コニー「腹減ったなあ」 ベルトルト「・・・」(90)

夜、男子寮


コニー「あー腹減ったなあ」


ジャン「そりゃこの訓練所の飯じゃな」


コニー「いや違うんだよ。最近妙に腹が減るんだ・・・お前感じないか?」


ジャン「最近? 別に変わらねーよ。運動量が急に増えた訳でもねえし」


マルコ「きっと成長期なんだろ、コニー」


コニー「本当か! やった!」


ジャン「まあそんなに飯足りてねえなら、伸びようもねーだろうけどな」


マルコ「おいジャン・・・」


コニー「あー今度の休みでも、なにか食いに行きてえなあ」



ライナー「皆、そろそろ消灯するぞー」


ジャン「んー」


マルコ「はーい。戻ろう、コニー」


コニー「ああ。・・・あー、腹減った・・・」





翌朝


マルコ「・・・、・・・? 痛ッ・・・! !?」ガバッ


コニー「・・・」モグモグ


マルコ「・・・コニー? っいたた! 起きてくれ、おい!」

ジャン「うるせー、なんだよ・・・マルコか?」


マルコ「ジャン! ちょっとコニーを離してくれないか」


ジャン「はあ? っふ、はははは! なにやってんだコニー、マルコの手食ってんのか!?」


コニー「うー、ううー・・・!」ガリガリ


ジャン「巨人にでもなっちまったのかよ・・・って本当に痛そうだな・・・」


マルコ「いたたた・・・! コニー! コニー起きろ!」ユサユサ


ジャン「コニー! おい、バカ、起きろ」ペシッ


コニー「んあ?」


マルコ「ああ、取れた・・・。ってて」


コニー「あれ?マルコ・・・、! まさか俺、おまえの手食べちゃってたのか?」

ジャン「お前にしては察しがいいじゃねえか」


マルコ「はは、寝ぼけてたんだろ。歯型がついただけだし、気にするなよ」


コニー「いや、すまん! 医務室行くか?」


マルコ「平気平気」


エレン「おはよう。なんだ、なにかあったのか?」


マルコ「実は・・・」


ジャン「コニーのバカが腹減ってマルコの手食べちゃったんだよ」


エレン「はあ? なんだよそれ・・・」


アルミン「おはよう・・・コニー、本当なの?」

コニー「・・・あ、ああ。本当だぜ。俺どっかおかしいのか・・・」


ジャン「おいおい・・・んな真剣になるなよ。知恵熱起こすぞ?」


ライナー「おはよう。どうかしたのか?」


コニー「・・・巨人になってマルコを食べる夢を見ちまって」


ライナー「・・・・ほう」


ベルトルト「・・・」

夕方・対人格闘訓練


サシャ「コニー? 体調悪そうですけど大丈夫ですか?」


コニー「おう。 平気だよ、ただ腹減ってるだけだ・・・」


サシャ「それは辛いですね・・・わかります。身体動かして忘れましょう!」ダッ


コニー「おし! こい、サ・・・しゃ?」クラッ


サシャ「!?」


バキッ


コニー「・・・!」バタン


サシャ「こ、コニー! すいません、まさか本当に鳩尾にいくとは・・っ、あの、コニー!」

クリスタ「ん・・・? サシャ! コニー、一体どうしたの!?」


ユミル「はあ、やっちまったな。こりゃ伸びてるぜ」


サシャ「クリスタ、ユミル・・・! い、いま医務室に・・・っあああ」


クリスタ「落ち着いて! わたしが運んでいくから! ふっ・・・!」グイ


ユミル「無理だろ。ったく、わたしの嫁が潰れたらどうすんだよ」ヒョイ


クリスタ「ユミル・・・ありがとう、運んでくれるのね」


サシャ「いいんですか?」


ユミル「ああ? そこの芋女のへっぴり腰じゃ運べっこねえだろ」


サシャ「す、すみません・・・」




・・・


コニー「・・・ん? ・・・?」


ユミル「チッ・・・起きたのかバカ」


コニー「・・ん・・・んん・・・、・・・ユミル・・・?」ボーッ


ユミル「おう。・・・ハハ、寝ぼけてんのか。ママの背中と思ったか?」


コニー「ああ?・・・っ、・・・はあ、はあ・・・」クンクン


ユミル「!? ・・コニー?」ゾワッ


コニー「はあ、はあ・・・っ、おまえ、ユミルかよ・・」


ユミル「ああ? そうだよ。ハッ残念だったな、エロい夢見てたんだろ・・・?」


コニー「いいにおいがする・・・」ボソ


ユミル「おい、背中になんか当たってるんだよ。かてーのがな? ホントいつまで寝ぼけてんだ? コニー・・・」


コニー「・・・」クラクラ


ユミル「早く目え覚まさないと、ヤベエ噂流されることになるぞ・・・っうわ!?」ビクッ


コニー「うー・・・!」ガジガジ

ユミル「うわっ、ハハ、くすぐったッ、・・・おいバカコニー! それはテメーのママのじゃねえよっ・・・」バタバタ


ライナー「コニー。女子に運ばれたって・・・って、ええ?」


ユミル「そこはわたしのうなじだっつの!」


コニー「はあ、はあ・・・! うまそう、うまそうだ・・・!」ガジガジ



夜、倉庫裏


アニ「・・・」カチャ


ベルトルト「アニ」


ライナー「よう。悪いな急に」


アニ「別に。どうかした?ライナー」


ライナー「コニーのことだ」



アニ「・・・コニーが大怪我でもした? 聞いてないけど・・」


ベルトルト「いや、それは違うよ」


ライナー「おう。怪我はしてねえ。が、様子が変なんだ。まるで巨人になっちまったみたいでな・・」


アニ「巨人?」


ライナー「ユミルを見て、「おいしそう」だと。実際、目の前で本気でうなじをかじってやがった」


アニ「寝ぼけでもしてたんじゃないの?」


ライナー「それだけじゃない、巨人になった夢を見たと言うんだ。
    

     まあ普通のヤツなら、これだけで判断するのは気が早すぎるんだが」

ベルトルト「彼はラカゴ村の出身だからね。あそこは例の巨人化計画の実験候補の一つだろ? 


      なんかしらあって、今実験が行われようとしていて・・・


      その影響が彼に出ているのかもしれないと思って」


アニ「その実験は少なくとも次壁を壊してからでしょ? でないと・・・。


   ・・・まあ女子からも情報を集めとくよ。


   それでいい、ライナー?」


ライナー「おう」


アニ(コニーが巨人に。計画の変更? 故郷で何が・・・。しかしユミルか。面倒だけど話を聞かなきゃな)

女風呂

クリスタ「ユミル! 髪をそんなに乱暴に洗っちゃ・・・」

ユミル「いーんだよ適当で」ワシャワシャ

クリスタ「もう・・・!」

アニ「・・・」チラッ

アニ(ユミルに変わったとこは見られない・・・し、うなじに噛み跡みたいのもないな・・・。

   コニーもそこまで強く噛んだ訳ではない? 

   でももし巨人化の影響なら力加減なんてできないはず・・・)

サシャ「・・・お腹空きました・・・」チャプチャプ

ミーナ「ふふ、もう夕飯食べたじゃない」

サシャ「あれじゃ足りないんです・・・コニーもお腹すくって言ってましたよ」

アニ「・・・」パシャ

ミーナ「あ、アニ。お疲れさま~」

アニ「うん。・・・サシャ、お腹空くって、あんたはそればっかだね」

ミーナ「相変わらず厳しいな~アニは」

サシャ「いや、ですからわたしだけじゃないんです! コニーもお腹空いたってフラフラでしたよ。

    そうそう、それでうっかり対人格闘で鳩尾入れちゃって・・・」

ミーナ「本当に? ならホントに腹ペコだったのかなあ」

アニ「それで? コニーはその後どうしたの」

サシャ「その後ですか? ユミルが運んでくれたんです。わたしはなんか慌てちゃってて・・・」

ミーナ「ユミルは力も強いもんね。今期の10番内間違いないよ・・・わたしも頑張らなきゃ」

クリスタ「お邪魔するね」パシャ

ユミル「よ、なに盛り上がってんだよ」バシャ

ミーナ「10番以内に誰がいくかって話。あなたのことも話してたのよー」

ユミル「あー無理無理、やる気ねーから」ハッ

ミーナ「もー素直じゃないっていうか・・・」

クリスタ「あ、再来週の宴会で、ユミルにお酒たくさん飲んでもらおう!」

ミーナ「いいね! お酒飲むと本音が素直に出るっていうし・・・いて」ゴツン

ユミル「バーカ、わたしはいつでも正直だっての」

サシャ「あ、ユミル。コニー今日大丈夫でした・・・?」オズオズ

ユミル「そうだよ、誰かさんのせいで余計な手間だ・・・。
  
    あのバカは寝ぼけてたけど、まあ大丈夫なんじゃねえの」

アニ「寝ぼけてた?」

ユミル「っくくく、そうなんだよ。アイツ私のことを母親と勘違いしてよ・・・」

クリスタ「かわいいじゃない」

アニ(『おいしそう』の話はでないな・・・ユミルも気を使ってるのか。

    ライナーにもっと詳しく状況を聞いておくんだった・・・。

    でも、この様子じゃ、そう異常だったって訳じゃないだろう)フウ

アニ「先にあがるよ」ザバ

ミーナ「いつも上がるの早くない? アニ」

アニ「熱いの苦手なんだよ・・・」ペタペタ

アニ(本当は馴れ合いすぎたくないからだけど・・・)チラ

キャッキャッ

アニ(いいな・・・。なんて、彼女らと本気で仲良くなりたいってほど、バカになれないよ)



