りの逸材、ね……」

杏「え、杏ってすごいの?」

トレーナー「それはもう、素晴らしいですよ! 長くトレーナーをやってきましたけれど、こんな輝きを感じる子はそういません!」

杏「……おぉ、なんだか照れるなぁ……」

トレーナー「じゃあ、そうですね……ボイストレーニング。ファルセットの使い方……はまだ早いとして……」ブツブツ

杏「じゃあ才能ある杏は、早く帰って英気をやしないまーす」

トレーナー「待って!」ガシッ

杏「……だめ?」

トレーナー「お願い、私にあなたをトレーニングさせて! 飴ならあげるから!」

杏「……んー、わかった……」




――

――――


トレーナー「と、まぁ……ずーっとこんな感じで進んでいました」

P「なるほど……やっぱり、杏の才能は本物ですよね?」

トレーナー「えぇ、もう教えてる方としてもすごく楽しいんですよ! ……その、本人のテンションとモチベーションが低い状態なの以外は」

P「それはまぁ、性格というか性質というか……ご迷惑をおかけします」

トレーナー「いえいえ、よろしければ是非、またレッスンさせてください! あの子を埋もれさせちゃいけませんよ!」

P「……そうですね。絶対に埋もれさせたらいけないですね」

トレーナー「あ、割引券をお渡ししておきますね。応援してます!」

P「ありがとうございます。それじゃあ……」

トレーナー「ありがとうございました!」

P「……」

P「……埋もれさせちゃ、いけない才能か」


杏「プロデューサー、遅いよ?」

P「あぁごめん。トレーナーさんに今日のレッスンについて聞いてたんだ」

杏「あー。結構褒められたよ?」

P「うん、すごい才能だっていってたよ」

杏「ふっふーん。まぁ杏がやる気になればこの程度お茶の子さいさいだよ」

P「そうだな。そのやる気になった杏を大勢の人に見てもらいたいなぁ……」

杏「……めんどくさそうだから気が進まないんだけど?」

P「まぁまぁ、そういわずに……な?」

杏「えー……」

P「きっと、舞台は用意するから!」

杏「……考えとく」

Pおぉ、ありがとう……飴もちゃんとその時は用意するからな?」

杏「ん、プロデューサーもわかってきたね」

P「ははっ、まぁな」


ブロロロ… キィ

P「……着いたぞ。って……」

杏「……んぅ………」

P「……寝てるのか。はぁ……」

杏「………んぁ……」

P「まぁ、ハードなトレーニングになったみたいだし……疲れるのも当然だよな」

P「……体力はないけど動きや体の使い方がうまい、か」

P「長丁場なんかだと体力が持たなくなりそうだな。キチンと基礎を身につけてもらわなきゃ」

P「……きっと、トップアイドルにしてみせるからな」

P「……もうちょっとしたら起こそう」


P「おーい、杏?」

杏「……んんー」

P「起きろー。そろそろいいだろ?」

杏「……ん、んぅ……ぅん……」

P「ん、おはよう。杏」

杏「……あー。おはよ……」

P「起こしてごめんな? でもあんまりここで寝るのも体によくないからさ」

杏「……ん、んー。そうだね……」

P「ちゃんと起きて、お風呂入って、寝てくれよ?」

杏「んー、わかった……」


杏「……じゃあねー……」フラフラ

P「お、おいおい……大丈夫か?」

杏「……だいじょぶ……」

P「……やっぱり疲れがたまってるのか?」

杏「そりゃそうでしょ……あんなに動いたの……ふぅ……どれだけぶりだか……」

P「ごめんな。杏があんまりにもできる子だからってやらせすぎたな……」

杏「……じゃあ明日休みにして?」

P「……それはちょっと……」

杏「えー……疲れた……だるい……」

P「ごめん、明日はゆるい内容にしてもらうから。続けるのが大切なんだ」

杏「……んー」


杏「……杏の部屋、3階なんだよねー」

P「うん、そうだな……」

杏「それに今、エレベーター修理中なんだよ」

P「あぁ、そういえば……」

杏「疲れて、今すっごく歩きたくないなー」

P「……?」

杏「ねぇプロデューサー。背中乗せてよ」

P「背中……って、おんぶか?」

杏「うん、杏の部屋まで杏のことを運ぶのを許してあげる」

P「……いいのか?」

杏「いいのか、ってなにが?」


P「……いや、なんでもない」

杏「変なプロデューサー。はい、こっち来て」

P「はいはい……助手席側にまわれってことだな?」

杏「うん、それで乗せてくれればいいから」

P「……よし、いいぞー」

杏「よっと……ん」

P「ん、大丈夫か?」

杏「うん、割と……あ、プロデューサー」

P「なんだ?」

杏「変なところ触っちゃダメだよ?」

P「アイドルにそんなことするわけないだろ、まったく」

杏「……からかいがいがないなぁ、もう」


P「……ほい、到着」

杏「うん、ご苦労様。ありがとー」

P「また明日……ちゃんと風呂には入れよー」

杏「わかってるってば。お母さんじゃないんだから……」

P「……杏ちゃん、ちゃんとお風呂に入るザマスよー」

杏「……ぷっ、くっ、あははっ! なにそれ!」

P「いや、お母さんとかいうからちょっと」

杏「だからってザマスはないよザマスは……あははっ! はぁ、あははははっ!」

P「……傷つくザマス」ボソッ

杏「っ、あはっ、くるひっ、ひひっ! も、もうっ!」


P「まぁ、それじゃあお疲れ様。また明日」

杏「明日は……あぁ、遅い時間からだよね?」

P「ん、そうだな。夕方までかかるけど大丈夫か?」

杏「まぁ……朝早くに起こされるよりはよっぽどいいよ。うん」

P「そっか……またな!」

杏「はいはい……じゃあねー」

バタンッ

杏「んー、お風呂か……」

杏「ぁー。からだ重い……」

杏「でも流石に汗がなぁ……ん?」


杏「……向こうにシャワールームとかあったっけ、そういえば……」

杏「ぁー。使って着替えて帰ってくればよかった……着替え持っていった意味なかったじゃん……」

杏「……ふぁ……ねむ……」

杏「まぁいいや、汗だけ流そう……」

杏「……んー」フラフラ

杏「ふくはぬぎすてるものー」ポイッ

杏「……ジュースもっとこー」

杏「うあっ!?」ツルッ

杏「……っつぅ……」

杏「誰だ、こんなところに服……って今脱いだのじゃん……」

杏「……」

杏「そうとうガタがきてるなぁ……あぁ、眠い……」

杏「ササっと流しちゃおう……」

ガララッ…

杏「……んー」キュッ

シャワァァァァ……

杏「あー……きもちいいー……」

杏「……」

杏「……」カクッ

杏「はっ!? ね、寝るところだった……危ない危ない……」


杏「……ぁー」

杏「ん、もういっか……」キュッキュッ

杏「……髪、乾かすの……めんどくさい……」

杏「……今日あったかいなぁ……んー……」

杏「着替え……出してない……」

杏「……」

杏「まぁいいや……おやすみ……」

杏「布団……」ボフッ

杏「……zzZ」


ピンポーン

杏「……」

ピンポーン ピンポーン

杏「………ぅ……」

ピンポーン ピンポーン

杏「……んぅ……うー……?」

杏「……ぁー。朝……っていうか……昼だぁ……」

ピンポーン

杏「あぁもううるさいなぁ! っつぅ……」ピキッ

杏「き、きんにくつう……いたた……」

ひさびさにやらかした……
ごめんなさい携帯からポチポチします


ピンポーン

杏「はいはい……鍵なら今……」

杏「……あ」

ガチャ…

杏「ちょ、ちょっと待って! 開けないで!」

P「え?……あ………」

杏「っ~~~~!!」

P「お前、なんで服っ……!」

杏「閉めてっ!」

P「す、すまん!」バタン


杏「……」ムスッ

P「なんというか……すまん」

杏「最低だよ……もうお嫁にいけない……」

P「……すまん」

杏「精神的苦痛で今日は働けないよ、もう」

P「……すまん」

杏「昨日慣れないことなんてしたから筋肉痛はひどいし……」

P「……」

杏「はぁ、どう落とし前つけてもらおうかな?」

P「……俺にできることならなんだってする」

杏「……ふぅん?」


杏「……んー、じゃあ……」

P「……」

杏「……これはツケってことにしとこうかな?」

P「ツケ?」

杏「うん、今日は休みにしてくれるよね?」

P「……それはまぁ、うん」

杏「プロデューサーはこれから先、杏のお願いには絶対服従ね?」

P「……仕事にいきたくない、以外なら聞く」

杏「えー……」

P「頼む! それだけは、な?」ズイッ

杏「ちょ、ちょっと近いってば……」

P「あ、すまん……」


杏「……まぁいいや。仕事休む以外なら聞くんだよね?」

P「それはまぁ、俺にできることなら」

杏「じゃあ、ん」

P「……ん?」

杏「飴だよ飴。杏の裸をみておいてタダで済ますつもり?」

P「……飴?」

杏「まさか出せないなんて言わないよね?」

P「いや、飴でいいならいくらでも……」

杏「いくらでも!? じゃあ8個!」

P「……いいのか?」

杏「なにが?」

P「いや、杏がいいならいいんだ……ほら」

杏「やったぁ! ありがと、プロデューサー!」

P「……」

飴だけで釣られる杏ちゃんまじちょろい


P「あ、そういえば……」

杏「んー?」コロコロ

P「筋肉痛、大丈夫か?」

杏「んー、んーん」コロコロ

P「そうか……やっぱりハードだったしなぁ……」

杏「ん、んー」コロコロ

P「……一度に口の中に詰めすぎじゃないか?」

杏「ん、んー!」コロコロ

P「……いや、別に吐けっていうわけじゃなくてな」

杏「ん」コロコロ


P「まぁ、筋肉痛はひどいだろうし今日はどっちにしろ休みにする予定だったんだが……」

杏「ん!?」

P「かなり無理しただろうし、そんな状態でさらに無理を重ねても仕方ないだろ?」

杏「んん……んんんん!」

