勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」(1000)

このSSはドラクエ3をベースにした半分オリジナルのSSです。

シリアス・ほのぼのが7:3くらいの割合です。

オリジナル設定・ハーレム・シリアス・おっぱいなどが苦手な方には
向かないかと思います。申し訳ありません。



前スレ

勇者「ハーレム言うな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318407934/)

キャラ紹介



・勇者 16才

勇者オルテガの義理の息子。
優柔不断。でもやる時はやる。
弱い。頑張ってる。
身長は172センチ。
好きな食べ物は、食べ物ならなんでも好き。



・女勇者 15才

勇者の妹。オルテガの実娘。
強い。しっかりしてる。
身長は157センチ。
好きな食べ物はサラダ。



・戦士 16才

勇者の幼馴染。脳筋。
男勝り。たまに乙女。
身長は167センチ。
好きな食べ物はお肉。



・武道家 16才

勇者の幼馴染。常識人。
しっかりしてる。たまに怖い。
身長は160センチ。
好きな食べ物はスープ類。


・魔法使い 16才

勇者の幼馴染。天然。
のんびりしてる。魔法知識すごい。
勇者への思いに最近気付く。うっかり。
身長は158センチ。
好きな食べ物はきのこ。きのこ。

・僧侶  16才

勇者の幼馴染。敬語。
優しい。たまに厳しい。
昔から勇者大好き。
すごいホイミ使える。
身長は159センチ。
好きな食べ物は甘いもの。



・商人  16才

勇者の幼馴染。敬語。
毒舌。節約大好き。
身長は149センチ。小さい。
好きな食べ物は魚料理。



・盗賊  17才

勇者の幼馴染。
大泥棒の娘さん。めっちゃ忍ぶ。
お姉さん的な気分。
身長は170センチ。
最近勇者が弟的存在から好きな人に。
好きな食べ物は山菜料理。



・遊び人 15才

勇者の幼馴染。
恥ずかしがりやさん。
勇者に恋してそう。どうでしょうね。
遊び人なのに働き者。頭もたまに良い。
身長は156センチ。
好きな食べ物はにんじん。



>>1

おっぱい好き。どんなおっぱいも好き。
おっぱいが好きすぎて最近自分がおっぱいなんじゃないかと思うようになりました。

あらすじ

勇者はバラモスっていう魔王さんを倒すために
旅に出ましたが、なんだかいっぱい仲間がついてきました。
しかも全員女の子です。しかも自分より強い。やってられません。
色々と頑張る勇者ですが色々と厳しい試練が色々な形で勇者に色々です。
仲間たちの人生もなかなか色々あるようで複雑でなかなか話が進みません。
勇者と名乗るなんだか怖い人も出てきてしまい、てんやわんやです。
勇者の運命はどうなるのでしょうか。このスレは完結できるのでしょうか。
本当に怖いです。

-イシス城・バルコニー-


猫「……」ゴロン

スタスタ…

猫「……!」ピクッ

スタスタ…

猫「……にぁぁ」

スタスタ…

ザッ

?「……おいで」

猫「……」

ムクリ

トットットット……

猫「ナァーォ……」スリスリ


?「……ふふ……良い子です……」

スッ……

?「……よいしょ……」

?「……」ギュ……

?「うふふ……お前は、重いですね……」

猫「ナァオ」ゴロゴロ

?「……」

?「……はぁ…………」

サァァァ……

?「……今日も、昨日と同じ……」

?「砂漠、砂漠、砂漠…………」

?「……」

?「いつ……帰ってくるのでしょうか……」

猫「……ニァァ」

?「…………」

?「……ふふふ、慰めてくれるのですか?」

?「……」

?「私が、何をできるというのでしょうね……」

猫「……」

?「猫のあなたのほうが……よほど……」

タッタッタッ……

?「!」

ガチャッ!



側近「女王様!」








イシス女王「…………どうしたのです?」

第四章

-カザーブ・宿屋-

女勇者「…………」

戦士「…………」

武道家「…………」

魔法使い「…………」

商人「…………」

盗賊「…………」

遊び人「…………」

僧侶「…………」




勇者「…………みんな」

勇者「言いたいことは、すっご――――くわかる」

勇者「うん。分かるよ?分かるけどさ」



カラン…


勇者「……この金の冠は王様に返さなきゃ……!!!!」

戦士「絶対やだ!!!!」

勇者「理由は分かりきってるけど一応聴く!どうして!」

戦士「だってあの王様マジで苦手なんだよアタシは!!」

女勇者「いや……そりゃあの王様を好む人はなかなか居ないだろうさ……」

魔法使い「わたしも……とくいでは、ないかなっ」アハハ

僧侶「えっと……兵士さんに渡すだけじゃ駄目ですかね?」

遊び人「駄目ね……力の無い兵士に渡しても、その兵士が疑われるだけだと思う」

盗賊「…………致し方、無いよ……」

商人「あーマジで今ロマリア行ったら革命起きてませんかね」

武道家「ていうかなんで国民が革命を起こさないかが不思議よ」

戦士「……とにかく、アタシはあいつには会いたくない!」

女勇者「我がまま言わないでよ……戦士ちゃんのおっさん嫌いは承知の上だけどさ……」

勇者「……わかった」

僧侶「え?」

勇者「それじゃ、皆。僕が一人で王様には会って来るよ

勇者「だから……ロマリアには一応皆で行こう?ね?」

戦士「……うぅー……勇者がそう言うなら……」

女勇者「……決まりだね。それじゃ、夕前には着くように出発しようか」

勇者「そうだね……はは…………はぁ」

武道家「アンタも相当嫌なのね…………」

…………
……


-ロマリア城-



ロマリア王「…………あー……」

大臣「ホレ、王、しっかりなさって下さい。情けないですぞ」

ロマリア王「いや、なんだかなんもやる気しないっていうかぁー……」

大臣「…………」

ロマリア王「だってー、頭に重力感じないからさー調子でないわーマジで」

大臣「…………」

ロマリア王「いやホントよ?今もし金の冠があったらわし、マジでバリバリやるかんね」

大臣「…………チッ」

ロマリア王「あ!今!舌打ちした!うわぁー!いっけないんだ!王様に言いつけてやる!!って王様わしでしたー!なんつってー!」

大臣「…………ハイハイ」

スタスタ…

大臣「ほら、どうやら客ですぞ。しっかりなさって下さい」

ロマリア王「えーでも書簡や伝達など無いからどうせ議員とかだろう……このままでよい」

大臣「…………ハァァァ……」

スタスタ……

ロマリア王「さぁーて、誰がでるかな、誰がでるかな」

スタ……

勇者「…………こ、こんにちわ」

ロマリア王「!!ゆうs……」

大臣「!!!勇者殿!!」

勇者「あはは……どうも」

ロマリア王「ゆ……ゆんぼる……何の用じゃ」

大臣「アンタまだ勇者殿の事認めてねぇのか!!!!」

勇者「あは……いいんですよ、大臣さん」

勇者「本日は、お渡しする物があって参りました」

大臣「!!……まさか……」

王様「…………え、えぇ~~?なーにかなぁー?なんだろなぁ~?皆目検討もつかないなぁ~?」チラッチラッ

大臣「ちょっとアンタもうホントに黙ってて…………!」

ゴソ……

勇者「……これです」

キラ…

大臣「金の冠……!!」



ロマリア王「勇者ちゃ――――――――ん!!マジお疲れちゃぁ―――――ん!!」


勇者・大臣「「……」」イラァァァッ!!!!!

ロマリア王「いやぁー!わし信じてたよー!勇者ちゃんならきっとやってくれるってぇ♪」

大臣「勇者殿、本当になんとお礼を言えば良いか……」

勇者「いえ、自分は何もやっておりません。仲間達のおかげです」

ロマリア王「さっきまでのはぁー。なんていうかー?ドッキリ?ドッキリ系のそれ系?みたいな?」

大臣「しかしお連れの方々の姿が見えませんが……」

勇者「いやまぁ、その……ねぇ?」チラッ

ロマリア王「びっくりした?びっくりしてた系?戸惑い、打ちひしがれた系ー?」

大臣「…………真に、申し訳が無い……」

勇者「いえ…………それじゃ、僕もあれなんでこれで失礼します…………」

ロマリア王「え?帰るの?帰っちゃうの?ちょっとー待ちなさいよー待ちなさい系ー」

勇者「……失礼します」

大臣「あ、勇者殿……」

スタスタ…

ロマリア王「…………」

勇者(もうなんていうか隣にいるだけで気が狂いそうだ……)

勇者(お礼とかもういらないから、とにかく早く帰ろう……)

スタスタ…


ロマリア王「…………」

ロマリア王「勇者よ」

勇者「え?あ、はいっ!?」ピタッ

大臣「!!?」

大臣(急に真面目な声色になった!?)

ロマリア王「……今回の件、真に申し訳が無い……感謝するぞ」

勇者「え……?いや……はい……」

勇者(ど……どうしたんだいきなり……?)

ロマリア王「……そこでだ」

ロマリア王「お礼と言ってはなんだが……」

大臣「……」

大臣「…………!!!!」ハッ

大臣(この流れは…………もしや……!!)

勇者「お礼…………ですか?」

ロマリア王「うむ……勇者よ」

勇者「はい……?」






ロマリア王「お主、ロマリア王になれ」

勇者「…………」

勇者「えっ」

今日はおしまいです。

2スレ目の立て方ってこれでよかったのかな
何か間違えてたりしたら指摘していただけると幸いです。

新しいスレでも頑張りたいと思います。

-ロマリア・宿・食堂-

コポコポ……

コクリ……

盗賊「…………うん……よし……」

魔法使い「できたー?」

盗賊「……うん、淹れたよ……お茶……」

商人「飲ませて下さいー」

盗賊「……はい、どうぞ……」

武道家「私も頂くわね」

ズズ……

武道家「はぁ……美味しい」

僧侶「本当ですね……」ホゥ……

女勇者「これは、今日摘んでたお茶の葉で淹れたのかい?」

盗賊「……ううん、これは、今日市場で買ってきたの……」

遊び人「んー!良い香り!」

戦士「うめー!」ペカー

コト……

女勇者「ふぅ……しかしここは良い国だよね……」

盗賊「……そうだね……」

女勇者「…………」

ズズ…

女勇者「……ハァ……」コト…

女勇者「……王様以外は…………ね」

戦士「忘れようとしてたのに!!!!」

僧侶「勇者くん大丈夫でしょうか……心配です」

武道家「まぁ、危険ではないけどね……」

戦士「危険だろ。精神が」

商人「しかし遅いですね……もうすぐ日が暮れちゃいますよ。全くあのアホは」

遊び人「私たちの代わりに行ってくれた勇者ちゃんに何てこと言うの!」

女勇者「でも確かに遅いね……話につき合わされてるとかだろうか…………」

盗賊「……きっと、そんなとこじゃないかな……」

魔法使い「しんぱいだよっ」

盗賊「……帰ってきた時のために、お茶を温めとこう……」

武道家「私は肩でも揉んでやろうかしら」アハハ

遊び人「じゃあ私は食堂借りて勇者ちゃんに美味しい物作っておこうかな」

商人「なら私はおかえりのちゅーでもしてあげましょうかね」ニヒヒ

武道家「なーに言ってんのよ」アハハ

魔法使い・盗賊・僧侶「「「だめぇっっ!!!!!!!」」」ガターン!!

商人「!!!!!??」ビクーン!!

武道家「さ、三人とも……?」

戦士「いきなりどうしたんだ……?」

魔法使い・盗賊・僧侶「「「…………あ……」」」

魔法使い「いや、あのっ、そのねっ!ちゅーはやっぱりだめだよっ!」

魔法使い「そ、そういうのはすきなひとのためにとっておかなちゃ!」

盗賊「……う、うんうん……勇者も、いきなりされたら困ると思うし……」

僧侶「そうですよ商人ちゃん!勇者くんと、キ、キッスなんて!はしたないです!」

商人「冗談ですよぉ…………」ガタガタフルフル

戦士「あははは、何お前ら本気にしてるんだよ!」

武道家「…………」

遊び人「…………あはは……」

女勇者「しっかしあれだね。本当に遅いねお義兄ちゃん……」

遊び人「どうしたんだろうね?」

戦士「…………なぁ、やっぱ様子見に行くか?」

僧侶「うーん……私も、少し不安になってきました」

女勇者「そうだね……よし、我慢して行ってみようか……」

ガチャッ

町人A「いやー、びっくりだったなぁ」

町人B「急な話だったしな」

町人A「なぁ。おーい!店主!」

店主「おや、いらっしゃい。飯食ってくのかい?」


魔法使い「あっ、ほかのおきゃくさんきちゃったね」

僧侶「それじゃ私たちはお城に行ってみますか」

商人「そうですねー、めんどくさいです」

戦士「我慢しよう…………本当に我慢だ……」



町人A「いや、飯じゃないんだ」

町人B「ちょっと店主に話があってさー」

店主「話?どうしたんだい」

町人A「あのさー」


女勇者「よし、それじゃみんな、お城に」



町人B「王様が新しい人になったんだよ」

女勇者「…………」

戦士「…………え?」

商人「今あの人ら、何ていいました?」

僧侶「確か、新しい王様がどうのって……」

武道家「あ、あの!ちょっといいかしら!」

町人A「え?な、なんだい?」

武道家「今さっき、何て言いました?」

町人A「さっき……?」

町人B「あぁ、王様の話?」

武道家「そ、それです!」

魔法使い「おーさまがどうしたんですかっ?」

町人A「あー王様?あのね、前の王様がやめて新しい王様が就任したんだよ」

町人B「急な話だよな」

戦士「ま、前の王様ってあのうっざいの?」

町人A・B「「そう。あのうっざいの」」

盗賊(……国民にまで……)

遊び人「……あの、その新しい王様って……」

町人A「新しい王様がどうかしたの?」

商人「ど、どんな人でした?」

町人B「新しい王様ねぇ、チラッとしか見なかったからよくわかんないけど……」

町人A「なんていうか、優しそうな人だったよ」

武道家「み、見た目は?」

戦士「どんな感じだったか覚えてるか?」

町人B「そうだなぁ……なんか、背が普通くらいで……」

町人A「ロマリアじゃ珍しい髪の色してたけど……顔は少しだけ女顔……かな?」

女勇者「…………」

盗賊「……ねえ、これ、まさか……」

町人B「そんなに気になるの?」

町人A「じゃあお城行ってみなよ」

町人B「冠臨凱旋とかはこじんまりとしかしなかったけど、面会とかは受け付けてるみたいだからさ」

女勇者「そうします!!よし、皆行こう!!」

一同「「「「さー!!!!」」」」

ダッ

ガチャ  バタン!

