P「アイマス幼稚園?」 (106)

P「本日からお世話になります、私Pと申します」

高木「いやぁ、よく来てくれた!そんなに畏まらなくてくれたまえ…」

P「は、はい…」

高木「では改めて、私が園長の高木だ」

高木「ウチの幼稚園は園児の数が少なくてね…クラスが一つしかないんだ…」

高木「しかしあの個性的な園児は音無君一人では…」

高木「あぁ、音無君というのは…」

小鳥「私です。私が音無小鳥」

高木「…彼女が音無小鳥君だ。20人の園児を一人で担当している」

P「20人を一人でですか!?」

小鳥「はい、だからPさんが来てくれて安心しました」

高木「キミには早速、音無君の補助に回ってもらおう」

小鳥「もうすぐ皆が来る時間ですね」

高木「おおっ、そうかね。それじゃあ朝の挨拶の準備をしようかね」

P「では僕も…」

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小鳥「そろそろバスが着きますね」

P「バス…というと、あの天使のマークが付いたアレですか…」

高木「うむ。…着いたようだね」

ビピー プシャーー

高木「やあ、みんな。おはよう!」

小鳥「みんな!おはよう!」

P「あっ…あの…おはようございます!」

園児達『おはようございまーす!!』

小鳥「さぁ、みんな。お部屋に入ろうねー」

ネェ、センセェアノオトコノヒトダレー? ピヨチャンノカレシー?