P「……杏、何いってるかわからない」

杏「ぷはっ……んべっ」

P「吐き出すなよ……」

杏「いったん出しただけ。……それじゃあなんか頼み損みたいでやだなぁって」

P「まぁまぁ、代わりに俺がいうことを聞く権利を手に入れたじゃないか」

杏「んー、なんか納得いかない……」

P「これからも飴はちゃんとやるから、な?」

杏「……んー」

アイマスは知らんがこいつに惚れたのでシンデレラガールズとやらに10万くらいいれて来るわ
さすがに出るよな


杏「はぁ……まぁいいや。でも今日はおやすみの予定だったんだよね?」

P「あぁ、一応な」

杏「それじゃあ、なんで杏の家まで来たの?」

P「いや、昨日ので筋肉痛もひどいだろうって思って。身のまわりの手伝いでもしようかなってな」

杏「ふぅん……例えば?」

P「飯とか、まともに食べてないんじゃないか?」

杏「……あー、まぁ適当に食べてるよ?」

P「アイドルは身体が資本なんだ。しっかり食べないとな!」

杏「でも準備とかめんどくさいし……」

P「だから来たんだ。準備は俺がする」

杏「……んー、まぁ変な料理作ったりしないならいいよ?」

P「よし、まかせとけ! 精の付くものを作るからな」

杏「……ん。わかった」パクッ


P「……飴は舐めきれるのか?」

杏「ん、んっ」グッ

P「まぁ、それでご飯が食べれませんでしたっていうのは無しだぞ」

杏「んー……」

P「……とりあえず冷蔵庫見るぞ」

杏「ん」

P「……」ガチャッ…

P「……びっくりするほどなにもないな」

杏「んー?」

P「いや、ちょっと買い物いってくるよ」

杏「ん、んー」チョンチョン

P「飴はまだ買いだめがあるんじゃないか?」

杏「んー……」


P「それじゃ、いってきます。寝っぱなしじゃダメだぞー」

杏「んー……」

P「動かないでいるのも体にはよくないからな。確かに筋肉痛で辛いんだろうけど……」

杏「……んー」

P「はいはい、不満だろうけど我慢してくれ」

杏「……」

P「食べやすいメニューにしとくよ、いってきます」

杏「んー」

ガチャ…… バタン


杏「……ん」

杏「……んー……」

杏「んぇ……はぁ……」

杏「プロデューサー遅いなぁ……」

杏「飴、もうほとんど溶けちゃったし……」

杏「……」

杏「まだかなぁ。ご飯……」

杏「飴でお腹膨らまそうかな……カップ麺ぐらいならあったような……」ガサガサ

ピンポーン

杏「……って言ったら帰ってくるんだから……はぁ……」

杏「はいはい、なんですかー」ガチャッ


P「お待たせ……すまんな」ドサッ

杏「うぇっ……買いすぎじゃない?」

P「そうかな? これからの分も考えたらこれぐらいは必要だろ?」

杏「えー、料理めんどくさい……」

P「俺が作るから大丈夫だぞ」

杏「えっ?」

P「どうした?」

杏「……いや、えっ?」

P「うん?」

杏「その言い方だとこれからも杏の家に来るみたいなんだけど」

P「そうだぞ?」

杏「えぇー!?」

>>165
金払わなくても手に入るぞ


杏「な、なんで?」

P「迎えに来るだけじゃなくて、他の部分でも杏の手伝いがしたいんだ」

杏「いいよ、そんなのめんどくさいでしょ?」

P「いや、杏の手伝いなら苦でもないさ」

杏「でも杏のプライベートが……」

P「必要以上の干渉はしない。安心してくれ」

杏「うーん……」

P「ほら、飯の用意とかそういうめんどくさいことは俺がやるよ。な?」

杏「……んー。まぁ、それなら……」

P「いいのか? ありがとう!」

杏「ただし、杏がダメって言ったことはしちゃダメだからね?」

P「もちろん! じゃあ飯作るよ」

杏「はいはい、お願い」


P「おまちどうさま。できたぞ」

杏「うん、ありがと。お腹減った……」

P「いいことじゃないか。ほら」コトッ

杏「……なにこれ」

P「とりあえず、がっつり食べれるか怪しいから野菜スープ。あっさり目の味付けにしといた」

杏「んー……野菜ばっかり……」

P「ウインナー入ってるしポトフ風味だぞ?」

杏「えー……んー」

P「口に合わないならいいんだ。ただ、これからのことも考えると好きな味かぐらいは知りたい」

杏「……んー。じゃあ食べる」

P「うん、ありがとう」


杏「んー……あむっ」パクッ

P「……どうかな?」

杏「……」

P「杏?」

杏「……美味しい」

P「本当か!? よかったぁ……」

杏「うん、たいしたもんだよ。すごいじゃん」

P「まぁ、プロデューサーだから多少はな」

杏「へぇ……そういうものなんだ」

P「飴でお腹膨れてるだろうし食べれるだけでいいからな」

杏「ん、わかった」

P「晩飯の希望とかあるか?」

杏「……んー。食べるのがめんどくさくなければいいや」

P「了解、まかせとけ」


P「杏、ここらへんのは片付けていいのか?」

杏「え? あー……まぁ別にいいかなー」

P「ん、わかった。じゃあそっちのは?」

杏「これはダメ。大事なんだよ?」

P「……違いがわからん」

杏「もー、ダメだなぁプロデューサーは」

P「……すまん」

杏「まぁいいや。あと洗濯もしといてー」

P「洗濯? ……うわ、これ全部か?」

杏「洗うのはともかく、干すのってすっごいめんどくさいんだよね……」

P「……まぁ、杏がいいならやるよ」

杏「いいって……あぁ、下着とかとっちゃダメだよ?」

P「誰がするか」


P「ふぅ……とりあえずこんなもんかな」

杏「うわぁ……すごいねプロデューサー。料理といい、家政婦にでもなったら?」

P「いや、俺はアイドルのプロデュースがしたくて家事を覚えたからなぁ」

杏「プロデューサーってそういう仕事だっけ?」

P「今、役に立ってるだろ?」

杏「……まぁ、楽でいいかな」

P「だったらいいじゃないか。な?」

杏「んー。じゃあ次は晩ご飯よろしくねー」

P「はいはい、まかせとけー」


P「杏ー、できたぞー」

杏「ありがと……んー? シチュー?」

P「昼の残りのを少しアレンジしてクリームシチュー風にしてみた」

杏「へぇ……後はご飯?」

P「あぁ、炭水化物も必要だぞ。食べれるか?」

杏「んー、まぁ……よっと」ドサッ

P「え」

杏「うん?」

P「杏……お前、それ……」

杏「それ、って……シチューにご飯入れただけだよ?」

P「なん……だと……?」


P「いやいや……」

杏「なに? それでこうやって混ぜてー」グチャグチャ

P「おぉう……」

杏「で、食べる……」パクッ

杏「……うん、美味しい。流石だねプロデューサー」

P「……うーん、シチューご飯か……」

杏「カレーはご飯にかけるでしょ。いっしょだよ」

P「うーん……だが……」

杏「納得いかないなら、ほら」

P「うん?」

杏「食べてみてよ。あーん」

P「……ん、あーん」パクッ

杏「どう?」

P「……美味い」

杏「でしょ?」ニッ


杏「ふぅ……ごちそうさまでした」

P「はい、お粗末様でした」

杏「なんだかんだ言って、プロデューサーもシチューご飯食べたよね?」

P「……外でやるのは行儀が悪いからやらないようにな」

杏「はいはい、わかりましたよー」

P「じゃあ片付けるぞー」カチャカチヤ

杏「うん、お願い」

P「明日の朝ご飯とかも用意しとこうか?」

杏「……たぶん起きないしいらない……」

P「おいおい、朝ご飯は大切なんだぞ?」

杏「起きるのめんどくさい……」

P「早めに寝ればいいんじゃないか?」

杏「甘いね、プロデューサー。杏はいくらでも寝れるんだよ?」

P「胸をはって言われてもなぁ……」


P「それじゃ、今日はこれで帰るよ」

杏「うん、ありがと。おつかれー」

P「明日はレッスンだぞ。頑張ろうな」

杏「……うっ、持病のしゃくが……」

P「……頭をおさえてどうするんだ。しゃくならそこは痛まないぞ?」

杏「……」

P「杏ー?」

杏「……めんどくさいし休みたい……」

P「そういわずに……」

杏「んー……」

P「これからも飯は作るし、掃除もする。それに飴ももちろんやる……どうだ?」

杏「……飴に、ご飯に、掃除もかぁ……うーん、あんまり疲れる内容はやだよ?」

P「あぁ、そこはもちろん考慮してもらう。頼むよ」

杏「……仕方ないなぁ、いいよ?」

P「本当か!?」

通いPか


杏「まぁ、ご飯もおいしかったし……適当でいいなら」

P「ありがとう杏! 杏がやる気になってくれて本当に嬉しいよ!」

杏「いや、そんなやる気とかじゃ」

P「俺、絶対にそれに応えるからな!」

杏「……はぁ、相変わらず聞かないんだから……」

P「うん?」

杏「いや、こっちの話……まぁ、それなりにやるよ」

P「よし。それじゃあまた明日な!」

杏「はいはい、またねー」

ガチャッ…バタンッ!


――

――――

杏(そこからの毎日は、それまでとはかなり変わった)

杏(昼前にプロデューサーが起こしに来て、ご飯を作ってくれて食べる)

杏(そのあと、飴をもらって、レッスン場に)

杏(疲れるけど、最初みたいにめちゃくちゃな内容じゃないからだいぶ楽だった)

杏(それで時々雑誌のモデルみたいなこともして……)

杏(……小学生用のファッションモデルとかだったりしたけど)

杏(まぁ、少しずつだけど……楽しいかも、って思うようになってきた)

杏(そんな日の、こと)


トレーナー「はい、そろそろ休憩にしましょうか」

杏「あー、疲れた……飴、飴……」ガサガサ

トレーナー「でも、かなり体力もつきましたね……前なら倒れてもおかしくないぐらいのメニューですよ?」

杏「え、そんなにやってたの? じゃあ休憩長くしようよ!」

トレーナー「はいはい、考えておきますね」

杏「考えて、って今この場の話を……」

ドタドタ……ガチャッ!

