まどか「さやかちゃんって、いつもその髪留めしてるよね」(164)

とある魔女結界―――

さやか「てやっ!」ザシュッ

魔女「―――」ブゥンッ!

さやか「っと!」ヒラリ

バチンッ

さやか「え?」ワサワサ

さやか「あ、あああぁぁぁ!!あたしの髪留めがあああ!!?」

魔女「―――」

さやか「くそっ、先に魔女を倒してから……っ!」ズバンッ

魔女「!!」ボロボロ…

さやか「結界が崩れる前に回収回収……っと」ヒョイ

さやか「ふぅ……」スタッ

まどか「あっ、さやかちゃん!大丈夫だった?」

さやか「うん、あたしは大丈夫。ただ……」

まどか「?」

さやか「あたしの髪留めが……」

ボロッ

まどか「あー……ポッキリ行っちゃてる……」

さやか「くそー……ちょっと油断したなぁ……」

ほう

まどか「もう、それじゃ使えないんじゃないかな?」

さやか「いや、直す」

まどか「え、直すの!?」

さやか「うん、直す」

まどか「新しいの買った方がいいんじゃないかなぁ……」

さやか「いや、直す!」

まどか「うーん……まぁ、さやかちゃんがそれでいいならなにも言わないけど……」

期待

ほうほう

さやか「手で直すのは無理っぽいかなぁ……」

まどか「さやかちゃんって、いつもその髪留めしてるよね」

さやか「え?うん、まぁね」

まどか「そんなに大事な物なの?」

さやか「うん。すっごい大事な物」

まどか「誰かからの贈り物とか?」

さやか「ま、まぁ、ね」

まどか「わたしと知り合った時には既に持ってたよね」

さやか「あたしの思い出の物だからね」

まどか「ふーん……」

魔法少女姿では髪留めしてないよね?

>>8
そんなことはいいんだ重要なことじゃない

夜、さやかの部屋―――

さやか「んー……」イソイソ

さやか「よ、よし。これでとりあえずは……」パチンッ

さやか「ちょっと形が歪になっちゃったけど……まぁ、いいかな」

さやか「はぁ……ヘコむなぁ……」

さやか「昔っからずーっと大事にしてたのに……」

さやか「……恭介……」

書き溜めっぽいので、さやかがレズにならないことを期待しつつ支援

恭介『さやか、誕生日おめでとう』

さやか『ありがとー、恭介』

恭介『はい、誕生日プレゼント』

さやか『うわぁ、ありがとう!開けていい?』

恭介『うん、いいよ』

さやか『なんだろう……』ガサガサ

さやか『……髪留め?』

恭介『うん。僕一人で、何がいいかなって決めたんだ』

さやか『あ、ありがとう恭介!』

いい書き貯めだ

さやさや

恭介『付けてみてよ』

さやか『う、うん!』パチンッ

さやか『ど、どう……かな?』

恭介『すっごい似合ってるよ!僕の予想通り!いや、それ以上かも!』

さやか『えへへ……あたし、可愛い?』

恭介『可愛い!さやかの髪色に、よく合ってるね!』

さやか『これ、一生大事にするね!』

恭介『あはは、そんなに大事にするような物でもないと思うけどね』

さやか『ううん!恭介からのプレゼントだもん、一生大事にする!』

さやかわいい

恭介『そこまで喜んでくれて、僕も嬉しいよ!』

さやか『将来、誰かと結婚する時もこれ付けていたいなぁ』

恭介『結婚って……どれだけ未来の話をしてるのさ?』

さやか『女の子は、みんなそういう夢を持ってるの!』

恭介『……うーん、将来さやかと結婚する人ってどんな人かなぁ?』

さやか『もうね、心に決めた人はいるんだよ?』

恭介『そうなの!?それじゃあ、言う程遠い未来ってわけでもないんだね。で、誰なの?』

さやか『あはは、教えなーい!』

恭介『えー、いいじゃないか教えてくれたって』

さやか『絶対に教えないもん!あたしたちがもっと大きくなったら、恭介にも教えてあげる!』

恭介『約束だよ、さやか?』

さやか『うん。約束』

これで気づかない恭介をはっ倒したい

さやか「……懐かしいなぁ。恭介、あの時の約束、まだ覚えてるのかな」

さやか「でも、もう、それも無理かな。恭介には……」

さやか「ううん、いいや!考えないようにしないと!」

さやか「……っ、ふわぁぁ~……そろそろ寝ようっと」カチカチ

さやか「この髪留めもちゃんと外して……っと」パチンッ

さやか「………おやすみ、恭介」

さやさや……

翌日―――

さやか「行ってきまーす!」タッタッタ


さやか「おはよう、まどか、仁美!」

まどか「おはよう、さやかちゃん!」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「んじゃ、行こっか!」


