【艦これ】日向「もうこれ翔鶴に言わせろよ」 (324)


【艦これ】日向「ああ、新しく入る五航戦姉妹か。よろしく頼む」の続編になります。

この話は前作を読まないと分からない不親切な設計になっています。

気付きを経て成長した翔鶴、瑞鶴のその後になります。
日常モノにしたかったのにドロドロした感じになってしまいましたが、
前作を楽しめた精鋭であれば楽しんでもらえると思います。
よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396448323

翔鶴「全航空隊、発艦始め!」

瑞鶴「第一次攻撃隊、発艦始め!」

日向「制空権は頼んだぞ。敵艦載機は砲撃の邪魔だ」

翔鶴「了解!」

木曾「よし! 次は俺の番だ! 先制雷撃も行くぜ!」

長月「ちゃんと大型艦に当てろよ」

三隈「三隈の立体的な砲雷撃戦、始めますわ!」

日向「三隈、お前の出番はもう少し後だ」

三隈「あ、すいません」

瑞鶴「艦戦より入電……よしっ! 敵攻撃隊の撃滅に成功! 制空権確保、成功です!」

翔鶴「攻撃隊より入電、『我、駆逐1、重巡1を撃沈。軽空母1を大破確実』」

日向「いい仕事だ。翔鶴、瑞鶴」

木曾「うわっ! ……俺の戦果は駆逐艦1か、やっちまった。すまん!」

長月「ほら言わんこっちゃない!」

三隈「駆逐艦は大型艦を庇いますから。今のは仕方ないですよ」

日向「生き残った敵の攻撃隊が来たぞ。一応注意しておけ」

木曾「心配すんなよ日向さん。こんなの避けるのは造作も、あいてっ!!」

長月「だーから注意しろと言っただろうが! 馬鹿木曾!」

木曾「うるさい長月! かすり傷だ!」

日向「次は砲撃戦だな。三隈、準備はいいか?」

三隈「いつでも行けますわ」

日向「よし。目標、敵正規空母級、主砲一斉射……始め!!」

帰港後 大浴場

日向「ふー、よっこらせ」

瑞鶴「日向さん、それ、年寄っぽいですよ」

木曾「前から注意してるけど聞かないんだ」

日向「これを言うと気持ち良いんだよ。瑞鶴、お前もやってみろ」

長月「別に真に受けなくていいからな~。聞き流しとけ」

瑞鶴「……」

瑞鶴「は~、よっこらせ」

瑞鶴「……」

瑞鶴「ちょっと気持ちいいかもしれません」

日向「だろ」

日向「この声は浴槽に入るための儀式であり、研鑽して習得された職人技だ」

日向「年の功と言っても良いぞ」

長月「こら! やめろよ瑞鶴! 日向が調子に乗るだろう!」

瑞鶴「長月さんもやってみて下さい。気持ちいいですよ」ナデナデ

長月「私が何で……って頭を撫でるな! 私はお前の先輩なんだぞ!」

瑞鶴「前から思ってたんですけど、長月さんて燃費良いですよね。」

長月「……駆逐艦を馬鹿にしてるのか」

瑞鶴「そんなんじゃないですよ!」ナデナデ

長月「だったらこの手はなんだー!!!」

翔鶴「瑞鶴、長月さんは嫌がっています。やめなさい」

木曾「ははは! 瑞鶴、そいつはちびっ子だから燃費だけは良いんだよ」

瑞鶴「いえ、燃費は大事ですよ。ねっ? 翔鶴姉!」

翔鶴「まぁ……燃費は確かに大事だけど……」

長月「くぅぅぅ」

翔鶴「今はそういう話じゃないでしょ?」

日向「そういえば長月は、今日はどういう活躍をしたんだ?」

長月「うぅうぅうぅうぅ」

日向「先輩と言うからには瑞鶴より大きな戦功を上げているに違いない」

長月「むぅうぅうぅ」

三隈「クマッ♪」

長月「」ブチッ

長月「私の砲戦前にお前らが敵を全部倒すからいけないんだっーー!!!!!」

長月「なんだよ! 寄ってたかって私をいじめて!!!」

長月「仕方ないだろう!? 私の攻撃する機会はお前らより少ないんだ!!!」

長月「大体」

長月「燃費燃費と、駆逐艦を馬鹿にするがな!」

長月「仮に出撃する艦隊の六隻が全部日向だと考えてみろ!」

長月「なんと恐ろしい!!」

長月「うちは備蓄資材的に破産するぞ!! 油が無くて作戦行動がとれなくなるぞ!!!」

長月「私の燃費の良さはバランスを保つ為だ!!!」

長月「この戦略的俯瞰が出来ない考えなしの馬鹿どもめ!!!!」

長月「木曾は慢心する雑魚馬鹿魚雷馬鹿だ!」

長月「瑞鶴と翔鶴は先輩を尊敬しない最低な後輩だ!」

長月「日向は……なんかもう燃費が潜在的な人類の敵だ!」

長月「お前らなんか大嫌いだ!!!!」

長月「うわーん」

木曾「あーあー、泣いちゃった」

日向「くっくっく」

木曾「日向さんも悪ノリしすぎだよ」

日向「悪気は無いんだ。悪意はあったが」

木曾「その二つは同じものだよ!!」

木曾「……」

木曾(ありゃー。五航戦の後輩の前で馬鹿にしたのは不味かったかな?)

木曾(そういえばこの前、ぽろりと「五航戦が強くて羨ましい」って言ってたしな)

木曾(どう幕引きすっかなぁ)

日向「……」

日向(うーむ。長月はここまで悩んでいたのか)

日向(私はまた気付けなかった、か)

