P「プロデューサー争奪戦企画書……?」(334)

P「なんだこりゃ……?」

P「『プロデューサー』って俺か?」

P「いやいや、まさかな……」

P「新しい番組の企画書とか……それにしては手作りっぽい感じが……」

ガタッ!

P「はっ!? 殺気――がはっ!」

ドサッ!

??「……」

??「……ふふっ」ピヨッ

P「…………はっ!?」

P「ど、どこだここは?」

P「確か事務所で背後から誰かに殴られて……って! なんで俺、椅子にぐるぐる巻きにされてるんだ!?」

小鳥「ふふっ。お目覚めですか? プロデューサーさん」

P「小鳥さん!?」

小鳥「さーて。主賓が起きたところで! 早速、始めちゃいましょう!」

パンパカパーン!

小鳥「題して! 『765プロP争奪! アイドルガチンコ勝負』!!」

P「はあっ!? ちょ、小鳥さん? 一体、何の話を――」

小鳥「実況・進行役は、私、音無小鳥が務めさせていただきます!」

P「いや、だから、俺はなんで拘束されて――」

小鳥「会場は事務所近くのスタジアムを貸し切っております」

P「それ、誰に対する説明で――」

小鳥「今回はアイドルたちの超超超プレイベートな問題なので、メディアは完全シャットアウ――」

P「俺の話を聞けええええええ!」

小鳥「もうっ! 折角順調に進んでるのに……なんですか、プロデューサーさん?」

P「『なんですか』じゃないでしょう! まずは状況の説明を求めます!」

小鳥「面倒だから察してください。そもそも元凶はプロデューサーさんなんですからね?」

P「責任転嫁も甚だしい」

小鳥「プロデューサーさんが見境なく、本能のままにあっちに手を出し、こっちに手を出しするから――」

P「普通にアイドルたちに接していただけでしょう! それが俺の仕事ですよ!?」

小鳥「ふ~ん。仕事で年頃の女の子に指輪を買っちゃうんですかぁ」

P「うっ……」

小鳥「自宅で食事をおよばれされたり、プライベートで『お兄ちゃん』なんて呼ばせたりするのがお仕事ですか~」

小鳥「他のみんなには言えないから、って事務所でそれぞれから自慢される私の気持ちが分かりますか!?」

P「私が全ての原因です」

小鳥「分かればよろしい」

小鳥「さて。人呼んでフラグメイカー! 誠氏ねルートを爆走中のプロデューサーさん救済企画!」

P「その悪意のある評価はなんだ!?」

小鳥「『765プロP争奪! アイドルガチンコ勝負』! 選手入場です!」

ホンノササイナコトバニキズツイター

P「選手ってみんなうちの事務所の……ん? なんかもめてる?」

春香「ちょっと! 誰が指輪なんか買ってもらったの!?」

美希「一人だけずるいの! ミキもハニーから3か月分の指輪が欲しいの!」

雪穂「プロデューサーから指輪プロデューサーから指輪プロデューサーから指輪……」

律子「自宅にって……! それってもう一線を……!?」

貴音「困りました。私の古都に招くには少々時間が必要なのですが……」

真「ぼ、僕の家にも……あぁ~、でも父さんが……!」

伊織「誰よ! 『お兄ちゃん』なんて呼んでるのは!?」 

亜美「兄ちゃんって呼ぶのは亜美たちの特権だぞー!」

真美「そうだそうだー! 真美たちのあいでんててーを奪うなー!」

響 「自分だって妹キャラなんだから呼ぶ権利はあるはずだぞ!」


千早「……ふふっ」

あず「あらあら~」

やよ「うー///」

小鳥「ここでさくっとルール説明です」

P「だから、その解説って誰に向けてるんですか?」

小鳥「選手たちは各ブロックに分かれて真剣勝負を行い、最終的に勝利した1人が優勝です!」

小鳥「なお、選手には事前に1人1つずつ『自分が行いたい勝負方法』を提出してもらっています!」

小鳥「提出された勝負方法が書かれた紙を箱の中に入れ、くじ引きで勝負方法を決定!」

小鳥「運も実力のうち! 何が出るかは神のみぞ知る!」

P「小鳥さん、ノリノリですねぇ」

小鳥「そして! 優勝者には『プロデューサーさんを自由にできる権利』を贈呈です!」

P「はああああっ!?」

小鳥「すでに社長の了解も得ているので、どんな命令でもOKですよ! ……はい、こちらが証拠です」

P「これって……俺が入社した時の契約書? 一通り読んだはずだけどそんな内容は……」

【最後に。プロデューサー業に就く者は身も心もアイドルたちの物となり、どんな無理難題にも応えなければならない】

P「明らかに最後付け足してるじゃねえか!?」

支援。

小鳥「それでは電光掲示板にご注目! 本日の対戦カードは……こちらです!」

1回戦:貴音 vs 伊織 vs 真美 vs 千早
2回戦:律子 vs 美希 vs あずさ
3回戦:春香 vs 亜美 vs やよい
4回戦:真 vs 雪穂 vs 響

