淡「あわずきんだよ!」(670)

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ニニニニニ}           ⌒)/  {{ |:.:|.:.:.:.|   ___,.   、____  |:.:.:.:.:.|____/,ィ彡'´  Y⌒ヽ/   /==ニ
ニニー=彡 ヽ_ _  O       |:.:|.:.:.:.| ´                ` |:.:.:.:.:.|:ニ/  /   /       /==ニニニ
ニニニニ\      >`¨´       |:.:|.:.:.:.| ,斗ぅ芋ミ      斗ぅ芋ミ  |:.:.:.:.:.| {__/   ./⌒ヽ     /ニニニニニニニ
ニニニニ厂⌒ヽ/\}  ,ィ彡'⌒    |:.:|.:.:.:.| {. 乂辷ソ::::::::::::::::::乂辷ソ .} |:.:.:.:.:.|  /    /==ニニニ\/    / ̄ ̄ ̄
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⌒ヽ ー───ニニニニニニニニニ∧           ヽ       /           ∧    { {____/ニニニニニニニニニニニ

改めて代行ありがとうございました

『むかしむかしあるところに、淡というとても可愛らしい女の子がいました』

『ある時、淡の同居人である菫が青いビロードの布で、淡のかぶるずきんを作ってくれました』

『そのずきんが淡にとても似合っていたので、みんなは淡のことを『あわずきん』と呼ぶようになりました』

『ある日のこと、菫はそんなあわずきんにお使いを頼むため部屋を訪れました』


菫「淡、今暇か?」ガチャ

淡(面倒毎の予感……!)

淡「ごめんねスミレ、私今日はお城の舞踏会に呼ばれてて……」

菫「嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ」ジト

淡「もー。なんなのさー。今からお散歩しに行こうって思ってたのに」ムス

菫「散歩に行くのか? なら都合がいい。お使いを頼まれてくれ」

淡「お使い?」

菫「宥……じゃなくて松実さんの家を知っているだろ? そこに届け物をして欲しいんだ」

淡「えー。面倒くさい。スミレが自分で行けばいいじゃん」

菫「私はこのあと用事があるから行けないんだよ」

菫「それに居候で穀潰しなんだからこういう時くらい働け」

淡「うわーひどーい。いつもスミレの愚痴聞いてあげてるのにー」

菫「オオカミに食われそうになっていたお前を助けてやったのは誰か覚えてないのか?」

淡「こういう時にそれ言うのずるい!」

菫「そんなことは知らん。これからもこの家で暮らしたいなら早く行ってこい」

淡「むむむ……!」

菫「散歩に行くならそのついででいいだろ」

淡「はぁ……しょうがないなあ」

淡「で、何を届ければいいの?」

菫「ケーキとブドウ酒、それとこの毛皮を」ドサ

淡「豪勢だねー。誰かの誕生日?」

菫「まあそんなところだ。……絶対につまみ食いするなよ」ジト

淡「大丈夫! お腹空かない限りは!」

菫「はぁ……弁当作ってやるからちょっと待ってろ」

淡「そうこなくっちゃ♪ いっぱい歩くだろうからたくさん作ってくださいねー」

菫「その代わり絶対ケーキやブドウ酒には手を付けるなよ? あと松実さんに厚かましい要望をしないこと」

淡「イエスマム!」ビシ

菫「あと道中のことだが、道草をせずにまっすぐ向かえよ」

菫「それとオオカミに用心すること。話しかけられても知らん顔するんだぞ」

淡「あはは、私16だよ? そんなこと言われなくても分かってますよー」

菫(本当に大丈夫なのか心配になってきた……まあ食われても知らんこっちゃないが……)

淡「私お出かけの準備してくるからスミレもお弁当お願いねー」ルンルン

菫「いつものずきんなら外に干してあるぞ」

淡「分かった!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

淡「ふふ、やっぱこれが無いと気が引き締まらないよねー」

菫「本当に好きだな。そんなに気に入ったのかそれ」

淡「もちろん! この青ずきんほど私に似合うアイテムは無いからね!」

菫「巷じゃお前、『あわずきん』なんて呼ばれているらしいな」

淡「そういえばみんな私のことそう呼ぶかも……」

菫「外に出て好き放題するのは構わんが、あんまり目立ちすぎるなよ」

菫「城の人間に捕まっても私は助けないからな」

淡「えー! そんなのってないよ! スミレの薄情者!」

菫「知るか。そもそも無理やりここに居座ってるお前をどうして私が助ける義理があるんだ」

淡「ふふん、スミレはあの時私を助けたから、最後まで私の面倒を見る義務があるんだよー?」

菫「どうして自慢気なんだよ……!」グググ

淡「痛い痛い痛い!?」

菫「さっさと行ってこい馬鹿者。ほら弁当」

淡「ありがとー」

淡「……片手にお届け物、片手にバスケットかぁ。もうちょっとなんとかならないですか?」

菫「何ともならんな。邪魔なら弁当を置いて行け」

淡「そんなー」

淡「あ、ずきんずれてる! 整えて整えて!」

菫「自分でやれ……」

淡「スミレのバカ! 両手塞がってるのにそんなこと出来る訳ないでしょ!」

菫「はぁ……」スッ

淡「そうそうそんな感じ……あ、もうちょっと紐緩めて……」

菫「お前これどうやって結んでるんだ……訳分からんことになってるぞ……」

淡「だってよく分かんないんだもん。こんなの教えて貰わなかったし」

菫「まったく、この箱入り娘は……」ハァ

菫「ほら、こんなものでいいだろ。とっとと行ってこい」

淡「ありがとうスミレ! それじゃあ行ってきまーす!」

菫「何か危険が及んだらその信号銃を使うんだぞ。絶対に無駄撃ちするなよ」

淡「はーい」

菫「あと」

淡「?」

菫「……晩飯までには帰ってこいよ」

淡「……!」パァァ

淡「ハンバーグがいい!!」ニコ

菫「ふふ、まったく……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

淡(松実さんの家はこの森の中!)

淡「この前遊びに行ったときは30分くらいで着いたし、ちょっとくらい寄り道してもいいよね♪」

淡「ふふ、いい天気だなー。空気も美味しいし気分サイコー♪」ルンルン

淡(それにこの森と言えば……)キョロキョロ

咲「あの……」

淡「きゃ!?」

咲「ご、ごめんなさい! 驚かせるつもりはなくて……!」

淡「あなたは……?」

咲「あ、私咲って言います。あなたは……あわずきんさん、ですよね?」

淡「何故私のことを知っている!」スチャ

咲「ひぃぃ!?」

咲「ごごご、ごめんなさい! 謝りますから撃たないで……!」ナミダメ

淡「あ、ごめんね怖がらせて。ノリでしちゃっただけだから気にしないで?」スッ

咲(よ、良かった……)ホッ

淡「えっと……サキ、だっけ?」

咲「は、はい。咲です」

淡「私に何か用? この森オオカミがよく出るから危ないよ?」

淡「サキみたいな可愛い子は食べられちゃうかも!」

咲「か、可愛いだなんてそんな……それならあわずきんさんの方が危ないと思います」

淡「あ、やっぱり? 私すっごく可愛いからねー。オオカミさんたち放っておかないよねー」エヘヘ

咲「あはは……」

淡「で、サキは私に何の用ですか?」ニコ

咲「あ、えっとね。実は探している人がいて」

淡「探している人? 迷子か何か?」

咲「うん、お水飲みに行ってたらはぐれちゃって……この人に見覚えありませんか?」スッ

淡(……なにこれ)

淡「えっと……これは人、なの?」

咲「ひ、人です。人っぽい見た目をしてます」

淡「はて?」

咲「特徴は赤っぽい髪色とこの角みたいな髪型で……」

淡「うーん……絵が下手過ぎてよく分かんない……」

咲「えっ」ガーン

咲「そんなに下手かな……?」

淡「き、気にしないでサキ! 誰しも得意不得意はあるから!」

咲「うん、ありがと……」ショボーン

淡「赤っぽい髪色に角みたいな髪型だよね?」

淡い「それっぽい人見かけたらサキが探してたって伝えといてあげるね」

咲「お、お願いします!」ペッコリン

淡「この森に一人で歩くのは危ないもんね……サキが心配する気持ちよく分かるよ」ウンウン

咲「一人きりだとりょ……じゃなくて、オオカミさんに襲われるかもしれないから心配で……」

淡「探すの手伝ってあげようか?」

咲「ほ、本当に? でもあわずきんさん今忙しそうだし……」

淡「確かに」ハッ

淡「うーん、どうしよう……探してあげたいけど、真面目にしないとスミレがうるさいし……」ムムム

咲「わ、私のことは気にしないで?」

咲「一人で探せるから、あわずきんさんは自分の用事を……」

淡「よし! じゃあすぐに用事済ませるからそのあと一緒に探すよ!」

咲「えっ……いいの?」

淡「もちろん! サキのためだもん!」

咲「あわずきんさん……」ウルウル

淡「困ってる人を助けるのは当然のことだから」ニコ

淡「えっと、じゃあ私の用事が終わったら空に信号銃を撃つから」

淡「それが目に入ったらその真下のところに来てくれる?」

咲「分かった。それまでに見つけられるよう私も頑張るね」

淡「それはそれで少し寂しいかもだけど」アハハ

咲「そろそろ私は行くけど……あわずきんさん気を付けてね? この辺りはオオカミが本当に多いから」

淡「大丈夫! スミレ印の信号銃があるからイチコロだよ!」

咲「それってイチコロにするのはあわずきんさんじゃないと思うけど……」アハハ

淡「サキこそ気を付けなよー? そんなにも無防備だとオオカミさんに剥かれて食べられちゃうよ?」

咲「ふふ、心配してくれてありがとう。気を付けるね」ニコ

淡「では御武運を! バイバイサキー」

咲「さようなら。また後で」

―――――――――――――――――――――――――――――――――

淡(サキも大変だなぁ……この森の中で迷子探しなんて……)

淡「っと。危ない危ない。本来の目的を忘れそうになってた」

淡(サキのためにも早く松実さんの家に行かないと……)


―――ザザ


淡「?」チラ

淡(さっき、あの茂みが動いたような……)


「……」


淡「じー」


「っ……」ゴクリ


淡(誰かいる……! ふふ、私から逃げようなんてそうは行かないよ……!)

