ユミル「今日も空が高いな」(291)

ss初投稿です!
深夜で板違いが発覚したのでこちらに。

進撃のssですが…オリキャラが主人公です。嫌いな方はそっとじで。

ネタバレ注意でお願いします。

某学校
ーHR終了ー ガヤガヤ

レオン「……………」ボーッ

フィル「レオン!帰ろうぜって…どうした?…空に何かあるのか?」

レオン「いやぁ…今日も空がたけぇなと思ってさ…」

フィル「…意味分からん事言ってないで帰ろうぜ?」

ー帰宅中ー

レオン「学校もようやく終わったぜ!」

フィル「おうよ!!今日は月に一度のお楽しみの日じゃんか!」

レオン「そういやそうだったな!!…まぁ俺の場合は、4ヶ月に一度だけどさ…。結構長いんだよなぁ」
  
フィル「だからよ?お前も別マガも読めばいいだろって」

レオン「う~ん…。いやだってさ?考えてみ?そしたら単行本読んだ時の感動が半減しちゃうじゃんか?俺は一気に読んで感動したいんだよ!」

フィル「あぁそうでございますか!別にさ?そんなに深く考えなくてもいいでない?とりあえず読んどくって感じでもいいと思うけどなぁ…」

レオン「いいじゃねぇかよ!悪ぃか!!」

フィル「まぁどうでもいいけどさ…。それより、どうせ読みながら帰るんだろうから気ぃ付けて帰れよな?」

レオン「ん?誰に言っておるのかね?明智くん」ハハハ

フィル「いや君だよ?!この間、漫画読んでて車に轢かれそうになったき・み・に言ってるの!!」

レオン「わーってるって!気ぃーつけるよ!サンキューな!」

フィル「ったく…まぁまた明日進撃の考察でもしようぜ!」

レオン「おぅ!!また明日なぁ~」ヒラヒラ

ー書店ー ガ-
アリガトウゴザイマシタ-

レオン「よっしゃ!!進撃の12巻ゲットだぜ!!」

レオン「……分かっているさ…分かっているんだ!読みながら帰ったら 危ないって事ぐらいっ!だが…漢には引けない時がある!!今が 
そうだ!!勝負は今!!ここで決める!!」ウォ~ ピリピリ

レオン「………………………っ!!」テクテク

レオン「…えっ?ちょっ!?団長ぉ!腕喰われてもうてるやん!!?」

ー交差点ー

レオン「うわぁ……。マジかよ…。でもこれはマジでアルミン参謀フラグ来たか?!」ドンッ

男「イテッ」

レオン「おっと!すみませんね!」スタスタ

男「ったく……んっ!?おい!!君!!信号!おいっ!!!」
キッーーー
―――――――
――――――
――――
レオン「へっ??」
――ドンッ
ガヤガヤ
男「ヤバイ!轢かれたぞ!!えっと…っ!!救急車!!あれ?!119番って何番だ?!」

青年「おっさん!寝ぼけたこと言ってんな!119番は119番だろうがよっ!?」

男「っ!!す、すまん……動揺していて…」

ガヤガヤ ガヤガヤ
レオン「------あれっ?.....なんか体が熱いような、軽いような…。変な感じだな…。まるで自分の体じゃねぇみてぇだ………。俺死ぬのか…な…。」
――――――
―――――
――――
―――

女1「…………」ボーッ

女2「…?どうしたの?空なんか見上げて…」

女1「いやさ…今日は星がよく見るなってよ…」

女2「…本当だ!綺麗だね!…ところでさ…もし良かったら井戸まで付き合ってくれない?」

女1「あぁ~別に構わねぇぞ?」
――――
――
女2「付き合ってもらちゃってごめんね!何だかのどが渇いちゃって//」

女1「あぁ~?気にすんなよ。どうせ私も渇いたしな」

女2「ありがとっ。……あれっ?ねぇ!?あそこに誰か倒れてない?!」

女1「はぁ?どれ…。ホントだ…何か居るな…」ハッ!?

女2「大変!!助けなくちゃ!!」

女1「やっぱりかよっ!」

女2「当たり前でしょっ!!とりあえず見に行こうよ!」

女1「はぁ~。はいはい分かりましたよ…さっすがお優しいことで」

女2「もしもし?大丈夫ですか?…どうしよう…反応しないよ?!」

女1「んじゃ死んじまってるんじゃねぇのか?…一応拝んどこうぜ」

女2「ちょっと!やめてよ!…うんっ!脈は有るみたいだよ?」

女1「(チッ!)あぁ~じゃどうするんだよ?一応医務室まで運んどくか?」

女2「そうだね…でもここら辺りの人じゃないのかなぁ?あまり見たこと無い服装だし…」

女1「まぁ確かにな…ん?胸に何かマーク付いてるぜ?......見たことねぇ紋章だな…字も読めない文字だぞ?!こいつもしかしたらヤバイんじゃねぇか?!関わるのよそうぜ?!」

女2「でもほっとけないじゃないっ!!」

女1「ッ!?はぁ~分かったよ!とりあえず運ぶぞ…チッ!こいつ無駄にデカイな…悪いが足持ってもらっていいか?一人じゃ流石にキツイ」

女2「分かった!」
――――
―――
――
ー医務室ー

男「成る程…。無論、市民を助けるのが兵士の務めだ。その行いに免じて消灯時間が過ぎたにもかかわらず、外にいた事については言及しないでおいてやろう」

女1・2「(ギクッ!)ハッ!ありがとうございます!」

男「しかし困ったものだな…。身元に関わる物は何も所持していないとはな…。なぜそんな所に倒れていたんだ?」

女2「分かりません!」

男「う~む…。このままこの男を見張っているわけにもな……かと言って起き出して訓練所内をうろつかれても困る…。」

男「仕方が無いな。お前達で交代しながらこの男を見張っておけ!万が一、起きた場合は教官室に居るので私を呼びに来い!」

女1・2「(ええっ?!)(マジかよ…。)」

男「どうした?不服か?一般市民など救っていられないと?」

女1・2「いえっ!了解しましたっ!」

男「うむっ!」ツカツカ
ギーッ バタンッ

女1「…うむ!じゃねぇんだよっ!!」

女2「ごめんね!私が巻き込んだせいで…。後は私が見ておくから先に戻って休んで?明日も訓練有るんだからさ?」

女1「何言ってんだよ!訓練有るのはお前もだろうがっ!!それに私も賛成したんだからお前のせいじゃねぇよ」

女1「しかもどっちかって言えば、お前の方が体力無いんだからお前が戻れよ!後は私がやっておくからよ」

女2「ダメッ!!…じゃ一緒に見てようか」ニコッ

――――
―――
――

レオン「ハァハァ!…マジかよ………。何でこんな所に巨人が…。マジで追いつかれるっ!!」
――
―――
―――――

レオン「う~ん…。」

女2「はっ!寝ちゃったよ…。何か大分うなされてるけど大丈夫かな?それにすごい汗…。拭いてあげよう」

レオン「うわぁっ」ガバッ
――ゴッ

女2「~~~ッ!?」

女1「っ?!何だ?!何事だっ?!ん?!?おいっ!どうした?!大丈夫か?!」

レオン「いってぇ…はっ!!巨人はっ!?」

女2「うぅ…。あっ!良かった!気が付いたんだね!」

レオン「っ!!ゴメンナサイ!大丈夫ですか?」

女1「テメェッ!これが大丈夫に見えるのかよっ?!」

女2「もう!ユミルっ!私は大丈夫!あなたこそ平気?ずいぶんうなされていたようだけど…。」

女2「あっ!私はクリスタ・レンズ。クリスタって呼んでね」

レオン「……………はい?クリスタ??(確かに今気付いたけど、クリスタそっくりだ…。)」

女1「おいっ!クリスタが名乗ってんのにテメェh..クリスタ「こっちの子はユミルっていうの」

ユミル「」

レオン「ははは…。ユミルね…。(マジでか?!まるで進撃の巨人の世界観じゃないかっ!!)」

レオン「(とりあえず自己紹介かな…。)申し遅れましたね。僕はレオン。レオン・パルマーって言います」

クリスタ「レオン・パルマー…パルマー君ね!」

レオン「レオンでいいですよ」

レオン「ところで…レンズさん…でしたよね?あの…ここは何処なんでしょうか?どうやってここまで?それと今は何年なんですか?」

クリスタ「クリスタでいいよ!...ここはどこって…まさか記憶が無いの?!...私達はあなたがこの訓練所の門の所で倒れているのを見つけてとりあえず医務室に運んだの。今は何年って…847年じゃない!」

ユミル「記憶喪失ってやつかよ…。めんどくせぇのが来やがったな…まぁ、一先ずクリスタは教官呼んで来いよ」

クリスタ「分かった!」

ユミル「さて…。お前本当に何も分からないのか?」

レオン「…えぇ…まず何で自分がここに居るか分からないんですよ」

レオン(そういや進撃読みながら、車に轢かれたんだっけ??でもその割には体はなんとも無いしなぁ…。でもそんな事言ったところで怪しまれて終わりそうだしなぁ…。とりあえず様子見か)

ユミル「ふぅ~ん…。どこから来たのかも分からないのか?その胸の紋章は何だ?服装もここらじゃ見かけねぇ服だしなぁ?マジでお前何者だ?」

レオン「いや~…。何者だと言われましても…。本当に分からないんですよ…。ただ、敵では無い事は確かだと思いますよ!ユミルさん(やっぱりこいつは鋭いな…。教官が来たら思い切って話してみようか…)」

ユミル「ハッ!どうだかな…。後その堅っ苦しい喋り方やめろ。普通にユミルでいいよ」
ギィー 

教官「起きたか…。」

教官「私はキース・シャーディス。このトロスト区訓練所で104期の実技教官をしている者だ…。君は訓練所の門の所で倒れているのをそこの二人に発見され、ここに運び込まれたのだ。君は何者なんだ?」

レオン「僕はレオン・パルマーと言います。門の所で倒れていたとの事ですが、イマイチ僕にも状況が理解出来ないでいます」

キース「そうか…。しかしまぁともなれば困ったものだな……。」

レオン「(このままじゃ埒が明かねぇしな…。話してみるか)教官っ!」

キース「何かね?」

レオン「申し訳ありませんっ!実は今伏せた事が有りますっ!この話は恐らく信じてもらえないと思ったからです…。が、このまま伏せておいても話が前進しないと思いますので、やはり申し上げます」

キース「そうか…。ならば聞いた方が良さそうだな」

レオン「ありがとうございます。今から申し上げる事は誓って嘘ではありません」

レオン「………そもそも私はこの世界の住人ではありません!」

キース「何っ??!」

クリスタ「えっ??!」

ユミル「ハァ?!」

レオン「そう思われるのも無理はないですが、本当です。私がいた所はーーーと呼ばれていました。私はその世界から何らかの方法で飛ばされてしまった物と思われます」

キース「……。う…む。にわかには信じがたい話だな…。まぁ確かに見た事の無い格好はしているが…」

クリスタ(どうしよう…。頭が全く付いていかないよ…)

ユミル「怪しいな。何か証拠でも見せられねぇのかよ?」

レオン「証拠…ですか…」

レオン「じゃあ例えば…(こいつらの同期の名前でも出せば、ある程度証明にはなるか?いや…何で知っている?って話になるよな……。あっ!!!スマホでも見せてみるか…。)これなんかはどうでしょう?」

キース「これは?」

レオン「これは電話と言って、離れている相手でも相手が同じ機械を持っていれば、会話が出来るという物です」

キース「何っ?!では誰かと会話してみてくれ!」

レオン「申し訳ありせんが、今申し上げた通り、相手もこれを持っていなければならないので、難しいです…。さらに、元の世界に掛けようにもこの世界では、電波が飛んでいないために会話不可能の状態です」

ユミル「じゃ結局何も証明出来てないだろうがっ!!」

クリスタ「でも、確かにあんなもの誰も持ってないよ?それを持ってるんだから本当じゃないのかなぁ…」

ユミル「そもそもお前さっき飛び起きた時に、巨人がどうの!って叫んでたろうがっ!!何でこの世界の住人じゃないのに巨人なんて言葉が出てくるんだよ?!まさかお前の世界にも巨人が居るってか?」

レオン「ふー…(流石に痛いとこ突っ込んできたな…。じゃあもう全部言っちまうか…)」

レオン「それは…………この世界の事は僕の世界では本になっているんですよ…」

ユミル「は?」

キース「なっ?!」

クリスタ「えっ?!」

ユミル「テメェッ!嘘つくならもっとマシな嘘つけよっ!!」

レオン「嘘じゃないっ!!じゃ例えば何か皆さんの間でしか知らないような事を質問してみて下さいよ!」

ユミル(はぁ?こいつバカか?しかし想像以上にヤバイ奴だな…クリスタの為にも、分かる訳がねぇ質問して教官に追い出させよう…。)

ユミル「じゃあ私らの同期にサシャっていう奴が居るんだがな?そいつのアダ名が有るんだよ…。それを答えてもらおうか?(こんな話じゃ例え内地の人間でも知らないだろう。何が目的かは分からんが、危険な芽は早めに摘むに限る)

レオン「芋女」

ユミル「…え?」

レオン「だから芋女でしょ?サシャのアダ名は?」

クリスタ「…何で…こんな質問分かったの?」

レオン「だからこの世界の事は本になってるんだって!所以は、入団式の通過儀礼の時におもむろに芋を食べだしたから。さらに教官に詰め寄られるも、自分だとは理解出来ていなかった…。そして教官は死ぬ寸前まで走るように命令し、フラフラになって帰ってきた所でクリスタがパンを分け与えて以来、クリスタの事を神様と呼んでいる…。こんな所かな?」

すみません。誰も居ないと思うけど今日は此処までで!

乙です
深夜から追ってきたよ
オリキャラは苦手なんだけどあなたの話は面白いな
続き期待

キース「ここまで詳細を知っているとなれば、信じざるえんな…。しかし…じゃあ何故いきなりこんな所へ飛んで来てしまったんだ?」

レオン「……僕の向こうの最後の記憶では、車に撥ねられて、もう死ぬのか?と思った時に気が付いたら、ここにいました」

キース「そうか…。車?」

レオン「あぁ、こっちの世界で言う馬車と似たような物ですね。向こうはエンジンと言って特殊な装置で車輪を動かすんですよ」

キース「そんな物まで…文明にかなりの差が開いてしまっているようだな…先程の話だが、君の世界にも巨人が?」

レオン「いえ…僕の世界では巨人はいません…なので壁に囲われてもいません」

キース「何と…。」

ユミル「マジかよ…」

クリスタ「スゴイ…」

キース「そうか…では君の世界では巨人などは見たこと無いまま暮らしていけるのか…」

レオン「はい…12歳で訓練兵になるのがこの世界では常識でしょうが…。僕達の世界では12歳なんていったらまだ鼻垂らしてます…本格的に社会に出るのは、早くても18歳からです」

キース「そうか…だが一介の兵士として、人類が安寧を満喫しているならば喜ばしい事だと言えよう」

キース「君の話は分かった…。どちらにしても、今日はここに泊まって行きなさい。また明日にでも話をしよう」

レオン「はいっ!ありがとうございます!」

キース「では」ツカツカ

ユミル「……………」

クリスタ「…………」

ユミル「納得は行かねぇが、仕方ねぇな……」フゥ

クリスタ「…っ!私は信じるよ…!」

レオン「(おぉ~流石女神と呼ばれているだけあるな)信じてくれてありがとう…。それに看病までしてもらっちゃって…」

ユミル「気にするなよ。奴隷になってくれればいいからさ」ニヤッ

クリスタ「もうっ!やめなってばっ!!」

クリスタ「気にしないで。当たり前の事をやっただけだから!」

レオン「ありがとう」

ユミル「…まぁそんな事よりさ…。仮にお前がこの世界の住人じゃないとして、どうやって元の世界に帰るんだ?」

クリスタ「………………あっ…」

レオン「…………………えっ?」

レオン(そうだよ…!全然考えてなかった!!どうやって来たかも分からねぇのに帰り方なんて分かるはずがねぇ!!)

レオン「いやまぁほら?また寝ればいいんじゃない?で、起きたらまた元通りっ!」

ユミル「…だといいな」

クリスタ「だっ…大丈夫だよっ!!明日、目が覚めたら家に戻ってるよっ!!」

レオン「…ははは…そうだよなっ!さすがクリスタっ!」

レオン「まぁという事は、もう会えないわけだし最後にお願いが有る」

クリスタ「私に出来る事ならっ!」

ユミル「ふざけんなっ!!お前が言う事聞くんだろうがっ!」

レオン「まぁまぁ…。そんなに興奮しないで。えっと…実はさ…ずっとユミルのファンだったんだよね//」

ユミル「あぁ?!」

クリスタ「~ッ//」

レオン「だから最後に、ハグをお願いしy…ユミル「ふっふざけんなっ!//」バキィ

レオン「がはぁっ!」

クリスタ「ちょっ…ちょっとユミルッ!!」

ユミル「ハァハァ……。何を言い出すかと思えば…テメェは私を馬鹿にしてんのか?!」

レオン「イテテ…。いや何で馬鹿にしてるってなるんだよ?!俺はユミルが好きだから好きって言ってるだけだろ?!」

ユミル「はぁ…。(こいつマジで何なんだ…//)...何かキレるのも馬鹿らしくなってきたな…」

レオン「クリスタも記念にお願い出来ないか?」

クリスタ「えぇっ//私?う~ん//」

ユミル「あ?やめとけクリスタ。ハァ~…じゃ記念に私がやってやるよ…」

レオン「マジで?!やった!言ってみるもんだなっ!」

ユミル「ほらこっち来いよ」ギュッ

レオン「ありがとっ!」ギュッ~

ユミル「………いつまで抱きついてんだよっ!」バシッ

レオン「イテッ!...いやぁありがとう!いい思い出が出来たよ…。向こうに戻ったら自慢しまくろうっと!(信じてもらえねぇと思うけど…。しかしいい匂いだった//)」

ユミル「私で自慢になるのかよ?」

レオン「なるよっ!何気にユミルは人気者だよ?イケメンだっつって。ユミルみたいな姉貴が欲しいっ!とかさ」

クリスタ「ユミル良かったじゃない!!やっぱりユミルの良さはちゃんと伝わってるんだねっ!」

ユミル「殆ど女関係無い気がするがな……。まぁどうもありがとよ//」

クリスタ「照れちゃって!可愛いんだからっ!」
キャイキャイ

レオン(いやぁ眼福眼福)

レオン「でもホントにありがとう。短い間にずいぶんお世話になっちゃったけどさ…。二人と会えたのは一生物の思い出だよ!もし願わくば僕の事も覚えててくれると嬉しいな//」

クリスタ「私も忘れないよ!ありがとう!」

ユミル「…あぁ~何だ…。まぁ達者に暮らせよ?折角平和な世界なんだろ?私らの分まで幸せに生きろよ…。」

レオン「あぁありがとう…。二人もどうか無事でね…」

クリスタ「うんっ!...じゃあ私達は部屋に戻るね…。オヤスミ…」

レオン「オヤスミ」
ギィ バタン

レオン(いやぁしかし濃い一日だったな…。まぁでも漫画のキャラに会ったのなんか、後にも先にも俺ぐらいじゃねぇか?貴重な体験だったな)

レオン(しかし…何でいきなりこの世界に飛ばされたんかな…。あの時読んでたからかなぁ…。ってか俺車に轢かれたけど生きてるんだろうな…?死ぬ前の奇跡体験とかじゃねぇよな?)

レオン(まぁ考えててもしょうがねぇか…。もう寝よ寝よ…起きたら家だ)
―――――――
――――――
―――――
――――
―――

チュンチュン

レオン「ふわぁ~…朝か…」キョロキョロ










ー医務室ー

レオン「……まだ夢か…じゃもう一眠り…」
――――
―――
――

レオン「………ムク」キョロキョロ












ー医務室ー



レオン「………ジーザスッ!!!!!」

レオン(おいぃぃ!?戻ってねぇじゃねぇか!紛うこと無く昨日の部屋だよ!?これは帰れないフラグじゃない?え?何なの?死ぬの?)

ギィー
 
キース「おはよう。起きてたか…もしかしたら、寝てる間に戻ってしまうかとも思ったが…」

レオン「(俺もそうであって欲しかったよ…)おはよう御座います…」

キース「しかし君の話を本当だとすると、困った事になるな…まずはどうやって戻るかだな…。そして戻れるまで何処で暮らすか…」

キース「ここは兵士養成所だ…この世界の事を本で見たなら知っていると思うが、訓練とは言え、毎年死人も出ている危険な物だ…」

キース「心臓を捧げた者ならいざ知らず、関係無い者をむざむざ死なせる訳にはいかんしな」

キース「君にも帰りを待つ人が居るだろう…?」

レオン「………。(確かに…。まぁ兵士になる前に俺じゃ立体機動なんて出来なさそうだしな…自分の世界じゃ無い所で死ぬのもなぁ…)」

キース「申し訳ないが、やはり開拓地で暮らしてもらい、元の世界に戻るのを伺ってもらうという事でいいだろうか?」

レオン「…そうですね…。(…待てよ…考えてみれば俺はこの世界の未来を知っているって事だよな?何処までその通りに進むか分かねぇが、サシャの件は当たっていた…ってことは上手くやれば、この地獄みてぇな世界を変えられるかもしれん)」

キース「そうか…ではそのように馬車等を手配s…レオン「あのっ!教官!」

キース「どうした?」

レオン「やはりぼっ…いえ…私も兵士にして頂けませんか?(怖ぇけどこんな経験二度と出来ない…ユミルとも一緒にいれるし…そして何よりあの三人も救えるかもしれない)」

キース「ほう…。ではこの世界の人類に心臓を捧げることが出来るという事か?君の本当の世界では無いのだろう?」

レオン「その通りです…。しかしこうしてこの世界に来たというのは何か意味が有るように感じるんです!その意味を見つけた時、初めて帰れるんだと思います!」キリッ

レオン(原作は大分先までストーリーは展開してるけど、少し様子を見てからその話はしよう…◯山先生ゴメンナサイ!)

キース「……いいだろう…。では本日より訓練兵団に向かい入れる!今までいた世界とは違うぞ!この訓練中にせいぜい死なないことだな!!心臓を捧げよ!!」

レオン「ハッ!!」バッ

レオン(やってやる…。一匹残らず駆逐してやる!!俺が…この手でっ!!!)キリッ

レオン(って間違えた…。世界平和だ!)キリリッ

キース「まずは貴様を紹介しなけばならんな。丁度朝食で食堂に集まっているだろう…行くぞ!」

――――
―――

ー同時刻ー
ー女子宿舎ー

クリスタ「う~ん…。みんなぁ…おはよぉ」

アニ「…はよ」

ユミル「んだよ…もう朝かよ」

アニ「そういえば、二人共夜中まで居なかったね…何処行ってたんだい?」

ユミル「…あぁちっと色々とな…まぁ一種の人助けだな」

アニ「………あんたが?」

ユミル「おいおい…私がやったらそんなに変かよ?....まぁ尤もクリスタが居なけりゃやらなかったがな…」ハッ

ユミル(あいつはもう自分の世界に帰ったかな…?無事帰れればいいがな…って何考えてんだッ!私はっ!//)

アニ「そんな事だろうと思ったよ…」

クリスタ「結局助けたもんね?……ユミル?」

ユミル「っ?!あぁ悪い少し考え事しててな…」

クリスタ「…ふ~ん…。レオンの事?」ボソッ

ユミル「は?!違ぇよ!!//」

クリスタ「別に隠さなくてもいいじゃない!」

ユミル「いやだから…」
ヤイヤイ

アニ「そんな事よりもう朝食の時間だよ」

ユミル「っ?!おう!そうだな!ほらクリスタ行くぞ!」

クリスタ「あっ!待ってよユミル!」
―――
――


ー食堂ー
-朝食-
ガヤガヤ

サシャ「クリスタ!ユミル!おはようございます!」

クリスタ「サシャおはよう!」

ユミル「おーっす!」

ライナー「クリスタおはよう!」

ベルトルト「ユミルもおはよう」

クリスタ「ライナーとベルトルトもおはよう!」

ユミル「おはよーさんっ」

ユミル「ふぁーっとっ…。眠ぃーなおい…」

クリスタ「流石に眠いよね…でも今日は立体機動の訓練は無いから良かったよねっ!」

ユミル「まぁ教官もそう思ってああ言ったと思うが…」

サシャ「何ですか?二人揃って夜中に食料庫でも忍び込んだんですか?」
ユミル「お前と一緒にするなよ!芋女っ!」

サシャ「なっ!?芋女とは誰のことですか?!」

ユミル「お前以外に誰が居るんだよ…まぁ安心しろその[芋女]ってのは意外と有名みたいだぞ?」

サシャ「えぇっ?同期以外にも知ってる人が?!」

クリスタ「もうっ!そんな言い方したらサシャが可哀想じゃないっ!…サシャ?大丈夫だよ?誰もそんな事思ってないから!」

ライナー「それで?結局どうして二人揃って寝不足なんだ?」

ユミル「まぁ一種の人助けだよ…」

ライナー「……お前がか?」

ユミル「……はぁ…。その件はもういいよ…」

クリスタ「二人で井戸に水を飲みに行ったら、門の所に人が倒れてて…それでユミルと二人で医務室に運んだの」

ユミル「それで、まんまと教官に看病を押し付けられたって訳だ」

ライナー「そいつは災難だったな…」

ベルトルト「でも何だってそんな所に倒れてたんだい?」

クリスタ「えぇ~と…(ユミルどうしよう?)」チラッ

ユミル「(私に任せておけ)コクッ…いや…結局起きてすぐに教官呼んで任せてきたから詳しくは分からん」

ベルトルト「そっか…二人共大変だったね」

ライナー(流石俺の嫁…)
バタンッ

キース「注目っ!!!」
ガヤ シーン

キース「昨日、この訓練所の前で倒れている人間を訓練兵が保護したのだが…」

クリスタ「ねぇユミル…教官は急にどうしたのかな?」

ユミル「…さぁな」

キース「どうやらここ最近の記憶が曖昧らしく、帰る場所が分からないそうだ!!」

エレン「うわぁ…そいつは大変だな」

アルミン「そうだね…故郷が有るのに帰れないなんて」

ミカサ「……」

ユミル(何か話がおかしいぞ…)

キース「そこで本人の強い希望により、兵士として貴様らと共に励んでもらうことになった!!…入れ!!」

ライナー「おっ?新人か」

レオン「皆さん初めまして!レオン・パルマーといいます!今日からから皆さんと共に訓練に参加させていただきます!!よろしくお願いします!!」キリッ

男子陣「へぇ~…しかしデケェな?ライナーくらいか?」

エレン「デケェな!格闘術とか強いのかな?」

アルミン「ははは…。どうだろうね…まぁ今度から訓練に参加するみたいだし、一緒に組んでみればいいじゃない?」

エレン「おぉ!そうだなっ!」

クリスタ「えっ?」

ユミル「は?」

女子陣「ふ~ん…結構まともな男じゃない?」ワイワイ

キース「半年遅れだが貴様らの仲間だ!互いに研磨せよ!!それとブラウン訓練兵!」

ライナー「ハッ!」

キース「宿舎等の仕組みを説明してやれ!」

ライナー「了解です!!」

キース「何か分からない事があれば奴に聞け!部屋はブラウン訓練兵と同室だ!奴が宿舎長もしている!」

レオン「ハッ!ありがとうございます!」

キース「他の者も協力する様に!以上!」

ライナー「俺はライナー・ブラウンだ!よろしくな!レオン…っつたか?」

レオン「あぁ!こちらこそよろしくな!ライナー!」

レオン「そうだ…ちょっと恩人に挨拶してくるよ」

ライナー「あぁユミルとクリスタならあそこに座ってるぞ」

レオン「サンキュー!……ユミル!クリスタ!」

クリスタ「レオン!どうしたの?てっきり帰ったのかと…」

レオン「まぁ俺もそうしたかったんだけどさ…目が覚めてもまだ医務室でさ…」

クリスタ「そっか……でもいずれ帰れるようになるよ!」

レオン「ありがとなっ!クリスタ!」

ユミル「…お前が最後にとか言ったからそんな感じの空気だったのに…何ちゃっかり戻ってきてんだ?」

レオン「あははは!」

ユミル「笑い事じゃねぇよ!!」

サシャ「この方ですか?さっきお二人が言っていたのは」

レオン「初めまして!俺はレオン!よろしくな!」

サシャ「初めまして!私はサシャ・ブラウスです!こちらこそよろしくです!」

ユミル「レオン!気を付けねぇとパンとか食われちまうからな」

サシャ「なっ!?そんな事しませんよっ!!」

ユミル「おいっ…どういうつもりだ?何で兵士になんか…」ボソッ

レオン「その事に付いて話が有るんだ…少しいいか?」ボソッ

ユミル「…あぁ…。クリスタも行こうぜ」

クリスタ「えっ…?うん…」

レオン「おーい!ライナー!また宿舎でな!」

ライナー「おぅ!次は対人格闘だからな!遅れるなよ!」

ー宿舎裏ー

ユミル「…んで?話って?」

クリスタ「……………」

レオン「いやお前らは…何処まで俺の話を信じてる?」

クリスタ「何処までって…確かに信じ難いけど…レオンが嘘ついてる様には見えないし」

ユミル「……まぁ私も同感だな」

レオン「そうか…。じゃ信じてる方向で話を進めるぞ?俺はこの世界を知っていると言ったな?」

ユミル「あぁ」

レオン「実は俺の世界では大分話が進んでいるんだ…。訓練兵もとっくに卒業してる」

レオン「実際何処まで同じように動くか分からんが…サシャの件は当たっていたし、立体機動の適正の時はエレンがひっくり返らなかったか?」

クリスタ「うん…。そうだよ!」

レオン「という事は…大方同じように動くと考えてもいいと思う」

ユミル「……お前の世界じゃどれ位進んでるんだ?」

レオン「それに答える前に確認しておきたいことが有る…ユミルちょっとこっち来てくれ…」

ユミル「……」スッ

レオン「ユミル…お前は敵か?それとも味方か?」ボソッ

ユミル「………そこまで知ってるのか…」

ユミル「…まぁ正直言えば、私はクリスタの為になるように動くだけだ…だからどちらとも言えないな…」チラッ

クリスタ「…………?」ニコッ

レオン「そうか……やっぱりな…。じゃもしクリスタの為になるならその力を壁内の人類の為に使うんだな?」

ユミル「……お前は何処までしってるんだ?何をする気だ?」
カーンカーンカーン

ユミル「ちっ…」

クリスタ「いけない!訓練の時間だ!」

レオン「とりあえずまたじっくり話そう」

ユミル「…あぁ」

レオン(俺が先を知っている事は、成績上位とアルミンには言っておくべきかな…)
―――――
――――
―――

ー格闘技場ー

キース「今日は立体機動の訓練は無いが…対人格闘が有る。点数は低いが訓練だ!だが問題は貴様が何処まで出来るかだ!」

キース「半年間とはいえ、貴様よりも鍛錬している連中と同じレベルでやれるか?」

レオン「ハッ!対人格闘でしたら元の世界でもやっていましたので問題有りません!」

キース「そうか…では見せてもらおうか」

キース「おいっ!そこの訓練兵!」

訓練兵「ハッ!!」

キース「新人の相手をしてやれ!」

訓練兵「っ!?(俺かよ!めんどくせぇなぁ…まぁ新人だしな。憂さ晴らしでボコってやるか…)

レオン「(…とか考えてそうな顔だな…)よろしく」

キース「では始めろ!!」

訓練兵「まずは俺がならず者だっ!!」ダッ

レオン(へぇ~…。モブの割にはなかなか早いじゃん…が…甘い!悪いが寝てもらうぜ)

訓練兵「ラァッ!!」ブン

レオン「………」スッ

キース(むっ?訓練兵の腕を躱してそのまま腕を引っ張った…)

訓練兵「くっ!」

レオン「オラァ!」ガンッ

訓練兵「がっ……」ガクッ

キース(成る程…相手の勢いを利用しカウンターで肘を顎に浴びせた…こいつは…)

キース「貴様は柔術経験者か?」

レオン「いえっ!古武術です!!」

キース「ほう…古武術?聞かんな…」

レオン「私達の世界から更に昔の武術で、薙刀術や槍術、棒術、剣術、柔術等…一つに絞らずに様々な術を扱います!」

キース「そうか…これからも励め!」

レオン「ハッ!!」バッ

「おいっ!レオン!!」

レオン「んぁ?」クルッ

エレン「俺はエレン・イェーガー!お前やっぱ強いんだな!一回手合わせしようぜ!」

レオン「おぉ!エレン!レオン・パルマーだ!レオンって呼んでくれ!」
ザワッ

オイッ!エレンガカランダゾ…

ミカサ「エレン…レオンはまだ新人…。ので、無理強いは良くない」

レオン「えっと…こちらの美人さんは?(まぁ一応まだ知らないフリしとこう//)」

ミカサ「私はミカサ。ミカサ・アッカーマン」

レオン「ミカサかぁ!俺はレオン!よろしく!…(いやぁ実物もかわえぇ//)」

ミカサ「よろしく…。エレンは強い…あなたも無理に付き合うことはない」

エレン「レオンも強かったぞ!さっき見てたんだ!」

レオン「まぁ対人格闘はやってたことが有るんだよ」

エレン「成る程な…で…?相手してくれるよな?」

レオン「あぁ…俺で良ければな!」

ミカサ「…ハァ…」

エレン「じゃまずは俺がならず者だ!…行くぞっ!!」ダッ

レオン(っ!?流石エレンだ…早いな…)

エレン「オォラァッ!!」ブンッ

レオン「あっぶねっ!」サッ

レオン(おいぃ!…エレンの奴ガチじゃねぇか!!)

エレン「どうした…?避けてっ…!…ばっかじゃ…!…やられちまうぞ?」

レオン「喋ってるとっ…!舌っ…!オットッ!…噛むぞ?!」スッ

エレン「…!?しまっ…!」バシッ!

レオン「オラッ!」グルンッ

エレン「…ぐっ」ドサッ

ミカサ(…!?今のは何?それほど腕を回した様には見えなかった…なのにエレンが回った…?)

レオン「わりぃな…大丈夫か?エレン?」スッ

エレン「イテテ…なぁ今のスゴイな!変な感じだったぞ?何か軽く回されちまった…」ガシッ

レオン「まぁ…そういう技だからな…お前の力を利用させてもらった」

エレン「…あぁ何かアニの奴もこの前そんな事言ってたなぁ」

レオン「じゃ次は俺がならず者だな?…行くぞっ!…最初っからクライマックスだ!!」キリッ

エレン「来いっ!」

レオン「…ソラッ!」ブンッ

エレン(…っ!?木剣を投げ付けてきやがった!)サッ

レオン「もらったぁっ!」ガシッ…グルンッ

エレン「うわっ!」ドサッ

レオン「ふぅ…。大丈夫か?」スッ

エレン「…あぁ…。まんまとやられたよ…」ガシッ

レオン「いや…俺が勝てたのはまぐれだ…次は負けちまうよ」

エレン「あぁ…!次は負けねぇからな!」

ミカサ(どうだろうか…ライナーを相手にしながらだったから、よく見てなかったけれど…。大分余裕が有りそうだった…)

ライナー「」ゴフッ

キース「集合!対人格闘はここまでだ!各自昼食を取り座学へ向かえ!解散!!」

訓練兵一同「ハッ!」

ー食堂ー
-昼食-
ガヤガヤ

エレン「いやぁレオンはやっぱり強かったよ!」

アルミン「そうなんだ?何かやっていたのかな?」

エレン「あぁ…対人格闘はやってたことが有るって言ってたな」

アルミン「…そうなんだ…すごいよね!鍛えてる兵士と渡り合えるなんてさ」

レオン「いや…さっきのはまぐれだって」

エレン「うぉっ!脅かすなよっ!」

アルミン「君がレオン君か。僕はアルミン・アルレルト!アルミンでいいよ!よろしくね!」

レオン「おぉアルミン!俺はレオン・パルマー!俺もレオンでいいよ!よろしくな!」

エレン「ところでレオンは何処らへんの出身なんだ?」

アルミン「っ!?エレンッ!」ボソッ

エレン「んっ?あっ…わりぃ…覚えてないんだよな」

レオン「いや気にするな!人間の脳みそは、必要な事を選んで思い出すらしいからな…。忘れてるって事は、今はまだ必要じゃ無いって事だよ」

エレン「へぇ…お前物知りなのな!」

アルミン「じゃあいずれちゃんと思い出せる日が来るよ!」

レオン「ありがとな!(まぁ忘れてる訳じゃないんだがな…)」

エレン「でも、さっきの技は凄かったよ!今度教えてくれ!」

レオン「おぉいいぜ!俺も分からない事は聞くからさ」

エレン「おう!」

アルミン「やっぱり何かの格闘術の概念なのかな?」

レオン「あぁ…そうだな。俺のは古武術って言ってな」

エレ・アル「古武術?」

レオン「まぁ一つの型に拘らず、色んな術を総合的に扱うんだ。記憶が曖昧な割には、体に染みこんでいたのは覚えてるらしい」

エレン「何かかっこいいなっ!!」

クリスタ「レオン!」

レオン「おぉクリスタ!どうした?」

アルミン「あれっ?知り合いなんだ?」

レオン「いや俺を助けてくれたってのは、クリスタとユミルなんだよ」

アルミン「あぁ!そういう事か!」

クリスタ「訓練初日で大変だろうなって!格闘訓練は大丈夫だった?」

ユミル「そこの死に急ぎ野郎にボコられなかったか?」ニヤッ

エレン「いや…レオンに負けちまったよ…」

レオン「まぁ不意打ちみたいなもんだったしな…」

クリスタ「でもエレンは格闘訓練の成績いいのに…スゴイね!」

ユミル「へぇ~伊達に変態な訳じゃねぇのな」ニヤッ

レオン「誰が変態だよ!?」

ユミル「お前しか居ないだろ?」

クリスタ「ちょっと!ユミルっ!別にレオンは記念にハグさせてって言っただけじゃない!…ハッ!?」

エレン「記念に…?」

アルミン「ハグ…?」

ミカサ「…………」モグモグ

ユミル「…ハァ……クリスタ……」

レオン「……まぁね…」

クリスタ「えっと…今のは違うの…そうじゃなくて…」

アルミン「ま、まぁ別に挨拶代わりで抱き合う習慣の所も有るって言うしね…//」

エレン「なぁハグって何だ?しかも記念って?」

レオン「……。(どうする?まだ早いが上位陣には教えておくか…?)」

ユミル「おい…どうするんだよ?」ボソッ

レオン「一度、話合おう。夕食後にさっきの場所で落ち合おう」ボソッ

ユミル「分かった」ボソッ

レオン「…まぁその辺はまた詳しく話すよ!そろそろ訓練の時間じゃねぇか?」

クリスタ「ごめんね!レオン…」

レオン「いいって!気にするなよ!大丈V!」

エレン「そうだな…遅れちまったら罰走だぞ?」
カーンカーン

アルミン「丁度合図だ…とりあえず行こうか?エレン、ミカサ、レオン」

ミカサ「えぇ」

エレン「おう」

レオン「ほい」

アルミン「…そのクリスタに抱き着いたって話は、後でじっくり聞かせてもらうよ?」ニコッ

レオン「あ、あぁ…。(何かアルミンが誤解してる気がする…)」

――――
―――
――

ー座学教室ー

教官「では始めようか」

教官「今日からの者が居ると、キース教官から聞いているが…」

レオン「ハッ!私です!レオン・パルマーといいます!よろしくお願いします!」

教官「うむ!ところで、記憶が曖昧だと聞いているが?」

レオン「ハッ!申し訳ありません!イマイチ状況が分からないんです…。しかし!私も人類に心臓を捧げた訓練兵です!直ぐに他の訓練兵にも追いついて見せます!!」

教官「そうか…では死に物狂いでついてくるように!(まぁ監視対象なのは変わらんが…)」

レオン「ハッ!」

コニー「へぇ~あいつ何かよく分からねぇけど凄そうな奴だな!」

サシャ「なかなか爽やかですよね?」

ジャン「けっ!まぁた変な真面目ちゃんが入ってきやがったな」

マルコ「ジャン!真面目なのはいいことじゃないか!」

ジャン「はいはい…悪かったよ」

教官「~~~で~~~あるから~~~~のように~~」

レオン(…成る程!…分からん!!)

教官「では誰か分かる者はいるか?」

アルミン「はいっ!そこは~~~ですから、~~~~~~のように~~」
教官「流石アルレルト訓練兵だ!皆も見習うように!」

レオン「Zzz」スヤ

ユミル「あ?あいつあんな事言っておきながら即効で寝てやがる!」

アルミン「ちょっと!レオンッ?!」ボソッ

レオン「…はっ!?スマン…。あまりに分からなくて…」

アルミン「しっかりしてよ……」

教官「では更におさらいだ…パルマー訓練兵!立体機動装置のガスは何で作られている?」

レオン「っ!?ハッ!」

アルミン(大丈夫かなぁ…)

レオン「まず…ガスは氷爆石を都市部で精製して使用しています!更に高圧力に耐えられる様に、ボンベは黒金竹で出来ています!」キリッ

教官「うむ!なかなか良く聞いているな!」

レオン「…ふぅ…」

アルミン「やるじゃない」ボソッ

レオン「おう!(まぁそこら辺は有名だしな)」ボソッ

教官「ここが~~~になり~~~で…」
カーンカーン

教官「むっ?では今日はここまで!解散!」

訓練兵一同「ハッ!」
―――――
――――
―――

ー食堂ー
-夕食-

レオン「……ぐはぁっ…さすがに疲れた…」

アルミン「慣れないんだから仕方ないよね」

エレン「でも教官の問題にもしっかり答えてたじゃねぇか!」

レオン「あれは偶々聞いてた所だったからな」

ミカサ「でも…明日は立体機動の訓練が有る」

エレン「あぁ…あれは結構しんどいぞ?」

レオン「だよなぁ…まず出来るかどうかが分からn…キース「パルマー訓練兵!」

レオン「っ!?ハッ!」

キース「貴様に立体機動の適正を受けてもらう!それが出来なければ開拓地行きだ!直ぐに運動場に来い!!」

レオン「マジかよっ!?いきなり…」

エレン「まずはベルトをしっかり調整しろ!あと壊れてないかの点検もやるんだ!」

アルミン「慌てなければ出来るよ」

レオン「あぁ!ありがとな」

エレン「俺も付いていくからよ!」

――――
―――
――

ー運動場ー

レオン「ベルト良し!金具破損無し!…大丈夫です!」

キース「良し!これが出来ないようなら兵士は務まらん!…上げろ!」

レオン(マジでエレンみたいにひっくり返ったらヤバイ!あいつは主人公補正が有ったが…俺はそうはいかないしな…)ギギギッ

レオン(…ぐっ!!何か思ったよりも負担がデカイな…だが腰掛ける感覚を持てばそう難しくない…か?)ギギギッ

キース「ふむ…問題無いようだ!明日は立体機動の訓練が有る!励め!」オロセッ!

レオン「ハッ!!ありがとうございます!」

エレン「やったな!レオン!」

レオン「あぁ!ひっくり返らなくてよかったよ!」

エレン「…装備はよく確認した方がいいぞ!!…俺はそのせいで開拓地行きになる所だったからな…」

レオン「っ!!あぁ肝に銘じておくよ」

アルミン「とにかく良かった!本格的に明日からよろしくね!!」

レオン「あぁ!」

――――
ー茂みー

ユミル「まぁ何とかなってよかったな」

クリスタ「ねぇ…?何でこんなにこそこそするの?」

ユミル「べっ別に深い意味はねぇよ!//」

クリスタ「…素直じゃないんだから」ボソッ

―――――
――――
―――
ー宿舎ー

レオン「えっと…(ユミルと話しそびれた…だが女子宿舎の渡り廊下までどうやって呼び出す?)」

レオン(いきなり入って行ったら殺されそうだしな…ハァ…。携帯が繋がりゃこんな苦労はねぇのによ)

レオン(…んっ!?あれは…ツンデレラのアニじゃんか…!あいつに呼んでもらおう)

レオン「あのっ!」

アニ「…………何?」クルッ

レオン「(怖っ!)いきなりゴメン!俺はレオン・パルマー!…実はユミルに少し用があって…悪いけど呼んで来てくれないかな?」

アニ「はぁ…。何で私が…ちょっと待ってな」

レオン「ありがとう!ところで…君は名前なんて言うの?(何だかんだ聞いてくれる辺りがアニだよな…)」

アニ「……アニ…」スタスタ

レオン「アニか…ありがとな!アニ!っていねぇし…」

レオン(俺が何とかしてお前ら三人助けるからな!)

―――

ユミル「おぅ!ここじゃなんだから移動するか…」

ユミル「どうした?ボーッとして」

レオン「悪い…考え事してた..」
――――
―――
――

ー宿舎裏ー

ユミル「さて…朝の続きだ…どこまで知ってる?」

レオン「先ず…直近で言えば訓練兵団を卒団と同時に……また壁が壊される」

ユミル「は?」

レオン「トロスト区の壁が超大型巨人に壊されるって言ったんだよ」

ユミル「ちょっ!ちょっと待て!何で奴らはそんなタイミングなんだよ!?」

ユミル(ってことは戦争はもうすぐそこって事かよ…)

レオン「さぁな…まぁ丁度調査兵団の壁外調査に合わせたってところだろう」

レオン「そこで104期は壁上固定砲整備だった訳だ…だから一番の理由はそこかもしれんな」

ユミル「そりゃどういう…。ッ!?まさか…?超大型巨人は…」

レオン「あぁ………超大型巨人と鎧の巨人は…104期の中に居る」

ユミル「マジかよ…」

レオン「さて…次はお前が知ってる事を話してもらうぞ?」

レオン「先ず…クリスタ…いや…ヒストリア・レイスが知る事が出来る壁の秘密ってのは何なんだ?」

ユミル「ッ!?…それまで知ってんのか…。だがそれは私も分からん…私が奴に付いてるのは、昔の自分に似てるからだ…あいつには幸せになってもらいてぇんだ…!」

ユミル(全部を吐き出すわけには行かねぇな…)

レオン「そうか…じゃ[ユミルの民]ってのは何なんだ?お前は昔、みんなの為に死んであげたと本には有った…そりゃどういう意味だ?」

ユミル「そのまんまだよ…65年前に私は人類の為に死んでやったんだ…」

レオン「そうか…それは壁外の人類って考えでいいんだな?いや…向こうの世界でもお前の事はまだ詳しく分かってないんだ…」

レオン「これは俺の想像になるんだがな…そもそも人類は壁内だけじゃ無いんだろ…?この壁内はこの星の数ある国の一つ…違うか?」

ユミル「…あぁそうだ…人類は壁外にも存在している…」

レオン「で、その中の一つの国がお前の国か?…ユミルの民ってくらいだ…お前は国王か何かだったのか?」

ユミル「まぁ王って程でも無いが、統治者の血筋だったんだ…。しかし隣国との戦争が長引いていてな…どうやらその戦争が起きているのは私が原因だったらしい…」

ユミル「だから…私が死ねば戦争は終わるってな…だから領地内の人間為に死んであげたんだ」

レオン「その戦争していた国ってのが巨人化の力を操る国だったんだな?…で、死にそうなったとこを運良く巨人の力を手に入れたと…」

ユミル「あぁ…あいつらの国は巨人を作り出す力を持っていた」

レオン「なるほどな…巨人は何種類かいるよな?元は人間ってのと、また別の工程で生まれた巨人…普通、巨人は夜には動けなくなる筈なのに動けるタイプも確認されている…あれはどういう事なんだ?」

ユミル(こいつここまで知ってんのか?もう隠し事してもしょうがねぇが…確認しておく必要があるな)

ユミル「…お前の狙いは何なんだ?ここで色々知ったとこで、多分どうにもならなねぇぞ?」

レオン「別に崇高な目的なんかねぇよ…ただ、一人のファンとして、この世界の住民が幸せになれる道を探そうと思っただけだ!実際の時間軸じゃなく、訓練兵時代に俺が飛ばされたのもそういう理由だと思ったんだ…。それだけだよ…」

ユミル「ハッ!!十分ご立派じゃねぇか…だがな…この壁内の人類を救うという事は、他の何処かの国の人間を不幸にするって事だ…お前にそれが出来んのかよ?」

レオン「……さぁ?」

ユミル「はぁっ!?散々カッコイイ事語りながらそれかよ!?」

レオン「…だからっ!…だから全てを知る必要があるんだよ!!すべてを知り、叡智を持って行く先を決める…。そして人類にはそれが出来る筈だ!どうせ出来ないとか言い訳を言って、逃げ回るのか?冗談じゃねぇ!」

レオン「…なぁユミル…。俺はマジでお前の事が好きなんだよ…その…実は優しい所も、聡明な所もホントに尊敬してる!だから頼むよ…力を貸してくれっ…!救ってやりたい奴も居るんだっ…」

ユミル「…何でだ…?何でそこまで出来る…?何で関係ねぇ世界の為に体張れるんだよっ!?」

レオン「お前がクリスタの為に体張れるのと同じ理由だろ…?初めて会った時から言ってたはずだ…ユミルが好きだって…。ユミルがいるこの世界を少しでも明るい世界にしたいんだよ!」

ユミル「…ハッ!結局お前も死に急ぎ野郎と一緒で変わり種かよ…参ったね…どうも年取ると涙腺が緩くなるらしい…」ポロポロ

レオン「……………」スッ ギュッ

ユミル「…分かった…私に出来る事なら協力するよ…その…ありがとなっ…レオン…」

レオン「俺はオレがやるべきだと思った事をやるだけだ!」

ユミル「あぁ…さっきの話だが、人間から巨人になった奴ってのは夜でも動けるんだ。ただし、知能は持っていない」

レオン「知能を持つには…人を喰わなきゃならねぇんだろ?」

ユミル「あぁどうやらそうらしい…で、5年前に奴らが壁を壊してくれたお陰で私も壁内に入ってこれたんだ」

レオン「そうか…なんとも因果な能力だな(その時に奴らの仲間を喰った訳か…)」

ユミル「で、その奴らってのは104期の中に居るんだったな?…誰なんだ?」

レオン「…超大型巨人がベルトルトで、鎧の巨人がライナーだ…」

ユミル「マジかよ…よりによってライナー達だと?」

レオン「あぁ…。俺達の世界の話はそうなってる…更にアニも二人の仲間だ…」

ユミル「っ!?…じゃ同期の中に三人も巨人が居るってのか?いや…私を含めて四人か…」

レオン「いや…五人だ…。後一人はまだ自分の能力に気づいてないがな」

ユミル「…っ!?誰なんだよ?」

レオン「エレンだ」

ユミル「はぁ?!そりゃマジか!?巨人をこの世から一匹残らず駆逐してやる!とか吐かしてる奴が巨人なのかよ?笑えねぇぞ…」

レオン「尤も、本人は気付いていないがな…どうやらエレンの父親が関係してるらしいが、行方不明で全く詳細が掴めん」

ユミル「じゃあどのタイミングで巨人化するんだ?」

レオン「…トロスト区の壁が壊された時に、104期も当然駆り出された…その際にアルミンを庇って巨人に喰われた」

レオン「それで、巨人の腹の中で巨人化したって訳だ…ただ…力の練度にはライナー達とは大きく差がある」

レオン「エレンは時々自我を失う事も有った。三人やユミルみたいに扱いこなしていない印象だな」

ユミル「そうか…」

レオン「あの三人は故郷に帰るんだと言っていた…何で故郷に帰るのに壁内の人類を滅ぼす必要があるんだ?」

レオン「それに、奴らは[座標]とか言ってエレンを連れ去ろうとしてる…で、その時にお前も一緒に連れて行かれちまうって訳だ」

レオン「[座標]ってのは何となく分かったんだ…巨人を操る能力みたいなんだがな…奴らは一体何を恐れているんだ?」

ユミル「それは…世界にあまり時間が残されていないからだ…」

レオン「時間?」

ユミル「あぁそうだ。結局ライナー達の故郷が有る国が、私の国と戦争していた国な訳だが、私達の国…まぁ領地も、この壁内の土地も元は一つの国だったんだ…」

ユミル「時の統治者…オーディン・ロキ・イズン…この三賢者と呼ばれる者達がある時を境に決裂したんだ…そこから国は3つに分かれた…。そして元々三賢者が一つの国を治めていた時からその国は特殊だった…」

レオン「巨人の力か……」

ユミル「あぁ…そして決裂した際に、この壁内の土地に移動してきたイズン一族は巨人を従える事が出来る能力を持っていた…そしてオーディン一族…つまりライナー達のご先祖は巨人を作り出す能力を持っていたって訳だ」

レオン「…お前らの国は何も持って無かったのか?」

ユミル「どうやら私達のご先祖様のロキは…追放に近かったらしくてな…だから奴らの言う、[座標]や巨人化の力も持ってなかったって訳だ」

ユミル「そして、オーディンの一族は巨人を大量に量産し、2つの国を攻め落とそうした…とはいえ、イズンが居ないと巨人をコントロールすることが出来ない…だから自分の国の人間を巨人にして、知性を持たせて従わせようとしたんだ」

レオン「だからライナー達も巨人に狙われてたのか…」

ユミル「で、攻められたイズン一族は攻めて来た大量の巨人を従わせ、あの強大な壁を築いた…何故イズンが壁を築いて引きこもったのかは分からんがな」

レオン「その能力があれば戦えるような気もするな…もしかすると従わせる事が出来る巨人は限りが有るとか?知性持ちは無理だとかな」

ユミル「まぁ結局、最大の敵は知性巨人だからな…無駄に血を流すよりは引きこもりを選んだんだろ」

レオン「じゃそもそも巨人は人からの他には何から出来るんだ!?」

ユミル「それは私も分からん…結局のところ、私だって言い伝えでしか知らないんだからな。そもそも二種類ってのも推測でしか無いだろ?もしかしたら知性巨人と無知性巨人の違いは紙一重なのかもしれないしな…」

ユミル「んで、私達の国のロキは巨人の力は一切持っていなかったが、戦術や弱点は知っていた…だからなんとか戦えていたが、まぁそんな消耗戦じゃ勝ち目なんて有る訳ねぇわな」

ユミル「結局何も分からないまま使命を背負っていた私は…皆の為に死んであげたって訳だ…」

ユミル「尤も…お前の話を聞く限りじゃ、結局やられて皆、巨人にされちまったみてぇだけどな」

レオン「そのイズンの末裔がクリスタとエレンって訳か…しかしヒストリアとエレンってどういう繋がりなんだ?」

ユミル「さぁな私もそこまでは分からねぇよ…お前に聞くまでエレンが[座標]だなんて知らなかったしな」

レオン「成る程な…じゃライナー達は[座標]を手に入れて巨人の脅威を取り去りたい訳か」

レオン「しかし、世界の時間ってのはどういう事なんだ?」

ユミル「…壁は何で出来ている?そして壁はどれほどの大きさだ?」

レオン「……?………っ!!!まさか!?」

ユミル「これは言い伝えだが、そろそろ長い眠りから目覚める頃だ。恐らく、その巨人復活の謎に一枚噛んでるのが王政やレイス家、さらにはウォール教だろう…もしかすると、王政=レイス家かもしれん」

ユミル「だから王政だってエレンやクリスタを狙うはずだ…自分らの命が掛かってる訳だしな」

レオン「…なんっ…だとっ…?」

ユミル「さて…どうするよ?私のスーパーヒーローさんよ?」

レオン「…………あの……お腹痛いんで帰っていいですかね?」アセッ

レオン「………………」

ユミル「……………」スッ

ユミル「………………」ゴスッ バキッ ドゴォッ
チョッ!!ジョウダンダロッ!ユミル!!  テメェハコロス!!!

レオン「……ガフッ…」ボロッ

ユミル「ハァハァ……。オラ…立てよ…」

レオン「ズミマゼンでしたっ!!もう勘弁しで下ざい!」

ユミル「ったく…で?真面目な話どうすんだよ?」

レオン「ボロッ(…死ぬかと思った…)とりあえず、成績上位陣とアルミンには話すべきかなと思う」

ユミル「あぁ~成る程な…でもまずはアルミンにしといた方がいいんじゃないか?混乱してもしょうがねぇしよ」

レオン「あぁ…それもそうだな」

ユミル「じゃ消灯近いし、そろそろ戻るか」

レオン「そうだな…ユミル」スッ

ユミル「……なんで腕広げてんだ?」ササッ

レオン「これからお互い頑張ろうぜ!のハグ」キリッ

ユミル「はぁ~…。お前どんだけ子供なんだよ?」ガシガシ

レオン「だってまだ子供だもの」テヘッ

ユミル「あぁ…そうだった…なっ!」グイッ

レオン「……うぉっ?」ガシッ

ユミル「これから頑張ろうぜっ!!」ギュッ

レオン「あぁ…(やっぱいい匂いするな//)」ギュッ

ユミル「…上手く行けば最後まで相手してやるよ//」ボソッ

レオン「ッ!?フッ…。任せろ!」スッ

ユミル「…何で前屈みなんだ…?まぁいいやオヤスミ//」

レオン「オヤスミ//」

レオン(ユミル…最後にフラグ立ててくれやがって…あれは…ダメなやつじゃね…?)

―――――
――――

ー男子宿舎ー

ライナー「さーって!そろそろ消灯だし寝るか!」

アルミン「待って!まだレオンが戻ってきてないよ?」

エレン「ホントだ…迷ってんか?」
ガチャッ
レオン「ただいま~遅くなってゴメンよ!」

ライナー「おう!探しに行こうと思った所だ!迷ってたら大変だと思ってな」

レオン「心配かけて悪かったな!」

ジャン「よぉ真面目君!俺はジャン・キルシュタイン!よろしくな」

マルコ「また君は馬鹿にしたような事言って…俺はマルコ・ボッド!ゴメンよ…レオン…だよね?本人に悪気は無いんだ」

レオン「俺はレオン・パルマー!気にしてないから大丈夫だ!よろしくな!ジャン!マルコ!」

コニー「俺はコニー・スプリンガー!よろしくな!」

ベルトルト「僕は…ベルトルト・フーバー。よろしくね」

レオン「よろしくな!コニー!ベルトルト!」

ライナー「さて自己紹介も終わった所で寝るとするか!明日も早いからな」

全員「おぉ~う」
―――――
――――
―――

ー女子宿舎ー

クリスタ「ねぇアニ…ユミル見なかった?もう消灯時間なのに帰ってこないの…」

アニ「…さぁ。…そういえば、レオンとか言う奴に呼び出されてたね」

クリスタ「レオンに?どうしたんだろ?(まさか…//)」
ガチャッ

ユミル「ただいまぁ~」

クリスタ「ユミル!遅かったね?」

ユミル「おぉ悪かったな!ちょっと用があってよ」

クリスタ「レオンと会ってたんでしょ…?」ボソッ

ユミル「なんだ知ってたのか?色々相談されてたんだよ。皆に何処まで話すかとかよ」

クリスタ「ふぅ~ん…それだけ?」ニヤニヤ

ユミル「ッ!?…それだけだよっ!何だその顔は?//」

クリスタ「そうなんだ…。まぁいいけど」ニヤニヤ

ユミル「…お前絶対誤解してるd…アニ「盛り上がってる所悪いけど、明かり消していいかい?もう寝たいんだ」

ミカサ「zzz」

クリスタ「ゴメンねアニ!いいよ!もう寝よう!」

クリスタ「またゆっくり聞かせてね!オヤスミ!」ボソッ

ユミル「おいっ!…ったく…」
―――――
――――
―――

ー食堂ー
-朝食-
ガヤガヤ

ミカサ「エレン、アルミンおはよう」

エレン「おっす」

アルミン「おはようミカサ」

レオン「おはようミカサ!」

ミカサ「おはよう」

クリスタ「おはようみんな!」

レオン「おはようクリスタ」

アルミン「二人共おはよう」

エレン「おーっす」

クリスタ「レオン?昨日ユミルと遅くまで何話してたの?」ボソッ

レオン「…?何って…これから皆に何処まで話すかとか?」ボソッ

ユミル「なぁーに二人でこそこそ話てんだよ?」

レオン「ユミルおはよう。別に大した話はしてないよ」

クリスタ「そうだよ!」

アルミン(最近この三人仲いいなぁ…クリスタはレオンとかの方がいいのかな…?)

カーンカーン

エレン「ッ!?ヤバイ!急ぐぞ!今日は立体機動の訓練だぞ?」

レオン「そうか!」
????
???
??

ー演習場ー
-森-

キース「今日は立体機動の訓練だ!各自三人一組でチームを組んだら出発しろ!」

キース「お前はまずはここからだ!的に向かってアンカーを射出して、感覚を磨け!お前は遅れているんだ!間に合わないようなら即刻、開拓地行きだ!」

レオン「ハッ!!」

レオン(半年も遅れてるからな…気合入れねぇとマジで落第だぞ…)

レオン(良し!まずは右からだ!)パシュッ スカッ

レオン(ぐっ…左!)パシュッ スカッ

レオン(………まぁまだ最初だしな…)ハハハ…
???
??

レオン(ゼェゼェ…)パシュッ スカッ

キース「おい…貴様は先程から何を遊んでいる…?」

レオン「…ハッ!申し訳ありません!(マズイ…予想以上にムズいぞこれ…)」

キース「壁外で巨人の餌になりたいのか?(焦りが余計に無駄な力みをを生んでいるな…)」

レオン「いえっ!」

キース「貴様は武術の心得が有るのだろう?慣れない事をする時はどうするべきかよく考える事だ」

レオン「ハッ!ありがとうございます!(…?何だって?落ち着けって事か…?)

レオン(まぁ…確かに焦ってやたらめったら射出してたな…)

レオン(コォォォ…スウッ…。良し!)パシュッ ザシュッ

レオン(おっしゃ!もういっちょ!)パシュッ ザシュッ

レオン(成る程…分かっちまえば簡単だが、どうしても目や、手で狙いを付けようとしちまうからダメだったんだ…これは腰から射出するんだからな…)

レオン(分かっちまえば…)パシュッ ザシュッ

レオン(いいねぇ)パシュッ ザシュッ

レオン(これ…飛んだら怒られんのかな?…一回だけ…)カチッ

レオン ギュイーン!(速えぇ!?しかもバランスが…!)ガンッ

レオン(ってぇ!なんとか足で抑えられたが…まぁ飛べたな)

キース「貴様!何を勝手な事をやっている!」

レオン「申し訳ありません!誤って巻き取ってしまいました!」

キース「今後気をつけろっ!…的には当たるようになったのか?」

レオン「ハイッ!目標への狙いは問題有りません!」

キース「そうか…ならば今度はこっちだ!」

キース「この森の中をどんなルートでも構わん!飛び回ってろ!ただし、チンタラやっていたらワイヤーを切り落とすぞ!!恐怖心と視点に慣れるためだ!」

レオン「ハッ!」

レオン(いきなり飛べって…まぁ遅れてる訳だしな…ガンガンいくぜ!)

――――
―――

レオン「…………」パシュッ ギュイーン

キース(ほぉ…流石に体幹がしっかりしているな…もう無駄な力が抜けている)

レオン(大分慣れてきたのはいいが…普段使わない筋肉だから結構キツイな…少し流すか…)シュー

男「遅い!」ガンッ

レオン(ッ!?誰かタックルしてきやがった…教官か!?そういや闇討ちも有るって書いてあったな…)

レオン「…おもしれぇ…!全開だぜッ!!」ギュイーン
――――
―――

キース「今日はここまで!!解散!」

訓練兵一同「ハッ!!」

キース「…誰か余裕がある者はそいつに肩を貸してやれ…」

レオン「ゼェゼェ…。(ヤバイ…飛ばし過ぎた…足が動かねぇ)」

ライナー「おいおい…無茶しやがって」…ヨット

レオン「ありがとな…ライナー」

ライナー「気にするな!仲間だろ!」

レオン「あぁ!(…ライナー)」

―――――
――――
ー食堂ー
-夕食-
ガヤガヤ

レオン(…マジで疲れた…飯も食いたくない…しかもマジで美味くないしな…)

エレン「レオン?大丈夫かよ?」

アルミン「僕も最初の内はそうだったよ…辛いと思うけどご飯はちゃんと食べないと持たないよ?」

レオン「あぁそうだな…ありがとなアルミン」

サシャ「あれれ~?レオン食べないんですか?私にくれるって事ですか?」

クリスタ「ダメだよ!勝手にとっちゃ!」

ユミル「おいおい…何へばってんだよ?…私があ~んしてやろうか?」ニヤッ

レオン「あぁ…じゃそうしてくれ…」アーンッ

アルミン「…おぉ」

クリスタ「~ッ//」

ユミル「…なッ!?冗談に決まってんだろ?!//」バシッ

レオン「イテッ!…なんだよ…。期待したのに…」

エレン「何だ?そんなに疲れてんのか?大丈夫かよ?」

クリスタ「レオンもこう言ってるし、やってあげれば?」ニコッ

ジャン「何だぁ?真面目君はユミルが好きなのかぁ?」

マルコ「おいっ!ジャン!」

コニー「えっ!?そうなのか?」

レオン「え?そうだよ?俺はユミルが好きなの」モグモグ

サシャ「へぇ~てっきりクリスタかと思ってました」

ジャン「……… は?」

マルコ「…へぇ!」

アルミン「そういう事…」

クリスタ「…//」

ミカサ「……………」モグモグ

エレン「お前ユミルが好きなのかぁ」

ユミル「お前!!意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇぞ!?」アセッ

レオン「別に意味分からなくは無いだろ?そのまんまだ」

ユミル「…はぁ…。そうかい…そりゃどうもありがとよ」

エレン「じゃユミルはどうなんだ?」

アルミン(エレンッ!?ここでそれ聞く!?)

ユミル「別に好きでも嫌いでもねぇよっ//(多分な…)」

ミカサ「ところでエレン…明日の休日はどうするの?」

エレン「あぁ…自主練でもする予定だけど?」

ミカサ「そう…じゃ私も付き合う」

エレン「いや別にいいよ」

ミカサ「」

アルミン「あはは…(君はワザとやってるのかい?)」

レオン「(明日休みだっけか…)アルミン!明日何か用事あるか?」

ユミル「ッ!!(明日か…)」

アルミン「ん?明日は特に用事は無いけど?」

レオン「じゃ明日さ…少し分からない事があるから教えてもらいたいんだけど」

アルミン「えっと…もし立体機動とかの話であればジャンとか、エレンの方がうまいよ…?」

レオン「いや座学の事なんだ…後、恥ずかしいから出来れば二人っきりでやりたい」

エレン「なんだよ…俺も一緒にやろうと思ったのに…」

レオン「スマン!エレン!…やっぱり恥ずかしいだろ…?お前は明日ミカサと愛の特訓でもしてろよ」

エレン「はぁ!?なんだよ愛の特訓って!?」

アルミン「あはは!うん!僕で良ければ喜んで!」

レオン「サンキュー!じゃ明日起きたら!」

アルミン「分かった!じゃそろそろ戻ろうか…わっ!?」ドンッ

訓練兵「って…」

アルミン「ゴメンね!大丈夫だった?」

訓練兵「ってぇな!気を付けろよ!」ドンッ

アルミン「ッ…!」ヨロッ

エレン「おい!アルミンは謝っただろうがっ!」

ミカサ「…そう…。今のはアルミンに謝るべき」

アルミン「いいんだ!エレン、ミカサ…もう行こう?」

レオン(うわぁ…この間対人格闘でノシた奴じゃん…。ここまでやられキャラなのか…ドンマイッ!)

訓練兵1「…お前!この間はよくもやってくれたな!?」

レオン「(うわぁ…)そもそもあれは訓練だろうが…」

訓練兵2「新入りの癖にスカしやがって…」

訓練兵1「まぁ…ユミルみたいなブスを好きだとか吐かしてる位だからな!変人なんだろ!」

訓練兵2「ぎゃはは!それは言えてるな!」

ユミル「………」

クリスタ「…ちょっt!モガッ!」

ユミル「いいからほっとけ…」

クリスタ「でも…!」

ユミル「言いたい奴には言わせておけばいいんだ。まぁそれにあながち嘘じゃないしなっ!」

レオン「…?イマイチ意味が分からんな…。俺の中でブスの定義ってのが三つ有ってな」

訓練兵1・2「は?」

レオン「一つが、自分の事しか考えてない奴」

レオン「二つ目が、常に自分が正しいと思ってる奴」

レオン「三つ目が、イマイチ空気が読めてない奴」

レオン「ユミルはどれにも当てはまらないから、ブスじゃないな」

ユミル「…………」

一旦ここまでで!

再開します!