P「杏! ニュースだ!」

杏「んぇっ、プロデューサー? え、今日はもう帰っていいの?」


P「違う、曲だ!」

杏「きょく……?」

P「そう、杏が歌う曲! メロディーができたんだよ!」

杏「……ほんと!?」

P「あぁ!」

杏「やるじゃん、プロデューサー! これで杏の印税生活が一歩近づいたよ!」

P「そうだな、もう少しだ!」

杏「それで、どんなの?」

P「あ、あぁ。サンプルもらってきた!」

杏「どれどれ……」

帰宅、PC移行します

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


杏「……んー、思ったより激しい曲なんだね」

P「今の杏なら歌い切れるんじゃないかな。あと歌詞なんだが……」

杏「歌詞? あー、そっか……どんなの?」

P「これ。どうかな」

杏「どれどれ……」

杏「……」ペラッ

P「ちなみに曲名は杏のための曲だし『アプリコット・ジャム』とか……」

杏「……んー」

P「ん、どうした?」

杏「愛も夢も全部 キラキラ……とか、杏のキャラじゃない……」

P「そうか? いい歌詞だと思うんだけどなぁ」


杏「だいたい、靴ひも結んで全力ダッシュなんて何年もやってないよ?」

P「う……だが……」

杏「そうだなー、杏らしい歌にするなら……」

杏「愛も夢も全部 ふとんに詰まってるー♪」

杏「こんな感じかな。もっと全体的にけだるくしようよ」

P「うーん……」

杏「ほら、こういう感じで……」カリカリ

P「……ありかもしれないな」

杏「ね。こっちのほうが杏っぽいでしょ?」

P「うん……仮歌詞だったが確かに……こっちのほうが……」


杏「さっすがプロデューサー。話がわかるなぁ」

P「……しかしこれ、頼んだ人のメンツとか……いや、でも……」

杏「え、なんの話?」

P「……なんでもない。そうだな、これでいってみようか」

杏「あ。歌詞を自分で作ったんだから印税多めにもらえるかな?」

P「それはどうだろう。元の歌詞があるわけだし」

杏「じゃあもっと変えちゃおう。ここら辺のメロディーに合わせるならこうやって……」

P「これ、歌えるのか……?」

杏「歌えないならしゃべればいいんだよ!」ドヤッ

P「……その発想はなかったな」

昨日杏ちゃんのズボン?そっくりなのが近所に干してあった興奮した


杏「じゃあ歌詞、杏が作ってきてあげる」

P「え?」

杏「このままじゃ歌いづらいし、キチンとすればちゃんと作詞者として印税もらえるよね?」

P「まぁ……そう、かな」

杏「そしたら……うーん、そうだな……杏の作った歌……」

P「うん?」

杏「……あんずのうた。うん、あんずのうた! どうだ!」

P「まんまじゃないか……」

杏「ダメ?」

P「……まぁ、それぐらいストレートな方が杏らしいかな?」

杏「でしょ?」


P「それじゃあ元作詞の人と話をしてくるよ」

杏「うん、あとお願いね」

P「あぁ!」

杏「よーし、じゃあ作詞しないといけないし家に……」

トレーナー「杏ちゃん♪」

杏「……ダメかな?」

トレーナー「今日のレッスンはまだ終わってないですよ?」

杏「ほら、今すっごくいそがしいから……」

トレーナー「じゃあ軽めにしときますから。ね?」

杏「えー、疲れるのは嫌……」

トレーナー「あぁー、姉さんからならった特性ドリンクがあるのになー」

杏「……えっ?」ピクッ


杏「特性ドリンクって、美味しいの?」

トレーナー「えぇ、しかも栄養たっぷり! 元気もでますよ?」

杏「……じゃ、じゃあ少しだけ……やろうかな」

トレーナー「はい、じゃあ軽めの内容からいきますよー。体ほぐし直すところから……」

杏「柔軟だけずっとやってたい……」

トレーナー「はいはい、ドリンクのためですよー」

杏「うあー……あー……」


杏「あー疲れた。終わりでいいよね?」

トレーナー「お疲れさまでした! はい、ドリンクです」

杏「うん、我ながらよく働いたなぁ……もうこりごりだよ……」

杏「……」ゴクゴク

杏「……このドリンク、美味しいね」

トレーナー「でしょう?」

杏「毎回これくれるならもうちょっとだけまじめにやってもいいのになー」

トレーナー「毎回……それはちょっと……」

杏「えー。ケチー」

トレーナー「ケチとかじゃなくてですね、うーん……飲み過ぎは身体によくないんですよ?」

杏「ふーん……」


杏「まぁ、とりあえず今日は帰ろうかな。プロデューサー遅いなー」

トレーナー「……そうですね」

杏「あ、だからってもうちょっとレッスンとかはいらないからね?」

トレーナー「大丈夫ですよ。休むのだってレッスンのひとつとして組み込まれてます」

杏「……初日にあんなに疲れさせたのに?」

トレーナー「……あれはその、思わず……すみませんでした」

杏「別にいいけど……お詫びの気持ちがほしいなー」

トレーナー「……はい、飴です」

杏「うんうん、わかってるね」


杏「んー、遅いなぁ……」

杏「……」

ガチャッ…

P「すまん、遅くなった!」

杏「本当に遅いよ! どれだけ待たせるんだか、もう」

P「いや、本当にすまん……あ、トレーナーさん。お世話おかけしました」

トレーナー「いえいえ、お疲れ様です」

P「それじゃあ、今日は失礼します」

トレーナー「えぇ、それじゃ杏ちゃんも、お疲れ様。またね?」

杏「プロデューサー、わびの気持ちが足りないよわびの気持ちが!」コロコロ

P「そんなこと言って口の中に飴入ってるだろ? 晩飯が食えなくなるから今はダメだ」

杏「えー、ケチー」


ブロロロ… キッ

P「よし、到着」

杏「んー、疲れたー。ご飯作ってー」

P「はいはい……なにがいい?」

杏「なんでもいいやー」

P「またそれか。作る側は困るんだぞ?」

杏「だって考えるのめんどくさいもん」

P「……はぁ。じゃあ適当に……お好み焼きとかやるか?」

杏「うちってホットプレートあったっけ……?」

P「あれ、無かったか?」


P「まぁ、とりあえず簡単なのにはするけど……朝飯はどうする?」

杏「んー、簡単なのでいいよー」

P「はいはい、作っておけってことだな?」

杏「うんうん、いつもありがと」

P「おかげ様で慣れたよ、じゃあ……うーん、味噌汁でも作っとくか」

杏「うん、お願い」

P「あとは……昼は来るからいいとして。洗濯……」

杏「……」ジッ

P「ん、どうした?」

杏「いや。プロデューサー、お母さんみたいだね」

P「はっ?」


杏「お世話してくれるし、料理うまいし。本当にすごいよ」

P「それって褒めてるのか?」

杏「どう聞いても褒めてるでしょ?」

P「男としては複雑だなぁ……」

杏「まぁまぁ。それじゃあプロデューサー、杏お風呂に入ってくるねー」

P「はいはい」

杏「着替え出しといてねー」

P「はいはい……」

杏ちゃんのおぱんちゅ


シャワァァァァ…

杏「んー……」

杏「でも、歌かぁ……本当に歌うことになるなんてなー」

杏「これで杏の夢の印税生活も目の前だなぁ、ふふーん♪」

杏「ふーんふふーん……♪」

杏「やりたくなーい、何もしたくないー♪」

杏「……お、これ歌詞に使えそうだなぁ。えーっと……」

杏「お風呂上がってから書こうかなー」




P「……」

P「……杏もやる気になってくれてるみたいだなぁ」

P「杏ー、着替えおいとくぞー」

杏「うん? わかったー」

P「……がんばろうな、杏」


杏「いい湯だったー」

P「こら、だらしない。ちゃんと着なさい」

