エレン「アルミンと」ミカサ「好き同士」(443)

「ミカサ『エレンの性玩具』」
ミカサ「エレンの性玩具」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1372923710/l50)

ミカサ「エレンと好き同士」
ミカサ「エレンと好き同士」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1374485649/l50)
の続きです。別に読まなくても大丈夫です。

※とあるSSスレ(作者は別人)からのインスパイア
 元ネタのエレミカとは別の世界線(三次創作)

※エレンとミカサが、エロかったりエロくなかったり
 主導権の奪い合いでエレミカだったりミカエレだったりする

※ミカサとアニにレズ浮気の経歴があり(ハーレムでは無い)

前よりスローペースにやります
内容もまったりです

午後の課業が終わると、汗だくの身体は営庭から舞い上がる土埃でざらついていた。

気温は高い。夏が深まると、クリスタは自身の体力の乏しさを実感する。

早く兵舎に入って、汗を吸った訓練服を着替えたい。

ユミルたちの班はもう部屋に戻っただろうか。

半ば駆け足で、少しでも西陽を避けるように営庭を囲む雑木林を抜ける。

褒められたものではないが、兵舎への近道だ。

額の汗を拭っていると、黒い木肌に寄り添っている人影に気づいた。

(ミカサだ)

もう1人、木に背を預けているのはエレンだろう。

2人だけで話しているのを見るのは珍しい。

基本的に、エレンとミカサはアルミンとセットだ。

(やっぱり、恋人なんだね)

これは?エレミカかな。

兵営内で、恋人たちが密かに会える時間と場所は多くはない。

こうした移動時間、もしくは夕食後や消灯後の時間に部屋を抜け出し、互いに黙認し合って機会を作っているのだろう。

ミカサたちも付き合い始めの頃はよく姿を消し、うまくいかない様子に気を揉まされたりしていた。

いつの間にか生傷を作って部屋に戻ってくることもなくなり、安心していたものだ。

最近は部屋を抜け出す頻度も少なくなってきたのだが、ちゃんとこうした時間に2人で話しているらしい。

安堵しながらも、その横を通り抜ける気にもなれず引き返そうとした。

(あれ?)

人影が揺れた。仲睦まじく会話しているように見えた白い影が、重なった。

(あれって)

目を凝らすまでもない。

エレンの腕がミカサの手首を掴み、引き寄せている。

2人が額をくっつけ合っていた。

いやっほ待ってたほい

動転したクリスタが駆け出すよりも先に、ミカサがエレンの唇を舐める。

赤い舌の色が見えた気がした。

ほんの一瞬、口を吸ったように見えた。すぐに離れ、重なっていた影が二つに戻る。

(あれ、あれって、キス、して)

ミカサがエレンの前髪を整えている。それを振り払うでもなく、されるままになっている。

その光景だけでも、普段の様子からすると驚嘆すべきものだった。

(そうだよね。2人のときと、人前じゃ違うよね)

頬が、顔が、指先まで熱くなってきた。思わず手で耳を庇うように覆ってしまう。

ミカサの前髪をぐしゃりと掴んで乱したエレンが、先にその場から離れて歩き出した。

時間をずらして兵舎に戻るつもりらしい。

それを見送るミカサに気付かれないうちに、クリスタも踵を返した。

「おーう、おかえり」

先に部屋に入っていたユミルとサシャが、ベッドの上で首を拭いている。

「おい、砂くらい落として来いよ。よしよし、ベッドに上がる前に私が拭いて」

「ゆみぅ」

「どうした」

駆け寄ったユミルがクリスタの額と頬をぴたぴたと叩く。

「クリスタ、真っ赤ですよ。熱でもあるんじゃ」

「さっきまで平気だったけどな。どうした」

困り眉のまま、口を開きかけては閉じるクリスタの額に、ユミルが顔を寄せる。

咄嗟にクリスタが後ろに跳んで、それを避けた。

「おいおい傷つくぜ。熱計るだけだって。何いやらしいこと考えてるんだよ」

「い、やらしいこと」

挙動不審なクリスタの背後で、ドアが開いた。

「クリスタ」

「やぁあ!」

「あ、ミカサおかえりなさい」

静かにドアを閉めたミカサの前に、ユミルが立つ。

その後ろにクリスタの小さな身体が回り込んだ。

「なんだ、ミカサがどうかしたのか」

「ちが、あの」

「さっき見られたから」

平静を保つミカサの声に、ユミルとサシャの視線が集まる。

「さっきの、あの、やっぱり、あれって」

「エレンとキスしてた」

奇声とも鳴き声ともつかない、空気の抜けるような声を出しながらクリスタがしゃがみこんだ。ユミルの足を抱えて顔を隠している。

「なんだよ。もっととんでもないもん見ちまったのかと思ったよ、クリスタちゃんは純情だよなあ」

「だって、舐めてた……」

「エレンの唇が乾いてたから」

「本当に動物並みだな、お前ら」

「いえ、あの」

それまで聞いていたサシャが口を挟む。

「あれから1ヶ月くらいですよね? お2人は……もうそこまで」

クリスタに負けないほど赤くなった顔で、きょどきょどと覗き込んでくる。

「キスなら昔からしていたから」

それを聞いて、クリスタとサシャはほーっと胸をなで下ろした。

「なんだ、そういうことだったんですね」

「ミカサとエレンは家族だもんね。小さい頃からしてたんだ」

「そう。恋人のキスとは別」

地の文減らそうとしましたが、キャラが増えると難しいですね

ちょっと休憩

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
待ってました
クリスタかわえええ

新作キター!!
待ってました

待ってました
ミカサかわええ
クリスタprpr

待ってた楽しみだ
サシャとクリスタ可愛いな
もちろん一番可愛いのはミカサちゃん!

クリスタを立たせたユミルが、手櫛で金髪を梳いてやる。

「驚かせやがって。クリスタの前で交尾でもしたのかと思ったぜ」

「もうユミルの下ネタなんて聞きません」

犬のように頭を振るクリスタの頭に顎を乗せ、ユミルが抱え込んでしまう。

「口と口だからびっくりしたけど、ちゅって感じだったもんね。小さいエレンとミカサがしてるの想像したら、なんだか、かわいい」

微笑ましい、とサシャとクリスタが顔を見合わせる。

「そう。私は風邪をひいたエレンの鼻も吸ったことがある。
 エレンの反抗期が始まるまでは、挨拶のキスもできた。あの頃は良かった」

「おい、語り始めるな」

「またできるようになったのは、皆のおかげ」

そこまで言うと、後ろを向いていたサシャが毛布を頭からかぶった。

「サシャ」

「なんですか」

ミカサがひたひたと近寄ると、強く毛布を巻き込んでくるまってしまう。

「サーシャ」

「やめてください、そういう話はよそでやってください」

はみだした足先がばたばたと悶えている。

ミカサが毛布を掴んでみせる。本気ではないが、サシャは中で暴れて抵抗していた。

「もう、部屋での恋愛話は勘弁してくださいよ! 最近は収まってたのに」

「サシャはこの話が始まると黙っちゃうもんね」

くすくす笑うクリスタのつむじに顎を乗せ、ユミルもにやついている。

「嫌なわけじゃないんです。でも、耐えられないんです! むずむずするんですよ」

「いつかはサシャの身にも降りかかること」

ミカサの言葉がとどめになり、サシャは毛布の中でわー! と叫んだ。

待ってました!
女子組可愛いな

ユミルに抱えられたままのクリスタが尋ねる。

「あのう、サシャはまだ」

「ないです。村には子供が少なかったですし。あるわけないです」

わめきながら、毛布ごとミカサに抱きかかえられた。

「サシャにもいずれいい人が現れる」

「やめてください、想像もできません」

ミカサが毛布を引き剥がす。

転がり出たサシャは、両手で顔を覆って縮こまっていた。

「まあ芋女はまず食い気をどうにかしろよ。食費で破産するのがわかって、嫁にもらってくれる男なんかいねえ」

「そんなことないよ。サシャは女の子らしいところあるもの」

ごつ、ごつ、とクリスタがユミルの顎に頭突きしている。

「でも、初めてのキスの相手とそうなれたらいいよね。やっぱり、ミカサとエレンが羨ましい」

「初めてはエレンじゃない」

全員の視線がミカサに集中した。

「え? どういうことです?」

「初めてのキスはエレンとじゃない。エレンも私が初めてじゃない」

「え? え?」

「おいおい、今更パパからのキスはカウントなしだぞ」

動転したクリスタの頭を、ユミルが撫で回している。

「唇と唇のキスの話でしょう。違う?」

ミカサ以外の全員が、互いの顔を見合わせた。

まさかの告白に言葉が出てこない。

その時、木戸を叩く音が響いた。

「ちょっと」

アニがドアを開けて、廊下から中を覗き込んできた。

「入り口で集まらないで。入りづらい」

慌てて、ユミルとクリスタがドアの前からどいた。

いつもアニは着替えてからミーナと食堂で合流している。

今日もそのつもりだったのが、妙な雰囲気を察してなかなか戸を開けられなかったらしい。

「なんなの」

「え、あ、ファーストキスの話」

興味もなさそうに髪をかきあげ、アニは2段ベッドの上段、自分の寝床に畳んでおいた着替えを取った。

「ミカサの初物はエレン以外とだってよ」

「ちょっと、ユミル!」

「はぁ?」

制止するクリスタの声と、アニの声が重なる。

「本当なの?」

「うん」

「へえ。意外」

それだけかよ、とユミルはつまらなそうに吐き捨てた。

「どうせ初めてはパパってオチでしょ」

首を振るクリスタに、やっとアニが訝しげにミカサを見た。

「あんたは一途だと思ってたけど」

「それはそう」

「それで、相手は誰なの」

口を開きかけたミカサが、片手でそれを覆った。

「言ってはいけないのだった」

「はぁああ!?」

ユミルの素っ頓狂な声が響き、サシャも顔を隠していた手を外した。

「え、気になりますよ! 誰なんですか!」

「忘れて」

「ここまで引っ張って、そんな都合のいい話があるかよ、おい」

「口止めされていたのを思い出した」

そういうと、ミカサはさっさと着替え始める。

わー誰なんだろう見当もつかない(棒)

一体、誰ミン誰レルトなんだ

「おーい」

ユミルの呼びかけを無視して、ミカサはシャツを着て襟を直す。

「エレンじゃないなら相手は決まってるだろうが」

「言えない。ので」

首を振るミカサが出て行こうとするのを、クリスタが回り込んで阻止しようとする。

「ミカサの口から説明してもらえないと、変な想像しちゃうよ」

「言えない」

強情にもそう言ったミカサは、クリスタの脇を抱えるようにしてどかしてしまう。

「怒られるので、今の話は忘れて欲しい。じゃあ」

呆気に取られた4人を残して、ミカサは扉を開けて出て行った。

「……隠す意味なんてあるんでしょうか」

「まさか、あいつでもないとか。そんなわけないよなあ」

「……この後夕食なのに、エレンとアルミンの顔が見られないよ……」

囁きあう3人の声を、アニが背中で聞いていた。

ジャンかもしれないジャン

とりあえずここまでにして寝ます。

前スレ読んでない人いるかもしれませんが、
微笑ましいこと言ってますが、エレンとミカサはとっくに性行為してます
このスレでエロやるかは未定だけど、シリアスやいちゃいちゃに飽きたらいきなり犯すかもしれません

あいよーいつでもカモーンだよー

続ききてたー!
ほのぼのも犯すのもどっちも最高ジャン

>>26
お前それジャンの前で言ってみろ
泣きながらぶん殴られるから

>>26
それはないな

まあほとんどの人は見てるから分かるんだよね

>>「どうせ初めてはパパってオチでしょ」
それは君自身のことじゃないのかね?ファザコン気味のAちゃん?