クリスタ「…………」

レオン「どちらかと言えば、ユミルよりもお前らの方が今の条件に当てはまってるな!」

レオン「しかもお前らは纏う空気までブサイクだし…でもまぁ…生まれつきだろうから気にすること無いぞ?」

アルミン「ブフッ!」プルプル

エレン「くっ…!」プルプル

訓練兵1「てっ…テメェ…!」

訓練兵2「ふざけんな!」

レオン「…?ふざけてないぞ?本気でそう思ってるよ…まぁそれよりよ…」ガシッ

訓練兵1「っ!?」

レオン「こんな事で減点されても、お互いつまらねぇだろ?…それに…また落とされたいのかよ?」ボソッ

訓練兵1「チッ…!覚えてろよ!」

訓練兵2「あっ…おい!待てよ!」

レオン「捨て台詞までやられキャラなのな…」

ユミル「お前も馬鹿だねぇ…」

レオン「は?何でだよ!?」

ユミル「あんな奴ら言わせておけばいいだろ?逆恨みされても面倒だろうが!」

レオン「…あぁ…。別に自分の事が言われてるならそうするけどさ…好きな奴バカにされたら腹立つだろ?」

アル・クリ「おぉぉ!」

ユミル「……はぁ?//カッコつけてんじゃねぇよ!!」

レオン「俺は男だぜ?それに…最初からずっとカッコつけてんじゃん!」ドヤァ

ユミル「……ッ!//」

クリスタ(照れてる…)

アルミン「さて…落ち着いた所で本当に戻ろうか!」

ユミル「そうだっ!!さっさと寝ろ!」

レオン「はいはい…オヤスミ!」

――――
―――
――

ー翌朝ー

アルミン「ふぁ~あ…レオンおはよう!」

レオン「おっはー」

アルミン「あれっ?エレンとか皆は?」

レオン「みんなもう出かけたよ」

アルミン「そっかぁ…早いねぇ」

レオン「まぁたまの休みだしな!それより早く飯食って勉強会しようぜ!」

アルミン「そうだね!」

~~~~~~~~~~
ー食堂ー

アルミン「流石に殆ど人も居ないね」

レオン「そうだな」

アルミン「でも…昨日は驚いたよ…。まさかレオンがユミルの事が好きだったなんて…」

レオン「そうか?って言っても皆も好きだぞ?」

アルミン「それはまた違うでしょ…僕はてっきりクリスタの事が好きなのかと思ってたから…」

レオン「まぁ確かに可愛いよな!でもクリスタは俺よりも、アルミンの方がお似合いだって」

アルミン「ッ!?何言ってるんだよ!?//」

レオン「だってアルミンはクリスタの事が好きなんだろ?」

アルミン「…気づいてたの?…恥ずかしいなぁ//」

レオン「何で?好きな人が居た方が、何でも頑張れるじゃん?」

レオン「特にこの世界じゃさ…。好きな奴を助ける為に強くなりたいってのも、十分すぎる理由だと思うぜ?」

アルミン「そうかもしれないね…ところでこの話は皆知ってるのかな…?」

レオン「さぁ?知らないんじゃないか?」

アルミン「流石に噂になっちゃったらクリスタにも悪いしね…」

レオン「そうかなぁ…?まぁでも、いずれ気持ちは伝えるんだろ?」

アルミン「~~ッ//まぁいずれ…は…」ゴニョゴニョ

レオン「大丈夫だよ!自信持てって!(でも実際どうかなぁ…最後はユミルラブみたいになってた気がするが…)」

アルミン「う…うん…。…ってそういえばこんな話じゃないだろ!?」

レオン「でも振ってきたのはアルミンじゃん」

アルミン「くっ…!はぁ…まぁいいや…。ところでどの辺が分からないの?使うノートの都合も有るからさ」

レオン「……………」

アルミン「レオン?」

レオン「あぁ…。とりあえず宿舎に戻ろうか」

アルミン「…?うん」

~~~~~~~~~~
ー男子宿舎ー

レオン「さてと…何処が分からないかだよな?…まぁ言っちまえば全部かな?」

アルミン「えっ?今までの事全部分からないの?…流石に範囲が広いなぁ…」アハハ

レオン「あぁ…俺には全く分からねぇよ…。これからどうするべきか…どう動くのが正しいのか…。」

レオン「だからアルミンに相談したいんだ…」

アルミン「…レオン?どうしたの?何か変だよ…?」

レオン「なぁアルミン…今まで仲間だと思ってた奴らがさ…実は人類最大の敵でした!なんて事になったらどうする?」

アルミン「…えっ?それってどういう…」

レオン「なぁアルミン?正解を導き出す頭脳で教えてくれよ…お前は104期の中に壁を壊した巨人が居るって言ったらどうするんだ?」

アルミン「ははは…レオンもそういう冗談言うんだね?でも…ちょっと笑えないよ…?」

レオン「冗談でもなんでもねぇよ…アルミン…奴らは知能が有りそうだって話は知ってるんだよな?何で奴らはいきなり壁を壊したと思ったら、今度は五年も姿を見せない?」

レオン「別にそのまま一気に壊してもいいだろ?何でこの五年間、音沙汰無しなんだ?」

アルミン「そんな事…僕に言われても…」

レオン「いや…アルミンなら一瞬でも考えた筈だ!…奴らはこの壁の中に潜伏する為に壁を壊したのかもしれないと…だがそんな事は在って欲しく無かった…」

レオン「勿論お前を責めている訳じゃない…!それが普通の反応だし、仮にそれを声高々に宣言しても聞き入れてもらえなかったろうしな」

レオン「だが今は違うぞ?その可能性を一瞬でも考える事の出来たアルミンだからこそ…。今、俺が言っている事が分かるはずだ!」

アルミン「…信じたくなかった…。もしかしたら、一緒に壁の中で巨人と…しかも人類の敵そのものである巨人と暮らしているなんて…」

アルミン「ねぇ…君の言っている事は本当なの…?本当に僕達の同期の中に超大型巨人が?そもそも…君は一体何者なの?」

レオン「あぁ…本当だ…。しかも超大型巨人だけじゃない…鎧の巨人も潜伏している…」

アルミン「そん…な…。今まで一緒に訓練してきた仲間に…人類の反撃の為に訓練してきた仲間に…元凶がいるなんて…」

レオン「…それで俺の正体だが…落ち着いて聞いてくれよ?実は……」
――――――
―――――
――――
―――
――
レオン「~~~~~訳なんだよ…」

アルミン「…そんな話を信じろって言うのかい?」

レオン「まぁな…信じられないって言うより、信じたくないって気持ちはよく分かるが…今説明した通り世界にもう時間が無い!そしてアルミンが居なければ人類の未来が暗くなってしまう…だから力を貸して欲しい!」

アルミン「…でもこの世界がどうなろうと、君には関係無いはずだよね?何故そこまでやれるの?」

レオン「…ユミルにも言ったが…これが俺の使命だと思ってるからだ!訓練兵時代に飛ばされたのもこうする為だと思ってるしな」

レオン「それに俺は知っての通りユミルが好きだしよ…あの三人だって助けられるもんなら助けてやりたいんだよ!」

アルミン「…スゴイね…レオンは…。僕は結局…臆病者以外にはなれそうにないや…。僕なんかが居ても役に立たないよ!…その話が本当だとしたら…どうせ世界は終わってしまうんだ!!」

アルミン「僕達が世界なんて救える訳がないよ!…どうやっても…」

アルミン「ここの人類を救うには壁外の人類を見捨てなくちゃいけないなんて…それじゃあ結局あの二人がやった事と変わらないじゃないか…!」

レオン「…勿論あの二人がやった事は許される事じゃない!…でもあいつらは大人に騙されて利用されていた訳だ…壁内の人間は悪魔だ!ってな…あの時まだ二人は十歳そこそこだ。何も知らずにいいように使われちまった」

レオン「だが二人は罪を受け入れきれなかった…ライナーなんかは二重人格みたいになっちまった程だ」

レオン「それでも二人はやり切ろうとした訳だ…あいつらも自分の国の人類の為にだ!」

アルミン「…………」

レオン「やる前から諦めたっていい事なんて一つもないぜ?考えるんだよ!どうすれば最善なのか…一番自分が望む未来をな…」

レオン「アルミンの夢はなんだよ?…エレンやミカサと一緒に外の世界を見に行くんじゃねぇのか?…その為にはどうすればいい?その頭脳で考えるのが先だろ?それとも世界の終わる瞬間までそうやって逃げんのかよ!?」

アルミン「そうだ…僕は見るんだ…!エレンやミカサと一緒に…海や…氷の大地…砂の雪原…炎の水を…」

レオン「諦めんのは何時でも出来るだろ?一人じゃ無理だけどさ…俺達は仲間が居るだろ?…俺達で世界を変えようぜ!!俺達も、あいつらも幸せになれる世界によ!…って言ってもまだ俺とユミルしか居ないけどなっ!」ニッ

アルミン「…分かった!僕もやるよ!何かを変えるには…何かを捨てなくちゃ…レオンは何か作戦は有るの?」

レオン「まぁ作戦って程じゃないけど…まずは成績上位者を引き込んで…更に、あの三人をこっちに引き込む」

アルミン「……え?」

アルミン「…正気なの?あの三人は元凶だよ…?そもそも協力する筈無いじゃないかっ!」

レオン「いや…奴らは罪悪感に苛まれている。そこで折衷案が出てくればこちらに来る筈だ!どちらにしても、一度三人と話す必要が有る」

レオン「ただ…この世界の住人は奴らのせいで地獄を見ているからな…そこで相談な訳だ!アルミンが反対なら今の話は無しだ」

レオン「ある意味じゃ周りを説得するのが一番大変だしな」

アルミン「…僕は…。すまないけど…少し時間をくれないかな?ゆっくり考えたい…」

レオン「あぁ勿論!明日にでも考えを聞かせてくれ!とりあえず今の事をユミルに話してくるよ」

アルミン「分かった」

~~~~~~~~~
ー宿舎渡り廊下ー

レオン(…しまった…どうやって呼び出せば…)

レオン(でも今は夜じゃないし…入っても意外と大丈夫なんじゃね?)

レオン(でもなぁ…変態の烙印を押されるのは避けたいよなぁ)

女訓練兵「あらっ?レオン…だっけ?どうしたの?そんな所で」

レオン「おぉ!調度良かった!ユミル居るかな?もし居たら悪いんだけど、呼んできてくれない?」

女訓練兵「ユミル?居たと思ったけど…ちょっと待ってて!」ダッ

レオン(見たこと無い子だけどいい子だな)

ユミル「なんだよ!折角クリスタとイチャイチャしてたのによ!」

レオン「そいつは悪かったな…いやアルミンに話したからさ…」

ユミル「そうか…とりあえず場所変えるぞ」

~~~~~~~~~~~
ー宿舎裏ー

ユミル「で?アルミンはなんて?」

レオン「流石に混乱してたよ…でも協力してくれるってさ」

ユミル「そうか…どこまで話したんだ?」

レオン「全部話したよ。俺の事も…この世界の事も…あの三人の事も……」

ユミル「…そうか…。これからの事はどうするんだ?」

レオン「とりあえず成績上位者を引き込むのと…あの三人も引き込まないか?って相談した」

ユミル「ッ!?…流石にそりゃ無理じゃねぇか?三人はともかく…エレンとかはどうするんだよ?」

レオン「だからアルミンが反対するなら無しだって言ってある…。色んな意味で鍵を握るのはエレンって事になるしな…。アルミンの返事は明日、聞く事になってる」

ユミル「…お前も大胆な事言い出すな…。だが奴らがこっちなら大分有利だな」

レオン「いや…逆に奴らが来なければこの戦いはかなり厳しいな…それに最終的には全兵団に付いてもらう訳だしな」

ユミル「あぁー…まぁそうなりゃいいがな…」

レオン「他に方法は無いだろ?もうこれは人類対巨人じゃない…誰が敵か分からなくなる!更に壁外の人類に、巨人…こりゃ総力戦だよ」

ユミル「…何か話してるだけで気が遠くなってきた…」

レオン「……俺もだ…。だがもうやるしか無いぞ?二年後の情報を知ってる以上、黙ってる手は無いだろ?」

ユミル「そうだな…クリスタはどうする?」

レオン「彼女はお前に任せる…が、ちゃんと伝えろよな?真実をだ」

ユミル「…まぁこのまま黙ってるのも無理だしな…。でも…あいつは耐えられるだろうか…?」

レオン「…ッ!?ユミルッ!やるしかねぇよ…全員で明日を掴むんだ!」

ユミル「分かってるよっ!!…だが…あまりにm…クリスタ「私は平気だよ!!」

レオン「ッ!?クリスタ!?」

ユミル「…女神が立ち聞きとは関心しないな…」

クリスタ「…ゴメンね!ただ…最近二人がおかしいから…少し気になっちゃって…」

クリスタ「ねぇ…さっきの話…詳しく聞かせてよ!どういう事なの?」

ユミル「…それはな…」チラッ

レオン「………」コクッ

ユミル「分かった…全て話すよ…………」
―――――――
――――――
―――――
――――
―――
――

ユミル「これが今、分かってるこの世界の真相だ」

クリスタ「…そんな……ユミル達が巨人で?世界が…えっ?」

レオン「信じられないかもしれないが、もう時間が足らないんだ!明日にでも成績上位陣には協力を仰ぐ手筈になってる」

クリスタ「でも…それなら…私が死ねばいいんじゃない…?」

レオン「は?何を…」

ユミル「お前…またそんな事言ってんのかっ!?」ガシッ

クリスタ「…だって…レイス家は私が必要なんでしょ?ウォール教だって…なら私が死ねばあの人達の思い通りにはならないじゃない!!」

ユミル「…いいか?もうそんな話じゃないんだよ…そんな事になればどの道この世界は終わりだ…」

レオン「…まぁクリスタがそう言うなら仕方ないんじゃないか?」

ユミル「あぁ!?テメェッ!何言ってやがる!?」ガシッ

レオン「どの道!!一人でも後向きな人間がいれば成功する物も成功しねぇよっ!」グイッ

ユミル「…ぐっ」

レオン「…そうだろ…?クリスタ?こんな自分を拒絶する世界なんていらねぇよな?」

クリスタ「ッ!?」

レオン「たとえこの世界で仲間が出来たとしても、そんなのは偽物だもんな?」

クリスタ「…違う…!そんな…事…私は…」ポロポロ

レオン「全員自分と一緒に死ねばいいよな?」

クリスタ「いや…やめてっ…!」ポロポロ

レオン「自分を認めてくr…ユミル「やめろっ!!」バキッ

レオン「がっ!?」ドサッ

クリスタ「…ユミルッ!?」

ユミル「ハァハァ…。クリスタ…頼むから前向きに生きてくれよ!…私はお前が胸を張って生きてくれるならそれでいいんだ…!」

クリスタ「…でも…私は…誰も必要としてくれてない!生まれなければよかったって…」ポロポロ

ユミル「そんな事ねぇよ!!少なくても私はお前が…!お前が…居てくれたから…」

レオン「(おーイテぇ…)そうだぞ?俺だってクリスタが必要だ!…多分、同期は皆お前が必要だと思うぞ?」

クリスタ「…私の事が必要なの…?」

レオン「あぁ!クリスタのその底抜けの優しさが必要なんだよ!この地獄みてぇな世界じゃな」

レオン「だが…今!お前はお前にしか出来ない戦い方を教わった筈だ!この地獄を変えられるのは俺達しかいないんだ!!俺達と一緒に…世界を変えようぜ?」

レオン「それにお前が来てくれなきゃ、誰がユミルを窘めるんだ?」ニヤッ

ユミル(こいつッ!…さっきのわざとかよ…!)

ユミル「あぁ!立場とかそんなのを抜きにしても私らはお前が必要だ!」
クリスタ「二人共…ありがとう!私もやるよ!皆が頑張ってるのに私だけサボってられないもんっ!…それにユミルは…私が居なくちゃダメみたいだしね!」ニコッ

ユミル「ダハハハ!」

レオン「その通りだ!」

レオン「…それにさっきはゴメンな…。あんな言い方しちゃって」

ユミル「そうだな!!罰として水汲み当番代わってもらおうか」ニヤッ

クリスタ「何でユミルが言うのよ…気にしないでレオン!私があんな自分勝手な事言ったのが悪いんだもん!私こそゴメンね!」

レオン「いや…そう言ってもらえると助かる」

ユミル「じゃ後はまた明日だな!私らは戻ってイチャイチャの続きするからよ」

レオン「あぁ悪かったな!また明日な」

クリスタ「また明日ね!」

~~~~~~~~~~~
ー男子宿舎ー

レオン「ただいまぁって誰も居ねぇか…」

アルミン「おかえり!レオン」

レオン「うぉっ!居たのかアルミン」

アルミン「うん…ずっと考えてたよ…」

レオン「そうか…。辛いだろうが頑張ってくれ…でもアルミンがどっちの意見でも俺は賛成だからな!!」

アルミン「ありがと…少し書庫に行ってるね」

レオン「分かった」

レオン(そりゃ悩むよな…頭の良いアルミンの事だ…どうするべきかなんて分かってるんだろう…。)

レオン(しかもあいつらの事情も分かってしまった…。本音と本音がぶつかってるのか…)

~~~~~~~~~~
ー書庫ー

アルミン(分かってるんだ…レオンの話を聞く限りじゃ戦力は多いに越した事はない…)

アルミン(でもあいつらは…僕達を裏切っていたんだ!それに…壁さえ壊されなければ…お爺ちゃんは死ななかったのに!)

アルミン(…同じか…。お爺ちゃんがいいように王政に使われてしまったのと…彼らもまた向こうの世界で良いように使わてしまったんだ…)

アルミン(でも…僕は彼らを許せるのか…?エレンや皆を説得しなければならない…人類が生きる為にという名目で…)

アルミン(その為には僕は彼らを許し…信用しなければならない…。出来るのか?僕に…)

アルミン(人類の安寧の為に、安寧を脅かす巨人の力が必要だなんて…僕はどうすればいいの?…お爺ちゃん…)スウ
――――
―――
――
祖父「アルミンは本当に賢い…だからきっと答えに迷うことはないだろう…」

アルミン「そうかなぁ…?」

祖父「だがこれからの人生で…答えが分かっても、迷う時は必ず来る。…そんな時は自分に従いなさい」

アルミン「え?どういう事?」

祖父「頭では無く…自分の心に……………」

アルミン「待って!お爺ちゃんまだ話したい事が…!」
――
―――
――――

アルミン「…はっ!?…夢か…。…そうだよ…もう答えは出てるじゃないか!」

~~~~~~~~~
ー食堂ー
-夕食-

エレン「いやぁ腹減ったなぁ…そういやアルミンはどうしたんだ?」

ミカサ「そういえば居ない」

エレン「さっき宿舎にも居なかったしな…あ!おいっ!レオン!」

レオン「おぉエレン!お帰り!どうしたんだ?」

エレン「おう!ただいま!…それよりアルミン見なかったか?」

レオン「アルミン?あいつなら書庫に行くとかって…」

アルミン「どうしたの?二人共?」

エレン「アルミン!いやお前が居ないなって話になってさ」

アルミン「ゴメンね!ちょっと書庫で調べ物してて」

レオン(よく顔つきが変わるとか言うが…本当に有るんだな…答えが出たんだな…アルミン!)

エレン「いや別に謝ることはねぇよ!さっさと飯食って寝ようぜ?」

レオン「そうだな!ところで二人は今日ずっと何やってたんだ?」

ミカサ「二人で愛の特訓をしていた」

エレン「おいっ!変な言い方するなよっ!普通にランニングしたり組手したりしてただけじゃねぇか!!」

アルミン「そんなに照れるなよエレン!」

エレン「別に照れてねぇよ!!」

ミカサ「でもエレンは本当に最近強くなった」

エレン「うーん…アニとの対人格闘の効果が出てきてるのか?」

エレン「いつかミカサも負かしてやるからな!!」

ミカサ「楽しみにしておく」

エレン「それにレオンにも教わらなくちゃいけねぇし!」

レオン「おぉそうだな!」

エレン「でもよ…レオンとアニってどっちが強いんだろうな?」

レオン「さぁな…やっぱりアニの方が強いんじゃないか?」

アニ「…私が何だって?」

エレン「うぉっ!びっくりさせるなよ…。ただレオンとアニってどっちが強のかなって話になってさ」

アニ「…そんな話か…下らないね。あんな物はただのお遊びだ…役に立ちゃしないよ」

エレン「そうかなぁ…?でもお前はあの技出す時、生き生きしてるぜ?」

アニ「ッ!?べっ…別にそんな事無い」

レオン「(うわぁ…ツンデレラだ…)まぁでもアニも意外と乙女って事だろ?」

アニ「は?意外ってのはどういう事?私はどう見てもか弱い乙女だろ?」

アル・エレ(そこかよっ!!)

レオン「いや…別に大した意味では…」

エレン「ならよ!明日対人格闘あるんだし、二人で勝負してみてくれよっ!!」

アニ「下らないって言ってるだろ?どっちが強いかなんてさ」

レオン「そうだよ!アニは乙女なんだから、怪我でもしたら大変だろ?」

アニ「…なんだい?私はあんたに負けるって言いたいの?」

レオン「(…こいつ面倒くせぇな!)んな事言ってねぇだろ!?」

アニ「はぁ…。明日私と勝負しな!いいね?」ギロッ

レオン「…分かりました…(何で俺がこんな目に…)」

エレン「おぉ!これは興味あるぞ!」

レオン(ったく…呑気な事言いやがって)

アルミン「…レオン?」ボソッ

レオン「ん?どうした?アルミン」

アルミン「…さっきの答えが出た…少し外で話さない?」

レオン「分かった」

レオン「わりぃ!先に宿舎戻ってるわ!アルミンに聞きたい事思い出した!」

アルミン「そうみたいだから、先に戻るね」

エレン「お~」

ミカサ「お休みアルミン」

アルミン「お休み」

~~~~~~~~~~
ー訓練棟中庭ー

アルミン「…悩んだけど決めたよ…あの三人をいきなりは許せないと思うけど…でも世界を救うには彼らの力は必要だ!!」

アルミン「だからレオン!彼らを説得してこっちに引き入れよう!」

レオン「…いいのか?アルミン…。お爺ちゃんの仇みたいなものだろ?」

アルミン「…それも確かにあるけど…夢でお爺ちゃんに言われたんだ!迷った時は心に従えって!だから…僕はこうするべきだと思ったから…」

レオン「そうか…ありがとう!じゃまずは皆の説得だな…」

アルミン「あぁ…でも皆だって分かってくれるさ…。きっと…」

レオン「よし!じゃ明日からハードだな!エレンのせいでアニと勝負しなくちゃいけなくなったし…とりあえず今日は早く寝ようぜ!」

アルミン「そうだね!宿舎に戻ろう!」

~~~~~~~~~~
ー男子宿舎ー

コニー「明日からまた訓練かぁ」

ジャン「全くだ…しかも明日は兵站訓練じゃねぇか?」

マルコ「立派な憲兵になる為に頑張ろうよ!」

ジャン「へいへい…」

ガチャッ

レオン「ただいまぁ」

アルミン「ただいま」

エレン「お帰り!何だ?何処行ってたんだ?」

レオン「いやぁ聞いてたら眠くなっちまって…顔洗ってきた」

エレン「はぁ?お前そんなんで大丈夫かよ?」

アルミン「でもレオンは物分かりがいいし飲み込みが早いから、教えてても楽だよ」

レオン「でも今日はサンキューなアルミン!」

アルミン「ううん!また何かあれば聞いて?」

ライナー「じゃそろそろ寝るかぁ?」

全員「おやすみー」

~~~~~~~~~~~
ー少し戻して女子宿舎ー

アニ「………あ…ユミル」

ユミル「何だ?お前から話しかけてくるなんて珍しいな」

アニ「いや…。成り行きで明日あんたの彼氏と対人格闘で勝負する事になったから…一応言うだけ言っとこうってね」

クリスタ「えっ!?いつの間に付き合ってたの?」

ミカサ「知らなかった」

ユミル「おいおい!私は別にあいつとは付き合ってなんかいねぇよっ!!勝負でも何でも好きにすればいいだろ?!」

アニ「そうかい…何かこの間、好きだの嫌いだの騒いでたからてっきりね。悪かったよ」

ユミル「ったく…急に話し掛けてきたと思ったら変な事言うんじゃねぇよ!」アセッ

ミカサ「珍しくユミルが焦っている」

クリスタ「本当だね」クスッ

ユミル「~~ッ//もう寝るっ!」バサッ

クリスタ「おやすみー」


―――――
――――
―――
――

ー訓練場ー
キース「これより各自ペアを組み、訓練を始めろ!!」

レオン「(面倒だけど折角だしな…)よっしゃ!アニ組もうぜ!」

アニ「ふぅ…。しょうが無いね…さっさと構えな」スッ

エレン「おいっ!いよいよ始まるぞ!!」
ザワザワ ドッチダ?

レオン「悪いけど手加減とかは出来ないからな?」ニヤッ

アニ「フッ…冗談…」ダッ

レオン(来たっ!)スッ

アニ(甘いっ!)バッ

レオン(ッ!フェイントかよ?!)ガッ

アニ「今のを防ぐとはやるじゃないか」

レオン「まぁな…(やべぇ…アニさん…本気ですか…?)」

アニ「まだまだ行くよ!」ババッ

レオン(チッ!…悪いが回ってもらうぞ)バシッ

アニ(ッ!?マズっ…)グラッ

レオン「そぉい!」グルン

アニ(ッ!やるね…だけど…)スタッ

アニ(甘いよ!)バキッ

レオン(受け身取って回し蹴りかよ!?)グラッ

アニ(一気に行く…!)ザッ

レオン(ッ!マズイ…防戦一方だ…)ガッ バキッ ドカッ

エレン「やっぱアニの方が強いのかぁ」クルッ

レオン(女性だと発勁は前からじゃ打てねぇしな…しゃあねぇ…)

アニ(これで終わりだっ!)ブンッ

レオン(来たっ!後ろ回し蹴りっ!失敗したら俺がやられる…!決める!)

レオン(スマン!アニっ!)ドンッ

アニ「がはッ…!」ドサッ
ワッー アニガタオレタゾ!

エレン(えっ!?今の一瞬で何があったんだ?!)クルッ

レオン「ハァハァ…しんどかったぜ…」

エレン「なぁ!レオン!今何やったんだ?」

レオン「ん?…まぁ簡単にいえば心臓を殴ったんだ」

エレン「はぁ?何だそりゃ?」

レオン「まぁ説明は後だ…アニを医務室に連れて行く」

エレン「…あぁ」

ミカサ「エレン…空いているのなら私と組もう」
――――
―――

レオン「教官!レオンハート訓練兵を気絶させてしまったので、医務室に運びたいのですが!」

キース「…レオンハートをか?…分かった!連れて行け!」

レオン「ハッ!」

キース(レオンハートを落とすとは…格闘術ではアッカーマンと張れるかもしれんな…)

~~~~~~~~~
ー医務室ー

アニ「ん…ここは…」

レオン「おぉ起きたか!大丈夫か?」

アニ「…あんた…何者なの?」

レオン「えっ!?…何者って…?」

アニ「変な技知ってるし、さっきも急に意識が無くなった…」

レオン「…まぁ変な技使うのはお互い様だろ?悪かったな殴って…あぁでもしないと止められそうになかったからさ」

アニ「…まぁそうかもしれないね…。別に訓練なんだから気にしなくていいよ」

アニ「でも何だったんだい?さっきのは…?」

レオン「いや…心臓を殴ったんだよ…。心臓に衝撃が加わると、一瞬血液の循環が止まる…そうすると脳に一瞬だけ酸素が行き渡らずに失神するって訳だ」

アニ「…でも心臓まで衝撃って届くもんなのかい?」

レオン「いや…普通にやったんじゃ無理だな!発勁って言って運動エネルギーを胸では無くて、心臓に打ち込む感覚…かな…?」

アニ「…へぇ…」

レオン「アニの格闘術は誰かに教わったのか?」

アニ「…お父さんから…」

レオン「へぇ~すげぇお父さんだな!」

アニ「…そうでもないよ…」ボソッ

レオン「えっ?何だって?」

アニ「何でもない…とりあえず悪かったね…。もう戻るよ」

レオン「…?あぁ分かった」

~~~~~~~~~~
ー食堂ー
-昼食-
ガヤガヤ

エレン「しかしさっきは驚いたなぁ…アニが攻めてたと思ったら急に倒れてんだもん」

アルミン「結局、レオンが勝ったの?」

エレン「そうみたいだな…アニは気絶してたし」
ガチャッ

レオン「ふぃ~疲れたぁ」

アルミン「お疲れ!」

エレン「なぁさっきの何だったんだよ?」

レオン「いやだから…心臓に衝撃を与えて気絶させたんだって」

アルミン「そんな事が可能なの?…まぁ現に起こってる訳だけども」

レオン「体の使い方だな…効果的に対象に力が加わる様にする訳だ!」

エレン「スゲェ!!俺にも早く教えてくれよなっ!!」

レオン「おぉ分かったよ!」

エレン「ミカサだってそんな事出来ないもんな!」

ミカサ「…試した事が無いからなんとも言えないけれど」

ミカサ「体の使い方なら私の方が上…私は完璧にコントロール出来る」

レオン「ははは…。ミカサなら納得出来るな!」

レオン(こっちは門で一瞬だけしか全開に出来ないのに、こいつは自由自在な訳だもんな…チートキャラめ…◯藤かお前は!)

エレン「あぁそうかよ!」

アルミン「あはは!…それでアニは?平気だったの?」

レオン「あぁ!もう平気だって…あそこで飯食ってるだろ?」

アルミン「本当だね!じゃあ良かった!」
カーンカーン

アルミン「…次はいよいよ兵站行進だね…」

エレン「あぁ…そういやそうだったな」

レオン「(あの走ってくやつか…)やっぱりキツイの?」

アルミン「僕は体力がないからね…」

エレン「とりあえず急ごうぜ!」

~~~~~~~~~
ー屋外演習場ー

キース「ここから西の森まで行進する!そしてその森で兵站拠点を設営し、明日の朝にこちらに向けて出発する予定だ!!」

キース「夜の森は深い!付いて来れない者は死ぬかもしれん!気を抜くな!」
――――
―――

アルミン「ハァハァ……。くっ!」

キース「どうした?!遅れているぞ!貴様は装備を外すか!?もう休憩か!?」

キース(アルレルトの課題は体力か…座学は非常に優秀だと聞いているが…)

レオン「おい…アルミン…大丈夫…か?」ハァハァッ

アルミン「レオンこそ…辛そうだよ?」

レオン「俺こんなに…重い物持って…走った事…ねぇし…」

アルミン「僕に合わせなくても平気さ…!きっと追いつくから!」

レオン「そうか…じゃ俺はもう少し頑張って…みるよ」シャァ

~~~~~~~~
ー兵站拠点ー

エレン「おぉ来た来た!」

レオン「ゼェゼェ…やっと着いた…」ガシャンッ

エレン「アルミンは?」

レオン「絶対…追いつくから先に…行ってって」ハァハァ

エレン「そうか…あいつも頑固だからな…」

ミカサ「…エレンは人のこと言えない…」

ユミル「おーおー…ずいぶんお疲れじゃねぇか」ニヤッ

レオン「こんなに重い物持って…こんなに走った事ねぇもんよ…」

ユミル「かぁ~情けねぇな!こんな二十キロ位で…ッ!?」

クリスタ「もうっ!私だってキツかったもん!…どうしたの?」

ユミル「…どういう事だ?クリスタ…ちょっと持ってみろ」

クリスタ「…?キャッ…!重…いっ…!」

ユミル「あぁ…リュックの中身の砂袋が…私らの倍入ってる…」

エレ・ミカ「え!?」

レオン「えっ!?」

ユミル「ってお前も知らなかったのかよっ!?」

レオン「そりゃそうだろ!?皆と同じ装備だと思ってたさ」

クリスタ「でも…誰がこんな事を…?まさか…いやがr…キース「私だ…」

一同「っ!?」バッ

キース「此奴は貴様らよりも訓練の練度が低い…だから人の倍やるのは当然の事だ!!」

ユミル「しかし…倍はいくらなんでも危険では…?」

クリスタ「ちょっと!ユミル!」ボソッ

キース「…ほぅ?ならば今度は貴様が代わりに倍背負うか?」

ユミル「くっ…」

レオン「ユミルッ!…教官のお心遣いに感謝致します!!」

キース「…うむっ!」ザッ

エレン「しかし…教官も結構キツイ事するな…」

ミカサ「だけど教官の言っている事も一理ある…」

レオン「そうだな…!…しっかし重かったよ…背が縮んだかもしれねぇ…」

エレン「お前は少し位縮んだ方がいいだろ?」ニカッ

レオン「あはは!でもユミルも庇ってくれてありがとな!」

ユミル「べっ…別にお前の為じゃねぇよ!//」

クリスタ「もうっ!素直じゃないんだから!」

ミカサ「…アルミンが戻った」

アルミン「ゼェゼェ…ゲホッ」

クリスタ「お疲れ様!アルミン大丈夫?はいっ!タオル!」ニコッ

アルミン「(…神様…)ありがとう…クリスタ!」ニコッ

ユミル「…おいっ!デレデレしてんじゃねぇぞ!」

ミカサ「…今はそっとして置くべき」ガシッ

ユミル「おいっ!ミカサ!離せ!」バタバタ

レオン「まぁまぁ…ユミルには俺がいるだろ?」キリッ

ユミル「うっせ!」バシッ

レオン「イテッ!…素直じゃねぇなぁ」
―――――
――――

キース「全員集まったな!…各自テントを張り就寝せよっ!!」

レオン「…どうせだから一緒に寝るか?」

ユミル「ふざけんなっ!バカッ!!//」
――――――
―――――
――――

ー翌日ー
ー兵站拠点ー

レオン「ふぁ~あっと…アルミン?…何処行くんだ…?」

アルミン「……………」

レオン「おはようアルミン!早いな!」

アルミン「あぁレオン!おはよう!」

レオン「…どうした?考え事か?」

アルミン「…あぁちょっとね…。今こうして普通に過ごしている分には全然分からないなって…世界が残り少ないなんてさ」

レオン「……俺が教えた事…恨んでいるか?」

アルミン「まさか!何も知らないまま、死ぬなんてゴメンだよ!」

レオン「…流石アルミンだ…!持ち得る全てを使ってこの地獄に凹みを入れてやろうぜ!」

アルミン「そうだね!そしたら…皆で探険だ!!」

エレン「あっ!そんな所に居たのか!もう出発だってよ!」

レオン「えっ!?朝ごはんは?!」

アルミン「そうか…レオンは知らないんだね…。」

エレン「兵站行進の時は、野戦糧食をかじりながら帰るんだよ」

レオン「…じゃあサシャとコニーにイノシシでも狩らせようぜ!」

アルミン「あはは!それはいいかもね!」

エレン「ほらっ!馬鹿言ってないで行くぞ!」

レオン「…またあの荷物背負って帰るのか…」

アルミン「でも後は帰るだけだ!頑張ろうよ!」

レオン「おうっ!そうだな!」

~~~~~~~~~~
ー屋外演習場ー

キース「よしっ!では昼食まで各自体を休めて午後からは立体機動の訓練だ!遅れるな!」

訓練兵一同「ハッ!!」

レオン「実際…食欲なんて湧かねぇよ…」

アルミン「…でも食べなきゃ持たないよ?」

サシャ「それはつまり…私にくれるって事ですか?」

レオン「…どっから出てきたんだよ…」

クリスタ「ダメだよ!サシャ!私の半分あげるから」

ユミル「ダメだ!お前もちゃんと食え!!サシャも我慢しやがれ!」

ユミル「ところでお前ら大丈夫か?ずいぶんバテてるみたいだが」

レオン「フッ…愚問だな」キリッ

アルミン「まぁなんとか…」

ユミル「…頼むぜ?しっかりしてくれよな?」ボソッ

レオン「あぁ」

アルミン「うん!」

~~~~~~~~~
ー演習場ー
-森-

キース「では各自三人組を作り訓練を開始しろ!」

レオン「よっしゃ!今日から合流だぜ!」

ミカサ「…よろしく」

アルミン「よろしくね!」

レオン「知ってる二人で良かったよ!慣れてないから上手くねぇけどよろしく!」

ミカサ「では行こう」パシュッ
――――
―――
レオン(しかしミカサはやっぱり別格だな…)シュー

ミカサ「………」ザシュッ

レオン(斬撃は深いし、スピードも早い…あいつだけ最早別ゲーだな…)

アルミン「レオン!あまりボーッとしてると危ないよ!」シュー

レオン「っ!?…悪い!アルミン!…こっから競争しようぜ!」パシュッ

アルミン「ッ!!いいよ!夕食のパン一個掛けよう!」パシュッ

レオン「よっしゃ!」ギューン

アルミン(早い…!まだ慣れてない筈なのに…油断出来ないぞ!)
-------
-----

キース「では今日はここ迄とする!解散っ!!」

訓練兵一同「ハッ!」

~~~~~~~~~~
ー食堂ー
-夕食-

アルミン「負けちゃったよ…」

レオン「最後は運が良かったよ」

アルミン「偶々レオンが方向転換した方に模型が有るなんて…」

レオン「アンカーが変な所に刺さっちまってさ!焦ったぜ」

アルミン「はは…。…はい!約束のパンだよ!」

レオン「いや…パンはいいからこの後やって貰いたい事が有る…」

アルミン「…ッ!いよいよだね?」

レオン「あぁ…食べ終わったら、成績上位陣をあの三人を除いて集めてくれ…三人に怪しまれないようにな」

アルミン「分かった!」

レオン「皆には、俺からよりもアルミンからの方がいいと思うからな」

~~~~~~~~
ー宿舎裏ー

ジャン「んだよ…話ってよ」

マルコ「さぁ…アルミンが言うんだから大事な話じゃないのかな?」

コニー「でもよあんまり難しい話だと分からねぇよな?」

サシャ「困りましたねぇ…食料庫に行かなければならないのですが…」

クリスタ「サシャっ!またそんな事してたの?ダメじゃない!」

ユミル「バカは放っとけよ…」

エレン「大事な話ってなんだろうな?」

ミカサ「…分からない…成績上位が集まってるようにも見えるけれど…」

レオン「…………」

アルミン「…疲れてるところゴメンね!…今日はどうしても皆に話しておかなければならない事が有るんだ!」

ユミル「…………」

クリスタ「…………」

ジャン「どうしたんだよ?そんなに畏まってよ?」

アルミン「………この世界の秘密についてだ」

全員「は?」

ユミル「…………」

クリスタ「…………」

マルコ「えぇ~と…どういう事なの?急に」

アルミン「この世界は…もうすぐ…地獄になっちゃうんだ!」

ジャン「ハッ!何を今更言ってんだよ?…ここはとっくに地獄じゃねぇか!!」

アルミン「そういう事じゃないんだよ…ジャン…。この壁内も…巨人に蹂躙されてしまう日が近いって事だ!」

ジャン「何言ってんだ…?お前…?冗談言う為に集めたのなら帰るぞ!?」

ミカサ「…ジャン…。アルミンはこんなつまらない冗談は言わない。…でも…意味が分からないのは本当…。アルミン?もう少し分かりやすく教えてもらえる?」

アルミン「(何処から話せば…)うん…。まず…二年後の卒団の時にもう一度壁が壊されるらしいんだ…超大型巨人によって…」

全員「え?」

エレン「おい…アルミン…お前どうしたんだ?変だぞ?さっきから…」

レオン「アルミン…やっぱり俺が話した方がいいな…先ずは俺の説明が先だろう…」

アルミン「あぁ…頼む」

レオン「まぁ今言った通り先ずは俺の方から説明が有る…」

レオン「俺は…元々この世界の住人じゃない…!そしてこの先、この世界に起こる事を知っている!だからアルミンに相談してこの地獄を止める方法を考えていた!」

レオン「だがそれには…お前らの協力が不可欠なんだ!だから協力してくれ!」

コニー「なぁ…あいつが何言ってるのか分からないのは、俺が馬鹿だからじゃないよな?」

サシャ「う~ん…流石に理解出来ませんねぇ…」

ジャン「おいっ!お前らいい加減にしろよ?何がしたいんださっきから!この世界の住人じゃない?未来が分かる?そんな事言われてハイそうですか!なんて言える訳ねぇだろ!」


ユミル「残念ながらそいつの言ってる事は本当だ…私達が助けた時もそういう話になったが…見た事も無い格好をしていたし、同期しか知り得ない、サシャのアダ名まで知っていた」

サシャ「えぇっ!何ですか?!アダ名って!」

クリスタ「それに教官の事も知っていたし、エレンの適正検査の時の事まで知ってたの…」

エレン「マジかよ…」

レオン「まぁ教官達も半信半疑だったらしくてな…昨日まで監視がついてたよ…今日はもう居ねぇみたいだがな」

マルコ「じゃあ…君は何処から来たんだい?」

レオン「恐らく…この世界から言えば…遠い過去からかな…」

レオン「俺達の世界は、この世界よりもっと文明は発達しているし…巨人もいない…当然壁に囲まれてもいない」

マルコ「ッ!?」

エレン「本当か!?じゃ海とか…氷の大地とか見た事あるのか!?」

レオン「あぁ!砂の雪原も炎の水もあるぞ!遠くの物も見れる機械が有ってな!その場所に居なくても見れるし、更には遠くの奴と会話も出来るんだ!」

エレン「マジかよ…!スゲェ!!」

ジャン「そんな事で信じられるかよ!何か証拠を見せろよ!」

レオン「証拠って言ってもなぁ…まぁこれが…さっき言った電話ってやつだ!同じ機械を持ってれば、何処に居ても会話できる!」

マルコ「なんだこれ…変な形だな…でも真っ暗で何も見えないね」

レオン「あぁ…充電が切れちまったんだ…立体機動のガスと同じで無限に使える訳じゃないんだ」

ジャン「ハッ!話にならねぇな…」

エレン「おいっ!!ジャン!あんな機械この壁の中にはねぇだろうが!いつ迄駄々こねてんだ!」

ジャン「ケッ!…外の話された位で懐柔されやがって…だから怪しいって言ってんだろうが!」

エレン「あぁ!?どういう事だよ!」

ジャン「こいつが壁外から来たスパイってのも考えられるだろっ!?俺達に嘘の情報を与えて撹乱させて逆にこっちを攻撃するつもりかもしれねぇ」

アルミン「ジャンッ!レオンはそんな奴じゃ…」

ジャン「そんな奴じゃ無いってか?何処までそいつの事知ってんだよ?何も知らねぇだろ?何処から来たのかも…何もよ…!」

アルミン(マズイな…話がどんどんそれていくっ…!)

マルコ「…まぁ確かに…ジャンの言う事も尤もだけど…君は…何者なの?」

レオン「何者ねぇ…それは俺が決める事じゃねぇだろ?お前らが今抱いている感情が答えじゃねえか?…俺が今ここで敵じゃないっ!って言った所で、状況は変わらないだろうしな」

レオン「要はお前らが信じられるか…られないかだ…。ジャンの言ってる事は尤もだと思うぞ?」

レオン「…とりあえずさっきの話の続きをするからよ…一回聞いて、その後で判断してくれ」
――――――――
―――――――
――――――
―――――
――――
――

レオン「…これが世界の向かう道だ…」

エレン「…なんだそりゃ…?じゃ今迄…仲間だと思ってた奴が…壁を壊した奴だってのか…?しかも俺やユミルが巨人?世界が?…訳分からねぇ!」

ミカサ「エレン落ち着いて…。レオン。流石にその冗談は笑えない。今直ぐに訂正するべき」

コニー「……全く話についていけねぇ…サシャはどうだ?」

サシャ「…………私もです…」

ジャン「もういいだろ?こんな馬鹿な話に付き合う必要はねぇよ…。ライナー達が巨人だなんてあるはずねぇだろ?」

マルコ「…流石にこれは…」

クリスタ「ユミル…どうする?」

ユミル「チッ……」

アルミン「皆…待ってくれ!僕はこの話を信じてるんだ…だってもし壁を壊した奴らが潜伏してないとしたら…五年前に全ての壁を壊してた筈だ!」

アルミン「…信じたくないから目を背けてたけど…もしこの壁に潜んで…今の[座標]とかを探す為に壁内に侵入して来たとしたら…壁外にも内地にも行ける兵士として潜むはずだ…!」

レオン「聞いた話じゃ…超大型も鎧も急に居なくなったみたいだな…壁を破壊した後に避難民として、紛れ込むのは容易だったろう…混乱してたしな」

ジャン「…………」

マルコ「…………」

コニー「…………」

サシャ「…………」

エレン「…今の話が本当なら…。あいつらをぶっ殺せば母さんの仇が取れるって訳だな…?」

アルミン「…エレン…」

エレン「ははは!笑えるよな!最大の敵を今迄仲間だと思ってたなんてよ!……あいつらは俺がぶっ殺す!!精一杯苦しめて…殺してやる!」

レオン(マズイな…やはりエレンは後回しにするべきだったか…?)

レオン「…それで?その後はどうする?」

エレン「あぁっ?」

レオン「仮にあいつらをぶっ殺したとして…その後だよ。壁外の人類にはどうやって対抗する?…のんびりしてる内に壁の巨人が目覚めちまうかもしれねぇな…」

レオン「…そしたら壁内の人類は全滅だぞ?…そんな未来がお前の望みなのか?」

エレン「……………」

アルミン「ねぇエレン…。いつか三人で一緒に世界を探険しようって言ったよね…?」

アルミン「今まではその夢はかなり遠くて…薄暗かったけど…レオンが持って来てくれた情報のお陰で…かなり近づいた気がしないかい?」

アルミン「少なくても今…この世界の未来を知ってるのは僕達しか居ないよ?」

アルミン「それは…レオンの言ってる事が本当かは分からないけど…でも…もし敵ならこんな事言う必要ないじゃないか!!」

ジャン「…………」

マルコ「……………」

レオン「俺はさ…この世界に飛ばされたのは、やっぱり使命だと思ってるんだ…地獄を変える為のさ」

レオン「なぁエレン?お前の夢は巨人を全滅させる事じゃないだろ…?この狭い壁の中を出て…ミカサやアルミンと外の世界を…探険するんだろ?」

エレン「俺は…」

レオン「その為には…生き残らなきゃならない…ここに居る全員でだ!そしてその為にどうすればいいかを考える…!」

コニー「…………」

レオン「…あまりに強大な力の前では、策など徒労だと笑われるかもしれない…。だが…!それでも…!人類はまだ敗北していない!」

サシャ「…………」

レオン「常に前に進もうと努力している!昨日より今日!今日より明日!そして…それを可能にしているのは人類の叡智だ!」

ミカサ「……………」

レオン「今…俺が変な事を言ってる様にしか聞こえないかもしれん…。だがな…俺が話しているのは未来の話だ!聞こえが良いだけの過去の話とは訳が違う!もし俺の話を聞いて一緒に未来が見たい奴は力を貸してくれ!」


クリスタ「皆…私からもお願い!…私は…ずっと自分なんて生まれて来なければよかったって思ってた…。でも皆に出会えて…ユミルに出会えて私は変われた…だから皆で明日を生きたいの!協力して!」

ユミル「クリスタがここ迄言ってんだ…協力しない奴はいねぇだろ?」ギロッ

コニー「あー別に協力するのはいいんだけどさ…何をすればいいんだ?」ポリポリ

ユミル「流石コニーはブレねぇな…今はそれでいいさ」

サシャ「私だって!明日皆で美味しい物たくさん食べたいです!」

マルコ「ジャン…君は現状を正しく認識する事に長けているから…今何をするべきか明確に分かるだろ?」

ジャン「…別にあいつを信用した訳じゃねぇ…ただ切実な人間の声が聞こえたってだけだ…」

アルミン「みんな…」

レオン「…この空気を壊したくないが…協力を得られた上で早速お願いがある…」

アルミン「…あの三人を仲間に引き入れる!」

エレン「…は?正気かアルミン?あいつらは…害虫だぞ!!一緒に暮らしてたってだけで吐き気がすんのによ…仲間にするだと?!冗談じゃねぇ!!」

ジャン「…いくらなんでもそいつは無理だろ…あいつらが協力するなら最初から壁なんか壊したりしねぇよ!」

レオン「いや…あいつらも大人に利用されていただけだ…!お前らと訓練してる内に情が芽生えている…ライナーなんかは罪悪感に耐え切れず二重人格になる程だ」

エレン「だからなんだよ!?だから許してあげましょうってか?!反省してるし、後悔してるから勘弁してあげましょうってか?!…ふざけんな!!あいつらのせいで…母さんは死んだんだ…!」

エレン「そもそもお前は何も失って無いからそんな事が言えるんだよ!…訳の分からねぇ世界から来て、何も知らねぇでふざけたこと吐かすな!!」

ジャン「…………」

マルコ「…………」

アルミン「エレン!何もそんな言い方…」

レオン「いいんだ…アルミン。その通りだからな…」

レオン「勿論この世界を地獄に変えたのはあいつらだし、被害を被ったのもお前らだ…だから反対の人間が居るならこの話は無しだ!」

アルミン「…でも…。でもっ…!考えてみて欲しい…。もうすぐ何が敵なのか分からない状態になる…!王政、ウォール教、巨人、壁外の人類…これだけの組織が敵になる可能性がある…」

アルミン「その時に戦力は多い方がいい…巨人体を操れるなら尚更だ!」

レオン「勿論時期が来れば全兵団にも働きかける…!まさに総力戦だ!もう…巨人対人類っていう構図じゃ無くなってくる」

アルミン「結局、あの三人を許さずに兵団に突き出したって未来は変わらない…人類は滅んでしまう…でも戦えば勝てるかもしれない!」

アルミン「そもそも協力してくれるかは分からないけど…レオンの話を聞く限りでは十分に可能性は有ると思う!」

レオン「あぁ…!折衷案が出れば飲みたい筈だ!それ程までにあいつらは追い詰められてる!」

エレン「…冗談じゃねぇぞ!…絶対に許さねぇ…!あいつらは俺が殺してやる!」

ジャン「おいっ!エレン!気持ちは分かるがよ…今はそんな事言ってる場合じゃねぇだろ!?」

マルコ「先ずは三人に確かめよう…。確かめて…協力を得られそうなら…力を貸してもらおう…」

アルミン「ジャン…マルコ…」

コニー「えっと…あいつらが裏切ってた…って事なのか…?でもあいつらも故郷の為にやったって…?俺は馬鹿だからよく分からねぇけど…あいつらが居ねぇと人類が終わっちまうんなら…」

サシャ「…私は正直まだ信じられません…ですが…私もコニーと同じ気持です!」

クリスタ「コニー…サシャ…」ウルッ

アルミン「…エレン…?この戦いが終わったら…思いっきり外を探険しようよ…ミカサと…この仲間達と一緒に…。その為には…分かるだろ…?」ポロポロ

ミカサ「私は…エレンに付いて行く…何処迄も」

エレン「……うぅっ…海や…氷の大地…砂の雪原…それを皆で見に行くんだ…」ポロポロ

エレン「分かった…許せねぇとは思うが…人類滅亡よりはマシだ…!戦わなければ勝てない…!」グスッ

ミカサ「エレンっ!!」ギュッ

レオン「よしっ!全員一致でいいな!…今俺達は全員で未来を見ている…この世界を変える最初の一歩を踏み出したんだ!!」

レオン「こうなりゃ何が何でもあいつらには協力してもらわねぇとなっ!!」

アルミン「あぁ!絶対にだ!」

レオン「とりあえず今日のところは戻ろう…エレン?あいつらには明日話す…今日は何事も無いように接してくれよ?」

エレン「…あぁ…努力するよ…」

――――――
―――――
――――

ライナー「なんだ?レオン話って?」

ベルトルト「僕に相談なんて珍しいね…ライナーならともかく」

レオン「いやさ…お前らに相談というか…お願いというか…」
ザッ

ユミル「おぅ!レオン…連れてきたぜ」

アニ「……………」

ライナー(アニまで…?何だ!?)

レオン「さてと…役者が揃った所で始めるか…」

ライナー「…何を始めるんだ?」

レオン「そう怖い顔するなよ…ライナー。言ったろ?お願いが有るって」

レオン「率直に言う…お前ら三人には仲間になってもらいたい」

ライナー「…………」ピクッ

ベルトルト「…………」

アニ「……………」

ライナー「ハ…ハハハッ!何だそんな事か!今さら何言ってる?…俺達はとっくに仲間だろ?」

ユミル「……………」

レオン「…そうだな…。ただ今度はゴッコじゃない…本当の仲間だ!」

アニ「下らないね…。そんな事なら帰るよ…」

レオン「まぁそう焦るなよ…」

レオン「…女型の巨人」

アニ「…………は?」ピタッ

ライナー「おいっ!レオン!さっきから変だぞ?何言ってるんだ?」

レオン「だから…。仲間になってもらいたいって言ってんだよ…鎧の巨人…超大型巨人…!」

ライナー「…なっ…何を…」

ベルトルト「……何を言って…」

レオン「スマンが…俺はお前ら三人の正体を知っている…だから力を貸して欲しいって言ってんだ!」

ベルトルト「もうダメだ!ライナー…殺すしか無い!」ボソッ

ライナー「いやっ!待て…」ボソッ

ライナー「面白い冗談だが…仮に俺達がそうなら…お前らの敵になるんだぞ?何故そんな事が言える?」

レオン「そりゃこの世界はもう時間が残されていないからな…なりふり構ってられないだろ?」

ライナー「…お前何者だ?」

レオン「…実は俺はこの世界の住人じゃなくてな…。異世界から飛ばされてきたんだが…この世界の未来を少し知っていてな…。で、知ってるからにはこの地獄みてぇな所を変えられねぇかと思ってよ」

ライナー「…そこまで分かってるならっ!もう…どうにもならない事も分かる筈だ…」

レオン「へぇ~すんなり信じるんだな…」

ライナー「ここ迄やられりゃ疑いようが無ぇだろ?」

レオン「だが…どうにもならないってのは少し違うんじゃねぇか?どうにもしないって事だろ?」

ライナー「…ならなねぇよ!!もう俺達は何万の人間を殺しちまった…今更話と違うなんて…言える訳ねぇだろ!!」

ベルトルト「……………」

アニ「……………」

レオン「それだってそうしなければ…お前らの故郷が助からないって聞かされてたからだろ?」

レオン「先ずはお前らの事を話してくれよ…」

ライナー「そうだ…もうすぐこの世界は地獄に変わっちまう…壁の中の巨人が目覚めるからだ…」

ライナー「そうなれば…[座標]を知っている可能性の高い、ウォール教の奴らが攻めてくる可能性がある…」

ライナー「そんな事になれば…いずれ人類は戦争で滅亡だ!」

ライナー「…ならば目覚める前に壁内の人間を滅ぼして[座標]を手に入れる!そうすれば[座標]が此方側に移り人類滅亡は免れるからだ…」

ライナー「それで国王は人口だって大して多くない壁内を攻撃し…平和を実現しようとした…」

ライナー「そこで俺達の故郷に国から白羽の矢が立った…俺達の故郷は巨人化実験で優秀な村だったからな…それに俺達の村では元々、反壁内教育がされていたよ…。壁内の人間は悪魔だ!ってな具合にな…。俺達がやる事は正義だと…本当に思っていたよ…」

ライナー「だが…!実際は違った…。今迄…聞いてきた様な事実は無くて…同期もバカみてぇに良い奴ばかり…気が狂いそうだったよ…。もしかしたらもう狂ってたかもしれん…」

ライナー「本当に俺達がやった事は正義なんだろうか…?毎日毎日夢に見たよ…!あいつらに殺される夢を…!だがもう…俺達にはどうする事も出来ない!」ポロポロ

ベルトルト「……………」グスッ

アニ「……………」グスッ

ライナー「レオン…ユミル…お前達にはここで死んでもらわなきゃならん…!」

ライナー「もう何が正しいのか俺には分からん!…だが…戦士として自分で始めた事に対し最後まで責任を持つ…!」

ベルトルト「ライナーッ…!やるんだな!?今…ここでっ!」ジャキッ

ライナー「あぁ…!勝負は今っ!此処で決めるっ!」ジャキッ

ユミル「マズイぞ!奴ら本気だ!」ボソッ

レオン「…お前等は…あいつらの仲間じゃねぇのか?」

ライナー「…何だと!?」

レオン「…確かにお前らがやった事は許されん…!だけどさ…今迄仲間として接してきた事が…全て嘘な訳じゃねぇだろ?」

ベルトルト「…………」

アニ「…………」

ライナー「…じゃあどうしろって言うんだよ!?ここで止めた所で…地獄になっちまうのは変わらねぇ!…もうどうにも…ならねぇ…」

レオン「だから俺達と来いって言ってんだ!!お前らが仲間になれば手の打ち様も有る筈だ!!」

レオン「考えるんだよ!もう俺達は何も知らないガキじゃねぇ!俺達も…お前らも…自由になる権利は皆生まれながらに平等な筈だ!」

ライナー「……くっ!…無理だ…。俺達はあいつらを裏切っていた…そんな都合のいい事…言える訳がねぇ」

ジャン「…そうだな…。今更そんな事言われてもな…」

ライナー「ッ!?ジャン…」

コニー「でもよ…お前らにも事情が有ったみたいだしな…」

マルコ「本当に悪いと思ってるなら…これからの行動で示して貰わないとね」

ベルトルト「コニー…マルコ」グスッ

アルミン「ライナー、ベルトルト、アニ…。君達の事は昨日…レオンに聞いたよ…。確かに君達のやった事は許される事じゃない…!でも今はそんな場合じゃないのも事実だ…」

クリスタ「先ずは皆で世界を救おうよ!…罪滅ぼしはその後でもいいでしょ?ねっ!アニ!」

アニ「クリスタ…」グスッ

レオン「こいつらはこう言ってるがお前らはどうする?」

ライナー「……俺達みたいな奴でも…仲間だと言ってくれるのか…?」

アルミン「君達は生きている事が罰になる…その罪悪感からは逃れられないだろうからね…。でも…少なくともこのまま逃げるよりはまともに生きれるはずだ!!」

ベルトルト「…でもっ!僕たちは沢山の人達の人生を奪った…!」

エレン「あぁ…!その通りだ…!」

ベルトルト「……エレンッ…」ビクッ

エレン「お前らのせいで母さんは死んだんだっ…!だからこそお前らには協力してもらう…。人類の反撃の為にっ…!それがお前らの罰だ…」

レオン「…ようやくお前達を見つけたよ…」

ライナー「…くっ…」ポロポロ

ベルトルト「…うぅ……」ポロポロ

アニ「…………」ポロポロ

アルミン「協力…してくれるね?ライナー、ベルトルト、ア二…」

ライナー「あぁ俺達に出来る事なら!」

ベルトルト「うんっ!」

アニ「あぁ」

アルミン「さて…そうと決まればやる事は山積みだ!」

ライナー「…あぁ!そうだな!具体的に何か案はあるのか?」

レオン「……フッ…愚問だな…。既に十二個の案が思い浮かんでいる」キリッ

レオン「…アルミンが」

ライナー「流石だなっ!アルミン!」

アルミン「…えっ!?僕?!まだそんなに考えられる訳無いだろ?!」

レオン「……………」

ライナー「……お前…」

レオン「んっ…!…先ずは確認だ!お前等がトロスト区の壁を破壊する日を卒団の日にしたのは何故だ?」

コニー「…話そらしたよな…?」

サシャ「…そらしましたね…」

ベルトルト「それは…調査兵団が不在かつ、壁上固定砲整備で立体機動を装備できるからだ」

アルミン「やっぱりか…。それで詳しい日時…巨人復活の日は分からないのかい?」

ライナー「あぁ…俺達もなんとか調べようとしているが…」

レオン「クリスタにのみ知る権利が有るんだろう?」

ユミル「だがクリスタは何も知らないって話になった筈だっ!」

クリスタ「…………」

レオン「分かってるよ。なにも疑っている訳じゃないさ」

アルミン「どちらにしても…ここは卒団しなくちゃ話は進まないよね?」

エレン「…どっちにしたって…巨人は駆逐しなきゃいけねぇんだろ?」

ライナー「……まぁそうなるかな…。壁外の巨人は俺達も襲われる」

ベルトルト「…ただ…。巨人は元々…人間っていうのは知ってるんだよね?」

ジャン「あぁ…昨日レオンから全部聞いたよ」

マルコ「正直…何が正しいのか分からないけど…人類が滅びるのは阻止しなくちゃいけない!」

レオン「先ずは卒団までは今迄通りだ…!この話を知ってるのはこのメンバーだけってのを徹底しなければならない!」

アルミン「そうだね!何処から情報が漏れるか分からない以上…そうする他ない」

ミカサ「でも…私達だけでは流石に手に負えない」

アルミン「卒団近くなったら動き出そう…全兵団にも掛け合わなくちゃならない!」

レオン「その時に他の人間に伝えるかどうかは考えよう…」

ジャン「でもよ…そんな話信じるかねぇ…?」

アルミン「信じてもらえる様にするしかないよ…!どっちにしても壁内で争っている時間は無いだろうし…」

サシャ「でも…本当に私達は勝てるのでしょうか…?」

レオン「なぁ~に!心配いらねぇよ!なんて言ったってよ…最高の頭脳と!」ビシッ

アルミン「…………」

レオン「最高の力がここにある!」ビシッ

ミカサ「…………」

レオン「更に!エヴ…じゃない…巨人を五人も独占してる!この顔触れなら…敵も裸足で逃げ出すさ」

サシャ「…!そうですよね!」

アルミン「先ずは何事もない様に訓練に励む!そして力を蓄えたら…人類の反撃だっ!!」

エレン「あぁ…!やってやるぜ…!!」

レオン「やられたらやり返す…倍が(ry」

アルミン「各自、何か気付いた事があれば都度相談しよう!…難しいかもしれないけど…明日から夫々いつも通りにね…?」

ユミル「あぁ…そうだな…!」

クリスタ「わ…分かった!」

~~~~~~~~~~
ー男子宿舎ー

コニー「何かここ二日で大分疲れたな…」

マルコ「まぁ一気に色々あったしね…」

ライナー「お前ら…本当にすまないっ!!」バッ

ベルトルト「僕もだっ!!」バッ

ライナー「謝って済む問題じゃないのは分かってる!だから…もしこの戦いが終わっても俺達の事が憎ければ…お前らの手で…殺してくれ…!」

ジャン「…ハッ!その言葉忘れるなよ?俺達は…なにもお前らを許した訳じゃねぇ…!精々活躍して…そこの死に急ぎ野郎に殺されねぇ様にな!!」

ライナー「あぁ…!勿論だ!」

エレン「真面目にやらねぇと…項を削ぎ落とすからな!!」

ベルトルト「エレン…すまない…」

コニー「でもよ…考えてみれば…エレンも…その…巨人なんだろ?」

アルミン「……………」

エレン「…そうみたいだが…俺には全く分からねぇ…」

アルミン「巨人に喰われた時に巨人化したって聞いたけど…そうだろ?レオン?」

レオン「あぁ…巨人に喰われた時に巨人になって…腹から出てきた…」

エレン「……俺にも何が何だかサッパリなんだ…」

アルミン「…ほらっ!!今はそれが分かっただけでもいいじゃないか!明日からまた訓練もあるし…もう休もう!」

マルコ「そうだね!」

~~~~~~~~~~~
ー女子宿舎ー

クリスタ「疲れた…。色んな事が一気に分かったね…」

アニ「あのっ…さ…。騙してて本当にゴメン!!」

ユミル「…まぁお前は今の所何もしてないだろ?」

アニ「でも…私は…皆を…」

ミカサ「…アニはもう味方なんでしょう?違う?」

アニ「…あぁ!もう裏切らないよ…!」

ユミル「ミカサにしてはいい事言うじゃねぇか…。それに関しては私も悪かったと思ってる…。私も隠してた訳だしな…」

クリスタ「でも…ユミルも味方だもんねっ!」

ユミル「あぁ…!そうだ…そこは信用してくれっ!」

ミカサ「ところでクリスタ…あなたの名前が違う事も驚いた…。本名はもう使わないの?」

ユミル「……………」

クリスタ「卒団までは内緒だから…ここを卒団したら…ヒストリア・レイスとして胸を張って生きるよ!!」

ユミル「そうか…良かった…。なら明日も早いしもう寝ようぜ!」

ミカサ「えぇ…」
――――――――
――――――
――――
―――

ー翌日ー
-食堂-

ミカサ「おはよう。エレン、アルミン」

アルミン「おはよう!ミカサ!」

エレン「おーす!」

アルミン「やっぱり…昨日のメンバーが固まってるね」

ミカサ「でも…他は知らない事もあるから仕方ない…」

アルミン「そうだね。情報交換するには丁度いいか」

エレン「そうだよな!ところで…レオンはどうしたんだ?」

アルミン「朝から見てないね…ユミルっ!」

ユミル「あ?どうしたよアルミン」

アルミン「レオン見なかった?」

ユミル「ハッ…!見てないね!」

アルミン「……?」

クリスタ「アルミンおはよう!…ユミルがゴメンね!実はね…」

アルミン「おはようクリスタ!…何かあったの?」
――――
―――

レオン「おはよう!ユミル!クリスタ!」

ユミル「うーすっ」

クリスタ「おはよう!レオン!早いね!」

レオン「…まぁね」

ユミル「何だ?話が大きくなりすぎて寝れなかったのか?」ニヤッ

レオン「あぁ~…まぁそんなとこかな?」ハハハッ

クリスタ「大丈夫だよっ!皆で協力して行くってなったじゃない!」

ユミル「お~お~。私のクリスタは優しいね!」ダキッ

クリスタ「ちょっとぉ!やめてよ~」

女訓練兵「…あのぉ…。レオン?ちょっといいかな…?」

レオン「…?別に平気だけど…何か?」

女訓練兵「ここじゃちょっと…。だから…外に行かない?」

レオン「ん…分かった」ガタ

レオン(…何だ?…まさか!?生まれて初めての…告白?!)ニヤニヤ

レオン「ゴメン!少し行ってくる」

ユミル「…………」チッ

クリスタ「うっ…うん…(ユミルが不機嫌に…もうっ!何でレオンもニヤニヤしてるのよっ!)
――
―――-

クリスタ「って事があったの…」

アルミン「へぇ~。それで少し不機嫌なわけだ…」

クリスタ「うん…そうみt…ユミル「クリスタ!余計な事言ってんじゃねぇよ!」

ユミル「別に私は普通だよ!何で不機嫌にならなくちゃいけないんだ?」
アルミン(うわぁ…明らかに…)

クリスタ(不機嫌じゃない…)

~~~~~~~~~~
ー食堂裏ー

レオン「………………」ボーッ

―――――
――――
―――

女訓練兵『ゴメンね!呼び出しちゃって…』

レオン『別に平気だよ。気にしないで』

レオン(うわぁ…十三年生きてきて…初めてのシチュエーションだぜ!でもなぁ…今は付き合ってる場合じゃねぇしなぁ…)

レオン(そもそも俺にはユミルがいるしなぁ…。でも…断るにしても何て言ってk)ニヤニヤ

女訓練兵『って…ちょっと?聞いてる?』

レオン『あぁゴメン!…それで何の話だっけ?』キリッ

女訓練兵『いやだからさ……。アルミンって…今…付き合ってる人とかって居るのかなって…』

レオン『』

レオン『…何だって?』

女訓練兵『もうっ!何回も言わせないでよっ…!アルミンって…今付き合ってるh…レオン『ストーップ!』

レオン『(聞き間違いじゃなかった…)何でそれを俺に聞くの…?』

女訓練兵『だって…いつも一緒に居る二人は怖いんだもん…最近レオンもよく居るじゃない?だから…』

レオン『(…いやいやいや!君の方が怖いよ!何これ!?テンプレ?死ぬの?)…そっか…。アルミンは…今付き合ってる人は居ないと思うよ…?』

女訓練兵『…ッ!?じゃあ…今好きな人とかって居るのかな…?//』

レオン『(それぐらい自分で調べろっ!…まぁクリスタが好きらしいけどな!!)う~ん…そういう話は聞かないなぁ…』

女訓練兵『そっか!!ありがとっ!今度挑戦してみる!』

レオン『うんっ!頑張って!』
――
―――
――――

レオン「………食堂戻るか…」

~~~~~~~~~~~

アルミン「あっ!お帰り!早く食べないと時間無いよ?」

レオン「…あぁ…ありがと」

アルミン「(暗っ!!)ねぇクリスタ…?」ボソッ

クリスタ「何?アルミン」ボソッ

アルミン「レオンがかなり暗いんだけど…」

クリスタ「ね…どうしたのかな…?」

サシャ「(う~ん…やっぱり皆…どこかよそよそしいですね…。よしっ!)あれっ?レオン…食欲が無いんですか?手伝いましょうか?」

ユミル「おぉサシャ!そうしてやれ!そいつは愛情でお腹一杯だとよ!」ケッ

クリスタ「ちょっと!?ユミルっ!?」

サシャ「……?どういう事ですか?誰かにお腹一杯…愛情を貰ったんですか?」

レオン「…ちげぇよっ!!」

サシャ「ッ!!」ビクッ

クリスタ「ッ!!」ビクッ

ライナー「どうした…?急に大きな声出して」

レオン「……実はさ…」
―――
――


レオン「~~ってな訳でさ…」ハァ

全員「…………プッ…」
ギャハハハハッ

レオン「ッ!?」

ジャン「…ブハハハッ…!レオン…お前やるなぁ…」ブフッ

マルコ「ダ…メだよ…!ジャン…そんなに…笑ったら…」プルプル

アルミン「そういうマルコも……笑…ってるじゃないか…」プルプル

クリスタ「もうっ…!皆っ!笑ったら…ダメだ…よ!」プルプル

エレン「なぁ…何がそんなに面白いんだ?」

ミカサ「分からない」

コニー「俺もだ…」

ライナー「ドンマイッ!レオン!」ブフッ

ベルトルト「…………」プルプル

アニ「………くっ…」プルプル

サシャ「レオン!元気出して下さい!パンを一欠あげますから!(少しレオンが可哀想ですが…まぁ結果オーライですね!)」

レオン「……(こいつら…)」

クリスタ「(はぁ~可笑しい…)でもね!実はユミルがずっと不機嫌だったんだよ?」ボソッ

レオン「ッ!?ユミルが?」チラッ

ユミル「ッ!」サッ

レオン「(こいつらは後で対人格闘でお仕置きするとして…)ユミル?」

ユミル「…何だよ?」

レオン「何怒ってたんだよ?」

ユミル「は?私が?別に怒ってねぇよ」

レオン「怒ってんじゃん…」

ユミル「しつこいねぇ…。しつこい男は嫌われるぞ?」

レオン「お前はしつこい奴は嫌なのか?」

ユミル「…あぁ!嫌いだね」

レオン「じゃ分かったよ…ユミルに嫌われたらそれこそ目も当てられん」スッ

ユミル「…おいっ!」

レオン「…しつこい奴は嫌いなんじゃないのか?」ニヤッ

ユミル「じゃ向こう行け!」ゲシッ

レオン「イテッ…冗談だよ…どうした?」

ユミル「お前さ…私みたいなのの何処が良い訳?」

レオン「は?」

ユミル「ッ!…何でもねぇ…忘れろ!//」

レオン「…全部好きだけど…強いて言うならそういう所かな?」キリッ

ユミル「あ?//」

レオン「前にも言ったけど…口は悪いけどすごく優しくて…何気に照れ屋な所とか…かな?(後は…スタイルいいしな…)」ニヤニヤ

ユミル「お前…今…変な事考えてただろ?…まぁお前が物好きな事はよく分かったよ…。ありがとな…//」ボソッ

レオン「えっ?何だって?」

ユミル「何でもねぇよ!…急がねぇと遅れるぞ!」

レオン「…?あぁ!」

――――――
―――――

ー訓練場ー

キース「対人格闘の訓練を始める!分かっていると思うが…手を抜いている者は即!開拓地行きだ!始めろ!」

レオン(さっき笑ってた奴ら全員ぶん投げてやる…)ケケケッ

エレン「レオン!俺と組もうぜ!」

レオン「おぉエレンか!いいぜ!(まぁエレンは笑わなかったしな…)」

エレン「この間の技教えてくれよ!」

レオン「おぅ!…って言ってもな…実は特殊な事をしている訳じゃないんだ」

レオン「簡単に言えばあのパンチは、すごく正確な正拳突きって事になる」

エレン「…??」

レオン「大抵の奴は殴るって行為の際に、力を殆ど逃しちまってる。だから相手に当たる頃には威力も低くなる」

エレン「あぁなる程…。じゃあ正確なパンチってのはどうやって打てばいいんだ?」

レオン「連躯って言ってな。要は足・腰・肩・肘・拳…この部位に正確に力を移していけば力の分散を極力減らすことが出来る」

レオン「先ずはここからだな!人間は思っているよりも高い攻撃力を持ってるんだぜ?足腰を鍛えてるお前ならスゲェパンチが打てるよ!」

エレン「おぉ!試してみるぜ!サンキューな!」

レオン「多分ミカサとかなら簡単にやってのけると思うがな…と、言うよりも…あいつはもう出来てるのかもしれん…」

エレン「……あいつは何でもやっちまうからな…。でも…あいつは俺が守るって決めたんだ…!」ボソッ

ミカサ「エレン?…呼んだ?」

エレン「ッ!?…呼んでねぇよ!訓練に集中しろ!」

ミカサ「そう…。でも相手が伸びてしまった…」

ライナー「」

レオン「うわぁ…」

エレン「……!ならレオンとやってみろよ!」

レオン(何?この子…なんて事言うの?殺す気なの?)