杏「えー。暑い……それに、ちゃんとシャツは着たよ?」

P「下。見えそうになってるだろ。乙女なんだからもっと羞恥心をだな……」

杏「うーん、ずーっといっしょにいるしプロデューサーになら見られても平気かなーって」

P「おいおい、俺だって男だぞ?」

杏「男の前にプロデューサーで、しかもお母さんだからね」

P「……うーん、信頼されてる、のか?」

杏「一応そのつもりだよ?」

P「そっか……うん、だけどこれから忙しくなるんだから身だしなみはきちっとしてなきゃ。な?」

杏「えー」


杏「そうだ、プロデューサー。杏はあんずのうたでデビューするよね?」

P「……曲名はそれでいいのか?」

杏「まぁいいのいいの。それで……」

P「それで?」

杏「あんずのうたは、杏の本音を赤裸々に歌った曲になる予定なんだー」

P「ほう……」

杏「まず出だしは、『働かないすべての者たちに告ぐ!』」

P「……」

杏「だから、杏がきっちりしてたら嘘みたいでよくないと思うんだ」

P「だから、だらしなくても許せと?」

杏「うん!」


P「それはダメだな」

杏「えー……」

P「だらしないのもいい。それをアピールポイントにするのもいいと思う」

杏「じゃあなんでダメなの?」

P「だからってやっちゃいけないラインってのはあると思うんだ。アイドルとしてのラインだな」

杏「んー……」

P「働きたくないなら働きたくないでいい。でも、働かないでいるのはダメなんだ」

杏「めんどくさいなぁ……」

P「それでも、明日の印税生活のためだぞ?」

杏「それを言われると弱いんだけど……うーん……」

P「明日の昼飯にデザートをつけよう」

杏「……じゃあ、ちゃんと服着てくる」

P「はい、いってらっしゃい」


P「朝飯、作っといたから起きたらあっためて食べろよー」

杏「はーい。プロデューサー、お疲れ様ー」

P「じゃあ、また明日。昼前に飯を作りに来るからなー」

杏「はーい。それからレッスン?」

P「うん、いつものメニューだな」

杏「わかった……あのさ、プロデューサー」

P「どうした?」

杏「今、杏は朝から起きてるけど……プロデューサーは朝ご飯うちで食べないの?」

P「……うーん、気持ちは嬉しいけどちょっとな」

杏「なにか用事?」

P「そんなところだよ」

杏「……あ、彼女とか?」

P「そんな相手もいないよ、まったく」


杏「じゃあなんで?」

P「いろいろあるんだよ。大人だからな」

杏「杏だって大人だよ?」

P「はいはい、大人はパンツにシャツだけで風呂からあがりません」

杏「……お父さんとかってそういう風にするもんじゃないの?」

P「杏は女の子だろうが……そんなのが許されるのはおっさんだけだ」

杏「じゃあ杏、おっさんでいいや」

P「そしたらアイドル印税生活はできないぞ?」

杏「あ、そっか……うーん……」

P「まじめに悩んでどうする」コツン

杏「いたっ……うわー、かていないぼうりょくだー、でぃーぶいだー」

P「はいはい。頼むよアイドルさん」


杏「じゃあまた明日」

P「うん、ちゃんと寝ること。寝る時にはクーラーつけっぱなしじゃなくて……」

杏「わかってるってば、毎回毎回言わなくたって覚えるよ」

P「だがアイドルは身体が資本なんだぞ? ちょっとした油断から重病になったり……」

杏「はいはいわかってるってば。杏はそろそろ録画消化しないといけないから帰ってよ」

P「録画って、アニメのか? ……そういえば最近終わる時間が遅くなってたな。すまん」

杏「それはいいから。はいはいてっしゅー」

P「……ん、わかった。またな」

杏「はい、お疲れ様。またねー」


杏「よし、プロデューサーが帰った……」

杏「アニメアニメ……」ピッ

杏「……」

杏「……んー」

杏「いまいち、燃えないなぁ……なんだか最近……」

杏「自分で動いたほうが……」

杏「……はっ!?」

杏「いけないいけない。危うく働くのに慣れるところだった……」

杏「なんて恐ろしい体制なんだろう……ふぅ、録画の続きをみよう」

杏「……それから、ついでに作詞もしとこうかな。紙とペン……」


杏「……ん、んぁ……?」

杏「いっけな……いつの間にか寝ちゃったんだ……」

杏「……ぁー。身体ボキボキいう……」

杏「んー! ふぅ……」

杏「あ、作詞の紙……」

杏「……うわぁ、ぐちゃぐちゃで何が書いてあるか読めないや……」

杏「はぁ……思ってたよりめんどくさいなぁ……」

杏「いっそ、ガヤとかいっぱい入れてもらう曲にしてみようかな?」

杏「うんうん、最近は流行ってるもんねー。それ前提ならきっと盛り上がるだろうし」

杏「それで、杏はそれを煽るだけ……いいかも!」

杏「よーし、じゃあ書いちゃおう」カリカリ…


杏「……よし、こんな感じかな?」

杏「……ふぁ……ん、何時かなーっと」チラッ

杏「……うわ、もうすぐ3時かぁ……」

杏「昔はこのぐらいの時間に寝るのも普通だったのになぁ……」

杏「すっかり健康になっちゃって……」

杏「……ふぅ。布団布団ー」

杏「ちゃんと寝なきゃねー。今日も結構疲れたし……」

杏「……んー、ぎゅっ」

杏「やっぱりこう、枕を抱きしめるとゆっくり寝れるよね……あっ」

杏「これも歌詞にできそうかも……えーっと」

杏「まくらをぎゅー、いや……ぐにゅー。うーん……」

杏「ぎぬゅっー……」

杏「これだ!」


チュン チュンチュン…

杏「……ん、んー」モゾモゾ

杏「…………」ゴソゴソ

杏「……あー。また7時……」

杏「……んー、なんだかんだで結構遅くに寝たのに……」

杏「我ながら健康的だなぁ……でも二度寝二度寝……」

杏「……」

杏「……の前に、お味噌汁だけでも飲んどこうかな……手つけてないとなんかプロデューサー悲しそうな顔するし……」

杏「んー……めんどくさい……」トコトコ


杏「ふぅ……ごちそうさまでした」

杏「さーて二度寝二度寝」

杏「……」ボフッ

杏「んっー……んー……」

杏「んんー……」ゴロゴロ

杏「……んー」ゴロ…

杏「……」

杏「……zzZ」


ピンポーン

杏「ふぁ……」

ピンポーン ピンポーン

杏「んー……プロデューサーかぁ……」

杏「……どうぞー」

ガチャッ

P「よ、おはよう。杏」

杏「ん……」

P「ん、どうした? 寝不足か?」

杏「んー……」

P「とりあえず顔洗ったほうがいいんじゃないか? 大丈夫か?」

杏「うん、まぁ……だいじょぶ……」


P「夜更かしはよくないって言っただろ? 疲れ、溜まってないか?」

杏「大丈夫だよ、それに……」

P「それに?」

杏「見て、歌詞……完成したんだぁー」

P「なんだと……? 見せてもらっていいか?」

杏「ん、どうぞ」

P「……」ペラッ

P「……これは……」

杏「杏らしさを前面に押し出した、完璧な歌詞だと思わない?」

P「ここ、なんだからしくない部分があるんだが……しかも『いも』ってどういう……」

杏「あぁ、縦読みだよー」

P「たて……?」

杏「『働くって素敵』 『きっと流した汗は美しい!』 『たくさんの夢があれば』 『くろうなんて』 『なんのその!』」

杏「までは思いついたけどめんどくさくなったから最後は『いも』でいいかなーって」

P「ふむふむ……それで、縦っていうのは……」

杏「頭文字をとって……『働』『き』『た』『く』『な』『い』」

P「おぉ……!」

杏「どやっ」

P「いや、思わず感心したけど……どうなんだ、それ」

杏「えー。話題になって売れるんじゃないかなって思ったんだけどなぁ……」