>>27
乙!
いきなり犯すのもミカサらしくていいと思います

夕餉の香りが満ちる食堂で、クリスタが2つ向こうのテーブルをじっと注視している。

「匙くわえたまま止まってるんじゃねえよ」

ユミルに頬を突つかれ、ようやく意識が食事に戻った。

向かいに座るサシャは、もうたいらげてしまいそうだというのに、クリスタのパンは半分以上残っている。

「絶対アルミンだと思うんだけど」

「詮索好き」

むっとしたクリスタが、パンをかじった。

視線の先では、エレンの隣にミカサ、正面にアルミンという並びで3人が食事している。

ミカサがアルミンのコップに水を注いでいた。

「どうしても気になるの」

「もう本人に聞いてくればいいだろ」

「それは……さすがに恥ずかしいよ」

呆れたユミルが頬杖をついた。

「……どうして口止めされているんでしょう」

「そうだよね。相手がアルミンでも、誰もおかしくなんて思わないのに」

「よっぽど恥ずかしい状況だったんだろうな。ミカサに無理矢理されて泣いちまったとか」

「何かの拍子にぶつけちゃっただけとか」

「それで、口止めなんてしますかね」

今度は3人揃って食事の手が止まった。

エレンとアルミンが談笑し、ミカサがエレンの膝に落ちたらしいパンくずを払っていた。

エレンに対する過保護さの陰に隠れてはいるが、アルミンとミカサの距離も、異性とは思えないほど近い。

「家族同然」と公言してはばからない仲ではある。実際、振る舞いだけを見れば兄弟のようにも見えることはある。

だからこそ、たかが幼い頃の戯れに箝口令が敷かれている、ということに違和感があった。

「なんだか怪しく見えてきました」

「やめろ、飯がまずくなる」

「怒られるって言うんだから、口止めしてるのはアルミンだよね」

>>33
SSのミカエレらしいかもしれませんね
だがここで犯されるのはミカサ

ミカサはエレンに犯されたら嬉しいよな

乙ー
散々犯し犯されてきたんだからしばらくはこの穏やかさが続いてほしいw
もちろんエロミカも大歓迎だけども

ジェットコースターみたいに激しいのもいいけどそればっかりだときつくなるもんね
観覧車やメリーゴーランドでゆったりほのぼのもいいじゃない
まあ一番好きな乗り物は回転ベッドなんですが

>>32
俺がパパだが何か

うーん、と頭を抱えたクリスタのパンを、サシャが指さす。

「これ、もういいですか?」

「あ、うん、あげる。時間内に食べきれないし」

「ありがとうございます!」

あっという間に2口でたいらげ、サシャは水を一気飲みした。

「……私、聞いてきましょうか」

えぇ、と怯むクリスタの両肩を、ユミルが掴んで押さえる。

「この空気が続いたら耐えられませんし……」

「話が早え。どれだけ爛れた関係なのか聞いてこいよ芋女」

ただれ、と反復してサシャも固まってしまった。

「そりゃそうだろ。下手したら開拓地時代に組んず解れつ、略奪愛だったのかもしれないし」

「冗談でも面白くないですよ」

耳まで赤くなったサシャとクリスタが首を振る。

向こうでは、和やかな雰囲気のままエレンたちが食器を片づけようとしていた。

配膳台に運ぼうと、3人分の食器をまとめているミカサの隣にサシャが寄っていく。

「ミカサ、今日は」

「今日は完食」

「そうですよね。あはは」

後ろに手を組み、挙動不審なサシャに、エレンとアルミンが顔を見合わせる。

「僕たち、先に片づけようか」

「あ、いえ、そんな、手伝います」

水差しを持ったサシャの視線が落ち着かない。

「何だよ、言いたいことあるなら言えよ」

「あの、3人は仲が良いなって」

「はあ? 今更なんだよ、当たり前だろ」

ミカサが話を聞きながら、台拭きでテーブルを拭き始めた。

「うちの村には同年代の子供が少なかったので、男友達って何して遊んだんだろう、とか、さっき話していて」

「普通に本読んだり、虫採ったりしてたよ。ミカサもどこにでもついてきたし」

3人で固まってるのは変わらないよね、とアルミンが相槌を打つ。

「あの、でも、ほら、男の子と女の子が遊んでいれば、色々あるじゃないですか。
 ……おままごとで照れたり、スカートめくったり」

「はあ?」

「エレンとアルミンはそんなことしない」

眉根を寄せて怪訝な顔をする2人に対し、アルミンは合点がいったとばかりにサシャに笑いかけた。

「そういうのはしなかったな。面白い話を聞かせてあげられなくて申し訳ないけど」

「で、でも、多少は……例えば、き」

「ミカサのスカートめくって何が面白いんだよ」

テーブルを拭くミカサの手が止まった。

「行水のときなんか、アルミンの方が恥じらいあるんだぞ。めくる前にスカートで跳び蹴りされるって」

「エレン」

アルミンがたしなめる。それに反発するように、エレンの手が動いた。

ミカサの尻を後ろから叩くような動作で、長いスカートを一瞬だけ持ち上げた。

裾が揺れて、長い脚が一瞬だけ覗く。膝から下だけが晒された。

「ほら、キャッとも言わねえし。昔から男みたいなもんだったよ」

アルミンが周りを見回し、誰にも見られていないことを確認する。

ミカサは手から布巾を落としていた。

サシャは完全に動転し、口をぱくぱくさせている。

「エレン、ミカサは女の子なんだから! こんな場所でなんてことを」

「何だよ、全然見えてないだろ」

「見えたかどうかじゃない、行為が問題なんだよ!」

アルミンがエレンの背中を叩く。悪戯を叱られる子供同然だった。

固まったミカサの肩を、アルミンが揺さぶった。

「ミカサ、しっかり」

「あ、りがとうございま」

あらぬ方向を見ていたミカサが、エレンに対し支離滅裂なことを言う。

「そうじゃなくて」

「……え、エレン、こういうことをしては、貴方の評価を下げることにもつながる。控えるべき」

「大袈裟だな」

「アルミンとミカサの言う通りです。年頃なんですから、
 その、スカートに触れたりするのは……も、もういいです、ごめんなさい」

すっかり圧倒されたサシャが後ずさり、その場から逃げた。

その背中を見送りながら、アルミンが首を傾げる。

「何しに来たんだ、あいつは」

「なんとなく予想はつくけど……エレンのせいだよ」

アルミンの怒り顔に、エレンが悪びれたように目をそらす。

「エレン。スカートに触れた件については、後で話そう」

さらにミカサが追い打ちをかけ、エレンは「そんなに怒るなよ」と、それこそ子供のようなことを言った。

食堂の出口で、ユミルとクリスタが聞き耳を立てていた。

「すみません、私の話術をもってしても、聞き出せませんでした」

「……誰も期待なんかしてねえよ」

「び……っくりしたぁ」

「想像以上に爛れてました!」

クリスタとサシャが頭を突き合わせ、どちらも頬を手で覆った。

「二次性徴来てねえのかって爛れっぷりだったな」

つまらなそうに、ユミルが耳の後ろを掻いている。

「やっぱりアルミンなのかな。ミカサの脚が見えても、赤くなってなかった」

「見慣れてるんでしょうか。そう言えば行水がどうとか」

笛が鳴るような声を出して、クリスタとサシャが顔を覆う。

2人の首根っこを掴むようにして、ユミルが乱暴に立たせた。

「はいはい、お子様は火傷しないうちに手を引くんだな」

今夜はお仕置きですね

とりあえずここまで。
スカートはまだめくります。

乙!
エレンは子供だな~


お子様二人の反応が可愛いな

子供というより、それ以上のことをしすぎて感覚が麻痺してるんじゃ…
そしてサシャとクリスタが可愛い

エレンが子供という感想が新鮮すぎて何だかうれしい
寝る前にまた後で投下します

>>51
エロいかどうかの基準はだいぶおかしくなってるかも
書いてて混乱します

あ、エレン自身がエロいと感じるかの基準がおかしくなっているという意味で

したらば落ちてたから投下無かったのかな?

