やよい「伊織ちゃん、はいこれ!」(66)

やよい「うぅ……やっぱり今月も足りないなぁ……」

やよい「でも、これ以上どうしようもできないし」

やよい「……そうだ!」

やよい「えへへ、お金が無くても皆が楽しく笑顔になればそれでいいかなーって!」

そうしてやよいは
なけなしの貯金でケーキを買ってきた

冬のために備蓄していた灯油を
部屋に巻くと

みんなを呼び寄せ ケーキをロウソクを立てた
やよい「みんな~火を着けるよ~!」ウッウー



やよい「えへへ、お金が無くても皆が楽しく笑顔になればそれでいいかなーって!」



-fin-

やよい「伊織ちゃん、はいこれ!」

伊織「あら、どうしたのやよい? え? これって……」

やよい「うん! 前に食べたいって言ってたから作ってきたよ!」

伊織「そんな、別にやよいの家に行った時でもよかったのに……それにこんな沢山食べきれないわ」

やよい「余っちゃったら他の皆にも分けてね! でも、もしいらないなら」

伊織「い、いやいらないわけないじゃない。ちょっとびっくりしちゃっただけで、すごく嬉しいわよ」

伊織「ありがとう、やよい。後でありがたくいただくわ」

やよい「えへへー! どういたしまして!」

伊織「それにしても……どうしてこんな急に。何かあったの?」

やよい「ううん、お金がちょっとだけ余ってたから!」

伊織「そう……なの? まあ、ありがたく受け取っておくわ。でも、無理はしないことよ、わかった?」

やよい「うん! えへへ、伊織ちゃんの笑顔が見れました!!」

やよい「春香さん、はいこれ!」

春香「え? あ、やよい。え、これ私に?」

やよい「はい! 春香さんに似合うかなーって思って!」

春香「キレイなリボン……でもこれ高かったんじゃない? 誰かからもらったとか?」

やよい「いえ! ちょっとお給料の残りがあったので!」

春香「え、えぇ!? ど、どうして私なんかに!」

やよい「えっと、春香さんが喜んでくれるかなーって思ったんですけど」

春香「そ、それは嬉しいけど……本当にもらっていいのかな?」

やよい「はい!! 春香さんが喜んでくれたら私も嬉しいです!」

春香「そっか……えっと、それじゃ……どうかな?」

やよい「わー! やっぱりすっごく似合ってます!!」

春香「え、えへへそうかな? ありがと、やよい!!」

やよい「いえ! えへへ、春香さんの笑顔も見れました!」

やよい「千早さん、はいこれ!」

千早「高槻さん? これは……」

やよい「えっと、店員さんに聞きながらだったのでもしかしたら使えないかもしれないですけど……」

千早「いえ、これ……すごくいいものよ。でも、こんなヘッドフォンどうして」

やよい「千早さんにはもっともっとすっごい歌を歌って欲しいなーって思ったんです! それで、何がいいかなぁって」

千早「そう……いえ、それは嬉しいのだけれど……どこで」

やよい「もちろん買ったんです! あんなおっきな電気屋さん行ったのは久しぶりでしたけど!」グー

千早「あら? 高槻さん、まだお昼食べてないの?」

やよい「あ、ごめんなさい! ちょっとご飯のお金が今なくって……でも平気ですよ!」

千早「まさか……高槻さん? その……」

やよい「大丈夫です! 私は千早さんが喜んでくれれば! それで、もっともっといっぱい歌を聞かせて欲しいなーって!」

千早「……わかったわ。それじゃあ、これはありがたく受け取っておくわ。ありがとう、高槻さん」

やよい「いえ!! えへへ、千早さんの笑顔も見れました!」

やよい「亜美、真美、はいこれ!」

亜美「ん? どしたのやよいっち……って何これ―!! ちょ、ちょっと真美!!」

真美「んー? ってうわぁあ!! ど、どしたのさこのタイリョーのゲーム! うわ! 最新のPs VETAもあるじゃん!」

やよい「亜美と真美が前から欲しがってたから買ってきちゃったの!」

亜美「か、買ってきちゃったってこれ相当高かったっしょ?」

真美「そうだよ! ぶっちゃけやよいっちに買えるもんんじゃないっていうか、本当どしたのこれ?」

やよい「だから買ったんだってばー! どうしてもいらないっていうなら」

亜美「あ、い、いるいるいります!! ありがとうございますやよい様ー!!」