ミカサ「…エレンがそう言うなら…。レオン?お願い出来るだろうか?」

レオン「」

レオン「(腹くくるか…)あぁ…!いいぜ?お前も退屈してただろ?本気を出せる相手が居なくてよ…?」

レオン「…本気を出さなきゃならない相手が目の前に居るんだぜ…やらねぇ手はねぇよな?お互いによ…」ニヤッ

ミカサ「それは楽しみ」

レオン「行くぜ?最初っから…」

ミカサ「クライマックス…」
ザワザワ オイッ!ミカサトレオンダッテヨ!マジカ!ザワザワ
――――
―――
レオン「ゼェゼェ……」

ミカサ「ハァハァ……」

ジャン「おいおい…。ミカサとやりあってるぞ…?」

アルミン「ミカサが肩で息してる所なんて初めて見たよ…」

レオン「(ヤバイ…死ぬ…マジで…何なのこの人…)ゼェゼェ…中々やるじゃねぇか…」

ミカサ「(こんな事初めてだ…)ハァハァ…どうも」

レオン「ハァァァ…!時間も無いし一気に行くぞ?これを防ぎ切ればお前の勝ちだ…」

レオン(行くぜっ…解門!)ドクンッ ダッ

ミカサ(ッ!?早い!)ガシィッ

ミカサ「ぐっ…」

レオン(ウォォォォォ)ドカッ ビュッ ガキッ ゴスッ

ミカサ(…止まらない!?このままでは…防ぎ切れない…)
ザワザワ オイ…アレスゲェナ…

レオン(ぐっ…倒れねぇか…?もう…限界だぞ…)ドゴォ

ミカサ「がっ…!(脇腹に…)」

エレン「マズイぞ!ミカサのガードが下がっちまった!」

レオン「貰ったぁ!!」ブンッ

ミカサ(間に合わない…なら…!)ゴォッ

ユミル「ミカサの奴…捨て身でカウンター取りに行ったぞ!」

レオン(チッ!)ピタッ

ミカサ(…ッ!?)ボゴォッ

レオン「がはっ…!」ドサッ

ミカサ「…………」
ザワザワ ヤッパリミカサカァ

ジャン「…何か最後変じゃなかったか?」

アルミン「う~ん…どうだろう?」

クリスタ「やっぱりレオンも強いね!でも…ミカサには勝てないか」

ユミル「あぁそうみたいだな!(いや…。今のは…あのバカ…)」

アニ(へぇ…)

~~~~~~~~
ー医務室ー

レオン「う~ん…」

エレン「おっ!?起きたか?」

レオン「おぉ…体中イテェよ…」

アルミン「まぁミカサとあれだけやり合えばね…意識とかは大丈夫?」

レオン「あぁ!大丈夫だ…。ありがとな!二人とも!」

エレン「気にすんなよ!」

アルミン「ミカサが食堂で席を取っておいてくれてる筈だ…早く行かないと時間が無くなっちゃうよ?」

レオン「あぁ!行こうぜ?」

~~~~~~~~~~
ー食堂ー
-夕食-
ザワザワ

ミカサ「レオン…調子はどう?」

レオン「なんとも無いぜ?」

ミカサ「…そう…。ご免なさい…レオン。訓練とはいえ怪我を負わせてしまった…」

レオン「訓練なんだから気にするなって!…それよりも俺も悪かったよ…色んな所…本気で殴っちまった…」

ミカサ「それも訓練。気にしないで欲しい…それに最後の攻撃を…躊躇っていた様に感じた…。その…顔への…」

エレン「あれやっぱりワザと止めたのか?!」

レオン「…スマン!ミカサ!…やっぱいざとなると…こんな綺麗な顔なんて殴れねぇよ…」

ミカサ「その…ありがとう…?//」

レオン「あぁ!決して馬鹿にした訳じゃ無いからな!お互いこの話はもう無しだ!」

ミカサ「えぇ…分かった」

エレン「何だよ…もしかしたら勝ってたかもしれねぇのによ…」

アルミン「う~ん…難しい所だけど…そこもレオンの優しさじゃない?」

クリスタ「凄い…顔は殴らないなんて…!レオンは優しいね!ユミル?」

ユミル「ハッ…それで自分がやられてたら世話ねぇだろ…」

クリスタ「またそういう事言う…」

エレン「ところでよ…レオンは所属兵団は何処にするんだ?」

レオン「それはお前…駐屯兵団だろ?」キリッ

エレン「…そうかぁ…そうだよな」

レオン「…ちょうどいいからその話もするか…皆っ!飯食い終わったら、裏に来てくれ」

~~~~~~~~~~
~食堂裏~

ジャン「何だ?何かあったのか?」

コニー「非常事態か?」

レオン「いやぁそういう訳でも無いんだがな…皆は所属兵団どこにするのかなぁってさ」

ジャン「そんなもん憲兵団に決まってんだろ?」

マルコ「僕も憲兵団がいいなぁ」

アルミン「でも…どうして急に?」

レオン「さっきその話になったからさ…ちょうどいいかなって」

エレン「俺は調査兵団だぜ!!」

ジャン「流石死に急ぎ野郎だな?」ハッ!

エレン「何だと?」

レオン「はいはい…仲がいいのは分かったから…」

エレ・ジャ「はぁ?!何処がだよっ?!」

レオン「ハァ…。それで話の腰を折って悪いが…エレンとクリスタには駐屯兵団に行ってもらいたい」

エレン「はぁ!?何でだよ?」

ユミル「成る程な…」

アルミン「…そっか」

サシャ「…え?どういう事ですか?」

コニー「………?」

ライナー「この前の話では二人が鍵になりそうだったからな…」

アルミン「うん…王政が敵かもしれないのに、内地になんて行かせられないね」

クリスタ「でもエレンは?壁外だよ?」

ユミル「…調査兵団だぜ?死なれでもしたらどうするんだよ?」

クリスタ「…あっ…」

レオン「そういう事だ…」

マルコ「ねぇ…!もし昨日レオンが言っていたのが本当だとしたら…僕達の席次とかも知ってるんじゃない?」

コニー「そっか!レオン!どうなんだ!?」

レオン「あぁ…知ってるよ」

サシャ「教えて下さい!私は内地に行けるんですか?」

レオン「まぁ教えても構わないが…あくまであちら側の話だからな?このメンバーに上位に入ってもらわねぇと話が終わっちまうからよ…」

ジャン「そんなの分かってるよ!」

レオン「まず首席は想像通りミカサだ…次にライナー、ベルトルト、アニ、エレン、ジャン、マルコ、コニー、サシャ、クリスタ…この順番だな」

アルミン「スゴイね…今の成績上位と変わらないじゃない!」

ジャン「くっ…!俺が死に急ぎ野郎の後だと!?」

サシャ「私も入ってますね!」

クリスタ「…何で私が…?」

マルコ「じゃあ向こうの僕も憲兵団に入ったんだね?」

レオン「……いや…。今の中で憲兵になったのはアニだけだ…」

アニ「………」

ジャン「何?!じゃ俺は何処に行ったんだ?」

コニー「俺もだよ!」

マルコ「…僕やジャンは何処に入ったの?」

レオン「アニ以外は全員調査兵団に入ったよ」

全員「えぇ~!!」

エレン「マジかよ…」

ジャン「何してんやがんだ!?向こうの俺は!」

コニー「スゲェなぁ!流石天才!」

サシャ「しかしマルコは意外でしたね!…私もですが…」

マルコ「う~ん…。向こうで何かあったの…?」

アルミン(…訓練兵最後の日に壁が…まさか!?)

レオン「あぁ…解散式の翌日に壁を壊されて…トロスト区奪還作戦中に…マルコは…戦死した…」

ベルトルト「ゴメンッ!!」バッ

ライナー「すまないっ!!」バッ

ユミル「今、お前らが詫ても仕方ねぇだろ…」

ジャン「……なっ……」

コニー「マルコが…?」

クリスタ「戦死?」

レオン「すまない…言わなければよかったな…」

マルコ「いや…!…言ってもらえてよかったよ!お陰で訓練にも身が入るし…何より僕はまだ死んでない!!」

アルミン「そうだよっ!!そんな最悪の未来を回避する為に僕達は動き出したじゃないか!」

エレン「あぁ…そうだ!そんなの無かった事にしちまえばいいんだ!!」

アニ「でも…何でまたライナー達は調査兵団に行ったんだい?」

レオン「それは恐らくだが…ライナーは戦士と兵士が大分混同しちまってたみたいなんだよ…こちらの世界よりも酷くな…」

ベルトルト「成る程ね…。それで兵士のライナーが調査兵団行きを希望した…。まぁそんな状態のライナーを放っとく訳にはいかないもんね」

レオン「恐らくそんな所だと思うぞ?…後はエレンを監視しやすいってのもあったと思うがな…」

ジャン「じゃ俺や…コニーにサシャは何でだ?」

レオン「ジャンはマルコが死んで大分変わったよ…。壁外で女型の巨人との交戦時には、本陣の撤退の時間を稼ごうってアルミンやライナーを説得したりな!」

ジャン「…俺が…か?」

コニー「スゲェな!ジャン!見直したぜ!」

マルコ「僕の死も無駄じゃ無かったんだね…」ハハハ

レオン「あぁ…!んで、コニーやサシャはエレンの演説で心打たれたみたいだけどな!」

エレン「俺が演説なんかしたのか?」

レオン「解散式の晩にジャンと喧嘩をした時にな…。『俺は巨人を駆逐して…狭い壁の中を出る!それで…外の世界を探険するんだ…!諦めたって…いい事なんか何も無い!』ってな具合だよ」

エレン「…何か照れるな…//」

ジャン「ハッ…向こうでも死に急ぎかよ!」

レオン「それを聞いたお陰で調査兵団希望者がかなり増えたんだ…だが…次の日にそんな思いを打ち砕く事が起こった…」

マルコ「超大型巨人の再襲撃…」

ベルトルト「…………」

レオン「そうだ…。その時に…マルコだけじゃなく多くの仲間が死んだ…エレンの班で生き残ったのはアルミンだけだ…」

サシャ「えっ!?じゃあ…トーマスやナック…ミリウスやミーナもですか?」

レオン「あぁそうだ…!エレンは巨人化のお陰で助かったがな…」

ミカサ「あの…一つ聞いてもいい?私はその時…エレン達が襲わた時に…何をしていたの?」

ユミル「ミカサがいてあっけなく全滅ってのも考えにくいよな」

レオン「ミカサは精鋭班に回されたんだよ…新兵は中衛に当たったんっだが、ミカサは駐屯兵団精鋭班と、後衛に付いていたんだ」

ミカサ「そう…。やはりエレンは私が守らないと…今度は…絶対に死なせはしない!」

レオン「いや…それはお前の事だろ?」

ミカサ「……?」

レオン「エレンがお前が居ないと死ぬんじゃなくて…お前がエレンが居ないと生きていけないんだろ?」

エレン「…………」

ミカサ「……それは否定しない…。だけどエレンは私が守らないと…!」

レオン「そうやってすぐエレンのせいにする…。お前はアルミンからその報告を受けた時に冷静さを失った…。そのせいで自らの命だけでは無く、同期の命まで蔑ろにしたんだよ…」

ジャン「…ミカサがか?」

ミカサ「…どういう事?」

レオン「…撤退の鐘がなった時点で訓練兵にも生き残りが何人か居たんだ」

レオン「だが…補給所に補給部隊が籠城しちまって…巨人が群がっていてガスの補給が出来ずに…壁が登れなかったんだ…」

レオン「そこで後衛から支援に飛んで来たミカサが、アルミンから報告を受けた…。それで、本部に突っ込んで巨人を蹴散らして行くしか無いって話を皆にしたんだよ…例え一人でもやってみせる!ってな…」

レオン「まぁなんとか冷静を装ってはいたが…。やはり無理してたんだな…。先導して突っ込んで行ったはいいが、滅茶苦茶にガスを吹かしてガス切れを起こした」

レオン「そして巨人に囲まれてしまった…。皆を先導しておきながら自分勝手に動いて、更には命さえ簡単に放棄した…」

ミカサ「…………」

アルミン「…………」

レオン「…ただまぁ最終的には巨人化したエレンに助けられた訳だがな…」

レオン「結局いつも助けられてるのはお前なんだよ…ミカサ!」

ミカサ「わ…私は…ただ…」

クリスタ「レオンッ!もういいじゃない…こっちでは気を付ければいいんだよ!ミカサ!」

レオン「エレンが巨人に攫われた時も冷静さを失い、無茶な追い込みを掛けて…逆に潰されそうになった所をリヴァイ兵長に助けられ…兵長に怪我をさせている」

ミカサ「ッ…!」

クリスタ「ねぇ!もういいじゃない!アルミンも止めてよ!」

アルミン「………(これからミカサの力は絶対に必要だ…。だけど…今のままでは…。ミカサはエレンが絡むと冷静で居られない…)」

レオン「エレンが巨人の事となると逆上するのと同じで、ミカサもエレンの事となると冷静さを著しく失う…そんな事ではこの先…戦えない…」

ミカサ「…エレンは私に残された唯一の家族…!私はっ…!二度も家族を失った…もうこれ以上失いたくないっ!」

レオン「だったらもっと冷静になれ!そのままじゃ…結局エレンもアルミンも助けられないぞ?…感情に身を任せるな!…勝利の女神は何時だって…考えるのを止めていない奴に微笑むもんだぜ?」ドヤッ

アルミン(…うわぁ…。折角良い事言ったのに…)

エレン「…なぁミカサ…?俺はそんなに頼りないか?…そりゃ成績はお前よりずっと下だけどよ…お前を助けたあの日から…俺はお前を守れるようにって努力して来たつもりだ…!」

エレン「…もっと俺を頼ってくれよ!信用してくれっ…!俺も冷静でいられる様に努力するから…お前も努力してくれよ!…生き残って…皆で外に行こうぜ?」

ミカサ「エレン…!分かった…。私も冷静にで居られるように努力する」

レオン「(…誰も告白しろなんて言ってねぇよ!)まぁ…ミカサの力は絶対に必要だ…どうせエレンは調査兵団行きは譲らねぇだろ?」

エレン「あぁ…!これだけは絶対に譲れねぇ…状況が変わったとは言え…自分だけ安全な所で指なんか咥えてられねぇよ!!」

コニー「…………」

サシャ「…………」

アルミン「…はぁ…。レオン?こうなったらエレンはテコでも動かないよ?…でも…僕もエレンと同じ気持…かな?」

レオン「…そう言うと思ったよ…。じゃ夫々で班に別れようぜ?」

レオン「先ず憲兵団には…内地を視察してもらいたいから…出来ればユミルにも行ってもらいたいんだがな…」

ユミル「ハッ!ゴメンだね!私がクリスタと離れる訳が無いだろうがっ!!」

クリスタ「ちょっと!?ユミル!?」

レオン「…知ってた…。じゃ取り敢えず、マルコを班長にして、ベルトルト、ライナー、アニ、ジャン、サシャ、コニーでいいか?」

サシャ「…あのぉ~…私は調査兵団に行こうかと…」

コニー「あぁ!俺もだ!今サシャと話したんだけどよ…さっきのエレンの話に賛成しちまったんだよ…」

エレン「…お前ら…いいのかよ?…俺達は死ねないんだぞ?」

コニー「死なないように訓練しようぜ!!」

サシャ「そうですよ!全部終わらせたら…外の世界に美味しい物を探しに行きましょう!」

ミカサ「心配いらない…皆で協力して生き延びる…!」

ライナー「俺も同感だ!エレンの護衛は多い方がいいだろ?」

レオン「そりゃミカサの他にライナーもいりゃ心強いがな…」

ライナー「心配いらん…俺は巨人だからな!簡単には死なんさ…!この力を仲間の為に使いたい!」

ベルトルト「…ぼっ…僕だって!」

レオン「いや…それなら余計にベルトルトは内地に行ってもらいたい…どうなるか分からない以上、ある程度の戦力は内地にも必要だ!」

ベルトルト「……そっか…」

アニ「こいつの面倒は私がしっかり見ておくよ」

ジャン「俺も行くぞっ!!こうなりゃ意地でも真相にたどり着いてやる…!それに…死に急ぎ野郎のブレーキはミカサだけじゃ大変だろうしな!」

エレン「何だと!?」

アルミン「まぁまぁ…エレン。ジャン…ありがとう…」

ジャン「礼を言われる覚えはねぇよ…俺には只…今やるべき事が分かるだけだ!」

レオン「よしっ!なら憲兵団には、マルコ、アニ、ベルトルト」

レオン「調査兵団に、ミカサ、ライナー、エレン、アルミン、サシャ、コニー、ジャン」

レオン「駐屯兵団に、クリスタ、ユミル、俺…」

レオン「各班長はマルコ、ライナー、ユミルでいいな?」

ユミル「おいっ!何で私が班長なんだよ!?お前がやれ!!」

レオン「へいへい…分かりましたって…」

レオン「まぁ先ずはこのメンバーで上位に入ってもらわねぇと話にならねぇからな?」

エレン「おう!」

コニー「やってやるぜ!」

クリスタ「絶対に皆で生き残って…未来に行こうっ!!」

全員「おうっ!!」
―――――
――――
―――

団長「本日諸君らは訓練兵団を卒団する!その中で最も成績の良かった者上位十名を発表する!」

団長「首席 ミカサ・アッカーマン!次席 ライナー・ブラウン!三席 ベルトルト・フーバー!四席 アニ・レオンハート!五席 エレン・イェーガー!六席 ジャン・キルシュタイン!七席 マルコ・ボット!八席 コニー・スプリンガー!九席 サシャ・ブラウス!十席 ユミル・プリミーティブ!以上十名!」

団長「諸君らには三つの選択肢が有る!!…だが!憲兵団に入れるのは、上位十名のみだ!後日、改めて配属兵科を問う!…本日はこれにて訓練兵団解散式を終了する!…解散!!」

訓練兵一同「ハッ!」

~~~~~~~~
ー食堂ー

レオン「いやぁ~!無事に卒団出来て良かったぜ!」

アルミン「レオンは別にギリギリでも無いと思うけどな…」

ユミル「まぁ正直…格闘術以外は平凡だしな!」

エレン「でもレオンの馬術は中々だったと思うぞ?」

クリスタ「最初は焦ったけど…最後は良くなってたよね!」

レオン「まぁ馬術があそこまで難しいとは思わなかったよ…」
――――
―――
――
ーとある日の馬術訓練ー

レオン「よしっ!行くぜ!黒王号!」グイッ

クリスタ「ちょっと!ダメだよ!そんなに乱暴にしたら!」

レオン「ハイヨーシルバー!」バシッ ヒヒーン

レオン「おわっ…とと…。…私の辞書に不可能の文字は無い!」キリッ ナポレオンノポーズ

クリスタ「だからダメだってば!」

ユミル「~~~ッ!バカだ…バカが居るぞ!ブハッ」クククッ

コニー「あいつ何してんだ?」

レオン「大丈夫だって…うわぁ…」ドサッ

クリスタ「ほらぁ…!だから言ったじゃない!もうっ!」

レオン「イテテ…悪かったよ…黒王号」

キース「何を遊んでいる?パルマー訓練兵…」

レオン「」
――
―――
――――

クリスタ「レオンが罰走してたのってあれが最初で最後じゃない?」

レオン「いやさ…向こうだと中々馬に乗る機会って無くてさ…。一度乗ったらやりたかったんだよね//ナポレオンのポーズ//」

エレン「ナポレオン?」

アルミン「本で読んだことがあるけど…確かもう二千年以上も前の偉人だよね?…でも空想上の人物だって聞いたけど…」

レオン「まぁ俺らの世界で言えばそんなに昔でもないしな…実在する人物らしいよ?」

クリスタ「何をやっていた人なの?」

アルミン「……戦争の英雄だって聞いたけど…。すごく勢力を伸ばしたらしいんだ…戦いの天才だったみたい」

レオン「軍人としては非常に優秀だったみたいだが…結局、他国との外交が上手く行かないと武力行使に出るって言う人みたいだがな」

クリスタ「じゃあ…自分の言う事を聞かない人間は殺しちゃうの…?酷い…」

ユミル「…………」

アルミン「…どうだろう…?何時だって争う時は夫々が正しいと思っている訳だからね…」

レオン「当時では何処の国でも独裁者が仕切っていて、法が形骸化していた時代に、『法の前では万人が平等』とかの法典を纏めたのも彼だしな…」

アルミン「それに…僕達がこれからやろうとしている事は…正に『革命』と言っても過言じゃない訳だし…」

クリスタ「でも…それは私達が生きる為に…」

レオン「同じ事だよ…クリスタ。夫々しょうが無いって納得しようとしている訳だ…少し前までなら巨人が問答無用で『悪』だったが今は…違うだろ?今までの固定観念は捨てなくちゃいけない!」

アルミン「もうこれからは…戦争だよ…勝った方が正義になる…!戦って勝つしか無いんだ…」

ユミル「そうだな…勝たなくちゃ何も残らねぇぞ?」

クリスタ「うん…そうだよね…!やるしか無いよ!」

レオン「…折角の解散式なのに暗くなっちまったな…スマン!」

エレン「じゃあ話題を変えてよ……」

クリスタ「こう…パァっとした話がいいよね!」

レオン「ユミル?少し外に出ないか?」ボソッ

ユミル「あ?…まぁ別に構わないが…」

~~~~~~~
ー食堂裏ー

ユミル「どうしたんだ?改まって」

レオン「…ついにここまで来たなと思ってよ…」

ユミル「…そうだな。お前に話を聞いた時には最初は焦ったがな…こんな馬鹿な奴も居るんだなってよ」フッ

レオン「何だよ…馬鹿ってよ…。変えられるかもしれない地獄を放っとけないだろ!」

ユミル「…まぁ感謝してるよ…。お前は遠い過去から…未来を持って来てくれた」

レオン「じゃあ…そろそろご褒美くれてもいいんじゃねぇか?」ニヤッ

ユミル「何だよ?…また抱きしめてくれってか?」

レオン「う~ん…そうだなぁ…っと」グイッ

ユミル「うぉっ!…何だよ!?…でも私が見上げるのなんて…ライナーかベルトルさん位だったからな…変な感じだ…」

レオン「あらそう?じゃご褒美にその口唇を頂こうかな…?」キリッ スッ

ユミル「ちょ…待てっ!じゃあってなんっ~~~ッ…!」

レオン「……………」

ユミル「………ぷはっ!離せっ!」バシッ

レオン「イテッ…何だよ…いい感じだったのに…」

ユミル「ハァハァ…。何処がだよ!いきなり…キスしてきやがって!」

レオン「まぁまぁ…いいじゃねぇか!減るもんじゃねぇし」ハハハッ

ユミル「…そぉいう問題じゃねぇんだよ…!」メキメキッ

レオン「~~~ッ!がっ…ギ…ブッ!」パシパシ

ユミル「…ったく」スッ

レオン「ゲホッ…。急に悪かったよ…。少し焦っててさ…」

ユミル「あぁ?何にだよ?」

レオン「…俺はさっきお前が言っていた通り…兵士として大して優秀じゃ無い…。だからこの先…生き残れるか分からねぇ…。だから…今の内にせめてキスだけでもって思ったんだが…。すまない…!勝手過ぎたな…」

ユミル「ハッ!何だよ?珍しく余裕無いじゃねぇか」

レオン「俺は最初から余裕なんて無かったさ…ただカッコつけてただけだ…」

ユミル「…まぁ確かにそんな自分勝手なキスをされても困る…。何より…ここ迄私らを先導しておいていきなり死ぬなんて洒落にならねぇぞ?」

レオン「あぁ…!そうだよな!なんとしても生き延びて…元の世界に帰るんだ!」

ユミル「そうしてもらえると助かるね…!じゃねぇと夢見が悪いからな…っと」グイッ

レオン「あらっ…!」

ユミル「絶対…生き残れよ…」スッ

レオン「~~~ッ!」

~~~~~~~~~~
ー茂みー

クリスタ「あぁ~!またキスしてるよ!」ボソ

アルミン「そうだね…でも覗きっていいのかなぁ…」ボソ

クリスタ「だって…少し気になるじゃない…」ボソ

アルミン「そうだけど…(まぁクリスタと居られるからいいか//)」ボソ
~~~~~~~~~

レオン「…ぷはっ!…ありがとう…ユミル!//」

ユミル「気が済んだか?…続きはまた今度だ…。クリスタ!出てきていいぞ?」ニヤッ

クリスタ「ッ!!」ビクッ 

アルミン「ッ!!」ビクッ

レオン「アルミンまで…!ったく…俺達がキスで終わらなかったらどうするんだ?」

クリスタ「ッ!//」

ユミル「調子に乗んじゃねぇよ!」バシッ

レオン「イタッ…!」

アルミン「ゴメンよ…!邪魔するつもりは無かったんだ…//まさか気付いてたなんて…」

ユミル「当たり前だろ?ったく…もう戻ろうぜ?」

レオン「おう!(ってかユミル…フラグ立て過ぎじゃね?何なの?俺死ぬの?)」
―――――
――――
―――
ー翌朝ー
-食堂-
ガヤガヤ

クリスタ「みんなおはよう!」

アルミン「おはよう!クリスタ」

レオン「おはよー」

エレン「おーっす!」

ライナー「いよいよ今日で訓練兵の仕事は最後だな…」

アルミン「おはようライナー!…そうだね…これから本格的に行動開始だ…!」

アニ「それについてだけど…実際兵団とかにはどう接触するの?」

レオン「そこなんだよ…まぁ調査兵団の団長と駐屯兵団の指令なら無下にはしないと思うけど…」

エレン「団長と指令なんて知ってるのか?」

レオン「俺の世界じゃ割と出てくるからな…。ただ…いきなり新兵が謁見させろって言った所でなぁ…」

アルミン「難しいよね…。…あっ!ハンネスさんはどうだろう?」

エレン「あぁ!成る程な!あの呑んだくれも今や駐屯部隊長様だしな!」

ユミル「ハンネス?誰だそりゃ?」

アルミン「僕達の保護者代わりをしてもらってた人だよ!今は駐屯兵団の隊長をやってるんだ!」

アニ「でも…こんな話信用してもらえるの…?」

レオン「どっちにしても兵団を説得しなくちゃいけない訳だしな!やるしか無いだろ?」

アニ「ッ!そうだね」

レオン「そうと決まったら早速、夜にでもハンネスさんに協力を要請しようぜ?」

アルミン「うんっ!僕も一緒に行くよ!」

レオン「そうしてくれ!アルミンが説明すれば説得力も上がるしな」

エレン「頼んだぜ!アルミンッ!」

レオン「さて…。このメンバーに言っておきたい事がある…。今日から…俺達が知ってる出来事から別の方向に舵を切る!自分達の手でだ!…この先どう転ぶか分からんが…俺達の目的は何だ?」

エレン「外の世界に探険に行く!」

アルミン「うんっ!」

ミカサ「エレンに付いて行く」

サシャ「外に美味しい物を探しに行きます!」

コニー「母ちゃん達が安心して暮らせる世界にする!」

ジャン「知らなねぇ事を知る!」

マルコ「真の王を見つける!」

ライナー「この力で…贖罪する!」

ベルトルト「………」コクッ

アニ「あぁ!」

クリスタ「皆で未来を見に行く!」

ユミル「クリスタを幸せにする!」

レオン「一見バラバラに見えるが…全員が明日を見てるだろ?…やってやろうぜ?俺達が…この世界を変えるんだ!」

全員「おうっ!!」

アルミン「取り敢えず固定砲整備に行こうか!夜になったら、僕とレオンでハンネスさんに話に行くよ」

レオン「そうだな!」

レオン(ここからは分岐だ…俺が干渉した事で歴史が変わった可能性がある…気を引き締めねぇと!)
―――――
――――

レオン「とまぁ意気込んでみたものの…ハンネス隊長には何処で会えるんだ?」

アルミン「駐屯兵団本部に居ると思うんだけど…」

レオン「成る程ね…。あそこの建物だったよな?」

アルミン「うん!一先ずあそこで聞いてみようよ!」

女「キャッー!止めて下さいっ!!」

レオン「ッ!?闇夜を切り裂く乙女の声!?」

アルミン「本当だ!…あっ!あそこの路地裏に誰か引きずり込まれたよ!?」

レオン「マズイッ!アルミンは兵士を呼んできてくれ!」ダッ

アルミン「分かった!…やり過ぎちゃダメだよっ?」ダッ

レオン「…他にもっとあるだろ…?分かってるよ!」

~~~~~~~~~
ー路地裏ー

男「手間掛けさせやがって…!黙って身ぐるみ置いてきな!」ジリッ

女「止めて下さいっ!…この服は…母の形見なんです!」グスッ

男「だから何だってんだっ!!…お前ごと攫って売り飛ばしても構わねぇんだぜ?」ニヤッ

レオン「とぉ~っ!」バキッ

男「グハッ!」ズサッー

レオン「ったく…。馬鹿かお前は」

レオン「お怪我は有りませんか?」キリッ

女「ハイッ!…本当に…有難うございますっ!!」グスッ

レオン「兵士として当然の事をした迄です!」キリリッ

女「本当になんてお礼を申し上げたらいいk…男「テメェ…!」

レオン「…あら?随分しつこいね…。下っていて下さい」スッ

男「テメェ…兵士か?…俺の食い扶持取り上げやがってぇ…!」シャキンッ

レオン「はぁ…。救いようのねぇクズが…」
――――
―――

アルミン「ハァハァ…。ハンネスさん!早く!」ダッ

ハンネス「ハァハァ…。ちょっ…ちょっと待ってくれよ!」ダッ

アルミン「あそこの路地だよ!」

ハンネス「分かった!」ダッ

レオン「チョーレッパダン!!」ドゴッ

男「ゴフッ!」ドサッ

ハンネス「うわっ!」ズサッ

アルミン「あ~あ…」

男「」

レオン「おぉ!アルミン!ありがとな!」

アルミン「…うん…。またこんなに痛めつけて…」ウワァ

ハンネス「ご苦労だったな!訓練兵!」バッ

レオン「ハッ!有難うございます!(ハンネスさん…イメージまんまだな…)」バッ

女「有難うございました!」ペコッ

ハンネス「怖かったでしょう…。遅くなってしまい申し訳ありませんでした!…帰りは兵士に遅らせます!」

女「有難うございます。そちらの方が助けて下さったので助かりました!本当に有難うございました!」ペコッ

レオン「いえっ!お気を付けて!」バッ
――――
―――

ハンネス「さてと…で?話って何だ?アルミン?」

レオン「ッ!?あなたがハンネス隊長でしたか!失礼しました!」バッ

ハンネス「そう固くならなくてもいいぞ?君も話があるのか?」

アルミン「うん…。そうなんだ…少し三人で話がしたいんだけど…」

ハンネス「どうした?改まって…。なら俺の執務室に行こうか!」

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー
-隊長執務室-

ハンネス「さて…どうしたんだ?エレンやミカサと何かあったか?」

アルミン「そういう訳じゃ無いんだけど…」

レオン「実は…ハンネス隊長にお願いがあって参りました!」

ハンネス「俺に?君が?」

レオン「はい…私からと言うよりも…我々からのと言った方がいいですが」

ハンネス「…?」

アルミン「ハンネスさん…今から話す事は真実として聞いてもらいたい…。実は…」
――――――
―――――
――――
―――

アルミン「という訳なんだ…。だから指令に口を利いて欲しいっ!」ガバッ

ハンネス「ちょっ…ちょっと待ってくれ!アルミン!…お前…何言ってるか分かってんのか…?」

アルミン「分かってるよ!でも…もう動き出さなくちゃいけないんだ!」

ハンネス「そりゃ…お前が嘘を付くような奴じゃないってのは分かってる…。だが…これはいくらなんでも…。仮に俺が信用しても兵団は信用しないぞ?」

レオン「どちらにしても時間が有りません!…なんとか説得を試みるしか道は無いと思います」

ハンネス「レオン…だったな?君が違う世界から飛んで来たってのも然ることながら…更に人類の最大の仇が壁内にいて…エレンが巨人だと…?流石に理解するのには無理があるよ」

アルミン「それは分かってるよ…でも僕達はハンネスさんしか頼れる人が居ないんだ!」

レオン「馬鹿げた事だと思われるかもしれませんが…我々が生き残る為には兵団の協力が必要不可欠なんです!」

ハンネス「しかし…こんな事を上に挙げたら…下手すれば内乱罪で兵団会議…いや兵法会議もあるかもしれんぞ!?」

レオン「…万が一そのような事態に発展してしまった場合は…私が裁きを受けます!」

アルミン「レオンッ!?何を…」

レオン「考えても見ろよ…アルミン。俺は元々この世界の住人じゃないんだ…この世界を救うとか言って仲間割れさせてる訳にもいかねぇしなっ」

アルミン「でも…そんな事って…」

レオン「おいおい…。まだそうなるって決まった訳じゃ無いだろ?」

ハンネス「はぁ…。分かった…。お前らの話の真偽は俺には分からん!だが…指令に話は通す。もしかしたら指令から召集が掛かるかもしれないから、そのつもりでいてくれ!」

アルミン「ありがとう!ハンネスさん!」

レオン「有難うございます!ハンネス隊長!絶対ご迷惑は掛けないようにします!」

ハンネス「お前らが嘘を吐いてるようには見えんしな…人類が勝利出来るならその方が良いに決まってるんだ!ただ…力にはあまりなれないかもしれないが…出来る事はやるからな!」

レオン「有難うございます!私は駐屯兵団配属ですので、今後もよろしくお願い致します!」バッ

アルミン「ご協力感謝致します!!」バッ

レオン「最後にもう一つだけ…。今日の話は上官の間で止めておいて頂けませんか?…まだ無用の混乱は避けたいので…」

ハンネス「同感だな!…まぁ信じる奴もいないと思うが…。まっ!取り敢えず今日の所は帰れ!」

ハンネス「結構遅くなっちまった…。気を付けて帰れよ?」

レオ・アル「ハッ!」バッ

~~~~~~~~~

アルミン「なんとか第一関門は突破だね!」

レオン「あぁ…。後は兵団がどう動いてくるかだな…」

アルミン「でも…レオン一人で背負う必要なんて無いよ!僕達皆で背負わなきゃ!」

レオン「…どっちにしろ兵団会議へ召喚されたら俺が出なくちゃならねぇんだ…俺だってむざむざ殺される訳にはいかねぇからよ!」

アルミン「ッ!…そうだね…。取り敢えずは兵団の動き次第か…」

レオン「あぁ!明日は所属兵科を決める日だしな…その時に何かアクションがあるかもしれねぇ」
――――――
――――
ー男子宿舎ー

ライナー「あいつら…上手く行ったかな…」

マルコ「まぁあの二人なら下手は打たないと思うけど…」

ライナー「…そうだよな!」
ガチャッ 

アルミン「ただいまぁ~」ボフッ

レオン「ただいま」ボフッ

マルコ「お疲れ二人共!で…どうだった?」

アルミン「ハンネスさんが指令に話を通してくれるって!」

エレン「あの呑んだくれもやるじゃねぇか!」

アルミン「そんな言い方したらダメだよ!…でも…もしかしたら…」

ライナー「どうした?」

レオン「なんて事はねぇよ!もしかしたら俺が兵法会議に掛けられるかもしれねぇって位だ」

ジャン「はぁ?なんて事あるだろ!?兵法会議がどんなもんか知らねぇのかよ!?」

レオン「騒いだ所でどうにもならなぇだろ?…俺だって死にたい訳じゃねんだ…。なんとか納得させてやるぜ!」

マルコ「…まぁまだそうなるって決まった訳でもないしね!」

ライナー「そうだな!先ずは様子見だな」

レオン「あぁ!そういう事だ」

エレン「そうと決まれば明日に備えてもう寝ようぜ?」

アルミン「うんっ!…って明日は休みじゃないか…」

ジャン「…この部屋で寝るのも今日で最後だもんな…」

マルコ「そうだね…。じゃあ明かり消すよ?皆お休み」フゥ

全員「お休みー」

レオン(実際…兵団を納得させる事なんて出来るのか…?いや…!やるしかねぇんだ!…言い出しっぺが弱気でどうする!やってやんよ!俺やってやんよ!)
――――――
――――
―――

ー翌朝ー
-食堂-
ガヤガヤ

ミカサ「皆おはよう」

エレン「おっす」

アルミン「おはよ」

レオン「はよー」

アルミン「…ここでご飯を食べるのも今日で最後だね」

エレン「あぁ…長かったぜ!明日からやっと調査兵団だ!」

ミカサ「やっぱり気持ちは変わらないのね…」

エレン「当たり前だろ!巨人は殺さなくちゃいけない事には変わりねぇんだ!」

アルミン「…まぁそうなんだけどね…。ただ…分かってると思うけど…」

エレン「分かってるさ…奴らが人間かもしれないなんて事は…!でも…やらなくちゃこっちが喰われちまう!」

ミカサ「そう。何であろうとエレンが殺されるのは阻止する」

レオン「…まぁこればかりはどうにもならん…エレン?俺達の未来はお前に懸っているんだ…!冷静さを見失わないでくれよ?」

エレン「あぁ…分かってるよ!」

レオン「ミカサも…エレンを守る為に力は使ってもらわなくちゃいけないが、冷静にな?」

ミカサ「分かっている」

レオン「アルミン。お前の頭脳は頼りになる…。頼むぜ?」

アルミン「出来る限りの事をするよ!」

ユミル「お~お~!随分と朝から暗いじゃねぇか?」

クリスタ「皆おはよう!」

アルミン「おはよう!二人共」

レオン「おはようさん!いやちょっと作戦会議をさ…」

ユミル「そうかい…で?昨日はうまく行ったのか?」

アルミン「うんっ!ハンネスさんはピクシス指令に話を通してくれるって!」

クリスタ「じゃあ…!駐屯兵団はなんとかなりそうなの?」

アルミン「…それはまだ何とも言えない…。真偽の判断は上に任せるみたい」

ユミル「ケッ…私らは命削るってのに協力しない気かよ…」

レオン「そりゃしょうが無いだろ?誰だっていきなりあんな話信じろって方が無理が有るって!」

ユミル「チッ!…わーってるよ!」

クリスタ「でも…今日で一旦はバラバラだね…」

ユミル「大丈夫だって!私が一緒だろっ?」

クリスタ「そうね!レオンもいるし!」

アルミン「皆で程よくバラけてるから丁度いいかもね」

ミカサ「アルミン」ボソッ

アルミン「どしたの?」ボソッ

ミカサ「今日は最後の休日…クリスタを街に誘ったら?」

アルミン「ッ!?いきなり何さ!?//もうっ!//」パクパク

ミカサ「…?だってアルミンはクリスタのk…アルミン「わー!わー!//」

エレン「ッ!?どうしたんだ?いきなり」

クリスタ「何かあったの?アルミン?」

アルミン「ゴメンね急に!何でも無いんだ…(まさかミカサにバレてるとは…僕って分かり易いのかな…?)」アハハ

ミカサ「…今日アルミンが街に行きたいらしい」

アルミン「いやちょっ!」

エレン「よしっ!じゃ一緒に行こうぜ!アルミン!」

ミカサ「エレンは今日は私と特訓。だからダメ」

エレン「はぁ?何でお前に決められなくちゃいけないんだよ!?」

レオン「(ッ!成る程ね…)そうだなエレンはそうした方がいいな!」

クリスタ「じゃあ一緒に行こうよ!…私も買いたい物有るんだっ!」

アルミン「えっ!?本当に!?なら是非ご一緒s…ユミル「なら私がっ!付いて行ってやるよ!クリスタ!」ギロッ

アルミン「ッ!?」

クリスタ「じゃあ三人で一緒に行きましょうか!」

アルミン「それもそうだね…」アハハ

レオン「(任せろ!)…あぁ~ユミルは俺に付き合わねぇか?」

ユミル「やだね」

レオン(即答かよっ!)

クリスタ「ッ!…ユミルッ!私は平気だからレオンと行ってきなよ!」

ユミル「ダメだ!何かあったらどうする!?」

レオン「まだこちらの動きは漏れてない筈だし、大丈夫だろ…?それに…自由に歩ける日もそう多くないかもしれないんだぜ?」

ユミル「…アルミンじゃお前を守れるとは思えねぇ」

アルミン「うっ…!」グサッ

ミカサ「アルミンなら心配いらない…。アルミンは何時だって正解を知っている」

エレン「そうだぞ!アルミンを馬鹿にするなよっ!」

ユミル「いや…そういう問題じゃねぇんだよ!」

レオン「まぁまぁ…。じゃ途中まで一緒に行くってのはどうだ?街中まで行ったら別れると…。それなら安心だろ?」

クリスタ「私だって子供じゃないんだから大丈夫だよ!」

ユミル「…チッ!分かったよ!」

レオン「なら着替えたら門に集合でいいか?(やったぜ!今日でキメるっ!!)」

クリスタ「うんっ!」

アルミン「分かった!」

~~~~~~~~~~
ートロスト区 大通りー

レオン「いやぁ~!街なんて久しぶりに来たよ!」

アルミン「レオンはあまり出かけなかったもんね」

クリスタ「ところでアルミンは今日は何買いに来たの?」

アルミン「(ッ!しまった…何も考えてない…)いや…ノートとかちょっと買って行こうかなって!」ハハッ

レオン「アルミンはクリスタと街に来たかったんだよ」

クリスタ「えっ!?//…そうなの?//」

アルミン「ちょっとっ!レオン!?何言ってるのさ!?」アセッ

クリスタ「…アルミンは私と出かけるの嫌だったの…?」

アルミン「そんな訳無いじゃないかっ!その…すごく楽しいよ//」ゴニョゴニョ

ユミル「ケッ!何をムニャムニャ言ってんだよ!」ゲシッ

アルミン「あいたっ!」

クリスタ「ッ!!なんて事するのよ!平気?アルミン?…もうここまででいいでしょ!私達は買い物してくるからっ!帰りは夫々帰りましょ!!…行こっ?アルミンッ!」プイッ

ユミル「おいっ!クリスタ!」

レオン「…ドンマイ!」ポンッ

ユミル「…………」ガスッ

レオン「アタッ!…そんな怒んなよ…。気を取り直して俺達も街見て歩こうぜ?」

ユミル「ったく…クリスタもあんな奴の何処がいいんだ?」

レオン「アルミンは優良株だろ?頭はスゴイいいしな!」

ユミル「それだけじゃねぇかっ!」

レオン「大丈夫だって!そうカリカリすんなよ?折角のデートだろ?」ニヤリ

ユミル「あ?デートだ?じゃ私は帰らせてもらうぜ!」クルッ

レオン「ちょっ…!待てって!そりゃ無いだろ?俺は凄く楽しいのに!」ガシッ

ユミル「…はぁ…。分かったから離せよ…。じゃ取り敢えず茶屋にでも行こうぜ?」

レオン「おぅ!」

~~~~~~~~

ー訓練兵団書庫ー

マルコ「……………」ペラッ

アニ(居た…マルコ…)

アニ「あ~…ここ…いいかい?」スッ

マルコ「あぁアニ。勿論っ!」ニコッ

アニ「…珍しいね…。アイツと一緒に居ないのは…」

マルコ「…ジャン?今日は多分家に帰ってるんだと思うよ?…それよりも…アニも珍しいね。僕に話し掛けてくるなんて」

アニ「そう?…実はあんたに話しておきたい事があってさ…」

マルコ「俺に?何かな?」

アニ「この間の…レオンの話なんだけどさ…その…あんたは向こうじゃ死んじまったって話だろ…?」

マルコ「あぁ~…そうみたいだね…。もしかして話ってそれ?」

アニ「あぁ…あんたが死んだのは…多分私のせいだから…ずっと謝ろうと思ってたんだ…」

マルコ「う~ん…。でも正直あの話もイマイチ…こうピンと来ないんだよね…。実際俺は生きてる訳だしね」

マルコ「だから…アニもそんなに自分を責めないで欲しいな」

アニ「…でも…私達のせいで何人も死んだ…!使命の為とは言え…」

マルコ「…アニは…まだ俺達を殺そうとか考えてるの?」

アニ「ッ!?そんなわけ無いじゃないか!」

マルコ「なら…今の所はそれでいいんじゃないか?俺達だって急に君達を許せるかって話だけど…取り敢えず今は俺達が生き延びる事が先決だろ?」

マルコ「ライナーとベルトルトは言ってたよ…。この争いが終わっても自分達が憎ければ殺してくれって…そこまでの覚悟が有る奴らなら
…少しは信じられる…!だからアニもそこまで考えてくれているのなら、俺達の為に力を使って欲しい!」

アニ「…ありがとう…!マルコ」グスッ

マルコ「俺達は憲兵団だ…。明日から宜しくね!アニ!」ニコッ

アニ「あぁ!宜しく!」

~~~~~~~~~
ー屋台通りー

ユミル「大体…デートならまともな予定を考えておけよ!」モグモグ

レオン「…それは失礼しました(何言ってやがる!たらふく買わせやがって…!)」

ユミル「あ?なんか不満そうだな…?」

レオン「ッ!?そんな事は有りませんよ!?ユミルに喜んでもらえて至極幸せさ!」キリッ

ユミル「…まぁ私もそんなに…嫌じゃなかったしな…」ボソッ

レオン「えっ?何だって?」

ユミル「何でもねぇよ!…それよりこれからどうするんだ?」

レオン「う~ん…。そうだなぁ(これは…死亡フラグをへし折るチャンス!)」

レオン「少し…あそこの椅子に座って休憩しないか?」スッ

ユミル「随分年寄りクセェな…。まっ!それでもいいか」

レオン(いい感じに持ち込んで…キメてやる!そうすれば死亡フラグは粉々だっ!…緊張してきたな…)

ユミル「何ボケっとしてんだ?早く座れよ」

レオン「あっ…あぁ!」スッ

ユミル「しかし…こうして見てみると信じられねぇよな…これから戦争かもなんてよ…」

レオン「アルミンも同じ事を言ってたよ…。俺達が明日を生きる為に犠牲にしなくちゃいけない物って…どれ位有るんだろうな…」

ユミル「…そんな事考えても仕方がねぇだろ?やれる事をやるしかねぇよ!自分達が生き残るために」

レオン「分かってるさ…戦わなくちゃ勝てねぇからな!ところでさっ…」
ユミル「あ?何だよ?」

レオン「俺はまだまだ子供だからさ…。何かをやる時にはつい対価を求めちまうんだよな…」

ユミル「知ってるよ!んな事はよ!ずっとそうじゃねぇか!」

レオン「だから…三年前のあの約束を…前借りしたいんだけど…?」ニヤッ

ユミル「……はい?何の事だよ?(三年前…?…ッ!まさか…!)」

レオン「またまた~!惚けちゃってぇ~!最後まで相手してくれるんだろ?」キリッ

ユミル「~~ッ!もう時効だろっ!?それに…私みたいな奴とじゃなくてだな…その…」ゴニョゴニョ

レオン「俺は大マジだぜ?ユミルがいいんだよ!って言っても…お前が嫌なら無理強いはしないさ…」

ユミル「はぁ…。その言い方は卑怯だぞ?でもまぁ…クリスタが笑って暮らせるかも知れない情報が…私の体で済むなら安いもんだな!」ニヤッ

レオン「…じゃあお前は…ユミルは笑えないのか…?」

ユミル「はぁ?何でいきなり私のh…レオン「俺はっ!」

ユミル「ッ!」ビクッ

レオン「俺は…ユミルも笑ってられる世界にしたいんだ…!なぁ…クリスタに何やかんや言ってる割に…お前も少し自虐的過ぎないか?」

ユミル「ハッ…!私はクソみたいな人間だからな…アイツさえ幸せならそれでいいんだ!」

レオン「それがクリスタの不幸になってもか?…少し考えれば分かるだろ?お前が幸せじゃないのに、自分が喜べる様な器用な人間じゃ無いだろ!クリスタはよ!?」

レオン「…お前は自分の命を軽視してる嫌いがある…クリスタと同じだろ?お前自身も守るべき一人の人間だ!」

ユミル「…私は汚い人間なんだよ…!生きる為に何だってやった!だから…」

レオン「お前には楔が必要だな…!簡単に命を投げ出さ無い様にだ!」グイッ

ユミル「ッ!?おいっ!そんなに引っ張んなよ!何処行くんだっ!?」

レオン「宿だ」

ユミル「はぁ!?ちょっ…ちょっと待て!さっき無理強いはしないって言ったろうがっ!」

レオン「お前には俺の想いを乗せる…。そして…俺はお前の想いを背負う!…そうすりゃお互い簡単には死ねないだろ?」ニヤッ

レオン「どうしても嫌なら…この手を振り切って逃げてくれよ…。そしたら俺はそれ以上は追わないよ」

ユミル「……だから…その言い方は卑怯だっての…」グスッ

~~~~~~~~
ー宿ー

レオン「ってカッコつけたはいいが…。いざとなると…緊張しますね?//俺…その…初めてですし…」

ユミル「…私だってそうだっての!//後その敬語止めろっ!」

レオン「えっ!?ユミルもそうなの?…いやぁ…姉御肌だからてっきりね…//」

ユミル「とっ…取り敢えず!風呂入ってくる!」ダッ ガチャッ

レオン(いやぁついにここまで来たぜ…!しかしマジでどうするかな…。…あっ!一緒に風呂入ろう!)ニヤリ

ー風呂場ー

ユミル(マジで来ちまった…。でも…不思議と嫌な気持ちはしねぇな…やっぱ私はアイツの事…)
ガラッ

ユミル「ッ!?」

レオン「やっほー!…来ちゃった…//」

ユミル「来ちゃったじゃねぇよ!//」バッ

レオン「別に隠さなくてもいいだろ?どうせ全部見るんだし…//」スッ

ユミル「そういう問題じゃっ~~~ッ…!ぷはっ!」ガバッ

ユミル「いきなりキスすんなよっ//」バシッ

レオン「イテッ…!でもさ…お前の口唇は止めろなんて言わなかったぜ?…お前の口唇とお前の言葉…どっちを信用すればいいんだ?」ニヤッ

ユミル「~~ッ//私は先出るからなっ!」バッ

レオン「は~い!」

レオン(よしっ!…いつもより念入りに洗っておかないとな!)ゴシゴシ

ーベッドー

ユミル(結構生きてきたが…こんなに緊張するのは初めてかもしれん…)
レオン「ユミル?」ギシッ

ユミル(来たっ!)ガバッ

レオン「そんなに勢いよく隠れなくてもいいだろ?…入るぞ?」スッ

ユミル「……あぁ」

レオン「よっ…と。なぁ抱きしめていい?」スッ

ユミル「ッ!」ビクッ

レオン「暖かいな…しかも…柔らかいし」ギュッー

ユミル(ヤバイ…!心臓の音が聞こえてるかもしれねぇ!)ドキドキ

レオン「なぁ…俺の心臓の音聞こえるか…?今ヤバイ位に高鳴ってるよ…」

ユミル「…私もだよ…。同じ事考えてた…」ハハッ

レオン「…こっち向いてくれよ」

ユミル「……」スッ

レオン「お前の想いは俺が受け取る…だから俺の想いも受け取ってくれ…」スッ

ユミル「あぁ…分かったよ…」スッ
―――――
――――
―――

レオン「そろそろ戻るか…?配属兵科の聞き取りがあるしな」

ユミル「あぁ…そうだな!」

レオン「あの…ユミル?…ありがとな…!凄く良かったよ…//」

ユミル「あ…あぁ!私も…その…良かったよ//」

~~~~~~~
ー屋台通りー

レオン「クリスタ達はもう帰ったのかな?」

ユミル「どうだかな…。帰ったら謝らねぇと…」

レオン「まぁそんなに落ち込まなくてもいいんじゃ…ん?」

アルミン「…………」

クリスタ「…………」

ユミル「おぉクリスタ!さっきは悪かったよ…アルミンも…!だからそんなに怒るなって!」

クリスタ「えっ!?べっ…別に怒ってないですよ?ねぇ?」アセッ

アルミン「うんっ!そうだよ!怒ってないですよ?ユミルさん」アセッ

ユミル「…お前らどうしたんだ?」

レオン「俺達が宿から出て来たのを見ちまったのかも…」ボソッ

ユミル「なっ!?…クリスタ?何か見たのか…?」

クリスタ「なっ何も見てないよ!?安心して?」

アルミン「うんっ!僕は口は堅いから!…あっ!」

レオン「やっぱり…」

ユミル「…いや…。誤解…だぞ?別にあそこで何かした訳でも無いしよ?」アセッ

アルミン「そうだよねっ!そういう事にしておこうよ!クリスタ!」

クリスタ「そうよね!何も見なかった事にしましょう!」

ユミル「ちょっ…分かってねぇじゃねぇか!」

レオン「まぁいいじゃねぇか!隠す様な事でもねぇだろ?」ハハハッ

ユミル「ハハハじゃねぇよ!」ゲシッ

レオン「あいた!」

アルミン「それよりそろそろ帰らないと…。新兵勧誘式があるみたいだしね!」

クリスタ「そうね!帰りましょ?」
――――
―――
ー訓練兵団 壇上前広場ー
ザワザワ

エレン「おっ!アルミン達が帰ってきたぞ?」オーイ

アルミン「やぁエレン!間に合ってよかったよ」フゥ

ミカサ「クリスタとユミルもおかえりなさい」

クリスタ「ただいま!ミカサ!」

ユミル「おう!」

レオン「走ったら疲れたな…」ハァ

アルミン「…まぁレオンは体力使ったしね…」クスッ

レオン「…お前ひょっとして性k…アルミン「あっ!調査兵団のスミス団長が出て来たよっ!」

レオン「いや聞けよ」

団長「私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス。調査兵団の活動方針を王に託された立場にある」

エルヴィン「毎年、調査兵団入団希望者が少ない為にこうして勧誘の時間を貰っている訳だが…率直に問う!人類の為ならば命を懸けられる!人類の自由の為に心臓を捧げられる!という者はここに残ってくれ!」

エルヴィン「隠したりはしない!我々は犠牲が他の兵団よりも圧倒的に多い!壁外調査に出れば…およそ半分は死ぬだろう!それでも!共に自由を勝ち取る為に心臓を捧げられるという者は…我々と共に戦おう!以上だ…他の兵団希望者は解散してくれ」

レオン「じゃあな!また後で!」

エレン「おう!」

アルミン「またね!クリスタとユミルも!」

クリスタ「うん…お願いね!」

ユミル「うっかり死ぬなよ?」

エレン「へっ!誰に言ってやがんだ?」

サシャ「……………」グスッ

コニー「……………」グスッ

ユミル「おいレオン!…サシャとコニー…泣いてるぞ?」ハァ

レオン「…団長の話が利いちまったか…?」

エルヴィン「……君達は…死ねと言われたら死ねるのか?」

コニー「じにだくありまぜん!!」グスッ

エルヴィン「そうか…。皆いい表情だ…。では!ここに居る者を新たな調査兵として迎え入れる!これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」バッ

一同「ハッ!」バッ

エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた…君達を…心より尊敬する!」
――――
―――

駐屯兵「駐屯兵団志望の者はこっちだ!これよりピクシス指令よりお話がある!」

レオン「だってよ!行こうぜ!」

ユミル「あぁ」

クリスタ「うんっ!」

ザワザワ
指令「注目っ!」
シーン

指令「ワシが駐屯兵団指令、ドット・ピクシスじゃ!明日よりお主らには駐屯兵として、壁の防衛や街の治安維持の任に就いてもらう!」

ピクシス「調査兵の様に壁外に行く訳でも、憲兵の様に王に仕える訳でもないかもしれん!だが!我々が壁や、街の防衛を行っているからこそそれらの兵団も活動出来るのだ!それを胸に刻み明日からの任務に当たって欲しい!以上!解散っ!」バッ

一同「ハッ!」バッ

ユミル「中々良い事言うオヤジじゃねぇか!」

クリスタ「ちょっと!ユミル!?オヤジじゃないでしょっ!」

レオン「まぁ噂通りの人なのかな…?」

ハンネス「おっ!いたいた…。レオンッ!」

レオン「ッ!ハンネス隊長!?」バッ

ハンネス「…例の件で指令が呼んでる…。付いて来てくれ」ボソッ

レオン「了解です!」

レオン「ユミル!クリスタ!先に行ってくれ!」

クリスタ「うんっ!じゃまた後でね」

ユミル「おう」
――――
―――

ー駐屯兵団本部ー
-指令執務室-

ハンネス「失礼します!」バッ

レオン「失礼します!」バッ

ピクシス「おぉハンネス!ご苦労じゃったな!」

ハンネス「ハッ!」

ピクシス「お主がレオンじゃな?」

レオン「ハッ!レオン・パルマーと申します!」

ピクシス「そう固くならんでもいいぞ?楽にせい」

レオン「有難うございます!」

ピクシス「さて…お主に色々と聞きたい事があっての…。今エルヴィンも来ると思うんじゃが…」

エルヴィン「失礼します!」バッ

ピクシス「丁度良い所じゃな!…さてと…何から聞いた物かの…」

エルヴィン「一体どの様なお話でしょう?指令自ら私にお話しなど…」

ピクシス「いや…実はの…。ではお主の口から直接説明してもらおうかの…」

レオン「ハッ!では…スミス団長…これから話す事は事実であり、この世界が向かうであろう未来の話です…」

エルヴィン「…聞かせてくれ…」

レオン「ハッ!実は…」
――――――
―――――
――――
―――
――


レオン「~~~という訳なんです…」

ピクシス「ふむ…どう思う?エルヴィンよ」

エルヴィン「俄には信じられませんね」

レオン(くっ…!そりゃそうだよな…)

ピクシス「お主が別の世界の人間で…この世界の行末を知っておると…」

エルヴィン「…そもそも壁外にもまだ人類が生息していて…壁外の人類が我々の滅亡を企てている…か」

レオン「…そうです…。我々はその最悪の世界を変える為に準備してきました!…しかし我々だけではとても手に負えません…!ですから兵団の力をお借りしたいのです!」

ピクシス「…お主が言っておる事は…最早小説に出てきそうな内容じゃな」

レオン「…くっ…!分かっています!しかし!…ピクシス「だから無下には出来んな」

レオン「えっ…?」

ピクシス「そのような内容だからこそ、お主が嘘をつく理由が見当たらん」

エルヴィン「えぇ…。しかし全てを信じるのもまた難しい話ですね…」

ピクシス「そうじゃのぉ…。その巨人化出来る人間は何人おるんじゃ?」

レオン「私の知る限りでは五人居ます」

ピクシス「ほぉ…。それで…先程の壁を壊した巨人もその中に含まれておるんじゃな?」

レオン「はい…」

ピクシス「お主は…この世界が壁が壊され…ようやく偽りの平和から目が覚めたのは知っておろう?偽りとはいえど人類にとってはかけがえの無い物だった訳じゃ…」

ピクシス「その元凶と言える者達の力を使う事には何も感じんのか?…大きな力には大きな責任が伴う…。幾ら壁が壊されたとはいえ、まだ目が覚めておらん連中の方が多いんじゃぞ?」

エルヴィン「君の話を真実だと仮定しても…壁を壊した巨人が一緒に戦ってくれます!などと言った所で誰が信じるという話になってしまうな」

レオン「…それは分かります…。ですが…!我々はやらなければなりません!生き残る為にっ!壁内で争っている間に攻めて来られれば一巻の終わりですよ!?」

レオン「確かに…ここは私の世界ではありませんが…。私には守りたい人間が居ます!そして…未来を知っている私がこの世界に送られたのも…これが使命だからと感じています!」

ピクシス「ふむ…。お主の言っておる事は分かった…。元よりまともなやり方では勝ち目のない連中じゃ…!人類が勝利出来るなら…手段は選んでおれん!」

エルヴィン「そうですね。しかし…憲兵団やウォール教は黙っていないでしょう」

ピクシス「うむ…。問題はそこなんじゃよ…レオン…。この世界は力のバランスがおかしくての…貴族等の問題もある」

レオン「はい…。ですが先程も申し上げた通り、内地に内通者が居る可能性もゼロではありません…。私達の仲間に何名か憲兵団に行ってもらい探ってもらう手筈ですが…」

エルヴィン「…敵が何処に居るのか分からない状態だな。新兵が探った所でボロは出さんだろう」

レオン「えぇ…。その可能性の方が大きいです。…もし私の事を信用して下されば、巨人化出来る人間をお教えします。…これは私の保険ではありません!万が一にも…あの力を人類が失う訳にはいかないのです!謂わば…人類の保険と言っても過言ではありません!」

ピクシス「成る程の…。何とも突飛な話じゃが…人間の真意位は理解出来るつもりじゃ…。お主が嘘を吐いてる様にも見えんし、その理由も無いしの…。エルヴィン?お主はどうじゃ?」

エルヴィン「信じ難いと言えばそうですが…やはり彼が嘘を吐く理由もありません。それに…巨人化出来る人間が味方ならその力を利用するべきです!どちらにしても…殺す事もままならないのですから」

ピクシス「そうよの!…さて…今度はお主に信用してもらうぞ?」

レオン(流石は人類の碩学だな…この二人に話してよかった…)

レオン「ハッ!有難うございます!…力を持った人間は…104期の中に居ました…。先程の五人の中で…敵勢力のスパイとして送り込まれて来た人間は三人です」

エルヴィン「他の二人が違うという根拠は?」

レオン「一人は壁外の国の統治者の血筋だった様ですが、戦争が原因で自らの命を捧げるしか無かったそうなんです…。その時に偶然にも敵の巨人化の力を手に入れて生き延びた…。」

レオン「そして偶々彼らが攻めて来た時に乗じて壁内に侵入出来た…。折角人間に戻れたんですから、わざわざ危険を冒す理由も無いでしょう…」

レオン「そして先程の壁外の戦争の構図を教えてくれたのも彼女ですし…仮に敵ならする理由がありません!」

ピクシス「ッ!?彼女とは…女か?…どうじゃ?綺麗じゃったか?」

レオン「…巨人化の状態を見た事が無いので分かりません…」

ピクシス「そうか…残念じゃな…」

レオン「(…マジでまんまなのな)…そしてもう一人はそもそもまだ能力に気付いていません!」

エルヴィン「成る程…。では何故君は知っているんだい?」

レオン「私の知ってる未来は今とは少し異なります…。もっと言えば…未来を…我々で変えたんです!」

エルヴィン「未来を変えた?」

レオン「本当ならば…。本日…超大型巨人によって壁が壊される筈でした…。その際に彼は巨人喰われます…。そして…その時に巨人の力に目覚めました」

レオン「しかし、こちらの世界では…訓練兵時代に彼らと話し合い、味方に付ける事に成功しました。なので今日破壊される筈だった壁も無事な為、まだ能力に目覚めていない状況です」

エルヴィン「ふむ…。成る程な。得心がいったよ」

レオン「彼らも被害者だったのです…大人に良いように利用されてしまった…。向こうの国では反壁内教育が凄いらしいんです…。だから自分達のやる事は正義だと本気で思っていたと言っていました」

レオン「しかし…!実際は聞いていた様な事は無く相当戸惑った様です…。だからと言って許される訳ではありませんが、せめてその力で贖罪しないか?と持ちかけたんです」

ピクシス「成る程の…。もう既にこの世界はお主に一度救われている訳じゃな…?」

レオン「…その能力を持っている五人は…調査兵団に行ったエレン・イェーガー、ライナー・ブラウン…憲兵団にはアニ・レオンハート、ベルトルト・フーバー、そして駐屯兵団にはユミル・プリミーティブ…。この五名です」

エルヴィン「ユミル…?ハンジが言っていた…?」

レオン「そうですっ!恐らくイルゼ・ラングナーの手帳に書かれていたユミルの民とは、先程のユミルの話に通じると思われます!」

レオン「そして壁を壊した敵勢力として入ってきたのは…ライナー・ブラウンが鎧の巨人、ベルトルト・フーバーが超大型巨人、アニ・レオンハートが女型の巨人…っと言っても彼女はまだこちらの世界じゃ巨人化していませんが」


エルヴィン「成る程…。しかし随分戦力がバラけているな…?」

レオン「これも一応考えて決めました。今後の戦いでは先ほど申し上げた、二人が鍵になってくると思われます。そして先程の[座標]がエレン・イェーガーである可能性が高いのです」

レオン「そして…壁の秘密を知る権利が有る人間が…今期、駐屯兵団に入団したクリスタ・レンズです。本名がヒストリア・レイス…あのレイス家の令嬢です」

レオン「なので本当はイェーガー調査兵にも駐屯兵団に来てもらいたかったのですが…。仕方が無いので、護衛として巨人化出来るブラウン調査兵に入団してもらいました」

ピクシス「まさかレイス家が絡んでくるとはの…」

エルヴィン「ふむ…。では調査兵団としてはエレン・イェーガーを優先的に保護しなければならないな…」

レオン「出来ればそう願いたいです…。今期の成績上位陣は、ほぼ調査兵団ですが…兵団を上げて保護してくれれば…!イェーガー調査兵や、レイス駐屯兵を敵の手に渡す訳にはいかないのです!」

ピクシス「それでお主と…ユミル駐屯兵がヒストリア駐屯兵の護衛か…」

レオン「そうです!」

エルヴィン「事情は分かった…。ピクシス指令。この一件は私が預かってもよろしいですか?…王政等も絡んでくるとなると…万が一に備えて矢面には私が立ちます!」

ピクシス「そうか…。では頼んだぞ!スミス団長!パルマー駐屯兵!」

エルヴィン「ハッ!」バッ

レオン「ハッ!」バッ

エルヴィン「レオン…。一度この話を知ってる者を集めたいと思う。まぁ憲兵団の者は厳しいかもしれんが…他に知っている者は居るか?」

レオン「今期の成績上位者を除けば、私とレイス駐屯兵、そしてアルミン・アルレルト調査兵のみです!」

エルヴィン「分かった…。一度その人間を集める…また連絡する」ポンッ

レオン「ハッ!」

エルヴィン「では指令また後ほど!」バッ

レオン「失礼します!」バッ

ピクシス「うむっ!」バッ

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団 宿舎ー

レオン「えっと…俺の部屋は…っと…ここか」ガチャッ

レオン(あれ?同室の奴は居ねぇのか…まぁラッキーか…。今日は疲れた…もう寝よう)ボフッ
―――――
――――
―――
ー翌朝ー
-駐屯兵団 食堂-
ザワザワ

クリスタ「あっ!レオンおはよー!」

ユミル「おぉ~」

レオン「二人共おはようさん!」

ユミル「で…?昨日はどうだったよ?」

レオン「指令と団長には一通り話したよ…。一応信用してくれたみたいだな」

クリスタ「良かった…。じゃあ兵法会議は避けられそうね!」

レオン「いや…。それはまだなんとも言えないな…」

ユミル「まぁ指令と団長が居りゃなんとかなるだろ?」

レオン「そう願いたいね…。多分後で団長から召集が掛かると思う」

クリスタ「私達に?」

レオン「あぁ…。この話を知ってる人間に改めて話を聞いておきたいらしい」

ユミル「成る程ね…。憲兵団の奴らは難しいだろうがな…」

レオン「団長もそれは言っていたよ。まぁ仕方が無いだろう」

クリスタ「いよいよ動き出したね…。頑張ろうねっ!」

ユミル「そうだな!クリスタは絶対に守るからなっ!」

レオン「じゃついでに俺も守ってくれっ!」ニコッ

ユミル「さてと…。新兵は先ず上官との顔合わせだったな…?行こうぜ」

クリスタ「うんっ!」

レオン「…いやさらっと流すなよ…」

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団 訓練場ー

上官「俺が班長のアドルフだ!我々の班の主な任務は街の浄化…所謂治安維持だ!なのでこの班では特に対人格闘に重きが置かれることになる!」

ユミル「やったじゃねぇか…。お前の唯一の取り柄だもんな?」ニヤッ

レオン「うっ…うるせぇ!俺だって本気出せば何だって出来るわい!」

クリスタ「ちょっと二人共っ!?止めなよ!」

アドルフ「…ほぉ。貴様ら随分元気がいいな?…よしっ!先ずはお前らからだ!前へ出ろ!」

ユミル「(チッ!面倒くせぇ)ハッ!」

レオン「(…何で俺まで…)ハッ!」

アドルフ「先ずは女!お前からだ!名前は!?」

ユミル「ユミル・プリミーティブです!」

アドルフ「よぉ~し…ユミル!私から一本取ってみろ!」

ユミル「…分かりました!(ぶん殴ってやる…)」ザッ

アドルフ「(ほぉ…中々早いじゃないか…だが!)甘いわっ!」バシッ

ユミル「ぐっ!」ドサッ

アドルフ「何をしている!?早く立たんか!」パンッ

ユミル「ッ!?(叩きやがった!?)」

アドルフ「敵に倒されたまま何時まで寝てるつもりだっ!そんな事してる間に殺されるわっ!」バキッ

ユミル「ぐっ!」

クリスタ「ユミルッ!?」

レオン(ヤロォ~…!あそこ迄やるか?)