P「小鳥さんは入ってないんですね」

小鳥「私は進行役ですからね。けど、報酬は貰う予定ですよ?」

P「報酬?」

小鳥「はい。今後、週1でプロデューサーさんを貸してもらえる契約になってます」

P「俺の人権はどこに……」

小鳥「一晩あれば既成事実なんて幾らでも作れますよね?」フフッ

~観覧席~

小鳥「では参りましょう! まずは1回戦!」

P「やっと自由になれた。けど、俺が何言っても止められないだろうなー」

小鳥「大盛り特盛りなんのその! 栄養分は全て胸部に! 食われる前に食ってやる! 銀色の王女――四条貴音!!」

貴音「ぷろでゅーさー。あなた様の身が1つである以上、それを手に入れられるものもまた1人」

貴音「ならば私は勝ちましょう。頂点となり、真の王女となり、あなた様を夫として古都へと連れ帰りましょう」

貴音「立ち塞がるものは全て蹴散らして……!」

小鳥「いきなりのプロポォォォォォズ!? 序盤から大胆発言!?」

P「相変わらず我が道を言ってるな、貴音は」

伊織「ちょっとちょっと! あんまり勝手なこと言わないでくれる!?」

小鳥「続いて! 今日も燦然、おデコがキラリ! あ、あんたのために光ってるんじゃないんだからね! ツンデレ王女――水瀬伊織!!」

貴音「伊織……」

伊織「あいつはこの伊織ちゃんのものよ!」

伊織「他の連中も勘違いしてるみたいだけど、あいつの主人はこのわ・た・し!」

伊織「あいつは一生、私の執事として働くっていう未来が決定してるんだから!」

伊織「どんな手を使ってでも手に入れるわ!」マネー

P「……伊織の執事って給料いいのかなぁ」ボソッ

P「転職かぁ……」ボソッ

小鳥「思春期まっさかり! おませなお姉ちゃんは最近色気もついてきた!? 765プロの小さな怪獣王女――双海真美!」

真美「んっふっふ~。兄ちゃんも真美のセクシーさでイチコロだよ!! 『あいがんぐ』にするって決めてるんだからね!」

P「ちょっと待て! どこでそんな言葉覚えた!?」

真美「事務所にある兄ちゃんのパソコーン」

P「……」

真美「履歴を見たら載ってたんだぜい!」

亜美「他にも『きんばく』とか『さんかくもくば』とかたくさんあったよー」

真「プロデューサー……それはちょっと」

雪穂「不潔ですぅ」

やよ「『あいがんぐー』ってなんですか~?」

小鳥「歌以外には興味なし! だけども今はPさんにメロメロ! どうしてこうなった!? 熱き氷の王女――如月千早!」

千早「め、メロメロなんかじゃありません!」

千早「こ、コホン! プロデューサーは私の恩人です」

千早「私の歌を認めて、私に翼をくれた人。この翼をもがれるわけにはいきません」

千早「勝って……一緒にアメリカで暮らしてもらいます!」

P「この歳になって英語の勉強かぁ」

あず「私が言うのもなんだけど、千早ちゃんも結構重いわよね~」


P「……」

春香「どうしたんですか、プロデューサーさん?」

P「前二人はいいとして……あとの二人は『王女』がちょっとこじつけじゃないか?」

律子「そこはスルーしてあげましょうよ」

雪歩な

>>24 ごめん、変換ミスった


小鳥「では、運命のくじ引きです! 1回戦の勝負は……これだあ!」

【胸囲の大きさ】

小鳥「勝者、四条貴音!」

伊真千『ちょっ』

貴音「ふふ。玉座に一歩近づきました」

P「誰一人として勝負にならねぇ」

律子「っていやいや! それってありなの!? 誰よあんなの書いたの!?」

あず「あらあらぁ。最初に引かれちゃいました~」

真「あずささん……」

響「本気で勝ちにいってるな、あずさ……」

小鳥「うーん。さすがに身体的特徴で決めてしまうのは可哀想なので、ここは仕切り直しで!」

伊真千『ほっ』

貴音「残念です」

小鳥「では改めて……これだぁ!」

【胸囲の小ささ】

小鳥「勝者、如月千早!」

真伊貴『ちょっ』

千早「……っ!」ガッツポーズ

P「あれ書いたの千早だろ」

美希「千早さんも必死なの~」

小鳥「えー……コホン。今度こそ仕切り直して……これだあ!」

P「まさかとは思うが【年齢の若さ】とか【髪の短さ】なんてものばっかりじゃないよな?」

【お菓子作り】

P「よりによってこの面子でそれかよ!?」

春香「ああ! 私が書いた奴!」

真「あーやっぱり」

響「ありきたりというか……」

美希「ひねりがないの」

春香「べ、別にいいでしょ! みんなだって自分の得意分野を書いてるはずでしょ!?」

貴音「お菓子……」

伊織「作り……」

真美「兄ちゃんのハートをビリビリにするようなものを作るぜぃ!」

千早「……」

P「……。……死亡フラグが立った気がする」

小鳥「制限時間は1時間。その間に【お菓子】を作る。ただそれだけ!」

小鳥「参考用にレシピ本もお渡しします!」

小鳥「ある程度の材料はこちらで準備しますが、自分で食材を追加するのも自由です!」

小鳥「判定は……」チラッ

P 「っ!」ビクッ

小鳥「賞品に判定してもらうのはさすがにあれなので。後ほど、第三者に行ってもらいます!」

P 「っしゃあ!」

貴伊真千『!』ムカッ

小鳥「では、早速スタート!」

貴音「四条貴音、参ります!」

伊織「返り討ちにしてあげるわ!」

真美「なにができるかお楽しみー!」

千早「くっ……」

貴音「ふむ。興味深い内容です。……『胃袋掴んで彼氏もゲットだぜ』? 面妖な」

貴音「困りました。殿方はどのようなお菓子を好むものなのでしょうか」

貴音「そういえば。以前食べたラーメン二十郎のアイスは真に美味でした」

貴音「ぷろでゅーさーも食した後、あまりの美味しさに言葉を失っていましたし……あれが殿方の好む味なのでしょうか?」

貴音「しかし、あれをそのまま作るのもインパクトにかけますね……」

貴音「ここは一つ、アレンジを加えてプリンにしてみましょう」

貴音「そうと決まれば――まずはスープ作りからですね! らぁめん作りならば得意です!」

貴音「楽しくなってきました。ふふふっ!」


響 「……貴音、どうして豚骨を刻んでるんだ?」

あず「あら~。美味しそうな匂いがしてきたわね~」

律子「確かに美味しそうですけど。これって明らかにラーメンの香りじゃ……」

伊織「……う。け、結構難しいのね、お菓子作りって」

伊織「それに種類もたくさんあるし……」

伊織「うぅ……あぁーもう! とにかく! 美味しければなんでもいいんでしょう!?」

伊織「新堂!」

新堂「はっ」

伊織「キャビア、トリュフ、フカヒレ……高級食材を片っ端から買ってきなさい!」

新堂「は……?」

伊織「高いものを使えば大抵のものは美味しく作れる……はずよ!」

新堂「……お菓子作り、でございますよね?」

伊織「文句あるの!?」

新堂「……いえ。すぐに買ってまいります」


やよ「プロデューサー。あの食材ってなんですか~? 私、見たことないです~」

真「ちょ、あれってフォアグラじゃない!?」

真美「ここでハチミと練乳を投入だー!」

真美「んっふっふ~。お菓子はやっぱり甘くなくちゃだよね!」

真美「甘過ぎて兄ちゃんのハートも溶けちゃうかもね!」

真美「でも、甘いだけだとインパクトにかける気がするな~。あずさお姉ちゃんみたいな目立つものが欲しいな~」

真美「パンチのある食べ物……」

真美「兄ちゃんがビックリする食べ物……」

真美「……」

真美「……梅干し?」


雪歩「あのぅ、どうして梅干しをつけた壺が材料の中に置いてあるんでしょうか?」

小鳥「意外性のある材料ってやっぱり必要でしょ?」

千早「お菓子だなんて、自炊すらまともにしていない私には……」

千早「いえ。諦めちゃ駄目よ」

千早「私には私にしか出せない味があるはず!」

千早「……そういえば、最近のプロデューサーは疲れがたまってるように見えたわ」

千早「なら『健康的なお菓子』を作れば喜んでくれるかも」

千早「……歌のため。夢のため。私とプロデューサーとの甘い生活のため」

千早「勝ってみせる……!」


春香「千早ちゃん、何をミキサーで混ぜてるんだろう?」

亜美「あ! 亜美、あれ知ってる! すっごい苦い野菜だよね!」

律子「さっきは玉ねぎを抱えてたけど……」

美希「カオスなの~」

~1時間後~

小鳥「しゅーーーーりょーーーー!!」

貴音「完成です!!」

伊織「できたわ!!」

真美「スペシャルデザート、お待ち!」

千早「やった……!」

小鳥「さて。時間もないので早速審査開始です!」

真「結局誰が審査するんですか?」

響「じ、自分は遠慮したいぞ……」

春香「私もちょっと……」

伊織「あんたたち何引いてるのよ!?」

律子「だって……ねえ?」

美希「完全に死亡フラグなの~」

P(あ、やっぱり誰でもそう感じるのか)

小鳥「審査は第三者に委ねます! スタッフの方、お菓子を運んじゃってください!」

小鳥「その間に中継先を呼びましょう! 中継先の――社長ー?」

社長『やあ、音無君。待ちくたびれたよ』

P「社長!?」

社長『やあ、お疲れ様。君も大変だな』

P「誰のせいだと思ってやがる!? そもそもなんですか、あの契約者の追記は!?」

社長『いやぁ……私もどうしても断りきれなくてね』

P「あんた社長でしょう!? うちのトップでしょう!?」

社長『だって……』

P「だって?」

社長『契約書の内容を変えなければ事務所を辞める、って全員に言われたらどうしようもないだろう……?』

P「最悪の脅迫ですね……」

アイドル+小鳥『』ニヤッ

小鳥「さあ社長! 世間話はその辺までにして。早速、審査をしてくれる一般の方を探してください!」

社長『任せたまえ』

P「なるほど。第三者ってそういうことですか」

社長『ふむふむ……むおっ!』

社長『そこの君! うちでアイドルをやってみないかね?』

少女『はい?』

社長『清純そうな君なら、間違いなく汚れのないトップアイドルになれ――』

あず「あらあら、社長?」

春香「まるで私たちが汚れてるような言い方ですねー?」

雪歩「これ以上、ライバルを増やさないでくれますか……?」

社長『ひっ!?』

P「お前ら、キャラ変わりすぎ……」

社長『で、では気を取り直して……』

社長『む。そこの君、ちょっといいかな?』

冬馬『あん? なんだよ、あんた?』

翔太『何これ? テレビ?』

北斗『チャオ☆』

黒井『高木!?』

P「なんでジュピターと黒井社長がその辺歩いてるんだよ……」

社長『このお菓子を食べてどれが1番美味しいか判定してほしいのだ』

冬馬『お菓子って、これ……緑色してるぞ?』

翔太『うわぁ、なんか脂っこい匂いがするね~』

北斗『見た目が凄いのもあるな。どうしてクッキーから蟹の足が飛び出してるんだ?』

黒井『高木! 貴様、どういうつもりだ!?』

P「お前ら何作ったんだ……」

貴伊真千『……』

社長『ではよろしく頼むよ!』

黒井『何故私たちが貴様の頼みなど――』

冬馬『別にいいけどよ……まずはこっちのプリンから……』パクッ

冬馬『上手くもないけど、不味くもないな。ただ……これはプリンの形をしたラーメンだろ!?』

翔太『本当だ~。豚骨味だね~』

北斗『こっちのクッキーはインパクトがあるな……どうして蟹の足なんか……』パクッ

北斗『むぐっ!? げほっげほっ!』

北斗『蟹とキャラメルとキャビアって……凄い組み合わせだな』

黒井『勝手にそんな毒物を食うな!』

響 「やっぱりラーメンだったぞ」

亜美「お姫ちんはぶれないね~」

律子「伊織らしいっちゃ、らしいクッキーね……」

冬馬『これのどこがお菓子だ! 俺は甘党なんだぞ! せめて甘い物を作れよな!』

真美「マジで!?」

雪歩「真美ちゃんたちのあだ名、大正解だねぇ」

翔太『次は僕がいこうかな』

北斗『これだな。見た目はチョコレートの塊っぽいが……』

黒井『罠だ! 中にとんでもないものが入っているに決まってる!』

翔太『まあまあ、黒ちゃん。少しは楽しもうよ』パクッ

翔太『』バタンッ!

