ゲルト「リベリアン、もう昼近いぞ、いい加減起きろ」(107)

ゲルト「・・・死んでる」

某月某日、午前11時27分、501基地本人寝室にて、シャーロット・E・イェーガー大尉の死体が発見された。
遺体は絞殺されたらしく首周りに鬱血が見られ、また何故か乳房が切り取られ、肋骨が露わになっていた。

ゲルト「これは・・・どういうことだ・・・?」

みたいな感じで。死人がでます。注意。

ミーナ「先ほど通達があった通り、シャーリーさんが何者かによって殺害されました」

ルッキ「シャーリー!シャーリー!」ユサユサ

ゲルト「やめろ・・・ルッキーニ、そんなことをしてもリベリアンは戻って来ないぞ・・・くっ」

ルッキ「うわーん!」ボロボロ

ミーナ「ひとまず、状況を整理しましょう。検死の結果によると、大尉は背後からベルト状のもので首を締められ、鋭利な刃物のようなもので乳房が切り取られていました」

全員「・・・」ジッ

芳佳「な、何で皆さん私の方を見るんですか」

エーリカ「こんなこと言いたくないけどさ、宮藤はちょっと異常なくらい胸が好きだったよね?」

芳佳「なっ!確かに私は人よりもちょっとおっぱいが好きですけど」

エイラ「ちょっとじゃないダロ・・・」

芳佳「でも死姦の趣味なんてありません!それに、それを言うならエイラさんとルッキーニちゃんだって怪しいんじゃないですか!?」

エイラ「なっ!?」

ルッキ「・・・」グスッ

ミーナ「・・・宮藤さん、疑われて気持ちが昂ぶるのはわかるけど、今のルッキーニさんに対してそれはないんじゃないかしら。彼女は今、隊で一番信頼を置いていた仲間を失ったのよ」

芳佳「あ・・・ごめんなさい・・・」シュン

エーリカ「・・・ま、普通そうだよねー。悪く思わないでよ、一つ一つ可能性を検証するのは必要な作業でしょ?」

坂本「だがそもそも何故乳房が切り取られていたのか、考える必要があるな」

ゲルト「まず考えられるのは、証拠の隠滅だな。犯人は乳房に何らかの犯行の痕跡を残してしまって、それを隠すために乳房を持ち去った」

エーリカ「んー、乳房に残るような犯行の痕跡って、例えば何?」

ゲルト「それはすぐには思いつかんが・・・」

芳佳「キスマークとかじゃないですか」

ミーナ「うーん、でもシャーリーさんと好き合っている人がいるという話は聞いたことがないし」

リーネ「もう一つ、それ自体が犯行の動機である場合が考えられると思います」

坂本「つまりどういうことだ?」

リーネ「つまり、犯人は乳房を持ち去るためにシャーリーさんを殺害した、という可能性です」

エーリカ「宮藤犯人説はこの側面からのアプローチだね」

芳佳「ハルトマンさん!」ムッ

エーリカ「だから別に本気で疑ってるわけじゃないよ。大体この中に犯人がいるとは限らないんだから」

芳佳「え?」

エーリカ「この基地には私達の他に沢山の整備兵や通信兵がいる。中には切り離した乳房に欲情する変態性癖をもつ者が居たっておかしくない。むしろ本当に乳房を持ち去ることが動機なのだとしたら、男性職員である彼らの中に犯人がいると考えたほうが現実的だと私は思うね」