P「っふぅ~、緊張したぁ~」

高木「この程度まだまだ序の口だよキミィ!」

P「(大丈夫かな俺…)」

小鳥「今日はみんなに新しい先生を紹介しまーす」

???「それってさっきのおとこのひとー?」

???「うぅ…やっぱりおとこのひとなんだぁ…」

???「だいじょうぶだよー、きっとこわくないから!」

小鳥「P先生、どうぞ~!」

P「あ、あっ…あの!Pと申します!えっ…えっと!よよろしくお願い致します!」

???「せんせぇおもしろーい!もういっかいやってー」

???「いけー!せんせぇー!」

P「えー、もう一回かぁ…まいったなぁ……」

小鳥「亜美ちゃんと真美ちゃん…いつものことですから本気にしないでくださいね」

小鳥「こーら、二人とも!先生困ってるでしょー」

あみ「うー、ごめんなさーい!」

まみ「ごめんなさーい…」

小鳥「よしよし、ちゃんと謝れて偉いねぇー」

小鳥「えっと…それじゃあ今日は…お歌のお勉強から始めましょう!」

???「やったあ!おうただー!」

小鳥「ふふっ、千早ちゃんはお歌が好きだもんねー」

ちはや「うん!だいすきー!」

???「はるかもおうたすきー!」

???「でもはるかってうたヘタだよなー」

はるか「えぇっ!?そんなことないもん…!」

ちはや「そうだよ!はるかはおうたじょうずだもん!」

???「はるかちゃんだいじょうぶ?なかないでね~」

???「せんせー!とうまがはるかなかせたー」

とうま「なっ、オレはなにもしてないだろー!」

P「あ、ちょっといいですか?」

小鳥「はい?どうかしました?」

P「トウマくんだっけ?ちょっとおいで」

とうま「な、なんだよー」

P「トウマくん…ハルカちゃんの事が好きなんだろー?」

とうま「なっ、ち、ちげーよ!」

P「本当かなー?」

とうま「ホントだよ!」

P「先生にはトウマくんが嘘ついてるように見えるなー」

P「ハルカちゃん、嘘つく男の子なんて嫌いだろうなー」

とうま「……ぜってーだれにもいうなよ!」

P「やっぱり好きだったんだなー?」

P「ちゃんとハルカちゃんに謝れば言わないって約束するよ」

とうま「……わかったよ」

とうま「はるか…その……ごめんな…」

はるか「……もう…イジワルしない?」

とうま「うん…ぜったいしない」

はるか「そっかぁ…みんなにもいじわるしたらダメだからね!」

とうま「うん!もうぜったいしない!」

はるか「それならゆるしてあげる!」

とうま「ありがとうはるか!」


小鳥「す、すごいですね…!あの冬馬くんを一瞬で…」

P「ただ単にシャイなだけでいい子ですよ。彼は」

小鳥「ふふっ、最初はちょっと心配だったけど…これなら頼りになりそう」

ちはや「せんせぇはやくー!ピアノひいてー!おうたうたおうよー!」

小鳥「はーい、ちょっと待っててねー」

P「へぇ~。みんな歌上手ですね」

P「やはり音無さんの指導が…」

小鳥「そんな…私なんて全然上手くなんてないですよ~」

小鳥「あの娘達が上手なだけですよ」

P「そういうものですかね?」

???「あの~せんせい…」

小鳥「あら、どうしたの?あずさちゃん」

あずさ「あっちでまことちゃんといおりちゃんが…」

小鳥「もう…またあの二人なの…?」

P「えっとその二人というのは…」

小鳥「う~ん、なんというか…イマイチ馬が合わないみたいで…」

P「犬猿の仲ってことですか…」

小鳥「そんな感じですね~」

あずさ「こっちです~」

まこと「いおりがわるいんだよ!ゆきほがないちゃったじゃないか!」

いおり「なによ!ゆきほのおかたづけがおそいのがわるいんでしょ!」

まこと「なにを~!」

いおり「なによ!」

ゆきほ「ふ、ふたりとも…やめようよぉ…」

いおり・まこと「ゆきほはだまってて!」

ゆきほ「うえぇえん!!せんせえぇぇ…」ザクッザクッ

???「はわっ!ゆきほちゃん、シャベルでおへやにあなあけちゃダメだよー」


P「……なんなんですあれは…?」

小鳥「どうして喧嘩してたの?」

いおり「ゆきほがえのぐのおかたづけするのがおそかったの!」

まこと「そんなのじゅんばんまてばいいじゃないか!」

いおり「なによ!ねんちゅうだからってえらそうにいわないでよね!」

小鳥「あぁ~、う~ん。またこのパターンかぁ…」

P「なるほど……」

小鳥「とにかく落ち着いて二人とも!」

いおり「むー、ぜったいにゆゆさないんだから!」

まこと「こっちだって!」

小鳥「雪歩ちゃん、詳しく説明できるかな?」

ゆきほ「うぅ…えぅ……お、おとこのひと…」

ゆきほ「うわぁああああん!!」ザクッザクッ

小鳥「こらー!お道具箱からシャベル持ち出しちゃダメでしょ!」

P「困りましたね…」

小鳥「誰か一部始終を見てた子はいないのかしら…」

???「あのっ!わたしみてました!」

小鳥「あら、やよいちゃん。それじゃあ…詳しく説明できるかしら?」

やよい「はい!がんばります!」

小鳥「よろしくね~、やよいちゃん」

やよい「えっと…ゆきほちゃんが…えのぐのおかたづけをしてて…」

小鳥「それが遅かったから伊織ちゃんが怒っちゃったのよね」

やよい「ちがうんです!ゆきほちゃんにいじわるするひとがいたんです!」

小鳥「えっ?それは誰?」

やよい「うぅ…えっと…いったらわたしもいじめられちゃいます…」

小鳥「うーん…じゃあ…その意地悪はどんなことをしてたの?」

やよい「すいどうにらくがきしてたんです!」