北斗『翔太!? しっかりしろ!』

翔太『う……わさびと唐辛子は……酷いんじゃない?』ガクッ

北斗『翔太ああああああ!!』

P「黒井社長、大正解」

真「笑えなくなってきましたね」

北斗『仕方ない。最後のは俺が。これはマシュマロと……フォンデュのつもりなのか? この緑色の液体は』

黒井『もうやめろ! 今後の仕事に差し支えたらどうする!』

北斗『社長も一口どうぞ』

黒井『なっ!?』ゴクンッ

黒井『……』ブクブク

北斗『食べる前にこの反応は見たくなかったな』

北斗『ま、女の子の手料理で死ぬのなら本望かな』パクッ

北斗『ぐっ……!』

北斗『木の根っこって……こんな味がするの、かも、な』バタンッ!

冬馬『北斗!? おっさん!?』

冬馬『なんなんだこりゃああああ!?』

P「なんというか……本当にすまん」

冬馬『くそっ! 早く救急車を!』

社長『ああ、待ってくれ! 一応判定だけしてくれないかな!』

冬馬『判定!? ちっ……ならプリンだ。あれはまだまともに食えたからな』

小鳥「勝負あり! 勝者、四条貴音!!」

貴音「ふふふ。らぁめんの前では全てが無に帰すのです」

伊織「こんな決着、納得いかないわ!」

P「妥当だろ」

伊織「うっさいわね! そうよ! あんたが食べて判断すればいいんじゃない!」

P「は?」

真美「あまとうの意見なんかどうでもいいよー!」

P「ちょ、話が違――」

千早「プロデューサー、私の気持ち、受け止めてください!」

P「おい待てなんで全員来るんだストップ話あお――ぎゃああああああ!!」

小鳥「さあ続いて2回戦!」

P「……」ブクブクブク

響「プロデューサー、蟹みたいだぞ……」

雪歩「救急車、呼ばなくていいのかなぁ」

伊織「ふんっ! ほっとけばいいのよ、そんな奴!」

小鳥「でも、このままだと選手紹介ができないし……起きてください、プロデューサーさん」バチッ

P「……」ビクンッ

P「お、おばあちゃん! マイ○ル・ジャク○ンと茶飲み友達になったって本当!?」

P「……あ、あれ? ここは?」

P「……現実に戻ってきちゃったのか(泣」

伊織「ふんっ。一生戻ってこなければよかったのよ」

P「でこちゃんひどす……」

2回戦:律子 vs 美希 vs あずさ

小鳥「知的な眼鏡がトレードマーク! 裏方だって光り輝きたい時がある! 元アイドル、現敏腕プロデューサー――秋月律子!!」

律子「はあ。どうして私、ここにいるのかしら」

亜美「喜んでエントリーしたくせに~」

春香「律子さんもツンデレだよねー」

律子「仕方ないわね……わ、私はプロデューサー殿になんかちっとも興味はないけど……」

律子「けど、どんな勝負であれ負けるのは性に合わないわ」

律子「悪いけど、本気でやらせてもらうわよ」

P「だいぶ伊織とキャラがかぶってるな~」

伊織「……」ツーン

小鳥「潜在能力No.1! 歌も踊りもなんでもござれ! 正直ちょっとチートっぽくない!? 765プロの眠れる獅子――星井美希!!」

美希「ん~……特に意気込みとかはないかな?」

美希「どうせミキが勝つに決まってるんだから、ハニーとはピロートークの時にたくさん話すの」

美希「ね? ハニー」

真「うわぁ、大胆だなぁ」

真美「さすがはミキミキだね」

P 「……やっべえ、格好良すぎて惚れそう」

律子こんなキャラだったっけ?

小鳥「王子様を探して三千里! 大人の魅力は誰にも負けない! 今日も二つの果実をどたぷ~んと揺らす――三浦あずさ!!」

あず「婚姻届はばっちり用意してきました~」

響「やっぱり重いぞ」

あず「本当は王子様に迎えに来てもらいたかったんですけど」

あず「あまりにも王子様が鈍感なので、私の方からお迎えに行こうと思います~」

あず「ふふっ。鈍い王子様をお姫様のキスで目覚めさせる、っていうのもたまにはありですよね?」ドタプーン

P「……鼻血出そう」

律子「……。なんなの、この反応の差は」

>>68 アニマスとSPの知識しかないんで、若干キャラがおかしいかも。
大目に見てもらえると助かります。


小鳥「では2回戦の勝負方法は……これだあ!」

【大食い】

貴音「おや。あれは私の……」

響「だと思ったぞ」

亜美「おやおやぁ。これは先が見えない勝負ですな、ワトソン君」

真美「大食い、のイメージが誰もありませんね銭○警部」

P「お前ら色々混ざりすぎ」

小鳥「ルールは簡単! 制限時間10分以内にこのギガ盛りカレーを最も多く減らした人が勝者です!」

雪歩「私、カレーを見上げるのって初めてだよぉ」

千早「見てるだけで吐き気が……」

貴音「……」ジュルリ

響「貴音、『待て』だぞ」

貴音「……」シュン

小鳥「それでは選手の3人は席に着いてください」

P「スタジアムのど真ん中に学校用の机と椅子……なんつーシュールな」

小鳥「制限時間は30分! お水のおかわりは自由! リバースはアイドル的にNG!」

P「頼むから本当に最後のだけは勘弁してくれ」

律子「これ本当にカレーなの……?」

美希「あふぅ。適当に頑張るの~」

あず「まあ。いい香りね~」

小鳥「スタート!!」

~20分経過~

律子(ここまではほぼ互角……)

律子(みんな同じくらいペースが落ちてきてるわね)

律子(ここからは気力と精神力の勝負になりそう)

美希「ふう」カラン

律子(美希がスプーンを置いた!?)

律子(どういうこと? あの子がこのくらいで勝負を投げるとは思えない……)

律子(あずささんもかなり警戒してるみたいね)

美希「ねえ、あずさ。律子……さん」

律子(? どういうつもりかしら。勝負の最中に話しかけてくるなんて)

美希「あ、食べながらでいいの。これはあくまで美希の独り言なの」

律子(こっちのペースを乱すつもりでもないようね。っていうかあずささん、黙々と食べてるわね)

美希「ミキ、この前ハニーのパソコンを勝手に覗いたんだけど」

律子(プロデューサー……セキュリティ管理はしっかりしてください!)

美希「その時にね、ハニーが集めてたエッチな画像もたくさんみつけたの」

あず「美希ちゃん、それどんなタイプの子が多かった!?」

律子(食いついた!?)

美希「えっとね、スレンダーな体系の子が多かったよ?」

あず「……」

律子(あ、明らかにあずささんのペースが落ちてる)

律子(私はその程度の罠にはかからな――)

美希「あー、おなかいっぱい。ミキ、こんなにたくさんのカレーを食べたのは初めてなの。だから、ちょっと怖いんだよね」

律子(怖い?)

美希「帰ってから体重計に乗るのが」

律あ『……』ピタ

美希「ミキはまだ若くて代謝もいいから体型を戻すのも簡単だけど……」

律子(駄目……これ以上聞いたら……)

美希「二人は――大丈夫?」

律あ『……』カラン



小鳥「残り1分!」

P「? 全員手が止まってるな?」

真「もうお腹がいっぱいなんじゃないですか?」

雪歩「……。……やっぱり美希ちゃんは強敵だね」



律子(駄目、早く食べなくちゃ……! でも……!)

美希「さーてと。休憩もできたし……ラストスパートなのーー!」

律あ((速い!?))

小鳥「しゅーりょー!! スプーンを置いてください!」

美希「ごちそうさまなのー!」

あず「あらぁ……」

律子(くっ……動揺して最後はほとんど食べられなかった)