やよい「えへへ……あっ」ゴシゴシ

真美「どったのやよいっち? あ、もしかしてちょっとだけやってみちゃったりしたー? それで目、疲れちゃったとか!」

やよい「う、ううん。ちょっと明かりがまぶしくって。家、電気もガスも止まっちゃったから」

亜美「え? そ、それって……このゲーム買ったせい?」

やよい「ううん、大丈夫! 私は二人が喜んでくれれば! そのかわり、喧嘩とかしちゃダメだよ?」

真美「んー、わかった! ありがとね、やよいっち!! 今度やよいっちも一緒にやろー!」

亜美「そーだよ! 一緒にやろー! やよいっち、ありがとー!」

やよい「美希さん、はいこれ!」

美希「うん? やよい? え、これ……どしたの?」

やよい「美希さんはいつもぐっすり寝てるのでいらないかもしれないですけど、これすっごく気持ちいんです!」

美希「ううん、いらなくない……いらなくないのやよい!! これすっごいの! ふかふかなの!!」

美希「で、でも……どしたの? 誰かからもらった、とか?」

やよい「もらったんじゃないですよ。ちゃんと買ったんです!」

美希「どうして美希に? だってやよい……ていうかこれ、すっごく高いよ? 美希だってこれ買うの大変なの」

やよい「みんな学校にも行かなくなったのでお金は結構あるんですよー!」

美希「え? 学校? や、やよい?」

やよい「大丈夫です! 私は美希さんが喜んでくれれば! これでぐっすり寝ちゃってください!」

美希「あ、え、えっと……ありがと、なの。……でも、無理しちゃダメだよ?」

やよい「はい!」

美希「これがあったらいつもより起きるのが辛くなりそうなの……あふぅ」

美希「でもやっぱり幸せ……あはっ! 本当、ありがとなの! やよい!」

やよい「いえ!! えへへ、美希さんの笑顔が見れました!」

やよい「真さん、はいこれ!」

真「あ、やよい! こ、これって……」

やよい「るーむらんなー? とか店員さんに聞いて買ってきました!」

真「それだけじゃないよ……事務所がトレーニングジムみたいになって……こ、これ何かの企画?」

やよい「いえ! 全部買ってきちゃいました! だからこれ、全部真さんのですよ! えへへ、置くところが難しいですけど」

真「か、買ってきたって……全部? え? だ、だって……どうやって」

やよい「まだ貯金が残ってたみたいなので、それでなんとか足りました!」

真「ちょ、貯金!? ど、どうしよう……僕そんなにすぐ返せるかな……」

やよい「いえ!! 返すとか、無しです! 私は真さんが喜んでくれればそれで! そのかわり、皆使ってあげてください!」

真「で、でも……本当に……? ドッキリとかじゃなくて?」

やよい「はい! 大丈夫です、私は真さんの笑顔だけで!」

真「そ、そう言われると照れるっていうか……本当なんていったらいいか。このお礼はいつか必ずするから!」

やよい「あ、でも……」

真「大丈夫、これは僕のケジメだからさ! でも、だからこれはありがたく受け取っておくよ! ありがとう、やよい!」

やよい「あ、はい! えへへ、真さんの笑顔が見れました!」

やよい「雪歩さん、はいこれ!」

雪歩「あ、やよいちゃん……これは……?」

やよい「えっと、茶畑って言うみたいです。雪歩さんが好きなお茶を作れるようになってます!」

雪歩「……え?」

やよい「これ、雪歩さんへのプレゼントです!」

雪歩「あ、えっと……茶畑の絵葉書ってこと、だよね?」

やよい「いえ! えっと、私にはよくわかんないんですけど品種?とか土地の契約書?とかもあります!」

雪歩「……ほ、本当だ。で、でもやよいちゃんこれどうして……」

やよい「実はここ、ウチだったんです!」

雪歩「……え? や、やよいちゃん?」

やよい「大丈夫です! 今は外も寒くないですし、皆ちゃんと暮らせてます! それに、私は雪歩さんが喜んでもらえればそれで!」

雪歩「や、やよいちゃん……でも、私こんなのもらって……どうしたら」

やよい「喜んでもらえたら! それと、できれば作ったお茶を飲ませて欲しいなーって!」

雪歩「そ、それはもちろんだよ!! でも、実感ないなぁ……本当だとしたら……あ、ありがとう。本当、ありがとうやよいちゃん」

