真「今日のボクは昨日のボクとはちがう」 (26)

ボクがプロデューサーと初めて会ったのはプロデューサーが自己紹介も兼ねてアイドル達に挨拶をして回ってた時。

ボクは公園で男の子達と混ざってサッカーをしていたんだよね。

最初は男の子と見間違られたんだっけ、ひどいよホント・・

でもアイドルとして伸び悩んでいたボク達にとっては本当に救世主みたいな存在だったんだ。

毎日遅くまで働いて、でも疲れた素振りなんて見せずにボク達を引っ張ってくれるプロデューサー。

いつしかボクはそんなプロデューサーに惹かれていたんだ。

でもボク、そういう経験なんて今までしたことなかったからどうしたらいいか分からなくて・・

少女マンガとかはよく読んでたんだけど実際の恋となるとちょっと・・・・ね。

雪歩達にも背中を押されて少しづづアプローチしてみたりしちゃったりして・・

そのかいもあってかな、ボクはプロデューサーと付き合うことができたんだ。

そして告白した夜、ボク達は事務所で一晩を明かした・・・

ボクがお願いしたんだ。今晩は一緒にソファーで過ごしませんかって。

最近は仕事も忙しいし、きっと二人で過ごす時間なんてとれないと思ったから・・

せめて今日だけは・・って。

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真「プロデューサー、まだ起きてますか」

P「あぁ。誰かさんがずっと抱きしめてるせいで寝れそうにない」

真「へへっわざとですよ」

P「だろうな」

真「・・・今日のボクは昨日のボクとはちがう」

P「ん、なんだいそれは?」

真「ボクの好きな言葉なんです。日々自分が一つ一つ成長していることを実感させてくれるような気がして」

P「はは、真からそんな言葉が聞けるとは」

真「あ~それどういう意味ですか」 ギュー

P「カハッ、ま、真苦しい、俺しんじゃう・・」

真「プロデューサーがそんなこというからですよ~」 ギュー

P「せめて、緩めてくれ・・」

真「・・・・緩めたら今夜はずっと抱きしめていてもいいですか」ギュー

P「ああ、いいから早く」

真「へへっ、やりぃ」 

P「ふぅ、気道確保、・・・・・なぁ真」

真「なんですかプロデューサー?」

P「今日の真は昨日の真となにか違うか?」

真「そうですね・・・今日の僕は、」




真「プロデューサーの彼女になりました」



P「・・・うわ、聞いてるこっちが恥ずかしいわ///」

真「・・・・」ギュー

P「・・・ごめんなさい」

真「もうっ!・・・・でも僕、今でも信じられないんです。プロデューサーと付き合っているなんて」

P「俺もまさか真と付き合うことになるとは思わなかったよ」

「最初は戸惑ったけどやっぱり自分の気持ちにウソはつけなかったってことかな」

真「・・うわ、聞いてるこっちがはずかしいですよ///」

P「う、うるさいやい、さぁ俺は寝るぞ」

真「・・おやすみなさい、あなた・・な~んちゃって」

P「気が早い」

真「えっ・・・・、えぇ!そ、それって・・」

P「・・・俺は告白されたときからそのつもりだったが?なんだ、真は遊びのつもりだったのか・・残念」

真「い、いやそうじゃなくて///そ、そういうのはもっといろいろ深めてからというか・・」モゴモゴ

P「え、そうなのか。ごめん、俺今まで付き合うって経験なかったからよく分からないんだ・・」

真「そ、それってつまりボクが初めての彼女ってことですか?」

P「あ、あぁそうなるな。学生の頃は立派なプロデューサーになるために芸能関係の勉強しかしてなかったからなぁ」

 「女の子とこういう関係になったことは一度もなかったな」

真「そ、それってなんか・・・・嬉しいなぁ・・」

P「嬉しいものなのか?」

真「そりゃあもう!」

P「それはなんで?」

真「えっ!?・・・・だ、だってそれは・・・・・なんでなんだろう?」

P「ははっ、真はかわいいなぁ」ナデナデ

真「~~~~~//////」

P「・・・・・・・真、ひとつ言っていいか?」ピタッ

真「ん、なんですか?」

P「知ってのとおり俺は765プロみんなのプロデューサーだ。真一人をその・・・なんだ」

真「特別扱いすることはできない・・・ってことですよね」

P「あぁそうだ、それにこれからは仕事もどんどん増えるだろうし二人っきりになる時間なんてほとんどないと思う・・・すまないな真」

真「謝らないでくださいよ、ボクも分かってたつもりですから。それに謝るくらいならこうやって・・・」ギュッ

 「少しでも長くボクを抱きしめていてください、約束ですよ?」

P「あぁ分かったよ、真・・」

その後もプロデューサーとの関係は続いていたんだけど・・

プロデューサーの言った通り二人っきりになる時間なんてほとんどなかった。

それに特別扱いも一切なし、プロデューサーはいつでもボクとプロデューサーとアイドルという立場で接してきた。

覚悟はしていたしみんなの仕事もそれだけ増えてきたわけだから喜ぶべきなんだけど・・

やっぱりなんだか寂しいよ・・

でもね、来週はプロデューサー付き合ってからの初めてのクリスマスイブ!ボクはちょっと期待しながらプロデューサーに聞いてみる。

真「プロデューサー!ついに来週ですね!」

P「来週?・・・あぁ!12月24日の件か!」

真「それですそれ!あの~その日の予定って・・」

P「心配するなちゃーんと空けてあるぞ。日中に少し仕事がある子もいるが律子が送ってくれるらしいし」

真「ほ、本当ですか!」

P「当たり前だろ。なんてたって一年に一度しかない日だからな」

「あ、もちろん真もオフだからな。真にも楽しんでもらいたいし」

真「へへっやりぃ!」

なんだ、やっぱりプロデューサーはちゃんと考えてくれているんだ!