小鳥「計測の結果……勝者、星井美希!!」

亜美「ミキミキすごーい!」

春香「うーん。あずささんが勝つと思ってたんだけどな~」

美希「ミキのハニーへの思いは誰にも負けないの。そのためならどんな手でも使うの」

律子「……そうね。完敗だわ」

あず「残念ですねぇ」

美希「2人は強かったの。けど、ミキはもっともっと高みを目指すの」

響「なんか……格好いいぞ」

P「よく分からんけど……厨二病乙」

3回戦:春香 vs 亜美 vs やよい


小鳥「王道アイドルここに登場! 無個性こそ最大の個性! でもやっぱりキャラは欲しい! ドジっ娘アイドル目指して爆走中――天海春香!!」

春香「む、無個性じゃありませんよ! 遠距離通勤とか女子高生とか、あと、あと……」

P「驚くほど普通だな」

伊織「絶望先生で言えば『日塔奈美』かしら?」

春香「~~~~っ! プロデューサーさん!」

春香「この作品のメインヒロインは私なんですよ!?」

P「なんのこっちゃ」

春香「それなのに……無個性とか普通とか面白みがないとか……」

春香「絶対に違うもん!!」

春香「証明してみせます! 今日は全員、私の前にひれ伏しなさい!!」

雪歩「黒い春香ちゃんが出ちゃってるね」

あず「テレビの前では絶対に見せられないわね~」

小鳥「765プロのトラブルメーカー! だけどそれは愛情の裏返し! 兄ちゃん構って遊ぼうよ!――双海亜美!!」

亜美「兄ちゃんをゲットするのは亜美だからねー!」

真美「亜美、頑張れー! 真美の仇は任せたよー!」

貴音「麗しい姉妹愛ですね」

亜美「んっふっふ~。はるるんもやよいっちも亜美の敵じゃないよ!」

亜美「なんたって、亜美が一番若いんだからね!」

亜美「男の人は若い女の子の方が好きなんだってお父さんも言ってたし!」

真「プロデューサーは犯罪者だったんですね。別にボクは気にしませんけど」

千早「む、胸が小さいのはロリコン的に駄目ですか!?」

P「お前らとはあとでゆっくりと話し合う必要があるな」

小鳥「貧乏なんて怖くない! 給食費のために今日も元気にハイタッチ! 妹街道まっしぐら――高槻やよい!!」

やよ「うっうー! 頑張りますー!」

千早「高槻さんはいつ見ても癒されるわね」

やよ「プロデューサー! 私、負けません!」

やよ「貧乏でもお金がなくてももやしばっかり食べてても――絶対に勝ちます!」

やよ「勝って――プロデューサーに本当のお兄ちゃんになってもらいたいんです!!」

やよ「お兄ちゃんの背中を流すっていう夢をかなえたいんです!!」

P「やよいの勝ちで」

春香「ゴラァッ! プロデューサーさん! なにいきなりトチ狂ってるんですか!?」

P「すまん、あまりの可愛さについ……」

雪歩「やっぱりロリコンなんじゃ……」

小鳥「ヒートアップする3回戦……勝負方法はこれだ!」

【計算】

律子「ここで引かれちゃったか。負けた後じゃあんまり関係ないけど」

あず「春香ちゃんが有利かしら~。春香ちゃんは高校生、亜美ちゃんとやよいちゃんは中学生だし~」

伊織「……そうね。普通ならそう考えるでしょうね」

真「伊織? どうしたの?」

伊織「……」

小鳥「制限時間は20分! その間にこちら――小学生用のドリルを解いてもらいます!」

小鳥「問題は全て単純な四則演算! 出来るだけ早く正確に、より多くの正解を出した選手の勝利です!」

小鳥「では選手の皆さん、準備はいいですか……スタート!」

春亜や『……!』バッ

~10分経過~

P「しかし、地味な対決だな」

響「動きがほとんどないぞ」

真美「うぅ~、頭がクラクラするよ~」

雪歩「双子のテレパス、って奴かなぁ?」

貴音「面妖な……亜美と真美はそのような特殊能力を?」

真美「あぅ~、真美は関係ないのに~」

P「真美にまで影響が出るって……亜美は相当焦ってるってことか?」


亜美(うぅ~、頭が痛いよ~。勉強嫌いなのに~)

亜美(もうりっちゃんってば! こんな勝負方法、ただの嫌がらせじゃん!)

亜美(でも、負けたら兄ちゃんが……)

亜美(が、頑張らなきゃ!)

亜美(でも、このままじゃ勝てないし……勝つためならちょっとくらいズルしてもいいよね?)コソチラ

亜美「――――え?」

春香(ど、どういうこと!?)

春香(私はこの中で一番の年長者。相手は勉強が苦手なやよいと亜美。圧倒的に有利なのは私のはず!)

春香(なのに……)

春香(どうしてやよいのペースに追いつけないの!?)

やよ「……えん」ブツブツ

春香「え?」

やよ「卵1パック85円……もやし1袋72円……3割引きの靴下が3足で480円……」

春香「か、家計簿……!? 計算式を買い物に置き換えてるってこと!?」

亜美「やよいっち早すぎ……もう10ページ以上差がつけられちゃってるよ……」ウルウル

やよ「500円玉1つ……おつりは36円……」

春香「こ、こんな方法があるなんて!」

やよ「タイムセールのお刺身1パック380円……お野菜詰め放題1袋100円を兄妹3人で……」

春香「ま、負けないもん!!」

小鳥「しゅーりょー!! 鉛筆を置いてください!」

やよ「うっうー! やっと終わりましたー!」

春香「……」

亜美「う~……全然解けなかったよぉ~……グスッ、グス……」

小鳥「採点するので少々お待ちください」



小鳥「では結果発表です!」

やよ「うー、緊張します~」

春香「負けるわけには……!」

亜美「……」

小鳥「勝者は解いた問題も最多で、しかも全問正解!」

P「分かりやすくていいな」

小鳥「勝者、高槻やよい!!」

やよ「やりました~!」

春香「そ、そんな……」

美希「うっそー! やよいが勝っちゃったの?」

真「伊織は知ってたの? やよいが数学が得意ってこと」

伊織「勘違いしない方がいいわ。やよいが得意なのは『数学』じゃないわよ」

真「?」

律子「凄いじゃない、やよい。いつからこんなに勉強が得意になったのよ?」

やよ「うぅー……お勉強はまだ苦手なんですけど~」

あず「あらあら。謙遜することはないわよ~」

P「春香が言ってたけど、家計簿に置き換えたんだって? 工夫を凝らして勉強するなんて凄いことだぞ」

やよ「そ、そうじゃなくて……」


やよ「1円の計算違いで夕食がなくなることだってあるんですよ?」


P「軽々しく言ってすいませんでしたぁ!」ドゲザ

4回戦:真 vs 雪歩 vs 響


小鳥「さあ予選最後の勝負です!」

小鳥「黄色い声援を背中に受けて、今日もキメます王子スマイル! だけど中身は乙女なの! キャピキャピフリフリは夢のまた夢――菊地真!」

真「まっこまこりーん!」

千早「真……そろそろその挨拶、やめた方がいいと思うわ」

亜美「まこちんには全然似合ってないよー」

真美「無理してる感がバリバリだよね~」

真「……」ズーン

P「おい。真だけ意気込みとか語ってないぞ。勝負前にテンション下げてやるなよ」

小鳥「765プロのMs.ドリラー! 諦めません、掘るまでは! 穴掘りとお茶……あんたどこの現場監督だ!? ――萩原雪歩!!」

雪歩「あうぅー、掘ることしかできなくてすいませんー!」

雪歩「でもでも、プロデューサーはこんな私でも認めてくれました」

雪歩「たとえ真ちゃんが相手でも絶対に負けません!」

雪歩「穴掘って埋まる時は……プロデューサーも一緒ですから!」

P「心中しようってことか?」

あず「もう一人、重い子がいたみたいね~」

伊織「まったくもって笑えないわよ」

小鳥「沖縄出身太陽娘! 独りぼっちでも大丈夫! 動物たちがいるんだから! 今日も我慢できずに餌をつまみ食い――我那覇響!!」

響「自分、ぼ、ぼっちなんかじゃないぞ!」

響「765プロのみんなだっているし……いぬ美たちだって……」イジイジ

P「おーい、ひびきー。戻ってこーい」

響「はっ!? な、なんくるないさー!」

響「プロデューサーの変態衝動を受け止めて上げられるのは自分だけなんだぞ!」

響「だから自分、絶対に負けないさー!」

春香「挽回しようとして支離滅裂になってるね」

小鳥「さあ、予選最終試合。勝ち抜け方法は――」

【格闘技】

真「やりぃ!」

雪歩「……」

亜美「ありゃりゃ」

千早「これは決まったかしら」

貴音「響も運動神経はよいのですが、格闘技となると……」

美希「結果が見えてる勝負ってつまんないの」

響「ま、まだ分からないぞ!」

雪歩「……」ブツブツ

小鳥「アイドルが殴って蹴ってを行うとまずいので、競技はスポーツチャンバラにします」

小鳥「頭につけた紙風船を割られたら負け!」

小鳥「チャンバラ用の獲物は各種取りそろえたので、お好きなものをどうぞ!」

真「ボクはこれで」

P「オーソドックスな太刀型だな。真ならそれで充分だろ」

響「うー……チャンバラなんてやったことないし……あーもー、これでいいや!」

春香「響ちゃんは二刀流? 数打てば当たる作戦かな?」

雪歩「……」ブツブツ

やよ「スコップ型ですか~?」

律子「そんなのあるの!?」

美希「? 雪歩?」

小鳥「始め!」

響「ふふんっ、悪いな雪歩! まずは弱いところから攻めさせてもらうぞ!」

響「おいで、いぬ美!」

いぬ美「バウッ!」

雪穂「……」ブツブツ

響「雪歩と直接やり合ってもたぶん勝てると思うけど、対真用に体力は温存しておきたいさー」

響「さあ、いぬ美に飛びかかられたくなかったら自分で風船を割るんだ!」

雪歩「……の」ブツブツ



P「珍しい。響が頭脳派っぽい戦法を取ってる」

伊織「ねえ、さっきから雪歩の様子が変じゃない?」

千早「ずっと何か呟いているみたいだけど」

これはヤンデレ雪歩

雪歩「……ろ……の」ブツブツ

響「ゆ、雪歩……?」

真「どうしたの雪歩?」

雪歩「デューサー……のもの……プロ……わた……」ブツブツ

響「さ、寒気が……」

真「嘘……これって世に言う殺気ってやつじゃ……」

雪歩「プロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のもの
プロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のもの
プロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のもの
プロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のものプロデューサーは私のもの」ブツブツ

響真『っっっ!?』

響「い、いぬ美ぃ!」

いぬ美「ばうううっ!」ダッ

雪歩「――」ピタ


雪歩「お す わ り」ドゴォッ


いぬ美「……」グッタリ

響「い、いぬ美ぃぃぃぃぃ!」

雪歩「さあ……次は響ちゃんの番だよ?」テク…テク…

響「う、うぅ……」ジリジリ



P「……。……誰か産業で説明よろしく」

真美「ゆきぴょん。バーサーカー。ジェノサーイド」

P「怖ぇよ! しかも否定できねえよ!」

美希「自分自身に暗示をかけてるみたいなの」

春香「暗示?」

美希「うん。物凄い思い込みっぽい感じかな。雪歩の身体能力が上がっちゃてる」

P「いつから魔法なんて使えるようになったんだ、雪歩……」

雪歩「どうしたの響ちゃん? 後ろに下がってばかりじゃ勝てないよ?」

響「う、くぅ……!」ジリジリ

真(迂闊に手が出せない……!)