まどか「さやかちゃん、髪留め、直したんだね」

さやか「うん、昨日家に帰ってからね」

仁美「髪留めですの?……あら、形が歪んでいますわ」

さやか「あー、昨日、ちょっとあってね」

仁美「それをわざわざ直したんですの?」

さやか「そうだよ」

仁美「新しいのを買えばよろしいのに……」

これはもしや…

さやか「そういうわけにもいかないんだなー、これが」

仁美「?」

さやか「なんて言うか、長年愛用してたものだから愛着が湧いてんのよ」

仁美「そうですの。物を大事にするというのはいいことだと思いますわ」

さやか「あっはは、まぁねー」

まどか(昨日は思い出の物って言ってたのに、仁美ちゃんにはその事は言わないんだ?)ヒソヒソ

さやか(その事は伏せといて、まどか)ヒソヒソ

まどか(う、うん……)ヒソヒソ

仁美「パンが無いならケーキを食べればいいのですわ」

仁美「あっ……」

さやか「おっ、あそこに見えるは恭介だね」

仁美「……」

まどか「仁美ちゃん?」

仁美「な、なんですの?」

さやか「あー、あたしには気を遣わなくっていいって。恭介んとこ、行ってあげなよ」

仁美「……すみません」タッ


仁美「―――」

恭介「―――」


さやか「はぁ……世話の焼ける二人だこと」

まどか「さやかちゃん……」

もうここから見るのキツいな…

実はメンタル崩壊寸前可愛い

学校―――

さやか「おはよ、ほむら」

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「おはよう二人とも……あら、さやか?」

さやか「ん、なに?」

ほむら「髪留め……」

さやか「うーん……やっぱり目立つのかなぁ、これ?」

ほむら「あら、気付いてたのね」

さやか「どういう意味?」

ほむら「てっきり歪んでいるのに気付かずに付けているのかと思ったわ」

さやか「失礼なっ!」

ほむら「そう言えば、今週の日曜はさやかの誕生日だったわね」

さやか「え、うん。覚えてたんだ」

ほむら「一応、ね」

まどか「さやかちゃんの誕生日パーティ、やらないとね!」

さやか「あ、ありがとう二人とも……」

ほむら「わたし達だけじゃないわ。マミも杏子も、すっかりその気よ?」

さやか「本当に?いやぁ、なんか気恥ずかしいですなぁ」

ほむら「当日はマミの家でやるってマミが張り切っていたから、気付いていないフリをしてあげなさいよ?」

さやか「なんでそう言うことばらすかな!それならサプライズの方が嬉しいのに!」

ほむら「あなたを喜ばせるのはわたしのポリシーに反するわ」

さやか「相変わらずですねぇほむらさんは……」

はりきりまみまみ

仁美「そういえば恭介さん、今週の日曜は何か用事ありますの?」

恭介「日曜?ごめん、その日は外せない用事があるんだ」

仁美「そうですの?」

恭介「何かあったかい?」

仁美「いえ、用事があるのならいいんですの」

恭介「ゴメンね、仁美さん」

仁美「ちなみに、どんな用事ですの?」

恭介「ちょっと、ね」

仁美(さやかさんの誕生日に、わたくしには話せない用事……)

仁美(………ちょっと、悔しいですわね)

かみかみ?

わさわさ

数日後、さやかの誕生日当日―――

マミ「みんな、準備は終わった?」

杏子「最終確認だ!」

まどか「お部屋の飾りつけ、よし!」

ほむら「お祝いのケーキ、よし」

マミ「クラッカー、準備OK!」

杏子「うしっ、完璧だな!んじゃ、さやかをお出迎えに行くとするか!」

マミ「美樹さん、家にいるのかしら?ここまで準備しておいて、美樹さんが用事あるなんてことになったら目も当てられないわ」

ほむら「心配することはないと思うわよ、マミ」

マミ「そうかしら?」

ほむら「ええ」(事前に話はつけてあるもの)

ほむらちゃんは友達思いだなぁ!

クラッカーには苦い思い出がある

あんあん!