ど、どうしよう顔がにやけちゃうよ・・

P「ん、どうした?そんなに嬉しいのか」

真「え、えぇそれはもう!」

P「そうか、やっぱり可愛いな真は」

真「~~~~~////」

あぁ・・幸せすぎてどうにかなりそうだ・・

<チョットマッテーボクハキミヲー

P「あ、たぶん876プロの人からかな。ごめん真、仕事もどるよ」

真「あ、はい・・・」

P「っとそうだ真。12月24日は午前9時くらいに事務所に来てくれないか」

真「午前9時・・・ですね。はい、わかりました」

P「ん、頼んだぞ」

・・・・やっぱりプロデューサーは忙しいんだな

・・・・・あ、そうだ。雪歩には連絡しといたほうがいいよね。

だって12月24日は雪歩の誕生日でもあるんだもん。

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雪歩「ほんとうなの!真ちゃん!」

真「うん、プロデューサーが言ってたんだ12月24日は空けてるって」

雪歩「そっか・・・よかったね真ちゃん」

真「うん・・。でもね雪歩の誕生日が・・・」

雪歩「ううん。いいんだよ真ちゃん。私、真ちゃんがプロデューサーさんのこととっても大好きなの知ってるから」

  「そして二人の時間がなかなかとれなくてずっと悩んでたのも知ってる・・・」

真「雪歩・・・」

雪歩「だ~か~ら~。クリスマスは私の誕生日の分もプロデューサーと楽しまないと真ちゃん家の庭に穴掘っちゃうからね!」

真「あははは、それは嫌だなぁ・・」 

 「・・・・・。ありがとう、雪歩」

雪歩「うん・・・」

真「・・・あ、そうだ誕生日プレゼントは前の日にでも渡したほうがいいよね」

雪歩「いいんだよそこまで気を遣わなくても」

真「そ、そう?ご、ごめんまだちょっと興奮してるみたいで」

雪歩「だめだよ?はしゃぎすぎてプロデューサーの目の前でコケたりとかしたら」

真「そんな春香じゃないんだから」

雪歩「それもそうだね」クスッ

うん、雪歩と話していたらなんだか落ち着いてきた。

プロデューサーと一緒に過ごすクリスマス、楽しみだなぁ~。


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そして12月24日・・・

真「よし、そろそろ行こう」

っとその前に最終チェックしておかなくちゃ。

雪歩には昨日プレゼントは渡したし・・・服装も大丈夫・・だよね。

正直この時期にしてはちょっと薄めだけど、伊織いわく

伊織『クリスマスはちょっと薄めの服装にして寒さアピールをして抱きしめてもらうのがベストなのよ!』

ってほんとうかなぁ・・

悩んでても仕方ない。ボクにはデートの時のどんな服装すればいいのかなんて分からないし・・・

それにプロデューサーが事務所で待ってるんだ。遅れることが一番いけない気がする・・・

真「うん、大丈夫さ」

いつもの赤い帽子を被ってボクは家を出た。

家を出たら不思議なもので服装なんて気にならない。

早くプロデューサーと二人で出かけたいって気持ちが強いからかな。

自然と足早になるのを抑えることもできず、あっという間に事務所についた。