雪歩「……。あーあ。響ちゃん、残念だったね」

響「な、なにg――うわああああっ!?」ガラガラ



P「ちょ! どうしてあんなところに巨大な穴が空いてるんだ!?」

やよ「うわ~。すっごい深いです~」

亜美「あれって……」

春香「雪歩だろうね。念のため、前もってしかけておいたんじゃないかな?」

伊織「前もって、って……」

春香「たぶん、雪歩が書いた勝負は【穴掘り】とかだったんだよ。それで、もしもその勝負になった時――ううん、それ以外の勝負でも利用できるように」

美希「さすが春香なの。腹黒さにかけては天下一品……他の人の悪だくみも読めちゃうんだね?」

千早「今回は腹黒さも役に立たなかったようだけれど」

小鳥(誰も響ちゃんの安否は気遣わないのかしら?)

雪歩「ごめんね、響ちゃん。確か地下水脈に繋がってたはずだから、たぶん死んではないと思うんだk――っ!」ガァン

真「くっ!」

雪歩「も~、真ちゃんらしくないなぁ。正々堂々が真ちゃんのやり方でしょう?」

真(背後から不意をついたのに防がれるなんて……!)

雪歩「不意打ちなんてずるい真似してると、真ちゃんに幻滅しちゃうよぉ。そうしたら――」


雪歩「真ちゃんも、穴に落としちゃうかも?」


真「……っ!?」ゾクッ

真(冷静になれ、ボク!)

真「すぅ……はああっ!」

雪歩「そうだよ、それが真ちゃんでしょ!」

ガギィィィィィン!!

P「……おい。いつからこの勝負は少年漫画的なバトル展開になったんだ?」

伊織「2分前からね」

P「いおりん超クール」

律子「っていうか、どうしてスポンジ製の武器で金属音が鳴るわけ!?」

亜美「りっちゃん……それは演出だよ」

律子「はい?」

真美「響き渡る金属音は……君の心が、鳴らしているのさ」

千早「意味不明だわ」

やよ「あ! 真さんが!」

美希「負けた、の?」

真「……まさか、自分で選んで勝負で負けちゃうなんて。完敗だよ、雪歩。……雪歩?」

雪歩「……」ガク

真「雪歩!」

雪歩「……ん、んん。あ、あれ? 真ちゃん?」

真「大丈夫、雪歩!?」

雪歩「私なんで……あれ、勝負はどうなったの?」

真「お、覚えてないの?」

雪歩「え? 何が?」

真「どれほどの集中力が……」



小鳥「以上で予選終了です! では、さっさと本選に移りましょう! 本選はこちら!」

【鬼ごっこ】

P「ここにきて、またやたらと平凡な……っていうか響は大丈夫なのか?」

小鳥「捜索部隊は出しました」

P「なるほど」

~二時間後 隣県にある山間の自然公園~

小鳥「さあさあ、泣いても笑ってもこれが最後の大勝負!」

小鳥「プロデューサーさんvsアイドル全員の壮絶鬼ごっこ!!」

小鳥「30分2ラウンド! 休憩は10分間! ゲームの範囲は自然公園内のみ!」

小鳥「プロデューサーさんは捕まったら負け、逃げ切れば勝ち!」

P「俺にも勝利条件があるのか」

小鳥「予選を勝ち残った4人は1回捕まえた時点で即終了! 敗者の面々は3回捕まえなければ勝利になりません!」

敗者組『ぶーぶー』

美希「ふふっ。文句ばっかり言って見苦しいの」

小鳥「敗者組は1度タッチした後は、その場から1分間動いてはいけません!」

小鳥「ルール説明は以上! では、プロデューサーさんが逃げてから5分後に鬼が動き始めます!」

P「え? もう始まるの?」

小鳥「スタート!!」

P「早っ!? くっ! 絶対に逃げ切ってみせるからな!」

~開始から5分経過~

P「……。……近づいてくる気配はないな」

P「結構自然が多くて助かった。これなら隠れながらやり過ごせば逃げ切れるかも」

P「いや。油断は禁物だ。特に勝ち残った4人には気を付けないと」

P「美希の勘の良さは侮れないし、貴音は底が見えなくて不気味だ。それに……」

P「雪歩は1番やばい気がする」

P「……捕まるならやよいがいいなぁ」

伊織「悪かったわね、やよいじゃなくて」

P「うおおおおっ!?」

伊織「はい、タッチ」ポン

P「い、伊織!? いつの間に――っていうかどうしてここが!?」

伊織「にひひっ。伊織ちゃんに不可能はないのよ」

P「だってまだ鬼が動き始めてから5分しか――」

伊織「あ、あんたのことなら何だって分かるわよ……」

P「え……」

伊織「……」モジモジ

P「いや、その……」

伊織「……」モジモジ

P「発信機付けたんだろ?」

伊織「――」

P「図星かよちくしょう!」

伊織「ふ、ふん! どんな手でも使うって宣言したでしょう!」

P「くそっ、どこにつけたんだ!?」

伊織「さあ、どこかしら……あ、1分経ったわね」ポン

P「え?」

伊織「にひひっ。これで2回。あと1回であんたは私のものよ」

P「忘れてた! くっ! とりあえずここから離れなくちゃ!」タッタッタ

伊織「どこにいたってすぐに見つけてみせるわ!」

~10分経過~

P「はあ、はあ……ひとまず上着は脱ぎ捨てよう」

P「携帯や財布も隠しておくか。あとで取りにくればいいだろう」

P「外したものの中に発信機がついてればいいんだけど……」



~12分経過~

伊織「ちぇ。まさか財布まで捨てて行くなんて」

伊織「ちょっと考えが甘かったかしら?」

伊織「ま、いいわ。これで美希たちと条件は同じ。あとは私だけの力で勝ってみせる!」

伊織「……。……折角だから、プロデューサーの家の住所をメモっておこうかしら」

~同刻 近くの茂み~

P(どうやら財布にしこんでたみたいだな……)

P(よし、離れていく)

P(ふふ。発信機のすぐ側に隠れているとまでは思わないだろう)

ポンポン

P「え?」

あず「あら~」

P「なっ、あずささん!?」

あず「まあ、プロデューサーさん。道に迷ってしまったのだけど……ラッキーだったわ~」

P「くっ!」ダッ

あず「あら~。もう行っちゃうんですか~?」

あず「あらあら~。困りました。次はどっちの方向を探しましょう~」

~17分経過~

P「ぜっ、はあ、はあ……」

P「しゃ、洒落にならないぞ、この勝負……」

P「まだ勝ち組に見つかってない分助かってるが……」

P「すでに伊織も条件は同じになってるしな」

P「今美希たちに見つかったら相当やばいぞ」

真「なら、ボクならいいですか?」

P「っ! ま、真か! けど、どこから――」

真「タッチです、プロデューサー!」ガサッ

P「木の上からだとぉっ!?」ポン

真「へへっ。これでボクも1回ですね。さあ、さっさと終わらせちゃいますよ!」

P「お前はいつから山猿になったんだ!?」

真「ひどいですプロデューサー! せめて日光猿軍団って言ってください!」

P「そういう問題じゃない! 足がパンパンだってのに!」ダダッ

P「はあ、はあ……」

P(まずいな。この程度の速さじゃすぐに真に追いつかれる)

真「逃がしませんよ、プロデューサー!」

P(もう追ってきた! ってあれは!?)