ゲルト「確かにそういう考え方も出来るな」

ペリーヌ「そういえばサーニャさんの姿が見当たりませんわね」

エイラ「いたのか、ツンツンメガネ」

ペリーヌ「」

坂本「そう言われてみると、確かにサーニャがいないな」

エイラ「サーニャなら部屋で寝てるヨ。夜間哨戒のあとで疲れているからそっとしておいてやるんだナ」

ペリーヌ「っ!あなたは馬鹿ですの!?」

エイラ「な、なんだヨ、事件の話は後でちゃんとするッテ・・・」

ペリーヌ「そうではなくて、今の話をちゃんと聞いていまして?私達の中に犯人がいないとすれば、殺人犯は今もこの基地の中を徘徊していることになるのですわよ!」

エイラ「!・・・ということは」

芳佳「サーニャちゃんが危ない!」

~エイラ・サーニャの部屋~

エイラ「サーニャ!」バタン ドタドタ

サーニャ「ん・・・エイラ?どうしたの、そんなに慌てて・・・みんなも」

エイラ「サーニャ!良かっタ、無事だったんだナ!」

サーニャ「?・・・何か・・・あったの?」

ミーナ「・・・ここで話すのもなんだから、一旦みんな談話室に行きましょう」


~談話室~

サーニャ「そう、ですか・・・そんなことが・・・」

エイラ「サーニャのことは何があってもワタシが守ってやるからナ!心配しなくていいゾ」アセアセ

サーニャ「私は大丈夫だから・・・エイラも落ち着いて」

ミーナ「とにかくもう一度遺体の考察に戻りましょう」

坂本「絞殺、となるとかなりの力が必要になるな」

ルッキ「うじゅ・・・シャーリー・・・」

リーネ「男性かそれに匹敵するくらいの力が必要ですね」

エイラ「・・・大尉ぐらいの力があれば可能だろうナ」

ゲルト「っ!エイラ、何を言って・・・」

ペリーヌ「それに第一発見者が怪しいともよく言いますわ」

ゲルト「ペリーヌ、お前まで何を!」

エーリカ「トゥルーデ、自分に疑いが向けられたからってそうムキにならないでよ。私たちは今、可能性の検証をしてるだけなんだから」

ゲルト「む・・・そうだな、すまない」

エーリカ「さっきも言ったけど、私は整備兵か通信兵辺りの誰かの犯行だと思う。でもそうと決めつけて安心して、読みが外れて全滅、なんて笑えないだろ?疑いあうなんて気分は悪いけど、あらゆる可能性を検証する必要があるんだよ」

坂本「まぁ大体、魔法力で筋力を高めれば誰にだって絞殺ぐらい可能だからな。決め手にはならんだろう」

ミーナ「とにかく犯人がわからない以上、単独行動は危険です。とりあえずみんな談話室で固まっていましょう。訳あって談話室を一時離れなくてはいけなくなった場合も、必ず二人以上で行動するように」

ペリーヌ「冗談じゃありませんわ!私は、皆さんのこと完全に信用しきれません!殺人犯かもしれない人たちと一緒にいるくらいなら一人で鍵を掛けて部屋に篭っていたほうがマシですわ!」

リーネ「そんな・・・もし仮にこの中に犯人がいたとしても、固まって行動していれば、きっと犯人だって手は出せませんよ」

ペリーヌ「そうかしら。みなさんには固有魔法があるでしょう。例えば大尉が筋力強化して襲いかかってきたら、一対多でも勝負はわからないと思いますけどね」

ゲルト「ペリーヌ!」

ペリーヌ「例えば、ですわ。それじゃあ失礼致します」ガチャ バタン

全員「・・・」

芳佳「・・・ペリーヌさんはああ言ってたけど、私はやっぱりみんなで固まって行動するのがいいと思います」

ミーナ「そうね。他のみんなも異論はない?・・・わかりました。それじゃあ席を立つ場合は必ず二人以上で、私に申告してから行くようにしてください」

エーリカ「そういえば、犯人って一人なのかな」

坂本「複数犯かもしれないということか」

ゲルト「だが、複数犯だと考えるとリーネの言った乳房を持ち去るのが動機、というのは考えづらいぞ。単独犯なら特殊性癖だなんだと説明出来るが、複数人で乳房が必要となるという状況が思いつかない」

