レオン・S・ケネディ「俺の任務は大統領の娘、アシュリー・グラハムを救出すること」 (306)

某月某日 アメリカ マサチューセッツ州

アシュリー「さーて、かえろー」

クラウザー「……アシュリー・グラハムだな」

アシュリー「誰?」

クラウザー「向こうを見ろ」

アシュリー「え?」

サドラー「……」モジモジ

アシュリー「あの人がどうかしたの?」

クラウザー「実は大統領と一緒にテレビに出ていたお前を見て、一目惚れしたらしい。それでどうしても一緒にお茶を飲みたいと言っている」

アシュリー「……これでも大統領の娘だから知らない人とは勝手に会えないの。ごめんなさい」

クラウザー「そこをなんとか」

アシュリー「ごめんなさい。それじゃ」

クラウザー「……ならば、仕方ないな」

アシュリー「え――」

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クラウザー「手刀っ」ドスッ

アシュリー「うっ……!」バタッ

クラウザー「よっこいしょ」

サドラー「……」

クラウザー「サドラー様、お持ちしました」

サドラー「クラウザー!! アシュリー様は丁重に!! 紳士的に扱うようにとあれほど釘を刺したのに!! なんてことをするのだ!!」

クラウザー「しかし、この娘、見知らぬ男についてくるほど尻は軽くなさそうだったので」

サドラー「そんなことは分かっている。私が惚れた娘だぞ」

アシュリー「すぅ……すぅ……」

サドラー「あぁ、可哀相に……」

クラウザー「どうしますか? 周囲の視線が集まっているようですが」

サドラー「このままではまずい。とにかくこの場を離れるぞ」

クラウザー「了解」

サドラー「人目のつかないところまで移動する」

クラウザー「では、向こうへ行きましょう」

公園

アシュリー「ん……すぅ……すぅ……」

サドラー「テレビで見るより、数倍美しい」

クラウザー「……」

アシュリー「うん……?」

サドラー「おぉ、気が付いたか」

アシュリー「ひっ!? だ、だれ――」

クラウザー「騒ぐな。騒げばナイフで喉笛を切り裂くぞ」シャキン

アシュリー「……!?」

サドラー「やめろ、クラウザー!!」

クラウザー「騒がれて困るのは我々です」

サドラー「手荒な真似だけはするな!! 何度言わせるつもりだ!!」

クラウザー「……分かりました」

アシュリー「あ、あなたたちは誰なの? 何が目的? 誘拐?」

サドラー「おぉ……あぁ……その……」モジモジ

アシュリー「な、なによ」

サドラー「うぅむ……」

アシュリー「なんとか言って。私を利用してパパをどうにかするつもりなの?」

クラウザー「娘、口を慎め。この方はロス・イルミナドス教団のカリスマだぞ」

アシュリー「ろすいりゅみにゃどす? 舌噛みそう」

クラウザー「無礼な態度は控えろ」

アシュリー「そんなこといわれても……貴方の後ろでモジモジしてるだけで何も言ってくれないし……」

サドラー「……」ゴニョゴニョ

クラウザー「……はい。娘、サドラー様はどうしてもお前とお茶をしたいといっている。30分だけでも構わないとのことだ」

アシュリー「宗教のお誘いなら間に合ってるわ。それじゃ」

クラウザー「待て。サドラー様がどんな決意を胸に秘めて渡米してきたかわからないのか」

アシュリー「分からないわよ! 大体、無理矢理公園に運ぶような相手と仲良くティータイムをするとでも思ってるわけ!?」

クラウザー「ふん。身勝手な娘だ。大統領の娘は皆お前のように態度と胸がでかいのか?」

アシュリー「関係ないでしょ!? 失礼すぎるわよ!!」

サドラー「そうだぞ、クラウザー!!」

アシュリー「何もないなら私は帰る! 今日は服を買いにいく予定なの! バイバイ!」

サドラー「あぁ……」

クラウザー「性格が歪んでいるな。これだからオンナは」

サドラー「クラウザー!! 貴様の蛮行の所為だぞ!! なんとかしろ!! このままではアシュリー様に嫌われてしまう!!」

クラウザー「他の女にしたほうがいいかと」

サドラー「ならん。私はアシュリー様と共にロス・イルミナドスを世界に広めると決めたのだ」

クラウザー「……」

サドラー「何だ、その目は? 無職だったお前を拾いあげ、食わせているのはどこの誰か忘れたのか?」

クラウザー「……分かりました。なんとかしましょう」

サドラー「頼むぞ」

クラウザー「アシュリー・グラハム」

アシュリー「もう、いい加減に――」

クラウザー「手刀っ」ドスッ

アシュリー「あんっ」

サドラー「クラウザぁぁ!!!」

クラウザー「ここで口説くことは既に不可能です」

サドラー「手荒な真似はするなと言っただろう!! これで三度目だぞ!!」

クラウザー「一度本国へ持ち帰り、そこでアレを使いましょう」

サドラー「プラーガのことを言っているのか」

クラウザー「あれをアシュリーに打ち込めば、貴方の意のままに操ることができる」

サドラー「アシュリー様を……意のままに……」

クラウザー「あんなことやそんなことも嫌がらない。むしろ喜んでやってくれるでしょう」

サドラー「あんなこと……そんなこと……。い、いや、そんなことで妻を手に入れても虚しいだけだ」

サドラー「アシュリー様とは時間をかけて愛情を育んでいく。それは絶対だ」

クラウザー「どちらにせよ、このままではアシュリーを妻にすることは不可能かと。このまま本国へ連れていきましょう」

サドラー「それは誘拐ではないか。大統領の娘が行方不明になれば世界中は大騒ぎになるぞ」

クラウザー「考えがあります。全てはサドラー様のため、うまくやります」

サドラー「うぅむ……だが……誘拐は……」

クラウザー「女は強引に連れ去ってくれる男に弱いものです」

サドラー「……なるほど」

某月某日 ヨーロッパ 某村

邪教徒「サドラー様がお戻りになったぞー」

村人「おぉ、サドラー様がおかえりになったべ」

「サドラーさまぁ、おかえりなさいまえ」

サドラー「ただいま」

村人「サドラー様、今度またうちの牛の乳でもしぼってやってくだせぇ。サドラー様が絞るといい牛乳がとれるますだ」

サドラー「そうか。では、今度、時間ができたときに」

クラウザー「おい、お前ら。この娘を教会に運んでおいてくれ」

邪教徒「教会に?」

クラウザー「俺とサドラー様は城へ戻り、挙式の準備をする」

村人「挙式!? もしや、この娘はサドラ様の妻になる人だべか!?」

「こりゃあべっぴんさんじゃねえかぁ。でも、随分若いのぉ」

「若いほうがいいんじゃねえべか。元気な子をたくさん生んでくれるっぺよぉ」

サドラー「こらこら、気が早いぞ、お前たち」

アシュリー「(助けてー!! パパぁー!!!)」

邪教徒「こっちにこい」

アシュリー「んー!! んー!!」

村人「あの娘っこ、嫌がってねえか?」

「きっと恥ずかしいんだよぉ。あたしも昔はああいう乙女なところもあったべさ」

「今は見る影もないがのぉ」

ルイス「おぉ、サドラー様、おかえりなさいませー」

サドラー「ルイス。何故、ここに居る? お前にはプラーガの研究とサラザールのお守りを命じていたはずだ」

ルイス「休憩も大事でしょう。それにアシュリーって娘とどうなったのか知りたくてね。どうやら、最高の結果みたいですけど」

クラウザー「当然だ。サドラー様の魅力をもってすれば、落ちない女などいない」

ルイス「そうかそうか。で、この子が大統領の娘か」

アシュリー「んー!!」

ルイス「こりゃあ、いい女だな。サドラー様、俺に味見をさせてくださいよ。へっへっへ」

サドラー「ビトレス・メンデス!! 式が終わるまでルイスを監禁しておけ」

メンデス「はっ」

ルイス「ちょ……冗談にきまって――」

村人「村長、ルイスはどこに置いておくんですか?」

メンデス「村はずれの空き家があるだろう。そこのタンスの中にでもいれておけ」

村人「わかりました。ほら、ルイス。こっちにくるだ」

ルイス「やめろ!! はなせ!! こらぁ!!」

村人「大人しくするだ! 全く、女のケツばっかりおいかけてろくに仕事もしねえんだから……!!」

ルイス「ちくしょう!!」

メンデス「うるさいな。口を塞いでおくか」

ルイス「むぐぅ!!」

サドラー「くれぐれもアシュリー様を丁重に扱うように」

邪教徒「はい」

アシュリー「んー!!」

クラウザー「アシュリー、サドラー様のの愛は本物だ。きっとサドラー様の想いは伝わるはず」

アシュリー「(なにいってんのよ!!)」

クラウザー「サドラー様の想いが貴方に伝わったとき、式を挙げる。そのとき世界は我々を祝福するだろう。なに、時間はかからん。すぐにお前はサドラー様のことを愛することができる」

アシュリー「(なんで結婚しなきゃいけないのよ!! 私のことは白馬の王子様が迎えにきてくれるんだから!!)」ジタバタ

エイダ「あら……あれは……?」

村人「おめぇもそろそろ結婚してもいいべ。うちの娘とお見合いするか?」

ルイス「(冗談じゃない!)」

メンデス「こんな女たらしは一生独身でいい。妻になった女が不憫だ」

村人「……それもそうだべな」

ルイス「……」

邪教徒「よいしょっと」ギュッ

アシュリー「(どこ触ってるのよ!!)」ゲシッ!!!

邪教徒「いてっ! なにすんだ!! このアマぁ!!」

サドラー「死にたいのか?」

邪教徒「す、すみません!!」

クラウザー「ん……?」

エイダ(クラウザー、何があったの?)ババッ

クラウザー「(エイダのやつ、手を動かしているが、あんなサインは決めていないな。……無視するか)」

エイダ「(行っちゃったわね。無視するなんて酷いわ。とりあえずウェスカーに確認をしてみましょうか)ピッ

数日後 郊外 車内

警官「ったく、貧乏くじだぜ。お前、何者なんだ、あー?」

レオン「……」

警官「わざわざアメリカからご苦労なこったな」

レオン「ごあいさつだな。用件は聞いているだろ。迷子娘の捜索だ」

警官「ヘヘッ。1人でか?」

レオン「男3人でこんな山奥にパーティーでもないだろう。お前らならやりかねないか」

警官「変な奴だぜ。まぁ、署長の命令だし仕方ねえけどよ。ちょろい仕事じゃねえな」

レオン「頼りにしてるぜ」

警官「ふんっ。ションベンしたくなっちまった。ちょっと待っててくれ」

レオン「早くしてくれ」

警官「分かってるって。いそがねえと、迷子娘がどうなるかわかんねえもんな。今頃、腹をすかせて泣いてるかもしれねえし」

レオン「そうだな。明日のディナーには間に合わせたい」

警官「仕事熱心だな」

レオン「食事は大事だろ」



村人「今日、サドラー様の挙式があるらしいな。参加したいべ」

「ダメだってぇ。サドラー様は身内だけでするっていったんだからよ」

「あの娘っこが恥ずかしがり屋なんだってなぁ。まぁ、気持ちはわからんでもねえがなぁ」

村人「まだこっちにきて数日だべか。娘の親族とかもきてるっぺか?」

「うんや、クラウザーの話では天涯孤独の身らしいべよ」

「あんれまぁ。そうだったのけぇ。そうなるとサドラー様はそんな娘を嫁にしたべか?」

「流石、サドラー様だなぁ。慈愛に満ちてるっぺよぉ」

村人「んだなぁ。オラ、一生ついてくだよぉ」

「ワシもじゃ。若いもんがどんどん都会にいってしもうて、この地域もすっかり寂れてたが、サドラー様のおかげでどうにかこうにかできるしな」

「サドラー様に足を向けてねれねえだよ」

「そうじゃなぁ。はえぇとこサドラー様も幸せな家庭を築いてほしいもんだぁ」

「あれだけ若い娘を嫁にできるんだぁ。幸せになるってぇ」

村人「若いからいいってもんじゃないべ」

「――おーい!! たいへんだぁ!! 村の入り口にけーさつがきとるだぁ!! なんか事件があったかもしれねえぞぉ!!」

教会

邪教徒「ではここでの儀式を終えた後は城に戻って披露宴ですね」

クラウザー「ああ、そうなる。で、最後に鐘を鳴らすことになるが」

邪教徒「分かってますよ。鐘を鳴らしたら教会のほうまで来るように村の連中には伝えています」

クラウザー「そしてライスシャワーだな」

邪教徒「そうなりますね」

クラウザー「完璧だな」

アシュリー「ちょっと!」

クラウザー「なんだ? よく似合っているぞ、そのドレス」

アシュリー「ありがとう。じゃなくて、どうして結婚式が始まろうとしてるわけ? 私、サドラーさんのこと全然、愛せてないけど」

クラウザー「心配することはない。サドラー様にはアシュリーに想いは通じたと伝えている」

アシュリー「何言ってるのよ!? あれからまだ一度もサドラーさんとは話せてないじゃない!! いいから、一度話をさせて!!」

クラウザー「直接、ふるつもりだろう? そんなことをしてみろ。サドラー様の繊細な心は砕け散るぞ」

アシュリー「知らないわよ!!」

村人「クラウザーさん、いるべか? けーさつが村の入り口のところにきてるみたいなんだが、どーすっぺ?」

クラウザー「警察……?」

村人「これ、写真とっておいたべ。ケータイでとったから見難いかもれねえけんど」

クラウザー「助かる」

邪教徒「何用ですかね?」

村人「事件でもあったんじゃねえべか?」

邪教徒「この平和な村に殺人鬼でも迷い込んだか?」

村人「はっはっはっは。それは大変だべなぁ」

邪教徒「それより、鐘がなったらこっちまで移動してこいよ」

村人「わかってるだぁ。式を見れない分、みな張り切ってライスシャワーするだよぉ」

クラウザー「(レオン……!! エージェントのレオンがこのタイミングで動いているとなれば……アシュリーを取り戻しにきたと考えるのが妥当か……)」

アシュリー「(この人、誰だろう……。でも警察なら……もしかしたらパパが……)」

村人「なんだぁ? この男のことしってるだべか?」

アシュリー「え? あ、ああ、うん!! この人、私の大学の友達なの!! きっと結婚式にきてくれたんだとおもう!!」

クラウザー「しまっ……!!」

村人「あんれまぁ!! そうなのけぇ!! んじゃ、急いで戻るべさ!! サドラー様のお嫁さんの友人はワシらが案内するべ!!」

クラウザー「アシュリー!! 貴様ぁ!!」

アシュリー「天涯孤独の身とか村の人たちに説明してくれたんでしょ? ありがとう、クラウザーさん。みんな、とっても親身になって話をきいてくれたわ」

クラウザー「ぐっ……」

アシュリー「そんな私の友達が来てくれたなら、村の人たちもああいう反応するに決まってるじゃない」

クラウザー「逃げるつもりか」

アシュリー「お家に帰してってここに軟禁されてからずっと言ってるでしょ!!」

クラウザー「何が不満だ。サドラー様はお優しいし、財もある」

アシュリー「誘拐犯に惚れないってば」

クラウザー「なんだと。ストックホルム症候群にはなっていないのか?」

アシュリー「なってない!! サドラーさんとは一度もまともに話してないんだから!!」

クラウザー「ちっ……。サドラーがヘタレの所為で面倒なことに……。これだから童貞は……」

邪教徒「何の話です?」

アシュリー「気にしないで。あー、早くこないかなぁ、友達」

クラウザー「……俺はサドラー様のところへ戻る。誰も教会に入れないように鍵をかけておけ。鍵の丸い紋章はいつものように教会の裏にもっていけ」

邪教徒「え、ええ。了解」

村はずれ 民家

レオン「すまない。すこしいいか?」

村人「……」

レオン「この娘のことを何かしらないか? 写真はこれだ」スッ

村人「おめえ、どこのだれだぁ!! 勝手に人ん家上がりこんで、何様だぁ!! あぁ!?」

レオン「……」

レオン(何語かさっぱりだな。任務が終わったらもう少し語学を習得するか)

レオン「お邪魔のようだな。出て行くよ」

村人「謝罪もなしにでていくきか!? これだから最近の若いもんはぁ!! 礼儀がなっちゃいねえ!!」

レオン「アシュリー、どこにいるんだ」

村人「……あ、薪がもうねえなぁ。薪割りでもしにくか」

レオン「おい。何を持っている?」

村人「なんだぁ!? まだいたのけ!! こっちはでていけっていってんだべ!!」

レオン「おい!! その斧を置け!!」

村人「なんていってるのか全然わかんねえだよ!! こっちの言葉でしゃべれ!!」

レオン「止まれ!!」チャカ

村人「そんな玩具の銃でどうにかできるとでもおもって――」

レオン「……」バァン!!!

村人「おぉぅ……」

レオン「斧を置け!!」

村人「……こ、これを置いたら、いいべか?」

レオン「手を頭の後ろに」グイッ

村人「くそ……こんな田舎で強盗なんてしなくてもいいじゃねえべかぁ……」

レオン「もう一度、聞く。この写真の娘のことを知っているな?」

村人「なんだぁ? この娘を探してるってことかぁ?」

レオン「どうなんだ?」

村人「ああ、知ってるべ。サドラー様の嫁だべ」コクッ

レオン「知っているのか。どこにいる?」

村人「教会だ、教会。向こうにいるべ」

レオン「何を言ってるのかわからないな。直接案内してもらおうか」グイッ

村はずれ

警官「おい、銃声が聞こえたぞ」

「様子を見に行くか?」

警官「そうだな。ことがことだけに――」

ブロロロロ……

警官「なんだ?」

「トラックがこっちにくるぞ」


村人「あれだべ!! あの車だ!!」

「あの車でアシュリーさんのお友達はけーさつと一緒にきたべか?」

「なんでまたけーさつといっしょにきたんだべ?」

「道に迷ったんじゃないべか?」

「なるほどなぁ」

村人「ありゃー!! ブレーキきかねえだよぉ!! とまんねえだぁ!!」


警官「なんだあいつら!! ヤバイ!! つっこんでくる!!!」

民家

ガシャーン!!!

レオン「なんだ!?」

村人「外から聞こえてきただなぁ」

レオン「何があった……?」

ドンドン!!

レオン「……!!」

『おーい!! タイヘンダぁ!! 手をかしてくれー!!』

『交通事故がおこっただよぉ!!』

村人「そいつぁ、タイヘンダぁ!! でも、こっちも大変なんだべ!!」

レオン(外の連中と何か話しているな……)

『なにがあったんだべー!?』

村人「強盗だ!! いま、ワシ、強盗に襲われてるだぁ!!」

『なんだってー!?』

レオン「黙れ!! 何を喋っている!!」

『わ、わかっただ!! すぐに応援を呼んでくる!! 少し待っていてるだよ!!』

村人「おねがいだぁ! この強盗、なに喋ってるかわかんねえから、こええだよぉ! 銃までもってるしよぉ!!」

『ま、まかせるだぁ!! まってろぉ!!』

レオン「これ以上はまずいな……。仕方ない。ふんっ!」ドスッ

村人「うっ……」

レオン「はぁ……。一体、何がどうなっている……?」

ピーピーピー

レオン「こちらレオン」

ハニガン『貴方がレオンね。私はイングリッド・ハニガン。貴方のサポートをすることになっているわ。よろしくね』

レオン「そうか。よろしく頼む。早速だが問題が発生した。村人に襲われた。どうやらこの村で間違いないようだ」

ハニガン『そう。発砲許可はでているから、躊躇わなくても大丈夫よ』

レオン「話はできるようだから、拘束して後ほど詳しい事情を訊こうと思うが、言葉が通じなくてな」

ハニガン『何語かも分からない?』

レオン「音声を録音できればよかったが、そんな暇もなかった。次、村の人間と接触した際には忘れないようにする」

ハニガン『分かったわ。それじゃあ、また何かあったら連絡して』

村人「すぅ……すぅ……」

レオン「こいつを起こして音声を拾うのが一番速いが、今はそんな悠長なことはしていられないな……」

レオン「あの警官は無事かどうか確かめないと……」ダダダッ

村人「ん……う……」

村人「なん……だべ……強盗は……?」

村人「ぐっ……!! うごけえねえ……縛られてるべ……」

村人「……強盗はいなくなったみたいだべな」

「大丈夫だべかぁ!?」

「強盗はどこだぁ!? 成敗するだよぉ!!」

村人「強盗はもうここにはいねえだ!! 多分、村のほうにいったんだべ!!」

「村か!! 入れ違いになったにちげえねえべ!!」

村人「ワシのことはいいべ!! 早く村にもどってくれ!!」

「そ、そだなぁ。でもよ、アシュリーさんのお友達がみあたらねえだよぉ。けーさつの人は怪我させちまったから村に運んだんだけども」

村人「アシュリーさんのお友達がきてるべかぁ!? それは大変じゃねえか!! もし強盗になんかされちまったら……」

「親も兄弟もいないアシュリーさんが悲しむのは目に見えてるべな! なんとしても強盗はワシらで捕らえないと……!!」

村 中央

村人「強盗がこっちにきてるって話だべよ」

「こええだぁなぁ。アシュリーさんのお友達も行方不明なんだべ?」

村人「んだぁ。困っただぁ」

「今はとにかく、その強盗をひっ捕らえるのが先決だべ。今日はサドラー様の結婚式なんだからなぁ」

「んだんだ」

チェーンソー男「おーい。話はきいただぁ。手をかすっぺよ」

村人「おお、たすかるべ。お前さんは奥の扉の前にいてほしいだよ。強盗の逃げ道を防ぐだ」

チェーンソー男「わかっただ!!」ギュィィィィン

「あんぶねえなぁ。まだそれは動かさなくてもいいじゃねえべか」

チェーンソー男「すまねえな」

「あとその覆面外したらどうだべ? 男前が台無しじゃねえべか」

チェーンソー男「これがないと木屑とか目にはいっちゃうじゃねえだか」

「なんだぁ。仕事の途中だったのか」

チェーンソー男「木は大体切り終えたから気にしなくていいだよぉ。それにサドラー様の結婚式をめちゃくちゃにされちゃあ、たまんねえだ」

レオン「ここは……。村の中央か……」

レオン「村人が何人かいるな。話を聞いてみるか」

レオン「すまない」

村人「……」

レオン「この娘のことを――」

村人「でたー!!! 強盗だべー!!!」

「強盗!?」

「あいつか!!」

レオン「な、なんだ!?」

チェーンソー男「なにしにきただぁ!!!」ギュイィィィン!!!!

レオン「チェーンソーまで……!!」

村人「あそこにいるだー!! つかまえろー!!」

「うぉぉぉぉお!!!」

レオン「くっ……。あの家に逃げ込むか」ダダダッ

チェーンソー男「オラの家に勝手にあがんじゃねえ!!!」ギュイィィィン!!!!

エイダ「あれは……レオン……」

エイダ「ウェスカーの言っていた通りね。あのお嬢さんを助けにきたのね……レオン……」


村人「出て来い!! 何が目的だぁ!!」ドンドン!!!

チェーンソー男「この村には金目のものなんてねえぞ!!!」

「おい!! みんな!! 強盗の新しい情報がとどいたべ!!」

村人「なんだ?」

「なんでもアシュリーさんの写真をもっていて、どこにいるのか聞いたらしいんだべ」

「アシュリーさんの写真をなんで強盗がもってんだべ」

「それはわかんねえけど」

チェーンソー男「もしかして……」

村人「なんだぁ?」

チェーンソー男「アシュリーさんのストーカーかなんじゃねえべか?」

村人「おぉ!! それでけーさつがきてたんだべな!! ってことはアシュリーさんのお友達のことも心配だべ!! 早くとっつかまえてお友達のこともききだすだよ!!」


エイダ「レオン、大変そうね。……確か、あの鐘がなれば村人は教会のほうへ移動することになってるのよね」

カラーン……カラーン……

村人「おぉ……サドラー様……」

「結婚式が終わっただか」

「教会のほうへいかねえといけえだな」

チェーンソー男「だけどもよぉ、ここにストーカー野郎がいるだよ?」

村人「サドラー様を裏切ることはできないべ。いくだ」

「んだなぁ。それに扉に鍵をかければストーカーも自由に移動することはできねえだよ」

チェーンソー男「ライスシャワーをしたあとで捕まえるわけだな」

村人「それしかねえべ」

「ほら、いくだ!! サドラー様がでてきちまうだよ!!」

「いそげー」

チェーンソー男「運がよかったな!! ストーカー野郎!! 首をあらってまってるがいいだ!!!」

ガチャ

レオン「――全員、いなくなったのか」

レオン「どういうことだ……? 何が起こったんだ……」

教会

エイダ「これでいいわけね」

アシュリー「なになに? 何で鐘が鳴ったの?」

エイダ「あら、お姫さま。御機嫌よう」

アシュリー「貴方は、だれ?」

エイダ「教えてもいいけど貴方を消さないといけなくなるわね」

アシュリー「ひっ……」

エイダ「今は大人しくしていることね」

アシュリー「大人しくっていわれても、このままじゃ私、おかしな教団の教祖と結婚しなきゃいけなくて……お家にも帰りたいし……」

エイダ「心配しなくても、すぐそこまで迎えがきているわ」

アシュリー「え!? それって……さっきの写真の人……?」

エイダ「そういうことね」

アシュリー「つまり、あの写真の人が私にとっての王子様ってことになるんだ」

エイダ「私の……?」

アシュリー「見た目はすごくかっこよかったけど、性格とかどうなんだろう。優しいだけじゃなくてちゃんと私のことを叱ってくれる人かなぁ……」

エイダ「……」

アシュリー「パパが選んだ人だから人格とかには問題ないと思うけど……こればっかりは会ってみないとわからないし……」

エイダ「ちょっと」

アシュリー「はぁ……なんか急にドキドキしてきちゃった……どうしよう……」

エイダ「あのね」

アシュリー「このウェディングドレスは脱がなきゃ。いきなりこんな姿だとびっくりさちゃうし、重い女とは思われたくないもん」

エイダ「お姫さま? 聞こえてる?」

アシュリー「着替えなきゃ!! いつ王子様が目の前に現れてもいいように!!」

エイダ「……」

アシュリー「ありがとう、おばさん。クラウザーさんが戻ってくる前にここを離れたほうがいいわ。それじゃ」テテテッ

エイダ「……」

エイダ「ふっ……そうね……。今、クラウザーと鉢合わせると厄介ね」

エイダ「早く離れましょうか」

エイダ「でも、その前に……」

エイダ「教会の鍵になっている丸い紋章、離れた場所にでも隠しておきたい気分になったわ。どこがいいかしら」

城内

サドラー「合衆国のエージェントが妻を取り戻しにきたと?」

クラウザー「早急に対処する必要があるでしょう」

サドラー「有能な男なのか」

クラウザー「ええ。よく知っています。レオン・S・ケネディのことは」

サドラー「お前がそこまでいうのだから、相当腕のたつ男なのだろう。すぐに帰ってもらえ」

クラウザー「……そうしたいのは山々ですが、一つ問題が」

サドラー「問題? 顔なじみと酒を飲みたいとかそういうことか?」

クラウザー「いえ。アシュリーがレオンのことを友達だと言い出して」

サドラー「友達……?」

クラウザー「村の人間にもそれが伝わってしまい、レオンを殺してしまうと大事になってしまう可能性も――」

サドラー「何故、それを先に言わない。妻の友人は私の友人である」

クラウザー「いえ、そうではなくて」

サドラー「きっと私の想いが本物だと分かればそのケネディ君とやらもわかってくれるはずだ。同時に友人の幸せを願ってくれることだろう。はっはっはっは」

クラウザー「(ちっ……。プラーガを使う気はなさそうだな。このままではレオンに邪魔をされる……手を打っておくか……)」

クラウザー「おい」

商人「おぉ、クラウザー殿。ヘッヘッヘッヘ、ウェルカム。ロケットランチャーが再入荷したぜ」

クラウザー「また教団の金で買ったのか。程々にしておかなければ、追放されるぞ。戦闘員にも無断で銃器を売っているらしいが」

商人「ヘッヘッヘッヘ。まぁ、それはいいっこなしで。それに俺がいるからこんな胡散臭い教団でも銃を持つことができるんだ。少しぐらいは目をつぶってほしいぜ」

クラウザー「分かっている」

商人「サドラーもサラザールも色んな人間に狙われてもおかしくない立場だからなぁ。ボディーガードとしては気が気じゃないよな。ヘッヘッヘ」

クラウザー「ふん。それよりも今回はお前に頼みたいことがある」

商人「俺にかい? 珍しい銃を輸入してほしいとかか」

クラウザー「違う。この写真をお前に渡す」

商人「見ない顔だなぁ」

クラウザー「あとは言わなくてもわかるな? 頼むぞ」

商人「ヘッヘッヘッヘ。なるほど。わかったぜ、クラウザー殿」

クラウザー「戦闘員も今はあの島で訓練中だからな。今はお前に頼むしかない」

商人「オッケー。しっかり仕事はしてくるぜ」

クラウザー「ぬかるなよ」

教会

村人「おんかしいなぁ。サドラー様が出てくる気配がないべや」

「どしたんだろなぁ」

メンデス「なんの騒ぎだ」

村人「村長。さっき鐘がなったんだけんども、サドラー様もアシュリーさんもでてこねえべ。どうなんってんだべさ」

メンデス「鳴るはずがないだろう。式はまだ始まってすらいないのだからな」

「それはおかしいべ。じゃあ、なんでさっき鳴ったんだべ」

メンデス「アシュリー様は教会の中か?」

村人「そうだと思うんだけんども、鍵がなくてはいれねえべ」

メンデス「なに? 裏には?」

村人「それがおかしな宝石といれかわってんだべ」

「こんな悪戯、だれがすっぺや」

「困ったやつもいるんだなぁ」

メンデス「こんな下らない悪戯をする輩は1人しかいないだろう」

村人「あぁー。ルイスだべなぁ。でも、ルイスはちゃんとタンスの中に放りこんだべ。はっ、もしかして逃げ出したか!?」

村はずれ 空き家

レオン「(ここまで村の人間が殆どいなかったな……。どこに消えたんだ……?)」

ドン! ドン!