小鳥「……やよいちゃん…ありがとう」

P「えっ、音無さん分かったんですか!?流石ですね…」

P「俺の出る幕なんて全然ないですね…」

小鳥「P先生、その正体は…朝のイタズラっ子ですよ」

P「ああ…アミちゃんとマミちゃんでしたっけ?」

小鳥「そ れ で す」

P「うわっ!びっくりした!何ですかいきなり!」

小鳥「あの二人のイタズラには毎度毎度困らされていましてね」

小鳥「以前からなんとかならないのかって思ってるんですけど…」

P「音無さん…それ、俺に任せてくれませんか…?」

小鳥「えっ…でも……」

P「お願いします」

小鳥「分かりました…必ず止めさせてきてくださいね」

P「はい。策はありますから…」

P「そこのイタズラっ子二人。こっちに来なさい」

まみ「あー!あさのせんせー!」

あみ「なにー?なんかくれんのー?」

P「二人共、イタズラで皆を困らせているみたいだね」

あみ「えー、あみたちそんなことしてないよー」

まみ「イタズラでみんなをたのしませようとしてるのー」

P「でも皆困ってるんだ」

あみ「えー…そうなのー?」

まみ「みんながこまってるならやめよっかー?」

あみ「えー!それじゃああみたちがつまんないじゃん!」

P「そこでだ…」

P「二人はイタズラ止めたらつまんないんだろ?」

まみ「うん…」

あみ「そりゃあね…」

P「なら…俺にイタズラするのなら許すぞ」

あみ「え?」

まみ「どういうこと?」

P「まあ言っても分からないと思うから言うけど…」

P「俺はMなんだ!」

あみ「えむ?」

まみ「せんせぇってぴーせんせぇじゃないの?」

P「まあ…俺に直接するのはいいけど、間接的にするのはやめてくれよな…」

あみ「はーい」

まみ「かんせつてきってなんだろ?」

P「とにかく、もう皆を困らせちゃダメだぞー」

あみ「わかった」

まみ「せんせぇにイタズラするのはいいんでしょ?」

P「ああ、よろしく頼む」

あみ「たのむ?」

まみ「なんでたのまれたんだろう?」

P「はは…まあ大人になったら分かるさ」

P「じゃ、先生はみんなのところを見てくるよ」

小鳥「さあ皆!お昼よー!お弁当はちゃんと持ってきた?」

園児「はーい!」

P「へー、ここは弁当なんだなぁ…」

P「え、待てよ。聞いてないぞ…」

P「俺弁当持ってきてないじゃん…」

とうま「せんせい、おれのすこしわけてやるよ」

???「とうまくーん、ぼくにもわけてよー」

とうま「しょうたはじぶんのがあるだろ!」

しょうた「えー、もっとたべたいよー」

???「しょうたにはおれのをわけてあげるよ」

しょうた「ほんとー!?ありがとーほくとくーん!」


???「……」コソコソ

P「ん?今の子は?弁当持ってコソコソして…どこに行くんだ?」

とうま「ああ、えりだろ?えりはいっつもああやってみんなとたべないんだぜ」

ほくと「そうそう。みんなとたべればもっとおいしいのにねっ☆」

しょうた「いっつもトイレでたべてるよねー」

P「トイレで……。それって…マズイだろ…!」

えり「……だれもきてない…?」

えり「いただきます…」

えり「……おいしい」

P「エーリちゃん!」

えり「ひうっ!?だ……だれ…?」

P「俺だよ、俺」

えり「あ…あたらしいせんせい…?」

P「そうだよ」

えり「……あの」

P「エリちゃんは…皆とご飯食べないのかい?」

えり「………みんなと…おはなしするのがむずかしい…」

P「大丈夫だ!皆優しいし、エリちゃんのことを嫌がる人なんて居ないよ」

えり「ほんと……?」

P「ああ、そんな子が居たら俺がなんとかしてあげるから」

えり「すこし…がんばっておはなししてみる…」

P「そっか…。えらいぞエリちゃん」

えり「あの…せんせい……それより…」

P「ん?なんだ?」

えり「ここ…おんなのこのトイレ……?」

P「」

えり「あの…みんな……」

???「あれー!!??えりちゃんどうしたのー!!??」

えり「あいちゃん……わたしも…おべんとう……いっしょに…」

???「えりちゃんもいっしょにたべたいの?」

えり「う、うん…!」

あい「いいよー!!いっしょにたべよー!!」

えり「…うん!」

???「えりちゃん、ミキのおにぎりあげるのー」

えり「でも……ミキちゃん…おにぎりすきなのに……」

みき「ミキのなかよしさんにはおにぎりあげてもいいの!」

えり「みきちゃん…」

あい「あれー!!??わたしもらったことないよーー!!??」

P「さて、俺も食うか」

P「こんなに貰っちゃって…皆や皆のお母さん達にどうやってお礼しようか…」

えり「あの…せんせい……!」

P「ん?どうした?まさか仲間外れにされたのか!?」

えり「ちがう…。あの……その……」

えり「ありがとう……!」

P「うん!明日からはトイレで食べたりするんじゃないぞ」

えり「うん!」

はるか「せんせぇ!せんせぇもあっちでいっしょにたべよ?」

P「お、うん」

はるか「はやくー!こっちこっち!」


小鳥「あら、P先生もこちらに」

P「はい、ハルカちゃんに無理矢理連れられて…」

はるか「せんせぇはちはやちゃんのとなりねー」

P「お、チハヤちゃんはふりかけご飯に卵焼き、唐揚げ、ポテトサラダ…」

P「可愛い弁当箱だなー」

P「あれ?音無さんの弁当もチハヤちゃんのと似てますねー」

小鳥「あ…ああ!そうなんですー!ぐ、偶然ですよねー!あはは…」

P「??? 変な人だなぁ」

