ほむら「最近、みんなからのけものにされてる気がする」 (85)

~見滝原中学~

ほむら「まどか。今日の帰り、暇なら一緒に喫茶店にでも寄って行かない?」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん。
今日ちょっとママに、弟の世話するように言われていて」

ほむら「……そう。残念ね。じゃあ、またにしましょうか」

さやか「あたしも、ちょっと用事があって無理なんだよね」

ほむら「そう、残念ね(別にあなたは最初から誘っていないけど)」

ほむら(さて、どうしようかな。
……ああ、そうだ。
たまには、巴マミと二人でパトロールでもしようかしら。
やっぱり戦い慣れているだけあって、彼女と組むと魔女退治もはかどるものね)

ほむら「巴マミ。今日の放課後、魔女退治のパトロールをしようと思うのだけれど」

マミ「あ、暁美さん。ごめんなさいね。
今日はちょっと一人で魔法の特訓をしようと思っていたの。

それに、昨日も魔女退治をしたでしょう。
自分でもちょっと戦い方で気になることがあるから見直したくて……。
悪いんだけれど、同行できないの」

ほむら「そう。まあ、仕方がないわね」

ほむら(じゃあ、杏子の所にでも……、
ああでも、杏子も昨日、一緒に魔女退治をしたときに
「明日は風見野に戻るつもりだ」とか言っていたわね)

ほむら(みんな予定が入っているのね。
……たまには一人で街を歩き回って、適当に買い物でもして帰ろうかしら)

~ショッピングモール~

ほむら(魔女の反応も特にないわね)

ほむら(それじゃあ、本屋さんでミリタリー雑誌でも立ち読みして帰ろうかしら。
あら? あそこにいるのは……)

……

まどか「そうなんだ。それじゃあ……」
さやか「うん、だから、詳しいことを……
マミ「ふーん。いいじゃない?」
杏子「はは。悪くないな! そういうのも!」

ほむら(み、みんな! え? あれ?
たしか、まどかは、私が誘ったら、弟さんの世話があるって!
美樹さやかだって用事があるって言っていたのに……。
マミも……と、特訓じゃなかったの?
杏子だって、昨日は風見野に戻るつもりだって言っていたのに……)

ほむら(わ、私が誘ったら、みんな別の用事があるって言ったのに!
4人であんなに楽しそうに盛り上がって……)

ほむら(最近、誘っても断られることがたまにあって
みんなにのけものにされているような気がしていたけど。
でも、美樹さやかはともかく、まどかやマミがそんなことするわけないって
……思っていたのに)

ほむら(どこへ行くのかしら。なんだか、ちょっと気になるわ……)

さやか「じゃあ、ちょっとこの辺にしましょうよ」
杏子「そうだな」
マミ「そうね。それじゃあ入りましょう」
まどか「はい!」

ほむら(喫茶店に入って行った……。
よし、それじゃあ、私も、他の客に紛れて、ばれないように)

~喫茶店~
店員「いらっしゃいませ~。おひとり様ですか?」

ほむら「は、ハイ(裏声)」

店員「こちらのお席になります」

ほむら(まどか達は……向こうのボックス席ね。
ちょっと離れているけれど、魔法で聴力を強化すれば何を話しているかぐらいはわかるはず)

ほむら(わ、私のいないところでどんな会話しているのかしら。
やっぱり私の悪口、だったりするのかしら。
それとも、まさか、猥談とか……)

ほむら(ああ、聞くのが怖いけれど……、でも!)

マミ「それで、美樹さん。その話は間違いないのね?」

さやか「ええ、間違いないです。2週間後がほむらの誕生日なんですよ!」

ほむら(!? そういえば確かにそうだけど。どうして美樹さやかがそれを!)

