ほむら「何度やっても……アイツに勝てない」はっぱ隊「YATTA!」(352)

南原「人生行き止まりだ!」

ほむら「!?」

南原「でも目の前にあるその壁は、君自身にしか壊せないんだぜ!」

ほむら「!?……!?」

南原「あっ! YATTA!! YATTA!! YATTA!! YATTA!!」

ほむら「えっ……えっ……?」

ほむら(だ、誰なのこの人……なんではっぱ一枚しか……)

ほむら(それより……なんでこんな危険な場所に一人で……)

原田「YATTA! また新しい人生の幕開けだ!」

ほむら(増えた!?)

原田「諦めることはいつでも出来るけど、諦めないことは今しか出来ないんじゃないのかい?」

ほむら「ど、どうなってるの……一体何が……?」

南原・原田「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

ほむら(ま、待って……これはきっと幻覚……)

名倉「一度きりの人生、何度だってやり直してみればいいじゃない!」

ほむら「!?」

堀内「戦闘力が今の十倍に!」

大内「魔女なんか片手で倒せちゃったり!」

ビビる「倒せなかったらご愛嬌!」

ほむら「…………」

ほむら「な、何なの……この人たち……」

ほむら(でも……もう一度だけやり直してみてもいいかもしれない……)

ほむら「……戻ろう、もう一度」

南原「うんうん、そうやって新たな一歩を踏み出す勇気を持ったあなたが」

『うまらやしいぃ~』

ほむら(……早く戻ろう)

・・・

ほむら「本当に何だったの……あの裸の人たちは」

ほむら(気にしてる場合じゃない、とにかく今は私がこの世界で出来ることをやらなくちゃ)

ほむら「今度こそまどかのことを、そしてワルプルギスの夜を……!」

しかし、事態は暁美ほむらの思うようには進まず


キュゥべえ「助けてくれてありがとう、まどか!」

まどか「ううん、私のことは気にしないで」

マミ「……ここは退きなさい、暁美さん。これ以上キュゥべえを狙うのなら私にも考えがあるわ」

ほむら「…………!」

ほむら(また……キュゥべえとまどかを接触させて……!)

病院

マミ「なるほど……確かにここからは魔女の気配がするわね」

まどか「早く行かないと……さやかちゃんたちが中で待ってるんです!」

マミ『キュゥべえ、そっちはどんな様子?』

キュゥべえ『卵の孵化にはまだ時間がかかるよ、もちろん刺激しすぎれば危険だけれど』

マミ『了解、魔力は抑えてできるだけ早く向かうわ』

マミ「さて…じゃあ行きましょうか」

まどか「は、はい!」

魔女結界内

まどか「うわ……」

マミ「怖いわよね、やっぱり」

まどか「ご、ごめんなさい……何度か来てるんですけど全然慣れなくて……」

マミ「慣れてしまって恐怖を感じなくなってしまうほうが恐ろしいわ……さあ、先に進みましょう」

ほむら「待って」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

マミ「暁美さん、何の用かしら?」

ほむら「今回の魔女は私が仕留める、あなたたちは下がっていて」

マミ「美樹さんとキュゥべえが待っているの、あなたに任せるわけにはいかないわ」

ほむら「彼女たちの安全は私が保証する」

マミ「一度キュゥべえを襲っているあなたの言葉を信用するとでも?」

ほむら「!」

ほむら(巴マミの……拘束魔法……!)

ほむら「こんなことをしている場合じゃ……!」

マミ「心配しないで、魔女を倒したらちゃんとその拘束は解いてあげるから」

マミ「行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい……」

ほむら「待って! 私の話を……!」

ほむら(ダメ……このままじゃまたマミが……!)

・・・

マミ「ティロ・フィナーレ!」

さやか「やった! さっすがマミさん!」

マミ「フフ……」

まどか「あっ……ま、マミさん!!」

マミ「?」

倒したと思われた子供の人形の姿をした魔女、その口から異形の魔女が現れ

マミ「……!!」

巴マミの頭部を食いちぎろうとした瞬間

キィン!

マミ「……えっ?」

ハンサム侍「大丈夫かいレディー? えっ、大丈夫じゃない? 僕の魅力に焼かれてしまった?」

ハンサム侍「なんてことだ……ああ、普通のハンサムに戻りたい」

マミ「……!?」

まどか「あ、あの人……」

さやか「だ、誰っ!?」

マミ「だ、誰かは分からないけど……まだ魔女は死んでないみたいね……」

ハンサム侍「オッケェー、オーラァイ。分かってる、あれを斬らなきゃ……

ハンサム侍「だって僕は、ワンダフリッシュハンサムだから!」

さやか「キャー! ハンサム様ー!」

まどか「さ、さやかちゃん!? いきなりどうしたの!?」

さやか「えっ……あっ、何かこうやって言わなきゃいけないような気がして……」

まどか(……なんかどこかでB'zの曲が聞こえる気がする)

・・・

ハンサム侍「討伐、完了」

マミ「…………」

さやか(何で斬られた魔女、赤い花びらを散らしながら死んでいったんだろう)

まどか(それより何であの人、普通に魔女と戦えるんだろう)