レオン「……!」

レオン「(タンスの中に誰かいるのか)」

レオン「……」ガチャ

ルイス「んー!? んんー!!」

レオン「……」ベリッ

ルイス「ぷはぁ!! ゆっくり、剥がせよ。自慢のヒゲが抜けちまうだろ」

レオン「無精髭だろ。もう少し貫禄がついてからそういうことを言うんだな」

ルイス「それより腕のロープも解いてくれよ」

レオン「お前は他の村人とは違うみたいだな」シュルッ

ルイス「ふぅー。やっぱり人間は自由が一番だな。おたくもそう思うだろ? ああ、そうだ、一番大事なことを聞かせてくれ。タバコはあるか?」

レオン「ガムなら」

ルイス「なんだよ。しけてんなぁ」

レオン「……」

ルイス「怒るなよ。ジョークだろ」

村人「ああ、ルイスが外にいるべ!!」

メンデス「やはりお前の仕業か、ルイス」

レオン「誰だ?」

ルイス「やべえ、ここのボスだ」

レオン「なに?」

村人「ルイスの隣にいるのは村を襲った強盗じゃねえべか!!」

「ほんとだぁ。あいつだぁ」

メンデス「なに? 間違いないのか?」

村人「間違いなかぁ! 村長、あいつが強盗犯だべや!!」

メンデス「なるほど……」

レオン「(ここで捕まるのはまずそうだな)」

レオン「――ふっ!!」ダダダッ

メンデス「む……」

レオン「はぁ!!」

メンデス「……」パシッ

レオン「なっ……!! 俺の蹴りを……!?」

メンデス「ふーんっ!!!!」ポーイッ

レオン「ぐあっ!?」

ルイス「お、おい――」

ガシャーン!!!

レオン「ぐ……」

村人「流石は村長だべさ!!」

「かっこいいべぇ」

メンデス「こんな若造には負けん。それよりもルイスとともに行動しているということは、この部外者はルイスの知り合いか」

村人「かぁー。ルイスはホント、悪いやつとばぁーっかりつるんどるんだなぁ」

「村長、どうするべ?」

メンデス「拘束し、教会から最も遠い場所に監禁しておく。縄は使わず、手錠にしておけ。二人の処理はサドラー様に任せる」

村人「それがいいだな」

教会

サドラー「む。クラウザー、教会の鍵はどこにある?」

クラウザー「裏にあるのでは?」

サドラー「取ってきてくれ」

クラウザー「分かりました」

クラウザー「(セキュリティー上の仕掛けとはいえ、面倒なんだよな。暗証番号にしてほしいぜ、全く)」

サドラー「アシュリー、今お前のサドラーが会いにいくぞ。フハハハハ」

村人「サドラー様、なにしているんだべさ?」

サドラー「今から式を挙げる。お前たちは鐘が鳴ったら来る様にな」

村人「なに言ってんだべ。それどころじゃないっち」

サドラー「どういうことだ?」

村人「今、村長が強盗犯を捕まえたって連絡があったべ。渓谷のほうへつれていくっていってたべさ」

サドラー「強盗犯……?」

クラウザー「サドラー様、鍵となる紋章がありませんでした。代わりにこの宝石がはめ込んでありました」

サドラー「この村で何が起こっているというのだ」

メンデス「サドラー様」

サドラー「話はきいている。強盗犯が入り込んだらしいな」

メンデス「ええ。今し方渓谷のほうに移しました」

サドラー「どんな奴だ?」

メンデス「顔写真はこれです」

サドラー「どれどれ……」

メンデス「どうやら問題児ルイスの知り合いのようです。プラーガを使うのも手かと」

クラウザー「こいつは……」

村人「クラウザーさん、しってんのけ?」

クラウザー「あ、いや……」

サドラー「メンデス!!!」

メンデス「は、はい」

サドラー「この者は我妻となるアシュリーの友人である!!」

メンデス「な、なんですって!?」

サドラー「今すぐ解放してこい!! 今すぐだ!!」

メンデス「承知しました! 今すぐ、近くの者に連絡をいれます!!」

サドラー「全く。馬鹿ばかりで困る」

クラウザー「……サドラー様」

サドラー「どうした、クラウザー」

クラウザー「レオンを解放するのはいいですが、村人たちに強盗犯と言われ暴力までうけてしまっています」

サドラー「陳謝するしかないだろうな」

クラウザー「謝って済めばいいのですが」

サドラー「何が言いたい?」

クラウザー「レオンがこんな場所にはアシュリーを置いていけないと判断してしまう可能性もあります」

サドラー「誤解をとけばいいだけの話だ」

クラウザー「レオンは思い込みの激しい男です。言葉でどうにかなるとは思いません」

サドラー「頑固な男なのか……」

クラウザー「最悪の場合も想定しておいたほうがよろしいかと」

サドラー「たとえば?」

メンデス「手錠の鍵をもっているやつが近くにいないだと!? 仕方ない、斧か何かをもっていって無理やり叩き切れ。その後はきちんとレオンさんに謝っておけ。ルイスはどうでもいいが」

クラウザー「無論、レオンがサドラー様の花嫁を連れ去ってしまう場合です」

サドラー「それは困る」

クラウザー「そしてレオンは合衆国のエージェントでもあります。我々はテロリストとして地図上からも排除されることになるでしょう」

サドラー「それはもっと困る」

クラウザー「それも中年おやじのロリコンが童顔の大学生を誘拐したという最悪の報じられ方をするでしょう」

サドラー「おぉぉ!! 誰がロリコンだ!!! 私はロス・イルミナドスのカリスマだぞ!!!」

クラウザー「私もそんな教祖のSPをしていたと世界に発信されたくはありません。そこで、もしもレオンがこちらの説得に応じない場合のシナリオが必要になってきます」

サドラー「シナリオ?」

クラウザー「合衆国大統領の娘を誘拐した理由を作るのです。世界に報じられてもかっこうがつくような理由を」

サドラー「どういうのがいい?」

クラウザー「サドラー様の力を世界に知らしめるため。というのはどうでしょうか」

サドラー「私の力か。プラーガを埋め込んだ人間を操るぐらいのことしかできないぞ?」

クラウザー「それで十分です」

サドラー「そうか? 世界にはもっと有能で素晴らしい能力を持った者が多いがな。ビルゲイツのような」

クラウザー「(よし。これでプラーガを使う理由ができたな。ここからこの教団を立派なテロ集団に変えてやる)」

メンデス「なに!? ああ、くそ。何をやっているんだ!!」

クラウザー「どうした?」

メンデス「レオンの解放には成功したようですが、ルイスが逃げ出してしまったとのことです」

サドラー「ルイスが……。それは少々、面倒だな」

メンデス「ルイスの捜索を始めます」

サドラー「アシュリーにだけは近づけさせるな。アシュリーが穢れてしまう」

メンデス「分かりました。私も様子を見に行きます」

村人「オラも一緒にいくだよ」

クラウザー「(レオンの始末も奴に任せてあるし、これでどうにか軌道修正ができそうだな。これでプラーガの研究も進めてくれればウェスカーにいい報告ができる)」

サドラー「クラウザー、何をしている?」

クラウザー「は?」

サドラー「早く教会の鍵を探しにいけ」

クラウザー「……了解」

サドラー「言われる前に動けないのか。そんなことだからリストラされるのだぞ」

クラウザー「……」イラッ

渓谷 空き家

レオン「やれやれ、まさかまた斧で切りつけられるとは思わなかったな」

村人「ぐぅ……ぅぅ……」

レオン「詳しい話も聞きたいが、こいつの目覚めを待つよりは先に進んだほうがよさそうだな」

レオン「これ以上、斧で襲われるのも避けたいしな」

レオン「(とはいえ、今のままの装備では心許ないな。こんなことならライフルも持ってきておくべきだったか)」

「――ここにいたか」

レオン「誰だ!!」チャカ

商人「アッハッハッハ。やめてくれ。銃を向けられるとションベンちびっちまうぜぇ」

レオン「……言葉が分かるみたいだな」

商人「そりゃ色んな国から仕入れをしなきゃなんねえからな。アフリカの少数民族とだってキャンプファイヤーを囲みながら朝まで語り明かせるぜ」

レオン「そうか。そりゃ凄いな。俺はあんたみたいな怪しい奴と夜明けのコーヒーは飲みたくないが」

商人「ヘッヘッヘ。俺も野郎の寝顔を拝みたくはねえよ。今話題の胸にミサイル仕込んでるあの娘なら金払ってでも拝むがな」

レオン「誰のことを言っている?」

商人「大統領の娘だよ。名前はなんていったか、ボンレスハムみたいな名前だったはずだ」

レオン「居場所を教えろ」

商人「いいけど、こっちも仕事でお前さんに会いにきたんだ」

レオン「仕事……だと……?」

商人「ああ。仕事だ」

レオン「……」

商人「レオン・S・ケネディ……!!」バッ!!!

レオン「くっ……!!」チャカ!!

商人「ンンン!! ウェルカァム!!! いい武器が揃ってるぜぇ!!」

レオン「……なに?」

商人「ああ。村のいたるところに青いコインを吊るして置いたから、それを何らかの方法で壊したら無料で銃もやるサービスもしてるから、利用してくれ。壊すのは石でもいいぜ。ヘッヘッヘ」

レオン「悪い奴ではなさそうだな」

商人「俺は商人だからな。天使にも悪魔にも武器を売るだけだ」

レオン「いい性格だな。信頼してくれる奴も少ないだろ」

商人「ある意味では信頼されてるぜ。それより、何か買っていけ。今ならアシュリーの居場所もセットで売ってやるよ。ヘッヘッヘッヘ」

レオン「そうか。なら、ライフルとマシンピストルとそれからロケットランチャーを貰うか。アタッシュケースまであるのか。これも買う。カードは使えるのか?」

商人「あぁー、カードか。勿論使える」

レオン「言っておくがスキミングなんてするなよ」

商人「そんなせこい真似は商人としてのプライドがゆるさねえよ。安心しな」

レオン「そこは信頼してもよさそうだな」

商人「それよりもロケットランチャーを買うなんて素晴らしいなぁ。これからも是非とも贔屓にしてほしいもんだぜ」

レオン「それは状況次第だな」

商人「なるほど、なるほど。何かリクエストがあればここにある商品以外にも仕入れておくぜ」

レオン「数時間以内で仕入れられそうなのはなんだ?」

商人「マグナムとかショットガンとかマインスロアーとかいう特殊なやつも5時間あればもってこれる」

レオン「よし。それらを全部買う。次はどこで会える?」

商人「ヘッヘッヘ、村の中央から教会の向かうための地下通路がある。そこで待っててやるよ」

レオン「分かった。今から5時間後となると夜か」

商人「そうなるな。待ってるぜ」

レオン「ああ。行ってくる」ジャキン

商人「ハッハッハッハ!! なんだその格好!! ランボーみたいだなぁ!! アーッハッハッハッハ!!!」

教会

サドラー「鍵はまだか。クラウザーめ、肝心なときに使えない者ほど目障りな存在はいないな」

ピリリ……ピリリ……

サドラー「こちらサドラー」

メンデス『サドラー様、緊急事態です』

サドラー「どうした」

メンデス『レオンさんがかなり立腹しているようです』

サドラー「なにがあったのか説明しろ」

メンデス『どこから持ってきたのかわかりませんが、ライフルやマシンピストルを乱射しながら渓谷を突破していったそうです』

サドラー「な、なに……」

メンデス『しかもロケットランチャーを背負っていたとの報告もあります』

サドラー「メンデス。ケネディ君がそこまで怒ってしまったのは誰の責任か。分かるな」

メンデス『なんとかレオンさんを止めてみます』

サドラー「菓子折りでも持参しろ」

メンデス『はい』

サドラー「私の信者は無能ばかりだな」

サドラー「しかし、このままではケネディ君の機嫌を損ね続けるだけになり……最終的にはクラウザーの言うとおり……」

サドラー「我が妻を連れ去られてしまう……!! やっと私の想いが通じたというのに……!!」

サドラー「いや、そればかりか私はロリコン教祖ということに……!!」

サドラー「それだけは!! それだけは避けなくては!!!」

サドラー「なんとしてもアシュリーを引き止めねば!!」

クラウザー「サドラー様」

サドラー「クラウザー!!! 教会の鍵は!?」

クラウザー「村の連中総出で探していますが、どこにも見当たりません」

サドラー「うぅん……!!」

クラウザー「この扉程度なら、この手榴弾で壊してもいいですが」

サドラー「ならん!! もし扉の近くにアシュリーがいたらどうするつもりだ!!!」

クラウザー「窓ガラスを割って入るのは?」

サドラー「ガラス片でアシュリーの白い肌に傷ができてしまったら、どうする。いいから鍵を探してこい」

クラウザー「……分かりました。ただ、手遅れになったときのことも考えておいてくれると助かります」

湖畔

クラウザー「見つかったか?」

村人「だめだぁ。どこにもねえっぺよ」

「やっぱりルイスが持ち出したんでねえか?」

村人「それなら教会は開けっ放しのはずじゃねえべか?」

「もう教会の中にはアシュリーさんがいねえかもしんねえべ」

村人「そりゃあまずいっち!」

クラウザー「(確かに。その可能性もあるな。ルイスを探したほうがいいかもしれん)」

クラウザー「……」ピッピッ

エイダ『何かしら。余程のことでもないと私に連絡なんてしないでって言わなかった?』

クラウザー「余程のことだから連絡したんだよ。ルイスの居場所は分かっていないのか」

エイダ『ルイス? いいえ、あんな空気よりも軽薄の男なんて空に昇っていったんじゃないかしら』

クラウザー「見かけたら連絡をよこせ。あと教会の鍵である丸い紋章を拾ったら必ず知らせろ」

エイダ『丸い紋章? 重要なの?』

クラウザー「ああ。これ以上、サドラーをイラつかせると俺がどうにかなりそうだ」

洞窟内

エイダ「ふぅん。そう。分かったわ。最善をつくしてあげる」

クラウザー『期待はしていないがな』

エイダ「随分な言われようね。それじゃ」ピッ

エイダ「つまりこの丸い紋章がないとあのサドラーでさえ教会には簡単に入れない……。このまま川にでも捨てちゃえばあのお姫さまは永遠に鳥かごの中ってことね」

エイダ「……それもいいかもしれないけど、レオンが可哀相ね。仕方ない。これはここに置いておきましょうか」

エイダ「さて、そろそろ仕事に戻らないと」

ウェスカー『――エイダ、聞こえるか』

エイダ「あら、どうしたの?」

ウェスカー『レオン・S・ケネディが村のほうで大暴れしているらしい』

エイダ「レオンが?」

ウェスカー『これは好機だ。教団が混乱しているうちにサンプルを奪取しろ。そのためにはルイスと接触する必要があるだろうがな』

エイダ「了解。でも、軽薄なルイスを捕まえるのはヘリがいるかもね。……なんちゃって」

ウェスカー『ヘリか。用意する。では、エイダ、健闘を祈る』

エイダ「え……。切れちゃった。冗談も通じないのね。ま、移動が楽になっていいけど」

教会内

アシュリー「……」

ドドーン……ドーン……ギャァァ……ニゲロー……ワァァァァ……

アシュリー「王子様……来ないし……おなかすいたし……最悪……」

アシュリー「なんで私の王子様が来てくれないんだろう……。あ、もしかして、クラウザーさんやサドラーさんに邪魔をされてるんじゃあ……」

ドドドーン……ズガガガ……ウンコダステロッ!!!……オッパイノペラペラソース!!!……ウンコガシテーヨ……オイ、キタナイノシテマスッ……テコキッ!!……アリエンナー……

アシュリー「もしそうなら、どうしよう。私にできることなんて……」

アシュリー「うーん……」

ロケットランチャーダー……ドドドドーン……ウワァァァ……

アシュリー「……何もない」

アシュリー「はぁ……王子様……ごめんなさい……」

アシュリー「それにしてもさっきから外が騒がしいような。何かしてるのかな?」

アシュリー「おなかすいたよぉ……」

アシュリー「このままサドラーさんと結婚しなきゃいけないの……パパ……たすけて……」

アシュリー「……トイレ、いこっ」テテテッ

教会前

犬「ワンワン!! ウゥゥゥ……!!! ワンワンワン!!!」

レオン「……」バァン!!!

犬「クゥーン……」タタタッ

村人「ケルベロスじゃ無理だったべかぁ」

「大層な名前をもらってても犬だからなぁ」

「あのままじゃレオンさんが教会の中にはいっちまうだよぉ」

村人「こっちの話はきいてもらえんち。もうどうすることもできないっぺよ」

「サドラー様の花嫁さんが寝取られとちまってもよか!?」

村人「じゃあ、お前がレオンさんをとめてくればええだろが」

「それは無理だべ……」

レオン「やっと戻ってこれたな」

レオン「(それにしても教会の鍵がどうしてあんな遠くの洞窟にあったんだ? 誰かの嫌がらせか?)」

レオン「そんなことを考えても意味はないか」

レオン「待っていろ、アシュリー」ガチャ

教会 トイレ

アシュリー「ふぅ……。せめて水洗のトイレがよかったなぁ……」

ガチャ

アシュリー「え!? え!?」

レオン「――アシュリー」

アシュリー「きゃあぁぁ!!」

レオン「な……」

アシュリー「あっちいって!!」

レオン「大丈夫だ、アシュリー。落ちつくんだ」

アシュリー「イヤぁ!! 近づかないで!! ここがどこだかわかってないの!?」

レオン「……物置じゃないのか」

アシュリー「簡易トイレなの!! 教会の中にはトイレがないからって村の人がつくってくれたの!!」

レオン「そうなのか。悪かった。用が済んだら出てきてくれ」

バタンッ

アシュリー「もう……およめにいけない……」ガクッ

レオン「しかし、女の子にこんな酷いトイレを用意するなんてな。やはり人間としての感覚を失っているのか」

ガチャ

アシュリー「……おまたせ」

レオン「アシュリー、怪我はないか?」

アシュリー「あっ。貴方、写真の人ね」

レオン「写真の人?」

アシュリー「村の人が警察と一緒にきたって言って貴方の写真をもってきたの」

レオン「そうか。俺が入ってきているのは筒抜けだったからこそ、あの商人も近づいてきたわけか」

アシュリー「えっと、さっきはごめんなさい。確かにここをトイレだなんて思わないわよね」

レオン「いや、俺が確認を怠った所為で君に恥ずかしい思いをさせたな。すまなかった」

アシュリー「あ、うん……あの、あなたの名前は……?」モジモジ

レオン「そうか。自己紹介がまだだったな。俺はレオン。大統領の命で君を助けにきた」

アシュリー「やっぱりパパが……!」

レオン「もう大丈夫だ。一緒に逃げよう」

アシュリー「うんっ」

クラウザー「どういうことだ!!」

村人「だ、だからぁ。レオンさんが丸い紋章をつかってぇ5分前ぐらいに教会にはいっていったんだべよぉ」

クラウザー「くっ……!! 丸い紋章をどこで手に入れた……レオン……!!」

サドラー「クラウザー、説明してもらおうか。数年ここにいる君が探しても見つけられず、土地勘のないケネディ君が見つけてしまうとはどういう理屈なのだろうか」

クラウザー「これは……おそらく……タヌキかなにがレオンを手引きして……」

サドラー「言い訳は聞きたくない。んー、現時刻をもって私のボディーガードの任を解く。お前は孤島へいって戦闘員の指導にあたってくれ」

クラウザー「それは事実上の左遷ですか」

サドラー「どう受け取ってくれても構わない。それに不満なら教団から抜けてくれてもいいぞ」

クラウザー「……いえ。分かりました。孤島に向かいます」

サドラー「ただ、こうなってしまった以上はお前の書いたシナリオ通りに事を進めることにする。このままケネディ君を説得できなければ私は不名誉な称号を貰ってしまうからな」

クラウザー「そうですね。私のためにも是非、そうしてください」

サドラー「あと孤島に戻る途中、アシュリー拉致計画のファイルを置いておくように。落ちている資料をケネディ君が目にすれば私の言葉も信じてくれるだろう」

クラウザー「ええ、わかっています。しかし、サドラー様、1人で大丈夫ですか」

サドラー「アシュリーと目を合わせなければいい。ケネディ君だけを視界にいれておくよ。フフフハハハハ」

クラウザー「グッドラック、サドラー様」

レオン「アシュリー、今のうちに言っておきたいことがある」

アシュリー「俺より先に早く寝るな、俺より先に起きていろとか?」

レオン「いや、違う。これから教団に追われることになる。危険な目にも遭うだろう」

アシュリー「あ、うん。サドラーさんとか何してくるかわからない顔してるもんね」

レオン「サドラー? 教祖の名前か」

アシュリー「そうそう。あまり話したことないけど、変な人なんだ」

レオン「こんな怪しい教団のトップってだけでも十分に変な奴だがな」

アシュリー「そうかもー」

レオン「だからこそ、相手から逃げなければいけないときもある。そういうとき、こういった高い場所から降りるときはどうしたらいいと思う?」

アシュリー「梯子があれば私が先におりて、次はレオンがおりればいいんじゃない?」

レオン「降りた先に敵がいたらどうする?」

アシュリー「それは……」

レオン「素早く行動するためには俺が先に飛び降りて、そのあとに続くように君も飛び降りるんだ」

アシュリー「で、でも、そんな、怖い……」

レオン「君には傷一つつけない。ちゃんと下で君を受け止める。とはいっても、最初は怖いだろうからとりあえずここで練習しておくか」

レオン「さぁ、アシュリー。飛び降りろ」

アシュリー「えー……レオーン……こわーい……」

レオン「怖いのは分かっている。だが、一度やれば恐怖感もなくなる。俺を信じろ」

アシュリー「私、結構重いとおもうんだけど……」

レオン「女の1人ぐらい受け止められないような男に見えるか?」

アシュリー「……じゃあ、行くよ」

レオン「来い、アシュリー」

アシュリー「えいっ!」バッ

レオン「よっと」ガシッ

アシュリー「おぉ……」

レオン「どうだ? 怖くないだろう?」

アシュリー「……うんっ」ギュッ

レオン「……」

アシュリー「えへへ」スリスリ

レオン「アシュリー、すぐに降りてくれないと困る」

アシュリー「あ! ごめんなさい! 私、自分のことばっかりで……」

レオン「いや、いいんだ。信頼してくれたのなら、それでな」

アシュリー「トイレしてるところも見られちゃったし……もう私は……お嫁にいけないし……このまま……」モジモジ


サドラー「……」

村人「アシュリーさん、レオンさんといい感じになってるべ……」

「あー、完全にメスの顔になってるっぺなぁ」

サドラー「ふふふ……。村の者たちは外で待機しておいてくれ」

村人「サ、サドラー様……」

サドラー「お前たちは合図をしたら中にはいってきてくれ」

邪教徒「わ、わかりました」

サドラー「んー……ケネディ君……ふふふ……なんて羨ましい……」

村人「サドラー様がおこってるだよぉ……」

邪教徒「血が流れるな……」

「大変だべなぁ。でもレオンさんも悪いっぺよ」

「もしかしたらレオンさんは最初からアシュリーさんを連れ去る目的でここにきたのかもしれないな。花嫁を結婚式の日に連れ去るなんて小説の主人公みたいだ」

レオン「行くぞ」

アシュリー「はいっ!」

サドラー「――その娘を返してもらおうか」

レオン「誰だ?」

サドラー「私は……」

アシュリー「あ、サドラーさんだ。久しぶり」

サドラー「あ、う……ん……」

アシュリー「私、これから家に帰ります。お世話になりました」

サドラー「あ……う……ん……」

レオン「様子がおかしいな」

アシュリー「私と話すときはいつもあんな感じになるわ。さ、早く行きましょう」

レオン「待ってくれ。サドラー、お前の目的はなんだ? どうしてアシュリーを攫った?」

サドラー「……我が力を世に示すためだ。アメリカは宣伝するのに丁度いい。その大統領の娘を拉致し、我らの力を与え、そして返す」

レオン「どういう意味だ? アシュリー、何かされたのか?」

アシュリー「え? ううん。別になにも……。あ、でも……もしかして……」

レオン「心当たりがあるのか?」

アシュリー「私、何かされたかも……」

レオン「な……」

アシュリー「何度か気絶させられたし……眠ってる間に……汚されてるかも……」

レオン「サドラー!! アシュリーに何をした!!」

サドラー「……その娘には種を植え付けた」

レオン「種!?」

アシュリー「あぁ……そんな……大事な初めてが……」

サドラー「父親の元に戻ったら、さぞかし世間は賑わうだろう。ハッハッハッハッハ」

レオン「……」

サドラー「その前に少し交渉してお布施をしてもらう。教団の運営にも何かと資金が必要なのでね」

レオン「アシュリー、気をしっかり持て」

アシュリー「でも、私……もう……よごれ……」

サドラー「アシュリーに植えた種はプラーガといって――」

レオン「黙れ!! サドラー!! それ以上何か喋れば、その小汚い口にロケットランチャーをねじ込むぞ!!」ジャキン

サドラー「ま、まて。種を植え付けたのは嘘だ。それはこれからやろうと思っていただけで……」

レオン「こんなところに1秒たりともアシュリーを置いておくことはできないようだな。最低の教団だ」

サドラー「ケネディ君、口を慎め。私はここのカリスマだ」

レオン「いや、お前はただのロリコンだ」

サドラー「ロリ……!?」

レオン「行くぞ、アシュリー」

アシュリー「レオン……わたし……」

レオン「とにかくここを出る。いいな。余計なことは生きてここを出られたときに考えればいい」

アシュリー「そんなこと言われても、私……」

レオン「俺も一緒に考えてやる」

アシュリー「レオン……!」

レオン「いいな?」

アシュリー「わかったわ」ギュッ

サドラー「ま、まて」

レオン「サドラー、アシュリーはもらっていく」

墓地

村人「アシュリーさんとレオンさんが出てきたべー!!」

「なんとしてもとめろー!!」

「サドラー様との結婚式をむちゃくちゃにするのだけは許さないだー!!」

「んだんだ!!」

邪教徒「サドラー様を虚仮にしたレオンを許すなー!!!」

「絶対にとらえろー!! 花嫁をとりもどせー!!!」

「「うおぉぉぉぉ!!!」」

レオン「ちっ。挟み撃ちか」

アシュリー「レオン、どうするの?」

レオン「集団で固まっているならこれを使えばいい」ポイッ

村人「ぎゃー!!! 手榴弾だべー!!!」

レオン「アシュリー、目を閉じろ」

アシュリー「え!? そ、そんな急に……こんなところで……?」モジモジ

ボォン!!