町人A「…………なんだったんだ?」

町人B「…………でも皆美人だったな……」

…………
……



-ロマリア城・謁見の間-


女勇者「…………」

戦士「…………」

僧侶「…………」

商人「…………」

盗賊「…………」

魔法使い「…………」

遊び人「…………」

武道家「…………あんた…………何やってんの…………?」


ロマリア王(勇者)「…………こんにちわ…………」

勇者「僕もね…………ちょっと何がなんだか……」

商人「……いやマジで何やってんですか……」

戦士「……おい!なんだよそれ!ちょっと楽しそう!」

女勇者「……何の遊びなんだい……これは」

勇者「いや……ロマリア王が僕を……僕を……」

僧侶「だ、誰も止めなかったんですか!?」

遊び人「大臣さんとか!」

大臣「…………」

遊び人「……大臣さん?」

大臣「……」

大臣「…………だって……」

大臣「………………だって……!!!」

大臣「だって勇者殿の方が良いじゃないですかぁー!!!!」

遊び人「うん……それは異論ないよ……異論ないけどさぁ……!!」

女勇者「でも、お義兄ちゃんもなんで拒否しなかったんだい?」

勇者「拒否したよ!!」

勇者「…………でも……」

魔法使い「……でも……どうしたの?」

勇者「……でも……!!」


~~~~~~~~~~~~


勇者『えぇっ!!!?』

ロマリア王『この通りじゃ!!頼むっ!!!!』

勇者『無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!!!無理です!!!!』

ロマリア王『え!?何!?』

勇者『だから、無理です!』

ロマリア王『なんだって!?“そんな美味しい提案を無視するなんて無理”だって!?やる気だねぇ!!』

勇者『何言ってるんですか!!捻じ曲げないで下さい!!!!』

ダァン!!

ロマリア王『だから何が無理なんだ!!!!』

勇者『いきなり切れないで下さい!!ってか逆ギレですよ!!!!』

ロマリア王『う、うわぁー引くわ。自分のギルティをわしに背負わそうとするその態度に引くわ……』

勇者『え、えぇー!!!!』

勇者『……と、とりあえず、僕はそんな事できませんし旅を急ぎますので!!』

ロマリア王『…………』

勇者『…………』

ロマリア王『…………』

ロマリア王『……か~~ら~~の~~……?』

勇者『う、うううううう!!!!!!!!』

ロマリア王『やりたくてしょうがないんだろ……?体は正直だぜ……?』

勇者『気持ち悪い!!!!!!』

ロマリア王『あ!!悪口言った!!うわぁ――――!今のギルティ!!ギルティから生まれいずるペナルティ!!!!』

ロマリア王『兵!!へ―――――――――い!!!!カモンヌ!!!!』

ザッ!!

ロマリア兵『お呼びでしょうか!!』

ロマリア王『この不届き者を王にしてしまえ!!!!』

ロマリア兵『喜んで!!!!』ニッコォー!!

勇者『色々とおかしい!!!!』

ロマリア兵『さぁ、おいでなさるのです!!』

グイッ!

勇者『そ、そんな!!』

勇者『だ、大臣さん!!!!なんとかしてくだ……』

大臣『…………』

勇者『…………』

大臣『…………』

勇者『ねぇ、大臣さん。なんで、なんでそっぽを向いてるんですか。なんでですか、ねぇっ』

大臣『…………』

勇者『大臣さんっ!!!!何とか言って大臣さん!!!!貴方が頼りなんです大臣さん!!!!』

大臣『…………』

大臣『……あれー……』

大臣『おかしいぞー、目が見えないし、声も聞こえない』

勇者『!!!?大臣さ……』


大臣【ご・め・ん・な・さ・い】←アイコンタクト

勇者『裏切られた!!!!』

ロマリア王『観念しな!!だ・い・す・き・だ・よ!』

勇者『や、やだ気持ち悪い!!!!!!!』

勇者『や、やだ――――――――――!!!!』

ズルズル

…………
……



勇者「…………って事が」

戦士「死刑にしちまえよ」

女勇者「と、とりあえずホラ、帰るよ!!」

大臣「えっ!!!!」

魔法使い「もうっ!!だいじんさん、ゆーしゃはかえしてもらうからねっ!」プンプン

大臣「そ、そんな殺生な!!!!」

女勇者「こちらのセリフです!!」

戦士「こちとら旅を続けなきゃいけないんだよ!!構ってられるか!!」

商人「さ、勇くん行きますよ」

大臣「ま、まってぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

ガッシィィィ!!!

商人「うわっ!!!!足にしがみついてきました!!!!」

武道家「だ、大臣さん!!??」

大臣「最後の一縷の望みなのぉぉぉおおお!!!!!奪わないでぇえぇぇぇぇぇ!!!!!」ビエェエエ!!

遊び人「な、泣いてる……」

盗賊「……何が、ここまでこの人を……」

戦士「辛かったんだろうなぁ……でも知るか!!!!」

グイッ!

勇者「うおっ!!戦士!?」

戦士「ホラ、帰るぞ!!」

勇者「……えっと」

勇者「……」チラッ

大臣「ふぐうううううううううう!!!!!!」ポロポロ

勇者「…………」

女勇者「…………お義兄ちゃん……?」

武道家「どうしたのよ」

勇者「……」

勇者「僕、少しだけやってみるよ」

一同「「「「!!!!!???」」」」

大臣「ゆ、勇者殿!!!??」ガバァッ

勇者「……少しだけ、ですが……ちょっと王様やってみようかなって思います」

大臣「……お……」

大臣「……おぉぉおぉぉぉおぉおおおぉぉぉぉぉぉぉおぉ……!!!!!」ポロポロ…

戦士「ど、どうしたんだよ!!お前らしくない!!!!」

武道家「そうよ!!アンタに王様なんて……!」

勇者「わかってる」

武道家「!!」

勇者「わかってるけどさ、…………少しだけだから」

武道家「…………うーん……」

遊び人「でも、旅は!!?旅はどうするの!!?」

勇者「もちろん続けるよ。ただ、2、3日だけやってみようかなと思うんだ」

大臣「私はそれだけでも十分でございます!!!!」

女勇者「まぁ、お義兄ちゃんがそう言うなら……」

戦士「……絶対、2、3日だからな!!」

商人「それ以上は駄目ですからね!!グズな勇くんには続けられるワケないですから!」

勇者「あはは、そうだね。大丈夫だよ」

大臣「ありがとうございます……ありがとうございます……!!!!!」

遊び人「…………まぁ、勇者ちゃんの性格じゃ仕方ないっか」

魔法使い「それじゃ、わたしたちはいったんかえろっかっ」

僧侶「…………」

盗賊「……風邪ひかない、様にね……」

勇者「あはは、大丈夫だよ。迷惑かけてごめんね」

戦士「いいな!!最大3日だぞ!3日だからな!!」

女勇者「また迎えに来るよ」

勇者「うん、皆ごめんね。また3日後!」

スタスタ…

勇者「……」

大臣「ありがとうございます……ありがとうございます……ありがとうございます……!!!!」

勇者「…………」

勇者(…………よし……)

…………
……


-宿-

ボフッ

戦士「全く!!勇者の奴どこまでお人好しなんだか!!」

武道家「あはは、まぁ3日後までよ。気長に待ちましょ」

僧侶「そうですね……」

盗賊「…………」

盗賊「……僧侶、どうかしたの……?…」

僧侶「へ?」

戦士「なんか心ここに在らずって感じだぞ?」

僧侶「いえいえいえいえ!!なんでも!!なんでもないですよ!!」

魔法使い「そーぉ?」

僧侶「はいっ!そうだ!私お風呂入ってきますね!」

戦士「いってらー」

僧侶「はいっ」

パタパタ……

武道家「…………」

戦士「さってとー、私は風呂も入ったし寝るかなー」

魔法使い「わたしもー」

商人「あと3日は暇になりますねー」

ゾロゾロ…

パタン……

武道家「…………」

スタスタ…

…………
……


-浴場-



ピチョン……

僧侶「…………ふぅー……」

僧侶「……」

僧侶(…………勇者くん……)

僧侶(……本当の、王子様になっちゃった……)

僧侶「…………」

僧侶(……あの勇者くんも……)

チャプ…

僧侶「……かっこよかったなぁ……」ボソリ……


ガラッ!!


僧侶「!!!」ビクッ!!

武道家「お邪魔するわね」

僧侶「あ、武道家ちゃんでしたか……びっくりしました」エヘヘ

…………

ザバァーン

武道家「……ふぅ、さっぱり」

武道家「湯船、ちょっとしつれーい……よいしょ」

ザプッ……

武道家「……ふぅ……」

僧侶「……なんだか、武道家ちゃんと二人ってお久しぶりですね!」


武道家「あはは……そうね」

武道家「……」

僧侶「…………」

僧侶「……武道家ちゃん……?」

武道家「ん……?何?」

僧侶「その……どうかされたんですか?」

武道家「…………ううん」

武道家「……ちょっとさ、僧侶に聴きたい事があるの」

僧侶「…………はい……?何でしょう……」

武道家「……」

武道家「……」

武道家「……その、えっとね……」

僧侶「……?」

武道家「…………」

武道家「……ッ……」

ザパッ!

武道家「……い、いやぁ、そんなに胸おっきくするにはどうするのー!?」

僧侶「えっ?」

武道家「何食べてればそうなるのかなーと思って!!秘訣とかあるの!?」

僧侶「い、いえ、特に秘訣は……」

武道家「うらやましいなー!私ぺたんこだからなー!私ぺたんこだから……」

武道家「……ぺた……んこ……」ガクゥ――――ン

僧侶「えあ、あの!そのっ!そんな事はっ!!」アセアセ

武道家(自分で言ってて悲しくなってきた…………)

…………
……


-脱衣所-

ゴソゴソ

武道家「……騒がしくしてごめんね」

僧侶「ううん、全然!武道家ちゃんと久しぶりにお風呂に入れて楽しかったです!」

武道家「あはは、私もよ」

僧侶「ふふ、ん、しょ」

パサッ

僧侶「よし……それでは、部屋に戻りますね!」

武道家「うん!おやすみ!」

僧侶「はい!また明日ー!」

ガチャッ

バタン

…………

武道家「…………」

武道家「……」

ギシッ……

武道家「……ハァ……」

武道家「……」

武道家「……私って……駄目ね……」

…………
……

2日目

-ロマリア城-


女勇者「……やっぱり気になって様子を見に来てしまったね……」

盗賊「……ちゃんと、やってるかな……」

魔法使い「でも、まちのみんなからは、わるいうわさはきかないね!」

戦士「でもどうだろーなー。あの勇者が王様ってなんだか想像つかねーよ」

武道家「……まぁ、ちょっと行ってみましょ?」

…………
……





……
…………

-ロマリア城・謁見の間-

農民「王様!!作物の需要が上がるばっかりで種籾が不足してきてるだ!!なんとかしてほしいだ!!」

勇者「そうですね……。分かりました。その一帯の農家には支援金を出します」

農民「えっ!!?ほ、本当だすか!?」

大臣「しかし、王。その資金はどこから……」

勇者「算率書を貸してください……ここの改修資金を当てましょう」

大臣「それではその改修作業員達の仕事が無くなり、苦情が……」

勇者「はい。そこはもう既に工房に向かい、談合をして来ました」

大臣「…………はい?」

勇者「アッサラームへの道路の舗装をイシス側の依頼により受注するという事で話をまとめています」

大臣「あぁ、確かに以前イシス側からそのような要請が……!」

勇者「以前の調書を読んだ際にその件が片付いていなかったようなのでここで受けさせていただきました」

勇者「それで、農民さん」

農民「は、はいっ!」

勇者「今現在市場で需要のある種の作物ですが、この地では気候の関係で二毛作が…………」

女勇者「」

武道家「」

戦士「」

商人「」

盗賊「」

魔法使い「」

僧侶「」

遊び人「」




農民「あ、ありがとうございますだ!!それならわしらも安泰だ!!」

勇者「いえいえ、お気になさらずに」



戦士「おい」

女勇者「なんだい?」

戦士「誰だあれ」

武道家「……わたしたちの幼馴染よ……多分ね」

勇者「……。…。…」ペラペラ

町人「……!…!…」ペラペラ


商人「……ゆ、勇くんてあんな感じの人でしたっけ……?」

戦士「ちょっとこれはびっくりだな……」

女勇者「なんだか……本当に元から王様みたいだったって感じの違和感の無さだよ……」

魔法使い「がんばってるんだねぇ」

僧侶(……こんな勇者くんもかっこいい……)ウットリ

盗賊「……でも、なんだか……」

遊び人「うん……なんか、ちょっと違和感ある……かな……」

女勇者「あはは、私たちの知ってるお義兄ちゃんとは別人みたいだからね」

武道家「あははは、そうね」

武道家「…………」


勇者「……――――という事で、どうでしょう」

町人「ありがとうございます!!これで家族を養っていけます!!」

勇者「ふふふ……これから頑張って下さいね」

町人「ありがとうございました!」

スタスタ…

大臣「……さて、これで今日予定している会合は終わりですな」


魔法使い「あ、おわったみたいだよっ」

遊び人「本当だ」

戦士「なんか勇者、終始笑顔で気味悪かったな……」

商人「あのヘタレ勇くんはどこに…………うぅぅ」



大臣「真にお疲れ様でした。王」

勇者「…………」ニコニコ

大臣「…………」

勇者「…………」ニコニコ

大臣「…………王?」

勇者「…………」ニコニコ














勇者「」バッタアアァァァァァ―――――――――ン!!!!!


一同「「「「派手にぶっ倒れた―――――!!!!!!!????」」」

ダッ!!

大臣「勇者殿!!どうされたのですか!!」

勇者「も、やだ……!!恥ずかしいし緊張してもうやだ……!!」フルフル

大臣「そ、そんな事を言わず!!勇者殿はとても王っぽいですぞ!!」

勇者「もう無理だよぉ……!!そんなに見ないでぇ……!!謁見とか凱旋でそんなに見ないでぇ……!!」ガタガタ

大臣「負けないで!!もう少し!!最後まで走り抜けて!!」

勇者「どんなに離れてても心は傍にはいないんだよぉ……!!もう許してぇ……!」ガタガタポロポロ


女勇者「……」

戦士「…………まぁなんだ……」

商人「……こういうのもなんですが」

魔法使い「…………うん」

一同「「「「すっごい安心した」」」」

…………
……



3日目

-ロマリア城-


ロマリア王「休み中めっちゃ賭博堪能した!!!!」ニパァァァァ!!

戦士「コイツっ」ダッ

女勇者「わぁぁあ!!!!戦士ちゃんが速攻斬りにかかってった!!!!!!」

武道家「ぎゃー!!盗賊!!抑えるわよ!!」

盗賊「……合点!!……」

シパッ!! ガシッ!!

戦士「離せ!!はーなーせー!!!!」

女勇者「犯罪者になるつもりかい!堪えて!!」

戦士「みねうちするつもりだったっつーの!!」

武道家「どっちみち犯罪者だっつーの!!」


ロマリア王「こ、こわぁー……最近のキレる若者こわいわぁ……!!アフレイドだわ……!!」ガタガタ

ロマリア王「ねぇ、大臣」

大臣「…………」

ロマリア王「…………」

ロマリア王「なんでそっぽ向いてるの」

大臣「見ていないからやっちゃってよかったのに……」ボソ

大臣「何はともあれ、勇者殿。3日間お疲れ様でした。そしてありがとうございました」

勇者「いえ、僕も色々新鮮で楽しかったですよ」

ロマリア王「感謝しろよな!!」ニコォッ!

大臣「コイツっ」ダッ

女勇者「わぁぁあ!!!!大臣さんが速攻で(ry」

勇者「大臣さん!!抑えて!!」ガシッ!

大臣「離してください!!!!コイツはっ!!勇者殿の気持ちをっ!!踏みにじったんだ!!コイツは……ッ!!」ジタバタ

勇者「貴方のその気持ちだけで僕は十分です!!!!あなたが修羅になる必要は無い!!!!」

ワーワー

ロマリア王「みんないろいろあるんだねぇ。ねぇ?」

王妃(勇者殿が本当の夫だったらなぁ…………)

大臣「殺すッ!!殺しきるぅうぅッ!!!!」

勇者「大臣さんっ!!!!大臣さぁんっ!!!!」

魔法使い「もうかえろうよぅ……」

…………
……

-ロマリア・街中-


勇者「ふぅぅぅぅぅぅぅ…………やっと一息つけるよ」

女勇者「お疲れ様。しかしどんな風の吹き回しだったんだい?」

勇者「え?」

戦士「お前がすすんで王様になるなんて考えもしなかったぞ」

遊び人「昔の勇者ちゃんからは考えられないよー」

僧侶「何か心境の変化があったんですか?」

勇者「……あはは。うん、実はね」

カサカサ

商人「?」

盗賊「……その、紙は?……」

勇者「…………」

勇者「あんまりこういう事するのも何かなって思ったんだけど、さ」

パサッ

勇者「…………情報収集をしてたんだよ」

武道家「……!!」

女勇者「!!」

魔法使い「そうだったのっ!?」

勇者「うん……王様になればこの辺りの地形も知れるし、世界の状勢にも触れられるしね」

僧侶「……そんな事まで考えていたんですか……」

勇者「そして……何より、世界を自由に行き来できる船の情報が欲しかったんだ」

戦士「!!船の情報手に入れたのか!?」

勇者「うん、えっとね……」カサ…

勇者「ここから西にポルトガって国があるんだけど……そこでは造船技術が盛んなんだってさ」

商人「おぉっ!!そこで念願の船が!!」

遊び人「勇者ちゃんやるじゃん!!」

勇者「いや、まぁ船が買えるかどうかは別としてなんだけどね……」

戦士「それでも大手柄だよ!!勇者!!」

魔法使い「えらいよっ!!」

勇者「……あはは……」

女勇者「……?どうしたんだい?あまり嬉しそうじゃなさそうだね?」

勇者「……うん……」

勇者「……形はどうであれ」

勇者「……少しだけ」

勇者「少しだけこの国の人達を騙すような形になっちゃったからさ」

僧侶「勇者くん……」

戦士「それは違うぞ……?勇者が責任を感じる事じゃ……」

勇者「いや…………うん。わかってはいるんだけどさ……」アハハ

盗賊「……勇者……」

勇者「いやいや、ごめんごめん変なこと言っちゃって」

勇者「さ、宿に戻って旅の準備を……」





?「おーさま!」


一同「「「!」」」

勇者「へ?」

少女「おにーさんが、おーさまですか!?」

勇者「え?僕?」

少女「おにーさんが、きのーまでのおーさまですか?」

勇者「…………う、うん。そうだけど……」

ペコッ!!

少女「ありがとーございますっ!!」

勇者「へ!?」

戦士「勇者、この子と知り合いか?」

勇者「い、いや、会った覚えは……」

少女「きのー、おとーさんがいってました!」

勇者「…………おとうさん?」

少女「きのーまでのおーさまが、おとーさんをたすけてくれたって!」

勇者「…………昨日?」

勇者「…………」

勇者「…………あ…………」


――――――――――――



町人『ありがとうございます!!これで家族を養っていけます!!』



――――――――――――

勇者「あの時の…………」

少女「……だから」

ペコッ

少女「ありがとーございました!」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

戦士「…………ホラな」

女勇者「心配は無用だったね」

僧侶「例えどんな事情があっても、勇者くんは何でも一生懸命じゃないですか」

魔法使い「……それに、すくわれてるひとたちはたくさんいるんだよ」

盗賊「……ゆーしゃがきづいてない、だけで……」

商人「いらん事でグジグジするなって事ですよ。……少しは、立派だったんですから」

勇者「…………」

ナデ…

少女「!」

勇者「……」ナデナデ

勇者「…………こちらこそ……」

ニコ…

勇者「……ありがとう」

武道家「…………」

少女「……えへへ、おれーいいにきたのに、おれーいわれちゃった」

勇者「あはは……お父さんを、大切にするんだよ?」

少女「うん!じゃあね!」

勇者「気をつけてねー!」

タタタタ……

勇者「…………」

盗賊「……可愛いね……」

勇者「……そうだね」

勇者「…………」

勇者「…………よし!」

勇者「じゃあみんな!宿に帰って作戦練るよ!!」

一同「「「「お――――っ!!!!」」」」


武道家「…………」


勇者「……!…!…」アハハ


武道家「…………」



……――――まただ

武道家「……」

武道家「……っ」

スタスタ……

武道家「……ゆーうしゃっ!」

ドスッ!

勇者「おぐぅっ!!いきなりド突かないでよ!」

武道家「はは!ごめんごめん!」




……――――勇者は、私の知らないうちに強くなっていく




魔法使い「でもおーさまのゆーしゃも、その……かっこよかったよ!」

勇者「いやいやいや、いやいやいやいや」

武道家「あはは、何よそれ」アハハ




……――――勇者を取り巻く環境が、少しづつ変わっていく



武道家「…………」

武道家「…………」

武道家「……勇者」




……――――勇者の顔が




ザッ……

勇者「何?」



……――――私の知らない顔になっていく

武道家「……」

勇者「?どうしたの?」




……――――私は、それが




武道家「……んーん」フフ


武道家「なんでもないわよ」











……――――反吐が出るほど、嫌なのだ

今日はおしまいです

ロマリア王は書いてて自分でもうざいです



あっ もうサブカプはいいからな

レスありがとうございますー。

>>90

サブカプ……というのは他のカップルという事でしょうか。
でしたら物語の進行上少し出てくるかと思われます。申し訳ありませんが何卒御了承下さい。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2330306.png

http://e.pic.to/57e7f

わよっ!
スーツ姿でネカフェからだよ!おっぱい!

-ロマリア・宿-


勇者「……じゃあ、これからの事なんだけど」

戦士「とにかく西に行ってポルトガって国に行けばいいんだな!?」

勇者「いや、僕も最初そう思ったんだけど……そう簡単にいかないみたいなんだ」

女勇者「?……どういう事だい?」

魔法使い「ぽるとがにいけばいいんじゃないの?」

勇者「うん、それはそうなんだけど、ポルトガまでの陸路に少し問題があるらしい」

遊び人「……問題?」

勇者「そこに行くまでの陸路が、現時点では閉鎖されてるらしいんだ」

武道家「えっ!!?」

商人「閉鎖ですか?なんでまた……」

勇者「恐らく同じ理由だよ。アリアハンと……」

盗賊「……あぁ、そっか……こんな大きい国が、戦争に参加してないわけ、ないもんね……」

僧侶「でも、それじゃ八方塞がりって事ですか?」

勇者「いや、この前の魔法の玉みたいに、やり様はあると思うんだ」

勇者「とりあえずその閉鎖地点に行ってみよう。そこで突破口を考えようと思う」

戦士「了解だぜ!!船を手に入れるためだもんな!!」

商人「じゃあ早速出発しましょうか?日が暮れないうちに」

女勇者「そうだね。その閉鎖地点の位置はわかるのかい?お義兄ちゃん」

勇者「うん。ここから大体北西に位置している所だって」

ガタッ

勇者「それじゃ、行こう!皆!」

ギュッ

勇者「……早く……」

勇者「早くこの国から離れよう!!」

商人「軽く私怨の入ったやる気ですね……」

…………
……


-ロマリア北西・祠-




商人「……ここが、そうなんですかね」

僧侶「はわー」

魔法使い「なんというか、おごそかなかんじだねぇ」

勇者「……それじゃ、入ってみようか」

戦士「だな」

ザッザッザッ……


ガチャッ

?「止まれ」

勇者「へっ!?」ビクッ

遊び人「びっくりしたっ!!」

?「貴様ら、何者だ。何の用だ」

盗賊「……私たち、ですか?……」

女勇者「私たちは魔王を討伐するべく旅をしている者です」

戦士「あんたこそ何者だよ!!」

?「…………私は番人」

番人「それ以下でも以上の者でもない」

戦士「…………何言ってんだこいつ」

勇者「番人さん、申し訳ありませんがこの道を通していただけませんか?」

僧侶「私たち、ここを進まないといけないんです」

番人「……」

番人「この道を通すのは私ではない」

遊び人「え?」

番人「それは、私の意志ではなく、貴様等の力だ」

戦士「…………本当に何言ってんだこいつ」

番人「…………」

ザッ

番人「……あの扉を開けてみるがいい」

勇者「え?あの扉?」

武道家「あ、なんか扉があるわね」

遊び人「あ!勇者ちゃん!私たちだったら簡単じゃん!」

勇者「え?……あ!そっか!」

戦士「盗賊の鍵を持ってたもんな!!楽勝じゃねえか!」

番人「…………」

勇者「では、早速……」

ガキッ

勇者「…………?」

勇者「あれ?」

ガキッ ガキッ

勇者「…………」

女勇者「?どうしたんだい?お義兄ちゃん」

勇者「…………鍵が開けられない」

盗賊「……盗賊の、鍵でも……?」

商人「…………どうして……」

番人「……魔法の鍵」

勇者「?」

武道家「……え?」

戦士「なんだって?」

番人「……その扉は、魔法の鍵でなければ開くことはできない」

盗賊「……魔法の、鍵……?」

商人「盗賊ちゃん、知ってます?」

盗賊「……ううん、全く……」

戦士「そ、その魔法の鍵ってのはどこにあるんだよ!」

番人「その程度を自らの力で見つけ出す事ができないのなら、この先には進めないであろう」

戦士「……ぬぐ……!」

番人「魔法の鍵を持ってもう一度ここへ来い」

番人「私は何時までも貴様等を待っていよう」

勇者「…………」

女勇者「…………?」

戦士「絶対だな!!絶対だぞ!!待ってろよ!!」

商人「戦士ちゃん落ち着いてください。ドアはどこにも逃げませんよアホ」

遊び人「それじゃ、一旦ひきかえそっか」

魔法使い「そうだねぇ」

武道家「皆!それじゃ帰るわよ!」

戦士「……ぐぬぬ、なんかすげーくやしい!!」

勇者「はは、まぁまぁ……」

スタスタ……

……


番人「……」

番人「……彼等が」

番人「彼等がそうなのでしょうか……師・シャンパーニ……」

…………
……


-ロマリア・宿・食堂-

勇者「また戻ってくることになるとは……」

女勇者「まぁまぁ、落ち着いてこれからの事を考えようじゃないか」

戦士「しっかしどうするよ?あたし達が行った所ではそんな魔法の鍵なんて聞いたことないぞ?」

勇者「…………うーん」

遊び人「早速行き詰ったね……」

スタスタ……

店主「はい、おまちどおさまー」

コト…

戦士「うおお!!待ってました!!」

女勇者「まぁ、ご飯でも食べながらゆっくり考えようじゃないか」

魔法使い「はらがへってはなんとやらだしねっ!」

店主「どうしたんだい?さっきからなんだか難しい顔してたけど」

勇者「……」

勇者「すみません、店主さん……ちょっとお聞きしたい事が……」

店主「……?魔法の鍵……?」

遊び人「……その反応を見ると、しらなそうね」

店主「うーん、すまないね……聴いた事もないよ」

勇者「そうですか……」

女勇者「では、その、そういった物がありそうな土地などに心当たりはないですか?」

僧侶「なんだか怪しい土地など……なんでもいいので……」

店主「う~ん……」

戦士「……やっぱりだめかぁ……」

商人「まぁそう簡単には……」

店主「そういった土地なら、あるにはあるが……」

一同「「「!!!!」」」

勇者「本当ですか!?」

女勇者「そ、それはどこですか!?」

店主「ここから南東にあるイシスって国だよ」

魔法使い「あ……いしす……!」

勇者「そういえばイシスには行ってなかったんだった!!」

僧侶「多分そこですよ!!そこになにか……」

店主「……でも行くのはあまりお奨めしないなぁ」

戦士「え?なんでだよ?」

店主「あっち方面は、暖かい気候のせいか出てくる魔物がここらより凶暴なんだよ」

戦士「なんだそのくらい!!アタシ達が蹴散らしてやるぜ!!」

店主「あはは、威勢がいいねぇ」

店主「……でも、お奨めしない理由は他にもあるんだ」

武道家「……それは?」

店主「……君達、ピラミッドって知っているかい……?」

勇者「……ピラ……ミッド……?」

店主「イシスの前王を弔うために国民総出で作ったおっきな御墓さ…………」

魔法使い「……お……」

僧侶「……御墓……」ゴクリ

店主「……そのお墓には、財宝が埋まっているというのだけれど」

商人「行きましょう!!!!」ペカー

武道家「落ち着きなさい……」

店主「…………出るんだよ」

商人「へ?」

店主「…………出るんだよ……アレが……」

店主「前王の、幽霊が…………!」

一同「「「「…………」」」」

店主「宝を狙った冒険者達を……」

ニヤリ……

店主「……後ろの人間から……一人ずつ……」

勇者「……他には?」

店主「え?」

勇者「他に懸念しといた方がいいところとか、あります?」

店主「……あ、いや他には特に……少し魔物が住み着いているくらいかな」

勇者「うーん……そこに魔法の鍵はあるかも……」

勇者「よし!」

ガタッ

勇者「それじゃみんな!次の行き先は……」

一同「「「「…………」」」」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………ねぇ、なんで皆そっぽ向いてるの」

戦士「…………いかなきゃ、だめなの?」

勇者「え?あ……まさか……」

勇者「…………皆、怖いのか」

商人「だだだだだだ誰が怖いってんですか!!!!どういう事ですか!!」

勇者「いや、落ち着きなよ……」

僧侶「わわ、私は別に、だ、大丈夫でふよ?」フルフル

魔法使い「あはは、そーりょ、ふるえてる」フルフル

武道家「ああ、あんたもじゃない」フルフル

遊び人「あ、あはは、その、どんとこいって、感じ?」フルフル

女勇者「い、いこうか?今からでもいこうか?いってごらんにみせようか?」フルフル

盗賊「……怖い……」フルフル

勇者「…………みんな……」

店主「…………」

店主「…………」

店主「わっ!!!!」

一同「「「「ぎゃ―――――――――――――――!!!!!!!!!」」」」

店主「あははははは!!!!」

勇者「からかわないで下さい!!」

店主「ごめんごめん。……でも、今はそんなに心配する事もないんじゃないかな」

武道家「え?」フルフル

勇者「どういう事ですか?」

店主「アッサラームって街は分かるかい?ここからイシスに行く途中にある街なんだけど」

勇者「あ、はい。それは……」

店主「そこで最近、子供が数人突然居なくなったんだ」

一同「「「「心配する事あるじゃん!!!!!」」」」

戦士「お、お願い、もうやめてよぉっ!」フルフル

魔法使い「おうののろいこわいよぉ!!うぇぇー!!」

店主「いやいや、それは魔物の仕業だったんだけど」

戦士「なんだ。許せねえな」

魔法使い「たいじしにいこうよっ!!!!」

勇者(怖がるポイントが分からん……)

店主「いや、それがさ。解決しちゃったんだよね」

勇者「え?」

遊び人「どういう事?」

店主「それが、その魔物の集団を全部片付けて、子供を助けてくれたんだってさ」





店主「勇者様が」

>>96
スーツ姿なのは>>1なのかキャラなのか
それともスーツに包まれたおっぱいが素晴らしいというのか

もちろんシックなスーツに包まれたおっぱいが素晴らしって話だよな?

今日はおしまいです。

短くて申し訳ないです。仕事が忙しいもので。
武道家はまた次の投下から存在感を増してくると思います。
そうじゃないと困る。


>>108
お前は何を言っているんだ


勇者の絵も公開する時期決めてるのかな
もし決めてないなら見たいなーってチラッ

>>1にどうしても訊いておきたい疑問がある

おっぱいは大体わかった
で、尻は?尻の大きさはどういう順?

尻よりも陰毛のありなしを…

>>1
■ コミケにSS速報で何か作って出してみない?
このスレに興味ないかな?絵の上手い>>1を探してるみたいなんだが



勇者「…………?」

女勇者「……?……?」

武道家「…………アンタ達、行ったの?」

勇者「いやいやいやいや」

女勇者「私たちでは無いよ、恐らく」

魔法使い「え?ど、どういうことっ?」

戦士「どっぺるげんがーってヤツか?」

店主「?どうしたんだい?」

勇者「いえいえ、なんでもないですよ。お話ありがとうございました!」

店主「いや、私も面白かったよ」アハハ

スタスタ……

女勇者「……ふむ」

僧侶「ど、どういう事なんですか?」

商人「まさか、偽者とか……」

勇者「いや、本物だよ。きっと」

戦士「???」

女勇者「多分、他の国の勇者だろうね」

魔法使い「…………あぁ、そういえばそうだよねっ!」

武道家「そういえばそれもそうか」

遊び人「そうかそうか、そういう事ね」

戦士「??どういう事だよ、なんで皆納得してるんだ?」

商人「戦士ちゃんは知らないみたいですよ」

女勇者「戦士ちゃん、“勇者”っていうのが何か知ってる?」

戦士「勇者って……あれだろ?お前ら二人の事だろ?」

勇者「まぁ、僕達も“勇者”だけどね……」

勇者「厳密に言うと“勇者”っていうのは、称号の事なんだ」

戦士「称号?」

女勇者「うん、そうだね」

女勇者「魔王が世界を脅かし始めた時、それを阻止しようとした人々がいるのは知っているだろう?」

戦士「当たり前だ!お師匠だってその一人だからな!」

勇者「あはは、そうだね……戦士の師匠、僕ら二人の父オルテガがその代表格だ」

勇者「でも、他にもいたんだよ。実力を持った魔王討伐をする人達が」

遊び人「オルテガさんのお仲間、サマンオサのサイモンもその代表格だよ」

戦士「サイモンのおっちゃんも!!?」

武道家「あんた知らなかったの?」

魔法使い「なつかしいねぇ」

盗賊「……元気、かな……」

女勇者「そういえば戦士ちゃんと武道家ちゃん、魔法使いちゃん、盗賊ちゃんはサイモンさんに会った事あるんだね」

女勇者「とりあえず、その二人が代表格だったわけなんだけど、旅を続ける上で色んな問題が出てきたんだ」

戦士「問題?」

魔法使い「いまでこそのおかげでおさまったけど、むかしはくにどうしの確執がすごかったからねぇ」

女勇者「うん、国への滞在や主要関係者以外立ち入り禁止区域など、あらゆる道を越えなくちゃいけない事もあったんだけど」

女勇者「それらに立ち入る際に国同士で多少諍いが起こる事も多かったんだ」

戦士「あー、なるほどなぁ」

勇者「で、流石にどこの国もこれはまずいって話になってさ」

勇者「世界各国首脳会議っていうのを緊急で開いて、そういった魔王討伐に向かう人々の」

勇者「ある程度の自国への干渉を許可するっていう規律を立てたんだ」

戦士「ほー……で、その干渉を許された人っていうのが……」

勇者「…………うん」

勇者「“勇者”という称号を冠する事ができるんだ」

女勇者「もっとも、誰しもが簡単に得られる称号では無いのだけれどね」

戦士「?そうなのか?」

僧侶「勇者という称号も、ある基準をクリアしないとパスできないんですよ」

戦士「基準?なんだ?もしかしてテストとかあるのか?」

女勇者「もちろん。ある程度の戦闘の実力と最低限の身分の確証は必要だからね」

戦士「へぇー……すごいな。お前らそんなもんパスしてたのか」

勇者「…………」

女勇者「…………」

勇者「……うん、まぁギリギリだったけどね」アハハ

戦士「……はは、勇者らしいや」

勇者「話は逸れちゃったけど、つまりは勇者っていうのは称号だから、他の国に居てもおかしくないって事だよ」

盗賊「……でも、近くに勇者がいるんだね……」

女勇者「もしかしたら、他の勇者に会うことになるかもね」

遊び人「どんな人なんだろうねー」

商人「ま、どうせ勇くんなんかより精悍でかっこいい人に決まっていますけどね」

勇者「ひっどいな……」

アハハハ……

武道家「…………」


勇者「まぁ、今日は日が暮れちゃったし出発は明日にしようか」

女勇者「それもそうだね……今日は明日に備えてゆっくり休もう」

魔法使い「ゆーしゃ、はやくはなれたいんじゃなかったの?」

勇者「…………ねぇ、僕一人先に」

遊び人「駄目だよ」

僧侶「駄目です」

商人「駄目なのです」

勇者「チクショォ!!」

女勇者「それじゃ、もう私は寝るよ」

戦士「私もー。寝よう寝よう」

魔法使い「おっふろーおっふろー♪ゆーしゃ、おやすみー」

勇者「うん、みんなおやすみ」

商人「逃げんじゃねーですよ」

勇者「…………う……」

アハハハ……

バタン

勇者「…………」

勇者「…………よし」

スタスタ……

ガチャッ

バタン

……。

ギィ……

武道家「…………」

…………
……


-ロマリア・街の外-


魔物「グギュアアアア!!!!!」

勇者「ふっ!!!!」

ザシュァッ!!

魔物「ゴギェッァ!!!」

ドシャッ!!

魔物の群れを倒した!!

勇者「……ハァ……ハァ」

勇者「………ぐっ……」

勇者(……やっぱりだ……)

勇者(…………やっぱりどれだけ戦っても……)

勇者「…………」

グッ……

勇者「……知るか」

ザッ

魔物「グルルル……」

魔物の群れが現れた!!

勇者「…………」

ジャキッ

勇者「知るか……そんな事……!!」

魔物「……グルル……!!」

ダッ!!

魔物「ガァアァァッ!!!!」

勇者「……来い!!!!」

?「覇っ!!」

ドゴォッ!!

魔物「ゴギャァッ」

ドシャッ

魔物を倒した!

勇者「!!?」

?「……なーにやってんのよ」

勇者「ぶ、武道家!!」

武道家「リーダーのあんたが明日寝不足で倒れでもしたらどうすんのよ」

勇者「い、いや、これは……」

勇者「……そ、そう!月!月が綺麗だったからさ!!だからちょっと見ようと……」

武道家「…………」

勇者「…………その……」

武道家「…………」

勇者「…………はい、すみません」

武道家「…………はぁ……。もう……」

勇者「…………で、でも、すぐ戻るからさ!」

武道家「……」

勇者「…………ほ、本当だよ?」

武道家「…………じゃあ」

勇者「へ?」

ザッ!!

魔物「フシャァァァッ!!!!」

魔物が現れた!

魔物はいきなり襲い掛かってきた!!

勇者「!!!!ぶ、武道家!!!!あぶな……」

武道家「……」

ヒュンッ!!

ゴグギィッ!!

魔物「アギェァッ」

ドシャッ

魔物を倒した!!

勇者「…………!!!!」

勇者(魔物の方を全く見ずに裏拳一発で……!!)

武道家「……じゃあさ」

武道家「久々に、私と組み手……しましょうよ」

勇者「え?」

武道家「最近やってなかったじゃない。組み手」

武道家「ちょっと稽古つけたげるわよ……どう?」

勇者「いいの?」

武道家「私も少し動きたかったところなのよ」

勇者「…………よし!」

ザッ

勇者「……お願いします」

武道家「ふふっ、手加減しないわよ」

…………
……




……
…………

ドサァッ!!

勇者「がぁっ……!!」

パラパラ……

武道家「……ふぅ……もう降参かしら」

勇者「いつつ……やっぱり武道家は強いや」

武道家「あんたは相変わらずね」

勇者「あはは……面目ないです……」

武道家「……」

テクテク……

スッ…

武道家「……ねぇ……勇者」

勇者「ん?どうしたの?」

武道家「…………」

武道家「…………」

勇者「……?」

武道家「…………ううん」

武道家「やっぱりいいわ…………ホラ、立てる?」

勇者「うん、なんとか……ありがとう」

スクッ

勇者「いててて……」

武道家「ちょっと、大丈夫?……強くやりすぎたかしら」

勇者「いや、いいんだよ。このくらいやらなきゃ」

武道家「……痛みを伴えば良いってもんじゃないのよ?」

勇者「あははは、違いないね」

勇者「……よし、それじゃそろそろ休もうか」

武道家「そうね、そうしましょ」

勇者「ちょっと武道家は先に宿に戻っててくれないかな?僕は少しやり残した事が……」

武道家「あんたも帰るのよ!絶対そんな事言って特訓続けるくせに!!」

勇者「ぐぬぬ……」

武道家「嫌とは言わせないからね!ホラ!帰るわよ!」

勇者「……はぁ……武道家には敵わないなぁ……」

…………
……


-ロマリア・街中- 深夜

テクテク

勇者「……静かだなぁ」

武道家「もう夜中だしね……」

武道家「こんな時間に特訓やってるおバカさんはアンタだけよ」

勇者「手厳しい……」

武道家「事実よ」

勇者「……あい」

武道家「…………」

武道家「……ぷっ……」

勇者「?」

武道家「ふふ……あははっ」

勇者「??いきなりどうしたのさ?」

武道家「……ううん」

武道家「ただ……なんだかこうして勇者と普通に話すのも久々だなって」

勇者「そうかな?」

武道家「そうよ。最近は旅の話しかしなかったし」

武道家「こうやって二人きりになる機会もなかったし、ね」

勇者「確かに、二人きりになるのは久々かもね」

武道家「そうね。昔はよくあったんだけどね」

勇者「だねー」

武道家「……」

勇者「……」

テクテク…

武道家「…………」

武道家「……ねぇ、勇者」

勇者「ん?」

武道家「…………」

武道家「……勇者はさ……」

武道家「勇者は…………変わっていくのが、怖くない?」

勇者「え?」

武道家「……怖くない?」

勇者「…………変わっていくのが……?」

武道家「……」

武道家「……私は」

武道家「……」

武道家「……ごめん」

勇者「……」

武道家「……ごめん、忘れて」

武道家「少し疲れてるのかもね……私」

勇者「……武道家……」

武道家「……ホラ、宿……見えてきたわよ」

勇者「……」

武道家「アンタ、お風呂に入ってから寝なさいよ?泥だらけなんだから」

勇者「…………はは」

勇者「了解だよ。武道家も入りなよ?」

武道家「当たり前だっつの!!女の子だぞ私は!!」

勇者「あははは、そうだね」

武道家「全く……ふふ」

-宿-

テクテク…

勇者「それじゃ、武道家。今日はありがとう」

武道家「私でよければいつでも付き合うわよ」

勇者「有難いよ」

武道家「でも手加減はしないけどね」

勇者「あはは、それも有難いや」

勇者「…………じゃあ、おやすみ」

武道家「…………うん」

武道家「……うん、おやすみ」

スタスタ……

武道家「……」

武道家「……」

武道家「……ハァ……」

武道家「…………言わないって……決めてたんだけどな……」

…………
……

――――――――――――

-ロマリア・宿- 翌朝


戦士「…………おは…ゆ………」

商人「おはようございますネボスケさん」

僧侶「戦士ちゃん、今日は一段と眠そうですね……」

戦士「…………あり…………」

遊び人「駄目だこの子……」

魔法使い「ほら!せんしっ!はにーとーすと!」

戦士「……お……おぉぉ……?」

盗賊「……少し、目が覚めた……」

女勇者「本格的にこれは駄目だね」

戦士「……あれ……?」モグモグ

武道家「どうしたのよ」

盗賊(……しっかり食べてる……)

戦士「…………勇者は……?」モグモグ

女勇者「それが朝起きたら居なくなってたんだよ」

戦士「え……!?駄目じゃないのかそれ……?」モグモグ

遊び人「心配するか食べるかどっちかにしなさいよ……」

魔法使い「でも、にもつはあるからねぇ」

僧侶「多分、買い物にでも行ったんじゃないでしょうか?」

商人「まぁ勇くんは心配しなくても大丈夫ですよ」

戦士「いや……違くて…………」

女勇者「?何が違うんだい?」

戦士「だって……ここ、ロマリアだぞ……?」

遊び人「なぁに?戦士、まだ眠いの?」

武道家「ここがロマリアだってのはそりゃ分かるけど、それがどうしたのよ」

戦士「……いや、もしさ……」

戦士「勇者がもっかいあの王に拉致られてたら、どうするよ…………」

一同「「「「…………」」」」

ガタッ

女勇者「お義兄ちゃんがっ!!!!!」

ガチャッ

勇者「ぼくが、どうかしたの?」

一同「「「よかった!!!!」」」

勇者「えっ!?」ビクッ

僧侶「勇者くん!無事だったんですね!」

魔法使い「うわあぁーん!よかったよー!」

勇者「?まぁいいや、少し用があって出てたんだ。ごめんね」

盗賊「……用?……」

勇者「ちょっとね。それより皆、もう準備は大丈夫なの?」

戦士「もふぁふぁ!!」モググー

勇者「…………うん、待つよ」

戦士「もふ」モグモグ

遊び人「どんな生き物よ……」

…………
……

-アッサラームへの道中-

テクテク……

遊び人「アッサラームかぁ……どんな所かな?」

女勇者「アッサラームも賑やかな所らしいよ。イシスもね」

魔法使い「へぇー、たのしみだねっ」

商人「でも……」

戦士「?でも、どうしたんだ?」

商人「……いかがわしい店も、多いらしいですよ」ニヤーリ

魔法使い「!!!!」

盗賊「!!!!」

僧侶「!!!!」

遊び人「!!!!」

戦士「?どんな店だ?」

商人「それはですね、勇くんが好きそうな店です」

戦士「勇者が?」

商人「だから勇くんに聞いてみてくださーい」

勇者「え!!?僕!!?いやいやいやいや!!!!」

戦士「なぁ、どういう店なんだ?」

勇者「え、あのっ、そ、の……」

商人「ねぇーえ、勇くん、何するお店なんですかー?」

勇者「それは……その、……いかがわしい……事を……」

戦士「だからいかがわしい事ってなんだ?」

勇者「っ……あの……だから……」

商人「んーん?ハッキリ言わないと分かりませんよー?」

戦士「なぁなぁ、どんな事だ?」

勇者「う…………うぅううぅ――……!!///」

商・魔・盗・僧「っ」ゾクゾク

魔法使い(はずかしがってる……ゆーしゃがはずかしめられてる……!)

盗賊(……これは、なんというか……)

僧侶(……すごく、いいです……)

女勇者「さ、三人とも……鼻血鼻血」

商人「おや~?どうしたんですかぁー?なーにをそうぞうしているのですかねぇ勇くーん」ニヨニヨ

勇者「もうやめて!!!!許して!!」

遊び人「いい加減やめなさい!!」

戦士「なーなー何の店だよー」

武道家「ご飯屋よ」

戦士「なんだ飯屋かー」

…………
……




ジリジリ……

武道家「……段々と暑くなってきたわね……」

女勇者「本当だね……魔物も段々と見たこと無い種類に変わってきてる」

戦士「まだつかねーの……?」

魔法使い「もうすこしで……つくよぉ……たぶん……」

盗賊「……がんばろ……」

僧侶「ま、魔法使いちゃん、盗賊ちゃん大丈夫ですか?」

遊び人「そっか、魔法使いは黒いマント着てるから熱が……盗賊は黒いタイツだし……」

戦士「脱いだら……つっても、日焼けが……」

武道家「私たちも、露出の対策をしないと……」

ドサッ

勇者「皆、ちょっといいかな?」

戦士「んぇ?どうしたんだ?」

武道家「早く行かないと、二人が……」

勇者「うん、それなんだけど……」

ゴソゴソ

女勇者「?」

バサッ


武道家「!それ……」

勇者「これ、皆羽織っておいてよ」

テクテク……

魔法使い「ぇ?」

盗賊「……?……」

ファサッ…

魔法使い「わわっ?」

盗賊「……ぁっ……」

勇者「あはは、まぁただの白い布なんだけどね」

勇者「これだったら熱を反射してくれるし、日焼けの心配もないだろ?」

魔法使い「ゆ、ゆーしゃ……」

盗賊「……あ、ありがとう……」

勇者「みんな女の子なんだから、日焼けには気をつけないとね」

僧侶「勇者くん……!」

戦士「おぉ!やるじゃん勇者!わたしも暑かったんだよ!ちょうだいっ!」

勇者「はい。戦士の鎧も肌の露出多いからね」

戦士「動きやすさ重視だからなー」イソイソ

女勇者「お義兄ちゃん、私もいいかな?」

勇者「うん。女勇者も、僧侶も、武道家も、遊び人も……はい」

女勇者「ありがとう」

僧侶「ありがとう勇者くん……大事に、しますね」

武道家「あんがと。気が利くじゃない」

遊び人「ありがとー!勇者ちゃん!」

勇者「よし。それじゃいこっか!」

商人「……あの……」

勇者「ん?商人どうしたの?」

商人「…………私も、暑いんですが」

勇者「うん、暑いねー」

商人「…………私も」

勇者「え?」

商人「……私も、白い布が……」

勇者「?白い布があったら便利そうだねー」

商人「…………私にも白い布よこせっつってんですよ!!勇くんのアホ!」

勇者「えー?僕アホだから何言ってるかわかんないなー」

商人「あ……いや、今のは……」

勇者「よこせって言われてもなぁーどーしよっかなー」

商人「うぐぐ……!!さっきの仕返しですか……!!」

勇者「何のことかなぁ」ニヤーリ

商人「ぐぬぬ!!ぐぬぬ――!!」ジダンダ

勇者「ふふふ」

商人「勇くんのくせに!勇くんのくせに生意気です!うえぇ――――ん!!」ビェェ

女勇者「バカやってないで早く行くよ……」

ファサッ…

勇者「あはは、ごめんごめん。ホラ、あげる」

商人「フンです!!勇くんのサディスティッククリーチャー!!」ベー

タッタッタッ…

勇者「クリーチャーは酷いな……」

武道家「……よっ」

バシッ

勇者「あてっ、あ。武道家」

武道家「布、ありがとうね」

勇者「いいんだよ。僕も今朝情報収集してる時に気付いた事だし」

武道家「…………」

勇者「ん?どうしたの?」

武道家「……ううん」

武道家「……そういうところは、変わってないんだな、って思ってさ」

勇者「?」

武道家「…………よし、先を急ぐわよ」

勇者「?うん、そうだね」

…………
……

-アッサラーム-


一同「「「「ついたぁ――――……」」」」グデーン

戦士「なんだ、なんなんだよ……ちょっと暑すぎねぇか」

女勇者「南の方からやたらと熱風が吹いてきてたからね……」

遊び人「きっと南にすぐ砂漠地帯があるんだろうね……風砂もすごかったよ」

武道家「と、取り合えず宿をとりましょ?ほら、二人が……」

女勇者「あー、そうだね……」チラッ

魔法使い「うぅ……たいりょくなくてめんぼくなひ……」グテーン

盗賊「……最初の、消耗が……」グデーン

僧侶「大丈夫ですか?お水、飲む?」

魔法使い「のむぅー……」

女勇者「……まず一番に、宿だね」

勇者「じゃぁ、いつも通り僕が行って来るよ」

女勇者「ああ、頼むよ。で、二人なんだけど……」

勇者「うん。僕が宿で休ませておく」

女勇者「お願いするね」

勇者「それじゃ、二人とも、立てる?」

魔法使い「うん……だいじょぶ……」ヨロリ

盗賊「……みぎにおなじ……」ヨロヨロリ

僧侶「……駄目そうですね」

勇者「そうだね……」

勇者「それじゃ……よっと!」

グイッ

魔法使い「わわぁっ!?」

盗賊・僧侶「「!!!?」」

勇者「よし……ちょっとごめんね」

魔法使い「ゆゆゆゆ、ゆーしゃ!?///」

戦士「あ!それあれだ!あの、あの抱っこだ!」

女勇者「お姫様抱っこね」

武道家「それで運ぶつもり?」

勇者「うん、宿も近いみたいだからね」

遊び人「お、おんぶじゃ駄目なの?」

魔法使い「うううううん!!おんぶじゃなくてこれが楽でいいなっ!もしゆーしゃがいいなら!」

勇者「あはは、こう言ってくれてるし、それに……」

遊び人「それに……?」

勇者「…………」

勇者「いや、なんでもない」

勇者(……おんぶだと)チラッ

魔法使い「……?///」

ボイン

勇者(あ、当たってしまうし……!)

勇者「……っ!」ブンブンブン

勇者(何考えてんだ僕は!!駄目駄目!!)

魔法使い「ゆ、ゆーしゃ……?///」

勇者「ごめんごめん……それじゃいこっか。魔法使い」

魔法使い「う、うん……おねがい、します……///」ギュ

勇者「盗賊はまた迎えに来るから、待っててね」

スタスタ……

盗賊「……っ……」ワクワクグッタリ

僧侶「…………」

僧侶(私も倒れようかな)

女勇者「……さて、私たちはどうしようか」

戦士「アタシらは元気だしなぁ……宿に居るのにも中途半端な時間だし」

遊び人「情報収集も兼ねて町の探索でもしておく?」

商人「それがいいでしょうね。市場もあるみたいですしっ」フンスフンス

武道家「アンタはそれが目的でしょ……」

武道家「……じゃあ、僧侶は盗賊を診ててもらえる?」

僧侶「あ、はい!私はここにいますね!」

武道家「よし、それぞれ探索に向かいますか」

女勇者「だね。それじゃ解散!夕飯までには戻る事!」

一同「「「りょうかーい!!」」」

…………
……

-アッサラーム・宿-


ガチャッ

勇者「すみませーん」

魔法使い(あう……もうついちゃった……)

スタスタ…

店主「はいはい、お泊りかい?」

勇者「はい、人数は……」

店主「おいおい、昼間っからお盛んだねぇ」

勇者「え?」

魔法使い「!!!!!ちょちょちょ、ちょっと、ちがうよっ!!!!///」カァァァァァ

店主「ん?違うのかい?俺はてっきり二人で……ホラ、そんな新婚さんみたいに抱きかかえてるしさ」

魔法使い「しんこっ……!!///」カァァ…

勇者「あはは、いえ違いますよ。そんなんじゃないです。ちょっとこの子が弱っちゃったんで先に宿に連れて来たんですよ」

魔法使い「…………」ムゥ

店主「そうだったのか。すまなかったね。それで、何人?」

勇者「九人なんですけど……空いてますか?」

店主「あぁ、空いているけど……そんなに大所帯なのかね?」

勇者「はい。ちょっと大掛かりな旅なもので……」

店主「そうかそうか……しかし大所帯の客がもう一組泊まっているが、いいかい?」

勇者「はい。それは全然大丈夫です」

店主「ほい、じゃあこれ……部屋の鍵だよ」

勇者「ありがとうございます、早速お借りしますね」

スタスタ…

店主「あ、お嬢ちゃん」

魔法使い「ほぇ?はい?」

店主「まぁそこの兄ちゃんにも言えることだが……仲間の女の子は気を付けておきなよ」

勇者「女の子?」

魔法使い「なんで?」

店主「まぁ……」

店主「…………」キョロキョロ

店主「これはおっきな声で言えないんだがよ」ヒソ……

勇者「……?」

店主「そのもう一つの大所帯っていうのが……」

…………
……


-アッサラーム・大広場-


テクテク……

武道家(……今のところ何もない、か)

武道家「……はぁ……」

武道家「…………」

タッタッタッ……

男の子「ここまでおいでー!」

女の子「まちなさいよー!」

タッタッタッ……

武道家「…………ふふ」

武道家「……元気だなぁ」

武道家「…………」

武道家「……」

武道家(……羨ましいな……)

武道家(あの頃……とか年寄りじみた事は言いたくないけど)

武道家(…………)

武道家(一体、どこから、変わっていっちゃったんだろう……)

武道家(…………一番)

武道家(一番…………恐ろしいのは……)

武道家(一番最初から…………全て、全てが)

ギュッ…

武道家(…………決まっていた事だったら…………)

テクテク…

武道家「……」

武道家(……はぁ……やめやめ。堂々巡りよ……)

武道家(そうだ!何か美味しいものでも一人で食べちゃおうかしら!)

武道家(そうと決まれば、商人と合流して市場の方に……)





キャ――――!!!!



武道家「!!!!?」

武道家「悲鳴……!!?」

武道家(広場の……中央の方から……!)

武道家「っ!!」ダッ!!

タッタッタッ……



…………
……





……
…………



-アッサラーム・大広場・中央-



魔物「おとなしくしてろよ……」

女の子「あ……あ……!」

町人「お、おい!!やめろ!!その子を離せ!!」

魔物「うるせぇ!!黙れ!!このメスガキの脳味噌ブチ撒けんぞ!!!!」

グイッ!

女の子「ひ……ひぃ…………!!!!」

町人「言葉が話せる魔物……!!この前の奴らの残党なんだ……!」

男の子「やめて!!!!女の子ちゃんを放してよ!!」

魔物「るせぇっつってんだろぉが!!!!」

ミシミシッ!!!!

女の子「いやぁっ!!!!あぎっ!!!!ひぎぅ……!!!」

男の子「女の子ちゃん!!!」

町人2「やめろ!!何が望みだ!!」

魔物「ここにあの糞勇者の生首持って来い!!今すぐだ!!」

魔物「あの野郎にやられちまった弟分達の仇だ!!!!さっさと持って来い!!」

町人3「そんな無茶な……!!」

町人4「命の恩人の首なんて……!!」

町人5「ど、どうすればいいんだ!!!!」

魔物「…………無理なのかぁ……?」

ミシミシッ!!

女の子「きゃあぁぁぁぁぁあぁ!!!!!」

男の子「女の子ちゃん!!!!」

魔物「じゃあ仕方ねぇな…………」

魔物「…………まず一匹目だ」

ギリッ!!!!!!

女の子「あg」

男の子「や…………や…………」

男の子「やめてぇ―――――――――ッッ!!!!!!」









「っざけた事してくれてんじゃない」

ヒュンッ!!!!

魔物「え」

町人「…………あ……れ?」

町人6「…………お、女の子が……消えた……?」

町人7「お、おい!!!あそこ!!」

魔物「…………!!!!?」



女の子「ひぐっ……うぇっ!!うえぇぇえん!!!!」

武道家「大丈夫?もう大丈夫だからね……」ナデナデ



魔物「い、何時の間に!!!!?」



町人5「こ、子供が無事だ!!!!」

町人8「あ、あの女がやったのか!!?」

町人9「でもあの一瞬であんな遠くに……?」

男の子「お……」

ダッ

男の子「女の子ちゃぁ――――ん!!!!」

女の子「男の子くん!!!!」ポロポロ

ダキッ

男の子「よかった!!よかったぁ!!」ポロポロ

女の子「うえぇぇえん!!!!」ポロポロ

武道家「…………」

ナデナデ

武道家「よしよし……もう大丈夫だからね……」ニコ…

女の子「ひぐっ……ひぐっ……」ポロポロ

男の子「お、お姉ちゃん……」

武道家「ん……?」

男の子「女の子ちゃんを助けてくれて……ありがとう……!!」

武道家「……」


――――――――――――



『僕が……僕がぁぁ!!!!』

『助け……助けられなかった……!!!!』

『僕がっ、うわああ!!!!うわああああああああ!!!!』



――――――――――――


武道家「…………」

武道家「君は、偉いね」ニコ

スクッ


武道家「……あとは、その子は君が守ってあげて」

女の子「ひぐっ……ひぐっ……!!」ポロポロ

男の子「…………うん!!!」

武道家「うん、いい返事!」

ザッ

武道家「…………さて」


魔物「な、なんだ!!!!てめぇはっ!!!!」

武道家「…………話ができる魔物……ね」

武道家「やり方といい……なんといい……」

魔物「……てめぇまさか、あの糞勇者の仲間とかじゃ……」








武道家「……っざけんじゃないわよこのド腐れ畜生が」




魔物「!!!!!!」ゾゾゾゾゾゾゾゾゾォッ!!!!!

武道家「…………いけないいけない、熱くなるところだったわ」

魔物「…………っ!!?」

魔物(な、なんだ……こいつ……今一瞬……!!!!)

武道家「……まぁ……どうでもいいか」

武道家「…………でも、気に喰わないから」

ザッ

武道家「…………久々に」

武道家「…………“マジ”で……片付けてやるわ」

町人4「……な、なんだ……?」

町人10「あんな遠くから……構えて……」

魔物「……な、なんの真似だぁ……?」

武道家「…………」

武道家「…………三歩」

魔物「…………あ?」

武道家「三歩で十分」


武道家「アンタを片付けるのは、三歩で十分だって言ってんのよ」

魔物「…………!!!!!」

魔物「……舐め腐りやがって……!!」

ジリッ

武道家「1」

魔物「この糞アマが!!!!この街ごと焼き尽くしてやるぜ!!!!」

ジャ…

武道家「2」

魔物「くらいやg」

武道家「3」





ドォン!!!!!!!!!!!!!!!!!

パラパラ……


魔物「?たき起が何……?あ……」

魔物「?れこだ何……」

武道家「……」

魔物「?にこそに間のつい……ぇめて」

魔物「………あっあっあっぁっあっっぁつぁつつあtぅあっああっあぅあつ」


ボドボドボドボドボドボドボドボドボドッ

武道家「……」

魔物「あっァあっあっああっあぁつtぁうtァうあたつあtぁつあtぁtじゅあtl」

武道家「…………」

ビチャビチャビチャ……

武道家「…………」



武道家「内臓、全部ブチ撒けて死ね」



ドシャァッ!!!!

魔物を倒した!!

ワァアァァァァァァァ!!!!!

町人「…………す、すげえ……!!!」

町人6「本当に三歩で……!!」

町人3「何者だあの子!!!!」

?「…………」

武道家「…………」

スタスタ…

男の子「……ひっ……」

女の子「ひぐっ……ひぐっ……」

武道家「……偉いね……ちゃんと守ってあげてたのね」

スッ……

男の子「ひぃっ!!!!」

バシッ!!!

武道家「…………!」

男の子「……あ……ご、ごめんなさい……」

フルフル…

武道家「……」

武道家「……ごめんね……」ニコッ

スクッ

男の子「……あ……」カタカタ……

武道家「…………」

武道家(……そうよね……)

武道家(…………私は、ここまで来ちゃったのよね)

武道家(……もう、もう戻れやしないんだわ)


ウワァァァァァ!!!!


武道家「!!?」

町人2「ま、また魔物だぁあぁ!!!!」

魔物「グルルルルルル……!!!!!」

町人「さっきの奴等の残党だ!まだいやがったんだ!」

町人5「お、お嬢ちゃん!!!!助けてくれ!!!!」

魔物「グルル……!!!」

バッ!!!

魔物「グガァァァァァァッ!!!!」

町人「うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

武道家「…………っ!!!!!」ダッ



?「心配には及びませんよ。お嬢さん」

武道家「!!?」




ザンッ!!!




魔物「ゴギャッ!!!!」

ドシャァッ!!

魔物を倒した!!!!

?「この程度の雑魚、貴女のような方がお手を煩わせる事はないですよ」ニコ

武道家「…………?」

武道家(誰……?この男……)

町人「あ……、……ゆ……」



町人「勇者様!!」



武道家「!!!!」

町人3「勇者様だ!!イシスの勇者様が来て下さったぞ!!!!」

町人4「これでもう安心だ!!!!」

イシス勇者「はい、遅れて申し訳ありませんでした……もう安心です」

ワアァァァァァァァ!!!!!

武道家「…………」

武道家(……この人が……この前言ってた勇者……)

武道家「……」ジー…

イシス勇者「?」

武道家「……」ジー

イシス勇者「ふふっ、どうもはじめまして」

ニコッ

イシス勇者「イシス勇者です」


きゃあああああああああああああああ!!!!


町娘「きゃー!!!!イシス勇者がお笑いになったわ!!!」

町娘2「こっちにも!!こっちにもスマイル下さい!!」

町娘3「バクシーシ!!!愛をバクシーシ!!!!」

武道家「…………」

武道家(なんていうか)

――――――――――――


勇者『見て見てー蝉の抜け殻ー』ニコッ

戦士『捨てろ』


――――――――――――

武道家(えらい違いね)

-宿-

勇者「イシスの勇者!?」

店主「あぁ、イシスの勇者様が泊まってるんだよ」

魔法使い「すごいっ!!じゃああえるかもねっ!ゆーしゃ!」

勇者「そうだね!ちょっと会って色々話してみたいな」

店主「あーでも、女の子には会わせない方がいいんじゃねーかな」

魔法使い「え?」

勇者「さっきも仰ってましたけど……どうしてですか?」

店主「いや、その勇者様がさぁ……」


――――――――――――


イシス勇者「何はともあれ、子供を救っていただいてありがとうございました」

武道家「別に私がムカついてやったことだからお礼なんて言われると困るわよ」

イシス勇者「いえいえ……しかし」

武道家「?」

イシス勇者「……見事な戦いでした。最早戦いではなく舞台の殺陣を見ている気分でしたよ」

武道家「私なんかまだまだよ。お師匠様に今の姿を見られたら怒られるわ」

イシス勇者「その謙虚な姿勢もまた、貴女を相当な手練だという事を表していますよ」

イシス勇者「そして何より…………貴女はとても美しい」

武道家「…………うぇ!!?」

イシス勇者「その凛とした顔立ちにしなやかな体……全てが文句なしに美しい」

武道家「うぅ…………」

武道家(なんだかくすぐったい……褒められるのは馴れてないからなぁ)

イシス勇者「…………そして、殺し様も…………大変美しい」

武道家「え?」

イシス勇者「いえ、こちらの話です」

イシス勇者「とりあえず、僕は貴女の全てが気に入りました」

イシス勇者「…………そこで提案なんですが」

武道家「?」




――――――――――――

店主「……その勇者様が……」

勇者「勇者が…………?」

店主「…………困ったことに……」

ボソッ






店主「女好きなんだよ」

――――――――――――







イシス勇者「僕の愛人になりませんか」




武道家「…………」

武道家「…………」

武道家「…………は?」

今日はおしまいです

>>116
すみません、それぞれキャラの絵を投下するタイミング決めてますです

>>127 
お尻は胸と違いサイズでも魅力が変化するというわけではないので、ご想像にお任せします!(満面の笑み)

>>128
ご想像におまかせします!(満面の笑み)



それと、人気がなくとも僕が始めた事ですし、見て下さってる方や応援して下さってる方々もいらっしゃるので
最後まで絶対に完結はさせようと思います。その間、お付き合いいただければ幸いです。

……スレタイ駄目ですかね(笑)

>>131
うーん、自分は全然OKなんだけど、これ俺なんかでいいのかな?
ただ絵を描くだけでいいならよろこんでやるけど

武道家「…………」

武道家「……聞き間違いかしら……今とんでもない事が聞こえた気が……」

武道家「…………もう一度、お願い」

イシス勇者「愛人になりませんか?」ニコ

武道家「……は」

武道家「はぁぁぁぁぁぁぁ?」

イシス勇者「どうでしょう?」

武道家「どうでしょうも何もないわよ!なんでアンタの愛人にならなくちゃ……」

イシス勇者「愛人……もとい、僕のパーティに加わりませんか?」

武道家「は……?愛人、もとい、パーティ?」

イシス勇者「はい。僕は愛人達と共に旅をしているんです。貴女にもそこに是非加わっていただきたい」

武道家「……!」

武道家「…………」

武道家「…………愛人と旅をするついでに世界救ってるわけ?」

クルッ

イシス勇者「あっ……」

武道家「いいご身分じゃない……。残念ながら、“旅行”するつもりは無いの」

武道家「他を当たってちょうだい」

スタスタ……

イシス勇者「……意思が強い所も気に入りました」

スタスタ……

武道家「…………」

イシス勇者「貴女のような強い力が必要なのです。考えてみてくれませんか?」

武道家「…………着いてこないで」

イシス勇者「そんな事言わないで下さい」

イシス勇者「ではどうです?お給金も出しましょう」

イシス勇者「貴女の良い額を……」

武道家「……っ!!」イラァッ!!

バッ!!

武道家「誰がアンタなんかに……!!!!」ヒュッ!!

イシス勇者「!!!!」

パシッ!!

武道家「!!?」

?「……イシス勇者様に手をあげるとは、何たる無礼」

?「イシス勇者様、切り捨てても良いですか」

武道家「…………」