キュゥべえ(わけがわからないよ)

マミ「あ、あの……危ない所を助けていただいて……」

ハンサム侍「気にすることはないさ、ブサイク憎んで人を憎まず」

マミ「…………」

ハンサム侍「しかしコレ、本当にブサイクだな……またつまらぬものを斬ってしまった」

ハンサム侍「まぁいいや、オッケェー! これからダーツバーに行ってエンジョイしよーう」

さやか「キャーハンサム様ー!」

さやか(あれ……なんでまたあたし……)


ほむら「…………」

ほむら(必死に拘束から抜け出してきたのに……状況が全く分からない)

数日後、病院

恭介「…………」

さやか「恭介……借りてきたCD、ここに置いておくね」

恭介「…………」

さやか「恭介……?」

恭介「……さやかは僕をいじめているのかい?」

さやか「え……?」

恭介「何で……指が動かなくなって音楽が出来ない僕にこんなものを聞かせるんだ!」

さやか「だ、大丈夫だよ!頑張ってリハビリすれば必ず……」

恭介「治らないって言われたんだ、バイオリンはもう諦めろって……」

さやか「!」

恭介「もう…魔法とか奇跡でもない限り、僕は……どうやって生きれば……!」

さやか「…………」

さやか「あるよ」

さやか「魔法も奇跡も…あるん」


その瞬間、響き渡る鐘の音が一つ

ゴング『カーン!!』

BGM(スピニング・トゥー・ホールド)

ドリー「…………」スタスタスタ

ドリー「生きてるって、なんだろ?」

テリー「生きてるって、なあに?」

さやか・恭介「!?」

さやか(病院の外に……なんかいる……)

ドリー「うぅ~……あぁ~はああぁぁ……」

テリー「ぅお兄ちゃん! どしたんだよ! またまたそんな、オランウータンみたいな溜め息ついちゃって!」

ドリー「ああテリー、いたの? そりゃ溜め息だって出ますよ」

ドリー「今日も入院で病院食……明日も入院で病院食……その次も入院で病院食……」

テリー「うぅん」

ドリー「毎日毎日同じことの繰り返しで! お兄ちゃんちっとも生きてる気がしないんだよ!」

さやか「…………」

さやか(び、病院の先生呼んだほうがいいかな……)

テリー「そんなことないよお兄ちゃん! こっちこっち!」

テリー「元気出してよお兄ちゃん! 病院食が嫌なら、自分で作ればいいんだよ!」

ドリー「自分で?」

テリー「材料とワインはあるからお兄ちゃん、これでフランベやってみてよ!」

ドリー「フラ……あ、あのフライパンから火がボーッっなるやつ!?」

ドリー「おぅ止めてくれ……出来るわけないだろそんなの……」

テリー「弱虫ぃ!! ケダモノ!!」

ドリー「け、ケダモノ?」

テリー「勇気を出してよ、お兄ちゃん!」

ドリー「……ありがと、テリー。お兄ちゃん、弱虫だったよ」

テリー「じゃあお兄ちゃん、これ早くやってみてよ!」

ドリー「こ、ここにワイン入れればいいのね?」

テリー「そうだよ、お兄ちゃん出来るよ」

ドリー「うるせっ! やってやるって言ってんだろ!」

ドリー「ワーン……ツー……スリッ!!」

シュバゴオオオォォォォ!!

ドリー「ぬああ熱っっい! 熱っ! えっ、うわっ! あっちぃ!!」

ドリー「やりやがったなこの野郎!」

テリー「お兄ちゃん落ち着いてって! 生きてるじゃん! 生きてるじゃん!」

テリー・ドリー「生きてるじゃん!」

ドリー「おーぅ……あぁ……そうだったぁ……」

恭介「…………」

テリー「生きてるって、なんだろ」

ドリー「生きてるって、なあに……」

テリー「生きてるって、なんだろ」

ドリー「生きてるって、なあに」

テリー「お兄ちゃん……美味しく作れてるじゃないか」

ドリー「うん……」スタスタ

テリー「これ結構おいし……おい……ぅお兄ちゃーん!!」


恭介「それで……さやか、奇跡も魔法も……なんだって?」

さやか「……あの、やっぱ何でもないや」

数日後・某工場

工場長「ダメだ…こんな工場ひとつやりくりできないようじゃ……」

まどか「……!?」

まどか(な、何なのここ……?どうしてこんなに人が……全員が魔女の口づけを……!?)

まどか(それよりあの女の人、混ぜちゃいけない洗剤を混ぜて……!)

まどか「と、止めなきゃ!」

仁美「どうしたんですか、鹿目さん」

まどか「ど、どうしたのって……あれ、止めないと!!」

仁美「あれは神聖な儀式です、素晴らしいところへ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」

まどか「!」

まどか(ダメだ……話も聞いてくれない……無理やりにでも止めなくちゃ!)

まどかは薬品の入ったバケツを窓から外へ投げ捨てた、まどかだけに

まどか「よ…よかった……!」

仁美「……何を、しているんですの」

まどか「ひっ……!」

まどか(怖い…なんで…こんなことになって……!)

