勇者「ハーレム言うなって言ってるじゃないですか」盗賊「……3、だよ……」(999)

このSSはドラクエ3をベースにした半分オリジナルのSSです。
独自解釈がはびこっています。

シリアス・ほのぼのが7:3くらいの割合です。

オリジナル設定・ラブコメ・ハーレム・シリアス・おっぱいなどが苦手な方には
向かないかと思います。申し訳ありません。
ですがおっぱいには罪は無いんです。悪いのは僕です。


そして申し訳ないのですが、先の展開の予想などはご遠慮をお願いします。


前スレ

勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322413892/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1330356948(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

●主要キャラ紹介

※ネタバレ含みます


・勇者

主人公です。伝説の勇者オルテガさん家の養子です。
ヘタレで弱いけどやる時はやります。ガッツでゴリ押しする事も。
色々あって魔王を倒すために旅をしてます。
なんだかワケありっぽいですね。まだまだ謎が多い彼です。


・女勇者

主人公の義妹です。オルテガさん家の娘さんです。
パーティの中では遊び人と並んで最年少です。
しっかり者です。たまに豆腐メンタルです。
平均的な強さではパーティの中で一番らしいです。
知的な美人ともっぱらの評判です。


・戦士

主人公の幼馴染です。女の子です。
強いです。脳筋です。たまにアホです。
男勝りな性格ですが、時折、とても乙女だったりします。
快活な美人ともっぱらの評判です。


・武道家

主人公の幼馴染です。女の子です。
細身ながら強いです。貧乳を気にしているようですね。常識人です。ツッコミ役。
最近皆が変わってくのが嫌だったみたいですが、勇者くんの頑張りで思い直したようです。
その際に勇者くんの成長に気付き淡い想いが生まれた模様です。青春ですね。勇者くん爆ぜろ。
オルテガさんと並ぶ伝説の勇者サイモンさんのお弟子さんだったりもします。
凛とした美人ともっぱらの評判です。

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・魔法使い

主人公の幼馴染です。女の子です。
なんだかほわほわした喋り方をしますがとても賢いです。魔法も強力です。乳も強力です。
勇者くんが魔法を使えずに悲しんでいる事を知っていたので、なんとか魔法を使わせてあげたいと迷走する事もありました。
しかし、いろいろあってそれも落ち着いた模様です。
その騒動の最中に以前から抱いていた勇者くんへの胸中の想いに気付いた模様です。青春ですね。勇者くん千切れろ。
ほわほわした美人ともっぱらの評判です。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2690314.png

・僧侶

主人公の幼馴染です。女の子です。
とても優しい子です。聖母の様な性格です。たまに鬼の修羅のように怖いです。
いろいろあってハーフエルフだと最近確定しました。植物とお話できます。
勇者くんには小さい頃に悪漢から守られて以来甘い想いを抱き続けてる模様です。青春ですね。勇者くん弾けろ。
天使の様な美人ともっぱらの評判です。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2690319.png


・商人

主人公の幼馴染です。女の子です。
毒舌家さんでおチビさんです。とくに勇者くんをいじるのが大好きらしいです。
でもたまに仕返しされると立場が逆転してしまいます。敬語で話します。
お茶目な美人ともっぱらの評判です。


・盗賊

主人公の幼馴染です。女の子です。
この中では最年長です。寡黙ですがとても優しい面倒見の良い子です。
最近まで勇者くんのお姉ちゃん気分でした。お茶を淹れたり山菜を取るのがお好きな模様。
大盗賊カンダタさんの娘さんです。カンダタさんは行方不明みたいですね。
偽者のカンダタさんといざこざもあったのですが、その件で勇者くんの成長に気付いたようです。
それにより、勇者くんが弟的存在から頼れる男の人というものに変わり、やんごとない想いが芽生えた模様。勇者くん轢かれろ。
でもたまに嫉妬すると縄を虚ろな目でじっと見ていたりします。勇者くん逃げろ。
クールな美人ともっぱらの評判です。

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・遊び人

主人公の幼馴染です。女の子です。女勇者さんと並んで最年少です。
遊び人ですがとても真面目な子です。家事が好きらしいですね。元気溌剌とした常識人の娘さんです。
勇者くんに惹かれているような言動をよく確認できますが、現段階で一番謎の多い娘さんです。
あとバニー姿ですが、普段は恥ずかしいのかポンチョ的な物を召しています。
お嫁さんにしたい美人ともっぱらの評判です。



>>1

おっぱい。

あらすじ

勇者はバラモスっていう魔王さんを倒すために
旅に出ましたが、なんだかいっぱい仲間がついてきました。
しかも全員女の子です。しかも自分より強い。やってられません。
色々と頑張る勇者ですが色々と厳しい試練が色々な形で勇者に色々です。
仲間たちの人生もなかなか色々あるようで複雑でなかなか話が進みません。
>>1の人生もなかなか色々あって複雑で話が進みません。
さて、魔法の鍵を手に入れた勇者一行は造船技術の優れたポルトガに向かいます。船が欲しいみたいです。
勇者たちは船を手に入れることができるのでしょうか。ぶっちゃけ難しいんじゃないでしょうか。
だって船ですよ?お高いでしょうそんなの……。ねぇ。冷蔵庫買うんじゃあるまいし……。
勇者の運命はどうなるのでしょうか。このスレは完結できるのでしょうか。
頑張りますので、どうか見守って頂けると幸いです。

-幕間-


【watch me now】

――――――――――――
――――――――――――


…………

『…………音』

『音が、無いのが……どれだけの恐怖を生むか、貴方、理解できる?』

『触れる物全ての感触が無いのが…………どれだけの不安を生むか、貴方、理解できる?』

『…………』

『何も無い空間』

『ここは……何も無い空間』

『…………ふふ』

『それでも、私はここに居なくてはいけない』

『……なんのためにかって?』

『…………さぁ、私にもわからないわ』

『でも、貴方は答える事ができる?』

『何故貴方がそこに存在するのか、答える事ができる?』

『…………』

『私には、貴方の存在する理由が分かるわ』

『でも、貴方には分からないでしょう?』

『……同じよ』

『私が、この空間に存在する理由は、他者にしか分かり得ないの』

『……ふふ、困った顔はやめなさい』

『…………』

『……』

『悲しいの?』

『…………悲しいのね』

『……駄目よ』

『駄目。貴方は悲しみに捉われては駄目』

『…………駄目なのに』

『そんな顔しないで』

『……大丈夫』

『貴方なら、大丈夫だから』

『私が言うのよ。貴方は安心なさい』

『…………』

『…………』

『でなくちゃ、私が、報われない』

『貴方が笑わなければ』

『私が報われないの』

『…………』

『ふふ…………喧嘩はやめましょう』

『……』

『分かっているの』

『貴方の事は、理解しているつもり』

『だけど、駄目』

『理解していても、どうにもならないの』

『…………分かってくれるかしら』

『……ふふ、納得いかなそうな顔、しているわね』

『…………』

『……優しい貴方』

『どうか、優しい貴方は』

『…………幸せに、なって欲しかった』

『…………』

『……今、こう言っても、無駄ね』

『無駄…………』

『……』

『…………貴方こそ』

『貴方こそ、意地っ張りよ』

『…………ふふ、これも喧嘩かしら』

『…………時間、みたいだわ』

『……私は、大丈夫』

『貴方は体に気をつけて』

『……』

『……』

『……』

『……触れられないのが……どんなに不安か』

『どんなに、恐怖か…………そして』

『…………どんなに…………悲しいか』

『貴方には…………』

『…………』

『…………』

『…………さようなら』

『また、逢いましょう』

『……』

『…………おやすみなさい』

…………
……



-幕間-


【Setting Sun】

-ランシール・地球のへそ・神殿-

世界首脳緊急召集会議・会場





兵「イシス女王様がいらっしゃいました!!」

スタスタ……

イシス女王「……皆様、只今参りました」

アリアハン王「おぉ、これはこれは。お久しゅうございます」

イシス女王「あら、アリアハン王様。お久しゅうございますわ。お元気そうで何よりです」

アリアハン王「ははは、中々に首脳会議に招かれませんでな。お目にかかれる機会もありませんでした」

ポルトガ王「なんと言っても聖地アリアハンの王ですからな!不穏な動きを魔物達に感付かれる事は避けたいので待機して頂いておりました」

イシス女王「ポルトガ王様も、お元気そうで何よりです」

ポルトガ王「がはは!お久しぶりですな!相変わらずに――――……」

?「御美しい…………」

イシス女王・ポルトガ王「「っ!!?」」ビクッ

?「おや、突然の失礼、お許しくださいませ」

イシス女王「あ……エジンベア勇者様……」

エジンベア勇者「ご機嫌麗しゅう、イシス女王様。あぁ……今日も貴女はとても御美しい……」

イシス女王「あ、ありがとうございます……」

スタスタ……

?「やめてくれませんか、エジンベア勇者君」

エジンベア勇者「んん?」

イシス女王「イシス勇者!来てくれたのですね!」

ザッ

イシス勇者「只今参りました姉上。皆様方もお久しぶりでございます」

アリアハン王「おぉ、イシス勇者殿!」

ポルトガ王「久方ぶりであるな。そなたも無事で何よりだ」

イシス女王「アリアハンの大陸に赴いていたのでは……」

イシス勇者「はい。ですが知らせを頂いたので、是非とも馳せ参じたいと考えまして」

エジンベア勇者「おやおやぁ?誰かと思えば……カワイコちゃんのイシス勇者くんじゃないかぁい?」ファサァッ

イシス勇者「…………っ」ゾゾッ

イシス勇者「……そ、それは、侮辱と受け取っても?」

エジンベア勇者「あははぁっ。そんなに青筋立てるなよぉ。冗談だって冗談」

イシス勇者「…………全く、君は……」

エジンベア勇者「しかし、本当に君は男にしておくには勿体無い程美しいねぇ……ま、僕の次にだけどねぇ」ファサッ

イシス勇者「っ…………あ、ありがとう」ゾッ

エジンベア勇者「そんな事より…………イシス女王様」ズイッ

イシス女王「は、はいっ!!?」ビク

エジンベア勇者「この後どうですぅ……?貴女と二人きりで謁見させて頂きたいのですが……」ズズイッ

イシス女王「ひっ……!」

ジャキッ!!

エジンベア勇者「…………おやぁ?」

イシス勇者「…………それ以上姉上に近づけば、不敬の輩として対応させて頂きますが」ニコッ

イシス女王「イシス勇者!!」

エジンベア勇者「……ふふん……?やるのかい?先に剣を抜いたのは君だよぉ?」

ジャキッ!!

エジンベア勇者「人の恋路を邪魔する輩は…………剣の錆びに成り果てろって言葉も、あるしねぇ」

アリアハン王「こ、こら二人とも!!」

ポルトガ王「がはは!!こいつらここで剣を交える気だわい!」

イシス女王「お、おやめになってください!!」

イシス勇者「…………」ジャキッ

エジンベア勇者「いくよぉ?」

ダッ!!

エジンベア勇者「ひゃはぁっ!!!!」

イシス勇者「っ!!」

イシス勇者(さすがエジンベア勇者……やはり速――……)



ガギィィン!!!!!


イシス女王「あっ!!!!」

アリアハン王・ポルトガ王「「!!!!」」

イシス勇者「…………!!」

エジンベア勇者「っ!!」




ギリィッ……

?「止めろ。馬鹿共めが」




エジンベア勇者「…………ム、ムオル勇者……」

ムオル勇者「……双方、剣を収めろ」

ジャキッ

イシス勇者「ム、ムオル勇者さん……!!」

イシス勇者(ぼ、僕ら二人の剣を素手で……指で掴んで止めた……!!)

エジンベア勇者「ム、ム、ムオル勇者、違うんだよこれは」

エジンベア勇者(ば、化け物かよぉ…………!!)

ムオル勇者「剣を仕舞えと言っている」ギロォッ

二人「「は、はいっ!!!!」」ジャキンッ!!

ムオル勇者「…………二人とも本気でやり合う気が無いのは分かっている」

ムオル勇者「だがここは神聖な神殿の殿中。そして世界の首脳の目前だ」

イシス勇者「…………申し訳ございません」

エジンベア勇者「だ、だけどさぁ」

ムオル勇者「黙れ」ギロォッ

エジンベア勇者「ひぃっ!!!!すんません!!」ビクゥッ

ムオル勇者「…………最初にイシス女王様に不敬を働いたエジンベア勇者が悪い」

エジンベア勇者「…………は、はい」

ムオル勇者「そしてそれに激昂して剣を迷わず抜いたイシス勇者も悪い」

イシス勇者「はい。申し訳ありませんでした。浅はかでした」

ムオル勇者「…………イシス女王様、そして王の皆様方」

イシス女王「は、はいっ!!!!」ビクゥゥッ!!

イシス勇者(姉さん滅茶苦茶怯えてる……)

ザッ

一同「「「「!!!?」」」」

イシス勇者「ム、ムオル勇者さん!!」

エジンベア勇者「な、なんでお前が跪くんだよぉ!!」

ムオル勇者「…………今回の私の後輩達の騒動、申し訳ありません。罰でしたらなんなりと私に」

イシス勇者「そ、そんな!!」

エジンベア勇者「わ、悪かったのは僕らだろぉっ」

イシス女王「ぜ、全然気にしていませんので!!頭を上げてください!!こちらこそうちのイシス勇者がご迷惑おかけしてすみません!!」

アリアハン王「ははは!気にしとらんよ!いや、生ける伝説と呼ばれるムオル勇者殿の実力が見れて満足だ!」

ポルトガ王「威勢が良いのは良いことだ!期待しておるぞお三方!」

ムオル勇者「ご容赦、痛み入ります」

イシス勇者「…………ムオル勇者さん、申し訳ありません」

エジンベア勇者「わ、悪かったよぉ」

ムオル勇者「分かれば良い。もう二度とするな」

スタッ

?「あはははっ!!中々に良い見物でしたわ!!」

イシス勇者「!!」

ムオル勇者「…………ランシール勇者か」

ザッ

ランシール勇者「アナタ方お二人、ムオル勇者に救われましたわね。下手をすれば国際問題に発展していますわよ」

イシス女王「ランシール勇者様!」

ランシール勇者「イシス女王様、アリアハン王様、ポルトガ王様。お久しぶりでございます。お元気そうで何よりですわ」

ムオル勇者「…………久しいな」

ランシール勇者「勇者の御三方もお久しぶりですわね。まだ他の国の首脳の方々はまだいらっしゃっていないんですの?」

イシス女王「はい、まだ他の方々は――……」

スタスタ……

ランシール勇者「あら?いらっしゃったのかしら?」

エジンベア王「田舎者!!田舎者!!」

ロマリア王「何君!?それしか言えないの!?うっわボキャブラリすくなっ!!赤ちゃん!?君赤ちゃん!?ねぇ!!」

エジンベア王「ば、ばっかじゃねーの!?こんな髭の生えた赤ちゃんいるわけねーじゃん!!ばっかじゃねーの!!?」

ロマリア王「お前こそばっかじゃねーの!?比喩ですー!!比喩として言ったんですー!!はい馬鹿決定――――!!!!」

エジンベア王「馬鹿じゃねーし!!馬鹿じゃねーし!!!!」

ロマリア王「はーい更に語彙少ない所見せて馬鹿大決定――――!!うわっ!!!!馬鹿が感染る!!バーリア!!!!」

エジンベア王「は、はぁぁぁあぁ!!!!?汚ねぇし!!バリア破り!!デュクシッ!!はいお前が馬鹿になりましたー!!!!」

ロマリア王「バリア破りなんてありませーん!!それに今自分が馬鹿って認めてるし!!馬鹿ス!!!!ぎゃはははは!!!!!」


ギャーギャー


ランシール勇者「…………」

イシス女王「…………」

アリアハン王「…………」

ポルトガ王「…………」

イシス勇者「…………」

ムオル勇者「…………」

エジンベア勇者「子供かよ」


スタッ

ロマリア王「おや、これはこれは。皆さんお久しぶりですな」

エジンベア王「それぞれ遥々田舎からこんな田舎までご苦労であったな!!」

エジンベア勇者「王…………あんた少し黙ってて……」

ロマリア王「おや、アリアハン王ではないですか!お久しぶりですな!」

アリアハン王「ロマリア王もお元気そうで何よりですな」

ロマリア王「そういえば、そちらの勇者の、勇者殿にはとてもお世話になりましたぞ!お礼申し上げます」

アリアハン王「へ?勇者がどうかされたのですか?」

ロマリア王「はい、ガザーブ付近に潜んでいた盗賊を討伐してくれたのです。いやはや、流石はオルテガ殿のご子息ですな!」

アリアハン王「……………………へっ」

イシス女王「あぁ、そうでしたわ。私もお礼を申さなければなりません!」

アリアハン王「えっ?」

イシス女王「勇者様にはうちのイシス勇者がお世話になったのです!イシス勇者!」

イシス勇者「はい!僕がピラミッドで危機に瀕した際に、彼が助けてくれたのです!!」

イシス女王「本当にありがとうございました!勇者様はとても素晴らしい方ですね!」

アリアハン王「え……あ、いや、はは…………」

アリアハン王(…………あの勇者が……?…………ま、まぁ他の娘達が何とかしたんだろうなぁ)


ムオル勇者「…………」

ランシール勇者「あら?どうされましたの?」

ムオル勇者「……何も無い」

ランシール勇者「オルテガ様のご子息と聞いて思うところがございましたの?」

ムオル勇者「…………そんなところだ」

ランシール勇者「ふふ、私もですわ。どんな方なのでしょうね」

ランシール勇者「……………………一度、手合わせ願いたいですわ」

ムオル勇者「…………」

ランシール勇者「しかし…………こう見渡すと……ここに来る事を許された勇者も減りましたわね」

ムオル勇者「…………そうだな」

イシス勇者「今日は来れなかったという方もいらっしゃいますが……それでも、亡くなった方も多いです」

エジンベア勇者「ロマリアの勇者の二人いたうちの一人、ガザーブ勇者、バハラタ勇者…………レーベ勇者も亡くなってしまったからねぇ」

ランシール勇者「…………気をつけねば、次はこの中の誰かもわかりませんわ」

イシス勇者「……そうですね」

エジンベア勇者「ま、僕ではないだろうけどねぇ」ファサッ

イシス勇者「君はまたそうやって――……」

ランシール勇者「もう、およしなさいな」

ムオル勇者「…………心配せずとも、強くなれば良いだけの話だ」

イシス勇者「……そうですね」

エジンベア「…………わ、わかってるさぁ」

ランシール勇者「ふふ、ムオル勇者はいつも正論しか言わないんですのね」

ムオル勇者「空言を垂れ流しても何の得も生まれん」

ランシール勇者「あら、怖いですわ…………あら?」

スタスタ……

ランシール勇者「……皆様、神官様がいらっしゃました」

ザッ

ランシール神官「皆様、本日もお集まり頂いてありがとうございます」

エジンベア王「田舎は遠いですからな!疲れましたぞ!」

ロマリア王「デュクシッ」

ドムッ

エジンベア王「にゃんっ」

エジンベア勇者(ロマリア王グッジョブ)

イシス勇者(あれこそ国際問題じゃないのか)

ランシール神官「えー、やはり多くの首脳の方々が所用や会議に間に合わないので欠席される様です」

エジンベア王「まぁ、急の召集でしたからねぇ」ファサッ

ランシール神官「まぁそれはさておき、早速本題に入りましょう」

ランシール神官「本日集まって頂いたのは……実は他でもない、アリアハン王のご意向なのです」

ロマリア王「お?」

イシス女王「そうなのですか?」

ランシール勇者「アリアハン王様が?」

ガタッ

アリアハン王「はい…………実はそうなのです」

アリアハン王「皆さん、今日は御足労頂きありがとうございます」

エジンベア王「田舎h」

ロマリア王「デュクシッ」

ズドンッ

エジンベア王「プエッ」

アリアハン王「…………実は、今日集まって頂いたのは、ある御方のお話を御聞かせしたいと考えまして」

イシス女王「ある御方?」

ポルトガ王「その御方とは?」

アリアハン王「…………ナジミ様、お願いします」

一同「「「「!!!!!」」」」

スタスタ……

ナジミ「…………皆様、申し訳無いのう」

イシス勇者「だ、大賢者ナジミ様……!!?」

エジンベア勇者「おいおい…………生ける賢者なんて……初めてお目にかかったよぉ……!?」

ランシール勇者「な、なんという…………ご無事でしたのね……!」

ムオル勇者「…………」

ザッ

ムオル勇者「お初にお目に掛かります。ナジミ様」

イシス勇者「あ……し、失礼致しました!!」ザッ

エジンベア勇者「お目に掛かる事ができ、光栄です!」ザッ

ランシール勇者「遠路遥々御足労頂きありがとうございます!」ザッ

ナジミ「おぉ、ムオル勇者にイシス勇者、エジンベア勇者にランシール勇者か。そう跪くな。今や只の老いぼれじゃよ」

ムオル勇者「!」

イシス勇者「な、……名前を……わ、我々の事をご存知なのですか!?」

ナジミ「お前さん方の事ならばよーく知っとるよ。ルビス様と神様の御陰でな」

エジンベア勇者「ほ、本物……」

ランシール勇者「凄い……」

ガタッ

ロマリア王「ナジミ様、お久しぶりでございます」

ナジミ「おぉ、ロマリアのボウズか。見らん間に立派になったのぉ」

ポルトガ王「ナジミ様!!お元気そうで!!がはは!」

ナジミ「お前さんも。元気が有りあまっとる様じゃな」

エジンベア王「ナジミ様!!こんな田舎によくぞいらっしゃいました!」

ナジミ「うんうん、お前は早く誰かに王権を譲り渡しな?」

ザッ

イシス女王「お初にお目に掛かります!イシスを束ねさせて頂いているイシス女王です!お会いできて光栄です!」

ナジミ「結婚してください」

イシス女王「えっ」

アリアハン王「おいこらじじい」

ロマリア王「ゴホン…………して、話とは、どうされたのですか」

ポルトガ王「そうですぞ。従者伝えでは無く何故このような――――……」

ナジミ「これから話す事は、誰にも漏らすな」

ポルトガ王「!?」

イシス女王「っ!?」ビクッ

エジンベア勇者(急に真面目なトーンになった……?)

ナジミ「今日ここに来た者は、この話を漏らす事の無い者だけじゃ。ワシには分かる」

アリアハン王「……私もまだその話を伺っていないのですが、その話とは?」

ランシール神官「御聞かせ願えますでしょうか」

ナジミ「……」

ナジミ「…………四年前」

一同「「「「…………!!!!」」」」

ナジミ「四年前のあの時…………全てが激変したのは皆記憶しておるな」

イシス女王「…………はい」

アリアハン王「…………」

ポルトガ王「…………多くの悲しみが生まれた時です……」

ロマリア王「…………そうですね」

エジンベア王「…………できれば思い出したくは無い、ですな」

ムオル勇者「…………」

エジンベア勇者「……忘れる方が難しいんじゃないですかねぇ……?」ファサァッ

イシス勇者(……四年前は……確か……)

ランシール勇者「…………あの出来事が」

ランシール勇者「あの人類の落日の七日間が…………一体どうされましたの?」

ナジミ「…………」



ナジミ「…………あの七日間の悪夢が、繰り返されるやもしれぬ」




第五章

-ポルトガ地方・山脈近くの野-



パチッ……パキッ……

勇者「…………」

ペラッ

勇者「…………」

ペラ……

勇者「……ふあぁ……」

勇者「…………ふぅ……」

勇者「……あれ?」

勇者(……もう空が段々白み始めてる)

勇者(山脈に地平線を遮られて気付かなかったけど……)

勇者「もう朝か…………」

スクッ

勇者「……んんんんっ……!!……っと」ノビー

勇者「……」チラッ

パチッ……パチッ……

勇者(まだ焚き火は消さなくていいかな。朝ごはんも作らなきゃだし)

勇者「…………よし」

勇者(皆を起こす前に、山の川で顔でも……)

?「おはよっ」

勇者「え?」

武道家「おはようっ勇者!」

勇者「武道家!」

勇者「早いね。皆も起きてるの?」

武道家「ううん。私だけ…………勇者」ジー

勇者「え?…………あ、この本?」

武道家「またアンタ誰にも交代頼まなかったわね?ずっとその魔道書読んでたんでしょ」

勇者「い、いやあのね、だってさすがに皆が寝てるテントを開くのは、なんか、ね?」

武道家「もう!無理したら駄目だっつーの!」

勇者「あはは……はい、すみません」

武道家「もう…………ふふ、川行くの?」

勇者「あぁ、うん。そのつもりだったんだ」

武道家「そ。じゃあ一緒に行きましょ」

勇者「うん。そうしよっか」


――――――――――――

スタスタ……

勇者「…………なんだか白んでいく空を見てると面白いね」

武道家「そうね。ちょっと夕焼けみたいで…………綺麗」

勇者「だね」

武道家「……ふふっ……うん」

武道家(…………二人きりで朝焼け見ながら歩いてる…………)

武道家(なんだかこれ……凄く……)

武道家「…………えへへ///」

勇者「どうしたのさ」

武道家「なんでもないわよっ」ニコニコ

勇者「?」

スタスタ……

-川辺-

サァァァ……

パシャァッ

武道家「ぷはぁっ…………気持ちいい」

勇者「気温もイシス周辺みたいに暑くないから快適だね」

武道家「そうね。暖かいって感じかしら」

勇者「あ、日が段々登ってきてる」

武道家「どこ?……あ、本当……」

パァァァァ……

勇者「…………」

武道家「…………」

勇者「……山の輪郭に沿って光が……」

武道家「……凄い綺麗……」

武道家(……なんだか……)チラッ

勇者「おぉ……」

武道家(今、凄く幸せ……)フフッ

勇者「……ぉぉぉおおお?」

武道家「え?」

勇者「おおおおおおおおお!!!!?」

武道家「ど、どうしたの勇者!!?……上!?」チラッ



ヒュウウウウウ!!!!

?「やああああ――――!!!!」



武道家「えぇぇ!!!!?何!?女の子が落ちてきてる!!?」

勇者「うわああああ危ない危ないいいいいい!!!!!オーライオーライ!!!!!」アワアワ

武道家「え!?ちょ、勇者受け止める気!!?だったら私が」


ゴッシャァ!!!!


勇者「ブエナッ!!」ビスタッ

武道家「受け止めるわよ    って遅かった……」


謎の少女「~~~っ!!!!」ギュゥゥゥ

武道家「ちょ、ちょっと大丈夫?もう目開けても大丈夫よ?」

謎の少女「~~っ!!………う?」パチ

武道家「…………大丈夫?」

謎の少女「…………?……?」キョロキョロ

武道家「…………大丈夫だったら……そいつから降りてあげて?」

謎の少女「?」チラッ



勇者「」チーン


謎の少女「わぁ!!」ピョンッ

武道家「あ、どいてくれた」

勇者「いたたた……だ、大丈夫?怪我は無い?」ドクドク

武道家「ア、アンタの方が重症じゃない!!」

ダッ

武道家「待ってて!今すぐ戻って薬草とってくるわ!!」

勇者「ごめん、お願い……いててて」ドクドク

謎の少女「…………!」アワワワ

勇者「あ、君は大丈夫?」ドクドク

謎の少女「…………わ、わたし、怪我ない」

勇者「そかそか」ニコ

謎の少女「……あ、ありがとう……ごめんなさい」

勇者「ははは、大丈夫大丈夫。これでも鍛えてるから」ドクドク

謎の少女「…………頭から、血、出てるのに?」

勇者「うん!大丈夫大丈……」ドクドク

ピトッ

勇者「ひぎゃあああああああああああああ」

謎の少女「やっぱり、いたい、嘘、良くない、です」ウルウル

勇者「さ、触っちゃ駄目だよ?お嬢ちゃ……」

謎の少女「かして」グイッ

勇者「ちょっ、だから触っちゃ……」

謎の少女「…………」ボソッ


ポワァッ


勇者「駄目……だって……」

勇者「…………」

勇者「…………え?」

謎の少女「…………痛い、なくなった、です?」

勇者「…………!!?」

サワサワ

勇者「え……な、治ってる?」

謎の少女「……良かった、おもいますっ」ニコッ

勇者「き、君は……?」

スクッ

謎の少女「ありがと、ございましたっ」ペコッ

勇者「い、いや、こちらこそ……ありがとう」

謎の少女「…………あなた、やさしい、ですね」

勇者「いや、そんな事……それよりも君っ」

謎の少女「……お日様の、匂い、する、ですよ」

勇者「え?」

ザッ

謎の少女「……お世話に、なる、ました」

謎の少女「…………」スゥゥ


謎の少女「ルーラ!!」


勇者「!!!?」

ゴォォッ!!!!

バシュウゥッ!!!!

勇者「うわっ!!?……っぷ!!」

パラパラ……

シーン……

勇者「…………へ……?」

勇者(何だったんだ…………?今の女の子……)

タッタッタッ

武道家「勇者ぁ――――!!僧侶が起きてたわ!!」

僧侶「勇者くん!!大丈夫ですか!!?」

…………
……


-野営地点- 朝食中



勇者「だから、本当なんだって!」

商人「夢でも見てたんじゃないですかぁ?」

遊び人「見た目が10才くらいの女の子がルーラね……」

戦士「聞いた事ないな」

魔法使い「るーらってせいしんりょくすごくつかうからねぇ」

勇者「でも本当にやってたんだよ」

魔法使い「もしかしたら、るーらが未完成だったからとちゅうでゆーしゃのうえにおちちゃったのかもねっ」

僧侶「多分そうでしょうね。…………でも」

女勇者「…………回復呪文が効かない筈のお兄ちゃんに回復呪文をかけた……ねぇ」

僧侶「そこばかりは……私にも、ちょっと分かりません……」

商人「実は怪我してなかったとかじゃないんですかぁ?女の子に抱きつかれて鼻血出しちゃってた、とか」ニヒヒ

盗賊「……勇者?……」

勇者「違う違う違う違う!!んなわけあるか!!」

武道家「そこは私が見てたもの。ちゃんと頭から血を出してたわ」

戦士「うーん……僧侶みたいなホイミが使えるって事だろ?」

僧侶「そうですね……考えにくいですが……」

戦士「それなら別に敵って事もないだろ。そんなに悩まなくてもいいんじゃないか?」

女勇者「まぁ、それもそうだね」

武道家「でも気になるわ……」

戦士「そんな事よりご飯だご飯!!遊び人!美味いぞ!!」

遊び人「えへへ!ありがとっ!」

勇者「…………」

勇者(……なんだったんだろう……)

…………
……


――――――――――――


ザッ!!

戦士「…………やっと」

商人「やっと着きましたね……!!」

魔法使い「うん……!!」

盗賊「……だね!……」

戦士「……苦しい思いもして……!!」

魔法使い「たくさん、にえゆをのんで…………!!」

商人「やっと……やっと……私達はついに……!」

戦士「ああ!たどり着いたんだ!!」

魔法使い「そうだよ!!…………―――――っ」

ダッ!!





商人・戦士・魔法使い「「「海だ――――――――――!!!!」」」





勇者「ポルトガだよ」

武道家「何しに来たのアンタら!!」



-貿易大国・ポルトガ-

スタスタ……

商人「ちぇっ!ノリが悪いんですからっ」

戦士「冗談だっつーの!勇者と武道家は全く全くもうっ」 

魔法使い「でもなんだか、ひさびさにうみべにきた気がするよっ」

女勇者「ずっと内陸の方の陸路を旅していたからね」

遊び人「潮の香りがすごいね…………えへへ、なんだか鼻がくすぐったい」

商人「ふふふ!!貿易!!貿易!!」

僧侶「ふふふ、商人ちゃん?本来の目的、忘れたら駄目ですからね?」

商人「え?何ですっけ」

勇者「船だよっ」

商人「くふふ、冗談ですよっ」

盗賊「……テンション、高いね……」ナデナデ

武道家「どうする?先に宿屋に行く?それとも王様との謁見が先?」

勇者「うーん……そうだな……じゃあ先に宿をとっておこうか」

魔法使い「さんせーっ!」

女勇者「じゃ、宿に行こうか」

スタスタ……

女勇者「でも本当に綺麗な所だね……」

武道家「そうね。さすがは貿易の大国ってところかしら。平和そうだわ」

戦士「だなー。海があるとなんだかすっげー爽やかに見えるな」

勇者「あぁ、それはなんか分かるかもしれない」

ドンッ

勇者「あっ」

?「…………すまない」

勇者「いえ、こちらこそすみませんでした」


<おーい!勇者ー!早くー!


勇者「あ!待って!すぐ行く!」

タッタッタッタ……

?「…………」

ザッ

スタスタスタスタ

スタスタ……

スタ……

クルッ

?「…………」

ポルトガ兵「あぁ、見つけました!」

タッタッタッタ……

ポルトガ兵「王の護衛、お疲れ様でございます」

?「…………」

ポルトガ兵「……?」

?(…………勇者……?)


ポルトガ兵「どうかなさいましたか?ムオル勇者様」



ムオル勇者「……いや、何でもありません」


クルッ

スタスタ……

今日はおしまいです。
新キャララッシュですがこの章に直接関係する人は少ないです。多分。
このスレでも頑張りたいと思いますので、お付き合い頂けたら幸いです。

トリ忘れてた&一昨日は結局来れずにすみません!
この一ヶ月来れない理由を挙げますと色々あったんですが、主に前の会社との闘いと新しい就職活動、バンドのツアーライブに生活費のためのアルバイトなどが挙げられます。結局言い訳にしかならないんですが。

今日は用事が済み次第投下したいと思いますので、もし読んで頂けたら本当に幸いです。

-ポルトガ・宿・ロビー-

店主「はい。では9名様ですね。承りました」

勇者「どうもですー」

スタスタ……

勇者「ふう……皆ー。部屋とれたよー」

僧侶「ご苦労様ですっ」

武道家「なんだかすぐに予約できたわね」

魔法使い「やっぱりひろいからかな?」

戦士「かもなぁ。そもそもなんでこんなに広いんだ?」

商人「貿易が盛んだと外国からの来客が多いですからね。宿屋の需要が多いんです」

戦士「あぁ、そういう事なー」

遊び人「うーん」キョロキョロ

ザワザワ……

遊び人「…………確かにお客さんもいろんな国の人達がいるみたいだね」

勇者「本当だね。アリアハンの人達とかいるかな」

盗賊「……アリアハンは、田舎だから、どうだろうね……」

女勇者「それよりも、謁見だよ謁見。どうする?お義兄ちゃん」

勇者「うん、まだ日も高いし出来ることなら今日王様には会いたいんだよね」

勇者「……それに」チラ

商人「っ!っ!」キラキラ

勇者「…………なんかここにすっごいはしゃいでる子がいるし」

女勇者「この国は商人ちゃんにとっては天国みたいなものだからね。早く終わらせて貿易商の見学でもしたいんだろうね」

商人「な、なんですか!人を子供みたいに!!あほあほっ!!」ポカポカ

勇者「痛い痛い!!テンション高いな!!」

女勇者「ふふ、それじゃまずは謁見にしようか」

魔法使い「りょーかいだよっ!」

商人「マッハですっ!!」

盗賊「……落ち着いて……」

…………
……


――――――――――――

-ポルトガ城・門前-


勇者「え?今日は駄目なんですか?」

門兵「ええ。王様は首脳会議からたった今戻られ、お疲れです」

門兵「用があるのならまた明日来られるがよろしかろう」

勇者「はい、分かりました。失礼します」

クルッ

勇者「だってさ。今日は無理だ」

商人「じゃあ自由行動ですかっ!!そうなのですかっ!!!!」キラキラ

勇者「うん、夜には戻ってくるんだよ?」

商人「合点です!!行ってきます!!」タッタッタッタ……

一同「「「「いってらっしゃーい」」」」

スタスタ……

女勇者「さて……私達はどうしようね」

勇者「皆も今日は自由行動ね。イシスからの陸路はしばらく戦い詰めだったから各自息抜きでもしておいてよ」

武道家「ん、そうしましょっか」

女勇者「じゃ、一旦解散って事で」

勇者「よし、それじゃ夜には宿に集合で。それじゃね」

スタスタ…

女勇者「さて、私は宿に戻ってようかな。皆は?」

戦士「あー、どうしよっかな。アタシはそこらへんをブラブラしとこっかな」

遊び人「変なおじさんについて行っちゃ駄目だよ?」フフ

戦士「子供か!」

魔法使い「わたしもぶらぶらするっ!」

僧侶「私もお供しますです♪」

武道家「私もぶらつこうしら。せっかくの良い天気だし」

盗賊「私も……」

ワイワイ


スタスタ……

ムオル勇者「…………」

ムオル勇者(……少し目を離した隙にどこに行ったんだ……まぁそのうち戻ってくるだろう)

…………
……

-ポルトガ・街中-


スタスタ……

勇者「…………」

勇者(この間、イシス勇者くんと一緒にトレーニングしたけど……やっぱり僕の力不足を改めて痛感した)

勇者(…………強くなりたい)

勇者(早く街外れに行ってトレーニングしよう……頑張るぞ!)

勇者「…………よし!」

ザッ

?「ちょっとよろしいかしら?」

勇者「へっ?」クルッ

?「道を尋ねたいのですが、よろしくて?」

勇者「道、ですか?」

勇者(わぁ……なんだか凄く高貴そうな人だなぁ)

?「はい。ポルトガ城へ行きたいのですが、迷ってしまいまして」

勇者「えっと、ポルトガ城ならすぐそこですよ。案内しましょうか?」

?「あら、よろしいのですか?」

勇者「ええ、お安い御用ですよ。それじゃ着いて来てくださいね」

スタスタ……

?「申し訳ないですわね。貴方もどうやら急がれていたみたいですのに」

勇者「いえいえ。大した用事では無いのでお気になさらずに」

?「お優しいんですのね」

勇者「あはは、とんでもないです。困ったことがあればお互い様なので。お城に何か用事なんですか?」

?「ええ。待ち合わせをしているんですの」

勇者「そうなんですか」

勇者(王様に用事とかではないんだ。じゃあ謁見謝絶の件は言わなくても大丈夫か)

スタスタ……

?「しかし、自分の方向音痴具合にも呆れ果てますわ」

勇者「方向音痴、ですか?」

?「えぇ。地図を見ても道案内をされても中々目的地に辿り着けませんの」

勇者「はは、お気持ち分かりますよ。僕も以前はそうでしたから」

?「?以前?」

勇者「ちょっと前までは僕も相当な方向音痴でしたからね」

?「あら、今は違いますの?」

勇者「そうですね……今はもう、大丈夫です」

?「羨ましいですわ。どうすれば治りましたの?ご教授願いたいですわね」フフフ

勇者「え?うーん……そうですね…………」

勇者「…………」

勇者「……仲間と、いるから……ですかね」

?「…………仲間?」

勇者「えっと、僕は今旅をしてるんですが……仲間が多いんですよ」

勇者「それで、この仲間達が全員しっかり者でして……僕の立つ瀬が無いくらいなんです」

勇者「ですから、そんな仲間と旅してると……僕も、しっかりしなきゃ、僕にできる事をやらなきゃ、って思う様になりまして」

勇者「……そんなこんなで、色々と苦手なモノを治すようになりました」

?「…………なるほど、ですわね」

勇者「あはは、それでもまだまだ立つ瀬は無いんですけどね。皆に助けられてばっかりです」

?「ふふ、でも向上心があるのと無いのでは断然違うと思いますわよ?……って方向音痴の私が言っても説得力ありませんわね」

勇者「あははは!」

?「うふふふ」

キャッキャ



女勇者「」

女勇者「…………わ、わお」

女勇者(やどにもどるとちゅうにすごいものをみてしまったぞ)

女勇者「……さ、さて、早く宿で休むかな」

スタスタ

女勇者「…………」

女勇者(い、義妹認めないよ!!そんな爛れたお義兄ちゃん認めないよ!!)

勇者「そういえばポルトガは初めてなんですか?」

?「いえ、以前に何度か。貴方は?」

勇者「僕は初めてなんですよ」

?「あら、そうなんですの。どうです?お気に入りまして?」

勇者「はい。凄く綺麗なところですよね」

?「えぇ。港から見える水平線を眺めているだけで心が満たされますわ」

勇者「いいですね。それに潮の香りがする街っていうのもなんだか新鮮で。どんな料理があるのかも楽しみです」

?「そうですわね。ここの料理は―――――……」

グゥゥゥゥゥゥ……

勇者「…………」

?「…………」

ギュッ

?「……今、のは……ち、違うんですの……今朝から、仕事で、何も口にしておらず……」

勇者「…………ふふっ」

?「あっ!今笑いましたわね!!今笑いましたわね!!」

勇者「あはははっ……すみません、つい……あはは!」

?「酷いですわ!もう!」

勇者「はは……ごめんなさい。あの、提案してもいいですか?」

?「はい?」

勇者「笑ってしまったお詫びに――――……」

…………
……

-ポルトガ・街中-


スタスタ……


戦士「えへへ、なんか良いもんだな!海の匂いがするっていうのも」

僧侶「ですね!お天気も良いですし海がキラキラ光って綺麗です!」

武道家「うん。しばらく海は見てなかったから……余計に綺麗に見えるわね。ふふ」

盗賊「……アリアハンにいた頃も、そんなに、頻繁には行かなかったからね……」

戦士「だなぁ」

魔法使い「アリアハンだと、うみまでじかんかかったからねぇ」

盗賊「……けど、アリアハンの近くの海も、綺麗だったよ……」

武道家「皆で泳ぎに行ったりもしたわね……懐かしいわ」

戦士「あはは、懐かしいな!10人みんなで………………」

戦士「…………あ……」

武道家「…………」

盗賊「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

戦士「……ごめん」

武道家「……ううん」

盗賊「……謝る事、ないよ……」

魔法使い「あ、遊び人は……あれ?遊び人がいないね?」

僧侶「商人ちゃんが何しているのか見に行ってみるらしいですよ」

武道家「確かに商人のはしゃぎようは面白いからね」アハハ

盗賊「……かわいいよ……」

武道家「…………遊び人」

僧侶「え?」

武道家「遊び人、強いよね」

魔法使い「……そだね」

僧侶「…………あんな事があったのに……」

盗賊「……そうだね……あんなに、普通に過ごしてる……」

武道家「……まるで私達の方が……」

武道家「…………」

武道家「……でも、それを言えば……勇者も同じよね」

僧侶「……でも、二人とも……心の中では……」

魔法使い「……うん」

戦士「…………だな……」

武道家「……」

盗賊「…………」

スタスタ…

「あれ?皆、どうしたの?暗い顔して」

五人「「「「「!!!!!」」」」」ビクッ!!

遊び人「えっ!?なになに!?一斉にこっち見て!!」ビクッ!!

魔法使い「あ、遊び人!」

武道家「なんでもないわよ!ちょっと皆お腹空いててさ!」

遊び人「あ、みんなもお昼ごはん?ご一緒してもいいかな?」

僧侶「あれ?遊び人ちゃんもご飯食べてないんですか?」

遊び人「そうなのよ。商人を見学しに行ったんだけどさ――――……」


――――――――――――

-ポルトガ・港・魚市-


『さぁ!!こっちは100Gからだぁっ!!そっちの網は割増だぜぇ!!』

『っか――――!!この季節魚さっき来た時より札増しされてやがる!!まだ上がるか!!!!』

『見てよこの鱗!!こいつは引き締まってますよ!!さばくもよし、塩干しにするもよし!!』

『そっちの網はウチの依頼投げだろ!!早く寄越してくれ!!鮮度が落ちちまう!!』

『ほらほら!!この回遊魚はこの季節旬だよ!!』

ワーワー

商人『ほうほうほう!!』キラキラ

カキカキメモメモ

商人『成る程!!そういう制度があるんですね!!なるなる!!』キラキラ

遊び人『…………商人』

商人『そうですか、鮮度が落ち易い魚を売り捌くためには――――……!!』カキカキメモメモ

遊び人『商人ってばぁ』

商人『はいはいどうしました?』カキカキメモメモ

遊び人『お腹空いたよぉ。ご飯食べにいこ?』

商人『はいはい、もうすこしでおわりますから』カキカキメモメモ

遊び人『…………』

商人『ほー!!ほー!!』カキカキメモメモ

遊び人『…………』

商人『なーる!!』カキカキメモメモ

…………
……



――――――――――――


遊び人「……なので置いてきました」

戦士「賢明だな」

武道家「賢明ね」

僧侶「賢明です」

魔法使い「けんめいだね」

遊び人「結局皆はぶらぶらしてたんだ?勇者ちゃんは?」

戦士「さぁ。どっか行っちゃったよ」

魔法使い「ゆーしゃもごはんいっしょにたべたかったけどねぇ」

僧侶「ちょっと探してみますか?」

武道家「そうね。お店探してる途中に見つけたら連れて行きましょ」

盗賊「……そうだね……」

魔法使い「えへへ。ゆーしゃもいっしょかぁ」

僧侶「勇者くん、どこに行ったんでしょう……」

盗賊「……なんとか、探し出したいね……」

武道家「歩いてれば見つかるんじゃないかしら?」

戦士「…………」

魔法使い「さっ!いこーか!」

遊び人「そだねっ!皆何食べたい?」

僧侶「えっとですね!私は――――……」

ワイワイ

戦士「…………」

武道家「?どうしたの?行くわよ、戦士」

戦士「……んー……なぁなぁ」

武道家「?どうしたのってば」

戦士「…………最近お前ら、やけに勇者にべったりじゃないか?」

武道家「えっ!!」ドキッ

戦士「アタシの気のせいかな?」

武道家「や、やーね!戦士!私達は昔から勇者に世話焼いてばっかりじゃない!」

戦士「んー……まぁ、いいや」

武道家「そうよ!今はご飯にしましょ!」

スタスタ……

戦士「……むむぅ」

スタスタ……

遊び人「でもせっかく海辺にきてるんだからさ。何か海の幸食べたくない?」

魔法使い「だねぇ。わたしおさかなのきぶんだよ」

盗賊「……私も。どこか美味しい店、ないかな……」

僧侶「町の人に聴いてみますか?」

武道家「そうね。…………あの、すみませーん」

通りすがり「んぇ?はい?」

通りすがり(う、うわぁ……美人集団だ……)

僧侶「あの、この街でお魚料理が美味しいお店ってありませんか?」

通りすがり「魚料理?あぁ、それならあの角を曲がった所にある店が美味しいよ」

魔法使い「ほんとですか!?ありがとーございますっ」

武道家「じゃ、そこに行ってみましょうか」

戦士「あぁ、そうだな」

盗賊「……ありがとうございました……」

ゾロゾロ……

通りすがり「ふへぇ……役得役得」




ガヤガヤ……

遊び人「……むー」

魔法使い「んー……ゆーしゃ、いないねぇ」

僧侶「どこに行ったんでしょうか」

武道家「そんなに遠くには行ってないとは思うけど……」

盗賊「……どこか、お店の中に、いるのかも……」

遊び人「んん、そうかも。だとしたら見つけられないね」

戦士「まぁお腹空いたらあいつもひょっこり現れるだろ」

魔法使い「あははは!ちがいないねっ」

戦士「しかしさ」キョロキョロ

僧侶「どうしました?」

戦士「いや、なんつーか……左の方にある広場って」




男「でさー」イチャイチャ

女「きゃー!たっくんたらマジうけるー!」イチャイチャ


男2「アイラヴュー……」イチャイチャ

女2「ミートゥ……」イチャイチャ


男3「女3……」ウットリ

女3「男3……」ウットリ




戦士「……な、なんか……ああいうの多くないか……///」

魔法使い「は、はわわわ……///」

武道家「ほ、ほんとね……この広場……カップル多いわね」

盗賊「……わ、わお……」

遊び人「……す……凄い……///」ジッ……

僧侶「わわ……そ、そんなにくっついちゃ……!わわ!!///」カァァァ

盗賊「……わ……///……」

武道家「み、皆そんなにマジマジ見つめないの!!失礼でしょ!!///」ヒソヒソ

ガヤガヤ

僧侶「ひ、広場にも屋台があるんですね!いろいろ食べ物も売ってるみたいですよ!///」

盗賊「……でも、あそこも……」

遊び人「う、うん……カップル多いね……///」

戦士「な、なんなんだよここ……///」

魔法使い「えへへ……いわゆる、でーとすぽっとってやつ、なのかなぁ///」

魔法使い(……でーとすぽっと……かぁ)

魔法使い(…………でーと)

魔法使い(……………………でーと、かぁ……)

――――――――――――

-魔法使いさんの妄想-


魔法使い『もう……おそいなぁ……』ソワソワ

タッタッタッ

魔法使い『あ!』

勇者『おーい!魔法使い!』

魔法使い『ゆーしゃ!』

ザッ

勇者『……ハァハァ……遅れて本当にごめん、待った?』

魔法使い『んもー、おそいよっ!おばか!』プイッ

勇者『ごめんごめん。許してよ』

魔法使い『ふんっ!』プクー

勇者『うう……どうすれば許してくれる?』

魔法使い『…………て』

勇者『て?』

スッ

魔法使い『……て、つないだら……ゆるしてあげるっ』

勇者『…………ははは』

ギュッ

勇者『おやすい御用だよ。行こうか?魔法使い』

魔法使い『っ……えへへ!うんっ!///』

――――――――――――

魔法使い「…………えへへ///」

僧侶「デートスポット……ですか///」

僧侶(…………)

僧侶(も、もしも……)

僧侶(もしも勇者くんと……デ、デートなんてできたら……)

――――――――――――

-僧侶さんの妄想-


スタスタ……

勇者『潮風が気持ち良いね』

僧侶『そうですねっ……あ』

ピタッ……

勇者『……僧侶?』

僧侶『見てください勇者くん……夕日が凄く……綺麗ですよ』

勇者『……本当だね』

ザザァン……

僧侶『…………素敵ですね……』

勇者『…………僧侶』

僧侶『……勇者くん?』

勇者『……目』

僧侶『え……?』

スッ

僧侶『……あ……』

勇者『目……瞑って……』

僧侶『ゆ、勇者くん……』

僧侶『……』

僧侶『…………んっ……』

――――――――――――


僧侶(きゃあぁぁぁ!!私は!!私ったら何を!!だめです!!だめですー!!///)

武道家「で、デートねぇ。こんなに他のカップルもいるのによく来る気になるわね」

武道家(…………デート、か)

武道家(…………)

武道家(そういえば、この前一緒に歩いてた時気付いたけど……あいつ、昔より……背高くなってたわね……)

――――――――――――

-武道家さんの妄想-

スタスタ……

勇者『今日は楽しかったね』

武道家『……そうね』

勇者『……海って綺麗だねぇ。なんだか見てて凄く和むよ』

武道家『……』

勇者『……武道家?』

武道家『……なーに?』

勇者『なにを怒ってるの?』

武道家『……べーつに?』

勇者『…………武道家』

武道家『……だから何y』

チュッ

武道家『っ!!!?///』

勇者『はは……これが欲しかったの?自分からすればいいのに』

武道家『でっ、できるわけないでしょ!それに私からじゃ届かないのよっ!///』カァァァ

勇者『……ごめんごめん』

チュッ

武道家『んむっ!!?///』

勇者『じゃあ、僕が屈んで……武道家が降参するまで……してあげるね』

武道家『そ、そんな……わ、わたsんむぅっ!!///』

勇者『ぷはっ……武道家……んっ……』

武道家『んぁっ……ゆ、勇者……ぷふぁっ、あうっんむぅっ!?ん、んんっ!!ん……』

――――――――――――

武道家(なんて!!なーんてね!!!!ぎゃ――――!!何考えてんの私!!ぎゃ――――!!うわ――!!///)

盗賊「……綺麗な所だからね。カップルも、そりゃ、あつまるよね……」

盗賊「…………」

盗賊(……海辺で……デート……)

盗賊(……勇者と、デートなんてできたら……)


――――――――――――

-盗賊さんの妄想-


ザザァン……

盗賊『……あっ……ゆ、勇者……』

勇者『どうしたの?盗賊……』

盗賊『……だめ……!!こんなところで……』

勇者『何が駄目なの?言ってごらんよ』

盗賊『……そ、それは……んむっ!!……』

勇者『……ぷはっ……あはは、変な顔してるよ。盗賊』

盗賊『……も……もう許してぇ……』

勇者『ほら、次は何されたいの?言ってごらんよ』

盗賊『……やだぁ!こんなの、駄目だよっ!こんなの……』

勇者『何が駄目なの?ホラ、言ってよ』

グイッ

盗賊『……やぁっ!……』

勇者『ほら、言ってみなよってば』

盗賊『…………』

盗賊『……こ、こんな……誰か来ちゃうよ……』

勇者『…………』

盗賊『……だから……ね?もう……』

グイッ!!

盗賊『……あぁっ!……』

勇者『…………盗賊』

勇者『僕はもう、お前の弟分じゃないんだ』

盗賊『……ゆ、勇者……』

勇者『そして…………僕は男で、お前は女だ』

盗賊『……あ……』

勇者『…………盗賊っ!!』

ガバァッ!!

盗賊『……やあああっ!!だめ!!駄目えぇぇ!!……』

…………
……



――――――――――――

盗賊(……想像するだけ……するだけだから……///)モワモワ

遊び人「え、えへへ。なんだか私達まで恥ずかしくなっちゃうね///」

遊び人(デート!!!!)

遊び人(勇者ちゃんと!!海辺で!!!!)

遊び人(デート!!!!)

――――――――――――

-遊び人さんの妄想-


――――自主規制――――



遊び人「…………」ダラダラ

戦士「お、おい。鼻血凄いぞ遊び人大丈夫か」

遊び人「ふぁい」ダラダラ

戦士「だめそうだ」フキフキ

武道家「と、とにかく!早くお店に行きましょ!///」

僧侶「そ、そうですよね!///」

魔法使い「でも、あれだね!ゆーしゃいないね!///」

盗賊「……ゆ、勇者……///……あ、うん。い、いないね……」

戦士「あはは、この広場の中にいたらどうする?」

一同「「「「え?」」」」

戦士「うぇっ!?」ビクッ

僧侶「この中にって……もし女の人と一緒にいたらって事ですか?」

戦士「い、いや、冗談だって」

戦士(目、目こわっ!)

遊び人「あはは、それは無いって!あのヘタレちゃんだよ?」

魔法使い「はは、そうだねぇ。なんだかそうぞうできないよっ」

盗賊「……大丈夫、それはないよ……」

武道家「ふふ、あの勇者が女をナンパしてたら雨が降るわよ」

戦士「まぁ、そうだよな。心配すんなって僧侶!」

僧侶「し、心配してるってわけじゃ……」

魔法使い「でも、あの出店のたべものもおいしそうだねぇ」

武道家「そうね。もしこのカップルの大群がいなかったらここで食べても良かったんだけど」

遊び人「ここは流石に気まずすぎるもんね」

盗賊「……でも本当にいいにおいだね……」

僧侶「あ、ホラ!あれ見てください!焼き魚も売ってるみたいですよ!」

武道家「ああ、本当ね」

戦士「あー、あのカップルが美味そうに食べて歩いてるの見てたらこっちまで…………」




勇者「――――って事なんですかね」

?「うふふふ!面白い御方ね!」


戦士「腹が……えっ」

魔法使い「」

僧侶「」

盗賊「」

武道家「」

遊び人「」


勇者「なるほど、だから――――……」

?「そうですわ。ですから――――……」

キャッキャ


戦士「…………お、うおぉ?…………えぇ?」

戦士「な、なんだあれ…………どういう事だ」

戦士「…………」

戦士「…………みんな?」クルッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!


戦士「ひぃっ!!?」

魔法使い「…………ゆーしゃ……!!」プクゥゥゥゥゥゥゥ

僧侶「……勇者くん……」ニコニコニコニコ

盗賊「…………」ゴゴゴゴゴ

武道家「……ふ、ふふ……!!」ズズズズズズズズ!!

遊び人「…………あれぇ?おかしいなぁ。勇者ちゃんに凄く似てる人がいるね?どういう事だろうね?」ドドドドドドドドド

戦士「そ、そうだよ!多分あれは勇者に似てるだけの人だってば!!」


勇者「あれ?あ!おーい!みんなー!」

戦士(ばかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

スタスタ……

勇者「みんなここに居たんだね」

?「この方たちは?」

勇者「あぁ、僕の仲間達です」

?「へぇ……女性が多いんですのね」

魔法使い「ゆ、ゆーしゃ?」

勇者「へ?」

僧侶「そ、そちらは……ど、どなたですか……?」

武道家「な、なんで、焼き魚を一緒に、食べてるの?」

盗賊「……正直に……ね?……」

遊び人「勇者ちゃん?どういう事?ねぇどういう事?」

?(…………あら……これは…………)

勇者「あぁ、こちらは――――……」

?「私、この方に買われましたの」

戦士「えっ」

一同「「「「      」」」」

勇者「えぇっ!!?」

?「…………凄かった……」ウットリ

武道家「な、なななななな…………!!!!」

勇者「ちょ、ちょっと何を言って…………!!」

?「特に彼、キスが凄く上手いんですのね……ふふ、もう一度したくなってきましたわ」

戦士「え……キ……ゆ、勇者……?お前……え?なん……で……」

勇者「いや違っ!ちょっ……」

魔法使い「ゆーしゃ」

勇者「え?」

魔法使い「…………」

勇者「あ、あの、魔法使い、これはね?」

魔法使い「…………っ」ポロ

勇者「ヴぇ」

魔法使い「……っ……っ!」ポロポロ……

勇者「ま、魔法使い!!!?なんで泣くの!!!!」

魔法使い「ゆーしゃのぶぁかぁー……!!ぶぁかぁー……!!すけべぇ……!!うわあああん!!」ポロポロ

勇者「ま、魔法使い!!話を聞きなって!!」

僧侶「勇者くん」

勇者「そ、僧侶…………ひっ!!!?」

僧侶「…………懺悔、しなきゃですよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

勇者「ち、違う!!本当にそんな事してないよ!!」

盗賊「……縄……」

勇者「縄でなにするつもりさ!!!!だから本当にしてないってば!!」

遊び人「…………じゃあ、それは何かな」

勇者「え?それ?」

遊び人「その……襟の所の…………キスマークは……」

勇者「!!!!?な、なにこれ!!」

武道家「…………ゆうしゃぁ…………?」

勇者「違う!!本当に違うのです!!」

武道家「…………旅の途中に……何やってんのアンタはああああああああ!!!!!」ゴゴゴゴゴォッ!!