上官1「始まったよ…。アドルフさんは訓練となると人が変わるからな…」
上官2「えぇ…。この間も…あれで謹慎食らってましたもんね」

アドルフ「立てっ!早く立たんかっ!」バシッ

ユミル「ハァハァ…。(立つ側からお前がひっくり返すんだろうが!)」ヨロッ

アドルフ「フラフラだが大丈夫か!?そんな事で市民が守れるのか!?貴様は女だ…。女兵士がやられた後に何をされるのかは…想像に難しくないだろう?」ニヤッ

ユミル「チッ!」ハァハァ

クリスタ「酷い…!あんな言い方っ!」

上官「アドルフさん!もういいでしょう?また謹慎食らいますよっ!」

アドルフ「…フンッ!もう下がれ!鍛え直しておけよ?新兵!私の班に雑魚はいらんっ!」

ユミル「ハッ…!(いつかぶん殴ってやる!)」ヨロッ

クリスタ「ユミルッ!?大丈夫?」

ユミル「あぁ…。平気さ…どうってことねぇよ」

レオン「お疲れ!…まぁ見てろ…」ボソッ

アドルフ「今度は貴様だ!早く出てこんかっ!」

レオン「ハッ!レオン・パルマーです!宜しくお願いします!」

アドルフ「レオンか…。さっきの奴の様にガッカリさせるなよ?」

レオン「行きますっ!」バッ

アドルフ「(フッ…。幾分マシか…?)まだまだぁ!」バシッ

レオン(掛かった…)グイッ

アドルフ「ムッ!?(何だ?腕を引かれたっ!?)」グラッ

レオン「(少し寝てもらいますよ?上官殿…)オラッ!」ドグッ

アドルフ「…がっ…」ドサッ

ユミル「あのバカッ…!上官落としやがった!」

上官1「ッ!?何だ?急に倒れたぞ?」

上官2「何をした!?レオン!」

レオン「少し打撃を加えただけですので、直に目覚めると思いますよ?」
上官1「…我々は班長を医務室に運ぶ!それまで各々組手をしていろ!(班長を一撃で?何者だアイツは…)」

一同「ハッ!」

レオン「ユミルさん!見てました?僕の活躍!」

ユミル「……オマエ馬鹿だろ!?これじゃ上官に目を付けられたかもしれねぇぞ!?」

クリスタ「でも…私は少しスッとしたよ…?」ボソッ

レオン「だって…腹立ったんだもん…」

ユミル「…ハァ…。まぁ何だ?…ありがとな…?//」ボソッ

レオン「ッ!おうっ!」

同期「君スゴイねぇ!上官を一発で倒しちゃうなんて!」

レオン「ん?まぁまぐれだよ?運が良かった」

同期「君が居ればこの班は平和だね!」

ユミル「ハァ…。こいつが一番問題かもしれねぇぞ…」ボソッ

クリスタ「ん?今何か言った?」

ユミル「何も言ってないさ!」

~~~~~~~~~
ーカラネス区ー
-兵団合同会議所-

エルヴィン「今回の議題は今話した通りだ」

ナイル「…は?…何を言っているんだ?エルヴィン!そんな滅茶苦茶な事言われても訳が分からんぞ!?」

エルヴィン「すまない…。何処がどの様に分からないんだ?詳しく説明しよう」

ナイル「…急に兵団会議を申し立てて来たと思えば…。全てにおいて言っている事が分からないと言っているんだ!」

エルヴィン「そうか…。ではもう一度最初から詳しく話すか…」

ナイル「そういう事を言っているんじゃない!」バンッ

ピクシス「まぁそう興奮するでない…。ナイル師団長」

ナイル「指令はこの馬鹿げた話を信じるのですか?…これは国家を揺るがす行為だ!貴様…この国を転覆させるつもりかっ!?」

エルヴィン「逆だ。ナイル…。この国を守る為だ!来たる大戦に備えて我々は進撃を開始するべきだと言っているんだ!」

ナイル「…何を言っている…?遂に気でも触れたか…?壁外の人類が攻めてくるから先に攻め入る?…壁の巨人を復活させようとする動きがある?…そんな話を鵜呑みになんて出来る訳が無いだろっ!?」

ピクシス「しかし我々がまごついている間にも針は動いておるぞ?」

エルヴィン「…何故納得出来ないか教えてくれ。そこをしっかり説明する準備が有る」

ナイル「何故だとっ!?ならば何故貴様はそんな事を知っている?そもそも壁内に巨人が居ると分かっていながら何を呑気なことを言っている?…答えによっては兵法会議に召喚しなければならないぞ?」

エルヴィン「…今の兵士の中に居世界からこの世界にやってきた人間が居る。その人間は…この世界の未来を知っている人間だった」

エルヴィン「その人間は…『未来を知る自分がこの世界に飛ばされて来たのは、この世界を救う為だと思う』と言って協力を申し出てきてくれたのだ」

ナイル「…そんな三文小説の様な話を信じたのか?お前は本当にどうかしているぞ!?…まさか指令も信じている訳ではありませんよね…?」

ピクシス「しかしのぉ…奴が嘘を吐く理由もあるまい?」

エルヴィン「自分の命を危険に晒してまで嘘を吐く理由は何だ?ナイル」
ナイル「…そんな事は分からん!しかし…そんな奴の戯言に付き合ってなどいられないだろ!」

エルヴィン「戯言などでは無い!…我々が知らない所で…彼はこの世界を救っている…。巨人を味方に付ける事に成功したのだ!」

ナイル「何だと…?では壁を壊した巨人に助けてもらおうと言うのか!?…もう俺では話にならない様だ…。エルヴィン!その人間を兵法会議に召喚する!国家を転覆させんとする反乱分子だ!内乱罪で壁外追放を請求する!」

ピクシス「マズイぞ…。奴は本気の様じゃぞ?」ボソッ

エルヴィン「落ち着け…ナイル。折角差した希望の光を遮るつもりか?」

ナイル「…希望だと?…笑わせるな!破滅の光だ!ともかく!その人間に伝えておけ!」ガタッ
バタンッ

エルヴィン「…ふぅ。弱りましたね…。あそこ迄怯えるとは…」

ピクシス「まぁ仕方あるまい…。奴も貴族と兵団に板挟みじゃ。そのプレッシャーも相当な物じゃろう…。しかしどうする?もしダリスが非とした場合は…」

エルヴィン「…ザックレー総統は人類に利があれば受け入れる筈です。何としても彼を…そして…彼のもたらした情報を利と認めて頂くしか無いでしょう」

ピクシス「全く…。この狭い箱から出られるかも知れんというのに…。それだけで命を懸ける理由は十分じゃ…」

エルヴィン「えぇ…。今この狭い壁の中で争っている場合ではありませんからね…。ともかく私はこの件を伝えておきます。今日召集を掛ける手筈でしたから」

ピクシス「そうか…。頼んだぞ!」

エルヴィン「ハッ!」バッ

―――――
――――
―――
ー調査兵団本部ー
-会議室-

アルミン「何だか…たった一日なのに久しぶりの様な気がするね!」

ライナー「同感だ…元気だったか?お前等!」

レオン「バリバリよ!」

ユミル「ぼちぼちだな」

クリスタ「勿論っ!皆も元気だった?」

ライナー「元気だぞ!(結婚したい)」

エレン「俺も元気だったぜ!」

ジャン「へっ!お前は元気過ぎるんだよ!」

エレン「何だとっ!?」

ミカサ「止めなさい。訓練兵団を卒団しても変わってない…」

サシャ「でも変わらないのは大切な事ですよ?」モグモグ

コニー「…お前それ何処から持って来たんだ?」

レオン「いやぁしかし皆元気そうで良かったぜ!」

ユミル「一日で元気無くなる奴なんて居ねぇよ…」

クリスタ「…結局憲兵団の三人は来れないのかな…?」
ガチャッ

アニ「間に合ったみたいだね…」

マルコ「ふぅ…。アニは馬術も上手なんだね」

クリスタ「あっ!来た!…丁度話をしてた所なの!」

ユミル「ん?ベルトルさんは?」

マルコ「ベルトルトは丁度貴族の警護が入っちゃってて…」

レオン「そうか…。じゃあベルトルトにはマルコから伝達してくれ」

マルコ「分かったよ」
ガチャッ

エルヴィン「待たせてすまない」

一同 バッ

エルヴィン「直ってくれ…。」

一同「ハッ!」

エルヴィン「今日集まってもらったのは他でもない…。レオンがもたらした情報についてだ。君達にはいくつか確認したい事がある」

エルヴィン「先ずは一番大事な所だ…ライナー・ブラウン調査兵、アニ・レオンハート憲兵、今は居ないが…ベルトルト・フーバー憲兵…。君達は人類の敵か…味方か…そこを確認しておきたい」

アルミン(いきなり核心を突いてきた…)

ライナー「…私はっ…大罪を犯しました…。弁明をするつもりはありません!だからこそ…今はここの人類の為にこの力を使いたいと思っています!私達は子供で…何も知らなかった…。ですが今は違います!自分で考えてこの答えを出しました!」

エルヴィン「……………」

ライナー「ただ…私達がやった事が許される事では無い事も分かっています!ですから…この争いが終わったら…処刑して下さって結構です!…フーバー憲兵とも話して決めました!虫の良い話なのは分かっています!ですが…贖罪だけでもさせて下さい…!」

エレン「……………」

ライナー「この心臓は…兵団に預けますっ!!」バッ

エルヴィン「…ほう…。では君は?レオンハート憲兵」

ライナー「ッ!?…待って下さい!アニは…レオンハート憲兵は直接何もやっt…エルヴィン「今は彼女に聞いている」

ライナー「ぐっ…!」

アニ「私も…ブラウン調査兵やフーバー憲兵と同じ気持です…!この力を兵団に…ここの人類の為に使いたいです!…その後は…処刑して頂いて結構です…!」

ライナー「お前っ…!何言って…アニ「いいんだっ!…当然だろ」

エルヴィン「成る程…。では君達は味方と思って構わないな?」

ライ・アニ「ハッ!」バッ

アルミン(どっちにしても…彼らを無理やり殺す方法もない以上…兵団で管理した方が遥かに有意義だ…)

エルヴィン「と…いう事だ。刃を納めろ…リヴァイ、ミケ」

ユミル(ッ!?いつの間にそこに待機していたんだ!?)

レオン(…流石は兵士長と分隊長と言った所か…)

アルミン(…少しでも怪しかったらここで…殺すつもりだったのか…!?)

リヴァイ「…………」ガシャ

ミケ「…………」ガシャ

リヴァイ「勘違いするなよガキども…。俺はお前達を信用した訳じゃない…変な行動を取ればすぐに俺が殺す…!覚えておけ」ギロッ

ライ・アニ「ハッ!」

リヴァイ「ライナーとか言ったか…?テメェは今直ぐにでも項を削ぎ落としてぇ所なんだ…」

ライナー「…ハッ!」

エルヴィン「止めろ…リヴァイ…。彼らの覚悟は伝わっただろう?それに…」

リヴァイ「分かってるさ…。今はそんな事を言ってる場合じゃねぇって事ぐらい…。だからテメェ等…死ぬ気で動けよ…?」

ライナー「ハッ!勿論ですっ!」

エルヴィン「後はエレン・イェーガー調査兵とユミル・プリミーティブ駐屯兵だが…。君達は問題無いのだろう?その心臓は…ここの人類に捧げていると解釈しても?」

エレン「自分は…まだ自分が巨人だという事も分からないんです…」

エルヴィン「その報告はレオンから聞いている…。君がこの先の鍵になるであろう事もな。どちらにしても…君とレンズ駐屯兵は我々が優先的に保護する必要があるとの結論に至っている」

クリスタ「ッ!」

エルヴィン「さて…君はどうだ?プリミーティブ駐屯兵」

ユミル「私も…この力は壁内の人類の為に使います!それに…私には守らなきゃいけない人間が居るんです…!」チラッ

クリスタ「…ユミル…」

エルヴィン「成る程…。まさかこれだけの巨人が壁内に居るとはな…」

アルミン「あの…一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」

エルヴィン「何だ?」

アルミン「…私達は…訓練兵時代にレオンにこの世界の未来を聞かされて結束しました。ですが…兵団はレオンの事をよく知らない筈なのに…何故我々を信用してくれるのですか?」

エルヴィン「フッ…。まるで疑って欲しいような口ぶりだな?」

アルミン「いえっ…!もし…私が逆の立場だったら…一笑に付していたかも知れませんので…」

エルヴィン「まぁ全て信用していると言えば嘘になるが…彼が嘘を吐く理由もないだろう?命を懸けてまでな…。それに…懸命な人間の訴えは分かる。君達もそうだったんだろう?」

アルミン「ッ!?ハッ!失礼しましたっ!(スゴイ…。団長に協力を要請したのは正しかった!)」

コニー「まぁ…」

サシャ「確かにそうですね」

ジャン「…………」

マルコ「…………」

ミカサ「…………」

エルヴィン「これはピクシス指令も同じ考えだよ」

エレン「やったな!レオン!」

レオン「…あぁ」

エルヴィン「しかし…。すまない…レオン。私の力不足で…君の兵法会議召喚が決まりそうだ…。今日兵団会議に挙げたんだが…憲兵団の師団長を納得させる事が出来なかった」

アルミン「そんなっ!?じゃあ…レオンはどうなっちゃうんですか!?」

エルヴィン「憲兵団は内乱罪を適用し…壁外追放を請求するようだ…」

クリスタ「壁外追放って…?」

ユミル「…早い話が死刑だな」

ジャン「ッ!?」

ライナー「俺達の事を救ってレオンが死んでたら意味がねぇじゃねぇか…!」

アルミン「団長!どうにか…どうにか出来ないんですか!?」

エルヴィン「…兵法会議はザックレー総統に全ての決定権が委ねられている。私に出来る事は…レオンの情報が人類にとって利する存在だと証言する事だけだ…。なんとしてもそれを認めてもらうしか無い」

エレン「じゃあ…もし認められなかったら…?」

エルヴィン「憲兵団の請求が通ってしまう」

マルコ「…そんな…」

レオン「いや…!これは逆にチャンスだぞ?」

ジャン「何がチャンスだ!?下手すりゃ…死ぬんだぞ!?」

レオン「まぁそりゃそうだけどよ…。でも総統閣下に意見陳述が出来る事なんてそうは無いぞ?…逆にそこで認められれば格段に動きやすくなる!ってこは…俺達の未来に近付くって事じゃねぇか!」

ジャン「まぁ…そりゃそうかも知れねぇけど…」

レオン「それによ?もし追放されたら…別荘でも作っておくさ!壁外調査の時にお茶でもして行ける様によ?」

アルミン「レオン…」

リヴァイ「分かってるじゃねぇか…。今俺達が喚いた所でどうにもならねぇよ」

レオン「はい…。俺だってこんな所で死ぬ訳にはいかねぇんだ!やってやるさ!」

アルミン「ですが…。レオンの話が認められれば…今度は巨人の存在が問題になるのでは?」

エルヴィン「うむ…。しかしどちらにしてもライナー達を信用する他あるまい?正直な話…無知性の巨人ですら手を焼くんだ。知性巨人を処刑する手段を模索するよりも、その力を有効活用するべきだと訴える!」

アルミン「そうですよね…。ユミルはともかくとして…エレンは何か思い当たる節は無いの?」

エレン「…すまない…。本当に何も……ぐっ…!」ガシャ

ミカサ「エレンッ!?」ダッ

エルヴィン「何だっ!?」

アルミン「発作の様です!…昔を思い出そうとするとこうなるんです…」

エレン「頭が…割れそうだっ…!」
――――――
――――
―――

エレン「止めてよっ!父さんっ!何をする気なの!?」

グリシャ「エレン!腕を出しなさいっ!」

エレン「どうして?!父さんは母さんが死んでおかしくなったんだっ!!」

グリシャ「…この薬は記憶障害が起こる…。だから今話してもダメなんだっ!いいか?エレン…この鍵を見る度に思い出すんだ…!マリアを奪還し地下室に行かなければならない事を!!そこに行けば全てが分かる!」

グリシャ「この力はその時に必要になる!辛く…苦しい道程だが…ミカサやアルミンを助けたいのなら…!この力を使役しなければならない!…腕を出すんだっ!」
――
―――
――――

エレン「ハッ…!ゼェゼェ…」

ミカサ「エレンッ!?大丈夫!?」

エレン「あぁ…。なんとかな…」

エルヴィン「…何か思い出せたか?」

ミカサ「…エレンは昔を思い出そうすると発作を起こすと説明した筈ですが…?」キッ

リヴァイ「あ?だから何だ?…思い出さなきゃならん事なら仕方ねぇだろ?」

ミカサ「……チッ」

エレン「大丈夫だ…ミカサ…。忘れない内に話しておきます」

エルヴィン「辛いだろうが頼む」

エレン「…五年前のマリアが陥落した時に…父に薬を注射されました。その薬には記憶障害が起こる作用が有るらしくて…。今迄忘れていたのはその為だと思います」

アルミン「おじさんは…医者だったからね」

マルコ「でも…その注射は何の為に?」

エレン「…この力はマリアを奪還する時に必要になると言っていました…。ですから恐らく…」

リヴァイ「巨人化の薬か…」

ジャン「…おいライナーッ!巨人化ってのはそういう物なのかよ?」

ライナー「スマンが詳しくは分からん…。俺達も気付いたらこの力を持っていたんだ…」

アニ「あぁ…。いつの間にか使える様になってた」

ユミル「…………」

エルヴィン「もしかしたらライナー達もエレンと同じなのかもしれんな…。しかし父君は何故マリア奪還などと?」

エレン「家の地下室へ行けと…。地下室に行けば全てが分かると言っていました…これがそこの鍵です」

リヴァイ「成る程な…。そりゃ奪還しなけりゃ調べられねぇ」

エルヴィン「うむ…。先ずは兵法会議だが…当面の調査兵団の活動方針は決まったな」

ミケ「これも会議で提案するんだろう?」

エルヴィン「恐らくそうなるな…。ではレオン…日時はまた知らせが来る。それに従ってくれ」

レオン「ハッ!」

エルヴィン「では他の者も解散してくれっ!ご苦労だった」バッ

一同「ハッ!」バッ

コニー「で結局…どうするって?」

クリスタ「…難しい事はレオンやアルミンが教えてくれるよ!」

サシャ「コニーは仕方ありませんね」フゥー

ユミル「そういう芋女はちゃんと分かってんのかよ?」

サシャ「失礼ですね!兎に角頑張ればいいんですよね!?レオン?」

レオン「うん…。まぁそうだな」

アルミン「まぁ君達は秘密兵器だからね…。詳しい事はその都度話すよ」

コニー「流石はアルミン!よく分かってるじゃねぇか!」

サシャ「秘密兵器ですかぁ…。カッコイイですね!」

レオン(流石だな…。アルミンは)チラッ

アルミン「…………」クスッ

ジャン「お前等なぁ…遊びに行く訳じゃねぇんだぞ!?」

マルコ「まぁまぁ…。一日とはいえ慣れない環境で張り詰めてたんだ…。今は糸が切れているだけだよ」

ジャン「ケッ!そんな事じゃこの先やって行けねぇよ…」

~~~~~~~~~
ーウォールシーナ内ー
-貴族邸-

ベルトルト(…僕だけ参加出来なかったけど…後でマルコ辺りが教えてくれるかな)

憲兵「オイッ!新人!」

ベルトルト「ハッ!」

憲兵「上官が部屋で呼んでいる!」

ベルトルト「ハッ!(何だ…?僕に?)」

~~~~~~~
ー応接間ー

ベルトルト「失礼します!」

上官「おぉ~悪いな!任務中に!」

ベルトルト「いえっ!問題有りません!」

上官「早速だが…。今日エルヴィンがお前の同期を集めてたよな?何かあったのか…?」

ベルトルト「…?私は参加していないので詳しくは分かりません!」

上官「じゃあ何で集められたかも分からないのか?」

ベルトルト「えぇ…。エルヴィン団長が話が有るとしか聞いていませんが…(何故そんな事を聞くんだ…?下手な事は言わない方がいいな…。
万が一って事もある…)」

上官「そうか…。ご苦労だった!持ち場に戻れ!」

ベルトルト「ハッ!(これは向こうにも知らせた方がいいな…)」
―――――
――――
―――

ー翌日ー
-調査兵団本部-
-団長執務室-

エルヴィン「…………」ペラッ

エルヴィン「成る程…。これはフーバー憲兵が送ってくれた物か?」

ライナー「ハッ!そうです!」

アルミン「その手紙を読む限りでは…憲兵団の中に我々の動向が気になっている者が居るという事ですよね?」

エルヴィン「うむ…。やはりレオンの言っていた通り…内地の人間も関わってくるのかもしれん…」

ライナー「では…。内地にあの二人を戻しても大丈夫なのでしょうか…?」

アルミン「…でもベルトルトは一人になっちゃうよ?」

ライナー「だが…あいつならそう簡単には…」

エルヴィン「取り敢えず二人には予定通り戻ってもらおう。ここで隠せば本格的に動いてくる恐れがある…。そうなればフーバーも危ない」

アルミン「いくら巨人とは言っても…。不意を付かれれば万が一という事も有りますからね…」

エルヴィン「あぁ…。今はまだリスクを取るタイミングでは無い!兵法会議も控えているしな」

ライナー「成る程…。会議の日程は決まったのですか?」

エルヴィン「…本人には今日通達が行くだろうが…明日に決まった」

アルミン「先ずは第一関門ですね…」

エルヴィン「あぁ…。内地の問題はその後だ…。二人にも聞かれても詳しくは話さないように伝えておいてくれ」

ライ・アル「ハッ!」

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー
-食堂-

ユミル「しかしまぁ…憲兵団様の御威光は凄まじいね」

クリスタ「私達の周りに誰も近づかないね…」

レオン「まぁ今は上官も少ないしな…。触らぬ神に何とやらって所だろ?」

マルコ「ははは…。僕達はそんな風に見えるのかな…?」

ユミル「マルコはともかく…アニじゃねぇか?眉間にシワがスゲェしなっ!」ギャハハ

アニ「別に…これが普通の顔なんだけどね」

クリスタ「何でユミルはそういう事を言うの!?」

レオン「でも…確かに損してるよな!折角スゲェ美人なのによ!」

アニ「…は?」

レオン「いやだから…凄く美j…イテッ!」

レオン「何で俺の足踏んだんだよ!?ユミル!」

ユミル「悪いな!間違えた!」

レオン「はぁ?何だそりゃ?」

クリスタ「…今のはレオンが悪いと思うよ…?」

レオン「……?」

マルコ「クリスタも大変だね…」ボソッ

クリスタ「まぁね…」ボソッ
ガチャッ

憲兵「レオン!レオン・パルマーは居るか?」
ザワッ ナンダ?シンペイガヨバレテルゾ

レオン「ハッ!私です!」

憲兵「兵法会議の日時が決まった!お前はこれより我々と一緒に来てもらう!」

駐屯兵「兵法会議!?あいつ何したんだ!?」
ザワザワ

ユミル「いよいよか…。しかも連行されちまうんだな」

レオン「じゃ…ちょっくら行ってくるわ!」

クリスタ「頑張ってね!レオン!」

マルコ「大丈夫さ!認められるよ!」

アニ「…頑張りな」

レオン「おうっ!」

憲兵「最後の挨拶になるかもしれんぞ?」ニヤッ

レオン「あなた達にですか?」ニコッ

憲兵「……チッ!早く行けっ!」ドンッ

レオン「…ハッ!(押すなやっ!)」
バタンッ

クリスタ「行っちゃたね…大丈夫かなぁ」

ユミル「平気さ…。アイツは殺したって死なねぇよ」

アニ「しかし今の憲兵…何処の所属なんだろうね?」

マルコ「言われてみれば…前線の街に来るにしては年を取ってたみたいだけど…」

ユミル「憲兵だって文字通り腐るほど居るんだ…。んな事言ったら切りが無いだろ?」

アニ「…そうだね」

アルミン「あっ…!いたいた!」

クリスタ「アルミンにライナー!どうしたの?」

ライナー「いや実は…今日ベルトルトから手紙が来てな…」

アルミン「その内容をエルヴィン団長に伝えて来た帰りなんだ」

ユミル「それで?何で駐屯兵団に来るんだよ?」

ライナー「…アニとマルコに話しがあってな…。昨日ベルトルトの奴が同期が団長に呼ばれた理由を上官に聞かれたって言うんだよ」

アルミン「だから…二人にはもし戻った時に聞かれても、詳しい事は話さないでほしいんだ!」

マルコ「成る程ね…。やっぱり貴族も絡んでるのかな…?」

アルミン「それはまだなんとも言えないけど…。内地も放っては置けないね」

アニ「まぁその為に私達が憲兵になったんだ…。予定通りだろ?」

アルミン「まぁそうなんだけどさ…。まだ目立たない様にしてね?」

マルコ「分かった!今目立つのは得策じゃなさそうだし」

ライナー「くれぐれも用心してくれよな!アニ!マルコ!」

アニ「あぁ…。分かってるよ」

マルコ「ありがとう!」

クリスタ「もし…私の家が関係していたら…」

ユミル「まぁ何らかの形では関係しているだろうな…。だがお前には関係の無い事だ」

アルミン「そうだよ!クリスタが悪い訳じゃないんだ」

ライナー「そうだぞ!…ところでレオンは?」

ユミル「さっき憲兵が来て…会議の日時が決まったとかって連行されたよ」

ライナー「そうか…。いよいよだな…」
ガチャッ

憲兵「この中にレオン・パルマーは居るか!?」
ザワッ マタケンペイガキタゾ?

マルコ「上官!パルマー駐屯兵なら先程連行されましたが…」

憲兵「何?どういう事だ…?」

ユミル「オイッ!アルミンッ!こりゃ…ヤバイんじゃねぇか!?」

アルミン「ライナーッ!この事を団長に知らせてきてくれないか?」

ライナー「あ…あぁ!分かった!」ダッ

クリスタ「ねぇ…!どういう事!?」

ユミル「もしかすると…レオンは拉致されたのかもしれん」

クリスタ「えぇっ!?」

マルコ「…上官の話によると彼等が連行命令を受けていたらしいんだ…。もしこのまま連行出来ない様なら逃亡と見做すって…」

アニ「そりゃマズくないかい?」

アルミン「マズイよっ!なんとか説得しよう!」

マルコ「あぁ!」

~~~~~~~~~
ー馬車内ー

憲兵「しかし…お前は何をやらかしたんだ?えぇっ?」

レオン「私は別に何もやってはいません」

憲兵「じゃこれからやるつもりなのか?」

レオン「ですから!人類に仇なす様な真似はしませんよ!」

憲兵「…犯罪者は皆そう言うんだっ!今言えばナイル団長に計らってやってもいいぞ?」

レオン「この世界を救おうとしている…。ただそれだけですよ」

憲兵「どうやって?」

レオン「……(こいつ…何でこんなに突っ込んでくるんだ?)」

憲兵「…チッ!黙り込むんじゃねぇよ!…おっ!着いた様だな。降りろっ!」ドンッ

レオン「ぐっ…!(手縛っておきながら押すなっての!)」ドサッ

憲兵「こっちに来いっ!」グイッ

レオン「…ここは何処ですか?(…廃墟…?まさか!?マズイ気がする…)」

憲兵「貴様は知る必要は無い!」
ガチャッ ドンッ

レオン「うぉっ…!」ドサッ

憲兵「さてと…。知ってる事を教えてもらおうか…?」

レオン「何の事ですか?(…ピンチじゃね?)」

憲兵「おいおい…。そういうのは無しだ。俺は忙しいんだ…よっ!」ドゴッ

レオン「がっ…!」

憲兵「お前等がこそこそ何かやっているのは知っているんだっ!」ガスッ

レオン「ぐぅ…!だから何の事か…本当に分からないんです…!」

憲兵「何かこの世界の秘密を知っているそうじゃないか…!貴様は何を知っている!」

レオン「(貴族からの使いか…?)あなた達こそ…何故こんな事を?」

憲兵「今質問しているのは…こっちだ!」ドゴッ

レオン「がふっ…!」ハァハァ

憲兵「調査兵団や…駐屯兵団を抱き込んで何をするつもりだ?えっ?」バキッ

レオン「ぐっ…!…いずれは憲兵団も…味方にするつもりですよ?」ゼェゼェ

憲兵「そんな事をしてどうするつもりだ?」

レオン「…だからこの世界を…救う為ですよ…」フーッフーッ

憲兵「…ふざけているのか?本当の事を言った方が…身の為だぞ?」グイッ

レオン「えぇ…これは本心ですし…他の皆もそのつもりで動いていますよ?」

憲兵「…そうか…。シッ!」ドゴッ ガスッ バキッ ドスッ

レオン「がっ…!ゲェェェッ!」ビチャビチャ

憲兵「どうだ?腹の中がスッキリしたら…何か思い出したか?」

レオン「ハァハァ…。(ヤバイッ!死ぬ!早く助けて…)…吐いて思い出したんですけど…」

憲兵「おっ!何だ?」スッ

レオン「そういやまだ…飯食って無かったなぁって…」ニヤッ

憲兵「………」ビキッ スッ

レオン「…そんな固そうなイスで殴られたら…死んじゃいますよ…?」

憲兵「どっちにしてもお前は殺すつもりだ…。順番が…ズレるだけだっ!」ビュッ バキャッ

レオン「ッ…!」ガクッ

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー
-指令執務室-

ピクシス「なんとか憲兵の奴等は納得させたが…状況は芳しく無いのぉ」

エルヴィン「まさか…ここ迄早く内地に動きがあるとは思いませんでした」

リヴァイ「しかし何でアイツなんだ…?クリスタやエレンとかならまだしも…」

エルヴィン「丁度良かったという事が大きのかもしれんな」

ピクシス「しかし…何故こちらの動きがバレてるんじゃ?」

ライナー「もしかしたら…ウォール教かも知れません…」

リヴァイ「あの豚共だと…?どういう事だ?」

ライナー「実は…訓練兵時代に訓練所を怪しい奴がうろついていて…それがクリスタを監視していたウォール教だったんです!」

エルヴィン「成る程…。それでウォール教から貴族に伝わったと…」

ライナー「その可能性は高いと思います!」

アルミン「何故…今になってなのでしょうか…?三年も放って置いたのに…」

エルヴィン「恐らく様子を伺っていたのだろう…。しかしここに来てこちらの動きが活発になった為に焦った…そんなところか」

ピクシス「う~む…。一先ずエレンとクリスタは護衛を付けて匿っているがの…。レオンを見付けない事には話が始まらんぞ?」

エルヴィン「尤も…向こうはまだ、エレンやクリスタの本当の価値が分かってないのでしょう…。だから先ずレオンを攫った…」

リヴァイ「…冷静に分析するのも結構だがな…。明日までに見つけなけりゃ逃亡って話になちまうぞ?そうしたら目出度く壁外追放だ…」

エルヴィン「分かっている…。ハンジとミケの班に捜索を任せているが…」

ライナー「私も合流します!自分だけじっとなんてしてられないっ!」

エルヴィン「よし…!ライナーとアルミンもハンジの班に合流しろ!」

ライ・アル「ハッ!」バッ
バンッ

ハンジ「エルヴィンッ!手掛かりを…見つけたよっ!」ゼェゼェ

エルヴィン「…先ずは落ち着け…!どうした?」

ハンジ「ふぅ…。実は使われて無い廃墟に馬車が入って行ったっていう目撃情報が入った!」

リヴァイ「…その馬車がそうだっていう根拠は何だ?」

ハンジ「勘っ!」

リヴァイ「…確証は無いようだぞ?エルヴィン」

エルヴィン「…どちらにしても他に縋る物が無いんだ…!その情報に賭けよう」

ライナー「なら…俺達に行かせて下さいっ!」

アルミン「僕だって…役に立ちたいっ!」

ジャン「お前等だけにカッコ付けさせねぇぞ?」

アルミン「ジャン!丁度良かった!」

ハンジ「ミケの班はまだ捜索してるよ?」

エルヴィン「ミケ達には引き続き捜索にあたってもらう…。念の為にな」

ジャン「ミカサや野生児二人は向こうの班か…。俺達でやるしかねぇなっ…!」

ユミル「私も行くぜ…?」

ジャン「ユミル!?お前はクリスタの護衛じゃ…?」

ピクシス「ワシが戻した…。向こうには精鋭を付けてある!問題あるまい?」

エルヴィン「では急ごうか…。身分がバレている以上…奴等はレオンを殺すかもしれん…。私はナイルに会ってくる」

リヴァイ「…しっかり話を聞いてきた方がいいぞ?涙を流す位な…」

エルヴィン「恐らく奴は何も知らないだろう…」

ピクシス「貴族が絡んでいるとなれば恐らく…中央第一憲兵団じゃろうな」

アルミン「中央第一憲兵団…?憲兵団では無いのですか?」

エルヴィン「憲兵団の中でもエリートだけで構成される王都の憲兵団だ…。奴等は貴族直属に近いらしいが…詳しい事は分からない」

リヴァイ「可能なら一匹捕まえて来い…。色々聞きたいことが有る」

ハンジ「なら私が班長で行くよ!いいねっ?君達?」

ライナー「ハッ!よろしくお願いします!」

ユミル「なら急ぎましょう!殺さてからじゃ遅いっ!」

ジャン(あのユミルがクリスタ以外でねぇ…ユミルも女って事か)フッ

アルミン「ジャン…?どうしたの?ニヤついて…」

ジャン「ッ!?何でもねぇよっ!急ぐぞ!」

~~~~~~~~
ー廃墟ー

憲兵「隊長っ!ご苦労様です!」バッ

隊長「…首尾はどうだ?」

憲兵「それが…口を全く割りません。それで…ついカッとしてしまい…」

隊長「まさか殺したのではあるまいな?」ギロッ

憲兵「いっ…いえっ!確認しましたが息はまだあります!」

隊長「殺すのは情報を聞き出してからだ…あのガキが何をするのかを突き止めろ…。と、あの方からの勅命だ」

憲兵「…心得ております!」

隊長「…こいつか…。本当に生きているのか?」

憲兵「ハッ!…起きろっ!」バシャッ

レオン「…ハッ…!ぐっ…!ここ…は…?」

隊長「おはよう…!お目覚めかね?レオン君?」

レオン「お早うございます…。どちら様ですか?」

隊長「私が何者かという事は君には関係の無い話だ…。君の知っている事を話してくれればそれでいいんだ…」

レオン「…例えば?」

憲兵「貴様…!まだ惚ける気かっ!」ガスッ

レオン「ぐっ…!(何か偉そうな奴が来たな…。やっぱり組織ぐるみか…?)」

隊長「我々も忙しい…。君一人に構っている時間は無いんだよ」

レオン「なら…放って置いて頂きたいですね…」

隊長「ふぅ…。強情だな」クイッ

憲兵「何を舐めた口聞いてんだっ!あ!?」ガスッ ドゴッ バキッ

レオン(ヤバイ…意識が遠くなってきた…。マジで殺されっかも…)

隊長「待て…。ここらで止めておこう。まだ死んだら困るからな…。一度休憩だ」スッ

憲兵「ハァハァ…。了解しました!こちらへどうぞ!」スッ

レオン(…壁外追放の前にこんな罰を受けるとは…。こんな死に方は惨め過ぎるだろ…!でも…手は解けそうもねぇしな…。詰んだか…)

ユミル「オイッ!レオンッ!大丈夫かっ!?」ボソッ

レオン「ハハハ…。幻聴が聞こえ出したよ…」

ユミル「寝惚けてる場合じゃねぇぞ!」パシッ

レオン「ッ!?ユミル!?…本物かっ!?」

ユミル「しっかりしろっ!今ハンジ分隊長達と助けに来たんだ!」

レオン「マジか!?…よくここが分かったな?」

ユミル「詳しい話は後だ…。ハンジ分隊長達は見張りを眠らせてくれてる!急いでバックレんぞ!」スッ

レオン「あぁ!…だがその前に…縄を解いたら、もう一回緩く縛ってくれないか?」

ユミル「はぁ?何言ってんだ!?」

レオン「今隊長格も来ててさ…。そいつなら何か知ってるかもしれねぇだろ?だからよ…攫ってこうぜ?」ニヤッ

ユミル「はぁ?…その怪我じゃやられるのがオチだっ!リヴァイ兵長はそう言っていたがな…。だが見張りが居たから救出を再優先にしたんだっ!」

レオン「…俺は一瞬なら痛みを遮断できる…。お前には物陰に隠れててもらって、援護してもらいたい!このままオメオメ下がれるかっ!」

ユミル「…チッ…!一瞬で決めろよな…?んっ?…戻ってきたみたいだ…」サッ

レオン「任せろっ!」スッ

憲兵「このまま喋らなかったらどうしますか?…コイツは吐かない様な気がしますが…」

隊長「…顔を見られているしな…。殺すしかあるまい?最悪は何も引き出せずって事にはなるが…コイツの同期なら何か知ってるだろう」

憲兵「…もしコイツがダメなら次って事ですね…?」

隊長「目立つのは不本意だが…。仕方あるまい」

レオン(やっぱり詳しくは何も分かってねぇみたいだな…)

憲兵「…チッ!コイツのせいでとんだ無駄骨だっ!…オラッ!起きろっ!」バシャッ

レオン「…ゲホッゲホッ…!ぐぅ…」

隊長「…どうだ?喋る気になったか?」

レオン「~~~~すね」ボソッ

隊長「んっ?何だ?」スッ

レオン「お返ししますねって言ったんだっ!(開門…!)」ドクンッ

隊長「ッ!?何!?」バッ

レオン「遅いわっ!…オラッ!」ドゴッ

隊長「…が…はっ…」ドサッ

憲兵「ッ!?貴様…!」バッ

レオン「お前も…お礼しねぇと…なっ!」ドンッ

憲兵「ぐっ…!」ドサッ

レオン「釣りは…取っとけっ…!」ハァハァ グラッ

ユミル「オイッ!…ったく…無茶しやがって…!」ガシッ

ライナー「ユミル?まだか?何してる!?」ボソッ

ユミル「おぉライナー丁度良かった!そこのおっさん運んでくれ」

ライナー「うぉっ!…こいつらが犯人か?お前がやったのかよ?」

ユミル「私じゃねぇよ…。レオンだ」

ライナー「ほぉ…。やるなぁ…ってそいつは大丈夫なのか!?」

ユミル「今は気絶してるだけだが…熱が酷い…。早く医者に見せねぇと!」

ライナー「なら急ぐぞっ!」グッ

~~~~~~~
ー廃墟前ー

見張り「」ゴフッ

ハンジ「見張りは街のゴロツキか…。組織単位なのか…一部の暴走か…?」

アルミン「しかし…ユミル達遅くないですか?…ライナーも帰ってこないですし…」

ジャン「まさか…ユミルにライナーもやられたなんて事はねぇだろうな…」

ハンジ「…確かに遅いね…。様子を見に行ってみようか」

アルミン「んっ!?待って下さい!戻ってきました!」

ユミル「遅くなり申し訳ありません!」

ハンジ「レオンは無事か!?」

ユミル「今は気絶しているだけですが…高熱が出ています!早く医者に見せなければ!」

ハンジ「よしっ!最短の診療所へ向かう!早く馬車に乗せるんだっ!」

ユミル「ハッ!」ザッ

ジャン「…ライナーが抱えてるそのおっさんは…?」

ライナー「今回の犯人の片割れだ…。レオンが落としたらしい」

ハンジ「本当か!?確保に成功したのか…」

ライナー「ハッ!その為に遅くなってしまいましたっ!」

ハンジ「まぁいい!兎に角ここを離れるぞっ!」ザッ

ライ・ジャン「ハッ!」

~~~~~~~~
ーエルミハ区ー
-憲兵団本部-

ナイル「…何の用だ?エルヴィンッ!心配しなくても明日の夕刻には審議所で会うぞ?…まさか申し立てを取り下げろなどど言うのではなかろうな…?」

エルヴィン「そう興奮するな…ナイル。聞きたい事があって来たのだ」

ナイル「…何だ?」

エルヴィン「今回の審議対象である…レオン・パルマーが何者かに拉致されたのは知っているな?どうやら憲兵が関わっている様だが…何か知っているか?」

ナイル「…何…だと…?そんな話は聞いていないっ!私は何も知らないぞっ!」

エルヴィン「そうか…。では…やはり中央第一憲兵団の奴等か?」

ナイル「…私には何も言えんっ!奴等は全く分からん連中だ…!命令系統も独立しているしな」

エルヴィン「そうか…。レオンはまだ見つかっていない…。このままでは私達は何も出来ないままだぞ…?」

ナイル「…私は自分の職務を全うするだけだっ!そんな危険思想家を…野放しにしておける訳が無いだろっ?」

エルヴィン「…我々は手を取り合うべきだとは思わないか…?この百年間追い求めていた物が…今っ!全て揃いつつあるっ!何万の犠牲を出しながら欲した物だっ!」

エルヴィン「…ナイル…。我々は進撃のチャンスを手に入れつつあるんだ…今はこの狭い壁の中で争っている場合では無いぞ?」

ナイル「…そんな話しならもうお引取り願おう…。夢が叶うのがそんなに嬉しいか?ガキの頃からの…巨人を使役し自由を取り戻すなどと言う妄想が現実に成りつつあるからなっ!…そんな妄想にっ…!人類を…巻き込むんじゃ無いっ!!」ガタッ バタンッ

エルヴィン「…こんな時…君ならどう説得するんだ…?マリー…」ボソッ

~~~~~~~~
ーカラネス区ー
-診療所-

ライナー「アイツは…大丈夫なのか?」

アルミン「先生の話だと命に別状は無いだろうって…。でも肋骨が折れて、肺を傷付けてるから…絶対安静だって」

ジャン「…肺に刺さらなかったのは不幸中の幸いか…」

アルミン「うん…。問題は明日の兵法会議だ…」

ライナー「そんな状態じゃ不可能なんだから…延期しか無いだろう?」

アルミン「そんな話が通じればいいけどね…」

~~~~~~~~~
ーカラネス区ー
-駐屯兵団支部-

ユミル「そんな話はおかしいですっ!」バンッ

上官「…上からの通達だ。予定通りに明日の夕刻に会議を開始するらしい…」

ユミル「ですからっ!!あんな状態でどうやって出廷すると言うんですかっ!!」バンッ

クリスタ「ちょ…ちょっとユミル…!落ち着いてっ!…イアン班長っ!どうにか…ならないのですか…?」

イアン「指令も掛け合っては下さっているみたいだが…総統のご予定等も考慮すると日時の変更は難しいみたいだ…。そもそも…アイツは何を仕出かしたんだ?」

クリスタ「それは…その…」

ユミル「今はまだ何も申し上げる訳にはいきません…!私達にも…箝口令が敷かれています…」

イアン「…そうか。兎に角…そういう事だっ!」スッ

ユミル「…クソがっ!」ガンッ

クリスタ「ユミル…。でもこのままだと…本当に…?」

ユミル「出廷出来なければ審議拒否と見做されて…目出度く壁外追放だろうよっ!」ガンッ

クリスタ「そんな…なんとかならないのかな…?」

ユミル「……私達も診療所に向かおう」

クリスタ「そうね…」

~~~~~~~~~~
ーカラネス区ー
-診療所-

アルミン「…あっ!ユミルッ!」

ユミル「おぉアルミン。レオンは…?」

アルミン「まだ…意識は戻らないよ…。会議は…?延期して貰えそうなの?」

クリスタ「それが…延期は認められないって…」

ライナー「何っ!?じゃどうするんだ?!」

ユミル「…意識が無い状態でも座らすだけ座らしとくか…?後はエルヴィン団長に任せるとか…」

アルミン「そんな無茶な…」

ジャン「実際…他に何か手でもあるのかよ?」

アルミン「……いや…」
ゴホッゴホッ

アルミン「ッ!?レオンだっ!」ダッ ガチャッ

アルミン「レオンッ!大丈夫かい?」

レオン「あぁ…アルミンか…。心配かけ…ゴホッ…!」

アルミン「無理して喋らないで良いよっ!」

ライナー「先生を呼んでくる!」ダッ

クリスタ「レオン…?大丈夫?」

レオン「クリスタ…。無事で良かったぜ…」

ユミル「…悪運だけは強いみたいだな…」ハッ

レオン「ユミル…。一応…病人なんだが…?」

クリスタ「そうだよっ!さっき迄凄く心配してたくせにっ!!」

ユミル「お前は…余計な事言うなっ!//」

アルミン「アハハ…。僕はハンネスさんに報告してくるよ」スッ

クリスタ「ッ…!私は外で待ってるねっ!」スッ

ユミル「何っ!?お前一人じゃダメだっ!」

ジャン「…俺が付いててやるよ」スッ

ユミル「ちょ…」
バタンッ 

レオン「アイツ等なりに…気を使ったのかな?」

ユミル「…さぁな。…会議は予定通り行うそうだ…」

レオン「そうか…」

ユミル「そうかって…お前分かってんのかっ!?そんな喋るのもやっとな状態で…どうにかなるのかよっ!?」

レオン「いや…なるようにしかならねぇだろ…?出来る事を…精一杯やるしかねぇさ…」ゴホッゴホッ

ユミル「…チッ…!そんな呑気な事で…」
ガチャッ

先生「目を覚ましたそうですね…。気分はどうですか?」

レオン「呼吸が…少し苦しい位ですかね…」

先生「…肋骨が折れて…肺を傷付けていました。突き破らなかったのは幸いですが…絶対安静が必要ですっ!」

レオン「…明日の夕刻に…どうしても…出席しなければならない会議があるのですが…」

先生「勿論欠席して頂きますっ!…命の方が大切でしょう…?」

ユミル「その命を懸けた会議なんだよっ!!」

先生「ッ!?…どういう事ですか?」

ユミル「その会議に出席しなければ…濡れ衣で…壁外に追放されてしまうんですっ!」

先生「何ですって!?しかし…今は麻酔が効いていますが、麻酔が切れたら…痛みで立つ事もままなりませんよ!?」

レオン「…痛み止めか何かを…処方して頂けませんか…?」

先生「…しかし…何かあってからでは…」

ユミル「先生っ!どちらにしても…行かなければ助からないんですっ!お願いしますっ!」バッ

先生「…分かりました…。命の保証は出来ませんよ…?」

レオン「結構です…。これでも…悪運は強い方でね…」ニヤッ

先生「ふぅ…。せめて今日だけでも安静にしていて下さいね!…また明日来ます」スッ

レオン「有難うございます」

ユミル「…取り敢えずもう寝ろよ。お前が仕留めた奴は、ハンジ分隊長が本部で取り調べてる」

レオン「そうか…。ユミル…!助けてくれてありがとな…」

ユミル「…私は何もしてねぇよ…」

レオン「ハンジ分隊長や…ライナー達にも伝えてくれ…」

ユミル「分かったから…もう寝ろっ!」

レオン「…お休みのキスは…?」

ユミル「…ハァ…。お休み…」チュッ

レオン「今日は…優しいな…」ニッ

ユミル「はよ寝ろっ!//」バッ
ガチャッ

クリスタ「レオンは…どう?」

ユミル「今は麻酔が効いてるから元気らしい…。切れれば痛みで立っていられないだろうってよ…」

ジャン「…じゃどうすんだ?」

ユミル「本人は…痛み止めを服用してでも出廷するつもりらしい」

ライナー「う~む…」

ジャン「…そうか…」

ユミル「じゃ取り敢えず戻るか…!また明日来よう」

ジャン「あぁ…。そうだな」

ライナー「あぁ…」

~~~~~~~~
ートロスト区ー
-駐屯兵団 本部-
ー女宿舎ー

クリスタ「レオン…。大丈夫かなぁ…」

ユミル「……………」

クリスタ「…?ユミル…?」

ユミル「んっ?…わりぃ。考え事してた…」

クリスタ「…ううん…。ユミルも元気出して?ね?(ユミルも…辛いよね…)」

ユミル「…クリスタ」

クリスタ「ん?何?」

ユミル「お前…強くなったよな…。本当に…」

クリスタ「えっ!?うん…。ありがとう…?どうしたの?急に…」

ユミル「…アイツはこれからも…居てもらわなくちゃいけねぇ奴だからな…」

クリスタ「アイツって…?レオン?ねぇ…どうしたの?変だよ?」

ユミル「お前さ…。胸張って生きろよ…?約束してくれ…!」

クリスタ「えっ!?ちょっ…ちょっと!ユミr…がっ…!」ドサッ

ユミル「悪いな…。クリスタ…」スッ バタンッ

~~~~~~~~~
ー調査兵団 本部ー
-団長執務室-

エルヴィン「…本気か?」

ユミル「はい…。明日の会議は私が出廷します」

エルヴィン「それで…?どうするつもりだ?」

ユミル「今回の件は…私がレオンに吹き込んだという事に…」

エルヴィン「…これからはどうする?いずれ戦争が起こるのは間違いなのだろう?」

ユミル「…そうすればもっと簡単に事が進みますよ…。実際に被害が出ればね」

リヴァイ「巨人が暴れるってのを分かっていながら…指を咥えて待ってろと…?」

ユミル「フッ…。そうでもしなければ…上は目が覚めない様ですからね…。仕方ありません」

エルヴィン「…今回レオンを拉致したのは、やはり中央憲兵だった…。しかし…今の所、情報は何も得られていない…。やはり王政は何かを知っている」

ユミル「目的は…やはりエレンや…ヒストリアなのでしょうか?」

エルヴィン「分からない…。しかし明日の会議の如何によってこの壁内の未来が大きく変わるのは間違いないだろう…。その時に先を知っているレオンが必要になる事もあり得る」

リヴァイ「…じゃあどうするんだ?この女の言う通りにするのか?この女は巨人化能力者だぞ…?正直…アイツよりも役に立つ可能性が高いと思うが?」

ユミル「…では…レオンを見殺しにすると…?」キッ

リヴァイ「…俺達が勝つ為に必要ならな…。そもそも…お前はアイツの何だ?惚れているのか?」

ユミル「…分かりません…。ただ…男で初めて自分を…見てくれた様な気がするんです…。フッ…。これを惚れている…と言うのかもしれませんね…」

リヴァイ「…だが俺達は兵士だ…。勝つ為に必要なら…仲間も切り捨てる必要がある」

ユミル「…それは…私に仰っているのですか?それとも…ご自分に?」

リヴァイ「…チッ」

エルヴィン「…この件は私が預かる。明日…もう一度ナイルに掛け合ってみよう。だからユミル…今日はもう下がりなさい…。来賓の間で休むといい」

ユミル「…分かりました…。失礼します」スッ

―――――
――――
―――

ー翌日ー
-診療所-

レオン「ハァハァ…。ぐぅっ…!…ゲホッ…!(マジで…?息が…まともに…出来ないんですけど…!イテェ…)」
ガチャッ

先生「お早うございます。…やはり寝れなかった様ですね…」

レオン「…いやぁ…快眠でし…ゲホッ…たよ…?」ゼェゼェ

先生「ハァ…。医者に強がってどうするんです…?取り敢えず点滴で、栄養剤と痛み止めを入れます…。そうすれば少しは楽になると思いますから」スッ

レオン「…有難う…ございます…」

先生「いえ。では失礼しますよ」ペコ
バタンッ

先生「……………」
―――――
――――
――

ー昨晩ー
-診療所-
ドンドンドンッ

先生「んんっ!?急患かな…?はい」ガチャッ

ユミル「…どうも…。遅くに申し訳ありません」ペコッ

先生「…いえ…。どうかされたのですか?まぁどうぞ?」スッ

ユミル「いえ…。直ぐに済みますので…。明日の会議には出席する必要が無くなりました。ですので…点滴に睡眠薬でも混ぜてしっかり休ませて下さい」

先生「そうですか…!それは良かった!かなり無理がありましたからね…」

ユミル「ただ…この事は本人には黙っていて貰いたいです…。下手に…
プライドを刺激したくないので」

先生「成る程…。分かりました!お任せ下さい!彼は…いい恋人をお持ちで羨ましいですね…」

ユミル「ッ!?//兎に角…!そういう事でっ!失礼しますっ!」スッ

――
――――
―――――

先生(内緒にしてくれと言われたが…ふむ…。)

~~~~~~~~~~
ートロスト区ー
-審議所-

エルヴィン「対象は重傷を負っている…。今の審議は不可能だ」

ナイル「何度も言わせるなっ!総統の予定や…警護等の日程を考えれば…変更など出来る訳が無いだろう!」

リヴァイ「…ナイル…。テメェの頭は…その薄らヒゲみてぇにスカスカか?」

ナイル「何ぃ…!?兎に角っ!変更は無いっ!出廷が出来ないのであれば…審議拒否と見做すっ!」

ピクシス「…その重傷はお主等に負わされた物じゃぞ?ナイル師団長?」
ナイル「…指令まで何を仰るのですか…?我々が?違います!私達は何も関与しておりませんっ!ピクシス指令…滅多な事を仰らない方がよろしいですよ?」ザッ

エルヴィン「ナイル…!」ガシッ

ナイル「…手を離せ…!エルヴィン」

エルヴィン「我々は…何度敗北すればいいのだ…?今回の件でハッキリした筈だっ!間違いなく…王政も何か知っているぞ?」

ナイル「…仮にそうだとしてっ!どうすると言うんだ!?この狭い壁の中でどう足掻こうというのだっ!?」

エルヴィン「…マリーはどうなる?」

ナイル「何故妻が出てくる…?どういうつもりだっ!」

エルヴィン「このままでは…壁内は地獄と化す…。お前は何の為に憲兵団に入った?…マリーを守る為だろう?決めるのは誰だ…?ナイル」

ナイル「…もう…訓練兵じゃ無いんだぞ…。俺も…お前も…!」バシッ ザッ

リヴァイ「こりゃもうアイツに壁外で暮らしてもらうしかねぇな…。エルヴィンよ…」

ピクシス「…難儀よのぉ…。貴族と兵団…それに家族か…」グビッ

エルヴィン「此処迄か…」

ガチャッ

ピクシス「…ユミル…」

リヴァイ「随分お早い到着だな…」

ユミル「私は準備出来ています!それに…レオンは睡眠薬で眠っています。どちらにしても来られませんよ」

エルヴィン「分かった…。君の提案で進めよう…」

~~~~~~~~
ー駐屯兵団 本部ー
-女宿舎-

クリスタ「…う~んっ…。ハッ…!ユミルは…?」バッ

クリスタ「居ない…。昨日は絶対におかしかった!…イアン班長は何か知ってるかな…?」

~~~~~~~~~
ー食堂ー
ザワザワ

クリスタ「あっ!イアン班長っ!」ダッ

イアン「んっ?クリスタじゃないか…。おはよう」

クリスタ「お早うございますっ!」バッ

イアン「うむ…。どうしたんだ?そんなに慌てて」

クリスタ「あの…ユミルを見かけませんでしたか!?」

イアン「ユミルって…お前といつも一緒に居た奴か?…見てないが…?リコッ!お前はどうだ?」

リコ「私も見てないね…。ミタビは?」

ミタビ「俺も知らん…。そもそも誰だか分からん」

クリスタ「そうですか…。有難うございました」バッ

クリスタ「何処に行っちゃったの?ユミル…」

クリスタ(もう後は…診療所しか無いっ!)パカラッパカラッ

~~~~~~~
ー診療所ー

クリスタ「先生っ!」ガチャッ

先生「おや…?昨日の…。どうしました?」

クリスタ「あのっ…ユミルって子来なかったですか?長身で…ソバカスがある…!」

先生「…う~ん。君の様子だと只事では無さそうですね…」

クリスタ「昨日…急に何処かに行っちゃって…!何処にも居ないんですっ!」

先生「(あの時感じた違和感はこれか…)そうですか…。実はですね…」
――――
―――
クリスタ「えっ!?(どういう事!?まさか…自分が身代わりになる気なの!?)」

先生「何か…妙に吹っ切れた顔をしていたものですから…気になってはいたのですが…」

クリスタ「そうですか…。(…それじゃあ意味が無いじゃないっ!でも…結局レオンを連れて行かないといけない訳だし…どうすれば…)」

クリスタ「あの…今レオンは…?」

先生「今は恐らく…睡眠薬が効いてきて寝ている所だと思いますが?」

クリスタ「少し…顔を見て来ても宜しいですか?」

先生「えぇ…。構いませんよ」

~~~~~~~

クリスタ「レオン…。どうすればいいと思う?ユミルが…」ポロッ

レオン「……んっ…?クリ…スタ…?…ッ!?どうしたんだ…?何で泣いてるんだ?」

クリスタ「ゴメンね…。起こしちゃって…具合はどう?」

レオン「今は痛み止めが効いてるからな…。んで?どうしたんだ?」

クリスタ「(言ったらユミルは怒るかな…でも…)レオン…ユミルがね?先生に…レオンを眠らせておく様に言ったらしいの…」

レオン「……えっ?どういう事だ…?」

クリスタ「…それで何処にもいないのっ!昨日…胸を張って生きろっ!って言ったっきり…何処かに行っちゃったのっ!!」ポロポロ

レオン「…ったく…。あのヤロォ~…!クリスタ…?アイツは…お仕置きが必要だなっ!」ニッ

クリスタ「でも…そうしたら…レオンがっ…!まだ…朦朧としてるし…」
レオン「馬鹿だなぁ…。ヒーローは…死なねぇんだよっ…!馬で来たんだろ?…飛ばしてくれよなっ!」

クリスタ「…レオンッ…!うんっ!!」

~~~~~~~
ー審議所ー

ナイル「……………」
――――
―――

エルヴィン『小さな壁の中で争っている場合では無いぞ…?マリーはどうなる?…お前は何の為に憲兵団に入った…?』

―――
――――

ナイル(……俺はっ…!俺の使命に基づくだけだっ…!)