P「まぁ、悪くはないけどどうかと思う」

杏「でも結構苦労したんだよ?」

P「……まぁ、それはそうだろうなぁ。お疲れ様」

杏「うん、すごく疲れた。だから今日の仕事は休みにしない?」

P「それはダメだけどな」

杏「えー」


――

――――

杏(それからまた、少しずつだけど毎日が変わっていって)

杏(歌の話題性を出すために雑誌の仕事が増えたり……)

杏(ほんの少しだけどテレビにでたり……忙しくなっていったんだ)

杏(仕事はめんどくさくて、何度も帰りたくなったけどそのたびにプロデューサーが飴をくれるからちょっとだけがんばって)

杏(それで、ついにCDの発売が決まって)

杏(サンプルを聞いてプロデューサーがその場で泣き崩れちゃったり)

杏(泣くような、感動的な曲じゃないんだけどなぁ、年なんじゃないかな?)

杏(そんなことを思ったけど。とにかく、CDの発売が決まったんだ)

杏(ただ……その時に考えてみるべきだったのかもしれない)

杏(まだ、CDも発売してないような杏の仕事が、どんどん増えてた理由を)


杏「やったねプロデューサー。CDだよ?」

P「うん……やっとここまで来たな。だがこれからだ」

杏「えー。CDがいっぱい売れたら印税で一生働かなくても食べていけるようになるでしょ?」

P「1曲分だけじゃ贅沢できないかもしれないぞ?」

杏「えぇー。詐欺だ詐欺だー!」

P「まぁまぁ。テレビ番組出演のギャラもあるしもう少しだ」

杏「もう少し、もう少しって前から言ってるけど……テレビって思ってたよりめんどくさいんだよ?」

P「それでも今じゃ準レギュラーも増えて、そのうちレギュラー……いや、冠番組とか持たせてもらえそうじゃないか」

杏「冠番組かぁ……そしたら、ただただ杏がだらだしてる姿を移すだけの放送とかどうかな?」

P「それは流石にないだろ……」

杏「えー。だって杏の番組なら杏の好きなようにさせてくれてもいいと思うんだけどなー」


P「杏ならまだまだ上を目指せるんだ。そこは貪欲にいこう?」

杏「えー。杏は自分が楽して暮らせるお金があればそれでいいかなーって思ってるんだけどなぁ……」

P「そういわないでさ。頼むよ。な?」

杏「んー、じゃあ……」

P「はい、飴」

杏「……プロデューサーもだいぶ分かってきたよね。うん、ありがと」

P「ははっ、杏のためならなんだってしちゃうぞー」

杏「わぁ、頼もしいなぁ……じゃあさ」

P「うん?」

杏「これからも杏の面倒見てくれるよね?」

P「……あぁ」

杏「よかったー。もし杏がアイドルやめても、プロデューサーならうちに来てもいいんだよ?」

P「おいおい、辞めるなんて言わないでくれよ」


杏「たとえば、だよ。まだ印税生活には遠いみたいだけど……そうだなぁ、そんな環境になったら……」

P「なったら、どうする?」

杏「杏がプロデューサーのことを召使いとして雇ってあげよう!」

P「……そりゃ光栄だなぁ」

杏「でしょー? お仕事は杏のご飯を作ったりー、洗濯したり、掃除したり……」

P「今と変わらないんじゃないか?」

杏「それでいいって言ってるんだよ? プロデューサーのご飯美味しいし」

P「ありがと、光栄だなぁ……」

杏「うん。これからもよろしくね」

P「任せとけ。もっともっと売れっ子にしてやるからな」

杏「……めんどくさいのは嫌なんだけど……」

P「よーし、今日の仕事だー!」

杏「はぁ、相変わらず聞いてないし……ん、いこっか」


スタッフ「お疲れさまでしたー!」

杏「はい、おつかれさまー」

杏「ふぅ、疲れた……」

杏「プロデューサー、飴食べたーい」

杏「……あれ?」

杏「プロデューサー……?」

杏「おっかしいなぁ、いつもなら終わってすぐに来るのに……」

杏「さては居眠りでもしてるな……楽屋かな?」

ガチャッ…

杏「おーい、プロデュ……!?」

P「……」グッタリ

杏「プロデューサー!?」


杏「し、しっかりしてよ、ねぇ!」

P「………ぅ……ぁ……?」

杏「あっ……起きた!? ねぇ、どうしたの!?」

P「……す、すまん……ちょ、ちょっと寝てた……」

杏「寝てた? そんな顔色じゃないよ!」

P「へ、平気だよ……これぐら……いっ」カクッ

杏「あぁもう、どこが平気なの!? 誰か、誰かー!」

P「ぅ……」

杏「誰か、救急車呼んで! お願い! プロデューサーが!」




――

医者「……ひどい過労ですな」

杏「過労……?」

医者「えぇ。まともな休息をとっていなかったんじゃないでしょうか」

杏「そんな、そんなこと一言も……」

医者「……心当たりはありませんか?」

杏「……あ……」

杏(なんで、朝ご飯をうちで食べないのか聞いた時……)

P『いろいろあるんだよ。大人だからな』

杏「あれって……まさか……」

医者「……それに、体のあちこちにガタが来ているようですし……」

杏「……」

医者「当分の間は絶対安静ですね。まったく、よくもここまで自分を追い詰めれたというか……おっと、失言ですね」

杏「プロデューサー……」


杏「……プロデューサー」

P「……」

杏「……ねぇ、いろいろってひょっとして営業まわっててくれたの?」

P「……」

杏「そうだよね、なんにもしないでもファンが増えるなんてありえないよね……」

P「……」

杏「なのに、杏の家でご飯作って、掃除して、洗濯して……」

P「……」

杏「杏にはしっかり寝ろ、なんて言ってたくせに……ちゃんとおやすみとってないのはプロデューサーじゃんか……」

P「……」

杏「……ねぇ、起きてよ……晩ご飯、作ってよ……」

ご飯作るよー……


杏「……面会時間、終わりかぁ……」

P「……」

杏「また来るね、プロデューサー。おやすみ」

P「……」

杏「……」

P「……」

杏「……はは。そうだよね。寝てるのに返事なんか言えないか。またね」

スゥー…パタン

杏「……家、帰ろう……」フラフラ…


ガチャ…

杏「……ただいま……」

杏「……」

杏「……疲れた……」

杏「……」グゥゥ…

杏「……あ。ご飯、食べてなかったっけ……」

杏「……」

杏「なんかなかったかな……えーっと、カップ麺ぐらいなら……」

杏「……んー、この棚じゃないんだ……」ガサガサ

杏「えーっと……あ。あった……」

杏「……はは。整理してある……まったく。プロデューサーは几帳面だなぁ……」


杏「……」ペリッ

杏「お湯注いで……」

杏「……ん」

杏「……明日も、仕事か……」

杏「………はぁ」

杏「……そろそろ、いいかな……」

杏「……」ペリペリ…

杏「……いただきます」

杏「……」ズズッ…

杏「……ん……あんまりおいしくない……」

杏「……でも、食べなきゃ……明日も、仕事だし……」

お風呂沸いたよー…


チュン… チュンチュン…

杏「………ん……朝……?」

杏「……ぁー」

杏「ご飯……は無いんだっけ……」

杏「今日はなんだっけ……レッスン……?」

杏「えーっと……雑誌の取材だったような……うーん……」

杏「……だめだなぁ、プロデューサーに任せすぎだよ……」

杏「……しっかり、しなきゃ……」

杏「………しっかり……」


杏「……」

杏「3食カップ麺はまずいかなぁ……でも杏、料理もできないし……」

ピンポーン

杏「……?」

トントン ピンポーン

杏「え……?」

杏「通販……は頼んでないし……」

杏「ま、まさか……!」

ピンポーン

杏「今開けるから! 待って!」

杏「プロデューサー!」ガチャッ!