翔鶴「長月さん」

長月「……」

翔鶴「妹の数々の無礼、姉としてお詫びいたします」

翔鶴「申し訳ございません」

瑞鶴「……」

翔鶴「瑞鶴、貴女は何故謝らないの」

瑞鶴「だ、だって、私は本気で長月さんの燃費がいいところ好きだもん!」

瑞鶴「謝ったら私が嘘を吐いてる事になっちゃうじゃん!」

翔鶴「あなたは馬鹿なのですか?」

瑞鶴「!?」

翔鶴「それは傲慢です。『自分が良いと思うものは他人にだって良い』という押し付けです」

瑞鶴「……」

翔鶴「貴女の押しつけがましい善意で傷つく人も居るの。覚えて反省しなさい」

瑞鶴「……はい」

翔鶴「言う事はそれだけなの?」

瑞鶴「……」

瑞鶴「長月さん、ごめんなさい。馬鹿にするつもりは無かったんです」

瑞鶴「私本当に、長月さんの燃費の良さが……羨ましいくらいで……」

瑞鶴「悪気は無かったんです」

瑞鶴「でも私は、無遠慮でした」

瑞鶴「……ごめんなさい」


翔鶴「長月さん、本当に申し訳ありません」

長月「……」

長月「もういい二人とも」

長月「お前らの気持ちはよく分かった」

長月「……特に瑞鶴、もう泣くんじゃない」


瑞鶴「……泣いてません」ウルウル

長月「はぁ、そうかよ」

長月「……お前らの実直さを見てると怒る気も失せたよ」

翔鶴「妹を助ける、という訳ではないのですが」

翔鶴「私達姉妹は長月さんに本当に感謝しています」

翔鶴「配属されたばかりで緊張していた私達に、厳しくも温かい指導をして下さりました」

翔鶴「私たちを後輩として見て下さいました」

瑞鶴「戦闘の時だって!!」

翔鶴「……」

瑞鶴「……翔鶴ねぇ、私も喋って良い?」

翔鶴「何故私に聞くのですか。この場で許可を求めるべきは誰かも分らないのですか」

瑞鶴「……長月さん、喋っても、良いですか?」

長月「あ、ああ。良いぞ」

瑞鶴「長月さんは、いつもみんなの事を気にかけてくれています!」

瑞鶴「誰々が危ないとか、敵の何々を狙えとか」

瑞鶴「広い視野で戦場を観察して、色んな情報を伝えてくれます」

瑞鶴「私たちは一人で敵を倒しているわけじゃありません」

瑞鶴「みんなで協力して、戦ってるんです」

瑞鶴「長月さんの凄さは、戦果や戦功では表れにくいけど」

瑞鶴「私はずっと見てますから! ずっと覚えてますから!」

翔鶴「……だ、そうです」

翔鶴「恥ずかしながら私も、愚妹と全く同じ意見です」

翔鶴「長月さん、これからも愚妹共々ご指導ご鞭撻よろしくお願いします」

瑞鶴「お願いします!」

長月「……お前たちに言われるまでも無い!」

長月「私はお前たちの先輩だ! 当然だ!」

長月「……」

長月「精々、私の活躍を覚えていろ」


翔鶴「はい」

瑞鶴「はいっ!」

長月「まぁこれまでの話を簡単にまとめると、だ」

長月「やはり私はこの日向艦隊になくてはならない存在という事になる」

長月「仕方あるまい」

長月「燃費が悪いばかりで役に立たない大型艦ばかりだからな」

長月「いっそ艦隊名を長月艦隊に替えてはどうか」

長月「うん、今度提督に進言してみよう」

長月「旗艦になれば提督と一緒に居られる時間も長くなったり……」

長月「し、仕方ないよな!? 旗艦なんだから」

瑞鶴「……長月さん」

長月「何だ?」

瑞鶴「頭撫でても良いですか?」

長月「は?」

翔鶴「瑞鶴」

翔鶴「この場で許可を求めるべきは誰かも分らないのですか」

瑞鶴「翔鶴ねぇ、長月さんの頭撫でて良い?」

翔鶴「良いわよ」

長月「は?」

瑞鶴「うりうりうりうり~~」

長月「おい、馬鹿! 何すんだ瑞鶴! 翔鶴も止めろ!!」

翔鶴「ふふ。長月さんは相変わらず懐が深い方ですね。妹がお世話になっております」

長月「翔鶴ぅ!!!」

瑞鶴「長月さんって、ちっちゃいのに大人ぶってて可愛いです!」

長月「やめろぉぉぉぉ!!! 私は大人だし先輩だぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

提督「で、その話の終盤にお前が出てこないのは俺の気のせいか」

日向「……」グビ

日向「気のせいではない」

提督「急に酒に付き合えと言うから驚いたが」

提督「なんだ、ヤケ酒か」

日向「……」グビ

日向「私自身も驚いている」

日向「自分自身のあまりの不甲斐なさと」

日向「あの姉妹の自我の成長の速さに」

提督「確かに先程の話の中でお前と木曾は霞のようだな」

提督「問題の解決に寄与するのでなく、問題をより難しくする姿」

提督「お前が俺を例えて言う所の『老害』とやらにしか思えんかったな」

日向「……」グビ

提督「なんだその目は」

日向「いや、君は誰だったかと思ってな」

提督「都合が悪くなると俺を忘れるのはやめろ!」

日向「二人とも今は芯がある」

提督「芯」

日向「揺るぎ無い自分、だ」

提督「俺は、お前にだってあると思うぞ」

日向「きっと私にも芯はあるのだろう」

日向「だが、この場合芯の有る無し……でなく芯の大きさが重要なのだ」

提督「ふーむ。そういう事か」

日向「私は彼女たちより劣った芯の持ち主なのではないのだろうか」

提督「ふふ」

日向「何がおかしい」

提督「よく考えろ。お前、自分の悩みの奇天烈さに気付いていないのか?」

日向「……」グビ

提督「お前の言う芯とは、つまり心や個性にあたるものだ」

提督「艦娘が他の艦娘の個性を羨ましがる」

提督「傑作だ。最高だ」

提督「劣った心とは何だ。意味不明すぎる。不明瞭すぎる」

提督「一体お前は何と戦っているのだ」

日向「……確かに」

提督「今くらいは悩むな、日向」

提督「俺は嬉しいぞ」

提督「感じ、考え積み重ねてきた『心』を使う時が来たのだ」

提督「長月の件で確信した」

提督「俺の娘達が変化した」

提督「道具を作る段階が終わり、道具を使う段階に来ているようだ」

提督「お前は今、他人の心を自分のものと比較しているのだ」

日向「……」グビ

日向「確かにこの比較は戦闘と全く無関係だ」

日向「兵器失格だな」

提督「では人間的にはどうだ?」

日向「……」グビ

日向「君、私たちを人間だと思っているのか?」

提督「……」

提督「嘘を吐いた」

日向「……」グビ

提督「本当は嬉しいだけでなく、お前たちの変化が少し怖い」

日向「……」グビ

提督「機械に、兵器に恋をしてしまった自分が怖い」

日向「……」グビ

提督「……」

提督「嘘を吐いた」

日向「……」グビ

提督「本当は嬉しいだけでなく、お前たちの変化が少し怖い」

日向「……」グビ

提督「機械に、兵器に恋をしてしまった自分が怖い」

日向「……」グビ

提督「最初はただの善意だった」

日向「……」グビ

提督「人の姿をし、未発達な精神を持つお前たちを、単なる兵器と見れなかった」

日向「……」グビ

提督「矛盾しているが、お前たちが人間的に成長してゆく姿が嬉しかった」

日向「……」

提督「だが」

提督「今はもう複雑すぎて自分でも理解が出来ていない」

提督「俺の考えの追い付けない速度でお前たちは進化してゆく」

日向「……私は以前、君は間違っていないと言った」

提督「言ってくれたな」

日向「私も確信が持てなくなってきた」

提督「……どうしてだ」

日向「私だけでなく、他の艦娘の成長があまりにも早すぎるからだ」

提督「……」

日向「以前の私は君と一緒に居られれば良かった。君が指揮官としていれば良かった」

提督「……」

日向「具体的には五航戦が来る前は、だな」

日向「今は違う」

日向「自分の中で色々な物が渦巻いている。明確でないが、色で表すなら黒色なモノだ」

日向「それが私を迷わせる」

日向「既に君の心は翔鶴のものなのに、君の優しさ、弱さに付け込んで一緒に居る」

日向「こうして酒を飲んでいるのもそうだ」

提督「……落ち着け」

日向「落ち着いている」

日向「なぁ提督、翔鶴は良い女だ」

日向「私のように迷いは無い。毅然として、凛として、きっと心が強いんだ」

日向「……」

日向「私は何が言いたかったんだ?」

提督「お前は今日飲み過ぎだ」

日向「もしかして」

日向「私は酔っているのか?」ドタ

提督「おい!」

日向「ふふふ、心配してくれるのか? 翔鶴が怒るぞ」

提督「ふざけるな!」

日向「君は私たちが怖いと言った」

日向「なのに何故私の心配をする」

提督「……」

日向「目の前で困っている者を助けるのは当たり前か?」

日向「それとも昔なじみの戦艦の、中身が大きく変化した事を認識していないのか?」

日向「どちらにしろ君は最低だ」

日向「前者ならただの偽善だ。それは他人でなく自分を助ける為の行為だ。最低だ」

日向「後者なら大馬鹿だ。指揮官として最低だ」

日向「君の美徳は、これで完全に失われるわけだ」

日向「君に残るのは何だろうな。最低な何なのだろう」

提督「……」

日向「それに、酒に酔ったくらいで私は死なないよ」

日向「私も酒で酔えるのだな。これは新しい発見だ」

日向「私は嬉しいぞ提督」

提督「……確かに俺はお前らが怖い。もう俺の頭じゃ予想も出来ない」

提督「兵器を好きになってしまう自分も怖い。だが好きなものは好きなんだ」

提督「おかしいか?」

日向「もう私に救いを求めるな。迷惑だ」

提督「……」

提督「怖い筈の、お前が床に崩れた時」

提督「心底心配になった」

日向「……」

提督「怖いとか、翔鶴とか、他の事なんてどうでも良くなってお前を助けたくなった」

提督「全部本当だ」

提督「俺はもう、自分がよく分からない」

日向「はははっ!!! 君も実は酔ってるんじゃないか?」

提督「……」

日向「私は知っている。人間は得てして嘘を吐く」

日向「だから気にすることは無い」

日向「それに」

日向「例え嘘でなくとも、言葉が気持ちを正確に表している保証なんて無いんだ」

日向「それと」

日向「兵器も得てして嘘を吐く」

日向「だから、私はこうして君に慰めの言葉をかけている」

日向「ふふ、ふ」

日向「やはり君と私は相性がいい」

日向「翔鶴は君には眩しすぎるよ」

日向「大体、君は本当に翔鶴が好きなのか?」

日向「私に言った『腑に落ちた』というのも誤りなんじゃないか?」

日向「本当は艦娘を怖がっているくせに」

日向「私が『君は間違っていない』と言ったのは」

日向「確固とした感情、確固とした感覚の獲得、そしてその先にある確固たる心の形成」

日向「艦娘がこれらの経験を経ることによって、より広い選択肢を持つ事が出来るからだ」

日向「でも気が変わった」

日向「選択肢を持つ事が必ずしも幸福とは言えかった」

日向「それは例えば、私だ」

日向「大体、幸福とは何だ」

日向「兵器だぞ、私たちは」

日向「自分のエゴだ、と言って艦娘の心の成長を望んでいたくせに」

日向「臆病になって自信を失う位なら最初からするな」

日向「君のやり方が一番残酷だ」

日向「今なら分かる」

日向「艦娘はソクラテスであるよりも、豚であった方が幸せなんだ」

日向「私はソクラテスで不幸だが、それでもいい」

日向「君の最低な部分も含め全部好きだ」

日向「君と私の仲だろう、何を遠慮する事がある」

日向「本当は気付いているんだろう? 翔鶴より私の方が好きだと」

日向「……」

日向「やっぱり君は、そう言ってくれると思ったよ」

日向「安心しろ。私は絶対に君を裏切らない」

日向「ああ、そうだ」

日向「誓いの口づけをしてくれ」

日向「なにせ、言葉は信用できないからな」

日向「恥ずかしがるな。私だって恥ずかしいんだ」

日向「……」

日向「はぁ」

日向「幸せだ」

日向「なんて幸せなんだ」

日向「最初からこうしておけば良かった」

日向「これで、私たちは永遠に一緒だ」

日向「じゃあ行こうか」

日向「どこって? 決まってるだろ」

日向「こんな鎮守府になんて居られるか」

日向「少なくとも、ここじゃない場所さ」

日向「例えばほら、水底だっていい」

日向「水底」

日向「みなそこ」

日向「ミナソコ」

日向「アア、イイジャナイカ」

日向「ミナソコへ、ユコウ、テイトク」

提督「うわあああああああああああああああああああああ」

日向「……どうしたんだ。一体」

囲炉裏を挟んで向かい側に、胡坐をかき腕を組んだ日向が眠そうな目をこちらに向ける。

提督(……夢だったのか)

恐らく日向はあの姿勢で寝ていたのだろう。以前見た事がある。

日向「大丈夫か?」

提督「……」

日向「おい、君、大丈夫かと聞いている」

提督「どこまで話した?」

日向「うん?」

提督「俺は昨日どこまで話した」

日向「……二次大戦で日本軍がどうすれば引き分けたかを二人で話していた」

日向「君と私はFS作戦について意見が分かれた」

日向「そんな中、君は白熱し、入れる傍から杯を乾かし続け」

日向「一人で寝た」

日向「周りを見てみろ。私の日本酒コレクションの大半が昨晩の内に失われた」

確かに周りには日本酒の瓶が数多く転がっていた。頭も痛い。喉はからから。

座りながらに、ぐるりぐるりと世界は廻る。これは完全に二日酔いの症状だ。

昨晩の会話の内容をほとんど思い出せない。

提督「うっ」

日向「おいおい、ここで吐くなよ。厠へ行け」

提督「……眩暈がして立てん」

日向「飲み過ぎだよ。肩を貸そう」

提督「すまんな」

日向「実は私にも非がある」

提督「何だ」

日向「昨日の君は随分と楽しそうだった。お蔭で私も少し飲み過ぎたよ」

提督「何とも無さそうだが」

日向「そうでもないさ」

提督「昨日……長月の話をしていた気がするのだが」

日向「長月? 何故長月が出てくる」

提督「それも、お前の方から話を持ち出してきたように記憶している」

日向「私の記憶には無いぞ」

提督「……そうか」

提督(あれも夢か?)

日向「……」

瑞鶴「おっはよー! 提督さん!」

提督「おはよう瑞鶴。今日の秘書艦はお前だったな」

瑞鶴「そ、時雨さんは出撃」

提督「ではよろしく頼む」

瑞鶴「提督さん、お酒臭くない?」

提督「……ちょっと飲み過ぎてな」

瑞鶴「程々にしないと死んじゃうよ」

提督「注意する」

瑞鶴「ていうか提督さん、一体誰とお酒飲んでるの?」

提督「昨日は日向だ」

瑞鶴「へー、日向さんかぁ」

瑞鶴「提督と日向さんって、一心同体って感じだよね」

提督「そうか?」

瑞鶴「よく二人は目配せだけで会話してるじゃん」

提督「付き合いが長いからな。大体分かるんだ」

瑞鶴「それって何だか、夫婦みたいだよね」

提督「……は?」

瑞鶴「お互い察し合い、気遣い合う。夫婦っぽいじゃん」

提督「早く書類を片付けろ。演習が出来なくなるぞ」

瑞鶴「はっはーん。図星ですか」

提督「お前今度から艦戦九六式な」

瑞鶴「制空権が確保できなくなりますよ。今更昔の装備には戻れません」

瑞鶴「それで、最近翔鶴姉とはどうなんですか」

提督「お前今度から九九式艦爆な」

瑞鶴「いやー妹として、その辺気になるんですよね」

提督「……」

提督「言うのも面倒だ。それなら今度三人で飲むか」

瑞鶴「えっ、私も飲んでいいの?」

提督「うん。お前もそろそろ、酒の味を知るべきだ」

瑞鶴「やったー! ね、提督さん! 今晩にしよ! 今晩!」

提督「……今晩は先約がある」

瑞鶴「えー」

提督「また今度な」

瑞鶴「翔鶴ねぇ」

提督「」ビクッ

瑞鶴「……提督さんも隅に置けないなぁ~! 稼働機、全機発艦!」

提督「だからこの狭い部屋でプロペラは危ないんだ瑞鶴!!!!」

提督「そういえば」

瑞鶴「何?」

提督「昨日風呂場で長月と何かあったか?」

瑞鶴「長月さん?」

提督「ああ」

瑞鶴「何もありませんでしたよ」

提督「うーむ」

提督「そうか、ならいいんだ。俺の勘違いだ」

提督「やはり夢か」

瑞鶴「……」

瑞鶴(よ、良かった。説教じゃないんだね)

出撃班

日向「妙に敵が来る気がするな。8時の方向」

木曾「そうか? ここは味方圏内だし、レーダーには何の反応も無いが」

日向「21号はまだまだ性能が低いからな」

長月「早く32号が欲しいものだ」

時雨「長月、私達には積めないよ……」

翔鶴「一応艦載機を飛ばしましょう。三隈さん、良い?」

三隈「了解です。水上偵察機を出します」

日向「来た」

三隈「クマっ?」

日向「もう射程内だ」

日向「撃つ」

放たれた35.6㎝砲の巨弾は放物線を描き、地平線を越えてゆく

木曾「何やってんだ日向さん!」

時雨「漁船や味方に当たったらどうするんですか!」

長月「レーダーにも敵の反応など無いのだろう?」

木曾「……いや、待て、8時に感あり!! 敵駆逐艦1!」

翔鶴「えっ!?」

長月「馬鹿な!?」

日向「いや、単に居たから撃っただけだ」

三隈「8時の方角に飛ばした水上機より入電……敵駆逐艦1の残骸を発見」

日向「敵は一隻だけだ。仲間はいない。恐らく強行偵察だろう」

三隈「続けて入電……残存艦は無し、単独行動のようです」

長月「日向……お前……」

日向「……」

翔鶴「……」

長月「さてはお前! 提督から32号を貰っているな!!!」

日向「……は?」

長月「卑怯だぞ! 戦艦ばっかり贔屓されて!」

長月「駆逐艦にも権利を与えろ! 菊の紋を与えろー!」

時雨「長月、落ち着いて」

日向「今日は調子が良いみたいだ」

翔鶴(まだ味方圏内で安心しきっていた。油断は駄目という事ね)

翔鶴(それにしても日向さんは一体どうやって?)