勇者「うわああああぁぁぁあぁ!!!!?」

?「うふふ、冗談ですわ」

ピタッ

武道家「え?」

?「ですからさっきのは冗談ですの。そのキスマークは先ほど貴女達が現れてから付けたものですわ」

魔法使い「ひぐっ……ほ、ほんと……?」

?「えぇ。女性のお連れが多い様だったのでからかってみただけです。本当は道案内を頼んでいたのですわ」

僧侶「ほ、本当ですか?勇者くん」

勇者「本当だよ。道案内の途中で小腹が空いたからここに立ち寄ったんだよ」

?「うふふ、まさかここまで引っ掛かるとは思いませんでした」

勇者「やめて下さいよ!!心臓に悪すぎます!!」

?「申し訳ありませんわね。うふふふ」

勇者「もう……」

ザッ

?「それでは、私はここでお別れさせていただきますわ」

勇者「え?まだお城には着いてないですけど……」

?「もう大丈夫です。あちらに見えてまいりましたし」

勇者「まぁ、確かにここからであれば近いので迷わずに行けると思います」

?「ふふ、ありがとうございました」

勇者「いえいえ。お役に立てたならば何よりです」

?「…………本当にお優しい方ですわね」

勇者「いえ、そんな――――……」

?「その優しさが命取りにならなければ良いのですがね」ボソッ

勇者「え?」

?「ふふ、いえ。独り言ですわ」

?「それでは、ごきげんよう。勇者さん。またお会いしましょう」

勇者「はい。さようなら」

スタスタ……

勇者「ふう……」

武道家「ゆ、勇者」

勇者「ん?何?武道家」

武道家「……また会いましょうってどういう事?」

勇者「え?」

魔法使い「ま、またあうやくそくとか……してるの?」

勇者「いや?全然してないけど。っていうかお互い名前すら教えあって無いよ。社交辞令みたいなものじゃないかな」アハハ

遊び人「……なら、いいけど」

戦士「それよりさ、勇者も一緒にご飯食べようぜ!美味い店があるらしいぞ!!」

魔法使い「あー!そうだよ!いっしょにたべよ!」

勇者「いや、僕はもういいかな。屋台で少し食べたし」

盗賊「……あ、そっか……」

勇者「それじゃ、僕も行くよ。皆また後でね!」

スタスタ……

僧侶「…………行っちゃいましたね」

武道家「……なんだか疲れちゃった……もう何よあの人。冗談でも性質が悪いわよ」

盗賊「……どうしようかと、思っちゃった……」

戦士「もういいじゃねーか。何も無かったんだから。それより早くご飯行こうぜ!」

魔法使い「そうだねぇ。もうおなかぺこぺこだよ」

遊び人「…………」

戦士「遊び人もいつまで難しい顔――――……」

遊び人「…………さっき勇者ちゃん、名前すら教えあってないって言ってたよね」

戦士「え?」

武道家「う、うん。そう言ってたけど……どうしたの?」

遊び人「…………よく思い出してよ。あの女の人の最後の言葉」

僧侶「?……………………あ!」

魔法使い「そ、そういえば!」



?『それでは、ごきげんよう。勇者さん』



盗賊「……名前、知ってた……」

武道家「そういえば……!」

遊び人「間違いない……!勇者ちゃんは嘘を……!!」

戦士「いや、お前ら思いっきり勇者の名前呼んでたじゃん」

一同「「「「あ」」」」

戦士「…………お前ら、少し落ち着け?な?」

遊び人「うぅ……戦士ちゃんに諭される日がくるとは……」

戦士「なんだとこのやろう」

武道家「…………と、とりあえず、店に行きましょうか」

魔法使い「なんだかほんとにつかれたよう……」

僧侶「ご飯を食べて元気を出しましょうか……」

ゾロゾロ……

戦士「全く…………」

戦士「…………」

戦士(…………あの女の手。戦いに慣れてる感じの手だった……)

戦士(それに、アタシ達に気付かれずに勇者の襟に悪戯を仕込んだなんて……アタシは全然気付けなかった)

戦士(…………何もんだ?あの女)

盗賊「……戦士ー。おいてくよー……」

戦士「あ、ああ!今行く!」

戦士「…………」

戦士(そういえば気にしなかったけど勇者はどこに行ったんだろう……)

戦士「…………ま、いっか!よし!まずはご飯だご飯!」

タッタッタッタ……

-ポルトガ城前-


ムオル勇者「…………」

スタスタ……

?「あら、お待たせしましたわね」

ムオル勇者「…………何をやっていた。ランシール勇者」

ランシール勇者「あら怖い。貴方が仰っていた方にお会いしに行っていただけですわ」

ムオル勇者「…………アリアハンの勇者か」

ランシール勇者「えぇ。貴方の考えは的中でした。彼は紛れも無いアリアハンの勇者です」

ムオル勇者「……そうか」

ランシール勇者「割と紳士的な方でしたわ。駄目駄目のヘタレさんでしたけれど」

ムオル勇者「…………」

ランシール勇者「……ムオル勇者」

ムオル勇者「なんだ」

ランシール勇者「彼に会いたいのでしょう?」

ムオル勇者「……どうかな」

ランシール勇者「会わないんですの?」

ムオル勇者「……」

ザッ

ムオル勇者「帰るぞ。次の仕事も残っている」

ランシール勇者「あら、つまらないですわね」

ムオル勇者「俺の事に首を突っ込むな。それより次の任務だ」

ランシール勇者「分かっていますわよ。彼女ならば街の外で待ち合わせですわ」

ムオル勇者「行くぞ」

ランシール勇者「はいはい。分かっていますと申していますの」

ランシール勇者(本当に嘘をつけない方ですわね……)

…………
……

-港の商店街-


ガヤガヤ……

商人「……――――って方法が最も効果的かと思いますよ!」

店主「おお!!そうか!成る程なぁ!ありがとう商人ちゃん!」

奥さん「商人ちゃん色んな商売方法知ってるねぇ。大助かりだよ」

商人「にへへ!私は見学させて貰ってるのでギブアンドテイクというwin-winの関係です!」

店主「大した娘さんだよ!美人だし商売もできるったぁ、うちのかみさんとは大違いだ!がははははは!!」

奥さん「ちょっとアンタ!!聞き捨てならないね!」

商人「あはははは!」

スタスタ……

隣店主「おっ!商人ちゃん!さっきはありがとうね!」

店主「おお!お前も商人ちゃんにアドバイスもらったか!」

隣店主「貰った貰った!この娘はたいしたもんだよ!」

商人「私なんてまだまだなのですよ!それより貿易のイロハを教えて頂いてこっちこそ感謝です!」

店主「いい子だねぇ、本当に」

隣店主「どうだい?もういっそこの街に住まないかい?」

商人「うーん、それもいいんですがねぇ」

奥さん「ちょっと無茶な事言って商人ちゃんを困らせるんじゃないよ!」

隣店主「へへへ、冗談さ」

店主「しかし商人ちゃんがここに居座ってくれたら盛り返しそうだなぁ」

隣店主「だなぁ。年々捌けなくなってるし……」

商人「?あまり芳しくないんですか?」

奥さん「そうだねぇ。昔に比べたら全然だよ」

商人「昔、ですか」

隣店主「あぁ。まだしばらく前は景気良かったんだけどな」

店主「あれ以来だなぁ。悪くなったの」

隣店主「だな」

商人「あれ……と言いますと」

隣店主「商人ちゃん知らないかい?……って言っても商人ちゃんはあの時はまだ子供だったか」

商人「?」

店主「四年前だよ四年前」

隣店主「“落日の七日間”だよ」

商人「…………っ!!」

店主「やっぱりアレを境に景気がガラッっと変わっちゃったからな」

隣店主「あれさえ無けりゃなぁ……」

商人「…………」

店主「?あれ?商人ちゃん?」

隣店主「どうした?なんだか元気が……」

商人「い、いえ、なんでも、ありませんよ!」

奥さん「ちょっと二人とも、女の子の前で出す話題じゃないよ!それに休憩は終わり!ビシバシ働きな!」

隣店主「あいあい。お前のかみさんは恐ろしいなあ」

店主「あぁ。魔物より恐ろしいや」

奥さん「聴こえてるよ!」

商人「あはははは!」

商人「…………」

商人(…………今更…………ですね)

奥さん「商人ちゃん、ちょっとこっちの事で相談したいんだけどね――…」

商人「あ!はい!今行きます!」

…………
……

-レストラン-

店主「ありがとうございましたー」

カランカラン

魔法使い「んーっ!おいしかったね!」

僧侶「やっぱり海辺だから取れたてのお魚なんですねぇ」

武道家「満足したわ。宿に帰りましょっか?」

盗賊「……そうだね。……あれ?……」

ピタ

魔法使い「?どうしたの?」

盗賊「……遊び人、戦士、どうかしたの?……」

遊び人「…………」

戦士「…………」

武道家「あらほんと。なんでそんな所で立ち止まってるのよ。早く行くわよ?」

魔法使い「女勇者がやどでまってるよ?」

遊び人「…………皆、ちょっと先に帰ってて」

ダッ

僧侶「えっ!?どこにいくんですか!?」

戦士「悪い!ちょっとアタシも行ってくる!すぐ帰るからさ!」

ダッ

武道家「ちょっと!戦士までどうしたのよ!」

タッタッタッタ……

盗賊「……行っちゃった……」

魔法使い「どうしちゃったんだろ……?」

武道家「はぁ……ま、晩ご飯までにはもどってくるでしょ。行きましょ」

僧侶「んー、そうですね……」

…………
……



……
…………

タッタッタッタ……

遊び人「はっ……はっ……!」

戦士「おーい!遊び人!」

遊び人「っ!戦士!」

戦士「なんだ?やっぱりお前も勇者の所に行くのか?」

遊び人「戦士も?……うん。私も」

戦士「どこにいるのか見等ついてるのか?」

遊び人「多分、だけど。勇者ちゃんは街の外にいると思う」

戦士「だよな」

遊び人「…………もしかして……戦士も思う所があった?」

戦士「あぁ……」

遊び人「…………そうだよね。あの女の人――――……」

戦士「勇者、多分鍛錬をしに行ったんだよな」

遊び人「え?えぁ?うん、た、多分」

戦士「…………じゃあ」

ニカッ!!

戦士「久しぶりに勇者の師匠を務めてやろうかと思ってな!最近手合わせしてなかったし!!」

ズザァァァァァァァ!!!!!

戦士「あ、遊び人!!?すっごい派手に転んだぞ!!?大丈夫か!!?」

遊び人「…………う、うん……大丈夫大丈夫」

戦士「お前も鍛錬手伝うの?」

遊び人「いや……なんていうか…………いや、いいです……」

戦士「?変な遊び人だな」

遊び人「戦士に言われたくないよ…………」

…………
……

-街の外・フィールド-

ザァンッ!!

魔物「ギアアアアアアアアアア!!!!」

ドシャァッ!!

勇者「……はぁ……はぁ!!」

勇者「…………くっ」

勇者(まだ全然駄目だ…………イシス勇者くんには遠く及ばない……!!)

勇者(くそっ…………!!)

勇者「…………」

勇者「……ふーっ…………」

ギュッ

勇者(……いや、イライラしちゃ駄目だ。欠点があるならそれを一つずつ直していけば良い)

勇者(…………僕がもう一人居ればなぁ……傍目から見た僕の動きを僕に教えられるのに)

勇者(……って現実逃避だな。これは)

勇者(でも…………今の僕は、どこが悪いんだろう……体力?筋力?体捌き?)

勇者(…………わからないや)

勇者(…………)

勇者(……こんな時)

勇者(こんな時…………あいつだったら……)


ズザッ


勇者「?」

勇者(あれ……人か。そっか、ここで訓練したら邪魔になるかな……)

スタスタ……



ムオル勇者「…………」


勇者「あ、すみません。今すぐにどきますので……」

ムオル勇者「……ここで何をしていた」

勇者「え?」

ムオル勇者「ここで、何をしていたんだ?……そう聞いている」

タッタッタッ

遊び人「はぁ!はぁっ!もうすぐ街の外だよ!」

戦士「分かってるよ!遊び人、なんでそんなに急いでるんだよ!?」

遊び人「んもー!!今はいいでしょ!!今は勇者ちゃんの所に行くのが先!!」

戦士「ちょっとくらい聞かせてくれてもいいじゃんかよ!」

遊び人「…………」

戦士「…………遊び人?」

遊び人「…………わかんない」

戦士「ん?」

遊び人「んもー!!とにかくなんだか嫌な予感がするのよ!」

戦士「うおっ!?そ、そうか」

ザッ

戦士「街は出たけど……勇者は……」キョロキョロ

遊び人「多分そう遠くには行ってないと…………ん?なんだかあそこ、人がいるような……」

戦士「あ、あれじゃないか?ホラ。行ってみようぜ!」

タッタッタッ

遊び人「…………」

戦士「…………あれ、違ったかな?なんだか勇者より大きいな」

遊び人「……………………っっ!!!!」

戦士「剣も抜いてるし…………」

戦士「…………おいおい」





ムオル勇者「…………いつまで倒れているつもりだ」

勇者「……かはっ……!!」ボロッ



遊び人「勇者ちゃん!!!!」

戦士「勇者に何してやがるんだお前ぇ!!!!」

ムオル勇者「…………ん?」

ズザァッ!!

遊び人「勇者ちゃん!!」

戦士「勇者!!」

ガシッ

勇者「……かはっ……ぐ……!!」

遊び人「よ、良かった……怪我は無いみたい……」

戦士「どこか打っただけか!?…………よ、良かった……」

ムオル勇者「…………お前達は……」


ゾクッ


ムオル勇者「っ」


戦士「…………おい、でかいの…………お前何してくれてんだ?」

戦士「勇者に何してくれてんだよ…………なぁ!!!!」

ムオル勇者「っ」

ザッ

戦士「おいおい、後ずさりしてんなよ……!!お前まさかこっから逃げられるとでも……」

バッ!!

戦士「思って……え?」

勇者「っ、せ、戦士…………かはっ!!違うんだ!!……おえふっ!!」

戦士「勇者!!」

遊び人「大丈夫なの!!?」

ムオル勇者「…………背中は大丈夫か?思わず思い切り投げてしまった。すまなかったな」

勇者「い、いえ!ごほっ!僕の方こそ未熟ですみません!!」

戦士「…………え?」

遊び人「どゆこと?」

勇者「げほっ!!げほっ!!…………あ、あのね?」


――――――――――――…………


遊び人・戦士「「本当にすみませんでした」」

ムオル勇者「別に、気にしていない。頭を上げてくれ」

遊び人「まさかトレーニングに付き合ってくれてただけだなんて……」

戦士「親切でやってもらってたのになんか本当にすんません…………」

ムオル勇者「別に良い。俺も今は待ち合わせをしていて暇を持て余していた所だったからな」

勇者「僕の体たらくに見かねて声を掛けてくれたんだよ。本当にありがとうございます、剣士さん」

ムオル勇者「そう気にするなと言っている」

勇者「えっと……それで、なんですけど」

ムオル勇者「なんだ」

勇者「あの、僕はまずどこから直すべきなんでしょうか」

ムオル勇者「…………」

勇者「…………っ」

ムオル勇者「……全てだ」

勇者「ひぎぃっ」グサァッ!!

ムオル勇者「スピードは平凡、パワーも平凡。対術の詰めが甘い。というよりスピードとパワーの欠如がそれらの詰めを駄目にしている」

ムオル勇者「剣術は形になりきっていないし、中途半端に剣筋が分かれている。思い切りも秀でた所も無い」

勇者「で、です、よね」カクカク

遊び人「もうやめて!勇者ちゃんのHPはもう0よ!」

ムオル勇者「…………総合して言えば、お前は弱い」

勇者「げふっ」ズギャンッ

遊び人(あ、逝った)

ムオル勇者「…………そんな所だ」

勇者「うぐぐ……ありがとうございました……」

ムオル勇者「…………」

勇者「…………?剣士さん?」

スタスタ……

グイッ

勇者「えっ?」

ムオル勇者「…………」

勇者「ちょ、ちょっと、どうしたんですか?」

遊び人(な、何?なんで勇者ちゃんの腕を掴んで勇者ちゃんを見つめてるの?)

戦士「お、おい。アンタ何を……」

ムオル勇者「…………お前、怪我か何かしているのか?」

勇者「え?」

ムオル勇者「足や肩……色々な場所に怪我か何かしているんじゃないか?」

ムオル勇者「体のどこかが重い怪我か何かで不自由になっているのではないか?」

勇者「…………?……い、いえ。特に」

ムオル勇者「…………本当か?」

勇者「…………は、はい」

ムオル勇者(……………………だとすると…………)

ムオル勇者(……いや、それでは説明できない事が多すぎる……しかし)

ガシッ

ムオル勇者「む?」

勇者「戦士?」

戦士「…………そろそろ勇者を掴むの、やめろよ」

勇者「ちょ、ちょっと戦士……」

ムオル勇者「いや、すまない」

スッ

ムオル勇者「俺の勘違いだったようだ。許してくれ」

勇者「そんな、僕らの方こそ失礼な事……戦士、ほら。謝らないと」

戦士「…………」

勇者「……戦士?」

<…………!……!

遊び人「あれ?あっちで誰かこっちにむかって何かを叫んでるよ」

ムオル勇者「む……俺の連れだ」

遊び人「あ、そうなんですか」

ムオル勇者「…………勇者」

勇者「はい?」

ムオル勇者「……もう一度言う。お前は弱い」

勇者「……は、はい……」

ムオル勇者「…………そんな事では、何も守れない」

勇者「…………え……」

ムオル勇者「心しておけ」

勇者「…………」

遊び人「ちょ、ちょっと」

戦士「おい…………」

スタスタ……

戦士「お前が勇者の何を――――……!!」

ヒュウウウウウ!!!!

「やああああ―――――!!」

勇者「へ」

ムオル勇者「む」

遊び人「はぇ?」

戦士「え?」

戦士(なんだ……?上から声が……)チラッ


「いやあああ―――――!!!!」


戦士・遊び人「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!?」」

戦士「な、なんだ!!?女の子が落ちてきてる!!?」

遊び人「ちょ、勇者ちゃん!そこ危ない!!」

勇者「え!!?ま、また!!?う、うおおおおおおおおおお!!!!?」

戦士「勇者ぁ!!!!」

勇者(や、やばい!避けられ…………!!)


ドッ!!


勇者「…………っ」

ムオル勇者「…………大丈夫か」

勇者「……え…………?」パチッ

ムオル勇者「……危ない所だった」

勇者「…………!!」

戦士「…………!」

遊び人「…………!!」

遊び人(あの高さから落ちて来た人間を片腕で受け止めた…………!!?)

勇者「あ、ありがとうございます!!」

ムオル勇者「いや、こちらこそすまない。コイツも俺の連れだ」

勇者「え?…………あ!!」

モゾ……

謎の少女「…………う……?」

勇者「今朝の女の子!!!!」

謎の少女「!!お日様の匂いする、おにーさん!!」

ムオル勇者「む…………面識があるのか?」

謎の少女「!!ムオルさんです!はい!ある、です!」

勇者「今日の今朝に――――……」

「あら、丁度今来たんですのね?さ、ムオル勇者。もう時間ですわよ」

勇者「え?」

戦士「!」

遊び人「!!あ、あなた!」

ザッ

ランシール勇者「あら、勇者さんにそのお仲間方、またお会いしましたわね」

勇者「どうしてここに……ムオル勇者さんのお知り合いなんですか?」

ムオル勇者「…………そんなところだ」

ランシール勇者「そしてそこのおチビちゃんともついでに知り合いですわ」

勇者「おチビちゃん?」

謎の少女「おチビ、違うです!もう、12歳なるました!」

ランシール勇者「ふふ、それはまだおチビちゃんなんですわよ」

ナデ……

ランシール勇者「スー勇者は本当に可愛いですわね」

スー勇者「意地悪、よくないです!」

ムオル勇者「もう三人揃ったんだ。そろそろ行くぞ」

ランシール勇者「そうですわね」

スー勇者「わかったです!」

ザッ

遊び人「……ちょっと待ちなさいよ!」

勇者「あ、遊び人!?」

ピタ

ムオル勇者「何だ」

遊び人「……あんたたち、一体何なのよ」

戦士「…………」

ランシール勇者「何なのよ、と申されましてもねぇ」

遊び人「とぼけないでよ……何の目的で勇者ちゃんに接触したの?」

遊び人「明らかにおかしいわ。あんたたちの現れるタイミング。まるで勇者ちゃんを品定めしに来たみたい」

ムオル勇者「…………」

ランシール勇者「ふふ、ただの偶然ですわ」

遊び人「…………あんたたち…………」

ランシール勇者「なんですの?私達は急いでいますので――――……」

遊び人「あんたたち、国連認定の勇者でしょ」

三人「「「!!!!」」」

勇者「え!?」

ランシール勇者「…………なぜそのような事を?」

遊び人「王が首脳会議から帰還、閉鎖している城で待ち合わせ、そして12歳でルーラが使えるようなエリートを引き連れてる」

遊び人「そこの二人は相当な手練れみたいだし、皆外見とか喋り方から察するにどうやらバラバラの国籍…………これだけ条件が揃えば60%あんたたちが勇者だって分かるわ」

ムオル勇者「…………」

遊び人「大方、ポルトガ王の護衛の任に就いていたんでしょうね。これから別の首脳の護衛かしら?それとも終了報告にでも行くの?」

スー勇者「??え、なにですか?どうしたですか?」

遊び人「…………別にそれはどうでもいいの。あんたたちが何だっていいわ」

遊び人「肝心なのはなんで勇者ちゃんに接触したのかって事よ。三人が三人、いえ、その小さい子は偶然みたいだけどね」

スー勇者「?」

勇者「ほ、本当なの?」

遊び人「多分、だけどね。でも勇者ちゃんに接触してきたのは事実」

ランシール勇者「…………ふふ、なかなか勘が良いですわね」

ザッ

ランシール勇者「お察しの通り、私達は国連認定の勇者ですわ」

勇者「!!」

戦士「!!」

ムオル勇者「おい、あまりそういう事は」

ランシール勇者「いいではないですの。どうせいずれバレてしまう事ですわ」

遊び人「…………勇者ちゃんに何の用なの……!!」

ランシール勇者「…………貴女、その怯え様…………」

ランシール勇者「…………ふふ……やましい事でもあるのかしら?」

遊び人「!!!!」

戦士「…………お前らっ…………!!」

勇者「ちょ、ちょっと二人とも!!」

ザッ

ランシール勇者「ふふ、冗談ですわ。ご安心くださいな。今は何もするつもりはありませんわ」

スタスタ……

ランシール勇者「…………“今は”…………ね」

スー勇者「??なにが、どうなるた、です?」

ランシール勇者「いえ、貴女は気にしなくていい事ですわ」

ナデナデ

スー勇者「???」

ランシール勇者「さ、行きましょう」

ムオル勇者「…………少し待ってくれ」

ランシール勇者「?どうしたんです?」

クルッ

ムオル勇者「…………勇者」

勇者「……は……はい……?」

ムオル勇者「…………そして、そこの女」

戦士「?アタシか?」

ムオル勇者「…………」

ムオル勇者「…………」

戦士「何だよ?」

ムオル勇者「…………」


ムオル勇者「…………ポカパマズ……」


勇者・戦士「「へ?」」

ムオル勇者「…………いや」

クルッ

ムオル勇者「……すまない、何でもない」スタスタ……

ランシール勇者「もういいんですの?それじゃ行きましょうか」

遊び人「ちょっと待ってよ!」

ランシール勇者「…………」

遊び人「話はまだ終わって――――……」スタスタ……

ランシール勇者「貴女、勘違いされている様ですわね」

遊び人「!!?」ピタッ

ランシール勇者「…………今は、『見逃してやる』んですの」

遊び人「っ!!」

戦士「……!!」

勇者「…………」

ランシール勇者「まぁ、私個人乗り気でも無いですし。それに――――……勇者さん?」

勇者「…………何でしょう」

ランシール勇者「…………」

サッ

ランシール勇者「貴方にご馳走して頂いた魚、美味しかったです」

ニコッ

ランシール勇者「ありがとう」

勇者「…………!」

遊び人「!!ちょっと!!待っ――――……」

ゴォッ!!



ランシール勇者「ルーラ!!」



…………
……

――――――――――――

-街中-


スタスタ……

勇者「…………」



遊び人「…………」

戦士「…………」



勇者「…………」

勇者(…………き、気まずい)

勇者「あ、遊び人?そういえばさ――――……」

遊び人「ごめん勇者ちゃん。ちょっと今考え事してるから……」

勇者「はい。すみません」

遊び人「…………」

遊び人(あいつら……一体……)

遊び人(…………もしかすると……ううん。ほぼ100%……)

遊び人(…………)

遊び人(……させない)

遊び人(そんな事、私が絶対させない)

勇者「…………」

勇者「あ、せ、戦士?あのさ……」

戦士「…………なんだよ?」ムスッ

勇者「…………い、いや、なんでもないです」

勇者(…………なんか怒ってる……)

戦士「…………勇者さぁ」

勇者「え?」

戦士「…………」

戦士「…………やっぱりなんでもない」

勇者「え?そ、そう?」

戦士「…………ふん」

戦士(…………)

戦士(…………勇者の馬鹿……)

スタスタ……

…………
……

-宿・食堂-


ガヤガヤ……

女勇者「…………」

カリカリ

女勇者「…………ふぅ」

女勇者(街の人から聞いた話をまとめてみたけど……やっぱり船が必要になりそうだね)

ガチャッ

女勇者「ん」

ゾロゾロ……

武道家「あれ、女勇者ここに居たんだ?」

魔法使い「あれ?ゆーしゃたちはまだもどってきてないの?」

女勇者「みんなおかえり。お義兄ちゃんはまだだよ。商人ちゃんはさっき戻ってきて部屋に一旦戻ってる」

盗賊「……商人、どうだった?……」

女勇者「すっごい良い笑顔だったよ」

僧侶「あはは、満喫したみたいですね」

ガチャッ

女勇者「あ、お義兄ちゃん、戦士ちゃん、遊び人ちゃん。おかえ……」


遊び人「…………」

戦士「…………ただいむぁ」ムスゥ

勇者「た、ただいま」

武道家「…………ちょっとアンタ達どうしたの?やたらテンション低いじゃない」

戦士「ふーんだっ!なんでもねーよ!一回部屋に戻ってくる!」

スタスタ……

僧侶「…………戦士ちゃん、どうしたんですか?」

魔法使い「ゆーしゃ、なにがあったの?」

勇者「えっとね…………とりあえず晩ご飯でも食べながら説明するよ」アハハ

…………
……



……
…………


盗賊「……そんな事が……」

商人「気になりますね……」

遊び人「うん。あいつら凄い手練れだった。皆一応用心しといて」

女勇者「そうだね。ま、私達が変な行動に出なければ向こうもこちらに何かしてくるって事は無いんじゃないかな」

勇者「だね。一応心の隅に置いておいてよ」

武道家「…………そうね。さ、ご飯食べましょ。冷めちゃうわ」

女勇者「まだ戦士ちゃん来てないけど…………どうしよう」

遊び人「あれ?本当だ」

商人「さっきすれ違った時『先に食べててくれ』って言ってましたよ」

武道家「ん、じゃお言葉に甘えましょっか」

女勇者「うん。それじゃ、いただきまーす」

商人「あー今日は疲れてたんで凄くお腹減ってます!」

盗賊「……ゆっくり、食べなよ……」

ワイワイ

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

武道家「…………二人とも、早く食べなさい」

魔法使い「……う、うん」

僧侶「…………はい」

武道家「…………大丈夫よ」ボソ

武道家「心配しなくても大丈夫。私達約束したじゃない」

魔法使い「…………うん。そうだね」

僧侶「……ですね。あはは」

武道家「早く食べないと商人が全部たべちゃうわよ?」

魔法使い「あー!商人たべすぎだよっ!戦士のも残しておかないと!」

商人「まふふ!」モグモグ

僧侶「あははは、落ち着いてください!」

武道家「あはははは!」

武道家「はは…………」

武道家「……」

勇者「…………」

ガタッ

勇者「……」スタスタ……

女勇者「…………っ、お義兄ちゃん!」

勇者「へ?」ピタッ

女勇者「ど、何処に行くんだい?」

商人「…………勇くん」

盗賊「……勇者……」

勇者「どこって、あの」

勇者「…………言い難いよ」

魔法使い「だめだよ!ゆーしゃ!」

僧侶「そんなに思いつめちゃ……!」

勇者「え?思いつめ……?いや、あの」

武道家「…………勇者……」

勇者「…………いや…………」

モジッ

勇者「ト、トイレに行くだけなんだけど…………」

一同「「「「」」」」

勇者「食事中だから言い難いってば……皆何を勘違いしてたんだよ」

女勇者「あ!あー!トイレね!うん!知ってた!私知ってたよ!」

商人「いってらっしゃい!トイレにいっトイレ!」

盗賊「……そのギャグは無い……」

勇者「あはは、ちょっと行ってくるね」

スタスタ……

一同「「「「…………」」」」

魔法使い「…………みんなもしっかり」

僧侶「心配しちゃってるじゃないですか……」

武道家「…………面目ない……」

スタスタ……

勇者「…………はぁ」

勇者(しっかり心配されちゃってるなぁ……有難い事だけどね)

勇者(でも……)

勇者(…………)

勇者(いや、今は考えない方がいい)

勇者(全部を清算するのは…………全部終わった後でもいいんだ)

勇者「…………」

勇者(今僕にできるのは、変わらずに旅を続ける事だけなんだ――――……)

ドン!

「わわっ!!?」

勇者「うわっ!?」

ドサッ

「い、いてて……」

勇者「す、すみません!!大丈夫ですか!?」

「どこ見て歩いてるっすか!おにーさんの目は節穴っすか!」

勇者「ご、ごめんなさい!立てます?」

スッ

「つつつ……全く!せっかくの酔いが冷めちゃったっす!!」ムクッ

勇者「本当にすみません……。ちょっと考え事してて……」

「このお詫びは……そうっすね…………おにーさん!」

勇者「はい?」

「それじゃあ…………」

…………

…………

「と、言うわけで!おにーさんのお連れの皆さん!よろしくっす!」

女勇者「…………へ」

魔法使い「どゆこと?」

武道家「っていうかどなた?」

盗賊「……縄……」

勇者「はいちょっと待った盗賊!!縄をしまえ!!」

「そういえば名乗ってなかったすね!わたしは船乗り娘って言うっす!」

僧侶「どうも、よろしくです……」

勇者「ちょっとそこで僕が迷惑かけちゃってね…………少しお酒を奢る事に……」

商人「何やってんですか勇くんは……」

船乗り娘「というわけで呑むっすよ!勇者くんとやら!!」

勇者「え?ちょっと待って下さいよ、僕は奢るだけじゃ…………」

船乗り娘「なーに湿気た事言ってんすか!勇者くんも呑むに決まってるじゃないっすか!」

勇者「いやいや決まって無いですよ!!ってか今更ですけど船乗り娘さん何歳なんですか!!」

船乗り娘「15才っす!!」

遊び人「あ、同い年だ」

女勇者「だね」

勇者「って年下!!?15ってまだギリギリお酒飲めない歳じゃないですか!!!!」

船乗り娘「ポルトガは酒令制限はないんすよ?」

勇者「え?そうなの?」

船乗り娘「というわけで呑むっす!!奢りは別に良いから呑むっす!!酒に付き合えっす!!」

勇者「そっちが真の目的か!!」

勇者「い、いや、でもさ。僕明日とか王様に謁見するし体調とか……ね?」

勇者「だから飲むのは良くないっていうか……ねぇ?みんな……」チラッ

一同「「「「…………」」」」

勇者「…………みんな?」

魔法使い(おさけをのんだゆーしゃ……ちょっとみてみたい、かも)

僧侶(そういえば前に盗賊ちゃんが……)

武道家(お酒に酔った勇者が甘えん坊になったって言ってたわね……)

遊び人(酔っ払った勇者ちゃん…………甘えん坊の勇者ちゃん……!!)ムラムラ

盗賊(……あの感動をもう一度味わえるのかな……)

勇者「ね?やっぱりお酒は駄目だよね!だから――――……」

一同「「「「いや、別に良いと思います」」」」

勇者「えっ」

船乗り娘「皆さん話が分かる人達で良かったっす!さ!飲むっすよ!!」

勇者「ちょ、ちょっと皆っ」

魔法使い「ねぇ……ほら……いきぬきとかも……ひつようだよ……?」

僧侶「遠慮せずに……ね?」

勇者「なんか凄い悪い顔してはる!!」

武道家「しょ、しょうがないわねー。息抜きならしょうがないわー」

盗賊「……介抱なら、任せて……」

勇者「いや、息抜きにならないって!!しょうがなくないって!!」

商人「ぶっ潰れるまで飲んでみて下さいよ。なんかそっちの方が面白そうです」

遊び人「いいから飲みなさいよ。ってか呑め」

勇者「怖いよ!!」

勇者(だ、駄目だ。皆なぜか僕に呑ませるムードになってる……!!)

勇者「そ、そうだ!!女勇者!!女勇者は反対だよね!!」クルッ

女勇者「…………」

勇者「…………」

女勇者「…………」

勇者「…………お、女勇者?」

女勇者「…………」

ニコッ



女勇者「GO」


勇者「」

ガシッ!!

船乗り娘「ささ、皆さんの承諾を得られたんで飲みましょっす!!!!」

勇者「女勇者あああああ!!!!なんでっ女勇者ああああああぁぁぁぁもごおっおおぽぉぉぉぉ!!!!?」ゴポゴポ

<もごぉぉぉぉお……

女勇者「…………だって……」

女勇者(甘えん坊のお義兄ちゃん…………)

ギリッ!!

女勇者(そんなレア義兄!!見てみたいに決まってるじゃないかっ!!!!)

…………
……

-戦士の部屋-


戦士「…………」

ゴロン

戦士「…………はぁ」

戦士(なーに考えてんだアタシ。ガキじゃあるまいし……)

戦士「…………よし!!」

ムクッ!

戦士「やめやめ!悩むのやめ!アタシらしくない!」

戦士(よーし!鬱憤を晴らすために今日は勇者と久しぶりに馬鹿騒ぎしてやろう!)

ガチャッ!

スタスタ……

戦士「ふんふふーん♪腹も減ったなー」

戦士(そうだ、久しぶりに勇者と早食い競争でもしてみるかな!!)

戦士「にへへ!早く行こうっ!」

タッタッタッタ……

――――――――――――

-食堂-

ガヤガヤ……ワーワー!!

戦士「ん?」

戦士(なんだ?なんか食堂が騒がしいな……なんかあったのか?)

ヒョイッ

戦士「おいー……っす……」

戦士(…………)



勇者「ちょっとやめてよー!!もう本当に呑めないってばぁ!!///ヒック!!」

船乗り娘「何を軟弱な事抜かしてるんすか!!これからっすこれから!!!!」




戦士「…………」

戦士「…………」

戦士「………………」

勇者「……!……」

船乗り娘「……!!…………!!」

戦士「…………」

戦士(すっげー……楽しそうに笑ってるな……)



魔法使い「あ!戦士だ!」

商人「本当ですね。おーい!戦士ちゃーん!」

僧侶「こっちですよー!」

武道家「遅いわよ!アンタ一体何を……」

戦士「…………」

スッ

盗賊「……あれ……」

スタスタ……

遊び人「帰っちゃったね……」

僧侶「どうしたんでしょうか?」

武道家「さぁ……」

商人「大方食い気より眠気が勝ったんじゃないですかね」

魔法使い「そーかなぁ」

女勇者「わわわわ……お義兄ちゃんの顔色が凄い事に……!!」ドキドキ

…………
……



……
…………

-勇者の部屋-

ガチャッ

勇者「う、うぅうぅぅうぅぅうぅ…………」

盗賊「……勇者、大丈夫?……」

魔法使い「盗賊、べっどのほうにゆーしゃをはこんでおいて。わたしはおみずをくむね」

盗賊「……お願い……」

ドサッ

勇者「うぅぅ……おねーちゃん…………」グムム

盗賊「……うふふ、はいはい。ここにちゃんと居るからね……」

ナデナデ

勇者「んへへ…………」

魔法使い「…………すばらしいね///」

盗賊「……素晴らしいでしょ……///」

コトッ

魔法使い「ゆーしゃ、まくらもとの机におみず置いておくからね?」

勇者「んむむ」

盗賊「……仰向けで寝ない様にして、と……」ゴソゴソ

盗賊「……それじゃ、私達も寝ようか……」

魔法使い「うん!そーだね!」

スタスタ……

魔法使い「ゆーしゃ、おやすみっ」

盗賊「……おやすみ、勇者……」

勇者「はひ」

バタン……

勇者「……うぅ……うふぅぅぅぅ」

勇者「うう……うぇ」

勇者「うぅぅ……ぬあ…………」

勇者「ぬ……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「…………ぐぅ」zzz



……
…………


勇者「……すぅ……すぅ」zzz

勇者「……んむ……すぅ」zzz

……

ガチャッ……

パタン……

ギシッ……ギシッ……

勇者「ん…………すぅ……」zzz

ギシッ……ギシッ……

ピタ……



戦士「…………」



勇者「んご……んむ……」zzz

勇者「…………すぅ……すぅ」zzz

戦士「…………」

戦士(ぐっすり寝てるな)

戦士「…………」

ギシッ……

戦士「…………おじゃまするぞー……」

ギシッ……ノソッ

モゾモゾ

戦士「よいしょっと……」モゾッ

勇者「なふ…………」zzz

戦士「…………うえっ、勇者お酒臭い」

勇者「すぅ……すぅ……」zzz

戦士「…………」

戦士(…………こうやって一緒に寝るのも久しぶりだな)

勇者「すぅ……すぅ……」zzz

戦士「…………」

戦士「…………」

戦士「…………」


――――――――――――

戦士『…………最近お前ら、やけに勇者にべったりじゃないか?』

武道家『や、やーね!戦士!私達は昔から勇者に世話焼いてばっかりじゃない!』

――――――――――――


戦士(馬鹿のアタシでも、最近皆がべったりだっていうのは分かるぞ)


――――――――――――

勇者『僕の体たらくに見かねて声を掛けてくれたんだよ。本当にありがとうございます、剣士さん』

――――――――――――


戦士(……何で師匠のアタシに頼らないで、あんな得体の知れない奴に頼るんだよ)


――――――――――――

勇者『ちょっとやめてよー!!もう本当に呑めないってばぁ!!///ヒック!!』

船乗り娘『何を軟弱な事抜かしてるんすか!!これからっすこれから!!!!』

――――――――――――


戦士(……………………なんなんだよ……)

戦士(なんなんだよ…………勇者も、皆も…………)

戦士「…………」

戦士「…………」

戦士(一番最初は…………一番最初に仲良くなったのは……)

勇者「すぅ……すぅ……」zzz

戦士「…………」

モゾッ


ギュゥッ


勇者「んむっ……すぅ……」zzz

戦士「…………」

戦士「……勇者は……」ボソ

ギュウゥ



戦士「…………勇者は……アタシの幼馴染なんだぞ……!」ムスッ

今日はおしまいです
本当にすみません。これからできるだけ投下していくようにしたいと思います。
お付き合い頂けたら幸いです。すみません。

絵は要らないなー。
文章から自分の脳内に絵を作った方が楽しいし、他人のイメージとか見たくない。

投下できずに本当にすまぬ…(´;ω;`)
ちょっと本格的に忙しいんだです

>>213
やっぱりそう思う人もいますよねぇ
でも申し訳無いんですが描かせていただけないでしょうか
これ自分へのご褒美みたいなものなんです…すまぬ。それにほーんの少し物語に関わったりするんで。
やっぱり無理でしたら絵はスルーして頂ければ幸いです

明日には投下できるといいなぁ…できるかなぁ…

本当にごめんなさいもうちょっと待って……

キタ━(゚∀゚)━!

>>247
はやいwwwwいやごめん今日もちょっと投下できないですごめん
書き溜めもないし仕事もバンドもあるしで。本当にごめんなさい

――――――――――――

-朝・食堂-

スタスタ……

魔法使い「おはよー」

武道家「おはよう、魔法使い」

商人「おはようです」

女勇者「おはよう魔法使いちゃん。昨日はお義兄ちゃんを運んでくれてありがとうね」

魔法使い「えへへっ!かまわんよ!……あれ?」

僧侶「どうしたんですか?」

魔法使い「ゆーしゃは?」

盗賊「……あれ、魔法使いも、見てない?……」

遊び人「昨日はしこたま呑んでたからねー。しばらく起きてこないんじゃないかな」

武道家「でも寝ながら嘔吐とかしてないか心配ね」

魔法使い「うーん……いちおう対策はしたからだいじょーぶだとおもうけど……」

遊び人「起こしてこようか。ちょっと心配だし」ガタ

魔法使い「そうだねぇ」

僧侶「私も行きますね」ガタ

商人「いってらっしゃいですー。あのアホを早く叩き起こしてきてください」

魔法使い「おうともよ!」

遊び人「ちょっと行って来るねー」

スタスタ……

商人「全く勇くんはほんとにダメダメですね!」

武道家「昨日が昨日だったからね。仕方ないわ」

盗賊「……あ……」

女勇者「ん?どうしたんだい?」

盗賊「……戦士も起こしてきてもらったほうが良かったかな……」

武道家「大丈夫なんじゃない?戦士はしばらくしたら起きてくるでしょ」

商人「下手に起こしたら蹴りを入れられますからね」

スタスタ……

遊び人「戦士も起きてないね」

魔法使い「戦士はおこしたらけられるから放っておこう」

僧侶「蹴りは嫌です」

遊び人「でも勇者ちゃん起きてるかな?」

魔法使い「うーん、どうだろうね。目が覚めてても起き上がれないじょーたいかも」

僧侶「ふふ、昨日は凄く飲んでましたからね」

――――――――――――


勇者『うぅ……きもちわるひ……ヒック』

遊び人『勇者ちゃん、大丈夫?』

勇者『んあぁ?遊び人だぁ』

ダキッ

遊び人『What?』

勇者『遊び人はいいこだねぇ』ニヘヘ

ナデナデ

遊び人『What's going on?』

――――――――――――


遊び人「…………素敵だった……///」

魔法使い「…………かわいかった……///」

僧侶「…………全面同意です……///」

ザッ

遊び人「あ、ここだったよね。勇者ちゃんの部屋」

魔法使い「そだね。おーい」

コンコン

シーン……

魔法使い「…………ゆーしゃ、おきてるー?」

僧侶「返事が無いですね」

遊び人「やっぱりまだ寝てるんだね」

僧侶「入ってみましょうか…………鍵は……」

ガチャッ

遊び人「ん、開いてるみたいだね」

キィィ……

遊び人「ちょっと!勇者ちゃんいつまで寝てるの!!いい加減に……」

遊び人「…………」

遊び人「What's going on?」

魔法使い「? どうしたの遊び人、いきなりたちどまったりなんか……」ピタ

僧侶「? どうしたんですか二人とm…………」ピタ



勇者「むにゃ……ぷふ」zzz

戦士「んっ……すぅ……」zzz



三人「「「  」」」


魔法使い「な、なな、なななな……!!」

僧侶「なんで戦士ちゃんがここに……!!」

遊び人「そして……!!」

ツカツカツカ

ガシッ!!

遊び人「なんでっ!!」

ガバァッ!!!!

遊び人「一緒に寝てるのよ!!!!戦士ぃ!!!!」

戦士「ん……」

遊び人「戦士!!起きなさい!!」

戦士「ん……んー……?なんだよぉ……ふとん返してよぉ……」ムゥゥ

遊び人「起きなさいってば!!なんでここに寝てるのよ!!」

戦士「……眠いから……だよ………………すぅ……」

遊び人「二度寝すんな!!」ペシッ!!

戦士「あたっ………………なんだよ……うるさいなぁ……」ムクリ

遊び人「目は覚めた!!?じゃあ質問を繰り返すわよ!!!!」

戦士「なんだよ朝っぱらから……」

遊び人「なんで戦士がそこで寝てるのよ!!」

戦士「え?何がぁ?」ゴシゴシ

遊び人「なんで勇者ちゃんの隣で寝てるのって聞いてるの!!」

戦士「へ?」

勇者「くぅ……くぅ……」zzz

戦士「…………あー」ボリボリ

遊び人「あーじゃないわよ!!」

僧侶「ど、ど、どうして一緒に寝てるんですか?戦士ちゃん?」

魔法使い「ゆゆゆゆーしゃになんのようじだったの?そそ、それとも、ねぼけてたの?」

戦士「へへ、なんか久々に良いかなって思ってさー」ニヘヘ

遊び人「久々に良いかなって……!何が良いのよ!」

戦士「なんだよー。なんでそんなに怒ってるんだよ」

遊び人「そりゃ怒るわ!」

魔法使い「あ、あのね。戦士。もうゆーしゃもこどもじゃないんだし……」

僧侶「ふ、ふふ二人で一緒に寝るのは、もうやめた方がいいですよ?」

戦士「えー、別にいいじゃんかよー!昔はよく一緒に寝てたんだからさ」

遊び人「昔は、でしょ!!もうアンタいい歳してるじゃない!!」

戦士「大丈夫だって!だいだいなんで駄目なんだよー!」

遊び人「だからっ!!アンタらは若い男女でしょうが!!駄目に決まってるじゃない!!」

戦士「……うー……わかったよ」

戦士「…………なんだよ……皆して……」ブツブツ

遊び人「なんか言った!?」キッ!

戦士「はいはい何も言ってませんよーだ」

遊び人「もうっ!!ホラ!!勇者ちゃんも早く起きなさい!!」

勇者「ん……うぇ……」ムニャ

僧侶「勇者くん、もう朝ですよ」

魔法使い「もー、王様のところにいくんでしょ?おきなよー」

戦士「おい、勇者ー起きろってさー」

勇者「ん…………」

戦士「…………おい勇者って」

勇者(んん……?もう朝……?)

勇者「んー……」ムクッ

戦士「ば」

ムニュッ

遊び人「」

魔法使い「」

僧侶「」


勇者「もご?」


戦士「」

勇者(あれ?まだ夜?まっくらで何も見えない)

勇者「もご、もご」

戦士「……」

戦士「…………」

戦士「………………~~~~~っ!!!!///」



ドゴォッ



――――――――――――

――食堂――


商人「…………その顔どうしたんですか勇くん……」

勇者「…………二日酔いかな」ボロッ

女勇者「外傷まで負う二日酔いなんて聞いた事ないよ……」

戦士「ほ、ほんとうにごめんな?大丈夫か?」オロオロ

勇者「ははは、大丈夫だってば」

カチャカチャ

女勇者「お義兄ちゃん、朝食が済んだらすぐ王様に会いに行こうか」

勇者「そうだね。もう流石にお城も開放されてると思うし」

武道家「一日足止めされちゃったわね……」

商人「私は有意義な時間が過ごせたので文句ないですよ!」

武道家「そりゃアンタはね……」

スタスタ……

魔法使い「おやや」

僧侶「?どうしたんですか魔法使いちゃん……あ」

船乗り娘「…………おはよう、ございますぅ……」ゲッソリ

女勇者「船乗り娘ちゃんじゃないか」

勇者「おはよう。昨日はどうもね」

船乗り娘「いやいや私こそ…………うぅ……完璧に二日酔いっす……」

盗賊「……あれだけ、飲めばね……。ミントのお茶、飲む?淹れるよ?……」

遊び人「今からごはん?じゃあ一緒に座って盗賊のお茶でも飲んだらどう?」

船乗り娘「おおふ……ご一緒させてもらうっす……」

戦士「…………」

船乗り娘「おやおや……そちらの方は……?」

勇者「あぁ、昨日は会わなかったんだっけ。仲間の戦士だよ」

船乗り娘「そうなんすか……船乗り娘っす……よろしくっす……」

戦士「…………よろしく」

武道家「……なんでちょっと不機嫌なのよアンタ」

戦士「……べっつにー。なんでもねーよ」

武道家「?」

―――――――――――

船乗り娘「お城に行くんすか?なんでまた」

勇者「ちょっと王様に挨拶しに行くんだよ」

船乗り娘「ふーん……勇者ってのも難儀なものっすねぇ」

女勇者「本来は昨日会いに行くつもりだったんだけどね」

武道家「お城が立ち入り禁止だったからここで日を潰してたのよ」

船乗り娘「なるほどっすねー。結構凄い人達だったんすね」

僧侶「あはは、そういうわけじゃないですよ」

船乗り娘「かたや、わたしときたら……」ボソッ

魔法使い「え?」

船乗り娘「ふふ、なんでもないっすよー。しかしこのお茶すごいっすね。頭痛いの治ってきましたよ」

盗賊「……そう?なら、良かった……」

船乗り娘「本当に恩に着ますっすー」

コトッ

船乗り娘「でも、もしかしたら今日も駄目かもっすね。王への面会」

勇者「えっ!?」

商人「どういう事ですか?」

船乗り娘「いや、さっきちょっと宿の人間に聴いたんすよ。今日もどうやら城の門が閉まってるって」

遊び人「え、えー……最悪ぅ……。まだ王様の調子が悪いのかな?」

女勇者「うーん……そうかもしれないね」

武道家「正直これ以上無駄な足止めはくらいたくないわね……」

船乗り娘「まぁ、あくまで噂っすからね?」

勇者「うん、そうだね。一応行って確かめてみようよ」

盗賊「……うん、そうと決まれば、急ごうか……」

武道家「そうね。ホラ、戦士。ちゃっちゃと食べちゃいなさい」

戦士「…………もふ」モググ

――――――――――――

――ポルトガ城・門前――


門兵「王様はご多忙である」

門兵2「また日を改めて来られるがよろしかろう」


勇者「うぇぇぇ……本当かよぉ……」ガックシ

僧侶「船乗り娘ちゃんの言ってた通りでしたね……」

女勇者「ご多忙な所申し訳ないのですが、なんとか謁見させて頂く事はできないでしょうか……?」

門兵「……なりません。ましてや身分も明かされていない者を入れる事など」

女勇者「勇者証明の書はあるのですが……」ゴソッ

門兵「っ……い、今は勇者様であられようと通すな、とのご命令でございます」

女勇者「そ、そうですか……申し訳ありませんでした……」

勇者「んん……やっぱり駄目か……」

女勇者「だね……もう私達個人的に造船工場とかに話を――――……」

ペラペラ


門兵「…………やっと諦めてくれたか」ホッ

門兵2「お、おい!」ボソッ

門兵「ん?なんだ?」

門兵2「今あの女が取り出した勇者証明書、名前の所――――……」

門兵「ん?確か、勇者――――……」

門兵「…………―――――っ!」


勇者「じゃあ、仕方ないけど造船工場の情報をそれぞれ――……」

門兵「お待ち下さい!!」

勇者「んえ?」

タッタッタッ ズザッ

門兵「少々、お待ちくださいませ」

女勇者「どうしたんですか?」

魔法使い「あ、まさか謁見がだいじょーぶになったとか」

門兵「あ、貴方様はアリアハンの勇者という名のお方でしょうか」

勇者「え?は、はい。そうですけど」

門兵「…………勇者様にだけ、謁見のお許しがでています」

勇者「えっ」

門兵「…………ご案内します。こちらへ」

武道家「ちょ、ちょっと」

戦士「なんで勇者だけなんだよ?」

門兵「王のお達しなので、私にはなんとも――――……」

女勇者「まぁまぁ、皆。別に珍しい事でもなんでもないよ。代表者だけが謁見を許されるなんて、どこでもよくある事さ」

僧侶「そ、それもそうですね……」

勇者「……それじゃ、行ってくるよ」

女勇者「ん。色んな事、聴けたら聴いて帰ってきてね」

勇者「うん。皆は宿に戻ったりしてて」

商人「…………分かりました」

戦士「……勇者」

勇者「ん?」

戦士「…………気をつけてな」

勇者「…………はは」

勇者「大丈夫だよ。僕が今から行くのはお城だよ?」

勇者「それじゃ、案内よろしくお願いします」

門兵「はいっ」

スタスタ……

遊び人「……行っちゃった」

魔法使い「…………」

女勇者「……もう、皆なんて顔してるんだい」

女勇者「昨日の件があったからって皆心配しすぎだよ」

女勇者「私たちは宿屋でのんびり待っておこう」

女勇者「……」

女勇者(…………何もなければいいけど……)

…………
……

――ポルトガ城・城内――


スタスタ……ザッ

門兵「陛下へ申し上げます!アリアハンの勇者様がお見えになられました!」

「……よかろう、扉を開けるのだ」

御付兵「はっ!」

ゴゴゴゴ ズゥン

門兵「……勇者様、この奥に王が居られます」

勇者「……ありがとうございます」

スタスタ……

勇者「…………お忙しい中、失礼します」

勇者「アリアハンより参りました勇者です」

ポルトガ王「…………そなたが勇者か」

…………
……




―――――――――――

――宿・夕方――

スタスタ スタスタ

戦士「…………っ」ソワソワ

武道家「ちょっと戦士……うろうろしないで落ち着きなさいよ」

戦士「これが落ち着けるかっての!!勇者が城に行ったのは朝方だぞ!?いくらなんでも遅すぎだっつーの!」

魔法使い「たしかに……うぅ、どうしたのかなぁ……」

盗賊「……でも、大事な話をしている最中かもしれないし……」

商人「とりあえず私達は待つくらいしかできないでしょうが。アホアホ戦士ちゃんは落ち着くのがいいです」

戦士「あっ!アホアホって言った!!」

女勇者「ま、商人ちゃんの言うとおりだよ。私達は落ち着いて待とう」

戦士「そうは言っても…………むうぅぅ……」

僧侶「…………でも、確かに長すぎます……」

遊び人「もうちょっとしたら様子を見に行ってみようか?」

女勇者「そうは言っても私たちにはどうも――……」

戦士「…………っ」

スタスタ

女勇者「!せ、戦士ちゃん!どこに行くんだい!」

戦士「あー、違う違う。ちょっと外の空気吸って落ち着いてくるわ」

武道家「ならいいけど……あんまり遅くなるんじゃないわよ?」

戦士「大丈夫だって。飯までには戻るよー」

スタスタ……

武道家「…………早まらないといいけど……」

船乗り娘「どうしたんすか?皆仏頂面で」ヌゥッ

女勇者「おわっ!ふ、船乗り娘ちゃん……いつからいたんだい?」

船乗り娘「わりとさっきから居たっすよ」

武道家「ごめん全然気付かなかったわ……」

…………
……




――広場――

戦士「…………」

戦士「……ふー……」

戦士「駄目だな…………アタシは……」

戦士「……」

戦士(勇者の事、言えたもんじゃないや……)

戦士「…………しかし」


男「ドゥフフ」イチャイチャ

女「ティヒヒッ」イチャイチャ


男2「でさぁ、いいだろぉ?」イチャイチャ

女2「んもう!男2ったらぁ!」イチャイチャ


男3「I don't wanna close my eyes……」イチャイチャ

女3「I don't wanna miss a thing……」イチャイチャ


戦士「…………」

イチャイチャ

戦士「…………」イラ

イチャイチャイチャイチャ

戦士「…………」イライラ

イチャイチャイチャイチャイチャイチャ

戦士「…………」イライライライラ

イチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ

戦士「だぁーっ!!くそっ!落ち着いて考える事もできないぞここ!!」

スクッ ダッ!

戦士(とりあえず静かな所に――――……)

ドンッ!!

戦士「うわっ!」

?「きゃっ!」

ドサッ バラバラッ

戦士「いたた……ご、ごめんっ!!大丈夫!!?」アワワ

?「てて……うん、大丈夫。平気よ」

戦士「ああ!買い物袋が!!ご、ごめん!アタシが拾うよっ」

?「あらあら、気にしないで?」

ヒョイヒョイ

戦士「あーもう……アタシはどうしてこんな……」

?「そんなに気にしなくていいのに……うん、これで全部拾えたわ。ありがとう」

戦士「ん…………本当にごめんなさい」

?「いいのよ、気にしないでったら」

戦士「…………ん……」

?「…………貴女、お名前は?」

戦士「え?…………戦士……」

?「戦士ちゃん、か。どうしてこんな所で一人で寂しそうにしてたの?」

戦士「…………ちょっとな……」

?「……ねぇ、ちょっとお話しない?」

戦士「え?」

?「私はサブリナっていうの。よろしくね」

ゴソゴソ

サブリナ「はい」

ヒョイ

戦士「…………林檎……いいの?」

サブリナ「一緒に拾ってくれたし、ね」

サブリナ「それと、私……日が沈むまで暇なの」

サブリナ「それまで、その林檎をお駄賃として、話相手になってくれないかしら?」

戦士「…………」

戦士「……うん」

…………

サブリナ「へぇ……戦士ちゃん、勇者様に同行してるんだ」

戦士「うん。まだ旅を始めてからそんなに経ってないけどな」

サブリナ「そっか…………で、その勇者様とやらがお城に行って戻って来ないから心配してたのね?」

戦士「……うん」

サブリナ「でも、心配する事ないんじゃないかしら?行ったのはお城でしょ?」

サブリナ「魔物の巣に行ったわけじゃないんだし…………そんなに心配しなくても」

戦士「…………だ」

サブリナ「え?」

戦士「……違うんだ」

戦士「勇者にとって……魔物の巣に行くよりも、ピラミッドの中に行くよりも」

戦士「…………今の状況は…………怖いもんかもしれないんだよ…………」

サブリナ「…………?」

戦士「…………っ、い、今のは忘れて!」

サブリナ「…………ふぅん」

サブリナ「よくわからないけど…………随分その勇者様を心配してるのね?」

戦士「…………当たり前だよ……大事な仲間なんだから」

サブリナ「……好きなの?その勇者様の事」フフ

戦士「…………」

サブリナ「あら?違った?ごめんなさい」

戦士「…………やめてよ」

サブリナ「え?」

戦士「そういうの……やめて欲しい」

サブリナ「……」

戦士「そういう、好きとか、嫌いとか……恋愛とかさ」

戦士「よくわかんないんだよ…………アタシはさ」

サブリナ「…………」

戦士「だって、そんなん……一緒に居る時邪魔じゃんか……」

戦士「そんなんがあるから……いちいち考えたりしたら、よくわかんないけど、嫌な気分になるから」

戦士「…………勇者と……普通の友達でいられなくなるんだよ」

戦士「だから……もうアタシはそんなの全部いらないんだ」

戦士「男とか女とか……よくわかんないし、考えたくもないよ」

戦士「…………アタシは、勇者と馬鹿やってる方が楽しいんだよ」

戦士「…………そんな感情……理解したくもない」

サブリナ「……そっか」

戦士「……って、あ、別にそういうのを否定するわけじゃなくて」

サブリナ「あはは、大丈夫よ。気にしないで。こっちこそごめんね?」

戦士「…………その」

サブリナ「ん?」

戦士「サブリナさんは…………いるのか?その……好きな人……とか……」

サブリナ「…………」

サブリナ「……ふふ、そうね……いるわよ」

サブリナ「とってもとっても…………大事な人」

戦士「…………ご、ごめんな?さっきは否定するような事言っちゃって

サブリナ「あはは、気にしないでったら」

サブリナ「…………でも…………ふふ」

サブリナ「……少し、愚痴を聴いてもらおうかしら」

戦士「え?愚痴?」

サブリナ「うん……愚痴」

サブリナ「その大事な人はね……カルロスっていうの」

サブリナ「……本当に好きな人でね。本当に本当に……」

戦士「……」

サブリナ「…………でも、もう……喋ることができないの……」

戦士「……え……」

サブリナ「……私それが辛くてね……」

サブリナ「…………本当に辛くて……おかしくなっちゃいそうなの」

戦士「…………そ、その……カルロスさんって……まさか」

サブリナ「ん?あぁ、生きてるわよ」

戦士「えっ?そうなの?」

サブリナ「そそ。そうなんだけどね」

サブリナ「…………とある魔法でね……もう私達が喋る事も……キスさえする事ができない」

サブリナ「……私……もう……本当に……おかしくなっちゃいそう…………」

戦士「……?」

サブリナ「…………ふふ、ごめんね?こんな変な愚痴につき合わせちゃって」

戦士「いや、そんな、全然っ!アタシこそぶつかったり愚痴っちゃって……」

サブリナ「ううん、いいのいいの。誰かに少しだけ話したら少しスッキリしちゃった」

サブリナ「…………」チラッ

戦士「…………?サブリナさん?」

サブリナ「…………もうそろそろ、日が沈みそう」

スクッ

サブリナ「さ、私もう帰ってカルロスに会いに行かなくっちゃ」

戦士「え?カルロスさんに……え?」

サブリナ「そ。戦士ちゃんも宿に戻ってみたらどうかしら?勇者様も戻ってるかもしれないわよ?」

戦士「う、うん」

サブリナ「それじゃ……今日はありがとうね。またどこかで会いましょう。戦士ちゃん」

スタスタ……

戦士「…………」

戦士「……サブリナさーん!林檎、ありがとうなー!」

サブリナ「どういたしましてー!」

スタスタ……

戦士「…………」

戦士「……」


――――――――――――

サブリナ『私……本当におかしくなっちゃいそう……』

――――――――――――

戦士「…………っ」

戦士「……」

戦士「…………勇者、戻ってるかなぁ……」

スタスタ……

…………
……

――宿屋前――

スタスタ……

戦士「…………はぁ」

戦士(サブリナさん……何があったかはわかんないけど……)

戦士(凄い寂しそうだったな……)

戦士「…………」

ドンッ

戦士「うわっ!!」

?「わわっ!!」

戦士(ま、また人にぶつかっちまった!)

戦士「ご、ごめんっ!大丈b……って」

勇者「いたた……あれ?戦士?」

戦士「勇者じゃんか!」

勇者「はは、ごめんごめん。余所見しちゃってて」

戦士「アタシもだから気にすんな。立てるか?」スッ

勇者「ありがとう。よっと」スクッ

戦士「ったく、何してたんだよ?皆心配してんだからな?」

勇者「うん、本当にごめん。詳しいことは中で話すよ」

戦士「ん。じゃぁ取りあえず入るか」

ガチャッ

戦士「っとと」

?「おや……すまないね」

戦士「いや、大丈夫。こっちこそごめんな」

戦士(…………あれ?)

勇者「戦士?」

戦士(この男が持ってる買い物袋……)

――――――――――――

サブリナ『これで全部拾えたわ。ありがとう』

――――――――――――

戦士(…………いや、まさかな)

戦士「そんじゃ早く皆の所行こうぜー」

勇者「うん。もうお腹減っちゃってさ」

戦士「はは、アタシはさっき少し林檎を食べたから」

「にゃーぁ」

戦士「だいぶ……ん?」

勇者「どうしたの?……あ、猫だ」

猫「にゃーぁ」

戦士「どうしたんだこいつぅ」ナデナデ

猫「にゃーぁ」

勇者「何か言いたそうにしてるね」

戦士「そうか?でもごめんなー。もう行かなきゃ」

ヒョイッ

戦士「あっ」

?「すみませんね、うちの猫が」

戦士(さっきの男……)

戦士「や、大丈夫」

戦士「うし、そんじゃ勇者、皆の所に――……」



?「それじゃ、帰ろう…………サブリナ」


戦士「っ!!?」バッ

勇者「?どうしたのさ、戦士」

戦士「……」

?「……」スタスタ……

勇者「あの人がどうかしたの?」

戦士「…………いや」

戦士「……なんでもない」

戦士(偶然……だよな……?)