男「……双葉さんですね」

杏「……え、誰……?」

男「あなたのプロデューサーの業務を引き継いだものです」

杏「……え?」

男「本日の仕事の内容ですが……」

杏「ま、待ってよ! プロデューサーは!?」

男「……? ですから、私があなたのプロデューサーを引き継いだ……」

杏「違う! お前なんかプロデューサーじゃない! 杏のプロデューサーはあの人だけだもん!」

男「……あの人は現在絶対安静。あなたは今が売り出し中のアイドル」

男「ほっておくわけにはいかないでしょう。お仕事ですよ」

杏「やだ……帰れ! 帰ってよ!」


男「……それはキャラじゃなかったんですね。やれやれ」

杏「キャラ? 杏は働きたくなんかないの! 杏はプロデューサーがプロデュースしてくれるって言ったから……」

男「その結果、彼は倒れましたがね」

杏「っ……」

男「申し訳ないと思うのなら、彼の残した仕事ぐらいはこなしてはいかがですか」

杏「……」

男「着替えて下に来てください。車がまわしてあります」

バタン…

杏「……そん、な……」

杏「そ、そっか……夢だよね、こんなの……こんなの………」

杏「プロデューサー……」

追いつき支援
なんかこの男胡散臭いな


杏「……おまたせ」

男「時間には余裕がとってありますが、できればもう少し早めにお願いします」

杏「……うん」

男「あなたはメイク等もしていないんでしょう? なら1時間も待たされては困ります」

杏「……」

男「……あぁ、飴ですか? まったく、すぐに報酬を要求するにもどうかと思いますが……」

杏「……」

男「これでしょう? どうぞ」

杏「……うん」


男「それでは、今日の仕事ですね。まずは雑誌のインタビュー。そのあとは準レギュラーの番組の収録」

杏「……」

男「……聞いていますか?」

杏「……うん、聞いてる」

男「なら、返事を。アイドルたるもの明るさは必須です。間延びした返事ではファンはひきつけられません」

杏「……はい」

男「それでいいんです」

杏(……飴……)

男「どうぞ。これが必要なんでしょう?」

杏「……」パクッ

杏(……ちっとも、おいしくない……)


記者「それで、杏ちゃんの私生活も聞いちゃいたいんだけど……いいかな?」

杏「ん……わかった」

記者「おっけー。じゃあ、ズバり! 杏ちゃんは私生活、本当にだらしないのかなぁ~?」

杏「んー……自分でいうのもなんだけどひどいと思うよ。片付けもできないし、洗濯物は溜まるし……」

記者「へぇ~……料理とかはどうかな?」

杏「料理? ……カップ麺とかならできるよ?」

記者「フッフー! ユニークな回答ありがとう! んー。かわいいのにちょっとダメ、どころか……かーなーり、ダメな感じかな?」

杏「まぁ、そうだね……本当は働くのも嫌なんだよ?」

記者「おぉっとぶっちゃけるねぇ……これは書いてもいいのかなぁ」

杏「別に、いいんじゃ……」

男「待ってください」

記者「うん? えーっと……ドチラサマ?」

男「双葉杏のプロデューサーです」


記者「え、プロデューサーさん? あー。これは失礼しました。それでなんでしょう?」

男「だらしない、というのは書いても構いませんが。あまり度を越しているとマイナスイメージが付きかねないので……」

記者「えーっと、まぁつまり……適度にクッションいれて柔らかめの表現で書けってことですか?」

男「お願いします」

記者「……まぁ、別にかまいませんけれど……うーん、面白いのが書けそうだったのになぁ」

杏「……」

男「双葉さん。不潔なイメージなどアイドルにとってはマイナスにしかなりません。もう少し自重していただけませんか」

杏「……わかった」

男「そう、それでいいんです」

杏(……また、飴)

男「おや、いらないんですか?」

杏「……いいよ。もらう」

Pが優しすぎたから男が冷たすぎるように思えるのか?


司会「それですね、杏ちゃん! ……杏ちゃーん?」

杏「あ、ごめん……な、なに?」

司会「もーっ、しっかりしてくださーい! 場合によってはゲームの勝敗を左右するんですからね!」

杏「……そんな大役を任せる方が悪いんだよ、うん!」

司会「おっと、こんなこと言ってますよ大将さん?」

大将「相変わらず杏ちゃんは厳しいねぇ、じゃあ杏ちゃんが楽できるようにがんばっちゃおうかな!」

杏「よーし、がんばれー!」

大将「他人事じゃないよっ!?」

杏「えー、めんどくさいのやだー」

大将「くぅ……おっちゃんにデレてくれるのはいつかねぇ……」

司会「はい、そんなこんなで最終競技スタートです!」


杏「……ふぅ、終わったぁ……今日はもう上がりでいいんだよね……」

男「双葉さん」

杏「……なに?」

男「さきほどの、お詫びにいきましょう」

杏「え?」

男「芸能界は先輩後輩をきちんと意識してやっていかなければならない場所なのですよ」

杏「……あんなの、いつものことだよ」

男「カメラの前ではいいでしょう。ですが裏でまでそのキャラでいく必要はありません。礼儀は大切です」

杏「……」

男「さぁ、いきましょう。飴をあげますから」

杏「……わかった」

ゆっくりゆっくり

生きていることを確かめさせながら

死が近づいていることを認識させるんだ

残酷なほどに 優しく

切り刻め

>>376
なにこれコピペ?


男「誠に申し訳ございませんでした」ペコッ

大将「……ん、いや……俺は構わないけどねぇ。杏ちゃんまで連れて大げさだなぁ」

男「いえ、礼儀知らずな行動を……双葉さんも、ほら」

杏「……ごめんなさい」

大将「いやいやいいって、構わんよ」

男「ありがとうございます!」

杏「……」ペコッ

大将「……」

男「失礼しました。またよろしくお願いいたします」

杏「……」

ガチャッ…バタン

大将「……」

大将「……はぁー。やれやれ……」


男「それでは家まで送ります。お疲れさまでした」

杏「……うん」

男「……双葉さん、疲れているのはわかりますが。家に着くまではあなたはアイドルの顔でいなくてはいけませんよ」

杏「……」

男「……あぁ、飴ですか? やれやれ……どうぞ」

杏「……ん」

男「さぁ、帰りますよ」

杏「……わかった」


――

――――

杏(それからしばらく、その新しくやってきた人に連れられてアイドルをしてた)

杏(最初は、我慢しなきゃって思ってた)

杏(そしたら、朝に起きれなくなってた)

杏(次に、がんばらなきゃって思った)

杏(いつの間にか、レッスンがつまんないって思うようになった)

杏(それで、今。杏は――)


男「いいですか、杏さん。ひさしぶりの収録です」

杏「……はい」

男「決して無礼の無いようにしてくださいね」

杏「……はい」

男「うまくやればレギュラー昇格もできるかもしれないんですから。いいですね?」

杏「……」

男「双葉さん?」

杏「はい、わかってる……ます」

男「怪我はないように気をつけてください。ご迷惑がかかりますから」

プロデューサーーーー!!
早く来てくれぇぇぇぇ!!!


司会「それでですね、今回は……んん、すみませんカメラ止めてくださーい」

杏「……」

司会「杏ちゃん、どうしたの? 元気ないみたいだけど……」

杏「あ……大丈夫、です」

司会「……本当に?」

杏「……」コクッ

司会「大丈夫よね? 今回結構ハードな内容だけど……」

杏「……はい」

司会「……うーん。あと、なんだか口調も変だし。前みたいにもっとこう、フランクでいいのよ?」

杏「……」

司会「……無理はダメよ? お姉さんに頼って?」

杏「……ありがとう、ございます」


杏(司会の人にまで心配されちゃった……)

杏(あぁ、やだなぁ……またあとでなにか言われるんだろうなぁ……)