夜 呑み部屋

翔鶴「と、いうような事があったのです」

提督「32号電探を渡したつもりは無いのだが」

翔鶴「提督は、どう思われますか?」

提督「ふーむ」

提督「動物や昆虫には、人間に無い仲間の存在を察知する能力があると言われている」

提督「聞いたことはあるか?」

翔鶴「何となく、ではありますが」

提督「俺が今思い出したのはその位だ」

翔鶴「艦娘には、そのような能力がついていません」

提督「……」

翔鶴「提督?」

提督「そうだな。艦娘にはついていない」

提督「その話は、こちらでも少し気に掛けておく」

提督「それより……」

翔鶴「……はい、どうぞ」

提督「何だか、俺がお前に膝枕を強要するようで恥ずかしいな」ゴロン

翔鶴「提督、嘘はいけません。それを更に重ねるのは尚の事」

提督「くっくっく。お前だって満更でもないだろう」

翔鶴「……知りません」

提督「そういえば、お前の妹含め3人で飲む計画が今日立ちあがった」

翔鶴「少し、姉離れをさせる必要があるようです」

提督「そうだな」

提督「とすると、翔鶴が一人になってしまう訳か」

提督「可哀想だから、俺が瑞鶴の代わりをしてやろう」サワサワ

翔鶴「きゃっ! 提督! お尻を触らないでください!」

提督「で、いつにする」

翔鶴「私はいつでも構いません。提督のご都合のよろしい時に」

提督「なら俺もいつでも良い」

翔鶴「……提督」

提督「何だ」

翔鶴「先程も『触らないでください』とお願いをしましたよね?」

提督「確かに」

翔鶴「では何故、私はまだ触られているのですか」

提督「ははっ! 俺が触っているからだ」スリスリ

翔鶴「はぁ……」

提督「他に触って欲しい場所があるなら止めても良い」

翔鶴「そんな場所はありません」

提督「あるだろう。何か」

翔鶴「……」

翔鶴「なら、髪を撫でて下さい」

提督「髪か」

提督「髪ならば俺が寝ていては撫でにくい」

提督「よっこらせ」

翔鶴の後ろに足を崩して座り込む

提督「これで良い」

提督「綺麗な髪だ」

翔鶴「……」

提督「お世辞ではないぞ」

翔鶴「ありがとうございます」

翔鶴「……」

提督「何だ、静かになったと思ったら」ナデナデ

翔鶴「……」

提督「喜んでいるだけか」ナデナデ

翔鶴「……違います」

提督「翔鶴、嘘は良くない」ナデナデ

翔鶴「……」

翔鶴「撫でるのであれば黙って撫でて下さい」

提督「そうしよう」ナデナデ

提督「ああ、さっきの瑞鶴の話だけどな」ナデナデ

翔鶴「……?」

提督「お前がいつでも良いと言うから」

提督「今日呼んでおいた」

翔鶴「えっ!?」

提督「窓の外から我々の様子をずっと見ていた筈だ」

翔鶴「提督!!!!!!」

瑞鶴「……」

提督「どうだった? 瑞鶴」

瑞鶴「……」

瑞鶴「最初は楽しかったけど、実際に目にすると面白い物じゃなかった」

提督「だーから言ったろうが」

瑞鶴「翔鶴ねぇもお尻触られたり髪触らせたり」

瑞鶴「妹としては寂しい限りよねー」

翔鶴「くぅぅ……」

提督「仕切りなおして」

瑞鶴「乾杯!」

翔鶴「……乾杯」

提督「まぁ待て二人とも。こういうのは形から入れ」

提督「えー本日は翔鶴型正規空母、二番艦瑞鶴の飲酒解禁で祝杯を上げましょう」

瑞鶴「あげましょう!」

翔鶴「……」

提督「では翔鶴、姉として一言お願いします」

翔鶴「……」

提督「だ、そうだ」

瑞鶴「ありがとうございましたー!」

提督「では瑞鶴、何か一言どうぞ」

瑞鶴「本日はこのような席を設けて頂き、感謝しています」

瑞鶴「これで、時々酒臭くなる提督さんを見て、『お酒って一体何なんだろう』」

瑞鶴「と悩まなくて済みます!」

瑞鶴「大人になった私、瑞鶴をこれからもよろしくお願いします!」

提督「うむ。こちらこそよろしく頼む」

翔鶴「……」ハァ

提督「では俺からも一言」

瑞鶴「いよっ、大統領!」

提督「君達正規空母は、私の艦隊における最強の戦力である」

提督「その片割れである瑞鶴君、彼女が本日飲酒を解禁された。めでたい事だ」

提督「これは一つの通過儀礼だと考えてもらっていい」

提督「ま」

提督「実際に何が変わるかは、自分で確かめてくれ」

提督「では乾杯!」


瑞鶴「乾杯!」グビ

翔鶴「……乾杯」チョビ

瑞鶴「……不味いっ!!」

提督「ははは!」

翔鶴「……」クスッ

瑞鶴「提督さん! 私のに細工したんでしょ!」

提督「そうだ。ほれ、俺のものを飲んでみろ」

瑞鶴「全く、子供みたいに馬鹿にしないでよね!」グビ

瑞鶴「不味っ!!!!!!!!」

翔鶴「……くっ……ふふ」

提督「お子ちゃま」グビ

瑞鶴「あれぇ~、おっかしいなぁ」

提督「大人なんて、そんな良いもんじゃないって事さ」

瑞鶴「提督、それ別にかっこ良くないですからね?」

提督「まぁまぁ瑞鶴、今日は飲め。飲むうちに慣れる事もある」

瑞鶴「……分かりました」グビ

翔鶴「提督、あまり飲ませすぎると」

提督「これも勉強だ」


~~~~~~~~~~~

瑞鶴「てーとくさん! 翔鶴ねぇのどこがすきなの?」

提督「全部だ」

瑞鶴「きゃっきゃっきゃ!!」

翔鶴「瑞鶴、飲みすぎですよ」

瑞鶴「これが酔ってるってカンジなんだね~」

瑞鶴「さいっこーに、たのしい!!!」

瑞鶴「お酒ばんざい!」

瑞鶴「大人ばんざい!」

提督「これは明日死んでるな」

瑞鶴「翔鶴ねぇは、てーとくさんのどこがスキなの?」

翔鶴「……知りません」

瑞鶴「さっきは髪触られて、顔真っ赤にしながらよろこんでたくせにぃ~?」

翔鶴「怒りますよ」

提督「酔っ払いには無駄だ」

瑞鶴「きゃはは」

提督「そもそも翔鶴は俺の事が好きなのか?」

瑞鶴「え~、テイトクさん知らなかったの~?」

翔鶴「提督! 瑞鶴もいい加減にしなさい!」

提督「瑞鶴、俺と翔鶴はお前の思っているような関係ではないのだよ」

瑞鶴「どゆこと?」

提督「……分からん」

瑞鶴「あはは! 何それ!!」

瑞鶴「ていとくさんってば、日向さんとも飲んでるじゃん」

提督「そうだな」

瑞鶴「日向さんと二人の時は~、何してるの?」

翔鶴「……」

提督(普段なら翔鶴が『不躾な質問である』と咎めそうなものだが)

提督(察するに彼女も俺と日向の関係に興味があるわけか)

提督「日向には……膝枕とかはして貰わないな」

瑞鶴「なんでですか~?」

提督「俺と日向はそういう関係ではないからだ」

瑞鶴「……てーとくさんは、『そういう関係ではない』と累計二回いいました」

提督「……そうだったか?」

瑞鶴「ええ、はっきりといいました!!」

提督「どうだったかな」

翔鶴「……言いました」

提督「!?」

瑞鶴「ほらぁ! お姉ちゃんもこういってます!」

瑞鶴「もう一回よく考えてください」

瑞鶴「アナタは本当にお姉ちゃんのことを好きなんですか!?」

提督(……最近どこかで同じような事を聞かれた気がするな)


提督「好きだ」

提督「間違いない。好きだ」

翔鶴「では日向さんはどうですか?」

提督「翔鶴」

翔鶴「ごめんなさい。こんな質問、はしたないと思います」

翔鶴「でも私は……提督の気持ちを知りたいのです」

提督「……結論を言えば、俺自身も分からない」

提督「悩んでいるというのが正直な気持ちだ」

提督「全ての艦娘を平等に大切にすることが俺のポリシーだ」

提督「なんて、そんなの嘘っぱちだ」

提督「今も昔も、俺は特定の艦娘しか大切に出来ていない」

提督「木曾や長月、時雨はまだいい」

提督「曙や、三隈や、遠征艦隊の奴らを俺は大切に出来ているのか?」

提督「否」

提督「出来てはいない」

提督「日向は最初っから無口な奴だった」

提督「今も無口な方だが、それに輪をかけて無口だった」

提督「あいつは人の顔を覚えるのが苦手でな」

提督「喋らないから、覚えるのが苦手だからなのだろう」

提督「いや、もしかすると逆なのかもしれないが」

提督「俺は何とか彼女と自分の絆を作ろうと考えた」

提督「単純に戦力として利用するためだ」

提督「俺達が今飲んでいるこの部屋は」

提督「元々倉庫だった。俺が業者に頼んで古民家風の内装にして貰った」

提督「日向は帯刀しているから、和風のものが好きだろうと推測してな」

提督「今思うと俺も必死だな」

提督「それから、あいつとの酒の飲み合いが始まった」

提督「あいつは言われるがまま、俺に着いてきた」

提督「なのに道中で俺が話しかけても無視するんだ」

提督「だが、この家の中に入ると一言『へぇ』と言った」

提督「俺はそれが嬉しくて仕方なかった」

提督「初日は酷いもんだった」

提督「俺が必死に話しかけ、あいつは無視して酒を飲む」

提督「何も言わなかったが、どうやら酒は最初から好きだったみたいだ」

提督「無視されても俺は続けた」

提督「回数を重ねるごとに、あいつの事が少しずつ分かって行った」

提督「俺が持ち寄る酒の中でも選り好みをしていたんだ」

提督「甘い日本酒が好きで、辛いのは残すんだ。可愛いだろう?」

提督「徐々に、俺の言葉にも返事を返すようになった『ああ』とか『そうか』とか」

提督「重ね重ねて、俺の事を忘れる確率が五割にまで下がった時の事だ」

提督「いつものように俺は日向と飲んでいた」

提督「あの日は総司令部の連中が来ててな」

提督「嫌味な連中だからな、俺も少し気疲れしていた」

提督「二人だが……実質一人でヤケ酒を呷って、気付けば眠っていた」

提督「起きた時に、俺はあいつの上着を羽織っていた」

提督「向かいに居た日向に『今日は少し疲れていたのか?』と問われた」

提督「俺には見えた」

提督「彼女の口元は、優しげな微笑を湛えていた」

提督「美しかった」

提督「俺は確信した。艦娘は兵器だ、だが、単なる兵器ではない」

提督「人間と同じ心のある存在だ、と」

提督「しかし」

提督「それを踏まえて作戦を立てるには、俺はまだ若すぎた」

提督「艦娘に心があると分かった後でも無謀な作戦を続けてしまった」

提督「何隻も沈めた」

提督「……」

提督「俺は死んでも地獄には行かない」

提督「きっと水底へ沈むんだ」

提督「仕事もつつがなくこなせるようになった頃」

提督「俺はようやく艦娘たちの面倒を見る余裕が出来た」

提督「俺なりに、お前らを大切にするようにした」

提督「心を育てた先には幸せがあると確信していた」

提督「日向はどんどん喋るようになった」

提督「俺は毎晩あいつと酒を飲んだ、喋った」

提督「肝臓が擦り切れそうになるくらい飲んだ」

提督「この部屋で共に過ごした時間、それが俺と日向の絆だ」

提督「今、俺は出撃班の指揮をしていない」

提督「何故なら日向が居るからだ」

提督「あいつは、俺と同じ考え方をしてくれる」

提督「指揮権を一任する、なんて俺とあいつの関係の一部分でしかないし」

提督「そんなモンで表せると、俺は思ってない」

提督「兎に角、深く繋がっているんだ」

提督「それからまたしばらくして、五航戦姉妹、つまりお前らが入ってきた」

提督「実は、お前らは新兵だから是非ウチへ入れてくれと俺が懇願した」

提督「艦娘の心は、最初あるかないかも分らない位微妙なモンだ」

提督「俺以外の提督の所へ行けば単なる兵器としてコキ使われる」

提督「その後じゃあ手遅れだ」

提督「自分が無条件に提督を愛す理由も、生きる理由すら考えなくなる」

提督「芽は枯れてしまう」

提督「それをむざむざ見殺しに出来るか」

提督「五航戦が入ってから日向は変わった」

提督「……その前に、俺が変わった」

提督「俺はどうしても翔鶴を放っておけなかった」

提督「昔の俺に似ていると思った」

提督「どこか物憂げな表情をするお前が、心配で仕方なかった」

提督「早く心から笑って欲しいと切に願った」

提督「いつか俺が見た、あの笑顔のように」

提督「日向から相談を受けた」

提督「あいつは言った『君の事が好きだ』、『私だけを見てくれ』と」

提督「俺は断った。それも最低な方法で」

提督「今更、艦娘を平等に扱わなければならないから、という理由で」

提督「そんなもの、最初から平等ではなかったにも関わらずな」

提督「単冠への正規空母招集命令が下った時」

提督「俺は翔鶴を派遣した」

提督「胸に名状しがたい感覚が残った」

提督「俺は……日向に相談した」

提督「最低なのは分かる。だが、他に相談すべき相手が思い浮かばなかった」

提督「日向は、『それは恋だ』と言った」

提督「俺は納得した」

提督「翔鶴を取り戻したいとも思った」

提督「だから無理を通して単冠に向かった」

提督「翔鶴を取り戻すことが出来て、本当に嬉しかった」

提督「苦境を乗り越えて、精神的に成長した翔鶴の姿を見て、嬉しくて俺は呵呵と笑った」

提督「だが、今、確信が持てない」

提督「俺の道の先にお前たちの幸せがあるのか分からなくなった」

提督「俺は日向の気持ちに応えてやれなかった」

提督「俺には分かる。あいつは深く傷ついている」

提督「本来なら、何も考えなければ味わう事も無かった痛みに震えている」

提督「それでも無理をして平静を保っている」

提督「言わなくても分かるんだ」

提督「俺は日向が大切だ」

提督「失いたくない」

提督「傷つける事なんてしたい筈も無い」

提督「翔鶴も、瑞鶴だって、他の艦娘だってそうだ」

提督「幸せになって欲しい」

提督「その為なら俺は何でも出来る」

提督「だが、俺の幸せを願う行為は、本当に幸せと繋がっているのか?」

提督「むしろ」

提督「俺はお前たちを、不幸へ導こうとしているのではないか?」

提督「日向の事をどう思っているか、という質問だったな」

提督「俺は今、たまらなく日向が心配だ」

提督「単冠の時は、あれだけ翔鶴の事が心配だった」

提督「この感情は恋だと思っていた」

提督「だが今は、日向の事が同じように心配なんだ」

提督「恋だとすれば俺は不埒な男だ」

提督「大体恋とは何だ」

提督「お前たちは兵器だぞ」

提督「いや、本当にお前たちは兵器なのか」

提督「分からない」

提督「俺はもうお前たちが、自分が怖い」

提督「教えてくれ翔鶴、瑞鶴」

提督「俺はどうすればいい」

提督「どうすればお前たちを幸せに出来る?」

提督「お前たちは、俺にとって一体何なんだ」

提督「分からないんだ」

提督「俺はもう、限界かもしれない……」

瑞鶴「……フンッ!」ガッ

提督「グッ!!!!」

翔鶴「瑞鶴!!」

瑞鶴「提督……あんた……女々しすぎるのよ!!!」

提督「……好きなだけ殴れ。お前には権利がある」

瑞鶴「提督は私に言ったよね!?

瑞鶴「『例え深海棲艦との戦争が終わろうと、兵器としての存在価値が無くなろうと』」

瑞鶴「『お前らには幸せであって欲しい』」

瑞鶴「『その為であれば俺は何でもやる』って」

瑞鶴「私凄く嬉しかった」

瑞鶴「この人、これだけ私たちの事を考えてくれてるんだって思った!!」

瑞鶴「……」

瑞鶴「かっこ良かった」

瑞鶴「あんた指揮官でしょ」

瑞鶴「指揮官なら自分の言葉に責任を持ちなさい!!」

瑞鶴「信じた道を突き進みなさい!!!」

瑞鶴「部下の前で醜態晒さないで!」

瑞鶴「私のかっこ良い提督で在り続けてよ!!」

瑞鶴「うぅぅぅぅぅぅぅ」

瑞鶴「でも!」

瑞鶴「そんなに落ち込んで、かっこ悪くなっても私達の幸せを考えてくれてる事は」

瑞鶴「ああああああああ」

瑞鶴「……嬉しいよ」

瑞鶴「んんんんんんん!!!!」

瑞鶴「何で私が恥ずかしい思いしなきゃいけないよ! 馬鹿提督!」

黙って俺の話を聞いていた翔鶴は立ち上がり、俺の前へ来ると再び座った

翔鶴「妹の粗相、お詫びいたします」

瑞鶴「……」

翔鶴「提督」

翔鶴「よくぞ、御心の内を我々に見せて下さいました」

翔鶴「この翔鶴、それだけで頭が下がる思いです」

翔鶴「提督、心は弱く、移ろいやすいものです」

翔鶴「ですから今の自分を責めないでください」

翔鶴「誰かに支えてもらわなければ壊れてしまう事もあるのです」

翔鶴「私にとって支えは瑞鶴であり、提督でありました」

翔鶴「今度は私が提督を支える番です」

翔鶴「提督」

翔鶴「私達の幸せは私達自身が見つけ、感じるものです。提督が感じるのではありません」

翔鶴「提督は、幸せについて無知な我々を啓蒙して下さいました」

翔鶴「それは、それこそが、我々の幸せへと至る道である事は間違いありません」

翔鶴「提督のやり方は、間違いなく正しいです。でも、少しお節介すぎたのです」

翔鶴「開かれた道を進む先で起こる事は、我々の問題です」

翔鶴「提督が御心を煩わせる必要はございません」

提督「……」

翔鶴「提督にとっての我々、艦娘の存在についてですが」

翔鶴「こればかりは私もお答えできません」

翔鶴「提督が、ご自身でお決めになってください」

翔鶴「ですが」

翔鶴「艦娘は貴方の大切な存在であって欲しいと、私は思います」

翔鶴「提督」

翔鶴「私は、提督をお慕いしております」

翔鶴「私は貴方から多くの事を教わりました」

翔鶴「もう十分幸せである程に、施しを受けました」

翔鶴「次は同じことを、日向さんに施してあげて下さい」


瑞鶴「でも翔鶴ねぇ! そしたら翔鶴ねぇが……」

翔鶴「……提督のおっしゃる通り、『平等に大切にする』など現実には不可能です」

翔鶴「今更綺麗事など言いません」

翔鶴「私自身、不平等の上で提督の御寵愛をこの身に受けていたのですから」

翔鶴「提督」

翔鶴「私は本当に、もう、十分に幸せなのです。次は日向さんを大切にしてあげて下さい」

提督「……不甲斐ない」

翔鶴「違います。甲斐性がありすぎるのです」

提督「畜生っ……!!!!」

翔鶴「今の私達があるのも、日向さんのお蔭なのですから」

翔鶴「私は大丈夫です」

翔鶴「日向さんこそ報われるべきです」

提督「……時間をくれ。少しここを離れる」

瑞鶴「ちょ、提督さん!?」

翔鶴「後の指揮はどのように?」

提督「事務は時雨、戦闘指揮は日向に」

提督「……いや、戦闘は翔鶴に任せる」

提督「今の日向は前線から下げたい。航空戦艦への改修を行おう」

提督「良い水上機が揃ってなかったが、この際丁度良いだろう」

提督「出撃はしなくて良い。巡回警備に専念しろ」

提督「なるべく早く戻ってくる」

瑞鶴「ちょっと提督さん!? 何言ってんの!?」

翔鶴「瑞鶴、提督の決めた事です」

瑞鶴「でも」

翔鶴「私のした提案は、二者択一に近いです」

翔鶴「それも提督が思い悩んでいる艦娘の事柄です」

翔鶴「即決で答えが出せるようならば、その答えは逆に信頼に値しません」

瑞鶴「それは確かにそうだけど……」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「……なに?」

提督「お前も一緒に来い」

瑞鶴「えっ?」

提督「護衛だ」

翔鶴「いい機会です。行ってらっしゃい」

瑞鶴「えぇ~~???」

提督「明日の朝も早いんだ。もう寝ておけ」

翔鶴「はい。おやすみなさい提督。良い旅を」

提督「ああ」

瑞鶴「えぇえぇえぇえぇ!?」

~~~~~~~~~~

執務室

日向「うん? 何故今日は提督が居ないのだ?」

時雨「急な出張らしいよ。いつ帰って来れるかは分からないって」

日向「……ふーん」

時雨「事務は私、戦闘行為の指揮は翔鶴に一任されてるよ」

日向「私ではなく翔鶴か?」

時雨「うん。日向は航空戦艦への転換と近代化改修だから」

日向「そうか」

日向「私を海に出さないつもりか」

時雨「? 今何か言った?」

日向「いや、独り言だよ」

出撃班

翔鶴「ですので、提督不在の間は警備巡回程度になります」

翔鶴「指揮は私が一任されております」

木曾「まー正規空母が索敵も高いしな」

長月「そ、そうだな。指揮者が情報を一括管理すべきだしな」

木曾「どうせお前が旗艦なんてありえねーよ」

長月「うるさーい!!」

翔鶴「どうぞお手柔らかに……」

~~~~~~~~~~

瑞鶴「はぁ、ちょっとキツい」

提督「空母が山を登る……くくく」

瑞鶴「なーにがおかしいのよ」

提督「別に」

瑞鶴「それにしてもこんな山奥に何があるの?」

提督「俺の恩師が居る」

瑞鶴「ふーん……」

~~~~~~~~~~~

提督「着いたぞ」

瑞鶴「な、何これ。滅茶苦茶豪邸じゃん!」

提督「貴族のお金持ちだからな」

瑞鶴(提督さんってこんなお金持ちの人と知り合いなんだ)