アシュリー「きゃ!? まぶしっ!!」

レオン「だから、目を閉じろっていったんだ。こっちだ」グイッ

アシュリー「あ、ちょっとまって」

レオン「この地下通路に逃げ込めば――」

商人「ンンン!! ウェルカァァム!! レオン!!」

レオン「いたか」

商人「いるぜ。おー、お姫さまも一緒か。ヘッヘッヘッヘ」

アシュリー「だ、誰、この人?」

レオン「敵でも味方でもない奴だ」

商人「あぁー、そうだろうな」

アシュリー「複雑な関係なんだ」

レオン「頼んでおいたものはあるか?」

商人「勿論だ。ショットガン、マグナム、マインスロアー、全部あるぜ。これだけあれば一国と戦争でもできそうだな。ハッハッハッハ」

レオン「そうならないことを祈るしかないな」ジャキン

商人「また来てくれ!! レオン!!」

村 中央

アシュリー「レオン、ここからどこにいくの?」

レオン「少し待ってくれ」ピッ

ハニガン『レオン、大丈夫?』

レオン「救出に成功した。どこに迎えばいいか指示してくれ」

ハニガン『流石ね、レオン。今からピックアップ地点の座標を送るわ。そこに迎えのヘリが来る手筈になっているから、向かって』

レオン「わかった」

アシュリー「その人、誰?」

レオン「ビジネスパートナーだ」

アシュリー「そう……」

ハニガン『初めまして、アシュリー。レオンのサポートを任せている、イングリッド・ハニガンよ。よろしく』

アシュリー「よろしく」

レオン「あいさつはその辺にしてくれ。移動するぞ」

アシュリー「うんっ」

レオン「この地点にいくには農場のほうに行かないとダメか」

城内

サドラー「あぁ……アシュリー……私のアシュリー……」

サラザール「サドラー様、おかえりなさいませ。アシュリー様はどうしたのですか?」

サドラー「黙れ……サラザール……」

サラザール「も、申し訳ありません」

サドラー「どうにかしなければ……このままでは……」

サラザール「おい、村で何があったんだ」

メンデス「アシュリーがレオンという男に攫われた」

サラザール「攫われた……? 誘拐してきて攫われた……。それは取り戻されただけではないのか」

メンデス「だが、アシュリーは既にサドラー様に惚れていたとの報告をクラウザーより受けている」

サラザール「ストックホルム症候群になりやすい娘なのか?」

メンデス「あるいはそうかもしれん。私は村へ戻り、アシュリーを奪還する」

サラザール「なんとかしろ。聞けばお前の大失態が原因でもあるんだろう」

メンデス「最悪、この城へ誘導する形になるだろう。そのときはあなたのの協力も必要になる」

サラザール「城主が下民の尻拭いをしなければいけないとは世も末だ」

村はずれ

アシュリー「レオン、どこまでいけばいいの?」

レオン「もう少し先――」

村人「あそこにいたっぺよ!!」

「アシュリーさん!! サドラー様がないてるだべー!! 戻ってきてくんろー!!」

「レオンさん!! 一度ゆっくり話し合うだよー!! サドラー様はお優しいかたなんだべー!!」

レオン「ちっ。追ってきたか」

アシュリー「ねえ、あそこに家があるわ!」

レオン「よし、あそこに逃げ込むか」

アシュリー「あ、でも、このまま逃げ込んでも危ないような……」

レオン「だが、逃げ道はない。行くぞ」

アシュリー「う、うん」

ルイス「ヘイ、レオン! はやくこい!!」

レオン「ルイス! 無事だったのか!」

村人「あんれまぁ!! ルイスの家にアシュリーさんがはいってくだよ!! ルイスの毒牙からアシュリーさんをまもるっぺよぉ!!!」

屋内

ルイス「ようこそ、マイホームへ。良い家だろ?」

レオン「周りを村人が囲んでいなければ手放しで褒めていたな。残念だ」

ルイス「ククク、そりゃ失敬。あいつら、村での生活が長くて接待には慣れてねえんだ」

レオン「ここに篭城するしかないか」

アシュリー「レオン、大丈夫?」

レオン「心配するな。君のことは命にかえても守る」

アシュリー「レオン……すてき……」

ルイス「よぉ、娘さん。元気だったか?」

アシュリー「貴方は確か……」

ルイス「一度見たらこのハンサムな男は忘れないよな」

アシュリー「……」

ルイス「それにしてもあのときは気づかなかったが、大統領の娘だけあってオッパイがでかいな。ミサイルが並んでるみたいだぜ」

アシュリー「失礼ね。それとは関係ないでしょ」

ルイス「おー、随分と気の強いことだな。まぁ、俺の好みではあるけどな」

アシュリー「レオン、助けて」ギュッ

レオン「お前みたいな男は嫌いだって言っている」

ルイス「そりゃひでぇな。俺と一晩いれば、心地のいい朝が迎えられるってぇのに」

アシュリー「エッチ!」

ルイス「ヒュー。かわいい」

バンッ!! バンッ!!

レオン「……!?」

村人「ルイス!! それ以上、アシュリーさんに妙な発言をしたら村長に言いつけるだよ!!」

「おめえ!! 純粋な女の子に対してなにいってんだべ!!!」

「お前みたいなやつは城にもどってサドラー様の言いつけ通りプラなんとかっていうのを研究していればいいだ!!」

レオン「アシュリー、二階に隠れていろ。奴ら、窓から侵入してくる気だ」

アシュリー「わ、わかったわ!」

ルイス「相当キレてるな、アイツら」

レオン「とりあえず窓はここの棚で塞いでおくか。気休めだが」ズズズッ

アシュリー「レオン! 気をつけてね!!」

村人「ここをあけるだ!! ルイス!!」

「アシュリーさんを解放するだ!!」

「ルイス!!」

ルイス「ふん。やなこった。サドラーに伝えろ、アシュリーは俺が食べるってな。クックックック」

村人「なんてこというだ!!」

「変態!! 変態!!」

ルイス「俺はもうあんなジメジメした場所で虫に囲まれたくないんだよ。どうせ囲まれるならオッパイのでかい女のほうがいいからな」

レオン「あいつらの言っていることが分かるのか?」

ルイス「まぁな」

レオン「なんていっているんだ?」

ルイス「お前は大人しく研究に専念しろってさ」

レオン「研究? お前、科学者なのか?」

ルイス「ま、そんなところだ」

レオン「……何の研究をしている?」

ルイス「生体兵器と言ってお前は信じるか?」

レオン「生体兵器……。馴染みのある単語が出てきたな」

ルイス「信じるのか。馬鹿なのか人が良いのかどっちだ?」

レオン「馬鹿だから人が良いんだ。それで、どんな生体兵器を研究していた?」

村人「開けろっていってんだべ!!」バンッバンッ

「ルイス!! いい加減にするだ!! またプーになる気だべか!?」

「さっさと真面目に働いてお母さんを安心させてあげようとか思わないんか!?」

ルイス「……俺はただサドラーの言われるがままに研修をしていた。そしてある日、俺はとんでもないものを作っちまったのさ」

レオン「死者を蘇らせるとか言わないよな」

ルイス「もっとすげえもんだよ。ゾンビなんて目じゃねえよ」

レオン「どんなものだ?」

ルイス「ノビスタドールやリヘナラドール」

レオン「ノビスタドール?」

ルイス「どっちも世界を一変させるだけの力を持ってる。究極の生体兵器だ」

レオン「ルイス、お前……」

ルイス「俺は後悔してるのさ。あんなものを生み出しちまったことにな。だから、逃げ出した」

>>95
ルイス「……俺はただサドラーの言われるがままに研修をしていた。そしてある日、俺はとんでもないものを作っちまったのさ」

研修→研究

レオン「そういう事情があったのか」

ルイス「あんなものを作った責任なんてとれるわけがねえからな。研究そのものを投げ出したわけだ。おかげで今はただのハンサムなプーになっちまった」

レオン「気持ちは分かる。だが、分かるだけだ。お前の行為は誰も許さないだろうな」

ルイス「そんなことは分かってる」

レオン「これからどうするつもりだ?」

村人「ルイスのやつ、開ける気がないっぽいべ」

「村長を呼んでくるだよ」

「んだなぁ。村長ならこんな扉、拳一発で吹っ飛ばすことができるだ」

村人「村長は今、どこにいるんだべ?」

「そろそろ城から帰ってくるころだろうからリフトに乗って迎えにいくだよ」

ルイス「……引き上げていくな」

レオン「諦めてくれたか。助かった。弾薬はまだ余裕だが、この先どうなるか分からないからな」

ルイス「どうするつもりなんだ?」

レオン「このまま村のほうへは危険すぎて戻れない。先に進むしかない」

ルイス「前向きなやつなんだな。羨ましいぜ」

アシュリー「レオン、終わった?」

レオン「ああ、もう大丈夫だ」

アシュリー「ありがとう、レオンっ」ギュッ

ルイス「じゃあな。ここにいたらあいつらがボスを連れてきそうだ。お前らも早く離れたほうが良い。お嬢さんが奪われちまうぜ?」

レオン「どこに行くんだ?」

ルイス「忘れものを取りにな。お嬢さんのことはしっかり守ってやれ、レオン」

レオン「あ、ああ」

ルイス「また会おうぜ」

アシュリー「エッチなことばっかり言うけど、いい人なのかな……?」

レオン「良い人かどうかは自分で決めたほうがいい」

アシュリー「う、うん。そうだね」

レオン「ただ、俺の個人的な見解を言えば……」

アシュリー「言えば?」

レオン「ハンサムなのは間違いないかもな。ハートのほうは」

アシュリー「レオンがそういうなら、そうかもっ」

リフト乗り場

メンデス「誰が勝手にリフトを動かした……? ちゃんと止めてあったはずなのに……」

村人「あ、いただよ。村長ーそんちょー」

「おーい、村長ーたいへんだがやー」

メンデス「お前たち!! リフトを勝手に動かすなと何度も総会で言っているだろう!!」

村人「ぬ、濡れ衣だべ! オラたちが来たときにはもううごいてたべ!!」

「そだよぉ、村長。村長が動かしたんじゃないんけ?」

メンデス「使ったあとはちゃんと停止させておいた。もう老朽化が激しいために長時間の使用は危険だからな」

村人「そんなの村の人間みーんなしってるだよ。なぁ?」

「そうだべ」

メンデス「……そうだな。疑ってすまない。ルイスの仕業だろうな」

村人「おぉ! そうそう、そのルイスだべや!!!」

「村長、大変だべ! ルイスがアシュリーさんを家の中に連れこんだんだべ!!」

メンデス「なに!?」

村人「レオンさんも一緒だから間違いがあったとはおもわないんだけども、俺が食ってやるーとかルイスが言ってたからオラたちはもうアシュリーさんが心配で心配で……」

メンデス「ルイスめ……サドラー様が今、どれだけ心を痛めているのか分かっていないようだな……」

村人「そろそろ本気でルイスをとっちめるべきだとおもんだけんども」

メンデス「そうだな。ルイスのことはサドラー様とサラザールに伝えておこう。何らかの罰を与えてくれるはずだ」

村人「お灸をすえてやらんといかんからね。よろしくおねげえしますだ」

「それじゃあ、村長。ルイスの家にいくべ。今ならレオンさんも一緒だし、都合がいいべ」

メンデス「いや。ルイスのことだ、簡単には掴まらんだろう。ここは泳がせてみるほうがいい」

村人「どうするっぺ?」

メンデス「まず、村へ戻る橋を全て落とせ。レオンさんとアシュリーさんに迷惑がかかるがこの際いたしかない」

村人「城のほうへ誘導するわけだな?」

メンデス「退路さえ封じてしまえば奴が選ぶルートは限られる。あとは通り道にあの姉妹を配置しておく。これで奴も終わりだ」

村人「姉妹って、あの姉妹だべか!?」

「村長、何もそこまでしなくても……」

「さ、流石にルイスが可哀相だべ……」

メンデス「良い機会だ。徹底的に奴を追い込む。連絡しておいてくれ。私はリフトの安全確認とメンテナンスをする」

村人「わかっただ。連絡するべ」

関所

妹「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

姉「どうしたの? 貴方のチェーンソーならそこにあるでしょ」

妹「違うの。今、村の人から連絡があったんだけど、ここにルイスが来るんだって。それで見つけ次第、捕まえてほしいってさ」

姉「またなんかしたの?」

妹「さぁ、よく知らない。いつものことじゃないの?」

姉「ホント、ダメな男よねー」

妹「お姉ちゃん、昔付きあってたじゃない」

姉「言わないでよ。チェーンソーを突きつけただけで震え上がるような男だって知ってたら付き合ってなかったわ」

妹「実は今でもちょっと好きだったりするんじゃないの?」

姉「やめてよ! もうなんでもないんだから!!」

妹「でもでも、あれからお姉ちゃん、誰とも付き合ってないし」

姉「良い男がこの村にいないだけでしょ!」


アシュリー「レ、レオン……チェーンソーをもった人が二人もいるけど……」

レオン「アシュリーは隠れていろ。合図するまで絶対に出てくるな」

妹「照れちゃってー」

姉「いわないでっていってるでしょー!!!!」ギュイィィィィン!!!!!

レオン「(なんておぞましい奇声だ……。ここからライフルでしとめるか……)」

レオン「(気づかれないように……)」チャカ

妹「ん? お姉ちゃん、あそこに誰かいるよ」

姉「え? どこどこ?」

妹「ほら、あそこ。見えにくいけど、いる」

姉「ルイスね。行くわよ」

妹「オッケー。ここでルイスの気持ちを確かめて寄りをもどそー」

姉「やめてってば!!!」

レオン「まずい、気づかれたか……!?」

妹「ルイィィィィィス!!!!!」ギュィィィィイン

姉「今度はなにしたのぉぉぉぉぉ!!!!!」ギュイィィィィン

レオン「くらえっ」バァン!!!!

姉「きゃ! 危ない!! ルイス、まさか……私に向かって銃を使ったの……?」

妹「サイテー!! チェーンソー持ってるだけで暴力振るうなんて!!!」

姉「やっぱりあのとき振って正解だったわ!!!」

レオン「外れたか。こうなったら――」ダダダッ

妹「近づいてくるよ、お姉ちゃん!!」

姉「いいわ! ここで過去を清算してやるわ!!」

レオン「(至近距離で撃つしかない)」

姉「貴方はもう過去の男なのよぉぉぉぉ!!!!!」ギュィィィイイン!!!!!!

レオン「止まれ!!」チャカ

姉「え……」

妹「あれ、ルイスじゃない」

レオン「(動きが止まった? 言葉は通じたのか?)」

姉「だ、誰なの?」

妹「しらないよぉ。村の人じゃないみたいだけど」

姉「貴方は誰なの!? 侵入者!?」ギュィィィィイイン!!!!

レオン「(何を叫んでいるが、攻撃してくる気配はないな。かといってチェーンソーを止める気はないようだが)」

姉「なんとか言いなさいよ!!」

レオン「(銃を向けても怯まないところは人間とはいえない気もするが)」

妹「なに、この人。チェーンソー向けてもビビってないね」

姉「少しは骨がありそうな男ね」

妹「どうする?」

姉「どうするって言われても。ねえ、貴方!」ギュィィイイン

レオン「(チェーンソーの切っ先を向けてきたか……。なら……)」

姉「どこの誰なのよ!? 質問に答えなさいよね!!」

妹「そーだ、そーだ」

レオン「――ふっ!!」バァン!!!

姉「きゃぁ!? なにするのよ!? あぶないじゃない!! 当たったらどうするつもり!?」

レオン「はっ!!」バッ

姉「あぁん、私のチェーンソー返してー! 商売道具なのにー!!」

レオン「(このチェーンソーを捨ててしまえば、脅威でもなんでもなそうだな)」ポイッ

妹「お姉ちゃんのチェーンソーを捨てないでー!!」ギュイィィィン!!!!!

レオン「――ふんっ」ポイッ

妹「私のチェーンソーがぁ!?」

姉「拾いにいくわよ!!」

妹「なにもあんな下のほうに捨てなくてもいいのにー!!」

レオン「アシュリー!!」

アシュリー「レオーン」テテテッ

レオン「今のうちにここを突破するぞ」

アシュリー「あの二人はこのままでいいの?」

レオン「弾薬を節約するに越したことはないからな。相手をするだけ無駄だ」

アシュリー「そっか!」

レオン「しっかりついてこい」

アシュリー「はーい」

姉「あぁ!! こら!! 待ちなさいよね!!!」

妹「このまま逃げるとかサイテー!!!」

レオン「ちっ。やはり追ってくるか」

アシュリー「レオン!! あそこに大きな扉があるわ!!」

レオン「あそこまで走れ!!」

姉「まちなさぁぁぁい!!!」ギュィィィィイン!!!!

妹「謝罪を要求するぅー!!!」

レオン「ふっ……くっ……!!」ゴゴゴッ

妹「お姉ちゃん! あの人、扉を閉めるつもりみたい!!」

姉「急がないと――」

レオン「またな」

バタンッ!!

妹「あー、逃げられちゃった」

姉「向こう側からカンヌキをかけたみたいね」ガチャガチャ

妹「ぶぅー」

姉「……」

ピリリリ……ピリリリ……

姉「はい。なんですか? ルイスは現れませんでした。そのかわりちょっとカッコイイ男性と可愛い女の子が……え……サドラー様の花嫁さん……? えぇ!? そうなんですか!?」

アシュリー「はぁ……はぁ……」

レオン「大丈夫か?」

アシュリー「う、うん……。それよりハニガンさんの言ってたピックアップ地点はまだなの?」

レオン「どうやらこの一際大きな門の向こう側のようだな」

アシュリー「ここ? なら、早くいこうよ」

レオン「そうしたいのは山々だが、鍵が必要みたいだ」

アシュリー「えー!?」

レオン「それもこれは普通の鍵じゃなさそうだ。虹彩認識で開く仕組みになっている」

アシュリー「こうさいにんしき?」

レオン「網膜スキャンだ」

アシュリー「誰の目を使えばいいんだろう」

レオン「こういった場所を自由に出入りできそうなのは……」

商人「おっ。レオン。どうした? その先にいきたいのか?」

レオン「お前、ここで何してるんだ?」

商人「そろそろ城に戻って寝ようかなって思ってたところだ。レオンが買いすぎた所為で商品の在庫がなくなっちまったよ。ありがとな」

レオン「悪かったな。ゆっくり休んでくれ」

商人「何か欲しいものがあればキープしておくぜ? ヘッヘッヘッヘ」

レオン「なら、ロケットランチャーを頼む。あれがあるだけで大体のことはなんとかなりそうだからな」

商人「よぉし、任せてくれ。こんなに羽振りがいい上客の要望には必ずこたえるぜ」

レオン「助かる」

アシュリー「ねえ、貴方はここを通れないの?」

商人「俺は無理だ。ここを開けることができるのは村長であるメンデスとサラザールとサドラーぐらいだ」

レオン「限られた人間だけしか開ける事ができないのか」

商人「普段は開けっ放しなんだが、ルイスを捕まえるために閉じたらしい。良い迷惑だぜ、全く」

レオン「メンデスはここに戻ってくるのか?」

商人「わかんねえなぁ。向こうにいっちまったからよ」

レオン「……ここで待っていればさっきのチェーンソー女が追いかけてくるかもしれないな」

アシュリー「じゃあ……」

レオン「アシュリー、鍵を貰いにいくぞ」

商人「オォ。そりゃ、助かる。生きて戻ってこいよ、レオン。ヘッヘッヘッヘ」

リフト乗り場

メンデス「大丈夫そうだな。これだけ動いていれば問題ないだろう」

メンデス「工具を戻しにいくか」

村人「オラたちもそろそろ戻るべ」

「そだなぁ。ルイスのこともさがさにゃいけないし」

村人「それにしても野郎二人でこんなリフトに乗るのは抵抗があるべなぁ」

「ウチのおっかぁがあと20歳わかけりゃ毎日乗るんだけどもなぁ」

村人「オラもそうだべな。昔はよくこのリフトでデートしたもんだべ」

「オレはこのリフトの上でプロポースしたんだべな」

村人「懐かしいっぺなぁ」

「ん? お、おい!! あれみろ!!」

村人「なんだべな? おぉぉ!? ありゃあ、レオンさんとアシュリーさんじゃねえべかぁ!?」

アシュリー「みつかった!?」

レオン「俺の後ろに隠れていろ」

村人「村長に連絡するだよ!! 連絡!! いそげー!!」

小屋

メンデス「ふー。腰が痛い。今日は良く働いた」

ピリリリ……

メンデス「どうしたぁ?」

村人『村長!! 今、そっちにレオンさんとアシュリーさんが向かったべ!!』

メンデス「なんだと?」

村人『しかも小屋のほうへ向かってるみたいだべ!!』

メンデス「そうか。陳謝する機会が訪れたか」

村人『村長、できればレオンさんを説得してほしいんだけども』

メンデス「ああ。もとよりそのつもりだ。レオンさんの誤解を必ずとく」

村人『おねげえしますだ!』

『村長だけが頼りだべな!!』

メンデス「朗報に期待しておけ」

村人『村長、かっこいいだー!!』

メンデス「――小屋に向かっているなら、下手に動かないほうがよさそうだな」

レオン「この小屋は……」

アシュリー「なんだか、不気味……」

レオン「俺、一人でいく。アシュリーは隠れていろ」

アシュリー「う、うん! 気をつけてね!」

レオン「ああ」ガチャ

レオン「……」

レオン「(ここにいるのか……?)」

メンデス「――来たか」

レオン「……!?」

メンデス「レオン・S・ケネディ……待っていた……」

レオン「俺も、アンタに会いたかった。あの網膜スキャンで開く門、開けてくれないか?」

メンデス「何をするつもりだ?」

レオン「向こう側に用事がある」

メンデス「先に言っておこう。サドラー様のことを勘違いしている」

レオン「勘違い? なんのことだ?」

メンデス「サドラー様はこの干からびた土地に潤いをもたらした御人。アシュリーのこともきっと幸せにしてくれるはずだ」

レオン「……」

メンデス「貴殿に対しての数々の非礼はここで詫びよう。だから、アシュリーをサドラー様に譲ってはくれないか?」

レオン「寝言を言うならベッドの中で言え」

メンデス「やはり、ダメか」

レオン「どこの世界に誘拐犯へ嫁ぐ女がいる。聖母マリアですら唾を吐いて嘲笑するだろ」

メンデス「……誘拐犯?」

レオン「しかも、卑劣なことに眠っているアシュリーに種を植え付けたとにやけながら言うような男だ。家族じゃなくても反対するだろ」

メンデス「それ以上、サドラー様を侮辱することは許さんぞ」

レオン「侮辱? 信者にとって都合の悪い事実は侮辱なんだろうな」

メンデス「サドラー様は若者が殆どいなくなり滅び行く運命にあった村を救ってくれた英雄だ!!!」

レオン「女の子を誘拐して悪戯する男が英雄か。笑えるな」

メンデス「黙れ……!!」

レオン「サドラーにだけはアシュリーを渡さない」

メンデス「貴様にサドラー様の何がわかるというんだぁぁぁ!!!!」

メンデス「ふんっ!!!」ドゴォ!!!