…………
……





……
…………

――宿・食堂――

盗賊「……勇者っ!……」

ダキッ

勇者「もぶふっ!と、盗賊!!人前だってば!!」

商人「ほう……人前でなければカモン……という事ですか」

勇者「人前じゃなくても勘弁してくださいッ」

武道家「でもやたら遅かったじゃない?どうしたのよ」

商人「まーた王様になってんじゃないかと思いましたよ」

魔法使い「どうしてこんなにじかんがかかったの?」

勇者「うん、それは夕食の時に話すよ」

船乗り娘「お酒も入れば舌も軽やかに動くっす!」

勇者「船乗り娘さんいたんだね……いや呑まんぞ」

船乗り娘「冷たいっす……」

女勇者(なんでこんなにすんなり馴染んでるんだろうこの娘……)

―――――――――――


戦士「バハラタに御使い?」

勇者「ん。しばらく質問や現状の説明をさせられてて……」

勇者「で、結論として船の件はなんとかしてみるから、そのバハラタって所に御使いに行って欲しいってさ」

僧侶「ちょ、ちょっと待ってください?」

遊び人「旅を急ぐ身だっていうのにまたアッサラーム地方まで戻るの!?」

魔法使い「しかもそのおつかいのないようが」

盗賊「……黒胡椒を貰って来いって……」

商人「ガキの使いやあらへんのですよ!!!!」

女勇者「ちょっとわけが分からないね……」

武道家「そうね……大体黒胡椒ってあの黒胡椒でしょ?」

僧侶「珍しい物っていうのはわかりますけど……何に使うんでしょう?」

勇者「……食べるらしい。ポルトガ王が」

戦士「ますます意味わかんねぇ…………!」

勇者「…………でも、まぁ……なんとなく、意図は分かるんだ」

戦士「意図?」

勇者「うん…………」

勇者「…………これは、王様なりに試してるんだろうと思う」

女勇者「…………!」

勇者「……ごめん、皆」

勇者「回り道だけど……これは完遂しなきゃいけないみたいなんだ」

勇者「できれば…………着いて来て欲しい」

ピシッ

勇者「あたっ!ちょ、ちょっと武道家、デコピンするなよ!」

武道家「ばーか」

商人「いちいち確認とらなくていいんですよ。こっぱずかしい」

勇者「!」

遊び人「いいよ、勇者ちゃん。変な気を遣わなくても」

魔法使い「ゆーしゃあるところにわたしたち、だよ!」

僧侶「そうです。気にしないで勇者くん」

盗賊「……そうと決まれば、明日発とうか?……」

女勇者「そうだね。今日魔法使いちゃんのルーラでアッサラームに行くのも良いけど、商品の充実したこっちで身支度したいね」

戦士「…………あんま、気にすんなよ。勇者」

勇者「…………」

勇者「……うん」

勇者「うん……ありがとう、みんな」

船乗り娘「そっす!気にせず呑むっす!!」

勇者「呑まんぞ」

…………
……

――ポルトガ城・王室――


ポルトガ王「…………大臣よ」

ポルトガ大臣「なんでしょう」

ポルトガ王「これで良かったのか……まだわしにはわからんよ」

ポルトガ大臣「…………そうは申されますが、王のされた事は何も間違っていません」

ポルトガ大臣「それに、ただの様子見です。何も彼を取って喰おうとするわけではないのですから」

ポルトガ王「うむ…………すまん、少し外してくれぬか」

ポルトガ大臣「はい……」

バタン

ポルトガ王「……」

ポルトガ王「オルテガよ……」

ポルトガ王「…………すまない……」


……

女官「……どうですか、王のご様子は」

ポルトガ大臣「うむ……あの飄々とした性格で有名なポルトガ王があすこまで悩んでおられるとは……」

女官「無理もありません……海峡の魔物の問題や王子や姫様の事、それにアリアハンの勇者の事……王には悩みの種が多すぎます」

ポルトガ大臣「…………」

女官「ましてや、あのアリアハンの勇者は、あの――……」

ポルトガ大臣「止めぬかっ!!」

女官「っ!!」

ポルトガ大臣「王は彼の勇者殿の父、オルテガ殿と友人であらせられるのだ」

女官「っ!も、申し訳ございません!!」

ポルトガ大臣「……よい、聴かずにいた事にしておく」

ポルトガ大臣(…………国連の勇者、そして大賢者ナジミ様……か)

ポルトガ大臣(…………一体、何が始まろうとしているのだ……)

…………
……

今日はおしまいです

 ヽ | | | |/
 三 す 三    /\___/\
 三 ま 三  / / ,、 \ :: \

 三 ぬ 三.  | (●), 、(●)、 |    ヽ | | | |/
 /| | | |ヽ . |  | |ノ(、_, )ヽ| | :: |    三 す 三
        |  | |〃-==‐ヽ| | .::::|    三 ま 三
        \ | | `ニニ´. | |::/    三 ぬ 三

        /`ー‐--‐‐―´´\    /| | | |ヽ


なんとか生活も落ち着いて少しづつ投下していけそうです
本当にごめんなさい

http://i.imgur.com/snRS7.png
るぞっ!

――早朝・ポルトガ・宿前――

チュンチュン

勇者「よし、皆準備整ったね」

戦士「おうっ!」

ザッ

船乗り娘「あれ、もう行くんすね皆さん?朝早いのはいい事っすね!」

勇者「あ、船乗り娘さん。そうだね。できれば早く着きたいからさ」

船乗り娘「うんうん。いい心がけっす」

女勇者「船乗り娘ちゃんはどうしたんだい?こんな朝早くに」

船乗り娘「いや、私もちょっとオヤジの所に帰らないといけないんすよぅ」

魔法使い「そっかー。じゃあここでおわかれだね」

船乗り娘「えぇ。楽しかったっすよ!ありがとうございましたっす!」

勇者「こっちこそ。楽しかったよ。また一緒に――……」

戦士「…………」ムッ

グイッ

勇者「うわ!?ちょ、戦士戦士!なんでヘッドロックをやめていたいいたい!」バンバン

戦士「なんとなくだよーふへへ」ギリリ

商人「朝からじゃれ合うんじゃねーですよ」

遊び人「戦士!!あんまりくっついたらダメだってば!!」

戦士「いいじゃねーかこれくらいー」ブー

勇者「よかねーっす!!僕の頭が割れるっつーの!!」

船乗り娘「…………」

ギャーギャー

船乗り娘「……ぷっ……あはははっ!本当に面白い人達っすね」

女勇者「魔王を討伐しにいく集団とは思えないよね」

盗賊「……こ、この娘、他人事の様に……」

船乗り娘「あ、そうだ!勇者くん!」

勇者「え?なに?」

船乗り娘「もしよければ、私も黒胡椒をお土産として頼んでもいいっすかね?」

勇者「お土産?うん、わかったよ」

僧侶「船乗り娘ちゃん、黒胡椒お好きなんですか?」

船乗り娘「んー、そういうわけじゃないんすけどね」

船乗り娘「ただ、船乗りとしてはそういった香辛料を知っておいた方がいいかな、と思ったんすよ」

商人「おおう、いい心がけです」

船乗り娘「正直ポルトガは黒胡椒が全然輸入されないっすよ。だから私が少しでも商品として広めてやろうかなって前々から思ってたんす!これは僥倖っす!」

武道家「ふふ、いい事なんだろうけど船乗りなのか商売人なのかわかんないね」

船乗り娘「船乗りには商売人・漁師・冒険家、そして海賊。この四通りしかないっすよ?」

武道家「あぁ……それもそうね」

船乗り娘「って事で、お願いしてもいいっすかね?」

勇者「ん、分かったよ。じゃあ少し纏まった量を持ってくるね」

船乗り娘「おっ!嬉しいっす!」

女勇者「さて、それじゃそろそろ行こうか?」

魔法使い「そだね。もう日が上がってきちゃった」

船乗り娘「邪魔して申し訳なかったっす!そんじゃ皆さんお気をつけてー!」

勇者「うん!行って来るよ!またねー!」

船乗り娘「はいっすー!」

…………
……

――アッサラーム――

ゥゥゥウン

シュタッ

勇者「ふぅ……魔法使い、お疲れ様。ありがとう」

魔法使い「おやすいごよーだよっ」ブイッ

僧侶「ルーラって本当にあっと言う間に着いちゃうんですね」

商人「おふ……」

盗賊「……商人、大丈夫?……」

商人「平気です…………でもルーラって……なんだかお腹がもじょもじょしません……?」

遊び人「……もじょもじょはしないかな」

戦士「それより、どうする?寄ってくのか?アッサラーム」

女勇者「いや、もうあまり時間を消費したくないしこのままバハラタ地方まで行こう」

戦士「ん、了解」

勇者「よし、あ、魔法使いは平気?」

魔法使い「うんっ!あと1000回はめらをとなえられそうだよ!」

武道家「この子は本当にやれそうで怖いわね」

スタスタ……

盗賊「……ねぇ、勇者……」

勇者「ん?どうしたの?」

盗賊「……バハラタ地方は、ここから東だった、よね?……」

勇者「うん。そうだよ」

盗賊「……さっき、タカの目で確認したんだけど、東は岩の高山が聳え立ってるよ?……」

商人「え"っ」

戦士「なんだ?山越えなきゃならないのか?」

女勇者「え、本当かい?じゃあ登山用の準備をしてきた方が良かったんじゃ――……」

勇者「いや、多分大丈夫」

盗賊「……そうなの?……」

勇者「うん。王様の言ってた事が正しければ、ね。取りあえず東の方へ行ってみよう」

商人「……もし正しくなかったら恨みますからね……」

魔法使い「そんなに山のぼるのいやなの?」

商人「嫌に決まってんでしょうが……何言ってんですかこの娘は」

魔法使い「わたしはすきだよ?山ってすごーくくうきがきれいで、むねのなかがすーってするからねぇ」

商人「嫌味か」

魔法使い「え?」

ムニュッ

魔法使い「わわっ!!?ちょ、ちょっと!!!///」

商人「ここに!!山峰を二つ聳え立たせてるっ!!魔法使いちゃんがっ!!どの口でっ!!嫌味をっ!!!!」モムッ!!モムッ!!

魔法使い「あ、あはははっ!!や、やめっ、んっ!!あふっ!!ひ、やめぇ、しょうにんっ!やめてぇ!!」

武道家「なーにやってんのアンタたちは」

女勇者「ねぇ……恥ずかしいからやめてくれないかい……?」

ギャーギャー

勇者「…………///」

盗賊「…………」

勇者「……ご、ごほん……さ、早いとこ東に」

盗賊「……勇者……」

勇者「はい?」

盗賊「…………えっち……」

勇者「オボフッ!!!!」ゴホォッ!!

勇者「な、なっ!!なんでだよ!!なにも考えてないですよ!!ちがうですよ!!」

盗賊「……必死になる所も、怪しい……」

勇者「なんでだってば!!違う違う!!」

僧侶「あれー……なんか怪しいです……」ジトー

勇者「僧侶まで!!」

盗賊「……絶対変な事、考えてたよね……」

僧侶「ねー」

勇者「ぬ、濡れ衣だっつの!!もう!!」

勇者「せ、戦士からもなんとか言ってよ!!」

戦士「…………」

勇者「……戦士?」

戦士「…………先、急ぐんだろ?早く行くぞっ」

グイッ

勇者「え?ちょ、戦士?戦士ってば」

スタスタ……

僧侶「あ、あれ?戦士ちゃん……ちょっと怒っちゃいました……?」

盗賊「……うーん、元からああいう冗談は、好きじゃないみたいだったしね……」

女勇者「ま、でも戦士ちゃんの言うとおりだよ。先急がなくちゃ」

遊び人「うん、そうだね。朝早く出た意味がなくなっちゃう」

武道家「ホラ、二人とも!!行くわよー!!」


商人「ここですかー!!これがええのんですかー!!」グニョングニョン

魔法使い「ぁぅ……!!……ゃ……そっ……つまむのっ…………ちから、はいらなっ……ゅ、ゅーしゃぁ……!!///」ビクッ


武道家「商人の後頭部に一発だけやってくるわ」スタスタ

女勇者「やり過ぎない様にね?」

遊び人「本気でやったら消し飛んじゃうからね」


――――……


商人「前がみえねぇです」ボロッ

魔法使い「商人のばかぁっ!!ばかぁっ!!おたんこなすっ!!ばかぁっ!!///」カァァァ

商人「すみません、途中から何かがわからなくなりました」

武道家「もういいから行くわよ!!」

武道家(…………何を食べたらあんな風になるのかしら……)

スタスタ…

遊び人「で、勇者ちゃん?」

勇者「ん?どうしたの?」

遊び人「もう岩山が見え始めたけど……本当に大丈夫なの?」

勇者「うん、多分ポルトガ王が言ってた通りなら……」

僧侶「あ」

武道家「ん?どうしたの?僧侶」

僧侶「あそこ……」

戦士「どうしたんだ?……あ!」

勇者「!!やっぱり本当にあった!!」

ザッ

勇者「ノルドの洞窟……!」


――ノルドの洞窟――


魔法使い「のるどのどうくつ?」

盗賊「……そういう名前の、洞窟なの?……」

勇者「うん。ここにさ、王の知り合いのノルドってホビットが住んでるらしいんだよ」

勇者「そのノルドさんがこの地下の抜け穴を管理してるんだってさ」

女勇者「なるほどね……じゃ、さっそく奥まで行ってみようか?」

勇者「ん。足元暗いから気をつけてね」

…………
……

――ノルドの洞窟・奥―――


スタ……

勇者「うーん……道らしい道はここで終わりか……」

僧侶「他にまだ行って無い所は……左の方だけですね」

商人「これで左にも何も無かったら笑っちゃいますね……」

女勇者「まぁまぁ、そう悲観するのはよそうじゃないか」

魔法使い「でも、のるどさんどこにもいないねぇ」

武道家「本当にいるのかしら……ってあれ?」

盗賊「……奥の方、松明か何かの明かりが点いてるね……」

勇者「正解だったみたいだね」

スタスタ……

勇者「……」ヒョコッ



?「…………」



戦士「どうだ?なんかいたか?」

勇者「うん、あの人がノルドさんかな……」

勇者「あのー、すみまs……」スタスタ


?「…………そうだね、ポルトガ王は辛いの好きだもんね」ボソボソ


勇者「……!?」


?「え?わし?そうだなぁ……なんでも好きだよ。でも甘いものが一番好きだな」ボソボソ

?「おいおいなんだよー、子供っぽいってなんだよぅ。そんな事いうなよぉ」ボソボソ


商人「こ、このオッサン……私達に気付いてない上に」

武道家「一人でなんかブツブツ言ってる……」

魔法使い「と、とうめいにんげんでもいるのかな?」

僧侶「あ、ひょっとしてメダパニにかかっているんでしょうか?」

女勇者「とにかく、話しかけてみようか」

勇者「そうだね。あの、すみません」

ポン

?「おほおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!?」ビクゥゥーン!!

勇者「あひぃっ!!?」ビクーン

?「な、なんじゃお前さんがたは!!!!いきなり驚かすんじゃないっ!!!!」ドキドキ

勇者「い、いや、そんなつもりは無かったんです!すみません!!あとそんなにいきなりじゃ無かったです!!」

?「口答えをするなっ!!!!なんじゃ!!人間か!これだから人間は大嫌いなんじゃ!!」

勇者「え、えぇー……」

?「して、何の用じゃ」

勇者「あ、はい。すみませんが、貴方がノルドさんでしょうか」

?「いかにも…………わしがノルドじゃ」

女勇者「やっぱりだね」

魔法使い「ねぇノルドさん。さっきなにしてたの?」

ノルド「むん?さっき?何の事じゃ?」

魔法使い「さっき、だれとおはなししてたの?」

遊び人「ずっと何か言ってたみたいだったけど」

ノルド「あぁ、友人と話をしていただけじゃ」

盗賊「……え?友人?……」

戦士「どこにも見あたらねーけど……」

ノルド「いや、わしの頭の中の友人に話していたんじゃ」

一同「「「「えっ」」」」

ノルド「友人に会えない時はこうして寂しさを紛らわすんじゃ」

ノルド「ふふ……楽しいぞ」ニッコォ

武道家(す、凄く良い笑顔……)

勇者(こう思ったらアレだけど――――)

戦士(ちょっと怖ぇな……)

商人「ホモいっ……!!」ゾゾゾゾゾ

盗賊「……言っちゃ、ダメ……」

ノルド「して、わしがノルドじゃが、それがどうした」

勇者「あ、あの実はこの洞窟を抜けたいのですが……」

ノルド「ならん帰れ」

勇者「えぇっ!?」

武道家「超即答!!?」

女勇者「あ、あの、お願いしますかr」

ノルド「ならん帰れ知らん消えろ」

女勇者「……」イラッ

僧侶「お、女勇者ちゃん、落ち着いて」

遊び人「ちょ、ちょっと、いいじゃない通してくれたって」

ノルド「ウサギは糞でもして寝てろ帰れ」

遊び人「~~~~~っ!!!!!」

魔法使い「あ、遊び人!!おち、おちついてよっ!」

戦士「おいおい、なんでそんなにツンケンしてんだよ」

盗賊「……何か、私達が気に喰わないの?……」

ノルド「あぁ。気に喰わん。答えは簡単じゃ」

ノルド「……お前さんがたが、人間じゃからじゃ」

勇者「……人間だから?」

商人「大方、エルフと一緒の理由でしょうよ」

勇者「商人……」

商人「アリアハンの旅の扉が封印されてる理由と、エルフがあの里に住んでいた理由を考えてみてください」

遊び人「あぁ…………そっか」

魔法使い「むかし、このあたりで……ほびっとさんが……」

ノルド「…………何かを察してくれた様だが、人間は信用などできん。ここは通せんな」

勇者「あ、あの」

ノルド「何を言われても無理じゃ。ここは通せんと」

勇者「ポルトガ王から、手紙を預かっているんですが」

ノルド「言ってうおおおおお―――――――――ん!!!!?」ガターン!!

勇者「!!!?」ビクッ

ノルド「わ、渡せッ!!今すぐ渡せっ!!!!」

勇者「おぶっ!!わっ、わかりましたから!わかりましたから落ち着いてっ!!」

ゴソゴソ

勇者「こ、これです」

ノルド「ハイヤッ」シュバッ

勇者「速いっ」

武道家「……あのオッサンできる……」ゴクリ

ノルド「ふんふんふん。ふんふんふふん!ふんふふーん!!」

僧侶「嘗め回す様に読んでますね……」

盗賊「……さっき言ってた、友人って、ポルトガ王の事なんだろうね……」

ノルド「ふんふん……ふ……」

ノルド「……」

ノルド「……」チラッ

勇者「……どうですか?」

ノルド「…………」

パサッ

ノルド「…………んむ。分かった。抜け穴に案内しよう」

勇者「!!」

女勇者「やった!」

ノルド「あ、ちょっと待って。ちょっと手紙を宝箱にしまってくる」

商人「…………どんだけですか……」

-バーンの抜け道-

ザッ

ノルド「よし、ここがバハラタ地方への抜け道、バーンの抜け道じゃ」

勇者「え?ここが?」

遊び人「見たところ何もなさそうだけど……」

戦士「おいおい、本当に大丈夫か?」

ノルド「アホかお前らは……抜け道だから隠しておるに決まっとろうが」

魔法使い「あ……そうだよね」

僧侶「ここに隠された抜け道があるんですか?」

ノルド「うむ。まぁ見ておれ」

スタスタ……

武道家「何が始まるのかしら……」

戦士「もしかして何かすっげー魔法使ったりして……」

ノルド「……すぅぅ……」

ノルド「……はあぁぁ……」

ノルド「……ッ!!」キッ

女勇者「一体何が……!!」


ノルド「うりゃああああああああああああ!!!!!」


ズドーン!!!!


一同((((普通に壁に体当たりしとる―――――!!!!!))))

ノルド「だらぁっ!!!!すらぁっ!!!」

ズドーン!!ズドーン!!


盗賊「……な、なんだか凄いね……」

魔法使い「これでみちがひらくんだね……」


ノルド「がぁぁぁっ!!!ごぁぁぁっ!!!!」ズドーン!!ズドーン!!


僧侶「……だ、大丈夫でしょうか」

商人「ま、大丈夫でしょう。王様に任されてるくらいなんですから、道の心配は――――……」

僧侶「あ、いえ……道の事じゃなくて……」

商人「え?」


ノルド「うわぁぁぁぁっ!!!!ひぎぃぃぃぃっ!!!!」ズドーン!!ズドーン!!


僧侶「……ノルドさんが」

勇者「うわぁぁ!!流血して泣きながらも体当たりしてる!!」

遊び人「ちょ、み、皆!!止めるわよ!!」

…………

ノルド「ふぅ……ふぅ……すまん、少し休憩じゃ」

勇者「いやいや、無理しないでくださいよ」

ノルド「久しぶりじゃからのう……すんなりいかなくなっとる……」

盗賊「……あの壁、普通に突き破れないの?……」

商人「そうですよ。普通に破れるなら私たち自分で破って進みますけど……」

ノルド「それはならん!!!!」

商人「うぉう!!?」ビクッ

ノルド「これはわしの仕事じゃ…………邪魔せんでもらおう」

女勇者「……了解です」ハァ

ノルド「しかし、すまんがちょっと休ませてくれ……呼吸が落ち着いたら、すぐに再開するでの」

勇者「わかりました。それじゃ僕らも少し休もう」

盗賊「……軽いお茶なら、作れるよ……」

僧侶「あ、私いただきます!」

魔法使い「わたしもー!」

ワーワー

ノルド「……はぁ」

ザッ

ノルド「…………む?」

戦士「…………」

ノルド「…………なんじゃ、お前さん。あいつらの所に行かなくともいいんか」

戦士「…………」

スタスタ スッ……

ノルド「な、なんじゃ……隣に座るな。あっちへ行け」

戦士「…………おっさんさ」

ノルド「む?」

戦士「ポルトガ王とはさ……友達なんだよな?」

ノルド「……なんじゃ、何かと思えば」

戦士「……」

ノルド「……?」

戦士「…………ちょっと訊きたいんだけど」

戦士「……男同士の友情って……どんな感じなんだ?」

ノルド「…………」

戦士「アンタにとって、ポルトガ王って大事な友達なんだよな?」

戦士「だからさっき……アタシ達が力を貸そうとしても……」

ノルド「……」

戦士「……」

戦士「……や、変な質問してごめんな」

戦士「まぁ、無理せずにきつくなったらアタシ達に……」

ノルド「男同士の、友情……ねぇ」

戦士「え?」

ノルド「…………」

スクッ

ノルド「……この穴の番はな……わしが任されてるんじゃ」

ノルド「正直、この穴を開ける役目は、腕に自身のある者であれば誰でも務まるだろう」

戦士「……」

ノルド「…………じゃが」

戦士「!」


ズドーン!!!!


勇者「っ!?ゲホッゲホッ!!」

盗賊「……あれ、再開、したの?……」


ノルド「ロマリア王は、わしにこの番を命じてくれたんじゃ」

ズドーン!!

ノルド「わしは!!きっとそれには何か理由があると信じている!!」

ノルド「友が!!ポルトガ王がわしを信じてくれた理由があると!!信じておる!!」

ズドーン!!ズドーン!!

戦士「…………」

ノルド「だから、どれだけ体が傷つこうとも、わしはこの番を誇りに思えるのじゃ!!」

ズドーン!!ズドーン!!

戦士「……ノルドのおっさん…………」

ピタ……

ノルド「…………嬢ちゃん」

戦士「え?」

ノルド「一体、何を思ってそんな事を訊いてきたのかはしらねぇが……」

ニコ

ノルド「……友情ってのぁ存外、素晴らしいものなんじゃぜ」

戦士「……!!」

戦士「…………だよな」

戦士「そうだよな!!素晴らしいよな!!」

戦士「アンタなかなか分かってんなおっさん!!!!」

ノルド「ふん……当たり前じゃ」

ノルド「……しかし」

ドクドク

ノルド「も、もうちょっと休憩させて……」ドクドク

戦士「い、いや、だから無理すんなって言ってるじゃんか……」

…………
……



……
…………

――ノルドの洞窟出口・バハラタ地方平野――

スタスタ……

ザッ

勇者「……本当に外に出られたね」

女勇者「……なんとか無事出られたね」

武道家「……これでバハラタに行けるわね」

盗賊「……嬉しいね……」

僧侶「……ばんざいですね」

遊び人「…………それはいいけどさ」


ホー ホー


魔法使い「…………すっかりよるになっちゃったね」


夜になっちゃいました


商人「時間かかりすぎなんですよあのオッサン……!」

戦士「勘弁してやれ!あのおっさんなりに友情を貫いたんだよ!」

商人「なんかうざい事言ってる娘がいるし……もうやです……」

魔法使い「ねぇ、どうするの?バハラタまでいっきにあるく?」

遊び人「できればそうしたかったんだけどね……ごめん、魔法使い。地図みるから松明にメラお願い」

魔法使い「はいよっ!」

ポウッ

僧侶「んーと……あぁ、結構離れてますね……」

女勇者「まぁ、今から歩くっていう手もあるけど……」

武道家「でももうだいぶ遅いからね……」

盗賊「……それに、歩き慣れない土地だからね。行動するのは明るくなってからの方が……」

商人「……と、なりゃ決まりですね」

勇者「ん。だね。よし皆!今日は野宿って事で!」

一同「「「「りょうかーい!」」」」

商人「はぁ……実際あまり何もしてないのになんだかどっと疲れましたよ……」

武道家「奇遇ね……私もよ……」

戦士「あのおっさんはおっさんなりに友情を――――……」

商人「だぁぁぁぁ!!もう分かったっつってんでしょうが!!ちょっと黙ってくださいアホアホ!!」

ギャーギャー

?「…………」

…………
……

――ノルドの住処――

ガチャッ

ノルド「……」

カサッ…パラッ…… ペラッ

ノルド「……」

ノルド「……」

ノルド「…………」

――――――――――――


勇者『い、いや、そんなつもりは無かったんです!すみません!!』


――――――――――――

ノルド「…………」

ノルド「……あのガキが……ねぇ」

ノルド「……人間ってのぁ……見かけによらねぇな……」

ノルド「……」

ノルド(…………ポルトガ王は元来、人が良い性格をしとるからな……)

ノルド(気に病まないといいが……)

ノルド「……」

パサッ

ノルド(…………まぁ、なんにせよ、だ)

ノルド「人間と魔物の事など……わしには関係ない事だ……」ボソッ

…………
……

今日はおしまいです。
皆さん暖かいレス本当にありがとうございます。頑張ります。
おやすみなさい

おつおつ
さてさて今回の平等性は

>>336
これから他のキャラの増加、設定明かしなどと語る事が増えていく一方なので一章等とテキストの分量が平等になる事はもうないと思います
もしそれが不快に感じられるようでしたら、申し訳ありませんがこのスレを見放して頂ければ幸いです

いえ、もう体も精神も大丈夫ですよ
ちょっと書き方がうざかったですね。すみませんです
ただ、こればっかりはどうしようもなく調整のしようがないんですよね。詰め込みすぎた
だからその平等性に不快を感じる人はこれから先その平等性が悪化していくので酷く感じていく一方かと思いまして。
そういうわけで、恐らくこれから先は平等性が気になる方にはおすすめできる内容じゃないのでこう書かせていただきました。
完璧に自業自得ですね。いくらなんでも詰め込みすぎやで……

いきてますー
すみません、もうちょっと待って下さい。仕事が…

――――――――


パチパチ…

女勇者「ふう……なんとか大きい焚き火も用意できた……」

遊び人「やっぱりこうも暗いと薪集めも面倒だね」

商人「それでは早速夕餉の準備です!!遊び人ちゃん!」

遊び人「自分は何もしない気まんまんだね」

僧侶「私手伝いますー」

武道家「じゃあ二人は夕餉の準備をお願いね」

魔法使い「じゃあわたしたちはテントをたててよっか!」

女勇者「そうだね」

盗賊「……じゃあ私は……」

遊び人「あ、盗賊。実はちょっと食材が足りないの。だから私達と山菜採り手伝ってくれないかな?」

盗賊「……うん、お安い御用……」

ワイワイ

勇者「えっと、じゃあ僕は……」

遊び人「勇者ちゃんはゆっくりしてて」

武道家「もう仕事も無いみたいだからね」

勇者「うーん……それじゃちょっと散歩に行って来るよ」スクッ

女勇者「えっ、でももう暗いし危ないから……」

勇者「大丈夫大丈夫、ちょちょいっと行って来るだけだから」

魔法使い「んもー、はやくかえってきてね」

勇者「あはは、大丈夫だって。それじゃね」

スタスタ……

戦士「……」

武道家「それじゃ、戦士ー。アンタはテントの方を」

戦士「ごめん!ちょっとアタシも散歩!」ダッ

女勇者「えっ!ちょっと……」

タッタッタッ……

僧侶「……行っちゃいました」

商人「ま、お腹が空いたら二人とも戻ってくるでしょう」

―――――――――――

スタスタ……

ザッ

勇者「……ん。ここら辺で良いか」

ジャキッ

ヒュンッ!!

勇者「ふっ!」

勇者(……いくらなんでも皆に心配されすぎだ)

勇者(とにかく少しでも……少しでも強くならなきゃ……)

勇者(そうすれば……)


―――――


ランシール勇者『…………今は、『見逃してやる』んですの 』


―――――

勇者「……」

勇者(……きっと僕が強くなれば……)

勇者(強くなれば……疑われもせずに……)


「とりゃっ!!」


勇者「っ!!?」

ガキィンッ!!

勇者「……っ……あれ?」

戦士「へへ、防がれたか」

勇者「戦士!」

スチャッ

戦士「ん、よしよし。反射は良かったぞ」

勇者「ど、どうしたのさ。いきなり」

戦士「んー?ま、お前の反応が鈍ってないか見てみたんだよ」

勇者「見てみたって……」

戦士「でも合格だ!よろこべ!」フフン

勇者「はぁ……わざとらしく掛け声出されたり、檜の棒使われたり……手加減されてんの丸分かりで喜べって言われてもなぁ……」アハハ

戦士「……」

勇者「あ、あれ?戦士?」

戦士「……嫌か?」

勇者「へ?」

戦士「…………久しぶりに……師匠として……その、特訓を一緒にしようかと思ったんだけどさ」

戦士「……嫌だった、か?」

勇者「……特訓?」

戦士「うん」

勇者「……」

勇者「……ははっ」

ザッ

勇者「じゃあ……久々にお願いしてもいいですかね?“先生”」

戦士「!!」

ザザッ

戦士「ははっ!あぁ!そうこなくっちゃな!」

戦士「ほら!どっからでもかかって来い!」

ワーワー


?「……」


ズザァッ!

勇者「っ!!」

戦士「おら!そこ甘いっ!」


?「……」


ドシャァッ!

勇者「……ふっ!」

戦士「力不足だぞ!その調子でそんな技使えるか!」


?「……」

?(……やはり、似るものなのだな……)


……………


ドサッ

勇者「はっ……はぁっ……!」ゼェゼェ

戦士「ふぅ……とりあえず、やっぱり力、速さ不足かな」

勇者「はぁっ……!や、やっぱりそうだよね」ゼェゼェ

戦士「もう技の形とかは完璧なんだけどな……力と速さがあってこその技が多いし……」

勇者「ぐ……そうだよね……何か力が無くても効率よく使える技があればいいんだけどね……」

戦士「そうだな……ちょっと立ってみ」

勇者「へ?うん」スクッ

戦士「アタシの肩あたりに軽く一発やってみ」

勇者「一発?わかった……」

ソッ……

戦士「ふっ!」

ガシッ グイッ!

勇者「えっ?うわっ!!」グルンッ!

ドサァッ!

勇者「い、いてて……」スクッ

戦士「……ほら、今アタシが何をやったか、わかるか?」

勇者「うん……僕の檜の棒を振りかざした手を、僕の下一瞬で潜り込んで引っ張って……」

勇者「その反動で僕の体を回して跳ね上げた……って感じかな?」

戦士「ははは!相変わらず分析だけはすげー早いのな!」

勇者「“だけ”は余計だよ」

戦士「ま、とにかくだ。今みたいに自分の力だけじゃなく相手の力任せで相手を捻じ伏せたりもできるんだ」

戦士「勇者はそっちを頑張った方がいいかもな」

勇者「うーん……確かに……」

ザッ

?「それには少し異議があるな」

勇者「えっ?」

戦士「お、お前!!」

スタスタ……

ムオル勇者「それは、勇者……お前には薦められん」

ジャキッ

戦士「お前!何しに来たんだよ!!」

勇者「せ、戦士。落ち着いて」

戦士「勇者に……!勇者に何があって……!」

ムオル勇者「落ち着け。俺自身勇者に国連の勇者としての用事があるわけではない」

戦士「……何……?」

ムオル勇者「今だってダーマまで神官殿を御送りした後に、お前達がこの近くに居た事を思い出し顔を出しただけだ」

勇者「そ、そうなんですか?」

戦士「……そんな事言って……油断させてんじゃねーだろうな」

ムオル勇者「俺は空言で事象を複雑にするのは好まん」

戦士「……」

スチャッ

戦士「……じゃあ、何で顔を出そうと思ったんだよ……何か理由があったんだろ」

ムオル勇者「……まぁ、いくつかあるがな」

ムオル勇者「一つは……それだ」

勇者・戦士「「え?」」

ムオル勇者「……その剣術……体裁きに興味があった」

勇者「剣術……?どうしてまた……」

ムオル勇者「……いや……懐かしくてな。また見ていたくなった」

戦士「どういう事だよ?」

ムオル勇者「……オルテガ殿を、少し思い出してな」

勇者・戦士「「!!!!」」

戦士「お、お前お師匠を知ってんのか!?」

勇者「父さんと知り合いだったんですか!?」

ムオル勇者「あぁ、昔何度か仕事も一緒にこなした」

ムオル勇者「オルテガ殿には何かと世話になってな……お前らの剣術には名残がある。それをもう少し見たくなった」

勇者「そ、そうだったんですか……!」

戦士「……っ!」

勇者「ん?戦士?」

ムオル勇者「……?どうかしたのか?」

戦士「……なんでもねーよ……!」ムスッ

勇者・ムオル勇者「「?」」

戦士(こいつ……お師匠と仕事してたのかよ……)

戦士(……)


―――――――


戦士(小)『ねーねー!おししょー!』

オルテガ『どうした戦士?』

戦士『あたしもねー!つよくなったらおししょーといっしょにたたかうんだー!』

戦士『ゆーしゃとあたしと、おししょーでむてきになるよ!!』

オルテガ『あっはっはっは!!そうかそうか!頼もしいな!!』ナデナデ

戦士『えへへー!』

オルテガ『……でも、それはできんな』

戦士『えっ!!!?なんでー!』

オルテガ『……はは、お前も大きくなればわかるさ!』


―――――――


戦士(……ぐぬぅっ……)

戦士(コイツ……なんか本当に……凄いむかつく……!)

戦士「で、さっきのは?」

ムオル勇者「む?」

戦士「さっきの戦法を否定した理由だよ!なんでさっきのじゃ勇者にオススメできないんだよ!」

勇者「あ、それは僕も知りたいです」

ムオル勇者「……あれは諸刃の剣だからだ」

戦士「!」

勇者「諸刃の剣?」

ムオル勇者「あれは確かに合理性の塊のような戦法に見えるが、勇者の様な防御力も弱い者が使うと失敗すれば後が無い」

ムオル勇者「敵の懐に飛び込む技だ……リスクが高いに決まっている」

ムオル勇者「ああいったものは、他者より防御、スピードが勝っている者が使うべきだ。勇者が使えば……想像に難くない」

戦士「……!」

勇者「うーん……そっか……」

戦士「……じゃあ、どんなのが良いって言うんだよ」

ムオル勇者「じゃあ、俺が少し伝授しよう」

勇者「!ほ、本当ですか!」

戦士「っ!!」

ムオル勇者「あぁ。元から少し、そのつもりだったしな……む、勝手に話を進めたが、それでいいか?」

勇者「是非お願いします!!」

戦士「……」

クルッ スタスタ

勇者「!せ、戦士!?」

戦士「もうそいつがいるからいいだろ!勇者のアホ!アホアホ!」

勇者「い、いや、そういうわけじゃ無いって!戦士の助言も是非聴きたいし……!戦士ー!」

スタスタ…

勇者「……あー……行っちゃった」

ムオル勇者「……何か、その……すまん、な」

勇者「あ……いえ、お気になさらず……」

…………
……

.

――――――


ガサッ

盗賊「……ほら、こんな所にも、あったよ……」

僧侶「本当だー!やっぱり盗賊ちゃんはすごいです!」

盗賊「……うふふ……」

僧侶「遊び人ちゃんは……あれ?」

遊び人「……」

僧侶「遊び人ちゃん?」

遊び人「え?ど、どうしたの僧侶?」

僧侶「いえ、なんだか静かだったので……大丈夫?」

遊び人「うん!大丈夫!ちょっと集中してただけだよ」

盗賊「……山菜採りは、どうしても無口になっちゃうよね……」

遊び人「盗賊は元からじゃない」

僧侶「あはは!そうですよ!」

盗賊「……一本取られたね……」

遊び人「ふふ、それじゃ結構採れたし戻りましょっか」

僧侶「はい!皆きっとお腹空かせて待ってますよ」

盗賊「……急ごっか……」

スタスタ…

遊び人「……」

遊び人(……やっぱり……この辺りの景色……)

遊び人(……)

スタスタ…

……

―――――

スチャッ…ゴソッ…

魔法使い「よーし!こんなところかな?」

武道家「あれ、そっちちょっと曲がってない?」

魔法使い「あら、そうだねぇ」

商人「こっちは私が押さえとくんでそっちを……」

スタスタ…

武道家「あら?」

魔法使い「あ!戦士!」

商人「あれれ、早かった……です……ね」

戦士「……」ムッスー

商人「……うわぁ……わかりやすいですね本当に」

武道家「戦士?何があったの?」

戦士「別に!なんでもねーよ!!」

武道家「なんでも無い訳ないでしょ。勇者と喧嘩でもしたの?」

戦士「……」

武道家「はは、図星かー?」

魔法使い「だめだよっ!ちゃんとなかなおりしなくちゃ!」

商人「勇くんと戦士ちゃんの喧嘩なんていつぶりでしょうねー」

戦士「別に、勇者と喧嘩したわけじゃない……」

魔法使い「えー?じゃあどうしたのさっ」

戦士「……実はさ」


……


戦士「ってことがあって……」

魔法使い「……」

武道家「……」

商人「……」

戦士「……な、なんだよう。何か言えよ」


三人「「「あほ―――っ!!!!」」」


戦士「うえぇっ!?」ビクゥ!!

商人「そ、それで勇くんを置いて帰ってきたんですか!!?」

武道家「あんた、あいつらが勇者に目をつけてるの知ってるでしょ!!?」

魔法使い「も、もしかしたら、そのひとは嘘をついてて……ゆーしゃは、さ、さらわれたりしてるかもだよ!!?」

戦士「で、でもでも、そいつ、嘘は嫌いって」

商人「それを間に受けてどうするんですか!」

武道家「万が一って事もあるのよ!!」

魔法使い「それをふくめたうそかもしれないよっ!」

戦士「……」

戦士「……」

戦士「……」

戦士「……」

戦士「……」


戦士「やばい」


武道家「あんたは本当にっ!」

商人「どこまで脳筋なんですかっ!!!!」

魔法使い「まだ、まだきまったわけじゃないけどはやくゆーしゃのところに!!」

戦士「ゆ」

ダァッ!!!!

戦士「ゆうしゃあああ――――――!!!!!!!」ドドドドドドド!!!!

商人「早っ!!!!」

武道家「くっ!!二人とも!追いかけるわよ!」ダッ

魔法使い「ま、まってー!」ダッ

商人「武道家ちゃんは自分がスピード速いからって軽く言うんですから!」ダッ

ダダダダダダ……

……

スタスタ……

女勇者「みんなー、水汲んできたよー」

シーン……

女勇者「……みんなー?」

女勇者「……何処に行ったんだろう……?」

女勇者「……」

ヒュゥゥ……

女勇者「寂しい」

……

.

――――――

ドサッ

勇者「ハァッ……!ハァッ……!」ゼェゼェ

ムオル勇者「大丈夫か」

勇者「は、はいっ……!」

ムオル勇者「……どうだった」

勇者「はい……見たことの無い技が一杯で、びっくりしました」

ムオル勇者「今のような体裁きは覚える事は容易ではないが、覚える事ができれば……これからの戦闘事情も変わってくるだろう」

勇者「今のは、ムオル勇者さんが組み立てた技なんですか?」

ムオル勇者「む……何故だ?」

勇者「いえ、ちょっと今の技を分解して考えてみると……なんというか、父さんの……オルテガの技に対抗するために作られた技に見えたので……」

ムオル勇者「……!」

勇者「あ、あの、違ったらすみません」

ムオル勇者「いや……少し驚いただけだ。大した分析力だ」

勇者「いえ、そんな……でも、どうして対抗するような技を……」

ムオル勇者「……」

勇者「……ムオル勇者さん?」

ムオル勇者「…………憧れていたからな……どうしても超えたかった」

ムオル勇者「……使う機会は来なかったがな……」

勇者「……」

ムオル勇者「……まぁ、覚えて損は無い技だ。頭に入れておくといい」

勇者「あ、はい!ありがとうございます!」

ムオル勇者「さて……俺はそろそろ次の任務に行くことにしよう」

勇者「本当にありがとうございました!」

ムオル勇者「俺がやりたかったんだ。礼はいらん」

勇者「……あ、ちょっと待ってください!」

ムオル勇者「む?」

勇者「さっき仰ってた……僕の様子を見に来たいくつかの理由……」

ムオル勇者「……」

勇者「…………他の理由……聴かせて頂いても……よろしいでしょうか」

ムオル勇者「…………」

勇者「……」

ムオル勇者「……アリアハン王から、お前の話は伺った」

勇者「っ!!」

ムオル勇者「心配せずとも上層部だけの極秘情報だ……広まることは無い」

勇者「……そう、ですか」

ムオル勇者「しかし、その上層部が如何せん、まずい」

勇者「えっ?」

ムオル勇者「……勇者」

ムオル勇者「これから先、他者を信じるな」

勇者「……?それは、どういう……」

ムオル勇者「……言葉の通りだ」

ムオル勇者「お前は、これから様々な事象に巻き込まれるだろう」

ムオル勇者「敵は魔物だけではないという事を、心しておけ」

勇者「……」

ムオル勇者「……」

ムオル勇者「特に、サマンオサ、ジパング……」

ムオル勇者「……そして」

スタスタ……

ムオル勇者「アリアハンの上層部には……気をつけておけ」

勇者「!?……あ、アリアハンの、上層部……!?」

ムオル勇者「お前の旅の困難の一因に成り得る、という事を心の片隅に置いておくんだな」

ムオル勇者「……それでは、またいずれ会おう」

勇者「あ、ちょ……」



ドドドドドドド……



勇者「え?」

ムオル勇者「?」


戦士「ゆうしゃあああああああ!!!!!!!」ドドドドド


勇者「えぇっ!?戻ってきた!?」

ズザァ―――――!!!!

戦士「ゆ、勇者!置いてってごめん!大丈夫か!?何もされてないか!!?」ガシッ!

勇者「え?え?ど、どうしたのさ!!お、落ち着いて!!揺らすな揺らすな!」ユサユサ

タッタッタ

「勇者―――――!!」

勇者「え?武道家!魔法使い!商人!」

ザッ!

武道家「大丈夫!?平気!?」

魔法使い「よ、よかった……けがとかはないみたいだね」

商人「も、もう……だから散歩とか一人で離したくないんですよ!」

勇者「皆どうしたのさ!僕は別になんとも……」

武道家「……」

勇者「ぶ、武道家?」

ザッ

武道家「……アンタが、国連の勇者ね」

ムオル勇者「……ああ、そうだが」

武道家「……勇者に、何の御用かしら」

ムオル勇者「大した事ではない。もう済ませた」

勇者「武道家、本当に何でも無いんだって!」

ペシッ

勇者「あいたっ」

商人「勇くんはちょっと黙ってなさい」

勇者「商人……いや、本当に何でも」

魔法使い「……ねぇ、国連の勇者さん」

ムオル勇者「何だ」

魔法使い「……たしかに、こんかいはなんでもないことだったかもしれない」

魔法使い「でも、さいしょにせっしょくしたときは、ちゃんとわけがあったんだよね」

ムオル勇者「……うむ」

魔法使い「……その“わけ”って……なに」

ムオル勇者「……今は言うべき時では無い」

魔法使い「…………そう」

商人「国連の勇者が一般の勇者に三人がかりで接触……ただ事ではない事はわかりますがね」

武道家「アンタたちが何を企んでるのかは具体的にはわからない……だけどね。なんとなく想像はつくのよ」

ムオル勇者「……そうか」

武道家「……いい?帰って中枢の人間達に伝えて」

ムオル勇者「何だ?」

武道家「……これ以上」

ギュッ

武道家「これ以上変な勘繰りをしたら、ただじゃおかないって」

ムオル勇者「……」

商人「そっちはお仕事で勇くんの尻を追っかけてるかもしれませんがね」

商人「……こっちはお仕事でも何でも無く、魔王の尻を追っかけてるんです」

商人「その私たちを邪魔するような事があれば……もう魔物と同じようなもんですよ。あんたら」

ムオル勇者「……」

魔法使い「……」

魔法使い「今は、まだ……そっちがなにをかんがえてるか、しっかりとはわからないけど……」

ギュッ

勇者「わぷっ!?」

魔法使い「ゆーしゃは、ゆーしゃだよ」

魔法使い「あなたちが、ゆーしゃを……わかったようにあつかわないで……!」

魔法使い「ゆーしゃは、わたしたちのゆーしゃなの!」ギュウウウゥゥ

勇者「もぷっもっ!(どういう言い分だ!!)」

ムオル勇者「……」

戦士「……アンタ」

ムオル勇者「む……?」

戦士「……」

ムオル勇者「何だ?」

戦士「……」

戦士「…………もう、勇者に干渉すんのはやめてくれよ」

戦士「……勇者は……その、えっと……」

ムオル勇者「……」

スタスタ……

戦士「ってあっ!?おい!聴けっての!!」

ムオル勇者「俺も次の任務があるのでな」

戦士「ぐ、ぐぅぅ……!どこまでもムカつく……!」

ムオル勇者「……」

ピタ

クルッ

ムオル勇者「……勇者」

武道家「……?まだ何かあるの?」

勇者「もぷっ?」

ムオル勇者「……さっきの言葉は、少し訂正しよう」

勇者「……?」

ムオル勇者「……」


商人「……」

魔法使い「……?」

武道家「……」

戦士「……何だよ」

勇者「……?」


ムオル勇者「……」

ムオル勇者「そいつらだけは、信じておけ」

勇者「…………!」

ムオル勇者「……それではな」

スタスタ……

魔法使い「……いっちゃったね」

商人「……ふぅ……流石にちょっと緊張しましたよ」

武道家「えぇ……あいつ、相当強いわ」

戦士「……」

武道家「……戦士」

戦士「ん……」

武道家「……らしくないわよ」

戦士「……わ、わかってるよ!」

スタスタ

魔法使い「あれ?どこいくの?」

戦士「先戻ってる!!」

スタスタ…

商人「……全く、まぁ今のだけは戦士ちゃんらしいといえばらしいですけどね」

魔法使い「あはは……そうだね」

武道家「さ、私達も戻りましょうか。お腹空いたわ」

商人「ですね。ほら、勇くんもいつまでも……ってちょっ!!魔法使いちゃん!!」

魔法使い「え?」

商人「勇くんが死にます死んじゃいます!!!!」

魔法使い「へ?」チラッ

勇者「 」

魔法使い「ひゃ、ひゃあぁっ!!!///」バッ!!

武道家「ちょっと!息してない!」

商人「勇くんしっかり!!おっぱいで圧死とか最低の死因ですって!!勇くん!!」

勇者「 」←アルカイックスマイル

魔法使い「ご、ごめんねぇっ!ゆーしゃ、ごめんねぇっ!」

武道家「この乳娘っ!もげろ!」

魔法使い「ひ、ひどいよそれっ!!」

ワーワー

…………
……

.

――――――

スタスタ……

戦士「……」

戦士「……くそ……!」


―――――

武道家『……らしくないわよ』

―――――


戦士「そんなの……!アタシだってわかってるよ……!」

戦士「…………」

ピタ……

戦士「……」

戦士「……はぁぁ……」

戦士「何だよ……何なんだよ……アタシは……」

戦士「……」

戦士「……私は……ホント……」

戦士「……何がしたいっていうんだよ……」

…………
……

.

今日はここまでです。
本当に俺は……何がしたいって言うんだよ……
もう本当に言い訳にしかならないですが正社員になるために死にもの狂いで働いてて書く暇が中々ありませんでした。
本当に申し訳ありません。二日間だけお盆休み貰えたのでなんとかほんの少しだけ書けましたが……あれ?九月……お盆?
本当にすみません。何とか頑張って終わらせます。

ふえぇ

制限かかってて前のスレ行けないから、誰か今までの画像のURL貼ってくれない?

―――――

―野営地点―



パチッ……パキッ……

女勇者「……そんな事が」

遊び人「あいつ……また来たのね……!」

勇者「で、でもさ。別に他意は無さそうな感じだったよ?」

武道家「アンタは本当にお人好しねぇ」ハァ

商人「勇くんを油断させるための嘘かも知れないじゃないですか勇くんのアホアホ」

勇者「う……」

魔法使い「とりあえず、ゆだんはならないよ」

女勇者「だね。全く……国連は何を考えてるんだか」

盗賊「……それはともかく、もうご飯食べよ?……」

僧侶「あ、そうですね!冷めちゃいます」

武道家「ま、各自この先の道中も気をつけるって事で」

商人「特に勇くん。わかりましたか?」

勇者「うん。ごめんね皆。心配させて」

遊び人「ううん!いいんだよ!それじゃ食べようか!」

「「「いただきまーす!!」」」

魔法使い「あ!これおいしーい!」

遊び人「それさっきそこで採れてね――……」

ワイワイ

戦士「……」

勇者「……」モグモグ

戦士「……なぁ、勇者」

勇者「ふぇっ?はに?」

戦士「なんか、悪かったな。さっきは」

勇者「? 何が?」

戦士「……」

勇者「?」キョトン

戦士「……」

戦士「……ふふ。いや、なんでもねーよ」

勇者「そう?」

戦士「おう。あ、僧侶。ごめんそれよそってー」

僧侶「あ、はいっ!」

武道家「アンタ一人で全部食べないでよー?」

戦士「まだ何も手つけてないっつーの!!」

ワーワー

勇者「……」

商人「……戦士ちゃんも戦士ちゃんでいろいろあるんですよ。きっと」ボソッ

勇者「商人」

商人「ま、みんな多少過保護かもしれませんがね」

商人「……それだけ勇くんを心配なんですよ。大目に見てください」

勇者「……うん」

商人「さ、早く食べないと無くなっちゃいますよ。なんかよそって欲しいものありまちゅか勇くーん?」

勇者「それは過保護すぎだろ!」

…………
……

…………

盗賊「……さて……」

遊び人「それじゃ、もう寝ようか」

勇者「……あの」

遊び人「ん?どしたの勇者ちゃん」

勇者「んーと……なんで二人はテントの外で寝ようとしてるの?」

盗賊「……今日は、一緒に見張りするよ。交代で……」

遊び人「私たち二人がじゃんけんに勝ったからね!よろしくって事で」

勇者「いやいや、僕一人でも大丈夫――……」

遊び人・盗賊「「駄目」」

勇者「え、えー?」

遊び人「もう!さっき何があったか忘れたの!?」

盗賊「……油断はいけないよ……」

勇者「でもさ、僕はこの通り何も無かったわけなんだし」

遊び人「んもー!!どんだけお人好しなのよ!!勇者ちゃんのばか!」

盗賊「……色んな事を想定しないと、駄目だよ……」

勇者「それは、そうなんだけどさ」

盗賊「……それに、交代交代での見張りだから、眠れないわけじゃないんだし……ね?……」

遊び人「と・に・か・く!今日ばっかりは譲らないからね!」

勇者「うぐぐ……」

盗賊「……私たちなら、大丈夫だよ。しばらく、お話でもしてよう?暖かいお茶淹れるから……」

勇者「…………はぁ……ほんと皆には適わないよ」

遊び人「うん!観念なさい!」

盗賊「……素直でよろしい……」

――――テント・中


商人「さて、あの二人に任せて私らは寝るとしますかー」

女勇者「うん、そうだね。明日は早く出発して早いうちにポルトガに戻りたいね」

武道家「でも、前衛の私や戦士が見張ってなくて大丈夫かしら……」

魔法使い「だいじょーぶだよ!あのふたりだってすごくつよいんだから!」

女勇者「だね。盗賊ちゃんは敵の感知に鋭いし、遊び人ちゃんだってそこいらの魔物や悪党より断然強い」

武道家「まぁそれもそっか」

僧侶「だから自分たちは休ませてもらいましょう?早く寝ないと意味がなくなっちゃいますよー」

戦士「だなー。もう寝ようぜ」

商人「え?」

戦士「んあ?どした?」

魔法使い「ううん、戦士が自分からねようとするのはめずらしいなって」

女勇者「いつもは皆にちょっかいだして眠り妨害したりするからね」

僧侶「でも、結局一番寝るのが早いんですけどね。ふふ」

戦士「いやー、今日は色々ありすぎてさ。もう流石に疲れたよ」

武道家「そうね。今日はどっちかというと精神的な疲れが凄いわ」

商人「そういうワケですから、さ!寝ますよみんな!」

女勇者「ん。皆おやすみー」

魔法使い「おやすみぃ」

僧侶「私はお祈りしてから眠りますね」

武道家「じゃあランプ消しておいてね」

僧侶「はいー」



戦士「…………」

――――

パチッ……パチ……


クピ…

勇者「はぁ……やっぱり美味しいなぁ……盗賊のお茶」

盗賊「……そう?だったら、よかった……」

勇者「遊び人は……あれ」

遊び人「……」コックリ……コックリ……

盗賊「……おねむだ……」

勇者「あ、お茶危ない」

ヒョイッ

勇者「ちょっと待ってね盗賊。遊び人寝かしちゃうから」

盗賊「……うん……」

勇者「遊び人、少しごめんねー。毛布かけるよ」

遊び人「ん……」

ファサッ

勇者「……ん。よし」

盗賊「……遊び人のお茶、どうしよっか……」

勇者「あ、僕飲んじゃうよ。そんなに残って無かったみたいだから」

クピクピ……

勇者「お、こっちの味も凄く美味しいね」

盗賊「……」

勇者「ん?どしたの?」

盗賊「……何も?……」

勇者「あはは、何さ」

盗賊「……ふふ……」

勇者「何?どうしたの?」

盗賊「……ううん。なんか、兄妹みたいだなぁって……」

勇者「え?そっかな」

盗賊「……ふふふ、うん。そうだよ……」

勇者「そっか。まぁ、言ってしまえば皆が全員兄妹姉妹って感じだよね。えへへ」

盗賊「……全員?……」

勇者「うん」

盗賊「……ふーん……」

勇者「あ、盗賊。おかわりいいかな?」

盗賊「……だめ。おあずけ……」

勇者「えっ!?なんでさ!?」

盗賊「……なんだか、意地悪したい気分だからね……」フフフ

勇者「そ、そう言わずにさ」

盗賊「……ふふ、嘘だよ。器貸して……」

勇者「びっくりしたよ……。はい。お願い」

盗賊「……ん……」

コポコポ……

勇者「はぁ……このあたりは少し冷えるね」

盗賊「……勇者……」

勇者「ん?」

盗賊「……何かあったの?……」

勇者「え……?」

盗賊「……」

勇者「……何で?」

盗賊「……なんとなく、だよ……」

勇者「何もないよ?」

盗賊「……嘘吐く勇者には、お茶のおかわりあげないよ……」

勇者「う……」

盗賊「……」

勇者「……はは、盗賊には本当に適わないよ」

盗賊「……皆にだって適わないくせに……」

勇者「あはは!違いないね」

盗賊「…………」

勇者「……」

盗賊「……国連の、勇者の事?……」

勇者「……いや」

盗賊「…………」

勇者「……」

盗賊「……勇者……今日は、見張りで時間もあるし……他には誰もいないよ……」

勇者「……」

盗賊「……もし、勇者がよければだけど……」

盗賊「……話してみてくれないかな……」

勇者「……」


……


―――――

ホーホー


武道家「すー……すー……」

魔法使い「ん……むにゃ……」

女勇者「すー……すー……」



戦士「…………」

僧侶「……戦士ちゃん?」ボソッ

戦士「っ……なんだ、僧侶か」ボソボソ

僧侶「まだ、起きてたんですか?」

戦士「まーね……僧侶こそ。お祈りはもう終わったんだろ?」

僧侶「ふふふ、そうなんですけどね」

戦士「だったらもう寝ようぜ。アタシももう寝るからさ」ゴロン

僧侶「そうだね……」

戦士「……」

僧侶「……」

戦士「……」

僧侶「戦士ちゃん」

戦士「……どーしたのさ」

僧侶「……」

ナデナデ

戦士「……なんで撫でてんの?」

僧侶「ふふ、なんとなくです」

戦士「……なんとなくなら仕方ないか」

僧侶「です♪」

戦士「……」

僧侶「……」

戦士「……ありがと」ボソッ

僧侶「……ううん」

……

僧侶「すぅ……すぅ……」

戦士(……眠ったか)

僧侶「すぅ……すぅ……」

戦士「……」

ナデ

僧侶「ん……すぅ……」

戦士「……」

戦士「…………おやすみ、僧侶……お返しだっ」ボソッ

ナデナデ

僧侶「すぅ……」

戦士「……ふふ」

戦士「……」

戦士(……駄目だなぁ……アタシって)

モゾ

商人「全く……」ハァ

戦士「っ!?」ビク

商人「僧侶ちゃんは人一倍心配性なんですから」ボソ

戦士「商人?お前も起きてたの?」ボソ

商人「ちょっと考え事してましてね」

戦士「考え事?」

商人「はい。ちょっとしたものですけどね」

戦士「……」

商人「……」

戦士「……あいつらの事か」

商人「……ま、そーです」

戦士「なぁ、あいつら何で今更……」

商人「……今日言ったでしょう。おおかた察しはついてるって」

戦士「さ、流石にばかなアタシだってわかるよ……でも、さ」

商人「確かに、タイミングがよく分かりませんがね」

商人「でもそれも考察していったらキリがありませんよ。確定要素が多すぎます」

戦士「……」

商人「……」

戦士「……もしかしたら……あの事が……広まってんのかな……」

商人「……それも、恐らく確定です」

商人「でも、何を考察しても無駄ですよ。机上の空論ならぬ寝床の空論です。寝ましょ寝ましょ」モゾ

戦士「……そだな」

戦士「……」


僧侶「すぅ……すぅ……」


戦士「……」

商人「……どうしたんですか。僧侶ちゃんをじっと見つめて」

戦士「ん?あー、いや」

商人「まだ心配事があるんですか?」

戦士「……いや」

僧侶「ん……すぅ……」

戦士「……僧侶は、女らしくていいなぁって」

商人「へ?」

戦士「僧侶だけでもないけど……なんていうか、物腰とか、気の使い方とか」

戦士「……羨ましいよ」

商人「……」

戦士「……なんだよ」

商人「ぷっ……ぷくくく……!」

戦士「なっ!なんだよ!毛布で声押し殺して笑ってんじゃねーよ!」

商人「くく……す、すみません、ふふっ、だって、戦士ちゃんがっ、ふくく」

戦士「む、むかつくぅぅ」

商人「ふぅ……はぁ、そんな事で悩んでるんですか?」

戦士「そういうんじゃないけど……」

戦士「…………アタシは……どっちにもなれないから」

商人「……」

戦士「……ただ、なんとなくさ」

商人「……そうですか」

戦士「……」

商人「……戦士ちゃん」

戦士「な、何だよ」

ナデ

戦士「……!」

商人「……」

戦士「な、何なんだよ、商人まで――…」

商人「……大丈夫ですよ。戦士ちゃん」

戦士「――っ」

商人「……」

ゴロン

商人「……さ、早く寝ましょう。明日起きられなくなりますよ」

戦士「う、うん」

商人「……おやすみなさい」

戦士「……ごめんな」

商人「……」

戦士「……おやすみ」

商人「……はい」

……

―――――――翌早朝

―近くの小川―


スタスタ


魔法使い「あさだよー!」ペカー


勇者「はい、朝ですね」

魔法使い「おはよっ!ゆーしゃ!」

僧侶「おはよう!勇者くん!」

商人「お早うございますテクノドン」

勇者「早朝から変なあだ名つけんな。おはよう、みん――…」


戦士「ん、おはよう」


勇者「 」

戦士「なんだよ」

僧侶「あ、固まっちゃいました」

魔法使い「今朝のわたしたちみたいだね」

商人「目覚めの早い戦士ちゃんはすごい珍しいですからね」

戦士「べ、別にいいだろ!?」

――――

一同「「「「いただきまーす」」」」

女勇者「ん、やっぱり遊び人ちゃんのスープは美味しいね」

僧侶「この辺りは冷えるから余計に美味しいです」

遊び人「久々に見張りもしてたからね。夜明け前から下ごしらえとかしてたし、手間もかけられたよ」

盗賊「……ん、ふぅ……夜更かしの体には染みるね……」

勇者「だねぇ……」

武道家「ごめんね三人とも。見張り頼んじゃって」

女勇者「バハラタに着いたらあとは楽だから、それまで頑張ってくれるかい?」

魔法使い「るーらでポルトガまでひとっとびするからね!」

盗賊「……私は、大丈夫だよ……」

遊び人「私も平気だよ!」

勇者「でもやっぱり多少の疲れはあると思うから、早く終わらせようか」

商人「いやいや勇くん。あんたもでしょうが」

勇者「いや、僕は慣れてるし……」

女勇者「でもお義兄ちゃんの言うとおりだね。早く終わらせよう」

戦士「だなぁ。この山沿いをひたすら南下だっけ?」

勇者「そうだね。一応ポルトガの人に話を聞いたけど多分こっちで合ってると思う」

戦士「多分て……」

勇者「皆こっちには殆ど来た事ないみたいだったからね。地図も地形だけで町や国の情報は無いし」

商人「ロマリアみたいに陸地続きの所に大きい国があればまた別なんですが……それも望めそうにないですね」

女勇者「国連の勇者になりでもしたら、そんな情報や詳しい地図ももらえるんだけどね」ハハハ

戦士「えー……絶対なるなよ」

女勇者「ふふ、大丈夫だよ」

武道家「すっかり国連の勇者嫌いねぇ」

遊び人「しょうがないよこればっかりは」

魔法使い「それじゃ、きょうのしんこーほうこうは」

僧侶「とりあえず南下、ですね」

勇者「うん。皆、食事が終わり次第出発しよう。もう日の出の時間だ」

「「「了解!」」」

……

――――ポルトガ


―城内・王の部屋―


ポルトガ王「はぁ……」

ポルトガ大臣「……王、どこかお具合が……」

ポルトガ王「ん……いや、よいのだ」

ポルトガ大臣「ですが……」

ポルトガ王「それより、市場の調書の整理をしなければ……下がってよい」

ポルトガ大臣「……はい」


――――



スタスタ……

ポルトガ大臣「はぁ……」

ポルトガ大臣(全く……国連も面倒事を運んできてくれたものだ)