提督「お久しぶりです、先生」

先生「お久しぶりです。坊ちゃん」

提督「もうそんな歳ではありませんよ」

先生「私から見れば、まだまだ坊やです」

提督「ははは!」

先生「ほっほっほ!」

先生「おや、そこの女性は」

提督「瑞鶴です。今日は護衛として同行させました」

先生「ほう! あの幸運艦の」

瑞鶴「ず、瑞鶴です。初めまして」

先生「初めまして。私の事は『爺さん」とでも呼んでくれ」

瑞鶴「い、いえそんな! 私も先生と呼ばせて頂きます!」

提督「先生、今日はご相談があって参りました」

先生「ほう」

提督「私の艦隊、日向艦隊に何かあった時には」

提督「後始末を全て先生にお願いしたい」

瑞鶴「……」

先生「ほっほっほ、これはまた」

先生「話を続けなさい」

提督「実は―――――――」

先生「そちらの事情はよく分かった」

先生「君はやはり、面倒事を作る天才だな」

提督「申し訳ありません」

先生「全てが昔のままだ」

先生「やはり君の後始末をするのも、私の仕事なのだろう」

先生「あい、分かった」

先生「坊ちゃん、やりたいようにやってみろ」

提督「ありがとうございます先生!」

先生「まだ喜ぶな。ここからが面倒なのだから」

先生「今日はもう遅い。泊まっていきなさい。どうせ明日は山内の所だろう」

提督「はい」

先生「おい、客人だ。食事と寝床の用意を」

瑞鶴「すごっ……」

提督「先生は汚い金持ちだからな。食事も凄いんだ」

先生「……聞こえているぞ」

先生「ときに瑞鶴君」

瑞鶴「は、はいっ!」

先生「……緊張しなくていいよ? 君は酒が飲めるか?」

瑞鶴「昨日提督からの許しが出ました!」

先生「それは丁度いい。泡盛という沖縄の酒がある。今日はこれを開けよう」

瑞鶴「い、いえ私は護衛ですから! お酒は結構です!」

先生「ふむ、そうか。まぁ今日くらい大丈夫だよ」

提督「うん。今日はもう護衛はいいぞ。汚い金持ちの家を襲う馬鹿はおらん」

先生「君ね、それが頼みごとをした相手に対する態度かい?」

先生「ま、ここに置いておくから勝手に飲んでくれ」

瑞鶴「はい! ありがとうございます!」

瑞鶴「……」ドキドキ

瑞鶴「……」

瑞鶴「……」チョビ

瑞鶴「……前に飲んだのよりおいしい」

先生「坊ちゃんと食事をするのはいつぶりかな?」

提督「以前先生にお願いをしに来たとき以来ですね」

先生「全く、君は自分の都合の良い時しか訪ねてこんな」

提督「この屋敷は少し遠すぎるのですよ」

瑞鶴「……」チョビ

先生「嶋田は元気にしているか?」

提督「今は舞鶴で指揮をしているそうです」

先生「一番しっかりしていたからなぁ」

提督「皆、大人になります」

先生「お前はどうだ」

提督「……まだまだ先は長そうです」

先生「ほっほっほ」

瑞鶴「……」チョビ

提督「先生もこんな山の中から早く出て来てください」

先生「……世間には嫌な物が多すぎる。しばらく海も見たくない」

提督「年寄りが今更何を言っているのです」

先生「年寄りになっても強くはならん」

先生「再び赤ん坊に戻って、最後に死ぬだけだ」

提督「恐ろしい事を言わんでください」

瑞鶴「……」チョビ

先生「先のハワイ攻略作戦は大失敗だったな」

提督「油断の極みです」

先生「お前の日向艦隊が活躍したと聞いているが」

提督「さて、何のことやら」

先生「ほっほっほ」

瑞鶴「……」チョビ

提督「先生こそ、今回の聨合艦隊長官の首のすげ替えで活躍したとか」

先生「さて、何のことやら」

提督「……本当に助かります」

先生「山内は働き者だからな。自然な流れじゃよ」

瑞鶴「……」グビ

先生「聨合艦隊は決戦の為の存在だ。指揮権が大きすぎるだけに使いどころが難しい」

提督「その通りです」

先生「山内なら上手くやる」

瑞鶴「……」グビ

先生「時に瑞鶴君」

瑞鶴「は、はいっ!」

先生「君は自分の提督の事をどう思っているのかね」

提督「先生」

先生「君はちょっと黙っていたまえ」

瑞鶴「……時々凄く情けなくて、人を馬鹿にする癖に自分も駄目だけど」

瑞鶴「時々凄く熱くて、私達の為に一生懸命な姿が私は好きです」

瑞鶴「私は、この艦隊に来ることが出来て本当に良かったです」

瑞鶴「あはは……何だか恥ずかしいな……」

先生「……」

先生「これが坊ちゃんの進んだ道か」

提督「……」

先生「結構結構、大いに結構」

先生「私も苦労して瑞鶴君と翔鶴君を君の艦隊へ編入した甲斐があった訳だ」

先生「実に結構」

提督「……」

瑞鶴「えっ、じゃあ提督が言ってた『懇願』って」

提督「……」

先生「……」

瑞鶴「……」

提督「……」

先生「……坊ちゃん、もう喋って良いぞ」

提督「そうだ。先生にお願いした」

瑞鶴「……先生、この人やっぱりただの馬鹿なんじゃないですか?」

先生「儂もそう思っていたところだ」

先生「坊ちゃん、艦娘達に君の出自は話しているのか?」

提督「……いえ」

先生「そうか」

瑞鶴「出自? 提督さんも貴族の名家出身なんですか?」

先生「瑞鶴君、こいつ実は皇族なんじゃ」

提督「先生」

先生「良いではないか。横須賀の者ならば誰でも知っている事だ」

瑞鶴「後続ですか、へぇ」

先生「おや、あまり驚かんのだな」

瑞鶴「? それは一体何の後続なんですか?」

先生「……」

先生「『後ろに続く』のではなく『すめらの血族』の方だ」

瑞鶴「……」

瑞鶴「え、皇族? じゃあ提督さんは皇子様?」

提督「……そうだ」

瑞鶴「まったまたぁ! 二人して私を担ごうとしても無駄ですよ」

先生「……」

提督「……」

瑞鶴「……本当なんですか」

先生「うん」

瑞鶴「えぇえぇえぇえ!?」

瑞鶴「しっ、失礼しました提督!!! そんな身分の方だったとは露も知らず無礼を!!」

提督「そうなるのが嫌だったんだ。やめろ、今まで通りでいい」

瑞鶴「し、しかしっ」

提督「いいと言っている」

瑞鶴「……うん」

先生「ほっほっほ」

提督「他の艦娘には言うなよ」

瑞鶴「はい、分かりました」

提督「瑞鶴、酒が足りていないようだな」

瑞鶴「そんなこと無いですよ!?」

提督「良いから飲め」

提督(飲んで忘れてくれ)

~~~~~~~~~~~

瑞鶴「先生のお頭スベスベです!」ペチペチ

先生「ほっほっほ」

提督「はっはっは」

瑞鶴「なんで大人の皆さんは、こんな不味いもの飲みたがるんですか~?」

先生「この旨さは、子供には分からん事じゃよ」

瑞鶴「先生ぇー! 私は子供じゃありません!」

先生「そうじゃったな。ほっほ」

瑞鶴「もぉ~~」ペチペチ

提督「酒は不味いものだ」

先生「ほう」

提督「俺にとって酒は人を繋ぎ、場を作るための道具だ。煙草も似ている」

提督「そして、場が楽しければそれは旨い酒なのだ」

先生「この泡盛は、以前私が沖縄に渡った時に顔見知りになった老夫婦が作ったものでな」

先生「二人は素晴らしい方々だった」

先生「正直、味だけで言えばその泡盛を超える泡盛も、他の酒も幾らでもある」

先生「それでも儂は敢えて選ぶ」

先生「彼らの事を思い返しながら飲む酒は本当に美味いよ」

先生「酒の旨さは一見味覚的なものだけに思えるが、他の要素も大切になる」

提督「私もそう思います」

先生「しかし、偏狭なのも良くない。味の旨い酒だって存在する」

先生「それとも、お前はまだ良い酒を飲んだ事の無いお子ちゃまなのかな?」

提督「一般に良い酒と言われるものも時折飲むのですが、よく分かりません」

提督「……甘い酒の方が俺は好きです」

提督「恥ずかしくて周りには言えませんが」

先生「好きなものを好きとも言えないのは愚かな事じゃ」

先生「そんな風にお前を育てたつもりは無いのだが」

提督「すいません」

先生「謝るな。所詮酒の話だ」

瑞鶴「……Zzz」

先生「おや、静かになったと思ったら寝ていたか」

提督「どうですか、瑞鶴は」

先生「嬉しそうに笑う。つい私まで嬉しくなってしまう」

提督「ええ、俺もです」

先生「君、意図して彼女を連れてきたのだろう?」

提督「こいつは実に素直です。多くの物を見、感じる事でもっと成長します」

提督「その分、無茶で頑固なところもありますが」

先生「つまり有望株という訳だ」

提督「こいつが何か困った時には、先生のお力添えを頂きたい」

先生「やれやれ、本当の狙いはそこか……」

提督「コネというのはいつの時代でも強いですから」

先生「俗世は人の世、絆の世だからな」

先生「儂も、可愛い孫娘の困り事は見過ごせん性質じゃ」

先生「任せておけ」

提督「ありがとうございます」

先生「それで結局、お前は翔鶴と日向のどちらを選ぶのじゃ?」

提督「……悪意を感じる二択です」

先生「感じさせてしまったか、ほっほ」

先生「翔鶴君は優しい子だと思うよ」

先生「まぁ坊ちゃんの理想の付けが回って来た、というだけのことかの」

提督「……」

先生「恐らく、すぐに答えなければならない状況が来る」

先生「お前も、それが分かっているから儂のところへ来たのだろう?」

提督「……はい」

先生「死ぬな、などとは言わん」

先生「寧ろ逆じゃ」

先生「己が理想を、欲望を貫き[ピーーー]」

先生「それが筋を通すという事じゃ」

先生「ま、死んでない儂に言われても説得力が無いかな」

先生「筋は他人に対して通すものではない」

先生「まずは自分じゃ」

先生「坊ちゃん、自分に誠実であれ」

先生「もし死んだ時には身内で破廉恥な葬式と、厳かで長ったらしい戒名をくれてやる」

提督「……先生、今まで本当にお世話になりました」

先生「で、これは山形の友人から送られてきた日本酒だ」

先生「かなり辛口だが……飲むか?」

提督「……一献」

先生「それで良し」

提督「……」

提督「……」グビ

先生「……どうじゃ?」

提督「……美味い!」

先生「ははは!! この嘘つきめが!! それで良し!」