淡「貴様!」


「っ!?」ビクッ


淡「見ているなー……?」ニヤァ


「っ……」ドキドキドキ


淡「やり過ごそうとしてもそうはいかないよ!」

淡「今なら訳を聞くだけで許してあげるから出て来なさい!」スチャ


「ッ……!」

「……」

「分かった。出て来るから銃を下ろして」


淡「ふふん、素直でよろしい。ってその声……」

照「はぁ……」トボトボ

照(どうしてこう毎回……)

淡「テル!!」ダダッ

照「こんにちわ。あわずき……きゃっ」

淡「こんなところで会うなんて奇遇だね! どうしたのどうしたの!?」ギュウウ

照「くっつかないで」ズイ

淡「えー。つれないなぁ。せっかく会えたのに」

照「今私は忙しい」

淡「忙しい? オオカミさんなのに?」

照「……忙しいオオカミもいる」プイ

淡「ふふ、相変わらずクールなウルフだねー♪」

淡「で、どうして私の後を付けてたの?」

照「後なんて付けてない」

淡「でも隠れてたよね?」

照「……あわずきんがこっちに来たから隠れただけ」

淡「どうして?」

照「……私、今忙しいから」

淡「もう、それしか言わないんだからー。何がどう忙しいの?」

照「あわずきんには関係ない」

淡「むー。私とテルの仲なんだから言ってくれてもいいのに」

照「……」

淡「もう、意地っ張りなんだから」

淡「ほら! ケーキ!」

照「!!」

淡「スミレお手製のすごく美味しいケーキだよ! 食べたくなっちゃうよ!」

照「菫お手製の……ケーキ……」ゴクリ

淡(ふふ、すごい尻尾振ってる……)

淡「欲しい? 私と遊んでくれるならあげてもいいよ?」

照「い、いや。あわずきんに構ってる暇はない」ツーン

淡(あれ? なかなか強情。いつもなら飛び付いて来るのに)

>淡「スミレお手製のすごく美味しいケーキだよ! 食べたくなっちゃうよ!」

いや、アカンやろ(´・ω・`)
だが、それがいい( ´∀`)

淡「本当にどうしたの? 今日のテルなんだかおかしいよ?」

淡「私を襲おうとしないのは草食系だからしょうがないとして、お菓子にも反応しないなんて……」

照「今は緊急事態。妹とはぐれた」

淡「妹? テル妹なんて居たの!?」

照「……うん」

淡「初耳だよー……ほえー、テルの妹……」ポワポワ

照「だから今あわずきんに構ってる暇はない。離して」

淡「むー。またそんなこと言ってー」

照「いつ猟師に襲われるか分からない。早く見つけないと」

淡「確かにそれは心配だね。……一緒に探してあげようか?」

照「本当に?」

淡「もちろん! テルのためだもん!」

淡「私友達いっぱいいるから、一声かければすぐに見つかるよ!」

照「……やっぱり」

淡「遠慮しないで? オオカミとか人間とかそんなの関係ないから」ニコ

照「……」

淡「で、テルの妹はどんな子なの?」

照「……可愛い」

淡「いや、そういうのじゃなくて。見た目の特徴とか」

照「髪の色は茶色で、角みたいな髪型で……」

淡(あれ、なんだか聞き覚えのある感じ)

照「あと私に似てる。特に耳と尻尾はそっくり」

淡「ふぅ~む、なるほどなるほどー」

淡「それは分かり易そうで何よりだね」

照「妹が心配……早く探さないと」ザッ

淡「待ってテル。慌ててもしょうがないよ。少し休憩しよう」

淡「何も食べてないでしょ?」

照「……お腹いっぱい」グゥ

淡「うん、お腹減ってるんだね。お弁当あるから一緒に食べよ?」

淡「さっきのケーキは食べちゃダメだけど……こっちは食べていいから」パカ

照「……!」

淡「菫お手製のサンドイッチ!」

照「……」ダラー

淡「ふふ、よだれ出てる」

9行目修正
淡「スミレお手製のサンドイッチ!」

猟師はSSSかと思ってた。

淡「ほら、ここに座って。私もお昼にしようと思ってたからナイスタイミングだよ」

照「……」

淡「もう、そんなに警戒しないで。こうやって一緒にご飯食べるの初めてじゃないでしょ?」

照「……」テクテク…

淡「ふふ、お利口さんなのは良いことだよ」ニコ

照(会うたびにだんだん餌付けされてるような気がする……でも……)

淡「はい、あーん♪」スッ

照「……自分で食べ」

淡「あーん♪」

照「あむ」

照(本能には勝てない……)モグモグ

淡「美味しい?」

照「……うん」

淡「そっか。じゃあはい。テルも私に食べさせて?」ニコ

照「いや、流石にそれは……」

淡「サンドイッチあげないよ?」

照「……」スッ

淡「あむ……ふふ、美味しいー」エヘヘ

照「……」ボー

淡「?」

淡「どうしたの?」

照「……何も無い」プイ

淡「ふふ、変なのー」

照(オオカミとしての本能が……)ムラ…

――――――――――――――――――――――――――――――――

淡「ふぅ。お腹いっぱいだねー」

照「うん……」ジー

淡「?」

照(これ以上あわずきんと一緒にいると食べてしまうかもしれない……早く別れないと……)ムラムラ

淡(テルさっきからぼーっとしてる……もしかして……)ニヤ

照「……私、そろそろ行くね」

淡「待って!」

照「?」

淡「そういえば、サンドイッチのお礼がまだのようなー……」

照「お、お礼?」

淡「うん、お礼♪」

淡「ふふふ……」ジリジリ

照「あ、あわずきん?」

淡「ほらテル、早くお礼頂戴……? 無銭飲食は捕まっちゃうんだよ……?」ジリジリ

照「た、食べさせた後にそんなこと言うなんてひどい。それに私、何も持ってないし……」アトズサリ

淡「テルー……お礼してくれないと……」

淡「食べちゃうぞー!!」ダキッ

照「っ!」バッ

淡「むう。なんで躱すの」ジト

照「み、身の危険を感じたから」

照「あとそれは私のセリフだと思う」

淡「オオカミ的な意味で?」

照「オオカミ的な意味で」

淡「じゃあ言って? 食べちゃうぞーって」

照「え?」

淡「さあ来い!」ババーン

照「……」

淡「って草食系のテルにはそんなこと」アハハ

照「あわずきんは私に食べられたいの?」

淡「え?」

照「私に抱きついて来たり、好きって言ったり……」ジリ…

淡「て、テル?」

淡(目の色、だんだん変わって……)

照「私だって……」ザッ

淡「きゃっ!?」


照「オオカミなんだよ……?」


淡「て、テル……?」

淡(私今、押し倒されて……)

照(この感じ……久しぶり……)

照(すごく良い匂いがする……私たちの大好きな、甘い女の子の匂いが……)ハァ…ハァ…

淡(テルの目、すごいギラギラして……)ブルッ…

淡「ど、どうしたのテル? いきなりこんなこと……テルらしくないよ……?」

照「それは本当の私をあなたが知らないだけ……」サワ…

淡「な、何言ってるの……? 私が知ってるテルが本当のテルで……」

照「……」サワ…

淡「ひゃっ!?」

照「これ、邪魔……」グイ…

淡「まま、待って待って待って!? 何しようとしてるの!?」

照「服脱がせないと食べれない……」グイグイ

淡「や、やだやだっ! やめてテル!!」

照「無理だよ……もう止まれない……」ガシ…

淡(う、嘘……全然動けない……! オオカミの力ってこんなにも強いの……!?)

淫ピじゃないよな・・・逆に食われるし。
まぁ、 無難に京太郎でいいんじゃないか?

照「あなたはとても綺麗……まるでお姫様みたい……」チュゥ…

淡「ゃっ……」

照「そんな女の子がこんな森の中に一人だなんて……食べてくださいって言っているようなもの……」ペロ…

淡「あっ……!」

照(肌、真っ白……すごく綺麗……)

照「お望み通り、食べてあげるね」カプ

淡「ひっ!」ビクッ

照「……」カジ…

淡「っ~~~!!」バタバタ

照(ちょっと甘噛んだだけなのにこの反応……見た目通り、やっぱり初めてか……)チュ…

淡「や、やだっ……! それっ、あぁっ……!!」

支援ぞ

照「……」レロ…

淡「んっ……!!」ビク…

淡「な、舐めるのもダメ!!」

照「体はダメって言ってないけど……」

淡「そ、そんなことないもん……」ウルウル

照「食べてって言ったり食べないでって言ったり、あわずきんはよく分からない」モゾ…

淡「きゃああああ!!? どど、どこに手入れてるのテル!?」

照「スカート」ゴソゴソ

淡「やめてやめてやだやだやだ!! そこだけはダメこんな場所じゃ絶対嫌!!」

照「こんな場所って……こういう場所以外どこでするの?」

淡「家の中!! こんな雰囲気もへったくれも無い場所でこんなことしないの!!」バタバタ

照「でも私たちは普段こういう場所で……」

淡「テルはおかしいよ! オオカミだからそういう感覚がおかしい!」

淡「そもそも初めてはもっとちゃんと互いの気持ちを確認し合ってから……!」

照「人間の考えることはよく分からない……」スル…

淡「ちょっ……!!」

照「こんな窮屈そうな布付けてるし……」

照「服は私たちも着るけど……この文化だけは分からない」ピラーン

淡「あわわわ……!!」カァァァ

照(濡れちゃってるし要らないよね……)ポイ

淡「!?」

照「あ、そっか。上にも付けてるんだ。面倒くさい……」ゴソゴソ

淡「ひゃあっ!? ほほ、本当にやめてテ……」

照「……」チュウ

淡「んむ……!?」

照「んぁ……」レロ…

淡「!」

淡「ぷぁっ!」バッ

照「なに?」

淡「ななな、なにって……! べろ! 今べろ入ってきた!!」

照「オオカミだから舌も長い」

淡「そういう問題じゃないよ!?」

淡「わわ、私初めてだったのに……」カァァァ

照「初めてなら何かあるの?」キョトン

淡「何かあるの!!」

照「うーん……」

照「分からない」グイッ

淡「きゃっ……こ、これ以上は本当に……」ウルウル

照「まだ何もしてないと思うけど」ゴソ…

淡「ゃっ……!」

淡(だ、誰か助け……!!)

―――ヒュン


照「いたっ」コツン

照「石? 一体どこから……」チラ

和「っ……」ビクッ

照(女の子……)

淡(あの人、もしかして私を助けようと……!?)