昨夜はしたらばのメンテで投下できず、
今朝は腹筋スレに引っかかってました

明日か明後日辺りに投下します

お待ちしております~

あの腹筋スレ948回とか引いた人がいたが……まさかな

>>57
80回だったから大丈夫

朝と晩の自習時間は、合計で3時間ほどある。

資料室は開放されているが、夜はさほど頻繁に利用されているわけではない。

ほとんどの訓練兵は、予習復習は涼しい朝のうちに済ませ、夜は故郷への手紙を書くなど余暇として過ごしている。

アニが夕食後に資料室に訪れたのは、友人の付き合いだった。

ミーナの、左右に振り分けられたお下げ髪を見ながらついていく。

「大丈夫かなあ。弾道学の本は多くないから、貸し出されてないといいけれど」

顔だけを振り向かせて、ミーナが笑いながら資料室の戸を開けた。

アニは相槌を打つのも得意な方ではないが、ミーナはよく合わせてくれている。

群れの中でさほど悪目立ちしないでいられるのも、彼女のおかげだ。

書架の間を連れ立って歩きながら、アニはぼんやりとそんなことを考えていた。

目の前の背中が止まる。

「あ、アルミンだ」

書庫の奥に、見慣れない訓練兵2人と背の低い金髪の横顔が見えた。

「すごいよね。いつ来てもアルミンはいるんだもの」

感心しながら背表紙の文字を指で追っている。

そうしながらも、ミーナはアルミンから目を離さない。アニもそちらを注視していた。

様子が妙だった。しきりに2人が話しかけているようだが、アルミンは目を合わさないように無視している。

「……ねえ、あれって」

不穏な様子に、ミーナが耳打ちしてくる。

最後まで言わせずに、アニは通路の奥に向かって行った。

「アルミン」

アニの低い声に反応して、アルミンを囲んでいた男子が離れる。

それまでしきりに話しかけていたのが嘘のように、無関係だと態度に示しながらアニの横をすり抜けて行った。

2人のうち、遅れた方が振り返りざまに言葉を吐き捨てていく。

「腰巾着がよ」

足早に逃げていく見知らぬ2人を、ミーナも見えなくなるまで睨みつけていた。

「やっぱり絡まれてたんだ。最低!」

「何かされたわけじゃないよ。でもありがとう、アニ、ミーナ」

「別に。あんたに本の場所を聞きたかっただけ」

素直じゃないな、とミーナがアニの腕を小突く。

笑ってみせるアルミンの顔に、疲れのような諦めのような色が張り付いている。

「あの人たち、アルミンが1人になるのを狙ってたんじゃない? 最低だよね。気にしない方がいい

よ」

「いいんだ。手を出されないだけ、子供の頃よりマシだから」

そう言うアルミンの声に、僅かな焦りと拒絶が含まれていた。

「仕方ないんだ。劣等生が目を付けられるのは当たり前のことだよ」

「あんたが放っておいて欲しいならそうするけど」

髪をかきあげながら、アニがミーナの手を引く。

「何で黙ってたの? アルミン。あんたなら言い返せるんじゃないの」

「やだ、アニ。アルミンはむやみに揉め事を起こさないだけよ」

「あんな奴ら、アルミンがミカサたちと一緒なら近寄れもしないんだから。
 強く出てやればいいでしょ。舐められたらまた絡まれるだけだよ」

「ちょっと。アルミンは被害者なんだから、そんなに責めなくても」

「被害者じゃない」

聞いたことがないようなアルミンの強い声に、ミーナとアニが固まる。

苦しそうに息をするアルミンの頬が羞恥に赤くなっていた。

「……本当に、大丈夫なんだ。対処は慣れている。親切にありがとう。でも、気にかけないでくれ」

誰にも言わないでくれ、と言っているように聞こえた。

「……ごめんなさい。アルミン」

そう言ったアニの背中にミーナの手のひらが触れ、立ち去ろうと促された。

去り際に横目で、アルミンが袖で目を拭うのが見えた。

弱いくせに。小さいくせに。

根性があるのか、気が強いだけなのか、よくわからない。

結局、レポートに足りるかもわからないが目星をつけていた2冊だけを棚から抜き取った。

急いで貸し出し手続きをして、アニとミーナは資料室を出た。

「……エレンたちは知ってるのかな」

「言っちゃだめだよ」

わかってるよ、とミーナが頬を膨らませる。

「でもさあ。ずっと我慢していくつもりなのかな。エレンとミカサって目立つし、また別の人に目を付けられるかも」

「本人があの様子だから、誰かが手を出すわけにもいかないでしょ。アルミンにだってプライドがあるんだから」

「男の子は大変だ」

胸に本を抱えたままのミーナが、ふざけてアニの腕にぶつかってくる。

「優秀な友達を持つと、苦労するんだよねー」

顔を曇らせたアニの顔を覗き込んで、からかい半分にミーナが舌を出した。

「まあ、アニが成績優秀なのは、自慢でもあるから仕方ないんだけどさ」

シガンシナの頃からああだったんだし、訓練兵時代にも絡まれてても不思議はないんだよなー

訓練兵時代は劣等生だったんだなと思い出した

ミーナと就寝前の挨拶を交わし、アニは部屋に戻る。

浴場から戻ってきたらしいミカサが、髪を拭きながら戸を開けようとしているところだった。

「おかえりなさい。アニも早く入った方がいい」

聞き流しながら、一緒に部屋に入った。

いつも早風呂のクリスタとユミルが、机に課題を広げていた。ベッドではサシャが猫のように身体を伸ばしている。

「おかえりなさい」

こちらに顔を向けたクリスタの表情が曇った。

思わず、隣のミカサを見る。

タオルの隙間から、唇の端が切れて赤い血が滲んでいるのが見えた。

「あんた、また……」

ミカサも気付いていなかったらしい。

視線を追って指で唇に触れ、微かについた赤い色をぺろりと舐めた。

「あのう、それ、エレンですか」

「少し話をしてきた。大丈夫。スカートについてはよく言い聞かせておいたから」

事も無げに言うミカサに、もう誰も何も言い返さない。

エレンと親密になってから、ミカサはよく痣や傷をこしらえて帰ってくる。

いくら付き合っているとは言え暴力は、と最初の頃は心配していたクリスタやサシャも、もう何も言えなくなっていた。

実際それらは数日もかからず消えてしまうひっかき傷や唇の傷ばかりで、家族とは言え男子と取っ組み合ったにしてはマシに見える。

四つん這いのまま、ミカサの唇をサシャが見つめている。

ごくり、と喉を鳴らして赤い顔で尋ねた。

「……ミカサの初めての相手って、アルミンですよね?」

「なぜそれを」

「むしろなんでわからないと思うんだよ」

驚愕に目を見開くミカサを、ユミルがどやす。

「ねえ。エレンと恋人なのは隠さないのに、どうしてアルミンとのことは内緒なの?」

「そうですよ。仲が良いってことなんですから、むやみに隠すのは不自然だと思います」

クリスタとサシャが頷きあう。

そのサシャの隣にミカサは腰掛けた。アニはさっさと2段ベッドに上り、入浴の支度をする。

「アルミンが嫌がる」

「そんなに恥ずかしいことでしょうか」

「恥ずかしいんじゃない。本当に怒る」

教本をめくるユミルの手が止まった。

「私は下衆だからさ」

唇が愉しそうに歪んでいる。

「曖昧にされると、つい勘繰っちまうんだよなあ。なあ、本当にキスだけなのか?」

「どういう意味?」

ミカサが立ち上がる。これまでさほど興味を惹かれた様子もなかったユミルが、ミカサの頑なな態度に面白味を見つけたようだ。


「男にしてやったんじゃないかって意味」

わざと下卑た笑顔を浮かべて、ミカサを煽る。

わけもわからず、クリスタとサシャが視線を交わした。

ふらりと立ち上がったミカサの肩からタオルが落ちた。

「アルミンを侮辱しないで」

「むきになるってことは図星か? 安心しろよ、お前らが3人で何してても誰も驚かねえから」

「言っていいことと悪いことがある。ユミル。これ以上2人を汚すなら」

声の温度が下がる。

互いに視線を逸らさないユミルとミカサの間に挟まれ、クリスタが小さな身体を緊張させていた。

「ユミル、失礼なこと言わないで。アルミンは立派な男の子なんだから。ごめんなさい、ミカサ」

アルミンによく似た色の瞳を潤ませ、クリスタが見上げてくる。

それに負けて視線を外したミカサに、ユミルが舌打ちした。


「言っておくが、ベタベタつるんでるから誤解されるんだよ。
 成績上位様の耳には入らなくても、くだらねえ奴らがくだらねえこと言ってるのは本当なんだ」

「どういうこと」

「アルミンは世渡りが上手い、お情けでも構ってもらう相手を選んでるってな」

「ユミル!」

クリスタの本気の怒声が響く。

泣きそうなサシャの横を通り、ミカサがユミルに近づいたとき、アニの声が制した。

「やめて。聞いてて胸が悪くなる」

しんと部屋が静まった。

音も立てずに梯子を降りたアニが、ミカサの腕を掴んだ。

「アニ」

「空気が悪いんだよ。ここは」

そう言って、強引に引っ張って部屋から出ていく。

ドアから出る直前に振り向くミカサを、サシャが追いかけたそうに見ていた。

見ている人がいるかわかりませんが、また暗くてすみません
退院後、ベッドで休息しているときに書いているのですが、やはり前ほど進みません
しばらくアルミンがつらそうな展開かもしれません
苦手な人はしばらくスレが上がってもスルーしてください
あと、スレタイがエロじゃなくなったのでエロシーン入れずに進行していきます
日常シーンに飽きたら書くかもしれません    ミカサを犯すのはスポーツ

養生してくださいね

スポーツ?ベッドの上の格闘技じゃね?

見てるぞ

見てる

自分のペースで無理のないようにして下さいね

>>73
あんまりベッドでする機会がなさそうな訓練兵時代

人がいて驚きました
ありがとうございます
感想含め色んなレスが、励みだけじゃなく癒しになってます
書いてると痛み止め効かなくても気が紛れるのでとても助かります

こういう役割やらせると光るなユミル
彼女のいい所はこれが偽悪ではない所だ

ミカサを犯すのはエレンかアルミンか

待ってた

暗くてもエロくなくても気の向くままに書いてくれればいいよ

このユミル凄いよね。絶妙なさじ加減で動いてくれる…

>>1のSSはエレミカだけじゃなくてキャラ皆が良い動きをしてて好きだ

体に障らん程度に進めてくれよー

廊下に連れ出したミカサの頬を、アニが両手で叩く。

「すごい顔」

目がつり上がり、奥歯を噛んだままのミカサの髪を耳にかけてやる。

「ユミルの言うことなんか、いちいち真に受けてるんじゃないよ。本気のわけないでしょ」

「そういう問題ではない」

「いいから。あんたは消灯まで時間を潰してきな。何なら一緒に来て水でもかぶればいい」

ふるふると力なく首が横に振られる。

「じゃあ勝手にしな」

「アルミンは……」

言葉が続かないらしいミカサを、腕を組んで見守っている。

唇からまた血が滲むほどきつく噛んで、ミカサは下を向いてしまった。

「あんたが下手に庇わなくても、見てる奴はちゃんと見てるよ。
 座学は優秀なんだから、いずれ結果が出る。
 男のやっかみはそれである程度マシになるでしょ」

ミカサは納得していないようだった。

「そんなことを待っていられない」

「過保護」

「アルミンを傷つけようとする輩はどこにでもいる」

濡れた髪の下で、双眸が濁っていた。

「シガンシナでも、開拓地でもそうだった。卑劣な獣は多い」

「もういい。少し頭冷やしな」

アニはそう言って、一枚多く持ち出したらしいタオルを、背伸びしてミカサにかぶせた。

「過ぎた干渉は悪癖だよ。アルミンだってもう子供じゃない」

男の子なんだから、とアニの手が離れる。

浴場へ向かう後ろ姿を見送り、タオルを首にかけたままミカサも歩き出した。

>>79
アルミンの命が……

背伸びする兄可愛い

そうだ!エレンがミカサに、ミカサがアルミンに挿れればいい!完璧じゃないか!!


……あれ?なんかおかしい?かな?

「エレン、ちゃんと髪乾かしてきてよ」

広げた教本の紙面に滴が落ちてしまった。

アルミンとエレンはベッドに転がり、頭を寄せて一冊を覗き込んでいた。

ジャンがドアを開けるなりその姿を目の当たりにし、「うぉ」と小さく声を上げる。

「気色悪い。男同士で何やってるんだよ」

「いいだろ別に。他に誰もいないんだから」

ページから目を離さず、俯せになったエレンの足先がぶらぶらと揺れる。

苦笑したアルミンが、気持ち程度に身体を離す。

風呂から戻ったジャンが髪を拭きながら、何気なく窓辺に寄って行った。

もう夜も更けた。カーテンを閉めようとして、屋外の人影に気付く。

木の影でよく見えないその人影が、小石を投げてきた。木枠にカツンと弾かれる。

窓ガラスに顔を寄せて目を凝らし、次の瞬間ジャンが跳び退る。

「ミカサだ」

「は?」

アルミン、エレンの順に梯子から降り、窓から外を覗き見る。

白い官給の寝間着と、見慣れた黒髪を視認した。

ひらひらと胸の前で手が振られる。

「なんでこんな時間に」

「なあ、あの、あれって洗い髪じゃねえのか」

動揺したジャンの声に構わず、2人は部屋から駆け出した。階段を駆け下り、寮の昇降口に急ぐ。

「どうしたんだろ」

「知らねえ。さっき別れたときは普通だった」

靴をつっかけ、建物を回り込む。

肩からタオルをかけただけで、薄着のミカサが2人を見つけて駆け寄ってきた。

「アルミン。エレン」

「なんて格好で歩いてるんだよ、お前」

「居ても立ってもいられなくて」

呆れ顔のエレンを尻目に、ミカサはアルミンの両肩を掴んだ。

「ど、どうしたのミカサ」

「アルミン。正直に答えて」

食ってかかる剣幕で顔を寄せるミカサに、アルミンが怯む。

助けを求めるように、エレンに顔を向けた。

「誰かから、嫌がらせや暴行を受けていない?」

「へ?」

慌てて首を振るアルミンの肩を、さらに揺さぶる。

「本当のことを言って」

「おいミカサ、アルミンが困ってるだろ」

アニに過保護だって窘められてるのに……
意地があんだろ!!男の子には!!
しかしここのアニはお姉さんだなあ、アニなのに姉……クッ

「ちょうどいい。エレンの前で聞いておきたい。
 アルミン、私たちのせいで暴言を受けていない?」

アルミンの顔色が変わった。

大きな瞳が動揺して揺れ、何かを隠すように伏せられる。

「やっぱり」

「違うよ。別に変わったことはない」

「何の話なんだよ」

エレンがミカサの腕を掴み、アルミンから引き剥がす。

「冷えきってるじゃねえか、お前」

「今はそんなことは問題じゃない。アルミン、どうか教えて」

「違うって言ってるだろ」

「アルミン」

むっつりと押し黙ったアルミンとミカサの間に、エレンが立つ。

「ミカサ、お前アルミンの話聞く気はあるのか」

「もちろんそのつもりで来た」

「じゃあ、アルミンが違うって言ったら違うんだ」

なおも鋭い目でアルミンを探り続けるミカサに、エレンはため息をつく。

「何かあったなら、アルミンが俺たちに何も言わないはずないだろ。なあ」

そう言って、エレンの手がアルミンの背中を叩く。

いつもなら笑い返してくれるアルミンが、反応しなかった。

「間違いない。アルミンは何らかの嫌がらせを受けている。それも原因は私たちの」

「それ以上言わないでくれ」

強い語気と共に、アルミンの肩が震える。

ミカサとエレンが黙った。

「何を聞いたのか知らないけど、ミカサの手を煩わせるようなことはないよ。
 ……あぁ、誰が言ったのかは聞かなくてもわかる」

怒りなのか羞恥なのか、寝間着から覗くアルミンの首が赤くなっている。

「とにかく、何もないから。ミカサは心配しないで」

その様子を見て、エレンも心配げにアルミンを見つめている。

2人の視線から逃げるように、アルミンの身体が斜に構えられた。

「アルミンを傷つける人は、私にとっても害獣。引き下がるわけにいかない」

「それが余計なんだよ!」

怒鳴り声は、地面に叩きつけられた。

決して目を合わそうとしないアルミンの肩を、ミカサがまた掴もうとする。

伸ばしたその手は、エレンに払われた。

「いい加減にしろ!」

「でも、エレン」

「俺が話を聞く。ミカサはもう口出すな」

「なぜ」

食い下がるミカサの手首を掴んだ。


「……ミカサにはわからないよ」

アルミンの冷えた声に、ミカサの腕から力が抜けた。

「こうして、直接僕に言わせようとする時点で、言っても伝わらない」

「そんなことはない。アルミンが説明してくれれば、私は……」

「おい!」

鈍い音がして、エレンの額がミカサの側頭部に打ち付けられる。

ミカサの足がふらついたが、エレンも痛みに額を押さえた。

「帰ってくれないか」

「アルミン」

「今日はもう、落ち着いて話せない。エレン、送って行って」

「お前は」

「少し1人で歩いてくる」

窓から灯りが湿った地面に落ちている。

その光から外れて、俯いたままのアルミンにエレンは背を向けた。

駄々をこねるミカサの腕を引っ張る。

「行くぞ」

「まだ話が」

「アルミンに嫌われたいのか」

そう言うとおとなしくなった。俯いた頭を掴み、引き寄せた。

「俺たちも、1周して風に当たってくる」

アルミンの形の影が頷いた。

下生えを踏みながら、ミカサの冷たい腕を引いて寮から離れる。

しゃくりあげるような声が聞こえた。

「そんなつもりじゃなかった」

「わかってる。でも、アルミンの気持ちもわかる。お前に味方はできねえ」

引っ張り、引きずり、ミカサを兵舎の見えない木立まで連れて行く。

立ち止まって触れてみると、頬は氷のようになっていた。

夏とは言え、この時間は気温も下がって夜風が冷える。

生乾きの髪から垂れた水が肩を濡らしたようだ。

「こんな格好で出歩いて、心配するだろうが」

「アルミンが……」

「ミカサが悪い」

ミカサの頬が濡れて光っている。それを、ごしごしと手のひらで拭ってやった。

「明日、朝食のときは普通にしてろよ。アルミンもそうしてくれるだろうから」

じっと動かないミカサの、昏い瞳を見つめる。

唇の端を舐めてやった。鉄臭い味に、エレンの唇が吸い付く。

それ以上のキスは求めて来ないミカサの手を、今度は昔のようにしっかりとつないだ。

女子寮の裏につくまで、ミカサは黙ったままだった。

とりあえずここまで
そろそろいちゃいちゃかエロが書きたいけどしばらく暗いままです

乙 おやすみ

乙 おやすみ

やっぱり女性から見ると男の意地とか理解できないのかなぁ
母親にすら「くっだらないことに拘って、しょーもない」って言われちゃうのよね
意地なんて拘っても実利が無いし、くだらないってことぐらい頭じゃ解っちゃいるんだけどね
股の下にぶら下げて生まれちゃったから仕方ないのよ許してよ