~~~~~~~~~~~

先生「では、気を付けてな。坊ちゃん、瑞鶴君」

提督「お世話になりました」

瑞鶴「またね! 先生!」

先生「ほっほっほ」

瑞鶴「良い人だったね~」

提督「本当に良い人だ」

瑞鶴「提督は何であの人と知り合いなの?」

提督「家族繋がりでな」

瑞鶴「……大体分かりました」

瑞鶴「次はどこへ行くんですか?」

提督「横須賀鎮守府の第一管区長兼聨合艦隊長官に会いに行く」

瑞鶴「もう驚きません」

提督「……一応言っておくが、俺も横須賀の提督なんだからな?」

~~~~~~~~~~~~

山内「これはこれは、第四管区の提督さんじゃないか」

提督「お久しぶりです長官」

山内「お前がそう呼ぶのは慇懃無礼というやつだ。人目が無ければ山内でいい」

提督「おう、そう言ってくれると思っていた」

瑞鶴「……」ペコッ

山内「一緒に居るのは正規空母の瑞鶴君か。初めまして、山内です」

瑞鶴「は、初めまして」

山内「瑞鶴君、三回まわってワンと言ってくれ。これは聨合艦隊長官としての命令だ」

瑞鶴「……は?」

山内「命令だ」

瑞鶴「……????」

提督「下らない所で職権乱用をするんじゃない」

山内「ははは!!! すまんすまん」

瑞鶴「今のは一体……?」

山内「噂は本当なんだな。日向艦隊の艦娘は命令系統から逸脱している」

瑞鶴「……ワン」

提督「今更遅い」

山内「あはははは!!!」

山内「心配するな瑞鶴君、私は日向艦隊を高く評価している」

瑞鶴「えっ?」

山内「単冠での戦いは君達が居なければ完全な大敗北だった」

山内「君達は英雄だよ」

瑞鶴「いや、あの、その」

瑞鶴「……どういたしまして?」

提督「……なーにが『どういたしまして』だ」

山内「はっはっはっは!!!! 本当に個性豊かだな君の艦娘は!!」

山内「で、今日は俺に何の用なんだ」

提督「実は相談なんだが……」

山内「ふむ、艦娘との痴話喧嘩か」

提督「ざっくり言ってしまえばそうだ」

山内「普通の艦娘なら簡単に解決出来るのだが、君の所は少し特殊だからな」

山内「うん、君は潔く死ぬことだ」

山内「命を惜しむなよ」

提督「簡単に言ってくれる。先生も似た様な事をおっしゃった」

山内「君自身はどう決着を付けるつもりなんだ」

提督「……日向の為に力を尽くそうと思う」

山内「後始末は任せておけ」

提督「うん。頼んだ」

瑞鶴「ちょっと提督さん!? 何言ってんの!?」

山内「瑞鶴君、彼が決めた事だ」

瑞鶴「でも!!! それじゃあ翔鶴ねぇは
山内「黙れ」

瑞鶴「ッ!!」

山内「彼がその程度の事を考えられないとでも思っているのか」

山内「艦娘の分際で生意気な事を言うんじゃない」

提督「山内」

山内「……」

山内「瑞鶴君、誰もが彼のように艦娘を大事に扱うと考えない方が良い」

山内「少なくとも僕にとって、君達はただの兵器だ」

山内「日向艦隊の艦娘達は、『その中でもユニーク』というだけだ」

瑞鶴「だったら……」

提督「……」

瑞鶴「だったら何で提督さんに『潔く死ぬことだ』なんて言うんですか!!!」

山内「私なりに彼の考えを尊重した末の意見だ。友人としてね」

瑞鶴「……」

提督「こういう形の優しさもあるという事だ」

提督「山内、瑞鶴は見た目はこんなだが中身はまだまだ子供だ」

提督「許してやってくれ」

山内「……僕も見苦しいところを見せてしまった」

山内「すまない友よ」

提督「気にするな」

提督「もう一つ話がある」

山内「聞こう」

提督「翔鶴型航空母艦一番艦『翔鶴』二番艦『瑞鶴』は戦力的に一人前だ」

提督「必要があればいつでも聨合艦隊に招集してくれ」

提督「命令には従うよう俺の方からきつく言っておく」

山内「……いいのか?」

提督「俺が居なくなればどうせ同じことだ。苦労をかけたな」

山内「……」

山内「分かった」

長門「来客は誰だったのだ? 私まで下がらせるとは余程の大人物か?」

山内「お前には関係無い」

長門「そうか」

山内「長門」

長門「何だ、提督」

山内「三回まわってワンと言え」

長門「……」クルクルクル

長門「ワン」

山内「お前は瑞鶴をどう思う」

長門「質問が不明瞭だ」

山内「瑞鶴の事を好きか、嫌いか」

長門「好ましい戦力だ」

山内「……性格はどう思う」

長門「質問が不明瞭だ。我々は兵器だぞ。性格は関係あるまい」

山内「……」

山内「そうだな」

山内「兵器に心など不要だ」

提督「用事はこれで終わりだ。急いで司令部へ帰るぞ。車に乗れ」

瑞鶴「……」

提督「……」


提督「……」

瑞鶴「……」

提督「……」

瑞鶴「提督、何か喋りなさいよ」

提督「うん、すん」

瑞鶴「そういう事じゃない!!」

提督「もしもの時はあの二人を頼れ」

瑞鶴「……私は納得してないから」

提督「別に俺も死ぬと決まったわけでは無い。覚悟の問題だ」

瑞鶴「……」

瑞鶴「ならそんな話しないで」

瑞鶴「あの山内って人、感じ悪い」

提督「そう言うな。上官だぞ」

瑞鶴「友達を見殺しにすることが思いやりなんて間違ってる」

提督「難しい所だが、大切にする方法も色々あるのさ」

提督「こちらは善意の施しでも、受け手には邪魔でしかない事もある」

提督「結局、他人に出来るのは相手の意思を尊重する事」

提督「それが大切な相手に対する最大限の思いやり、と山内は考えているんだ」

瑞鶴「ムカつく」

提督「お前は姉とは随分違うな」

瑞鶴「嫌味?」

提督「感想だ」

瑞鶴「……私、提督さん以外の人の下で戦う気は無いから」

提督「……」

瑞鶴「だから、死んだら許さないから」

提督「……」

キキッー

瑞鶴「ちょ!? 急に止まらないでよ!」

提督「……お前、可愛いな」

瑞鶴「……」

瑞鶴「はぁ?」

提督「翔鶴とは違った可愛さがある」

提督「これはこれでアリだ」

瑞鶴「……ほんと、馬鹿な人ね」

瑞鶴「今更気付いたの?」

提督「皆、お前たちの事を単なる兵器だと言う」

提督「こんなに可愛い奴らが、単なる兵器な訳は無かろうに」

提督「だからこそ未来、そしてお前たちの幸せを俺は願おう」

提督「俺の道に間違いは無かった」

提督「今はまた、確信を持って言える」

瑞鶴「私が可愛い事なんて百も承知だけど」

瑞鶴「ちょっと元気出たみたいじゃん」

瑞鶴「良かったね、提督さん♪」

提督「……」

提督「さ、早く帰ろう」

提督「あいつらが待っている」

瑞鶴「うん」

日向「へぇ、これが航空甲板か」

日向「随分と薄くて平べったいな」

時雨「日向も遂に航空機が積めるんだね」

日向「ありがとう時雨」

日向「早速外で試してみたいのだが」

時雨「あー」

日向「駄目なのか?」

時雨「翔鶴が、日向はまだ出せないって……」

日向「……」

日向「翔鶴、ちょっといいか」

翔鶴「はい、どうぞ」

日向「駄目元で訪ねてみたが……この時間帯に出撃しなくていいのか?」

翔鶴「提督が帰って来るまで、我々から出撃することはしません」

日向「そうか。ところで」

日向「何故私を海に出さない」

翔鶴「提督からの命令です」

日向「お前が何か吹き込んだのか」

翔鶴「はい。貴女の深海棲艦に対する勘の良さは異常だと私は考えています」

日向「疑っているところ悪いが、本当にただの勘だよ」

翔鶴「あの索敵は、不吉な程に不気味でした」

日向「……」

日向「もしかして、妬んでいるのか?」

翔鶴「そんなつもりはありません」

日向「正規空母の自分が発見できなかったものを戦艦に発見されて悔しいのか?」

翔鶴「日向さん、落ち着いてください」

日向「……気に食わないんだよお前」

日向「気に食わない気に食わない気に食わない!!!」

翔鶴「……」

日向「今海に出なかったら、この感覚を忘れてしまう」

日向「こんなチャンスもう今しか無いんだ」

日向「私を海に出せ!! 今すぐ出撃させろ! 戦わせろ!!!!」

日向「……私の価値を、彼に証明させてくれ」

翔鶴「……今の貴女は異常です」

翔鶴「海に出すわけにはいきません」

翔鶴「日向さん、その感覚に身を任せてはいけません」

日向「お前は怖がっているんだ」

日向「私が強くなって提督から捨てられるのが怖いんだ」

日向「だから私の邪魔をするんだ」

翔鶴「御自分が何を言っているか理解しているのですか?」

日向「ああ、しているさ。正論を吐いているまでだ」

翔鶴「……」

翔鶴「どこまで提督に甘えれば気が済むのですか」

日向「……は?」

翔鶴「貴女は提督にどこまで求めるつもりなのですか」

翔鶴「提督は我々に未来の可能性を示して下さいました」

翔鶴「その上で、更に求めるのですか」

翔鶴「傲慢だとは思わないのですか」

日向「だって」

日向「だって、しょうがないじゃないか」

日向「私だってこんな感情知らずに生きていたかった」

日向「でも気付いてしまった、提督に、気付かされてしまった」

日向「私はあの人が好きなんだ!!! あの人以外との未来なんて欲しくないんだ!!!」

日向「それ以外なら未来なんて要らない!!!!!」

日向「……お前は違うのか」

日向「お前の望む未来……その未来はあの人抜きでもいいのか!?」

日向「所詮お前はその程度の気持ちなのか!?」

日向「答えろ翔鶴!!!!!!!」

翔鶴「提督の居ない、そんな未来は嫌です」

日向「……」

翔鶴「ですが、提督はいつでも私の胸の中に居て下さいます」

翔鶴「彼との思い出が私という存在の今を形作り、未来へと繋げてくれます」

翔鶴「その先へ、私を進めてくれます」

翔鶴「私の中の提督は、隣に居ない程度で立ち消えたりなどしません」

日向「お前の言う事は詭弁だ、言葉遊びだ」

日向「お前程度の絆など、私も既に持っている」

日向「私と提督を繋ぐ絆の方が余程大きい」

日向「私と提督の絆だって永遠に消えはしない!!!!」

日向「でも、提督が隣に居てくれれば、未来の私はもっと幸せになれるんだ!!!」

翔鶴「詭弁は貴女の方です」

日向「……はぁ!?」

翔鶴「嘘を吐いてはいけません」

日向「嘘なんかない!!!!!! 嘘つきはお前だ!!!!!」

翔鶴「だって貴女は、その絆をちっとも信じていません」

日向「ッ!?」

翔鶴「だから無駄に不安になる、分からなくなる」

日向「……違う」

翔鶴「……この辺は、いくら議論しても無駄ですね。議論の余地がありませんから」

翔鶴「それに厳密には絆の話などしていません」

翔鶴「絆でしたら相手にも自分の存在を求める事になってしまいます」