まどか「それじゃ、杏子ちゃん、行こう!」

杏子「おう!マミとほむらは、留守番な!」

マミ「ええ、わかっているわ。お出迎え、よろしくね」

ほむら「待っている間、暇すぎてクラッカーを全て使いきってしまうかもしれないわね」

まどか「だ、ダメダメほむらちゃん!」

ほむら「ふふ、流石にそれは冗談よ」

杏子「ほら、行くぞまどかー!」

まどか「あっ、待ってよ杏子ちゃーん!」タッタッタ

マミ「うふふ、美樹さん驚くかしら?」

ほむら「きっと驚くわ。反応が楽しみね」(さやかのリアクションが楽しみ、という意味なのだけれど)

数十分後、マミの家―――

杏子「ほれ、さやか」

まどか「今日の主役はさやかちゃんだよ!」

さやか「あはは、なんか照れるなー」

ガチャ

マミ「いらっしゃい、美樹さん!」パァァン!

ほむら「クラッカー、ちゃんと残しておいてあげたわよ」パァァン!

QB「マミの家に来たのは間違いだった……どうして僕までクラッカーを鳴らさなきゃダメなんだ」パァァン!

さやか「おぉう!?クラッカーまで用意してくれたの!?いやーさやかちゃんは幸せものですなー!」

ほむら「……」(ちっ、無難にこなしたか)

フライングもしけってもいない…だと?

ちっ

マミ「えーコホン。それじゃ、改めまして……」

マミ「美樹さん、お誕生日おめでとう!」パァァン!

まどか「おめでとう、さやかちゃん!」パァァン!

杏子「おめでとう、さやか!」パァァン!

ほむら「一応わたしも言っておくわ。おめでとう、さやか」パァァン

QB「おめでとう、美樹さやか」パァァン

さやか「ありがとー、みんな!あと、キュゥべえ。こういう時くらい、もう少し嬉しそうに言ってくれてもいいんじゃない?」

QB「そんなことを言われてもね。クラッカーを鳴らすのだって僕にとっては重労働なんだよ?」

さやか「まぁ、体小さいしね……」

きゅっぷいきゅっぷい

マミ「はい、美樹さんの分のケーキ。チョコに文字入れしたのは……まぁ、誰か言わなくっても見ればわかるわね」

さやか「?」

『はっぴーばーすでー美樹さやか』

さやか「………ほむら」

ほむら「なにかしら?」

さやか「バレバレですよこれ」

ほむら「あなたの為にわざわざやってあげたのだから感謝なさい」

さやか「いや、いくらなんでもフルネーム書きにひらがなで『はっぴーばーすでー』って……」

まどか「ほむらちゃんなりの照れ隠しだと思えばいいんだよ、さやかちゃん」

ほむら「ちょっ、まどか!?」

さやか「ほほう?そう考えると、なんだか急に可愛げが出て来たように見えますなぁ?」

ほむら「くっ……」

杏子「素直じゃねぇなぁほむらは」

てれてれほむほむ

恭介の家―――

プルルルル プルルルル ガチャ

恭介「……あっ、もしもし。上条恭介です。はい。さやか、いますか?」

恭介「え、いない?友達の家にお呼ばれして行ってる……ですか」

恭介「はい、はい……わかりました」

恭介「うーん……さやか、忘れてるのかなぁ……」

恭介「携帯に電話、入れてみよう」

ピ ポ パ プルルルル プルルルル……

忘れてるぅぅぅ!?!?!

プルルルル プルルルル

さやか「うーん、相変わらずマミさんの作ったケーキは美味ですなぁ♪」

マミ「美樹さん、すっかりご機嫌ね」

さやか「あっはは、そりゃお祝いされちゃったらご機嫌になりますよ!」

杏子「チョコは食わねぇのか?」

さやか「ん、これは最後のおたのしみに取っておくのだ!」

ほむら「そんなことせず、ひと思いに食べてしまいなさい」

さやか「ん?んん?恥ずかしいのですかな?これを残しておくのが」ニヤニヤ

ほむら「そっ、そんなわけないでしょう?」

まどか「じゃあ、そのまま残しておいても問題ないよね!」

ほむら「まどかぁ……」

QB(なんだか話しかけにくいな。さやかの電話、鳴っているのだけど)

プルルルル プルルルル……

QB(おや、止まったね)

うむ

ほむらちゃんやわ~

ここまで嫌がらせ計算済みなのだとしたらほむら…恐ろしい子!