ポルトガ大臣(それでなくとも、王には心配事が多いというのに……)

タッタッタッ

女官「大臣様!!」

ポルトガ大臣「ん?女官ではないか」

スタッ

女官「はぁ、はぁっ!」

ポルトガ大臣「どうしたというのだ、そんなに慌てて」

女官「お、王子が!」

ポルトガ大臣「?」

女官「王子が!帰還されました!!」

ポルトガ大臣「何!!?」

―ポルトガ城・エントランス―


?「……ふぅ……やっと一息つけるぜ……」

?「それにしても……ここも久々だな」


スタスタ

「王子!」

?「ん?」

ポルトガ大臣「王子ぃ!!」

?「おぉ!大臣じゃねーか!!」

ザッ

ポルトガ大臣「王子、お待ちしておりました!!お帰りなさいませ!!心配しまし――……」

バシッバシッ

ポルトガ大臣「おぐふっ!!」

?「元気してたかよー!!久々だなー!!」

ポルトガ大臣「お、およしになって下さい!背中!痛い痛い痛い!」

?「あぁ、悪い悪い!」

ポルトガ大臣「全く……しかし、よくぞ戻られました!」

?「あー、つってもちょっと野暮用で戻って来ただけなんだけどな」

ポルトガ大臣「えっ」

?「あ?どうした?」

ポルトガ大臣「い、いえ、その。まだ旅を続けられるおつもりですか?」

?「何言ってんだよ。当たり前だろ?」

ポルトガ大臣「お、王子ぃ~……勘弁して下され……」

?「堅ぇ事言うなって!王権なら第一王子の兄貴がいるから大丈夫だろうが!」

ポルトガ大臣「で、ですが……王子も姫も城を離れて第一王子一人だけというのは、ポルトガ王の不安が――……」

?「だから親父は心配しすぎなんだっつーの!……ってちょっと待って?姫?あいつまた家出してんの?」

ポルトガ大臣「そうなのです……。王子、ここは王子が戻られて一度ガツンと姫に説教を――……」

?「俺が何言ったって無駄だろ。アイツ神出鬼没だし。なるようになるって!」

ポルトガ大臣「お、王子ぃー……」

?「それによー。いい加減その王子ってのやめろよな」

ポルトガ大臣「え?い、いやしかし……王子は王子ではないですか」

?「……これ。見てみな」

チャリッ

ポルトガ大臣「……?……それは」

ポルトガ大臣「……」

ポルトガ大臣「……――――っ……!お、王子っ、まさか」

?「へへ。そのまさか」

スタスタ

女官「王子、王ももうすぐいらっしゃいまs――……」

女官「……!お、王子!!そ、その勲章はっ!!…………!」

?「はは!そうそう。女官にも言ってなかったな」

スチャ……

?「勇者の資格だけじゃ色々と不便も多かったから、親父に秘密裏で取得したんだ」

?「これからは、王子って呼んでくれるなよ?……――これからは」




ポルトガ勇者「国連の勇者って呼んでくれよ」




……
…………


――――


ザッ

僧侶「あ、見えてきましたよ!」

武道家「ん。本当ね。あれがバハラタで間違いないのよね?」

女勇者「どれどれ……うん。間違い無さそうだ」

魔法使い「はやくくろこしょーをもらっておうさまのとこにいこうよ!」

勇者「そうだね。船乗り娘ちゃんの分も貰ってこないとね」

盗賊「……そういえば、そうだったね……」

スタスタ

女勇者「でもこの分でいけば夕方にはポルトガに戻れそうかな」

商人「そうスムーズにいくといいんですがねぇ……」

魔法使い「ちょっと商人、ふきつなこといわないでよう」

戦士「でも黒胡椒貰ってくるだけだろ?大丈夫だろー」

商人「まぁ、確かにお遣いっちゃあお遣いなんですけど」

僧侶「何か心配事でもあるんですか?」

商人「……皆さん、黒胡椒の価値……知ってます?」

遊び人「黒胡椒の価値?」

武道家「あぁ、確かに価値は考えたこと無かったわね」

盗賊「……ルイーダさんの酒場には、置いてあったけど……確かに安い物では無いみたいだったよ……」

勇者「どうなの商人?黒胡椒って高かったりする?」

商人「えーっとですね」

スッ パチコラパチコラ

勇者「あ、商人のそろばんだ」

女勇者「久々に見る気がするね。最近ごぶざたしてたよ」

魔法使い「さぁー!きになるおねだんはっ!」

パチ……

商人「ざっと、国連規定の小量秤をすり切り一杯でこんな感じです」スッ

勇者「どれどr」



一同「「「「ひああっ」」」」


遊び人「なっなななっな!?なにこれぇ!!」

女勇者「これ、ちょっと、なんなんだい!!」

戦士「えっ?これいくらなの?そろばんの見方わかんないんだよ。いくらぐらいなの?」

武道家「ぐ、具体的に言えば、純金と同じくらいの値段よ!」

戦士「えっ」

魔法使い「なんでそんなにたかいのぉっ!?」

盗賊「……私たち、そんなに凄いものを、あんなふうに、遠慮なく、料理に……」

僧侶「全然知りませんでした……」

勇者「ここ、こんなに、するものなんだ?」ダラダラ

遊び人「でも、アリアハンでは珍しかったけどそんなに高そうなものでもなかったよ!?」

商人「まぁ皆さん落ち着いて下さい。これはポルトガ地方での相場ですって」

魔法使い「ポルトガちほーの」

僧侶「相場?」

商人「はい。前に船乗り娘ちゃんが言ってたように、ポルトガあたりではまだ珍しいものなんです」

勇者「でもだったらなんでアリアハンで……あ」

商人「勘の良い勇くんはお気づきのようですね」

戦士「?どういうことだよ」

勇者「いや、よく考えてみればさ。アリアハンは他国の文化が集まってくる国だよね」

勇者「聖地と呼ばれてるし、ルビス祭もあり、世界中を旅した父さん……オルテガも居て、そして――……」チラッ

商人「そう!そのアリアハンの市場を確立した私たちの行商団があるんです!」ババーン

武道家「あぁ、言われてみればそうね。って事は商人も黒胡椒の普及に関わってたの?」

商人「いえ、私は関わってないですが」

武道家「さいですか」

商人「食品は担当してなかったんですよ。と、まぁそんなごった煮鍋みたいな国ですからね」

商人「決して安くは無いですが高級品とまではいかないんですよ。アリアハンでは」

女勇者「気候も四季折々で色んな植物の栽培にも向いてるしね」

盗賊「……って、ちょっと待って……」

戦士「どうしたんだ?」

盗賊「……もしかして、アリアハンに戻って手に入れた方が、安泰?……」

一同「「「「あ」」」」

商人「って私もさっき考えたんですけどね。それは最終手段にしときましょう」

勇者「どうして?」

商人「恐らくバハラタとアリアハンとじゃモノが違うんですよ。土も気候も違う上に栽培方法までアリアハン独自のものになってますからね」

僧侶「それって、何か変わるものなんですか?」

商人「とーぜんですよ。植物は土やその土地の水によって味が大幅に左右されるんです」

盗賊「……確かに、同じ豆類でいえば、コーヒーもそうだね……」

武道家「そんな物だったらバハラタ以外の胡椒持ってくのは駄目かもね」

女勇者「うーん、でも安くで譲ってくれるかなぁ」

商人「ま、大丈夫じゃないですかね。その季節によって価格が大幅に揺れますが、王様だってその辺りは理解してるでしょう」

商人「で、勇くん」

勇者「はい」

商人「王様から胡椒代はおいくら程貰ってるんですか?」

勇者「……」

商人「……勇くん?」

勇者「……」

商人「……勇くん」

勇者「……」

商人「こっち向きやがりなさい勇くん」

勇者「……ごめんなさい」

商人「聞きたいのは謝罪ではないんです。王様から預かった金額です」

勇者「…………ごめんなさいッッ」

商人「勇くん、どうして謝るんですか?何かやましいヘマでもやらかしやがったんですか勇くん」ゴゴゴゴゴゴ

魔法使い「商人こわい……」

遊び人「勇者ちゃん、まさか」

勇者「…………一文も貰ってません」



一同「「「「「えぇぇー!!!?」」」」」



勇者「ほんとごめん、ほんとごめん!!」

女勇者「え、でもお遣いなんだよね!?」

盗賊「……それでお金を貰い忘れるって……」

遊び人「まさかお金こっち持ち!?」

勇者「僕もさっき気付いたんだよ……」

魔法使い「おそいよっ!」

僧侶「何か王様から胡椒屋さんへ手紙を預かってたりは……」

勇者「いや、何もないんだ」

武道家「またポルトガに一旦戻る?」

女勇者「でもこれ以上の時間のロスは避けたいね」

商人「まぁ……勇くんの財産なら軽く買える額ではありますけど……」ハァ

魔法使い「えっ」

盗賊「……何、え?……」

武道家「勇者の全財産?」

勇者「あー、商人!商人!ちょっとこっち来て!ちょっとお話!」

商人「?」

コソッ

商人(どうしたんですか?)ボソ

勇者(いや、その、僕のお金の事はみんなにはいわないでおいてくれないかな)ボソボソ

商人(どうしてですか)

勇者(……余計な心配はかけたくないんだよ)

商人(……ほんとにどこまでお人好しなんですか)

商人「まぁ、いいでしょう。一旦バハラタに着いてから考えましょう」

魔法使い「おはなしはもういいの?」

勇者「うん。ごめんね」

女勇者「とりあえずバハラタへ急ごうか」

僧侶「あ、そう言ってるうちに」


―バハラタ―


盗賊「……ついたね……」

遊び人「とにかく胡椒屋さんにいってみようよ!」

商人「ですね」

スタスタ…

勇者「はぁ……」

勇者(危なかった……武道家あたりに知れたらまた怒られる所だった)

戦士「……」

スタスタ

戦士「おい、勇者」

勇者「ん?どうしたの?」

戦士「……商人と何話してたんだよ」

勇者「え?」

戦士「さっきの、何の話だったんだ?」

勇者「……あー」

勇者「いや、なんでもないよ」

戦士「え?」

勇者「それより、急ごうよ。もう皆行っちゃったよ」

戦士「う、うん」

スタスタ

戦士「そ、そっかー……何でもないのか」

勇者「うん。それよりも胡椒だよ。ちゃんと手に入ればいいけど……」

戦士「……」

勇者「……戦士?」

戦士「……なんでも」

勇者「え?」

戦士「なんでも、ないわけないじゃんかよ……」

勇者「……え」

戦士「……お前さ、なんか、隠し事多くないか」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……そんなこと、ないよ」

戦士「いや……いや、多いよ」

戦士「アタシに……アタシだけじゃなくて、皆にも内緒にする事……前よりずっと」

勇者「い、いや……ごめん、別に内緒にするとかじゃなくてさ」

戦士「だったら、何だよ」

勇者「……」

戦士「言えない事……そんなにあるのかよ。何をそんなに隠してんだよっ」

勇者「……」

戦士「……っ」

戦士「最近さ……いや、もっと前から、かも……しんないけど」

戦士「お前、なんかよそよそしいよ。隠し事とか増えたし、一人で隠れて特訓したりするようになったり」

戦士「アタシとかに……内緒でさ」

戦士「なんだよ、お前、わかんないよっ。ほんとワケわかんないよっ」

勇者「……それは……」

戦士「そんなにっ、アタシには関わらせたくないのかよっ」

勇者「戦士……?」

ギリッ

戦士「アタシはっ、アタシはなぁっ」

戦士「アタシは、お前が!」

勇者「戦士、ちょっと」

戦士「アタシはお前が心配なんだよ!!お前が帰って来たあの日から――……!!」

勇者「……!」

戦士「……あ……」

勇者「……」

戦士「……あ、その……」

勇者「……」

戦士「……ご、ごめん……ちょっと熱くなったわ」

勇者「……いや……」

戦士「悪い、忘れて」

戦士「ご、ごめん……はは、ほんと、ごめん」

スタスタ

勇者「戦士、あのっ」

ピタッ

戦士「……あのさ」

勇者「?」

戦士「…………」

戦士「お前はどう思ってるか、わかんないけどさ……」

戦士「アタシはさ。未だに、お前の事を……」

僧侶「ふたりともーっ!どうかしたんですかー?」



二人「「!」」ビクッ



戦士「あー、わるい!すぐ行くよ!」

女勇者「んもう!急ぎなよー!」

勇者「あぁ、わかってるよー!」

戦士「……」

勇者「……戦士、あの」

戦士「ごめんな、勇者」

勇者「え?」

戦士「ちょ……ちょっと、なんだか最近さ、変なんだよ」

戦士「……ごめん!さっきの全部忘れてくれ!」

勇者「戦士っ」

戦士「おし!門まで競争だ勇者!!」

ダッ

戦士「先に行ってるぞー!!」

タッタッタッタ

勇者「……」

勇者(……戦士……やっぱり……)

…………
……

―バハラタ・街中―


魔法使い「ゆーしゃおそいよー」

勇者「ごめんごめん。皆待っててくれたの?」

遊び人「ううん……そういうわけでもないの」

勇者「?」

女勇者「なんか、ちょっと町中が騒がしくてさ」


ザワザワ


勇者「本当だね。何かあったのかな」

魔法使い「おまつりでもあるのかなぁ」

武道家「そんな風な騒がしさでもなさそうよ」

商人「収穫の時期ってわけでも無さそうですしね……何があったんでしょう」

盗賊「……とりあえず、胡椒屋さんを探してみよう?……」

僧侶「それがいいかもしれませんね。そこで何か聞けるかもしれないですし……」

勇者「そうしようか…………あの、すみません!」

町人「ん?どうしたんだい?」

勇者「胡椒を取り扱ってる店を探しているんですが……」

町人「あぁ、それならあっちだよ。あそこの道をまっすぐ行った突き当りだ」

勇者「本当ですか!ありがとうございます!」

魔法使い「あんがいすんなりみつかったねぇ」

武道家「幸先いいわね。それじゃ行ってみましょうか」

町人「でも、今は商売どころじゃないんだよなぁ」

女勇者「……え?」

勇者「どういう事ですか?」

町人「とりあえずその店に行ってみな。そうすれば分かるよ」

勇者「……?」

女勇者「何かあったのかな……」

魔法使い「とりあえずいってみようよ!」

勇者「だね。行こうか」

遊び人「早く済ませたいよね……昨日の見張りでちょっと疲れてるかも」アハハ

盗賊「……私も、ちょっと眠いかも……」

戦士「だらしねーなー」

商人「いっつもぐっすり寝てるあんたが言うんじゃねーですよ!!」

アハハハ

勇者「……」

女勇者「ほら、早く行こうよお義兄ちゃん」

勇者「あ、そうだね。皆!行くよ!」


…………


「ならんと言っとるだろうが!!」

「ではどうするんですか!!このまま泣き寝入りする気ですか!!」


……!!……!!


スタスタ

僧侶「何か……どこかで言い争いしてますね」

遊び人「あれ、あの突き当たりの建物の後ろで言い争ってる人達っぽいね」

商人「ん……」

ザッ

商人「……」ヒョコッ

商人「うん、間違いありませんね。ここが胡椒屋さんらしいです」

勇者「誰かいる?」

商人「うーん……居ないっぽいですね」

盗賊「……じゃあ、後ろで言い争ってる人達かな……?」

武道家「どうやらそうみたいね……」

勇者「ちょっと行ってみようか」

スタスタ

ザッ

勇者「……」



老人「ここはダーマの聖兵団に要請して……」

青年「そんなお金と時間、どこにあるんですか!!」



勇者「……何かあったのかな」ボソッ

僧侶「どうなんでしょう……話しかけてみます?」ボソッ

勇者「うーん……そうだね。そうしてみようか」ボソ

勇者「あ、あのー、すみません」

ピタッ

老人「……なんだ、お前さんがたは」

勇者「僕達は旅の者なんですが……黒胡椒をここで取り扱っているとお聞きしまして」

青年「黒胡椒!?今はそれどころじゃあない!!」

老人「すまんが店にはしばらく出られんよ」

戦士「なんだ……穏やかじゃないな」

女勇者「あの、何かあったのですか?随分切羽詰っているみたいですが……」

青年「どうしたもこうしたもないよ!!説明をしてる時間も無駄だ!!」

ダッ

老人「お、おい!!待つんだグプタ!!」

グプタ「僕は行かせて貰いますよおじいさん!!タニアは僕が救ってみせる!!」

老人「グプタ!!グプタ!!」

タッタッタ……

老人「……行ってしまった……!!あの馬鹿は……!!」


魔法使い「うわぁ、すごいぎょーそーだったよ……」

女勇者「どうやらこれはただ事ではないらしいね……」

勇者「……」


老人「タニアに次いで……グプタまでいなくなったら……わしはどうすれば……!」

スタスタ

勇者「おじいさん、何があったかお聞かせ願えませんか」

老人「……」

勇者「もし僕達にできる事があれば、可能な限り協力しますが……」

老人「…………旅のお方!!」

ガシッ

勇者「うわっ!?」

老人「お願い、お願いだ!!わしの……わしの孫娘を助けてくだされ!!」

勇者「おじいさん!落ち着いて!一旦落ち着いて下さい!」

盗賊「……孫娘……?」

遊び人「お孫さんがどうかされたんですか?」

老人「あぁ、わしの孫娘、タニアが先ほど……」

老人「先ほど……!!人攫いに攫われたのです!!」


一同「「「「!!」」」」


勇者「えぇ、えぇぇぇっ!!」

女勇者「人攫い!?」

老人「はい……最近この辺りに野盗がやってきて……しばらく大人しくしていたのですが」

老人「それが、突然この村にやってきて……孫娘を…………うう……!」

魔法使い「そ、それはほんとにたいへんだよっ!!ゆーしゃ!こうしちゃいられないよっ!」

僧侶「勇者くんっ!すぐに助けましょう!!」

勇者「あぁ!勿論だよ!!」

勇者「おじいさん!僕達でよければ力をお貸しします!!」

老人「お、おぉぉ……」

ガクッ

老人「申し訳ない……!申し訳ない……!!」

女勇者「取りあえず、その人攫いがどこに行ったかご存知ですか!?」

老人「あぁ、それも今から説明させていただこう……ですから、ですから孫娘と、グプタをお願いします……!!」

盗賊「……グプタというのは、さっきの人ですか?……」

老人「うむ……彼はグプタと言って、タニアの婚約者なのです……!」


戦士「……!」


女勇者「婚約者……なるほど、それであんなに焦っていたのですね」

老人「はい……そしてとうとう我慢できずに一人で野盗の巣に乗り込んで行ってしまったのです……!」

老人「タニアに……そしてグプタに何かあったら、わしは……わしはっ」

武道家「任せなさいって!!ちょちょいっと連れ戻して見せるわよ!」

魔法使い「だからあんしんしてまってて!」

老人「かたじけない……!!かたじけない……!」

勇者「まずはその野盗の居場所を!!」


戦士「……」



…………
……



……
…………


―バハラタ・北東の洞窟―


ザッ

グプタ「はぁっ……はぁっ……!!」

グプタ「ここが……野盗共の住処……!」

スタスタ…

グプタ(……新しい足跡が奥へ続いてる……)

グプタ(この足跡を辿れば……タニアへと……)

グプタ(そして……盗賊達へと……)

グプタ(……)

グプタ「……っ!!」ブルッ…

グプタ「……タニア……すぐに……すぐに行くからね……!!」


タッタッタ

ザッ

「グプタさん!!」

グプタ「!!!?」バッ


勇者「はぁっ……はぁっ……間に合った」


グプタ「……き、君達は……さっきの」

女勇者「はい、私達もおじいさんに頼まれてやってきました」

武道家「一人で乗り込むなんて無謀よ!落ち着いて!」

グプタ「……っ!君達には関係ないだろう!」

魔法使い「一回おちついてよ!わたしたちといっしょにたすけにいけば」

グプタ「話している時間さえ惜しいんだ!!うだうだ言うのはやめてくれ!!」

ダッ

僧侶「あっ!!」

タッタッタ

グプタ「……!!」

勇者「グプタさん!!」

タッタッタ…

商人「あー、行っちゃいました……アホですかあいつ」

女勇者「冷静をだいぶ欠いてるね。まずいよ……!」

魔法使い「おいかけよう!」

ダッ

僧侶「でも洞窟をまっすぐすすんで行けばすぐに――……」

勇者「う!!」

ズザッ

商人「わっ!どうしたんですか勇くん!いきなり立ち止ま……うあ」

女勇者「これは――……」

オォォォオォォォォオォ……



僧侶「つ、通路が……」

武道家「無数に分かれてる……!!」

商人「こりゃぁ……めんどくさい事になりましたね……」

魔法使い「どっちが、どこがせいかいなのかな……?ううう、わかんないよぉ」

女勇者「どうしようか、お義兄ちゃん」

勇者「ん……そうだね……」


戦士「……ぼさっとしてる暇なんてないだろ」


勇者「え?」

戦士「……!」

ダッ

僧侶「え?あ、ちょっと」

武道家「戦士!!待ちなさい!」

戦士「先行ってる!!」タッタッタ

勇者「戦士!!」ダッ

女勇者「お義兄ちゃん!」

勇者「女勇者!いや、みんな!!それぞれ複数に分かれよう!!僕は戦士を追う!!」タッタッタ

武道家「もう一人付かせようか!?」

勇者「ううん!僕一人で追いかけるよ!!それよりみんなも分散してそれぞれの通路へ!!」

女勇者「了解!!」

タッタッタ…

僧侶「……うぅ、大丈夫でしょうか」

商人「…………大丈夫でしょう……勇くんと戦士ちゃんですし」

武道家「そうね……とりあえず、私達も分かれるわよ!!」

一同「「「「うんっ!!」」」」

…………
……

―バハラタ―


遊び人「……うぅ……置いてかれた……」

盗賊「……しょうがないよ。私達は体調万全じゃないし……」

盗賊「……それに、洞窟の狭い中での争いになるから、大勢で行っても逆効果かもしれないから……」

遊び人「うん……そうだよね」


老人「…………!」ソワソワ


盗賊「……」

遊び人「……気が気じゃ無いだろうね」

盗賊「……そうだね……」

遊び人「……」


老人「うぅ…………」

老人「……っ……タニア……!!無事でいてくれ……!!」


遊び人「……っ」


スタスタ

盗賊「……遊び人?……」

遊び人「おじいさん」

老人「!ど、どうなされた」

遊び人「大丈夫ですよ」

老人「……え……」

遊び人「お孫さんは、きっと無事に帰ってきます」

盗賊「……女所帯ですが、こう見えても腕は立つんです。私達……」

遊び人「それにあのリーダーの男も、意外と頼りになるんですよ」

老人「……し、しかし……」

遊び人「大丈夫、です!」ニコッ

老人「……」

老人「……うむ……申し訳ない……わしが弱気になっていても仕方の無い事だな」

遊び人「あまり思いつめないでくださいね」

老人「かたじけない……」

盗賊「……いえいえ……」

遊び人「……」

遊び人(……なんだろう)

遊び人(なんだか……凄く、悪い予感がする……)

遊び人(とてつもない……嫌な予感……)

…………
……



……
…………

ザッ

戦士「っ、はぁっ……」

オォォォ……

戦士「っ、またわかれ道かよっ……!」

戦士(グプタって奴もいないし……早く行かないと……!!)

戦士「……次はどっちに……」


タッタッタ


戦士「!!」バッ

タッタッタ

戦士「……足音」

戦士(グプタさんか!?それとも――……)

ズザッ


勇者「はぁっ、はぁっ!戦士!見つけた!」


戦士「っ……!ゆ、勇者……」

勇者「一人で突っ走るなって普段からあれ程言ってるじゃんか!!」

戦士「……わ、悪い」

勇者「もう……とにかく、一緒に」

戦士「……」

勇者「……戦士?」

ザッ

戦士「……アタシはアタシで探すから……勇者は皆と探してよ」スタスタ

勇者「……戦士、何言ってるんだよ」

スタスタ

勇者「そんな事できるわけないだろ、戦士でも一人だったら危ないよ」

戦士「……みんなの所に行けって……」

勇者「できないっての」

戦士「アタシは大丈夫だってば」

勇者「戦士」

ガシッ

戦士「!!」

バッ!

勇者「っ!」

戦士「……あ、わ、悪い」

戦士「…………急に、腕掴むから、ちょっと、その……」

勇者「……」

戦士「……」

戦士「……ほんとごめん。ごめん」

勇者「……戦士」

戦士「…………」

勇者「……」

スタスタ

勇者「僕は大丈夫だよ……いきなり腕掴んでごめん」スタスタ

戦士「あ、勇者……」

勇者「……行こう?急がなきゃ」

勇者「一緒に……ね?」

戦士「…………」

戦士「……うん」コクリ


……


タッタッタ


戦士「……」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……」

戦士「……」

二人((…………気まずい……))

戦士(アタシ、ほんと何がしたいんだろう……)

戦士(最近ずっとこんな調子で……勇者に迷惑かけっぱなしじゃんか)

戦士(…………さっきだって)

~~~~~~~~~~~~~


戦士『アタシはお前が心配なんだよ!!お前が帰って来たあの日から――……!!』


~~~~~~~~~~~~~

戦士「……」

戦士(本当……馬鹿だ)

戦士(馬鹿だよ…………本当に)

ザッ

勇者「はぁっ……」

オォォォォ……

勇者「う……また分かれ道か……」

勇者「戦士、次はこっちに行ってみよう!」

戦士「……」

勇者「……戦士?」

戦士「えっ!?あ、悪い!こっちだな!?」

勇者「……」

戦士「わかった、行ってみよう」

勇者「……うん」

タッタッタ

戦士「……」

勇者「……」

戦士「……他のみんなは?」

勇者「多分、それぞれ探してると思う」

戦士「……そっか」

勇者「うん」

戦士「……」

勇者「……」

勇者「あ、あのさ、戦士」

戦士「えっ!?な、何だ!?」

勇者「……僕は……」

戦士「……え……」

ギュッ

勇者「僕は……あの日」






……やめろおぉぉぉ……!!!!





勇者・戦士「「!!?」」バッ

勇者「今の……小さかったけど、確かに聞こえた……!!」

戦士「確かグプタさんの声……!!」

勇者「今どの方向から……!」


戦士(しまった……!!間に合わなかった!!)

戦士(何やってんだ……何をチンタラやってたんだアタシは……!!)

戦士(今の声……『やめろ』って言ってた……!!)

戦士(もしかしたら、もしかしたら二人は)

戦士(あの時みたいに――……)


ドクン


戦士「っ……!」ブルッ


勇者「くっ……!本当にややこしくて嫌になるな……」

勇者「戦士!取りあえず次はこっちに行ってみよう!!

勇者「……」

勇者「……――戦士?」クルッ


ヒュゥゥゥ……


勇者「……」

勇者「……」

勇者「いねぇ!!!!?」ガーン

……





……

タッタッタ……

戦士「はぁっ、はぁっ!!」

戦士(多分こっちだ……!こっちから聞こえたはず!)

戦士「……!」

タッタッタ

戦士「……もう、もう!」

戦士「もう……あんなのは……たくさんだ……!!」ギリッ

ザッ

戦士「……この部屋には……っ!」

シーン

戦士「……いない……くそっ!」

戦士(どこに行ったっていうんだよ……そんなに遠くには)

戦士「……ん?あ!!」

タッタッタ!!

戦士「階段だ……!!」

<……ッ……ッ

戦士「……!」

戦士(ちゃんと物音も聞こえてくる……!ここにいるんだ!)

ダッ

戦士「待ってろよ……!すぐに助けるからな……!!」

……



……

タッタッタ

僧侶「はぁっ……あれ?」

商人「……武道家ちゃん」

武道家「何?どうしたの?」

僧侶「いえ、ここさっき来ませんでしたっけ」

武道家「え?うそ、そんなはずは……」

商人「いや、来ましたね。ほら」

僧侶「あ、さっき付けた目印」

武道家「うあ……ほんとだ」

僧侶「うぅ……やっぱり迷っちゃいますね……」

商人「先に行った勇くんや戦士ちゃんが見つけてくれればいいんですがね」

武道家「そうね……」

商人「でも……心配ですね。あの二人も」

僧侶「そう、ですね」

武道家「うん……特に戦士。一人で突っ走ってたりしなきゃいいけど」

商人「…………」

僧侶「……」

武道家「……ま、大丈夫でしょ」

武道家「……とにかく、見つけなきゃ」

商人「……急ぎましょう」

タッタッタ

僧侶「……」

武道家「商人も相当心配してるみたいね……」

僧侶「武道家ちゃんだって」

武道家「僧侶だってそうじゃない」

僧侶「……ですね」

僧侶「…………私達も行きましょうっ」

武道家「うんっ」

タッタッタ

武道家「……」

武道家(戦士……本当に大丈夫かな……)


…………
……



……
…………
……………………


タニア「やめてっ!!来ないで!!なにする気よぉっ!!」

グプタ「やめろォ!タニアに何する気だぁぁっ!!」

野盗「いや、別に何もしないけど……」

野盗2「何かほしい物とかありますかぁ?」

タニア「嘘よっ!!何かする気よっ!!」

グプタ「タニア!!タニアァ!!」

野盗2「お腹すいてたりしないっすか。あれでしたら簡単なもの作りますけど」

野盗3「パンとか軽くつまめるものもありますし」

タニア「お、お腹を……?お腹をすかせている……?」

タニア「あ、あなたたち、飢えてる……飢えてるのねッッ!!」

タニア「飢えているのねッ!!狼!!狼よぉっ!!」

グプタ「タニアァ!!タニアァァ!!」

野盗4「いやいや」

野盗「何をおっしゃる」

タニア「嘘よ!!私を、私をめちゃくちゃにする気なんでしょう!!」

タニア「本能の、本能の赴くままに!!下半身の!!その男性自身に赴くままにッッ!!」

タニア「私の花を散らしたいんでしょうッッ!!罪ッ!!」

タニア「あぁっ!!!!助けてグプタァッ!!!!」

グプタ「タニャア!!」

野盗3「こいつら超めんどくせえ」

野盗4「どうする、男の方は少しチョークスリーパーでもかけるか」

野盗2「それがいいかもね。やりすぎちゃ駄目だよ」

ザッ

「やめとけ」

野盗「あ、親分」

野盗4「でもこいつらすっごいうざいですよ。うっざいですよ」


タニア「グッタ!!グプラァッ!!」

グプタ「タニャァッ!!タニャァッ!!」


「…………まぁ、うざいけど」

野盗4「でしょう」

「だが手を出さねぇ約束だ。俺らはプロなんだぜ」

野盗「ワンパン、ワンパン駄目っスか」

野盗3「肩パンするだけっすから」

「駄目っつってんだろ。それよりも、お前らちょっと来い」

野盗「どうしたんすか」

「宝の整理するぞ。移ってきたばっかでそっちの方は手をつけてなかったからな」

野盗子分達「「「「うすっ!!」」」」

スタスタ……

野盗2「へへっ、お宝だお宝だ」

野盗「取り分はどんな感じっすか」

野盗3「親分と俺と他で1・8・2くらいがいいんですけど」

「余分な1はどっからきたんだよ。いや、そうじゃねぇ調子のんなタコ」

スタスタ……

シーン…

グプタ「……行った、みたいだね……」

タニア「えぇ……グプタ!!大丈夫!?何かされてない!?」

グプタ「あぁ、僕は大丈夫だよ!!君こそ何かされてないかい!?」

タニア「私は大丈夫よ!でも……」

グプタ「どうした!?」

タニア「あいつら……いやらしい目でアタシを……!嘗め回すように……!」

タニア「きっと奴らの頭の中では、アタシは何度も、何度も!」


※被害妄想です


グプタ「タニャァッ!!」

タニア「グプトァッ!!」

タッタッタ

タニア・グプタ「「!!!!」」

グプタ「……奴らが戻ってきたのかな……」

タニア「どうかしら……あぁっ!怖いわ!グプタ!!」

グプタ「あぁっ!一緒の牢獄に閉じ込められたら抱きしめられたのに!!タニア!!」

タニア「私も!あなたを抱きしめたいわ!!グプタ!!」

グプタ「タニャァッ!!」

タニア「グプトァッ!!」

ザッ



戦士「タニアさん!!グプタさん!!どこだ!!」



タニア「!? 女の人の声!?」

グプタ「…………まさか」


戦士「おーい!居たら返事してくれ!!」


グプタ「おーい!!」

戦士「!!」

グプタ「こっちだ!!その入り口から真っ直ぐ歩いてきてくれ!!」

戦士「そっちか!!」ダッ

ザッ

戦士「!!ふたりとも!」

グプタ「やっぱり、アンタさっきの!」

タニア「誰よその女ァ!」

戦士「無事……みたいだな……良かった」

グプタ「お、お願いだ!!ここから出してください!!」

タニア「誰よその女ァ!」

戦士「つっても……鍵とかどこにあるんだこれ」

グプタ「そっちの壁を見てくれ!」

タニア「誰よその女ァ!」

戦士「え?……あ、なんかレバーみたいなのがある」

グプタ「そのレバーを動かしてくれれば開くはずだ!!野盗達はそこで操作してたから」

戦士「えっと……」

ガシッ

戦士「これだな!よっと!」

ボキィッ

グプタ「……」

戦士「……」

戦士「…………強くやりすぎた」

グプタ「何やってんのぉぉおおおおおお」

タニア「誰よその女ァ!!」

戦士「わ、悪い!!ってかあんたうるさいよ女の方!!黙ってろ!!」

グプタ「でもどうするんだよ!!これ出られな……」

スタスタ

ガシッ

グプタ「……え」

戦士「まどろっこしい!」

ググググ

グプタ「え、まさか」

戦士「開けりゃいいんだろうが!!開けりゃ!!」



ガゴォオン!!!!



グプタ「」

タニア「」

戦士「ふぅ……ほら早く出ろ!」

グプタ「は、はい」

スタスタ

戦士「よし、次はアンタだ!ちょっと鉄格子から離れてて!」

タニア「はい」

戦士(なんか急に大人しくなったな)


……


タニア「で、出られた!出られたわ!!グプタ!!」

グプタ「タニア!!」

ダキッ

タニア「あぁ!怖かった……!怖かったわ!!」ギュッ

グプタ「タニア……タニア……!」ギュゥゥ

戦士「…………」

戦士「……良かったよ……ほんと」

戦士(ほんとうに……無事で良かった……良かった)

戦士「でも今はそんな事してる場合じゃないな」チラッ

シーン

戦士「……まだ野盗達は戻ってこないみたいだし」

戦士「おい!二人とも!早くここを――」クルッ



タニア「グプタ!」

グプタ「タニア!」

グルグルグルグル


戦士「……」

タニア「グプタ!」

グプタ「タニア!」

グルグルグルグル

戦士「……」

戦士(腕組みながらめっちゃ回ってる)

タニア「グプタ!」

グプタ「タニア!」

グルグルグルグル

戦士(…………なんだこいつら)

戦士「って、いやそうじゃねぇよ!!あんたら早くここから逃げろってば!!」

グプタ「あ!そ、そうですね!!」

タニア「早くしないとあいつらが帰ってくるかも……」

戦士「そういう事!!ほら!早くいくぞ!!」

グプタ「はい!あ……旅のお方!」

戦士「なんだよ!どうかしt――……」


タニア・グプタ「「ありがとうございました!」」ペコ


戦士「……」

グプタ「本当に……本当に!助けてくださって!!ありがとうございます!!」

タニア「ありがとうございます……!ありがとうございます……!」


戦士「……」

戦士「……や」

戦士「やめろよ……」

戦士(アタシに……頭なんか……下げないでくれよ)

戦士(アタシは……何も)

戦士(何も助けられなんか……)

戦士「っ!!」

ブンブン!

戦士「そ、そんなもんいいから!!とにかく早く出ろ!いつ野盗達が戻ってくるかわかんないんだぞ!!」

グプタ「は、はい!!ありがとうございます!タニア!!手を!」

タニア「うん……!」

ギュッ

戦士「上の階にはまだアタシの仲間がいるはずだから合流すればもう安心だ!」

タニア「お仲間まで――……!」

戦士「あぁ!だから」



「おいおい何処に行く気だよ」



戦士「っ!!?」

ガシッ

タニア「きゃぁっ!!」

野盗「おっと」

ガシッ

グプタ「うわぁっ!!」

野盗2「逃げられちゃ困るぜ」



戦士「タニアさん!!グプタさん!!」

グプタ「あ、あ……!!」


「すげぇ音がするから何かと思えば……」


タニア「い、いやぁ……!!」


「何逃げ出そうとしてんだぁ……?」


戦士「……お前」

「……あ?」

「お前見覚えがあるなぁ……?」

戦士「…………お前ぇっ!!」

「あぁ!思い出したぜ!」

「シャンパーニの塔じゃ世話になったな」

戦士「……カンダタァッッ!!!!」




カンダタ「……あの小僧は元気かよ」ニタァッ


今日はおしまいです
会社辞めたい

>>431
一応今までのはっておきます

http://i.imgur.com/9wShn.png 魔法使い
http://i.imgur.com/efTVm.png 盗賊
http://i.imgur.com/Fdftp.png 僧侶
http://i.imgur.com/NVbev.png 武道家
http://i.imgur.com/RsBCp.png 戦士
http://i.imgur.com/DeRlJ.png イシスの人たち

PCがおじゃんになってこれしか残ってなかった
おやすみなさい

タッタッタ……

魔法使い「そっちのつうろはどう!?」

女勇者「いや、駄目みたいだよ。行き止まりだ」

商人「全く……考えやがってくれましたね。野盗の奴らも」

魔法使い「うん……こんなめいろみたいなところ、みつかるはずないよ……」

女勇者「弱音を吐くのはまだ早いよ魔法使いちゃん。それにお義兄ちゃんや武道家ちゃんが見つけてくれているかもしれないしさ」

魔法使い「う、うん。そうだよね!」

商人「……しかし、心配ですね……」

女勇者「ああ。タニアさん……最悪の事態になってないといいけど」

商人「…………そっちは勿論心配ですけど……」ボソッ

女勇者「え?」

魔法使い「ほかになにか心配なことでもあるの?」

商人「いえ、忘れてください」

魔法使い「そう?」

女勇者「とにかく!魔法使いちゃんは次はそっちをお願い!」

魔法使い「うんっ!商人はそっちを!」

商人「了解です!」

タッタッタ

商人(……あのアホアホが勇くんに迷惑かけてないといいですけれど……)

商人(本当に……どうしようもない所は勇くんに似てるんですから……)

…………
……



……
…………


戦士「この野郎……!」

カンダタ「よぉよぉ、そんなに睨んでくれるなよ」

カンダタ「それよりあの小僧は無事かよ?俺が怪我させといてなんだが、久しぶりに会ってみてえんだ」

戦士「ふざけんなっ!!二度とお前なんかに勇者を会わせるか!!」

ジャキッ!!

カンダタ子分「ひっ!」

スタスタ

戦士「二人を、グプタさんとタニアさんを離せ!!」

カンダタ子分B「お、親分!」

カンダタ「なんだよ……つれねぇな」

カンダタ(……へっ、その言い方じゃ、あのガキも無事みてえだな)

戦士「うるさいっ!!」

ダッ

カンダタ「!!」


ガキィン!!


戦士「お前と話す事なんてねぇよ!アタシも、勇者もな!」グググ

ギリギリ……

カンダタ「っ……やっぱ、一筋縄じゃいかねぇみたいだなぁ……!メスガキィ……!!」グググ

カンダタ子分「親分っ!!」

カンダタ子分C「今加勢に」


カンダタ「お前らはそっちで見てろぉ!!」ギリギリ


カンダタ子分D「お、親分!?」


戦士「……なんだよお前っ……余裕だな?」グググ

カンダタ「けっ……メスのガキを袋叩きなんて俺の流儀に反するからな……」グググ

カンダタ「いっちょタイマンと洒落込もうぜ?……お姫さん」

戦士「っ……!!この野郎てめぇっ!!!!」

ガキィン!!

カンダタ「ぐおっ!!?」

ズザッ

カンダタ「……っ」

戦士「アタシを女だと思ってなめるなよ……!!なめるんじゃねーよ……!!」ギリィッ

カンダタ「へへへ……良い顔になってきたじゃねぇか」

カンダタ(……やっぱり化け物みてぇな力だな……こりゃ厳しいか?)

カンダタ(まぁしかし……少しの時間稼ぎくらいにはならぁな……)

カンダタ子分「親分!!」

カンダタ「てめぇらも落ち着きやがれ……大丈夫だって言ってんだろ」

カンダタ子分「でも……」

カンダタ「……折角依頼主に斧も新調してもらったんだ」

ジャコッ

カンダタ「……多少、切れ味を試したいと思ってた所だ……丁度いい」

…………
……



……
…………


ザッ

勇者「はぁっ……はぁっ……!!」

勇者「くそっ、どっちだよ……確かこっちに行ったと思ったんだけど……!!」

タッタッタ……

勇者「……」

勇者「……何やってんだよ……戦士……っ!」

勇者「とにかく……早く見つけないと……!」


<……


勇者「!!」ピタッ

勇者「……?」

勇者(気のせいか……?今人の足音と声が)

<……デ……スタスタ……

勇者「!!」

勇者(聞こえた……)

……スタスタ

勇者(!! こっちに向かってる!!)

スタスタ

勇者「……」

勇者(歩いてる足音……急いでる気配はないから、皆ではないみたいだけど……もしかして野盗か?)

勇者(大人数でないといいけど……さすがにこの状況で多人数との戦闘は無茶だ)

スタスタ……

「で、その女がまたうるさくてさ」

「あれどうにかならんもんかね」

「いつまで我慢してりゃいいんだっけ?」


勇者「っ!!」

勇者(まずい!!思ったより近くに来るのが早い!!)

勇者(見つか――……)


ザッ

カンダタ子分E「えっと、多分……あれ?」ピタ

カンダタ子分F「え?どうしt……」ピタ

カンダタ子分G「ん?二人ともどうしたん……」ピタ


勇者「…………あれ?」

勇者(……なんだろう、このガラの悪い人たち……)

勇者(どこかで見た気がするんだけど…………どこだったっけ)


カンダタ子分E「……」

カンダタ子分F「……」

カンダタ子分G「……」


勇者「……あの」


カンダタ子分達「「「いやあぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!!おばけぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」


勇者「は」

カンダタ子分E「どどどどどうしよう子分F!!こいつあれだよ!!シャンパーニのあいつだよ!!」ガタガタ

カンダタ子分F「ひ、ひぃぃぃ……ば、ばけ、化けて出たぁぁぁ……!!」ガタガタ

カンダタ子分G「」ブクブク

勇者「……シャンパーニ……?」

勇者(……あ!そうか!こいつらカンダタの子分達だ!!)

勇者(って事は……タニアさんを攫った盗賊ってカンダタの事なのか!)

勇者(……っ!カンダタの野郎……!!)ギリッ!!

カンダタ子分E「ひ、ひぃぃぃ!!怒ってる!!なんか怒ってる!!」

カンダタ子分F「きっとあの後死んじゃって、恨めしい思いを抱きながら俺達を追いかけてきたんだよぉっ!!怖いよぉ!!」

勇者「……」

カンダタ子分達「「お、親分おたすけぇ……!!」」ブルブル

勇者「……」

勇者(………………一か八か)

勇者「……うらめしや」

カンダタ子分達「「っ!!!?」」ビクゥゥッ!!!!


勇者「うらめしやぁ」ズズズズズ


カンダタ子分達「「にょ、にょほぉぉぉぉ……!!!!」」ガタガタブルブル

カンダタ子分G「」←失神

勇者「うらめしい……すっごいうらめしい……」ユラァ

カンダタ子分E「はわわ……!!お、落ち着いて下さい幽霊さん!!」

カンダタ子分F「俺達も親分も幽霊さんを殺すつもりはなかったんだよぉ!!」

勇者「でも実際死んじゃったし……あーうらめしい……」

カンダタ子分E「ふえぇぇ!!なんでもっなんでもなんでもしますからぁぁ!!」

カンダタ子分F「本当に何でも!死ぬ以外はなんでもしますからお助けてよぉ!!」

勇者「何でも……?」

カンダタ子分達「「はいっ!!何でもします!!!!」」

勇者「じゃあ……カンダタの所に連れてけ……」

カンダタ子分E「はいっ!!!!今すぐに!!」

カンダタ子分F「こちらです!!足元に気をつけてくださいっ!!」

カンダタ子分E「おい!!子分Gも目を覚ませ!!」

ペシペシ

カンダタ子分G「ん……え?」

勇者「うらめしや」

カンダタ子分G「んほぉぉぉ!!」ガクッ

カンダタ子分F「おいバカ野郎!!幽霊さんが機嫌を損ねたらどうするつもりだっ!!」

ギャーギャー

勇者「いや……お願い早く連れてって」

カンダタ子分達「「「ふえぇぇ!!幽霊さんが怒ったぁ!!」」」

勇者(めんどくさい)

…………
……



……
…………


ズガァッ!!


戦士「らぁっ!!!!」

カンダタ「ぬぐぉう!!!!」

ザッ!!

カンダタ子分「親分!!」

カンダタ「……くっ……」

ザッザッザッ

戦士「さっさと二人を放せよ……!!」

カンダタ「へへ……さすがはあの小僧の仲間ってか……お前も結構良い目してんぜ」

戦士「黙れ!!」

ヒュッ!

カンダタ「っ!」

ガキィッ!!

カンダタ「っぐ……!」グググ

戦士「お前が勇者の事、語るんじゃねぇよ……!!」グググ

カンダタ「……このアマ……!」

カンダタ(本当に何なんだこのガキ……メスガキの力ってレベルじゃねぇぞ……!!)グググ

カンダタ「っ、おらぁっ!!」

ガキィン!!

カンダタ「ふっ!!」ヒュンッ!!

戦士「っ!!」ガキィッ!!

カンダタ「……おめぇら、なんなんだ?」ギリギリ

戦士「……っ、何がだよ……!」ギリギリ

カンダタ「お前にしてもシャンパーニで俺を殴った黒髪の女にしても……おめぇら……ガキにしちゃあ強すぎるぜ」

戦士「……お前には関係ないだろ……!!」

カンダタ「その年で強ぇ奴らは……国連の勇者とか……名の知れた騎士とかには……何人か居るって聞いた事があるけどよ」

カンダタ「お前ら、国連とも関わってねぇみてえだしな……ポっと出にしちゃ強すぎんぜ」

戦士「……お前には……関係ないって!!」

ガキィッ!!

カンダタ「っ!!!?」

戦士「言ってんだろうが!!!!」

ズガァッ!!

カンダタ「ぎぃっ!!!!」

ズザァッ

カンダタ子分「親分!」

カンダタ「ぐっ……!何ともねぇ!!そこで見てろ!!」

戦士「アタシはお前とお喋りするためにここに来たわけじゃねぇんだよ!!!!」

カンダタ「……そうだなぁ」

ジャキッ

カンダタ「……そんなに俺とのお喋りが嫌なら……てめぇには黙ってもらうしかねぇなぁ」

戦士「……」

ジャキッ

戦士「…………黙らせてみろよ……ド三流!!」

――――――――
…………

スタスタ……

勇者「……」

カンダタ子分E「……あの、幽霊さん」

勇者「え?あ、はい?」

カンダタ子分F「死んでも足はなくならないんですね?」

勇者「……俗説ですから」

カンダタ子分G「俗説……」ゴクリ

カンダタ子分E「良い事を聞いた……」

カンダタ子分F「皆に自慢しようぜ」ボソボソ

カンダタ子分E「だな」

勇者「……」

勇者(なんというか……)

カンダタ子分E「次何聞く……?」

カンダタ子分F「そうだな……」

カンダタ子分G「天秤で命の重さ量られるって本当かな……」

勇者「……」

勇者(この人達がアホでよかった)

勇者(しかし、僕は反対方向に進んじゃってたんだなぁ……早く戦士の所に行かないと)

カンダタ子分E「あ、あの!」

勇者「んぇ?はい?」

勇者(また質問か……バレないような質問だといいけど)

カンダタ子分F「その、あの世ってどんな感じですか?」

勇者「……」

勇者「…………あの、世」

カンダタ子分E「は、はい……」

カンダタ子分G「……」ゴクリ

勇者「……」

勇者(……あの世……か)

カンダタ子分E「……幽霊さん?」

勇者「え?あ、あぁ。あの世ね」

勇者「……その、何も無いところですよ」

勇者「…………音も、感触も」

勇者「……何もない、所です」

カンダタ子分E「こ、こえぇ……!あの世こえぇ……!」

カンダタ子分F「死にたくねぇなぁ……」

勇者「あはは……それよりさ」

カンダタ子分G「は、はい!!なんでしょう!!」

勇者「いや……君たち、女の人を攫ったと思うんだけど」

勇者「その人……無事だろうね?」

カンダタ子分E「っ」ゾクッ

カンダタ子分F「な、なぜあの女を攫った事を知ってるんですか!?」

勇者「え?あ、えっとその、死んだら気配に敏感になるんだよ」

カンダタ子分G「幽霊すげぇ……!」ゴクリ

勇者(アホでよかった)

カンダタ子分E「あ、あの女なら無事です!生きてます!」

カンダタ子分F「檻の中に入れてますけど、指一本触れてません!!」

勇者「……指一本?」

カンダタ子分G「はいっ!!本当ですっ!!」

勇者「……あのさ、あの女の人を攫った理由ってなんなの?」

カンダタ子分E「理由、ですか?」

勇者「うん。正直ホッとしたけど、攫った上で何もしないなんて、目的がよくわからないなぁと思ってさ」

カンダタ子分E「あぁ、まぁごもっともっすねぇ」

カンダタ子分F「これは実は――……」

ピタ……

勇者「……え?」



……
…………

カンダタ「だらぁっ!!」

ガキィッ!!

戦士「らぁぁっ!!!!」

ガキィ!!


ズザァッ

カンダタ「はぁ……はぁ……ふぅ……!」

戦士「はぁ……はぁ……ちっ」


カンダタ(……こりゃ冗談抜きに強えな……)

カンダタ(このまま続けたら俺が負けちまう……時間稼ぎどころじゃねぇな)


戦士(正直こいつの事見くびってた……意外に強い)

戦士(勝てない敵では無いと思うけど、油断したらやばいぞ……)


戦士「だけど……っ!」

ダッ!!

ガキィン!!

カンダタ「っ!」

戦士「……っ……!」

ギリィッ!

戦士「遊んでる暇なんて……ないんだよ……っ!!!!」

戦士「一気に……!カタをつけてやるッ!!!」

ガッ!!

戦士「だらああああああああ!!!!」

カンダタ「!!!!」

カンダタ子分「親分!!」





「剣士さんっ!!早く助けてぇ!」




戦士(あれ)




戦士(誰だ、この声)

戦士(…………あ)

戦士(駄目だ)

戦士(駄目だよ、アタシ)


「剣士さん!お願いだ!そんなやつ早くやっつけて下さい!」


戦士(気付いたら駄目だ)

戦士(意識したら駄目だ)

戦士(思い出しちゃうから――――……)


タニア「剣士さん!」

グプタ「お願いだ!剣士さん!」


戦士「……――――っ」

戦士「っ」

フッ

カンダタ「!!」

カンダタ「っだらぁっ!!」

ガキィン!!

戦士「あぐっ……!!」

ズザッ

カンダタ「ふぅ……っ」

戦士「……っ……」

カンダタ「……今のは少しやばかったぜ」フゥ

カンダタ「……」チラッ


戦士「…………!」


カンダタ(……気のせいか?)

――――――――――


タニア「戦士さん!」

戦士「っ」

――――――――――

カンダタ(あの人質共が叫んだ時……隙ができた……?)

ドクンッ


戦士「はぁっ……はぁっ……!」


しまった


戦士「っ……」

タニア「剣士さん!お願い!そんな奴ら、やっつけてぇ!」

グプタ「お願いだ!頑張ってくれ!!」

戦士「…………!!!!」


ドクンッ


しまった


戦士「……!」

カンダタ「……?」


しまった

思い出すな

思い出すな

お願いだから、思い出すな アタシ



お願い、だから

―――――――――


タッタッタ

僧侶「武道家ちゃん!武道家ちゃん!」

武道家「へっ?何?」ピタッ

僧侶「そっちは違いますよ!そっちにはもう三回行きました!」

武道家「え?そうだったっけ?」

僧侶「そうですよぉ!んもう!武道家ちゃんは先頭行くの禁止です!」

武道家「うぅ、ご、ごめん僧侶」

僧侶「いえ、大丈夫です……焦る気持ちは分かりますけど、落ち着いて……ね?」

武道家「はい……」

タッタッタ

武道家「……このアジトに入ってから結構経つわね」

僧侶「……無事だと、いいんですけど」

武道家「そうね……」

タッタッタ

僧侶「……戦士ちゃんも、大丈夫でしょうか」

武道家「……やっぱり考える事は同じかぁ」

僧侶「うん……力で、負ける事は無いと思いますけど……」

武道家「……」

僧侶「……」

武道家「……そうね」

武道家「なんだか、今あいつ……複雑みたいだし」

武道家「……早く見つけないと」

僧侶「……ですね」

タッタッタ

武道家「……」


――――――――――――


戦士『駄目……駄目なんだ』

戦士『怖いんだ……怖いんだよ……!!』


――――――――――――

武道家「……」

武道家(今の状況だったら……)

武道家(戦士は……もしかすると――――……)

……





……


ザッ!!


カンダタ「……立てよ、嬢ちゃん」


戦士「ぐ……!!」

ヨロッ

戦士「……っ!」

カンダタ「……」

戦士「……あぁぁぁっ!!!!!」ダッ

ガキィン!!

カンダタ「……」

カンダタ「ふんっ!」ガキッ

戦士「うあっ!!」キィン!!

ズザァッ

戦士「く……っ……!!」

カンダタ(なんだ……?コイツ、途端に雑魚になり下がりやがった)

カンダタ(……何が起こったんだ?)



戦士「……はぁ……!!」ゼェゼェ

ドクン

戦士「っ!!」

ドクン ドクン

戦士「く、そ……!!」

うまく 手や、足や、頭が  働かない

戦士(思い出すな……!思い出すな……!)

動け、動いてよ。アタシの手

戦士(バカ、バカバカバカ!)

動いてよ、動いてよ アタシの足

戦士(なんでだよ……!なんでこんな時に!)

動いてくれないと

戦士(思い出すな!思い出すな馬鹿!)

動いてくれないと、アタシ

戦士(こんな所で!)

アタシが、負けちゃったりしたら


ドクンッ


戦士(あ)


タニア「剣士さん!?」

グプタ「剣士さんっ!しっかりしてくれ!!」


あの二人は


戦士「…………っっっ……!!!!」


あいつと  勇者みたいに  

はなればなれに

グチャグチャに

―――――――――――



タッタッタ

勇者「…………」

カンダタ子分E「……なぁ、幽霊さん黙り込んじゃったけど……」ボソボソ

カンダタ子分F「なにか気に障る事でも言っちゃったかなぁ」ボソボソ

カンダタ子分G「あ、あのっ、幽霊さん」

勇者「へ?あ、はい?」

カンダタ子分G「もうすぐ親分達のいるアジトの部屋につきます!」

勇者「あ、本当ですか?ありがとうございます」

カンダタ子分E「……大丈夫そうかな」

カンダタ子分F「怒っては無いみたいだな……」

カンダタ子分G「あ、着きました!あの扉です!」

勇者「!……あれが」

ズザァッ


―カンダタのアジト―


勇者(……ここにタニアさんが……)

カンダタ子分達「「「では僕達はこれで失礼しますっ!!!!!」」」ダッ

勇者「えっ?、あの」クルッ

ヒュゥゥ……

勇者「はやっ」



タッタッタ

カンダタ子分E「あーマジで怖かったー!!!!」

カンダタ子分F「幽霊とか初めて見たわ!!」

カンダタ子分G「あとは親分に任せようぜ!!」

カンダタ子分E「あぁ、今の親分は武器も新調したし体調も万全で無敵だからな!」

カンダタ子分G「便秘治ったしな!!」

カンダタ子分F「幽霊なんてぶっとばしてくれるぜきっと!便秘治ったしな!!」

カンダタ子分E 「あぁ!便秘治ったしな!!」

カンダタ子分G「とりあえず俺達は安全な所で待機していよう!!!!」

タッタッタ……

スタスタ

勇者「無計画に一人で来ちゃったけど……どうしよう」

勇者(僕一人だとしたら……正直カンダタには敵わない)

勇者(……)スッ

<……! ……!

勇者(……中で戦闘してる様子でもないな……)

勇者(戦士はどうしたんだろう……?ここには辿り着いていないのかな)


<……!

勇者「!!!!!」

勇者(今の……微かだったけど、今の声……戦士だったよな)

勇者(…………まさか)

勇者「くっ!」ダッ


バタァン!!!!

勇者「戦s――――……」



カンダタ「おい、足もちゃんと縛っとけ」

カンダタ子分「うす!」



戦士「ぐ……!!!!」ボロッ



勇者「……――――――――戦士!!!!!!」

カンダタ「んぁ?何――……」

カンダタ「…………おい、おいおい」

カンダタ「おいおいおい!ははっ!来やがった!!来やがったぞ!!!」

カンダタ子分「あっ!!!?お、お前っ!?」

カンダタ子分B「き、きやがったぁっ!!!!」



戦士「っ!!!ゆ、ゆうしゃっ……!!」



勇者「戦士!!戦士っ!!無事かっ!!!?」ダッ

ザザッ

勇者「っ!?」ピタッ

カンダタ「久々じゃねぇかボウズ!元気そうで何よりだぜ!」

勇者「……カンダタァァ!!!!!!!」

ジャキンッ!!

カンダタ子分「ひっ!?」

カンダタ「おうおうおう、早速物騒だな」

勇者「お前、ふざけるなよっ……!!!!何してんだよお前ぇっ!!!!」

カンダタ「あ?あぁ、あのメスガキの事か?」

カンダタ「ちょーっとうるさかったからなぁ……軽くボコして縛らせてもらったぜ」

勇者「……!!?」

戦士「……ごめん……!ごめん、勇者……!」

勇者「戦士が……お前に……?」

カンダタ「急に調子でも悪くなっちまったかのようになぁ。まぁ俺らにとっちゃ好都合だぜ。うるせぇのが片付いた」

勇者「……っ!!!!」

ダッ

カンダタ「お?」

ズザッッ!