武道家(この女、全然本気じゃないとはいえ、私のビンタに反応して素手で止めた……!)

イシス勇者「イシス戦士、やめてくれ。この方とは今交渉中……言わば客人だ」

スッ……

イシス戦士「……失礼しました」

武道家「…………」

イシス勇者「私の部下がとんだ失礼を……お詫びします」

武道家「いや、別にいいんだけどさ……何?この人も愛人なの?」

イシス勇者「…………そうです。私のパーティメンバー、イシス戦士です」

イシス戦士「……お見知りおきを」

武道家(いや、もう会いたくないわよ)

武道家「……あ、そう。まぁ何にしろ、私はそんな愛人なんかにはなりませんから」

クルッ

武道家「さよなら」

スタスタ……

イシス勇者「……行ってしまった」

イシス戦士「…………パーティへの誘いを交渉していたのですか」

イシス勇者「あはは、そうだよ。ふられてしまったけどね」

イシス勇者「…………でも」

ニコ…

イシス勇者「まだ僕は諦めないさ」

イシス戦士「…………」

…………
……

――――――――――――

-宿・ロビー-

ズズ……

勇者「……はぁ」

勇者「やっぱり暑いから喉が渇くなぁ……お茶美味しい」

僧侶「そうですね♪」

僧侶(勇者くんと二人でティータイム……ふふ♪)

スタスタ……

戦士「なーなー勇者ー」

勇者「あれ、戦士。帰ってたんだね」

僧侶(あ……束の間でした)

僧侶「戦士ちゃん、おかえりなさい」

戦士「おう、ただいま!」

戦士「でさー勇者?」

勇者「ん?」ズズ…

戦士「いかがわしい店行こうぜ!」

勇者「バフォォオッッッッ!!!!!!」ブフゥゥッッッ!!!!

僧侶「けほっ!!けほっ!!」

戦士「うわっ、汚っ!!!!」ビクッ

勇者「ごほっ、かはっ……い、いきなり何なんだよ!!!!」

戦士「え?アタシ変な事言ったか?」

僧侶「すっごく変な事言いました!!」

勇者「なんでいきなりいかがわしい店なんだよ!!行くわけないだろ!!///」

戦士「えー、だってお腹減ったもの」

勇者「どういう事だよ!!!!」

ガチャッ

武道家「……ただいまー……」

勇者「あ、武道家。おかえり」

僧侶「武道家ちゃん、おかえりなさい」

戦士「なぁ聴いてくれよー!二人がさー!」

武道家「……ちょっと後にしてー……なんだかどっと疲れた……」ヘロヘロ

戦士「おぉ?なんだ、珍しいな?武道家がヘロヘロになってるなんて」

勇者「何かあったの?」

武道家「…………」

勇者「…………武道家?」ポヘッ

武道家(……やっぱりなんか安心するわ。この間抜け面)

武道家「……ふふ、ううん。ちょっとね」

勇者「あまり無理しちゃ駄目だよ?」

武道家「わかってるわよ。大丈夫」

武道家「ちょっと変な奴に会っちゃってね。疲れただけ」

僧侶「変な奴?」

武道家「そ。っていうか、この前言ってた……」

ガチャッ

イシス勇者「店主さん、ただいま戻りました」

店主「おお、お帰りなさい!」

武道家「!!!!」

戦士「お?他にも客いたのか」

勇者「あ……!あの人達がもしかして……」

イシス勇者「…………ん?」

イシス勇者「……あぁ!!貴女もここの宿だったのですか!」

武道家「…………最悪だわ」

スタスタ

イシス勇者「いやぁ、奇遇ですね」

戦士「へ?武道家知り合い?」

武道家「……さっき少し話しただけよ」

イシス勇者「こちらは貴女のお仲間の方々ですか?」

武道家「そうよ……もう話しかけないで」

僧侶(武道家ちゃん凄く不機嫌……)

イシス勇者「まぁ、そう言わずに」

戦士「なぁ、なんだコイツら?」

イシス戦士「……イシス勇者様にコイツとは何事ですか」

戦士「えっ?」

イシス勇者「こら、イシス戦士。さっきも言ったじゃないか」

イシス戦士「……申し訳ありません」

イシス勇者「失礼しました……どうも、紹介が遅れました」

ペコリ

イシス勇者「イシス勇者です。以後お見知りおきを」

戦士「!!アンタがこの前言ってた勇者か!」

イシス勇者「そのこの前、というのが何かが存じませんが、恐らくそうでしょうね」

勇者「……貴方が……」

ガタッ

勇者「どうも、こちらも紹介が遅れました」

勇者「アリアハンから来ましたアリアハンの勇者です」

イシス勇者「!!」

イシス勇者「おぉ、アリアハンの……ではあなた方が……」

タッタッタッ……

?「イシス勇者様ー!!!!」

ダキッ

イシス勇者「うわっ……こらこら。いきなり飛びついては駄目だよ。イシス僧侶」

イシス僧侶「だってぇー!寂しかったんだもーん!」

ギュウゥ

イシス勇者「あはは、困ったさんめっ」ツン

イシス僧侶「やーん♪」

キャッキャッ

戦士「お、おぉお……?いきなりイチャつき始めたぞ……?」

武道家「…………はぁぁぁぁ……」

勇者(……店主さんの言ってた事、本当だったんだなぁ……)

イシス僧侶「ねぇ、私おなかぺこぺこ……あれ?こちらの方々は?」

イシス勇者「こちらの方々は……そうですね」

イシス勇者「どうです?皆さん。お食事でもご一緒にいかがですか?」

武道家「!!!?」

勇者「え?」

イシス勇者「そこで旅の話など、色々な情報を交換しませんか?」

戦士「おお!いいじゃねーか。勇者!私もちょうどお腹空いてたんだよ!」

僧侶「そうですね。情報を共有するというのも良い事じゃないですか」

勇者「だね。それじゃぁ……」

ダン!!

武道家「冗っっ談!!!!私は嫌よ!!」

戦士「え?」

僧侶「武道家ちゃん?」

勇者「武道家?どうしたのさ」

武道家「だって……!」

武道家(どうせまたふざけた事ぬかされるに決まってる……!)

イシス勇者「まぁ、そう言わずに……僕達の話し相手になって下さいよ」

勇者「はい!よろこんでご一緒させて貰います」

武道家「ゆ、勇者ぁ!!」

勇者「何があったか分からないけど、抑えてよ武道家」

勇者「ただでさえ情報が少ない今なんだから……これは凄くいい機会だよ?」

武道家「うぅぅ……」

イシス勇者「……決まりのようですね」フフ

ガタッ

イシス勇者「では、行きましょうか」

戦士「いかがわしい店なー」

イシス勇者「えっ」

勇者「戦士は黙ってなさい!!!!」

戦士「え?いかがわしい店行かないの?」

勇者「戦士ったら!!!!」

イシス勇者「え……え?」

僧侶「お気になさらずにお願いします……」

…………
……


――――――――――――

-宿・レストラン-

イシス勇者「では、改めて自己紹介をさせていただきますね」

イシス勇者「まず右から……イシス戦士です」

イシス戦士「……」ペコリ

イシス勇者「そして、イシス僧侶」

イシス僧侶「やほやほー♪」

イシス勇者「次にイシス魔法使い」

イシス魔法使い「あら……よろしくお願いしますわ」

イシス勇者「そして一番最後に僕、イシス勇者です」

ニコッ

イシス勇者「どうぞ、よろしくお願いしますね」

商人「ほわぁー……とんだ美形のイケメンさんですねこりゃ」

遊び人「そうだねぇ。それに比べ、うちのへなちょこさんは……」ニヒヒ

勇者「わかってる……わかってるから何も言わないで……」

女勇者「それじゃ、私たちも自己紹介しなきゃだね。お義兄ちゃん」

勇者「そうだね。えっと、ではこちらは――――……」

…………
……


……
………
…………

イシス勇者「なんと、オルテガ殿のご子息とご息女なのですか」

女勇者「うん、そうだね。名前負けしないように頑張るので精一杯ですよ」

イシス勇者「いえいえ、先ほどから聴く話では貴女も相当な手練のようだ。流石と言わざるをえないですね」

女勇者「そう言って頂けると有難いね」

魔法使い「でも、あれだねぇ。店主さんはおおじょたいっていってたのに、いしすさんたちはそんなにおおじょたいじゃないねぇ」

イシス勇者「あ、それは恐らく家政婦や側近の方々も含めたからでしょうね」

盗賊「……家政婦?……」

商人「……側近?」

戦士「なんだ?アンタそんなの居るの?」

イシス勇者「はい。今回は少し戻ってきただけなので、アッサラームのこの宿を拠点にしていますが」

イシス勇者「実家はイシスの方ですからね。従者達が心配して様子を見に来てしまうのです」

遊び人「……従者?」

イシス勇者「はい。何か?」

イシス戦士「……イシス勇者様、失礼ですが、恐らく彼女達は貴方様のご身分をお知りになっていないかと」

イシス勇者「あぁ、そうか」

イシス僧侶「ふふふ、皆さん聞いて驚いちゃ駄目だよ!」

イシス僧侶「イシス勇者様はなんと!」

バッ

イシス僧侶「勇者でありながら、イシスの王子様でもあられるのよ!」

一同「「「「!!!!!!?」」」」

戦士「王子!?あんた本物の王子なのか!?」

イシス勇者「ははは、お恥ずかしながら」

商人「凄いですねー……本物って感じです」チラッ

勇者「なぜ僕を見る……」

武道家「…………本物のボンボンってわけね……」ムスー

女勇者「ちょっと、武道家ちゃんどうしたんだい」

武道家「…………別に」

遊び人「はー……凄いなぁ」

遊び人「…………あれ?」

イシス勇者「?どうかされましたか?」

遊び人「あ、ううん。何でもないの」

遊び人(……うーん……)

遊び人(…………深くは詮索しないほうがいいのかな)

イシス勇者「しかし、流石武道家さんのお仲間とあって……皆さん、美しいですね」

女勇者「えっ!?」

魔法使い「あらやだ!ほめられちゃったよう」

イシス勇者「きっと皆さんお強いのでしょうね……武道家さんと同じく、強くて美しい方々なのでしょう」

戦士「やめろよー。おべっかは嫌いだな。私は」

イシス勇者「いえいえ、おべっかではありませんよ」

イシス勇者「…………そこで、どうです?皆さん」

武道家「……!!」

イシス勇者「僕の愛人……もとい、僕のパーティに加わりませんか?」

一同「「「「…………」」」」

一同「「「「…………はい?」」」」

遊び人「え……愛人……パーティ?どういう事?」

イシス勇者「ここにいる三人は僕のパーティメンバーであり、愛人です」

イシス勇者「そこにあなた方を加えたいと思っているのです」

戦士「あははは!面白い奴だなお前!」

イシス勇者「いえいえ、僕は本気ですよ」

イシス勇者「武道家さんのお仲間であるなら、皆さんきっとお強いのでしょう」

イシス勇者「それに加え、あなた方は全員美しい……一緒に旅をする資格は十分です」

イシス勇者「是非、僕はあなた方と旅をしたいのです…………どうでしょう?」

僧侶「…………えーと」

商人「あはは、勇くん。女顔とはいえ、愛人として誘われてますよ」

勇者「…………」

イシス勇者「…………できれば御一考下さい」ニコッ

ガタッ

武道家「……アンタいい加減にしなさいよ!」

女勇者「ぶ、武道家ちゃん?落ち着いて!」

ガタッ

イシス戦士「…………」

イシス勇者「イシス戦士。座って……落ち着くんだ」

イシス戦士「……しかし」

イシス勇者「いきなり交渉を持ちかけて気分を損ねさせてしまったのは僕の方だ」

イシス戦士「…………はい」

カタ……

武道家「…………気分悪い」

スタスタ……

女勇者「武道家ちゃん!」

盗賊「……武道家!……」

武道家「部屋に帰って寝るわ。おやすみ」

スタスタ……

戦士「どうしちゃったんだアイツ……」

魔法使い「…………ねぇ、いしすゆーしゃさん」

イシス勇者「はい、どうしましたか?」

魔法使い「さっきのって、ほんきなのかな?」

イシス勇者「……はい。何一つ嘘は言っておりません」

イシス勇者「いかがでしょうか?共に魔王を倒す旅に出ませんか?」

魔法使い「ごめんっ!むりです!」ズバッ

イシス勇者「……即答ですね」

僧侶「それが本気の提案なら、丁重にお断りさせていただきます」

戦士「あぁ……難しい事はわかんねーけどさ」

商人「こっちはもう今のままで十分なんですよ」チラッ

勇者「…………?」

商人「…………手の掛かるアホもいる事ですしね」

盗賊「……だから、ごめんなさい……」

イシス勇者「…………そうですか」

ガタッ

女勇者「とりあえず、私たちはお暇させていただくよ」

戦士「なんかごめんなー?うちの武道家がさー」

イシス勇者「いえいえ、こちらこそ空気を読まずに発言して申し訳ありませんでした」

イシス勇者「このお詫びはなんらかの形でかえさせていただきたい」

魔法使い「あはは、そうおきになさらずだよっ」

僧侶「それでは、おやすみなさい」

イシス勇者「はい、今日はありがとうございました」

ゾロゾロ…

イシス勇者「あ、すみません」

女勇者「へ?どうかしたのかな?」

イシス勇者「……勇者君は残っていただいてよろしいでしょうか?」

勇者「…………僕?」

イシス勇者「はい。少しお話したいことが」ニコ

勇者「うん、わかりました」

勇者「それじゃ、皆先に帰ってて」

女勇者「了解。あまり夜更かしはするんじゃないよ?」

魔法使い「ゆーしゃ、おやすみ」

僧侶「勇者くん、おやすみなさい」

ゾロゾロ…

イシス勇者「さて、と」

勇者「どうかしたの?何か……」

イシス勇者「場所を変えましょう」

勇者「え?」

イシス勇者「どこか、広い所に行きましょうか」

勇者「…………?」

…………
……







……
…………

-アッサラーム・町外れ・荒野-

スタスタ……

ヒュウウウ…

イシス勇者「……」

勇者「うぅ……」

勇者(砂漠が近いからか、夜はやっぱり冷えるんだなぁ……)

スタスタ……

ピタ…

イシス勇者「さて……ここら辺りでいいでしょう」

勇者「……こんなところで、何を……」


ジャキン


勇者「!!!?」

イシス勇者「……勇者君。剣を抜いてください」

イシス勇者「あなたの実力が見たい……貴方が、あの人達を連れるに相応しい者かどうか、確かめたい」

チャ……

イシス勇者「……さぁ」

勇者「…………!!」

イシス勇者「安心して下さい。命のやり取りは無しです」

イシス勇者「ただ……殺せるものなら殺して良いですよ」

勇者「な、何を……なんでこんな」

イシス勇者「……こちらからいきます」

ヒュン!!

勇者「!!!!」

ガキィッ!!!!

勇者「……っ!!」

ザァッ!!

イシス勇者「おや、受け止めるだけで精一杯といった感じですね」

イシス勇者「……さぁ、本格的に始めましょうか」

勇者「…………っ!」

…………
……


ドサァッ

勇者「…………か……はっ……!!」

イシス勇者「…………」

ジャキン

イシス勇者「……弱い、弱すぎます」

勇者「…………く……参ったよ」

イシス勇者「貴方、今のが本気なんですか?……なぜ、あの方々は君なんかと」

勇者「……あはは、腐れ縁……て奴だよ」

イシス勇者「…………立てますか」

スッ

勇者「……ありがとう」

スクッ

イシス勇者「……勇者君」

勇者「……何?」

イシス勇者「……旅をやめたらどうです?」

勇者「……!!!!」

イシス勇者「正直、貴方は弱すぎる。あの方々の足手まといになっているのではないですか?」

勇者「…………」

イシス勇者「だから、あの方々は私に任せて…………」



イシス勇者「……っ!!!?」ゾゾゾゾゾゾォッ

イシス勇者(なんだこの……嫌な寒気は……!)

バッ

イシス勇者「…………!!?」







武道家「…………」







勇者「あ、武道家」

イシス勇者「…………!!」ドクン ドクン

武道家「…………」

スタスタ……

勇者「どうしたの?こんな所で」

武道家「もう、それはこっちのセリフよ」

武道家「皆帰ってきたのに勇者だけいないからまさか……とは思ったけど」

勇者「あはは、昨日と同じだね」

武道家「…………はぁ……もう、帰るわよ」

グイッ

勇者「わわっ」

イシス勇者「…………」ドクン ドクン

武道家「…………」

ピタッ

武道家「……イシス勇者」

イシス勇者「…………はい、何でしょう」

武道家「今度、勇者に……いえ、仲間達に何かしてみなさい」

武道家「殺すわ」

スタスタ……

勇者「え?あ、あの、武道家?」

イシス勇者「…………肝に銘じておきましょう」

スタスタ…

勇者「…………」

勇者「……イシス勇者君」

イシス勇者「…………?」

勇者「…………君」

勇者「君、もしかしなくとも僕の事嫌い?」

イシス勇者「…………」

ニコッ

イシス勇者「はい。男は基本的に大嫌いです」

勇者「……そっか」アハハ

武道家「ホラ!バカ言ってないで行くわよ!」

勇者「ま、待ってよ!」

スタスタ……

イシス勇者「…………」

イシス勇者(……あの目、本当に僕を殺すつもりだった……)

イシス勇者(武道家さん…………貴女は一体……)

…………
……

-宿-

ガチャッ

勇者「あいたたた……」

武道家「ちょっと大丈夫?」

勇者「うん、少し最後に転んだ時に頭打っちゃって……」

武道家「はぁ……ちゃんと風呂に入りなさいよ?」

勇者「あはは、うん。武道家もね」

武道家「昨日のやり取りはもういいっつの!!ホラ!部屋に行きなさい!おやすみ!」

勇者「うん、おやすみ」

武道家「……全く」

スタスタ……

勇者「…………」

勇者「……」

テクテク……

勇者「……」

――――――――――――


イシス勇者『足手まといになっているのではないですか?』


――――――――――――

勇者「…………」

-宿・勇者の部屋-

ガチャッ

勇者「…………」

ボフッ

勇者「…………足手まとい……か」

ゴロ……

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「本当、その通りだよ……」

勇者「…………」

ムクッ

勇者「……」

勇者「風呂、入ろう」

ゴソゴソ……

…………
……

-宿・ロビー-

スタスタ…

店主「おや、こんばんわ」

勇者「どうも」ペコ

店主「どうしたんだい?」

勇者「いえ……すみません、お風呂ってどこですか?」

店主「あっちだよ」

勇者「ありがとうございます」

スタスタ…

店主「?なんだ?元気なかったな……」

店主「…………まぁいいや」

店主「…………」

店主「あ」

店主「やべ……言うの忘れてた」

…………
……

-大浴場・脱衣所-

ガラ……

勇者「……ここか」

ヌギヌギ

勇者「……」

勇者「……」

勇者「はぁぁぁ……」

勇者(……駄目だ駄目だ。落ち込みすぎだぞ僕)

勇者(そうだよ。僕がもっと努力すればいい話なんだから)

勇者「……」

パサッ

勇者「……っうし!」

勇者(風呂に浸かってもやもやを洗い流すぞ!!)

勇者(落ち込んでたから気付かなかったけど、ここすっごく広くて綺麗じゃないか)

ザパーン

勇者「……他の客もいるのか」

勇者(まぁ、貸切ってわけにはいかないけど、それでもいいや!)

スタスタ…

ガラッ

勇者(よし、まずは体を洗って……)

戦士「え」

勇者「う?」

戦士「…………」

魔法使い「…………」

女勇者「…………」

遊び人「…………」

商人「…………」

僧侶「…………」




勇者「…………???」



戦士「……や」

サッ

ペタン

戦士「やぁぁっ……///」

僧侶「きゃあああああああああ!!!!///」

魔法使い「ゆ、ゆゆ、ゆーしゃ!!!?///」

女勇者「何で入って来ちゃってるんだいお義兄ちゃん!!!!!///」

商人「ゆゆ、勇くんのばかっ、ばか!!!!///」


勇者「ええええええええええええええええ!!!!!!?なんでなんで!!!!?///」

遊び人「いやっ、スケベ!!スケベぇっ!!///」

戦士「み、みるなよぉ……!!みないでよぉ……!!///」ギュッ

勇者「だだ、大丈夫!!目は閉じてるから!!!!」ギュウウッ

魔法使い「ゆ、ゆーしゃ、あのっ、その///」

僧侶「勇者くんも、そのえの、うぅ!!!///」

勇者「え?」

女勇者「お義兄ちゃんも隠しなさいよ!!!!!!!!///」

勇者「…………え?」

チーン

勇者「う、うわああああああああ!!!!!」ガバッ

商人「ってかむこう向いて下さいよ!!!!」

勇者「ははははは、はい!!!向きます!!!」クルッ!!

女勇者「ってか」

一同「「「出てってー!!!!!!!」」」

勇者「はい!!出て行きます!!!!」ビクゥ

-脱衣所-

ヌギヌギ

武道家「もう、待ってくれなくても先に入っててよかったのに」

盗賊「……いいの。武道家、元気なかったみたいだったし……」

武道家「……心配かけてごめんね」

武道家「もう、もう大丈夫だから」

盗賊「……そ。よかった……」

武道家「でも、混浴なのに入るのは怖いわね……」

盗賊「……大丈夫だよ。お客さんはイシスさんの所と、私たちしかいないみたいだし……」

盗賊「……イシスさん達は、まだ戻ってないらしいし……」

盗賊「……勇者も、表に〔混浴〕って書いてある看板見たら、入ってこないよ……」

武道家「うーん、そうかしら」

パサッ

スタスタ…

武道家「勇者の事だから看板に気付かずに入ってたりしそうね」アハハ

盗賊「……流石の勇者も、そこまでおばかさんじゃ……」

ガラッ

勇者「……出口出口…」ウロウロ

武道家「……」

盗賊「……」

勇者「出口は、えっと……」

ペタッ

武道家「……」

勇者「あれ?」

ペタッ ペタッ

勇者「……壁?」

武道家「……」

勇者「こんなところに壁なんて」

パチッ

勇者「…………?」

武道家「……」

勇者「……………………!」

武道家「……」

勇者「………………………………!!!!!!!!!」

武道家「……」













勇者「ゆるしてくd」

武道家「覇ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」

勇者「アオッ」滅ッ

今日はおしまいです

このアッサラームの混浴設定が本当にあるのがドラクエの怖いところだよね

いまはまだ何とも言えませんが、僕はNTRよりおっぱいが好きです。

あーこれイシスが男装ってオチだな……

>>249を過剰に叩く→悪くなった空気を良くしようと何名かが駄レス→雑談嫌いが厨だの何だの言い始める→空気を良くしようと………
っていう無限ループに陥った、と解説してみる。

どっちにしろ、「黙って待て」って台詞は使っちゃ駄目だろ
書き込んでる時点で、自分も黙ってないんだから
せめて「雑談でスレ潰すな、減速しろ」くらいに留めておくべき

自分は黙らないけど、人には「黙れ」なんて言う人間の書き込みに説得力なんかあるはずがない。
それくらいの事がなんで理解できないのか…………

まあ、発言してるのが荒しや煽りならまだいいんだが、それこそ自治厨の可能性も否めないから結局泥沼なんだよなー(笑。

うおお、荒れとる

今回も短いですが久々の投下いきますー

-宿・勇者の部屋-


勇者「……」

勇者「う…………ぇ」

勇者「…………ん……?」

盗賊「……あ、気が付いた……」

僧侶「よかったぁ……」ホッ

武道家「だ、大丈夫?勇者」

勇者「…………皆……?」

ムク……

勇者「あれ…………?僕は……確か……」

勇者「…………あれぇ……?何してたんだっけ……?」

魔法使い「あ、あのね!ゆーしゃ、おふろでころんできをうしなってたんだって!」アセアセ

勇者「転んで……?……確かに、なんか……凄く、全身がこう…………痛つつつ……!」ズキズキ

武道家「だ、大丈夫?まだ痛む?」

勇者「ううん……大丈夫だよ…………でも、なんだろう……」

勇者「何か……何か思い出せそうな気が…………」

盗・魔・僧・武「「「「気のせいです!!!!」」」」

勇者「……そうかな…………痛づづづづ……」ズキズキ

魔法使い「きょ、きょうのところはもうおやすみしよ?ね?」

勇者「……うん…………ごめん……」

バタン


スタスタ……

僧侶「はぁ……色々と疲れました……」

武道家「ごめんね……」

魔法使い「ううんっ!武道家はわるくないよっ」

武道家「いや、女湯だったらまだしも、混浴に入ってきた男に正拳突きをかますのはちょっと冷静じゃなかったわ」

僧侶「いえ、あれは誰でも冷静を欠きますよ……」

盗賊「……勇者も、大丈夫だったんだから……」

盗賊「……でも、裸を見られた事、忘れてて良かったね……」

魔法使い「うん…………で、でも……///」

僧侶「…………///」

盗賊「……み、見ちゃったね……///」

武道家「忘れなさい!!!!忘れるのよ!!!!///」

魔法使い「む、むずかしいよぅ……とらうまものだよ……///」ウゥゥ

僧侶「…………っ……(ゆ、勇者くんのっ……)///」カァァァァァ

盗賊「……ち、小さい頃とは……やっぱり違うんだね……///」カァァァ

武道家「か、変わってしまうのは当たり前でしょ!!!!もうこの話題やめやめ!!!!///」

テクテク……

武道家「……変わっていくっていえばさぁ」

魔法使い「へっ?な、なになに?///」

武道家「……」

ピタ……

武道家「……アンタたち」

武道家「最近勇者と何かあった?」

ピタ……

魔法使い「…………え……?」

盗賊「…………」

僧侶「な……何かって?」

武道家「……ううん、ちょっとね」

武道家「アンタたち……なんだか最近変わった?」

盗賊「…………」

僧侶「…………」

魔法使い「…………」

武道家「…………」

武道家「…………なんとなく、そんな気がしたからさ」

魔法使い「…………」

武道家「…………」

魔法使い「…………ううん」

武道家「!」

魔法使い「……だいじょうぶだよ」

魔法使い「……なにもかわってない……うん」

ニコ

魔法使い「わたしたちは、なにもかわってないよ」エヘヘ

武道家「…………魔法使い……」

僧侶「……ふふ、そうですね」

盗賊「……うん、何も、変わってはいないよ……」

武道家「…………」

武道家「……そっか」

武道家「そうよね。ごめん、変な事聴いちゃって」

魔法使い「ううん。それよりもはやくみんなのとこいこっ!」

僧侶「戦士ちゃん泣き止みましたかね……」アハハ

盗賊「……さっきまで、ずっと泣いてたからね……」

スタスタ……

武道家「…………」

武道家「…………(そうよね)」

武道家(……皆が、皆が変わっているわけじゃない……)

武道家(…………それだけでも……いいじゃない……)

武道家(…………なんなのよ……)

スタスタ

…………
……


-アッサラーム・夜の街-



「ありがとーっ!また来てねーっ!」

イシス勇者「あぁ、また来るよ」ニコ

イシス僧侶「じゃぁねぇ!うひひぃ」ヒック

イシス戦士「……イシス僧侶、貴女が酔い潰れてどうするのです」

イシス魔法使い「そうよぉ。まだ情報収集の途中よ」

ペシペシ

イシス僧侶「あひぃ」

イシス勇者「はは……イシス僧侶もこの通りだし、情報収集はこれくらいにしようか」

イシス戦士「そうしましょうか」

イシス魔法使い「そうね……あまり収穫は無かったけど」

イシス勇者「そういう日もあるさ」

スタスタ……

女「ねーぇ」

イシス勇者「?」

ピタ

女「おにーさーん、今ひまぁ?」

イシス勇者「?どうされました?美しいお嬢さん」

女「あらやだ!口がお上手なのね」

イシス勇者「いえいえ、本当の事です」

女「おにーさんもすっごくかっこいいわよぉ」

イシス勇者「ありがとうございます」ニコ

イシス勇者「そして、何か用でしょうか」

女「ねぇ、暇ならアタシと遊ばない?」

イシス勇者「……」

女「私すっごくいいのよぉ……ねぇ……お安くしておくわよぉ?」

イシス戦士「……」

イシス魔法使い「……」

イシス僧侶「およよぉ」ポエ

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……申し訳ありませんが、今日はやめておきますよ」

女「えぇ?なんでえ?」

イシス勇者「気分では無いのです。すみませんね」

ザッ

イシス勇者「それでは」ニコ

女「ちょっとぉ!女を連れてそのセリフは無いわよぉ!」

イシス勇者「…………皆、行こう」

スタスタ

女「……おにーさんもしかして不能ー?私を抱かないなんてぇ」

ザッ

イシス戦士「……っ!」

イシス勇者「イシス戦士!!……やめなさい」

イシス戦士「…………」

女「…………」

スタスタ……

イシス勇者「……」

女「…………ちっ」

女「くっそ不細工な売女のアバズレ三人連れて……しけてるわね」

イシス勇者「……」ピクッ

クルッ

イシス勇者「……お嬢さん」

女「あら、今頃抱く気に……」

女「!」

ジャキッ

イシス勇者「…………今なんて言いました?」

女「ちょ、ちょっと!!じょ、冗談よ!」

イシス戦士「イシス勇者様!!」

イシス魔法使い「イシス勇者様!抑えなさい!」

イシス勇者「この人達は」

イシス勇者「この人達は僕の……!!」

ギュッ

イシス僧侶「……イシス勇者様」

イシス勇者「…………」

イシス僧侶「だめだよ……駄目」

イシス僧侶「いい子だから……ね?」

イシス勇者「……」

ジャキッ

イシス勇者「…………すまない、行こう」

イシス戦士「……はい」

イシス魔法使い「……」

イシス僧侶「うん!行こぉぜ!どこまでも!」ヘヘッ

イシス魔法使い「まだ酔ってはいるのね……」

スタスタ…

女「…………」

ペタン

女「…………な、なんなの……?」

…………
……


-宿・食堂- 翌日


勇者「おはよっ!!」ニコー

戦士「だぁっ!!!!///」バッチーン!!!

勇者「マイブラッ!!!!」

ドッシャァ!!!

戦士「……ハァ……ハァ///」

勇者「せ、戦士…………?僕何か……」

戦士「う、うるせー!うるせーうるせー!!!!///」カァァァ

戦士「う」

タッタッタッ

戦士「うわぁーん!!!///」

勇者「せ、戦士!!?」ダッ

女勇者「追っちゃ駄目だよお義兄ちゃん!」

遊び人「ああいうお年頃なの!」

商人「しばらく放っておけば元通りになりますよ」

勇者「そ、そうなの?」

カチャ……

女勇者「さて、これからだね……どうしようか」

武道家「滞在するの?」

勇者「いや、もうイシスに行ってしまおう。そっちのほうが情報も収集しやすいと思うし」

商人「まぁ、この街より色々な情報が得られるでしょうね」

僧侶「ではもう、今日発つんですか?」

勇者「そうだね。そうしようと思うよ」

魔法使い「まほーのかぎ、みつかるといいねぇ」

盗賊「……ね……」

武道家「そうと決まれば今すぐに支度してさっさと行きましょ。さっさと」

勇者「?何をそんなに急いでるの?」

武道家「…………アンタねぇ……」

武道家「……アイツに会いたくないのよ。察しなさいよ」

勇者「アイツ?」

武道家「アイツよ。あの――――……」

スタスタ

イシス勇者「やぁやぁ、皆さんお揃いで」

勇者「あ、イシス勇者くん」

武道家「…………はぁぁぁぁぁ…………」ガックリ

イシス勇者「お揃いで、どうかされたんですか?」

女勇者「今後の予定を朝食がてら話し合っていたところさ」

武道家「そういうわけよ。早く消えなさい」

僧侶「もー、武道家ちゃん駄目ですよ!そんなに悪態ついたら」

イシス勇者「ふふふ、いいのですよ」

イシス勇者「それで、今後はどういう予定なんですか?」

勇者「これからイシスに行こうと思うんだ」

イシス勇者「おや、そうなんですか」

商人「そーなんです。知りたい事があるんですよ」

イシス勇者「……ふむ」

武道家「…………もういいでしょ。早くどっか……」

イシス勇者「分かりました。招待しましょう」

武道家「…………は?」

女勇者「え?招待!?」

勇者「あ、そうか!君、イシスの王子様なんだっけ」

イシス勇者「はい。ちょうど僕達もイシスに少し顔を出す予定だったのですよ」

僧侶「それじゃ、案内もお願いできますか?」

イシス勇者「喜んで。到着した後はお城へ招待し、もてなしましょう」

商人「うおお!セレブリティです!」

遊び人「でも、悪いよそんな」

イシス勇者「いいんですよ。僕が気に入った貴女方なら、喜んで姉も受け入れるでしょう」

女勇者「姉?お姉さんがいるのかい?」

イシス勇者「はい、あれ?ご存知ないですか?」

魔法使い「わたしたち、このあたりははじめてきたからねぇ」

イシス勇者「そうですか……実はですね」

ザッ

イシス僧侶「それについては、私が説明したげましょーっ!」パンパカパン

イシス勇者「イシス僧侶?二日酔いは大丈夫?」

イシス僧侶「死にそう!!」ゲッソォ

イシス勇者「無理は駄目だよ……」

イシス僧侶「大丈夫!最後の力を振り絞って女王様の素晴らしさを皆さんに!是非皆さんに!」キラキラ

女勇者「ぜ、是非頼むよ」

イシス僧侶「では……」コホン

イシス僧侶「イシスには数々の名物がございます!」

盗賊「……名物?……」

イシス僧侶「はい!まずはオアシス!」

イシス僧侶「砂漠の中、雄として沸き続けるそのオアシスは、イシスの歴史そのもの!」

イシス僧侶「オアシスがあってこそ、私たちイシスは発展を遂げたのです!」

イシス僧侶「そのオアシスの美しさたるや!!まるでコガネムシ!!」テーン

イシス勇者「その例えはどうだろう……」

イシス僧侶「そして次に、娯楽の多い城下町!!」

イシス僧侶「モンスター闘技場をはじめとした様々な娯楽が揃っています!!」

イシス僧侶「いや、まぁアッサラームの方が娯楽は多いんですが!!」

女勇者(この子はひょっとしてアホなのかな?)

イシス僧侶「そして次は、城の北方にずんと腰を据えている……」

イシス僧侶「かの有名な、ピラミッド!!!!」

一同「「「「……っ」」」」ビクッ

イシス僧侶「…………どうかしました?」

女勇者「……つ、続けて」

イシス僧侶「……?はい」

イシス僧侶「さて、そのピラミッドの魅力は、まず大きさ!!」

イシス僧侶「前王……と言っても凄い古代の先祖ですが、ファラオ様という方のために作られたというお墓!」

イシス僧侶「そのファラオ様の国民の支持力を顕現しているかのようなその壮大っぷり!」

イシス僧侶「えっと、…………とにかくでっかいよ!!」ムフー

遊び人「う、うん。よく分かったよ」

イシス僧侶「はい!そしてピラミッドの魅力その2!お化け!」

一同「「「「それはとばして!!!」」」」

イシス僧侶「うおおう!?」ビクッ

勇者「…………ごめんなさい、とばしてあげて」

イシス僧侶「えー、怖くて面白いのにー」ブー

女勇者「その怖いのが問題なんだよ!次!もっと楽しいイシスの魅力!」

イシス僧侶「えっと、そうですね。では最後の魅力!!先ほどの話の本筋!」

イシス僧侶「イシスに訪れる大多数の人々が訪れる理由のその要!」

イシス僧侶「誰もが見た瞬間に心奪われ、跪く!」

イシス僧侶「立てばプリティ座ればセクシー、歩く姿はビューティフル!!」

イシス僧侶「…………それが、イシス最高権力者にしてこのイシス勇者様の姉君!」

ババーン!!


イシス僧侶「イシス女王様なのです!!」

女勇者「え?女王様?」

魔法使い「じょおうさまがさいこうけんりょくしゃ?」

遊び人「王様じゃなくて?」

イシス勇者「父は少し前に亡くなってしまいましてね」

遊び人「あ、そうなんだ……ごめんなさい」

イシス勇者「いえいえ。それで、僕は勇者の任がありますので、姉が国の舵を握る事になったのです」

勇者「そうだったんだ……知らなかった」

イシス勇者「まぁ無理もないですよ。貴方達は遠いところに住んでいたのですから」

商人「しかしそんなに綺麗な人なんですか」

イシス僧侶「はい!それはもう!」

女勇者「お義兄ちゃん、謁見の時鼻の下伸ばさないでね?」

勇者「あはは、善処するよ」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

盗賊「…………」

勇者「?どうしたの?」

魔法使い「……べつにっ」

勇者「?」

武道家「…………」

イシス勇者「で、その姉なんですが、国の任で縛り付けられている状態なんです」

イシス勇者「だから僕がたまにこうして帰っては旅の話を姉の土産に聴かせているのです」

女勇者「なるほどね」

イシス勇者「はい。ですから、どうか貴女方のお話も姉に聴かせてあげていただけませんか?」

イシス勇者「きっと、アリアハンの話を喜んで聴くと思いますよ」ニコッ

女勇者「うーん、それだったら、少しだけお邪魔させてもらおうかな」

武道家「えぇぇぇぇぇ…………」

イシス勇者「大丈夫ですよ。武道家さん。非礼は無いようにしますので」

武道家「アンタの場合存在自体が非礼なのよ……」

遊び人「もー、武道家はまだ言ってる!」

勇者「武道家、この先の旅の助けになる話も聴けるかもしれないんだ。行こう?」

武道家「うー…………」

イシス勇者「どうでしょう?」ニコ

武道家「…………はぁぁ……」

武道家「…………いいわよ、お呼ばれしましょ……お邪魔させてもらうわ」

イシス勇者「はい!喜んで!」

イシス僧侶「それじゃ皆さん、とっとと準備してね!昼にはここを出るわよっ!」テテーン

イシス勇者「なんで君が指揮ってるんだよ…………」

…………
……


-イシスへの道中・砂漠-

ザァァァァ……

ザッザッザッ

イシス僧侶「みーなさーん!だいじょーぶでーすかー!」


女勇者「うぅ……やっぱりなんだか馴れない環境の道だと進むのが辛いね」

戦士「しかし、アイツらなんであんなにサクサク進めるんだよ……」

魔法使い「うまれたとちだから、もうなれちゃってるんだろうねぇ……ふぅ」

勇者「そうだね……しかし本当にこの道は嫌だね…………」

武道家「ほら、うだうだ言ってないで……」

武道家「……――――!!」



ザァッ

魔物「ガギギギギギ!!」

勇者「うう……靴が砂だらけだ」


イシス僧侶「あ!!!アリアハンの勇者さん!後ろ!!!!」

イシス戦士「砂の中から魔物が……!!」

イシス魔法使い「いけない、しかも凶暴な魔物だわ!」

イシス勇者「勇者君!!!あぶな……!!!」ダッ

ボッ!!!!

魔物「ゴギャアァ!!!!」


イシス勢「「「!!!!」」」



ドチャッ……

武道家「…………雑魚ね」

勇者「う、お?」

武道家「ホラ、何ぼさっとしてんのよ。死ぬ気?」

勇者「ご、ごめん武道家……」



イシス僧侶「…………な、何今の……」

イシス戦士「……速い……」

イシス魔法使い「相当な強さね、彼女…………」

イシス勇者「……あぁ、そうだね」

イシス僧侶「イシス勇者様があの子を欲しがる理由もわかるね」

イシス勇者「うん。あの強さ、なんとしても欲しいところだよ……」

イシス勇者「そして…………何より」

ニヤッ

イシス勇者「…………何より……」

…………
……

-イシス-



イシス僧侶「みーなさーん!!!到着でーすよー!!」

戦士「うおおお!!やっと着いた!!!水ー!!!」

イシス魔法使い「うふふ、街の中央にオアシスからの引き水が流れてるから、それを飲むといいわ」

戦士「マジで!!?行く行く!!」

イシス勇者「しかし夜になる前に着いてよかった」

商人「え、な、なんでですか」

遊び人「なになに!?何かまた怖い話!!?」

イシス勇者「あはは、違いますよ」

イシス僧侶「砂漠は昼と夜の気温差が激しいからね!!油断してると体温が下がりすぎて死亡しちゃうんだよ!」

僧侶「そ、そうなんですか……」

戦士「砂漠怖ぇな…………」

イシス勇者「さ、何はともあれ、城に行きましょうか」

女勇者「そうだね。案内をお願いするよ」

ザッ

町人「あぁっ!!!!」

勇者「!!?」ビクッ

町人「い、イシス勇者様!!!!」

町人2「イシス勇者様!!お帰りになられていたんですね!!」

イシス勇者「お久しぶりです。今帰ったところですよ」

町人3「イシス勇者様!!アッサラームでの活躍聞かせていただきました!!お見事です!」

イシス勇者「いえいえ、仲間達のお陰です」

町人4「ちょっとイシス勇者様!聞いておくれよ!!」

イシス勇者「はい、どうされました?」

ワイワイ ガヤガヤ

魔法使い「ふわぁ……もうすごいひとだかりが……」

女勇者「凄い人気だね……」

イシス僧侶「当たり前よ!イシス勇者様はこのイシスのアイドル的存在なんだから!」

イシス魔法使い「あら?っていうか、勇者ってそんな感じじゃないのかしら?」

勇者「あはは、うちは女勇者は人気ありますけどね」

イシス僧侶「勇者くんは人気無いんだ?」

勇者「実力が伴ってないからね」アハハ

イシス僧侶「しゃんとしなよー」アハハ

武道家「…………」

女勇者「…………そんな事……」ボソ

イシス魔法使い「でも勇者くんも十分可愛いわよ……?ふふ」

勇者「ははは、ありがとうございます」

盗賊「……!!……」

グイッ

イシス魔法使い「あら?」

勇者「わわっ?と、盗賊?」

盗賊「…………」ムー

勇者「ど、どうしたのさ」

盗賊「…………」

盗賊「……勇者は、そんなんじゃないです……」

ギュッ

スタスタ……

勇者「えぇ?と、盗賊?どうしたのさ」

盗賊「……なんでも、ない……」プクゥ

スタスタ……

イシス魔法使い「あらあら、うふふ」




遊び人「…………」


イシス勇者「……。……。……」

町人「……。……!……」

ワイワイ ガヤガヤ


遊び人(…………やっぱり……)

イシス勇者「皆さん、申し訳ありません。今回は客人もいらしているので、お話はまたいずれお願いします」

町人「旅、頑張ってくださいね!!」

イシス勇者「ありがとうございます」ニコ

キャー!!

勇者「しかし本当に人気だね……」

武道家「……皆物好きだわ」

戦士「まだ言ってんのか」

スタスタ

イシス勇者「皆さん、お待たせいたしました」

女勇者「いや、大丈夫だよ」

イシス僧侶「それじゃ、皆さん招待しますぜ!!!我が城に!!!!」

イシス戦士「……貴様の城じゃないっ」

バシン

イシス僧侶「あひんっ」

イシス勇者「あはは、それでは行きましょうか」

勇者「あはは……」

遊び人「…………」

…………
……


-イシス・城-

スタスタ……

イシス勇者「ここが、イシス城です」

商人「ほわぁぁぁ……でっかいですねぇ」

女勇者「街とお城は少し離れているんだね」

イシス勇者「そうですね。昔は国民との格差が凄かったらしいので……」

イシス僧侶「その概念を取っ払ったのがイシス勇者様の父であられた前王なのです!!」

僧侶「凄い……立派な方だったのですね」

イシス勇者「…………はい」

イシス勇者「とても、とても素晴らしい方でした……」

勇者「…………?」

イシス勇者「……さて、では中に入りましょうか」ニコ

-イシス城・門-

スタスタ

イシス兵「……ん?」

イシス兵「……!!!!イシス勇者様!!」

イシス勇者「おや、お久しぶりです」

イシス兵「おぉお!!!!よくぞご無事で!」

イシス勇者「愛しい仲間達がいますからね」

イシス僧侶「はーい♪」

イシス戦士「……お久しぶりです」

イシス魔法使い「ただいまぁ」

イシス兵「皆さんもよくぞご無事で……あれ?」

勇者「ど、どうも……」

イシス兵「……そちらの方々は?」

イシス勇者「客人です。通ってもよろしいですか?」

イシス兵「はっ、立ち話を失礼致しました!」

ザッ

イシス兵「女王様もきっとアッサラームの一件の報告を聴かれて以来ずっと王子の帰りをお待ちしていると思います!」

イシス勇者「すぐに顔を見せに行きますよ。ありがとう」

イシス兵「はっ!」

スタスタ……

女勇者「はぁぁ……凄いお城だね……」

イシス勇者「歴史ある建造物ですからね」

戦士「しかし、流石王子って感じの貫禄だったな!」

イシス勇者「…………」

戦士「……?どうした?」

イシス勇者「いえ…………」

タッタッタッ……

イシス勇者「…………?」

勇者「……誰か走ってきてる……?」

イシス僧侶「…………ねぇ、あれってもしかして」

イシス魔法使い「…………そうね」

タッタッタッ……

?「はぁ……はぁ……!」

イシス勇者「!!」

勇者「ねぇ、あの人は……」

イシス勇者「……ね……」

勇者「?」

タッタッタッタ!!!

?「……はぁ……はぁ!!」

?「イシス勇者!!!!」




イシス勇者「…………姉さん!!!!」

イシス女王「イシス勇者ぁっ!!!!」


一同「「「「!!!!???」」」」

ダッ

ギュゥッ!

イシス女王「イシス勇者っ!!!!」

ギュゥゥゥ……

イシス勇者「……ねえさ…………姉上……只今戻りました」

イシス女王「……心配しました……心配したんですよ……」

イシス女王「……怪我は?怪我は無いのですか?」

イシス勇者「…………はい……」

イシス勇者「僕は大丈夫です……大丈夫ですよ……姉上」ギュッ……

イシス女王「…………良かった……」

イシス勇者「…………姉上……」

イシス女王「…………イシス勇者……」



魔法使い「あ、あわわわわ……///」

遊び人「なんか……なんかだね……///」

僧侶「でも、本当に綺麗な人なんですね……なんだか素敵な光景……///」フワァ

武道家「…………」

勇者(…………えっと、これは……)

女勇者(なんか私たち凄く邪魔じゃないのかな……)

イシス戦士「…………ゴホンッ」

イシス女王・イシス勇者「「!!!!」」

イシス僧侶「お、お久しぶりです女王様っ!」テヘッ

イシス戦士「…………只今戻りました」

イシス魔法使い「お変わりないようで、安心しましたわ」

イシス女王「み、皆もお帰りなさい!」

イシス女王「でも、ど、どうしたの?その喋り方……まるで他人みたいに……」

イシス勇者「…………姉上、その、客人がいらしてまして……」

イシス女王「へ?」


勇者「ど、どうも…………」

女勇者「初にお目にかかります……」


イシス女王「……」

イシス女王「……」

イシス女王「……あ……!!///」カァァァ

イシス僧侶「と、取り合えず離れられた方がよろしいかと……」

パッ

イシス女王「よ、よくぞいらっしゃいました!」

イシス女王「わたくしがイシスを統治しているイシス女王です。以後お見知りおきを」キリッ


一同「「「「…………」」」」


イシス女王「…………」

イシス女王「……」

イシス女王「えぅぅ……///」ウルウル

イシス僧侶「女王ちゃん、これはもう取り繕っても駄目だぜよ……」

イシス戦士「女王様、そんな女王様も素敵です」

イシス魔法使い「改めて……ただいま戻ったわ。女王ちゃん」

イシス女王「うん、皆……お帰りなさい!」

イシス女王「そして、お客様方、失礼致しました……」

イシス女王「イシス女王です。宜しくお願いしますわ」ニコッ

勇者「ア、アリアハンから参りました勇者一行です。宜しくお願いします」

女勇者「と、とりあえず、謁見として少しお話をさせて頂いても……」

イシス女王「は、はい!こちら、向こうが謁見の間ですので……」

イシス勇者「とりあえず、移動しましょうか」

スタスタ……

イシス女王「全く、全然帰ってこないのですから……」

イシス勇者「すみません。ルーラも精神力を使う呪文なので……」アハハ



戦士「…………なぁ」

イシス僧侶「はい?」

戦士「今更だけど、さっきさ、アンタら女王様とタメ語じゃなかったか?」

イシス僧侶「あー、やっぱりつっこまれちゃうよね」

商人「それに、女王様ってなんだか思ったより可愛い性格してますね」

イシス戦士「……侮辱か?」

商人「違いますよ。もしかして、貴女達の前と公式の場とかでは性格違うとかですか?」

遊び人「さっき私たちがいるって気付いたら取り繕ってたしね」

イシス魔法使い「あら、わかっちゃう?」

イシス僧侶「実は、私たちは生まれた時から女王様御付の世話係だったの」

イシス魔法使い「だから幼馴染みたいなものなのよ」

イシス戦士「お前達二人はそんな認識だからいかんのだ!」

商人「ほぇー。じゃあ私たちと同じようなものなんですねぇ」

タッタッタッ

側近「イシス女王様――――っ!!!!」

イシス女王「!!!そ、側近さん!!」

ザッ

側近「全く!!知らせを聞いた途端に走って行くなんて!!はしたないですよ!!」

イシス女王「で、でもでも、その、待ちきれなかったんですもの……」

側近「それに……まぁっ!!!!お客様方もいらっしゃるようではありませんか!!!」

側近「御自分がこの国の顔である事もお忘れなきようにとこの前あれ程……!!!!」ガミガミ

イシス女王「うぅ……」ショボン



盗賊「……怒られてる……」

商人「やっぱりなんだか可愛らしい人ですねぇ」

イシス戦士「……侮辱か?」

商人「だから違うっつってんでしょう!」



側近「全く…………あぁ、王子!よくお戻りになられました!お帰りなさいませ」

イシス勇者「お久しぶりです側近さん。只今戻りました」

側近「貴女達も、お疲れ様です」

イシス僧侶「お久しぶりです!」

イシス戦士「只今戻りました」

イシス魔法使い「側近さんもお変わりないようで安心しましたわ」

側近「そして、お客様方。先ほどは失礼致しました」

勇者「い、いえいえ!とんでもない!」

側近「そう仰って頂けると幸いです。ごゆっくりなさってくださいね」ニコ

勇者「は、はい!お邪魔させて頂きます!」

勇者(なんというか、美人が多いんだなぁ……この国)

イシス勇者「側近さん。今から謁見の間にて少々談合をしたいと思うのですが……」

側近「そうですか。ではこちらへ……」

…………
……


-イシス城・謁見の間-



女勇者「……――――というのが私たちの近況です」

イシス勇者「僕達の近況も、以上で終わりになります」

イシス女王「そうですか……ありがとうございました」

ハァ

イシス女王「しかし……未だに平和の兆候は見られないのですね……」

イシス勇者「次々に各国の勇者達の死亡事件も相次いでいますし、しばらくは明るい知らせは望めないでしょう」

イシス女王「はぁ……そう、ですよね……」

イシス勇者「でもご安心下さい。僕達が旅を続け、その明るい知らせを切り開いていきますので」

イシス女王「…………それが嫌だと言っていますのに……」ボソ

イシス勇者「?何か仰いました?」

イシス女王「い、いえ。何でもありません」

側近「それでは、謁見はこのくらいにしましょうか。アリアハンの方々もお疲れでしょう」

イシス勇者「そうですね。それでは、お疲れ様でした。皆さん」

勇者「いえ、お忙しいところありがとうございました」

女勇者「引き続き、頑張らせていただきたいと思います」

イシス勇者「それでは……側近さん」

側近「はい?」

イシス勇者「皆さんをこの国に滞在の間城内でおもてなししたいのですが、構いませんね?」

側近「はい!それはもう!」

イシス勇者「ありがとうございます」

女勇者「滞在の間!?本当にいいのかい?迷惑では……」

イシス僧侶「いいんだよー!言ったでしょ?女王ちゃんもその方が……」

イシス女王「こちらこそお願いしますわ!是非、旅のお話を聞かせて頂ければ嬉しいです!」

イシス勇者「……との事です」ニコ

女勇者「……ふふ。では、ご厚意をありがたく受けさせていただきます」

魔法使い「わぁーい!」

戦士「こんなに凄い城に泊まれるのか!」

遊び人「アリアハンのお城とは違う感じだから新鮮だねー」

イシス戦士「くれぐれも粗相の無いようにな」

僧侶「はい!ありがとうございます!」

ザッ

側近「では、こちら左方のドアから客室へどうぞ」

女勇者「ありがとうございます」

ゾロゾロ

イシス勇者「あ、勇者君」

勇者「へ?」ピタッ

イシス勇者「申し訳ありませんが、君は駄目です」

勇者「…………え?」

女勇者「?ど、どういう事?」

武道家「アンタ、いくら勇者が嫌いだからって……」ザッ

魔法使い「ぶ、武道家っ!でんちゅーだよっ!」アセアセ

イシス勇者「いえ、これは僕の意志ではないのですよ」

武道家「……は?」

側近「大変申し訳無いのですが、これから先は、男性禁制なのです」

一同「「「「…………えっ」」」」

勇者(そ、そういえばこの城、やけに女の人が多かった……!)

イシス僧侶「と、いう訳でごめんね!!勇者くん!」

イシス勇者「しばらくは宿をとって下さい」ニコ

勇者「」

武道家「何よそれ!」

女勇者「そ、そういう事なら私達も宿に泊まるよ」

魔法使い「そうだよ!ゆーしゃひとりなかまはずれなんて……」

イシス僧侶「…………へぇ~」

戦士「な、なんだよ……」

イシス僧侶「そういう事言っていいんですかぁ……?」チラッ


イシス女王「と、泊まっていって頂けないんですか……?」ウルウル


武道家「うっ……」

女勇者「い……いえ、その……」

勇者「…………」

勇者「……あはは、じゃあ僕は大丈夫だよ。皆ゆっくりしてきなよ」

遊び人「えっ?」

戦士「で、でも」

僧侶「だったら、勇者くんが……」

勇者「僕は街で色々と見物してくるよ。色々面白そうなものもあるみたいだしね。観光観光!」

商人「勇くんどんだけ小市民ですかっ」

盗賊「……勇者……」

武道家「でも、納得いかないわよ!あたし一人でもアンタと――……」

勇者「武道家」チョイチョイ

武道家「?」

勇者「耳、貸して」

武道家「ど、どうしたっていうのよ。私は……」

勇者「僕は、街の方で情報を収集してくるよ」コソコソ

武道家「!!」

勇者「だから、武道家達はお城の人達から色々な情報を手に入れて欲しいんだ」

武道家「…………」

勇者「それに、女王様の期待を裏切るのも可哀想だしね」

勇者「ここは、どうか我慢して楽しんで来てもらえないかな?」

武道家「…………」

武道家「…………はぁ」

クルッ

武道家「…………仕方ないわね」

イシス女王「まぁっ!よろしいんですか!?」パァァ

武道家「本当はこちらがお願いする立場だけどね…………よろしくお願いします」

イシス勇者「そう仰っていただけると幸いですよ」ニコニコ

武道家「…………アンタは黙ってなさい」

側近「では、皆さんこちらへどうぞ」

女勇者「じゃ、お義兄ちゃん。また明日」

遊び人「明日は一緒に観光しようね!」

商人「変な店に行くんじゃねーですよー」

戦士「変な店って何?」

武道家「私に聞くなっ!!」

僧侶「勇者くん、明日になったらすぐに会いに行きますからね」

盗賊「……寂しくても、我慢してね……」

魔法使い「ゆーしゃ、おやすみっ!…………へ、へんなおみせ、いっちゃやだよ?」

勇者「行かないよっ!!!!」

ゾロゾロ…

イシス勇者「よし……それじゃ、勇者君。また明日」

勇者「…………うん」

イシス勇者「では」

スタスタ……

勇者「…………」

勇者「…………イシス勇者君!」

ピタ

イシス勇者「?なんでしょう」

勇者「いや……皆をもてなしてくれてありがとう」

イシス勇者「!」

イシス勇者「……わかりませんね」

イシス勇者「僕はこうして君が仲間はずれになる事を知ってて君達を招待したのですよ?そんな僕にお礼?」

勇者「いや、分かってるよ。それも。君が僕を嫌ってる事も」

イシス勇者「ではどうして……」

勇者「……君は僕を嫌ってても、僕は別に今のところ君を嫌いじゃないしさ」

イシス勇者「!」

勇者「……それに、皆の事は大事に思ってくれてるみたいだしね」

イシス勇者「……」

勇者「まぁ、そういう事だよ」

ザッ

勇者「……それじゃ僕はここらへんで失礼するね」

イシス勇者「…………あぁ。また明日」

勇者「うん!また明日!」ニコ

スタスタ……

……

イシス勇者「…………」

今日はおしまいです

長い間滞ってて申し訳ないです。会社が色々大変なのです。
でも部下に隠れながらこんな落書きを会社でしてたりしてました。

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http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2378216.png
下は少し閲覧注意

で描いてる途中に部下にバレました。死にたい。死のう。

それと、基本どんなレスでもありがたいのですが、予想だけはやめてね!本当に!
自分がものすごく書き辛くなっちゃいますし、何より荒れちゃうんで。
何卒ご理解の程をよろしくお願いします。

-イシス城・外-

ザッ

勇者「さて…………」

勇者(出てきちゃったわけだけど……どうしようかな)

テクテク……

勇者(まぁ、やる事は他に無いし情報収集していよう……)

勇者(まずは…………酒場だな)

スタスタ……

勇者「…………」


町人「でさー」

町人「まじでー?」


勇者「…………」


町人「だぁー!!……やっぱり大穴が来るわけねぇか」

町人「諦めろ諦めろ!俺が稼いでやるから!!」


勇者「…………ん?」


町人「かっこいいよねー」

町人「ねー!あこがれちゃう!」


勇者「…………」

勇者(……そういえば……)

勇者「…………どうしてなんだろう」

スタスタ……

…………
……

-イシス城・客室-


召使い「皆様のお部屋がこちらでございます」


キラキラ……


女勇者「えっ!!?こ、こんな所に泊まっていいんですか!!?」

遊び人「何コレ!!?こんな凄い部屋見たこともないよ!!」

イシス勇者「いいのですよ。滅多にここを利用する客人もいませんからね」

魔法使い「わぁー……おへやがキラキラかがやいてるよぉ」

商人「お、おおおおお…………!」

僧侶「ちょっと!小物盗っちゃ駄目ですよ商人ちゃん!」

戦士「しかし、なんだ……ちょっと落ちつかねえな……」

盗賊「……ベッド、もふ、もふ……」モフモフ

武道家「皆…………はぁ……もう……」

イシス勇者「おや、お気に召しませんでしたか?」

武道家「…………アンタ以外は気に入ったわ」

イシス勇者「はは、手厳しい」ニコ

ガチャ

召使い「イシス勇者様。お食事のご用意が整いました」

イシス勇者「おや、そうですか」

イシス勇者「それでは皆さん、食事にしましょう!」

遊び人「ど、どんなのが出てくるんだろう……」

僧侶「あはは、いけないと思いつつもつい期待しちゃいますね……」テヘヘ

戦士「なぁイシス勇者!美味いものあるか!!?」

イシス勇者「もちろん。沢山用意させていただいてますよ」

戦士「よっしゃぁ!!!」

女勇者「でも、本当にいいのかい?」

イシス勇者「いいのですよ。どうかその代わりに姉上の話し相手になってあげて下さい」

魔法使い「おやすいごようだよっ!」

商人「喉が枯れるまで語りつくしてやりますよっ!!」

イシス勇者「あははは、頼もしいです」

武道家「…………」

武道家「……はぁ…………」

武道家(勇者、ちゃんとご飯食べてるかしら)

イシス勇者「……」

…………
……

-酒場-

店主「へい。おまちどお」

ゴトン

勇者「…………」

店主「どうしたあんちゃん。注文間違ってたか?」

勇者「いえ、その、これ……」

店主「あぁ。注文もらったサソリの揚げものだよ」

勇者「…………サソリって、虫?」

店主「虫だよ」

勇者「…………」

店主「美味いよ」

勇者「…………」

パク

勇者「…………」モグモグ

勇者「…………」モグモグ

店主「美味いだろう?」

勇者「…………はい」

勇者(……好奇心で頼むんじゃなかった)

店主「ところで、お客さんここらへんの人じゃないね?」

勇者「え?わかります?」

店主「まぁ見たところ旅人っぽい格好してるし、その前にまず見た目でわかるさね」

勇者「あぁ……まぁそうですよね」

店主「ここらへんは暑いだろう?過ごしにくいんじゃないかい?外国の人にとっちゃ」

勇者「あ、確かに馴れませんが良い所ですよね」

店主「まぁねぇ。オアシスもあるし、娯楽もあるし……」

店主「何より、女王様がいるしな」

勇者「あぁ、そうですね……綺麗な方ですよね」

店主「だろう。あの女王様の美しさはこの国のシンボルみたいなものだからな」

店主「前王が亡くなってあの人が王座についてからというもの、観光客の数がぐんと増えたもの」

勇者「あはは」

店主「それに最近のイシスじゃ女王様の人気が凄すぎて女王様御付の世話係や召使いになるのを希望する奴がやたらと多いんだよ」

勇者「へぇ、じゃあやっぱり倍率高いでしょ?」

店主「いや、それが採らねーんだ」

勇者「え?」

店主「もう新規で採用しねぇらしいのさ。あれは王子……イシス勇者様が城に住み始めてからだったな」

勇者「?イシス勇者君が住み始めてから?」

店主「ん?」

勇者「どういう事ですか?イシス勇者君は元は城に住んでいなかったんですか?」

店主「あぁ、そういえば旅人の君にこんな話してもわからないか」

勇者「いえ、聞かせて下さい。イシス勇者君は一体それまでどうしていたんですか?」

店主「…………」

勇者「……」

店主「うーん……俺も噂を聞いた事しかねぇから何とも言えないんだけどさ」

勇者「はい……」

店主「…………実はな」

…………
……


-イシス城・王家の食卓-



イシス女王「それでは、皆さん召し上がって下さい」


ババァーン


戦士「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

女勇者「す、凄いご馳走……!!」

遊び人「こんなの食べたこともないよ……!」

僧侶「い、頂きます…………」

パクッ

僧侶「……!お、美味しい……!」ホワッ

戦士「うめ―――――!!!!」ペカー

イシス女王「うふふ……喜んで頂けたようで何よりです」

イシス僧侶「どうだい皆さん!!みたか!!」

イシス勇者「だからなんで君が得意気なんだい……」

武道家「…………」

イシス女王「……?武道家さん?」

武道家「え?あ、はい?」

イシス女王「ど、どうかされましたか?何か不得意な物でも入って……」

武道家「あ、いえ!違うんですよ!いただきますね!」

イシス女王「はい!どうぞ召し上がって下さい!!」パァァ

パクッ

武道家「…………」モグモグ

武道家「…………うん、凄く美味しいです」ニコ

イシス女王「まぁ!それは良かったですっ!」パアァ

イシス勇者「……ふふ」

武道家「…………何よ」

イシス勇者「いえ、お気に召されたようで何よりです」

武道家「…………ふん」

イシス女王「あ、イシス勇者!」

イシス勇者「はい?」

スッ

イシス勇者「姉上?」

イシス女王「もう、口元に付いていますよ」

フキフキ

イシス女王「うん、綺麗になりました」

イシス勇者「ぷはっ……あ、姉上。客人の前です、おやめ下さい……」

イシス女王「お客様の前でも私はあなたの姉なのです」

イシス勇者「……全く……」

戦士「…………あれだなー」

イシス勇者「はい?」

イシス女王「どうかされましたか?」

戦士「いや、二人ってあんまり似てないのなー」

イシス女王・イシス勇者「「!!!!」」

イシス僧侶・イシス戦士・イシス魔法使い「「「!!!!」」」

戦士「あれ?どうした?」

イシス勇者「……そうですよね。確かに、似ていませんよね」

戦士「え?うん。正直な」

遊び人「ちょ、ちょっと戦士!!!!!」

戦士「え?」

イシス戦士「…………侮辱か」

ガタッ

戦士「え?えぇぇぇ?ち、違うよ?悪かったよぉ!」アセアセ

イシス勇者「イシス戦士!!座りなさい!!食卓で何をする気だい!!」

イシス戦士「……も、申し訳ありません……」

ガタッ……

イシス勇者「……全く」

戦士「な、なんだかごめんな?」

イシス勇者「いえいえ、いいのですよ」

イシス勇者「それに……そろそろ皆さんに尋ねられる頃だと思っていましたし」

遊び人「!!」

イシス勇者「……遊び人さんはもう大分前から大体見当がついていた様ですがね」

遊び人「……うん……アッサラームにいた時から……」

女勇者「……実は私も、この国に付いてから……」

イシス勇者「まぁ、そうですよね……」

イシス勇者「……皆さんもお気づきの様に」

スッ

イシス勇者「……」

イシス勇者「僕とこの国の人々は肌の色が違います」

イシス女王「…………」

イシス僧侶「……基本この国の人間は肌が褐色ですからね」

イシス魔法使い「イシス勇者様の肌は白く、金髪で碧眼だし……やっぱり疑問は持たれるわよね」

女勇者「…………理由をお聴きしても、差し支えないかい?」

イシス勇者「……はい。実は――――……」

…………
……


勇者「妾の息子ぉ!?」

店主「うーん。どうやらそうらしいよ」

勇者「そ、そうだったんですか」

店主「前王が外国のお偉いさんの娘と拵えたお子さんらしくてね」

店主「ある日突然城にやってきて、いつの間にか王族の仲間入りしてたってよ」

店主「全く、お妃様がまだご存命だったらなんと言われてた事か……」

勇者(だからこの国の人達と風貌が違ってたのか……)

勇者「そ、それじゃ……国民の反感を買ったりしなかったんですか?」

店主「そりゃ買ったさ。俺を含めてね」

勇者「で、でも今はそんな事もないみたいですね?」

店主「うーん……なんだかんだでいい子だしさ」

店主「何より俺ら国民の事を考えてくれているし、命がけで守ってくれるんだよ」

勇者「…………」

勇者(…………イシス勇者君……)

店主「ま、愛人達を侍らせているのにはちょっとイラっとくるけど」アハハ

勇者「あはは」

店主「でも……」

店主「本当に立派な子さ。……旅に出る前に死ぬほど努力していたしね」

勇者「そうでしたか……」

店主「うん……まぁそういう事d」

<オーイ テンシュ-

店主「おや、はいはーい」

スタスタ……

勇者「…………」

勇者(…………やっぱり)

勇者(あの時、手合わせした時、本気を出していなくても相当な強さだって事が分かった)

勇者(あれまでになるには、相当な努力をしたんだろう……)

勇者(だからか、なんだか嫌いになれなかったんだ)

勇者(…………あの笑顔の裏には、多くの苦痛を隠しているんだろうなぁ)

勇者(そりゃぁもてるよね)フフ

モグモグ

勇者「…………」

勇者(…………武道家は)

勇者(…………いや、武道家だけじゃない)

勇者(皆は……もしかしたら彼に着いて行った方が……)

カランカラン


店主「おや、いらっしゃい」

旅人「っあー、疲れたぁ」

旅人2「おっちゃん!とりあえずロマ二丁ね!!」

店主「はいよー」

勇者「……」

勇者(……あの格好、旅人っぽいな)

勇者(なんか情報聞き出せるかも……)

旅人「ふぅ……しかし道迷った時はどうなる事かと思ったぜ」

旅人2「アッサラームのあの地図がいい加減なんだよ……」

旅人「あぁ、結局アッサラームから真っ直ぐ南に向かっちまったもんな」

旅人2「結局行き着いた先は宝でも美女でもなく、変な事言ってるおっさんがいるだけ、だしよぉ」

旅人「ははは!笑い話にしかなんねぇな」

勇者(……変なおっさん?)

ガタッ

勇者「……あ、あのー」

旅人「んあ?」

旅人2「どうした?あんちゃん」

…………
……


-イシス城・王家の食卓-


イシス勇者「……――――というワケです」

戦士「そうだったのか……なんか本当にごめんな?」

イシス勇者「ですから、いいのですよ。それに負い目を感じた事もありませんし」

イシス女王「そうです。例え血が繋がっていなくとも、イシス勇者は……」

イシス女王「…………」チラッ

イシス勇者「?」

イシス女王「……」

イシス女王「私の……――――弟なのですから」

イシス勇者「姉上……」

遊び人「うぅ、いい話だね」

魔法使い「ほんとだねぇ」

女勇者「でも、それだったら私達と同じだね」

イシス勇者「?同じ、ですか?」

女勇者「うん、実はね。お義兄ちゃんと私は血が繋がっていないんだ」