和「そそ、その人を離してあげてください!」ガクガクブルブル

照「え?」

和「さ、さっきからずっと嫌がってます! だから離してあげてください!!」

照「……」ポカーン

淡(い、今がチャンス!)

淡「せりゃ!!」ドン

照「きゃっ」

淡「よくも好き放題やってくれたね! 覚悟!!」スチャ

照「!」

照「くっ」シュダッ

淡「逃がさないよ!」

和「だ、ダメです! オオカミを追いかけるなんてそんな!」ガシッ

淡「あ、行っちゃった……てか足はやっ……」

和「良かった、見逃してくれて……」ハァ

淡「見逃したんじゃないよ! 私に恐れをなして逃げたんだよ!」

和「何言ってるんですか……私たち二人とも食べられてしまってもおかしく無かったですよ……」ヘナ…

淡「テルは草食系だから二人も食べれないよ?」

和「え……?」

和「あのオオカミを知ってるんですか……?」

淡「うん。テルと私は友達以上恋人未満だよ」

淡「いつか恋人同士になりたいけど」エヘヘ

和「おお、オオカミと人間が恋をするなんてそんなオカルトあり得ません!!」

淡「ど、どうしたの? 急に大きな声出して……」

和「はっ……す、すみません。少し取り乱してしまいました……」

和「そ、それより大丈夫ですか!? 貞操は無事で……」

淡「ふふ、大丈夫だよー。あと5分遅かったらどうなってたか分からないけど」

和「そうですか……それは良かった……」ホッ

淡「あ、そうだ。お礼まだだったね。助けてくれて本当にありがとう」ペッコリン

和「い、いえ。私は当然のことをしたまでで……」

淡「この恩は絶対に返すよ。私に出来ることがあったらなんでも言ってね」ニコ

淡「私の名前は淡。あなたは?」

和「和と言います」

淡「ノドカかぁ……あだ名とか無いの?」

和「あ、あだ名ですか?」

淡「うん、フランクで可愛いあだ名♪」

和「フランクで可愛くは無いですけど……この赤いずきんが目立つせいか、街のみんなからは赤ずきんと呼ばれていますね」

淡「赤ずきん!?」

和「は、はい。赤ずきん」

淡「すごい!!」

和「え?」

淡「見て見て! ほら!」

和「き、綺麗な青いずきんですね……それが何か……?」

淡「私はこの青いずきんと淡っていう名前のおかげであわずきんって呼ばれてるの!」

和「あわずきん……?」

淡「そう、あわずきん!」ニコ

淡「赤ずきんとあわずきんだよ!? こんな奇跡ってすごすぎるよ!!」ピョンピョン

和(そんなくだらないことでこんなにも喜んで……)

和「……ふふ」

淡「ほえ?」

和「確かに凄い偶然ですね。赤ずきんにあわずきん」

和「こうやって出会うのは運命だったのかもしれませんね」ニコ

淡「運命……! なんかカッコいいかも……!」キラキラ

和「カッコいいかどうかは分かりませんが」アハハ

淡「私たちきっと友達になれるね。いや、もうなったね」フンス

和(ゆーきと穏乃を足したくらいに明るくて快活な人です)クス…

淡「ノドカもそう思うでしょ?」

和「ええ、そうですね。淡と私はお友達です」ニコ

淡「えへへ……」

和「そういえば……淡はどうしてこんな森の中に……?」

和「ここはオオカミがよく出る危険な森ですよ? 用が無いのなら立ち入るべきではないです」

淡「私も本当は家の中でごろごろしときたいんだけど、そうは行かなくて……」

和「どういうことですか?」

淡「この森の中に住んでる松実さんって人の家に届け物をしなきゃいけないの」

和「!」

和「本当、ですか……?」

淡「えっ。そんなに驚くようなことかな?」

和「実は……私も松実さん、正確に言えば松実玄さんに届け物をするためにここに来ていて……」

淡「え!? 本当に!?」

和「はい。まさか同じ目的を持った人に出会うなんて……すごく驚いてます」

淡「ここまでミラクルが続くと奇跡も通り越しちゃうね……」

和「まさに運命、ですね」キリ

淡「ふふ、そうだねー」ニコ

和「こういう出会いって素敵ですよね……ロマンティックです」

淡「あ、やっぱりノドカもそう思っちゃう?」キラーン

和「はい。赤ずきんにあわずきんの時点ですごいことですから」

淡「私に好きな人がいなかったら運命の相手だと思っちゃうレベルだよ」アハハ

和「ふふ、同感です」

淡「ってことはノドカも好きな人がいたり?」

和「はい。淡とは違って普通の人間の方です」

淡「まあそれが普通だよね」アハハ

淡「付き合ったりしてるの?」

和「いいえ、していません。思いを伝えることすら出来ないままで……」

淡「そっか……」

和「……この話は少し長くなりますから、松実さんの家に向かいながら話しますね」

淡「はっ。そういえばもうこんな時間……早く届けないと……」アワワ

和「ここから10分も歩けば着きますから、大丈夫ですよ」

淡「道案内任せてもいい? 私、ここどこか分かんなくて……」アハハ

和「ふふ、任されました」

―――――――――――――――――――――――――――

照「ふぅ……」

照(ここまで来ると大丈夫、か)

照(別に逃げる意味もなかったけど)

照「……」

照(あわずきん、私のこと嫌いになったのかな……)

照「……」

照「ストレスが溜まるとムラムラしてくる……」ムラムラ

照(さっき寸止めされたし……これは発散しないと健康に悪い……)

照(どこかに魅力的な女性は……そんな都合良くいるわけないけど……)

照「ん……?」ピク

照「あれって……」

玄「ふふ、楽しみだねー」エヘヘ

宥「そうだね……」ウフフ


照「……」

照「……」ムラムラムラ…

照(私はあまり食べない方だけど……一切食べずに生きて行くなんて無理だから……)

照「……しょうがないよね」

――――――――――――――――――――――――――――

咲「あうぅ……」

咲(オオカミ用のトラバサミにかかっちゃった……)グスン

咲(私って本当にドジ……お姉ちゃんがいないと何も出来なくて……)ウルウル

咲「どうしよう……これ、外れないよ……」ウルウル

咲「足も痛いし……こんなところ猟師に見つかったら……」ゾク…


―――ザッ


咲「!!」

咲(う、後ろから誰か来てる……誰……?)カタカタ

咲(お姉ちゃん……? いや、この足音は……)


―――ザッ


咲(猟師……)ブルブル

―――ザッ


咲(すぐそこまで来てる……早く逃げないと……)スッ

咲「いたっ……!」

咲(わ、罠……!)


―――ザッ


咲(もう、ダメ……)ジワッ

咲「お姉ちゃん……」ポロ…


「おい君……大丈夫か?」


咲「ふぇ……?」チラ

菫「動けないのか?」

咲「……!!」

咲(弓矢を持ってる……! やっぱり猟師だ……!)カタカタ

咲「う……あ……」ポロポロ…

菫「怖かったな。もう大丈夫だから安心しろ」

菫「今外してやるから、動くなよ」スッ

咲「え……?」

菫(こんな古い罠がまだ残ってるとはな……)カチャカチャ

咲(ど、どうして……?)

菫(……ダメだなこれは。壊すしか無さそうだ)

咲「あ、あの……」

菫「君、絶対に動くなよ」

咲「え……?」

10行目修正
菫(……ダメだなこれは。壊すしか無さそうだ。というより外し方が分からない)

菫「……」スチャ

咲「ひっ……」

菫「……」キィ…


バチン!!


咲「あ……」

菫「古い故に壊れ易くて助かったな。立てるか?」スッ

咲「は、はい……いたっ」

菫「無理はするな。この手の罠はオオカミ用だから足を持っていくような設計になってる」

菫「古くなってるとは言え、人間の君じゃ辛いだろ」

咲「人間……?」

菫「ああ。まさか自分がオオカミだとでも言うのか?」フフ

咲(この人、私を人間だと思って……)

菫「手早く治療しないとな……私の家まで運ばせてもらうよ」

咲「だ、大丈夫です! 助けてもらっただけでも十分で……」

菫「この森がどういう場所かは知ってるだろ? そんな足でオオカミに襲われたらどうするんだ」

咲「それは……」

菫「遠慮するな。君みたいな人間は今まで何人も助けている」

菫「助けた人間の中には、そのまま私の家に居着いたような厚かましいヤツもいるんだ」

菫「何も気に病むことはないよ」ニコ

咲「っ……」ドキ…

菫「ほら、背中に掴まって。家はすぐそこだから運ぶよ」

咲「は、はい……」ギュ…

咲(あ、背中大きい……)

支援ぞ!

―――――――――――――――――――――――――――

照(うん、我ながら良く出来てる)

照(あわずきんのコスプレ……)フリフリ

照(家に都合良くそれっぽい服があって良かった)

照「さて、準備は整った。目標はただ一つ……この家の美人姉妹」ザッ

照(今の私なら……両方とも美味しく頂ける気がする)ペロリ

照「では早速」

コンコンコン

玄「はーい。どなたでしょうかー」

照(えっと、あわずきんっぽくだから……)

照「わ、ワタシだヨー! 森のアイドルあわずきんだヨー!」ウラゴエ

玄「あわずきんちゃん……?」

すみません
淡「あわずきんだよ!」 書
淡「あわずきんだよ!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1357994123/)

のスレで猿喰らったので報告お願いしたいです……

コピペみすった恥かしい

782 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] 2013/01/13(日) 05:39:34.74 ID:wdA4KDnl0

すみません
淡「あわずきんだよ!」 書
淡「あわずきんだよ!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1357994123/)

のスレで猿喰らったので報告お願いしたいです……

玄(あれ、あわずきんちゃんってこんな声してたかな……)

照「お、美味しいケーキとシャンパン持って来たノ!」

照「だから空けて欲しいナ! きゅるるるるーん♪」

玄「あわずきんちゃん、なんだか声がおかしくない……?」

照「も、森の妖精さんたちとお歌を歌い過ぎて声が変になっちゃったノ!」

照「それに少し風邪気味だから声がおかしいのはしょうがないノ! うえーん!」

玄「そっか、それは大変だね……」

玄「喉に良い飲み物入れてあげるから入ってきてー! 鍵は空いてるから大丈夫だよー!」

照(作戦成功)フフン

照「それじゃあお邪魔します」ガチャ

玄「ふぇ……?」

玄「いらっしゃーい……ってあれ?」

照「こんばんわ」

玄「こんばんわ……えっと、あわずきん、ちゃん?」

照「いいえ。オオカミです」スッ

玄「ふぇ? ……耳?」

照「がおー」

玄「……」

照「……」

玄「ばたんきゅう……」

照(まず一人)

照(もう一人は……ここ?)ガチャ

宥「すぅ……ぅ……」

照(やっぱりいた……)

照(大きな暖炉に……こたつ?)