アニ(・・・! コニー)

コニー「お。よう、アニ」

アニ「ああ・・・」

コニー「~♪」スタスタ

アニ(・・・別に普通に見えるけど)

コニー「・・・」ピタッ ガシッ

アニ「!?(腕を掴まれて・・・)・・・なに?」

コニー「アニ・・・なあ、お前・・・なんかいい匂いするな?」ギラッ

アニ「はあ? ・・・!?」

アニ(なんだこのコニーの顔・・・っていうか、目・・・!)

コニー「なんだろうな・・・。今まで思ったことなかったんだけど、スゲーうまそうでさ・・・」

アニ(白目と黒目が逆転してる! 巨人化する直前の兆候じゃないか!)

アニ「・・・あんた、一体、っ!」

コニー「・・・」グググググ

アニ(腕をすごい力で引っ張ってくる・・・口に入れる気!?  
   
   まずい、間合いが近すぎる、技がかけれない)グググ・・・

コニー「・・・なあ頼むよ、指一本、指一本だけでいいんだ・・・!」グググググ

アニ「やめ、離し・・・っ、コニー!」ググ・・・

アニ(力任せに振り払いたいけど、単純に力じゃ適わないし、
   
   ヘタに大怪我でもさせたらシャレにならない・・・!)グ・・・

コニー「もう今日一日そのことしか考えられなくってさあ、悪い、悪いな・・!」カパッ

アニ「っ!」

ガキンッ

・・・

ライナー「・・・! アニ?」

アニ「・・・遅いよ、ったく・・」ハアハア

ライナー「なにがあった。いや、だいたいわかるが・・・大丈夫だったのか?」

アニ「おかげ様で。こいつ頼むよ・・・はあ、重い」ドサ

ライナー「おっと。こりゃまた派手にやったな、コニー白目剥いてるぞ。・・・さてはお前コニーに金て」

アニ「乙女にそれ以上聞くんじゃないよ」ギロ

ライナー「ハハ・・・ん、もう消灯みたいだな。・・・まあ、詳しいことは明日聞くか。またな、アニ」ヨイショ

アニ「ああ、ライナー」

ライナー(アニに急所を一撃か・・・コニーの生殖能力は大丈夫なのか? 巨人云々でなく・・・可哀想に)チラ

コニー「ライナー・・・」ギラッ

ライナー「! コニー、うおっ!」

コニー「頼む!・・・食わせてくれ!」ガキンッ

ライナー(俵担ぎしてたら脇腹食いつこうとしてきやがった! 

     小せえライオンかなにかかこいつは・・・!)

ライナー「コニー、暴れるな、人が来る・・・!」

ライナー(仕方ない、一回降ろして鳩尾に入れるか)スッ

コニー「! 悪い! 悪いが、止まらねーんだ!」スルッ ハアハア

ライナー「お前そんな誤解されそうなこと叫ぶんもんじゃないぞ・・・っう!」バッ

ライナー(コニーの動き、いつもより速いな・・・)

ライナー「困った子ライオンめ・・・っつーか」ヒュンッ

ライナー(こいつ俺の金的を執拗に狙ってやがる・・・アニので学習したってことか?)ヒュッ・・・

ライナー「フッ!」バキッ

コニー「っ!」ドサ


・・・


夜中 トイレ

バシャバシャ

ベルトルト「ふう・・・、!」

コニー「よっベルトルト」ギラッ

ベルトルト「・・・やあコニー、い”ッ!!?」ガキンッ

ガクッ

コニー「・・・っ、やった、仕留めた」ハアハア

ベルトルト「ーーーッ!! ぎッ・・・、~~~!!!」ウズクマリ

コニー「く、喰ってやる・・・!」ズルズル

ベルトルト(こ、股間を思いっきりバットで・・・! 個室に連れていかれる、でもダメだ、ち、力が・・・、こうなったら)クラクラ

バタン


翌朝

コニー「ふあーおはよう」

マルコ「おはよう、コニー」

ジャン「よう。今朝は食ってないんだな」

コニー「ああ。なんか、ウソみたいに治っちまったよ、空腹感」

ライナー「・・・おはようベルトルト、大丈夫か?」

ベルトルト「ああ・・・大丈夫・・・」フアア

ジャン「よう。なんだベルトルト、今朝は寝相がいいな。ちゃんと寝てねーのかしらんが、俺の朝の楽しみを奪うんじゃねえよ」

コニー「眠れねえなら、俺の村の子守唄教えてやろうか? ベルトルト」

ベルトルト「ありがとう・・・大丈夫・・・」ハハ


・・・


昼休み 倉庫裏


ベルトルト「・・・コニーが噛みついた瞬間、その傷で超部分的に巨人化したんだよ」

アニ「ふーん・・・コニー、巨人の肉は食べないってこと」

ライナー「考えたな。無知性のやつらが欲しいのはあくまで人間だ。巨人の肉だけならまずくて適わんはずだ」ハハハ

アニ「それで? 今後ずっとコニーを見張ればいいの」

ライナー「イヤ・・・あのコニーの目の様子、巨人化計画に関係ないはずがねえ。なんかしら、状況に変化があるはずだ。

     それを待って考えよう」

アニ「わかった、ライナー」

ベルトルト「・・・うん、ライナー」

夕方・女子寮

クリスタ「・・・・!!?」

ガチャ

ユミル「ようクリスタ、ったく今日はハゲにしごかれて目が眩しくって・・・おい?」

クリスタ「ゆ、・・・ユミル・・・」

ユミル「なに鏡じっと見てんだよ。・・・!?」

クリスタ「わた、わたし、顔が、顔が化物みたいに・・・!」ガタガタ

ユミル「・・・クリスタ・・・おまえ・・・。!」

ワイワイ

クリスタ「ど、どうしよう、こんな顔、みんなに見られたら、!」

ユミル「いいから用具入れに入れ!」ガチャッ

クリスタ「う、うん!」

バタン

デサ~アレユミルハ?トイレジャナイ?・・・

ユミル「・・・とりあえず、皆食堂行くまでここにいるぞ」ボソボソ

クリスタ「う、うん・・・ユミル、わたしが気持ち悪くないの・・・?」

ユミル「気持ち悪くねえよ。なんでもお前はお前だ」

クリスタ「ゆ、ユミル・・・」ドキ

ユミル「・・・。・・・クリスタ? なんか息が荒くないか? 泣いてんのか? ・・・?」

クリスタ「ユミル・・・とってもいい匂い・・・」ギラッ

ユミル「!? クリスタ、待て・・・!」ゾワッ

クリスタ「ユミル・・・っ」カパッ

キャアアア!!!  ウワアアア!!!