やよい「いえ!! えへへ、雪歩さんの笑顔が見れました!」

重い

やよい「律子さん、はいこれ!」

律子「あら、やよい。どうしたの? 何、この紙」

やよい「いろんな人に頼んでもらったので、私は何もしてないんですけど」

律子「……この住所に、建物の名前……どうして事務所が」

やよい「えっと、小鳥さんとかとお話してるのを聞いちゃって……新しい事務所が欲しいなーって言ってたので」

律子「あぁ……そういうこと。ふふ、やよいは優しいのね。ありがとう、でもそんな心配しなくても」

やよい「それ、律子さんへのプレゼントです! 私は律子さんが喜んでくれればそれで!」

律子「やよいは本当、素敵な人になるわ。でも、どうしてこれを?」

やよい「なんていうか、高く売れるって聞いたので! 二つあるから、一つくらいはなくても大丈夫、とか?」

律子「……ふーん。でも、まさかやよいからそんな話をされると思ってなかったわ。これからは気をつけなくちゃね」

やよい「いえ! 私が勝手にしたことなので! 喜んでもらえましたか?」

律子「それはもうこれ以上ないくらいね。後でみんなにも報告しなきゃ。繰り返しになっちゃうけど、本当ありがとう」

やよい「えへへ、律子さんの笑顔が見られてよかったです! それじゃ!!」


律子「いや……まさかね。 ……もしもし。はい、この物件について……売約済み? は、はいありがとうございます」ガチャン

律子「……やよい? いや……まさか本当に……ならあの子が売ったのは……」

やよい「あずささん、はいこれ!」

あずさ「どうしたのやよいちゃん? あら、この写真は……」

やよい「お医者さんって言ってました! あずささんと会ってもらう……じゃなかった! 会いたいって言ってました!」

あずさ「あ、あら……どうしてそんな、急に?」

やよい「私が言うのは変ですけど、あずささんは運命の人を探してるんですよね!」

やよい「そのお手伝いができたらなって思って! このお見合いがあずささんへのプレゼントです!」

あずさ「あらまあ……ふふ、やよいちゃんにそこまで気を使われちゃってるとはね」

やよい「迷惑でしたか……?」

あずさ「いえ、そんなこと! むしろ、せっかくお話しを取り付けてくれたんだもの。何かの縁かもしれないし、一度会ってみようかしら」

やよい「本当ですか!? それならよかったです!!」

あずさ「でも、どうしてこの人のことを知ったのかしら。元々知り合いか何か?」

やよい「あ、いえ! たまたま弟たちの具合が悪くなったのを通りすがりのこの人が助けてくれて!」

やよい「その後いろんなことを話したんです!」

あずさ「なるほど、そういうこと」

あずさ「でも、この経歴を見ると学歴もすごいしルックスも確かに悪くないけど……優しい人だった?」

やよい「はい! 最後まで優しくされました!」

あずさ「最後まで……? あ、診察のことかしら」

やよい「それもですけど、お金がなかったので」

あずさ「や、やよいちゃん? その……お金がないって言うのもそうだけど、通りすがりの……とか」

やよい「そうなんです。お金がないんです、っていったらついてきてくれって言われて」

あずさ「……詳しく聞かせてくれないかしら?」

やよい「あんまりしゃべっちゃダメって言われたんですけど、あずささんにだったら!」

やよい「私、もう何も持ってないんです。お金も、家も。持ってるのは弟達くらいで」

やよい「だから助けてあげたくて! そしたら、私とかすみが呼ばれて」

やよい「何をするんですかって聞いたら、”春”を売ってくれるだけでいいよ。って。」

やよい「それからは注射を打たれて眠っちゃってたのでよく覚えてませんけど! 起きたらなんともなくて、最後まで優しかったです!」

あずさ「……」

やよい「あ、私そろそろ行かなきゃ! あずささんが喜んでくれたのでよかったです! それじゃ!」



あずさ「やよいちゃん……どうして……」

やよい「響さん、はいこれ!」

響「あ、やよいか! どうしたんだ? これは……」

やよい「新しい動物園です! そして、園長さんは響さんです!」

響「え、えぇえ!? こ、これが自分の……って何の冗談だ、やよい? 流石の自分でもこれにはひっかからないぞ!」