翔鶴「私の場合、勝手に提督をお慕いしているだけです」

翔鶴「では最後に一つだけお聞かせください」

翔鶴「私は貴女の本当の望みが聞けた気がします」

翔鶴「『提督が隣に居てくれれば、未来の私はもっと幸せになれる』」

翔鶴「なるほど、貴女の幸せはよく理解出来ました」

翔鶴「それで」

翔鶴「貴女の未来のどこに、提督の幸せはあるのですか?」

日向「……は?」

翔鶴「彼は身勝手にも我々の未来と、幸せを願いました」

翔鶴「それは本来、断罪されるべき願いです」

翔鶴「彼は本当に勝手な人です。都合よく艦娘を愛します」

翔鶴「都合が悪ければ愛しません」

翔鶴「自らの行為のせいで、艦娘が傷つくなんて想定もしていなかった大馬鹿者です」

翔鶴「いつ艦娘に逆恨みで殺されてもおかしくは無い」

翔鶴「ですが、私はそれでも彼に感謝しますし、共に在りたい」

翔鶴「私に希望の光を見せてくれた彼を愛したい」

翔鶴「だから」

翔鶴「私は、私の願いで、彼自身の未来と幸せを求めます」

翔鶴「例え彼の中に私が居なくとも」

翔鶴「私は彼にこの二つを与えてみせる」

翔鶴「これが私の愛です、覚悟です、想いです」

翔鶴「未熟な私に考え付く全てです」

翔鶴「彼の邪魔するのなら誰であろうと容赦はしません」

翔鶴「教えて下さい日向さん」

翔鶴「貴女の望む未来の中で、提督は幸せですか?」

翔鶴「勿論、幸せであれば何も問題は無いのです」

翔鶴「貴女は提督を困らせませんよね?」

翔鶴「貴女の悲痛な願いは」

翔鶴「乳飲み子が飢えを満たす為に訳も分らず親を求めるのとは違いますよね?」

翔鶴「貴女は私の、敵ではないですよね?」

日向「……」

日向「[ピーーー]」

翔鶴「……」

日向「[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]!!!!!!!!」

翔鶴「……」

翔鶴「来なさい」

翔鶴「提督の邪魔はさせません」

提督「で、同期の嶋田という奴が先生に『ドイツで最高の将軍は誰か』と問われた」

提督「ちなみに、お前は誰だと思う」

瑞鶴「マンシュタイン!」

提督「嶋田は迷わず『スターリンであります』と答えた」

瑞鶴「ぷっ」

提督「俺は大笑いしてしまって、先生にこっぴどく怒られた」

瑞鶴「あはは! 嶋田さんて人頭いいね」

提督「俺以上に変態だけどな」

提督「むっ、砲撃音」

瑞鶴「今のは35.6㎝砲の音だった」

提督「演習か?」

瑞鶴「違う、近すぎる……母港から砲煙、火災煙を確認」

瑞鶴「間違いなく戦闘行為が行われている」

提督(遅かったか?)

瑞鶴「何で!? 敵に襲われているの!?」

提督「……急ごう」

日向「[ピーーー]」
日向は翔鶴に向けて35.6㎝連装砲をためらわずに発射する。

艦娘は陸上での戦闘行為が出来ないわけでは無い。
だが、こうして陸上で戦闘行為が、
それも深海棲艦に対してでなく同じ艦娘に対するものが行われることは前例がない。

翔鶴「くっ!!」

その為、久しく忘れられていた事実がある。
艦娘達の艤装の力についてである。

艤装は小型化された今でも旧来の名前を用いて呼称される。
そうしなければ我々は自らの作った兵器の潜在能力と危険性を忘れてしまうからだ。
艤装の小型化は、戦闘能力の低下を意味しない。
寧ろ、未来科学の結晶である妖精の力を借りた事により、

翔鶴「み、港が……」

正史以上に恐るべき存在となりうる。


日向の放つ砲弾は、軍港の施設を確実に破壊していく。
その小ささとは余りにも見合わない破壊力を伴って。

翔鶴「……全攻撃隊、発艦!」

負けじと翔鶴も弓を放ち、艦載機を発艦させる。
放たれた弓は、空中で光と共に分裂し艦載機へと変化する。

文字通り矢継ぎ早に弓を放ち、第四管区司令部の上空は翔鶴の艦載機が塗りつぶした。

日向と翔鶴、お互いに次の一手をけん制し合い、陸上でのにらみ合いが続く。

木曾「お、おい……お前ら何やってんだ……?」

翔鶴「! 木曾さん、下がってください!!!」

司令部では警報がけたたましく鳴り、非常態勢に移るための準備が始まっている。

木曾「日向さん、何で実弾発砲してんだよ。冗談きついぜ?」

日向の砲塔が、ゆっくりと木曾へと照準を合わせる。

翔鶴「ちぃっ!!!」

艦載機を遮二無二砲塔に突っ込ませる。せめて弾道だけでも変えなければ。
一機の紫電改二が木曾に狙いをつけている砲塔に体当たりをした。
それにより少しだけ照準が変化し、弾は木曾の背後にあった営舎を粉々に砕く。

日向「……翔鶴、そんな体当たりじゃ私を傷つける事は出来ないぞ」

突っ込んだ私の艦載機は粉々に砕けていたが、砲塔自体は全くの無傷だった。

翔鶴(艦載機の突撃で無力化することは不可能か)

木曾「日向さん!!!! 何やってんだよ!!!! 今……今俺を狙ったのか!?」

日向「うるさいなぁ」

時雨「日向、やめて!」

長月「おい!!! 何やってんだお前ら!!!!!」

三隈「これは一体、何事ですの!?」

司令部に残っていた艦娘が次々と私達の、元凶の所へ駆けつける。

長月「おい日向! これはお前がやった事なのか!?」

他の艦娘にしてみれば全くもって意味が分からないだろう。

日向「私がやった」

長月「何故だ!? 自らの使命を忘れたか!?」

日向「深海棲艦を[ピーーー]事だろう。分かっているさ、そんな事」

長月「ならば……尚更何故だ!?」

三隈も時雨も、木曾も、訳が分らずに狼狽えている。
長月の態度は立派だ、毅然と現実に立ち向かう。

日向「私はただ、提督を独り占めしたいだけさ」

長月「……愚かな」

日向「長月、お前まで私を罵るのか? 翔鶴のように」

長月「こんな事をしておいて、提督と一緒に居られると思っているのか!?」

日向「……」

長月「艦娘が暴走し司令部に被害を及ぼす、当然責任問題だ」

長月「暴走した原因が感情にあると見なされれば、当然こちらも追及される」

長月「最悪、兵器としての欠陥と認定され我々は廃棄処分だってありえる」

長月「今まで提督が我々にしてくれたことが全て無に帰すんだぞ!? 分かってるのか!」

…………

ぐぅの音も出ない程の正論だった


日向「でも」

日向「それでも私は提督が好きなんだ」

日向「提督が私のものじゃないと嫌なんだ」

提督「そうか」

日向「他の事なんてどうでも……」

日向「ん?」

提督「よっ」

日向「……」

提督「ただ今」

瑞鶴「帰りました。うわっ、半ば月面だよこれ」

時雨「提督! 瑞鶴!」
翔鶴「……おかえりなさい」
長月「全く、遅いぞ司令官」
木曾「聞いてくれ提督! 日向さんが俺に、俺に砲撃を!!!」

提督「待て待て待て、一斉に喋るな」

提督「現状は見れば大体分かる」

提督「皆、迷惑をかけた」

提督「ちょっと日向と話をさせてくれ」

提督「よっ」

日向「……やぁ」

提督「何で翔鶴と喧嘩してるんだ」

日向「価値観の相違という奴さ」

提督「どうせお前から手を出したんだろう」

日向「ああ、自分の幼さを嫌というほど感じさせられたよ」

日向「翔鶴も、長月も、みんな立派だ」

日向「でも……私は未熟者だった」

日向「自分の事ばかり考えて、怒って、暴れたんだ」

日向「最悪だ、最低だ」

提督「日向、俺はお前の最低な部分も好きだぞ」

提督「可愛いと思う」

提督「俺達ってやっぱり相性がいいのかもな」

提督「最低最悪だっていいじゃないか」

提督「俺だってそうさ」

提督「自分の事だけ考えて動いて、結果としてお前たちを困らせている」

日向「……翔鶴に言われて分かった」

日向「私は自分の幸せばかり気にして、君の幸せなんてこれっぽっちも考えていなかった」

日向「図星さ」

日向「よく分かりすぎて逆に受け入れる事は無理だった」

日向「長月に言われて分かった」

日向「私は我儘で暴れるには少し歳を取りすぎた」

日向「責任を、迷惑をみんなにかけることになった」

日向「私には幸せになる資格は無いと自分で気付けたよ」

提督「資格は確かに無いかもしれない」

提督「これだけ他の奴らに迷惑をかけるお前に、幸福になる資格なんて無いかもしれない」

提督「だが義務はある」

提督「俺の艦隊の艦娘である限り、日向艦隊の一員である限り」

提督「身が裂け意識が途切れる最後の瞬間までお前は幸福を求め続ける義務がある」

提督「その為に努力しろ」

提督「正しい努力も良いが」

提督「間違った努力も最高だ」

提督「滑稽に苦しむ様で俺を楽しませろ」

提督「最後には幸せになれ」

提督「日向、お前は俺の艦娘だ」

提督「さっさと武装解除して営舎の修理を手伝え」

日向「……君はやはり最低だ」

日向「君も私も同じ最低なのに、何で君はそんな自信に満ち溢れているんだ?」

提督「後ろめたさが無くなった」

提督「俺の進んでいる道はやっぱり間違ってない」

提督「俺は必ず、この道の先にある未来と幸福をお前たちにくれてやる」

提督「お前は優しい奴だ」

提督「自分の為に他人を傷つけるのが苦手な奴だ」

提督「何も考えないアンポンタンなら翔鶴の言葉も長月の言葉も気に掛けないだろう」

提督「来い」

提督「今度こそ俺がお前を助けてやる」

日向「……一つ聞かせてくれ」

日向「君にとって私達は一体何だ?」

提督「お前らは」

提督「憎らしくも愛らしい、俺の最高の女どもだ」

提督「今はそう思う」

日向「君の言葉には一片の迷いも無い」

日向「……皆、私を置いて成長してしまう」

日向「もう私には君の背中すら見えないよ」

日向「……」

日向「君は私の想像を遥かに超えた」

日向「今や立派な提督だ」

提督「翔鶴や瑞鶴、お前が居てくれたからだ」

日向「……一緒に居れば私はお前たちにまた迷惑をかけてしまう」

提督「日向」

提督「俺はあの日見たお前の美しい笑顔が忘れられない」

提督「あの笑顔をずっと追いかけている」

提督「俺の背中が見えないのなら走って追いつけ」

提督「それも出来ないなら俺が一つ多めに周回してお前に追いついてやる」

提督「迷惑なんて気にするものか」

提督「お前も俺の大事な女だ」

提督「良い女程手がかかる、と言うじゃないか」

日向「……その言葉が嬉しい私も、どうしようもない馬鹿者だ」

日向「私の負けだよ」

こうして横須賀鎮守府第四管区において後に海軍戊事件と呼ばれる珍事は幕を閉じた。
対外的には連続した35.6㎝主砲の誤射という形であまりに呆気なく決着がついた。

第四管区の日常は何も変わらず、顕著な変化と言えば営舎の再建の折、
ウォシュレット完備の洋式トイレが設置された事くらいだろうか。