貴音「……」キョロキョロ

P(貴音か! 幸い、まだ俺に気付いていないみたいだけど……)

P(このまま直進すればぶつかる! くっ、こっちの細道に!)ガサガサ

貴音「おや? 今、ぷろでゅーさーの気配がしたような……」



P(貴音はやり過ごせた……けど)

真「結構速いですね、プロデューサーも!」

P(脅威はいまだ消えず……このままじゃあっさりとあと2回捕まr――)

亜美「必殺!」ガサ

真美「ダブル・タッチ!」ガサガサ

P「うおおおっ!?」ポンポン

亜美「いえーい! 待ち伏せ作戦大成功!」

真美「兄ちゃん、大人しく真美たちに捕まっちゃいなよー!」

P「お前らこんなところで……いや、今はよくやった!」

亜美「ふえ?」

真美「どうしたの兄ちゃん?」

P「2人とも並んで。そう、そんな感じでこの道を塞いでてくれ。じゃあな!」

亜美「? 変な兄ちゃーん」

真美「あ。真美、理由分かっちゃったかも」

亜美「え? なになに?」

真美「あれ」

真「プロデューサーァァァ……って、亜美と真美!? ちょ、そこどいてーーー!」

亜美「無理だよー! 亜美たちまだ動けないもーん!!」

真美「まこちんこそ止まって――うわああああ!」

ドンガラガシャーン

~23分経過~

P「……。よし、真も足止め出来たようだな」

P「あと7分か……」

P「ちょうど水飲み場があるな。少し水分補給でも」



~24分経過 水飲み場~

P「……」ゴクゴク

P「ぷはぁ。生き返る!」

律子「それはよかったですね。はい。1回目です」ポン

P「……」

律子「どうしたんですか?」

P「律子嬢。何故ここに?」

律子「聞きたいですか?」

P「結構です!」ダッ

律子「ふふ。無駄ですよ、プロデューサー」

P「はあ、はあ……うっ」ズキッ

P「まずっ、水を飲んだせいでわき腹が……」

律子「やっぱり」

P「り、律子……」

律子「水分を補給できる場所は限られています。その中でもスタート地点から遠い場所で張っていれば遭遇する確率は高い」

律子「鬼からは出来るだけ離れておきたいですものね?」

律子「そして、水を飲んだあとに急激な運動をすれば……説明は不要ですね?」

P「さ、策士だな……」

律子「いえいえ、それほどでも」ポン

P「はあ、はあ……」

律子「逃げないんですか?」

P「まあな。もう体力も尽きたし……それに、律子なら掴まっても無理な要求はしなさそうだ」

律子「ふふ。嬉しいこと言ってくれますね。では、お言葉に甘えて――」

美希「駄目なのーーーー!!」

P「美希!?」

律子「ちょ、美希! 何するの!」

美希「ハニー、逃げて!」

P「いや、でも……」

美希「妥協して捕まるなんてそんなのおかしいの! 最後まで全力で戦ってこそミキのハニーなの!」

P「……。……ああ、もう!」ダッ

律子「あ、ぷ、プロデューサー!?」

P「すまん、律子! 美希の言うとおりだ! 手を抜くのは皆に失礼だ!」ダッダッダ

律子「くっ……もう少しのところで!」

美希「律子……さんにはハニーはゆずらないの!」

~27分経過~

P「とはいえ……」

P「あと少しってところで何故貴音に見つかるかな!?」

貴音「逃がしません!」

P(幸い、貴音の足はそれほど速くない。このまま誰にも見つからなければ逃げ切れ――)

春香「プロデューサーさん! やっと見つけました!」

伊織「もう逃がさないわよ!」

千早「プロデューサー!」

P「最大のピーンチ!」

P(前に千早、右に伊織、左に春香、背後からは貴音……)

P(狼と虎と豹と蛇に囲まれた気分だ!)

P(もうどこかから突破するしかない!)

P(なら……答えは1つ!)

ほす

ほす

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

まさかまだ残っていたとは……
保守してくださった方々、ありがとうございます。
では、規制対策で間隔を空けつつ、拙作ながら続きを書かせて頂きます。

>>141の続きから

P「ちぃぃぃはぁぁぁやぁぁぁ!!」

千早「ぷ、プロデューサー? ちょっと顔が怖いです……」

P「押し通る!」

千早「ま、負けません! あなたを捕まえます!」

春香「どうして千早ちゃんの方に行くんですか!? 私だってまだ1回もタッチしてないのに!」

P「毒持ってるかもしれん蛇の方に進む馬鹿はいない!」

春香「蛇ってなんですか!?」

P「どっせい!」

千早「はっ!」ポン

千早「やった!」

P(触られた……けど、よし、上手く脇を通り抜けられた! 千早はまだ1回目! これなら……)

貴音「! あなた様、前を!」

P(え? あれは……やよいか!)

壁に突っ込むとは・・・

やよ「プロデューサー見つけました~!」

P(まずい、こうなったら茂みに突っ込むしか――)

やよ「うっうー! プロデューサー! はい、た――」スッ

P「ーっち!」

ビーーーー
ポン

P「はっ!? 俺は何を!?」

やよ「うっう~! やりました~!」

千早「いえ。残念だけど高槻さん。今のタッチは1ラウンド終了の笛が鳴った後。無効だわ」

やよ「あ、あれ? そうだったんですか? うー、残念ですぅ」

千早「うっ……」ズキン

やよ「でもでも、次は捕まえてみせますからねー、プロデューサー!」

やよ「ってあれ?」

貴音「どうやら逃げられてしまったようですね」

P「ま、まさか自らタッチしにいってしまうとは……恐るべし、やよいのピュア・パワー」

P「しかし、まずいな……」

P「着々と危険度が増してる」

P「なにより……」

P「雪歩の姿を1度も見なかったのが恐ろしすぎる」

1ラウンド結果:
 春香:0 千早:1 真:1 雪歩:0
 やよい:0 伊織:2 律子:2 あずさ:1
 貴音:0 美希:0 亜美:1 真美:1 響:0

ビーーーーーーー

P「もう2ラウンド目開始か」

P「取り敢えず、もっと奥の方へ逃げておくか。少しでも時間を稼ぎたい」

ガサッ

P「誰だ!」

ガサガサ

P「って、さすがに開始直後に俺のところにまで来れるはず――」

響「うわあああん! プロデューサー!!」

P「響!?」

響「うわああああああん!!」ダキッ

P「お前よく無事で……ってずぶ濡れじゃないか!」

響「うぅ、ぐす、ひっく……」

P「ああ、よしよし。まずは落ちつけ、な?」

P「響、獣臭いぞ」

~3分後~

P「落ち着いたか?」

響「うん。自分、穴に落ちて……そしたら、下におっきな川が流れてて……」

P(地下水脈、とか言ってたな)