勇者「戦士!」

戦士「……勇者……」

勇者「どうしたんだよ……?どこか、どこか怪我したのか!?具合は!?」

戦士「…………」

勇者「……戦士?」

戦士「……ごめん」

戦士「……アタシは……なんとも、ない……」

勇者「……ほ、本当にか?」

戦士「でも…………ごめん……」

勇者「え?」

戦士「アタシ……負けた……負けちゃった」

フル……

勇者「……!」

戦士「……勇者…………ごめん……!アタシ、アタシ……!!」フルフル

戦士「……負けたんだ……!!負けちゃった…………!!」フルフル

勇者「……」

戦士「ごめん……!!」

勇者「……」

スタスタ

カンダタ「……よぉ、ボウズ。そういやお前も俺らの邪魔しに来たのか?」

勇者「……」

カンダタ「…………しかし、俺ぁてめぇの事気に入っちゃあいるんだがよ」ジロッ


タニア「ひっ!?」

グプタ「な、なんだよっ!!」


カンダタ「……今、俺らもお仕事の最中なんでな」

ジャコッ

カンダタ「……お前ももし、俺を邪魔しに来たってんなら……少し黙らせとくしかねぇんだ」

カンダタ「なぁ、どうなんだ?ボウズ」

勇者「……戦士、動かないで……んっ!」グッ

戦士「……勇、者……」

勇者「…………ぐぎぎぎ……!!!!……っっ……!!っくそ!この糸……!全然硬くて解けない……!!」グググ

カンダタ「……無視かよ」

カンダタ子分C「親分っ!!早いとこやっちまいましょうよ!!」

カンダタ子分D「そうですよ!!こいつは――……!!」

カンダタ「てめぇらは黙ってろ」

カンダタ子分C「!!!」

カンダタ子分D「……はい……」

勇者「ぐぎ……!!ぎぃぃ……!!」ググググ

カンダタ「はっ!無駄だぜボウズ」

勇者「はぁっ、はぁっ!」

カンダタ「その女を縛ってんのはキャタピラの糸と粘性のあるポイズントードの胃袋やらで作った俺様特性の糸だ」

カンダタ「てめぇもシャンパーニではその身でキャタピラーの糸の粘性と丈夫さは体験済みだろ?アレの軽く五倍は丈夫だぜ」

勇者「……っっぎぎぎぎぎぎぎぃぃ……!!!!!!」ググググググググ

戦士「勇者……!もういい、もういいから……!」

カンダタ「……」

勇者「……っっっっがあああああああああ!!!!!!」グググググググググ

戦士「…………もう、いいって……」

カンダタ子分「……」

カンダタ子分B「……本当になんなんだ……あいつ……」

カンダタ「……っく」

カンダタ「くはっ!くぁははははははははははは!!!!」

勇者「はぁ……はぁ……!」

カンダタ「やっぱりてめぇはいいなぁ!!いいなぁ!お前ぇ!!!!」

カンダタ「なぁ、なぁ!ボウズ!これを見てみろ!」チャプ

カンダタ「その糸の溶解剤だ!これがあればその糸なんぞすぐに解けちまうぜ!!」

勇者「はぁ……はぁ……!!」

カンダタ「そこでだ……ボウズ、条件を交換しねぇか?」

カンダタ「この薬はてめぇにやる!そこの女も男も開放してやる!!…………そこでだ」

カンダタ「お前、俺の一味に入れや……!!」

カンダタ子分「おっ……親分!!」

勇者「……」

カンダタ「なぁ、俺がてめぇを一から鍛えてもっと強ぇ奴にしてやるぜ……勿論宝も盗む度に多くの配分をてめぇにやる!!」

カンダタ「富も悪名もてめぇなら少し強くならぁ簡単に手に入るんだぜ!?俺にはわかる!!」

カンダタ「それに、女所帯でも居心地が悪ぃんじゃねぇのか?今の旅はよぉ……俺らの旅は気ままでいいぞぉ。気が向いたら盗み、奪う。口のうるせぇ女もいねぇ」

勇者「……」

戦士「…………」

カンダタ「……それに、その女だって現にこうして俺に負かされてんだ。こんな弱ぇ女なんかより俺に付いてきた方が正解だぜ」

戦士「っ……!」

勇者「……」

戦士「……勇者……」

カンダタ「それに三人とも救えるんならそれに越した事ぁねぇじゃねぇか!なぁ!」

カンダタ「こっちに来な!ボウズ……もしOKならそのままこっちに来て剣を俺に渡しな……お前にこれ以上良い選択もなかなか無いと思うぜ?」

勇者「……」

スクッ

戦士「!!?」

カンダタ子分「!?」

カンダタ子分C「まさか、本当に……!?」

勇者「……」

カンダタ「おぉ……ボウズ、そのまま」

勇者「……カンダタ」

クルッ





ゾクゥ



戦士「っ!?」

タニア・グプタ「「!?」」

カンダタ子分「「「ひっ!!?」」」


カンダタ「…………!!」ピリピリ



ジャキンッ


勇者「お前、あんまりほざくなよ」

勇者「くっだらねぇ事……ほざいてんなよお前……!!」

カンダタ「っっ~~!!」ゾクゾク

カンダタ(こいつ……!!この眼!この眼だ!!この眼がいいんだ!!)

カンダタ(まるでそれだけで人間を睨み殺せそうな眼……!!こいつ、最高だ!!)

ジャコンッ

スタスタ

カンダタ「……けへへっ……剣を抜いたって事は……交渉決裂っつう事でいいんだな?」スタスタ

勇者「僕は最初っから、そんな交渉聞いてないんだよ」スタスタ

カンダタ「じゃあ条件は全部破棄っつう事でいいな?」スタスタ

勇者「何度も言わせるなよ。そんなもん聞いて無いんだよ。最初から」スタスタ

カンダタ「じゃあ……」

ダッ!!

戦士「!!」

タニア「きゃあっ!!」

タッタッタ!!

カンダタ「どうやってそいつらを守るんだよぉ勇者さんよぉぉぉぉぉ!!!!!!」



ガキィン!!!!!


カンダタ「……!」

勇者「……っ……んなもん……決まってるだろ……!!」ギギギ

勇者「僕が……僕が、手が、何本千切れても…………お前をぶっ飛ばす……!!!!!」

勇者「それだけだよ……!!それだけだ……!!!!雑魚野郎!!!!」

カンダタ「……ぎゃははははは!!!!」

ガキィン!!

カンダタ「やっぱりてめぇ最高だ!!!!」

ジャコッ!!

カンダタ「来いよ!!クソガキィ!!!!サシでやり合おうぜ!!!!」

カンダタ「てめぇのお仲間が来ててめぇがそいつらにベソカキながら縋り付くのが先か!お前がボロ雑巾みてぇになって命乞いをすんのが先か!」

カンダタ「それとも……くはははっ!!!!……来いよ!!!!」

今日はおしまいです
あけましておめでとうございます
最悪な更新ペースで申し訳ございませんが
まだお付き合いして頂ける方が一人でもいらっしゃれば幸いです

なんとか生きてますー
明日には、投下、したい、です

―バハラタ・町の外―

スタスタ……

遊び人「…………」

ヒュゥゥゥゥゥ……

遊び人「……」

スタスタ……

ザッ

遊び人「……」

遊び人(……この花……)

遊び人(この花は……確か……)

遊び人「……」

スクッ

遊び人(……そっか……やっぱり)

遊び人「…………やっぱり、ここ……」

スタスタ

盗賊「……遊び人?あ、居た……」

遊び人「あれ?あ、盗賊」

盗賊「……どうしたの?突然居なくなって……心配したよ……」

遊び人「あ、ごめんね。ちょっと落ち着かなくて」

盗賊「……ふふ、大丈夫だよ。勇者たちが何とかしてくれるよ……」

遊び人「うん!そうだね!」

盗賊「……それじゃ、戻ろっか……」

スタスタ

遊び人「おじいさんは?大丈夫?」

盗賊「……うん、ちょっと疲れてるみたいだったから、家の中で休ませてるよ……」

遊び人「そっか……本当に何もないといいんだけどね」

盗賊「……ふふ、大丈夫だってば……」

遊び人「……」

盗賊「……?……遊び人、大丈夫?……」

遊び人「ん?うん……」

盗賊「……どうかしたの?様子変だよ?……」

遊び人「……」

盗賊「……何かあったの?……」

遊び人「……あのさ」

盗賊「……うん……」

遊び人「……」

ピタ

盗賊「……?……」ザッ

遊び人「……」

遊び人「なんだか……すごく嫌な予感がするの」

盗賊「……嫌な、予感……?……」

遊び人「……うん、まるで……さ」

遊び人「……まるで……」

盗賊「……遊び人……」

ギュッ

遊び人「ふぇっ?」

盗賊「……」ギュ

遊び人「…………盗賊?どしたの突然手なんて握って……」

盗賊「……多分、寝不足で疲れてるんだよ……」

ギュッ……

盗賊「……大丈夫だから、少し休もう?……」

遊び人「……うん、そうだね。ありがと」

盗賊「……それじゃ、いこっか……」

スタスタ

盗賊「……おじいさんが、家のリビングを好きに使っていいって。だからそこで休もう……」

遊び人「うん。じゃ、お邪魔しよっか」

スタスタ

遊び人「よし、着い――……あれ?」

盗賊「……あれ、だれだろう……」



ドンドン

老婆「グプタ!グプタはおらんか!」



遊び人「グプタさんを探してるみたい……」

盗賊「……行ってみようか」

スタスタ

老婆「グプタ!グプタ!」ドンドン

遊び人「あの、おばあさん?」

老婆「ん!?……なんじゃいお前さんがた」

遊び人「えと、旅の者なんですが……グプタさんは今お家にいらっしゃいませんよ?」

老婆「何!?本当か!?」

盗賊「……何かグプタさんに御用だったんですか?……」

老婆「うぅん……少し急ぎでダーマまで伝言を頼みたかったのだが……どうしたものか」

盗賊「……え?ダーマって……あのダーマ神殿ですか?……」

老婆「うむ、そうだが……どうかしたかね?」

盗賊「……いえ、まさかこの近くにあるんですか?……」

老婆「あぁ、そう遠くないよ。北東の方角に半半日あれば行ける距離さ」

盗賊「……そうなんだ……伝説のダーマ神殿が……そんな近くにあるなんて……」

遊び人「……!」

遊び人(……やっぱり……)

老婆「しかし……どうしたものか……」

遊び人「ダーマに何の伝言だったんですか?」

老婆「それは……これじゃ」

スッ

盗賊「……それは……水晶?……」

遊び人「!お婆さん、クリスタルロマンサーなんですか?」

老婆「いかにも」

盗賊「……クリスタルロマンサー?って何なの?……」

遊び人「水晶を使ってスクライイング……つまり、水晶に映った映像で予知とか未来の占いをする占術だよ」

老婆「詳しいねお嬢さん……今では廃れてしまったがね」

遊び人「いえ……もしかして、それに何かが映ったんですか?」

老婆「うむ……これを見てみなさい」

スッ

遊び人「……これは」

盗賊「……?」



オォォォォォォォォ



盗賊「……なんだろう……黒いもやが……水晶の中を凄い速度で巡ってる……?」

老婆「今日の早朝に何か嫌な予感がしてね……占ってみたんだが……先ほどこんな結果が出たのさ」

盗賊「……?黒いもやって事は、何か火事とか……」

遊び人「…………違う、よ」

盗賊「……え?……」

遊び人「ここに映るのは抽象的なイメージでしかないの……」

遊び人「選ばれた人々……例えば四賢者の方々はその限りじゃないらしいけど……つまりよっぽどの高僧じゃないと千里眼みたいな事はできないんだよ」

老婆「本当にお嬢さんは詳しいね」

盗賊「……そういえば、ナジミ様は私達の予知夢をみてたよね……」

遊び人「そうだね……あれと似たようなものなんだけど」

盗賊「……それで、これは……どんな未来が見えたの?……」

遊び人「……」

老婆「……不吉」

盗賊「……え?……」

老婆「不吉、そのものじゃ」

盗賊「……不吉……そのもの?……」

遊び人「……これ……」

遊び人「なに……これ……」

老婆「……これが出てしまったんじゃ……だから、早くダーマの神官様にこれを伝えたいのじゃが……」

盗賊「……あの、よくわからないんですが……これ、なにか凄く悪いものなんですか?……」

遊び人「……黒は」

盗賊「……?」

遊び人「黒、は…………、竜……悪の象徴」

老婆「……そこまで、ご存知かい」

盗賊「……?悪の、象徴……?……」

遊び人「…………っ」

ペタン

盗賊「……!!?遊び人っ!?大丈夫!?……」バッ

遊び人「うん……ごめん、少し……驚いちゃって……」

盗賊「……これ、そんなに大変な事なの?……」

老婆「……数年前」

盗賊「……え?……」

老婆「数年前に……この水晶が全て黒で埋め尽くされた事がある」

盗賊「……」

遊び人「……それって、まさか」

老婆「……」

スッ



老婆「その日、テドンという町が滅んだ」



遊び人・盗賊「「…………!!!」」

老婆「そして、その災厄は……七日間止む事は無かった」

老婆「今ではもう皆こう呼んでいるだろう……その日々の事を」


老婆「…………“落日の七日間”、と」

―カンダタのアジト―

タッタッタ

武道家「あ、あれ!?こっちさっき来なかったっけ!?」

僧侶「はい……来たはずなんですけど……」

武道家「って、ちょっと待って……って事は一応一通り見回ったはずよね?」

僧侶「ですね……一体どこなんでしょうか」

武道家「んもー……!なんなのよ野盗どもめ……!!」

僧侶「まぁまぁ、おちつい――……」

ピタ

僧侶「……」

武道家「僧侶?どうかしたの?」

僧侶「……こっちから、声が」

武道家「えっ!?ホント!?」

タッタッタ

武道家「グプタさんか、戦士か、勇者か……それとも野盗か……」

僧侶「戦闘にならないといいんですが……近いです!」

ズザッ!




女勇者「……」

魔法使い「……」

商人「……」




武道家「……」

僧侶「……」





一同「「「「なんなのもぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」」

武道家「アンタ達、見つけた!?」

女勇者「いや……武道家ちゃんたちは!?」

僧侶「私達も何も……」

魔法使い「グプタさんや戦士やゆーしゃ、みなかった!?」

武道家「うん……誰にも会わなかったわ」

商人「まじですか……!ちょっとまずいですよ……一通り見回ったはずですし」

女勇者「ひとまず、もうちょっと見回ってみよう!」

武道家「んもー!!本当になんなのよここー!!!」

商人「野盗ども……見つけ出したらただじゃおかねーですからね……!」

魔法使い「とりあえず、そっちお願いねっ!」

僧侶「了解ですっ!」

タッタッタ

……

壁「……」

バサッ

カンダタ子分H「ぷは……これでいいのかな」

カンダタ子分I「あぁ、まぁアジト本部への通路は隠せてるみたいだし……」

カンダタ子分H「しかし……本当によくできてるよな。この擬態壁布」

カンダタ子分I「命令されて作ってる時は何に使うんだよって思ってたけど……結構いけんのな」

カンダタ子分H「さ、もうちょっと頑張るか」

カンダタ子分I「意外と疲れるんだよなこれ……」

バサッ

カンダタ子分H「……しかし、勇者ってガキの事、本当に気に入ってるよな……親分」

カンダタ子分I「あぁ……勇者と存分に遊ぶからって俺らにこんな事命令して……」

カンダタ子分H「…………ぶっちゃけさ」

カンダタ子分I「ん?」

カンダタ子分H「勇者を前にした時の親分…………盗み働いてる時より、楽しそうだよな」

カンダタ子分I「…………そうだな」

…………
……

ガキィンッッ!!


勇者「っ……!!」グググ

カンダタ「へへ……腕もちゃんとくっ付いたみてえじゃねぇか」グググ

勇者「お陰……様でねっ!!」

ガッ!!

カンダタ「!」

勇者「らぁっ!!」ヒュン!!

ガキィッ!!

カンダタ「……へへ。相変わらずだなおめぇ」ググググ

勇者「……ぎっ……ぃ!!」ギリギリ

カンダタ「ただがむしゃらに…………突っ込んで来るところとかよぉ」ギリッ

勇者「……!!」グググッ

カンダタ「へへへ…………おらぁっ!!!!」

ガキィッッ!!

勇者「あぐっ!!?」ヨロッ

カンダタ「ふっ!!」


ドゴォッ!!


勇者「……っっ!!!!」

戦士「勇者!!」

ズザァッ

勇者「……く……」

カンダタ「ほぉ……倒れねぇガッツは身に付けたか」

カンダタ子分「あいつ……親分の蹴りをまともにくらったぜ」

カンダタ子分B「うへぇ……」

戦士「勇者!だ、大丈夫か!!?」

勇者「くっ……くそっ」ヨロッ

カンダタ「へへへ……どうしたよ?」

勇者「……がぁっ!!」

ダッ!

ガキィン!!

カンダタ「おっと」

勇者「らぁっ!!」

ガキィン!!!

カンダタ「ふんっ」

ガキィン!!!!

勇者「っ!!!!」

勇者(ここだっ!!!)

ガッ!!

カンダタ「!!」

カンダタ(俺の体勢を最初の二発で崩し――……!)

勇者「だぁぁぁぁっ!!!!!」


ガギィィィッッ!!!!


カンダタ「ぐっ!?」

ズザァッ

勇者「はぁっ……はぁっ……」

勇者(くそ……!受け止められたか……!!)

カンダタ「……へへ」

カンダタ「へへっ、へははははは!!」

カンダタ「やるじゃねぇか!あの時よりいくらかは騙し技覚えたみてえだな!!?」

勇者「……うるさい……!」

カンダタ「ただ……やっぱり身体能力はあの時のままだぜ……よっ!!」

ダッ!!

勇者「!!」

カンダタ「らぁっ!!!!」

ガッッ!!

勇者「っっ!!!」ガキィン!!

カンダタ「ふっ!!」

ガキィン!!

勇者「ぐっ!!」

勇者(こいつ、いきなり空き手で僕の剣を往なしながら攻撃を繰り出すように……!!)

カンダタ「へへっ!!おらっ!!」

ガッ!!ガッ!!

勇者「ぐっ!!」ガキッ!!

勇者(でも!!なんとかこいつの攻撃の軌道は捉えられるようになtt)

カンダタ「……それからよぉ」


ヒュンッ


勇者「……っ!!?」

カンダタ「騙し技ならよ」

勇者(しまっ――)


戦士「!!あ、危ないっ!!!」


カンダタ「俺の専売特許なんだぜ?」


ゴシャァァァッ!!!!!!!

勇者「おごぉっっ――……!!!!」

カンダタ「おらぁっ!!らぁっ!!!!」

ガッ!!!!ガッ!!!!

勇者「あぎぃっ……!!?」

カンダタ「ほらっ!!どうっ!!したよっ!!!!」

ガッ!!!!ゴッ!!!!

勇者「うぐぅぁっっ!!ぶばぁっ!!!!」



戦士「やめろ!!やめろカンダタてめぇっ!!!!」



カンダタ「ほらっ!!ほらほら!!!!」

ガキッ!!!!グガッ!!!!

勇者「おごぉっ!!!!ぎぁぅっっ!!!!」

カンダタ「ほらぁっ!!!!!」

ガシッ!

勇者「ぶぐっ……!!!?」

勇者(頭……掴まれt――地面に――……!!)


カンダタ「オラァッッ!!!!!」ブンッ!!!!

ゴキャァァッ!!!

勇者「っ――――!!!!!!!」



戦士「……――っ!!勇者ぁぁぁぁっ!!!!!!!」



ズザッ!!

カンダタ「へへっ……!!立て、立てよガキ」

勇者「あ、がぁっ……!!」ビチャビチャ


戦士「カンダタァァ!!!!やめろ、やめろ!!!!!てめぇぇ!!!!!」


カンダタ「くく……おいおい、お姫さんが心配してんぜ?勇者さんよ」

勇者「…………っ!!があああぁっ!!!!」ダッ!!

ブンッ!!

カンダタ「おっ!!!」

ガキィン!!!!

勇者「――っ!!!!」ギギギギ

カンダタ「あぁ……良い、良いなぁ、てめぇは」ギギギギ

勇者「ぐ……!!」ギギギギ

カンダタ「てめぇ、最高に馬鹿だ、最高にいかれてる、最高に――」

ガッ!!

勇者「っ!!!!」

勇者(しまっ――……)


戦士「っ……!!!!やめろぉぉぉ!!!!!!!」


カンダタ「最高に、糞カスだッッッッ!!!!!」


ズバァァァァッ!!!!!


痛恨の一撃!!!!

戦士「うわぁっ、わぁっ、あぁぁぁぁぁ!!!!!!!」



ドシャァッ!!

勇者「うあ、う」

ドクドク

勇者(しま、しまった、油断、してた)

勇者(カンダタの、打撃の攻撃に、慣れて、斧の、刃の軌道に、気を配って無かった)

ザッ

カンダタ「……とんだ甘ちゃんだな、お前」

カンダタ「俺が打撃だけしか使わねぇとでも思ったのかよ?甘ちゃんが過ぎるぜ」

勇者「っ……黙れ……!!」

カンダタ「威勢だけはホントに一流だな……くへへっ!!!」

勇者「ぎっ……がぁぁぁ……!!!!」

ヨロッ

カンダタ「……ホントーに、一流だぜ」


カンダタ子分「た、立ちやがったぞあいつ……!」

カンダタ子分B「うわぁ……馬鹿だろ……!」


勇者「ぐ……ふぅ、はっ、はっ……あ……!」

カンダタ「……」

勇者「くっ、ふぅっ……!!」

ジャキンッ!!

カンダタ「……」


カンダタ子分C「あいつ、また剣構えやがったぞ!?」

カンダタ子分D「死ぬまでやるつもりか……!?」


戦士「勇者!!!!もういい!!もういいからっ!!!やめろ!!やめてよぉっ!!!!」

勇者「はぁっ……はぁっ……!!」

カンダタ「……」

スタスタ

勇者「っ!」ジャキッ

カンダタ「……お前」スタスタ

カンダタ「お前、お前の、それだよ」スタスタ

カンダタ「その眼、眼だ。眼なんだよ」スタスタ

勇者「らぁっ!!!!」

ガキィンッッッ!!!!

勇者「!!?」

カンダタ「…………眼が、よぉ」ギリギリ

勇者「ぐ……!!ぐぎぎぎぎ……!!!!」ギリギリ

カンダタ「最高にもどかしいんだよ」ギリギリ

カンダタ「なんでだ?なんでなんだろうな?」ギリギリ

勇者「っ……!!……!?」ギリギリ

カンダタ「なんで、てめえがそんな眼で」ギリギリ

ガキッ!!!!

カンダタ「……なんで、てめぇだけがそんな眼ェしてんだ!!!!!!」

バキィッ!!!!!!

勇者「っっっ~~~~!!!!!」


カンダタ子分C「うえっ……!!顔面に斧の柄を……!!」

カンダタ子分D「いったそぉ……!!」


勇者「ぐ、はっ」

ガシッ!!

勇者「ぐっ!!!」

カンダタ「むかつくなぁっ、テメェ、テメェが!!!!」

バキッ!!!バキッ!!!バキッ!!!!

勇者「がっ!!?ぎぃっ!!ぎゃっ」

カンダタ「なぁっ!!?お前がっ!!!!お前がっ!!!!」

バキッ!!!!!バキッ!!!!グチャッ!!!!

勇者「ぶぁ!!!あぎゅっ!!!!!がひっ!!!!」

カンダタ「あぁっ!!!?おらっ!!!!!こらぁっ!!!!!」

ガゴッ!!!!!ガギャッ!!!!ギョチュッ!!!!!

勇者「っっ!!!!!っっ!!!!!っっ!!!!!」

カンダタ「糞がぁっ!!!!!お前が!!!!お前だけがよぉ!!!!!」

カンダタ「なんでだよ!!!!おらっ!!!!なんでか!!!!言って!!!!みろ!!!!!!」


ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!


勇者「っ、っ」

カンダタ「ふっ!!ふっ!!!!ふっ!!!!ふっ!!!!」

ガッ!!!ガッ!!!ガッ……ガ……

カンダタ「ふっ……!!……」

ピタ……

カンダタ「……」

勇者「あ、っ、っぎ」


カンダタ「…………てめぇはよ……本当に最高に理想的で……」

パッ

勇者「っ」ヨロッ

カンダタ「……最高にイライラすんぜ……!!!!」

ドサッ

勇者「~~っ、~~~っっ……!!!」ビチャビチャ


カンダタ子分A「……」

カンダタ子分B(……あんな戦い方する親分……初めて見る)

カンダタ子分C「うわ…………すげぇ鼻血の量だ……」



カンダタ「はぁっ……はぁっ……!!」

カンダタ「……ははっ!ははははは!!!!くそ、くそが!!いい加減大人しく寝てやがれ!!!!」

勇者「っ、っ、っぁ」

勇者(しまった、血が、止まらない、まずい、まずい)


戦士「……」


勇者「っ……!」



戦士「……」

戦士「……」

戦士「……ぁ」



戦士「ッッああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」



カンダタ「!!!?」

カンダタ子分達「「「っっ!!?」」」ビクッ

戦士「カンダタァァ!!!!ふざけんなっ、ふざけんなてめぇ!!!!!」

戦士「勇者に何してんだお前!!!!何したお前!!!!!!!お前!!!!!!!」

カンダタ子分C「おい!ちょっ……!おとなしくしろ!!」

戦士「勇者に触るな!!!!!!殺す!!!!殺してやるっ!!!!!」

ギリギリギリギリ!!!

戦士「……っ!!!これっ!!解け!!!!!アタシともう一回勝負しろ!!!!!勇者に近寄るな!!!!解け!!!!!」

戦士「そんなにリンチがしたいんなら、アタシに!!!アタシにしろ!!!!!」

ギリギリギリギリギリ!!!!

戦士「……――勇者に!!!!勇者に触んなぁぁぁ!!!!!!」

カンダタ子分D「こいつっ!!」


勇者「戦、っ……士……!」

カンダタ「…………うるせぇな……」


戦士「聞いてんのか!!!!早くっ!!!!これ、外して、こっち!!来いッ!!!!」ギリギリ


カンダタ「……っち……水差しやがって」

カンダタ「おい!てめぇら!そいつの口少し塞いどけ!!」


カンダタ子分「うすっ!!」

カンダタ子分B「おい、ちょっとこっち向け」

グイッ

戦士「っ――!!!!!」

カンダタ子分B「えっ?」


ガブッ!!


カンダタ子分B「があぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!?」

カンダタ子分「子分B!!こいつっ!!離せ!!」

戦士「ぎぎぃっ……!!!!」

カンダタ子分B「手、手がぁぁッ!!!」

カンダタ「何やってんだてめぇら!」

勇者(戦士……!!)


戦士「……――っ!!」グググ


なにやってんだろう


あんなに勇者はボロボロなのに、なにやってんだろう、アタシ


カンダタ子分B「千切れる!!千切れちまうッ!!!!」


今までだってそうだ。今までも、何をやってたんだ?

勇者の師匠だとか

一番最初の幼馴染だとか

一番の親友だ、とか、言って


カンダタ子分「このアマッ……!!!」ヒュンッ

戦士「!!」



傷ついた勇者に、何もできなかった

いつも、いつも

今だって――……


バキィィッ!!


戦士「あぐ……っ……!!!!」



……――あの時だって



ダッ!!

カンダタ「!!?」



戦士「ぐっ……!!」

カンダタ子分「ったく……!骨折らせやがって……」

タッタッタ!!

カンダタ子分「ん?……」クルッ

カンダタ子分「……――ひぃぃっ!!!?」


ズバァッ!!!!!


カンダタ子分「ぐあああああッッ!!!!!」

ドシャァッ!!

カンダタ子分B「て、てめぇっ!!?」

ズザッ

戦士「ゆ、勇者っ……」


勇者「はあっ!!はぁっ!!」

勇者「戦士、大丈夫か?怪我っ、ない、か?」


戦士「馬鹿!馬鹿!大馬鹿野郎!!アンタの方が凄い怪我じゃんかぁっ!!」

カンダタ子分「っ、の野郎ォっ……!!!!」

カンダタ「へへっ……!あんなにボコされてまだ立つか」

カンダタ「よっぽど……その女の事が大事みてぇだな?」

クルッ

勇者「お前ら……ふざける、なよ」

勇者「戦士に手、あげてんじゃねぇよ……!!」


戦士「……」

戦士「馬鹿……」

本当に馬鹿だ、コイツって


カンダタ「ぎゃははは!!!!血まみれのままほざく言葉じゃねぇぞ!!!!」

勇者「うるさいッッ!!!」

ジャキンッッ!!!!

カンダタ「……」

勇者「今ので、僕がもう終わりなんて、思うなよ……!!!」


戦士「やめろ、お願い……もう、やめてくれよ……っ」

いつだって、本当、昔からだ


勇者「前にも同じような事を言ったっけ……?…………カンダタァ!!!!」

勇者「僕はまだ、立てるぞ!!!!剣を持てるぞ!!!!」

勇者「お前らの敵は、こいつじゃない!!僕だ!!!」

勇者「殺してみろよ!!!!来い!!!!!」



戦士「勇者の、馬鹿ぁ……っ……!!!!」


昔から、こんな奴だったんだ。――――コイツは

今日はおしまいです
投下するする詐欺、わろえない

――――――――――――



―およそ十数年前、アリアハン―



―オルテガ邸―


タッタッタ

ザッ 

武器屋『はぁっ、はぁっ!』

ドンドン

武器屋『こんにちわー!奥さーん!おじさーん!』

ガチャッ

勇者祖父『なんだ騒々しい!……あぁ、武器屋のせがれか』

武器屋『おじさん!すまないね煩くして!』

勇者祖父『構わん構わん。いつもの事だからな』

武器屋『それよりも!オルテガさん帰って来てるって本当かい!?』

勇者祖父『おぉ、本当だ。帰ってそのまま王様の所へ行ったがな』

武器屋『そうか……へへっ!今日は宴だ!!街の若い衆に声をかけてくるよ!』

勇者祖父『まぁ待て。長旅で疲れとるようだから今日はそっとしておいてやれ』

武器屋『あー、それもそうだなぁ』

勇者祖父『それに……それどころではない状況の様だからな』

武器屋『えっ?それってどういう……』

勇者祖父『あーもう、お前さんがオルテガに直接会うて確かめればよかろう!』

グイッ

武器屋『うわっ、ちょっとおじさん』

勇者祖父『わしは空き部屋の整頓で忙しいのだ!お前さんも嬢ちゃんが生まれたばかりだろう!』ベシッ

武器屋『あいたーっ!!叩く事ないでしょうがよ!!』

勇者祖父『やかましい!奥さんのためにもちゃんと働けこの童が!』

武器屋『わかりましたよ!宴にはおじさん呼んであげませんよ!』

勇者祖父『呼べよ!!』

―大通り―


スタスタ


武器屋『あいたた……あのじいさんは相変わらず本当に力強いな』

武器屋『……』

武器屋(しっかし、空き部屋の整頓って何するつもりだろうな……オルテガさんの部屋はまだちゃんと残ってるし)

武器屋(居候でも住ますつもりかね……)


町人『あっ!!オルテガ様!!』


武器屋『えっ!?』パッ


町人2『オルテガ様だ!!お帰りなさい!!』

町人3『お疲れ様です!!噂はアリアハンまで届いてますよ!!』

町人4『きゃーっ!オルテガ様!こっち向いてー!』


オルテガ『はははは!皆元気そうで何よりだ!』

勇者母『みなさん、ちょっとごめんなさいね。一回家に帰らなきゃ』


武器屋『オ、オルテガさん!!!!』ダッ

オルテガ『ん?おぉっ!!武器屋!』

ザッ

武器屋『へへっ!おかえりオルテガさん!!無事でなによりだぜ!』

オルテガ『お前も元気そうじゃないか、安心したぞ』

武器屋『俺はいつだって元気さ!奥さんもこんにちは!』

勇者母『ふふ、こんにちは』

武器屋『………………あれ?』

オルテガ『それで、どうだ?お前の所の奥さんの調子は……以前から病弱だったが』

武器屋『ん?あぁ、もう今は全然平気でさ。あっ!!そうだよ!!俺先月、娘が生まれたんだ!!』

オルテガ『なにぃっ!!?そりゃめでたいじゃねーか!!!ははっ!!会わしてくれよ!!奥さんの顔も見たいしな!』

武器屋『えへへっ!!これが本当にあいつ似で可愛くて――……って、あの、オルテガさん?奥さん?』

オルテガ『ん?』

勇者母『どうしたの?』

武器屋『いや、あの、さっきから気になってなんだけど……』


?『……ふぇ……』


オルテガ『お?あっ、ぐずりだした』

?『ふやあぁぁ……!ふやぁぁ……!』

勇者母『あらいけない、お腹すいちゃったのかしら』

武器屋『……奥さんが抱いてるその子…………誰の子だ?』

オルテガ『俺の子』

武器屋『……えっ』

オルテガ『俺の子だ。うん』

奥さん『あはは……そういう事らしいの』

武器屋『…………』

武器屋『……っ!』ハッ

武器屋『まさか浮k――……!!!!』

ベシィッ!!!

武器屋『うぎゃお!!』

オルテガ『人聞き悪い事言うな!!俺はこいつ一筋だっつうの!!』

武器屋『親子揃って突っ込みがきっついな……』

スタスタ


武器屋『拾った!?旅先で!?』

オルテガ『あぁ』

武器屋『それはなんとまぁ……その子にとっちゃ気の毒だな』

オルテガ『……本当にな』

武器屋『でも何処で拾ったんだよ?魔災孤児かなにかか?』

オルテガ『…………ロマリアの東の方の大陸だ』

武器屋『へ?そんな遠くでか?』

オルテガ『あぁ……まぁ、そんなところだ』

武器屋『ほぉ……でも、またオルテガさん旅に出ちゃうんだろ?大丈夫なのか?』

勇者母『それは任せてちょうだい。私が責任持ってこの子を守るわ。……でちゅよねー?』

?『きゃっきゃっ』

勇者母『んふふ……かーわーいーいー!』

オルテガ『な?大丈夫そうだろ?』

武器屋『だな……まぁおじさんも居るからな。安心か』

ヒョイッ

武器屋『どれどれ……おぉ、可愛い顔してるじゃねぇか』

オルテガ『はは、あんまり覗き込んでやるなよ。お前強面なんだから』

武器屋『あんたもだろーが!!……そういや名前は何にするんだ?』

オルテガ『…………名前はもうあるんだ』

武器屋『そうなのか?気が早いな』

オルテガ『あぁ、その子の――……いや、うん。俺が気が早いのは知ってるだろ?はは』

武器屋『そういやそうか!で、名前はなんていうんだ?』

オルテガ『……』

?『あー、あー』

オルテガ『…………勇者』

オルテガ『この子の名前は……勇者だ』

勇者『う?』

武器屋『へぇ、勇者ちゃんか』

勇者母『この子男の子よ?』

武器屋『えっ!?まじで!?』

オルテガ『……』

オルテガ『まぁ、その……武器屋』

武器屋『ん?どうした?』

オルテガ『俺がいない間……極力、こいつらによくしてやってくれ』

武器屋『……?』

オルテガ『俺もいつ旅の途中で――……』

武器屋『っ!!おっと!!それ以上は言うなよ!』

オルテガ『!』

武器屋『俺が兄貴分のアンタの家族に良くするのは当たり前だし……』

武器屋『……今のセリフは妻と子供の前で言う言葉じゃないぜ』

勇者母『…………』

オルテガ『……武器屋……』

オルテガ『…………へへ、そうだな。よろしく頼むぜ!武器屋!』

武器屋『おう!』ニカッ

武器屋『しかし……男の子ならうちの娘と将来結婚させちまってもいいかもな!なーんて』

オルテガ『あ、もうここに来る前にサイモンの娘とそういう事になる話になっちゃって』

武器屋・勇者母『『なにやってんだアンタ!!!!』』

オルテガ『お酒の力って怖いナァー』

武器屋『ナァーじゃねぇよ!』


勇者『きゃっきゃっ!』


…………
……

――――――――――――


―アリアハン・武器商店―


『ごちそーさまー!いってきまーす!』

武器屋『あっ、おい!戦士!ちゃんとルビス様と天国の母ちゃんにお祈りしたかー!?』

戦士(小)『うんっ!ゆうしゃとあそびにいってくるー!』

武器屋『夕飯までには戻れよー!』

戦士『わかってらー!』

タッタッタ

武器屋『……はぁ、おてんばになりやがって』

武器屋(しかし、母ちゃんが死んでからもう四年も経つのか……早いもんだな)

武器屋(…………母ちゃん、あいつはなんとか元気に育ってるよ)

武器屋(……)

武器屋(ちょっとだけ……いや、だいぶ…………男らしく)


…………


―アリアハン・広場―

タッタッタ

戦士『ゆうしゃー!!』

勇者『あ!戦士!』

ザッ

戦士『またせたなー!』

勇者『ううん!ぼくもいまきたところだから!』

?『あらら、お二人さん。おでかけ?』

勇者『え?あ!』

戦士『るいーださんだ!』

ルイーダ(若)『ふふ、二人は本当に仲がいいわね』

勇者『うん!』

戦士『きょうはねー!なわばりをパトロールしにいくんだよ!』

ルイーダ『あら、縄張りもちゃんとしてんのね?』

勇者『そう!なわばりのへいわは、ぼくたちがまもるんだ!』

ルイーダ『ふふふ、そうなの。頼もしいわ』

戦士『さいきんはぶっそうなやからがおおいからね!ぶちのめすよ!』

ルイーダ『ほ、本当に頼もしいわね』

戦士『うん!』

ルイーダ『それじゃ、私は店に戻らなくちゃ。じゃあねー』

勇者『またねー!』

戦士『ばいばーい!』



……



ドシャァッ!!

勇者『あぐっ!』

戦士『ゆーしゃぁっ!』

悪ガキ『オルテガ様ん家の偽子供がいきがってんなよ!!』

悪ガキ2『なにがここはお前らの縄張りだよ!ふざけやがって!』

バキッ!

勇者『あうっ!』

ドサッ

勇者『うあっ、う、うぇぇぇぇえぇっ……!』

悪ガキ3『こいつ泣いちまったぜ?』

悪ガキ『なんだよ!勇者様の子供のくせして泣き虫だな!』

戦士『う、うぅっ』

ダッ

戦士『ゆーしゃをいじめるな――っ!!』

悪ガキ『え?』

ドゴォッ!!

悪ガキ『はうぅんッ!!!!』

ドシャァッ

悪ガキ3『悪ガキ!!大丈夫か!?』

悪ガキ『玉、玉に、頭突きが、玉に』フルフル

悪ガキ2『っのくそ女!!』

悪ガキ3『もう女だからって関係ねーよ!こいつもやっちまおうぜ!』

ジリッ

戦士『ひっ……!』

悪ガキ2『おらぁっ!!』

ブンッ!!

戦士『きゃっ――……!!』

勇者『戦士っ!!』

ガバッ

戦士『!』


ドゴッ


勇者『あぐっ――……!!』

戦士『ゆーしゃ!!』

ドサッ!!

悪ガキ2『なにこいつ!!王子様気取りだ!!』

悪ガキ3『かっこつけやがって!!バーカバーカ!!』

ドカッ!ドカッ!

勇者『あぐっ!!うっ!!うぐっ!!』

戦士『ゆーしゃ!もういいよ!いいからどいてっ!』

ドカッドカッ!!

悪ガキ『いつつ……おい!もういいよ!今日はもうそいつら無視しとこうぜ』

ピタッ

悪ガキ2『おい、金玉大丈夫か?』

悪ガキ3『女になってんじゃねーの?ギャハハ!』

悪ガキ『るせぇっ!……おい偽息子!もうここらへんうろつくなよ!』

ギャハハハ……

スタスタ

……


勇者『……』

戦士『……ゆーしゃ……?』

勇者『……』

戦士『もう、あいつら、いったよ……?もう、あたしをまもらなくても』

勇者『……っく』

戦士『!』

勇者『っぐ……!ぐすっ……!ひぐっ……!』ポロポロ

戦士『ゆ、……ぅ、しゃ』


………
……

スタスタ……


戦士『……』

勇者『……』

戦士『……ゆうs』

勇者『……戦士』

戦士『え?』

勇者『ごめんね、ぼくのせいで』

戦士『……!?』

勇者『あいつら、ぼくをいじめたかったのに……』

勇者『戦士までいじめられて……ごめんね』

ポロポロ

勇者『ほんどに、ごべんっ、ごべんね』ポロポロ

戦士『…………』



…………
……



・・・
……
…………

―アリアハン・郊外―


戦士『……!』


武道家『うりゃ――っ!!!!』


ドシャァッ!!


悪ガキ『うぐっ!?』

悪ガキ2『あいつガキのくせに強ぇぞ!?』

悪ガキ3『子供Aとか子供Bが言ってた女ってあいつだよきっと!』

悪ガキ『っち!くそが!』ダッ

悪ガキ2『あ!おい!まてよ!』

タッタッタ……


武道家『はぁっ、ふぅ……!勇者をいじめたらわたしがしょうちしないからねっ!!』

勇者『武道家……』

武道家『ほらっ、勇者。たてる?』

勇者『うん……ごめんね。またたすけてもらっちゃった』

武道家『だいじょーぶだって!わたし、つよくなるためのとっくんしてるからね!』

勇者『……あり、がとう』


戦士『……』


武道家『ほら、戦士ちゃんもだいじょーぶ?』

戦士『…………うん』

武道家『そっか、えへへ!これからはわたしがいるからもうだいじょうぶよ!』

武道家『よろしくねっ!』

戦士『……』

武道家『……戦士ちゃん?』

戦士『…………うん』

戦士『……うん……よろしく』


…………
……



―勇者の家―


オルテガ『っぷはぁっ!』

ゴトン

オルテガ『ふぅぅぅ……今回の旅も疲れたよ』

勇者祖父『そうだろう、まぁ折角帰って来たのだ。ゆっくりするといい』

オルテガ『あぁ、今回は少し長く居れそうなんだ。こっちでやる事もあるしな。まぁ言われずともゆっくりするさ』

勇者母『あなた、女勇者も久々にお父さんに会えて嬉しいみたいよ。ホラ』

女勇者『おとーさんっ、おとーさん』ヨチヨチ

オルテガ『っっっ~~~……可愛いなお前はあぁぁぁぁぁ!!』ギュゥゥゥ

女勇者『おひげいやー』ムゥ

オルテガ『はぁぁ……よーし!かわいい勇者も抱擁を……って、あれ?勇者は?』

勇者母『ふふ、武道家ちゃんの家に行ってるわ』

オルテガ『武道家ちゃん?』

勇者母『最近できた勇者のお友達よ。あの子ったら女の子のお友達が多くて』

オルテガ『ほっほーう?流石は俺の息子だな!昔の俺を見ているよう――』

勇者母『……なんだって?』

オルテガ『いえその、なんでもないんですが。えぇ。はい。何でもないですよ』

勇者祖父『全く……このアホは……』


ガチャッ


勇者祖父『ん?』

オルテガ『お?』


戦士『…………こんにちわ』


オルテガ『……ん?お嬢ちゃん、まさか』

勇者母『あら戦士ちゃん!こんにちわ』

オルテガ『おぉぉ!やっぱり武器屋んとこの戦士ちゃんか!いやぁ大きくなったなぁ!!』

勇者母『ごめんね戦士ちゃん。今勇者いなくて。戦士ちゃんも一緒だと思ってたんだけど――……』

戦士『あ、ちがうんだ!勇者はいま武道家のとこいってるから』

勇者母『あら、知ってたんだ?じゃあ――……』

戦士『……あの!オルテガのおじさん!』

オルテガ『ん?俺か?』

戦士『あの、その』

オルテガ『どうした?お嬢ちゃん』

戦士『…………っ!』ギュッ


戦士『弟子にして!!』


勇者祖父『……』

勇者母『……』

オルテガ『…………はぇ?』

――――――――――


―ルイーダの酒場―


武器屋『がはははは!!そんな事言ったのかあいつ!!』

オルテガ『もうびっくりだぞ……今までも何回か弟子入り志願されたがあの子が最年少だ』

ルイーダ『で?なんて答えたの?』

オルテガ『まぁ、傷つけないようにやんわりとな』

武器屋『ははは、断ったんだな』

ルイーダ『ちょっとかわいそうね……』

オルテガ『ルイーダ、そりゃないよ……だってあの子、まだ四歳か五歳そこらだぞ?』

ルイーダ『まぁ、それもそうだけどねー』

武器屋『あははは……』

武器屋『……』

武器屋『……』

ルイーダ『……?武器屋さん?』

オルテガ『どうかしたか?いきなり静まりやがって』

武器屋『……オルテガさん』

オルテガ『ん?』

武器屋『…………俺からも、それ、頼んじゃ駄目かな』

オルテガ『……はぁ!?』

武器屋『厚かましいお願いだとは思うんだけどな』

オルテガ『いやいや、俺は別に――……でも、お前』

武器屋『あいつさ、多分、寂しいんだ』

オルテガ『え?』

ルイーダ『寂しい……?』

武器屋『あぁ……。アイツが……母ちゃんが死んでから、俺もアイツを一人で育ててきたけどよ』

武器屋『やっぱり、男手一つじゃ……ましてや不器用な俺の手なんかじゃ、アイツをおざなりにしちまう事が多くてさ』

オルテガ『……』

ルイーダ『……』

武器屋『でもさ、勇者がいたんだよ』

武器屋『勇者があいつのその寂しさを、全部取っ払ってくれてたんだ』

武器屋『もうアイツが物心つく前から、一緒にいたからさ。ずっと寂しくなかったんだ』

ルイーダ『……何をするにも、ずっとずーっと一緒にいたものね』フフ

武器屋『あぁ……でも、最近ふたりに新しい友達が出来ちまって』

ルイーダ『新しい友達?それって――……』

オルテガ『武道家ちゃん、って子の事か?』

武器屋『あぁ、そうそう。もう知ってんだな』

武器屋『……その子がな、悪ガキにちょっかい出されてる勇者を力尽くで助けたらしくてな』

ルイーダ『あの子、すごい強いのよね』

オルテガ『……なるほどな。それで、戦士は武道家ちゃんに自分の居場所を奪われそうだと焦っちまったんだな』

武器屋『ん……』

ルイーダ『そっか……』

武器屋『なぁ、オルテガさん』

武器屋『無理に、とは言わねーよ。ただ、少しでいいんだ』

武器屋『あいつに……少しだけ自信つけてやってくんねぇかな』

オルテガ『……』


…………
……




―アリアハン・郊外―


オルテガ『っと、言うワケで!』

オルテガ『今日から君の師匠になるオルテガだ!よろしく!』

戦士『ほ、ほんとに!?』

オルテガ『あぁ、ま、また俺が旅に出るまで、二、三ヶ月少しの間だがな』

戦士『やった――!!』

オルテガ『よし!今日から俺の事は師匠と呼ぶ事!いいな!』

戦士『はい!おししょー!』

オルテガ『あらやだかわいい』

戦士『えへへ!』

戦士(やった!これでつよくなれるんだ!これで――……!)

オルテガ『さて、まずは今日の特訓だが――』

戦士『!!なになに!?』

戦士(なにをするんだろう!けんじゅつ!?)


オルテガ『“武道家ちゃんと仲良くなる”だ!!!』


戦士『えっ』

オルテガ『それが今日の特訓だ!』

戦士『え、で、でもっ、とっくんって、つよくなるためじゃ』

オルテガ『オルテガ教訓その一ィ!!!!!!』

戦士『!?』

オルテガ『強さとは!!力のみにあらず!!』

戦士『……』

戦士『……?』

オルテガ『………………強い、っていうのはな。力だけじゃない』

オルテガ『友達とか、家族とか……そういう人たちを思う力も、強さになるんだ』

オルテガ『だから手始めに、武道家と……な?』

戦士『……っで、でも………………でもあたし』

オルテガ『……勇者をとられたみたいで嫌か?』

戦士『!』ビクッ

オルテガ『…………』

戦士『……』

オルテガ『……戦士』

オルテガ『勇者は、武道家ちゃんと仲良くなってから、お前をいじめたり、しらんぷりしたか?』

戦士『…………ううん……』

オルテガ『武道家ちゃんは、戦士の事をお邪魔虫扱いしたか?』

戦士『……ううん……』

オルテガ『……戦士は』

オルテガ『戦士は、武道家ちゃんの事……嫌いか?』

戦士『……』

戦士『…………ん』

戦士『……ううん…………ほんとは……なかよく、なりたい』

戦士『でも、武道家がいたら……ゆーしゃは、あたしのこと……いらなくなっちゃう……』


オルテガ『……』

ニコッ

オルテガ『それなら、大丈夫だ!安心しろ!』

オルテガ『人は誰かの代わりになんてなれないんだぞ!』

戦士『……ほんとう?』

オルテガ『あぁ。そうだな……例えばだ』

オルテガ『例えば、勇者が遠いどこかの国に行っちゃったとしt』

戦士『やだぁっ!!!!!!!!!』

オルテガ『うほぉぉうびっくりした、君今反応速度が尋常じゃなかったね、まぁ落ち着きなさいよ』

オルテガ『例えばの話だ。もし行っちゃったとして……代わりに俺が友達にすり替わってたらどうする?』

戦士『やだぁっ!!!!!!!!!!!』

オルテガ『なんかちょっと心にくるが、まぁそういう事だ』

戦士『え?』

オルテガ『今お前が思ったように、勇者もお前の事を大事にしてるって事だよ』

戦士『……そう、かな』

オルテガ『あぁ。だから、友達は気にせず一杯作るといい』

オルテガ『例え何人友達ができたって……お前と勇者は、いつだって幼馴染で、友達だよ』

戦士『……』

戦士『…………!!』

クルッ ダッ!!

オルテガ『お?』

戦士『おししょー!あたし、武道家のとこいってくる!』

オルテガ『おう!後で結果を教えろよ!!』

戦士『うん!!』

タッタッタ……

オルテガ『……はは』

オルテガ『まぁ、これで大丈夫そうだな』

クルッ スタスタ

オルテガ(さて……戦士が報告しに来るまでに、ナジミ様に会いに行くかね)

オルテガ(“あの話”……そろそろ本腰を入れねぇとな)

…………
……

今日はおしまいです

―――――――――


―アリアハン・町外れ―


ガキィィッ!!

ズザッ!!

オルテガ『よし!一旦休憩だ!!』

戦士『ふぅ……ありがとーございました!』

オルテガ『うんうん、戦士は本当に筋がいいな。びっくりだよ』

戦士『ほんと!?おししょー!』

オルテガ『あぁ、前に俺が帰って来た時……お前が俺に弟子入りした時か』

オルテガ『あの時結局三日足らずで急用が出来て、お前にはろくな稽古もつけられずに発つ事になったが……』

戦士『へへっ!あのときおししょーがいってたこと、まいにちちゃんとぜんぶやってたからなっ!』

オルテガ『へ?俺が言ったトレーニングメニュー……“毎日全部”やってたのか?』

戦士『うんっ!』

オルテガ『……そ、そっか。あはは』

オルテガ(あのメニュー……一週間分って言ったはずなんだけどな)

戦士『よーし!つよくなるぞー!』ブンブン

オルテガ(…………こいつは、とんでもない娘さんを引き受けちまったもんだ)

オルテガ『よし!じゃあ今日は本格的に剣術を教えていこう!』

戦士『やったー!!』

オルテガ『それじゃあまず……』


『とうさん!』


オルテガ・戦士『『!!』』

タッタッタ

ズザッ

勇者『はぁ、はぁっ……!』

戦士『ゆうしゃ!』

オルテガ『……どうした?勇者』

勇者『とうさん……』

ギュッ

勇者『おねがい!ぼくにもたたかいかたおしえて!』

オルテガ『!』

戦士『え!?ゆうしゃも!?』

オルテガ『…………』

勇者『ぼくも……つよくなりたい、勇者になりたいの!』

勇者『とうさん!おねがいします!』

オルテガ『……』

戦士『あはは!それじゃゆうしゃはあたしのおとうとでしってことに――……』


オルテガ『駄目だ』


戦士『……え?』

勇者『っ……!』

オルテガ『すまないがお前には教えられない……』

オルテガ『お前は家に帰っていなさい。父さんもあとで帰るから』

勇者『……!!』

戦士『おししょー……?』

勇者『とうさん!なんで――』

オルテガ『二度は言わんぞ勇者』

勇者『っ』ビクッ

オルテガ『すまないが……お前には教えられないんだ』

オルテガ『わけはいずれ話す……だが今は駄目だ』

オルテガ『…………帰って母さんの手伝いをしていなさい』

戦士『おししょー……』

勇者『……』

勇者『…………なんで』

ダッ

戦士『あっ』

勇者『っ……!!』タッタッタ

タッタッタ……



戦士『……ゆうしゃ……』

オルテガ『……』

戦士『おししょー、どうしてゆうしゃには』

オルテガ『いずれ、話す時がくるさ』

戦士『……?』

オルテガ『さ、練習に戻るぞ。まずは剣術だが――』

戦士『はいっ!』

戦士『……』



――――――――――



―アリアハン・郊外―

スタスタ

戦士『ゆーしゃー!ゆーしゃー!』

戦士『…………どこいったんだよ……あいつ』

ザッ

戦士『……あ』


勇者『……』


戦士『……こんな、いわのかげにいたのかよ』

勇者『え?……あぁ、戦士』

戦士『…………おししょーとサイモンさん、またたびにでちゃったな』

勇者『……うん』

戦士『…………』

勇者『ねぇ、戦士』

戦士『ん?どうした?』

勇者『……なんでとうさんは、ぼくにたたかいかたをおしえてくれなかったのかな』

戦士『それは……』

勇者『……』

戦士『……』

勇者『……は、はは、ごめんね』

勇者『こんなこと戦士にいってもこまるだけだよね……ごめんなさい』

戦士『…………』

勇者『……ぼく、かえるね』

スタスタ

戦士『……っ』

戦士『ゆうしゃ!!』

勇者『え?』ピタッ

戦士『……いいことおもいついたぞ!』

勇者『いい、こと?』

戦士『ああ!』

戦士『あたしはおししょーのけいこうけてたから、“りゅうは”はおししょーとおんなじだ!』


戦士『だからさ――……あたしがゆうしゃのししょうになればいいんだ!』


勇者『……』

戦士『……』

勇者『……ハっ』

戦士『おまえいまはなでわらっただろ!!!!』

勇者『だって、おんなのこの戦士にでしいりなんて!』

戦士『おんなとかかんけーねーだろーが!』

スッ!

勇者『えっ、なんで木刀かまえてるの?』

戦士『じゃあどっちがつよいかやってみようぜ!』

戦士『まけたほうがかったほうにでしいりだからな!!』

勇者『そ、そんなのできないよ!!』

戦士『やかましい!ほら!木刀もってるだろ!かまえないとけがするぞ!』

勇者『っ、ちょっと!戦士』

戦士『うらああ――――っ!!!!』ダッ!!

勇者『ぐっ!?この、おてんばむすめ!!』ザッ!!

ガキィンッ!!

ズザッ

戦士『よっしゃー!いくぞ!』

勇者『やかましー!』


――――――――――――


ドシャッ

勇者『はぁっ、はぁっ!』ゼェゼェ

戦士『ふぅっ……へへ!あたしのかちだな!』

勇者『くぅ……くやしいぃ……!!』グヌヌ

戦士『へへへっ、ゆうしゃ!』

勇者『な、なに、さ……』ゼェゼェ

戦士『……これから、あたしはおまえのししょうだからなっ』

ニパッ

戦士『よろしくなっ!』

勇者『……』

勇者『……はは』

勇者『…………うん、よろしく、たのむよ……ししょう』

戦士『!!……えへへー』

…………
……

――――――――――


―アリアハン・町外れ―


勇者『……』


スタスタ……

ザッ

戦士『…………勇者、ここにいたのか』

勇者『ん……戦士』

戦士『……みんな、心配してたぞー』

勇者『はは、すぐもどるよ』

戦士『……』

ストッ

勇者『ん?』

戦士『よっと……隣、座るぞ』

勇者『うん』


サァァァ……


戦士『…………』

勇者『……』

戦士『…………』

勇者『……』

戦士『……まだ……よく、わかんないんだ』

勇者『……』

戦士『お師匠の事……さ』

勇者『……うん』

戦士『…………でもさ!きっとさ!』

勇者『ん?』

戦士『きっとさ!だいじょうぶだよな!!』

戦士『きっと、すげぇ魔法とかでババーンってさ!たすかって!』

勇者『うん』

戦士『いや、魔法とかじゃねーかもしんないけど、もしかしたら力だけかもな!』

戦士『力でその場をババーッってきりぬけて!!みんながわからないうちに魔王のいえにしのびこんで!!』

勇者『うん』

戦士『そういうけいかくとか、しててさ!だから、多分さ、これは嘘で、アタシたちをだますための、さ!!』

戦士『ホラ!!よく言うじゃんかよ!!てきをだますにはまず味方から~とか!!』

勇者『うん』

戦士『だから、これは多分全部うそでさ!でなきゃあのお師匠が!!』

戦士『全部っ、全部全部、うそじゃなきゃ……』


ギュッ


勇者『……戦士』ギュゥゥ

戦士『全部っ、ぜんぶ、うそなんだっ、でなきゃ、あのおししょうが、そんなっ』ポロ

勇者『…………ありがとう』

戦士『うそだよっ……きっと、うそだっ、こんなのっ……!!ぜんぶぜんぶ……!!』ポロポロ

勇者『……励まそうとしてくれて、ありがとう。戦士』ナデナデ

戦士『うっ、うぅっ……!!うあっ……!!うあぁぁぁっ……!!』ポロポロ

勇者『戦士の言う通りだよ……大丈夫だから』

勇者『きっときっと……父さんは。大丈夫だよ』

勇者『……父さんがしんだなんて、ぜったいうそだ』

戦士『ゆうしゃっ、ごべんっ、あたしっ、あたしっ……!!!!うあぁぁっ!!うあぁぁぁん!!!!』ポロポロ

勇者『……………………ありがとう……』ギュゥゥ

…………
……

――――――――――


―アリアハン城―


剣士見習い『班長!お疲れ様でーす!』

戦士『あぁ!ちゃんと帰っても基礎練習忘れるなよー!』

剣士見習い『はーい!』

スタスタ……

戦士『はぁ……アタシも帰るかな……』

スタスタ

戦士『……』

戦士(勇者、まだ城の中にいんのかな……)


『戦士さん』


戦士『ん?』クルッ


兵『今、訓練終わりですか?』


戦士『…………あぁ、兵か』

兵『はい。こんばんは、お疲れ様です』

戦士『お疲れ。なんだ?アンタも騎士訓練受けてたのか?』

兵『いえいえ、君ほどの腕っぷしは僕にはありませんからね』

戦士『腕っぷしは無いがキレる頭はあるってとこだろ?』

兵『はは、そうは言ってませんよ』

戦士『冗談だよ。なんだよ?勇者は一緒に帰ってないのか?』

兵『……彼はまだあの方の部屋にいますよ』

戦士『…………そっか』

兵『……本当に使えない』

戦士『……』

兵『なんで王はあんな愚図にあんな仕事を与えてるのか……』

兵『君もオルテガ様のお弟子なら不服じゃないんですかね?』

兵『彼が、“オルテガの息子”というだけであんなポジションにいる事が』




ヒュンッ!!

ガキィッ!!!!