イシス勢「「「「!!?」」」」

イシス僧侶「えぇぇ!!?そうだったの!!?」

イシス魔法使い「そういえば、髪の色も顔つきも違うものねぇ」

イシス勇者「そ、そうだったのですか……」

女勇者「うん。私がオルテガの娘で、義兄は父が旅の途中で拾った拾い子なのさ」

イシス勇者「……」

女勇者「だからよく似てないって言われるし、確かに義兄には世話を焼いてばかりだけど……」

女勇者「だけど、やっぱりなんだかんだで、義兄とは兄妹なんだよね」

イシス僧侶「おぉぉ、ええ話やのう」

女勇者「や、そんな事無いと思うけど」

女勇者「…………でも、家族に……血なんて関係ないんじゃないかなって思うよ。あの義兄を見てると」

戦士「なんだかアタシらですら勇者とは他人な気がしないしな」

商人「あはは、もう兄妹みたいな感覚ですしね」

魔法使い「…………う、うん。そーだねっ」

イシス僧侶「いやいやぁ、ええ話やでぇ」

女勇者「…………ん?」

イシス僧侶「そういう厚い絆ってのぉ?わたひすっげぇ好きらよ?」ヒック

女勇者「……イシス僧侶ちゃん、君まさか」

イシス女王「あらあら」

側近「ちょっ、誰ですか!!イシス僧侶にお酒を出したのは!!」

イシス僧侶「もおおお、お堅い事言うなッシング!!側近さんも飲みょうぜ!」

側近「何を言っているんですか!!私はもがああああsdふぁdsfk;あ」ゴボゴボ

イシス魔法使い「側近さん!!ちょっと、イシス僧侶!やめなさい!」

イシス僧侶「できあがるがいいさ!」ググググ

ギャーギャー

女勇者「なんだか凄い光景だね……」

戦士「なんだろう、ちょっと楽しくなってきた」

イシス僧侶「ほりゃぁー!!!!お前らも飲む飲む三党兵!!」オギャァ

遊び人「わ――――!!!!こっち来た!!!!」

僧侶「あ、あの!私達お酒は!」

側近「堅い事言うなッシング!!!!」ウボァ――――

魔法使い「ひ、ひえええ!!そっきんさんめがこわいよぉっ!!」

イシス魔法使い「側近さんがご乱心だわ!!イシス戦士!!助け……」

イシス戦士「言うナッシング」グイィィィィッ

イシス魔法使い「あんたもか!!」ググググ

イシス女王「あははははっ!ちょ、ちょっと駄目ですよ皆っ!皆さんに迷惑が……あはははは!」

ギャーギャー


武道家(軽い地獄絵図ね…………)


イシス勇者「…………」

スッ

武道家「……!」

イシス勇者「…………」スタスタ……

武道家「…………?」

…………
……


-イシス・街中-

店主「ありがとねー」

カランカラン

勇者「…………ふぅ、お腹は膨れたな……」

勇者「…………」

――――――――――――


旅人『変なじいさんがいてさ。いきなり“お主ら、探し物か?”って言われたよ』

旅人2『ここから行くなら南東の方角かな……ってあんちゃん行くつもりかい?物好きだね』


――――――――――――

勇者「…………」

勇者(今は藁にもすがらないと……)

勇者(……皆を待つよりも一人でさっさと行って来たほうがいいな)

スタスタ……

勇者「……南東か」

…………
……


-イシス・砂漠-


魔物「グゲェッ!!!!」

ドシャァッ

魔物を倒した!

勇者「…………ふう」

勇者(やっぱり聖水があっても、魔物はたまに寄ってくるな……)

スタスタ……

勇者「…………」

勇者「……」

ヒュウゥゥゥ……

勇者「…………寒い」

勇者「……」

ザッザッ……

勇者「……やだな」

勇者(…………思い出しそうになる……)

勇者「…………ん?」

-イシス南東の祠-

勇者「…………ここか」

勇者(良かった……思ったより早く着いた……)

勇者「…………」

スタスタ……

勇者(…………そのおじいさんが眠ったりしてないといいけど)

コツコツ……

ソッ……

勇者「……あのー……こんばんわー……」

シーン……

勇者「……」

勇者(……灯りも無い……居ないのかな)

勇者「…………あのー!」


?「探し物かね」


勇者「うおおっ!!!!?」ビクッ!!

老人「うおおおおお!!!!!?」ビクゥゥッ!!!!

勇者「び、ビックリした……!!」

老人「それはこちらのセリフじゃ!!大きい声を出すな!!心臓に悪い!」

勇者「す、すみません……」

老人「全く……して、何か御用かね?」

勇者「はい、あの……」

老人「……探し物かね?」

勇者「…………はい」

老人「…………」

勇者「…………魔法の鍵という鍵の事……何かご存知ないですか……?」

老人「…………」

老人「……魔法の鍵か」

勇者「!!!!!ご、ご存知なんですか!!?」

老人「…………やはり来たか……」

勇者「や、やはり?」

老人「いや、こちらの話じゃ…………そうじゃな。魔法の鍵について教えてしんぜよう」

勇者「お、お願いします!!」

老人「魔法の鍵は、ピラミッドに眠っておる」

勇者「ピラミッドにですか!!?」

老人「そうじゃ…………我が師がその鍵を作り、来たるべき時にむけてピラミッドに封印しておるのだ」

勇者「師…………?」

老人「…………四賢者の一人、シャンパーニ」

勇者「!!!!四賢者……!?ナジミ様と同じ……!?」

老人「おや、ナジミ殿をご存知か」

勇者「は、はい!アリアハン大陸でお世話になったばかりです」

老人「おお!そうか、まだご存命か…………それは良かった」

勇者「…………あ、あの……」

老人「なんじゃ?」

勇者「その、シャンパーニ様というのは……シャンパーニの塔のシャンパーニ様ですよね?」

老人「そうじゃ。世を捨てた賢者、シャンパーニ……退廃主義の賢者として有名じゃった」

勇者「……僕はシャンパーニの塔に登ったんですが、シャンパーニ様にはお会いしませんでしたが……」

老人「それはそうじゃ…………」

老人「……」

老人「…………シャンパーニは……師は、四年前に既に亡くなっておる」

勇者「!!!!」

老人「いや、殺された…………と言った方がいいかの」

勇者「!?」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「……!!……」ハッ

勇者(四年前…………)

老人「…………あの時…………」

老人「…………」

老人「……いや、すまん。こちらの話じゃったな……」

老人「話を戻すが、わしは師に魔法の鍵の在り処をここに来る若者に伝えるように頼まれておったのだ」

老人「わしだけではなく、ロマリア北西にいる門番も師の弟子でな…………」

勇者「…………」

老人「…………?……どうかしたのか?」

勇者「…………いえ」

老人「……?まぁいい……」

老人「……兎に角、お前さんが選ばれし者であるなら、お前さんは魔法の鍵を手にする事ができるじゃろう」

老人「ピラミッドじゃ……覚えておけ。そして心しておけ」

老人「…………師の予言の通りであれば、お前さんがこの世界の光だという事を……」

…………
……


――――――――――――

-イシス周辺・砂漠-


ザッザッザッザッ

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

ザッザッザッザッ……

…………
……

-イシス城・王家の食卓-

イシス僧侶「ぐー……ぐー……」zzz

側近「すぴー……すぴー……」zzz

イシス戦士「……」zzz



女勇者「ふ……ふぅ……なんとか鎮圧できた……」

戦士「私達は皆無事で良かったな……」

僧侶「お酒なんて飲んだ事ないから怖かったです……」

魔法使い「ねぇ……わたしたちもあんなふうになっちゃうのかな」

イシス魔法使い「ごめんなさいねぇ。イシス僧侶が……」

遊び人「いえいえ、楽しかったですよ」

商人「幾度か身の危険を感じましたがね……」

盗賊「……あれ……」

僧侶「どうしました?盗賊ちゃん」

盗賊「……イシス勇者君と、女王様がいない……」

イシス魔法使い「あら……本当ね。自分の部屋に戻ったのかしら」

ガタッ

武道家「…………私ももう自分の部屋に戻るわ」

イシス魔法使い「あら、そう?部屋への道はわかるかしら?」

武道家「ええ。大丈夫よ」

魔法使い「わたしはもうちょっとイシス魔法使いさんとおはなししてるよっ」

女勇者「私ももうちょっといようかな」

武道家「分かったわ。皆あまり夜更かししちゃ駄目だかんね」

僧侶「はい。了解ですー」

盗賊「……おやすみ、武道家……」

商人「おやすみなさいですー」

遊び人「私達も後で行くね」

武道家「うん。皆おやすみ」

スタスタ……

武道家「…………」

武道家「……はぁ」

武道家(勇者の事が気になってしょうがないわよ……)

武道家(アイツ、ちゃんと大人しくしてるかしら?)

スタスタ……

武道家「…………?」

「……!……」

「……。……。……」

武道家「…………話し声?」

武道家「こっちかしら……」

スタスタ……


イシス女王「本気なのですか!?」


武道家「!!」ピタッ

武道家(イシス女王様……と、イシス勇者?)



イシス勇者「えぇ。本気ですよ……姉さん」

イシス勇者「……僕は、ピラミッドに足を踏み入れます」


武道家「!!」


イシス女王「でも、どうしてピラミッドなんて……」

イシス勇者「……旅を続けて、僕は色々な敵をこの目で見てきました」

イシス勇者「そして……それと同時に色々な強い人々が魔物に簡単に殺される所を何度も見てきました」

武道家「…………」

イシス勇者「やはり、僕にはまだ力が足りない事が分かった……」

イシス勇者「……僕は、まだ強くならなければ……強い力を手にしなければならない事を思い知らされたのです」

イシス女王「でも、だからって……あんなに危険な所……」

イシス勇者「…………あの墓には、歴代の王の財宝が埋まっていると聴きます」

イシス勇者「……………………そして、その王達の……武具も」

イシス女王「…………それは、そうだと……聴いていますけれど……!」

イシス勇者「……僕の読みが正しければ、幾代も前の、拳皇と謳われた武道の王の武具も眠っているはず」

イシス勇者「…………それがあれば……」

ザッ

イシス勇者「……なんにせよ、僕は思いとどまったりはしませんよ。姉さん」

イシス勇者「…………では、僕は明日のピラミッド探索に向けて用意がありますので……これで」

スタスタ……

イシス女王「…………っ!」

ダッ

ギュッ!!


武道家「!!!!」


イシス勇者「…………!」

イシス女王「…………」

イシス勇者「……どうしたのです。姉さん」

イシス女王「……お願い」

イシス女王「お願い……もうやめて……!!」

イシス勇者「…………姉さん……」

イシス女王「…………旅など、旅などやめて、私の傍にいて……!」

イシス女王「もう危険な事をしないで……!お願い……!」

イシス勇者「…………」

イシス女王「あなたは…………あなたは」

ギュッ

イシス女王「私の…………大切な…………!」

イシス勇者「姉上」

サッ

イシス女王「…………あ……」

イシス勇者「…………それ以上は言わないで下さい」

スタスタ……

イシス勇者「……」

イシス勇者「余計に……ここに留まっていたくなる……」

イシス女王「ど、どこに行くのです!」

イシス勇者「少し、野暮用で出かけます」

イシス勇者「…………おやすみなさい……姉上」

スタスタ……

イシス女王「…………」

イシス女王「……イシス勇者……」

武道家「…………」

…………
……


――――――――――――

-イシス・入り口-

ザッ……

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

スタスタ…

勇者「……考えてもしょうがないか」

勇者「…………今日はもう寝てしまおう……」


スタスタ……


勇者(……えっと、宿は……)

スタスタ……

…………
……





……
…………

-イシス・安宿-


勇者「…………ここでいいか」

カラン

勇者「……すみませーん」

店主「はいはい、こんな夜遅くまでお疲れ様です。お泊りですか?」

勇者「はい。空いてます?」

店主「はい、空いておりますよ!」

勇者「ではすみません、一泊お願いします」

店主「はい。ありがとうございます!」

チャリン

店主「はい、ではこちらが鍵です」

勇者「ありがとうございます」

スタスタ……

店主「ごゆっくりどうぞー」

カランカラン……

店主「はい、いらっしゃいま…………」

店主「!!!!」


…………
……

-宿・一室-

ガチャッ

勇者「ふわぁ……」

ドサッ

勇者「…………あー……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「なんだか……色んな事で頭がゴチャゴチャだ……」

勇者「……」

ムクッ

勇者「…………明日の準備でもしておこうかな」

ゴソゴソ

勇者「エルフ女王様に貰った薬草…………大切に使わないとな……」ゴソゴソ


コンコン


勇者「?」

勇者(…………?誰だ?こんな夜中に……)

勇者(皆かな……いや、この場所は知らないだろうし……)

勇者(店主さんとか?まぁそうだろうな。何か用でもあるのかな)

勇者「はい、どうぞー」

ガチャ

勇者「どうしまし…………!!?」

ザッ

イシス勇者「やぁ、こんばんわ」

勇者「イシス勇者君!!?どうして!!?」

イシス勇者「少し君に話がありましてね」

勇者「というかどうしてここが?」

イシス勇者「いえ、単純に君ならこの街の一番安い宿を使っていそうなイメージでしたので」

勇者「し、失敬な!」

イシス勇者「事実使っているじゃないですか」

勇者「ぐぬぬ……」

イシス勇者「それに、僕はこの国では人徳がありますので、部屋を教えてもらう事もこの通り楽々です」ニコ

勇者「いいのかそれ」

イシス勇者「いいのですよ。こんな事、君にしかしませんから」ニコ

勇者「…………」

イシス勇者「?そういえばどうして身支度しているのです?アリアハンに帰るのですか?」

勇者「帰らないよ!!」

イシス勇者「ではどうして?」

勇者「…………明日の用意を、ちょっとね」

イシス勇者「何処かに行かれるのですか?」

勇者「うん…………こういう事を王家の人の前で言うのもなんだけど、ピラミッドに行こうと思うんだ」

イシス勇者「…………!!……ピラミッドに、ですか?」

勇者「うん、一応……立ち入りはOKなんだよね?」

イシス勇者「はい…………しかしまた、どうして?」

勇者「ちょっとある鍵を探していてね……それがピラミッドにあるって話を聴いたんだ」

イシス勇者「そうなのですか…………奇遇ですね」

勇者「え?」

イシス勇者「いえ、すみません。こちらの話です」

勇者「?…………でも、そういえば僕に何か用があったの?」

イシス勇者「あぁ、そうでした…………失礼失礼」

イシス勇者「さて、無駄話はこのくらいにしましょう」

イシス勇者「こうやって君の所に訪れたのは話があったからなのです」

勇者「話?」

イシス勇者「はい。…………勇者君」

イシス勇者「旅をやめて下さい」ニコ

勇者「…………またその話なんだね」

イシス勇者「はい。正確には、彼女達を僕に譲って下さい」

勇者「…………」

イシス勇者「特に、武道家さん…………彼女は是非うちのパーティに入っていただきたい」

勇者「…………」

イシス勇者「なんなら、彼女だけでも是非うちに欲しいくらいです」

勇者「…………」

イシス勇者「どうでしょう?」

勇者「…………何故、そこまで武道家を……?」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……目」

勇者「え?」

イシス勇者「…………目が、良いのです……彼女は」

勇者「…………目?」

イシス勇者「…………いえ、そんな事はどうでもよいのです」

イシス勇者「兎に角、彼女はもっと強いパーティに入るべきです」

イシス勇者「…………それに、聴きましたよ」

勇者「?」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「貴方が、オルテガ殿の本当の息子ではない事」

勇者「…………!!!!」

イシス勇者「……それに加え、あの実力の無さ……」

イシス勇者「やはり彼女達はもっと良い環境で旅をするべきです」

イシス勇者「…………貴方は」

勇者「…………」

イシス勇者「貴方は、今すぐアリアハンに戻るべきだ」

勇者「…………はは、手厳しいね」

イシス勇者「しかし、事実です」

イシス勇者「……彼女達の事だけではない。貴方もこれ以上旅を続けていては危険です」

勇者「…………」

イシス勇者「……違いますか?」

勇者「…………そう、なのかもね」

イシス勇者「!!」

イシス勇者「ようやく分かっていただけましたk……」

勇者「……そうなのかもしれない」

イシス勇者「?」

勇者「僕は、弱いし……英雄の父と血が全く繋がっていない」

勇者「…………そして、皆は、皆は凄く強い……強くて優しい、そして君の言うとおり皆綺麗だ」

イシス勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「……君と旅をしていた方が、皆にとっては幸せなのかもしれない」

イシス勇者「…………そうでしょう。でしたら……」

勇者「…………でも」

勇者「でも、僕は旅をやめるつもりはない」

勇者「…………やめられるわけが、ないんだよ」

イシス勇者「…………」

勇者「…………それに」

勇者「皆が君に着いていくかどうかは、皆が決める事だ。僕が決める事じゃない」

勇者「…………皆が、君に着いていくと言えば……僕は止めはしない」

勇者「………………でも、皆がそれを拒むなら」

ギュッ

勇者「……――――僕は、全力で彼女達を繋ぎ止める」

イシス勇者「…………!!」

勇者「…………そういう事じゃ、駄目かな」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……意思が強いのか弱いのか……よくわかりませんね」

勇者「ははは……面目ない」

イシス勇者「…………君の言い分はわかりましたが、僕は彼女達を諦めたわけではありません」

イシス勇者「……拉致があかないですね」

勇者「…………そうだね」

イシス勇者「……では、こうしましょう」

勇者「?」

イシス勇者「……明日決着をつけましょう」

勇者「決着?」

イシス勇者「はい。実は奇遇な事に、明日僕達もピラミッドを探索するつもりだったのです」

勇者「え、本当?」

イシス勇者「ええ。少し探し物がありましてね」

勇者「君もまさか、魔法の鍵を?」

イシス勇者「いえ、僕達が探しているのはその鍵ではありません」

イシス勇者「…………昔、遥か昔、イシスの王でありながら武道を極めたという、拳皇と呼ばれる王がいました」

イシス勇者「その王は、その昔たった二つの装備で敵国の敵兵集団を破った伝説を持っています」

勇者「そ、それは凄いね……」

イシス勇者「その装備の一つは、星降る腕輪」

イシス勇者「これを身に着けていれば、目にも止まらぬ速さで動く事が可能だったという話です」

イシス勇者「こちらは今でも、イシス城の地下深くに祀られています」

イシス勇者「そして、もう一つの武具」

イシス勇者「数々の血を吸い、数々の肉を断ち切り、次第に破壊力を増し……」

イシス勇者「末には一振りでどんな猛獣でも肉塊に変える事ができたという、最強の武具……」

イシス勇者「………………黄金の爪」

勇者「…………黄金の爪……」

イシス勇者「はい。僕の今回の狙いは、そんな黄金の爪なのです」

イシス勇者「僕が最近得た情報では、その黄金の爪がピラミッドのどこかに隠されているらしいのです」

イシス勇者「……そこで、勇者君」

勇者「?」

イシス勇者「君が魔法の鍵を見つけるが先か、黄金の爪を見つけるのが先か…………勝負しましょう」

勇者「……」

勇者「……はい?」

イシス勇者「僕は、黄金の爪を見つけた暁には、それを武道家さんに贈呈しようと思っています」

イシス勇者「……そうすれば、彼女の考えも多少は変わるでしょう」

勇者「……!」

イシス勇者「もし、君が魔法の鍵を先に見つけ出したのならば、僕は君の実力を認め潔く身を引きましょう」

イシス勇者「……ですが、僕が黄金の爪を先に見つけた際は」

クルッ

イシス勇者「…………君は、旅をやめてください」

イシス勇者「旅をやめて、アリアハンへ帰って…………平和に暮らしていてください」

勇者「……そ、それは」

イシス勇者「……それでは、また明日」ニコッ

勇者「ちょっ、イシス勇者君!!」

バタン

スタスタ……

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

…………
……

今日はここまで

おまけ

どうでもいい忘れがちな設定
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2386748.png

こんな勇者はいやだ
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2386751.png

何か良いうpのサイトないですかね。結構長く残る所とか。

-イシス城・廊下-

スタスタ……

戦士「あー、楽しかったー」

魔法使い「きょうはありがとうねっ。イシス魔法使いさん」

イシス魔法使い「いいえ、こちらこそ女王ちゃんの話し相手になってくれてありがとうね」

遊び人「でも本当に綺麗な人だったよねー」

女勇者「あぁ、びっくりするくらい綺麗だったよ」

イシス魔法使い「女王ちゃん目的で来る旅人もいるくらいだからね」

戦士「あの砂漠をそのために越えてくんのか……命がけだな」

商人「でも、あんなに綺麗だと男が放っておかないでしょう」

イシス魔法使い「そうね。でもそっちでの心配は無いわ」

僧侶「え?どうしてです?」

イシス魔法使い「あんな調子でも国の舵取りだしね。忙しいのよ」

イシス魔法使い「国の最高権力者だから政的結婚なんて事でもしたら国がひっくり返ってしまうし」

盗賊「……まぁ、そうですよね……」

イシス魔法使い「…………それに……」

遊び人「……?」

魔法使い「それに?」

イシス魔法使い「…………」

イシス魔法使い「……イシス勇者様が、いるしね」

女勇者「?」

イシス魔法使い「…………ううん、なんでもないわ」

魔法使い「そーぉ?」

スタスタ……

遊び人「……にしても、ここ凄く広いよね」

女勇者「だね。こう広いと侵入者とかいるんじゃないかい?」

戦士「そうだよ。夜とか女王様は大丈夫なのか?」

イシス魔法使い「うん。それも大丈夫よ。番人がちゃんといるもの」

一同「「「「番人?」」」」

イシス魔法使い「そ。一晩中城門と二階の入り口を守ってくれてるの」

商人「一晩中!!?」

僧侶「そ、それは大変ですね!?」

イシス魔法使い「そうね。今では先々代の国勢とうってかわって、女尊男卑の流れになっているからね」

イシス魔法使い「私達がどれだけ大丈夫と言っても、門番の男の人達がやるってきかないのよ」

女勇者「そ、そうなんだ……」

僧侶「…………」

イシス魔法使い「まぁとりあえず、ここに男の人が入ってくる心配なんて無いから安心してね」

スタスタ……

ザッ

イシス魔法使い「さ、着いたわ。皆さん、それじゃね」

魔法使い「イシス魔法使いはまだねないの?」

イシス魔法使い「私はイシス戦士やイシス僧侶の片づけをしないといけないからね」

戦士「手伝おうか?」

イシス魔法使い「ありがとう。でも貴女がたはお客様よ。手伝わせるなんてとんでもないわ」

女勇者「そうかい?」

イシス魔法使い「そ」

クルッ

イシス魔法使い「それじゃ、皆さん。また明日」

女勇者「うん。また明日!」

戦士「そんじゃなー!」

魔法使い「あしたもまた、まほーのおはなししようねっ!」

イシス魔法使い「ふふふ、喜んで。おやすみなさい」

スタスタ……

遊び人「よし、それじゃ寝ようか」

盗賊「……そうだね……」

僧侶「…………」

スタスタ……

僧侶「…………あの、盗賊ちゃん」

盗賊「……?……」

…………
……

-イシス城・二階入り口-


門番「ふわぁぁぁ…………」

門番2「おい。だらしないぞ」

門番「あぁ、すまんすまん……しかしどうも眠くてな……」

門番2「やると言い始めたのは私達だ。やりきるぞ」

門番「あぁ、分かってるよ。女王様のためだもんな」

門番「…………あぁ、女王様……」ハフゥ

門番2「あの方の下で働く事ができるだけで私達は果報者なのだ。しっかりやらねばな」

門番「そうだなー」

ヒュゥゥゥゥ……

門番「……っ」ブルッ

門番2「……少し冷えるな」

門番「うぅ……畜生……これさえなけりゃな……」

門番2「無駄口叩くな。しゃんとするのだ」

門番「分かってら……でも気を紛らわすために話の一つくらい許せよ」

門番2「…………少しならな」

門番「へへ!よしきた」

門番「そういや、今日来てたお客様達も皆良い女だったなぁ」

門番2「いきなり何を言ってるんだお前は」

門番「まあ、そういうなよ。あんな上玉の集団、なかなか遭遇できねえぞ?」

門番2「…………まぁ、確かに。美麗な方々であったがな」

門番「お前、どの娘がタイプだった?」

門番2「何を言っているんだ本当に!あの方々はお客様だぞ!」

門番「ここだけの話!ここだけの話だから!」

門番2「…………私は女王様一筋だ」

門番「えー……そういうのは無しだって」

門番2「事実だ」

門番「いや、そりゃ俺だって一番は女王様だけどさ……だけど、可愛いなぁって思うのは自由だろ?」

門番「ほら、例えばあの魔法帽被ってた女の娘とかさ。あの小さいポニーテールの娘とか」

門番2「…………知らん」

門番「あの青い髪の娘もイイよなぁ…………なんだか凄く清純そうで……」

門番2「…………お前は少し黙r」


僧侶「あのー……」


門番・門番2「「!!!!?」」ビクゥゥッ!!

僧侶「あ、突然すみません」ワタワタ

門番「うぇっ!!?お、お客様!!?」

門番(やっべぇぇ!!聴かれてたか!!?)

門番2(ほら見ろ!!お前のせいで任に集中できなかったじゃないか!!)

門番(う、うるせぇよ!!)

僧侶「…………あの……?」

門番2「ど、どうされましたかお客様?」

門番「な、何かあったんですか?こんな夜中に……ポットなんて抱えて」

僧侶「いえ、あの」

ゴソゴソ

門番ズ「「?」」

カラン

コポコポ……

僧侶「……あの、もし宜しければ、これ召し上がって下さい」

門番2「…………?こ、これは……?」

僧侶「はい。私の仲間が作ったお茶なんです。美味しいですよ!」

門番「お、お茶?……な、何で……?」

僧侶「夜通しのお勤めでお疲れかと思いまして……迷惑かとも思ったんですが」

門番「そそそそ、そんな!!と、とんでもない!!!」

門番「し、しかし……こ、こんな俺達のような下々の者にまでそんな気遣いを……!!」

僧侶「いえ、一晩ここを宿とさせていただく身ですし、このくらいはさせてくださいな」

門番「…………!!!!」ジーン

門番(ええ子や……!!)

僧侶「……飲んで頂けますか?」

門番「そ、それはもう喜んで!!」

門番2「…………」

門番「おい!お前も何とか言えよ!!」

門番2「あ、いや…………」

門番2(こ、これは飲んでも良いものか…………)

門番2(この客人が実は女王の命を狙う悪人で、これに毒が入っているとも限らん……)

門番2(そうだ。私の任は女王様をお守りする事!!ここで怠けるわけには――――……)

門番2「……私はっ」

僧侶「……あの……」

門番2「ぷん?」

僧侶「ご迷惑……でしたか……?」キラキラ

門番2「…………う……」

僧侶「す、すみません。出すぎた真似を……」

門番2「…………ふぅ……」

門番2「…………かたじけない。いただきましょう」

ゴクリ

門番2「…………!!……こ、これは……!!」

門番「う、美味い!!!」

僧侶「えへへ、そうでしょう?私の仲間の盗賊ちゃんが淹れたんです。世界一美味しいんですよ」

門番「こ、こんな美味いお茶初めてですよ!!なぁ、門番2……」

門番2「素晴らしい……」

門番「え」

門番2「この口に含んだ瞬間に口内に広がる独特の清涼感はなんだ……」

門番2「ミント種特有の少し癖のある爽快感とは違いこれはまるで甘みをそのままに清涼感を醸し出している。例えれば暖かい氷を表現しているようだ……!」

門番「も、門番2?どうしたんだ?」

門番2「そしてこの香りはどうだ!!この辺りの暖かい地方では採れないような寒冷地で採取できる種の茶葉を使っているのか、いやしかしそれだけでは無い!その奥にもう一つ、もう一つ何か味を秘めている!!これは……そうか!!満月草!!満月草の捻りある甘みをそのままに、邪魔な味覚である満月草独特の青臭さを天日干しにより取り除いたものを茶葉の中に粉末として混ぜ込んでいるんだ!!これは後を引く!!!!Dang Dang 気になるっ!!!!」ゴクゥ――――!!

門番「門番2!!落ち着けって門番2!!」

門番2「ルネッサンス!!!情熱ッッ!!!!僕のこの手はいつも何か探し!!燃えているッッッッ!!」アジキチィイィィ!!

僧侶「喜んでいただけたみたいで何よりです♪」

門番「この状況でそれか!あんた本当良い子だな!!」キュンッ

門番2「シェフ・ガァール!!お代わりを頂けるでしょうかッッ!!」バシィィッ!!

門番「普通に言え!!」

僧侶「はい!喜んでっ」

門番2「かたじけないッッ!!」

コポコポ

僧侶「…………でも」

門番2「?」

僧侶「落ち着いて飲まないと」

サッ

僧侶「……はい。……お腹、壊しちゃいますよっ」ニコ…


門番・門番2「「!!!!!!!」」ズギュゥウゥゥゥゥン!!!!!

僧侶「それでは、お仕事頑張って下さいねっ」

スタスタ…

門番「…………か……可憐だ……」

門番2「…………て……天使だ……」

僧侶「ふんふふーん♪」

僧侶(盗賊ちゃんのお茶、美味しいって言ってもらえた♪)

スタスタ……

……ゥ……

僧侶「うぇ?」ピタ

ゥ…………ゥゥゥウ…………

僧侶「…………ひ……!!?」

…………ゥウウゥゥゥ…………!

僧侶「きゃぁぁっ!」

タッタッタッタ!!

門番「ど、どうされました!!?」

門番2「どうなされましたか!!!!?大丈夫ですか翼の折れたエンジェル!!!!」

門番「お前うるっさい!!」

僧侶「あ、み、みなさん…………」

門番2「ど、どうされたのです!!?」

僧侶「い、今、呻き声が……」


ウゥゥゥゥ…………


僧侶「ひぃっ!!」

門番「あぁ、あの声ですか……」

門番2「ご安心下さい。あれは子供の声です」

僧侶「…………こ、子供……?」

門番「……こちらです」

僧侶「?」

スタスタ……

ザッ

門番「……この部屋です」

僧侶「?」

門番「覗いて見てください」

ヒョイッ

僧侶「…………!」


男の子「ううぅ……」

男の子2「ぐすっ……ゆかがつめたくてねむれないよ……」

男の子「うるさい……なくなばかぁ……」

男の子2「お、おにーちゃんだってぇ……」

僧侶「な、なんで子供達があんな所で……」

門番「あの子達の意思なのですよ」

僧侶「意思?」

門番2「はい。あの子供達はこの城の孤児院の子供達なのです」

僧侶「!」

門番「イシス勇者様はよく他国で路頭に迷った戦災孤児をこの城の孤児院に連れて帰られるのですが、あの子達もそうなんです」

門番2「しかし、どうもイシス勇者様を始め城の者には懐かずに女王様お一人だけに懐いておりまして……」

門番「『女王様と一番近い場所で寝る』と言って聞かないのです」

門番「こちらとしてもなんとかしてやりたいのですが、三階からは男禁制ですから……」

僧侶「で、でも布団も何も無いところで……」

門番2「それが女王様以外の者の施しは受けない、と、頑なに孤児院の者や女中の差し出すものを突っぱねるのです」

門番2「それで女王様は毛布を与えようとしたのですが、王家の者が国民に個人的な贈り物をするのは禁じられていると側近様に止められましてね」

門番「全く困った奴らですよ……。まぁ寝静まったらちゃんと自分達が孤児院の方に運んでおくんですがね」

僧侶「…………」


男の子2「……うぅ……」

男の子「泣くなって!」


僧侶「…………」

僧侶(よしっ!)

…………
……

ヒュゥゥゥゥ……

男の子「……うぅ、女王様ぁ……」

男の子2「ぐすっ…………」

男の子「だから泣くなっていってるだろっ!」

男の子2「だってぇ……」グスッ


「こらっ。喧嘩しちゃ駄目ですよっ」

男の子・男の子2「「っ!!?」」ビクッ

ザッ

僧侶「こんばんわ」

男の子「……?」

男の子2「おねぇちゃん、だぁれ?」

僧侶「はじめまして。私は今日ここに泊まらせてもらってる旅人です」

男の子2「たびびと……?」

男の子「…………何の用だよ」

僧侶「えっとね」

サッ

男の子「!!」

男の子2「!!もうふ!!」

僧侶「ふふ、お茶もありますよ」

男の子「やめろ!そんなのいらない!」

男の子2「おにーちゃん……」

男の子「僕達は女王様いがいのほどこしは受けないからねっ!帰って!」

男の子2「おにいちゃぁん!」

僧侶「いえ、違うんですよ」

男の子2「え?」

男の子「違う?」

僧侶「はい。実は私、あまり他の国に慣れてなくって、眠れなかったんです」

スタスタ……

スッ

男の子「…………なんで隣にすわるんだよ……」

僧侶「他の皆は眠っちゃったし……私、さびしいんです」

僧侶「…………良ければ、お二人が話し相手になってもらえませんか?」

男の子「!」

男の子2「ほんと!!?」

僧侶「はい。そして、寒いから飲もうと思ってお茶を作ったんですが……一人で飲むには多く作っちゃいまして」

僧侶「…………いっしょにお話でもしながら、飲んでもらえると助かるんですが……」

男の子2「うん!のむ!ぼくもさむかったの!」

僧侶「ふふ、丁度よかったです」

男の子「…………」

男の子2「…………おにーちゃん……」

僧侶「…………駄目かな?」

男の子「…………」

男の子「……ちょっと、だけだからね……」ボソリ

男の子2「っ!」パァァァ

僧侶「うふふ……ありがとうございます♪」


コソッ

門番「…………」

門番2「…………」



門番ズ((マジプリティ!!!!))





…………
……




……
…………

男の子「……って事があったんだ!」

僧侶「あら、そうだったんですか。うふふふ」

男の子2「あははは!」

ヒュウウウ……

男の子2「……うぅっ」ブル

僧侶「あら、いけない」

ギュッ

男の子2「わわっ///おねぇちゃん!///」

僧侶「もっと近くにいないと、体……冷やしちゃいますよ」ギュッ

男の子2「…………えへへぇ///」ヌクヌク

男の子「…………」ムッ

ギュッ

僧侶「あら」

男の子「…………寒いから」ギュゥゥゥ

僧侶「…………うふふ♪」ナデナデ

男の子2「おねぇちゃん、いーにおいがする」

僧侶「そう?」

男の子2「うん……それにやわらかくて……すごくあったかい」

男の子「…………」

男の子2「…………おかーさんみたい……」

僧侶「……!」

ギュッ

僧侶「…………よしよし……」

男の子「…………お姉ちゃん」

僧侶「はい?どうしました?」

ギュッ

男の子「……なんでもない」

僧侶「……?」

男の子2「おねぇちゃん、じょおーさまとおなじくらいすきー」

僧侶「うふふ、ありがとう」

僧侶「…………そういえばお二人は、この城の皆さんが嫌いなんですか?」

男の子2「なんでー?」

僧侶「いえ、なんとなく」

男の子「…………」

男の子「…………嫌いじゃないよ……別に」

男の子2「すきだよ」

男の子「ただ……どうやって話せばいいか分かんないだけ…………」

僧侶「…………そうですか」

男の子「…………だけど」

僧侶「?」

男の子「…………イシス勇者様は…………怖い」

男の子「嫌いじゃないけど…………怖い」

男の子2「…………うん」

僧侶「?どうしてですか?」

男の子「…………僕達を助けてくれたのは、イシス勇者様だったの」

男の子「僕達の村が襲われて……その魔物達を倒してくれたのは、イシス勇者様だったの」

僧侶「…………」

男の子「…………その時ね」


…………
……




-今はもう滅びた村・一年前-


魔物『グギャギャギャギャ!!!!!!』

村人『ぎゃああああああああああああ!!!!!』

バキッ!!グチャッ!!

男の子『ひ、ひいいいいぃぃい!!!!』

男の子2『おとーさーん!!おかーさーん!!どこなのー!!?うわぁぁぁああん!!!!』

男の子『バ、バカ!!泣いてないでにげるぞ!!』

ダッ

魔物『グギャッ』

バサッ!!

男の子『!!』

男の子『(飛んだ!!こっちにくる!!)』

魔物『グギャアアアッ!!!!』

男の子『わああああああああああ!!!!』

男の子2『うわぁぁぁああん!!!!』

?『はっ!!!!』

キィン!!

魔物『グア?』

ズッ

魔『オゴェ』

物『』ビチャビチャビチャ!!


ドシャァッ!!


男の子『!!!!!?』

男の子2『うわああああああああああああん!!!!』


ザッ


?『…………大丈夫かい?』

男の子『…………!!!?』

?『…………もう大丈夫だよ』ニコ

ナデ

男の子2『ひ!!!!』

バシィッ

男の子2『ひぃぃっ!!!!』

?『!』

男の子2『…………と……さん…………か…………さん…………!!』ブルブル

?『…………すまない』

タッタッタッ

?『イシス勇者様ーっ!!大丈夫ー!!?』

イシス勇者『イシス僧侶!!頼む!この子達を手当てしてやってくれないか!』

イシス僧侶『合点だよ!』

タッタッタッ……

イシス僧侶『君たち!大丈夫?怪我は?』

男の子『う、うん、大丈夫……』

男の子2『うわぁぁぁああん!!!』

イシス勇者『……その子達を頼むよ』

ザッ

魔物の群れ『ゲギャギャギャ!!!!』

イシス勇者『…………どうやら僕は』

ジャキンッ!!

イシス勇者『……まだまだ“ゴミ”を片付けないといけないみたいだ』

ダッ

男の子『あっ……!!』

イシス僧侶『大丈夫だよ。ボーヤ』

男の子『でも、あんな沢山のまもの……!』

イシス勇者『がああああああああああああああッッッ!!!!!!!!!!!』


男の子『!!!!?』


ゾンッ!!

魔物『アsadsッッ!!』

グチャァッ!!

ゾンッ!!

魔物『ごげげげげげえぎゃぎゃyぎゃgygygy』

グチャッ!!


ザッ



イシス勇者『……ふぅ…………』

イシス勇者『…………来なよ。ゴミども』

男の子『…………!!!!』

イシス僧侶『……ね』

イシス僧侶『イシス勇者は……あの子はね』




イシス勇者『っあぁぁぁぁ!!!!』

ザァンッ!!!

魔物『グギgィィィイィィ!!!』

グチャァァッ!!



イシス僧侶『…………魔物相手には、すっごく強いの』

男の子『…………』



イシス勇者『はぁぁっ!!!!!ベギラマッッ!!!!』

ゴォォォォ!!!!!

魔物『あぎゃltっぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!』



男の子『…………』

男の子『(…………あの人…………)』



イシス勇者『っっっっっっああああああああああああああああ!!!!!!』





男の子『…………』


男の子『(凄く、楽しそう……)』



……
…………

男の子「……――――それで…………ちょっと、怖くなっちゃった……」

僧侶「…………そんな事が……」

男の子2「……」ギュッ

男の子「…………助けてくれたのは、かんしゃしてるけど、イシス勇者様もすきだけど……」

男の子「…………やっぱり、こわい」

僧侶「…………」

ナデ

僧侶「……そっか……。ごめんね?変な事聴いて」

男の子「…………ううん」

僧侶「…………」

僧侶(…………イシス勇者さん“も”……もしかすると……)

男の子2「…………」ウトウト

男の子「あ、眠ってる」

僧侶「あらら」

男の子2「!」ピクン

ゴシゴシ……

男の子2「……ねむってない」

僧侶「眠っても大丈夫ですよ?」

男の子2「や……おねぇちゃんとはなしする……」

僧侶「お話はまた明日しましょう?ね?」

男の子2「や…………いっしょに、うた……うたう」

僧侶「歌?」

男の子「うん……女王様がよく歌ってくれる、わらべ歌……」

男の子2「…………うたお?」

僧侶「ごめんなさい……私、その歌わからなくて」

男の子2「…………おしえてあげる」

男の子2「…………“まんまるボタンは、ふしぎなボタン”」

男の子「“まんまるボタンでとびらがひらく”」

男の子・男の子2「「“ひがしのにしから にしのひがしへ”」」

男の子「…………“にしのにしから”……」

男の子2「……“ひがしの……ひがし”……」


僧侶「…………」

男の子「…………すー……すー」zzz

男の子「すぴー……すぴー……」zzz

僧侶「…………」

ナデ

僧侶「…………まんまるボタン……か」

僧侶「ふふ……不思議な歌…………」

…………
……

――――――――――――

-イシス城・客寝室-

盗賊「…………」

女勇者「…………僧侶ちゃん、遅いね」

遊び人「一人で大丈夫だーって言ってたけど……」

魔法使い「…………むぅ」

戦士「様子見に行ってみるか?」

商人「武道家ちゃんも遅いですしね…………少し行ってみましょうか」

スタスタ……

戦士「でも、門番にお茶の差し入れしに行くだけでこんなに遅くなるか?」

盗賊「……お話してるのかも、しれないよ……」

商人「あーそれありそうですね。あのポケポケ娘なら」

遊び人「なんじゃそりゃ」

魔法使い「でもおはなしにしてもながすぎるよぅ」

女勇者「だね…………どうしたんだろう」

スタスタ……

…………
……

-イシス城・二階入り口-

ゾロゾロ

女勇者「すみません」

門番「あれ、どうしたんですか?こんな夜中に」

女勇者「いえ、僧侶ちゃんがあなたがたにお茶を差し入れに行ったきり戻ってこないもので……」

門番2「あぁ、エンジェルですか」

戦士「は?」

門番2「失礼。こちらの話です」

門番「あのお方なら…………こちらです」

女勇者「?」

スタスタ……

門番「……この部屋です」

門番2「静かにお願い致します」

女勇者「……?」

ヒョイッ

女勇者「…………!」

遊び人「!…………あはは」

盗賊「……あらあら、まぁまぁ……」

商人「…………全く……」

戦士「…………はは、僧侶らしいや」

魔法使い「ふふふ……なんていうか」

僧侶「……すー……すー」zzz

男の子「…………母さん……」zzz

男の子2「……むにゃむにゃ……」zzz


魔法使い「……おかーさんみたいだねぇ」

戦士「僧侶なら適任だな」

商人「人を心配させておいて、あんな幸せそうに寝てやがります」

遊び人「ほーんと、幸せそうだよね」クスクス

女勇者「それじゃ、私達は部屋に帰って寝……」



ヒュウゥゥゥ

男の子「……うぅ……」ブル……


盗賊「…………まだ寒いみたいだね……」

女勇者「…………」

女勇者「…………皆」

一同「「「りょうかーい」」」

女勇者「まだ何も言ってないよ……はは」

…………
……

-イシス・郊外-

スタスタ……

武道家「…………」

武道家(………………イシス勇者と女王様……あの時何か変だった)

――――――――――――


イシス勇者『ここに留まっていたくなる……』


――――――――――――


武道家「…………」


――――――――――――


イシス女王『あなたは、私の――…………』


――――――――――――



武道家「…………」

武道家(……愛人なんて、なんだか嘘臭いと思ってたのよね)

武道家(あの2人…………たぶん……)

武道家「…………」

武道家(でも…………じゃあなんでアイツはあそこまで私達を…………)

武道家「…………はぁ…………駄目ね。散歩なんかじゃ気は…………」

武道家「…………あれ?」

?「…………」

武道家(あそこで…………座ってオアシスの流れ水のほとりにいるのって……)

スタスタ……

武道家「…………勇者?」

勇者「!!?」ビクッ!!

武道家「やっぱり…………何してるの?こんな所で。最近外でよく会うわね」

勇者「あ…………武道家……そっちこそどうしたの?お城にいたんじゃないの?」

武道家「……散歩よ。散歩」

勇者「あはは……そっか。奇遇だね。僕もだよ」

武道家「そ」

スタスタ……

スッ

武道家「…………隣、いいわよね」

勇者「いいけど……水面を見てただけだよ?」

武道家「いいのよ。アンタがいるから」

勇者「…………そか」

武道家「そ」

勇者「…………」

武道家「…………」

武道家「……勇者、どうしたの?何かあった?」

勇者「…………はは、やっぱわかっちゃうか」

武道家「……ぶっちゃけその調子なら幼馴染じゃなくても赤の他人だってわかるわよ」

勇者「…………あはは」

武道家「…………イシス勇者ね?」

勇者「……っ……」ピクッ

武道家「……あのクソ野郎、またアンタに何か吹き込んだのね?」

勇者「…………それは」

スッ

武道家「……一回痛い目見せないと気が済まないのかしら」

ザッ

勇者「ちょ、待って!どこ行くのさ!武道家!」

パシッ

武道家「離しなさいよ。ちょっとアイツを痛めつけてくるわ」

勇者「駄目だって!!何言ってんのさ!!」

武道家「…………」

勇者「……これは、僕の問題なんだ……お願い。抑えて」

武道家「…………」

スッ

武道家「…………何言われたの?」

勇者「…………実は」

…………
……




……
…………

勇者「……――――って話になったんだ」

武道家「…………」

勇者「…………だから、これは僕自信が解決しないと……」

スッ

武道家「…………やっぱり、余計な事を…………!!」

ザッ

スタスタ……

勇者「武道家!!?」

パシッ

武道家「っ!!離しなさいって!!」

勇者「だから抑えてってば!!」

武道家「抑えてられないわよこんなの!!」

バッ

武道家「アンタは!!?アンタはいいの!!?馬鹿にされたのよ!!?」

勇者「…………武道家……」

武道家「勇者を馬鹿にされて、しまいには私達を賭けで奪い取る!!?アイツ、何様なのよ!!」

武道家「アイツはね!!!私達の!!私達幼馴染の仲を引き裂こうとしてんの!!!!黙っていられるわけないじゃない!!!!」

武道家「私達はもうこれ以上変わりたくない!!!!引き裂かれたくない!!!!」

勇者「…………」

武道家「私達の仲を引き裂くのは――……!!」

ギリィッ!!!

武道家「………………っ」

武道家「……引き裂かれるのは、もうこりごりよ!!」

勇者「…………」

武道家「……ハァ……ハァ」

勇者「…………武道家……」

武道家「…………それとも、何?」

武道家「アンタは、その賭けに乗って……私達がアイツに着いていってもいいっていうの?」

勇者「…………っ!!!」

武道家「…………あぁ、その顔」

武道家「…………図星なのね」

勇者「…………ちが……」

武道家「違う?嘘ね。何年の付き合いだと思ってんのよ。わかるわよ、顔だけで」

武道家「どうせ、またうじうじ悩んでたんでしょ?自分の力量とアイツの力量比べて、悩んでたんでしょ!」

武道家「私達がもっと良い環境で旅をするためにはそっちの方が良いかもしれない、とか思ってたんでしょ!!!!」

勇者「……っ……!!!!」

勇者「…………」

勇者「……事実……」

勇者「………………事実、そうかもしれないんだよ…………」

武道家「……」

武道家「…………っっ!!!!!!」ムカァァッ!!

バキィッ!!


勇者「ぐっ!!!?」

ドシャッ!!

武道家「……ハァ……ハァ」

勇者「ぶ、武道家……」

武道家「……………………アンタね」ハァハァ

武道家「……何…………何見てきたのよ…………」ハァハァ

武道家「今まで…………何見てきたのよ…………!!!!」ハァハァ

勇者「…………!!」

武道家「皆、笑って…………辛いのも堪えて…………」

武道家「それでも、みんな!!旅を、昔の事思い出しても、旅を続けてるのは!!何故かアンタにはわかんないの!!?」

武道家「……あのね……」ハァハァ

武道家「……アンタがそんな事もわかんないアンポンタンならね……!!!!教えてあげるわよ!!!!それはっ!!!!」

グイッ

勇者「!!!」


武道家「アンタがいるからなのよ!!!!」

勇者「!!!!」

武道家「アンタが!!!!ううん!!皆が!!皆がいるから!!!皆一緒だから!!」

武道家「このメンバーだから皆旅をしてるの!!!!」

武道家「効率とか!!計画とか!!そんなの無視して!!そうしてまでアンタに着いてきたの!!!!」

武道家「なんでかわかる!!?わかるのかアンタはッ!!!!」

グイィッ

勇者「武道家…………くるし…………!!!」

武道家「教えてやるわよ!!!!それはね!!あんな事もう沢山だからよ!!!!」

武道家「私達は!!ずっと一緒に居たかっただけなのよ!!!!」

武道家「一緒に!!!!ただそれだけなのに!!!」

武道家「あんな事!!!!」

ピタ……

勇者「…………!」

武道家「…………あんな事、もう」

ポロポロ……

武道家「…………もう、失いたくないのよぉっ…………!!」ポロポロ……

勇者「…………武道家…………!!!!」

スッ

クルッ

武道家「…………」グシッ

武道家「……熱くなって……ごめん」グスッ

武道家「…………殴っちゃって……ごめん」ポロポロ

ダッ

勇者「!!武道家!!」

武道家「っ!!」

タッタッタッ……

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………はは」

勇者「…………話は…………最後まで聞けよ……もう……」

勇者「…………」

勇者(…………でも、ありがとう)

グッ……

…………
……

-イシス城-

スタスタ……

武道家「…………」

武道家「……」

武道家「…………はぁ……」

グシグシ

武道家「……早く寝よう」


-二階入り口-


門番「おや、お帰りなさいませ」

門番2「ご無事の帰還なによりです」

武道家「おおげさね…………皆はどこにも行ったりしてない?」

門番2「はい……ですが」

武道家「…………?どうしたの」

門番「ふふ…………あちらの部屋を見ていただければお分かりになるかと」

武道家「?」

スタスタ……

ヒョイッ

武道家「…………!」

武道家「…………」

武道家「……ふふ」

武道家「なーにやってんだか…………」

武道家「…………」

武道家(やっぱり、私は…………こんな皆が大好き)

武道家(…………勝手かもしれないけど…………)

ギュッ

武道家(……皆を変わらせたくない……)

…………
……

翌朝

-イシス城・女王の部屋-

バン!!

側近「イシス女王様!!」

イシス女王「ふえぇっ!!?ど、どうしたのです!!」ビクゥッ

側近「お客様がたが、客室におられません!!」

イシス女王「えっ!?」

…………

スタスタ……

-イシス城・客室-

ガラーン

イシス女王「……ど、どこに行かれたのでしょうか」

側近「…………とりあえず、お着替えも済まれましたので謁見の間に移動しましょう」

イシス女王「……それもそうですね」

スタスタ……

イシス女王「…………わ、私、何か粗相を起こしてしまったのでしょうか……」アウゥ

側近「…………粗相といえば、わたくしもとんでもない粗相を…………」グヌヌ

イシス女王「昨日のあれがいけなかったのでしょうか?」アセアセ

側近「恐らくそうでしょう……イシス僧侶……!!ビンタかましてやる!!」

イシス女王「落ち着いて!!」

-イシス城・二階-



イシス勇者「…………これは…………なんというか……」ハハハ

門番「……あはは、何とも言えませんよね」

門番2「見過ごしたのは私どもです。罰はなんなりと」

イシス勇者「あはは。いや、いいんだ」

スタスタ……

イシス女王「!!イシス勇者!!」

イシス勇者「おや、姉上。おはようございます」

側近「実は!!イシス勇者のお客様がたの姿が―――……」

イシス勇者「しっ」

イシス女王・側近「「?」」

イシス勇者「ホラ。この部屋の中…………見てください」

イシス女王「?」

ヒョイッ

イシス女王「……――――!!」

側近「…………これは……」

男の子「すぴー……すぴー……」zzz

男の子2「…………むにゃ」zzz

僧侶「すー……すー……」zzz

魔法使い「ん…………」zzz

女勇者「くぅ……くぅ……」zzz

戦士「…………」zzz

商人「ぐー……ぐー……」zzz

遊び人「すぅ……すぅ……」zzz

盗賊「…………」zzz

武道家「……くー……くー」zzz


イシス女王「……うふふっ……皆さんったら」

側近「…………こ、こんな所で寝るお客様なんて前代未聞です…………」

イシス女王「…………私もまざろうかしら……」

側近「おやめ下さい!!!!」

イシス勇者「あはは」

イシス勇者「…………」

イシス勇者(…………優しい人達だ)

イシス勇者(今日の勝負…………)

ザッ

イシス勇者(負けるわけにはいかないな)

…………
……


今日はここまでー


魔法使い
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盗賊
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僧侶
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武道家
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神父&ファイヤーバード
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エルフ娘
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絶壁と山脈
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壁殴り促進ポスター
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一応張っておきます。
あれだ。いつか全部ちゃんと書き直したいな。

-イシス・宿-

チャプ……

勇者「…………」

バシャバシャ

勇者「……ぷはっ」

勇者「…………っふぅ…………」

勇者「…………」

――――――――――――


武道家『もう……失いたくないのよぉ…………』


――――――――――――

勇者「…………」

勇者(武道家…………)

勇者「…………」

バシッ

勇者「…………っよし!!!!」

-イシス城・王家の食卓-


カチャッ

女勇者「あはは、今朝はすみませんでした……」

側近「いえ、私共は構いませんが……風邪はお引きになりませんでしたか?」

戦士「ああ!全然大丈夫だぜ!」

イシス女王「あの子たちの面倒を見てくださってありがとうございました」

魔法使い「ぜんぜんいいんだよー。かわいかったしねぇ」

僧侶「はい!なんだか弟ができた気分でした!」

盗賊「……弟は、可愛いよね……」

イシス勇者「あはは、皆さん本当にお優しい。もっと気に入りましたよ」

武道家「…………」

遊び人「あれ?武道家、どうしたの?」

商人「なんだか今日は元気がありませんね」

武道家「あ、ううん。大丈夫。ちょっと寝違えちゃって」

側近「寝違え!!?だだだだ大丈夫ですか!!?申し訳ありません!!!!」

武道家「ははは、いえ、私って結構寝違えやすいんで側近さん方の責任ではないですよ」

側近「そ、そう仰って頂けると幸いですが……」

イシス勇者「…………」

戦士「あれ?」

イシス女王「どうかされました?」

戦士「あいつらは?イシス僧侶とか」

側近「あぁ、イシス僧侶でしたら……」

スタスタ……

イシス魔法使い「皆さん、おはようございます」

イシス戦士「…………」

イシス僧侶「お……おはよ………………うぇ……」フラフラ

女勇者「あ、おはよ…………ど、どうしたのイシス僧侶ちゃん?」

商人「なんだか満身創痍って感じですけど」

イシス魔法使い「あぁ、これね。二日酔い」

イシス僧侶「…………ぎひぃ…………頭割れる……」

遊び人「まぁ、あんなに飲んでたらねぇ」

側近「自業自得です!!」

イシス僧侶「へへ……サーセン…………うぅ……」

魔法使い「これはもうなんというかだね」

僧侶「でもイシス戦士ちゃんも結構な量を飲んでいらしましたけど平気そうですね」

盗賊「……お酒、強いんだね……」

イシス戦士「…………」

僧侶「……?イシス戦士ちゃん?」

イシス戦士「…………」

イシス魔法使い「あぁ、この子も二日酔いなの」

女勇者「え?なんだかそんな風には見えないけど」

イシス魔法使い「ポーカーフェイスだからね…………今つついたら多分この子リバースするわ」

イシス戦士「…………やめろ…………」

戦士「本当だ…………微妙に顔青い」

盗賊「……ミント種の、薬草なら持ってるよ……」

女勇者「あ、それでお茶を淹れてあげたらどうだい」

イシス僧侶「お、お願いしますぜ…………」

イシス戦士「……申し訳ない……」

側近「お客様に迷惑かけてばっかり…………頭痛い……」

カチャ

イシス僧侶「ふぅ…………このお茶のお陰でなんとか落ち着きました。ありがとね。盗賊ちゃん」

イシス戦士「ありがとう」

盗賊「……それは良かった……」

イシス勇者「もう……そんな調子で今日は大丈夫かい」

イシス僧侶「あ、そうだ。そういえば今日行くんだっけ」

イシス魔法使い「んもう……ちゃんと覚えておきなさいよ」

女勇者「今日はそちらは何処かへ出かけるのかい?」

イシス勇者「はい。今日はピラミッドを探索してみようかと思いまして」

イシス女王「…………!!」

僧侶「ピラミッドを!?」

遊び人「それまたなんで?」

イシス勇者「少し探し物がありましてね。でも恐らく貴女方も行くことになると思いますよ」

女勇者「え?なんでだい?」

イシス勇者「昨日の夜、勇者君に会いましてね。勇者君も探し物がピラミッドにある事が分かったと仰っていましたよ」

戦士「探し物……って鍵の事だよな」

商人「鍵がピラミッドの中にあるって情報を得たんですかね!」

戦士「あぁ!多分そうだ!よし、早速準備するぞ!」

イシス勇者「ふふ……」ニコニコ

武道家「…………」


女勇者「じゃあ着替えたらお義兄ちゃんの所に行こうか。みんな」

僧侶「そうですね!」

商人「しかし一晩のうちに情報を得てるなんて……たぶんあのアホは無理をしたんじゃないですかね」

遊び人「あり得る…………」

戦士「……もしそうだったら袋叩きだな」

盗賊「……か、可哀相だよ……」

魔法使い「たぶん、さかばかどこかでうわさをきいたんだよきっと!」

僧侶「そうだといいんですが……」


イシス勇者「…………」

イシス勇者(勇者君…………君には旅をやめてもらいますよ……)

…………
……

-イシス・街中-


スタスタ

戦士「あれ?お前らも一緒に宿まで来るの?」

イシス勇者「いえ、僕達は先に行っておきますよ。途中まで一緒に行きましょう」

女勇者「そうだね。一緒に行こうか」

武道家「…………」

スタスタ……

魔法使い「ありゃ、武道家?どーしたの?」

商人「先にすたこら行っちゃって……何かあるんですか?」

武道家「……何でも無いわよ」

スタスタ……

戦士「どうしたんだアイツ」

女勇者「うーん……」

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

武道家(…………昨日の事があったし、勇者には会いにくいな……)

武道家(殴っちゃったし……勇者、大丈夫かな…………)

武道家「…………」

武道家(でも……)


――――――――――――


勇者(事実……そうかもしれないんだよ……)


――――――――――――

武道家(…………)

武道家(……勇者があんな風に思ってたなんて……)

武道家(…………)

スタスタ……

武道家(…………勇者の馬鹿…………)

イシス勇者「…………」

戦士「それにしてもあっついなー。昨日の夜はあんなに冷えたのに」

イシス僧侶「でしょー。結構過酷なんだよ」

女勇者「毎日この気温差の中暮らしてるなんて、この国の人達は凄いね」

イシス魔法使い「まぁ、馴れれば平気なのよ」

魔法使い「そういうものなんだねぇ」

イシス勇者「ふふ、皆さんの住んでいたアリアハンはとても過ごしやすい所と伺ってますよ」

女勇者「アリアハンは平和だけが取り得だからね」

僧侶「のどかでとても良いところですよ」

イシス勇者「そうですね。オルテガ様も―――……っ!」

遊び人「え?オルテガ様?」

女勇者「父さんがどうかしたのかい?」

イシス勇者「い、いえ。オルテガ様の出身地だけあって、とても良い環境が揃った国なのだなと思いまして」

商人「まぁ環境はとてもいいですね」

戦士「田舎だからなぁ。その代わりあの大陸アリアハン以外ほとんど栄えてないしさ」

イシス勇者「あははは……」

イシス勇者(…………いけないいけない……)

町人「きゃあ!イシス勇者様!!」

町人2「イシス勇者様!!」

イシス勇者「おや、おはようございます」

ワーワー

僧侶「わぁ、また取り囲まれちゃいました」

遊び人「本当に凄い人気だね」

商人「しかしどこかの誰かさんとはマジでえらい違いですよねぇ。あっちは女の子からの人気が全く無いですし」

魔法使い「ゆ、ゆーしゃだってにんきあるよっ」

商人「へぇー?誰に?」

魔法使い「…………ないしょっ」

商人「言えないでしょう?やっぱり向こうは人気ないんでしょうー?下手なフォローは余計に勇くんの虚しさを加速させるだけですよ」

魔法使い「……商人がそうおもうならそうなんだろうねぇ」

商人「えっ、なんですかそのセリフ気になる」

町人「……――――でして、それから――……」

イシス勇者「あぁ、それは良かった」アハハハ

ワーワー

戦士「いっぱい囲まれちゃったなぁ……先に行くか?」

女勇者「そうだね…………ん?」


町人「……――――でさ!イシス勇者さん」

サッ

イシス勇者「…………っ」ビクッ

スッ

イシス勇者「あはは、そうなんですか」


女勇者「…………?」

イシス僧侶「?どうかしたの?女勇者ちゃん」

女勇者「ちょっと伺ってもいいかい?」

イシス魔法使い「あら、何かしら」

女勇者「……イシス勇者君って……なんだか男性を避けてないかい?」

イシス僧侶「!!」

イシス戦士「!!」

イシス魔法使い「!!」

戦士「……そういや、言われてみればそうだな」

商人「男性には間一髪で触れていないですね……」

イシス僧侶「…………やっぱり分かっちゃうよね」

女勇者「あ、何かワケありだったかな?すまないね」

イシス僧侶「ううん、いいの。一応話しておいた方が良いと思うから」

イシス戦士「…………」

イシス魔法使い「こら、イシス戦士。怖い顔しないの。イシス勇者様も信頼してる人達なんだから」

女勇者「話す?」

イシス僧侶「うん。……実はね」

イシス魔法使い「あの子……イシス勇者様はね、実は…………男性恐怖性なの」

女勇者「え!?」

戦士「そうだったのか!?」

イシス僧侶「そう。ホラ、イシス勇者様ってあの通り中性的な顔してるでしょ?」

イシス僧侶「それで昔ね、まだお城に住むようになる前にさ…………男の人に乱暴されかけたらしいの」

イシス魔法使い「上手く逃げたらしいのだけど……それ以来から触れられるのに拒否反応が出ちゃうみたいなの」

女勇者「そ、そうだったんだ……」

遊び人「あれ?でも勇者ちゃんとは普通にしてたけど……」

魔法使い「あれ?そういえばそーだね」

商人「あれですよ。勇くんは女顔ですからね。きっと男と見られていないんですよ」

戦士「あははは、それはありえるな!」

イシス僧侶「…………」

武道家「ねぇ、早く行きましょうよ」

遊び人「あ、そういえばそうだね」

女勇者「それじゃ私達は宿の方に行くよ」

イシス僧侶「うん!それじゃ先に行ってるぜ!」

イシス魔法使い「またね」

遊び人「お互い頑張ろうねー」

スタスタ……

女勇者「そういえば宿はどこに泊まったんだろうね」

僧侶「そうですね…………何も聞いてませんでしたし」

遊び人「…………これ私達お城で勇者ちゃんを待ってた方が良かったかもね」

魔法使い「どーする?とりあえず、このあたりのやどをかくにんしてみよーよ」

戦士「そうだな。おい!武道家!」

武道家「…………」スタスタ

戦士「…………駄目だ。聞いてないや」

スタスタ……

武道家(…………勇者に会ったら、なんて言えばいいんだろう)

武道家(あんな事言われて……笑顔で接する事なんてできないわ……)

ガチャッ

店主「はい!お気をつけて!」

勇者「それじゃ、夜には戻ります!……あれ?」

武道家「……!!」

勇者「……武道家」

武道家「…………」

勇者「…………おはよう……あのさ」

クルッ

武道家「皆!!勇者いたわよー!!」

勇者「あ…………」

女勇者「あ、本当だ!」

魔法使い「おーい!ゆーしゃー!」

戦士「おっはよー!」

勇者「あの、武道家」

スタスタ……

武道家「歩いてたらいきなりそこのドアから出てきたのよ。すごい偶然よねー」

遊び人「勇者ちゃん、今日はピラミッド行くんでしょ?イシス勇者君に聞いたよ!」

商人「まーた無理をして情報収集してたんじゃないでしょうね」

勇者「あ……うん……」

勇者(…………武道家)

武道家「…………」

武道家(…………勇者の、……馬鹿っ)

…………
……


―――――――――――

-イシス・砂漠-

ザッザッザッ……


武道家「…………」

勇者「…………」




戦士「…………なぁ」

商人「…………なんですか?」

戦士「アイツら、なんかあったのか?」ヒソヒソ

商人「知りません……どうしたんですかね」

僧侶「武道家ちゃん、勇者くんが話しかけても露骨に話をそらしちゃいますし……」

魔法使い「……なんだかちょっと、けんあくなむーど?」

盗賊「……だね……」

遊び人「…………うーん」

女勇者「…………」

スタスタ……

女勇者「武道家ちゃん」

武道家「どうしたの?」

女勇者「何かあったの?」

武道家「んーん。何も無いわよ」

女勇者「…………ならいいんだけど」

ザッザッザッ……

戦士「……あっ!」

魔法使い「あれ!すごくでっかい!」

商人「あ、あれが…………」


ザッ


-ピラミッド-

商人「ピラミッド…………!」

僧侶「お、大きいです……!!」

盗賊「……これが、お墓なの……?……」

遊び人「王族はスケールが違うね……」

女勇者「イシス勇者君たちはもう着いてるかな?」

戦士「お!あの入り口っぽい所にいるのがそうじゃないか?おーい!」


<オーイ

イシス勇者「!どうやらアリアハンの皆さんも着いたみたいだね」