クリスタ「!」ハッ

ユミル「! なんだ・・・」

ナニナニ イッテミヨウ ・・・

ユミル「・・・全員行ったみたいだな。出るぞ、クリスタ」

ガチャ

ユミル「・・・! ・・・クリスタ」

クリスタ「え?」

ユミル「顔、元に戻ってるぞ・・・。気分はどうだ?」

クリスタ「・・・あれ、わたし・・・」

ユミル「・・・? とにかく、わたしらも騒ぎのもとに行ってみるか。食堂みたいだな・・・」



食堂

トーマス「うわああ! 俺、俺の手がでかく!!」

ハンナ「わたしの指があ!! こんなに大きく・・・!!」

ワーワ-

クリスタ「・・・みんなも身体に変化が・・・」

アルミン「あ、クリスタ! 君、なにか異常はない!?」

クリスタ「うん、わたしもさっきまで、目がすごく大きくなってた」

ユミル「・・・」

アルミン「そっか・・・。実は、急に大半の訓練兵の身体の一部が大きく腫れてしまったみたいなんだ」

エレン「こんな病気、父さんの患者にもいなかったはずだぜ。アルミンどう思う、呪いかなにかか?」

アルミン「呪いというか・・・、現実的に考えるならやっぱりなんかしらの感染症だよ」

ジャン「俺もアルミンに同感だな。呪いなんて馬鹿らしい」

エレン「ジャン・・・なんだよ急に」

ジャン「俺の近所でも、寄生虫が流行ったことがあってな。大方、田舎者の商人かなにかが持ち込んだんだろうが・・・。

    こんな風に、皮膚がウソみてえにむくんででかくなってた」

アルミン「ジャンの言うとおり、呪いなんてものはありえないよ・・・。

     でも、その病気が前触れなくこんな一斉に生じるなんて、そんなの呪いをかけるよりありえない確率のことでもあるんだ」

エレン「・・・で・・・俺たちはどうすりゃいいんだよ・・・」

アルミン「見守るしかない・・・。決して、僕らも他人事ではないんだけど・・・」

ジャン「・・・まあ嫌でも教官が来るだろ、それ待ちだな・・・」

ウワアアア コワイイ

翌朝 食堂

マルコ「・・・何人か、被検体として、中央に向かうことになったらしいね」

ジャン「原因不明の奇病か。最も、一番おかしいのは、一晩が経ったら、さっぱりきれいに治ったってことだな」

マルコ「一過性のものなのか・・・。なんにしても、自然治癒するものだとわかれば、それより心強いことはないよね」

ジャン「まあな・・・。今後、またこの病気が流行っても、冷静に対処できるだろうよ。

まあ、巨人と戦う訓練してるヤツがちょっとデカい身体見てビビってるって時点で情けねーけどな」

マルコ「ジャン・・・そんなこと言ってると痛い目に遭うと思うぞ」



翌日・夜

ジャン「・・・」

マルコ「・・・最低だ」

ジャン「そうだな・・・。自分の指だけでけえってのは、こんなに気持ち悪いもんなのか」ビクビク

ザワザワ キモチワルイ・・・ コンドハワタシガ・・・

アルミン「・・・昨日、巨大化した人の法則性が見いだせなかったんだけど、もしかしたらこれは完全にランダムなのかもしれない。

     もし感染症が原因なら、奇病中の奇病だ・・・」

エレン「だ、大丈夫か? アルミン・・・」

ミカサ「アルミン、足は痛まないの?」

アルミン「平気だ、ありがとう二人共。この通り、足は2倍近く膨れてるけど・・・。痛くもないし、痒くもないんだ・・・」

サシャ「うう・・・怖い、わたしの掌・・・!」

クリスタ「平気だよ、サシャ! こんなのすぐ良くなるから・・・なにか欲しいもの、ない?」

サシャ「うう・・・お腹空きました・・・」

クリスタ「わかった。わたしのパン半分あげるわ、これで足りるなら・・・」サッ

サシャ「いいんですか!? 神!」パシッ

ユミル「おいクリスタ・・・」

サシャ「あれ・・・」

クリスタ「・・・?」

サシャ「なんでしょう・・・パンが、ちっとも美味しそうじゃありません・・・」

3日目・夜

コニー「うあああ・・・。とうとう俺も手が大きくなっちまった・・・」

ミリウス「いいじゃねえか、俺なんか3日連続だぞ・・・」

トーマス「なんかもう、逆に見慣れちまったな・・・」

ミーナ「中央の結果がでるのは、何ヶ月も先だろうし・・・」

ウウ・・・ キモチワルイ・・・

コニー「・・・そういやミリウス、なんだかんだ、もう3日夕飯食ってないだろ? 食ったほうがいいぞ、もたねえよ」

ミリウス「ああ・・・そうだな、正直、気分が悪いけど食うよ・・・」パク

ミリウス「・・・!?」

オエエエエ!!!

トーマス「なんだ!? ダズか!?」

ダズ「違う! ・・・ミリウスだ!」

コニー「しっかりしろ! ミリウス! 気持ち悪いのか・・・!?」

ミリウス「いや・・・・っ食えねえんだ。まるで毒草でも飲み込んだみてえだ・・・、ウエエエ・・・・!」

ザワザワ

ミーナ「どういうこと・・・」

ハンナ「イヤ・・・っ、本当に、スープに舌を浸すだけで、そこが痺れるみたい・・・!」

トーマス「これ食うなんて無茶だ・・・!」

ウワアア ナンダコレ ・・・


4日目・夜

ダズ「ミリウスのヤツ、貧血で倒れたってよ・・・」

トーマス「当然だろ、アイツ3日、一日2食で訓練受けてたんだぜ・・・」

アルミン「・・・身体が巨大化すると、なにを食べてもまるで毒物の味がして、とても飲み込めない・・・」

ミーナ「うう・・・お腹はすごく空いてるのに、辛いよお・・・」

サシャ「こ、これは新たな問題ですね・・・。・・・こんなことがあるなんて・・・!」グウウ

アルミン「この病気の原因や詳細は究明できていない。よって、食事内容の変更を申し出ることもできない・・・。

     訓練兵団の主な管轄は、遠い憲兵団にあるからだ。

     つまり、一番大きな栄養のとれる夕食を削られ、訓練兵は慢性的栄養不足になったまま、成績を図られることになる・・・」ペラペラ


ジャン「いや、おかしくないか? この症状を見せれば、異常ってことは伝わるだろ!? なら配慮ってモンがあっても・・・」


アルミン「いや・・・配慮するのもお金がかかるんだ。大体食事内容の変更にしても、憲兵団が提案し、政府で話し合い、王に進言しなくちゃ。

     訓練兵団は王政府公式のものだからね。それまでに、どれだけの費用と手間がかかる? そして、その議題を通して、得する政治家はいないし、喜ぶのは支持権のない子供の訓練兵だけだ・・・。