恭介「携帯にも繋がらない……」

恭介「女の子同士、楽しくパーティやってるのかな」

恭介「もしそうなら、邪魔しちゃ悪いな。まぁ、何も今日じゃなくってもいいか」

恭介「………誕生日プレゼント、出来るなら今日渡したかったけど……」

恭介「数日くらい、遅れても問題ないか。約束も、その時に一緒にしちゃえばいいし」

恭介「急に暇になっちゃったな。仁美さんのお誘いも断っちゃったし」

恭介「……ヴァイオリンの練習でもしてよう」

………~~♪

かみぃ……

じょうぉ……

夕方―――

さやか「それじゃマミさん、ごちそうさまでした!」

マミ「いいのよ、気にしないで。みんな、気をつけて帰ってね?」

まどか「はい!マミさん、また明日!」

杏子「腹減ったらマミんとこお邪魔するわ~」

マミ「もう、佐倉さんったら……」

バタン

マミ「さて、と……後片付けしなくっちゃ」

QB「誕生会、終わったんだね」

マミ「あら、キュゥべえ。途中でいなくなったと思っていたけれど、どこに行っていたの?」

QB「僕がいちゃお邪魔かな、と思ってね」

マミ「そんなことないのに…」

シエン

QB「ところで、さやかは携帯に気付いたのかい?」

マミ「携帯?」

QB「さっき、みんなで騒いでいた時に鳴っていたのだけれど」

マミ「そうなの?多分、気付いていないと思うけど……相手の名前、表示されていたわよね?それは見たの?」

QB「確か『上条恭介』と表示されていたはずだね」

マミ「!?」

QB「さやかが契約する時に助けた男の名前だったっけ?」

マミ「ほ、本当に!?なんで教えてあげないのよ、キュゥべえ!」

QB「みんな楽しそうにしていたからね。話しかけにくい雰囲気だったからだよ」

マミ「ああ、大変だわ……美樹さんの恋路がかかっていたのかもしれないと思うと……」オロオロ

QB「大事なのかい?」

マミ「そうに決まっているでしょう!?女の子にとって、とっても大事なの!」

QB「僕にはちょっと理解できないけれど……だとしたら、悪い事をしてしまったかな」

おろおろまみまみ

帰り道―――

さやか「……ん。着信あり?誰からだろ」ピッ

まどか「誰かから電話あったの?」

さやか「………」ピタッ

まどか「さやかちゃん?」

さやか「……恭介からだ」

まどか「上条くんから?」

さやか(あれ、なんだろう。何か、大事なことを忘れてるような……っ!!)

さやさや?

さやか「ゴメン、まどか!先に帰ってて!」タッ

まどか「さ、さやかちゃん!?」

さやか「大事な用事を思い出したの!」タッタッタッ

まどか「………行っちゃった」

まどか(そう言えばさやかちゃん、毎年誕生日は上条くんのヴァイオリンを聴かせてもらってたんだっけ)

まどか(去年は事故でそれがなかったみたいだけど……一年、間が空いたから、さやかちゃんも忘れてたのかな?)

まどか(…………それだけが理由じゃ、ないのかも)