イシス僧侶「あ、手振った!おーい!」

イシス魔法使い「ふふふ、あれだけ強い人達がいれば心強いわね」

イシス戦士「…………少々気に喰わないが」

イシス勇者「ん?いや、彼女達とは一緒に行動しないよ?」

イシス僧侶「え?」

イシス魔法使い「どういうこと?」

イシス勇者「実は勇者君と賭けをしていてね。彼等が先に探し物を見つけたら僕は何も干渉しない」

イシス勇者「だけど、僕達が先に黄金の爪を探し出したら……よいしょっと」

ザッ

イシス勇者「…………彼には旅をやめてもらい、彼女達は僕と一緒に来てもらう」

イシス魔法使い「!!!!」

イシス僧侶「…………そうなんだ」

イシス勇者「あぁ!だから今日は頑張って―――……」

イシス僧侶「…………イシス勇者様」

イシス勇者「ん?どうしたんだい?」

イシス僧侶「……もう、やめようよ」

イシス勇者「…………」

イシス僧侶「いくら約束したからって……勇者くん達には勇者くん達の旅のやり方が……」

イシス勇者「…………ごめん。イシス僧侶…………こればかりは譲れないんだ」

イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「……イシス勇者様……」

イシス勇者「…………とにかく、今日は頑張ろう」

イシス勇者「何としてでも…………先に見つけ出すんだ」

ザッ

勇者「…………おはよう」

イシス勇者「おはようございます。勇者君」ニコ

勇者「…………」

イシス勇者「さぁ、それでは入りましょうか」

勇者「……うん」

ザッ

スタスタ……

女勇者「?なんだか様子がおかしいね……」

イシス僧侶「そ、そうかな」

戦士「ま、とりあえず私達も入ってみようぜ」

魔法使い「そだねっ」

武道家(…………何よ)

武道家(…………もう好きにしなさいよ…………馬鹿勇者!)

…………
……

-ピラミッド内部-


オォォォオォ…………


スタスタ……

女勇者「う…………」

遊び人「これは…………ちょっと怖いね」

戦士「薄暗いな……」

イシス魔法使い「みんな、気をつけて歩いてね」

僧侶「う、うぅ…………」ビクビク

盗賊「……ロマリアの、宿の店主さんの話……思い出しちゃった……」

商人「ぎゃ――――!!盗賊ちゃんのアホ――――!!!!私まで思い出しちゃったじゃないですか!!!!」

魔法使い「や、やめてよぉ!」

イシス魔法使い「?どうしたの?」

女勇者「いや、ちょっと前にここの話をロマリアで聞いてね。幽霊がなんだとか……」

戦士「だからいちいち言うな!!!!シャレにならねーっつーの!!」

イシス魔法使い「幽霊……?」

僧侶「はい。先代の王様の方々が幽霊になって出てくるって……」

遊び人「さ、流石に冗談よね!嘘だよね!あははは」

イシス魔法使い「出るわよ?」

一同「「「「 」」」」

イシス魔法使い「って言っても、噂だけどね」アハハ

女勇者「……帰りたい」

戦士「やめろってば!!本当にやめろってばぁ!!」

イシス僧侶「あれー?何ー?みんなお化けが怖いのぉ?」

戦士「こ、怖くない!」

商人「ただちょっとビックリさせられるのが苦手なだけです!!それだけです!」

イシス僧侶「…………」

イシス僧侶「わっ!!!!」

一同「「「ぎ――――や――――――――!!!!」」」

イシス僧侶「あははは!!あははははっ!!!!」

イシス魔法使い「みんな強いのにお化けは苦手なのね……」

イシス戦士「貧弱な」

勇者「やめてあげてください…………」

女勇者「イシスさん達はなんなんだい!!私達を怖がらせて楽しいのかい!!!!」

イシス僧侶「そりゃもう」

女勇者「ぐぬぬ!!」

勇者「でも…………確かに薄暗くて不気味な所ですね……って王族の墓をこういう風に言うのは失礼ですね。すみません」

イシス魔法使い「ううん、いいのよ。私達でも少し不気味だしね」

イシス僧侶「実は私達も入るのは初めてだったりするよね」

戦士「え?そうなのか?」

イシス僧侶「うん。基本ここは今じゃ魔物も少し住みついてるからさ」

イシス魔法使い「だから今は王族の方が亡くなっても、王族の側近の人達だけで弔っちゃうのよ」

遊び人「先代の王様が亡くなった時も?」

イシス僧侶「そ。私達は子供だったし」

イシス魔法使い「それから殆ど人が足を踏み入れたことは無いんじゃないかしら」

女勇者「…………確かに、なんだか人が最近通ったような痕跡もないね」

盗賊「……なんだか、建物が老朽化してるような、そんな気が……」

イシス僧侶「古い建物だからねぇ」

イシス魔法使い「だから皆さん、どこが脆くなっていたりするか分からないから気をつけてね」

商人「うぅ…………おばけだけじゃなくそんな所まで怯えないといけないなんて…………」

イシス僧侶「あれ、おばけに怯えてるって認めちゃうんだ」

商人「あっ!!今の無し!!今のナッシングです!!」

勇者「ははは、じゃあ早く終わらせなきゃね」

武道家「…………」

スタスタ……

勇者「あ、武道家、そんなに先に一人で進んじゃったら……」

武道家「うるさい…………早く終わらせるわよ」

勇者「……!」


戦士「なぁおい。あれってもしかしなくとも喧嘩してるんじゃねーか?」

女勇者「…………みたいだね。珍しい」

イシス勇者「…………」

ツカツカツカ

イシス僧侶「あっ……イシス勇者様……」

イシス勇者「…………おはようございます。武道家さん」ニコ

武道家「…………」

スタスタ……

イシス勇者「……ふふ、やはり無視ですか」

武道家「うるさい。寄るな。話しかけるな」

イシス勇者「おや、冷たい返事ですね」

武道家「…………」

イシス勇者「でも……もうすぐ貴女はそういう事を仰らなくなると思いますよ」

武道家「…………」

武道家「…………黄金の爪とやらを、私にプレゼントするから?」

イシス勇者「!…………おや、勇者君に聞きましたか」

武道家「…………」

スタスタ……

ピタ

武道家「…………」

イシス勇者「…………?……武道家さん?」

武道家「…………アンタどこまで私を馬鹿にしてんの?」

イシス勇者「!」

武道家「アンタ、私がそんな物貰って喜ぶと思ってるんだ?」

武道家「そんなもの貰って、私が皆を……勇者を見放す馬鹿だと思ってるんだ?」

武道家「私を…………馬鹿にしてるんだ?」

イシス勇者「…………いえ、それは」

ザッ

武道家「ふざけるなぁっっ!!!!」


一同「「「「!!!!!!!?」」」」

女勇者「ぶ、武道家ちゃん…………?」

戦士「ど、どうしたんだ?アイツ……今叫んだよな」

商人「何話してるんですかね?喧嘩?」

僧侶「あわわ……喧嘩は駄目です……!!」

イシス魔法使い「…………」

イシス僧侶「…………」

イシス戦士「…………あの女」

チャキッ

イシス僧侶「イシス戦士。…………やめなさい」

イシス戦士「…………」

武道家「…………」

イシス勇者「ぶ、武道家さn…………」

武道家「…………っ!!!」

ダッ!!!!

イシス勇者「!!!!」

勇者「武道家!!!!」

女勇者「武道家ちゃん!」

イシス魔法使い「そんな先に行ってしまったら…………!!!!」


タッタッタッ!!

武道家「…………っ……!!」

武道家(もうやだ…………もうやだ!!)

武道家(私は、変わりたくないだけなのに!皆と一緒にいたいだけなのに!!)

武道家(なんで、なんで皆邪魔するのよ!!!!)

タッタッタッ!!

イシス勇者「武道家さん!!」

武道家「!!着いてくるな!!!」

イシス勇者「そんなわけにはいかない!!!!落ち着いて下さい!!!!あまり走ると――……」

ガコォッ!!



武道家「…………っ?」



イシス勇者「っ!!!!」

勇者「!!!!!」


武道家(あれ、足元が)

武道家(なんか、急に)

武道家(ふわっ、て)


イシス勇者「…………っ」

ガシィッ!!!!

イシス僧侶「!!!!イシス勇者様ぁっ!!!!」

武道家「…………なっ……!!」

イシス勇者「ッ!!!!」

ヒュウゥゥゥ……

勇者「……ぶ……」

タッタッタッ

勇者「武道家ぁっ!!!!」

…………
……




……
…………

ズザァァァァァッ!!!!

武道家「きゃあぁぁあぁ!!!!!」

イシス勇者「…………っ!!!!」

ドッ!!!!

武道家「あぐっ!!!!」

イシス勇者「ぐっ!!!!」


ゴトッ!!

パラパラ……


武道家「……ハァ……ハァ」

イシス勇者「…………うっ……」

武道家「…………な、何……?なんなの……?」

イシス勇者「……ハァ……ハァ…………どうやら」

スクッ

オォォォオォォオオォォ…………

イシス勇者「…………地下に落ちてしまったようですね……」

武道家「…………」

イシス勇者「きっと床の老朽化が進んでいたんだ…………」チラッ

パラパラ……

イシス勇者「…………上へは這い上がれそうにありません」

武道家「…………」

イシス勇者「…………僕達は、この地下から脱出するには…………ちゃんとした出口を探さないといけないようです」

武道家「…………」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……行きましょう」

今日はおしまいです。更新滞って&短くてごめんなさい。

>>1は聖夜も明日の昼までお仕事です。

メリークリスマス!!
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2419091.png

――――――――――――


パラパラ……


勇者「武道家!!武道家!!」

シーン……

女勇者「大変だ……!!」

イシス僧侶「2人とも落ちちゃうなんて……!!」

勇者「早く行かなきゃ!!」

バッ!

遊び人「あっ!!勇者ちゃん!!」


ガシッ

勇者「!!?」

イシス戦士「待て」

勇者「イシス戦士さん!!?どうして止めるんですか!!早く行かなきゃ――――……」

イシス戦士「落ち着け!!!!!!」

勇者「!!」ビクッ!!

イシス戦士「…………」

スタスタ……

スッ

イシス戦士「…………」

コンコン

<コォン……コォン……

イシス戦士「…………やはり、深い」

勇者「だったら早く行かなきゃ!!!!」

イシス戦士「落ち着けと言っている」

女勇者「そうだよお義兄ちゃん!イシス戦士ちゃんの言うとおり落ち着いて!!」

魔法使い「そんなにせいちゃだめだよっ!」

勇者「っ…………ご、ごめん……」

イシス戦士「……どうやらイシス勇者様と武道家は地下に落ちたようだ」

戦士「地下…………か」

イシス戦士「……その落下した先で気を失っている可能性もある」

イシス戦士「今お前がここで飛び降りれば、二人の上に落ちてしまい怪我を負わせてしまう恐れもある」

勇者「!!」

イシス戦士「…………だが、地下はどうやら意図的に作られたものだ」

イシス戦士「他にも地下に通じる道があるはずだ。それを探そう」

勇者「…………そうだね。ごめん、取り乱しちゃって」

イシス戦士「構わん。私も心中穏やかではない」

イシス魔法使い「とにかく今は地下への道を探しましょう」

…………
……

―――――――――――

スタスタ……

武道家「…………」

イシス勇者「…………武道家さん、あまり先に進むと、また――――……」

武道家「うるさいって言ってるのよ……着いてくるな」

イシス勇者「ここで一人になっては危険です……お願いします」

武道家「私を無理矢理愛人にしようなんて言ってるバカに誰がホイホイ着いていくのよ」

イシス勇者「…………」

武道家「…………私はアンタとは別に出口を探すわ。じゃあね」

スタスタ……

イシス勇者「…………すみませんでした」

ピタッ

武道家「え?」

イシス勇者「……貴女を仲間にするのは諦めます」

武道家「!!」

イシス勇者「すみません、どうしても仲間になって欲しかったために手荒な真似をしすぎました……」

イシス勇者「元来、僕はそういう他人への采配が出来ないと皆にも叱られるのですが……」

イシス勇者「どうやら今回も盲目になりすぎて貴女を深く傷つけてしまったみたいだ」

ザッ

武道家「!!」

イシス勇者「…………本当に、申し訳ありませんでした」

武道家「ちょ、ちょっと……王族の人間が跪いて庶民に謝ってんじゃないわよ」

イシス勇者「いえ、謝らせて下さい。もう貴女を…………貴女方を無理にパーティに誘い込んだりしません」

武道家「わ、分かったから。分かったから立ちなさいよ……」

イシス勇者「はい…………すみません」

武道家「…………」

武道家(どうしたのコイツ…………いきなり謝るなんて)

武道家(まさか、罠?いや、でも本当に落ち込んでるみたい…………)

イシス勇者「…………ただ、黄金の爪は貴女にプレゼントさせて欲しい」

武道家「え?」

イシス勇者「黄金の爪は相当強力な武器と聴きます。あれがあれば貴女の、いえ貴女方の旅の強い味方になるでしょう」

イシス勇者「…………それを、どうか貴女に身に着けて欲しいのです」

武道家「…………何をたくらんでるワケ?」

イシス勇者「…………何も企んでなどいません」

スタスタ……

イシス勇者「ただ…………その代わりと言うのもなんですが…………これだけはお願いしたい」

ピタッ

イシス勇者「…………勇者君には、旅をやめさせて下さい」

武道家「…………!!!?」

イシス勇者「……これだけは、どうしても譲れないのです」

武道家「は……?いや、どうして……?」

武道家(コイツの目的は私達で、勇者に旅をやめさせるってのは私達を手に入れるためには邪魔だったからってだけじゃなかったの?)

武道家(でも、私達は諦めて、「勇者の旅はやめさせたい」?)

イシス勇者「…………お願いします」

武道家「ちょ、ちょっと待ってよ…………ちょっと意味が分からないわ」

武道家「アンタの目的は私達じゃなかったの?なんで勇者に旅をやめさせたいわけ?」

武道家「もしかして…………本当の目的はそれだったわけ?」

イシス勇者「いえ、貴女達を仲間にしたいと思ったのは本当です」

イシス勇者「ただ…………貴女達を諦めたとしても、こればかりは譲れない……申し訳ありません」

武道家「…………???」

武道家「ちょっと待って……混乱してきたわ」

武道家(なんで?勇者が旅を止めてコイツにどんなメリットがある?)

武道家(…………名誉を独り占め?いや、イシス勇者はもう十分勇者より名誉を得ている筈……)

武道家(それに、女勇者の旅については何も言ってない…………勇者だけ?なんで?)

イシス勇者「…………行きましょう」

武道家「ちょ、ちょっと待ってよ!」

イシス勇者「はい?どうしましたか?」

武道家「理由を聴かせなさいよ!そうじゃなきゃ納得できるものもできないわ!」

イシス勇者「…………」

武道家「勇者が旅を止めて、アンタにはどんなメリットがあるわけ?何が目的なの?」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……本当に申し訳ありません。それも、言う事ができないのです」

武道家「それじゃ納得なんてできるわけないじゃない!」

イシス勇者「…………」

武道家「ちゃんとわけを言いなさいよ!そしてそんなのは本人に――――……」

イシス勇者「でも、実際……貴女も少し思う所があるのではないですか?」

武道家「っ!!!!」

イシス勇者「…………実のところ、勇者君には旅をやめてもらいたいんじゃないのですか」

武道家「そ…………そんな事……!!」

イシス勇者「貴女はどうやら仲間に対してとても思慮深いお人の様だ」

イシス勇者「そんな貴女が…………いつ死んでしまうかわからない、ルビス様の加護も無い勇者君を危険な目に晒しておきたがる筈は無いと思うのですが」

武道家「し…………」

ギュッ

武道家「知ったような口のききかたをしないでっ!!!!」

イシス勇者「……申し訳ありません。口が過ぎました」

武道家「…………し、質問に質問で返さないでっ……まずアンタが質問に答えなさいよ!」

イシス勇者「…………僕の方は、その質問にとある理由で答える事ができないのです」

武道家「そんなのって――――……!!」

イシス勇者「…………ある人の」

武道家「え?」

イシス勇者「ある人の…………頼みなのです」

武道家「…………」

武道家(ある人…………?)

イシス勇者「…………これ以上は申し訳ありませんが、言えません」

イシス勇者「……行きましょう」

スタスタ……

武道家「…………」

武道家「…………ある人……」

武道家「…………」

武道家(…………まさか……まさか)

武道家(…………いや、でも…………)

イシス勇者「武道家さん、早く行きましょう?」

武道家「…………」

スタスタ……

武道家「…………」

武道家(もし、そうだとしたら…………)

武道家(…………なんて残酷なのよ)

…………
……


――――――――――――


勇者「よし、じゃあまずは複数の手に分かれようと思う」

イシス魔法使い「えぇ。それがいいと思うわ」

戦士「なんでだ?皆で探したほうが早かないか?」

勇者「皆で塊になって行動してたら効率が悪いし、何より今みたいな事があったら全員が同じ窮地に陥っちゃうからね」

戦士「あー」

勇者「それに、何組かは上階を探索していて欲しいんだ」

遊び人「え?なんで?」

勇者「ここは王家のお墓だから、何か王家の遺品を隠すための仕掛けというかそういうものがあってもおかしくないと思うんだ」

イシス僧侶「うん。もしかしたら地下には何か王の遺品を隠していて、上の階にそこに行くための仕掛けがあるかもしれないからね」

勇者「そうだね。それに、一階は見た限り幾つもの辻が集まって出来ているような作りみたいだ」

勇者「これだったら少人数で探してもそんなに時間が掛かるわけではないと思う」

勇者「そして、何より時間の浪費が怖いんだ。砂漠は夜と昼の温度差が凄まじい。早く探索を終えないと皆の命も危うくなってくる」

女勇者「確かに…………それが賢明かもしれないね」

僧侶「でも、どうします?何人行動で動きましょうか?」

勇者「どうやら、さっきから遭遇する魔物を見る限りそんなに強くない様だし、なにより住み着いている数が少ないみたいだ」

勇者「だから、ここは二、三人で行動するのがいいと思う」

イシス戦士「……決まりだな」

魔法使い「だねっ!はやくふたりをたすけださないと!」

勇者「うん。どんな手がかりも見逃さないようにしよう!」

勇者(武道家……イシス勇者君……無事でいてくれよ……!!)

…………
……


――――――――――――

スタスタ……

武道家「…………出口、見当たらないわね……」

イシス勇者「…………武道家さん」

武道家「何よ」

イシス勇者「少し、探し物をしてもよろしいでしょうか」

武道家「は?ここで?」

イシス勇者「はい…………もしかすると、ここにあるかもしれない」

武道家「何バカ言ってんのよ!!こんな所にあるわけ――――……」

ゴツン

武道家「?」

武道家「何かしら、さっきから少し足にゴツゴツと…………」

イシス勇者「あっ!!いけません!!」

ヒョイッ

武道家「…………」

骸骨「」

武道家「に」



にぎゃああああああああああああああああああああ

イシス勇者「だ、大丈夫ですか!!?」

武道家「が、がいこ、おば!!お化け!!!!」アワアワ!!

イシス勇者「落ち着いて下さい!これはどうやら昔の従者達の骨です!」

武道家「じゅ、じゅうしゃ……?」

イシス勇者「はい。昔は王が亡くなる際にはその専属の従者達も後を追ったそうです」

イシス勇者「だけれど、同じ墓に入れるわけにもいけないのでピラミッドのどこかに躯を隠されたと聞きましたが…………」

ザッ

イシス勇者「どうやら、ここが…………その隠し場所の様ですね」

武道家「!!!!」

武道家(よく見たら……足元、骸骨とかミイラだらけ…………!!!!)

イシス勇者「僕はある国で黄金の爪の情報を仕入れた時、骸骨やミイラの群の中にその隠し場所はある、と聞きました」

武道家「じゃ、じゃあ早く探すわよ!!ちょっとここは私には色々と無理だわ!!!!」

イシス勇者「あははは、申し訳ありませんね」

イシス勇者「…………」

カツン

イシス勇者(…………おかしい)

イシス勇者(殆どの躯はイシスの従者用の衣服やアクセサリを身に着けたまま死んでいるけど……)

イシス勇者(ところどころに、旅人の様な格好の屍骸もある…………)

イシス勇者(…………何事も無いと良いけれど…………)



……
…………


ゴソゴソ

武道家「うぅ…………」

イシス勇者「武道家さん、休んでいて頂いてもいいんですよ?」

武道家「そういうわけにもいかないわよ…………私も黄金の爪は是非とも欲しいんだから」

イシス勇者「おや、受け取ってもらえますか」

武道家「そりゃあ、私も魔王に立ち向かうために強くなれるなら少しの可能性でも縋りたいからね」

イシス勇者「…………では」

ゴソ……

イシス勇者「…………勇者君の旅は……やめさせて頂けますか」

武道家「…………」

武道家「…………」

ゴソ

武道家「…………わかんない……」

イシス勇者「…………」

武道家「私は…………どうしたいんだろう……」

武道家「…………私は…………」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「…………困らせて申し訳ありません」

武道家「…………」

イシス勇者「…………とりあえず」


ゴトォン


イシス勇者「この先で、爪を手に入れてから…………勇者君に話してみますよ」

武道家「!!」

タッタッタッ……

武道家「見つけたの!!?」

イシス勇者「正直眉唾モノの情報でもありましたが…………どうやら見付けたようです」

イシス勇者「…………地下の地下への、入り口ですね」

オォォォオォォオオォォ…………

武道家「…………嫌な空気が流れて来るわね」

イシス勇者「武王は地下に物を隠すのが好きと聴いていましたが…………ここまでとは」

武道家「そうなの?」

イシス勇者「ええ。イシス城に祀ってある星降る腕輪も地下に隠してあります」

武道家「難儀な嗜好ね…………」

イシス勇者「それだけ武具の力が強力という事ですよ」

ザッ

イシス勇者「…………それでは、入ってみましょうか」

武道家「……う……うん」

…………
……


スタスタ……

武道家「…………何?なんだか明るいわね……」

イシス勇者「光苔ですね。意図的に壁に植生させているようです」

武道家「あぁ、なるほどね」

イシス勇者「流石にここまでは光は行き届かないですからね。従者達がここを掘る際に作業用に生やしたのでしょう」

武道家「忠義な人達ね…………」

イシス勇者「…………ふふ」

武道家「…………何よ」

イシス勇者「いえ、普通に話して頂けるようになったなと思いまして」

武道家「…………アンタが馬鹿な事諦めたからね」

武道家「ギスギスいつまでひきずってもしょうがないでしょ。状況が状況だし」

イシス勇者「はは、まだいつでも大歓迎なのですがね」

武道家「冗談言うな。ぶっ飛ばすわよ」

イシス勇者「残念です」

スタスタ……

イシス勇者「…………武道家さんは」

武道家「え?」

イシス勇者「武道家さんは…………勇者君が好きなんですか?」

武道家「…………………………………………は?」

イシス勇者「いえ、愛人に大変な拒否反応を示しておられますし、勇者君を大切に思われてるみたいなので…………」

武道家「私が?勇者を?」

イシス勇者「はい」

武道家「…………ぷっ」

イシス勇者「?」

武道家「あはははははは!!私が勇者を好き?ないない!!あんなアンポンタン!」

イシス勇者「そ、そうなんですか?」

武道家「そうよ!あんな優柔不断な奴、面倒みるだけで精一杯よ」

イシス勇者「…………では、なぜあんなに……」

武道家「だから…………言ったでしょ?私は皆との今の関係が好きなの」

武道家「幼馴染の皆でつるんでる、この状況が好きなの」

武道家「勇者がいて、戦士がいて、魔法使いがいて、女勇者がいて」

武道家「盗賊がいて、僧侶がいて、商人がいて、遊び人がいて」

武道家「…………そして…………」

武道家「……っ……」

イシス勇者「?」

武道家「…………そこに、私がいる」

武道家「私が欲しいのは、それだけ」

武道家「…………それだけなの」

イシス勇者「…………」

武道家「…………私は、それを壊されたくないだけよ」

イシス勇者「…………しかし」

イシス勇者「では…………なぜ僕が勇者君を旅から離脱させる事には……真っ向から否定しないのです?」

武道家「…………」

武道家「…………」

武道家「…………それは…………」

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

武道家「…………死なせたく、ないからよ」

イシス勇者「…………」

武道家「……旅を止めても…………いずれは、また会えるわ」

武道家「…………でも」

スタスタ……

武道家「…………死んだら」

武道家「……………………もう、会えないのよ」

イシス勇者「…………」

武道家「…………それだけ」

イシス勇者「……そうですか」

ザッ

イシス勇者「!!!!」

武道家「!!!!」

オォォォオォォオオォォ…………!!

武道家「…………これは」

イシス勇者「…………どうやら、着いた様ですね」

スタスタ……

武道家「…………」

イシス勇者「…………ここに……祀ってあるのが…………」

武道家「…………」

イシス勇者「…………」

スタスタ……

イシス勇者「…………これか」

ガチャッ

イシス勇者「…………おぉ……!!」


黄金の爪を手に入れた!!

イシス勇者「噂は本当だったんだ…………!!」

スタ……

イシス勇者「武道家さん。どうか…………身に着けてみて下さい」

スッ

武道家「…………!」

カチャ

武道家「…………これが」

パァァァ……

武道家「黄金の爪…………!!」

イシス勇者「…………どうですか?」

武道家「…………」

チャッ

武道家「…………ふっ!!」

フォンッ!!

イシス勇者「!!」

武道家「…………!!!!何これ…………!凄く軽い……!!」

イシス勇者「…………どうやら、噂に違わぬ名器だったようですね」

武道家「…………凄い、こんなに凄いものだとは思わなかった」

イシス勇者「良かったです。喜んでもらえたみたいで」

武道家「…………」

カチャ

武道家「…………まだ、貰うって……決めたわけじゃないわ」

イシス勇者「いえ、とりあえずそれは貴女に差し上げますよ」

武道家「え…………?いいの…………?」

イシス勇者「はい。どうかそれで―――――……」

ニコ……

イシス勇者「魔物達を……駆逐して下さい」

武道家「…………!」

イシス勇者「魔物達を全て駆逐するにはもっと強い人々が必要だ」

ザッ

イシス勇者「…………僕は、そのためならどんな協力も惜しみません」

武道家「…………アンタ」

イシス勇者「それでは、行きましょうか」

スタスタ…………

武道家「…………」

武道家(…………もしかして…………)

スタスタ……

イシス勇者「さて、次は出口ですね……まぁ黄金の爪よりは楽に見つかるでしょう」

武道家「…………」

スタスタ……

ザッ

イシス勇者「さぁ、ここから早く出てしまいましょう」

武道家「…………」

イシス勇者「……?武道家さん?どうしました?」

武道家「…………アンタさ」

イシス勇者「?」

武道家「…………ううん、やっぱりいいわ」

イシス勇者「そうですか?では、行きましょう」

武道家「…………」

カツカツ……

武道家(…………もしかしたら、コイツも――――……)

ザッ

イシス勇者「あぁ、やはり上の階の方が少し明るいですね」

武道家(…………まぁ……いいか)

イシス勇者「それでは、出口ですが……」



「……」



武道家「?何?」

イシス勇者「はい?どうしました?」

武道家「いや、今何か言ったでしょ?」

イシス勇者「いえ?僕は何も――――……」


「…………」


武道家「…………」

イシス勇者「…………」


バッ!!


武道家「…………」

イシス勇者「…………」

シーン……

武道家「…………何……今の呻き声」

イシス勇者「…………魔物……でしょうか」

武道家「それにしては…………何かおかしかったような…………」


ボゴッ



イシス勇者・武道家「「!!!!?」」


ボゴッ

ボドォッ

ボゴゴゴッ


イシス勇者「…………!!!!?」

武道家「な…………な…………!!!!」




ミイラの群「「「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!」」」


武道家「な、何よこれぇ!!!!!」

イシス勇者「まさか…………!!!!王の呪い…………!!!?」

ガバァッ!!!!

ミイラ「あおぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

武道家「ひっ!!!!」

ボッ!!

ミイラ「ぼぁぇっ」

ボドボドッ!!

ミイラを倒した!!

武道家「な、何よ!!何なのよコレ!!!!」

イシス勇者「お、落ち着いて下さい!」

武道家「コレが落ち着けるわけないじゃない!!見なさいよ!!!!」


ミイラの群「「「「「あぁぁぁぁあぁあぁぁあ」」」」」


武道家「何よこの大群!!!!私達、囲まれてんのよ!!!!」

イシス勇者「…………!!!!」

バッ

ミイラ「あぁ”ッ!!!!!」

イシス勇者「っ!!…………だぁっ!!!!」

ザンッ!!!!

ボドッ!!

ミイラを倒した!!

イシス勇者「武道家さん!!どうやら一個体の力は然程無いようです!!」

武道家「…………」

チラッ

オォォオォォオォ

武道家(戻るにもミイラだらけ…………)

武道家「…………ってことは……!!」

ガバッ

ミイラ「あああああっ」

武道家「覇ァッッ!!!!」

ドボォォォッ!!!!!

ドサッ!!!!

ミイラを倒した!!


ボゴッ

ミイラ「ああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


武道家「…………耐久勝負ってわけね…………!!」

イシス勇者「…………そのようです…………!!!!」

…………
……

スタスタ……

魔法使い「ゆーしゃ!!なにかみつけた!!?」

勇者「いや、駄目だ…………怪しそうな所は何もないや」

魔法使い「うぅ――――……あせっちゃいけないのはわかってるんだけど、どうしてもあせっちゃうよぉ」

勇者「だね…………」

勇者(事実あれからしばらく時間が経ってる…………何事も無いといいけど……)

勇者(…………しかも、落ちたのは武道家とイシス勇者君…………)

勇者(不安だ…………喧嘩とかしてないかな…………)

魔法使い「ゆーしゃ?どうしたの?」

勇者「え?あ、いや、なんでもないよ」

勇者「とにかく早く探し出さなきゃね」

魔法使い「うん!そだね!」

勇者「それじゃ次はあっちを―――――……」

ガコォッ

勇者「ぷん?」

ヒュゥゥゥゥ……

魔法使い「ふぇ?」

クルッ

シーン……

魔法使い「…………ゆーしゃ?」

――――――――――――

ヒュゥゥゥゥ……

ドッ!!!!

勇者「ドンタコスッ!!!!」


パラパラ……

勇者「おぐぇ…………ぐふぅ…………」

勇者「…………うぇ…………?」

勇者「…………魔法使い?」

シーン……

勇者「…………!!!!」

勇者(そっか……僕も落ちちゃったのか)

スクッ

勇者「ここが……地下か……」

勇者「……っ!」



オォォォオォォオオォォ…………



勇者(…………)

<オーイ

勇者「!」




魔法使い「おーい!!ゆーしゃー!!!!」




勇者「魔法使い!!」

魔法使い『ゆーしゃ!だいじょうぶだったんだね!!よかったぁ!』

勇者「あぁ!僕は大丈夫だよ!!それより、僕の事は良いから皆と合流してくれないかな!!」

魔法使い『えぇー!?だめだよぉ!あぶないよ!わたしもいまおりるから…………』

勇者「わ―――――!!!!だめだめだめだめ!!!!降りてきちゃだめ!!!!」

魔法使い『なんでー?』

勇者「ほら、二人とも落ちちゃったら他の皆が心配しちゃうだろ!?だから皆と合流して伝えてくれないかな!!?」

魔法使い『でもぉー!』

勇者「それにここは魔物がいないみたいなんだ!エルフ女王様に貰った薬草もあるし大丈夫だよ!」

魔法使い『うぅ――――……わかった!!むちゃしないでね!すぐいくからね!』

勇者「了解!頼んだよ!」

勇者「…………ふぅ」

勇者「…………危ない危ない」

クルッ

勇者「……こんなの皆には見せられないよ」


オォォォオォォォ…………


勇者「こんな屍骸の山…………」

勇者「…………」

勇者(…………でも)

勇者(今武道家はこの地下にいるんだ…………)

勇者(……きっと、怯えているんだろうな)

勇者「…………」

ギュッ

勇者「待ってろよ……」

勇者(ちゃんと会って…………僕の考えを伝えるんだ……)

勇者(無事でいてよ…………)

…………
……



ドサァッ!!!!




イシス勇者「……ゼェッ!!……ゼェッ!!」

武道家「……ハァッ……ハァッ!!」

イシス勇者「……何とか……僅かですが……逃げられましたね……」

武道家「……ハァ……ハァ」

チラッ


ミイラの群「「「「あぁぁぁぁあぁあぁぁあ!!!!」」」」



武道家「……ハァ……ハァ…………でも」

イシス勇者「……ゼェ……はい…………ここが……見つかるのも…………時間の問題でしょう……」

イシス勇者「…………どこに……どこにいても追ってくるとは……」

武道家「……ハァ……ハァ…………数が…………数が多すぎるわ……!」

イシス勇者「…………そして…………一番想定外だったのが…………」

イシス勇者「…………ホイミ!!!!」

シーン……

イシス勇者「……呪文が…………使えない事です……!」


イシス勇者「…………何か…………特別な……不思議な力が働いているようですね……」

武道家「……それに……なんだか……体がおかしいの……」

武道家「ハァ……ハァ……気分が悪くて…………世界が回ってるみたい…………」

イシス勇者「……ゼェ……ゼェ…………僕もです…………」

イシス勇者「…………どうやら……奴らに…………毒を仕込まれたみたいですね……」

武道家「…………ハァ…………毒?…………ハァ……」

イシス勇者「おそらく…………あれらは……従者達の躯です…………」

イシス勇者「…………死しても尚…………墓を荒す侵入者を殺すために…………体に、毒でも塗っていたのでしょう…………」

イシス勇者「…………毒消し草…………持っていれば…………」

武道家「…………はは…………ここで…………死ぬのかしら」

イシス勇者「……………………ザオリクは…………魔物などの闇の力に奪われた…………命しか…………救えませんからね…………」

イシス勇者「………………これは……人間が作り出した…………毒のようですから…………」

イシス勇者「…………ゼェ…………絶体絶命ですね……」

武道家「はは…………こんな所で……死ぬなんてね…………」

イシス勇者「…………申し訳…………ありません…………僕が…………」

武道家「今更……何言っても…………しょうがないわよ…………」

イシス勇者「…………すみません…………」

武道家「…………」

ギュゥゥ……

イシス勇者「すみません…………すみません…………!!」




武道家「…………一つ…………一つだけ……聞かせて…………」

イシス勇者「…………なんでしょう…………」

武道家「…………ゴホッ!!!!」

ビチャッ!!

イシス勇者「武道家、さん!!!!」

武道家「ゼェ…………大丈夫……騒がないで…………」

イシス勇者「…………すみません…………」

武道家「……ハァ……ハァ」

イシス勇者「…………ゼェ…………ゼェ」

武道家「…………アンタに…………」

武道家「……アンタに……勇者の旅を…………」

武道家「アイツに、旅を…………危険な目に遭わせないように…………」

武道家「…………頼んだの……誰…………」

武道家「…………誰よ」

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

イシス勇者「…………どうやら……その顔は、もうだいたい検討がついていらっしゃる……みたい、ですね……」

武道家「…………」

イシス勇者「…………はい…………」

イシス勇者「恐らく…………恐らく、貴女がお察しの通り…………」

イシス勇者「僕に…………その願いを託したのは…………」



ギュッ…………



イシス勇者「今は亡き…………オルテガ様です……」

今日はおしまいまい
寒いね

絵ですが、近々pixivか何かに登録してまとめようかなとか思ってます

長い間放置してほんとに申し訳ないです。>>1です。
言い訳になるのだけど色々あって過労死しかけて入院して会社と戦っていてなかなか来れませんでした。
楽しみにしてもらってた人は本当にすみません。
そして更新はまだ色々とやる事があるので一週間後くらいになりそうです。面目ない。
まだお付き合い頂ける方がいらっしゃれば、何卒よろしくお願いします。

申し訳ありません
恥ずかしながら再開させていただきます

-ピラミッド上層部-

女勇者「…………うーん……」

イシス僧侶「これは…………どうしたもんだろうね」

遊び人「確実にこの辺りに何かありそうではあるんだけど……」


スタスタ……


戦士「あれ、お前らここにいたのか」

商人「三人して何を見てるんですか」

イシス魔法使い「何か見つかったの?」

女勇者「あ、三人とも」

イシス僧侶「その言い方だとそっちも何も見つからなかったみたいだね

遊び人「こっちは…………ホラ」

戦士「?」


オォォォオォ……

遊び人「なんだか怪しい扉を見つけたんだけど……どうも開かなくって」

商人「おぉ……これは本当に怪しいですね」

戦士「これも魔法の鍵とかで開く扉とかじゃねーの?」

イシス魔法使い「でも鍵穴が見当たらないわよ?」

女勇者「そうなんだよ…………多分何か仕掛けがあると思うんだけどね」

商人「何か怪しい所とか無かったんですか?」

女勇者「うん、それが――――……」


スタスタ


僧侶「あれ、皆さんもここでしたか」

イシス戦士「何か見つけたか」

盗賊「……勇者たちはいないんだね……」

イシス僧侶「あ、イシス戦士たちも来たんだ」

女勇者「こっちは怪しい扉があっただけだよ」

イシス戦士「…………確かにこれは何かありそうではあるな……」

戦士「で、女勇者。さっき言いかけてたのは?怪しい所あったのか?」

女勇者「あぁ、うん。ちょっとこっちに来てもらえるかな」

戦士「?」


スタスタ……

ザッ

女勇者「…………これだよ」

戦士「…………?なんだこりゃ?」

盗賊「…………壁に隙間が二つ…………?」

イシス僧侶「奥の方をよく見てみてよ。スイッチがそれぞれ付いているの」

僧侶「あ…………本当ですね」

イシス戦士「まるいボタンがそれぞれ一つずつか…………押したのか?」

遊び人「試しに一度だけね…………でも何も無しよ」

イシス僧侶「それにもっとよくわかんないのが通路を挟んで反対側に同じくスイッチが二つ同じように壁に付いてるの」

戦士「はぁ?これがもう一つ?」

女勇者「そ」

イシス魔法使い「…………うーん…………どういう事なのかしらね」

遊び人「それを三人でずっと悩んでたんだけど……下手に触るのも怖いから手が出せずにいるの」

商人「うぅ…………全然意味が分かりませんね…………」

イシス戦士「これまでの通路にもヒントになるようなものなんて無かったぞ……」

女勇者「行き詰まりってやつだね…………」


一同「「「「…………………………」」」」


戦士「…………っだぁぁ―――――!!!!!もういい知るか!!!あんな扉ぶっ壊してやる!!!!」

女勇者「ちょ、ちょっと戦士ちゃん落ち着きなよ!!!!」

戦士「だってこうしてる間にも武道家が危ない目にあってるかもしれないだろ!!!?ボーっとしてられっか!!!!」

イシス戦士「…………イシス勇者様…………」

イシス戦士「……そうだな……強行突破……加勢しよう」ジャキンッ!!

イシス僧侶「イシス戦士も落ち着きなって!!」

遊び人「まだ何か手があるかもしれないでしょ!?それに扉に仕掛けがあって危険な目にあうかもしれないんだよ!!?」

戦士「しるかー!!!!」

商人「全く……子供じゃないんですから駄々こねないで下さいアホ」

戦士「あ!!!今アホって言った!!!!」

商人「一々取り乱して周りが見えなくなる人の事をアホと呼んで何が悪いんですかアホアホ」

戦士「に、二回言った!うぅぅ!!」

盗賊「……取り合えず、落ち着いて…………」



僧侶「待ってください」


盗賊「……え?……」

女勇者「……?……僧侶ちゃん?」

僧侶「…………」

僧侶(……子供…………もしかして…………)

僧侶「…………遊び人ちゃん」

遊び人「へ?はい?」

僧侶「通路を挟んで同じスイッチ……ボタンが2つあるんですよね?」

遊び人「う、うん……そうだけど……」

僧侶「…………」

商人「……僧侶ちゃん、何かわかったんですか?」

僧侶「……まだわかりませんが……商人ちゃん」

商人「はい?」

僧侶「…………方位磁石を貸して貰えませんか?」

…………
……


-ピラミッド・地下-


武道家「…………やっぱり……ね……」

イシス勇者「…………はい…………」

武道家「……理由は…………いや……いいわ…………」

武道家「あの人は…………勇者が……危険な目に遭うのを、とても恐れてたから…………」

武道家「当然と言えば…………当然か…………」

イシス勇者「……………………」

武道家「…………オルテガのおじさまと…………どこで知り合ったの…………?」

イシス勇者「…………申し訳ありません……深くは……言えないのですが……」

イシス勇者「ただ……僕を…………危ない目から救ってくださったのが…………オルテガ様でした…………」

武道家「……危ない目……?」

イシス勇者「はい…………昔、僕は……ある事情で……暴漢に襲われかけたのですが……」

武道家(…………さっき聴いたアレか……)

イシス勇者「その際に…………僕を、救い出し…………この国へ連れて来てくれたのです…………」

イシス勇者「そしてその時……こう頼まれました…………」

イシス勇者「…………『もし私の息子に会うことがあれば』」

イシス勇者「『危険な旅からあの子を遠ざけて欲しい』…………と……」

武道家「…………そっか…………」

イシス勇者「…………彼を見るまでは……然程…………ここまで強制するつもりはありませんでしたが…………」

イシス勇者「…………あの弱さを目の当たりにしてみて……これは何が何でも、旅を止めさせなければ…………と思いましたよ……」

武道家「…………」

イシス勇者「……………………約束…………守れませんでした…………」

武道家「…………アレも、それの一環なの……?」

イシス勇者「…………あれ…………?」

武道家「アレよ…………私を、しつこく…………パーティに加えて……愛人にしたがってたの…………」

イシス勇者「あぁ…………はは……あれは、本心です…………」

イシス勇者「僕は…………是非、貴女が欲しかった…………」

武道家「…………やっぱり、本質はナンパの馬鹿なのね…………」

イシス勇者「はは…………そうですね…………でも、僕はとにかく…………貴女を素晴らしいと思ったのです……」

武道家「…………」

イシス勇者「…………しかし、結局は周りが……見えていなかっただけでしたよ…………」

武道家「…………私のどこが……気に入ったっていうのよ……?」

イシス勇者「…………え……?」

武道家「正直…………私って…………見た目は地味だし…………性格も荒い」

武道家「強さで言っても…………まだ外見が華やかな…………戦士とかでもいいじゃない…………」

武道家「なんであそこまで私に…………」

イシス勇者「…………外見では…………ないんです……」

武道家「…………」

イシス勇者「正直…………愛人なんて…………どうでもいい張りぼての名目のような物です…………」

イシス勇者「僕は…………貴女の、貴女の目に…………惹かれたのです」

武道家「…………目……?」

イシス勇者「…………貴女が、アッサラームの広場で……魔物を退治した時……」

イシス勇者「あの時の…………あの“魔物を心の底から憎んでいる目”…………」

イシス勇者「…………それに、僕は惹かれたのです…………」

武道家「……!」

イシス勇者「…………それだけです……」

武道家「…………あんた……あんたもまさか…………」

イシス勇者「…………はい…………」

イシス勇者「…………僕の…………」

ギュッ……

イシス勇者「……僕の母は…………魔物に殺されました」

武道家「!!」

武道家「………………やっぱり…………」

イシス勇者「…………僕は」

ギリッ……

イシス勇者「僕は…………この世で、魔物が一番憎い…………!」

イシス勇者「あいつらを…………あいつらを一匹残らずこの世から駆逐してやりたいっ……!!」

武道家「…………」

イシス勇者「…………それには…………強くて……魔物に対して無慈悲な仲間が欲しかったのです……」

イシス勇者「ただ…………僕はとある事情で男が苦手なので…………仲間は女性である必要があった…………」

イシス勇者「…………それら全てにおいて…………貴女は僕の理想だったのです…………」

武道家「…………そっか…………」

武道家「……!!……ゲホッ!!ケホッ!!」

ビチャッ!

イシス勇者「武道家さん!」

武道家「ゲホッ…………はぁっ……はぁ……」

武道家「…………あぁ…………これは……本格的に……まずいわね…………」

イシス勇者「…………すみません……僕のせいで……」

武道家「…………もういいわよ…………」

武道家(あぁ…………やばいな…………段々力が入らなくなってきた…………)

武道家(…………)

武道家(…………皆…………)

武道家(…………)

武道家(…………………………………………勇者…………)

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

イシス勇者「………………」

武道家「…………」

イシス勇者「武道家さん…………」

武道家「…………………………何…………?」

イシス勇者「…………やはり……貴女には本当の事を……伝えます…………」

武道家「……?………………本当の…………事…………?」

イシス勇者「はい…………」

武道家「……………………何よ…………?」

イシス勇者「……………………実は……」





タッタッタッタ……

武道家・イシス勇者「「…………!!?」」

イシス勇者「…………今……」

武道家「ええ…………確かに、何か…………走る音が」

イシス勇者「………………魔物でしょうか…………」

武道家「さぁ…………ミイラでは無い事は…………確かだけd」



オーイ!!



武道家「!!!!」

イシス勇者「………………この声は…………!」

?「おーい!武道家ー!!イシス勇者君!!いたら返事してくれー!」

武道家「…………っ」

ギュッ

武道家「…………勇者ぁっ!!!!」

勇者「!!!?」

タッタッタッタッタ!!!!

勇者「武道家!!?どこだ!!?」

武道家「ここ……ここよ……!」

勇者「!!!!そこの壁の窪みか!?」

タッタッタッタ……

ザッ

勇者「!!!!武道家!!イシス勇者君!!」

武道家「なんでアンタがここに…………」

イシス勇者「静かに…………見つかってしまいます…………」

勇者「二人とも、なんでそんなに傷を……!!早く手当てをしなきゃ……」

武道家「それは後回しよ…………アンタ……一人なの……?」

勇者「後回しって……!!…………あぁ、僕だけ穴に落っこちちゃってね」

イシス勇者「…………援護は……これ以上来ないという事ですか…………」

勇者「援護?ねぇ、二人ともどうしたんだよその傷は!誰から受けたんだ!?」

イシス勇者「………………実は…………」

…………
……




イシス勇者「……という事がありまして…………この通りです…………」

勇者「………………」

武道家「こうしてる間にも…………ホラ……」

チラッ


オォォォオォォオオォォ……

ミイラ「ああぁぁぁあああぁぁぁ……」

イシス勇者「あの大群が…………この地下通路を彷徨っているのです…………」

イシス勇者「……………………僕達を、探し出すために……」

武道家「打つ手無し…………よ…………」

武道家「っ!!!!…………げほっ!!げほっ!!」

勇者「武道家!!!!」

武道家「ハァ…………ハァ…………私たち二人の体も…………毒でそろそろやばいわ……」

イシス勇者「……ゼェ……ゼェ」

勇者「…………!」

武道家「…………勇者…………」

勇者「何?」

武道家「落ちて来た穴から…………助けを呼び続けなさい…………」

勇者「…………」

武道家「どうやらアンタが落ちて来た穴は…………声が届くくらい浅いみたいだし…………」

武道家「あいつらが気付けば…………なんとかしてくれるでしょ…………」

イシス勇者(…………武道家さん……)

イシス勇者「えぇ…………それが賢明ですね……」

勇者「…………」


武道家「あたしたちは………………ここで待ってる……」

武道家「だから…………ね?…………早くしないと…………アンタが……」

勇者「…………」

イシス勇者「…………勇者君…………何を……ぼーっっと…………」

勇者「…………」

チラッ



オォォォオォォオオォォ……

ミイラ「ああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ……」



勇者「…………」

武道家「…………勇者…………?」

イシス勇者「勇者君…………?」

勇者(…………)

勇者(…………よし)

勇者「イシス勇者君」

イシス勇者「……?」

勇者「黄金の爪は今は君が持ってる?」

イシス勇者「はい…………そうですが……」

勇者「僕に渡してくれ」

イシス勇者「え?」

武道家「勇者…………?」

勇者「……返してくる」

武道家・イシス勇者「「!!!?」」


武道家「アンタ……何言ってんのよ……!!」

イシス勇者「させませんよそんな事…………!!何を無謀な……!あのミイラの大群の中に飛び込むつもりですか!」

勇者「あいつらは黄金の爪を盗られて怒ってるんだよ。だったら返さなきゃ」

イシス勇者「そういう事を言っているんじゃないんだ!!!!……僕達二人でさえこの有様なのですよ……!!!!」

イシス勇者「君が行ったらどうなるか…………!!想像はつくでしょう!!」

武道家「アンタは…………大人しくしてなさい!!!!」

勇者「二人を見捨てろって?できるわけないじゃないか」

武道家「私はいいのよ!!ルビス様のご加護があるから、完全に死ぬ事は無いわ!!」

武道家「…………だから、ね?お願い……勇者」

勇者「…………嘘だ」

武道家「…………え……」

勇者「武道家はさ、嘘をつく時……眉を顰めて笑うよね。…………幼馴染の僕が気付かないと思った?」

武道家「…………!!!!」

勇者「大方、その毒は人間によるものだったりするんだろ?あの包帯人間達もどうやら魔物達みたいな手前じゃなさそうだ」

勇者「…………ここで放っておいたら、二人は死んでしまう…………違う?」

武道家「そ……それは……」

勇者「だったら、僕がやるしかないだろ」



イシス勇者「だ、だからって…………はいそうですかと君を送り出せるわけがない!!!!」

武道家「…………そうよ!!アタシたちはまだ何とかなるかもしれない…………けれど、アンタは違うじゃない!!!!」

勇者「イシス勇者君まで…………君は僕を嫌ってたんじゃなかったの?」

イシス勇者「ええ!!今も嫌いです……!!!!考えなしに命を粗末にしようとして!!!!」

イシス勇者「それに、数年前に約束をしたのです!!!!貴方を、危ない目から、旅から遠ざけると!!!!」

勇者「約束?……誰と?」

イシス勇者「………………」

イシス勇者「…………オルテガ様…………」

イシス勇者「…………貴方の父…………オルテガ様です……!!!!」

勇者「!!!!?」

イシス勇者「………………分かっていただけましたか、自分がどれほど非力か」

勇者「…………父さんが…………」

武道家「…………残念かもしれないけど…………本当みたい……」

勇者「…………」

勇者「…………こんな…………」

勇者「こんな、無理やりで滅茶苦茶な方法で武道家達を引き込もうとしてたのも、その約束の一環?」

イシス勇者「……………………それは違う……それは本心です」

イシス勇者「僕は……今でも武道家さんを仲間にしたい……!」

イシス勇者「彼女の強さは本物だ!いや、彼女達は全員強い!!」

イシス勇者「……そんな彼女達が…………君を守るために旅をしている」

ギリィッ!!!!

イシス勇者「正直に言おう!!僕は君が大嫌いだ!!!!」

イシス勇者「弱いからという理由だけで皆に守ってもらって……あのオルテガ様にあそこまで…………僕に跪いて願いを乞うまでさせて!!!!」

イシス勇者「それでも君は尚、戦場に赴くのか!!!!自分一人の体とでも勘違いしているのか君は!!!!」

イシス勇者「そんな弱い男が、何故武道家さんのような強い人達と旅をしているんだ!!!!」

イシス勇者「…………旅は……遊びじゃないんだ!!!!」

イシス勇者「君が足を引っ張れば引っ張る程、魔物達を駆逐するペースが落ちていくんだ!!!!」

イシス勇者「邪魔だ!!!!邪魔なんだよ!!!!君は!!」


勇者「…………」

勇者「…………分かった」

武道家「……!!……ゆ」

勇者「…………分かったから、早く黄金の爪を渡して」

イシス勇者「っ…………君はっ!!!!」

武道家「勇者!!!!」

勇者「…………君の言いたい事は分かった。けどここは僕が行かなきゃ」

武道家「アンタねぇ……!!!!いい加減にしなさいよ!!!!」

勇者「でも、ここはこうするしかない」

武道家「だから、アンタだけでもっ……!!!!」

勇者「そんな事できるわけがないだろ」キッ

武道家「…………っ!!!!」

武道家「……………………なんでっ……!!!!」

武道家(なんで…………そんな目するのよっ……!!!!)

武道家(アタシはそんな目知らない!!!!そんな勇者は知らない!!!!)

武道家(なんで…………)

ギリィッ!!!!

武道家「なんで変わっていくのよぉ!!!!」


勇者「武道家…………?」

武道家「なんでアンタは、そんなに…………そんなに…………!!!!」

武道家「アタシは、そんな勇者…………!!!!」

ヨロッ

武道家「アンタは無理しちゃ駄目なの……!!!!アンタは私達が守るのよ!!!!」

勇者「でも」

武道家「でももへったくれもない!!!!アンタはね…………アンタはね!!」

武道家「守るって…………守るって決めたの…………!!」

武道家「私達、決めたのよ!!!!」

――――――――――――
――――――――
―――――
―――



――――――――――――



-およそ十年前、アリアハン-



スタスタ……

武道家母『武道家ー!武道家ー!!ごはんよー!!』

シーン……

武道家母『もう…………どこに行ったのかしら』

ブンッ ブンッ

武道家母『あら?この音…………』

武道家母『庭の方かしら』

スタスタ

ヒョイッ

武道家母『武道家?』


ブンッ ブンッ

武道家(小)『ていっ!ていっ!』

武道家母『武道家…………なにしてるの?』

武道家『あ、ママ!!』

タタタッ

武道家『あのね!アタシね!つよくなるしゅぎょーしてたんだよ!』

武道家母『そうなの?どうして?』

武道家『つよくなってゆーしゃになるの!おべんきょうもいっぱいするよ!』

武道家母『あぁ、昨日オルテガ様の事話してあげたから…………』

武道家母『…………ふふふ、期待してるわね』

ナデナデ

武道家『っ!!うん!!』

武道家『そしたらね!このまちのみんなをね!まもってあげるの!』

武道家母『お願いするわね?ゆうしゃさま』ニコ

武道家『うん!!』

…………
……



-街の中-


テクテク……

武道家『~♪』

武道家『たまねぎ、にんじん、やまいも、はくさいっ』

武道家『おつかいおつかいふんふふ~ん』


……――――!!

武道家『?』

武道家『(なんのおと……?)』


……ぇぇぇぇん……!!

武道家『!!』

武道家『(だれかのなきごえ!!)』

ダッ

武道家『(たすけなきゃっ!)』

タッタッタッタ……

…………
……





……
…………

?『ひぐっ……ひぐっ!』

?2『うえぇえぇん!!うえぇぇえん!!』

ズザッ……

武道家『どうしたのっ!?』

?『ひぐっ………………だぁれ?』

?2『うえぇぇえん!!』ビエー

武道家『わたしは、武道家っていうの!たすけにきたのよ!!』ババーン

武道家『ふたりはどうしてないてるの?だれにやられたのっ?まもの?』


?『…………ぐすっ……』

武道家『!!きみ、けがしてる!!どーしたのっ!』

?『……ひぐっ……なんでもない……』

?2『うえぇぇええぇぇぇん!!』

武道家『あたしのいえ、ちかいから!てあてしよう!』

?『…………うん……』

…………
……





……
…………

キュッ

武道家母『…………これでよし……っと』

?『ありがとうございます……』

武道家母『どういたしまして。あなたは、オルテガさんの所の勇者君だっけ?』

勇者(小)『はい…………』

?2『うえぇぇぇぇぇん!!』

武道家母『そして、あなたは……武器商店の所の戦士ちゃんだよね?』

戦士(小)『うえぇぇええぇん!!』

武道家『ど、どうしてそんなにないてるの……?』

戦士『だって、だってぇ!!ゆーしゃが!!ゆーしゃがぁぁぁぁ!!』

武道家母『勇者君がどうしたの……?二人とも喧嘩しちゃったの?』

戦士『ちがうのお!!ゆーしゃがいじめられたの――――!!!!』ビエェェン!!

武道家『えっ!!』

勇者『…………ぐすっ』


武道家母『…………そうなの?勇者君……?』

勇者『……………………がう……』

武道家『え?』

勇者『…………ちがう……っ』

武道家母『…………?』

勇者『ちがう…………!…………ぼくは、ゆーしゃのむすこだもん…………っ!!』

武道家『え?』

武道家母『…………!』

ガタッ

勇者『ちがうもんっ!!』

ダッ!!

武道家『あっ!』

武道家母『勇者君っ!』

バタンッ

武道家『…………いっちゃった』

武道家母『…………』

戦士『ひぐっ…………!ううっ……!!』

武道家『…………』

武道家『(なんなの…………あいつ)』ムゥ


――――――――――――

-夜-

武道家母『じゃあ、蝋燭の火を消すわね。武道家。おやすみ』

武道家『…………ママ』

ピタッ

武道家母『?どうしたの?』

武道家『……あいつは、どうしていじめられてたの?』

武道家母『あいつ?…………ああ、勇者君ね』

武道家『あいつのパパは、おるてがさまなんでしょ?えらいんでしょ?』

武道家『なのに、なんであいつがいじめられるの?』

武道家母『…………そうね。なんででしょうね』

ギシッ

武道家母『よいしょ…………でもね。武道家』

武道家『?』

武道家母『……偉い事をするっていうのはね……とても大変な事なの』

武道家母『偉い事をすればするほど……その人を嫌う人も増えてくるのよ』

武道家『……えらいことなのに?』

武道家母『そ。偉い事なのに』

武道家『…………へんなの』

武道家母『ふふ……本当にね。おかしなことね…………』

武道家母『…………多分、勇者君をいじめてたのは、オルテガ様に反感を持ってる人達なの』

武道家『はんかん?』

武道家母『オルテガ様が嫌いって事』


武道家『……おるてがさまは、わるいことしたの?』

武道家母『ううん。なにもしていないわよ』

武道家『じゃあ、どうしておるてがさまをきらうの?』

武道家母『そうね……オルテガ様を羨ましがったり、オルテガ様にもっと早く魔王を倒して貰いたいからとか……色々よ』

武道家『?……どうして、それできらうの?いみわかんない』

武道家母『…………それだけ、偉い事をする人は頼られるの』

武道家母『皆が、よく分からなくなるくらい…………本当はその人を好きだったのに、嫌いになっちゃうくらい、頼られるの』

武道家『…………かわいそう』

武道家母『うん…………でもね』

武道家母『それを、そんな皆の気持ちも全て背負ってるから…………偉い事をする人は、強いの』

武道家『……つよいの?』

武道家母『えぇ。と――――っても、ね』

武道家『…………ママ』

武道家母『…………?どうしたの?』

武道家『…………わたし、えらいことをするひとを、まもってあげたい』

武道家母『あら』

武道家『だって、みんなはえらいことをするひとたちにまもってもらえるけど…………』

武道家『えらいことをするひとたちは、だれからもまもってもらえないんでしょ?』

武道家『―――じゃあ』

ギュッ

武道家『わたし、えらいことをするひとを、まもる』

…………
……



――――――――――――

-アリアハン・街角-


ドシャァッ!!

子供A『うわぁっ!!!』

子供B『な、なんだこいつ!!女のくせに!』

子供C『も、もういこうぜ!!』

タッタッタッタ……



勇者『…………っ』

ザリッ

武道家『はぁ……はぁ……つぎきたらこんなのじゃすまないんだから!』

勇者『あ、あのっ!』

クルッ

武道家『…………だいじょうぶだった?』

勇者『っ!!』

勇者『…………』ポロ……

勇者『……っ………………ありがと…………』ポロ……

武道家『!…………えへへ』

ガシッ

勇者『ふぇっ!?』

武道家『……もうだいじょうぶだからね!』

武道家『これからは、わたしがまもってあげる!』

武道家『わたしが、ずーっとまもってあげるから、もうだいじょうぶよっ!!』

…………
……



――――――――――――

-アリアハン・入り口-


イイィィィィイィィィン……

シュタッ

?『おし!今回もご苦労さん!』

?『全く……人遣いが荒いな君は』

?『まぁそういうな!お前も一回来たがってたじゃないか!』ハハハ

?『…………まぁ、そうだけどさ…………』

?『それじゃあどうする?まずは俺の家に来るか?』

?『いや、久々に帰ってきたんだ。君はゆっくり再会を楽しむと良い』

スタスタ

?『おい、どうするんだ?』

?『僕は街を散策でもしてるよ。かの美国と名高いアリアハンだ。実は割と楽しみなんだ』

?『…………王と話をするのは、それからでも遅くはないだろう』

?『あはは!そうか!じゃあ家族はまたあとで紹介してやるよ!』

?『うん。それじゃまた後でね』

?『おう!』

…………
……



-アリアハン・街中-


タッタッタッ……


戦士『おーい!武道家ー!魔法使い!』

武道家『!戦士!ゆーしゃはいた!?』

ザッ

戦士『はぁ、はぁ……ううん、ぜんぜん……』

魔法使い『ゆーしゃ、どこにいったのかな……』オロオロ

武道家『!!そうだ!』

魔法使い『どうしたの?』

武道家『まちはずれのほうは!?さがした!?』

魔法使い『あっ!さがしてない!』

戦士『もしかして……!このまえとおなじ……!』

武道家『っ!このまえあれほどやっちゃだめっていったのに!』

武道家『みんな!いこう!』

戦士『ああ!』

魔法使い『うん!』

タッタッタッ……



ザッ

?『?』

?『(……なんだか忙しない子供達だな)』

…………
……



-アリアハン・町外れ-

勇者『うわぁっ!』

ガッ!!

ドサッ!

勇者『う……うう……!!』

魔物『グゲゲゲゲ!!!!』


タッタッタッ!!

武道家『ゆーしゃー!!!!』

戦士『だいじょうぶかー!!』

勇者『!!武道家!戦士!』

ザッ!

武道家『ばかっ!!あれほど、まものと“うでだめし”しちゃだめっていったでしょ!!』

勇者『ご……ごめん……!!』

武道家『しかも…………!』

バサッバサッ

武道家『あのときはスライムだったからよかったけど……こんどはおおがらすじゃない!』

魔物「グゲェッ!!!」

戦士『いま魔法使いがおとなをよびにいってるから、にげるぞ!ゆーしゃ!!』

勇者『う、うん!』

ダッ!!

武道家『いそいで!!』

魔物『グギャアアア!!!!』

バサァッ!!!!

戦士『うわぁ!!こっちきた!!』

勇者『ひいいいっ!!!!』

武道家『!!!!ゆーしゃ!!あぶないっ!!』

ガバッ!!

勇者『!!武道家!!!!』

戦士『あぶない!!やぁぁぁ!!』

武道家『っ!!!!』

魔物『ゲギャギャギャ!!!!』






ヒュンッ!!

ゾンッ!!





武道家『…………』

武道家『(…………え……)』

魔物『グ…………ガ……』

武道家『(…………まものに……けんがささってる……?)』

チラッ

武道家『…………だれ……?』

?『ふう…………ついてきておいて良かった』

?『…………大丈夫かい?』

武道家『え…………あの…………』

?『……怪我は無いみたいだね。良かった』

ズバァッ!!

魔物『ギッ!!』

ドシャァッ

魔物をたおした!!

………………

?『全く…………駄目じゃないか。子供だけでここに来ちゃ』

勇者『ご、ごめんなさい!!』

武道家『ほんとうよ!!まったく!』

勇者『本当にごめんね……武道家……』

?『君もだよ。お嬢さん』

武道家『う…………ごめんなさい』

?『今度からああいう時は大人を呼んで、後は大人に任せる事』

オーイ

タッタッタッ……

魔法使い『みんなー!おとなをよんできたよー!』

?『…………あんな風にね。わかった?』

武道家『はい……』

戦士『ごめんなさい…………あれ?』

?『?どうかしたかい?』

戦士『…………!!!!おししょー!!』

勇者『え!!?とーさん!!!!??』

?『とーさん?』チラッ

タッタッタッ……

ザッ

魔法使い『はぁ……はぁ……ゆーしゃのいえに、このおじさんしかいなかったから…………』

?『勇者!!大丈夫か!!?』

ダッ

勇者『とーさん!!!!』

戦士『おししょー!!!!』

?『オルテガ!』


オルテガ『馬鹿!あれ程街外れに行くなって言ったろ!!』

ギュッ

勇者『うええぇえぇん!!とーさん!!』

オルテガ『全く……』ナデ……

戦士『おししょー!おししょー!!』

オルテガ『おお!戦士か!見ない間に大きくなったな!』

ワーワー

魔法使い『ほぇぇ……?』ポカーン

武道家『あのひとが…………オルテガさま……』

スタスタ……

?『…………オルテガ』

オルテガ『!!お前が助けてくれたのか。すまなかった』

?『…………その子が、あの時の子なのか』

オルテガ『…………あぁ、あの時の子だよ』

勇者『?』グスッ

?『…………時が過ぎるのは早いな』

オルテガ『…………そうだな』