     どこの政治家がそんな無駄な労力を割いてくれるんだ? 現状じゃ僕らはこの奇病が解明されるのを待つまで、ミリウスみたいに不調を訴えても、

これまでの評価基準にあてはめられ自己管理不届きとして処理されざるをえない」ペラペラ

コニー「え? とにかく・・・ヤバイってことか!」

ジャン「そういうことだな。王様万歳も問題アリだ、なあマルコ。クソ、マジかよ・・・」グウウ

5日目・夜

サシャ「ごちそうさまでした。・・・」ソワソワ

ミーナ「いいな、サシャは今日は異常ないんだ・・・。わたしのパンとスープ、食べていいよ」

サシャ「! い、いいんでしょうか・・・?」ダラダラ

ミーナ「いいよ。わたし、もう3日はご飯捨ててるもん・・・」

サシャ「・・・す、すいません、いただきます!」パクパクパク

ライナー「俺たちは部屋に戻るか。いくぞベルトルト」

トーマス「・・・そういや、お前らって巨大化したことないよな・・・?」

ミリウス「マジかよ・・・。ハハ、これ以上成績差開いたらどうすんだ・・・」

サシャ「あの・・・、ずっと思ってたんですが、みなさん、空腹が辛いなら食堂に集まらないほうがいいんじゃないんですか?」

クリスタ「サシャ! みんな不安なんだから・・・」

サシャ「あ、ああ! そ、そうですよね・・・」

ハンナ「ううん、サシャの言うとおりよ」

ミーナ「でもなんだろう、みんなといっしょにいたいと思ってしまうの」

アニ「・・・」パクパク

6日目・夜

サシャ「・・・うう、今日はわたしも指が巨大化してしまいました・・・明日、明日までの我慢です」


10日目・夜

サシャ「はあ、はあ・・・・もう5日目・・・」グウウ

ライナー「これでも、食べれる日中は食事を分けているんだがな」

サシャ「す、すみません・・・。わたし、もともと燃費悪くて」

ライナー「すまん、言い方が悪かったな。責めてる訳じゃないんだ・・・」

ミーナ「せめて、夕飯を朝まで保存できたらいいのにね・・・。

    パンもこの雨季じゃ一晩でカビちゃうし・・・高価な酵母を勝手に調達することもできないし・・・」

ジャン「とりあえずキースが色んな変更を申請してる最中らしいが。上の決定が絶対な軍隊ってのはこんなとき不便だぜ。

    ・・・くそ、食べたくておかしくなりそうってのは初めてだな」グウ

サシャ「・・・ジャン。一体、わたしたちなにを食べたいんでしょう?」グウ

ジャン「ああ? そりゃあ、・・・」

ライナー「・・・」チラ

ジャン「なんだろうな・・・」ギラッ

14日目・夜

ハンナ「フランツ・・・怖いよ、こんな病気・・・」

フランツ「ハンナ・・・。僕がいっしょだ」

ミーナ「き、きっともうすぐ良くなるはずよ。いつまでも続く訳がないわ」

サシャ「・・・」ジーッ ハアハア

コニー「? サシャ、なに自分の腕見てんだ? そこは綺麗なままだぞ・・・」

サシャ「・・・も、もう我慢できません!」カパッ

ガブッ

ミーナ「!!? キャア!!」

ハンナ「さ、サシャ・・・・!」

サシャ「・・・!」ブチュッ ガリッ ボリッ

ザワザワッ

アルミン「サシャが自分の腕を・・・!」

エレン「た、食べた・・・」

シーン・・・

コニー「お、お前・・・」

サシャ「・・・」モグモグモグ ゴクン

マルコ「左手が・・・なんで噛み切れ・・・」ヒクッ

サシャ「・・・お、」

ジャン「・・・お?」

サシャ「おいしい・・・おいしいっ・・・!!」ギラッ ベロベロ

ザワッ

エレン「す、すげえこと言ってるなサシャのやつ」

アルミン「いやエレン・・・彼女の言ってることはあながちおかしくはないんだ・・・」

ミカサ「アルミン?」

アルミン「ミカサも・・・。言えなかったけど、僕たちはずっと・・・」

ナック「くそ、血の匂いが・・・」グウウウ

ミリウス「そそるな・・・。も、もう我慢できねー!」ガリッ

トーマス「お、俺もだ!」バクッ

ミーナ「・・・ッわたしも・・・!」ガリィッ

アルミン「食物じゃなく人間の身体を食べたいと思っていた・・・のかもしれない」グウウ

・・・

ギャアア ウワアア

ユミル「クリスタ! 落ち着け、オイ!」

クリスタ「だめ、食べたい、食べたいよお、ユミル・・・!」ジタバタ

ダズ「うおおお! やめろ!! 俺の身体を食うんじゃねええ!!」

ミリウス「すまん、すまんダズ・・・!」

トーマス「ちくしょおおお、食欲が湧いて湧いて、仕方ねえんだよお・・・!」

ドタバタ アアアア・・・

ジャン「くそ、なんだこりゃ・・・地獄か・・・?」

マルコ「・・・下位の訓練兵を、上位の訓練兵が食ってる」

エレン「アルミン、俺の後ろにいろよ」

アルミン「・・・。ああ・・・」ハアハア

ジャン「最悪なのは、今晩に限って教官らが中央に出張中ってことだ・・・クソ」

マルコ「仕方ない、教官もギリギリまで出張を先延ばしにしてくれてたんだ・・・あの人は決して悪くない・・・」

コニー「サシャ! しっかりしろ、血は止まったか!?」

サシャ「はい・・・、はあ、はあ、わたし・・・わたしなんてこと・・・!」

ライナー「どうやら巨大化した者は精神的に強固なヤツほど、正気を保ててるみたいだな・・・。

     言っちまえば変わり者の巣窟の上位は無事な奴が多い」

エレン「さすがライナーはこんなときも冷静だな・・・、ど、どうすりゃいいんだ・・・」

ミカサ「どうするもこうするもない。こうなった以上、止めにいけば命を取られかねない・・・じっとしているべき」

エレン「それで、下位の仲間が死んだらどうすんだよ! 兵士なら、助けて当然だろ・・・! なあ、ライナー!」

ライナー「・・・」

エレン「ライナー・・・?」

アニ「・・・彼らは血や肉を食べるのが目的なんだろ? 殺意はないよ、やられるほう苦痛だけれど、命を取られる可能性は少ない」

エレン「そ、そんなことはないだろ」

アニ「アレは拷問と同じさ。少しずつ肉を削がれ、血を抜かれる。永らえ、苦しむやり方だ。

   ・・・もしかしたら、死体の肉には興味ないんじゃない?」

エレン「なんだよそれ、残酷すぎる・・・悪魔みたいじゃねえか・・・!」

ベルトルト「・・・」

エレン「・・・ああダメだ、やっぱり助けに・・・っん?」

トーマス「・・・エレン」フラッ

エレン「トーマス! 正気に戻ったか・・・」ガシ

トーマス「ダズたちじゃ満足できない・・・うまそうなお前らを食いたいんだ!」ガバッ

エレン「!? なに、言ってんだ、トーマス!」

ミカサ「エレン、逃げて」バキッ

トーマス「うっ」ドサ

ミリウス「トーマスが・・・とうとう行ったぞ、あっちの奴らに」ギラッ

ナック「そうだ・・・俺たちが本当に食べたかったのは、下位のヤツらなんかじゃない・・・」ギラッ

ミーナ「おいしそうな、上位のライナー、エレン・・・ユミル、アニ、ベルトルト・・・!」ギラギラ

エレン「な、なに言ってるんだ・・・みんな」ジリ

ハンナ「ね? いいでしょ、エレン・・・。少しかじるだけよ」ギラギラ

フランツ「そうそう、ハンナの言う通りだ・・・。殺すことは決してないから、死んだ肉はまずいだけだからね・・・!」ギラギラ

サムエル「ずっと食いたかったんだ・・・。丁寧に、食べきるギリギリまで絶対生かすからさ・・・!」ギラギラ

エレン「・・・お、おかしいよ、お前ら! 気が違ってる!!」

ミカサ「エレン、それは見ればわかる」

ライナー「そうだ、逃げるぞエレン。何百人に狙われてると思ってんだ?」ガラ

エレン「く、くそ・・・!」ダッ

・・・

ベルトルト(・・・あれから夜が明けるまで、僕らは下位の訓練兵から逃げ通した)

ベルトルト(結果として、力のないものは力のあるものに食われ、朝までに兵士として致命的な傷を負ったものは全体の8割に達し・・・)

ベルトルト(訓練所は機能不可とされ閉鎖、残った兵士は他の訓練所に散り散りになってしまった)

・・・

一年後

エルヴィン「・・・これが本物の敬礼だ! 心臓を捧げよ!!」

104期調査兵「「「「ハッ!!」」」」

エルヴィン「調査兵団を志望している104期生は総勢21名だな・・・」


・・・

ベルトルト(僕とライナーとアニは比較的遠い訓練地に割り振られていた。

      そこで成績上位に割り込んだ僕らは、元々いた訓練兵に疎ましがられ孤立、彼らと仲間意識を持つことはなかった。

      そして僕らの作戦は予想外の事態・・・エレンの巨人化、による失態を含みながらも進行し・・・

      あの訓練所にいた上位陣の多くとは、約1年ぶりに調査兵団で再会をした)

ベルトルト(結果として、僕の願いは叶った)

ベルトルト(ライナーやアニが苦しむなら、この訓練所なんてなくなればいいと思っていた。確かに、彼らに

      仲間意識を持ったこともあったけど・・・いずれ殺す相手になんてバカげている。戦士はそんなことしない)

ベルトルト(だから、僕の考えは戦士として間違ってない。2回壁を蹴ったとき、彼らは死ぬはずだったんだ。

      むしろ、開拓地に行くことで、生き永らえている人もいるはずだ。

ベルトルト(そしてライナーもアニもあれ以来、仲間のことで苦しむことはなくなった)

ベルトルト(どうして僕の願いが叶ったかはわからないけど、・・・僕の考えは間違っていない)

ベルトルト(・・・間違ってないよね?)