レオン「ぐぁ!?」

メンデス「いくら貴方でもサドラー様を貶めるような発言は控えていただく」

レオン「ぐっ……」

メンデス「村人のことを第一に考え、行動する。それがサドラー様だ。慈愛に満ちたあの御方の妻になれば悠久の幸福が約束される」

レオン「アシュリーはそんな幸せはいらないと言っていた。故郷に戻ってショッピングしているほうが何倍も幸せらしい」

メンデス「それはない。サドラー様の愛は届いていた。だからこそ、式の準備も進めていたのだ」

レオン「式だと?」

メンデス「そうだ。今はお前に連れ去れてたことで感情を上手くコントロールできないのだろう。少し頭を冷やせばアシュリーも分かるはずだ」

レオン「いい加減にしろ。俺は連れ戻しにきただけだ。アシュリーを連れ去ったのは、お前が信じる教祖様のほうだ」

メンデス「確かにサドラー様が誘拐したような形になったのかもしれない。だがそれは、愛ゆえの衝動だ。その愛をアシュリーは受け止めた。なれば、誰にも引き裂けん」

レオン「……待ってくれ。サドラーはアシュリーを何のために誘拐したんだ? 悪戯目的じゃないのか」

メンデス「断じて違う!! サドラー様はテレビに移っていたアシュリーに一目惚れしたのだ。そして、側近のクラウザーとともにアメリカまで会いにいった」

レオン「そこでナンパに失敗したから誘拐したということか?」

メンデス「誘拐ではないと言っている。愛ゆえの衝動だ」

レオン「衝動……。って、待て。今、なんていった?」

メンデス「なんだ?」

レオン「クラウザーと言ったか?」

メンデス「それがどうした?」

レオン「……ジャック・クラウザーがここにいるのか」

メンデス「知り合いか?」

レオン「ああ。昔の連れだ」

メンデス「今は孤島にいる。会いにいくのは難しいな」

レオン「クラウザー……生きていたのか……」

メンデス「レオン・S・ケネディ。ともかくアシュリーをこちらに渡せ。結婚式に参加すればどちらが正しいのかはすぐにわかる」

レオン「できない相談だな。俺の任務はアシュリーを救出することにある。アシュリーは本国へ連れて帰る」

メンデス「……任務?」

レオン「ああ」

メンデス「任務とはなんだ? お前は愛ゆえの衝動でアシュリーを連れ帰ろうとしているのではないのか?」

レオン「いいや。誘拐された大統領の娘、アシュリー・グラハムを救出せよと命じられてここまできたんだ。疑うならここで証明してもいい」

ハニガン『――という経緯でレオンには任務が与えられたわ』

メンデス「むぅぅ……」

レオン「どうだ、信じることができそうか?」

メンデス「まさか我がロス・イルミナドスが合衆国の標的になっていたとは……」

レオン「サドラーがどれほどの大罪を犯したのかは分かったようだな」

メンデス「待ってくれ!! アシュリーさんはサドラー様のことを愛していると言ったんだ!! それは間違いないんだ!!」

レオン「直接、アシュリーから聞いたのか?」

メンデス「いや……クラウザーから報告を……」

レオン「クラウザーが嘘をついた可能性もある」

メンデス「な、なぜ、そんな嘘を……」

レオン「それは本人に聞いてみないことには分からないな」

メンデス「ぐぅぅ……!! い、いや!! サドラー様には慈しみの心がある!! 潤沢な資産もある!! アシュリーさんはサドラー様と共に生きるほうが幸せだ!!!」

レオン「幸せにする相手を誘拐してどうする。誘拐するのは心だけで十分だ。そしてサドラーはアシュリーを誘拐できても、アシュリーの心は誘拐できなかった」

メンデス「違う……!! 違う……!! そんなはずは……!! そんなもの……お前の勝手な妄想だ……!!!」

レオン「よし。なら、本人の口から聞いてみるとするか。――アシュリー!! 出て来い!!」

門扉 前

エイダ「そう。この門は村長の目がないと開かないのね」

商人「ああ、そうなる」

エイダ「待つしかないわね……」

商人「で、お前さんは何か買っていってくれるのかい? ヘッヘッヘッヘ」

エイダ「カードは使えるの?」

商人「勿論だ! といっても今は在庫切れなんだ。入荷して欲しいものがあれば言ってくれ。レオンの友人なら多少無茶な注文でもうけてやるぜ」

エイダ「嬉しいわ。なら、お願いしたいものがあるのだけど」ペラッ

商人「これを用意しろって?」

エイダ「武器以外は無理なの?」

商人「なんでこんなものを?」

エイダ「必要だからよ。それ以外に理由がいるかしら?」

商人「ハッハッハッハ。いいや、ない。いいだろう、用意しておくぜ」

エイダ「ありがとう」

メンデス「――うぉぉぉおおお!!!!」ダダダダッ

商人「ンンン!! ウェルカァァム!!!」

メンデス「どけぇ!!!」

商人「どうしたんだ、血相変えて」

メンデス「サドラー様に確認しなければいけないことがある!!!」

商人「ふぅん。まぁ、門を開けてくれるなら文句はねえが」

メンデス「サドラー様ぁぁぁ!!!!」ガチャ

商人「さて、戻るか」

エイダ「やっと城のほうへいけるわね。ウェスカーが言ってたヘリが到着してくれていればこんなに待たなくてもよかったのに」

商人「災難だったなぁ」

村人「村長が城のほうへ戻っていっただなぁ」

「なんかあったぺな?」

「それよりも今はルイスをさがさないといかんべな」

「んだなぁ。アシュリーさんを傷物にされちゃあかなわんっち」

村人「レオンさんが手を出してたらどうするべ?」

「レオンさんはそういうことしなさそうじゃねえべか? 式の日に花嫁を連れ去るぐらい熱い男だべ。オラはサドラー様と同じくらい誠実な人だと思うべな。ただ、誘拐はよくないべなぁ」

メンデス「うぉぉぉぉおお!!!」

村人「村長! どこいくんだべ!?」

メンデス「サドラー様に会いにいくんだ!!」

村人「もうサドラー様はお休みになってると思うべ」

メンデス「関係ない!! ああ、あとレオンさんとアシュリーさんも城へ行きたいといっていた!! そこにあるトラックで迎えにいけぇ!!!」

村人「わ、わわ、わかっただ!!」

メンデス「頼むぞ!!」

村人「こ、こわかっただなぁ」

「レオンさんとアシュリーさんを迎えに行けといってただな。きっとレオンさんが話し合いに応じてくれたんだべ」

村人「おぉ、それは急がなきゃいかんち」

「急いでいくべな」

村人「車のキーはどこだべ?」

「ここにあるだ。気をつけるだぞ。昼にも交通事故があったばっかりなんだからな」

村人「心配いらねえだ。あのときはブレーキがぶっ壊れてただけだっぺ」

「そだけどなぁ」

レオン「あいつ、どこまで行ったんだ」

アシュリー「もうお城まで行ったのかな?」

レオン「なんて足の速さだ」

アシュリー「それだけショックだったのかな。私がサドラーさんのことなんて大嫌いだって言ったのが」

レオン「信じていたものに裏切られた経験はあるか?」

アシュリー「ううん……ないけど……」

レオン「そういうときは走り出したくなるもんだ」

アシュリー「そうなんだ」

ブロロロロ……

レオン「なんだ?」

アシュリー「トラック! 坂の上からトラックがくるわ!!」

レオン「しまった!! 罠か!?」

村人「ブレーキがきかねえだぁぁぁぁ!!!! うわぁぁぁ!!!!」

「ハンドルきれ!! 目の前にレオンさんとアシュリーさんがいるだ!!! ハンドルきってよけろぉぉぉ!!!」

村人「アシュリーさんに傷なんてつけてたまるかぁぁぁ!!!」

ズゥゥゥン……!!!

アシュリー「び、びっくりしたぁ……」

レオン「トラックが横転しなかったら轢かれてたな」

アシュリー「やっぱり、私の所為でレオンは命を狙われているの?」

レオン「覚悟の上だ。気にするな」

アシュリー「レオン……」

村人「今の凄い音はなんだべ!?」

「まーた交通事故だべか!?」

レオン「ちっ! アシュリー!! 城まで走れ!!」

アシュリー「ええ!」

村人「レオンさんがいるじゃねえか!!」

「いそぐだ!! 今の事故で二人が怪我でもしてたらたいへんだぁ!!」

「レオンさーん! アシュリーさーん!! 怪我はないだべかー!!」

レオン「アシュリー! ヤツラが追ってこれないように橋をあげる!! 手伝ってくれ!!」

アシュリー「うんっ! 任せて!!」

城内

サドラー「このままでは私の威厳が……カリスマが……。なんとか村の者たちに真相が伝わってしまう前に手を打たねば……」

サドラー「プラーガでアシュリーを操るしかないのか……」

サラザール「失礼します」

サドラー「何用だ、サラザール」

サラザール「サドラー様、メンデスが謁見させろと騒いでいます」

サドラー「メンデスが?」

サラザール「どうしても確認したいことがあるとかで」

サドラー「分かった。通せ」

サラザール「あと先ほど、ケネディ君とアシュリー様も城内に入ったとのことです」

サドラー「そうか。その二人も……」

サラザール「どうされますか?」

サドラー「サラザール、なんとかケネディ君からアシュリーを引き離せ」

サラザール「何かお考えでも?」

サドラー「教団の威厳を守るために苦渋の選択をしたまでのことだ」

サラザール「メンデス。サドラー様がお呼びだ」

メンデス「分かった」

サラザール「……ルイスはどうなった?」

メンデス「それどころではない。サドラー様は我らを謀っていたかもしれないのだからな」

サラザール「アシュリー様ご自身がサドラー様のことは愛していないと言ったのだな?」

メンデス「この耳でしかと聞いた」

サラザール「そうか。ふふふ。それは面白くなってきたな」

メンデス「そうだな。サドラー様を問い詰めれば真実も顔を出すだろう」

サラザール「凶報にならないことを祈る」

メンデス「サドラー様ぁぁ!!」ダダダッ

サラザール「フフフフ。おい」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「あのトラップの準備をしておけ」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

サラザール「私はサドラー様の命令通りに動きます……命令どおりに……フフフ……ハハハハハ……」

通路

アシュリー「お城の中、広いね」

レオン「無駄にな。悪趣味なのがよく分かる」

アシュリー「でも、これぐらいおっきなお城で王子様と一緒に住んでみたいなぁ」

レオン「君はそういうことをよく考えるのか?」

アシュリー「そんな夢見がちな女は嫌い?」

レオン「いや。可愛いと思う」

アシュリー「うれしいっ」ギュッ

ペタペタペタ……

レオン「……なんの音だ?」

アシュリー「どうした――」

ノビスタドール「キシャァァァ!!!」ガシッ

アシュリー「え!? なになに!? わたし、宙に浮いてる!?」

レオン「アシュリー!!!」

アシュリー「レオーン!!!」

ノビスタドール「キシャァァァ!!!」ポイッ

アシュリー「きゃぁ!? いったぁい!」

レオン「見えない何かがいるのか!?」

ノビスタドール「シャァァ……」

アシュリー「……ここになんかいる?」ツンツンッ

ノビスタドール「キシャァァァ!!」ゲシッ

>>130
ミス

ノビスタドール「キシャァァァ!!!」ポイッ

アシュリー「きゃぁ!? いったぁい!」

レオン「見えない何かがいるのか!?」

ノビスタドール「シャァァ……」

アシュリー「……ここになんかいる?」ツンツンッ

ノビスタドール「キシャァァァ!!」ゲシッ

アシュリー「あんっ」

レオン「この化け物め!! アシュリーから離れろ!!」バァン!!!

ノビスタドール「ギャァ!?」

アシュリー「やったぁ」

レオン「はぁ……。アシュリー、怪我はないか?」

アシュリー「うん、なんとか。思い切り壁で背中を打っちゃったけど――」

ガチャン!!!

アシュリー「あれ?」

バタンッ!!!

サラザールの部屋

アシュリー「……え?」

サラザール「ようこそ、アシュリー様。私の部屋へ」

アシュリー「どういうこと!? なんで!? レオンは!?」

サラザール「ケネディ君は壁の向こう側です。ここだけ回転ドアみたいになっていましてねぇ」

アシュリー「なんでそんな……くっ……!! うごけない……!!」ガチャガチャ

サラザール「フフフ。無駄です。簡単には外れません」

アシュリー「……貴方だれ?」

サラザール「おや、私のことは誰からも聞いていないですか? 私はこの城の八代目の主、ラモン・サラザールです」

アシュリー「……それで?」

サラザール「聞きましたよ、アシュリー様。サドラー様とは結婚する気がないと」

アシュリー「そうよ。それは村長さんにちゃんと伝えたわ」

サラザール「そうですかそうですか。確かに無理矢理なんてレディに対しては失礼極まりない行為ですからね」

アシュリー「種付けしたいとか卑猥なことを言ってるのが一番失礼だわ」

サラザール「おぉ、サドラー様がそのようなことを? これは本当に申し訳ありません。サドラー様に代わり、私が謝罪します」

アシュリー「そうよ。私、最初はもう初めてが奪われたかと思って、本当にショックだったんだから。村長さんの説明ではそれはないっぽいけど」

サラザール「ええ。サドラー様にそのような度胸は皆無。今まで女性との経験が一度もない御人ですからね」

アシュリー「えぇ……あの歳で……?」

サラザール「ええ。実にピュアなかたなのですよ」

アシュリー「そ、そうなんだ……」

サラザール「なので、貴方の体には一切触れていないことは保障できます。ご安心を」

アシュリー「あの……」

サラザール「なにか?」

アシュリー「それは分かったから、レオンのところに帰して」

サラザール「何故?」

アシュリー「何故って……」

サラザール「貴方はケネディ君のことが好きなのですか?」

アシュリー「好きというか……あの……私の王子様……だし……」モジモジ

サラザール「なるほど。おい、ケネディ君を殺しにいけ」

ヴェルデューゴ「……?」

サラザール「首をかしげるな!! そこは素直に首を縦にふれ!!」

ヴェルデューゴ「……」オロオロ

サラザール「レオンさんはいい人だから殺せない!? 何を言っているんだ!! 奴は我々の敵だぞ!!」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

サラザール「お前は私の右腕だろう!! 早くいけ!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「いけっ!!」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

アシュリー「ま、待って!! レオンに酷いことしないで!!」

サラザール「フフフフ……。そう言ってくれるのを待っていましたよ。アシュリー様」

アシュリー「な、なに……?」

サラザール「私、こう見えても二十歳なのです」

アシュリー「えぇ……」

サラザール「人を見かけて判断してはいけませんよ。城主としてそろそろ結婚相手が欲しいと思っていたところなのです」

アシュリー「も、もしかして……」

サラザール「貴方は美しい!!」

アシュリー「ひっ……」ビクッ

サラザール「私の妻に相応しい。サドラー様とは婚約破棄したのなら、私と婚約しましょう」

アシュリー「そ、そんなのいやよ!!」

サラザール「貴方に不自由はさせません。それにこういった広いお城に住みたいと先ほど仰っていたではないですか」

アシュリー「どうして知ってるのよ!?」

サラザール「アハハハハハ。ここは私の城ですよ。音声や映像は全て見ることができます」

アシュリー「……トイレも?」

サラザール「さぁ、ケネディ君を殺されたくなければ、私と結婚しなさい」

アシュリー「なっ……」

サラザール「私の妻になればケネディ君の命は助けましょう。いい条件だと思いますが」

アシュリー「うぅ……」

サラザール「さぁ、どうするのですか?」

アシュリー「くっ……」

サラザール「選択の余地などないでしょう。アハハハハハ」

城内

レオン「くそ!! アシュリーはどこに連れていかれたんだ!!」

レオン「(いや、落ち着け。アシュリーに危害を加える気がないことはもう分かっている。焦る必要は……)」

レオン「(あるか。サドラーの手に落ちたら、何をされるか分からない。もしアシュリーが……)」

レオン「おかしなことを考えるのはよそう。今はとにかく探さないと」

邪教徒「レオンさんだ」

「ホントだ。レオンさんだ。噂ではきいてたけど、マジでイケメンだな。モテるんだろうなぁ、羨ましい」

「ここにいるってサドラー様に伝えるか?」

邪教徒「いや、それよりも今はルイスのほうだ。さっきの見たろ、ノビスタドールが実用化されてしまっているんだぞ」

「確かにマズいな。透明になれるなんて反則だもん」

「ルイスが何をしようとしてるのか、考えるまでもないよな」

邪教徒「リヘナラドールはいいとしてもノビスタドールは犯罪だもんな」

「ルイスを捕まえるのにレオンさんが協力してくれたら嬉しいんだけどなぁ。ま、こっちの言葉は通じない無理か。変なことして誤解されたらやばいし」

邪教徒「そうだ! ルイスの研究資料を見せたらレオンさんも本気になってくれんじゃね?」

「おぉ! ナイスアイディアだな! あれ見たら誰だってブチ切れるはずだもんな!! ちょっととってくる!」

レオン「アシュリー!! どこだ!!」

レオン「ここにもいないか……。一体、どこに……」

邪教徒「レオンさんがいたぞー!!!」

レオン「見つかったか……!! こんなところで時間を食うわけにはいかない。一撃で終わらせる」ジャキン

「レオンさんがロケットランチャーをかまえたぞー!!!」

「ちれー!!」

レオン「ふっ――」バシュッ!!!!

ドォォォォン!!!!

レオン「今だ」ダダダッ

邪教徒「ゴホッ……ゴホッ……。ダメだ、この研究資料わたせねぇよ」

「困ったなぁ。俺たちのことメチャクチャ警戒してるし、無理じゃね?」

「だけど、ルイスは早いところ捕まえないと世界が終わるぞ」

「その資料をレオンさんに渡すとっておきの方法がある」

邪教徒「どうするっていうんだ?」

「聖堂に行こうぜ、聖堂」

サドラーの部屋

サドラー「……アシュリーの言葉を鵜呑みにして、ここまで来た。そういうわけか?」

メンデス「ええ。私ははっきりとこの耳で聞きました。サドラーのことは嫌いだ、と。サドラー様、説明してください」

サドラー「……」

メンデス「アシュリー様に貴方の愛など通じていない。クラウザーは誘拐に近い形で連れてきてしまったと言っていたが、本当はただの誘拐だったのではないですか?」

サドラー「……」

メンデス「それではサドラー様がいくら愛していても、想いなど届くはずがない!!」

サドラー「ふふふ……はははは……」

メンデス「サドラー様!!」

サドラー「アシュリーはケネディ君に何らかの洗脳を施したとは考えないのか。そう、プラーガのような」

メンデス「なんですって……」

サドラー「ケネディ君がルイスと繋がりがあったことは周知の通りだ。奴が手を貸したのだよ」

メンデス「ぬぅ……」

サドラー「アメリカから来た男とカリスマの私。どちらが信用に値するか、わかるな?」

メンデス「そ、それは……!! しかし……!!」

サドラー(単純な男で助かる)

メンデス「レオン……私は何を信じていいのかわからない……」

サドラー「混乱するのも分かる。だが、真実は一つだ」

メンデス「……」

サドラー「今、ケネディ君とアシュリーは城内にいるようだから、見かけたらここまで案内してあげてほしい」

メンデス「はい」

サドラー「頼む」

サドラー(このプラーガを二人に打ち込むしかない。そしてケネディ君には帰ってもらって、既成事実を作ったあとはプラーガ除去装置で……)

メンデス「失礼しました」

サドラー「ああ」

メンデス「……」

メンデス(確かに、アシュリー様がレオンによって洗脳させられている可能性もある)

メンデス(だが、あの男がそのような卑劣な手を講じるようには到底見えない)

メンデス(私はどうすればいい……何を信じれば……)

メンデス(もう一度二人に会って確かめるか……)

客室

サラザール「ここが貴方と私の愛の巣になります。ひひひひ」

アシュリー「そ、そうですか……広い部屋ですね……。もしかしていきなり一緒の部屋で?」

サラザール「安心してください。ここのレバーを操作すれば鉄格子がおりてきます」

アシュリー「すごいですね……」

サラザール「親しき仲にも礼儀ありですからね。1人になりたいときはレバーを操作してください」

アシュリー「あの、レオンは?」

サラザール「勿論、無事です。今はまだ」

アシュリー「どうして!?」

サラザール「私と貴方の結婚式が終わるまでは保留ですよ」

アシュリー「そんな……」

サラザール「何も不安になることはありません。貴方を不自由にはさせません」

アシュリー「なら、腕を縛ってる縄をとって」

サラザール「申し訳ありません。念のためですから」

アシュリー「……」

サラザール「私はこの城で1人なのです」

アシュリー「はい? サドラーさんとかいるじゃないですか」

サラザール「サドラー様は城の一室を使っているだけで、家族ではありません」

アシュリー「家族……?」

サラザール「天涯孤独の身なのです。両親も15歳のときに亡くしまして、それからはこの広く冷たい城で1人孤独に生活していました」

サラザール「無論、私の右腕であるヴェルデューゴが身の回りのことはしてくれますが、異形の存在でとても人間とは呼べない」

アシュリー「人じゃないんですか、この人?」

サラザール「顔を見せてあげなさい」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

サラザール「なに? 怖がらせてしまうから、嫌だと?」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

サラザール「いいからそのフードをとれ!!」

ヴェルデューゴ「……」オロオロ

アシュリー「あの、困ってるみたいですから、いいです」

サラザール「そうですか? 貴方がそういうなら」

サラザール「私は家族が欲しいのですよ」

アシュリー「それで、結婚を急いでいるんですね」

サラザール「はい。そうなります」

アシュリー「……あの」

サラザール「なんですか?」

アシュリー「この右腕さんは人じゃないって言ってますけど、どういう意味なんですか?」

サラザール「ルイスという下品な男が作ったものです。私の世話係としてね」

アシュリー「そんなのメイドさんでも雇えば……」

サラザール「長続きしないのです。何分、大きな城ですからね」

アシュリー「そうなの?」

ヴェルデューゴ「……」オロオロ

アシュリー「(なんか怪しいなぁ……)」

サラザール「それはさておき、アシュリー様」

アシュリー「な、なんですか」

サラザール「お酒でも飲みませんか? 極上のワインがあるんですよ。ウヒヒヒ」

アシュリー「お、お酒は飲みませんから……。それに腕も縛られているし……」

サラザール「何も問題ありません。私が口移しで飲ませてあげますから」

アシュリー「ちょ……!?」

サラザール「さぁ、アシュリー様ぁ。愛の契りを」

アシュリー「ま、まって!! まって!!」

サラザール「逃げられませんよぉ。もう諦めて私の妻となりなさい。ウヒヒヒヒ」

アシュリー「い、いや……」

サラザール「拒絶するのですか。では、やはりケネディ君には死んでもらいましょうか」

アシュリー「ひ、卑怯よ!!」

サラザール「卑怯で結構。私はどんな手を使ってでも貴方を娶ると決めましたからね」

アシュリー「やめて……」

サラザール「ケネディ君を死なせたくないなら、私を愛しなさい」

アシュリー「うぅぅ……こんなことって……」

サラザール「ウヒヒヒヒ!!」

アシュリー(パパ……ママ……レオン……ごめんなさい……。私は……こんな背も器も小さい男の妻になるしか……ないみたい……)

ヴェルデューゴ「……」ツンツン

サラザール「なんだ!? 今、いい雰囲気になっているだろうが!! 空気を読んで出て行け!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「何? アシュリー様が鬼ごっこをしたがっている? 何を馬鹿なことを。そんなこと一言もいっていないだろうが」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「目を見ればわかるだと?」

アシュリー「右腕さん……?」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

アシュリー「……!」

サラザール「アシュリー様、本当ですか?」

アシュリー「う、うん! 実はそうなんです!! 私、結婚したら部屋の中で鬼ごっこをするのが夢だったんです!!」

サラザール「ほう?」

アシュリー「私が逃げるほうで、夫が追いかけるの。それで捕まったら……そのまま……」モジモジ

サラザール「ほほう。そのほうが興奮するというのですか。いいですねぇ。ウヒヒヒヒ。アシュリー様がヤりたいというならヤりましょうか」

アシュリー「わ、わーい。やったぁ。うれしいなぁ」

アシュリー「キャー」

サラザール「ウィヒヒヒ、まてまてー」

アシュリー「いやーん、やだー」

サラザール「どこにも逃げ道なんてないぞー」

アシュリー「捕まったらエッチなことされちゃうー」

サラザール「ウヘヘヘヘ」

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「あーん、しつこーい」

サラザール「おっと、そっちはベッドルーム。もう、わかっているのです。貴方もスケベだったことに」

アシュリー「そんなことないもんっ」テテテッ

サラザール「クヒヒヒ。ほーら、もう追いついちゃう――」

ヴェルデューゴ「……」グイッ

ガシャン!!!

サラザール「な……!? おい!! 貴様!! 何故、鉄格子をおろした!?」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「早く鉄格子をあげろ!!」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

サラザール「あげたくないだと!? 私に歯向かうというのか!? お前はただの世話係だろう!! 勝手なことをするな!!!」

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「右腕さん、本当にいいの?」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

アシュリー「ありがとう! あ、でも、これから、どうすればいいの?」

ヴェルデューゴ「……」クイッ

アシュリー「あのクランクを回せば、レオンのところに戻れる?」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

アシュリー「そうなんだ! 何から何まで本当にありがとう、右腕さん!」テテテッ

サラザール「おい!! アシュリー様をとめろ!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「私の命令がきけないかぁ!!!」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

アシュリー「んーしょ……んーしょ……」

サラザール「人形のお前は私のいうことを聞いていればいいんだ!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「アシュリー様をとめろ!! そしてケネディをころせぇぇ!!」

アシュリー「開いた!」

サラザール「あぁぁ!! まてぇぇ!!」

アシュリー「サラザールさん。右腕さんは人間じゃないのかもしれないけど、貴方よりは人の心をもってると思うわ」

サラザール「きぃぃいい!! なんだとぉ!!! 言うに事欠いて私がこの人形より劣っているだと!? ぶっころしてやる!!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「お前なんてサドラー様に言えば、簡単に操れるんだからなぁ!!! 分かっているのかぁ!!」

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「右腕さん、あの……」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

アシュリー「気にするなって……。ごめんなさい。レオンにいってみるから!! 右腕さんも助けてあげてって!! だから、少しだけ待ってて!!」ダダダッ

サラザール「まてぇぇ!!! ここをあけろぉ!!!」

聖堂

モリネズミ……モリネズミ……モリネズミ……

レオン(なんだあいつら……。何かの儀式の最中か……?)

邪教徒「(レオンさん、きた?)」

「(うん、いるいる。上から俺たちのこと見てるぜ)」

「(マジで?)」

「(バカ野郎、顔あげんな。バレるだろ)」

レオン「(1人を捕まえてアシュリーの居場所を吐かせるか……?)」

邪教徒「(じゃあ、そろそろ行くぞ。お前ら、わかってるな? 一斉に向こうの通路へ走るんだぞ)」

「(それでレオンさんが追いかけてこないように扉に鍵をかけるんだろ。分かってるって)」

レオン(閃光弾で行くか)ポイッ

邪教徒「あそこにいるぞー!!!」

ボォン!!