照(すごいインテリア……あとめちゃくちゃ暑い……)

照(こんな部屋に居たら乾涸びそう……大丈夫かな、あの人……)

宥「……」スヤスヤ

照(とりあえず、寝てるなら下手に起こさない方がいい)

照(まずは気絶させたあの子を美味しく頂こう)

照「さて」

玄「うーん……」

照「まずはベッドに運ぼう」

照「よっと」スッ

照(うん、軽い)

照「……」テクテク

玄「あぅ……」

照(こうしてるだけでも良い匂いがしてくる……溜まってるのかな、私……)

照「っと」トサ

玄「ん、んぅ……」

玄「あれ、私、何をして……?」

照(起きたか……)

玄「あなたは一体……?」

玄「!」

玄「お、オオカミ……!?」

照「……」

玄「だ、誰か助け……!」

照「静かにして。一緒に居たあの人食べるよ」

玄「っ……!」

照「綺麗な人だったね。お姉さん?」

玄「や、やめてください!! お姉ちゃんだけは……!」

照「……私小食だから。たぶんあなただけで満足出来ると思う」


照「無駄な抵抗をしない限りは」


玄「……」カタカタカタ

照「私のこと、怖い?」

玄「ぐずっ……」コクコク

照「そう……」

照(これが普通の子の反応……やっぱりあの子はおかしい……)

玄「ぅ……ぁ……」ポロ…

照「そういう顔、好き」スッ

玄「ひっ……」

照「ほっぺ、柔らかいね」ナデ…

玄「あぅ……ぁぁ……」ポロポロ…

照「唇も、柔らかそう……」

玄「ひぐっ……」ブルブル

照「そう……それでいい」

照「私はオオカミ。あなたはか弱い人間の少女」

照「あなたが私に抱く感情は……恐怖だけでいい」

照「そのまま動かないで……」

玄「っ……」

照「私の目を見て……?」

玄「……」ウルウル

照「名前、教えてもらってもいい?」

玄「……玄、です」

玄「松実……玄……」

照「私は照」

玄「照……?」


照「あなたの初めての相手」


照「ん……」チュウ

玄「ん……!?」

照「ぁ……」レロ…

キリもいいので寝ます
15時頃に再開するので、それまで保守していただければ嬉しいです。すみません

メゲルわ・・・

ホシュ

保守ありがとうございました
再開します

――――――――――――――――――――――――――――――――――

淡「お花摘み過ぎちゃったねー」

和「そうですね。バスケットに入りきらないくらいに……」

淡「でもこんなにもいっぱい摘んだんだから、松実さんも喜んでくれるよね!」

和「もちろんです」ニコ

淡「寄り道はこのくらいにしてそろそろ行かないと……はぁ。歩きたくないー」グデー

和「ここから松実さんたちの家はすぐそこですから、頑張りましょう」

淡「休憩がてらノドカの好きな人の話してよ。恋バナしよう恋バナ!」

和「恋バナ、ですか……そう言われると少し緊張してしまうかもですね……」カァ

淡「私同い年の友達とか全然居ないから、そういうのすごく憧れてるの!」

和「同年代の友達が居ない? 淡がですか?」

淡「うん。私こう見えて元プリンセスだから」

和「も、元プリンセス?」

淡「この壮大な物語は一先ず置いといてー」

淡「ノドカの好きな人ってどんな人?」キラキラ

和「そうですね……清楚で、少し引っ込み思案で……読書好きな大人しい方です」

和「でもいざとなった時はすごく頼りになって……獣のような目がカッコ良くて……」ポッ

淡「なるほどなるほどー……ギャップ萌えってヤツだね!」

和「ふふ、まさにその通りだと思います」

和「きっと彼女のそういう二面性に惹かれたんでしょうね」ニコ

淡「そっか……良いなぁ。ノドカの好きな人会ってみたいなぁ」

和「もし会えたなら淡ともお友達になれると思いますよ」

淡「本当に!?」

和「はい。会えたら、の話ですが……」シュン

淡「……」

淡「どこかに行っちゃったの?」

和「はい。中学校卒業と同時に……何の前触れも無く居なくなりました」

淡「そんな……」

淡「連絡先とかは……?」

和「いいえ。知りません」

淡「どうして……ノドカとその人は友達だったんだよね……? 」

和「……」

淡「一言声もかけずに居なくなるなんて……そんなの酷いよ……」

和「何か重大な理由があったんだと思います」

和「私や他の友人には絶対に話せないような、そんな理由が……」

淡「でも……それでもおかしいよ!」

淡「大切なことならなおさら話さないと!」

淡「その人も絶対に辛かったのに……一人で抱え込んで、誰にも見送られないまま居なくなって……」

和「淡……」

淡「そんなのってないよ……」ウルウル

和「泣かないでください。泣くのは私だけで十分です」ギュ…

淡「ノドカ……」

和「淡は優しい子ですね」

和「他人のことでそんなにも感情的になれるなんて、素敵です」ヨシヨシ

淡「ぐずっ……プリンセスだから……」

和「ふふ、そうですか……」

淡「ねえノドカ、その人を探そうとかは思わないの?」

和「探していますよ。いなくなったときから今までずっと」

淡「何か手がかりはあった?」

和「残念ながら……」

淡「……」

和「諦めない限りはいつか必ず会えます」

和「だから、そんなにも悲しそうな顔をしないでください」

淡「ノドカはすごいね……こんな話してるのに、涙の一つも流さないなんて」

和「涙は再会出来た時のために取ってますから」ニコ

淡「うん、それで良いと思う」ニコ

和「すみません、しんみりとした話をしてしまって……」

淡「ううん、気にしないで。訊いたのは私だから」

和「次にこういう話をするときは、もっと明るい話が出来るように頑張ります」

8行目修正
和「次にこういう話をするときは、もっと明るい話が出来るように頑張りますね」

淡「うん、楽しみにしてる」ニコ

淡「私も探すの手伝うから、またお使いが終わったら詳しい話訊かせて?」

和「えっ……いいんですか?」

淡「もちろん! 二人で探せば二倍早く会えるよ!」

和「出会って間もないのにそんな……」

淡「私とノドカは友達なんだから、これくらいさせてよ」ニコ

和「……ありがとうございます。あなたは本当に優しいですね……」

淡「プリンセスだから」ニコ

和「ふふ、淡なら本当にお姫様になれそうですね」

淡「もうなりたくないけどね♪」

和「?」

淡「そろそろ行こっか。晩ご飯に間に合わなくなっちゃう」

和「それもそうですね。私も暗くなる前には街に帰らないと」

淡「すぐそこなんだよね?」

和「はい。少し歩けば家が見えて来ますよ」

淡「よし! じゃあ出発!」ダダ

和「淡。花忘れてます」

淡「あっ」

―――――――――――――――――――――――――――

菫「よし、この程度の傷ならこんなものだろう」

咲「あ、ありがとうございます……本当に何から何まで……」

菫「気にするな。好きでやっていることだからな」スッ

菫「お腹は空いていないか? 何か食べるか?」

咲「だ、大丈夫です! 私小食なんで……」

菫「そうか。まあ見るからに華奢だしな」

菫「君はどこの街から来た? ここから近い場所となると、ナガノかトウキョウか……」

咲「あ、えっと……な、ナガノから来ました」

菫「ナガノからか……どうしたってあんな場所にいたんだ? あの森の噂は知っているだろ?」

咲「え、えっと……」

菫「怖いもの見たさの冒険感覚で入っていくバカが何人食われたことか」

咲(ごめんなさい、お世話になってます……)

菫「君はそんな愚か者には見えないが……何か探し物か? それとも松実姉妹に用があるか……」

咲「探し物というか迷子というか……」

菫「?」

咲「あの……助けてもらったのにこんなこと言うのってすごく失礼なんですが……」

菫「ああ。話したく無いなら無理に話さなくていい」

咲「え……?」

菫「訳ありの人間もたくさん見てきたからな」

菫「むしろ自分の素性をペラペラ話すヤツの方が珍しい」

菫(あのアホみたいに)

咲「そ、そうですか……そう言ってもらえると助かります……」

菫「まあ、ゆっくりしていってくれ」

菫「別に何日でも居てくれて構わないが、もうすぐうるさいのが帰って来るからやかましくなるぞ」

咲「うるさいの……?」

菫「あわずきんって知っているか? そいつはここに居候してるんだ」

咲「あ、あわずきんさんが!?」

咲「すごい……そんな偶然って……」

菫「知ってるだけか? それとも友人か……」

咲「ゆ、友人では無いと思います……あえて言うなら顔見知り程度で……」

菫「アイツにとって顔見知りは全員友達だから、友人で間違いないな」クス

菫「どうする? 帰って来るまでここにいるか?」

咲「私、大切な用事の途中で……」

菫「そうか。森の中での用事なんてロクなことじゃ無さそうだが……」

咲(この人になら話していいかも……すごく良い人だし、あわずきんさんの知り合いだし……)

菫「まあ、何はともあれ気をつけるんだな。次助ける自信は無いぞ」

咲「は、はい」

菫(本当なら無理やりにでも引き止めたいが……)

咲「……」

菫(この子の目を見る限り、無駄だろうな)

菫「もう行くか?」

咲「あ、えっと……」

菫「急を要しないなら休んでいた方がいい」

菫「その足で森に入るなんて襲われに行くようなものだぞ」

咲(どうしよう……足はとっくに大丈夫なんだけど……)

咲「……」チラ

菫「?」

咲「……」ジー

菫「な、なんだ……?」

咲「な、なんでもありません!!」

咲(だ、ダメだよ!)

咲(こんなにも良くしてくれた人にそんなこと……!)