コニー「よ、ベルトルト。なんだ、月見てんのか?」

ベルトルト「! コニー・・・やあ」ビク

コニー「おう。スマン、驚かしちまったか」

ベルトルト「イヤ・・・」

コニー「夜はもう肌寒いなー」

ベルトルト「・・・そうだね」

コニー「なあ、明日はウォール・ローゼ南区に移動だっけ? なにすんだろうな」

ベルトルト「うーん・・・訓練ってふうじゃないし、なにか特別作戦があるのかもしれない」

コニー「なるほどな・・・あー・・・こうしてるとさ」

ベルトルト「うん」

コニー「昔の訓練所にいた頃を思い出さないか?」

ベルトルト「・・・うん」

コニー「あのさ、俺はエレンらと同じ訓練所に割り振られて・・・2訓練所合同のトロスト区作戦に出て・・・

    その、なんだかんだあって調査兵団に来たけど。遠い訓練所に行ったお前とライナーと、

    調査兵団で再開できるなんて思ってなかったぜ。聞けば、向こうでも上位で並んでたっつーしよ」

ベルトルト「・・・。僕も、コニーがくると思わなかったよ」

コニー「だろ? まあ天才にはやることがたくさんあるんだ」

ベルトルト「はは・・・」

コニー「・・・あの訓練所で卒業したかったよな、やっぱり」

ベルトルト「・・・」

コニー「俺、どうも訓練所変わる前のヤツしか仲間と思えなくてさ。だからお前も調査兵団でスゲー安心したぜ」

ベルトルト「・・・そう、だね」

コニー「ああ。・・・んー俺トイレ行ったし寝るよ。お前も早く戻れよ、おやすみ」

ベルトルト「うん、おやすみ」


・・・

ウトガルド城

バタン

ゲルガー「まさかこんなところに城があるとはな・・・」

ナナバ「最近までならず者が寝床にしてたんだろう、人が住んでた痕跡がある」

ゲルガー「・・・オイこりゃ酒か?」

リーネ「ゲルガーまさか飲む気?・・・」

ヘニング「・・・新兵はしっかり休んでおけよ」

ベルトルト(・・・状況はどうなってるんだ、それにライナーは、・・・・せめて『あの巨人』と連絡がとれたら)


・・・

・・・

ウトガルド城付近の壁

猿の巨人(・・・そろそろ、巨人化した壁内のヤツを仕向けるか・・・)ズシンズシン

猿の巨人(よーし一回油断させて、そのあと・・・そしたら絶対おもしろ・・・イヤ待てよ)ポリポリ

猿の巨人(壁内にスパイしてる子供の、あの・・・誰かが言ってた、人同士で共食いさせて殺すやつ。

     ”偶然”聞いたんだけど、あれ面白いこと考えると思ったし、実際やったら面白かったんだよね~)

猿の巨人(おかげで壁内のヤツの巨人化の段階? とか作れるようになったし・・・、夜も動かせれるってこともわかったし・・・)

猿の巨人(・・・そういやアイツ等、壁に穴あけたくせに結局塞がせて大失敗したっけ・・・)

猿の巨人(・・・)ポリポリ


・・・

ベルトルト「・・・」

ベルトルト(ライナーとユミルは食料を探しに行ってしまった)

クリスタ「すーすー」

コニー「ぐー・・・ぐー・・・」

ナナバ「すうすう」

ゲルガー「がー・・・、・・・・」

ヘニング「ぐうぐう」

ベルトルト(みんな寝ている・・・。先輩たちは武器をつけたまま)

ベルトルト(どうしよう。僕も寝て大丈夫だろうか。イヤ、ライナーの様子を見に行った方が・・・)ウトウト

ベルトルト(うーん・・・、・・・? 誰か椅子の前に立った。ライナー?)

コニー「・・・」ジッ

ベルトルト「コニー? どうかし、」グサッ「え”」

コニー「・・・ハア、ハア」ギラギラ

ベルトルト「ッ、がっ、・・・~!!!?」ガクンッ

ベルトルト(こ、股間を・・・、農具で、突き刺しッ・・・! 痛い、痛い痛い!!)ブルブル

ベルトルト(い、息が、・・・イヤ待て、あの目つき、まさか)クラクラ

クリスタ「ベルトルト・・・私たちロクなもの食べてなくて・・・お腹が空いたの」ギラギラ

コニー「今度こそ、ちゃんと食ってやる・・・みんなでいっぺんに・・・」ギラギラ

ナナバ「削いで、美味しく食べてあげるね・・・立体起動装置の出番だ・・・」チャキ ギラギラ

ゲルガー「誰だよこの酒みてえな血流してるヤツはよ・・・」ギラギラ

ヘニング「・・・」ギラギラ

ベルトルト(・・・な、なんだ・・・なんで!? この人たちが、前の訓練所のときみたいに、巨人に・・・? とにかくライナーを呼び・・・

      イヤ間に合わない、こうなったら巨人n)ズルッ「んんっ!?」

ベルトルト(押さえつけて、ズボンをずらされ・・・、!?)ジタバタ

クリスタ「ベルトルト、下半身怪我してる・・・このお酒で消毒しなきゃ・・・!」ギラギラ ズボッ

ベルトルト「いっ!・・・!!?」トクトクトク

ベルトルト(なにか筒を、お、お尻に突っ込まれて、水が入ってくる! あ・・・っこれは、酒だ、あの、度数がすごそうな、 

      ・・・ヤバイ早く、早く巨人にならないと・・・巨人に・・・、・・・・)トクトクトク グッタリ

ナナバ「おとなしくなってきたね・・・全部注ぎきるんだクリスタ、こぼさないようにね」ギラギラ

ゲルガー「ケツから度数の高い酒を注ぐと、酔うってモンじゃねえ。一瞬で限界超えるぞ、危険行為だ」ギラギラ

ベルトルト(巨人に、・・・マズイ、酒で、・・・意思が、薄れて、・・・それで、巨人になれなく、・・・身体も力が・・・)「あ・・・クリス・・・」グルッ

クリスタ「お腹見せて。うなじはメインディッシュだから、こっちから、ナイフで切って食べてあげるね・・・ベルトルト」ギラギラ

ベルトルト「・・・まって・・・ねえ・・・」(・・・時間・・・たつほど・・・酔いが、まずい・・・、先輩・・・装備が・・・あって・・・

      ・・・僕は・・・、ライナー、・・すこしで、・・・故郷に・・・帰れる・・、帰る・・・みんな・・・訓練所・・・?)クラクラ

ゲルガー「・・・。・・・・、・・・・よし、完全に酒が回ったな。手を離して食べちまおう」ギラギラ

コニー「後でライナーもユミルも食べてやる、ああ、それでもまだ食べたりねえかもしれねえ。

    ゆっくり味わって食うけど、ごめんなベルトルト」ギラギラ カパッ

ベルトルト「・・・コニー・・・?・・・ジャン・・・・・・僕は・・・、キミを・・・騙し・・・・・でも・・・」

バクッ

ゲルガー「うめえ、こんなうめえもの初めて食ったかもしれねえな・・・血も酒の匂いがプンプンして最高だ」ギラギラ ガリバリ

ナナバ「しかしいいのかな、新兵を食べるなんてこと・・・」ギラギラ ムシャムシャ

クリスタ「いいんですよ・・・だってホラ」ギラギラ ゴクン

ベルトルト「・・・本当に・・、・・と・・・思って・・・から・・・、・・ほんとう・・」

クリスタ「ベルトルトがこんな安心した顔してるの、初めて見ましたから」

ゲルガー「さあ、そろそろメインディッシュの部分をを切り取るか」ギラギラ チャキッ

ベルトルト「・・・・、・・・・・故郷・・・」

スパッ ボトッ

終わり

このあとユミル達はどうなったの?

>>53

ユミル「待って・・・、クリスタ、どうしたんだ・・・?」ハアハア

クリスタ「ごめん、・・・巨人の子、巨人を食べたいの!!」カパッ

ユミル「クリスタ・・・!」グッ

・・・

ベルトルト「ユミル」

ユミル「やあ、ベルトルさん」ハハ

ベルトルト「君が、・・・兵士に関係ないって、聞いたから」

ユミル「ハハハ! それ聞いて、わたし、わざわざ安心しに来たのか?」ハハハハ

ベルトルト「そんな・・・僕、だからクリスタに食われかけた間抜けな格好で生きてるのに」

ユミル「ハハ・ 現実、わたしの心を殺しといてよく言うぜ」

ベルトルト「・・・現実? ・・・ユミル、待って、僕って、ーーー」クラクラ

・・・

ユミル(ベルトルさんも、カワイイとこあるな)

   (・・・ああ、誰かの声がする。でも、そのカワイイ声に惹かれちまったのは私なんだ)

   (クリスタ、ベルトルさん。同じくらい、かわいそうな子たちってことだ)ククク

   (・・・どっちつかずのバカだって思うか? でも私、どっちも可愛げを感じるんだ。だから)