邪教徒「まぶし!!」

「目がー!! 目がー!!」

邪教徒「とりあえずにげろー!!」

「うわぁぁぁ!!!」ダダダッ

レオン「逃げる気か!!」ダダダッ

「はやくしめろ!!」

「うぃーす」

バタンッ

邪教徒「あぁん! ちょっと!! 閉めるのはやいってぇ!! 僕、取り残されてるじゃーん!! あけてー!!」ドンドンッ

レオン「止まれ。お前には聞きたいことがある」

邪教徒「あぁ、神よ、何故このような仕打ちをするのですか」

レオン「おい。俺の言葉が分からないのか」

邪教徒「これでも毎日5時に起きてミサとか無遅刻無欠席なのですが」

レオン「やはりダメか。これだとアシュリーの居場所も分からないな」

邪教徒「真面目に生きてきたつもりだったのにぃ」

レオン「とりあえず拘束しておくか」グイッ

邪教徒「やめてぇ! 乱暴しないでぇ! レオンさーん!!」

レオン「ハニガン、聞こえるか? ハニガン? ハニガン、応答してくれ。ちっ、通信機が使えない。妨害電波でも出てるのか」

邪教徒「ケータイみたいなの使ってるぅ。ここ万年圏外なんだよね」

レオン「ダメか。仕方ない。先に進むか。進めるところはあるか……?」

邪教徒「レオンさん!! あれ!! あれ!! 祭壇のところ!! 調べて!!」

レオン「何を騒いでいる?」

邪教徒「祭壇に見て欲しいものがあるのにぃ!!」

レオン「何か見られて困るものでもありそうだな。少し調べてみるか」

邪教徒「おぉ、そうそう。そのまま……」

レオン「ん……? これは?」ペラッ

邪教徒「ビンゴぉ!! ひゃっほぉ!! これでルイスも年貢のおさめどきだぜぇぇ!!」

レオン「奇声をあげるほど焦っているみたいだな。どうやらこれが困る品らしい。見てみるか」

邪教徒「ルイスの悪事も今日で終わりだな。しかし、これに関してはサドラー様も悪いよなぁ」

レオン「このファイルはルイスの研究日誌か……」

レオン「プラーガ……リヘナラドール……ノビスタドール……目的……」ペラッ

レオン「これは……!!」

庭園

犬「ワンワン!!」

エイダ「おいで」

犬「クゥーン」

エイダ「ふふ、いい子ね。名前はなんていうのかしら?」

犬「ワンッ!」

エイダ「首輪に書いてあるみたいね。オルトロスっていうの。いい名前ね」ナデナデ

犬「ワンっ」

ウェスカー『――エイダ、今何をしている?』

エイダ「サンプルの回収を進めているところよ」キリッ

ウェスカー『そうか。ヘリはもうすぐそちらに到着するはずだ。到着ポイントはすぐに送る』

エイダ「ありがとう。孤島まで運んでくれると嬉しいわ」

ウェスカー『そのことも既に伝えてある。レオン・S・ケネディはどうなった?」

エイダ「いい囮になってくれています。では、私はこれで」

ウェスカー『健闘を祈る』

エイダ「さてと、オルトロスに癒してもらったし、そろそろ仕事をしましょうか」

レオン「これが本当だとしたら……」

エイダ「あら、レオン」

レオン「……エイダ?」

エイダ「久しぶりね」

レオン「噂は本当だったのか」

エイダ「何のことかしら?」

レオン「ウェスカーの組織にはいったらしいな」

エイダ「よく知ってるわね」

レオン「何故……」

エイダ「聞いてどうするの?」

レオン「こんなところで何をしている?」

エイダ「ふっ。言うと思う?」

レオン「プラーガのことか?」

エイダ「さぁ、どうかしら?」

レオン「これは知っているか?」

エイダ「何その紙切れ?」

レオン「ルイスが書いた研究レポートだ」

エイダ「ルイスの?」

レオン「恐ろしい研究だ。世界が引っくり返るぐらいのな」

エイダ「ラクーンシティとどちらが怖い?」

レオン「同じぐらいだな」

エイダ「そう。相当怖いのね」

レオン「ノビスタドールが生まれた理由が常軌を逸している」

エイダ「それだけサドラーとルイスは本気だったということでしょう」

レオン「やはり何か知っているみたいだな、エイダ」

エイダ「じゃあね、レオン」

レオン「待て!」

エイダ「ウェスカーに怒られちゃうから、イヤ」タタタッ

レオン「エイダ!! ――この研究レポート、どうやらただのハッタリではなさそうだ」

城門

メンデス「しまった。外に出てしまったか」

邪教徒「もー。だれよぉ、橋をあげちゃったのはぁ。村の人はいってこれないじゃないのよぉ」

メンデス「手伝おう」

邪教徒「あれ、村長。なにしてんですか?」

メンデス「サドラー様に用があってな」

邪教徒「丁度良かった。一緒にルイスを探してくれませんか?」

メンデス「ああ。勿論だ。だが、今はアシュリー様の捜索を優先させたい」

邪教徒「確かにアシュリーさんを先に保護しておいたほうがいいかもしれませんね」

メンデス「どういうことだ? 既にレオンにかけられた疑いは晴れている。アシュリー様を保護する必要はない」

邪教徒「いや、違うんですよ。ルイスのやつ。ノビスタドールを完成させちゃってたみたいで」

メンデス「ノビスタドールを!? バカな!! あれはルイスの空想だったはずだ!!」

邪教徒「そんなの俺たちもサドラー様もそう思ってましたよ。でも、さっき見ちゃったんです。ノビスタドールがアシュリーさんに悪戯してるところを。しかも壁ドンですよ、壁ドン」

メンデス「ア、アシュリー様に……な、なんてことだ……。あの男、落ちるところまで落ちたか……!!」

邪教徒「だから今、全力でルイスを探しているんですよね。んで、村の人にも手伝ってもらおうと思って」

メンデス「一刻の猶予すらなさそうだ」

邪教徒「よいしょ、よいしょ」

ガコンッ

村人「おー、やっとこさ城に入れるだべな」

「よかったべぇ」

邪教徒「村のみなさん、一緒にルイスを探してもらえますか」

村人「勿論だべなぁ。ついでにレオンさんもさがさなあかんち。サドラー様の誤解をとかないといかんしな」

メンデス「全員、武器を持て」

邪教徒「武器?」

メンデス「もはやルイスを野放しにしておくことはできない。奴はあのノビスタドールを完成させ、アシュリー様を襲ったらしい」

チェーンソー男「あの透明になれるノビスタをけ!?」

姉「ついにやっちゃったわけね、ルイスのバカが」

妹「お姉ちゃん、やっぱりあの計画を聞いたときにチェーンソーのサビにしちゃえばよかったんだよ」

姉「そうね。後悔してるわ」

メンデス「ルイスを見つけ次第、武器で脅し動けなくしろ。それとサドラー様にも報告だ。いそげ!!」

サドラーの部屋

サドラー「アシュリーはまだ見つからないか。クラウザーを呼び戻したほうがいいかもしれないな」

リリリン……リリリン……

サドラー「私だ」

サラザール『サドラー様、大変です! 今、アシュリー様を見つけ、保護したのですが右腕のヴェルデューゴが逃がしてしまいました!』

サドラー「アシュリーはどこへ逃げた?」

サラザール『今、城内のカメラで探していますがまだ……』

サドラー「早くしろ!! 今現在、ルイスも戻ってきているのだぞ!! 万が一のことがあればどうするつもりだ!!」

サラザール『責任は全てヴェルデューゴにあります!!』

サドラー「言い訳はいい!! 早く探せ!!」

サラザール『はいぃ!!』

邪教徒「サドラー様!! 緊急事態です!!」

サドラー「次はなんだ?」

邪教徒「ルイスがノビスタドールを城内に放っていました!! その所為でアシュリー様が怪我をしたのではないかということです!!」

サドラー「ルイス……。プラーガの研究がそこまで進んでいたことを私にすら隠していたか……」

城内

邪教徒「見つけたかー!?」

村人「こっちにはいねえだ!!」

「早くみつけるだよ!!」

レオン「(村の人間まで城に……。アシュリーは無事なのか……)」

レオン「(早く見つけなければ。だが、この広い城内、どこを探せば……)」

「――ヘイ、レオン」

レオン「……!」チャカ

ルイス「おいおい、俺とお前の仲だろ。そういうのは失礼じゃないのか」

レオン「ルイス。生きていたのか」

ルイス「俺はここの生まれだ。隙間風が入り込む場所がいくつあるのかも知ってる」

レオン「そういうことか」

ルイス「村の人間もお前とお嬢さんのことを探している。これからはお互いに動きにくくなるな」

レオン「……ルイス、聞きたいことがある」

ルイス「なんだよ、改まって。何でも聞いてくれ。いい女の電話番号でも欲しいのか?」

レオン「プラーガに関する研究レポートを見つけた」

ルイス「なに、どこでそれを?」

レオン「聖堂だ。何故か教徒らが崇めていたぞ」

ルイス「ハハッ。そりゃ崇めたくもなるだろうな。そこには色々と夢とロマンが詰まっているからな」

レオン「リヘナラドールのことはまだしも、ノビスタドールは看過できないぞ」

ルイス「仕方ねえだろ。プラーガを研究する過程でその可能性を見つけちまったんだからよ」

レオン「そしてお前は完成させてしまい、怖くなって逃げ出したのか」

ルイス「そうなるかな。すげえだろ。迷彩仕様の生体兵器だ。戦場では縦横無尽に働いてくれるだろうぜ」

レオン「……というのは表向きだろう?」

ルイス「……」

レオン「ここにはこう書いてある。ついにノビスタドールが完成した。透明になれるあいつを使えば好きなだけ女に悪戯できる、とな」

ルイス「あぁ、それを拾ったのか」

レオン「この虫の所為でアシュリーは行方不明だ」

ルイス「お嬢さんが? おいおい、トイレじゃないのか」

レオン「違う!! アシュリーは壁の向こう側に行った。答えろ、ルイス。アシュリーをどこへやった!」

ルイス「待て待て待て、レオン。俺はお前たちと一緒に村のほうにいたんだぜ? ノビスタドールを操ってお嬢さんを攫わせることなんて時間的に不可能だろうが」

レオン「……そうか。すまない。なら、ノビスタドールを使ってアシュリーを連れ去ったのは、この城にいる人間になるか」

ルイス「勝手に使ったのは多分サラザールぼっちゃんだろうな。あいつは至る所に監視カメラを仕掛けるクズ野郎だから、俺がどんな研究をしていたのかサドラーよりも知ってるはずだ」

レオン「サラザールがどうしてアシュリーを?」

ルイス「あいつはサドラーの操り人形だ。サドラーに言われたに決まってる」

レオン「そうならサラザールを探し出せばアシュリーとサドラーの居場所も分かるということか」

ルイス「だが、気をつけろ。お嬢さんは既に寄生されているかもしれない」

レオン「プラーガにか」

ルイス「一度寄生されちまうと孤島にあるプラーガ除去装置でしか治療はできねえからやっかいだ」

レオン「孤島にそれがあるなら、そこへも観光しに行かないといけないな」

ルイス「俺は自分の部屋に戻ってプラーガの成長を抑える薬を取りにいく」

レオン「どうして?」

ルイス「良心の呵責ってやつだ」

レオン「お前は自分の欲望のために研究していたわけじゃないのか」

ルイス「言っただろ。俺はサドラーに言われて研究していただけだ。言い訳にもならねえがな。じゃ、また会おうぜ」

ゴンドラ乗り場

邪教徒「発車しまーす」

「はーい」

「もうちょっと詰めろよ」

「待てよ。おすなって」

「誰!? お尻さわったの!!」

邪教徒「では、出発進行」

ゴォォォォォ!!

アシュリー「わぁ、なにあれ、楽しそう」

アシュリー「城内はあれで移動しなきゃいけないのかな。まぁ、このお城すごく広いもんね」

アシュリー「サドラーさんやクラウザーさんもアレに乗ってるかと思うと、なんか不思議。サラザールさんは違和感ないけど」

アシュリー「あれに乗っていけばレオンに会えるかな……。どうしようかなぁ……」

アシュリー「でも、ここで待っていても誰かに見つかっちゃうかもしれないし」

アシュリー「よーし」

アシュリー「のろっと」テテテッ

邪教徒「はーい。到着でーす。足下に気をつけておりましょう」

「やっぱりスリルあるよな、これ」

「クラウザーもいい仕事するよな」

「孤島のほうにも遺跡風のアトラクションあるもんな。器用だわ」

「でもあそこ3つのレリーフ集めないと外でれないんだろ? んで、最後の一つはクラウザー本人が持ってるって話じゃん。どうやってクリアすんの」

「ジャンケンじゃね?」

邪教徒「お喋りはそのぐらいにして。さぁ、ルイスを探しますよ」

「「おぉー」」

レオン「……」

レオン「(ゴンドラ乗り場か。向こうからやってきたってことは、今向こう側は手薄かもしれないな)」

ゴォォォォ……

レオン「(もう一台来るか)」

アシュリー「――わーいっ。到着っ」

レオン「アシュリー!!」

アシュリー「あぁ、レオーン!!」

レオン「怪我はないか!?」

アシュリー「うん! なんとか!」

レオン「よく1人で頑張ったな」

アシュリー「ううん。私一人だけだと多分、このままサラザールさんの餌食になってたかも……」

レオン「サラザールに何かされたのか?」

アシュリー「縄で縛られたり、無理矢理キスされそうになったり……」

レオン「ほかには?」

アシュリー「え!? 他は……なんとか……」

レオン(サラザールに何かをされた様子はないが、既に寄生されている可能性は十分にあるな)

アシュリー「どうしたの?」

レオン「いや、なんでもない。ともかく今、この城には無数の信者がいる。それに加えて村の人間も一緒だ」

アシュリー「そんなに!? ど、どうするの?」

レオン「この城から離れて孤島に向かう。そこに大切な用事がある。すまないが付き合ってもらうぞ」

アシュリー「うん、レオンと一緒ならどこにでも行くわ」

レオン「それは心強いな。ゴンドラに乗れ」

ゴォォォォ……!!

アシュリー「はやーい」

レオン「座っていろ。危ないぞ」

アシュリー「そうだね」ギュッ

レオン「どうして隣に座るんだ?」

アシュリー「向かい合って座るほうが不自然じゃない?」

レオン「……それもそうか」

アシュリー「そうだ! ねえねえ、レオン。お願いがあるの」

レオン「どうした」

アシュリー「サラザールさんの右腕さんがとってもこき使われていて可哀相なんだけど、私と一緒に助けてあげられない?」

レオン「すまないが俺の任務は君を救出することだけだ。それに誘拐犯グループの人間を救い出す理由もない」

アシュリー「でも、右腕さんは私のことを助けてくれたのよ。このままにはしておけないわ」

レオン「俺の両手で支えられるのはアシュリーだけだ。諦めてくれ」

アシュリー「そ、そんな……」

レオン「君が優しい子なのは分かっているが、俺にも立場がある。悪いが出来ない」

監視室

サラザール「見つけた!! アシュリー様は今、ゴンドラに乗っている!!」

サラザール「あんなにくっついてやがる……!! ケネディめぇぇぇ……!!!」

サラザール「サドラー様に……。いや、このまま進めば大聖堂の先にある舞踏ホールに行く……そこなら……」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「また失敗するから止めたほうがいいだろ!? ふざけるな!! 失敗したのはお前の所為だろうが!!」

ヴェルデューゴ「……」

ルイス「サラザールぼっちゃん、やっぱりここにいたのか」

サラザール「ルイス。よくもまぁここに顔を出せたな。厚顔無恥もそこまでいくと清々しいぞ」

ルイス「ノビスタドールを勝手に使ったらしいな。やめてくれ。おかげでレオンに俺の野望がバレかけたんだぜ。一応、誤魔化しておいたけどよ」

サラザール「ふん。城の金で出来上がったものを私が使って何が悪い。それよりもサドラー様やメンデスがお前のことを血眼になって探しているぞ」

ルイス「知ってる。あれだけ派手に動かれたら目をつぶっていてもわかるぜ」

サラザール「ノビスタドールは私が有効活用してやるから安心して逃げていろ。ノビスタドールを作ったお前をサドラー様に売ったりはしない」

ルイス「はいはい」

ルイス(このクソガキ。俺がやりたかったことをやる気だな。レオンにも伝えておくか)

城内

メンデス「草の根を燃やしつくしても構わない!! ルイスを探しだせー!!!」

村人「アシュリーさんをお守りするだー!!」

邪教徒「村長!! そんちょー!!」

メンデス「見つかったか!?」

邪教徒「はい。なんでも今現在、大聖堂のほうへ向かっているとか」

メンデス「大聖堂か。ここからでは少しばかり距離があるな」

邪教徒「既に数名配置していますが、どうなるかは……」

メンデス「分かった。サドラー様にも知らせておけ」

邪教徒「りょうかいっ」

メンデス「皆のもの!! 移動するぞ!! ルイスは大聖堂のほうへ向かっているとのことだ!!」

村人「あっちは採掘場とか昔の城があるほうだべな」

「あんバカ、あっちを隠れ場にしてただか」

「道理で見つからんわけだべな」

メンデス「無駄口はあとだ。急げ」

大聖堂

邪教徒「マジでルイスくるのかよ」

「ここ嫌なんだよなぁ」

「舞踏ホールに近いもんなぁ。ノビスタドールの巣があるからすげー羽音きこえてきて不快だわ」

邪教徒「ま、あいつらも必死に生きてるし、生み出したのは人間だから最後まで面倒みないとな」

「まぁなぁ。ノビスタたちに罪はねえからなぁ」

アシュリー「レオン、あそこ。扉の前に大きな鎌を持った人たちがいるよ」

レオン「鎌だけじゃなくボーガンを持っているやつもいるな」

アシュリー「大丈夫?」

レオン「今まで何を見てきたんだ?」

アシュリー「レオン……!」

レオン「ここに隠れていろ。すぐに終わる」ダダダッ

アシュリー「気をつけてね、レオンっ」

レオン「はぁぁぁ!!」

邪教徒「なんか来た!! 構えろ!! って、レオンさんだー!! 武器もってる!! こわいこわい!!」

レオン「ふんっ!!」バキッ!!!

邪教徒「ぐえっ」

「(フロント・スープレックスだ」

「(ベリィ・トゥ・ベリィだっけ? すっげー。アメリカの人はやっぱり一味違うよなぁ)」

「(バカやろう、死んだフリしてろ。殺されるぞ。なんか知らんけど、メチャクチャ怒ってるし)」

「(なんか知らないけどってアシュリーさんにノビスタで壁ドンしたからじゃないの?)」

「(そのあと行方不明になったもんな。キレて当然だわ)」

邪教徒「(俺たち悪者になってるな)」

レオン「アシュリー!! もういいぞ!!」

アシュリー「レオーン!! かっこいい!!」ギュッ

レオン「これぐないなんでもない」

アシュリー「貴方に守られてる私ってすごい幸せ者なのね」

レオン「先を急ごう。増援が来るかもしれない」

アシュリー「そうね」

邪教徒「あぁ、行っちゃった。ノビスタの巣を見てビックリしないかなぁ」

>>179
レオン「これぐないなんでもない」→これぐらいなんでもない

舞踏ホール

ノビスタ「……」ブゥゥゥゥン

ノビスタ「……」ブゥゥゥン

アシュリー「な、なんか、飛んでる……」

レオン「虫の巣か、あれは。気持ち悪いな」

アシュリー「お、襲ってくるかな?」

レオン「一応、壊しておくか。アシュリー、後ろに」チャカ

アシュリー「頑張って!」

レオン「ふっ!!」スガガガガガガガ!!!!!

ノビスタ「キシャァァアア!?」

邪教徒「ギャー!! レオンさん、やめてくれー!!!」

「ノビスタたちはこっちから何もしなければ襲ってこないんだってばー!!!」

「鬼!! 悪魔!!」

アシュリー「レオン!! さっきの人たちが!!」

レオン「こっちもか!!」バァン!!

レオン「これでいいか」

アシュリー「やったね」

邪教徒「ノビスタたちが……」

「ゆ、ゆるせねえ……!! レオンさん……!! なんの罪もないノビスタたちを問答無用で粛清するなんて……!!」

邪教徒「これが人間のすることなの!!! ねえ!!! 貴方、人間なの!?」ガシッ

レオン「な……!?」

アシュリー「レオン!」

レオン「ふん!」ドゴォッ

邪教徒「ぐはっ!?」

レオン「長居は無用みたいだな。走れ、アシュリー」

アシュリー「ま、まって――」

ノビスタ「キシャァァァァァ!!!」ブゥゥゥゥン

アシュリー「え!?」

ノビスタ「シャァァァ!!!」ガシッ!!

レオン「しまった!! アシュリー!!!」

アシュリー「キャアアア!! レオーン!!! たすけてー!!」

ノビスタ「キシャァァアア!!!」ブゥゥゥゥン

レオン「アシュリー!!!」

邪教徒「ノビスタたちがキレたんだ!! もうアシュリーさんがどうなるか分からないぞ!!」

レオン「アシュリーはどこにいったんだ!!」グイッ

邪教徒「ノビスタの反逆だ!! 人間たちに牙を向いたんだ!! お前の所為で!! どうしてくれるぅ!!」

レオン「くっ。何を言ってるのか、全然わからん」

ルイス「――そいつらに聞いても無駄だぜ、レオン」

レオン「こいつらは何も知らないってことか」

ルイス「所詮は雑魚だからな。だが、ノビスタドールはサラザールが操ってる。あいつのいるところにお嬢さんもいるはずだ」

レオン「で、そいつの居場所は分かるのか?」

ルイス「多分、向こうに見える塔の頂上だろう。なんとかは高いところが好きだからな」

レオン「助かる」

ルイス「それとプラーガの成長を抑える薬を――」

「――見つけたぞ、ルイス」

レオン「サドラー!!」

ルイス「なに!?」

サドラー「動くな」

ルイス「サドラー、どうしてここに……」

サドラー「私も探していたのだよ。お前のことをな」

ルイス「まさか……」

サドラー「お前の蛮行を許せばこの城の風紀が乱れる。そこでお前には……」

ブスッ!!!

ルイス「ごっ……お……!?」

レオン「ルイス!!!」

サドラー「眠っていてもらう」

レオン「サドラー!! 貴様ぁ!!」

サドラー「おー、ケネディ君。もう少し待っていてくれ。アシュリーと共に話し合いをしよう」

レオン「ふざけるな!!」

サドラー「きっと話し合えば分かり合える。地球に生まれた者同士なのだからな。では、後ほど」

レオン「待て!! サドラー!!」

ルイス「ま……て……レオン……」

レオン「ルイス! 大丈夫か!? 奴に何を注入されたんだ!?」

ルイス「これを……もっていけ……。この薬があれば……なんとかなる……孤島で……ち、りょう……を……」

レオン「分かった!! 喋るな!!」

ルイス「最後……に……お願いを……きいて、くれるか……?」

レオン「ルイス、必ず助けてやる!!」

ルイス「孤島……俺のパソ、コンが……ある……」

レオン「お前の?」

ルイス「HDD……の中……はみずに……破壊して……く……」

レオン「重要な研究データがあるのか!?」

ルイス「たの……んだ……ぞ……」

レオン「ルイス? ルイス! ルイィィィィィス!!!!!」

ルイス「すぅ……すぅ……」

レオン「サドラー……!! ルイスの仇は必ず……!!!」

城内

サラザール「ノビスタがアシュリー様を捕まえたようだな。このまま塔まで運んでもらうとするか。ウヒヒヒヒ」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「何をするかだと? 決まっている、そこで挙式をするのだ。そしてそのままハネムーンとしゃれ込むぞ!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「相手の気持ちも考えたほうがいい!? 相手の気持ちというのはこちらが変えてやるものなんだよ!! 人形風情が知ったふうなことをいうな!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「ふん。そうだ。いずれアシュリー様も私の虜となる。身も心な。ウィヒヒヒヒ」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「うるさい!! 俺はモテないんじゃない!! いい女がいなかっただけの話だ!! さぁ、お前は式の準備とハネムーンへ向かうための乗り物をチャーターしておけ!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「飛行機なんてこの城から飛べもしないし、着陸もできないだろうが!! もっと頭を使え!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「そうだ。ヘリだ。すぐに用意しろ」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

孤島 トレーニングルーム

クラウザー「ふんっ……ふんっ……」

クラウザー(サドラーめ。俺をここに閉じこめて何もできないようにしたつもりかもしれんが、俺はそう甘くはないぞ)

戦闘員「クラウザーさん。お電話です」

クラウザー「ああ。代わる。――誰だ?」

ウェスカー『元気そうだな』

クラウザー「ウェスカーか。何用だ」

ウェスカー『エイダから話は聞いている。信頼を失い、自由に動けないそうだな』

クラウザー(あのタヌキめ……)

ウェスカー『お前には期待していただけに残念だ。これからはエイダと共に行動しろ』

クラウザー「あの女はこちらに来る手段がないが」

ウェスカー『心配は無用だ。こちらでヘリを用意している』

クラウザー「ヘリだと……」

ウェスカー『話は以上だ。頼んだぞ』

クラウザー(どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって……!!)

戦闘員「ウェスカーって誰です?」

クラウザー「お前には関係がない。それよりもこの島に大きなハエが飛んでくるそうだ」

戦闘員「え、なにそれ、怖い」

クラウザー「ハエを撃ち落すものを用意しておけ」

戦闘員「ハエ叩きでどうにかなります?」

クラウザー「ロケットランチャーがあるだろうが」

戦闘員「おぉ、あれを」

クラウザー「軍用ヘリが来るはずだ。なんとしても撃ち落せ」

戦闘員「分かりました」

クラウザー(ウェスカーにもあの女にも分からせてやる。俺の力をな)

戦闘員「あの、それって何時ぐらいなんでしょうか」

クラウザー「分からん。ずっと見張っておけ」

戦闘員「それはちょっと……できないっていうか……」

クラウザー「何故……。はっ、今日はあの日か」

戦闘員「はい。一応、やってくれるやつを探しますけど、厳しいっすね」

城内

邪教徒「おい!! サラザール様から通達!! 今から塔の頂上で結婚式するから集合だってよ!!」

「誰と結婚するんだよ、あのチビ」

村人「あんれまぁ、サラザール様もご結婚け。こりゃあ益々村が栄えるだな」

「将来の不安が消し飛んだべな」

「相手は誰なんだべ?」

邪教徒「……アシュリー・グラハムっていってる」

「アシュリーさん!?」

村人「なんでそうなるべな!?」

邪教徒「わかんねえよ。とりあえず、塔に行くぞ」

チェーンソー男「アシュリーさん、重婚でもすんだべかな」

姉「それかサドラー様とサラザール様が取り合いしてるとか」

妹「うっそー! ドロ沼だぁー! きゃー!!」

メンデス「……」

メンデス(まさか、アシュリー様はサドラー様でもレオンでもなくサラザールに……? ならばレオンがアシュリーを連れ去ったのは……うぉぉぉ……私は何を信じれば……!!!)



邪教徒「いそげー!! ケーキとか用意しないといけねえんだからなぁ!!」

「あのチビのことなんて無視でよくね?」

「そういうわけにもいかねえだろ」

「レオンさんのことはどうするんだ?」

邪教徒「そのレオンさんだけど、ノビスタの巣をめちゃくちゃにしちゃったらしいぜ」

「ノビスタの!? マジで!? なんで!?」

邪教徒「理由なき虐殺だって聞いた」

「そんなことする人には見えなかったのにな……」

「もしかしたらノビスタドールの研究レポートを呼んだからかもしれねえな」

邪教徒「バカな。アレを呼んでルイスに怒りの矛先が向いても、ノビスタたちに向く理由がわからん」

「そこにいるだけなら無害でも、傍から見れば兵器だからな」

「レオンさんのとった行動は正しい。でも、だからって納得できるわけじゃない」

邪教徒「俺もだ。レオンさんには悪いが、ノビスタの仇はとらせてもらう」

レオン「――ふん。護衛が多いな。アシュリーのためだ。蹴散らす」

塔 頂上

サラザール「ウィヒヒヒヒ!! また会えましたね、アシュリー様ぁ」

アシュリー「無理矢理連れてきただけでしょう!? いい加減にして!!」

サラザール「いいのですか。ケネディ君の命はこちらが握っているのですよ?」

アシュリー「右腕さん……」

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「ダメなんだ……」

サラザール「さぁ、邪魔者はもういない。ここで永遠の愛を誓いましょうか」

アシュリー「……嫌です」

サラザール「はい?」

アシュリー「誓わない。絶対に誓わない」

サラザール「ほほう。そうですか。ならば、ケネディ君は死んでもいいと?」

アシュリー「レオンは死なないわ。サラザールさんに殺されるほど弱くないもの」

サラザール「な……にぃ……」

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「私のことを誘拐したサドラーさんも、私のことをエッチな目でしか見てないサラザールさんのことも、私は大嫌い!!」

サラザール「ほぁああ!?」

ヴェルデューゴ「……」パチパチパチ

サラザール「何が不満だ!! 私には広大な土地と無尽蔵の財がある!!! 私と結ばれればそれが手にはいるのだぞ!?」

アシュリー「そんなもの要らないわ。私が欲しいのは、私に優しい人なの」

サラザール「私ほど優しい人もいない!!」

アシュリー「あとかっこよくて背も高くて、私のことをお姫さま抱っこできるぐらい腕力がある人じゃないとダメ」

サラザール「ぐぎ……ギギ……」

アシュリー「それにサラザールさん。貴方は助けてくれるの? 私がサドラーさんと結婚するのは嫌だっていったら、命がけで助けてくれる?」

サラザール「そ、そんなの勿論……!!」

アシュリー「いちいちレオンを引き合いにだして、脅すような男が命をかけて戦えるわけないわ!」

ヴェルデューゴ「……」コクコクッ

アシュリー「右腕さんもそうだって言ってる」

サラザール「ウヒ……ヒヒヒ……アヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!! アーッヒャッハッハッハッハッハ!!!!!」

ヴェルデューゴ「……!?」ビクッ

サラザール「やはりお前もか!!! お前も他の女と同じことをいうんだなぁ!!! 私がチビだと!!! ふざけるなぁぁぁ!!!」

アシュリー「貴方が小さいのは背だけじゃない。人としての器も小さいの。それに気がつけない限り、結婚はおろか、恋人だってできないんじゃない?」

サラザール「下手にでればつけあがりやがってぇ……!!!」

アシュリー「お金で買えないものだってあるのよ。それを学べただけでもよかったじゃない」

サラザール「あぁああああ!!! もういい!!! こんな勘違い女だとは思わなかった!!! テレビでは大統領と同じように耳障りの良い言葉を吐いているだけだったんだな!!」

アシュリー「それとこれを一緒にされても……」

サラザール「貴様にはこれを打ち込む!!! ウヒヒヒヒヒ!!!!」

アシュリー「な、なにを注射する気なの!?」

サラザール「プラーガを寄生させてサドラー様の玩具になればいいんだぁぁ!!!」

アシュリー「キャァァァ!!!」

ヴェルデューゴ「……」バッ!!!

ブスッ!