やよい「本当です! 世界中の動物たちが集まってくるみたいです! だから、ぜひ響さんにって!」

響「……ほ、本当に自分の……動物園なのか?」

やよい「はい! それに、動物たちは響さんが自由にしていいそうです!」

響「えっ?」

やよい「檻から出してあげてもいいし、逃がしてもいい、 欲しい動物がいたら届けてくれる、そんなことを言ってました!」

響「そ、そんなに自分が好き勝手していいのか? 確かに動物たちをずっと檻にいれるのは嫌だから……」

響「本当にそんな風に動物たちと暮らせたら……で、でもやよい、どうしてそんなことができたんだ?」

やよい「同じような動物園があるみたいなんです」

響「同じ?」


やよい「その動物園のための、”動物”を売ったお金で、響さんの動物を買ったんです!」

響「……よくわかんないぞ。もっとわかりやすく説明してくれないか!」

やよい「それは外国にあるみたいで」

やよい「普通の動物園と同じくらい人気があるんですけど、その動物がなかなか集まらないって」

響「そんな珍しい動物園があるのかぁ」

やよい「なので私が売ったんです! そしたらすっごく高く売れたんです!」

響「うーん……自分としては動物をお金にするのはあんまりいいと思わないけど……仕方ないのかな」

やよい「そのおかげで他の動物が自由になれるって思ったら……私もよくわかりませんけど」

響「自分もわかんないぞ! でも、やよいって何か飼ってたか?」

やよい「飼っては無かったですけど、売ったのは5匹ですよ」

響「そんなに持ってたのか。なんていう動物だ?」

やよい「響さんもあったことありますよ! でも、普通の動物園にはいないんです!」

響「うー……自分そういうなぞなぞみたいなの苦手だぞ……」

やよい「とにかく、動物園は響さんのものです!! 喜んでくれましたか?」

響「あ、う、うん。それはもちろんだぞ!! どこまで本当かわかんないけど……ありがとな、やよい!!」

やよい「いえ! えへへ、響さんにも喜んでもらえてよかったです! それじゃ!」

響「あ、うん! 自分の動物園かぁ……本当にあるのかな? でも……やよいの言ってた動物って……?」

やよい「貴音さん!」

貴音「おや、やよいではありませんか」

やよい「貴音さんは何か欲しいもの、ありますか!」

貴音「欲しいもの? はて、そう漠然と聞かれるとすぐに思い浮かびませんね……」

やよい「私もいろいろ考えたんですけど、難しくって」

貴音「おや、私はやよいに何か頼みごとをしましたか?」

やよい「いえ! 私が皆にプレゼントをしてるだけです!」

貴音「なんと、そういうことでしたか。いや、その気持ちは十分に受け取っておきましょう」

貴音「ですが今すぐに欲しいものというのは、特にはありません。やよいのその気持ちだけで十分満足です」

やよい「そう、ですか? でもなんでもいいんですよ! なんでも!」

貴音「ふふっ、なんでもですか?」

やよい「はい! 今の私は、たいていのことはできちゃいますから!」

貴音「それはそれは。それでは……今すぐ最高のラーメンを作っていただくことは可能でしょうか?」

やよい「今すぐ……わかりました! ちょっとやってみますね!」

貴音「ふふっ、楽しみにしております」

やよい「お待たせしました!」

貴音「なんと……3分を待たずしてこの見た目。私としたことが、やよいを侮っておりました」

やよい「えへへ、どうぞ! 遠慮なく食べてください!!」

貴音「それでは……」

やよい「ど、どうですか?」

貴音「……真美味ですね。いえ……これは……」

やよい「……」

貴音「……申し訳ありません。本当に侮っておりました。いえ、大げさかとは思うのですが」

貴音「失礼を承知で申し上げるなら……やよいが作ったものであれば最低限心のこもった味として伝わると」

貴音「ですがこれは……まごうことなき完成されたラーメン……」

貴音「私が今食べたいラーメンにほぼ一致している……ただ美味というだけではこの気持ちを伝えきれぬほどに」

貴音「……おっと、少々しゃべりすぎてしまいました。ですがやよい。これは……おみそれいたしました。本当に、美味しゅうございます」