まどか「…………」

まどか「……私への罰なのかな」

まどか(魔法少女としての力があるのに……戦いから逃げてた私への……)

辺りは既に魔女の結界に包まれていた、人々の負の感情を操る魔女が潜むその空間。

そこへ、一人の人物が足を踏み入れる

たまちゃん「あらぁ……こーりゃ、まあ……」

まどか「!?」

まどか(だ、誰なの……この前の侍さんとは違う人……)

まどか「た、助けに来てくれたんですか……?」

たまちゃん「集金屋です」

まどか「はい?」

たまちゃん「あー、アンタ! こんっなところにいたんじゃ見つからんでしょ」

仁美「…………?」

たまちゃん「志村仁美だな。アンタの顔写真、日本中に張って探したんだぁ!」

たまちゃん「そんで見つからんからなんでかねー思っとったよ、そしたらこんなとこにおるんだもの」

まどか(ま、まさか仁美ちゃん……すごい借金してるんじゃ……それでもしかして口づけをされちゃったんじゃ)

たまちゃん「えーそれはそれとして……請求書によると……10円になります、ほれ払え」

まどか(…………)

『まどか、下がって!』

まどか「え……い、今の声……!」

さやか「……良かった、間に合った」

まどか「さ、さやかちゃん!?」

さやか「すぐにあの魔女はやっつけるよ、まどか」

まどか「う、うん」

たまちゃん「10円、もってるでしょ。ほれ、早く」

仁美「は……はい」

まどか(なんで仁美ちゃん魔女の口づけされたのに正気に戻ってるの)

・・・

さやか「あははは、いやー間一髪だったね」

まどか「さ、さやかちゃん……その格好」

さやか「どう、似合ってる?……なーんて」

まどか「契約……しちゃったの……?」

さやか「すっごく悩んで……途中でちゃちゃ入れられたけど……それでも最後は自分で決めたの」

まどか(ちゃちゃを入れられたってどういうことだろ……)

マミ「……魔女の反応があるから慌てて来てみれば」

ほむら「美樹さやか……その姿は……」

さやか「…………」

マミ「美樹さん……契約、したのね?」

さやか「はい、後悔はしてません」

仁美「あの、私の顔写真、全国に張ったんですか?」

たまちゃん「いっくら探しても見つからないアンタが悪いんだ」

ほむら(なぜかしら、確実に状況は悪化しているのに緊張感が……)

数日後

杏子「馬鹿じゃねーの?あれ、使い魔だから、グリーフシードは持ってないよ」

さやか「アンタ……一体」

杏子「それはこっちのセリフだ馬鹿、テメェこそ何のつもりだ?」

さやか「魔女の使い魔がそこにいるんだったら、倒さないとダメじゃない!」

杏子「わからねーやつだな、まだ倒す必要はないって言ってんだろ」

さやか「知らないの!? 魔女になってない使い魔でも人間に害を及ぼすんだよ!」

杏子「そ、だから何人か喰わせて魔女になってから倒したほうが効率がいいだろ?」

さやか(コイツ……魔法少女のくせになんてことを……!)

さやか「どいて……今ならまだ、あの使い魔を仕留められる」

杏子「あれを倒しても何のメリットもないって言ってんだろ、イライラするな」

さやか「だったら……無理やりにでも押し通るけど?」

杏子「通れるとでも思ってんのかよ……アンタ、先輩に対する口のきき方がなってないんじゃない?」

さやか「黙れ!!」

杏子「……はあ、遊び半分で首突っ込まれるのってホントにむかつくんだ」

杏子「まあいいや……一対一のサシで、対等な勝負をしてやるよ」

?「お前ら……その勝負、本当に対等な勝負だと思うのかい?」

さやか・杏子「!?」

ナレーター『半分=平等という先入観だらけの現代社会に真の平等を伝授する』

ナレーター『彼こそがTHEセンターマンだ!』

杏子「な、何モンだテメェ!」

センターマン「人は五分だ五分だと言うが、本当は七三くらいがちょうどいい」

センターマン「THE・センターマン!!」

さやか「…………」

さやか(何がなんだか分からない)

センターマン「お前ら、それはどんな勝負だ?」

杏子「どんなって……サシの勝負に決まってんだろ」

センターマン「バアァァァカ!!」

杏子「!?」

さやか「ちょ、ちょっと! 何も知らない一般人が首を突っ込むんじゃ……」

センターマン「あ、いや、お前はいいんだ。うん、お前はいいよ」

さやか「……へ?」

センターマン「お前だお前……お前、本当にこれが平等な勝負か?」

杏子「当たり前だろ、一対一でお互いに武器も持ってるんだから」

センターマン「じゃあお前、一体いつから魔法少女やってる?」

杏子「はぁ!? なんでテメェなんかにそんなこと教えなきゃならねーんだよ」

センターマン「いいから、とりあえずいつから魔法少女やってるのかを」

杏子「あたしの親父は教会で神父やってたんだけど……いつしか誰も親父の言葉を聞かなくなっちまった」

杏子「だから子供の頃のあたしは願ったのさ。『親父の話をみんなが聞いてくれるように』って」

杏子「それで確かに親父は人々から敬われるようになったけど、ある日、あたしが魔法を使ったことに気付いたのさ」

杏子「悪魔と契約した化物って言われたよ……その後、親父はあたし以外の家族と一緒に無理心中ってわけさ」

杏子「それ以来、あたしはずっと魔法少女として自分のためだけに生きてきた」

センターマン「うんうん……ずっと魔法少女としてな」

さやか「…………」

センターマン「で、お前。お前は魔法少女やってどれくらいになる?」

さやか「えっ、あたしは……その」

さやか(あの子の過去が想像以上に壮絶で何て言っていいか分からない)

