妹「幸せになってね」(54)


妹「お兄ちゃん、今日も女さんとデートかぁ」

妹「婚約したんだから当たり前だよね」

妹(幸せになってね。お兄ちゃん)


ピリリリリリリ…

妹(お母さんから電話だ。またあの事かな)

妹「何? お母さん」

母『どう? 元気にしてる?』

妹「うん。元気よ」

母『兄は?』

妹「今女さんとデート」

母『そう。それにしてもあんたそろそろこっちに戻りなさいよ』

妹「分かってるよ。女さんが家に来る時は外出してちゃんと2人きりにするんだから。私だって気を使ってるのよ」

母『それはそれでいいんだけど、いつまでも兄と2人暮らししてたら女さん遠慮しちゃうでしょ?』

妹「分かってるってば」

母『遅くとも結婚式の1か月前までにはこっちに戻るのよ』

妹「うん」

期待


妹「お母さん。私とお兄ちゃんは血の繋がった兄妹だよね?」

母『何言ってるのよ、当たり前じゃないの。2人共私がお腹を痛めて産んだ子よ』

母『それにこんな話聞きたくないでしょうけど、私はお父さん一筋なの。だから兄とあんたは本当の兄妹よ』

母『でもどうしてそんなこと訊くの?』

妹「ちょっと訊いてみただけ」

母『とにかく結婚式の1か月前までにはこっちに戻るのよ』

妹「はーい」

>>3
お応えできるかどうか分かりませんが


妹(やっぱり実の兄妹なんだよね…。実の妹だからこれ以上にはなれない)

妹(義理の兄妹だったら今頃お兄ちゃんを寝取ったのになぁ)

妹(私がお兄ちゃんに一途なのはお母さんに似たんだね)

妹(小さいころからお兄ちゃんに一途なのに何で一緒になれないんだろう。理不尽だよ…)


―夜―

兄「明日は休みだし、たまには外で食べないか?」

妹「あ、賛成!」

兄「行きたい店とかある?」

妹「駅前に新しい居酒屋が出来たでしょ? そこで食べようよ」

兄「そうするか」


―居酒屋―

兄・妹「乾杯」

妹(私はお兄ちゃんを取られちゃうから『完敗』かな)

兄「お酒飲んで大丈夫か? 妹はそんなに飲めないだろ?」

妹「たまにはいいじゃないの」

兄「まぁいいけどさ」


妹「こうやってお兄ちゃんと居酒屋へ行くのも、もう少しで終わりかな」

兄「そんなこと無いよ。僕と女と妹で3人で行かれるだろ?」

妹「そうかな」


妹「女さんを幸せにしてあげてね。お兄ちゃんも幸せになってね」

兄「ん? …ああ」

妹(本当は私を幸せにしてほしいけど)

妹(この話はもう止めよう。涙が出そうになる…)


妹「にへへ お兄ちゃ~ん♪」ニコニコ

兄(酔っぱらってきたな。もう飲ませない方がいいな)

兄(それにしても、腕も脚も絡まれて身動きが取れん)


隣客「ラブラブですねぇ」

妹「当たり前ですよぉ。これから近親相姦するんですからぁ」
兄「」ブホッ!

隣客「そ、そうですか」ドンビキ

兄「ゲホッゲホッ、変なこと言うなよ」

妹「だってぇ」

兄「すみません。こいつ酔っぱらってるもんで」

隣客「いえ…」


アリガトウゴザイマシター

妹「むにゅ~…」フラフラ

兄「ほら、しっかり歩け」

妹「飲み過ぎたのはぁ~、あなたのせいよ~ってか」

兄(カクテル2杯でこうなるとはねぇ)



妹「むぅ~……」

兄「歩けるか?」

妹「……」

兄「大丈夫か?」

妹「……」

兄「大丈夫じゃなさそうだな。ほら、おぶってってやるよ」


兄「よいしょっと」

兄「戻しそうになったら言うんだよ? 頭からピザなんてマジ勘弁な」

妹「わーってる…」

兄(まさか24歳になって妹をおんぶするとはねぇ。まぁでもこれも兄の役目だよな)

兄(『女さんを幸せにしてあげてね』、か…)


―数日後、夕方―

ピロリーン

妹(お兄ちゃんからメールだ)

「女が会って話がしたいって言うから会ってきます。夕食は先に食べてね。約束破ってごめん」

妹「……」

妹(何よ。今日は私もお兄ちゃんも休みだから一緒に夕食食べようって約束したのに。…お兄ちゃんのバカ)

妹(お兄ちゃんと2人だけで食事するのももう長くないんだよ…)ジワッ


妹(今頃お兄ちゃんと女さんはどんな話をしているだろう。結婚式の打ち合わせとかかな)

妹(なのに私は家で1人で夕食。一体何をやっているんだろう)

妹(寂しいよ…、寂しいよお兄ちゃん…、ぐずっ)


妹(1人で夕食は慣れてるはずなのに、何で今日はこんなに寂しい気分になるんだろう?)