真「おっはようございまーす!」

いつもどうりの挨拶をして事務所に入る。

そこにはいつもと変わらない服装のプロデューサーがいた。

P「お、きたか真。おはよう」

真「おはようございますプロデューサー。あれ、一人なんですね。小鳥さんや律子さんはいないんですか?」

P「あぁ小鳥さんは有給を取ったんだってさ」

「亜美達に理由を聞かれてたけど一切口を割らなかったらしい」

P「律子は朝から竜宮の子たちと仕事だ。ほら言っただろ日中に仕事あるって」

真「そう・・でしたね。・・・え~っと」

 「それでプロデューサーは今何をしてるんですか?」

P「え、何って・・・」



P「雪歩の誕生日パーティの準備だけど」




真「誕生日の準備・・・?」

胸のあたりがキュッと締め付けられる感じがした。

P「んじゃ真、これ飾ってきて」

そういって輪飾りを差し出される。でもボクはそれを手に取ることはできなかった。

P「みんな今日の夜には事務所にこれるそうだ」

頭が働かない。あれ、おかしいな・・・プロデューサーとデートは?えっ雪歩の誕生日?

P「大変だったぞ。みんなを一斉に集めるのは」

違う、雪歩の誕生日プレゼントは昨日渡して・・・あれ今日は何日だっけ?

今日は12月24日・・・クリスマスイブで雪歩の誕生日・・・

P「せっかくだからたくさん思い出を作りたいだろ」

違う。ボクが作りたいのはプロデューサーとの・・・

P「だから・・って、ま、真!?ど、どうしたんだ!?」

あれ?これはなんだろう・・・・暖かい。これは・・・涙?

真「・・・・。プロデューサー・・今日は何の日ですか・・」

P「き、今日か・・?今日は雪歩の誕生日だよな・・。あれ、もしかして間違ってたか」

違う、そうじゃない・・・・!

真「今日はクリスマスイブ・・なんですよ。知ってますよね」

P「く、クリスマスイブってケーキとか七面鳥とか食べる行事のこと・・だよな?ちゃんとケーキも七面鳥も用意はしてあるんだけど・・」

ボクはそこで気づいた。

あぁそうか・・言ってたじゃないかプロデューサーは女の子と付き合ったことはおろか、今まで仕事のことしか考えてこなかったって・・

だからクリスマスイブが恋人たちにとってどんな日かなんて分からなかったんだ・・

でも何でだろう。そこまで分かったのに気持ちが晴れない。

それどころか悲しみが苛立ちへと変わっていく・・・


真「プロデューサー・・クリスマスってね。恋人同士にとってとても大事な日・・・なんですよ?」

P「・・そ、そうなのか」

真「ね・・だからボクは、今日はプロデューサーと・・」

P「・・・だ、だが俺には真を特別扱いすることは・・」

その言葉を聞いた瞬間ボクの中の何かが壊れた

分かってた。プロデューサーはこういう人だ。何よりも仕事を優先してみんなの事を思う優しい人・・

ボクはプロデューサーのそこに惹かれたはずなのに・・

真「そ、それはちょっとひどいんじゃないかなぁ・・・」

P「ま、真・・」

真「ボクは彼女なんですよ?・・なら!」

あぁボクは卑怯だ。こんなことまで口走って、でも・・それでもボクはプロデューサーに・・!