さやか「とりあえず、あの……魔法少女になったのは一週間くらい前かな……」

センターマン「一週間……そんなお前が戦いを羨望することをなんて言うか知ってるか」

さやか「な、なんて言うのよ!」

センターマン「無謀だ……レッツゴー!」

さやか・杏子「!?」

さやか(な、何か一杯人が出てきた!?)

センターマン「おーまえは素人、おーまえは強い、ほーんとうに平等なのか~♪」

センターマン「ほーんとうにー五分と五分か、ほーんとうに五分と五分かー」

杏子「…………」

さやか(過去の悲惨さではあたしが10:0で負けてるんだけど)

杏子「けど……そうだな、確かにあたしが全力で行ったら平等じゃないな」

さやか「ちょ……な、何言ってんの!? こんなのに流されてそれでいいの?」

杏子「いや……」

マミ「なら……私が美樹さんの味方に付けばいいのね?」

さやか「ま、マミさん!」

マミ「鹿目さんがここに呼んでくれたのよ」

杏子「マミか……ああ、今くらいの状況でようやく五分五分ってところだな」

センターマン「お前、今なんて言った?」

杏子「いや、これでようやく五分と五分って……」

センターマン「良いこと言うねー、このお口は。レッツゴー!」

センターマン「おーまえが7、おーまえが3、こーれこそ平等なのだー♪」

マミ「……それで、この人たちは誰?」

さやか「あたしに聞かないでください」

杏子「はぁ……今日はやめといてやるよ、何か色々と面倒になっちまった」

さやか「に、逃げる気?」

杏子「二対一までならやってもよかったけどさ……さすがに三対一は五分五分じゃないだろ?」

ほむら「……気づいていたのね」

さやか「あ、あんた……!」

杏子「ま、そういうわけさ……手札のカードが一枚も見えてないやつがいるんじゃ、さすがにヤバいからね」

杏子「お前との決着はまた今度にしてやるよ」

さやか「……っ!」

センターマン「…………」

マミ(この人、いつまでこのポーズ取ってるのかしら……)

数日後・歩道橋

杏子「どうなってんだよ、コイツ……死んでるじゃねえか!」

まどか「そ……そんな……!!」

マミ「ど、どういうことなのキュゥべえ! 説明してくれないと分からないわ!」

キュゥべえ「どうしてそんなに戸惑うんだい? 肉体と魂の分離は戦う君たちには有益だろう?」

キュゥべえ「わけがわからないよ」

杏子「ふざけんなテメェ……なんでこんな重要なことを……!」

ほむら「…………」

ほむら(過程は変わっても……結局はこの未来に……!!)

・・・
さやか宅

さやか「……ずっと、騙してたのね」

キュゥべえ「僕は事前に与えられるだけの情報は与えたじゃないか、それを勝手に誤認したのは君たちだよ」

さやか「じゃあなんでソウルジェムの件を説明しなかったのよ!」

キュゥべえ「君たちが訊かなかったからさ、状況判断能力の欠如を他者に押し付けるのはよくないよ」

さやか「……本当に最低ね、アンタ」

さやか(こんなの絶対に……酷いよ……!)

翌日、学校

さやか「ちょっと待ってよ……今なんて言った……?」

仁美「上条恭介くんをずっとお慕いしていました、と」

さやか「…………」

仁美「しかし、幼馴染として私より彼と長くいた美樹さんの気持ちも分かります」

仁美「彼を男性としてみているのなら……どうか明日、告白なさってください」

仁美「もし、明日までに何かのアクションを起こさなければ…私が彼に告白します」

さやか「…………」

・・・

まどか「さやかちゃん。今日も私、魔女退治に……」

さやか「来ないで」

まどか「え?」

さやか「戦いもしないまどかが付いてきたって、何の意味もないじゃない」

まどか「でも私……!」

さやか「何……私のことを思ってくれてるつもり? 私と同じ立場でもないくせに」

まどか「さ、さやかちゃん……」

さやか「本当に私のことを思ってくれてるんなら…私と同じ体になってみせてよ」

さやか「出来るわけないわよね、同情なんかでそこまでのこと」

まどか「ど、同情なんかじゃ……!」

さやか「だったらアンタが戦ってよ……アンタ、あたしなんかよりずっと強い力を秘めてるんだから」

まどか「…………!」

さやか「……そういうわけだから」

・・・

さやか「…………」

杏子「やっと見つけたぞお前……失踪なんかしやがって、手間かけさせんなよ」

さやか「悪いね……面倒かけて」

杏子「……なんだよ、あんだけ嫌ってたあたしに対してそんなこと言うなんて」

さやか「何か、もう……どうでもよくなっちゃったからね」

杏子「さやか……お前のソウルジェム……!」

さやか「何やってるんだろうね、あたし」

さやか「親友を傷つけて……勝手に自暴自棄になって……それで……」

杏子「お前……まさか……!」


さやか「私って……ホント馬鹿」

南原「YATTAー! またゼロからのスタートだ!」

さやか・杏子「!?」

南原「なにもなくなった今だからこそ、どんなストーリーだって描けるぞ!」

さやか「!?……!?」

南原「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

さやか「えっ……あの、これって……」

原田「YATTA! 今日が光り輝く一ページを刻む日だ!」

さやか(増えた!?)