ベルトルト「・・・ユミル どうして僕を助けてくれたの?」グ゙スグス

ユミル「お前の声を聞いちまったからかな・・・」ハアハア

ユミル(クリスタだけを愛してるはずだった、のに。結果として、こうして、おまえらを愛してるわたしは)

ユミル(きっと、こうして食われる運命だったんだな、ああ、そうに違いねえ!!)ハハハ

ユミル「女神さまってのも、あんがi」

>>54,55はミスです、すいません。
これだけでは短いのでまた続きを書きにきます。

――カツン、カツン、カツン

倉庫

ユミル「・・・この缶詰もいけそうだな、こんなもんでいいか」

ライナー「結構な量になったな。俺も持つか?」

ユミル「いーよ。よっと、わたしは先戻ってるぜ?」

ライナー「ああ。俺は屋上の先輩に一つ届けてから戻るから」

カツン、カツン、カツ・・・

ユミル「・・・ハッ優等生め。・・・クソ、両手塞いで扉開けにくいな・・・ん?」

・・・ギイイイ

ユミル「あれ、開い・・・、・・・先輩・・・?」

ナナバ「ハア、・・・ハア」ギラギラ チャキ

ユミル(・・・血塗れ? 誰の血? まさかクリス――)サアッ

ライナー「!? ユミル!」ドンッ 

ユミル「うッ!」ドサ

・・ガキンッ

ナナバ「・・・。やっと見つけたのに・・・逃げんなよ、獲物だろ? 新兵」ギラッ 

ライナー「・・・。(この目・・・) ユミル、無事か。こっちだ!」グイッ

ユミル「ケホ、・・・ライナー、いいタックル持ってるな・・・!」ムク

ダダダダッ

ライナー「・・・ユミル、階段を上がったところの扉・・・アレを俺が抑える。その間に、お前は武器でもなんでも持ってきてくれ!」

ライナー(例の巨人化・・・。返り血はベルトルトか? イヤ・・・大丈夫だ、巨人化がある、人を相手に命までは取られまい)

ユミル「ああ、わあったよ!」ダッ

ユミル(ナナバさんの目、巨大化の病気か・・・? クリスタはおかしくなりやすい体質だった。食われる側とは考えにくいが・・・!)ハラハラ

ガチャ、・・・バタン!

ライナー「!」ドンッ! グッ

ライナー(振動がモロに来る・・・相当ボロいな、この扉。長くはもたん)ググ ドンッ ドンッ

ライナー「ユミル、早く・・・。・・・?」(振動が止んだ?)チラ

―――ドスッ ドスッ!!

ライナー「ッう!!」(刃が・・・! 扉に貫通させやがった、場所によっちゃ扉に串刺しだ! 両刃とも
    刺さらなかったのは幸運だったが・・・)ホ・・・

カシャ カシャ

ライナー(・・・? ・・・この音は・・・。・・・)「・・・替刃か!!」バッ

―――ドスッ!グサッ! 

ライナー「ぐッ!!」(・・・腿に・・・刃が貫通した、クソ! クソ、俺はバカか、替刃の存在を忘れて・・・!)グイッ

ナナバ「・・・新兵、そろそろ潮時だよ」 カシャ カシャ

ライナー「! イヤまだ・・・、俺若いんで・・・」(クソ、掌が切れるばっかで刃はビクとも・・・このままじゃ磔だ)グイグイ

ユミル「オイ! ・・・!? ライナー、動けるのか!」

ライナー「お前、ソレ・・・砲弾は!?」

ユミル「砲塔(コイツ)ごとくれてやる!・・・っつっても、お前、」

ライナー「構わん、ぶちまけろ!」

ユミル「・・・ッ、聞いたからな!!」グイッ

ゴロロロ・・・!

ライナー「・・・ッうおおお!!」ブチュッ ブチッ ドピュッ ・・・パキンッ

・・・


ユミル「・・・ナナバさん、気絶してる・・・が、息はある」

ライナー「そうか・・・」ハアハア

ユミル「奇跡的にな・・・。アンタの足一本分の成果はあったろ」

ライナー「俺は気にするな・・・。見た目ほどの傷じゃない。折れてくれた刃も抜けたし、数分休めば立てる」

ユミル「イヤ・・・太腿貫通しといて、そりゃいくらなんでも無茶だぜライナーさんよ」スタスタ

ライナー「ユミル?」

ユミル「あ? 手当してやるよ、貸しはつくらない主義なんでな・・・」

ライナー「・・・。! ユミル、後ろだ!」

ユミル「え、」ガシッ「ぐっ・・・!?」グイッ

ゲルガー「ここにいたのか新兵」ギラギラ

ヘニング「探したぞ。今、さばいてやるからね」ギラギラ

ユミル「チ、離せッ、~・・・!!」ジタバタ

ライナー「ユミル!」(しまった、ユミルが羽交い絞めに・・もう一人がブレードで腹を開く気か・・・、
クソ、立てねえ、何かないのか)

ヘニング「暴れないでくれ。致命傷負わせる気はないから。そっちの君なんて軽く捌けてるし、そのままおいしく食べれそうだね」ギラギラ

ゲルガー「そうだ、怖がるなよ、俺達が食いきるまで死ぬことはねーよ」ギラギラ ハハ

ユミル「嫌に決まってんだろ! 離せ離せ離せ、変態!!」(こんな惨めな死に際、冗談じゃない!)ジタバタ

ゲルガー「オイうるさいぞ、俺は今いい具合に酔ってんだ・・・」ギラギラ イラッ

ヘニング「悪いね」ギラギラ チャキッ

ライナー「ユミル・・・ッ!」(仲間が!)

グサッ

クリスタ「ねえ・・。・・・ユミルになにしてるの?」

ヘニング「グッ・・・」ドサ

ゲルガー「お、オイ。お前・・・なに・・・・」

クリスタ「ユミルに触らないで!!」ズバッ

ゲルガー「・・・!」ドサ

ユミル「く・・・クリスタ」ケホ

クリスタ「ユミル! 怪我はない!?」ギュッ

ユミル「イヤ、怪我はないが、お前・・・意識は」

クリスタ「ああ、ユミル・・・もう大丈夫だよ!」

ライナー「先輩らに息はある、大丈夫だ。・・・」チラ

クリスタ「・・・ユミルを食べていいのはわたしだけだよ! そうでしょう!?」ギラギラ


・・・

カチャ

ユミル「ライナー。屋上のリーネさんは」

ライナー「ダメだ。失血死している・・・空腹に耐え兼ねて自分で自分を食って死んだんだ」

ユミル「そうか。・・・その言い方、ライナーも前回の訓練所と同じと踏んでるって訳だ」

ライナー「ああ・・・。そりゃあ、あの様子を見ればな」

ユミル「・・・そうか・・・」チラ

クリスタ「ユミル、ユミル大好き! 愛してる! コニーにも食べられちゃダメだよ!」ギラギラ ギュ

ユミル「人食いの猛獣を手懐けてるって気分だ」

ライナー「・・・クリスタは、お前と二人のときはこうだったのか? その・・・」

ユミル「そりゃ素敵だがな、生憎わたしの脳内にしかいねえよ。・・・ライナー来たから、いくぞクリスタ」ヨシヨシ

クリスタ「・・・は? ライナー?」ギラギラ ムカッ

ライナー「・・・」

・・・

スタ スタ

クリスタ「・・・」ギラギラ ギュウウ

ユミル(歩きにくい・・・)「・・・ライナー、こう言っちゃなんだが」

ライナー「なんだ?」

ユミル「お前、落ち着きすぎじゃないか? 姿の見えないアンタの相棒は心配じゃないのかよ」

ライナー「・・・。(ヤツらは巨人の肉は食わない。ベルトルトは部分的巨人化ができる。修復もできる。死にはしない)
     ああ見えて3位だからな、クリスタが無事ならばベルトルトも無事と考えるのが無難だろう。勿論確証はないが・・・
     冷静を欠いていても仕方ないさ」

ユミル「そうか・・・」(この様子じゃ、ベルトルさんは食われる側のハズだ・・・この血は多分・・・)

・・・


ギイイ・・・

ピチョ、ゴリッ、ブチュッ

ライナー「・・・! コニー、無事か」

ピチャピチャ グチュッ パキッ

コニー「・・・?」ギラギラ クルッ

ユミル「・・・ナニ、食ってんだ、コニー・・・、!」

コニー「・・・あはっ、次の獲物だッ!」ギラギラ ガバッ

ライナー(飛びかかってきた、やっぱり身体能力が上がっている・・・)トン、ゴロッ

ライナー「・・・?」(なんだ、なにかボールみたいなものを蹴って)