リーネ「でもバルクホルンさんが言った、乳房に残るような犯人が特定出来る証拠、というのも思いつかないですよね」

坂本「そうすると、犯人は単独犯と考えていいのかもしれんな」

ルッキ「うじゅー・・・」

ミーナ「あら、ルッキーニさん、もしかしてお手洗いに行きたいの?」

ルッキ「・・・」コクリ

ミーナ(ルッキーニさんもだいぶ参っているみたいね・・・)

ミーナ「それじゃあ、私と一緒に行きましょう。というわけでちょっと席を立つわ」

坂本「殺人犯が隠れているかもしれん。くれぐれも気をつけろよ」

ミーナ「ええ、わかってるわ。大丈夫、私には固有魔法もあるから」ニコッ

ミーナ・ルッキーニの二人が無事に戻ってきた後も犯人について考察が続いたが、それ以上の成果は得られなかった。

途中、エイラ・サーニャ組、その後宮藤・リーネ組が、手洗いに行くため順次席を外したが、皆何事も無く無事に帰ってきた。


芳佳「・・・もうすぐ夕食の時間ですね」

ミーナ「そうね。そういえばごたごたしてしまってみんな昼食も食べていないわね。全員で食堂に移動しましょう」ガチャ トタトタ

ルッキ「うじゅ・・・」

ミーナ「ルッキーニさん、今は苦しいかもしれないけど、とにかく胃に何か入れましょう?ね?」

坂本「だれかペリーヌに声をかけてやってくれないか。ちゃんと二人組で行くんだぞ」

エイラ「仕方ないナー、サーニャ、行こウ」

サーニャ「うん・・・」

エイラ「オーイ、ツンツンメガネー」ガチャガチャ

「・・・」

サーニャ「返事、ないね・・・」

エイラ「あれ、おかしいナー」

サーニャ「・・・ねぇ、エイラ。シャーリーさんの部屋のドアって、さっきも開けっ放しだったかしら」

エイラ「エ?」


某月某日、午後5時58分、シャーロット・E・イェーガー大尉の寝室にて、ペリーヌ・クロステルマン少尉が殺害されているのが発見された。
遺体は後頭部を鈍器で殴られ、頭蓋骨が陥没していた。凶器は、遺体のすぐ側に落ちていたバイクレースのトロフィーで、元々現場に飾られていたものだと考えられる。


リーネ「ペリーヌさんまで・・・」

ゲルト「くそっ、だから皆で固まっているべきだとあれほど・・・」

ミーナ「静かに。皆さん一旦落ち着いて。まず、さっき食堂に集まっていた時に途中で席を外した人たちに訊きます。その間、常に二人で行動を共にしていましたか?間違ってもはぐれたり、ということはありませんでしたか?」

エイラ「ああ、ワタシはサーニャとずっと一緒にいたヨ」

サーニャ「はい・・・」

リーネ「はい、芳佳ちゃんと一緒にいました」

芳佳「間違いないです」

ミーナ「・・・そう、もちろん私とルッキーニさんもずっと一緒に行動していました。ね?」

ルッキ「うん・・・」

ゲルト「ということはやはり・・・」

ミーナ「ええ、これではっきりしました、私達の中にペリーヌさんを殺害できた人はいない。やはり整備兵か通信兵かの犯行でしょう」

坂本「非常事態だ。一時的に隊員以外の職員の基地内への立ち入りを禁止できないだろうか」

ミーナ「そうね、上に掛けあってみましょう。おそらく大丈夫だと思うわ」

数時間後、上層部からの命令書により、隊員以外の全職員の基地からの撤退が決定した。
職員らはすぐに基地から締め出され、さらにミーナの固有魔法、三次元空間把握により、基地内には隊員以外残っていないことが確認された。

リーネ「これで、ひとまず安心ですね」

ゲルト「それにしても一日に仲間が二人も殺されるなんて・・・それも戦闘以外でだ!」

ミーナ「ええ、私たちは必ず犯人を見つけ出さなくてはならないわ。とりあえず今日は皆さん疲弊しているでしょうから、もう休みましょう。もう大丈夫だとは思いますが、念のため部屋にはきちんと鍵をかけてくださいね」