戦士『……』ギリィッ

兵『……あぁ、びっくりした』グググ

戦士『あんまりうるせぇ事言ってんなよ……お前』グググ

戦士『……あいつは“オルテガの息子”なだけじゃない』ギリギリ

兵『……ふうん?』ギリギリ

戦士『“アタシの大事な幼馴染”でもあるんだ……二度とあいつの事をそんな風に言うな』

兵『はは、冗談、冗談ですよ……本気にしないで下さい』

スッ

戦士『……まだあいつの部屋にいるんだよな?そこ寄って帰るよ。じゃあな』

スタスタ

兵『……あんまり彼に幼馴染というだけで構うのはやめた方がいいのでは?』

ピタッ

戦士『…………』

兵『君も去年の火贈りの儀式の時の彼を見たでしょう……あの一連の出来事を知ってる者はあまり居ませんが』



兵『本来10つの齢を重ねた際に得られるルビス様の力を……彼は貰えなかった』

兵『彼は、戦士にも、武道家にも、遊び人すら……普通の一般民にもなれなかった』



戦士『……』

兵『…………これが、何を意味するかもうお分かりでしょう?』

兵『これが、他に知れ渡ったら……どういう事になるのかも』

戦士『……』

戦士『それが?』

兵『はい?』

戦士『それが……どうしてアタシが勇者に関わっちゃいけない理由になるんだ?』

兵『……』

戦士『……お前さ』

戦士『勇者に麗しの君のお相手のお仕事を取られたからって……嫉妬してんじゃねーよ』

兵『……っ!』

戦士『ん……?図星か?』

クルッ

兵『……嫉妬などではありません』

兵『本来なら、あの場所は僕の場所だったのですから』

兵『僕はただ不当に憤っているだけですよ……それでは』

スタスタ……



戦士『…………案外よえーのな』

戦士『……』

スタスタ

戦士『……』

戦士(…………あんな事、言ったけど)

スタスタ



訓練生『ねえ、勇者君の噂知ってる?』

訓練生2『えっ?なになに?』


戦士『!!』ピタッ

訓練生『実はさ、あの方に恋してるらしいよ』

訓練生2『えぇー!?嘘ぉ』

訓練生『あくまで噂だけどねー』


戦士『……』


訓練生2『でも身分が違いすぎるって!』

訓練生『はは、だよねぇ。結局騎士訓練からも追い出されて今の仕事についてるわけだし……』

訓練生2『あ、けどステキじゃない?お世話係の勇者君が抱く身分の違いに悶える恋――なんて』

訓練生『うんうん、ちょっといいかも!まぁ本当に叶いそうにないけどそこがまた――……』


戦士『……っ』

戦士『……ん、ん……うぉッほん!!ごほっ』


訓練生『え?……――あ』

訓練生2『せ、戦士ちゃん!』

戦士『よっす先輩方!なんの話してたんだ?』

訓練生『え!?ううん!なんでもないよっ!!!?』

訓練生2『はは、それじゃアタシ達これから帰るから!!戦士ちゃんは!?』

戦士『アタシはもうちょっと用事あるから……終わったら帰るよ』

訓練生『そっか!そ、それじゃね!』

スタスタ

訓練生2『うわー……聞かれてたかな今の』ヒソヒソ

訓練生『大丈夫じゃないかな?戦士ちゃんちょっと鈍いところあるし』ヒソヒソ

スタスタ……

戦士『…………』

戦士『……』

戦士『嫉妬……か』

スタスタ……

戦士『……アタシも、他人の事…………言えないな……』

…………
……



……
…………

―アリアハン・商店街―


ガヤガヤ

戦士『おーい!商人!』

商人『あ!戦士ちゃん!』

戦士『すげーなー客の量。ルビス祭前だからかな?』

商人『そうですねー。うちもてんやわんやですよ』

戦士『何か手伝おうか?』

商人『いやいや、いいです。戦士ちゃんが手伝うと凄い余計めんどくさい事になりそうです』

戦士『このやろう……』

商人『あはは、冗談ですって』

タッタッタ

僧侶『あ!戦士ちゃん!商人ちゃん!』

戦士『お!僧侶も来てたのか!』

商人『こんにちわ僧侶ちゃん』

僧侶『こんにちわ!戦士ちゃんはお手伝いですか?』

戦士『いや、あたしは暇だからぶらぶらしてた』

商人『冷やかしですか!!!!』

戦士『だって今勇者とか任務でいないんだもんよー』

僧侶『あぁ、そうですね』

商人『僧侶ちゃんは?何の御用で?』

僧侶『はい!ルビス祭にむけてお料理をいっぱい作らないといけないので、そのお買い物ですっ』

商人『いらっしゃいませお客様』

僧侶『いらっしゃいました♪』

戦士『しっかり接客すんのな』

商人『そりゃあお客様ですからね!誰かさんと違って!!』

戦士『金の亡者め!』

商人『ふん!なんとでも言うがいいです!』

僧侶『け、喧嘩は駄目ですよ?』

商人『……せっかく』

戦士『え?』

商人『せっかく、勇くんのおかげでなんとかここに居れるんです』

商人『金の亡者にだってなんだってなってみせますよ』

戦士『……商人』

僧侶『……商人ちゃん』

商人『………………はっ!?』

商人『いやいやいやいや!!今のはちがくてっ、口が滑ったといいますかっ!!///』

戦士『愛いやつめ』ギュウゥ

僧侶『ういやつめー』ギュウゥ

商人『あーもー!!!!抱きつくんじゃねーですよ!!はよ買い物しなさいや!!!!』

スタスタ

僧侶『ふふ、いろいろおまけ貰っちゃいました』

戦士『アタシもリンゴ貰っちまったよ。今度なんかで返さないとな』ムシャムシャ

僧侶『そうですね!』


ガヤガヤ


戦士『……しかし凄い人だなー』

僧侶『見た事無い人たちも多いですね』

戦士『いろんな国から来てるらしいからなー……店もいろんな屋台が開いてるなぁ』

僧侶『ルビス祭にはこれの10倍くらい開いてますよね……今から楽しみですっ!』

戦士『だなー。あ、僧侶今からなんかあるの?』

僧侶『いえ、お夕飯までに教会に戻らないといけないですけど、それ以外は特に何もないですよ』

戦士『そっか!じゃあ一緒に屋台見てまわろうぜ!』

僧侶『そうですね!いきましょう!』

戦士『うん!』


……


スタスタ

戦士『はぁ……もう食えない』

僧侶『いっぱい食べてましたね……大丈夫?』

戦士『うん……多分夕飯までには胃袋が頑張ってくれるだろ……』

僧侶『ふふ…………あ』

戦士『ん?どした?』

僧侶『ちょっと、いいですか?』

戦士『ん?うん……』

タッタッタ

僧侶『……わぁぁ……』

戦士『…………?』

戦士『僧侶、どうした?何の店に――――……装飾品屋?』

店主『あら、お嬢さんお気に召した物があった?』

僧侶『はいー……わぁ、どれもかわいい……!』

店主『あれだったら試着してみなよ。鏡もあるから』

僧侶『え!?いいんですか!?』

ワイワイ

戦士『…………』


戦士(……飾りか)

戦士(もう、最近そんなもの考えた事もなかったな)

戦士(ずっとトレーニングの毎日だったしな……)

戦士(……)


僧侶『戦士ちゃん!』

戦士『ん?』


僧侶『この花の髪飾り、どうですかっ?』キラキラキラ


戦士『ぎゃあああ!!まぶしいっ!乙女オ-ラがすごい目にしみるっ!!!』

僧侶『戦士ちゃん?』キョトン

戦士『あ、あぁ。凄い可愛いんじゃないかな』

僧侶『ほんと?えへへ』

戦士(ぐむむ、同じ生き物とは思えねーな……)

僧侶(勇者くん、こういうの……好きかなぁ)

僧侶『戦士ちゃんもどうですか?』

戦士『はぁっ!?』

店主『そうよ、お嬢さんも可愛いんだから、試してみなよ』

戦士『あ、アタシは……』

戦士『……』

戦士『はは、アタシはいいや』

僧侶『……戦士ちゃん?』

店主『そう?残念ね……』

戦士『ガラじゃねーよー。それより、僧侶それ買うの?』

僧侶『あっ、そうでした!これください!』

店主『まいどありー!お嬢さん可愛いからまけておくね!』

僧侶『そ、そんなっ、だめです、申し訳ないですっ』

ワーワー

戦士『…………』

戦士(……今更)

戦士(今更、着飾ったって……)

戦士(こんな風にガサツに……どっちつかずに……育っちまったんだ)

戦士(もう……どうにもなんねーよ)

戦士(……)

戦士(もし、もし最初から……アタシがもっと女っぽかったら)

戦士(別の形で……勇者と一緒に居れたのかな)

戦士(……今のアタシは)

戦士(…………いろんなものが中途半端で)

ギュッ

戦士(……アイツのそばに……なんだか居場所が……ないみたいに感じるよ)

…………
……


『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』



『うがあああああああっっ!!!!!!!!あああああああああああああああ!!!!!!』



『あああああああ!!あがぁっ!!うああああああああああっ!!!!!!うあああああああ!!!!!』


戦士『……、っ、……ぁ』

武道家『やだ、やだ、せんし、やだ、わたし、やだ』ポロポロ


町人『おい!!!!神父さんはまだか!!!!』

町人2『兵も呼んで来い!!錯乱してる!!!!』

青年A『だれかー!!!包帯!!どっかの家から包帯持って来い!!!!』

青年B『体のあちこちから大量に出血してる!!!!!おいッ!!!!誰か早く神父を!!!!』

青年C『おい!!勇者!!しっかりしろ!!!勇者!!!!』


勇者『ああああああああっ!!!!!!うああああああああああ!!!!!!ああっ!!!がぁぁっあ!!!!!』

勇者『やめろおぉおぉ!!!!!やめろおおおおおおおお!!!!!!!!!あああぁぁっ!!!!やめろおおおおおおおおお!!!!!』

勇者『やめっっっっっっっっっっっっっっっっうびゅっ』



ビチャビチャビチャビチャ!!!!!



町人『おい!!!!吐血したぞ!!!』

青年C『勇者ぁぁぁっ!!!!!おい!!!!早くしろぉっ!!!!』

町人4『薬草持ってる奴はいねぇのか!!!!?』

町人3『ひでぇ状態だ……何があったんだ……!?』



武道家『せんしっ、ゆうしゃ、ゆうしゃがぁっ』ポロポロ

武道家『これ、やだっ、ゆうしゃが、どうしようっ、わたし、やだぁっ』


ギュゥゥゥ……


戦士『……ゆ…………う』


勇者『うあああああああああああああああああっ!!!!!ああああああああああああああ!!!!!!!!!』


戦士『………………しゃ…………』



…………
……

――――――――――――


―アリアハン地方・街道―


スタスタ

勇者『……』


タッタッタ

戦士『おーい!!』


勇者『え?……あ、戦士』

ザッ

戦士『はぁっ、追いついた……よぉ。勇者』

勇者『うっす!戦士!』

戦士『……なんか……久しぶり、だな』

勇者『え?そうかな』

戦士『そうだよ……半年くらい、ろくに会えてなかったし』

勇者『えぇっ!?そんなに会ってない事はないんじゃない!?』

戦士『…………お前』

勇者『ん?』

戦士『だって、お前……最近、アリアハンの街に……あんまり、居ないし』

勇者『…………』

戦士『…………』

勇者『はは、そんなこたーないよ』

戦士『……あるっつーの』

勇者『ちょっと色々用事があるだけだからさ、問題ないって』

勇者『ちゃんと週に一回は戻ってるし』

戦士『っ』

勇者『それに皆にも会えるときはちゃんと会って挨拶を』


戦士『お前っ!!!ふざけんなよ!!!!』


勇者『!』

戦士『何が問題ないんだよ!!!お前、一人で勝手に――……』

戦士『………………あ』

勇者『……』

戦士『あ、いや、今のは違うんだ、その』

勇者『……ごめん』

勇者『…………ごめん、戦士』

戦士『……勇者……』

勇者『でも、さ。本当に平気だってば』

勇者『ちょっと王様に所用で動かされてるだけだから』

勇者『王様って本当に人遣いあらいよな!!いや、まぁ王様だから当然かもしんないけどさ』アハハ

アタシは知ってる。

こいつが、極力アリアハンに居なくなった理由
アタシ達と、極力接触を避ける理由


勇者『給料も出ないんだよ、信じらんないよ。勘弁してほしいよ……レーベだって宿代高いのに』


こいつは、こいつなりに、アタシ達を守ってるんだ
アリアハンの人達から、アタシ達を守ってるんだ


勇者『でもアリアハン王も財政で頭悩ましてるらしいからね……ホラ、恐妻らしいから。お妃様』


もうずっと、生活のほとんどを、外で過ごしているのも
服の下に数え切れない傷を凄い勢いで増やしているのも
帰ってくる度に、色んな奴から冷たい視線を受けるのも


勇者『しっかし、レーベに行くまでにこの前一週間かかったよ……いい加減方向音痴も治したいよ……切実に』


こいつは、アタシ達に気付かれないようにしてやがる
アタシ達に、縋ろうともしない


戦士『っ……』


アタシは、それが、どうしようもなく、とてつもなく


……――腹が立つんだ

でも


勇者『あっ!』

戦士『っ』ビクッ

勇者『もう日がてっぺんに来てる……ごめん!もう行かなきゃ!』

ダッ

戦士『あっ……』

勇者『多分来週には戻ると思うから、会えたら会おうよ!』


一番、一番腹が立つのは


戦士『勇っ』

勇者『それじゃ!またな!戦士!』

タッ

戦士『……――――っ』

戦士『――』

戦士『……』

戦士『……』


タッタッタ……

タッタ…

タ…






戦士『……』

ポロ

戦士『……っ……』ポロポロ

戦士『……~~っ……!!!』ポロポロ



いつだって、肝心な時に側に居てやれなくて

――――――――――――――


戦士『……ゆ……う』

勇者『うあああああああああああああああああっ!!!!!』

戦士『………………しゃ…………』


――――――――――――――


肝心な時に、何も出来なかった
何もしてやれなかった


アタシ自身なんだ


…………
……

――――――――――――――
……………………………………


―カンダタのアジト―



カンダタ「まだいきがるかガキィ!!!!」

ジャキッ!!

カンダタ「いいぜオイ!!そんなに言うんなら!!殺してやろうか!!!」


戦士「勇者……もういい……もう、いいから……!!」

勇者「……」

戦士「本当に、お前っ……!!馬鹿だ……!!」



戦士(今だって、こんなに近くに居るのに、こんなに側にいるのに何もできやしない)

戦士(アタシは……)

戦士(アタシは、勇者に――……いつ、なにをしてやれたんだろう)



勇者「……ふんっ!!」ンブッ

ビチャッ!!

勇者「……っつ……鼻血……止まったかな」


ダッ!!


カンダタ「いくぜオラァッ!!!!」


勇者「!!」

カンダタ「おらっ!!!!」

ガギッ!!

勇者「ぐっ!!」

カンダタ「らぁっ!!!!」

ガギッ!!

勇者「ぐっ!!!……――――ふっ!!!!」

グルンッ

カンダタ「!!?」


ガキィィン!!!!


カンダタ「ぐおっ!!?」

バッ!!

勇者「っと……!!」

カンダタ「……おいおい、さっきより動きが良くなってきたか?ボウズ」

勇者「……」

勇者(頭に上った血が、鼻から沢山出ちゃったせいかな……さっきより落ち着いてら)

勇者(……――そうだよな)チラッ


戦士「……――っ……!!」


勇者(……)

ジャキッ

勇者「知らないよ」

カンダタ「ん?」

勇者「僕の動きが良くなったんじゃない」

勇者「お前の動きがいきなり鈍くなったんじゃないか?」

勇者(戦士をこんな風にされて、落ち着いていられるわけないもんな)

勇者(盗賊に続いて、戦士まで)

ギリッ

勇者(……絶対に、許さねぇ)

ザッ

勇者「どうした……さっきから中々僕にトドメささないけど」

勇者「……僕すら殺せないのか?……さっきから手加減ばっかりして」

勇者「それとも…………」



勇者「人を殺す勇気なんてハナからなかったか?カンダタ!!」


カンダタ「……………………あ?」



カンダタ「……」

カンダタ「……」

カンダタ「……」

カンダタ「……ク」

カンダタ「…………クックク……!!」

ジャリッ

勇者「!!」

カンダタ「ほ」

ブンッ

カンダタ「ざっ」

ヒュッ

カンダタ「けえええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」

勇者「っ!!!!」バッ



ドゴォォッ!!!!!


ズザッ!!

パラパラ……

勇者「ふぅっ……!!」

勇者(あっぶな……!!……でも、成功か……逆鱗……触れられたっぽいな)

勇者(プライド……そこにありましたか。カンダタ)

カンダタ「はぁっ……!!!はぁっ……!!!!」

カンダタ「この餓鬼!!!!調子に乗りやがって!!!!!!」

カンダタ「いいぜ!!殺してやる!!!!バラバラにしてやる!!!!!!」

カンダタ「もうてめぇなんかいらねぇ!!!!っざけやがって!!!!!!」

ジャキッ

カンダタ「死ね!!!!糞餓鬼!!!!!」

勇者(……攻撃力が断然上がったけど……動きが分かり易くなった)

勇者「……死なないよ」

ジャキッ

勇者「お前に一発入れてからなら……半殺しくらいなら覚悟するよ」

勇者「……でも」


んべっ!!


勇者「誰が死んでやるもんか!バーカ!!!!!」

すぅぅぅ

勇者「っっッッバーカ!!!!!」


カンダタ子分達(((二回言った!!!!)))

今日はおしまいです

…………

タッタッタ

ズザッ

僧侶「はぁ、はぁ……あ!武道家ちゃん!魔法使いちゃん!」

魔法使い「僧侶だ!」

武道家「僧侶!そっちは!?」

僧侶「駄目でした……うぅ、本当にどこに……」

武道家「…………早く、早くしないと」

魔法使い「で、でもでもおちつかなきゃ」

武道家「あぁもう、もし盗賊が来てたらもっと楽にいってたのに!」

僧侶「そ、そうですね……野盗の足音なんかを聞きわけられるかもしれませんでしたし」

武道家「とりあえず……そっちに行ってみましょ!」

僧侶「はい!」

魔法使い「がってんだよ!」

タッタッタ

武道家「…………」

魔法使い「……武道家」

武道家「……なに?」

魔法使い「戦士……大丈夫かな」

武道家「……」

魔法使い「…………また、あの時みたいに……」

僧侶「……」

武道家「……急ごう」

武道家「…………戦士のあの竦み癖……」

武道家「今の状況だったら……ヤバイかもしんない」

武道家「急ごう、急がなきゃ……!」

魔法使い「うんっ!」

タッタッタ

魔法使い「……すくみぐせ……かぁ」

…………
……


――――――――――――


―アリアハン地方・丘―



戦士『…………』

ザッ

魔法使い『せーんしー!』

戦士『!』

武道家『全く……こんなとこにいたのね』

商人『なに黄昏てやがるんですか』

戦士『……みんな』

ムクッ

戦士『あはは、悪ぃ。心配させちゃったか?』

武道家『……戦士』

戦士『…………ん?』

商人『聞きましたよ』

魔法使い『どうしたの……きょうの、おしろでの戦闘訓練……』

戦士『……』

武道家『顔色悪くして急にいなくなったって……皆心配してたわよ』

商人『おかげで戦闘訓練に参加してない私まで戦士ちゃん捜索に借り出されましたよ』

戦士『……はは、ごめんなぁ』

武道家『……』

スタスタ

ザッ

武道家『よいしょ……横座るわね』

戦士『おう』

魔法使い『……戦士』

戦士『……』

商人『…………どうしたんですか、戦士ちゃん』

戦士『……』

戦士『……今日さ』

魔法使い『……うん』

戦士『訓練……擬似訓練だったんだ』

商人『擬似訓練?』

戦士『ああ……紅軍と白軍に分かれて、その中でまた小さい班に分かれて、さ』

戦士『…………班ごとにテント張って、そのテントの中に二つ人形置いて』

戦士『その……人形守り通しながら、相手軍の人形を壊すって訓練を、やってたんだ』

魔法使い『二つの人形を?』

商人『変な訓練ですね。一つじゃ駄目なんですか?』

戦士『ん……一つはもう一つの人形より重くてさ』

戦士『教官が言うには、“負傷した一般人を守りながらの戦いを想定しての訓練だ”って』

戦士『“重いほうの人形は男性だと思え、もう一方は女性』

戦士『それを頭に入れてテントから移動させる際などは考えて行動しろ”って……そういう訓練だったんだよ』

武道家『なるほどね』

商人『二人の男女の一般人を守りながら多数の一般人を殺せって訓練ですか……良い趣味してます』

魔法使い『でも……なんで途中でぬけてきちゃったの?』

戦士『……』

戦士『……』

戦士『…………私がさ』

戦士『私が、相手の陣地に行って、少しして……自分の陣地に戻った時さ』

戦士『……人形がさ、もう――……』

魔法使い『……こわされ、ちゃってたの?』

戦士『……ああ』

商人『それで不甲斐ない仲間に怒って帰って来ちゃったんですか?』

戦士『あはは、違うって』

武道家『……』

戦士『…………人形がさ……ズタズタに、されてんの』

商人『……!』

魔法使い『……』

武道家『……』


戦士『人形がさ、アタシが居た時は、全然無事だった人形がさ』

戦士『ズタズタに、千切れて』

戦士『グチャグチャに…………されてんの』

戦士『……なんかさ』

戦士『なんか、アタシ、それ見た瞬間さ』

ブル…

魔法使い『……!』


戦士『それ見た瞬間、もうダメで』ブルブル

戦士『よくわかんないけど、引き離された二人の人形見た瞬間に』

戦士『勇者と、アイツの事……!思い出しちまって……!!』

戦士『駄目……駄目なんだ』

戦士『怖いんだ……怖いんだよ……!!』


武道家『戦士……!』


戦士『さっきから、全然鳴り止まないんだっ』

戦士『あの時の勇者の、帰って来た時の勇者のあの――――……』


―――――――――


『ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!やめろおおおお!!!!!!いやだあああっ!!!!あああああああああああああああ!!!!』


―――――――――


戦士『っ……うぅっ!!』

商人『戦士ちゃん!!』

戦士『……!……!!』ブルブル

武道家『戦士、大丈夫……大丈夫だから、落ち着いて』

戦士『……』

戦士『……だ』

魔法使い『え……?どうしたの?』

戦士『……むり、だ』

戦士『無理だよ……あんなの』

戦士『何かを、まもりながら、たたかうなんて』


ギリッ――


戦士『アタシ……!!ぜったい、ぜったい……無理だ……!!』

武道家『……』

戦士『アタシがしくじったら……誰かが、あの時の勇者みたいになるなんて、考えちまったら……!』

戦士『アタシ……アタシ、ぜったい……頭、真っ白になる…………!!』

フルフル

魔法使い『……戦士……』

商人『……』

武道家『…………』



……
…………

タッタッタ

魔法使い「……あのときの戦士、すごくふるえてた」

武道家「うん……!」

魔法使い「もしあんなじょうたいで野盗と会ったら……」

武道家「……もし、勇者も辿りついてたとしたら……」

僧侶「勇者くんの身まで……」

僧侶「……っ……急ぎましょう!」

魔法使い「うんっ!!」

魔法使い(ぶじでいてね……)


………
……

―カンダタアジト―


カンダタ「だらああああ!!!!!」

ブォン!!

勇者「ふっ!!」バッ!!


ドゴォォン!!!!

ガラガラッ


カンダタ「逃げんな糞ガキィ!!!!威勢の良い事ほざいてた癖に逃げんじゃねえぇ!!!!!」


勇者「はぁ、はぁ!」

勇者「威勢の良い事ほざいてる割に糞ガキに一発も入れられないのはどこのノロマだ!!」


カンダタ「ッカ、……スッッ!!」ギリィ

勇者「ふっ!!」

ダッ!!

カンダタ「!!!」

ガキィン!!

勇者「っ!!!」ギリギリ

カンダタ「っ……!!やっと……!!飛び込んできやがったな!!」ギリギリ

勇者「ああ……!せっかく飛び込んで来てやったんだ……!!一発くれないのか……!?優しいカンダタおじさん!!」

カンダタ「ッッ!!!!テメェッ!!!!!」

ヒュッ!!

勇者「!!」


カンダタ「糞があああ!!!!!」


ゴドォォン!!!!!!


パラパラ


スタッ

勇者「……ふうっ」

カンダタ「……また、逃げやがるか……!!」

勇者「はは、さっきから壁か床しか攻撃できてないよ、アンタ」

カンダタ「……ちぃっ……!!!」ギリッ

勇者(……まだ、まだチャンスがあるはずだ)

ガンッ!! ガキン!!


カンダタ子分「……」

カンダタ子分B「なあ……」

カンダタ子分C「ああ……あんな親分……初めて見る」



戦士「……」

戦士(なんだ……あの勇者の戦い方)

戦士(今まで、あんなトラッシュトークまがいのモノなんて仕掛けたことなかったのに)




ズザァ!!

勇者「ははっ!!どうしたんだよ!だんだん疲れてきてるんじゃないか!?」

カンダタ「黙ってろ糞が!!」

ブォン!!

ヒョイッ!

勇者「そんな大振り当たらないよ!!」

カンダタ「っちぃ……!!」


カンダタ子分「親分!!落ち着いて下さい!!」


カンダタ「!!」

勇者「!!」


カンダタ子分B「親分らしくないっすよ!!」

カンダタ「……」

カンダタ「……」

カンダタ(……馬鹿か、俺は)

カンダタ「……すぅ……はぁっ……」

カンダタ「…………おう」


勇者「……ぐ」


カンダタ(……このガキ……糞、俺としたことがつまんねえ挑発に簡単に乗っちまった)

カンダタ(俺の動きを雑にするためにさっきからネチネチと……)


勇者(……挑発もここらが限界かな)

勇者(多分カンダタももう頭が冷え始めてる)

ダッ!!

勇者「っ!?」

カンダタ「おらあああっ!!!!」

ヒュン!!

ガキィン!!

勇者「ぐぅっ!?」

カンダタ「がぁっ!!」

勇者「!!」

ドゴォッ!!

勇者「ぎぃっ……!!?」

勇者(蹴り……っ!!)

ドシャァッ!!

ダッ バッ!!

勇者「はぁっ!はぁっ!」

勇者(やばい、騙まし討ちする余裕ができるまで頭が冷えたみたいだ……!)

カンダタ「ちっ……すぐに起きやがりやがって……!」

勇者(……でも……)

勇者「おらあっ!!!」ダッ

カンダタ「!!」

ザッ!!

カンダタ(自分から懐に飛び込んで来やがった……!?)

勇者「くっ!!」

ブンッ!!

カンダタ「!」バッ!!

勇者「ふん!!」

勇者(よし!!左手でガートして、右手で攻撃を繰り出す気だ!!)

勇者(狙いッッ)

クン!!

ザンッ!!

カンダタ「なにっ!!」

カンダタ(手首を翻して、俺の右手の指を――!!)

ポロ

カンダタ(しまっ――……武器が――……!!)

勇者「通りだッッ!!!!!!!」ヒュンッ

カンダタ(こいつっ……!!)

カンダタ(だがっ)

ガシィッ!!

勇者「!!?」


戦士「!!」

戦士(あいつ、勇者の剣を素手で掴みやがった!!)


カンダタ「させるかよボケェ!!!!!」

ドゴォッ!!!!

勇者「あぎぃっ……!!!!?」

ヒュッ!!

スタッ!!

勇者「ぐっ……!!ふぅっ……!!」

カンダタ「ちっ……」

カンダタ(頭掴んでそのままマウントに持ち込もうかと思ったが……ちょこざいな奴だぜ)

勇者「はぁっ……はぁっ……!!」

カンダタ(……さっきまでとはうって変わって動きが機敏になってやがる)

カンダタ(面倒だ……前に会った時とは別人みてえだな)

カンダタ(……だが)

カンダタ「……くくくっ!!かかかかっ!!」

勇者「はぁっ……!!はぁっ……!!」

カンダタ「どうした!おい!」

ジャキッ!!

カンダタ「くく……ほら、お前の武器は俺が持ってんだぜ?」

勇者「……!」


タニア「あ、あぁ……」

グプタ「もう……もうダメだ……」


戦士「勇者っ!逃げろ!!もういいから!!逃げて皆を!」

カンダタ子分「お前はちょっと静かにしてろっ!」グイッ

戦士「ぐっ……!!」


勇者「戦士!!」

カンダタ「おいおい、余所見していいのかよ」

勇者「はぁっ……はぁっ……!」

カンダタ「くふふっ……!」

ジャリッ!

勇者「!!」ピクッ!

カンダタ「ぎゃはっ!!何びびってやがんだオイ!!」

カンダタ「武器がねえとそんなに自信がねえか!?ああん!!?」



ダッ!!



カンダタ「なっ」


タッタッタッタッタ!!

勇者「っ!!」タッタッタ!!



カンダタ子分D「つっこんどる――――!!!!?」

カンダタ子分「馬鹿かあいつ!!?」



戦士「な、にやってっ……!!!?」

――――――――

勇者『僕が……僕が、手が、何本千切れても…………お前をぶっ飛ばす……!!!!!」』

――――――――

戦士「……!!」

戦士「やめろ!!やめろ勇者ぁ!!!」

カンダタ「こいつっ!?」バッ

ヒュンッ!!

勇者「っ!!」

バキィッ!!

勇者「ぐふっ!!!」

ズザッ

ダッ!!

カンダタ「!!」

勇者「らあぁっ!!!!」バッ


カンダタ子分B「またつっこんどる――――!!?」


カンダタ(正気かこいつっ!!?)

カンダタ「お、らあぁっ!!!!」

ヒュンッ!!


勇者「!!」




ゾンッ!!!!!




勇者「があぁっ!!!!!」


戦士「勇者あああぁっ!!!!!」

勇者「がひっ!!」

ブチャァッ!!

勇者「っし!!」

ヒュバッ!!ズザッ!!

勇者「はぁっ……!はぁっ……!」


カンダタ「ふぅ……ふぅ……!」

カンダタ「引き際だけは速い野郎だぜ……!!」

カンダタ(また捕まえられなかった……!)

カンダタ(今の手ごたえ……反射的に斧でしっかり振り抜いたが、浅かったな)


勇者「はぁっ……!はぁっ……!!」

勇者「……んく……!」ソッ…

ズキッ!!

勇者「ぎっ……!」

勇者「……はぁっ、はぁっ」

勇者(肩の……この、傷)

勇者(…………よし、覚えた)

勇者(よし……よし、よし……!!……もう、ここしかないっ!!)


カンダタ(しかし、気のせいか?)

カンダタ(あの野郎、俺の一撃を受けた時……わざと立ち止まった気が……)

カンダタ(なんにせよ……)

カンダタ「……くそ、糞がっ」

カンダタ「めんどくせぇっ!めんどくせえんだよてめえ!!!!」


勇者「はぁっ……!はぁっ……!!」


カンダタ「もういい加減大人しくしてろ!!!そこまでする義理がてめぇにあんのか!?」

カンダタ(むかつくぜ……ああ、無性に腹が立つ)

カンダタ「この女も人質も、まとめて守るってか!?てめえが、雑魚のてめえが!!」

カンダタ「ちょこまか逃げ回るしか能の無えてめえがか!!」

勇者「はぁ……!はぁっ……!」

カンダタ(こいつの考えも、態度も……無性に腹が立つ!!)

カンダタ「へっ!ああ、てめえにゃお似合いかもな!!守る守る言って!馴れ合いやがって!!」

カンダタ「この女も、てめえにそっくりだ!!」


戦士「……!!」


カンダタ「助けるとかほざいて、意気込んで、下手こいて!!」

カンダタ「そしてこのザマだ!!」


勇者「……」


戦士「…………」

戦士(本当……こいつの言う通りだ)

戦士(ここまで来て、勝手に突っ込んで、ドジ踏んで)

戦士(助けるどころか……迷惑かけて)


――――――――――


勇者『ごめんね、ぼくのせいで』

ポロポロ

勇者『ほんどに、ごべんっ、ごべんね』ポロポロ


――――――――――

戦士(こんな、こんなんじゃ……アタシは、意味がないじゃんか)

――――――――――


勇者『きっときっと……父さんは。大丈夫だよ』

勇者『……父さんがしんだなんて、ぜったいうそだ』

戦士『ゆうしゃっ、ごべんっ、あたしっ、あたしっ……!!!!うあぁぁっ!!うあぁぁぁん!!!!』ポロポロ

勇者『……………………ありがとう……』ギュゥゥ


――――――――――


戦士(アタシは、アタシは…………どんだけ)


――――――――――


勇者『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

勇者『うがあああああああっっ!!!!!!!!あああああああああああああああ!!!!!!』

勇者『あああああああ!!あがぁっ!!うああああああああああっ!!!!!!うあああああああ!!!!!』


――――――――――



カンダタ「この女も!!お前も!!」

カンダタ「雑魚で!!!役立たずで!!!!」


カンダタ「何にもできねえ、口だけの正義の味方だ!!!!!」


戦士「……」




―――アタシは、どんだけ……弱いんだ






勇者「カ ン ダ タ ア ア ア ア ア ア ア !!!!!!!!!!!!!!」




ダッ!!!!


カンダタ「!!!」


勇者「っ!!!!」タッタッタ!!


カンダタ「かははっ!!」

カンダタ(頭に血がのぼって飛び込んで来やがったか!!)

カンダタ「来いや糞ガキィ!!!!」


ザッ!!


カンダタ「!!?」

ダッ!

勇者「ふっ!!!」

カンダタ「きひひっ!!!」

カンダタ(勢い良く突っ込むと見せかけてステップで攪乱させるって魂胆かよ!!)

カンダタ(芸がねえぞボケ!!!)

ジャキッ

カンダタ(しかもこのステップの行き先は――!!)


ザッ!!



勇者「っ……!!」

カンダタ「……へっ!!!!」


カンダタ(さっきと全く同じ場所だ糞ボケェ!!!!!)

カンダタ(さっきは掠る程度に終わったが……!!今度こそ――……!!!!)


ヒュンッ!!!



勇者「!!」


カンダタ子分「あっ!!」

カンダタ子分B「っ~!!」

グプタ「あああっ!!」

タニア「きゃあああああああ!!!!!」



戦士「……勇者」



カンダタ「もらったああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」













カンダタ(……――――あ?)



カンダタ(……?)

カンダタ(なんだ)

カンダタ(この感覚は、なんだ)

カンダタ(なぜだ)

カンダタ(なんで視界が回ってやがる)

カンダタ(なんだ)


カンダタ(なんで、あのガキ)


カンダタ(一瞬、笑ってやがった)


カンダタ(な)

カンダタ(なんで俺は)



ドォン!!





カンダタ「がはぁっ!!!!?」


パラパラ……

カンダタ「…………っ」

カンダタ「っく……!!……なっ……!!」


「動くな」


ジャキンッ!!!!

カンダタ「……?」

カンダタ「…………!!!!」





勇者「はぁっ……!!はぁっ!!」






カンダタ(なんで、俺はこいつに……!!捻じ伏せられてんだ!!!!!)

カンダタ子分「な、なんだ、今の」

カンダタ子分C「あの、野郎っ……今何しやがった」



戦士「……」

戦士「…………ゆう、しゃ」


――――――――――――――


『……何か力が無くても効率よく使える技があればいいんだけどね……』


――――――――――――――


戦士「…………っ」

戦士(いまの、技……)



――――――――――――――


ドサッ

勇者『はっ……はぁっ……!』ゼェゼェ

戦士『ふぅ……とりあえず、やっぱり力、速さ不足かな』

勇者『はぁっ……!や、やっぱりそうだよね』ゼェゼェ

戦士『もう技の形とかは完璧なんだけどな……力と速さがあってこその技が多いし……』

勇者『ぐ……そうだよね……何か力が無くても効率よく使える技があればいいんだけどね……』

戦士『そうだな……ちょっと立ってみ』

勇者『へ?うん』スクッ

戦士『アタシの肩あたりに軽く一発やってみ』

勇者『一発?わかった……』

ソッ……

戦士『ふっ!』

ガシッ グイッ!

勇者『えっ?うわっ!!』グルンッ!

ドサァッ!

勇者『い、いてて……』スクッ

戦士『……ほら、今アタシが何をやったか、わかるか?』

勇者『うん……僕の檜の棒を振りかざした手を、僕の下一瞬で潜り込んで引っ張って……』

勇者『その反動で僕の体を回して跳ね上げた……って感じかな?』

戦士『ははは!相変わらず分析だけはすげー早いのな!』

勇者『“だけ”は余計だよ』

戦士『ま、とにかくだ。今みたいに自分の力だけじゃなく相手の力任せで相手を捻じ伏せたりもできるんだ』

戦士『勇者はそっちを頑張った方がいいかもな』

――――――――――――――


戦士(昨日……アタシが教えたあの――……!!)

カンダタ「ぐっ……!!」

ジャキッ!!

カンダタ「!!」

勇者「動くな」

カンダタ「……てめえ」

勇者「わかるだろ……ちょっとでも動いたら首を刎ねる」

カンダタ子分「てめぇっ!」ザッ

勇者「お前たちも動くなっ!!!」

カンダタ子分B「っ!!」グッ

カンダタ子分C「……っの野郎……!!」

勇者「はぁっ……はぁっ……いくら非力な僕だからって……お前の首を刎ねるくらいは簡単だ」

カンダタ「……」

勇者「それに……これは人間同士の争いだ…………僕がお前を殺せば……ルビス様の加護も効かずに……お前は死ぬぞ」

カンダタ「……」

勇者「だから、動くな……!僕の話を聞け……!!」

カンダタ「……」チラッ


ポタポタ


カンダタ「……けっ」

勇者「なんだ……!」ジャキッ

カンダタ「そう殺気走るな……なるほどな」

カンダタ「さっきわざとその傷を受けたのは……俺の反射的な攻撃軌道を正確に捉えるためか」

勇者「……」

カンダタ「……同じ場所に唐突にステップで潜り込めば、同じ場所に反射的に攻撃するからな」

カンダタ「その傷の場所に手の意識を集中させて……俺の攻撃を利用して……俺をひっくり返したってわけだ」

勇者「……」

カンダタ「くくっ……!あの似合わねえトラッシュトークも俺の余裕をなくさせて手癖を見るための行動だったか」

勇者「…………どうでもいいだろ、そんな事」

カンダタ「……ああ、どうでもいいな」

カンダタ「…………俺が余りにも馬鹿だったぜ……いろいろと、ドジが多すぎた」

カンダタ「俺の負けだ。殺せ」


カンダタ子分「親分っ!!!!」

勇者「……」

カンダタ「……」

カンダタ「……どうした?おい……殺さねえのか?」

カンダタ「簡単なんだろ?おう、さっさとスパーンと首を刎ねちまえよ」

勇者「……」


カンダタ子分「親分……!」

カンダタ子分B「やだ、そんなのやだよ親分……!!」


グプタ「……旅の、人」

タニア「だ、だめ……」


戦士「……!」



勇者「……」

勇者「…………刎ねない」

カンダタ「……あぁ?」

勇者「僕は、お前を殺さない」

カンダタ「……」

勇者「僕が欲しいのは、お前の首にかけられてる賞金でも、お前の首でもない」

カンダタ「……何だ」

勇者「三つだ」

カンダタ「あ?」

勇者「三つある…………」

ジャキッ

勇者「……殺されたくなかったら、従え」

カンダタ「……言ってみろ」

勇者「一つは……あの二人を解放しろ」


タニア「!」

グプタ「っ、旅のお方!」



カンダタ「…………おい」

カンダタ子分「は、はい!」

カンダタ「……その二人、離してやれ」

カンダタ子分C「で、でも……いいんですか?」

カンダタ「ああ……どっちにしろ、もう時間だろ」

カンダタ子分B「はいっ」

タッタッタ

カチャカチャッ パッ


タニア「っ、グプタ!!」

グプタ「タニア!!」

カンダタ「そいつら、外にたたき出せ」

カンダタ子分C「はい!!おい、こっちだ!」

タニア「っ、あ、ありがとうございました!旅のお方、剣士さん!」

グプタ「すぐに!すぐに助けを!!」

カンダタ子分C「黙って歩け!!」

スタスタ……

勇者「……ぜったい、無事に連れて行くだろうな」

カンダタ「……そう疑うな……で、二個目は」

勇者「…………戦士を解放しろ」

戦士「!」

カンダタ「……」

勇者「戦士を縛ってるあの糸……あれを解く方法、あるんだろ?」

勇者「それで、戦士を解放しろ」

カンダタ「……緩解剤がちゃんとあるぜ……おい!」

カンダタ子分B「は、はい!」

カンダタ「隣から緩解剤取って来い」

カンダタ子分B「うすっ!」ダッ

勇者「……やけに聞き分けがいいな」

カンダタ「…………三つ目は?」

勇者「……」

カンダタ「……おい、なんだ?言ってみろよ」

勇者「……」

カンダタ「……?」

勇者「…………」

勇者「…………謝れ」

カンダタ「…………は?」

勇者「謝れ」

勇者「謝れ……今すぐ」

カンダタ「はぁぁ……?お前にか?」

カンダタ「かっはっはっは!!!そんなにむかっ腹立ってたってのかよ!!」

ジャキッ!!

カンダタ「おっと」

勇者「違う」

カンダタ「……じゃあ何に謝るんだ」


勇者「戦士に、謝れ」


戦士「!」

カンダタ「…………」

勇者「戦士を殴った事、簀巻きにした事」

ギリッ!!



勇者「戦士を、馬鹿にした事っ!!!!謝れ!!!!」



戦士「……勇、者……?」

カンダタ「……くくっ……そんな事かよ。拍子抜けだz」

グイッ

カンダタ「!」

勇者「……っ!!」ギリギリ

勇者「戦士が雑魚だって言ったなお前……!!言ったよな……お前!!」

勇者「いいか!!お前に勝った僕は……戦士の弟子なんだ!!!」


戦士「!!」


勇者「今日は調子が悪くてああだっただけだ!!普段の戦士は数百倍強い!!!」

勇者「それを、戦士の事を、今日一日まぐれで勝っただけのお前が笑うな!!!!!」

カンダタ「……」

勇者「そして、戦士に何も守れないとも言ったろ!?」

勇者「取り消せ!!!全部取り消せ!!」

勇者「戦士は僕の憧れる人なんだ!!!!」

勇者「昔から僕を守ってくれてる……凄い奴なんだ!!!!!」



戦士「……」

戦士(な、に……言ってんだよ)

戦士(何、言ってんだよ)

戦士(アタシなんか、いつも、何にも、できなくて)

戦士(お前に、助けられてばっかで――……)

勇者「ちなみに、最後のあの技だって戦士が教えてくれた技だ!!」

勇者「いいか!!お前は僕に負けたんじゃない!!戦士に負けたんだ!!!!」

カンダタ「……」

勇者「戦士の努力も、芯の強さも、優しさも!!」

勇者「何もわかってねえような奴が!!知ったふうな口きくな!!!!」


勇者「戦士を馬鹿にした事!!!!!謝れ!!!!!!!!!」



カンダタ「……」

勇者「はぁっ、はぁっ!」

カンダタ「……く」

カンダタ「くくっ、くひひっ」

カンダタ「ぎゃははははははっ!!!!!」

ジャキッ!!

勇者「わ、笑うなよ!」

カンダタ「くっくく……!!お前、それで俺に一発、くくくっ!!入れたがって……きひひっ!!!!」

勇者「笑うなって!!」

カンダタ「どんだけ甘ちゃんで、どんだけ馬鹿なんだてめぇっ!!ぎゃはははははは!!!!」

勇者「……う、ぐ」

カンダタ「はははっ!くくっ!!ひ、ひぃっ……ぷくくっ……!!」

カンダタ「はー…………くはははっ!!くひぃっ!」

カンダタ「ふぃー…………ああ、分かった分かった」

カンダタ「……嬢ちゃん」

戦士「!」


カンダタ「…………悪かった」


戦士「……」

勇者(……やっぱりなんだかやけに素直だな)

カンダタ「で?終わりか?」

勇者「ああ…………僕の命令はもう終わりだ」

カンダタ「じゃあ解放してくれるのか」

勇者「いや……お前はどこかの警兵に引き渡す」

カンダタ「……そうか」

勇者「これ以上悪事を働かないように――……」

カンダタ「でも、それじゃ困るんだよな」

勇者「……何言ってんだよ」

カンダタ「なあ、ここは見逃してくれねえか?」

勇者「だから本当に何言ってんだって」

カンダタ「お前に負けるなら、と死ぬ事に諦めもついたもんだが……そうじゃねえならのうのうと牢獄にゃいられねえ」

カンダタ「なあ、宝は少々だが分けてやるぜ?」

勇者「そんなものいらないよ」

カンダタ「なにかしらの礼はまた後日してやるが」

勇者「そんなものいらないっていってるだろ」

ジャキッ!!

勇者「一般人を誘拐したり、盗賊や戦士に手をかけたり……」

勇者「そんな奴はもうこれ以上放っておけないよ」

カンダタ「……そうか」

勇者「そうと決まればまずは戦士を縛ってるあの糸みたいなのをお前の手にも――……」


カンダタ「じゃあ、交渉決裂だ」


勇者「……え?」



グラァッ




勇者「……あ、れ?」

カンダタ「お、ジャストのタイミングか……」


フラッ


勇者「な、なん、だ、これっ」ヨロッ

勇者(め、眩暈がして、視界が、ゆがんで)

勇者(手足、しびれて、のうみそが、気持ち悪い)


スクッ


カンダタ「ふう……俺の体感時計も捨てたもんじゃなかったな」

カンダタ子分「親分っ!!!」ダッ

カンダタ子分D「怪我は無いっすか!?」

カンダタ「おう、そのガキよりは全く無傷だぜ」

勇者「カ、ンダタ、お前ッ」

グラァッ

戦士「ゆ、勇者!?大丈夫かおいっ!!勇者!!」

勇者「~~っぎぃっ……!」

カンダタ「まだ片膝ついてやがる……タフな野郎だ」

戦士「カンダタァ!!!!お前!!勇者に何したぁっ!!!」

勇者「ま、さか……お前っ、刃に」

カンダタ「おう……痺れ薬を盛らせてもらった」

カンダタ「最初の一撃から大体15分……効き目がバッチリみてえだな」

勇者「……!!」

カンダタ「なんだその顔?悔しくてたまらなそうな顔してやがんな」

スタスタ

勇者「お、まえっ……!!」

カンダタ「お前、俺が馬鹿正直に戦うとでも思ったかよ」スタスタ

カンダタ「本当に甘ちゃんだ、ダメダメだお前は」スタスタ


ザッ


カンダタ「……」

勇者「ぎぃっ……!!」ギロォッ

カンダタ「…………くふっ……!!まだ俺を睨みつける余力があんのかよ」

勇者「ま、さか……お前……タニ、アさんと、グプタさん……を」ヨロッ

ジャキンッ!!

勇者「く、そォっ……!!!」

カンダタ「……安心しな」

勇者「……っ、え……?」

カンダタ「あの二人を解放したのは、嘘じゃないさ」

勇者「……」

カンダタ「だが」ブンッ


バキャァッッ!!!


勇者「……――~~~~っ!!!?」グラァッ


カンダタ「これくらいの仕返しはさせてもらうぜ」


ドシャァッ!!!

勇者「あ、ぎっ……」

戦士「ゆ、勇者!!!」

カンダタ「ただ顎に一発御見舞いしただけだっつの。騒ぐんじゃねえよ」


ザッ

カンダタ子分B「親分!緩解剤持ってきました」

カンダタ「おう、貸せ」

スタスタ

勇者「あ……かはぁっ……!」

カンダタ「……満身創痍の体に痺れ毒、そして俺のパンチを顎にもらってんだ」

カンダタ「なかなかにキツイだろ。しばらくはもう手足さえ動かせないと思うぜ?」

勇者「う、ぐぅぁ……!!」ギロッ

カンダタ「……ははっ、まだ睨む気力あんのか。もう呆れ越したぜ」

コトッ

勇者「ぐ……?」

カンダタ「これが緩解剤だ……」

勇者「……」

カンダタ「痺れが切れるか、他のヤツが助けが来たらこれを使って解いてやんな」

勇者「…………っ」ググッ

カンダタ「しばらくは安静にしといた方が楽だと思うがなぁ」

勇者「……ぎっ、ぎぎぃっ……!!」

カンダタ「……」

カンダタ「……やっぱり、お前は、いいな」

勇者「がぁっ……!!」グググッ

カンダタ「…………お前みてぇな勇者達が大勢いれば……」

カンダタ「……」

カンダタ「くふっ……いや、くだらねえな」


ザッ

カンダタ「あばよ!!糞ガキ!俺はトンズラさせてもらうぞ!」

戦士「まっ、待てぇぇっ!!!」ギギッ

カンダタ「けけっ!!威勢の良い姉ちゃんだ」

戦士「お前ら、よくも勇者にこんなっ!!こんなっ!!」ギギギッ

ブツッブツッ!!

カンダタ「!」

カンダタ子分「親分!!」

戦士「許さねぇっ!!ゼッタイ!!ぶっ飛ばしてやるっ!!!!」ギギギッ

ブツンッ!!ブツンッ!!

カンダタ「おいおい、嘘だろオイ……」

カンダタ子分B「あの女気合であの特殊糸をぶっちぎってやがる!!」

カンダタ「お、お前ら!!トンズラだ!!早いとこ行くぜ!!」ダッ!!

カンダタ子分ズ「「「うっす!!」」」ダッ!!

戦士「おいっ!!!!まてっ!!待てぇぇぇっ!!!!」

カンダタ「かははっ!!!!嬢ちゃんもあばよ!!縁があっても会いたくねえ奴らだったぜ!!」

戦士「こっちのセリフだ!!待て!!待てえええ!!!」ギギギッ

タッタッタ

ッタ

……

戦士「ぐぎ――……はぁっ!!はぁっ!!」

戦士「くそっ……!!」


戦士「本当に、何でできてるんだこの糸……!!」

戦士「っ、それより!!勇者!!無事か――……」


ズリッ ズリッ……


戦士「……!!」


勇者「はぁっ……はぁっ……!!」ズリッ……ズリッ……


戦士「勇者!何動いてんだ!!休んでろ!!」

勇者「ぐぅっ……だい、じょぶ」ズリッ……ズリッ……

戦士「アタシの事は今いいから!!もうすぐみんながっ!!」

勇者「……だい……じょう、ぶ」ズリッ……ググッ

勇者「せめて、これ、くらい……!」ズリッ……ズリッ……

戦士「……!」

勇者「……ぎぎっ……!!」ズリッ……ズリッ……


ザッ


勇者「へへ……今、解く、ね……」

戦士「……」

戦士「ほんと……」

戦士「ほんと……馬鹿だ……」

戦士(本当…………馬鹿すぎて、どうしようもないよ)

戦士(こいつも……アタシも……)

今日はおしまいです

トポトポ……

ドロッ……ビチャッ


勇者「……ほ、ら……解けた、よ」

戦士「ぐっ……ふっ!」ズルッ

ガバッ!!

戦士「勇者……!!ああ、お前、傷が……!!」

勇者「よか、った……ちゃ、んと……解け、て」

戦士「ばか……馬鹿馬鹿……!!お前、こんな酷い傷作ってまで……!!」ギュッ

勇者「えへ、、へ……慣れっこ、だって」

戦士「待ってろ!アタシ、薬草持ってるからっ!!」

勇者「ほ、んと……?ごめん、お願い……できる、かな」

ゴソゴソッ バッ

戦士「ほらっ!服!!服脱げっ」

勇者「痛っ……ぐっ」

バッ

戦士「……!」

勇者「はぁ……はぁ……」

戦士「……」

戦士「……っ……」

ブチッ ピタッ……

勇者「はぁ……あり、がと……」

戦士「…………」

戦士(すげー傷だ……)

戦士(数え切れない傷……服の下に、こんなに隠してたのか)

戦士(隠してるのは……知ってた、けど……想像以上に多い)

戦士(あたしは傍にいながら……ずっとこの傷の多さに……気付かなかったのか)

戦士「……」

勇者「はぁ……はぁ……戦、士」

戦士「なっ、なんだ!?どうしたっ!?痛むか!?」

勇者「ううん……僕は、大丈、夫」

勇者「大丈、夫……だから……戦士、は……タニアさん、と……グプタさんの所へ……」

戦士「何言ってんだ!!置いていけるかっ!」

戦士「あの二人なら多分皆が保護してる……お前はお前の心配してろよ!」

勇者「はぁ……ふぅ……」

戦士「こんな時までお前っ……人の心配ばっかで……!!」

戦士「…………馬鹿」

戦士「お前、本当、馬鹿だよ……っ」

勇者「……」

戦士「アタシの、事なんかっ……!ほっときゃいいのに……!!」

戦士「お前、アタシの事で、あんなムキになって……!!」

ポロッ

勇者「戦、士……?」


戦士「お前っ……!!本当に、本当に!!」

戦士「本当に!!!いい加減にしろよッッ!!!!!」ポロポロ


勇者「……」

戦士「アタシの事なんかどうでも、どうでもよかっただろ!!!」ポロポロ

戦士「お前ッ!!もうすぐで殺されちまうところだったんだぞ!!!」

戦士「どんだけ自分を大切にしないんだよ!!!本当に、何やってんだよ!!!」

戦士「アタシは、ルビス様の加護がある……!!怪我したって、どうとでもなるんだよ!!」

戦士「お前は!!お前は違うじゃんか!!!!」

戦士「アタシのために戦ったつもりかよ!!アタシを守るために、戦ったつもりかよぉっ!!!!」

勇者「……」

戦士「ぐす……っ!!こんなんじゃ、こんなんじゃ……!!」

ギュウッ

勇者「……戦士」

戦士「こんなんじゃあっ……!アタシ……!!……!!」ポロポロ

戦士「いない、ほうが……!!まし、じゃんかぁっ……!!」

戦士「お前が……傷ついて、たら……!!」

戦士「アタシは…………やだよっ……!!」

戦士「結局……いつだって、なんだって……!!」

戦士「お前に……ひぐっ……!!……何も、してやれない、じゃんかぁ……!!」ボロボロ

勇者「……」

戦士「ぐすっ……!!ひぐっ……!!」

戦士(何、何泣いてんだ、アタシ)

戦士(なんで、アタシを守ってくれた……勇者に……怒ってんだ)

戦士(アタシ、なんでこんな……滅茶苦茶なんだ……)

戦士(恥ずかしい……ほんと、もう、恥ずかしい)

戦士(こんなの、駄々をこねる、子供となんら変わりないじゃんか……)

戦士(…………あぁ)


――――アタシは、本当に……こいつに何も


勇者「……ちがう」

戦士「っ……」

戦士「ぐすっ…………――え?」

勇者「ちがう……ちがうよ」

勇者「何も、してやれない、とか、いらない……とか……バカだよ……戦士」

勇者「僕は……そんな事……思った事……ない」

戦士「……っ、でもっ」

勇者「でも、じゃ……ないよ」

勇者「いつも、たくさん……いろんなもの……もらってる……」

戦士「ひぐっ……!!う、そだ……!!」

戦士「アタシ……アタシ……全部…………中途半端、でっ……!!」

戦士「お前の、お前の事っ……!!」

勇者「戦士」

戦士「……ぐすっ……!ひぐっ……!アタシなんかっ」


ピシッ


戦士「あたっ」

勇者「……落ち着けって……」

戦士「ひ、っく……!!ひぐっ……!!」

勇者「……」

戦士「で、も……!でも、お前っ……!!」

勇者「……そうだね……色々、言わせて、もらうけど」

勇者「…………別に、命が惜しくなくて……カンダタに挑んだわけじゃ……ないよ」

戦士「…………え……?……ぐすっ」

勇者「正直……今回は、殺されない自信が……あったんだ」

戦士「なん、で……ひぐっっ」

勇者「……ちょっとした、考えが……あってね」

勇者「…………カンダタは、人を殺せない……そんな確信が、あったんだ」

戦士「そ、そんなわけねぇだろうが!現にお前っ」

勇者「カンダタが、その気だったら、僕はもう……げほっ!……多分、死んでる」

戦士「……!」

勇者「…………だって、考えても、みなよ……僕を本気で、殺そうとするなら……子分達も、戦いに参加させるはずだよ」

勇者「でも……アイツは、それを……しなかった」

戦士「……ぐすっ……」

勇者「前の、シャンパーニの塔の時だって……そうさ」

勇者「あいつは、監視者の塔が……ルビス様の加護に守られてて……落ちても、死なない事、知ってた」

勇者「なのに、僕の腕を叩き斬ったあと……トドメをささないで…………僕を、塔から、落としたんだ」

勇者「その後、盗賊を組み伏せた後も……盗賊に、攻撃を与える事なんて、しないで……」

勇者「僕を、心配して、泣いてくれた盗賊を……すぐに、塔から、落とそうとしたんだ」

勇者「…………これが、普通の、悪漢なら……僕は、殺されてる」

戦士「……」

勇者「多分……あいつは、“人を殺す”ってことに……なんらかの、ブレーキみたいなのが、あるんだろうね」

勇者「あいつは…………根っからの、悪党じゃ、ない…………憎い事には、変わりない、けど」

勇者「……まぁ、正直、最後……挑発してからは……攻撃に、迷いが無くなって、ヒヤっとしたけどね……はは」

戦士「……ぐすっ……」

勇者「……だから、別に」

戦士「…………でも……」

勇者「ん?」

戦士「でも……、お前が」

戦士「勇者が…………アタシのために……戦ってくれたのは……!本当、じゃんか……!」

戦士「こんな……ボロボロに、なって、まで」

勇者「…………」

戦士「……アタシはっ……」

戦士「アタシは……!お前に、こんな事……!」

勇者「……じゃあさ……逆の、立場なら……どうだった……?」

戦士「……え」

勇者「僕が、戦士で……戦士が僕だったら……」

勇者「ううん……僕じゃ、なくても」

勇者「幼馴染の……誰か、他の皆が……傷つけられてたら」

戦士「……」

勇者「…………多分、同じこと……してたと、思うよ……戦士、だって」

今日はおしまいです
二、三日中までにまたまとめて投下しにきます
すみません

―バハラタ・入り口―


スタ スタ

遊び人「……」ウロウロ

盗賊「……」

遊び人「……」ウロウロ

遊び人「…………」ウロウロ

遊び人「………………」ウロウロ

盗賊「……遊び人、落ち着いて……」

遊び人「……」ウロウロ

盗賊「……」スクッ

スタスタ

遊び人「……」ウロウロ

盗賊「……てい……」ペシ

遊び人「あたっ……え?な、なに?」ピタッ

盗賊「……落ち着きなって……」

遊び人「あ、ご、ごめん。落ち着き無かった?」

盗賊「……」

遊び人「……ちょっと、不安だったから」

遊び人「ごめん、ほんと……」

盗賊「……」

盗賊「……それは……」

遊び人「え?」

盗賊「……その不安は……」

盗賊「……グプタさんたちの事?……それとも……」

遊び人「……」

盗賊「……」

遊び人「…………ん」

遊び人「…………どっちも、かな」

盗賊「…………」

遊び人「……盗賊は知ってるでしょ」

遊び人「私の嫌な予感って……結構当たるの……」

盗賊「……」

遊び人「…………これ、何に対しての嫌な予感なのかなぁ……」

遊び人「……」

遊び人「……また」

遊び人「また……“また”」

遊び人「何か……嫌な事が……」ブル…

盗賊「……遊び人……」

遊び人「……」

遊び人「……ごめん」

遊び人「ごめん、何かちょっと今弱気モードみたい」

盗賊「……」

遊び人「……」

盗賊「……あの、占いの事なら……気にしない方がいいよ……」

遊び人「……うん」

遊び人「……」

遊び人「そうだよ……そうだね」

スクッ

遊び人「よいしょ……っと!」

遊び人「ごめんね、なんか変になってたよ」

盗賊「……気にしない……」

遊び人「でもこう遅いと勇者ちゃんたちの方も心配だね」

盗賊「……グプタさんたちだって大丈夫だよ……」

遊び人「うーん……でもね」

盗賊「……?……」

遊び人「なんだか、戦士の様子がおかしかったから」

盗賊「……!……」

遊び人「なんか、勇者ちゃんとケンカ……まではいかないまでも、気まずいモードっだったっていうかなんていうか……」

遊び人「だから勝手に突っ走っちゃってないか、心配なのよね」

盗賊「……」

遊び人「あの二人、両方とも後先考えないタイプだから……」

遊び人「突っ走った先で色々拗らせてケンカになってないといいけどなぁ」

盗賊「…………」


―――――――――――――


勇者『戦士の事で、相談があるんだ……』


―――――――――――――


盗賊「……ふふ……」

遊び人「ん?どうしたの?」

盗賊「……なんでもないよ。それに……」

盗賊「……その事なら、きっと大丈夫だよ……」

………

―カンダタアジト―


戦士「……」

勇者「……」

戦士「……同じこと、してた……って」

戦士「そ、そんなの、当たり前だろ……」

戦士「アタシらはなんとかなるんだって……回復呪文もちゃんと……っ……効くし!」

戦士「でもお前はっ」

勇者「……うん」

勇者「確かに……僕は、ルビス様の……ご加護がない」

戦士「だったらっ!!無理しないで大人しくしとけよ!!!」

勇者「……」

戦士「なんでだよ!!なんでそんな無駄な意地――……!!」


勇者「っ……!!」

ギュッ!!

勇者「お前が殴られてて黙ってられるかっての!!!!!」



戦士「!?」ビクゥッ


勇者「なに!?戦士は僕の親かなにかなの!?」

勇者「僕は死なない腹案があったからああいう行動に出たんだよ!!!」

勇者「別に命を投げ出したわけじゃない!!なのにいつまでブーブー言ってるんだよ!!!」

勇者「僕は僕の考えで動くっての!!戦士は口出すな!!!!」



戦士「 」


戦士「……」


戦士「…………は」


戦士「………………はあぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!?」

グイッ!!