憲兵「団長っ!総統がお着きになる時間です!」

ナイル「分かった!正面入口で出迎えるぞっ!」ザッ

リヴァイ「…憲兵が動き出したな…。総統閣下の御出座しみたいだぞ?」
エルヴィン「…あぁ…。もう賽は振られた様だ…」

ピクシス「いよいよじゃの…。今日は…歴史が動く日にしたいものじゃな」

エルヴィン「はい。レオンでは無くユミルですが…我々が進言する事は変わりません」

ピクシス「…全てはダリス次第かの…」

ハンジ「…じゃあ…そろそろユミルを迎えに行ってくるよ」

エルヴィン「あぁ…頼むぞ」

~~~~~~~~
ー審議所ー
-兵士待合室-

ライナー「しかし…レオンは大丈夫なんだろうな…?」

アルミン「う~ん…。あの怪我じゃ…まともに喋る事もままならないんじゃないかな…?」

エレン「…証人として此処に待機って言われたけどよ…?やっぱり巨人の事とか聞かれるのかな…?」

ミカサ「…エレンは思った事を言えばいい…」

アルミン「…可能性は高いと思うよ?アニや…ベルトルトも呼ばれているしね…」

ベルトルト「もし…レオンが極刑になったら…僕達も処刑されちゃうのかな?処刑されるのは当然としても…贖罪をしてから死にたい…」

ライナー「……………」

アニ「…どうだろう。団長の話では私達を処刑する前に利用した方が有意義だって言ってくれてたけど…」

アルミン「…やっぱり総統次第だろうけどね…」

ライナー「そういえば…ユミルやクリスタは呼ばれてないのか?」

アルミン「あれっ?クリスタはともかく…ユミルは呼ばれてもいいと思うけど…」

~~~~~~~~
ー地下牢ー

憲兵1「なぁ…?今回の対象って女だったか?」

憲兵2「…連行されて来たのがコイツなんだから…そうなんじゃねぇの?」

憲兵「…まぁそれもそうか!」

ユミル(憲兵って馬鹿しか居ねぇのか…?それにしても…地下牢に入れる事はないと思うがな…。…クリスタは怒ってるかな…。急に出て来ちまったし)

ユミル(…まさか私がこんな事をね…。自分でも驚きだぜ…。まぁ…アイツ等が居ればクリスタは大丈夫だろうし、仮に壁外でも私なら生きて行けるしな…!…クリスタ…。…レオン…)

ハンジ「ユミル?…時間なんだけど…うん。取り敢えず出ようか」

ユミル「……?はい」ゴソッ
ガチャッ

クリスタ「ユミルッ!!」バッ

ユミル「クリスタッ!?お前…此処で何してんだ!?」

クリスタ「…ユミルのバカッ!!急に居なくなって…勝手過ぎるよっ…!」グスッ

ユミル「…いや…まぁそれは済まなかったよ…。でも…もう行かなくちゃならないんだ…」

レオン「お前が…呼ばれるとすれば…証人としてだな…」ハァハァ

ユミル「ッ!!?…レオンッ!?お前何で…?」

レオン「主役を差し置いて…カッコ付けやがって…。此処からは…俺の出番だ…」

ハンジ「いやぁ…さっき君を迎えに行く途中でさ…」
―――
――

ハンジ(しかし…確かに眉唾物だよね…。百年かかっても分からなかった事が急に分かり始めた…。誰でも疑うよ…。んっ?…あれは…)

クリスタ「レオンッ!?大丈夫っ?…審議所には着いたけど…」

レオン「先ずは…団長か…指令を探すか…(乗馬がこんなに効くとは…マジで朦朧としてきた…)」

ハンジ「クリスタ?と…レオンッ!?何してるのさっ!?」

クリスタ「ハンジ分隊長っ!?良かった…ユミルはここに居ますよね!?」

ハンジ「…あぁ…。レオンの身代わりを申し出てきたみたいだね…」

レオン「主役を取られちゃ…大変なんでね…。急いで追い掛けて来た訳です…」ゲホッ

ハンジ「いや…そうは言っても…。君はフラフラじゃないかっ!そんな状態で出廷しても…良い方には転ばないんじゃないの…?」

レオン「だからと言って…ユミルに擦り付ける訳にはいきませんね…。大丈夫です…物語の主人公は…死なないんですよ」ニヤッ

ハンジ「…まぁ本人が居るのならその方が良いのかもしれないけど…。時間が無い…!先ずはユミルを迎えに行こうっ!」
――
―――

ハンジ「っていう訳なのさ」

ユミル「…お前馬鹿かっ!?何の為に私がここに居ると思ってるんだよっ!?…クリスタもだぞっ?…余計な…事しやがって…」グスッ

レオン「馬鹿はお前だろうが…!クリスタは…泣いてたんだぞ?」

クリスタ「…ゴメンね…。こういう事をしたら…ユミルの覚悟を踏み躙る事になるのは分かってたんだけど…。どうしても…じっとしていられなかったの…!」グスッ

レオン「ま…説教は後だ…。先ずは頭の固い連中の…目を覚まさせてやらなきゃな…」

ユミル「…そんな状態で…出来んのかよ?」

レオン「問題無いね…。こういう時はよ…主人公補正が掛かるもんなんだよ…」

ユミル「ハッ…。意味の分からねぇ事言いやがって…」

~~~~~~~~
ー審議所ー
ザワザワ

ナイル「エルヴィンッ!何時になったら連れて来るんだっ!?」

エルヴィン「今ハンジが迎えに行っている…もう来るだろう」

リヴァイ「おい…。幾ら何でも遅すぎるぞ?」ボソッ

エルヴィン「…様子を見に行ってもらえるか?リヴァイ…」ボソッ

リヴァイ「…チッ…!あのメガネはお使いもまともに出来ねぇのか…」スッ

ダリス「……………」
ガチャッ

リヴァイ「ッ!」

レオン「遅れて申し訳有りませんでした…」

リヴァイ「…クソでも長引いたか…?」

レオン「えぇ…。直ぐそこで催してしまいまして…」ニヤッ

エルヴィン「…どういう事だ?ハンジ…」ボソッ

ハンジ「クリスタに連れて来てもらったみたい…」ボソッ

ピクシス(…奴も男よの…)

エルヴィン「総統。お待たせしてしまい、申し訳有りませんでした」

ダリス「では…始めようか…。レオン・パルマー君だね?…随分顔色が悪いが大丈夫かね?」

レオン「…ハッ!問題有りません…」ハァハァ

ダリス「そうか…。今回は思想犯と言う事だ…。なので通常の法が適用されない兵法会議となり、決定権は全て私に委ねられている…。君の生死も…今一度検めさせてもらう。何か異論はあるかね?」

レオン「いえ…。有りません(…有るに決まってんだろっ!ってか…これまんまエレンの役回りじゃねぇかよ…)」

ダリス「では…。憲兵団からの申し立てによると…君は虚偽と甘言を用いて駐屯兵団と調査兵団を誑かし、現王政の転覆を目論む反王政思想の持ち主であり、その危険な思想は人類にとって大きな災いをもたらす物として、壁外に追放するべし…。これについて…先ずは憲兵団から意見を聞こうか」

ナイル「ハッ!憲兵団師団長、ナイル・ドークより進言致します!申立書に記載の通り、彼はこの壁の中を混沌に陥れようとしています!…彼の思想は人類にとって災いにしかなりませんっ…!手遅れになる前に極刑に処するべきだと申し上げます!」

ダリス「ふむ…。では…駐屯兵団と調査兵団からは?」

エルヴィン「ハッ!調査兵団団長、エルヴィン・スミスより代表して進言致します。彼のもたらしてくれた情報は…この百年間で人類が幾万の犠牲を払いながら求めた物ですっ!…彼の処刑は絶対に人類の利に反していますっ!」

ナイル「何を持ってそう言えるんだっ!?貴様…本当に三文小説の様な話を信じているのかっ!?」

ダリス「…落ち着きなさいナイル。エルヴィン…ナイルの言う事も尤もだ…。根拠を示してくれ」

エルヴィン「先ずは…彼が異世界の住人である可能性が高い事…。さらに話の裏も既に取れております」
ザワッ

憲兵「異世界の住人だと…!?エルヴィン団長はおかしくなったのか!?」

調査兵「おい…。お前聞いてたか?」

調査兵「初耳だよっ…!マジで団長は大丈夫か…?」

ダリス「静粛にっ!」バンッ
シーン

ダリス「…異世界の住人だと…?申立書にはその様な記載はされていないが…?」

ナイル「…夢物語ですので、記載の必要は無いと判断致しました…!」

ダリス「レオン…?どういう事か詳しく話してもらおうか…」

レオン「…今団長が申し上げた通り…私はこの世界の住人ではありません…。恐らくの話になりますが…私が住んでいた世界は…遠い過去に当たると思われます…」

ダリス「では…君は過去からこの世界にやってきたと言うのか…?」

レオン「はい…。そして私の世界では…この世界の事が書物になっています…。その書物ではもう時間が進んでいて…超大型巨人や…鎧の巨人の正体も判明しています」
ザワザワ ザワザワ

ウォール教「何…だとっ…!?仮に本当なら…一刻も早く処刑しなければならんぞっ!?害虫を壁の中に入れてしまっているとはっ!…貴様も仲間ではないのかっ!?」

ニック「…そうだ…。そうに違いないっ!!貴様等はこの壁内を地獄に陥れる為に侵入して来たのだなっ!?なんて事だ…!即刻神の名の下に処刑しなければっ!!」

ダリス「ウォール教の方も…静粛に願います」バンッバンッ

ダリス「さて…君が壁を壊した巨人を知っているとして…何故早い段階で申し出なかったのかね?」

レオン「…一人の兵士になった今でさえ…ここ迄の温度差があるんですよ…?誰が訓練兵のそんな話を信用してくれますか?…開拓地に送られて…終了してしまいますよね?」

ダリス「成る程…。しかし…俄には信じ難い話だな…」

ナイル「信じる必要などありませんっ!この者が言っているのは虚偽であり、出任せですっ!」

エルヴィン「ならば…そちらも根拠を示したらどうだ?」

ナイル「何っ…!?こんな話…嘘に決まっているっ!」

エルヴィン「総統…。ならばレオンが嘘を吐く理由は何でしょうか?今、正に極刑に処されるかもしれない…この瀬戸際で…」

ニック「そんな物は関係無いっ!!今直ぐ悪魔を壁外に追放するべきだっ!!」

レオン「まぁ…そんなに邪険にしないで下さいよ…。ニック司祭?」

ニック「ッ!?貴様…何故私の名前を知っている…!?」

レオン「ですから…。私はこの世界の大筋は…既に知っているのです。まだ知らない事も沢山ありますがね…」

ダリス「…ほう…。エルヴィン…?この…巨人の力を利用し、マリアを奪還…。シガンシナ区のエレン・イェーガー調査兵の生家を調べた後…壁外の国へ目掛け進撃、可能であれば和解とあるが…これはどういう事だ?」

エルヴィン「調査兵のエレン・イェーガーの生家には…彼も知らない巨人の謎が隠されていると言われています…。イェーガー調査兵は…父親に巨人化の薬を注射されており、父親は巨人の謎を知っていたと思われます」

ダリス「…どういう事だ?巨人化が薬による物だと…?」

エルヴィン「その様です。ただ本人はまだその力を自覚しておりませんので、詳しくは分かりませんが…。」

ナイル「…ちょっ…ちょっと待てっ!!エルヴィンッ!一体この壁内に…何体の巨人が居ると言うんだっ!?」

エルヴィン「…全部で…五体だ」
ザワザワ

憲兵「巨人が五体も居るってのか…!?」

駐屯兵「なら…こんな事やってる場合じゃないんじゃないか…?」

ダリス「それは…本気で言っているのか?」

エルヴィン「はい。この情報もレオンがもたらしてくれた物であり、本来ならば…今もう既にトロスト区の壁が破壊されていた筈でした…。しかし、訓練兵時代に敵の内通者と接触し…味方にする事に成功したのです!」

ナイル「馬鹿なっ!何故そんな事が言える!?」

エルヴィン「本人達に確認したからだ」

ダリス「では…もう既に大型や…鎧に接触したと言うのか?」

エルヴィン「はい…。レオンの話を聞いて…私が確認しました。彼等は…解散式の次の日に壁を破るつもりだったと言いました」

ダリス「…では…その者達は我々に味方していると言うのか?」

エルヴィン「はい。その通りです」

ナイル「何を言っているんだ…?貴様…本当に狂ったのか?巨人が味方になる筈が無いだろう!!」

エルヴィン「彼等は…大人達に騙されて壁を壊した事を…非常に後悔していた様だ。そこをレオンが突いたのだ…。此方側になり贖罪をしないか?…と」

ダリス「…大人に騙された…?まさか壁を壊した巨人とは…」

レオン「はい…。104期の訓練兵の中に紛れていました」

ダリス「…仮に君の話を真実だとすると…。壁の中には五体の巨人が居り…その内の二体が壁を壊した巨人…。しかしその巨人は壁内の人類に協力し、敵国を攻め入る事に協力する…。こういう事か…?」

エルヴィン「はい…。巨人化出来る五人は証人として待機させております…。喚問致しますか?」
ザワッ

ナイル「…待てっ!この場で巨人化されたらどうするつもりだ?」

エルヴィン「その心配はないだろう?何の得があるんだ?此処でやるならば…とっくにやっているよ」

ダリス「では…その五人を此処へ」

ナイル「総統っ!!」

憲兵「マジかよ!?逃げた方が良くねぇか…?」ボソッ

憲兵「今から何処へ逃げるんだよ!?」ボソッ

調査兵「マジかよ…」

駐屯兵「大丈夫なんだろうな…」
ガチャッ

ライナー「……………」

ベルトルト「…………」

アニ「……………」

エレン「……………」

ユミル「……………」

エルヴィン「順に、ライナー・ブラウン調査兵、ベルトルト・フーバー憲兵、アニ・レオンハート憲兵、エレン・イェーガー調査兵、ユミル・プリミーティブ駐屯兵です」

ウォール教「なんて事だ…!!こんなにも害虫が紛れ込んでいたとは…!」

ニック(んっ?あれは…。レイス家の娘か…。駐屯兵団へ入ったと聞いたな)

レオン(クリスタに…ミカサにアルミンもか…。大体集められているんだな…)

クリスタ(…レオン…。今にも倒れそうじゃない…!)

アルミン(これ以上長引くと…レオンがマズそうだぞ…!?)

ダリス「…君達に聞きたい事がある…。君達は巨人化出来るとの事だが…その力を我々の為に使えるのか?」

ライナー「…私は…鎧の巨人です。取り返しの付かない事をしてしまった事は分かっています…!ですがっ…!私達に…贖罪をするチャンスを下さいっ!その後は…処刑して頂いて結構ですっ!」

ベルトルト「…私は超大型巨人です…。私もブラウン調査兵と同じ気持です…!処刑の前に…せめてっ…贖罪だけでも…!」

アニ「私は…女型の巨人です…。壁が破られた時に巨人を先導しました…。私も今の二人と同じ気持です…!」

ユミル「私も巨人化能力者です…。壁が破られた時に運良く壁内に紛れ込めました…。この力は壁内の繁栄の為に使いたいです!」

エレン「…私はまだ…自分の力をよく分かっていません…」

ダリス「成る程…。ライナーとベルトルトだったね…?君達が攻めて来た理由は?」

ライナー「…我々の国では壁内の人間は…悪魔だと言われていました…。そして…もう少しで…(これは言ってしまっていいのか?)」チラッ

エルヴィン「……………」コクリ

ライナー「壁の巨人の封印が解けるので…その前に壁内の人間を滅ぼせば復活を阻止できると踏んだ国王が、壁内総攻撃を仕掛ける様にと…私の村に勅令を出したのです…」
ザワッ

調査兵「壁の中の巨人っ!?」

憲兵「どういう事だっ!?」

ニック(マズイ…!まさかここ迄とは…!あのレオンとか言う奴は何処迄知っている…?)

レオン「…ニック司祭?…顔色が悪いですよ…?」ニヤッ

ニック「ッ!?黙れっ!」

ダリス「何…?壁の中が巨人だと…?ニック司祭…何かご存かな?」

ニック「私は何も知らんぞっ!」

ハンジ(くそっ!アイツ等が知らない訳が無いんだっ…!地下道建設とかにやけに反対してたしね…!)

リヴァイ「…嘘が下手な野郎だな…。お前等のお友達はこっちで元気にやっていると上に伝えておけ」

ニック「…友達?何の事だっ!?(…何を言っているんだ?)」

エルヴィン(司祭のあの様子…。レオンの件は本当に知らないのか…?)
ニック「何にせよっ!!害虫共の意見など必要無いっ!!即刻神の名の下に処刑すればいいのだっ!!」

リヴァイ「…ほぅ。どうやってだ?…ナイル。アイツ等を…どう処分するんだ?」

ナイル「なっ…!?」

リヴァイ「そこの豚野郎もよく考えろ…。まぁエレンとあの女は除外するにしても…三体の知恵を持った巨人だ…。俺達、調査兵でさえ知恵を持たない巨人で精一杯だってのに…。お前等はどう処分するのかと聞いているんだ」

ニック「…なっ…!」

ナイル「……くっ!」

アルミン(…処刑の手段なんて持ってないだろう…。結局リヴァイ兵長や…或いはミカサ…。それでも厳しいかもしれない…)

エルヴィン「総統。彼等の罪は…死を持って償うべき物であるかもしれません。しかし…今我々はかつて無い程に勝利へ前進していますっ!これはチャンスです!今度は…我々が進撃する番ですっ!」

ダリス「……レオン」

レオン「…ハッ…!(ヤバイ…。息が苦しい…)」ゼェゼェ

ダリス「…そこまでボロボロになりながら…戦うのは何故だ?…君は何に心臓を捧げた?」

レオン「…ここに居る…皆さんと同じです…。手段や…形が違えど…兵士ですから…此処の人類が勝利するならば…」ゴホッ

ナイル「…この期に及んでまだそんな事を…!人類の勝利の前に…滅んでしまうわっ!」

エレン(俺達が命を懸けて戦うってのに…一体こいつらは何なんだっ…!)

エルヴィン「…お前も感づいている筈だ…。レオンが言っている事に嘘は無いと…!」

ナイル「…仮に本当だとしてっ!内地の問題はどうするつもりだっ!?」
レオン「…そこはお得意の情報操作ですよ…。内地を守る為にも…憲兵団の…協力は必須です」

ナイル「お得意だとっ!?…貴様っ!滅多な事を言うんじゃないっ!」

リヴァイ「そんな事はどうでもいいんだよ。薄らヒゲ…。テメェ等が協力するかどうかなんだ」

ナイル「しかし…!」

レオン「…ナイル師団長には…守りたい人は居らっしゃらないのですか…?居ないのなら仕方ありませんがね…。もし居るのなら…どうするべきか分かる筈です」

レオン「…もし決断するのに私が邪魔なら…極刑でも何でも…受けま…しょう…」

アルミン「レオンッ!何を…!?」

ユミル(何言ってんだ!?あの馬鹿はっ…!)

レオン「但し…この後の反撃も約束してもらいますよ?…この壁内の戦力が合わされば…未来に行ける…!あんたらは…いつ迄過去に居るつもりだ?今日は…歴史に…人類が反撃を開始した日だと刻む日だっ!!その為なら…俺は…ガフッ…!」ビチャビチャッ

ピクシス「イカンッ…!喀血しおったぞ…!」

ライナー「ッ!!」

アニ「ッ!?」

ユミル「オイッ!?」

エレン「大丈夫かっ!?」

クリスタ「レオンッ!!」ダッ

レオン「大丈夫だっ!!」

クリスタ「ッ!?」ビクッ

レオン「…生きる為に…力を…貸して下さい…。我々が…やらなけれ…ば…」ドサッ
ザワッ

ナイル「……ッ!?」

エルヴィン「ナイル…。ここ迄の覚悟を見ても…まだ逃げるつもりか?」
ハンジ「そこの憲兵っ!担架急いでっ!」

憲兵「…ッ!?」ダッ

クリスタ「…大変っ!」ダッ

クリスタ「…あのっ!早く医療施設にっ…!」

ナイル「…まだ審議は終わっていないっ…!」

クリスタ「えっ!?でも…!」

ユミル「…何を言ってるっ!手遅れになるぞっ!!」

ピクシス「ナイルッ!」

ダリス「静粛にっ!」バンッ

ダリス「ナイル師団長…並びに以下憲兵に命じる。レオンを死なせてはならんっ!至急、医師の元へ連れて行け…!これが審議結果だ」

ダリス「但し…そこの五人と、各兵団長は此処に残りなさい…」

ナイル「…くっ!」

ユミル「クリスタッ!レオンを頼むぞっ!」

クリスタ「うんっ!」ダダッ

ハンジ「急ぐぞ!クリスタッ!!」ダダッ

ニック(主教にも念の為に報告しておかなければなるまい…)スッ

ダリス「さて…。君達の今後の処遇を決めなければならんな」

エルヴィン「それについてはご提案が有ります」

ダリス「…何だ?」

エルヴィン「今後の作戦には飛躍的手段…ひいては巨人の力が必要になります。そこで…兵団を超えた班を作っては如何でしょうか?そして…その班の指揮をリヴァイ兵士長に任せます」

ダリス「ほぅ…。では五人とも…か?出来るのか?リヴァイ…」

リヴァイ「…殺すことに関しては間違い無く…。問題は中間が無い事にある…。裏切る様なら直ぐに殺す…!」ギロッ

ライナー「…ッ!」ゴクリ

エルヴィン「レオンハートとフーバーに関しては、特別作戦班として在籍してもらいますが、引き続き内地の警護にあたってもらいます…」

ピクシス「う~む…。シーナに巨人化能力者をの…」

ナイル「巨人を内地に置いておける訳が無いだろっ!?リヴァイが付いている訳でも無いんだろ!?」

エルヴィン「しかしレオンの話では…敵は壁内の人間を巨人に変えて攻めて来る様です…。有事に備え、シーナにも配置しておくべきです」

ダリス「…人を?まさか…巨人は人間から出来ているとでも言うつもりか?」

エルヴィン「…レオンの報告によればその可能性は大いに有ります…。そうだな?」

ライナー「はい…。私の国ではその実験が行われていましたから…。しかし我々は捨て駒です…。詳しい作戦は聞かされていないのです…」

ダリス「なんと…。しかし…幾ら警護が目的とはいえな…。急に内地に現れる事は無いんじゃないのか?」

ピクシス「…それは分からんな。じゃが…壁内に現れると言う事は何処にでも現れる可能性はあるな…」

エルヴィン「それに…彼等に内地に居てもらいたいのは、他にも理由が有ります…」

ダリス「何だ?」

エルヴィン「(ウォール教は居ないな…)総統。これは…推測のお話になるのですが…。敵は…王政、若しくは貴族家である可能性があるのです」

ナイル「エルヴィンッ!貴様っ!何て事を言うんだっ!」

リヴァイ「事実だろうが…。じゃあ何故レオンは拷問されたんだ?」

ナイル「…ぐっ…!」

ダリス「…レオンの怪我は拷問によるものなのか…?」

エルヴィン「…その様です。中央第一憲兵団による犯行だと思われます」
ダリス「…奴等を私の知らない所で動かせるとすれば…。レイス家か…」
ピクシス「…じゃが奴等は何もまだ掴んでおらんみたいじゃな」

エルヴィン「…はい。その為に丁度良かったレオンを拉致した物と思われます。そして…先程いた駐屯兵の少女がヒストリア・レイス…。あのレイス家の息女です。そして…レオンの話によれば、今後はヒストリアとエレンが鍵になってくると思われます」

ダリス「…成る程。内地に壁外…。問題は複雑だな…」

ピクシス「うむ…。しかしレオンが居らんかったら、分からず仕舞いだったの」

エルヴィン「えぇ。ですから内地にも我々の手を入れておきたいのです!」

ダリス「…アニ、ベルトルト。君達は人類の為に心臓を捧げられるな?有事の際は、君達が死ぬ事になっても戦ってもらうぞ?」

アニ「ハッ!」

ベルトルト「勿論ですっ!」

ダリス「では…特別作戦班の結成を許可する。司令官はエルヴィン。班長はリヴァイ。但し…密に私に報告をする事。巨人化は最終手段とする事。この事は一部の上官の間で留める事。以上が条件だ…。何か質問は?」

ナイル「…総統っ!巨人を…信用するのですか…?」

ダリス「…殺す事も難儀な以上は信じる他にあるまい?作戦班を結成しても、各所属は変わらん。各兵団で連携を取る事だ。分かったか?ナイル」

ナイル「…了解致しました…」

ダリス「では…これで解散っ!」

一同「ハッ!」

~~~~~~~~
ートロスト区ー
-トロスト診療所-

医者「…これはっ…!恐らく…肋骨が肺に食い込んでしまっています。これを処置するには…開胸しか無いでしょう」

クリスタ「ではっ!お願いしますっ!」

ハンジ「…開胸できる医者は限られているんだ…。内地にしか居ないよ…」

クリスタ「…えっ…?じゃあどうするんですかっ!?」

憲兵「班長…。どうされますか?」

班長「彼は…内地まで持つと思うかね…?」

医者「…馬車に揺られてなんて…。しかし…それしか方法が…」

班長「…総統からの特命だというのにっ…。…ハッ!!おい…!お前カラネス区へ馬を出せっ!」

憲兵「…えっ!?カラネス区へ…ですか?」

班長「そうだ…。そしてシュバルツ・ジェックという医者を連れて来いっ!」

ハンジ「今はカラネス区の医者を呼んでる場合では無いでしょう!?」

班長「…話は後だっ!急げっ!!」

憲兵「ハッ!」ダッ

クリスタ「…何を考えているのでしょうか…?」

ハンジ「分からないけど…彼等も総統直々の特命だ…。下手な事はしないだろう」

班長「……………」
―――――
――――
―――

シュバルツ「…まさか…憲兵団からお声が掛かるとはね…」

ハンジ「あなたは…この間の…」

シュバルツ「これはこれは…。まさか急患とは…」

クリスタ「そうですっ!レオンです!血を吐いて…気を失いましたっ…!」

シュバルツ「…だから無理をするなと言ったのに…」

班長「彼の処置には開胸する必要がある様なのだ…。ジェック医師…お願い出来ないだろうか?」

シュバルツ「…私をカラネス区へ追いやったのはあなた方憲兵団ですよ?」

班長「分かっている…。しかし…事態は一刻を争うのだっ!」

シュバルツ「…ハァ…。まぁ彼に罪は無い…。それに憲兵団に貸しを作るのも悪く有りませんね」

医者「…あの…開胸はあなたが…?」

シュバルツ「えぇ。私一人で結構ですよ。場所だけお借りしますね」ガラッ

クリスタ「あのっ!レオンを助けて下さいっ!」

シュバルツ「えぇ。勿論」ニコッ

ハンジ「彼はカラネス区の医者の筈だが…。何者なんです?」

班長「…元々エルミハ区で医者をしていたのだが…腕は立つが変わり者でな…貴族や憲兵と度々揉めていたらしい…。そして…当時の団長が無理やりな罪を着せてカラネス区へ追放したのだ…」

ハンジ「成る程…。おっとりしたおじさんかと思っていたけど…」

クリスタ「なら…レオンは助かるのでしょうか?」

班長「さぁな…。だが奴は貴族の間では…神の手と言われていたらしい。神業の様な外科術だと…」

ハンジ「正しく神のみぞ知るって所か…」
―――――
――――
―――

クリスタ「……………」コクリッ

クリスタ「……ッ!」ブンッブンッ

ハンジ「君も昨日から動きっぱなしで疲れているだろう…?少し休みなさい」

クリスタ「いえっ!問題有りませんっ!」

班長「……………」
ガチャッ

シュバルツ「………ふぅ…」スッ

クリスタ「先生っ!…レオンは!?」ダッ

シュバルツ「…もう少しで肺を突き破るところでした…。ですが開胸して肋骨を元の位置に固定したので、もう大丈夫でしょう」

クリスタ「……良かったぁ…」ヘタッ

班長「…助かった。今回の件は上に話を通しておく…」

シュバルツ「結構ですよ…。カラネス区での生活も結構気に入っていますしね。それよりも…今回の請求はしっかり行いますよ?」

班長「…あぁ。仕方あるまい」

ハンジ「しかし…あなたがそんな高名なお医者様だとは…。今後も宜しくお願いしますね!」ガシッ

シュバルツ「えぇ。何かあれば是非私の所へ…。では…後の処置はこちらの先生お任せして私はお暇するとしましょう」

クリスタ「有難うございましたっ!!」バッ

シュバルツ「そうだ…。今度は、く・れ・ぐ・れ・もっ!安静にさせていて下さいね」

クリスタ「…はい」

ハンジ「分かりました…」

シュバルツ「では…」スッ

ハンジ「何はともあれ…。班長のお陰で助かりました。有難うございましたっ!」バッ

班長「…私も命令で動いたのだ…。我々も戻らせて頂くよ」ザッ

憲兵「馬を回しますっ!」ダッ

ハンジ「クリスタもお疲れっ!取り敢えず一旦戻ろうか!」

クリスタ「ハッ!」

~~~~~~~
ー審議所ー
-兵士待合室-

エレン「結局…俺達は認められたって事だよな…?」

ユミル「そういう事だろ?」

ミカサ「エレンが殺される訳が無い」

エルヴィン「君達の存在を一部制限は有るが、認めさせる事が出来た。さらに、特別作戦班の結成も許可されている」

アルミン「特別作戦班とは?」

エルヴィン「総統直下の組織で、私が司令官…リヴァイが班長になる班だ。兵団を超えた…人類の勝利に向けての組織だ」

アルミン「成る程…。では所属などは変更になるのですか?」

エルヴィン「いや…。所属は各自そのままだ。駐屯兵と調査兵はそれ程不便はあるまい?」

アルミン「憲兵団はどの様に?」

エルヴィン「…今回のレオンの件もある以上、内地も放っては置けん…。アニとベルトルトには、引き続き内地の警護・査察にあたってもらう」

エレン「…師団長も納得してくれてよかったですよね…」

アニ「……………」

ベルトルト「……………」

エルヴィン「奴も状況が分かってない訳では無いんだ…。今後は協力体制を敷く様に総統からもあったからな…。」

アルミン「いよいよ始まりますね…。人類の存亡を懸けた戦いが…!」

エルヴィン「あぁ…。皆には今後より一層の尽力をして貰わなければならない…。特に…巨人化出来る君達の働き如何に懸っている訳だが…これから宜しくな」

一同「ハッ!宜しくお願いしますっ!」

エルヴィン「本日ここに居ない者にも後日、正式に辞令を出す…。反撃の狼煙は上がったのだ!」
ガチャッ

ハンジ「お疲れー!」

クリスタ「お疲れ様ですっ!」バッ

ユミル「レオンはっ!?」

クリスタ「うんっ!肋骨が肺に食い込んでたみたいなんだけど…。開胸して処置してもらったから…。絶対安静にしておけば大丈夫だろうって!!」

ユミル「…そうか…」

アルミン「…ふぅ。良かったぁ…」

リヴァイ「…開胸だと?…シーナまで運んだのか?」

ハンジ「それがさ…。この間の先生が…実は元々内地の医者でさっ!神の手って言われるお医者様だったんだって!その先生を憲兵が呼んできて、開胸してもらったって訳さ!」

リヴァイ「ほぅ…。アイツも悪運だけは強いみたいだな…」

エルヴィン「何はともあれレオンが無事なら良かった…。では後日改めて見舞いに行くとしよう」

ミケ「…見張りは立てなくていいのか?」

エルヴィン「…ふむ。また狙われんとも限らんな…。指令に進言しておこうか」

クリスタ「では私が伝えておきますっ!」

ユミル「そうだな…。宿舎に戻る訳だしな」

エルヴィン「そうか…。ユミルも一緒なら大丈夫だろう。…ヒストリア…。と言うんだって?」

ヒストリア「…はい。本名はヒストリア・レイスと言います」

エルヴィン「今後は…君の生家と戦う事になるかも知れない訳だが…。耐えられるのか?」

ヒストリア「…はい。もし…私の生まれた家が関係しているなら…。尚更…放っておけません!」

エルヴィン「そうか…。君には不自由を掛けるかも知れないが…宜しく頼むよ」ポンッ

ヒストリア「ハッ!」バッ

リヴァイ「この班の目的をハッキリさせておく…。エレンとヒストリアを傷一つ付かねぇ様に護衛し…俺達が勝利するように…命を懸ける事だ。分かったな?」

一同「ハッ!」バッ

エルヴィン「今日はご苦労だった…。解散してくれ」

~~~~~~
ー審議所前ー

エレン「まぁ取り敢えずは殺されなくて良かったよなっ!レオンも無事みたいだし」

ライナー「あぁ!そうだな」

ベルトルト「審議結果が良くても死んでたら元も子も無いからね…」

ミカサ「皆が認められて良かった…。レオンも無事なら尚更」

ユミル「…お前ってエレン以外にも興味あるのな…」

ミカサ「…それは流石に私に失礼だと思う」

アルミン「アハハッ!まぁ…ミカサは何気にレオンに一目置いてるんだよね?」

ミカサ「えぇ。私と渡り合う事が出来る…数少ない人間」

エレン「…………」ムスッ

ヒストリア「そっかぁ…。格闘術ならミカサに引けを取らないもんね!アニにも勝った訳だし」

アニ「…少し油断しただけだよ」

ミカサ「でも…エレンより頼りになる人間は居ない」

エレン「…そうか?まぁレオンも強いからなぁ」

アルミン(…最近のミカサはエレンの扱いが上手くなってきてる気がするなぁ)

ミカサ「……………」
―――――
――――
―――

ー兵法会議前日ー

エレン「さてと…。そろそろ戻ろうぜ!」

アルミン「うん…。でもレオンは大丈夫かなぁ…?」

エレン「…大丈夫だろ?レオンは人類の為に進言するんだからなっ!」

アルミン「だといいけど…」

レオン「……………」チョイチョイ

ミカサ「…………?」スッ

レオン「悪いな!呼び出して」

ミカサ「何?」

レオン「ミカサってさ…。エレンの事好きなの?」

ミカサ「ッ!?//意味がよく分からない…」

レオン「家族だから云々とか抜きにしてさ?一人の男としてどうなの?」
ミカサ「…エレンは最後の家族だから。だから…大切?」

レオン「…ハァ。まぁ恐らく距離が近すぎたんだろうな…」

ミカサ「…?レオンは何が言いたいの?」

レオン「いやさ…。見ててまどろっこしいから早くくっついてくれないかなぁって」

ミカサ「ッ!?//私は…別に…そういうのじゃ…///」

レオン「まぁエレンも男だからさ…。偶には褒めたり、頼ったりしてあげねぇとさ…拗ねて他の女の所に行っちまうぞ?」ニヤッ

ミカサ「それはダメッ!!でも…エレンはまだ危なっかしいから…」

レオン「それだよっ!男が女に守られてるなんてっ!ってエレンみたいなタイプはそう思うんだよ…」

ミカサ「ッ!!でも…。どうすれば…」

レオン「まぁ愛情の裏返しだから多少は仕方無いにしても…。毎回だと馬鹿にされている様な気になっちまうぞ?」

ミカサ「分かった…。今後は気を付ける…。ありがとう」

レオン「おうっ!(この二人も見てられなかったしな…)」
――
―――
――――

ミカサ(確かに…。レオンの言う通りにしたら…前よりエレンの態度が柔らかくなった気がする…)

アルミン「落ち着いたら、レオンのお見舞いに皆で行こう!」

ライナー「そうだな!!恩人な訳だし…」

アニ「あぁ」

ベルトルト「そうだね…」

ユミル「まぁ今日の所は戻るか…!明日も仕事だぞ?」

エレン「そうだな!ユミルとクリ…ヒストリアも気を付けてな!」

ヒストリア「うんっ!またね!」

ユミル「私等は指令の所に寄ってくか!」

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー
-指令執務室前-

ヒストリア「お疲れ様です!私はヒストリア・レイスです!…指令にお伝えしたい事があるのですが!」バッ

見張り「指令に?今は恐らく居らっしゃらないと思うが…。アンカ班長なら居るかもしれない。ちょっと待ってろ」

ヒストリア「ハッ!有難うございます!」
―――
――
アンカ「指令に要件とは?私で良ければ賜りますよ?」ザッ

ヒストリア「ハッ!えっと…。レオン・パルマーの件なのですが…。現在はトロスト区の診療所で眠っていますが…。念の為に護衛を付けた方がいいかもしれないとのエルヴィン団長のお考えです!」

アンカ「成る程。それについてはもう既に対策済みよ」

ヒストリア「ッ!失礼しましたっ!要件は以上ですっ!有難うございました!」バッ

アンカ「お疲れ様!…あなたがヒストリアね?それであなたが…」

ユミル「申し遅れました!ユミル・プリミーティブです!」バッ

アンカ「私はアンカ・ラインベルガー。あなた達の話は聞いているわ…。恐らくあなた達三人は精鋭班に異動になると思う…。私自身…大分混乱しているけれど…。指令のお考えには賛成よ。だから出来る限り力を貸すわ!」

ユミル「有難うございます!」バッ

アンカ「じゃあ私は戻るわね!お疲れ様!」バッ
――――
―――

ヒストリア「流石指令のお側付きの人だよね!気品が有るっていうかさっ!」

ユミル「そうだな。私等も戻ってもう寝ようぜ!」

ヒストリア「そうだね…!今日はすごく疲れちゃったし」

ユミル「ヒストリア…。お前等が来てくれた時…凄く嬉しかったよ…。ありがとな」

ヒストリア「…当たり前じゃない!私達は何時だってあなたの味方だよっ!」

ユミル「…ありがとう」

ヒストリア「明日は訓練が終わったらお見舞いに行きましょ!」

ユミル「あぁ!!そうだな!」
―――――
―――
――-

ー翌日ー
ー駐屯兵団本部ー
ー訓練場ー

ヒストリア「精鋭班って言ってたけど…。イアン班長の班なのかな?」

ユミル「どうだろうな…?」

アドルフ「おはよう」バッ

一同「お早うございます!」バッ

アドルフ「プリミーティブとレイス…それからパルマーは本日から精鋭班に異動となる」

同期「…凄いね!大抜擢じゃない」ボソッ

ユミル「そうでもないさ」ボソッ

アドルフ「所属班はイアン班だそうだ!…今後もしっかりやりたまえ!」
ユミ・ヒス「ハッ!」

イアン「丁度揃っているようだな…」

アドルフ「おっ!丁度いい所に来たな…。今説明していた所だ」

イアン「そうか…。俺はイアン・ディートリッヒ。第一精鋭班の班長をしている。…では二人はこっちだ。早速訓練だぞ!」

ユミル「…申し訳有りませんが、パルマーはまだ入院中なのですが…」

イアン「聞いている。回復次第合流してもらう手筈になっている」

ユミル「ハッ!」

~~~~~~

リコ「…その子達がそうなの?」

イアン「一人怪我で入院中だがな」

リコ「…私はリコ・ブレツェンスカ。第二精鋭班の班長をしている…。宜しく」

ヒストリア「ヒストリア・レイスです!宜しくお願いしますっ!!」バッ

ユミル「ユミル・プリミーティブです!宜しくお願いします!」バッ

リコ「…君が噂のお嬢様…?まぁ私達はよく分からないけど…。協力しろとの命令だ」

ヒストリア「…ハッ!宜しくお願いします!」

イアン「では…。先ずは立体機動の動きを見せてもらう。我々は調査兵団の様に壁外での交戦は先ず無いが…。精鋭班として有事に備えておく必要があるからな」

ヒストリア「ハッ!」

イアン「俺達が行うのは模擬市街地での掃討作戦だ。主に壁内に侵入した巨人を仕留めるべく、家屋等を使い攻撃する!各所に模型が設置してある…。やってみろ!」
――――
―――

イアン「プリミーティブは良い動きをしている!が…レイスッ!何だあの動きはっ!?そんな事では市民どころか自分も助からんぞっ!」

ヒストリア「…くっ…!申し訳有りません!」ハァハァ

ユミル「森と違って遠近感が掴み難い…。落ち着いてやればすぐに慣れるさ」ボソッ

ヒストリア「…うん。ありがと…」ボソッ

リコ「…もう一人はどうなの?上手い訳?」

ユミル「対人格闘術には秀でていますが…。その他は平凡です…」

リコ「…ふーん。イアン?精鋭班に入れるのはまた別の意味が有るの?」
イアン「…それは分からんが…。指令の命令だ!俺達は黙って従うだけだ」

ユミル(恐らく…。ヒストリアの護衛の側面が強いんだろう…)

リコ「ハイハイ…。ミタビがうるさそうだね…」

ヒストリア「…申し訳有りません…。直ぐに上達して見せます!」

リコ「そう願いたいね…。私は班を解散させてくるよ」ダッ

イアン「では俺達も今日はここ迄!ゆっくり休みまた明日からの訓練に備えよっ!」

ユミ・ヒス「ハッ!」バッ

ヒストリア「…やっぱり難しいね…。また明日から頑張らなくちゃっ!」
ユミル「その調子なら直ぐに上達するさ!…私はアイツの見舞いに行くけど…お前は休んでた方がいいんじゃねぇか?」

ヒストリア「平気よ!私も行くっ!」

ユミル「じゃ着替えて行こうぜ」
――――
―――
ートロスト診療所ー

ユミル「お疲れ様です!」バッ

見張り「ご苦労様!」バッ

ユミル「アイツ生きてるかな?」

ヒストリア「もうっ!死んでる訳無いでしょっ!!」

ユミル「…冗談だろ」ガチャッ

レオン「……………」スーッ スーッ

ヒストリア「…寝てるね…」ボソッ

ユミル「あぁ…。まぁ顔色も悪くなさそうだしな」ボソッ

レオン「…う~ん。…ッ…」ゴロッ

ヒストリア「…寝返り打つのも痛いんだね…」

レオン「…んっ…?ユミルに…クリスタ?」

ユミル「…おう。調子はどうだ?」

ヒストリア「ゴメンね!起こしちゃって…」

レオン「いや…。ずっと寝てるから丁度いいよ…」

ユミル「他に誰も来てないのか?」

レオン「俺の見舞いに来てくれるのなんて…お前等だけだよ」

ヒストリア「そんな事無いよっ!アルミン達も行くって話してたもん!」ガチャッ

エレン「おーっす!大丈夫かぁ?ん…?ユミル達も来てたのか!」

ヒストリア「ほらね!噂をすれば!」

アルミン「何々?何か噂してたの?」

レオン「お前等が見舞いに来てくれるって話を聞いてさ…」

エルヴィン「他でも無い君の見舞いだ。来ない訳には行かないだろう?」
レオン「…ッ!?団長!?…うっ…!」グッ

エルヴィン「無理に起きるな…。楽にしていなさい。しかし無事で何よりだよ」

レオン「申し訳有りません…。有難うございます」

ライナー「お前のお陰で…俺達も役に立てそうだ…。ありがとなっ!」

エルヴィン「彼等の存在意義を上に認めさせる事が出来たのも、その痛みあっての物だ…。君に敬意を」スッ

レオン「…有難うございます」グッ

ヒストリア「私も…今日からヒストリア・レイスとして胸を張って生きて行く事にしたのよ?」

レオン「…そうか…。これからも宜しくな…ヒストリア」

エレン「サシャ達も来ようとしてたんだがよ…。あの班は訓練が長引いちまったみたいでな」

レオン「そりゃ訓練優先にしてもらわねぇとな!…お前等が来てくれただけで十分嬉しいぜ!」

リヴァイ「…死んでるのかと思ったがな。悪運は強いじゃねぇか」

レオン「…兵長まで…。有難うございます!しかし…」

ユミル「どうした?」

レオン「いやさ…。これってエレンの役回りだなぁと思ってさ」

エレン「…俺の?どういう事だ?」

レオン「俺の世界では…会議に召喚されるのはエレンなんだよ。巨人化の力の意義を巡ってな…。」

エルヴィン「…成る程。壁を壊された時に巨人化したと言っていたな」

レオン「はい。巨人に喰われて巨人化しました…。その力を危険視した貴族や憲兵団によって処刑されるか否かの会議でした」

リヴァイ「なら…。一回エレンの腕でも切り落としてみるか?そうすりゃ覚醒するかもしれねぇしな…」

エレン「…えっ!?」

ミカサ「…正気の判断だとは思えません。断固反対です」キッ

リヴァイ「……………」

エルヴィン「兎に角…。我々の特別作戦班の結成も許可が下りた。まぁ先ずは怪我を治す事に専念しなさい…。話はそれからだ」

レオン「…はい!しかし特別作戦班とは…?」

アルミン「…エルヴィン団長が提案した、兵団を超えて人類反撃の旗手となる班の事だよ!君が集めた104期は全員その班だ!」

レオン「スゲェな…!…団長…!私の話を信じて下さり感謝しています…!」

エルヴィン「私は自分がやるべきだと判断した事を行ったまでだよ」

リヴァイ「…エルヴィンも言ったが…先ずはさっさと怪我を治しやがれ…!」

レオン「ハッ!有難うございます!」

エルヴィン「ではそろそろ戻るとしよう…。お大事にな」

レオン「ハッ!」

エレン「また来るぜ!」

アルミン「またね!」

ミカサ「…お大事に。そうだ…。レオンの言う通りにしたらエレンの態度が柔らかくなった…。ありがとう」ボソッ

レオン「気にすんな!…頑張れよ!」ボソッ

ミカサ「えぇ」

ユミル「…また来るからよ…。大人しくしてろよ?」

レオン「分かってるよ…!ありがとな!」
バタンッ

レオン「俺の人気も捨てたもんじゃねぇな…。もう一眠りするか…」

~~~~~~~~
ー診療所前ー

エルヴィン「ヒストリアは駐屯兵団の精鋭班で護衛してもらう事になっている訳だよ」

ヒストリア「…やはりそうですか…」

アルミン「急にどうしたの?何で自分が精鋭班なんですかー?なんて…」
ヒストリア「…うん。別に何でも無いの!」

ユミル「ハァ…。まだ気にしてんのか?…今日訓練が上手く行かなくてな。それでヘコんでるって訳だ」

ライナー「まだ慣れないんだから仕方無いだろう?」

アルミン「…そうだよ!気にしないで明日からまた頑張ればいいじゃない!」

リヴァイ「…その明日が来るかは分からんがな」

エルヴィン「リヴァイ…。もう少し言い方が有るだろう?」

リヴァイ「同じ事だろうが。お前等少し弛んでるんじゃねぇか?…明日が有るのは当たり前じゃねぇんだぞ?」

ミカサ「…ですから必死に訓練しています」

リヴァイ「必死になるのなんざ当たり前だ…。それでも力及ばず死ぬ人間が何人いると思ってやがる」

ミカサ「…くっ…!」

リヴァイ「慣れないから仕方無い?…巨人と対峙した時なんざ常に情報不足だ…。訓練すらまともに出来ねぇ奴は直ぐに喰われる」

ヒストリア「…兵士長の仰る通りです…」グスッ

ユミル「…ヒストリアは駐屯兵です。幾ら兵士長でも言い過ぎでは?」キッ

リヴァイ「だから何だ?その女とエレンが鍵になる以上は兵団を上げて保護するしかねぇ…。が、本人が訓練も覚束ない様じゃ困るってんだ」

ユミル「私が命に代えても守ってみせますよ…!」

ヒストリア「ユミルッ!いいの。兵士長の言う通りよ…。私はもっと強くなるっ…!」

エルヴィン「ふぅ…。リヴァイもそこまでにしておけ。ヒストリア…?リヴァイなりに君達を心配しているんだ…。分かってやってくれ」

ヒストリア「ハッ!お見苦しい所をお見せしてしまいました!リヴァイ兵長!有難うございますっ!」バッ

リヴァイ「威勢が良いのはいいが…。死なねぇ努力も怠るなよ…。エルヴィン。俺は戻るぞ?」

エルヴィン「あぁ。私もそうしよう…。ではこれで失礼するよ」

一同「ハッ!」バッ

ミカサ「…あのチビ…。さっきから調子に乗りすぎだ…」

エレン「まさか…リヴァイ兵長の事言ってんのか?」

ユミル「…ケッ。ヒストリア…。気にするなよ?」

ヒストリア「うん…。でも言ってる事は尤もだよっ!もっと強くならなくちゃ!」

ライナー「まぁ…死んだら元も子も無いしな」

アルミン「そうだね!死なない様に訓練しよう!」

エレン「あぁ…。もうすぐ壁外調査もあるしな!」

ユミル「じゃ取り敢えず帰って寝るかっ!明日も訓練だしな!」

ヒストリア「うんっ!皆お疲れ!」

ライナー「お疲れ!」
―――――
――――
―――

ー調査兵団本部ー
ー訓練場ー

エレン「……………」

ミカサ「…?エレン?どうしたの?」

エレン「…ん?あぁミカサ…。…いよいよ明日かってさ」

ミカサ「壁外調査?」

エレン「あぁ。俺達はリヴァイ兵長と同じ班だ…。ただ…他の同期は…」
トーマス「何だよ?俺達は死ぬってのか?」

ミーナ「この日の為に訓練してきたんだから!」

エレン「トーマスッ!?ミーナッ!?…スマン。聞いてたのか…」

トーマス「新兵は比較的に陣形の中の方だしな!」

ミーナ「うんっ!班長達も付いててくれてるし!」
――――
―――

レオン『エレンの班で生き残ったのは…アルミンだけだ…』

―――
――――

エレン(あの話は別の世界だっ…!…俺達は必死に訓練してきたっ!)

エレン「あぁ!そうだな!」

アルミン「あっ!居たっ!エレンッ!ミカサッ!」ダッ

ミカサ「アルミン…。どうしたの?」

アルミン「団長が呼んでたよ?明日の事でって!」

エレン「そうか…。行くか!」

ミーナ「…エレン達って何で急に団長とかと関わる様になったの?」

エレン「…それは…」

アルミン「今期は成績上位が多いだろう?だから目に留まったみたいなんだ!」

ミーナ「…そういえば…!上位陣はほぼ調査兵団だね!」

トーマス「期待の新人って訳か!同期として誇り高いぜ!」

エレン「ハハハ…。ありがと…」

ミカサ「やはり伏せておくの?」ボソッ

アルミン「仕方無いよ…。総統の命令だ…」ボソッ

~~~~~~~
ー団長執務室ー

エルヴィン「全員集まったな?…明日の壁外調査についてだが…」

ハンジ「ねぇっ!!エレンッ!?巨人化出来るか試してみようよっ!!」
エレン「えっ!?ハンジ分隊長?急にどうしたのですか…?」

ハンジ「いや~人が巨人になるなんて夢みたいじゃないかっ!!ライナーとかは流石に無理があるから…。是非君になってみてもらいたい!」

エルヴィン「…ハンジ。エレンはまだ覚醒していないんだぞ?」

ハンジ「だからだよ!壁外なら丁度いいじゃないっ!!ライナーの話によると…自傷行為で変身出来るみたいなんだっ!ねっ?ライナー?」

ライナー「はい。自身を傷付ける事が引き金になります」

エレン「…しかし…。急に言われても…」

エルヴィン「ハンジ…。今回は認められない。壁外で不確かな事をしている時間は無いのだ」

ハンジ「えぇっ~!じゃあ何時やるのさ!?」

リヴァイ「だが…。そこのメガネの言う事も一理あるぞ?よく分からねぇまま巨人化されたら…項を削ぎ落とすしか無くなっちまう…」

ミカサ「…エレンは殺させません」キッ

リヴァイ「…この間もやけに睨んでいたが…。お前はエレンの何なんだ?」

ミカサ「…家族です…」

リヴァイ「あ?兄弟か何かか?…目付きが悪ぃ所しか似てねぇな」

エルヴィン「よせ…。リヴァイ。君は知っているだろう?」

リヴァイ「…あぁ。この間の件はこの事か…」

ハンジ「もうっ!リヴァイは興味無い事は直ぐに忘れるんだからっ!」

エレン「あの…何か…?」

エルヴィン「すまない…。特別作戦班に在籍している人間の過去を洗わせてもらった」

ハンジ「ライナー達は分からなかったけど…。そしたら君達の件が出て来てしまったって訳さ…。ミカサがエレンにご執心なのも…納得がいくよ」

リヴァイ「…それはそれだ…。お前…万が一の時に…エレンを殺せるのか?」

ミカサ「万が一など起きません」

リヴァイ「…この班の仕事は鍵であるエレンやヒストリアの護衛だ。だがな…巨人化能力者が暴走した場合の保険も兼ねているんだぞ?」

ミカサ「ですから!エレンが暴走などありえません!私が付いていれば!」

アルミン「…ミカサ」

サシャ「えっ!?と言う事は…ライナーや…エレンを殺さなきゃいけなくなるかもって事ですか!?」

コニー「マジかよ!?ライナーッ!?エレンッ!?勘弁してくれよな!?」

ジャン「…それはどうだろうな?ミカサ…。レオンも言ってたろ?エレンは暴走する事があって…お前を殺そうとした事も有るってよ?」

エレン「…くっ…!」

ミカサ「ジャンッ!!今エレンを責める事に何の意味が有るの?そもそも…まだ力は目覚めていない…!」

リヴァイ「だから危険なんだろうが…。エルヴィン。コイツは無理じゃねぇのか?」

エルヴィン「ミカサ…。君の戦闘力はこの班ではリヴァイに匹敵する物が有ると見ている…。が、リヴァイが言った事も事実だ。必要に迫られれば…エレンを処分してもらう必要が有る。出来るのか?君に」

ミカサ「…私はっ…!」

エルヴィン「ミカサだけでは無い。この班の使命だ…。ライナー達も例外では無い!万が一の際は…我々の手で仲間を殺さなければならない」

サシャ「…………」

コニー「……………」

ライナー「……………」

ジャン「……………」

ハンジ「…エルヴィン?必要以上に脅しすぎじゃない…?」

ライナー「…俺がっ!万が一裏切った時は…お前等に殺してもらいたいっ!」

ジャン「ライナー…」

エレン「…俺もだっ!ミカサ…。万が一俺が暴走した時は…お前と…アルミンに殺されたい…」

アルミン「…分かった。約束するよエレン…。君が人を殺す前に…僕とミカサで君を殺すっ!そうだろ?ミカサ?それが…エレンの為だよ」

ミカサ「エレン…アルミン…。分かった…。団長…。もし…エレンが暴走した時は…責任を持って…私が殺します…」

サシャ「私も…」

コニー「俺もだ…!」

ジャン「あぁ…。だが…そうならない様に努力はしてくれよな!?」

エルヴィン「うむ…。とすればやはり実験は必要か…。だが一先ずは明日の壁外調査だ。実験についてはまた考えよう」

ハンジ「ちぇっ!」

エルヴィン「シガンシナ区を奪還する必要が有るが…兵站拠点を作りながらでは二十年掛かる計算だ。とても現実的では無いな」

アルミン「…壁は巨人で出来ているとレオンは言っていましたよね?」

エルヴィン「あぁ。その様だな。…それが?」

アルミン「…なら…穴を塞ぐのは…ブッ!」モガッ

ハンジ「そうかっ!…私に言わせてくれ!!」ガシッ

ハンジ「穴を塞ぐ資材とかが必要だから移動に時間が掛かる計算だったけど…ライナーとかが硬質化出来るならそれで塞げばいいんだね!?」

アルミン「…ゲホッ。そうです!それなら最低限の移動で済みますし…夜間に移動とかはどうですか!?」

エルヴィン「成る程…。ライナー?出来るか?君は体を硬い皮膚で覆っているんだろう?」

ライナー「…そうか…!申し訳有りません…。生き残るのに必死で…こんな単純な事に気付きませんでした…。ただ…大穴が塞げるかどうかまでは…」

リヴァイ「出来るかどうかなんざ関係ねぇだろ?それしか無いなら兵団を上げてやるしかねぇだろう?」

エルヴィン「そうだな…。なら今後の壁外調査はどうするべきか…。イタズラに兵を失う訳にもいかないが…」

ハンジ「でも…ここ迄目的がハッキリして来た以上は…それに集中するべきだと思うけど?」

エレン「なら…一先ず壁外調査は行わないって事ですか?」

エルヴィン「うむ…。そうだな。明日の壁外調査は中止する!但し…シガンシナ区奪還作戦は…今晩開始する!」

リヴァイ「成る程な…」

サシャ「…また急ですね…」

ジャン「いや…時間が無いのは変わりねぇ。早い方がいいだろ?」

エルヴィン「その通りだ!特別作戦班は夕食後、トロスト区の門に集合せよっ!」

一同「ハッ!」バッ

~~~~~~~~
ーストヘス区ー
ー憲兵団支部ー

アニ「……………」ペラッ

ベルトルト「アルミンからの手紙によれば作戦は今夜決行みたいだ…」

アニ「…皮肉なもんだね…。私達が開けた穴を…私達が塞ぐなんて…」

ベルトルト「…そうだね…。でも…ここでしっかり決めれば…助かるかもしれないよ?」

アニ「それはどういう意味で?…人として?それとも…巨人として?」

ベルトルト「…両方さ」

アニ「…虫が良すぎるだろ…。私達は殺人鬼だ…。用が無くなれば殺されるよ」

ベルトルト「…僕やライナーはそうかもしれないけど…。アニは何もしてないじゃないかっ!」

アニ「…私だけ故郷に逃げられる訳が無いだろっ!」

ベルトルト「僕達は…アニだけでも助かるように動くつもりだよ…」

アニ「余計な事しなくていいっ!…きっと…皆私達なんか死んだ方がいいに決まってるんだっ!それだけの事をしたんだっ!!」

ベルトルト「…あぁ。その通りさ…。でも…罪は僕とライナーで背負うよ。僕は先に食堂に行ってるから…」スッ

アニ「あっ…!ベルトルトッ…!」

~~~~~~~~
ートロスト区 診療所ー

ヒストリア「今日…皆が出発するよ?マリアを奪還しに…」

レオン「そうか…。やっとここ迄来たなっ…!」グッ

ユミル「まぁ…何処迄上手くいくか分からねぇけどな…」

ヒストリア「大丈夫だよっ!皆でやるんだもんっ!上手くいくよっ!!」
ユミル「だといいがな…」

レオン「当然ヒストリアは留守番なんだろうな?」

ユミル「あぁ。イアン班長達と待機だ」

ヒストリア「…私も行くって言ったら皆ダメだって…」

レオン「そりゃ当たり前だろ?…ユミルは行くのか?」

ユミル「…あぁ。私は巨人だからな」

レオン「…そうか…」

ヒストリア「…私外で待ってるね?」スッ

ユミル「…悪いな。…っておいおい!そんな辛気臭い顔するなよっ!」

レオン「ユミル…。絶対帰って来てくれよ…?(やべっ…!これ…フラグか?)」

ユミル「当たり前だろ?私は巨人だから…簡単には死なねぇよ」

レオン「…やっぱ俺も行こうかな(変なフラグ立てちゃったし…)」

ユミル「…怪我人が来た所で足手まといにしかならねぇよっ!」バシッ

レオン「イテッ…!ったく…。じゃあおまじないを掛けてやるか…」チョイチョイ

ユミル「…何だよ?」スッ

レオン「…頼むぞ?」チュッ

ユミル「…ッ!急に何すんだよっ!?」バッ

レオン「無事に帰ってこれるおまじないさ」キリッ

ユミル「ったく…。ありがとよ!//…そろそろ集合かな…?」

レオン「…頑張ってな」

ユミル「おぅ!!またなっ!」スッ
バタンッ

レオン「…マジで帰って来てくれよな…」ボソッ

~~~~~~~~
ートロスト区 門前ー

エルヴィン「今回は過去に例を見ない夜間、及び少数での壁外遠征になるっ!レオンの報告により、夜間も活動する巨人が報告されている!日が完全に暮れてしまえば信煙弾の連絡も取れないっ!各自適度な距離で展開、周囲を隈無く索敵し、火を決して絶やすなっ!」

一同「ハッ!!」

エレン「いよいよだっ!!」

ミカサ「エレン。気を付けて」

ユミル「…顔色悪くねぇか?」

アルミン「だ…大丈夫だ…!問題無いっ…!」

コニー「近くがサシャで良かったのか…?」

サシャ「酷いですっ!もうコニーは助けてあげませんからねっ!」プイッ

ジャン「…遊びに行くんじゃねぇんだぞっ!?真面目にやれっ!」

アニ「……………」

ライナー「…ベルトルト?何か…アニが元気無くないか?」

ベルトルト「…うん。帰って来たら話すよ…」

ハンジ「ハァーッ!本当に夜間に動く子とか居るのかなぁ」

リヴァイ「…居やがったらお前が囮をやれ」

ハンジ「…酷いなぁ。リヴァイは…。ミケは一緒に戦ってくれるよね?」
ミケ「…………」フッ

門兵「周囲の巨人は粗方遠ざけましたっ!!」

エルヴィン「…開門三十秒前っ!!」

駐屯兵「エルヴィン団長っ!!お待ち下さいっ!!」ゼェゼェ

エルヴィン「どうした?そんなに慌てて」

駐屯兵「…巨人が…巨人が現れましたっ!!ローゼ南区の内地の廃墟跡にて…商人が発見した模様です!!」

エルヴィン「何っ!?(…ライナーもベルトルトも此処に居るのにか…?)」

リヴァイ「…チッ…!」

ハンジ「…ウソ…」

エレン「何だって…!?ライナーッ!どうなってやがんだっ!?」

コニー「壁が破られたってのか!?…南区…?」

ライナー「馬鹿なっ!俺にも分からんっ!!」

ベルトルト「…偵察に来たのか!?」

アニ「…くそっ!」

ミケ「どうする?エルヴィン」

エルヴィン「…開門中止っ!直ぐに現場へ向かい状況の確認を行うっ!!…調査兵団本部にも伝えてもらえるか?私も現場に向かう!」

駐屯兵「ハッ!!」

~~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー

イアン「何だとっ!!…マズイな…。レイスッ!俺達と来いっ!住民の避難だっ!離れるなよ?」ダッ

ヒストリア「…ハッ!」ダッ

ミタビ「…マジかよ…!」

リコ「ボヤいてないで急ぐよっ!」ダッ

~~~~~~~~~
ートロスト診療所ー

見張り「…何だとっ!?じゃあ俺達も避難誘導にあたるのか?」

駐屯兵「そうだっ!!時間が無いっ!急ぐぞ!」

見張り「…レオンはどうするんだ?」

駐屯兵「~~~~~~~~~」

レオン「…?随分外が騒がしいな…」

ガチャッ

駐屯兵「レオンッ!緊急事態だ…!壁が破壊された可能性がある!」

レオン「…えっ!?そんな馬鹿なっ…!」

駐屯兵「事実だっ!ローゼ南区の廃墟跡地で巨人が確認された…!俺達は避難誘導にあたらねばならん…!後で装備を届けさせるから、万が一の際は…」

レオン「分かっていますっ!私は大丈夫ですっ!」

駐屯兵「最悪の場合は此処の医者と逃げてくれっ!」ダッ
バタンッ

レオン(…ローゼの廃墟跡…?ハッ!まさか…獣の巨人!?だとしたら…俺も直ぐに向かおう…!)
―――
――

ートロスト区 内門ー

エルヴィン「先ずは状況確認の為に廃墟跡に移動っ!そこで他の団員と合流後、穴の修復に向かうっ!…極力戦闘は避けるぞっ!!」

門兵「開門準備出来ましたっ!」

エルヴィン「開門っ!!」
ゴゴゴゴゴゴッ

エルヴィン「前進せよっ!!」ダダッ

一同「オォォォォォッ!!」ダダダッ

アルミン「暗くなる前に少しでも進んでおきたいねっ!」ダダッ

ライナー「そうだな…!」ダダッ

~~~~~~~~~
ー調査兵団本部ー

ミーナ「…遂に巨人と対峙する訳ね…」

トーマス「あぁ…。大丈夫だっ!必死に訓練して来たじゃないか!」

ナック「そうだぞ!生きて帰ってこようぜ?」

ミーナ「うんっ!そうね!」

ナナバ「皆揃ったね?…これよりローゼ南区の廃墟跡に向う!」

ゲルガー「…もう直に日が暮れる…。団長によれば夜でも動く巨人も確認されているらしい…!各自警戒を怠るな!…行くぞぉー!」ダダダッ

一同「ウォォォォォッ!」ダダッ
――――
―――
――

ー廃墟跡地ー

エルヴィン「…ここ迄殆ど巨人に遭遇しなかったが…」

ハンジ「…う~ん…。ちなみに此処はウドガルド城跡みたいだね。…最近まで誰かが居た形跡があるけど…」

リヴァイ「…大方商人共が悪巧みに使ってたんだろ?」

ミケ「…エルヴィン。俺達だけで先ずは穴の特定に行くか?」

アルミン「………………」ゼェゼェ

エレン「……………」ハァハァ

ミカサ「エレン?大丈夫?」

コニー「…母ちゃん…」

サシャ「…コニー…」

エルヴィン「…(新兵の疲労も限界か…?どうする…?)」

ライナー「団長っ!自分達が壁の確認をして来ますっ!もしかすると…故郷の戦士が攻めて来たのかもしれません…」

エルヴィン「そうか…。ではライナー、ベルトルト、アニには壁の確認を行ってもらう!…リヴァイ。行けるか?」

リヴァイ「当たり前だ」スッ

エルヴィン「他の者は兵団と合流まで此処で待機だっ!」

ユミル「…ライナー達が行くなら私も行くか?」

ハンジ「いや…。ユミルには此処に残ってもらうよ?此処の防衛だ」

ユミル「ハッ!」

エレン「…じゃあ俺も行くぞっ!」

ミカサ「エレンはダメ」

エレン「何でだよっ!?この一大事に俺だけ寝てられるかっ!」

エルヴィン「エレン。これは命令だ…。お前は此処で待機だ」

エレン「…ぐっ…!分かりました…」

アルミン「…僕はもう動けないかもしれない…」ハァハァ

ジャン「無理もねぇ…。初めての敵地の上に前もろくに見えなかったんだ…。俺も相当疲れたぜ…」ドサッ

ハンジ「破壊予想箇所は此処だ…。此処からグルッと回ってきて欲しい…。頼んだよ?」

ライナー「ハッ!任せて下さいっ!」

アニ「なら急ごう…」

リヴァイ「各自無理はするなよ?…もっとも…簡単には死なねぇんだろうがな…」

ベルトルト「……………」
ガチャッ

エルヴィン「ミケ。上に登って監視をしてくれるか?」

ミケ「了解した」スッ

~~~~~~~~~
ートロスト診療所ー

医者「だからダメですって!!」

レオン「そんな事言っている場合では無いんですよ!!」

医者「だからどういう場合なんです?」

レオン「ですから…(やっぱ言う訳にはいかねぇよな…?でも言わなきゃ行かせてくれなそうだしな…)」

医者「兎に角っ!シュバルツ先生にもキツく言われているんですっ!安静にしていて下さいっ!」

レオン「…これは確認中なんですが…。壁が…破壊された恐れがあります」

医者「…はい?今何て…?」

レオン「だから行かなければならないんです…。ですから…痛み止めを処方して下さいっ!」

医者「そんな…!」
ガチャッ

フランツ「レオンッ!これ…装備だっ!」ガチャ

レオン「サンキュー!フランツ!…チョット待ってくれねぇか?」

フランツ「早くしてくれよ…?早く戻らなきゃ…ハンナが…」

医者「分かりました…。注射で痛み止めを…」スッ

レオン「有難うございます…。フランツ。先生を一緒に避難させてくれ!」

フランツ「分かったっ!」

~~~~~~~~~
ートロスト区ー

イアン「どうだ?そっちの様子は…」

リコ「なんとか本部に避難させたけど…。いつパニックになるか分からないよ?」

ミタビ「チッ!選りにも選ってローゼの内地とはな…。避難なんて何処にさせりゃいいんだよっ!」ガッ

ヒストリア(ユミル…。皆…)

イアン「…よしっ!後は駐屯部隊に任せて俺達は防衛線の死守だ!」

リコ「了解!」パシュッ

ミタビ「はいよ!」パシュッ

イアン「レイスッ!行くぞっ!」ダッ

ヒストリア「ハッ!…えっ!?待って下さいっ!」

イアン「どうした!?」

ヒストリア「あれは…レオン?」

イアン「何っ!?此処で何をしているんだ?まだ怪我をしているのだろう!?」

ヒストリア「その筈ですが…。行ってみます!」パシュッ

レオン(急がねぇとっ!…ガスに刃に…後食料っ!適当にぶっ込んで行くか!)