さやか「たまたま職員室に入った時に学籍簿が先生の机の上に置いてあって。
一番上がほむらの頁だったんですよ。
それでたまたま目に入ったんですよ」

まどか「そうだったんだ。ほむらちゃんも何かの時に言ってくれればいいのに」

マミ「でも誕生日パーティーっていうのは悪くないわね! ケーキとかの準備は任せてちょうだい」

杏子「ふむふむ、それで、あいつには秘密にして驚かせてやるんだな!」

……

ほむら(え、じゃあ、みんなが今日、私の誘いを断ったのって……つまり)

さやか「ようし、方向性はまとまってきたね!」

まどか「まず、わたしが、ほむらちゃんをマミさんの家で勉強会をしようって言って
連れてくる」

マミ「入ってきて、暁美さんが、私たちみんながいることに驚いたところで
私がクラッカーを鳴らせばいいのね!」

杏子「そこであたしがくす玉を割って、
「誕生日おめでとう! 暁美ほむらちゃん!」の垂れ幕がドーン!!」

ほむら(みんなで、私のためにサプライズパーティーを企画して……、
私ったら勝手に、自分がのけものにされていると思い込んで。
でも、……でもまさか、美樹さやかが私のために誕生日パーティーを企画してくれるなんて。
いつも、口論するくらいの仲なのに)

さやか「そこで、前日までわざと、さんざんそっけなくしていたあたしが
優しく微笑んで言うわけだよ!
『誕生日、おめでとう! ほむら!』ってさぁ。
そしたら、そこで感動して目に涙を浮かべたほむらが
『美樹さやか……私、あなたのこと、誤解していたわ。うわあああああん!』って
あたしの胸に飛び込んでくるわけだよ、これが!」

まどか(胸に飛び込んでくるところの役回りはわたしでも良いような気がするけどなぁ)

さやか「その、涙で顔をぬらしたみっともない所を、写真にとって
からかってやるんだもんねー。ふふふふ! 楽しみだなぁ!」

ほむら(あぁ、それが目的なのね、いつも通りで安心したわ。
というか、今の話を聞いた時点で、あなたの胸に飛び込むことは100%なくなったわ)

マミ「もう、美樹さんたら、さっきは「これをきっかけにもう少し仲良くなれるかなぁ」とか言っていたじゃない」

杏子「そうそう。別にほむらの事が嫌いなわけじゃないんだろ?」

さやか「いや、その、あたしとしては、
あいつの、つんとすましたキャラを崩してやりたいというか、
いつもと違う顔を見たいというか、それだけですって!

とにかく、当日まで、ほむらにはこのことは絶対内緒ですからね!」

マミ「わかったわ」
杏子「おお」
まどか「うん!」

ほむら(……でも、目的はどうあれ、祝ってくれる気持ちは本物なのよね。
私が盗み聞きしたことを知ったら、がっかりするかもしれないし
ここは何も聞かなかったことにしましょうか)

~見滝原中学~

翌日

さやか「うーん、やっぱり、どんなものを贈るかだねぇ」

まどか「何がいいのかなぁ」

さやか「昨日も喫茶店の帰り道で、その事で、みんなで悩んだものね。
よし、さりげなく聞いてくるよ」

ほむら(私の席から少し離れているし、仮に私に聞かれても何の話か分からないと思って、普通に話しているのでしょうけど。
……プレゼントの話よね、たぶん。……あ、こっちに来た)

さやか「ねえ、ほむら。さりげなく聞くけどさぁ。
何か欲しいものとかある? 例えば一年に一度の記念日とかに」

ほむら(……イスからずり落ちそうになったわ。
「さりげなく」って意味わかってるのかしら。
というか、気づかないふりをするのも苦労するような気がしてきたわ)

ほむら「……いえ、今とくにこれと言って欲しいものはないけれど。
でも、もし贈られるのなら、
相手の気持ちを考えて心のこもったものを贈ってくれるのなら、どんな物でも嬉しいと思うわ」

さやか「うーん、そっかぁ。わかった。参考になったよ」

さやか「はっ! ……べ、別にほむらに興味があるわけじゃないんだからね!
他に聞く人がいないから聞いただけだし。じゃあね!」

ほむら(?……?
ああ、そういえば昨日、「わざとそっけなくする」とか何とか言ってたわね。
何だか無理している感があるわ。いつもどおりで十分そっけないのに)

放課後

ほむら(あら、あそこにいるのは……巴マミだわ。
空き教室に入って行ったけど、何しているのかしら)

マミ「よし。これで完成! われながら、良く書けたわ!」

ほむら「? こんにちは、マミ。何をして……」

ほむら(あれは、垂れ幕? 「お誕生日おめでとう」って書いてあ……)

マミ「あ、暁美さん!? 見ちゃダメええ!」(ズブリ!)