菫(何故だろう……どうして、あのオオカミに襲われたときのことを思い出して……)ブルッ

菫(そういえばこの子、どことなくアレに似ているような……)

咲(でもあの人すごく美人だし、おんぶしてもらった時も良い匂いがして……)ムラムラ…

菫(まあ、他人のそら似だろ……そもそもオオカミと人間だしな……)

菫「おい、さっきからぼーっとしているが大丈夫か?」

咲「ふぇ……? あ、は、はい!」

菫「体調が悪いならベッドを使ってくれてもいい。過ごし易いようにしてくれ」

咲「ありがとうございます……」

菫「ただ、出て行く時には声をかけてくれ」

菫「一期一会の出会いで別れの挨拶が出来ないのは……寂しいからな」

咲「……」

菫「少し森の中を見回りしてくるよ。勝手に居なくなるなよ」スッ

咲「あ、あの……!」

菫「?」

咲「名前、訊かせてもらってもいいですか……?」

菫「菫。弘世菫だ」

菫「君は?」

咲「……咲です」

菫「咲か……これからはそう呼ぶとしよう」

菫「いつまで一緒にいられるかは分からないがな」フフ

咲「弘世さん……」

菫「菫でいい。上の名前はあまり好きじゃないんだ」

菫「君もそうじゃないのか?」

咲「え……どういう意味ですか?」

菫「上の名前を言わなかったのはそういう意味じゃないのか?」

咲「あっ……わ、私は、その……」

10行目修正
菫「上の名前を言わなかっただろ」

菫「まあ、なんでもいいさ」

菫「今までの自分を捨てたくてここに来る人間も少なくない」

咲「……菫さんは」

菫「おっと、深読みしてくれるなよ?」

菫「君が思っているような経歴は私には無い。よく勘違いされるんだがな」

咲「そ、そうですか……」アハハ

菫「さて。そろそろ行くよ。30分もしたら戻って来る」

菫「外に出るのは構わないが……森には入るなよ?」

バタン

咲「……」

咲(すごいな……優しくて、強くて、カッコ良くて……)

咲「……」ムラムラムラ

咲(どうしよう……食べたくなってきちゃった……)

本当にすみません、30分ほど席外します

ありがとうございました
再開します

――――――――――――――――――――――――――

照「ふぅ……」

照「気持ちよかった」ツヤツヤ

玄「」チーン

照(初々しい子は可愛い……格別)

照(久しぶりだったっていうのもあるだろうけど……すごく良かった……)

照(ぜひこれからもお世話になりたい)

玄「きゅう……」

照「ふふ……」ナデナデ


「クロちゃーん。どこにいるのー」


照「……」

照(あの暑い部屋にいた人……)

 

「クロちゃーん」


照(すごく綺麗だったな……柔らかそうで……)

照「……」ムラムラムラ

照(オオカミの血が疼いてきた……これはもう食べるしかない)


コンコンコン


「クロちゃん? 寝てるの?」


照(入って来たところを不意打ちで襲おう……)

照「姉妹丼……」ボソ

宥(クロちゃんあんまりお昼寝とかしないのに……体調が悪いのかな?)

宥「入るね」ガチャ

宥「……」

玄「うーん……」

宥「く、クロちゃん……?」

宥(どうして服が乱れて……ベッドもぐちゃぐちゃだし……)ドキドキ…

宥(も、もしかして……私が寝てる間に誰かと……)カァァァ


チョンチョン


宥「ふぇ?」

照「がおー」

宥「……」

照「……」

宥「ばたんきゅう……」

照(この姉妹ちょろい……)

照(この森で住んでるのに、どうして今まで無事だったんだろう)

照(ま、どうでもいいけど)

照「よっと……この人も軽い」

宥「あぅ……」

照「大人の女性の匂いがする……」クンクン

照「美味しそう」ジュルリ

照(早速隣の部屋に運び込んで……)


「おーい松実さーん。森のアイドルのあわずきんだよー」


照「……」

 

照「!?」


淡「おーい。松実さーん」

和「普通にノックしましょうよ……」

淡「こっちの方が早いよ?」

和「それはそうですけど、礼儀というものが……」

淡「ほら! ノドカも呼びかけて!」

和「わ、私もですか?」

淡「ノドカもいるって知らせなきゃ!」

和「ま、松実さーん」

淡「そんなんじゃ聞こえないよ! もっと大きい声で!」

和「ま、松実さーん!!」

照(あ、あわずきん……? それにこの声、さっきの……)

照(ま、まずい……)アワワワ


淡「おーい松実さーん!」

和「松実さーん! ってなんですかこれ……」

淡「返事ないねー……出かけてるのかな?」

和「そうかもしれませんね……家の前で待っておきましょうか」

淡「え? 普通に中で待ってようよ。鍵空いてるし」ガチャ

和「ななな、なにしてるんですか!?」

淡「家に入ってるんだよ?」

和「そういうことじゃなくて! 不在の家に勝手に入るなんて非常識です!」

淡「大丈夫だってー。私と松実さんたちマブダチだから」

淡「おじゃましまーす」

和「ちょっ」

「だ、ダメですって淡!」

「ほら! ノドカも早く!」


照「な、中に入って来てる……?」

照(ここが見つかるのも時間の問題……)

照(逃げる? でも出口は玄関だけで……)

玄「あ……そこ……だめ……」ウーン

照「……」

照(よし、この作戦で乗り切ろう)

淡「うーん……」

和「うぅ……後で謝らないと……」

淡「この家、なんだか様子がおかしい……!」

和「え?」

淡「だってほら、電気とか点けっぱなしだし」

和「席を外してるだけなのでは? 人の気配はしますよ?」

淡「それもそうなんだよね……うーん……」

和「二階の寝室にいるのかもしれません。探してみましょう」

淡「了解!」

「松実さーん、いらっしゃいますかー」

「あわずきんと赤ずきんだよー」


照(ちょっと緊張する……でも、作戦に抜かりは無い)

照(大丈夫)


淡「まずはクロの部屋を」ガチャ

和「ああ、ノックもせずに……」ハァ

淡「あれ、誰か寝てる」

和「玄さんでしょうか?」

照「……」ドキドキ

淡「クロ?」テクテク

和「様子が変ですね……病気にでもなってしまったんでしょうか……」テクテク

照(近づいて来る……)

支援ぞ

淡「クロ? 寝てるの?」

照「お、起きてるよー」ウラゴエ

淡「はて?」

和「玄さん……? どうしてそんな声……」

照「さ、最近風邪気味で……」

和「風邪……?」

照(あわずきんはともかく、この聡明そうな子は……)

淡「分かった! 喉に来るヤツなんだね! だからそんな声なんだ!」

和「ああ、なるほど……それなら納得です」キリ

照(うん、二人ともアホだ)

淡「あれ……玄……?」

照「な、なにあわずきんちゃん?」

淡「髪の色が……」

和「そういえば……」

照「うっ」

淡「なんでそんなにも赤くなってるの……?」

淡「それにすごく短くなってるし……」

照「こ、これは……その……」

和「イメチェンですか?」

照「え?」

淡「あ、なるほど! イメチェンか! すごい思い切ったねクロ!」

和「前の長くて黒い髪も綺麗でしたのに……」

照「さ、最近好きな人が出来て……」

淡「好きな人!?」

和「玄さんも恋の季節ですか……」ドキドキ

照「う、うん。パンクな人だから、こういうのが好みらしくて」

淡「すごいすごい! ねえどんな人なの? クロが好きな人ってどんな……」

和「ダメですよ淡。玄さんは今体調が悪いんですから」

淡「あ、そうだよね……こんな声になるくらい酷い風邪だもんね……」

和「そうです。あまり喋らせてはいけません」

照「そ、そうしてくれると嬉しい」

和「騒がしくしてすみません。すぐに出て行きますんで……」

淡「……待って」

和「?」

照「ど、どうしたのかなあわずきんちゃん?」

淡「玄の……胸がない……」カタカタ

和「!」

照「」

13行目修正
淡「クロの……胸がない……」カタカタ

淡「ど、どうしたのクロ……? 一体何があって……」スッ

照「きゃ!?」

淡「……」サワサワ

淡「あわわわわ……クロのおもちがまないたになった……」

和「あんなにも豊満だったのに……今は焼け野原に……」カタカタ

照(こ、コイツら……!)グヌヌ

淡「本当にどうしちゃったのクロ!? こんなこと普通じゃないよ!」

和「病院に行きましょう玄さん! 新種の病気かもしれません!」

照「だ、大丈夫だよ……? ちょっと体調が悪くてしぼんじゃってるだけだから……」アハハ…

淡「しぼむなんてレベルじゃないよ! 無くなってるよ!!」

和「玄さん、辛い現実かもしれませんがここは一度冷静になって……」

照「いい加減にしろお前ら!!」ガァァ

淡「うわぁ!?」

照「まないただの焼け野原だの新種の病気だの……!!」

和「お、オオカミ……!?」

照「私だって好きでこんな胸になってるんじゃない!」ナミダメ

照「絶対に許さない……二人とも食ってやる……!」ガルルル

和「ひぃぃぃ!?」

淡「て、テルだったんだ……道理で……」アハハ

照「あわずきんが先に食べられたいの……?」ジリジリ

淡「食べられるのはいいんだけど、もう少し順序を踏んでから……」

和「逃げてください淡!!」

照「絶対に逃がさない!」

淡「ふふ、私はプリンセスだからね! その勝負受けて立つよ!」

照「!」

淡「勝負だテル!」スチャ

照「っ……」

和「……!」

淡「……」

和「う、撃たないんですか……?」

淡「信号銃だから」アハハ

和「ちょっ」

照「身構えて損した……」ハァ

照「えい」ベシ

淡「あ、銃が……」

照「ん……」ズキューン

淡「んん!?」

和「なっ」カァァ

照「ぁ……」レロォ…

淡「んん~~~!?」バシバシバシ

和「あぁ……そ、そんな……」カァァ

和(淡がオオカミに……陵辱されて……)ドキドキ…

淡「ぷはぁ! の、ノドカ! 信号銃でSOS出して! 早く!」

和「わ、私が……?」

照「むむ、そんなことはさせな……」

淡「そりゃ!」ダキッ

照「きゃっ!?」

淡「私がテルを抑えるから早く!」

和「わ、分かりました!」

照「くっ……!」グググ

和(待っててください淡、すぐ戻りますから……!)ダダッ

照「……あんな信号銃、誰も来ないに決まってる」

淡「絶対に来てくれる人が居るもんね!」

淡「逃げるなら今のうちだよー?」フフン

照「私はオオカミ。獲物の前で背は見せない」

淡「ひゃ!?」

照「今度こそ食べてあげる……」チュ…

淡「て、テルのバカ! 発情犬!」

照「犬じゃない」

淡「犬みたいなもんでしょ! どうせ松実さんたちにもこういうことしたんでしょ!?」

照「妹さんの方は素晴らしかった」

淡「むきー!! やっぱ誰でもいいんじゃん!」

淡「テルは好きだけどそういうところは大っ嫌い!」

照「あわずきんの無駄にガードが固いところが私は嫌い」ヌガシヌガシ

淡「ちょちょ、ちょっとちょっと!?」

照(そうだ……脱がすんじゃなくて服を破ればいいんだ……)ビリ…

淡「きゃあああああ!?」


―――バシュゥゥ


淡「あ……SOSが……」

照(あの赤ずきんの子に邪魔されると面倒……あわずきんを先に動けなくして……)