ベルトルトの生首「・・・」ゴロ

ライナー「・・・」

ユミル「ライナー! 危ねえ、避けろ!」ドンッ

ドサッ

コニー「チッ、・・・なあお願いだ、食わせてくれ。アレはもう死んでマズ・・・あ、ああ!?」

ライナー「・・・」ググググ

ユミル「!? ライナー!」(ライナー、起き上がってコニーの首を絞めて・・・ああ、あの様子、やっぱり!)「落ち着け、オイ!」グイ

クリスタ「ユミルわたしから離れないで!」ギラギラ ギュウウ

ユミル「クリスタ離せ! ・・・コニー!」

コニー「う、うぐ・・・ッ」ジタジタ

ライナー「・・・。・・・ックソ!」パッ

コニー「うあっ、・・・ケホ、ケホ!」ドサッ

ライナー「フッ・・・!」ドスッ

コニー「うぐっ!・・・」ガク

ユミル(手を離して鳩尾に・・・)ホッ

ライナー「・・・ベルトルト・・・」スタスタ スッ

ユミル(抱え上げたのは・・首、ベルトルさんの亡骸か・・・)

ライナー「・・・ユミルすまない、取り乱した」ギュウ

ユミル「・・・イヤ・・・」

ライナー「コニーは"操られて"いたんだ。仇は恐らくアイツだ。・・・戦士として今の俺にやるべきことは・・・
     ソイツを殴って、こいつを故郷に連れて帰ることだ」ブツブツ

ユミル(操られて? ・・・この巨大化は、誰かが操って起きたってのか。ライナー・・・初めから訳知り顔だとは思っていたが、
もしかしてこの現象事態に噛んでいるのか?)

―――ズシン ズシン ズシン

ユミル「! 足音、巨人が・・・?」(まだ夜なのに・・・それにこれかなり大きいぞ、15m以上は・・・)

ライナー「!!」バッ

ユミル「ライナー?」(すごい勢いで窓に駆け寄って・・・)

ライナー「・・・おいでなすった。なあユミル」

ユミル「あ、ああ。なんだよ」

ライナー「俺はコニーを抱えておく。クリスタは頼んだ」ヒョイ ダッ

ユミル「・・・や、待てよ、ライナー、・・・(コニー抱えて走って外に出ちまった。・・・一体なにを見たんだ?)」

ズシン ズシン ズシン

ユミル「・・・猿・・・?」

クリスタ「・・・ミル、ユミル!!」ギラギラ

ユミル「!」ハッ「あ、ああ、悪いクリスタ、どうかし・・・クリスタ?」

クリスタ「返事しないってことは・・・わたしのこと愛してないのね?」ギラギラ ポロポロ

ユミル(泣いて・・・、しまった、ずっと話しかけてたのか)「悪い悪い、クリス・・・」

クリスタ「じゃあもういいわ。死んでやる!」ギラギラ ダッ

ユミル「はっ? ・・・イヤ待て、待つんだクリスタ! どこへ行く!」ダッ

ユミル(クソ、足が速え・・!)

クリスタ「うわああん!!」

ユミル「どうしちまったんだ、お前は!? ・・・待てクリスタ、そっちは危ない!!」

ユミル(そっちは確か、足が腐ったクローゼットが!)

クリスタ「あああっ、わっ!」ドンッ ドテッ

ギ、ギ、ギ・・・
 
ユミル「クリスタ!!」(倒れて・・・つぶされちまう!!)

ドンッ

バキッ ドス・・・ン

ユミル「ぐ・・・。・・・く、そ、足・・・」(片足が挟まって、抜けない・・・)

クリスタ「ユミル・・・」ギラギラ

ユミル「・・・クリスタ。わたしはお前を愛してるよ」

クリスタ「! 本当?」ギラギラ

ユミル「ああ、本当だ、こうやって庇っちまうくらいにな」

クリスタ「その言葉を待っていたの・・・! じゃあ、いいのよね!」ギラギラ ガシッ

ユミル「っは・・・?」(手を掴んで、ああ・・・!)

バクッ・・・パキ、ブチュッ

ユミル(いってええ!!)「・・・っなあクリスタ、お前・・・愛してるとか食べるとか、急にどうしたんだ?」

クリスタ「急じゃないわ、ユミル。ずっと言えなかったけど・・、わたしは常にユミルを愛していたし食べたいと思ってたの」ギラギラ

ユミル「ずっとだって・・・? それはいつから?」

クリスタ「訓練兵の頃、顔が化物みたいになったとき・・・」

ユミル「初めて巨大化したときか」

クリスタ「あのとき、わたしを認めてくれたユミルを見て、胸がドキドキしたの。それまでも友達として大好きだったけどね。
     そして同時に興奮した・・・ユミルを大好きだと思えば思うほど、ユミルが美味しそうに見えてきて・・・。
     その感情が忘れらないで、ずっと隠していたの」

ユミル(なんだそれ・・・)「クリスタ、それは愛じゃないよ」

クリスタ「? どうして?」

ユミル「ドキドキしたのは慌ててたからだ。吊り橋効果ってヤツだな。そしてわたしを食べたくて興奮したのは、お前が
    そうなるように操られていたからなんだよ」

クリスタ「・・・? わからない・・・。わたし、こんなに人を好きになったの初めてなのに」

ユミル(わたしを好きな気持ちは友愛だ。でも、食べたいとか、見てるとドキドキする、っていうのは愛とかじゃない。お前は
    誰かと愛し愛されたいからそう勘違いしてしまっただけなんだ・・・と、
    言いたいが、あまり今のクリスタを否定しては・・・。今度逃げ出されたら、追いかけられない・・そしたらクリスタが死んじまう・・・かも)

クリスタ「・・・よくわからない・・・難しいわ・・・。愛しいと思うほど食べたくなるし、食べたくなるほど愛しくなるのに」

ユミル(肝の座ったクリスタが、巨大化でやけに狼狽えてわたしを食べたがってたのはこのせいか・・・)

ユミル「友達として大好きって告白でわたしには十分ってことだよ、クリスタ」ナデナデ


クリスタ「・・・? それは、ユミルを食べちゃダメってこと?」
  
ユミル「イヤ・・・(朝になればきっとクリスタは正気になる・・・それまでわたしの側で落ち着かせておくには・・・)いいよクリスタ、
    わたしを食べてくれ」

クリスタ「! いいのね!」ギラギラ  

ユミル「ああ。だがゆっくりな。一晩かけて、なるべく痛くしないで、食べてくれ」

クリスタ「ユミル・・・! ああ、ドキドキしてとまらないよ。やさしくするから、安心してね」ギラギラ チュッ

・・・バクッ ガリッ ブチュッ 

ユミル「ッ、うぐ・・・ッ、クリスタの愛が痛くて眠れないな、今夜は・・・」ハアハア


・・・

ズシン、ズシン、

獣の巨人『・・・ん?』

ライナー「どうも、久しぶりだな・・・」

獣の巨人『・・・。ああ、スパイの誰かの・・・片割れかあ』ポリポリ

ライナー「そのスパイの誰かを殺したケジメをつけに来たんだがね・・・」カパッ

獣の巨人『あ、アイツ死んだんだ。巨人になるの? 別にいいけど・・・。壁内のヤツらを操ることを考えたのは、その誰かだよ』

ライナー「・・・どういうことだ?」ピタ

獣の巨人『そのままだけど・・・。その誰か』

ライナー「ベルトルト」

獣の巨人『そうそのベル・・・が、なんだっけ・・・毎晩、「壁内の人間をさっさと巨人にして、殺しあってくれれば」って言ってたから。
     面白そうだから、その通りにしてみたんだよ・・・ああ、あと』

ライナー(・・・あの訓練所で不安定な時期、一人で出歩いてたのはそんなこと考えるためか・・・)ギリ

獣の巨人『「そうすれば、ライナーが楽になる」って』

ライナー「・・・。は?」

獣の巨人『とにかく、お前らのおかげでこんなことになったんだよ。面白かったけど・・・お前ら作戦失敗したから、処分するから』

ライナー「・・・」

獣の巨人『?』

ライナー「じゃあなんだ・・・ベルトルトは俺のせいで死んだってのか? ハハ・・・そんなことある訳ないだろ」フラッ

獣の巨人『・・・』ポリポリ

ライナー「俺は”守る”役割の戦士だぞ? 俺は・・・楯になれなきゃ存在意義がないのに。それが、殺した? 俺が不甲斐ないせいで?
     半端なクソ野郎のせいで、ベルトルトが・・・? 俺の任務は・・・? それって戦士って言えるのか・・・? 俺に戦士の資格が・・・」ブツブツ

獣の巨人『・・・。ねえ』

ライナー「!」バッ

獣の巨人『巨人にならないの?』

ライナー「・・・巨人に、なる?」

獣の巨人『・・・』

ライナー「”兵士”が巨人になる訳ないだろ、しゃべる奇行種め。・・・ああベルトルト、今お前の仇をとってやる」

獣の巨人『・・・あ』

ライナー「コイツを殺して、ウォールマリアの故郷、に、」グサ

獣の巨人『後ろ・・・あーあ』

ライナー「・・・え、・・・??」ガクッ (背中を、刺された? なんで、後ろにはコニーしかいないはず・・・)

コニー「・・・ハア、ハア、仕留めた、仕留めたぞ!」ギラギラ

ライナー「こ、にー・・・、お前、が、刺したのか・・・嘘だろう・・・、!!」グサッ

コニー「動くな! 大人しく食われろ!」ギラギラ グサッ グサッ

ライナー「がっ!! ぐッ、こ、コニー、どうした、正気に戻れ、俺たちは・・・俺たちは兵士で、仲間だろ・・・ッ?」ゲホッ

コニー「ハア? 仲間? 寝言言ってんじゃねーよ、お前は俺の獲物だッ!」ギラギラ ガブッ ブチブチブチッ

ライナー「~~~!!」(仲間じゃない? 俺は兵士で・・・コニーも兵士じゃ・・・待て、コニーは人を食べたりしな・・・コイツは、
     誰だ? 俺は誰だ・・・なんで・・・どうして殺されなきゃならないんだ?)ゾワッ

コニー「ハアッ、ハアッ、うめえなあ!」ギラギラ ガブッ ブチブチッ ゴリュッ ボキボキッ パキンッ

ライナー「・・・ぎッ、うわああッ!!」(皮膚が、肉が、破けて、・・・し、死ぬ!)「・・・いやだ、いやだ! なんで、死にたくない!! 
     殺さないでくれ、ああああ!!」

ウワアア イノチダケハ

獣の巨人『・・・プッ、フ、フフフ・・・。こいつら失敗して腹たったけど、死に際はまあまあ笑えたから許すか・・・』

ドシン、ドシン、ドシン

・・・

ユミル(日、が、昇る・・・、もう、もう大丈夫・・・か)ゼヒュー、ゼヒュー

クリスタ「・・・ッ」ギラギラ チュウチュウ ブチッ ガリッ

ユミル(だんだん、興奮したのか、言葉通じなくなっていって、食うペースも早くなっちまった。修復がとても追いつかないくらいに)ゼヒュー、ゼヒュー

ユミル「・・・かわいいお前に、食われて死ぬ、なんて、なかなかイカした最期かもな」ゲホ

クリスタ「・・・?」ギラギラ モグモグ

ユミル「クリスタ、聞いてくれるか?」

クリスタ「・・・」ギラギラ コクン

ユミル「・・・ こんなこと、言う資格はないけど・・・。死んで褒めてもらおう、なんて考えるな・・・、お前は・・胸張って生きろよ」

クリスタ「・・・?」ギラギラ バクッ ・・・ブチッブチッブチッ!! ブチュッ

ユミル「~~~!!」(悔しいのは、正気に戻ったお前が、話して聞かせたことみんな忘れちまうってこと・・・だな・・・)クラッ、ガク

ブチッ ピチャッ ボキボキッ

クリスタ「・・・」ゴクン「おいしい・・・ユミル、大好き」ギラギラ チュッ

・・・

ウオオオオ・・・ン

獣の巨人『・・・ヨシ、巨人化した壁内のヤツらも来たし・・・、あ。一応、城のヤツらの巨人化解いとくか。あー面白かった。帰ろ』

・・・


コニー「・・・・あれ?」

コニー「あれ、俺いつの間に外に出たんだ・・・朝か・・・?」グチュッ

コニー「? なにこれ」

コニー「・・・!!」

・・・

クリスタ「・・・え”」

クリスタ「ユミル・・・嘘でしょ、・・・イヤ、イヤ・・・ッ、う、うぐッ」ビクッ

クリスタ「おえ”ッ、うえええ・・・!!」ビチャビチャビチャ

クリスタ(嫌、嫌、嫌! なにこれ、わたしが、食べたの? この肉の塊がユミル? そんな、そんなことって)

コニー「・・・クリスタ! 良かった、無事か!?」

クリスタ「こ、・・・こにー・・・ッ、うう”ッ!」ビチャッ

コニー「しっかりしろ。怪我はないのか!?」サスサス

クリスタ「わたしは、へい、き・・・でもユミルが、ユミルが」

コニー「ああ・・・。生きてるの俺たちだけみたいだ、立てるかクリスタ」

クリスタ「・・・! ・・・どうするの? みんな死んじゃったんでしょ?」

コニー「馬は生きてるし、先輩の機動装置は使えた。それにまだ夜明けで巨人は少ない。
    俺たち兵士だろ、このことを報告して・・・遺体を届けるギムがあるんだ!」グイ

クリスタ「・・・そうだね。・・でもわたし、ユミルを殺したんだよ・・・生きてていいの?・・・」

コニー「さあ・・・。でもライナーならこうすると思ったんだ。・・・ユミルならどうするんだよ」

クリスタ「・・・」(ユミルの髪留め。・・・)パチン「うん、行こう」


・・・


パカラッ パカラッ

コニー「なんで・・・、なんで夜明けなのに、こんなに巨人がいるんだ!」

クリスタ「・・・コニー、倒さないと、進めないよ!」

コニー「わかってる! ・・・ッくそ、クリスタ一旦別れよう、俺は向こうの奴らをやるから!」ジャキッ

クリスタ「うん!」

パシュッ

巨人1「アー」

コニー(よし! うなじを直接イケる、このまま削いで・・・)ヒュウッ

巨人1「アー・・・。・・・オニイ・・・チャン・・・」

コニー「!?」ピタッ

巨人1「アー」ブンッ  

コニー「あ!・・・うっ!」ドサ (なんだ今の、・・・母ちゃんに似たヤツみたいに・・・しゃべって・・・)ドクンドクン

巨人1「アー」ミミツカム

巨人2「ウウー」ヒッパラレル

コニー「!」

(サニー「こら!」ミミツカム
 
 マーティン「うわっサニー!」ヒッパラレル)

コニー「サニー・・・マーティン・・・なのか・・・じゃあ、やっぱり村にいたのも・・・母ちゃん・・・」

巨人1「アー」ドシンドシン

コニー「くそっ!」ジャキ

巨人2「ウー・・・」

コニー「・・・っ、ダメだ、弟と・・・妹だぞ、ハハ・・・殺せねーや」ヘタ

巨人1「ウウー」テヲノバス

コニー「・・・ッ」ガタガタ(ダメだ、食われると思うと、怖え、ションベンちびりそうだ・・・っ、こんなとこで一人で・・・)

コニー「クリスタ・・・!」

巨人「ウー」アーン

クリスタ「・・・ッアンカーが、なんでこんなに堅いの・・・! ダメ、飛べない、・・・」フッ

クリスタ「・・・調査兵で、巨人に食われて死んで、・・・惨めだよね、褒めて・・・くれるよね、きっと・・・!」

バクッ

ブチュッ ゴリッ ブシュッ

コニー「・・・あ、ああ、クリ・・・スタ・・・嘘だろ、・・・!」ガタガタガタ

コニー(死ぬにしてもなにか、なにかないか、・・・そうだ! 鞄の中に、ベルトルトの遺体の一部・・・!)パカッ ゴソゴソ

コニー(ベルトルトの首・・・。寝てるみたいだ、安らかだな。・・・そうだ、こいつの寝相すげー面白かったな。・・・)

コニー(・・・震えが止まった。・・・仲間と戦死できるなら、兵士としてマシな最期なのかもな)ギュッ

巨人1「アー」ガシッ ヒョイ

コニー「・・・そういや腹減ったなあ、ベルトルト。昨日からロクなもの食ってねーよ。・・・。ああ、妹と弟に情けないとこ見せずにすみそうだ、・・・」

巨人1「アアー」アーン

コニー「それもこれもぜんぶお前のおかげだよベルトルト、ありが」

バクッ


終わり

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