さやさや

さやか「はっ、はっ、はっ……!」タッタッタッ

さやか(なんで、こんな大事なことを……あたしのバカっ!)タッタッタッ

さやか(恭介にはもう恋人がいるとか、そんなこと恭介はなんも考えてなかったんだ!)タッタッタッ

さやか(この髪留めの約束のこと覚えてるかななんて、人の事言えないじゃん!)タッタッタッ

さやか(恭介、家にいるのかな……っ!)タッタッタッ……スタスタ

さやか「……電話、してみようかな」

恭介『誕生日おめでとう、さやか』

さやか『ありがと、恭介』

恭介『今年からは、毎年僕のヴァイオリンの演奏を聴かせてあげるよ』

さやか『えっ、いいの!?』

恭介『大切な僕の幼馴染だからね。さやかの為だけの、単独コンサート』

さやか『やった!それじゃ、早速演奏してよ!』

恭介『うん。今日のお客さんは、さやか一人だけ』

~~♪

さやか『嬉しいなぁ、なんかあたし、恭介の特別になったみたい』

恭介『……』~♪

オクタヴィアちゃんも中身はちゃんと髪留めしてるからね

~~♪ ~~……

恭介『……はい、おしまい』

さやか『すっごい!なんか、日に日に上達してるね!』

恭介『そりゃあ、毎日のようにヴァイオリンの練習してるからね。上達してなかったら僕が落ち込むよ』

さやか『そっか、それもそうだよね!』

恭介『その髪留め、大事に使ってくれてるんだね』

さやか『えへへ、うん!大事に使わせてもらってます!』

恭介『その髪留めが、僕とさやかの絆の証、だね』

さやか『これがなくっても、あたしと恭介にはしっかりと絆があるもん!』

恭介『あはは、なんか照れるな』

もう付き合ってるのか

上条はSSだと優遇されているな

それがさやかちゃんの幸せなら、甘んじて受け入れよう

恭介『そういえばさ』

さやか『なに?』

恭介『さやかが心に決めた人の話、まだ聞かせてもらってなかったね』

さやか『え?あ、あぁ……覚えてたんだ』

恭介『僕の方から言い出したことだもん、忘れるわけないよ』

さやか『ふんふん。それじゃ、あたしと恭介が中学に上がった時の最初の単独コンサートの時に、恭介がまだ覚えてたら教えてあげる!』

恭介『よし、わかった。それまで、絶対に僕は覚えてるからね?』

さやか『ちゃんと恭介が覚えてるかどうか確認出来ないから、恭介の方から聞いて来ること!』

恭介『その心配は無いよ。僕が、忘れるわけはないからね』

さやか『……期待して、待ってるから』

うわぁ……

公開処刑ってレベルじゃない

まどさや派の俺でもこれはさや恭を応援せざるを得ない

さやか「………そうだよ」

さやか「恭介が、忘れるわけ、ないって言ってたんだ」

さやか「なのに、あたしの方がそれを忘れてて……」

さやか「………恭介……」

プルルルル プルルルル

さやか「!」

プルルルル プルルルル

さやか「恭介から……」

プルルルル プルルルル ピッ

さやか「も、もしもし……?」

恭介『あっ、さやか?やっと繋がった』

さやさや

さやか「恭介……」

恭介『話は、直接会ってしよう?さやか、今どこにいるの?』

さやか「……公園前」

恭介『それじゃ、今から僕の家まで来れる?何か用事、あるかな』

さやか「う、ううんっ!あたしも、ちょうど恭介の家に行こうって思ってたところ」

恭介『そうなの?それじゃ、家の前で待ってるよ』

さやか「うん……すぐ、行くから」

恭介『了解。それじゃね』ガチャ

さやか「………」

さやか(恭介……あたしは………)

>>40
例のSS思い出した

恭介の家・正面―――

恭介「………」

さやか(深呼吸、深呼吸……)スー ハー スー ハー

さやか(よ、よしっ!)タッ

さやか「お、お待たせ恭介」

恭介「ん、いらっしゃいさやか」

恭介の部屋―――

恭介「まずは、っと……」コトッ

さやか「……」

恭介「誕生日、おめでとう、さやか」

さやか「あ、ありがとう恭介」

恭介「……約束、覚えてる?」

さやか「う、うん、覚えてるよ」

恭介「よかった。僕一人だけ覚えてたらどうしようって思ってたけど、いらない心配だったみたいだね」

さやか「あ、あははっ…」(さっき思いだしたとは言わないでおこう)

恭介「とりあえずは、去年出来なかった単独コンサートから、だね」

さやか「うん……」

恭介「………」…~~♪

さやか(相変わらず、上手だなぁ…長いブランクを感じさせないし。やっぱり、才能、なのかな)

恭介「………」~~~♪

さやか(楽しそうに演奏してる……うん、よかった。またこうやって、恭介の演奏が聴けて……)

この後が本当の地獄だ…

~~……♪

恭介「……ん、おしまい」

さやか「うん、よかったよ」パチパチ

恭介「ありがとう、さやか」

さやか「これなら、世界にも通用しそうだよね!」

恭介「あはは、まだまだだよ、僕の演奏は。……でも、いずれは、そうだね。僕の演奏を、世界中の人に聴いてもらいたいかな」

さやか「うん……」

恭介「……さやか」

さやか「な、何?」

恭介「未だに、その髪留め、使ってくれてるんだね」

さやか「そりゃあ、もう。あたしと恭介の……」

恭介「『絆の証』……だよね?」

さやか「っ…」コク

恭介「それと、もうひとつ」

さやか「え?」

恭介「僕なりに、色々と考えたんだよ。去年の埋め合わせ、ってわけじゃないけどさ」コトッ

さやか「……これ、は……?」

恭介「誕生日プレゼント。開けてみてよ」

さやか「……っ」シュルル

さやか「……!こ、これ……」

恭介「その髪留め、ちょっと歪んでるよね?それに気付いたから、新しいのを買ったんだ」

さやか「デザインが、似てる……」

恭介「似てる奴探すの、苦労したんだよ?」

さやか「気付いてたんだ、この髪留めの事……」

恭介「当然だろ?僕がプレゼントした物なんだしさ」

もうやめて!さやかちゃんのソウルジェムはもう罅入ってるよ!