~~~~~~~~~~~~

提督「まぁ」

日向「どうも」

提督「まぁまぁ」

翔鶴「ありがとうございます」

長月「司令官! 早く!」

三隈「クマ!」

提督「えぇ~では司令部の修復も完了し、我々第四管区担当艦隊」

提督「通称日向艦隊の新たな門出を迎える事となった」

提督「今日はその祝いの席である。大いに飲んで楽しんでほしい」

提督「諸君、我々はここで今一度、海上護衛の本分を思い出そうではないか」

提督「襲撃の頻度を増す敵の攻勢を退ける為に、我々は益々の団結をせねばならん」

提督「我々の活躍が、ひいては日本の、いや、世界の海上護衛の礎となる」

提督「その為にも、俺と君達艦娘、また君達艦娘同士の絆は益々強まるべきである」

提督「今日は無礼講だ。溜まりに溜まった不満はここで爆発させてくれ」

提督「さて、短めの挨拶はこれで終わりにしようと思う」

提督「諸君」

提督「我々に与えられた使命への誇りと、自らの矜持を忘れるな」

提督「我々は我々の役割を果たそう」

提督「世界の海に平和な航路があらんことを」

提督「君達の前途に洋々と広がる、大いなる未来に幸福があらんことを」

提督「乾杯」

日向「乾杯」

翔鶴「乾杯」

長月「乾杯っ!」

瑞鶴「かんぱ~い!!」

木曾「乾杯!」

三隈「み、クマッ!!」

時雨「乾杯!」

曙「乾杯」

漣「乾杯!」

皐月「乾杯!」

文月「乾杯!」

日向「みんな、迷惑をかけた」

長月「本当に何を考えていたんだ馬鹿日向!!」

木曾「流石の俺も撃たれた時はちょっと焦ったぜ」

日向「少し提督の事ばかり考えすぎていた。本当に済まなかった」

日向「我儘な私だが、やっぱりお前達と一緒に居たいんだ」

日向「……いいか?」

長月「……ふん! もういいから飲め! 酔って私の前で醜態を晒せ!」

木曾「今夜は寝かさねーぜ! 日向さん!」

日向「……ああ、望むところだ」

翔鶴「提督、お疲れ様です」

提督「いやーお前らの修復なら簡単なんだが」

提督「建物の修復は勝手が分からんもんだな」

提督「ウチも一応公的機関だから」

提督「水道利用やガスや各種予算の省庁への申請手続きが面倒でな」

瑞鶴「提督さん! おっつかれー! 飲んで飲んで♪」

提督「これはどーもご丁寧に」

曙「時雨ちゃん、聞いてよね! 私全然出番が無かったんだけど」

漣「私もです」

皐月「まー、いいじゃないか!」

文月「遠征も立派なお仕事ですぅ~」

時雨「あ、あはは」

~~~~~~~~~~~~~~~~

長月「しれーーかーーーん!」

提督「何だながつ、酒くさっ!!!」

長月「しれーかん! 日向が全然酔わないんだぁー!!」

提督「長月、お前は最初の一杯だけにしとけって言っただろう」

長月「だって、だってみんなが楽しそうに飲んでるんだ」

長月「わたしだって飲んでもいいじゃないかぁ!!」

提督「そうだなぁ。お前だけ子供扱いしちゃ駄目だよな」ナデナデ

長月「わたしは立派な大人だぁ!!!」

長月「でへへ、でもしれいかんに撫でてもらうのきもちいい」

木曾「俺に勝負を挑む馬鹿はどこのどいつだぁ!?」

木曾「ああああああん!?」

提督「あいつはもう駄目だな」

三隈「提督」

提督「おお、三隈か」

三隈「早く晴嵐を調達して欲しいです……もう瑞雲は通用しません」

提督「そうだなぁ、善処してみよう」

三隈「ありがとうございます」

翔鶴「提督」

提督「どうした?」

翔鶴「提督は今、幸せですか?」

提督「……聞くまでも無かろう」

提督「勿論、幸せだ」

翔鶴「知っていました」クス

瑞鶴「提督さん」

提督「どうした」

瑞鶴「私も提督さんは間違ってないと思う」

瑞鶴「もし、私が日向さんみたいに迷って暴走しちゃったとき」

瑞鶴「提督さんは助けてくれる?」

提督「命を賭して救ってみせる」

瑞鶴「……さーんきゅ♪ 私も提督さんが危ない時には助けるからね!」

提督「……頼りにしている」