アニは理解してそれを尊重する気遣いをしてるよ

なるほど兄だからか

今日はベッドから起き上がれないのでSS読んでるけど、
エレアルミカが想い合ってる作品が増えてて萌え死にそう
エレミカでもエレアルでも

また後で投下します

乙!
不器用な三人だね でもそこがいいね
楽しみにしてます

最近エレミカアル増えたよな
幼馴染トリオは良いものだ…
楽しみにしてるよ乙ー

翌朝、ミカサとエレンはアルミンと朝食を摂ることはできなかった。

アルミンが熱を出し、起き上がれなかったのだ。

上官に報告し、2人で向き合ってパンとスープを食べる。

「ミカサ、一緒に食べましょう」

サシャが気を使って、隣の席に座ってくれた。

この一角だけが沈んで見えていたのだろう。

実際、エレンが一言二言話しかけても、ミカサの反応は薄かった。

「お前のせいじゃねえよ」

そう言うと、さらに表情が暗くなった気さえする。

部屋でも同じ様子だったのだろう。飼い主に寄り添う犬のように、サシャはミカサの顔色を見守っていた。

「クリスタがユミルを叱ってくれましたから。もうアルミンの悪口は言わないと思いますよ」

サシャは人の衝突や摩擦に敏感だ。

今の空気が耐えられないのだろう。努めて明るく振る舞っている。

「ありがとう」

それだけ返したミカサはサシャの頭を撫で、皿に余ったパンを入れてやった。

「今日はいいです。ミカサが全部食べてください。お腹が減ると、元気もなくなります」

健気にそう言うサシャの目線は、パンから離れない。

半分にちぎって、分け合って食べた。

その様子を眺めながら、エレンは妙な心地だった。

ミカサはめっきり女っぽくなった。同年代の女子の影響は大きいのだろう。

それでも、自分やアルミンのことで、手が付けられないほど弱ってしまう。

エレンは、仲間と家族は同義だと思っている。

同じ釜の飯を食う、というだけではない。

もし、同じ兵科に進んだなら、その仲間とは一蓮托生だ。調査兵団とは、そういうところだ。

ミカサは、仲間と家族を明確に区別している。

どちらがおかしいのかは、エレンには判別つかなかった。

いつもなら、部屋に戻ってベッドに潜り込んだときにでも、アルミンに聞いてみるのだが。

汗を吸って重くなった寝間着の中で、肩で息をしていたアルミンの苦悶に歪んだ顔を思い出す。

疲労が溜まり、無理をするとアルミンは熱を出す。

しかし、年齢を重ねると共に少しずつ体力もつき、ここ数年ではなかったことだ。

訓練兵になってからは、初めてのことだった。

喉が腫れて呼吸がつらい。

唾液を飲み込むだけで痛みが伴う。

明け方から起床の鐘まで、悪寒が止まらなかった。

熱が上がる前兆だ。また、周りと差がついてしまう。

起床、朝食、自習時間、午前中の課業。

もう皆は昼食だろうか。アルミンの胃は空だった。

今朝、医務室でもらった補水液もそろそろなくなりそうだ。

またエレンに世話をかける前に、自分で医務室に行かなければ。

しかし、身体を起こそうにも気力が足りない。倦怠感で関節も動かせない。

部屋のドアが開く音がした。

誰かが、汗でも拭きに来たのだろう。

梯子を上り下りするのもつらいアルミンは、ベッドの下段に寝かせてもらっていた。

寝台の主はコニーだ。もし本人なら、詫びなり礼なりを言わないと。

軽い足音が近づいてくる。

目も開けられないで、顔を横に向けているアルミンの首に、冷たいものが触れた。

ひやりとしたそれは、汗まみれの耳の後ろから顎までそっと撫でてくる。

懐かしい感触だった。

何が起こったのか、すぐにわかった。

目を開けると、ミカサが腰を屈めて、アルミンの顔を覗き込んでいる。

「どうして」

ここは男子寮だ。見舞いに来られて、弱っている顔を見られたくなくて、医務室から無理に戻ってきたのに。

「無理にしゃべらなくていい。喉に負担がかかる」

そう言ったミカサの長い指が、アルミンの白い喉を探っている。

「どうだ」

エレンの声だ。ミカサのすぐ後ろに立っている。

「腫れているけど、昔ほどじゃない。今晩休めば回復するだろう」

安堵に息を吐いたのが、ベッドの中からでもわかった。

「少し起きられる?」

頷いて、アルミンはゆっくり上体を起こした。それだけで目が回りそうになる。

さっきから、食堂の匂いがしている。食事を持ってきてくれたのか。

「つらいだろうけど、水分を摂って」

そう言うミカサは、さっきからずっと涙声だった。

朦朧とした視界でも、ミカサの困り眉が確認できた。

今日はずっとこんな顔をしていたのだろうか。

力強く、アルミンの背を、肩をミカサの腕が支えてくれる。

「ちょっと見せてみろ。今朝よりはだいぶマシだな」

2人がベッドの上に膝で乗り上げてきた。粗末な木枠が悲鳴をあげている。

今度はエレンの温かい手が、アルミンの顔に張り付いた髪を分ける。

唇は乾き、顔色は良いとは言えない。

それでも顔を見られただけで良い、とでも言うようにエレンが笑った。前髪をくしゃりと掴まれた。

起こした背中に、ミカサが寄り添う。背もたれになってくれていた。

また、男子のベッドでこんなことをして。

窘めてやりたいところだったが、アルミンはぼんやりと、毛布の下にある自分の膝の辺りを見ていることしかできない。

「調理場借りて、スープの具を柔らかくしてもらったんだ。いけるか?」

アルミンが力なく首を振るが、エレンは構わずトレイを膝の上に乗せてきた。

いつもより深めの皿に、多めのスープが入っている。

野菜を匙で潰し、アルミンの口元まで運んできた。

「アルミン、一口だけでも」

後ろから肩を抱いたミカサが、耳元で懇願してくる。

遠慮なくエレンが口に押しつけてくるので、アルミンは仕方なく唇を開けた。

塩分がうれしい。しかし、ほとんど煮溶かされていても固形物だった。

嚥下する痛みに、涙が出てくる。

「我慢してくれ。とにかく食って寝て、明日には訓練に戻らねえと」

「エレン、無理をさせないで」

「アルミンだってそうしたいだろ」

もう一度、匙を口に含まされた。

心配そうに、前後から2人に覗き込まれ、鳥の雛のように餌を口に押し込まれている。

いつもよりスープの塩気が強く感じる。

「エレン、奥までスプーンを押し込まないで。私が代わろう」

「大丈夫だって。なあ」

潤んでいる瞳を、見て見ぬ振りしながら、エレンが冷めたスープの具を潰している。

背中に、胃の腑に、友の温もりを感じて、幸福感に満たされた。

それが、あまりにも情けなかった。

スープを半分以上食べて、水差しで水分を補給させられる。

「アルミン……」

ミカサの声音でわかる。話をしたいのだろう。

いつも、自分に相談を持ちかけてくるときの、弱々しい声だった。

目配せでエレンがそれを叱っている。

ゆっくりと横にさせられた。頭をミカサの膝に乗せられ、温かい。懐かしい。

頬を撫でる風が、シガンシナで遊んだ木陰を思い出させた。

首を膝で支えながら、濡らしたタオルを首筋と脇に添えてくれた。

見なくても、今どちらの手が触れているのか判別できる。

温度、力強さ、触り方。エレンとミカサはまったく違う。

どちらも心地よかった。

そっと、頭の下から膝が抜け、味気のないシーツに下ろされた。

「また、休憩時間に来るから」

いつもより静かなエレンの声だ。

ひそひそと、ミカサが何か囁いているのが聞こえる。

順に、頬に何か柔らかいものが触れた。昔やってくれたまじないごとだった。

組み紐を結んだままの手首に触れられ、手も掛け布の中に仕舞われる。

静かに2人は部屋から出ていった。

「ありがとう、ライナー」

「早く戻れ。今日だけだからな」

戸口から、室長であるライナーの声が聞こえた。

誰かが来ないか見張っていたのだろう。

そのまま戸は閉められ、3人の足音が遠ざかっていった。


目を開けると、見慣れたベッドの天井がある。

まぶたの端から、熱いものが流れた。嗚咽が漏れる。止まらない。

なんで、こんなにうれしいんだ。

情けなかった。

エレンもミカサも、アルミン自身が弱っているところを見られたくないとわかっていたのだろう。

それでも来てくれた。

掛け布の端に涙が染みていく。

2人の優しさを突き放せる強さが欲しい。

意地を張り通すだけの実力が欲しい。

そうでないなら、胸を張って親切を受け入れられる余裕が欲しかった。

どうしてわかってくれないのだろう。

意固地になることはつらい。

ちっぽけな矜持だった。

それでも、それを守るだけで2人の傍に居られるのだ。

そのための苦労なら安いものだ。


滑稽だと笑われても、生意気だと殴られても、それにしがみついていたいのだ。

地の文ばかりになってしまいました。とりあえずここまで。

乙かれさん


いいなあ。お前のss凄くいい

>>123
ありがとう
気分転換にミカサ犯すの我慢して良かった

>>124
気分転換に犯されちゃうミカサ可哀想すぎ

>>124
気分転換でエレンに犯されたミカサは嬉しくないはずだ。

アルミン…


ミカサ犯すのはもうちょっと我慢しれww


うん、弱った時の心情がよく分かるいい文章だな
そうなんだよなぁ… 辛かったり情けなかったり寂しかったりするんだよな

リハビリやらコミケやらで数日置きの投下になりそうです

>>125
>>126
>>127
リスペクト元のスレでエレンを犯してるミカサを、
カジュアルに犯したくてスレ立てたのが始まりなのにどうしてこうなった

>>129
俺的に犯すのはミカサが弱々しさをみせた時の方が良いかな。

まさかリハビリが必要な体でコミケに行く気か
死ぬぞ

>>131
サークル側なので、売り子任せ既刊のみ持ち込みで早い時間に撤退する
心配してくれてありがとう

ミカサ犯す
ってのは単に>>1の口癖で、蓋を開けてみれば犯されてるのはエレン
てのがこのシリーズでは稀によくある展開だったからな。信用しないぞw

コミケも投下も無理せんでな。まったり待ってるから

おいおい絵も描けるのか
文才もあって多才だな

保守

舞ってる

待ってるぜー

>>138
あれアンタだったのかw

>>139
アルミンが凹んでる展開がつらくて、
書いちゃ消し書いちゃ消しして進まないのでつい

>>138
ミカサが妙にエロいと思ったらあんただった

なんか見たことある気がするトリだなと思ったらやっぱりあんたかw

>>142
鳥は外し忘れました
こっちでは付け忘れてて世話ないです
お恥ずかしい
今日ミカサの本を買いに行けなかった鬱憤晴らしでした

戦場帰りはまず休め
水分と一緒に塩分忘れるなよ

>>144
自分は3日目参加です
壁外調査に行った皆さんはお疲れ様でした

あれもお前のスレだったのかww
壁外調査乙ー

ってまだ行ってないのか、すまん

買いに行きたい…サークル名知りたい…

あんまりこの板で晒しみたいなことするのはやめた方が

>>134
漫画描きとしての才能って意味では、画才と文才の両方が必要なんだろうな、と思う

待ってるー

首を長くして続き待っております

今年の夏コミは過酷だったからな
体調大丈夫か心配だな

ギャグも書けるのか

ご心配おかけしてます
無事に戻りました
まだ展開を考えているので、もう少々お待ちください
台本形式の練習+何か書いておきたいので、また安価スレで練習してます
【安価】クリスタ「こここ子供の作り方?」ミカサ「教えて欲しい」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1376626358/l50)
ちょっと書き方が掴めたら戻ってきます

無事で何よりだよ
つか、その安価スレ参加してるわww

待ってるよ

あなただったのかwwww

ミカサクリスタのコンビ可愛くて好きだよ

>>159
ミカクリの百合になるかと思って立てたら、まさかのジャン寝取られ展開3回目で白目

まあ安価だからね、仕方ないね
しかしジャン不憫すぎるw

ミカサ「寝取られと呼ぶには前提条件が間違ってる」

他キャラ(特に原作で台詞が少ないキャラ)の書き方を覚えたい+台本形式の練習で安価立ててますが、
結局なぜかいつもの通りになるので、もうちょっと練習してきます
地の文がないとエロは難しいですね

未完にはしないのでもう少々お待ちください

ほいさ

待ってるよ

正直安価スレのエロじゃ物足りない

みんなエロが読みたいんだろ

待ってる
>>1の地の文好きだからこっちではあまり削って欲しくないが

>>166>>167
sageような

書きたい方向性があるならSSの方がいいんじゃないかな

待ってるよ

保守上げ

来ないな…

すみません、入院中に溜まった仕事を片づけています
今週中には戻ってくる目標です

おお
生きてたならよかった
待ってる

待ってるよ

生きろ

そなたは

お前に>>1が救えるか!!!!

保守age

待ってる

保守点検に来ました(*´ω`*)

保守あげ

もう来ないのかなあ…

むぅ…

JaneStyleで更新したら落ちてたけどまだあったか良かった
あげ

覚醒した頃には、夕刻とまではいかずとも日は大きく傾いていた。

アルミンはゆっくり体を起こす。ぬるくなったタオルがシーツの上に転がった。

あの後、もう一度エレンが様子を見に来たような気がする。

午後の課業から皆が戻ってくる頃だろう。

装備の手入れ、洗濯や清掃で部屋が賑わう前に、身体を拭いておきたい。

ふらつく頭を軽く振って、きしむ床に足を下ろした。


湯を求めて廊下に出る。

薄暗い廊下には、まだ蝋燭は灯されていない。

霧のかかったような思考と、定まらない視界で、気付くのが遅れた。

「おい、アルレルト。今日何食った?」

今通り過ぎた柱の影に、2人の訓練兵が寄り添っていた。

正確には、部屋の戸を開けたまま談笑していたのが、柱の影になって見えなかったらしい。

アルミンが通り過ぎるのを黙って見送るつもりだったのかもしれないが、寸前で気が変わったようだ。

俯いてやり過ごそうとすると、さらに声が投げかけられた。

「アッカーマンが表に来てるぞ」

途端、爆発したように2人が笑い出す。

「コツを教えてくれよ。昔馴染みだからって、どうしたらアッカーマンがここまでしてくれるんだよ」

「なぁ? 俺たちも上手くやっておけば良かったな。親と離れてもアッカーマンがいれば大丈夫だ。毛が生える前に、あんな奴を見つけておけばよ」

嘲笑と共に、会話の内容の醜悪さが増していく。

「そういうのが趣味かよ、あの女」

「そうじゃなきゃ劣等生なんかと……いや、イェーガーと出来てるんだっけ」

「どっちともだったりしてな」

「俺も頼みたいもんだ。頭でっかちじゃねえから、頼み方がわからねえけど」

立ち止まり、睨んだアルミンと1人の視線が交わり、更に笑い声が高くなる。

「人には分ってものがあるからな」

「おいアルレルト、明日の訓練で死ぬなよ。せめて将来巨人の餌くらいにはなってくれないとな」

そう言った少年の声は、もう笑っていなかった。

「お前が今日食った分は、無駄飯だ。足引っ張るのもいい加減にしろ」

きたああああ!
読み返しながら待ってました!