恭介「付けてみてよ、さやか」

さやか「……」パチンッ

パチッ パチッ

さやか「どう、かな?」

恭介「うん、大丈夫!似合ってるよ、さやか」

さやか「………っ」

恭介「……さやか?」

さやか「ダメ、だよ恭介……」

恭介「え……?」

さやか「恭介には…………が、いるんだから」

恭介「……?」

さやさや?

つれぇ……

さやか「仁美に、悪いよ……」

恭介「仁美さん?」

さやか「いくらあたしが幼馴染だからって……これは、その……」

恭介「…………なんか、すごい思い違いしてない?さやか」

さやか「え……?」

恭介「僕と仁美さんが、付き合ってるって思ってるでしょ?」

さやか「そうじゃ、ないの?」

恭介「うーん……仁美さんに黙ってこんなこと言っていいものかわからないんだけどさ……」

恭介「僕と仁美さん、付き合ってるわけじゃないよ?」

さやか「……え、え?」

さやかちゃんの恋心が再起動しました

来たか…!

なん…だと!?

ちんこ脱いだ

はよ

よし!

恭介「いや、あの……そりゃ、仁美さんに告白はされた、けどさ……」

さやか「ちょ、ちょっ!ストップストップ!」

恭介「……」

さやか「え?なんで?だって、いっつも二人で歩いてるし、いつの間にか二人とも下の名前で呼び合ってるじゃん!」

恭介「いや、あの……」

さやか「それなのに付き合ってないっての?」

恭介「まぁ、一応、そういうこと、に、なる、の、かなぁ?」

さやか「詳しく話せ!あたしが納得するまでっ!!」

恭介「わかった、わかったから落ち着いて!ちゃんと全部話すからっ!」

かみかみ?

恭介「仁美さんとはカラダだけの付き合いしかないよ」

恭介「えっと……何から話せばいいのやら」

さやか「最初から、詳細にっ!」

恭介「なっ、なんでそんなに気にするんだよさやかはっ!?」

さやか「あたしと恭介は幼馴染でしょ!?なら、あたしは詳しく聞く権利があるっ!!」

恭介「いやいや、それは理屈になってないっ!」

さやか「この髪留めは、あたしと恭介の絆の証なんでしょ!?隠し事は無しっ!!」

恭介「っ……はぁ、わかったよ。確かに、仁美さんには告白された」

恭介「でも、今の僕はヴァイオリンに忙しいんだよ」

恭介「だから、付き合うとか、そういうのは無理だ、って断ったんだ」

恭介「その後、仁美さんは、お付き合いを前提に親密に接しますって言ってきて、さ……」

恭介「それまで断る理由はないし、友達なら、まぁ、いいかなって思ってさ」

    /\___/ヽ

   //~    ~\:::::\
  . |  (・)   (・)   .:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|   は?
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\

付け入る隙ができたよやったねさやちゃん!

ワカメだけにしつこく絡んできたってことかよ

明らか様子おかしくなってるさやかちゃんに拒否られたと報告しないとかワカメまじ狡猾

さやか「………」

恭介「今日も、仁美さんに誘いを受けたんだけどさ、断ったんだ」

恭介「毎年さやかの誕生日には、こうして僕のヴァイオリンを聴かせてただろ?」

恭介「去年はそれが出来なかったから、今年こそは、って思ってね」

さやか「なんで、仁美の誘いを断ったのさ?」

恭介「……いくら幼馴染の為とは言え、もし付き合ってたのなら僕だってそっちを優先させてるさ」

恭介「でも、僕たちは付き合ってない。だから、幼馴染であるさやかとの約束を優先させた」

恭介「……これで、納得、出来ない?」

さやか「恭介……」

恭介「って、これだとなんか僕が嫌な男みたいだね。でも、さやかとの約束を優先させたかった」

仁美「訊かれなかったからね」

>>101
ちょっとわろた

さやか「……そっか」

恭介「さて、と。それじゃ次は、さやかの番だ」

さやか「えっ?」

恭介「ホラ、この髪留めをプレゼントした時の約束」

さやか「………っ!!」

恭介「ホントなら去年だったんだろうけど、去年はこうしてお祝い出来なかったからね。今年に持ち越しになっちゃったけど」

恭介「さやかの心に決めた人、教えてよ?」

さやか「え、ええといやそれはホラあの……」アタフタ

恭介「ホラ、この髪留めは、僕とさやかの絆の証だろ?隠し事は無し、だ」

さやか「か、カウンターですか……」

うひょひょwwwwwwwwwwww

いっけぇぇ!さやかちゃん!!