やよい「えへへ、よかったです! でも、それ私が作ったわけじゃないんです!」

貴音「……なんと」

やよい「世界中から、貴音さんに合うようならーめんを作ってもらったんです!」

貴音「世界中、とはまた」

やよい「さっき言いましたけど、今の私はほとんどのことができちゃうんです」

やよい「今すぐ貴音さんの好きなラーメン屋さんを開くことだって!」

貴音「それもまた面白そうですが、やはり私は食べる方に専念したく思いますね」

やよい「そうですか? 他にも……うー……例えがうまく上がりません」

貴音「ではやよい、どうして先のラーメンを作れるほどの力を?」

やよい「お金ですよー!」

貴音「……お金、ですか」

やよい「はい! お金を出せばだれでもいう事を聞いてくれるんです!」

貴音「しかし、そのようなお金……どこに」

やよい「私、何も持ってないんです。お金も、家も、兄妹も。唯一持ってたのが、この事務所の皆でした!」

やよい「だから、このままじゃ貴音さんに何も渡せないなーって思って。売ってみたんです」

貴音「……売る?」

やよい「はい! そしたら、思ったよりすっごく売れました!」

やよい「事務所のみんなの事、いろんな人に教えただけなんですよ!」

貴音「やよい……?」

やよい「いろんな人に教えて、お金をもらって、また教えたらその人からもお金をもらって!」

やよい「こんな簡単にお金に変わっちゃうなんて思ってもみませんでした!」

やよい「多分今頃、いろんな人が事務所のみんなのところに遊びに行ってます!」

貴音「……」

やよい「でも私は、もう何ももってないので」

やよい「このお金だけ使うことを考えればいいんです!」

やよい「お金しかもってないですけど、これだけあったら貴音さんのこと、笑顔にできますよね!」

貴音「……」

貴音「そうですね、やよい。真、金があれば人は笑顔になる。私も……例外ではありません。」

貴音「事実、あのラーメンはおいしかった。それが何よりの証拠。……ありがとう、やよい」

やよい「えへへ……貴音さんも笑顔になってくれました!」

貴音「……友を売って、何を得るというのですか」

やよい「皆の笑顔です!」

貴音「……そう、ですか」

やよい「……」

やよい「これで、何もなくなったなぁ」

やよい「……これでよかったんだよね」

やよい「お金がなかったんだから、これくらいできたらすごいよね!」

やよい「お金も、家も、兄妹も……友達も?」

やよい「全部、全部なくなっちゃったなぁ」

やよい「えへへ……もう、いいかな」



P「……やよい」

やよい「あ……プロデューサー」

P「聞いたぞ」

やよい「……えへへ。プロデューサーが残ってました」

P「……」

やよい「ごめんなさい。私……もう、何ももってなくて」

やよい「なので……こんなボロボロでよかったら……”私”をあげます!」

P「……」

やよい「……いらないですよね」

やよい「でも、私にはもう……」


ギュッ

やよい「え……」

P「何も残ってない?」

やよい「プロ……デュー……」

P「それはこれを見てから決めるんだな」スッ

やよい「え……」







やよい「なんで……」


やよい「……みんな」

伊織「やよい? まさか私のこと、忘れたなんていうんじゃないわよね?」

やよい「伊織ちゃ……でも、私……」

伊織「……アンタがしてること皆に聞いたわ。確かに、様子がおかしかったから」

伊織「悪いけど、先に手回しさせてもらったの。良くも悪くも、アンタ一人じゃ動けないだろうと思ってね」

やよい「それ、じゃ……」

春香「やよいが使ったお金は、全部伊織のところにあるってこと!」

千早「プレゼントはありがたいけど、それよりも貴方の方が大事だもの」

やよい「春香さん……千早さん……」

美希「やっぱりあのベッドがあると起きれないの! なんて……やよいからプレゼントもらって嬉しかったけど」

亜美「そのやよいっちがいないんじゃ、意味ないもんねー!」

真美「そーだよ! 真美たちとゲームやるってところまでがプレゼントだかんね!!」

やよい「美希さん……亜美、真美……」

あずさ「話を聞いたときは……本当に、どうしようかって思ったけど。よかった……本当によかったわ、やよいちゃん……」