原田「君の物語は君が書き続ける限り、終わりが来ることなんてないんだぜ!」

さやか「……!!」

南原・原田「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

名倉「素直に幼馴染へアタックしてみればいいじゃないか!」

堀内「漫画みたいな恋愛に成功!」

大内「小説や映画の題材になっちゃったり!」

ビビる「失敗しちゃったらご機嫌ナナメ!」

さやか「…………」

はっぱ隊「あっ!YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

南原「よーし、みんな胴上げだー!」

さやか「えっ! あたしを!?」

はっぱ隊「エイ! ワーッショイ! ワーッショイ! ワーッショイ!」

・・・

さやか「…………」

杏子「……何だったんだ、さっきの奴ら」

さやか「知らないよ……胴上げするだけして、急に帰っちゃうんだから」

杏子「……てかお前、ソウルジェムの穢れはもういいのかよ」

さやか「ん、これ」

杏子「……サファイアか何かか、これ」

さやか「何かね……あの人たち見て話聞いて胴上げされたら、それこそ本当にどうでもよくなっちゃった」

杏子「…………」


ほむら「…………」

ほむら(最悪の事態が訪れる直前に現れる彼らは……一体……)

・・・

キュゥべえ「非常にマズイことになっている気がする」

キュゥべえ「いつも魔法少女たちが負の感情を抱いているときに、見たこともない人間たちが現れる」

キュゥべえ「本当なら今の段階でまどかを囲む魔法少女のうち二人は消えていたはず……」

キュゥべえ「…………」

キュゥべえ(僕も動いたほうがよさそうだね)

・・・

まどか「えっ……?」

マミ「キュゥべえ……今、なんていったの?」

杏子「…………!」

さやか「アンタ……そんなことまで……!」

キュゥべえ「前回、魂と肉体の分離の件を話していなかったことで責められたからね」

キュゥべえ「だからはっきりと言っておこうと思うんだ、魔女と魔法少女の関係を」

ほむら(インキュベーター……まさかこんな直接的に……!!)

勇者「くそ!」ギィィンギィン

盗賊(これじゃあ、おいそれと手が出せないな……)

盗賊(しかし不味いな……一度守りに入ると魔王の速さが勇者の攻撃力の優位性を上回っちまう)

勇者「そこだぁ!!」ブォ

魔王「っく!」キィン

僧侶「避けながら受け流した!?」

盗賊「勇者、気をつけろ! 奴は正面からの打ち合いを徹底的に避けて、一瞬の隙を狙っていやがる!」

勇者「それぐらい俺だって分かっているさ」

勇者(分かっているが……突破口が見えない)ギリ

ぎゃあああごめんなさいごめんなさい

マミ「そんな……魔法少女が魔女になるって言うんなら……」

ほむら(でも、なぜかしら)

マミ「みんな……」

ほむら(こんな危機的状況なのに)

マミ「みんな死ぬしかないじゃない!」


南原「YATTAー! 今日から君は、自由だー!」

マミ「!?」

ほむら(負ける気がしないわ)

南原「これからどうやって生きればいいか考えることができるぞ!」

マミ「!?……!?」

南原「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

マミ「えっ……えっ?」

原田「YATTAー! もう何にも怖がることはないぞ!」

マミ「増えた!?」

ほむら(私と全く同じ反応ね)

原田「大切なのは未来を恐れることじゃなく、その未来を変えようとすることじゃないのかい?」

南原・原田「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

マミ(な、何なのこれ……もしかして幻覚なんじゃ……)

名倉「悪い魔女になるなんて誰も言ってないよね!」

堀内「世界を救う魔女になれちゃったり!」

大内「歴史の教科書に残るような凄い魔女になれるかも!」

ビビる「世界中の子供たちの憧れだ!」

マミ「…………」

・・・

杏子「……だから何なんだよ、あいつら本当に」

さやか「たまーにいいこと言ってるんだけどね……なんではっぱ一枚なんだろ」

まどか「マミさん……大丈夫ですか?」

マミ「え、ええ……なんか逆に落ち着いたわ、どういうわけか」

ほむら「取り乱さないでマミ……絶望するにはまだ早すぎるわ」

マミ「…………そうかもしれないわね」

キュゥべえ「…………」

キュゥべえ(もうワルプルギスの夜に期待するしかないじゃないか……)

・・・

ほむら「ついに来たわね……この日が」

マミ「なにがなんでもこの魔女だけは倒さなきゃね……」

さやか「あ、あんなデカい魔女……本当に倒せるかな」

杏子「はっ、ビビってるんなら逃げたっていいんだぜ? さやか」

さやか「冗談言わないでっての!」

ほむら「……決戦ね」

ほむら(全員が戦えるこの世界で……全員で生きてこの魔女を倒す……!)