さやさや!

ひとみんはまどほむが引き取るから問題ない

ガンバッテ!

恭介「ちょっと、イジワル、だったかな?」

さやか「………」

恭介「まぁ、こうして二人とも覚えてたんだしさ。僕だって、流石にそこまで鈍くは無いし」

さやか「恭介……」

恭介「ただ、僕の方からは絶対に言わない。自惚れになるだろうから、ね」

さやか「っ……」

恭介「さやかの口から、聞きたい」

さやか「………け」

恭介「え?」

さやか「あ、あたしの心に決めた人ってのは、その、か、上条……け……です」カァァァァ

もう結婚しちゃいなよウェヒヒ

いやっほおおおお!!

さやかあああああああああああああああああああああ

あんこちゃんが教会貸してくれるよ

恭介「んん?ごめんさやか、よく聞こえなかったよ」

さやか「~~~……もうっ!!そ、そんな、わかりきったこと、いちいち聞いてこないでよ恥ずかしい!」

恭介「ちょっ、え、なんで!?」

さやか「何さ!あんたは、あたしを恥ずかしがらせたいの!?」

恭介「いやいや、だって僕の口から言ったら絶対自惚れになるだろ!?」

さやか「天才ヴァイオリニストなら、自惚れのひとつやふたつ、どうってことない!!」

恭介「それはおかしいだろ!?絶対僕の方からは言わないからねっ!」

さやか「ひ、卑怯モノー!!」

恭介「第一、教えてくれるって約束したのはさやかの方じゃないか!!」

ワーワー ギャーギャー

何だろうさっきまで応援してたのにこのドス黒い感情は

やはりさや恭がいいです

ワカメ死ね
ワカメ滅びろ
ワカメとけろ

>>115
Welcome to Underground.

さやか「はぁっ……はぁっ……」

恭介「や、病み上がりにさやかとの言い合いはキツイっ……」

さやか「じ、自業自得!女の子から、そういうことは言わせないでよもうっ……」

恭介「あーもう……仕方ないな。自惚れだろうとなんだろうと知ったことか。言うよ、言うからね!?」

さやか「………っ、す、ストップ!」

恭介「なんだよ、結局止めるんじゃないか!」

さやか「こ、心の準備を……っ!」スー ハー スー ハー

さやか「よ、よしっ!オッケー!ドンと来いっ!」

恭介「あ、ゴメン。今度は僕の方の心の準備が」

さやか「ちょっ……はぁ……もういいよ……」

その頃ドアの向こうでは

ワカメさん曲者すぎワロタ

さやか「いい?あたしが心に決めた人ってのはね」」

恭介「問答無用なの!?ちょっ、待っ……」

さやか「上条恭介、って言う、天才ヴァイオリニストだよ」

恭介「おぉう……」

さやか「……こ、これで満足?」

恭介「胸がいっぱいです」

さやか「……なんか恭介、この状況楽しんでない?」

恭介「正直楽しんでました」

さやか「もうっ……あたしがどんだけ頭を悩ませたと思ってんのさ……」

恭介「だってさやか、からかいがいがあるんだもん」

さやか「普段からかわれるのはいいけど、こう言う時くらいはシリアスになってよ……」

恭介「あはは、ゴメンゴメン」

俺と

壁殴り代行はよ

さやさや

恭介「そっか、さやかが心に決めた人は、僕、か……」

さやか「いつから気付いてたの?」

恭介「うーん……確信が持てたのは、さやかも約束をしっかりと覚えてたって所辺りからかな」

さやか「ついさっきじゃん……」

恭介「そりゃあ、ね。考えてみれば、だいぶ昔に貰った髪留めを未だに大事にしてるなんて、普通に考えたらありえないな、って思ったし」

恭介「それに気付いたら、なんか、妙に気恥ずかしくなってさ」

恭介「それで、こういう感じになってしまいました、と」

さやか「他人事みたいに言って……で?」

恭介「はい?」

さやか「はい?じゃないよ。人に告白させといて、返事も無しなの?」

恭介「!?」

!!

!?