武道家『…………あ、あのっ!!』

?『え?』

武道家『すみません、ちょっといいですかっ』

?『どうしたんだい?お嬢さん』

オルテガ『あの子もお前の友達か?』

勇者『うん…………』グスッ

戦士『武道家…………?』

武道家『お、おなまえをおしえてくださいっ!』

?『…………僕?のかい?』

武道家『はいっ!』

オルテガ『はっはっは!!お前は本当に女にモテるな!』

?『からかうなよ……』

クルッ

?『申し遅れましたね。お嬢さん』

?『僕の名前はサイモン。よろしくね』


武道家『サイモン…………さん……』

オルテガ『罪作りな男だなぁ!サイモン!』

サイモン『何を言ってるんだよ君は……』

武道家『サイモンさん!』

サイモン『?どうしたんだい?』

武道家『おねがいします!!』

ペコッ

武道家『わたしを…………でしにしてくださいっ!』

サイモン『……………………へっ』

戦士『武道家!?』

魔法使い『はわわ』

オルテガ『あははは!そうくるか!!』

サイモン『え、いや、僕はその、今まで弟子なんてとったこと無いし』

武道家『おねがいします!!!!』キラキラキラキラ

サイモン『ううぅっ!?』

武道家『わたしも、あんなふうにすばやくなりたいんです!』

ペコッ!

武道家『おねがいします!!!!!』

サイモン『う…………!』

オルテガ『いいじゃないか。サイモン。少しだけでも鍛えてやればいい』

サイモン『そうは言うけどねオルテガ…………』

オルテガ『その子』

サイモン『え?』

オルテガ『その子……まだそんなに小さいのにお前の戦闘の本質見抜いてるぞ』

サイモン『…………』

オルテガ『小さい子なのに、力を強くしたいとか、剣を振り回したいとかでもなく、その子は今素早くなりたいって言った』

オルテガ『…………なかなかの慧眼の持ち主みたいだ』

サイモン『…………それは…………そうだけど』チラッ

武道家『…………!』キラキラキラキラ

サイモン『…………うぅ』

オルテガ『はっはっは!!やっぱりそのくらいの歳の女の子のそういう顔には弱いか!!』

オルテガ『…………お前は重く考えすぎなんだよ。別に騎士や勇者にするためにしごけってわけじゃないんだ』

オルテガ『軽く護身術を教える程度に教えてやればいいんだよ』

サイモン『…………』

サイモン『はぁ…………わかったよ』

クルッ

武道家『!!』

サイモン『えっと……君のお名前は?』

武道家『武道家です!』

サイモン『武道家か…………よし』

サイモン『そんなに長く滞在するわけではないから、短い間になると思うけど…………』

スッ……

サイモン『君を、僕の一番弟子にします。…………よろしくね。武道家』ニコッ

武道家『…………っ!!!』パァァァ

武道家『はいっ!!』

…………
……


――――――――――――


ダンッ!!

武道家『りゃっ!!』

ズザァッ!!

サイモン『……今のは少し遅かったよ』

武道家『は、はいっ!』ゼェゼェ

サイモン『いいかい?素早く相手を倒すには最低三歩いる』

サイモン『一歩目で相手との距離を“測る”』

サイモン『二歩目で相手との距離を“調整”する』

サイモン『…………そして最後の三歩目の踏み込みで…………“討つ”』

武道家『…………!』ゴクリ

サイモン『その最後の踏み込みで全てが決まるんだ。その三歩目が遅くては素早く相手を倒すことは叶わない』

サイモン『とにかく、僕の言ったトレーニングをして瞬発力を鍛えるんだ』

武道家『はい!!おししょーさま!!』

サイモン『うん。いい返事だ。それじゃトレーニングに戻りなさい』

武道家『はい!!はしりこみいってきます!!』

タッタッタッ……

サイモン『…………ふう』

オルテガ『おい』

サイモン『あれ、オルテガ。いたのか』

オルテガ『ガチじゃねぇか』

サイモン『えっ』

オルテガ『俺は“軽く教えてやれ”って言ったのに……』

サイモン『そ、それはそうだけど……』

オルテガ『第一お前があんなにマジになるなんて珍しいな』

サイモン『…………』

オルテガ『…………もしかしてあの子』

サイモン『…………うん。凄く、筋が良い』

サイモン『サマンオサの騎士団に居た頃も、あれほどの人間は居なかった』

オルテガ『そうか……ま、俺の弟子の戦士もすごいけどな!!俺の教えも良いし!!』

サイモン『…………』

オルテガ『…………なんだ。どうした?』

サイモン『いや…………ちょっとね』

サイモン『あんな女の子まで魔王退治に駆り出されないといけないのかもしれないのかな…………と思って』

オルテガ『…………』

サイモン『だから、あの子に期待してる自分が……あの子が強くなればもしかしてって考えてる自分が少し嫌になったんだ』

オルテガ『…………大丈夫さ』

サイモン『え?』

オルテガ『俺達が全部終わらせればいい』

オルテガ『全部終わらせて…………あの子達には、平和な世界をプレゼントすればいいんだ』

サイモン『…………あぁ……そうだな』

サイモン『あ、ところで』

オルテガ『どうした?』

サイモン『王の所へはいつ行くんだ?あの計画、早く進めなければいけないだろう』

オルテガ『あぁ、それを伝えに来たんだった。今日の夕刻に城から人を払うから来いってさ』

サイモン『そうか…………』

オルテガ『…………不安か?』

サイモン『…………まぁね。…………もし承諾を得ても、どう転ぶか分からない話でもあるから』

オルテガ『…………サイモン』

バシッ!!

サイモン『あいたぁっ!!な、何をするんだ君は!!』

オルテガ『はははっ!!弱気になってばっかりだなお前!安心しろって!!』

オルテガ『…………全部俺らが終わらせるんだろ。奴らの好きにはさせない…………違うか?』

サイモン『…………』

サイモン『…………いや…………そうだな』

オルテガ『ははは!!お互い可愛い子供を持つ身だ!!本気になった親は強いって事を連中に思い知らせてやろう!!』

オルテガ『それで世界が平和になれば安心してウチの勇者とお前の娘を結婚させられるしな!!』

サイモン『む、娘はやらんといっているだろう!!!!』

オルテガ『えー。約束したじゃないか』

サイモン『あれは酔っていたからだ!!第一君は――――!!』

ギャーギャー!!


タッタッタッ……

武道家『(…………ゆうしゃってこんやくしゃがいたんだ…………へたれなのに)』ハァッ ハァッ

…………
……



-アリアハン・街中-

ドシャァッ!!

悪ガキ『がぁっ!!』

悪ガキ2『な、何だこのガキ!!いきなり!!』

悪ガキ『い、痛ぇ……!』

ザッ!!

武道家『…………よくも勇者を苛めてくれたわね!!』

勇者『…………っ』ボロッ

悪ガキ『…………はっ!!なんだお前!!女に守られてんのか!』

悪ガキ2『やっぱり落ちこぼれじゃねぇか!!そんなんだから落ちこぼ――――……』

ヒュンッ

ガギィッ!

悪ガキ2『あぎゃぁっ!!』

武道家『…………それ以上言ったら顎ブチ砕くわよ』

悪ガキ2『が…………!!』

武道家『それに、その女に負けてるのはどこのどいつよ?』

悪ガキ『…………っ!!クソ!』

悪ガキ『おい!もう行こうぜ!』

悪ガキ2『クソ!!落ちこぼれが!!』

スタスタ……

武道家『フン!』

クル

武道家『…………勇者、大丈夫?』

勇者『うん……はは、ごめんね。また助けられたよ』

武道家『本当よ!やり返しなさいよあんな奴等!』

勇者『はは…………ごめんごめん』


武道家『それにまだアンタこの前の傷残ってるんでしょ?』

武道家『あれほど家にいなさいって言ってたのに…………』

勇者『うん。でも、家にばかりいると気が滅入るからさ』

武道家『…………また特訓?』

勇者『え!!?い、いやっ』

武道家『…………』ジー

勇者『その……はは、無理はしてないからさ』

武道家『…………はぁぁぁ……だーめ。家に帰りなさい』

勇者『で、でも、もう戦士も待ってるし』

武道家『…………アイツも説教ね』

勇者『せ、戦士は僕に付き合ってくれてるだけだから怒らないであげて!!』

武道家『それがダメだっつってんの。ホラホラ。家にさっさと帰る!送ってくから』

勇者『うぅ…………』

…………

-勇者の家-

スタ……

武道家『それじゃ、安静にしてるのよ』

勇者『うん…………』シュン

武道家『…………はぁ』

武道家『……全快したら、私も鍛錬付き合ってあげるから』

勇者『本当?』

武道家『えぇ。全快したら、ね。だから早く治しなさい』

勇者『うん……そうだね。分かった』

武道家『それじゃ、女勇者とおばさまによろしく』

勇者『うん。今日はありがとう。武道家』

武道家『いいって。それじゃね』

バタン……

武道家『…………』

スタスタ……

武道家『…………はぁ』

武道家『(……オルテガ様の訃報が届いて以来……アイツ、凄く無理するようになった)』

武道家『(それに…………)』


――――――――――――
…………


僧侶『勇者くんには……回復魔法が効かないんです』

武道家『…………え?』

魔法使い『ど……どういうことなの?』

僧侶『…………そのままの意味です』

僧侶『勇者くんは……ルビス様のご加護が無いんです』

戦士『で、でも!アイツの怪我、治ってたじゃん!!』

僧侶『…………』

スッ

三人『『『!!!!』』』

武道家『アンタ……その腕』

魔法使い『痣が…………だいじょうぶなのっ!?』

僧侶『はい…………これは、エーテルの暴発を起こした際に、体内で暴れたエーテルが作る痣です』

僧侶『段々消えているので、跡は残らないと思います』

魔法使い『よかった……』

僧侶『…………勇者くんを治療するには、エーテルを暴発させる必要がありました』

武道家『…………?』

魔法使い『エーテルを……?それって……』

魔法使い『……………………まさか…………』

僧侶『…………』

魔法使い『…………!!?』

ガタンッ!!

魔法使い『ち、ちがう!!』

武道家『え!?』

戦士『ど、どうしたんだ魔法使い!?』

魔法使い『ちがうよっ!!ちがうもんっ!』

魔法使い『そんなの……ゆーしゃは、ゆーしゃだよっ!』

僧侶『魔法使いちゃん、落ち着いて下さい』

魔法使い『…………ご、ごめんなさい』

魔法使い『……でもっ』

僧侶『……魔法使いちゃんの言うとおりです』

僧侶『勇者くんは、勇者くんです』

武道家『…………』

戦士『…………?…………話はよく分からないけど』

戦士『そこだけは分かった。勇者は勇者だよ』

武道家『…………』

僧侶『…………みんな』

僧侶『……これから、勇者くんは……勇者くんには、もしかしたら』

僧侶『…………私達が想像するよりも……辛い事が起こるかもしれません』

僧侶『…………』

僧侶『……もし……もしよかったら』

武道家『…………うん。させない』

僧侶『!』

武道家『アイツは……勇者は』

武道家『勇者は、私達の幼馴染だもん』

武道家『…………守らなきゃ』

ギュッ

魔法使い『そうだよっ!』

魔法使い『ゆーしゃが……たとえなんであっても!』

戦士『あぁ!アイツはアタシ達の知ってる勇者だもんな!』

僧侶『…………皆…………!』


…………
――――――――――――

スタスタ……

武道家『(…………ああは言ったけど、やっぱり心配だわ)』

武道家『…………』

武道家『(…………勇者)』

武道家『(アンタって…………一体)』

武道家『…………』

武道家『……っ……私のバカ』

武道家『(約束したじゃない…………)』

武道家『(それにあの時言った通り…………アイツはアイツ)』

武道家『(それだけよ)』

…………
……



――――――――――――

-アリアハン・商店街-

スタスタ……

勇者『うぅ……子供Cくん、段々キメ技きつくなってない?』

子供C『ははは、あれくらい耐えろよ。貧弱だなぁ』

勇者『ひ、貧弱違うよ!』

子供C『はは…………可愛いな』ボソッ

勇者『え?』

子供C『いや、なんでもないよ。でも今日は姐さん来なかったな』

勇者『ルイーダさんの酒場が忙しいって言ってたからね』

子供C『そっか。武道家とかは?』

勇者『盗賊と一緒に酒場の手伝いしてるらしいよ』

子供C『ルイーダさんあざといな……』


『だから、囲んで袋叩きにすんだよ。武道家を』


勇者『っ……!?』

ピタッ

子供C『?どうした勇者?路地裏の方になんかあるの?』

勇者『…………』


悪ガキ『10人もいりゃあのクソアマをリンチできるって』

悪ガキ2『いいね!前から俺もムカついてたんだよ』

悪ガキ3『顔は可愛いから黙っててやったけど、もう耐えらんねぇもんな』

悪ガキ『今日はルイーダさんとこに居るって聞いたから夜帰り道によ――……』


子供C『うわ……アイツら』

子供C『勇者、行こう。関わっちゃ……』

勇者『…………』

ザッ

子供C『!!?ゆ、勇者!』


悪ガキ『それからよぉ……』

勇者『おい』

悪ガキ『…………あ?』


――――――――――――

-ルイーダの酒場-

カランカラン

『『『ありがとうございましたー!』』』

ルイーダ『ふぅ…………お客さんも一段落ついたわね。皆、ありがとうね』

魔法使い『ううん!わたしもたのしいからだいじょーぶだよっ!』

僧侶『はい!なんだか働くのって新鮮でワクワクしますっ』

戦士『で、でも……アタシには……こんなヒラヒラした服似合わねーよ……///』

盗賊『……大丈夫、すっごく、可愛いよ……』

武道家『でもなんで今日はこんなに人が多いのかしら』

ルイーダ『ルビス祭が近いからね。今日は他国からのお偉いさんとの会合がお城で開かれるから、お偉いさんが多いのよ』

戦士『なるほどなー』

ルイーダ『でも、他の娘たちのウェイトレス姿が見れなかったのは残念ね』

魔法使い『しかたないよっ。ほかのみんなはいそがしいみたいだし』

僧侶『特に商人ちゃんは朝から夜までずぅっと忙しそうでした』

ルイーダ『大変そうねぇ…………じゃあ勇者くんを誘えばよかったかしら』

戦士『勇者のウェイトレス姿?』

ルイーダ『あはは、何言ってるの。そんな……』

一同『『『『『…………』』』』』

…………


勇者『は……はずかしいよぉ……』


…………

一同『『『『『(似合いそう……)』』』』』

ルイーダ・盗賊『『(今度やってみよう)』』

武道家『でも、今日勇者は何してるのかしら』

戦士『さーなぁ……街中をブラブラしてるんじゃないか?』

魔法使い『いまからでもよびだしてむりやりこのふくきせてみるっ?』ワクワク

僧侶『だ、だめですよ、そんなっ』

盗賊『……顔、にやけてるよ……』

バタンッ!!

ルイーダ『いらっしゃ……あら』

子供C『はぁっ……はぁっ!!』

魔法使い『あっ!子供Cだ』

僧侶『いらっしゃいませー』

戦士『どうしたんだお前?息なんか切らせて』

武道家『残念ながら勇者はここには―――……』

子供C『た、大変なんだ!!!!』

武道家『!?ど、どうしたのよ!』

子供C『ゆ、勇者が!!!!』

…………
……

-空き地-

ドガァッ!!

勇者『うぅっ!!!!』

ドシャッ!

悪ガキ『はぁっ……はぁっ!!』

悪ガキ2『なんで……こんなに、しぶといんだよ!!』

勇者『っ』

ダッ!!

勇者『りゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

ドガッ!

悪ガキ2『あぐぅっ!!』

勇者『はぁっ……はぁっ……!!』

悪ガキ4『っだらぁっ!!』

ガスッ!

勇者『あぐっ!!』

悪ガキ5『らぁっ!』

ドガッ!

勇者『がぁっ!』

ドシャッ!!

勇者『……ぐ……』

ヨロッ

勇者『…………まだ……まだ!』

悪ガキ『こ、コイツ…………!!』

悪ガキ『わかってんのか!?こっちは10人なんだぞ!?もう十分フクロにされたじゃねぇか!』

勇者『うるさい!!!!』

ガバァッ!!

悪ガキ『う、うわぁっ!!』ドサァッ

悪ガキ『こ、このっ!!どけっ!!』

バキィッ!

悪ガキ『がぁっ!』

勇者『武道家に…………!!手を出してみろ!!』

勇者『…………ただじゃすまさないぞ!!!!』ギロッ!

悪ガキ『っ』ゾッ

悪ガキ『お、お前ら!ぼさっとしてんじゃねぇ!早くコイツ、ぶち殺せ!』

――――――――――――

タッタッタッタ……

武道家『はぁっ!はぁっ!!』


――――――――――――

子供C『悪ガキ達が武道家をシメるって話を路地裏で話してて』

子供C『勇者が、それに割って入ってって……!!』

――――――――――――

武道家『(あの馬鹿……!)』

戦士『おい!どっちだ!』

子供C『もう少し……!あそこだ!』

ザッ!

武道家『…………っ!』



悪ガキ『!!やべっ!』

悪ガキ3『武道家たちだ!』

悪ガキ5『ど、どうしよう、コイツ』


武道家『……勇者!』


勇者『…………っ』ボロ……


タッタッタッタ ズザッ

武道家『勇者!!』

勇者『…………あ……武道家』

勇者『はは…………やられちゃった、よ』

武道家『……アンタ!』

ジワッ……

武道家『……この前の傷が開いて…………!』

悪ガキ『お、俺ら、そこまでやるつもりは……!!』

戦士『袋叩きにしといてどの口が言ってんだてめぇっ!!!!』

悪ガキ『ひっ……!』

悪ガキ2『に、逃げようぜ!!』

悪ガキ3『あ、あぁ!』

ダッ

戦士『あ!待て!!!!』

『はいストップ』

悪ガキズ『『『『!!!!?』』』』ズザァッ!!

悪ガキ『あ……あ!!』

悪ガキ2『る、ルイーダさん……!』

ルイーダ『…………悪い子には』

ボキッ ボキッ!

悪ガキ『ひいぃっ!!?』

ルイーダ『お仕置きしなきゃね』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ズザァッ

戦士『加勢するぞっ!!』

悪ガキ『ぎゃああああああああああああああああ!!!!!』

――――――――――――


勇者『いてて……』

武道家『アンタ……!』

勇者『血は…………出てるけど、実際は……そこまでなんだ』

勇者『少し傷が開いちゃっただけ…………みたい』

武道家『なんで…………アンタ』

勇者『え?』

武道家『アンタ…………馬鹿よ!!!!』

勇者『……っ』

武道家『アンタじゃアイツらに勝てない事くらい分かりきってるじゃない!!』

武道家『私のために……私のためになんであんな無茶な事するのよ!!』

勇者『武道家……それは』

武道家『馬鹿よ!!!!本当、馬鹿よっ!!!!』

ギュッ……

勇者『……武道、家?』

武道家『…………』

武道家『アンタは……』

武道家『アンタは、無理しちゃダメなの!』

武道家『…………アンタは、無理しないで…………』

勇者『…………』

武道家『次…………こんな無茶したら…………』

武道家『……………………許さないからっ……!』

…………
……



――――――――――――

-アリアハン・郊外-


ブンッ ヒュバッ!!

武道家『だっ!!はっ!!』

ズザァッ

武道家『…………ハァ……ハァ』

武道家『…………まだ全然ダメね』

スタスタ……

戦士『武道家!』

武道家『あ、戦士』

スタスタ……

戦士『鍛錬してたのか?』

武道家『うん。戦士も?』

戦士『いや、いま勇者がいないからさ。城の兵士団長もいないし、武道家を探してたんだ』

武道家『あ、そっか。今、勇者いないんだ』

戦士『しかしアンタも頑張るなぁ』

武道家『まぁね』

戦士『…………』

武道家『?何よ』

戦士『いや……そのさ』

武道家『…………お師匠様の事?』

戦士『!』

武道家『…………今はもう気にしてないわよ』

武道家『行方不明になったって話を聞いた時は、流石に悲しかったけどさ』

武道家『もう五年も経てばね…………ふっきれるものよ』

武道家『私が修行するのはお師匠様を探すためでもなんでもない』

武道家『あのへたれ君を旅の危険から守るためよ』

戦士『…………そっか。へへ!』

武道家『何よ。うれしそうね』

戦士『なんでもねーよ!』

戦士『ただ……お前が勇者の旅に着いていかないって言ったらどうしようかな……と思ってさ』

武道家『あはは!無いから安心しなさい!』

武道家『…………』

武道家『(そもそも…………私が強くなろうって思ったのは)』

武道家『(…………勇者を、守ろうって決めたからなのよね)』

武道家『(……恥ずかしいから絶対言ってやんないけど)』

戦士『?どした?』

武道家『な、なんでもないわよ』

戦士『……でも……そっか』

戦士『私達、皆で旅できるんだな!』

武道家『ちょっとー?勇者の旅は旅行じゃないのよ?』

戦士『わ、わかってるつーの!!』

武道家『でも…………そうね』

武道家『私達で、アイツを守ってやりましょう』

戦士『へへ!!そうだな!』

武道家『……厳しい旅になると思うけど』

武道家『10人で旅すれば……すぐに終わるでしょ』

…………
……

――――――――――――

-アリアハン・街中-


ザァァァァァァ……


武道家『…………………………』

武道家『………………』

武道家『………………』

パシャ……パシャ……

戦士『…………………………武道家…………』

商人『………………』

魔法使い『………………武道家』

武道家『…………………………』

魔法使い『…………ぬれ……るよ…………かえろ……?』

武道家『…………………………私ね』

戦士『…………………………?』

武道家『…………私ね………………本当はね』

武道家『旅………………凄く…………楽しみだった』

武道家『…………戦士には…………ああ言ったけど』

武道家『…………………………本当は…………皆で』

武道家『幼馴染の皆で………………旅できるって…………』

武道家『いつの間にか…………………………それが…………生きがいみたいに』

武道家『………………………………楽しみだった』

武道家『…………楽しみだったの』

商人『…………ひぐっ……!!……………うぅっ………!!』

魔法使い『…………ぐすっ……うぇぇ……!!』

戦士『……………………』

武道家『………………………………』

武道家『………………………………ねぇ』

武道家『こんな風にしたの…………誰?』

戦士『………………?』

武道家『…………あんなに…………居心地良かった…………あの空間』

武道家『…………そして、あいつを…………奪ったの』

武道家『……………………ぶち壊したの、誰』

戦士『……………………』

武道家『………………………………魔物』

武道家『…………魔物よ』

武道家『魔物よ』

武道家『……………………ねぇ皆』

商人『…………?』グスッ

魔法使い『…………なに…………?』ヒグッ

戦士『…………?』

武道家『…………強くなるわよ』

武道家『強くなって…………どんな魔物にも負けないくらい、強くなりましょうよ』

武道家『……………………あいつを……』

武道家『……………………勇者を』

武道家『勇者を……………………魔物から守ろう』

武道家『…………勇者を』


――――――――――――
――――――――――――


勇者『うわあぁぁあああああぁぁぁぁあぁああああ!!!!!』

町人『誰か!!神父様を呼んで来い!!』

町人2『勇者くん!!落ち着くんだ!!』

勇者『ぼ、僕が!!!!僕があぁあああぁぁああぁぁ!!!!』

勇者『守れ…………守れなかった!!!!守れなかったんだあああ!!!!うわああああああ!!!!』

武道家『勇者!!落ち着いて!!』

勇者『わあああっ!!うわああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!!!!!』

武道家『……………………っ』


――――――――――――
――――――――――――


武道家『……………………』

武道家『何があっても……………………』

武道家『……………………もう、勇者があんな辛い目に遭わないように』

武道家『…………そして……………………』

ポロッ

戦士『…………!!』

武道家『……………………もう、誰も失わないように』ポロポロ……

武道家『…………もう、これ以上、私達が変わらないように…………』ポロポロ……

ギュッ!!

武道家『…………強くならなきゃ…………!!』

…………
……

――――――――――――

-ピラミッド・地下-


武道家「…………っ!!!!」

武道家(あの時、あの日!!)

武道家(私達は!!私は!!決めたんだ!!)

ギュッ……

武道家「もう…………あんな事は嫌なのよ!!」

武道家「アンタはもう変わらせない!!アンタは、私達が守るの!!」

イシス勇者「……っ!!わかっているのか!!君は!」

イシス勇者「彼女に、彼女達にここまで心配させて、足を引っ張っているのは、君自身なんだ!!」

イシス勇者「君がいるから彼女達は足を捉われているんだ!!」

勇者「……それは」

武道家「なのに!!アンタは何よ!!!!」

武道家「私達がコイツについていって、自分が一人で旅をするのが良いって!!!!」

武道家「そんな勝手な事!!!!なんでそんな事言うのよぉっ!!!!」

武道家「責任だけで!!!!自分の事は、私達の事は何も考えてないじゃない!!!!」

勇者「……いや、だから」

イシス勇者「君は旅に出るべきじゃ無かったんだ!!!!」

イシス勇者「なぜ大人しくできないんだ!!!!なぜ自分の実力を省みる事ができないんだ!!」

イシス勇者「君の弱さは君の努力不足のせいだろう!!!!なぜそこを補う事もせずに旅に出ようとするんだ!!」

勇者「……あの」

武道家「だからアンタは!!!!」

イシス勇者「だから君は!!!!」

勇者「…………」

武道家「―――――!!!!――――――――――!!!!」

イシス勇者「――――――――――!!!!―――!!!」

ギャーギャー!!!!

勇者「…………」

ワーワー!!!!

勇者「…………はぁ…………」

ギャーギャー!!!!

勇者「…………」スゥゥゥウゥゥ








勇者「うるっっっッッッッッっっっっッッさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


武道家「」キ――――ン

イシス勇者「」キ――――ン

勇者「お前ら!!!!ほんっっっとにやかましい!!!!」

武道家「な、な、な、何よ!!!!私は!!!!」

勇者「武道家!!!!」キッ!!

武道家「は、はいっ」ビクッ!!

勇者「小さい頃からのお前の悪い癖だよ!!頭に血が上ると人の話聞かなくなるの!!!!」

武道家「だ、だって!!!!」

イシス勇者「ちょ、ちょっと待つんだ!!!!僕の話はまだ終わっちゃいない!!!!」

ワーワー!!!!

勇者「…………全く」ハァ

ゴソッ

勇者「二人とも!!それっ」

ぎゅっ!!

武道家「もがっ」

イシス勇者「もぶっ」

ゴックン

イシス勇者「…………な、何を飲ませた!!!!」

勇者「エルフから貰った薬草だよ。二人とも大口開けてるから飲ませやすいのなんのって」

武道家「や、薬草!!?」

勇者「元々は外傷用の薬草って言ってたけど、飲ませてもあらゆる毒や痺れには多少効くだろうってエルフ女王様が言ってたからさ」

勇者「まぁ、効いてくるまでには多少の時間を要すると思うけど、これで二人ともとりあえずは大丈夫だよ」

勇者「もっとも…………」

チラッ


オォォォオォォオオォォ……

ミイラ「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


勇者「さっきの騒ぎで気付かれたみたいだから、回復してるのを待ってはいられないっぽいけどね」

武道家「!!!!」

イシス勇者「くっ!!ここまでか!!!!」

勇者「……だから、黄金の爪渡してくれってば」

イシス勇者「ま、まだ言ってるのか君は!!!!」

勇者「だから、僕は薬草があるから大丈夫って……」

武道家「嘘よ!!あの薬草で最後だったじゃない!!!!」

勇者「…………」

イシス勇者「また君はそうやって無謀な!!!!」

勇者「どっちが無謀だよ」

イシス勇者「いや!!!!君の方が無謀だ!!!!君は弱いくせに何故そういきがるんだ!!!!」

勇者「…………」

イシス勇者「なぜそうやって自分から死に行って他人を困惑させるんだ!!!!だからっ」


ゴンッ!!


武道家「……………………え」

イシス勇者「~~~~~~っ!!!!??」

勇者「…………」

武道家「ゆ……勇者が、ゲンコツした……?」

イシス勇者「なっ!!何をするんだ!!!!」

ゴンッ!!!!

イシス勇者「またっ!!!!」

ゴンッ!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!

ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!

ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!

イシス勇者「ちょっ!やめっ!!やっ!!やめてっ!!!!」

勇者「…………僕だってね」

イシス勇者「え!?」

勇者「僕だってむかついてないわけじゃないんだよ?」ニコ ゴゴゴゴゴゴゴ

イシス勇者「えっちょ、やめっ!!!!ごっ!!!!やめてくださいっ!!!!おねがいっ!!!!」

ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!

ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!ゴンッ!!!!

勇者「…………イシス勇者君も人の話、全く聞かないよね」

イシス勇者「き、君もね!!!!いたいっ!!!!やめてぇっ!!!!」

ピタッ

勇者「…………」

イシス勇者「よ……よくもっ……!!」

勇者「……今立ってるのはどっちだ」

イシス勇者「……え……?」

勇者「今、元気なのは、誰だ」

勇者「殴ったのはどっちだ。殴られても、やり返す体力も無いのはどっちだ」

イシス勇者「…………」

勇者「…………今」

勇者「今、少しでも二人を守る事ができる可能性を持ってるのは!!どっちだ!!!!言ってみろ!!!!」

イシス勇者「っ!!」ビクッ!!

勇者「どっちが頑固だ!どっちが命知らずだ!!!!」

勇者「二人はこのままだったら100%死んでしまう!!」

勇者「今二人を救えるのは、可能性は低いかもしれないけどここでは僕しかいない!!」

勇者「だったら!!少ない可能性に縋れよ!!!!」

イシス勇者「…………っ」

勇者「旅を続けてたらこんな風に、闇の力ではない何かで命を落としそうになる場面には何度も遭遇するだろう!?」

勇者「だけど、そんな場面でも僕が色んな人から存命を望まれてるから僕だけは何が何でも生かす!?」

勇者「旅を遊びだと思ってるのはそっちだ!!!!馬鹿にするなよ!!!!!」

イシス勇者「…………!!!!」

勇者「…………」

勇者「……イシス勇者君」

勇者「例え僕がどんなに弱くても……いつか少しでも役にたつ日が来るかもしれない」

勇者「…………その時、少しでも役に……」

勇者「…………皆を守れる、そんな事だってあると思うんだ」

イシス勇者「だけど……君は……!!」

勇者「…………確かに、僕は…………弱い」

勇者「でも…………僕は、色んな理由で、好奇心以外の理由でも旅を続けなくちゃならない」

勇者「誰になんと言われようと……………………」


――――――――――――
――――――――――――


町人『今度旅に出るのは、勇者君の方なんだってね』ヒソヒソ

町人2『正直、期待できないわねぇ』ハァ

………………………………

兵士『まだ俺が旅に出たほうが成果を残せそうだけどな』クスクス

兵士2『だよな。王様もあんな能無しに金つぎこむつもりかなぁ』

兵士3『おいやめとけ。聴こえるぞ?“勇者様”に』

………………………………

――――――――――――
――――――――――――


勇者「誰に、責められようと…………」

勇者「僕は、旅をやめる事なんて、できない」


――――――――――――
――――――――――――


町娘『旅行気分なのかしらね?どうせ旅に出るとか言って王様からお金を貰ったらどっかに逃げるんじゃない?』

若者『ははは!有り得るな!!どうせアイツ遊びのつもりなんだろうし』

若者2『あー良いご身分だよなー。オルテガ様の義理の息子とか言えばコネで王様に取り入れられるんだからなぁ』

町娘2『まぁまぁ、オルテガ様の実の娘の女勇者様に期待しようよ』

………………………………

兵士団長『…………結局お前は弱いままか』

兵士団長『それはそれでいいが…………王の言いつけはちゃんと守れ』

兵士団長『死ぬのなら…………』

兵士団長『せいぜい、少しでも役に立ってからにしろよ』

………………………………

王『……――――と、いう事だ』

王『…………すまんな』

王『本来ならば…………お前は…………お前では…………旅など』

王『…………いや、なんでもない』

王『……た、旅立ちまでは、まだ半年ある』

王『その間、鍛錬にはげむが良い』

………………………………

兵『何故お前が生きているんだ!!!!』

兵『なんで使えもしないお前が…………!!!!』

兵『なんで…………!!!!……なんで…………!!!!』

兵『お前が、お前が死ねばよかった!!!!お前が死ねばよかったんだ!!!!』

兵『あの人の代わりに!!!!』

兵『お前が死ねばよかったんだ!!!!』

………………………………

――――――――――――
――――――――――――


勇者「こんな僕を憎む人はいるだろう」

勇者「…………恨む人も、沢山……いるだろう」

勇者「……………………」

勇者「……………………だけど」

勇者「だけど」

勇者「…………だけど!」

勇者「……――――それでも、僕は!!」

――――――――――――
――――――――――――



『勇者』

『私は、貴方を知ってる』

『貴方は、強いわ』

『……貴方は、私がお世辞言ってるように見えるの?』

『…………』

『……確かに、貴方は戦闘には長けていない』

『確かに、貴方は魔法が使えない』

『…………』

『でもね』

『…………どんなに、剣が達者でも』

『…………どんなに、魔法が達者でも』

『それだけじゃ、守れない物は…………沢山、あるの』

『…………珍しい?私がこんな事言うのが?』

『でも、本当の事よ』

『私は、いつも真実しか言わないわ』

『…………』

『貴方には』

『貴方にしか守れない物が、沢山ある』

『私は、貴方の強さを知ってる』

『…………だから安心しなさい』

『貴方の本当にすべき事をやりなさい』

『貴方は貴方の守れる物を守りなさい』

『……………………』

ニコ……

『…………大丈夫』

『勇者なら、大丈夫』

『一人じゃないから』

『私も、貴方を守るから』

――――――――――――
――――――――――――

勇者「僕は!!いろんな人のために!!」

勇者「僕の背中を押してくれた人のために!!」

勇者「僕に何かを託した人達のために!!」

勇者「…………」

勇者「……………………そして」

勇者「……死んでしまった人達のために」

勇者「僕は行かなきゃいけない」

勇者「…………行かなきゃいけないんだ」

イシス勇者「…………!」

武道家「…………」

勇者「…………ごめん」

勇者「…………」

勇者「…………だから、こんな時くらいは……役に立たせてくれよ」

勇者「僕は、人形じゃない」

勇者「僕の意思で動きたいんだ」

勇者「僕は…………今」

勇者「君たち2人を、守りたいんだ」

イシス勇者「…………」

勇者「…………」

イシス勇者「…………でも……」

イシス勇者「でも…………僕は……その」

イシス勇者「君を…………君みたいな……」

勇者「…………イシス勇者君」

勇者「君が男の人を嫌ってるのも知ってる」

イシス勇者「!!」

勇者「申し訳ないけど…………その理由も少し聞いた」

イシス勇者「…………そう、ですか…………」

勇者「…………君が、男の人を信用できなくなるのも分かった」

勇者「僕を嫌うのは、それも少しはあるんだろう?」

勇者「…………でもさ」

勇者「僕の事は…………少しだけ、いや、この場だけでもいいから」

勇者「…………少しの間でいいから、信用してくれないかな」

イシス勇者「…………!」

勇者「そりゃ、僕は弱いし、頼りないけどさ」

勇者「……………………僕だけは」

勇者「僕だけは、君を裏切らないって約束するからさ」

勇者「…………他の男の人達の分も」

勇者「君を守るって…………誓うからさ…………」

勇者「…………絶対に」

イシス勇者「…………勇者…………君」

勇者「…………時間が無い」

勇者「僕に…………任せてくれ」

イシス勇者「…………」

ゴソッ

スッ……

イシス勇者「…………これ……」

勇者「…………ありがとう。イシス勇者君」

イシス勇者「…………」

勇者「よしっ。ちょっと頑張ってくるよ」

ザッ

イシス勇者「ゆ、勇者君」

勇者「?」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「あ……その………………」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……………………君の事は、気に喰わない…………」

イシス勇者「……………………だけど」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……………………無理は……………………しないでくれよ」

勇者「……………………はは」

勇者「うん!任せて」

ザッ

武道家「…………ちょっと待ちなさいよ!!!!」

勇者「!!」

ヨロッ……

武道家「行かせない…………!!!!行かせないわ!!!!」

武道家「私が行く……!!!!貸しなさい!!!!」

勇者「……何言ってるんだよ武道家。そんな状態で」

武道家「もう、薬草飲んだから……大丈夫よ!!」

勇者「まだ完全に効いてないだろ」

武道家「大丈夫って言ってるじゃない!!」

勇者「…………」

武道家「アンタは!!!!危ない目に遭っちゃいけないの!!!!」

武道家「なんで!!!!なんでそんなに変わっちゃうのよ!!!!」

武道家「前は!!そんな勇者じゃなかった!!」

武道家「…………!!!!」

武道家「もう、私は!!」ポロッ

武道家「誰も失わなせないって決めたの!!!!」ポロポロ

武道家「あんな事もうたくさんなのよっ!!!!」ポロポロ……

武道家「アンタが!!!!アンタが辛い思いをするのだって嫌なの!!!!」ポロポロ……!!

武道家「分かってよ……!!分かってよぉ……!!!!」

勇者「武道家……」

武道家「それに…………!!アンタだって言ったじゃない……!!!!」グスッ

武道家「私達が……コイツに着いて行った方がいいかもしれないって…………!!!!」

勇者「…………」

武道家「私達の事!!!!私達の関係ってアンタにとってそんなものなんでしょ!!!?」

武道家「だったら!!!!もういいじゃない!!!!私は――――!!!!」

勇者「武道家!!!!!!!!」

ガシィッ!!

武道家「っ!!!」ビクッ

勇者「…………それ、本気で言ってるのか」

武道家「…………っ」グスッ

武道家「だ、だって……!!…………あ、アンタが」

武道家「アンタが!!あんな事言うから…………!!」

武道家「私…………!!私…………!!」ポロポロ……

勇者「……………………はぁ…………」

勇者「…………これは、この場が片付いたら言おうと思ってたんだけど、もう今言うよ」

勇者「今回は僕も悪いけど……武道家は頭に血が上ったら……本当に人の話を最後まで聞かないよね」

武道家「…………え……」

勇者「…………あの時、まだ続きを言おうと思ってたんだ」

武道家「う、嘘っ」

勇者「武道家!」

ギュッ!!

武道家「はいっ!!?」

勇者「確かに!!!!僕は弱い!!!!」

勇者「皆に心配かけてると思うし、足を引っ張ってるのも知ってる!!」

勇者「でも、僕は色んな理由があって旅を止めるわけにはいかない!!」

勇者「…………そして、実質、君達は……イシス勇者君たちに着いて行った方が良いのかも知れないっていうのも本音だ」

武道家「っ」

勇者「でも!!」

勇者「僕は!!皆が心配だ!!」

勇者「皆が離れ離れになって、それぞれ危険な旅をするなんて、考えただけでも嫌だ!!!!」

武道家「……勇、者」

勇者「皆が大丈夫か心配しながら冷や冷やして過ごすなんて!!絶対に嫌だ!!!!」

勇者「今みたいに、僕が守れるかもしれない状況に僕が立っていられないなんて!!それで皆が命を落しちゃうなんて考えたくもないんだ!!!!」

勇者「僕が強くなるまで待ってるなんて!!!!絶対に嫌だ!!!!」

勇者「武道家!!」

ギュッ!!

勇者「人は変わる!!変わらなくちゃいけないんだ!!!!」

勇者「立ち止まってたら!!!!誰も守れなくなる!!!!」

勇者「僕は!!!!確かに弱い!!!!」

勇者「でも!!すぐに!!!!絶対強くなってみせる!!!!」

勇者「強くなって強くなって、誰も文句が言えないように!!!!」

勇者「皆を一人で守れるくらいになってみせる!!!!」

勇者「もう、一人で旅しようなんて二度と思わない!!!!」

勇者「だから!!!!だから!!!!」





勇者「僕に!!!!!ついて来い!!!!!!!!!」


武道家「…………勇…………者」

勇者「……………………あ、あはは……こう言うと…………恥ずかしいね」

勇者「…………でも…………そ、それが言いたかったんだ」

スッ

武道家「あっ…………」

勇者「…………大丈夫」

ニコッ

勇者「すぐ、戻ってくる。絶対だよ」

クルッ

タッタッタッ……

武道家「…………」

武道家「…………」

武道家(…………あの目…………)

武道家(勇者じゃ…………ないみたい)

武道家(でも…………私は分かる…………)

武道家(……………………あの目は、勇者だ)

武道家(変わったけど、変わってない)

武道家「…………っ」ポロポロ……

武道家(私の知ってる……弱い勇者の…………)

――――――――――――


勇者『はは…………やられちゃった、よ』


――――――――――――

武道家「…………っ……!!」ポロポロ……

武道家(…………勇者の…………)

武道家(…………強い、目だ)

――――――――――――

オォォォオォォオオォォ…………

ミイラ「あぁああああああああああ!!!!!」

タッタッタッタ……

ズザァッ!!!!

ミイラ「あぁああああああ?」

勇者「…………」

ミイラAが現れた!!

ミイラBが現れた!!

ミイラCが現れた!!





ミイラΩが現れた!!

勇者「…………お、多いなぁ」

オォォォオォォオオォォ…………

勇者「……通路がぎゅうぎゅう詰めだ」

勇者「…………」

勇者「……」スゥゥゥウゥゥ








勇者「上等だあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」






ミイラ「えっ」

勇者「あんたたちも腹が立ってるかもしれないけどなぁ!!!!」

勇者「こっちも腹が立ってるんだ!!!!」

ギリィッ!!!!

勇者「武道家を…………!!!!」

勇者「武道家をあんな目に遭わせたのはどこのどいつだぁ!!!!!」

ミイラ「あ?あぁっぁぁあああ?」

ミイラ「えぇえぇっ」

すぅううぅぅぅぅうぅ!!

勇者「もう武道家には指一本触れさせない!!!!」

勇者「かかって来いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ミイラ「あ、ああああああああああああああ!!!!!」

勇者「ふっ!!!!」

ザシュッ!!

ミイラ「アギャァッ!!」

ドシャァッ!!!!

ミイラを倒した!!

勇者「…………」

勇者(やっぱり、二人とも言ってた通り……一匹自体の力は然程無いんだ)

勇者(僕でも一撃で倒せる…………一番厄介なのは、毒と…………)

ミイラ「ああああああっ!!!!」

勇者「だぁっ!!!!」

ズバァッ!!!!

ドシャァッ!!!!

ミイラを倒した!!

ミイラ「「「「ああああああああああああああああああああああああ」」」」

勇者「…………数、か」

勇者(…………考えろ、勇者)

勇者(奴らは、王の遺産を奪われて怒っている従者の屍骸…………言わばミイラ)

勇者(……ミイラ、ミイラ………………)

勇者(…………以前、文献で読んだことがある)

勇者(腐敗を防ぐため臓器を全て抜いた後に、水分を奪って乾燥させる保存法を行った死体…………それがミイラ)

勇者(その死体には型崩れや虫食いを防ぐために厳重に包帯を巻く…………か)

勇者(こいつらの包帯はそのためのもの…………)

勇者「…………」

勇者「まさか」

スッ

ミイラの残骸「」

勇者「…………」

勇者(…………やっぱり。軽い)

勇者(全ての臓器と水分が奪われてるんだ。体重の殆どを失っているようなもの)

勇者「…………」

勇者「…………ごめんなさい。後で必ず返します」

ゴソゴソ……

ミイラ「あぁぁあぁぁあぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!!」

勇者「!!!!うりゃっ!!」

ザンッ!!!!

ミイラ「ゴエェェエッ!!!!」

ドサァッ

ミイラを倒した!!

勇者「君の分も…………ごめんなさい。すぐ返しに来ます」

ゴソゴソ……

勇者「…………よし。やっぱり相当な長さになったな」

勇者(この、三人のミイラから拝借した包帯を…………)

ぎゅっ

勇者(繋げて……)

ズザァッ

勇者(…………ミイラ達から少し距離を…………このくらいでいいか)

勇者(そして、包帯の片方の端を…………)チラッ

勇者(…………この果物ナイフで)

ザンッ!!

勇者(左の壁に留める)

勇者(そしてもう一方の端と)

ガバッ

勇者(マントの端を、体を包むように左手で持って……)

ズザッ

勇者(右の壁に、体を寄せる!!)

ミイラ「あぁあああああああああああぁああああああああああ!!!!」

勇者(そして…………ミイラの群れが、近づくのを待って)

勇者(…………)

ミイラ「あああああああああああああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁああああ!!!!!!」

勇者(ここだっ!!!!)

ジャキッ!!!

勇者(剣を右手で前に構え!!)

ダッ!!!!

勇者(突撃!!!!!!!)

勇者「だああああああああああああああ!!!!!!!」


ミイラ「ああああああああああああああ!!!!!!」

ガバッ!!!!

ミイラ「ああああああああ!!!?」

ダダダダダダダ!!!!

勇者「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

ドサドサドサドサァッ!!!!!

勇者(やっぱり!!!!体重が軽いから包帯に引っかかってドミノ倒しのようにどんどん倒れていく!!!!)

ミイラ「「「ああああああああああああああ!!!!!!」」」

ドサドサドサドサァッ!!!!!

勇者「よし!!この調子で!!」

ピンッ!!

勇者「!!」

勇者(包帯が尽きた!!いや、でも大分距離は稼げたぞ!!)

ガバァッ!!

勇者(マントで体を庇いながら体勢を下げて!!!!)

勇者「りゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

勇者(剣を横にして、ミイラ達の足に引っ掛けるようにして進む!!!!!)

ミイラ「「「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」」」

ドシャドシャドシャドシャ!!!!

勇者(どうやらさっきの三体の攻撃モーションから考えるに、ミイラの攻撃方法は毒を塗った歯と手によるものが殆どだ!!)

勇者(軽い自体をしっかり支えるため、足による攻撃は無い!!)

勇者(だから、こういう風に足をなぎ倒すようにしゃがんで攻撃すれば責めも守りも同時に叶う!!)

勇者「っっっだあああああ!!!!!!」


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!


ミイラ「「「ああああああああああああああ!!!!!」」」

ドシャァッ!!!!

パラパラ……

勇者「はぁっ!!はぁっ!!」

勇者「よし!!ミイラの群が途切れたぞ!!」

勇者(次またミイラの群に遭遇したらまた同じ手だ!!!!)

勇者「ははは……!!!!」

勇者「我ながら!!!!すごいセコい!!!!」どぎゃーん

…………
……

ドガァァァァ……


イシス勇者「…………何か、凄い音が聞こえてきますね」

武道家「…………」

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

イシス勇者「…………完全ではないですが……段々、手足の痺れが治まってきました」

イシス勇者「……エルフの薬草って、凄いんですね」

スクッ

イシス勇者「……………………僕は行きます……」

イシス勇者「…………彼の所に、行かないと…………」

イシス勇者「………………あんな事言ってたけど…………やはり、不安です……」

イシス勇者「……死なれたら、オルテガ様に…………顔向けもできませんしね」

武道家「…………ねぇ」

イシス勇者「はい?」

武道家「アンタ…………魔物を強く憎んでる人間を、仲間にしたかったんだよね」

イシス勇者「…………はい」

武道家「それだったらさ、私達の中で…………一番の適任者は、アイツよ?」

イシス勇者「…………え?」

武道家「…………私達、全員魔物の事憎んでるけどさ」

武道家「多分、アイツが…………一番魔物を憎んでる」

武道家「それこそ、私達の理解が及ばないくらいまで」

イシス勇者「…………」

武道家「…………そして、さっきアンタが言ってた、勇者が努力してないって事」

武道家「……あれも間違ってるわ」

イシス勇者「…………」

武道家「…………多分、私達の中で、一番血反吐を吐くような思いをして、努力してるのはアイツ」

武道家「……………………他の誰に言っても信じないけれどね…………」

武道家「私達幼馴染は…………全員知ってるわ」

武道家「アイツは………………………………本当は凄い奴だって」

武道家「……………………分かってたんだけどな」

武道家「………………………………いつの間にか、自分の偏見ばっかで…………」

武道家「ちゃんと…………アイツを見てあげてなかったのね…………」

武道家「勇者が強くなってく事…………認めてあげなかったのは……」

ポロッ

武道家「一番、自分に捉われて、変わってたのは、私だったんだ……」ポロポロ……

イシス勇者「……………………」

武道家「…………」ポロポロ

グシッ

武道家「…………っ…………」

武道家「…………はぁ…………」

イシス勇者「…………僕は」

イシス勇者「僕も……………………色々見えてなかった…………みたいですね」

イシス勇者「……………………」

イシス勇者「…………彼の」

イシス勇者「彼のところに行って、謝らないといけません」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「み、認めたわけじゃ…………ない、です、けど」

イシス勇者「…………でも、行かなきゃ」

武道家「…………」

スクッ

武道家「…………私もよ!」

武道家「アイツのとこに行かなきゃ!」

武道家「…………仲間だもん!!」

…………
……


――――――――――――

オォォォオォォオオォォ…………

勇者「はぁ…………はぁ…………」

勇者「ここが二人の言ってた地下への道か…………」

チラッ

オォォォオォォオオォォ……

ミイラ「「「「あぁあぁぁぁぁあああぁ!!」」」」

勇者「…………っ」

勇者(やっぱり地下にもいっぱいミイラがいるな……)

アァァァアア……

勇者「!!!!」

クルッ!!

勇者「…………!!!!」

ミイラ「「「ああああああああああああああ!!!!!!」」」

勇者「後ろからも、またミイラが……!!!!」

勇者(…………マントも、もう随分ボロボロだ)

ジャキッ

勇者(………………毒を受けても……)

勇者(しばらくすれば、誰か駆けつけてくれるか…………それに賭けるしかないか?)

ミイラ「あぁああああああああああ!!!!!」

勇者「っ!!!!!」

勇者(考えてる暇は無い!!!!)

勇者「っ…………っしゃあっ!!!!」

ダッ!!




ドガァァァァ!!!!!





勇者「えっ?」ピタッ

ドガァァァァアァァァ!!!!

ミイラ「「「「あぎゃあああああああああああ!!!!」」」」

勇者「…………後ろのミイラが、どんどん倒れて…………」

勇者「っ!!!!まさか!!!!」


ドシャァァッ!!!!

「勇者っ!!」「勇者君!!!!」


勇者「!!イシス勇者君!!武道家!!!!」

武道家「大丈夫!!?」

イシス勇者「怪我は無いですか!?」

勇者「二人こそ!!毒は!!?」

武道家「まだ完全に治ったわけじゃないけど……なんとか、動けるわ」

勇者「そっか…………良かったよ!」

勇者「それに、二人もあのミイラの倒し方、思いついたんだ」

イシス勇者「はい。君の通った跡の倒れたミイラ達が足を負傷してるのを見て…………」

勇者「はは、馬鹿正直に戦わずにあのやり方をしないと毒を受けちゃって、それで負けちゃうからね」

勇者「まぁ、セコいやり方だけど…………」

イシス勇者「…………そんな事ありません」

勇者「え?」

イシス勇者「あの切羽詰った状況で、すぐにそんな考えが浮かぶなんて…………僕は全然浮かばなかった」

イシス勇者「まぁ、弱い君だからこそ、思いつく事なんでしょうけど…………ね」

イシス勇者「…………じゅ、十分…………凄いです…………よ?」

勇者「…………」ポカーン

イシス勇者「な、なんですか」

勇者「い、いや、なんでもないよ」

ミイラ「「「「ああああああああああああああ!!!!!!」」」」

勇者「!!」

勇者「…………二人とも、うかうかしてられないみたいだ」

イシス勇者「はいっ」

勇者「早く地下に……」

武道家「…………ゆ、勇者」

勇者「!!」ピタッ

勇者「どうしたの?武道家」

武道家「…………」

勇者「…………?」

武道家「あ…………あの…………」

武道家「…………今まで…………ごめん」

勇者「え?」

武道家「……………………」

武道家「…………ア……アンタに」

武道家「アンタについていかせて…………?」

勇者「…………!!!!」

武道家「わ…………私に、アンタを守らせて…………!」

武道家「……そして………………わ」

武道家「……………………私も…………守って…………?」

勇者「…………」

武道家「…………っ…………」

勇者「…………当たり前だよ」

武道家「…………!!」

勇者「武道家……………………これからも、よろしく」ニコッ

武道家「!!!!…………う……」

ニコッ!!

武道家「うんっ!!!!」

-ピラミッド・最下層・王の棺への道-


オォォォオォォオオォォオォォォオォォオオォォ……!!!!


ミイラ「「「「あああああああああああああああああああああ!!!!!」」」」


ズザァッ!!

勇者「よし!!!!それじゃ二人とも!!無理はしちゃだめだよ!!!!」

武道家「うん!」

イシス勇者「こっちのセリフですよ……!!」

勇者「よし!!突撃だぁっ!!!!」


ミイラ「があああああああああああっ!!!!!」


武道家「だあぁぁぁぁああぁぁっ!!!!」

イシス勇者「りゃああああああああああああっ!!!!」

勇者「らあああああああああああああああああ!!!!!」


ズガガガガガガガガガガァッ!!!!!!

ミイラ「「「「「あぎゃあああああああああああああああああああ!!!!」」」」」

ドシャドシャドシャドシャドシャドシャドシャドシャ!!!!

ミイラの群を倒した!!

ザンッ!!

勇者「っしゃ!!この調子だ!!」

武道家「気を抜いちゃ駄目!まだ半分も行ってないわ!!」

イシス勇者「ですね……!!それに」チラッ

ボコボコボコボコボコ!!!!

ミイラ「「「「ああああああああああああああああああああああ」」」」

イシス勇者「…………王の棺が近いからか、どうやらミイラの数が多くなってるみたいです」

武道家「……爪を返して欲しいのか、返して欲しくないのかどっちなのよ……」

勇者「盗んだの君達だろ」

イシス勇者・武道家「「…………本当にすみません」」

勇者「とりあえず、早く返しちゃおう」

ミイラ「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

勇者「っらぁぁっ!!!!」

ザンッ!!!!

ミイラ「ぐぎゃあああっ!!!!」

ドサァッ!!!

勇者「…………王様たちに謝るのは、その後だ!!」


ミイラ「「「「があああああああああああああああああああああああ!!!!!」」」」


武道家「だりゃあああああああああああああああああ!!!!」

イシス勇者「っっあああああああああああああああああああ!!!!」

勇者「がああああああああああああああああああ!!!!」


ドガガガガガガガァッ!!


ミイラの群を倒した!!

武道家「はぁっ……はぁ……ゲホッ!!」

勇者「!!武道家!!?大丈夫か!!?」

武道家「ごめん、大丈夫よ……!!少し、さっきの毒に体力を奪われすぎたのね……」

イシス勇者「はぁっ……はぁっ……!!同じく、です」

勇者「無理はしちゃ駄目だよ?」

武道家「はは……アンタこそ、ね」

勇者「うん、分かってる。でも……この調子で行けば……」

ボコッ!!

勇者「…………?」

ボコボコボコボコォッ!!

武道家「…………何」

ボコボコボコボコォッ!!

武道家「…………」


?「「「「アァァァァァァァァァ……」」」」


武道家「…………何なの、あのミイラ達……?」

?「アァァァァァァァァァ…………」

勇者「…………あのミイラ達、様子が変だね」

武道家「ええ…………包帯の色や佇まいが違うわ……」

?「アァァァアアァァッ!!!!!」

ヒュンッ!!!!

勇者「っ!!!?」

ガキィッ!!

?「アァァァッアアァァッ!!」

勇者「……っ!!」

ギリギリギリギリギリ!!!!

勇者(力もこれまでのミイラ達に比べて段違いだ……!!!!)

勇者「っだぁぁ!!!!」

ガキィン!!!!

勇者「りゃぁぁあっ!!!!」

ズバァッ!!!!

勇者「だぁぁっ!!!!」

ズバァァッ!!!!

?「ガァァァアアァ!!!!」

ドシャァッ!!

ミイラ?を倒した!!

武道家「勇者!!大丈夫!?」

勇者「2人とも、気をつけるんだ。コイツらは普通のミイラじゃない!」

武道家「見てて分かったわ。……数は多いわけじゃないけど厄介ね…………」

?「「「「「アァアアアアアアアアアアアアアアアアア…………」」」」」

勇者「…………コイツらは、一体……」

イシス勇者「…………そうだ」

勇者「へ?」

武道家「何か心当たりがあるの?」

イシス勇者「はい…………昔イシス城の書庫で、ピラミッドについて学んだ時に……」

イシス勇者「…………今まで僕らが戦ってきたミイラ達は、ただの従者達が死蝋化した物でした」

イシス勇者「ですが、あれは恐らく違います。あれは…………前王附属の武官達です」

武道家「御附武官?」

イシス勇者「はい…………分かりやすく言うと、幹部や側近……それも、戦闘に長けた者達」

勇者「…………なるほどね」

イシス勇者「ピラミッド建設の際に先頭を取り仕切っていた者達だったらしいです」

勇者「どうりで包帯も高価な物なワケだ。それに、綺麗に死蝋化してる」

イシス勇者「えぇ。丁重に死蝋処理され、王の近くに埋葬されたと聞きます」

イシス勇者「そして…………王の宝をずっと守り続けている」

イシス勇者「彼らのミイラの事を、下級の従者のミイラと区別するために、こう呼んだそうです」

イシス勇者「…………“マミー”」

勇者「…………マミー」

武道家「はは……名前だけは可愛らしいのね」

マミー「「「「アァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」」

武道家「……………………名前だけは、ね」

イシス勇者「とりあえず…………奴等を倒さなければ!」ジャキン!!

ダッ!!

イシス勇者「りゃあああああああっ!!!!」

ズバァァァッ!!!!

マミー「アアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

ドシャァッ!!

武道家「ぜあああああああああああっ!!!!」

ゴッシャァッ!!!!

マミー「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ドシャァッ!!!!

勇者「らああああああああああああああ!!!!」

ズバァァァッ!!!!

マミー「アァァアァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ドシャァッ!!

マミーの群を倒した!!

イシス勇者「よし…………!!倒せない数ではありません!」

勇者「そうだね……でも油断しちゃいけないよ!」

イシス勇者「君こそ、僕達の足を引っ張らないで下さいよ?」

勇者「ははっ!努力するよ……だあぁぁっ!!!!」

ズバァァァッ!!

マミー「ギャアアアアアアッ!!!!」

ドシャァッ!!

武道家「はあっ!!!!!」

ゴシャァァアァッ!!!!

武道家「はぁ……はぁ……」

武道家「…………!!勇者!イシス勇者!アレ!」

イシス勇者「!!よし!段々棺のある部屋が見えました!」

イシス勇者「後は、急いであそこに黄金の爪を戻せば――――……」

ダッ!!



―――――ズキンッ!!


イシス勇者「……――――っ!!」

イシス勇者(……体に、残った毒が……!!)

武道家「!!!!イシス勇者!!危ない!!」

イシス勇者「え?」


マミー「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

イシス勇者「!!!!」

イシス勇者(三体…………一度に…………)

イシス勇者(し、しまっ…………)

ガバァッ!!!!

イシス勇者「…………―――――――――!!!!」

イシス勇者(よけられ、な……)

武道家「っ!!!!」



ズギャアァッ!!!!



イシス勇者「……――――!!!!」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……?」

イシス勇者(…………え?)


マミー「アァァァァァァァァァ…………!!!!」

マミー2「アァァァアァァァァァァァァァ!!!!」

マミー3「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!」


勇者「……ぎ……がはっ…………!!!!!」ギリギリ……!!


イシス勇者「…………ゆ、勇者、くん」

勇者「…………っ!!!!」

勇者「がああああああああああああああっ!!!!」

ザンッ!!!! ザァンッ!!!!

ザァァン!!!!

マミー「アギャアアアアッ!!!!」

マミー2「ギアァァアアアアァ!!!!」

マミー3「アギャアアアアアアアアア!!!!」

ドシャァッ!!!!

マミーの群れを倒した!!


武道家「くっ……………………おりゃぁあっ!!!!」

ゴシャァッ!!!!

マミー「アァァァァァァァァァ!!!!」

ドシャァッ!!!!

武道家「勇者ぁっ!!!!」ダッ!!


勇者「かはっ……!!!!」ビチャ……

武道家「勇者!!大丈夫!!?」スタッ

勇者「はは、……大丈夫だよ!これくらいっ」

武道家「大丈夫って……凄い深い傷……!!毒は!!?」

勇者「う、ん。毒は……無いみたいだ……はは」

武道家「よ、良かった…………」

スクッ

武道家「…………」

マミー「アァァァァァァァァァ!!!!」

武道家「…………勇者に何てことしてくれるのよ…………!!」

ダッ!!!!

武道家「だあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ドカァッ!!!!  ズシャァァァアァッ!!!!


勇者「はは…………いづっ!!!!」

イシス勇者「な…………な」

勇者「……だ、から言ったろ?……油断するなって」

イシス勇者「な、なんで…………」

勇者「え……?」

イシス勇者「なんで…………僕を」

イシス勇者「なんで僕を助けたんだ…………」

イシス勇者「もし、もし毒があったらどうするつもりだったんだ!!!!」

勇者「…………」

イシス勇者「なんで…………」

イシス勇者「…………なんで…………あんな酷い事した、僕の事を…………」

イシス勇者「君の事…………嫌って、酷い事も……したのに…………!」

勇者「それも、言ったろ?」

イシス勇者「……え……?」

勇者「…………さっき、言ったよ」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「…………あ…………」

勇者「…………二回も言うのは…………流石に恥ずかしい、けど」

勇者「……僕は、君を……それほど、嫌いじゃないし……」

勇者「………………」

勇者「…………君は、守るさ」

イシス勇者「……………………」

勇者「………………って、男に言われたら、気持ち悪いか」タハハ

勇者「実質、君を守れる……立場でもないしね」

勇者「…………でもさ」


マミー「アァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

マミー「アァアァアアァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

イシス勇者「!!!!」

イシス勇者(次は二体同時に――――……!!)


ゴシャァアッ!!!!

イシス勇者「!!!!」


マミー「ギ…………ガギギ…………!!!!」

マミー「アァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ビチャビチャッ!!

勇者「…………こういう時……っ!!!!」

勇者「僕でも…………少しは…………役に立つんだよ…………っ!!!!」ギリギリ!!

イシス勇者「勇者くんっ!!!!」

ズバァッ!!!! ズバァァァッ!!!!

マミー「「アギャアアアアアアアアア!!!!」」

ドシャドシャ!!!!

マミーの群れを倒した!

勇者「がぁっ……!!!!」

ガクッ

イシス勇者「勇者くん!!」

ガシッ

勇者「っ……あ、ありがと」

勇者「はは……!言ったそばから守られてる、し」ハハハ

イシス勇者「…………!!!!」

ヨロッ

勇者「…………もう、毒は大丈、夫?」

勇者「無理そう、なら、少し休ん、で」

イシス勇者「………が…とう」