はるか「せんせぇ、はるかのもあげるー!」

ちはや「……」

P「うまかったなぁ。最近のお母さんは皆あんなうまいご飯を作るのか」

小鳥「みんなー、お昼休みが終わったらすぐに戻ってくるのよー!」

園児「はーい!」


まこと「ひびき!おそとできょうそうしよう!」

ひびき「うん!たかねもやる?」

たかね「いいえ、私は二人の競争を傍観するだけで満足です」


やよい「ゆきほちゃん!いおりちゃん!おすなばいこう!」

ゆきほ「うん!シャベルかりてくるね!」

いおり「なんでわたしもなのよ!」


あい「えりちゃーん!!いっしょにあそぼー!!」

えり「うん、なにしてあそぶ……?」

あい「やったー!!えりちゃんとあそぶよー!!」

えり「あの……」

みき「あいはうるさいの…ねむれないの」

P「えっと、昼休みは何をすれば…」

小鳥「ああ、園児達の害になるような事じゃなければ、どうぞご自由」

P「そうですか…じゃあ見回りに行ってきます」

小鳥「あら、仕事熱心なんですね」

P「園児の事をもっと知りたいですから」

小鳥「そうですか…行ってらっしゃい」


小鳥「P先生なら…なんとかしてくれるかなぁ…なーんて」

小鳥「ダメよね…P先生は関係無いんだから…」

P「ふーん、ここは…かけっこでもしてるのか?」

ひびき「あー!せんせー!せんせーもする?」

まこと「いいね!やろうよせんせい!」

P「ええ!!俺もか……?(幼稚園児相手とか…泣かれたら困るしなぁ)」

たかね「二人共、いけませんよ」

たかね「先生も忙しいのです。私たちと遊んでいる余裕などありません」

まこと「えー、ぶらぶらあるいててヒマそうじゃーん」

ひびき「せんせーはいそがしいの?」

P「あー、うん。他の皆のところも見て回らないとな!」

P「タカネちゃんだったっけ?…ありがとう、助かった」

たかね「いいえ、礼には及びません」

P「なんかタカネちゃんって大人っぽいな。もう少し子供っぽくても可愛いとのに」

たかね「先生……い、いけません!」


ひびき「せんせーたかねとないしょばなししてるー!せんせーにいっちゃおー」

まこと「ひびき、あのひともせんせいだよ」

ひびき「あー!そうだったー!」

たかね「……」

ひびき「たかねどうしたの?おなかいたいの?」

たかね「……いいえ、なんでもありませんよ…」

ひびき「そうなの?」

たかね「はい…ではかけっこの続きと致しましょう」

まこと「たかねもいっしょにやる?」

たかね「はい」

まこと「やっりぃ!よぉし、まけないぞー!」

P「うんうん、タカネちゃんもちゃんとみんなと遊べるんじゃないか」

P「それにしても3人共速すぎだろ……あれ俺勝てなくて?」


とうま「せんせー」

P「お、トウマくんか、どうした?」

とうま「よびすてでいいよ……むこうでいっしょにサッカーしない?」

P「サッカー?俺そんなに上手じゃないぞ?」

とうま「べつにいいよ、いこう」

ほくと「とうまはPせんせいがきにいったんだね」

とうま「う、うっせー」

P「トウマにショウタにホクト……お、女の子も一人居るなぁ」

しょうた「せんせーはやくー」

P「おお、悪い悪い!」

とうま「じゃ、つぎはおれがキーパーやる」

???「あ、じゃあわたしがけってもいいかな?」

とうま「いいぜ。りょうがシュートするからふたりはディフェンスな」

ほくと・しょうた「おっけー」

P「おい、俺は何すればいいんだよ」

とうま「あ、そっか」

しょうた「じぶんでつれてきたのにー」

とうま「じゃあせんせいがキーパーやってよ」

P「おう、いいぞ」

P「(リョウちゃんか…女の子だしな、手加減してあげよう)」

P「(その前に3人が止めちゃうかもな)」

とうま「うわっ、ぬかれた!」

ほくと「おれもぬかれちゃった☆」

しょうた「あ~、ぼくも」

とうま「せんせい!たのむ!」

P「(えぇ~!!)お、おう!任せろ!」

りょう「えいっ」

P「とうっ!」

P「反対だったー!」

ガシャン

りょう「やったぁ!はいったはいったー!」

P「なんだよあのパワー……」

小鳥「みんなー!お昼休み終わりだよー!」

P「お、もう終わりなのか…」

小鳥「バスが来るまで待っててねー」

園児「はーい!」


???「あの…せんせい」

小鳥「どうしたの?律子ちゃん」

りつこ「またあずさちゃんがいません」

小鳥「え~、またなの?」

P「え?『また』ってことは…」

小鳥「日常茶飯事です」

P「えっと…アズサちゃんってさっきの…」

小鳥「はい、いる場所はだいたい決まってるんですけど…」


やよい「せんせい!いおりちゃんとまことちゃんが…」

小鳥「そっちもなの!?」

小鳥「P先生はあずさちゃんをお願いします!多分、門を出て右の公園にいると思います!」

P「わ、わかりました!」

P「なるほど…昼休みはバスが来るかもしれないから門を開けておくのか…」

P「だったら見張りくらい立てろよ……」

P「って職員が居ないのか…」

P「園長仕事しろよ!」

P「あそこの公園か」

P「おーい、アズサちゃーん」

P「ん、いたいた…おーいアズ……」


「おい、はやくしろ」

「へい」

ガチャ ギギー ブォゥーーン

P「……」

P「誘拐だー!!!!」

P「やべぇよやべぇよ!!警察!とにかく警察に!!」

P「警察ですか!?!?誘拐、誘拐アズ、アズサちゃんがああ」

P「場所は、えっとえっえっ、公園の、公園のところです!」