うおおおおーい

何も言えずに、その場から逃げた。

駆け足になるのを、足がもつれるのを悟られないように気を付けた。

背後からの嘲笑が背中を押す。つんのめりそうになる。

廊下を曲がり、壁に縋って呼吸を整える。

ミカサが来ている。変な顔を見せるわけにいかない。

立て付けが良いとは言えない木戸を押し、寮の玄関の前に人影がないか見渡した。

気配がない。身を滑らせて、外に出る。

「アルミン」

思った通り、ミカサの方から見つけてくれた。

木の影に隠れていたらしい。もう私服に着替えている。

「ミカサ……1人で来ちゃだめだよ」

「これを……これだけでもと思って」

布巾に何かをくるんで抱えていた。たぶん、アルミンの分のパンだろう。

受け取ると、ミカサの手の熱が残っている。

「エレンはまだ自主練しているから、誰か知り合いに渡してもらおうと思ったのだけれど」

「ありがとう……」

でも、もうこんなことをしてはだめだよ。

そう言いそうになる。ミカサもそれを恐れているだろう。

「アルミン、風に当たっては」

「もう大丈夫だよ」

そう言っても、構わずミカサは額に手を当ててきた。

耳の後ろ、顎、首筋と腫れを確かめる。

「もう僕は……ここはもう、大丈夫なんだよ。開拓地とは違うから」

「そうだけれど……」

あの頃、熱を出すたびにもう助からないと思った。

薬どころか、日々の糧も満足に手に入らない。

開拓地では、弱ったものから倒れ、あっという間に死んでいった。

釘を踏んで破傷風になった者、風熱で何人もの人が死んだ宿舎、朝には凍死していた誰か。

怪我をしても、ろくに消毒もできない。

労働を1日休めば、その分の配給はもらえなかった。

身寄りを亡くした自分たちが生き延びられたのは、3人で居たからだ。

1人が倒れたときは、その分働いてひとくち分だけでも多くスープをもらった。

透けるほど薄い毛布と、3人分の体温をかき集めて夜を凌いだ。

昨日のことのように身に迫る。それはミカサにも同じなのだろう。

開拓地では、たいした労働力にもならない子供は蹴り飛ばされ、暴言を吐かれることもあった。

そのたびに、エレンとミカサが守ってくれたのだ。

今と同じ目をして。

帰ってきてくれてありがとう

「ごめんなさい、アルミン」

「謝らないでくれ」

大きな体を縮こまらせているミカサの腕を叩いた。

「悪い癖だね」

そう言うと、顔を上げたミカサが唇を引き結んで小首を傾げた。

笑ったつもりらしい。

「長居はできない。また明日」

「パン、ありがとう。おやすみ」

いつもの調子で言えたようだ。

少し安心したのか、肩の緊張を解いたミカサが駆け去っていく。

赤いカーディガンが見えなくなるまで、アルミンは見送っていた。

パンの包みを持ったまま、ふらふらと兵舎の給湯室に向かう。

水を汲んで湯を沸かすくらいの体力は残っているはずだ。

こんな時に、アルミンは思い出すことがある。

シガンシナに暮らしていた頃、河の向こう側に牛を飼っている家があった。

鶏や山羊と違う、もっと大きな動物が珍しくて、エレンと毎週のように見に行った。

その年に生まれた子牛のうち、一頭に名前を付けた。

柵越しに、どの牛が良い牛でどれを自分のものにするか、勝手に言い合っただけだ。

その牛は、うまく乳を飲めないのか、他の子牛よりいくらか小さかった。歩みも遅いように見えた。

(僕はその子牛を自分の牛に決めたんだった)

(その時、僕は……僕たちは、何もわかっちゃいなかった)

収穫祭の前日、エレンとアルミンはいつもの通りに柵に張り付いていた。

その家のおじさんが、アルミンの牛を柵から連れだし、2つ離れた小屋の裏に連れて行った。

(僕たちは無知で、浅はかだった)

あの時、おじさんの後ろをついて行ったりしなければ良かった。

エレンもアルミンも、たっぷりと後悔したのだ。


(なのに、もう僕はその牛の名前も忘れてしまった)

弱い個体とはそういうものなのだ。

アルミン覚醒前は辛いな…

丸々一ヶ月空いてしまってすみません。やっと生活が落ち着いてきたので戻ってきました。
生存確認も兼ねて少しだけ投下しました。
エレンがヤンデレのエレミカアルが書きたいです。

オアエリ!

オアエリ!オアエリ!
ヤンエレのエレミカアルみたい

>>201
性描写ギリギリのヤンエレで練ってみたら、
予想以上のホラーになってしまって……

後で少しだけ投下に来ます

お帰りなさい
待ってて良かった

もしかして別スレの乗っ取りでヤンエレ投下してたの>>1

>>204
別人ですが読んでいました
あちらのヤンエレも楽しみです
ミカサがエロ酷い目に遭うのが見たいミカサ厨です

早朝、起床の鐘よりも早くアルミンは起き出した。

もうすっかり全快、とは言えないが今日の訓練を休むわけにはいかない。

これ以上評価を下げられない。試験前の立体機動の模擬戦闘もある。

昨夜できなかった装備の手入れを、朝焼けの光を頼りに片づけなければ。

(僕は弱い。弱い個体は周りに知られてはいけない……けど、ここではそうはいかない)

1人1人が点数を付けられる。

天賦の才を持ったミカサと、強い目的意識と行動力を持って努力を続けるエレンと、どれだけ自分が離れているのか見せつけられてしまう。

(とにかく……今は卒業することだ)

訓練中に命を落とさず、2人の背中について行くことが、今の精一杯だ。

「おいミカサ、結婚式やるぞ」

食堂のテーブルに待っていたミカサを見つけ、エレンとアルミンが着席するのと同時だった。

隣のテーブルがざわつく。

ジャンが倒したコップの水が、マルコの服にかかったようだ。

「エレン、あの、私たちはまだ、訓練兵の身分で」

動揺したミカサがスカートを揉んでいる。

「壁教の信者が、式を公開するんだってさ。花嫁さん見たいだろ?」

それを聞いて、なぜか安堵したらしいミカサがアルミンと顔を見合わせた。

「見たい……」

「お前好きだもんな。さすがに昔と違って菓子はもらえないだろうけど、俺たちも行こう、アルミン」

やっと席についたエレンに、ミカサがコップを渡す。

アルミンも一度落としそうになったスプーンを持ち直した。

「壁教の教会が? 信者集めかな」

「だろうな。コニーが町に出た日に告知を見たんだってさ。結婚にお布施や祝別がくっついてきて、秘蹟とやらを授かるんだと」

「宗教的意義の有無は関係ない。多くの人に祝ってもらうのは、良いこと」

そう言ったミカサの頬が、うっすらと染まっているように見える。

エレンの家にミカサが来たばかりの頃を思い出させた。

あの頃、祝宴のある家に祝辞を述べに行くと、子供は甘い焼き菓子をもらうことができた。

それを目当てにエレンとアルミンは猫を被って戸を叩いたものだが、ミカサは飾り付けられた大量の花やドレスの刺繍ばかりを見ていた。

「他の女子も誘っていい?」

「そうしろよ。今週の休息日だから。広場から馬車に乗らなきゃならねえけど」

アルミンが苦笑したのに、エレンもミカサも気付かない。

きっと、アルミン以外の誰かが誘われても、遠慮してついて来やしないだろう。

非日常の匂いと、懐かしさにエレンとミカサが高揚しているのが伝わってくる。

アルミンも笑って見せたが、いつもより口角が上がっていないのが自分でもわかった。

「アルミン?」

顔色が優れないことに気付いたエレンが声をかけてくる。

曖昧に笑うアルミンに「まだ本調子じゃないから、無理をしないで」とミカサも顔を覗き込んできた。

エレンとミカサは忘れているのかもしれない。他愛のない約束も、3人のものだった夢の話も。

紫煙

とりあえず今日はここまで
今週中にまた戻ってきます

乙!
待ってるよ

ごめんここで聞くことじゃないんだろうけど、≫204のスレ教えてもらえないかな
探してみたけど分からなかった
社畜の自分にとってこのスレ割と生きる糧になってるわ

>>213
自分が読んでいたスレなら
ミカサ「…エレン」
です

自分もエレミカが生きる支えですよ……

うおおおキテタ。おかえり
>>1もアルミンも頑張れ

>>1さま…>>1の民…よくぞ

戻ってきてくれて嬉しい
しかしアルミン辛いなあ…

待ってる!
この前、クリミカss書いてなかった?

>>217
ここに貼ってある安価スレ以外は書いてません
クリミカ読みたい

書き溜め作業しながら、また練習安価スレ
【安価】アニ「あんたのせいでミカサに怒られた」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1378912086/l50)
最近、アニが大人っぽくなりすぎたので時間があるうちに練習します

いつも一緒の2人が強者だと辛いなぁ
実はアルミンの初恋がミカサだったりすればいいなとこっそり思ってるw

217のクリミカってミカサがお腹出してたやつの事かな

安価だから多少の崩壊は仕方ないとはいえ>>1の安価ミカサはアホの子可愛い

すみません、連休中にも仕事が入ったので週明けの投下になりそうです
皆さん台風にお気をつけください

乙!
待ってるぜ

ほしゅ

支援

待ってる

保守age

食堂から出た途端、ミカサが半ば駆け足で飛び出した。

少し前を歩いていたアニとミーナに声を掛ける。

「アニ、ミーナ。次の休息日は空いている?」

「あぁ、悪いけど、出掛ける用事があるから」

「そう。わかった」

あっさりと引き下がって戻ってきたミカサに、エレンとアルミンは呆れた。

「諦めるの早すぎるだろ」

「用事があるなら仕方ない」

「女子を誘えるようになったのは、大きな進歩だとは思うけど……何だかなあ」

立ち止まったアニが、こちらを見ている。

「あんたらの邪魔をするつもりはないよ」

「邪魔に思ったりしない」

言い募るミカサを、アニは鼻であしらった。

ミーナが間に入って取り繕う。

「私も、男の子と一緒に出掛けるのは慣れないから。また誘ってよ」

「そうさせてもらう」

ミカサが納得して頷くと、2人は手を振って兵舎に戻って行った。

2人の背中を、アルミンもじっと見つめた。

資料室の出来事を、ミカサに話した者が居たとしたら、それは2人のどちらかだろう。

しかし、アルミンはそれを咎めるつもりも、確認する気力も持ち合わせていなかった。

(僕が弱いからだ。その事実を受け入れないと)

病み上がりの身体に、朝の空気が苦かった。

立体機動の演習場で、アルミンは飛んでいる。

2人が1組になり、目標を捕捉次第、討伐する。1人は補佐役だ。

目の前には、ジャンの背中がある。

よりによって、ミカサに次ぐ立体機動の腕前を誇るジャンと組まされてしまった。

試験ではないが、演習でも立体機動の得点は大きい。

憲兵団への入団権利を獲得したいと公言するジャンの足を引っ張るわけにはいかない。

教官にバディの名前を発表された時、ジャンが横目でアルミンを見た。

劣等生と組まされて、さぞ迷惑がっていることだろう。

滑らかに滑空するジャンの背中を追うことが、アルミンの精一杯だった。

慣性に任せ遠心力を利用し、ジャンは誰よりも速い。

おお!きてる!

風を切る耳が痛い。

アルミンはトリガーを引き、左右にそびえる木々にアンカーを打ち込んでいく。

ジャンが誰を追っているのか知っていた。

彼女はコニーと組んでいる。自分たちよりもさらに迂回するコースを選んだようだ。

右腕、左腕、懸命に前の背中を追ったが、刹那、嫌な感触が腕から肩に響いた。

右手の樹を軸にして、右折しようとした。

アンカーの刺さり方が甘い。

(これじゃ抜けない……!)

左のアンカーを射出する。間に合わない。

(樹に叩きつけられる……!)