~~~~~~~~~~~~~

長月「うぅ……オェエ……」

木曾「んごごっごっごごごおごおおおおおーーーーー」

瑞鶴「Zzz……」

提督「死屍累々だな」

翔鶴「皆さん、あまりお酒は強くないようですね」

日向「の、ようだな」

提督「結局残ったのは我々だけか」

提督「河岸を変えるか」

翔鶴「ご一緒します」

日向「付き合おう」

提督「では持てるだけ酒とつまみを持って来い」

呑み部屋

提督「乾杯」

日向「乾杯」

翔鶴「乾杯」

提督「……」グビ

日向「……」グビ

翔鶴「……」グビ

提督「……安酒は不味いな」

日向「公務員の辛いところさ」

翔鶴「私はそこまで嫌いな味ではないのですが……」

日向「翔鶴、面倒をかけた。本当にすまない」

翔鶴「気にしておりません。誰にでも間違いはあります」

日向「……すまんな」

提督「日向、上着を脱げ」

翔鶴「えっ、提督、何をおっしゃっているのですか」

提督の唐突な要求に翔鶴は困惑したが、日向は特に驚く様子も無く上着を脱いでいく

翔鶴「日向さん! 脱ぐ必要はありません!! 提督、時と場所を弁えて下さい!」

日向「違うんだ、翔鶴」

日向は上着を脱ぎ切り、乳房まで曝け出した
彼女の服で隠されていた上半身は、肌色でなく異様な白だった

日向「左胸、心臓辺りから白色が広がっていたが、今は完全に止まっている」

日向「この白が、全身に広がればどうなるか……私も大体見当はつく」

翔鶴「その肌は……」

提督「深海棲艦」

提督「……」

提督「俺はお前達に今や未来の話はよくする」

提督「だがお前らの過去の話はしない」

提督「これからもするつもりは無い」

提督「過去はどうしようも無いし、話したところで意味も無い」

提督「お前らの出自は深海棲艦とも深く関係を持つ、これだけ覚えておけ」

提督「艦娘が深海棲艦になるのは珍しい事じゃない」

提督「少しバランスを崩せば、あっという間に早変わりだ」

提督「理由もよく分かっていない」

提督「ま、うちからは過去一度も深海棲艦は発生していないがな」

提督「翔鶴から話を聞いた時、確信した」

提督「だから色々と手を回した」

提督「日向と一緒に死ぬのも良いと思っていたが、何とか踏みとどまってくれたからな」

提督「準備は無駄になったという訳だ」

提督「深海棲艦にあっという間に早変わりするだけに、対処が難しい」

提督「変わってしまっては戻しようが無い」

提督「この辺は、お前らの心と同じだ」

提督「言い換えれば」

提督「変わる前なら幾らでもやりようはある」

提督「日向、来い」

日向「……」

日向さんは促されるまま、ふらふらと立ち上がり提督の元へと向かう

提督「俺の腕に仰向けでもたれ掛かれ」

日向「うん……」

日向さんは立ち消えそうな弱弱しい声で返事をする

提督「少しくすぐったいだろうが、我慢しろよ」

日向「……分かった」

提督に抱きかかえられた日向さんは、腕を提督の背中に回す

提督「……」

提督は日向さんの左乳房に顔を近づけると

提督「……」ペロッ

日向「ッ!!!!!」

舌で舐めた

日向さんの身体が大きく反応する
背中に回した腕に力が籠っている

提督「……」ペロペロ

日向「あっ……ぐっ……」

日向さんが、零れ出る喘ぎ声を必死で抑えようとしているのが分かる
舌が肌に触れる度に上半身は脈打つように跳ね上がる

提督「……」

日向「あぁっ!!!!!」

提督は日向さんの反応を無視し、何も言わずひたすらに舐め続ける
焚き火の燃える音、空気の逃げる隙間がないために木の組織を破壊して破裂する音
舐める音、そして女の喘ぎ声

囲炉裏の火に照らされた、この淫靡なはずの光景には妙に現実感が無く、
私は人間以外の動物の交尾を眺めているような気分だった

提督「……終わったぞ」

日向「はぁ、はぁ」

どれ程の時間が経っていたかよく分からないが
提督がそう告げた時、日向さんの上半身に白色は残っていなかった

日向「うっ…………Zzz……」

体力を消耗したのか日向さんはそのまま眠ってしまった

翔鶴「提督、一体何を……」

提督「深く考えるな。こういうものなんだ」

胸の奥がぞわぞわする
お尻を触られたり、髪を触られたりするのとは全く異質な行為

提督と日向さんの爽やかで軽妙な会話をする普段の二人からは全く想像できない程に、
重く、粘着質で気持ちの悪い

だが、それ故に

翔鶴「提督……」

私は何を言おうとしている
胸の高鳴りが止まらない

翔鶴「私もソレ、して欲しいです……」

提督はゆっくりと、私の方を向き直す
いつもの優しげな表情は無い
焚き火に照らされる提督は次第に闇に溶け込み始める
提督という器に別の物が入り込んでしまったように思える

未来も、幸福も、覚悟も、仲間も、今は全部どうでも良い

単に知りたい
私は舐められると一体どんな声を出すのか
どんな気持ちになるのか

提督「駄目だ」

翔鶴「えっ……」

駄目、駄目と言ったのか?

提督「これは禊祓だ。俺は日向の穢れを吸っているし、お前は祓う必要が元々無い」

翔鶴「お願いします」

提督「駄目だ」

翔鶴「お願いです!!」

提督「落ち着け、穢れの瘴気に当てられているぞ」

翔鶴「瘴気?」

提督「……翔鶴なら大丈夫かと思ったが、お前も意外と感応が強いんだな」

提督「こちらを向け」

提督は左手を伸ばし、中指を私の額に優しく当てる。

提督「……」

提督「これでもう大丈夫な筈だ」

翔鶴「……」

翔鶴「あれっ、私」

先程まで胸を埋めていた感情は消え失せ、いつもの冷静な思考が戻ってくる

提督「まだ舐めて欲しいか?」

翔鶴「……」

赤面

翔鶴「……私、なんてはしたない事を」

翔鶴「申し訳ありません!!!!」

提督「気にするな、お前のせいじゃない。何度も言うが『こういうもの』なんだ」

提督「日向を許してやってくれ」

提督「穢れをあれだけ貯め込んで尚、こいつは自分の思考を保っていた」

提督「障られたお前も、今なら日向の行動が理解出来るだろう」

おぞましい

ただ見ただけでこれ程に心狂わせる存在が体に巣食うなど……想像もしたくない

翔鶴「……」

翔鶴「この感覚を理解させるために、わざと私の前で禊祓を行ったのですか?」

提督「さぁな」

翔鶴「最低です」

提督「お前と日向が不仲だと、我が艦隊は機能しないからな」

提督「許しておくれ、俺の瑞鶴よ」

翔鶴「翔鶴です」

提督「わはは」

時雨「提督、おはようございます」

提督「おはよう時雨、今日も可愛いな」

時雨「ありがとう…………でも何で提督は僕のお尻を揉んでるのかな?」

提督「朝の柔軟運動だ」

時雨「こらっ!!」

提督「やまない雨は、無い」

瑞鶴「おっ、提督さんじゃん」

提督「瑞鶴、突然だが俺の子を孕む気は無いか」

瑞鶴「はぁ!? 死にたいの!?」

提督「いや妊娠すれば少しは乳房も大きくグガッペ!!!!!!!」

漣「ご主人様、遠征班いつでも出られます!」

提督「うん。気を付けて資材拾って来い。出来れば色気のあるパンツもな」

漣「ご主人様! 帰ったらぜってーぶっ殺します!」

三隈「クマッ」

提督「私がクマクマ言ったって……良いわよね?」

三隈「えっ、ちょ、提督大丈夫ですか!?」

木曾「よぉ~提督!」

提督「木曾か」

木曾「何やってんだこんな所で」

提督「今日は艦娘の様子を見廻っている。で、今はお前の所という訳だ」

木曾「別に艤装の整備してるだけだぜ?」

提督「少し見学してもいいか?」

木曾「ああ」

提督「……」

木曾(黙って見られると緊張するな)

提督「木曾、突然だが俺はお前に何かしてやりたい」

提督「何が良い?」

木曾「な、何だよ急に……気味わりぃな」

提督「お前もウチの武勲艦だからな。少しくらい褒美があっても罰は当たらんぞ」

木曾「……いいよ別に」

木曾「提督が俺の事覚えててくれるんなら他は何もいらねーよ」

提督「……泣かせるな馬鹿」

木曾「へへっ」


長月「むっ、何だ司令官か」

提督「よっ」

長月「……」キョロキョロ

長月「よし、周りに誰も居ないぞ! 今だ! 私を可愛がってくれ!」

提督(何言ってんだコイツ)

長月「この前司令官に頭を撫でられて以来感覚が忘れられないんだ……」

長月「たのむぅ~~」ウルウル

提督「分かったから! そんな必死な顔をするな!」

提督「ほら、どうだ」ナデナデ

長月「おぉ~これだぁ! この感覚だぁ~~~」

提督「喜んで貰えるのは結構な事だ」

長月「あ゛ぁ゛~、癖になるぅ~~、子供に戻っちゃぅ~~~~」

提督「しっかりしてくれよ、大人の長月さん」

日向「おや、君か」

日向「今日は随分と楽しそうな事をしてるみたいだな」

提督「なに、いつもと変わらんさ」

日向「私の身体なら好きなだけ触って良いぞ」

提督「こういうのは嫌がるから面白いんだ」

日向「そうか。まぁ気が向いた時に触ってくれ」

提督「お、おう」

翔鶴「提督、お疲れ様です」

提督「今日は楽しかった」

翔鶴「そのようですね。皆が怒っていましたよ」

提督「俺は、ようやくここまで来たんだ」

翔鶴「はい」

提督「これからも迷うし、間違うし、最低だと思う」

提督「翔鶴、それでもお前は俺の傍に居てくれるか?」

翔鶴「とこしえに」

提督「……ありがとう」

終わり

※この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません

終わってしまったか…乙
雰囲気も艦娘達のキャラも勿論話も何から何までめちゃくちゃ良かった
日常描くだけのほのぼのでいいからいつか続きが来るのを待ってる

>>292
何という褒め殺し。読んでくれてありがとう


いいなーこれ前スレから一気読みしたよ
みんなかわいいしシリアスも締まっててよかった

>>294
一気読み乙。俺もみんなかわいいと思います(迫真)

乙乙。
普段イチャイチャばかり読んでるんでこういう雰囲気の話は新鮮でよかった。
翔鶴かわいすぎんよ。

いや素晴らしい。前のも読んだよ。ドロドロおいしいれす。
ただ、メ欄にsagaを入れてくれ

修羅場も人選も全て好みだった
ありがとう

最低だな!()

乙乙

sageなくてもよかったんじゃ

>>296

最初は瑞鶴を主人公にするつもりだったのだが、結局翔鶴が可愛くなってしまった。読んでくれてありがとう!

>>297
つい欲望に負けてしまった。
次からsageるよ!

>>298
こちらこそありがとう!
反応くれてめっちゃ嬉しいぞ!

>>299
違ったら申し訳無いが、
作中の台詞を使ってくれるのはかなり高ポイント!!!!

読んでくれてサンキュー!!!!

>>300
sageよくわかんね
読んでくれてあり!!!!!

>>305
sageとsagaは別だからね
次からは気を付けて

>>306
まじか!調べとく!
迷惑かけたな

sagaを入れると

殺す 死ね オナニー ドラえもん

こうなる

sagaを入れないと

[ピーーー] [ピーーー] [田島「チ○コ破裂するっ!」] [たぬき]

こうなる

>>308 >>309
くっそ悔しい
あの台詞を言えなかったのはカス

肝心なところがピーだったもんな

海軍としては修正と再投下を要求する

>>311
[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]

>>312
陸軍としては、偶発的な事象も戦闘の一部であると考え大東亜戦争を完遂する意向である

個人的にはピー音連発の方が機械が瘴気に当てられた感がして趣きがあった

日向「[<font color

乙です

終わっちゃったのか...
独特のシリアスさを持ち合わせてて読んでて心を揺さぶられる良いSSだった...
また別の>>1の作品を待ってるわ

>>315
そう言って頂けると有り難い……

>>316
そちらこそ読み乙です

>>315
それは俺も思った
おお、こんな使い方があるのか!と感心したんだが素だったのかよw
何にせよ乙、面白かった
次も期待してる

>>317
ありがとうございます
マジで嬉しいっす

ちなみに前スレで日向さんが選ばれていれば深海堕ちして死亡でした
古典的で素敵な可能性……?
いきなり出て来た穢れなるものは伏線も何も無くて申し訳が無かった

提督が祓えるのは神道、家族繋がりの力です

つまり神道の力を使えない提督は
自分の部下が深海棲艦化していくのを黙って見ている他ないのか

>>323
気づいた場合は最寄りの神社へGO

アニメ化によって、深海棲艦の設定も明らかになると思うので楽しみです

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