響「……自分も後から話を聞いたぞ。やよい!! どうかしてるぞ!!」

やよい「あずささん……響さん……」

真「やっぱりあの量は僕の家には収まりきらなかったよ! その前に自力で家を買わなきゃね!」

雪歩「わ、私も。あの量の畑を一人で耕すのは……」

やよい「真さん……雪歩さん……私」

律子「なーんて皆言ってるけど、プレゼントを受け取って嬉しかったのは本当」

律子「そりゃ私だって、最初聞いたときはまさかって思ったけど」

律子「電話口に伊織が出て、ホッとしたわ。それと一緒に、鳥肌が立ったけどね」

律子「……やよい。一人で抱え込んじゃダメ。全部、本当だったら今頃どうなってるか」

やよい「律子、さ……ごめ……なさ……わた、し……」ジワッ

P「……やよい。今回は、しょうがない」

P「お前たちに直接危害が加わる前に対応ができたことが何よりだった」

P「ちゃんと家もある。長介たちだって無事だ。それに、臓器も体もなんともない」

P「もちろん……事務所の情報なんて一切漏れてない。安心していい。でもそのかわり、いう事があるだろう?」

やよい「あ、う……わ、わたし……ごめんなさいっ!!!!」

やよい「わたし、わたしぃ……」ボロボロ

パシッ

やよい「っ……」

伊織「謝ればいいってもんじゃないわ。やよい、アンタは危うく本当に全部失うところだったのよ」

伊織「それも、アンタだけじゃない。アンタの周りの人全部巻き込んで。それがどういうことかわかってる?」

やよい「いおり、ちゃ……」

伊織「……でも、それがアンタの優しさのせいだったっていうなら」

伊織「ちゃんとみんなに謝って、それをプレゼントにしなさいよ」

やよい「う、うぅ……うん、ごめん、ごめんね……みんな、ごめんなさい……」


律子「よし! とりあえずこれで一件落着!」

P「なかなかひやっとさせられたな。だけど、俺たちにも課題ができた」

律子「そうですね。でも……改めて実感した、かな」

P「え?」

律子「やよいの、底なしの優しさ。確かにあれは、天使ですよ」

P「そういうもんですかね」

律子「さぁ? 危うく悪魔になるところでしたけど」

伊織「やよい、はいこれ」

やよい「えっ? これ……」

伊織「アンタ、あんなに偉そうなこと言っといて作ってきた料理タッパーに詰めてくるってどういうこと?」

やよい「あ……」

伊織「いいのよ別に。どうせ、これからはあんな馬鹿みたいな生活できないんだから、必要でしょ?」

やよい「伊織ちゃん……」

伊織「それに、そっちの方がお似合いよ。分相応」

やよい「……そう、だよね」

伊織「……べ、別にアンタのことを悪く言ってるわけじゃないのよ。ただ、人には似合う似合わないっていうのがあって……」

やよい「うん、大丈夫。……あ、ちゃんと洗って……えへへ、全部食べてくれたんだ」

伊織「あ、当たり前でしょ! せっかく作ってもらったんだから……それに私がもらったのは、やよいが自力で作ったものでしょ」

伊織「だから、今度他のみんなにあげる時も、そうしなさいよ。きっとその方が皆喜ぶわ」

やよい「……うん! そうだよね! ……ありがとう、伊織ちゃん」

伊織「……私も、ありがとう。やよい。……にひひっ」

やよい「……えへへ。それじゃ、今日からまた頑張っていきまーっす! うっうー!!」   終

春売ったのはガチなのな

>>49から

P「……お前は優しすぎたんだよ、やよい」

P「だから、”よかったら”じゃない。俺が、そうしたんだ」

P「俺がお前を養ってやる」

P「だから……まだ諦めるな」

やよい「えへへ……プロデューサー」

やよい「全部……プロデューサーに、あげます……」

やよい「皆笑顔にするって、思ってたのに……」

やよい「約束守れなくて……」

やよい「……ごめんな、さい」



P「……やよい」

P「……全部でいくら入るんだろうな」

P「ふ、ふふ……」

BAD END

ハッピーエンドは無理やり感があるなぁと思いながら

>>62
注射されて眠らされてただけだよ!ハッピーエンドの時は!

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