P「真・・ごめん・・」

グッと唇をかみ締める。

だめ、これだけは・・・これだけは言わないと決めていたのに・・

真「ぷ、プロデューサーなんて、だいっきらいだ!!」

はっと我に返ったがもう遅い。

ひどいことを言った・・自分でも分かる。ボクはプロデューサーを全否定してしまったんだ。

今までプロデューサーと過ごした時間を全てなかったかのように・・

・・・にもかかわらず、プロデューサーはボクに怒ることもせず、

「ごめん、ほんとごめんな・・・・真」

謝ったんだ。あの人は謝った。泣きながら何度も何度も・・

違う、ボクはプロデューサーに謝って欲しかったわけじゃない・・ボクは・・ボクは・・

黙って事務所から飛び出した

あんなことを言ってしまったんだ、これ以上プロデューサーと向かい合ってるのが苦しくて・・苦しくて耐えられなかった。

あの人は止めもしなかったし、僕も振り向かなかった。

走った、何も考えたくなかったから、ただ走って走って・・・気が付いたらプロデューサーと初めて出会った公園にいた。

真「寒いな・・・」

夢中で走っていたからだろうか、雪が降っていることに気づかなかった。

このままじゃ風邪を引いてしまう・・・そう思ったけれど、もうどうでもいい。

近くにあったベンチに座りこむ。雪が積もっていたけど気にならなかった。

項垂れたまま力なく呟く・・

真「今日のボクは昨日のボクとはちがう・・・」



真「今日のボクは・・・もうプロデューサーと恋人同士には・・・・」


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雪歩「真ちゃん大丈夫かなぁ・・」

伊織「あんたが心配しても仕方ないでしょ。まぁ私が完璧なコーディネートしたから大丈夫にきまってるけど」

雪歩「う~ん、そうだといいんだけど・・」

伊織「ほら事務所についたわよシャキッとしなさい。今日はあなたも主役なんだから」

雪歩「う、うん。」ガチャッ

  「お、おはようございます~」

伊織「っていってもまだ事務所には誰もいないはず・・・ってあら?」

雪歩「プ、プロデューサー!なんでここに?な、何かあったんですか・・」

伊織「ってかあんた真はどうしたのよ」

P「俺は・・真に知らない間につらい思いをさせていたんだ・・」

伊織「これは・・嫌な予感がするわ」

雪歩「・・・プロデューサー。真ちゃんはどうしたんです。それにこの飾りつけ・・・」

P「雪歩の誕生日パーティだよ・・」

雪歩「まさか、プロデューサー、真ちゃんと一緒に・・・」

P「あぁ・・一緒に準備しようとしていた。そうしたら真がいきなり泣き出して・・」

雪歩「そして・・どうしたんですか!」

伊織「ちょ。ちょっと雪歩!落ち着きなさい!」

P「プロデューサーなんか大嫌いだって言って・・・・飛び出して行っちまった・・」

雪歩「なんで、なんでそんなことに・・」

P「俺のせいなんだ・・俺はクリスマスイブが恋人にとって大切な日だなんて分からなくて」

「それに真だけを特別扱いするわけには・・」

雪歩「・・・・・・・・ッ!!!!」バッ!