全員「了解」

ミーナ「それから、今日の夜間哨戒ですが、エイラさん、サーニャさんの二人で行けるかしら」

エイラ「私は構わないケド・・・サーニャは今日、昼間寝てないんダ。ただでさえ眠たがりなの二・・・」

サーニャ「エイラ、私は大丈夫・・・」

エイラ「いーや、夜更かしはサーニャの真っ白でスベスベな肌に良くないからな!ミヤフジ、お前私と一緒に来イ。サーニャは部屋でちゃんと休んでるんだナ」

芳佳「ええっ!?」

エイラ「大丈夫ダ、ワタシは未来予知の魔法が使えるんだからナ、もし外に殺人犯がいても守ってやるヨ」

ミーナ「・・・そうね、じゃあ変則的だけど今日はエイラさん、宮藤さんの二人にお願いすることにします。よろしくね」

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~司令室~

坂本「大変なことになったな」

ミーナ「ええ、でもこれでどうにか一段落するでしょう」

坂本「ミーナも苦労が絶えないな・・・そばに居て何も出来ないのが不甲斐ない」

ミーナ「なんてことない・・・って言いたいところだけど、確かに今日は、ちょっと疲れたわ」

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~バルクホルン・ハルトマンの部屋~

エーリカ「結局、私達の中に犯人はいなかったってことかな」

ゲルト「・・・」

エーリカ「トゥルーデ?」

ゲルト「! ああ、なんだ?ハルトマン」

エーリカ「もう、ぼうっとしないでよー」

ゲルト「すまん・・・ちょっと考え事をな」

~501基地近辺上空~

芳佳「もう、エイラさんったら強引なんですから・・・」

エイラ「そういえば、ペリーヌの遺体は後頭部以外傷つけられた様子は無かったな」

芳佳「うーん・・・切り取るだけの胸が無かっただけじゃないですか」

エイラ「・・・オマエ、まじめに考えろヨ」

芳佳「いや、私は至って真面目ですよ!真面目におっぱいのこと考えています」

エイラ「・・・」

エイラ「・・・それに殺されていた場所・・・なんで大尉の寝室なんダ?」

芳佳「殺されてきてから運ばれてきたってことは・・・」

エイラ「いや、凶器は現場にあったトロフィー、ダ。あの場所で殺されたと考えるのが自然ダロ」



芳佳「だとするとペリーヌさんはなんであんなところに?」

夜間哨戒は非常事態にも見舞われることもなく、宮藤・エイラは帰路についた。


芳佳「結局、特に何も起こらなくて良かったですね」

エイラ「ああ、そうダナ。ふぁ、眠い・・・」ムニャムニャ

芳佳「それはそうですよ、エイラさんも昼間寝てなかったじゃないですか」

エイラ「それにしてもミヤフジは全然平気そうダナ」

芳佳「私は扶桑出身ですから、夜更かし慣れてますからね。それじゃあおやすみなさい」

エイラ「じゃあナ」バタン

カチャリ ガチャ

芳佳「リーネちゃん、ただいまー」

「・・・」

芳佳「あれ・・・リーネ・・・ちゃ・・・ん?」ヘタリ


「いやぁああああああああっ!」

ガチャ

ゲルト「なんだ、どうした、宮藤!」

芳佳「バルクホルンさん!リーネちゃんが!リーネちゃんが!」


翌朝、午前5時46分、本人寝室にて、リネット・ビショップ曹長が殺害されているのが発見された。
刃物で喉元を一突きにされ、イエーガー大尉と同様、乳房が切り取られていた。なお、同時刻、食堂から包丁が一本なくなっているのが確認された。