杏「……帰りたい……」ボソッ

メンバー「あ、杏ちゃん! ボール! 上!」

杏「えっ……あ」

ガンッ

杏「……っ…」フラッ

バタッ


「…ちゃん、 あんずちゃん!」

杏「……ぅ……?」

司会「よかったぁ……目が覚めたのね……」

杏「あれ……えっと……」

男「……頭にあたって、足を滑らせて転倒。気絶していたわけですし安静にしていてください」

杏「……ぁ、ご、ごめん、なさい」

男「私に言ってどうするんですか。いいですか、あなたがお詫びしなければいけないのはスタッフのみなさんであって……」

杏「……」

大将「……ん、杏ちゃん目ぇ覚めたか?」

杏「あ……大将さん……ごめんなさい」

大将「いいんだよ、若い子は迷惑かけねぇとな……」

男「……このたびはうちの杏がご迷惑をおかけしました」


大将「うちの杏が、ねぇ……」

男「収録も止めてしまいましたし。体調管理が万全では無く……」

大将「……おい、兄ちゃん?」

男「……私ですか?」

大将「あぁ、そうだよ……あんた、杏ちゃんのなんだ?」

男「プロデューサーですが……」

大将「あぁ、プロデューサーねぇ……俺ぁアイドルには詳しくないがね」

男「……は?」

大将「プロデューサーってのは、アイドルの魅力を引き出してやる人間なんじゃねぇのかねぇ……」

男「……そうですね。ですからこれまでの無礼を……」

大将「……ちっと黙って話を聞いてくれねぇかね」ギロッ

男「……は、はい」

この大将になら掘られてもいい
むしろ掘られたい


大将「俺が好きだった杏ちゃんはもっと楽しそうにしてる子だったんだよ」

大将「働きたくない、っていいながら……結構楽しいことには目が無くてねぇ……くっくっく……」

大将「プロデューサーさんに内緒で飴をあげたときなんか、そりゃもう嬉しそうに笑ってねぇ……」

杏「……」

大将「なぁ、今のプロデューサーさんよぉ。確かに礼儀は必要だがね」

大将「縛り付けるようなやり方ってのはあんまり感心しねぇな……」

男「……」

大将「まぁ、一般的に見りゃあんたのほうが正しいんだろうがね。俺が気にいらねぇだけさ」

男「……ご助言、痛み入ります」

大将「そのままじゃ、せっかくの原石をつぶしちまう気がするよ。気を付けな」

男「……失礼します。病院に連れていきますので」


男「いきましょう、双葉さん」

杏「……うん」

男「みなさん、大変ご迷惑をおかけしました。失礼します」

杏「……」ペコッ

男「……」グイッ

杏「……あ、ちょっと、ゆっくり……」

男「……」ギリッ

杏「……っ……」

男「……すみません、いきますよ」

杏「……はい」

>男「……」ギリッ

>杏「……っ……」

これ歯軋りじゃないよね、きつく掴んでるだけだよね


ブロロロロ…

杏「……あ、ここって……」

男「どうしました?」

杏「……別に、なんでもない、です」

男「そうですか……」

杏(プロデューサーの入院してる病院だ……そっか、近いもんね。当然か……)

男「……大事にはいたってないと思いますが。念のためいろいろと調べてもらいましょう」

杏「……わかった」

男「飴は今はお預けですよ」

杏「……はい」


男「さて、一通り検査は終わりましたが……双葉さん?」

男「……いない……」キョロキョロ


杏(……結果が出るまではどっちにしろ待たされるんだし)

杏(別に立ちくらみとかもない、大丈夫)

杏(忙しくって、来れなかったけど……プロデューサー、大丈夫かな)

杏(案外、もう元気で明日から元のプロデューサー業に復帰しちゃう! なんて……)

杏「なーんちゃって、無いかな……えっと、3階の……」

杏「この部屋……に……」

杏「……名前が、無い……?」

え?

杏「あ、あの、ナースさん」

ナース「はい、どうしたんですか?」

杏「この部屋に入院してた男の人って、どうしたんですか?」

ナース「この部屋に……えーっと、お名前は?」

杏「Pです!」

ナース「はいはい……えっと、退院されたみたいですね」

杏「……退院……?」

ナース「えぇ、予後もよかったみたいで。たぶん今は……」

杏「……ありがとうございました」フラッ…

ナース「あ、あの?」

杏「……もういいです。帰りますから」


杏「そっか、退院してたんだ……」

杏「杏には、連絡無かったのになぁ……あは、あははは……」

杏「……ぅ…」ジワッ

杏「……んっ、……」グシッ

杏「ぷろでゅぅさぁに……すてられちゃったのかなぁ……」

杏「……」ゴシゴシ

杏「あー……もう、いいや……どうでもいい……」

杏「帰ろう……」

杏「タクシー乗るお金ぐらいあったよね……うん……」


杏「……」

杏「……ただいま」ガチャッ

杏「……」

杏「………」

杏「はは……なに期待してるんだろ……」

杏「ドア開けたらプロデューサーがいて」

杏「おかえり、っていって……退院祝いだよっていいながら料理を出してくれて……」

杏「それじゃ、逆じゃんって突っ込んで……それで……」

杏「……」

杏「……寝よ」


杏(新しく来た人は、杏の家の片付けなんてしてくれなかった)

杏(新しく来た人は、杏の家の洗濯ものなんて興味も示さなかった)

杏(新しく来た人は、飴をよくできた犬にやるご褒美みたいに使ってた)

杏(新しく来た人は、杏のご飯を作ってくれたりはしなかった)

杏(ただ、それだけ。お仕事はきちんとしてるし、常識とか必要なことだって何度も怒られた)

杏(あの人は、悪くない)


杏(プロデューサーは、杏がやらなかったことをやってくれた)

杏(プロデューサーは、杏にレッスンの楽しさを教えてくれた)

杏(プロデューサーは、杏のためにいろいろしてくれた)

杏(プロデューサーは、杏が気づかなかったから身体を壊しちゃった)

杏(だから、プロデューサーが杏を見捨てても当然なんだ)


チュンチュン チュンチュン…

杏「………ん……今、何時……?」

杏「……10時……」

杏「そういえば……今日……そろそろ起こしにくるかな……」

杏「……昨日も帰っちゃったし、あの人怒ってるだろうなぁ……」

杏「……」

杏「……めんどくさい。鍵閉めとこ」

杏「……だるい……」

杏「いいや、食べ物ぐらい……それなりにカップ麺もあるし……」

杏「ひきこもりぐらい慣れてるし……」


ピンポーン ピンポーン

杏「……来た」

ピンポーン

杏「……」

トントン…ピンポーン

杏「……」

ピンポーン ピンポーン

杏「うるさい……」ガバッ

杏「……聞こえない、出たくない、もういらない……」モゾモゾ

…ポーン …-ン…


杏「……んぁ……あつぅ……」

杏「……ぁー。3時かぁ……昔はよくこんな時間に起きてたっけ……」

杏「……チャイム鳴ってないし……あの人、帰ったのかな……」

杏「……外に車も止まってない……」

杏「……」

杏「でも……杏が勝手に休んだから……あの人怒られるのかな……」

杏「……」

杏「……やだ、考えるのめんどくさい……」

杏「……アニメ、録画……消化する時間、全然なかったっけ……」

杏「そうだ、これは悠々自適なニートライフを楽しめばいいじゃん! そうしよう、うん」


杏「うわぁ、すごい溜まってる……容量パンパンじゃん……」

杏「……」ピッ

杏「……」

杏「……ぅー」

杏「……ぁー。やっぱり……」

杏「………つまんない」

杏「次の番組にしようかな……えーっと……」

杏「……これとか、見たかったやつだよね」ピッ

杏「……」

杏「ぁ……あー。なんでそこで……」

杏「……」

はよ


杏「……これもつまんない……次……」

杏「えーっと、これとか……」

杏「……?」

杏「……あれ、これって……」

杏「杏がゲストで出演した番組……? なんで……」

杏「……プロデューサー、かな。家に録画機器無いっていってたっけ……」

杏「あはは、だめだなぁ……撮りっぱなしじゃん、焼いて持って帰らなきゃ……」

杏「……持って、いってくれなきゃ……ダメじゃん……」

杏「………」

杏「……焼いといてあげよう」

杏「まぁ、とりに来る人なんていないけど……容量の無駄だし……」


杏「……もうこんな時間かぁ……」

杏「そろそろ寝なきゃ明日に……」

杏「……」

杏「関係ないんだった……あぁ、未練がましいなぁ……」

杏「こうなったら夜更かししちゃおっと……んーと」

杏「やりたかったゲームも消化してないし……」

杏「そうそう、ひさしぶりにあのマンガ読み返すのもいいなー」

杏「……楽しみだなぁ……」

杏「……」

杏「……はは」


杏「……」カチャカチャ…

杏「あー、あっ……」

杏「……ゲームオーバーかぁ……」

杏「つまんない……」ポイッ

杏「このマンガも飽きた……」ポイッ

杏「……」

杏「いいや、寝よう……布団が一番楽しいんだもん……」

杏「愛も夢も全部……ふとんに詰まってる……」

杏「……寝ちゃえば、いい夢見れるもん……」

貯め過ぎぃ!


チュン チュンチュン…

杏「……ん……」

杏「……ぅ………」

杏「……んぅ………まって……」

杏「さびしいよ、まって……ぷろでゅ、さ……」

杏「や、まって!」ガバッ

杏「……ぁ……」

杏「……」ギュッ

杏「バカみたい……こんなの……」

杏「夢まで、バイバイするなんて……」

杏「……ぅぅ」

杏「プロデューサーに、会いたいよぉ……」

コンプ迎えようかな


杏「プロデューサー……」

杏「もう我がまま言わないから……会いたい、会いたいよ……」

杏「約束したじゃんか……これからも杏の面倒見てくれるって……」

杏「ぷろでゅーさー……」

杏「プロデューサー! 会いたいよぉ!」




ガチャッ!