刹那、浮遊感と衝撃でアルミンは閉じた目を開けた。

「あっ……」

空中で抱えられ、そのまま樹にぶつかった。

したたか肩を打って軽く咳き込む。

「何やってるんだよお前は!」

ジャンだ。樹にぶつかる瞬間、幹を蹴り衝撃を和らげてくれたらしい。

「……よく反転できたね」

「できてねえよ。樹を軸に旋回して反転するつもりだったけど、アンカーの射出が間に合ってねえ。お前のワイヤー1本でぶら下がってるんだ」

「まるで曲芸だ」

ジャンは改めて、アンカーを打ってそちらに体重を預けた。

アルミンも左のアンカーを隣の樹に打ち込み、右のアンカーを外した。

「ごめん。これで今回は高得点を狙えなくなった」

「生意気言ってるんじゃねえよ」

地面に降りれば脱落だ。

2人で適当な枝に降り、肩を確認する。

脱臼も亜脱臼もしてはいないようだ。

「大丈夫。続けよう」

「駄目だ」

アルミンは驚いてジャンの顔を見上げた。

「今からでも、ジャンならそれなりの点はもらえるよ」

「これはすぐに冷やした方がいい。お前が無理して医務室に担ぎ込まれてみろ。平常点までマイナスだ」

呆気に取られた顔のアルミンに、ジャンが居心地悪そうに頭を掻く。

「何だよ、オレは鬼じゃねえぞ」

「いいや……ジャンの言う通りだと思う。的確な判断だよ」

そう言ってアルミンは肩を抑えた。冷やさないと炎症するかもしれない。

無意識に俯いたアルミンに、ジャンが声をかけようとした時だった。

「……アルミン!」

よく知った声に、暗澹とした気持ちで顔を上げる。

こちらに戻ってくる黒い影は、ミカサだった。

更新が遅くなってすみません
ミカサとアルミンのガチ喧嘩でプロットを立てたのですが、
思った以上にストレスになって詰まってました
書き直してゆるい感じで進めます

あと一人称の練習兼ねて別スレも立ててます
ミカサ「鍵のかかる恋文」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1379957978/)

あの素晴らしい日記はあなただったのか。
あちらもこちらも大好きです。
ゆっくり納得のいくものをかいてください。



そっちも読ませてもらってます

>>236
あっちも素晴らしいよマジで…

あなただったのか!

あんた凄い人だ!

あの日記はあなた様であったか…
見事です どちらも支援

>>1のおかげで今日も頑張れます

どっちも大好きです!日記の方もがんばったください!支援支援

こっちも保守あげ

支援age

待ってますよー

保守ありがとうございます。
3、4日休んだらこっちに戻るつもりでしたが、
今から一週間くらい作業で離れます。
理由は下記のスレにある通りです。
ミカサ「鍵のかかる恋文」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1379957978/)
いつも保守ありがとうございます。おかげで早く戻って書きたくてうずうずしています。

>>248
おう
待ってるぜ

しえん

Twitterで早く書きたいとかおまけにエロもあると書かれていて安心した
同人誌頑張ってください

匿名掲示板で個人のツイッターだのなんだのの話題は控えた方がいい

そうだね

まったくだ

でも待ってる

そろそろ?

自演で賞賛したり宣伝したり臭すぎww

荒らし乙

正直言って書いてる人がどんなんでも作品が良ければどうでもいい

本にまとめるって時点で言いがかりがくるのはわかってた
安く配布してくれるらしいし別にいい

100ページなら1000円以上出したくない

1冊1000円とか、どんだけ有名どころなんだよって思っちゃったけど今時ってそうなの?
エロだから?
同人小説って表紙や挿絵あって丁寧な作りでも、高くても500円くらいだと思ってた

逆を言えば1000円までなら出すって事だしなぁ

>>262
ページ数×100円が相場で、小説やA5なら100円か200円安くなるサークルが多いと思う
有名どころの方がたくさん刷れて単価は下がるし
100ページ超えて500円はサークルの持ち出しが数万~十数万の赤字になるし無理だと思う
120ページくらいあれば1000円くらいでもおかしくないよ

>>263
まさかオフセット?
コピーで考えてた

>>264
100ページならコピー本はないと思う

同人誌の話はここじゃなくてもいいんじゃないか

ここで書いたら安くしてくれそう

オフセットなら80ページでも1000円の小説とか普通にあるぞ
100ページで1000円なら適正くらいじゃないか?
表紙がカラーならの話だけど

本にするのは別のスレなんだろ?
できればそういう話題はそっちで話してほしい

スレ主が原稿終わっても戻りずらくなっちゃうな
すみませんでした

長引いてますが生存確認に来ました
保守ありがとうございます

しえんage
待ってるよ

保守agd

待ってます!

ほしゅ

しえん

しえん

しえん

ほしゅ

支援する。頑張れ。

もう来ないんだろうか…

「……ミカサ」

傷めた肩を思わず隠し、アルミンが目を伏せる。

ミカサは惚れ惚れするような正確さで、隣の樹にアンカーを打って留まった。

今にもジャンに食ってかかるような態度だ。

「ジャン、アルミンは」

「落ち着けよ」

「落ち着いている。ジャン、アルミンは病み上がりなの。どこかを打ったなら」

「ミカサ、コニーはどうした」

はっとミカサが唇を噛む。

「置いてきたんだな」

取り繕うこともできず、黙ったミカサをなおもジャンは叱咤した。

「お前、最初からこいつを気にしてただろ。
 わざわざ迂回ルートを選んで、こっちを観察しながら動いてたよな。コニーは了承してるのか」

「……それは」

「優しい同期に感謝しろよ。これが実戦だったら、コニーは今頃巨人の口の中だな。
 同期の命に優先順位つけるほど、お前は優秀かよ」

「ジャン、言い過ぎだ!」

「体調管理もできない馬鹿は黙ってろ!」

しばらく唇を噛んでいたミカサが、何もない首もとに手をやる仕草をして、目を伏せた。

「……ごめんなさい、ジャン。貴方が正しい。アルミンをよろしく」

ジャンに謝りながら、こちらの顔色を盗み見るミカサに、思わず視線を逸らした。

カシュ、とアンカーを打ち込む軽い音がした。

顔を上げた時には、もうミカサの背中は遠ざかっていた。

少し離れた木立でコニーらしい影が待っている。

何事かとミカサを追ってきたものの、事態が飲み込めずに見守っていたのだろう。

相棒が戻ってくるのを待ち、揃って演習場の奥に消える。

背中が見えなくなるのを待って、ジャンは嘆息した。

「お前らどうなってるんだ」

「ごめんね」

それには答えず、ジャンは「降りるぞ」とだけ言った。

ジャンは演習場から戻る時もほぼ無言だった。

採点している教官に報告し、第二医務室まで連れてこられたが、今日も医務官は留守だった。

こちらに気を遣う風でもなく、医務室の引き出しを開けては閉め、湿布薬を探している。

「ジャン、ごめん」

「しつこいんだよオカマ野郎」

「点数のことじゃなくて」

挑発したわけではないが、ジャンは露骨に反応して消毒薬の瓶を投げつけてきた。

両手で受け止めて、アルミンはジャンから離れ、寝台の横の丸椅子に腰掛けた。

「あぁ、腰抜け野郎のせいで、ミカサに嫌われちまったよ。もう印象回復もできないな」

「僕とミカサも第一印象最悪だったから、気にすることはないと思う」

ようやく湿布薬を探し当てたジャンが引き出しを閉め、アルミンに向き直る。眉の動きが、興味を隠せていない。

「エレンを悪い道に引き込むって言われてた」

「へぇ、それが今じゃお前が金魚の糞とはな」

「突っかからないでよ……」

「うるせえ、さっさと消毒しろ」

言われて、消毒瓶の蓋を開ける。ツンと鼻をつく臭いに顔をしかめながら、薬に浸した脱脂綿で擦り傷を拭いた。

「ここのところお前らが妙だから、こっちまで調子狂っただろ。兄弟喧嘩も大概にしろよ」

「喧嘩っていうほどのものじゃ」

「喧嘩っていうのは対等な奴らがするもんだしな。
 何拗ねてるんだか知らねえが、こっちに迷惑かけるくらいならもう一日くらい休んどけよ」

返す言葉もない。

消毒の終わったアルミンの右肩に、ジャンが湿布薬を叩きつけた。

「った!」

「ついでに寝とけ。オレは戻る」

「少しは加減してくれ」

「色ぼけの癖に文句だけは一丁前だな」

「……やっぱり聞いてるんだ」

大袈裟に息を吐いたジャンが頭を掻いてみせた。

「女子が後ろのテーブルでキャンキャン吠えてるからな。こっちの身にもなってくれってんだ」

「僕らのテーブルにも聞こえてきたよ。エレンとミカサは気づいてなかったけど」

「気持ち悪いんだよ、食事時に。田舎者はそういうことだけ早熟だって聞くけどよ」

「ジャンはトロスト区の出身だっけ」

アルミンの口調に含まれているものを、ジャンは敏感に察知した。

薬品棚に寄りかかったままで、足を組み直した。

「難民の顔を見ただろう」

「それが何だよ」

「僕たちも、ちょうどあんな風だった」

見下ろすジャンと、見上げるアルミンの視線が交わった。

瞳の奥を一瞬だけ探り合い、言葉の意味を察したらしいジャンが先に顔を背ける。

町に雪崩れ込んできた、無縁の人々。

その顔を思い出せばわかる。見たものにはわかるのだ。

「ジャンが気にするようなことじゃない。子供なりの儀式だよ。今はもう関係ない」

少し間を置いてから「友情の儀式、って意味で」と言い直して口角を上げて見せた。

ジャンが何か言おうと口を開きかけたが、ばつが悪そうにガリガリと首の後ろを掻いた。

「関係ないってことはないだろ」

「どうかな」

「もう寝てろ。やっぱり今日のお前はおかしい」

そうかもしれない。

同期の誰にも言うつもりはなかった。

もう熱は下がっているはずなのに、口から言葉が勝手に零れて、制御できなくなりそうだ。

黙って眠ってしまった方が得策かもしれない。

「午後には戻るって伝えてくれ」と頼んで、訓練服を緩めて寝台に入った。

じっとその様子を観察しているジャンの顔に、心配の色が浮かんでいる。

「聞いてくれてありがとう、ジャン」

これ以上は話さない。

そう言外に伝えると、ジャンは「戻ったらお前から報告しろ」と言って、医務室から出て行った。

肩に貼られた湿布から、じくじくと熱が広がる。また内出血になる。

痣や傷は恥だった。

成績の良いものほど、擦り傷や青痣をこしらえる機会が減っていく。

エレンはともかく、ミカサやジャンが立体機動で傷を作ることはほとんどない。

(僕だけあの時のままだな)

アルミンはシーツの中に潜り込んだ。

白い闇の中は孤独だけど清潔で、あの開拓地の寝所とは似ても似つかない。

あの頃、もう口も利けないほど疲れ果てても、毛布にくるまれば三人はひとつの生き物だった。

気持ちが弱ると、昔のことばかり思い出す。

(戻りたいと思ったことなんか、ないはずなのに)

***

「アルミン、早く」

花冠と言うにはみすぼらしい、枯れたつる草に何か白い花を挿しただけの花嫁衣装だった。

まだ十一歳の彼女の唇は乾いて色を失い、自分も同じようなものだというのに哀れに思われた。

(このままだと僕たちは)

いつ離ればなれになってしまうのか、そればかりアルミンは考えていた。

***

あの頃、壁の向こうは自分たちの手の中にあった。

エレンと一緒に、本を広げる。

古いページの甘ったるい匂いと、インクの掠れた挿絵。

空想とも夢想ともつかない世界は現実に存在しているのだと、渡り鳥が教えてくれていた。

図鑑を広げ、同じ種類の鳥を探す。同じページには見たこともない鳥たちが、一緒に印刷されていた。

「きっと、壁の中の生態系は、この世界のごく一部なんだ」

「あぁ」

「物語に出てきた生き物も、ひょっとしたら実在するのかもしれない」

絵物語の中で、砂の雪原を越える隊商は、たいてい奇怪な大動物の背に揺られていた。

塩湖よりも広大な海を渡るには、船よりも大きな怪物と戦わなければいけない。

「すげえ。巨人より大きいだろうな」

「それでも、外にいた人類は戦ったんだ」

エレンが爪を噛む。壁の中に留まって、自分たちは何をしているのだろう。

「人類が壁の中に逃げ込む以前は、もっと高度な文明を持っていたに違いないよ。それを捨てて、安全な暮らしを選んだんだ」

「全部壁外に置いてきたんだろうな」

「そうだよ。砂の下や水底に、きっと全部眠ってる。財宝だけじゃないよ。人類の叡智と尊厳が全部遺跡になってるんだ、きっと」

「その文明の力があれば、巨人なんかすぐにでも駆逐できるのに」

アルミンが目を輝かせてまくしたてる横で、エレンは苦い顔で爪を噛み続ける。

「調査兵団がそこまで到達して、何か発掘できればな」

「先人の知恵があれば……。人類は巨人以外の強敵は克服してきたんだ。
 食い尽くされる前に、時間さえ足りていれば、壁の中に逃げ込む必要もなかったかもしれない」

今思えば、夢物語だった。神話と史料をごっちゃに広げて、空想の歴史に酔い痴れていた。

「ねえエレン。英雄はエレンがやればいいよ。僕は発掘がしたい」

「何言ってるんだよ。一緒に探検すれば、見つけたものは全部オレたちのものだろ。アルミンだって英雄になれる」

「財宝や怪物の頭を持ち帰るのもいいけれど、僕はこっちがいい」

指さしたのは、一夜にして火山灰の下に埋もれてしまった、遙か昔に栄えた王国の絵だった。

「これだけの人が住んでいたんだ。運河や農地も、僕たちが見たこともないくらい整っていたんだよ。そういう技術を持ち帰りたい」

勝手に夢の取り分を決めたアルミンに、エレンは一も二もなく賛同してくれた。

「アルミンにはそっちの方が合ってるな。オレは頭使うより、どんどん遠くに行きたい。見つけた物はアルミンに任せるよ」

「役割分担だ。あぁ、巨人さえどうにかなれば、調査兵団も有益なものをもっと持ち帰れるのになあ」

壁外に生きた人たちは、勇気だけじゃ生きていけない。

知恵だけでは戦っていけない。

(僕とエレンなら大丈夫)