妹(お兄ちゃん早く帰って来て…)


妹(そう言えば、寂しさを紛らわすためにナンパ目当てで派手な格好をして街に繰り出して)

妹(ナンパしてきた男性と一夜を共にする女性の事をネットで見た事があるけど)

妹(……)

妹(お兄ちゃん、私に寂しい思いさせるから、ふしだらな女になっちゃうから)


―妹の部屋―

妹(お兄ちゃんの気を惹こうと思って買ったマイクロミニスカート)

妹(だけどあまりにも短過ぎて恥ずかしくて結局お兄ちゃんの前でも履けなかったけど)

妹(もういいんだ。ふしだらな女になるんだから)

――

妹(ひゃあ、ちょっと屈んだだけでもショーツが見えちゃう////)

妹(お兄ちゃんが見たらびっくりするだろうなきっと)


妹(このマイクロミニスカートを履いた姿、最初にお兄ちゃんに見せたかったな)


―夜、街―

妹「……」

妹(全然声掛けられない…)

妹(いつもは鬱陶しい位声掛けられるのにこんな時に限って…)

妹(格好が派手すぎて逆に引いちゃったかな)


妹(六本木とか歌舞伎町に行ってみようかな。日本有数の歓楽街だって聞いた事があるし)

妹(それにしても下腹のあたりがスースーするなぁ。こんなに短いスカート履いてくるんじゃなかった)


「お嬢さん、ちょっといいかしら?」

妹(中年のカップル? 何で私に声掛けるんだろう?)

女刑事「私達、警視庁○○署の者なんだけど、これからどこに行くの?」

妹(2人共刑事さんだったのね)

妹「いえ、特には。家に居てもやる事が無いんでぶらぶら歩いているんです」

男刑事「ちょっと年齢が確認できるもの見せてもらえる?」

妹「あ、はい」

ゴソゴソ


男刑事「動力車操縦者運転免許証?? 甲種電気車って? 電車の運転士なの?」

女刑事「え」

妹「まだ取ったばかりなんです」

女刑事・男刑事(こんなに派手な格好をした女性と、制服をパリッと着た電車の運転士がどうしても結びつかないな)

女刑事「あなたは23歳だから問題ないわ。ただ18歳位に見えちゃったの。気を悪くしないでね」

妹「いえ、そんな…」

女刑事「ひょっとしてだけど、何か思い詰めてる?」

妹「解りますか?」


女刑事「何となくそんなオーラが出てるわよ」

妹「お兄ちゃんが、お兄ちゃんのように慕っている人が他の女性と結婚しちゃうんです…、ぐずっ」

女刑事「そうだったの。それは辛いわねぇ。でもね、失恋の寂しさは時間が解決してくれるわよ」

男刑事「寂しいのは解るけど、こういう形で寂しさを紛らわせようとするのはお勧めしないよ」

男刑事「そのお兄さんのような人はあなたを妹のように思っているだろうから、その人を心配させない方がいいと思うよ」

妹「そうですね。今日は帰ります」

女刑事「それがいいわ」


男刑事「遠回りになっても人通りが多い道を歩くようにして帰ってね。それと痴漢とかに遭ったら躊躇わずに110番に電話するんだよ」

妹「はい」

女刑事「くれぐれも気を付けて帰ってね」

妹(人生初の職務質問だったけど、刑事さん達の言うとおりだな。まっすぐ帰ろう)


―帰り道―

妹(お兄ちゃんと一緒に居たいから同じ鉄道会社に入って運転士にもなったのに)

妹(お兄ちゃんが結婚したら会社でしか会えなくなるなぁ)

妹(だけど乗務する時間が合わなければ会社でも会えない。どうしてこうなっちゃったんだろう)

妹(お兄ちゃん…、ずっと一緒に居てよ…、結婚しちゃやだよ)ジワッ

妹(お兄ちゃん辛いよ…、ぐずっ、寂しいよぉ…、ひっ、ひっ…)ポロポロ


カンカンカンカン…

妹(踏切…)

妹(ここで電車に飛び込めばこの辛さから解放される…)

妹(でもせっかく電車の運転士になったんだし、運転士が電車に飛び込むなんて許される事じゃないよね)

妹(それに私が飛び込んだら大勢の人に迷惑をかけるし、お兄ちゃんは他人に迷惑をかける事を何よりも嫌がってるもんね)

妹(もうすぐ結婚して幸せになる時に家族が死んじゃって、お兄ちゃんに思いっきり迷惑をかけちゃうなんて)

妹(こんな妹嫌だよね)


妹(だけど、私が死んだ後の事なんかどうなったっていいんだ。もうこの世から居なくなるんだから…)

妹(……)


プァーン!