ヒストリア「レオンッ!」スタッ

レオン「ッ!?…ヒストリア!どうして此処に?」

ヒストリア「それはこっちのセリフよっ!体は大丈夫なの!?」

レオン「あー…。まぁな!兎に角…早く団長達と合流しねぇと!」

イアン「リヴァイ兵長達は壁の確認に向かったと聞いているぞ!?」

レオン「えぇ…。ですから荷馬車で物資を運ばなければっ!…イアン班長はヒストリアをお願いします!」ダッ

ヒストリア「待ってっ!私も行くっ!!」ガシッ

レオン「ハァ!?何言ってんだっ!お前はダメだ!イアン班長に付いてもらっている意味を考えろっ!!」

ヒストリア「でも…私だけ此処でのんびりしてられないよっ!!」

レオン「いや…住民の避難が有るだろうが…」

イアン「ヒストリアッ!これは命令だぞ!大人しく俺に着いて来いっ!」
ヒストリア「くっ…」

レオン「安心しろ…。ユミル達は絶対に無事に帰す…!ではっ!」バッ

イアン「うむっ!頼むぞっ!」

~~~~~~~~~
ーウドガルド城跡ー

エルヴィン「新兵はしっかり休んでおくんだっ!」

コニー「…団長っ!朝になったら…村に行かせて下さい…」

サシャ「…南区には…コニーの故郷が有るんです…」

エルヴィン「…そうか。明るくなってから詳しく調査する必要がある…。その際に村に立ち寄ろう…」ポンッ

コニー「有難うございます…」

サシャ「コニー!元気出して下さいっ!大丈夫ですよっ!無事ですって!」

コニー「だといいけどよ…」

ミケ「エルヴィンッ!!」ズザッ

エルヴィン「どうした?ミケ」

ミケ「来たぞ…。囲まれている」

エルヴィン「……ッ!!」

~~~~~~~~
ー破壊予想箇所ー

リヴァイ「この辺りらしいが…」

ライナー「どうやら無事ですね…」

リヴァイ「チッ…!なら回って探すぞ…」スッ

アニ「…ハッ!」

ライナー「俺達も行くぞ!」

ベルトルト「あぁ…!」

リヴァイ「さっき言っていた…お前等の国の戦士とは何だ?」

ライナー「…もしかしたら敵情視察かも知れません」

リヴァイ「…ならお前達だけでも十分じゃねぇか?」

ライナー「我々は捨て駒なんですよ…」

リヴァイ「…チッ…」

アニ「しかし…。もし奴等が来たんだったら壁は壊されて無い確率の方が高いね…」

リヴァイ「女…。何故そう言い切れる?」

アニ「…アニ・レオンハートです。奴等なら…壁内の人間を巨人に変える事が可能だからです…。わざわざ壁を破壊する必要が有りません」

リヴァイ「成る程な…。だが確定的で無い以上は調査を続けるしかねぇな…」

ベルトルト「…しかし…。もう大分回りましたよ…?」

ライナー「…くそっ!やはり戦士が攻めて来たのか…?…んっ!?兵長っ!」

リヴァイ「…何だ?」

ライナー「今…月明かりで見えたのですが…城の方に巨人が走って行った様な…」

リヴァイ「ッ!?…チッ!急いで戻るぞっ!」ダッ

ライナー「ハッ!!」

~~~~~~~~~
ーウドガルド城跡ー

エルヴィン「総員っ!屋上に登れっ!…戦闘準備だっ!ハンジッ!扉を塞げっ!」

エレン「くそっ!やっぱり夜に動く奴が居たのかっ!?」

ユミル「…街の方には行ってなきゃいいが…(レオン…ヒストリア…)」

ハンジ「一体生け捕りに出来ないかなぁ…?」

モブリット「分隊長っ!そんな事言っている場合では有りませんっ!」

ー屋上ー

ジャン「何だコイツ等…。マジで元気じゃねぇか…」

サシャ「…あの…。あそこの巨人…何か変じゃないですか…?」

アルミン「…本当だ…!やけにデカイし…毛に覆われてる…?」

エレン「考えるのは後だっ!コイツ等をやらねぇと俺達がやられるぞっ!?」

ユミル「確かにな…!んっ!?増援も間に合ったみたいだぜ?」

ゲルガー「団長っ!!…巨人が囲んでやがる…!総員散開っ!巨人を掃討せよっ!」パシュッ

一同「ハッ!!」パシュッ

エルヴィン「…間に合ったか…!此処で掃討作戦を実施するっ!街に行かせるなっ!!」

ミカサ「エレンは下がっていてっ!」パシュッ

エレン「ハァ!?俺も行くぞっ!!」パシュッ

アルミン「ちょっ!エレンッ!」

エレン「うぉぉぉらぁっ!死ねっ!」パシュッ

アルミン「エレンッ!下だっ!!…くそっ!間に合わないっ!」パシュッ

エレン「えっ!?」

リヴァイ「…らぁっ!!」ザクッ

エレン「リヴァイ兵長っ!?」

リヴァイ「…クソガキ…。上でおとなしくしていろ」ギロッ

エレン「ッ!?申し訳有りません…」

ミーナ「イヤァァァッ!!トーマスッ!!」

エレン「ミーナッ!?くそっ!」パシュッ

ミーナ「…私が…助けなきゃ…!…ぐっ!」

エレン「ミーナッ!落ち着けっ!」ガシッ

ミーナ「エレンッ!?…トーマスが…!!」

エレン「くそっ!…兎に角上に避難するぞ…」パシュッ

エルヴィン「エレンッ!!お前は此処に居ろと言った筈だっ!!」

エレン「申し訳有りません…」

エルヴィン「ライナーは居るかっ!!」

ライナー「ハッ!」バシュッ

エルヴィン「見回りご苦労だった…。しかし…あの巨人は何者だ?」

ライナー「恐らく…私の故郷の戦士だと思います…」

エルヴィン「そうか…。他の三人も無事か?」

ライナー「はい!ベルトルトとアニも掃討作戦にあたっていますっ!」

エレン「兵長には先程助けて頂きました…」

エルヴィン「そうか…。引き続き作戦を続行しよう」

ライナー「ハッ!」

ミーナ「…トーマス…。ナック…。」グスッ

エレン「…ミーナ…。大丈夫か?」

ミーナ「…ッ!平気よっ!二人の分まで私がっ!」ゴシゴシ

エレン「無理はしないでくれよ?」

ミーナ「うんっ!」パシュッ

エルヴィン(…獣の様な巨人だが…。目的はやはり敵情視察か…?)
―――
――

ナナバ「粗方片付いてきたね…。ガスももう少ないからこれ以上はマズイ…」

リーネ「そうね…。この塔のお陰で戦い易いわ…」
ヒュルルルルルル

リーネ「何っ!?このお…ドゴォォォンッ!

ゲルガー「…ナナバッ!リーネッ!くそっ!一度団長の所に集まるぞっ!」

エルヴィン「…急に岩が飛んできた?」

ゲルガー「…はい。ナナバとリーネが…。それ以外にも死者多数…。ガスや刃ももう無い者が大半です!」

リヴァイ「どうする?粗方片付いた所で退散するか?」

エルヴィン「あぁ…。潮時かも…コニー「あぁ!!また巨人多数出現っ!!先程の倍は居ますっ!!」

エルヴィン「何っ!?」

エレン「…お前等ガスとかは残ってるのか?」

ジャン「…俺はもうそろそろヤバイな…」

アルミン「僕はもう少し行けると思うけど…」

エレン「…ミカサは?」

ミカサ「…私は心配いらない」

アニ「嘘だね。あれだけ動いてたんだ…。もう殆ど残ってないだろ?」

ミカサ「……………」

ライナー「…俺達がやるか?」

ユミル「…もうそれしかねぇだろ?」

ライナー「団長っ!!俺達が巨人化して時間を稼ぎますから、その間に逃げて下さいっ!」

エルヴィン「……(どうする…。万が一此処でライナー達を失う事になったら…)」

ミケ「…エルヴィン」

エルヴィン「(迷っている時間は無い…)ライナー達には殿を務めてもらうっ!他の者は陣形を再展開っ!トロスト区へ帰還せよっ!」

一同「ハッ!」

レオン「…ガスの補給はいかがすかぁ」スタッ

ユミル「レオンッ!?お前此処で何してんだ?!」

レオン「…団長!獣の巨人が現れたんですね?」

エルヴィン「…そうだ。やはり君は知っているのか?」

レオン「えぇ…。兎に角…!荷馬車でガスと刃を持って来ましたから、早く補給して下さいっ!」

エルヴィン「よしっ!ならば此処で作戦を続行するぞ!!」

一同「ハッ!!」バシュッ

エルヴィン「レオンは話を聞かせてくれ」

レオン「…やはり奴が俺の世界でも現れます…。そして我々と同じ言葉を話していました。立体機動装置の事を知らなかったので…壁外の者だと思われます」

エルヴィン「やはりそうか…。そしてこの巨人は…」

レオン「…後の調査でコニーの故郷…ラカゴ村の住人の可能性が高いという事が分かりました…」

エルヴィン「…そうか…。兎に角…此処を切り抜けたら調査でコニーの村に行く事になっている…。そこで何か分かるだろう…」
―――
――

調査兵「団長!」スタッ

エルヴィン「どうした?」

調査兵「周囲の巨人は粗方排除しましたっ!」

エルヴィン「そうか。ではこれで…獣「いやぁ…凄いなぁ」

調査兵「なっ!!コイツ!」バシュッ

獣「おっとっ!」ガシッ ブチュ

エルヴィン「…くっ!!」

獣「その腰に付けた飛び回るやつ…何て言うんですか?」

ゲルガー「…クソがっ!」パシュッ 

獣「…んっ?危ないなぁ…」ブチッ

ゲルガー(しまった…!ワイヤーを掴まれたっ!)

獣「ぽいっと」ブンッ

ミケ「…くっ…!」パシュッ

アルミン「ゲルガーさんがっ!!」

エルヴィン「よせっ!ミケッ!」

獣「…ほいっ!」グチャッ

ハンジ「ミケッ!!コイツッ!」ガッ

モブリット「ダメですっ!落ち着いて下さいっ!!」ガシッ

エルヴィン「お前達の目的は何だ…?」

獣「…君達には関係無いよ…。僕はこれを持って帰れればそれでいいんだ…。またね」ズシンッ

ライナー「俺達が巨人化して…!」

エルヴィン「…よせ。深追いはしない…。特別作戦班はトロスト区へ帰還っ!他の者は壁の調査へ向かえっ!もう日が出て来た…。ハンジ。頼むぞ!」

一同「ハッ!」

ハンジ「了解っ!」ダッ

コニー「団長っ!…自分は…」

エルヴィン「…コニーは調査兵と共に壁の調査と…故郷の調査に同行しろ」

コニー「ハッ!」ダッ

ユミル「お前もう怪我はいいのかよ?」

レオン「…フッ…。愚問だな…」

アルミン「…随分汗かいているみたいだけど…?」

レオン「えっ?そう?(流石アルミンは鋭いねぇ…)」スッ

アルミン「…何で目を逸らすの?…ハァ。また悪化したらどうするのさっ!!」

エレン「まぁまぁ…。結果的に助かったじゃねぇか!」

ミカサ「ガスと刃が補給出来たおかげで助かった…」

レオン「皆無事でよかったよ…。ところでコニーは…?」

ユミル「この後の調査に同行するみたいだ…」

レオン「そうか…」

ベルトルト「…今回の巨人の騒ぎは…やっぱり…」

レオン「…まだ分からねぇが…。俺の世界では…コニーの村の住人だった…」

ライナー「…くっ…!」

ベルトルト「…そうか…」

サシャ「…じゃあコニーの家族は…」

レオン「さっき掃討された巨人の中に居た可能性がある…」

エレン「…くそっ!!何で…俺達がこんな目に遭わなくちゃいけねぇんだっ!!」ガンッ

ミカサ「エレン…。落ち着いて…」

アルミン「…一先ず調査は他の班に任せて…僕達は戻ろう…」

ライナー「…あぁ。…アニ?戻るぞ?」

アニ「……………」
――――
―――
――

ー掃討作戦中ー

調査兵「ウォォォォォッ!」

ジャン「そっちだっ!!」

~~~~~~

獣「…上手く潜り込んでるみたいだね…。君の親も喜ぶだろう…」

アニ「…私はっ!!」

獣「…今更泣き言なんて言うなよ…?君の父親の命は預かっているんだ…。他の二人にも伝えておいてよ」
――
―――
――――

ライナー「…アニッ!…どうした?」

アニ「…あぁ。何でもない…。行こう」ダッ

ライナー「どうしたんだ?アイツは…」

ベルトルト「………………」
―――
――

ートロスト区壁上ー

エレン「…流石に疲れたなぁ…」

ミカサ「お疲れ様…」

アルミン「まさか…壁内でこんなに人が死ぬなんて…」

ユミル「…向こうも大分本気だな…」

ヒストリア「皆っ!!」スタッ

アルミン「ヒストリアッ!良かった…。無事か…」

ヒストリア「…私はイアン班長に守ってもらったから…。皆は…?無事?」

ジャン「作戦班は全員無事だ…だが…」

エレン「…ミケ分隊長やその班の人…大勢が死んだよ…」

ヒストリア「…そんな…」

ユミル「調査兵団はまた減っちまったよ…」

リヴァイ「…あぁそうだ…。だが俺達はまだ生きている」

ユミル「リヴァイ兵長!?」

リヴァイ「奴等を犬死ににさせねぇ為にも…俺達がやらなきゃならねぇんだ…。分かったか?」

一同「ハッ!!」バッ

リヴァイ「さて…。何故死に損ないがここに居るか聞かねぇとならねぇか…?」ギロッ

レオン「………ッ!!」ビクッ

リヴァイ「…まぁお前が持って来た物資のお陰で助かった所もあるが…。怪我人は大人しく寝てろっ!」

レオン「申し訳有りません…」

リヴァイ「…チッ…。俺はエルヴィンとジジイの所に行ってくる…。お前等は本部で待機してろ…」

一同「ハッ!」

~~~~~~~~~
ー調査兵団本部ー
ー食堂ー

サシャ「…やっと帰って来ても何も食べ物が無いとは…」

アルミン「…仕方無いよ…。市民の配給に当てたみたいだし…」

ジャン「実際…内地に逃げる訳にも行かなかった訳だしな…」

エレン「でもよ…あの獣はどうやって入って来たんだ?」

レオン「恐らくだが…壁を登ってきたんだと思うぞ?」

アルミン「…えっ!?壁って…どういう事?」

レオン「俺の世界で…アイツは普通に壁を登ってたんだよ…」

ジャン「じゃあ…攻める気になりゃ何時でも来れるって事か…!?」

レオン「あぁ…。何故直ぐに来ないのか…。やはり来たる大戦に備えてるのかもしれんが…ライナー?どうなんだ?」

ライナー「…敵情視察で間違いは無いと思うが…。やはり大戦の前に情報を収集しておきたいって所だろう…」

ミカサ「立体機動装置に興味を示していた…」

エレン「じゃあ何で今迄百年も放って置いたんだ…?」

ユミル「…そりゃ触らぬ神に祟り無しって事だろ?引き篭もってるとはいえ[座標]が居る可能性が高いんだ…。下手に叩いて虎を起こす事もないだろ?」

アルミン「そうか…。で、巨人復活が近付いてきた所で動き出した…」

サシャ「迷惑な話ですよね…。絶対に勝って…美味しい物沢山食べなきゃ割りに合わないです!」

レオン「ハハッ!そうだな…。サシャの言う通りだ…。死んで行った皆の為にも…勝たなきゃならねぇ…。例え…相手が…人間だとしてもだ…」
エレン「…あぁ」

アルミン(そうだ…。僕達はもう…人間だった巨人を殺しているんだ…)
ユミル「……………」

ヒストリア「……うん…」

ライナー「…コニーの村は無事だったんだろうか…」
ガチャッ

コニー「……………」スッ

ライナー「コニーッ!…大丈夫か…?」

コニー「…った…」

ライナー「…えっ?何だって…?」

コニー「俺の故郷は…無くなっちまったっ!!…家も…弟も妹も…」

サシャ「…そんな…」

ユミル「…チッ…」

ヒストリア「コニー…」

ミカサ「…………」

アニ「…………」ギュッ

コニー「…母ちゃんによく似た巨人が家で寝てたよ…。それだけだ…!なぁ!ライナーッ!!俺はっ!誰を恨めばいいんだよっ!?お前の故郷の奴か…?それとも巨人かっ!?…くっそぉぉっ!」ガクッ

ライナー「…すまない…」ガシッ

ベルトルト「……アニ?顔色が悪いよ…?大丈夫?」

アニ「大丈夫だよ…」

ベルトルト「…でも…。この間から様子がへ…アニ「大丈夫だって言ってるだろっ!?」バンッ

ベルトルト「………ッ!!」ビクッ

ミカサ「…アニ?どうしたの…?」

レオン「………………」

アニ「…ッ!ゴメン…。何でも無いっ!」ダッ
バタンッ

ライナー「こんな時にアニまでどうしたんだ…?…コニー?取り敢えず宿舎でもう休め…。後の事は俺達でやっておくから…」

コニー「悪いな…。辛いのは俺だけじゃねぇのに…。アニにも謝っておいてくれ…」スッ
バタンッ

レオン「…で?ベルトルトは何してんの?」

ベルトルト「…え?」

レオン「いや…え?じゃねぇだろっ!!早くアニを追いかけろよっ!!」
ベルトルト「…ッ!?」ダッ
バタンッ

ユミル「…お前も気付いてたのか?」

レオン「…だってアイツ見過ぎじゃね?」

ヒストリア「何が…?」

ユミル「何でもねぇよ…」

サシャ「私…コニーの所に行ってきます…!」ダッ

レオン「…コニーを頼むな…」

エレン「なぁ…俺達って本当にこれで良かったんだよな…?」

アルミン「エレン…」

ジャン「いいも何もねぇだろ…?自分達でここ迄進んで来たんだ!今更引いたらアイツ等は何の為に死んだんだよっ!?…兵長の言う通り犬死にになっちまうじゃねぇかっ!!」

エレン「…ッ!…あぁそうだな…。もう迷わねぇ…!絶対勝って…外の世界を探検するんだっ!」

アルミン「そうだよ!一緒に行こうねっ!エレンッ!」

ミカサ「私も…また三人で…」

レオン(此処は大丈夫そうだな…。さてと…アニはと…)スッ

~~~~~~~~~
ー調査兵団中庭ー

アニ(私達はもう壁内に攻撃しないって決めたんだ…!でも…そうしたらお父さんが…。私だけ自分の故郷には帰りたいの…?コニーの故郷を滅茶苦茶にしたのは私の国なのに…苦しい…)ギュッ

ベルトルト「…アニ?」

アニ「…ベルトルトか…。何?」

ベルトルト「…様子が変だったから…どうしたの?」

アニ「…さっき…獣の奴に言われたんだ…。まだ私達が寝返ったのはバレてないみたいだけど…。しくじったら…お父さんを殺すって…。ねぇ…。私達はどうすればいいのさ…?人間にも…巨人にもなれない…中途半端な私達は…うぅ…」グスッ

ベルトルト「そんな…。アニはどうしたいの…?僕は…この世界がどの方向に進んでもアニの…味方だよ…?」

アニ「分かんないよっ!!…もうアイツ等に恨まれる様な事はしたくないし…。でも…お父さんが…私のせいで殺されるなんて…」

ベルトルト「…アニ…。一緒に考えよう。どうすれば皆が助かるか…。僕も…手伝うから…」ギュッ

アニ「そんな都合のいい事が有るの…?」

ベルトルト「…分からない。でも…やろうとしないと出来ないよ?…レオンのお陰でまだ僕達は生きてるんだ…。壁内の脅威を取り去れば…あの国だって和解に応じるさ…。その為には…この班で生き残らなくちゃ…ね?」ギュッ

アニ「ベルトルト…」ギュッ

~~~~~~~~
ー物陰ー

レオン(ベルトルト…。言うようになったじゃねぇか…!目から汗が…)グスッ

ライナー「おいっ!アイツ等は大丈夫か?」ボソッ

レオン「ッ!!ライナーッ!?脅かすんじゃねぇよっ!」ボソッ

ライナー「スマン…。そんなつもりは無かったんだが…」

レオン「…あぁ。あの二人はなんとか大丈夫だろう…」

ライナー「そうか…。良かった…」

レオン「兄貴は心配したぜってか?」ニヤッ

ライナー「当たり前だろ?…でも何か入りにくい雰囲気だな…」

レオン「大丈夫だ…よっ」ドンッ

ライナー「うぉっ!」

ベルトルト「ッ!?…ライナー!?脅かさないでよ…」スッ

ライナー「いやぁスマンな…!で…アニ?落ち着いたか?」

アニ「あぁ…。ありがとう。もう大丈夫だよ…」

~~~~~~~

レオン(僕は戻りましょうかね…)スッ

~~~~~~~
ー食堂ー

ヒストリア「あっ!!帰って来た…!何処に行ってたの?考えてみたらまだ動いちゃダメじゃないっ!!」

レオン「いや…便所だよ…?もうそろそろ休もうかなって思ってた所だ…!」

ユミル「ならさっさと休め…!またハードになるぞ?」

レオン「あぁ…。分かったよ…。じゃまた明日?な」スッ

エレン「おぉー」

アルミン「お休み」

―――――
――――
―――

ー駐屯兵団本部ー
ー指令執務室ー

ハンジ「…報告は以上になります…」バッ

ピクシス「…レオンに聞いただけでは半信半疑じゃったが…うぬぅ…」

エルヴィン「…やはり…巨人は元々は人間だった可能性が高くなりました」

リヴァイ「気にしねぇようにしてたが…。やはり俺は人間の項を削いで喜んでたって事か…」

ハンジ「…全部の個体がそうとは限らないよ…」

エルヴィン「…仕方あるまい…?躊躇えばやられるのはこちらだ…」

ピクシス「…しかしどうする?…獣の奴の騒ぎのせいで市民はパニックじゃ…。兵士や市民に多数の怪我人が出ておる…」

ハンジ「それについては安全宣言を出して問題無いと思われます…。壁も破壊されておらず…巨人の討伐数も…ラカゴ村の住人の数と一致していますので…」

ピクシス「…うむ。なら明日にでも宣言を出そう…。エルヴィン…。お主等はどう動く?」

エルヴィン「はい。先ずはエレンの覚醒が目下の目標になると思われます…。彼に巨人を支配する力に目覚めてもらわなければなりません」

ハンジ「なら…作戦の企画・立案は私でいいね?」

エルヴィン「あぁ…。リヴァイ班と協力しエレンの実験に入る」

リヴァイ「あぁ」

ハンジ「了解っ!!」

ピクシス「まぁ先ずは休め…。ろくに寝とらんじゃろ?」

エルヴィン「しかしもう朝ですからね…。お心遣い感謝致します!…では」バッ

リヴァイ「とは言え何処でやるんだ…?まさか兵団本部でおっ始める訳にもいかんだろ?」

ハンジ「まぁねぇ…。ライナーの硬質化の事もあるしね…。どうするの?エルヴィン?」

エルヴィン「…今は使われていない旧調査兵団本部を使う。特別作戦班はそこで実験に当たってもらおう」

リヴァイ「あの城か…。まぁあそこなら最悪の場合でも対処も楽だな…」
ハンジ「じゃ場所は決まりだね!楽しみだなぁ!」

リヴァイ「…おいメガネ…。テメェはうるせぇから暫くしてから来いよ?」

ハンジ「何でさ!?直ぐにでも始めたいのにっ!!」ダンッ

リヴァイ「…これは命令だ。暫く大人しくしていろ…。エルヴィン。俺は奴等に伝えてくる…」スッ

エルヴィン「あぁ。頼む」

ハンジ「何だよ…。リヴァイの奴…」

エルヴィン「(素直じゃない奴め…)リヴァイもあぁ言っているんだ。少し休んでおくんだ」

ハンジ「へいへい…。分かりましたよ…!」スッ

~~~~~~~~~
ー調査兵団本部ー
ー食堂ー

アルミン「やっと市民の誘導が終わったね…」ドサッ

ジャン「あぁ…。朝一からキツかったぜ…」ドスッ

サシャ「ご飯はっ!?ご飯はまだですか?」

ユミル「…お前はそればっかりかっ!」

ヒストリア「でも…昨日からろくに食べてないからね…」

エレン「あぁ…。寝不足な上に空腹だ…。こりゃ持たねぇよ…」

ミカサ「大丈夫?何か木の実でも…」スッ

エレン「いいから…。そんな事は頼んでねぇだろ?」ガッ

アニ「まぁ…上官方も食べて無いんだ…。仕方無いね…」

ライナー「…そろそろ何か指示が有るか…?」

リヴァイ「揃いも揃って何て面してやがる…」チッ

サシャ「ひっ…!リヴァイ兵長…!お早うございますっ!」バッ

一同「お早うございますっ!」バッ

リヴァイ「移動するぞ…。準備しろ。…コニーとレオンは…?」

ユミル「…二人共まだ休んでいます」

リヴァイ「そうか…。二人共起こして来い」

ライナー「了解しましたっ!」スッ

~~~~~~~~
ー男子宿舎ー

コニー(父ちゃん…母ちゃん…サニー…マーティン…。俺が…!幸せにする筈だったのにっ…!何も出来なかったっ…!畜生っ!!)
ガチャ

ライナー「コニー…?起きてるか?」

コニー「…ライナーか?起きてるよ…」スッ

ライナー「おはよう…。今リヴァイ兵長が戻られてな。移動するらしい。起きられるか…?」

コニー「そうか…。直ぐに行くよ。泣き言ばかり言ってられねぇからな…」

ライナー「…俺はレオンも起こしていくから先に行っててくれ」

コニー「分かった」

~~~~~~

レオン「やべぇ…。痛み止めが切れたら痛いんですけど…?うぅ…」
ガチャ

ライナー「起きてるか…?」

レオン「…ライナー。おはよう…」

ライナー「…ひどい顔だな…。眠れなかったのか?」

レオン「まぁな…。どうってことねぇよ」

ライナー「今兵長が戻られた。移動するらしいが…大丈夫か?」

レオン「分かった…。準備して直ぐに行くよ…。先に行っててくれ」

ライナー「…分かった」スッ

~~~~~~~~

リヴァイ「…集まったな」

レオン「お早うございますっ!」バッ

コニー「お早うございますっ!」バッ

リヴァイ「コニー…。俺達は生きているって事を忘れるな…。お前はよくやった」

コニー「兵長…。あり…がとうございま…す…」グスッ

リヴァイ「で…そこの死に損ないは随分顔色がいいようだが…?」

レオン「はは…。朝から快調ですよ…。ぐっ…」イテェ

リヴァイ「チッ…。おいユミル…。お前が連れてきてやれ」

ユミル「ハッ!」

ヒストリア「大丈夫?」

レオン「う~ん…。少し痛いかも…」

ユミル「昨日あんなに動き回るからだよ…」

レオン「それ程でもねぇよ…」

ユミル「褒めてねぇよ…」ハァ

レオン「んで…?何処に行くの?」

アルミン「旧調査兵団本部みたいだよ?…エレンの巨人化実験をいよいよ開始するみたいだ」

レオン「あぁ。あの城か…」

エレン「知ってるのか?」

レオン「向こうでもお前を隔離してた施設はそこだったからな…」

エレン「そうだったのか…」

リヴァイ「何時迄も喋ってねぇで行くぞ…」
――――
―――
ーハンジ研究室ー

ハンジ(ハァ…。暫く休めって言われてもなぁ…。早く実験したいのに…。それに…じっとしてたら考えちゃうじゃんか…。ミケが死ぬなんてなぁ…。これで初代分隊長は私だけか…)
コンコンッ

ハンジ「…?どうぞー」

モブリット「失礼しますっ!」バッ

ハンジ「やぁ。モブリット…。どしたの?」

モブリット「いえ…。その…大丈夫…ですか?」

ハンジ「…?何が?」

モブリット「…今回の件で…ミケ分隊長が…。それで…ハンジ分隊長も随分…堪えていたご様子でしたので…」

ハンジ「えっ?(そうか…。だからリヴァイ達は…)そう見えてたかぁ…。ありがとう。モブリット…。私なら大丈夫だ。私は生きている…!嘆くのは…死んだ時に取っておくさ…!」

モブリット「…分隊長はいつもお一人で背負い過ぎです…。偶には…副官も頼って下さいね?…失礼しますっ!」バッ

ハンジ「あぁ!ありがとう」

ハンジ(しっかりしなくちゃねっ!…よしっ!行くかっ!)バッ
ガチャ

~~~~~~~~~
ー旧調査兵団本部ー

ジャン「…へぇ。結構雰囲気がある所じゃねぇか」

アルミン「本当だ!でも…少し汚いね…」

アニ(…今気付いたけど…。まさか一つ屋根の下で男女が寝るのか?!)

ヒストリア「うわぁ…。凄いねっ!」

ユミル「そうだな…。随分立派なもんだ」

リヴァイ「一々騒ぐな…。この城は重大な問題を抱えている…」

レオン(…まさか!?)

ライナー「何か問題がっ!?」

リヴァイ「汚ねぇっ!…早急に取り掛かるぞ…」

レオン「そういや兵長は潔癖症だった…」

ライナー「な…成る程っ!」

エレン「うへぇ…。掃除かぁ」

ベルトルト「まぁ自分達が暮らす所だしね…」

リヴァイ「いや…。アニとベルトルトは明日には内地に戻ってもらう…。お前等は内地の査察だ」

アニ「(危なかった…)了解しましたっ!」

ベルトルト「ハッ!」

ジャン「戻ったらマルコに宜しく言っといてくれよな!」

ベルトルト「あぁ分かった!」

ミカサ「じゃあ早速始めよう…。これだけ大きいと終わらない…」

男「おいっ!新兵っ!いつ迄ボサッとしてやがるっ!!」

コニー「誰だ…?あれ…?」

アルミン「調査兵団の人みたいだけど…」

女「ちょっとっ!オルオッ!そんな言い方ないでしょ!?ゴメンね…。私はペトラ・ラル。こっちはオルオ・ボサド…。私達も今日から合流する事になったの。宜しくね」

オルオ「チッ…。いいか新兵…。お前等が遅いから俺達先輩が掃除しているんだっ!とっとと…ガリッ!ぐへぇ」ブシュ

リヴァイ「そういう訳だ…。流石に巨人が集まっているからな…。戦力の補強らしい…。俺は構わんと言ったんだがな…」

エレン「何だか強烈な人だな…。オルオさんて…」

サシャ「流石は調査兵団ですね!」

ユミル「いや…お前が言うなよ…」

レオン「って事は…」キョロキョロ

男「お前等こそいつ迄遊んでるんだ?兵長がお着きになってしまったじゃないかっ!」

男「オルオ…。また下を噛んだのか?」

リヴァイ「ご苦労。エルド…グンタ」

エルド「いえっ!自己紹介がまだだったな…。俺はエルド・ジン。宜しくな」

グンタ「俺はグンタ・シュルツだ。宜しく」

一同「宜しくお願いしますっ!」バッ

レオン(スゲェッ!本物だっ!…生きてる。感動してきた…)グスッ

ヒストリア「大丈夫?あの…兵長…」

レオン「いやっ!ちょっ!ヒストリア?」

リヴァイ「…何だ?」

ヒストリア「レオンはまだ体調が優れない様なので…休ませてあげてもらえませんか?」

リヴァイ「…チッ…。仕方ねぇな。ライナー!部屋まで連れてってやれ…。エルド。案内してやれ」

ライナー「ハッ!…大丈夫か?…掴まれ…!」ヨッ

レオン「ありがとな…。(まぁ痛むのは本当だしな…)」

エルド「そいつはどうしたんだ?前回の騒ぎで怪我でもしたのか?」

リヴァイ「そいつが例の異次元の人間だ」

エルド「そうでしたかっ!じゃ夕食の時にでもゆっくり話でも聞こうか…。こっちだ」スッ

ライナー「有難うございますっ!」

レオン「有難うございますっ!」
――――
―――
ー食堂ー

サシャ「いやぁ…。なんとか終わりましたね!」

アルミン「うん。人数が居たから良かったよね」

リヴァイ「…お前等まさかこれで終わりだとか思ってねぇだろうな…?」
エレン「えっ!?…まだやるんですか?」

リヴァイ「チッ…。当たり前だ。まだ汚ねぇだろうが…」

ミカサ「…訓練はどうするんですか?」

リヴァイ「…訓練も当然行う。終わってから掃除すれば良い話だ」

コニー「うへぇ…」

オルオ「おいっ!ガキンチョ共っ!兵長に何か文句でもあるのか?」

ジャン「いえ…。文句が有る訳ではありませんが…」

ユミル「…これだと…どちらが本当か分かりませんよね?」

ヒストリア「ちょっ!ユミルッ!なんて事言うのよ…!」

オルオ「何だとぉ…?」

ペトラ「もうオルオも止めなよ…。君達も…。この間の戦いで疲れているのは分かるけど…決まりには従おう」

エルド「そうだな…。班長がそう判断したんだ。俺達は指示通り動くぞ」
エレン「勿論ですっ!…お前等もいい加減にしろっ!俺達が自由に動けるのは兵長のお陰なんだぞっ!?」

アニ「その通りだね」

ベルトルト「…住む所は綺麗な方が気持ちが良いだろ?」

ユミル「へいへい…。分かりましたよ…」

リヴァイ「…………」

ペトラ「ご飯の用意も出来た事だしさっ!ご飯にしようよ!」

ライナー「自分はレオンを呼んできます」ダッ

~~~~~~~

ペトラ「さてと…。食べながらでいいけどレオンには色々聞かなくちゃね」

エルド「…本当なんだよな?その…別の世界から来たってのは…」

レオン「本当です…。自分も信じられませんが…」

オルオ「フンッ!少しこの世界に詳しいか…ガリッ!ぐはぁっ…!」ブシュ

グンタ「お前は何をしているんだ…?」ハァ

アルミン「大丈夫ですか?!これ…タオルです!」スッ

オルオ「…新兵の割には中々気が利くじゃねぇか…!」

エルド「それで…向こうの世界ではコイツ等は敵…なんだよな?」

ライナー「…………」

アニ「…………」

ベルトルト「…………」

レオン「…そうです。ですが…!こっちでは違いますっ!そうだよな?」
ライナー「はい…!信じてもらえないかもしれませんが…。私達は兵士である事を選びましたっ!命を懸けて戦いますっ」

リヴァイ「まぁ…コイツ等に関しては、全てが終わった後に然るべき罰を受けてもらう…」

エルド「…お前等の事は信じてはいない。万が一の為に俺達が選ばれているんだ」

オルオ「そうだぞっ!お前等が何か企んだ所で…俺達が直ぐに殺すっ!」ギラッ

ベルトルト(さっき迄の雰囲気じゃ無い…。本物の…殺気だ…)

エレン(調査兵団切っての精鋭と言われている人達だ…。もしもの時は…この人達に殺されるのか…)

コニー(うわぁ…。一気に気まずくなっちまった…)

サシャ(折角のご飯が…暗いですね…)

ペトラ「…ちょっと!エルドもオルオも…ご飯の時に止めてよ!」

グンタ「まぁお前等の気持ちも分かるが…。今は共に訓練に励むんだ…雑念は捨てるべきだな」

エルド「…すまない。興奮してしまった…」

オルオ「…だが間違ってはいないんだからなっ!勘違いするなよっ!」

ライナー「…ハッ!」

レオン(スゲェ…!そのまんまだな!)

ペトラ「気を取り直してさ…。向こうの私達って何してるの?…気にならない?」

グンタ「おぉ。そうだな」

オルオ「俺はやはりリヴァイ兵長にお仕えになってる筈だな!」

レオン「…そうですね。先輩方はやはりリヴァイ班ですよ。エレンの護衛と…監視目的ですね」

エルド「ほぉ…。そうか…エレンも巨人だったな」

エレン「はい…。まだ…よく分からないのですが」

リヴァイ「その為の実験だ」

ミカサ「何も心配いらない…。エレンはエレン」

ペトラ「…ねぇ。気になってたんだけどさ…ミカサ…って言ったよね?エレンの…彼女なの?」ニヤニヤ

ミカサ「ッ!?いえっ!…その//」

エレン「コイツはそんなんじゃありませんよっ//」

レオン「またまたぁ…。隠さなくてもいいじゃないですかぁ~」

アルミン「そうだよね!」

ジャン「…俺は認めねぇぞ…」ボソッ

ライナー「…ドンマイ…」ポンッ

ペトラ「あれぇ…。そうなんだ…。随分親しげだったからさ!」

エレン「コイツは…家族みたいなもんなんですよ!小さい頃から一緒に育ってきたから…//」

エルド「幼馴染か…?まぁ近すぎると見えない物ってあるからな…」

グンタ「深いねぇ…。実体験してる奴は違うねぇ」

ヒストリア「エルドさんも恋人は幼馴染なんですか?」

エルド「あぁ…。お互いの気持は知っていたが…その関係が崩れるのが嫌で中々言い出せない…。って俺の話じゃないだろっ!?」

ペトラ「でもエルドはいよいよ今年結婚するじゃないっ!」

サシャ「おぉ!おめでとうございますっ!」

ヒストリア「素敵っ!おめでとうございますっ!」

エルド「…参ったなぁ…。ありがとう…//ってな訳でエレン…。早くしないとこんなに美人じゃ誰かに取られちまうぞ?」ニヤッ

エレン「いや…ですからっ!そんなんじゃ無いんですってっ//」

ミカサ「…でもこの流れを無理に変える必要は無いと思う…//」

エレン「ハァ…?お前何言ってんだよっ!?…アルミンも笑ってないで何とか言えよっ!」

アルミン「まぁいいんじゃないの?フフッ」

レオン(これだ…。本当はこうなるべきだったんだっ!ここに居る全員で生き残ってやるっ!)

ユミル「…何をボーッとしてんだ?」

レオン「ん?いや…これが見たくて俺達は頑張ってきたんだなぁってさ…」

ユミル「…?意味分からん奴だな…」

ペトラ「いいなぁ…。ねぇレオンッ!私って向こうじゃちゃんと結婚してるの?」

レオン「………ッ!?」ブッ

グンタ「おいおい…。それ聞いちゃうか?レオンがビックリしてるじゃないか」

ペトラ「えぇ~。別に違う世界なんだからいいじゃないっ!ねぇ!どうなの?」

レオン「(マズイ…。適当に誤魔化すか?)えっと…」

オルオ「レオンッ!遠慮する事は無いぞっ!現実を教えてやれっ!」

ペトラ「ハァ!?どういう意味よっ!?」

エルド「なら俺も聞きたいな…。アイツと一緒になってるかどうか…」

レオン「あのですね…。ペトラさんは…その…独身でしたね…。自分が知る限りでは…」

ペトラ「そっかぁ…」ガクッ

レオン「エルドさんはちゃんと結ばれていましたよ?」

エルド「そうかっ!スマンな!ペトラ!」

ペトラ「うるさいっ!」

オルオ「…やはりお前の様な女を貰ってくれる奴など俺しか居ないな」フッ

ヒストリア「でも…。あくまでも向こうの話ですからっ!そう落ち込む事も無いと思いますよっ!?」

サシャ「そっ…そうですよっ!これからですって」

レオン「…ペトラさんは実物の方が百倍綺麗ですからね!直ぐにお相手も見つかりますよっ!」

ペトラ「…そう?何か新兵に慰められるのも悲しい気もするけど…。ありがとねっ!」
ガチャッ

ハンジ「やぁ!リヴァイ班の皆さん!お城の住み心地は如何かな?」

リヴァイ「…メガネ。うっとしいから少し後に来いと言った筈だが?」

ハンジ「ありがとね…。リヴァイ。私は大丈夫だからさ」

リヴァイ「チッ…」

ハンジ「さてと…明日から忙しくなるよ?特にエレンッ!」ビシッ

エレン「はっ…はい!」

ハンジ「君には早急に力に目覚めてもらわなくちゃいけない」

エレン「はい!やりますっ!全力でっ!」

アルミン「でも…どういった事をされるんですか?」

オルオ「バカッ!聞くなっ!」ボソッ

アルミン「…?」

ジャン「そうですね。気になります」

ヒストリア「是非教えてください!」

レオン(あ~あ…)

ハンジ「…そう?じゃあ新兵の子も多いし…。詳しく説明してあげようかな」ニタァ

リヴァイ「…………」ガタ

エルド「…………」ガタ

グンタ「…………」ガタ

ペトラ「…………」ガタ

オルオ「…………」ガタ

アニ(…?皆戻っちゃうね…)

サシャ「皆さん戻ってしまいましたが…?」

ハンジ「あぁ~いいのいいの!彼等はもう知ってるしねっ!…まぁ巨人化出来る子がいるからね…もしおかしな所あったら訂正してくれ」ニコニコ
―――――
――――
―――
チュンチュン

ハンジ「まぁ以上になる訳だけど…特に目新しい所は無かったかな?」

ライナー「…えぇ…。そうですね…」ゲッソリ

ベルトルト「………ッ!?」コクリッ

アニ「私も特には…」ゲッソリ

ユミル「Zzzzzzz」コクッ

ミカサ「Zzzzzzz」コクッ

ヒストリア「…流石研究されていますね…」ゲッソリ

コニー「……眠ぃ…」ゲッソリ

サシャ「…あそこに有るのはパンですか…?」ゲッソリ

ジャン「多分幻覚だと思うぞ…?」ゲッソリ

アルミン「皆…ゴメン…」ゲッソリ

エレン「…全部知っていました…」ゲッソリ

コニー「…おぉー!確かにっ!」

アルミン「君達はなんて事を考えているんだ…」

ジャン「おいおい…。アルミンさんよ…。ムッツリは良くねぇよ…?」ガシッ

ライナー「そうだぞ?健全な男なら…興奮しない方がおかしいぞっ!?」ガシッ

エレン「…何考えてやがる…。そんな呑気な事言ってる場合じゃねぇだろ!?」

アルミン「そうだよっ!エレンの言う通りだっ!」グイッ

レオン「まぁそれによ…。ミカサにユミルも居るんだぞ…?変な事しようとしたら…殺されるぞ…?」

ライナー「…あっ…」

ジャン「それもそうか…」

ベルトルト(…アニの裸か…。って何を考えているんだっ!)ブンッブンッ

ライナー「おっ?ベルトルトも何か想像しちゃったか?」ニヤッ

ベルトルト「なっ…何をっ!僕は…何も!」

ライナー「照れるな照れるなっ!年頃の男じゃ仕方ねぇよ!」ガシッ

ベルトルト「だから…僕は何も…」

ライナー「皆そうさ…。そうやって想像力を鍛えていくんだっ!」

コニー「おぉー!ライナー頭いいなっ!」

レオン「そうだった…。よくよく考えてみれば…こっちの世界は大変だよな…」

ジャン「向こうは…違うのかよ?」

レオン「フッ…。向こうには動画って言ってな…。映像が見られる機械が有る訳よっ!…前に俺が見せた電話ってあったろ?アレとかがそうだっ!」

エレン「…動画?」

ジャン「どうした…?エレン君?興味無いんじゃないのか?」

エレン「べっ…別に興味無いとは言ってないだろっ!」

レオン「いいか…?動画ってのはな…。要は動いている訳よ…。男女が事に及んでいる場面が…。絵じゃなくてよ?」ニヤッ

ジャン「おぉっ!それは凄そうだなっ!」

レオン「まぁ絵は絵でいいかもしれないが…。あぁ~っ!!お前等にも見せてやりてぇよっ!」バンッバンッ

コニー「でもよ~?一回家畜が交尾してる所見た事あるけど…気持ち悪かったぜ…?」

ライナー「バカッ!コニー…バカッ!人間と家畜を比べたらダメだろっ!」

ジャン「そうだぞっ!動いてるなんてスゲェじゃねぇかっ!」

レオン「そうそう…。俺も初めて見た時は…やばかったよ…」フッ

エレン「外の世界には有るかな?」キラキラ

レオン「どうだろうな…?でも探す価値は有ると思うぞ?」
ヤイノヤイノ

アルミン「全く…。僕は先に行って…る…よ…?…ミッ…ミカサ…!」

ミカサ「エレン…?アルミン…?さっきから何の話をしているの?」

アルミン「ぼっ…僕は関係無いよっ!」

エレン「なっ…何だよ?別に何でもいいだろ!?」

アニ「…あんたら…朝から何やってんのさ…?」ジロッ

ライナー「」

ベルトルト「(何で僕まで…)」

サシャ「コニー…。まぁ元気になったみたいで良かったですよ…」

コニー「あぁ…ありがとな…」

ユミル「朝から上機嫌じゃねぇか…?あ?体はもういいのか?」

レオン「えぇ…。お薬が効いていますので…」

ヒストリア「…でも…まぁ…男の子だしね…?」

ミカサ「…二人は後でたっぷりお説教。今は取り敢えず食堂に急ごう」スッ

エレン「」

アルミン「だから…僕は関係無いのに…」

アニ「あまり…近付かないでもらいたいね…」スッ

ベルトルト「そんな…」ガーンッ

ライナー「…直に機嫌も直るさ…」ポンッ

コニー「なぁ…?サシャ…?何か今日のお前はいつもより…その…色っぽいな?」

サシャ「…ッ!?なっ…何ですか?急に…//」

コニー「…あぁっ!分かったっ!シャワーで髪が濡れてるからだ!!お前色っぽいなっ!」

サシャ「…もう…。急にそんな事言われたら…恥ずかしいじゃないですか…//」

ライナー「…ッ!」ピーンッ

アルミン「…ッ!」ピーンッ

ベルトルト「…ッ!」ピーンッ

レオン「…ッ!」ピーンッ

四人(…それだっ!コニー!ナイスッ!!)

ライナー「…ヒストリア…?今日の君は何時にも増して綺麗だ…」

ヒストリア「…え?…うん。ありがとう…。ライナー//」

ユミル「…テメェは誰の許可を得てセクハラしてんだ?あ?」メキメキッ

ライナー「ぐぇ…。ぐる…じ…い」パシパシ

ヒストリア「ちょっ…!ユミルッ!?止めなよっ!」

レオン「お取り込み中申し訳ない…。ユミル?何時もの百倍…綺麗だよ…?」

ユミル「ヒストリア…。チッ…。ライナーッ!次はねぇからな?」パッ

レオン「いや…聞けよ…」

アルミン「ミカサって…美人だよね?それで髪が濡れてるから…余計に綺麗に見えるや…」ニコッ

ミカサ「…?アルミン?変な物でも拾い食いしたの?…落ちている物を食べちゃダメでしょ?」

アルミン「」

エレン「ミカサにそんなの効くわけ無いだろ…?」

ベルトルト「アニッ…!何時も綺麗だけど…今はとても綺麗だ…!」

アニ「…そんなお世辞でポイントが上がると思ってるわけ…?」ハァ

ベルトルト「…ゴメン…。でも…綺麗だと思ったのは本当だよ?」

アニ「あぁそうかい…」プイッ

ライナー「…向こう向いた瞬間ニヤついてたぞ…?やったなっ!ベルトルトッ!」

ユミル「お前も変な事吹き込むんじゃねぇよっ!」バシッ

レオン「アイタッ!…どうもすみませんね…」

~~~~~~~~~~
ー食堂ー

リヴァイ「おい…。テメェ等はいつ迄顔洗ってんだ…?」

ライナー「申し訳有りません…」

ペトラ「早くご飯食べちゃってっ!」

一同「ハッ!」

~~~~~~~~~
ー外庭ー

ハンジ「取り敢えず外に移動して来たけど…。エレンが巨人化出来る様にしないと…」

リヴァイ「アニとベルトルトはこのまま戻れ」

アニ「了解しました!」

ベルトルト「ハッ!」

ハンジ「…エレン?何とかならない?」

エレン「えっ…と…。何とかと言われましても…」

ライナー「キッカケは自傷行為だ…。自分の手をブレードで傷付けてみろ」

エレン「あ…あぁ」スッ

ハンジ「それぞれ距離を取れっ!」ダッ

エレン「フーッ…。オラッ!」スパッ

レオン「ダメか…?」

エレン「痛ってぇっ!!」ガクッ

ライナー「目的がしっかりしてないとなれない…。何か明確なイメージって無いか?」

ハンジ「急に巨人化しろってのも難しいだろうけど…私達は君達に頼る他に無いんだっ!」

エレン「分かっています…!もう一度やらせて下さいっ!」

ミカサ「でも…出血も結構している…。一度休んでからにするべき」

リヴァイ「本人が行けると言っている。続けるぞ」

ミカサ「…チッ…」

レオン「おいっ!あまりモメるなよっ!?」ボソッ

ミカサ「…分かっている」ボソッ

ハンジ「もう一度距離を取ろうっ!」バッ

エレン(…目的…。俺は…狭い壁を出るんだ…!氷の大地や砂の雪原…それを見た奴は…この世の何よりも…自由だっ!)スパッ
ドゴォォォンッ

ハンジ「出たぞっ!」

エレン巨人「ウォォォォォッ!!」

レオン「まだ近付かない方がいいですっ!もしかすると…」

エルド「本当に巨人化しやがったっ!」

オルオ「…大丈夫なんだろうな?」

ミカサ「エレンッ!」ダッ

ジャン「おいっ!ミカサッ!」

エレン巨人「…………」グゥ

ミカサ「エレン…?私が分かる?」

エレン(…何だ…?変な感じだ…。んっ?ミカサ?…何だ…?眠くなってきた…)

巨人「グォォォォォォッ!!」ブンッ

ミカサ「…ッ!?」バッ

アルミン「…そんな…ミカサを攻撃した…?」

ハンジ「まさか…!?」

レオン「…暴走…!?」

グンタ「兵長っ!攻撃しても宜しいですねっ!?」

リヴァイ「待て…。お前等は動くな」ダッ

ハンジ「リヴァイ!?どうするつもり!?」ダッ

リヴァイ「アイツを項から引きずり出す…」

ミカサ「エレンを…攻撃するのですか?」

リヴァイ「このまま放って置く訳にはいかんだろうが…!手を貸せ」

ミカサ「…くっ…」パシュッ

巨人「ウォォォォォッ!」ブンッ

リヴァイ「大人しくしろっ…!」ギュイーンッ

ミカサ「エレンッ!私が分からないの!?」ガシッ

ジャン「ミカサッ!危ねぇっ!!」

巨人「ギャォォォッ!」ゴォッ

ミカサ「…ッ!しまっ…」

リヴァイ「チッ…!…馬鹿がっ!」ドンッ

ミカサ「うっ…!」ブワッ

ペトラ「兵長っ!」

巨人「ウォォォッ!」バキッ

リヴァイ「ぐっ…。調子に乗るなっ!」パシュッ

リヴァイ「…らぁっ!」ザクッ

ライナー「エレンが出て来たっ!」

ハンジ「よしっ!おりゃぁっ!!」ブチッ

エレン「……………」ヒュンッ

ミカサ「……ッ!」ガシッ

ユミル「エレンはミカサが捕まえたみてぇだな…」フゥ

巨人体「……………」シュゥゥゥ

ミカサ「エレンッ!?エレンッ!?」ユサユサ

エルド「兵長っ!先程の足は…?」

リヴァイ「…チッ…。マズイな…。挫いたかもしれん」

ハンジ「何だって…?参ったね…どうも…」スッ

ジャン「おい…。コイツ大丈夫なんだろうな…」

ミカサ「エレンッ!?…エレンッ!?」ユサユサ

ハンジ「エレンは起きない?」

アルミン「まだ意識が戻りません…」

リヴァイ「…おい。ミカサ…」

ミカサ「…先程は…ありがとうござ…リヴァイ「んな事はいい…。お前…向こうに戻れ…。邪魔だ」

アルミン「えっ!?」

ミカサ「…先程の事でしたら謝ります…!」

ハンジ「幾ら何でも…それはどうなの…?」

リヴァイ「だからそんな事はどうでもいいんだ…。何ださっきのは?いきなり取り乱しやがって…。あのまま暴走してたらそいつは殺さなきゃならねぇんだぞ…?」

ミカサ「ですから…!意識を戻そうと…」

リヴァイ「…結果は分からん…。だからお前の行動が間違っているとは言わねぇ…。だがな…冷静で居られない様な奴にはこの班は務まらない。テメェのせいで他の班員を危険に晒す訳にはいかねぇからな」

アルミン「あのっ!ミカサにとってエレンは…その…」

リヴァイ「特別だから何だ?そんなのはそいつだけじゃねぇよ…。分かったら荷物纏めて本部に帰れ…」スッ

オルオ「兵長!一先ず手当に中に戻りましょう」スッ

ミカサ「…皆ゴメンナサイ…。私は冷静じゃなかった…。アルミン。エレンをお願い…」スッ

アルミン「ちょっ…!ミカサッ!…行っちゃった」

ペトラ「でも…結果として兵長に怪我をさせてしまった訳だしね…」

ジャン「しかしっ!」

エルド「…兵長の判断だ。俺達は従うだけだ」

ハンジ「だからと言っても…。リヴァイも怪我しちゃって…ミカサも居ないとなると…」

ヒストリア「えっ…!本当に戻しちゃうの…?」

ユミル「んな事言ってもな…。兵長が言うんだから仕方ねぇだろ?」

コニー「…ミカサは追い出されちまうのか…?」

サシャ「う~ん…。少し可哀想な気もしますが…」

ライナー「おいレオンッ!…どうするんだ?」

レオン「どうするもこうするもな…。説得するにしても…兵長を?みたいな…」

ライナー「だよな…」

エレン「…んっ…。う~ん?」

ユミル「おっ!一番の元凶が目を覚ましたぞ?」

アルミン「エレンッ!?」

ハンジ「…やぁエレン…。気分はどう?」

エレン「…あまり…良くありません…」

グンタ「お前はさっき暴走したんだ…。何か覚えてないのか?」

エレン「そんなっ…!すみません…。急に眠くなって…そこから記憶が…」

エルド「あの間の記憶が無い…のか…?分隊長…。本当にエレンに頼っていていいのでしょうか?自分の力を…掌握出来ていないのですよ…?」
ハンジ「…それでもやるんだよ。それがエルヴィンの判断だ」

ペトラ「……………」

グンタ「……………」

エレン「申し訳有りません…。ですがっ…!もう一度チャンスを下さいっ!…うっ…」グラッ

ライナー「おっと…。無理をするな…。恐らく…まともに立つのもしんどい筈だ」ガシッ

アルミン「う~ん…。先行きは想像以上に険しいぞ…」

レオン「待ってくださいっ!これは大きな前進ですっ!今迄眠っていた力が遂に目を覚ましたんですよ?後は…[座標]として覚醒すれば…」

ユミル「…それを喜ぶには如何せん状況が芳しく無いがな…」

ハンジ「いや…。レオンの言う通りだ…!私達は立ち止まっていられないっ!どの道今日の訓練は無理そうだが…希望は捨てないっ!」

エルド「…ハァ…。一先ず戻るか?」

グンタ「…あぁ」

ライナー「お前は俺が肩を貸してやるよ」

エレン「すまねぇ…。ところで…ミカサは?」

ライナー「…えっ…と」チラッ

アルミン「…戻ったら話すよ…」

~~~~~~~
ー食堂ー

リヴァイ「…起きたか」

エレン「はい…。その怪我は…どうされたんですか?」

オルオ「何っ!?…覚えてないのか?」

エルド「巨人化した時の記憶が無いらしい…」

オルオ「んだと…?」

リヴァイ「チッ…。まぁ有ったら有ったで考えもんだがな…」

エレン「あの…その怪我は…まさか…?」

アルミン「僕から話すよ…。君は巨人化した時に…暴走したんだ…。その時にミカサを攻撃した…」

エレン「何…だって…?俺が…?ミカサを?」

アルミン「あぁ…。それを兵長が庇って…それで…その…」

リヴァイ「冷静に対処出来ない奴はいらなぇからな…。ミカサは本部に戻した…。酷く取り乱しやがったからな」

エレン「えっ…?だからミカサが居ないのか?…兵長っ!お願いします…。もう一度チャンスを下さいっ!」

リヴァイ「もう一度とかの話じゃねぇだろ?お前には覚醒してもらわなくちゃならねぇんだ」

ハンジ「あぁ…。君がコントロール出来る様に訓練しなければならない」
エレン「あのっ…。それで…ミカサは…その…」

リヴァイ「何だ…?あの根暗が居なけりゃ何も出来ねぇのか…?」

エレン「…ッ!違います…。ただ…許してやって欲しいんです」

リヴァイ「…別に恨んじゃいないが?怒ってもねぇ…。ただこの班には不適合なだけだ」

エレン「…そうですか…。その…申し訳有りませんでした…」

ペトラ「…ねぇ…。本当に…君達は私達の味方なんだよね…?」

グンタ「ペトラ…。その話は昨日片が付いたろ?」

オルオ「いや…。無意識とはいえ人が操っている巨人の力は強大だ…!無知性の比じゃねぇ…!お前等だって見ただろ?」

ジャン「…………」

コニー「…………」

ハンジ「止めなさい。オルオ…。気持ちは分かるけど…皆命懸けで戦ってくれているじゃないか」

ライナー「俺達は…信じて下さいとしか言い様が有りません…」

エレン「俺が…しっかり出来なかったからっ…!皆さんっ!今度はしっかりやりますからっ!」

オルオ「…チッ…」

ペトラ「……………」

エルド「…念の為に聞くが…。意図した訳では無いんだよな?」

エレン「はいっ!本当に…意識が無くなってしまって…」

エルド「フゥーッ…。オルオ…。ペトラ…。俺達はコイツ等を信用するしか無いんだ…。仲間として」

ペトラ「…そうね…!」

オルオ「チッ…。次は項を削ぎ落とすからなっ!ガキンチョッ!」

ハンジ「まぁ…今日は一歩前進できたかな…?エレンも巨人化したしね」
リヴァイ「…ついでに暴れてくれたがな」

エレン「…………」ズーンッ

ハンジ「…ちょっと…!じゃあ気を取り直してご飯にしようよっ!ねっ?」

ヒストリア「そっ…そうですねっ!」

ハンジ「じゃあ…ご飯の支度は…君達新兵に任せていいかな?」

一同「ハッ!」

~~~~~~~~

サシャ「いやぁ~…。食べたら幸せになりますね…」

ユミル「…お前は特別そうかもな…芋女」

コニー「そういやお前は芋女だったなっ!」

サシャ「ちょっ…!何の事ですかっ!?」

エルド「何だ…?芋女って」

ジャン「いえ…。コイツ…訓練兵入団の時に芋食ってて…それで教官に走らされたんですよ!」ブフッ

グンタ「本当か…?凄い奴だな…」

ペトラ「食い意地張ってて…そのスタイルっていうのも凄いわね…」

サシャ「…ッ!皆さんが変な事言うから…上官方に変な奴だと思われちゃったじゃないですかっ!!」

ユミル「変な奴なのは事実だろうがっ!」

ヒストリア「ちょっとっ!ユミルッ!そんな事言わないのっ!」
ワイワイ

エレン「…………」

アルミン「エレン…?元気だしてよ…」

エレン「…あぁ。でもよ…結局オレは何も出来てねぇじゃねぇか…」

アルミン「そんな事無いよ!エレンが希望だから皆が頑張れているんじゃないかっ!」

エレン「…兵長には怪我させちまうし…。ミカサは俺のせいで追い出されちまうし…」

アルミン「それは…仕方の無い事だよ…。気にし過ぎていたら次に影響が出るかもしれない…。難しいかもしれないけど…気にしちゃダメだ!」
エレン「あぁ…。ありがとな…」

レオン「…ミカサとアルミンは絶対お前の味方だな…」ガタ

エレン「レオンか…。あぁ。コイツ等は家族だからな」

レオン「その家族の為にも…頑張ろうぜ?」

エレン「あぁ…!そうだなっ!」

ハンジ「ねぇっ!エレンッ!」ガバッ

エレン「…ヒッ…!ハンジさん…」

ハンジ「体の調子はどう?どんな感じ?気分は?」ハァハァ

エレン「体はまだ少しだるいですが…大分マシになりました。後は…切った所の傷が直ってる位ですかね…?」

ハンジ「…本当だ…。巨人の驚異的な再生能力が反映されているのか…」
レオン「…恐らくですが…。首を落とされない限り死なないと思われます…。手足は再生していました…」

アルミン「凄い…」

ハンジ「…じゃあさ…。腕…いっちゃう?」ギラッ

エレン「えっ…?いっちゃう?…とは…?」

アルミン「まさか…切断してみるとかでは無いですよね…?」

ハンジ「そのまさかさっ!項の中でどの程度の攻撃なら耐えられるのか…知る必要があるだろ?」

レオン「分隊長っ!幾ら何でも…それは…」

ハンジ「何でさっ…!いいよね?リヴァイ?」

リヴァイ「…リスクは大きい…が、試さない訳にもいかんだろ…」

エレン「そんな…。あの…まだどういう風に再生するのかよく分からないんです…!何か別の方法は…」

リヴァイ「…何の危険も冒さずに…何の犠牲も払いたくありません…と?」

エレン「…ッ!いえ…」

リヴァイ「なら腹を括れ…。俺達も一緒だ…お前に殺される危険があるんだからな…」

エレン「分かりました…」

アルミン「…エレン…」

レオン「…スマン…。エレン…。余計な事言っちまった…」ボソッ

エレン「いや…!必要な事だ!腹括るさっ!」

ペトラ「エレン…?」ガタ

エレン「ペトラさん…。先程はすみませんでした…」

ペトラ「ううん…。私達の方こそゴメンね…。精鋭とか言われてるけど…ビクビクしてて間抜けで…失望したでしょ?」

エレン「そんな事っ…!」

ペトラ「でも…だからこそ私達は組織で行動するの…。私達はあなたを頼るし、あなたも私達を頼って欲しいっ!」

オルオ「だからって好き勝手なんざさせねぇからなっ!」ガタ

エレン「オルオさん…。はいっ!宜しくお願いしますっ!」

レオン(結果オーライ…か?…原作にも有ったなこの場面…。やっぱリヴァイ班はこうじゃなくちゃな!)

ハンジ「じゃあ明日はその訓練だねっ!…明日に備えてもう寝よーっとっ!お休みー!」ガチャッ

リヴァイ「チッ…。あのクソメガネ…。また泊まっていく気か…?」

ペトラ「アハハ…。さてと…私達も休みましょうか…」ガタッ

アルミン「はい」ガタッ

リヴァイ「…エレンとライナーとユミル…。お前等は今日から地下室で寝てもらうぞ」

ユミル「いっ!?…地下室…ですか?」

リヴァイ「そうだ。エレンは巨人の力に目覚めた…が、まだ掌握出来ていない…。もし寝惚けて巨人化しても…地下なら拘束出来る」

エレン「はい…。分かりました…」

ヒストリア「あのっ…!兵長…!…ユミルは女なんですよ?男の人と同じ場所と言うのは…」

リヴァイ「誰も同じ部屋を使えとは言ってねぇだろ?空いてる所を好きに使え…。エレンは地下室で…お前等は寝室って訳にはいかねぇからな」
ライナー「了解ですっ!…エレンッ!仲良くしようぜっ!」

ユミル「ハァ…。了解です…」

エレン「…スマン…」

~~~~~~~~
ー調査兵団本部ー
ー取調室ー

隊長(…チッ…。アイツ等私を此処に閉じ込めたままろくに尋問してこないが…。まぁ…戻る所も無い以上…此処で死ぬしか無いがな)フッ
ガチャッ

??「やぁ…。どうですか?調子は?」

隊長「何だ貴様は…?」

??「私は上からの命令であなたを自由にしに来ました」

隊長「…ッ!?…私はまだあの方に見捨てられてないのかっ!?」

??「えぇ…。苦しんでいるだろうから早く助けてやってくれとの命令です」

隊長「そうか…。だが…こんな事したらお前も危ういんじゃないか?」

??「心配無用ですよ…。さぁ今自由にして差し上げます」ジャキッ

隊長「そうか?…なら早く縄を切ってくれ」スッ

??「……………」ビュッ
―――――
――――
―――
ー翌朝ー

ー旧調査兵団本部ー
ー食堂ー

アルミン「お早うございますっ!」

ペトラ「お早う!アルミン」

ライナー「お早うございますっ!」

エレン「アルミン!早いな!」

アルミン「まぁね!ジャン達ももう来ると思うけど…」

ハンジ「お早う皆っ!今日も張り切って行こうっ!ねっ!エレンッ?」

エレン「はっ…はい!宜しくお願いしますっ!」

リヴァイ「朝からテンションが高すぎなんだよ…」

一同「お早うございますっ!兵長っ!」バッ

リヴァイ「あぁ」
バタンッ

モブリット「リッ…リヴァイ兵長はいらっしゃいますかっ!?」

ハンジ「モブリット…?どうした?そんなに慌てて…」

モブリット「…ッ!?分隊長?!此処にいらしたんですか…」

リヴァイ「何だ?どいつもこいつも朝っぱらから…」

モブリット「失礼しました…!此処では…外まで宜しいですか?分隊長も…」チラッ

エレン「…?」

リヴァイ「何だってんだ?」スッ

ハンジ「どうしたのさ?」スッ
バタンッ

ヒストリア「…どうしたんだろうね…?」

ユミル「さぁな…」

コニー「何か…また事件か?」

ジャン「縁起でもねぇ事言うんじゃねぇよっ!」

~~~~~~~~
ー中庭ー

リヴァイ「で…?何だ?」

モブリット「我々が監禁していた憲兵が…何者かに殺害されました…」

リヴァイ「…ッ!?」

ハンジ「…何だって!?」

モブリット「今団長がピクシス指令や…ザックレー総統への報告に追われています…。恐らく昨日の深夜の犯行かと…」

リヴァイ「見張りが居た筈だが?」

モブリット「…兵団内ですし…拘束していましたから…一人しか付けていませんでした…。トイレに行っている間にやられたものと思われます…」

リヴァイ「…チッ…。こりゃ殺された事よりも…」

ハンジ「あぁ…。裏切り者が…兵士…。更には調査兵団の人間の可能性が有るって事が問題だね…」

モブリット「それと…先程…兵団宛の荷物で…こんな物が…」スッ

リヴァイ「…チッ…。これは…」

ハンジ「えっ!?…どういう事…?何でコレだけが…?」

リヴァイ「恐らく…餌って事だろ?…随分舐められたもんだな…」ギリッ
―――――
――――
―――

ー数十時間前ー
ートロスト区ー

ミカサ(エレンは大丈夫だっただろうか…。あのチビに苛められなければいいけど…。まさか…追い出されるとは…)シュン

ミカサ(大体…急に巨人化実験など行う方もどうかしている…!エレンの事を考えていないっ!…あのチビも…好き放題言ってくれた…)ギリッ

ミカサ(でも…。言っている事は恐らく正しかった…。私は冷静じゃなかった…。あぁエレン…。無事で居てね…)シュン

子供「ねぇ…。ママ?…あのお馬さんに乗ってるおねぇちゃん…。顔が色々変わるよっ!」

母親「いいからっ!見ないのっ!」メッ

ミカサ(しかし…。どうすればいいのだろう…。一度団長の所に行くべき…?)

??「君っ!!…助けてくれっ!あっちで連れが絡まれてるんだっ!!」ガシッ

ミカサ「(それは駐屯兵の仕事だけれど…)分かりました。何処ですか?」スタッ

??「あっちの路地裏ですっ!!早くっ!!」

ミカサ「了解ですっ!あなたは此処で待っていて下さい」ダッ

??「有難うございますっ!!」ニヤッ

~~~~~~
ー路地裏ー

ミカサ「………」ズザッ

ミカサ(…?何処にも居ない…?…ッ!?)ガシッ

??「うわっ!これに反応するの?…参ったなぁ…」

ミカサ「あなたは…さっきの…。どういう事か説明してもらう」ギリギリ

??「痛たっ!おっ…折れるっ!…勘弁してくれよ…!あんたを此処に呼べばいいって言われただけなんだよ…!」グスッ

ミカサ「呼ぶどころか殴りかかってきた…。…?…あなた…何処かで…」メキメキッ

??「ゴメンナサイッ!!許してっ!」
ドスッ

ミカサ「…ッ!?…弓…矢?(マズイ…。肩をやられた)」ガクッ

男「ったく…。何を梃子摺ってるんだ?さっさと縛っちまえ」ヒョイ

??「イタタ…。折れるかと思ったよ…。…これでよしっと」ギュッ

ミカサ「…ぐっ…!私を…どうするつもり?」ギロッ

??「怖いねぇ…。君にはどうもしないよ?君は餌だからね」

ミカサ(餌…?まさか…エレンッ!?)