ヴェルデューゴ「……」

アシュリー「み、右腕さん、私を庇って……」

サラザール「き、貴様ぁ……!! また私を裏切る気かぁ!!! ただの召使いのお前が!! お前がぁぁ!!!」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「どうしてだぁ……どうして私を裏切るんだぁ……」

アシュリー「サラザールさん……」

サラザール「ずっと孤独だった私にできた……初めての友達……では、なかったのか……」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

アシュリー「サラザールさん。友達だからこそ、貴方が悪いことをするのが見過ごせなかったんじゃないかな?」

サラザール「そう……なのか……?」

ヴェルデューゴ「……」

サラザール「お前だって知っているだろう。金をチラつかせなければ誰も私には寄ってこない。女も男もな」

サラザール「虚しいだけだった……。だれも私のことを好きになっていない。ただ金や宝石が好きなだけ……」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

サラザール「なに……?」

アシュリー「サラザールさんのこと、好きだってさ。右腕さん、どんなにこき使われても、嫌いにはなれなかったんだね」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

サラザール「うぅ……くそぉ……右腕のくせに……くせにぃ……」

アシュリー「サラザールさん。こんなにいい友達が傍にいるんだから、もう困らせちゃダメよ」

サラザール「……」

アシュリー「心を入れ替えて。卑屈になるから誰もあなたのことを好きになれないんだと思う」

サラザール「心をいれかえたら、変われるのか、私は?」

アシュリー「うんっ。大丈夫だよ。ね、右腕さん?」

ヴェルデューゴ「……」コクッ

サラザール「悪かったな……。今まで……」

ヴェルデューゴ「……」フルフル

アシュリー「よかったね」

サラザール「アシュリー様、数々の無礼、謝って済む問題でもないだろうが……その……。罪滅ぼしを……」

アシュリー「そんな。私はレオンに会わせてくれたらそれで」

サラザール「ケネディ君ならもうすぐここまでくるでしょう。それでそのまま本国へ帰るというのならヘリを使ってほしい」

アシュリー「いいの!?」

サラザール「ハネムーンのために用意したものだが、今の私には不要ですから」

アシュリー「なら、お言葉に甘えちゃおうかな」

サドラー「空の旅よりも私とのクルージングはどうでしょうか、アシュリー」

アシュリー「え……」

サラザール「サ、サドラー様……」

サドラー「サラザール。随分と私を虚仮にしてくれたな。この責任はどう取るつもりだ」

サラザール「そ、それは……あの……」

サドラー「貴様の処分は後ほど決める。今はアシュリー様を孤島に連れていかなくてはな」

アシュリー「ど、どうしてよ!?」

サドラー「ここでは落ち着いて話ができないようでして。ケネディ君も頭に血が上っていますし」

アシュリー「それはサドラーさんたちが変なことをするから……」

サドラー「わかっています。あと孤島では今宵、余興もありましてね。それを見れば貴方もケネディ君も愉快な気分になれること間違いありません」

アシュリー「いや、そんなのいいから」

サドラー「まぁまぁ、そういわずに」グイッ

アシュリー「ま、まって!! そんな!! いやー!!」

サラザール「あ……あの……」

サドラー「何か文句でもあるのか、サラザール?」

レオン「ここか!!!」ダダダッ

サラザール「ケネディ君、ようやく来ましたか」

レオン「サラザール!! アシュリーはどこだ!!」

サラザール「残念。アシュリー様は島へ向かわれました」

レオン「なに!?」

サラザール「助けに行きますか?」

レオン「当たり前だ。どけ」

サラザール「流石です。私にはできなかったことを当然のようにやる。ケネディ君の強さが羨ましい」

レオン「どういう意味だ?」

サラザール「さぁ、行きなさい。ヘリを用意してあげています」

レオン「ヘリ?」

サラザール「それに乗って島へ急ぎなさい。そしてアシュリー様を取り戻すのです」

レオン「お前に言われなくても助け出す」ダダダッ

サラザール「頼みましたよ」

レオン(ヘリを用意しただと? 何かの罠と考えたほうがいいだろうな。島へ行くための方法を探すか)

船着場

商人「これでよかったか?」

エイダ「ありがとう、十分よ。貴方はどうするの?」

商人「これで島へ行く。ロケットランチャーが欲しいって連絡が入ってな」

エイダ「そうなの」

商人「あともう一つの商品はもう島のほうに運んでおいたぜ。キーはこれ。クマのストラップはサービスだ」

エイダ「仕事が早い人は好きよ」

商人「ヘッヘッヘッヘ。美人な客には弱くてなぁ」

エイダ「うふふ。嬉しいわ」

商人「でも、どうしてあの場所にあんなものを?」

エイダ「必要になるからよ。貴方もレオンのことサポートしてあげてね」

商人「お得意さんを逃す手はないからなぁ。じゃ、一足先にいくぜ」

エイダ「ええ。またね」

商人「ハッハッハッハッハ、いつでも利用してくれ!!」

エイダ「レオンを待つ間、運転の練習をしましょうか」

レオン「……」

エイダ「ハァイ、レオン。一緒に乗っていく?」

レオン「準備がいいんだな」

エイダ「島に渡る方法は二つ。ヘリを使うか船を使うか。どちらがいい?」

レオン「得体の知れないヘリに乗りよりかは美人の腕に身を預けたいな」

エイダ「そういうと思ったわ。乗って。10分ほど前にサドラーとお姫さまを乗せた船がここを離れていったわ」

レオン「止めてくれてもいいだろ」

エイダ「私の仕事にお姫さまの救出は含まれていないもの」

レオン「そうだな。悪かった」

エイダ「それじゃ、出すわね」

レオン「安全運転で頼む」

エイダ「無茶なこと言わないで。練習時間5分しかなかったんだから」

レオン「おい、なら俺が運転する」

エイダ「心配ないわ。これでも私、スパイだから」

レオン「いいから代われ、エイダ」

塔 頂上

メンデス「では、アシュリー様とレオンはあの孤島にいったのか」

サラザール「ああ。でも、ヘリを使わなかった」

メンデス「警戒したのだろうな」

サラザール「失礼な。私はもう心を入れ替えたというのに」

姉「村長、どうします? 熟睡してるルイスのこともあるし」

メンデス「そうだな……」

村人「レオンさんが島にいったっていうならオラたちもいくべきじゃねえべか?」

「そだなぁ。レオンさんはサドラー様のこと誤解したまんまだべ」

妹「みんなで島にいこー!!」

邪教徒「おいおい。船もないし、あとはヘリだけだぞ」

サラザール「あのヘリには10人ぐらい乗れる。メンバーを決めて乗れ」

メンデス「うぅむ。また戦闘になる可能性もあるからな……」

姉「このチェーンソー姉妹がいきましょうか?」ギュィィィィン!!!!

ヴェルデューゴ「……」パチパチパチ

孤島 見張り台

戦闘員「あーあ、なんで今日なんだよ。ざっけんなっつーの」

「文句いうなよ。クラウザーさんの命令なんだから」

戦闘員「ヘリがくるんだって? ホントかよ」

「さぁな」

戦闘員「今日はライブだぜ。ライブ。折角プラチナチケット買ったのによぉ」

「俺もだってば。クジで負けたんだから諦めろ」

戦闘員「マジだりーよ。これでこなかったら、マジで俺クラウザーさんに文句いうから」

「殴られるぞ。やめとけ」

戦闘員「でもよぉ」

ババババババ……

戦闘員「おい、あれ」

「ヘリだ! 構えろ!!」

戦闘員「おうよ!!」

「ロケットランチャーの無駄撃ちはするなよ。高いんだからな」

海上

エイダ「始まったみたいね」

レオン「あのヘリは?」

エイダ「一機は私がウェスカーに頼んで用意してもらったものよ。囮のためにね」

レオン「囮?」

エイダ「クラウザーって奴、ちょっと怒りっぽいから、ヘリで行くなんて知ったら撃ち落すと思って」

レオン「クラウザー……」

エイダ「知り合いなの?」

レオン「昔、ちょっとな。それなら後方から飛んできているヘリはなんだ?」

エイダ「さぁ。もしかしたら教団のヘリかも」

レオン「サラザールが用意したっていうやつか」

エイダ「あのサラザールが用意? どういうこと」

レオン「俺にもわからん」

エイダ「ふぅん。敵に塩を送るタイプじゃないとおもってたけど、優しいところもあるのね。オルトロスも飼っていたし、本当はそういう人間だったのかしら」

レオン「オルトロス? ケルベロスじゃなくてか?」

トレーニングルーム

クラウザー「100……101……102……」グッグッ

クラウザー「ふぅー。腹筋の次は腕立てをするか」

戦闘員「クラウザーさん。ヘリを撃墜したとの報告がありました」

クラウザー「ほう。やったか」

戦闘員「ただ、後方のヘリは撃ち落せなかったとのことです」

クラウザー「後方のヘリ?」

クラウザー(レオンが手引きしたヘリか)

クラウザー「了解。そのヘリはもう一度、来るはずだ。警戒を怠るなよ」

戦闘員「はぁ……ですが……」

クラウザー「何か問題でもあるのか」

戦闘員「それがヘリを撃墜するのに全てのロケットランチャーを使ってしまったみたいで」

クラウザー「無能め。商人はどうした? 奴から購入しろ」

戦闘員「既に頼みました。でもロケットランチャーはもう売れないと」

クラウザー「あの野郎。俺がいく」

クラウザー「おい!!」

商人「ンンンン!!! ウェルカァァァム!! 良い武器がそろってるぜぇ!! って、クラウザー殿はアーチェリーの矢しかかわねえんだよなぁ!!」

クラウザー「ロケットランチャーをあるだけ売れ」

商人「これは珍しいこともあるもんだ。天変地異がこの島を襲いそうだな」

クラウザー「いいから売れ」

商人「それはできねえ、相談だ」

クラウザー「何故だ!!」

商人「俺の大事な客がロケットランチャーを買うからだ」

クラウザー「ふざけるな。貴様、レオンの始末に失敗しておいて、何を言っている!!」

商人「アッハッハッハッハ。俺は商人。モノを売るのが仕事だ」

クラウザー「……お前、俺が言ったことの意味がわかっていなかったのか」

商人「なんのことだ?」

クラウザー「まさかレオンが多くの銃器を所持していたのは……」

商人「レオンはいい奴だぜ。金を惜しげもなく使ってくれるんだかなぁ」

クラウザー「ここからでていけ!!」

孤島

エイダ「それじゃ、私は仕事があるから。頑張ってね」

レオン「わざわざ悪いな」

エイダ「いいのよ。腐れ縁でしょ」

レオン「そうだな。不思議な感じだ」

エイダ「そうそう。あれを見て」

レオン「あの月みたな大きなライトか」

エイダ「気をつけることね」

レオン「月明かりに照らされたら相手が沸いてくるってことか」

エイダ「そうじゃないわ。スポットライトの先にいるものに夢中にならないでねってこと」

レオン「スポットライト? あれは監視用のライトじゃないのか」

エイダ「耳をよく澄ませてみなさい」

レオン「……」

ウォォォ……オォォォォ……ヒャッホォォォォ……

レオン「なんの雄たけびだ? アイドルでもいるのか」

広場

戦闘員「では、月に一度のパーティーをはじめるぜぇぇ!!!」

「「ウォォォォ!!」」

「待ちわびたぜ!! このときを!!」

ガトリング軍曹「イヤァァァァ!!!!」スガガガガガガ!!!!

「軍曹!! 楽しそうですね!!」

ガトリング軍曹「今日を楽しまないでいつ楽しむんだよぉ!!!」

「それもそうですね!! イヤッホオォォォ!!!!」

レオン「(異様な騒ぎ方だな。ガトリングまで持っているやつもいるし)」

レオン「(こんな場所にアシュリーがいるのか。無事でいてくれ、アシュリー)」

戦闘員「さぁー、今夜はなんと超ビッグなゲストがきてくれているぜぇ!! サドラー様とその許嫁、アシュリーだぁぁ!!!」

サドラー「ハハハハハ」

アシュリー「むー!? むぐぅ!!」

アシュリー「(いつから許嫁になったのよ!?)」ジタバタ

「アシュリーたん、もえー!!」

レオン「(アシュリー!? あんなところに……!!)」

サドラー「本当ならケネディ君も同席してほしかったが、まだ無理そうで残念だ。君たちを待たせても悪いので先に楽しもうではないか」

「イヤッフー!!」

サドラー「アシュリー、心いくまで楽しんでくれたまえ」

アシュリー「むー!! むぅー!!」

サドラー「息苦しいだろうが少しの辛抱だ。君が余計なことを口走ったら、私の沽券に関わるのでね」

アシュリー「むぅ……」

サドラー「さぁ、始めたまえ」

戦闘員「それじゃあいくぜ!! 主役の登場だぁ!!!」

「ウオォォォ!!!!」

ガトリング軍曹「はやくしろぉ!!!」ズガガガガガ!!!!!!

戦闘員「俺たちの心のオアシス!! 癒し系アイドル!!! リヘナラちゃーん!!!」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

「きたー!!!!」

アシュリー「(なにアレ!?)」

レオン「(あれがリヘラナドールか。荒みがちな戦闘員のために生み出したアイドル生体兵器……)」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

戦闘員「今日も素晴らしい歌声だ」

「あぁ、癒されるぅ」

ガトリング軍曹「これが萌えってやつなんだよな」

サドラー「どうかな、アシュリー。素晴らしいだろう。ルイスがした唯一の善行といってもいい」

アシュリー「(えぇ……)」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

レオン「(周りの奴らも興奮しっぱなしだな。アイドル生体兵器の名は伊達じゃないのか)」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

戦闘員「こっちみてー!!」

「うっひょー!! このローアングルがたまんねぇぜ!!」

アシュリー「(この人たちの好みがわからない……)」

レオン「(ここでは下手に動けないな。アシュリーに発信機でもつけておくか)」ポイッ

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

機械室

レオン「ここも警備の人間がいない。どうやらあの野外ライブには島にいる奴の全員が参加しているみたいだな」

レオン「アシュリーもあの場から動いている気配がない。もう少し島のことを調べるか」

クラウザー「……」

レオン「……」ピクッ

レオン「誰だ!」

レオン「……気のせいか」

クラウザー「――ふっ!!」

レオン「……っ!」バッ

クラウザー「久しぶりだな、レオン」

レオン「クラウザー……」

クラウザー「二年前、無職になったはずだといいたいのか」

レオン「職を探さずに信者になったか」

クラウザー「神など信じたことはない」

レオン「神様は信じなくても教祖様は別か?」

クラウザー「なんとでも言え」

レオン「アシュリーを連れ去ったのはお前なんだろう」

クラウザー「……なるほど。やはり俺とお前はコインの裏表というわけだ。察しが良い」

レオン「次の職場はテロ集団なんて悲しくならないのか。女の子を攫うなんてクズのすることだ」

クラウザー「ふん。クズで結構だ」

レオン「……お前の目的はなんだ? 村長が言っていたようにサドラーの花嫁探しなのか?」

クラウザー「サドラーが育てたサンプルが欲しいだけだ」

レオン「サンプル? プラーガのか。アシュリーは関係ないだろう」

クラウザー「サドラーは今だチェリーボーイでな。いい女がいれば結婚したいと言っていた。そこでアシュリーの存在を教えた」

レオン「なに……」

クラウザー「奴はすぐに食いついた。アシュリーの胸はでかいしな。そして、奴はいった。アシュリーと結婚したいとな」

レオン「それでお前はアメリカまできたのか」

クラウザー「ああ。サドラーは飛行機の中でも笑っていた。テロリストのボスにされているとも気づかずにな」

レオン「この教団をテロ集団にしたのはお前だっていうのか?」

クラウザー「元よりロス・イルミナドスは戦えるだけの兵力があった。だがそれは全て自衛のためだった。力があるのに使わないのは愚かなことだろう」

レオン「貴様……」

クラウザー「大国から狙われていると知れば、プラーガの研究も今より力を入れるはずだ。そうなればウェスカーの望んだものが手に入る」

レオン「なるほど。お前は扇動していたというわけか」

クラウザー「これからもっと大きくなる。そして時期がくればあの生ぬるい教祖を殺し、俺が教団を纏め上げる」

レオン「プラーガも独占するわけか」

クラウザー「ウェスカーも殺し、国を滅ぼし、俺は神になる」

レオン「神は信じないんじゃなかったのか」

クラウザー「神はいない。俺が神になるのだから」

レオン「お前を信仰するやつが現れないことを祈る」

クラウザー「手始めに、お前を殺すとしよう」

レオン「神様なら人間一匹ぐらい軽く捻ってみせろ」

クラウザー「行くぞ!!」

レオン「クラウザー!!」

バァン!!

クラウザー「ぬっ……!?」

エイダ「リヘナラドールのライブはお気に召さなかった?」

レオン「エイダ……」

クラウザー「やはり、どこかのメス犬だったか」

エイダ「そんなことないわん」

クラウザー「まぁいい。ここは退くとするか。レオン、この先の遺跡で待っている」

レオン「行くかどうかはわからないぞ」

クラウザー「どちらにせよ、お前はあそこを通るしかない。お前が欲しいものはその先にしかないからな」

レオン「プラーガ除去装置か」

クラウザー「クククク――」

エイダ「行ったみたいね」

レオン「助けてくれたのか」

エイダ「まさか。今のは流れ弾よ。射撃の練習をしていたの」

レオン「そうか。エイダの目的もサンプルなのか?」

エイダ「さぁ、そうかもしれないわね」

レオン「やれやれ……」

エイダ「それより、そろそろお姫さまを迎えにいったほうがいいんじゃないかしら」

レオン「……移動しているな。ライブが終わったか」

エイダ「それと同時に戦闘員たちも所定の位置についているわ。まだ興奮は冷め切ってないだろうからところ構わず銃を乱射するかもね」

レオン「違う意味で面倒だ」

エイダ「あとペンライトの代わりにスタンロッドを振り回してもいた気がするわ。十分に注意して」

レオン「アドバイスが多いが俺のことを心配してくれているのか」

エイダ「いいえ。貴方に死なれると囮がいなくなって困るから」

レオン「泣けるぜ」

エイダ「私のためにがんばってね」

レオン「分かった。それじゃ、姫を救いにいってくるか」

エイダ「ええ。カッコイイナイトさん、また会いましょう」

レオン「ふっ、ナイトか」

レオン「(アシュリーの移動が止まった。どこかに監禁されたみたいだな)」

レオン「まずはアシュリーを救出する。そして……」

レオン「クラウザーとの決着をつける」

ウェスカー『エイダ!』

エイダ「しーっ。私、今スパイだから」

ウェスカー『どういうことだ』

エイダ「なんの話?」

ウェスカー『こちらから出したヘリが墜落したそうだな』

エイダ「ええ。不幸な事故だったわ。クラウザーが指示したんでしょうね」

ウェスカー『クラウザーの謀反か』

エイダ「力を誇示しようとするタイプなのよ。そろそろ見切りをつけたほうがいいと思うわ」

ウェスカー『……一考する。それでお前の仕事はどうなっている』

エイダ「もう佳境よ。楽しみにしていてください』

ウェスカー『そうか。必ず持って帰って来い。お前は死体でも構わないがな』

エイダ「あら、酷いわね」

ウェスカー『また連絡する』

エイダ「……」

エイダ(気づいていないとでも思っているのかしらね、このグラサン)

施設内

サドラー「ケネディ君はこの島に上陸しているはずだ。見つけ次第、私の部屋に連れてくるように」

戦闘員「アシュリーさんはあの部屋でいいんですか?」

サドラー「少々狭いが今はあそこでいい」

戦闘員「分かりました」

サドラー「頼むぞ」

戦闘員「はっ!」

「レオンさんって村とか城で大暴れしたっていう?」

「みたいだぜ。俺が掴んだ情報だとアシュリーさんのストーカーなんだってよ」

戦闘員「なんだよそれ。ストーカーのくせに強いのかよ」

「でも、サドラー様は話し合いの場を設けたいってたんだし、なんかあるんじゃないのか?」

「なんかってなんだよ」

「ほら、実はアシュリーさんの元カレとかよ」

戦闘員「振られてストーカー化したのか。よくある話だな」

レオン(あの部屋にアシュリーがいるみたいだな。見張りは3人。どうしてやるか)

アシュリー「はぁ……。レオン、今頃心配してるかな……。それともよく誘拐される女だって呆れてるかな……」

アシュリー「お腹すいた……。丸1日何も食べてないよ……」

アシュリー「レオン……助けて……」

「ギャァ!!」

「ゴベバァ!!」

アシュリー「な、なに!?」

レオン「――俺だ」

アシュリー「レオン!!」

レオン「もう大丈夫だ。今度こそ、君を離さない」

アシュリー「ごめんなさい、迷惑ばかりかけて……」

レオン「女に振り回されるのは慣れているし、君のように可愛い女の子なら望む所だ」

アシュリー「や、やだ、レオンったら……もー……」

レオン「ここを出るぞ。こんな空気の淀んだ場所にいると鼻が曲がる」

アシュリー「うんっ。レオン、いきましょ」

レオン「……よし、敵はいない。こっちだ」

ゴミ処理場

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」


戦闘員「おい! リヘナラちゃんがあんなところにいるぜ!!」

「なんでこんなところにいるんだ? 迷子になったか?」

「それよりこのままだと下に落ちるぞ。助けないと」

戦闘員「助けるってどうやって? 近づくと噛み付いてくるじゃん」

「そうなんだよな。人一倍、男に警戒心もってるからなぁ」

「このクレーンを操作して安全な場所に移動させてあげるってのはどうよ?」

戦闘員「おまえ、冴えすぎ。やるぞ」

「しっかりやれよ。リヘナラちゃんのたまの肌に傷でもつけたら承知しねえからな」

戦闘員「わかってるわかってる。ええと……このあたりか……。ここだ!」ポチッ


リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフゥゥゥ!!!」


戦闘員「あぁ!! 落ちちゃった!?」

「イヤァァァ!!! リヘナラちゃんがぁぁぁ!!! すぐに助けにいくぞ!!!」

アシュリー「あれ、全然人がいないわ。レオンが全員やっつけたの?」

レオン「いや。弾薬もそろそろ心もとなくてな。節約するために余計な戦闘は避けているぐらいだ」

アシュリー「じゃあ、どうしていないんだろう?」

レオン「……」

アシュリー「まぁ、好都合だしいっか」

レオン「こっちなのか……」

アシュリー「どうしたの? う、くさい……」

レオン「そうだな。だけど、この下に行くしかなさそうだ」

アシュリー「えー!? ほかにあるでしょ!?」

レオン「ない」

アシュリー「そんなぁ……よごれちゃう……」

レオン「今更だろう」

アシュリー「そうだけどぉ。あ、なら、レオンが私を抱きしめながら飛び降りる――」

レオン「飛ぶぞ」グイッ

アシュリー「きゃぁあああ!!!」

アシュリー「いったぁい……お尻が割れちゃった……」

レオン「気のせいだろう。君の大きなお尻はクッションになるはずだ」

アシュリー「大きいお尻は嫌い?」

レオン「いいや」

アシュリー「よかったぁ」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

レオン「こいつは……!?」

アシュリー「なんだっけ、リナちゃんだっけ」

レオン「これを見て癒される人間にはなりたくないな」

アシュリー「ずっと見てたら可愛く見えちゃうのかな?」

レオン「どうだろうな。こういうのも洗脳かもしれないな」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

レオン「何もしてこないなら眺めてるぶんにはいいかもしれない」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「そもそもこれって歌ってるの? 鼻歌のように聞こえるといえば聞こえるけど」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「倒さなくていいの?」

レオン「ルイスの研究資料によるとこいつを倒すのは無謀に近いらしい。特別なスコープが必要になってくるようだ」

アシュリー「それ持ってないの?」

レオン「生憎な。だから、ここは無視をするしかない」

アシュリー「そっか。じゃ、先を進もう」

レオン「そうだな」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「レオーン、こっちこっち。このコンテナ動かしたら先にいけるよ」

レオン「お手柄だな。動かすぞ」

アシュリー「うん! うんしょ……うんしょ……」

レオン「ふっ……!!」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「ふー、重かったぁ」

レオン「お疲れのところ悪いが休んでいる暇はない。君の体のこともあるからな」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「か、体って……そんな……もう私の心と体はレオンのものだから、いいといえばいいんだけどぉ……。キャー! レオンのエッチ!」

レオン「……」

アシュリー「どうしたの?」

レオン「アイツがついてきている」

アシュリー「え?」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「ほ、ホントだ! やっぱり倒す?」

レオン「逃げるしかない。アイツに構っていれば弾も命も尽きる」

アシュリー「なら急がないと!」

レオン「そうだな。走れるか?」

アシュリー「平気! 気にしないで!」

レオン「逞しくなったな。行くぞ」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」ズリズリ

レオン「這ってきた!? やはりこいつもアシュリーを狙っているのか!!」

施設内

サドラー(アシュリーにプラーガを打ち込む準備が整ったことだし、これでアシュリーをケネディ君から一時的に引き離すことができるはず)

戦闘員「いてぇよぉ」

「レオンさん、まじつよくね?」

「アメリカのエージェントだからなぁ。俺たちみたいなにわか仕込みじゃないんだろ」

サドラー「何があった?」

戦闘員「サドラー様。それがレオンさんがアシュリーさんを連れて行っちゃったんですよ」

サドラー「何をしている!!」

「すみません!! でも、レオンさんちょー強くて!!」

サドラー「すぐに追え!! このままではアシュリーがケネディ君のモノになってしまうかもしれないのだ!!」

戦闘員「既に他の者が追跡しています。ご安心ください」

サドラー「現在地を知らせろ。私は先回りする」

戦闘員「了解!!」

「でも、他の連中って今リヘナラちゃんの救出にいってんじゃなかった?」

「言うな!」

スクラップ場

アシュリー「行き止まりだわ! どうしよう!!」

レオン「ちっ……」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「まだついてくるよぉ……」

レオン「アシュリー、そこにあるブルドーザーを運転してくれ。あれなら多少の壁は壊しながら進める」

アシュリー「えぇ!? こんな大きな車運転したことないけど!?」

レオン「君がやるしかない。俺は荷台で露払いをしないといけないからな」

アシュリー「それはわかるんだけど……」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

レオン「迷っている時間はない! やってくれ!!」

アシュリー「わ、わかったわ! 私が運転する!!」

レオン「君ならできるさ。落ち着いて」

アシュリー「うん! えーと……えーと……。レオーン……これ、マニュアルなんだけど……私、オートマチックしかのったことなくてぇ……」

レオン「やれやれ……。ここが教習所なら手取り足取り教えてやれるんだがな」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

アシュリー「こ、こう?」

レオン「そうだ。で、ここを」ギュッ

アシュリー「あ……」

レオン「どうした?」

アシュリー「ううん! なんでも!」

アシュリー(レオンに優しく運転を教えてもらえて、幸せ……)

レオン「基本的なことは分かったか?」

アシュリー「な、なんとか」

レオン「なら、頼むぞ」

アシュリー「任せて!! 発進!!」

ゴゴゴゴゴゴ……!!!

アシュリー「動いた! やった!」

レオン「その調子だ。まずは前のシャッターをぶっ壊してくれ。あとはアクセル全開で進めばいい」

アシュリー「はーい! 私だって、レオンの役に立てるんだからぁ!」

戦闘員「リヘナラちゃん、どこだよ!!」

「移動しちゃったんじゃね? ずっと同じ場所にはいないだろうし」

「万が一のことがあったらどーしよう!! 俺たちの癒しがなくなっちまうぜ!!」

「余計なことは考えるな!! 今は探すしか――」

ゴゴゴゴゴ……!!