―駅―

放送「△△駅付近の踏切で発生した人身事故の影響により、只今全線で運転を見合わせています。お急ぎのところ誠に恐れ入りますが…」

兄(やれやれ…、今日は色々ついてないなぁ)

兄(妹との約束も破っちゃったし、埋め合わせにお土産でも買って運転再開を待つか)


―家―

カチャ

兄「ただいまー」

兄(いないのか? 今日は休みのはずなのに。臨時の乗務かな)

兄(メールしてみよう。…いや、電話の方がいいかな)


セカイニヒートーツーダーケーノーハーナァ ヒトリヒトリチガウ…

兄(ん? 妹の携帯の着メロが微かに聞こえる。家に居るのか?)


―妹の部屋―

コンコン

兄「妹ー、居るのかー?」

兄「入るぞー」

カチャ

兄(真っ暗だ。確かこの辺にスイッチが)

パチ


兄(居た。部屋の隅で体育座りしてる。暗い部屋の中でずっとこうしてたのかな。こりゃ相当怒ってるな)

兄(それにしても随分派手な格好してるなぁ)

妹「……」

兄「今日は約束破ってごめんね。埋め合わせに妹が好きなタイ料理の惣菜買って来たんだよ。一緒に食べないか?」

妹「食べたくない」

兄「ごめんね今日は本当に」

妹「……」

兄「気が向いたら来てよ。一緒に食べよう。ダイニングに居るから」


妹「お兄ちゃん待って!」

兄「ん?」

妹「」ギュー
兄「?」

妹「お兄ちゃん…」ジワッ

兄「ん?」

妹「結婚しないで…、ぐずっ、結婚しちゃやだよ…」

兄「妹…」


妹「お願い、ずっと私と一緒に居て…」

妹(そう言ってももう婚約しちゃったんだからどうにもならないか)

兄「解ったよ。ずっと一緒に居るから」

妹(それって、お兄ちゃんと私と女さんで3人で暮らすってことだよね)


兄「僕ね、振られちゃったんだよ」

妹「え?」

兄「女に婚約を解消されちゃってさ…」

妹「本当に!?」

兄「本当だよ。実は今まで黙っていたけど、1ヶ月くらい前から何かギクシャクしてたんだよね…」

兄「今の気持ちのまま結婚しても幸せになれるかどうかわからないって言うから今日話し合ったんだよ」

兄「そして話し合った結果出た答えが婚約の解消なんだな」

妹「それって、私が原因?」

兄「まさか。全然違うよ」


兄「女には結婚しようか迷っていた人がもう1人居たらしくて、そっちに気が行っちゃったみたいなんだよね」

兄「ごめんね。今まで寂しい思いさせて。でももう、ずっと妹と一緒に居るから」

妹「約束だよお兄ちゃん、約束だからね。この約束は絶対破っちゃダメだからね?」

兄「解ってるよ。必ず守るから」

兄「これからずっと一緒だよ」

妹(よかった、あの時思いとどまってよかった)


兄「さ、一緒にタイ料理食べようよ」

妹「うん、食べよ! ホッとしたら急にお腹が空いちゃった」


兄「それにしても随分色っぽい格好してるね」

妹「あ、これ? 女さんからお兄ちゃんを奪おうと思って着てたの(本当は違うけど)」

兄「何というタイミング」


―翌日―

兄「色々あって婚約を解消する事になっちゃってさ」

母『そうだったの。残念ねぇいい人だったのに。結婚式も楽しみにしてたんだけどなぁ』

兄「しょうがないよ、縁が無かったってことだよね」

母『あんたがそう言うなら私は何も言わないけどさ』

兄「だから妹も暫くこっちに住まわせるよ」

母『気持ちを整理したい時にすまないねぇ』

兄「何てことないよ。これから新しいお相手もゆっくり探すから」

母『そうね、ゆっくり探しなさい』

兄「たまにはそっちへ2人で帰るよ」

母『わかったわ。待ってるから。妹によろしくね』

兄「うん」


妹「お母さん何だって?」

兄「『ゆっくりお相手を探して』『妹によろしく』だってさ」

妹「新しいお相手ならもう居るでしょここに」

兄「そうだね」ニコ


―1ヵ月後、乗務員控室―

妹「女さんから何か連絡あった?」

兄「婚約を解消した事を詫びた手紙が来ただけだよ」

妹「何だか素っ気ないね」

兄「女さんも早く忘れたいんじゃないかな」

指導員「よっ、ピッタリ寄り添って相変わらず仲いいなお前ら」

兄「あ、指導員、見習いの時は妹共々お世話になりました」

指導員「妹、無事に免許が取れてよかったなぁ。何よりだよ」

妹「指導員のおかげです」

指導員「兄、お前は一応先輩だから嫁さんのいいお手本になってくれよ」

妹(嫁////)