男「ちなみにさっきのロープも代金は請求するからな?」

??「ハイハイ…。しっかりしてるね」

ミカサ「私を拉致した所で無駄。直ぐにあなた達も捕まる」

??「…まぁそれならそれで…君は変態の慰み物になってもらうさ!ね?東洋人のおねぇさん?」ニタァ

ミカサ「…ッ!?」ゾクッ

??「あまり手荒な真似はしたくないからね…。大人しくしてて…ねっ?」グリグリッ

ミカサ「ぐっ…!がぁっ…!」ガクガクッ

男「…十分手荒だと思うがな…。あっちに馬車を回してある。早く行こうぜ?」

??「あぁ…」ガシッ

男「この馬車だ。…このままローゼの倉庫に連れて行けばいいんだろ?」
??「そうだ。俺はまだこの後一仕事してから向う。…よっと」ドサッ

ミカサ「うっ…!…エレンに手を出したら…殺すっ…!」

??「こんな状態でも人の心配とは…健気だね。調査通りだ…。これはその子にプレゼントだ…。預からせてもらうよ?」シュルッ

ミカサ「あっ!止めろっ!返せっ!」ブンッ

??「おっと…。流石だねぇ。そこから蹴ってくるとはね…。大人しくしていろと言った筈…だっ!」ドゴッ

ミカサ「ぐぅ…。返…せ…」ズリ

??「しつこいねぇ…」ガスッ ドゴッ バキッ

ミカサ「ガフッ…!ゲホッゲホッ…!ぐっ…」ハァハァ

??「ふぅ…。やっと静かになったね…?これはそんなに大切な物なのかい?…効果に期待できそうだ…」ニタァ

男「じゃあもう行くぜ?」

??「あぁ。また後で…」
――
――――
―――――
ー旧調査兵団ー
ー中庭ー

ハンジ「で…どうする…?」

リヴァイ「どうするも何も…目的が分かるまで動き様がねぇだろ?」

ハンジ「モブリット?荷物はこれだけだったんだよね?」

モブリット「はい。マフラーが入っていただけでした…。何処かで見た事が有ると思い、団長に報告したら…兵長に知らせろと…」

ハンジ「となると…追って要求が来るって事かな?」

リヴァイ「だろうな…。大方…歓迎の準備でもしてるんだろ?」

ハンジ「…あの子達には…どうする?」

リヴァイ「どうするとは?伝えるに決まってるだろうが…」

モブリット「…エレンにもですか?」

ハンジ「彼に伝えるのは今後の作戦にも影響が出るかもしれないね…」

リヴァイ「だからと言って伝えない訳にもいかねぇだろ」スッ

ハンジ「ふぅ…」スッ

モブリット「私は本部で何か要求が来てないか確認しています!」ダッ

ハンジ「あぁ。頼んだよ」

~~~~~~~~
ー食堂ー

オルオ「しかし兵長達遅いな…」

グンタ「まさか本当に何かあったのか?」
ガチャッ

エルド「おっ!戻られたぞ?」

ジャン「随分険しい顔してるぞ?」

コニー「そうか?…兵長って何時もあんなじゃね?」

リヴァイ「昨日の夜…調査兵団で監禁していた憲兵が殺された」

アルミン「何だって!?…アイツが…」

ライナー「レオンが捕まえた奴だよな?」

リヴァイ「レオン。この話は知っていたか?」

レオン「いえ…。そもそも奴の存在は自分が居る為だと思っていましたから…。向こうの世界では出て来ません…!」

ハンジ「それもそうか…」

アルミン「しかし…と言う事は…」

リヴァイ「…あぁ。犯人は恐らく…兵士だ。それも…」

アルミン「調査兵団の可能性が高い…」

コニー「えぇっ!?何でそうなるんだ?」

ジャン「冷静に考えても見ろ…。一般人がどうやって兵団本部の取調室に居る奴を殺すんだよ?」

コニー「あぁっ!成る程っ!」

グンタ「しかし…調査兵と言うのは飛躍し過ぎでは?」

リヴァイ「断言は出来んが…可能性は高い」

ハンジ「エルヴィンも指令や総統への報告でてんやわんやみたい…」

ヒストリア「…でも…。何で兵士があの人を殺すの?」

レオン「それは恐らく…口封じだろう」

ハンジ「下手に情報が漏れる前に始末したってとこかな?」

ヒストリア「そんな…」

ユミル「私達が相手にするのはそういう連中だ」

リヴァイ「更に…ミカサが拉致された可能性がある」

エレン「え?」

アルミン「ミカサが…?」

レオン「……………」

リヴァイ「エレン。これはミカサの物で間違い無いか?」スッ

エレン「…はい。ミカサのマフラーです…」

ペトラ「そんな…。兵長っ!私達はどの様に?」ガタッ

リヴァイ「どうもしないが?」

ジャン「は!?」

サシャ「…ミカサを見捨てるんですか!?」

ハンジ「ちょっとっ!その言い方は誤解を招くよ!?…落ち着いてくれ。正確には…まだ犯人の要求が分からないからまだ動けないって事だ」

エレン「犯人は何を…?」

レオン「恐らく…お前とヒストリアだろう…」

アルミン「ミカサをダシにして誘き寄せるつもりかっ!?」ギリッ

エレン「だったら最初から俺を狙いやがれってんだっ!!」ガンッ

ライナー「エレン…。落ち着け…」

エレン「これが落ち着いて居られるかっ!!ふざけやがって…!」

エルド「気持ちは分かるが…感情的になったら向こうの思う壺だぞっ!少し落ち着けエレンッ!」

エレン「…くっ…!」
ガチャッ

伝令班「エルヴィン団長より伝令ですっ!」

ハンジ「…ッ!…ご苦労様…」

伝令班「失礼しますっ!」バッ

ハンジ「…………」ペラッ

リヴァイ「で…?何て書いてある?」

ハンジ「向こうの要求が来たみたいだ…。やはりエレンとヒストリアの引き渡しが条件だそうだよ…。場所はローゼの倉庫…従わなければ…人質は殺すと言っているらしい…」

リヴァイ「ま…そうだろうな…」

サシャ「そんな…」

エレン「舐めやがってっ…!兵長っ!俺が行って…片を付けてきますっ!」

ハンジ「…待ってくれ…。エルヴィンの指示は…エレンは此処で待機…。他で敵の正体を探れとの事だ」

アルミン「えっ…と…。ミカサの救出が最優先ですよね…?」

ハンジ「ミカサの件は触れていない」

ジャン「そんな…。じゃあ…見捨てろって事ですか!?」

ハンジ「そういう訳では無い…。最優先はエレン、ヒストリアの保護と…敵の特定だ」

エレン「…納得出来ませんっ!!そんなの…おかしいですっ!!」バンッ

グンタ「エレンッ!落ち着けっ!」

エレン「何故です!?ミカサを…見殺しにするって事ですかっ!?冗談じゃ無いっ!!」

レオン「そういう事じゃ無いだろ?エレン。頼むぜ…。しっかりしてくれよ」

エレン「何だよ…?」

レオン「敵はお前が目的なんだぞ…?そんな所にお前を送り込める訳が無いだろ?」

エレン「ならっ!ミカサの救出を最優先にするべきだろっ!?」

レオン「危険を冒してまで救出するよりも…敵の特定の方が重要だろ?…人類の命が懸かってるんだぞっ!?此処で逃したらまた防戦一方だ…。内通者の正体も分からないまま、寝首を掻かれるのを待つ事になっちまうだろうがっ!」

ハンジ「…ねぇリヴァイ…?流石に止めた方が良さそうじゃない?」

リヴァイ「…………」

エレン「何だと…?じゃあ何か?レオン…。お前は…ミカサの命はどうでもいいって事か…?」

アルミン「待ってくれっ!レオンはそういう事が言いたいんじゃないよっ!あくまでも最優先では無いだけで、見捨てる訳じゃないっ!そうだよね?」

レオン「…あぁ。ただな…?お前の代わりは居ないが…。ミカサの代わりは居る。どちらかしか選べないのなら…人類の未来を取るべきだ」

エレン「…テメェッ!」バキッ

レオン「…ぐっ…!」ドサッ

エレン「どいつもこいつもふざけやがってっ…!」

オルオ「おいっ!エレンッ!いい加減にしろっ!」

ペトラ「そうよっ!落ち着きなさいっ!」

エレン「誰もやってくれないなら…自分でやります!倉庫に乗り込んで…巨人の力を使ってでも敵をやりますっ!」

ライナー「なっ!?落ち着けよっ!」

アルミン「そうだよエレンッ!冷静に考えようよ!」

リヴァイ「エレンよ…。お前は間違ってない…。やりたきゃやれ」

ハンジ「ちょっ…!リヴァイッ!?」

エルド「兵長…?何を…」

リヴァイ「初めて見た時から思っていた…コイツは巨人の力の有無では無く本物の化け物だ…。どんなに押え込もうとしても…コイツの意識を服従させる事は絶対出来ない」

リヴァイ「エレン…。俺達とお前の判断の相違は経験則に基づく物だ…。だが…そんな物はアテにしなくていい。自分で選べ…。自分を信じるか…調査兵団組織を信じるかだ…」

エレン「…………」

リヴァイ「俺には分からない…ずっとそうだ…。自分を信じても…信頼に足る仲間の選択を信じても…結果は誰にも分からなかった…。だからまぁ…精々悔いが残らない方を自分で選べ…」

ハンジ「リヴァイ…」

ペトラ「エレン…信じて…?」

エレン「…アイツはマフラーが無くて寒がっている筈だ…。俺が…また巻いてやらなきゃ…!」グッ

ライナー「じゃあ…やるのか…?」

コニー「…エレンも一緒に連れて行くって事か?」

ハンジ「ねぇ?本当に行かせるの?」ボソッ

リヴァイ「奴が選んだなら仕方ねぇだろ」
ガチャッ

モブリット「お待たせしましたっ!」ダッ

ハンジ「モブリット…。また何か有ったの?」

モブリット「えっ?…分隊長では…?」

ハンジ「…?私?私が何?」

レオン「申し訳有りませんっ!モブリット副長っ!ハンジ分隊長のお名前を借りましたが…私の判断ですっ!」

モブリット「えっ!?そうなの?」

憲兵「チッ…。何で俺がこんな事しなきゃならねぇんだ…」

ハンジ「憲兵?レオン…?どういう事?」

レオン「実は…」
―――――
――――
―――

モブリット『はい。マフラーが入っていただけでした…。何処かで見た事が有ると思い、団長に報告したら…兵長に知らせろと…』

ハンジ『~~~~~~~~~』

リヴァイ『~~~~~~~~~』

~~~~~~

レオン(ミカサが拉致された…?マジかよ…!相手は人間か!?…しかしどうする…?エレンが目的だろうから…エレンを向こうに渡す訳にはいかねぇし…。かと言ってミカサを見捨てる訳いかねぇよな…。ヒロインだし…。…んっ!?副長は戻るのか?取り敢えず…)

レオン『モブリット副長っ!』ダッ

モブリット『んっ…?レオンか…。どうした?』

レオン『ハンジ分隊長からの言伝です!敵は何か飛び道具を持っている可能性が有るから、ライフルの扱いに長けた憲兵を一人連れてきて欲しいそうです!』

モブリット『…成る程っ!トロスト区駐在班が二人位は居る筈だ…!酔っ払って無ければいいが…。分かった!至急連れて来よう』ダッ

レオン『宜しくお願いしますっ!』バッ
――
―――
――――

レオン「という訳でして…」

ハンジ「成る程ね。でも確かに一理有る…。付いて来てもらおう」

エレン「何だよ…?ミカサはどうでもいいんだろ?」ギロッ

レオン「…此処の人類と比べたら仕方の無い事だと思う…。だけど俺は此処の人類じゃないからよ…。俺がミカサは絶対に取り戻すっ!誰の仲間に手を出したか…教えてやらねぇとなっ!」

ペトラ「…意外とレオンって…キザね…」

ユミル「癪に触りますよね…」

ジャン「じゃあ…お前は最初から…」

レオン「あぁ。ミカサを見捨てるつもりなんざさらさら無かったよ?それに…ミカサが居なくなったらヒロイン枠が空いちゃうしな…」

コニー「何だって?」

サシャ「ヒロイン?」

レオン「何でもねぇよ」

アルミン「全く…。君は器用なのか不器用なのか…」ハァ

エレン「…すまなかった…。冷静じゃなかったよ…。兵長…。俺は残ります。皆さんを…信じますっ!」

ペトラ「…エレン…」

オルオ「最初からそう言えバカッ!」

エルド「あぁ…。お前の力はリスクが大きすぎるからな」

グンタ「これが最善だな…!」

レオン「……………」
――――
―――
――
ー巨大樹の森ー

エルヴィン『今回の件で分かった事がある…。最善策で留まっている様では到底敵を上回る事は出来ない…。必要なら大きなリスクも背負う。そうしなければ…人類は勝てない』

~~~~~~~~
グンタ『兵長と合流するぞっ!!』

兵士『……………』ザクッ

~~~~~~~~
ペトラ『エレン?私達の事がそんなに…信じられないの?』

エレン『…我が班の勝利を信じてますっ!ご武運をっ!!』

エルド『うぉぉぉっ!』ギュイィィィ

女型の巨人『………』バクッ

ペトラ『まだ…三十秒しか立ってないっ!!』

女型の巨人『…………』グシャッ

オルオ『…刃が…通らねぇ…』

女型の巨人『…………』バキッ

ーーーーーー…・・・
グンタ『』

エルド『』

ペトラ『』

オルオ『』
――
―――
――――

レオン「…………」

ユミル「どうした?ボーっとして…。もう出発だぞ?」

レオン「あっ…あぁ…(アレは巨人相手だったからだし…状況も違うしな…。問題無い…)」

リヴァイ「隊の指揮はエルドに任せる…。頼むぞ?」

エルド「ハッ!」バッ

ハンジ「私は此処の防衛に着くっ!」

エレン「…なぁレオン…。アイツは寒がってると思うんだ…。もし助けられたら…これを巻いてやってくれ…」スッ

レオン「…なぁ。エレンは正直どっちがいいんだ?」

エレン「あぁ?今更何を言ってんだよ…?…この手で助けたいに決まってるだろっ…!ただ…確かにリスクが大きすぎるよな…。俺は仲間を信じることに決めたよ…!」グッ

レオン「…やっぱりそれはお前が巻いてやれ…!兵長っ!やはりエレンも連れて行くべきですっ!」

ユミル「なっ!?何言ってんだ!?」

コニー「さっき自分で言ってたじゃねぇかっ!エレンは行くべきじゃないって!!」

エルド「レオンッ!何を言い出すんだっ!」

リヴァイ「…テメェの事だ…何か思い当たる節が有るんだろうが…ハイそうですかって訳にはいかねぇな」

アルミン「どうしたの?急に…」

ペトラ「兵長まで…!レオンッ!折角エレンが落ち着いたのに煽らないでっ!」

レオン「申し訳有りません…。しかし…この状況が向こうにも有って…。向こうでもエレンは仲間を信じるんですが…」

リヴァイ「失敗した…と?」

レオン「…はい」

エルド「…それは向こうの世界の話だろっ!?それに…俺達でも無いんだろう?」

オルオ「そうだっ!失敗したのはそっちの兵士がヘボだからだっ!!」

グンタ「此処でエレンを連れ出すのは得策では無いと思うがな…」

レオン「向こうでもそうでした…。最善策を選んで…失敗した。団長が言っていたんです…。最善に留まっている様では勝てないと…」

ペトラ「でもっ!私達が付いてるわっ!」

レオン「…この間…一つ嘘を吐きました…。皆さんの将来です…。今の話は…リヴァイ班の話なんです」

リヴァイ「…ッ!」

エルド「何…だと?」

ペトラ「えっ!?嘘って…もしかして…」

レオン「皆さんは…向こうでは巨人に殺されてしまうんですっ…!」

グンタ「馬鹿なっ!」

ライナー「この先輩方が…か…?」

エレン「…そんな…。本当かよ…」

ペトラ「私達…全員…?」

レオン「兵長と…エレンは無事です…。ですから…皆さんをこちらで見た時は嬉しかったんです…。生きているからっ!だから…同じ事を繰り返す訳にはいかないんですっ!」

エルド「…………」

リヴァイ「…エレン。万が一の時は巨人化して自分だけでも逃げると誓え」

ハンジ「リヴァイ…!本気?」

エレン「分かりました…。その時はっ…!」

リヴァイ「エレンも付いて行け…。ライナーッ!命に代えてもエレンを守れっ!普段その役目をしている奴が帰って来るまでな…」

ライナー「ハッ!」

リヴァイ「ユミルは俺達とヒストリアの護衛だ」

ユミル「ハッ!」

リヴァイ「目的を忘れるなよ?…行って来い」

一同「ハッ!」バッ

~~~~~~~~~~~
ーローゼ内とある倉庫ー

男「しっかし…。こんな事で上手く行くのかねぇ」

男「しかし会長…。寧ろ来ない方がいいんじゃないですか?」

会長「あ?…あぁそれもそうか…。売っ払った方が実入りはいいわな」

ミカサ(…血を少し流し過ぎたかもしれない…。…寒い)

男「でも…少しゴツ過ぎますかね?」

会長「その辺は問題ねぇ…。内地にゃ違法な薬が出回ってる。それを何発かブチ込めば…ヨダレ垂らしながら大人しくなるらしいぞ?」

男「へぇ~…。ねぇちゃんっ!良かったな!もし誰も来なけりゃ内地で暮らせるぞ?」

ミカサ(…薬でおかしくされてしまうの…?でも…エレンが助かるのなら…それで…。良い人生だった…)

男「…ねぇ会長…。コイツ恐らく処女っすよね…?変態の旦那衆は処女が嫌いじゃなかったでしたっけ…?」

会長「…まぁ人によるが…。面倒だとか…興が削がれるとか言う奴もいるな…」

男「なら…いいっすよね?俺が毒味しておきますよ…」ハァハァ

会長「…チッ…。確かに美人だが…まだガキじゃねぇか。…好きにしろよ」スッ

男「へへへ…。ねぇちゃん…。今…男を教えてやるよ」スッ

ミカサ「…止めろ」ズズッ

男「そう怖がるなって!天井のシミ数えている間に終わるからよ?…それに気持ちいいんだぞ?」ガシッ

ミカサ「いや…!(どうして…。私は自分が完璧にコントロール出来る筈…。なのに…怖い…!寒いっ…!助けてっ…!エレンッ!)」

男「へへへ…。じっとしてろよ?」サスサス

ミカサ「やっ…止めて…(レオンの言う通りだった…。私が…エレンを必要としていた…。あの日助けてくれた時から…エレンが居ないなんて考えられなかった…)」

男「いいねぇ~。その顔…。そそるぜぇ…。ベルトが邪魔だな」カチャカチャ
ガシャーンッ

男「なっ…何だっ!?」

エレン「ミカサッ!俺だっ!!何処に居るんだっ!?」

ライナー「エレンッ!落ち着けっ!離れるなっ!!」

ミカサ「エレンッ!?…こっち!助けてっ!!」バッ

男「チッ…!黙ってろっ!」バキッ

ミカサ「ぐっ…!」ドサッ

エレン「此処かっ!!…害虫がっ…!殺してやるっ!!」ジャキッ

男「…外の奴等は何してやがる…!」ギリッ

エレン「馬鹿がっ…!舐めてんのか?チンピラが束になった所で勝てる筈ねぇだろうがっ!」

レオン「そういう事」ポイッ

ジャン「そらっ」ポイッ

チンピラ達「」ドサッ

エレン「ミカサ…。怪我してるのか…?待ってろ…。そいつを殺して…助けてやるから」

レオン「いやいや…。殺しちゃダメだろ…」

男「うっ…動くなよっ!?動いたら…この女の首…掻き切ってやるっ!」グッ

ライナー「…どうする…?下手に刺激出来ねぇぞ?」

~~~~~~~~~
ー倉庫外ー

エルド「まさか…あんたらだったとはな…」

会長「…チッ…」

グンタ「元々黒い噂が絶えなかったが…」

ペトラ「…同じ女として許せない…!腕でも落としておく?」ジャキッ

オルオ「おっ…おいっ!落ち着けっ!ペトラッ!」ガシッ

会長「…お前等…こんな事してていいのか?」

アルミン「…?どういう意味だ?」

会長「俺達が…何の為に汚ねぇ仕事に手を染めてたと思ってんだ…?あ?」

エルド「…何が言いたい?」

会長「この狭い壁の中で…逆らっちゃならねぇ奴も分からねぇのか?って聞いてんだよ…」ハッ

サシャ「あのっ!皆さんっ!向こうから兵士が馬で駆けてきますが…?」
グンタ「んっ?増援か…?」

アルミン「いえ…。憲兵団の様ですが…。まさかっ!!」バッ

会長「お前等は俺達の仕事の邪魔して…壁内の流通を独占しようとしている犯罪者…。どうだ?立派な筋書きだろ?」ニヤッ

~~~~~~~~
ー倉庫内ー

エレン「何処までカスなんだよっ!」ギリッ

レオン「…おいっ!お前もう少し離れた方がいいぞ?」

男「あぁ!?離れるのはテメェ等だろうがっ!」グイッ

ミカサ「…くっ…!エレン…。私はもういい…。コイツを捕まえて」

レオン「そこでもいいけど…。深く刺さっちまうぞ…?」

ジャン「おいっ!レオンッ!何する気だ?」

レオン「…ハァァァ…。飛刀閃っ!」シャッ
ドスッ

男「…?…ギャァァァァッ!イテェェェェッ!!」ドサッ

エレン「ミカサッ!」ダッ

レオン「さぁ…大人しくお縄に着いてもらうぞ?」グイッ

ライナー「マジか…。半刃刀身を…鞘から投げ付けたのか…?」

ジャン「お前っ…!ミカサに当たったらどうするんだよっ!!」

レオン「ちゃんと当たらない様にしたよっ!」

エレン「すまない…ミカサッ…!遅くなって…」ブチッ

ミカサ「…エレンッ!!」ダキッ

ジャン「」

レオン「…ドンマイ」ポンッ

ライナー「来世に期待だな…」ポンッ

エレン「肩…怪我してるじゃねぇか…。大丈夫か?」ギュッ

ミカサ「私は…やはりエレンが居ないと生きていけないみたい…。凄く…寒かった…。怖かった…!あの時を思い出してしまって…。でも…あの時の様にまた…助けてくれたっ!」ギュッ

エレン「…あぁ。俺は何時だってお前の側に居るっ!お前が攫われたって聞いた時…頭が真っ白になった…。もう…絶対怖い思いはさせねぇっ!…寒かったろ?ほら…」グルグル

エレン「俺は…お前程役に立たねぇかもしれねぇけどさ…」

ミカサ「そんな事無いよ…。私を助けてくれてありがとう…。また…マフラーを巻いてくれて…ありがとう…!」ダキッ

エレン「あぁ…!そんなもんまた巻いてやるよ…。俺が…何度でも…」ギュッ

レオン「あの~…?いつ迄イチャつく気ですかー?」

アルミン「皆っ!!大変だっ!!」ダッ

~~~~~~~~
ー倉庫外ー

憲兵「…どういう事だ?商会が襲撃を受けていると聞けば…変人共じゃないか」

エルド「…だから俺達は商会を襲撃した訳じゃないっ!!仲間を助ける為に…」

憲兵「ほぉ~。まぁそんな事はどうでもいい…。早く会長を解放しろ」

ペトラ「なっ!コイツは重要参考人です!我々が拘束しますっ!」

憲兵「…勘違いするなよ?そいつ等は俺達が必要なんだよ…。これ以上逆らうなら…反逆罪で…処分するぞ?」スッ

憲兵達「…………」ガチャッ

コニー「あっ!あの野郎…。ドサクサに紛れて向こうに付いてやがるっ!」

サシャ「本当だ…。ちゃっかりしてますね…」

オルオ「くっ…。どうする?エルド…」

エルド「…コイツ等は第一憲兵だ…。逆らえば…」

レオン「さっすが憲兵様だ…。普段の仕事ぶりが伺えるぜっ!」

憲兵「何だ貴様は?」

レオン「兎に角…早くそのおっさん連れて離脱して下さい…。後は任せて…。エレン達は裏から逃げています」ボソッ

エルド「…いよいよ王政に逆らうのか…」

オルオ「俺達は…兵長に付いて行くって決めたろ!?」

レオン「俺が隙を作りますから…その隙に一気に屋根に登って下さい…」ボソッ

エルド「分かった…。死ぬなよ?」

レオン(ちょっ…!?それフラグッ…!)コクッ

憲兵「何をコソコソやっている…?あぁそうだ…。黒髪のガキも連れて来いとの命令だった。出せっ!」

レオン「まぁそんなに焦らないで下さい…よっ!」シャッ
ドスッ

憲兵「ギャァァッ!」ドサッ

レオン「今だっ!!」

グンタ「………」パシュッ

ペトラ「………」パシュッ

エルド「………」パシュッ

オルオ「………」パシュッ

アルミン「………」パシュッ

憲兵「クソガキがぁ…。生きて帰れると思うなよ…?」

レオン「ハッ…!最初っから…クライマックスだっ!」ダッ

~~~~~~~~

エルド「なぁアルミンッ!…アイツ一人で大丈夫なのか…?」

アルミン「…分かりません…。ただ…行けと言ってくれたんです…!我々は進まなければっ!!」

コニー「でも…アイツ滅茶苦茶強ぇじゃねぇかっ!」

グンタ「そうなのか…?お前達の期はあのミカサが凄く有名だからな…」
アルミン「格闘術なら…ミカサよりも恐らく上です」

ペトラ「へぇ…。兎に角無事ならいいけど…」

エルド「そうだな…」

グンタ「エレンとミカサは大丈夫なんだろうな…」

アルミン「ライナーとジャンが付いてますし…裏から安全に脱出したので…問題無い筈ですっ!」

オルオ「なら…このまま俺達も直接戻っていいんだな?何時迄もおっさんを抱いていたく無いんだ…」

会長「なら降ろせってんだよ…!」

エルド「そうだな!全速力で行くぞっ!」
―――――
―――
――

ー旧調査兵団本部ー

ヒストリア「…あっ!!エルドさん達帰って来たよっ!」

ユミル「取り敢えず皆無事か…」フゥ

ヒストリア「お帰りなさいっ!!お疲れ様でしたっ!」

アルミン「ただいまっ!」

オルオ「オラッ!さっさと歩けっ!」ドンッ

会長「縛っておいてそりゃねぇだろ…?」

ユミル「そいつが首謀者か…」

エルド「エレン達は無事か!?」

ヒストリア「はいっ!先程戻って来ました!ミカサは治療して…部屋で休んでいますっ!食堂で兵長もお待ちです」

オルオ「兵長にたっぷり絞ってもらおうぜ!」

ユミル「…あの。レオンは…?」

アルミン「…それについては中で話すよ…」

~~~~~~~~
ー食堂ー

リヴァイ「ご苦労だった。お前達」

一同「ハッ!」バッ

リヴァイ「それで…。おっさん。誰の命令で動いている?」

会長「俺達は自分の意志で動いてんだよ!」

リヴァイ「まぁ…。誰の命令かは大方予想が付いているが…。兵士の中に憲兵以外でお前達に通じている奴が居るな?それは誰だ?」

会長「さぁな…」

リヴァイ「…チッ…。まぁ時間は有る…。喋りたくなったら何時でも言えよ?…ライナー。コイツを地下に運べ」

ライナー「ハッ!」ガシッ

会長「ちょっ…!ちょっと待ってくれよっ!まさか…拷問でもしようってのか…?」

リヴァイ「あ?何言ってやがる。はいさようならって帰してもらえるとでも思ってたのか?…連れて行け」

会長「うっ…うわぁっ!かっ…勘弁してくれよぉ」ズルズル
バタンッ

リヴァイ「さて…レオンはどうした?」

アルミン「それが…倉庫の見張りを眠らせて…会長を確保したら第一憲兵が来まして…」

リヴァイ「…成る程。…二重の罠だったって訳か」

アルミン「その様です…。咄嗟にエレン達を逃がす事には成功したのですが…我々は追い詰められてしまって…。その時に…レオンが殿を引き受けてくれたお陰で…」

ジャン「あの時はそんな状態だったのか…。急に裏から逃げろなんて言うから何事かと思ったぜ」

グンタ「アルミンの機転であちらの意図に感付けました」

リヴァイ「そうか…。よくやった。で…あの死に損ないは無事だといいがな…」

コニー「やっぱり…助けに行こうぜっ!?今度は俺達がよっ!」

ジャン「…今更どうやってだ?」

ユミル「…チッ…。一々カッコ付けやがって…」

レオン「何々!?何の話?」スッ

ユミル「うわっ!…レオンッ!?無事だったか…!」

レオン「当たり前だろ?簡単には死なねぇよ…。兵長っ!只今戻りましたっ!」バッ

リヴァイ「話は聞いた…。ご苦労だったな」

エルド「無事だったかっ!!」

ペトラ「ありがとねっ!レオンッ!」

オルオ「新兵の割には役に立つじゃねぇか!」

グンタ「助かったぜ!」

レオン「ハッ!」バッ

リヴァイ「さてと…俺はあのおっさんに話を聞いてくるか…」ガタ

レオン「自分も行きますっ!」

エルド「兵長が行くなら…俺達も行くぞっ!」

~~~~~~
ー地下室ー

ライナー「おっさんよ…。知ってる事が有れば早めに言った方がいいぞ?…兵長は恐ろしいお方だ…。笑いながら人の腕を切り落としたりな…」

会長「ひっ…」

ライナー「この間なんて…リヴァイ「随分楽しそうだな…?」

ライナー「…ッ!?…これは兵長…。ご苦労様です!」

オルオ「おいガキンチョッ!有る事無い事吹き込んでんじゃねぇぞっ!」
リヴァイ「エレンと一緒にお前の腕も落としてやろう…」

ライナー「」

アルミン(うわぁ…。これはライナーが悪いね…)

リヴァイ「さて…会長…。残念ながら今の話は当たらずも遠からずってとこでな…。今の俺は役立たずかもしれんが…人間の腕なんざ巨人の項に比べればハムみてぇなもんだ」チャキッ

サシャ「…えっ?人間の腕ってハムなんですかっ!?」

ユミル「少し静かにしてろ…」

会長「…俺達だって逆らえば殺されるんだ…!選択肢なんて無かったんだっ!いいぜ…。殺せよっ!どうせ俺の商会は終わりだ…!此処で生き延びたって…[不幸な事故]で死ぬんだからなっ!」

リヴァイ「…それはお前が決める事だ…。二つの選択肢が有る。一つは俺達に協力するか…。もう一つは[事故死]するかだ」

レオン「えぇっ!?コイツも仲間に入れるんですか?」

エルド「兵長っ!幾ら何でも…それは…」

会長「あぁ?協力だ?」

リヴァイ「そうだ…。お前等の持っている情報等は全て俺達に寄越せ。その代わりに俺達がお前を保護してやる」

会長「…そこのガキもそうだが…。この壁の中でどう足掻こうってんだ?完全にお前等はお尋ね者だぞ?第一の奴等に手を出したら…」

リヴァイ「だろうな…。だが…そんな事はどうでもいい。俺達は自由の為に戦ってんだよ…。毎日ドブみてぇな空気を吸っていて麻痺していた。だが…外の空気は違った…。地獄みてぇな場所だが…確かに俺は自由だった」

レオン「残念ながら…この壁内には時間があまり残されていない…。どの道このままでは皆死ぬぞ?」

会長「ハッ…!酔狂な奴等だぜ…。何言ってんのか分からねぇが…お前等に協力すれば…このドブ溜めから出られるんだな?」

リヴァイ「俺達はその為に戦ってんだって言ったろ?俺達に全幅の信頼を寄せろ」

会長「信頼…?商人は冗談でしか使わねぇぞ?…ただ一人の男として信用するよ」スッ

リヴァイ「見た目の割に賢くて助かった…」ガシッ

会長「今回は第一からの指令だ…。それでお前等の所に潜入している奴から俺達に依頼が来たって訳だ…」

リヴァイ「で…?誰なんだ?」

会長「そいつの名前は…」

~~~~~
ー宿舎ー

エレン「…ミカサ?肩は大丈夫か?」

ミカサ「えぇ…。血も止まったし問題無い」

エレン「…悪かったな…。俺が…お前を攻撃したんだって…?」

ミカサ「違う。エレンはハエを叩こうとしただけ」

エレン「…ハァ。そうかよ…。でも…本当に無事でよかった…」

ミカサ「あの時…私を貴族の変態に売り飛ばす話をしていた。もう諦めた筈なのに…急にどうしょうもなく怖くなった…。あの時…凄くエレンに会いたくなった。そうしたら来てくれた…。やっぱりエレンは私の恩人」

エレン「…お前はそれでいいのかよ?俺なんかに人生を懸けてよ…?もしかしたら…また暴走するかもしれないんだぞ?」

ミカサ「そんなのは関係無い。今度はしくじらない…!私がちゃんと正気に戻してあげる」

エレン「そうか…。俺も負けてらんねぇなっ!巨人の力を使役して…外の世界に探険に行くんだっ!」

ミカサ「えぇ…。私は一生あなたに付いて行く」

エレン「ミカサ…。俺も…お前には…」
ガタッ

エレン「んっ?何だ?」スッ

~~~~~~~~

アルミン「ちょっ…!何で押すのさっ!?」ボソッ

レオン「俺じゃねぇよっ!ジャンがさ…」ボソッ

ジャン「悪い…。よく聞こえなくて…つい…」ボソッ

レオン「ていうかコソコソする必要なくね?…飯持って来ただけじゃん」
アルミン「いやぁ~…。何となくそんな空気だったじゃない…?」

ジャン「死に急ぎ野郎め…!」ギリッ

エレン「おーい。誰か居るのか?」コツコツ

アルミン「エレンが来ちゃうよっ!…盗み聞きしてたなんて…幼馴染としてバレたくないっ!」

レオン「任せろっ!んんっ!……ニャ~オッ!」

アルミン「……………」

ジャン「……………」

エレン「……………」

レオン「…………え?」

ジャン「え?じゃねぇよっ!!お前バカかっ!?何で猫なんだよっ!?」

レオン「こういう時の猫の鳴き声はお約束だろうがっ!」

~~~~~~

エレン「誰か盗み聞きしてんだな…?」ザッ

ミカサ「エレン?別に誰が居ても関係無い。例えば…アルミンや…」

アルミン「…ッ!」ギクッ

ミカサ「ジャンとか…」

ジャン「…ッ!」ギクッ

ミカサ「レオンでも…」

レオン「…ッ!(何でバレた?)」ギクッ

ミカサ「…そんな事よりも…さっきの話の続きを聞かせて?」

エレン「そうか…?何か気持ち悪くねぇか?」

アルミン「…しょうが無い…。あっ…あーエレン?…ご飯持って来たから…此処に置いておくね?」

エレン「なんだよ…。アルミンか?そんなとこ居ないで入れよっ!」ガチャッ

アルミン「…ッ!?…やぁエレン…!別に盗み聞きしてた訳じゃないからね?」ハハハ

ジャン「…おい。死に急ぎ野郎…。ミカサは大丈夫か?」

エレン「あぁ。今はもう落ち着いてるよ…。入れよっ!」

ジャン「そうか?じゃあミカサの顔でも…ッ!?何だよ?レオンッ!」バタバタ

レオン「少しは空気読もうぜ?」ガシッ

アルミン「いやっ!僕達は此処で失礼するよ!…また明日ねっ!」

エレン「…?そうか?じゃあまた明日な!」

ジャン「…待てっ!俺はっ…!ミカサに…」ズルズル

レオン「じゃまた明日なー!…ほれっ!早く行くぞっ!」ズルズル

ジャン「くっそっー!!」ズルズル

~~~~~~

ジャン「~~~~~~!」

エレン「…ジャンが何か叫んでんな?」

ミカサ「(アルミン…レオン。流石っ…!)エレン?さっきの続きは…?」

エレン「何の話してたっけ?…そんな事より飯食おうぜっ!ほら」スッ

ミカサ(…この世界は残酷だ…)
―――
――

エレン「さて…。食い終わったら俺は戻って寝ようかな…」スッ

ミカサ「…なんだか肩が痛くなってきた…。今日はずっと片方を向いて寝なければならない。ので…今日は何か掴まる物が必要」チラッ

エレン「あっ…!そうか…。…ッ!じゃあ枕もう一個持って来てやるよっ!」ダッ

ミカサ「待ってっ!…そうじゃないでしょ?エレン?しっかりして」

エレン「何だよ…。じゃあどうすりゃいいんだ?」

ミカサ「…エレンが…その…一緒に寝てくれれば事足りる…と思う//」

エレン「はっ…はぁ?何言ってんだ?…何で俺が一緒に寝る流れになるんだよっ!//」

ミカサ「だって…さっきハンジ分隊長が…」
――――
―――
――

ハンジ『大丈夫かい?ミカサ…』

ミカサ『はい…。大分薬も効いてきましたので…』

ハンジ『…エレンは?』

ミカサ『トイレに行くと言っていました』

ハンジ『そうか。今日はエレンにずっと付いててもらいなよ…。リヴァイも構わないってさ』

ミカサ『兵長が…?』

ハンジ『…彼なりに君達の事を目に掛けているんだ…。君の境遇を知っているから…尚更ね』

ミカサ『…そうでしたか…』

ハンジ『口が悪いから誤解されやすいけど…アレで良い奴だからさ…。リヴァイを信じて付いて行ってあげて?』

ミカサ『私は追い出されてしまいましたから…』

ハンジ『こんな事が有ったんだ…。もうそんな事言ってる場合じゃないしね!大丈夫だ!…まぁそんな訳だからエレンにも伝えておいて!じゃっ!』スッ
――
―――
――――

ミカサ「と…言っていた」

エレン「…本当かよ…。でも流石に同じベッドに寝る訳にはいかねぇよ!」

ミカサ「…肩が痛い…。手が痺れてきた…。血を流し過ぎたから寒い…。一人で寝たら…また寒くなってしまう…」

エレン「分かった…分かったよっ!ったく…しょうがねぇな…。じゃもう寝るぞっ!」ゴソッ

ミカサ「うん…。エレンとこうして寝るのは久しぶり…」スッ

エレン「あっ…!おいっ!あんまりくっ付くなよっ!//」

ミカサ「だって…くっ付かないと寒い…」ギュッ

エレン「…分かったよ…。好きにしろよ…」

ミカサ「エレン?こっちを向いて寝て」

エレン「はぁ?何でだよ…?」

ミカサ「久しぶりにエレンの顔を見ながら眠りたいから…」

エレン「やだね…。下らない事言ってないで早く寝ろよ…」

ミカサ「…また…思い出した…。この世界は…エレン「あーっ…!分かったよっ!ほらっ!これでいいか?」クルッ

ミカサ「ありがとう。…エレンの顔をこんなに近くで見るのは久しぶり…」

エレン「…こんな暗いのに見えるのかよ…?」

ミカサ「私には関係無い。エレンの顔なら鮮明に見えている…。今…照れている事も」

エレン「はっ!?べっ…別に照れてねぇしっ!」

ミカサ「エレンはとても可愛い…。それに…とても強い」

エレン「お前に言われても嫌味にしか聞こえねぇよ…」

ミカサ「私は可愛いだろうか…?」

エレン「そこじゃねぇよっ!…まぁ…お前は美人だと思うぜ?」

ミカサ「…ッ!?…ねぇエレン…?私は…ずっと一緒に居ていいのだろうか?」

エレン「はぁ?今さら何言ってんだ?」

ミカサ「…エレンは…私を置いて何処か遠くに行ってしまう気がする…。追いかけても…追いかけても追いつけない…。私はただ…側に居られればいいのに…それだけなのに…」ギュッ

エレン「…あのなぁ…。今日も言ったろ?もう一人にはしないって…。それによ…?一緒に外の世界を探検しに行くんだろ?」

ミカサ「うん…!行く。一緒に行くっ!私は…一生エレンに付いて行く」
エレン「…あぁ。俺も頑張るからさ!一緒に頑張ろうぜっ!」

ミカサ「えぇ。約束」

エレン「ほらっ!もう寝るぞ!」

ミカサ「うん。おやすみなさい」
――――
―――
――

ー翌朝ー
ーストヘス区ー
ー憲兵団支部ー

マルコ「…えっ!?」

ベルトルト「そんな…本当ですか?」

アニ「…チッ…」

上官「そうみたいだな。お前等の同期が何名か指名手配になった。で…顔と名前が一致しているお前等にその逮捕に協力させろってよ。詳細はこれに書いてあるからなっ!」グイッ

マルコ「…ッ!?」バサッ

上官「じゃヘマだけはするなよ~」スッ

ヒッチ「へぇ~…。あんたらの同期も目立ってるじゃん!」

マルロ「そういう問題じゃないっ!この壁内で王政に逆らうなんて…馬鹿にも程があるっ!」

マルコ「待ってくれ…!別に彼等は逆らっている訳では…」

マルロ「じゃあ何故指名手配などされているのだ?」

マルコ「…それはっ…!」

アニ「兎に角さ…。どうするの?マルコ…」

マルコ「…一先ずは指示通りに動こう。何とか連絡が取れればいいけど…」

ボリス「アニとベルトルトとマルコッ!師団長がお呼びだぞ…。談話室に居る」

マルコ「ありがとう!ボリス。…行こうか」

~~~~~~~~
ー談話室ー

ナイル「すまないな。急に呼び出して」

マルコ「いえっ!問題有りませんっ!」

ナイル「さて…。お前達も知っていると思うが…お前達の同期が何名か指名手配されている…。今回は最高議会の決定だ。流石の総統でも手が出せん。そこで…お前達には奴等の補佐に付いてもらう」

マルコ「我々が補佐…ですか?」

ナイル「そうだ…。私が直接出向くよりも向こうも信用しやすいだろう。奴等には…隠れ家を提供する手筈になっているのだ」

マルコ「…ッ!?本当ですかっ!?」

アニ「…ッ!?」

ナイル「あぁ。だが…あくまでも我々は憲兵団だ…。表立って協力は出来ん。お前達には橋渡しの役目をしてもらう」

マルコ「了解しましたっ!」

ナイル「だが一気に三人が抜けるのは目立つ…。だから一人は残るようにしてくれ。以上だ」スッ

アニ「あの…。一つ聞いても宜しいですか?」

ナイル「…何だ?」クルッ

アニ「何故…我々に協力を…?」

マルコ「おいっ!アニッ!」ボソッ

ベルトルト「……ッ!?」

ナイル「…俺だって守らなきゃいけない奴が居る…。ただそれだけだ…」
アニ「…有難うございます」

ナイル「では…頼んだぞ?」

三人「ハッ!」

~~~~~~~~
ー駐屯兵団本部ー

ピクシス「…ここ迄来たらもう後戻りは出来んな…。ワシの所にも逮捕協力依頼が来よったよ」

エルヴィン「えぇ…。昨日の一件で…内通者に一杯食わされました」

ピクシス「…お主は手配されておらぬようじゃな…」

エルヴィン「私は参考人として王都に召喚されていますが、指名手配ではありません」

ピクシス「ハァ~…。ワシとしては駐屯兵団を預かる身じゃ…。あまりおおっぴらにお主達に協力する訳にはいかん…」

エルヴィン「心得ております。指令はご自身の使命を全うして頂ければ…」

ピクシス「しかし何か策はあるのか…?」

エルヴィン「…一先ずは彼等を匿います。後は私が王都で何とか交渉してみます」

ピクシス「…奴等にまともな交渉が通用するとは思えんがな…」

エルヴィン「えぇ…。しかし何もしないよりはマシです。マリア奪還が現実的になってきた今…壁内で争う訳にはいきません」

ピクシス「そうじゃの…。ワシも出来る限りの協力はする」

エルヴィン「お心遣い感謝します。…では私はそろそろ…」スッ

ピクシス「エルヴィン…。無責任じゃが…頼むぞ…」

エルヴィン「…ハッ!」バッ

~~~~~~~~~
ー旧調査兵団本部ー

ハンジ「…と言う訳だ…」

サシャ「…遂にお尋ね者ですか…」

コニー「なぁ…結局捕まったらどうなるんだ?」

ユミル「仲良く殺されるに決まってんだろ?」

リヴァイ「で…?俺達はどうする?」

ハンジ「取り敢えず場所を移動してくれ…。此処じゃ直ぐに見つかる…」
エルド「ところで分隊長…。そこの男は…?」

ハンジ「ん?あぁっ!紹介が遅れたね!コイツが例の内通者だ」グイッ

モブリット「昨日兵長の連絡を受けて直ぐに捕獲しました」

男「…………」ドサッ

エレン「えぇっ!ミカサ?そうなのか?」

ミカサ「…顔が変形しているから何とも言えないけれど…恐らく」

リヴァイ「随分傷めつけた様だな」

ハンジ「んー…。中々喋らないからさ…。前回はゆっくりやり過ぎて失敗したから…今回は急いだんだよ…。名前はフェアラー・ペトロフだってさ」

会長「…うわぁ」

ペトラ「良かったわね…?協力しなかったら…あんたもあぁなってたわよ?」

ヒストリア「あの…。こっ…殺してしまったんですか…?」

ユミル「ヒストリア…。止めろ」ボソッ

ハンジ「…そうだと言ったら?」ズイッ

ヒストリア「ひっ…!あの…殺す必要は…ハンジ「じゃあ大人しく殺されるの?」

ヒストリア「…ッ!?」ビクッ

ハンジ「君は少し甘いんじゃないのかな…?まだ何処かで…現実として受け止めてないんじゃない?」

ヒストリア「そっ…そんな事…」

ハンジ「君は向こうを殺さない様に務めるだろう…。だけどね…向こうは君を殺すつもりで来るよ?そうしたら…?大人しく殺されるの?」

ヒストリア「…ッ!」

アルミン「ヒストリア…。しょうが無いよ…。訓練兵時代にも話しただろう…?僕達がやる事は…革命なんだよ…?どちらが正しいじゃない…勝った方が正しいんだ。だからこれは必要な犠牲だしこれからも僕達の邪魔になる様なら徹底的に潰さなければならない愚かな市民なんていくらでも丸め込める事が…」ハッ

ジャン「……………」

ライナー「……………」

ヒストリア「……………」

アルミン「…なぁんちゃって…!まぁ今のは冗談だよ…?」

ハンジ「素晴らしいっ!ヒストリア?アルミンを見習うんだっ!この目的の為なら何でも出来るという姿勢が必要なんだよっ!」

サシャ「…アルミン…。少し怖いですね…」

エレン「コイツが下衆な事考えてんのは今に始まった事じゃねぇよ」

ミカサ「そんな子に育てた覚えはない」

アルミン「…でも…本当の事じゃないか…。やらなきゃやられるんだ…」
エレン「あぁ。俺もそこは賛成だ…!黙って殺される訳にはいかねぇ!」
ジャン「まぁ…それはそうだけどよ…」

リヴァイ「…クソメガネ。あまりガキをからかうんじゃねぇよ」

ハンジ「少し様子を見ただけじゃないか…!」

モブリット「ヒストリア?心配するな。殺してはいないよ」

ヒストリア「ほっ…本当ですか?」

ハンジ「あぁ…。少し君達の覚悟を見ようと思ってさ。ごめんよ」

リヴァイ「だが…。忘れるな?俺達は完全に反王政分子になった訳だ。エレンやヒストリアは別にしても…殺す気で来るだろう…。向こうも自分の命が懸かってるからな。だから…殺せとは言わんが…そのつもりでいろ」

オルオ「兵長は俺がお守りしますっ!!」バッ

ペトラ「兵長はあんたのお守りなんか必要無いわよっ!」

レオン「俺達は何処に行けばいいんですか?」

ハンジ「それについては憲兵団の師団長が隠れ家を提供してくれるみたい」

ユミル「憲兵団が…?罠では?」

ジャン「憲兵団だって俺達を捕まえるつもりなんですよね?」

ハンジ「まぁね…。でも厳密に言えば彼等も上の命令で逆らえないのさ。本当に欲しているのは第一憲兵…つまりは貴族の連中なんだよ」

モブリット「此処まで来れば疑い様が無い…。やはりこの壁内を実質支配しているのは…」

ヒストリア「……………」グッ

ハンジ「王様と言うよりも…王政最高議会の議長を務める…ロッド・レイス…。レイス家で間違いないだろう…」

エルド「昨日の一件で…俺達を捕まえる大義名分を与えてしまったって訳か…」

ミカサ「…申し訳有りません」

ジャン「ミカサは何も悪くねぇだろっ!?」

エルド「そうだ。俺達は…それを分かった上でここに居るんだ…!人類終焉を回避し…自由を取り戻すっ!」

グンタ「あぁ!」

エレン「折角マリア奪還が現実的になって来たってのに…」

ハンジ「そうなんだ…。こんな状態じゃ…壁外に行っている場合でも無いし」

リヴァイ「一先ず移動するぞ…。これからの事はエルヴィンが王都で何か掴んでくるはずだ…」

~~~~~
ー王都ー
ー議会所ー

貴族「一兵団の長とは言えど…最高議会に庶民が出席するのは初めての事だ…。誇るが良い…エルヴィン」

エルヴィン「…有難うございます」

ロッド「さて…私が議長のロッド・レイスだ。君に聞きたい事がある…。率直に問う。君達は…何をしている?」

エルヴィン「何を…といいますと?」

ウォール教「惚けるなっ!!巨人の子供達を使い何かコソコソやってるだろっ!」

エルヴィン「それならば逆にお聞きしたい…」

貴族「貴様に質問する権利など有る筈がないだろう?」

ロッド「まぁ待て。何だ?言ってみろ」

エルヴィン「皆様は彼等を使い何をするおつもりですか?…まさか度重なる蛮行…知らないとはおっしゃらないですよね?」

ウォール教「貴様…。この場で死刑にする権限も我々は持っておるのだぞ!?」バンッ

ロッド「……………」

エルヴィン「何故エレンとヒストリアを狙うのですか?…理由の如何によっては我々は協力する事が出来る筈です!」

貴族「…ふざけおってっ…!レイス卿。此奴は極刑が相当の様だが?」

ロッド「…貴様達は何処迄知っている?例の…異次元から来た子供と言うのは…本当なのか?」

エルヴィン「はい。そのお陰でこうして未来は大幅に変わってきています(最高議会も一枚岩ではないのか…?)」

ウォール教「レイス卿…。勝手な事を言わない様に願いますぞ?」ボソッ

ロッド「…エルヴィン。こうして参考人として議会に召喚した意味が分からない貴様じゃないだろう?」

エルヴィン「……………」

ロッド「…全て忘れる事だ…。また壁外調査に精を出せ。そうすればエレンとヒストリア以外の手配は解いてやろう。その代わり…その二人を差し出せ」

エルヴィン「…くっ…!レイス卿…!何故分からないんですか?」

貴族「私達に意見する気か?ゴミ虫が…お前達が力を持つ事はならんっ!」

ウォール教「そうだっ!!…我々に任せて貴様は壁外に思いを寄せていろっ!」

ロッド「そういう事だ。もう下がってよい」

エルヴィン「…くっ…!」

~~~~~~~~
ー兵団総本部ー
ー総統執務室ー

ピクシス「それで…?何とかならんのか?」

ダリス「…今回は最高議会からの特命だ。幾ら私とて止められんよ」

ピクシス「そうか…。ダリスよ…。お主はどちらに付く?」

ダリス「…どちらとは?」

ピクシス「…そのままじゃよ。エルヴィン達に付くか…王政に付くか…。このまま行けば…王政を転覆させる事になるやもしれんぞ?」

ダリス「フゥー…。分からん…。知恵の無い人形のまま留めようとした神が悪いのか…。人を騙してでも知恵を付けさせた蛇が悪いのか…。私には分からんよ…」

ピクシス「フッ…。相変わらず真面目じゃな…。んくっ…。ほれ…」スッ

ダリス「フッ…。あぁ…」グビッ

ピクシス「…ワシはエルヴィン達に付くぞ…。この世界が狭い籠の中だと知った時から…何時かこうなる事は予想しておった…」

ダリス「…そうか…。私は自分の職務を全うする。そして…もしその時お前が敵でも…」

ピクシス「あぁ…。その時はお互い遠慮はいらんな…。じゃあの」スッ
バタンッ

ダリス「……………」
―――――
――――
―――

ーローゼ東区ー

エレン「なぁ…。その廃墟は綺麗か?埃とか…草とかっ!」ボソッ

マルコ「う~ん…。俺も見た訳じゃないからなぁ…。何とも言えないけど…。そんな事が重要かい?」ボソッ

ジャン「あぁ…。また一日の始めが掃除からなんざ…」

マルコ「……?っと…。あそこじゃないかな?」

ユミル「結構立派じゃねぇか…」

ヒストリア「そうね…。ローゼも立派な物が沢山あるよね?」

アルミン「まぁやっぱり元は内地だった訳だしね」

コニー「成る程な…!でもよ…。こんだけデカイと…掃除が大変だよな…」

エルド「…見た目は綺麗そうだが…。どうだろうな…」ボソッ

グンタ「あぁ…。兵長のお眼鏡に適うかどうか…」ボソッ

オルオ「汚けりゃ掃除すりゃいいんだろうがっ!」

ペトラ「それはそうだけど…。やっぱりやらなくて済むならその方がいいじゃない…?」

リヴァイ「ほぉ…。廃墟だとか言う割にはまともじゃねぇか…」

一同(…ふぅ…)ホッ

リヴァイ「これなら一日で終わりそうだな」

一同(…結局やるのっ!?)

リヴァイ「各自荷物を置いたら始めるぞ」
―――
――

ー食堂ー

エレン「意外と早く終わったな!」

マルコ「まさか今更大掃除する事になるとは思わなかったよ…」

ユミル「そうだろ…?前の所でもやったんだぜ?」

ヒストリア「でもっ…!自分達が住む所なんだから仕方ないでしょっ!」
ユミル「へいへい…。そうでございますね…」

マルコ「ハハハッ!でも…久しぶりで良いね!この感じ!」

アニ「喋りに夢中じゃ何時迄も終わらないよ!」

ジャン「そうだぞっ!上官方も待ってるし…腹減ったしよ」

サシャ「そうですねっ!折角早く掃除が終わったんですから…早くご飯にしましょう!」パクッ

コニー「あぁーっ!お前っ!摘み食いするなよな!」パシッ

サシャ「いえっ…!これは…毒味ですよ…!」ゴックン

アルミン「遊んでないで早くやろうよ…」

レオン「なぁ…。何で俺だけ芋の皮剥き?もっと面白い事やらせろよ!!」

ユミル「あぁっ!?テメェは料理なんざまともに出来ねぇだろうがっ!」
レオン「…そんな事無いし…」

アルミン「ハハ…。でも芋も皮を剥かなきゃ食べられないからね…?重要な仕事さっ!」

レオン「…分かりましたよ…」

――――
―――

サシャ「美味しかったですねっ!」

ジャン「マルコ達は普段もっと良い物食ってるんだろうから物足りなかったか?」

マルコ「いやぁ!そんな事無いよっ!皆で食べたから美味しかったよ!」
エルド「さてと…。本格的に今後どうするかって話になってきちまったな…」

グンタ「あぁ…。前門の虎、後門の狼と言った所か…」

コニー「なぁ…。今のどういう意味だ?」

アルミン「要はさ…。僕達はエレンを覚醒させなくちゃいけないし、更には第一憲兵を躱さなくちゃいけないしで前も後ろも挟まれている状態って事だよ」

レオン「エレンを覚醒させるのもリスクが大きいしな…。それにばっかり注視出来ない状態だしよ」

コニー「ふぅーん…」

オルオ「兵長…。これからはどちらで動くんですか?」

リヴァイ「…エレンの問題も…憲兵の問題も…後回しには出来んだろ?」
エルド「しかし…両方行うにしても…」
ドンッドンッ

ハンジ「私だよー!開けてー」

ヒストリア「ッ!今開けますっ!」ガタッ
ガチャッ

ハンジ「やぁ!新居の住み心地は如何?」

リヴァイ「…メガネか…。茶化しに来たんなら帰れ…!」

ハンジ「違うよ…!エルヴィンが王都から戻った」

リヴァイ「…それで…?どうするんだ?」

ハンジ「議会は…保身しか考えていないみたいだ…。エレンとヒストリアを渡せば…手配は解いてやると言われたみたい…」

ミカサ「ふざけている…!エレンを渡す訳が無いっ!」

ユミル「ヒストリアを渡す訳にはいかねぇわな」

リヴァイ「…だろうな…。奴等が賢ければ…こんな事態にはなってねぇよ」

エルド「それもそうですね…」

ハンジ「それで…エルヴィンの判断だけど…。マリア奪還を優先しろとの事だ」

エレン「成る程…。自分の実験は…一先ず延期と言う事でしょうか…?」

ハンジ「いや…。マリアを奪還して地下室を調べる…そして…マリア内でエレンの実験を開始する!」

アルミン「えっ!?それでは…全てがマリア奪還成功の上に成り立っていますし…奪還しても…巨人は残っていますよね…?」

ハンジ「そうだ…。奪還を成功させて…更には実験も成功させなければならない…。巨人を討伐しながらだ…!」

グンタ「流石にそれは…奪還したとは言え…壁外なんですよ?」

ハンジ「しかし壁内で悠長にエレンの覚醒を待ってはいられないだろう?…最低限ライナーが穴を塞げる事を確認して…作戦開始だ」

ペトラ「……………」

エルド「……………」

リヴァイ「…これがエルヴィンの判断なら従うのみだ…。信じられる奴だけ付いて来い…。強制はしない」

エレン「俺は当然行く…!もう訳分からねぇのは沢山だっ!」

ミカサ「エレンが行くなら私も」

サシャ「…………」グッ

マルコ「凄い展開になってきたね…」

ジャン「俺は…行くぞっ!ここ迄来て…後に引けるかっ!」

コニー「おうよっ!今更後戻りは出来ねぇっ!」

オルオ「…エルド…。お前は残った方がいいぞ…?」ボソッ

エルド「…ッ!?何だよ?急に…」ボソッ

オルオ「…結婚するんだろうがっ!…向こうじゃ幸せにしてやれなかったんだ…。こっちじゃ幸せにしてやれよ!」

ペトラ「そうよ…!綺麗な恋人が待っているんでしょ?」

エルド「兵長だって行かれるんだっ!俺だけ待機なんて出来るかっ!…アイツには…待っててもらうさ」

グンタ「…カッコつけやがって…」フッ

ユミル「お前は残れよ…?」

ヒストリア「ユミルは…?どうするの?」

ユミル「私に選択肢なんてねぇよ…。そういう条件で許してもらっているんだからな」

ヒストリア「ならっ…!私も行くっ!」

ユミル「お前なぁ…。いい加減にしろよ?只の壁外調査じゃねぇんだぞ?」

ヒストリア「だって…何時も私は守られてばかりっ…!もうイヤッ!この仲間達と一緒に戦うって決めたんだもんっ!!」

レオン「まぁいいんじゃね?俺達がしっかりお守りすればいいんだろ?」

ユミル「…チッ…!責任重大じゃねぇか…」

ライナー「ここ迄来て…穴が塞げねぇなんて笑えねぇよな…」

アニ「…大分ね…。何が何でもやるしか無いだろ?」

ライナー「…あぁっ…!そうだな」

ハンジ「…皮肉なもんだね…。中に居れば巨人の脅威は和らぐけど人に狙われる…。外に行けば人の脅威は和らぐけど巨人に狙われる…。今の私達は…人の脅威から逃れる為に壁外に出ようとしている…」

アルミン「…不思議ですよね…。我々は只…人類繁栄の道を進もうとしているのに…。それを人類に阻まれようとしている…。それでも…僕達がやらなければっ…!」

ハンジ「そうだね」

エレン「あぁっ…!」

リヴァイ「…全員付いてくるんだな…?…先ずはライナーが穴を塞げるか確認する…。明日から行動開始だ。今日はもう休め…」ガタッ

一同「ハッ!」
―――――
――――
―――

ートロスト区ー
ー調査兵団本部ー

エルヴィン「…そうか。今日出発か…」

モブリット「はい。ライナーが穴を塞げる事を確認した為、今夜作戦を開始するとの事です」

エルヴィン「…分かった。私も付いて行きたいがな…」

モブリット「…団長には見張りが付いています…。それに…壁内を頼むとのリヴァイ兵士長からの言伝ですっ!」バッ

エルヴィン「あぁ。そうだな…。ありがとう。下がってくれ」

エルヴィン(頼むぞ…リヴァイ達)

~~~~~~~~
ーローゼ東区ー
ー丘ー

レオン「…………」ザクッザクッ

レオン「ふぅ…。こんなもんかな…」ガランッ

レオン(まさかこの世界に果物の苗が売っているとは…。ここなら見晴らしもいいしな…)

~~~~~~~~

ユミル(コソコソしてるから付いて来てみりゃ…。何してんだアイツ?)
ヒストリア「ねぇ…?レオンは何してるのかな?」ボソッ

ライナー「何かを…植えているみたいだが…?」ボソッ

アルミン「植物みたいだよね…?」ボソッ

ユミル「…ッ!?お前等此処で何してんだっ!?」ボソッ

ヒストリア「だってユミルがコソコソしてるから…」

ライナー「ヒストリアがコソコソ何処か行きそうだったから…」

アルミン「ライナーがコソコソとヒストリアの後を付いて行ったから…」
ユミル「…ハァ…。私は只…アイツが何をするのかと思ってよ…」

ヒストリア「見てっ!終わったみたいだよっ!」

~~~~~~~~~

レオン(我ながら良く出来たかな…!穴掘って埋めただけだけど…)

レオン「おいっ!そんな所居ないでこっち来いよっ!」

四人「…ッ!?(バレている…だと…?)」ビクッ

ライナー「よ…よぉレオンッ!何してんだ?」

アルミン「レオンが心配だったからさ…」

レオン「…ありがとな!いやさ…街に買い物行ったらさ?果物の苗が売ってたからよ…」

ユミル「あ?果物だ?…呑気な奴だな…。もう…帰って来れねぇかもしれねぇってのによ…?」

ヒストリア「ユミルッ!そんな言い方ないでしょっ!」

レオン「…だからだよ。コイツに水をやるってのを仕事にしようぜ?だから…コイツを枯らさない為にも俺達は生きて帰って来る必要があるんだ!」

ライナー「成る程…」

アルミン「いい考えじゃないかな?…ちゃんと帰って来ないと枯れちゃうね!」

ユミル「かぁーっ!相変わらず気障な奴だなっ!?…分かったよ。帰って来たら…水をやろう」

ヒストリア「皆であげようね!」

コニー「おーいっ!此処に居たのか…!そろそろ出発だってよ!」

ジャン「ん?何してたんだ?」

サシャ「何か美味しい物でも食べてたんですか!?」

アニ「皆が皆あんたと同じな訳無いだろ…?」

エレン「アルミンも此処に居たのかっ!」

ミカサ「探した…。何をしていたの?」

アルミン「ゴメンね!…決意表明…かな?」

エレン「決意表明?」

レオン「あぁ…。今此処に果物の苗を植えた訳だ…!俺達が帰って来て水をやらねぇと枯れちまうって事だ!」

マルコ「成る程ね!」

ジャン「ケッ!クセェ奴だな…。まぁ嫌いじゃねぇがなっ!」

コニー「えっ!?どういう意味だっ!?」

サシャ「ですから…。要は生きて帰って来ようって事ですよっ!」

コニー「おぉっ!そういう事かっ!で…?何で水やりが出てくるんだ?」
マルコ「生きて帰って来なくちゃ…水があげられないだろう?」

コニー「おぉ!成る程なっ!じゃ絶対帰って来ようぜっ!!」

エレン「当たり前だっ!!」

ミカサ「当然の事」

オルオ「おいっ!ガキ共っ!もう行くぞっ!何してるっ!!」

レオン「すみませんっ!今行きますっ!」

エレン「よしっ!行くぞっ!」

一同「おうっ!!」

~~~~~~~
ーカラネス区ー
ー外門ー

ペトラ「兵長?足の調子はどうですか?」

リヴァイ「…思ったよりも動くようだ…。悪くない」

ハンジ「さぁて…!いよいよだねっ!」

エルド「…完全な日没までにはシガンシナ区には入りたいですね」

リヴァイ「極力戦闘は避けるぞ…。先ずはシガンシナ迄、全速力で駆けるっ!」

一同「ハッ!」

ヒストリア「何でトロスト区から出ないの?…そこからの方が近いのに…」

レオン「…トロスト区は各兵団本部があるだろ?此処の門兵だって非公式で協力してくれるんだぜ?…幾ら指令でもお尋ね者を堂々と出す訳にはいかないさ…」

ヒストリア「そっか…。私達は犯罪者なんだね…」

ユミル「それも後もう少しだよ…」

レオン「あぁ…。先ずはマリア奪還だっ!」

門兵「開門三十秒前っ!!」

エレン「よぉーしっ!」

ミカサ「エレン。気を付けてね」

門兵「開門っ!」ゴゴゴゴッ

リヴァイ「行くぞっ!」ダダッ

一同「ウォォォッ」ダダッ

~~~~~~~

アンカ「開門を確認。特別作戦班、出発しました」

ピクシス「うむ…。第一の奴等が居ないか策敵せよっ!」

駐屯兵「ハッ!」ダッ

ピクシス(頼むぞ…)
―――
――

ー第一兵站拠点ー

エルド「もう直に日が暮れる…。少し遅れているか…」

グンタ「仕方無いだろう…。この班はほぼ新兵だ…。慣れていないしな」
オルオ「ガキ共を見ろよ…。すっかりバテてるぞ?」

ミカサ「エレン?アルミン?大丈夫?」

エレン「…どうって事ねぇよ…」

アルミン「まだ行けるよ…」

ジャン「しかし…流石に効くなぁおい…。前はまだ壁内だったからな…。重圧が半端じゃ無い」

マルコ「そうだね…。俺なんて初めてだから…少し気持ち悪いよ…」ウッ

アニ「あんた達大丈夫かい?…ほら。水だ」

マルコ「ありがとう…」

ジャン「しかし流石は先輩方…顔色一つ変えてねぇぞ…?」

ユミル「ヒストリア?大丈夫か?」

ヒストリア「う…うん…。少し疲れただけから…」

レオン「流石にユミル達は慣れているな…。凄ぇよ…」

ユミル「お前はもっとシャキッとしろっ!…ったく…。コニー達を見習え!」

コニー「…へへっ…!サシャ!どっちがより多く巨人を狩れるか勝負するか?」

サシャ「…コニー?それは木ですよ?」

ヒストリア「…サシャ?それは馬だよ…?」

ユミル「……………」

レオン「無理もねぇわな…。初めての壁外だ…。誰でもバテるよ…。あの人位だろ…?元気なのは…」

ハンジ「ねぇっ!リヴァイッ!さっきの子見た!?中々ハンサムだったよね!?巨人の顔ってどんな理屈で決まるのかなっ!?気になるなぁ…!ライナーッ!何か知ってる!?」バッ

ライナー「…えっ!?どうでしょうか…。やはり元の顔が反映されるのでしょうか…?(近い…)」

リヴァイ「うるせぇぞクソメガネッ!!少しは大人しくしてろっ!」

ハンジ「えぇ~!!いいじゃないかチョット位…。アニッ!アニは何か知ってる!?」グイッ

アニ「…ッ!?えっ…と…。すみません。私も詳しくは…(近い…)」

ユミル「…まぁあそこ迄元気な必要はねぇけどよ…」

グンタ「兵長っ!そろそろ移動しますか?」

リヴァイ「あぁ。全員…出発するぞ」

一同「ハッ!」

リヴァイ「もう日が暮れる…。速度を落として進むが…各自火を絶やさずに索敵に集中しろ」

マルコ「あのっ…!万が一巨人と遭遇した場合はどうすれば…?」

ハンジ「平地であればあまりに不利だ…が、逃げられない以上討伐するしか無い…!その場合は速やかに伝達しろっ!」

マルコ「…ハッ!」

コニー「実際よ…平地で立体機動なんて難しいよな…」

サシャ「えぇ…。ですが…やるしか有りませんよっ!」

リヴァイ「…行くぞ!」ダッ

一同「よっしゃぁっ!」ダッ
――――
―――
――

ートロスト区ー
ー調査兵団本部ー

エルヴィン「これは…ウォール教の大主教様自らお越し頂けるとは…」

大主教「白々しい…。あの時の議会での事…忘れた訳ではあるまい?」

エルヴィン「…二人を差し出せ…と?」

大主教「そうだっ…!あれから一週間は経つぞっ!?一体何時迄待たせるつもりだっ!」ダンッ

エルヴィン「と言われましても…主犯であるリヴァイ兵士長を始めとする班員が行方不明となっていまして…目下捜索中です」

大主教「貴様が匿っている事など容易に想像がつくわっ!!」

エルヴィン「…お言葉ですが…。私に一日中監視を付けているからこそ、そんな事は不可能だという事を…一番ご理解頂けると思いますが?」

大主教「…くっ…。もう時間がないというのにっ…!」

エルヴィン「…もう間もなく攻撃が始まると…?」

大主教「…そこまで分かっているなら何故隠す…?」

エルヴィン「…隠してなどいません。この危機も手を取り合えば切り抜ける事が可能な筈ですっ!」

大主教「黙れっ!貴様等に何が出来るっ!」

エルヴィン「議会は…ご自身の事しか頭に無いのでは?」

大主教「何っ!?…口を慎めよ…?エルヴィン。貴様の処遇など…どうにでもなるのだぞ?」

エルヴィン「…本当に民の事をお考えなら我々は協力するべきですっ!」

大主教「…貴様はもう少し賢いと思っていたがな…。これで失礼する…」スッ

エルヴィン(…議会も焦っているのか…。各自注意を促さなければならないな…。どういう行動に出るか分からん…)

~~~~~~~~~
ーマリア南区ー

リヴァイ「ようやく半分迄来たか…?」

ハンジ「思いの外順調だねっ!…少し物足りない気がするなぁっ…!」

リヴァイ「黙ってろっ!クソメガネッ!」

ジャン「生きてるぞっ!!俺は生きてるっ!」

マルコ「あぁ…!後もう少しだっ!」

オルオ「おい新兵っ!油断してんじゃねぇっ!!お家に帰る迄が壁外調査だっ!」

グンタ「だが…一人の欠員も無いなんてな…」

エルド「やはり…ライナー達の力が大きいだろう…」

ペトラ「うんっ!感謝してるよっ!三人共っ!」

ライナー「…有難う…ございますっ!」グッ

ユミル「おいっ!泣く事ねぇだろ…?」

ライナー「俺でも役に立つ事が出来たっ…!せめてもの償いだっ!」

アニ「…あぁ。そうだね…」

ユミル「……………」

サシャ「後は…無事に帰るだけですね…!」

コニー「おうっ!最後まで油断は出来ねぇけどなっ!」

エレン「……………」

ミカサ「…エレン?どうしたの?」

エレン「いや…。結局ライナー達の言う通りだったんだなってさ…。しかも…父さんが外の世界の人間だったなんてっ…!」

アルミン「…地下室の記録の話しかい?」

エレン「あぁ…。何処の国も変わらねぇ…。只…平和に生きたいだけなんじゃねぇか…!この国もっ…!外の国もっ…!」

アルミン「…そうだね。皮肉な話だよね…。平和の為に戦争するなんて…。でも…君が支配の力に目覚めれば…この戦いは終わるさ」

エレン「…結局俺は何も出来ていないがな…」

ミカサ「でも…レオンはエレンが力を持っているのは間違いないって言っていた…。レオン?違わない?」

レオン「あぁ…。まぁ最初から使いこなしていた訳じゃ無いがな…」

アルミン「やっぱり何か…条件が?」

レオン「…あの時は…コニー「マズイッ!巨人が出たぞっ!!」

リヴァイ「チッ…!各自至急出発するぞ!ライナーッ!アニッ!やれるか?」

ライ・アニ「ハッ!」ガリッ
ドゴォォォンッ

リヴァイ「ヒストリアッ!俺から離れるなよ!二人に気を取られている内に進むぞっ!」

レオン「話は後だっ!!逃げんぞっ!」ダッ

アルミン「う…うんっ!」

エレン「あの二人は大丈夫なんだろうなっ!?」

ミカサ「エレンッ!前を向いてっ!」

ユミル「マズイッ!前からも来たぞっ!」

リヴァイ「オルオッ!エレンに付けっ!…ミカサッ!前の奴等をやるぞっ!」ダッ

ハンジ「私も行くーっ!!」ダッ

ペトラ「分隊長っ!?」

オルオ「ハッ!」ダッ

ミカサ「くっ…!ハッ…!」ダッ

ユミル「ヒストリアッ!私から離れるなよっ!」

ヒストリア「皆大丈夫かなっ!?」

ペトラ「…今は自分の心配をしなさいっ!」

ヒストリア「は…はいっ!」

ジャン「最後に…やられてたまるかよっ!」

リヴァイ「…らぁっ!!」ギュルッ

ミカサ「…ハァッ!!」ザシュッ

レオン「しかし…あの二人は本当にスゲェな…」

オルオ「兵長が凄いのなんて当たり前だろっ!バーカッ!」

エレン「…ッ!?また来ましたっ!」

オルオ「チッ!エルドッ!どうするっ!?」

エルド「…エレンとヒストリアは固まれっ!!ユミルッ!ペトラッ!二人を頼むぞっ!…オルオッ!グンタッ!やるぞっ!」ダッ

オルオ「おうっ!…新兵っ!ションベン漏らすなよっ!」ダッ

レオン「ハッ!(そりゃあんただろっ!)」ダッ

アルミン「ハッ!」ダッ

マルコ「俺達も行こうっ!」ダッ

ジャン「おうよっ!ミカサに良い所見せてやるぜっ!」ダッ

アルミン(マズイ…!陣形がバラバラにされてしまった…)

ジャン「アルミンとレオンは注意を引けっ!俺とマルコでやるっ!」ジャキッ

レオン「おうよっ!…頼むぜっ…!黒王号っ!」パシュッ

ペトラ「私達はこのまま逃げ切るわよっ!」

エレン(今回は自分の我が儘を通す訳にはいかないっ…!俺達を逃がす為に戦ってくれているんだっ…!俺とヒストリアだけでも…生き残るっ!)

アルミン「あぁっ!!ジャンッ!!マルコッ!!」パシュッ

エレン「…ッ!?」

ジャン「…ぐっ!!」ガシッ

マルコ「…がぁっ!!」ガシッ

レオン「マズイッ!(俺じゃ間に合わねぇっ…!!)」バシュッ

ヒストリア「ジャ…ジャンッ!!マルコッ!!」

ユミル「ヒストリアッ!!前を向けっ!!」

ヒストリア「でっ…でもっ!!」

ペトラ「…くっ…!!」

エレン「ジャンッ…!マルコッ…!…巨人共めっ…!ふざけじゃねぇぇぇっ!!」バチッ

ライナー「…ッ!?(これはっ!?)」ビリッ

アニ「…ッ!?」ビリッ

巨人「バァァァッ!!」ドシャッ

巨人「ガァァァァッ!!」ドスンッ

アルミン「…何だっ!?急に巨人が…巨人を…?」

ジャン「…うっ…!」ドサッ

マルコ「ぐわっ…!」ドサッ

レオン「…アルミンッ!二人を回収するぞっ!!急げっ!」ダッ

アルミン「…ハッ…!りょ…了解っ!」バシュッ

リヴァイ「…何だ?」シュー

ミカサ「向こうの巨人に群がっています…」シュー

ハンジ「何々っ!?どうしたのかなっ!?」

リヴァイ「どうでもいい…!さっさと離脱するぞっ!!」

ライナー「ゴホッ!…ゲホッ!アニッ…!合流するぞっ!」ブシュー

アニ「ガフッ…!…あぁ…!」ブシュー

コニー「また集まってきちまうぞっ!」

レオン「何が何でも生きて帰るぞっ!!木が…枯れちまうからなっ!」

ヒストリア「うんっ!!」

ユミル「おうっ!」

エレン「俺は…今何を…?」

ミカサ「考えるのは後。今は行動が先」

ペトラ「…ッ!?前方から…巨人接近っ!」

サシャ「またですかぁっ!?」

リヴァイ「このまま馬で駆けるっ…!遅れるなっ!」
――――
―――
――

ートロスト区ー
ー駐屯兵団本部ー
ー指令執務室ー

ピクシス「して…。リヴァイ達はまだ戻らんか…?」

エルヴィン「はい。まだ戻っておりません」

ピクシス「ふむ…。彼等が戻ったらどうするんじゃ?」

エルヴィン「知り得た情報次第ではありますが…。王政…いえ…議会と本格的に交渉に移りたいと思います」

ピクシス「そうか…。現王政を転覆させる事も有り得る…と言う事じゃな?」

エルヴィン「…はい。このままでは…滅亡を待つのみとなってしまいます」

ピクシス「…ふぅ…。武力行使だけは避けたいのぉ…」

エルヴィン「勿論です…が、向こうの出方次第では…。しかし…交渉が成功する可能性もゼロでは有りません。議会は恐らく…一枚岩では無いと思われます」

ピクシス「ほぉ…。和解を望む姿勢も見られる…と?」

エルヴィン「はい。どちらにしてもエレンの状況等に左右されますが…」
ピクシス「そうか…。しかし…ドガァァァァンッ!!!