・・・

杏子「ぐあっ!」

さやか「うぐっ!」

マミ「しっかりして、二人とも……きゃあっ!」

ほむら「くっ……!」

ほむら(これだけ魔法少女の頭数が揃っているのに……アイツには勝てないの?)

ほむら「どうすれば……どうしたら……!」

ワルプルギスとの圧倒的な力の差に打ちひしがれる少女たちに対して、影が一つ



?「こんばんは……日曜の夜、いかがお過ごし?」

ほむら「…………?」

さやか「あ、あれって……」

杏子「何だよ……一体」

マミ「人……じゃないのかしら?」

ミル姉さん「干し草一つで寝る女、ミル姉さんよ」

さやか「み、ミル……姉さん?」

ミル姉さん「今日も牛が独断と偏見で選んだ、お勧めビデオを紹介……」

ミル姉さん「と行きたいけれど、今日は状況が状況。干し草も落ち着いて食べられやしない」

ミル姉さん「干し草満足に食えなかったら、もうあたしの一日なんて何の意味もないの」

ミル姉さん「朝に掃除して洗濯して、藁かえて、搾乳してゲップして終わり」

マミ「すごい生々しい牛っぽいこと言われてるような……」

さやか「……牛なんだから、仕方ないんじゃないですか?」

ミル姉さん「というわけで、今回はワルプルギスの夜に勝てる方法を表にまとめてみました」

さやか「というわけでってどういうわけで?」

杏子「てかそんなあっさり勝てる方法なんかあるのかよ」

マミ(それよりなんで今、ワルプルギスの夜は攻撃してこないのかしら)

ほむら(ミル姉さんが考えるワルプルギス攻略法……)