響「自分、必死に溺れないように頑張って……気付いたら、こんなところまで流されてたんだ」

P「ふうむ……水脈の先が山のどこかに繋がってたのかね? しかし……はあー」

響「な、なんでため息つくんだよー」

P「ため息じゃないって。安心したんだよ。無事でよかった」

響「ぷろ、でゅ……うわああああああん!」

P「あーあー。また泣いて……落ちつくまで待ってやるk――」

ガサ

律子「今が勝負の真っ最中ってこと、忘れていやしませんか?」

P「忘れてました」

響「うん? 勝負って?」

律子「響……無事だったのね。よかったわ。それと、勝負のことはなんでもないのよ」

響「ほえ?」

律子「私がプロデューサー殿に触ればお終いだから」

P「逃げるぞ、響!」ダッ

響「へ? ええ? なんなの?」ダッ

響「ちょ、プロデューサー! どうして律子から逃げるんだ!?」

P「わけあって鬼ごっこの真っ最中だ! 律子に捕まったら色々とまずい!」

響「よく分かんないけど、とにかく逃げるんだね? なら……おいで、ネコ吉!」

ネコ吉「ニャァー!」

響「律子を足止めするさー!」

ネコ吉「ニャア!」

律子「ちょ、なによこの猫! あ、こら、顔にひっつかないで!」

響「今のうちに!」

P「お、おお!」

~10分経過~

P「はあ、はあ……響、さっきは助かったよ。ありがと――」

響「しっー!」

P「?」

響「プロデューサー静かにするさ。……あっちから声が聞こえるんだな、うさ江?」

うさ江「……」ピコピコ

響「3時方向に亜美、9時方向にやよい、11時方向にあずさ……くぅ、囲まれてるさ」

P「展開早すぎてついていけない俺ですが……一応つっこんでおこう。これなんてMGS?」

響「よし。頼むぞ、ブタ太!」

ブタ太「ブヒ!」

ガサガサガサガサ

亜やあ『!!!』

亜美「不審な物音はっけーん!」

やよい「うっうー! プロデューサー、そこですかー!」

あずさ「あら~。また迷子になって見つけちゃったのかしら~」


響「よし、3人ともブタ太の物音につられて離れていったさ。今のうちに」

P「響ちゃん、超かっけー」

~15分経過~

P「ふう。ようやく一息つけるな」

響「うん。でも念には念を入れて……」

P「響?」

響「ハム蔵、シマ男。周囲の警戒を頼むさー。物音がしたらすぐに自分に知らせるんだぞ?」

ハム蔵「ぢゅうー!」

P「お前はいつから動物マスターになったんだ」

P「響がいてくれて助かったよ。俺だけだったら、律子に見つかった時点で終わってたかもしれない」

響「あんなに闘気がむきだしの律子は初めて見たさー。正直、自分もかなり怖かったぞ」

P「やっぱり誰でもそう思うんだな」

響「だから、プロデューサー。そろそろ自分にも事情を説明してほしいぞ!」

P「っと、そうだったな。実は――」

貴音「こちらにいらっしゃいまいたか、プロデューサー」

P響『!?』

響「た、貴音!? そんな……ハム蔵たちが警戒してたはずなのに!」

貴音「なるほど……小さくも不穏な気配はそれでしたか。しかし、響? 何故ここに?」

響「川に流されて山に放り出されたら、この公園でプロデューサーと会えた」

貴音「面妖な」

P「俺もそう思う」

音「響。そこを退いてはもらえませんか? 私は貴方とは争いたくないのです」

響「……やだ!」

貴音「響……」

響「自分、今何が起こってるのかさっぱりさ。でも……」

響「プロデューサーが困ってるじゃないか! だから自分が助けるんだ!」

貴音「『さっぱり』? 響、貴方はこのげーむの詳細を知らないのですか?」

響「知らない! 皆が襲ってくるせいでプロデューサーに聞く時間もないんだぞ!」

貴音「……」

貴音「……そう、ですか。ルールを知らずともぷろでゅーさーを……」

貴音「……いいでしょう。今回は私の負けとします。ここは潔く身を退きましょう」

響「貴音……!」

貴音「美希くらいならな私が抑えられるでしょう。しかし雪歩は……」

P(さすがに貴音でも雪歩は無理か……)

貴音「響」

響「うん?」

貴音「ふふっ。負けたら承知しませんよ?」

響「んー? よく分かんないけど、プロデューサーは守ってみせるさ!」

貴音「その意気です。では、げーむが終わった時に会いましょう」ガサガサ

響「……」

響「こ、怖かったぁ……」

P「ひ、響……」

響「貴音ってば迫力がありすぎさー。あんなに睨まれたら……自分、どうすればいいか分からないぞ」

P「……ありがとうな、響」

響「ふえ?」

P「俺なんかのために親友の貴音まで敵に回そうとしてくれて。本当にありがとう」

響「や、やめてよう! お礼を言わなくちゃいけないのはこっちの方なんだから!」

P「? どうして響が?」

響「自分、いっつもプロデューサーに助けてもらってばっかで……だからこんな時くらい、お返しをしたいだけなんだぞ!」

P「そんな……俺の方こそお前の明るさに助けてもらって――」

真「そんないい雰囲気になるのは許しませんよ!」ガサァ

P「山猿!? いや、真か!」

真「ターッチ!」ポン

P「くっ……!」

真「へっへー。これであと1回ですね、プロデューサー」

P「くそっ……逃げるぞ、響!」

響「……」

P「響!?」

響「折角……折角、プロデューサーといい雰囲気だったのに……」ゴゴゴゴゴゴ

P「あのー、ひびきさーん?」

真「へ? ひ、響? 顔が怖いよ? も、もっと笑顔が――」

響「真の……ばかーーーーーー!!」

響「ヘビ香ーーー!」

ヘビ香「シュウ!」

真「へ、へびーーーーーー!?」

響「噛んじゃえーーーー!」

真「う、うわあああああ!」ダダダダッ

響「はあ、はあ、はあ……」

~18分経過~

P「落ちついたか?」

響「うん。もう大丈夫!」

P「で、今の状況なんだけどな……」

響「待ってプロデューサー! ハム蔵からの連絡さ! ……誰か近づいてきてる!」

P「あーもう! ゆっくり話す暇もありゃしない!」

響「こっちさー!」ダダダッ


春香「……ふふ」

響「こっちに! まずは隠れる場所を見つけられるま――うあっ!?」ボコ

P「響!? くっ!」ガシッ

響「ぷ、プロデューサー……」ブランブラン

P「なんでこんなところに馬鹿でかい落とし穴が……」

P「……」

P「……え? 落とし穴?」

春香「驚きましたか、プロデューサーさん」ガサ

P「……春香」

春香「凄いですよね。ここ、何個も落とし穴があるんですよ。1ラウンドの間に雪歩が掘ったみたいです。隠れて見てました」

P「……」

春香「たぶん罠だったんでしょうけど……当の雪歩が見当たらないんで、私が使わせてもらっちゃいました」テヘ

P「……」

春香「さ。プロデューサーさん。大人しく私にタッチされて――」

P「っ! 逃げろ!」

春香「? 誰に言ってるんですか? 響ちゃん? 響ちゃんだけなら別に逃げてもいいですけど――」

P「逃げろ、春香!」

春香「へ?」



雪歩「――駄目だよ、春香ちゃん。私のトラップを利用するだなんて」ポン



春香「え……ゆき」グラ…ボコォッ

春香「きゃあああああ!」

春香「う~~~。いったぁ……お尻打っちゃいましたぁ」

雪歩「もう、春香ちゃんってば。油断も隙もないんだから」

春香「うぅ、穴に落とすなんてひどいよ、雪歩」

雪歩「自業自得だよ~。ズルは駄目だよ?」

春香「それ、雪歩が言うの……?」

~21分経過~

コソ

P「今のうちだ。響、持ち上げるぞ。それ!」

響「ぷはぁ! た、助かったさ、プロデューサー……」

P「しかし、なんつー穴だ。5mくらいあるんじゃないか?」

響「さっき春香がこの辺りは落とし穴だらけだって……なら」

響「モモ次郎! オウ助!」

響「上空から突っ込んで、片っ端から落とし穴を潰してって!」

バサバサバサバサ!

~23分経過~

響「そ、そんな……」

P「たくさんどころか……足の踏み場もないくらい落とし穴だらけじゃないか。逃げ場もねえよ」

雪歩「悪あがき、終わりました?」

P「……雪歩」

雪歩「やっと見つけましたよ、プロデューサー。やっぱり、プロデューサーと私は運命で結ばれてるんですね」

P「『やっぱり』ってなんだ、『やっぱり』って」

雪歩「だって、この場所に来てくれたじゃないですか。私、落とし穴を掘ったのはこの辺りだけなんですよぉ」

P「どうせ追いつめるつもりだったろ?」

雪歩「……」

P「図星ですか、そうですか。はあ、今朝の占い見るの忘れてたな。絶対に1番悪かったんだろうな……」

響「ぷ、プロデューサー! 現実逃避してる場合じゃないぞ!」

P「っと、そうだったな。左右と背後は落とし穴だらけ。逃げ場は正面のみ。けど、そこには……」

雪歩「……」

P「これなんて無理ゲー?」

響「……雪歩!」

雪歩「なぁに、響ちゃん」

響「さっきのリベンジだぞ! 今度は負けない!」

響「来い! いぬ美! ワニ子!」

いぬ美「ばうっ!」

P「おお、雪歩の背後からいぬ美とワニ子が!」

雪歩「もう……さっきこてんぱんにしてあげたのを忘れちゃったの? ワニ子ちゃんが増えただけじゃ、全然変わらないよ?」

P「っていうかいい加減突っ込んでいい? お前はどこを目指してるんだよ、雪歩」

響「まだだぞ! さっき山の中で彷徨ってる間に友達になった子たちがいるんだ!」

響「おいで! 獅子丸!」

獅子丸「ぐおおおおおおおん!」

P「何故に山の中にライオンが!?」

響「クマ代!」

クマ代「があああああ!」

響「ウマ之進!」

ウマ之進「ひひーん!」

響「雪歩を止めるさー!」

雪歩「仕方ないなぁ……」チャキ

P「もうなんなんだこれ……」

~27分経過~

響「そ、そんな……」


雪歩「お す わ り」


獅子丸「ぎゃいん!」バタ

P「お前はいつから格闘家キャラになったんだ、雪歩」

雪歩「もう時間もありません。タッチさせてください、プロデューサー」

響「う、うぅ……ま、まだ、自分がいるぞ!」

P「響!?」

響「プロデューサーに恩返しするんだぞ! こんなところで退けないさー!」

雪歩「そう。あくまで邪魔をするんだね。なら――」スッ

P「あー、ストップストップ。そこまで終了おしまい」

響雪『プロデューサー?』

P「俺の負けだ。だから、もうアイドル同士で喧嘩なんかするな」

響「で、でも……!」

P「その気持ちだけで十分だよ、響。さすがに、これ以上やったら怪我じゃすまないだろ」

雪歩「なんか、私が悪役みたいですぅ……」

P「今度、そういう役も狙ってみるか? セクシーな幹部役とかいいかもな」

雪歩「ぷ、プロデューサーがそう言うなら……」カアッ

P「スコップ握ったまま顔を赤らめるって……だいぶ器用になったな雪歩」

雪歩「え、えへへへ……」

P「さて。雪歩も落ち着いたようだし。やれやれ。ようやく終わりか」ザッザッ

響「プロデューサー……」ガシッ

P「ん?」

響「あ……えと、これは、ちがっ、……」

P「はあ。そんな顔するなって。守ってくれてありがとな、響」ポンポンナデナデ

響「あ……」

響「う~~~~~~~っ! ぐすっ、ひくっ……」ボロボロ

P「あー、ほら。泣くなって」

雪歩「ごめんなさい、プロデューサー。いい雰囲気のところ申し訳ないんですがぁ……」

P「あー、こっちはこっちで時間ないもんな? ほれ、最後はハイタッチでもするか?」スッ

雪歩「で、では、お言葉に甘えて……!」スッ

ピーーーーーーーーーー!