P「どうした杏!? すごい声がしたぞ!?」

杏「」

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


杏「……え」

P「なんだ、何があった!?」

杏「……ぷろ、でゅぅさ……」

P「うん、どうした! なんだ、ゴキブリか!?」

杏「……ぅぇぇぇぇ……」ポロポロ

P「お、おい!? ど、どうした!?」

杏「ぁぁああん! ぷろでゅぅさぁぁああああ!」ギュッ

P「ちょ、杏!?」

杏「ばか、ばかばかばかぁ! どこいってたのぉ!」ボロボロ


杏「ずっと、いっ、しょて……いったぁ……の、にっ……」ポロポロ…

P「……すまん」

杏「あいたかったぁ、ばかぁ、うそっ、つきぃ……」

P「ごめんな、思ったよりも治るのが遅れて……」

杏「……やだぁ……ゆるさ、ないっ……」

P「……ごめんな」

杏「たい、いん……なん、でっ……」

P「うん?」

杏「おしえ、て……くれなかった、の……」

P「……あれ? 聞いてないのか?」

杏「……?」


P「昨日、聞かなかったのか?」

杏「き、の……う……?」

P「一昨日やっと退院できたんだよ。それで今日からまた俺が杏のことをプロデュースすることになるって」

杏「……きの、う……サボった……から……」

P「おいおい、サボりはダメって言ったじゃないか……飴やらないぞー?」

杏「だって……だってぇ……」

P「あぁごめんごめん……」ポンポン

杏「ばかぁ……ぷろでゅぅさぁなんて……」ギュッ

P「……ごめんな」ポンポン…

杏「……もっと……ぎゅって、して……」

P「……うん」


P「落ちついたか?」

杏「……うん」

P「……うわぁ、シャツが涙と鼻水でぐちゃぐちゃ……」

杏「……プロデューサーのせいだもん」

P「……そうだな。ごめん」

杏「ちゃんと、教えて……なんでなの?」

P「あぁ、ずっと寝込んでたから身体バキバキでさ……リハビリみたいなことまでしてたんだ」

杏「……」

P「だから心配かけらんないと思って……退院まではな。こう、辛そうなところはみられたくなかったし」

杏「ばかぁ……教えてよぉ……」

P「……すまん」


杏「……ばか」

P「うん、すまん」

杏「……ねぇ、プロデューサー」

P「どうした?」

杏「あの人は……?」

P「あの人、って……あぁ、引き継ぎした人か?」

杏「うん……」

P「あの人ならたぶん、事務所……かな」

杏「……会いたい」

P「ん、わかった。いこうか」

杏「……ん」

P「……その前に朝飯か?」

杏「……うん」


P「とりあえず、簡単な野菜スープでいいか?」

杏「……うん」

P「ん、わかった。任せてくれ」

杏「……ひさしぶりだなぁ」

P「そうだな。懐かしい……」

杏「プロデューサー、倒れるまでお仕事するなんてダメダメだね」

P「まったくだ、人のこと言えないなぁ……」

杏「杏、ちゃんと自己管理もできるようになったんだよ?」

P「それはすごいな……」

杏「あと、アイドルとしての意識ーとか、そういうのも聞いた」

P「ほう……それは結構興味あるかも」


杏「それからね、大将さんが……」

P「へぇ、流石だなぁ……うーん、俺もあんな渋い大人になれるかな」

杏「プロデューサーが? 無理無理」

P「ひどいなぁ、傷つくぞ? ……ん、完成」

杏「わぁ……うん、いいにおい」

P「どうぞ召し上がれ」コトッ

杏「いただきます……」

杏「……」ズズッ

P「どうかな?」

杏「……うん、美味しい。腕は落ちてないね」

P「それはそれは。ありがとう」


杏「……あのね、プロデューサー」

P「どうした?」

杏「……やっぱりなんでもない」

P「そうか? 悩みとかなら聞くけど……」

杏「そういうのじゃないよ。ごちそうさまでした」

P「ん、お粗末さまでした」

杏「とりあえず、引き継ぎした人と話がしたいな。送ってくれる?」

P「はいはい、食器片付けたらな」

杏「あ、そういえば結構洗濯ものとか溜まってる……」

P「……おいおい」

杏「ちょっとはやったんだけど、やっぱり干すのがめんどくさくて……」


P「……帰ってきたら洗濯、あと掃除もやらないとなぁ」

杏「うんうん、おねがいね?」

P「はいよ……いくか?」

杏「うん、事務所までよろしくー」

P「はいはい……おい?」

杏「なに? どうしたの、プロデューサー」

P「なんで俺の背中持ってるんだ?」

杏「……歩くのめんどくさい」

P「……」

杏「乗せて?」

P「はいはい……」

杏「あ、変なところ触らないでねー」

P「わかってますよー」


ブロロロ…キィッ

P「……到着、と」

杏「んー……疲れた……」

P「車に乗ってただけだろ?」

杏「プロデューサーが休んでる間の話をいろいろしてあげたでしょ?」

P「……苦労をかけたな」

杏「反省してるならちゃんと態度で示してよね?」

P「……はい、飴」

杏「こんなので杏がごまかされるわけ……」

P「高級品のロイヤルキャンディーだぞ?」

杏「……仕方ないなぁ、もう」


ガチャッ…

P「ただいま帰りました」

杏「あー。おはよう、ございます」

男「……おや、双葉さん。おはようございます」

杏「……あ……」

男「……私のやり方が間違っていた、とは思いません」

杏「え?」

男「……ただ、少し。考えてみようと思いまして……」

杏「……?」

男「その……無理をさせてしまってすみませんでした」

杏「……ふふっ、なにそれ?」


男「……なにって、その……なんというか……」

杏「んー? 謝罪はきっちりと、じゃなかったっけー」

男「……くっ」

P「こらこら、杏……」

杏「……まぁ、勉強にはなったし……そこは、杏も感謝してるよ?」

男「えっ?」

杏「……ありがとう、っていってるの」

男「……っ」

杏「あれ? 照れてる?」

男「照れてなんていません!」

P「……なんだかよくわからんが、2人ともよかったなぁ!」


杏「そういえばさ……昨日、杏の家の前まできたよね?」

男「……えぇ、まぁ」

杏「なんで、無理に起こさなかったの? 大家さんから鍵ぐらい借りれるでしょ?」

男「……あなたのプロデューサーや大将さんのことを考えたら、いろいろと思うところがありまして……」

杏「なんだか急に優柔不断だねー?」

男「……わからないんですよ。もっと、プロデュースはシンプルなものだと思っていました」

杏「うーん……きっと、そのやり方が正しい人もいるんだと思うよ。でも杏には嫌、だった」

男「……すみません」

杏「だけど。それで成長もできた、一歩前進だね……『プロデューサー』さん?」

男「……ありがとうございます」

P「……まぁ、相手は人間だからプロデュースっていうのは一筋縄じゃないかないんだよ、な?」

男「……そうですね」


P「後……昨日の仕事、キャンセルの詫び……やってくれたんだろ?」

男「……私なりのケジメですよ」

P「おー。有能だなぁ……」

杏「うん、まじめなアイドルにとってはすっごくやりやすいプロデューサーだと思うよ」

P「へぇ……」

杏「あぁ、でも杏のプロデューサーはやっぱり……」クイッ

P「ん、どうした?」

杏「しゃがんで?」

P「……ん?」

チュッ

P「……!?」

杏「あなたが一番、だけどね?」


杏「さ、いこっかプロデューサー!」

P「ちょ、ちょっと待て杏! 今のって」

杏「ほらほら、杏は2人……いや、3人、4人ぐらいが一生楽して暮らせるお金をさっさと稼いでだらだら印税生活をするんだから!」

P「はっ!?」

杏「その時はちゃんと杏の家の家事全部やってよね、わかってる?」

P「え、いや。待って! 杏、杏ー!?」

杏「さぁ、働かない明日のために、今日だけ本気出すぞー!」

男「……やれやれ、あぁいうのはありなんですかね……


おわり

長すぎワロタ
Pと杏ちゃんのだらだら生活が書きたかったんです
1人あんきら誕生祭、日付2つまたいだけど終わりー

保守支援ありがとうございました!



男「さて、私にも担当アイドルができる日がついき来ましたか……」

男「……遊び心。相手は人間。難しいですが……きっと……」

男「先輩達のように、素晴らしいアイドルとして輝かせて見せる!」

男「……しかし遅い……」

ガッチャーッ☆

きらり「おっすおっす! きらりのプロデューサーをしてくれる人ってあなたかにぃ?」

男「」


おしり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom