末原「バレンタインキッスやな……」咲「そうですね」(123)

代行
BGM:http://www.youtube.com/watch?v=_TUk7Kh7yAI

姫松高校 部室


末原「これはどうやろ?」

由子「うーん、ちょっと甘過ぎなのよー」

末原「そうか……ならこっちはどうや?」

由子「うん、なかなか良い感じなのよー」

ガチャ

洋榎「おつかれさんさんさんころり~♪」

由子「あ、洋榎なのよー」

末原「どないしたん洋榎? もう三年は引退やろ?」

洋榎「って、お前らも三年やろが!!」ビシッ

洋榎「いやな、もう進路もほぼ決まって暇やし、ちょい遊びにな」

前スレ

末原「咲がむっちゃ好きやねん!!」咲「えっ!?」

初見の方でも大丈夫だと思います

洋榎「んで、二人は何しとんの?」

由子「恭子が試作したチョコの味見をしてるのよー」

洋榎「チョコ?」

末原「来週バレンタインやん。そん時咲に渡すチョコの試作しとるんよ」

洋榎「ああ、そういや来週はバレンタインやったな」

末原「なんや洋榎、忘れとったんか」

由子「洋榎らしいのよー」

洋榎「なあなあ、うちにも一つ食べさせてーな」

末原「ええで」スッ

洋榎「あんがとさん」パクッ

末原「どうや?」

洋榎「うん、めっちゃ美味いで」

末原「そうか、ありがと。そんで、味の細かな感想聞かせてくれへんか?」

洋榎「えっ、感想?」

末原「せや。ただ美味いだけやなく、甘すぎるとか、しつこい感じがするとかないん?」

洋榎「んなこと言われたってな~、美味いもんは美味いし」

由子「恭子、洋榎にそんな感想求めても無駄なのよー」

由子「洋榎は美味いか不味いかのどっちかでしか判断できないのよー」

末原「まあ、それは私も若干思っとったけどな」

末原「でも万が一でも可能性があるんやったら、訊いてみんと」

洋榎「あれ? もしかしてうち、バカにされとるんとちゃうか?」

末原・由子「いやいや、そんなことないで(のよー)」

洋榎「それにしても、ずいぶん作ったな~」

由子「もうかれこれ、だいたい三十種類は食べたのよー」

洋榎「ちょ、三十って恭子、作りすぎやろ!?」

末原「そうか? こんくらい普通やろ」

洋榎「いやいや、充分多いって!? 何でそない作ってんねん!?」

末原「それは……」

洋榎「なんや?」

末原「……咲との初めてのバレンタインやもん、喜んでもらいたいからやん////」クネクネ

洋榎「……あ、そか」ゲンナリ

由子「恭子、本当に変わったのよー」

洋榎「そんで、納得の行くんはできたんか?」

末原「なんとかな。ただどう渡したらええんか考え中や」

洋榎「そんなん、普通に渡したらええやないか」

末原「うーん、でもそれやったらインパクトに欠けるしな……」

由子「インパクトって……」

洋榎「なるほどなー。……そやったら、こういうのはどうや?」

末原「洋榎、何か思いついたんか?」

洋榎「当たり前や!!」

洋榎「恭子が……全身にチョコ塗って『うちを食べて~』って言って突撃や!!」ババーン

末原「!! その手があったか!!」ポン

洋榎「あるわけないやろ!!」バシッ!

末原「いたた……なんで叩くん? 洋榎が言ったんやないの」

洋榎「んなもんボケに決まっとるがな!!」

洋榎「どこの世界にそないな事本気でやろうとする奴がおんねん!?」

末原「ここにおるけど……」

洋榎「……あー、せやったな……」

由子「恋は盲目なのよー」

末原「でも発想は悪ないな……」

末原「そや!! チョコを胸に挟んで、『咲、私ごと食べて』ってのはどうや!?」

洋榎「ええかげんエロ方面から離れんかい!!」バシンッ!!

末原「いたた……」

由子「本当に恭子は宮永さんが好きなのよね」

洋榎「ホンマにな。あの恭子をここまで変えるんやから、こら相当惚れとるで」

洋榎「恭子は確か長野の大学に行くんやったっけ?」

末原「ああ。咲と少しでも一緒にいたいからな」

末原「長野の清澄大学ってところにな。もう推薦で進学も決まっとる」

由子「洋榎は大阪のプロチームに行くのよね?」

洋榎「一応話は来とる。まあ、まだ返事はしとらんけどな」

末原「そんで由子は地元の大学に進学やっけ?」

由子「そうなのよー」

洋榎「てことは、こん三人がこうやって一緒に過ごせるんも、あと少しってわけか……」

ガチャ

絹恵「あれ、お姉ちゃん。どないしたん?」

洋榎「絹か。遊びに来たでー」

由子「お邪魔してるのよー」

末原「主将、今日もお邪魔してます」ペコッ

絹恵「ちょ、末原先輩! そういうの止めてくださいって言ってますやん」アセアセ

絹恵「私後輩なんですから、前みたいに接してくださいって」

末原「それはそうですけど……」

洋榎「恭子、ええやないか。絹もこう言っとるんやし、普通にしようで」

末原「まあ、洋榎が言うんやったら、そうするけど」

絹恵「お姉ちゃん、ありがとうな」ホッ

洋榎「何や絹、恭子にあないな感じで話されとったんか?」

絹恵「もう、そうなんよ。私が何回言うても、『いえ、主将に対して失礼なので』って言って……」

洋榎「はぁ、うちん時もそやったけど、そういうお固いところは変わらへんのやな」

由子「でもそんな恭子を唯一変えたのが……」

洋榎「宮永咲やんな~」

末原「……えへへ……////」テレテレ

絹恵「あ、末原先輩、これ食べてもいいですか?」

末原「ええで。どうせ家に置いとっても駄目にするだけやし、どんどん食べてや」

絹恵「わぁ、ありがとうございます。それでは……」パクリ

絹恵「うん、美味しいですわ!」

洋榎「あれ恭子、絹には味の細かな感想訊かへんのか?」

末原「ええよ、絹ちゃんにはこれまで色々と協力してもらったからな」

洋榎「あ、そうなんや……」

ガチャ

漫「失礼します」

洋榎「お、漫。久しぶりやな~」

漫「愛宕先輩、お久しぶりです!」

洋榎「なんや漫、今日はバニーガールの格好か」ハハハ

漫「……そこに触れんといて下さい……」シクシク

絹恵「あー、上重さん、今代行のお気に入りですからね……」

由子「なんもかんも恭子が悪いのよー」

末原「は? なんで私の所為なん?」

洋榎「そら恭子が宮永に夢中になって、代行の興味を無くさせたからやろな」

絹恵「今までは末原先輩が代行のお気に入りでしたからね」

末原「……そういえば最近代行が私に絡んで来んくなったな……」

洋榎「まあ漫、元気出せや!! ほら、チョコ食べーや」サッ

漫「うぅ……いただきます……」シクシク

末原「さて、そろそろ私は帰るわ」

洋榎「せやな、ぼちぼち部員も来たことやし、帰るとするか」

絹恵「えー、そない気にせんでも、お姉ちゃんたちやったらおってもええんやで?」

由子「さすがにこれ以上の長居は申し訳ないのよー」

洋榎「そういうことや、ほな、邪魔したわ」

絹恵「また遊びに来てな、お姉ちゃん、末原先輩、真瀬先輩」

漫「……あぁ、チョコが美味しいです……」シクシク

――――――――――

由子「それじゃ、さよならなのよー」

洋榎「じゃあな由子」

末原「色々ありがとうな、助かったわ」

由子「こちらこそ、美味しいチョコをありがとなのよー」

末原「さて、洋榎、私はこっちやから」

洋榎「あ、恭子……ちょっと待ってくれへんか?」

末原「ん? どないしたん、洋榎?」

洋榎「あのな……んー、でもなー」ウーン

末原「洋榎にしては珍しく歯切れ悪いな」

洋榎「んー、よし!! 実は恭子に頼みがあんねん!!」

末原「頼み?」

洋榎「せや!!」

末原「何や?」

洋榎「あのな……うちにチョコの作り方教えてくれへんか!?」

末原「はぁ!?」

洋榎「頼む、恭子!!」

末原「いきなりどないしたん洋榎!?」

洋榎「……今日、宮永のことで幸せそうにしとった恭子見て、正直羨ましかったんや」

洋榎「せやからうちも恭子みたいになりたい思ったんよ」

末原「なるほどな……。事情は分かったけど、渡す相手はおるん?」

洋榎「お、おるっちゃおるけど……////」モジモジ

末原「ホンマか!? 誰なん、教えてーな?」

洋榎「あぅ……どうしても言わなアカンか?」モジモジ

末原「そらな。教えてくれへんと、協力はできへんな」

洋榎「うぅ~、し、仕方ないな……」

洋榎「うちが好きなんはな――ひ、久なんよ……////」

末原「久? もしかして、咲の学校の部長さんか?」

洋榎「せ、せや」

末原「驚きやわ」

洋榎「そ、そんでチョコ渡す時に、こ、告白しようと思うてん……」

末原「洋榎が告白って、こらマジやんな……」

洋榎「なぁ、頼む恭子!! 相手教えたんやし、チョコの作り方教えてくれへんか!?」

末原「よし、分かったわ! 明日私ん家に来てな。みっちり教えたるわ!!」

洋榎「ほ、ホンマか!? ありがとうな、恭子!!」

翌日 末原家


ピンポーン

末原「はい」ガチャ

洋榎「来たで!!」

末原「待っとったで。入りーや」

洋榎「おじゃまするで」

末原「ほんなら、さっそく作るとするか」

洋榎「そういや恭子、うち何も持ってきてへんけど、大丈夫か?」

末原「ああ、心配せんでええよ。材料なら家にいっぱいあるし」

洋榎「せやったらその分の代金払うわ」

末原「んなもんいらんわ」

洋榎「ちょ、ええんか!?」

末原「かまへんよ。そん代わり、しっかり作りーや!!」

洋榎「当ったり前や!!」

――――――――――

末原「ほな、始めるか」

洋榎「よろしく頼むで!」

末原「まず洋榎はどんなチョコを渡したいん?」

洋榎「ん? どういう意味や?」

末原「例えば、甘い感じのチョコにするとか、苦めの感じのチョコにするとか」

末原「相手の好みに合わせた方がええやろ?」

洋榎「なるほどな」

末原「そんで、どんなチョコにするん?」

洋榎「せやな……久は大人やし、少し苦めん方がええかな」

末原「そうか、そんならビターチョコをメインにしたトリュフチョコでも作ろか」

――――――――――

末原「まずチョコをきざむで!!」

洋榎「任しとき!!」ダダダダ

末原「わっ、危ないわ! 包丁大きく振り過ぎや!!」

――――――――――

洋榎「チョコを鍋で溶かすんやでな……これくらいうちでも分かるわ」ジュー

末原「ちょ、何しとんの洋榎!! 直接やったら焦げてまう!!」

洋榎「ん? ――ってホンマや!!」

――――――――――

末原「しっかり混ぜるんや!!」

洋榎「分かったわ!!」ガシガシ

末原「アカン、強すぎや!! 少し抑えてや!!」

――――――――――

末原「よし、こんなもんやな」

末原「一旦冷蔵庫で冷やすで」

洋榎「分かったわ、ほな入れてくるわ」カチャ

洋榎「――うわぁあああ!!?」バタン

末原「どないしたん洋榎!?」

洋榎「き、恭子の、な、生首が……」ガクガク

末原「はぁ? 何言うてんの洋榎?」

洋榎「ほ、ホンマや……冷蔵庫開けたらあったんやて!!」ガクガク

末原「冷蔵庫? ……あぁ、もしかしてこれのことか?」カチャ スッ

洋榎「そ、それや!!」

末原「洋榎、よう見てみい」

洋榎「えっ……あ、なんやチョコやんけ」

末原「まったく、人騒がせやな」

洋榎「……ちょい待ち。それはこっちのセリフや!」

洋榎「なんで恭子の顔そっくりのチョコが冷蔵庫にあんのや!?」

末原「なんでって、そら昨日作ったからや」

洋榎「はぁ!?」

末原「あの後色々考えてな、私自身をかたどったチョコやったらインパクトもあるし」

末原「それに私の溢れんばかりの愛を咲に分かってもらえるか思ってな」フッ

洋榎「……恭子、悪いことは言わん。……普通のチョコにしーや」

末原「アカンかな?」

洋榎「当たり前やろ!? こないなチョコ貰ったかて、どう反応してええか分からんやろ!?」

末原「うーん、そうやろか?」

洋榎「とにかく止めときや!!」

末原「分かったわ……はぁ、しゃあない、普通のチョコにするか……」

洋榎「全く……以前の恭子やったら考えられん発想やわ」

末原「でもせっかくやし、咲の感想訊いてみようか」ピンピロピーン

洋榎「えっ?」

末原「写メを添付して……よし、送信っと」

洋榎「おい、何送っとんねん!? 絶対引かれるだけやって」

末原「いや、咲やったら絶対喜んでくれるって」フフン

洋榎「…………」

キョーコサン、メールデスヨー

末原「おっ、返ってきた返ってきた」ポチポチ

洋榎「着信音宮永の声かい……」

末原「えっと、何々――」


咲『わぁ、すっごいですね!』

咲『とても美味しそうですけど、私はたぶん食べることなんてできないでしょうね』

咲『だって、チョコ恭子さんを食べちゃうなんて可哀想なこと、私にはできませんもん』

咲『食べずに、ずっとそばに置いて私を見ていて欲しいな……なんてね、てへっ』


末原「可哀想か……まったく、咲は可愛いな~」ニヤニヤ

洋榎「……アカン、これは最上級のバカップルやわ……」ゲンナリ

洋榎「……うちも久と恋人になれたらこんな風になってまうんやろか……」

末原「さて、咲の感想も聞けたことやし、これは食べるとするか」

末原「洋榎も一緒に食べようや」

洋榎「いや、うちは遠慮しとくわ……」

末原「そうか? そない遠慮せんでもええのに」

洋榎「……何が悲しいて親友の顔かたどったチョコ食べなアカンねん……」

末原「言われたら確かにそやな」

洋榎「ってせや、冷蔵庫に入れるん忘れとったわ!!」

末原「ホンマやな、私もすっかり忘れとったわ」

洋榎「……よし、入れたで! どんくらい冷蔵庫に入れたらええんや?」

末原「だいたい十五分から三十分くらいやな。そん間に洗い物片付けるで」

洋榎「分かったで!!」

――――――――――

洋榎「……こんな感じでええんか?」

末原「どれどれ……ああ、ええ感じや」

洋榎「…………よし、これで全部できたな!!」

末原「よし、こん丸めたチョコに湯煎で溶かしたチョコつけて、上からココアパウダーかけたら完成やで!!」

洋榎「よっしゃ、あとひと踏ん張りやな!!」

――――――――――

洋榎「…………で、できたでーー!!」

末原「お疲れさん、洋榎」

洋榎「うちにも作れたで……めっちゃ嬉しいわ」

末原「さっそく一つ味見してみよっか」

洋榎「せ、せやな……これで味がアカンかったら久に渡せれへんし……」

洋榎「……い、いただくで……」ドキドキ パクッ

末原「……どや?」

洋榎「うん、イケるでコレ!! めっちゃ美味いわ~」

末原「ホンマか?」パクッ

洋榎「どうや、恭子!?」

末原「洋榎、よう頑張ったな」グッ

洋榎「よっしゃー!! 恭子、ホンマにありがとうな!!」

末原「お礼言うんはまだ早いで」

洋榎「ん、なんでや?」

末原「これはまだスタート段階や。本番はバレンタインやろ?」

洋榎「あ……せやったな……渡すだけやアカンかったな」

末原「せや。お礼は告白できて、清澄の部長さんと恋人になれた時に聞かせてな」

洋榎「分かったわ、いくらでも言ったるで!」

末原「そんで、洋榎は当日清澄の部長さんに会いに行くんやでな?」

洋榎「せやで!」

末原「私も実は咲に内緒で長野に行こ思うてたんやけど、一緒に行こか?」

洋榎「ホンマか!? めっちゃ心強いわ!」

末原「ほんならバレンタイン当日の朝、私の家の前に集合でええか?」

洋榎「ああ、ええで」

末原「……洋榎」

洋榎「なんや?」

末原「自信持ちや。洋榎の想いは絶対、清澄の部長さんに届くって!」

洋榎「恭子……」

末原「バレンタイン当日は、頑張りや!!」

洋榎「……ああ、やったるで!!」

バレンタインデー


末原「さて、そろそろ準備するか」

ピンポーン

末原「ん? もう来たんか?」

末原(いや、洋榎にしては早すぎるな。誰やろ?)

末原「はい」ガチャ

「クール宅急便です」

末原「あ、お疲れ様です」

「こちらにサインお願いします」

末原「ここですね」サラサラ

「はい、ありがとうございました」

末原「どうも」

末原「誰からやろ? えっと……」

末原「『長野県 宮永咲』……咲!?」

末原「ま、まさか!?」ガサガサ

末原「やっぱりチョコや!!」

末原「しっかりハート型やし、チョコペンで『アイラブきょうこさん』って書いてある~」

末原「ありがとうな咲、めっちゃ嬉しいわ~」

末原「ん? メッセージカードが付いとるな?」

末原「何々……『恭子さんの為に一生懸命作りました。また会える日を楽しみに待ってます。咲』か……」

末原「……安心せえ咲。今から会いに行ったるからな!!」

末原「っと、その前に咲チョコを味わうとするか」パキッ

末原「うん、咲チョコやばいくらい美味いわ!!」

末原「これが愛の味なんやな……」

――――――――――

末原「…………」

末原「…………」トケイチラ

末原「…………」

末原(洋榎来ーへんな? 集合時間過ぎとんで?)

末原(大方、寝坊かなんかやろうけど――って来たな)

洋榎「す、スマン恭子、ね、寝坊したわ!!」ゼエゼエ

末原「思った通りやな」

末原「安心せえ洋榎。こうなることも予想してわざと集合時間早めにしたからな」

洋榎「あ、そうなんや。よかったよかった」

洋榎「せや、恭子!! うちが作ったチョコ渡してくれへんか?」

末原「長野に着いてからや」

洋榎「えー、なんでなん? 作った後かて、当日まで預かる言うし」

末原「洋榎に渡してもうたら、どうせどっかに失くしてまうんがオチや」

洋榎「ちょ、そないなことあるわけ……ないこともないな」

末原「せやろ」

洋榎「せっかく久の為に作ったチョコ、失くしたりでもしたらアカンしな。恭子、頼んだで」

末原「任せときや」

末原「さて、そろそろ行こうか」

洋榎「おう!!」

長野


洋榎「よっしゃ、着いたで長野!!」

洋榎「もう来るだけでクタクタやわ」

末原「新幹線乗った直後からさっきまで爆睡しとって、よう言うわ」

洋榎「し、しゃーないやん……昨日全然眠れへんかったんやから……」

末原「そうか……いよいよ告白するんやもんな。緊張して眠れへんかっても仕方ないな……」

洋榎「寝よ思うたらテレビでやってたお笑い番組つい見てもうて、それがもうおもろくておもろくて!!」ケタケタ

末原「……洋榎、一発殴ってええか?」

洋榎「ちょ、それは勘弁してくれへんか」アセアセ

末原「まったく……ホンマ洋榎はどんな時も変わらへんな」フゥ

洋榎「せやろーさすがやろー」

末原「いや、褒めてへんから」ビシッ

洋榎「ほな、ぼちぼち行くとするか」

末原「ああ洋榎、これ忘れとるで! ほら、洋榎が作ったチョコや」

洋榎「せやったせやった……ってこのラッピング、めっちゃええやん!!」

末原「私が洋榎の為にできるんは、こんくらいやからな」

洋榎「恭子……ホンマ世話になりっぱなしやわ」

末原「気にせんでええよ。私の洋榎の仲やん」

洋榎「ありがとな。ほな、行ってくるわ!!」

末原「頑張りや、洋榎!!」

洋榎「おう、任せときや!!」ダッ

末原「……しっかりな、洋榎」

――――――――――

ピンポーン

咲「はい、今開けます」ガチャ

末原「咲ー!!」ダキッ

咲「わっ!? えっ、恭子……さん?」

末原「会いたかったで~!!」スリスリ

咲「どうしたんですか、いきなり?」

末原「私らが付き合って初めてのバレンタインやもん、直接渡したかってん」スリスリ

咲「もう、恭子さんったら」クスッ

末原「ああ、久しぶりの咲の感触や~」スリスリ

咲「私も、久しぶりに恭子さんのぬくもり、感じます……////」

末原「せや咲、チョコめっちゃ美味しかったで!」

咲「あ、無事届いたんですね。良かったです」

末原「今朝届いたで。そしてこれが、私の手作りチョコや!!」ババーン

咲「わぁ……ありがとうございます!」

咲「さっそくいただきますね」

末原「うん、食べてな」

咲「それでは……」パクッ

末原「ど、どうや……?」ドキドキ

咲「……今まで食べたチョコの中で、一番美味しいです!!」

末原「ホンマか!? 良かったわ、喜んでもらえて」

咲「ありがとうございます、恭子さん」ニッコリ

――――――――――

洋榎「えっと、確か久の家はこっちやったな」

洋榎「うぅ……い、いよいよやな」

洋榎「えっと、まずチョコを渡して、そんで……」

洋榎「こ、告白やでな……////」

洋榎「ど、どないしような!? なんて言って告白したらええんやろ!?」

洋榎「アカン……告白することだけ決めて、なんて言うかまったく考えとらんかったわ……」

洋榎「『久のこと、愛しとんねん……』はどやろ?」

洋榎「いやいや、『うち、麻雀より、からあげよりも、久が好きやねん』もええな」

洋榎「うーん、悩むわ~」

「じゃあね、まこ」


洋榎「ん、こん声は……」


久「さてと、今日は帰ったら何しようかしら」


洋榎「や、やっぱり久や!!」

洋榎「ま、まさかこないな場所で会えるとは思わんかったわ……」

洋榎「まあええわ……手伝ってくれた恭子の為にも、うち自身の為にも、気合入れていくか!!」


久「よし、テレビでも見ながら、今日貰ったチョコをいただこうかしらね」ドッサリ


洋榎「うわっ!? さ、さすが久やな……袋一杯にチョコがあるわ……」

洋榎「せやけど負けへんで!! うちがこのチョコに込めた想い、見せたるで!!」

洋榎「よ、よし……おーい、久――」

美穂子「あの、上埜さん!!」

久「美穂子じゃない、どうしたの?」


洋榎「っと、アカン、先客や」


美穂子「あの、これ……受け取って貰えますか?」スッ

久「私にくれるの?」

美穂子「はい……」


洋榎「あれは確か……長野の個人県代表の福路やったな……」

洋榎「まさか福路も久のこと好きやったんか……」


久「ありがとうね、美穂子」

美穂子「そ、そんな……当然ですよ……////」


洋榎「うーん、よう聞こえへんな……何しゃべっとんのやろ?」

久「…………だけど」

美穂子「………………です」


洋榎「うう……気になるけど、これ以上近づいたらバレてまうし……」


久「いいわよ」

美穂子「ほ、本当ですか!? すごく嬉しいです!!」パァ


洋榎「……何や福路、めっちゃ嬉しそうやん……」


久「それじゃあね美穂子、また連絡するから」

美穂子「はい!」ニコニコ


洋榎「…………」

洋榎「……福路、幸せそうやったな……」

洋榎「そうか、福路、久に告白したんやろな……」

洋榎「そんで久はそれを受け入れたってわけか……」

洋榎「……そうか、そうか……」

洋榎「うち、フラれてもうたんか……」

洋榎「ははは、こら傑作やわ……」

洋榎「告白する前にフラれたんやからな……」

洋榎「……恭子、スマンな……せっかく協力してくれたんにな……」

――――――――――

咲「それで優希ちゃんがですね、タコスチョコだじぇって言って、不思議チョコを作ってたんですよ」

末原「あはは、ホンマ咲の友達はおもろい子ばっかやな」ケタケタ

咲「恭子さんの方が、周りに面白い方いっぱいいるじゃないですか」

末原「まあ、退屈はせえへんな」

咲「特に愛宕洋榎さんとか、この前来た時とても面白くって」

末原「洋榎はホンマに一緒におると楽しいで」

咲「……そうなんですか、楽しいんですか」ピクリ

末原「せや。こないだも寿司食べに行った時にな」

末原「『こないワサビが少ないんは美味ないわ、通はこんくらい入れるんや』って大量のワサビ入れて」

末原「それ食って大泣きする始末やもん、もう笑いが止まらんかったわ」ケタケタ

咲「へぇ、そうなんですかー」プクー

末原「あれ、どないしたん咲?」

咲「いえ、別に。……愛宕さんの事、本当に好きなんですねー」プククー

末原(……ははぁん。さては咲、焼きもち妬いとんのやな)

末原(ホンマ可愛いやっちゃわ!)

末原「洋榎の事は好きや。でも、私が一番好きなんは、咲やで!!」ダキッ

咲「わっ!?」

末原「もう、焼きもち妬く咲可愛えわ~」スリスリスリ

咲「も、もう……恭子さんったら////」

キョーコサン、デンワダヨー

末原「おっと、電話や――って、洋榎からか」

末原(きっと告白の報告やろうな)ピッ

末原「もしもし洋榎、どやった?」

洋榎『……恭子、スマンかったな……色々手伝ってもらったんにな……』

末原「ん、洋榎?」

洋榎『……ごめんな……ホンマごめんな……』グスッ

末原「おい、洋榎!? 何があったんや!? 告白アカンかったんか!?」

洋榎『……告白か……それはもうええねん……』

末原「ちょ、洋榎!? 今そっち行ったるから、じっとしとれえよ!!」ピッ

咲「ど、どうしたんですか、恭子さん!?」

末原「……咲、スマンけど、私、行かなアカンねん……」

咲「……愛宕さんのところに、ですか?」

末原「ああ……。洋榎な、今日清澄の部長さんに告白する言うて、ここまで来たんよ」

末原「でも電話の洋榎は、明らかに様子がおかしかったわ……」

末原「きっと何かあったんやわ……私、ほっとけんのや」

咲「…………」

末原「せやから、ホンマゴメンな、咲。せっかくのバレンタインやのに……」

咲「……行ってください」ニコッ

末原「……咲?」

咲「愛宕さんは、恭子さんの助けをきっと待ってるはずです」

咲「それに、自分の事よりも、誰かの為に動く、そんな恭子さんが私は大好きなんです」

咲「私が悩んでた時、自分の都合よりも、私を助けてくれることを優先してくれた、あの時のように……」

末原「咲……」

咲「だから謝らないでください。だって、そんな恭子さんを私は好きになったんですから」

末原「……ありがとうな咲、行ってくるわ!!」ダッ

――――――――――

洋榎「…………」

末原「洋榎、どないしたんや!?」ゼェゼェ

洋榎「……あ、恭子か……」

末原「何があったんや!?」

洋榎「……うちがな、久にチョコ渡そう思うた時にな……」

洋榎「福――別のやつがな、久にチョコ渡したんよ……」

洋榎「そん時、何かしゃべっとったけど……」

洋榎「相手のやつが、めっちゃ嬉しそうにしとったんや……」

洋榎「うちな、それ見て、きっと告白受け入れてもろたんやなって分かったんよ……」

洋榎「……そんな光景見てもうたら、うち、もうチョコなんて渡されへんよ……」

末原「洋榎……でも、直接告白したんを聞いたわけやないんやろ!?」

末原「せやったらまだ告白したと決まったわけやないやん!?」

洋榎「恭子、うちな、これで良かったと思ってんねん……」

末原「はぁ!? 何言っとんねん!?」

末原「あんたの部長さんへの想いはそないあっさりとしたもんやったんか!?」

洋榎「違う……うちな、ホンマは告白すんの、怖かってん……」

末原「……えっ!?」

洋榎「恭子みたいに幸せになりたい思うて、勇気出して告白してみよ思ったけどな……」

洋榎「もし久に告白して、フラれてもうたら、もう前みたいに接することなんてできへん……」

洋榎「いや、もしかしたら嫌われてまう……軽蔑されてまう……」

洋榎「そう考えたら、怖ぁてしゃあなかった……」

洋榎「……せやから、今なら少なくとも久とは今まで通り、普通に接することができる」

洋榎「……だからこれで良かった、そう思えたんや……」

洋榎「昨日テレビ見とって寝られへんかったって言うたやろ……」

洋榎「あれな、嘘やねん。ホンマは今日の事考えたら、怖ぁてしゃあなくて……」

洋榎「それで寝られへんかったんや……」

末原(……そうか、同じやん)

末原(私が夏、咲に告白しようとした時と、まったく同じやん)

末原(私も告白しようと決めた後、もしフラれて……)

末原(今まで通りの関係が壊れて……最悪、嫌われる、軽蔑される……)

末原(そないな事考えて震えとった、私と一緒やん……)

洋榎「……すまんかったな、宮永と楽しくやっとるとこ邪魔して……」

洋榎「帰ろっか、大阪に……」


末原「……アカン、洋榎」

洋榎「えっ?」


末原「ここで何もせんと帰ったら、絶対に後悔するで」

洋榎「……恭子、何度も言うとるやろ。うちはこれでええん――」

末原「ええわけあるか!!」バンッ

末原「なあ洋榎、ホンマにこれで良かった思えるんか!?」

末原「胸張って大阪に帰れるんか!?」

洋榎「そ、それは……」

末原「……ちゃんと、部長さんに洋榎の想い、伝えんと……」

洋榎「…………恭子にはうちの気持ちは分からんよ」

末原「えっ?」

洋榎「宮永と幸せにやっとる恭子に、うちが今どんな気持ちか、分かるわけないやろ!!」

末原「分かるわ!!」

洋榎「はあ!?」

末原「……だって、今の洋榎、咲に告白する前の私と一緒やもん……」

洋榎「嘘、やろ……?」

末原「ホンマや。私かて、今の洋榎と同じように悩んだわ」

末原「咲に告白しよ決めた後、フラれた後の事ばっか考えとった」

末原「もう前と同じようにはいられへん。下手したら嫌われる、そう考えたら怖ぁてメゲそうになったわ」

洋榎「…………」

末原「でもな、そん時私思ったんよ」

末原「ここで勇気出さな、絶対に後悔するって」

末原「せやから私は告白できたんや。言わんかった方が、絶対に後悔する思うたから……」

洋榎「恭子……」

末原「私は洋榎に、後悔して欲しないねん!」

末原「今、どんなに怖い思いしとるんか、私には痛いほど分かる」

末原「せやのにこんなこと言うんは酷なことも充分承知や」

末原「それでも、私は洋榎に勇気出して、ぶつかって欲しいねん……」

洋榎「…………アカンのや……」

末原「えっ?」

洋榎「久の前に出るとな、怖さと緊張で体が震えてまうんや……」

洋榎「おかしいやろ……麻雀では一度も感じたことなんてなかったのにやで」

洋榎「でも……足が前に出えへんねん……」カタカタ

末原「……洋榎」ギュッ

洋榎「き、恭子!?」

末原「大丈夫や、落ち着いて」

末原「全然おかしいことないよ。それは私が一番分かっとる」

末原「せやから洋榎がもし勇気を出してくれるんやったら、私がそばにおったる」

末原「震えが止まるまで、この手をしっかり握ったる」

末原「私には、こんくらいのことしか思いつかんけどな」

洋榎「恭子……」

洋榎「――いや、充分や。……うち、久に告白してくるわ」

末原「ほ、ホンマか!?」

洋榎「マジや。……たとえ結果がフラれるって分かっとってもな。でも、恭子の言うとおりや」

洋榎「……ここで言わんかった方が、後悔するわ」

末原「洋榎……」

――――――――――

末原「ここが部長さんの家か……」

洋榎「恭子、もう大丈夫や。……後は一人で行くわ」

末原「ホンマか?」

洋榎「ああ。恭子に力、もろうたからな」ニカッ

末原「……そうか。頑張りや、洋榎」

洋榎「……ああ!」

ピンポーン

久「はい、どちら様?」ガチャ

洋榎「よ、よう久……」

久「あら、洋榎!? 驚いたわ、長野に来てたの!?」

洋榎「ま、まあな……」

久「そんなに私に会いたかったの?」ニヤニヤ

洋榎「……そうや」

久「えっ?」

洋榎「…………」カタカタ

久「洋榎?」


末原(洋榎、頑張れ!!)

末原(あんたの想いぶつけたりや!!)


洋榎「…………」

洋榎「ひ、久!!」

久「な、何!?」

洋榎「こ、これ、受け取って欲しいねん!!」スッ

久「これって……チョコ? ありがとうね、洋榎」ニコッ

洋榎「それとや久、うち……」

久「ん?」

洋榎「あのな……」ブルブル


末原(負けんなや洋榎!!)

末原(勇気出してや!!)


洋榎「久が好きやねん!!」

久「えっ!?」


末原(よっしゃ、よう言った!!)

洋榎「うち、生まれてからこんなに人を好きになったことなんてなかったんや」

洋榎「久と一緒におると、楽しくて、幸せやって思えた。そして気づいたんよ」

洋榎「……久に、心底惚れとる自分に」

洋榎「久と付き合いたい思うてる自分にな……」

久「洋榎……」

洋榎「分かっとるで、久の返事は。それでも、うちは自分の気持ち伝えたかったんや」


久「いいわよ」

洋榎「せやろな、いいに決まっとるでな――ってあれ?」キョトン


久「だから、洋榎となら付き合ってもいいわよって言ったんだけど?」

洋榎「えっ、ちょ、これ何のドッキリなん!? カメラどこや!?」キョロキョロ

久「ちょっと、そんなに私の言葉が信じられないの?」

洋榎「ちょ待てーな、だって久、恋人おるんやろ!?」

久「恋人? いないわよ。そりゃ手を出した子は何人かいるけど……」

洋榎「いやいや、でもさっき、福路と何か話しとって、いいよって言っとったやないか!?」

久「ああ、あれね。美穂子にお礼は何がいいって訊いたら、週末一緒に遊園地に行って欲しいですって言ったから、いいわよって答えただけよ」

洋榎「えっ、遊園地!?」

久「うん。そしたら美穂子、すっごく喜んでね」

洋榎「な、なんや、てっきり福路が告白して、それを久が受け入れたもんやとばっかり……」ヘナヘナ

久「ていうか、洋榎見てたの?」

洋榎「あ、その……す、すまんかった……」

久「まったく、しょうがない子ね」クスッ

洋榎「で、でも、ホンマにうちでええんか!?」

洋榎「うち、そない可愛ないし、やかましいし」アセアセ

久「くどいわね。私ね、こう見えても結構モテるのよ」

久「告白されたことだって、一度や二度じゃないわ」

久「でも正直、誰かと付き合いたいなんて、これっぽっちも思えなかったのよね」

久「……でもね、洋榎が告白してくれた時ね、初めて誰かと付き合いたいって本気で思えたの」

久「この気持ちは本物よ。……信じられない?」

洋榎「い、いや、信じるで! 信じるけどな……幸せで、まるで夢のような心地良さやねん……」

洋榎「だってな、うちフラれる思うて自分の気持ち伝えに来たんやで!?」

洋榎「せやのに久と恋人になれるやなんて、夢みたいやもん!!」

久「なるほどね。なら、夢から覚ましてあげるわ」グイッ

洋榎「わっ、ちょ、久――」

チュッ

久「……どう、これでもまだ夢だって思うの?」フフフ

洋榎「い、いや……こん感触は、夢なんかやないな……////」

久「ふふ、良かった」

久「そうだ、チョコ、食べてもいいかしら?」

洋榎「も、もちろんや。食べてや」

久「ありがと。それじゃいただくわ」パクッ

洋榎「……ど、どや?」ドキドキ

久「うん、私好みの味だわ。すっごく美味しい!!」

洋榎「よ、良かったわ!!」

久「洋榎、ありがとうね」

洋榎「え、ええよ。ひ、久が喜んでくれたらそれで……////」

末原「……良かったな洋榎……」グスグス

咲「ハンカチ使います?」

末原「さ、咲!?」

咲「ごめんなさい、気になって後をつけてきちゃいました」

末原「いや、それは別にええけどな」

咲「……愛宕さん、良かったですね」

末原「ああ、ホンマにな……」

咲「それにあんなに幸せそうな部長見るの、初めてです」

末原「洋榎の勇気が、こん結果を生んだんやな……」

咲「恭子さん」

末原「ん、何や咲?」

咲「んっ――」チュッ

末原「~~~~////」

咲「……えへへ、二人見てたら、私も恭子さんとキスしたくなって////」

末原「ち、チョコの味がしたわ……////」

咲「私もです////」

末原「バレンタインキッスやな……」

咲「そうですね」

末原「……来年も、こうして過ごせたらええな」

咲「もちろんですよ」




末原「バレンタインキッスやな……」咲「そうですね」  カン

支援、代行ありがとうございました。

恭咲ラブラブシリーズ(?)第二弾はバレンタインでお送りしました。
ただ今回のメインは愛宕ネキですが。
次回があるならば、大学生になった恭子と咲のラブラブを書いた大学編にしたいです。

たまにはこんな末原さんも、いいんじゃないですかな。
宥菫、恭咲でバレンタインSS書いて、次は淡京でバレンタインSS書き溜める作業に移らなくては……。

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