兄「だから妹ですよ」


兄(『嫁』、か…)


―1週間後、貸衣装店―

店員「とてもよくお似合いですよ」

妹「ありがとうございます。まさか自分がウエディングドレスを着られるなんて…(感動)」

店員「まあ、ご謙遜なさって」

妹「初めてのウエディングドレスだから緊張しますね」

店員「それが当たり前ですよ。ウエディングドレスを何度も着て着慣れている方ってどうかと思いますけど」

妹「それもそうですね」

店員「ではあちらの写真スタジオへどうぞ」


―写真スタジオ―

兄「おぉー…」

兄「よく似合ってる。とても綺麗だよ。まるで天使みたいだ」

妹「おに、あなたもかっこいい。王子様みたいよ」

兄「今『お兄ちゃん』って言おうとしたでしょ?」ボソボソ
妹「ごめん、ついいつもの癖が」ボソボソ
兄「ここでは普通の夫婦ってことになってるんだから気を付けてね」ボソボソ
妹「うん」ボソ


店員「ではお客様、この辺りにお立ちください」

店員「もう少し寄り添っていただけますか? はい結構です」

店員「お二人とも肩の力を抜いてくださいね。それではこのレンズをご覧ください」

妹「あなた、笑顔笑顔」ニコ

兄「ん」ニコ

店員「あ、いいですね。そのままで。では撮りますよ、はい、チーズ」カシャ

店員「はいどうも、お疲れ様でした―」


―帰り道―

兄「記念写真が出来上がるのは2週間後だって」

妹「楽しみね」


妹「ねぇ、今日を私達の婚約記念日にしない?」

兄「婚約記念日?」

妹「私達、結婚は出来ないけど婚約なら出来るでしょ?」

兄「結婚が出来ないのに婚約かぁ。なんか寂しくない?」

兄「妹はウエディングドレス着て僕はウエディングスーツ着たんだから実質結婚じゃないのかな」

妹「だったら結婚記念日にする?」

兄「それでいいと思うけど」

妹「じゃ結婚記念日ね」


妹「お兄ちゃん」ダキッ

兄「待っ、こんなに人が居る所で」

妹「気にしないの」

妹「私の夢をかなえてくれてありがとう」

兄「よせよ、照れるじゃないか。妹に寂しい思いをさせた埋め合わせだよ」


チュッ


妹「ふふっ、これからずっと一緒だよ」

兄「もちろんさ」


テクテク

ズルッ
妹「きゃ」
兄「おっと」

妹「びっくりした。転ぶところだった」

兄「大丈夫か? 足ひねってないか?」

妹「ちょっと痛かったけど平気」

兄「大丈夫か?」

妹「大丈夫よこれくらい」

妹「今夜はもっと痛い思いするんだから…。それに比べたら」

兄「あ…」


兄「妹、僕が頑張って妹を幸せにするよ。だから幸せになってね」

妹「うん!」

終わりです。
RAMってくださった方も
ROMってくださった方も
ありがとうございました

あれっ?妹は踏切の中に入って死んだんじゃないのか?しかも人身事故っていってたのに。おい!おかしいだろ。

>48 俺もそう思った!何故か途中からおかしくなってる。

兄「Z…zz…」
妹「お兄ちゃん、もう我慢できないの……」
兄「Z…zz…」
妹「チュッチュチュパ……」
兄「Z…zz…」
妹「ハアハア…」
兄「Z…zz…」
妹「ん…ぐちゅぐちゅぐちゅ……
はむっ…チュパチュッチュ……ぷはっ…」
兄「Z…zz…」
妹「うふふふ…」
妹「ねぇ、お兄ちゃん…私の唾液おいしいかった?私はおいしかったよ…お兄ちゃんの唾……」

兄「Z…zz…」
妹「お兄ちゃん、もう我慢できないの……」
兄「Z…zz…」
妹「チュッチュチュパ……」
兄「Z…zz…」
妹「ハアハア…」
兄「Z…zz…」
妹「ん…ぐちゅぐちゅぐちゅ……
はむっ…チュパチュッチュ……ぷはっ…」
兄「Z…zz…」
妹「うふふふ…」
妹「ねぇ、お兄ちゃん…私の唾液おいしいかった?私はおいしかったよ…お兄ちゃんの唾……」

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