勇者「え?」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「…………り……がとう」

勇者「!!!!??」ギョッ

イシス勇者「…………っ」

イシス勇者「あり……がとう……!!」

イシス勇者「ご…………」

イシス勇者「ごめん……ごめん……!!!!」

勇者「…………イシス勇者君……」

イシス勇者「僕…………僕……」

ギリッ

イシス勇者「…………僕は…………あんな…………」

勇者「…………」

勇者(…………)

勇者「はっ」

勇者(い、意外すぎて意識飛んでた)

イシス勇者「僕はっ…………僕は…………」

勇者「あはは…………全然、いいんだよ……あれくらい」

勇者「…………ただ…………」

ザッ!!

勇者「っ…………だああああああああああっ!!!!」

ザァンッ!!ザァンッ!!

マミー「ギャアアアアアアッ!!!!」

ドシャァッ!!

イシス勇者「!!!!」

イシス勇者(僕の後ろに…………)

イシス勇者(また…………守られたのか…………)

勇者「そういう、話は、あとにしよう」

勇者「…………行こう!イシス勇者君!!」

イシス勇者「…………」

ザッ!!

イシス勇者「…………はい!!」

ズガガガガァッ!!

ドシャァッ!

武道家「はぁっ!!はぁっ!!」

武道家「…………」

武道家(もう少しで…………辿り着くのに……!)

マミー「「「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」

武道家「…………っ」

武道家(この数のマミー達……!)

武道家(今の私の体力じゃ流石に、一気に片付けるのは難しい……)

武道家(どうする…………)

武道家(…………)

ギュッ!!

武道家(…………私が)

武道家(私が突っ込んで…………囮になれば…………!)

マミー「アアアアアアアアアアア!!!!」

武道家「っ!!」

武道家(やるしか無いっ!)

ダッ!!

武道家「えっ?」


勇者「だらああああああああああああああああ!!!!」

武道家「勇者!?」

マミー「アギャァァッ!!」

ズガガガァン!!

勇者「武道家!」

武道家「ゆ、勇者、アンタ!」

勇者「提案が……あるんだ!」

武道家「え?」

勇者「僕が……僕と、イシス勇者くんが、マミーを、食い止めて、道を作る!」

勇者「武道家は、持ち前の速さで、それを掻い潜って…………棺の所に行って」

スッ

勇者「この、黄金の爪を、返してきてくれ……!」

武道家「…………え…………」

イシス勇者「僕も、それが良いと判断しました」

武道家「ゆ、勇者が囮に…………?」

勇者「…………武道家」

武道家「…………」

勇者「…………僕には、武道家みたいな素早さは…………無い」

勇者「僕は、僕に……できる事を……やる」

勇者「だから……お願い」

武道家「…………」

勇者「…………」


――――――――――――


武道家『アンタ、馬鹿よ!!!!』


――――――――――――

勇者(…………やっぱり……ダメか)

武道家「…………勇者」

勇者「え?」

武道家「…………黄金の爪、任されたわ」

パシッ

勇者「…………武道家!」

武道家「…………」

武道家「私を…………」

武道家「私を…………ちゃんと…………」

ニコ……

武道家「…………―――――守ってね」

勇者「……っ!」

勇者「あぁっ!任せろ!!」

…………
……


――――――――――――

-ピラミッドの入り口・イシスの砂漠-



ジリジリ…


戦士「…………なぁ」

女勇者「…………どうしたんだい」

イシス僧侶「…………聞きたいことは分かるよ。戦士ちゃん」

商人「えぇ」

イシス戦士「…………」

僧侶「…………」

盗賊「…………」

イシス魔法使い「…………なんで私達がここにいるか…………よね?」

遊び人「…………それはね」

イシス戦士「…………」プルプル



魔法使い「…………も、もうしわけなひ」



イシス戦士「このアホのせいだ!!!!」

魔法使い「ご、ごめんなさいぃぃい!!」

イシス魔法使い「こら、イシス戦士。怒らないの」

女勇者「…………」

チラッ

女勇者「……私達、あそこから落ちたんだね」



――――――――――――

-ピラミッド・屋上-

ザッ

女勇者『…………行き止まりか』

イシス僧侶『と、いうか…………頂上に出ちゃいましたね』

戦士『おおお、高いな』

商人『結局地下への道は何にも無かったですね』

イシス魔法使い『うーん……あの穴に直接飛び込まなければならないのかしら』

盗賊『……かもね……』

イシス戦士『では一階に戻るか?』

僧侶『そうですね……武道家ちゃんとイシス勇者君、大丈夫でしょうか』

遊び人『…………ってかさ』


ぎゅう……

遊び人『みんなで階段昇ってくることなかったんじゃない?』

女勇者『た、確かにキツイね…………』

戦士『そんじゃ、戻るか……』



?『あ―――――!!!!』

戦士『へ?』

タッタッタッ……

魔法使い『みんなぁ―――――っ!!!!』

ガバァッ!!


一同『『『『『  え  』』』』』

魔法使い『ほぇ』

ヒュゥゥゥゥ……

――――――――――――

女勇者「…………なんて間抜けな話だ」

魔法使い「ご、ごめんねぇっ」アワアワ

イシス魔法使い「いいのよ、みんな怪我が無かったんだから」

商人「魔法使いちゃんのアホアホ。戦士ちゃんよりアホー」

戦士「おうコラ」

女勇者「それより、どうしたんだい?魔法使いちゃん」

僧侶「勇者くんはどうしたんですか?」

魔法使い「あぁっ!!!そ、そうだよ!たいへんなのっ」

盗賊「……お、落ち着いて?……」

遊び人「どうしたの?」

魔法使い「ゆーしゃもちかにおちちゃったの!!」

一同「「「「「っ!!!!」」」」」

僧侶「そ、それはっ!!大丈夫なんですか!!?」

魔法使い「う、うん…………とりあえずは………こえのとどくところにおちたみたいだったし」

商人「何か言ってました!?」

魔法使い「“ドンタコスッ!!!”っていってた……」

戦士「何言ってんだアイツ」

女勇者「とりあえず、その穴の所に行こう!!」

イシス僧侶「そ、そうだね!」

魔法使い「わ、わたしについてきてね!!」

女勇者「ああ!はやく行こ…………」


ゴリゴリッ!!

女勇者「…………?」

魔法使い「…………なんのおと?」

僧侶「…………あ!!」

イシス魔法使い「どうしたの!?」

僧侶「そ、そこ!!」

商人「そこ?」

僧侶「あの石畳が!!動いてます!!」

遊び人「!!ほんとだっ!!」

戦士「…………まさか!!!!」

ダッ!!


ガシッ!!

戦士「だぁっ!!」

ブンッ!!

ドサァッ!!

?「うわぁ!びっくりした!!」

戦士「……!!やっぱり!!」

戦士「武道家!!」

イシス僧侶「イシス勇者様!!!!」

ザッ

武道家「みんな!!良かった……やっぱりここが出口だったんだ!」

イシス勇者「皆さんもご無事でしたか!!」

女勇者「良かった!!!!無事だったんだね!!」

魔法使い「ゆ、ゆーしゃは!!?」

武道家「あぁ、勇者は……」

ザッ

「…………ごめん、ごめん、包帯返すのに…………手間取ってさ…………あれ?」

魔法使い「!!!!」

盗賊「……勇者!……」

僧侶「勇者くんっ!!」

勇者「なんで…………皆も?」

魔法使い「…………ゆ」

ダッ!!

魔法使い「ゆーしゃぁっ!!」

勇者「わぁっ!!?」

ギュウゥゥゥ

魔法使い「よかった…………よかったよぉ!!!!」

勇者「ちょ、魔法使い…………!!くるしい……!!くるしいって!!」

ムニュムニュ

勇者(胸がっ!!胸があたる!!)

盗賊「……!!……」

僧侶「ま、魔法使いちゃんっ」


グイッ

魔法使い「ふぇ?」

武道家「…………だ、ダメよ」

勇者「武道家……」

武道家「ゆ、勇者は疲れてるんだから…………ぎゅってしちゃダメ」

魔法使い「…………武道家ぁっ!!」

武道家「わぷっ!」

魔法使い「武道家もぶじでよかったよぉー!!」ビエェン

武道家「魔法使い…………」

ムニュムニュ

武道家「…………」

武道家(なんか複雑…………)

女勇者「ところで、地下で何してたんだい?」

武道家「大変だったわ。色々とね」

イシス勇者「えぇ。ですが、勇者君のおかげで全て助かりました」

チラッ

勇者「――――。――――」

イシス勇者「…………彼は……凄い人ですね」ポーッ

女勇者「えっ」

戦士「えっ」

イシス僧侶「ふぇっ」

イシス魔法使い「あら」

イシス戦士「」

イシス勇者「え、え?どうしました?」

女勇者「い、いや…………」

戦士「なんでも…………ない、ぞ」

イシス勇者「?」

僧侶「それよりも皆、怪我はありませんか?」

武道家「私は大丈夫よ。それより、勇者を診てあげて」

イシス勇者「僕も勇者君のおかげで怪我はありません。だから勇者君を診てあげて下さい」

女勇者(なんだろうこの豹変ぶり…………)

戦士(…………なんか気味が悪いな……)

僧侶「勇者くん大丈夫ですか?」

勇者「え?ああ僕?」

勇者「うん、全然大丈夫だよ。傷は……割と、深い、けど」

勇者「全然…………」

勇者「…………このくらい…………」

勇者「……………………かすり傷…………」

ドサァッ!!

僧侶「!!!?勇者くんっ!!!?」

ダッ!!

イシス僧侶「……っ!?」

勇者「はぁっ……!!はぁっ……!!」ゼェゼェ

イシス僧侶「肌が変色してる……まさか、毒!!?」

イシス勇者「!!!!?」

武道家「!!!!」

武道家(やっぱり…………!!!!マミーの体にも、毒が……!!)

武道家(勇者、ずっと我慢してたんだ!!!!)

ダッ!!!!

イシス勇者「勇者くんっ!!!!」

武道家「勇者ぁ!!!!」

ザッ!!

勇者「…………っ…………!!」ハァハァ

武道家「勇者!!しっかり!勇者!!」

イシス勇者「勇者くんっ!!勇者くん!!」

イシス魔法使い「落ち着いて!!多分毒を受けてるわ!!動かしちゃダメ!」

僧侶「毒!!?」

魔法使い「ど、どうすればいいの!!!?」

イシス僧侶「落ち着きなさいっての!!イシスに行けばこの毒の血清が――――……」

…………!!……!!…………!!

勇者「…………っ…………!」ゼェゼェ


―――――――――君は


勇者「……っ…………」ゼェゼェ

勇者(…………あれ)

勇者(あれは…………誰に言われた言葉、だったっけ…………)

…………
……

――――――――――――
…………


勇者『ねぇ、サイモンさん』

サイモン『どうしたんだい?勇者君』

勇者『なんで、ぼく、つよくなれないのかな』

サイモン『…………』

勇者『ぼく、これじゃ……とーさんとのやくそく、やぶっちゃう』

勇者『女勇者と、おかーさん…………武道家、戦士、魔法使い』

勇者『まちのひとたち…………ぜーいん、まもれないよ…………』グスッ

サイモン『…………勇者君』

勇者『?』

サイモン『君は、十分強いさ』

サイモン『君は、誰かを守りたくてそんな風に泣いている』

サイモン『さっきみたいに、いじめられても、彼等も守ろうとしている』

サイモン『…………これはね、凄い事なんだ』

勇者『…………でも』

サイモン『その気持ちがあるか無いかだけで…………全ては変わってくる』

サイモン『…………勇者君』

サイモン『君は、強いさ』

サイモン『その気持ちを…………忘れなければ』

サイモン『…………君は、誰よりも強い』

…………
――――――――――――


――――――――――――

-イシス城・宿屋-


勇者「…………ん」

勇者(…………夢…………)

勇者(…………ここは…………)

勇者(…………宿屋か)

ムクッ

武道家「あ……起きた?」

勇者「あれ、武道家」

武道家「…………良かった」

勇者「…………あ…………そういえば僕倒れちゃったんだっけ」

武道家「…………勇者」

勇者「え?」

武道家「…………マミーから…………毒受けてたの…………気付いてたんでしょ?」

勇者「!!い、いや、あの時は」

武道家「…………」

勇者「う……………………」

武道家「…………」

ギュッ

勇者「…………へ?…………武道家、手…………」

武道家「…………ばか」

勇者「…………」

武道家「……ばか……」

ギュウウ

武道家「ほんと…………ばか……」

勇者「…………」

ギュッ

勇者「…………ごめん」

武道家「…………」

勇者「…………」

武道家「…………」

勇者「…………」

シーン……

勇者「あ、あの」

武道家「…………どうしたの?」

勇者「え、えーと……み……皆が解毒してくれたの?」

武道家「……うーん……」

武道家「…………皆っていうか、イシス勇者が、ね」

勇者「えっ!?」

武道家「意外かもしれないけど…………勇者が倒れたら速攻ルーラでイシスに飛んで、猛ダッシュで医療所にアンタをおぶって走ってったわ」

勇者「そ、そっか…………失礼かもしんないけど、意外だね」

武道家「…………アンタの事、認めたみたいよ」

勇者「…………そか」

勇者「じゃあお礼言わないとね。イシス勇者君は?」

武道家「…………城でお説教中」

勇者「説教?」

武道家「アンタとの賭けが、女王様にバレたみたい」

――――――――――――

-イシス城・女王の部屋-

イシス女王「だから貴方はあれ程人の気持ちは考えなさいと―――――!!!!」ガミガミ

イシス勇者「ごめんなさい……ごめんなさい……!!!!」

――――――――――――


勇者「…………そ、そう」

武道家「まぁ、あの調子なら私達をもう誘って来ないでしょうね」

勇者「はは、そうだね」

勇者「はぁ…………でもピラミッドにも何も無しか…………魔法の鍵はどこに……」

武道家「え?あったわよ?」

勇者「え?」

ゴソゴソ

武道家「はい」

勇者「…………!!!!これは!!」

武道家「うん」

勇者は魔法の鍵を手に入れた!!!!

武道家「上の階を皆が探索してたら見つけたみたい」

武道家「なんでも、僧侶が仕掛けの謎を解いたらしいわよ」

勇者「僧侶が?」

武道家「うん。お城にいる子供達の面倒見てる時にイシス伝承の子守歌を聴いたらしいんだけど」

武道家「それがヒントになってるって気付いて、ぱぱっと解いちゃったんだって」

勇者「そうなんだ…………僧侶とその子供達にもお礼言わなきゃね」

スクッ

武道家「…………大丈夫?歩ける?」

勇者「うん!もう全然平気!皆は城にいるの?」

武道家「えぇ。アンタも呼ばれてるわよ」

勇者「え?僕も?」

武道家「うん。なんでも、迷惑をかけたお詫びに料理をご馳走したいって。イシス勇者が」

勇者「……………………失礼だけどなんか怖いね」

武道家「あはは、それだけ認められたって事よ」

勇者「でも、男性禁制なんじゃ……」

武道家「今日は二階で晩餐するみたい。アンタも、子供達も参加できるようにって」

勇者「!!」

勇者「…………はは、それじゃ。喜んでお呼ばれしようかな」

武道家「うん…………行こうか」

…………
……

-イシス・街中-

テクテク

勇者「ふあぁ…………すっかり夕方だね。もう涼しいや」

武道家「そう考えると、意外と時間かからなかったのね。ピラミッド」

勇者「だねぇ」

テクテク……

武道家「…………」

勇者「…………」

テクテク……

勇者「…………武道家?」

武道家「ふぇっ!?」

勇者「どうかした?なんだか元気ないよ?」

武道家「そ、そんな事っ」

勇者「…………」

武道家「…………ないと…………思うけど」

勇者「…………ふふ」

武道家「へ?」

勇者「ははは!うん、大丈夫みたいだね。元気はあるみたいだ。顔見れば分かるよ」

武道家「も…………もう!」

勇者「あはは!!」

スタスタ……

武道家「…………私、ね」

勇者「?」

武道家「…………私、前の、皆でワイワイやってた頃が…………一番好きだったの」

勇者「…………」

武道家「…………でも…………私、それが…………変わっちゃってたと思ってた」

武道家「あの時から…………少し、変わっちゃってたと思ってた」

武道家「皆の関係も、…………勇者も」

勇者「…………!」

武道家「…………でも」

クルッ

武道家「…………」

勇者「…………」

サァァァァッ……

武道家「…………違ったんだね」

武道家「勇者は、変わってなかった」

武道家「勇者は、頑張ってたんだね」

武道家「皆を、変わらずに、繋ぎとめようって」

武道家「…………頑張ってたんだ」

武道家「もう、十分…………強かったんだ」

勇者「…………武道家」

スタスタ……

勇者「…………武道家?」

武道家「…………ちょっと、胸…………貸してね」

コツン……

勇者「…………」

武道家「…………」

武道家「ふふ…………知らない間に、胸板も厚くなっちゃって」

勇者「あはは、そりゃあね」

武道家「……………………勇者」

勇者「…………ん?……」

武道家「…………」

武道家「…………」

武道家「ありがとう…………」

武道家「…………」

武道家「…………ありがとう…………勇者…………」

勇者「…………」

勇者「…………こちらこそ。いつもありがとう…………武道家」




商人「はいカットォォォォォー!!!!」



勇者・武道家「「っ!!!!!????」」


商人「全く……晩餐の準備が整ったから迎えに来て見ればなにを青春してんですかこの畜生どもめ」

武道家「しょ、商人!!!!いたの!!?」

魔法使い「わたしもいるよ!」

武道家「ま、魔法使い!!」

僧侶「…………ぶ、武道家ちゃん……いけませんよ?勇者くんにのっかかったら……」

武道家「僧侶までっ!!!!」

盗賊「……縄……」

武道家「盗賊まで!!って縄!?縄で何するつもりよ!!」

戦士「…………武道家」

武道家「せ、戦士!!」

スタスタ……

戦士「…………」

武道家「……な……何よ」

戦士「…………」

ポンッ

戦士「…………お前、熱でもあるんじゃねぇの?」

武道家「~~~~~~~~~っっ//////////」プルプル

戦士「ホラ、顔赤いぞ」

ダッ

戦士「あっ!!」

魔法使い「武道家ぁ!!」

武道家「うるさぁいっ!!!!皆のばかぁっ!!!!あほぉっ!!!!うわあぁぁぁん!!!!/////」タッタッタッ……

戦士「おい、どうした!!ボケにもツッコミにもキレが無いぞ!!やっぱ病気か!!毒の後遺症か!!」

商人「重要参考人が逃げましたよ!!ひっとらえて尋問です!!!!」

僧侶「み、皆足はやい!!」

盗賊「……皆、待って……」

タッタッタッタ……

勇者「ははは…………何やってるんだか」

勇者「…………」

勇者(…………こちらこそ)

勇者(こちらこそ本当に、ありがとう…………武道家)


…………
……

-イシス城-

勇者「…………さりげなく皆僕を置いていきやがった」

勇者(まぁ、いいけどさ…………門番にも話は行ってたみたいだし、難なく通れたから……)

スタスタ……

勇者「…………しかし、広いなぁ」

スタスタ……

勇者「それに綺麗だ…………なんだか…………」

勇者「……………………」

コツッ…………

勇者「…………僕一人が、この世界に取り残されたみたいだ…………」

勇者「…………」


ドクン


勇者(あれ…………?)

勇者(なんだろう…………僕…………ここに来たことあったっけ)

勇者「………………?」

勇者「なんだ…………この変な…………既視感…………」







ゾゾゾゾゾゾッ

勇者「っっ」

勇者「…………!!!!」

勇者(この気配!!この嫌な感じはっ!!!!)



スタスタ……

イシス勇者(勇者君はまだかな…………)

スタ……

イシス勇者「!」


勇者「…………あっちの方からだ!」


イシス勇者(勇者君だ!!)

イシス勇者「おーい、勇者く…………」

勇者「っ!!」

ダッ!!!!

イシス勇者「ん!?ど、どうしたんだい!!?勇者君!!?」

イシス勇者「おーい!」

タッタッタッ…………

――――――――――――

-イシス城・望庭の広場-

タッタッタッタ……

イシス勇者「確かこの辺りに…………」

イシス勇者「!!」


勇者「…………」


イシス勇者「いた!!」

スタスタ……

イシス勇者(ここに何の用だったんだろう)

イシス勇者(ここには猫がたくさんいるくらいしか…………ん?)


勇者「…………おい」

猫「…………」



イシス勇者(勇者君…………猫と話をしてる?)


勇者「…………お前……」


イシス勇者(…………意外とメルヘンな性格なのだろうか)

イシス勇者「…………おーい、勇者く」








猫「ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」






イシス勇者「っっっ」ゾゾゾゾゾゾッ

イシス勇者(え……?)

イシス勇者(何…………あの声…………何だ…………この…………嫌な、気分……っ)

勇者「…………やっぱり、お前……あの時の…………」

猫?「なんだ?お前?どうして俺がわかった?」

猫?「俺はあのオルテガの娘に会いに来たんだがなぁ?どうした?ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」


イシス勇者(っ…………!!!!)ゾゾゾゾゾゾッ!!!!!

イシス勇者(何、この声…………!!!本当にあの猫が…………!!!?とても聴いてられない!!!!こんな、嫌な気分のする声初めてだ!!)


勇者「…………覚えてないか」

勇者「…………はは、覚えてないか」

猫?「誰だ?お前?もしかして前に喰った奴らの一人の仲間か?なぁ?なぁ?」

勇者「…………」

猫?「なぁ?もしかして魔王様を邪魔しようとしてる奴の一人か?なぁなぁ?」

猫?「それとも女勇者の連れか?そうか?何だ?なぁ、なぁ、なぁ、なぁ、なぁ」

猫?「なぁ、おい、おい、ひははははははは、ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

猫?「それならいいや。なぁ、あいつに伝えろよ、あいつ、女勇者。わかった?あう?」

猫?「魔王様にたてつくのは止めとけ?なぁ?いや、たてつけ?なぁ?」

猫?「とりあえず、殺すから、なぁ?覚悟しておけ?なぁ?なぁ?なぁ?」

猫?「全部殺すからな、何年もかけて、いっぱいな?グひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

勇者「…………させるもんか」

勇者「させないよ…………絶対だ」

猫?「なんで?な―――――ん―――――で―――――?な―――――――――――――――ん―――――――――――――――で?」

猫?「ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」

勇者「…………」

イシス勇者(っっ!!!!)ゾゾゾゾゾゾッ

イシス勇者(もう、無理だ…………!!!!声聴いてられない…………!!!!)

イシス勇者(なんで…………勇者君は平気なんだ…………!!!!)








ゾゾゾゾゾゾゾゾォォッ


イシス勇者(っ)

猫?「ひっ」







勇者「わかるか?」

勇者「僕も、お前を殺すからだ」

勇者「お前ら全員、殺すからだよ?」

勇者「なぁ?わかるか?」

勇者「殺す」

勇者「殺すんだ」

勇者「殺してやる」

勇者「お前も、お前以外も全部殺す」

勇者「全部、全部」

勇者「……殺す」

猫?「お、前、…………なに?」

猫?「な―――――――――――――――に―――――――――――――――??」

猫?「お前知らないよ?お前知らないよ?」

猫?「俺は、お前を」

ゾゾゾゾゾゾゾゾォォッ

猫?「ひっ」


勇者「僕は知ってるよ?」

勇者「お前の姿形、声、ぜーんぶ」

勇者「殺すから」

勇者「わかる?」

勇者「何があっても、殺すから」

勇者「わかるか?お前、わかるのか?」

勇者「殺すんだ」

勇者「お前を」

勇者「僕は」

勇者「殺す」

猫?「……………………」

勇者「…………」

勇者「消えろ」

猫?「っ」


シュンッ…………

猫「……………………?にゃぁ…………?」

勇者「…………」



イシス勇者「……………………!!!!」ドクン ドクン

…………
……

――――――――――――

-イシス城・二階-

ガヤガヤ


子供2「おねぇちゃん!!おねぇちゃん!!」

僧侶「ふふ、二人とも、お歌を教えてくれて、ありがとうね」ニコッ

子供「…………えへへ」テレテレ

イシス戦士「さながら親子だな……」

イシス女王「……前は私にべったりだったのに…………」シュン

イシス魔法使い「まぁまぁ」

女勇者「しかしお義兄ちゃんおそいね?」

遊び人「呼びに行ってきたこいつらも先に帰ってきちゃうし……」ジロッ

商人「う……」

戦士「ご、ごめんな」


スタスタ

魔法使い「あっ!!」


勇者「全くもう…………皆僕を置いていって…………」


戦士「勇者!」

盗賊「……ごめんね……」

僧侶「ご、ごめんなさい!」

勇者「ははは、いいよいいよ」

イシス女王「勇者様!!」

勇者「はい?」

スタスタ……

イシス女王「この度は…………私の弟が、申し訳ありませんでした」

イシス僧侶「…………本当に、ごめんなさい」

イシス魔法使い「私たちも知っていて止められなかった…………ごめんなさい」

イシス戦士「…………すまん」

ペコリ

勇者「!!!!ちょ、ちょっと!僕は大丈夫ですから!!頭を上げてください!!!!」

イシス戦士「そうか?」ヒョイッ

イシス僧侶「アンタはもうちょっと反省しろっ!!!」

ベシッ

イシス戦士「ぐふっ」

勇者「と、とりあえず本当に大丈夫なんで……」

武道家「結構困るでしょ、それ。私もさっきやられてどうしようかと思ったわ」

勇者「武道家…………ほ、本当に困るね。これは」

勇者「そ、そうだ!イシス勇者君は?イシス勇者君が見当たりませんけど」

イシス女王「あれ、そういえばそうですね」

女勇者「さっきまでいたんだけど…………」

スタスタ……

イシス勇者「…………」

イシス僧侶「あ、帰ってきた」

イシス魔法使い「ちょっと、どこ行ってきたんですか?」

イシス勇者「…………ちょっとね」

イシス僧侶「ちょっと何なんですか…………もう」

勇者「イシス勇者君!!」

イシス勇者「勇者君」

スタスタ……

勇者「君が僕を運んで来てくれたんだって?」

イシス勇者「うん…………もう大丈夫ですか?」

勇者「うん。平気だよ。君のお陰で」

ニコッ

勇者「ありがとう」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「ふふ、いえ。お礼を言うのは僕のほうです。僕も君のおかげで……」

勇者「…………イシス勇者君、それやめない?」

イシス勇者「えぇっ!!?僕、何か…………」

勇者「敬語」

イシス勇者「あ…………」

勇者「それが癖ならいいんだけど、君さっき喧嘩した時は敬語じゃなかったじゃない」

勇者「あんな風に喋ろうよ…………友達なんだから!」

イシス勇者「え…………」

勇者「?どうしたの?友達は嫌かな」

イシス勇者「…………あんな酷い事をしたのに……友達になってくれるんですか?」

勇者「…………ですか?」

イシス勇者「あ…………く、くれるのかい?」

ニコッ

勇者「もちろん!!!!」

イシス勇者「…………勇者君!!!!」

ワーワー!!



イシス僧侶「…………ゆ、勇者君ってあんなに熱い人だったんだね」

商人「あれは違うんです」

イシス僧侶「え?」

商人「…………勇くんは…………男友達、あんまり居なかったんですよ」

イシス僧侶「…………あ、あぁ…………」

…………
……

――――――――――――

-イシス城・入り口-翌日


勇者「女王様、この度は本当にありがとうございました」

一同「「「「ありがとうございました!」」」」

イシス女王「いえ、こちらこそ色々とご迷惑をかけて」

女勇者「いえいえ、本当にお世話になりました」

戦士「そうだよ!すごく楽しかったぜ!」

イシス女王「…………あ、あの…………また遊びに来ていただけますか?」

遊び人「もうこっちからお願いしたいくらいですよ!!」

魔法使い「またぜったいくるね!!!!」

盗賊「……その時は、お願いします……」

イシス女王「…………ふふ!!絶対、来てくださいね!!」

ザッ

イシス勇者「…………姉上」

イシス女王「…………イシス勇者も…………行ってしまうのですね」

イシス勇者「はい…………必ず、また帰ってきます」

イシス女王「…………」

ギュッ

イシス勇者「あ、姉上!皆の前ですよっ」

イシス女王「…………お願いです」

イシス勇者「…………」

イシス女王「…………どうか…………無事で…………」

イシス勇者「……………………はい」

ギュッ

イシス勇者「姉上も…………どうか、ご無事で」

魔法使い「きょうだいあいというやつだよぉ」ウルウル

僧侶「うぅ……いいお話です」ウルウル

イシス僧侶「ほんにのぉ」ウルウル

武道家「…………」

クイクイッ

イシス僧侶「へ?」

武道家「ねぇ…………」

イシス僧侶「どうしたの武道家ちゃん」

武道家「…………野暮だけど…………」

武道家「まさか、あの姉弟って…………恋愛関係なの?」

イシス僧侶「ほぇ?」

武道家「…………だ、だって、なんだかあの二人、家族というか、なんというか…………」

イシス僧侶「…………うーん……」

イシス僧侶「……鋭いような鋭くないような…………」ボソリ

武道家「え?」

イシス僧侶「あぁ、うん、なんでもないよ。あと恋愛感情なんて全然無いよ。あの二人」

武道家「そ、そうなの?」

イシス僧侶「そそ。君だって勇者君とは兄弟みたいなもんだからわかるでしょ?恋愛感情なんて……」

武道家「な、なんで勇者が出てくるのよっ!!!!////」

イシス僧侶「えっ」

武道家「…………ゆ、勇者は、その、違う!!のよ!!////」

イシス僧侶「……………………ほほーう?」ニヨニヨ

武道家「何よ!!!!」

勇者「二人とも!何してるの!?」

イシス勇者「置いていくよ!!」

武道家「あ、ご、ごめん!すぐ行くわ!////」

イシス僧侶「はほ~ん?」

武道家「その顔やめろ!!!!」

…………
……

――――――――――――

-アッサラーム-


ドサッ

勇者「ふう…………着いた」

女勇者「やっぱり砂漠は歩きなれないね……」

戦士「できればもう歩きたくないな……」

イシス勇者「あはは、やっぱりそういうものかな」

勇者「そうだよ…………イシス勇者君たちも今日はこの街に泊まるの?」

イシス勇者「うん。この街を今回の帰省の拠点に決めた時から、宿を今日までとってしまってるからね」

勇者「じゃあ今日は一緒なんだね!」

イシス勇者「そうだよ、一緒にいれるんだ!一緒に息抜きでもしようよ!!」



戦士「…………なぁ」

商人「…………なんですか」

戦士「…………今さらだけど、勇者って、ホ」

商人「…………違う、と、おも、い、ます、がね」

盗賊「……違うよ!前憲兵に襲われたとき、必死で、抵抗してたし……」

商人「…………まぁ、そう考えましょう」



勇者「ようし、そうなったら一緒に特訓しようよ!!!!」

イシス勇者「えっ」

勇者「君の剣術と魔法、少しでいいから教えて!!」

イシス勇者「いや、あの、息抜きってもっと、その」

勇者「早速街外れに行こう!!!!」

ガシッ

ダッ!!

イシス勇者「え?あ、勇者君!!」

<ウワァァァァァ

ズルズル


…………

戦士「…………」

盗賊「…………」

商人「安心しましょう。二人とも。彼は、ぼっちじゃなくなったのが嬉しいんですよ」

イシス僧侶「イシス勇者様がナチュラルに拉致られた…………」

…………
……


――――――――――――

-アッサラーム・宿・ロビー- 夜


スタスタ……

勇者「いたた……やっぱり強いなぁ」

イシス勇者「君は弱いなぁ」

勇者「ぐぬぬぬぬぬ」ギリギリギリギリ

イシス勇者「あはは、冗談だよ」

アハハハハ


魔法使い「…………ぬぐぅ、なんだか……ゆーしゃをとられたきぶんだよぉ」

僧侶「しょうがないですよ。勇者くん、男の子の友達三人くらいしかいなかったし……」

イシス僧侶「しかし、本当に仲良くなったねぇ」

イシス魔法使い「一昨日までが嘘みたいね……。このお茶凄く美味しい」

盗賊「……今日手に入った、茶葉だよ……」

遊び人「私達もたいがいだけどね……」

スタスタ……

勇者「あれ、皆ここにいたんだ」

商人「そうですよホモA」

勇者「えっ」

魔法使い「わー!!!!ゆ、ゆーしゃ、まだへやで荷解きしてないでしょ?やってきなよ!」

勇者「え?あ……うん。そだね」

スタスタ……

イシス僧侶「イシス勇者様もだいぶ汚れてますね?お風呂入ったらどうですか?」

イシス勇者「うん、そうしようかな」

イシス僧侶「お供しますね!」

スタスタ……

女勇者「イシス勇者君が入ったなら私達もしばらく入れないね」

武道家「私ちょっと部屋にいるわ」

盗賊「……おやすみ……」

武道家「寝ないわよ」

戦士「私達はどうする?街をぶらぶらしてみるか?」

イシス魔法使い「あら、トランプがあるけど、やらない?」

商人「おぉ、いいですね!受けて立ちますよ!」





店主(ここ数日見ない間になんか異常に仲良くなってる…………)


…………
……

-宿・勇者の部屋-

ドサッ

勇者「ふぅ……」

勇者「……疲れたな」

勇者「…………」



――――――――――――

猫?『魔王様に―――――……』

――――――――――――


勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………」

勇者「…………はぁ」

勇者(…………風呂にでも行くか)

スタスタ……

…………
……




……
…………


スタスタ……

勇者「あれ、そういえば混浴って言ってたよな」

勇者「今は誰か入ってるのかな……」

スタスタ……

戦士「あれ?勇者」

勇者「あ、戦士。どうしたの?」

戦士「んー、なんかトランプ大会始まったからさ。私は苦手だし退散だ」

勇者「ははは、戦士苦手だもんね」

戦士「勇者は何してたんだ?」

勇者「僕は……そうだ、今お風呂誰か入ってる?」

戦士「あぁ、イシス勇者が入ってるぞ」

勇者「お、それなら大丈夫かな」

戦士「なんだー。風呂か」

戦士(……ん?風呂?)

戦士(確か…………この前、ここの風呂で、勇者と……)

戦士「…………」

戦士「…………////」カァァァァァァ……

勇者「?どうしたの…………」

ポカッ!!

勇者「あいたぁっ!!!!」

戦士「ゆ、勇者のばかぁっ!!スケベ!!」

タッタッタッタ……

勇者「え?なに?なんなの?え?」

-宿・風呂の前・廊下-


イシス僧侶「…………ふぁぁ……」

イシス僧侶「ふぅ……」

イシス僧侶「…………」

イシス僧侶「っ」ブルッ

イシス僧侶(おトイレ…………)

イシス僧侶「…………」キョロキョロ

イシス僧侶「…………」

イシス僧侶(少しくらい離れても、大丈夫だよね)

スタスタ……


…………


スタスタ……

勇者「あぁ、ここだここだ」

ガラガラ……

ピシャンッ

…………

スタスタ……

イシス僧侶「よし、見張り再会だぜぇ」

――――――――――――


ピチョン……

ザプッ

イシス勇者「…………ふぅぅ…………」

イシス勇者「……あぁ…………気持ちいい…………」

イシス勇者「…………」

イシス勇者(今日一日、勇者君の動きを見てたけど…………)

イシス勇者(あれは、なんて言えばいいんだろう)

イシス勇者(なんらかの……妙な違和感を感じる)

イシス勇者(なんて言うのか…………)

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……“まるで最初から強くなる事を許されていない”様な…………」ボソ


ガラッ!!

イシス勇者「え」


ペタペタ


勇者「イシス勇者君?入ってるの?」


イシス勇者「え?勇者、くん、え?」

勇者「あぁ、そこにいたんだ」

イシス勇者「え、どうし、て?あの、イシス僧侶、は?」

勇者「え?イシス僧侶さん?彼女は女だから一緒じゃまずいよ?」

イシス勇者「…………い、いや!なんでも、なんでもないんだ!!」

勇者「おぉ、気持ちよさそうだね。湯船。前は僕入れなかったからなぁ」

勇者「何で入れなかったんだっけ?…………まぁいいや」

スタスタ……

勇者「よいしょっと、おお。石鹸もなんだか変な色だ……」

イシス勇者「…………そ、そうか、な」

勇者「ちょっと待っててね。体洗っちゃうから。そしたらのんびり話でもしようよ」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……うん、そう…………だね」


ザパァン

勇者「~♪」

イシス勇者「…………意外と、筋肉、あるんだね」

勇者「そうかな?」

イシス勇者「そうだよ」

勇者「でも弱いからね。イシス勇者君みたいに強ければいいんだけど」

イシス勇者「…………僕も、力は、そんなに、無いから」

勇者「ははは、またまた」

ザパァッ

勇者「ぷはっ……」

スクッ

勇者「よし、お待たせ……………………イシス勇者君?」

イシス勇者「ん」

勇者「どうして壁を見てるの?」

イシス勇者「…………いい壁じゃないか」

勇者「そうかな」

ザプッ……

勇者「ふぅ…………あぁ、気持ちいいね」

イシス勇者「そうだね」

勇者「…………まだ壁見てるの?」

イシス勇者「いい壁じゃないか」

勇者「…………どれどれ」

勇者「言われてみれば…………きめ細かい、のかな?」

イシス勇者「きめ細かいね」

勇者「そして……うん、なんというか繊細かつ重厚かな」

イシス勇者「繊細かつ重厚だね」

勇者「それでいて冷静かつ大胆だ」

イシス勇者「冷静かつ大胆だね」

勇者「…………」

イシス勇者「いい壁だね」

勇者(どうしたんだろう…………イシス勇者君)

勇者(…………あ!!!!)

勇者(そういえば、イシス勇者君は男の人苦手だったんじゃないか!!!!)

勇者「ご、ごめん!!僕、もうあがるね!!!!」

ザパッ

イシス勇者「え!!!?ま、待って!!!!」

勇者「え!!?」

イシス勇者「も、もうちょっと、その…………話したい、かな」

勇者「…………」

勇者(僕を気遣って…………いい人だなぁ)ジーン

勇者(ここは、楽しい会話をしてなんとしても男に良い印象を与えないと!)

ピチョン……

勇者「しかし、今日も疲れたね」

イシス勇者「……そうだね」

勇者「…………」

イシス勇者「…………」

勇者「疲れたときには…………あれだね」

イシス勇者「…………あれ?」

勇者「あれだよ…………ホラ」

イシス勇者「…………」

勇者「……………………寝ると気持ちいいよね」

イシス勇者「…………?……う、うん」

勇者「…………」

イシス勇者「…………」

勇者「…………」

勇者(死にたい)

勇者(なんて話術が下手なんだ僕は!!!!せっかくできた男の友達なのにこれじゃ嫌われちゃう!!僕はどうすれば!!!!)

イシス勇者「…………勇者君」

勇者「は、はふぃっ!!?」

イシス勇者「…………僕ね、見てしまったんだ」

勇者「え?」

イシス勇者「…………イシス城の、望庭の広場で…………君が魔物と対峙してる所」

勇者「…………!」

イシス勇者「…………僕はね」

イシス勇者「アイツの声を聞いた時…………怖くて、息もできなかった」

イシス勇者「…………でも君は、アイツと……あんなのと、睨み合ってた」

イシス勇者「…………僕はね、君が弱いとは、もう思えないんだ」

勇者「…………」

イシス勇者「君の弱さには…………何か理由があるんじゃないかって…………そう思うんだ」

勇者「…………」

勇者「はは…………ありがとう。でも僕は全然――――……」

イシス勇者「でも、それよりも」フイッ

勇者「え?」

勇者(あ、やっとこっち見てくれた)

イシス勇者「…………僕は、君が怖かった」

勇者「!!!!」

イシス勇者「…………君が、あの魔物を追い払う時」

イシス勇者「魔物へ向けた殺意………………尋常じゃなかった」

勇者「…………」

イシス勇者「武道家さんとは、比べ物にならないくらい、凄い殺意だった……」

勇者「…………はは」

勇者「ご、ごめん……………………気味、悪いよね、あんな、怒って」

チャプ……

イシス勇者「勇者君」

勇者「えっ?…………ふぇ!!?」

イシス勇者「…………」

勇者(ち、近い!!なんか凄く近い!!)

イシス勇者「…………君は、僕の知らない、とても辛い目に遭ってるんだろうね」

勇者「…………」

イシス勇者「普段優しい君が…………あんな風になってしまうくらい…………」

イシス勇者「悲しい目に…………遭ってるんだろう」

勇者「…………それを言ったら、君だって」

イシス勇者「うん…………僕も、両親を魔物に奪われた」

勇者(…………両親?イシス王って魔物に…………?イシス女王様も辛い目に遭いながら頑張ってるんだなぁ)

イシス勇者「…………だからさ、僕ら……似たもの同士だよね」

勇者「ははは、そうかもね」

イシス勇者「…………こんな僕だから…………君を理解できるって部分もあると思うんだ」

勇者「…………イシス勇者君?」

イシス勇者「ねぇ、勇者君…………可愛さ余って憎さなんとやらの逆ってわけじゃないけれど」

イシス勇者「…………思ったより、僕は君に惹かれてるみたいだよ…………」

勇者「…………」

勇者「…………え?」

勇者「…………」

勇者「…………あ、そう言ってくれるのは、嬉しいかな、うん」

勇者(あれ?なんか、なんかヤバイ。とにかくなんかヤバイ。何がヤバイってイシス勇者君の目がヤバイ。怖い。身の危険がヤバイ)

勇者「あ、そ、そろそろ、あがろうかな」

イシス勇者「勇者君」ズイッ

勇者「ふえぇ」

勇者(近ぇ――――――――――!!!!なんだか凄く近ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)

勇者「あの、イシス勇者、く」

イシス勇者「……あ、あのさ……////」






イシス勇者「僕じゃ…………駄目かな…………////」



勇者「」

勇者(駄目だ。多分もう駄目だ。何が駄目って色々と駄目だこりゃ)

勇者(力でイシス勇者君に勝てるわけないし、そもそも友達に暴力ふるえるわけないし)

勇者(それに元々女顔のイシス勇者君がなんだか凄く美人に見えてきたりしてもうなんていうか、駄目だこりゃ。だっふんだ)

ズイッ

イシス勇者「僕ならさ、君を……理解できるし」

イシス勇者「君と…………君と共に、戦っていけると思う」

イシス勇者「…………君、さっき言ったよね?……僕を“守ってやる”って……」

イシス勇者「そして、言葉通りに、守ってくれたよね?僕を。あんな酷いことしてた僕を……」

勇者「はい、そうですけど、ね?あの、ねそれは」

イシス勇者「…………嬉しかった…………////」

勇者「にゃーん?」

勇者(何を言ってももう駄目な気がしますさようならたすけて)

イシス勇者「…………僕、あんな事初めてだったんだ……」

イシス勇者「オルテガ様に守られて以来…………僕、強くなる事に精一杯で…………」

イシス勇者「誰かから…………守られるなんて考えたことも無かったし、あの三人にも迷惑がかからないように、守られないように、一人で頑張ってきた……」

イシス勇者「…………でも…………」

イシス勇者「でも…………あんな事言われて、そして、守られて…………嬉しくて…………」

イシス勇者「…………生まれて初めて実感できたんだ」

イシス勇者「…………女、なんだなぁって」

勇者「あのですからねそれはなんというかその、あれはえっと」

勇者「…………………………………………え?」

ザパァッ


勇者「」

イシス勇者「……だ、誰かに見せるなんて……初めてなんだ…………////」

勇者「…………?」

イシス勇者「……でも………………は、恥ずか、しいけど」

イシス勇者「き、君なら、いいよ…………////」

勇者「?」

勇者「??」

イシス勇者「ど、どうしたんだい……?」

勇者「へ?」

勇者「え?忘れ物は何ですか?」

イシス勇者「…………まだ、分からないのかい?」

イシス勇者「…………手、貸して」

勇者「え?え?」

スッ

ムニュ

勇者「…………」

イシス勇者「…………////」

勇者「……………………君」

イシス勇者「……………………女、だよ////」


勇者「うええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!?!!!!!?」

ザパァッ!!

イシス勇者「あっ、待ってくれ!!」

ダキッ

勇者「ふはんっ」

勇者「じゃない、は、離して!!!!だ、駄目だよこんなの!!!!////」

ギュウゥ

イシス勇者「…………も、もう逃がさないからね……///」

勇者「ふえぇ」

勇者「じゃ、ない!!駄目だって!!!!落ち着いて!!!!落ち着いて!!!!ね!!!?////」

イシス勇者「駄目だ!もう決めたんだ!!武道家さん達は諦めるけど、君は何が何でも手に入れる!!!!」ギュウゥゥゥ!!

勇者「だ、駄目だって!!!!ほんっっっと―――――に!!!!勘弁!!!!これ以上ここにいたらどうにかなるってばぁ!!!!!」

イシス勇者「…………」

勇者「わ、分かってくれた!?」

イシス勇者「…………ど、どうにかなるのは…………いいけど……優しく……してもらえるかい?////」

勇者「な――――――――――ん――――――――――で―――――!!!!!??この子なんにもわかってなぁい!!!!!!」

イシス勇者「ねぇ、いいじゃないか!婚約者なんだし!!」

勇者「そんな事実無いよぉ!!!!君の強制的な妄想だよ!!!!やめてぇぇぇ!!!!女の子がそんな簡単にはしたないことしたら駄目だってぇぇぇぇぇ!!!!!!」

イシス勇者「女の子って言ってくれるんだ……♪////勇者君、僕を君の物にして!!!!2人で将来強い勇者を生もうよ!!!!////」

勇者「何!!!!?なんなのこの超展開!!!!た、たすけてええええええええええええええええ!!!!!!」

イシス勇者「君は僕が手に入れるんだ!!!!!////」ハァハァ

勇者「目が血走ってる!!!!この子目が血走ってるよぉぉ!!!!!誰か!!!!!誰かぁぁぁぁぁ!!!!!」

イシス勇者「大人しくするんだ!!!!叫んでも誰も来ないさ!!!!////」

勇者「乙女のセリフじゃなぁあぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」

勇者「い、いやあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


ガラァッ!!!!

武道家「覇ッッッッッ!!!!!!!」

イシス勇者「うわぁっ!!!!」ヒョイッ

ドギャァァッ!!!!

勇者「フガジッ」滅ッ

――――――――――――

ボロ……

店主「ひぐっ…………いい壁だったのに……あんまりだぁっ…………!!!!」ポロポロ……


…………
……







-イシス勇者の部屋-

武道家「…………怪しいとは思ってたのよね…………」

武道家「愛人とか、イシス女王様との事とか……イシス王の子供なら、完璧な金髪碧眼白肌ってのもおかしいし……」

武道家「極めつけは、男のはずのイシス勇者の風呂に『お供します』って着いていくイシス僧侶」

イシス勇者「…………」←正座

イシス僧侶「…………」←正座

武道家「…………まさか女だったなんてね」

武道家「風呂場の前でイシス僧侶に色々話聞いてて、勇者の叫び声がするから何かと思えば」

武道家「…………よもや、勇者が乱暴されかけてたなんて、笑っちゃうわ」

イシス勇者「ご、ごめんなさい…………途中で自分でもわけがわからなくなって…………///」カァァァl

イシス勇者「…………でもあの…………」

武道家「何」

イシス勇者「勇者君にある意味乱暴したのは、武道家さんじゃ」

武道家「うるさい。アンタに当てるつもりだったのよ」

イシス勇者「はい…………」

イシス勇者(怖い……)


勇者「」←ベッドの上でぐったり

武道家(勇者本当にごめん)

武道家「愛人って設定作って女しか接する事ができないようにしてたり、今になってみれば成る程って感じね」

武道家「男性禁制のイシス城の三階に普通に居た時点で気付くべきだったのかしら」

イシス僧侶「どう?まんまとだまされたっしょ!!」

武道家「うるっさい」

イシス僧侶「は、はい」

イシス僧侶(怖ぇ……)

武道家「…………でも、わかんないのよね」

イシス勇者「な、何が…………ですか?」

武道家「なんでそうまでして性別を偽ってたの?」

イシス勇者「…………」

イシス僧侶「そ、それはその…………」

武道家「アンタは黙ってて。私はイシス勇者に聞いてるの」

イシス僧侶「はひ…………」

イシス勇者「…………」

武道家「…………」

イシス勇者「…………ごめんなさい。言えません」

武道家「!」

イシス勇者「…………今ここで全てを話してしまえば」

イシス勇者「今まで僕を匿ってくれた人達を……裏切ってしまう事になってしまいます……」

武道家「…………へぇ」

イシス僧侶「あ、あの!!武道家ちゃん!!むかつくんなら私がサンドバッグになるからだから……!!」

武道家「了解。私も誰にも言わないわ。勿論他の皆にも。それでオッケー?」

イシス僧侶「ひいぃお手柔らかに…………へ?」

イシス勇者「…………え…………」

武道家「何よ。別に誰にばらしたりするもんでもないでしょ」

武道家「悪い事企んでるわけでもなさそうだし。この話は終了ね」

イシス勇者「…………」ポカーン

武道家「…………何よ。不服?」

イシス勇者「い、いえっ!!!!」

イシス勇者「ただ、凄く怒ってらっしゃったので……それでいいのかなt」

武道家「私が怒ってたのはね?」ゴゴゴゴゴゴ

イシス勇者「ひぃっ!!!!?」ビクーン!!

イシス僧侶「ふおぉ!!!!?」ビクーン!!

武道家「アンタが、あれ程言ったのに私の時と同じように強制的に勇者を仲間に引き入れようとしてたところよ…………既成事実作って」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

武道家「…………色仕掛け…………で…………!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

イシス勇者「」ガタガタガタガタ

武道家「それに勇者がやめてって言ってるのに無理やりさぁ…………!?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

イシス僧侶「ぶ、武道家ちゃん!!!!ごめんなさい!!!!イシス勇者様にはちゃんと私が言い聞かせておきますうううう!!!!」ヒイィイィィ!!

武道家「アンタは黙ってなさい…………!!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

イシス僧侶「ふえぇ」

イシス僧侶(恋する乙女怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!)

武道家「私は別にそういう感情は持つなとは言わないけど勇者は旅の途中でましてや未成年なんだからそんな恋愛や婚前交渉なんて」

ガミガミガミガミ……





そして、夜があけた!

…………
……

――――――――――――

-アッサラーム・入り口- 早朝


戦士「んー!!昨日は早く寝て今日はすっきり起きられたから気持ちいい!!」

勇者「あはは、珍しいね」

戦士「なー!たまにはいいもんだ!」

僧侶「そういえば勇者くんもなんだか早起きでしたけど」

勇者「うん…………それが僕昨日いつ寝たのか覚えてないんだ」

イシス勇者「き、昨日は僕が風呂からあがるときに脱衣所で寝てたから、君の部屋に運んでおいたんだよ!」

勇者「えっ!!?ほんと!?ごめんね、イシス勇者君!!」

イシス勇者「いや、全然!!こっちこそごめんなさい!!」

勇者「えっ?」

武道家「……」ドスッッ

イシス勇者「おぐふぅなんでもないです!!」

勇者「そ、そう?ありがとうね。ところで目の下クマ凄いね」

イシス勇者「平気です!!おぐふぅいや平気だよ!!」

戦士「お前ら仲良くなったなぁ」

遊び人「ふふ、勇者ちゃんもこころなしか嬉しそうだね」

魔法使い「おとこともだちがふえたからねぇ」


武道家(男友達じゃなくて)

イシス僧侶(女友達だけどな!!!!)←クマ凄い

ザッ

勇者「それじゃ…………ここでお別れだね」

イシス勇者「…………うん。君たちは何処へ?」

勇者「僕達はポルトガに行くんだ。船が欲しくてさ」

イシス勇者「そうか。僕達はアリアハンの方に行ってみるよ。君たちが開いてくれた旅の扉でね」

戦士「アリアハン行くのか?なにもないぞ?」

女勇者「そうだね。君たちの得になるものは無いとおもうけど」

イシス勇者「あはは、いや、ちょっとね」

イシス勇者「…………探してる人がいるんだ」

遊び人「その人、見つかるといいね!」

勇者「君達ならきっと見つかるよ」

イシス勇者「うん!君達も、船が手に入るといいね!」

勇者「うん!」

ザッ

勇者「それじゃ…………またね!」

イシス勇者「…………」

勇者「…………イシス勇者君?」

イシス勇者「…………ううん」

イシス勇者「…………またね。勇者君…………絶対、また会おうね」ニコッ

勇者「あぁ!!絶対に!!」

イシス勇者「…………うんっ///」

商人(ホモい……!!)ゾォッ

イシス僧侶「皆!!楽しかったよ!!」

イシス魔法使い「次会うなら、平和な世界でゆっくり会いたいわね」

イシス戦士「世話になったな。世話もしたが」

イシス僧侶「一言多いっ!!」

ベシッ

イシス戦士「なふっ」

イシス勇者「ご迷惑をおかけしました!!また会いましょう!!皆さん!」

イシス勇者「そして、また会おうね!勇者君!!」

勇者「うん!!またねー!!」

…………
……

………………………………

スタスタ……

イシス僧侶「いい人達だったなぁ……」

イシス魔法使い「皆面白い子ばかりだったわね」

イシス戦士「……まぁ、な」

イシス勇者「…………また、会いたいな」

イシス勇者(…………でもまぁ…………全てが終われば……)

イシス勇者(婚約者だし………………嫌でも会えるんだ)

イシス勇者(…………ふふ。この前までは……あんなに嫌だったのになぁ)




ザッ


イシス勇者「それじゃ、皆」

イシス勇者「これからの目的地はアリアハンだ!!」

イシス勇者「アリアハンを拠点に、聞き込みをしたいと思う!!」

イシス勇者「三人とも、着いてきてくれ!!」

三人「「「はいっ!!!!」」」


イシス勇者「…………今度こそ、捉われている父さんを……」


ギュッ






イシス勇者「勇者サイモンを…………探し出すんだ」





…………

…………

勇者「…………見えなくなったね」

魔法使い「ふふ、たのしいひとたちだったね!!」

女勇者「そうだね。ピラミッドで収穫もあったし」

盗賊「……良い観光も、できたし……」

僧侶「目的地も決まってますし」

商人「面白いものも色々見れましたし」

遊び人「皆元気だし!」

戦士「よっしゃ!!次の街に!!」

一同「「「「しゅっぱつだ―――――!!」」」」

勇者「あぁ、なんかこれ、戦士にセリフとられた感がなんか凄いね」

スタスタ……

魔法使い「ポルトガってどんなとこかなぁ?」

商人「貿易の街です!!貿易貿易!!」キラキラ

女勇者「趣味丸出しだね…………」

戦士「美味いもんあるかな?」

盗賊「……貿易と言えば、海だね……」

遊び人「海辺の街かぁ。なんだか綺麗そうだね」

僧侶「きっと綺麗な所ですよ!」

ワイワイ

勇者「…………」

武道家「…………」

スタスタ……

武道家「勇ー者」

勇者「?武道家」

武道家「なーにニヤニヤしてんのよ」

勇者「え?ニヤニヤしてた!?」

武道家「してたしてた。皆を見ながら。あーやらしい」

勇者「いや、違うんだよ?なんていうか、変な事考えてたわけじゃ……」アタフタ

武道家「…………ふふっ」

勇者「?どうしたの?」

武道家「…………ううん!」


武道家(…………そうだよね)

武道家(勇者は…………勇者だもん)

武道家(昔から……………………変わらずに)

武道家(皆を、見てくれてる、優しい勇者だもんね)


勇者「?な、何?まだにやけてる?僕?それとも何かついてる?」アセアセ

武道家「…………ここ」

スッ

勇者「え?」

武道家「…………動かないでね」

勇者「ぶ、武道家?」

武道家「…………」

スッ……

勇者「か、顔が、近…………!!!!」

武道家「…………」

勇者「…………っ!!!」ギュゥゥ




ぎゅむっ

勇者「ふぇ?」

武道家「ふふふ…………間抜け顔~♪」

勇者「ひょ……ひょっと武道家…………はな、ふままなひでよ」

武道家「あははは!!」

パッ

勇者「いてて。全く…………武道家は」

武道家「ふふふ!騙されるアンタもアンタですー」

勇者「…………」

勇者「…………ははっ」ニコッ

武道家「…………なーに笑ってんのよ」

勇者「それを言ったら武道家もだろ?」

武道家「…………おあいこ?」

勇者「…………おあいこ」

武道家「…………ふふ」

スタスタ……

武道家「…………」

勇者「…………」

武道家(…………あ)

―――――――――勇者は


勇者「…………」

武道家(……気付けば、背も凄く伸びてる)


―――――――――私の知らないうちに強くなっていく

勇者「…………ん?武道家?」

武道家「…………」


―――――――――勇者の顔が


勇者「どうかした?」

武道家「…………」


―――――――――私の知らない顔になっていく


武道家「…………ゆーうしゃっ」

勇者「……どうしたの?」


―――――――――私は、そんな


武道家(…………結局)

武道家(変わったのは…………)


―――――――――そんな変わらない勇者が




ニコッ!!





武道家「なんでもないっ」











―――――大好きなのだ!

第四章 -完-

今日はおしまいです

申し訳ありませんとしか言いようがありません。
もし、まだお付き合い頂ける方がいらっしゃれば、よろしくお願いします。
本当にすみません。

女でした。すみません
あとこのスレでは番外を少しやって次スレに行きたいと思います

おつ 文量すげえ
武道家編は前の二人に比べて長かったな
それだけより愛されているのか

-番外-


【踵鳴る】


http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2663040.png


「おい、そこのお前。お前はこの国を憂うか」


憂国の情に身を抉られていた男に、背の高い屈強な男は言った。

「無論、憂う」

問われた男は、その華奢な体をテーブルに屈ませ、諦めたようにそう言った。

そしてそれ以上話を続けるつもりは無い、と言う様に酒を呷る。

「見たところ、荒れている様だが」

そのような態度にも気をくれずに屈強な男は質問を続ける。

華奢な男は顔を上げ、もう一度屈強な男を一瞥した。

巨漢。強健。精悍。威風堂々。

この男を評するのならばそんな言葉が似合う。そんな事を思った。

「そういうあんたは、まるで傭兵みたいだ。なかなかにいい働きをしそうだ。どれ、名前を聞かせてくれないか」

「俺か。俺は何でも、誰でもない。お前が傭兵と見るのなら、そう呼べば良い」

奇妙な男だった。

華奢な男は少なからずこの男を不審に思った。

寂れた酒場で昼間から酒をやる学生風の男に、傭兵などが興味深しと話しかけてくる訳など無い。

「俺に何の用だ傭兵」

華奢な男は傭兵らしき男に投げるように問いかける。

「そう呼ぶか。では俺は学生と呼ぼう」

傭兵は、どかりと学生と呼んだ男の向かいの席に腰を降ろした。

「それで、俺に何か話でもあるのか」

学生は無作法な傭兵の行動に顔をしかめ、そう問いかけた。

傭兵はしばらく何かを考えるような素振りを見せ、テーブルを人差し指で何度もノックした。

そして、不意に顔を上げ、学生に向かってこう言い放った。

「お前、この国を俺と一緒に獲らないか」

沈黙が二人を包む。傭兵は彼の答えを待ち、学生は傭兵の言葉に絶句していた。

「国獲り?俺と、あんたがか?」

「無論」

学生の問いに短くそう答え、傭兵は続ける。

「実の事を言えば、お前の事は知っている」

「何」

「まぁ、聞け。学生、お前は士官学校での成績は中々に優秀だったそうじゃないか」

傭兵の言葉に多少苛立ちを覚えた学生は、相槌を打つこともなく虚空を睨め付ける。

そんな学生に傭兵は笑顔を作り、小さく息を吐いた。そして開口、

「だが、お前は除籍された。王のやり方を批判したからだ」

言い放つと。学生は乱暴にその場に立ち上がっていた。

「だから、何だ。笑いにでも来たのか。そんな落ちこぼれに、国が獲れるとでも思うかい?お前!」

傭兵はその問いに長い間答えないでいた。

酒場の中は昼間だという事もあり、客は彼等以外に見当たらない。

そんな彼等二人を、店員が少し怯えた様子で見守っているだけだった。

暫くして、傭兵は答えた。

「お前は正しい」

「何」

傭兵の言葉を意外に思った学生は、自分の現状にすぐ気付き、気恥ずかしそうに席に着く。

「お前は正しい事を言った。他の学生達は、多くが貴族の倅だから、能無しだ。現状を壊すまいとして、口を出せずにいる」

傭兵は徐に学生の酒を手にし、ぐい、と全て自身の喉に流した。学生は微動だにせず、次の言葉を待った。

「そりゃ、現状は王族や貴族からしたら、安泰にも思えるものだ。だが、奴等は少し勘違いをしている」

「そうだ。このままの圧政、現法政を敷き続ければ、この国は近く崩壊する」

学生は傭兵の言葉を遮って自分の言葉で続けた。傭兵はそんな学生に頷き、笑いかける。

「やはりお前は先見の明がある。そうだ。現在の中枢の奴等は、近隣の村を見捨て、隣国との友交を蔑ろにし、あまつさえ併呑さえしようとしている」

「そして逆らえば重刑。しかし、それは王一人の意思では無い。そうだろう」

「そこまで理解しているのか。話は早い」

傭兵は満足そうに両頬を口端で持ち上げ、そしてすぐに険阻な表情を浮かべた。

「王の口添役に就いている怪僧。あれが、癌だ」

傭兵の言葉を、学生は生唾を飲みながら聞いていた。

今現在、王の傍には口添役として、ある僧が就任している。

王が悪政に走るようになったのは、その怪僧が就任してからの事である。

王は怪僧の邪教の教えに取り込まれており、正確な判断を下せない状況にあった。

それらが、学生が考えるこの国の悪の根源であり、それらは事実でもあった。

「そう、つまり実権はあの怪僧の手にある、という事だ」

学生は高揚していた。

この話を理解してくれる同士などいなかったし、いたとしても皆、諦めた眼差しでその暴政に身を委ねるばかりであった。

しかし、今は違った。目の前に、その悪腫を取り除こうとせん同士が居た。

「しかし、少しいいか」

「なんだ」

「お前は、傭兵なのか。なぜお前は、この国が欲しい」

胸の高鳴りを抑え、まずは目先の疑問を少しづつ潰していく。

傭兵は少し困った様な顔を浮かべていたが、すぐにその問いに答えた。

「俺は、何者でもない。この国は、別段欲しくない」

「では、何故俺にこの話を持ちかけた」

すかさず、問う。

「王が、あの怪僧が気に喰わない。救いたい人がいる」

「私怨か。勝算はあるか、人手は」

問う。

「勝算は、お前が手を貸すのなら生まれる。人手は、お前と共に集める」

傭兵は真っ直ぐに学生の目を見つめ、言った。

学生は少し呆れもしたものの、多少の安堵と期待を覚えた。

(騙している風では無さそうである。そもそも、この一学生崩れを騙しこんだところで、金もメリットもたかが知れている)

足を組み直し、こめかみの辺りを撫で、少しだけ酒に呑まれた頭を正常に戻そうとする。

そして、傭兵に言い放つ。

「お前の、考えを全て聞かせて貰おう」

その日、この憂国の歴史が音を立て軋み始めた。






草木も眠る未明に、乙女が月を見ていた。

(きっと、私に、幸せは訪れないのだ)

ある城の離れた城郭の中に、彼女は居た。

彼女は隣国の姫であり、この国の第一王子の婚約者であった。

婚姻の日が来るまでにこの国の文化に慣れるようにと、食客としてこの城に招かれている。

しかし、その風貌は、姫というには余りに質素であり、そして事実彼女は幸せではなかった。

彼女自身、自分の境遇は痛いほどに理解していた。

事実上の、人質。

食客などといった名目を取り払えば、見えてくるのは狸達の黒い腹の探り合いである。

彼女の一番不幸な点は、そのような自分の存在価値に難なく気付いてしまう程には、賢い事にあった。

そして、近ごろ隣国の不況で、需要と供給が成り立たなくなる物資の流通トラブルが起こっていた事も全て把握していた。

もしこのまま隣国が不況を立て直せず、この国に利益をもたらさなくなったとすれば、彼女がどう処分されるか目に見えている。

「誰か、私を助けてください」

彼女のか細い声は、夜の風に乗って、虚空に捩れて消えた。

見下ろす街も、体を預けた窓枠の石煉瓦も、全てが彼女にとって敵に思えた。

婚約者の第一王子の事は、嫌いではなかった。

王も王族の者達も、彼女を丁重に扱ってくれた上に、愛してくれた。

彼女もまた、悪しきと憎むべきは彼らではなく、怪僧であると確信している一人である。

だが、第一王子を、愛することはできなかった。

第一王子は、丁重に扱ってくれはするものの、彼女を守ってはくれない。

我が身が、一番重守すべきものとしている、そのような男に心を寄せる程、彼女は弱くはなかった。


(私が、愛するのは――――……)

下方で音が鳴った。誰かの足音が遠く下の庭木の茂みを掻き分けている。

その足音の正体が姿を現した時、彼女の胸は早鐘を打った。

足音の主は遥か下方で彼女を見上げていた。見知らぬ顔では無かった。

(今日もいらっしゃった、末の王子様)

この国の第十六王位継承者が、そこに居た。

屈強な巨体に、凛とした顔。

数年前、城内を散歩していた際に、稽古と称した暴力を受けていた彼を救ったことがある。

彼は王位継承者とはいうものの、妾の子であり、末の子であるので、実質はあまり権力の無い貴族と変わらない。

そんな彼であるから、他の王位継承者や城内の貴族達にそういった暴力や迫害を受ける事は少なくなかった。

その憂き目にあっている所を、丁度通りすがった彼女が貴族を諫め、彼を救った。

(それだけの事なのに――――……)

それ以来、彼は度々夜中にこうして彼女に会いに来た。

最初は彼女も夜這いかと身構えたりもしたが、その末王子はその茂みの中からこちらを見ているだけであった。

そして毎回、

(あ。今日も)

彼は、足元に花の束を置いて帰っていく。