戦闘員「なんの音?」

「お、おい!! あれみろ!! ブルドーザーが動いてる!!」

アシュリー「いけいけー」ゴゴゴゴッ

レオン「落ちろ!!」ググッ

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

戦闘員「おいおいおいおい!! あの野郎!! リヘナラちゃんを荷台から落とそうとしてやがるぞ!!」

「つか施設がどんどんぶっ壊れてるんですけど!!!」

「おい!! 早くあの暴走ブルドーザーをとめるぞ!!」

戦闘員「待てこらぁ!! ここで働いてるやつがどれだけいると思ってんだよ!!!」

レオン「追ってがきたぞ、アシュリー!! もっと速度を出してくれ!!」

アシュリー「わかった!」

リヘナラドール「フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……フッフッフフンフフー……」

レオン「こいつは何がしたいんだっ」ゲシッ

リヘナラドール「フッフッフフンフフゥゥゥゥ!!!」ゴロゴロゴロゴロ

レオン「ふんっ。もう追ってくるなよ」

戦闘員「ぎゃー!! やりやがったぁ!!」

「施設を破壊するだけじゃ飽き足らず、俺たちの癒しまで……!!!」

戦闘員「サドラー様の客人だかなんだかしらねえが、あいつを野放しにしてはおけねえみてぇだな」

「この島の平和を脅かす外敵ってことだな」

戦闘員「これは戦争だ!! 全員、武器を持て!! 奴をぶっ倒すぞぉぉ!!」

「「オォォォォ!!!」」

戦闘員「俺に続けー!!」

「「オォォォ!!!」」

アシュリー「レオン! たくさん追ってくる!!」

レオン「あいつらも必死だな。そんなにアシュリーが欲しいのかサドラー。だが、俺は任務をきちんと遂行する主義でな」チャカ

戦闘員「はぁ……ぜぇ……ぜぇ……」

「ひぃ……はぁ……ブルドーザーって……意外とはえぇぇ……」

「もうだめ……にゅうさんが……いっぱい……」バタッ

アシュリー「レオン、大丈夫?」

レオン「ああ。なんでか知らんが追うのを諦めてくれたようだ」

ブロロロロ……

レオン「……!」

戦闘員「走るのがダメなら!! こっちも車で追うぜー!! ヒャッハー!!」

アシュリー「トラック!? ダメ! 向こうのほうが速いわ!!」

レオン「問題ない。一発で済む」チャカ

戦闘員「おらおらぁ! こちとら入団する前は長距離トラックでブイブイいわせてたんだぜぇ!!」

レオン「……」バァン!!!

戦闘員「うお!? ハンドルがとられて……!! アァァー!!」

ドォォォォン!!!

レオン「今度からはタイヤも防弾仕様にしておくんだな」

「大丈夫かー!?」

戦闘員「いてぇ……。俺が元トラック運転手じゃなかったら死んでたな」

「くそぉ。アシュリーちゃんを連れ戻しにきただけじゃなくて、この島の機能を破壊するつもりなのかよ」

「なんでだよ。俺たちがなにしたっていうんだ」

「俺たちがアシュリーさんを誘拐したとか思い込んでんじゃねえの?」

「えー? ありえなくね?」

「どうするよ。このままだとマジで職場が崩壊するぜ。物理的に」

「警察に連絡するか?」

「それはダメだろ。俺たち割と非合法な手段で銃器とか手に入れてんだしさ」

「そっかぁ」

戦闘員「なぁ、この先にはあの建物があるよな」

「え? おう、そういえば」

戦闘員「なら、わざわざ急いで追いかける必要もねえだろ。警備室に連絡をとってくれ」

「わかった」

戦闘員「ふっふっふ。レオンさんもここで終わりだな」

施設内

アシュリー「ブルドーザーで進めるのはここまでみたいね」

レオン「ああ。アシュリー、よくがんばったな」

アシュリー「すっごくドキドキしてる。これが恋なのかな」

レオン「緊張していただけじゃないのか」

アシュリー「照れなくてもいいのに」

レオン「この扉以外、他になさそうだ。行くぞ」ピッ

アシュリー「なんだろう、この廊下。変な感じ」

レオン「……」

ブゥン

アシュリー「なに、この赤い光線みたいなの」

レオン「触るな!!」

アシュリー「え!?」

レオン「触れたら死ぬかもしれないぞ」

アシュリー「そんな……これって……」

警備室

戦闘員「あれが連絡にあったリアルなジョン・マクレーンさんか」

「殆ど2人で施設を破壊したみたいだからな」

戦闘員「おいたが過ぎたな。あの廊下に入ったら最後だ」

「あの廊下、迂闊に通ろうものなら最悪出ることができないからな」

戦闘員「ククク。俺たちが作った最高のセキュリティシステムだからな」

「驚いてる、驚いてる」

戦闘員「少しでも掠ればジ・エンド。これでリアルマクレーンも――」

「お、おい! 一つ目をかわしたぞ!!」

戦闘員「なんだと!? い、いや、一つ目はほんの小手調べよ。あえて避けられるスペースを作っているからな」

「二つ目も回避しやがった!!」

戦闘員「バカな!!! い、いやいや! 二つ目は5つある関門のうちでも最弱だからな。ここまで単身で乗り込んできた男なら避けられて当然よ。テストには合格だな」

「でも、アシュリーさんも一緒によけてるぜ?」

戦闘員「き、気にするな。三つ目以降は人間じゃ無理だ。回避なんてできるわけねえだろ」

「そ、そうだよな」

廊下

アシュリー「よっと」

レオン「この調子なら奥の扉までいけそうだな」

アシュリー「でも、これ、本当に触れたら死んじゃうの?」

レオン「レーザーと考えるのが自然だろう。こんなにはっきり見える赤外線センサーを作る意味がないからな」

アシュリー「それはそうだけど、ちょっと残酷すぎるような」

レオン「そういう連中なんだ。俺たちの常識は通用しない」

アシュリー「サドラーさんは変だし最低な人種だとは思うけど、ここまでするかな?」

レオン「人の本性はわからないものさ」

アシュリー「そうだね」

ブゥン……ブゥン……ブゥン……

アシュリー「レオン!! 前!! 光線がたくさん!!」

レオン「アシュリー!! 飛ぶぞ!!」ギュッ

アシュリー「キャッ」

レオン「ふん!!」バッ!!!

アシュリー「あ、あぶなかったぁ」

レオン「どうやら、アシュリーを殺すことにしたらしいな」

アシュリー「えぇぇ!?」

レオン「落ち着け。俺がいる」

アシュリー「レオン……」

レオン「絶対に君を生きて島から出す。たとえ俺の命が尽きようともな」

アシュリー「ありがとう……レオン……」

ブゥン……ブゥン……ブゥン……

レオン「さっきよりも多いな……」

アシュリー「うぅ……」ギュッ

レオン(隙間を縫うように飛ぶしかないが、アシュリーにそれを注文するのは無理な話だ。どうする……)

アシュリー「ねえ、あのレーザーが出てる装置を銃で壊すってできないの?」

レオン「……その手があったか」チャカ

アシュリー「レオン! レーザーがくるわ!」

レオン「これで終わりだ」ズガガガガガ!!!!!

施設内

サドラー「そうか。二人はあの施設にいるのか」

戦闘員「ええ。さきほど例の廊下にはいったと報告がありました。これで捕らえることができるかと」

サドラー「あの廊下はこの島でも一、ニを争うほど完璧なセキュリティシステムを採用しているからな」

戦闘員「はい。目視できるほど強力な赤外線センサー。掠っただけで防犯システムが作動し、あの廊下に24時間閉じ込められることになります」

サドラー「うむ。これで追いつけそうだ」

戦闘員「それにしても何故、レオンという男は女1人のためにここまでするのですか。はっきりいって異常です」

サドラー「それは……あれだ……。レオンもまた1人の女を愛した男だからだろう」

戦闘員「病気ですね。映画の主人公でもあるまいし」

サドラー「それだけアシュリーは魅力的なのだよ」

戦闘員「確かにおっぱい大きいですもんね」

サドラー「そんな目でみていたのか? 死にたいようだな」

戦闘員「すみません!!」

「サドラー様!! 大変です!! あの廊下を突破されたと今連絡が!!」

サドラー「なにぃ!? ケネディ君……どうやら君のことを過小評価していたようだ……」

遺跡

戦闘員「ヘビのレリーフ、みつかんねーよ!」

「リタイアしまーす!!」

クラウザー「ふん。腰抜け共が」

サドラー『――クラウザー、聞こえるか』

クラウザー「どうかされましたか?」

サドラー『既に知っているだろうが、ケネディ君がこの島にいる。そして今、アシュリーと共にそちらに向かっている」

クラウザー「ほう……」

サドラー『お前にチャンスをやろう』

クラウザー「了解。必ず二人を貴方の目の前に連れていきます」

サドラー『できるのか』

クラウザー「必ずと言いました」

サドラー『その威勢、虚勢でないことを祈る』

クラウザー「……」

クラウザー(サドラーめ、偉そうにしていられるのも今のうちだ)

見張り台

戦闘員「なぁー、ヘリが二機、こっちきてね?」

「マジだ。どうする?」

戦闘員「どうするってもうロケットランチャーねえしな。武器商人もクラウザーさんが追い出したっていってたし」

「はぁー!? あの人、なにやってんだよ!! 商人がいねえとこっちはどうしようもねえってのに!!」

戦闘員「一機、こっちに降りてくるっぽいぞ」

「おーい!! 戦闘の準備だけしてろー!!」

「「ウィーッス」」

ババババババ……

戦闘員「誰だ!! このやろう!! この島は今、大混乱で――」

メンデス「私だ」

戦闘員「村長! どうしたんですか!!」

姉「私もいるわ」

戦闘員「おぉ! 相変わらずおっきなチェーンソーをお持ちで」

メンデス「先ほどはよくも攻撃してくれたな。当たっていれば死んでいたところだ」

サラザール「当たったのはよく分からないヘリだったから良かったものの、誰が乗っているかぐらい確認しろ」

戦闘員「すみません。クラウザーさんの命令だったんですよ」

メンデス「クラウザーか」

妹「あの人も野蛮よね」

姉「ねー」

メンデス「それでレオンとアシュリー様はどうした」

戦闘員「聞いてくださいよ。そのレオンって男、ひでぇんすよ。リヘナラちゃんを蹴り飛ばしたり、施設をブルドーザーで破壊しながら進んだり、もう悪魔っすよ」

サラザール「ケネディ君はやはりアシュリー様を誘拐されたことに腹を立てているようだな」

戦闘員「誘拐!? サドラー様がアメリカでナンパしたんじゃないんですか!?

メンデス「そこは複雑なのだ。サドラー様とクラウザーは半ば強引に誘ったようでな、傍から見れば誘拐だったかもしれぬ」

戦闘員「んだよぉ! サドラー様が悪いっすかぁ!」

メンデス「だが、アシュリー様は一度サドラー様の愛を受け取っているらしい。しかし、レオンがアシュリーをマインドコントロールし、惚れさせた可能性もある」

戦闘員「つまり、レオンが誘拐犯ってこともありえるんですか」

サラザール「私はそれはないと思うがな」

メンデス「私はサドラー様を信じたい。故に確認のためにこの島まで来たのだ。サドラー様の言ってることが正しいのであればレオンはただのテロリストということになる」

遺跡

アシュリー「レオン、レオン。見て。面白そうな場所があるわ」

レオン「何かの遺跡か? だが、これは古いものじゃなさそうだな。誰かが人工的に作ったような……」

クラウザー「俺が作ったものだ。訓練用のためにな」

レオン「クラウザー……。アシュリー、隠れていろ」

アシュリー「う、うん!」テテテッ

レオン「器用だな。こんなものを作るなんて」

クラウザー「ここを突破するのには奥のゲートを通らなければならない。しかし、開けるためには3つの紋章が必要になる」

レオン「クラウザー、何を企んでいる?」

クラウザー「ヒントをやろう。一つは北、一つは東」

アシュリー「(メモしとこ)」

クラウザー「そして最後の一つは……」

レオン「お前が持っているわけか?」

クラウザー「……秘密だ」

レオン「そこまで言っておいて何故隠すんだ」

アシュリー「(さがしてこよ!)」テテテッ

クラウザー「レオン。俺はここで貴様を殺すことにした。お前は俺の計画には邪魔だ」

レオン「神になるってやつか。女1人を簡単に奪われるような神なんて誰も信じないと思うがな」

クラウザー「言っていろ。プラーガさえ完成すれば世界をひっくり返すことができる」

レオン「やめておけ。そんなことできるわけがない」

クラウザー「何故、そういいきれる?」

レオン「ここで俺に倒されるからだ」

クラウザー「ほざけ!!」

レオン「ふっ!!」シャキン

アシュリー「(始まっちゃった! 急いでレリーフ集めないと! レオン、もうあんまり弾薬もってないって言ってたし)」

クラウザー「どうした!! ナイフ一本で俺に勝つつもりなのか!!」

レオン「お前のことはよく知ってるからな。ここに古傷があることを!!」

クラウザー「くっ……!! おのれ……」

レオン「銃を使うよりもナイフで古傷を狙ったほうが効果的だろ?」

クラウザー「なるほどな。正義の味方を気取っているかと思ったが、そうでもないようだな。安心したぞ、レオン」

レオン「何がお前をそこまで変えたんだ。正義の味方になりたいってのが子どものときの夢だったと昔話してくれただろ」

クラウザー「人間、生きていると色々な壁に出くわす。そして大半はその壁が大きすぎて越えられない」

レオン「お前にもそれがあったのか」

クラウザー「ああ。今も目の前に聳えている。立ちくらみが起こりそうなほど、大きな壁がな」

レオン「なに……?」

クラウザー「何故、俺が前職を離れたのか、お前は知っているか」

レオン「同僚を殴り、殺しかけたからだろう」

クラウザー「その通り。では、どうして俺が仲間を殺そうとしたか。知っているか」

レオン「さぁな。動機は知らん。酔った勢いというのが通説になってる」

クラウザー「クックックック……ハッハッハッハッハ……」

クラウザー「アーッハッハッハッハッハ!!!!」ブゥン!!!

レオン「つっ!」キィン

クラウザー「そうか。なるほど。どうやらお前たちは俺のことを哀れんでいたようだな。それこそが俺にとって最大の屈辱だ!!! レオン!!!」

レオン「どういうことだ?」

クラウザー「貴様はいつもそうだった。だからこそ、俺は力を渇望したんだ」 

レオン「分からないな。俺が原因でお前はテロリスト予備軍に成り下がったのか」

クラウザー「そうだ。全ては貴様の所為だ!!」

レオン「……」

クラウザー「お前が訓練所に来たとき、それはそれは騒がしいものだった。あのラクーン事件の生き残りで、大統領の推薦まで受けた男が来るとな」

クラウザー「そしてお前は前評判通りだった。凄まじい才能を有していた。常人ならば血反吐を吐くような訓練も貴様は涼しい顔でこなしてしまう」

クラウザー「教官も同僚も貴様のことばかりだ。口を開けば「レオンはすごい」「奴こそアメリカ史上最強のエージェントだ」なんてことを言う」

レオン「お前……」

クラウザー「貴様が現れるまでは俺がトップだった!! 全員が俺に羨望を向けていた!! だが、全てが変わってしまった!!!」

クラウザー「天才のレオン・S・ケネディが俺から全てを奪った!!!」

レオン「違う。確かに俺は周囲からの評価は高かった。だが、それはクラウザーも同じだ」

クラウザー「だが……大統領の警護という我々の中で最も名誉ある任務についたのは……お前だ……」

レオン「あとのときはまだ正式に決まったわけじゃなかっただろ。俺かお前かだった」

クラウザー「下馬評では貴様以外にいないとなっていた。そう、アイツもそういった。俺の目の前でだ」

レオン「だから、殴ったのか」

クラウザー「アイツは……マイクは……笑いながら言った……。クラウザーも本物の天才には敵わなかったか、となぁ!!!」

レオン「そういうことだったのか」

クラウザー「天才。嫌な言葉だ。俺の努力を全て否定する」

レオン「……」

クラウザー「だが、それはその通りだ。凡人がいくら努力しても天才には敵わない」

クラウザー「だから、必要だったのだ。力が!! 努力では手に入らない力が!!!」

レオン「それでプラーガに目をつけたわけか」

クラウザー「もう惨めな想いをすることもない!! 地球上の人間は俺の前にひれ伏す!!! 神になる俺の前にな!!!」

レオン「……笑えるな」

クラウザー「なんだと……?」

レオン「クラウザー。どうして凡人が天才に勝てないか教えてやる」

クラウザー「……」

レオン「努力が足りないからだ」

クラウザー「レオォォォォン!!!!」

レオン「努力の方法を間違ったな」

クラウザー「ウォォォ!!!」

アシュリー「見つけた! これで二つ目!」

アシュリー「あと一つはどこにあるんだろう……」

戦闘員「ヘビのレリーフだけマジでみつかんねえよ」

「クラウザーさんが所持してるって噂はマジなんじゃねえの?」

戦闘員「隠したっていってんのに持ってるとか意地悪すぎねえ?」

「なんの訓練になるんだろうなぁ、これ」

アシュリー「……!」

アシュリー「(どうしよう……。ここで見つかったら……)」

「あ。あそこにいるのアシュリーちゃんじゃね?」

戦闘員「マジだ。レリーフもってんぞ」

「ヘビのレリーフ、もってるかもしれねえな」

戦闘員「ちょっと確認するか」

「そうだな。とりあえずここから出たいし」

戦闘員「アシュリーちゃーん!! ちょっといいかなー!?」ダダダッ

アシュリー「きゃー!!!」テテテッ

アシュリー「レオーン!! ヘループ!!!」

戦闘員「なんでにげんだよー!!」

「顔が怖いからじゃねえの?」

戦闘員「軍曹ほどじゃねえだろ!」

レオン「アシュリー!?」

クラウザー「ふんっ!!!」

レオン「くっ……!」

クラウザー「気になるなら行けばいい。ただし背を向けてどうなるか、天才のレオンなら分かるだろう。クックックック」

レオン「ちっ。アシュリー!! すぐに助けにいく!! なんとか耐えてくれ!!」

アシュリー「そんなこと言われてもー!!」

戦闘員「まぁまぁ、待てよ」

アシュリー「ひっ……」

「怯えなくてもいいよ。ちょっとレリーフを見せてほしいだけだからぁ」

アシュリー「(もしかしてレリーフを狙ってる……!? これがなきゃここから出られなくなる……!! 私が守らないと!!)」

アシュリー「いや! あっちいって!! このレリーフだけは渡さないから!!」

クラウザー「健気だな。どうやらお前のためにレリーフを集めてくれたようだぞ」

レオン「クラウザー!! アシュリーに手を出すな!!」

クラウザー「俺はあの小娘のことなどどうでもいい。サドラーを信用させるためのエサにすぎないからな。ここで犯されようが関係ない」

レオン「貴様だけは生かしておけないな」

クラウザー「そういう台詞は俺を殺してからにしろ」

レオン「アシュリー!! 逃げ回れ!!」

アシュリー「もう逃げ回ってるわ!!」

戦闘員「待って!! ねえ、レリーフみせて!!」

「一緒にレリーフ探して脱出しようぜー!!」

アシュリー「追ってこないでー!!! レリーフが探せないじゃない!!」

クラウザー「ハッハッハッハッハ。これは傑作だ。逃げながらありもしないレリーフを探しているようだな」

レオン「ありもしないだと?」

クラウザー「元より最後の一つは存在しない。貴様らが来ると聞いたときに破棄した。ここに閉じ込めておくためにな」

レオン「なに!?」

クラウザー「お前はここで俺と戦うしかない。俺が勝てばお前は死ぬ。反対に俺が死ねば、この遺跡中に仕掛けた爆弾が作動し、お前が死ぬ。クククク、どうやらお前は必ず死ぬ運命らしいぞ」

レオン「クラウザー、どこまで腐った!!」

クラウザー「腐らせたのは貴様だ!!」

レオン「昔はいい奴だったのに……。残念だ……」

クラウザー「さぁ!! こい、レオン!! 俺に殺されるか!! 俺を殺して死ぬか!! 好きなほうを選べ!!!」

レオン「クラウザー!!!」

戦闘員「まてまてー」

アシュリー「いやー!! だれかー!!」

戦闘員「なんか、泣き叫んでねえ?」

「俺たち痴漢と勘違いされてるかもな」

戦闘員「それは不本意だな、おい」

アシュリー「逃げなきゃ! レオンだって戦ってるんだもん! 私だって――」

ババババババ……!!!!

アシュリー「な、なに?」

レオン「あれは……ヘリ……!?」

ハニガン『――レオン、応答して! レオン!!』

レオン「ハニガン、久しぶりだな」

ハニガン『突然、不通になって心配したのよ。それよりも貴方たちをピックアップするヘリがそろそろ到着するはずよ』

レオン「もう到着したみたいだ」

ハニガン『本当? よかったわ。あとのことはマイクに任せて、貴方たちはすぐにヘリに乗って』

レオン「マイク?」

アシュリー「すっごい! なんか強そうなヘリがきたわ!」

クラウザー「邪魔なハエがまた飛んできたか。おい!!」

戦闘員「ロケットランチャーはないっすよ?」

クラウザー「あるもので叩き落せ!!」

戦闘員「そんな無茶な。どうみても軍用ヘリなのに」

マイク『――遅くなってすまん。今から援護する』

レオン「マイク、なのか? クラウザーと共に訓練を受けていたっていう」

マイク『俺のことを知ってるのか。これは光栄だな。実はお前とも訓練所が一緒だったんだぜ?』

レオン「あ、ああ。さっきまで知らなかったが」

クラウザー「マイク……? マイク……だと……」

マイク『お。そこにいるのはクラウザーか?』

レオン「そうだ」

マイク『テロリストになったって話は本当だったのか。悲しいな。努力の天才と呼ばれた男なのに』

クラウザー「レオン!! あのヘリを操縦しているのはあのマイクなのか!!!」

レオン「そうみたいだが……」

クラウザー「よくものこのこと顔を出せたものだな!! マイィィィク!!!!」

マイク『騒がしいな。薬が切れたのか?』

レオン「マイク、とにかくここを離れる! 俺とアシュリーを乗せてくれ!」

マイク『それは難しい。そのエリアの先にうようよと変なやつらがいるし、これ以上高度を下げたら何をされるか分からない』

レオン「なら、やることは一つしかないな。マイク、あのゲートをミサイルで破壊してくれ。俺たちはお前に拾ってもらえる地点まで移動する」

マイク『ラジャー。こっちはお前たちの道を作ってやるとするか』

レオン「アシュリー!! こっちにこい!!」

アシュリー「うん!!」

マイク『発射!!』

クラウザー「マァァァァイク!!!! 貴様も殺してやる!!! レオンと同じ墓にいれてやる!!!!」

ドォォォン!!!!

マイク『やったぜ! 早くいけ!!』

レオン「助かる!」

クラウザー「待てぇぇ!!!」

レオン「……マイク、頼む」

マイク『分かってる』

クラウザー「この俺から逃げられると思うな!! 貴様もマイクも血祭りにあげてやる!!!」

マイク『発射』

クラウザー「俺が天才を超える!! こえてや――」

ドォォォォォォン!!!!

アシュリー「クラウザーさんが……」

レオン「これで良い」

アシュリー「レオン……」

マイク『哀れだな。天才の末路ってのは悲惨なのが多いとは聞くけど』

レオン「マイクも余計なことを考えないで自分の仕事に集中してくれ」

エイダ「あらあら。クラウザーがやられたみたいね」

ウェスカー『ふん。そうか。もう少し使い道がありそうだったのだがな』

エイダ「あとのことは私が引き継ぐわ」

ウェスカー『よろしく頼むぞ、エイダ』

エイダ「男の尻拭いは苦手だけどね」

エイダ「ここからはレオンのサポートしながら進んだほうがいいかもしれないわ」

「まてぇ……エイダ……」

エイダ「クラウザー、生きていたの。ごめんなさい、たった今ウェスカーに死んだと報告しちゃったわ」

クラウザー「俺が死ねば、この遺跡も爆発する……」

エイダ「そう。しなかったのは貴方が死ななかったからなのね」

クラウザー「エイダ……余計なことをするのなら、ここで……」

エイダ「もう歩けないでしょう、その傷だと。ゆっくり寝ていなさい」

クラウザー「俺が……レオンを……たおして……みとめて……もら――」

エイダ「レオンも罪な男ね」

エイダ「クレアやシェリーが惚れなかったのが不思議なぐらい」



マイク『パーティーの始まりだぜ!!』ズガガガガガガガガ!!!!!!

戦闘員「いやぁー!!! ヘリがー!! ヘリが撃ってくるー!!!」

「たすけてー!! きゃー!!!」

「隠れろ!! 隠れるんだー!!」

マイク『まずはでかい花火でファンファーレを鳴らすとするか!!』バシュッ!!!

ドォォォォン!!!!

戦闘員「俺たちが何をしたっていうんだぁぁ!!!」

「みんな真面目に生きてきただけなのに!!! ちょっと非合法に銃を集めただけなのにー!!」

ガトリング軍曹「俺が!! 俺が全員を守る!!!」ズガガガガガ!!!!!

戦闘員「軍曹!! やめてください!! 軍曹!!!」

ガトリング軍曹「馬鹿野郎!! 軍曹って階級は伊達じゃねえんだよ!!! 部下を守れる力があるから俺はてめえらより偉いんだ!! ヒヨッコはケツを震わせながら指でもしゃぶっとけ!!」

マイク『そこにもいるのか!!』ズガガガガガ!!!!!

ガドリング軍曹「ぐわぁぁぁ!!」

戦闘員「うわぁぁぁ!! 軍曹!! ぐんそー!!!」

「放棄しろー!! ここは放棄しろー!!」

「ママー!!!」

マイク『まだまだあるぜ。俺の奢りだ、とっときな!!』バシュッ!!!!

ドォォォォン!!!