伊織「バッッッッカじゃないの!!!何よそれ!あんた何考えてんのよ!」

P「何って・・俺はみんなのことを思って・・」

伊織「何?あんたは真があんたに特別扱いされてるからって私達の何かが壊れるとでも思ったの?なめてんじゃないわよ!」

P「・・・・・・」

伊織「恋人っていうのはね。特別扱いされるのが当たり前なのよ・・。あんたにとってのアイドルは私達全員でしょうけど・・」

  「あんたにとっての恋人は真だけなのよ・・?」

雪歩「プロデューサー・・これ見てください」

P「これは・・手袋か・・?」

雪歩「これは昨日真ちゃんからもらったクリスマスプレゼントです」

  「真ちゃんとても楽しみにしていたんですよ。私の誕生日を当日に祝えないことを謝りつつも顔はにやけっぱなしで」

P「・・・・・。雪歩、ごめん。俺、今日はお前の誕生日祝えそうにない」

雪歩「・・・・・・・・・・・早く行ってあげてください」

伊織「待ちなさい。あんた、真がどこに行ったか分かってるんでしょうね」

P「・・あ、どうしよう。分からん」

伊織「はぁ、ちょっと待ってて。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

  「ほら、GPSによるとここにいるみたいよ」

P「ここは・・俺が真と初めて会った公園か」

伊織「真に会ったら、なんとなくここかなって思ったんだ、とでも言ってやりなさい」

P「伊織、ありがとう」

伊織「いいから早く行きなさいって」

P「あぁ、じゃあ行ってくるよ」






伊織「やっと行ったわね。まったく、仕事してる姿は、まぁちょっとは頼りになるってのにまさかこうゆう話に疎かったなんて」

雪歩「でも私はきっとあの二人なら大丈夫だと思う」

伊織「あら、そう?」

雪歩「たぶん今頃真ちゃんも後悔してると思うの。そんなところにプロデューサーが探しに探しにきてくれたとなると」

  「少女マンガ脳の真ちゃんならイチコロじゃないかな」

伊織「なるほどね。真も真よ。ちゃんと詳しく聞かないからこういうことになるのよ」

雪歩「でもそんな二人だからいいんじゃないかな。二人一緒に少しずつ恋を学んでいけば」

伊織「それにしてもさっき雪歩が手を振り上げたときはどうしようかと思ったわ」

雪歩「え、えへへ、ちょっと喝を入れてあげようかと思って・・」

伊織「とっさに私が間に入ったから良かったものの・・」

雪歩「もしもまたプロデューサーが真ちゃんを泣かせることがあったらその時は・・・ね」

伊織「うまくやりなさいよプロデューサー・・・もしかしたら次はないわよ・・」



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どれぐらい時間がたったんだろう・・・

薄い服装が仇になっちゃったな、寒い、寒いよ・・・・

・・・・? 誰だろう、誰かがまっすぐこっちに近づいてくるのが雪を踏みしめる音で分かる

もしかしてボクのファンかな。でも今は相手にしてあげれる自信がない。

お願いだからそっとしておいて・・・・。お願いだから・・・。

・・・・・あぁ・・目の前で足音が止まった。どうしようかな・・そうだ無視しよう。



「・・・・・・・なにしてるんだい真?」




真「えっ?」

思いがけない声にボクはふっと顔をあげた。そこには・・・・



雪が降ってるにもかかわらずスーツ姿のプロデューサーがいたんだ。

真「プ、プロデューサー!・・・なんでここに?」

P「え、あ、あぁ、なんとなくここに真がいるんじゃないかなって」

つまりボクを探しに来てくれたってことか・・・。正直すごく嬉しい・・

まるで迷子になったお姫様とそれを迎えに来た王子様・・・

でもさっきの事があった手前、素直に感情を出すことなんてできないよ・・

真「へ、へ~そうですか。で、で?何しにきたんですか?」

プロデューサーも恋に不器用だけど、ボクもたいがいだな・・

P「・・・・・・真、俺は・・」

そういうとプロデューサーはボクを強引に引っ張ってギュッっと抱きしめた。