P「どっかに手がかりは……あっ!あの車だ!!どうやって追おう!!」

P「あ、この家の方ですか!?ちょ!自転車借りていいですか!?」

「え、どうぞ……」

P「ありがとうございます!!」

P「ぬおおぉぉぉぉぉ!!」

「おい、誰か追ってきてるぞ」

「構わん、無視しろ」

「へい」

P「うおおおおぉぉぉ!!待ちやがれえぇぇぇ!!」


カーンカーンカーンカーンカーン

「おっと、電車が通るから止まらないとな」

P「ナイス電車!追い付いた!」

「チッ!アイツをやっちまうぞ!」

「へい」

P「うおっ、なんだ!?」

P「危ない危ないって!」

P「そんなことより…アズサちゃんを……!」

P「ってあれぇ!?いねぇ!」

「どうしやす…?」

P「よし、交番に聞きに行こう」

「俺たちは逃げるぞ」

「へい」

P「待て」

P「もうすでに警察が動いてる、逃げても無駄だ」

「なんだとぉ?」

「テメェ」ドゴォ

P「ぐっほ…」

「オラァ!」バキィッ

P「うぐ…」

「へい!」ドガッ

P「にょわ~……」

「今のうちに逃げるぞ…」

「へい」

P「イテテ…逃がしちまったか…」

ブーー ブーー

P「ん?電話?音無さんか…」

P「もしもしPですけど…」

小鳥『P先生!何してるんですか!』

小鳥『あずさちゃんはもう帰ってきました!』

P「え、どうやって?」

小鳥『警察の人が見つけて、送ってきてくれたんです』

小鳥『あずさちゃんほったらかして何やっているんですかあなたは!』

P「これには深い訳があってですね…」

小鳥『それは後で聞きますから、はやく帰ってきてください』

小鳥『警察の人がP先生のこと待ってますから』

P「え、俺を?どういうことです…?」

P「切られてるし…」

P「よし、じゃあ帰るか」

P「すみません!いろいろあって…」

小鳥「後で園長と一緒に聞かせてもらいますから」

小鳥「それよりP先生にお客様がいらっしゃってますから」

P「ああ、そうだ…警察って」

警察「久しぶりだな。P」

P「あ、お前は!」

警察「覚えてたか?」

P「何の用だ」

警察「署長が、戻ってきてくれないかって」

P「俺は戻らないぞ。第一公務員なんて戻ろうと思って戻れるものじゃないだろ」

警察「Pならきっと戻ってこれる。俺も待ってるからな」

警察「今日はそれだけ伝えに来た。じゃあな」

P「もう二度と来ないでくれ」

警察「あ、そうそう。もう一つ伝えておこう」

警察「この幼稚園に俺の娘が通っている」

P「だから何だ」

警察「いや、それだけだ」

P「……」


小鳥「あの…もしかしてP先生って…」

P「はい、警察でしたよ。元ね」

小鳥「今の人…確か美希ちゃんのお父さんですね…」

P「星井の娘か……」

りつこ「せんせい」

小鳥「あら?どうしたの律子ちゃん。バスに乗ってなきゃダメよ?」

りつこ「あのね、Pせんせい。あずさちゃんがいってたの」

りつこ「せんせいがあずさちゃんをまもってくれたって」

りつこ「どうもありがとう」

P「アズサちゃんが…」

小鳥「あの、守ったって…一体?」

P「どういたしまして、って伝えておいてくれ」

りつこ「はい!」

小鳥「さて、P先生。見送りが終わったところで聞きますが、一体何があったんですか?」

小鳥「『守った』という事はあずさちゃんの身に何かあったんでしょうけど…」

P「はぁ…一から話します」

ーーーーーーー

ーーーーー

高木「はっはっはっ!初日からそんな事件に巻き込まれるとは、災難だったねぇ!」

P「笑い事じゃないですよ!」

小鳥「そうですよ園長!犯人はまだ逃走中っていうじゃないですか!」

小鳥「いつまた園児が誘拐されるか分からないんですから…」

高木「うむ、そうだねぇ…」

高木「懸命に犯人を追いかけたというのはやはり…」

P「元警察の…意地なんでしょうか…自分でもよく分かってなくて…」

P「無我夢中で…」

小鳥「それだけ園児のことを想ってくれてるんですよ、ね?」

P「音無さん…」

小鳥「先生、です」

P「え?」

小鳥「だから…音無『先生』です!P先生、一度もそう呼んでくれないじゃないですか」

P「すみません音無さ…先生!」

P「でも、何で今ごろ?指摘するなら機会はあったでしょう?」

小鳥「園児達にそういう会話は聞かれたくないんです!」

P「俺にはよくわからないですね…そういうものなんでしょうか?」

小鳥「私は園児の前ではおおらかでありたいんです!」

小鳥「細かいこと気にして嫌われちゃったら悲しいですから」

P「なるほど…」

小鳥「それに…そういう風に呼ばれると緊張しちゃいますから…」ボソボソ

高木「じゃあ、そろそろ閉めようか」

小鳥「そうですね。私、お先に失礼してもよろしいですか?」

高木「分かった。じゃあまた明日もよろしく頼むよ」

P「さようなら、音無先生」

小鳥「さようなら~、Pくん♪」

P「え、ど、どうしたんですか!?」

小鳥「冗談ですよ♪ふふっ♪」


高木「君もいろいろあって疲れてるだろう」

高木「あとは私がやっておくから君も帰りたまえ」

P「え、でも…仕事を覚えなくては…」

高木「いいんだ。鍵をかけるだけだから。今日は帰りたまえ」

P「その前に一ついいですか?」

高木「なんだい?」

P「園児のプロフィールのようなものはありますか?」

高木「確か皆に書いてもらったものがある。顔写真が貼ってある…」

高木「あった、これだ」