ほむら「いたああああああああ! 目が! 目がぁ!」

マミ(ガサゴソ)「あら、暁美さんったら。
ラピュタのムスカの物真似なんかしちゃって。
意外におちゃめなところもあるのね?」

ほむら「あなたが、いきなり目つぶしをしてきたんでしょうが!
いたた……」

マミ「ごめんなさい。ちょっと手が滑っちゃって」

ほむら(いや、明らかに狙っていたじゃない)

マミ「と、ところで、今、何か見えた?」

ほむら「……………………いいえ。何の話?」

マミ「み、見えなかったのならいいの。
……放課後なんだし、もう帰った方が良いんじゃない?」

ほむら「………ええ、そうさせてもらうわ」

ショッピングモール

ほむら(マミのあれ、やっぱり、私のサプライズパーティーのためのものよね)

ほむら(全く、作るのなら学校じゃなく私の目につかないところでやればいいのに。
あら? あそこにいるのは杏子?)

杏子「……」

ほむら(お店の中で何だか、コソコソして。挙動不審だけど何してるのかしら?)

ほむら(はっ、まさか。万引き!?)

ほむら(以前は、魔法を盗みに使っていたりしたけど
最近は、真面目にアルバイトとかするようになったって、美樹さやかも言っていたのに……)

ほむら(レジの外にはまだ出てないわ。
ここは、友人としてやんわりと止めるべきよね)

杏子「ったく。マミも人使いが荒いよな。
パーティの飾りくらい、自分で買いに行けばいいのによ。
えっと、モールが付いた飾りひもに、ケーキ用のろうそくとクラッカー。
こんなもんか」

ほむら「杏子。何をしているの?」

杏子「ほむら!? 驚かすなよ!」

ほむら「何を手に持っているの? 見せてもらえる?」

杏子「え、これは、その……」

ほむら(パーティー用のモールに、ろうそくに、クラッカー? あ、これは、もしかして……)

杏子(やばい! パーティーグッズを持っているのを見られたら
誕生日パーティーを企画してるのがばれちまうかも!
……何とか誤魔化さないと!)

杏子「こ、これはあれなんだよ! ほむら!
あたし、最近一人SMプレイにはまっていて、それに使う道具なんだ!」

ほむら「えっ!
……それで、ひもに、ろうそくを?
でもパーティ用のやつだと、なんだか絵的にずいぶん派手なことになりそうだけれど……」

杏子「いやあ、専門店には未成年は買いに行きづらいだろ?
それに、この方がカモフラージュにもなるし」

ほむら「……そうだったの。
クラッカーまで使うの?
人の趣味はそれぞれだけど、体に毒かもしれないから、激しいプレイもほどほどにね」

杏子「お、おう。それじゃあな」

杏子(ふう。なんとか誤魔化せたな)

ほむら(……って、どう考えても、私のサプライズパーティーのためのものよね。
でもまあ、私のためにヨゴレキャラまで演じるその心意気に応えて、気づかなかったことにしましょう)

数日後。
~ショッピングモールの喫茶店~

さやか「先日の打ち合わせの続きですが、私の聞き込みによると、ほむらは
「今とくにこれと言って欲しいものはないけど、
相手の気持ちを考えて心のこもったもの」なら、何でも嬉しいそうです」

まどか「そうなんだ」

マミ「うーん。それだと逆に難しいわね。」

杏子「何がいいのかな」

ほむら(今日も、まどか達がこそこそ、帰って行ったから
何となく、後をつけてきちゃったけど。
やっぱり、私のパーティの作戦会議だったのね)