1. ワルプルギスを撃て!
2. 小須田部長、引越し作戦第一号
3. まどかSOS
4. 来たのは誰だ

ほむら「…………?」

ミル姉さん「これ全部わかった人、相当な特撮マニアよ」

さやか「まず……このワルプルギスを撃て! って言うのは?」

ミル姉さん「それはもうそのままよ、一発でガツンと決めるってこと」

ミル姉さん「乳搾りと同じよ、ちまちま絞らないで最初から思いっきりやればいいじゃない」

杏子「……けど、あたしたちの火力じゃ全員分を合わせてもワルプルギスは無理だな」

さやか「この……引っ越し作戦っていうのは?」

ミル姉さん「あたしの友達にね、小須田部長っていう人がいるんだけどね」

ミル姉さん「その人を引越しさせてワルプルギスに住まわせようってこと」

ほむら「……説明を聞いても分からないわね」

マミ「暁美さん、あなたは一人じゃないわ」

ミル姉さん「けど、これ……今は出来ないの。大人の事情ってやつね」

さやか「一応聞くけれど、このまどかSOSっていうのは」

ミル姉さん「あの子にSOSを出して魔法少女になってもらっちゃおうって話よね」

ほむら「それはダメ! 絶対にそれだけは……!」

ミル姉さん「なら、もう4番ね。それがいいわ、牛なのにかに座のあたしが言うんだから間違いない」

さやか「でも……この4番が一番どういう意味なのか分からないんだよね」

ミル姉さん「大丈夫、あっちでスタンバってるから」

ほむら「え?」

ミル姉さん「今まで、アンタたちをずっと助けてきた連中がいるでしょ?」

マミ「…………」

さやか「それって……」

杏子「まさか……」


南原「YATTAー! ついに、世界を守ることができる日がやってきたぞ!」

南原「本当に、なんて素敵な日なんだろうー!」

はっぱ隊「あっ! YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!」

ほむら「あ、あの人たち……!」

マミ「今回はもう、最初から全員そろってるのね……」

さやか「でも……今回ばっかりはあの人たちでもさすがに……」

杏子「ああ、厳しんじゃねーか……」


ミル姉さん「せっかちな女、火傷するわよ。 ちゃんと言ってあるでしょ」

『来たのは誰だ』

杏子「…………?」

ミル姉さん「牛のツテを使って、スペシャルゲストを呼んであるから」

南原「よーし、みんな! 準備はいいかぁ?」

南原「人類を背負ってこの場に立つことができる魔法少女が、そして自分自身が」

はっぱ隊『うまらやしい~!』

さやか「……いつも通りじゃない?」

杏子「いや……」

マミ「一人……数が多い……?」

南原「さあ……みんな、行こうか! ひろみ~」

郷ひろみ「GO!!」

さやか「き、金色のはっぱ……?」

杏子「なんでかしらねーけど……なんかすげぇ」

マミ「もう何も言えないわ、あそこまで行くと」

南原「よーし、郷ひろみも仲間になったところで……はっぱ隊withゴールデンリーフで!」

南原「一曲、歌うぞー!」

はっぱ隊「オーッ!」

ほむら「歌うのね……」

はっぱ隊『G! R! EE! N! LEAVES!』

郷ひろみ「GO!」

杏子「お、オイ! 歌なんか歌ってていいのかよ!」

マミ「ワルプルギスは気をそらして何とかなるような相手じゃない!」

さやか「いや……待って……」

郷ひろみ『COME ON!』

はっぱ隊『YATTA! YATTA!』

堀内「人生いつでも~ やり直せるさ♪」

はっぱ隊『はっぱ一枚あればいい~、生きていたからLUCKYだ!』

ワルプルギス「…………」

ほむら「ワルプルギスの動きが……止まってる?」

マミ「ちょっと待って……でもこれ、冷静に考えてみれば必然なんじゃないかしら……」

杏子「ど、どういうことだよ?」

ほむら「魔法少女の負のエネルギーがソウルジェムを濁らせ、魔女にしているのだとしたら……」

はっぱ隊『YATTA! YATTA! YATTA!』

原田「9時間睡眠~、寝起きでジャンプ!」

はっぱ隊『どんないいことあるだろう? 生きていたからLUCKYだ!』

ほむら「仮に、その負のエネルギーをすべて吹き飛ばしてしまえるのなら」

はっぱ隊『YATTA! YATTA! YATTA!』

南原「君が変われば~ 世界も変わる!」

マミ「魔女の魂が……救済される……?」

くぅ~Tired This is in complete!
The acting was talking about when I actually began to Netaresu
I did not really talk seed←
I am willing to challenge the story of fashion I so can not afford to waste your kindness
Please leave a message below our Madoka

Madoka「Thank you for everyone to see Do not worry I've seen some places a little sinister!」

Sayaka「Well thank you! Did my cuteness convey enough?」

Debu「That sounds a little embarrassed, but I'm glad to see me・・・」

Kyouko「So glad to see such!It's true my feelings!

Homura「・・・Thank you」fasa

then

Madoka Sayaka Debu Kyouko Ore「Thank you for everyone!」

End

Madoka Sayaka Debu Kyouko「tte nande orekun ga!?