父も母も志が高い。自分も今は貧弱だけれど、きっとエレンと一緒に肩を並べる日が来るだろう。

(エレンは調査兵団に入りたいって言うけれど、僕だって、きっと自分を活かせる道さえあれば)

壁の向こう、地平線と水平線を、広大な王国を、
見たこともないほどの人で溢れかえる市場を、
巨人なんかよりも強大な獣が溢れる世界を床いっぱいに広げ、

エレンとアルミンは、自分たちの世界に君臨していた。

(ミカサは)

うとうとと微睡むと、手足が怠くなっていたことに気づいた。

やはり本調子とは言えなかったらしい。

(ミカサはあの日、エレンの後ろに隠れて)

二人の世界に突然降って湧いた生き物が、ミカサだった。

「今日から外に出られるんだ」

そう言ってから、改めて「もう知ってるだろうけど、こいつがミカサ」と手で示された。

引き取られてすぐ、熱を出して何日も寝込んだという彼女は、見たこともない顔立ちをしていた。

怪物に生け贄として捧げられた王女の絵とも、英雄に知恵を授ける女神の絵とも、この町の誰の顔とも似ていない。

妙に整った目鼻が人形のようで、生気を感じさせなかった。

(髪が黒い。真っ黒だ)

見たこともない色の生き物を不躾に観察していると、少女は唇を引き結んで目を伏せた。

慌ててズボンで右手を拭い、差し出す。

「アルミンです。もう、エレンから聞いてると思うけど」

手を握り返しもせず「よろしく」とだけミカサは返答した。

彼女を気遣う風でもなく、いつものようにエレンは「川行こうぜ」と歩き出した。

その横に並んで歩く。その2人の影を踏みながら、ミカサ自身が影のようについてきた。

(何だろう、この子)

何を考えているのか、わからない。

愛想笑いのひとつもするわけでなく、ひたひたと後ろからついてくる。

今度はアルミンが、じっと後ろから観察されている気配がする。

(何だか……居心地悪い)

エレンに倣って、必要最低限だけ声をかけながら、いつも通り川で小さな虫を捕って遊んだ。

楽しそうな風情でもないのに、ミカサは自分たちのそばから離れなかった。

ご無沙汰しています
私生活が多忙でどうしようもないので、
生存確認も兼ねて、手直しした分を投下しに来ました
しばらく昔話が続きます
中途半端なところで切って申し訳ない

乙 無理はするなよ
どういう経緯で仲良くなるのか昔話楽しみにしてる 期待

うおおお…よく戻ってきてくれた乙乙
多忙なら仕方ない、生存確認できただけでも凄く嬉しい
昔話期待

翌日もその翌日も、ミカサはエレンにくっついてきた。

遊びに加わるでもなく、会話に割り入ってくるでもない。

灰色よりも暗い色の瞳で、じっとアルミンを値踏みしている。

時々「おばさんに頼まれたから」と言って、手伝いをしに先に帰っていった。

その隙に、アルミンはエレンにこっそりと聞いてみた。

「あの子、何が楽しいんだろう」

「何が?」

「ちっとも笑わないし、しゃべらないし」

「家だと結構しゃべるんだけどな。母さんにべったりで離れないし」

想像できない。

「僕は嫌われているのかも」

「は? 何でだよ」

「家だとよくしゃべって、僕と一緒だとしゃべらないんだろ。そういうことじゃないか」

「慣れてないだけだよ」

川べりに座って石を見繕っていたエレンが、立ち上がって水面に投げた。

石は跳ねずに沈んでしまった。

「くそ、やっぱり駄目だ。アルミンじゃないと」

「エレンは石の選び方が下手なんだよ」

足下から、適当な石を選んでエレンに渡す。

カーディガンの裾を翻し、エレンは受け取った石を投げた。

今度こそ石は波紋を描いて、カーブして水の中に消えていった。

「ほら、ある程度重くないと跳ねないんだ」

「軽い方が沈まない気がするんだけどな。変なの」

そう言って、またエレンは石を選り分け始めた。

(エレンと一緒だと、何でも面白いんだけどな)

女の子と遊ぶのは初めてなので、勝手がわからない。

「ねえ、明日は僕の家に来てくれよ。あの子も本なら一緒に読むかも」

「あの子じゃなくてミカサだよ」

「何だっていいだろ。これから一緒にやっていくんだから、早く知ってもらおうよ」

僕たちの秘密を。

全部言わなくてもエレンは頷いて、またひとつ石を投げて沈ませた。

翌日、ミカサはエレンに手を引かれてやってきた。

「お邪魔します」

そう慇懃に言った少女を、祖父がじっと見つめる。

初めて、少しぎこちなくミカサは微笑んで見せた。

「随分遠くから来たんだろうね」

祖父の妙な言い回しが引っかかった。

「シガンシナからはそんなに、離れていません」

小さな声で反論されて、そうかい、と老人は豆を選る仕事に戻った。

「じいさん、いいだろ」

「あぁ、奥に行くならカーテンを開けなさい。目を悪くするから」


書斎に通されてから、ぽつりとミカサが呟いた。

「お祖父さんは傷んだ豆が見分けられるの?」

アルミンがむっとする前に、エレンがぴしゃりとミカサの頭をはたく。

「アルミンのじいさんは達者なんだよ。じいさんの本もすげえんだ」

そう言ったエレンは、真っ先に床に座り込んで、積み上げられていた本のうち、手近なものを開いた。

いつもエレンとアルミンが本を広げている一角だけ、埃が積もっていない。

そこに車座になって、ミカサと一緒に本を覗き込んだ。

(エレン以外の人に見せるのは初めてだ)

緊張で手に汗をかいているのがわかる。

ミカサの白い顔が、エレンの手元を覗き込んでいた。

「ほら、昨夜教えた本だよ」

一抱えもある大判の、二色刷りの豪華本だった。

この書斎で一番、高価なものだろう。

元は中古だったのかもしれないそれは、初めて見た時から少し表紙がすり切れていた。

「物語の本だけど、海のことがたくさん載ってる。オレたちくらいの年の子供が、無人島に流れ着いて生活するんだ。
 無人島ってわかるか。陸地から離れて土地が浮かんでるんだぜ」

いつもより饒舌に、得意げにエレンが説明している。

物語のあらすじもそこそこに、ページをめくりながら、挿絵を指さして。

その内容のほとんどが、アルミンがエレンに説明してやったことだった。

妙な興奮を覚えて、そわそわとアルミンは居住まいを正す。

どんな反応が返ってくるだろうか。

ミカサは眉ひとつ動かさず、エレンの指を視線で追っていた。

説明が島の植物の特殊性に及んだ時、やっと彼女が口を開いた。

「この島はどこにあるの」

「海のどこかだよ」

「海はどこ」

「壁の向こうだよ。ここにある本には、壁外のことが書いてあるんだ。オレとアルミンで探し出したんだぜ」

ぱん、と傍らに積み上げられた本の塔をエレンが叩く。

そう言われてミカサは顔を上げた。

エレンの顔、アルミンの顔、順に見やる。

「これはいけない本」

「何だよ」

「そうでしょう」

「あのう」

やっと口を挟んだアルミンは2人の視線に晒され、慌てて唇を舌で湿した。

「いけない……と言っても、吹聴しなければ捕まらないよ。ちゃんと読めば、反社会的な本じゃないってこともわかるし。
 昔は自由に読めたんだから」

「やっぱり読んではいけない本」

アルミンの言葉を遮って、ミカサが立ち上がってスカートの埃を払った。

「おい」

「エレン、おばさんは知ってるの?」

「母さんに言うつもりか」

「場合によっては」

横目でこちらを見ていたミカサが、こちらに向き直った。

初めて、その黒い瞳にアルミンの顔が映された。

「もう読んでは駄目」

何か言おうとしたが、アルミンの口からははっきりした音は出てこなかった。

「せっかく仲間に入れてやったのに、何だよ」

「駄目なものは駄目」

「駄目じゃない、よ」

じっとこちらを見つめるミカサの瞳は、夜の海の挿絵に似ている。

怯みながら、アルミンは立ち向かった。

「間に入ってきて、文句言わないでくれよ。何も知らないのに」

声を荒げて立ち上がった。実際の声は震えていた。

少し背の高いミカサを見上げるようにして詰め寄る。

「僕が嫌いなら嫌いって言えよ」

ミカサは答えない。

エレンは座ったまま、じっとミカサの出方を窺っているようだった。

「……帰る」

そう言って、先に動いたのはミカサだった。

背中まで伸びた黒髪を揺らし、書斎の扉を開けると、ちらりとエレンだけを見てから出て行った。

「待てよ」

「放っとけよ。やっぱり女は駄目だ。あいつも母さんと同じかよ」

顔を真っ赤にして肩を上下させているアルミンの手を、エレンが掴んだ。

そして、慌てて顔に触ってくる。

「おい、熱出てねえか」

「え、怒ってるだけだよ」

「熱いって」

悪寒がするわけでもなかったが、両手で自分の首を触ってみた。

熱いような気がする。

「じいさん呼んでくる」

そう言ってエレンも書斎を出ていった。

取り残されたアルミンは、天井まで届く大きな本棚に背中を預けた。

(あの子が僕を嫌ってるんじゃない)

舞い上がった埃を蹴るように、右足をぶらつかせる。

(あの子のことが苦手なのは、僕だ。一方的に)

エレンの家族になる子に、苦手意識を持つのは嫌だった。

でも、居心地が悪くてたまらない。

(少しくらい、読んでくれたって良かったじゃないか)

この部屋には、女の子が喜びそうな物語の本だって、なくはなかったのに。

胃がむかついて、気分が悪かった。



夜になって、やはり熱が出た。

少し興奮したり疲れたりすると、すぐに寝込んでしまう。

特別体が弱いわけではない、とイェーガー先生は言っていた。

大きくなるにつれ、体力がついて解決する程度のことだと。

(でも、エレンの具合が悪くなることなんてほとんどない)

いつでも、遊べなくなるのはアルミンの方だった。

朝になって、様子を見に来たエレンが、祖父と話をしていく声が聞こえる。

もう慣れっこなんだろう。おとなしく引き下がって、帰って行った。

(一昨日、川べりに長く居すぎたからかな)

動けないわけではなかったが、遊びに出ると悪化するばかりなので、微熱程度でも寝て治すことになっていた。

(でも、川に行きたいな

昼近くなって、涼しい風が顔を撫でた。

窓は閉めたはずだ。

「おじいちゃん?」

様子を見に来たのかと思い、顔を上げて仰天した。

知らぬ間に、部屋に「あの子」が侵入していた。

黒い髪を風に翻し、ミカサが窓を開けている。

「何してるんだよ」

「換気」

「そうじゃなくて」

「お祖父さんに入れてもらった」

お見舞い、と言ってエレンのお母さんに持たされたらしいバスケットを掲げて見せた。

「固いりんごの蜜漬け。風邪封じになるらしい」

「勝手に入らないでよ」

「眠っていたから」

食い違う会話に閉口する。

嫌な子というだけではない、変な子だ。

「昨夜怒られたの」

「何? エレンに?」

「おばさんに。友達の秘密を軽々しく話しちゃいけないって」

早速、密告したらしい。

黙っていると、長いスカートの裾を蹴ってベッドに近づいてきた。

「何がいいとか悪いとか、周りが言ってることが正しいとは限らないって。
 そんなことで友達を責めちゃいけないって。正しいと思うだけで、アルミンを傷つけちゃいけないって」