P「お借りしてもよろしいですか?」

高木「構わないが」

P「ありがとうございます」

P「それでは、失礼します…」

P「星井美希…この子か、星井の娘は」

P「他には…如月優?この子は今日見かけなかったな」

P「如月千早…あの歌が好きな子か」

P「すると優君はは千早ちゃんの弟か」

P「風邪でもひいてるのかな?明日千早ちゃんに聞いてみよう」

P「おはようございます!」

小鳥「P先生、おはようございます」

P「あ、音無さ…先生、早いですね」

小鳥「昨日早く上がった分の仕事をしようと思って…」

P「あ、そういえば質問いいですか?」

小鳥「はい、なんでしょう?」

P「如月優君ってどうかしたんですか?昨日見かけませんでしたけど」

小鳥「……P先生」

P「はい?」

小鳥「絶対に、千早ちゃんの前でその名前を口にしないでくださいね」

P「おはようございます!」

小鳥「P先生、おはようございます」

P「あ、音無さ…先生、早いですね」

小鳥「昨日早く上がった分の仕事をしようと思って…」

P「あ、そういえば質問いいですか?」

小鳥「はい、なんでしょう?」

P「如月優君ってどうかしたんですか?昨日見かけませんでしたけど」

小鳥「……P先生」

P「はい?」

小鳥「絶対に、千早ちゃんの前でその名前を口にしないでくださいね」

P「え、それって…」

小鳥「半年くらい前、優くんは交通事故に遭いました」

小鳥「そのまま、犯人の車は逃走。ひき逃げです」

P「そんな…」

小鳥「それが原因で千早ちゃんの両親は離婚」

小鳥「千早ちゃんはお母さんに引き取られたのですが…」

小鳥「千早ちゃんのお母さん、生活費を稼ぐのにほとんど家にいないそうなんです」

小鳥「だから私…少しでも千早ちゃんの支えになれたらなって思って…」

P「千早ちゃんのお弁当は音無先生が作ってるんですね」

小鳥「はい」

高木「やぁ、二人とも!おはよう!」

P&小鳥「おはようございます!」

高木「そろそろバスが来る時間だ」

小鳥「そうですね!行きましょう!」

P「(そういえば優君除いたら19人なんじゃあ?)」

園児「おはようございまーす!!」

小鳥「おはようみんな。今日も元気ね!」

あい「うん!!わたし、きょうとーってもげんきだよ!!」

あい「あさもバナナたべてきたんだ!!!」

小鳥「そ、そう…よかったわね」

P「(あの体からあの声…どこから出てんだ?)」

小鳥「みんなー、明日はなにがあるか知ってるかなー?」

あい「はい!!はい!!!えんそくです!!!」

小鳥「そうだね。明日は遠足があります」

小鳥「そのために今日は、遠足のお話をします」


ひびき「えんそくたのしみだなー」

いおり「そうかしら?だってくるまで5ふんのところまであるいて20ぷんもかけるんでしょ?」

いおり「それにあのひろばなんてなにもないじゃない」

やよい「いおりちゃんすごーい!よくそんなことしってるねー」

いおり「じょうしきよ!」

やよい「えへへ、えんそくたのしみだね」

いおり「…そ、そうね」

P「遠足…紅葉見物か…いいな」

P「『ふれあいたいけん!』って何するんだこれ?」

とうま「ひろばのとなりにぼくじょうがあるんだよ」

はるか「そこにヤギさんとかヒツジさんがいっぱいいるんだ!」

小鳥「今年は搾乳体験もさせてもらえるんですよ」

P「おっ、いいですね」

P「しかも明日とは…」

小鳥「それじゃあ遠足のルールをお話します」

小鳥「迷子にならないこと!」

P「迷子になりたくない人は先生と手繋いでねー」

小鳥「持ち物は、学習セット、お弁当、シート、欲しい人はお菓子も」

P「リュックサックに入れてくるんだよー」

小鳥「お菓子は300円まで」

あい「バナナはおやつに入りますかー!!??」

小鳥「入ります」

いおり「300円って何よ…」

P「どうしてここだけ白熱するんだ」

ゆきほ「あの…せんせい」

小鳥「どうしたの?雪歩ちゃん」

ゆきほ「とちゅうでぐあいがわるくなったら…」

小鳥「その時はお父さんかお母さんに電話してお迎えに来てもらうわ」

小鳥「雪歩ちゃん、体弱いものね。心配ね」

小鳥「他に質問あるー?」

あい「しつもんってなんですかー!!??」

P「愛ちゃん…」

小鳥「それじゃあ今日はお絵描きをしましょう」

あみ「やった!」

まみ「おえかきめっちゃすきー!」

あみ「またラクガキしよーね!」

まみ「だめだよあみ!きのうPせんせいとやくそくしたじゃん!」

あみ「あ、そっかぁ!じゃあPせんせいにラクガキしよ!」

まみ「うん!」

P「!?」

小鳥「それじゃあ今日はお絵描きをしましょう」

あみ「やった!」

まみ「おえかきめっちゃすきー!」

あみ「またラクガキしよーね!」

まみ「だめだよあみ!きのうPせんせいとやくそくしたじゃん!」

あみ「あ、そっかぁ!じゃあPせんせいにラクガキしよ!」

まみ「うん!」

P「!?」

りょう「わっ、えりちゃんすごい!おえかきじょうずだね!」

えり「ありがとう…おうちでよくかくから…」

りょう「へー!どうやったらうまくかけるの?」

えり「うーん…よくわからない……?」

P「へー、絵理ちゃんは絵が上手なのか」

えり「べつに…」

P「いやー、さっき向こうでも凄いの見てきたけどこっちも十分上手さ」

えり「向こう?」


しょうた「すごい!ほくとくんのえ!もはやかいがのレベルだよ!」

とうま「げいじゅつだぜ!」