It really is the end

さやか「だったら……私たちには何が出来るの?」

ほむら「…………」

杏子「……そんなの、もう」

マミ「歌うしか、ないじゃない」

郷ひろみ「カモォーン!!」

はっぱ隊『YATTA! YATTA! YATTA!』

ビビる「息を吸える 息を吐ける!」

はっぱ隊『やんになるくらい健康だ! Everybody say!』

はっぱ隊・魔法少女『YATTAー!!』

ワルプルギス「…………」

その時、その場にいた全員は聞いた

『ありがとう』

それは、負のエネルギーの蓄積によって魔女と化してしまった魔法少女たちの

心からの感謝の言葉だった


キュゥべえ「こんな……こんなことがあるなんて」

キュゥべえ「魔女から負のエネルギーを取り除いて……浄化するなんて」

・・・

ほむら「もう、私たちなら大丈夫ね」

杏子「……どういうわけか、ソウルジェムに穢れがたまらなくなっちまったからな」

さやか「どういうわけかっていうか、原因は分かってるんだけどね」

マミ「本当に……最後まで何者か分からなかったわ、あなたたちは」

ほむら「……もう、会えないかもしれない。なのに、ちゃんとしたお礼も出来なくて……」

はっぱ隊『すれ違いざま、微笑みくれた』

ほむら「…………?」

はっぱ隊『二度と会えなくたっていい、君がいたからLUCKYだ!』

ほむら「……本当に、不思議な人たちね」

それから私たちは、魔女と戦ってもそれを打ち倒すことはせず救済し続けた

負のエネルギーを溜めてしまった、私たちと同じ姿をしていた魔法少女

ただ倒すだけでない、彼女たちを救済するやり方がある

それを私に教えてくれた人たちは

今もきっと

どこかで人々を元気づけていることだろう。


『YATTAー!!』


(未)完

ミル姉さん「こういう形よね、仕方ないわね。だって牛だもの」

ミル姉さん「ここで、ミル姉さんのワンポイントメッモゥ!」

ミル姉さん「郷ひろみにはっぱ隊に出演してもらうために、スタッフ一同何度も頭を下げたらしい」

ミル姉さん「じゃあ最後は、映画『千と千尋の神隠し』のワンシーンより」

「千尋のおかげで河の神が温泉に入れた後、ほっと一息をついて宿から飛び出していく場面でお別れね」

ミル姉さん「2カメさん、準備」


ミル姉さん「よきかな……アーハッハッハッハッハッ!!」ダダダダダダッ


ミル姉さん「なんつって」

番外編

ワルプルギスの夜との決戦時、知られざる戦いを繰り広げていた男がもう一人

「……よっこいしょっと」


原田「どうも小須田さん、お疲れ様です」

小須田「ああ、原田君。来てくれてありがとうね」

原田「いや、しかし地下三万メートルなんて改めて考えると本当にとんでもないですよね」

小須田「地底人とね、友達になることができたんだよ」

原田「……そうですか」

小須田「しかし悪いね、はるばる地上から来てもらっちゃって」」

原田「いえいえ、社が開発した地底潜艦の試用運転のついでですから。ここまで一時間もかかりません」

小須田「一時間……? あの、ここ地下三万メートルだよ?」

原田「僕が開発に乗り出したんですが、上手くいったみたいでほっとしてます」

小須田「そ、そうなんだ……」

原田「さっ、引っ越しの準備……パパッと終わらせちゃいましょう」

小須田「原田君、ところで……僕はこの次はどこに行くんだろう?」

原田「次は地上です」

小須田「上に出られるんだね! これからはおいしい空気、いっぱい吸えるんだね!」

原田「良かったですね、本当に」

小須田「うん! でも……引っ越しに慣れたとはいえどうしてもね、いざ処分するとなると迷ってしまってね」

小須田「例えばこの、これ……この名刺とかはいるのかな?」

原田「これはいりません……これからは支局長ではなく、総監督になるわけですから」

小須田「総監督?」

小須田「そ、総監督ってあれかな……何か、色々な指揮を取ったりするってことかな」

原田「…………」

小須田「あっ、そうだ! 監督になるんだったらこれ、やっぱりスーツはもっていかないと!」

原田「これはいりません」

小須田「えっ、なんで? いらないの?」

原田「これからは常に、この耐火服を着ておいてください」

小須田「……戦場なの? 火があっちこっちで出るってこと?」

原田「…………」

小須田「全然、どこにいくのか読めないねぇ……」

小須田「あ、じゃあじゃあこれ! この電子ケトル! これであったかいものを……」

原田「小須田さん、これもいりません」

小須田「いらないの? 今の時期、すごく寒いんじゃないの?」

原田「電気がないんです」

小須田「で、電気ないんだ……でもどうしても電気使いたくなっちゃったら……」

原田「その時はこの風力発電キットを組み立ててください、きっとよく発電できます」

小須田「わ、分からないなぁ……僕はどこに行くんだろう?」

小須田「あ、そうだそうだ……時間つぶしのためにさ、本とか持っていきたいんだけどこれは……」

原田「これは……いらないでしょう」

小須田「あ、そうなの……でもこれ、電気も何もなくてもこれだけで読める……」

原田「風圧で、本を開けないんです……突然の天候の変化もありますし」

小須田「空だ……空に行くんだね!」

原田「…………」

小須田「空かぁ……そうなんだね……あっ、じゃあこの携帯電話! これはいるでしょ?」

原田「まだ……持っていらしたんですか」

小須田「もうね、意地でも持って行ってやろうって思ってたら何だか愛着がわいてきちゃってね」

原田「そうですか……でも、これもいりません」

小須田「ど、どうして? 外にいるんだから、電波だってちゃんと入るんじゃないのかい?」

原田「爆音で、声を拾うことが出来ないんです……着信があっても気づけません」

小須田「で、でも……バイブレーションとかあったらそれでメールとかは……」

原田「バイブレーションはもっと分かりません……地面自体がしょっちゅう揺れますから」

小須田「……爆撃されているんだね、僕が行く空の戦艦みたいなのが」

小須田「そっか……状況はだんだんわかってきたよ……」

原田「…………」

小須田「原田くん……僕は爆撃されるような空の戦艦で、一体何をすればいいんだろう」

原田「目的地に着いたら、大至急で音響設備を整えてください」

小須田「お、音響? よ、よく言ってる意味が分からないぁ……」

原田「我々の会社がワルプルギスの夜さんを、間違えて日本に招待してしまいまして」

小須田「わ、わるぷる……それ、どんな間違え方しても人の名前とは思わないよね」

原田「調べたら……何か最強とか言われてるデカい魔女でした、日本に来るときには魔法少女たちが爆撃するものと」

小須田「でも、でも……なんで音響設備なのかな? それだったらまだ、色々と……」

原田「せっかく呼んじゃったんで、スター呼んでライブをやって世界を救ってしまおうと……あ、僕も出ます」

原田「さすがに空高くいる魔女には聞こえないかもしれないんで、ちゃんと歌が聞こえるような設備、お願いします」

小須田「それ……一人で作るの? ミサイルとかボンボン飛んでくるのに?」

原田「それが……監督ですから……」

小須田「泣いてるのかい? ねぇ……」

原田「…………」

小須田「でも……それなら……きっと、冬でも綺麗な花火が見られるんだろうねぇ……」

原田「はい……とても危険な花火大会です」


小須田「が~んばれぇぇぇ……負け~るなぁぁぁ……力の限りぃぃぃ……」

原田「あなたが社長への報告で、調子に乗って『流れるマントル見れて楽しいです』とか書くからいけないんだ!」

小須田「仕事楽しんでますって伝えようと思って……煽ったわけじゃないのに……う……」

そして決戦当日、魔法少女たちによる総攻撃が決行された。

後、はっぱ隊による大合唱……その歌声は確かにワルプルギスへと届いていた。

彼らの歌が魔女へと届き、その魂を浄化させるために

大きな役割を果たしてくれた男がいることを忘れてはならない。


―――Don't forget.

―――Always,somewhere, someone is fighting for you.

―――As long as you remember 『him』, you're not alone.

原田「気のせいかな……今、どこかで小須田さんの声が聞こえた気がする」


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