戦士「なんだお前!!人が心配してんのに!!」

勇者「別に僕が心配してって頼んでるわけじゃない!!!!」

戦士「心配っつうのはそういうもんじゃねぇだろうが!!!!」

勇者「じゃあどういうものだよ!!言ってみろ!!」

戦士「だから、……っあーもう!!説明できたらとうにしてるってのバカ!!!」

勇者「説明もできないんじゃんか!!だったら口出しするな!!!」

戦士「なっ……!!お前っ!!!」

勇者「なんだよっ!!」

戦士「お前、本気で言ってんのか!!!!」

戦士「アタシ達に……アタシに、心配すんなとか……っ!!」

戦士「本気で、言ってんのかよ!!!」

勇者「だったらどうするんだよ!!!!本当に心配しないでくれるのかよ!!!」

戦士「ふざけんなっ!!!!!アタシ達が、どんだけ長い付き合いだと思ってっ」

勇者「ああ、長い付き合いだよ!!それこそ生まれた時からのね!!!!」

戦士「だったら!!!!」

勇者「ああ、別に本気じゃない!!!!」

戦士「……えっ………………………………………………はぁ!!!?」

勇者「別に本気で言ったわけじゃないよ!!!!嘘ついただけだ!!!!からかっただけだけど!?何か問題あるのかよ!!!」

戦士「は、はぁぁぁ!!?」

戦士「ふっ……ふざけてんなよ……お前っ!!!!意味わかんねー!!!!」

戦士「何が言いたいんだよ!!!!ちゃんと本当の事言って――……」

勇者「じゃあ戦士はどうなんだよ!!!!」

戦士「えっ……!!?」ピタッ

勇者「確かに長い付き合いだよ!!僕達は!!!!」

勇者「それなのにお前、最近僕に本気で何かを言った事あったかよ!!」

戦士「……!!」

勇者「一人でウジウジして、一人で押し込んで……!!!!」

勇者「僕に何か言いたい事があるなら!!!本気で言ってみろ!!!!!」

勇者「僕に何か不満があるなら僕にちゃんと言え!!!!」

勇者「そんな事もできなくなったか!!!!!!戦士!!!!」

戦士「…………!!!!」

ギリッ

戦士「このっ……バカ!!!!!全部こっちの台詞でもあるっての!!!!!」

戦士「わかったよ!!!!!じゃあ言ってやるよ!!!!」

戦士「お前、最近隠し事多すぎなんだよ!!!!!」

勇者「誰だって隠し事くらいあるだろ!!!」

戦士「だから多すぎだって言ってるじゃんか!!全部全部隠しやがって!!」

戦士「一人で全部ウジウジ押し込んでるのはお前のほうじゃんか!!」

勇者「それは!!!すみませんけど!!!」

戦士「自覚あんのかよ!!もう手に負えないじゃん馬鹿!!!!」

勇者「馬鹿とか言うなよ!!!一言余計だっての!!」

戦士「それだけじゃねーよ!!!!」

勇者「なんだよ!!!!」

戦士「お前、お前の師匠はアタシだろうが!!!!昔からずっと!!!!一緒にやってきただろ!!!!」

戦士「なんであんな奴に教えて貰ってんだよ!!!!」

勇者「そりゃ僕だって強くなりたいし!!!!別にいいじゃんか!!!!戦士が師匠なのは変わりないんだし!!!」

戦士「じゃあなんで!!!隠れてコソコソ鍛錬したりするんだよ!!!!」

勇者「強くなりたいからだよ!!!!」

戦士「お前、アタシが寝た後とかにコソコソ一人でやってたりするじゃんか!!!!」

戦士「強くなりたいならアタシを起こして一緒にやるとかあるだろうが!!!!」

勇者「戦士寝てるのを起こすの申し訳ないじゃん!!!!」

戦士「じゃあ夜やるなよばかぁ!!!!!」

勇者「それは!!!なんかすみませんけど!!!」

戦士「それからまだある!!!!」

勇者「なにさ!!!!」

戦士「女にデレデレしすぎなんだよ馬鹿!!バカバカバカ!!!!」

勇者「してませんけど!!!?」

戦士「してるじゃんかよ!!!!魔法使いのおっぱいを商人が揉んでた時すげえおっぱいをガン見してやがったくせに!!!!」

勇者「えっ!!いやそれは!!!」

戦士「遊び人がポンチョ脱いでバニー姿になる時に太ももガン見したり!!!!」

勇者「それは、いやほんと!!!!……すみませんけど!!!」

戦士「それに盗賊のお尻n」

勇者「すみませんけど!!!!すみませんけど!!!!!!!」

戦士「盗賊のお尻をすげえ見ないように意識してんのまる分かりなんだからなこのムッツリ!!!!!」

勇者「いや、なんで被らないように言い直したのさ!!!!」

戦士「黙ってろムッツリ!!!!」

勇者「いや、すみませんけど!!!!!!本当に!!!!」

戦士「それに最近他人行儀すぎるんだよお前は!!!!!」

勇者「は!!!?」

戦士「前とは打って変わってヨソヨソしくなったよ!!!!お前!!!」

戦士「アタシの家に泊まった時アタシのベッドでおねしょするくらい図々しかったお前が!!!!」

勇者「そういうのやめてくんない!!!?恥ずかしいんですけど!!!」

戦士「それが今じゃアタシに気を使ってばっかりじゃねえか!!!」

戦士「アタシをお前のなんだと思ってんだよ!!!幼馴染なんだよ!!!!もっと頼れよ!!!!!」

戦士「ずっとずっと!!!!傍に居たのに!!!!!」

戦士「お前はアタシを……アタシ達を頼ろうともしなかったじゃんか!!!!!」

勇者「それは、悪かった!!!」

戦士「旅立ちの時だって!!!!お前、アタシ達にばれないように一人で行こうとしやがって!!!!」

戦士「あんなに皆、旅に出る為に頑張ってたんだぞ!!!!お前と一緒にっ!!いや、みんなで一緒に旅に出る為に!!!!」

戦士「それをお前、一人だけで行こうとして!!!!ふざけんなよ!!!」

勇者「それも、悪かった!!!」

戦士「迷惑なら、迷惑って言えば良かったんだ!!!!」

戦士「中途半端に、アタシと……!!!!アタシ達と……距離置きやがって!!!!」

戦士「一人で、全部っ!!背負い込んでっ!!」

戦士「ふざけんな!!!!ふざけんなよ!!!!!」


戦士「そんなに!!!!アタシはいらないかよ!!!!!」


勇者「……」

戦士「そんなにアタシには、何も……っ!!!!何も助けさせてくれないのかよっ……!!!」

勇者「……悪かった」

戦士「そんなにっ!!!!アタシは信用できないかっ!!!!」

戦士「確かに、アタシ、不器用だし!!!!ガサツで、女っぽくもないしっ……!!!!」

勇者「戦士」

戦士「頭も、悪いし……!!!頼りないかもしれないしっ」

戦士「なにもっ……気の利いた事……できないし……!!!」

ギュッ

勇者「悪かった、戦士」

戦士「いっぱい、いっぱい、お前に友達も、ふえて」

戦士「アタシ以外に……友達が、ふえて」

戦士「アタシなんかっ……」

戦士「アタシなんか、いらない、の、かもしれない……!!!!」

勇者「!!!戦士っ……」


ギュッ!!


勇者「!」


戦士「……ひぐっ……!!ぐすっ……!!!」ポロポロ


戦士「でも……っ」

戦士「アタシは……」

戦士「一緒、に、居たいよ」

戦士「勇者が……傍に、居ないと……やだ……!!!」

ギュウゥゥ……

戦士「やだよぉ……っ……!!!」


勇者「…………うん」

ギュッ

勇者「戦士、ごめん」

戦士「アタシ、ずっと、怖かったんだ……!!」ポロポロ

戦士「勇者が、あの日から……なんかっ……遠くに、行った、みたいで」

勇者「うん……うん」

戦士「アタシは、勇者にとって、もう、いらないのか、とか」

戦士「そんな事、考え、ちまって、ぐすっ」

勇者「うん……ごめんな」

戦士「でも、アタシ、だめなん、だ」

戦士「お前を、たすけなきゃ、って、思ってた、けどっ」

戦士「アタシの、方が、お前にっ……ひぐっ……依存、してた」

勇者「うん……うん」

戦士「お前、が、どう思っても、何、言っても」

戦士「アタシ、にはっ……お前は、父ちゃん、以外、のっ……家族、みたいな、もんで」

勇者「……うん……っ」ギュゥ

戦士「ひぐっ……みんな、も」

戦士「幼馴染、の……みんな、も……おなじ、くらいっ……!!だいすき、だけど……!!」

戦士「お前、が……いない、と……!」

ギュゥゥゥ

戦士「やだよ……!」

戦士「アタシを、もっと、頼ってよ……!!」

戦士「……ばか……勇者……!!!!」

戦士「ばかっ……」

戦士「勇者の…………馬鹿ぁ……!!!!」

勇者「……」

ギュゥゥッ

勇者「うん……」

勇者「ごめん…………ごめんね、戦士」

戦士「ひぐっ……!!!うぇぇぇ……!!!!」

勇者「…………」

ナデ…

勇者「…………………………ありがとう……」


…………
……



……
…………


遊び人「口喧嘩をするようにアドバイス?」

盗賊「……ん、そう。そうするのが一番かなって思って……」

盗賊「……だから、相談された時、勇者に言ってあげたの。『いっそ二人共言いたい事全部言い合っちゃいなさい』って……」

遊び人「そっか……うん、なるほど」

盗賊「……いつからか、戦士はだんだん勇者に対して無意識に気を使うようになっちゃったから……」

盗賊「……まあ、ある意味あの二人は似た物同士だから。似た様な気の使い方しちゃうんだよね……」

遊び人「うん……それはあるかも」

遊び人「それに二人共子どもっぽい所も似てるし。一度不満ぶつけたら一気に全部ぶちまけそう」

盗賊「……ふふ、二人共かわいらしいね……」

遊び人「かわいいで済ませられる問題かなぁ……」

遊び人「でも……すぐ仲直りできるといいね」

盗賊「……うん……」

遊び人「まぁ今は人の命が関わってるかもしれない事態だから喧嘩なんてしてる場合じゃないんだけどね……」

遊び人「……二人ともちゃんと整理できてるといいけど」

盗賊「……ふふ……」

遊び人「ん?どしたの?」

盗賊「……ううん、大丈夫だよ。あの二人は……」

盗賊「……なんたって、勇者と戦士だもん……」

遊び人「なんだそりゃ」アハハ

盗賊「…………昔からの……」

盗賊「……一番の……幼馴染だから……」

遊び人「……」

盗賊「……」

遊び人「……あはは、妬ける」

盗賊「……ん……」

遊び人「……」


<……!!


遊び人「ん?」

盗賊「……なんだか町中が騒がしいね……」

遊び人「そうね。どうかしたの……か……な…………」

盗賊「……?どうした……の…………」

遊び人「……」

盗賊「…………何、あれ…………」


…………
……

――――――――――


…………


戦士「……ぐすっ……」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……落ち着いた……?」

戦士「ん……」

勇者「そっか……よか、った……」

戦士「……勇者」

勇者「ん……?」

戦士「……わざとだろ」

勇者「……」

戦士「わざと……口喧嘩させようと挑発したろ」

勇者「……」

戦士「…………ばか」

勇者「うん……ちょっと色々、無理があった……」

戦士「本当……無理ありすぎだよ」

勇者「はは……でも、戦士も乗って来た、じゃん」

戦士「…………不覚だよ、ホント」

勇者「……えへへ」

戦士「……ってか、傷口また開いてきてるじゃんか……」

グイッ

勇者「え、ちょっ……」

戦士「いいから……頭、あたしの膝に乗っけろって。もっかい……肩の所……ちゃんと薬草塗りなおすから」

勇者「…………ん」

戦士「……ぐすっ……」

ペタッ ペタッ

勇者「…………いづっ……」

戦士「……」

勇者「…………目、真っ赤……だね」

戦士「ぐす…………誰のせいだよ、馬鹿」

勇者「……ごめ、ん……」

戦士「…………また意識朦朧としてんじゃん」

勇者「ちょっと……ね」

勇者「なんか……叫んでるうちに……フラフラしてきちゃって」

戦士「……こんな大怪我してんのに……あんな馬鹿みたいな口喧嘩するからだよ」

勇者「馬鹿みたいて…………いや、たしかに……馬鹿……か」

戦士「……ん……」

戦士「だいたい……お前、口喧嘩弱すぎ……昔と何も変わってねーじゃん」

勇者「はは……なんか、言葉が、とっさに出てこなくて……」

戦士「……それに、切羽詰るとなんで敬語になるんだよ……アホか」

勇者「……え、敬語になってた……?」

戦士「…………」

ナデ

勇者「……戦士?」

戦士「……」

ナデナデ

戦士「……なんか、こんな感じ……久々だな」

勇者「ああ……確、かに……」

勇者「昔……よく、戦士に助けられたら……こんな、風に……慰めてもらってたよね……」

戦士「……そうだっけか……?」

勇者「そう、だよ……」

戦士「……」

勇者「……そうだった……」

戦士「…………なぁ」

勇者「…………ん?」

戦士「なんだか……アタシの方が……色々忘れちゃってたみたいだな……」

勇者「……」

戦士「……さっきは、ああやって……泣き喚いちまったけどさ……」

戦士「実際……アタシの方が……」

勇者「…………」

戦士「……ごめんな」


ナデ


戦士「…………我侭言って、足引っ張って」

戦士「お前を、こんな目に遭わせちゃって」

戦士「……本当」

勇者「……」

戦士「…………ごめん、勇者」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「…………戦士」

戦士「……なに?」

勇者「……僕はさ」

戦士「……うん」

勇者「…………確かに、変わったかも、しれない……」

戦士「…………うん」

勇者「前みたいに……お前と、なんでも一緒じゃ……なくなったし」

勇者「……あんまり、明るくない目標も……一杯増えた」

戦士「うん……うん」

勇者「…………けどさ」

勇者「……けれど……僕だって……変わってない所も一杯あるんだよ」

戦士「……うん……」

戦士「ぐすっ……うん……」

戦士「知ってる……知ってるよ……」

戦士(知ってるよ、そのくらい)

戦士(お前のお人よし加減とか)

戦士(超頑固な所とか)

戦士(かっこつけたがる所とか)

戦士(皆を大切にしてる所とか)

戦士(前から、変わってない所……いっぱい、いっぱいあるよ)

勇者「……その一つにさ」

戦士「……うん」

勇者「…………戦士も含まれてるんだよ」

戦士「うん……」

戦士「……うん?」

勇者「だから、さ……」

勇者「なんていうか……こう、解りにくい、話……なんだけど、さ……」

勇者「僕の中に……いろんな、要素が息づいてて」

勇者「それが、僕の背骨に…………なってるんだけれど……」

戦士「ぐす……背骨……?」

勇者「うん……僕は、それで、立ってる様な、もの……なんだ」

勇者「例えば……父さんの事とか……勇者としての事……そして、あの時の事」

戦士「……うん」

勇者「美味しかった、ご飯の事とか……楽しかった、皆で遊んだ、事」

戦士「はは……なんだよそれ」

勇者「例え、だよ……まあ、そういうので……僕は、立っていられるんだ」

勇者「……そして、さ」

勇者「……戦士」

戦士「……?」

勇者「……戦士もさ……その要素の、一部なんだよ」

戦士「……」

勇者「それもさ…………すごい、大部分、占めてんの」

勇者「だって、昔から……二人で、一緒に過ごしてきたじゃんか……」

戦士「…………うん」

勇者「初めての喧嘩も……戦士とした」

戦士「……うん。覚えてるぞ……」

勇者「一緒に特訓もしたし……一緒に勉強もした……」

戦士「うん……アタシら頭悪くて……結局、魔法使いとかに教えてもらったり」

勇者「一緒に悪さをして……色んな人に、戦士と一緒に……怒られた」

戦士「……うん」

勇者「一緒に……いっぱい遊んだし……一緒に、いっぱい泣いた」

戦士「うん……うん……」

勇者「二人で……いろんな人達と知り合って……二人で、いろんな人達と……友達になった」

戦士「うん」

ポロ

戦士「うん……!うん……!」ポロポロ

勇者「四六時中……一緒だったじゃん」

戦士「うん……っ!……ぐすっ……!!」ポロポロ

勇者「…………そんな風に、さ」

勇者「僕の中で……戦士の存在ってさ……すっごい……大きいんだよ」

戦士「……うんっ……!!」

勇者「だから……さっき言ったみたいな、悲しい事言わないで……くれよ」

勇者「お前の事……どうでも良いわけ……ないじゃんか」

勇者「信用、できないわけ……ないじゃんか……」

戦士「うん……!!……ごめん……!!」ポロポロ

勇者「…………」

勇者「戦士から……ちょっと、距離を置いてたように……見えてたんなら……謝る、よ」

勇者「それは…………多分、僕が……不器用で、馬鹿だからなのかも……しれない……」

勇者「……でも……僕が……僕自身で、一人で乗り越えなきゃ……いけない事も……いっぱい……あるんだ」

戦士「ぐすっ!!……うんっ」

勇者「……」

勇者「……それでも」

戦士「ぐすっ……っ……?」

勇者「それでも……僕のがそういうのに、立ち向かっていけるのは」

勇者「そういう、僕の背筋を……正してくれる物が……あるからなんだよ……」

勇者「……恥ずかしいから……一回しか言わないけど……」

勇者「…………戦士」

ギュッ


勇者「今まで……一緒に、居てくれて……ありがとう」

勇者「……本当に、感謝……してる」


戦士「……」

戦士「……~~っ」ポロッ

戦士「あっ……あたし」

戦士「あたしだって……!!うぅぅぅ……!!!」ポロポロ

勇者「はは……意外とさ……戦士って……泣き虫、だったよね……昔、から」

戦士「うんっ……!ぐすっ……ごべんっ……!!」

勇者「……」

戦士「ぐすっ……!!」

スッ

戦士「っ」

勇者「…………ほら……泣くなって」

戦士「……っん」グスッ

勇者「……涙、僕の顔に……落ちてきて……くすぐったい、からさ……」

戦士「……ぐすっ……!……ん……」

勇者「…………戦士」

戦士「……?」

勇者「……これからも」


スッ


勇者「これからも……ずっと、よろしく……」


戦士「……」

勇者「……戦士……?」

戦士「……」

戦士「……」


ゴシゴシ


戦士「……――っ」

戦士「――――ああ!!」ニコッ

―カンダタアジト・廊下―



ドサッ!!


タニア「あうっ!!」

グプタ「うぐっ!!」

カンダタ子分C「よし、階段上にも着いたし……」

カンダタ子分H「あ!子分C!!」プルプル

カンダタ子分C「よう、頑張ってんな壁布係」

カンダタ子分I「親分は!?」プルプル

カンダタ子分C「ああ、多分上手くいけばそろそろ……」

スタスタ

カンダタ子分C「!」


カンダタ「ふう……」ザッ


カンダタ子分H「あ!親分!!」プルプル

カンダタ子分I「この擬態壁布持ち続けるのすげえ辛いんですけど!!まだっすか!?」プルプル

カンダタ「あぁ、わりぃな。もう少し待ってろ」

カンダタ子分H・I「チクショオオオ」プルプル

カンダタ「わりいな、子分C。少し遅くなっちまった」

カンダタ子分C「いえ!!大丈夫っす!!あのガキは?」

カンダタ「ああ、毒でふらふらだ。しばらくは追っかけてこねえだろ」

ザッ

カンダタ「さて、お二人さん……」

タニア・グプタ「「!!」」

カンダタ「名残惜しいが……」


ジャキン!!

カンダタ「ここでお別れだ」


タニア「あ、あぁぁ……!?」ガクガク

グプタ「ま、まさか約束を破って……!?」

カンダタ子分「こ、殺しちまうんですか!?」

タニア「いやあああ!!!」

カンダタ「あぁ?何言って……」

ダッ

ズザッ

カンダタ「!!」

グプタ「はぁ……はぁ……!!」

カンダタ「……なんだ?てめぇ」

グプタ「タ、タニアに、っ」

グプタ「タニアには手を出すなぁ!!!!」

タニア「……グプタ……!!」

カンダタ「……」

スタ

グプタ「!!」

カンダタ子分「親分!?」

カンダタ「……いい度胸じゃねえか」

タニア「グプタ!!駄目!!逃げて!!」

グプタ「う、う!!」

グプタ「に、逃げるもんか」

グプタ(あの旅の人みたいに……僕だって……!!)

グプタ「お前なんかに!!タニアを触れさせるかあああ!!!!」



バキィッ!!!



グプタ「オゴォッ!!」

タニア「グプタぁっ!!!!」

ドサァッ!!

グプタ「あ、ぐ……!!」

タニア「グプタ!!グプタぁっ!!!」

カンダタ「ったく、うるせえ野郎だ」

カンダタ子分「親分ひでえ!!鬼畜!!鬼畜オッサン!!」

カンダタ「やかましい!!」


スタスタ


カンダタ「ほら、手出せ」

タニア「ひっ……え?」


ザシュッ ザシュッ


カンダタ「手縄巻いたまま帰れんのか?てめえらは」

タニア「……あ……」

カンダタ子分B「親分優しい!!可愛い!!可愛いオッサン!!」

カンダタ「お前ら本当、ちょっと黙ってて」

グプタ「……あ、ぐ……」

タニア「っ!!グプタ!!」ザッ

カンダタ「おうおう、すまねえな若造」

タニア「ひどい……!!どうしてこんな!!」

カンダタ「あぁ、結構本気で斧の柄で殴っちまったからな……悪い悪い」

カンダタ「だが、お前らを拘束するっつう仕事は夕刻までだったからな」

カンダタ「お前らに手出ししないって条件も夕刻までなんだよ」ニィ…

カンダタ子分C「やっぱ殺すんすか!!酷い!!最低!!最低メガネ!!」

カンダタ「殺さねぇっつってんだろ!!ちょっと黙ってろってばもう!!あとメガネしてねえよ馬鹿!!」

グプタ「……あ、ぐ……!!チク、しょぉ……!!」

タニア「グプタ、大丈夫!?」

カンダタ「まあでも、兄ちゃんよぉ」

グプタ「……な、なんだよ……!」

カンダタ「そのくらいで済んで良かったと思いな」

グプタ「え……」

カンダタ「…………あいつらが」

カンダタ「あの戦士のガキや、あのガキ……勇者が戦ってた時」

カンダタ「……頑張ってーとかぬかしてるお前」


ニコォ


カンダタ「グッチャグッチャの肉塊にしてやりたかったぜ?」


グプタ「っ」ゾォッ

カンダタ「いくら武職に就かなかったとはいえ……てめぇも男だろうが」

カンダタ「それを、自分の命の為に戦ってる他人に『お願いだ頑張ってくれ』ぇ?」

カンダタ「最初にアジトに突っ込んで来た時は骨のある奴かと思ったがよぉ」

カンダタ「踏ん縛ってやったらすぐ大人しく助けを待ちだすから随分ガッカリだったぜぇ?」

グプタ「……」

カンダタ子分「親分……」

カンダタ「へっ、いざとなったら全部他人に助けて貰おうとする奴が一番嫌いなんだよ俺は」

カンダタ子分「それを元凶の俺らが言っても……」

カンダタ「ド正論だけどこういうタイミングで言わないでくれない?」

カンダタ子分D「鬼畜メガネ」

カンダタ「もうメガネでいいよ。いいからお前ら黙ってて」

カンダタ「……よし、そろそろずらかるか」

カンダタ子分ズ「「「「うすっ!!!」」」」

カンダタ「お前ら、そこで待ってたら多分あいつらの仲間が来ると思うぜ。大人しくしてな」

タニア「……」

グプタ「……」

カンダタ「……」

カンダタ「それじゃ、行くぞ」

スタスタ

カンダタ「……」

ピタ

カンダタ「…………まぁ、でも」

タニア「……?」

グプタ「……?」

カンダタ「…………最後の、俺に挑んだのだけは、良かったぜ」

グプタ「……!」

カンダタ「くかかっ!彼女に愛想尽かされんなよ」

タッタッタ……

カンダタ「……ん?」



<さっきこっちから悲鳴が……

<急ぐよ!!



カンダタ「けっ!!もう来やがった」

カンダタ「行くぞ!!お前ら!!」


タッタッタ…

グプタ「……」

タニア「……」

グプタ「……僕、は……」

ギュッ

グプタ「!」

タニア「……」

グプタ「……タニア……?」

タニア「…………グプタ」

タニア「助けに来てくれて、ありがとう……」

タニア「私は、それだけで十分……十分だから……」

グプタ「……」

ギュゥゥッ

グプタ「…………タニア……」

グプタ「…………」

グプタ「……ごめん」

グプタ「僕も……もっと強くなるよ……」

グプタ「もう……誰にも君を攫わせないくらい……」

グプタ「絶対に……」

タニア「うん……」

タニア「ありがとう……グプタ……」


…………
……

―カンダタのアジト―




勇者「すぅ…………すぅ……」

戦士「…………」


タッタッタ


戦士「!」


バターン!!


魔法使い「ゆーしゃぁっ!!」

武道家「戦士!!」

僧侶「いますか!!!?」

商人「あ!!戦士ちゃん!!」

タッタッタ

戦士「皆……」

僧侶「っ!どうしたんですか!!血まみれで……!!」

戦士「そうなんだ、勇者が……薬草はあるだけ塗ったんだけど……」

僧侶「戦士ちゃん!!怪我は!?」

戦士「アタシは、大丈夫なんだ。勇者を診てやって」

商人「勇くん!しっかりして下さい!!」

魔法使い「しー!気をうしなってるみたいだからおこしちゃだめ!」ヒソ

ワーワー


戦士「……」

武道家「……戦士」

戦士「……武道家……タニアさん達は?」

武道家「女勇者が地上まで連れてってるわ」

戦士「……そっか」

武道家「……戦士」

戦士「……ん」

武道家「何やってんの」

戦士「…………」

武道家「……はぁ」


コツン


戦士「いてっ」

武道家「……まぁ、人質が居たっていうのを考慮はするけどさ」

武道家「うじうじ悩んで……こうなっちゃったんでしょ」

戦士「……うん」

武道家「……私もこの前やらかしたから、人の事言えないけどね」

武道家「でもさ――……」

戦士「うん」

武道家「……ん?」

戦士「うん……うん」

戦士「もう、大丈夫」

武道家「……ほんと?」

戦士「さっき、勇者とちゃんと話したんだ」

武道家「……」

戦士「子どもみたいに喧嘩もした……本音をぶちまけたよ」

戦士「すげースッキリした……ちゃんと分かったんだ。いろいろ」

戦士「もうこんなヘマは……絶対しない」

武道家「……そう」

戦士「ああ」

スクッ

戦士「っ」


パァン!!!!


戦士「~~っ!!」ビリビリ


武道家「うわぁ……自分の頬をそんな強く……痛そー……」


戦士「っっっよぉし!!!!」

スタスタ


僧侶「とりあえず回復呪文は唱えました」フゥ

魔法使い「あとは宿であんせーにねかせないと!」

商人「それじゃ勇くんを運ばないと――……」


ザッ

グイッ

僧侶「へ?」


ガシッ


戦士「勇者、意外に重いな」

魔法使い「え?戦士?」

商人「ちょっと戦士ちゃん」

ズザァッ!!

戦士「よし!!!皆!!!」




戦士「最短距離で帰ろう!!!」




商人「おいこらやめろくださいばかやろう」



ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!


戦士「おらああああ!!!!!」タッタッタ



魔法使い「わー!!ちょ、ちょっと!!戦士ー!!かべこわさないでぇー!!」タッタッタ

商人「ふざけやがるなください!!!!うごおぉ!!!岩が飛んできたぁ!!!」タッタッタ

僧侶「戦士ちゃん!ゆ、勇者くんが危ない!!もうちょっと冷静に!!揺らさないで!!」タッタッタ


戦士「だいじょおおおおおおおぶ!!!!!」


ドッゴォオオオオオオオオン!!!!!


三人「「「ぎにゃー!!!!」」」

武道家「……はぁ」

商人「ちょ、ちょっと武道家ちゃんも何か言ってやって下さいよ!!」

魔法使い「ふつうに出るように言おうよー!」

武道家「そうね……でも」

武道家「…………ふふ」

商人「笑ってる場合じゃないでしょう!!!」

僧侶「?どうかしたんですか?」

武道家「……ううん」

武道家「ちゃんと、色々吹っ切れたんだなぁって」

商人「……」

魔法使い「……うん」

僧侶「……ふふふ、そうですね」

魔法使い「なんか……いまの戦士」

武道家「……ん」

僧侶「子どもの頃の戦士ちゃんみたいですね……」









ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!






僧侶「わー!!」

商人「でもこれは洒落にならないでしょうが!!!!」

武道家「よし!それじゃ私も壁壊しに加勢しますかね!!」

魔法使い「うわーん!!このひとも脳筋のひとだったよぉー!!!」

…………
……

―カンダタアジトの洞窟・地上―



女勇者「…………」

タニア「……あ……あぁ……!!」

グプタ「…………」



タッタッタ

ズザッ!!


戦士「よっしゃ!!出口だ!!」

武道家「意外と早く出られたわね」

商人「そりゃあれだけ壁ぶっ壊せばそうでしょうよ!!」

魔法使い「ほんとうにふたりはもう!!むかしっからなんでそうなの!!」

僧侶「あ、女勇者ちゃん」

スタスタ

戦士「女勇者、遅くなって悪い……それと勇者が」

女勇者「……」

戦士「……女勇者?」


ドサッ


戦士「え?」


魔法使い「……」

武道家「……」

僧侶「……」

商人「……」


戦士「おい、どうしたんだよ商人。荷物落とし――……」


武道家「…………何……アレ……」


戦士「……――え?」

戦士「あれって……ん?」クルッ

戦士「……」

戦士「……」

戦士「……」

戦士「……」

戦士「………………え……?」

最初は、西の空に真っ黒な雲が流れているものだと思った



―ロマリア―



大臣「……な、なな、なんと……!」

ロマリア王「……」

ロマリア王(……まさかこれがナジミ様の夢の……前兆なのか……?)

ロマリア王(…………まずい)

ロマリア王(そうすると……世界が……)




その雲は、奇妙に蠢いていて




―ポルトガ・城―


ポルトガ王「……」

大臣「ポ、ポルトガ王!!」

ポルトガ王「……大臣」

大臣「はっ!」

ポルトガ王「準備を整えろ」

大臣「はっ!!?しかし……」

ポルトガ王「命令だ」

大臣「……畏まりました!!」

ポルトガ王「……」

ポルトガ王(オルテガよ……)



―ポルトガ・港―


ザワザワ

「なんだあれ……!!」

「前にも見たぞ!!確かあれは――……!!」

船乗り娘「……」

キュポン

船乗り娘「…………」ゴクゴク

船乗り娘「っぷは……」

船乗り娘(……はは……怖くて酔えない)

船乗り娘「これは……時化が来そうっすねえ……」

皆がその不吉な雲を、見つめていた



―イシス―


側近「女王様……」ギュッ

イシス女王「……大丈夫ですよ」

イシス女王「……」

イシス女王(イシス勇者……そして勇者様方……)

イシス女王(…………どうか、ルビス様のご加護がありますように……!!)






そしてその雲はまるで悪い神様みたいに





―バハラタ洞窟周辺・森―



カンダタ「……なんだ……ありゃ」

カンダタ子分「親分怖いよお!!!!」

カンダタ「るせえぇっ!!!男ならしっかりしろバカ!!!」

カンダタ「……くそっ!」

カンダタ(面倒臭ぇ事になるのは勘弁だぞ……)


皆を恐怖のどん底に叩き落していった





―バハラタ―



ザワザワ


「おしまいだぁ!!もう駄目だ!!」

「ルビス様……!!どうか我々をお守り下さい……!!」



盗賊「……」

遊び人「……」

盗賊「……あれ、は……」

遊び人「…………黒」

盗賊「……!」

遊び人「……さっき……」

遊び人「さっき……水晶玉に映った未来……」

盗賊「……遊び人……」

遊び人「……私の、悪い予感……」

遊び人「本当に当たるんだよね……」

遊び人「…………なんでなのかな……」

盗賊「…………」


オオオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオ……



魔法使い「……」

僧侶「……」

女勇者「……」

商人「…………」

武道家「……」



戦士「……」

勇者「すぅ……すぅ……」



グプタ「あっ、あれっ……!あれは……っ」ガクガク

戦士「静かに」

グプタ「えっ!?」

戦士「静かに……勇者が起きる」

グプタ「……?」


勇者「すぅ……すぅ……」


戦士「……」

戦士「あれは……多分、勇者は見なくていいやつだ」




西の遠い空の上で

羽根を持った大きな魔物達が、無数に飛び交っていた

そして、その真ん中には――……



戦士「……」

勇者「すぅ……すぅ……」

戦士「……」

ギュッ……



…………
……

今日はおしまいです
すみません

―バハラタ・宿―


勇者「……」

勇者「……」

勇者「……ん」

勇者「…………ん?」


シーン


勇者「……」

勇者(ここは……宿?)

勇者(ああ、そっか。僕カンダタと戦った後、戦士と話をして……そのまま寝ちゃったんだ)

ムクッ

勇者「いつっ!」ズキ

勇者「いたた……」サスサス

勇者(忘れてた……肩を怪我してたんだ)

勇者(カンダタのやつ、最後のほうは本当に容赦しなかったんだなぁ)

勇者(でももう傷自体は塞がってる。僧侶が治してくれたんだ……後でちゃんとお礼言わなきゃ)

勇者(そういえば皆はもう寝たのかな、もう夜みたいだけど)

ぐぅぅぅ


勇者「……う」

勇者(結構図太いな僕も……)

勇者「よいしょ……さて」ギシ

勇者(見た事ない宿だから……ここはバハラタかな?)

勇者(えっと、窓は……あったあった)

ガラ

勇者「……?」


シーン……


勇者「……何だ?」

勇者(なんでこんなに暗くて静かなんだ?明かりが一つもない)

勇者(明りがあるのはこの建物の窓が幾つか……それ以外真っ暗だ)

勇者(もう深夜?僕、そんなに寝てたのかな)

勇者(でも深夜にしてもこの暗さはおかしい気が……)


ガチャッ


勇者「!」



戦士「……あれ」



勇者「戦士」

戦士「なんだよ、もう起きてたのか」

戦士「ってか寝てろって!まだ怪我人なんだから!」スタスタ

グイッ

勇者「わわ」ドサッ

戦士「ったく……」

勇者「ごめんごめん。他の皆は?」

戦士「あぁ、食堂にいるよ。話し合ったり飯食ったり」

勇者「そっか……食堂」

勇者「……僕もお腹空いたから行くよ」

戦士「だーめ」

勇者「えぇぇ」

戦士「安静に寝てろって……明日にはもう出なきゃなんだから」

勇者「そうだけどさぁ、さすがにお腹が……あはは」

戦士「ん?あぁ、だよな」

カチャ

戦士「起きたら腹空かしてると思ったからこれ持って来たんだよ」

勇者「え?……おぉ!」

戦士「本当はお前が眠ってる時に置いてこうとしてたんだけどな」

勇者「クレソンのポタージュ!いただきます!」

戦士「くえくえーパンもあるぞー」

カチャカチャ

勇者「ん、やっぱり美味しいや」

戦士「そうか?」

勇者「うん、久々に食べたよ。戦士が作った料理」

戦士「……なんでバレたんだよ」

勇者「だってこれ戦士の得意料理の一つじゃん」

戦士「確かにアタシの料理のレパートリーすっくないけどな」アハハ

勇者「……ん、美味しい」

戦士「……そっか」

勇者「すごい美味しい」

戦士「……うん」

勇者「ちょう美味しい」

戦士「……」

勇者「まじ美味しい」

戦士「わかったってば!恥ずかしいんだからやめろっつーのばかぁ!」

…………


カラン

勇者「よし、ごちそうさま」

戦士「おそまつさまでした」

勇者「ふぅ……戦士?」

戦士「ん?」

勇者「どうしたの?なんか元気ないけど」

戦士「……」

勇者「もしかして今日の事?あれなら気にする事なんて」

戦士「いや……違う。違う」

戦士「さっきの事はもう全部ぶちまけてスッキリしたし……」

勇者「……じゃあ」チラッ


シーン


勇者「この街の静けさに関係ある事?」

戦士「……」

勇者「……なにがあったの?」

戦士「……」

勇者「……!……ま、まさかグプタさんとタニアさんに何か」

戦士「いや、そうじゃない」

勇者「え?そう……?じゃあ一体」

戦士「……さっき」

勇者「?」

戦士「夕方……あの洞窟を出た時にさ」

…………
……


――――――――――――



オオオォォオォォォオオォォ……


女勇者『……』

僧侶『……』

魔法使い『……何……あの数』

商人『…………規格外、すぎます……』

武道家『……それに』


勇者『スゥ……スゥ……』


戦士『……あぁ』

戦士『あの……あの真ん中に居るのって――……』




―西の空・山脈上空―



オオオオオオオオォォォオオオオォォォォォオオォォ



翼魔『ゲギャギャギャギャ!!!!!』


翼魔『ブォォオオオオオオオオオオ!!!!』


翼魔『ガギュアァァァァァァァ!!!!!』



――――――――――


盗賊『……あれは……』

遊び人『…………』


遊び人『……竜』




バサッ!!! バサッ!!!!





竜『ゴギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!』






…………
……






勇者「…………」




戦士「……」

勇者「……」

戦士「……っ、勇者、あの」

勇者「……そっか」

戦士「え?」

勇者「そんな事あったら確かに街の人達も怖くて明かりつけて眠れないよね」

戦士「……」

勇者「それだったら納得かな……でもそんな数の魔獣達……一気に攻めてこられたらまずいなあ」

勇者「明日の朝みんなで話し合いしようか。寝坊しないでよ?」

戦士「勇者……」

勇者「…………大丈夫」

戦士「!」

勇者「心配してくれてるのはありがたいけど……本当にもう大丈夫だから」

戦士「……」

戦士「うん……ははは、なんか悪いな」

勇者「いやいや……ふぁぁ……あふ」

戦士「あれ?眠いのか?」

勇者「うーん……いっぱい眠ったはずなんだけどなぁ……」

戦士「でもあんなに血ぃ流したんだ、それくらい当然だって」

勇者「んー……そうかな……でも」

戦士「……アタシに構わず寝ちまえよ、アタシもお前が眠ったら寝るよ」

勇者「そう?……じゃあ、ごめん」

モゾ

勇者「それじゃ、寝るね」

戦士「ん、ああ」

勇者「……ポタージュ、ありがとう」

戦士「いいって、恥ずかしい」

勇者「はは……おやすみ」

戦士「ああ、おやすみ」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……」

戦士「…………なあ」

勇者「ん……?」

戦士「……寝る前に、一つだけ。一つだけ聞いてもいいか?」

勇者「うん、なに?」

戦士「…………一回しか聞かない。多分、嫌な思いするだろうから」

戦士「でも……聞かせてくれ」

勇者「…………うん」

戦士「……」

戦士「……勇者は」


戦士「アイツの事……好きだった?」


勇者「…………!」


戦士「……」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……」

戦士「……」

勇者「……」

勇者「…………うん」

戦士「!」

勇者「好きだった」

勇者「……大好きだったよ」


戦士「……!」

戦士「……そっ……か」

戦士(やっぱり……そうなんだよな)



勇者「…………当たり前だよ……親友だったんだし」



戦士「…………………………え?」

勇者「……だから」

勇者「あんな風に、大好きで、大事な人達を……もう失わないように」

勇者「僕は強くなろうって……決めたんだ」

戦士「……」

勇者「……皆だってそうだよ」

勇者「ちょっと恥ずかしくて、あんまり言えないけどさ」


戦士(あぁ、そっか)


勇者「男Cくん達や……ルイーダさん達……」

勇者「そして、一緒に旅してる皆……それと、その……戦士も」

勇者「……僕にとっては、すんごい大切なんだよ」


戦士(……――私の勘違いだったのか)


勇者「うん、なんか恥ずかしいな……これ」

勇者「えっと、その、だからね?そういう人達を――……」

戦士「…………ふ」

勇者「え?」

戦士「っふ、あはは」

勇者「な、なにさ!笑う事ないだろ!」

戦士「いや、ごめんごめん。違うんだ、ははは」

戦士(馬鹿だな、アタシって……本当)

戦士「なんでもないんだ……馬鹿にしたわけじゃねーよ」

勇者「本当かなぁ……」

戦士「ああ、ただ……アタシも一緒だと思っただけ」

勇者「……」

戦士「…………アタシも」

ギュッ

勇者「!……戦士、手を」

戦士「アタシも……大切な人達を失いたくない」

勇者「…………戦士」

戦士「こどもの頃……母ちゃんが死んで」

戦士「そして次に師匠……そして、アイツが……姉ちゃんが死んで」

勇者「……」

戦士「……アタシも、同じように思ったんだ」

戦士「誰ももう死なせたくないって」

勇者「……そっか」

戦士「……ああ」

勇者「うん……同じだ」

戦士「ああ……同じだよ」

勇者「……ふふ」

戦士「へへ」

…………


勇者「すぅ……すぅ……」

戦士「……寝たか」

勇者「すぅ……ん」モゾ

戦士「……布団退けるなって」スッ

勇者「ん……」

戦士「……はは」

戦士「……」

戦士(姉ちゃん、ごめんな)

戦士(アタシ馬鹿だから色々勘違いしてたみたいだ)

戦士(勘違いして、それを怖がって……考えないようにしてた)

戦士(でもよく考えてみれば分かる事だったんだ)




サブリナ『…………でも、もう……喋ることができないの……』

サブリナ『……私それが辛くてね……』

サブリナ『…………本当に辛くて……おかしくなっちゃいそうなの』



戦士(別に、恋人じゃなくっても……)

戦士(大切な人が居なくなったら……ましてや、目の前で死んだりしたら)

戦士(まともでいられるわけ……ないんだ)

戦士(……アタシは、本当に馬鹿なんだなぁ)

勇者「すぅ……すぅ……」

戦士「……」

スクッ

戦士「……」

勇者「すぅ……すぅ……」

戦士「……おやすみ、勇者」ボソ

スタスタ

バタン

戦士「……」

戦士「……んっ……~~~っ」グググ

戦士「――っと……ふぅ」ポキポキ

戦士「さて……と」


スタスタ


戦士「ん?……武道家、魔法使い」

武道家「あ、戦士」

魔法使い「ゆーしゃのようす、どうだった?」

戦士「あぁ、大丈夫そうだった。元気だったよ」

武道家「そ。……で、アンタは?」

戦士「ん?」

魔法使い「……もう、だいじょうぶ?」

戦士「……ん」

戦士「悪かったな、二人共。いろいろ迷惑かけて」

魔法使い「わたしたちはだいじょうぶだよ」

武道家「まぁ、大丈夫そうならそれでいいわ」

スタスタ

武道家「それじゃ、そろそろ寝ましょ。明日も早いんだし」

戦士「ああ、そうだな」

魔法使い「戦士?ちゃんとおきられる?」

戦士「あー……あんまり自信ないかな」

武道家「アンタねぇ……」

戦士「ちょっと今日は色々考えすぎたから、疲れたよ」

魔法使い「……えへへ」

戦士「ん?なんだよ」

魔法使い「なんでもないよっ。ね!武道家!」

武道家「……――ふふっ、そうね、なんでもないわね」

戦士「なんだよー。もう」

魔法使い「なんでもないってば!ほら!はやくねるよっ!」

戦士「分かったから急かすなって」

スタスタ……


…………
……

―朝・バハラタ街門―



ザッ

勇者「よしっ!準備は出来たね」

女勇者「もう怪我は大丈夫かい?お兄ちゃん」

勇者「ああ、僧侶達のおかげでもう全然。ありがとうね」

僧侶「ううん、いいんです。でももう変な無茶は駄目ですよ?」

勇者「はい……毎度毎度すみません」

商人「ほんとですよ、全く……そして勇くん」

勇者「ん?」

商人「黒胡椒の件はどうなったんです?」

魔法使い「あ、そ、そういえばここには黒胡椒もらいにきたんだよねっ!」アワワ

遊び人「え、忘れてたの?」

盗賊「……ちゃんと交渉しに行かないと……」

勇者「ああ。胡椒の件ならもう話してあるんだ」

戦士「そうなのか?」

勇者「うん。今朝尋ねたら、昼ごろここで待つように言われたんだけど……」


スタスタ


グプタ「勇者さん!」

タニア「勇者様方!」

勇者「あ!グプタさん、タニアさん!」

ザッ

グプタ「お待たせしてすみません……っと、これを」スッ

勇者「!じゃあこれが……」

グプタ「はい、これが黒胡椒です」



――勇者は黒胡椒を手に入れた!――



戦士「よっしゃ!」

魔法使い「これで目的たっせいだねっ!」

商人「いや、喜んでもいられませんよ……」

僧侶「え?」

商人「ほら、お代……」

戦士・魔法使い・僧侶「「「あ”」」」

ズシッ

勇者(う……思ったより多いな……)

勇者(船乗り娘さんの分考えても結構余るぞ)

勇者(こんなにあるなら相当値も張りそうだ……これの半分くらいにしてもらおうかなぁ)

勇者「えっと、それでその。お代は如何ほどで――……」

グプタ「お代!?いやいやいや!とんでもない!!」

勇者「え?」

タニア「どうぞ、受け取って下さい」

グプタ「お礼としては、足りないくらいなのですが……」

勇者「えぇ!?いえ、ちゃんとお代は払わせてください!」

女勇者「そうですよ、こんな量……結構なお値段でしょう」

グプタ「いえ、いいんです」

タニア「もし勇者様方がいなければ、私達はこうして胡椒を売り続ける事もできなかったでしょうから」

勇者「そんなっ」

グプタ「……――それに」

勇者「?」

グプタ「それに、何より」

グプタ「勇者さんには大切な事を教えて貰いました」

グプタ「それのお礼でもあるのです……どうぞ、受け取って下さい」

勇者「……そんな」

商人「……勇くん」

遊び人「もう、ここは受け取らせて貰ったら?」

勇者「……うん」

勇者「グプタさん、タニアさん」

グプタ「!」

勇者「黒胡椒……有難く頂いていきます」

勇者「本当に、ありがとうございます」ニコ

グプタ「……!はいっ!」



戦士「……」



勇者「……!……!」

グプタ「…………!……!」



戦士「……」


…………
……


―バハラタ地方・荒野―


スタスタ


勇者「皆、こっちこっち」

商人「うげぇ、また歩くんですか……」

魔法使い「すぐにるーらでポルトガにとんでもよかったんだけど……」

女勇者「昨日はあんなのが西の山脈上に居たんだ。少し様子を見よう」

遊び人「暫く様子見て問題無さそうなら飛べばいいし、ね」

盗賊「……そうだね。さすがに歩いて帰る時間は短縮したいし……」

戦士「アタシは別に歩いて帰ってもいいぞー!」

武道家「アンタは本当にどうでもいい所で元気ね……」

戦士「何ぃー?」

僧侶「ふふふっ、うん。本当にそうですね」

戦士「えっ!?僧侶!?」

僧侶「戦士ちゃんはいつでも元気だから、戦士ちゃんなんです!」

僧侶「だからそのままが一番です!えへへっ!」

戦士「ん?んん?」

戦士「なんか僧侶が変な事言い始めた……」

武道家「あはは、ううん。至って正論よ」

商人「元気だけが戦士ちゃんの取り得なんですから」

戦士「お前はいつもひでーな!」ギリギリ

商人「痛い痛い!!痛いですって!ギブブ!」

盗賊「……ああ、いつもの光景……」

遊び人「もう、早く行くよ!」



勇者「皆ー!遅いよー!早くしないと!」



商人「あのもやしはもやしで何であんなに張り切ってるんですか……」

武道家「多分、早く船を手に入れたいんじゃないかしら」

女勇者「子供かい。いや、下手すれば一番子供だったね。精神的に」

盗賊「……男の子は、何歳になっても子供だからね……」

魔法使い「でもわくわくするきもちもわかるよね」

遊び人「っていうか勇者ちゃーん!後ろ振り向きながら小走りしたら転b」



ズテン!


勇者「ニーチェ!」ズゴォ!!



遊び人「言ってる傍から転んでるし!!もう!!」

商人「馬鹿ですかあいつは」

商人「あっ、馬鹿だった」

僧侶「酷すぎますよ商人ちゃん」

盗賊「……もう、勇者ってば……」タッ

戦士「……」ダッ!

盗賊「!」



勇者「いてて……」

タッタッタ

ズザッ グイッ

勇者「!」

戦士「ったく!何やってんだよお前は」

勇者「戦士」

戦士「何も無い所で転ぶとかアホアホかお前本当に」

勇者「いや、何も無くないよ!ほら!そこの石に躓いたんだって!」

戦士「えー?ホントかぁー?」

勇者「ホント!本当だからね!」

戦士「アタシにはあそこ通った様に見えなかったけどなぁー」

勇者「うっそ!いや、本当通ったって!」


<ワーワー



商人「……子供が二人に増えましたね」

武道家「もう、早く行かないといけないのに……」

盗賊「……でも、なんだかあの二人のああいう喧嘩、和む……」

女勇者「あはは、まぁ和んでる暇は無いんだけどね」

戦士「まぁ、石に躓いてても躓いてなくても転んだ事に変わりねーしなー」

勇者「ぐぬぬ……このっ」

戦士「あははっ」

勇者「……」

戦士「ん?なんだ?やるかー?」

勇者「…………ふふ」

戦士「?」

勇者「元気になったみたいで、良かったよ」

戦士「!」

戦士「……」

戦士「…………ああ」

戦士「もう大丈夫だ。悪かったな!」ニコッ!

勇者「……それはいいとして。僕は石には躓いてないからね」

戦士「それもどうでもいいっつの!」

勇者「よくないっつの!」

武道家「やかましいっつの!アンタらは!」

戦士・勇者「「はい……」」

戦士(そうだ、そうだよ)




勇者「それじゃ、そろそろ急がないと」

商人「いや最初っから急ぎましょうよ!」

勇者「あ、はい……正論です」

遊び人「勇者ちゃんのおバカに付き合ってる暇はないんだから」

勇者「ひどいよう」



戦士(アタシはちょっと考えすぎだったんだ)


戦士(変な事うじうじ考えたりして)


戦士(アタシは、頭悪いんだから)


戦士(シンプルに考えればよかったんだ)



魔法使い「それじゃそろそろるーらする?」

女勇者「そうだね。山の上にも魔物の影は無いし」

盗賊「……うかうかしてたら、日もてっぺんに昇ってきちゃうし、それがいいかも……」

勇者「それじゃ、みんな魔法使いと手を繋ごう」





戦士(アタシは、勇者が大好きだ)


戦士(武道家が、魔法使いが、盗賊が、僧侶が)


戦士(女勇者が、商人が、遊び人が、大好きだ)


戦士(だから、こいつらの傍から離れたくない)


戦士(傍にいるため資格とか、権利とか……そんなもん、いるわけないんだ)


戦士(居場所がどうのこうの、考える必要なんて無いんだ)


戦士(だから)



勇者「戦士」

戦士「!」

勇者「ほら、魔法使いがルーラ唱えるから、手を繋いで」

戦士「……」



スッ

ギュッ


戦士「おう!」



戦士(アタシにできるのは)



戦士(強くなって、こいつらをアタシなりに守ること)



戦士(アタシなりに……――戦う事!)




戦士(そうだよ……)



―――こいつらはアタシの―――


―――大事な、大事な―――






魔法使い「それじゃ、ポルトガにいくよーっ」

勇者「うんっ!お願い!」



戦士「おう!」





……―――――――― 一生の親友なんだから!





チクリ





戦士「……」


戦士(…………ん?)


戦士(なんだ?)


戦士(一生の、親友?)


戦士(……)


戦士(……)


戦士(なんでだろう)


戦士(勇者と、一生親友)


戦士(……――なんでだ)


戦士(考えただけで、あれ)


戦士(なんか、胸がぎゅって)


戦士(どきどきして、ちくちくする)




戦士(…………なんでだ?)







…………―――――ま、いっか!!


第五章 -完-



……
…………


―ポルトガ―



……ゥゥゥゥゥゥウウン


シュタッ


魔法使い「よしっ!とーちゃくだよーっ!」

勇者「ふう……ありがとう、魔法使い」

女勇者「精神力の方は大丈夫そう?」

魔法使い「うん!ぜんぜんよゆー!」

女勇者「ならよかった」

商人「うう……お腹がもじょもじょする……」

戦士「ほんとにルーラ苦手だなお前」

商人「平気なみんながおかしいんですよ……うぅ」

僧侶「商人ちゃん、大丈夫?ホイミいりますか?」

商人「いや……外傷じゃあるまいし、ホイミ意味ないですって……」

スタスタ

盗賊「……でも、ルーラだとやっぱり早く着くね……」

武道家「そうね。便利だわ」

女勇者「さて、と。じゃあ早速黒胡椒を届けにいこっか」

勇者「そうだね」

スタスタ



遊び人「……」



勇者「でも、この黒胡椒……本当に一杯あるなぁ」

魔法使い「ルイーダさんのぶんもとっておいてあげる?」

戦士「ああ、そりゃいいかもな」



遊び人「……」



女勇者「船乗り娘ちゃんの所はいつ行こう……まず宿屋に戻ったほうがいいのかな」

遊び人「……ねえ、女勇者」

女勇者「ん?なんだい?」

遊び人「ちょっと……変な事言ってもいいかな」

女勇者「ああ、別に大丈夫だけど。遊び人ちゃんと私の仲だし、全然」

遊び人「……もしさ」

女勇者「うん」

遊び人「もし、私達が……もう少し帰るのが早かったら」

遊び人「あの時……私達」

女勇者「……」

女勇者「……っ」

遊び人「………………たぶん、殺されてたよね」

女勇者「……うん」

女勇者「もし、あの時……あの時間帯にルーラで西のポルトガに飛んでたら」

女勇者「丁度あの魔物の大群に空中で遭遇して、多分捕まって喰い殺されてただろうね」

女勇者「まあ、運が良ければなんとか逃げられるかもしれないけど……空中でイニシアチブをあちらに完全に取られているし」

女勇者「十中八九ルーラの魔制速度でも多分追いつかれて……殺されてた」

遊び人「だよ、ね……」

女勇者「はは、でも結果オーライじゃないか」

女勇者「私達はなんとかあの大群や竜と遭遇せずにこうやってここにいるんだし」

遊び人「……」

女勇者「……」

女勇者「……嫌な予感の事、かい?」

遊び人「……うん」

遊び人「だって、タイミングが良すぎない?なんだか、まるで」

遊び人「まるで……私達を待ち伏せしてたかのような……」

女勇者「えぇ?……うーん、それは考えすぎじゃないかな」

遊び人「……そう、かな……」

女勇者「うん。そんなに心配しなくていいと思うよ」

女勇者「さすがに魔王があんな大勢の魔物を動員して私達を殺しに来るとは思えないし」

女勇者「たしかに、オルテガの娘と息子って事では多少向こうにも知れ渡ってるかもしれないけどさ」

女勇者「でも私達には魔王にあそこまでの事をさせる要因がないよ」

遊び人「……うん」

遊び人「そうだよね……うん。ごめんね」

女勇者「ううん。それじゃ、行こうか。早く船の手がかりでも手に入れなきゃ」

遊び人「そうだね。うん」


遊び人「……」

遊び人(要因……か……)

スタスタ

遊び人「……」


女勇者「……」

女勇者(何か引っかかる事でもあったのかな……)


ガシッ


女勇者「え?」

ギュッ!!

女勇者「んぐっぅ!!!?~~~~!!」ジタバタ

ズルズル


<……!!


スタスタ


遊び人「えっと、ごめん。さっきのは本当に気にしないで。女勇――……」


シーン……


遊び人「……?……あれ?」

キョロキョロ

遊び人「女勇者?女勇者ー?」


シーン……


遊び人「…………どこに行ったの……?」

―ポルトガ・街の中―



ガヤガヤ


戦士「んーっ!やっぱり潮の香りはいいなぁ!」

僧侶「なんだかわくわくしますよね」

商人「うう……」

武道家「あ、ここに港の市場の方を見つめてる子がいるわ」

勇者「……まだ駄目だよ」

商人「わかってますよもう!」

盗賊「……まずはお城に行ってから……ね……」

商人「盗賊ちゃんまで……ぐぬぬ」


ザワザワ


戦士「……なんだ?」

武道家「……変ね?」

魔法使い「うん……なんかちょっとそうぞうしいね」

勇者「何かあったのかな……もしかして昨日の魔物の大群の事かな」

僧侶「ちょっと街の人に聞いてみます?」

勇者「そうだね……」


街人「でさー……」

街人2「えっ、そうなの?だったら――……」


勇者「あの、すみませーん」スタスタ


武道家「勇者って物怖じせずに人に話しかけるわよね」

魔法使い「たにんをあんまり怖がらないからねぇ」

商人「将来騙されて一文無しになるタイプですから不安ですよ本当」

戦士「ああ、それは分かる」

街人「ん?なんだい?」

勇者「突然すみません、何かあったんですか?なんだか街が騒々しいので」

街人「あぁ、それがさ。今朝サマンオサからお偉いさんが来たんだよ」

勇者「お偉いさん?」

街人「ああ、それで……ほら、見てみなよ」

勇者「?」チラッ


兵「……」


兵2「……」スタスタ


兵3「……」ウロウロ


勇者「あれは……」

街人「あの兵達、見慣れない格好だろ?」

街人「なんだかサマンオサからお偉いさんが連れて来た兵隊達らしくってさ」

街人「それでなくてもポルトガの兵隊達も大勢街をうろついてるし……」

勇者「何か事件でもあったんですか?」

街人「いや、この街では何も起こってないよ」

街人「ただ……昨日の事があれば……ねぇ」

勇者「……あぁ……」

街人「魔王が本気を出した、とかサマンオサとポルトガと数国で合従軍を組む、とか色んな噂がね……」

街人「やれやれだよ全く……魔物相手でも戦争は嫌だなぁ」

スタスタ


魔法使い「どうだった?」

勇者「ん、なんだかサマンオサからお偉いさんが来てるみたい」

武道家「サマンオサから?」

戦士「あれ、サマンオサって言ったら」

商人「えっと、武道家ちゃんの御師匠さんの……」

武道家「うん、そうね」

盗賊「……そういえばサイモンおじさん、サマンオサ出身だったっけ……」

勇者「だから、そのお偉いさんの来訪でみんな色々と混乱してるみたいだ」

武道家「そっか……昨日あんな事があれば皆混乱するのも仕方ないかもしれないわね」

戦士「だなぁ」

勇者「ひとまず、その人達の事も聞けるかもしれないからお城に行こうか」

盗賊「……ん、そうだね……」


スタスタ


魔法使い「んえ?」

勇者「ん?どうしたの?」

魔法使い「えっと……女勇者と遊び人は?」

戦士「えっ、ほんとだ。いねーし」

武道家「どっかではぐれたのかしら」

商人「まぁ、はぐれたとしても皆お城目指してるんですからすぐに見つかるでしょう」

勇者「それもそうだね……じゃあ、先に行ってようか」

―ポルトガ城付近―


スタスタ


戦士「しっかし……サマンオサかぁ」

武道家「なに?どうかしたの?」

魔法使い「なにかおもうところでもあった?」

戦士「いや、ちょっと……あんまり楽しくは無い事思い出してさ」

勇者「楽しくない事?」

戦士「あぁ」

商人「なになになんですか?気になりますけど」

戦士「いや、大した事じゃないんだけどさ」

戦士「……」


――――――――――




『なんで王はあんな愚図にあんな仕事を与えてるのか……』

『君もオルテガ様のお弟子なら不服じゃないんですかね?』

『彼が、“オルテガの息子”というだけであんなポジションにいる事が』




――――――――――



戦士「……いや、あの野郎が留学に行ったのもサマンオサだったと思って」

スタスタ


?「…………さて、ようやく見つけましたね」

?「それでは、手筈通りに」

?2「……はい」






魔法使い「あの野郎?」

戦士「ほら、居たじゃん……城のさぁ」

武道家「え?城の?」

勇者「あぁ!もしかして――……」




「皆さん!」




勇者「え?」

一同「「「えっ?」」」



スタスタ



?「…………――御久しぶりですね」



魔法使い「……あ」

戦士「おい……おいおい……ジャストタイミングってレベルじゃねえだろ……」

武道家「あぁ!もしかして……」

盗賊「……おー……」

商人「うわぁ、こらまた懐かしい顔が」


勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」



?「皆さん、暫く見ない間に大変美しくなられましたね」



勇者「……」

―――――――――――


―アリアハン・数年前―


―城・講堂―


講師『それでは、特別騎士講座をこれより開始する!』


勇者『はいっ!』

講師『この特別騎士の資格……すなわち、国連で定義されている勇者』

講師『これを取得できる者は数少ない』

勇者『はいっ!』

講師『本年度で受講するのはたった三人だけだ』

講師『共に精進し、切磋琢磨するといい』

勇者『はい!』

生徒『でも……先生』

講師『なんだ?』

生徒『あと一人が見当たりませんが……』

講師『ああ、もうじき来ると思う』

講師『しかし、この本年度は奇妙な組み合わせだな』

勇者『奇妙、ですか?』

講師『あぁ、生徒はもう齢15になるが……勇者などまだ9歳だ』

勇者『は、はい!頑張ります!』


講師『そして、そのもう一人なんだが……勇者。お前と同い年だ』

勇者『!』

生徒『そうなのですか』

講師『ああ、しかしなかなかの秀才で――……』


バタン


勇者・生徒『『!』』

講師『お、来たな』

スタスタ

?『遅れてすみません』

講師『いや、いい。他の授業が長引いたのだろう』

講師『それじゃ……この二人が本講座でのお前の学友だ。挨拶をしなさい』

?『……』


ザッ


生徒『……』

勇者『……』


?『……――御初に御目にかかります』


ニコッ


?『僕の名前は、兵と申します……以後、お見知りおき下さい』


…………
……







勇者「兵、くん?」



ダッ!