りつこ「かがやいてるわ」

P「凄いなぁ、みんな」

P「この絵も凄く可愛いな」

まこと「え、かわいいですか!?」

P「真ちゃんのだったのか。可愛い絵だね」

まこと「ありがとうございます!」

まこと「ちょっとつづきをかくのでみててください!」

P「おっ、楽しみだなぁ。どんな可愛い絵になるやら」

ーーーーーーー

ーーーーー

まこと「できました!みてみて!」

P「(なんでリボンつけたクマがものの数分で超かっこよくなってんだよ)」

P「ん、そうだね。個性的でいいと思うよ」

まこと「かわいいですか?」

P「うん。このクマの目とか、可愛いんじゃないかな?うん」

まこと「へへっ、やーりぃ!みてゆきほー!せんせいがかわいいって!」

まこと「せんせい!」

P「どうした?」

まこと「とうまが、このえ、かっこいいって…」

はるか「いじめちゃだめっていったのにー」

P「(むしろ褒めてると思うんだけど)あー、うん、仕方ない仕方ない。泣くな泣くな」

まこと「ボク…かわいくないですか?」

P「そんなことないさ」

P「真ちゃんは確かに足速いし、優しいからかっこいいと思うところもある」

P「でも、さっきの絵だって可愛かったし、他にも可愛いところがいっぱいあると思うんだ」

P「真ちゃんは可愛くなりたいんだろ?」

まこと「はい…」

P「可愛くなりたいってずっとお願いしてたら、ある日神様が真ちゃんを世界一可愛くしてくれるかもしれないぞ?」

まこと「せかいいち…せかいいちかぁ…えへへ」

あみ「とつげきー!」

まみ「たぁー!」

P「グホォ!?」

P「なんだ双子か」

あみ「ねぇせんせい、今からせんせいにラクガキしていい?」

P「お願いします」

まみ「よっしゃー!」

小鳥「皆!そろそろお片づけしてー」

いおり「またおそかったらしょうちしないわよ!」

ゆきほ「いおりちゃんがさきにいってもいいよ…」

いおり「わたしはねんしょうだからあとなの!」


あみ「そんなルールないよ」

まみ「ね」

あみ「いおりん、さきにいかせてもらいなよ」

まみ「そだよー、おかたづけはやいひとからやったほうがいいじゃん」

P「そうだぞいおりん、ゆきほちゃんもゆずってくれてるんだから」

いおり「アンタまでいおりんっていうんじゃないわよ!」

いおり「とにかくゆきほからいきなさい!」

P「どうしてそんなに先に行かせたがるんだ?将来有望だぞ?」

いおり「べつにいいじゃない!わたしはゆきほがちゃんとおかたづけできるかみてくるわ!」

P「あ~、分かったぞ~」

P「いおりんお片づけの仕方分からないんだろ~。だからゆっくりの雪歩ちゃんを見て真似しようとしてるんだ~」

いおり「ちがうわよっ!」

P「じゃあ先に行きなよ~」

いおり「う…わ、わかったわよ!」


いおり「いやぁ!!おみずかかっちゃった!」

いおり「パレットきれいにならないじゃない!」

P「やっぱり…」

P「どれどれ、貸してご覧」

いおり「あっ…」

P「まず水が跳ねても服にかからないように少し傾けるんだ」

P「そしてパレットに付いた絵の具を落とすには筆を使って…こう」

P「ほら、簡単だからやってみな?」

いおり「で、できるわよ!いわれなくたって…」

P「まあ…頑張れ…」

いおり「ねぇ…」

P「ん?」

いおり「これ、けっこうじかんかかるわね」

P「分かってくれたか?」

いおり「ゆきほにあやまるわ」

P「よしよし、それでいいんだいおりん」

いおり「だからアンタまでいおりんって言わないで」

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ーーーーー

いおり「ゆきほ…」

ゆきほ「どっ、どうしたの?」

いおり「かたづけがおそいとかいって…ごめんなさい」

ゆきほ「ううん、わかってくれたならいいの」

いおり「ゆきほ…」

いおり「アンタも…ありがと…」

いおり「アンタのおかげでゆきほとなかなおりできたわ」

P「いや、俺は何もしてないよ。いおりんが勇気出して謝ったんじゃないか」

いおり「と、とくべつに…いおりんってよんでもいいわよ!」

P「わかった、そうするよ。いおりん」

小鳥「お片づけが終わったらお弁当の用意してねー」


やよい「せんせー!きょうはわたしたちといっしょにたべましょう!」

やよい「いおりちゃんとひびきちゃんとゆきほちゃんとまことちゃんがいっしょですー!」

P「うん、それじゃあ一緒に食べようかな」

やよい「こっちです!」


まこと「あっ、せんせい!」

いおり「アンタもいっしょにたべるの?」

P「イヤか?」

いおり「いやじゃないわよ。わたしのとなりあいてるわ」

P「おっ、いおりんの横か!いいねぇ」

ひびき「じぶんもとなりだぞ!よろしくね、せんせい」

P「おっ、こっちは響ちゃんか。よろしく」

ひびき「せんせぇゴーヤすき?」

P「まあ基本的になんでも食べるからゴーヤも食べるけど」

ひびき「ゴーヤチャンプルあげる」

P「おっ、ありがとう」

P「いただきます」

P「うん、あんまり苦くなくてうまい!」

ひびき「ホント!?よかったぁ」

P「響ちゃんのお母さんはお料理上手なんだな」

ひびき「ちがうぞ、これじぶんでつくったんだ」

P「え?ああ!お手伝いして偉いなぁ!」

ひびき「じぶんひとりぐらしだぞ」

P「は?」

ひびき「そうじとかせんたくとか、ごはんつくるのもひとり」