芳佳「リーネちゃん・・・」グスッ

ルッキ「うじゅ・・・またひとり・・・」

坂本「どういうことだ!犯人は私達の中にはいないんじゃなかったのか!?」

エーリカ「・・・リーネは扉に鍵をかけていなかったの?」

芳佳「いえ・・・私が入った時には、ちゃんと鍵がかかっていました」

サーニャ「ミーナ隊長、リーネさんの上着のポケットから部屋の鍵が見つかりました」

エーリカ「部屋の鍵は、その部屋を使う人の分しか用意されてないはずだよね」

エイラ「ということはこれは・・・」

ミーナ「密室殺人、ということになるわね」

坂本「解錠できるのは、リーネと同室の宮藤の鍵だけ、か・・・」

エイラ「でもミヤフジはワタシと一緒に夜間哨戒に出てたから、リーネを殺害するのは無理ダ」

ミーナ「・・・静かに」

全員「・・・」

ミーナ「もっと早くにこうするべきだったわ。スキャンダルをさけるために上層部には止められていたけれど、もう私達の手には負えません、憲兵隊を呼ぶことにします。それまでの間は、全員自室待機を命じます」
ミーナ「それからこんなことはしたくないけど、これ以上犠牲を増やさないためにも、その間私の固有魔法で皆さんの行動を補足させてもらうわ。怪しげな行動を取ったらすぐにわかるからそのつもりで」

全員「・・・了解」

~~~~~~~~~~~~~~~~
~宮藤・リーネの部屋~

宮藤「・・・リーネちゃん」

~~~~~~~~~~~~~~~~
~坂本の部屋~

「っ・・・烈・風・斬!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~
~ミーナの部屋~

「もしもし、隊員が殺害される事件が発生しました。はい・・・はい・・・既に3人のウィッチが犠牲になっています。すぐに来ていただきたいんです・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~
~エイラ・サーニャの部屋~

エイラ「サーニャ・・・」

サーニャ「うん・・・」

エイラ「ワタシは殺人犯なんかじゃないからナ・・・信じてくれ」

サーニャ「うん・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~
~ルッキーニの部屋~

ルッキ「・・・うじゅ」


~バルクホルン・ハルトマンの部屋~

ゲルト「・・・」

エーリカ「トゥルーデ、さっきからずっと考えこんでるようだけどどうしたの?」

ゲルト「なぁ、ハルトマン、もし私が犯人だとわかったとしたら、お前はどうする?」

エーリカ「!?何を言って・・・」

ゲルト「あくまでも例えば、の話だ。憲兵に連絡するか?」

エーリカ「・・・するよ。仲間の間違いは正さなきゃいけない。間違っても片棒を担ぐなんてことあってはならない。そんなの本当の仲間じゃないと私は思う。それにトゥルーデだってもし私が犯人だったら同じようにするだろ?」

ゲルト「・・・そうか、そうだな。・・・ハルトマン」

エーリカ「何?」




ゲルト「ミーナに言って、談話室にみんなを集めてくれ」

ミーナ中佐からの緊急招集によって、生き残っている8人が談話室に集められた。

ミーナ「トゥルーデ、言われたとおりにみんなを集めたけど・・・一体何を始めるつもり?」

ゲルト「すまない・・・だが犯人のことについて、わかったことがあるんだ」

エイラ「? 今更何がわかったっテ・・・」



ゲルト「もう止めにしないか。・・・エイラ」

エイラ「! な、なんのことダ?」

ゲルト「第三の殺人の発生で、私達の中に犯人がいることが確定した」

芳佳「でもその時、エイラさんは私と夜間哨戒に出ていたから、リーネちゃんを・・・殺害することはできなかったはずです」

ゲルト「いや、違う。そうじゃない」



ゲルト「私は、サーニャを庇うのはもうやめろと言っているんだ」

エイラ「!!」

ゲルト「犯人が私達の中にいる以上、第二の殺人が起きた前後に席を外した者の中に、嘘を吐いている者がいるのは明白だ。それは誰か?ミーナとルッキーニではない。二人に深い関わりはなく、嘘を吐く理由が無いからだ」