魔法使い「あっ!ゆーしゃ!」



タッタッタ

勇者「兵くん!」


?「……」


ザッ

勇者「あの……久々だね!」

?「……」

勇者「覚えてる?その、僕、勇者だよ」

?「……」

ニコ

?「えぇ、勿論覚えていますよ」

勇者「……!」

勇者「わぁ……本当に久々だね!」

?「……さて」

勇者「……えっと、あの」

勇者「僕、君に次あったらちゃんと――……」




戦士「勇者!!!!」




勇者「え?」




ガッッッ!!!!! ドサッ!!!!



勇者「!!!!」



魔法使い「ゆーしゃぁっ!!!!」


勇者「がぁっ……!!?」ギリギリ

勇者(僕、地面に押さえつけられてる……!?)

勇者(なん、で)

?「ふぅ、あまり手荒いのは好きではないんですがねぇ」

勇者「……っ!」

?「覚えていますとも……ええ、覚えていますとも」

?「忘れるものですか。その顔」

戦士「おい兵!!てめぇっ!何を――……」

武道家「戦士!!」

戦士「なんだよっ!!勇者が――……」

ピタ

戦士「……!!」

武道家「……周り、よく見なさい」


兵「……」

兵B「……」

兵C「……」


ジャキンッ……


戦士(……ポルトガ兵と……サマンオサ兵?か?この鎧……)

戦士(なんで……こいつらが……アタシらを大勢で取り囲んでんだよ……!?)

魔法使い「……うかつに、うごけないね」

盗賊「……」

商人「っ……なんでこんな……」



勇者「みんな!!!」グッ!!


ギリィッ!!

勇者「あぎっ!!!」


戦士「勇者!!」


?「動かないで下さいね」

?「動くと色んなものの安否の保証はできなくなりますよ」


武道家「兵……!!」ギリッ

戦士「おい!!!兵!!てめぇどういうつもりだ!!!」


?「戦士さん、お久しぶりです」

?「いや、びっくりしましたよ。そんなにお綺麗になられて」


戦士「うるせぇ!!!お前、勇者をどうするつもりだ!!!!」


?「しかし中身は全く変わっていませんね。少し残念です……そして」

?「僕はもう兵ではありません。その名はアリアハンに捨て置きました」


戦士「なに……!?」


?「僕はこの四年でサマンオサに赴き、そこで様々な功績により身分を得ました」

?「今では身分も騎士団の長。騎士団長という名も得ました」

勇者「……っ!」


武道家「それは分かったわ……でも、この状況はなんなのよ」


騎士団長「それはですねぇ……少し待ってもらってよろしいですか?腕が疲れてきました」

騎士団長「すみません、私の代わりに彼の拘束をお願いします」

スタスタ

?「……」



魔法使い「!」

戦士「は!?」

武道家「ちょっと……」

盗賊「……っ……」

商人「あれは」


勇者「!……イシス、勇者くん!」



イシス勇者「……」


騎士団長「それでは、拘束お任せしましたよ」

イシス勇者「はい、お任せ下さい」


勇者「イシス勇者くん!なんで、君が――……」


ギリッ!

勇者「あぐっ!!」

イシス勇者「……」

勇者「……っ……!イシス、勇者くん……!?」

イシス勇者「……私語を慎んでください」

勇者「……!!」

イシス勇者「無駄な抵抗もしないのが一番だと思います」

勇者「イシス勇者くん……!なんで……!」



商人「イシス勇者くん!」

武道家「なんで!なんでアンタがっ」


騎士団長「おや、もう御知り合いでしたか?これは意外ですね」

騎士団長「しかし、イシス勇者さんだけではありませんよ……」


スタスタ


騎士団長「ん、ほら。皆さんいらっしゃいました」



一同「「「!!!!」」」



?「あら、もう終わりましたの?」

騎士団長「ええ、無事捕縛しましたよ。楽な仕事でした」ニコ

騎士団長「そちらはどうでした?国連勇者の皆様」


ムオル勇者「……無事終了した」


ランシール勇者「こちらもすぐに終わりましたわ」


ポルトガ勇者「すぐって……結構抵抗してたじゃねぇか。お前が脅したら大人しくなったけどよ」


スー勇者「かわいそう、でした……」


エジンベア勇者「あんな麗しい乙女に暴力なんてふるえないからねぇ……」ファサッ



魔法使い「っ……!!」

戦士「こいつらっ……!!」

武道家「やっぱりこの数日勇者を尾行して……!!」


騎士団長「いやはや、御疲れ様でした」


勇者「……っ!!へ、兵、くん……!!」


騎士団長「……」


勇者「いや…………!騎士、団長、くんっ……!!」

勇者「なんで……!なんで、こんなっ……こと!!」

騎士団長「………………“なんで”?」


勇者「……!?」


騎士団長「今、なんと言いましたか?」

騎士団長「“なんで”?“なんで”と仰いましたか?」

騎士団長「……やだなぁ」

騎士団長「それは、君が一番知っている事じゃないですか」


勇者「……っ」

イシス勇者「……」


魔法使い「……!」

戦士「わかんねぇ!!どういう事だよ!」

武道家「ちょっと!戦士!」

戦士「全然見覚えがねー事でこんな扱い受けてたまるか!!」

武道家「戦士!やめなさい!!」


騎士団長「……そうですか」

騎士団長「身に覚えが無いのなら……私が教えてあげましょうか」


魔法使い「!!!や、やめてぇっ!!」

パンパン!!


騎士団長「はい!!ポルトガの街のみなさーん!!!こちらに注目してくださーい!!!」


勇者「!!」


ザワザワ

街人「なんだなんだ?」

街人2「さっきからなんであそこ揉めてたんだ?」

街人3「兵隊が大勢取り囲んでるけど……」


盗賊「……っ!!やめて!!……」

商人「シャレに、シャレになってないです……!」ギリッ


騎士団長「はい、お初にお目にかかります。サマンオサの騎士団の長」

騎士団長「そして」

ゴホン


騎士団長「アリアハンの代理大臣、国連におけるアリアハンでの現最高責任者である騎士団長と申します!」



一同「「「「!!!!?」」」」


武道家「は、はぁ!!?」

戦士「どういう事だよ……!」


ザワザワ


騎士団長「何故、サマンオサの私がアリアハンの代理大臣をしているのかと疑問の声もあがるでしょう!」

騎士団長「その理由として、何を隠しましょう」

騎士団長「アリアハンの王は……ある隠蔽を、数年間国連に対して行っていたのです!!」



勇者「……」



魔法使い「もうやめて!」

戦士「おい!!やめっ……」

ジャキン!!

サマンオサ兵「……お静かにお願いいたします」

戦士「……っ!!」

武道家「……!!」

武道家(一般兵相手じゃ……蹴散らすことなんてできない……!!)



騎士団長「その事を先日、私が日の下に曝け出し、かの王は謹慎、国連への出入りを禁ずる処分となりました!」

騎士団長「そしてそこで、穴の開いた国連でのアリアハンの席に」

騎士団長「齢十二までアリアハンで生まれ過ごした私が代理就任する事になったのです!!」

騎士団長「これもひとえにジパングの卑弥呼様と、サマンオサ王様、ランシールの神官様のご協力の賜物なのですが」

騎士団長「いえ、話が逸れました。私はそのアリアハン王の隠蔽した悪しき危険な因子を突き止めていたのですが」

騎士団長「たった今!それが叶いました事を皆様に報告致します!!」


ザワザワ


勇者「……」



騎士団長「さて、四年前……ある悲劇がこの大地を襲ったのを覚えておいででしょうか!」


騎士団長「そうです!!落日の七日間です!!あの悲劇の七日間です!!」


騎士団長「あの、聖者達が次々に殺されていった七日間!!」


騎士団長「忌まわしきその七日間の始まりの日……」


騎士団長「ある一人の聖者……」


騎士団長「三賢の一人、ガルナ様が殺されました!!!」


騎士団長「そうです!魔物達によって行われた、テドンでの大殺戮です!!!!」


騎士団長「町人達が一人残らず殺され、土も、草も……魔の力で犯され、死の地になってしまった、あのテドンです!!!!」


騎士団長「かのテドンが滅んだ、あの時」


騎士団長「……――実は、あのガルナ様の死の裏で、奇妙な事が起こっていたのです!!!!」


勇者「…………」





騎士団長「あの時、テドンは酷い有様でした!!」


騎士団長「魔物達に食い殺された死体達の山が、あちらこちらで築かれておりました!!!」


騎士団長「ガルナ様のご遺体は……残念ながら、見つかりませんでしたが」


騎士団長「ある奇妙な手掛かりが、あったのです!!!!」




騎士団長「実は、アリアハン王に長い間隠蔽されていましたが……あの場に居た全ての人々が、殺されたと知らされていたあの事件に」


騎士団長「なんと!!生き残りが居たのです!!」

ザワザワ!!



騎士団長「……あの時、ガルナ様には付き人がいました!!!」


騎士団長「まだ若い少年でしたが……なんと」


騎士団長「その少年は、生きて帰ってきました!!」


騎士団長「あの時、ガルナ様が隠れて活動の拠点にされていたアリアハンに」


騎士団長「彼は生きて帰って来たのです!!!!」

騎士団長「その少年も、帰って来た時には、傷を負って満身創痍でしたが」


騎士団長「しかしその傷には、おかしな点があったのです」


騎士団長「全てが、刃物による傷だったのです!!!!」


騎士団長「魔物に襲われてつけられた傷ではなく!!!!」


騎士団長「人間の手によって付けられた傷でした!!!!」


騎士団長「そして、その傷の中で、一番深い傷」


騎士団長「それは、切り口を医者が診てみたところ」


騎士団長「ガルナ様の短剣によるものだという事が判明したのです!!!!」


騎士団長「これは大変奇妙な事です!!!!不可解でしかありません!!!!」


騎士団長「そして、彼にはもう一つ奇妙な点がありました!!!!」


騎士団長「彼には、ルビス様のご加護がありませんでした!!!!」


騎士団長「この世界に生まれた人々が必ず持ち得る、あの加護を!!!!!」


騎士団長「その少年は、持ち合わせていなかったのです!!!!!」


騎士団長「前代未聞です!!!!そこで私はこう考えました!!!!」


騎士団長「彼は、ガルナ様を裏切って、その太刀を受けていた!!!!」


騎士団長「彼は、言わば人間の裏切り者」




騎士団長「魔物だったのではないかと!!!!!」




ザッ!!


騎士団長「そうです!!!!皆さん!!!!」


騎士団長「こちらをご覧ください!!!!」




勇者「…………」




騎士団長「この少年です!!!!」



騎士団長「この少年こそ、ガルナ様を殺し」



騎士団長「テドンを滅ぼし、そして各地に災いを振りまいた」



騎士団長「あの……――――“落日の七日間”の手引きをした」




騎士団長「“魔物”!!!!!」




騎士団長「それが彼なのです!!!!!!」




ザワザワ…!!!!  ザワザワ…!!!!!


「まじかよ……!あんな若い子が」

「うそだろ……」





魔法使い「っ……!!」

盗賊「……」

武道家「……!!」

商人「……くっ……!!」

戦士「……勇者……」



ランシール勇者「はぁ、長い演説ですこと」

エジンベア勇者「ははは、んー。えげつないねぇ」

スー勇者「……うぅ……」

ポルトガ勇者「回りくどいんだよ……さっさと捕まえてぶち込んじまえよなぁ」


ムオル勇者「……」

ザワザワ…!!! ザワザワ…!!!



勇者「……」


スタスタ


騎士団長「さて、それじゃ……城の中に行きましょうか」

騎士団長「容疑者・勇者……あなたは暫く地下牢で骨休めした後に、サマンオサに付いて来て貰います」

騎士団長「うちの国では魔族裁判というものがありましてね……」

騎士団長「あなたをその裁判に招待させて頂きますよ」

勇者「……」

騎士団長「おや?なんです?その顔」

騎士団長「もっと泣き喚くか、怒りだすかと思いましたが」

勇者「……ううん」

騎士団長「……」

勇者「……ただ」

勇者「ただ、悲しいだけだよ」

イシス勇者「……」

騎士団長「……」


グイッ


勇者「あぐっ!!」


騎士団長「……悲しい?」

騎士団長「悲しいなんて感情が……いえ、感情自体、持ち合わせてたんですか?」

騎士団長「醜い、魔族のくせに」


勇者「……っ」


騎士団長「……悔やみなさい」

騎士団長「何でこんな事になったのか、たっぷり考えて」

騎士団長「何でこんなに数々の人々から恨まれているか」

ニコォ

騎士団長「たくさん、考えて、悔やむといいでしょう」

騎士団長「裁判の判決が下され、それが執行される日まで」


イシス勇者「騎士団長様」

騎士団長「んん?あぁ、申し訳ありませんね。時間がないのでした」パッ


勇者「ぐっ……!!」ドサッ


騎士団長「……それじゃ、最後に少し、耳お借りしますね」


スッ


騎士団長「…………これも」ボソッ

騎士団長「どれもこれも、全部全部」

騎士団長「全部全部全部全部お前のせいです」


勇者「……」


騎士団長「お前が、あの女性(ひと)を――……いえ、ガルナ様を」







騎士団長「賢者さんを、独り占めした癖に」



騎士団長「守れなかった、お前が殺した」



騎士団長「その報いです」



   




     第六章へ続く




今日はおしまいです。
あと三個くらい短編落として次スレいきます

訂正

>>865

× 騎士団長「三賢の一人、ガルナ様が殺されました!!!」

○ 騎士団長「四賢の一人、ガルナ様が殺されました!!!」



-番外-


【煙はいつもの席で吐く】


途中ですみませんでした


-番外-


【煙はいつもの席で吐く】


http://i.imgur.com/E6ITbm4.png


―アリアハン―


―宿・談話室―



シュボッ

チリチリ…

男性「……ふぅー……」


書物に落としていた視線を天井に持ち上げた後、簡易煙草に火を付け、私は思考と煙を纏めて燻らせた。


男性「……」

ガヤガヤ

男性「……」


この国に来る際に持ち込んだ煙草の数も、もう残り少なくなっている事に気付く。


男性「……」

男性「……しかし」チラッ


窓の外には活気のある街が人々を乗せ廻っていた。諠譟、閑静、様々な表情を見せながら、人々の暮らしを包んでいる。


男性「……綺麗な国だなぁ……」


仕事の都合でこの国に足を踏み入れたのは、そう前の事ではない。


男性「……」

男性(ルビス祭も終わったし、そろそろ仕事も終わりだ)

男性(あぁ、帰りたくないな)


しかし、この国が私を魅了するにはその短い期間だけで十分だった。

男性(帰ったらまた他の仕事……考えただけで憂鬱だ)

男性「……」


この国は、とても美しい


男性「……流石」

男性(美国と名高いアリアハンだ)

男性(こうやって通りを眺めるだけで、まるでルビス様の加護に包まれているかのようだ)


ルビス様を崇め奉る祭りが行われるこの季節、アリアハンには私のような旅人が数多く訪れる。

遥か遠くの地にさえその嘉名は轟き、この祭りに参加するため、この地に訪れるため(この大陸は諸事情により旅の扉が封印され、実質他大陸から孤立状態にある)

アリアハンの魔力場を記憶した移動魔法取得者を雇う為に大金を積む富豪も少なくないと聞く。


ガヤガヤ

男性(……)

男性(……仕事、したくないな)


この街の不思議な引力は、屡こうして私を仕事から引き剥がす。


男性(……よし)

ガタッ

男性「親父さん、ちょっと出てくるよ」スタスタ

宿主「ああ、はいはい。どちらへ?」

男性「……――酒場だよ」


そして、その引力は……決まって私をあの場所へ誘うのだ。

―ルイーダの酒場―


カランカラン


ルイーダ「いらっしゃいませー!」

「「「いらっしゃいませー!」」」



ガヤガヤ

男性(おお、やっぱり何時来ても賑わってるな)

男性(えっと、いつもの席は――……お、空いてる)

スタスタ ドサ

男性「よいしょ……ふぅ」

男性「……」チラ


客「ルイーダちゃん!ロマ一丁追加ね!!」

ルイーダ「はいなー」


アリアハンに来てから、私はすっかりこの店のファンになってしまった。

この店の主人は彼女、ルイーダという女性である。


客「聞いてよルイーダちゃぁん、女房がさぁ」

ルイーダ「うーん、それはおじさんが悪いよ」

客「まだ何も言って無いじゃんよぉ!」


凛とした芯の強い美しい女性で、どうやら国内外問わずファンが多いようだ。

酒場と同時に、魔王討伐の為の集団用簡易書状の発行なども行っている。

その両立が難しいであろう事は想像に難くない。

ルイーダ「はいはい、ちょっと待ってねー」

ワイワイ ガヤガヤ


男性(まだ若いだろうに……大変だなぁ)

コトッ

?「お待たせいたしました」

男性「ん?あぁ、ありがとう」

?「もうそろそろいらっしゃる時間だと思って、テーブル、空けておきましたよ」ニコ

男性「本当に?いやあ、悪いねぇ」

?「いえ、いつもありがとうございます。ご注文はお決まりですか?」

男性「とりあえず、珈琲を一つ貰えるかな」

?「かしこまりました」

スタスタ

?「……ルイーダさん、珈琲一つ……」

ルイーダ「了解!」


男性(……やっぱり、前から思ってたけど接客のとき声が変わるんだな)

男性(今日もしっかりしてるな、盗賊ちゃん)


盗賊「鶏肉とトマトのサラダ、お待たせしました」

客「あら、ありがと盗賊ちゃん」


彼女もまたこの酒場の看板娘で、盗賊ちゃんという娘だ。

ルイーダさん同様ファンも多い。らしい。まだ12歳だけど。



客「今日も盗賊ちゃん可愛いねー!出るところ出てる!今日も出てるよ!」

盗賊「……わ、おじさん、セクハラだ……」

ルイーダ「ちょっとうちの娘に手ぇ出さないでよぉ?」ジトー



……12歳にしては、出るところが。その、うん。まぁ大人びた娘である。


客「えー?いいじゃないかー」

盗賊「……おじさん、奥さんに言いつけちゃうよ?……」

客「か、勘弁してください」

盗賊「……ふふっ……」

盗賊「お待たせ致しました」

コトッ

男性「ん。来た来た」

盗賊「灰受けの壷もお持ちしましたよ」

男性「おお、何から何まで。ありがと」

盗賊「とんでもない事です」ニコッ

男性「美味しく頂くよ。珈琲」


この店のこの席。

アリアハンに来てからの、私の一番のベストプレイス。


男性「……」カチャッ

ズズ

男性「……ん」

コトッ

男性「…………はぁ……」


そして、この時間。

この時間が、私の一番の幸せなのだ。


男性「さて……」

男性(煙草でも吸いながら……)ゴソッ

男性「……ん?」

男性「あれ……うわ」

ルイーダ「ん?お客さん、どうかされました?あ、おじいちゃんサラダお待ちー」

老人「うめえ」

男性「あ、ルイーダさん。ちょっと火口箱を宿に置いて来ちゃってさ」

ルイーダ「あら大変」

男性(煙草だけ持って来てるし……アホか俺は)

男性(こんなだからいつまでも下っ端なんだよな……俺)

ガタッ

男性「ごめん、すぐ戻るから一旦宿に――……」

ルイーダ「ううん、ウチの火口箱貸したげますよ」

男性「え?いいのかい?悪いね」

ルイーダ「えっと……新入りちゃーん!カウンターの下にある火口箱取ってくれなーい?」


ヒョコッ

新入り「は、はは、はいっ!」


タッタッタ

新入り「は、はい、持って来ました」

ルイーダ「ありがと。お客さんにお渡しして」

新入り「はは、はいっ」

スッ

新入り「あ、あのっ……ど、どうぞ……!」

男性「ああ、悪いね。ありがとう」

新入り「そ、そんな、いえ、あの」

新入り「……ご、ごゆっくりっ!」ダッ

男性「あ」

新入り「っ……!」タッタッタ

男性「行っちゃったな」

ルイーダ「ごめんなさいね。凄く人見知りしちゃう子なんですよ」

男性「いや、入ったばかりなら仕方ないよ。初々しくて可愛いね」

ルイーダ「でしょ?凄く可愛いのあの子!」


あの娘は新入りちゃんという子。
私がこの国に来て暫くしてからここで働き始めたらしく、動きがまだまだたどたどしい。


客「おい新入りぃ!ビール注げ!」

新入り「は、はいぃぃ!!」ビクゥ


なんというか、小動物的でとても可愛い娘だ。
彼女の頑張り具合を見ているだけで胸に暖かい感情が流れ込んでくる。

ルイーダ「それ終わったら買出し行ってくれる?」

新入り「えぇぇ!!むむ、無理!無理ですっ!」

盗賊「……大丈夫だよ、きっとできるよ……」


ガヤガヤ


男性(……みんな仲がいいな)

男性「……」ゴソ

カチャカチャ

カコッ カコッ!

シュボ

男性「……」パク

チリチリ…

男性「……」

男性(仲……か)

男性「……」

男性「……――――っ……」スゥゥ

男性(仕事仲間と仲良くできた事……俺にあったっけかな)

男性「っ、ぷはぁ――――」

男性「……」

男性「……」

男性(少し、煙が目に沁みたな)ゴシゴシ

男性(ま、なんにせよ仲間の所に戻る前にこの仕事片付けてかなきゃな)

…………
……







『なにトロトロやってんだこの愚図!!』


『お前、この仕事むいてないよ』


『教えてやった事は一回で覚えやがれ!』


『てめぇはそんなんだから甘ちゃんなんだよ』


『いいか、この仕事は全部お前に任せる』


『ちゃんと皆を率いて上手くやれよ?リーダー』


『……――――失敗など、許さんからな』



…………


男性「…………ふ?」


チュンチュン

男性「……」

ムクリ

男性「……」

男性「ふぁ……ふぁぁぁ……」

男性(夢か……嫌な思い出ばっかだったな)

―宿・ロビー―


スタスタ……

バタン

男性「ふああ……」

宿主「おや、おはようございます」

男性「おはよう、親父さん」

宿主「そういえばお客さん、昨日の夜に出掛けました?」

男性「昨日の晩?ああ、出かけたけど」

宿主「大丈夫でしたか?」

男性「大丈夫って、何が?」

宿主「いえね、ちょっとルビス祭の後っていう事もありまして……ガラの悪い連中がうろついてるらしいんです」

男性「ガラの悪い連中がかい?」

宿主「えぇ、結構有名な荒くれ達らしくてね」

宿主「ルビス祭に訪れて未だ滞在中の人達に絡んで金品を巻き上げてるらしく」

男性「うわあ、そりゃどうしようもないね」

宿主「まあこの時期まで滞在してる人達はお金を持ってる人達が多いですから、泥棒も毎年この時期に集まってくるんですよ」

男性「そうらしいけど……ま、自分は大丈夫さ。金持ちなんて夢のまた夢だよ」

宿主「ははっ、またまた」

男性「いや、本当本当……よし、それじゃ出かけてくるよ」

宿主「今日もあの店で?」

男性「ああ、また夕方には戻るよ」

宿主「はい、お気をつけて」

―ルイーダの酒場―


カランカラン

ルイーダ「いらっしゃーい!」

「「いらっしゃいませー!」」


男性「さてと……ん?」


ガヤガヤ

荒くれ「がはは!!それでそいつがよぉ!」

荒くれ2「嘘付け!俺ぁこの目で見たんだぜ!!」

荒くれ3「どっちでも良いや、で、どうなったんだよ!」

ワイワイ


男性「……うわぁ」

男性(分かりやすいなぁ……絶対宿主の言ってた荒くれってあいつらだろ)


ルイーダ「あ、お客さん。いつもの席で良かったかしら?」

男性「あぁ、頼むよ」

盗賊「いらっしゃいませ、どうぞ。こちらへ」

男性「ん」

スタスタ

盗賊「……ごめんなさい、今日ちょっといつもより賑やかで……」

男性「大丈夫だよ」

ガラッ スタッ

盗賊「注文は、いつもの珈琲で大丈夫ですか?」

男性「うん、お願いするよ」

盗賊「かしこまりました」ニコッ

スタスタ

男性「……」

荒くれ「ちっ、酒が切れた」

荒くれ3「おい、酒追加!」

ルイーダ「はーいちょっと待って下さいねー!」

荒くれ2「そっちの客の相手はいいからこっち先にしろよ!」

荒くれ「酒持って来いって言ってんだろ!!」

盗賊「只今お持ちしますので少々お待ち下さーい!」


男性「……」

男性(わかりやすいくらいに荒くれだな……)

男性(はぁ……せっかくの静かな珈琲タイムが……)


盗賊「すみません、お待たせ致しました」

ゴトゴトッ

荒くれ「おっ、来た来た」

盗賊「それではごゆっくり」

スタスタ

荒くれ3「……」

荒くれ2「おい、姉ちゃん」

盗賊「え?」ピタッ


ガシッ!


盗賊「!」

男性「!」

荒くれ「お姉ちゃん可愛いね」

荒くれ2「ちょっとこっち来て座りなよ」

荒くれ3「お酌してくんない?」


男性(あいつらっ……!)


盗賊「……すみません、そういうサービスは」

グイッ

盗賊「!」


荒くれ「あ?」

荒くれ2「いや、いいじゃん。なんで?」

荒くれ3「ほらほら、俺の膝の上座れって」

盗賊「っ……やめて下さいっ……」


男性(あのロリコンども……!)

男性(いや、盗賊ちゃんは大人びてるから気持ちは分かるが)

男性(しかし我慢ならん……!)

ガタッ!

男性(ここは俺が一発……!!)


荒くれ「あ?」

荒くれ2「なんだお前」


男性「……!」



新入り「……」


荒くれ「なに?なんか用か嬢ちゃん」

荒くれ3「手、離してくれねぇ?邪魔なんだけど」

荒くれ2「それとも嬢ちゃんも酌してくれんの?」

荒くれ「いやー!俺ロリコンじゃねぇんだけどなぁー!がはははは!!」

男性(ロリコンだよ、お前らが掴んでるその子12歳だよ)


盗賊「……大丈夫だよ、下がってて……」

新入り「……は、離して下さい」

荒くれ「あ?」

新入り「…………迷惑なので、離してください」

ギュッ

新入り「お姉ちゃんから、手を離してください!」


男性「……!」


荒くれ「あ……?」

荒くれ3「このガキ、客に向かって啖呵切りやがったよ」

荒くれ2「……ちょっとこっち来い!」

グイッ!!

新入り「あうっ!?」

盗賊「……!」

ガシャン!!

新入り「ひぐっ!」

荒くれ2「おい、そっち押さえとけ」

荒くれ3「おう!」

盗賊「……や!やめてくださいっ!……」

荒くれ「うるせえ!!てめえも同じ目に合わせてやろうか!!」


ゴソゴソッ!!

新入り「ひっ!?」ゾクッ


荒くれ2「ベッドの代わりにテーブルだが我慢しろよ嬢ちゃん!!」

荒くれ「悪い店員には御仕置きしねぇとな!!」

荒くれ3「ガキの次は姉ちゃんだから覚悟しときな」


フッ


荒くれ3「…………よ……?」

新入り「……?」

荒くれ「お?」

荒くれ2「どうした?荒くれ3」

荒くれ3「お……お……?」

ドサッ!!

荒くれ3「お……ごぉ……」ピクピク

荒くれ「荒くれ3?どうした荒くれ3!!」

盗賊「……?……」

荒くれ2「ちっ、貧血か?……おい起き」


ヒュンッ!!

ゴキンッ!!!!


荒くれ2「ゴエッ」

ドサッ

荒くれ「……え?」

荒くれ2「」ブクブク

荒くれ「あ、荒くれ2……?」


「ちょっと裏にビール取りに行ってる間に、何やってんのアンタら」


荒くれ「へ……?」

新入り「……ル」

盗賊「……ルイーダさん……!」


ルイーダ「私の店の子達に何してくれてんのって聞いてるんだけど」ゴゴゴゴゴゴゴ


荒くれ「ひっ……!?」

ルイーダ「最近夜中に町中で迷惑かけまくってる荒くれ共ってアンタらね……?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

ルイーダ「お客さんだから……笑顔で丁寧に接してあげてたけど」

ルイーダ「もういいわ……ちょっと懲らしめてあげなきゃね」ニコォォ

荒くれ「……!!」ゾゾッ

荒くれ「へっ、へへっ!!女一人に何ができるってんだ!!」


ガチャッ


荒くれ「えっ?」


屈強な男「こんにちわー」

マッチョ「ルイーダちゃーん!昼飯食べにきたよー」

超マッチョ「あれ?なんだか店内荒れてね?」

鬼マッチョ「ん?おい、盗賊ちゃん達がなんか絡まれてるぞ」


ゾロゾロ


荒くれ「ふぁ……ふぁ……」


ゾロゾロ


ルイーダ「みんな、ごめんね。ちょっと今取り込み中で」

マッチョ達「えー!どうしたんだよ」

マッチョ達「何かあったんなら手伝うぜー?」

ルイーダ「そう?じゃあ」

クルッ

荒くれ「ひっ……!!?」ビクッ



ルイーダ「ゴミ掃除……一緒にお願いできるかしら」ゴキッ ゴキッ!!!


荒くれ「ひゃ、や」



イヤァァァァァァァァァァ!!!!!!



<イヤァァァァァァ


男性「……怖ぇ……」

男性「……」チラッ


新入り「いてて……」

盗賊「……大丈夫!?怪我は……」

新入り「あ、お姉ちゃん……ごめん、大丈夫だよ」

盗賊「……良かった……」ギュッ

新入り「わぷっ」ムギュッ


男性「……」


スタスタ

男性「……大丈夫だったかい?」

新入り「え?あっ、お、お客さま」

盗賊「……お客様にも、ご迷惑をおかけしました……」ペコリ

男性「いやいや、自分こそいざという時に出ていけなくてごめん」

新入り「いえ、そんな」

男性「…………それじゃ、ちょっと用事思い出したから帰るよ」

新入り「え……」

男性「ああ、別に今の事があったからじゃないよ?本当に用事があるんだ」

男性「……また、来るから……その時はあの席をまた使わせてほしい」

盗賊「……はい……」

男性「それじゃ」

スタスタ

ピタッ

男性「あ、新入りさん」

新入り「は、はいっ?」

男性「……」

男性「……さっきの君、かっこよかった」

新入り「!」

男性「君はきっと素敵な女性になるよ」

新入り「えっ?う……あっ、ありがとう、ございます」

男性「……ふふっ、それじゃ」

スタスタ

バタン

新入り「……なんだか不思議な人だったね」

盗賊「………………うん……」

…………
……


―真夜中・アリアハン・宿―


男性「……」

ゴソゴソ

カタン

ギュッ…

男性「……」

男性(よし……そろそろだ)


……

―アリアハン・路地裏―


黒服「こっちのルートはお前だろ?」

黒服2「ああ、だからこうやって――……」

黒服3「!おい、来たぞ」

黒服・黒服2「「!」」


スタスタ

黒服2「おそかったな」

黒服3「どこで道草くってたんだ?リーダー」


ザッ



男性「……無駄口はいい、ちゃんと持ちルートの確認をしろ」



黒服「おお、怖ぇ……」

黒服2「ふっ、初めてのリーダー役で肩に力でも入ってんじゃねえのか?」

男性「無駄口はやめろって言ってるだろうが」

男性「それにリーダーつっても下っ端のてめぇらの纏め役だ。俺も下っ端には変わりないさ」

黒服3「はは、だな」

黒服「ルートの確認は済んだぜ。見回りの兵もそろそろ交代の時間だ」

黒服2「あと四半刻もすれば詰所に皆戻るだろうよ」

黒服3「富豪の家はそれぞれの担当分頭の中に入れてる。鍵の種類も全て把握した」

男性「それでいい」

ザッ

男性「それじゃあ、持ち場につけ。あと四半刻後にルートをそれぞれ回れ」

黒服2「おう」

男性「いいか?あくまでこれは盗みだ。人は殺すな」

黒服3「何?」

黒服「おいおい、なに温い事言ってんだよ」

男性「今は俺が頭だ。黙って従ってろ」

黒服「なんだぁ?もしかしてここに居すぎて街のやつらに情でも移っちまったか?」

ガシッ!!

黒服「!」

ギリッ…

男性「……喧しい」

男性「殺しをすれば足がつきやすくなるし、時間の無駄だ」

男性「何のために俺が潜伏して街の調査をしてたと思ってる」

男性「お前らは俺の計画通りにやればいいんだよ」

黒服2「リーダー、抑えろ。時間が迫ってる」

黒服3「黒服もいらねえ事言うな」

黒服「……ちっ!」バッ

男性「……とにかく、目的は金だ」

男性「富豪共の家の金目の物を全て洗いざらい持ち出せ」

黒服達「「「了解」」」

男性「いいか?しくじるなよ……“失敗は、許されない”」

男性「それがボス……バコタさんの言葉だ」

黒服達「「「……了解」」」

男性「…………それじゃ、開始だ」

男性「健闘を祈る、散れ」


バッ!!


タッタッタッタ!!

男性「……」

男性(俺はまずこっちからだ)

男性(人は……誰もいないな)

男性(それでいい……お願いだから、皆眠っていてくれよ……)


―路地裏・広場裏―

ザッ

男性「……」

男性(到着……見回り兵は)


シーン……


男性(いない……と、調査通りだな)

男性(それじゃ……始めるか)




「……こんばんは……」




男性「!!!」ザッ!!

シーン……

男性「……!?」

男性(何だ?誰だ、今の声は……)

男性(この時間、こんな場所に……酔っ払いか何かか?)

男性(いや、しかし……若い女の声で)


「……残念ながら、計画はここで終わりですよ……」


男性「っ!?」

男性「……誰だ、どこに居る」


「……あなた達の行動は、ある程度見ていました……」

「……お仕事、失敗ですね……」


男性「……!?」

男性「どこだ!!!出て来い!!!」


「……」


スタ……

男性「!!」

スタスタ……

「……外でお会いするのは……初めてですね……」

男性「……」

男性「…………」

男性「………………嘘だろ」



ザッ

盗賊「……改めて、こんばんわ、です……」



男性「盗賊、ちゃん」


男性「なんで……君が」

盗賊「……私、たまに見回りのお手伝いとかやったりするんです……」

男性「……」

盗賊「……」

男性「……は」

男性「はは、ははは……偶然だね、こんな所で」

男性「でも、子供が……こんな時間に危ないじゃないか」

盗賊「……火贈りの儀式も済みましたよ、そんなに子供でもないです……」

男性「盗賊ちゃん……帰るんだ。危ないよ?もう帰って寝る時間だ」

盗賊「……お客さん……」

男性「……なんだい?」

盗賊「……数日前から、貴方達をマークするように兵団に頼まれていたんです……」

盗賊「……捕まえに来ました……」

男性「…………悪い冗談だ」

スタスタ

男性「さ、ほら。もう帰って」


カランカラン!カラカラ…


男性「寝……」


盗賊「……」


男性「……」

男性「……」

男性「……それは」

盗賊「……貴方の仲間達の短剣です……」

男性「……」

男性「……盗賊ちゃん」

男性「…………君は……君は」


盗賊「…………」

盗賊「……貴方を、捕まえに来ました……」


ダッ!!!!


盗賊「!」


シュタタタタタッ!!

男性「っ……!!」

男性(な、なんだ……?どうなってる!?)

男性(くそ!とりあえずここは一旦彼女を撒いて)


シュバッ!

男性「!?」


ズザァッ!

盗賊「……無駄です……」


男性「なっ……!?……ちっ!!」ダッ!!

シュタタタタタッ!!

男性(こっちならっ……!屋根の上なら)


ズザッ!!

男性「!」


盗賊「……もう、無駄ですよ……」

盗賊「……この街は、私の庭なんですから……」

男性「……!」

盗賊「……大人しく、お縄についてください……」

男性「……くそ」

男性(なんだ……なんなんだこの子……!12歳で、なんでこんなに)

男性(しかし、くそ、このままじゃ計画が頓挫しちまう……!)

男性(仕方ない……この子には危害を加えたくなかったが)


ジャキッ


盗賊「……!……」

男性「ごめん、盗賊ちゃん」

男性「こっちも仕事なんだ……少し眠っていてもらうよ」

盗賊「……あなた方を止めたら、ぐっすり眠れます……」

男性「言うね」


シュンッ!


男性「っ!」シュバッ!

盗賊「……あっ……」

男性(回りこんで……!)

ヒュンッ!

男性(あまり力を入れず……首の後ろに一撃)


ガシィッ!


男性「!?」

盗賊「……捕まえ……たっ!……」ヒュッ!!

男性「くっ!!?」ヒュンッ!

ズザァッ!!

男性「はぁっ!はぁっ……!?」

男性(完璧に見切られていた?こんな少女に……)

盗賊「…………」

ヒュンッ!

男性「!」

男性(消えっ……いや!)

ガシッ!!

盗賊「……!……」

男性「後ろかっ!!」ヒュッ!!

盗賊「……わわっ……」シュバッ!

シュタッ!

男性「くそ、躱されたか……」

盗賊「……躱しました……」

男性「はぁっ、はぁっ……」

男性(……なんだ、この状況は)

男性(なんだ、なんなんだ)


盗賊「…………」


男性(なんなんだ……この子は……!!)

男性(確かに俺は下っ端だが……それでもバコタ盗賊団の一員だぞ)

男性(相当な訓練を積んできてるんだ……それを、こんな……少女に)

男性「……盗賊ちゃん……君は……一体」

ヒュンッ!!

男性「!」

ガキン!!

男性「……ぎっ!」グググ

男性(力も……!強いッ!)

盗賊「……」ギリギリ

盗賊「……私は……」



盗賊「……ただ、この街が大好きな……盗賊職の女です……」


男性「……!!」



男性「……」

男性「……」



盗賊『いらっしゃいませー!』



男性「……なんで」



盗賊『……いつもの席、とっておきましたよ……』



ギリッ……!

男性「……なぜっ」




盗賊『……また、いらして下さいね……』ニコッ





ガッ!!

盗賊「!」

ガキン!!

盗賊「……っ!……」

男性「なぜ盗賊職を選んだんだ!!」

男性「なんでこんな道を選んだんだ!!!君みたいな子が!!」

ギリギリ……

盗賊「……それは……」

男性「君は……素晴らしい子だ、酒場の手伝いをして、街の子供の面倒を見て……!」

男性「それが、何故、こんな世界に足を……!!」

男性「ルビス様を裏切るようなこんな力を……!火贈りの儀式で祈ってしまったんだ……!」

盗賊「……」

ギリギリ……!

男性「儀式の時に……力を求めず、普通の人として生きる事も、君ならば……!」

男性「いや、そうするべきじゃないか!こんな職、就くもんじゃない!!!」

男性「君みたいな、子が」

男性「……なんで、こんな……!」


盗賊「……それじゃ、駄目なんです……」


男性「え……?」


ガキン!!


男性「っ!!?」

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

男性「ぐあっ!?……わっ!?」ガキンッ!ガキンッ!!

男性(は、速いッ!?)

盗賊「……それじゃ、だめなんです……」

ガキン!!

男性「ぐっ!!」

ギリギリッ……!!

男性(本当に、なんなんだ、この子……!!)

男性(小さいナイフだけで、なんでこんなに重い一撃を)

盗賊「……私は、この街で出会った人達に……沢山守られました……」

男性「……?」ギリギリ


盗賊「……だから、私も……その人達を守らなくちゃいけない……」


男性「……!」

盗賊「……それには、昔から慣れ親しんできたこの職が一番手っ取り早かったんです……」

男性「…………?……慣れ親しんできた……?」

盗賊「……それに……」

男性「っ……?」

盗賊「……この職を続けていれば……父の元にいつか辿り着く気がするんです……」

男性「父……?」

盗賊「……はい……だから、私は……」


フッ…


男性「!」

男性(盗賊ちゃんの力が一瞬抜けた……!)

男性(今なら……彼女の隙をついて……)

男性「っッ!!!!」

ヒュンッ!!

男性(すまない、盗賊ちゃん……!!少しだけ本気の一撃をッ)



盗賊「……もっと強くならなきゃ、いけないんです」



男性「っ!!」




ズガァン!!!!!

パラパラ……


男性「……」

盗賊「……チェックメイト、です……」

男性「……ああ」

盗賊「……もう、抵抗しないで下さいね……」

男性「……」

男性「……盗賊ちゃん」

盗賊「……はい……?」

男性「……君の父の名前は?」

盗賊「…………」

男性「……」

盗賊「……カンダタ……」

男性「……!」

盗賊「……私の父の名前は……カンダタです……」

男性「…………そっか、やっぱりか」

男性「あの……大盗賊、カンダタ」

男性「君は、カンダタの……娘なのか……」

盗賊「……はい……」

男性「……ぷっ」

男性「ははっ……あはははは!」

盗賊「……?……どうしたんですか?……」

男性「いや……どうりで強いわけだ」

盗賊「……暇があれば、鍛錬してますから……」

男性「そうか……ふふ、いや、負けたよ」

男性「さぁ、兵団に突き出すといい。もう抵抗はしない。君の手柄だ」


盗賊「…………」

スッ ガキン

男性「えっ……?」

盗賊「……」スタスタ

男性「……痛っ……!」ムクッ

男性「つつ……盗賊ちゃん?なんで今、捕縛しないんだい?」

盗賊「……お客さん……」

男性「?」

盗賊「……私は、お客さんが……悪い人じゃないって知ってます……」

男性「……え?」

男性「いやいや、何言ってるんだい……現にこうして盗みを」

盗賊「……いつも、穏やかな顔で、通りを眺めてたの……知ってます……」

男性「……!」

盗賊「……煙草を吸うとき、子供が近くにいるとすぐに消すの……知ってます……」

盗賊「……そして、今日の昼に……」

盗賊「……あの荒くれ達から、助けてくれたの……知ってます……」

男性「……」

盗賊「……」

男性「……ばれてたのかい」

盗賊「……簡易煙草の箱の中に隠してた吹き矢……御見事でした……」

男性「はは、適わないね」

盗賊「……だから、私はお客さんを突き出したくないです……」

盗賊「……自首、してくれますか?……」

男性「……でもいいのかい?罪が軽くなってしまうよ?」

男性「さっきまで、君の大事な街の人達の家に、泥棒に入ろうとしてたんだよ?」

盗賊「……迷いがあったくせに……」

男性「ぐ……」

盗賊「……この街が、気に入っちゃいました?……」

男性「……」

男性「…………ああ」

男性「もう、駄目だな……駄目だ」

男性「この街は、ちょっと俺には素敵すぎた……」

盗賊「……ふふ、良い街でしょ……」

男性「……ああ」

盗賊「……」

男性「……」

盗賊「……自首、お願いします……」

男性「…………ああ」

男性「自首する……ありがとう」

盗賊「……ふふ、いえ……」

男性「……ねえ、盗賊ちゃん」

盗賊「……はい?……」

男性「恐らく……数年は牢の中に入ることになると思うけど」

男性「もし、出て来れたら……」

盗賊「……はい……」


ニコッ


盗賊「……同じ席を空けて、お待ちしております……」



…………
……




―数年後・アリアハン―



スタスタ


「……なにも変わっていないな……」

「えっと、次は……ああ、こっちだった」



―ルイーダの酒場―

カランカラン


ルイーダ「いらっしゃいませー!」

盗賊「いらっしゃいませー!」

スタスタ

盗賊「一名様ですか?」

「…………ああ」

盗賊「では……――あれ?」

「……すごく綺麗になったね、びっくりしたよ」

盗賊「……!お客さん!……」


男性「……久しぶり、盗賊ちゃん」


コトッ

盗賊「……コーヒーです……」

男性「ありがとう……この席も相変わらずだね」

盗賊「……はい。お客さんもお元気そうで……」ニコッ

男性「監獄ではずっと真面目にしていたからね、酷い扱いを受けることもなかったよ」

盗賊「……なら、良かったです……」

男性「盗賊ちゃんには感謝してるよ」

盗賊「……感謝、ですか?……」

男性「あの時ああならなかったら、こうしてここのコーヒーを飲む事もなかったと思うからね」

スタスタ

ルイーダ「そーですよー、盗賊に感謝してねお客さん!」

男性「ルイーダさん!」

ルイーダ「兵団に貴方を引き渡した後に、手荒い事はしないように頼んでたのよこの子」

盗賊「……ルイーダさん、やめてよ……」

男性「……本当にありがとう、盗賊ちゃん」

盗賊「……いえ……でも、無事でよかったです……」

ルイーダ「ところでお客さん、今回はこの町に何をしに?旅行?」

男性「いや、まず盗賊ちゃんにお礼を……っていうのと」

男性「…………その」

ルイーダ「?何?」

男性「えっと……なんというか」

盗賊「……?……」

男性「……ある人に……想いを伝えに来たと、いうか」

ルイーダ「あら!」

盗賊「……おお……」

男性「前に、気になる子がいて……獄中でもその子の事が浮かんできて」

ルイーダ「まあまあまあ!」

盗賊「……きゃー……」

男性「そんな事伝えられる立場じゃない事は分かってるんだけど……年の差もあるしね」

男性「だけどどうしても気になって……」

ルイーダ「年の差!?」

盗賊「……誰ですか?……」

男性「…………えっと、それは……」

ルイーダ「……ん?」

ルイーダ(ちょっと待って……年の差?)

ルイーダ(え?まさかその子って――……)チラッ


盗賊「……わくわく……」


ルイーダ(この子の事じゃ……)


男性「それは――……」

ルイーダ「ちょっ……!うちの娘はそう簡単にあげられ――……!」





男性「前にここで働いてた、新入りちゃんなんだ」





ルイーダ・盗賊「「………………………………――はい?」」

男性「なんというか、素敵な女性はこの街には多いんだけど」

男性「彼女はこう、庇護欲が沸き立つんだ!」

男性「あのちょっとドジな所とかも凄く、可愛いし」

男性「でも、それだけじゃなく……友達の為に荒くれ達にも立ち向かう心の強さもある」

男性「あの時、荒くれ達に立ち向かったときの眼……すごく、キュートだった……!」

男性「ああ、思い出すだけで胸が……!」



ルイーダ「……」

盗賊「……あう、あう……」



男性「で、彼女は今はここで働いてるのかい!?」

ルイーダ「え!?あ、いや、あの子は今はちょっと」

盗賊「……ここではもう……」

男性「な……!そう、か……」

男性「じゃ、じゃあ今彼女は?今はどうしてるんだい!?」

ルイーダ「え」

ルイーダ「あ、あの子はー……今、ちょっと……」チラッ

盗賊「……えっと……」チラッ

男性「?」

ルイーダ(……どうしよう)

盗賊(……言えない、よね……)


…………
……




―アリアハン・広場―





勇者「ぶえっぇくしょーい!!!」





魔法使い「わぁっ!びっくりしたよう!」

僧侶「勇者くん、風邪?」

勇者「ぐずっ、いや、風邪ではないと思う」

僧侶「気をつけてくださいね?」

勇者「大丈夫だよ、ありがとうね」

魔法使い「あれ?なにの話だったっけ?」

僧侶「勇者くんが何年か前にルイーダさんの酒場を手伝ってた時の話です、ふふ」

魔法使い「そーそー!」

勇者「ねえ、やめようよ、本当に、やめよう」

魔法使い「女の子のふくまできせられてたんだよねー、かつらまでかぶって」

僧侶「罰ゲームで2ヶ月くらいでしたっけ?」

勇者「マジであれは地獄だったよ」






男性「素敵なレディに育ってるんだろうなぁ……」



ルイーダ・盗賊((…………どうしよう……))



【煙はいつもの席で吐く】-完-



-番外-

【アンハッピーニューエイジ】


―ポルトガへの道中―



勇者「……?」

スタスタ……

勇者「……ん」

ヒョイッ

勇者「…………なんだろ、これ」



戦士「おーい、勇者ぁー」

商人「どうしたんですかー?早く行きますよー」


勇者「え?あ、うん!今行くー!」


スタスタ……


魔法使い「どーしたの?なんだか屈んでたけど」

勇者「ああ、なんか変なの拾ってさ」

魔法使い「へんなの?」

勇者「うん……えっと、これなんだけど」

魔法使い「どれどれ……?んー?なんだろこれ」

勇者「ね」

魔法使い「えっと……“すごろく券”?」

勇者「用途がよくわかんないよね」

魔法使い「どこかですごろくができるのかなっ?」

勇者「かなぁ」

遊び人「なになに?どうしたの?」

勇者「ああ、なんか変なの拾ってさ――……」


戦士「おい、なんだあれ?」


勇者「え?」

武道家「どうしたの?戦士」

戦士「いや、ホラ。あそこ」

盗賊「……うん、何か建物があるね……」

女勇者「どれだい?……あ、本当だ」

武道家「こんな中途半端な所に……なにかしら、店かなにか?」

女勇者「誰かの屋敷とか、そんな物かもしれないね」

戦士「どうする?行ってみるか?」

商人「いやなんでそうなるんですか」

戦士「でも、向こうの大陸渡ってからポルトガ着くまでにどのくらいかかるか分かんないじゃんか」

僧侶「もし店があったら、色々と揃えておきたいですね」

商人「む……それもそうですね」

女勇者「どうする?お義兄ちゃん」

勇者「うん、今日は早めに出発して時間に余裕があるから……少し寄ってみようか」

戦士「さんせー!!」

魔法使い「おみせがあるといいねぇ」

勇者「だね、薬草もあるに越した事はないし」

遊び人「ほら、魔法使いあんまり引っ付かないの」



……
…………


ザッ

―謎の建物―


女勇者「ふわー、近くで見ると結構大きいね」

盗賊「……だね、遠くからだと近く見えたけど、結構距離もあったね……」

商人「どうします?入ってみます?」

武道家「でも誰かの屋敷だったりしないかしら」

勇者「えっと、なにか表札や看板は……」キョロキョロ

戦士「お邪魔しまーす」スタスタ

勇者「うおーい戦士ぃー!」

遊び人「ホント怖いもの知らずだよね、戦士」

女勇者「まぁ、長所でもあるけどね。私達も行こうか」

武道家「うんっ、おーい!戦士ー、まってー」


……


―建物内―


戦士「おおおお……!」


キラキラ…


戦士「なんじゃこりゃ……!」

武道家「わ……すごいわね、これ……」

盗賊「……凄く高級感のある所だね……」

遊び人「何の施設なのかしらここ……流石に人の屋敷じゃなさそうだけど……」

客「おや、嬢ちゃんたち知らないの?」

商人「あ、他の人もいたんですね」

僧侶「私達、ここに来るの初めてなんですが……ここって何なんですか?」

客「ここはね、すごろく場だよ」

一同「「「すごろく場?」」」

客「ああ、自分が駒になって、自分でサイコロ振ってゴールを目指す娯楽さ」

僧侶「わあぁ、凄いですねー……こんなところがあるなんて」

客「これが中々楽しくてね、最後まで辿り着けば景品も貰えるし」

商人「景品!?」ピクッ!!

武道家「反応早いわね」

客「ああ、でもクリアするのは相当難しいけどね」

勇者「そうなんですか……でも楽しそうですね」

ガシッ

勇者「ん?」

商人「勇くん……」ゴゴゴゴ

勇者「え、な、なに?」

商人「是非やりましょう!景品を是非手に入れましょう!!」

勇者「えぇっ!?」

魔法使い「商人ってけいひんってことばによわいよねぇ」

女勇者「まぁ、タダで貰える物は大好きだよね、商人ちゃん」

遊び人「でも参加料ってかかるんじゃないの?」

商人「あっ……そうでした……」シュン

客「いや、ここは参加料じゃなくてね」

商人「えっ!?」シュビン!

客「すごろく券っていうチケットが参加料みたいなものなんだよ」

商人「すごろく券?」

客「ああ、ここじゃ配布してなくてね。不定期にどこそこで出回るらしいんだけど……」

盗賊「……じゃあどっちみち、私達参加できないね……」

武道家「そうね、まあしょうがないわよ」

商人「ぐむむ……」

魔法使い「ねえ、ゆーしゃ……すごろく券って」

勇者「うん、もしかして」ゴソゴソ

ゴソッ

勇者「……これの事かな?」

客「おお!それだよ!それがすごろく券!」

商人「!!」

戦士「お前いつの間にそんなん持ってたんだよ」

勇者「さっき外で拾ったんだ……そっか、これ勝手に持ってきちゃって悪かったかなぁ」

客「いや、いいんじゃあないか?要らない奴はすぐ捨ててしまうらしいからな」

商人「そうです勇くん!!!」ズイッ

勇者「うわびっくりしたっ」

商人「これは多分“やれ!”っていう神様からのお告げですよ!!やらない手は無いです!」

客「やるんなら二階に上がるといい。入ってすぐにスタート地点があるから」

勇者「そうなんですか……うーん……」

勇者(確かに今日は早く出発したから時間に余裕はあるけど……いいのかな、魔王討伐が名目の旅でこんな)

女勇者「いいんじゃないかい?」

勇者「女勇者」

女勇者「もう目的地はすぐそこだからね、娯楽に興じて息を抜いてもバチは当たらないんじゃないかな」

勇者「んー、まぁ……」

商人「ホラ早く行きますよ!!」グイッ

勇者「うわわわっ!ちょっと商人!!」

女勇者「まあ、第一商人ちゃんがうるさいしね……」

…………
……

―すごろく場・二階―


戦士「う」



キラキラキラ……



戦士・商人「「うおぉ――――!!!!!」」

戦士「なんだここ!!すげえ!!」

商人「テンションあがりますね戦士ちゃん!」

戦士「だな!」

武道家「わ……なにここ、すっごいわね……」

女勇者「ああ、こんな大掛かりな娯楽施設……どうしてこんな所に……」

遊び人「って、これ全部すごろくなの!?ええー!?」

魔法使い「くりあするまで相当かかりそうだね!」

勇者「えっと……スタートってあそこかな?」

スタスタ

勇者「あのー……」

案内人「ようこそいらっしゃいました!!ご利用ですか?」

勇者「はい、僕達初めてやるんですけど」

案内人「初めてですか。ではすごろく券はお持ちですか?」

勇者「はい。これでいいんですよね?」スッ

案内人「確かに受け取りました。では簡単にご説明させていただきます」

勇者「よろしくお願いします」

案内人「それでは……ごほんっ」


スゥゥゥゥ



案内人「レディ――――――――スエェェンドジェントルメンンンン!!!!!!!!!!!!!」



勇者「ものすごくびっくりした」

戦士「なんだこいつ」

案内人「さあさあこちらに注目だ!!!!粋なチャレンジャーが栄光の匂いを嗅ぎつけて今宵もやってきたぜ!!!!」


女勇者「昼だよね」

僧侶「うん、昼です」


客「へへっ、命知らずどもがやって来たようだ」

客「さぁて……御手並み拝見といこうか」

客「くひひ、しかしこのすごろく場はすごろく場の中でも最弱……」


戦士「あいつらは一体なんなんだよ」

武道家「あ、ギャラリーも結構いるのね」


案内人「今までも幾多のハイエナ達がその栄光を餌にした狡猾な罠の餌食になってきたっ……!!」

案内人「しかしッッ!!!!今回のハイエナは一味違うぜ!!!!!」


勇者「アンタ僕らの何を知ってるんだよ」

僧侶「初対面ですよね」


案内人「一度喉笛に喰らいついたら離さない!!!!!その姿はまるでッ!!さながら夜明けに轟く一筋の稲光!!!!!!!」

案内人「さぁそんな彼らに今回のルール説明だァ――――!!!!!」


勇者「あの、普通にやってくれませんか」


案内人「ルールは簡単ンンンンン、頼れる物は!!!!」

案内人「自分の身!!!!」

案内人「サイコロ!!!!」

案内人「そして持ち前のッ」



案内人・客達「「「「   勇  気ッ !!!!!!  」」」」



魔法使い「おわぁびっくりした」ビクッ

武道家「打ち合わせしてたのかしら」

女勇者「なんでこんなご機嫌なのこの人達」

案内人「サイコロに運命を委ね、出た目の数だけ前進!!!!!そして、ゴールした暁には!!!!」

案内人「なななななんとォ!!!!超豪華商品をプレゼントだァ――――!!!!!」


商人「うおおお!」フンスカフンスカ

僧侶「商人ちゃん、落ち着いて」


案内人「……しかし」

勇者「……?」

案内人「……ゴールした先にあるもの……真の、大切なもの……それは……」

案内人「っ……豪華賞品なんかじゃなく…………」

ギリッ…


案内人「……――絆――だということを君達はsr」


勇者・戦士・武道家「「「やかましいわ!!!!!!!!!!!!!!」」」


勇者「早く進行して下さい!!!!」

戦士「アホ!!!!アホ!!!!」

武道家「ちょ、ちょっと戦士……アホは言いすぎよ」


案内人「……っ……ご、ごめんなさい…………」


武道家「ほら、涙ぐんでる」

戦士「わ、悪かったよ……」


客「あの案内人を一喝で縮み上がらせただと……?」

客「へ……へへっ、こいつぁ今夜嵐が来るぜ……」ゴクリ


武道家「アンタらもしばらく黙ってなさいよ」


案内人「さて……あれ?」

盗賊「……?……どうかしました?……」

案内人「いえ、どなたが参加されるんですか?」

勇者「え?……ああ!」

女勇者「そういえばこれ一人用なんだね」

案内人「ええ、すごろく券一枚につきお一人様のご利用なので……いかがされます?」

勇者「うーん、どうしよう。商人やる?」

商人「え?……むぅ、そうですねぇ……」

勇者「楽しみにしてたんだし、やってくるといいよ」

商人「…………」

勇者「……商人?」

商人「……勇くんに譲りますよ」

勇者「え?」

武道家「あれれ」

遊び人「珍しいね、こういうの凄くがめついのに」

戦士「え!?だったらアタシが」

ガシッ

戦士「もぎゅ」

商人「戦士ちゃんは黙ってて下さい」

勇者「え、でも商人」

商人「勇くん」

勇者「え?」


商人「こういう風に、何かで遊ぶのって……しばらくご無沙汰なんじゃないですか?」

勇者「…………!」

女勇者「……」

武道家「……商人」

盗賊(……そっか、勇者って……)

僧侶(ここ数年はずっと……)

魔法使い(商人、それで)

遊び人「……うん、そうだね」

戦士「ああ、勇者がやれよ」

勇者「皆……」

ドンッ

勇者「!」

商人「ほら、スタート地点に行ってください」

勇者「商人……」

商人「そのかわり、豪華賞品ぜったい持って帰って来てくださいねっ」ニコッ!

勇者「……っ」

勇者「うんっ!まかせろ!」


案内人「さあ!決まりましたね!!」



[サイコロ残り回数:10回]

ザッ!

勇者「よしっ!!」


魔法使い「ゆーしゃー!がんばってー!」

武道家「気合みせないさいよー!」

盗賊「……怪我しないようにねー……」

戦士「無理はすんなよー!」

遊び人「ドジはあまり踏まないようにしないとねー!」

僧侶「もし怪我したら言ってくださーい!」

女勇者「さてさて……どうなるだろうね」

商人「ま、楽しめたらいいんですがね」


案内人「それではすごろく……レッツスタ――――トです!!!!!!!」

案内人「ではサイコロを振ってください!」

勇者「はい!」


女勇者「でも……よかったのかな」

商人「え?何がです?」

戦士「これでよかったんじゃねえの?あいつずっと息抜き無かったようなもんだし」

女勇者「ああ、うん。それじゃなくてね」

武道家「じゃあ何が?」

女勇者「お義兄ちゃんってさ」

戦士「うん」



女勇者「運、本当に悪い人だから」



一同「「「「…………………………」」」」

戦士「やー、さすがに、なぁ?」

魔法使い「うん、そうだよっ」

僧侶「ですよ、きっと大丈夫――……」



勇者「それっ!」


コロコロ……


ピタ


サイコロの目  : 一



戦士「……」

商人「……」

武道家「……」

盗賊「……」

魔法使い「……」

僧侶「……」

遊び人「……」

女勇者「……」

勇者「…………あ、あはは。幸先悪いね」

勇者「それじゃ、一歩、と」スタスタ



ガコッ



勇者「え?」


[うわっ、落とし穴だ!]


勇者「えっ、ちょتعليمية كمثيلاته」ズゴンッ


ヒュゥゥゥゥゥ……

ゥゥゥゥ……

ゥ……



ゴンッ……






案内人「……」

客「……」

戦士「……」

商人「……」

武道家「……」

盗賊「……」

魔法使い「……」

僧侶「……」

遊び人「……」

女勇者「……」




【アンハッピーニューエイジ】-完-

番外編終わりです
次スレに移行したいと思います

去年は更新ろくにできずに申し訳ありませんでした
今年は頑張りたいと思いますので、続けさせてください。
ありがとうございました

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