淡「な、なにしてるのテル?」

照「縛ってる」

淡「ちょっと!!」

和「す、すみません、銃の使い方が分からなくて……」

和「なっ……」

照「?」

淡「の、ノドカ!」バタバタ

和「こここ、こんなところで何をやってるんですかあなたたちは!?」カァァァ

照「さっきの続き」

和「や、やっぱりオオカミは破廉恥です! スケベです!!」

淡「逃げてノドカ! 私もう動けない!」

和「だ、ダメです! 淡を置いて逃げるなんてそんな……!」

淡「テルは可愛い女の子なら誰でもいい節操無しなの!」

淡「このままじゃノドカが!」

照「うん……あなたもおいしそう」スッ

和「ひっ……!」

淡「こらテルー!!」

照「あわずきんは面倒くさいから……」ハァ

淡「これが普通なの!」

和「ち、近づかないで……!」ウルウル

照「……そういう顔好き」

和「だ、ダメです……私には心に決めた人がいて……!」

照「寝取り……」ボソ

淡「コラーっ!!」バタバタバタ

淡「ノドカだけは絶対にダメ!」

照「どうして?」

淡「純愛だから! 他にちゃんと好きな人いるって言ってるでしょ!」

照「そう言われると増々……」ジリ…

和「ひぃぃぃ!?」

淡「ノドカに変なことしたらもう一生食べ物あげないから!」

照「!」

淡「テルの好きなお菓子も作ってあげない!」

照「それは困る……」ピタ

和(そ、そんなことで引き下がるんですか……)

淡「食べるなら、その……私を食べていいから」ボソ

照「……」

淡(ど、どうしよう……恥ずかしい……)カァァ

照「本当に?」

淡「う、うん……」

照「嫌がらない?」

淡「や、優しくしてくれるなら……」モジ…

照「それは保障出来ない」

淡「なんでそういうこと言うの!」

和(危機的な状況です……このままじゃ淡がオオカミに食べられてしまいます……!)

和(助けが来るまでなんとか時間を稼がないと……!)

照「結局、私はあわずきんを食べていいの?」

淡「ちゃんと私に告白して、付き合って、私以外の子に変なことしないって誓うなら食べてもいいよ?」

照「……はぁ」

淡「なんで溜め息なの!?」

照「めんどくさい……」

淡「むきー!!」

和「お、オオカミさん!」

照「?」

和「お、お腹空いてませんか……?」ニコ…

照「うん。目の前でお預けされてるから……」

和「そ、そういう意味じゃなくて、空腹的な意味で」

照「……何か作ってくれるの?」

和「はい。私、料理には自信がありますから」

照「……」

照「じゃあお願いする」

和「りょ、了解です」ニコ…

淡(ファインプレーだよノドカ!!)

照「その間にあわずきんを……」サワ…

淡「!?」

和「すぐに作ってくるんで待ってください!」

和「空腹を満たしてから性欲を満たす方が良いと思います!」

照「……一理ある」スッ

和(これでなんとか……)ホッ

照「でも、遅かったら先に食べる」

和「わ、分かりました。それでは暫しお待ちをください」



照「あわずきんも料理出来るようにならないとね」

淡「テルに言われたくない」ムス

飯食って来るんで自保守しときます

>>373
8行目修正
和「わ、分かりました。それでは暫しお待ちください」

hしゅ

保守ありがとうございました。再開します

――――――――――――――――――――――――――――

菫「……」

咲「……」ギュ…

菫(咲……?)

咲(菫さんの匂い……好き)

咲(どうしよう……このままじゃ……)

菫「足はもう大丈夫なのか?」

咲「……はい」

菫「まさか付いて来てるとは思わなかったよ。気配には敏感なつもりなんだがな……」

咲「……」

菫(まずいな……振りほどけない)

菫(とてつもない力だ……この細い体のどこにそんな力が……)

咲「菫さん」

菫「なんだ」

咲「実は私……オオカミなんです」

菫「……そうか」

咲「驚かないんですか……?」

菫「正直に言うと信じられない」

咲「じゃあ、こっち向いてください」

菫「……」スッ

菫「!」

咲「……」モジ…

菫(こんなことが……)

支援ぞ

咲「私、生まれつき耳と尻尾を隠せるんです」

咲「このおかげで、今まで人間に混じって生活したりもしてて……」

菫「……」

咲「私のこと……怖いですか?」

菫「ああ。指先の震えが止まらない」

咲「……」シュン

菫「君に怯えているというより、そんなことが出来るオオカミがいることに対してだが……」

咲「たぶん、これが出来るオオカミは私とお姉ちゃんだけです」

菫「お姉ちゃん……?」

菫(まさか……)

菫「照か?」

咲「!」

咲「ど、どうして……」

菫「私は猟師でアイツはオオカミ」

菫「互いにこの森での生活が長いとなると……知り合わない方がおかしいだろ」

咲「お姉ちゃんと菫さんが……」

菫「それこそアイツとの付き合いも長い」

菫「襲われたこともあるし肩に穴を空けてやったこともある」

咲「!」

菫「ま、昔の話だがな……今となってはそんなことも出来ないし……」

咲「……?」

菫「君は最近この森に来たのか?」

咲「は、はい。2年ほど前にこの森に移り住んで、それからはほとんど家の中で暮らしていて……」

菫(2年前というと……淡を拾ったくらいの時期か)

菫「それ以前は何を?」

咲「ナガノで人間と混じって暮らしていました」

菫「どうしてここに移り住んで来たんだ?」

咲「母に言われたんです。オオカミとして生きるか人間として生きるか……自分で決めなさいって」

菫「その選択の結果が今か」

咲「私、優柔不断で……お姉ちゃんみたいに即決出来なくて……」

菫「それが普通だと思うが……」

咲「いっぱい悩んで、たくさん泣いて……ここで暮らすことを決めました」

菫「……この森を選んだ理由は?」

菫「年頃の女の子がこんな浮世離れした場所で暮らすなんて……常識から外れてると思うぞ?」

咲「ふふ、それを言うなら菫さんもそうじゃないですか」

咲「あわずきんさんだって」

菫「まあ、それもそうだが……」

咲「……一言でいうと、逃げて来たんです」

咲「向こうで出来た友達や、私に良くしてくれる街の人たちに……オオカミだとばれるのが怖くて」

菫「……」

咲「お姉ちゃんは頭が良いな、って思いました」

咲「こうなるってことが分かってたから、最初からオオカミとしての人生を選んで……」

菫「少し早計過ぎないか? そんなこと、自分から言いださない限りは……」

咲「オオカミとしての本能はどうにもならないですよ」アハハ

菫「!」

咲「今こうやって菫さんと一緒に居るだけでも……」

菫「す、すまないが自己防衛くらいはさせてもらうぞ……?」ゾク…

咲「だだ、大丈夫です! 街で暮らしていたおかげで我慢出来るようになったんで!」

咲(さっきは危なかったけど……)

菫「しかし、君と照にそんな生い立ちがあったとはな……」

咲「菫さんには知っていて欲しくて」

菫「どうして?」

咲「森で猟師をしているって聞いて、長い付き合いになりそうだと思ったから……」

菫「なるほどな……」

咲「あの、菫さん。やっぱりあなたも私たちのことを……」

菫「心配するな。襲われてる人間を助けるようなことはあっても君たちを殺すような真似はしない」

咲「!」

菫「というより出来ないんだよ」

咲「え……どういうことですか……?」

菫「オオカミを殺したり捕まえたりすることは法律で禁止されたんだ」

咲「ほ、本当ですか!?」

菫「ああ。今や君たちは絶滅危惧種だからな……そういう扱いになるのも時代の流れなんだろう」

菫「まあ、街中で暴れ回るようなのに対しては対象外だが」

咲「私が家に籠っていた間にそんなことが……」

菫「ただでさえ戦闘能力の高いオオカミだ」

菫「喧嘩を売るアホなんて居ないだろうに……つくづく過保護だと思うよ」

咲「に、人間側はそれでいいんですか……?」

咲「それじゃあ襲われ損で……」

菫「襲われるような場所に行くヤツが悪い」

菫「それが社会の認識さ」

菫「ウルフシンドロームなんてモノが流行る世の中だ。何も不思議なことはない」

咲「……」

菫「時代は変わってるんだ。人間とオオカミの関係もな」

菫「殺され犯されの血なまぐさい関係なんて、それこそ教科書に載るくらい遠い昔の話だ」

菫「真面目に勉強していれば歴史で習うはずだが?」フフ

咲「ぅ……」

菫「ま、つまりそういうことだ」

菫「君が心配しているようなことは一切あり得ない。安心してくれ」

咲「……私たちオオカミと人間が仲良く暮らせる日もいつか来ますか?」

菫「流石に街中を闊歩するレベルの市民権を得ることは出来ないだろうが……」

菫「私や淡のような物好きとなら、仲良く暮らして行けると思うぞ」ニコ

咲「……ぐずっ」ウルウル

菫「お、おい……何も泣くことは……」アワワ

咲「私、嬉しいです……」

咲「やっと、私たちが安心して暮らせる世の中に……」ポロ…

菫(私が生まれた頃にはもうそんな世の中だったと思うが……)

菫「しかし、まあ……オオカミや関係の無い人間はそれで幸せかもしれないが」

咲「?」

菫「私たち猟師にとってはいい迷惑なんだよなぁ……」ハァ

咲「どういうことですか……?」

菫「国がアホみたいな法律を作ったおかげで、私たちは迂闊にオオカミに手出し出来なくなったんだよ」

菫「ただでさえこんな大層な獲物を持つことで対等に渡り合ってるのに」

菫「こちらの攻撃を当ててはいけないとなると、もうどっちが狩る側か分からなくなって……」

咲「……」

菫「このことはくれぐれも照に言わないでくれよ?」

菫「アイツに知られたら、次の日には襲われて……」

咲「……」

菫「……ど、どうした? さっきから黙って」

咲「私たちを攻撃しちゃダメなんですよね?」

菫「あ、ああ。そうだが」

咲(襲われるような場所に行くのが悪い……それなら……)チラ

菫「咲?」

咲「あの、菫さん。実は私……最近食べてなくて……」ジリジリ

菫「……お、おい」

咲「その……ダメですか?」

菫「だだだ、ダメに決まってるだろ!!?」カァァ

菫「何を考えてるんだ君は!?」

咲「菫さんすごく綺麗だから……その、ムラムラして……」ジリ…

菫「や、やめろ。それ以上近づくな。撃つぞ」

咲「撃っちゃダメなんですよね……」

菫「これは正当防衛だ! 保護法とは関係ない!!」

咲「じゃあ私が何かするまで何も出来ないってことだから、」

咲「最初の一撃で弓を弾き飛ばして……」ブツブツ

菫(め、目の色が明らかに変わってる……)

菫(獲物を狙っている時の、オオカミの目……)ゾク…

咲「……」ギラ…

菫(油断したら一瞬で間合いを詰められる……神経を集中させろ……)

菫(照とやり合った時を思い出せ……相手の目を見て、動き出す瞬間を)


シュダッ


菫「!?」

咲「シッ!」バシッ

菫「んなっ……!?」


カランカラン…


咲「ふふ、私の勝ちですね、菫さん」ドンッ

菫「きゃっ!」

咲「こうなったらもう動けませんよね……」ギュウ

菫(う、馬乗られて……!?)