ひびき「たまにたかねといっしょだけどね!たかねもひとりぐらしだから」

P「幼稚園児にしてすでにスキルレベルが俺より上とは…」

ひびき「だからあそんでるひまもないし…ちょっとつまんないんだ」

P「響ちゃん…」

P「いい子だ!君は天使だ!」

P「家での暮らしをなんとかしてあげることはできない」

P「でも、幼稚園ではとにかく遊ぶんだ!とにかく楽しむんだ!」

P「俺も響ちゃんの幼稚園生活がもっと楽しくなるように仕事頑張る!」

響「あ、ありがとうせんせい!!」

やよい「せんせぇ、よかったらわたしのおべんとうもたべてみてくださいー!」

P「ん?もやし炒めか」

やよい「わたしもまいにちおべんとうつくってるんですー」

P「この幼稚園ハイスペック過ぎるだろ。園児が」

P「どれどれ…いただきまーす」

やよい「どうですか?」

P「おお、うまいよ!このソースの味が天下一品だよ!」

やよい「ほんとうですか!?ありがとうございますー!」

P「いやー、うまかった!ごちそうさまー!」

P「さて、皆お昼休みはなにするんだい?」

やよい「わたしはいおりちゃんとおすなばあそびですー!」

まこと「ボクはゆきほたちとおままごと!」

ひびき「じぶんはみきとおひるねするぞ」

P「美希…星井美希ちゃんか」

ひびき「そうだけど」

P「ひびきちゃん、ちょっとお昼寝は一人でしてもらってもいいかな?」

ひびき「えー!じゃああみたちとおえかきしよう」

P「ありがとうな、ひびきちゃん」

みき「あふぅ…」

P「おーい美希ちゃん」

みき「うん?ミキねむいからあとにしてね」

P「君にお願いがあるんだ。聞いてくれ」

みき「おねがい?なぁに…?」

P「実は俺は君のお父さんと知り合いなんだ」

みき「パパママがじこにあってもしらないひとのくるまにのっちゃいけないの」

P「さすが星井…よくしつけてある!…ってそうじゃなくて」

P「君のお父さんは警察だよな?」

みき「ケーサツじゃなくておまわりさんなの」

P「(コイツメンドくせぇ)」

P「警察もお巡りさんも同じだから聞いてくれ」

みき「せんせいこそミキのはなしをきいてほしいの。あとにしてっていったのに」

P「じゃあ後にするよ…おやすみ」

みき「おやすみなさいなのー」

P「……」

みき「……」

みき「きになってねむれないからやっぱりきくの」

P「(メンドくせぇ…)」

P「実は俺も昔はお巡りさんだったんだ」

みき「しってるの。パパからきいたの」

P「それで…」

みき「パパはせんせいにおまわりさんにもどってほしいっていってたの」

みき「きのうだって、せんせいあずさのことたすけにいったんだよね?」

みき「ミキもせんせいがおまわりさんならあんしんだっておもうな!」

P「簡単に言うなよ……。安心を守れない警察がどこにいるってんだよぉ!!」

みき「ひっ……」

P「あ…、ごめんな…。怖かったよな…?」

みき「ごめんなさいなの…」

小鳥「ど、どうしたんですか!?急に大声なんて…って美希ちゃん!?」

小鳥「P先生…美希ちゃんが何か…?」

P「いえ、なんでもないんです…すみません」

P「ごめんな…美希ちゃんも…。驚かせて…ごめん」

みき「……」

小鳥「P先生…美希ちゃん…」

小鳥「あら、もうこんな時間!」

小鳥「みんなー、もうすぐバスが来るから中に入って待ちましょうねー!」

ーーーーーーー

ーーーーー

P「はぁ…何やってるんだか…俺」

小鳥「あの…P先生…?」

P「ああ、音無先生。何か用ですか?」

小鳥「はい。園長先生がお呼びです」

高木「すまんね、呼び出したりして」

P「いえ…。それで、何のご用でしょうか?」

高木「今朝…音無くんと、如月優君のことについて話していたそうだね」

P「はい…」

高木「彼はね…事故で亡くなったわけではないんだ」

高木「彼は…何者かによって殺されたんだよ…」

P「…それって……」

高木「何か心当たりがあるのかい?」

P「はい…。もしかしたら…」

P「俺がその事件に関わっていたかもしれません」

高木「かも知れないとはどういうことかね?自分のことだろう?」

P「ある時、俺が追っていた犯人が人質をとったんです…。小さい男の子だったそうです」

P「俺は犯人が立て籠っていたビルの前に立っていました」

P「そしたらいきなり撃たれて、意識不明の重傷を負いました」

P「その後は聞いた話ですが、人質は殺され、犯人も逃亡。警察はなんの役にも立たなかったという話でした」

高木「その人質が優君だと言うのかい?」

P「ええ…恐らく…」

高木「余計なことは考えなくていい」

高木「君は園児一人一人の安全を守ってくれればいい」

高木「君なら出来る…。私も音無君も全力でサポートしよう」

P「俺は…そんなに大した人間じゃないですよ」

高木「人間誰でも限界があるさ…」

高木「君は…最後の希望なんだ…」

P「(希望?俺が?)」

P「(俺に期待するのは止めろよ……)」

小鳥「おはようございます」

P「あ、音無先生、おはようございます」

小鳥「あらP先生、早いんですね」

P「昨日終わらなかった仕事があったので…」

小鳥「そうですか」

小鳥「それより今日は遠足ですよ!」

P「そうですね…」

小鳥「今日はバスがいつもより早く着きます」

P「ええっ!?そういうことは早めに言ってくださいよ!」

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