さやか「いやぁ、さやかちゃんには、わかっちゃったよ。
ほむらの気持ちになってほしいものを考えたら、何を贈るべきなのか!」

まどか「何を贈るの?」

さやか「ずばり! 通販で売ってた豊胸マシーンだよ!」

ほむら(ガタッ)

杏子「えっ。やっぱり気にしてるのか?」

マミ「まあ!」

ほむら「……」

マミ「……で、でもそれはさすがに。
暁美さんの、気持ちの受け取り方によっては、気分を害するんじゃないかしら。
や、やめた方が良いかも」

さやか「えーっ。そうですか? ベストだと思ったんだけどなぁ。
じゃあ、他のにしようかなぁ」

マミ「鹿目さんは、どんなものが良いと思う?」

ほむら(……そうよ。さやかならともかく
まどかなら、ちゃんと私の事わかってくれてるわよね?)

まどか「わたしは、パンツを贈ろうと思ってます」

マミ「えっ」

ほむら(ガタッ)

まどか「いえ、ほむらちゃんが私の家に遊びに来ると
なぜか、たまに下着がなくなっていることがあって。
どうも、間違えて持っていってるみたいなんです。

……でも、これって、ほむらちゃんが自分のものと間違えるくらい
下着の趣味が一致してるってことだと思うので、パンツをプレゼントしてあげれば間違いないかなーと思って」

さやか「そ、そう」
マミ「ふ、ふーん」
杏子「お、おう」

ほむら(……み、みんな引いてる。違うのよ、まどか!
いや、正しいけど間違ってるというか……)

さやか「まあ、プレゼントはもう一度各自で考えることにしましょう。
ところで、みんな、ほむらにばれないように、隠し通せてる?」

まどか「大丈夫だと思うけど」

マミ「垂れ幕作っているところに、入ってこられたけど、どうにか見られずに済んだわ」

杏子「パーティーグッズ買ってるところ見られたけど、口先一つで誤魔化せたぜ」

さやか「そういえば、あたしが欲しいもの聞いた時も、普通に答えてくれたなぁ。
あいつもすました顔して、案外抜けてるというか。ふふふっ!」

ほむら(つまりあなたの、私に対する認識を総合すると
私は「頭が抜けていて、胸が小さいのを気にしている女の子」ということね?)ギリギリ

さやか「よーし、じゃあ当日までその調子で隠し続けて、準備を進めるとしましょうか。
じゃあ、今日はこの辺で解散ね?」

まどか「はーい」

数日後
~学校の帰り道~

ほむら(ここしばらく、まどか達のことを気にしてたから、魔女退治のパトロールしていなかったわね。
今日は、少し街の中をまわってみようかしら。
あら? この反応は……)

マミ「暁美さん? ここにいたの。あなたも感じてる?」

ほむら「ええ、しばらくぶりに魔女の反応だわ。町はずれの方みたいね」

マミ「佐倉さんと鹿目さんたちは、ショッピングモールの方にいるらしいの。
合流して、5人でいきましょう」

ほむら「……わかったわ」

まどか「ほむらちゃん! マミさん!」

さやか「おまたせ! 魔女の反応はこっち?」

マミ「ええ、どうやら、この工事中の橋の上みたいね」

杏子「ほとんど骨組みしかないな。足元に気を付けた方がよさそうだ。
……よし、行くか」

ほむら「ええ」

マミ「ここが魔女の結界ね。突入するわよ」

まどか「さやかちゃん。そういえば、私たち、かばんとか持ってきちゃったけど、どうしようか」

さやか「とはいっても、橋の周りは普通に人通りもあるし
おきっぱなしにしたら誰かに持って行かれるかも知れないし。
……ロッカーにでも預けてくれば良かった」

杏子「そこの資材にでもひっかけておいたらどうだ?」

まどか「そうだね」
さやか「そうしようか」

ほむら「準備はいい? いくわよ」

魔女「……」

さやか「うわぁ。なんだかでっかい空間だね」

マミ「魔女本体も姿を現しているわね」

杏子「よし、一気に片づけるぜ!」

使い魔「……」ゾロゾロ

マミ「ここは、私と暁美さんで中距離攻撃。
美樹さんと佐倉さんは私たちのフォローにまわって!」。

ほむら「わかったわ!」ダダダダダ!