「ノォォォ!!! ミサイル!!」

「ひぎゃぁぁああ!!! 俺の家がぁぁ!!!」

戦闘員「デ、デイアフタぁトゥモロぉ……!!!」ガクガクガク

ガトリング軍曹「ぼさっとするな!! 逃げるぞ!!」

レオン「すごいので来たな」

アシュリー「ねえ、レオン。なんかちょっとやりすぎのような気も……。泣いてる人もいたし」

レオン「アシュリー、君はやつらに誘拐された身だ。同情なんて必要ない」

アシュリー「う、うん」

マイク『こっちはもう誰もいないぜ。空き家ばっかりだ』

レオン「わかった。引き続き援護を頼む」

マイク『任せてくれ』

サラザール「あそこがどうにも賑やかだな」

メンデス「行ってみるか」

チェーンソー男「またレオンさんが暴れてるんじゃなかっぺ?」

姉「レオンさんの頭がおかしくない限り、ここまですのには絶対に理由があるわよね」

妹「アシュリーさんを連れ去れば終わりだもんね」

メンデス「我々が憎いだけであのノビスタの巣を破壊したとも考えにくいからな」

サラザール「正義はどちらにあるのか。まだ決められないか」

戦闘員「うえぇぇぇん!! 俺の家がぁぁぁ!!」

「折角あつめたボトルキャップが灰になっちまったよぉぉぉ!!!」

メンデス「これは……!!」

姉「なんて有様。まるで空爆されたみたい」

妹「酷い……」

サラザール「ケネディ君……」

メンデス「アシュリー様を取り戻すためだけにここまでするか……レオン……」

チェーンソー男「サドラー様の言い分のほうが正しいかもしれねえべなぁ」



アシュリー「はぁー、やっと広い場所に出られたわ」

レオン「あれは……」

マイク「遅かったな。もうパレードはフィナーレの時間だぜ」

レオン「お前がマイクか」

マイク「初めましてというのは変かもしれねえが、こうしてしっかり目を見て話すのは初めてだな」

レオン「そうだな。……マイク、お前にはクラウザーのことで知っておかなければいけないことがある」

マイク「クラウザー?」

レオン「クラウザーと俺を比べて、失言したそうだな。それが原因で殴られたとか」

マイク「ああ。その話か。確かに失言だった。酒も入ってたってのは理由にならない」

レオン「酒?」

マイク「あのときのクラウザーは悩んでるみたいだったから、誘って一緒に飲んでたんだ」

レオン「そのときに?」

マイク「ああ。本物の天才には敵わなかったが、お前だって努力の天才だ。必ず越えられるさと言った。殺されかけたあとにもう少し言葉を選ぶべきだったと後悔した」

レオン「そうか。慰めるつもりで……。クラウザーは相当病んでいたんだな」

マイク「……そうか。俺の所為でクラウザーは道を誤ったのか」

レオン「いや。クラウザーの心の問題だ。自分を責めないほうがいい」

マイク「分かってる。そういう奴はごまんと見てきたからな」

レオン「そうか」

マイク「それで。そろそろ空の旅へと出かけるか?」

レオン「いや。まだだ。この島でやるべきことがある」

マイク「お礼参りでもするのか?」

レオン「そんなところだ」

マイク「分かった。俺はここで待ってる。ただし3時間で戻らなかったら、帰るぞ。ハニーを家に待たせてるんでね」

レオン「了解。そういう理由なら先に帰ってくれ」

マイク「帰ったら一杯やろうぜ。いい店、知ってるんだ」

レオン「いいな。是非」

アシュリー「レオン、私も一緒に行っていいの?」

レオン「むしろ一緒に来てもらわないと困る。君の体のことだからな」

アシュリー「わ、わたしの……カ、カラダ……? うぅー……胸が無駄に大きいだけなんだけど……」モジモジ

レオン「マイク、またあとでな」

マイク「おう」

マイク「タバコでも吸って時間を潰すか」

サドラー「――君があの惨劇を引き起こした張本人か」

マイク「誰だ?」

サドラー「私はオズムンド・サドラー。教団のカリスマだ」

マイク「ボスってことか。あんたの評判はかなり悪いぞ。大統領の娘を誘拐したんだからな」

サドラー「誘拐……。確かに私と今は亡きクラウザーはアシュリーを誘拐したのかもしれない」

マイク「かもしれないじゃなくてしたんだよ」

サドラー「だが、アシュリーは一度私の愛を受け入れ、ここで骨を埋める決心までしたそうだ」

マイク「したそうだってあんたが直接聞いたわけじゃないのか」

サドラー「クラウザーがそういっていた」

マイク「……」

サドラー「アシュリーは花嫁となったのだ。なのに彼女を無理矢理連れ戻すどころか罪無き者達へ行われた非道。人間のすることとは到底思えない」

マイク「お前、自分の言い分が歪んでることに気が付いているのか?」

サドラー「私は悲しい。この世にこれほど愚かな人間がいることを嘆く」

マイク「よっと」ガチャン

サドラー「我が同胞たちの無念。ここで晴らそう」

バババババ……

マイク『できるものなら、やってみやがれ』

サドラー「そのような玩具に乗らなくては戦えないのか。情けない。大国の兵士が聞いて呆れる」

マイク『現代の兵士は精密機械に囲まれて戦ってるんだ。泥臭い戦争なんざしねえよ』

サドラー「そうか……」

マイク『行くぜ、ビッグボス』

サドラー「ふふ……ふふふ……」

マイク『いい感じに躍れ!!』ズガガガガガガ!!!!!

サドラー「丸腰の相手に発砲とは恐れ入る!!」ダダダダッ

マイク『逃げる気か!!』

サドラー「貴様に構っている暇はないのでな!!」ダダダダッ

マイク『待ちやがれ!! ケンカ売っておいて締まりのねえことするんじゃねえ!!』ズガガガガガ!!!!

旧施設 手術室

レオン「ここか」

アシュリー「ここ、しゅじゅちゅちつ?」

レオン「病院にあるのとは違うがな。ここでは特定の病しか治せない」

アシュリー「そうなんだ。ふぅん、変な機械ばっかりあるわね」

レオン「ルイスの行っていたパソコンはこれか……?」カタカタ

アシュリー「もしかして、レオン……ここでその……あんなこと……とか……するの……?」

アシュリー「このしゅじゅちゅ台の上で、私はレオンに大人の診察とかされちゃうのね……」

レオン「あった。ルイスの研究記録……」

アシュリー「あん、ダメよ、レオン。こんな場所でなんて。初めてはもっと雰囲気の良い場所じゃないと……」モジモジ

レオン「……」

アシュリー「あれ? レオン、どうしたの?」

レオン「アシュリー、そこに寝てくれ」

アシュリー「え!? あ、えっと、シャワーは?」

レオン「必要ない。服も脱ぐ必要はない。寝てくれ」

アシュリー「よ、汚さないでね」

レオン「もう汚れてるだろ」

アシュリー「そ、そうだけど。パパと会うときに服が変な感じに汚れてたら、恥ずかしいっていうかぁ」

レオン「いいから、寝てくれ」

アシュリー「汗くさいけど、我慢してくれると嬉しいな……なんて……」

レオン「……」カタカタ

アシュリー「うぅー……痛くしないでね……」

レオン「どうやらプラーガを注入されてはいないみたいだな。よかった。アシュリー、もういいぞ」

アシュリー「え!?」

レオン「さぁ、ここを出てマイクのところに戻ろう」

アシュリー「あ、そうなんだ……」

レオン「どうかしたか?」

アシュリー「てっきり、ここで……」

レオン「……?」

エイダ「乙女心が分かっていないのね、レオン」

レオン「エイダ」

アシュリー「教会にいたおばさん」

エイダ「……」

レオン「アシュリー、せめてお姉さんって呼べないか?」

アシュリー「あ、ごめんなさい」

エイダ「いいのよ。怒ってないわ。お姫さま」

レオン「それで今の発言はなんだ?」

エイダ「お姫さまは貴方に抱かれたがって――」

アシュリー「いやぁー!! いわないでー!!!」

レオン「アシュリー……」

アシュリー「いや! ほんの少し期待しただけ!! こんなときにそんなこと不謹慎だもんね!!」

レオン「それ以前に、君にそんなことをしたら俺は大統領に……」

エイダ「それはそうと、レオン。空からやってきたお友達がサドラーを追いかけまわしているわよ」

レオン「マイクが?」

エイダ「今はいいかもしれないけど、あまりしつこいと振られちゃうかもね」

レオン「教団も多くの武器をもっているからな。ロケット弾でも持ってこられたらあのヘリだって無事じゃ済まない」

エイダ「それに今回の事件の首謀者であるサドラーを捕まえれば、貴方の出世にも繋がるかもね」

レオン「出世に興味はないが、事件の真相は知りたいところだな」

エイダ「そのパソコンの中にあったものを見たでしょ? それが真実よ」

レオン「サドラーの口からも聞きたいところだ」

エイダ「そうね。本人の口から説明してもらえて初めて納得できることもあるものね」

レオン「……行くか。エイダはどうする?」

エイダ「私も行こうかしら。最後だもの。貴方のサポートぐらいはできるわ」

レオン「助かる。アシュリーは……」

アシュリー「できる限り近くにいたい」

レオン「なら俺についてきてくれ」

アシュリー「最後までついていくわ」

エイダ「お友達とサドラーはこの上にある鉄塔のほうへ向かったわよ」

レオン「分かった。エイダも無茶はするな」

エイダ「したくても貴方みたいなことはできないわ」

鉄塔付近

レオン「あそこか」

アシュリー「ヘリが飛んでるわ。すごい撃ってるけど、サドラーさんと戦ってるのかしら?」

レオン「みたいだな」

商人「おー、レオン。ンンンン!!! ウェルカァァム!!!」

レオン「お前もこっちに来てたのか」

商人「ああ。頼まれたものがあったからな」

レオン「良いものはあるか?」

商人「あるぜ。普通のロケットランチャーより威力があるロケットランチャーだ」

レオン「弾頭が赤いな」

商人「ヘッヘッヘッヘ、買うかい?」

レオン「カードで」

商人「まいどあり。レオンがいればくいっぱぐれることはなさそうでいいぜ。ハッハッハッハッハ」

レオン「……アシュリーを見ていてくれないか?」

商人「上でやってるドンパチに参加するんだろ? いいぜ、お嬢さんは俺が責任もって守ってやるから、レオンは俺の武器で暴れてこい。アーッハッハッハッハ」

鉄塔

マイク『いつまで逃げ回る気だ!!』スガガガガガガ!!!!

サドラー「いつまで私を追いかける気だ!!!」

エイダ「頑張るわね、サドラー」

サドラー「エイダ……!!」

エイダ「そろそろ諦めなさい。もう貴方の負けなのよ」

サドラー「クッ……」

マイク『観念したようだな』

サドラー「クックックックック……」

エイダ「追い込まれておかしくなっちゃった?」

サドラー「私はカリスマ。教祖、オズムンド・サドラーだ」

エイダ「それがどうしたの?」

サドラー「カリスマの私には信者がいる」

エイダ「……!」バッ

メンデス「遅い!!」ガシッ!!!

エイダ「ぐっ……うっ……!!」

メンデス「レオンはどこだ」

エイダ「レ……オン……?」

マイク『一般人を人質にするのか最近の教祖様は』

サドラー「一般人にミサイルを撃つのはどこの軍人かな」

メンデス「レオンに聞きたいことが山ほどある」

エイダ「う……ぐぅ……!」

レオン「――俺はここだ。エイダを放せ」

メンデス「……」

エイダ「ごほっ……ごほっ……」

サドラー「ケネディ君、アシュリー様はどこにいるのだろうか」

レオン「この鉄塔の下にいる。ボディーガード付きでな」

サドラー「そうか。すぐに呼んできてもらえないだろうか」

メンデス「私もアシュリー様にも聞きたいことは多いのでな」

レオン「断る。と言ったら?」

サドラー「メンデス、エイダをもう一度拘束しろ」

メンデス「レオン。では聞きたい。アシュリー様はレオンによってマインドコントロールを受けたのか? そうプラーガで操るように」

レオン「そんなことはしていないと言って、あんたは信じるのか」

メンデス「……」

サドラー「メンデス。早く、エイダを」

エイダ「失礼するわ。レオン、あとのことはよろしくね」

サドラー「まて!!」

マイク『動くな。お前が動くと俺の指も勝手に動くぜ?』

サドラー「くぅ……」

メンデス「私は何を信じればいいか分からなくなった。お前のように気骨ある若人が理由もなく暴れるとは思えん。しかし、サドラー様を疑うなどできはしない」

レオン「アシュリーはここの教祖様によって拉致、監禁された。それは事実だ」

サドラー「出鱈目だ。傍から見ればそう見えただけに過ぎない。真実とは往々にしてつまらないものなのだよ。ハッハッハッハ」

メンデス「仮にそうであったとしても、お前が我が同胞を傷つけたことは正当化されるものではない」

レオン「襲ってきたのはお前たちだ。俺たちは自衛のために戦った」

メンデス「過剰防衛というのだ、お前がやったことはな」

サドラー「メンデスよ。アシュリーを連れてこい。話はそれからだ」

レオン「お前たちがやったことはテロだ。報復も覚悟していたはずだろ」

メンデス「アシュリー様ご自身は意志でここまで来たと……私たちは説明を受けた……」

レオン「その件に関してはあの小屋で終わっただろう。サドラーとクラウザーの嘘なんだよ」

メンデス「だが、それこそがレオンの嘘であることも……」

サドラー「彼奴の言葉に耳を傾ける必要はない。さぁ、アシュリー様を連れてくるのだ」

レオン「実はいうと、俺はクラウザーが全ての元凶であり、サドラーも悪人ではないかもしれないと考えた。だからこそアンタは必死にサドラーを守ろうとしているんじゃないかと」

メンデス「……」

レオン「だがな、俺もアンタも、信じている村の人間も、サドラーに騙されてる」

メンデス「なに……?」

サドラー「メンデス!! ケネディ君の言うことは根も葉もないこと!! 根拠も乏しい!! 目を覚ませ!!」

メンデス「何故、そういい切れる?」

レオン「ルイスの研究データを見せてもらった。何故、プラーガの研究をしていたのか。そのきっかけとなることも書かれていた」

サドラー「ルイス……!?」

レオン「読んでみるか?」ペラッ

―ルイスの研究データ―

本日、午後3時。プラーガの研究を開始することとなった。その経緯についてここに残しておく。
最初に断っておくが、これは俺が提案したのではなくサドラー自身であることだ。
先日、サドラーは俺にこういった。

「過去の伝承にプラーガを用いて透明人間になれたとあった。調べてくれないか」

透明人間。魅力的な響きに俺も興味を持った。透明人間になることができれば世界が変わると思ったからだ。
話を聞いたときは、きっとそれを軍事利用するものだと考えた。莫大な金も入ってくるし、世界を牛耳るのも夢物語ではない。
ただ気になったのはサドラーが武力を所有するのに積極的になったことがなかった点である。そのためこの依頼は違和感があった。

確かにPMSCに匹敵するものが教団も有しているが、それはあくまでも半年前に入団したクラウザーの提案によるものであり、サドラーが考えたものではない。
では何故、急に透明人間について調べてほしいと言い出したのか。

よく調べてみればサドラーは今現在アシュリー・グラハムという女子大生にご執心のようで、機会があればアメリカに渡り、こちらに連れてくる計画を練っているようだった。
要は誘拐の計画である。クラウザーに唆されたと俺は見ているが。
それはともかく、このタイミングで女絡みとあれば導き出される答えは一つしかない。
透明人間になって変態プレイをするつもりに違いない。例えばサドラーとアシュリーの二人が透明になって、外で……とかな。

俺も似たようなことを考えているので黙って従うことにする。
とにかくこの研究は俺が考えたものではなく、サドラーが思いついたことであり、それも私利私欲のためであることをここに残しておく。

村の連中が少しばかり不憫だが、サドラーだって男の子だ。そういうことを考えて当然だろう。

メンデス「このようなデータが……」

レオン「そうだ」

チェーンソー男「サドラー様ぁ……」

姉「サイテーね」

妹「女の敵」

サドラー「待て!! そ、それはルイスが書き残したものだぞ!!」

レオン「この研究の過程で生まれたのがノビスタドールとリヘナラドールというわけだな」

メンデス「……そういうことか。全てが繋がった」

サラザール「ノビスタの巣を壊したのはルイスとサドラー様、いや、ロス・イルミナドスが生み出した負の結晶だからか」

メンデス「レオン、いや、レオン殿は義憤を感じ、あのような行動にでたと」

サラザール「ケネディ様の崇高な心を理解しないまま、私たちは危害を加えようとした」

メンデス「あれだけ暴れるのも無理はない。レオン殿にすれば、我々のやってきたことは、守ろうとしたものは……悪でしかなかった……」

レオン「分かってくれたか」

サドラー「聞け!! あの悪童ルイスが残したものだ!! どこに信憑性があるというのだ!!」

メンデス「これがルイスの悪戯にせよ、一連の出来事により貴方を信じることはできなくなった」

サドラー「ふざけるな!! 私の話も――」

レオン「まだ気づかないのかサドラー? お前にはもう欠片ほどのカリスマもないことに」

サドラー「ぐぅぅ……!!」

メンデス「サドラー様、真実を語ってはくれませんか。それともこれが真実なのですか」

サラザール「ノビスタドールがこのような下らない欲望のために生み出された存在だったとは……」

チェーンソー男「ノビスタも可哀相だべなぁ」

レオン「サドラー、お前自身は純粋に嫁を探していたのかもしれないが、お前みたいな男にアシュリーはもったいない」

サドラー「黙れ……私がこのためにどれだけの時間と金をかけてきたと……」

レオン「さぁな。女を見る目がなかったと諦めろ」

サドラー「……」

メンデス「サドラー様、心を入れ替えてもらえませんか。村の者も城の者もまだ貴方を信じている」

姉「私はもう信じないけど」

妹「無理だよねー」

サドラー「ふふふ……フフハハハハ……」

レオン「何がおかしい?」

エイダ「ふっ!」バシュッ

エイダ「(フックショットも上手く扱えるようになったわ)」スイーッ

エイダ「(この調子でいけば――)」

サドラー「君も分かっているのだろう。今やアメリカ人が勝つなどというのは、映画の中のクリシェなのだよ」

レオン「……様子がおかしいな」

メンデス「サドラー様!!」

サドラー「黙れ!! 貴様らはもう私の信者でもなんでもない!!!」

チェーンソー男「酷いべ!! オラぁ、20年以上サドラー様を信じて!! 雨の日も雪の日も木を切ってきたんだべ!?」

姉「私だってそうよ!! こんな重たいもの持って!! 毎日毎日森と村を何十回と往復してたのよ!!」

妹「それもこれも村を救ってくれたサドラー様に少しでも恩返しができればと思って!!」

サドラー「ならば私を信じるか。そこにいるアメリカ人を今すぐ斬れるか」

姉「そ、それは……」

サドラー「もういい。もういいのだよ。救いなどこの世にありはしない。あるとすれば、それは自分自身の力だけだ」

レオン「村長、この島からすぐに離れろ」

メンデス「しかし、レオン殿を1人にすることはできない。サドラー様はプラーガを操る術を持っている。我々も知らない何かを隠している可能性がある」

レオン「だからだ」

メンデス「なに……?」

レオン「信じてきた男に傷つけられたくはないだろうし、戦いたくもないだろう?」

メンデス「レオン殿……」

レオン「俺がケリをつける。任せてくれ」

メンデス「……かたじけない。異国の者にこのような重責を負わせてしまうとは、長とし恥ずかしい限りだ」

レオン「気にするな。俺もあんたには迷惑をかけた」

メンデス「……退くぞ」

サラザール「ケネディ様、ご武運を」

姉「レオンさん、かっこいいなぁ」

妹「レオンさん! 全部終わったら、一緒にお茶でもどうですか!?」

レオン「考えておく」

姉「ま、まってますね!!」

妹「キャー!! お化粧しなくちゃ!!」

チェーンソー男「漢だべ……あんなに良い男は世界中探したっていねえべなぁ……」

マイク『レオン、援護は必要か?』

レオン「必要ない。すぐに終わるからヘリに油でもさしておけ」

マイク『ハッハー、了解だ』

サドラー「ケネディ君、私は君が気に入った。褒美として君の幻想に終止符を打ってあげよう」

レオン「ふん。俺は幻想を抱いたことはない。いつでも現実を受け入れるようにしている」

サドラー「なに……」

レオン「そう。あのラクーンシティからな。甘い考えをもっているだけで命取りだ」

サドラー「フフフ。実に面白い。面白いぞ、ケネディ君」

レオン「さぁ、全部終わらせようぜ。もう夜明けだ」

サドラー「私に勝てるとでも思っているのか?」

レオン「俺が負けると思ってるのか?」

サドラー「その通りだよ、ケネディ君!! 見せてあげよう!! ロス・イルミナドスに伝わる、杖術を!!!」

レオン「だからその長い杖を持ちあるいていたのか」

サドラー「来るがいい!! アメリカ仕込の戦術など、我が杖の前では無であることがすぐにわかるだろう!!」

レオン「なら、俺もこれを使わせてもらう。買ったばかりの品で歴史もなにもないがな」ジャキン

ドォォォォォォン!!!!!

レオン「……」

マイク『終わったのか』

レオン「ああ。全部な」

マイク『それならここから早く離れようぜ。まだ店は開いてるはずだ』

レオン「随分遅くまでやってるんだな、その店」

マイク『良い店なんだ。美味い酒も飲める』

レオン「そうか。楽しみだ」

エイダ『でも、残念ね、レオン。貴方はこのヘリには乗れないわ』

レオン「エイダ!? なにしてる!?」

マイク『おいおい。急になんだよ』

エイダ『貴方には今から向かって欲しいところがあるのよ。お願いできるかしら?』

マイク『タクシー代わりにしようってか。いい女は我侭がすぎるな』

エイダ『お金ならいくらでも払うわ。体で払ってあげてもいいけど』

レオン「エイダ!! 待て!! お前の目的は何だ!?」

エイダ『私の仕事はプラーガのサンプルを入手することと、研究データの奪取にあったわ』

レオン「それが世界に流れたらどうなるか、分からないのか」

エイダ『ええ、そうね。サドラーのように下劣な考えを持っている男が少なくともあと1人いるもの』

レオン「誰だ、それは」

エイダ『クレアかシェリーに会ったら聞いてみればいいわ。頭のおかしいサングラスの男に心当たりはないかって』

レオン「それって……」

エイダ『だからね、私個人の目的はそんな反吐の出る研究データの初期化なの』

レオン「初期化だと? この島にはそれこそ膨大な量のデータがあるし、コピーも……」

エイダ『これ、なんだと思う?』

レオン「まさか……。だからさっきからフックショットで移動してたのか」

エイダ『貴方もすぐにこの島から出たほうがよさそうよ?』ピッ

レオン「押すなよ」

エイダ『これをあげるわ』ポイッ

レオン「このキーは……」

エイダ『下に降りて地下水脈に繋がる洞窟があるの。そこにジェットスキーを用意してあるわ。ここまでがんばってくれたレオンへのプレゼントよ。自由に使ってね』

マイク『おい、俺の任務はレオンとアシュリーを連れて帰ること――』

エイダ『手刀っ』ドスッ

マイク『うっ――』

レオン「マイク!! マァァァイク!!!」

エイダ『じゃあ、またねレオン』

バババババババ……

レオン「……」

レオン「クマのストラップか……。可愛い過ぎて泣けるぜ」

メンデス「よいっしょ」

サドラー「うぅぅ……おのれぇ……このまま……わたしは……どう、ていで……おわるのかぁ……」

レオン「村長! まだ島から出ていなかったのか!?」

メンデス「エイダという女が不審は行動をしていたからな。まさか島中に爆弾を設置しているとは思わなかったが」

レオン「早く逃げろ!! あと数分で爆発するぞ!!」

メンデス「分かっている。しかし、レオン殿はどうするつもりだ。我々の乗ってきたヘリは定員オーバーで……」

レオン「俺たちは大丈夫だ。優雅に泳いで脱出する」

鉄塔付近

商人「そうか、そりゃあ災難だったな」

アシュリー「でも、レオンと出会えたから、そこはサドラーさんに誘拐されたことを感謝したいなーって」

商人「ハッハッハッハ。手放すなよ、お嬢さん。ああいうタイプは引く手数多だからな。しっかりと手綱を握ってなきゃいけねえ」

アシュリー「そうなんですよね。レオン、すっごいモテそうで」

商人「惚れ薬なんてものは取り扱ってないが、これならあるぞ」

アシュリー「これは……!!」

商人「やっぱり避妊は大事だからなぁ」

アシュリー「なら、えーと……10枚ほど……」

レオン「アシュリー!!」

アシュリー「レ、レオン!? おかえりなさい!!」

商人「ンンン!! ウェルカァァム!!!」

レオン「急ごう! 島が吹っ飛ぶ!」

アシュリー「え!? どういうこと!?」

レオン「死の商人! お前もこい!!」

洞窟内

アシュリー「ちょっと、どうして島が吹き飛んじゃうの!?」

レオン「説明はあとだ。これに乗れ」

アシュリー「う、うん!」

商人「……」

レオン「お前も乗れ!」

商人「ハッハッハッハッハ!! レオン、残念だったな。そのジェットスキーは二人乗りだ。3人も乗れない」

アシュリー「ま、待って!! それじゃあ貴方はどうなるの!?」

商人「どの道俺はここから摘み出された身だ。行くアテなんてお空の上しかねえのさ」

レオン「まだ逃げる方法はあるはずだ」

商人「それは俺が考えることだ。お前はお嬢さんをここから無傷で家に帰すことだけを考えな」

アシュリー「おじさん……!」

レオン「しっかり掴まっていろ、アシュリー!!」ブゥゥゥゥン!!!!

商人「良い買い物できてよかったなぁー!!! またの来店を待ってるぜぇ!! アーッハッハッハッハッハッハ!!!! ハーッハッハッハッハ――」


ドォォォォォォン!!!!

アシュリー「おじさん!! おじさぁぁぁん!!!」

レオン「アシュリー!! 前を見ておけ!!」

アシュリー「でも! でも……!!」

レオン「前には何が見える?」

アシュリー「レオンの……大きな背中……」

レオン「そうだろう。それが見えていればいいんだ」

アシュリー「レオン……」ギュッ

レオン「俺のことを冷たい男だって思うか?」

アシュリー「ううん……思わない……」

レオン「どうして? 俺は何度も君の優しさを踏みにじってきた。任務だから、仕事だから、相手が悪いから、そう言い訳してな」

アシュリー「思わないよ。だって、レオンの背中、とっても暖かいもん」

レオン「ふっ。高いチップをもらったな」

アシュリー「最後まで、お願い」

レオン「ああ。君を家まで送り届ける。だから、絶対に俺を離すなよ」

アシュリー「うんっ」

ドォォォン……ドォォォォン……

アシュリー「島が……崩れていく……」

レオン「……」

アシュリー「サドラーさんやクラウザーさんはどうなったの?」

レオン「サドラーは村長が運び出していたから、死んではいないだろう。クラウザーは……わからん……」

アシュリー「そっか……。レオンはこれでよかったと思う?」

レオン「勿論、パーフェクトだ。君が無事だからな。君を本国に送り届ける任務が残っているがな」

アシュリー「……そうね」

レオン「行こう」ブゥゥゥン

アシュリー「よかったら、このあとの任務も頼もうかしら」

レオン「すまない。既に次の任務は決まっている」

アシュリー「デート、1回ぐらい……」

レオン「残念だ」

アシュリー「一夜限りの相手とかも……」

レオン「無理だ」

アシュリー「じゃあ、キスなら!? キスぐらいならいいでしょ!?」

レオン「我侭言わないでくれ」

アシュリー「レオン!! 愛してるの!! 私のことメチャクチャにして!!」ギュゥゥゥ

レオン「やれやれ……」

アシュリー「絶対にレオンのこと離さないから!!」

レオン「ああ、振り落とされないようにしてくれると助かる」

アシュリー「レオーン……」スリスリ


商人「ぷはぁ!! ふぅー、なんとか泳いでここまでこれたな」

商人「さぁて、商売できる場所を探すかぁ」

商人「どこに行こうか。そうだ。アフリカあたりなんていいかもしれねえな。ヘッヘッヘッヘ」

商人「レオンみたいな上客にまた会えることを願うぜ」

商人「さて、岸はどっちか」

商人「まぁ、ゆっくり探すか。ハッハッハッハッハ」

商人「……にしても、あのチェイナドレスの女、次あったらぼったくってやるか」

数週間後 城内

『我々はテロリストには屈しない。この度の事件を重く受け止め――』

邪教徒「また同じ話題だよ」

村人「最近は物騒なことが多いだべなぁ」

戦闘員「世界のことより、今は俺たちのことだろ。島はボロボロ、アシュリーちゃんには逃げられちゃったし、ロス・イルミナドスの将来が不安でたまらんぜ」

サラザール「何よりもサドラー様の花嫁、いや、恋人を見つけなくてはな。今回の一件で相当なトラウマになったようだが、子孫がいなければ未来はない」

クラウザー「無理だな。あのような器の小さな男では」

メンデス「貴様をわざわざ再雇用してくれたサドラー様の器が小さいと?」

クラウザー「……分かっている。だから、今は忠誠を誓った」

メンデス「では、口に気をつけるがいい」

邪教徒「クラウザーさん、大統領の隣にいるSPっぽい女の子、超かわいいすっよ。サドラー様の彼女にいいんじゃないですか?」

シェリー『……』

クラウザー「ほう。サドラー様を呼んでこい。こいつを次の花嫁候補にするぞ」

メンデス「誘拐はいかんぞ。誘拐は。今度こそきちんと愛を育むのだぞ。いいな」


おしまい。

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