彼女は、そんな彼にいつしか惹かれていった。

彼女は、今では以前のように城内の散歩も禁じられ、この末王子に直に会えないままでいた。

それだけに、この深夜の、この邂逅が。この時間がとても愛しかった。

今日もまた、いつもと同じように茂みの中へ消え行く彼の背中を、見えなくなるまで見守ろうとしていた。

だが、今日は違った。

(あ)

隣国の姫は、小さく息を呑んだ。

末王子は、そのまま消える事無く、踵を翻し隣国の姫に向き直って剣を抜き、空に翳した。

その切先が月の光を集めて、力強い輝きを纏っている。

彼は何かに祈るように、目を瞑った。

そして彼は彼女に誓うように、顔を上げた。

その目は、とても力強く、とても愛しく。

彼女は、涙を流した。全てが、報われるような気がした。

彼が剣を鞘に収め、その場を立ち去っても、彼女は一人、暫く泣いていた。

その翌日、隣国との友交が決裂したという報せが、この憂国を纏った。





死刑執行の場、というには、この場所は余りにも相応しくなかった。

城内のエントランス、この大きな空間で、今死刑が執行されようとしていた。

「皆さん、静粛に」

平手を打ち合わせ、小柄な禿頭の男が辺りに意を注ぐ。

この憂国の悪腫、怪僧であった。

「只今より、悪しき隣国への見せしめとして、逆賊の王家の一人である姫を処刑します」

大きな声で、エントランスを囲んだ貴族や、王位継承者達に事を淡々と伝える。

「おい、連れて来い」

その怪僧の声に、屈強な悪教徒――――この怪僧は、手下の教徒を幾人か従えていた――――が、乱暴に姫をエントランスに引き連れる。

手を縄で縛られ、裸足で歩くその美しい少女は、その唇を固く結び、強い眼差しで怪僧を睨めつけていた。

エントランスの中心に設置された高台の上に隣国の姫を立たせ、怪僧は口を開いた。

「この国がより栄えるには、この逆賊の首を刎ねねばなりません」

如何にも本意ではない、とでも言いたそうな面持ちで、わざとらしいまでに悲しい顔を彼女に向ける。

「少し、待ってはくれぬか」

王は、怪僧に問いかけた。怪僧は理由を言えと言わんばかりに王の次の言葉を待つ。

「何も、殺す事は」

「王、王よ。貴方様は優しすぎる。優しすぎるのです」

怪僧は王の言葉を遮って答えた。

「このまま隣国と現在の関係を保ち続ければ、王や貴族の方々は、暮らしを維持できなくなります」

隣国の姫の肩に、怪僧の手が置かれる。その手を隣国の姫は汚らわしく思った。怪僧は続ける。

「そして、いずれは隣国にこの国が滅ぼされてしまう。それは皆様にとっても本意では無い筈です」

その言葉に、エントランスを囲んだ高貴な観客が沸いた。そこには、正義など無く、ただ醜い欲があった。

「それは、そうなのだが」

王はその怪僧の言葉に気圧され、もう言葉を続ける事は無かった。

「それでは、只今より死刑を執行させていただきます」

隣国の姫は、騒ぐ観客を見渡していた。求める姿は、どこにも見当たらなかった。

怪僧はそんな姫の様子に気付いたのか、彼女に問いかけた。

「何か、最後に言い残すことはありますか?」

姫は、暫く何も答えなかった。

これ以上は無駄か、と執行人を呼ばれんとした時、彼女はその固く閉ざしていた唇を開いた。

「花」

「花?」

怪僧は思わず尋ね返した。

「花を。私が城外に意を焦がす身だと知って、城には咲かない花を、届けてくれた、貴方様」

今にも泣き出しそうな、それでいて凛とした調子で姫は続ける。

「この場に居ずとも、私は。貴方に、貴方にお会いしたいのです」

怪僧は、そんな姫を懐疑の目で睨めつけている。

「どうか、どうか、届かなくとも、請わせて下さい」

彼女は泣いていた。その様子に周りの王位継承者や貴族達も静まりかえっていた。

怪僧はその周りの様子に気付き、彼女の話を遮り、終わらせようとしたが、彼女は強く、弱く言い放った。

「どうか、助けてください」




「はい。必ずや」



答えがあった。

誰もが振り返った。誰もがその声の主を、その男を見た。

巨漢。強健。精悍。威風堂々。

そんな言葉が似合う男が、エントランスの入り口に立っていた。

第十六王位継承者が、そこに居た。

怪僧は、少し間を置き、慌てた様子で捲し立てる。

「末の王子が何の用でしょうか」

「革命に、参りました」

そんな末王子の気迫に、誰もが脅えた。誰もが気圧された。

「王族の貴方が革命?面白い冗談を仰る方だ」

内心の隙を見せるものかと居丈夫を装い続ける怪僧に、末王子は言い放つ。

「冗談ではありません。私は、貴方に決闘をこの場で申し込みます」

決闘。その言葉の意味を、ここにいる誰もが理解していた。

辺りは騒然とした。この実質は王に近い実権を持つ怪僧に、全く権力を持たない末王子が決闘を申し込むなど、誰もが予想だにしていなかった。

「決闘?決闘は元服した男性しか申し込む事ができぬと、この国の款する法にありましたが」

「私は昨日で十六になり、元服致しました」

怪僧は、しまった。そうであった、と口内を乾かせた。

決闘とは、この国の法で定められた、有権者同士の争いの方法である。

決闘を申し込まれた人間は、如何なる状況にあろうとも、その場でそれに応じなくてはならない。

そして、敗者は、勝者に従わねばならない。

例え、敗者が屍に成り果てていたとしても。

そんな決闘を申し込まれるケースを恐れて、自分の敵に成り得そうな王族には、長い年月をかけて取り入って来た。

だが、この第十六王位継承者は完全にノーマークだった。

「よろしい。いいでしょう」

少し考えた末に怪僧は言葉を落す。

「ですが、私は身を病で摩り減らしております。代わりに、この私の教徒がお相手致しましょう」

そんな嘘を言って、姫の傍らにいる大男、死刑執行人を招いた。

死刑執行人は巨漢な末王子よりも一回り大きく、屈強そうな体をしていた。

怪僧には勝算があった。

この死刑執行人は以前訪れた監獄から引き連れた者で、彼は娑婆に居た頃はその身一つで、ある国の兵を三十人殺害していた。

監獄に容れる際も、大人十人掛りでなければ、縛った彼を制する事は出来なかったという。

「良いでしょう。こちらの方が、やり甲斐がありそうだ」

その言葉と同時に、末王子は剣を抜き、

「来い」

言い放つ。それが、決闘の合図になった。

死刑執行人が、手に持つ斧を末王子の頭に振りかざした。

だがそれは末王子の髑髏を二つにする事無く、空を切る。

元に居た場所から半身をずらし、それをやり過ごした末王子は、死刑執行人の首を狙う。

その一撃も巨大な斧に遮られる。

火花が散る。両者も散り、距離を取る。

それを追う様に死刑執行人が足を踏み出した。そして再度斧を振りかざす。

末王子は思考を巡らせる。

斧という武器は厄介なもので、それには流派や決まった業が無い。

故に、その振り上げた凶器が、自分の体を縦に抉るか、横に薙ぐか、直ぐに判断しかねるのだ。

判断が多少でも遅れれば、それは命取りになる。

だが末王子の内心は冷静だった。

モーションが大きい。それが斧使いの欠点。

直ぐに意を決し、死刑執行人の懐に潜り込む。

「あ」

息を呑んだのか、それとも息は口から吐くことも無く、漏れ出でたのか。

死刑執行人はそれさえも分からなかった。理解し得る筈など無かった。

刹那だった。死刑執行人は既に死んでいた。

懐に潜り込んだ末王子は、一瞬で、その剣を死刑執行人の喉に突き立て、横に薙いでいた。

崩れ落ちる斧を持った巨体に、人々は目を凝らしている。

それは、彼等からすれば一瞬の出来事であったのだ。

末王子が、勝利していた。

「何」

怪僧は焦り、恐れた。

予想だにしていない事が起きた。

誰もが、予想だにしていない事が起きていたのだ。

「さて」

その混沌の中心の人物は、剣を振るう。

切先を鈍く光らせていた赤い命の水が、絨毯に跡を刻む。

「これより、お前は。俺の言う事を聞いて貰おうか」

末王子は、怪僧に言い放つ。

喉の奥で妙な音が鳴る。右脳が軋み、左脳が乾く。

怪僧は、自分でも気付かずに、後方の部屋に向かって声を荒げていた。

「この逆賊を斬り払え!」

その言葉に、屈強な教徒が数十人ほど部屋から走り出でて、末王子を取り囲んだ。

「貴殿、王家に就属する身で王家の誇りを持たぬか!!」

決闘のシステムを無視し、無様な真似を見せる怪僧に末王子は怒りをぶつけ散らした。

「知らぬ!それに、周りを見るが良い!」

末王子は、自分を取り囲んだ教徒達を越して、エントランスの壁に円になり張り付いている貴族達を見た。

「ここに王家の意思があると思うのか」

怪僧の言葉を、末王子は聞いていなかった。

貴族達は皆、剣を抜き、王家の人間の近くにいる者は、その王家の人間の首筋に切先を当てていた。

「これは、何を」

王はその様子の異変に気付き、慌てて席を立つ。しかし直ぐに動きを止めた。

その首筋にも同様に、剣の切先が当てられていた。その剣を辿れば、怪僧がそこに居た。

「予定が少し早まりましたが、今日ここで王家は滅んで頂きます」

「貴様っ」

「動かないで下さい。貴方はここでは殺さず、隣国に無駄に攻め入った凶皇として、後に民衆の前で処刑するつもりなのですから」

王は戦慄した。そして怪僧の真意の全貌にそこで初めて気付き、己の愚かさを激しく悔やんだ。

怪僧は、王家を乗取るために、貴族達をも取り込んで、機が熟すのを待っていたのだ。

大義名分を得て革命を起こすつもりでいたのだろうが、まだ王権が健在のこの時に、末王子に力を奪われるのを恐れ、強攻策に乗り出したのである。

「そういう事です。末王子、貴方も――――……」

そう言って、振り返った怪僧は、自分の目を疑った。





踵鳴り、




一振りで、一人目の教徒の首横から横腹を裂き血の花を咲かせ、

踵鳴り、

二人目の教徒の剣を軽やかに避け、剣を握り直し

踵鳴り、

二振りで、二人目の目を潰し、その二人目の邪教徒を三人目、四人目に投げ、体制を崩させた

踵鳴り、

三振り、四振りで、横たわった三人目と四人目の眼球越しに脳を抉り、身を屈め

踵鳴り、

圧倒的な速さで、教徒の前に出で、剣を横に薙ぐ

踵鳴り、

降る剣を、斧を、槍を、まるで蝶の様に舞い、その身に触れさせず

踵鳴り、

蜂の様に、或いは雨粒の様に、邪教徒の指を、目を、足を、そして心の臓を。無駄なく穿ち、全ての悪意を殺戮していく。



踵鳴り。


その音に目を奪われ、その双眼に飛び入るのは。

全ての邪教徒の屍の上に立つ、一人の戦士であった。

「迎えに参りました。姫様」

彼らの屍を越え、隣国の姫の前に跪く末王子を、彼女は呆然と見つめていた。

そんな彼女の様子に気付き、彼は微笑を漏らし。

「今度は、わたくしが。貴女を救う番です」

いつもと変わらぬ、いつも夜中の邂逅の際に見る、力強い笑顔で彼は言った。

彼女は、気付けば彼の腕の中に飛び込んでいた。

彼女は、泣いていた。今は切れた緊張の糸を、その雫で湿らせた。

そして、そんな彼女を、末王子は抱きしめた。

今まで届かない距離で思いを抱きしめた分だけ、彼女を強く抱きしめていた。

「貴様!理解しているのか!」

怪僧が、我を取り戻し、焦りながら問う。

そんな声に、胸の中の少女を愛し気に見つめていた末王子は向き直る。

「今、貴様は!言わば背水の陣なのだ!」

その言葉に、貴族達は緩んでしまっていた手を握り締め、剣に意を込める。

黙ってしまった末王子に、怪僧はニタリと笑みを向け、

そして、怯えた。

末王子は、この状況に臆してなどいなかった。

笑っていた。怪僧の目を見据えて、力強い笑顔で。

「貴様」

怪僧が言葉を投げかけようとした瞬間、エントランスの入り口が開いた。

同時に、幾つかの足音がエントランス内を転がる。

皆がその扉を開いた男を見た。そして、後ろの数人の男達を見、絶句した。

「どうやら、間に合ったみたいですね」

学生の様な男が、数人の男を引き連れていた。

皆その学生の様な男に見覚えはなかったが、後ろの男達にはあった。

(なぜ、ここに隣国の王が……!!)

怪僧は混乱していた。

隣国の王だけではない。近隣の村の長や近国の重役達といった面々が揃っていた。

「お父様!」

姫が、末王子の腕から離れ、隣国の王の元に駆け寄っていく。

それを微笑みながら見守った後、エントランス内の人間に向かって、

「背水の陣、とはお前らの事さ」

末王子は、扉の外の城前広場を顎で指した。

それを見て、エントランス内の誰もがまたもや絶句する。

国民が、隣国の兵が、近隣の村の農民が、大勢の人間がそこにいた。

手には剣や槍、鍬に鎌、果ては石礫を両手に抱えている者もいた。

そこに居る誰もが、闘志をその身の内で焦がしている。

それは、このエントランス内の愚かな人間達の退路が、もうどこにもない事を示していた。

「おう。間に合ったか。学生」

その声に、学生は彼の前に進み跪いた。

「王子。今までの失礼をお許し下さい」

「あぁ、やめてくれ。王子って事を隠していて悪かったが、話は今までのようにしてくれ」

「なりません」

学生はそう言うと、顔を上げ、末王子に話す。

「隣国の王や重役の方々には、私がデータを元に論じ、ご足労を頂きました」

「ご苦労。国民の皆は?」

「貴方様の名を出せば、誰もが一つ返事で立ち上がってくれました」

そうか。と満足気に喉を軽く鳴らし、広場にいる人間達に頭を下げた後、末王子は怪僧に語る。

「政治が下手な奴というのは、我が身や、高貴なる者が国であると勘違いし」

その言葉は怪僧には届かない。

怪僧の頭中が、全ての思考を放棄していた。

「何もかも、気に喰わない物を徹底的に壊そうとする」

姫は、その言葉に先程までの自分を重ね、怯え、父の体を強く抱きしめた。

末王子は続ける。

「だが、真の王は。政治にとって一番大事なのは、民だと、人であると理解している」

怪僧は、力なく膝を折り、頭を垂れた。

末王子は言った。

「王に君臨するのならば、必要なのは、腕の強さや権力の強さではなく」

「“何かと何かを繋ぐ事”なのだ」

広場の人間達は、遠くから見れば、一つの蠢く、醜い生き物に見えた。

しかし、間近でみれば、その誰もが呼吸をし、考え、そこに一人一人、存在していた。

高い場所から見下していた怪僧は、それを知り得なかった。

末王子は、近い場所で彼らを見ていた。故に知り得た。

憂国は、彼の手によって、怪僧と共に散った。







数ヵ月後。

歓声が広場を埋め尽くし、誰もが城の中央のバルコニーを見つめている。

そこには数ヶ月前の憂国の姿形など、どこにも見当たらなかった。

「王、そろそろご挨拶を」

学生の様なあどけさを顔に携えた、しかし今は大臣の様な出で立ちの男が、呼びかける。

その声に、美しい姫が、微笑を漏らす。

「貴方様、そろそろ、お時間ですわ」

「む、ううむ」

巨漢。強健。精悍。威風堂々。

そんな言葉が似合う男が、バルコニーに向かって歩みを進める。

男の様子を見た二人は少し笑い、その男の後を、見守りながら追う。

三人の姿が見えた瞬間、歓声が一際大きくなった。

誰もがその中心を見据え、そして笑顔で迎え入れた。

大臣の様な男が、声高らかに叫ぶ。

「これより!新たなる王の就任式を開始する!」

歓声が、渦を巻いた。誰もが幸せだった。

その男を、心から祝福していた。

「では、新たなる王に、挨拶をして頂きます。静粛に!」

大臣の様な男は、新たなる王に前を譲った。

王は、その場に立ち、ゆっくりと話しはじめた。

「私は、この国を欲しいとは思わない」

誰もが静まり返っていた。誰もが次の言葉を待っていた。

「私は、諸君らと、何ら変わりの無い、只の人間である」

「王族とは、国民であり、国民とは、王族である」

「私は、常にそう思っている」

「人とは、一人では何もできない、無力な生き物だ」

「私は、一人では何もできない。諸君らが、必要だ」

「どうか、力を貸して欲しい」

「私も、この国で生きさせてほしい」

観衆は皆、この男を心の底から肯定した。誰もが、この男で良かったと、震えた。

地面が震える程の祝福の声達が、このかつての憂国を包み、優しい色に変えていった。

大臣のような男は、後方でその様子を見つめ、内心で呟く。

(そうだ。俺は、この方のような王を求めていたのだ)

そして、暫くして。

王はこう言い放った。





「でもやっぱり俺こういう王とかって向いてない気がする!!ちょっとタンマ!!」





絶句である。そりゃこんな事言われれば当然だと思う。

「ちょ、王!?」

「あ、大臣!!みなさーん!!今日からやっぱりこの人が王になります!!」

「おいっ!!ふざけんな!!アンタあれ程自信満々に国獲るって言ってたじゃんか!!」

「あ!!タメ語かよ!!みなさーん聴きました!!?今タメ語でしたよね!?しかるべき罰が必要ですよねっ!!」

「っっオ――――――――――――――イ!!!!ちょっと黙れや!!!!だから俺はあれ程傍でサポートするって言いましたよね!!!!」

「過去の事言うなよ!!!!女に嫌われるゾッ」プンプンッ

「っっぜえぇぇぇぇ!!!!!うっぜぇぇぇぇえぇえぇ!!!!王妃!!貴女からも何とか……!!」

「あはははははははっ!!!!」

「王妃!!?王妃何大爆笑してるんですかちょっと止めて!!!!このアホな王止めて!!!!」

「あ!!今アホって言った!!!!うわぁ――――!!!!カンバスィクナイ――――!!!!この子カンバスィクナイ!!!(芳しくない)」

「やめろおおおおおお!!!!!民衆の面前だぞ!!!!ほら見ろ……ておい民衆も何皆微笑ましく見守ってんだ!!!!止めてくれ!!一緒に!!!!」

「あ、さっきのボクチンのセリフぱくったネ!!!!王になりたいんだろ?YOU、成っちゃいなよ!!!!」

「くそがあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

…………
……


パタン

大臣「それが昔のロマリア誕生のエピソードです」

勇者「あははははは絶対嘘だあはははは」

大臣「本当です」

勇者「嘘だッ!!!!」


【踵鳴る】-完-


-番外-


【無責任一代男】


ここは、娯楽大国ロマリア。

勇者くんは、今この国の王様の代わりを勤めてる真っ最中です。



勇者「そんな過去があったなんて……あの王様が、そんな英雄だったなんて……」

大臣「いやぁ…………色々ありました」

勇者「未だにあんまし信じられません」

大臣「まぁ今のあのオッサンの現状からは…………そうでしょうな」

勇者「でも、よくそんな調子でやってこれましたね」

大臣「…………」

勇者「大臣?」

大臣「…………実は」

勇者「え?」

大臣「実は…………一度だけ私も王の代わりを勤めた事があるのです」

勇者「えぇ!!!?」

大臣「あれは…………しばらく前の事でした……」

…………
……




-十年ほど前・ロマリア-


ロマリア王「だーいじんっ」

大臣「え?」

ロマリア王「ヘイパース」

ぶんっ

大臣「えっ」

パシッ

大臣「…………」

大臣は金の冠を手に入れた!!

大臣「ちょっ」

ダダダダダダダダダダダ

ロマリア王「へっ!!!!ワシはせっかくだから少し休暇を頂くぜ!!!!アバヨ!!!」

大臣「おいいいいいいいいいいいい!!!!!!せっかくだからってなんだコラアァァァアァ!!!!」




―――――そんなこんなで、私が王の代わりを勤める事になりました

勇者「どんなだ」



―――――それは、地獄の始まりでした


-謁見の間-

大臣(まぁ、王も度重なる公務で忙しい身だからな……)

大臣(ここは私が踏ん張って王の身を休めてやらねば!)

大臣「次の者!入れ!」

スタスタ……

町人「あのぅ……相談があるのですが」

大臣「はい、なんでしょう」

…………
……





……
…………

大臣「ふぅ…………一段落着いたな」

スタスタ

大臣「あれ、まだいたのか」

大臣「次の者!入れ!」

ザッ



ロマリア王「ちゅぎのむぉぬぉーはいるぇー」



大臣「…………ロマリア王、何やってんですか」

ロマリア王「りょまりぁうぉぅ、ぬゎにやっとぅうぇんどぅぇすくゎ」

大臣「…………王」

ロマリア王「うぉぉぉぉぅん」

大臣「…………」

ロマリア王「ぷぅぇぇん。ちんちん痛いよぉ」

大臣「こいつっ」ダッ

ロマリア王「き、きゃあああああああ!!!!王が!!!!王がご乱心だわ!!!!誰か!!!いやあぁぁぁ!!!!」タッタッタッ

大臣「逃げんなぁぁぁぁああぁぁ!!!!!」

兵「大臣様!!!!抑えて下さい!!!!アレは野生の豚とでも思って下さい!!!!」

大臣「ぐぐぐぐぐぐぐぐぅ!!!!!」ギリギリ!!





―――――といった具合に、定期的に王が嫌がらせに来るのでした

勇者「地獄や」


―――――他にも……


-ロマリア・街中-

ザッ

大臣(見回りも大事な仕事だ)

町娘「あ!大臣さん……じゃなかった王様!こんにちわ!」

大臣「はいこんにちわ」

町娘「ねぇ、聞いて下さいよ。街の東の城壁なんですけど――――……」

大臣「うむうむ。なるほど」

大臣(国民の声を間近で聞くのも、大事な仕事だ。有意義だな)

?「ぁあ――――――――――――――!!!!!」

大臣「えっ?」ビクッ








女装したロマリア王「誰よその女ァ―――――!!!!」







大臣「…………う」

大臣「……うわ…」

大臣「ウワアアァァァアアァァァァァァアアアァァァァアアァァァァァアアアァァアァァァァアァァァ!!!!!」


ダッ

ガシッ

大臣「ひぃっ!!!」

ロマリア王「ねぇ!!どういう事なの!!!!私というものがありながらナイアガラ!!!!」

大臣「やめっ……離してください王!!」

ロマリア王「王!?王って誰……!!?まさかあのキャバクラの女なのね!!!?この白状しなさいよ!!このオタンコナス!!」

グイグイッ

大臣「やめっ……やめろ!!!!!」

バシィッ!!

ロマリア王「きゃっ…………ぶった。ぶったわ!今ぶった!!」

ロマリア王「いやあああああぁぁあ!!!!ドメスティック・ヴゥゥゥウァァァイオレンス!!!!!!!」

大臣「静かにしてください!!!!」

ロマリア王「いやよ!!!!激しいのはベッドの中だけにしてボブ!!!!ボォォォォブ!!!!!」

大臣「誰だボブって!!!!」

大臣「ま、町娘さん!!このアホ一緒に止めてくだs―――――……」

町娘「っ…く…!」プルプル

大臣「何で君笑ってんの!!!!」

ロマリア王「デヴィッドの馬鹿!!このポンコツ亭主!!!!ロボットポンコッツ!!!!いやあああぁぁぁあぁあぁ!!!!」

タッタッタッ……

大臣「お前本当にもう帰って来い!!!!」

大臣「…………」

大臣「あとボブどこ行った!!!!!」

…………
……









―――――なんだか思い出したらまた怒りが沸々と

勇者「煉獄や」



―――――極めつけは

-大臣の寝室-

大臣「はぁあぁぁ…………今日も疲れた…………」

大臣「…………」

大臣(やってみて気付くけど、やはり仕事が多い)

大臣(そりゃ、大臣の仕事だって多いが…………王の仕事は、責任が余りに重い)

大臣(…………息抜きをしたがる気持ちも、少し分かるな…………)

大臣「…………」

大臣「………………もう少し、労って接してみようか」

大臣「…………」

モゾッ

大臣「…………ふぁぁ」

大臣(もう、寝よう。明日に備えるのだ)


…………………………


大臣「ぐー……ぐー……」

ガチャッ

ロマリア王「…………」

大臣「ぐー……ぐー……」

ロマリア王「…………」

ソローリソローリ

モゾッ

大臣「むぅぅ…………ぐー……」

ロマリア王「…………」

ペラッ

ロマリア王「…………………………“お馬さんと、白ヤギさん”」


ロマリア王「“昔むかーし、あるところに、お馬さんと白ヤギさんがいました”」

ロマリア王「“お馬さんはある日、白ヤギをたずねてきました”」

ロマリア王「…………」ペラッ

ロマリア王「“「まぁ、今日は何の用ですか。」白ヤギさんはお馬さんに聴きました”」

ロマリア王「“「やぁ白ヤギさん。僕と一緒にあそびませんか。」お馬さんはいいました”」

ロマリア王「“「出てってよォ!!!!」”」

ロマリア王「…………」ペラッ

ロマリア王「“白ヤギさんは、ひっしにていこうしたのですが、お馬さんの馬力には勝てません”」

ロマリア王「“あっさり家のなかへ、連れ込まれてしまいました”」

ロマリア王「…………」ペラッ

ロマリア王「“「私達…………終わったはずじゃない!!」白ヤギさんは、おおきなこえで言いました”」

ロマリア王「“「それは、白ヤギさんが勝手にそう思ってるだけでは?」お馬さんは白ヤギさんに詰め寄ります”」

ロマリア王「…………」ペラッ

ロマリア王「“「とにかく、出てって!!人を呼ぶわよ!」白ヤギさんは、ドアへと逃げようとします”」

ロマリア王「“しかし、お馬さんの速さには勝てない”」

ロマリア王「…………」ペラッ

ロマリア王「“「どこへ行こうというのかね」。お馬さんは、白ヤギを無理やり組み伏せます”」

ロマリア王「“「いやぁっ!!」白ヤギの抵抗は、無駄に終わり、お馬さんは白ヤギさんを求め始めました”」

ロマリア王「“「君のここは……僕を拒否していないようだが?」お馬さんの蹄が、白ヤギさんの花弁をなぞる”」

ロマリア王「“その蹄の動きから生まれる快感に、白ヤギさんは体を震わせた”」

ロマリア王「“そう。あの時、あの夜のように――――”」

ロマリア王「“「あぁっ……駄目……私達、種族が違うのよ……。」白ヤギさんは、お馬さんの蹄に合わせて、体を捩じらせ、目を深く閉じる”」

ロマリア王「“その甘美な美しい声を聴きながらも、お馬さんは行為を続ける。「種族が違うのなら、僕らの愛で、それを乗り越えれば良い」”」

ロマリア王「“「あぁ……お馬……さん……いやぁっ」お馬さんは、その蹄に伝わる水気を感じ取っていた。「…………抱いて…………!!」もう白ヤギさんには抵抗する術も理由も存在しなかった。”」

ロマリア王「“「…………一緒に……遺伝子を、組み替えよう」そして、お馬さんは、いきり立った自身のその馬の様な馬並みのお馬さんを―――――……”」






大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」ガッバァァァァ!!!!


ロマリア王「あ、起きた」

大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

ロマリア王「どうじゃ、ワシの作った絵本は。アハハハハハ」

大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

ブンッ!!

ロマリア王「うわぁっ!!!!やべっ!!コイツマジギレしてる!!!!」

大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

ブンブン!!!!

ロマリア王「いやぁ、絵本って本当にいいものですね☆それではさようなら!!」タッタッタッタ……

大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

大臣「ワアアアアア!!!!」

大臣「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


…………
……








―――――そして私は三日三晩気が狂いました

勇者「大臣さん…………」ポロポロ


大臣「…………色んな事がありましたよ」

大臣「……まぁ何が言いたいかと言いますと」

ギュッ

大臣「…………貴方の場合、一人じゃ無いのです」

大臣「共に…………頑張りましょう…………!!!!」ポロポロ……

勇者「僕…………僕強く生きたいと思います…………!!」ポロポロ……


兵「なんだあれ…………」

…………
……



-ロマリア王・寝室-

ガチャッ

ロマリア王「ただいマイハニー!!!!」

妃「あら……お帰りなさいませ」ブスー

ロマリア王「アレ、浮かない顔だな」

妃「えぇ。全く…………なんで勇者殿が本当の夫じゃなかったのか……」

ロマリア王「うわ―――――!!!!だいぶハートブレイクを招く発言だわ!!!!」ヒィィ!!

妃「だって勇者殿なら私を放ってどこかに行ってしまう事など絶対にありませんからね」フン

ロマリア王「…………妃」

妃「…………なんです」

ナデッ

ロマリア王「…………悪かった」

妃「…………もう…………ふふ」

ボフッ

ロマリア王「よいしょー!っあー…………久々のフカフカのベッドじゃ……」

妃「もう、今までどこで寝てらしたんですか」

ロマリア王「普通の宿屋。そこで小間働きをしながらギャンブル用の銭を稼いでたからなぁ」

妃「全く、そこまでしてギャンブルがお好きですか」

ロマリア王「ギャンブルだーいすき。結婚したい。爪切りくらい好き」

妃「…………本当は?」

ロマリア王「え?」

妃「本当は、どうだったのですか?」

妃「今回も、国民の声に接するために行ってきたのでしょう?」

ロマリア王「…………う」

妃「ふふ…………貴方の事などお見通しです」


ロマリア王「まぁ…………今回も何も無かった。いたって平和であったよ」

妃「…………ふふ」

ロマリア王「…………なんだ」

妃「…………いいえ」

ニコッ

妃「貴方の治める国ですもの…………当然ですわ」





【無責任一代男】








ロマリア王「まぁ大臣にやってるのはただの嫌がらせなんだけどね」

妃「やめてあげなさい!!!!」


-完-

-番外-


【恋は魔法】


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-レーベ・宿・食堂-


イシス戦士「おい」

イシス僧侶「ふぇ?」

イシス魔法使い「どうしたの?」

イシス戦士「あれ」

イシス魔法使い「あれ?」

イシス僧侶「どれどれ……?」

チラッ


イシス勇者「…………はぁ……」


イシス戦士「イシス勇者様の様子がおかしい」

イシス僧侶「あぁ…………」

イシス魔法使い「あらら…………ふふ」

イシス戦士「……どうにかしろ」

イシス僧侶「どうにかしろって…………アンタね」

イシス戦士「…………どうにかしろぉ……!」ウルウル

イシス僧侶「わーわー!!ちょっと泣くなよう!!」

イシス魔法使い「べ、別にいいじゃない!ちょっと思う物があるのよきっと!」


イシス戦士「思うところ?」キョトン

イシス魔法使い「そそ」

イシス戦士「なんだ?何を思っているんだ」

イシス僧侶「ふっふー!それはね!」

イシス戦士「?なんだなんだ?」

イシス魔法使い「あっ!ちょっとイシス僧侶!」

イシス僧侶「恋!!さ!!」バシィッ!!

シーン……

イシス僧侶「…………あ、あれ?」

イシス戦士「…………」

イシス僧侶「イシス戦士?」

イシス戦士「…………だ」

イシス僧侶「え?」

イシス戦士「………れだ」

ガタァッ!!!!

イシス戦士「相手は誰だ!!!!」

イシス戦士「その不届き者は一体誰だぁ!!!!叩っ斬ってやるっ!!!!」ジャキィン!!!!

イシス僧侶「わあぁぁぁ!!!!」

イシス魔法使い「もう!!イシス僧侶のばかっ!!」

イシス僧侶「わ、私のせいですかい!!?」

ワーワー!!


「こら!」

三人「「「!!」」」


イシス勇者「他のお客さんがいなくとも、騒いじゃダメだ!品がないよっ!!」

イシス僧侶「こ、この元凶めがぁっ……」

イシス勇者「えっ?」

イシス魔法使い「な、なんでもないのよ!気にしないで!」

イシス戦士「…………イシス勇者様」

イシス勇者「ん?どうしたんだい?」

イシス戦士「誰に恋しているのですか」

イシス僧侶・イシス魔法使い「「この馬鹿あぁぁぁぁぁ!!!!」」

イシス勇者「え?」

イシス勇者「……………………ふぇええっ!!!?////」カァァァ

イシス戦士「誰ですか!!誰なんですか!!」

イシス勇者「ちょ、い、イシス僧侶!!?まさかイシス戦士に喋っちゃったのかい!!?///」

イシス僧侶「う、ううん!!!!勇者君とお風呂入ったことは言ってないから!!!!」

イシス戦士「ほう」

イシス僧侶「あっ」

イシス勇者「イ、イシス僧侶の馬鹿ぁ―――――!!!!!////」

ガタァン!!

イシス戦士「殺すっ!!!!勇者を殺す!!!!」

イシス僧侶「待って!!違う!!違うのおおおお!!!!」

イシス勇者「ゆ、勇者くんに何かしたら許さないからねっ!!!!///」

イシス僧侶「そこおおおおおおお!!!!?」

ギャーギャー



イシス魔法使い「…………はぁ……」

イシス魔法使い「……」


カラン

イシス戦士「ぷは…………すみません、取り乱しました」

イシス勇者「と…………とにかく!僕のこの件についてはもう口出ししないでくれ!」

イシス戦士「…………はい」

ガタ……

イシス戦士「…………部屋に、戻ります……」

スタスタ……

バタン

イシス僧侶「…………ふぅ……一時はどうなる事かと思ったよぅ」

イシス魔法使い「本当ね…………」

イシス勇者「全く…………なんであんな事言うんだよ。イシス戦士は」

イシス魔法使い「…………」

イシス僧侶「…………イシス勇者様」

イシス勇者「ん?」

イシス僧侶「……」キョロキョロ

イシス僧侶「…………勇者くんの事……本当に好きなの?」

イシス勇者「っ!!!!だ、だからこの事にはもう――――!!!!////」

イシス僧侶「…………真面目な話」

イシス勇者「!」

イシス僧侶「…………本気なの?」


イシス勇者「…………」

イシス僧侶「……いきなり、こんな事聴いて、悪いけど」

イシス僧侶「……こんな事、初めてだから……」

イシス勇者「…………え?」

イシス僧侶「……イシス勇者様は、今まで男の人を避けてきたから……今まで恋なんてした事なかったでしょ」

イシス僧侶「こんな言い方…………あれだけどさ……」

イシス僧侶「もし、恋じゃない感情を……イシス勇者様が恋って思ってるかもしれない……って」

イシス勇者「…………!」

イシス僧侶「……私は、それが怖いの」

イシス僧侶「それで、思い切った行動に走っちゃったら、と思うと……怖くなるの」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「……心配してくれてありがとう」

イシス僧侶「う、ううん」

イシス勇者「…………僕もさ」

イシス勇者「……実のところ、少しだけ怖いんだ」


イシス勇者「こんな気持ち、初めてだから」

イシス勇者「…………この気持ちが、何なのかも、僕はまだはっきりと何も言えない」

イシス勇者「…………でも」

イシス勇者「今、確かに、僕は勇者くんに会いたいんだ」

イシス勇者「次にいつ会えるか分からないと思うと、胸がきゅってなるんだ」

イシス勇者「……なんだか、凄く怖い」

イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「…………」

イシス勇者「……でも、この気持ちは嫌じゃないんだ」

イシス勇者「なんだか、失ってはならないもの……そんな気が…………するんだ」

イシス勇者「…………」

イシス勇者「…………それだけ。それだけさ」

イシス勇者「……それじゃ、駄目かな…………///」

イシス僧侶「~~~~っ」

イシス魔法使い「ふふ」ニコニコ

イシス勇者「え?」

イシス僧侶「っイシス勇者様、ウブい~~~~~っ!!!!」

ダキッ

イシス勇者「わわぁっ!!」


イシス勇者「ちょ、ちょっとイシス僧侶やめてよ!!」

イシス僧侶「愛いやつめ~愛いやつめ~」

ナデクリナデクリ

イシス勇者「こ……こらぁ」

イシス魔法使い「…………イシス勇者様」

イシス勇者「あ、え……?なんだい?」

ギュッ

イシス勇者「わわわ!?イシス魔法使いまで!」

イシス魔法使い「…………それでいいのよ」

イシス勇者「え?」

イシス魔法使い「貴女は、それでいいの」

イシス勇者「…………イシス魔法使い?」

イシス魔法使い「…………実を言うとね」

イシス勇者「?」

イシス魔法使い「私、貴女が恋をしたって聴いたとき……凄く嬉しかったの」

イシス勇者「え?嬉し……かったのかい?」

イシス魔法使い「ええ……すっごく、ね」

イシス勇者「な、なんでだい……?」

イシス魔法使い「……………………貴女は、今まで自分をずっと捨てて生きてきたわ」


イシス魔法使い「生まれた場所を捨てて、女を捨てて…………貴女は、魔物を討伐するために、すごく頑張ってきた」

イシス勇者「…………」

イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「……そんな貴女が、今……自分の事で、恋の事で悩んでる」

イシス魔法使い「……女の子、として、ね」

イシス魔法使い「私ね」

ニコッ

イシス魔法使い「それが……もう、どうしようもないくらい、嬉しい」

イシス勇者「…………っ」

ギュッ

イシス僧侶「…………そうだね」

イシス僧侶「さっきは、あんないじわる言ってごめんね」

イシス僧侶「…………その気持ち、大切にしてあげて。イシス勇者様」

イシス勇者「っ…………!!」

ギュゥゥ

イシス僧侶「おろ?」

イシス魔法使い「あらら」

イシス勇者「っ」ギュゥゥ

イシス勇者「…………皆……」

ギュッ!!

イシス勇者「…………ありがとうっ……」


イシス魔法使い「…………ね、イシス勇者様」

イシス勇者「……?」

イシス魔法使い「…………魔王を倒したら、いっぱい女の子の服、買いましょうね」

イシス勇者「!」

イシス僧侶「うんうん!勇者くんをばびゅんって悩殺できるやつねっ!!」

イシス魔法使い「あら、イシス勇者様にはもっと可愛い服がいいと思うけど」

イシス僧侶「いんや!セクシーなのが良い!譲れないねっ」

イシス魔法使い「そして、服を買ったら、皆で何か食べて」

イシス僧侶「うん!他に欲しくも無い小物を見たりしてっ!」

イシス魔法使い「平和な街の中を……いっぱいお洒落して」

イシス僧侶「四人で、いっぱいおしゃべりして!」

イシス勇者「…………っ」

イシス勇者「うん……!僕、早く皆で、女の子したいっ!」

イシス僧侶「よぉーし!!よく言った!!」

イシス勇者「うん!!よし!!みんな!!」

ギュッ

イシス勇者「僕ら、頑張って魔王を倒そう!」

イシス勇者「そして、女の子が皆、女の子できる平和な世界を取り戻そう!!」

イシス僧侶「あははっ!何それ!!」

イシス魔法使い「ふふ、素敵ねっ」

イシス勇者「ふふ!」

イシス勇者(…………きっとその時は)

イシス勇者(……きっと、勇者くんも―――――……)

…………
……


-レーベ・池のほとり-


トボトボ

イシス戦士「…………はぁ……」

イシス戦士「…………」


――――――――――――


イシス勇者(小)『イシス戦士ぃー!』

――――

イシス勇者(小)『イシス戦士……』ウルウル

――――

イシス勇者(小)『……ムニャ…………イシス戦士……』zzz


――――――――――――



イシス戦士「…………ぐす」

イシス戦士(あんなに可愛かったイシス勇者様が…………恋)

イシス戦士(…………恋と言えばあれだろう)

イシス戦士(お嫁さんになってしまうのだろう……)

イシス戦士「はぁぁぁ…………」

イシス戦士「…………」

イシス戦士「…………何故、恋などという下らないものがあるのだ……」


ザッ

「おや」


イシス戦士「え?」





お婆さん「聞き捨てなら無い言葉が聞こえたねぇ」

…………
……



-レーベ・宿- 翌朝



イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「…………」

イシス僧侶「…………ねぇ」

イシス魔法使い「…………何」

イシス僧侶「あれ…………どういう事」

イシス魔法使い「……どういう事なのかしら」






イシス戦士「いいですか!!イシス勇者様!!恋は!!恋というのは、マジカルなものでしてね!!!!」

イシス勇者「うん!!うん!!///」ドキドキ

ワーワー!!

イシス僧侶「…………昨日の夜に何があったんだろ」

イシス魔法使い「まぁ…………当人が幸せそうだから……」



イシス戦士「いいですか!イシス勇者様!!」

イシス戦士「恋は魔法!!なのですっ!!」


イシス僧侶(何言ってんだこいつ……)


【恋は魔法】-完-

今日はおしまいです。
皆さん暖かいレス本当にありがとうございます。体は大丈夫です。
>>847
書いた自分がいうのもなんですが全員好きです。
しいて言うならおっぱいが好きです。

もう一つくらい番外落として次スレいきたいと思います。

乙乙。ロマリア王がかっこいい…だと…
そしてイシス勇者…ふぅ

踵鳴るってイースタンユース?フガジといい>>1とはうまい酒が飲めそうだ

画像消えるのはやいんだぜぇ

-番外-

【U-REI】

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2690302.png

ここはイシス城。
皆さんはピラミッドを攻略し、晩餐の真っ最中。ご満悦の様子です。




戦士「うめー!!」ペカー

魔法使い「ほんとにおいしいねっ!」

イシス僧侶「そりゃ光栄ですね!」

側近「今日は本当に申し訳ありませんでした……せめてものお詫びです。お口に合えば幸いですが」

遊び人「うん!すっごく美味しい!!ねぇ、レシピ訊いても良いかな?」

側近「それは良かったです!はい!レシピなんかでよければ!」

イシス女王「ふふふ、従者も喜びます」

勇者「僕もご馳走していただいて、ありがとうございます。本当に」

イシス勇者「いいえいいえ!!昨日は僕がムキになって誘わずに……申し訳ありませんでした」

勇者「はは、でも今日誘ってくれたのでもおつりがくるくらいだからね」

勇者「……ありがとう」

イシス勇者「っ!!はいっ!」パァァァ


商人「…………」

盗賊「…………」モグモグ

商人「…………ホモい……」ブルッ

盗賊「……ぶっ……」



僧侶「ほら、お口、汚れちゃってますよ?」

フキフキ

子供2「あ…………えへへ」

子供「も、もう!じぶんでできるよぉ」

僧侶「ほーら、動かないで…………うん!綺麗になりましたっ」ニコッ

子供・子供2((おねえちゃん……))ポー

門番・門番2((マジエンジェル!!))パァァァ

カチャ

武道家「…………」

女勇者「……?武道家ちゃん?」

武道家「…………」

女勇者「武道家ちゃん」

武道家「へ!?あ、何?どうかした?」

女勇者「ううん、武道家ちゃん、大丈夫かい?ボーっとしてたみたいだけど」

イシス魔法使い「まだ体の調子悪い?」

側近「だ、大丈夫ですか!?」

武道家「あ、ううん!もう全然それは大丈夫!!」

武道家「本当になんでもないのよ!ちょっと考え事してただけ!!」

女勇者「そうかい?ならいいんだけど……」

イシス魔法使い「調子が悪かったら言ってね?」

側近「そうです!なんなりとお申し付け下さい!」

武道家「あはは、うん!ありがとう」

女勇者「気にしないで……あれ、これは何て料理なんだい?」

イシス魔法使い「あぁ、それはね……」

ワイワイ

武道家「…………」

武道家「……はぁ」


…………
……

スタスタ……

僧侶「後はもう眠るだけですね」

魔法使い「そういえばゆーしゃはやどにかえったのかな?」

僧侶「イシス女王様と少し世界情勢の話とかするって言ってましたよ」



戦士「しかし、飯美味かったなー」

商人「本当に戦士ちゃんは食いしん坊ですね」

戦士「お前は小食だよなぁ」

商人「ふふん!誰かさんみたいに脳筋ではないですからね!」

戦士「そんなんだからちびっこいんだお前」アハハ

商人「え……」

遊び人「あぁ、それはあるかもね」

商人「た、食べれば大きくなれますか」

盗賊「……可能性は、無きにしも、非ず……」

商人「たべます!」パァァァ

イシス僧侶「あはは!商人たんは可愛らしっすな!!」

イシス僧侶「ねぇ!武道家ちゃん……」

武道家「…………」

イシス僧侶「…………武道家ちゃん?」

武道家「ん?え?何?」

イシス僧侶「……調子悪いの?」

武道家「ううん!そんな事無いわよ!」

イシス魔法使い「でもさっきから様子がおかしいわよ?」

イシス戦士「何か不満があるなら言え」

イシス僧侶「アンタはそう喧嘩ごしにならないの!!」

武道家「いや、本当になんでもなくて…………」

武道家「……ちょっとピラミッドの中での事思い出しちゃって」

イシス僧侶「?ピラミッドの中の事?」

武道家「うん。……私、ミイラ達の数に圧されて、すぐに負けちゃってさ」

武道家「あの調子じゃ…………これからの旅、危ういんじゃないかなって思ってね……」

イシス僧侶(私達からすればもう異常なくらい強いんですがねアナタ)

イシス戦士「…………強くなりたい、という事か」

武道家「…………まぁ、有り体に言うと、そうね」

武道家「明日からまた鍛錬、頑張んなきゃね。ここのところ、本腰入れてなかったから」

イシス魔法使い「偉いわねー」

イシス僧侶「…………」

イシス僧侶「!」ピコーン


ザッ


イシス僧侶「そうだよ!」

武道家「え?」

女勇者「ど、どうしたんだい?いきなり立ち止まって大声出して」

魔法使い「なにがそうなの?」

イシス僧侶「星降る腕輪があるよ!」

イシス魔法使い「ああ!」

イシス戦士「!」

武道家「え?星降る腕輪?」

戦士「なんだそれ?」

イシス僧侶「この城の地下に祀られている伝説の武具だよ!」

武道家「あぁ、イシス勇者にそんな事聞いた様な聞いてない様な……」

イシス僧侶「伝説の武王が装備していたという凄い腕輪でねっ!」

イシス魔法使い「……それを着けた者は目にも止まらぬ速さで動き」

イシス戦士「流星の様に敵を討つだろう」

イシス僧侶「そう言わしめている武具なんですぜ!」

武道家「そ、それは分かったけど……それがどうかしたの?」

イシス僧侶「今から貰いに行きましょう!!」

武道家「え?」

一同「「「え?」」」

…………
……

イシス女王「……――――というのが、私の知っている全てです」

勇者「そうですか…………やっぱり、世界規模でもあまり良い報せは無いんですね」

イシス勇者「そうだね……中々、ね」

勇者「……でもさ」

イシス勇者「?」

勇者「それだったら…………僕達が明るい報せを作れば良い、だけだね」ニコ

イシス勇者「っ……!!うん!!その通りだよ!!」

勇者「ね!頑張ろう!」

イシス勇者「うん!」

イシス女王「…………うふふ」

側近「ふふふ」

勇者「え?」

イシス勇者「どうしたのですか?」

側近「いえ……仲良くなられた様でよかったです」

イシス女王「そうですね、嬉しい事です。この子は……あの三人以外にはあまり友達がいなかったので……」

イシス勇者「そ、側近さん!姉上っ!」

勇者「だったら、僕が最初の男友達?」

イシス勇者「え?あ……うん、そうなるかな」

ニコッ

勇者「えへへっ!よろしく!」キラキラ←補正

イシス勇者「っ!!」ズギュゥゥゥゥン!!

イシス勇者(え、笑顔……反則……!)ドキドキ

勇者「でもこれから段々敵も強敵になるだろうね。良い報せを作るのも大変だ」アハハ

イシス勇者「そ、そうだね。頑張って精進しよう!!」

勇者「だね。でも……」

イシス勇者「ん?」

イシス女王「どうかされたのですか?」

勇者「いえ、ちょっと……」ゴソ

ジャキッ

勇者「…………そろそろ僕の場合、武器の方も新調が必要だなと思いまして」

イシス女王「あら、その剣……」

イシス勇者「そういえば銅製の剣を使っているんだね」

勇者「うん、旅立つ前にコレを買ってね。ずっと使ってるけど、これが一番使いやすいんだ」

勇者「…………でも、もうだいぶガタが来てる」

イシス女王「あらまぁ……でも、武器でしたら……ねぇ?側近」

側近「はい。もしよろしければ私達が新調させていただきますが」

イシス勇者「そうだよ。なんなら僕が揃えるけど……」

勇者「いやいや!そういうつもりじゃないんだ!」アタフタ

勇者「第一お金なら一杯あるしね。別に新調するのが困難ってワケじゃないんだよ」

イシス勇者「?だったら、どうして……」

勇者「あはは……いや、中々自分に合った武器が見つからないんだ」

勇者「重いものだったら、動きが鈍ってしまうし、軽いものだったら、攻撃まで軽くなっちゃう」

イシス勇者「あぁ……成る程。良い武器に巡り合えないんだね」

勇者「うん、そゆこと。まぁ、旅を続ける上で気長に探してみるよ」

イシス勇者「力になれなくてごめんね」

勇者「いやいや!イシス勇者くんが悪いんじゃないよ!僕がもっと色んな武器を使えれば良かった話だし!」

勇者「こちらこそ、助けようとしてくれて」

ニコッ

勇者「ありがとね」キラキラ←補正

イシス勇者「っっ!!」ズギュゥゥゥゥン!!!!

イシス勇者(な、なんだこの気持ち……!!)ドキドキ

イシス勇者「そ、それじゃそろそろ…………ん?」

イシス女王「…………」

側近「……」

勇者「?イシス女王様?側近さん?どうかされました?」

イシス女王「…………装備」

勇者「?」

イシス勇者「姉上?」

バンッ

勇者・イシス勇者「「!!?」」

イシス女王「そうです!!」

勇者「ど、どうされたんですか!?」

イシス勇者「い、一体何を思いついたんです?」

側近「そうですよ!この時のためにあったんです!」

勇者「そ、側近さんまで!?」

イシス女王「勇者様!」

勇者「?」

イシス女王「是非、星降る腕輪を役立てて下さいな!」

イシス勇者「!」

勇者「?星降る……腕輪、ですか?それは一体」

イシス勇者「そうだ!!星降る腕輪があったんだ!!」

勇者「??イシス勇者くん、星降る腕輪って?」

イシス勇者「あ、うん。星降る腕輪っていうのはね、この城の地下に祀られている武具なんだ」

勇者「武具?」

イシス勇者「そう。ホラ、黄金の爪の持ち主であられた伝説の武王。あの方の持っておられた物だよ」

勇者「えっ」

イシス勇者「不思議な力を持った腕輪でね。それを身に着けた王は、目にも止まらぬ速さで敵を討っていたらしい」

イシス勇者「星降る腕輪は武道の技を学ぶ人でしか扱えないんだ」

イシス勇者「僕達の中には武道を学んだ人間は居ないから、いつか武道を学ぶ仲間を連れた勇者の人間に渡そうと思ってたんだけど――――……」

イシス女王「まさに今がその時ですねっ!」

イシス勇者「はい!名案です!」

側近「王家のご先祖様方も喜ばれる事でしょう!」

勇者「ね、ねぇ……」

イシス勇者「そうと決まれば……え?どうかした?」

勇者「そ、それを頂けるなら、本当に光栄で感謝し尽しても足りないくらいなんだけどさ……」

イシス女王「いえいえ、そんな」

勇者「……それって、今日のピラミッドみたいな事が起こるんじゃ…………」

イシス勇者「…………」

側近「…………」

イシス女王「…………」

勇者「…………」

四人「「「…………」」」





イシス勇者「よし!じゃあ早速行こう勇者くん!!」

ガシッ

勇者「えっ!!」

イシス女王「行ってらっしゃいませー」フリフリ

側近「もう外は暗いので足元にお気をつけてー」フリフリ

勇者「えっちょ、ちょっと待った!!!!」

<ウワアアァァァ……

…………
……

-イシス城・庭-


ザッザッザッ


武道家「……――――ねえ、本当にいいの?」

イシス僧侶「いーんだよっ!!イシス女王ちゃんもいつか誰かに貸して魔王討伐に役立てたいって言ってたし!」

女勇者「それなら、本当にありがたいんだけどね」

戦士「まぁ、貰えるもんは貰ってこうぜ!」

遊び人「こーら。品が無いよ戦士ちゃん」

イシス魔法使い「ふふ、いいのよ。私達も是非貰って欲しいの」

イシス戦士「…………まぁ、しょうがないから貸してやる」

魔法使い「えへへ!これでもっとつよくなれるねっ!」

僧侶「そうですね!……でもなんだかこの国に来てからは頂いてばかりのような気がしますね……」

イシス僧侶「いーんだって!気にしない気にしない!!」

盗賊「……ありがとうね……」

商人「でも、地下にあるんですよね?」

イシス魔法使い「ええ。地下に祀られてるわ」

商人「庭から地下になんて行けるんですか?」

イシス僧侶「それも安心しな!!わっしについてこぉい!!」

魔法使い「おーっ!」

戦士「よっしゃ!なんか探検みたいでワクワクしてきた!」

女勇者「昼間あれだけ探検したじゃないか……」

イシス魔法使い「ふふ、まるで子供みたい」クスクス

商人「誰が子供ビューティですかっ!!」

遊び人「アンタに言うとらん。そしてビューティ言うとらん」

キャッキャキャッキャ

キャッキャ……

……



……

スタ……

スタスタ……

スタスタスタスタ


勇者「…………本当に大丈夫だよね」

イシス勇者「あはは、大丈夫だって。城の中にはミイラはいないよ」

勇者「……だったらいいんだけど」

イシス勇者「……そんなに不安?」

勇者「…………うーん」

イシス勇者「大丈夫大丈夫。いざとなったら……」

勇者「不安、って言うか、もう嫌なんだ」

イシス勇者「え?」

勇者「…………ミイラと戦うのは、あんまり……ね」

イシス勇者「どうしてだい?」

勇者「…………僕達が戦ったミイラはさ、王の遺産を守るために、僕等に襲い掛かってきたわけじゃないか」

勇者「あの時は武道家があんな風にされてたから、僕も頭に血が上っちゃってたけど…………」

勇者「…………」

ザ……

イシス勇者「?」

勇者「…………」

イシス勇者「…………勇者くん?」

勇者「…………」

勇者「…………僕は」

勇者「……できるだけ、何かを守ろうとして立ち向かうものと……戦いたくは、ないなぁ……って、思う、んだよ、です」

イシス勇者「…………」

勇者「は、はは、あまっちょろいって言われるかもしんないけどね」

イシス勇者「…………」

イシス勇者(……そうだよね)

イシス勇者(あんな風に戦ったミイラ達にも……)

イシス勇者(君は戦いが終わった後、彼らの包帯を巻き直してあげたりしてたもんね)

勇者「まぁ、そこは僕、なんていうかグズだからさ――……」

イシス勇者(…………)

イシス勇者(…………君は)

イシス勇者(君は本当に優しいんだね)

イシス勇者(…………)

イシス勇者(…………そんな君が)


――――――――――――


勇者『殺す』

勇者『全部、殺す』


――――――――――――


イシス勇者(…………)

イシス勇者(あんな風に、なってしまうなんて……)

イシス勇者(……一体君は、過去に何が――――……)

勇者「イシス勇者くん?」ズイッ

イシス勇者「え?……ふわぁっ!!?」ドキーン!!

勇者「えっ!!?ど、どうかした!?」

イシス勇者「ご、ごめん、あまりに近かったから……///」ドキドキ

勇者「あぁ、ごめんね」

イシス勇者「いや、こちらこそボーっとしてすまない……ど、どうかしたかい?」

勇者「あぁ、地下の入り口はこっちでいいの?」

イシス勇者「あぁ、そうだよ」

勇者「あぁ、やっぱりそうか」

イシス勇者「うん……………………あれ?」

勇者「ん?どうしたの?」

イシス勇者「…………なんでこっちだって分かったんだい?」

勇者「え?」

イシス勇者「い、いや、なんで君が分かりにくい地下への道を知ってるのかな……って」

勇者「あぁ……うーん…………それがね」

イシス勇者「うん」

勇者「…………僕にもわかんないんだ」

イシス勇者「へ…………なんだいそれ」アハハ

勇者「なんだか、この城って見た事ある気がするんだよね……もしかしたら小さい頃来た事あるのかな」

イシス勇者「そうなのかい?」

勇者「うーん……いや、やっぱりわかんないや」

イシス勇者「もしかすると、オルテガ様に連れられてきた、とかじゃないのかな」

勇者「それが一番ありえるかなぁ」

勇者「…………」

勇者(…………なんだ)

勇者(なんなんだ…………この感覚……)


スタスタ……

…………
……

ザッ!

イシス僧侶「みなさんっ!!辿りつきましたよ!!」

武道家「…………ここに」


オォォォオォォオオォォ……

-地下・星降る腕輪の祭壇-


武道家「…………ほ、星降る腕輪が……あるの……ね?」

女勇者「…………」

遊び人「…………」

僧侶「…………」

戦士「…………」

商人「…………」

魔法使い「…………」

盗賊「…………」

イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「…………」

イシス戦士「…………」



オォォォオォォオオォォ…………



一同「「「「「………………………………」」」」」


一同(((((怖い)))))

イシス僧侶「…………ほ、ほら。いってらっしゃいな」

ドン

武道家「お、押さないでよ!」

戦士「が、がんばれ!ぶど、武道家!」ブルブル

盗賊「……怖い……」ブルブル

僧侶「な、なんでこんなに暗いんですかぁ……!」ブルブル

魔法使い(ゆ、ゆーしゃぁ……)ブルブル

商人「…………は、はやく取って帰りましょうそうしましょう」ブルブル

遊び人「そ、そうだよそれがいいよきっとね」ブルブル

イシス戦士「…………おい、私は帰る」

ガシッ

イシス魔法使い「こら。待ちなさい。私も少し怖いけど我慢してるんだから」

イシス戦士「帰る」

イシス魔法使い「だーめ」

イシス戦士「お願い」

イシス魔法使い「駄目」

イシス戦士「怖い」

イシス魔法使い「…………私もだってば。というかアナタ今日ピラミッドで怯えてる皆に貧弱って言ってたわよね?」

イシス戦士「貧弱でいい。ここは怖い」ブルブル

イシス魔法使い「全く……でも確かに」チラッ

オオオォォォォォオォオオオオォ……

イシス魔法使い「ここには昼間に大人と来た事しかなかったから……夜に来ると凄く怖いのね」

女勇者「でも、昼間も……十分不気味そうだよね……」ブルブル

戦士「ホラ!武道家!」

イシス僧侶「ファイトだよ!!」

グイグイ

武道家「わかったから押すなっての!!!!」

武道家「…………もう」

スタスタ……

武道家「…………」

クル

戦士「ん?」

イシス僧侶「どうしたの?」

武道家「…………」

武道家「……私が祭壇で箱開けてる最中に逃げたりしたら」

ゴキッ ゴキッ

武道家「………………ね」

イシス僧侶「そ、そんな事するわけないじゃん!!」

イシス僧侶(アンタの方が怖いわ)←やろうと思ってた

戦士「わかってるから早く!ちょっと本気で怖いんだ!」

武道家「わかってるわよ!……もう、他人事だと思って……」

スタスタ……

武道家「…………」


オォォォオォォオオォォ……


武道家「…………」

武道家(…………こ)

武道家(怖いよ……)

武道家(…………勇者ぁっ…………)ブルブル

~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~


勇者「っくし」プエッ

イシス勇者「あれ、大丈夫かい?」

勇者「うん、しかし地下はやっぱり冷えるね」グズッ

イシス勇者「だね。早いところ行って引き返そうか」

勇者「そうだね」

イシス勇者「もうすぐ着くよ」

スタスタ……

勇者「…………こう暗いと、不気味だなぁ」

イシス勇者「あはは、でも今日のピラミッドの地下に比べれば全然明るいくらいだよ」

勇者「はは、それもそうか」

勇者「…………でも、皆一緒じゃなくてよかった」

イシス勇者「あぁ……確かに、こう不気味なのは彼女達は苦手なんだっけ?今日のピラミッドの中でも……」

勇者「はは、ピラミッドでもそうだったね」

勇者「こんな不気味な所に来たら、ちょっとした事があっても皆叫び声を――――……」






キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!





勇者「!!!?」

イシス勇者「ひいっ!!!?」ビクゥッ!!

勇者「今の……」

イシス勇者「な、何だ!?叫び声!?」ビクビク

勇者「…………皆の声だ」

イシス勇者「一体何が……え?」

ダッ!!

勇者「みんなっ!!」

イシス勇者「え!?ゆ、勇者くんっ!!!?」

勇者(今のは……確かに皆の声だった!!)

勇者(皆の身に何が――――……!!!!)

…………
……





……
…………

『……もう一度問う』


戦士「いやっ…………!!……やぁぁっ……!!」ブルブル

イシス僧侶「ひ…………ひぃ…………?」ブルブル

魔法使い「……ふぇぇ……!!」ブルブル

僧侶「……あ……あ……」ブルブル

商人「……ひいいいい……!!」ブルブル

盗賊「…………」ブルブル

遊び人「っっ…………」ブルブル

女勇者「……う……うぅ……!!」ブルブル

イシス戦士「」

イシス魔法使い「…………な…………な」



武道家「……………………!!!!」ブルブル



武王の霊『我の眠りを妨げるのはお前か』

武道家「あ…………あ……!!」ブルブル

武王の霊『…………その箱を暴いたのはお前か。答えよ』

武道家「ひっ!!」ブルブル

武道家(な、なにこれ……聞いてない……聞いてないわよ……!!)

武道家(……た、助けて…………ゆ)

武道家(勇――――……)


タッタッタッ!!

ザッ

勇者「皆!!どうした!!?大丈夫か!!?」

イシス勇者「何故皆さんここに!!?」

一同「「「「「!!!!」」」」」


戦士「…………!!」

魔法使い「…………ゆ」ウルウル

僧侶「勇者くんっ!!!!」

ダキッ!!

勇者「うわぁっ!!!?皆!!ちょっと離れて!!」グイッ

商人「ゆ、勇くん!!お化け、お化けがぁっ!!」ウルウル

遊び人「武道家が!!武道家がぁ!!」

勇者「!!」



武道家「ゆ…………」

武道家「勇者ぁっ…………!!」ウルウル


勇者「武道家!」

ダッ

ズザッ

勇者「大丈夫!?どうしたん……ってうわぁっ!?」

武王の霊『…………』

勇者「…………ど、どちら様でしょうか」

武王の霊『…………我が名は武王』

勇者「!!」

イシス勇者「!!」

勇者「武王様……!」

武王の霊『…………もう一度問う』

武王の霊『我が眠りを妨げるのはお前か?そして、その我が武具を暴いたのはお前か?』

勇者「……」

武道家「……ひ……っ!!」ブルッ



イシス勇者「……っ……!……お怒りになられている……!」

イシス僧侶「ど、どうしようっ、私、こんな事になるなんて思ってなくて……!!」

イシス勇者「と、とりあえずここはなんとかやり過ごさないと……」



勇者「はい。僕達が起こしてしまいました。すみません」ペコッ



一同「「「「「!!!!?」」」」」

女勇者「お、お義兄ちゃん!!!?」

魔法使い「そ、そんなめんとむかって!!」

勇者「だって、本当の事だよ」

武王の霊『…………お前がその箱を暴いたのか』

勇者「はい。是非とも星降る腕輪を貸していただきたいと考え、開けさせて頂きました」

武道家「ゆ、勇者っ」

勇者「ホラ、武道家も一緒に謝ろう」

武道家「えぇっ!!?」

勇者「武王様を起こしちゃって迷惑をかけたのは僕らなんだし、ね?」

武道家「……っ……う、うん」

武道家「……あ……あ、開けたのは私です……す、すみませんでした…………」ブルブル

勇者「すみませんでした」

武王の霊『…………』

イシス勇者「ゆ、勇者くん、何を……」

武王の霊『正直で良い子だねぇ』

イシス勇者「えっ」

勇者「はい?」

武道家「え」

武王の霊『お前、すごく正直で気に入ったよ。嘘はいけないからねぇ』

勇者「いえ、それでもお眠りのところをお邪魔してしまって……」

武王の霊『構わんよ構わんよ。ピラミッドあるのに思念をここに置いちゃってる我も我だし』

勇者「そう仰って頂けると幸いです」

武王の霊『ところで、何?星降る腕輪欲しいの自分?』

勇者「いえ、この後ちゃんと戻しておきますので――……」

武王の霊『もってく?』

勇者「え?よ、よろしいんですか!?」

武王の霊『だってねぇ。言うても我は魂だけの存在だし、武器なんてもう使わないし』

勇者「あ、ありがとうございます!!ホラ、武道家も」

武道家「あ、ありがとう、ござ、ございます」ブルブル

武王の霊『お礼もちゃんと言えるねぇ。良い子だよ』

勇者「いえ、本当にありがとうございます」


イシス勇者「え…………えぇ……」

イシス僧侶「幽霊と普通に会話しとる……」


勇者「助かります。これで旅もよりスムーズに……」

武王の霊『…………』

勇者「……?どうかされました?」

武王の霊『……あー』

武王の霊『…………お前……まさかさ』

勇者「?」

武王の霊『……………………』

武王の霊『…………』

武王の霊『……いや、なんでもない』

武王の霊『とりあえず我は眠りますので腕輪使って頑張って精進してね』

勇者「はい!ご迷惑おかけしてすみません。ありがとうございました!」

一同「「「「「あ、あり、がとう、ございまし、た」」」」」

武王の霊『うんうん。皆良い子だよ。おやすみ』

シュゥゥゥ……

勇者「…………ふぅ、良かった。ご本人の許しも得れて」

勇者「ね?武道家」

武道家「」

勇者「…………武道家?」

勇者「大丈夫?…………怖かった?」

武道家「」コクコク

勇者「…………」

ナデナデ

武道家「……!」

勇者「……もう大丈夫だよ」

勇者「でもああいう時は僕らが悪かったんだから、ちゃんと謝ろう?ね?」

武道家「…………っ」

勇者「?どうしt……」

武道家「ゆうしゃぁぁぁ!!!!」ダキッ!!

勇者「わっ!!ぶ、武道家!!ちょっと!!」

ウワァァァン……


イシス勇者「…………」

イシス僧侶「…………」

イシス魔法使い「…………彼、大物ね」

イシス勇者「…………だね」


女勇・魔・遊・僧・盗・戦・商・イシス戦士「「「「「「  」」」」」」←気絶中


…………
……

-道中・アッサラーム付近-


勇者(あんな事もあったなぁ……)

勇者(…………)

勇者(…………あの時、武王様…………僕に何か言おうとしてた)

勇者(……一体、何を…………)

勇者(…………)

勇者(いや、考えるのはよそう。今はポルトガの事だけ考えよう)

勇者(…………しかし)





魔物「ゴギエェェェェェェェェェァァァァァァ!!!!!!」ゴアァァァァァア!!!!!



戦士「だぁっ!!!!」ズバン!!

魔法使い「めらぁっ!!!!」ゴォォォ!!

女勇者「おりゃぁぁっ!!!!」ザシュッ!!

商人「っさぁ!!!!」ズドッ!!

盗賊「……ふっ!!!!……」ズババババ!!!!

僧侶「バギ!!!!」ドドドドドド!!!!

遊び人「てりゃっ!!!!」ゴシャアァ!!!!

武道家「…………すぅぅぅ」

武道家「どぅおりゃあああああああああ!!!!!」


ヒュンッ!!!!


ズドォォンッッッッ!!!!!



魔物「ぁっ」

ゴシャァアッ

魔物の群れを倒した!!

ザッ!!

女勇者「おつかれー!」

戦士「武道家、その腕輪凄いな」

武道家「ねっ!!これでもっと強くなれたわ!」ニコッ

ワーワーキャーキャー



勇者「…………」

勇者(怖がりどころがよくわからん…………)





【U-REI】-完-

以上で番外終わりです。
次スレに移行したいと思います。

絵うますぎるだろ
どこのプロだよ