さやか「よーし、弾幕を抜けてきた奴だけ狙い撃ちだよ!」

杏子「片っ端から一刀両断にしてやるぜ!」

……
ほむら「使い魔も片付いてきたわ!」

マミ「みんな、下がって!」

さやか「はい!」

杏子「おう!」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

魔女「……」シュウウウ

まどか「や、やった! 魔女が崩れていくよ!」

マミ「結界が消えていくわね」

さやか「うわっと! 
魔女の結界の中にいたから忘れてたけど、ここって、こんな足場の悪い所なんだった!」

まどか「さやかちゃん! 気を付けて!」

さやか「大丈夫、大丈夫っと」

ビュウウウウウウウ!!!

杏子「わっ!」

ほむら(突風!?)

さやか「あっ! あたしのカバンが!」ダッ

さやか「ふう、セーフ(ズルッ)」
さやか「えっ」

まどか「さやかちゃん!?」

マミ(美樹さんが転落しちゃう!)

杏子「さ、さやか!! 魔法使え!」

ほむら(間に合わない! 時間停止!)

……
ほむら「マミ!」

マミ「あ、暁美さん! 美樹さんが!……ってあら?」

ほむら「私が時間を停止したの。
私が触っている間はあなたも動けるから。早く、さやかをあなたの魔法で!」

マミ「あ、うん。そうね。
よし、リボンを網にして包み込むイメージで……」

シュルルルルッ! ギュッ!

マミ「これで大丈夫よ」

ほむら「時間停止、解除っと」

さやか「うわあああああ!……って、あれ? 助かった?」

……
マミ(ふう。どうにか無事、美樹さんを引き上げられたわ)

さやか「あ、あはは。みんな、手間かけさせちゃって、ごめんね。ありがと……」

バキッ!!

まどか(ほむらちゃんがさやかちゃんにグーパンを!)

さやか「いっ! いたぁ! 何するのよ!」

ほむら「何考えているのよ、あなたは! 
いくら、魔法で体が多少強化されていても、
この高さで転落したらただで済むわけないでしょう!」

ほむら「魔法で足場を作るなり何なりすればいいものを、それすらしないで! 
軽はずみな行動もいい加減にしてちょうだい!」

マミ「美樹さん。今回は暁美さんの言うとおりよ?」

さやか「だって……、(エグッ)だって(グスッ)ほむらにちゃんとプレゼントしたかったんだよ。
ほむらともう少し仲良くなりたかったんだもん!
誕生日祝ってあげたかったんだもん!
友達になりたかったんだもん! うえええええん!」

杏子「……さやか」
まどか「さやかちゃん」

ほむら(? え、じゃあ、もしかして、このかばんの中身は……私のための。
そういえば、今日はまどか達とショッピングモールの方にいた、って……)

ほむら(自分が橋から落ちそうになっていたのに。
魔法を使うのも忘れるくらい必死になって……)

ほむら「美樹さやか。あなたは本当に馬鹿ね」

さやか「……」

ほむら「祝ってくれるのは嬉しいけれど、あなたに何かあったら元も子もないじゃない。
それに……」

さやか「?」

ほむら「私はあなたともう、友達のつもりよ? あなたはそうではないの?」

さやか「ほむら……、ほむら。うわああああああん!」ギュッ

……
マミ「……ああ、でも暁美さんに内緒でパーティーの準備して来たのにばれちゃったわね」

杏子「あたしたちが完璧に隠し通してきたのに、無駄になっちゃったぜ。
さやかもドジだなぁ」

ほむら(いやいや、あなた達も人のこと言えないわよ?)