ゲルト「じゃあ宮藤とリーネ?無い話ではない。確かにこの二人なら、どちらかを庇うために嘘を吐くことはあるだろう。だが宮藤は第三の殺人に関与することは出来ない。よって犯人ではないし、リーネはそもそも被害者だ。となると残りは一組、お前たちだ」

エーリカ「エイラとサーニャの共犯ってこと?」

ゲルト「いや、最初は私も共犯の線を考えた。だがそれにしては動機が不明確だし、二人が共謀していたとしたら、エイラはリーネの殺害なんて汚れ役をサーニャにやらせたりしないだろう」

芳佳「ということはつまり・・・」

ゲルト「ああ、サーニャが主犯で、エイラはそれを庇っている。少なくとも、第二の殺人の前後に席を立った時、常に二人で行動を共にしていた、というのは、嘘だ」

エイラ「・・・確かに、私が目を離した時に、ほんのちょっとだけはぐれちゃったのは本当ダ。でも嘘を吐いたのはあらぬ疑いをサーニャに向けたくなかっただけデ・・・」

エイラ「だってサーニャが人を殺すなんて、そんなことあるわけナイ・・・!大体、第三の殺人の方はどうナル?あの部屋の扉を開閉出来たのはミヤフジの鍵だけなんダロ?」

ゲルト「あんなのは簡単だ。まずリーネに内側から鍵を開けてもらって中に入り、リーネを殺害。その後、リーネの鍵を使って施錠し、死体発見の混乱に乗じて、鍵を現場に戻す。推理小説では使い古されたトリックだな。・・・確か、鍵を見つけたのはサーニャじゃなかったか」

エイラ「でも・・・でも・・・サーニャがそんなこと・・・するワケ・・・」

ゲルト「・・・いい加減にしろ。お前もとっくに気づいているんだろう、自分を騙すのはもう止めろ!それが本当にサーニャのためになると思っているのか
!!」

エイラ「サーニャは・・・サーニャは・・・」グスグス

サーニャ「・・・」

サーニャ「・・・ここまで、みたいね」スッ

エイラ「サーニャ!?なんで・・・」

サーニャ「ふふ・・・エイラがいけないのよ・・・?エイラが大きな胸ばかり触って、私のを触ってくれないから・・・」

エイラ「サー・・・ニャ・・・?」

サーニャ「おっぱいなんて、みんな無くなればいいの・・・!そうしたらエイラもきっと私のことを見てくれる・・・そう思って、私・・・」

坂本「それでシャーリーやリーネの乳房を切り取ったのか・・・」

ミーナ「なんてことを・・・」

サーニャ「・・・シャーリーさんの殺害は簡単でした」
サーニャ「夜間哨戒明けにシャーリーさんの部屋を訪ねて、エイラのいびきが五月蝿くて眠れそうにないから、と一緒に寝てくれるように頼んで部屋に入り込み、完全に油断しているところを後ろから、脱いだばかりのベルトで、首を締めました」

サーニャ「もちろん抵抗はされましたが、毎晩フリーガーハマーを抱えて飛んでいる私にとって、それを抑えこみながら首を締める腕の力を強めていくのは、そう難しいことではありませんでした」

サーニャ「その間シャーリーさんはずっと驚いた表情で私を見つめていたけど、すぐに、動かなくなりました。それから私は前もって食堂から盗み出しておいた包丁で、その忌まわしい肉塊を切り取り、海に捨てました」

ルッキ「うじゅ・・・」

サーニャ「ごめんね、ルッキーニちゃん。エイラに振り向いてもらうためには、仕方なかったの」ニコ

ルッキ「」ゾクッ

サーニャ「ペリーヌさんには申しわけないことをしたと思っています。完全にとばっちりだったのですから」

サーニャ「エイラとお手洗いに向かう途中、ペリーヌさんがシャーリーさんの部屋の方で何かやっている様子が見えたので、気になってエイラがお手洗いの個室に入るのを見届けてから、様子を見に行きました」