エルヴィン「…ッ!?何だっ!?」ダッ

ピクシス「今の音は…まさか…!?」ガバッ

エルヴィン「…くっ…!私は本部に戻りますっ!壁が…破壊された模様ですっ!」ダッ

ピクシス「ワシも直ぐに出ようっ!!アンカッ!!」

アンカ「ハッ!全兵に非常事態宣言を発令致しましたっ!」

ピクシス「うむっ!駐屯部隊は住民の避難を再優先っ!精鋭班は調査兵団と協力し巨人の掃討に当たれっ!!」

アンカ「ハッ!!」バッ

ピクシス「よりによって…リヴァイ達が不在の時にっ…!」ギリッ

~~~~~~~~~

男「主教様…。仰せの通りに遂行致しました…」

主教「これで少しは目が覚めるか…?最早時間が無い以上…なりふり構ってられんわ!」

ニック「…何を仰っているのですか…?主教様…?」

主教「ん…?おぉ…。司祭か…。聞いての通り街の浄化だ」

ニック「なっ…何を…?」

主教「馬鹿なゴロツキ共が我々の邪魔をしようとするからな…。これで少しは目が覚めるだろう?」

ニック「神聖な壁を…自ら破壊したと言うのかっ!?…巨人が目覚めたらどうするのですっ!?」

主教「フハハッ!…所詮貴様もゴロツキ上がりか…何も知らんと見える…」

司祭「何っ…?我々ウォール教の真の目的は…壁の巨人を覚醒させない様に…秘密を受け継いで行く事では無いのですかっ!?」

主教「その通りだ…。だがな…?もう時間が無いんだよ…。早く[座標]を使い巨人を覚醒させ…ティタン王国に攻め入る必要が有る…」

ニック「なっ…何だ…と…?どういう事だ…?」

主教「…少し無駄話が過ぎたな…。おい…」

男「…ハッ…」ガチャッ

ニック「…ッ!」

主教「心配せずとも直にそちらも賑やかになる…」
ドンッ

ニック「…がっ…ふ…」ドサッ

主教「これで大主教様もお喜びになる事だろう…」

~~~~~~~
ートロスト区ー
ー第一防衛線ー

イアン「リコッ!項を狙えっ!…俺が足をっ!」バシュッ

リコ「了解っ!」

ミタビ「お前は引き付けろっ!俺が項を削るっ!」バシュッ

駐屯兵「了解っ!」

調査兵「お前はそっちだっ!!」ギュィィィ

調査兵「任せろっ!」ブシュッー

~~~~~~~
ー作戦本部ー

エルヴィン(…リヴァイ達が居ない頃を狙いすました様な壁の破壊…。人為的か…?狙いはやはり…エレン達を炙り出す為か…?)

調査兵「団長っ!!戦況は芳しく有りませんっ!…このままではっ…!」ダッ

エルヴィン「…駐屯精鋭班と協力して住民が避難するまでの時間を稼ぐのだっ!避難が完了次第撤退するっ!」

調査兵「了解しましたっ!」パシュッ

~~~~~~~~
ー壁上固定砲班ー

駐屯兵「くそっ…!何で壁が急に壊れるんだよっ…!」

ハンネス「泣き言なら後にしろっ!!一匹でも多く此処で仕留めるんだっ!」ガチャガチャ

駐屯兵「…ハッ!」ドゴンッ

ハンネス(だが…嘆きたくもなるぜ…。何でまたっ…!ん…?あれは…)
~~~~~~~~
ー第二防衛線ー

駐屯兵「…先輩も皆やられたっ…!もう無理だ…!」

駐屯兵「諦めんなっ!まだ…生きてるだろうがっ!!立てっ!此処に居たって…がっ…!」ガシッ

巨人「…………」アー

駐屯兵「ひっ…!父さんっ!母さんっ!ゴメンッ…。何も恩返し出来なかった…うぅ…」ガシッ

巨人「……………」アー
グチャ

~~~~~~~
ー第一防衛線ー

イアン「リコッ…!ミタビッ…!状況は…?」ゼェゼェ

ミタビ「俺の班はほぼ壊滅だ…」ゼェゼェ

リコ「私の所も…二人しか残ってないよ…」ハァハァ

イアン「撤退の鐘がもう鳴る筈だっ!…それまで此処を死守するぞっ!」
駐屯兵「班長…。私達…ここで…」グスッ

リコ「諦めてはダメだっ!!最後まで希望を持てっ!…また来たぞっ!

イアン「リコッ!お前等は後ろの一体を頼むっ!…ミタビッ!俺達は前だっ!」パシュッ

ミタビ「上等だっ!!ここ迄来たら…狩りまくってやるっ!」ダッ

リコ「あぁっ!」ダッ

駐屯兵「班長っ!下ですっ!!」

リコ「…ッ!?」ガシッ

ミタビ「…ッ!?リコッ…!」クルッ

イアン「リコッ!!」バシュッ

リコ(…くっ…!足が…潰れたみたい…。イアン…そんな顔しないで…。あなたのせいじゃないよ…。…えっ…?あれは…羽…?自由の…翼…?)
リヴァイ「らぁっ!!」ザシュッ

リコ「うっ!」ドサッ

リヴァイ「…無事か?…女」ガシッ

リコ「リヴァイ…兵士長…?」

イアン「リコッ!…リヴァイ兵長っ!有難うございますっ!!」

リヴァイ「礼はいい…。早く手当してやれ」バシュッ

ハンジ「総員散開っ!!群がっている所を一気に叩けっ!」

一同「ハッ!」バシュッ

~~~~~~~
ー作戦本部ー

ピクシス「本当かっ!?ハンネスッ!!」

ハンネス「ハッ!…特別作戦班が…帰還しましたっ!!」

エルヴィン「指令。後はお願いします。私も合流します」パシュッ

~~~~~~~~

リヴァイ「エレンッ!ヒストリアッ!お前等は戦わなくていいっ!エルヴィンを探せっ!」

エレン「しかしっ!俺が…[座標]の力でっ…!」

エルヴィン「リヴァイの言う通りだ。エレンとヒストリアは私と来い」スタッ

エレン「団長っ!?しかし…エルヴィン「話は後だ。急げ」

ヒストリア「ハッ!エレンッ…!」

エレン「…くっ…!」

エルヴィン「無事だったか…。リヴァイ」

リヴァイ「テメェも…随分元気そうじゃねぇか…」

エルヴィン「フッ…。此処は頼んだぞっ!」バシュッ

エレン「…ご武運をっ!」パシュッ

ヒストリア「……………」パシュッ

エルヴィン「今回の件は…巨人にやられた物では無いと考えている…」

ヒストリア「…えっ!?それって…どういう意味ですか…?」

エルヴィン「壁は…人為的に破壊された可能性が高い。壁内の人間によってっ…!」

エレン「そんなっ…!!誰がこんな事をっ!!」

エルヴィン「…恐らく…議会によるものだと思われる。大分焦っていたからな」

エレン「…ふざけやがってっ!!団長っ!奴等は捕まえるべきですっ!…許せねぇっ!!」ギリッ

エルヴィン「落ち着けエレン…。向こうは君達二人が目的だ。感情的に行動すれば奴等の思う壺だ」

ヒストリア「しかし…どうするのですか…?」

エルヴィン「先ずは事態の沈静化が先だ…。君達が戻ってくれて助かったよ…。一度作戦本部に戻るぞ」

~~~~~~
ー作戦本部ー

ピクシス「おぉっ!!エレンに…ヒストリアッ!無事じゃったかっ!!」バンッバンッ

ヒストリア「ハッ!」

エレン「ハッ!」

ピクシス「して…エルヴィン。この事態…。どう収める?」

エルヴィン「それについては考えが有ります。レオンに聞いた話ですが…。向こうでトロストの壁が破壊された時は、例の大岩を使って塞いだようです…。ですので、今回もその作戦の決行を考えています」

ピクシス「成る程…。流石にライナーを使う訳にもいかんしの…。しかし…あの岩は掘り起こす事も叶わなかったぞ…?どうするのじゃ?」

エルヴィン「…エレン。出来るか?」ガシッ

ヒストリア「エレンに…やらせるのですか?」

エレン「…やりますっ!俺が塞いでみせますっ!」グッ

ピクシス「よう言ったっ!お主は男じゃっ!!」バンッ

エルヴィン「よしっ!指令。ヒストリアを頼みます!行くぞっ!リヴァイ達と合流する」

エレン「ハッ!」

~~~~~~~~
ーストヘス区ー
ー憲兵団支部ー

ヒッチ「ちょっとぉ…!壁が壊されたってマジィ?」

マルロ「…あぁ。そうみたいだな…。状況によっては…市民の受け入れを行うかもしれんそうだ」

ヒッチ「えぇぇぇっ!面倒くさぁ…」

マルロ「何を言ってるっ!市民を守るのが兵士の役目だろうがっ!」

ヒッチ「へいへい…。冗談みたいな頭して真面目な事言わないでよ…」

ベルトルト(…皆…。無事か…?)

ヒッチ「ねぇ…ベルトルトォ?アニとマルコはどうしたのよ?」

ベルトルト「…貴族の護衛で…別の区に行っているみたい…」

ヒッチ「こんな時に何やってんのよ…」

上官「おーい!ベルトルトッ!ちょっといいか?」チョイチョイ

ベルトルト「ハッ!」ダッ

~~~~~~~~

上官「………………」

ベルトルト「お呼びでしょうかっ!?」バッ

上官「…あぁ。まぁ…なっ!」ビュッ

ベルトルト「…ッ!?」ザッ

上官「…今のを避けるのか…。流石に優秀じゃねぇか…」ジャキッ

ベルトルト「…何をっ…!?」

上官「よく分からんが…お前を殺せば上に行けるらしくてな…。別にお前に恨みは無いが…死んでくれや…」

ベルトルト「…くっ…!(向こうはブレード…こっちは素手…。斬られた位じゃ死なないけど…。殺す訳にはいかない…!)」

上官「…オラッ!!」ビュッ

ベルトルト「うっ!」サッ

上官「そらっ!」ブンッ

ベルトルト「…フッ!!」バキッ

上官「な…に…」ドサッ

ベルトルト「ふぅ…。(でも…どうしよう…。支部長に引き渡す…?もう全員繋がってるのかな…。取り敢えず縛っとこう…)」スッ

マルロ「ベルトルトッ!此処に居たのか?…団長がお呼びだ…ぞ…?お前っ…!上官に何をしたんだ!?」

ベルトルト「これはっ…!違うっ!」

マルロ「お前達は最近よく団長に呼ばれるな…。何か…やっているのか?」

ベルトルト「そうじゃないっ!急に…襲ってきてっ…!」

マルロ「何故上官が急に襲ってくるんだ?幾ら何でも…いきなり襲いはしないだろうっ!?」

ベルトルト「だからっ…!…ナイル「マルロッ!ベルトルトはどうしたっ?」

マルロ「…団長っ!…それが…」

団長「ん…?…何故そいつが倒れているんだ…?」

ベルトルト「急に…襲われました…」

マルロ「だからって殺したのかっ!」

ベルトルト「殺してなんかいないっ!!気絶しているだけだっ!」

ナイル「…マルロッ…!下がっていい。この事は口外無用だ…。いいな?」

マルロ「しかしっ!」

ナイル「これは命令だっ!!」

マルロ「…ッ!?…了解しました…」スッ

ナイル「…お前を呼んだのもその事についてだ…。今日…また壁が破壊されたが…どうやら上の仕業らしい…。俺にはもう何が正義なのか分からん…」

ベルトルト「…ッ!?」

ナイル「…指名手配中のリヴァイ達を炙り出す気だったようだ…。お前も向こうに合流しろ。お前にも非公式に殺害命令が出ている」

ベルトルト「…そうですか。ですが…私は…殺されても…」

ナイル「ふざけるなっ!此処で意味もなく死んだら…お前が殺した奴等はどうなるっ!お前には…しっかりと罰を受けてもらうっ!…全てが終わった後にだっ!分かったらさっさと行け」バッ

ベルトルト「…ハッ!」ダッ
―――――
――――
―――

ーローゼ東区ー
ー廃墟ー
ー食堂ー

エルヴィン「皆ご苦労だった。残った巨人は壁上固定砲で掃討を行う…。よく無事に帰って来てくれた」

一同「ハッ!!」

エルヴィン「リヴァイ…。マリアは奪還出来たのか?」

リヴァイ「あぁ。しっかり塞いできたぞ。もっとも…巨人は残ってるがな…」

エルヴィン「壁が塞げれば時間の問題だ。しかし…本来なら英雄として讃えねばならない筈が…すまない」

エルド「団長っ!我々は名誉の為に戦っている訳では有りませんっ!…これから訪れる…自由の為に戦って来たのですっ!」

ハンジ「おっ!エルド良い事言うねぇっ!!」

エルヴィン「…そうだな。さて…エレン。君には無理をさせてしまった…。体は大丈夫か?」

エレン「はい…。問題有りません…。ぐっ…!」

ミカサ「エレンッ!大丈夫?」

エレン「あぁ…。問題ねぇよ。…地下室の…話をします」

エルヴィン「…頼む」

エレン「地下室には父の日記が置いてありました…。内容は…外の国…ティタン王国と…壁内が協力して発展して行って欲しいと言う父の願望が記してありました…」

ハンジ「ティタン王国…。それが敵国の名前か…」

ペトラ「でも…何故敵国との友好を願っていたのかしら…?」

エレン「…………」ギリッ

アルミン「エレン…」グッ

ミカサ「……………」グッ

エレン「それは…私の父は…その国の人間だからです…」

一同「…ッ!?」

エルヴィン「……………」

リヴァイ「……………」

ライナー「何…だと…?」

アニ「…本当かい…?」

エレン「あぁ。日記にそう書いてあったよ…。理由等は詳しく書いて有りませんでしたが…。和平について話合おうとしていた様です」

ヒストリア「じゃあ…エレンのお母さんは…?」

エレン「分からん…。何故か母さんについては書いてなかった…。どうすれば戦争を回避出来るか…。そればかり書いてあったよ…」

ユミル「……………」

マルコ「じゃあ…向こうの国も本当は戦いたくないのかな…?」

エレン「…それが国の意志なのか…父さんの物かは分からんが…。少なくとも父さんは戦争を回避したかったみたいだ…」

アルミン「だから…エレンが外に生きたいって言った時に…地下室を見せようとしたんだね…」

ジャン「…自分の意志を…受け継がせる為…か…」

リヴァイ「…それで?お前のやりたい事は何だ…?」

エレン「自分は…父の意志を継いで…戦争を回避したいです…」

グンタ「しかし…。向こうは臨戦態勢な訳だろ…」

エルヴィン「…議会は…自分の保身しか考えていない。今回の壁の破壊も…恐らく議会によるものだ」

サシャ「えぇぇっ!?人間が…壁を壊したんですか!?」

レオン「恐らく…それだけ切羽詰まっているんだ…。エレンとヒストリアを…何が何でも奪取したいんだろう…」

アルミン「だからってっ…!そんな我が儘のせいで…何人死んだと思ってるんだっ!!」ギリッ

ミカサ「アルミン…」

すみません。
今日は此処までで!
続きは明日の夜になると思います。

超期待。
頑張ってください。

少しですが再開します。

ホントは今日終わらせるつもりでしたが最新話を見て
少し最後の方を変えようかと…。

もう少し私のマスタベにお付き合い下さい。

エルド「それで団長…。今後我々はどの様に…?」

エルヴィン「議会と最終交渉だ…。議会も一枚岩では無いと思われる。交渉の余地は残っている筈だ」

コニー「あの…。交渉が上手く行かなかったら…どうするんですか?」

リヴァイ「戦うしかねぇだろ?」

ペトラ「人間を…相手にするんですか?」

エルヴィン「勿論それは避けるべきだ…。だが…最悪の場合という事もあり得る」

レオン「やるしか有りませんよっ…!向こうはなりふり構わなくなっています!このままでは…何をしだすか…」

リヴァイ「レオンの言う通りだ。頭がおかしい連中だ…。多少の武力行使はやむを得んだろ」

エルヴィン「…それは最終手段だが…その可能性もある事を忘れないでくれ。…明日だ…。明日…王都に向けて出発する…!」

一同「ハッ!」

エルヴィン「今日はもう休んでくれ…」

~~~~~~~~

レオン「……………」ボーッ

ユミル「おい。どうしたんだ?ボケっとして…」

レオン「おぉ。ユミルか…。眠れないのか?」

ユミル「そりゃお前だろ?…私は水を飲みにな…」

レオン「それもそうだな…。いやぁ…。遂にこの日が来たかぁっ!ってさ」

ユミル「何だそりゃ?…まぁよく生きてたわな…」

レオン「奇跡みたいなもんだよな…。俺みたいな一般人がここ迄生き残るなんてよ…」

ユミル「そうかもな…。でもよ…地獄みてぇな場所を変えたのは…レオン。お前だよ」

レオン「俺は何もしてねぇよ。只の一般人が…偶々未来を知ってたってだけだろ?」

ユミル「その未来が大きかったんだよ…。まっ!泣いても笑っても明日が運命の日だ…。やられるのが巨人じゃなくて、人間なんて笑えねぇからなっ!」

レオン「あぁっ!そうだなっ!」

ユミル「じゃあなっ!さっさと寝ろよっ!」スッ

レオン「おうっ!その前に…」グイッ

ユミル「うぉっ!何だよっ!?」

レオン「お休みのキスだ…」スッ

ユミル「…ッ!?っは…!急に止めろよっ!」グイッ

レオン「ハハハッ!お休みっ!」ダッ

ユミル「…ったく…//」スッ
―――――
――――
―――

ー翌朝ー
ー廃墟前ー

エルヴィン「さて…。内地からベルトルトも駆け付けてくれた…。行こうか」

一同「ハッ!」

ライナー「お前…いつの間に来たんだ?」

ベルトルト「…昨日だよ…。開いてなかったから外に居たんだ…」

ライナー「いや…声掛けろよっ!何してんだ!?」

ベルトルト「だって…」

アニ「…まぁベルトルトらしくていいじゃないか」フフッ

ライナー「…それはそうだが…」

オルオ「おいっ!ガキ共っ!何時迄喋ってんだっ!?」

ライナー「ハッ!」

エルヴィン「行くぞぉっ!!」ダダッ

一同「オォォォッ!」

~~~~~~~~
ー王都ー
ー王宮ー

大主教「で…?エレン達の消息は掴めたのか?」

主教「…ピクシスからの報告によりますとまだ発見には至っていない模様です…」

大主教「…チッ!何をしておるのだっ!」ダンッ

ロッド「少し落ち着き給え」

貴族「レイス卿…。随分悠長ですな…。時間はあまり残されておりませんぞ?」

大主教「左様。このままでは…。我々はまだ死ぬ訳にはいかんのだっ!」
ロッド「…………(何を言っている…。豚共め…)」

主教「しかし…。見つかるのも時間の問題だと思われます。見つけ次第…」

貴族「あぁ。二人以外は殺して構わんっ!」
バタンッ

憲兵「失礼しますっ!!」ゼェゼェ

貴族「何だ貴様っ!無礼なっ!」

憲兵「…エルヴィン・スミスが…議会に通せと…」

大主教「何とっ!…これは探す手間が省けたな…。通せ」

主教「宜しいのですか?」

貴族「構わん。色良い返事を持って来たのだろう」

憲兵「ハッ!」バッ

ロッド「…随分出来過ぎでは無いか…?」

貴族「何を言っておるっ!奴等も気付いたのだろう…。大人しく従うのが得策だとなっ!」
ガチャ

エルヴィン「失礼します」

大主教「随分待たせてくれたじゃないか…。で?二人は何処に居る?」

エルヴィン「…今日は最終交渉に伺いました…。我々に協力してくだされば…敵国の脅威を取り除いてみせます!」

貴族「貴様っ!!まだそんな戯けた事を吐かすかっ!」ダンッ

大主教「…まだ目が覚めんか?あれだけは足りんか?ん?」

エルヴィン「何故我々に協力して下さらないのですか…?挙句の果てには…壁を破壊するなどっ…!」

貴族「貴様等が何時迄もダダをこねるからよ…!大人しく我々に従えばいいものを…」

大主教「もうよい…。貴様は賢いから生かしておいたが…。首をすげ替えればいいだけだ…ここで死ね。おいっ!」パンッパンッ
ガチャッ

リヴァイ「今呼んだのはこいつらか…?」ブンッ

ミカサ「……………」ポイッ

レオン「……………」ブンッ

憲兵達「……………」ドサッ

大主教「なっ…何だっ!?お前等はっ!」

リヴァイ「何だはねぇだろ?俺達に…会いたかったんだろ?」

貴族「えぇいっ!憲兵は何をしているっ!」

~~~~~~~~
ー憲兵団本部ー
ー大講堂ー

ナイル「本日は王宮で第一憲兵団による機密演習が有るとの事だ。各自合図があるまで王宮には近づかない様にっ!」

一同「ハッ!!」

憲兵「ならよ…。さっきの続きやろうぜっ!」

憲兵「おう!金持ってんだろうなぁ?」

ナイル(俺が出来るのはここ迄だぞ…。エルヴィン…)

~~~~~
ー王宮ー

ジャン「奴等なら来ねぇぞ?」

ミカサ「第一憲兵は皆寝てもらった…」

主教「…大主教様…。どうのように?」

貴族「貴様等…こんな事して…只で済む思ってるのか!?」

エルヴィン「我々も大変遺憾に思います…。ですが…このような方法しか無かったのも事実です」

大主教「くっ…。貴様等は何が目的だ…?金か…?土地か…?何でも欲しい物を言ってみろ!」

リヴァイ「ほぉ…。なら…自由を寄越せ。この壁の中は…百年間ずっとクソだった。テメェ等がクソみてぇな事しかしねぇからだ」

貴族「…自由だと?貴様等には十二分に与えてやっていただろう…?外に死にに行く事も許可してやっただろうがっ!」

ジャン「何だとっ!?」ギリッ

大主教「貴様等が寝惚けていられたのは誰のお陰だと思っておる?…我々が壁の秘密を受け継いできたからだ!何も知らない貴様等は幸せだっただろう!?…それらは全て我々が築き上げてきた物だっ!」

エルヴィン「はい。百年間もあのような強大な秘密を、ご自身で背負わなければならなかったご苦労は…我々の想像を絶する物でしょう…」

大主教「ならばっ…!何故邪魔をする!?貴様等は…馬鹿な人形のままで居ればいいのだっ!!」ダンッ

レオン「あー…。それは難しいでしょう…人間ですからね」

ロッド「…君が例の異次元の子供かね…?」

レオン「この国の最高権力者の方にまで知られているとは…光栄です。…そうですよ?私が別の世界の人間です」キリッ

貴族「貴様さえ来なければっ…!」ギリッ

レオン「それは関係ありませんよ…?私がもし来なかったとしても…時間がズレるだけで、結局この事態に陥ります…。議会の皆様は…庶民を侮り過ぎですね」

大主教「黙れっ!…貴様等は…纏めて極刑だっ!」

リヴァイ「どうやってだ…?お前等にはもうそんな力はねぇよ」

エルヴィン「我々は抗争を望んでいません。自ら身を引いて下されば、皆様の安全を保証致します」

貴族「何っ!?ならば…我々が断ると言えば…?」

エルヴィン「そうなれば仕方有りません…。我々も諦めます」

大主教「馬鹿がっ!ならば早急に此処から立ち去れいっ!」
ガチャッ

ハンジ「エルヴィン。…周囲の包囲は完了した」スッ

エレン「……………」スッ

ヒストリア「………………」スッ

ロッド「……(ヒストリア…)」

エルヴィン「…ご苦労。…本当に宜しいのですね?…エレンはもう既に力に目覚めています。あの力が有れば、我々は助かりますが…皆様は難しいかも知れません」

リヴァイ「自分が構わんと言ったんだ…。仲良く旧体制の元で死んでもらおう。…帰るぞ」スッ

ジャン「あぁ~あ。残念だったな!」スッ

レオン「残りの時間…精一杯の幸が有らん事を…。アーメン…」

ロッド「…待て。…どういうつもりだ?エルヴィン」

エルヴィン「そのままですが…?皆様が旧体制にしがみついて離れない以上…我々は全力で逃走します」

貴族「何だと…?どういう事だ?」

リヴァイ「…お前等は俺達を殺すつもりだろ?実はこの間マリアを奪還してな…。落ち着くまで…マリアにでも隠れてるよ…」

大主教「何っ!?マリアを奪還しただとっ!?」ガタッ

エルヴィン「はい。まだ相当数の巨人が残っていると考えられますが…エレンの力が有れば、掃討は難しい物では無いでしょう」

レオン「壁内が攻撃されても、あの力が有れば我々だけは助かりますし?」

ロッド「…我々を脅すつもりか?…民の為と言いながら…やっている事は勝手極まりないが?」

エルヴィン「滅相も有りません。我々は自分達が出来る事をやるだけです。…もし争いが起きれば…王政や憲兵の失態は浮き彫りになります。そこで我々が事態を沈静化すれば…」

ロッド「……………」

貴族「こっ…この壁内に居るのなら!…力尽くで捕まえてやるわっ!」

リヴァイ「そうか。じゃあ頑張ってくれ。また会えるといいな」

貴族「くっ…」

エルヴィン「レイス卿…。あなただけは…他のお二方と違うような気がしてならないのですが…?」

ロッド「…………」

大主教「何を言っておるっ!我々とレイス卿は一心同体だっ!…そうですな…?」

ロッド「……………」

エルヴィン「何故です?最高権力者のあなたが…何故ウォール教に肩入れを?…巨人にしてもそうです。何故…エレンだけなのですか?敵国とはいえど…巨人化出来る人間が他にも居たにもかかわらず」

ジャン「確かに…!ライナー達には触れなかったな…」

ロッド「…フッ…。レオン…と言ったか?確かに私達は君達を見くびっていた様だ…」

レオン「ご理解頂き恐縮です」

大主教「レイス卿…。この期に及んで我々を裏切るおつもりですか?…そんな事が出来るとでも?」

リヴァイ「うるせぇジジィ共だな。…そこの三人をつまみ出せ」

レオン「ハッ!…お立ち願えますか?」グイッ

貴族「馴れ馴れしく触るなっ!…くそっ!」バタバタ

ミカサ「立ちなさい」ガシッ

大主教「ぐっ…!グエッ…」ズルズル

ジャン「ほら行くぞっ!」グイッ

調査兵「我々に任せろ。外で拘束しておく!」

レオン「宜しくお願いします!」

ジャン「有難うございます!」
ミカサ「……………」パッ

大主教「…ゴホッ…!ゲホッ…!」

主教「離せっ!!…自分で歩けるわ!」バシッ
バタンッ

リヴァイ「さて…。うるさい奴等は居なくなった。存分に喋れ」

ヒストリア「………………」

ロッド「…この壁を築いた一族を二つに分けた…それがウォール教とレイス家の始まりだ」

ユミル「なら…やはりあんた達はイズンの?」

ロッド「あぁ。我々の先祖はイズン様だ。そしてイズン様に二人の子供が生まれたが…巨人を操る事が出来るのは、片方だけだった…」

ロッド「…この壁内が割れるのを危惧したイズン様は…力の無い子供に、壁の秘密…つまり巨人の開放の力を与えたのだ」

エルヴィン「成る程…。それが現在のレイス家とウォール教の関係に当てはまる訳ですね?」

ロッド「そうだ。そうする事で力の均衡を保とうと考えたのだ」

レオン「成る程…。これはお互いが必要になる訳ですね」

リヴァイ「それで?何故エレンでなければならなかったんだ?」

ロッド「エレンが[座標]の可能性が高い事を知っていたからだ…。エレンの母親は…私の妹だからな…」

エレン「…何っ!?」

ミカサ「…ッ!?」

リヴァイ「…成る程。ヒストリアは何故だ?…妾の子供だろう?…今更子供が恋しくなった訳じゃねぇんだろ?」

ロッド「ヒストリアの母親はウォール教の血が入っているのだ…。壁の名前でも分かる通り…壁の巨人を開放する力を持っているのは、代々女なのだ…。私の直系であり…ウォール教の一族の血を持つヒストリアが必要だった…」

ロッド「ヒストリアには姉が居た…[座標]の力を持つな…。だが…元々病弱だった為に…病死してしまった…」

ロッド「そこでヒストリアを迎えに行ったのだ。しかし…私が力を独占する事を恐れたウォール教に邪魔をされてしまった…」

ユミル「…何だそりゃ…?ヒストリアは…道具じゃねぇんだぞ!?」

ロッド「…ヒストリア…。私は…お前を忘れた事は一度も無かった…。あの時…本当にお前を迎え入れるつもりだったのだ…」

ヒストリア「…………」グッ

短いですがここまでで!

また明日~

すみません。大事なこと書き忘れてました。
>>12
>>255

有難うございます!!
そう言ってもらえると嬉しいです!
宜しくお願いします!

乙。
その辺の小説よりいい作品だな。

>>265
そんな…。有難うございますっ!!

遅くなりましたが、再開します。
まぁ誰も居ないと思うけど…
これでラストです。

エレン「ちょっ…ちょっと待って下さいっ!!自分の母親が…あなたの…妹?どういう事ですか!?」

ロッド「グリシャから何も聞いていないのか…?」

エレン「父さんを…知っているんですか?」

ロッド「彼がティタン王国の人間だというのは知っているな…?私は…我々を狭い壁の中に追いやったあの国の奴等が許せなかった…。だから…何れは戦う時が来るのだ思っていたよ。そんな時に…彼はこの国にやって来た」

ロッド「彼は言ったのだ…。戦争など起こしても何も生み出さない…。自分は戦争を回避する為に此処に来た…とな。壁内が壁の巨人を放棄し、武装を解除すれば…お互いに争う理由も無くなる筈だと」

レオン「壁外の国にとって壁の巨人は…脅威以外の何物でも無いしな…」
ジャン「成る程…」

エルヴィン「そうでしたか…。しかしウォール教は協力を拒んだ…こんな所ですか?」

ロッド「私は彼の意見に同意したよ。お互いの文化の交流が持てれば発展が見込める…。更には…この狭い壁から開放されると…。だが…ウォール教は聞く耳を持たなかった…」

ロッド「そこで私の和平の証として…妹であるカルラを紹介したのだ…。何時か必ず和平を実現させようと誓い合った…」

ロッド「カルラが何かの力を持っていたのかは分からなかったが…その息子が巨人化したと聞いた時に…確証に近い物を感じた…」

ジャン「えぇと…。て…事はだぞ?ヒストリアと…エレンは…」

レオン「血が繋がっているって事になるな…(従兄妹って事か…)」

ミカサ「……………」ジッー

ユミル「…何だよ?エレンとヒストリアが血が繋がってちゃ悪いか?」

ミカサ「……別に」

エレン「…マジかよ…」

ヒストリア「…頭が付いていかない…」

エルヴィン「…レイス卿。もう迷う事は無い筈です…。勿論、和解交渉が先になりますが…。壁を…放棄しましょう。そうすれば争いは避けられ…互いが利を得る筈です!」

ロッド「…もう旧体制から脱却する必要があるのだろうな…。私達は退く…王家も我々の配下だ。どうとでもなる」

エルヴィン「市民の理解を得る為にも…国王に直接説明して頂きます。そして…レイス家が名実共に真の王家としてこの国を率いるのです!」

レオン「という事は…やはり…」チラッ

ヒストリア「…………………」

エルヴィン「あぁ。国王には…ヒストリアに即位してもらう」

ヒストリア「…えっ!?…そんな…国王なんて…出来ません…!」

リヴァイ「誰も出来るかどうかなんざ聞いていないが?」

ヒストリア「……ッ!?」ビクッ

リヴァイ「出来るかどうかじゃねぇよ…。やれ。それ以外無い筈だ」

ヒストリア「そんな…。無理です…!」

ユミル「本人が出来ないと言っているんです!…他の手を考えるべきです!」

リヴァイ「…何か勘違いをしてねぇか?…お前がダダをこねている間に勝機を逃がすかもしれねぇ。そうしたら…お前のせいで何人死ぬ…?」

ヒストリア「そっ…それは…」

リヴァイ「ただ…お前がさっさと決めれば、助かる命はどれ位あるだろうな?」

ユミル「…だから…!本人は出来ないと言ってるだろっ!!」ダンッ

リヴァイ「…うるせぇ奴だな。なら…此処から今直ぐ逃げろ。だが…俺達は絶対にお前を見つけ出して従わせる。…お前がうんと言うまで…痛めつけてでもな」

ヒストリア「…ヒッ…!」

エルヴィン「……………」

ハンジ「………………」

ジャン「あの…!幾ら何でも…それは…」

リヴァイ「…じゃあお前等全員死にたいのか…?…コイツが国王になれば助かる命が増えるらしい…。結構な事じゃねぇか。俺は人間が生きて行けるならば、キチガイでも何でも引き受けてやる。…そりゃ拷問の一つや二つはやらなきゃな」

ヒストリア「……………」グスッ

リヴァイ「どうした…?時間が無い!さっさと決めろっ!!」ダンッ

ユミル「ふざけんなっ!!…ヒストリア。嫌ならやらなくていい…。私が一緒に逃げてやる」ガシッ

リヴァイ「…ユミル。裏切るんだな…?」シャッ

エレン「おっ…おい…。これやばくねぇか…?」ボソッ

ミカサ「仕方が無い。ユミルが敵ならば…」

レオン「………………」

ユミル「ハッ…!今この場で巨人化したら…お前等に勝ち目は無いぜ?」スッ

ハンジ「おっ…おい!ユミルッ!よせっ!」

リヴァイ「…馬鹿が」スッ

ヒストリア「…止めてっ!!」

ユミル「…ヒストリア?」ピタッ

リヴァイ「……………」

ヒストリア「やります…!!…今度は国王をやればいいんですね…?分かりました!…やらせて下さい!!」グスッ

ユミル「おいっ…!お前何言って…」

ヒストリア「だって…!…私が一人が我慢すれば…皆助かるんでしょっ!?…今迄だってクリスタって役をやってきた…!もういいよっ!それで済むならそうするわよっ…!!これでいいですか…!?…うぅ…」ポロポロ

ユミル「………………」ギリッ

リヴァイ「一件落着じゃねぇか。話を進めよう…」

ジャン「……………」ゴクッ

エレン「……………」

ハンジ「リヴァイ…」

エルヴィン「…ふぅ…」

ユミル「…テメェ…いい加減にしろっ!」ダッ

レオン「はいストーップ!!」ガシッ

ユミル「離せっ!アイツは…許さねぇっ!!」バッ

リヴァイ「………………」

レオン「お前少し落ち着けよ…。ヒストリアも…。どうしたんだよ?」

ユミル「どうしただと…?テメェは何も聞いてなかったかよっ!?」グイッ

レオン「聞いてたよっ!…リヴァイ兵長が…俺達が助かる為なら、悪者を引き受けてくれるって話だろ!?」ガシッ

ユミル「はぁ…?お前…何言ってる?」

レオン「だってそういう事だろ?…この壁内で誰よりもその資格が有る奴を国王にさせようと背中を押して、更にその為に必要なら泥は全部被ってやる…。さっきの話を直訳すればこうなるわな?」

ユミル「………………」

レオン「…リヴァイ兵長が…口下手なのは今に始まった事じゃねぇだろ?それによ…?ヒストリア…。何故…やりたくないんだ?」

ヒストリア「何故って…私には出来ないもの…」

レオン「だから何で?…さっきも演じるみたいな言い方してたけどさ…。お前は…訓練兵の時のお前は演技だったのか…?」

ヒストリア「…アハハッ!そうだよっ!クリスタは私が生きて行く為に与えられた役で…全部演技だったの!…本当の私は…あんなにいい子じゃないもの…!」

ロッド「……………」

レオン「お前何言ってんだ?…クリスタだのヒストリアだの国王だの…別にどうでもいいだろ?そんなもんよ…。ヒストリアだからとか…クリスタだからとかじゃなくてよ…。お前がクリスタであり、ヒストリアであり、国王なんだろ?」

レオン「クリスタの時も、ヒストリアの時も…そして今も。お前はずっとお前だったよ…。顔は可愛いのに、意外と馬鹿な…普通の女の子だよ」
ヒストリア「………………」

ユミル「………………」

レオン「国王なんて最高じゃねぇかっ!成ろうとして成れるもんじゃねぇぞ?…何を気にしてんのかしらねぇけどよ…。こんなに怖いリヴァイ兵長だって…お前に忠誠を誓うんだぞ?」

リヴァイ「…チッ…」

ヒストリア「…だって…どうすればいいか分からないし…」

レオン「いやだから…。お前がやりたいようにやればいいだって!細けぇ所は周りにやらせてさ!…お前はこの国をどんな国にしたいんだ?外の国との交流が始まれば…もっと活気に溢れてくる!その時にお前はどうしたい…?」

ヒストリア「…皆と…仲間と一緒に…楽しく暮したい…!この国の人が…幸せに暮らしていけるようにしたい…!」

レオン「決まりだな。結局…お前は超が付く程の…お人好しなんだよ…。最初っから…ずっとな…!」

リヴァイ「おい…。何時迄仕切ってやがる…?」

レオン「…ッ!?失礼しましたっ!でも…中々優秀な通訳でしょう?」ニヤッ

リヴァイ「…さぁな…」

エルヴィン「…ヒストリア。やってくれるな?」

ヒストリア「…はい。もう迷いません…。この国の国王は…私です…!」
ユミル「いいのか…?」

ヒストリア「うん。ありがとう…。これからも…助けてもらうよ?」ニコッ

ユミル「…当たり前だろ?」ワシャワシャ

ヒストリア「…うわぁ…!ぐしゃぐしゃになっちゃう…!」

レオン「ふぅ…」

ハンジ「よくやった!レオンッ!」バシッ

レオン「イテッ!…有難うございます!」

エルヴィン「…レイス卿。貴方には裏方に回って頂き…ヒストリア女王陛下の補佐に回って頂きたいのですが?」

ヒストリア「………………」

ジャン「えっ…!?…まだ中央に置くつもりですか?」

エルヴィン「…あぁ。この方を除いて適任が居まい?」

ロッド「…願ってもない事だ…。ヒストリア…。お前には苦労を掛けた…。辛い目にも合わせた…。今更許してくれとは言わないから…側に置いてくれないか…?」

ヒストリア「…今更貴方を父親とは思えません…。でも…それでもっ…!私にとって…たった一人の…お父さん…だか…ら…!」ポロポロ

エレン「……………」グスッ

ミカサ「エレン?どうして…泣いているの?」

エレン「…ッ!?ばっ…!泣いてねぇよっ!」ゴシゴシ

ミカサ「……?」

エレン「あの…!ところで…父さんは何処に居るかご存知では有りませんか?」

ジャン「あぁ。それもそうだよな!」

ロッド「すまないが…。私は分からないな」

エレン「そうですか…」

ユミル「……………」

レオン「…お前はどう思う?」ボソッ

ユミル「…何がだ?」ボソッ

レオン「…エレンの父親だよ…。やっぱり…自分で…」

ユミル「…どうだろうな。可能性は高いと思うが…」

レオン「…これは黙っていた方がいいと思うんだが…」

ユミル「お前がそう思うならそうしろ…」

エルヴィン「…これで死んでいった仲間も報われるだろう…」

ハンジ「…ウォール教はどうするの?…壁の秘密は彼等が握っているのだろう?」

ロッド「それについては心配無い。…流石に開放の方は分からなかったが…先日ようやく見つけたのだ。壁の巨人を…消滅させる方法を…」

エレン「そんな事が…可能なのですか!?」

ロッド「作ることが出来たのだ…。消す事が出来ない方が変であろう?」

リヴァイ「それで…?その方法は?」

ロッド「[座標]能力者と術者が交わり…シーナの門に血を捧げるのだ」

ジャン「能力者と…」

レオン「術者が交わるぅ…?…それって…(近親相姦…?)」

ミカサ「反対っ!!!断固反対っ!!!!」バンッ

ユミル「おいっ!おっさん!適当な事言っていると只じゃおかねぇぞ!?」バンッ

エレン「なぁ…。それってどういう事だ?」

ミカサ「エレンは何も分からなくていいっ!!」

ヒストリア「どういう意味?」

ユミル「お前は何も知らなくていいんだ…!」

ロッド「…何を騒いでいる?…お互いの指を少し切って…それで行えばよかろう?」

レオン「あー…」

ジャン「成る程…」

ユミル「……………」

ミカサ「……………」

リヴァイ「…マセガキ共が…。お前等には少し刺激が強すぎたか?」

ミカサ「くっ…」

ユミル「チッ…」

エルヴィン「ならば…新王政下に忠誠を誓えないなら…地下に幽閉する他あるまい」

ハンジ「まぁ…。殺されないだけ感謝して貰わなくちゃね!」

エルヴィン「ならば…遠征の準備を進めなくてはならないな…」

ハンジ「うん…。ライナー達が居るとはいえ…マリアのまだ先だ…。それなりの覚悟は必要だろう…」

ロッド「くくくっ…!ハハハッ!」

ヒストリア「…ッ!?どうしたのですか?」

ロッド「…エルヴィンッ!つくづく食えん男だなっ!…エレンはまだ覚醒しておらんのか?」

エルヴィン「…えぇ。申し訳ありません…。私はつくづく…博打打ちでして…」ニヤッ

ロッド「我々が勝てる筈もなかったか…。これだけ優秀な人間が…庶民に居たとはな…」

リヴァイ「…なら…戻って各自休んでおいた方がいいな。包囲ももう解除しても構わんだろ?」

エルヴィン「…あぁ。我々も戻ろう…」
バタンッ

アルミン「……………」ハァハァ

ライナー「おいっ!…落ち着けアルミンッ!戻ろうっ!」ガシッ

エレン「アルミン…?どうした?」

アルミン「……ッ!」ガチャッ

ライナー「おっ…おいっ!」

リヴァイ「おいガキ…。どういうつもりだ?」

アルミン「…間に合ってよかった…。長かった…本当に長かったよっ!!」ギリッ

エレン「おい…。どうしたんだよ…?何で…ライフルを…ヒストリアの父さんに向けてんだ…?」

ロッド「………………」

ミカサ「……………」スッ

アルミン「来ないでっ!!」

ミカサ「…ッ!」ピタッ

アルミン「…二人は覚えているだろう?…五年前の…馬鹿な作戦を…」

エレン「…奪還作戦…」

エルヴィン「そうか…。君のおじいさんは確か…」

アルミン「そうですっ!あの作戦のせいで…お爺ちゃんは…。お前等王政に…殺されたんだっ!」

ジャン「…どうしたんだよ…?お前は…こんな事する程…馬鹿じゃねぇだろ?」

ロッド「…あの作戦の犠牲者の遺族か…。仕方あるまい?あぁでもしなければ…全員飢え死にだったぞ?」

アルミン「黙れっ!!内地の貴族が…もっと協力してくれればっ…!」

ハンジ「取り敢えず落ち着くんだ…。それを…こっちに渡しなさい」

レオン(オーマイガッ!…一難さってまた一難かよ…!)

アルミン「…僕は…この時の為に兵士になったんだっ!…本当に…会いたかったよっ…!お前にっ!!」ガチャッ

ライナー「お前の頭なら…もっと他の方法も考えつくだろ!?…いいから落ち着けっ!」

アルミン「アハハッ…!五年間ずっと…コイツをどうやって殺すかって事しか考えてなかったよ…!…あのキツイ訓練だって…この時を思えば耐えられた…!」

ヒストリア「止めてよ!アルミン…。こんな事しても…」

ユミル「ヒストリア…。よせ…」

ヒストリア「こんな事しても…お祖父様は喜ばないよっ!?」

アルミン「…何で知ってるの…?」

ヒストリア「…え?」

アルミン「…お爺ちゃんが喜ばないって何で分かるの?…何処かで会ったの?…なら…僕にも会わせてくれよっ!怒っていたっていい…!もう一度…お爺ちゃんに会えるならっ!!…ヒストリアは知ってるんだろ?何処に居るか…。だったら早く教えてくれよっ!!」ガンッ

ヒストリア「…ッ!?」

リヴァイ「おい。アルミン…。丁度、今話しが纏まってな…。近い内に壁外遠征が決まった訳だ…。此処で殺せば…お前を放って置く訳には行かなくなるんだが?…余計な仕事を増やすんじゃねぇよ」

アルミン「心配いりません…。コイツを殺したら…直ぐに捕まります…」
エレン「なぁ…。お前言ったよな?一緒に外を探検しようって…。あれは…嘘だったのかよ…?」

アルミン「ゴメンね。エレン。僕は一緒に行けそうにないや…。僕の代わりに…しっかり探険して来て…」

エレン「…くっ!…お前がまだ…適当な冗談を言ってる可能性がまだ…有るからっ!!…それをこっちに渡せっ!今ならまだ間に合うっ!!」

ミカサ「エレンッ!落ち着いて…!」

レオン「こりゃ仕方ねぇな…」

エレン「はぁ!?…何が仕方ねぇんだよっ!!」グイッ

レオン「うーん…。憎しみってさ…自分にしか消せねぇんだよな…。今…一番苦しいのは…本人だ…。こんな事しても…何にもならないって分かってるのに…苦しくて…辛くてしょうが無い…。だから…復讐に燃えちまう…。分かるよ…。俺もそうだったからな…」

エレン「……あぁ?」

アルミン「…何?そんな事言ったって…無駄だよ?」

レオン「だから分かってるよ。その炎は他人には消せないんだよな…。自分で納得するしかないんだよ…」
バタバタッ

コニー「アルミンは見つかっ…た…か…?」ダッ

サシャ「居たんですか?コ…ニー…?」ダッ

コニー「おいライナー…。どうなってんだよ?」

ライナー「どうもこうもねぇよ…」

アルミン「二人共…。心配かけてゴメンね…。今もう終わるから…。レオン?君がどんな復讐に燃えていたのかは知らないけど…僕には関係無いよ…」

レオン「あぁ。もうしょうが無いと思うぞ?」

エレン「しょうが無い事あるかよっ!!アルミンッ…!親友として…一生のお願いだ…!お前を人殺しになんてさせる訳にはいかねぇんだよっ!!」

ミカサ「私からもお願い…」

アルミン「………………」

レオン「…後悔は無いんだよな?」

アルミン「…あぁ」

ハンジ「ちょっと…。エルヴィン?どうするの…?」

エルヴィン「………………」

リヴァイ「……………」

レオン「…もし…あの世で爺ちゃんに会っても…胸を張って今日の事を報告出来るんだよな?…お前は…今日の事を自慢出来るんだよな…?」

アルミン「……ッ!」

レオン「もし…爺ちゃんに自慢出来る事なら…俺達は止められねぇよ…」
ユミル「…………」

ヒストリア「……………」

エレン「…アルミン…」

アルミン「…ずるいよ…。レオンは…。その話は…反則だよ…」ガシャッ

コニー「…よしっ!」バッ

アルミン「そうやって言えば…出来無い事を…知ってて言うんだ…」ポロポロ

レオン「…そんな事ねぇよ…。覚悟はしてた…」

アルミン「…お爺ちゃん…。…ウワァァァァァッ…!」ガクッ

エレン「…くっ…!」ガシッ

ミカサ「アルミン…」スッ

エルヴィン「レイス卿。これも旧体制が招いた悲劇です…。この件は誰も悪くない…。それで宜しいですね?」

ロッド「私はもう権力者では無いんだ…。異論は無い」

ユミル「無茶しやがって!」バシッ

レオン「…別に狙った訳じゃねぇよ…」

ヒストリア「でも…間違いが怒らなくて…本当に良かった…」

エルヴィン「では包囲を解き戻ろう…。また忙しくなる…」

一同「ハッ!」

~~~~~~
ー王宮前ー

エルヴィン「皆ご苦労だった…。また明日から遠征準備で大変だが…真の自由は目前だっ!!心して掛かってくれ!」

一同「ハッ!!」バッ

レオン「何だか…今になってドっと疲れたな…」

ユミル「そうだな…」

ヒストリア「レオンには色々教わったから…」

レオン「俺は思った事を言っただけだよ…。お前はもっと自分を誇って行こうぜ!」

ヒストリア「うんっ!そうねっ!」
ドーンッ

ユミル「…ッ!?…銃声だっ!伏せろっ!」ガバッ

ヒストリア「…キャッ!」ドサッ

ミカサ「…居たっ!逃がさないっ!」ダッ

エルヴィン「全員無事かっ!!」

ユミル「…お仕置きが足らなかったのか…?…ん?レオンッ!何時迄寝てやがるっ!」

レオン「……………」

ユミル「…おいっ!…何してんだ?…おいっ!」ユサユサ

ヒストリア「…嘘っ…?」

エレン「おいっ!どうした?」

ユミル「…嘘だろ…?…これからじゃねぇかよ…。何してんだよっ!!」
アルミン「…そんなっ…!」ガクッ

エルヴィン「……………」

リヴァイ「…何時迄遊んでやがる…?早く行くぞ」

アルミン「…ッ!?」

エレン「…兵長…。流石にそれは笑えません…」

リヴァイ「あ?何言ってやがる…。笑わせるつもりなんざねぇよ」

ペトラ「………………」

オルオ「………………」

エルド「…幾ら何でも…」

グンタ「………………」

エルヴィン「…リヴァイ…。気持ちは分かるが…言い方がな…」

ハンジ「エルヴィンまで…何て事を言うんだっ!」

サシャ「流石に…付いていけません…」

リヴァイ「…チッ…」スッ

ユミル「…何か?」ギロッ

リヴァイ「おい…。お前が何時迄もふざけているせいで…すっかり悪者にされちまったぞ…?こんな形で悪役になるのは…不本意なんだが?」

ユミル「…何を言っているんですか?」

レオン「……別にふざけていた訳では無いんですがね…」ムクッ

ユミル「……は?」

一同「……は?」

ユミル「…お前…どうして…」

エルヴィン「彼は丁度そこに躓いて…転んだだけだよ…」

一同「ハァァァァッ!?」

レオン「いやだって…!起きようとしたら何だか…起きにくい雰囲気だったから…!ゴメンナサイッ!」テヘペロ

ミカサ「…話は聞いた。こればかりは擁護出来ない」スッ

エレン「あぁ…」スッ

レオン「あらら…?エレンさん?ミカサさん?おーい…」

ヒストリア「…はい。これ…。そこで気絶した兵士が持ってたよ」スッ

ユミル「おぉ。悪いなヒストリア。…よっと」ガチャガチャ

レオン「…あのー…?ユミルさん?何を…?」

ユミル「あ?ライフル用意してんだよ」ガチャ

アルミン「ダメだよっ!ユミルッ!」スッ

レオン「…ッ!流石はアルミンッ!分かっ…アルミン「ちゃんと弾を込めなくちゃ!…はい!」スッ

レオン「」

ユミル「おっ!悪い!…さてと…。おら…逃げねぇと体に穴空くぞ?」ガチャッ

レオン「…ヒーッ!助けてぇっ!!」ダッ

ユミル「待てこらぁっ!!!」ダッ

レオン「オルオさんっ!助けてっ!」グイッ

オルオ「…ッ!?おいっ!俺に隠れるなっ!こら…!ガキッ!」バタバタ

ペトラ「…本当によく分からない子ね…」

リヴァイ「何時迄遊んでるっ!帰るぞっ!」

オルオ「ハッ…!」

レオン「ほらっ!…削がれるぞっ!?」

ユミル「…チッ…。覚えてろよ?」スッ

レオン「……………」ジッ

ヒストリア「少しは懲りた?…どうしたの?手なんか見つめて?」

レオン「…ッ!?あっ…あぁ。何でも無い…。ゴメンなっ!」バッ

レオン(…時間…か…)
――――
―――
――

ーローゼ東ー
ー廃墟ー
ー倉庫ー

ユミル「何だよ…。こんな所に呼び出しやがって…」

レオン「ん…?まぁ偶にはゆっくり喋りてぇなぁ…ってさ」

ユミル「…?何時にも増して変な奴だな…」ドサッ

レオン「…ヒストリアは?落ち着いてるか?」

ユミル「あぁ。もう吹っ切れたみたいだぞ?…また…助けられたな…」

レオン「…俺は何もしてねぇって…。お前等の力だよ。…思えばあっという間だった…。お前等と過ごした三年半…辛い事や…苦しい事が沢山有った…。でもよ…嫌な時は無かった…。礼を言うのは俺の方だよ…」

ユミル「…何だ?急に…気持ち悪いな…」

レオン「気持ち悪いは無いだろっ!?…此処に来るずっと前からお前に夢中だった…。こっちに来て色々な経験したが…俺は今でもユミルに夢中だ…。本当に…ありがとな…」

ユミル「…お前どうした?…悪い物でも食ったのか!?」

レオン「…どうやら夢の時間は終わりらしい…。俺も…もう目覚めの時が来たみたいだ…」

ユミル「…はぁ?……ッ!?お前…体がっ…!」

レオン「何だか薄くなってきてるよな?…ちゃんと生きて帰れればいいんだが…。俺はお前達に出会えて幸せだったよ…。お前は…どうだった…?」

ユミル「…そんなもんっ…!幸せだったに…決まってん…だろ…?」ポロポロ

レオン「ありがとな…。最後に一つお願いがある…」

ユミル「…また…キスしてとかかよ…?」

レオン「キスはしてもらうが…そうじゃない…。あのさ…」スッ

ユミル「…あぁ。そんな事かよ…。分かった。楽しみにしてるぜ」

レオン「あぁ。後…木を枯らさないでくれよな?…頼んだぜ?」

ユミル「任せておけ…。あの木になる果物って…何なんだ?」

レオン「あぁ…。あれはな…………」スーッ

ユミル「聞いてんのか!?」バッ
シーンッ

ユミル「くっ…。…ウワァァッ!」ポロポロ
―――――
――――
―――

ー翌朝ー
ー食堂ー

ヒストリア「あっ!もう…何処に行ってたの?夜中から居なかったでしょ?」

ユミル「…レオンが…帰って行ったよ…」

ヒストリア「えっ!?…レオンって…?」

ユミル「はぁ?何言ってんだよっ!?レオンだよっ!レオン・パルマーッ!」

ヒストリア「…えぇと…。どうしたの?少し落ち着いてよ…」

ユミル「…チッ…!おいっ!ライナーッ!…レオンって知ってるよな!?」

ライナー「何だ急に…?レオン?そんな奴居たか…?ベルトルト?」

ベルトルト「ゴメン…。知らない…」

ユミル「…はぁ…?(どうなってやがる…。誰も…レオンを…覚えてない…?)」

リヴァイ「…飯の時位…静かに出来ねぇのか…?」

ユミル「兵長は…レオンを…知っていますよね?」

リヴァイ「レオン?誰だそりゃ?…さっと飯を食え…。今日も忙しいぞ」
ユミル「……(ははは…。マジかよ…。私しか覚えてねぇとは…。レオン。そっちでも…達者でやれよ…)」
―――――
――――
―――
――

おいっ!レオンッ!起きろっ!!…レオンッ!!

レオン「…はっ…!此処は…」

フィル「レオンッ!!」ガバッ

レオン「…フィルッ!?どうして此処に…?」

フィル「…お前は交通事故にあって…一ヶ月間寝たきりだったんだよ…!…さっき丁度…動いた様な気がしたから…呼び掛けてたんだ…」

レオン「…一ヶ月!?(向こうじゃ三年経ってた筈だが…。軸が違うのか…)」

フィル「あぁ…。先生にも意識が戻るか分からないとか言われちまうし…。本当に良かったっ…!!」グスッ

レオン「ありがとな…フィル…。ところでさ…進撃って…今どうなってんの?」

フィル「起きて早速それかよ…。それがさ…丁度お前が事故にあった日かな…?何でも作者が怪我しちまったとかでさ…。一ヶ月間休載になったんだよ…。だから…再開は来月からだな!」

レオン「アハハハハッ!そうか…そうだったんだ…」バンッ

フィル「…ッ!?…何だよ急に…」ビクッ

レオン「いや…何でも無い…(…結局神様の気まぐれかよ)」

レオン(元気でな…。ユミル…)
―――――
―――
――

男「全く…。陛下は何処に言ってしまったんだ…」コッコッ

隊員「…ッ!?お疲れ様ですっ!ボット隊長っ!」ビシッ

マルコ「やぁ。お疲れ様…。陛下を見なかったかい?」

隊員「ヒストリア様ですか…?私は存じません…!」

マルコ「そうか…。ありがとう。下がっていいよ」

隊員「失礼ますっ!」ビシッ

マルコ(ふぅ…。毎度毎度…。あ…。今日はそうか…あそこだっ!)ダッ

~~~~
ー丘ー
ー果実の木ー

ユミル(…結局…アイツが残した物はこれだけだったが…。毎年の今日…何故か皆、此処に集まる…。名目は開国記念日だが…本当は…)

女「あっ!居た居た…。こんな所でサボっていたら…隊長に怒られますよ?」

ユミル「…これはヒストリア女王陛下…。陛下こそ…また黙って出て来たのでは?隊長が探し回っていますよ…?」

ヒストリア「フフフッ…。…今日は普通に喋りましょ…!特別な日だしねっ!」

ユミル「そうだな…。もう五年か…。早いものだな…」

ヒストリア「そうね…。最初はどうなるかと思ったけど…皆のお陰で何とかなってるもんねっ!」

ユミル「いや…。実際お前はよくやってるよ…。陛下…」

ヒストリア「…むぅ…。からかってない…?」

ユミル「何処がだよ!?」
ガラーンッ ガラーンッ

ヒストリア「あっ!…旅団が帰って来たみたいね!」

ユミル「あぁ。恐らくアイツ等も来るだろ…」

~~~~~~~
ー王国入口ー
ワーッ ワーッ

漁師「あっ!!ジャン団長っ!!この間教えてもらった場所!…大物がバンバン釣れましたぜっ!」

ジャン「おう!オヤジッ!俺が言った通りだろ?」

漁師「何時も有難うございます!…また新鮮なの卸させて頂きますよ!」
ジャン「おう!楽しみにしとくぜっ!」

店主「おぅ!サシャちゃん!またいい肉仕入れたんだ!近い内に食べにおいで!」

サシャ「お肉ですかっ!?行きますっ!直ぐに行きますっ!」

店主「アハハッ!旦那と仲良くなっ!」

サシャ「はい!有難うございます!」

マダム「あらアルミン君…。元気?最近冷たいじゃない…」

アルミン「ゴメンね…。マダム。最近忙しくてさ…」

マダム「また遊びに来てね…。待ってるから…」

アルミン「うんっ!またね~」

ジャン「…お前って本当に年上キラーだよな…」

アルミン「う~ん…。狙ってる訳じゃないんだけどね…」

女子1「エレン団補よっ!!エレンさーん!」フリフリ

エレン「あ…ははっ…」フリフリ

ジャン「…何でコイツばっかりっ…!」ギリッ

女子2「…あんまり振ってると…部隊長が小石投げ付けてくるわよ…!」
女子3「…でも…今日は居ないみたい…?」

女子1「チャンスよっ!!手紙…渡すんでしょっ!?」グイッ

女子3「うっ…うんっ!」ダッ

女子3「あのっ…!イェーガー団補…。あの…アッカーマン部隊長は…居らっしゃらないんですか…?」

エレン「ん…?あー…。まぁ…うん。ゴメンな。ミカサに用事か?」

女子3「いえっ!…イェーガーさんに…そのっ…えっと…」モジモジ

女子1「…アッカーマン部隊長とはどういうご関係ですか!?」グイッ

女子3「ちょっ…ちょっと…!」

エレン「ミカサと?えーと…。その…まぁ…」

ジャン「…伝令っ!」

伝令「ハッ!」ダッ

ジャン「立体機動を許可する!今、エレンが女の子相手に鼻の下を伸ばしているとミカサに伝えろっ!」

エレン「…ッ!?おいっ!ジャンッ!どういうつもりだっ!…止めてくれよ?」

伝令「あの…。えっと…」

アルミン「ちょっと…。団長と団長補佐に挟まれたら可哀想だよ…。今のは忘れていいよ…。参謀長として立案しよう」

伝令「…ハッ!有難うございますっ!」ビシッ

ジャン「…チッ…。此処で権限使うなよな…」

女子1「あのぉ…。今のはどういう…」

女子3「……………」グッ

エレン「あぁー…。ミカサは今家で休んでるんだ…。その…妊娠してるから…。結婚してるんだ…俺達…」ポリポリ

女子1「…あちゃー」

女子2「…………」ポンッ

女子3「おめでとうございますっ!これからもお幸せに!…失礼しました!」バッ

エレン「おっ…おう…。有難う…//」

ジャン「チッ…!何でコイツばっかり…」

アルミン「ジャン…ドンマイじゃん…」ポンッ

男の子「わぁーっ!本物のヒメイル旅団だっ!」

エレン「…おっ…。フッ…」フリフリ

アルミン「…昔を思い出すね…」

エレン「あぁ…」

男の子「ねぇジャンッ!今日は丘に行くんだろ?」

ジャン「あぁ?何だガキンチョ?何で知ってる…?それにな…ジャンじゃなくて、ジャンさんだろ」

男の子「はぁ?ジャンはジャンだろ?それにガキンチョじゃねぇよっ!」
ジャン「…このガキッ…!」ピキッ

アルミン「まぁまぁ…。団長。子供にムキにならなくても…」

エレン「お前…親はどうした?」

男の子「家に居るよっ!」

エレン「そうか。で?一緒に行くか?…あの丘まで」

男の子「うんっ!行くっ!」

ジャン「ったく…。何で俺達がガキのお守りなんざ…」

アルミン「まぁまぁ…。それよりも…何処かで見た事ある様な気がするんだよなぁ…」

~~~~~
ー丘ー

マルコ「…やっぱり此処に居ましたか…。探しましたよっ!陛下っ!」

ユミル「まぁ…いいじゃねぇの」

マルコ「…王室騎兵隊、副隊長の君がそれでは困るよっ…!」

ヒストリア「ごめんなさい…。マルコ隊長。私が勝手な事をしたばかりに…」

マルコ「いや…。その…分かって頂ければ…それで…」

ユミル「…今日は特別な日だから…喋りは無礼講だぞ?」

マルコ「あのね。君みたいにコロコロ変えられないの!」

ライナー「これは…皆さんお揃いでしたか…!」

ヒストリア「まぁ…。ブラウン主席外交官…。ようこそ…ヒメイル王国へ…」スッ

ライナー「陛下自らお出迎えとは…恐れ入ります…」

アニ「久し振りだね…」

ベルトルト「お久しぶりです」

ユミル「おうっ!お前等も元気そうじゃねぇかっ!」

ジャン「だからっ!ジャンさんだってのっ!」

男の子「うるさいなぁ…。細かい男はもてないぞ?」

サシャ「あーっ!バレてしまいましたねっ!」

ジャン「キーッ!!」

エレン「おいジャンッ!子供にムキになるなよっ!」

アルミン「アハハハッ!…あれ陛下に…ライナー達ももういるよ?」

ヒストリア「お帰りなさい。団長。ご苦労様でした…」

ジャン「陛下。只今戻りました!」

男の子「あっ!ヒストリアだっ!」

ジャン「流石にな…言って良い事と悪い事があるんだよ…!」

ヒストリア「いいよ別にっ!子供の言った事だからねっ!」

ユミル「……ッ!?」

サシャ「…どうしたんですか?」

ユミル「えっ…?いや…(似てる…。そっくりだ…。まさかコイツが…)」

ユミル「なぁ…お前。名前は?」

男の子「レオンだよっ!…レオン・パルマーッ!」

ユミル「…ッ!?…プッ…。アハハハハッ!」

サシャ「あれ…?ユミルが壊れちゃいましたっ!?」

ユミル「そうか…。お前がレオンか…(ったく…待たせやがって…)」
―――
――

レオン『キスはしてもらうが…そうじゃない…。あのさ…。また…俺はお前に会いに来ると思うんだよ…。孫の孫のそのまた孫の…みたいな感じで…転生を繰り返してさ…。そしたら…もし俺が忘れてても…お前は覚えててくれよ…。絶対…また会いに来るからさ…二千年後の…お前にさ…?』

――
―――

ユミル(本当に来たが…まだガキじゃねぇかっ!)

ヒストリア「ユミルッ!?大丈夫?」

ユミル「あぁ!大丈夫だっ!」

コニー「おーいっ!悪ぃ!家畜の世話で遅れちまった!」

サシャ「もう…!遅いやないのっ!」

コニー「悪かったってっ!」

アルミン「相変わらず仲いいね!」

ミカサ「お待たせ…」

エレン「ミカサッ!?お前…平気なのか?体は!?」

ミカサ「エレンは心配性。少しは運動もしないとダメなんだって」

アニ「へぇ…。結構目立ってきたね…」

ミカサ「えぇ。エレンに似て…暴れん坊…」

レオン「あれっ!ミカサッ!妊娠してんのか?」

ミカサ「…?誰?この子は…?…何処かで見た事がある…?」

アルミン「あぁーやっぱり?僕もそんな気がするんだけど…。思い出せなくてさ…」

ユミル「あぁ…。お前等は多分会ってるよ…。ずっと昔のコイツにさ…」
サシャ「そうなんですか?」

ライナー「そう言われりゃ…そんな気も…」

アニ「…何だか腹立つね…」

ベルトルト「…………」

マルコ「あぁー…。まぁ…うん…」

エレン「そうかなぁ…」

ジャン「ケッ!俺はこんなに生意気なガキは知らねぇなっ!」

ヒストリア「うーん…。そんな気もするんだけど…」

レオン「まぁいいんじゃない?…忘れるって事はさ…大した事じゃないんだって爺ちゃんが言ってたぞ?」

ユミル「…そうかもな…」

コニー「おっ!もう実が生り始めてるぞ!?」

サシャ「ホンマや…。早く食べたいですねっ!」

マルコ「相変わらずだね…」

エレン「これ…何ていうんだっけ?」

アルミン「えっと…確か…」

レオン「りんごだよっ!」

コニー「あぁーそうだっ!」

ヒストリア「よく知ってるわね…。レオン」ナデナデ

レオン「…エヘヘ…。まぁね!」

ライナー「…何時迄鼻の下伸ばしてやがる…!」ギリッ

レオン「うわぁっ!あそこのおじちゃん怖い!」ギュッ

ヒストリア「よしよし…。ライナー?まだ子供なんだから…」ギュッ

ベルトルト「おじちゃん…。ドンマイ」ブフッ

アニ「ドンマイ」ポンッ

ライナー「くっ…。スマン…」

レオン「…………」ニヤリ

ライナー(コイツ!分かってやってやがるっ!)

ヒストリア「…ねぇレオン?皆で私の内に集まるんだけど…貴方もどう?」

レオン「うんっ!行く!王様のお家ってどんななの?」

ヒストリア「…あまり変わらないよ?」

一同(いやいやいやいや…)

ヒストリア「じゃ行こっか…!」

レオン「うんっ!」

ユミル「………………」

ヒストリア「……?ユミル?どうしたの?」

ユミル「えっ?あぁ…いやさ…」
―――――
――――
―――

フィル「退院早々遅刻なんて笑えねぇぞっ!レオンッ!」ダッ

レオン「だよなっ!…あれ…?」

フィル「何してんだよっ!遅れちまうぞっ!」

レオン「いやさ…」

ユミル「今日も空が高いなってさ!」

レオン「今日も空が高いなってさ!」

ーーー完ーーー

くぅ~疲れました!www ←言ってみたかった。

12月に構想を練って…当初は1月には終わる筈だったのに…
もう4月の半ば…それでこの出来…。才能が無いんですねわかります。


まぁ個人的には結構面白いんですけどね… ←え
応援のコメントくれた方めっちゃ嬉しかったです。
有難うございましたっ!!
有難うございましたっ!!
大事なことなので(ry

すごく面白かった!
濃い内容なのにテンポの良さと読みやすさですっかり読みふけってしまったよ
また読み返してこよう
乙でした!

設定とかオリキャラの名前とか色々中二やったけど悪くはなかった

>>288
>>289

上がってると思ったら…有難うございますっ!!

本当にコメントあると嬉しいですね!
書き終えたのにチラ見しちゃうわ…。

またどこかで~ノシ

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