ベッドのすぐそば、アルミンの顔を覗き込むようにミカサは座り込んだ。

「でも、私はいけないと思う」

「決めつけないでよ」

「エレンは危なっかしいから」

顔が近い。表情ひとつ変えずに、淡々とミカサはつぶやき続ける。

「壁の外に興味を持ったら、きっと飛んで行ってしまう。危ない」

「そんなの……エレンだってわかってるよ」

反応の乏しい黒い瞳は、じっとアルミンを見つめている。

長いまつげが子供らしくなかった。

「エレンを危ないところに連れ出さないで」

「君は、壁の外に興味はないの」

「ミカサでいい」

「ミカサ、は、エレンと一緒に行きたくないのかい」

「……危ないから」

人はすぐ死んでしまう、と言ってミカサはアルミンの額に手を伸ばした。

振り払うつもりだったが、かまわずミカサは前髪をかきあげてきた。

「アルミンは弱い」

かっと顔が熱くなった。

「きっとすぐに死ぬ」

「何言うんだよ」

「アルミンも、壁の中でおとなしくしていた方がいい」

「君って傲慢だ」

「弱虫」

「蛇みたいだ。蛇は安定していた世界を壊すんだ、君みたいに。真っ黒な蛇だよ」

「……蛇は誘惑するものだと聞いたことがある」

手を振り回して、額に触れていたミカサの手を払いのけた。

「エレンを誘い出さないで」

歯を食いしばって睨みつけたが、構わずミカサは触れてきた。

エレンとはまったく違う、冷たい手が首に当てられる。

悪寒とは違う、ぞくぞくと鳥肌の立つような感覚が走った。

「弱い子と一緒にいたら、エレンもきっとすぐに死んでしまう」

「言っておくけど、僕がいなくてもエレンは壁の外に行くからね」

ミカサが手を引いた。

「エレンは人に何か言われたくらいで諦めないし、君がどんなに強くても止められないから」

そう言ってやると、ミカサがバスケットを持って立ち上がった。

「帰る」

「早く帰ってくれよ」

「また来る」

はぁ? と素っ頓狂な声を上げると、ミカサはバスケットを目の高さまで掲げて見せた。

「瓶を返してもらいに来る」

「いいよ、そんなの。エレンに持たせるよ」

「もう少し話してみたいから」

ぽかんとしたこちらの顔を見て、少しミカサが笑った気がした。

それが妙にきれいで(艶めかしいと言えたかもしれない)、アルミンはもう何も言わなかった。


翌日、呆れたことにミカサはまたやってきた。

それも、エレンが来る前に。

起きあがれるようになって、着替えようとしていたら勝手に部屋に入ってきた。

「勝手に来ないでってば!」

「平気」

ノックもせずに部屋に入ってきたミカサは、無遠慮に部屋を見回した。本棚を注視している。

「見ないでよ、もう」

服を着るのも後回しにして、アルミンはミカサを押し出そうとした。

体当たりするつもりで押しても、びくともしない。

「アルミン。エレンの好きな本を教えて」

仕事がぴいぴいで泣きそうなのに、鬱憤晴らしに書き溜めを少し放出しました
なかなか投下に来ないのに、支援や感想ありがとうございます
励まされます

久々に覗いたら更新きてたー!
今回も面白かったです。ありがとうございます。
仕事頑張ってください。

久々の更新乙!
長いこと読んでなかったからまた1から読んだよ

ミカサたまんねえ程可愛いな

エロはもう書かないのか
つまらなくなったな

エロは?

アナルと性転換のリクエストは無視しましたよね

何で黙ってるんですか?

アルミンsageについて意見が出ています
何か謝ることはないんですか?
【深夜】進撃の巨人SSについて語るスレ【Part4】
【深夜】進撃の巨人SSについて語るスレ【Part4】 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1385135046/)

ID:szk3LlL2
ID:WRo2Ru3k
ID:dHIQF3fc
暴れまくってる張本人なのでスルーでおk

投下乙
ここからどう二人が仲良くなっていくのか楽しみにしてる

>>332
意見ってかお前が一人で暴れてるだけだろ

>>335
触るなよ

話が重くてテンポ悪いって何度も言われてるのに何やってんの?
エロだけ書いてろよ
信者のために下だらないお話作り乙

そんなにアルミンが嫌いなんですか
ヘタレにしてミカサに弱い死ね言わせて

↑わかってるとは思うが昨日から暴れまくってる奴なのでNG推奨

雑談スレでも大した話じゃないって言われてますが?

1人で言ってると思いますか?
雑談スレでも信者がうざくて信者の管理できてないし話もつまらないって言われてますけど(w
同人やってるのもキモい
キャラsageで喜んでるエレミカ信者うざい
作者はアルミン嫌いなんでしょうね

最早お前の主張に耳を傾ける価値は無いから大した話じゃないということ
ID何度も変えてまでわざわざご苦労だね

>>342
性玩具も恋文も大した話じゃなかったって言った人がいたんです
意味理解できる?

>>343
言ってる奴がいたのが昨日今日の話なら間違いなくお前だろ
自演乙

俺には面白くなかった
→そうだね、でも面白かったと思ってる人もいるんだよ
で終わる話なのにここまで粘着するのは失笑もんだわ

>>344
触らない方がいい
構って欲しいだけなんだろうし餌貰えて喜ぶだけだ
黙ってNGID:S4aOyLdY

>>344
雑談スレ330ですよ違う人ですが?
ここは本人が見てるから持ち上げてる人も裏じゃ面白くないし同人ゾッとするしエロしか面白くないって思ってると言う事。
これ全部他の人の意見ですから
雑談スレでの正直な評価ですから
もう書きに戻ってこなくていいよ

間違えた
黙ってNG、な

性玩具って名前もキモい
名乗らないでくれる?

NGするにしてもIDコロコロ変えるんだもんなあ…面倒臭い

反論がないことからわかると思いますがもう戻ってこなくていいですから
このまま雑談でスレ落ちますし

多分分かってるだろうが待ってる奴普通にいるから雑談気にせず続き書いてくれな
待ってる

続きはもういいや
今の話に価値なんかないし

まだ平気だろうけど保守あげ

知らない間に更新きてた!
性玩具の時からずっと読んでたよ!
続き待ってます。

保守や支援やら、自演必死だから
待ってる奴なんかいないんで
アルミンが嫌いなら書かずに消えてください

応援してるよ
頑張ってくれ

論破されて逃げたんですね
もうアルミンは書かないでください

なんかおかしなのに粘着されてるなあ…
まあ気にせず、待ってるからな

こっからどう展開するのか楽しみだわ

なんか笑ってしまった
次の投下を楽しみに待ってるよ

気長に待ってます

待ってる

気長に待ってます。

応援age

そういやこの人入院してたんだよな
大丈夫か

IDなんてコロコロ変わるのに。IDかぶる他人もいるのに。
何で別の人って決めつけたり、同じ人だと決めつけたり、
面倒臭いことするのか意味が分からないなあ。

エロだけ書けっていう人は官能小説でも買って読むのはあかんの?
エロだけの物語なんて世間には山ほどあるやん。
ここのはそれとちょっと違うから面白いんだと思うけどなあ。

相手しなくていい

age

ho

何この気持ち悪いスレ

保守

素肌にシャツをひっかけて、薄着のまま部屋を出ようとしたら、肩にカーディガンをかけられた。

「また熱が上がる」

そう言われて腹が立たないでもなかったが、おとなしく温もりの残るカーディガンのボタンを閉めた。

さっさと書斎にこの女の子を押し込んで、自分はちゃんと着替えよう。

すぐエレンが迎えに来てくれるだろう。

案内するまでもなく、ミカサはさっさと書斎に向かった。

無遠慮なその背中に、アルミンはついていく。

重い書斎の扉を開けると、2人は中に滑り込んだ。

「どんな本が読みたい?」

「エレンが読んでいた本」

「……君にはつまらないと思う」

正直、また自分たちの楽しみにケチをつけられたくなかった。

外の世界についての本には、触れさせたくない。

「女の子の本もあるよ。これなんか、絵もたくさんついてるし」

母がよく開いていた庭木の本を手渡すと、案外素直にミカサはページをめくった。

2、3ページと紙面を黒い瞳に映し、すぐに閉じてしまう。

「興味ないの?」

「アルミン、エレンが読んでいた本を知りたい」

真っ直ぐにこちらを見据えて、ミカサが再度要求してきた。

しぶしぶ、傍らに積まれていた本のうち1冊を手渡した。

「内容に文句言わないでよ」

「言わない」

断言して、ミカサは両手でその本を受け取った。

スカートの裾を広げ、座り込む。

アルミンはどこに立っていればいいのかもわからない。

ミカサはそんなアルミンに構う様子もない。

もう、この子を部屋に置いて出て行こうかとも思った。

エレンだって、特にミカサに気遣いなんかしていなかった。

わざと選んだわけではないが、その本は内気な女の子向けとはとても言い難いものだ。

遙か昔に栄えた都市、迷宮の中でさまよう怪物に、生贄として人間が捧げられる話。

おどろおどろしい挿絵もいくつかあった。

エレンもこの本が特に気に入っているというわけではない。やや非現実的すぎて、本当にこんな出来事があったのか半信半疑の様子だった。

それでも、神妙な顔でミカサはページをめくっている。

「アルミン」

「な、何」

「綴りが読めない」

顔を上げたミカサが、身体をずらして隣に空間を空けた。

読んでくれと言っているらしい。


おとなしくて内気なわけではないらしい。

図々しいとも言える態度に、アルミンはもう怒るのもばかばかしい気分になってきた。

「……それは島の名前だよ。固有名詞」

「また島の話なの」

「外の世界は海ばっかりだから。きっと島だらけなんだよ」

投げやりなアルミンの言葉に、ミカサは生真面目に頷いた。

またページをめくる。俯いたミカサの長い髪が、彼女の表情を隠している。

アルミンは、本を膝に広げたミカサの口元を見ていた。

(エレンより口が小さい。目も小さい。背は僕より高い)

ミカサは異質だった。

こうして黙って座っていると、余計に生気が感じられない。

隣に座って、ミカサの唇が時々知らない単語を口に出してみているのを眺めていた。

(あ)

不意の出来事だった。

(……笑った)

じっと観察していなければわからない程度、ミカサの口角が上がった。

長い前髪の下で、目も細められたように見える。

笑うような内容の本ではない。ミカサは文章をなぞっていた指を止めていた。

英雄が、生贄の血を求める怪物を屠っていた。

そこは、エレンもその本の中ではまあ気に入っている、と言っていたくだりだ。

(ミカサがエレンを見つけた)

理不尽に人間を虐げる怪物に、単身で打ち勝った。

ミカサの指はそこで止まっている。

頬にほんのりと赤みが差しているようにも見えた。

さっきまで船首飾りの女神像のように、何の干渉も寄せつけないような雰囲気だったのに。

今のミカサは、物語に出てくる賢い村娘やお姫様と大差なく見える。

木偶に妖精が生命を吹き込んだようにも見えた。

(あぁ、この子はエレンのものなんだ)

何となくミカサのことが好きになれない、その理由のひとつを見つけた。

(最初から、これはエレンのものなんだ)

お久しぶりです
少しずつ再開します

乙でございまする


待ってたよ

待っておったぞ


待ってた

待ってたよ!
本買ったからね!

応援してるよ!


待ってた

二度と書くなって言った意味わかってます?
アルミンsageが続いてるし日本語不自由なんですね
好きじゃないキャラなら書かないで

スルースルー

内容が・・
アルミンかわいそう

本当にかわいそう
ねちねちこんなスレ続ける意味がわからない

変なのに粘着される作者とアルミンが可哀想
厨を装ったアンチは怖い

また変なのが来たな

普通にこれはsageでしょ・・・
アルミンこんなんじゃないし

わざわざID変えてるが同じ奴だろ…

気にせず>>1のペースで進めてくれー

早く続きが読みたいぜ

もう続きはいらないから落としていいよ

乙!
続き期待してる

見つけた

ミカサ「恋人同士ですること全部」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1385658364/)

アルミンsageを叩かれたら別のスレでもアルミンsageですか
最低ですね
こっちで注意されたらあっちに籠もってたんですね
根性が悪い

スレタイがキモイんでスル―してたけどアルミンsageなら見てみるかな

スルースルー
ブーメランブーメラン

嫌いなスレ覗いてわざわざコメント残していく奴の方がよっぽど根性悪いと思うんだけど・・・
それにどこら辺がアルミンsageなのか分からない

エロゲからスレタイとるとかきめえエロゲオタクかよ

悪口もバカが言うと憐れに聞こえるよ

粘着もここまでくると清々しいな…
スルースルー(^^)

保守

保守

保守

アルミン好きだけど、全然面白いと思うよ
キャラの自分が好きな部分しか見えてない人達なんて気にしなくて良い
待ってる

保守上げウザい

保守下げ

久しぶりに覗いてみたけどやっぱエタっちゃったか?
変なのにも粘着されてたしなあ…
残念だ

ご無沙汰しております
放置気味で申し訳ありません
10月から仕事が立て込んで、月休日が片手の数ほどになってしまい……
年度内はこの状況が続きそうです
スレが残っていれば続きを投下する予定です
保守ありがとうございます

了解、保守頑張る

もう傷つけないでって何度行ったら伝わるんですか
アルミン関係をイベントで出したら許さない
返事もないし大人の対応もできないんですね

保守ならまかせろ
続き楽しみにしてる

分かった

保守

上げ

そんな頻繁にage てたら埋まるぞ…月一くらいでいい

保守上げウザいし埋めるのもありかもね

勝手に埋めとかやめてくれ…
続き待ってるんだよ

>>422
でも書き込むと埋まるよ

何だかんだで定期的に投下しに来るし、
質を見ればやる気がなくなってないのもわかる
イベントでも変なのに粘着されてるみたいだし
ゆっくりやってくれ

粘着してるやつもだけど、粘着粘着うるさいやつも大概だわ
ここ異常に粘着って言葉使ってるスレ
そうそうない気がする

ゆっくりだと埋まるんじゃない?

キャラアンチスレ的な作風だからもう落ちていい

エレミカ厨のアルミンアンチスレ

イベントもエレミカでとってるし本当はアルミンに興味ないんだろうね
そういう人ほどアルミンを不憫扱いする
気持ち悪いので書かなくていい

残ってなかったら投下しないのかな?

続き待ってる

保守

いつまでも待ってる

ほし

ほしゅ

待ってる

保守

もう諦めたら?

ほしゅ

糞スレageんなよ

っていう保守

>>442
氏ね

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