小鳥「そこまで! 勝負終了!」

雪歩「えっ!? まだタイムアップまで余裕があるはずですよね!?」

小鳥「タイムアップ前に勝者が決定! よって、これにて争奪戦は終了よ!」

雪歩「だ、だって……私、まだタッチしてませんよぅ?」

小鳥「ええ。もちろん、勝者は雪歩ちゃんじゃないわ。勝ったのは――」チラ

響「……へ?」



小鳥「勝者、我那覇響ぃぃぃぃっ!!!!」

歩「え? え? ……ええええっ!?」

P「なんで響が?」

響「え? あれ? みんな何驚いてるの?」

雪歩「どどどどどういうことですか小鳥さんどうして響ちゃんの勝ちなんですか今のはどう見ても私が美味しいところを持っていく場面じゃないんですか!?」

小鳥「お、落ちついて雪歩ちゃん。まずはそのスコップを地面に置きましょう、ね?」

響「勝者ってなんのことさーーーーー!?」

P「終わったはずなのに終わった感じがしないのは何故だ……」

>>276『雪』を消してしまったw ファンの皆さんごめん。脳内補完で頼みます

~スタート地点に全員集合~

小鳥「説明しましょう!」

小鳥「これが響ちゃんの勝利へのキセキよ!」


~回想~

P『響!?』

響『うわああああああん!!』ダキッ ←1回目



響『こっちに! まずは隠れる場所を見つけられるま――うあっ!?』ボコ

P『響!? くっ!』ガシッ ←2回目

響『ぷ、プロデューサー……』ブランブラン



P『さて。雪歩も落ち着いたようだし。やれやれ。ようやく終わりか』ザッザッ

響『プロデューサー……』ガシッ ←3回目

小鳥「よって! 敗者組の勝利条件、3回タッチを見事に成し遂げた響ちゃんの大勝利ーー!」

美希「納得いかないの! 2回目のは響は触ってないの! あれは無効なの!!」

千早「確かに……むしろプロデューサーから触りにいってるわね」

亜美「兄ちゃんのエッチー!」

真美「セクハラだよー!」

春香「やり直しを要求します!」

P「往生際の悪い……響本人は聞いてないし」


響「なーなー、やよいー。これって結局なんだったんだー?」

やよ「えーとですねー……」カクカクシカジカ

響「おお! プロデューサー争奪戦! 自分、すっかり忘れてたぞ!」

P「そりゃ、生死を彷徨うような目にあえばなあ」

響「ん? ってことは……自分がプロデューサーを好きにできるってことか!?」

P「勝者の景品をすっかり忘れていました」

響「プロデューサー!」

P「自分、逃げていいっすか?」

真「往生際を悪くしたら駄目なんですよね、プロデューサー?」ガシッ

貴音「時には潔さも必要ですよ、あなた様」ガシッ

P「13階段を上る時ってこういう気持ちかしらん」

響「あ、あの、プロデューサー……」

P「お、おう……」

響「その、よく分かんないけど、自分勝っちゃったみたいだぞ……」

P「み、みたいだな。おめでとう」

響「うん、ありがと……」

P「……」

響「……」

その他(なにこれ。もやもやする……)ドキドキ

響「ぷ、プロデューサー! お願いがあるぞ!」

P(きたか……!)

P「ここまできたら仕方ない……ドンとこい!」

響「じ、自分と……」

その他『……』ゴクリ

響「自分と、出来るだけでいいから、たくさん一緒にいてください!」

その他『え?』

響「休憩中とか、仕事の空き時間とかだけでもいいから……もうちょっと、自分を構ってほしいぞ……」

その他『はい?』

ぼっちだからな

響「う~~~~っ! 凄い恥ずかしいぞぉ」カアッ

春香「あ、あのー……響ちゃん?」

響「な、なに、春香?」

春香「えっと……そんなお願いでいいの?」

響「へ? なんで?」

美希「響のお願いは中途半端すぎるの! ミキなら『婚姻届にサインして』ってお願いするの!」

P(美希が勝たなくて本当によかった)

雪歩「そ、そうですぅ。他にも『永遠に一緒にいてほしい』とか……」

千早「『将来の伴侶になってほしい』とか」

亜美「亜美なら兄ちゃんをずーっと一人占めしたいなー!」

あず「まあ、既成事実を作ってしまうのが手っ取り早いわよね~」

P(勝者が響で本っっっっ当によかった……!)

やよいの方が良かったし

P「しかし、俺が言うのもなんだが、本当にそんなお願いでいいのか?」

P「さすがに結婚は無理だが――」

美希「……ちっ」

P「……。……もう少し我儘言ってもいいんだぞ?」

響「そ、そんなことないさ! 自分、これでも精一杯我儘言ってるつもりだぞ!」

P「え? マジで?」

響「自分、その、そんなに女の子らしくないし、あんまり人気もないから……恋人とか奥さんとか、そんな贅沢は言えないんだ!」

P「え? ちょっと待って。ツッコミどころが多すぎてついていけない」

響「家政婦でも召使いでも……ペットだっていいさ!」

響「だからプロデューサー! プロデューサーの負担にならない程度でいいから、自分と一緒にいてほしいぞ!」

響「自分、独りぼっちは嫌さー! もうネットで『響はぼっち』って書かれるのはごめんなんだ! ぐすっ、ひっく……」

貴音「響……」ホロリ

P「よし待て。1度落ちつけ、深呼吸をしろ」

P「まず、響はすっごい女の子らしいから安心しろ。料理もできて編み物も得意なら、胸張っていいんだぞ?」

響「ふえ? 料理くらい普通のことじゃないの?」

千早「くっ……!」

伊織「べ、別に私は苦手ってわけじゃ……!」

真「……蟹足クッキー」ボソ

伊織「うるさい!」

響「編み物だってマフラーくらいまでしか編めないし……」

P「真なら一生かかっても編めないから自信持て」

真「……orz」

律子「容赦ありませんね」

P「次。響のどこが人気がないって?」

響「だ、だって、自分ネットでは――」

P「ネットの情報を鵜呑みにしない」

P(『ぼっち』発言はむしろ響が愛されてる証拠だと思うけど……)

P「あー、あとなんだっけ? 召使いにペット? 現役アイドルを小間使いにするプロデューサーがいてたまるか」

響「で、でも、自分、他のお願い事なんて……」

P「だーかーら。普通でいいだろ、普通で。今すぐ恋人になってやることはできないけど……」

小鳥「『今すぐ』?」

P「小鳥さんに一切の発言権はありませんからちょっと黙っててください」

小鳥「ピヨォ……」

P「よし、こうしよう! 俺が響の隣の部屋に引っ越せばいいんだ!」

響「!」

その他『!?』

P「そうすれば『できるだけ一緒にいてあげる』ってお願いも叶えてやれるしな。うん、それでいこう」

響「そんな……プロデューサーに悪いぞ! 自分、迷惑はかけたくないぞ!」

P「別にいいって。そろそろ部屋も代えたかったし。優勝者の望みだから会社が経費で落としてくれるだろうし……な、律子?」

律子「ふふっ。仕方ありませんね。社長にあとで伝えておきますよ」

美希「律子さん! ミキも引っ越すの! ハニーの隣の部屋がいいの!」

春香「私も遠距離通勤が大変だし、こっちに1部屋くらい借りてもいいかなー」

雪歩「お父さんを説得……いざとなったら力づくでも……」

あず「最近、引っ越したばっかりだったんだけど、どうしましょ~」

千早「部屋の荷物は少ないし……今日中にまとめられるはずよね」

律子「言っておくけど、あんたたちは全額自己負担だからね?」

その他『えーーーー』

律子「当たり前でしょう!? そもそもこれは響のご褒美で――」ガミガミ

P「そうと決まったら早速荷造りだな。手伝ってくれるか、響?」

響「もちろんだぞ!」

P「響のマンションはペットOKなんだよな? 落ち着いたら俺もなにか飼おうかな」

響「それはいいことさー! いぬ美たちとも一緒に遊べるぞ!」

P「その時は一緒にペットショップにでもいくか?」

響「うん!」

P「やれやれ……忙しくなるなぁ」

響「へへ。ねえ、プロデューサー?」

P「うん?」

響「大好きだぞ!!」ダキッ。チュ

その他『あーーーーーーー!!』



完!!!!

以上で終わりです。
長時間のお付き合い、ありがとうございました。
色々とツッコミどころはあると思いますが「響が幸せならそれでいい!」というSSなのでご勘弁を。

アイマスSSはキャラが多くて難しいね!
では。


響ぼっち(愛)

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