さやか「何驚いてんのさ?」

恭介「え?それ、今更答えなきゃダメ?」

さやか「自惚れになるからちゃんと返事聞かなきゃあたしも納得出来ませーん」

恭介「くっ、意趣返しのつもりかい……?」

さやか「ま、さっきの恭介の言ってた通りなら、返事はわかりきってるけどね」

恭介「え?」

さやか「『今の僕は、ヴァイオリンに忙しい』……だったっけ?」

恭介「………」

さやか「だから、あたしのこの気持ちも恭介には届かないわけで」

恭介「参ったな……」

なんか良さげだから最初から読むことにする

さやさや……

さやか「だから、あたしの答えは決まってるの」

恭介「………」

さやか「『これからは今まで以上に、距離を縮めるからね』……と」

恭介「さやかは、それでいいのかい……?」

さやか「何言ってんのさ。仁美にだって、そういう風にさせたわけだし。仁美とは付き合うの無理で、あたしとはオッケーなわけ?」

恭介「まぁ、理屈で言ったらそうなるんだけどさ……」

さやか「もし、ヴァイオリン以外のことを考える余裕が出来たらさ。その時、また、あたしは恭介にアタックするよ」

さやか「それまでは、あたしと恭介は、幼馴染」

ええこや

さやさや

さやか...

恭介「それが、さやかの答えなんだね」

さやか「そういうこと」

恭介「わかった。一人前になるまで、さやかにも、仁美さんにも、待ってもらうことにする」

さやか「あたしも仁美も、心変わりするかもしれないからね?頑張って、恭介」

恭介「……こう言う時は、なんて言ったらいいのかな?」

さやか「そりゃ、乙女を待たせるわけだし。『ゴメンね』、じゃない?」

恭介「………ゴメン」

さやか「ん!それだけ聞ければオッケー!」

さやさや

ワカメはいらない子

さや恭の安定感

さやか「ああ、後、この髪留めは恭介に返しておく」

恭介「え?」

さやか「ほら、今日貰った新しい髪留めがあるしさ。これを恭介の側に置いておけば、必要以上に頑張れるんじゃない?」

恭介「はは、ホントに参ったな……さやかには完敗だ」

さやか「今まで、仁美にはずいぶんとハンデを与えちゃったみたいだし。これくらいは、させてもらわないとね」

恭介「うん。大事に、預からせてもらいます」

さやか「ん!この新しい髪留め、大事に使うから」

恭介「そうしてくれると、僕も嬉しいかな」

気をつけろ!
男にとって都合の良いことを言う女に甘えると
いつかとんでもない目に遭うぞ!

ここまで来たらもうこれさやかちゃんの出来レースだよね

まあ元々さやかちゃんが勝手に離れてったのが失敗の元ですし

数日後、とある魔女結界―――

さやか「でいっ!」ブゥンッ!

ズバァァ!

魔女「……」ヒュッ

さやか「おっとっ!!」ヒョイ

さやか「っ……」クシャ

さやか(よかった、無事だ)

さやか「よくもあたしの大事な髪留めを狙ったな、この魔女め!!」チャキッ

ズバァァァァァン!!

魔女「っ!!」ボロボロ…

さやか「よっし、完勝!」スタッ

まどか「お疲れ様、さやかちゃん!」

さやか「にしても、なんでこう…誰も助けに来ないんですかねぇ?」

まどか「あはは、仕方ないよ。みんな、それぞれパトロールしてるんだし」

さやか「この新しい髪留めだけは絶対に死守せねば……!」

まどか「そう言えば、いつの間にか新しいのに変わってるね。結局、変えちゃったんだ?」

さやか「ん、まぁね」

まどか「前に付けてたのはどうしたの?」

さやか「ん?それはね……」

さやか「未来の為に、とある場所に置いて来たのだ!」



終わり

乙乙!最高だったよ!!

よかった

唐突に恭さやが書きたくなって書いた
後悔はしていない

乙っちまどまど!


安易にキスして終わったりしなかったのも良かった

やっぱりさやかちゃんが幸せだとぽかぽかする

ほら後日談は?

糞スレだったブス

お疲れ様でした
しかし結局ワカメは何を考えていたのか


ワカメ消えろ

ええ話や

乙だ

乙乙乙

乙でした

おまけ

数年後―――

「えー本日は、今や世界的に有名となった天才ヴァイオリニスト、上条恭介氏に来ていただいております」

「前回のコンサートも、大盛況でしたね」

恭介「ありがとうございます」

「今のお気持ちを、誰に伝えたいですか?」

恭介「そうですね……僕の大切な幼馴染に伝えたいですね」

「幼馴染ですか?恋人かなにか、ですか?」

恭介「はは……まだ、恋人ではないですけどね。でも、いつかは、結ばれたいと思っています」

ほむら「ほらさやか、あなたの想い人の晴れ姿よ?」

さやか「うっさい!恥ずかしくって直視なんて出来るか!!」


ホントに終わり

乙乙

良い終わり方だった!


ええ話や

乙乙乙

乙乙乙

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