真「えっ////ちょ、ちょっとプ、プロデューサー?」

P「俺は気づかなかったとはいえ真に長い間つらい思いをさせてしまった・・」

そういうとプロデューサーはさらに強くボクを抱きしめる・・

P「そして今日真を泣かせてしまった・・」

さらに強く・・

P「仕事とアイドル達みんなのことだけを考えて恋人である真の事を考えてなかった・・」

プロデューサーは何か言うたびに抱きしめる強さが増していく・・

あぁ・・そっか・・プロデューサーは・・

真「プロデューサー・・覚えていてくれたんですね・・謝るくらいならボクを抱きしめてくださいって約束・・」

P「うん・・いや、実はさっき思い出したんだ・・ごめん・・・あっ」

真「あ~今謝りましたね~」

P「い、今のは・・うん、ごめん・・・あっ」

真「もうっ!いい加減にしてくださいよ、プロデューサー」

 「・・・・あとそろそろ苦しいです///」

気づくとプロデューサーがボクを抱きしめる強さは結構強くなっていた。

P「あ、あぁごめ・・・じゃなくて抱きしめ・・あ、でも強くできないし・・あ、あれ?」

真「・・へ、へへっプロデューサーたら可笑しいですよ」

P「あ、あはははは・・・」

二人して雪の降る中笑いあう。端から見ればこんなことで仲直りできるわけがないとか思われるかも知れない。

でも恋愛に不器用なボク達はこれでいいんだ・・・

P「え~と、それでこれからどうするかなんだが・・。ちょっと遅れたけれどデートしようか」

真「え、いいんですか?雪歩の誕生日パーティの準備は・・」

P「そのことはもう雪歩に断ってきたよ。それに今帰ったらたぶん雪歩逆に怒るんじゃないかなぁ」

真「そ、そうですか・・・。じゃ、じゃあ行きましょう!」

P「よしっ!っとその前に、まったく赤い帽子が雪で真っ白だぞ。ほらとってやるから」

真「あ・・・。ありがとうございます」

P「それに寒くないかその格好、やけに薄いじゃないか」

真「こ、これはですね」

よ、よ~し・・・

真「じ、実はけっこう寒いんですよこれ」

P「ん~そうだろうな・・・よしじゃあまずは暖かいコートでも買いに行くか!俺からのクリスマスプレゼントだ!」

真「ほ、ほんとですか!へへっやりぃ!・・・・・あれ?・・・まぁいいや」

P「よし行くぞ真」

真「はい!プロデューサー!」





-なぁ真?

-なんですか?

-これからめいっぱい特別扱いしていくから覚悟しとけよ?

-えぇ!ほんとうにどうしたんですか一体・・

-ん、ちょっとした思い違いに気づいただけだよ

-ふ~ん、じゃあ期待してますよ、あなた・・・

-だから気が早いって・・・


そして幾年が過ぎ・・・・・・・・・・




看護「お疲れ様です。元気な女の子ですよお母さん」

真「・・・・これが私の・・私とあの人の赤ちゃん・・」

看護「お、お父さん、落ち着いて!慌てなくても赤ちゃんは逃げませんよ!」

P「真!真!真~!だ、大丈夫か?具合はどうだ?」ドタドタ

真「うん、かなり苦しかったけど大丈夫・・・ほらそれよりも見てあなた、私達の赤ちゃんだよ」

P「お、おぉ~おぉ~きれいな黒髪は真の遺伝だな。顔は俺に似てハンサムじゃないか」

真「もう、あなたったらこの子は女の子なんだよ」

P「そ、そうなのか?お、おぉ~おぉ~顔もお母さんに似て可愛いなぁ」

真「ふふふっ」

P「あ、あはははは」

真「・・・・・・・・今日の私は昨日の私とは違う」

P「・・・懐かしいなそれ。・・・・今日の真は昨日の真と何が違うんだい?」

真「今日の私は・・・・・・・」






真「お母さんになりました」




                    ~fin~

おしまいです。クリスマスイブSSとなるとどうしても雪歩SSが多くなるのであえて真SSにしてみました。

最後の方の真の一人称が私になっているのは故意です。

ではクリスマスの夜なので真とまぐわってきますね

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