咲「良い匂い……オトナの女性の……」クンクン…

菫「んっ」ビク

咲「菫さん……ごめんなさい……私、止まれないかも……」サワ…

菫「ひっ……!?」ゾク

菫「や、やめろ咲!! 自分が何をしているのか分かってるのか!?」

咲「本当にごめんなさい……」

咲「あんなにも優しくしてくれた菫さんにこんなことしてると思うと……」

咲「すこぐ、興奮して……」トローン

菫(か、完全に目が逝ってる……このままじゃ……)カタカタ

咲「菫さん、初めてじゃないですよね……」

菫「な、何を言って……」

咲「それならちょっとくらい乱暴にしても……いいですよね……」ス…

菫「お、おいやめっ」

咲「ん……」チュウ

菫「!?」

咲「ぁ……ん……」レロォ…

菫「んんっ……!?」ビクッ

菫(し、舌が入って……!)

咲「ん……」レロ…

菫「っ~~~!!」ビビクン

菫(な、なんでこんなにも上手いんだっ……!?)

咲(キス、気持ちいい……もっと……)

咲「ん……ぁ……」

菫「んんっ……!」

菫(や、やめろ……)

咲(あったかいの……もっと……)

菫(これ以上っ……)

菫(私の中に入ってくるな……!)

菫「っ……!」ガリ

咲「!」

咲「っぷぁ!」

菫「ごほっ、ごほっ……!」

咲「えぅ……いひゃい……」ウルウル

菫「はぁ……ぁ……」

菫「次舌を入れてみろ……! 噛み切ってやるからな……!」ウルウル

咲「……」ジト…

菫「な、なんだその目は! 自業自得だろ!?」

咲「……」グイッ

菫「な、なにをっ」

咲「……」ビリィッ

菫「きゃああああ!?」

菫「ななな、何してるんだお前っ!?」

咲「……」ゴソゴソ…

菫「ちょっ、やめっ……!」

菫「ひゃあ!?」

咲「……」ピラーン

菫「か、返せ!!」

咲「……ふん」ポイ

菫「おいコラ!?」

咲「……」ツーン

菫(こ、コイツ……!!)

咲「……痛かったです」ボソ

菫「……なんだって?」

咲「痛かったです!!」

菫「知るかそんなこと! 自分が何やってるのか分かってるのか!?」

咲「ふん、おっぱい丸出しでお説教ですか」ジト

菫「お前のせいだろうが!!?」

咲「いい気味です。そのまま垂れちゃえばいいんです」プイ

菫「君は子供か……当然の理由で舌を噛まれ、それで拗ねて……」

咲「子供じゃないです」

菫「子供だ。理性ある大人は欲望に任せてこんなことをしない」

咲「……」ジト

菫「はぁ……姉にしろ妹にしろどうしてお前らは……」

咲「……菫さんサイテーです。噛むなんてあり得ないです」

咲「すっごい冷めました」

菫「そうか、目が覚めたか。なら今すぐ私から離れろ」

咲「む……」

菫「この発情犬が……下半身でしか物事を考えられないのか……」ハァ

咲「そんなこと言っていいんですか。処女散らしますよ」

菫「生憎だが私の操は売り切れだ」

菫「君の初めてなら買ってやってもいいが?」ニヤ

咲「むむむ……!」

菫「ほら……もういいだろ。離れてくれ」

菫「オオカミと人間で価値観は違えど、雰囲気で気分が高揚したり萎えたりするのは同じだろ」

咲「……菫さんに負けたみたいでなんか嫌です」

菫「こんなことに勝ち負けなんてあるか」ハァ

菫「そういうところが子供だと言ってるんだ」

咲「……次は絶対に最後までしますから」スッ

菫「明日からナイフの一本でも腰にさして置くよ。流石に不用心過ぎた」パンパン

咲「……」ムス

菫(気弱で大人しい性格をしていると思いきや、とんだ誤算だな……)

菫(そういう子に限って腹に黒いものを隠していたりするが、例に漏れずだ)

菫(拗ね方とかアイツにそっくりだし……)

咲「……」

菫(頭痛の種が一つ増える……)ハァ

咲「……あの」

菫「なんだ」

咲「……お、怒ってますか?」

菫「ああ、怒ってる。服を台無しにしたのが特に許せない」

咲「ぅぅ……」

菫「助けた人間にこんなお礼をされたのは初めてだよ」

咲「……ごめんなさい」

菫「謝るなら最初からするな」ビシ

咲「あうっ」

菫「まったく手のかかる……」

咲「ぐず……」ウルウル

菫「お、おい。どうして泣きそうになってるんだ……」

菫「普通泣くのは私だろ……」

咲「だって……ひぐっ、菫さんに嫌われちゃったから……」

菫「これ以上私に嫌われたく無いなら、二度とふざけた真似はしないことだな」

咲「それは無理です……ムラムラしたらどうしようもありません……」ウルウル

菫「恋人の一人でも作ればいいだろ」ハァ

咲「本当に好きな人に酷いことはしたくないです……」

菫「はぁ……」


―――バシュゥゥゥ


菫「ん?」

菫(信号弾……? ってあれは……)

咲(もしかして、あわずきんさんの……)

菫「……」

咲「菫さん?」

菫「……咲、走れ」

咲「え?」

菫「緊急事態だ! いいから走れ!!」ダダッ

咲「は、はい!」シュダッ

咲(菫さん、どうしてこんなに慌てて……?)

菫(あの場所は……!!)

すみません、ちょっと休憩します
1時間も経たないうちに再開します

保守王

保守魂

保守ありがとうございました
再開します

―――――――――――――――――――――――――――

照「ねえあわずきん」

淡「なにテルー?」

照「食べていい?」クイ

淡「きゅ、キュンとしちゃうセリフなんだろうけど、この状況じゃときめかないね」アハハ

照「あわずきんが何を感じても私には関係ない」

淡「もう! なんでそうやって私を性処理の道具にしか見てくれないの!」

淡「それってすっごい酷いことなんだよ!」プンスコ

照「あわずきんはすごく美味しそうなケーキみたいなものだよ?」

淡「ね、ねえテルー、それ褒めてるつもりなの?」

照「うん」

照「甘くて良い匂いがして……すごく美味しそう……」サワ…

淡「ちょっとちょっと!」

照「食べたい……」チュ…

淡「だ、ダメだってテル!! もうすぐご飯出来るから我慢して!」

照「お預けはもう嫌……」ゴソゴソ

淡「ひゃっ……や、やだ! スカートに手入れないで!」

照(またこの布着け直してる……)グイ

淡「だからなんでパンツから脱がせるの!!」バタバタバタ

照「この文化だけは認められない……」スッ

淡「きゃあああああ!?」

和「だ、大丈夫ですか淡!」

和「って何やってるんですかーーー!!?」カァァァァ

照「異文化交流」ピラーン

和「なにアホなこと言ってるんですか! それ返してあげてください!」

照「返す」ポト

淡「て、テル? なんでわざわざ目の上に落とすのかな?」

淡「あと私縛られてるからこんなことされても困るんだけど」

照「……」

照「ご飯は出来た?」

和「うっ……あ、あともうちょっと……」

淡「無視しないで!!」

照「もう待てない……」グゥゥ

和「わ、分かりました。ある程度は出来てるので、先に召し上がってください」

照「分かった」テクテク

淡「え? ふ、二人ともどこ行くの?」

照「腹ごしらえ。すぐ戻って来るから待ってて」

和(出来るだけ時間は稼ぎますから……!)

淡「い、行かないで二人とも! 一人にされるって一番嫌!」

照「あわずきんも来る?」

淡「もちろん!」

照「分かった」スッ

淡「きゃっ」

和「ち、力持ちなんですね」

照「これくらい普通だと思うけど……」

淡(お、お姫様だっこ……)ドキ…

照「メニューはなに?」

和「えっと、ステーキとかオムライスとかですね。玄さんたちが作ってたカレーもあります」

照「……なるほど」フリフリ

和(し、尻尾振ってる……)

淡「ねえノドカ、私も食べていい?」

和「はい、そう言うと思って二人分作っておきました」

淡「すごい!」

和「たくさん作ったんでいっぱい食べてくださいね」ニコ

――――――――――――――――――――――――――

照「ふぅ……ごちそうさまでした」ペコ

和(そ、そんな……5分もしないうちに全部……)カタカタ

淡「ノドカ、次オムライス食べたい」

和「あ、はい。どうぞ」スッ

淡「あむ。ふふ、おいしー♪」

和「オムライスは自信作です」キリ

照「赤ずきんすごく料理上手だね」

照「どうすればそんなにも上手くなれるの?」

淡「あ、それ私も気になるかも」

和「そうですね……毎日誰かのために作っていれば上手くなれると思いますけど……」

淡「なるほど。つまり大切なのは愛だね!」

照「日頃から作ることが大切なんじゃないの?」

和「両方とも大切ですね」クス

和(ってほんわかムードになってる場合じゃありません!)