まどか「まあ、みんな無事でよかったよ。ねえ?」

誕生日当日。

まどか「ほむらちゃん、今日、マミさんの所に勉強会に行かない?」

ほむら「わざわざ、学年が違うマミの所に勉強会に行くなんて不自然だし
まるで他の目的があるかのようだけれど
そんなことは全く気にならないわね。行きましょうか」

まどか「あはは。(……当たり前だけどバレバレか)」

~マミの家~

まどか「それじゃあ、お邪魔します。……ほむらちゃんも入って」

ほむら「お邪魔するわ」

マミ「暁美さん! おめでとう!」(パーン!)

杏子「おめでとう! ほむら!」
クイッ、ヒュルルル、ドーン!

ほむら「まあ、クラッカーにくす玉! それにみんながいるなんてびっくりだわ!」

さやか「あーはいはい。……もういいよ。それ以上は逆にいやみだよ、ほむら」

まどか「ほむらちゃん! はい、プレゼント!」

ほむら「ありがとう。(ガサゴソ)……これは」

まどか「あたしとおそろいの下着だよ!」

ほむら「……だ、大事にするわ」

マミ「あたしからは、ケーキと料理よ! 遠慮なく、どんどん食べてちょうだい」

ほむら「ありがとう」

杏子「ほむら。 これ、あたしからな」

ほむら「これは……グリーフシード。実用的であなたらしいと言えばあなたらしいわね」

杏子「なんだよ。あたしはただ、自分がもらって嬉しいものをだな」

ほむら「そうね。ありがとう、杏子」

さやか「ほむら。これ、あたしからプレゼントだよ」

ほむら「ありがとう」(ガサゴソ)

ほむら(……? これは? 一体何かしら?)

ほむら(裏に説明があるわね。
えーっと、着けるだけでAカップがCカップに?)

ほむら「……美樹さやか。これって」

さやか「ほむらの為を思って選んだ、バストアップブラだよ!」

ほむら(この娘は……こいつは……、
これのために?……、こんなもののために、橋から落ちそうになって)

さやか「喜んでくれた? 
誕生日、おめでとう! ほむら!
さあ、あたしの「胸」に飛び込んでおいで!」(ドヤァ)

ほむら(プツン)

まどか(その後、ほむらちゃんはさやかちゃんの言葉に乗っかって
鮮やかなフライングタックルをさやかちゃんにキめました。

そのまま、取っ組み合いのけんかに突入しましたが
マミさんが間に入って、二人をなだめ、誕生日パーティーは再開しました。
でも二人は結局、最後まで険悪な雰囲気のままでした)

まどか(今でも、二人は顔を合わせれば、憎まれ口をたたきあっています。でも……)

ほむら「まどか。今日、帰りに一緒に買い物に行かない?
美樹さやかも、どうしても来たかったら来てもいいわよ?」

さやか「本当はあたしに来てほしいくせに、可愛げないなぁ。あんたは」

ほむら「いえ、できれば来ないほうが嬉しいのだけれど」

さやか「あ、そう。それじゃあ絶対に行かせてもらうわ。フン!」

まどか(ほむらちゃんは、前と違って、さやかちゃんも誘うようになりました)

まどか(それに、時々、体育の授業がない日とかに
何故かほむらちゃんの胸が大きくなっている時があるのを私は知っています)

さやか「まどか、行くわよ?」

ほむら「まどか、行きましょう?」

まどか「うん!」

まどか(ほんの少しですが、二人の距離は縮まったんじゃないかな、と私は思うのでした)

おしまい

1です。

ここまでお付き合いいただいた方、
支援していただいた方ありがとうございました。

少しでも楽しんでもらえたら幸いです。

さよなら。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月15日 (日) 04:37:22   ID: cEP5sx3E

本編じゃこんな風景微塵もありえなかったんだが、なぜかまるで違和感ないんだよなぁ、この五人

むしろ本編が悲惨すぎて一筋の涙が頬をつたいながら微笑む俺がいる

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