サーニャ「すると、床に顔を擦り付けたペリーヌさんが、ベッドの下に手を伸ばし、ちょうど何かを引っ張りあげるところでした。きっと一人でシャーリーさんの事件を調べていたんでしょうね」クスッ

サーニャ「その手にあったのは私のベルトの金具でした。シャーリーさんの首を締めている間に取れてしまったのだと思います」

サーニャ「ペリーヌさんはそれが何かわかっていないようでしたが、私は誰かに知らされてはまずいと、とっさにそこにあったシャーリーさんのトロフィーで、ペリーヌさんを後ろから殴りつけました」

サーニャ「そうしたら、簡単に死んでしまって。私、そんなに力を入れたつもりもなかったのに」

サーニャ「金具を回収した後は、廊下で景色を眺めているふりをしてエイラと合流し、食堂に戻りました。案の定、エイラは、私をかばうために、私と一時も離れなかったと嘘を吐いてくれました」

坂本「ペリーヌは証拠を見つけてしまったから殺されたのか・・・」

サーニャ「ごめんなさい・・・全てのおっぱいを消し去るまでは、私は捕まるわけにはいかなかったんです」

サーニャ「リーネさんの殺害については、概ねバルクホルンさんの言ったとおりです。芳佳ちゃんが夜間哨戒を代わってくれることになって、チャンスは今しかないって思いました」

サーニャ「リーネさんったら、エイラが居なくて寂しいって言ったら、何の疑いもなく私のこと部屋に招き入れてくれて。とてもいい人だったけど・・・エイラのためなら仕方ありませんよね」ニコ

サーニャ「隙をついて、シャーリーさんの乳房を切り取る時に使った包丁で、一突きに。悲鳴を上げられないように喉を狙いました」

サーニャ「リーネさんが絶命したのを見届けてから、シャーリーさんと同じく、乳房を切り取って、二度とエイラの視界に入ることのないよう、海に捨てました」

芳佳「そんな・・・」クラッ

サーニャ「でも、もう、おしまい。・・・結局私には、全てのおっぱいを消し去ることは出来ませんでした。そんなこと、最初から無理だったのかも知れません」

サーニャ「でも私、後悔してません。最期にエイラが私のこと、たくさん庇ってくれて・・・私のこと、たくさん見てくれて・・・私、幸せでした。ありがとう、エイラ」ニコ

エイラ「サーニャ・・・」

バタン ドタドタドタ

サーニャ「迎えが来たようですね。・・・ご迷惑をおかけしました」ペコリ

そうして、アレクサンドラ・V・リトヴャク中尉は、憲兵隊に連れられ、501基地を去った。
後の噂によると、犯行時のリトヴャク中尉には重度の神経耗弱が認められたため、彼女は刑罰を免れ軍の精神病院に収容されたらしい。

思えば悲しい事件だった。彼女もおっぱいに踊らされた犠牲者の一人に過ぎないのかもしれない。

fin.

エイラ「というような劇場版第二弾をダナ」

シャーリー「・・・」

ミーナ「却下」

ここまで読んでくださりありがとうございました。
推理モノ書くの初めてだったので随分と稚拙で犯人もわかりやすかったかもですがごめんなさい。
トリックも安っぽいし、心なしかエイラーニャの描写ばかりしちゃった気がするし。

でもサーニャ好きで、サーニャが犯人なんて有り得ない!!って人が比較的多かったみたいだから、騙されてくれた人いたらいいな&サーニャ犯人でごめんなさい。

でも推理小説が書きたかったというより、ヤンデレサーニャが書きたかっただけなので個人的には満足です。

あと地味にシャーリー殺害の凶器の、ベルト状のもの、ってそのベルトかよ!!っていうのがストパンらしくて気に入っています。
上手い人ならそういうのを叙述トリックに使ったりとかするんだろうなぁ。ちょっと実力が足りませんでした。

あと、以前SS速報の方で書かせてもらった時には全然レス付かなくってモチベーションが保たなかったのですが、今回は色々レスしてもらえて嬉しかったです。ありがとうございました。

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