和(次の瞬間にはオオカミさんに襲われても不思議じゃ……!)

淡「次エビフライ食べさせて?」

和「あ、はい」スッ

淡「あむ……うん、これも美味しい!」

和「ふふ、そんなにも喜んでくれると作った甲斐があります」ニコ

淡「次は……」

照(食後のデザートにどっちを食べようかな……)

照(嫌がる赤ずきんか、なんだかんだ受け入れてくれるあわずきんか……)

照(キュート、オア、キュート……なかなか難しい)ウーン

照(上で気絶してるあの二人もアリ……)

照(選り取り見取り……)

淡「あっ!あれは街でたこ焼き屋をやってる弱ずきんだ♪」

怜「弱ずきんってなんやねん…病弱ずきんや」

赤ずきん=和
青ずきん=淡

黄ずきん、黒ずきん、白ずきんは誰になるかねぃ?

照(とりあえず……)チラ

和「?」

照(邪魔されると面倒臭いから、赤ずきんを無力化して……)ジー

和(な、なんでしょうか……すごく見られてる気が……)ゾク…

照「赤ずきん」スッ

和「は、はい?」

照「……」

和「な、なんですか……? 急に近づいて……」

照「……」ギュ…

和「え……」

淡「な、何してるのテル?」

照「ハグ」ギュウゥ

和「……」サァァァァ


和「ばたんきゅう」ヘナ…


淡「の、ノドカ!?」

照「思った通り。極度のオオカミ恐怖症」

淡「酷いよテル! 知ってるならどうしてそんなことするの!」

照「邪魔してくるから……」

淡「ノドカ! 大丈夫!? 気を確かに!」

和「きゅう……」グルグル

淡「目回してる……」

>>582
白ずきん=シロ
黒ずきん=霞さん
紫ずきん=末原ちゃん

緑ずきん=ワカメ

照「これでこの家は完全に制圧した」

照「みんな私のモノ。全員おいしく頂く」

淡「バカバカバカ! テルの節操無し! サイテーだよ!!」

照「人間と私たちじゃ価値観が違うから……」

淡「むむむ……!」

照(誰にしようかな……こんな贅沢な状況初めてだから悩む……)ウーン

照(元気いっぱいのあわずきんを啼かせるか、オオカミ恐怖症の赤ずきんをいじめるか)

照(はたまた泣き顔が可愛い玄さんをもう一度味わうか、大人の魅力たっぷりのお姉さんに挑戦するか……)

淡「うぅ……クールな顔して絶対にサイテーなこと考えてるよぉ……」

照「うーん……」

照「よし、決めた」

淡「ほえ?」

照(今はキュートよりセクシーな気分。だから……)

淡「ど、どこ行くのテル?」

照「デザートを食べに行く」

淡「デザート?」

照「きっとオトナの味がする……」

淡「ちょ、ちょっとちょっと! だから置いて行かないでって言ってるでしょ!?」

照「あわずきんと赤ずきんも後で食べるから」バイバイ

淡「テルのエロ犬!!」バタバタ

照「犬じゃない」

淡(階段上がって……二階に行くのかな?)

淡(そういえばクロとユウがいないけど……)

淡「もも、もしかして……!」ワナワナ


照(二人ともまだ寝てるのかな……)ガチャ

宥「きゅう……」

玄「すぅ……ぅ……」

照(玄さんが寝てて……お姉さんがのびてる)

照(まあなんでもいいけど)

照「……」ジー

宥「んぅ……」

照(他の三人には無い魅力に溢れてる……)ドキドキ

照「とりあえず、隣の部屋に運んで……」スッ

 

「コラーーーッ!! テルーーー!!」


照(あわずきんがうるさい……)テクテク

宥「ん……」パチ

宥(あれ、私今、何をして……)ボー

宥「ふぇ!?」

照(起きた……)

宥「えっ。えっ」アワワワ

照「動かないで。危ないから」

宥「あなたは確か……」

宥「お、オオカミさん……」ガクガクブルブル

照「はい。あなたのオオカミさんです」キリ

宥「い、いやっ……!」バタバタ

照「暴れないで。あの人食べるよ?」

宥「えっ……?」

照「可愛い子だね。妹さん?」

宥「……!!」

宥「や、やめてください!! クロちゃんだけは……!」

照(美しい姉妹愛……)

照「分かってる。あなたが抵抗しない限りは……何もしない」

宥「……」カタカタ

照(可愛い……やっぱり、こういう顔が好き……)

淡(て、テルがウルトラ級に酷いことしようとしてる気がする……!)

淡「わ、私が止めないとっ……」スッ

淡「きゃっ!」ドサ

淡(あ、足と手が縛られてるせいで……!)


淡「……ダメだよテル」

淡「そんなことしちゃやだよ……」ウルウル

淡「それは絶対に……ひぐっ……しちゃいけないことだよ……」ポロポロ

淡「テルぅー……」

照「よっと」

宥「きゃっ」ドサッ

照「準備完了」

宥「ぁ……ぅ……」カタカタ

照(すごく怯えてる……やっぱり普通はこうなるよね)

照(やっぱりあわずきんと菫はおかしい……)

宥「ぐずっ……」ポロ…

照「あなたすごく厚着だけど……暑くないの?」

宥「……」カタカタ

照(喋れない、か……)

照「脱がせるね」

宥「っ……!」

照「む……」

照(大人しく従ってくれると思ったんだけど……)

宥「……」

照(……剥くのもまた一興)

照「まずはマフラーから……」シュル…

宥「っ……」

照「次は……そのセーター」グイ…

宥「い、いやっ……!」

照「……そういう反応好き」

照「ゆっくり脱がしていってあげる」ポツポツ…

宥「やっ……」ウルウル

照「ふふ……」

照(この人、良い……)

照(反応が可愛い……すごく興奮する……)

照(必死に怖いのを隠そうとしてて、そのせいで言葉数が少なくて……)

照「可愛い……」

宥「……」

照(嗜虐心がそそられる……どうやって虐めれば、もっと可愛い姿を見せてくれるんだろう……)

照(例えば……髪を撫でるとか……?)サラ…

宥「っ……」ビクッ

照(耳を触る……)サワ…

宥「ゃ……」カタカタカタ

照(指で唇をなぞる……?)スゥ…

宥「ぅ……ぁ……」

照「ふふ……」

照(怯えられることに快感を感じるのは……オオカミの性かもしれない)

照「……」ペロ…

宥「ひっ……」ゾクッ…

宥(ほ、ほっぺた舐められて……!)

照(うん……やっぱり美味しそう)

照(出来ればゆっくり、何時間もかけて味わいたいけど)

照(赤ずきんや玄さんが起きるかもしれないから……)クイ

宥「!」

照(唇だけでも先に頂こう)ペロリ

宥(助けて……)

照「……」スッ

宥(菫ちゃん……)ポロ…

 
 
―――ヒュン



照「!」


ガッ!!


照「ッ……」

宥(こ、これって……)


菫「……宥から離れろ」


照「……はぁ」

宥「菫ちゃん!!」

照「随分と遅い登場だね、菫」

菫「宥から離れろ」ギロ

照「……」

照「獲物に背を向けるのはオオカミとしてのプライドが許さない」グイ

宥「きゃあ!?」

菫「おい照!!」

照「キスだけでいいから」

菫「ふざけるな!! 本当に撃ち殺すぞ!!」

照「そんなこと出来ないよ」

菫「……」

照(たぶん)

宥「す、菫ちゃん……」ウルウル

菫「怖がらなくていい。すぐ助ける」キィ…

照「この人に当たってもいいの?」

菫「心配するな。お前の頭以外には当たらない」

照「……そう」

菫「照。これが最後だ……宥から離れろ」

照「……この人がそんなにも大切?」

菫「ああ。その人のためなら私はお前を殺せる」

照「……命の恩人を殺すなんて薄情だね」

菫「私たち人間はこの感情のために生きているんだ」

菫「お前らオオカミには一生分からないだろうがな」

照「……やっぱり、あなたたち人間とは分かり合えそうにない」

菫「同感だ」

淡「ってちょっと!! なにさっきから二人で盛り上がってるの!!」

菫「居たのかお前……」

淡「ずっと居たよ!!」

淡「どうしてテルとスミレが喧嘩してるのさ!?」

淡「なんかよくわかんない寸劇始めるし!」

照「こういうの昔から憧れてて……」

菫「……なに言ってるんだお前?」

照「ちょっとしたジョークってこと」スッ

宥「え……?」

菫「……」

照「あんまり頭でっかちだとその人に嫌われるよ?」

菫「……」キィ…

照「ちょっ」

淡「なな、何しようとしてるのスミレ!?」バッ

菫「退け淡。死なない程度に射抜いてやらないと気が済まない」

淡「そんなことしちゃダメだよ!?」

菫「本当なら毛皮にして家の絨毯にでもしてやりたい気分なんだが……」

淡「そういう物騒なのもダメ!!」

照「ふふ、あわずきんはいつも私の味方」

菫「お前本当に後で覚えとけよ……!!」

淡「そうだよ! 今日のテルはいくらなんでもやり過ぎ! 後でお仕置きだから!!」

照「お、お仕置き……?」

宥「あの、すみません……一体何がどうなって……?」

菫「はぁ……私から説明するよ」

――――――――――――――――――――――――――――

淡「サキー。こっちは全部終わったよー」

咲「……」

淡「サキ? どうしたの?」

咲「……ごめんなさい。私、もう帰るね……」

淡「えっ。な、なんで!? 今からお姉さん探しに……」

咲「もういいの……匂いで分かるから……」

淡「に、匂い……? それってどういう……」

咲「お姉ちゃんのことはもう大丈夫だから……」

咲「今は一刻も早くここから出て……」フラフラ

淡「ほ、本当にどうしちゃったのサキ!? 顔が真っ青で……!」


和「ん、んぅ……」


咲「!!」

和「あれ……私は何を……」

淡「あ、ノドカ……」

和「淡……? オオカミさんは一体どうなって……」

和「……」

淡「ノドカ……?」

咲「っ……!」ダダッ

和「咲さん!!」

淡「の、ノドカの言ってた好きな人って……」

淡「サキ……?」


一旦終わり

ここから先は赤ずきん一切関係なくなる+体力の限界なので終わります

淡「おおかみこどもの咲と照」

みたいなスレタイでまた別の話として書きます。たぶん

長時間支援ありがとうございました
お疲れ様でした

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